特表2021-526105(P2021-526105A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526105(P2021-526105A)
(43)【公表日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】織りカバー付き座席パッド
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/60 20060101AFI20210903BHJP
   A47C 31/11 20060101ALI20210903BHJP
   D03D 15/47 20210101ALI20210903BHJP
【FI】
   B60N2/60
   A47C31/11 F
   A47C31/11 Z
   D03D15/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-568934(P2020-568934)
(86)(22)【出願日】2019年2月28日
(85)【翻訳文提出日】2020年10月12日
(86)【国際出願番号】US2019019925
(87)【国際公開番号】WO2019169058
(87)【国際公開日】20190906
(31)【優先権主張番号】62/636,965
(32)【優先日】2018年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520335864
【氏名又は名称】コンフォート コンセプツ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エム. リーズ
【テーマコード(参考)】
3B087
4L048
【Fターム(参考)】
3B087DE10
4L048AA08
4L048AA20
4L048AA34
4L048AB05
4L048CA15
4L048DA25
(57)【要約】
座席アセンブリは、股関節/大腿部支持体、背中支持体、及び股関節/大腿部支持体と背中支持体との間の少なくとも1つの隙間を備えた座席を含む。座席パッドアセンブリは、座席上に取り外し可能に配置されており、少なくとも部分的に粘弾性フォームから作製され、寸法的に安定した織布カバーを有するフォームクッションを有する。座席に座っている人の骨盤及び背中上部領域は、粘弾性フォームを大きく変形させ、快適な支持体を提供し、座席パッドアセンブリの固定場所を定める。これらの固定場所間に外側カバーが延び、座席に座っている人の腰後方領域を効果的に支持して揺りかごのように支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水平な股関節/大腿部支持体と、前記股関節/大腿部支持体から角度を付けて延びる背中支持体と、を有し、前記股関節/大腿部支持体と前記背中支持体との間に形成された少なくとも1つの隙間を有する座席と、
前記座席上に取り外し可能に配置され、少なくとも部分的に粘弾性フォームから形成されたフォームクッションを有し、前記フォームクッションを覆いかつ密に包み込む寸法的に安定した織布カバーをさらに有する座席パッドアセンブリであって、前記フォームクッションが、前記座席に座っている人の少なくとも骨盤領域及び背中上部領域の加えられた力に応じて弾性的に変形し、前記織布カバーが、前記座席に座っている人の背中の腰領域に適合して支持する、座席パッドアセンブリと、
を備える座席アセンブリ。
【請求項2】
前記織布カバーが内側カバーであり、前記座席パッドアセンブリが、前記内側カバーの上に取り付けられた外側カバーをさらに備える、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項3】
前記外側カバーが、前記座席上に配置されたときに、前記座席パッドアセンブリの滑りに抵抗する摩擦特性を備えた領域を有する、請求項2に記載の座席アセンブリ。
【請求項4】
前記内側カバーの前記織布が、綿−ポリエステル混紡糸を含む織り糸から形成される、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項5】
前記内側カバーの前記織り糸が、32×32〜50×50の単糸の糸繊度を有する、請求項4に記載の座席アセンブリ。
【請求項6】
前記内側カバーの前記織布が、約110×76(縦糸と横糸)の糸密度を有する、請求項5に記載の座席アセンブリ。
【請求項7】
前記内側カバーの前記織布が、綿糸とポリエステル糸との混紡糸から形成される、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項8】
前記内側カバーの前記織り糸が、32×32〜50×50の単糸の糸繊度を有する、請求項7に記載の座席アセンブリ。
【請求項9】
前記内側カバーの前記織布が、約110×76(縦糸と横糸)の糸密度を有する、請求項8に記載の座席アセンブリ。
【請求項10】
前記粘弾性フォームが、約5lb/ftの密度及び約40lbfの硬度を有する、請求項1に記載の座席パッドアセンブリ。
【請求項11】
前記フォームクッションが、全体的に粘弾性フォームからなる、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項12】
前記座席が自動車の座席であり、前記自動車の座席が、ヘッドレストを有し、前記ヘッドレストは、前記自動車の座席の背中支持体に対して前記ヘッドレストの垂直調節を可能にするように構成されたヘッドレスト支持体によって前記背中支持体に取り付けられており、前記座席パッドアセンブリが、前記自動車の座席の前記背中支持体に前記座席パッドアセンブリの上端を固定するためのストラップを有し、前記ストラップは、前記ヘッドレスト支持体の周りに巻き付けるように配置及び寸法合わせされている、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項13】
前記ストラップが、前記座席パッドアセンブリの両側の側縁から内側に離間した前記座席パッドアセンブリ上の場所から延びる、請求項12に記載の座席アセンブリ。
【請求項14】
細長い第1端部を有する第1パッドと、
前記第1パッドの前記第1端部に沿って延びる第1の可撓性フラップと、
細長い第2端部を有する第2パッドと、
前記第2パッドの前記第2端部に沿って延びる第2の可撓性フラップと、
実質的に端部と端部との関係において前記第1及び第2パッドを解放可能に保持するように、前記第1及び第2の可撓性フラップ上にそれぞれ形成された第1及び第2の解放可能に係合可能な接続構造と、
を備える、座席パッドアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の解放可能に係合可能な構造が、フックアンドループファスナーを含む、請求項14に記載の座席パッドアセンブリ。
【請求項16】
前記第1の可撓性フラップが、前記第1の可撓性フラップがそれ自体に折り畳まれて保護位置にあるときに互いに解放可能に係合可能なフック型ファスナー及びループ型ファスナーを有し、前記第2の可撓性フラップが、前記第2の可撓性フラップがそれ自体に折り畳まれて保護位置にあるときに互いに解放可能に係合可能なフック型ファスナー及びループ型ファスナーを有する、請求項15に記載の座席パッドアセンブリ。
【請求項17】
前記第1フォームクッション及び前記第2フォームクッションが、粘弾性フォームから形成される、請求項14に記載の座席パッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年3月1日に出願された米国仮出願第62/636,965号の優先権を主張し、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、座席をより快適にする付属品に関する。
【背景技術】
【0003】
飛行機、電車、バス及び車などのあらゆる形態の輸送機関での移動は、快適であることがめったになく、長時間の移動は非常に不快な場合がある。座席が快適であると考えられる時間の長さは、座席の特性と旅行者の感度とによって大きく異なる。特に短時間移動向けの座席は通常、リクライニングを行わないか、リクライニングを少しだけ行うため、多くの旅行者は、輸送機関の座席で1〜2時間後に非常に不快になる。一方、大陸間フライトは、12時間を超える可能性があり、多くのビジネスマンにとって一般的である。ほとんどのビジネス旅行者は、移動の形態に関係なく、出張の終わりに回復する時間はほとんどなく、到着後すぐにビジネス会議のために機敏に働くことが期待される。休暇旅行者は、ビジネス旅行者と同じ不便さを抱えており、休暇を楽しむことができるようになるまでにかなりの回復時間を必要としがちである。不快な移動は、航空路に限定されない。特に、電車、バス、車での旅行は、大陸間の航空旅行よりも時間がかかることがある。移動に関連する不快感はまた、車両で過ごした時間に限定されない。より具体的には、旅行者は、輸送又は出発の遅れを待っている間、航空機、電車又はバスのターミナルの非常に不快な座席で時間を過ごすことがよくある。ターミナルの座席は、飛行機、電車又はバスの座席よりも快適ではない場合が多い。多くの場合、ターミナルの座席及び輸送車両の座席には、股関節/大腿部支持体と背中支持体との間に隙間がある。
【0004】
米国特許第7,461,894号は、航空機又は他の輸送車両での使用に特によく適している座席パッドアセンブリに関する。米国特許第7,461,894号の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第7,461,894号に開示された座席パッドアセンブリは、粘弾性フォームからなるか又はそれを含むフォームを備える。当該フォームは、十分な厚さ及び弾力性を有し、乗客の体の形状と、乗客の臀部が座席に載っていない状態の座席の形状と、に適合する。したがって、粘弾性フォーム座席パッドは、座席の垂直及び水平構成要素間、又は、座席の他の可動構成要素間に存在しがちな隙間に影響されることなく、乗客を座席面の上で快適に支持できるようにする。
【0005】
米国特許第7,461,894号は、座席パッドアセンブリが粘弾性クッションの上に取り付けられたカバーを含むことを説明している。この特許は、カバーアセンブリが伸縮可能であるか、座席に形成された隙間又は他の挟み込み箇所に合わせて容易に変形できるほど十分に緩んだ状態であることを説明している。したがって、米国特許第7,461,894号に開示されているカバーアセンブリは、粘弾性材料が流動変形する能力、あるいはその逆に、座席及び旅行者の形状に適合する能力を制限も限定もしない。非制限的なカバーアセンブリは、粘弾性材料がその形状を変化させるにつれて、粘弾性材料とともに容易に移動する。
【0006】
輸送機関の座席のための座席パッドの分野における継続的な研究によって、以前は考慮されていなかった情報がもたらされた。例えば、輸送機関の座席は、寸法、弾力性及び表面の不連続部の場所の点で互いに大きく異なり、これは、乗客の不快感につながる傾向がある。さらに、乗客も、サイズ、重量及び期待する快適性の点で互いに大きく異なる。さらにまた、乗客及び座席パッドは、パッドに沿った場所及び乗客に沿った異なる場所で互いに異なる相互作用をする。例えば、座席が傾いていないか部分的にしか傾いていない場合、乗客の骨盤領域は、パッド上で重量の集中した領域を形成し、骨盤領域は、粘弾性フォームクッションの効果から大いに恩恵を受ける。背中の上部領域は、粘弾性フォームクッションに力を加える別の領域であり、乗客が後ろにもたれたとき、及び/又は、座席がリクライニングされたとき、若しくは、部分的にリクライニングされたときに、背中上部領域はパッドの支持の恩恵を受ける。背中の腰領域は、背中の問題の影響を受けやすい領域である。しかしながら、座席が直立又は部分的にリクライニングされている場合、腰領域は座席から離れる方向に湾曲する。したがって、腰領域は、粘弾性フォームクッションに加える力が少ないか、又は、当該力がないため、粘弾性フォームクッションから受ける恩恵は少ない。したがって、背中の問題が発生する可能性が最も高い背中の領域では、一部の乗客及び一部の車両用の座席において、粘弾性フォームクッションに関連する利点が得られない場合がある。
【0007】
輸送機関の座席のための座席パッドは、座席の水平方向の股関節/大腿部支持体の前後寸法全体に沿い、且つ、腰領域を通過して座席の背中支持体に沿って背中の上部領域まで延びている必要がある。しかしながら、長距離移動用の座席パッドは、座席がリクライニングされているときに旅行者の頭を支持し、座席がリクライニングされているとき、及び/又は、脚が上がっているときに少なくとも旅行者のふくらはぎを支持するのに十分なほど座席背部に沿って延びていることが望ましい。
【0008】
利益的な動機から、ほとんどの航空会社が、飛行機に少なくとも1列の追加の座席列を設けるために、各座席の寸法を減少させてきた。同様の問題は、他の輸送機関の形態でも生じている。結果として、ある航空会社から別の航空会社、あるクラスから別のクラス、及び、ある輸送機関の形態から別の輸送機関の形態へと、座席の寸法には大きな違いがある。粘弾性フォームパッドのさらなる快適さを高く評価する旅行者は、旅行者の頭を支持するのに十分に座席背部に沿って延び、上昇及び延長させたレッグレスト上の脚を支持するのに十分に座席背部から前方に延びたパッドを所望する可能性がある。しかしながら、輸送機関の座席の寸法が異なるため、旅行者にとって、すべての旅行で快適さを確保するように努めることは難しい。航空座席の最大部分を収容するのに十分な長さのパッドの場合、座席がより小さい航空機にとって、又は、ほとんどの自動車にとって長すぎる。逆に、乗用車での使用に寸法を合わせたパッドは、ファーストクラスの航空座席で使用するには短すぎる可能性がある。結果として、乗客は、乗客が実際に飛行機に乗っていない旅行の期間中、大きな粘弾性フォームパッドの追加の重量及びサイズに悩むことになる。また、乗客は、航空座席の背中支持体を越える長いパッドの上部を、その座席の後ろに座っている乗客のスペースに侵入する領域に折り込むことは許可されていない。さらに、乗客は、床に延びる長いパッドにつまずきやすい。特定の旅行又は特定の輸送機関の形態で使用できる座席パッドが1つだけの場合、様々な寸法の輸送機関の座席ごとに特別なパッドが必要な乗客には、複数の座席パッドを購入するコストペナルティが発生する。航空旅行者は、航空会社にすべての座席の座席パッドを提供させるか、オプションとして旅行者が特定のフライトで借りることができる座席パッドを提供させることによって、これらの問題を解決することができる。しかしながら、今度は、航空会社が未使用のパッドを飛行機に保管するという問題を抱えることになる。さらに、少なくとも各パッドの外側カバーは、異なる旅行者による連続使用の間に洗浄する必要があり、それによって、航空会社及び消費者の両方が輸送コストに敏感であるときに、航空会社にかなりのコストペナルティが課される。この可能なアプローチは、個人の自動車での旅行には役立たない。
【0009】
乗客の快適性及び利便性は、パッドを輸送車両に対して搬入・搬出する必要性にも影響される。パッドの総重量及びパッドの厚さは、乗客の利便性に影響を与える可能性がある。パッドの厚さのわずかな減少でさえも、その厚さの減少が着席したときの乗客の快適性に悪影響を及ぼさなければ、商業的に好評を得るだろう。
【0010】
乗客の快適性は、パッドのカバーにも影響され得る。これに関して、米国特許第7,461,894号に開示された座席パッドアセンブリは、粘弾性フォームクッションを保護することを目的とする内側カバーと、より魅力的であり、おそらく商標又は装飾的な絵柄を有することを目的とする外側カバーと、を有する。米国特許第7,461,894号の教示は、粘弾性フォームクッションが座席上の隙間又は他の挟み込み箇所に合わせて容易に変形することを可能にするために、カバーを十分に緩く、且つ、伸縮可能にすることである。米国特許第7,461,894号は、座席パッドアセンブリが粘弾性フォームクッションの上に取り付けられたカバーアセンブリを含むことを説明している。この特許は、カバーアセンブリが伸縮可能であるか、座席に形成された隙間又は他の挟み込み箇所に合わせて容易に変形できるほど十分に緩んだ状態であることを説明している。より具体的には、従来技術の教示は、カバーアセンブリが、粘弾性材料が流動変形する能力、あるいは逆に、座席及び旅行者の形状に適合する能力を制限も限定もせず、その結果、非制限的なカバーアセンブリは、粘弾性フォーム材料がその形状を変化させるにつれて、粘弾性材料とともに容易に移動することである。しかしながら、緩い内側布地は、撚れて乗客に不快感を与える可能性がある。さらに、より良い腰支持体があれば、好評を得るだろう。
【0011】
上記を考慮して、本発明の目的は、座席パッドアセンブリに接触する乗客のすべての領域に対して良好な支持及び快適性を提供する座席パッドアセンブリを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、背中の腰領域の支持及び快適性を強化した座席パッドアセンブリを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、カバーの撚れ又は皺を防止する座席パッドアセンブリを提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、必要以上に大きい座席パッドを乗客に携帯させることを必要とせずに、あらゆる旅行の乗客の快適性を最大にすることである。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、輸送機関の座席などの座席とともに使用する座席パッドアセンブリに関する。本発明はさらに、座席パッドアセンブリと輸送機関の座席などの座席との組み合わせに関する。輸送機関の座席は、航空座席だけでなく、電車、バス、及び/又は、自動車に採用されている座席であり得る。座席は、ほぼ水平な股関節/大腿部支持体と、股関節及び大腿部支持体に枢動式に取り付けられた座席背部とを含む。座席は、フットレストをさらに含んでもよい。座席背部及び/又はフットレストは、股関節/大腿部支持体に対して枢動するように取り付けられることが好ましい。したがって、背もたれと股関節/大腿部支持体との間、及び、股関節/大腿部支持体と脚用の延長部との間には、縫い目、裂け目、折り目、隙間又はスペースが存在する。装飾的な縫い目は、多くの輸送機関の座席にも存在し、座席に座っている人が感知できる表面の凹凸を形成する。これらの隙間の一部は、幅及び/又は深さが1cmを超える。座席は、座席のほぼ幅分だけ互いに離間して配置されたアームレストをさらに含んでもよい。アームレスト間の間隔、すなわち、座席の幅は、輸送機関の形態及びサービスクラスによって異なる。さらに、座席のこれらの様々な構成要素の前後寸法又は垂直寸法は、座席ごと、輸送機関業者ごと、及び、サービスクラスごとに異なる。
【0016】
座席パッドアセンブリは、粘弾性フォームからなるか又はそれを含むフォームを含む。例えば、フォームは、全体が粘弾性フォームからなっていてもよく、又は、粘弾性ではないフォームに積層された1つ以上の粘弾性材料層を有する積層構造であってもよい。あるいは、粘弾性フォームは、人が通常座る場所に配置してもよく、一方、異なるタイプのフォームを、座席パッドの側方領域の粘弾性材に接着してもよい。パッドはまた、フォームに組み込まれたゲル層又はゲルビーズを含み得る。パッドのフォームクッションは、ほぼ長方形であり得る。フォームクッションは、目的の座席の幅にほぼ対応する幅と、座席の股関節/大腿部支持体の長さと背中支持体の長さとの合計にほぼ等しい長さ(例えば、通常のエコノミークラスの座席、自動車の座席など)と、を有することができる。具体的には、エコノミークラスの旅行用の粘弾性フォームクッションは、少なくとも約40〜50インチの長さ、好ましくは、約47インチの長さであり得る。エコノミークラスの旅行用の粘弾性フォームクッションはまた、幅が約18〜20インチ、厚さが約1インチであり得る。
【0017】
座席パッドアセンブリはまた、必要に応じて洗浄するために粘弾性フォームクッションから取り外し可能であり得る外側カバーを備える。外側カバーは、装飾的であってもよく、こぼれた食品又は飲料に起因する汚れなどの汚れに耐える材料から形成してもよい。外側カバーの少なくとも1つの面はまた、座席上の座席パッドアセンブリの滑りに抵抗する摩擦係数を備えた領域を有することができる。例えば、外側パッドは、使用中の座席パッドアセンブリの滑り又は形崩れを防止するために、座席表面との摩擦力により固定できるエラストマー又はゴム材料で補われた局所領域を有し得る。外側カバーはまた、滑り止め特性を有するか、又は、そのような特性を有するように改良された繊維から作製され得る。座席パッドアセンブリはまた、特に洗浄中に粘弾性フォームクッションを保護する内側カバーを備えてもよい。パッドの洗濯中、内側カバーはパッド上に残っていてもよいが、取り外してパッドとは別に洗うこともできる。
【0018】
一実施形態の内側カバー及び外側カバーの少なくとも一方は、綿織り糸、ポリエステル織り糸、綿糸とポリエステル糸との織り混紡糸、又は、寸法的に安定した他の合成織り糸(例えば、レーヨン)から作製された(綿を含むか若しくは含まない)織り糸などの織り材料から形成される。カバーは、粘弾性フォームクッションと密接に接触係合してそれを本質的に包み込むように寸法合わせされる。織り材料は、巻く及び曲がることができるが、寸法的に安定しているため、伸縮しない。織りカバーは、約110×76の最小縦糸及び横糸から約173×113の最大縦糸及び横糸までの範囲の密度を有する布地で構成されてもよい。さらに、布地の糸繊度は、単糸で32×32〜50×50の範囲であり得る。さらに、布地の重量は、1平方ヤードあたり約3.4oz〜4.4ozであり得る。
【0019】
編み材料とは異なり、織布は股関節/大腿部支持体及び背中支持体の全体的な整列状態に従って曲がることがあるが、材料に加えられた力に応じて伸縮することはない。粘弾性フォームクッションにぴったりフィットする織りカバーを使用すると、粘弾性フォームクッションが取り外し可能に配置された輸送機関の座席に座っている乗客が加える力にクッションが反応する態様に大きな影響を与える。特に、粘弾性フォームは、より密度が高く、より硬いフォームのように振る舞うようになるため、輸送機関の座席の小さな裂け目及び割れ目に流れ込む可能性がやや低くなる。しかしながら、座席パッドアセンブリは、粘弾性フォームクッションに力を加える身体の領域の形状に依然として適合し、座席の表面の不連続部の上の粘弾性フォーム上で乗客を効果的に浮いた状態にすることができる。さらに、ぴったりフィットする織りカバーは、座席背部が股関節/大腿部支持体に対してほぼ直立した姿勢にあるときに、粘弾性フォームが股関節/大腿部支持体と座席背部との間の隅に流れ込むのを防止する。むしろ、ぴったりフィットする織りカバーを備えた座席パッドは、股関節/大腿部支持体と座席背部との間で鋭角に伸び、それによって、本来なら存在しないであろう支持を乗客の背中下部に与える。この追加の支持は、長時間の旅行中に不快な領域になることがよくあるほぼ腰領域にある。特に、乗客の重量は、骨盤領域及び背中上部若しくは肩甲骨が座席パッドアセンブリに力を加える場所で座席に座席パッドアセンブリを効果的に固定する。しかしながら、吊り下げのような効果又は揺りかご効果は、屈曲して並んだこれらの支持体間又は固定場所間で得られ、背中の腰領域を通って延びる。したがって、乗客の身体的機能により大きな負荷が生ずることはなく、腰領域と整列された場所において粘弾性フォーム材料が大きく変形しないような状況で、背中の腰領域は、寸法的に安定した織りカバーによって快適に支持されるか、揺りかごのように支持される。
【0020】
上述の密接に接触係合する織り内側カバーの望ましい効果は、使用され得る任意の外側カバーによる影響を実質的に受けない。したがって、織り内側カバーを備えた粘弾性フォームクッションのアセンブリは、密接に接触係合する織り内側カバーの上述の利点を依然として達成しながら、任意の外側カバーとともに使用することができる。
【0021】
粘弾性フォームクッションと、粘弾性フォームクッションと密接に接触係合してそれを包み囲む織りカバーとの組み合わせによって、より薄い粘弾性フォームクッションで十分なクッション性を達成することができる。パッドの厚さをわずかに低減するだけで、運搬重量を大幅に削減でき、材料コストをわずかながら大幅に削減することができる。
【0022】
座席パッドアセンブリは、主パッドと、主パッドから取り外し可能な少なくとも1つの延長部とを含み得る。延長部はまた、粘弾性フォームと、粘弾性フォームを取り囲む内側カバーと、粘弾性フォームに取り外し可能に取り付けられた外側カバーと、を含み得る。
【0023】
延長部は、前後方向又は垂直方向に対して横方向に延びる接続線に沿って主パッドの外側カバーに取り付けられてもよい。主パッドと延長部との間の接続領域は、延長部が主パッドとほぼ同一平面にある延長位置と、延長部が主パッドの隣接領域と実質的に面と面で接触した折り畳み状態との間で、延長部を少なくとも180°回転させることができるように、曲げやすくなっていることが好ましい。主パッドに対する延長部の延長位置は、座席がビジネスクラス又はファーストクラスの輸送機関の座席である場合に使用される。折り畳み状態は、座席が主パッドの長さ寸法に適合している場合に使用され得る。次に、折り畳まれたパッドは、旅行者が望む場合、ヘッドピロー又は脚用の延長部、すなわち、レッグレストとして使用することができる。
【0024】
延長部は、好ましくは、輸送車両上で旅行者が容易に取り付け及び取り外しできる取付装置によって主パッドに取り付け可能である。これに関して、従来のジッパーを使用することが考えられるが、旅行者が便利に操作するには扱いにくい可能性がある。ジッパーの代わりに実矧ぎ接続を使用してもよいが、同様に操作が難しい場合がある。ベルクロ(登録商標)の商標で販売されているもののような、結合可能な一対のフックアンドループの布地ファスナーを使用してもよい。しかしながら、一部のフックアンドループファスナーの組み合わせのフック要素が、皮膚を刺激したり、旅行者の衣服を損傷、若しくは座席の座席カバーを損傷したりし得るという懸念がある。したがって、フラップを外側カバーに取り付ければよく、フラップは、フラップがフックアンドループファスナー装置を覆う保護位置と、フックアンドループファスナー装置が露出して相手のファスナー装置に取り付けられる使用位置と、の間を移動することができる。フラップは、パッドの外側カバーのフック又はループファスナーに取り付けることができるフック又はループファスナーを備えることができる。したがって、フラップは、保護位置に解放可能に固定することができる。外側カバー及びフラップの両方のフック又はループファスナーは、座席パッドアセンブリを横切って連続的に延びるストリップであってもよい。しかしながら、特にフラップについては、フック又はループファスナーを備えた局所領域で十分であり得る。
【0025】
少なくとも1つの延長部は、主パッドの両側の長手方向端部に第1及び第2延長部を含み得る。各延長部は、主パッドに取り外し可能に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】直立状態の従来技術の航空座席の正面図である。
図2図1の航空座席の縦断面図である。
図3】本発明の実施形態による座席パッドアセンブリの上面図である。
図4図3の4−4線に沿った断面図である。
図5図2と同様の航空座席の縦断面図であるが、乗客が座席に座る前の座席に配置された座席パッドアセンブリを示す。
図6図5と同様の縦断面図であるが、航空旅客が座席パッドアセンブリに座った状態を示す。
図7】使用時の粘弾性フォームクッション及び内側カバーの形状変化を示す概略図である。
図8】ニットカバーを備えた従来技術の座席パッドアセンブリの圧力マッピングのグラフィック画像である。
図9】粘弾性フォームに密接に接触係合する織布で作製されたカバーを備えた本発明の座席パッドアセンブリの圧力マッピングのグラフィック画像である。
図10】本発明の代替実施形態による座席パッドアセンブリの上面図であり、座席パッドアセンブリは主パッド及び延長部を含む。
図11図10に示す主パッドの端部領域の底面図である。
図12図10に示す延長部の上面図である。
図13】主パッドのフック型ファスナーの上に折り畳まれて取り付けられるループ型ファスナーを備えたフラップを示す拡大側面図である。
図14】延長部のフック型ファスナーの上に折り畳まれて取り付けられるループ型ファスナーを備えたフラップを示す拡大側面図である。
図15】実矧ぎ接続構造の延長部のフック型ファスナー及びループ型ファスナーと反対の関係で配置された主パッドのフック型ファスナー及びループ型ファスナーを示す分解側面図である。
図16】主パッドに接続された延長部を示す側面図である。本発明の実施形態による、座席パッドアセンブリの主パッドを備えた、図1の完全に直立した航空座席の正面図である。
図17】部分的にリクライニングされた位置にあり、図11の座席パッドアセンブリの主パッドを備えた図16の航空座席の側面図である。
図18】部分的にリクライニングされた位置にある図17の航空座席の側面図であり、ヘッドピローとして機能するように主パッドから折り畳まれた延長部とともに、図13の座席パッドアセンブリの主パッドを示す。
図19】部分的にリクライニングされた位置にあり、主パッドから分離され、追加の腰支持体のためのピローとして配置された延長部とともに、図17の座席パッドアセンブリの主パッドを備えた図17の航空座席の側面図である。
図20図17図19に示す航空座席よりも長い航空座席の側面図であり、主パッドと延長されて折り畳まれていない状態にある座席パッドアセンブリの延長部とが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による座席パッドアセンブリは、主に、図1に示す航空座席100などの輸送機関の座席での使用を意図している。座席100は、2つのアームレスト104の間に配置された股関節/大腿部支持体102を含む。背中支持体106は、股関節/大腿部支持体102にヒンジ結合され、図1に示す実質的に直立した位置と部分的にリクライニングされた位置(図示せず)との間で移動することができる。一部の航空座席100の背中支持体106は、背中支持体106が股関節/大腿部支持体102と実質的に同じ平面にある完全にリクライニングされた状態に枢動することもできる。相対的な枢動運動に対応するために、股関節/大腿部支持体102と背中支持体106との間には必然的に隙間108が存在する。座席100はまた、股関節/大腿部支持体102に対してヒンジ結合されたフットレスト110を有してもよい。股関節/大腿部支持体102とフットレスト110との間には隙間112が存在する。他の裂け目、折り目及び縫い目114、116、118、120が、股関節/大腿部支持体102及び背中支持体106の他の場所に存在する。
【0028】
本発明の実施形態による座席パッドアセンブリは、概して、図3図7の符号10によって示される。座席パッドアセンブリ10は、いくつかの商業的供給元から入手可能な粘弾性フォームと同様であり得る粘弾性フォームからなるか、又は、それを含む内部クッション12を含む。しかしながら、好ましい内部クッション12は、約5lb/ftの密度及び約30〜40lbfの硬度を有する粘弾性フォームからなる。硬度は、多くの場合、押込力たわみ(Indentation Force Deflection、IFD)の指標とも呼ばれる。40lbfなど、この範囲の上限に近い硬度又はIFDを有する粘弾性フォームは、以下で説明するように、織りカバーを備えた座席パッドアセンブリでの使用によく適している。座席パッドアセンブリ10はまた、内側カバー14及び外側カバー16を含む。内側カバー14は、粘弾性フォームクッション12の周りを取り囲むように取り外し可能に配置され、外側カバー16は、内側カバー14の周りを取り囲むように取り外し可能に配置される。粘弾性フォームクッション12は、実質的に長方形であり、互いに反対向きの側面18、20と、側面18と側面20との間に延びているとともに互いに反対向きの第1及び第2端部22、24とを有する。側面18、20は、好ましくは16〜20インチの範囲内にある幅Wだけ離間している。端部22、24は、図1に示すように、典型的な輸送機関の座席100の股関節/大腿部支持体102及び背中支持体106の長さの合計に実質的に対応する長さL1だけ互いに離間している。例えば、粘弾性フォームクッション12の長さL1は、約42インチであり得る。粘弾性フォームクッション12の厚さは、約0.75〜1.00インチであり得る。図5図7に示すパッドの厚さは、乗客によって加えられる荷重の影響を示すのを助けるために誇張されている。
【0029】
内側カバー14は、寸法的に安定した織布から形成され、粘弾性フォームクッション12と密接に接触係合してそれを包み込むように寸法合わせされる。内側カバー14の織布は、巻く又は曲がることができるが、伸縮しない。したがって、内側カバー14は、乗客の重量に応じて形状を変化させ、乗客の重量が座席パッドアセンブリ10に直接力を加える場所で粘弾性フォームクッション12の対応する変形を可能にする。さらに、内側カバー14は、粘弾性フォームクッション12の下面を、航空座席100の裂け目及び割れ目に合わせていくらか変形させることを可能にする。しかしながら、内側カバー14は、粘弾性フォームクッション12のスムーズな変形を防止する一方、通常の乗客(例えば、195ポンド)に対して快適性を依然として許容し、座席100の裂け目及び割れ目に乗客の骨盤の坐骨が当たることを防止する。さらに、寸法的に安定した内側カバー14によって、座席パッドアセンブリは、粘弾性フォームクッションがより硬く密度の高い素材で作製されているように振る舞い、一方、依然として快適性を提供し、乗客は、座席表面の不連続部の上に効果的に浮いた状態又は懸吊された状態になる。内側カバーは、好ましくは、綿糸、ポリエステル糸、又は綿糸とポリエステル糸との混紡糸から織られる。織り内側カバーは、約110×76の最小縦糸及び横糸から約173×113の最大縦糸及び横糸までの範囲の密度を有する布地で構成されてもよい。さらに、布地の糸繊度は、単糸で32×32〜50×50の範囲である。さらに、織り内側カバーは、糸密度が約110×76(縦糸と横糸)、単糸の糸繊度が40〜45であってもよい。これらの布地から形成された内側カバーは、実証された引張強度を有する。特に背中支持体が股関節/大腿部支持体102に対して実質的に直立又は部分的に傾いた姿勢にある状態における股関節/大腿部支持体102と背中支持体106との間の領域において、内側カバーは、そのような引張強度がなければ柔軟に形状形成する粘弾性フォームに追加の支持を提供する。これに関して、図6に示すように、少なくとも内側カバー14の上面は、股関節/大腿部支持体102から背中支持体106まで約45°〜60°の角度で延び、実質的に腰領域に対応する乗客の背中の下側領域を支持する。
【0030】
粘弾性フォームを密に包み込む寸法的に安定した織り内側カバーと、約5lb/ftの比較的高い密度及び約40lbfの比較的高い硬度と、の組み合わせは、驚くべきことに、航空座席に高度の快適性及び支持体をもたらすことがわかった。パッドアセンブリは、座席表面の不連続部に十分に適合し、乗客は、座席に当たることなく座席の上に浮いた状態になることができる。
【0031】
外側カバー16は、耐汚染性、抗菌性、疎水性であり、内側カバー14及びその中に包み込まれた粘弾性フォームクッション12から外側カバー16を取り外したときに容易に洗浄される材料から形成される。外側カバー16は、内側カバー14及びその中に包み込まれた粘弾性フォームクッション12の容易な取り外しを可能にするジッパー又は他のそのような封止部材を有してもよい。外側カバー16は、座席に面する外側カバーの表面上に高摩擦領域をさらに含んでもよい。例えば、小さなエラストマー領域17は、座席と摩擦的に接触係合し、座席100に配置された座席パッドアセンブリ10の滑り又は形崩れに抵抗するために、外側カバーの布地に永久的に取り付けられてもよい。あるいは、少なくとも座席100に面する外側カバー16の表面は、適切な摩擦特性を有する繊維、又は、少なくとも局所的に座席100上での滑りを防止する摩擦特性を有するように改良され得る繊維を含んでもよい。座席パッドアセンブリが個人の自動車で使用される場合、外側カバー16は、座席パッドアセンブリ10を形崩れ又は撚れなしに所定の位置に保持するために、座席100の背中支持体106の上部周りに、又は、座席100のヘッドレスト支持体の周りに巻き付けるストラップ、引き紐などを有してもよい。このようなストラップは、図6では参照符号16Sによって概略的に表されている。ストラップ16Sは、好ましくは、座席パッドアセンブリ10の側縁から約4.0インチ(約10cm)内側に離間した座席パッドアセンブリ上の場所から延び、その結果、ストラップ16Sは、自動車の座席の調整可能なヘッドレストの支持体と整列する座席パッドアセンブリ10上の場所から延びる。
【0032】
図8及び図9は、圧力マッピングを使用して本発明の効果を図示する。これに関して、図8は、実質的に米国特許第7,461,894号に開示されているような、ニットカバーを備えた粘弾性座席パッドアセンブリの圧力マッピングの結果を示す。図9は、粘弾性パッドを密に包み込む織りカバーを備えた粘弾性座席パッドアセンブリの圧力マッピングの結果を示す。図8の領域202は、米国特許第7,461,894号の粘弾性パッドアセンブリの領域に対応し、この領域は、飛行機の座席100の股関節/大腿部支持体102の上に乗客の臀部を支持する。図8の領域206は、米国特許第7,461,894号の粘弾性パッドアセンブリの領域に対応し、この領域は、飛行機の座席100の背中支持体106に対して乗客の背中上部を支持する。領域208及び図8は、乗客の背中下部又は腰領域と整列した領域に対応する。図8のより陰影の濃い領域は、乗客と従来技術の座席パッドとの間でより高い圧力が加えられる領域に対応する。乗客と従来技術の座席パッドアセンブリとの間に加えられる圧力は、乗客の背中下部又は腰領域に対向する従来技術の座席パッドアセンブリの本質的に存在しない領域である。圧力の相対的な欠如は、ニットカバーの伸縮と、ニットカバー内のこの粘弾性フォームが、飛行機の座席100の股関節/大腿部支持体102と背中支持体106との間の隙間108に適合する傾向とを反映している。
【0033】
対照的に、図9の領域302は、飛行機の座席100の股関節/大腿部支持体102の上に乗客の臀部を支持する、本発明の粘弾性パッドアセンブリの領域に対応する。図9の領域306は、飛行機の座席100の背中支持体106に対して乗客の背中上部を支持する、本発明の粘弾性パッドアセンブリの領域に対応する。図9の領域308は、乗客の背中下部又は腰領域と整列した領域に対応する。図9の領域308内のより濃い陰影は、粘弾性フォームに密接に接触係合する織りカバーを備えた本発明の座席パッドアセンブリが、上記のハンモック効果により、乗客の背中下部又は腰領域により大きな支持をもたらすことを示す。
【0034】
従来技術の粘弾性パッドアセンブリの図8の領域202の圧力マッピングと本発明の粘弾性パッドアセンブリの図9の領域302の圧力マッピングとは、座席100の臀部及び股関節/大腿部支持体102にわたって同様の圧力応答を示し、これによって、本発明の粘弾性パッドに密接に接触係合する織りカバーが、臀部に対向する座席パッドアセンブリの重量支持領域で、従来技術の座席パッドアセンブリの望ましい性能に悪影響を及ぼさないことが示される。結果として、本発明の座席パッドアセンブリは、乗客が航空座席100の股関節/大腿部支持体102の表面の不連続部の上で浮いた状態になることを可能にする。同様に、従来技術の粘弾性パッドアセンブリの図8の領域206の圧力マッピングと本発明の粘弾性パッドアセンブリの図9の領域306の圧力マッピングとは、座席100の背中上部及び背中支持体106にわたって同様の圧力応答を示し、これによって、本発明の粘弾性パッドに密接に接触係合する織りカバーが、背中上部に対向する座席パッドアセンブリの重量支持領域で、従来技術の座席パッドアセンブリの望ましい性能に悪影響を及ぼさないことが示される。したがって、本発明の座席パッドアセンブリは、従来技術と同様の形式で、乗客が臀部及び背中上部の主要な重量支持領域に対向する座席の表面の不連続部の上で浮いた状態になることを可能にするが、ニットカバーを備えた従来技術の座席パッドアセンブリと比較した場合、背中の重要な腰領域にわたって非常に著しく大きい支持をもたらす。
【0035】
したがって、粘弾性フォームクッション12の変形は、乗客の重量によって加えられる力が最大である場所で最大になる。より具体的には、乗客の骨盤領域及び背中上部領域は、座席パッドアセンブリ10に最大の力を加え、それによって、それらの場所で最大の変形を引き起こす。さらに、粘弾性フォームクッション12は、上記の場所で乗客に形状的に一致した最大の支持をもたらす。しかしながら、寸法的に安定した織り内側カバー14は、乗客の骨盤領域と背中上部領域との間の場所で驚くべき利点を達成する。これに関して、骨盤領域及び背中上部領域は、座席100に対する固定部分又は支持部分を効果的に形成する。内側カバー14の上面は、これらの固定部分間に延び、粘弾性フォームクッション12によって発揮されるより少ない支持とともに、座席上の人の腰領域に対して非常に効果的で快適な支持を提供する。この効果は、図6図9で腰支持領域30によって図示されており、腰支持領域30は、腰支持領域30に沿った粘弾性フォームクッション12の変形が大幅に少ないかまったくない場合でも、航空座席100の表面の不連続部を横切って背中の腰領域に密接に追従して支持する。
【0036】
図10図20は、前の図には示されていない追加の特徴を含む本発明の実施形態を示す。本発明の実施形態による座席パッドアセンブリは、概して、図10図20の410によって表される。座席パッドアセンブリ410は、主パッド412及び延長部414を含む。主パッド412は、上記と同様の、少なくとも部分的に粘弾性材料から形成されることが好ましい内部フォームクッション416を含む。しかしながら、この実施形態の内部フォームクッションは、粘弾性フォームである必要はない。主パッド412はまた、内部フォームクッション416の周りを取り囲むように配置された少なくとも1つのカバー417を含む。少なくとも1つのカバー417は、実質的に上記のような織り内側カバー及び外側カバーを含んでもよい。主パッド412は、実質的に長方形であり、互いに反対向きの側面418、420と、側面418と側面420との間に延びているとともに互いに反対向きの第1及び第2端部422、424とを有する。側面418、420は、好ましくは16〜20インチの範囲内にある幅Wだけ離間している。端部422、424は、図1に示すように、典型的なエコノミークラスの航空座席100の股関節/大腿部支持体102及び背中支持体106の長さの合計に実質的に対応する長さL1だけ互いに離間している。例えば、主パッド412の長さL1は、約42インチであり得る。可撓性フラップ423は、主パッド412の第1端部422で外側カバー417から延びる。
【0037】
延長部414は、同様に、少なくとも部分的に粘弾性材料で形成され得る内部フォームクッション436を含み、少なくとも1つのカバー437は、延長部414の内部フォームクッション436を取り囲む。延長部414はまた、実質的に長方形であり、本体412の幅Wに実質的に等しい幅Wを定める両側面438、440を有する。延長部414はさらに、約10〜12インチであり得る長さL2を定める両側の第1及び第2端縁442、444を有する。可撓性フラップ445は、延長部414の第2端部444で外側カバー436から延びる。
【0038】
本体412の第1端部422と延長部414の第2端部444とは、解放可能な接続アセンブリ446を形成するように構成される。解放可能な接続アセンブリ446は、本体412の第1端部422で可撓性フラップ423を横切って延びるフックアンドループファスナー452と、延長部414の第2端部444で可撓性フラップ445を横切って延びるフックアンドループファスナー454とを含み得る。
【0039】
より具体的には、本体412の第1端部422の可撓性フラップ423は、本体412の近くの位置で可撓性フラップ423を横切って延びるフック型ファスナー452Hのストリップと、フック型ファスナー452Hが本体412とループ型ファスナー452Lとの間にあるような位置でフラップを横切って延びるループ型ファスナー452Lのストリップとを有する。
【0040】
同様に、延長部414の可撓性フラップ445は、延長部414のパッドに実質的に隣接する位置で可撓性フラップ445を横切って延びるフック型ファスナー454Hのストリップと、フック型ファスナー454Hが延長部のパッドとループ型ファスナー454Lと、の間にあるような位置で、フック型ファスナー454Hが可撓性フラップ445を横切って延びるような位置に、可撓性フラップ445を横切って延びるループ型ファスナーとを有する。
【0041】
延長部414を本体412に取り付ける必要がない場合、本体412の可撓性フラップ423は折り畳まれ、ループ型ファスナー452Lは、フック型ファスナー452Hに解放可能に係合し、可撓性フラップ423を折り畳まれた保護位置に解放可能に保持して、フック型ファスナー452Hが乗客の衣服を損傷しないようにすることができる。同様に、延長部の可撓性フラップ445は折り畳まれ、ループ型ファスナー454Lがフック型ファスナー454Hに解放可能に係合し、可撓性フラップを折り畳まれた保護位置に解放可能に保持して、フック型ファスナー454Hが乗客の衣服を損傷又は乗客の皮膚を刺激しないようにすることができる。
【0042】
延長部414が必要な場合、乗客は、それぞれのファスナー452H、452L、454H、454Lが露出するように、可撓性フラップ423、445を広げるだけである。次に、フラップは互いに反対の関係で配置され、延長部414のループ型ファスナー454Lは、本体412のフック型ファスナー452Hに押し付けられて係合する。同時に、延長部414のフック型ファスナー454Eightは、本体412のループ型ファスナー452Lに押し付けられて係合する。その後、延長部が不要であると乗客が判断した場合、乗客は、延長部414のファスナー454H、454Lを本体の対応するファスナー452L、452Hから外すだけでよい。次に、可撓性フラップ423、445は、保護位置に折り畳まれ、延長部が必要とされ得るときまでその位置に保持される。
【0043】
主パッド412及び延長部414からなる座席パッドアセンブリ410は、図16図18に示す態様で、エコノミークラスの座席100とともに使用することができる。図示の実施形態における主パッド412は、股関節/大腿部支持体102と背中支持体106とを合わせた長さに実質的に対応する長さL1を有する。図18に示すように、パッドアセンブリ410は、延長部414が第1端部422に隣接する主パッド412の表面領域と実質的に面と面が向かい合って係合するように、延長部414が主パッド412の第1端部422から折り畳まれた状態で配置される。この構成では、延長部414は、ヘッドピローとして効果的に機能する。
【0044】
図19は、延長部414が主パッド412から分離され、旅行者によって腰支持体として配置されている任意選択の構成を示す。もちろん、この任意選択の変形形態では、延長部414は、主パッド412から分離されており、まったく使用されていない。エコノミークラスで飛行することがわかっている旅行者は、エコノミークラスで飛行する間の移動に関しては、延長部414を自宅に残すことができる。
【0045】
図20は、ファーストクラス又はビジネス座席100FCで使用された座席パッドアセンブリ410を示す。ファーストクラス座席100FCの股関節/大腿部支持体102FCと背中支持体106FCとを合わせた長さは、延長部414の長さL2にほぼ等しい長さだけ、エコノミー座席100の対応する寸法を超える。その結果、座席パッドアセンブリ410は、主パッド412の実質的に同一平面上の連続部として延びる延長部414とともに使用される。この状況では、延長部414の自由端縁442は、実質的に背中支持体106FCの上縁と整列し、一方、本体412の第2端部424は、フットレスト110の前端と整列する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2021年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に水平な股関節/大腿部支持体と、前記股関節/大腿部支持体から角度を付けて延びる背中支持体と、を有し、前記股関節/大腿部支持体と前記背中支持体との間に形成された少なくとも1つの隙間を有する座席と、
前記座席上に取り外し可能に配置されているとともに、少なくとも部分的にフォームから形成されたクッションを有している座席パッドアセンブリと、を備え、前記クッションは、前記座席パッドアセンブリが前記座席に配置されたときに、前記股関節/大腿部支持体から離れた前記座席の前記背中支持体の領域に配置される上端と、前記座席パッドアセンブリが前記座席に配置されたときに、前記座席の前記背中支持体から離れた前記座席の前記股関節/大腿部支持体の領域に配置された底端と、を有しており、前記クッションは、前記上端と前記底端との間で連続的に延設されており、前記座席パッドアセンブリは、前記クッションの前記上端から前記底端まで連続的に延設されているとともに、前記上端から前記底端まで記クッションを覆いかつ密に包み込んでいる寸法的に安定した織布カバーをさらに有前記寸法的に安定した織布カバーは、少なくとも、前記クッションの前記上端から前記底端へ向かう方向において非伸張性であり、前記座席パッドアセンブリは、前記座席パッドアセンブリが前記座席に置かれたときに前記座席パッドアセンブリが滑ることに抗する固定手段を有し、記クッション、前記座席に座っている人の少なくとも骨盤領域及び背中上部領域で生じた力に応じて弾性的に変形し、前記寸法的に安定した織布カバーが、前記股関節/大腿部支持体と前記背中支持体との間で規定された少なくとも1つのコーナ領域の上側の位置において前記座席に座っている人を抱えることにより、背中の腰領域に適合して支持する座席アセンブリ。
【請求項2】
前記織布カバーが内側カバーであり、前記座席パッドアセンブリが、前記内側カバーの上に取り付けられた外側カバーをさらに備える、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項3】
前記固定手段は、前記座席パッドアセンブリが前記座席上に配置されたときに、前記座席パッドアセンブリの滑りに抵抗する摩擦特性を備えた前記外側カバー上の領域を含んでいる、請求項2に記載の座席アセンブリ。
【請求項4】
前記内側カバーの織布が、綿−ポリエステル混紡糸を含む織り糸から形成される、請求項に記載の座席アセンブリ。
【請求項5】
前記内側カバーの前記織り糸が、32×32〜50×50の単糸の糸繊度を有する、請求項4に記載の座席アセンブリ。
【請求項6】
前記内側カバーの前記織布が、約110×76(縦糸と横糸)の糸密度を有する、請求項5に記載の座席アセンブリ。
【請求項7】
前記織布カバーの織布が、綿糸とポリエステル糸との混紡糸から形成される、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項8】
前記織布カバーの織り糸が、32×32〜50×50の単糸の糸繊度を有する、請求項7に記載の座席アセンブリ。
【請求項9】
前記織布カバーの前記織布が、約110×76(縦糸と横糸)の糸密度を有する、請求項8に記載の座席アセンブリ。
【請求項10】
記フォームが、約5lb/ftの密度及び約40lbfの硬度を有する、請求項1に記載の座席パッドアセンブリ。
【請求項11】
記クッションが、全体的に粘弾性フォームからなる、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項12】
前記座席が自動車の座席であり、前記自動車の座席が、ヘッドレストを有し、前記ヘッドレストは、前記自動車の座席の前記背中支持体に対して前記ヘッドレストの垂直調節を可能にするように構成されたヘッドレスト支持体によって前記背中支持体に取り付けられており、前記座席パッドアセンブリの前記固定手段は、前記自動車の座席の前記背中支持体に前記座席パッドアセンブリの上端を固定するためのストラップを含んでおり、前記ストラップは、前記ヘッドレスト支持体の周りに巻き付けるように配置及び寸法合わせされている、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【請求項13】
前記ストラップが、前記座席パッドアセンブリの両側の側縁から内側に離間した前記座席パッドアセンブリ上の場所から延びる、請求項12に記載の座席アセンブリ。
【請求項14】
細長い第1端部を有する第1パッドと、
前記第1パッドの前記第1端部に沿って延びる第1の可撓性フラップと、
細長い第2端部を有する第2パッドと、
前記第2パッドの前記第2端部に沿って延びる第2の可撓性フラップと、
実質的に端部と端部との関係において前記第1パッド及び前記第2パッドを解放可能に保持するように、前記第1及び第2の可撓性フラップ上にそれぞれ形成された第1及び第2の解放可能に係合可能な接続構造と、
更に備える、請求項1に記載の席アセンブリ。
【請求項15】
前記第1の解放可能に係合可能な構造が、フックアンドループファスナーを含む、請求項14に記載の座席アセンブリ。
【請求項16】
前記第1の可撓性フラップが、前記第1の可撓性フラップがそれ自体に折り畳まれて保護位置にあるときに互いに解放可能に係合可能なフック型ファスナー及びループ型ファスナーを有し、前記第2の可撓性フラップが、前記第2の可撓性フラップがそれ自体に折り畳まれて保護位置にあるときに互いに解放可能に係合可能なフック型ファスナー及びループ型ファスナーを有する、請求項15に記載の座席アセンブリ。
【請求項17】
前記第1パッド及び前記第2パッドは、粘弾性フォームから形成された第1クッション及び第2クッションを有している、請求項14に記載の座席アセンブリ。
【請求項18】
前記クッションは、ゲルを含んでいる、請求項1に記載の座席アセンブリ。
【国際調査報告】