特表2021-526308(P2021-526308A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526308(P2021-526308A)
(43)【公表日】2021年9月30日
(54)【発明の名称】半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20210903BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 29/808 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20210903BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20210903BHJP
【FI】
   H01L29/80 F
   H01L29/80 H
   H01L29/78 301B
   H01L29/78 301V
   H01L29/80 C
   H01L29/48 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-544290(P2020-544290)
(86)(22)【出願日】2019年12月31日
(85)【翻訳文提出日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】CN2019130362
(87)【国際公開番号】WO2020228352
(87)【国際公開日】20201119
(31)【優先権主張番号】201910388910.4
(32)【優先日】2019年5月10日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】孫 銭
(72)【発明者】
【氏名】蘇 帥
(72)【発明者】
【氏名】周 宇
(72)【発明者】
【氏名】鐘 耀宗
(72)【発明者】
【氏名】高 宏偉
(72)【発明者】
【氏名】劉 建▲シュン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ヂャン▼ 暁寧
(72)【発明者】
【氏名】馮 美▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 輝
【テーマコード(参考)】
4M104
5F102
5F140
【Fターム(参考)】
4M104AA04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB09
4M104BB36
4M104CC01
4M104CC03
4M104CC05
5F102GA02
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5F102GD10
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5F102GR04
5F102GR09
5F102GS01
5F102GS04
5F102GV05
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC10
5F102HC15
5F102HC21
5F140AA26
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5F140BD01
5F140BD04
5F140BD11
5F140BF05
5F140BF11
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5F140BJ05
5F140BJ11
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5F140CC08
5F140CC12
(57)【要約】
本願は、半導体デバイス及びその製造方法を開示する。前記製造方法は、エッチング変換層がその間に設けられた、積層して設けられる2つの半導体層を含む半導体材料層を製作するステップと、そのうち一方の半導体層の所定領域内の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、他方の半導体層で熱分解を終了させることにより、半導体材料層内にミゾ構造を正確に形成するステップと、を含む。本願は、半導体材料におけるミゾのエッチング深さに対する正確な制御を実現できるとともに、エッチングによる表面の損傷を徹底的に回避でき、高温で下バリア層の表面を十分にクリーニングし、ダングリングボンドを十分に開くことができ、それにより、後続プロセスで高品質の界面を得て、さらにデバイスの電気的特性がエッチングプロセスの変動による影響を受けないことを確保する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング変換層がその間に設けられた、積層して設けられる2つの半導体層を含む半導体材料層を製作するステップと、
そのうち一方の半導体層の所定領域内の部分をエッチング変換層に到達するか又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、半導体材料層内にミゾ構造を形成するステップと、を含む、半導体デバイスの製造方法。
【請求項2】
具体的には、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、他方の半導体層の表面で熱分解を終了させることにより、半導体材料層内にミゾ構造を正確に形成するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
第1半導体層及び第2半導体層で形成され且つ内部に二次元電子ガスが形成されたヘテロ接合を主に含む半導体材料層を製作するステップと、
前記半導体材料層と嵌合するソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、を含む半導体デバイスの製造方法であって
第1半導体層上に第3半導体層、第4半導体層を順に成長させることにより、第2半導体層を形成し、第3半導体層と第4半導体層との間にエッチング変換層を設けるステップと、
ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つに対応する所定領域内の前記第4半導体層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つと嵌合するミゾ構造を少なくとも第2半導体層内に形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項4】
ゲートと嵌合するミゾ構造を前記第2半導体層内に形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造の内側壁に誘電体層を覆設し、その後、ゲートと第3半導体との間に誘電体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、それぞれソース、ドレイン、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
ソース、ドレイン、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造の溝壁を少なくとも連続的に被覆するように、誘電体層を前記半導体材料層上に覆設するステップと、
ソース、ドレインが通過可能な窓を前記誘電体層に開設するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、前記半導体材料層上に第5半導体層を直接二次エピタキシャル成長させて形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造内に、前記ヘテロ接合内のゲート下領域に位置する二次元電子ガスを消耗し尽くすことができる第5半導体層を成長させ、その後、ゲートと第3半導体層との間に第5半導体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
第5半導体層の一部がゲートと嵌合する前記ミゾ構造に充填されるように、前記半導体材料層上に第5半導体層を成長させて形成するステップと、
前記第5半導体層の残りの部分を除去し、ゲートと嵌合する領域内の前記第5半導体層の部分を残すステップと、
前記半導体材料層上に連続的な不活性化層を覆設するステップと、
ソース、ドレイン、ゲートが通過可能な窓を前記不活性化層に開設するステップと、
前記不活性化層に開設された、ソース、ドレインが通過可能な窓から、前記半導体材料層をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレインに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、それぞれソース、ドレインと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ソース、ドレイン及び第3半導体層にオーミックコンタクトを形成させるステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記半導体材料層は、第4半導体層上に形成されるキャップ層をさらに含む、ことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法で製造される半導体デバイス。
【請求項12】
トレンチゲート構造を含むデバイスの製造における、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法の使用。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体デバイスを備える、ことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
MIS構造、p−GaNゲートに基づくエンハンスメント型HEMTデバイス、ディプリーション型HEMTとエンハンスメント型HEMTのモノリシック集積デバイス、ハイブリッド陽極に基づくMIS型ダイオード、p−GaNゲートに基づくダイオード、垂直構造ダイオード、ジャンクションダバリアショットキーダイオード、エンハンスメント型RF/ミリ波デバイス、垂直型Trench MOSFET又は水平型Trench MOSFETを含み、前記垂直構造ダイオードは、好ましくはショットキーダイオード又はp−nダイオードである、ことを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、半導体デバイスの製造プロセス、特にトレンチゲート技術に基づく半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリコンベースのMOSFETに比べて、AGaN/GaNヘテロ接合に基づく高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor、HEMT)は、低いオン抵抗、高い絶縁破壊電圧、高いオンオフ周波数などのユニークな利点を有するので、様々な電力変換システムでコアデバイスとして用いることができ、省エネルギー・消費削減の点で応用の将来性が期待できる。しかしながら、III族窒素化物材料系の分極効果のため、一般的には、AlGaN/GaNヘテロ接合に基づくHEMTは、いずれもディプリーション型(常開)であり、このタイプのデバイスが回路レベルのシステムに適用されると、デバイスに対するオンオフ制御を実現するように、陰極性ゲート駆動回路を設計する必要があり、その結果、回路の複雑さ及びコストを大幅に増大してしまう。さらに、ディプリーション型デバイスはフェイルセーフ能力に欠陥が存在し、従って、本格的な商業的用途を実現できない。
【0003】
トレンチゲート技術に基づいてエンハンスメント型HEMTを製造することは、簡単な解決策であり、すなわち、図1に示すように、従来のHEMTエピタキシャル構造をもとに、デバイスプロセスにおいてゲートの下方の領域のAlGaNバリア層の一部をエッチングし、バリア層が所定の程度まで薄くなると、ゲート領域の二次元電子ガスが消耗し尽くされ、一方、ゲートソース、ゲートドレインの間の領域の二次元電子ガスの濃度が既存のレベルに維持される。しかし、トレンチゲートエッチングを行う過程で、エッチング深さに対する正確な制御を実現しにくく、プロセスの再現性が低い。エンハンスメント型HEMTの重要なパラメータである閾値電圧がエッチングされていないバリア層の厚さに密接に関連しているので、その直接の結果として、閾値電圧の制御可能性及び均一性がともに悪くなる。さらに、エッチングプロセスでは、トレンチゲート領域のバリア層の表面に不可避的なエッチング損傷(たとえば、窒素空孔、ダングリングボンドなど)を引き起こし、大量の表面/界面準位が生じ、ゲートのリークが増大するため、ゲート制御能力が低下してしまう。他の実現可能な解決策は、p型ゲート技術に基づくことであり、すなわち、従来のHEMTエピタキシャル構造をもとに、ゲート領域のp型層によってゲート領域のエネルギーバンド構造を変更し、チャネルにおける二次元電子ガスを効果的に消耗し尽くし、その代表的なデバイス構造は、図2に示される。しかし、p型ゲート技術は、トレンチゲートエッチングという重要なプロセスを必要とするので、トレンチゲートのエッチング深さを制御しにくく、表面のエッチング損傷が生じるなどの問題に直面している。
【0004】
前記のように、前述した2種の従来技術でエンハンスメント型HEMTを製造すると、バリア層のエッチング深さの制御が高く要求され、それにより実施の難度が増大し、該技術の再現性(ウエハとウエハとの間)、均一性(ウエハ内の各領域の間)、安定性(各ロットのプロセスの間)が確保されにくく、一方、エッチング損傷がゲートの信頼性に関する一連の問題を引き起こす。
【0005】
エッチング深さを正確に制御にくいという難問を解決するために、デジタル酸化/ウェットエッチング技術が提案されており、すなわち、バリア層を酸化し、酸化層を酸溶液でエッチングすることを繰り返すことにより、バリア層に対する高精度なエッチングを実現する。各サイクルのエッチング深さがほぼ単原子層であるので、エッチングプロセス全体が完了するまでに複数のサイクルが必要とされ、従って、効率が非常に低く、量産に不利である。他の簡単な方法は、たとえばRF Power、Source Powerを低下させるなどとともに、エッチング時間を制御することでトレンチゲートのエッチング深さを制御する低速エッチングであり、ただし、エッチング時間が長くなり、そしてエッチング装置の状態に対する依存性が高くなり、その結果、エッチングレートのドリフトによる異常がよく発生する。さらに、適切なエッチングガスを用いてエッチングプロセスにおいて表面に耐エッチング層を誘導して形成することでエッチングを終了させることも実現可能な手段である。しかしながら、表面エッチング損傷を避けることができず、エッチング損傷層を除去するために後続の表面処理が必要とされる。
【0006】
トレンチゲートのエッチング深さの悪い制御可能性による影響を低減させるために、通常、デバイスの構造についていくつかの改良が必要である。MISチャネルHEMTは、重要なトレンチゲートエンハンスメント型デバイス構造の1つであり、トレンチゲートをGaNチャネル層までエッチングし、金属−誘電体−半導体構造としてエンハンスメント型MIS電界効果トランジスタの特性を実現するとともに、ゲート金属が誘電体層上にトレンチゲート外のバリア層/チャネル層のヘテロ接合の上方まで延びて、エンハンスメント型MIS電界効果トランジスタと集積されたディプリーション型HEMTとなり、それによって、デバイスの出力電流を増大させる。しかしながら、該技術も、バリア層を正確にエッチングしにくいという難問を避けることができず、エッチングによって引き起こされるチャネル層の表面損傷がチャネル電子移動度を低下させ、さらにデバイスのオン状態の抵抗特性に悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、従来技術の欠陥を解決するために、トレンチゲート技術に基づく半導体デバイス、その製造方法及び応用を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した発明目的を実現するために、本願の用いる技術案は、以下を含む。
いくつかの実施例では、以下のステップを含む半導体デバイスの製造方法を提供し、
半導体デバイスの製造方法であって、
エッチング変換層がその間に設けられた、積層して設けられる2つの半導体層を含む半導体材料層を製作するステップと、
そのうち一方の半導体層の所定領域内の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、半導体材料層内にミゾ構造を形成するステップと、を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、
第1半導体層及び第2半導体層で形成され且つ内部に二次元電子ガスが形成されたヘテロ接合を主に含む半導体材料層を製作するステップと、
前記半導体材料層と嵌合するソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、を含む半導体デバイスの製造方法をさらに提供し、
さらに、前記製造方法は、
第1半導体層上に第3半導体層、第4半導体層を順に成長させることにより、第2半導体層を形成し、第3半導体層と第4半導体層との間にエッチング変換層を設けるステップと、
ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つに対応する所定領域内の前記第4半導体層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つと嵌合するミゾ構造を少なくとも第2半導体層内に形成するステップと、をさらに含む。
【0010】
またさらに、前記製造方法は、具体的には、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つと嵌合するミゾ構造を少なくとも第2半導体層内に形成するステップを含む。前記第3半導体層には、高い熱安定性を有することが必要である。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合するミゾ構造を前記第2半導体層内に形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造の内側壁に誘電体層を覆設し、その後、ゲートと第3半導体との間に誘電体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、前記半導体材料層上に第5半導体層を直接二次エピタキシャル成長させて形成するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0013】
いくつかのさらに具体的な実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造内に、前記ヘテロ接合内のゲート下領域に位置する二次元電子ガスを消耗し尽くすことができる第5半導体層を成長させ、その後、ゲートと第3半導体層との間に第5半導体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0014】
いくつかの実施例では、本願のいずれか1項に記載の方法で製造される半導体デバイスをさらに提供する。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べて、本願の利点は、少なくとも以下のとおりである。半導体材料におけるミゾのエッチング深さに対する正確な制御を実現でき、一方、エッチングによる表面損傷を徹底的に回避でき、高温で下バリア層の表面を十分にクリーニングし、ダングリングボンドを十分に開くことができ、それにより、後続プロセスで高品質の界面を得て、さらにデバイスの電気的特性がエッチングプロセスの変動による影響を受けないことを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術におけるトレンチゲート技術に基づくエンハンスメント型HEMTの製造の原理図である。
図2】従来技術におけるP型ゲート技術に基づくエンハンスメント型HEMTの製造の原理図である。
図3】本願の一代表実施例におけるHEMTのエピタキシャル構造模式図である。
図4】本願の一代表実施例におけるHEMTの製作原理の模式図である。
図5】本願の実施例1における複合バリア層に基づくHEMTのエピタキシャル構造模式図である。
図6図1に示すエピタキシャル構造のゲート、ソース、ドレイン領域をエッチング変換層までICPエッチングしたときの模式図である。
図7A図6に示すデバイス構造をMOCVD熱分解により処理したときの模式図である。
図7B図7Aに示すデバイス構造の熱分解終了後にミゾの表面が明瞭に回復されたステップフローの形態である。
図7C図7Aに示すデバイス構造をエッチングして熱分解した後のゲート領域のミゾの深さ及び均一性の模式図である。
図7D図7Aに示すデバイス構造をエッチングして熱分解した後のゲート領域のミゾの深さ及び均一性の模式図である。
図8図7Aに示すデバイス構造にゲート誘電体が堆積されたときの模式図である。
図9図8に示すデバイス構造にゲート金属が堆積されたときの模式図である。
図10図9に示すデバイス構造にソース/ドレイン・オーミックコンタクトクコンタクトの窓開けを行ったときの模式図である。
図11図10に示すデバイス構造にソース、ドレインのオーミックコンタクトを製造したときの模式図である。
図12図11に示すデバイス構造に活性化領域分離を行ったときの模式図である。
図13】本願の実施例2における複合バリア層に基づくHEMTエピタキシャル構造の模式図である。
図14A図13に示すエピタキシャル構造をICPエッチング及びMOCVD熱分解してトレンチゲート構造を形成したときの模式図である。
図14B図14Aに示すデバイス構造の熱分解終了後にミゾの表面が明瞭に回復されたステップフローの形態である。
図14C図14Aに示すデバイス構造をエッチング及び熱分解した後のゲート領域のミゾの深さ及び均一性の模式図である。
図14D図14Aに示すデバイス構造をエッチング及び熱分解した後のゲート領域のミゾの深さ及び均一性の模式図である。
図15図14Aに示すデバイス構造をMOCVD熱分解してトレンチゲート構造を形成した後、p型層を直接二次エピタキシャルしたときの模式図である。
図16図15に示すデバイス構造の非ゲート領域のp型層をエッチングしたときの模式図である。
図17図16に示すデバイス構造に不活性化層が堆積されたときの模式図である。
図18図17に示すデバイス構造上の不活性化層に窓を開設したときの模式図である。
図19図18に示すデバイス構造に対して活性化領域分離を行ったときの模式図である。
図20図19に示すデバイス構造にミゾ型ソース/ドレイン・オーミックコンタクトを製造したときの模式図である。
図21図20に示すデバイス構造にゲート金属が堆積されたときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述した通り、従来技術の欠陥に鑑みて、本願の発明者は、大量の研究及び実践を行ったところ、本願の技術案を提案し、主に半導体デバイスにミゾ構造を正確かつ損傷なしに形成する方法を提供する。概ね、本願の実施例による技術案は、エピタキシャル構造(半導体材料層)に少なくとも一層のエッチング変換層を成長させ、ドライエッチング等のプロセスによって前記エッチング変換層までエッチングし、その後、前記エッチング変換層を熱処理プロセスにより完全に除去することであり、エッチング変換層の下方の半導体材料構造層がより良好な熱安定性を有するので、適切な条件及び雰囲気下で熱分解過程が該半導体材料構造層の表面で停止し、それにより、一連の有益な効果が実現される。たとえば、本願の実施例の技術案をGaNベースのエンハンスメント型HEMT等のデバイスのコア構造の製造に適用する場合、トレンチゲートを制御可能に製造できるとともに、ミゾ型ソース/ドレイン・オーミックコンタクト構造を制御可能に製造することができ、それにより、オーミックコンタクトの製造が低温アニーリング条件で実施できるようになり、デバイスの製造プロセスの互換性が高まり、一方、エッチングによる表面損傷を徹底的に回避でき、高温で下バリア層の表面を十分にクリーニングし、ダングリングボンドを十分に開くことができ、それにより、後続プロセスで高品質の界面を得て、最終的にゲート領域のプロセスの安定性を確保し、できるだけ閾値電圧、ゲート電流などを含むデバイスの電気的特性がエッチングプロセス変動による影響を受けないようにし、トレンチゲート構造を制御可能に製造することを実現し、それにより、プロセスの再現性、均一性、安定性を確保し、量産に適用できる。
【0018】
また、本願の実施例による技術案は、トレンチゲート、プロセスの互換性がより高いミゾ型低温オーミックコンタクトの製造に限られず、プロセスの互換性を確保する上に、エッチングの自動終了を必要とする場合にも適用でき、たとえば、MIS構造、p−GaNゲートに基づくエンハンスメント型HEMT、及びディプリーション型HEMTとエンハンスメント型HEMTのモノリシック集積、又は他のダイオード構造(ハイブリッド陽極に基づくMIS型ダイオード、p−GaNゲートに基づくダイオード、垂直構造ダイオード(ショットキーダイオード、p−nダイオード)及びジャンクションダバリアショットキーダイオード(Junction Barrier Schottky,JBS)等を含むが、これらに限られない)、及びミゾ構造とエッチング終了プロセスを用いる必要がある他のデバイス(エンハンスメント型RF/ミリ波デバイス、垂直型及び水平型Trench MOSFET等を含むが、これらに限られない)の製造に用いることができる。
【0019】
本願の実施例の一態様による半導体デバイスの製造方法は、
エッチング変換層がその間に設けられた、積層して設けられる2つの半導体層を含む半導体材料層を製作するステップと、
そのうち一方の半導体層の所定領域内の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、半導体材料層内にミゾ構造を形成するステップと、を含む。
【0020】
さらに、前記製造方法は、具体的には、
前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、他方の半導体層の表面で熱分解を終了させることにより、半導体材料層内にミゾ構造を正確に形成するステップを含む。
【0021】
前記他方の半導体層には、高い熱安定性を有することが必要である。
【0022】
本願の実施例の他の態様による半導体デバイスの製造方法は、
第1半導体層及び第2半導体層で形成され且つ内部に二次元電子ガスが形成されたヘテロ接合を主に含む半導体材料層を製作するステップと、
前記半導体材料層と嵌合するソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、を含み、
前記製造方法は、
第1半導体層上に第3半導体層、第4半導体層を順に成長させることにより、第2半導体層を形成し、第3半導体層と第4半導体層との間にエッチング変換層を設けるステップと、
ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つに対応する所定領域内の前記第4半導体層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つと嵌合するミゾ構造を少なくとも第2半導体層内に形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする。
【0023】
いくつかの具体的な実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合するミゾ構造を前記第2半導体層内に形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造の内側壁に誘電体層を覆設し、その後、ゲートと第3半導体との間に誘電体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0024】
いくつかのさらに具体的な実施形態では、前記製造方法は、
ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、それぞれソース、ドレイン、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
前記誘電体層がソース、ドレイン、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造の溝壁を少なくとも連続的に被覆するように、誘電体層を前記半導体材料層上に覆設するステップと、
ソース、ドレインが通過可能な窓を前記誘電体層に開設するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含むようにしてもよい。
【0025】
いくつかの具体的な実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、前記半導体材料層上に第5半導体層を直接二次エピタキシャル成長させて形成するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0026】
いくつかの具体的な実施形態では、前記製造方法は、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造内に、前記ヘテロ接合内のゲート下領域に位置する二次元電子ガスを消耗し尽くすことができる第5半導体層を成長させ、その後、ゲートと第3半導体層との間に第5半導体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含むようにしてもよい。
【0027】
いくつかのさらに具体的な実施形態では、前記製造方法は、
ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
第5半導体層の一部がゲートと嵌合する前記ミゾ構造に充填されるように、前記半導体材料層上に第5半導体層を成長させて形成するステップと、
前記第5半導体層の残りの部分を除去し、ゲートと嵌合する領域内の前記第5半導体層の部分を残すステップと、
前記半導体材料層上に連続的な不活性化層を覆設するステップと、
ソース、ドレイン、ゲートが通過可能な窓を前記不活性化層に開設するステップと、
前記不活性化層に開設された、ソース、ドレインが通過可能な窓から、前記半導体材料層をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレインに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、それぞれソース、ドレインと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含むようにしてもよい。
【0028】
前記第3半導体層には、高い熱安定性を有することが必要である。
【0029】
いくつかの具体的な実施形態では、前記製造方法は、ソース、ドレイン及び第3半導体層にオーミックコンタクトを形成させるステップをさらに含むようにしてもよい。
【0030】
さらに、前記半導体材料層は、第4半導体層上に形成されるキャップ層をさらに含む。
【0031】
たとえば、一代表実施形態では、エピタキシャル構造が基板上に形成されるバッファ層、チャネル層、複合バリア層等を含み、そのうちの複合バリア層構造にエッチング変換層が挿入された(従って、図3に示すように、複合バリア層の構造は上バリア層/エッチング変換層/下バリア層である)HEMTデバイスが製造され、該エッチング変換層(たとえばGaN等の材質)までドライエッチングし、さらに該エッチング変換層を熱処理プロセスにより完全に除去し、下バリア層がより高い熱安定性を有するので、図4に示すように、適切な条件及び雰囲気下で熱分解過程が下バリア層の表面で停止する。そのうち、下バリア層は、通常、Alを含むAlGaN又はAlN等であり、Al−N結合エネルギーがGa−N結合エネルギーより大幅に大きいことから、適切な条件及び雰囲気下で該下バリア層は良好な熱安定性を有する。このように、トレンチゲートの深さに対する正確な制御を実現できるとともに、エッチングによる表面損傷を徹底的に回避でき、高温で下バリア層の表面を十分にクリーニングし、ダングリングボンドを十分に開くことができ、それにより、後続プロセスで高品質の界面を得て、ゲート領域のプロセス安定性を確保し、さらに閾値電圧、ゲート電流等を含むデバイスの電気的特性がエッチングプロセス変動による影響を受けないことを確保し、トレンチゲート構造の制御可能な製造を実現する。
【0032】
本願の実施例の他の態様は、本願の前記いずれか1項に記載の方法で製造される半導体デバイスをさらに提供する。
【0033】
本願の実施例では、前述したエッチング変換層の材質は、GaN及びドライエッチングにより熱分解し得る他の材料、たとえばInGaN、InN、又はAl成分含有量の低いAlGaN、AlInN、AlInGaN等を含むが、これらに限られない。
【0034】
本願の実施例では、前述した半導体デバイスは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)等であってもよく、他の半導体デバイスであってもよい。HEMTである場合、そのヘテロ接合バリア層の材質は、AlGaN系材料、AlInN系材料、AlInGaN系材料等を含むことができるが、これらに限られない。さらに、HEMTである場合、二次元電子ガスが優れた電気的特性と広いエッチングプロセス窓を有することを確保する上に、その複合バリア層(すなわち前述した第2半導体層)内の各層の厚さが調整可能であり、そして、Al、In、Ga成分がエピタキシャル成長方向の各種の関数であり得る。
【0035】
本願の実施例では、熱分解過程の自動終了を実現できる上に、熱処理を実施するための装置は、MOCVD装置を用いることができるが、他の各種の加熱装置、加熱方法や加熱条件も適用できる。
【0036】
本願の実施例では、前述した半導体デバイスの製造プロセスは他の可能なプロセスのステップを含んでもよく、不活性化層、フィールドプレート構造を厚くしたり、相互接続電極を厚くしたりすること等を含むが、これらに限られない。
【0037】
本願の実施例では、熱処理工程は、熱分解過程の自動終了を実現することに限られず、熱分解過程の自動終了後、二次エピタキシャルを直接行うプロセスにも適用でき、たとえば、薄層GaN、AlGaN、AlN等をエピタキシャル成長させることで、高品質の界面と表面を得て、ただし、薄層GaN、AlGaN、AlN等に限られない。
【0038】
本願の実施例では、前述した不活性化層の材質は、Al、AlN(窒化アルミニウム)、SiN(窒化ケイ素)、SiO、Al、AlON(酸窒化アルミニウム)等を含むが、これらに限られない。
【0039】
本願の実施例では、トレンチゲートのエッチング、ミゾ型オーミックコンタクトのエッチング等を行うために使用されるエッチング技術は、たとえばICPエッチング技術又は他のドライエッチング技術などのドライエッチング技術であってもよい。
【0040】
本願の実施例では、半導体デバイスは、基板をさらに含んでもよく、基板の材質がシリコン、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等であり得るが、これらに限られない。
【0041】
以下、いくつかの実施例及び図面を参照しながら、本願の技術案についてより具体的に解釈し説明する。以下の実施例は、有機金属化学気相成長法(Metal−organic Vapor Deposition,MOCVD)等のシステムを用いて、制御可能な熱分解技術によってトレンチゲート構造を製造し、すなわちバリア層を成長させるときに、エッチング変換層を含むエピタキシャル構造をエピタキシャル成長させ、ドライエッチングプロセスと組み合わせて、トレンチゲート構造のエッチングを効果的かつ確実に終了し、それにより、トレンチゲートのエッチング深さを正確に制御するとともに、ドライエッチングによるエッチング損傷等を回避する。しかし、以下の実施例では、用いる各種の製品の構造パラメータ、各種の反応物及びプロセス条件は、いずれも代表例であり、本案の発明者による大量の試験によれば、以上に記載の他の異なる構造パラメータ、他のタイプの反応物及び他のプロセス条件も適用でき、いずれも本願で主張されている技術的効果を実現できる。
【0042】
(実施例1)
該実施例によるMIS構造に基づくエンハンスメント型HEMTの製造方法は、以下のステップを含む。
1)複合バリア層ヘテロ接合に基づくHEMTをMOCVDエピタキシャル成長させる。そのうち、上バリア層は、厚さ約35nmのAl0.2Ga0.8Nであり、エッチング変換層は、厚さ約10nmのGaNであり、下バリア層は、厚さ約2〜4nmのAl0.3Ga0.7Nであり、GaNキャップ層は、約2nmであり、AlN挿入層は、約1nmであり、GaNチャネル層は、50〜200nmである。HEMTエピタキシャル構造は、図5に示される。
【0043】
2)ICP(Inductive Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)エッチング技術を用い、フォトレジストAZ5214をマスクとして、ゲート、ソース、ドレインの上バリア層及びエッチング変換層を、エッチングレートを1〜20nm/minに制御しながらエッチングする(又はゲート領域の上バリア層及びエッチング変換層のみをエッチングする)。GaNエッチング変換層までエッチングするとエッチングを停止し、すなわち、エッチング時間を制御することによって、エッチング過程がGaNエッチング変換層まで行われるようにし、一定のエッチング時間のウィンドウを利用してGaNエッチング変換層が完全にエッチングされていないことを確保する。図6に示される。
【0044】
3)図7Aに示されるように、ゲート、ソース及びドレイン領域(又はゲート領域のみ)がICPエッチングされたエピタキシャルウエハ(フォトレジストが除去された)を、MOCVDチャンバに入れ、表面エッチングを行われた残りのGaNエッチング変換層を加熱処理によって完全に熱分解し、熱分解過程をAl0.3Ga0.7N下バリア層で終了させる。図7Bに示すように、熱分解終了後、ミゾの表面が明瞭なステップフローの形態に回復され、エッチング後及び熱分解後のゲート領域のミゾ深さ及び均一性が図7C及び図7Dに示される。熱処理には、雰囲気がN/NH混合雰囲気、温度範囲が500〜1200℃、熱処理時間が1〜15minとされる。GaNエッチング変換層が完全に熱分解した後、後続の誘電体堆積を直接行ってもよく、必要に応じて薄層GaN、AlGaN又はAlN等の薄層を二次エピタキシャル成長させ、界面を下方に埋めるようにしてもよい。
【0045】
4)ゲート誘電体を堆積する。図8に示されるように、ALD(Atom Layer Deposition、原子層成長)技術を用い、複合ゲート誘電体Al/AlNの堆積を行い、ここで、AlNの厚さは、1〜10nmであり、Alの厚さは、2〜50nmである。さらに、N雰囲気でポストアニーリングを温度600℃で3min行う。
【0046】
5)ゲート金属を堆積する。図9に示されるように、電子ビーム蒸着技術が使用され、製造条件は、金属Ni/Au、厚さ50nm/250nmである。
【0047】
6)ソース/ドレイン・オーミックコンタクトの窓開けを行う。図10に示されるように、フォトレジストAZ5214をマスク(1〜2μm)として、プラズマエッチング(本実施例では、塩素を含むプラズマで複合ゲート誘電体Al/AlNをエッチングする)によって、ソース/ドレイン・オーミックコンタクトの窓開けを行う。
【0048】
7)ソース/ドレイン・オーミックコンタクト。電子ビーム蒸着技術が使用され、製造条件は、金属Ti/Al/Ni/Au、厚さ6nm/120nm/20nm/30nmである。図11に示されるように、アニーリング条件は、550℃、3min、窒素雰囲気である。
【0049】
8)活性化領域分離を行う。図12に示されるように、Nイオン注入技術で分離させ、イオン注入エネルギーは、150〜400KeVイオン注入であり、注入イオン用量は、1012〜1014/cmであり、注入深さは、バッファ層より50〜250nmほど深い。
【0050】
(実施例2)
該実施例によるp型ゲート構造に基づくエンハンスメント型HEMTの製造方法は、以下のステップを含む。
1)複合バリア層ヘテロ接合に基づくHEMTをMOCVDエピタキシャル成長させる。そのうち、上バリア層は、厚さ約35nmのAl0.2Ga0.8Nであり、エッチング変換層は、厚さ約10nmのGaNであり、下バリア層は、厚さ約15nmのAl0.25Ga0.75Nであり、GaNキャップ層は、約2nmであり、AlN挿入層は、約1nmであり、GaNチャネル層は、50〜200nmである。HEMTエピタキシャル構造は、図13に示される。
【0051】
2)実施例1のステップ2)〜3)と同様である。図14Aに示されるように、ゲート領域のAl0.2Ga0.8N上バリア層及びGaNエッチング変換層のみをICPエッチングし、ゲート領域の残りのGaNエッチング変換層をMOCVD熱分解し、Al0.25Ga0.75N下バリア層で終了させる。図14Bに示すように、熱分解終了後、ミゾの表面が明瞭なステップフローの形態に回復され、エッチング後及び熱分解後のゲート領域のミゾの深さ及び均一性は、図14C及び図14Dに示される。
【0052】
3)p型層を二次成長させる。p型層をMOCVDエピタキシャル成長させ、p−GaNの厚さは、5〜300nm、マグネシウムドーピング濃度範囲は、1018〜1021/cmスケールである。図15に示される。
【0053】
4)非ゲート領域のp型層をエッチングする。図16に示されるように、ICPエッチング技術を用い、非ゲート領域のp型層をエッチングする。
【0054】
5)不活性化層を堆積する。図17に示されるように、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition,低圧化学気相堆積)誘電体層堆積技術によって、厚さ10〜500nmのSiN不活性化層を堆積する。
【0055】
6)不活性化層に窓を開設する。図18に示されるように、フッ素ベースのRIE(Reactive Ion Etch、反応イオンエッチング)によってSiNをエッチングすることで、ソース/ドレイン・オーミックコンタクト及びゲートの窓開けを行う。さらに、表面エッチングによる損傷に対する湿式処理プロセス、及び700〜950℃、1〜5min、窒素雰囲気というアニーリング条件での高温アニーリングプロセスを行う。
【0056】
7)活性化領域分離を行う。図19に示されるように、Nイオン注入技術を用いて分離させ、イオン注入エネルギーは、150〜400KeVイオン注入であり、注入イオン用量は、1012〜1014/cmであり、注入深さは、バッファ層より50〜250nmほど深い。
【0057】
8)ミゾ型ソース/ドレイン・オーミックコンタクト。ICPエッチングを用い、フォトレジストAZ5214をマスクとして、ソース、ドレイン領域に対してエッチングレートを1〜20nm/minに制御しながらミゾエッチングを行う。エッチング時間を制御することによって、下バリア層を0〜6nm残す。図20に示されるように、厚さ20nm/130nm/50nm/150nmの金属Ti/Al/Ni/Auを堆積し、アニーリング条件は、500〜900℃、0.5〜5min、窒素雰囲気である。
【0058】
9)ゲート金属を堆積する。図21に示されるように、マグネトロンスパッタリングを用いて厚さ30nm/30nm/50nmのPd/Pt/Auを堆積し、ポストアニーリング条件は、500℃、1min、窒素雰囲気である。
【0059】
本願の前述した実施例は、エッチング変換層を含む複合エピタキシャル構造をエピタキシャル成長させることによって、ドライエッチングと熱処理プロセスとを有機的に結合することで、トレンチゲート構造の製造、ミゾ型ソース/ドレイン・オーミックコンタクトの製造等を含む半導体デバイスの製造プロセスでのエッチング自動終了の難問を効果的に解決でき、ウエハのミゾの深さ均一性を大幅に向上でき、さらに、従来のドライエッチングによる損傷等の問題を完全に回避し、それにより、エンハンスメント型HEMT等のデバイスの性能及びデバイスの均一性を顕著に向上できる。
【0060】
なお、本明細書では、「含む」、「備える」という用語又はそれらの変形は、排他的な包含を意図するものであり、それにより、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置は、それらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素をさらに含み、又はこのプロセス、方法、物品又は装置の固有の要素を含む。さらなる制限がない限り、「…を含む」という文によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品、又は装置にさらに他の同じ要素が存在する場合を排除しない。
【0061】
以上は、本願の具体的な実施形態に過ぎず、当業者にとって、本願の原理を逸脱することなくいくつかの改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾は、本願の特許範囲に包含されるものである。
【0062】
[付記]
[付記1]
エッチング変換層がその間に設けられた、積層して設けられる2つの半導体層を含む半導体材料層を製作するステップと、
そのうち一方の半導体層の所定領域内の部分をエッチング変換層に到達するか又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、半導体材料層内にミゾ構造を形成するステップと、を含む、半導体デバイスの製造方法。
【0063】
[付記2]
具体的には、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、他方の半導体層の表面で熱分解を終了させることにより、半導体材料層内にミゾ構造を正確に形成するステップを含む、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0064】
[付記3]
第1半導体層及び第2半導体層で形成され且つ内部に二次元電子ガスが形成されたヘテロ接合を主に含む半導体材料層を製作するステップと、
前記半導体材料層と嵌合するソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、を含む半導体デバイスの製造方法であって
第1半導体層上に第3半導体層、第4半導体層を順に成長させることにより、第2半導体層を形成し、第3半導体層と第4半導体層との間にエッチング変換層を設けるステップと、
ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つに対応する所定領域内の前記第4半導体層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、前記所定領域内のエッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、ゲート、ソース、ドレインのうちの少なくとも1つと嵌合するミゾ構造を少なくとも第2半導体層内に形成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【0065】
[付記4]
ゲートと嵌合するミゾ構造を前記第2半導体層内に形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造の内側壁に誘電体層を覆設し、その後、ゲートと第3半導体との間に誘電体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含む、ことを特徴とする付記3に記載の製造方法。
【0066】
[付記5]
ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレイン、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって完全に除去することにより、それぞれソース、ドレイン、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
ソース、ドレイン、ゲートと嵌合する前記ミゾ構造の溝壁を少なくとも連続的に被覆するように、誘電体層を前記半導体材料層上に覆設するステップと、
ソース、ドレインが通過可能な窓を前記誘電体層に開設するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする付記4に記載の製造方法。
【0067】
[付記6]
ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、前記半導体材料層上に第5半導体層を直接二次エピタキシャル成長させて形成するステップをさらに含む、ことを特徴とする付記3に記載の製造方法。
【0068】
[付記7]
ゲートと嵌合する前記ミゾ構造を形成した後、少なくともゲートと嵌合する前記ミゾ構造内に、前記ヘテロ接合内のゲート下領域に位置する二次元電子ガスを消耗し尽くすことができる第5半導体層を成長させ、その後、ゲートと第3半導体層との間に第5半導体層が介在しているようにゲートを製作するステップをさらに含む、ことを特徴とする付記6に記載の製造方法。
【0069】
[付記8]
ゲートに対応する領域内の前記半導体材料層の部分をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ゲートに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、ゲートと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
第5半導体層の一部がゲートと嵌合する前記ミゾ構造に充填されるように、前記半導体材料層上に第5半導体層を成長させて形成するステップと、
前記第5半導体層の残りの部分を除去し、ゲートと嵌合する領域内の前記第5半導体層の部分を残すステップと、
前記半導体材料層上に連続的な不活性化層を覆設するステップと、
ソース、ドレイン、ゲートが通過可能な窓を前記不活性化層に開設するステップと、
前記不活性化層に開設された、ソース、ドレインが通過可能な窓から、前記半導体材料層をエッチング変換層に到達する又は入るまでエッチングし、その後、ソース、ドレインに対応する領域内の前記エッチング変換層の部分を熱処理によって熱分解して完全に除去し、第3半導体層で熱分解を終了させることにより、それぞれソース、ドレインと嵌合するミゾ構造を第2半導体層内に形成するステップと、
ソース、ドレイン及びゲートを製作するステップと、をさらに含むことを特徴とする付記7に記載の製造方法。
【0070】
[付記9]
ソース、ドレイン及び第3半導体層にオーミックコンタクトを形成させるステップをさらに含む、ことを特徴とする付記3乃至8のいずれか1つに記載の製造方法。
【0071】
[付記10]
前記半導体材料層は、第4半導体層上に形成されるキャップ層をさらに含む、ことを特徴とする付記3乃至8のいずれか1つに記載の製造方法。
【0072】
[付記11]
付記1乃至10のいずれか1つに記載の方法で製造される半導体デバイス。
【0073】
[付記12]
トレンチゲート構造を含むデバイスの製造における、付記1乃至10のいずれか1つに記載の方法の使用。
【0074】
[付記13]
付記11に記載の半導体デバイスを備える、ことを特徴とするデバイス。
【0075】
[付記14]
MIS構造、p−GaNゲートに基づくエンハンスメント型HEMTデバイス、ディプリーション型HEMTとエンハンスメント型HEMTのモノリシック集積デバイス、ハイブリッド陽極に基づくMIS型ダイオード、p−GaNゲートに基づくダイオード、垂直構造ダイオード、ジャンクションダバリアショットキーダイオード、エンハンスメント型RF/ミリ波デバイス、垂直型Trench MOSFET又は水平型Trench MOSFETを含み、前記垂直構造ダイオードは、好ましくはショットキーダイオード又はp−nダイオードである、ことを特徴とする付記13に記載のデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】