(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526085(P2021-526085A)
(43)【公表日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】固定工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/06 20060101AFI20210903BHJP
【FI】
B25C1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-567914(P2020-567914)
(86)(22)【出願日】2019年5月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月4日
(86)【国際出願番号】EP2019063971
(87)【国際公開番号】WO2019233856
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】18176188.3
(32)【優先日】2018年6月6日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ディットリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャフィック アブ アントゥン
(72)【発明者】
【氏名】カイ フリーヴァルド
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068CC08
3C068HH05
(57)【要約】
発明は、留め具を基材に打ち込むための固定工具であって、留め具を収容するために設けられるホルダと、ホルダ内に収容される留め具を固定軸に沿って基材に移送するよう設けられる打込要素と、固定軸に沿って留め具に向けて打込要素を駆動するために設けられる駆動装置と、を備え、駆動装置は、巻回軸の周囲に巻回される担体フィルム上にそれぞれ配置される2つの電極を有する電気コンデンサを有し、巻回軸の場合の方向におけるコンデンサの大きさは、巻回軸と垂直なコンデンサの大きさの最大である、固定工具に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(被打ち込み材)に留め具を打ち込むための固定工具、特に手持ち式固定工具であって、留め具を保持するために設けられるホルダと、前記ホルダに保持される留め具を固定軸に沿って前記基材に移送するために設けられる打込要素と、前記固定軸に沿って前記留め具に向けて前記打込要素を駆動するために設けられる駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、巻回軸の周囲に巻回される担体フィルム上にそれぞれ配置される2つの電極を有する電気コンデンサを備え、前記巻回軸の方向における前記コンデンサの大きさは、前記巻回軸と垂直に前記コンデンサの大きさ、特に直径の最大1.4倍、特に最大1.2倍、特に最大に大きい、固定工具。
【請求項2】
前記担体フィルムは実質的にプラスチックからなる、請求項1に記載の固定工具。
【請求項3】
前記電極はそれぞれ前記担体フィルムに適用され、特に蒸着される、請求項1又は2に記載の固定工具。
【請求項4】
前記電極はそれぞれ、少なくとも10オーム/□、特に少なくとも30オーム/□、及び/又は最大100オーム/□、特に最大60オーム/□のシート抵抗を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項5】
前記巻回軸は、前記固定軸と平行に配向され、特に、前記固定軸と一致する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記コンデンサから離れて導き、前記ホルダに面する前記コンデンサの端部側面上の前記コンデンサの電極に、電気的に接続され、特に半田付け、溶接、又はねじ留めされる、少なくとも1つの電気ラインを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項7】
前記コンデンサは、8mオーム未満、特に6mオーム未満、特に4mオーム未満の内部抵抗を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項8】
前記コンデンサは、1000V〜3000Vの間の充電電圧で充電されるために設けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固定工具。
【請求項9】
前記駆動装置は、前記打込要素上に配置されるかご形回転子と、前記コンデンサの放電中、電流が流れ、前記打込要素を前記留め具に向けて加速する磁場を生成する励磁コイルとを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の固定工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留め具を基材(被打ち込み材)に打ち込むための固定工具に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる固定工具は、通常留め具のためのホルダを有し、そこに保持される留め具が固定軸に沿って基材に移送される。このため、打込要素は、駆動装置により固定軸に沿って留め具に向かって駆動される。
【0003】
特許文献1は、打込要素のための駆動装置を有する固定工具を開示している。駆動装置は電気コンデンサ及びコイルを有する。打込要素を駆動するために、コンデンサはコイルを介して放電され、それによってローレンツ力が打込要素に作用し、その結果、打込要素は釘に向かって移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,830,173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高効率及び/又は良好な取付品質が保証される前記の種類の固定工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、基材(被打ち込み材)に留め具を打ち込むための固定工具、特に手持ち式固定工具であって、留め具を保持するためのホルダと、ホルダに保持される留め具を固定軸に沿って基材に移送するための打込要素と、固定軸に沿って留め具に向けて打込要素を駆動するための駆動装置と、を備え、駆動装置は、巻回軸の周囲に巻回される担体フィルム上にそれぞれ設けられた2つの電極を有する電気コンデンサを備え、巻回軸の方向におけるコンデンサの大きさは、巻回軸と垂直に見た場合のコンデンサの大きさ、特に直径の最大1.4倍である、固定工具によって達成される。これは、同じ電極表面積を有し、その結果、同じ体積及び重量を有するコンデンサの急速放電中に、電荷がコンデンサから流れ易いようにする。コンデンサの内部抵抗が低いほど、駆動効率が高くなる。結果として、状況によっては、例えば電解コンデンサと比較して、フィルムコンデンサの低いエネルギー密度の欠点が過剰に補償される。巻回軸の方向におけるコンデンサの大きさは、巻回軸と垂直に見た場合のコンデンサの大きさの、好ましくは最大1.2倍、特に好ましくは最大である。固定工具は、この場合、手持ち式で用いることができるのが好ましい。代替として、固定工具は固定又は半固定式で用いることができる。
【0007】
本発明において、コンデンサは、電荷及び関連するエネルギーを電界に蓄積する電気部品を意味するものとして理解されるべきである。特に、コンデンサは2つの導電性電極を有し、電極の帯電が異なるとその間に電界が形成される。本発明において、留め具は、例えば、釘、ピン、クランプ、クリップ、スタッド、特にねじ付きボルト、等を意味するものとして理解されるべきである。
【0008】
本発明の有利な態様は、担体フィルムが実質的にプラスチックからなることを特徴としている。
【0009】
有利な態様は、電極がそれぞれ担体フィルムに付着され、特に蒸着されることを特徴としている。
【0010】
有利な態様は、電極がそれぞれ、少なくとも10オーム/□及び最大で100オーム/□のシート抵抗を有することを特徴としている。電極はそれぞれ、少なくとも少なくとも30オーム/□及び/又は最大60オーム/□のシート抵抗を有するのが好ましい。
【0011】
有利な態様は、巻回軸が固定軸と平行に配向されることを特徴としている。巻回軸は、固定軸と一致することが好ましい。
【0012】
有利な態様は、駆動装置が、コンデンサから離れて導き、ホルダに面するコンデンサの端部側面上のコンデンサの電極に、電気的に接続される、少なくとも1つの電気ラインを備えることを特徴としている。電気ラインは、電極にはんだ付け、溶接、又はねじ留めされることが好ましい。
【0013】
有利な態様は、コンデンサが8mオーム未満の内部抵抗を有することを特徴としている。コンデンサは、6mオーム未満、特に好ましくは4mオーム未満の内部抵抗を有することが好ましい。
【0014】
有利な態様は、コンデンサが、1000V〜3000Vの間の充電電圧で充電されるために設けられることを特徴としている。
【0015】
有利な態様は、駆動装置が、打込要素上に配置されるかご形回転子と、コンデンサの放電中、電流が流れ、打込要素を留め具に向けて加速する磁場を生成する励磁コイルとを有することを特徴としている。
【0016】
本発明は、図面に示された実施例により説明される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、図示しない基材に留め具を打ち込むための手持ち式固定工具10を示している。固定工具10は、釘として形成される留め具30を固定軸Aに沿って(
図1の左側の)基材(被打ち込み材)に打ち込むために保持する、スタッドガイドとして形成されるホルダ20を有する。留め具をホルダに供給するため、固定工具10は、留め具を個別に又は留め具ストリップ50の形態で保管し、ホルダ20に1つずつ移送するマガジン40を備える。この目的を達成するために、マガジン40は、特に示さないが、ばね式の送り要素を有する。固定工具10は、ピストンプレート70及びピストンロッド80を備える打込要素60を有する。打込要素60は、留め具30をホルダ20から出て固定軸Aに沿って基材に移送するために設けられている。そのプロセスで、打込要素60は、そのピストンプレート70により、固定軸Aに沿ってガイドシリンダ95で案内される。
【0019】
打込要素60は、その一部が、ピストンプレート70上に配置されるかご形回転子90、励磁コイル100、軟磁性フレーム105、スイッチング回路200、及び5mオームの内部抵抗を有するコンデンサ300を備える駆動装置によって駆動される。かご形回転子90は、好ましくはリング状、特に好ましくは円形リング状の、例えば銅製の低電気抵抗を有する要素からなり、ホルダ20とは離れて面するピストンプレート70の側面でピストンプレート70に締結され、例えば、はんだ付け、溶接、接着接合、クランプ、又は形状に適合する方法で接続されている。図示しない実施例において、ピストンプレート自体はかご形回転子として形成されている。スイッチング回路200は、前もって充電されるコンデンサ300の急速放電を生じ、それによって流れる放電電流をフレーム105に埋め込まれた励磁コイル100を介して伝導するために設けられている。フレームは、好ましくは、少なくとも1.0Tの飽和磁束密度及び/又は最大10
6S/mの実効比導電率を有し、そのため、励磁コイル100によって生成される磁場はフレーム105によって増強され、フレーム105内の渦電流は抑制される。
【0020】
打込要素60の準備完了位置(
図1)において、打込要素60は、ピストンプレート70と共に、かご形回転子90が励磁コイル100から僅かな距離に配置されるように、フレーム105の特に示さないリング状凹みに進入する。その結果、励磁コイルを流れる電気励起電流の変化によって生成される励起磁場は、かご形回転子90を通過し、その一部では、かご形回転子90内にリング状に循環する二次電流を誘導する。この二次電流は、蓄積し、従って変化し、結果として、励起磁場に対抗する二次磁場を生成し、その結果、かご形回転子90は、励磁コイル100によって反発され、打込要素60をホルダ20及びその中に保持される留め具30に向けて駆動するローレンツ力を受ける。
【0021】
固定工具10は、更に、駆動装置が保持されるハウジング110と、トリガとして形成される操作要素130を有するハンドル120と、充電式バッテリとして形成される電気エネルギー蓄積装置140と、制御ユニット150と、トリッピングスイッチ160と、接触圧スイッチ170と、フレーム105上に配置される温度センサ180として形成される励磁コイル100の温度を検出するための手段と、制御ユニット150を電気エネルギー蓄積装置140、トリッピングスイッチ160、接触圧スイッチ170、温度センサ180、スイッチング回路200、及びそれぞれコンデンサ300に接続する電気接続ライン141、161、171、181、201、301とを備えている。図示しない実施例において、固定工具10は、電気エネルギー蓄積装置140の代わりに、又は電気エネルギー蓄積装置140に加えて、電力ケーブルによって電気エネルギーを供給される。制御ユニットは、好ましくはプリント回路基板上で相互接続されて1つ以上の電気制御回路、特に1つ以上のマイクロプロセッサを形成する電子部品を備えている。
【0022】
固定工具10が図示しない基材(
図1の左側)に圧接される場合、特に示さない接触圧要素が接触圧スイッチ170を操作し、その結果、接続ライン171によって制御ユニット150へ接触圧信号を送信する。これは、制御ユニット150を作動させて、コンデンサ300を充電するために、接続ライン141によって電気エネルギー蓄積装置140から制御ユニット150に、そして接続ライン301によって制御ユニット150からコンデンサ300に電気エネルギーを伝導するコンデンサ充電プロセスを開始する。この目的を達成するために、制御ユニット150は、電気エネルギー蓄積装置140からの電流をコンデンサ300のための適切な充電電流に変換する、特に示さないスイッチングコンバータを備える。コンデンサ300が充電され、打込要素60が
図1に示すその準備完了位置にある場合、固定工具10は準備完了状態にある。コンデンサ300の充電は、その領域の人々の安全性を高めるため、基材に圧接している固定工具10によってのみ実施されるため、取付プロセスは、固定工具10を基材に圧接する場合にのみ可能となる。図示しない実施例において、制御ユニットは、固定工具が電源オンにされる場合、又は固定工具が基材から持ち上げられる場合、又は先行する打込プロセスが完了する場合、コンデンサ充電プロセスを既に開始している。
【0023】
操作要素130が、例えば、固定工具10が準備完了状態で、ハンドル120を保持している手の人差し指を用いて引っ張られることによって操作される場合、操作要素130は、トリッピングスイッチ160を操作し、その結果、接続ライン161によってトリッピング信号を制御ユニット150に送信する。これは、制御ユニット150を作動させて、コンデンサ300が放電されることによって、コンデンサ300に蓄積された電気エネルギーをスイッチング回路200によってコンデンサ300から励磁コイル100に伝導するコンデンサ放電プロセスを開始する。
【0024】
このために、
図1に略図的に示すスイッチング回路200は、コンデンサ300を励磁コイル200に接続する2つの放電ライン210、220を備え、その少なくとも1つの放電ライン210は、通常開いている放電スイッチ230によって遮断される。スイッチング回路200は、励磁コイル100及びコンデンサ300と電気発振回路を形成する。この発振回路の前後の振動及び/又はコンデンサ300の負帯電は、駆動装置の効率に悪影響を及ぼす可能性があるが、フリーホイーリングダイオード240の助けにより抑制することができる。放電ライン210、220は、例えば、はんだ付け、溶接、ねじ込み、クランプ、又は形状適合接続によって、いずれの場合にも、ホルダ20に面するコンデンサ300の端部側面360に配置されるコンデンサ300の電気接点370、380によって、コンデンサ300の1つの電極310、320に電気的に接続される。放電スイッチ230は、高電流強度の放電電流を切り替えるのに適しているのが好ましく、例えば、サイリスタとして形成される。加えて、放電ライン210、220は、互いに小さな距離にあるので、それらによって誘発される寄生磁場は可能な限り低くなる。例えば、放電ライン210、220は、組み合わされてバスバーを形成し、適切な手段、例えば、保持装置又はクランプによって共に保持される。図示しない実施例において、フリーホイーリングダイオードは、放電スイッチと電気的に並列に接続されている。図示しない更なる実施例において、回路内に設けられているフリーホイーリングダイオードはない。
【0025】
コンデンサ放電プロセスを開始する目的のため、制御ユニット150は、接続ライン201によって放電スイッチ230を閉じ、その結果、高電流強度のコンデンサ300の放電電流が励磁コイル100を通って流れる。急速に上昇する放電電流は、かご形回転子90を通過する励起磁場を誘導し、その一部は、かご形回転子90内に、リング状に循環する二次電流を誘導する。この二次電流は、蓄積し、結果として、励起磁場に対抗する二次磁場を生成し、その結果、かご形回転子90は、励磁コイル100によって反発され、打込要素60をホルダ20及びその中に保持される留め具30に向けて駆動するローレンツ力を受ける。打込要素60のピストンロッド80が、留め具30の特に示さないヘッドに衝突するとすぐに、留め具30は、打込要素60によって基材に打ち込まれる。打込要素60の過剰な運動エネルギーは、ばね弾性及び/又は減衰材料、例えばゴムで作られた制動要素85により、制動要素85に対抗してピストンプレート70と共に移動し、それが停止するまで後者によって制動される打込要素60によって吸収される。打込要素60は、次いで、特に示さないリセット装置によって準備完了位置にリセットされる。
【0026】
コンデンサ300、特にその重心は、固定軸A上の打込要素60の後方に配置される一方で、ホルダ20は打込要素60の前方に配置される。従って、固定軸Aに関して、コンデンサ300は、打込要素60に対して軸方向にオフセットされるように及び打込要素60と径方向に重なるように配置される。その結果、一方では、短い長さの放電ライン210、220を実現することができ、その結果、それらの抵抗を低減することができ、従って、駆動効率を高めることができる。一方、固定工具10の重心と固定軸Aとの間の僅かな距離を実現することができる。その結果、打込プロセス中に固定工具10が反動した場合の傾動モーメントは小さい。図示しない実施例において、コンデンサは打込要素の周囲に配置される。
【0027】
電極310、320は、例えば、担体フィルム330の金属化によって、特に蒸着されることによって、巻回軸の周囲に巻回される担体フィルム330の反対側に配置され、ここで、巻回軸は固定軸Aと一致する。図示しない例示的な実施形態において、電極を有する担体フィルムは、巻回軸に沿った通路が残るように巻回軸の周囲に巻回されている。特に、この場合、コンデンサは、例えば、固定軸の周囲に配置される。担体フィルム330は、1500Vのコンデンサ300の充電電圧において、2.5μm〜4.8μmの間の膜厚を有し、3000Vのコンデンサ300の充電電圧において、例えば、9.6μmの膜厚を有する。図示しない例示的な実施形態において、担体フィルムは、その一部が、層として上下に配置される2つ以上の個別のフィルムから構成される。電極310、320は、50オーム/□のシート抵抗を有する。
【0028】
コンデンサ300の表面は、シリンダ状、特に円柱状を有し、そのシリンダ軸は固定軸Aと一致している。このシリンダの巻回軸方向における高さは、巻回軸に対して垂直に測定されるその直径と略同じ大きさである。シリンダの直径に対する高さの比率が小さいため、コンデンサ300の比較的高い静電容量に対する低い内部抵抗、及びとりわけ、固定工具10のコンパクトな構造が達成される。コンデンサ300の低い内部抵抗はまた、電極310、320の大きな線断面積によって、特に電極310、320の高い層厚によっても達成され、ここで、自己回復効果への及び/又はコンデンサ300の耐用年数への層厚の影響を考慮すべきである。
【0029】
コンデンサ300は、減衰要素350によって減衰されるように固定工具10の残りの部分に取り付けられる。減衰要素350は、固定軸Aに沿った固定工具10の残りの部分に対するコンデンサ300の動きを減衰させる。減衰要素350は、コンデンサ300の端部側面360に配置され、端部側面360を完全に覆う。結果として、担体フィルム330の個々の巻線は、固定工具10の反動によって均一な負荷を受ける。この場合、電気接点370、380は、端面360から突出し、減衰要素350を通過する。このために、それぞれの場合の減衰要素350は、電気接点370、380が突出する間隙を有する。接続ライン301はそれぞれ、コンデンサ300と固定工具10の残りの部分との間の相対的な動きを補償するための、いずれか詳細には示さない張力緩和及び/又は拡張ループを有する。図示しない実施例において、更なる減衰要素が、コンデンサ上に、例えば、ホルダとは離れて面するコンデンサの端部側面に配置される。コンデンサは、次いで、好ましくは、2つの減衰要素間にクランプされ、すなわち、減衰要素は、プレストレスによりコンデンサを支える。図示しない更なる実施例において、接続ラインは、コンデンサからの距離が増加するにつれて連続的に減少する剛性を有する。
【0030】
本発明を、図面に示す一連の実施例及び図示していない実施例を用いて説明してきた。様々な実施例の個々の特徴は、それらが矛盾しないことを条件として、個別に又は互いとの任意の所望の組み合わせで適用可能である。本発明による固定工具は、他の用途にも用いることができることに留意されたい。
【国際調査報告】