(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
標的化タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体もしくは抗原またはそれらの結合フラグメントを含むコンジュゲートが提供される。前記コンジュゲートの製造および使用方法も記載される。
RNAが、免疫チェックポイントタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
RNAが、DNA修復の不活性化に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
RNAが、シアル酸生成の抑制に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
RNAが、ナンセンス変異依存分解に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
RNA分子が、siRNA、アンチセンスRNA、miRNA、アンチセンスmiRNA、アンタゴmir(抗miRNA)、shRNA、またはmRNAを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、アポトーシス阻害剤をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、PD−L1、PD−L2、CD−47/IAP、SNAI1、ZEB1、B7−H3、IDO、LSECtin、ガレクチン−9、Ceacam−1、HMGB−1、CD112、CD155、もしくはそれらの機能性ドメインの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組合せをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、UPF1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、MLH1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、CMASをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、白血球の血管外遊出の抑制に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、キナーゼをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
サイクリン依存性キナーゼが、CDKL1、CDKL2、CDKL3、CDKL4、CDKL5、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、CDK11A、CDK11B、CDK12、CDK13、CDK14、CDK15、CDK16、CDK17、CDK18、CDK19、もしくはCDK20、もしくはそれらの機能性ドメイン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項26に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
前記キナーゼが、polo様キナーゼを含み、polo様キナーゼは、PLK1、PLK2、PLK3、もしくはPLK4、もしくはそれらの機能性ドメイン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項28に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
前記キナーゼが、オーロラ様キナーゼを含み、オーロラ様キナーゼは、AURKA、AURKB、もしくはAURKC、もしくはそれらの機能性ドメイン、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項28に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、MADCAM1、ICAM1、VCAM1、P−セレクチン、E−セレクチン、末梢リンパ節アドレシン(PNAd)、ICAM−2、PECAM−1、JAM−A、JAM−B、JAM−C、ガレクチン−1、ガレクチン−3、およびガレクチン−9の少なくとも1つをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
siRNAが、TM4SF1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
腫瘍遺伝子が、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、ATF1、BCL11A、BCL2、BCL3、BCL6、BCR、BRAF、CARD11、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CDX2、CTNNB1、DDB2、DDIT3、DDX6、DEK、EGFR、ELK4、ERBB2、ETV4、ETV6、EVI1、EWSR1、FEV、FGFR1、FGFR1OP、FGFR2、FUS、GOLGA5、GOPC、HMGA1、HMGA2、HRAS、IRF4、JUN、KIT、KRAS、LCK、LMO2、MAF、MAFB、MAML2、MDM2、MET、MITF、MPL、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、NCOA4、NFKB2、NRAS、NTRK1、NUP214、PAX8、PDGFB、PIK3CA、PIM1、PLAG1、PPARG、PTPN11、RAF1、REL、RET、ROS1、SMO、SS18、TCL1A、TET2、TFG、MLL、TLX1、TPR、またはUSP6を含む、請求項33に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
miR−146aが、表Iに列挙した遺伝子から選択される1つまたは複数の標的遺伝子の発現を抑制することが可能である、請求項37に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
miRNAが、APTX、CNBP、ARL8Aから選択される1つまたは複数の標的遺伝子の発現を抑制することが可能である、請求項40に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよびRNA分子が、共有結合で、または非共有結合でコンジュゲートされている、請求項1から43のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよびRNA分子が、遺伝学的なコンジュゲーション、酵素的なコンジュゲーション、化学的なコンジュゲーション、またはそれらの任意の組合せによってコンジュゲートされている、請求項1から43のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
酵素的なコンジュゲーションが、微生物トランスグルタミナーゼ、ホスファターゼ、もしくはソルターゼA、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項45に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよびRNA分子が、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント中の1つまたは複数の操作されたシステイン残基または1つまたは複数の非天然アミノ酸を介してコンジュゲートされている、請求項1から43のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントおよびRNA分子が、単一または多工程のプロトコールでリンカーによってコンジュゲートされている、請求項1から43のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
リンカーが、切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、親水性リンカー、負荷前のリンカー、またはジカルボン酸ベースのリンカーを含む、請求項48に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
切断可能なリンカーが、酸不安定性のリンカー、プロテアーゼ感受性リンカー、光不安定性のリンカー、またはジスルフィド含有リンカーを含む、請求項50に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
リンカーが、MC(6−マレイミドカプロイル)、MCC(マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート)、MP(マレイミドプロパノイル)、val−cit(バリン−シトルリン)、val−ala(バリン−アラニン)、ala−phe(アラニン−フェニルアラニン)、PAB(p−アミノベンジルオキシカルボニル)、SPP(N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−(ピリジン−2−イルチオ)ヘキサノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル5−メチル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ヘキサノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル5−メチル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ヘプタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル5−エチル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ヘプタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロプロピル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ブタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロブチル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ブタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロペンチル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ブタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロヘキシル−4−(ピリジン−2−イルチオ)ブタノエート、SMCC(N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート)、またはSIAB(N−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエート)を含む、請求項48から52のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
リンカーが、架橋試薬から誘導され、架橋試薬は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−シクロプロピル−3−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)プロパノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−シクロブチル−3−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)プロパノエート、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート(SPP)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロプロピル−4−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)ブタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロブチル−4−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)ブタノエート、N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロプロピル−4−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)ブタノエート、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル4−シクロブチル−4−(ピリジン−2−イルジスルファンイル)ブタノエート、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)−2−スルホ−ブタノエート(スルホ−SPDB)、N−スクシンイミジルヨードアセテート(SIA)、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB)、マレイミドPEG NHS、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スルホスクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(スルホ−SMCC)、または2,5−ジオキソピロリジン−1−イル17−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−5,8,11,14−テトラオキソ−4,7,10,13−テトラアザヘプタデカン−1−オエート(CX1−1)を含む、請求項48から52のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、重鎖に導入されたシステイン残基を含む、操作された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、RNA分子が、化学的に安定化されたRNAを含み、リンカーは、還元可能な、または還元不可能なN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)リンカーを含む、請求項1から56のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
還元可能なNHSリンカーが、N−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブチレート(SPDB)を含む、請求項57から59のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
還元不可能なNHSリンカーが、スクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)(SMCC)を含む、請求項57から60のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
3’−アミンタグを有するsiRNAおよび操作された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、チオエステル結合を介して共有結合で連結される、請求項59から61のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号6〜8、12〜15、18〜20、24〜26、30〜32、36〜38、42〜44、48〜50、54〜56、60〜62、66〜68、72〜74、78〜80、84〜86、および94〜99から選択される1つまたは複数のCDRを含む、請求項1から62のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号1、3、15、27、39、51、63、75、および92から選択される配列を含む重鎖、ならびに配列番号2、10、21、33、45、57、69、81、および93から選択される配列を含む軽鎖を含む、請求項1から63のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント、および抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントに共有結合で連結されたsiRNAを含むコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号6〜8、12〜15、18〜20、24〜26、30〜32、36〜38、42〜44、48〜50、54〜56、60〜62、66〜68、72〜74、78〜80、84〜86、および94〜99から選択される1つまたは複数のCDRを含む、請求項66に記載のコンジュゲート。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号1、3、15、27、39、51、63、75、および92から選択される配列を含む重鎖、ならびに配列番号2、10、21、33、45、57、69、81、および93から選択される配列を含む軽鎖を含む、請求項66または67に記載のコンジュゲート。
siRNAが、アポトーシス阻害剤、p53の阻害剤、免疫チェックポイントタンパク質、DNA修復の不活性化に関与するタンパク質、シアル酸生成の抑制に関与するタンパク質、ナンセンス変異依存分解に関与するタンパク質を標的化することが可能である、請求項66から69のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
siRNAが、共刺激シグナルを促進すること、白血球の血管外遊出を抑制すること、細胞分裂にとって重要な分子を抑制すること、血管新生を阻害または促進することが可能である、請求項66から70のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
RNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1のFab’フラグメントを含む抗体フラグメント−RNAコンジュゲートであって、RNA分子は、アンチセンスRNA、miRNA、アンチセンスmiRNA、アンタゴmir(抗miRNA)、shRNA、またはmRNAを含む、抗体フラグメント−RNAコンジュゲート。
(i)マレイミドで改変された、または(2−ピリジルジチオ)ペンタノエートで改変されたsiRNAを生成するステップ、(ii)抗TM4SF1のFab’フラグメントをシステアミンで還元して、2つのチオール基を含む操作された抗TM4SF1のFab’フラグメントを生成するステップ;および(iii)マレイミドで改変された、または(2−ピリジルジチオ)ペンタノエートで改変されたsiRNAを、操作された抗TM4SF1のFab’フラグメントと共にインキュベートして、抗体フラグメント−RNAコンジュゲートを産生するステップを含むプロセスによって産生される、請求項73に記載の抗体フラグメント−RNAコンジュゲート。
請求項1から63のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲート、請求項66から71のいずれか一項に記載のコンジュゲート、または請求項72から74のいずれか一項に記載の抗体フラグメント−RNAコンジュゲートを、抗体−薬物コンジュゲートと組み合わせて含む組成物。
細胞傷害性ペイロードが、V−ATPアーゼ阻害剤、アポトーシス促進剤、Bcl2阻害剤、MCL1阻害剤、HSP90阻害剤、IAP阻害剤、mTor阻害剤、微小管安定化剤、微小管不安定化剤、オーリスタチン、ドラスタチン、メイタンシノイド、MetAP(メチオニンアミノペプチダーゼ)、核輸送タンパク質CRM1の阻害剤、DPPIV阻害剤、プロテアソーム阻害剤、ミトコンドリアにおけるホスホリル転移反応の阻害剤、タンパク質合成阻害剤、キナーゼ阻害剤、CDK2阻害剤、CDK9阻害剤、キネシン阻害剤、HDAC阻害剤、DNA傷害剤、DNAアルキル化剤、DNAインターカレーター、DNA副溝結合剤、DHFR阻害剤、核酸、またはCRISPR酵素を含む、請求項76に記載の組成物。
前記ペイロードが、メイタンシノイド、カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、またはネモルビシン誘導体を含む、請求項75から78のいずれか一項に記載の組成物。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号1〜54から選択される1つまたは複数のCDRを含む、請求項75から79のいずれか一項に記載の組成物。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号49〜59に記載の配列を含む重鎖、および配列番号57〜67に記載の配列を含む軽鎖を含む、請求項75から80のいずれか一項に記載の組成物。
siRNAを、抗TM4SF1またはその抗原結合フラグメントとコンジュゲートするステップを含む、抗TM4SF1抗体−siRNAコンジュゲートを合成するためのプロセス。
抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖にシステイン残基を導入して、操作された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを生成するステップを含む、請求項83に記載のプロセス。
3’−アミンを付加することによりsiRNAを改変して、化学的に安定化された3’アミンタグを有するsiRNAを生成するステップを含む、請求項84に記載のプロセス。
化学的に安定化された3’アミンタグを有するsiRNAをNHSリンカーと反応させて、チオール反応性siRNA−リンカー付加物を生成するステップを含む、請求項85に記載のプロセス。
チオール反応性siRNA−リンカー付加物を、操作された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント上のチオール基と反応させ、それにより抗体−siRNAコンジュゲートを生成するステップを含む、請求項83に記載のプロセス。
クロマトグラフィー手順を使用して、抗TM4SF1抗体−siRNAコンジュゲートを精製するステップをさらに含む、請求項83から87のいずれか一項に記載のプロセス。
還元不可能なリンカーが、スクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)(SMCC)を含む、請求項89に記載のプロセス。
治療有効量の請求項1から65のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項93に記載の方法。
治療有効量の請求項1から65のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項93または94に記載の方法。
さらなる療法が、化学療法、放射線、追加のウイルスでの腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節剤での処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項95に記載の方法。
治療有効量の請求項1から65のいずれか一項に記載の抗体−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含み、抗体−RNAコンジュゲート、組成物、もしくはさらなる療法、またはそれらの任意の組合せは、液体剤形、固体剤形、吸入可能剤形、鼻腔内剤形、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む剤形、マイクロ粒子を含む剤形、ポリマー剤形、またはそれらの任意の組合せで投与される、請求項93から96のいずれか一項に記載の方法。
治療有効量の請求項66から71のいずれか一項に記載のコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項98に記載の方法。
治療有効量の請求項66から71のいずれか一項に記載のコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項98または99に記載の方法。
さらなる療法が、化学療法、放射線、追加のウイルスでの腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節剤での処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項100に記載の方法。
治療有効量の請求項66から71のいずれか一項に記載のコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含み、コンジュゲート、組成物、もしくはさらなる療法、またはそれらの任意の組合せは、液体剤形、固体剤形、吸入可能剤形、鼻腔内剤形、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む剤形、マイクロ粒子を含む剤形、ポリマー剤形、またはそれらの任意の組合せで投与される、請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
治療有効量の請求項72から74のいずれか一項に記載の抗体フラグメント−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項103に記載の方法。
治療有効量の請求項72から74のいずれか一項に記載の抗体フラグメント−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含む、請求項103または104に記載の方法。
さらなる療法が、化学療法、放射線、追加のウイルスでの腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節剤での処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項105に記載の方法。
治療有効量の請求項72から74のいずれか一項に記載の抗体フラグメント−RNAコンジュゲートを、請求項75から82のいずれか一項に記載の組成物と組み合わせて、またはさらなる療法とさらに組み合わせて対象に投与するステップを含み、コンジュゲート、組成物、もしくはさらなる療法、またはそれらの任意の組合せは、液体剤形、固体剤形、吸入可能剤形、鼻腔内剤形、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む剤形、マイクロ粒子を含む剤形、ポリマー剤形、またはそれらの任意の組合せで投与される、請求項103から106のいずれか一項に記載の方法。
がんが、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎臓癌、膵臓がん、上皮癌、胃がん、結腸癌、十二指腸がん、膵臓腺癌、中皮腫、多形膠芽細胞腫、星細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管肉腫、膵臓腺癌、頭頸部扁平上皮癌、結腸直腸がん、腸型胃腺癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、卵巣上皮癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性新生物、または肉腫を含む、請求項93から107のいずれか一項に記載の方法。
オリゴヌクレオチドが、改変されたDNA、三重らせんDNA、スーパーコイルDNA、Z−DNA、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項109に記載のコンジュゲート。
治療有効量の、請求項109から112のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項109から112のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む組成物を対象に投与するステップを含む、請求項113に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.定義
[0049]本明細書において別段の定義がない限り、本発明の開示と関連して使用される科学用語および専門用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。用語の意味および範囲は明確であるべきであるが、何らかの潜在的なあいまいさがある場合、本明細書で提供される定義が、いずれの辞書または非本質的な定義よりも優先される。さらに、文脈上別段の要求がなされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。本出願において、「または」の使用は、別段の指定がない限り「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、加えて他の形態、例えば「含む(includes)」および「含まれる(included)」の使用は、非限定的である。
【0019】
[0050]一般的に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して使用される学術名、およびその技術は、周知であり、当技術分野において一般的に使用されるものである。本発明の開示の方法および技術は、一般的に、別段の指定がない限り、当技術分野において周知の従来の方法に従って、さらに、本明細書中で引用および考察される様々な一般的な参考文献やより詳細な参考文献に記載されるように実行される。酵素反応および精製技術は、当技術分野で一般的に達成される通り、または本明細書に記載される通り、製造元の詳細な説明に従って実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬および製薬化学と関連して使用される学術名、ならびにそれらの実験手順および技術は、周知であり、当技術分野において一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、医薬の調製、配合、および送達、ならびに患者の処置に関して、標準的な技術が使用される。
【0020】
[0051]本発明の開示がより容易に理解できるように、選択される用語は、以下で定義される。用語「膜貫通−4L6ファミリーメンバー−1」または「TM4SF1」は、本明細書で使用される場合、腫瘍血管系内皮細胞(EC)、腫瘍細胞(TC)、網膜血管系および血管新生の血管を発達させるEC上で高度に発現される膜貫通4スーパーファミリー/テトラスパニンファミリーのポリペプチドを指す。TM4SF1は、4つの膜貫通ドメイン(M1、M2、M3、およびM4)によって分離される2つの細胞外ループ(ECL1およびECL2)、NおよびC末端、ならびに細胞内ループ(ICL)を有する。ECL2は、2つのN−グリコシル化部位を含有する。ヒトTM4SF1(hTM4SF1)のアミノ酸配列は、配列番号90に記載される(NCBI参照配列番号NP_055035.1も参照)。
【0021】
[0052]用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、特定の抗原(例えば、TM4SF1)に特異的に結合するかまたはそれと相互作用する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含むあらゆる抗原結合分子を意味する。用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互連結された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子、加えて、それらの多量体(例えば、IgM)を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、超可変性を有する領域にさらに細かく分類でき、この領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより高度に保存された領域に散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される。本開示の異なる実施形態において、抗TMS4F1抗体(またはその抗原結合部位)のFRは、ヒト生殖細胞系配列に同一であってもよいし、または天然にもしくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれより多くのCDRの並行分析に基づき定義することができる。
【0022】
[0053]用語「無傷の抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互連結した2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む抗体を指す。一実施形態において、抗TM4SF1抗体は、無傷の抗体である。一実施形態において、無傷の抗体は、無傷のヒトIgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプである。ある特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプである。
【0023】
[0054]本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合フラグメント」、または「抗体フラグメント」などの用語は、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、あらゆる天然に存在する、酵素的に入手可能な、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、タンパク質分解消化、または抗体の可変ドメインおよび任意選択で定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子工学技術などのあらゆる好適な標準的技術を使用して、無傷の抗体分子から得ることができる。このようなDNAは公知であり、および/または例えば、商業的な供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ−抗体ライブラリーなど)から容易に入手可能であり、または合成することができる。DNAは、シーケンシングし、化学的に、または分子生物学的技術を使用することによって操作して、例えば、1つまたは複数の可変および/または定常ドメインを好適な配置に配列する、またはコドンを導入する、システイン残基を作り出す、アミノ酸の改変、付加もしくは欠失などをもたらすことができる。
【0024】
[0055]抗原結合フラグメントの非限定的な例としては、(i)Fabフラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント;(iii)Fdフラグメント;(iv)Fvフラグメント;(v)単鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAbフラグメント;および(vii)抗体の高度可変領域(例えば、単離した相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)、または拘束性FR3−CDR3−FR4ペプチドを模擬するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられ得る。
【0025】
[0056]抗体またはそのフラグメントの「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR−1、CDR−2、およびCDR−3)、およびフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体分子の軽鎖および重鎖の部分を指す。VHは、重鎖の可変ドメインを指す。VLは、軽鎖の可変ドメインを指す。本開示で使用される方法によれば、CDRおよびFRに割り振られたアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987および1991))に従って定義することができる。抗体または抗原結合フラグメントのアミノ酸の番号付けも、Kabatの番号付けに従う。
【0026】
[0057]用語「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用される場合、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域のそれぞれの3つのCDRがあり、これらは、可変領域のそれぞれにつきCDR1、CDR2およびCDR3と指定される。用語「CDRセット」は、本明細書で使用される場合、抗原に結合が可能な単一の可変領域中に生じる3つのCDRのグループを指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って異なって定義されている。Kabatによって説明されるシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md. (1987)および(1991)))は、抗体のあらゆる可変領域に適用可能な疑いのない残基の番号付けシステムを提供することに加えて、3つのCDRを定義する正確な残基の境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと称する場合もある。Chothiaおよび共同研究者(Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901〜917(1987)およびChothiaら、Nature 342:877〜883(1989))は、Kabat CDR内の特定の下位部分が、アミノ酸配列のレベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチドバックボーンコンフォメーションをとることを見出した。これらの下位部分を、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と指定した。ここで「L」および「H」はそれぞれ軽鎖および重鎖領域を指示する。これらの領域は、Chothia CDRと称する場合もあり、Kabat CDRとオーバーラップする境界を有する。Kabat CDRとオーバーラップするCDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133〜139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732〜45(1996))によって説明されている。さらに他のCDRの境界の定義は、上記のシステムのどちらかに厳密に従っていない場合があるが、それでもKabat CDRとオーバーラップすると予想され、それにもかかわらず、それらは、特定の残基もしくは残基の群が、またはCDR全体も、抗原結合に顕著な影響を与えないという予測または実験的発見の観点で、短くしたりまたは長くしたりすることができる。本明細書で使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って定義されたCDRを利用することができるが、好ましい実施形態は、KabatまたはChothiaによって定義されたCDRを使用する。
【0027】
[0058]用語「フレームワーク領域」(以下FR)は、本明細書で使用される場合、CDR残基以外の可変ドメイン残基を指す。各可変ドメインは、典型的には、FR1、FR2、FR3およびFR4として同定された4つのFRを有する。抗体またはその機能的なフラグメントの可変領域のうち共通の構造的特徴は当技術分野において周知である。特定の抗体をコードするDNA配列は、一般的に、周知の方法、例えば、参考文献として本明細書に組み込まれるKabatら、1987 Sequence of Proteins of Immunological Interest、U.S.Department of Health and Human Services、Bethesda MDに記載される方法に従って見出すことができる。加えて、抗体から機能的な可変領域をクローニングするための一般的な方法は、参考文献として本明細書に組み込まれるChaudhary,V.K.ら、1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066に見出すことができる。
【0028】
[0059]本明細書における用語「Fc領域」は、抗体重鎖のC末端領域を定義するのに使用され、例えば、天然配列のFc領域、組換えFc領域、およびバリアントFc領域が含まれる。抗体重鎖のFc領域の境界は変わる場合があるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端への伸長部分と定義されることが多い。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムに従って残基447)は、例えば、抗体の産生または精製中に除去してもよいし、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去してもよい。したがって、無傷の抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基を有するおよび有さない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでいてもよい。
【0029】
[0060]用語「ヒト化抗体」は、本明細書で使用される場合、目的の抗原(例えば、ヒトTM4SF1)に免疫特異的に結合し、実質的にヒト抗体のアミノ酸配列を有するフレームワーク(FR)領域と、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)とを含む、抗体またはそのバリアント、誘導体、類似体もしくはフラグメントを指す。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ免疫グロブリンである。一般的に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFR領域である、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むと予想される。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のFcの少なくとも一部を含んでいてもよい。抗体ヒト化方法は、当技術分野において公知である。例えば、全て参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Riechmannら、1988、Nature 332:323〜7;Queenらの、米国特許第5,530,101号;5,585,089号;5,693,761号;5,693,762号;および6,180,370号;EP239400;PCT公報WO91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan、1991、Mol.Immunol.、28:489〜498;Studnickaら、1994、Prot.Eng.7:805〜814;Roguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91:969〜973;ならびに米国特許第5,565,332号を参照されたい。
【0030】
[0061]用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、可能性のある突然変異、例えば少量で存在する可能性がある天然に存在する突然変異を除いて、同一である。したがって、修飾句「モノクローナル」は、分離した抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。特定の実施形態において、このようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的と結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一の標的結合ポリペプチド配列の選択を含むプロセスによって得られた。例えば、選択プロセスは、複数のクローンからの、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールからの固有なクローンの選択であってもよい。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに対して向けられる。
【0031】
[0062]用語「キメラ抗体」は、本明細書で使用される場合、所望の生物学的活性を示す限り、特定の種由来の、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同な重鎖および/または軽鎖の部分を有し、それと同時に、鎖の残部が、別の種由来の、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、加えてこのような抗体のフラグメントにおける対応する配列と同一または相同である抗体(免疫グロブリン)を指す(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855(1984))。
【0032】
[0063]用語「エピトープ」は、本明細書で使用される場合、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域中の特異的な抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が、1つより多くのエピトープを有する場合もある。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合する場合もあるし、異なる生物学的作用を有する場合もある。エピトープは、構造的または機能的と定義される場合もある。機能的エピトープは、一般的に、構造的エピトープのサブセットであり、相互作用の親和性に直接的に寄与する残基を有する。またエピトープは、配座エピトープであってもよく、すなわち非線形アミノ酸で構成されていてもよい。特定の実施形態において、エピトープは、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの化学的に活性な表面の分子群である決定基を含む場合もあり、特定の実施形態において、特定の3次元構造特徴、および/または特定の電荷の特徴を有していてもよい。
【0033】
[0064]「結合親和性」は、一般的に、分子(例えば、抗体などの結合タンパク質)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合による全体の相互作用の強度を指す。結合分子X(例えば、抗TM4SF1抗体)のその結合パートナーY(例えば、ヒトTM4SF1)に対する親和性は、一般的に、解離定数(KD)によって表することができる。親和性は、本明細書に記載されるものなどの当技術分野において公知の一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は、一般的に、ゆっくり抗原と結合し、容易に解離する傾向があり、それに対して高親和性抗体は、一般的に、より速く抗原と結合し、より長く結合したままの状態である傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野において公知であり、それらのいずれかは、本発明の開示の目的のために使用することができる。特定の例示的な実施形態は、以下を含む。一実施形態において、「KD」または「KD値」は、当技術分野において公知のアッセイによって、例えば結合アッセイによって測定することができる。KDは、RIAで測定することができ、これは例えば、目的の抗体のFabバージョンおよびその抗原を用いて実行される(Chenら、1999、J.Mol Biol 293:865〜81)。KDはまた、FACS、またはBIACOREによる、例えばBIACORE2000もしくはBIACORE3000を使用する、表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによって、または例えばOCTET QK384システムを使用するバイオレイヤー干渉法によっても測定できる。特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体のKDは、HUVEC細胞を用いる標準的なフローサイトメトリーアッセイを使用して決定される。また、「オンレート」または「会合の速度」または「会合速度」または「kon」および「オフレート」または「解離の速度」または「解離速度」または「koff」も、例えばBIACORE2000もしくはBIACORE3000、またはOCTET QK384システムを使用する、上述した同じ表面プラズモン共鳴またはバイオレイヤー干渉法技術で決定することができる。
【0034】
[0065]用語「kon」は、本明細書で用いられる場合、当技術分野において公知のように、抗体/抗原複合体を形成するための抗体の抗原への会合に関するオンレート定数を指すことが意図される。
【0035】
[0066]用語「koff」は、本明細書で用いられる場合、当技術分野において公知のように、抗体/抗原複合体からの抗体の解離に関するオフレート定数を指すことが意図される。
【0036】
[0067]用語「阻害」または「阻害する」は、本明細書で使用される場合、部分的な(例えば、1%、2%、5%、10%、20%、25%、50%、75%、90%、95%、99%の)または完全な(すなわち、100%の)阻害を指す。
【0037】
[0068]用語「干渉RNA」または「RNAi」または「干渉RNA配列」は、干渉RNAが標的遺伝子と同じ細胞中にある場合、標的遺伝子の発現を低減または阻害することが可能な(すなわち、干渉RNAの配列に相補的なmRNAの分解を媒介することによって)二本鎖RNA(すなわち、二重鎖RNA)を指す。したがって干渉RNAは、2つの相補鎖によって、または単一の自己相補鎖によって形成された二本鎖RNAを指す。干渉RNAは、標的遺伝子との実質的な、または完全な同一性を有していてもよいし、またはミスマッチ(すなわち、ミスマッチモチーフ)の領域を含んでいてもよい。干渉RNAの配列は、全長標的遺伝子に対応するものでもよいし、またはその部分配列に対応するものでもよい。
【0038】
[0069]用語「がん」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物における典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする生理学的状態を指すかまたは記載する。
[0070]用語「高い転移リスクを伴うがん」は、本明細書で使用される場合、がんを有する対象が転移がんを発症させるリスクを増加させることがわかっている少なくとも1つの因子に関連するがんを指す。転移リスクの増加に関連する因子の例としては、これらに限定されないが、対象が最初のがん診断時に有するがん性のリンパ節の数、腫瘍のサイズ、組織学的な格付け、および最初の診断時のがんの段階が挙げられる。
【0039】
[0071]用語「血行性転移」は、本明細書で使用される場合、がん細胞が血管壁に侵入し、その後、血流(循環腫瘍細胞)を介して体内の他の部位および組織に循環できる能力を指す。
【0040】
[0072]用語「リンパ転移」は、本明細書で使用される場合、がん細胞がリンパ管に侵入し、血管に排出する能力を指す。
[0073]本開示に関して、用語「処置する」または「処置」は、本明細書で使用される場合、このような用語が適用される障害もしくは状態、またはこのような障害もしくは状態の1つまたは複数の症状を、回復させること、軽減すること、その進行を阻害すること、または防止することを意味する。用語「がんを処置する」は、本明細書で使用される場合、がん細胞の増殖および/または増殖の阻害を意味する。一実施形態において、本明細書に記載される組成物および方法は、転移がんを有する対象における転移を処置するのに使用される。
【0041】
[0074]用語「がんを防止する」または「がんの防止」は、発癌または腫瘍形成の発生が証明されていないが、例えば遺伝学的スクリーニングによって決定したかまたはそれ以外の方法によるかにかかわらず、がんの素因が同定されている哺乳動物におけるがんの発病を、遅らせること、阻害すること、または防止することを指す。この用語はまた、悪性になる前の状態を有する哺乳動物を処置して、悪性になる前の状態から悪性状態への進行を止める、またはそのような進行を逆行させることも包含する。悪性になる前の状態の例としては、過形成、形成異常、および異形成が挙げられる。一部の実施形態において、がんの防止は、がんからの寛解にある対象に関して使用される。
【0042】
[0075]悪性もしくは良性のおよび/または原発性もしくは続発性などの様々ながんが、本開示による方法で処置または防止することができる。このようながんの例は、当業者に公知であり、Merck Manual of Diagnosis and Therapy(Merckにより出版)などの標準的な教本に列挙される。
【0043】
[0076]用語「対象」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物(例えば、ヒト)を指す。
[0077]用語「投与する」は、本明細書で使用される場合、抗体またはそのフラグメント、または組成物(例えば、医薬組成物)の投薬量を対象に与える方法を指す。投与方法は、様々な要因(例えば、投与される結合タンパク質または医薬組成物、および処置される状態、疾患、または障害の重症度)に応じて変更することができる。
【0044】
[0078]用語「有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の転帰をもたらすのに十分な、本明細書で提供される抗体または医薬組成物の量を指す。
[0079]用語「約」および「およそ」は、所与の値または範囲の、20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、またはそれ未満を意味する。
【0045】
[0080]用語「同一性」、または「相同性」は、本明細書では置き換え可能に使用され、最適な比較目的で配列をアライメントすること(例えば、第1の配列の配列中にギャップを導入してもよい)によって決定できる2つまたはそれより多くのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の「同一性」、「相同性」、または「パーセント相同性」の計算値であり得る。次いで対応する位置のヌクレオチドを比較することができ、2つの配列間のパーセント同一性は、配列が共通する同一の位置の数の関数であり得る(すなわち、%相同性=同一の位置の数/位置の合計数×100)。例えば、第1の配列における位置は、第2の配列における対応する位置と同じヌクレオチドで占められていてもよく、その場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間のパーセント相同性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列が共通する同一の位置の数の関数であり得る。一部の実施形態において、比較目的でアライメントされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約95%であり得る。BLAST(登録商標)検索は、2つの配列間の相同性を決定することができる。2つの配列は、遺伝子、ヌクレオチド配列、タンパク質配列、ペプチド配列、アミノ酸配列、またはそのフラグメントであり得る。2つの配列の実際の比較は、周知の方法によって、例えば数学的なアルゴリズムを使用して達成することができる。このような数学的なアルゴリズムの非限定的な例は、Karlin,S.およびAltschul,S.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90−5873−5877(1993)に記載され得る。このようなアルゴリズムは、Altschul,S.ら、Nucleic Acids Res.、25:3389〜3402(1997)に記載されるように、NBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている場合もある。BLASTおよびギャップ有りBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、NBLAST)のあらゆる関連パラメーターを使用することができる。例えば、配列比較に関するパラメーターは、スコア=100、ワード長さ=12に設定してもよいし、または変更してもよい(例えば、W=5またはW=20)。他の例としては、Myersおよびミラー、CABIOS(1989)のアルゴリズム、ADVANCE、ADAM、BLAT、およびFASTAが挙げられる。別の実施形態において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、例えば、GCGソフトウェアパッケージ(Accelrys、Cambridge、UK)中のGAPプログラムを使用して達成することができる。
【0046】
[0081]一部の実施形態において、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体にコンジュゲートした核酸を含む抗体−核酸コンジュゲート(本明細書では抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲートとも称される)が提供される。核酸は、細胞内部に、または特定の実施形態において細胞の核に輸送されることが望まれる実質的にあらゆる核酸であり得る。用語「核酸」は、本明細書で使用される場合、これらに限定されないが、天然に存在する、または化学的に合成された、DNA、RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、改変されたDNA、改変されたRNA、またはそれらの任意の組合せを含む。核酸は、どのような数の塩基対を有していてもよく、例えば目的の遺伝子の全長までの塩基対を有していてもよい。例えば、核酸は、約100から10,000塩基対の長さを有する直鎖状または環状二本鎖DNA分子であってもよいが、それより長い、およびそれより短い核酸のどちらも使用できる。核酸は、DNAまたはRNA、直鎖状または環状であってもよく、一本鎖または二本鎖であってもよい。DNAは、cDNA、三重らせん、スーパーコイル、Z−DNA、および他の通常と異なるDNAの形態、ポリヌクレオチド類似体、アンチセンスDNA、治療用タンパク質などのタンパク質をコードするDNAを含む発現コンストラクト、リボザイムまたはアンチセンスRNAをコードするDNAを含む転写可能なコンストラクト、ウイルスゲノムフラグメント、例えばウイルスDNA、プラスミド、コスミド、生物のゲノムの一部をコードするDNA、遺伝子フラグメントなどを含む。一部の場合において改変された核酸は、例えば、蛍光色素で改変された核酸、ビオチン化された核酸、またはそれらの組合せである。他の改変された核酸としては、例えば、2’−O−メチル改変、2’−フルオロ改変、2’−メトキシエチル(MOE)改変が挙げられる。
【0047】
[0082]核酸はまた、RNAであってもよい。例えば、アンチセンスRNA、触媒性RNA、触媒性RNA/タンパク質複合体(「リボザイム」)、直接翻訳されてタンパク質生成物を生成できる、または逆転写され、転写または転写と翻訳のいずれかにより、それぞれRNAまたはタンパク質生成物を生成できる、RNAを含む発現コンストラクト、逆転写によるDNAの生成を可能にするのに必要なあらゆるプロモーター/調節配列を有するRNAを含む転写可能なコンストラクト、ウイルスゲノムフラグメント、例えばウイルスRNA、治療用タンパク質などのタンパク質をコードするRNAなど。核酸は、その核酸が標的細胞の内部またはその核に送達されたときに示すと予想される、公知の、予想された、または予想される生物学的活性に基づき選択することができる。核酸は、核酸を調製または単離するために典型的に使用されるあらゆる従来の手段によって調製または単離することができる。例えば、DNAおよびRNA分子は、例えば、Gaitにより、1985、OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS:A PRACTICAL APPROACH(IRL Press、Oxford)に記載される方法によって、商業的に入手可能な試薬および合成装置を使用して化学的に合成することができる。RNA分子はまた、インビトロの転写方法を介して、Promega社(Madison、Wis.)より入手可能なSP65などのプラスミドを使用して、高い収量で産生することもできる。核酸は、任意の好適な手段によって精製することができる。例えば、核酸は、逆相またはイオン交換HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、またはゲル電気泳動によって精製することができる。当然ながら、当業者は、精製方法は、精製しようとするDNAのサイズに一部依存することになることを認識しているであろう。核酸はまた、公知の、または今後開発される多数の組換え方法のいずれを使用しても調製できる。
【0048】
[0083]改変されたヌクレオシド間の連結を有する核酸も、本明細書に記載のコンジュゲートに使用することができる。例えば、増加したヌクレアーゼ安定性を示す改変されたヌクレオシド間の連結を含有する核酸を使用することができる。このような核酸としては、例えば、1つまたは複数のホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、メトキシエチルホスホロアミデート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、ジイソプロピルシリル、アセトアミデート、カルバメート、ジメチレン−硫化物(−CH2−S−CH2−)、ジメチレン−スルホキシド(−CH2−SO−CH2−)、ジメチレン−スルホン(−CH2−SO2−CH2−)、2’−O−アルキル、および2’−デオキシ−2’−フルオロ−ホスホロチオエートであるヌクレオシド間の連結を含有するものが挙げられる。
【0049】
[0084]核酸は、治療剤、例えば、mRNA翻訳を阻害するアンチセンスDNA分子であってもよい。代わりに、核酸は、治療剤、例えば、核酸を含有する組成物が送達される標的細胞によって発現されると、細胞に対して好都合な治療作用を有する転写または翻訳生成物をコードしていてもよい。治療用転写生成物の例としては、タンパク質(例えば、抗体、酵素、受容体結合リガンド、創傷治癒タンパク質、抗再狭窄性タンパク質、抗発がん性(anti−oncogenic)タンパク質、および転写または翻訳調節タンパク質)、アンチセンスRNA分子、リボザイム、ウイルスゲノムフラグメントなどが挙げられる。核酸は、同様に、組成物を使用して形質転換された細胞のためのマーカーとして有用な生成物をコードしていてもよい。マーカーの例としては、容易に同定可能な分光特性(例えば、緑色蛍光タンパク質;GFP)を有するタンパク質、および細胞表面で発現される(すなわち、標的細胞を、タンパク質と特異的に結合する薬剤と接触させることによって検出できる)タンパク質が挙げられる。
【0050】
[0085]一例として、核酸は、発がん性タンパク質および抗発がん性アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードする核酸から選択することができる。発がん性タンパク質の例としては、以下の遺伝子:abl、akt2、apc、bcl2−アルファ、bcl2−ベータ、bcl3、bcr、brcal、brca2、cbl、ccndl、cdk4、crk−II、csflr/fins、dbl、dcc、dpc4/smad4、e−cad、e2fl/rbap、egfr/erbb−l、elk]、elk3、eph、erg、ets1、ets2、fer、fgr/src2、flil/ergb2、fos、fps/fes、fral、fra2、fyn、hck、hek、her2/erbb−2/neu、her3/erbb−3、her4/erbb−4、hrasl、hst2、hstfl、ink4a、ink4b、int2/fgf3、jun、junb、jund、kip2、kit、kras2a、kras2b、ck、lyn、mas、max、mcc、met、mlhl、mos、msh2、msh3、msh6、myb、myba、mybb、myc、mycl1、mycn、nfl、nf2、nras、p53、pdgfb、pim1、pms1、pms2、ptc、pten、raft、rbl、rel、ret、ros1、ski、src1、tall、tglbr2、thral、thrb、tiam1、trk、vav、vhl、waf1、wnt1、wnt2、wt1、およびyes1によってコードされたものが挙げられる。これらの遺伝子のうち1つの発現を阻害するオリゴヌクレオチドを、抗発がん性アンチセンスオリゴヌクレオチドとして使用することができる。
【0051】
[0086]本明細書に記載の核酸は、本明細書に記載の組成物を調製するためのラージスケールでの核酸の複製をもたらす様々な公知の宿主ベクター系に、組換え操作することができる。これらのベクターは、公知の方法を使用して、核酸が送達される細胞において核酸の転写、翻訳またはその両方を指示するに必要なエレメントが含有されるように設計することができる。適切な転写/翻訳制御シグナルと作動可能に連結したタンパク質コード配列を有する発現コンストラクトを構築するために、当業者公知の方法を使用することができる。これらの方法としては、インビトロの組換えDNA技術および合成技術が挙げられる。例えば、Sambrookら、1989、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory(New York);Ausubelら、1997、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons(New York)を参照されたい。
【0052】
[0087]目的の1つまたは複数のタンパク質をコードする核酸は、様々なプロモーター/調節因子の配列に作動可能に会合していてもよい。プロモーター/調節因子の配列としては、構成的または誘導性プロモーターを挙げることができ、目的の遺伝子の高いレベルの、または調節された発現を指示するのに適切な条件下で使用することができる。使用することができるプロモーター/調節領域の特定の例としては、サイトメガロウイルスのプロモーター/調節領域、およびSV40早期遺伝子またはSV40後期遺伝子に関連するプロモーター/調節領域が挙げられる。好ましくは、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のプロモーターが本発明で使用される。しかしながら、目的の遺伝子の高いレベルの、または調節された発現を指示する実質的に全てのプロモーター/調節領域を使用することができる。
【0053】
[0088]本明細書に記載の核酸は、1つまたは複数のプロモーターの制御下で単一の遺伝学的コンストラクト上で組み合わされた、複数のタンパク質をコードする領域を含有していてもよい。2つまたはそれより多くのタンパク質をコードする領域が、単一のプロモーターの転写制御下にあってもよいし、核酸の転写物は、タンパク質をコードする領域の間に挿入された、1つまたは複数の内部リボソーム進入部位を含んでいてもよい。したがって、異なる遺伝子と遺伝学的コンストラクトのほぼ無限の組合せが、採用され得る。
【0054】
II.標的化タンパク質およびRNA分子を含むコンジュゲート
[0089]本開示の一実施形態は、標的化タンパク質、例えば抗体またはその抗原結合フラグメント、およびオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、作用部位へのRNA分子の標的化された送達、例えば、腫瘍へのsiRNAの標的化された送達を可能にし、さらにRNAベースの治療作用も改善し、例えば、siRNA媒介サイレンシングを改善する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、天然に発現される遺伝子のノックダウンの有意なレベルを達成する。
【0055】
[0090]一部の実施形態において、本発明の開示は、ノックダウンに100nMから1000nMまでの濃度を使用した先行の抗体−RNAコンジュゲートと比較して、高い速度のノックダウンを達成することにおいて、10nMもの低い濃度で有効である改善された抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(例えば、siRNAを含む改善された抗体−RNAコンジュゲート)を提供する。Cuellarら、Nucleic Acids Research、2015、43巻、2号、1189〜1203を参照されたい。さらに、本発明の開示で提供されるアプローチは、高い速度のノックダウンを達成するために、高いレベルの標的が発現されるように細胞を操作することを必要とせず、それによって、高い抗原発現の場合のみに高いサイレンシング効率が観察されたこれまでの抗体−RNAコンジュゲートの開発努力を超える改善がもたらされる。同文書の1202頁を参照されたい。一部の例において、本開示の抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート、例えばARCは、抗体の標的抗原(例えばTM4SF1)をちょうど飽和させる程度の投薬量または濃度で、1回または2回投与され、それにより、より多くの量のRNA(例えば、siRNA)のより効率的な送達が可能になる。より高いOAR(オリゴヌクレオチドの抗体に対する比率)またはリピートの内在化は、一部の例において、ノックダウンの速度を増加させるのに利用することができる。例えば、抗原が、siRNAがプロセシングされるより速く内在化される場合、所定用量のsiRNAが細胞の内部に蓄積する可能性があり、利用可能な抗原より多くの量のコンジュゲート(例えばARC)を添加することは、ノックダウンのレベルを増加させる可能性がある。
【0056】
[0091]一部の場合、高い特異性で抗原と結合する標的化タンパク質の能力は、有利には、共有結合によるカップリングおよび抗原発現に依存するサイレンシングを誘導するために、細胞へのsiRNA分子の送達を改善することができる。コンジュゲート分子のさらなる利点としては、これらに限定されないが、(i)抗体−抗原受容体媒介エンドサイトーシスによって媒介される、オリゴヌクレオチド、例えばsiRNAの、細胞質への改善された送達、(ii)抗原提示細胞(APCy樹状細胞(DC)による腫瘍または病原体抗原または抗原決定基の取り込みおよび交差提示を誘導するかまたは増大させるコンジュゲートの能力;(ii)樹状細胞(DC)の成熟を促進する能力;(iii)CD4+T細胞の、CD8+T細胞記憶および腫瘍または病原体に対する抗体の生成を助ける能力;(iv)標的化された腫瘍細胞を、抗体依存性細胞傷害(ADCC)およびT細胞媒介死に感作する能力が挙げられる。一部の実施形態において、コンジュゲート分子は、新生物疾患、感染性疾患、内皮細胞と白血球との相互作用(endothelial−leukocyte interaction)、心臓血管/血管新生の徴候、および他の疾患の標的化された免疫療法または免疫防御のために使用することができる。
【0057】
[0092]一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、RNA分子である。RNAベースの治療剤の近年の進歩は、様々なヒト疾患のための治療標的の範囲を広げてきた。現在、いくつかのRNAベースの治療剤が、遺伝的障害からHIV感染や様々ながんに至る様々な疾患に関して臨床調査中である。これらの新興の薬物、例えば治療用リボザイム、アプタマー、および短鎖干渉RNA(siRNA)などは、かつてないRNAの多機能性を実証し始めている。一部の実施形態において、RNA分子は、アポトーシス阻害剤をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、p53の阻害剤をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、免疫チェックポイントタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、DNA修復の不活性化に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、シアル酸生成の抑制に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、ナンセンス変異依存分解に関与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、共刺激シグナルを促進することが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、白血球の血管外遊出を抑制することが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、細胞分裂にとって重要な分子を抑制することが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、血管新生を促進することが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、血管新生を阻害することが可能である。一部の実施形態において、RNA分子は、腫瘍遺伝子、例えばABL1、ABL2、AKT1、AKT2、ATF1、BCL11A、BCL2、BCL3、BCL6、BCR、BRAF、CARD11、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CDX2、CTNNB1、DDB2、DDIT3、DDX6、DEK、EGFR、ELK4、ERBB2、ETV4、ETV6、EVI1、EWSR1、FEV、FGFR1、FGFR1OP、FGFR2、FUS、GOLGA5、GOPC、HMGA1、HMGA2、HRAS、IRF4、JUN、KIT、KRAS、LCK、LMO2、MAF、MAFB、MAML2、MDM2、MET、MITF、MPL、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、NCOA4、NFKB2、NRAS、NTRK1、NUP214、PAX8、PDGFB、PIK3CA、PIM1、PLAG1、PPARG、PTPN11、RAF1、REL、RET、ROS1、SMO、SS18、TCL1A、TET2、TFG、MLL、TLX1、TPR、またはUSP6を抑制することが可能である。
【0058】
[0093]一般的に、RNAベースの治療剤は、それらの作用機序に基づいていくつかのカテゴリーに分類することができる。このようなカテゴリーの非限定的な例としては、mRNA翻訳の阻害剤(アンチセンス)、RNA干渉(RNAi)の作用剤、触媒活性RNA分子(リボザイム)、およびタンパク質および他の分子リガンドと結合するRNA(アプタマー)が挙げられる。したがって、本開示の一部の実施形態において、コンジュゲートのオリゴヌクレオチドは、治療剤であるRNA分子、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNA干渉の作用剤、触媒活性RNA分子、またはタンパク質および他の分子リガンドと結合するRNA(アプタマー)を含む。一部の例において、RNA干渉のための作用剤としては、短鎖干渉RNA(siRNA)が挙げられる。一部の例において、オリゴヌクレオチドは、マイクロRNA(miRNA)を含む。一部の例において、オリゴヌクレオチドは、メッセンジャーRNA(mRNA)である。一部の例において、オリゴヌクレオチドは、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)である。一部の例において、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスmiRNAである。一部の例において、オリゴヌクレオチドは、アンタゴmir(抗miRNA)である。一部の実施形態において、本開示のRNA分子は、天然に存在するヌクレオチドを含むRNA分子である。一部の場合、RNA分子は、ホスホロチオエートバックボーンの改変、2’−O−メチル(2’−OMe)、2’−フルオロ(2’−F)、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)糖の置換などの改変を含む改変されたRNA分子;ロックド核酸(LNA)として公知の2’−O、4’−C−メチレンで連結された二環式リボヌクレオチド;またはシュピーゲルマー(spiegelmer)としても公知のL−RNA(これは、天然RNAの鏡像異性体である)オリゴヌクレオチドである。いかなる具体的な理論にも縛られるつもりはないが、糖環の2’位における改変、例えば2’−OMe、2’−F、2’−MOE、およびLNA−などは、オリゴヌクレオチドに、RNAのエネルギー的に最も有利なコンフォメーションであるRNA様のC3’エンド(N型)の糖パッカー(pucker)を採用させる能力を有することが予期される。
【0059】
[0094]一部の例において、改変されたRNA分子にカップリングしているコンジュゲートが提供され、このようなコンジュゲートは、いくつかの有利な特性、例えば、核酸分解に対する耐性の改善、アンチセンス用途のための標的mRNAのRNアーゼ−H媒介切断、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートの腎クリアランスを妨げるための血漿タンパク質の親和性の増加を示す。一部の実施形態において、コンジュゲートは、上記で例示されたような化学的置換またはLNA改変を含む改変されたRNA分子を含み、化学的置換またはLNA改変の結果として全体的に改善された効力、安定性、薬物動態学的および薬力学的な特性を有する。
【0060】
[0095]本開示の一実施形態は、抗体−RNAi作用剤コンジュゲートを形成するための、抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートおよびRNAiのための作用剤を提供する。RNAiは、遺伝子発現をサイレンシングするための天然のメカニズムである。RNAiのプロセスの間、細胞内に導入された二本鎖(ds)RNAは、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるタンパク質複合体に取り込まれる短鎖干渉(si)RNA二重鎖(19〜21塩基対)に切断され、RISCは、2本のsiRNA鎖をほどいて、1本の鎖をmRNAの認識と配列特異的な分解が可能な状態に保持する。(例えば、Sledz CA、Williams BR(2005)RNA interference in biology and disease.Blood 106:787〜794を参照)。一部の例において、RNAi作用剤、例えば正規の二本鎖siRNAは、抗体−RNAi作用剤コンジュゲートの一部である。さらに他の例において、他のクラスのsiRNA、例えば、自己アニールsiRNAは、抗体−RNAi作用剤コンジュゲートの一部である。
【0061】
[0096]一部の実施形態において、抗体−RNAi作用剤は、がんなどの適応症に関する1つまたは複数の経路を標的化する。一部の実施形態において、RNAi作用剤は、siRNAである。
【0062】
[0097]干渉RNAとしては、「短鎖干渉RNA」または「siRNA」、例えば、約15〜60、15〜50、または15〜40(二重鎖)ヌクレオチドの長さ、より典型的には、約15〜30、15〜25、または19〜25(二重鎖)ヌクレオチドの長さ、好ましくは、約20〜24、21〜22、または21〜23(二重鎖)ヌクレオチドの長さを有する干渉RNAが挙げられる(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列が、15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25ヌクレオチドの長さ、好ましくは約20〜24、21〜22、または21〜23ヌクレオチドの長さであり、二本鎖siRNAが、約15〜60、15〜50、15〜40、15〜30、15〜25、または19〜25塩基対の長さ、好ましくは約20〜24、21〜22、または21〜23塩基対の長さである)。siRNA二重鎖は、約1から約4ヌクレオチドまたは約2から約3ヌクレオチドの3’オーバーハング、および5’リン酸末端を含んでいてもよい。siRNAの例としては、これらに限定されないが、1つの鎖がセンス鎖であり、他方が相補アンチセンス鎖である2つの別個に存在する分子から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子;一本鎖分子から組み立てられた二本鎖ポリヌクレオチド分子であって、センスおよびアンチセンス領域が核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカーによって連結されるもの;自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域を有するヘアピン2次構造を有する二本鎖ポリヌクレオチド分子;および2つまたはそれより多くのループ構造ならびに自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域を有するステムを有する環状一本鎖ポリヌクレオチド分子であって、環状ポリヌクレオチドがインビボまたはインビトロでプロセシングされて、活性な二本鎖siRNA分子を生成することができる、環状一本鎖ポリヌクレオチド分子が挙げられる。
【0063】
[0098]一部の実施形態において、siRNAは、化学的に合成される。またsiRNAは、大腸菌(E.coli)RNアーゼIIIまたはダイサーでのより長いdsRNA(例えば、長さが約25ヌクレオチドより大きいdsRNA)の切断によっても生成できる。これらの酵素は、dsRNAを生物学的に活性なsiRNAにプロセシングする(例えば、Yangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:9942〜9947(2002);Calegariら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:14236(2002);Byromら、Ambion TechNotes、10(1):4〜6(2003);Kawasakiら、Nucleic Acids Res.、31:981〜987(2003);Knightら、Science、293:2269〜2271(2001);およびRobertsonら、J.Biol.Chem.、243:82(1968)を参照)。一部の実施形態において、切断されてsiRNAを生成するdsRNAは、少なくとも50ヌクレオチドから、約100、200、300、400、または500ヌクレオチドの長さである。dsRNAは、1000、1500、2000、5000ヌクレオチドもの長さであってもよいし、またはそれより長くてもよい。dsRNAは、遺伝子全体の転写物または部分的な遺伝子の転写物をコードしていてもよい。特定の場合において、siRNAは、プラスミドによってコードされていてもよい(例えば、自動的にヘアピンループを有する二重鎖にフォールディングする配列として転写される)。
【0064】
[0099]一部の実施形態において、本明細書に記載のsiRNA分子は、目的の遺伝子の翻訳(すなわち、発現)を下方調節またはサイレンシングするために使用される。目的の遺伝子としては、これらに限定されないが、ウイルスの感染および生存に関連する遺伝子、代謝性疾患および障害(例えば、肝臓の疾患および障害)に関連する遺伝子、腫瘍形成および細胞形質転換に関連する遺伝子、血管新生遺伝子、イムノモジュレーター遺伝子、例えば炎症および自己免疫応答に関連するもの、リガンド受容体遺伝子、ならびに神経変性障害に関連する遺伝子が挙げられる。
【0065】
[0100]ウイルスの感染および生存に関連する遺伝子としては、細胞への結合、侵入、および複製のためにウイルスによって発現されるものが挙げられる。なかでも特に重要なものは、慢性ウイルス性疾患に関連するウイルス配列である。特に興味深いウイルス配列としては、フィロウイルス、例えばエボラウイルスおよびマールブルグウイルス;アレナウイルス、例えばラッサウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、およびサビアウイルス;インフルエンザウイルス、例えばA、B、およびC型インフルエンザウイルスの配列が挙げられる。サイレンシングされ得る例示的なフィロウイルス核酸配列としては、これらに限定されないが、構造タンパク質(例えば、VP30、VP35、核タンパク質(NP)、ポリメラーゼタンパク質(L−pol))および膜結合型タンパク質(例えば、VP40、糖タンパク質(GP)、VP24)をコードする核酸配列が挙げられる。エボラウイルスの完全ゲノム配列は、例えば、Genbank受託番号NC−002549;AY769362;NC−006432;NC−004161;AY729654;AY354458;AY142960;AB050936;AF522874;AF499101;AF272001;およびAF086833に記載される。エボラウイルスVP24配列は、例えば、Genbank受託番号U77385およびAY058897に記載される。エボラウイルスL−pol配列は、例えば、Genbank受託番号X67110に記載される。エボラウイルスVP40配列は、例えば、Genbank受託番号AY058896に記載される。エボラウイルスNP配列は、例えば、Genbank受託番号AY058895に記載される。エボラウイルスGP配列は、例えば、Genbank受託番号AY058898に記載される。追加のエボラウイルス配列は、例えば、Genbank受託番号L11365およびX61274に記載される。マールブルグウイルスの完全ゲノム配列は、例えば、Genbank受託番号NC−001608;AY430365;AY430366;およびAY358025に記載される。マールブルグウイルスGP配列は、例えば、Genbank受託番号AF005734;AF005733;およびAF005732に記載される。マールブルグウイルスVP35配列は、例えば、Genbank受託番号AF005731およびAF005730に記載される。追加のマールブルグウイルス配列は、例えば、Genbank受託番号X64406;Z29337;AF005735;およびZ12132に記載される。サイレンシングされ得る例示的なインフルエンザウイルス核酸配列としては、これらに限定されないが、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質(M1およびM2)、非構造タンパク質(NS1およびNS2)、RNAポリメラーゼ(PA、PB1、PB2)、ノイラミニダーゼ(NA)、およびヘマグルチニン(HA)をコードする核酸配列が挙げられる。A型インフルエンザのNP配列は、例えば、Genbank受託番号NC−004522;AY818138;AB166863;AB188817;AB189046;AB189054;AB189062;AY646169;AY646177;AY651486;AY651493;AY651494;AY651495;AY651496;AY651497;AY651498;AY651499;AY651500;AY651501;AY651502;AY651503;AY651504;AY651505;AY651506;AY651507;AY651509;AY651528;AY770996;AY790308;AY818138;およびAY818140に記載される。A型インフルエンザのPA配列は、例えば、Genbank受託番号AY818132;AY790280;AY646171;AY818132;AY818133;AY646179;AY818134;AY551934;AY651613;AY651610;AY651620;AY651617;AY651600;AY651611;AY651606;AY651618;AY651608;AY651607;AY651605;AY651609;AY651615;AY651616;AY651640;AY651614;AY651612;AY651621;AY651619;AY770995;およびAY724786に記載される。サイレンシングされ得る例示的な肝炎ウイルス核酸配列としては、これらに限定されないが、転写および翻訳に関与する核酸配列(例えば、En1、En2、X、P)、および構造タンパク質(例えば、CおよびC−関連タンパク質を含むコアタンパク質、S、M、および/もしくはLタンパク質を含むキャプシドおよびエンベロープタンパク質、またはそれらのフラグメント)をコードする核酸配列が挙げられる。サイレンシングされ得る例示的なC型肝炎核酸配列としては、これらに限定されないが、セリンプロテアーゼ(例えば、NS3/NS4)、ヘリカーゼ(例えばNS3)、ポリメラーゼ(例えば、NS5B)、およびエンベロープタンパク質(例えば、E1、E2、およびp7)が挙げられる。A型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−001489に記載される;B型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−003977に記載される;C型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−004102に記載される;D型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−001653に記載される;E型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−001434に記載される;G型肝炎核酸配列は、例えば、Genbank受託番号NC−001710に記載される。本開示の抗体−RNAiコンジュゲートを使用するウイルスの感染および生存に関連する遺伝子をコードする配列のサイレンシングは、一部の実施形態において、ウイルスに関する状態を処置するのに使用される従来の薬剤の投与との併用において行うことができる。
【0066】
[0101]代謝性疾患および障害(例えば、肝臓が標的である障害ならびに肝臓の疾患および障害)に関連する遺伝子としては、例えば、脂質代謝異常(例えば、肝臓X受容体、例えばLXRαおよびLXRβ(Genback受託番号NM−007121)、ファルネソイドX受容体(FXR)(Genbank受託番号NM−005123)、ステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)、サイト1プロテアーゼ(S1P)、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ(HMG補酵素Aレダクターゼ)、アポリポタンパク質(ApoB)、およびアポリポタンパク質(ApoE));および糖尿病(例えば、グルコース6−ホスファターゼ)で発現される遺伝子が挙げられる。一部の実施形態において、代謝性疾患および障害(例えば、肝臓が標的である疾患および障害ならびに肝臓の疾患および障害)に関連する遺伝子としては、肝臓それ自体で発現される遺伝子に加えて、他の臓器および組織で発現される遺伝子も挙げられる。代謝性疾患および障害に関連する遺伝子をコードする配列のサイレンシングは、その疾患または障害を処置するのに使用される従来の薬剤の投与と都合よく併用することができる。腫瘍形成および細胞形質転換に関連する遺伝子配列の例としては、Eg5などの有糸分裂キネシン;MLL融合遺伝子、BCR−ABL、TEL−AML1、EWS−FLI1、TLS−FUS、PAX3−FKHR、BCL−2、AML1−ETO、およびAML1−MTG8などの転移配列;多剤耐性遺伝子、サイクリン、ベータ−カテニン、テロメラーゼ遺伝子、c−MYC、N−MYC、BCL−2、ERBB1、およびERBB2などの過剰発現される配列;ならびにRASなどの突然変異した配列が挙げられる。DNA修復酵素をコードする配列のサイレンシングは、化学療法剤の投与との併用で利用される。また、腫瘍の移動に関連するタンパク質、例えば、インテグリン、セレクチン、およびメタロプロテイナーゼをコードする遺伝子も目的の標的配列である。前述の例は、非限定的である。腫瘍形成または細胞形質転換、腫瘍増殖、または腫瘍の移動を容易にするかまたは促進する全体のまたは部分的な遺伝子配列のいずれが、テンプレート配列として含まれていてもよい。血管新生遺伝子は、新しい血管の形成を促進することができる。なかでも特に興味深いものは、血管内皮増殖因子(VEGF)またはVEGFrである。一部の例において、抗血管新生遺伝子は、新血管形成を阻害することができる。これらの遺伝子は、血管新生が疾患の病的な発達において役割を果たすがんを処置するのに特に有用である。抗血管新生遺伝子の例としては、これらに限定されないが、エンドスタチン、アンジオスタチン、およびVEGF−R2が挙げられる。
【0067】
[0102]イムノモジュレーター遺伝子は、1つまたは複数の免疫応答をモジュレートする遺伝子である。イムノモジュレーター遺伝子の例としては、これらに限定されないが、増殖因子(例えば、TGF−α、TGF−β、EGF、FGF、IGF、NGF、PDGF、CGF、GM−CSF、SCFなど)、インターロイキン(例えば、IL−2、IL−4、IL−12、IL−15、IL−18、IL−20など)、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−β、IFN−γなど)およびTNFなどのサイトカインが挙げられる。また、FasおよびFasリガンド遺伝子も、目的のイムノモジュレーター標的配列である。Tecファミリーキナーゼ、例えばブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)などの造血細胞およびリンパ系細胞における二次シグナル伝達分子をコードする遺伝子も本発明に含まれる。
【0068】
[0103]細胞受容体リガンドとしては、細胞表面受容体(例えば、インスリン受容体、EPO受容体、Gタンパク質共役受容体、チロシンキナーゼ活性を有する受容体、サイトカイン受容体、増殖因子受容体など)に結合することができるリガンド、受容体が関与する生理学的な経路(例えば、グルコースレベルのモジュレーション、血液細胞の発達、有糸分裂誘発など)をモジュレートする(例えば、阻害する、活性化するなど)ことができるリガンドが挙げられる。細胞受容体リガンドの例としては、これらに限定されないが、サイトカイン、増殖因子、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポイエチン(EPO)、インスリン、グルカゴン、Gタンパク質共役受容体リガンドなどが挙げられる。
【0069】
[0104]ゲノムにおけるトリヌクレオチドリピート(TNR)拡張は、多数の消耗性疾患の原因であり、例えば、ハンチントン病(HD)におけるCAG;フリードライヒ運動失調症におけるGAA;脆弱X振戦失調症候群(FXTAS)におけるCGG;および脆弱XE精神遅滞(FRAXE)で見出されるCCGのトリヌクレオチド拡張(explansion)が挙げられる。TNR領域から生成したRNAは、小さいsiRNAサイズのリピートフラグメントを含む。HD患者に関して、HTTにおけるリピートの長さとがんの発生率との逆相関が報告されている。ここで本発明者らは、CAG TNRベースのsiRNAは、それらのオープンリーディングフレームに長い逆相補的TNRを含有する遺伝子を標的化することによって、がん細胞に対して毒性であることを示す。様々なTNRベースのsiRNAのなかでも、関連するTNRのCAG/CUGファミリーにおける6つのメンバーが、ヒトおよびマウスがん細胞の両方に対して最も毒性が高い。siCAG/CUG TNRベースのsiRNAは、全ての試験されたがん細胞株においてインビトロで細胞死を誘発し、卵巣がんの前臨床マウスモデルにおいて、マウスに対する毒性の徴候を示すことなく腫瘍増殖をスローダウンさせる。本発明者らは、新規の抗がん試薬の形態として、TNRベースのsiRNAを調査することを提唱する。トリヌクレオチドリピート(例えば、CAGリピート)の拡張をコードするテンプレートは、トリヌクレオチドリピートの拡張が原因の神経変性障害、例えば球脊髄性筋萎縮症(spinobulbular muscular atrophy)およびハンチントン病において、病原性配列をサイレンシングすることにおいて利用される。したがって、一部の実施形態において、siRNAは、トリヌクレオチドリピート(TNR)配列、例えばCAG/CUG TNR配列を含む。一部の実施形態において、CAG/CUG配列を含むsiRNAは、約0.01nMから約10.0nMのIC50を含む。一部の実施形態において、抗体−siRNAコンジュゲートは、CAGリピート配列を含む。一部の実施形態において、抗体−siRNAコンジュゲートは、CUGリピート配列を含む。一部の実施形態において、抗体−siRNAコンジュゲートは、CAGおよびCUGリピート配列を含む。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、トリヌクレオチド配列を含む抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CAGリピート配列を含む抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CUGリピート配列を含む抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CAGおよびCUGリピート配列を含む抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0070】
[0105]治療目的で上述した遺伝子のいずれかの発現をサイレンシングすることにおけるその有用性に加えて、本明細書に記載のsiRNAはまた、抗体−RNAiコンジュゲートの場合、調査および開発での適用、加えて診断、予防、予後、臨床での適用、および他のヘルスケアでの適用においても有用である。非限定的な例として、本開示のsiRNA分子は、目的の遺伝子が治療標的になる可能性のあるかどうかを試験することを目的とした標的の検証研究に使用することができる。本開示のsiRNA分子はまた、見込みのある治療標的としての遺伝子を発見することを目的とした標的の同定研究にも使用することができる。
【0071】
[0106]siRNAの標的のさらなる例としては、これらに限定されないが、MCL1、BCL−XL、MDM2、MDM4、PD−L1、CD47/IAP、UPF1、MLH1、CMAS、CDK4、CDK6、PLK1、PLK4、AURKB、AURKA、MADCAM1、ICAM1、VCAM1、およびTM4SF1が挙げられる。一部の実施形態において、siRNAは、TM4SF1、CAG/CUG、P−セレクチン、E−セレクチン、末梢リンパ節アドレシン(PNAd)、ICAM−2、PECAM−1、JAM−A、JAM−B、JAM−C、ガレクチン−1、ガレクチン−3、およびガレクチン−9、PD−L2、SNAI1、ZEB1、B7−H3、IDO、LSECtin、CEACAM−1、HMGB−1、CD112、CD155を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、TM4SF1を標的化し、センス鎖配列、例えば、配列番号100に記載の配列を含む。一部の実施形態において、siRNAは、センス鎖配列、例えば、配列番号101に記載の配列を含む、CAGおよびCUGトリヌクレオチドリピート由来のsiRNA(siCAG/CUG)である。一部の実施形態において、siRNAは、CD47/IAPを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PLK1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、MCL1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM1を標的化する。
【0072】
[0107]誘導された骨髄性(myeoloid)白血病細胞分化タンパク質(MCL1)は、Bcl−2ファミリーに属するMCL1遺伝子によってコードされたタンパク質である。MCL1発現は、乳がんなどのがんで上昇していることがよくある。アポトーシスの回避は、腫瘍発達を促進し、がん療法によって誘導された細胞死に対するバリアとしても作用する。ミトコンドリア依存性アポトーシスは、Bcl−2ファミリーメンバーによって制御され、すなわちこれらのタンパク質は、ミトコンドリアの完全性を調節することによって細胞運命を制御する。アポトーシスの間、アポトーシス促進性Bcl−2メンバーの上方調節が、抗アポトーシス性のBcl−2の機能に打ち勝ち、結果としてミトコンドリア外膜の透過化および細胞死を引き起こす。抗アポトーシス性のBcl−2タンパク質、例えばBCL−2、MCL−1、またはBCL−XLのレベルにおける異常な増加は、アポトーシスを妨げ、それによりがんを促進し、がん療法によって誘導された細胞死に対する耐性を許容する。それゆえに、MCL−1またはBCL−XLの発現または不活性化を低減することが、がんを処置する、および/またはがんの進行を遅延させる方法を提供する。したがって、本開示の一実施形態は、MCL−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、MCL−1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、MCL−1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、MCL−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示の別の実施形態は、BCL−XLを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、BCL−XLをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、BCL−XLの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、および/または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、BCL−XLを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0073】
[0108]マウス二重微小染色体2相同体(Mdm2)は、MDM2遺伝子によってコードされるヒト発がん性タンパク質である。Mdm2は、腫瘍抑制因子p53タンパク質の転写活性を抑えるp53応答性タンパク質として同定されている(すなわち、Mdm2は、p53のアンタゴニストである)。Mdm2は、p53のN末端トランス活性化ドメインに結合し、ブロックすることによってp53を抑える。Mdm2の転写は、p53によって活性化される。多数のがん、例えば急性骨髄性白血病(AML)および一部の固形腫瘍が、Mdm2の異常な活性によるp53の機能不全を有する。Mdm2のp53との相互作用をブロックすることは、がん性細胞および/またはMdm2を過剰発現する細胞においてアポトーシスを誘導する。したがって、Mdm2の発現を低減させること、またはMdm2を不活性化することは、がんを処置するおよび/またはその進行を遅延させる方法を提供する。したがって、本開示の一実施形態は、Mdm2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm2を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm2をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm2の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、Mdm2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0074】
[0109]マウス二重微小染色体4相同体(Mdm4)は、MDM4遺伝子によってコードされたヒト発がん性タンパク質である。Mdm2と同様に、Mdm4は、p53の阻害剤として同定されており、Mdm2と構造的な類似性を有する。Mdm4もまた、その転写活性化ドメインに結合するによってp53を阻害する。加えて、Mdm4は、RINGフィンガードメインを介してMdm2と相互作用し、後者の分解を阻害することが示されている。Mdm4は、p53のアポトーシス促進機能を拮抗させることによって、がん性細胞、例えば黒色腫細胞の生存を促進する。Mdm4のp53との相互作用の阻害は、p53の機能を回復させ、がん性細胞におけるアポトーシスおよび/またはがんを標的化する治療剤に対する感受性の増加をもたらす。したがって、Mdm4の発現を低減させることまたはMdm4を不活性化することは、がんを処置するおよび/またはその進行を遅延させる方法を提供する。したがって、本開示の一実施形態は、Mdm4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm4をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm4を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、Mdm4の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、Mdm4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0075】
[0110]プログラム死−リガンド1(PD−L1)は、CD274遺伝子によってコードされたヒトタンパク質である。PD−L1は、特定の事象の間に、例えばがんおよび自己免疫疾患において、免疫系を抑制することにおいて主要な役割を果たす。PD−L1が、PD−1またはB7−1に結合すると、それが阻害シグナルのきっかけとなり、抗原特異的なT細胞の増殖を低減し、抗炎症性T細胞においてアポトーシスを低減する。PD−1/PD−L1経路は、内因性免疫抗腫瘍活性に応答してがん性細胞によってもたらされる適応免疫耐性メカニズムである。PD−L1は、一般的に、腫瘍細胞において、過剰発現される。PD−L1は、活性化されたT細胞上のPD−1受容体に結合し、それにより、さもなくば腫瘍細胞を標的化するであろう細胞傷害性T細胞の阻害が起こる。PD−1/PD−L1経路の阻害は、天然の細胞傷害性T細胞が、がん性細胞を標的化し、それを消滅させることを可能にする。結果として、PD−L1の発現を低減させることまたはPD−L1を不活性化することは、がんを処置するおよび/またはその進行を遅延させる方法を提供する。したがって、本開示の一実施形態は、PD−L1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PD−L1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0076】
[0111]PD−L1に加えて、PD−L2は、PD−1の別のリガンドである。PD−1/PD−L2経路の阻害は、腫瘍細胞による免疫回避を可能にする。したがって、本開示の一実施形態は、PD−L2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L2を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L2をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PD−L2の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PD−L2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0077】
[0112]表面抗原分類47は、インテグリン関連タンパク質(CD47/IAP)としても公知であり、CD47遺伝子によってコードされたヒト膜貫通タンパク質である。CD47は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに属する広く発現される細胞膜受容体である。CD47は、これらに限定されないが、細胞移動、細胞増殖、アポトーシス、および細胞接着などのいくつかの生理学的なプロセスへの関与が示されている。加えて、CD47は、食細胞(例えば、マクロファージ)で発現されるシグナル調節タンパク質アルファ(SIRP−α)のライゲーションを介して、貪食の阻害剤として機能する。CD47は、腫瘍増殖の阻害および転移の防止において役割を果たす。例えば、CD47をブロックすることは、がん細胞が天然のマクロファージによる貪食から逃れることを可能にするCD47−SIRPα経路を途中妨害する。加えて、CD47のライゲーションは、がん細胞のアポトーシスを誘導する。さらに、CD47を標的化することは、腫瘍微小環境を改善する。したがって、本開示の一実施形態は、CD47を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CD47を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CD47をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CD47の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CD47を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0078】
[0113]アップフレームシフト(Upframeshift)1(UPF1)は、RNAヘリカーゼであり、活発にmRNAを分解する細胞プロセスであるナンセンス媒介mRNA崩壊(NMD)において重要な役割を果たす。UPF1は、mRNA核輸送とmRNA監視の両方に関与するスプライシング後の多タンパク質複合体の一部である。本開示の一実施形態は、UPF1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、UPF1は、新抗原の提示を促進する。一部の実施形態において、siRNAは、UPF1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、UPF1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、UPF1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、UPF1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。ナンセンス媒介mRNA崩壊(NMD)は、未成熟翻訳終止コドン(PTC)を含有する異常なmRNAを分解するmRNA品質管理メカニズムである。NMDに必須のタンパク質としては、プロテインキナーゼであるSMG−1、およびRNAヘリカーゼ活性を有するSMG−1の基質であるUPF1が挙げられる。UPF1は、早期終結コドンを内包する異常なmRNAを消滅させ、正常な生理学的なmRNAの定常状態レベルを調節する。UPF1のノックダウンは、異常なmRNAの生存、および体内の他所では起こらない異常なタンパク質へのその翻訳を引き起こす。これらの異常なタンパク質は、B細胞に外来として認識される可能性がある。したがって、本発明の開示の一実施形態は、UPF1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、UPF1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、UPF1は、新抗原の提示を促進する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、UPF1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0079】
[0114]MutL(大腸菌)相同体1(結腸がん、非ポリポーシス2型)は、MLH1としても公知であり、DNA複製後のミスマッチ修復プロセスに関与するタンパク質である。一部の実施形態において、MLH1の一時的なノックダウンは、新抗原を生成し、PD−1に対する感受性をもたらすミスマッチ修復を下方調節する。したがって、本開示の一実施形態は、MLH1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、MLH1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、MLH1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、MLH1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、MLH1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0080】
[0115]N−アシルノイラミン酸シチジリルトランスフェラーゼ(CMAS)は、ヒトにおいてCMAS遺伝子によってコードされる酵素である。CMASは、N−アセチルノイラミン酸(NeuNAc)をシチジン5’−一リン酸N−アセチルノイラミン酸(CMP−NeuNAc)に変換する。このプロセスは、シアル化糖タンパク質およびグリコリピドの形成において重要である。この改変は、細胞間コミュニケーションおよび免疫応答において役割を果たす。CMASの過剰発現は、シアル酸レベルの増加をもたらし、順にそれが、乳がんなどのがん細胞の病原性に関与する遺伝子の発現において豊富な転写署名を維持する。CMASのノックダウンを介して細胞のシアル化を低減させることは、転写再プログラミングおよび乳がん病原性の低減をもたらす。したがって、本開示の一実施形態は、CMASを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CMASをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CMASを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CMASの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CMASを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0081】
[0116]サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)は、細胞分裂プロテインキナーゼ4としても公知であり、CDK6は、どちらも、サイクリン依存性キナーゼファミリーの一部である酵素である。CDK4およびCDK6は、哺乳類細胞の増殖において重要な役割を果たす。CDK4(INK4)−網膜芽細胞腫(Rb)経路のサイクリンD−CDK4/CDK6−阻害剤は、G1(DNA合成前)からS(DNA合成)に至る細胞周期チェックポイントを制御することによって細胞増殖を調節する。サイクリンD−CDK4/CDK6−INK4−Rb経路の調節異常は、がんにおいて頻繁に観察され、細胞周期の進行および成長の継続に寄与する。CDK4およびCDK6は、D型サイクリンと会合し、Rbのリン酸化状態を調節することによって、G1期からS期への移行を媒介する。非リン酸化Rbは、E2ファミリー(E2F)転写因子と結合し、その機能を抑える;リン酸化されると、Rbは、E2F転写因子から解離し、それを自由にすることでDNA複製および細胞分裂に参加できるようにする。増加したサイクリンCDK4およびCDK6活性は、Rbのリン酸化を促進するものであり、これは、D型サイクリンの過剰発現、CDK4および/またはCDK6遺伝子の突然変異または増幅、またはサイクリンCDK4およびCDK6の負の調節因子、例えばp16INK4Aの喪失を含むいくつかのメカニズムを介して起こる可能性がある。最終的に、増加したCDK4およびCDK6活性は、がん細胞の成長をもたらす。したがって、CDK4および/またはCDK6を阻害することは、進行中のがんを有する患者に新規の治療アプローチを提供する。したがって、本開示の一実施形態は、CDK4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CDK4を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CDK4をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CDK4の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CDK4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示のさらに別の実施形態は、CDK6を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CDK6を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CDK6をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CDK6の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CDK6を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0082】
[0117]セリン/スレオニン−プロテインキナーゼ(PLK1)は、polo様キナーゼ1、またはセリン/スレオニン−プロテインキナーゼ13(STPK13)としても公知であり、セリン/スレオニン−プロテインキナーゼ(PLK4)はまた、polo様キナーゼ4としても公知であり、どちらもセリン/スレオニンプロテインキナーゼのpoloファミリーの一部である酵素である。PLK1は、細胞周期のM期にわたり、中心体の成熟および紡錘体集合の調節、染色体腕からのコヒーシンの除去、後期促進複合体/サイクロソーム(APC/C)阻害剤の不活性化、ならびに有糸分裂終了および細胞質分裂の調節を含むいくつかの重要な機能を実行する。PLK1の機能不全は、がん性の形質転換を促進し、その進行を駆り立てる。PLK1の過剰発現は、様々なヒトがんに見出され、がんにおける予後不良に関連する。PLK1の阻害は、有糸分裂の複数の段階を妨害することによってがん細胞の致死を引き起こす。したがって、PLK1は、がん療法のための魅力的な標的である。したがって、本開示の一実施形態は、PLK1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PLK1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PLK1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PLK1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PLK1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0083】
[0118]PLK4は、細胞周期の間の中心小体の複製を調節する;すなわち、PLK4は、中心体の複製に必須である。PLK4の過剰発現は、有糸分裂の忠実度の変更を引き起こし、腫瘍形成のきっかけとなる。したがって、PLK4の阻害は、がんに対する抗新生物作用を有する。したがって、本開示のさらに別の実施形態は、PLK4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PLK4を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PLK4をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PLK4の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PLK4を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0084】
[0119]オーロラBキナーゼ(AURKB)およびオーロラAキナーゼ(AURKA)は、有糸分裂を調節するオーロラキナーゼファミリーのメンバーであるタンパク質である。オーロラキナーゼは、染色体の移動と分離の間に微小管と会合する。オーロラキナーゼBは、動原体に近い微小管に、具体的にはK繊維と呼ばれる特殊化された微小管に局在し、オーロラキナーゼAは、中心体に局在する。AURKBおよびAURKAは、様々なヒト腫瘍で過剰発現される。AURKBおよびAURKAの過剰発現は、異常な細胞分裂を誘導し、結果として、細胞において中心体の増幅および多重核形成を引き起こす。AURKBおよびAURKA阻害は、別個のメカニズムを介してがん性細胞のアポトーシスを誘導する。AURKA阻害は、有糸分裂紡錘体集合の欠損を誘導し、その結果、一時的な紡錘体チェックポイント依存性の有糸分裂停止を引き起こす。この細胞周期の停止は、維持されず、その後、AURKAが阻害された細胞は有糸分裂から出て、G1停止の誘導とそれに続くアポトーシス、またはp53とは無関係のメカニズムのいずれかによってアポトーシスを引き起こす。対照的に、AURKBの阻害は、有糸分裂中の正常な染色体の整列にも干渉し、有糸分裂紡錘体チェックポイントを無視し、倍数性、細胞質分裂の失敗、および核内倍加とそれに続く細胞死を引き起こす。したがって、本開示の一実施形態は、AURKBを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、AURKBを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、AURKBをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、AURKBの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、AURKBを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示の別の実施形態は、AURKAを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、AURKAを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、AURKAをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、AURKAの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、AURKAを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0085】
[0120]がん転移は、腫瘍細胞と遠位の組織における内皮との細胞間相互作用によって促進される。2つの主要な細胞接着分子ファミリー、セレクチンおよびインテグリンが転移に参加する。血管内で、循環腫瘍細胞が最終的に内皮と相互作用することにより、腫瘍細胞の拘束と血管外遊出を引き起こす。腫瘍微小環境への白血球の動員の間に、免疫細胞はまず「ローリング」を受け、これは、内皮P/E−セレクチン、末梢リンパ節アドレシン(PNAd)、および粘膜血管アドレシン細胞接着分子1(MADCAM−1)、加えて白血球L−セレクチン、PSGL−1、およびE−セレクチンリガンド間の相互作用によって開始される。この工程は、堅い接着が起こらない限り、可逆的である。堅い接着は、内皮細胞間細胞接着分子1/2(ICAM−1/2)、血管細胞接着分子(VCAM−1)、MADCAM−1の、白血球のα4β7インテグリン、α4β1インテグリン(VLA4)、およびαLβ2インテグリン(LFA−1)との相互作用によって媒介される。αMβ2インテグリン(Mac−1)は、内皮に沿った先端の白血球の平坦化とクローリング(crawling)のきっかけとなる。遊出は、内皮血小板内皮細胞接着分子−1(PECAM−1)およびジャンクション接着分子−A/B/C(JAM−A/B/C)が、白血球のPECAM−1、LFA−1、VLA−4、およびMac−1と相互作用することによって調節される最終工程である。腫瘍細胞−内皮の接触は、炎症および/または白血球の腫瘍微小環境への動員の間に、平行なこれらの白血球−内皮細胞相互作用を形成する。確かに腫瘍細胞接着のメカニズムは炎症部位への白血球動員とは異なるが、腫瘍細胞の内皮との接触形成に関与する細胞接着分子は同じである。
【0086】
[0121]セレクチンおよびインテグリンは、様々ながんのタイプのがん、例えば、結腸癌および肺癌ならびに黒色腫の進行において重要な役割を有する。セレクチンによって媒介される腫瘍細胞の拘束と接着が転移に寄与する一方で、腫瘍細胞と周囲環境の両方からのインテグリンによって媒介される相互作用はさらに、がんの進行に寄与する。セレクチンは、血液循環内で白血球および血小板および内皮の接着性相互作用に関与する血管細胞接着分子である。セレクチンファミリーには、3つのメンバー、すなわちP−、E−、およびL−セレクチンが存在する。P−セレクチンは、血小板の貯蔵顆粒(α顆粒)および内皮細胞(ワイベル−パラーデ小体)中に存在し、したがって活性化時の細胞表面上の急速な転移を可能にする。それとは逆に、E−セレクチンの内皮発現はデノボ転写を必要とし、刺激の数時間後に活性化された内皮細胞表面での発現をもたらす。L−セレクチンは、ほとんど全ての白血球亜集団の細胞表面上で構成的に発現される。L−セレクチンは、内皮上における白血球の迅速なローリングを媒介し、P−およびE−セレクチンは、より低速でローリングを支持する。内皮上への白血球のテザリングおよびローリングにおける最初の工程は、セレクチンとその炭水化物リガンドとの急速で可逆的な相互作用によって支持される。
【0087】
[0122]P−、L−、またはE−セレクチンは、脈管構造内の腫瘍細胞との接触を媒介する。例えば、P−セレクチンの発現を介した血小板−腫瘍細胞の血栓の形成は、宿主反応の回避を助け、それによって転移に寄与する。さらに、E−セレクチン発現は、肝臓などの特定の組織の転移性の定着の間に検出される。E−セレクチン発現の阻害は、転移の減弱を引き起こす。したがって、本開示の一実施形態は、P−セレクチンを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、P−セレクチンをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、P−セレクチンを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、P−セレクチンの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、P−セレクチンを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本発明の開示のさらに別の実施形態は、E−セレクチンを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、E−セレクチンを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、E−セレクチンをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、E−セレクチンの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、E−セレクチンを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0088】
[0123]セレクチンに加えて、細胞接着分子およびインテグリンは、がん転移において役割を果たす。血管のインテグリンの腫瘍微小環境中のECM成分への結合は、内皮細胞の浸潤および移動に寄与する。例えば、血管細胞接着分子1(VCAM−1)の、内皮上のインテグリンα4β1(VLA−4)への結合は、黒色腫などの特定のがんにおける腫瘍細胞接着および経内皮遊走に必要である。β1インテグリンのサイレンシング、したがってVLA−4およびVCAM−1結合の喪失は、転移を強く低減させた。したがって、本開示の一実施形態は、VCAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、VCAM−1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、VCAM−1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、VCAM−1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、VCAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。さらに、粘膜血管アドレシン細胞接着分子1(MADCAM1)は、アドレシンとしても公知であり、インテグリンα4β7のリガンドであり、がん転移に参加する。したがって、本開示の一実施形態は、MADCAM1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、MADCAM1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、MADCAM1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、MADCAM1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、MADCAM1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0089】
[0124]本開示の一実施形態は、ICAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ICAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示のさらに別の実施形態は、ICAM−2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−2を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−2をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ICAM−2の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ICAM−2を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0090】
[0125]本開示の一実施形態は、PNAdを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PNAdを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PNAdをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PNAdの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PNAdを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示のさらに別の実施形態は、PECAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、PECAM−1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、PECAM−1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、PECAM−1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、PECAM−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0091】
[0126]本開示の別の実施形態は、JAM−Aを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Aを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Aをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Aの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、JAM−Aを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示の別の実施形態は、JAM−Bを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Bを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Bをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Bの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、JAM−Bを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示の別の実施形態は、JAM−Cを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Cを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Cをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、JAM−Cの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、JAM−Cを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0092】
[0127]癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(胆汁糖タンパク質)(CEACAM1)は、CD66a(表面抗原分類66a)としても公知であり、ヒト糖タンパク質であり、癌胎児性抗原(CEA)細胞接着分子ファミリーのメンバーである。CEACAM1は、がん細胞で発現され、がん転移も促進する。したがって、本開示の一実施形態は、CEACAM1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CEACAM1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CEACAM1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CEACAM1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CEACAM1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0093】
[0128]共阻害性受容体、例えばCTLA−4、PD−1、Lag−3、Tim−3、およびTIGITなどは、T細胞で発現される。これらの受容体は、エフェクターT細胞応答の適度な縮小を制御し、Treg細胞の適度な機能を保証する。これらの受容体の標的化は、がん性細胞に対する抗腫瘍のT細胞応答を改善する。リンパ球活性化遺伝子−3(Lag−3)は、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞のサブセットで上方調節される。LSECtinは、Lag−3のリガンドである。肝臓およびリンパ節の類洞内皮細胞のC型レクチン(LSECtin)は、細胞接着機能を示し、がん転移の様々な工程に寄与する細胞表面のC型レクチンである。したがって、本開示の一実施形態は、LSECtinを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、LSECtinを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、LSECtinをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、LSECtinの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、LSECtinを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0094】
[0129]Lag−3に加えて、Tim−3およびTIGITもまた、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞において一時的に上方調節される。T細胞免疫グロブリン−3(Tim−3)は、末梢血単球、マクロファージ、T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞で発現される。Tim−3は、腫瘍に対するT細胞応答の阻害にとって重要な阻害性受容体である。Tim−3はまた、内皮細胞でも発現され、転移を促進する。Tim−3リガンドは、ガレクチン−9、高移動度グループボックス1タンパク質(HMGB1)、およびCEACAM1などが挙げられ、これは、腫瘍細胞において上方調節される。Tim−3およびガレクチン−9、HMGB1、およびCEACAM1経路は、T細胞媒介性免疫応答にとって負の調節因子とみなされる。言い換えれば、腫瘍細胞における免疫抑制性Tim−3リガンドが上方調節されると、腫瘍細胞の免疫監視の回避が起こり、腫瘍の進行が可能になる。したがって、本開示の一実施形態は、ガレクチン−9を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−9を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−9をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−9の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、Tim−3−ガレクチン−9経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ガレクチン−9を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本発明の開示の別の実施形態は、HMGB1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、HMGB1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、HMGB1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、HMGB1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、Tim−3−HMGB1経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、HMGB1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0095】
[0130]Igおよび免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフドメイン(TIGIT)を含むT細胞免疫受容体は、CD4+FoxP3+Treg細胞およびNK細胞の約3分の1で発現され、組織炎症部位におけるTreg細胞で高度に上方調節される。Tim−3と同様に、TIGITも、がん免疫性を生じる工程の多くにおいて役割を果たす。CD155およびCD112などのTIGITリガンドは、腫瘍細胞で過剰発現される。CD155およびCD112などのTIGITリガンドの阻害は、単独で、または他の阻害性受容体の阻害と組み合わせて、腫瘍の進行および/または転移を抑制する。したがって、本開示の一実施形態は、CD155を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CD155を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CD155をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CD155の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、TIGIT−CD155経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CD155を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。本開示の別の実施形態は、CD112を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、CD112を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、CD112をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、CD112の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、TIGIT−CD112経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、CD112を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0096】
[0131]PD−1、Tim−3、TIGIT、およびLag−3に類似して、B7H3は、別個の分子メカニズムを介してではあるが、T細胞の機能を負に調節する。B7−H3は、多様な固形がんで過剰発現される免疫チェックポイント分子であり、しばしば患者における予後不良および負の臨床転帰と相関する。したがって、本開示の一実施形態は、B7−H3を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、B7−H3をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、B7−H3を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、B7−H3の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、B7−H3経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、B7−H3を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0097】
[0132]PD−1、Tim−3、TIGIT、Lag−3、およびB7H3に類似して、インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ−1(IDO)は、腫瘍増殖を支持する免疫抑制性の腫瘍微小環境を生成することに関与するチェックポイントタンパク質である。IDOは、腫瘍細胞および腫瘍微小環境を取り囲む細胞で過剰発現される。IDOは、免疫系のエフェクターT細胞を阻害することによってその免疫調節作用を発揮する。次いで、増加したIDOタンパク質レベルが、病原体および腫瘍細胞を破壊する免疫系の能力を媒介するエフェクターT細胞の成長の停止およびアポトーシスを駆動させる。IDO過剰発現は、エフェクターT細胞の数を低減させることによって、免疫系によるがん細胞の効果的な破壊を妨げる。したがって、本開示の一実施形態は、IDOを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、IDOを標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、IDOをコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、IDOの発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、siRNAは、IDO経路をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、または阻害する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、IDOを標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0098】
[0133]ガレクチンは、体全体で豊富であり、広く分布するβ−ガラクトシド糖に特異的に結合するタンパク質のクラスである。ガレクチン−3、ガレクチン−1、およびガレクチン−9は、がんに関連がある。例えば、ガレクチン−3は、悪性形態への形質転換、転移、および増加した侵襲などの腫瘍形成における役割を果たす。したがって、本開示の一実施形態は、ガレクチン−3を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−3を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−3をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−3の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ガレクチン−3を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。さらに、ガレクチン−1は、がん進行において過剰発現される。ガレクチン−1は、細胞の接着、移動および浸潤、腫瘍によって誘導される血管新生、ならびにアポトーシスなどの様々なプロセスに関与する。したがって、本開示の一実施形態は、ガレクチン−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ガレクチン−1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ガレクチン−1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0099】
[0134]ジンクフィンガータンパク質SNAI1は、Snailとしても公知であり、これは、接着分子であるE−カドヘリンの抑制を促進する転写因子ファミリーの一部であるヒト転写因子である。SNAI1は、浸潤性腫瘍の上皮および内皮細胞で過剰発現される。SNAI1の発現は、転移、腫瘍再発、および予後不良に関連する。したがって、本開示の一実施形態は、SNAI1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、SNAI1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、SNAKI1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、SNAI1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、SNAI1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0100】
[0135]ジンクフィンガーE−ボックス結合ホメオボックス1(ZEB1)は、がんの侵襲および転移の発展に寄与するヒトタンパク質である。ZEB1は、上皮遺伝子、例えばE−カドヘリンおよびマイクロRNAのmiR−200ファミリーの下方調節におけるその重要な役割のために、上皮間葉転換(EMT)およびがん進行の駆動体として作用する。したがって、本開示の一実施形態は、ZEB1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを提供する。一部の実施形態において、siRNAは、ZEB1を標的化する。一部の実施形態において、siRNAは、ZEB1をコードするポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズすることが可能である。一部の実施形態において、siRNAは、ZEB1の発現をサイレンシングする、不活性化する、下方調節する、阻害する、または低減する。一部の実施形態において、がんの処置を必要とする対象におけるがんを処置する方法は、ZEB1を標的化する抗体−siRNAコンジュゲートを投与するステップを含む。
【0101】
[0136]本開示の一実施形態は、抗体またはその抗原結合フラグメントおよびmiRNAを含むコンジュゲートを提供する。マイクロRNA(miRNA)は、真核生物の様々な種にわたり高度に保存された内因性の小さい非コードRNAである。miRNAは、主として配列特異的な方式でそれらの3’非翻訳領域(UTR)を標的化することによって、無数のタンパク質をコードする転写物の細胞での翻訳および安定性を抑える。このmiRNAによる遺伝子発現の選択的なサイレンシングは、ヒトの健康および疾患に深い影響を有することが予想される。ヒトにおいて、2500種を超えるmiRNAが公知である。(例えば、miRBaseを参照:ディープシーケンシングデータを使用して高信頼度のマイクロRNAに注釈を付ける)。miRNA遺伝子は、RNAポリメラーゼIIによって一次miRNA(プリmiRNA)として優勢に転写され、これは、核中で、マイクロプロセッサー複合体(ドローシャおよびDGCR8(ディジョージ症候群重要領域8)で構成される)によって前駆miRNA(プレmiRNA)にプロセシングされる。その後、プレmiRNAは、エクスポーチン−5−Ran−GTP複合体によって細胞質に運び出され、そこでダイサー1は、プレmiRNAのヘアピンループを切断し、TARBP2(TAR RNA結合タンパク質2)は、アルゴノートタンパク質AGO2上へのRNA二重鎖のローディングを容易にする。アンチセンス鎖(成熟)がAGO2によって保持され、センス鎖が分解されることによって、サイレンシング複合体が形成される。さらなる研究において、非正規のmiRNA生物発生も報告されている。(例えば、Regulation of microRNA biogenesis、Ha M.Kim VN Nat Rev Mol Cell Biol.2014年8月;15(8):509〜24.を参照)。
【0102】
[0137]miRNAをコードする遺伝子が転写されて、プレmiRNAとして公知のmiRNA前駆体の産生をもたらすことができる。プレmiRNAは、複数のプレmiRNAを含む多シストロン性RNAの一部であってもよい。プレmiRNAは、ステムおよびループを有するヘアピンを形成することができる。プレmiRNAのヘアピン構造は、RNアーゼIIIエンドヌクレアーゼであるドローシャによって認識することができる。ドローシャは、プレmiRNA中の末端ループを認識し、およそ2つのヘリカルターンをステムに切断して、プレmiRNAとして公知の60〜70ntの前駆体を産生することができる。ドローシャは、RNアーゼIIIエンドヌクレアーゼに典型的な互い違いの切断でプリmiRNAを切断して、5’リン酸と約2個のヌクレオチドの3’オーバーハングを有するプレmiRNAステムループを生じさせることができる。ドローシャ切断部位を超えて伸長するステムのおよそ1つのヘリカルターン(約10ヌクレオチド)は、効率的なプロセシングに必須であり得る。次いでプレmiRNAは、Ran−GTPおよび輸送受容体であるエクスポーチン(Ex−portin)−5によって、核から細胞質に活発に輸送され得る。プレmiRNAは、同様にRNアーゼIIIエンドヌクレアーゼであるダイサーによって認識される場合もある。ダイサーは、プレmiRNAの二本鎖ステムを認識することができる。またダイサーは、ステムループの塩基における5’リン酸および3’オーバーハングも認識することができる。ダイサーは、ステムループの塩基から末端ループである2つのヘリカルターンを切り離して、追加の5’リン酸および約2個のヌクレオチドの3’オーバーハングを残すことができる。得られたsiRNA様の二重鎖は、ミスマッチを含む可能性があり、成熟miRNAおよびmiRNA
*として公知の類似のサイズを有するフラグメントを含む。miRNAおよびmiRNA
*は、プレmiRNAおよびプレmiRNAの対立するアーム由来であってもよい。miRNA
*配列は、クローニングしたmiRNAのライブラリーで見出すことができるが、典型的にはmiRNAより低い頻度である。miRNAは、最初のうちはmiRNA
*との二本鎖種として存在するが、最終的にはRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)として公知のリボ核タンパク質複合体に一本鎖RNAとして取り込まれることになり得る。様々なタンパク質がRISCを形成することができ、それにより、miRNA/miRNA
*二重鎖に対する特異性、標的遺伝子の結合部位、miRNAの活性(抑えるまたは活性化する)、およびmiRNA/miRNA
*二重鎖のどの鎖をRISCにローディングするのかということに可変性をもたらすことができる。miRNA:miRNA
*二重鎖のmiRNA鎖がRISCにローディングされる場合、miRNA
*は、除去され分解されてもよい。RISCにローディングされるmiRNA:miRNA
*二重鎖の鎖は、その5’末端がそれほど強く対合していない鎖であり得る。miRNA:miRNA
*の両方の末端が概ね等しい5’対合を有する場合において、両方のmiRNAおよびmiRNA
*が、遺伝子サイレンシング活性を有する可能性がある。
【0103】
[0138]RISCは、miRNAとmRNAとの間の高いレベルの相補性に基づいて、特にmiRNAの2〜8ヌクレオチドにより、標的核酸を同定することができる。多数の研究が、翻訳の効率的な阻害を達成するための、miRNAとそのmRNA標的との間の塩基対合の必要条件を調べてきた。哺乳類細胞において、miRNAの最初の8ヌクレオチドが重要であり得る。しかしながら、マイクロRNAの他の部分も、mRNA結合に参加している可能性がある。さらに、3’における十分な塩基対合は、5’における不十分な対合を補うことができる。全ゲノムにおけるmiRNA結合を分析するコンピューター使用の研究は、標的結合におけるmiRNAの5’における塩基2〜7に関する具体的な役割を示唆しているが、通常「A」であることが見出されている第1のヌクレオチドが役割を有することも認められた。mRNAにおける標的部位は、5’UTR、3’UTRまたはコード領域中に存在し得る。興味深いことに、複数のmiRNAが、同じまたは複数の部位を認識することによって同じmRNA標的を調節する可能性がある。ほとんどの遺伝学的に同定された標的における複数のmiRNA結合部位の存在が、複数のRISCの協同的な作用が、最も効率的な翻訳阻害を提供することを示し得る。
【0104】
[0139]miRNAは、2つのメカニズム:mRNA切断または翻訳抑制のいずれかによって遺伝子発現を下方調節するようにRISCに指示することができる。mRNAがmiRNAに対して特定の程度の相補性を有する場合、miRNAは、mRNAの切断を指定することができる。miRNAが切断をガイドする場合、miRNAの残基10および11に対合するヌクレオチドの間で切断がなされ得る。代わりに、miRNAがmiRNAに対して必要な程度の相補性を有さない場合、miRNAは、翻訳を抑えることができる。翻訳抑制は、動物でより普及している場合があり、これは、動物が、miRNAと結合部位との間における比較的低い程度の相補性を有し得るためである。
【0105】
[0140]miRNAおよびmiRNA
*のあらゆる対の5’および3’末端において可変性が存在し得ることに留意されたい。この可変性は、切断部位に関するドローシャおよびダイサーの酵素的なプロセシングにおける可変性に起因する可能性がある。miRNAおよびmiRNA
*の5’および3’末端における可変性はまた、プリmiRNAおよびプレmiRNAのステム構造におけるミスマッチに起因する可能性もある。ステム鎖のミスマッチは、異なるヘアピン構造の集団を生じる可能性がある。またステム構造における可変性は、ドローシャおよびダイサーによる切断生成物における可変性を生じる可能性もある。
【0106】
[0141]一部の実施形態において、miRNA配列は、13〜33、18〜24または21〜23ヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、miRNAは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、成熟miRNAの配列は、プレmiRNAの13〜33ヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、miRNAの配列は、プレmiRNAの最後の13〜33ヌクレオチドを含む。
【0107】
[0142]一部の実施形態において、RNA分子は、例えば、プリmiRNA、プレmiRNA、miRNAまたはmiRNA
*に結合することによって(例えば、アンチセンスまたはRNAサイレンシング)、または標的結合部位に結合することによってmiRNAまたはmiRNA
*の活性をブロックすることが可能な抗miRNAである。抗miRNAは、合計5〜100または10〜60ヌクレオチドを含んでいてもよい。抗miRNAはまた、合計少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチドを含んでいてもよい。抗miRNAの配列は、(a)miRNAに結合し、その活性を抑える目的のために、miRNAの5’に実質的に相補的な少なくとも5ヌクレオチド、およびmiRNAの5’末端からの標的部位の隣接領域に実質的に同一な少なくとも5〜12ヌクレオチド;または(b)miRNAのその標的に結合する能力を阻害する目的のために、miRNAの3’に実質的に同一な少なくとも5〜12ヌクレオチド、およびmiRNAの3’末端からの標的部位の隣接領域に実質的に相補的な少なくとも5ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0108】
[0143]核酸はまた、標的miRNA結合部位の配列またはそのバリアントを含んでいてもよい。標的部位の配列は、合計5〜100または10〜60ヌクレオチドを含んでいてもよい。標的部位の配列はまた、合計少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62または63ヌクレオチドを含んでいてもよい。がんとの関与が示されており、本開示の一部の実施形態において抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントにコンジュゲートされる例示的なmiRNAを、以下の表1にその標的と共に列挙する。
【0112】
[0145]本開示の一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントおよびmRNAを含むコンジュゲートが提供される。近年、インビトロで転写された(IVT)mRNAは、遺伝情報を送達するための見込みのある新しい薬物クラスとして注目を集めている。このような合成mRNAは、構造的に似た天然mRNAによってタンパク質を一時的に発現するように操作されていてもよい。mRNAベースのがん免疫療法および感染性疾患ワクチンは、臨床開発に入っている。新興の新規アプローチとしては、タンパク質を置き換えるかまたは補充するためのIVT mRNAのインビボでの送達、多能性幹細胞のIVT mRNAベースの生成、およびIVT mRNAによってコードされたデザイナーヌクレアーゼを使用するゲノム工学が挙げられる。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、一部の実施形態において、がん疾患の処置または防止(予防)のための、療法または接種、例えばワクチン接種のために使用される。ワクチン接種は、一部の例において、腫瘍の抗原(または数種の抗原)を、抗原をコードするmRNAの形態で生物に導入することに基づく。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、(腫瘍)抗原に翻訳され、改変されたmRNAによってコードされたポリペプチドまたは抗原性ペプチドが発現され、その結果として、ポリペプチドまたは抗原性ポリペプチドに対して向けられた免疫応答が刺激される。一部の実施形態において、このようながん抗原をコードするmRNAをコンジュゲート内で使用することは、免疫応答を惹起する。この手段によって、がん抗原は生物中で発現され、その結果として、効果的にがん細胞に対して向けられた免疫応答が引き起こされる。腫瘍抗原の非限定的な例は、とりわけ、707−AP、AFP、ART−4、BAGE、β−カテニン/m、Bcr−abl、CAMEL、CAP−1、CASP−8、CDC27/m、CDK4/m、CEA、CT、Cyp−B、DAM、ELF2M、ETV6−AML1、G250、GAGE、GnT−V、Gp100、HAGE、HER−2/neu、HLA−A
*0201−R170I、HPV−E7、HSP70−2M、HAST−2、hTERT(またはhTRT)、iCE、KIAA0205、LAGE、LDLR/FUT、MAGE、MART−1/メラン−A、MC1R、ミオシン/m、MUC1、MUM−1、−2、−3、NA88−A、NY−ESO−1、p190マイナーbcr−abl、Pml/RARα、PRAME、PSA、PSM、RAGE、RU1またはRU2、SAGE、SART−1またはSART−3、TEL/AML1、TPI/m、TRP−1、TRP−2、TRP−2/INT2およびWT1である。
【0113】
[0146]一部の実施形態において、コンジュゲートは、例示的な経路を標的化する。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、個別化されたがんワクチンである。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、少なくとも1つの患者に特異的な新抗原に翻訳される。一部の実施形態において、少なくとも1つの患者に特異的な新抗原は、患者の特異的な腫瘍中に存在する。一部の実施形態において、少なくとも1つの患者に特異的な新抗原は、腫瘍エキソームを分析することによって同定される。一部の実施形態において、患者に特異的な新抗原は、腫瘍細胞をよりよく標的化し消滅させるために、患者の免疫系を活性化する。
【0114】
[0147]一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、免疫系を活性化する、ブーストする、および/または強化するがんワクチンである。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、T細胞の機能および/または生存を強化するがんワクチンである。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、インビボでT細胞の数を増加させるがんワクチンである。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、OX40リガンド(OX40L)に翻訳される。OX40Lは、T細胞の分裂および生存を促進する。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、IL−12に翻訳される。IL−12は、抗原性の刺激に応答して、樹状細胞、マクロファージ、および好中球によって産生されるサイトカインである。IL−12は、T細胞の成長および機能を刺激するT細胞刺激因子である。IL−12はまた、ナイーブT細胞のTh1細胞への分化にも関与する。他の共刺激分子としては、これらに限定されないが、CD28、CD54、CD58、CD80、CD86、CD25、CD83、およびp55が挙げられる。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD28に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD58に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD54に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD80に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD86に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD25に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、CD83に翻訳される。一部の実施形態において、コンジュゲートのmRNAは、p55に翻訳される。
【0115】
[0148]一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、細胞療法で、またはそれと組み合わせて使用される。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、患者由来の免疫細胞、例えば、これに限定されないが樹状細胞の、インビトロにおけるトランスフェクションで使用される。一部の実施形態において、操作された患者由来の細胞は、患者に注入し戻される。一部の実施形態において、mRNAは、腫瘍関連抗原に翻訳され、患者由来の免疫細胞(例えば、患者由来の樹状細胞)によって発現される。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートの患者由来の細胞への投与は、患者由来の樹状細胞上へのTAA由来ペプチドの提示をもたらす。一部の実施形態において、操作された患者由来の細胞が一旦患者に注入され戻されたら、mRNAを含むコンジュゲートの患者由来の細胞への投与は、インビボにおける抗原特異的なT細胞の活性化をもたらす。一部の実施形態において、患者由来の免疫細胞は、T細胞である。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、インビトロにおける患者由来のT細胞のトランスフェクションで使用される。一部の実施形態において、患者由来のT細胞は、mRNAを含むコンジュゲートでの処置の後、腫瘍上で発現される特異的な抗原を直接認識することができる。一部の実施形態において、mRNAは、患者由来のT細胞上のキメラ抗原受容体(CAR)に翻訳される。一部の実施形態において、mRNAを含むコンジュゲートは、CAR−T細胞と組み合わせて使用される。
【0116】
[0149]本明細書で提供される抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(例えば抗体−RNAコンジュゲート、抗体−DNAコンジュゲート、抗体−アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート)は、一部の場合、少なくとも約40%から約100%、例えば、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のノックダウン率を達成することができる。
【0117】
III.標的化タンパク質およびオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲート
[0150]一部の実施形態において、本開示は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗TM4SF1抗体を含むコンジュゲートを提供する。本発明の開示の状況において有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドの様々な特徴が本明細書に記載される。アンチセンスオリゴヌクレオチドの機能特性を説明する場合、このような特性も、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗TM4SF1抗体を含むコンジュゲートを説明するのに使用できることに留意されたい。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドの機能的または構造的な特性のあらゆる説明は、特定の実施形態において、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗TM4SF1抗体を含む、本開示のアンチセンスコンジュゲートを説明するのに使用される。
【0118】
[0151]一部の例において、好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートも含めて、DNAにハイブリダイズする。一部の例において、好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートも含めて、RNAにハイブリダイズする。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド(コンジュゲートの一部として存在する場合も含めて)は、RNA転写物の3’UTR、例えば3’UTRにおける1つまたは複数のCUGリピートにハイブリダイズする。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド(コンジュゲートの一部として存在する場合も含めて)は、転写物のコード配列にハイブリダイズする。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、転写物に、例えば、転写物の3’UTRに選択的に結合する。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、拡張されたCUGリピート(>50のCUGリピート)を有する転写物に選択的に結合する。
【0119】
[0152]理論に縛られることはないが、アンチセンス分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の、RNA分子、例えばCUG拡張RNA分子との特異的なハイブリダイゼーションは、RNAのプロセシングを変更するか、またはRNAと別のタンパク質または核酸分子との物理的および/または化学的な相互作用を変更する可能性がある。例えば、本発明の開示のアンチセンス分子のCUG拡張RNAとの特異的なハイブリダイゼーションは、RNAの分解、例えば、RNアーゼHによって媒介される分解による、RNAのスプライシングパターンなどを変更する可能性があり、またはタンパク質または核酸がRNAに結合することを防ぐ可能性があり、またはCUG拡張RNAに結合した核酸またはタンパク質を解放する可能性がある。
【0120】
[0153]一部の実施形態において、アンチセンス分子は、開始コドン(RNAではAUGおよびDNAではATG)または停止コドン(RNAではUAA、UAGおよびUGA、ならびにDNAではTAA、TAGおよびTGA)を含む領域を標的化する。一部の実施形態において、アンチセンス分子は、開始または停止コドンの50ヌクレオチド以内の領域を標的化する。一部の実施形態において、アンチセンス分子は、CUG拡張DNAまたはRNAのORFなどの、DNAまたはRNA分子のオープンリーディングフレーム(ORF)の一部を含む領域を標的化する。ORFは、開始コドンと停止コドンとの間のRNAの領域を含む。一部の実施形態において、アンチセンス分子は、DNAもしくはRNAのコード領域(すなわち、エクソン)および/またはDNAもしくはRNAの非コード領域(すなわち、イントロン)に結合する。一部の実施形態において、アンチセンス分子は、スプライシングシグナルに、例えばイントロン−エクソンジャンクションに結合する。前述のもののいずれかの特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、野生型および/またはCUG拡張されたRNAにハイブリダイズする。
【0121】
[0154]一部の実施形態において、アンチセンス分子は、5’UTRまたは3’UTRを含むRNAの領域を標的化する。5’UTRは、非翻訳配列を含み、非翻訳配列としては、例えば、調節配列(例えば、鉄応答エレメント配列、イントロンまたはリボスイッチ)、5’メチルグアニル酸キャップ、またはそれらの組合せが挙げられる。3’UTRは、ポリアデニル化シグナル、タンパク質のための結合配列(例えばSECISエレメントまたはAUリッチエレメント)、またはmiRNAのための結合配列などの配列を含み得る。
【0122】
[0155]一部の実施形態において、アンチセンス分子は、アンチセンス分子がRNAの別のタンパク質に結合することを防ぐようにして、RNA、例えばCUG拡張RNAにハイブリダイズする。例えば、アンチセンス分子は、RNAがタンパク質に結合できないようにして、RNAにハイブリダイズすることができる。例えば、アンチセンス分子は、RNA分子上の同じ結合部位について、例えば、「YGCY」モチーフ(式中、「Y」はピリミジンである)について、タンパク質と競合してもよい(Goers,E S、2010、Nucl.Acids Res.、38(7):2467〜84)。
【0123】
[0156]特定の実施形態において、アンチセンス分子は、過量(>50)のCUGまたはCCUGリピートを有するRNA分子にハイブリダイズする。例えば、アンチセンス分子は、過量のCUGまたはCCUGリピートを有するCUG拡張された(例えば、突然変異)RNAに結合することができる。一部の実施形態において、アンチセンス分子は、CUGリピート、CAGリピート、CCUG、CCGまたはCGGリピートの1つまたは複数にハイブリダイズする。
【0124】
[0157]本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基の1つまたは複数の領域を介してRNAまたはDNAにハイブリダイズする。「相補的」は、2つのヌクレオチド間、例えば、アデニンとチミンとの間、アデニンとウラシルとの間、およびグアニンとシトシンとの間で特異的に対合する能力である。しかしながら、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その標的DNAまたはRNA分子とハイブリダイズするために、必ずしもその標的核酸のオリゴヌクレオチドに100%相補的でなくてもよい。アンチセンス化合物は、そのDNA分子の転写に干渉する程度に標的分子に結合する場合、標的DNA分子とハイブリダイズすることが可能である。アンチセンス化合物は、細胞におけるRNA分子の既存の状態を変更する程度にRNA分子に結合する場合、標的RNA分子、例えば突然変異RNAとハイブリダイズすることが可能である。例えば、アンチセンス化合物は、RNアーゼHなどの酵素によってRNA分子の分解を引き起こす程度に、もしくはRNA分子のスプライシングを変更する(すなわち、誘導または阻害する)程度にRNA分子に結合するか、またはタンパク質または核酸のRNA分子への結合を防ぐように、RNA分子と相互作用するか、またはそれまでRNA分子に結合していたタンパク質を解放するように、RNA分子と相互作用する場合、標的RNA分子、例えば、突然変異RNAとハイブリダイズすることが可能である。
【0125】
[0158]一部の実施形態において、アンチセンス分子(例えば、アンチセンスコンジュゲートのアンチセンスオリゴヌクレオチド部分)は、8〜50ヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、アンチセンス分子は、12〜35ヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、アンチセンス分子は、12〜30ヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、アンチセンス分子は、14〜25ヌクレオチドの長さである。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、14〜30、14〜25、14〜20、14〜18、14〜17、15〜30、15〜25、15〜20、15〜18、16〜30、16〜25、16〜20、16〜18、17〜30、17〜25、17〜20、または17〜18ヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチドを含むかまたはそれからなる。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、65℃での少なくとも約0.2×SSCのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でRNA転写物(コードまたは非コード領域)にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0126】
[0159]一部の実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチド、は、リボ核酸(RNA)もしくはデオキシリボ核酸(DNA)もしくはそれらの模倣体、または前述のもののいずれかの組合せのオリゴマーまたはポリマーである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然に存在する核酸塩基、糖および共有結合のヌクレオシド間の(バックボーン)連結で構成されるオリゴヌクレオチドに加えて、天然に存在しない核酸塩基、糖および共有結合のヌクレオシド間の(バックボーン)連結を有するオリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。アンチセンス分子の天然に存在しない部分は、一部の場合、これらの部分は、アンチセンス分子に、例えば核酸標的に対する強化された親和性およびヌクレアーゼの存在下における増加した安定性などの所望の特性を与えることができるために使用される。
【0127】
[0160]一部の場合、本開示の核酸/アンチセンスオリゴヌクレオチド、改変された核酸/改変されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む。ヌクレオシドは、例えば、塩基−糖の組合せである。一部の場合、ヌクレオシドの塩基部分は、複素環塩基、例えば、プリンまたはピリミジン塩基である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で連結されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合、リン酸基は、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル成分のいずれかに連結され得る。オリゴヌクレオチドを形成することにおいて、リン酸基は、隣接するヌクレオシドを互いに共有結合で連結して、直鎖状のポリマー性化合物を形成する。順にこの直鎖状ポリマー性構造のそれぞれの末端がさらに合体して、環状構造を形成することができる。オリゴヌクレオチド構造内において、リン酸基は、一般的に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間のバックボーンを形成すると言及される。RNAおよびDNAの正常な連結またはバックボーンは、3’から5’のホスホジエステル結合である。
【0128】
[0161]一部の実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、改変されたバックボーンまたは非天然のヌクレオシド間の連結を含有するオリゴヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、改変されたバックボーンを有するオリゴヌクレオチドとしては、バックボーン中にリン原子を保持するものが挙げられる。他の実施形態において、改変されたバックボーンを有するオリゴヌクレオチドとしては、バックボーン中にリン原子を有さないものが挙げられる。
【0129】
[0162]一部の実施形態において、リン原子を含まない改変されたオリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間の連結、混成のヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間の連結、または1つもしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間の連結によって形成されるバックボーンを有する。これらには、モルホリノ連結(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成された)を有するもの;シロキサンバックボーン;硫化物、スルホキシドおよびスルホンバックボーン;ホルムアセチル(formacetyl)およびチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;リボアセチルバックボーン;アルケンを含有するバックボーン;スルファミン酸バックボーン;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルホン酸およびスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーン;ならびに混成のN、O、SおよびCH2構成要素部分を有する他のものが含まれる。
【0130】
[0163]本発明の開示の一部の実施形態において、核酸のオリゴヌクレオチドバックボーン、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNA、DNAなどのオリゴヌクレオチドバックボーンは、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のホスホン酸アルキル、例えば、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートなどのホスホロアミデート、正常な3’−5’連結を有する、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェートおよびボラノホスフェート、これらの2’−5’連結された類似体、ならびに1つまたは複数のインターヌクレオチド結合が3’から3’、5’から5’または2’から2’の連結である、逆転した極性を有するものを含む。
【0131】
[0164]一部の実施形態において、改変されたオリゴヌクレオチドにおいて、ヌクレオチド単位の、糖およびヌクレオシド間の連結の両方、すなわちバックボーンは、新規の基で置き換えられる。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。1つのこのようなオリゴマー化合物は、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣体であり、これは、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖−バックボーンが、アミドを含有するバックボーン、特定にはアミノエチルグリシンバックボーンで置き換えられる。核酸塩基は保持され、バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合する。
【0132】
[0165]本発明の開示の一部の実施形態において、ホスホロチオエートバックボーンを有するオリゴヌクレオチド、ならびにヘテロ原子バックボーン、例えば−CH2−NH−O−CH2−、−CH2−N(CH3)−O−CH2−[メチレン(メチルイミノ)またはMMIバックボーンとして公知]、−CH2−O−N(CH3)−CH2−、−CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2−および−O−N(CH3)−CH2−CH2−[式中、天然のリン酸ジエステルバックボーンは、−O−P(=O)(OH)−O−CH2−として表される]、および好適なアミドバックボーン、またはモルホリノバックボーン構造を有するオリゴヌクレオシドを含むコンジュゲートが提供される。
【0133】
[0166]改変されたオリゴヌクレオチドはまた、1つまたは複数の置換された糖成分を含有していてもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2’位に、以下:OH;F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキルのうちの1つを含み、アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換のC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2を含み、式中nおよびmは、1〜約10である。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2’位に、以下:C1〜C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的な特性を改善するための基、および類似の特性を有する他の置換基のうち1つを含む。一部の実施形態としては、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、2’−DMAOEまたは2’−ジメチルアミノエトキシエトキシとしても公知のO(CH2)2ON(CH3)2基(当技術分野では2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても公知)、すなわち、2’−O−CH2−O−CH2−N(CH2)2を含むアンチセンス分子が挙げられる。
【0134】
[0167]一部の実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アルコキシアルコキシ基、例えば、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても公知)を含む(例えば、Martinら、Helv.Chim.Acta、1995、78、486〜504を参照)。一実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−MOEを含む。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1〜10個のMOEヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2〜7個のMOEヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、3〜6個のMOEヌクレオチドを含む。
【0135】
[0168]一部の実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、制限されたフラノース環コンフォメーションを有するヌクレオチド類似体、例えばロックド核酸(LNA)を含む。LNAにおいて、2’−ヒドロキシル基は、糖環の3’または4’炭素原子に連結され、それによって二環式糖成分が形成される。一部の実施形態において、LNAにおける連結は、2’酸素原子と4’炭素原子を架橋するメチレン(methelyne)(−CH2−)n基であり、式中nは、1または2である。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1〜10個のLNAヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンス分子は、2〜7個のLNAヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンス分子は、3〜6個のLNAヌクレオチドを含む。
【0136】
[0169]本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の実施形態において、アンチセンス分子への改変としては、2’−メトキシ(2’−O−CH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)、2’−アリル(2’−CH2−CH=CH2)、2’−O−アリル(2’−O−CH2−CH=CH2)および2’−フルオロ(2’−F)が挙げられる。2’−改変は、アラビノ(上)の位置またはリボ(下)の位置にあってもよい。2’−アラビノ改変の例は、2’−Fである。類似の改変はまた、オリゴヌクレオチド上の他の位置になされてもよく、特定には、3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位に、または2’−5’連結オリゴヌクレオチド中に、5’末端ヌクレオチドの5’位になされてもよい。オリゴヌクレオチドはまた、糖模倣体を有していてもよく、例えばペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル成分を有していてもよい。
【0137】
[0170]本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、核酸塩基(当技術分野では単に「塩基」と称されることが多い)の改変または置換を含んでいてもよい。「改変されていない」または「天然」核酸塩基としては、本明細書で使用される場合、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、およびピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。改変された核酸塩基としては、他の合成および天然核酸塩基、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルおよびアデニン、ならびにグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルおよびアデニン、ならびにグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、ならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、ならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。さらなる改変された核酸塩基としては、三環式ピリミジン、例えばフェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、G−クランプ、例えば置換フェノキサジンシチジン(例えば9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンズオキサジン−2(3H)−オン)、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2−オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)が挙げられる。改変された核酸塩基としてはまた、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環で置き換えられたもの、例えば7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2−ピリドンも挙げることができる。一部の例において、核酸塩基としては、例えば、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6およびO−6置換プリン、例えば2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンなどが挙げられる。5−メチルシトシン置換は、核酸の二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されている。
【0138】
[0171]DNAおよびASOをコンジュゲートするためのプロトコールは、一部の実施形態において、配列内において3’/5’以外で終結する核酸塩基を含むことを除いて、二本鎖オリゴヌクレオチドと同様である。あらゆる核酸塩基のリン酸基は、ホモまたはヘテロ官能性のリンカー/スペーサーでの官能化に好適なコンジュゲーションハンドルで改変されていてもよい。一般的な安定化は、ホスフェートからホスホチオエートへのホスホチオエート化(phosphothioation)を介してなされ得る。チオエーテルは、活性化されたエステル、アジド、アルキンまたは付加環化基などの、末端コンジュゲーショングループを取り付けるのに好適な官能性を有し得る。環状オリゴヌクレオチドは、環状オリゴヌクレオチド上の環化点に取り付けられたコンジュゲーションハンドルと共に含まれていてもよい。官能化および目的のタンパク質へのコンジュゲーションは、本明細書に記載の他のリンカー−オリゴヌクレオチドの場合と同じであってもよい。
【0139】
[0172]必ずしも所与の化合物における全ての位置で均一に改変されていなくてもよく、実際には、前述の改変の1つより多くが、単一の化合物中に取り込まれていてもよいし、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドに取り込まれていてもよい。本発明の開示はまた、キメラ化合物であるアンチセンスオリゴヌクレオチドも含む。「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」は、本開示の状況において、それぞれ、少なくとも1つの単量体単位、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合ではヌクレオチドで構成されている、2またはそれより多くの化学的に別個の領域を含有するアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞内取り込み、および/または標的核酸に対する増加した結合親和性がオリゴヌクレオチドに付与されるように、オリゴヌクレオチドが改変されている少なくとも1つの領域を含有する。オリゴヌクレオチドの追加の領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素の基質として役立つ可能性がある。一例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。それゆえにRNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を大きく強化する。結果として、キメラオリゴヌクレオチドが使用される場合、より短いオリゴヌクレオチドを用いて、しばしば同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して同等の結果を得ることができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、および必要に応じて当技術分野において公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、慣例的に検出することができる。
【0140】
[0173]本開示のキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上述したような、2つまたはそれより多くのオリゴヌクレオチド、改変されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣体の複合構造として形成することができる。このような化合物は、ハイブリッドまたはギャップマーとも称される。
【0141】
[0174]「ギャップマー」は、一部の場合において、オリゴマー化合物であり、一般的に、非デオキシオリゴヌクレオチドセグメントが隣接する2’−デオキシオリゴヌクレオチド領域を有するオリゴヌクレオチドである。中央の領域は、「ギャップ」と称される。隣接するセグメントは、「ウィング」と称される。理論に拘束されることは望まないが、ギャップマーのギャップは、RNA標的に結合すると、RNアーゼHによって認識できる基質を呈示し、それに対してウィングはこのような基質を提供しないが、二重鎖安定性または有利な薬物動態学的作用に寄与する特性などの他の特性を付与することができる。各ウィングは、1つまたは複数の非デオキシオリゴヌクレオチド単量体であってもよい(ウィングの1つが、ゼロ個の非デオキシオリゴヌクレオチド単量体を有する場合、「ヘミマー(hemimer)」が記載される)。一実施形態において、ギャップマーは、5個の非デオキシリボヌクレオチドウィングが隣接する10個のデオキシリボヌクレオチドギャップである。これは、5−10−5ギャップマーと称される。他の実施形態において、ギャップマーは、3個の非デオキシリボヌクレオチドウィングが隣接する8個のデオキシリボヌクレオチドギャップである。これは、3−8−3ギャップマーと称される。他の実施形態において、ギャップマーは、3個の非デオキシリボヌクレオチドウィングが隣接する10個のデオキシリボヌクレオチドギャップである。これは、3−10−3ギャップマーと称される。他の立体配置、例えば3−7−3ギャップマーなどは、当業者により容易に認識される。
【0142】
[0175]一部の実施形態において、上述したギャップマーは、LNAおよびMOEヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、ギャップマーは、1〜10個のLNAおよび/またはMOEヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、ギャップマーは、2〜7個のLNAおよび/またはMOEヌクレオチドを含む。他の実施形態において、ギャップマーは、3〜6個のMOEおよび/またはLNAヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、リボヌクレオチドの隣接するブロックは、LNAおよび/またはMOEヌクレオチドを含む。
【0143】
[0176]一部の実施形態において、上述されるギャップマーは、標的RNAヌクレオチド、例えば、突然変異DMPK RNA分子のRNアーゼH分解を誘導する。他の実施形態において、ギャップマーは、RNアーゼHとは無関係の経路によって、標的RNAヌクレオチド、例えば、突然変異DMPK RNA分子の分解を誘導する。一部の実施形態において、ギャップマーは、DNAまたはRNA配列への、例えば突然変異RNAへのタンパク質の結合を防止する。一部の実施形態において、ギャップマーは、標的RNA分子、例えば、突然変異RNAの分解を誘導し、さらに、空間配置的に、例えばDNAまたはRNA配列への、例えば突然変異RNAへのタンパク質の結合も阻害する。
【0144】
[0177]一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNA分子中の拡張されたCUGリピートに結合するギャップマーである。一部の実施形態において、ギャップマーは、突然変異RNA配列中のCUGリピートに結合する。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、空間配置的にタンパク質または核酸の標的RNAまたはDNA配列への結合をブロックするモルホリノ分子である。一部の実施形態において、モルホリノもまた、標的RNAまたはDNA配列の分解のきっかけとなる。一部の実施形態において、モルホリノ分子は、突然変異RNAに結合し、タンパク質のRNA分子への結合を防止する。一部の実施形態において、RNA分子への結合が防止されるタンパク質は、他のRNA分子基質への結合は自由である。一部の実施形態において、モルホリノ分子は、20〜30個のヌクレオチドを含む。他の実施形態において、モルホリノ分子は、23〜27個のヌクレオチドを含む。他の実施形態において、モルホリノ分子は、25個のヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、モルホリノは、RNA分子中のCUGリピートと結合する。一部の実施形態において、モルホリノは、突然変異RNA配列中のCUGリピートに結合する。
【0145】
[0178]一部の実施形態において、本発明の開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メチル(2’−OMe)および/またはホスホロチオエート改変を含む分子であって、RNA分子、例えば、突然変異RNAの分解を特異的に開始させる分子である。一部の実施形態において、これらの分子は、2’−O−メチル(2’−OMe)およびホスホロチオエート改変を含む。一部の実施形態において、これらの分子は、RNアーゼHによって媒介される分解の手段によってまたはRNアーゼH分解以外の手段によって、標的RNA配列、例えば、突然変異RNAの分解を誘導する。
【0146】
[0179]前述したことの全てに関して、特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、標的へのハイブリダイゼーション後のRNアーゼHによって媒介される分解を促進することが理解されるものとする。しかしながら、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドにとってさえも、このような能力は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが機能する唯一のメカニズムであることを意味しないかまたは示唆しない。
【0147】
IV.標的化タンパク質としてのTM4SF1結合タンパク質
[0180]一部の実施形態において、コンジュゲートは、標的化タンパク質、抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートとして、TM4SF1結合タンパク質を含む。TM4SF1は、テトラスパニン形態を有するが相同性を有さない小さい原形質膜糖タンパク質である(NCBI参照配列番号NP_055035.1)(Wrightら、Protein Sci.9:1594〜1600、2000)。これは、原形質膜上にTM4SF1濃縮ドメイン(TMED)を形成し、この場合、真のテトラスパニンのように、機能的に関連する膜およびサイトゾル分子を補充する分子促進剤として役立ち(Shihら、Cancer Res.69:3272〜3277、2009;Zukauskasら、Angiogenesis.14:345〜354、2011)、がん細胞増殖(Hellstromら、Cancer Res.46:3917〜3923、1986)、運動性(Changら、Int J Cancer.116:243〜252、2005)、および転移(Richmanら、Cancer Res.5916s〜5920s、1995)において重要な役割を果たす。ヒトTM4SF1タンパク質のアミノ酸配列(NCBI参照配列番号NP_055035.1)は、以下に配列番号91として示される。
MCYGKCARCI GHSLVGLALL CIAANILLYF PNGETKYASE NHLSRFVWFF SGIVGGGLLM LLPAFVFIGL EQDDCCGCCG HENCGKRCAM LSSVLAALIG IAGSGYCVIV AALGLAEGPLCLDSLGQWNYTFASTEGQYLLDTSTWSECTEPKHIVEWNVSLFSILLALG GIEFILCLIQVINGVLGGIC GFCCSHQQQY DC(配列番号91)
[0181]本開示の一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントは、TM4SF1のECL2ドメインに特異的である。ヒトTM4SF1のECL2ドメインのアミノ酸配列は、EGPLCLDSLGQWNYTFASTEGQYLLDTSTWSECTEPKHIVEWNVSLFS(配列番号92)である。
【0148】
[0182]以下の表3に記載されるように、TM4SF1に特異的な抗体を含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。表3に記載される抗体は、モノクローナルマウス抗体8G4、AGX−A03、AGX−A04、AGX−A05、AGX−A07、AGX−A08、AGX−A09、およびAGX−A11であり、これらのそれぞれは、TM4SF1のECL2領域と結合することができる。
【0149】
[0183]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号87または88に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号73または74に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一の配列を含むIgG重鎖定常領域を含む。
【0150】
[0184]別の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号89に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0151】
[0185]別の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3、15、27、39、51、63、75、または92に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3、15、27、39、51、63、75、または92に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0152】
[0186]別の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号9、21、33、45、57、69、81、または93に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号9、21、33、45、57、69、81、または93に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%同一の、または100%同一の配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0153】
[0187]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号6、18、30、42、54、66、78、または94に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号7、19、31、43、55、67、79、または95に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号8、20、32、44、56、68、80、または96に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む。
【0154】
[0188]一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号12、24、36、48、60、72、84または97に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号13、25、37、49、61、73、85、または98に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号14、26、38、50、62、74、86、または99に、少なくとも約80%から少なくとも約85%、少なくとも約85%から少なくとも約90%、少なくとも約90%から少なくとも約91%、少なくとも約91%から少なくとも約92%、少なくとも約92%から少なくとも約93%、少なくとも約93%から少なくとも約94%、少なくとも約94%から少なくとも約95%、少なくとも約95%から少なくとも約96%、少なくとも約96%から少なくとも約97%、少なくとも約97%から少なくとも約98%、少なくとも約98%から少なくとも約99%、または少なくとも約99%から100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む。
【0155】
[0189]マウスモノクローナル抗体AGX−A03のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号6、7、および8(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号12、13、および14(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号6、7、および8のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号12、13、および14のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む、抗TM4SF1抗体、または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A03のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A03の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および9に記載される。
【0156】
[0190]マウスモノクローナル抗TM4SF1抗体AGX−A04のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号18、19、および20(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号24、25、および26(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号18、19、および20のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号24、25、および26のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A04のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A04の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号15および21に記載される。
【0157】
[0191]マウスモノクローナル抗体AGX−A05のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号30、31、および32(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号36、37、および38(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号30、31、および32のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号36、37、および38のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A05のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A05の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号27および33に記載される。
【0158】
[0192]マウスモノクローナル抗体AGX−A07のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号42、43、および44(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号48、49、および50(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号42、43、および44のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号48、49、および50のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A07のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A07の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号39および45に記載される。
【0159】
[0193]マウスモノクローナル抗体AGX−A08のアミノ酸配列は、表3に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号54、55、および56(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号60、61、および62(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号54、55、および56のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号60、61、および62のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A08のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A08の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号51および57に記載される。
【0160】
[0194]マウスモノクローナル抗体AGX−A09のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号66、67、および68(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号72、73、および74(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号66、67、および68のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号72、73、および74のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A09のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A09の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号63および69に記載される。
【0161】
[0195]マウスモノクローナル抗体AGX−A11のアミノ酸配列は、表2に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号78、79、および80(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号84、85、および86(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号78、79、および80のアミノ酸配列に記載のCDRを含む重鎖可変領域、および/または配列番号84、85、および862のアミノ酸配列に記載のCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。AGX−A11のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。さらに、AGX−A11の重鎖可変アミノ酸配列および軽鎖可変アミノ酸配列は、それぞれ配列番号75および81に記載される。
【0162】
[0196]モノクローナル抗体8G4のアミノ酸配列は、表3に記載される。具体的には、重鎖CDR配列は、配列番号94、95、および96(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載され、軽鎖CDRアミノ酸配列は、配列番号97、98、および99(CDR1、CDR2、およびCDR3)に記載される。配列番号94、95、および96のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む重鎖可変領域、ならびに/または配列番号97、98、および99のアミノ酸配列に記載されるCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。8G4のCDRを含むヒト化された抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートが、本開示に含まれる。
【0163】
[0197]一実施形態において、本開示は、配列番号3に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号9に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号15に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号21に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号27に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号33に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号39に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号45に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号51に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号57に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号63に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号69に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号75に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号81に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号92に記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメイン、および配列番号93に記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。
【0164】
[0198]一実施形態において、本発明の開示は、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、または配列番号75から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の重鎖可変ドメイン配列を有し;配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、または配列番号81から選択されるアミノ酸配列に、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または100%同一の軽鎖可変ドメイン配列を有する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。
【0165】
[0199]一実施形態において、本開示は、IgGであり、それぞれ重鎖可変ドメインならびに重鎖定常領域CH1、CH2およびCH3を含む2つの重鎖と、それぞれ軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常領域(CL)を含む2つの軽鎖とを包含する4つのポリペプチド鎖を含む抗TM4SF1抗体を含むコンジュゲートを含む。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4である。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1である。他の実施形態において、抗体は、IgG2である。重鎖および軽鎖可変ドメイン配列は、表2に記載のCDRを含有していてもよい。
【0166】
[0200]相補性決定領域(CDR)は、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方において高度可変領域として公知である。それより高度に保存された可変ドメインの部分は、フレームワーク(FR)と呼ばれる。所与の抗体のCDRおよびフレームワーク領域(FR)は、Kabatら、上記;Lefrancら、上記および/またはHoneggerおよびPluckthun、上記により説明されたシステムを使用して同定することができる。また、Kabatら(1991、NIH Publication 91〜3242、National Technical Information Service、Springfield、Va.)に記載される番号付けシステムも当業者によく知られている。これに関して、Kabatらは、あらゆる抗体に適用可能なCDRの同定を含む可変ドメイン配列の番号付けシステムを定義した。
【0167】
[0201]1つまたは複数のCDRを、共有結合または非共有結合のいずれかで分子に取り込むことで、それを抗原結合タンパク質にすることもできる。
[0202]抗原結合タンパク質は、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として取り込んでいてもよいし、共有結合でCDRが別のポリペプチド鎖に連結されていてもよいし、または非共有結合でCDRを取り込んでいてもよい。CDRは、抗原結合タンパク質が目的の特定の抗原に特異的に結合することを許容する。特にCDR3は、抗体または抗体フラグメントの抗原結合において重要な役割を果たすことがわかっている。
【0168】
[0203]一実施形態において、本開示は、配列番号8、配列番号20、配列番号32、配列番号44、配列番号56、配列番号68、配列番号80、または配列番号96のいずれか1つに記載のCDR3ドメインを含む重鎖を含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、配列番号75、または配列番号92のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号14、配列番号26、配列番号38、配列番号50、配列番号62、配列番号74、配列番号86、または配列番号99のいずれか1つに記載のCDR3ドメインを含む軽鎖を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供し、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、配列番号81、または配列番号93のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR3ドメインは一定に保ちつつ、重鎖および/または軽鎖の残存するCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性が導入されてもよく、一方で抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持する。
【0169】
[0204]一実施形態において、本開示は、配列番号7、配列番号19、配列番号31、配列番号43、配列番号55、配列番号67、配列番号79、または配列番号95のいずれか1つに記載のCDR2ドメインを含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、配列番号75、または配列番号92のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む重鎖を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号13、配列番号25、配列番号37、配列番号49、配列番号61、配列番号73、配列番号85、または配列番号98のいずれか1つに記載のCDR2ドメインを含み、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、配列番号81、または配列番号93のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する軽鎖を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR2ドメインは、一定を保ちながらも、可変性が、重鎖および/または軽鎖の残りのCDRおよび/またはフレームワーク領域に導入されてもよく、同時に、抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的な特徴、例えば結合親和性を保持する。
【0170】
[0205]一実施形態において、本開示は、配列番号6、配列番号18、配列番号30、配列番号42、配列番号54、配列番号66、配列番号78、または配列番号94のいずれか1つに記載のCDR1ドメインを含み、配列番号3、配列番号15、配列番号27、配列番号39、配列番号51、配列番号63、配列番号75、または配列番号92のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む可変ドメインを含む重鎖を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号12、配列番号24、配列番号36、配列番号48、配列番号60、配列番号72、配列番号84、または配列番号97のいずれか1つに記載のCDR1ドメインを含み、配列番号9、配列番号21、配列番号33、配列番号45、配列番号57、配列番号69、配列番号81、または配列番号93のいずれか1つに記載の配列に、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを有する軽鎖を含む抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。したがって、特定の実施形態において、CDR1ドメインは一定に保ちつつ、重鎖および/または軽鎖の残存するCDRおよび/またはフレームワーク領域に可変性が導入されてもよく、一方で抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1に結合する能力を保持し、親の機能的特徴、例えば結合親和性を保持する。
【0171】
[0206]また表2に記載される抗TM4SF1抗体およびフラグメントは、ヒト化されていてもよい。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が当技術分野において公知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒト源からそれに導入される1つまたは複数のアミノ酸残基を有していてもよい。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「インポート」残基と称されることが多く、これは、典型的には「インポート」可変ドメインから得られる。ヒト化は、例えば、Jonesら、1986、Nature 321:522〜25;Riechmannら、1988、Nature 332:323〜27;およびVerhoeyenら、1988、Science 239:1534〜36の方法に従って、高度可変領域配列をヒト抗体の対応する配列で置換することによって実行することができる。
【0172】
[0207]一部の場合において、ヒト化抗体は、CDRグラフティングによって構築され、この場合、親非ヒト抗体(例えば、げっ歯類)の6つのCDRのアミノ酸配列が、ヒト抗体フレームワーク上にグラフト化される。例えば、Padlanらは、CDR中の残基の約3分の1のみが実際に抗原と接触することを決定し、これらを「特異性決定残基」、またはSDRと名付けた(Padlanら、1995、FASEB J.9:133〜39)。SDRグラフティングの技術において、SDR残基のみが、ヒト抗体フレームワーク上にグラフト化される(例えば、Kashmiriら、2005、Methods 36:25〜34を参照)。
【0173】
[0208]ヒト化抗体の作製において使用される、ヒト可変ドメイン、軽鎖および重鎖の両方の選択は、抗原性を低減するのに重要であり得る。例えば、いわゆる「ベストフィット」方法に従って、非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の可変ドメインの配列は、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。げっ歯類の配列に最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして選択され得る(Simsら、1993、J.Immunol.151:2296〜308;およびChothiaら、1987、J.Mol.Biol.196:901〜17)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体に使用される可能性がある(Carterら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285〜89;およびPrestaら、1993、J.Immunol.151:2623〜32)。一部の場合において、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラスであるVL6サブグループI(VL6I)およびVHサブグループIII(VHIII)のコンセンサス配列由来である。別の方法において、ヒト生殖細胞系遺伝子は、フレームワーク領域の源として使用される。
【0174】
[0209]さらに、一般的に、抗体が、その抗原に対する親和性や他の好都合な生物学的特性を保持しながらヒト化されることが望ましい。この目標を達成するために、1つの方法によれば、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化された配列の3次元モデルを使用した親配列および様々な概念のヒト化生成物の分析のプロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性がある3次元立体配座構造を例示および表示するコンピュータープログラムが利用可能である。そのようなものとしては、例えば、WAM(WhiteleggおよびRees、2000、Protein Eng.13:819〜24)、Modeller(SaliおよびBlundell、1993、J.Mol.Biol.234:779〜815)、およびSwiss PDB Viewer(GuexおよびPeitsch、1997、Electrophoresis 18:2714〜23)が挙げられる。これらの表示の検査は、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基の可能性がある役割の分析、例えば、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析を許容する。この方法では、FR残基は、所望の抗体の特徴、例えば標的抗原への親和性の増加が達成されるように、レシピエントおよびインポート配列から選択し組み合わせることができる。一般的に、高度可変領域残基は、直接的に、ほぼ実質的に、抗原結合への影響に関与する。
【0175】
[0210]ヒト化に使用可能なヒトフレームワーク領域としては、これらに限定されないが、「ベストフィット」方法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Simsら、J.Immunol.151(1993)2296を参照);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89(1992)4285;およびPrestaら、J.Immunol.、151(1993)2623を参照);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro、およびFransson、Front.Biosci.13(2008)1619〜1633を参照);およびFRライブラリーをスクリーニングすることによって得られたフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.272(1997)10678〜10684およびRosokら、J.Biol.Chem.271(1996)22611〜22618を参照)が挙げられる。
【0176】
[0211]ヒト化抗体およびその作製方法は、例えば、Almagro、およびFransson、Front.Biosci.13(2008)1619〜1633で総論され、さらに、例えば、Riechmannら、Nature 332(1988)323〜329;Queenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86(1989)10029〜10033;米国特許第5,821,337号、7,527,791号、6,982,321号、および7,087,409号;Kashmiriら、Methods 36(2005)25〜34(SDR(a−CDR)グラフティングを説明する);Padlan、Mol.Immunol.28(1991)489〜498(「リサーフェイシング(resurfacing)」を説明する);Dall’Acquaら、Methods 36(2005)43〜60(「FRシャッフリング」を説明する);ならびにOsbournら、Methods 36(2005)61〜68およびKlimkaら、Br.J.Cancer、83(2000)252〜260(FRシャッフリングへの「ガイド選択」アプローチを説明する)で説明される。
【0177】
[0212]一実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1×10
−6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。
[0213]特定の実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10
−8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する。
【0178】
[0214]特定の実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10
−8M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0179】
[0215]特定の実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、約1×10
−3Mから約1×10
−4M、約1x10
−4Mから約1x10
−5M、約1x10
−5Mから約1x10
−6M、約1x10
−6から約1x10
−7M、約1x10
−7から約1x10
−8M、約1x10
−8Mから約1x10
−9M、約1x10
−9Mから約1x10
−10M、約1x10
−10Mから約1x10
−11M、約1x10
−11Mから約1x10
−12M、約2x10
−3Mから約2x10
−4M、約2x10
−4Mから約2x10
−5M、約2x10
−5Mから約2x10
−6M、約2x10
−6から約2x10
−7M、約2x10
−7から約2x10
−8M、約2x10
−8Mから約2x10
−9M、約2x10
−9Mから約2x10
−10M、約2x10
−10Mから約2x10
−11M、約2x10
−11Mから約2x10
−12M、約3x10
−3Mから約3x10
−4M、約3x10
−4Mから約3x10
−5M、約3x10
−5Mから約3x10
−6M、約3x10
−6から約3x10
−7M、約3x10
−7から約3x10
−8M、約3x10
−8Mから約3x10
−9M、約3x10
−9Mから約3x10
−10M、約3x10
−10Mから約3x10
−11M、約3x10
−11Mから約3x10
−12M、約4x10
−3Mから約4x10
−4M、約4x10
−4Mから約4x10
−5M、約4x10
−5Mから約4x10
−6M、約4x10
−6から約4x10
−7M、約4x10
−7から約4x10
−8M、約4x10
−8Mから約4x10
−9M、約4x10
−9Mから約4x10
−10M、約4x10
−10Mから約4x10
−11M、約4x10
−11Mから約4x10
−12M、約5x10
−3Mから約5x10
−4M、約5x10
−4Mから約5x10
−5M、約5x10
−5Mから約5x10
−6M、約5x10
−6から約5x10
−7M、約5x10
−7から約5x10
−8M、約5x10
−8Mから約5x10
−9M、約5x10
−9Mから約5x10
−10M、約5x10
−10Mから約5x10
−11M、約5x10
−11Mから約5x10
−12M、約5x10
−7Mから約5x10
−11M、約5×10
−7M、約1×10
−7M、約5×10
−8M、約1×10
−8M、約5×10
−9M、約1×10
−9M、約5×10
−10M、約1×10
−10M、約5×10
−11Mまたは約1×10
−11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、KDは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定される。
【0180】
[0216]特定の実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10
−10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0181】
[0217]特定の実施形態において、コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10
−6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一実施形態において、HEK293細胞は、カニクイザルTM4SF1を発現するようにトランスフェクトされている。さらなる実施形態において、HEK293細胞は、10
6コピーの18S rRNA当たり約600のmRNAコピーで、カニクイザルTM4SF1を発現する。
【0182】
[0218]抗体または抗体フラグメントのKDを決定する方法は、例えば、(例えば、BIACORE2000またはBIACORE3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を、約10反応単位(RU)での固定化した抗原またはFc受容体CM5チップと共に、25℃で使用して)抗原に対する抗体のKDを決定するのに使用することができる表面プラズモン共鳴が、あり得る。特定の実施形態において、FACSまたはフローサイトメトリーは、KDを決定するのに使用され、TM4SF1を発現する細胞、例えばHEK293細胞またはHUVEC細胞は、抗体またはフラグメントに結合させて、標準的な方法に従ってKDを測定するのに使用される。フローサイトメトリーを使用する抗体の親和性決定は、例えば、Geuijenら(2005)J Immunol Methods.302(1〜2):68〜77に記載される。特定の実施形態において、FACSは、抗体の親和性を決定するのに使用される。
【0183】
[0219]一実施形態において、本開示は、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントが、表3に記載のCDRアミノ酸配列と、少なくとも95%同一の(または少なくとも96%同一の、または少なくとも97%同一の、または少なくとも98%同一の、または少なくとも99%同一の)CDRのアミノ酸配列を含むような保存的アミノ酸置換を有する、本明細書に記載のCDRアミノ酸配列を有する抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換される置換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないものである。2つまたはそれより多くのアミノ酸配列が保存的置換により互いに異なる場合、パーセント配列同一性または類似性の程度は、置換の保存的性質のために補正されるように上方調整される場合がある。この調整を行うための手段は当業者に周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれるPearson(1994)Methods Mol.Biol.24:307〜331を参照されたい。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸のグループの例としては、(1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン;(2)脂肪族ヒドロキシル側鎖:セリンおよびスレオニン;(3)アミドを含有する側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;(4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;(5)塩基性側鎖:リジン、アルギニン、およびヒスチジン;(6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸、ならびに(7)硫黄を含有する側鎖:システインおよびメチオニンが挙げられる。
【0184】
[0220]本開示は、さらに、一部の実施形態において、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10−8Mまたはそれ未満のKDでヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含むコンジュゲートであって、ヒトIgGフレームワーク領域を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトIgGフレームワーク領域を含む重鎖可変領域を含む、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化されている。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、カニクイザルTM4SF1と交差反応する。
【0185】
[0221]本開示の別の態様において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定した場合、約5×10
−8M以下のKDで、ヒトTM4SF1のECL2ループ上のエピトープに結合する、ヒト化された抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントである。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HEK293過剰発現細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10
−6M以下のKDでカニクイザルTM4SF1に結合する。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約1×10
−8M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、1x10
−3Mから約1x10
−4M、約1x10
−4Mから約1x10
−5M、約1x10
−5Mから約1x10
−6M、約1x10
−6から約1x10
−7M、約1x10
−7から約1x10
−8M、約1x10
−8Mから約1x10
−9M、約1x10
−9Mから約1x10
−10M、約1x10
−10Mから約1x10
−11M、約1x10
−11Mから約1x10
−12M、約2x10
−3Mから約2x10
−4M、約2x10
−4Mから約2x10
−5M、約2x10
−5Mから約2x10
−6M、約2x10
−6から約2x10
−7M、約2x10
−7から約2x10
−8M、約2x10
−8Mから約2x10
−9M、約2x10
−9Mから約2x10
−10M、約2x10
−10Mから約2x10
−11M、約2x10
−11Mから約2x10
−12M、約3x10
−3Mから約3x10
−4M、約3x10
−4Mから約3x10
−5M、約3x10
−5Mから約3x10
−6M、約3x10
−6から約3x10
−7M、約3x10
−7から約3x10
−8M、約3x10
−8Mから約3x10
−9M、約3x10
−9Mから約3x10
−10M、約3x10
−10Mから約3x10
−11M、約3x10
−11Mから約3x10
−12M、約4x10
−3Mから約4x10
−4M、約4x10
−4Mから約4x10
−5M、約4x10
−5Mから約4x10
−6M、約4x10
−6から約4x10
−7M、約4x10
−7から約4x10
−8M、約4x10
−8Mから約4x10
−9M、約4x10
−9Mから約4x10
−10M、約4x10
−10Mから約4x10
−11M、約4x10
−11Mから約4x10
−12M、約5x10
−3Mから約5x10
−4M、約5x10
−4Mから約5x10
−5M、約5x10
−5Mから約5x10
−6M、約5x10
−6から約5x10
−7M、約5x10
−7から約5x10
−8M、約5x10
−8Mから約5x10
−9M、約5x10
−9Mから約5x10
−10M、約5x10
−10Mから約5x10
−11M、約5x10
−11Mから約5x10
−12M、約5x10
−7Mから約5x10
−11M、約5×10
−7M、約1×10
−7M、約5×10
−8M、約1×10
−8M、約5×10
−9M、約1×10
−9M、約5×10
−10M、約1×10
−10M、約5×10
−11Mまたは約1×10
−11MのKDでヒトTM4SF1に結合する。一部の実施形態において、KDは、HUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで決定される。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、TM4SF1を発現するHUVEC細胞を使用する標準的なフローサイトメトリーアッセイで、約5×10
−10M以下のKDでヒトTM4SF1に結合する。
【0186】
[0222]一実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体または抗原結合フラグメントのヒトTM4SF1への結合は、ヒトTM4SF1のECL2ループのグリコシル化に依存的でなく、すなわち、抗体の結合は、ECL2ループ(配列番号77)内のTM4SF1のグリコシル化から独立している。
【0187】
[0223]コンジュゲートの抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、いずれかのアイソタイプ(例えば、これらに限定されないが、IgG、IgM、およびIgE)のいずれかであり得る。特定の実施形態において、コンジュゲートの抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgGアイソタイプである。具体的な実施形態において、コンジュゲートの抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2またはIgG4アイソタイプ由来である。特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトIgG1、ヒトIgG2、またはヒトIgG4アイソタイプである。
【0188】
[0224]IgG2は、天然において、ADCCおよび/またはCDC活性が最も低い(Anら、MAbs.2009年11月〜12月;1(6):572〜579)。したがって、特定の実施形態において、IgG2は、有利に使用される。しかしながら、IgG2は、2つの余分なシステイン(4つのヒンジ間ジスルフィド結合を生じる)を有し、それにより抗体間ジスルフィド結合の形成を介した凝集が起こりやすくなる。関連する実施形態において、凝集を減少させるために、IgG2システインへの突然変異が作製される。
【0189】
[0225]本発明の開示は、TM4SF1に結合する抗体フラグメントを含むコンジュゲートを提供する。特定の環境において、全抗体よりも抗体フラグメントを使用するほうが利点がある。フラグメントのサイズが小さいほど迅速なクリアランスが可能になり、それにより細胞、組織、または臓器への改善された接近をもたらすことができる。特定の抗体フラグメントの総論に関して、Hudsonら、2003、Nature Med.9:129〜34を参照されたい。
【0190】
[0226]抗体フラグメントを産生するための様々な技術が開発されてきた。従来、これらのフラグメントは、無傷の抗体のタンパク質分解消化を介して得られた(例えば、Morimotoら、1992、J.Biochem.Biophys.Methods 24:107〜17;およびBrennanら、1985、Science 229:81〜83を参照)。しかしながら、現在これらのフラグメントは、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。Fab、Fv、およびscFv抗体フラグメントは全て、E.coliまたは酵母細胞で発現および分泌させることができ、したがって大量のこれらのフラグメントの容易な産生が可能である。抗体フラグメントは、上記で論じられた抗体ファージライブラリーから単離することができる。代替として、Fab’−SHフラグメントは、E.coliから直接回収し、化学的にカップリングして、F(ab’)2フラグメントを形成することができる。別のアプローチによれば、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。インビボでの半減期が増加したFabおよびF(ab’)2フラグメントは、サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む。抗体フラグメントを産生するための他の技術は、熟練した専門家には明らかであると予想される。特定の実施形態において、抗体は、単鎖Fvフラグメント(scFv)である。FvおよびscFvは、定常領域を欠く無傷の結合部位を有する。したがってそれらは、インビボでの使用中における非特異的な結合の低減に適している可能性がある。単鎖Fv(scFv)融合タンパク質を構築して、scFvのアミノまたはカルボキシ末端のいずれかにおけるエフェクタータンパク質の融合をもたらすことができる(例えば、Borrebaeck編、上記を参照)。抗体フラグメントはまた、「線状抗体」であってもよく、例えば、上記で引用された参考文献に記載されたものである。このような線状抗体は、単一特異性または多重特異性、例えば二重特異性であってもよい。特定の実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、およびscFvからなる群から選択することができる。
【0191】
[0227]例えばヒトTM4SF1に高親和性を有する抗TM4SF1抗体(およびフラグメント)は、当技術分野において公知のスクリーニング技術を使用して同定することができる。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、1975、Nature 256:495〜97により最初に説明されたハイブリドーマ方法を使用して作製してもよいし、または組換えDNA方法によって作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。
【0192】
[0228]ハイブリドーマ方法において、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターは、例えばヒトTM4SF1のECL2ループまたはTM4SF1を発現する細胞を使用することにより免疫化されて(それによってECL2ループが細胞表面上に発現される)、免疫化に使用されるタンパク質に特異的に結合すると予想される抗体を産生するかまたは産生することが可能なリンパ球を惹起する。代替として、リンパ球は、インビトロで免疫化されてもよい。免疫化後、リンパ球を単離し、次いで好適な融合剤、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する。
【0193】
[0229]このようにして調製されたハイブリドーマ細胞は、好適な培養培地中にシーディングされ、増殖させ、このような培養培地は、特定の実施形態において、融合していない親の骨髄腫細胞(融合パートナーとも称される)の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含有する。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を喪失している場合、ハイブリドーマに選択的な培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含むと予想され(HAT培地)、これは、HGPRT欠損細胞の増殖を防止するものである。
【0194】
[0230]例示的な融合パートナーである骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定して高レベルの抗体産生を維持し、融合していない親細胞を選択する選択的な培地に感受性を有するものである。例示的な骨髄腫細胞株は、マウス骨髄腫株、例えばSP−2および誘導体、例えば、American Type Culture Collection(Manassas、Va.)より入手可能なX63−Ag8−653細胞、ならびにSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego、Calif.)より入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍由来のものである。またヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株も、ヒトモノクローナル抗体産生に関して記載されている(Kozbor、1984、Immunol.133:3001〜05;およびBrodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications 51〜63(1987))。
【0195】
[0231]ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地は、抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の産生に関してアッセイされる。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはインビトロでの結合アッセイ、例えばRIAもしくはELISAによって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら、1980、Anal.Biochem.107:220〜39に記載されるスキャッチャード分析によって決定することができる。
【0196】
[0232]所望の特異性、親和性、および/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定されたら、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させる(Goding、上記)。この目的のために好適な培養培地としては、例えば、DMEMまたはRPMI−1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍として、例えばマウスへの細胞のi.p.注射によって、インビボで増殖させることができる。
【0197】
[0233]サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、好適には、培養培地、腹水、または血清から、例えば、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、プロテインAまたはプロテインG−セファロースを使用するもの)またはイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析などの従来の抗体精製手順によって分離される。
【0198】
[0234]モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシーケンシングされる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの源として役立つ可能性がある。DNAは、単離されたら、発現ベクターに入れてもよく、次いで発現ベクターは、トランスフェクトされなければ抗体タンパク質を産生しない宿主細胞、例えばE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成が達成される。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する総論としては、Skerraら、1993、Curr.Opinion in Immunol.5:256〜62およびPluckthun、1992、Immunol.Revs.130:151〜88が挙げられる。
【0199】
[0235]さらなる実施形態において、モノクローナル抗体または抗体フラグメントは、例えば、Antibody Phage Display: Methods and Protocols(O’BrienおよびAitken編、2002)に記載される技術を使用して生成した抗体ファージライブラリーから単離することができる。原則的に、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合した抗体可変領域(Fv)の様々なフラグメントを提示するファージを含有するファージライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリーは、所望の抗原に対してスクリーニングされる。所望の抗原に結合することが可能なFvフラグメントを発現するクローンは抗原に吸着されるため、ライブラリー中の非結合クローンから分離される。次いで結合クローンは抗原から溶出され、さらに、抗原吸着/溶出の追加のサイクルによって濃縮することができる。
【0200】
[0236]可変ドメインは、例えばWinterら、1994、Ann.Rev.Immunol.12:433〜55に記載されるように、VHとVLとが短いフレキシブルなペプチドを介して共有結合で連結されている単鎖Fv(scFv)フラグメントとして、またはそれぞれ定常ドメインに融合しており、非共有結合によって相互作用するFabフラグメントとしてのいずれかで、ファージ上に機能的に提示させることが可能である。
【0201】
[0237]VHおよびVL遺伝子のレパートリーは、PCRによって別々にクローニングし、ファージライブラリー中でランダムに組み換えることができ、これは次いで、Winterら、上記に記載されるように、抗原結合クローンに関して検索することができる。免疫化源からのライブラリーは、ハイブリドーマを構築することを必要とせずに、免疫原に対して高親和性の抗体を提供する。代替として、Griffithsら、1993、EMBO J 12:725〜34で記載されるように、ナイーブレパートリーをクローニングして、免疫化をまったく行わなくても、多様な非自己に対する、さらには自己抗原にも対するヒト抗体の単一の源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリーはまた、例えば、HoogenboomおよびWinter、1992、J.Mol.Biol.227:381〜88によって記載されるように、幹細胞からの再配列されていないV−遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して、高度に可変性のCDR3領域をコードし、インビトロでの再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。
【0202】
[0238]ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野において公知の様々な技術によって達成することができる。例えば、TM4SF1(例えば、ECL2ループまたは前記ループを発現する細胞の可溶性形態)を使用して、吸着プレートのウェルをコーティングする、吸着プレートに付着させた宿主細胞上で発現させる、またはセルソーティングで使用する、ストレプトアビジンでコーティングされたビーズを捕獲するためにビオチンにコンジュゲートする、またはディスプレイライブラリーをパニングするための他のあらゆる方法で使用することができる。遅い解離速度論(例えば、優れた結合親和性)を有する抗体の選択は、Bassら、1990、Proteins 8:309〜14およびWO92/09690に記載されるように、長い洗浄および1価ファージディスプレイの使用によって、さらに、Marksら、1992、Biotechnol.10:779〜83に記載されるように抗原の低いコーティング密度の使用によって向上させることができる。
【0203】
[0239]抗TM4SF1抗体は、目的のファージクローンを選択するのに好適な抗原スクリーニング手順を設計し、それに続き、目的のファージクローンからの、VHおよび/もしくはVL配列(例えば、Fv配列)、またはVHおよびVL配列からの様々なCDR配列、ならびにKabatら、上記に記載される好適な定常領域(例えば、Fc)配列を使用して全長抗TM4SF1抗体クローンを構築することにより得ることができる。
【0204】
[0240]抗TM4SF1抗体のスクリーニングは、抗体がTM4SF1のECL2ループに治療的な親和性を有するかどうかを決定するために、当技術分野において公知の、および本明細書に記載される結合アッセイを使用して実行することができる。転移性の細胞活性を阻害したりまたは減少させたりする抗体の能力は、当技術分野における標準的なアッセイや、本明細書に記載される標準的なアッセイを使用して測定することができる。前臨床アッセイは、一般的に以下の3つのタイプのうち1つの転移の動物モデルの使用を必要とする:(i)転移性マウス腫瘍細胞、例えばB16F10黒色腫TCを、一般的に、肺転移を生成するために尾静脈注射を介して、肝臓転移を生成するために門脈または脾臓内注射を介して、または骨および他の転移を生成するために心臓の左心室への注射を介してマウスに注射すること;(ii)転移性腫瘍細胞または無傷の腫瘍フラグメントを、マウスに同所移植することであり、この方法はしばしば、原発性腫瘍増殖に関連する罹患率を抑えるために後の原発性腫瘍の外科的切除を必要とするもの;および(iii)遺伝子操作された自然転移のマウスモデルであり、そのうち最も一般的なものは、MMTV−Pyt(マウス乳がんウイルス−ポリオーマウイルス中型T抗原)マウス乳癌モデルであり、これは、ヒトがん転移の極めてリアルなマウスモデルを提供し、半接合MMTV−PyMT雌の85%より多くが、8〜16週齢で肺に転移する触診可能な乳がんを自然に発症するもの。生きた動物を画像化するか、またはTM4SF1免疫遮断(immunoblockade)の程度の関数として致死させた動物の肺における転移性小結節を直接計数するかのいずれかによって肺における転移性の負荷量を定量化して、治療的なレベル、例えば肺転移の少なくとも50%の低減が達成されることが、治療抗体が例えば本開示の方法で使用できることの指標となると予想される。さらに、異種間反応性アッセイは、当技術分野において公知である。使用できるアッセイの例は、例えば、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるKhannaおよびHunter(Carcinogenesis.2005年3月;26(3):513〜23)ならびにSaxenaおよびChristofori(Mol Oncol.2013年4月;7(2):283〜96)に記載される。
【0205】
[0241]本開示の一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはフラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減するまたは消失させる突然変異を含有する。用語「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)」は、本明細書で使用される場合、細胞傷害性顆粒の内容物の放出を特徴とする非食細胞プロセスを介した細胞傷害性エフェクター細胞によって、または細胞死誘導分子の発現によって、抗体被覆標的細胞を致死させることを指す。ADCCは、標的結合抗体(IgGまたはIgAまたはIgEクラスに属する)と、特定のFc受容体(FcR)、すなわち免疫グロブリン(Ig)のFc領域に結合するエフェクター細胞表面上に存在する糖タンパク質との相互作用を介して開始される。ADCCを媒介するエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好中球、好酸球および樹状細胞が挙げられる。ADCCは、迅速なエフェクターメカニズムであり、その効能は、多数のパラメーター(標的細胞の表面上の抗原の密度および安定性;抗体親和性ならびにFcR結合親和性)に依存する。PBMCベースのADCCアッセイおよびナチュラルキラー細胞ベースのADCCアッセイは、ADCCを検出するのに使用することができる。これらのアッセイにおける読み出しは、終点駆動型(標的細胞溶解)である。
【0206】
[0242]「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、相補物の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1の要素(C1q)が、その同族抗原に結合する抗体(適切なサブクラスに属するもの)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ(例えば、Gazzano−Santoroら、1996、J.Immunol.Methods 202:163を参照)を実行してもよい。変更されたFc領域アミノ酸配列(バリアントFc領域を有するポリペプチド)および増加または減少したC1q結合能力を有するポリペプチドバリアントが記載されている(例えば、米国特許第6,194,551号;WO1999/51642;Idusogieら、2000、J.Immunol.164:4178〜84を参照)。CDC活性をほとんど有さない抗体(またはフラグメント)も使用のために選択され得る。
【0207】
[0243]用語「エフェクター機能」は、本明細書で使用される場合、IgGのFcエフェクタードメイン(例えば、免疫グロブリンのFc領域)が寄与する機能を指す。このような機能は、例えば、Fcエフェクタードメインが、食細胞または溶解活性を有する免疫細胞上のFc受容体に結合することによって、またはFcエフェクタードメインが補体系の要素に結合することによって達成することができる。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食(ADCP);細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方調節;およびB細胞活性化が挙げられる。
【0208】
[0244]用語「低減する」または「消失させる」は、本明細書で使用される場合、全体で、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%、85%、90%、95%、またはそれより多くの減少を引き起こす能力を指す。低減または消失は、処置される障害(例えば、がん)の症状、転移の存在もしくはサイズまたは原発性腫瘍のサイズを指す場合もある。
【0209】
[0245]用語「低減したADCC/CDC機能」は、本明細書で使用される場合、対照(例えば突然変異を含まないFc領域を有する抗体)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも、少なくとも約90%またはそれより多くの、特異的なエフェクター機能、例えばADCCおよび/またはCDCの低減を指す。
【0210】
[0246]したがって、特定の実施形態において、本開示の突然変異した抗体は、本開示の抗体と同じアミノ酸配列を有するがFc領域への少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、置換、または欠失を含まない抗体(本明細書では「改変されていない抗体」とも称される)と比較して、エフェクター機能を促進することに関与するFcリガンドへの親和性が低減または消失している。
【0211】
[0247]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減するまたは消失させる少なくとも2つの突然変異を含むFc領域を含む。さらなる実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体またはその抗原結合フラグメントのADCCおよび/またはCDCエフェクター機能を低減するまたは消失させる、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10個またはそれより多くの突然変異を含むFc領域を含む。
【0212】
[0248]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、E233P、L234V、L234A、L235A、G236デルタ(欠失)、G237A、V263L、N297A、N297D、N297G、N297Q、K322A、A327G、P329A、P329G、P329R、A330S、P331AおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0213】
[0249]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、G237A突然変異と共に、またはG237A突然変異なしで、L234A/L235A突然変異を含むFc領域を含む。一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234A、L235A、およびG237A突然変異を含むFc領域を含む。
【0214】
[0250]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、A327G/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0215】
[0251]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIAへの低減した結合、および低減したADCCおよびCDCエフェクター機能を提供するE233P/L234V/L235A/デルタG236(欠失)突然変異を含むFc領域を含む。
【0216】
[0252]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、N297x突然変異(式中、x=A、D、G、Q)を含むFc領域を含む。
【0217】
[0253]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、A327G/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0218】
[0254]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、C1qへの低減した結合を提供するK322A、P329A、およびP331Aの1つまたは複数に突然変異を含むFc領域を含む。
【0219】
[0255]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、FcγRIIBへの強化された結合および強化されたADCCを提供するV263L突然変異を含むFc領域を含む。
【0220】
[0256]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234A/L235A、G237AまたはL235E突然変異を含むFc領域を含む。
【0221】
[0257]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1アイソタイプであり、L234F、L235EまたはP331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0222】
[0258]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、V234A、G237A、P238S、H268AまたはH268Q、V309L、A330SおよびP331Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0223】
[0259]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
[0260]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2アイソタイプであり、A330S/P331S、V234A/G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331SまたはH268Q/V309L/A330S/P331S突然変異を含むFc領域を含む。
【0224】
[0261]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P、E233P、F234A、F234V、L235E、L235A、G236デルタ(欠失)、N297A、N297D、N297G、N297Q、P329G、P329Rからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異を含むFc領域を含む。
【0225】
[0262]特定の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、低減したFab−アーム交換および低減した凝集を提供するS228P突然変異を含むFc領域を含む。
【0226】
[0263]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/L235E突然変異を含むFc領域を含む。
[0264]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/E233P/F234V/L235A/デルタG236(欠失)突然変異を含むFc領域を含む。
【0227】
[0265]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、N297x突然変異(式中、x=A、D、G、Q)を含むFc領域を含む。
【0228】
[0266]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/F234A/L235A突然変異を含むFc領域を含む。
【0229】
[0267]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIIAへの低減した結合および低減したADCCおよびCDCエフェクター活性を提供するL235E突然変異を含むFc領域を含む。
【0230】
[0268]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、S228P/F234A/L235AまたはE233P/L235A/G236デルタ突然変異を含むFc領域を含む。
【0231】
[0269]一実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、少なくともS228P突然変異を含むFc領域を含む。Angalら(Mol Immunol.1993年1月;30(1):105〜8)は、残基241におけるセリンの存在(EU番号付けシステムに従って、ここではKabat番号付けにおける残基228に対応する)が、分泌されたヒトIgG4の所定の割合において、ヒンジ領域における重鎖間ジスルフィド架橋の不均質性の原因であることを決定するための、ヒトIgG4重鎖のヒンジ配列の分析を記載する。Silvaら(J Biol Chem.2015年2月27日;290(9):5462〜9)は、インビボおよびインビトロにおけるIgG4 Fab−アーム交換を防止するヒトIgG4におけるS228P突然変異を記載する。
【0232】
[0270]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4アイソタイプであり、L235EまたはS228P突然変異を含むFc領域を含む。
【0233】
[0271]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4またはIgG1アイソタイプであり、N297A、N297DまたはN297G突然変異を含むFc領域を含む。
【0234】
[0272]他の実施形態において、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4またはIgG1アイソタイプであり、P329G、P329R突然変異を含むFc領域を含む。
【0235】
[0273]例示的な実施形態の一つにおいて、いずれかのIgGアイソタイプの突然変異したFc領域が、234位、235位、236位、237位、297位、318位、320位、322位に1つまたは複数の突然変異を含む。
【0236】
[0274]インビトロおよび/またはインビボの細胞傷害性アッセイは、CDCおよび/またはADCC活性の低減または消失を確認するのに実行することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を喪失しているが(したがってADCC活性を喪失している可能性がある)、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための初代細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、それに対して単球は、FcγRI、RIIおよびRIIIを発現する。目的の分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えばHellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83(1986)7059〜7063を参照)およびHellstrom,I.ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82(1985)1499〜1502;米国特許第5,821,337号(Bruggemann,M.ら、J.Exp.Med.166(1987)1351〜1361を参照)に記載される。代替として、非放射性アッセイ方法が採用される場合がある(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View、Calif.;およびCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、Wis.)を参照されたい。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替として、または加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボで、例えば、例えばClynesら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95(1998)652〜656で開示された動物モデルで、評価することができる。またC1q結合アッセイを行って、抗体が、C1qに結合できないこと、したがってCDC活性を喪失していることを確認することもできる。例えば、WO2006/029879およびWO2005/100402に記載のC1qおよびC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを実行することができる(例えば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods 202(1996)163;Cragg,M.S.ら、Blood 101(2003)1045〜1052;およびCragg,M.S.、およびGlennie,M.J.、Blood 103(2004)2738〜2743を参照)。またFcRn結合およびインビボにおけるクリアランス/半減期の決定も、当技術分野において公知の方法を使用して実行することができる(例えば、Petkova,S.B.ら、Int’l.Immunol.18(12)(2006)1759〜1769を参照)。
【0237】
[0275]一実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、改変されていない抗体と比較して、低減または消失したADCCエフェクター機能を示す。別の実施形態において、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントは、改変されていない抗体のADCCエフェクター機能の、2分の1以下、または3分の1以下、または5分の1以下、または10分の1以下、または50分の1以下、または100分の1以下に低減したADCCエフェクター機能を示す。さらに別の実施形態において、本開示の抗体は、改変されていない抗体と比べて、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも100%低減したADCCエフェクター機能を示す。本開示のさらなる態様において、本発明の開示の抗体またはその抗原結合フラグメントにより誘発されたADCCエフェクター機能の低減または下方調節は、改変されていない抗体によるADCCの誘発について観察された値の0、2.5、5、10、20、50または75%の低減である。特定の実施形態において、ADCC活性の低減および/または消失は、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメントのFcリガンドおよび/または受容体に対する低減した親和性に起因する可能性がある。
【0238】
V.リンカー
[0276]コンジュゲートの構成要素、すなわち標的化タンパク質(例えば、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント)およびオリゴヌクレオチド(例えば、RNA分子またはDNA分子)は、様々なアプローチ、例えば遺伝学的なコンジュゲーション、酵素的なコンジュゲーション、化学的なコンジュゲーション、またはそれらの任意の組合せを使用してコンジュゲートすることができる。様々な例において、リンカーの特性、例えばリンカーの長さまたは切断の位置(リンカーが切断可能な場合)が改変される。
【0239】
[0277]一部の実施形態において、コンジュゲート内のRNAまたはDNA分子は、哺乳類または細菌のトランスグルタミナーゼ酵素の使用を含む酵素的な部位特異的コンジュゲーション方法を使用して標的化タンパク質にコンジュゲートすることができる。微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)は、現代の調査および生物工学において用途が多いツールである。大量の比較的純粋な酵素の利用可能性、使いやすさ、ならびにカルシウムおよびグアノシン−5’−三リン酸(GTP)による調節の欠如のために、mTGは、食品産業と生物工学の両方で使用される主要な架橋酵素に推し進められてきた。現在、mTGは、小分子、ポリマー、表面、DNA、同様に他のタンパク質にタンパク質およびペプチドを取り付けるための多くの用途で使用される。例えば、Pavel Strp、Veracity of microbial transglutaminase、Bioconjugate Chem.25、5、855〜862を参照されたい。
【0240】
[0278]一部の実施形態において、コンジュゲート内のRNAまたはDNA分子は、リンカーの方式で、直接の共有結合または非共有結合による相互作用で、標的化タンパク質にコンジュゲートされていてもよい。リンカーは、アミノ酸またはペプチドベースリンカー、または化学的連結剤、例えばホモ二官能性およびヘテロ二官能性架橋剤であってもよく、これらは、多くの商業的な供給源より入手可能である。架橋に利用可能な領域は、本開示の結合タンパク質(例えば、抗TM4SF1抗体)上に見出すことができる。リンカーは、フレキシブルなアームを含んでいてもよく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の炭素原子を含んでいてもよい。例示的なリンカーとしては、切断不可能な共有結合または非共有結合のリンカーが挙げられる。一部の実施形態において、切断可能なリンカーは、酸不安定性のリンカー、プロテアーゼ感受性リンカー、光不安定性のリンカー、またはジスルフィド含有リンカーを含む。一部の実施形態において、リンカーは、システインリンカーまたは非システインリンカー、例えばリジンリンカーを含む。一部の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、天然にはないアミノ酸を含み、抗体または抗体フラグメントおよびオリゴヌクレオチドは、天然にはないアミノ酸を介して連結/コンジュゲートされる。一部の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、天然アミノ酸を含み、抗体または抗体フラグメントおよびオリゴヌクレオチドは、天然アミノ酸を介して連結/コンジュゲートされる。
【0241】
[0279]一部の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、天然にはないアミノ酸を含み、抗体または抗体フラグメントおよびオリゴヌクレオチドは、天然にはないアミノ酸を介して連結/コンジュゲートされる。天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメント中の2つの天然に存在するアミノ酸の間に挿入されてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメント中の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸を置き換えていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントのN末端に取り込まれていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントのC末端に取り込まれていてもよい。天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの結合領域の遠位に取り込まれていてもよい。天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの結合領域の近くに取り込まれていてもよい。天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの結合領域中に取り込まれていてもよい。
【0242】
[0280]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、20種の天然アミノ酸のうちの1つをコードしないコドンによってコードされていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、ナンセンスコドン(停止コドン)によってコードされていてもよい。停止コドンは、アンバー(amber)コドンであってもよい。アンバー(amber)コドンは、UAG配列を含んでいてもよい。停止コドンは、オーカーコドンであってもよい。オーカーコドンは、UAA配列を含んでいてもよい。停止コドンは、オパールまたはアンバー(umber)コドンであってもよい。オパールまたはアンバー(umber)コドンは、UGA配列を含んでいてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、4塩基コドンによってコードされていてもよい。
【0243】
[0281]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、p−アセチルフェニルアラニン(pAcFまたはpAcPhe)であってもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、セレノシステインであってもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、p−フルオロフェニルアラニン(pFPhe)であってもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、p−アジドフェニルアラニン(pAzF)、p−アジドメチルフェニルアラニン(pAzCH2F)、p−ベンゾイルフェニルアラニン(pBpF)、p−プロパルギルオキシフェニルアラニン(pPrF)、p−ヨードフェニルアラニン(pIF)、p−シアノフェニルアラニン(pCNF)、p−カルボキシルメチルフェニルアラニン(pCmF)、3−(2−ナフチル)アラニン(NapA)、p−ボロノフェニルアラニン(pBoF)、o−ニトロフェニルアラニン(oNiF)、(8−ヒドロキシキノリン−3−イル)アラニン(HQA)、セレノシステイン、および(2,2’−ビピリジン−5−イル)アラニン(BipyA)を含む群から選択され得る。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、4−(6−メチル−s−テトラジン−3−イル)アミノフェニルアラニン(aminopheynlalanine)であってもよい。
【0244】
[0282]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、β−アミノ酸(β3およびβ2)、ホモアミノ酸、プロリンおよびピルビン酸誘導体、3−置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換フェニルアラニンおよびチロシン誘導体、直鎖状コアアミノ酸、ジアミノ酸、D−アミノ酸、N−メチルアミノ酸、またはそれらの組合せであってもよい。
【0245】
[0283]天然にはないアミノ酸のさらなる例としては、これらに限定されないが、1)様々な置換チロシンおよびフェニルアラニン類似体、例えばO−メチル−L−チロシン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、3−ニトロ−L−チロシン、p−ニトロ−L−フェニルアラニン、m−メトキシ−L−フェニルアラニンおよびp−イソプロピル−L−フェニルアラニン;2)光架橋されていてもよいアリールアジドおよびベンゾフェノン基を有するアミノ酸;3)固有な化学的反応性を有するアミノ酸、例えば、アセチル−L−フェニルアラニンおよびm−アセチル−L−フェニルアラニン、O−アリル−L−チロシン、O−(2−プロピニル)−L−チロシン、p−エチルチオカルボニル−L−フェニルアラニンおよびp−(3−オキソブタノイル)−L−フェニルアラニンなど;4)X線結晶学における位相のための重原子を含有するアミノ酸、例えばp−ヨードおよびp−ブロモ−L−フェニルアラニンなど;5)酸化還元活性アミノ酸、ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン;6)グリコシル化アミノ酸、例えばb−N−アセチルグルコサミン−O−セリンおよびa−N−アセチルガラクトサミン−O−スレオニンなど;7)ナフチル、ダンシル、および7−アミノクマリン側鎖を有する蛍光性アミノ酸;8)アゾベンゼンおよびニトロベンジルCys、Ser、およびTyr側鎖を有する、光切断可能な、および光異性化可能なアミノ酸;9)ホスホチロシン模倣体、p−カルボキシメチル−L−フェニルアラニン;10)グルタミンホモログ、ホモグルタミン;ならびに11)2−アミノオクタン酸が挙げられる。天然にはないアミノ酸は、化学基が取り込まれるように改変されていてもよい。天然にはないアミノ酸は、ケトン基が取り込まれるように改変されていてもよい。
【0246】
[0284]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、少なくとも1つのオキシム、カルボニル、ジカルボニル、ヒドロキシルアミン基またはそれらの組合せを含んでいてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、少なくとも1つのカルボニル、ジカルボニル、アルコキシ−アミン、ヒドラジン、非環式アルケン、非環式アルキン、シクロオクチン、アリール/アルキルアジド、ノルボルネン、シクロプロペン、トランス−シクロオクテン、もしくはテトラジン官能基またはそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0247】
[0285]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、当技術分野において公知の方法で抗体または抗体フラグメントに取り込むことができる。細胞ベースの系または無細胞系を使用して、抗体または抗体フラグメントの遺伝子配列を変更し、それによって1つまたは複数の天然にはないアミノ酸を有する抗体または抗体フラグメントを産生することができる。操作されたtRNAおよびシンセターゼの代わりに、栄養要求株を使用することができる。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、1つまたは複数の天然アミノ酸の選択的な反応を介して産生することができる。選択的な反応は、1つまたは複数の酵素によって媒介され得る。1つの非限定的な例において、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)との1つまたは複数のシステインの選択的な反応は、Rabukaら、Nature Protocols 7:1052〜1067(2012)に記載されるように、1種または複数のホルミルグリシンを産生することができる。
【0248】
[0286]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、リンカーを形成するための化学反応に参加することができる。リンカーを形成するための化学反応は、生体直交型の反応であってもよい。リンカーを形成するための化学反応は、クリックケミストリーであってもよい。
【0249】
[0287]追加の天然にはないアミノ酸は、Liuら、(Annu Rev Biochem、79:413〜44、2010)、Wangら、(Angew Chem Int Ed、44:34〜66、2005)およびPCT出願PCT/US2012/039472号、PCT/US2012/039468号、PCT/US2007/088009号、PCT/US2009/058668号、PCT/US2007/089142号、PCT/US2007/088011号、PCT/US2007/001485号、PCT/US2006/049397号、PCT/US2006/047822号およびPCT/US2006/044682号に開示されており、これらの全ては、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0250】
[0288]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメント中の1つまたは複数のアミノ酸を置き換えていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメント中のあらゆる天然アミノ酸を置き換えていてもよい。
【0251】
[0289]1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの軽鎖中に取り込まれていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの重鎖中に取り込まれていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの重鎖および軽鎖中に取り込まれていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの軽鎖中のアミノ酸を置き換えていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの重鎖中のアミノ酸を置き換えていてもよい。1つまたは複数の天然にはないアミノ酸は、抗体または抗体フラグメントの重鎖および軽鎖中のアミノ酸を置き換えていてもよい。
【0252】
[0290]一部の実施形態において、抗体フラグメントおよび治療剤は、リンカーを介して連結/コンジュゲートされる。一部の実施形態において、リンカーは、小分子フラグメント、スペーサー、非共有結合のリンカー、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態において、リンカーは、小分子フラグメントの1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、リンカーは、スペーサーを含む。
【0253】
[0291]一部の実施形態において、リンカーは、反応性成分の1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、リンカーは、ミカエル(Michael)アクセプター成分、脱離基成分、または抗体フラグメントおよび/もしくは治療剤と共有結合を形成することが可能な成分から選択される反応性成分を含む。
【0254】
[0292]一部の実施形態において、小分子フラグメントは、反応性成分を含む。一部の実施形態において、小分子フラグメントは、ミカエルアクセプター成分、脱離基成分、またはシステイン残基のチオール基と共有結合を形成することが可能な成分から選択される反応性成分を含む。
【0255】
[0293]一部の実施形態において、ミカエルアクセプター成分は、アルケンまたはアルキン成分を含む。一部の実施形態において、小分子フラグメントは、化合物ライブラリーから得られる。一部の実施形態において、化合物ライブラリーは、ChemBridgeフラグメントライブラリー、Pyramid Platform Fragment−Based Drug Discovery、Maybridgeフラグメントライブラリー、AnalytiConからのFRGx、AnCoreXからのTCI−Frag、ASINEXからのBio Building Blocks、Charles RiverからのBioFocus 3D、Emerald BioからのFragments of Life(FOL)、Enamine Fragment Library、IOTA Diverse 1500、BIONETフラグメントライブラリー、Life Chemicals Fragments Collection、OTAVAフラグメントライブラリー、Prestwickフラグメントライブラリー、Selciaフラグメントライブラリー、TimTecフラグメントベースのライブラリー、Vitas−M LaboratoryからのAllium、またはZenobiaフラグメントライブラリーを含む。
【0256】
[0294]一部の実施形態において、小分子フラグメントは、カルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン、マレイミド、ハロアセチル、ピリジルジスルフィド、チオスルホネート、ビニルスルホン、ヒドラジド、アルコキシアミン、アルキン、アジド、またはイソシアネート基を含む。一部の実施形態において、小分子フラグメントは、アルキンまたはアジド基を含む。一部の実施形態において、小分子フラグメントは、アルキン基を含む。一部の実施形態において、小分子フラグメントは、アジド基を含む。
【0257】
[0295]一部の実施形態において、小分子フラグメントは、スペーサーと共有結合で相互作用する。一部の実施形態において、スペーサーは、アミド成分、エステル成分、エーテル成分、置換または非置換のC1〜C6アルキレン成分、置換または非置換のC1〜C6ハロアルキレン成分、置換または非置換のC1〜C6ヘテロアルキレン成分、置換または非置換のC3〜C8シクロアルキレン成分、置換または非置換のC2〜C7ヘテロシクロアルキレン成分、置換または非置換のアリーレン成分、置換または非置換のヘテロアリーレン成分またはそれらの任意の組合せを含む。
【0258】
[0296]一部の実施形態において、リンカーは、MC(6−マレイミドカプロイル)、MCC(マレイミドメチルシクロヘキサン−1−カルボキシレート)、MP(マレイミドプロパノイル)、val−cit(バリン−シトルリン)、val−ala(バリン−アラニン)、ala−phe(アラニン−フェニルアラニン)、PAB(p−アミノベンジルオキシカルボニル)、SPP(N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート)、SMCC(N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート)、SIAB(N−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエートを含む。リンカーのさらなる例としては、BS3([ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート];BS3は、接近可能な第一アミンを標的化するホモ二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである)、NHS/EDC(N−ヒドロキシスクシンイミドおよびN−エチル−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;NHS/EDCは、第一アミン基とカルボキシル基とのコンジュゲーションを可能にする)、スルホ−EMCS([N−e−マレイミドカプロン酸]ヒドラジド;スルホ−EMCSは、スルフヒドリルおよびアミノ基に対して反応性を有するヘテロ二官能性反応性基(マレイミドおよびNHS−エステル)である)、ヒドラジド(ほとんどのタンパク質が、露出した炭水化物を含有し、ヒドラジドは、カルボキシル基を第一アミンに連結するための有用な試薬である)、およびSATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート;SATAは、アミンに対して反応性を有し、保護されたスルフヒドリル基を付加する)が挙げられる。共有結合を形成するために、化学的に反応性の基は、様々な活性カルボキシル基(例えば、エステル)であり、その場合、ヒドロキシル部分は、ペプチドを改変するのに必要なレベルで生理学的に許容される。特定の薬剤としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N−ヒドロキシ−スルホスクシンイミド(スルホ−NHS)、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド(MBS)、ガンマ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)、マレイミドプロピオン酸(MPA)、マレイミドヘキサン酸(MHA)、およびマレイミドウンデカン酸(MUA)が挙げられる。第一アミンは、NHSエステルの主要な標的である。タンパク質のN末端に存在する接近可能なa−アミノ基およびリジンのε−アミンは、NHSエステルと反応する。アミド結合は、NHSエステルのコンジュゲーション反応物が第一アミンと反応してN−ヒドロキシスクシンイミドを放出すると形成される。これらのスクシンイミドを含有する反応性基は、本明細書ではスクシンイミジル基と称される。本開示の特定の実施形態において、タンパク質上の官能基は、チオール基と予想され、化学的に反応性の基は、マレイミドを含有する基、例えばガンマ−マレイミド−ブチリルアミド(GMBAまたはMPA)と予想される。このようなマレイミドを含有する基は、本明細書では、マレイミド(maleido)基と称される。マレイミド基は、反応混合物のpHが6.5〜7.4である場合、ペプチド上のスルフヒドリル基にとって最も選択的である。pH7.0において、マレイミド基のスルフヒドリル(例えば、血清アルブミンまたはIgGなどのタンパク質上のチオール基)との反応速度は、アミンより1000倍速い。したがって、マレイミド基とスルフヒドリルとの間の安定なチオエーテル結合を形成することができる。
【0259】
[0297]他の実施形態において、リンカーは、少なくとも1つのアミノ酸を含む(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、10、15、20、25、40、または50アミノ酸のペプチド)。特定の実施形態において、リンカーは、単一のアミノ酸(例えば、あらゆる天然に存在するアミノ酸、例えばCysまたはLys)である。他の実施形態において、グリシンリッチなペプチド、例えばペプチドを使用することができる。一部の場合において、リンカーは、単一のアミノ酸(例えば、あらゆるアミノ酸、例えばGlyまたはCysまたはLys)であってもよい。好適なリンカーの例は、コハク酸、Lys、Glu、およびAspであるか、またはGly−Lysなどのジペプチドである。リンカーがコハク酸である場合、その1つのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成することができ、その他のカルボキシル基は、例えば、ペプチドまたは置換基のアミノ基とアミド結合を形成することができる。リンカーがLys、Glu、またはAspである場合、それらのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成でき、それらのアミノ基は、例えば、置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成できる。Lysがリンカーとして使用される場合、さらなるリンカーが、Lysのε−アミノ基と置換基との間に挿入される場合もある。1つの特定の実施形態において、さらなるリンカーは、コハク酸であり、これは例えば、Lysのε−アミノ基および置換基に存在するアミノ基とアミド結合を形成する。一実施形態において、さらなるリンカーは、GluまたはAspであり(例えばこれは、Lysのε−アミノ基とアミド結合を形成し、置換基に存在するカルボキシル基と別のアミド結合を形成する)、すなわち置換基は、NEアシル化リジン残基である。一部の実施形態において、リンカーは、リジンからなる単一のアミノ酸のペプチドを含む。一部の実施形態において、リンカーは、LysLysジペプチドを含む。一部の実施形態において、リンカーは、
*Lysおよび/またはLys
*ジペプチドを含む。一部の実施形態において、リンカーは、LysLys
*および/または
*LysLys、Lys
*Lysトリペプチドを含む。一部の実施形態において、リンカーは、LysLysLysトリペプチドを含む。
【0260】
[0298]一部の実施形態において、標的化タンパク質およびRNA分子のコンジュゲーションは、環状のスレッド型の分子を産生する方式で行われる。一部の実施形態において、スペーサーは加えて、マクロサイクルを含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、非共有結合のマクロサイクルを含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、共有結合のマクロサイクルを含む。
【0261】
[0299]一部の実施形態において、マクロサイクルは、ククルビット[X]ウリルを含み、式中Xは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20である。一部の実施形態において、マクロサイクルは、ククルビット[X]ウリルを含み、式中Xは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15である。一部の実施形態において、マクロサイクルは、ククルビット[X]ウリルを含み、式中Xは、5、6、7、または8である。一部の実施形態において、ククルビット[X]ウリルは、
【0263】
(式中、xは、5、6、7、または8である)によって表される構造を有する。
[0300]一部の実施形態において、xは、5である。一部の実施形態において、xは、6である。一部の実施形態において、xは、7である。一部の実施形態において、xは、8である。
【0264】
[0301]一部の実施形態において、マクロサイクルは、ククルビット[6]ウリル(CB6)を含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、ククルビット[7]ウリル(CB7)を含む。一部の実施形態において、ククルビット[7]ウリルは、
【0266】
によって表される構造を有する。
[0302]一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクロデキストリン(CD)を含む。一部の実施形態において、シクロデキストリンは、
【0268】
(式中nは、5、6、7、または8である)によって表される構造を有する。
[0303]一部の実施形態において、マクロサイクルは、ベータ−シクロデキストリン(n=7)を含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、ガンマ−シクロデキストリン(n=8)を含む。一部の実施形態において、ベータ−シクロデキストリンは、
【0270】
によって表される構造を有する。
[0304]一部の実施形態において、マクロサイクルは、ポリペプチドを含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、
【0272】
(式中、
R
1は、H、D、F、−CN、置換または非置換のC
1〜C
6アルキル、置換または非置換のC
1〜C
6フルオロアルキル、置換または非置換のC
1〜C
6ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3〜C
8シクロアルキル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリールであり;
mは、5、6、7、または8である)
によって表される構造を有する。
【0273】
[0305]一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクログリシンを含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクロ(glycylglycylglycylglycyglycyllglycyl)を含む。一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクロ(glycylglycylglycylglycylglycylglycylglycyl)を含む。一部の実施形態において、シクロ(glycylglycylglycylglycylglycylglycylglycyl)は、
【0275】
によって表される構造を有する。
[0306]一部の実施形態において、マクロサイクルは、クラウンエーテルを含む。一部の実施形態において、クラウンエーテルは、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、またはジアザ−18−クラウン−6である。
【0276】
[0307]一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクロアルカンを含む。一部の実施形態において、シクロアルカンは、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン、シクロヘプタデカン、またはシクロオクタデカンである。
【0277】
[0308]一部の実施形態において、マクロサイクルは、シクロビス(パラコート−p−フェニレン)(CBPQT
4+)を含む。一部の実施形態において、シクロビス(パラコート−p−フェニレン)(CBPQT
4+)は、
【0279】
によって表される構造を有する。
[0309]一部の実施形態において、リンカーは、四級窒素を含む。一部の実施形態において、リンカーは、
【0281】
(式中、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C6アルキルである)である。一部の実施形態において、リンカーは、
【0283】
(式中、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C6アルキルである)である。一部の実施形態において、リンカーは、
【0285】
(式中、Rは、それぞれ独立して、HまたはC1〜C6アルキルである)である。
[0310]一部の実施形態において、リンカーは、
【0287】
である。
[0311]一部の実施形態において、コンジュゲートは、リンカーの第1の部分を、抗体またはその抗原結合フラグメントに連結し、リンカーの第2の部分を、オリゴヌクレオチドに連結することによって産生される。リンカーを抗体またはその抗原結合フラグメントまたは治療剤にコンジュゲートするステップは、リンカーと、抗体、その抗原結合フラグメントまたは治療剤との間に、イオン結合、共有結合、非共有結合またはそれらの組合せを産生することを含んでいてもよい。リンカーを抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたはオリゴヌクレオチドにコンジュゲートするステップは、Robertsら、Advanced Drug Delivery Reviews 54:459〜476(2002)に記載されるように実行してもよい。リンカーは、二官能性リンカー、切断可能なリンカー、切断不可能なリンカー、エチレングリコールリンカー、二官能性エチレングリコールリンカー、フレキシブルなリンカー、またはフレキシブルではないリンカーから選択してもよい。リンカーは、シクロオクチン、シクロプロペン、アリール/アルキルアジド、トランス−シクロオクテン、ノルボルネン(norborene)、およびテトラジンから選択される化学基を含んでいてもよい。一部の実施形態において、リンカーの末端は、アルコキシ−アミンを含む。一部の実施形態において、リンカーの末端は、アジドまたはシクロオクチン基を含む。一部の実施形態において、抗体もしくは抗体フラグメントまたは治療剤は、シクロオクチン、シクロプロペン、アリール/アルキルアジド、トランス−シクロオクテン、ノルボルネン、およびテトラジンから選択される化学基によって、リンカーにカップリングされていてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチド(ologinucleotide)をリンカーに連結することは、1つまたは複数の銅非含有の反応を実行することを含んでいてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチドをリンカーに連結することは、1つまたは複数の銅を含有する反応を実行することを含んでいてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチドをリンカーに連結することは、1つまたは複数の付加環化を含んでいてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチドをリンカーに連結することは、1つまたは複数のヒュスゲン付加環化を含んでいてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチドをリンカーに連結することは、1つまたは複数のディールスアルダー反応を含んでいてもよい。抗体もしくは抗体フラグメントまたはオリゴヌクレオチドをリンカーに連結することは、1つまたは複数のヘテロディールス・アルダー反応を含んでいてもよい。一部の実施形態において、リンカーの末端は、脱離基を含む。
【0288】
[0312]一部の実施形態において、リンカーの第1の部分は、本明細書に記載のシステインを含有する抗体またはその抗原結合フラグメントと共有結合で相互作用する。一部の実施形態において、リンカーの第1の部分は、本明細書に記載のシステインを含有するTM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントと共有結合で相互作用する。一部の実施形態において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、リンカーの第2の部分と共有結合で相互作用する。一部の実施形態において、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、リンカーの第2の部分と非共有結合で相互作用する。
【0289】
[0313]一部の実施形態において、ウイルスタンパク質p19ベースのsiRNA担体が予期され、このタンパク質は、siRNAに高親和性を有することが示されている。例えば、Yangら、Cytosolic delivery of siRNA by ultra−high affinity dsRNA binding proteins、Nucleic Acids Res.2017年7月27日;45(13):7602〜7614を参照されたい。一部の例において、p19−siRNA複合体を生成し、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントに融合させる。追加の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメント内のCys、Lys、またはアルギニン(Arginie)残基を介した統計的またはランダムなコンジュゲーション方法。
【0290】
VI.抗体またはその抗原結合フラグメントおよびsiRNAを含むコンジュゲートの合成
[0314]一実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメント)およびオリゴヌクレオチドを含むコンジュゲートは、抗体または抗原結合フラグメントおよびRNA分子(例えば、siRNA)の共有結合によるコンジュゲーションにより開発される。このような例示的なプロセスの第1の工程として、操作された抗TM4SF1抗体が生成され、この場合、システイン残基は重鎖に導入されている(それによって操作されたシステインを有する抗TM4SF1 HCが産生される)。操作されたシステインを有する抗TM4SF1抗体は、一部の例において、RNA分子、例えばsiRNAとのカップリングのための少なくとも2つの別々の位置を提供する。例えば、1つのsiRNA分子は、それぞれの操作されたシステインを有する抗TM4SF1抗体の重鎖にカップリングされていてもよい。コンジュゲーションプロセスにおける別個の、または後続の工程で、ペプチジルプロピル(peptidlyprolyl)イソメラーゼB(PPIB、シクロフィリンB)を標的化する配列を有するパッセンジャー鎖へのカップリングのための、3’−アミンで改変された化学的に安定化されたsiRNA(siSTABLE化学を使用して合成された)が生成される。一部の実施形態において、コンジュゲーションはさらに、還元可能なN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルジチオ)ブチレート(SPDB)または還元不可能なスクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)(SMCC)NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)リンカーを含む。一部の実施形態において、操作されたシステインを有する抗TM4SF1抗体を使用して、本開示による例示的なコンジュゲート分子は、少なくとも2つの一次工程:(i)アミンタグを有するsiRNAをNHS−リンカーと反応させて、チオール反応性siRNA−リンカー付加物を形成すること、および(ii)付加物を、操作されたシステインを有する抗体上のチオール基と反応させて、siRNAを、チオエステル結合を介して共有結合で連結することを含む多工程プロセスで生成される。このプロセスは、
図1で例示される。その後、例示的なコンジュゲート分子を、イオン交換クロマトグラフィーを使用して精製して、遊離のsiRNAを除去し、次いでサイズ排除クロマトグラフィーによって、カップリングされなかった抗体を除去する。次いで、さらなる技術、例えばゲル電気泳動およびエレクトロスプレーTOF質量分析を使用して、例示的なコンジュゲート分子の、例えば抗体1つ当たり1または2つの連結されたsiRNAを有するモノマーのコンジュゲートなどの収量、同様に特徴を評価することができる。チオール反応性リンカー−ペイロードを含む例示的な操作された抗体は、
図2で例示される。
【0291】
[0315]コンジュゲーションに採用することができる追加の方法は、化学的な、またはペプチドベースのリンカーの使用、化学的または酵素的なコンジュゲーション方法(例えば、哺乳類または細菌のトランスグルタミナーゼを使用する)、またはそれらの任意の組合せを含む。上述したリンカーおよび/または方法のいずれかは、コンジュゲートの抗体またはその抗原結合フラグメントとオリゴヌクレオチドとをカップリングするのに使用することができる。
【0292】
[0316]適切なカップリング方法を使用して、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1またはそれより高いオリゴヌクレオチドと抗体または抗原結合フラグメントとの比率(OAR)を含む本開示のコンジュゲートを生成することが可能である。例えば、抗体−RNAコンジュゲート(ARC)における増加したOAR(オリゴヌクレオチドと抗体またはその抗原結合フラグメントとの比率)は、抗体1つ当たりのRNA(例えば、siRNA)を増加させる。一部の例において、抗体1つ当たりのRNAの数は、モノマーARC設計を維持しながら増加する。一部の実施形態において、コンジュゲートは、1:1の抗体または抗原結合フラグメントとオリゴヌクレオチドとの比率を含む。これは、例えば、抗原結合フラグメントまたは抗体の部分、例えば、半抗体、Fab、または操作されたシステインを含む他のフラグメントを使用することによって達成することができる。一部の例において、コンジュゲートは、分子の認識に基づきタンパク質の改変が可能になるように、多重金属タンパク質(multimetallic protein)(例えば、ヘキサロジウムメタロペプチド)を利用するコンジュゲーション方法によってオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる全抗体を使用して、抗体または抗原結合フラグメントとオリゴヌクレオチドとの1:1の比率を含むように設計することができる。例えば、抗体およびオリゴヌクレオチドは、多重金属タンパク質による抗体のFcドメイン定常領域の分子の認識に基づいて、部位特異的な抗体官能化を使用してコンジュゲートすることができる。一部の実施形態において、多重金属タンパク質は、抗体のFcドメインに結合するタンパク質の特異的な部位に結合した3つのロジウム複合体を含む。結合すると、多重金属タンパク質は、オリゴヌクレオチドの抗体への部位特異的なコンジュゲーションを触媒することができる。多重金属タンパク質を使用することの利点は、例えば、コンジュゲーションの間、抗体内の残基の操作を回避することによって、抗体の破壊を最小限にすることであり得る。
【0293】
VII.医薬組成物
[0317]抗体またはその抗原結合フラグメントを含む本明細書で開示されるコンジュゲートの1つまたは複数を含む医薬組成物が本明細書で開示される。医薬組成物は、1つまたは複数の医薬的に許容される塩、賦形剤またはビヒクルをさらに含んでいてもよい。本発明の医薬組成物で使用するための医薬的に許容される塩、賦形剤、またはビヒクルとしては、担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、保存剤、着色剤、香味料および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝液、運搬手段、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗微生物剤、および界面活性剤が挙げられる。
【0294】
[0318]例示的な適切な担体は、血清アルブミンと混合された中性緩衝食塩水または食塩水である。医薬組成物としては、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸;低分子量ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン;単糖、二糖、および他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなど;キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えばナトリウム;および/または非イオン界面活性剤、例えばTween、pluronics、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を挙げることができる。また一例として、好適な張性増強剤としては、アルカリ金属ハロゲン化物(好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、マンニトール、ソルビトールなども挙げられる。好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸などが挙げられる。過酸化水素も、保存剤として使用することができる。好適な共溶媒としては、グリセリン、プロピレングリコール、およびPEGが挙げられる。好適な錯化剤としては、カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ−シクロデキストリンまたはヒドロキシ−プロピル−ベータ−シクロデキストリンが挙げられる。好適な界面活性剤または湿潤剤としては、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えばポリソルベート80、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール(tyloxapal)などが挙げられる。緩衝液は、従来の緩衝液、例えば酢酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸水素、またはトリス−HClであり得る。酢酸緩衝液は、約pH4〜5.5であってもよく、トリス緩衝液は、約pH7〜8.5であってもよい。追加の医薬物質は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company、1990に記載される。
【0295】
[0319]医薬組成物は、液体形態または凍結乾燥もしくはフリーズドライした形態であってもよく、1つまたは複数の凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)、賦形剤、界面活性剤、高分子量構造添加剤(structural additive)および/または増量剤(例えば、米国特許第6,685,940号、6,566,329号、および6,372,716号を参照)を含んでいてもよい。一実施形態において、凍結乾燥保護剤が含まれ、凍結乾燥保護剤は、非還元糖、例えばスクロース、ラクトースまたはトレハロースである。凍結乾燥保護剤は、一般的に、再構成したときに得られた製剤が等張になるような量で含まれるが、高張性の製剤またはわずかに低張性の製剤も好適な場合がある。加えて、凍結乾燥保護剤の量は、凍結乾燥したときにタンパク質の許容できない量の分解および/または凝集を防ぐのに十分な量と予想される。凍結乾燥前の製剤における糖(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース)の場合の例示的な凍結乾燥保護剤濃度は、約10mMから約400mMである。別の実施形態において、界面活性剤、例えば、非イオン界面活性剤およびイオン性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(例えば、Triton);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウレル硫酸ナトリウム;ナトリウムオクチル配糖体;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−、またはステアリル−スルホベタイン;ラウリル−、ミリスチル−、リノレイル−、またはステアリル−サルコシン;リノレイル、ミリスチル−、またはセチル−ベタイン;ラウロアミドプロピル(lauroamidopropyl)−、コカミドプロピル−、リノレアミドプロピル−、ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−、またはイソステアラミドプロピル−ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル(lauroamidopropyl));ミリスタミドプロピル−、パルミドプロピル−、またはイソステアラミドプロピル−ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル−、または二ナトリウムメチルオフェイルタウリン酸(disodium methyl ofeyl−taurate);およびMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.、Paterson、N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、ならびにエチレンおよびプロピレングリコールのコポリマー(例えば、Pluronics、PF68など)が含まれる。凍結乾燥前の製剤中に存在し得る界面活性剤の例示的な量は、約0.001〜0.5%である。高分子量構造添加剤(例えば、フィラー、バインダー)としては、例えば、アラビアゴム、アルブミン、アルギン酸、リン酸カルシウム(二塩基性)、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストレート、スクロース、チロース、アルファ化デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロ亜硫酸二ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、グアールガム、液体グルコース、圧縮糖(compressible sugar)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、微結晶性セルロース、デンプン、およびゼインを挙げることができる。高分子量構造添加剤の例示的な濃度は、0.1重量%から10重量%である。他の実施形態において、増量剤(例えば、マンニトール、グリシン)が含まれていてもよい。
【0296】
[0320]組成物は、非経口投与に適したものでもよい。例示的な組成物は、例えば関節内、皮下、静脈内、筋肉内、腹膜内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、または病巣内経路などの熟練者にとって利用可能なあらゆる経路による動物への注射または輸注に好適である。非経口製剤は、典型的には、滅菌された、パイロジェンフリーの等張水溶液であると予想され、任意選択で医薬的に許容される保存剤を含有していてもよい。
【0297】
[0321]非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、水、アルコール性溶液/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液、例えば食塩水および緩衝化媒体などが挙げられる。非経口用ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル、または不揮発性油が挙げられる。静脈内用ビヒクルとしては、流体および栄養素補充液、電解質補充液、例えばリンゲルデキストロースをベースとするものなどが挙げられる。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの保存剤および他の添加剤も存在していてもよい。一般的に、Remington’s Pharmaceutical Science、第16版、Mack編、1980を参照されたい。
【0298】
[0322]本明細書に記載の医薬組成物は、特定の局所環境における生成物の局所濃度(例えば、ボーラス、デポー作用)および/または増加した安定性または半減期がもたらされるように、制御または持続送達のために製剤化されてもよい。組成物は、本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートの製剤を、活性薬剤の制御放出または持続放出をもたらす、ポリマー化合物、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸などの微粒子調製物、加えて、生分解性マトリックス、注射可能なマイクロスフェア、マイクロカプセル粒子、マイクロカプセル、生体内分解性の粒子ビーズ、リポソーム、および埋め込み可能な送達デバイスなどの物質と共に含んでいてもよく、次いでこれは、デポー注射として送達することができる。このような持続または制御送達手段を製剤化するための技術は公知であり、様々なポリマーが薬物の制御放出および送達のために開発および使用されてきた。このようなポリマーは、典型的には生分解性および生体適合性である。ポリマーヒドロゲル、例えば鏡像異性体ポリマーまたはポリペプチドセグメントの錯化によって形成されたものなど、および温度またはpH感受性特性を有するヒドロゲルは、生物活性タンパク質薬剤(例えば、極めて長いCDR3を含む抗体)のトラップに関与する穏やかな水性条件のために、薬物のデポー作用を提供することが望ましい場合がある。例えば、WO93/15722の医薬組成物の送達に関する制御放出多孔質高分子マイクロ粒子の記載を参照されたい。この目的のために好適な材料としては、ポリラクチド(例えば、米国特許第3,773,919号を参照)、ポリ(a−ヒドロキシカルボン酸)のポリマー、例えばポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988A)、L−グルタミン酸およびガンマエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidmanら、Biopolymers、22:547〜556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langerら、J.Biomed.Mater.Res.、15:167〜277(1981)、およびLanger、Chem.Tech.、12:98〜105(1982))、エチレン酢酸ビニル、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。他の生分解性ポリマーとしては、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(オルトカーボネート)が挙げられる。また持続放出組成物は、リポソームを含んでいてもよく、これは、当技術分野において公知のいくつかの方法のいずれかによって調製することができる(例えば、Eppsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688〜92(1985)を参照)。担体それ自体またはその分解生成物は、標的組織において非毒性であるべきであり、状態をさらに悪化させないものであるべきである。これは、標的の障害の動物モデルでの、またはこのようなモデルが利用不可能である場合、正常な動物での慣例的なスクリーニングによって決定することができる。ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン−(rhIFN−)、インターロイキン−2、およびMN rgp120を用いた持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化がうまく実行されている。Johnsonら、Nat.Med.、2:795〜799(1996);Yasuda、Biomed.Ther.、27:1221〜1223(1993);Horaら、Bio/Technology.8:755〜758(1990);Cleland、「Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems」、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach、PowellおよびNewman編(Plenum Press:New York、1995)、439〜462頁;WO97/03692、WO96/40072、WO96/07399;および米国特許第5,654,010号。これらのタンパク質の持続放出製剤は、その生体適合性および広範な生分解特性のために、ポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)ポリマーを使用して開発された。PLGA、乳酸およびグリコール酸の分解生成物は、人体から迅速に排除され得る。さらに、このポリマーの分解性は、その分子量および組成物に依存し得る。Lewis、「Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer」:M.ChasinおよびR.Langer (編)、Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems(Marcel Dekker:New York、1990)、1〜41頁。持続放出組成物のさらなる例としては、例えば、EP58,481A、米国特許第3,887,699号、EP158,277A、カナダ特許第1176565号、U.Sidmanら、Biopolymers 22、547[1983]、R.Langerら、Chem.Tech.12、98[1982]、Sinhaら、J.Control.Release 90、261[2003]、Zhuら、Nat.Biotechnol.18、24[2000]、およびDaiら、Colloids Surf B Biointerfaces 41、117[2005]が挙げられる。
【0299】
[0323]本発明の開示の組成物で、またはそれと共に使用するための生体接着性ポリマーも予期される。生体接着性物質は、長期にわたり生物学的な基体に接着することができる合成および天然に存在する材料である。例えば、カーボポールおよびポリカルボフィルはどちらも、ポリ(アクリル酸)の合成架橋誘導体である。天然に存在する物質をベースとする生体接着性送達系としては、例えば、ヒアルロナンとしても公知のヒアルロン酸が挙げられる。ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸およびN−アセチル−D−グルコサミンの残基からなる天然に存在するムコ多糖である。ヒアルロン酸は、脊椎動物の細胞外の組織基質、例えば結合組織中のものなどに見出され、同様に滑液や目の硝子体および房水にも見出される。ヒアルロン酸のエステル化誘導体は、生体適合性および生分解性の送達で使用するためのマイクロスフェアを産生するために使用されてきた(例えば、Cortivoら、Biomaterials(1991)12:727〜730;EP517,565;WO96/29998;Illumら、J.Controlled Rel.(1994)29:133〜141を参照)。
【0300】
[0324]生分解性および非生分解性ポリマーマトリックスの両方が、本発明の開示の組成物を送達するのに使用でき、このようなポリマーマトリックスは、天然または合成ポリマーを含んでいてもよい。生分解性マトリックスが好ましい。放出が起こる期間は、ポリマーの選択に基づく。典型的には、数時間から3〜12カ月の範囲の期間にわたる放出が最も望ましい。生分解性送達系を形成するのに使用できる例示的な合成ポリマーとしては、乳酸とグリコール酸とのポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリ無水物、ポリウレタンおよびそのコポリマー、ポリ(酪酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。例示的な天然ポリマーとしては、アルギネートおよび他の多糖、例えばデキストランおよびセルロースなど、コラーゲン、それらの化学的な誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、および当業者によって慣例的になされる他の改変)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミン、ならびに疎水性タンパク質、コポリマーならびにそれらの混合物が挙げられる。一般的に、これらの材料は、インビボにおける酵素加水分解または水への曝露のいずれかによって、表面またはバルクの侵食によって分解する。ポリマーは、任意選択でヒドロゲルの形態であってもよく(例えば、WO04/009664、WO05/087201、Sawhneyら、Macromolecules、1993、26、581〜587を参照)、これは、水中でその重量の最大約90%を吸収することができ、さらに、任意選択で多価性のイオンまたは他のポリマーで架橋されている。
【0301】
[0325]送達系としてはまた、脂質である非ポリマー系、例えば、ステロール、例えばコレステロール、コレステロールエステルなどの、ならびに脂肪酸または中性脂肪、例えばモノ−、ジ−およびトリグリセリド;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング;従来のバインダーおよび賦形剤を使用する圧縮錠剤;部分的に融合したインプラントなども挙げられる。具体的な例としては、これらに限定されないが、(a)生成物がマトリックス内の形態で含有される侵食系、例えば米国特許第4,452,775号、4,675,189号および5,736,152号に記載されるもの、および(b)米国特許第3,854,480号、5,133,974号および5,407,686号などに記載されたような、生成物が制御された速度でポリマーから浸透する拡散系が挙げられる。生成物を含有するリポソームは、例えば(DE3,218,121;Epsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688〜3692(1985);Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4030〜4034(1980);EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;JP83−118008;米国特許第4,485,045号および4,544,545号;ならびにEP102,324)などの公知の方法によって調製することができる。
【0302】
[0326]代わりに、またはそれに加えて、本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートが上に吸収またはカプセル化された膜、スポンジ、または他の適切な材料を罹患した領域に埋め込むことにより、組成物を局所的に投与してもよい。埋め込みデバイスが使用される場合、デバイスは、任意の好適な組織または臓器に埋め込んでもよく、本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートの送達は、デバイスを介して、ボーラスを介して、または連続的な投与を介して、または連続的な輸注を使用するカテーテルを介して、直接的になされてもよい。
【0303】
[0327]本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、吸入のために、例えば乾燥粉末などとして製剤化することができる。吸入用の溶液は、エアロゾル送達のために、液化した噴射剤中で製剤化することもできる。さらに別の製剤において、溶液は、霧状にされていてもよい。肺投与のための追加の医薬組成物としては、例えば、化学的に改変されたタンパク質の肺送達を開示するWO94/20069に記載されたものが挙げられる。肺送達の場合、粒度は、遠位の肺への送達に好適な粒度であるべきである。例えば、粒度は、1μmから5μmであってもよいが、例えば各粒子が適正な多孔質であれば、それより大きい粒子を使用してもよい。
【0304】
[0328]本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートを含有する特定の製剤は、経口投与することができる。この様式で投与される製剤は、錠剤およびカプセルなどの固体剤形の調剤で通常使用される担体を用いて、または用いないで製剤化することができる。例えば、カプセルは、生物学的利用率が最大化される消化管中の地点で製剤の活性部分を放出し、全身吸収される前の分解が最小化されるように設計することができる。選択的な結合剤の吸収を容易にするために追加の薬剤が含まれていてもよい。希釈剤、香味料、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、およびバインダーが採用されてもよい。
【0305】
[0329]別の調製物は、錠剤の製造に好適な非毒性の賦形剤との混合物中に、有効量の本明細書で開示される抗体薬物コンジュゲートを含んでいてもよい。滅菌水または別の適切なビヒクル中に錠剤を溶解させることによって、単位用量形態で溶液を調製することができる。好適な賦形剤としては、これらに限定されないが、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素塩、ラクトース、もしくはリン酸カルシウム;または結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、もしくはアラビアゴム;または滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクが挙げられる。
【0306】
[0330]好適な、および/または好ましい医薬製剤は、意図した投与経路、送達様式、および望ましい投薬量に応じて、本発明の開示と製剤技術の一般知識を考慮して決定することができる。投与方式に関係なく、有効量は、患者の体重、体表面積、または臓器のサイズに従って計算することができる。本明細書に記載の製剤のそれぞれを含む処置のための適切な投薬量を決定するための計算のさらなる改良は、当技術分野において慣例的になされており、当技術分野で慣例的に実行される作業の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量応答データの使用を介して確認することができる。
【0307】
VIII.抗体−薬物コンジュゲートとの組合せ
[0331]一部の実施形態において、本開示のコンジュゲートを、抗体−薬物コンジュゲートと組み合わせて含む組成物が提供される。一部の実施形態において、抗体−薬物コンジュゲートは、TM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。TM4SF1結合タンパク質は、上記実施形態のいずれかに記載される通りでもよく、ADCは、例えば、病的血管新生に関連する障害、例えばがんの処置において、腫瘍細胞(TC)および/または腫瘍血管系内皮細胞(EC)が致死するかまたは阻害されるように、1つまたは複数の薬剤(例えば、1、2、3、もしくは4つまたはそれより多くの薬剤)、例えばTM4SF1結合タンパク質と相加的または相乗的に作用する治療剤を含む。治療剤は、例えば、生物学的に活性な成分であってもよく、例えば、細胞傷害性物質、化学療法剤、タンパク質、ペプチド、抗体、成長阻害剤、抗ホルモン剤、またはそれらの任意の組合せであってもよい。
【0308】
[0332]ADCのTM4SF1結合タンパク質に直接的または間接的のいずれかでコンジュゲートされ得るチューブリン阻害剤の例としては、これらに限定されないが、重合阻害剤(例えば、チューブリンのビンカドメインに結合することができる、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンフルニン、クリプトフィシン52、ハリコンドリン(hallchondrin)、ドラスタチン、ヘミアステリン;チューブリンのコルヒチン(cholchicine)ドメインに結合することができる、コルヒチン(colchine)、コンブレタスタチン、2−メトキシ−エストラジオール、E7010;解重合阻害剤、例えば、タキサン部位に結合することができる、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、ディスコデルモリド)が挙げられる。
【0309】
[0333]ADCのTM4SF1結合タンパク質に直接的または間接的のいずれかでコンジュゲートされ得る化学療法剤の例としては、これらに限定されないが、メトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインターカレート剤;酵素およびそのフラグメント、例えば核酸分解酵素、抗生物質、ならびに毒素、例えば小分子毒素、または細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、ならびにそれらのフラグメントおよび/またはバリアントなどが挙げられる。使用することができる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecene)が挙げられる。
【0310】
[0334]加えて、様々な放射性核種は、ADCのTM4SF1結合タンパク質へのコンジュゲーションのために使用することができる。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体が挙げられる。代わりに、ADCのTM4SF1結合タンパク質は、また、1つまたはより小さい分子の毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン(aurostatin)、トリコテシン、およびCC1065にコンジュゲートさせることができ、またこれらの毒素の毒素活性を有する誘導体も本明細書において予期される。ADCのTM4SF1結合タンパク質にコンジュゲートすることができる他の治療剤としては、様々な例において、BCNU、ストレプトゾシン(streptozoicin)、ビンクリスチンおよび5−フルオロウラシルなどが挙げられる。
【0311】
[0335]一部の実施形態において、コンジュゲーションのための診断剤は、標識、例えば蛍光標識、クロモジェニック標識、または放射標識である。したがって、標識は、検出目的で使用してもよく、蛍光化合物、酵素、補欠分子団、発光物質、生物発光物質、または放射活性物質であり得る。放射標識は、例えば、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えばTc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像化(磁気共鳴画像法、MRIとしても公知)のためのスピン標識、例えばこの場合でもヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄を含んでいてもよい。
【0312】
[0336]1つまたは複数の薬剤(例えば、治療剤および/または診断剤)が、薬剤が隣接してタンパク質にコンジュゲートされるように(例えば、直接の共有結合または非共有結合による相互作用の方式で)、ADCのTM4SF1結合タンパク質に直接コンジュゲートされていてもよい。薬剤は、例えば直接のペプチド結合によって、本開示の結合タンパク質に直接コンジュゲートされていてもよい。他の例において、直接のコンジュゲーションは、直接の非共有結合による相互作用、例えば、ADCのTM4SF1結合タンパク質と、TM4SF1結合タンパク質に特異的に結合する薬剤(例えば、抗体剤)との相互作用の方式によってなされる。
IX.ポリヌクレオチド
[0337]また、一部の実施形態において、本明細書に記載されるTM4SF1結合タンパク質、例えば抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドも提供される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、DNAコンストラクトとして提供される。他の実施形態において、ポリヌクレオチド分子は、メッセンジャーRNA転写物として提供される。
【0313】
[0338]一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号4、16、28、40、52、64、または76のいずれか1つに記載の核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメインを含む。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号10、22、34、46、58、70、または82のいずれか1つに記載の核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む。
【0314】
[0339]一部の実施形態において、宿主細胞、例えば、E.coliなどの細菌、またはCHO細胞などの真核細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列が提供される。一部の例において、核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化されている。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号5、17、29、41、53、65、または77のいずれか1つに記載のコドンが最適化された核酸配列によってコードされた重鎖可変ドメインを含む。一部の例において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体は、配列番号11、23、35、47、59、71、または83のいずれか1つに記載のコドンが最適化された核酸配列によってコードされた軽鎖可変ドメインを含む。特定の場合において、配列番号5、17、29、41、53、65、または77のいずれか1つの核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列である。特定の場合において、配列番号11、23、35、47、59、71、または83のいずれか1つの核酸配列は、CHO細胞での発現のためにコドンが最適化された核酸配列である。
【0315】
[0340]ポリヌクレオチド分子は、公知の方法によって、例えば、好適なプロモーターに、および任意選択で好適な転写ターミネーターに連結された遺伝学的コンストラクトに、結合タンパク質をコードする遺伝子を取り込ませ、それを細菌または他の適切な発現系、例えばCHO細胞などで発現することによって構築される。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導性プロモーターを含む様々な好適な転写および翻訳エレメントを使用することができる。プロモーターは、それがそれぞれの宿主細胞においてポリヌクレオチドの発現を駆動するように選択される。
【0316】
[0341]一部の実施形態において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、ベクター、好ましくは発現ベクターに挿入され、これは、さらなる実施形態の一つに相当する。この組換えベクターは、公知の方法に従って構築することができる。特に興味深いベクターとしては、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、ウイルス(virii)(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルスなど)、およびコスミドが挙げられる。
【0317】
[0342]様々な発現ベクター/宿主系が、記載されたTM4SF1結合タンパク質のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有および発現するのに利用することができる。E.coliでの発現のための発現ベクターの例は、pSKK(Le Gallら、J Immunol Methods.(2004)285(1):111〜27)であり、または哺乳類細胞での発現のためには、pcDNA5(Invitrogen)である。
【0318】
[0343]したがって、本明細書に記載されるTM4SF1結合タンパク質は、一部の実施形態において、上述したタンパク質をコードするベクターを宿主細胞に導入し、前記宿主細胞を、タンパク質ドメインが発現される条件下で培養することによって産生され、これらは単離してもよいし、任意選択でさらに精製してもよい。
X. 処置の方法
[0344]本開示は、内皮細胞(EC)特異的であるが、例えば、EC−EC、EC−間葉幹細胞、EC−繊維芽細胞、EC−平滑筋細胞、EC−腫瘍細胞、EC−白血球、EC−脂肪細胞、およびEC−神経細胞相互作用に限定されない細胞−細胞相互作用を阻害する方法をさらに提供する。特定の実施形態において、本開示の抗TM4SF1抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、異常なEC−細胞相互作用を特徴とする病理学を有するあらゆるヒト疾患または障害を処置するのに使用することができる。特定の実施形態において、EC−細胞相互作用は、EC−白血球相互作用であり、EC−白血球相互作用の阻害は炎症を防止するために使用される。一部の実施形態において、EC−細胞相互作用は、EC−腫瘍細胞相互作用であり、この場合、EC−腫瘍細胞相互作用の阻害は、がんを防止する、処置する、および/またはその進行を遅くするのに使用される。
【0319】
[0345]他の実施形態において、本開示は、対象における疾患または障害を処置または防止する方法に注目し、疾患または障害は、異常な内皮細胞(EC)−細胞相互作用を特徴とし、前記方法は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを投与するステップを含む。特定の実施形態において、EC−細胞相互作用は、EC−間葉幹細胞、EC−繊維芽細胞、EC−平滑筋細胞、EC−腫瘍細胞、EC−白血球、EC−脂肪細胞、およびEC−神経細胞相互作用の1つまたは複数を含む。例示的な実施形態において、疾患は、炎症性疾患または障害であり、本開示の抗体およびフラグメントは、EC−白血球相互作用を阻害するために使用される。別の例示的な実施形態において、疾患または障害は、炎症性疾患またはがんから選択される。白血球の血管内皮への付着は、炎症工程の顕著な特徴である。したがって、一実施形態において、本発明の開示のRNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1抗体またはその抗原結合フラグメントを含む抗体−RNAコンジュゲートは、炎症性疾患を処置するのに使用され、この場合、白血球の内皮細胞への付着、または内皮を超える白血球の遊出を阻害することが、処置に役立つ(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるRychlyら、Curr Pharm Des.2006;12(29):3799〜806を参照)。例としては、限定はされないが、敗血症、炎症性腸疾患、乾癬、または多発性硬化症が挙げられる。
【0320】
[0346]米国だけでも、毎年およそ50万人の患者ががんにより死亡する。腫瘍転移は、これらの死の約90%の原因である。転移を遮断する治療は公知ではない。本発明の開示は、新規の標的であるTM4SF1によって媒介される腫瘍細胞(TC)−内皮細胞(EC)相互作用の免疫遮断に基づき、がんを処置し、転移性の細胞を阻害することができる、RNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1抗体およびその抗原結合フラグメントを含む抗体−RNAコンジュゲートを提供する。
【0321】
[0347]上記のように、TM4SF1は、元々は、TC浸潤および転移における役割を有するTC抗原として発見された小さい、テトラスパニン様、細胞表面糖タンパク質である。TM4SF1は、TCおよびECによって選択的に発現される。TM4SF1は、マウスとヒトの両方において正常組織に供給する血管ECに低レベルで発現される。TM4SF1は、多くのヒトがんに供給する血管の内側にある血管ECに約10〜20倍の高レベルで発現され、培養ECに同等の高レベルで発現されることが示されている。TM4SF1濃縮マイクロドメイン(TMED)は細胞表面タンパク質様インテグリンを動員し、ナノポディア、細胞表面から伸びた薄膜チャネルの形成を補助し、細胞−細胞相互作用を媒介する。したがって、特定の例において、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体およびフラグメントは、ナノポディア媒介相互作用を干渉し、TC血管外遊出に必要であるTCのECとの相互作用を阻害する。
【0322】
[0348]本明細書に記載のTM4SF1結合タンパク質、抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート、または医薬組成物のいずれか1つは、病的血管新生に関連する障害(例えば、がん、例えば乳がん、卵巣がん、腎臓がん、結腸直腸がん、肝臓がん、胃がん、黒色腫、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫、前立腺がん、結腸がん、神経芽細胞腫、神経膠腫、膠芽腫、肉腫、中皮腫、網膜芽細胞腫、甲状腺がん、膵臓がん、カルチノイド、頭頸部がん、胃がん(stomach cancer)、尿路上皮がん、精巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、皮膚がん、膀胱がん、下垂体がん、褐色細胞腫、食道がん、および肺がん;肥満症;黄斑変性症;糖尿病性網膜症;乾癬;リウマチ様関節炎;細胞性免疫;ならびに酒さを有する対象(例えば、ヒト)を処置するために製剤化され得る。一部の実施形態において、リンパ腫は、B細胞リンパ腫またはバーキットリンパ腫である。一部の実施形態において、皮膚がんは、メルケル細胞皮膚がんまたはメルケル細胞癌である。一部の実施形態において、肺がんは、非小細胞肺がんまたは肺腺癌である。一部の実施形態において、肉腫は、小児横紋筋肉腫(rhabdomyiosarcoma)、軟部組織肉腫、骨肉腫、多形肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、ユーイング肉腫、または滑膜肉腫である。
【0323】
[0349]TM4SF1は、ほとんどの上皮TCの表面に高度に発現され、腫瘍血管の内側にあるECおよび培養ECにおいても高度に発現される。それは、正常血管ECの表面に約10〜20分の1の低レベルで発現される。マウスモデルでは、肺への腫瘍転移は、ECとTCの両方でのTM4SF1発現と関連する。転移は、血管ECへのTCの最初の接着、および肺または他の転移部位に侵入するECを通るそれらのその後の遊走を必要とする。以下の実施例は、一部の場合において、本発明の開示の抗TM4SF1抗体、または抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲートが、培養においてTC−EC相互作用に干渉し、インビボでも腫瘍転移を阻害できることを示す。
【0324】
[0350]したがって、本発明の開示の抗体およびフラグメントならびにそれを含む抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、転移における最も初期の工程(
図1を参照)、すなわち血管ECへのTC付着および/またはECを通過するTCの遊出の一方または両方をブロックし、それによってリスクのあるがん患者における転移を防止するかまたはその数を実質的に低減するのに使用することができる。
【0325】
[0351]本開示は、転移を防止する方法をさらに提供する。ヒト腫瘍は、典型的には増殖の初期に血液およびリンパにTCを流す;それゆえに、原発性腫瘍の早期処置は転移がまだ起こっていないという保証を与えない。したがって、TM4SF1の免疫遮断は、血行性転移を処置もしくは防止するため、またはリンパ性転移を処置もしくは防止するために使用され得る。
【0326】
[0352]本開示の方法は、一部の実施形態において、対象における転移細胞を阻害するステップに向けられる。一実施形態において、対象は、がん、例えば転移と関連するがんまたはすでに転移したがんを有する。他の実施形態において、対象はすでにがんを処置され、寛解または部分寛解であり、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体またはフラグメントを投与するステップの利点は、それらが転移を防止し、寛解または部分寛解を維持するために作用することである。
【0327】
[0353]特定の実施形態において、本開示は、転移を発生させるより大きいリスクを有するヒトを処置する方法であって、本明細書に記載の抗TM4SF1抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲート)およびフラグメントの投与は、転移を阻害するかまたは転移の発症を遅延させるのに使用することができる、方法を提供する。
【0328】
[0354]抗TM4SF1抗体−オリゴヌクレオチド(例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲート)をそれを必要とする対象に投与することによって、腫瘍転移、特に肺への転移をブロックする方法が本開示に含まれる。一部の例において、抗TM4SF1抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲート)は、本明細書では抗hTM4SF1とも称されるヒト抗TM4SF1抗体を含む。特定の実施形態において、方法は、有効量の抗hTM4SF1抗体−オリゴヌクレオチド(例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲート)のそれを必要とする対象への投与を含み、有効量の抗体は、腫瘍細胞(TC)の血管内皮細胞(EC)への付着およびそれを通過する移動を防止する。
【0329】
[0355]特定の実施形態において、本開示のコンジュゲート、例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートは、その用量および頻度が長期にわたるTM4SF1免疫遮断を維持するように、がんを有する対象または転移を有するリスクがある対象に投与される。用量レジメンは、対象の正常な血管EC上で発現されるTM4SF1を飽和させるのに十分な量で、コンジュゲート、例えば抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートを対象に投与することによって、TM4SF1によって媒介される転移を最大限阻害すると予想される。
【0330】
[0356]特定の実施形態において、投与されるコンジュゲート、例えば、RNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートまたはその抗原結合フラグメントの有効量は、循環する抗体濃度が1週間で>1μg/mlを達成するのに十分な量である。
【0331】
[0357]特定の実施形態において、投与されるコンジュゲート、例えば、RNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートまたはその抗原結合フラグメントの有効量は、連続して約1カ月、1μg/mlまたはそれを超える抗体の血清濃度を維持するのに十分な量である。
【0332】
[0358]一実施形態において、本開示は、ヒト対象における転移を処置または防止する方法であって、有効量のRNA分子にコンジュゲートした抗TM4SF1抗体コンジュゲートまたはその抗原結合フラグメントを対象に投与するステップを含み、有効量の抗体−RNAコンジュゲートまたはその抗原結合フラグメントは、1から80mg/kgの量の抗体コンジュゲートまたはその抗原結合フラグメントを含む、方法を提供する。
【0333】
[0359]本発明の開示は、さらに、有効量の本開示のコンジュゲート、例えば抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートを対象に投与するステップを含む、ヒト対象における感染性疾患を処置または防止する方法を提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートは、感染性疾患を防止する予防ワクチンである。一部の実施形態において、天然のウイルス(miral)感染を模擬し、免疫応答を惹起するために、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートのmRNAはウイルスタンパク質に翻訳される。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートのmRNAは、サイトメガロウイルス(CMV)タンパク質、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)タンパク質、パラインフルエンザウイルス3(PIV3)タンパク質、インフルエンザタンパク質、ジカウイルスタンパク質、またはチクングンヤウイルス(CHIKV)タンパク質に翻訳される。一部の実施形態において、インフルエンザタンパク質は、ヘマグルチニン10(H10)タンパク質またはH7タンパク質である。一部の実施形態において、感染性疾患は、CMV、HPMV、PIV3、インフルエンザ、ジカウイルス、またはチクングンヤウイルスである。
【0334】
[0360]一実施形態において、本発明の開示は、さらに、有効量の本開示のコンジュゲート、例えば抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートを対象に投与するステップを含む、ヒト対象における心臓血管疾患を処置または防止する方法を提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートのmRNAは、血管内皮増殖因子(VEGF)に翻訳される。一部の実施形態において、VEGFをコードする抗TM4SF1抗体−mRNAは、血管の生成を引き起こし、血液供給を改善する。
【0335】
[0361]特定の実施形態において、本発明の開示は、さらに、有効量の抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートを対象に投与するステップを含む、ヒト対象における嚢胞性線維症を処置または防止する方法を提供する。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートのmRNAは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)タンパク質に翻訳される。嚢胞性線維症では、異常なフォールディングとその結果起こる迅速な分解を引き起こす突然変異に起因するCFTRタンパク質の欠乏がある。一部の実施形態において、抗TM4SF1抗体−mRNAコンジュゲートは、CFTRタンパク質の機能的な発現を提供する。
【0336】
[0362]本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの治療的使用のための投与様式は、錠剤、カプセル剤、液剤、粉剤、ゲル剤、粒子剤の形態の製剤を使用する、宿主に抗体を送達する任意の好適な経路、例えば、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内または皮下、肺、経粘膜(口腔、鼻腔内、膣内、直腸)であってもよく、さらに、シリンジ、埋め込まれたデバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ;または当技術分野において周知の当業者が認識している他の手段に含有されていてもよい。部位特異的投与は、例えば、関節内(intrarticular)、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、体腔内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、子宮頸部内、胃内、肝臓内、心臓内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、腹膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、関節滑液嚢内、胸腔内、子宮内、血管内、膀胱内、病巣内、膣、直腸、頬側、舌下、鼻腔内、または経皮送達によって達成され得る。
【0337】
[0363]一部の実施形態において、本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、任意の好適な経路で、例えば静脈内(i.v.)輸注またはボーラス注射により非経口で、筋肉内または皮下または腹腔内に、対象に投与されてもよい。i.v.輸注は、例えば15、30、60、90、120、180、もしくは240分にわたり、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間にわたり与えてもよい。一部の実施形態において、対象に与えられる用量は、約0.005mg〜約100mg/kg、例えば約0.05mg〜約30mg/kgまたは約5mg〜約25mg/kg、または約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kgまたは約24mg/kg、または例えば約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10mg/kgである。特定の実施形態において、対象に与えられる用量は、例えば約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90または100mg/kgである。一部の場合において、対象に与えられる本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約0.1mg/kgから10mg/kgであり得る。一部の場合において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約0.1mg/kgから10mg/kgである。一部の場合において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約0.1mg/kgである。一部の場合において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約0.1mg/kgである。一部の実施形態において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約0.3mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約0.3mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約1.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約1.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約3.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約3.0mg/kgである。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、静脈内投与を介して約10.0mg/kgであり得る。一部の例において、対象に与えられる本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの用量は、皮下投与を介して約10.0mg/kgである。
【0338】
[0364]特定の実施形態において、本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの固定された単位用量、例えば、50、100、200、500または1000mgが与えられるか、または用量は、患者の体表面積に基づいて、例えば、500、400、300、250、200、または100mg/m2であってもよい。一部の場合において、1から8回の間の用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8回)が、患者を処置するために投与されるが、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回またはそれより多くの用量が与えられる。
【0339】
[0365]本明細書に記載の開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートの投与は、一部の実施形態において、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1カ月、5週間、6週間、7週間、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月またはそれ以上の後に反復される。長期投与として、処置の反復コースも可能である。反復投与は、同じ用量で、または異なる用量でなされる。一部の例において、本明細書に記載の開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、静脈内輸注によって、8週間の間1週間間隔で8mg/kgまたは16mg/kgで投与され、続いて、追加の16週間の間2週間毎に8mg/kgまたは16mg/kgで投与され、続いて4週間毎に8mg/kgまたは16mg/kgで投与される。代わりに、一部の実施形態において、本明細書に記載の開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、17週間の間1週間間隔で、0.1mg/kgから約10mg/kgの間で投与される。例えば、一部の場合、本開示の抗体は1日投与量として、24、12、8、6、4、または2時間毎の単回または分割用量、または任意のそれらの組合せを使用して、処置の開始後少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40日目の少なくとも1日、または代わりに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20週目の少なくとも1週、またはそれらの任意の組合せに、1日当たり、約0.1〜100mg/kg、例えば0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/kgの量で提供される。一部の実施形態において、本明細書に記載の開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、RA、乾癬性関節炎または乾癬などの炎症性疾患を発生させるリスクを低減する、RA、乾癬性関節炎または乾癬などの炎症性疾患の進行中における事象の出現の発症を遅延させるために、予防的に投与される。一部の例において、本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、貯蔵のために凍結乾燥されており、使用前に好適な担体中で再構成される。一部の場合、本開示のコンジュゲート、例えば本開示の抗体−RNAコンジュゲートは、フリップオフキャップを備えたストッパーおよびアルミニウムシールを有するガラスバイアル中の滅菌された凍結された液体として供給される。一部の例において、各バイアルは、pH5.8の10mMヒスチジン、8.5%(w/v)スクロース、および0.04%(w/v)ポリソルベート80の製剤中、抗体−RNAコンジュゲートの3.3mLの50mg/mL溶液(10%の過剰量を含む)を含有する。一部の例において、バイアルは、保存剤を含有せず、単回使用用である。バイアルは、凍結貯蔵され、遮光されていてもよい。IV投与のための抗体−RNAコンジュゲートを調製するために、本開示のコンジュゲート、例えば抗体−RNAコンジュゲート製剤は、一部の例において、滅菌希釈剤で希釈する前に、0.22ミクロンフィルターで濾過される。一部の例において、希釈された本開示のコンジュゲート、例えばおよそ100mLまでの体積に希釈された抗体−RNAコンジュゲートは、インラインの0.22ミクロンフィルターを使用して、少なくとも30分の期間にわたり、IV輸注によって投与される。代わりに、一部の実施形態において、本開示のコンジュゲート、例えば抗体−RNAコンジュゲートは、約3.3mLの50mg/mLの抗体−RNAコンジュゲートの1または2回の皮下注射として投与される。皮下注射部位は、例えば腹部領域内であってもよい。
【0340】
XI.医薬組成物
[0366]本開示のTM4SF1結合タンパク質(例えば、抗TM4SF1抗体、またはその抗原結合フラグメント)および本開示の抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲート(例えば抗TM4SF1抗体−RNAまたはDNAコンジュゲート)またはそれらをコードするポリヌクレオチドのいずれか1つが、組成物(例えば、医薬組成物)中に含まれていてもよい。本開示の医薬組成物は、医薬的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含み得る。
【0341】
[0367]本明細書で使用する用語「医薬組成物」は、医薬的に許容される担体によって製剤化される本明細書に記載のTM4SF1結合タンパク質を含有する組成物を指し、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として政府規制機関の認可により製造または販売される。医薬組成物は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、ゲルカップ、またはシロップ)での経口投与のため、局所投与のため(例えば、クリーム、ゲル、ローション、または軟膏として)、静脈内投与のため(例えば、粒状塞栓のない滅菌溶液としておよび静脈内使用に適した溶媒系で)、または本明細書に記載の任意の他の製剤で製剤化され得る。
【0342】
[0368]本明細書で使用する用語「医薬的に許容される担体」は、それにより投与されるタンパク質の治療特性を保持しながら処置される哺乳動物(例えば、ヒト)に生理的に許容される担体を指す。1つの例示的な医薬的に許容される担体は、生理食塩水である。他の生理的に許容される担体およびそれらの製剤は当業者に公知であり、例えば参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences(18th edition、A.Gennaro、1990、Mack Publishing Company、Easton、PA)に記載される。
【0343】
[0369]上記のコンジュゲートを含むTM4SF1結合タンパク質を含有する医薬組成物は、一部の実施形態において、吸入可能剤形として、鼻腔内剤形として、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む剤形、マイクロ粒子を含む剤形、ポリマー剤形、またはそれらの任意の組合せとして、溶液、グリセロール中分散液、液体ポリエチレングリコール、および油中、固体剤形中のそれらの任意の組合せとして調製される。
【0344】
[0370]医薬的に許容される賦形剤は、一部の例において、Handbook of Pharmaceutical Excipients、American Pharmaceutical Association(1986)に記載の賦形剤である。好適な賦形剤の非限定的な例としては、緩衝剤、保存剤、安定剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、キレート剤、分散強化剤、崩壊剤、風味剤、甘味料、着色料が挙げられる。
【0345】
[0371]一部の実施形態において、賦形剤は緩衝剤である。好適な緩衝剤の非限定的な例としては、クエン酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸水素カルシウムが挙げられる。緩衝剤としては、一部の実施形態において、本開示の医薬組成物において、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム(magnesium glucomate)、水酸化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、および他のカルシウム塩またはそれらの組合せが使用される。
【0346】
[0372]一部の実施形態において、賦形剤は保存剤を含む。好適な保存剤の非限定的な例としては、抗酸化剤、例えばαトコフェロールおよびアスコルビン酸塩、ならびに抗菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、およびフェノールが挙げられる。一部の例において、抗酸化剤としては、限定はされないが、EDTA、クエン酸、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、亜硫酸ナトリウム、p−アミノ安息香酸、グルタチオン、没食子酸プロピル、システイン、メチオニン、エタノールおよびN−アセチルシステインがさらに挙げられる。一部の例において、保存剤としては、バリダマイシンA、TL−3、オルトバナジウム酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、N−a−トシル−Phe−クロロメチルケトン、N−a−トシル−Lys−クロロメチルケトン、アプロチニン、フッ化フェニルメチルスルホニル、ジイソプロピルフルオロリン酸、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、グランザイム阻害剤、細胞接着阻害剤、細胞分裂阻害剤、細胞周期阻害剤、脂質シグナル伝達阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、還元剤、アルキル化剤、抗菌剤、オキシダーゼ阻害剤、または他の阻害剤が挙げられる。
【0347】
[0373]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として結合剤を含む。好適な結合剤の非限定的な例としては、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリドン(polyvinyloxoazolidone)、ポリビニルアルコール、C12〜C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、サッカリド、オリゴサッカリド、およびこれらの組合せが挙げられる。医薬製剤に使用される結合剤は、一部の例において、デンプン、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン;糖、例えばスクロース、グルコース、デキストロース、ラクトース、マルトデキストリン;天然および合成ゴム;ゼラチン;セルロース誘導体、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルピロリドン(ポビドン);ポリエチレングリコール(PEG);ワックス;炭酸カルシウム;リン酸カルシウム;アルコール、例えばソルビトール、キシリトール、マンニトール、および水またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0348】
[0374]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として潤滑剤を含む。好適な潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水添植物油、ステロテックス、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、滑石、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムおよび軽油が挙げられる。医薬製剤に使用される潤滑剤は、一部の実施形態において、ステアリン酸金属塩類(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、脂肪酸エステル(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱油、パラフィン、水添植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール(PEG)、ラウリル硫酸金属塩類(metallic lauryl sulphate)(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム)、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および滑石またはこれらの組合せから選択される。
【0349】
[0375]一部の実施形態において、医薬製剤は賦形剤として分散強化剤を含む。好適な分散剤の非限定的な例としては、一部の例において、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーゴム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスシリケート、および高HLB乳化剤界面活性剤としての結晶セルロースが挙げられる。
【0350】
[0376]一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤として崩壊剤を含む。一部の実施形態において、崩壊剤は非起泡性崩壊剤である。好適な非起泡性崩壊剤の非限定的な例としては、デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、これらのアルファ化および修飾デンプン、甘味料、粘土、例えばベントナイト、結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ゴム、例えばカンテン、ガウア、イナゴマメ、カラヤ、ペシチン(pecitin)、およびトラガカントが挙げられる。一部の実施形態において、崩壊剤は起泡性崩壊剤である。好適な起泡性崩壊剤の非限定的な例としては、クエン酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウムおよび酒石酸と組み合わせた炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0351】
[0377]一部の実施形態において、賦形剤は風味剤を含む。外層に組み込まれる風味剤は、一部の例において、合成風味油および風味香料;天然油;植物、葉、花および果物からの抽出物ならびにこれらの組合せから選択される。一部の実施形態において、風味剤は、ケイヒ油;ウインターグリーン油;ハッカ油;クローバー油;干し草油;アニス油;ユーカリ;バニラ;柑橘類の油、例えばレモン油、オレンジ油、ブドウおよびグレープフルーツ油;ならびにリンゴ、モモ、セイヨウナシ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップルおよびアプリコットを含む果実エキスからなる群から選択され得る。
【0352】
[0378]一部の実施形態において、賦形剤は、甘味料を含む。好適な甘味料の非限定的な例としては、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトースおよびこれらの混合物(担体として使用されない場合);サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩;ジペプチド甘味料、例えばアスパルテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリジン;ステビア(Stevia Rebaudiana)(ステビオシド);スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース;および糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、シリトール(sylitol)などが挙げられる。
【0353】
[0379]一部の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、着色料を含む。好適な着色料の非限定的な例としては、食品、医薬品および化粧品色素(FD&C)、医薬品および化粧品色素(D&C)、ならびに外用医薬品および化粧品色素(Ext.D&C)が挙げられる。着色料は、染料またはこれらの対応するレーキとして使用され得る。
【0354】
[0380]一部の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、キレート剤を含む。一部の場合、キレート剤は殺真菌性キレート剤である。例としては、限定はされないが、以下が挙げられる:エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸(EDTA);EDTAの二ナトリウム、三ナトリウム、四ナトリウム、二カリウム、三カリウム、二リチウムおよび二アンモニウム塩;EDTAのバリウム、カルシウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、ユーロピウム、鉄、インジウム、ランタン、マグネシウム、マンガン、ニッケル、サマリウム、ストロンチウム、または亜鉛キレート;トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸一水和物;N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン;1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸;1,3−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸;エチレンジアミン−N,N’−二酢酸;エチレンジアミン−N,N’−二プロピオン酸二塩酸塩;エチレンジアミン−N,N’−ビス(メチレンホスホン酸)半水和物;N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸;エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラキス(メチレンホスホン酸);O,O’−ビス(2−アミノエチル)エチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸;N,N−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N−二酢酸;1,6−ヘキサメチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸;N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸;イミノ二酢酸;1,2−ジアミノプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸;ニトリロ三酢酸;ニトリロ三プロピオン酸;ニトリロトリス(メチレンホスホン酸(methylenephosphoric acid))の三ナトリウム塩;7,19,30−トリオキサ−1,4,10,13,16,22,27,33−オクタアザビシクロ[11,11,11]ペンタトリアコンタンヘキサヒドロブロミド;またはトリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸。
【0355】
[0381]また、本明細書で開示される抗TM4SF1抗体および1つまたは複数の他の抗菌剤または抗真菌剤、例えば、ポリエン、例えば、アンホテリシンB、アンホテリシンB脂質複合体(ABCD)、リポソーム型アンホテリシンB(L−AMB)およびリポソーム型ナイスタチン、アゾールおよびトリアゾール、例えばボリコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール(pozaconazole)など;グルカンシンターゼ阻害剤、例えば、カスポファンギン、ミカファンギン(FK463)、およびV−エキノカンジン(LY303366);グリセオフルビン;アリルアミン、例えば、テルビナフィン;フルシトシンまたは本明細書に記載されるそれらを含む他の抗真菌剤を含む組合せ製品が考えられる。さらに、ペプチドは、局所抗真菌剤、例えば、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、トルナフテート、ウンデシレン酸塩、局所ナイスタチン(nysatin)、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィンおよび他の局所薬剤と組み合わされ得ると考えられる。一部の例において、医薬組成物は、さらなる薬剤を含む。一部の場合、さらなる薬剤は医薬組成物に治療有効量で存在する。
【0356】
[0382]貯蔵および使用の通常の条件下で、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含み、微生物の増殖を防止する。特定の例において、本明細書に記載の医薬組成物は、保存剤を含まない。注射可能な使用に好適な医薬品形態は、滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。医薬組成物は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および/または植物油、またはこれらの任意の組合せを含有する溶媒または分散培地である担体を含む。良好な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散液の場合必要な粒子サイズの維持によって、ならびに界面活性剤の使用によって維持される。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムが含まれる。注射可能な組成物の吸収の延長は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物での使用によってもたらされ得る。
【0357】
[0383]水溶液での非経口投与のため、例えば、液体剤形は必要であれば好適に緩衝され、液体希釈剤は十分な生理食塩水またはグルコースによって等張にされる。液体剤形は、特に静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、および腹腔内投与に好適である。これに関連して、用いられ得る滅菌水性培地は、本開示に照らして当業者に公知である。例えば、1回の投与量は、特定の場合、1mL〜20mLの等張NaCl溶液に溶解され、100mL〜1000mLの液体、例えば炭酸水素ナトリウム緩衝生理食塩水に添加されるか、注入の提案された部位で注射された。
【0358】
[0384]特定の実施形態において、滅菌注射可能溶液は、免疫療法剤を、必要な場合、上記に列挙した様々な他の成分と適切な溶媒に必要な量で組み入れ、滅菌濾過することによって調製される。通常、分散液は様々な滅菌活性成分を、基本分散培地および上記に列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れることによって調製される。本明細書で開示される組成物は、一部の例において、中性または塩形態に製剤化される。医薬的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基によって形成される)が挙げられ、それらは無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸など、または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などによって形成される。遊離カルボキシル基によって形成された塩は、一部の場合、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムなど、または水酸化第二鉄、および有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどに由来する。製剤時、医薬組成物は、一部の実施形態において、投与製剤に対応した方法および治療に有効であるような量で投与される。
【0359】
[0385]特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせて本明細書で開示される有効量の抗TM4SF1抗体を含む。本明細書で使用する「医薬的に許容される」は、活性成分の生物学的活性の有効性に干渉しないおよび/または投与される患者に毒性ではない任意の担体を含む。好適な医薬担体の非限定的な例としては、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン、例えば、油/水型エマルジョン、様々な型の湿潤剤および滅菌溶液が挙げられる。医薬的に適合する担体のさらなる非限定的な例としては、ゲル、生体吸収性マトリックス材、免疫療法剤または任意の他の好適なビヒクルを含有する移植エレメント、送達または分配手段または材料が挙げられ得る。そのような担体は、例えば従来の方法によって製剤化され、有効量で対象に投与される。
【0360】
XII.組合せ療法
[0386]特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数のさらなる治療に続く、先行されるまたは組み合わせる、本明細書で開示されるコンジュゲートを投与するステップを含む。さらなる治療の例としては、限定はされないが、化学療法、放射線、抗がん剤、またはこれらの任意の組合せが挙げられ得る。さらなる治療は、コンジュゲートの投与と同時にまたは順に投与され得る。特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数の抗がん剤またはがん治療に続く、先行される、または組み合わせる本明細書で開示されるコンジュゲートを投与するステップを含む。抗がん剤としては、限定はされないが、化学療法剤、放射線療法剤、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害剤、抗血管新生剤、アポトーシス誘導剤、抗がん抗体、および/または抗サイクリン依存性キナーゼ剤が挙げられる。特定の実施形態において、がん治療としては、化学療法、生物学的療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、抗血管療法、寒冷療法、毒物療法、および/または外科手術またはこれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態において、本開示の方法は、1つまたは複数のさらなる免疫調節剤に続く、先行される、または組み合わせる本明細書で開示されるコンジュゲートを投与するステップを含む。免疫調節剤としては、一部の例において、腫瘍またはがんと関連する抗ウイルス免疫を抑制することができる任意の化合物、分子または物質が挙げられる。さらなる免疫調節剤の非限定的な例としては、抗CD33抗体またはこれらの可変領域、抗CD11b抗体またはこれらの可変領域、COX2阻害剤、セレコキシブ、サイトカイン、例えばIL−12、GM−CSF、IL−2、IFN3およびIFNγ、ならびにケモカイン、例えばMIP−1、MCP−1、およびIL−8が挙げられる。
【0361】
[0387]特定の例において、さらなる治療は例示的な放射線量が5,000Rads(50Gy)〜100,000Rads(1000Gy)、または50,000Rads(500Gy)、または記載した範囲内の他の適切な線量である。代わりに、例えば上記の線量測定試験によって決定された線量により、放射線量は約30〜60Gy、約40〜約50Gy、約40〜48Gy、または約44Gy、または記載した範囲内の他の適切な線量である。本明細書で使用する「Gy」は、100Radsに等しい放射線の特定の吸収線量の単位を指し得る。Gyは、「グレイ(Gray)」の省略形である。
【0362】
[0388]特定の例において、さらなる治療は化学療法であり、例示的な化学療法剤としては、限定されないが、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード誘導体、エチレンイミン、スルホン酸アルキル、ヒドラジンおよびトリアジン、ニトロソウレア(nitrosurea)、ならびに金属塩)、植物アルカロイド(例えば、ベンカアルカロイド、タキサン、ポドフィロトキシン、およびカンプトテシン(camptothecan)類似体)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン、クロモマイシンなど)、代謝拮抗薬(例えば、葉酸拮抗薬、ピリミジン拮抗薬、プリン拮抗薬、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤)、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、および種々の抗悪性腫瘍薬(例えば、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、副腎皮質ステロイド阻害剤、酵素、微小管阻害剤、およびレチノイド)が挙げられる。例示的な化学療法剤としては、限定はされないが、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、ブレオマイシン硫酸塩(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射剤(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar−U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射剤(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメガン(cosmegan))、塩酸ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射剤(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5−フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イフォスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6−メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキセート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(イットリウム90/MX−DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラント含有ポリフェプロサン20(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用の塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))、イブルチニブ、イデラリシブ、およびブレンツキシマブベドチンが挙げられ得る。
【0363】
[0389]例示的なアルキル化剤としては、限定はされないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen Mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イフォスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスフォルアミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、およびダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))が挙げられる。さらなる例示的なアルキル化剤としては、限定はされないが、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)およびTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシンDとしても公知、Cosmegen(登録商標));メルファラン(L−PAM、L−サルコリシン、およびフェニルアラニンマスタードとしても公知、Alkeran(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)およびMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても公知、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても公知、Platinol(登録商標)およびPlatinol(登録商標)−AQ);クロラムブシル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)およびNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DICおよびイミダゾールカルボキサミドとしても公知、DTIC−Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても公知、Hexalen(登録商標));イフォスファミド(Ifex(登録商標));プレドニマスチン(Prednumustine);プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチンおよび塩酸メクロレタミン(mechloroethamine)としても公知、Mustargen(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスファミド(thiophosphoamide)、TESPAおよびTSPAとしても公知、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));およびベンダムスチンHCl(Treanda(登録商標))が挙げられる。
【0364】
[0390]例示的なアントラサイクリンとしては、限定はされないが、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)およびRubex(登録商標));ブレオマイシン(Lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(塩酸ダウノルビシン(dauorubicin hydrochloride)、ダウノマイシン、および塩酸ルビドマイシン、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(クエン酸ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標)、Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;およびデスアセチルラビドマイシンが挙げられ得る。
【0365】
[0391]例示的なビンカアルカロイドとしては、限定はされないが、酒石酸ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(硫酸ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチンおよびVLBとしても公知、Alkaban−AQ(登録商標)およびVelban(登録商標));およびビノレルビン(Navelbine(登録商標))が挙げられる。
【0366】
[0392]例示的なプロテオソーム阻害剤としては、限定はされないが、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カルフィルゾミブ(PX−171−007、(S)−4−メチル−N−((S)−1−(((S)−4−メチル−1−((R)−2−メチルオキシラン−2−イル)−1−オキソペンタン−2−イル)アミノ)−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イル)−2−((S)−2−(2−モルホリノアセトアミド)−4−フェニルブタンアミド)−ペンタンアミド);マリゾミブ(NPI−0052);クエン酸イキサゾミブ(MLN−9708);デランゾミブ(CEP−18770);およびO−メチル−N−[(2−メチル−5−チアゾリル)カルボニル]−L−セリル−O−メチル−N−[(1S)−2−[(2R)−2−メチル−2−オキシラニル]−2−オキソ−1−(フェニルメチル)エチル]−L−セリンアミド(ONX−0912)が挙げられ得る。
【0367】
[0393]本明細書で使用する「と組み合わせて」は、コンジュゲートとさらなる治療が、処置レジメンまたは計画の一部として対象に投与されることを意味する。特定の実施形態において、組合せで使用されるステップは、コンジュゲートとさらなる治療が投与前に物理的に組み合わされるまたは同じ時間枠にわたって投与される必要がない。例えば、限定としてではなく、コンジュゲートと1つまたは複数の薬剤は、処置される対象に同時に投与される、または同時にもしくは任意の順序でもしくは異なる時点で順に投与される。
【実施例】
【0368】
[0394]以下の実施例は、例示のために提供され、ここで請求する開示に限定しない。
実施例1.固形腫瘍を有する対象における抗TM4SF1抗体−抗TM4SF1 siRNAコンジュゲートの抗血管新生能および抗転移能
[0395]第1相の非盲検用量漸増研究を実行する。この研究は、進行中の固形腫瘍を有する対象における、本開示の抗TM4SF1抗体およびTM4SF1標的化siRNAで構成される例示的な抗体−RNAコンジュゲートの安全性および薬物動態を評価し、推奨される第2相用量(単独療法として、または標準的な療法と組み合わせて)を決定するために設計される。研究の組み入れ基準は、外科的切除または他の承認された治療選択肢に適していない進行中の固形腫瘍を有する参加者を含む。さらに、参加者は、固形腫瘍治療効果判定基準(RECIST)バージョン1.1に従って測定可能な疾患または腫瘍抗原のアセスメントによって評価可能な疾患を有していなければならない。さらに、参加者は、十分な骨髄、腎臓、肝臓および心臓の機能を有していなければならない。研究の除外基準の一部は、参加者が、例示的な抗TM4SF1抗体−TM4SF1標的化siRNAを含むコンジュゲートの第1の投与前の21日の期間以内に抗がん療法または何らかの治験療法受けたことがあること;中枢神経系(CNS)への制御不能な転移;未解決の有害事象;およびいずれかのオーリスタチンベースの薬剤および/またはIgGを含有する薬剤に対する主要な免疫学的反応の病歴を含む。
【0369】
[0396]固形腫瘍を有し、研究の組み入れ基準を満たす30人の参加者のグループに、RNAがTM4SF1を標的化するsiRNAである例示的な抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートを、静脈内輸注として、24カ月にわたり、約100μg/kgの用量で28日毎に投与する。抗TM4SF1抗体−siRNAコンジュゲートの終末消失半減期を参加者毎に測定する。加えて、抗TM4SF1抗体−siRNAコンジュゲートの観察された最大血漿濃度(Cmax)も決定する。さらに、有害事象を有する参加者の数を記録する。抗TM4SF1抗体−RNAコンジュゲートのゼロ時間から最後の測定可能な濃度までの濃度曲線下面積(AUC)AUC(0−t)も測定する。さらに、奏効率(ORR)無進行生存(PFS)および奏功期間(DOR)を全ての参加者で測定する。ORRは、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を達成する参加者の比率と定義される。PFSは、抗TM4SF1抗体−siRNAコンジュゲートの第1の用量の日から、疾患進行または死亡のうちどちらか最初に起こった方までの時間と定義される。DORは、参加者の最初のCRまたはPRから疾患進行のときまでの時間と定義される。
【0370】
実施例2.インビトロで抗TM4SF1抗体−抗LSECtin siRNAコンジュゲートが黒色腫細胞増殖を阻害する
[0397]インビトロにおける研究を実行して、抗TM4SF1抗体およびLSECtinを標的化するsiRNAを含む例示的な抗体−RNAコンジュゲートを使用して起こり得る腫瘍細胞阻害を評価する。B16細胞は、確立された黒色腫細胞株由来の細胞であり、これを10%の熱不活性化FBSおよび100U/mLのペニシリンが補充されたDMEM中で培養する。5%CO
2を含む加湿したインキュベーター中で、37℃で細胞を維持し、これを限られた数の継代数で実験に使用する。細胞のシーディング後の日、およびその後1日おきに、増殖培地を交換する。
【0371】
[0398]実験の前にB16細胞を24−ウェルプレート中にシーディングし、10%FBSが補充されたDMEM培地中で密集状態になるまで成長させる。2つの異なる量の抗体−RNAコンジュゲートを試験する。1および5マイクログラム(μg)の抗TM4SF1抗体−抗LSECtin siRNAコンジュゲートを完全培地中の細胞に添加し、そのまま細胞上で、サイレンシング分析を実行する前の72時間インキュベートする。陽性対照の場合、IgG抗体を、高いレベルのノックダウン(例えば、>70%)を達成することがわかっているsiRNA分子にコンジュゲートする。陰性対照の場合、IgG抗体を、非特異的なsiRNAとコンジュゲートする。抗TM4SF1抗体−抗LSECtin siRNAコンジュゲートとの72時間のインキュベーション後、LSECtin遺伝子のmRNAレベルを評価する。サイレンシング分析の結果は、LSECtinのノックダウンの成功を示す。加えて、細胞増殖アッセイを実行して、抗TM4SF1抗体−抗LSECtin siRNAコンジュゲートとのインキュベーション後のB16細胞の増殖率を評価する。両方の条件(すなわち、1および5μgの抗TM4SF1抗体−抗LSECtin siRNAコンジュゲート)で細胞死が観察された。陰性または陽性対照では、細胞死は観察されない。
【0372】
実施例3.インビボでの乳がんにおける抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートの抗転移能の研究
[0399]インビボの研究を実行して、抗TM4SF1抗体およびVCAM−1標的化siRNAを含む抗体−RNAコンジュゲートの抗転移能を評価する。VCAM−1発現は、インビトロにおけるサイトカイン刺激によって、多くの乳がん上皮細胞において誘導することができ、その上方調節は、進行中の臨床的な乳がん段階と直接的に相関する。NMuMG乳房上皮細胞におけるVCAM−1過剰発現は、インビトロにおいて、細胞の運動速度の増加およびドキソルビシンおよびシスプラチンに対する化学療法耐性の増加を引き起こす上皮間葉移行(EMT)プログラムを制御する。
【0373】
[0400]これらのインビトロにおける結果がインビボモデルに反映されるかどうかをさらに確認するために、B6重症複合免疫不全(SCID)マウスの両脇腹に、eGFP shRNA陽性対照細胞で安定してトランスフェクトされたヒト乳腺癌細胞(すなわち、MDA−MB−231細胞)、ならびに3つの異なる用量:10μg/kg、500μg/kg、および30mg/kgでの抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートを皮下注射した。2カ月後、マウスを苦痛なく致死させて解剖を行う前に対照ベクターおよび抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートでトランスフェクトされた細胞を注射したマウスにおいて、著しいグロスの腫瘍増大が見出される。予想通りに、VCAM−1ノックダウンMDA−MB−231細胞は、インビボにおいて、対照グループと比較して2〜3分の1に低減した腫瘍原性を示す。それに対し、ウェスタンブロットアッセイは、MDA−MB−231異種移植片腫瘍試料において、抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートがVCAM−1発現を効果的に抑制したことを確認した。
【0374】
[0401]さらに、最小有効量および最大耐量を見出すために、腫瘍増殖を誘導するために両脇腹にヒト乳腺癌細胞(すなわち、MDA−MB−231細胞)が皮下注射されるSCIDマウスを含む第2の実験を実行する。マウスにおいて著しいグロスの腫瘍増大が見出されたら、抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートを、3つの異なる用量:10μg/kg、500μg/kg、および30mg/kgで抗体−RNAコンジュゲートを受けるマウスの3つのグループに投与する。2カ月後、マウスを苦痛なく致死させて解剖を行う。インビボで、10μg/kgおよび500μg/kgのグループの両方において、対照グループと比較して腫瘍原性が低減する。したがって、最小有効量は、10μg/kgであると見出され、一方で最大耐量は、500μg/kgである。30mg/kg用量の抗TM4SF1抗体−抗VCAM−1 siRNAコンジュゲートのみが注射されたマウスのみが、注射後1カ月生存する。
【0375】
[0402]内因性VCAM−1発現の相乗的なノックダウンおよびTM4SF1の標的化は、インビボにおいて、腫瘍細胞増殖を低減する、TGFβ1またはIL−6によって媒介される腫瘍細胞の細胞移動を阻害する、および化学感受性を増加させる。さらに、MDA−MB−231細胞における内因性VCAM−1発現のノックダウンおよびTM4SF1の標的化が、SCID異種移植片マウスモデルにおいて腫瘍形成を低減することが実証される。
【0376】
実施例4.本開示の例示的な抗体−オリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製および特徴付け
[0403]コンジュゲーションのためのシステインが操作された抗TM4SF1抗体の調製:システインが操作された抗TM4SF1モノクローナル抗体(操作されたシステインを有する抗Tm4SF1抗体)を、以下のプロトコールに従って、オリゴヌクレオチドとのコンジュゲーションのために調製した:約145μgから1mgの裸のシステインが操作された抗TM4SF1抗体の緩衝液を、50KDaの分子量カットオフ(MWCO)のスピンカラムを使用して10〜100mMのリン酸緩衝食塩水(PBS)7.4〜8.0に交換した(緩衝液交換のために3回の遠心分離を行った)。新しく希釈した5mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)−HCl pH7(アンプル0.5Nストックからの5mMのTCEPアリコートを必要になるまで凍結した)を調製した。抗TM4SF1抗体の4つのヒンジジスルフィドおよび2つの操作されたシステイン残基の完全な還元のために、約10当量のTCEPを抗体溶液に添加した。混合物を、サーモミキサー中の300rpmでのシェーカープレートで、37℃で約2時間インキュベートした。完全に還元された抗体を約4℃で冷却し、続いて緩衝液を、50kのMWCOのスピンカラム(14k rpm、4℃で)を使用して、5mMのEDTAを含む100mMのPBS8.0に3回交換した。緩衝液の交換後、PBS8.0中の25mMのストック溶液の25当量〜50当量のデヒドロアスコルビン酸を添加した。分析用サイズ排除クロマトグラフィー(分析SEC)を実行して、完全に還元された抗体が無傷であり、軽鎖と重鎖に断片化されていないかどうかをチェックした。抗体を所定期間(4℃で約3時間から約18時間)にわたり再酸化した。完全に再酸化された抗体を再び分析SECを介してチェックした。還元されたmAbの分析SECの結果および裸のmAbの分析SECの結果を比較した。還元および再酸化された操作されたシステインを有する抗TM4SF1抗体は、約0.5分超から約0.9分のRT(保持時間)で右にシフトすることが予想された。
【0377】
[0404]還元および再酸化された操作されたシステインを有する抗体(小さい分子量を有する)と裸のmAbとの保持時間の差から、システインから遊離のチオールへの脱キャッピングが示された。この段階で、完全に還元された、および再酸化された抗Tm4SF1mAbは、コンジュゲーションにすぐ使えるとみなされ、またはその代わりに、またはそれに加えて、調製された抗体が即座に使用されない場合、冷蔵庫で4℃で貯蔵した。
【0378】
[0405]コンジュゲーションのための操作されていない抗TM4SF1抗体の調製:抗TM4SF1モノクローナル抗体(抗Tm4SF1mAb)を、以下のプロトコールに従って、オリゴヌクレオチドとのコンジュゲーションのために調製した:約145μgから1mgの裸の非システインが操作された抗TM4SF1抗体の緩衝液を、50KDa分子量カットオフ(MWCO)のスピンカラムを使用して10〜100mMのPBS7.4〜8.0に交換した(緩衝液交換のために3回の遠心分離を行った)。新しく希釈した5mMトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)−HCl pH7(シグマ(Sigma)のアンプル0.5Nストックからの5mMのTCEPアリコートを必要になるまで凍結した)を調製した。抗TM4SF1抗体の2つのヒンジジスルフィドの部分的な還元のために、抗体溶液に約10当量のTCEPを添加した。混合物を、サーモミキサー中の300rpmでのシェーカープレートで、37℃で約2時間インキュベートした。還元された抗体を約4℃で冷却した。分析用サイズ排除クロマトグラフィー(分析SEC)を実行して、還元された抗体が無傷であり、軽鎖と重鎖に断片化されていないかをチェックした。還元されたmAbの分析SECの結果と裸のmAb(還元を経ていない)の分析SECの結果を比較した。還元されたmAbは、裸のmAbに対して右へのシフトを示すことが予想された。この段階で、還元された抗Tm4SF1mAbは、コンジュゲーションにすぐ使えるとみなされ、またはその代わりに、またはそれに加えて、調製された抗体が即座に使用されない場合、冷蔵庫で4℃で貯蔵した。
【0379】
[0406]切断可能なリンカーへのオリゴヌクレオチドペイロードのコンジュゲーション:3’または5’鎖に第一アミン−コンジュゲーションハンドルを有するオリゴヌクレオチドを、水または50mMリン酸緩衝食塩水中の1mMの濃度で、20nmolスケールで等分した。オリゴヌクレオチドが固体の場合、それを1nmol/1μL濃度で希釈した。オリゴヌクレオチドを緩衝液中に溶解させたら、Amiconの3K分子量カットオフフィルターを使用して、約7.2〜8.0の間のpHを有する50〜100mMのPBSに交換した。オリゴヌクレオチドに50当量のNHS−活性化ジスルフィド(S−ピリジル基を有する)を添加し、室温で3時間、または4℃で一晩反応させた。次いで粗製コンジュゲート(体積20μLから100μL)を、G−45 SephadexカラムまたはPD−10カラムを使用して100%純水に精製した。溶出した画分を一晩、固体に凍結乾燥した。約1mMから約10mMのコンジュゲート濃度を有するストック溶液を、50mM〜100mMのPBSへの再構成により調製した。NanoDropを260nMで使用して濃度を定量した。
【0380】
[0407]切断不可能なリンカーへのオリゴヌクレオチドペイロードのコンジュゲーション:3’または5’鎖に第一アミン−コンジュゲーションハンドルを有するオリゴヌクレオチドを、水または50mMリン酸緩衝食塩水中の1mMの濃度で、20nmolスケールで等分した。N−ヒドロキシスクシンイミドで活性化されたカルボン酸またはテトラフルオロフェニルで活性化された基を有するマレイミドまたはブロモ−アセトアミドヘテロ官能性リンカーの100mMのDMSOストック溶液を調製した。約50当量から約100当量のリンカーを、約7.4のpHでのPBS中の第一アミンを含有するオリゴヌクレオチドに添加し、室温で1〜2時間反応させた。粗製リンカー−オリゴヌクレオチドコンジュゲートを、純水で平衡化したPD−10カラムを使用して精製した。例えば、PD−10カラムは、5倍体積(約25ml)の純水で平衡化でき、粗混合物を約2.5ml未満またはそれに等しい量でローディングし、次いで3.5mlの水で溶出した。リンカー−ペイロードコンジュゲートを一晩凍結乾燥して固体を生成し、これをその後、約7.4のpHでのPBSで希釈し、必要に応じて使用した。
【0381】
[0408]例示的なリンカー−オリゴヌクレオチドコンジュゲートの特徴付け:天然のオリゴヌクレオチドおよびリンカー−オリゴヌクレオチドコンジュゲートに対する質量分析データを、Agilent 6545XT Q−ToF LCMSで、ネガティブモードで得た。各粗製または精製試料を粉末になるまで凍結乾燥した。およそ10〜12μgを80μLの水中に再懸濁して、約10μMの濃度を有するストック溶液を生産した。20μLのストック溶液の20μLの水での希釈を介して、5μM試料をプラスチックバイアル中に作製した。全ての注射は5μL体積であった。勾配方法は、以下の表で示され、
図4、
図5、および
図6はそれぞれ、裸のオリゴ(Hu S)、リンカーオリゴヌクレオチドコンジュゲート(切断不可能なMCCリンカーを使用してコンジュゲートした)、およびリンカーオリゴヌクレオチドコンジュゲート(切断可能なリンカー「SPDDまたはDisulsideまたはS−S」を使用してコンジュゲートした)に関するLC−MSの結果を示す。
【0382】
[0409]
【0383】
【表2】
【0384】
[0410]コンジュゲーションにすぐ使える抗TM4SF1抗体(例えば上述したように生成された完全に還元された操作されたシステインを有する抗体)へのリンカー−オリゴヌクレオチドペイロードのコンジュゲーション:約1.5から2.5モル濃度過量のオリゴリンカーペイロード(例えば上述したように調製されたMCC−オリゴ)を還元されたmAbに添加し、50kDaのMWCOのスピンカラムを使用して緩衝液を交換した。リンカー−オリゴヌクレオチドペイロードおよびmAbを室温で約2から4時間コンジュゲートした(あるいは、そのまま反応を4℃で一晩進行させることも可能である。コンジュゲートを分析SECによってモニターして、280nM(mAbから)および260nM(リンカー−オリゴヌクレオチドペイロードから)における吸光度のオーバーラップを同定した。半分取SECを、Agilentの、2.7ミクロン、4.6mmから300mmのSECカラムを介して、15分の期間にわたり0.35mL/分の流速で行った。代わりに、ID7.8mmのカラムを約1mgから約3mgのローディングで使用することも可能であった。半分取SECの流出物から画分を収集し、約7.4のpHでのPBSを使用して、50kDaのMWCOのスピンカラム(3回の遠心分離)を使用して濃縮した。分析SEC、続いて、280nmでの吸光度、ならびに280nmおよび260nmにおける吸光度の比率(A260/A280)を介したNanoDrop定量を使用して、所望の最終生成物の特徴をチェックし、一部の場合において(使用される色素に応じて)、吸光度を547nmで測定した。
図3に、この実施例に記載されるプロセスを概説するフローチャートを示す。
【0385】
[0411]リンカー−オリゴヌクレオチドの抗体へのトランスグルタミナーゼベースのコンジュゲーション:天然TM4SF−1抗体の緩衝液を、25mMのトリス、150mMのNaCl、約8.5のpHに、50kDaのMWCOフィルターを介して、少なくとも50μMの最終濃度まで交換した。約1.5〜10当量の求核性アミンを含有するオリゴヌクレオチドを抗体に添加した。アシル−アクセプターは、硫黄以外のあらゆるヘテロ原子であり得る。最後に、触媒的な当量から化学量論的な当量の微生物トランスグルタミナーゼ(本明細書では「mTGアーゼ」または「TG」:味の素のアクティバT1とも称される)を、約8.5のpHを有する20μMのトリスストック溶液(またはmTGアーゼの白色粉末形態からの80mg/ml)として添加した。粗製コンジュゲーション混合物を、サーモミキサーで37℃で1時間加熱した。次いでサーモミキサーを一定速度で4℃に昇温し、SEC−HPLCを介してモニターしながらかき混ぜる。PD−10、50kのMWCOのAmicon、プロテインAまたはSEC−HPLC技術を介して粗製反応物を精製する。mTGアーゼの除去は、最終的に回収された所望の生成物/コンジュゲートの分析SECまたはSDS−ゲルによる確認によって除去を確認するために重要であった。
図7は、ARC(トランスグルタミナーゼベースコンジュゲーションを使用して調製された)で行われた分析SECの結果を示す。
【0386】
[0412]mTGアーゼベースのコンジュゲーションを使用して調製されたARCを、分析SECを使用して特徴付けた。
図8〜10に結果を示す(各図は、220nm(
図8)、260nm(
図9)、または647nm(
図10)での吸光度測定での、コンジュゲートしていないmAbと、BCL2L1siRNAにMCCリンカーを介してコンジュゲートしたmAbとの比較を示す。mTGアーゼベースのコンジュゲーションを使用して調製された追加のARCを、分析SECを使用して特徴付けた。
図11〜13に結果を示す(各図は、220nm(
図11)、260nm(
図12)、または647nm(
図13)での吸光度測定での、コンジュゲートしていないmAbと、MCLsiRNAにMCCリンカーを介してコンジュゲートしたmAbとの比較を示す。さらなるARCを使用して調製されたmTGアーゼベースのコンジュゲーションを、分析SECを使用して特徴付けた。
図14〜16に結果を示す(各図は、220nm(
図14)、260nm(
図15)、または647nm(
図16)での吸光度測定での、コンジュゲートしていないmAbと、CTsiRNAにMCCリンカーを介してコンジュゲートしたmAbとの比較を示す。さらなるARCを使用して調製されたmTGアーゼベースのコンジュゲーションを、分析SECを使用して特徴付けた。
図17〜19に結果を示す(各図は、220nm(
図17)、260nm(
図18)、または647nm(
図19)での吸光度測定での、コンジュゲートしていないmAbと、TM4SF1siRNAにMCCリンカーを介してコンジュゲートしたmAbとの比較を示す。
【0387】
[0413]例示的な抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート(特に、抗体−RNAコンジュゲート、本明細書ではARCとも称される)の精製:例示的なARC(3’末端にNH2−アミンリンカー/スペーサーおよび5’末端にDy547色素を有する二本鎖siRNAを含有する;例示的なsiRNA配列は、配列番号102〜273として提供される)を、AgilentからのBio−Inert 1260HPLCを利用して精製した。Corningから供給された約7.4のpHのリン酸緩衝食塩水(PBS)を、系に導入する前に、0.22ミクロンフィルターに通過させて3回濾過した。移動相を、1泳動当たり約1mL/分で約7.5分、Agilent Advance Bio SEC 300オングストローム、孔径2.7ミクロン、7.8mm×150mmのカラムを通して泳動した。時間ベースの画分収集物を使用してARCを回収して、コンジュゲートしていない反応物ストックからの回収および分離を最大化した。収集後、50kDaのMWCOのスピンカラムでの遠心分離を介してARCを濃縮した。滅菌を確実にするために、ARCを0.22ミクロンフィルターに通過させて濾過した。
【0388】
[0414]ARC濃度を分光光度法により測定した。280nmで吸光度を測定した。オリゴヌクレオチドの場合、260nmおよび547nm(オリゴヌクレオチド上にDyLight547色素が存在する場合)で吸光度を測定することによって濃度を決定した。280nmにおけるより大きいピークによってsiRNAのローディングを確認し、次いで547nmでオーバーラップする波長を確認した。
【0389】
[0415]所望の生成物であるARCを、prep−SEC−HPLCを介して、またはARCを100kDaのMWCOのAmiconスピンカラムに通過させること(7回の遠心分離)によって単離し、続いて約7.4のpHを有するPBS中で50kDaのMWCOのAmiconスピンカラムを使用して濃縮した。
【0390】
[0416]
図20A〜20Dは、様々な抗体およびコンジュゲートのHPLCクロマトグラムを提供する。
図20Aは、N297C突然変異を含む裸のヒトAGX−A07抗体のHPLCクロマトグラムを示す;
図20Bは、裸のSPDP−TM4SF1−HusiのHPLCクロマトグラムを示す;
図20Cは、N297C−S−S−TM4SF−1−Husiを含むヒトAGX−A07の粗製コンジュゲートを示す;
図20Dは、例示的な精製されたARCを示す。
図21は、試薬SPDPを利用して、抗体をリンカーオリゴヌクレオチドコンジュゲートにコンジュゲートするステップの例示的なプロトコールを示す(図中のThiomAb(商標)は、システインが操作された抗体を指す)。
【0391】
[0417]実施例5:本開示の例示的なARCの生物学的な特性
[0418]いくつかの例示的なARCを、本明細書に記載のノックダウンアッセイで研究した。簡単に言えば、細胞を培養し、約3時間後に、ARC(表5で列挙された対照siRNA配列または試験siRNA配列のいずれかを含有する;安定化改変を含有するsiRNAをDharmacon(登録商標)によって合成した)を添加した。ARCを添加した細胞を一晩培養した。この工程で、細胞の1つのグループは継代培養し、別のグループは継代培養しなかった。約3時間後に細胞を画像化した、さらに約24時間にも画像化した。試料をさらに処理して、RNAまたはタンパク質発現を測定した。
図25、28A、29A、30A、31A、および32Aに、インキュベーションの間に使用されたARCのモル量/濃度を示す。量が10pmolと示される場合(
図25を参照)、20pmolのsiRNA(例えば、
図25のTM4SF1 siRNA)は2:1のOARでコンジュゲートされて、10pmolのAGX−TM−TM4SF1si ARCが得られた。インキュベーションの間、1mLの培養培地を含有するウェルに(12ウェルプレートで)10pmolのAGX−TM4SF1si ARCを添加した。したがってARCの濃度は10nMであった。同様に、量が50pmolと示される場合(
図28A、29A、30A、31A、および32Aを参照)、100pmolのsiRNA(例えば、MCL1 siRNA、BCL2L1 siRNA)が、1:2のOAR比率で抗TM4SF1抗体にコンジュゲートされて、50pmolのARCが得られ、上記で説明したように、インキュベーションの間のARCの濃度は50nMであった。
【0392】
[0419]プロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤(Halt Protease and Phosphatase Cocktail、Thermofisher)が補充された放射免疫沈降アッセイ緩衝液(RIPA、Thermofisher)中で細胞をホモジナイズした。SDS緩衝液を添加し、続いて5分沸騰させることにより変性させた。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によってタンパク質を分離し、ニトロセルロースメンブレン(Thermofisher)に移した。0.1%トウィーン20を含有するトリス緩衝化食塩水中の1%BSAで膜をブロックし、続いてブロッキング溶液で希釈された一次抗体で処置した。抗BCL2L1をCell Signaling Technologiesから購入した。免疫複合体を、近IR色素(Li−Cor924−32211)にコンジュゲートした適切な二次抗体と反応させ、Li−Cor CLXで可視化した。
図22は、ARCの考えられる作用機序を示す。
【0393】
[0420]
図23A〜23Eは、BCL2L1およびMCL1標的化siRNAを使用したHUVEC細胞におけるノックダウンを示す。対照と比較して(
図23A):(i)95%より多くのHUVEC細胞が、BCL2L1ノックダウンの72時間後に致死した(
図23B);(ii)安定化されたBCL2L1 siRNAで類似のノックダウン活性が見られた(
図23C);(iii)MCL1で約90%の細胞死が見られた(
図23D);および(iv)MCL1 siRNAの安定化がMCL1 siRNA活性に強く影響を与え、わずか約40%の細胞死を示した(
図23E)。
【0394】
[0421]MCL1、BCL2L1、およびTM4SF1 siRNAを使用するノックダウンを、がん細胞株、例えばA549(非小細胞肺がん細胞株);MiaPaca2(膵臓がん細胞株);およびSKOV3(卵巣がん細胞株)でさらに研究した。
図24は、インビトロでの培養したヒト細胞、加えて内皮細胞(HUVEC)におけるsiRNAノックダウン研究からのデータを提供する。TM4SF1 siRNAの場合:全ての4つの細胞型でノックダウンは90%を超えた。siRNA安定化は、ノックダウン活性に影響を与えなかった。BCL2L1 siRNAの場合:ノックダウンはHUVECにおいて90%を超えたが、腫瘍細胞株ではそれより弱かった(平均70〜80%)。siRNA安定化は、ノックダウン活性に影響を与えなかった。MCL1 siRNAの場合:ノックダウンはHUVECにおいて80%を超えたが、腫瘍細胞株ではそれより弱かった(平均55〜66%)。siRNA安定化はノックダウン活性に影響を与えた(平均ノックダウンは34%から48%であった)。各細胞型につき、Ctlは、対照siRNAを意味し;−は、いかなる改変も含まないsiRNAを意味し;Dyeは、5’センス鎖にCy5またはDy547色素コンジュゲーションを有するsiRNAを意味し;色素−安定化(Dye−stable)は、色素コンジュゲーションおよび安定化改変の両方を有するsiRNAを意味する。
図24のn.a.は、データの入手不可か、または実験が実行されなかったかのいずれかである。
【0395】
[0422]
図25は、安定なリンカーを介してTM4SF1si RNAにコンジュゲートした抗TM4SF1抗体を含有するARC(AGX−A07)を使用したHUVECにおけるノックダウンアッセイの結果を示す。この研究のために、ARCを培養培地に直接添加し、細胞を継代培養するときに除去した。継代培養の24時間後に色素強度が減衰したことから、TM4SF1 siRNAはRISCによってプロセシングされたことが示される。mRNA発現(
図26における)は、例示的なTM4SF1 ARCでの約37%のTM4SF1ノックダウンを示す。対照siRNA ARCでノックダウンは見られなかった。
図27に、AGX−A07およびTM4SF1 siRNAを含有するARC(AGX−TM−siRNA)を使用したノックダウンアッセイの定量的データが提供される。
【0396】
[0423]HUVECにおける類似のノックダウン研究をAGX−A07およびBCL2L1 siRNAを含有するARCで行った。結果を
図28A〜28Dに示す。ARCを培養培地に直接添加し、細胞を継代培養するときに除去した。継代培養の24時間後にsiRNAシグナルが減衰したことから、BCL2L1 siRNAはRISCによってプロセシングされたことが示される。mRNA発現は、約29.4%のBCL2L1ノックダウンを示した(
図28B)。ウェスタンブロットは、BCL2L1の約15.7%のノックダウンを示した(
図28C)。免疫染色は、減衰した陽性染色されたシグナルを示すmRNAおよびタンパク質の結果の両方を支持した(
図28D)。BCL2L1 siRNAを含有するARCも、A549細胞で(
図29A〜29bに結果を示す)(mRNA発現は、約14.4%のBCL2L1ノックダウンを示し、siRNAシグナルは継代培養の24時間後に減衰したことから、siRNAがRISCによってプロセシングされることが示される);MiaPaca2細胞で(
図30A〜30Bに結果を示す)(siRNAシグナルは継代培養の24時間後に減衰したことから、siRNAがRISCによってプロセシングされることが示され、mRNA発現は、MiaPaca2においてBCL2L1ノックダウンを示さなかった);SKOV3細胞で(
図31A〜31Bに結果を示す)(siRNAシグナルは継代培養の24時間後に減衰したしたことから、siRNAはRISCによってプロセシングされることが示され、mRNA発現は、約5.29%のBCL2L1ノックダウンを示した)試験した。
【0397】
[0424]ノックダウン研究を、AGX−A07およびMCL1 siRNAを含有するARCを有するHUVEC細胞で行った。結果は、
図32A〜32Bに示される。ARCを培養培地に直接添加し、細胞を継代培養するときに除去した。siRNAシグナルは継代培養の24時間後に減衰したことから、MCL1 siRNAはRISCによってプロセシングされることが示される。mRNA発現は、約10.4%のMCL1ノックダウンを示した。安定化されたMCL1が元のMCL1 siRNA活性の50%を失っていた事実によって、ノックダウン効率が影響を受けた可能性があるという仮説を立てた。
【0398】
[0425]
【0399】
【表3-1】
【0400】
【表3-2】
【0401】
【表3-3】
【0402】
【表3-4】
【0403】
【表3-5】
【0404】
【表3-6】
【0405】
【表3-7】
【0406】
【表3-8】
【0407】
[0426]
【0408】
【表4-1】
【0409】
【表4-2】
【0410】
【表4-3】
【0411】
【表4-4】
【0412】
【表4-5】
【0413】
【表4-6】
【0414】
[0427]
【0415】
【表5】
【0416】
[0428]本発明の開示の好ましい実施形態を本明細書に示し記載したが、このような実施形態は一例として提供されたに過ぎないことは当業者にとって明白であろう。ここで多数のバリエーション、変化、および置換が、本開示から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。本明細書に記載の開示の実施形態に対する様々な選択肢が本開示の実行に採用され得ることが理解されるはずである。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物がそれによりカバーされることが意図される。