(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526540(P2021-526540A)
(43)【公表日】2021年10月7日
(54)【発明の名称】ビスホスフィンリガンド化合物、クロム化合物、エチレンオリゴマー化触媒システム、及びエチレンオリゴマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 19/00 20060101AFI20210910BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20210910BHJP
C07F 9/50 20060101ALI20210910BHJP
C07F 7/10 20060101ALI20210910BHJP
C07F 11/00 20060101ALI20210910BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20210910BHJP
C07C 2/08 20060101ALI20210910BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20210910BHJP
【FI】
C07F19/00
B01J31/24 Z
C07F9/50CSP
C07F7/10 N
C07F11/00 A
C07C11/02
C07C2/08
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-567590(P2020-567590)
(86)(22)【出願日】2019年6月3日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月3日
(86)【国際出願番号】KR2019006678
(87)【国際公開番号】WO2019235799
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065519
(32)【優先日】2018年6月7日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0054548
(32)【優先日】2019年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】515131404
【氏名又は名称】アジュ ユニバーシティー インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】AJOU UNIVERSITY INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】520025655
【氏名又は名称】エス−プレシャス キャタリスツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】S−Precious Catalysts Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】イ,ブン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒ ソ
(72)【発明者】
【氏名】ペク,チュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ス チン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン トン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BE27A
4G169BE27B
4G169CB47
4H006AA02
4H006AC92
4H006BA14
4H006BA48
4H006BB11
4H039CA29
4H039CL20
4H049VN01
4H049VP04
4H049VQ35
4H049VR24
4H049VS07
4H049VU33
4H049VU36
4H049VW02
4H050AA01
4H050AB40
4H050AB84
4H050WA15
4H050WA26
4H050WA29
(57)【要約】
本発明は、大量生産及び商業工程に適しており、極めて高い活性と優れた経済性とを両立することができ、エチレンオリゴマー化反応の選択度を向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造するのに利用可能なビスホスフィンリガンド化合物、これを用いて製造されるクロム化合物、前記クロム化合物を含むエチレンオリゴマー化触媒システム及びエチレンオリゴマーの製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物:
[化A]
前記化学式Aにおいて、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基である。
【請求項2】
前記化学式Aにおいて、Rは、[CH3(CH2)d]2CH−*(dは、0〜20)で、R1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルである、請求項1に記載のビスホスフィンリガンド化合物。
【請求項3】
下記の化学式1で表示されるクロム化合物:
[化1]
前記化学式1において、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、Xは、それぞれ独立してハロゲン、炭素数2〜炭素数30のカルボキシレート、アセチルアセトネート、又は、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含んだり、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含まない炭素数1〜炭素数30のヒドロカルビルで、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである。
【請求項4】
前記化学式1の[AY4]−は[B(C6F5)4]−である、請求項3に記載のクロム化合物。
【請求項5】
前記化学式1のRは、[CH3(CH2)d]2CH−*(dは0〜20)で、R1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルである、請求項3に記載のクロム化合物。
【請求項6】
前記化学式1のRはイソプロピル基で、R1はn−ブチルで、XはClで、[AY4]−は[B(C6F5)4]−である、請求項3に記載のクロム化合物。
【請求項7】
下記の化学式1で表示されるクロム化合物;及び
下記の化学式2で表示される有機アルミニウム化合物;を含むエチレンオリゴマー化触媒システム:
[化1]
前記化学式1において、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、Xは、それぞれ独立してハロゲン、炭素数2〜炭素数30のカルボキシレート、アセチルアセトネート、又は、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含んだり、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含まない炭素数1〜炭素数30のヒドロカルビルで、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである:
[化2]
(R
2)
3Al
前記化学式2において、R
2は、炭素数1〜炭素数20のアルキル基である。
【請求項8】
前記化学式2において、R2は、イソブチル基又はエチル基である、請求項7に記載のエチレンオリゴマー化触媒システム。
【請求項9】
前記化学式1のRは、イソプロピル基で、R1は、それぞれ独立して、エチル、イソプロピル又はn−ブチルで、XはClで、[AY4]−は[B(C6F5)4]−である、請求項7に記載のエチレンオリゴマー化触媒システム。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項による触媒システムとエチレン単量体とを接触させ、1−ヘキセン及び1−オクテンのうち一つ以上を選択的に製造する段階を含むエチレンオリゴマーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量生産及び商業工程に適しており、極めて高い活性と優れた経済性とを両立することができ、エチレンオリゴマー化反応の選択度を向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造するのに利用可能なビスホスフィンリガンド化合物、これを用いて製造されるクロム化合物、前記クロム化合物を含むエチレンオリゴマー化触媒システム及びこれらを用いたエチレンオリゴマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンオリゴマーである1−ヘキセン及び/又は1−オクテンは、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィンの重合時、共単量体として大量に使用されている化合物である。近年、均一系メタロセン触媒を使用したポリオレフィンの生産が増加するにつれて、エチレンオリゴマーの中でも特に1−ヘキセン(1−hexene)及び1−オクテン(1−octene)に対する需要が継続して増加している。
【0003】
従来の技術としては、ニッケル触媒をベースにしたSHOP(Shell Higher Olefin Process)でエチレンをオリゴマー化することによって、炭素数約4個〜約30個の多様な1−アルケン(1−alkene)を生成し、これから1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを別途に分離して得ることができた。その後、エチレンオリゴマー化反応での選択度を高め、1−ヘキセン又は1−ヘキセン及び1−オクテンを高収率で生成できる触媒システムが発明された。
【0004】
一つの例示として、サソール(Sassol)社で開発された触媒システムは、クロム3価化合物(CrCl
3又はCr(acac)
3)、ビスホスフィンリガンド(bisphosphine ligand)である(iPrN(PPh
2)
2)、及び助触媒であるメチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(modified−methylaluminoxane、MMAO)で構成されるものであって、1−オクテン及び1−ヘキセンを選択的に生成する(特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
しかし、このような従来の触媒システムは、商業的に活用可能な水準の活性度を具現するために高価なMAO又はMMAOを多量(Al/Cr=300〜500)に使用しなければならないか、最適活性温度が60℃程度と低く、目的としないポリエチレン(polyetylene、PE)副産物の生成率が高いという弱点を有しており、製造費用が上昇し、経済性が低く、商業化において障害物となっている(非特許文献1及び非特許文献2)。
【0006】
具体的に、従来の触媒システムは、活性度をMAO又はMMAOの投入量に対する活性度に変換する場合、高価なMAO又はMMAOを多量に使用することによって実際に商業的利点が低くなる。また、最適活性温度が約60℃程度と低い場合、空冷又は水冷による反応熱の制御効率が急激に低下し、ポリエチレン副産物を相対的に少量のみ生成するときにも風船効果を起こし、大量生産の利点が阻害され得る。
【0007】
また、高価なメチルアルミノキサン(MAO)を使用しないための触媒システムの開発も活発に進められているが、この触媒システムのほとんどは、メチルアルミノキサン(MAO)を使用する触媒システムに比べて活性が著しく低いので、商業的な活用に適していない(非特許文献3〜非特許文献5)。
【0008】
このような理由により、近年、MAO又はMMAOを使用することなく、最適活性温度が約80℃内外の高温であり、ポリエチレン副産物の生成を極めて低下させ得る触媒システムを開発するための努力がなされている。しかし、従来知られていた技術のみで、MAO又はMMAOを使用せずに十分に高い活性を具現することは非常に難しく、さらに、このような高活性触媒を大量に生産することも非常に難しい。
【0009】
したがって、エチレン単量体に接触したとき、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高い選択度及び優れた生産性で製造できると同時に、高活性と経済性とを両立できるエチレンオリゴマー化技術開発の必要性が増大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許公報10−2006−0002742
【特許文献2】米国特許公報7511183B2
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Organometallics,27(2008)5712−5716
【非特許文献2】Organometallics,31(2012)6960−6965
【非特許文献3】Organometallics,26(2007)1108−1111
【非特許文献4】Organometallics,26(2007)2561−2569
【非特許文献5】Organometallics,26(2007)2782−2787
【非特許文献6】ACS Omega,2(2017)765−773
【非特許文献7】Angewandte Chemie International Edition 2016,55,12351
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、クロム化合物及びこれを含むエチレンオリゴマー化触媒システムの製造に有利な特性を有するビスホスフィンリガンド化合物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造できるクロム化合物を提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、エチレンオリゴマー化反応に適用したとき、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンに対して優れた選択性を具現し、高い活性と優れた経済性とを両立することができ、大量商業工程に適したエチレンオリゴマー化システムを提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも高い活性を具現することができ、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造することができ、且つ大量商業工程に適しており、極めて高い活性と優れた経済性とを両立できるエチレンオリゴマーの製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明の前記目的及びその他の目的は、下記で説明する本発明によって全て達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一具現例は、下記の化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物に関する。
【0018】
[化A]
【0019】
前記化学式Aにおいて、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基である。
【0020】
前記化学式Aにおいて、Rは、[CH
3(CH
2)
d]
2CH−
*(dは、0〜20)で、R
1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルであってもよい。
【0021】
本発明の他の具現例は、下記の化学式1で表示されるクロム化合物に関する。
【0022】
[化1]
【0023】
前記化学式1において、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、Xは、それぞれ独立してハロゲン、炭素数2〜炭素数30のカルボキシレート、アセチルアセトネート、又は、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含んだり、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含まない炭素数1〜炭素数30のヒドロカルビルで、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである。
【0024】
前記化学式1の[AY
4]
−は、[B(C
6F
5)
4]
−であってもよい。
【0025】
前記化学式1のRは、[CH
3(CH
2)
d]
2CH−
*(dは0〜20)で、R
1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルであってもよい。
【0026】
前記化学式1のRはイソプロピル基で、R
1はn−ブチルで、XはClで、[AY
4]
−は[B(C
6F
5)
4]
−であってもよい。
【0027】
本発明の更に他の具現例は、上述した化学式1で表示されるクロム化合物;及び下記の化学式2で表示される有機アルミニウム化合物;を含むエチレンオリゴマー化触媒システムに関する。
【0028】
[化2]
(R
2)
3Al
【0029】
前記化学式2において、R
2は、炭素数1〜炭素数20のアルキル基である。
【0030】
前記化学式2において、R
2は、イソブチル基又はエチル基であってもよい。
【0031】
前記エチレンオリゴマー化触媒システムにおいて、前記化学式1のRはイソプロピル基で、R
1は、それぞれ独立して、エチル、イソプロピル又はn−ブチルで、XはClで、[AY
4]
−は[B(C
6F
5)
4]
−であってもよい。
【0032】
本発明の更に他の具現例は、上述した触媒システムとエチレン単量体とを接触させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを選択的に製造する段階を含むエチレンオリゴマーの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、クロム化合物及びこれを含むエチレンオリゴマー化触媒システムの製造に有利な特性を有するビスホスフィンリガンド化合物を提供する。
【0034】
本発明は、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造できるクロム化合物を提供する。
【0035】
本発明は、エチレンオリゴマー化反応に適用したとき、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンに対して優れた選択性を具現し、高い活性と優れた経済性とを両立することができ、大量商業工程に適したエチレンオリゴマー化システムを提供する。
【0036】
本発明は、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも高い活性を具現することができ、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造することができ、且つ大量商業工程に適しており、極めて高い活性と優れた経済性とを両立できるエチレンオリゴマーの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施例5で製造されたクロム化合物のX線結晶学(X−ray crystallography)で分析した構造を示した図である。
【
図2】本発明の実施例1で製造されたクロム化合物の
31P NMRスペクトル、
1H NMRスペクトル、
19F NMRスペクトル及びEPRスペクトルの分析結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本出願書において、化学式に表示されたH、B、C、N、O、F、P、Cr、Cl、Siなどの記号は、別の言及がない限り、それぞれの元素記号が標識する原子を意味する。
【0039】
本出願書において、化学式に表示された「
*」は、別の言及がない限り、化学構造での連結部位を意味する。
【0040】
本出願書において、化学式に表示された「
−」は、別の言及がない限り、化学構造での結合部位を意味する。
【0041】
本出願書において、化学式に表示されたMeはメチル、Etはエチル、Prはプロピル、iPrはイソプロピル、Buはブチル、Phはフェニル、acacはアセチルアセトネート、THFはテトラヒドロフランを意味する。
【0042】
<エチレンオリゴマー化反応用ビスホスフィンリガンド化合物>
【0043】
本発明の一具現例は、下記の化学式Aで表示される化合物であるビスホスフィンリガンド化合物に関する。
【0045】
前記化学式Aにおいて、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基である。
【0046】
具体的に、前記化学式Aにおいて、Rは、[CH
3(CH
2)
d]
2CH−
*(dは、0〜20)であってもよい。この場合、前記化学式Aのビスホスフィンリガンド化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、高活性が具現され、脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解度がさらに向上しながらも、重合反応及び反応生成物の均一性をさらに向上させることができる。
【0047】
前記化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物は、フォスフィン末端にそれぞれ3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)を含むことによって、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したときに活性度を著しく向上させることができる。この場合、例えば、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane、MAO)、変性メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane、MMAO)などの高価な助触媒物質の使用を省略しながらも活性度を向上させるという効果を具現することができる。よって、前記化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物は、高い活性と経済性とを両立することができ、大量な商業工程の適用にさらに適したエチレンオリゴマー化触媒システム及びこれを用いたエチレンオリゴマーの製造方法を提供することができる。また、前記化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物は、副産物である高分子の生成量が少ないので、工程の安定的な運転びに有利である。
【0048】
前記化学式Aにおいて、前記3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)は、ビスホスフィンリガンドのベンゼン環(−C
6H
4−)に対してパラ位置に結合されたものであってもよい。この場合、前記化学式Aのビスホスフィンリガンド化合物は、前記3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)がオルト位置又はメタ位置に結合された場合に比べて、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したときに活性度を著しく向上させながらも1−ヘキセンの生成量をさらに低減させることができ、1−オクテンに対する選択性がさらに向上し得る。
【0049】
前記3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)において、3個のR
1基は、それぞれ独立しており、同一のアルキル基を有してもよく、互いに異なるアルキル基を有してもよい。
【0050】
一具体例で、前記化学式Aにおいて、前記3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)は、炭素数の和が4〜50であってもよい。前記化学式1のクロム化合物は、前記3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)の炭素数が4個未満、例えば、3個であるメチルシリル基(例えば、
*−SiMe
3)の場合、立体障害効果が十分でなく、活性のないリガンドが2個配位された化合物への転換を防止できないので、高活性を具現することができない。
【0051】
具体的に、前記化学式Aにおいて、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基であって、置換基の種類は制限されない。また、前記R
1は、それぞれ線状、分枝状、環状などの構造を有してもよい。
【0052】
より具体的に、前記化学式Aにおいて、前記R
1は、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、又はこれらの組み合わせからなるアルキル基などであってもよい。この場合、前記化学式Aのビスホスフィンリガンドは、分子構造内のP−N結合と隣接した部分の回転を制限するという効果がさらに向上し得る。
【0053】
例えば、前記化学式Aにおいて、R
1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルであってもよい。この場合、前記化学式Aのビスホスフィンリガンド化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したときに活性度を著しく向上させながらも、分散物である高分子化合物の生成量を低減させることができ、商業工程での活用に適している。
【0054】
前記化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物を製造する方法は特に制限されない。
【0055】
具体的に、R基を含むアミン化合物と、3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)を含むフォスフィン化合物とを互いに反応させて製造することができる。この場合、アミン化合物は、化学式Aの化合物にR基を付与し、フォスフィン化合物は、化学式Aの化合物に3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)を付与することができる。又は、化学式Aの化合物にR基を付与できるその他の有機化合物と、3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)を含むフォスフィン化合物とを互いに反応させて製造することができる。
【0056】
より具体的に、R基を有するアミン化合物であるR−NH
2と、3個のR
1基に置換されたシリル基(
*−Si−(R
1)
3)を有するフォスフィン化合物であるX−P(−C
6H
4−p−Si−(R
1)
3)
2とを反応させることによって化学式Aのビスホスフィンリガンド化合物を合成することができる。
【0057】
一具体例において、Rが[CH
3(CH
2)
d]
2CH−
*(dは0〜20)である化学式Aの化合物は、アミン化合物である[CH
3(CH
2)
d]
2CH−NH
2と、フォスフィン化合物である((R
1)
3−Si−C
6H
4)
2P−Clとを反応させることによって容易に製造できるが、このとき、原料になる[CH
3(CH
2)
d]
2CH−NH
2は、需給が容易なだけでなく、経済性に優れており、商業工程での活用可能性がさらに高い。
【0059】
本発明の他の具現例のクロム化合物は、非配位性アニオンと、クロム3価カチオンとで構成された新規構造のクロム3価化合物であって、下記の化学式1で表示される。
【0061】
前記化学式1において、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、Xは、それぞれ独立してハロゲン、炭素数2〜炭素数30のカルボキシレート、アセチルアセトネート、又は、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含んだり、エーテル基及びアミン基のうち1種以上を含まない炭素数1〜炭素数30のヒドロカルビルで、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである。
【0062】
前記化学式1のクロム3価化合物は、通常的に6配位を取るという理由により、エーテル、スルフィド、アミン、ニトリル、H
2Oなどがさらに配位されたり、又は化学式1に含まれたClリガンドが2個のクロム原子又はアルミニウム原子によって共有されることによってブリッジを形成したμ2−Clバイニュークリア形態の化合物として存在し得る。
【0063】
前記化学式1にさらに配位されたエーテル、スルフィド、アミン、ニトリル、H
2Oリガンドは、エチレンオリゴマー化触媒システムに適用したとき、後述する化学式2で表示される有機アルミニウム化合物を接触させて活性化させるときに脱配位が起こって除去されると同時に、ブリッジ形態のClリガンドも化学式2で表示される有機アルミニウム化合物によってアルキル基に転換され、エチレンオリゴマー化触媒反応の具現に及ぼす悪影響が微々たるものである。
【0064】
図1は、本発明に係る例示的な化学式1のクロム化合物(実施例5の化学式1−4の化合物[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)Et
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−)のX線結晶学で分析した構造を示したものである。
図1を参照すると、本発明に係る化学式1のクロム化合物は、ニトリルリガンドがさらにクロム原子に配位されており、Clリガンドが二つのクロム原子によって共有されることによってブリッジを形成したμ2−Clバイニュークリア形態の化合物として存在することを確認することができる。
【0065】
また、
図1において、左上端に別途に表示された四角形内の構造は、X線結晶学で分析した構造を活用して任意に構成したビスホスフィンリガンドが二つ配位された非活性種化合物の構造であって、(R
1)
3Si−
*基の相互衝突によって形成が不可能であることを示すためのものである。
【0066】
これを通じて、本発明のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応に適用され、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを高収率で製造することができる。
【0067】
本発明のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応に適用したとき、最適活性温度が60℃以上、具体的に70℃以上、より具体的に80℃以上〜100℃以下、例えば、70℃、80℃、90℃であってもよい。これを通じて、空冷又は水冷による反応熱制御効率をさらに増大させることができ、大量生産工程での適用性に優れ、商業的利点がさらに向上し得る。
【0068】
本発明のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応に適用され、ポリエチレンの生成量を従来の技術に比べて著しく低減させることができる。この場合、大量生産工程での適用副産物の蓄積による風船効果を効果的に防止しながら、商業的利点がさらに向上し得る。
【0069】
具体的に、前記化学式1のRは、炭素数が1〜30であるアルキル基又は炭素数が6〜30であるアリール基であってもよい。より具体的に、前記化学式1のRは、[CH
3(CH
2)
d]
2CH−
*(dは0〜20)で表示されるアルキル基であってもよい。この場合、前記化学式1のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解度がさらに向上しながらも、重合反応及び反応生成物の均一性をさらに向上させることができる。
【0070】
一具体例において、前記化学式1のRは、イソプロピル基((CH
3)
2CH−
*)であってもよい。この場合、単価が低いイソプロピルアミンを原料物質として使用して前記化学式1のクロム化合物を製造できるという長所を有する。また、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、前記化学式1のクロム化合物は、高活性を具現しながら1−オクテン選択性が高いという長所を有する。
【0071】
前記化学式1で表示されるクロム化合物は、リン(P)原子と結合されたフェニル部分(phenyl moieties、−C
6H
4−)のパラ位置(−p−、para)に結合されている有機シリル基を含む。従来の有機シリル基置換体を有していないリガンドで構成されたクロム化合物(例えば、[{iPrN(P(C
6H
5)
2)
2}−CrCl
2]
+[AY
4]
−)は、リガンドが2個配位された6配位形態の化合物(すなわち、[{iPrN(P(C
6H
5)
2)
2}
2−CrCl
2]
+[AY
4]
−)に容易に転換される。このようにリガンドが2個配位された従来の6配位形態の化合物は、触媒活性がないものとして知られている。その一方で、本発明の化学式1に係るクロム化合物は、パラ位置(−p−、para)に結合されている有機シリル基によって具現される立体障害効果により、化学式1のクロム化合物が、活性のないリガンドが2個配位された化合物(すなわち、[{R−N−[P(−C
6H
4−p−Si−(R
1)
3)
2]
2}
2−CrX
2]
+[AY
4]
−に転換されることを防止し、高活性を具現できるようにする。また、前記化学式1のクロム化合物において、有機シリル基のハメットの置換基定数値(Hammett substituent constant(σ))は、水素の定数値(0)と類似する−0.07であり、フォスフィンリガンドの電子的影響は最小化しながら立体障害効果のみを誘発し、高活性を具現するという効果を極大化することができる。
【0072】
前記化学式1のクロム化合物は、リン(P)原子と結合されたフェニル部分のパラ位置に有機シリル基を導入することによって、前記化学式1に配位されているビスホスフィンリガンド(R−N−(P(C
6H
4−(R
1)
3)
2)
2)に存在するP−N結合の回転を制限し、リガンドをクロムに強くくっ付けるという効果がある。前記化学式1において、有機シリル基でなく水素(H)のみが導入された場合(すなわち、R−N−(P(C
6H
5)
2)
2構造のリガンドを含む場合)、相対的にP−N結合の回転が容易になる。この場合、リガンドがクロムから脱配位を起こす原因となり、水素(H)が導入されたリガンド(すなわち、R−N−(P(C
6H
5)
2)
2)を含むクロム化合物で製造された触媒システムが高温で多量のポリエチレン(PE)副産物を生成する原因となる。その一方で、有機シリル基が導入されたビスホスフィンリガンドから製造された本発明の化学式1のクロム化合物は、相対的に配位体が安定しており、高温でもPE生成量を最小化しながら高活性を具現することができる。
【0073】
具体的に、前記化学式1において、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基であって、置換基の種類は制限されない。また、前記R
1は、それぞれ線状、分枝状、環状などの構造を有してもよい。
【0074】
より具体的に、前記化学式1において、前記R
1は、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニル、又はこれらの組み合わせからなるアルキル基などであってもよい。この場合、前記化学式1のクロム化合物は、分子構造内のP−N結合と隣接した部分の回転を制限するという効果がさらに向上し得る。
【0075】
例えば、前記化学式1において、R
1は、それぞれ独立してエチル、イソプロピル又はn−ブチルであってもよい。この場合、前記化学式1のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、活性度を著しく向上させながらも分散物である高分子化合物の生成量を低減させることができ、商業工程での活用にさらに適している。
【0076】
一具体例において、前記化学式1のR
1は、ブチル基(n−butyl、nBu)であってもよい。この場合、前記化学式1のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、活性度及び選択度をさらに著しく向上させながらも副産物である高分子ポリエチレン化合物の生成量をさらに低減させることができる。
【0077】
具体的に、前記化学式1のXは、ハロゲン(hallogen)、より具体的にフッ素(F)、塩素(Cl)、ブローム(Br)、ヨード(I)、例えば、塩素(Cl)であってもよい。この場合、化学式1で表示されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易になる。
【0078】
具体的に、前記化学式1において、Yは、C
6F
5、3、5−(CF
3)
2C
6H
3、OC(CF
3)
3であってもよく、例えば、[AY
4]
−は、[B(C
6F
5)
4]
−、[B((3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
4]
−、又は[Al(OC(CF
3)
3)
4]
−であってもよい。この場合、化学式1で表示されるクロム化合物の大量生産性がさらに向上し、原料の需給が容易になる。
【0079】
一具体例において、前記化学式1のクロム化合物は、Rがイソプロピル基、R
1がブチル基(n−Butyl)、XがCl、[AY
4]
−が[B(C
6F
5)
4]
−であるものであってもよい。このようなクロム化合物は、下記の化学式1−1で表示される化合物であってもよい。このような構造的例示のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、活性度及び選択度をさらに著しく向上させながらも副産物である高分子ポリエチレン化合物の生成量をさらに低減させることができる。
【0081】
他の具体例において、前記化学式1のクロム化合物は、Rがイソプロピルで、R
1がそれぞれ独立してイソプロピル(isopropyl)、エチル、又はブチルで、[AY
4]
−が[B(C
6F
5)
4]
−であるものであってもよい。このような構造的例示のクロム化合物は、エチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用したとき、活性度及び選択度をさらに著しく向上させながらも副産物である高分子ポリエチレン化合物の生成量をさらに低減させることができる。
【0082】
<化学式1のクロム化合物の製造方法>
【0083】
本発明の追加的な具現例は、上述した化学式1で表示されるクロム化合物を製造する方法に関する。上述した化学式1で表示されるクロム化合物は、上述した化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンドから製造されることによって、さらに優れた生産的及び経済的利点を具現することができる。
【0084】
一つの例示において、本発明の化学式1で表示されるクロム化合物の製造方法は、下記の化学式I−1で表示されるイオン性化合物;及び下記の化学式Crで表示されるクロム前駆体化合物;を投入して反応させた後、下記の化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物を投入して反応させることを含む。
【0085】
[化I−1]
[R
4−N(H)(R
5)
2]
+[AY]
−
【0086】
前記化学式I−1において、R
4は、置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
5は、それぞれ独立して置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基で、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである。前記A及びYに関する具体的な内容は、上述した通りである。
【0087】
[化Cr]
Cr(X
2)
3(X
3)
m
【0088】
前記化学式Crにおいて、X
2は、それぞれ独立してハロゲン基、アセチルアセトネート基及びカルボキシレート基のうちいずれか一つで、X
3は、炭素数2〜炭素数20のエーテル含有官能基又はアセトニトリルで、mは0又は3である。
【0090】
前記化学式Aにおいて、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基で、R
1は、置換又は非置換の炭素数1〜炭素数60のアルキル基、又は置換又は非置換の炭素数6〜炭素数60のアリール基である。前記R及びR
1に関する具体的な内容は、上述した通りである。
【0091】
これを通じて、本発明は、エチレンオリゴマー化反応に適用したとき、著しく優れた反応活性度及び1−ヘキセン及び/又は1−オクテンに対して優れた選択性を具現するクロム化合物を提供することができる。
【0092】
一具体例において、前記炭素数2〜炭素数20のエーテル含有官能基は、テトラヒドロフランを含んでもよい。
【0093】
前記化学式I−1で表示されるイオン性化合物と、前記化学式Crで表示されるクロム前駆体化合物との反応は、例えば、前記化学式I−1で表示されるイオン性化合物と、前記化学式Crで表示されるクロム前駆体化合物とをそれぞれ溶媒中に分散又は溶解させ、これらを混合して反応させてもよい。このとき、反応温度は、常温(20℃)〜100℃、具体的に、20℃〜50℃、より具体的に20℃であってもよく、反応時間は1時間〜24時間、具体的に1時間〜12時間、より具体的に12時間であってもよいが、これに制限されない。
【0094】
続いて、前記化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物を投入する反応は、例えば、溶媒に分散又は溶解された化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物を、前記化学式I−1で表示されるイオン性化合物と、前記化学式Crで表示されるクロム前駆体化合物との反応物に投入して反応させてもよい。このとき、反応温度は、常温(20℃)〜100℃、具体的に、20℃〜50℃、より具体的に20℃であってもよく、反応時間は10分〜5時間、具体的に10分〜3時間、より具体的に2時間であってもよいが、これに制限されない。
【0095】
前記溶媒は、各成分間の反応を阻害しないと共に、分散性又は溶解性に優れたものであれば特に制限されない。具体的に、前記溶媒は、アセトニトリル(CH
3CN)、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)などであってもよい。
【0096】
一具体例において、前記化学式1のクロム化合物を製造する反応は、下記の反応式1で示すことができる。
【0098】
前記反応式1では、化学式I−1の化合物として[PhN(H)Me
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−を使用し、化学式Crの化合物としてCrCl
3(THF)
3を使用し、化学式Aの化合物としてiPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2を使用したときに発生する反応を例示的に示す。
【0099】
このような反応式1の例示において、[PhN(H)Me
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−とCrCl
3(THF)
3は、それぞれアセトニトリル溶媒(CH
3CN)に溶解させた状態で混合され、常温で約12時間〜30時間にわたって撹拌しながら反応を進める。その後、溶媒を蒸発させ、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)溶媒に溶解させて、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)溶媒に溶解された状態のiPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2を投入し、常温で約1時間〜5時間にわたって反応を進め、[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−の構造を有するクロム化合物を製造することができる。
【0100】
このような反応式1の例示において、最終的に製造された[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−のクロム化合物は、メチルシクロヘキサンなどの溶媒に溶解が可能であるが、副産物である[PhN(H)Me
2]
+[Cl]
−は、メチルシクロヘキサンに対して不溶性であるので、分離及び精製にさらに有利な効果を具現することができる。
【0101】
他の具体例において、本発明の化学式1で表示されるクロム化合物の製造方法は、下記の化学式I−Crで表示されるイオン性化合物と、上述した化学式Aで表示されるビスホスフィンリガンド化合物とを反応させることを含む。
【0102】
[化I−Cr]
[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[AY]
−
【0103】
前記化学式I−Crにおいて、Aは、ボロン又はアルミニウムで、Yは、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリール、フッ素が置換された炭素数6〜炭素数20のアリールオキシ又はフッ素が置換された炭素数1〜炭素数20のアルコキシである。前記A及びYに関する具体的な内容は、上述した通りである。
【0104】
これを通じて、本発明は、エチレンオリゴマー化反応に適用したとき、著しく優れた反応活性度及び1−ヘキセン及び/又は1−オクテンに対して優れた選択性を具現するクロム化合物を提供することができる。
【0105】
前記化学式I−Crで表示されるイオン性化合物と、前記化学式Aで表示されるクロム前駆体化合物との反応は、例えば、それぞれの成分を溶媒中に分散又は溶解させ、これらを混合して反応させてもよい。このとき、反応温度は、常温(20℃)〜50℃、具体的に、20℃〜30℃、より具体的に20℃であってもよく、反応時間は、10分〜5時間、具体的に30分〜3時間、より具体的に2時間〜3時間であってもよいが、これに制限されない。
【0106】
前記溶媒は、各成分間の反応を阻害しないと共に、分散性又は溶解性に優れるものであれば特に制限されない。具体的に、前記溶媒は、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)であってもよい。
【0107】
前記他の具体例において、前記化学式1の化合物を製造する反応は、例えば、下記の反応式2で示すことができる。
【0109】
前記反応式2では、化学式I−Crの化合物として[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−を使用し、化学式Aの化合物としてiPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2を使用したときに発生する反応を例示的に示す。このような反応式2の例示において、それぞれの成分は、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)溶媒に溶解された状態で混合され、常温で2時間〜3時間にわたって撹拌しながら反応を進め、[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−の構造を有するクロム化合物を製造することができる。
【0110】
<エチレンオリゴマー化触媒システム>
【0111】
本発明の更に他の具現例は、主触媒として上述した化学式1で表示されるクロム化合物;及び助触媒として化学式2で表示される有機アルミニウム化合物;を含むエチレンオリゴマー化触媒システムに関する。前記触媒システムは、エチレンを選択的に1−ヘキセン及び1−オクテンに転換する反応に非常に有用である。また、このような触媒システムは、メチルアルミノキサン(MAO)又は変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも、エチレンオリゴマー化反応の活性度及び選択度を著しく優れた水準に向上させ、1−ヘキセン及び1−オクテンを高収率で製造することができ、且つ大量商業工程に適しており、極めて高い活性と優れた経済性とを両立することができる。
【0112】
本発明のエチレンオリゴマー化触媒システムにおいて、化学式1で表示されるクロム化合物は上述した通りであるので、それについての説明は省略する。
【0114】
前記化学式2において、R
2は、炭素数1〜炭素数20のアルキル基である。
【0115】
具体的に、前記化学式2において、R
2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、さらに具体的にエチル基又はイソブチル基であってもよい。
【0116】
本発明の触媒システムの特に優れた長所は、助触媒として前記化学式2においてR
2がエチル又はイソブチルである化合物を使用しながらも高活性を具現できるという点にある。前記R
2がエチル又はイソブチルである前記化学式2で表示される化合物は、産業界で低い価格で大量に製造されて使用されているトリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムである。よって、本発明の触媒システムは、高価な変性−メチルアルミノキサン(MMAO)の使用を省略しながらも製造費用が低く、原料の需給が容易な前記化学式2の化合物を利用しながらも高活性及び1−ヘキセンと1−オクテンに対する高選択性を具現することができる。
【0117】
具体的に、前記触媒システムは、投入される前記化学式1で表示されるクロム化合物と、前記化学式2で表示される有機アルミニウム化合物とのモル比(Cr:Al)が1:50〜1:500であってもよい。前記範囲では、触媒システムの活性がさらに向上し得る。
【0118】
具体的に、前記触媒システムは、ハロゲン置換又は非置換の炭化水素溶媒をさらに含んでもよい。このような溶媒を含む場合、触媒システムは、前記反応物が溶媒に溶解された均一溶液相として存在し得る。
【0119】
より具体的に、前記ハロゲン置換又は非置換の炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキセン、シクロヘキセン、ヘキサンなどを例示することができる。前記例示した溶媒において、本発明の触媒システムが容易に形成され、また、オリゴマー化反応後の生成物である1−ヘキセン及び1−オクテンと溶媒とを分離するのにさらに有利な特性を有する。
【0121】
本発明の更に他の具現例は、上述した化学式1で表示されるクロム化合物と、助触媒として化学式2で表示される有機アルミニウム化合物とを含むエチレンオリゴマー化触媒システムとエチレン単量体とを接触させることによって1−ヘキセン及び1−オクテンを選択的に製造する段階を含むエチレンオリゴマーの製造方法に関する。
【0122】
上述した本発明のエチレンオリゴマー化触媒システムは、均一溶液状態のみならず、担体に担持された形態、担体の不溶性粒子形態などで存在し得るので、前記エチレンオリゴマーの製造方法(エチレンオリゴマー化反応)は液相又はスラリー相反応であってもよい。
【0123】
また、本発明のエチレンオリゴマーの製造方法において、反応条件は、使用される触媒組成物の状態(均一相又は不均一相(担持型))及び重合方法(溶液重合、スラリー重合)によって多様に変形可能であって、その変形は、当業者によって容易に行うことができる。
【0124】
具体的に、前記エチレンオリゴマー化反応(重合)が液相又はスラリー相で実施される場合、ハロゲン置換又は非置換の炭化水素溶媒を媒質として使用することができる。
【0125】
より具体的に、前記炭化水素溶媒としては、炭素数4〜炭素数20の脂肪族炭化水素溶媒、炭素数6〜炭素数20の芳香族炭化水素溶媒、これらの混合物などを使用してもよい。例えば、前記ハロゲン置換又は非置換の炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキセン、シクロヘキセン、ヘキサンなどを例示することができる。前記例示した溶媒を使用する場合、重合活性が高く、オリゴマー化反応後の生成物である1−ヘキセン及び1−オクテンと溶媒との分離が容易になる。
【0126】
前記エチレンオリゴマーの製造方法において、前記触媒システムの使用量は特に限定されないが、本発明の上述した触媒システムが高活性を具現できるので、少量を投入することによって反応を進める場合にも優れた収得率を具現することができる。
【0127】
一具体例において、前記エチレンオリゴマー化反応が溶液重合法で行われる場合、上述した触媒システムを、モル濃度(クロム基準)が0.001mmol/L〜0.02mmol/L、例えば、0.05mmol/L〜0.015mmol/Lになるように投入した後、エチレン単量体を連続的に投入して10分〜1時間反応させることによって、1−ヘキセン及び1−オクテンを製造することができる。エチレンは、15bar〜80bar、具体的に40bar〜60bar、例えば、45barの圧力で連続的に投入することができる。
【0128】
また、前記エチレンオリゴマー化反応時の反応温度は、常温(20℃)〜110℃、例えば、60℃〜90℃であってもよい。
【0129】
また、前記エチレンオリゴマー化反応時の最適活性温度は、60℃以上、具体的に70℃以上100℃以下、例えば、80℃〜90℃であってもよい。これを通じて、空冷又は水冷による反応熱制御効率をさらに増大させることができ、大量生産工程での適用性に優れ、商業的利点がさらに向上し得る。
【0130】
また、前記エチレンオリゴマー化反応は、バッチ式、半連続式又は連続式で行われてもよい。
【0132】
以下、本発明の好適な実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。但し、これは、本発明の好適な例示として提示されたものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0133】
下記の製造例及び比較例で使用された各成分は、下記の(1)〜(4)に記載した通り準備した。
【0134】
(1)[PhN(H)Me
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−で表示されるイオン性化合物は、TCIで購入した。
【0135】
(2)[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−で表示される化合物は、文献に報告された方法によって合成した(非特許文献6:ACS Omega 2017,2,765−773)。
【0136】
(3)ClP[C
6H
4−p−Si(R
1)
3−n(R
2)
n]
2で表示される化合物は、文献に報告された方法を準用して合成した(非特許文献7:Angewandte Chemie International Edition 2016,55,12351)。
【0138】
(4)[(CH
3)(CH
2)
16]
2C(H)N(PPh
2)
2で表示される化合物は、文献に報告された方法によって合成した(非特許文献6:ACS Omega 2017,2,765−773)。
【0140】
iPrNH
2(0.174g、2.94mmol)をCH
2Cl
2(10mL)に溶解した溶液をClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2(3.64g、5.89mmol)及びEt
3N(2.98g、29.4mmol)を含むCH
2Cl
2(30mL)溶液に滴下した。反応物を常温で撹拌しながら一日放置(overnight)した後、真空配管(vacuum line)を通じて揮発成分を除去した。残余物をヘキサン(hexane、40mL)で処理した後、不溶性副産物である(Et
3NH)
+Cl
−をろ過(Celite−aided filtration)して除去した。ろ過された液体は、ヘキサン/Et
3N(v/v、50:1)で前処理されたシリカゲル(short pad of silica gel)を通過させた。
【0141】
前記過程を通じて、溶媒が除去された無色のオイル形態の結果物を収得した(2.72g、70%)。分離された化合物は、NMRスペクトル分析によって追加精製の必要がない程度の純度を具現した。反応生成物が下記の化学式C1の構造を有することを確認した。
【0142】
[化C1]
iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2
【0143】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):δ8.10−7.27(br,8H),7.50(d,J=7.2Hz,8H),3.86(m,NCH,1H),1.42−1.33(br,48H),1.24(d,J=7.2Hz,NCHCH
3,6H),0.92(t,J=6.6Hz,CH
3,36H),0.87−0.82(br,SiCH
2,24H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ12.58(nBu),14.05(nBu),14.37,23.07,24.51(t,J
P−C=7.2Hz),26.54(nBu),27.22(nBu),31.99,132.4−133.0(br),134.2(d,J
P−C=5.7Hz),138.83ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ42.17,54.96ppm.HRMS(FAB):m/z calcd(M
+C
75H
131NP
2Si
4)1219.8834,found 1219.8829.
【0145】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−Si(iPr)
3]
2(1.00g、1.88mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0146】
前記過程を通じて、−30℃のトルエンで再結晶(recrystallization)されることによって分析可能な程度の純度を有する化合物が得られた(0.160g、19%)。反応生成物が下記の化学式C2の構造を有することを確認した。
【0147】
[化C2]
iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)
3)
2]
2
【0148】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):δ8.12−7.26(br,8H),7.45(d,J=6.6Hz,8H),3.83(m,NCH,1H),1.32(m,SiCH,12H),1.23(d,J=6.6Hz,NCHCH
3,6H),1.10(t,J=7.8Hz,CH
3,72H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ11.10,18.83,21.44,24.41(t,J
P−C=5.7Hz),132.1−132.9(br),135.33(d,J
P−C=5.7Hz),135.49−135.65(br)ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ43.63,54.34ppm.
【0150】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−SiEt
3]
2(1.00g、2.23mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0151】
前記過程を通じて、粘性である無色のオイル(colorless viscous oil)形態の結果物を収得した(0.428g、50%)。反応生成物が下記の化学式C3の構造を有することを確認した。
【0152】
[化C3]
iPrN[P(C
6H
4−p−SiEt
3)
2]
2
【0153】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):8.16−7.20(br,8H),7.44(d,J=6.6Hz,8H),3.87(m,NCH,1H),1.32(m,SiCH,12H),1.27(d,J=6.0Hz,NCHCH
3,6H),0.98(t,J=7.8Hz,CH
3,36H),0.74(q,J=7.2Hz,SiCH
2,24H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ3.70,7.72,24.58(t,J
P−C=5.7Hz),133.1−132.5(br),134.32,137.97,141.02−141.58(br)ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ43.01,54.90ppm.
【0155】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−Si(iPr)Et
2](1.58g、3.30mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0156】
前記過程を通じて、白色の油性であるオイル(white glassy solid)形態の結果物を収得した(1.02g、68%)。反応生成物が下記の化学式C4の構造を有することを確認した。
【0157】
[化C4]
iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)Et
2]
2
【0158】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):8.05−7.24(br,8H),7.44(d,J=7.2Hz,8H),3.85(m,NCH,1H),1.25(d,J=6.6Hz,NCHCH
3,6H),1.06−0.95(br,52H),0.80(q,J=7.2Hz,SiCH
2,24H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ2.28,7.89,12.12,18.19,24.53(t,J
P−C=5.7Hz),52.70(t,J
P−C=10.1Hz),132.22−133.09(br),134.70(d,J
P−C=5.7Hz),137.07ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ43.18,54.62ppm.
【0160】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−Si(iPr)Me
2]
2(0.56g、1.3mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0161】
前記過程を通じて、白色の油性であるオイル(white glassy solid)形態の結果物を収得した(0.25g、45%)。反応生成物が下記の化学式C5の構造を有することを確認した。
【0162】
[化C5]
iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)Me
2]
2
【0163】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):8.09−7.20(br,8H),7.44(d,J=6.0Hz,8H),3.90(m,NCH,1H),1.29(d,J=6.Hz,NCHCH
3,6H),0.97(d,J=6.0Hz,24H),0.89(m,SiCH,4H),0.19(d,J=4.8Hz,SiCH
3,24H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ−5.2,14.09,17.84,24.64(t,J
P−C=5.7Hz),132.41−132.89(br),134.07(d,J
P−C=5.9Hz),139.17ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ43.43,54.23ppm.
【0165】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−Si(1−octyl)Me
2]
2(1.82g、3.24mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0166】
前記過程を通じて、粘性である無色のオイル(colorless viscous oil)形態の結果物を収得した(1.22g、68%)。反応生成物が下記の化学式C6の構造を有することを確認した。
【0167】
[化C6]
iPrN[P(C
6H
4−p−Si(1−octyl)Me
2]
2
【0168】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):8.14−7.22(br,8H),7.48(d,J=6.6Hz,8H),3.92(m,NCH,1H),1.41−1.19(br,48H),1.31(d,J=6.6Hz,NCHCH
3,6H),0.92(t,J=7.2Hz,CH
3,12H),0.78−0.72(br,SiCH
2,8H),0.25(d,J=1.8Hz,SiCH
3,24H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ−2.82,14.41,16.07,23.14,24.38,24.69,29.8(d,J
P−C=5.7Hz),32.39,34.10,132.8(d,J
P−C=21.45Hz),133.73(d,J
P−C=5.7Hz),140.32ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ42.90,54.96ppm.
【0170】
ClP[C
6H
4−p−Si(nBu)
3]
2の代わりにClP[C
6H
4−p−SiMe
3]
2(1.54g、4.23mmol)を使用したことを除いては、製造例1と同一の方法で化合物を製造した。
【0171】
前記過程を通じて、粘性である無色のオイル(colorless viscous oil)形態の結果物を収得した(0.564g、37%)。反応生成物が下記の化学式C7の構造を有することを確認した。
【0172】
[化C7]
iPrN[P(C
6H
4−p−SiMe
3)
2]
2
【0173】
1H NMR(600MHz,C
6D
6):7.93−7.32(br,8H),7.43(d,J=7.2Hz,8H),3.94(m,NCH,1H),1.33(d,J=6.6Hz,NCHCH
3,6H),0.20(s,J=7.2Hz,SiCH
3,36H)ppm.
13C{
1H}NMR(150MHz,C
6D
6):δ−1.10,23.15,24.76(t,J
P−C=5.7Hz),26.66,26.82,33.02,35.71,52.52(t,J
P−C=10.1Hz),132.80(d,J
P−C=20.1Hz),133.50(d,J
P−C=4.2Hz),140.98ppm.
31P(243MHz,C
6D
6):δ43.40,54.62ppm.
【0175】
以下の方法で化学式1−1の構造のクロム化合物を製造した。
【0176】
[化1−1]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0177】
:アセトニトリル(acetonitrile、2.9mL)に溶解された[PhN(H)Me
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−(0.15g、0.23mmol)溶液を、アセトニトリル(2.9mL)に溶解されたCrCl
3(THF)
3(0.085g、0.23mmol)溶液に添加した。反応物を25℃で撹拌しながら一日放置(overnight)した後、真空配管を通じて揮発成分を除去した。得られた緑色の残余物をCH
2Cl
2(2.0mL)に溶解させた後、CH
2Cl
2(4.6mL)に前記製造例1で製造されたiPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2(0.28g、0.23mmol)を溶解させた溶液を滴下した。その後、反応溶液の色相が直ぐ緑色から青緑色(bluish−green)に変化した。続いて、25℃で2時間にわたって撹拌を進めた後、真空配管を通じて溶媒を除去した。残余物をメチルシクロヘキサンに溶解させた後、不溶性部分をろ過(Celite−aided filtration)して除去した。溶媒が除去された粘性の青緑色オイル(bluish−green viscous oil)形態の反応水を収得した(0.46g、99% based on the formula of [(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−)。
【0178】
CH
2Cl
2を用いてろ過機の上部(top of Celite)から不溶性部分(緑色固形物が少量混じった白色固体、分離された固形分)を収得した。
【0179】
残余物の溶媒を除去した後、
1H NMRスペクトルを分析し、N,N−ジメチルアニリン単位(N,N−dimethylaniline unit)に該当するシグナルを確認した。前記分離された固形分の重量(41mg)は、副産物である[PhN(H)Me
2]
+Cl
−の期待値生成量(36mg)と略一致した。分離された固形分をCH
3CN(1.0mL)に溶解させ、CH
3CN(1.0mL)にAgNO
3(78mg、0.46mmol)を溶解させた溶液を処理した。白色固体沈殿物(38mg)が生成され、これは、AgClの理論的期待値重量(33mg)と略一致した。
【0180】
実施例1で製造されたクロム化合物の
31P NMRスペクトル、
1H NMRスペクトル、
19F NMRスペクトル及びEPRスペクトルの分析結果を
図2に示した。
【0182】
以下の方法で化学式1−1の構造のクロム化合物を製造した。
【0183】
[化1−1]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0184】
:CH
2Cl
2(1.8mL)に前記製造例1で製造されたiPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2(0.10g、0.082mmol)を溶解させた溶液を、CH
2Cl
2(0.5mL)に[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−(0.079g、0.082mmol)を溶解させて製造した溶液に滴下した。
【0185】
反応物を常温で2.5時間にわたって撹拌した後、真空配管を通じて溶媒を除去し、粘性の薄い緑色オイル(bright green viscous oil)形態の結果物を収得した(0.16mg、99% based on the formula of [(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(nBu)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−)。
【0186】
実施例2で製造されたクロム化合物の
31P NMRスペクトル、
1H NMRスペクトル、
19F NMRスペクトル及びEPRスペクトルの分析結果が、実施例1で製造した化合物のスペクトル(
図2)とほぼ同一であることを確認した。
【0188】
製造例1の代わりに製造例2で製造されたビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−2の構造のクロム化合物を製造した。濃い緑色固形の反応物(0.086g、98%)を収得した。
【0189】
[化1−2]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0191】
製造例1の代わりに製造例3で製造されたビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−3の構造のクロム化合物を製造した。濃い緑色固形の反応物(0.052g、98%)を収得した。
【0192】
[化1−3]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−SiEt
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0194】
製造例1の代わりに製造例4で製造されたビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−4の構造のクロム化合物を製造した。濃い緑色固形の反応物(0.092g、99%)を収得した。
【0195】
[化1−4]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)Et
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0196】
また、実施例5で製造されたクロム化合物のX線結晶学で分析した構造を
図1に示した。
【0198】
製造例1の代わりに製造例5で製造されたビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−5の構造のクロム化合物を製造した。濃い緑色固形の反応物(0.096g、98%)を収得した。
【0199】
[化1−5]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(iPr)Me
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0201】
製造例1の代わりに製造例6で製造されたビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−6の構造のクロム化合物を製造した。粘性の緑色オイル(green viscous oil)形態の反応物(0.084g、98%)を収得した。
【0202】
[化1−6]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−Si(1−octyl)Me
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0204】
製造例1の代わりに、製造例7で製造された立体障害が大きくない−SiMe
3置換基を有するビスホスフィンリガンドを使用したことを除いては、実施例2と同一の方法で下記の化学式1−7の構造のクロム化合物を製造した。濃い緑色固形の反応物(0.103g、97%)を収得した。
【0205】
[化1−7]
[(iPrN[P(C
6H
4−p−SiMe
3)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0207】
文献に報告された方法により、iPrN[P(C
6H
5)
2]
2及び[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−を使用して化学式1−8の構造のクロム化合物を製造した(非特許文献6:ACS Omega,2017,2,765−773)。
【0208】
[化1−8]
[(iPrN[P(C
6H
5)
2]
2)−CrCl
2]
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0210】
文献に報告された方法により、[CH
3(CH
2)
16]
2CHN[P(C
6H
5)
2]
2及び[CrCl
2(NCCH
3)
4]
+[B(C
6F
5)
4]
−を使用して化学式1−9の構造のクロム化合物を製造した(非特許文献6:ACS Omega,2017,2,765−773)。
【0211】
[化1−9]
{[CH
3(CH
2)
16]
2CHN[P(C
6H
5)
2]
2)−CrCl
2}
+[B(C
6F
5)
4]
−
【0213】
グローブボックス(glove box)内の乾燥した反応器(75mL bomb reactor)にメチルシクロヘキサン(19mL)及び実施例1で製造された化学式1−1のクロム化合物(0.41mg、0.20μmol)を投入した。前記反応器を組み立てた後、グローブボックスから前記反応器を取り出した。iBu
3Al(15.9mg、0.080mmol)をメチルシクロヘキサン(methylcyclohexane、1mL)に溶解させた後、常温で注射器を使用して反応器内に注入し、直ぐエチレンガスを45barの圧力で投入した。反応器の温度は、3.5分間の発熱反応(exothermic reaction)によって自発的に20℃から90℃に上昇した。温度が90℃に到逹したとき、ファンの作動によって熱を除去した。温度は、5分間さらに上昇して96℃に到達したとき、25分間徐々に88℃に低くなった。エチレンオリゴマー化反応が25分間進められた後、反応器を氷が入った水槽に入れて冷却し、エチレンガスを排出することによって反応を終了した。
【0214】
生成された物質のガスクロマトグラフィー分析(GC analysis)のために、内部基準(internal standard)によって最終反応物にノナン(Nonane、0.700g)を添加した。ガスクロマトグラフィー分析(GC analysis)を通じて生成されたオリゴマー(1−octene(1−C8)、1−hexene(1−C6)、methylcyclopentane + methylenecyclopentane(cy−C6), and higher oligomers above C10(>C10))の含量を測定した後、重量を基準にしてパーセントに変換した。生成された固体相のポリエチレン(PEs)は、80℃でろ過を通じて分離した後で重量を測定し、[生成されたPE重量(g)/反応に使用されたエチレン重量(g)]の式を通じてPEの重量%を算出した。
【0216】
実施例1で製造された化学式1−1のクロム化合物の代わりに実施例2で製造された化学式1−1のクロム化合物を使用し、反応温度を24℃〜98℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、前記実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0217】
実施例10:エチレンオリゴマー化反応
【0218】
反応温度を28℃〜75℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例9と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0219】
実施例11:エチレンオリゴマー化反応
【0220】
反応温度を26℃〜60℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例9と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0221】
実施例12:エチレンオリゴマー化反応
【0222】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−2のクロム化合物を使用し、反応温度を25℃〜84℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0223】
実施例13:エチレンオリゴマー化反応
【0224】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−3のクロム化合物を使用し、反応温度を25℃〜85℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0225】
実施例14:エチレンオリゴマー化反応
【0226】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−4のクロム化合物を使用し、反応温度を22℃〜89℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0227】
実施例15:エチレンオリゴマー化反応
【0228】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−5のクロム化合物を使用し、反応温度を25℃〜79℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0229】
実施例16:エチレンオリゴマー化反応
【0230】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−6のクロム化合物を使用し、反応温度を24℃〜82℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0232】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−7のクロム化合物を使用し、反応温度を25℃〜35℃に、反応時間を35分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0234】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−8のクロム化合物を使用し、反応温度を45℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0236】
化学式1−1のクロム化合物の代わりに化学式1−9のクロム化合物を使用し、反応温度を45℃に、反応時間を30分に調節したことを除いては、実施例8と同一の方法でエチレンオリゴマー化反応を進めた。
【0237】
実施例8〜実施例16及び比較例4〜比較例6のオレフィン重合反応の活性度、及び製造された重合体の組成を下記の表1に示した。
【0239】
前記表1の実験結果を通じて分かるように、本発明のパラ−位置に立体障害が大きい炭素数4〜炭素数50の
*−Si(R
1)
3置換体を有している化学式1−1〜化学式1−6のクロム化合物をエチレンオリゴマー化反応用触媒システムに適用した場合は、活性度が2400Kg/g−Cr/h〜6300Kg/g−Cr/h以上と非常に優秀であった。その一方で、立体障害が十分でない炭素数3個の有機シリル基(
*−SiMe
3)を有する化学式1−7のクロム化合物と、
*−Si(R
1)
3置換体を有していない化学式1−8及び化学式1−9のクロム化合物とを使用した比較例4〜比較例6の場合は、反応活性度が本発明の実施例8〜実施例16に比べて著しく低いこと(1/30〜1/250水準)を確認することができる。
【0240】
特に、本発明に係る立体障害が大きい
*−Si(nBu)
3置換体を有している化学式1−1のクロム化合物を含む場合は、最大活性が6300Kg/g−Cr/hと非常に高く、ポリエチレン(PE)副産物の生成量が非常に低い(0.01wt%)と同時に、90℃程度の高温でも問題なく触媒として作動し、商業工程での投入に適していることを確認することができる。
【0241】
本発明の単純な変形及び変更は、本分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
【国際調査報告】