(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-526992(P2021-526992A)
(43)【公表日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】プリントヘッド調節装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-517923(P2021-517923)
(86)(22)【出願日】2019年6月7日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月19日
(86)【国際出願番号】GB2019051594
(87)【国際公開番号】WO2019234450
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】1809435.9
(32)【優先日】2018年6月8日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520479870
【氏名又は名称】スクリーン ジーピー アイジェイシー エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】SCREEN GP IJC LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル ニコラス ジョン
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA13
2C056HA02
2C056HA05
2C056HA07
2C056HA08
2C056HA10
2C056HA11
2C056HA16
2C056HA17
(57)【要約】
プリントヘッドの並進移動及び回転を調節するプリントヘッド調節装置が提供される。装置は第1の部分及び第2の部分を備え、各々はプリントヘッドに接続されるように構成されている。装置は、第1の部分に第1の屈曲配設部によって接続される第1のアクチュエータと、第2の部分に第2の屈曲配設部によって接続される第2のアクチュエータも備える。第1及び第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと同じ方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの並進移動が付与され、第1及び第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと反対の方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの回転が付与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドの並進移動及び回転を調節するプリントヘッド調節装置であって、
前記プリントヘッドに接続されるように構成されている第1の部分と、
前記プリントヘッドに接続されるように構成されている第2の部分と、
前記第1の部分に第1の屈曲配設部によって接続される第1のアクチュエータと、
前記第2の部分に第2の屈曲配設部によって接続される第2のアクチュエータと
を備え、
前記第1及び第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によって前記第1及び第2の部分の互いと同じ方向の並進移動が引き起こされて前記プリントヘッドの並進移動が付与され、
前記第1及び第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によって前記第1及び第2の部分の互いと反対の方向の並進移動が引き起こされて前記プリントヘッドの回転が付与される、
プリントヘッド調節装置。
【請求項2】
各屈曲配設部は少なくとも2つの屈曲回動部を備える、
請求項1に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項3】
前記屈曲配設部は前記プリントヘッド調節装置と同じ基部から形成される、
請求項1又は2に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の部分は同じ平面内に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項5】
前記第1のアクチュエータの前記並進移動によって前記第1のアクチュエータの前記並進移動と実質的に同じ方向の前記第1の部分の並進移動が引き起こされる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータの前記並進移動によって前記第2のアクチュエータの前記並進移動と実質的に同じ方向の前記第2の部分の並進移動が引き起こされる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項7】
前記第1のアクチュエータの前記並進移動の大きさ及び方向が前記第2のアクチュエータの前記並進移動に等しい場合に並進移動が実現されて並進移動が支配的になる、
請求項1から6のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータの前記並進移動の大きさが前記第2のアクチュエータの前記並進移動に等しく、かつ前記第1のアクチュエータの前記並進移動の方向が前記第2のアクチュエータの前記並進移動とは反対である場合に回転が実現されて回転が支配的になる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの間に配置される中央基部をさらに備える
請求項1から8のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の部分、前記第1及び第2の屈曲配設部、前記中央基部並びに/又は前記第1及び第2のアクチュエータのうちの2つ以上が同じ基部から形成される、
請求項1から9のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項11】
前記第1のアクチュエータと前記中央基部との間に配置されて、前記第1のアクチュエータの前記並進移動を前記第1の屈曲配設部を介して前記第1の部分の並進移動に変換する第1の回動部をさらに備えることを選択可能であり、前記第1の回動部は屈曲回動部である、
請求項9又は10に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項12】
前記第2のアクチュエータと前記中央基部との間に配置されて、前記第2のアクチュエータの前記並進移動を前記第2の屈曲配設部を介して前記第2の部分の並進移動に変換する第2の回動部をさらに備えることを選択可能であり、前記第2の回動部は屈曲回動部である、
請求項9から11のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項13】
前記第1のアクチュエータの並進移動によって前記第1の回動部まわりの前記第1のアクチュエータの回転が引き起こされ、前記第1の屈曲配設部は、前記第1のアクチュエータの前記回転を前記第1の部分の並進移動に変換するように構成されている、
請求項11に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項14】
前記第2のアクチュエータの並進移動によって前記第2の回動部まわりの前記第2のアクチュエータの回転が引き起こされ、前記第2の屈曲配設部は、前記第2のアクチュエータの前記回転を前記第2の部分の並進移動に変換するように構成されている、
請求項12に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項15】
前記第1の屈曲配設部は、前記第1の部分の前記並進移動の大きさと前記第1のアクチュエータの前記並進移動の大きさとが1未満の比をなすような減速比を生じさせるように構成されている、
請求項1から14のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項16】
前記第2の屈曲配設部は、前記第2の部分の前記並進移動の大きさと前記第2のアクチュエータの前記並進移動の大きさとが1未満の比をなすような減速比を生じさせるように構成されている、
請求項1から15のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項17】
前記第1及び第2の部分に接続されるプリントヘッドをさらに備え、前記プリントヘッドはインクを着弾させるノズルの配列を備え、前記ノズルの配列は平面内に配置される、
請求項1から16のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項18】
前記プリントヘッドと前記第1及び第2の部分とに接続されてこれらの間に配置されるプリントヘッドカプラをさらに備えることを選択可能であり、前記プリントヘッドカプラは、前記第1及び第2の部分の前記並進移動及び/又は前記回転を前記プリントヘッドにカップリングさせるように構成されている、
請求項17に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項19】
使用時、前記プリントヘッド調節装置は前記プリントヘッドの、前記ノズルの配列とは逆側に装着される、
請求項17又は18に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項20】
前記第1及び第2の部分は前記プリントヘッドの前記ノズルの配列に平行な平面内に配置される、
請求項17から19のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項21】
前記第1及び第2の部分の前記並進移動は前記プリントヘッドの前記ノズルの配列に平行な平面内で起こる、
請求項17から20のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項22】
前記第1及び第2の部分の各々は主に第1の方向及び第2の方向に動くように束縛され、前記第2の方向は前記第1の方向とは反対である、
請求項1から21のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項23】
前記第1及び/又は第2の部分は、前記第1の方向に垂直でありかつ前記並進移動及び/又は前記回転が起こる前記平面内にある第3の方向の動作を抑制するように束縛される、
請求項1から22のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項24】
前記第1及び/又は第2の部分は、前記第3の方向の動作を抑制するように、それぞれに対応する部分を束縛するように構成されている第3の屈曲配設部に接続される、
請求項23に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項25】
前記プリントヘッド調節装置は、前記プリントヘッドの前記ノズルの配列の前記平面における前記プリントヘッドの端面と同じであるかそれよりも小さい前記プリントヘッドの前記ノズルの配列に平行な平面における断面端面を持つ、
請求項1から24のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項26】
前記プリントヘッド調節装置は追加のロック機構を用いずに調節の後に、決められた位置で前記プリントヘッドを保持する、
請求項1から25のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項27】
前記第1及び/又は第2のアクチュエータは調節ネジを備え、前記調節ネジは、前記調節ネジの回転によって前記第1及び/又は第2のアクチュエータの並進移動が引き起こされるように配置される、
請求項1から26のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項28】
前記第1及び第2のアクチュエータが少なくとも1つのモータによって制御されることを選択可能であり、前記少なくとも1つのモータはプロセッサによって制御される、
請求項1から27のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つのモータは前記調節ネジにつながっており、前記調節ネジを回転させるように動作可能である、
請求項27に従属する場合の請求項28に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項30】
前記プリントヘッド調節装置は、インクジェットプリンタに用いられるように構成されている、
請求項1から29のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項31】
前記プリントヘッド調節装置は、シングルパスプリンタに用いられるように構成されている、
請求項1から30のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置を備え、前記プリントヘッド調節装置と前記プリントヘッドとの間に接続される支持構成体をさらに備え、前記プリントヘッド支持構成体は、前記プリントヘッド調節装置の前記並進移動及び/又は前記回転を前記プリントヘッドにカップリングするように構成されている、
プリントヘッド調節アセンブリ。
【請求項33】
プリントキャリッジに配置される複数のプリントヘッドであって、前記複数のプリントヘッドの各々は被印刷体にインクを着弾させるノズルの配列を備える、複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの各々に接続され、前記複数のプリントヘッドの各々の前記並進移動及び前記回転を調節する請求項1から31のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置と
を備える
プリントヘッドアセンブリ。
【請求項34】
請求項1から31のいずれか1項に記載のプリントヘッド調節装置の製造方法であって、
プリントヘッドアタッチメントを用意するステップと、
第1のアクチュエータと第1の部分との間に第1の屈曲配設部を形成し、第2のアクチュエータと第2の部分との間に第2の屈曲配設部を形成するように前記プリントヘッド調節装置の選択した部分を除去するステップと
を備え、
前記第1の屈曲配設部は、前記第1のアクチュエータの並進移動を前記第1の部分の並進移動に変換するように構成され、
前記第2の屈曲配設部は、前記第2のアクチュエータの並進移動を前記第2の部分の並進移動に変換するように構成されている、
プリントヘッド調節装置の製造方法。
【請求項35】
第1の屈曲配設部を介して第1の部分に接続されている第1のアクチュエータを並進移動させるステップと、
第2の屈曲配設部を介して第2の部分に接続されている第2のアクチュエータを並進移動させるステップと
を備え、
前記第1の部分及び前記第2の部分はプリントヘッドに接続され、
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によって前記プリントヘッドの並進移動が引き起こされ、
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によって前記プリントヘッドの回転が引き起こされる、
プリントヘッドの調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッドの並進移動及び回転を調節するプリントヘッド調節アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、テキスト及びグラフィック画像を様々な被印刷体に塗布する公知のデバイスである。様々な種類及び寸法の被印刷体に印刷するのに適する多種多様な異なるプリンタが入手可能である。
【0003】
大規模な産業用プリンタは、たとえば、A4サイズの紙に印刷するのに用いられる事務用途を基本とするプリンタよりも大判の被印刷体に画像を印刷するように構成されている。大規模なプリンタは、たとえば、広告看板、ポスタ及び/又は小サイズの被印刷体をまとめた一括印刷用の大判に印刷するのに用いることができる。
【0004】
インクジェット印刷プロセスでは、インクの液滴を所定のパターンで被印刷体の表面に着弾させて必要な画像を形成する。インクの液滴は一般的にはインクジェットプリントヘッドの複数のノズルから放出される。一般的なプリンタは、プリントキャリッジに沿って配置された数個のプリントヘッドを含む。たとえば、プリントキャリッジの幅は最大約2mである場合がある。プリントキャリッジは最多で150個のプリントヘッドを有する場合がある。プリンタ製造者は、プリントキャリッジの幅全体にわたってプリントヘッドの密で連続した配列を実現することを目標にしている。通常、プリントヘッド群を複数の列に配置してプリントヘッドの2次元配列を得る。
【0005】
インクジェットプリントヘッドの製造の近年の進歩により、製造者は単一のプリントヘッドに数千のインクジェットノズルを集積することができるようになってきた。これは、2次元格子パターンでノズルを配置することによって実現されることが多い。
【0006】
1つのプリントヘッドに納まるノズル間の適切なレジストレーション(すなわち相対配置)を実現するためには、プリントヘッドのノズル群よりなる平面内でのプリントヘッドの回転の正しい角度を確立するべきである。プリントヘッドの回転の角度合わせが正しくなされると、ノズルによって形成されるインクのラインは等間隔になる。しかし、ノズルの配列が回転して回転の角度合わせが正しくなされなければ、インクのプリントラインはもはや等間隔にならない。
【0007】
プリントヘッドの回転に加えて、並進移動の位置合わせも考慮するべきである。個々のプリントヘッドの発射時刻を変更することによって印刷プロセス方向におけるプリントヘッド間のレジストレーションを実現することができ、垂直配置及び他の回転を製造公差によって定めることができる。しかし、解像度がより高く液滴サイズがより小さいプリントヘッドが開発されるのに応じて、回転及び並進移動上の配置を標準的な製造公差を用いて実現することが困難になり、このため、プリントキャリッジ内でのプリントヘッドのアライメントを可能にするのにある程度の機械的調節を用いる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プリントヘッドは通常個別に製造されてプリントキャリッジに固定され、プリントキャリッジ上でプリントヘッドがアライメントされる。いくつかのプリントヘッドはモジュール式であって、どのプリントヘッドも現場で個々に交換可能であり、これにはプリントヘッドがアライメントのために個々に調節可能であることが必要である。技術的に困難ではあるが、これにより、アライメントの正確度の改善を実現することができる。これは、公差の累積がなく、ヘッドの運用状態で最終調節が行なわれるからである。こうなると、ノズル位置よりも液滴の最終印刷位置の方がアライメントに用いられることにもなり、そうすることで、液滴の最終印刷位置はあらゆる系統的なジェットの偏りを含む。一般的なプリントキャリッジは約150個のプリントヘッドを有する場合があり、当該個数のプリントヘッドの最初のアライメント取りとアライメントの維持とは並外れて要求の厳しい作業である。
【0009】
さらに、プリントヘッドの大規模な配列を構築する場合、合理的な範囲で可能な限りアセンブリをコンパクトにすることが望ましい。これは、そうすることで、各色と色間との双方でプリントヘッド間のレジストレーションが改善されるからである。しかし、そうすると、調節を行なうことがより困難になることにもなる。
【0010】
円筒形ドラムの周囲に円弧状の形に配置されたプリントヘッドの配列を備えるシングルパスプリンタを用いる場合、調節は特に困難である。スペースが特に狭隘になり、プリントヘッドよりなる平面の調節がきわめて困難である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願では、プリントヘッドの並進移動及び回転を調節するプリントヘッド調節装置であって、プリントヘッドに接続されるように構成されている第1の部分と、プリントヘッドに接続されるように構成されている第2の部分と、第1の部分に第1の屈曲配設部によって接続される第1のアクチュエータと、第2の部分に第2の屈曲配設部によって接続される第2のアクチュエータとを備え、第1及び第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと同じ方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの並進移動が付与され、第1及び第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと反対の方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの回転が付与される、プリントヘッド調節装置が開示されている。
【0012】
ここで用いられているアクチュエータの並進移動は、装置の平面内での回転のうちの微小弧をなす動作を含んでもよい。たとえば、アクチュエータは、中央基部に対して第1の回動部まわりに回転可能であるアームを備える。
【0013】
上記とは別に、各屈曲配設部は少なくとも2つの屈曲回動部を備える。屈曲回動部は屈曲部として説明されている場合もある。これは、曲がることが可能な線状体であって、力が加わった状態で曲がったり屈曲したりするように構成されてもよい。屈曲回動部は、水平方向で、屈曲するように構成されるように長細く、垂直方向で、屈曲しないように構成されるように高さが高く剛性が高くてもよい。
【0014】
上記とは別に、屈曲配設部はプリントヘッド調節装置と同じ基部から形成される。たとえば、基部から切り抜きをした部分によって屈曲部を形成してもよい。
【0015】
上記とは別に、第1及び第2の部分は同じ平面内に配置される。たとえば、使用時、これは水平面であってもよい。いくつかの例では、これはプリントヘッドに平行な平面、特に、プリントヘッドのノズルの配列の平面であってもよい。また、これは印刷面(たとえば円筒形ドラムの接平面)に垂直であってもよい。
【0016】
上記とは別に、第1のアクチュエータの並進移動によって第1のアクチュエータの並進移動と実質的に同じ方向の第1の部分の並進移動が引き起こされる。
【0017】
上記とは別に、第2のアクチュエータの並進移動によって第2のアクチュエータの並進移動と実質的に同じ方向の第2の部分の並進移動が引き起こされる。
【0018】
上記とは別に、第1のアクチュエータの並進移動の大きさ及び方向が第2のアクチュエータの並進移動に等しい場合に並進移動が実現されて並進移動が支配的になる。これは、第1のアクチュエータと第1の部分との間の減速比(以降で説明される)が第2のアクチュエータと第2のポーションとの間の減速比に等しいと仮定している。
【0019】
上記とは別に、第1のアクチュエータの並進移動の大きさが第2のアクチュエータの並進移動に等しく、かつ第1のアクチュエータの並進移動の方向が第2のアクチュエータの並進移動とは反対である場合に回転が実現されて回転が支配的になる。これは、第1のアクチュエータと第1の部分との間の減速比(以降で説明される)が第2のアクチュエータと第2のポーションとの間の減速比に等しいと仮定している。
【0020】
上記とは別に、第1のアクチュエータの並進移動は第2のアクチュエータの並進移動と同じ平面内で起こる。上記とは別に、第1の部分の並進移動は第2の部分の並進移動と同じ平面内で起こる。上記とは別に、第1及び第2の部分の並進移動は第1及び第2のアクチュエータの並進移動と同じ平面内で起こる。上記とは別に、プリントヘッドの回転と並進移動とは同じ平面内で起こる。
【0021】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置は、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとの間に配置される中央基部をさらに備える。
【0022】
上記とは別に、第1及び第2の部分、第1及び第2の屈曲配設部、中央基部並びに/又は第1及び第2のアクチュエータのうちの2つ以上が同じ基部から形成される。
【0023】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置が、第1のアクチュエータと中央基部との間に配置されて、第1のアクチュエータの並進移動を第1の屈曲配設部を介して第1の部分の並進移動に変換する第1の回動部をさらに備えることを選択可能であり、第1の回動部は屈曲回動部である。いくつかの例では、第1の回動部を第1の屈曲的配設部の一部とみなしてもよい。
【0024】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置が、第2のアクチュエータと中央基部との間に配置されて、第2のアクチュエータの並進移動を第2の屈曲配設部を介して第2の部分の並進移動に変換する第2の回動部をさらに備えることを選択可能であり、第2の回動部は屈曲回動部である。いくつかの例では、第2の回動部を第2の屈曲的配設部の一部とみなしてもよい。
【0025】
上記とは別に、第1のアクチュエータの並進移動によって第1の回動部まわりの第1のアクチュエータの回転が引き起こされ、第1の屈曲配設部は、第1のアクチュエータの回転を第1の部分の並進移動に変換するように構成されている。いくつかの例では、回転は第1又は第2の方向の成分を主に含んでもよい。
【0026】
上記とは別に、第2のアクチュエータの並進移動によって第2の回動部まわりの第2のアクチュエータの回転が引き起こされ、第2の屈曲配設部は、第2のアクチュエータの回転を第2の部分の並進移動に変換するように構成されている。いくつかの例では、回転は第1又は第2の方向の成分を主に含んでもよい。
【0027】
上記とは別に、第1の屈曲配設部は、第1の部分の並進移動の大きさと第1のアクチュエータの並進移動の大きさとが1未満の比をなすような減速比を生じさせるように構成されている。
【0028】
上記とは別に、第2の屈曲配設部は、第2の部分の並進移動の大きさと第2のアクチュエータの並進移動の大きさとが1未満の比をなすような減速比を生じさせるように構成されている。
【0029】
減速比は、アクチュエータを並進移動させる位置よりも回動部に近いアクチュエータに沿った位置に屈曲配設部を配置することによって実現される。たとえば、てこ機構によって約3:1の減速比を生じさせてもよい。
【0030】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置は、第1及び第2の部分に接続されるプリントヘッドをさらに備え、プリントヘッドはインクを着弾させるノズルの配列を備え、ノズルの配列は平面内に配置される。
【0031】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置が、プリントヘッドと第1及び第2の部分とに接続されてこれらの間に配置されるプリントヘッドカプラをさらに備えることを選択可能であり、プリントヘッドカプラは、第1及び第2の部分の並進移動及び/又は回転をプリントヘッドにカップリングさせるように構成されている。
【0032】
上記とは別に、使用時、プリントヘッド調節装置はプリントヘッドの、ノズルの配列とは逆側に装着される。
【0033】
上記とは別に、使用時、上から調節されるようにプリントヘッドが操作可能であるように、プリントヘッドの上にプリントヘッド調節装置を装着する。
【0034】
上記とは別に、第1及び第2の部分はプリントヘッドのノズルの配列に平行な平面内に配置される。
【0035】
上記とは別に、第1及び第2の部分の並進移動はプリントヘッドのノズルの配列に平行な平面内で起こる。
【0036】
上記とは別に、第1及び第2の部分は、プリントヘッドのノズルの配列に主に平行な平面内で動くように束縛される。
【0037】
上記とは別に、第1及び第2の部分の各々は主に第1の方向及び第2の方向に動くように束縛され、第2の方向は第1の方向とは反対である。第1及び第2の部分が剛体的に接続される(たとえばプリントヘッドを介して接続される)場合、組み合わされた第1/第2の部分は主にx軸において動き、x‐y平面内で回転するように束縛される。
【0038】
上記とは別に、第1及び/又は第2の部分は、第1の方向に垂直でありかつ並進移動及び/又は回転が起こる平面内にある第3の方向の動作を抑制するように束縛される。
【0039】
上記とは別に、第1及び/又は第2の部分は、第3の方向の動作を抑制するように、それぞれに対応する部分を束縛するように構成されている第3の屈曲配設部に接続される。
【0040】
上記とは別に、第1の部分を第1のアクチュエータの並進移動と同じ方向に並進移動させるような力を第1のアクチュエータの並進移動によって第1の部分で発生させるように、第1の屈曲配設部が配置される。
【0041】
上記とは別に、第2の部分を第2のアクチュエータの並進移動と同じ方向に並進移動させるような力を第2のアクチュエータの並進移動によって第2の部分で発生させるように、第2の屈曲配設部が配置される。
【0042】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置は、プリントヘッドのノズルの配列の平面におけるプリントヘッドの端面と同じであるかそれよりも小さいプリントヘッドのノズルの配列に平行な平面における断面端面を持つ。上記とは別に、端面形状は、平行四辺形や正方形や矩形であり、またその他には台形形状である。上記とは別に、プリントヘッド調節装置は追加のロック機構を用いずに調節の後に、決められた位置でプリントヘッドを保持する。
【0043】
上記とは別に、第1及び/又は第2のアクチュエータは調節ネジを備え、調節ネジは、調節ネジの回転によって第1及び/又は第2のアクチュエータの並進移動が引き起こされるように配置される。
【0044】
上記とは別に、第1及び第2のアクチュエータが少なくとも1つのモータによって制御されることを選択可能であり、少なくとも1つのモータはプロセッサによって制御される。
【0045】
上記とは別に、少なくとも1つのモータは調節ネジにつながっており、調節ネジを回転させるように動作可能である。
【0046】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置は、インクジェットプリンタに用いられるように構成されている。いくつかの例では、プリントヘッドは、たとえば印刷される被印刷体にインクを着弾させるノズルの配列を備える。
【0047】
上記とは別に、プリントヘッド調節装置は、シングルパスプリンタに用いられるように構成されている。たとえば、シングルパスプリンタは円筒形ドラムを備えてもよい。
【0048】
本出願では、本出願で開示されているプリントヘッド調節装置を備え、プリントヘッド調節装置とプリントヘッドとの間に接続される支持構成体をさらに備え、プリントヘッド支持構成体は、プリントヘッド調節装置の並進移動及び/又は回転をプリントヘッドにカップリングするように構成されている、プリントヘッド調節アセンブリも開示されている。
【0049】
上記とは別に、支持構成体は長尺であってもよい。上記とは別に、支持構成体は枠であってもよい。上記とは別に、支持構成体は軽量であってもよい。上記とは別に、支持構成体は剛性が高いものであってもよい。上記とは別に、支持構成体は、垂直方向の両面でプリントヘッドとプリントヘッド調節装置とを受け入れるように構成されている。上記とは別に、支持構成体は、プリントヘッドの下面から配線を受け入れて、側面を通してそれを送り出すように構成されている。
【0050】
本出願では、プリントキャリッジに配置される複数のプリントヘッドであって、複数のプリントヘッドの各々は被印刷体にインクを着弾させるノズルの配列を備える、複数のプリントヘッドと、複数のプリントヘッドの各々に接続され、複数のプリントヘッドの各々の並進移動及び回転を調節する本出願で開示されているプリントヘッド調節装置とを備えるプリントヘッドアセンブリも開示されている。
【0051】
上記とは別に、複数のプリントヘッドをたとえばシングルパスプリンタの円筒形ドラムの周囲に配置してもよい。
【0052】
本出願では、本出願で開示されているプリントヘッド調節装置の製造方法であって、プリントヘッドアタッチメントを用意するステップと、第1のアクチュエータと第1の部分との間に第1の屈曲配設部を形成し、第2のアクチュエータと第2の部分との間に第2の屈曲配設部を形成するようにプリントヘッド調節装置の選択した部分を除去するステップとを備え、第1の屈曲配設部は、第1のアクチュエータの並進移動を第1の部分の並進移動に変換するように構成され、第2の屈曲配設部は、第2のアクチュエータの並進移動を第2の部分の並進移動に変換するように構成されている、プリントヘッド調節装置の製造方法も開示されている。
【0053】
本出願では、第1の屈曲配設部を介して第1の部分に接続されている第1のアクチュエータを並進移動させるステップと、第2の屈曲配設部を介して第2の部分に接続されている第2のアクチュエータを並進移動させるステップとを備え、第1の部分及び第2の部分はプリントヘッドに接続され、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によってプリントヘッドの並進移動が引き起こされ、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によってプリントヘッドの回転が引き起こされる、プリントヘッドの調節方法も開示されている。
【0054】
本出願では、プリントヘッドの並進移動及び回転を調節するプリントヘッド調節装置であって、プリントヘッドに接続されるように構成されている第1の部分と、プリントヘッドに接続されるように構成されている第2の部分と、第1の部分に第1の調節手段によって接続される第1のアクチュエータと、第2の部分に第2の調節手段によって接続される第2のアクチュエータとを備え、第1及び第2のアクチュエータの互いと同じ方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと同じ方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの並進移動が付与され、第1及び第2のアクチュエータの互いと反対の方向の並進移動によって第1及び第2の部分の互いと反対の方向の並進移動が引き起こされてプリントヘッドの回転が付与される、プリントヘッド調節装置も開示されている。したがって、調節装置は屈曲配設部を備えてもよいし、別の配設部によって設けられてもよい。
【0055】
以下の添付の図面を参照して、単に例として本開示を以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、プリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2は、プリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態を示し、プリントヘッドの並進移動を示している。
【
図3】
図3は、プリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態を示し、プリントヘッドの回転を示している。
【
図4】
図4は、y軸において束縛されるプリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態を示す。
【
図5A】
図5Aは、プリントヘッド、プリントヘッド支持構成体及びプリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態を示す。
【
図5B】
図5Bは、プリントヘッド、プリントヘッド支持構成体及びプリントヘッド調節アタッチメントの例示的な実施形態の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1はプリントヘッド調節装置100の上面図を示す。プリントヘッド調節装置100はプリントヘッドに並進移動及び/又は回転を付与するのに用いられる。プリントヘッドについては、それ以外の特徴部を明確にするために、本図から除かれている。装置100は、プリントヘッドに接続されるように構成されている第1の部分103を備える。装置100は、そのプリントヘッドに接続されるように構成されている第2の部分104も備える。装置100は第1の屈曲配設部105によって第1の部分103に接続されている第1のアクチュエータ101を備える。装置100は第2の屈曲配設部106によって第2の部分104に接続されている第2のアクチュエータ102も備える。
【0058】
以下の説明で理解されることになるが、
図1は一実施形態で実施され得るプリントヘッド調節装置の概略図であり、本図はシステムの原理を示すために説明されている。一方で、多くの実現例には、システム内での動きをさらに束縛して微調整するためにさらに別の屈曲配設部を介して
図1に示されている部分に取り付けることができるさらなる束縛箇所が含まれる。さらなる束縛の例を示す装置のさらに別の実施形態が特に
図4を参照して後述されている。
【0059】
通常の右手の法則の直交する軸の組が図に示されている。使用時、プリントヘッドがx‐y平面内に配置され、z軸がプリントヘッドに垂直になる。プリントヘッド調節装置100がx‐y平面内に配置され、z方向の垂直厚さを持つ。たとえば、プリントヘッド調節装置100をプリントヘッドの上に装着する(z方向に装着する)ことができる。
【0060】
図1は単体で形成された装置100を示す。第1のアクチュエータ101、第2のアクチュエータ102、第1の部分103、第2の部分104、第1の屈曲配設部105及び第2の屈曲配設部106が単体で形成されている。この単体は、第1のアクチュエータ101を第2のアクチュエータ102に接続する中央基部109も備える。例として、装置100をたとえばアルミニウムの単体押出成形品として製造してもよいし、3Dプリントしてもよい。これの代わりに、ラインをカットしたりエッチングしたりして材料のブロック、たとえばアルミニウムなどの金属のブロックにすることで、エッチング後に残る材料が
図1(又は
図1とともに設けられている他の図)に示されている形状及び部分を形成することによって装置を形成してもよい。
【0061】
第1のアクチュエータ101は、たとえば第1の方向107及び第2の方向108に並進移動するように動作可能であり、ここで、第2の方向108は第1の方向107とは反対である。第1の方向107と第2の方向108とは両方ともx軸の方向である。第1の方向107は正のx方向の方向である。第2の方向108は負のx方向の方向である。第1のアクチュエータ101は主にx‐y平面内で動くように束縛されている。
【0062】
第1のアクチュエータ101に力がたとえば第1の方向107に加えられると、第1のアクチュエータ101は第1の回動部101aによりこの力と同じ方向に並進移動する。第1の回動部101aは第1のアクチュエータ101と中央基部109との間に配置されている。
図1中、第1の回動部101aは屈曲部である。第1の回動部101aにより、第1のアクチュエータ101を中央基部109に対して並進移動させることができる。第1の回動部101aは、曲がったり屈曲したりその他の仕方で回動したりして、静止したままであるといえる中央基部109に対して第1のアクチュエータ101が動くことを可能にするように構成されている。第1のアクチュエータ101に力が及ぼされる際に第1の回動部101aが曲がると、第1のアクチュエータのアーム(すなわち、アクチュエータ101の端から回動部101aまでの区間)が第1の回動部101aまわりに回転することになる。
【0063】
第1の部分103は第1の屈曲配設部105によって第1のアクチュエータ101に接続されている。第1の屈曲配設部105は第1のアクチュエータ101のアームの回転を第1の部分103の並進移動に変換する。第1の部分103の並進移動は第1のアクチュエータ101の並進移動とほぼ同じ方向の移動である。たとえば、第1の方向107の第1のアクチュエータ101の並進移動によって第1の方向に第1の部分103の並進移動が起こる。これにより、第1の部分103が中央基部109に対して並進移動する。
【0064】
図1に示されているように、第1の屈曲配設部105は、第1のアクチュエータ101の並進移動を第1の部分103の並進移動に変換する2つの屈曲部105a及び105b並びにこれらの間にある基部105cを備える。用語「屈曲部」により、本用語が屈曲回動部を指すことが分かる。屈曲部により、必要な曲げすなわち屈曲によって第1のアクチュエータ101の並進移動を第1の部分103の並進移動に変換することができる。特に、屈曲配設部により、x‐y平面内の動作を可能にする一方で、この平面から外れる方向(たとえばz方向)の第1の部分103の意図しない並進移動を抑制する。このようにして、第1の部分103は主にx‐y平面で動くように束縛される。本構成では、第1のアクチュエータ101の並進移動がx軸における移動であると、第1の部分103の動作は主にx軸における動作になる。
【0065】
x方向又はy方向には屈曲部を細い線状体として形成する一方で、z方向には高さが高い屈曲部を形成することによってz方向の動作を抑制することができる。これにより、x方向及びy方向に容易に曲がることが可能になる一方で、z方向の曲げに対する抵抗が付与される。これによりx‐y平面に対する部分の動きが束縛される。
【0066】
屈曲部はx方向の第1のアクチュエータ101の動作による力を受けて曲がって、第1の部分103を主にx方向に動かす一方でz方向には大幅には動かさないということを可能にする。y方向に多少の動作が起こる場合があるが、これには、たとえば
図4の第3の屈曲配設部413など、y方向のさらに別の束縛を含ませることによって対処してもよい。
【0067】
屈曲部は、力が屈曲部に加えられるときに屈曲するように構成されている薄くて曲がることが可能な区間すなわち回動部である。第1の屈曲部105aが第1のアクチュエータ101と第1の屈曲配設部105の基部105cとの間に配置されている。第2の屈曲部105bが第1の部分103と第1の屈曲配設部105の基部105cとの間に配置されている。
【0068】
屈曲部105a及び105bは既存のプリントヘッド調節装置100から切り抜きをしたものである。このことは、さらに別の部品や材料が一切必要なく、より容易な製造が可能になることを意味する。屈曲部は単体の装置100から切り抜きをしたものである。この場合、この単体にポケットを機械加工で作製して材料の薄い区間を残すことによって屈曲部を形成する。ワイヤ浸食(wire erosion)を用いて屈曲部をカットしてもよい。
【0069】
屈曲部を備える調節機構を有することは、ロックすることが不要であることを意味する。アクチュエータの調節が行なわれた後は、屈曲部はアクチュエータにより押し続けられた状態になって自位置を維持することになる。屈曲部には、たとえばスライドヒンジとは異なり、バックラッシュやスロップがない。これにより、行なった調節の精度を高めるという従来の調節機構に勝る一層の効果を奏する。
【0070】
屈曲部は熱変化及び振動にも強く、この結果、プリントヘッドを再アライメントすることを要することを招く周波数が低減する。
【0071】
以下は第1の屈曲配設部に関して説明されているが、平行する運動動作の半分(たとえば、第1のアクチュエータ/第1の部分/第1の屈曲配設部)に関する当該説明及び他の説明を他方の部分(たとえば、第2のアクチュエータ/第2の部分/第2の屈曲配設部)に適用することができることは当業者であれば理解する。第1の屈曲配設部105は、第1の回動部101aとアクチュエータの端との間で第1のアクチュエータ101のアームに沿った箇所に配置されている。第1のアクチュエータ101は第1の回動部101aから最も遠いアクチュエータの端の方に力を受け、この力は、力によって起こる並進移動を回動部まわりのアクチュエータのアームの回転に変換するような力である。この回転は第1の屈曲配設部105によって第1の部分103の並進移動に変換される。屈曲配設部105は、アクチュエータ101の端よりも回動部101aの近くの方に配置されている。これにより、アクチュエータ101の並進移動の大きさを部分103の並進移動に変換する際に減速比(reduction ratio)を生じさせるてこ機構が実現される。たとえば、減速比は3:1であってもよく、他の場合では、4:1,2:1や3:2であってもよい。所定の減速比を実現することによって、調節の精度を改善することができ、アクチュエータの与えられた並進移動に対してより微細な調節を行なうことができる。
【0072】
第1のアクチュエータ101、第1の部分103及び第1の屈曲配設部105の相互作用に関して上述されている特徴は、第2のアクチュエータ102、第2の部分104及び第2の屈曲配設部106にもそれぞれあてはまる。
【0073】
第1のアクチュエータ101及び第1の部分103に関して説明されているのに対応する仕方で第2のアクチュエータ102の並進移動が第2の部分104の並進移動に変換される。第2のアクチュエータ102は、第2の回動部102aによって中央部109に対して並進移動するように動作可能である。第2のアクチュエータ102は、たとえば第1の方向107及び第2の方向108(すなわちx軸)に並進移動するように動作可能である。第2の屈曲配設部106は、2つの屈曲部106a及び106b並びにこれらの間にある基部106cを有して、第2のアクチュエータ102の並進移動を第2の部分104の並進移動に変換する屈曲配設部を備える。したがって、第1のアクチュエータ101及び第2のアクチュエータ102の並進移動、たとえば第1の方向107又は第2の方向108の並進移動によって第1の部分103の並進移動に平行な軸における第2の部分104の並進移動を実現することができる。
【0074】
使用時、装置100はプリントヘッドに接続されるように構成されており、この場合、プリントヘッドは装置100の下に(すなわち負のz方向に)配置される。これにより、上からプリントヘッドの調節を実現することができる。たとえば、プリントヘッドを直接第1の部分103及び第2の部分104に締結すなわち固定をしてもよい。別の例では、プリントヘッドに固定される装置の別の部分を介して第1の部分103及び第2の部分104を強固に接続する。たとえば、プリントヘッドカプラや、
図5を参照して説明されているような支持構成体を介して接続する。
【0075】
図1からはプリントヘッドが除かれていたが、第1の部分103及び第2の部分104をプリントヘッドに接続することができる。アクチュエータを並進移動させて第1の部分103及び第2の部分104の並進移動を引き起こすことによって、プリントヘッドの動作を制御することができる。プリントヘッドの並進移動は
図2を参照して説明される。
【0076】
第1の部分103及び第2の部分104は同一平面(すなわちx‐y平面)内に配置される。これにより、第1の部分103及び第2の部分104の並進移動が同一平面内で起こる。たとえば、この平面は、プリントヘッドが配置されている平面に平行であってもよい。第1の部分103及び第2の部分104の並進移動は、第1のアクチュエータ101及び第2のアクチュエータ102の並進移動と同じ平面内で起こる。したがって、第1のアクチュエータ101、第2のアクチュエータ102、第1の部分103及び第2の部分103が同一平面内に配置される。
【0077】
第1及び第2のアクチュエータ101/102は中立的位置から偏った位置(non−neutral position)に配置される。たとえば、内向きへのアクチュエータの並進移動(すなわち、第1のアクチュエータ101が第1の方向107、第2のアクチュエータ102が第2の方向108)を、アクチュエータを押し込むことによって実現することができ、たとえば、後述のように並進移動用のネジによって実現することができる。一方で、アクチュエータが外向きに動くように付勢されていれば、アクチュエータの並進移動を外向きに起こすことができる(すなわち、第1のアクチュエータ101が第2の方向108、第2のアクチュエータ102が第1の方向107)。この仕方では、ネジを締め込んでアクチュエータをネジの方に付勢することができる。他の例では、別の機構によってアクチュエータを外向き方向に引っ張ってもよい。
【0078】
既存のプリントヘッド調節装置から材料を除去することによって屈曲部を形成するので、機構がコンパクトであり、構成要素を付加する必要がない。コンパクトな調節機構を実現することにより、多数のプリントヘッドをパッケージ化してきわめて密な配列にすることが可能になる。これにより、印刷の品質と、マルチパスプリンタでの印刷の速度とが改善される。プリントヘッドがシングルパスプリンタの円筒形ドラムの周囲で円弧状に配置されることが多いシングルパスプリンタにはスペースが特に重要である。円筒形ドラムのジオメトリ上の理由から、プリントヘッドから離れたところでスペースが広がるので、プリントヘッドの上からプリントヘッドを調節することを実現することは特に有効である。
【0079】
したがって、必要な動作を実現するために2つ以上のアクチュエータを組み合わせて動作させる平行運動系が実現される。
【0080】
図2は、第1のアクチュエータ201と第2のアクチュエータ202とが両方とも同じ方向に並進移動するプリントヘッド調節装置200の例示的な実施形態を示す。装置200は、
図1を参照して説明されている装置100と同じ装置であってもよい。装置200は、プリントヘッド210に接続されるように構成されている第1の部分203を備える。装置200は、そのプリントヘッド210に接続されるように構成されている第2の部分204を備える。
【0081】
プリントヘッド210の形状については、
図2のそれ以外の特徴部を単純かつ明確にするために、簡略化した形状が示されている。実際には、プリントヘッド210は平行六面体形状であってもよく、たとえば、装置200の外面形状と合わさる形状であってもよい。平行四辺形の断面を持つプリントヘッド210の実際の形状の例が
図2に示されており、点線210cで示されている。いくつかの例では、装置200はプリントヘッド210と合わさる端面形状を持ち、プリントヘッド210と同程度の寸法を持つ。いくつかの例では、僅かに小さい。
【0082】
装置200は第1の屈曲配設部205によって第1の部分203に接続されている第1のアクチュエータ201を備える。装置200は第2の屈曲配設部206によって第2の部分204に接続されている第2のアクチュエータ202も備える。
【0083】
第1のアクチュエータ201が第1の方向207(正のx方向)に並進移動し、これにより、上述のように第1の屈曲配設部205により第1の方向207に第1の部分203の並進移動が起こる。第2のアクチュエータ202も第1の方向207(正のx方向)に並進移動し、これにより、第2の屈曲配設部206により第1の方向207に第2の部分204の並進移動が起こる。
【0084】
第1の部分203及び第2の部分204にはプリントヘッド210が接続される。特に、第1の部分203はプリントヘッド210の第1の端211に接続され、第2の部分204はプリントヘッド210の第2の端212に接続される。したがって、第1の部分203及び第2の部分204の動作がプリントヘッド210の動作を決める。第1の部分203及び第2の部分204が第1の方向207に並進移動するのに応じて、プリントヘッド210が第1の方向207に並進移動する。第1の部分203の並進移動が第2の部分204の並進移動に等しい場合、プリントヘッド210の並進移動が実現されて並進移動が支配的になる(すなわち、回転がほぼない)。このことは、プリントヘッド210の各端211/212が等しい量だけ同じ方向に並進移動することを意味する。
【0085】
第1のアクチュエータ201又は第2のアクチュエータ202に力が一切加えられないと、プリントヘッド210は原点位置210aに位置する。第1の部分203及び第2の部分204の並進移動により、プリントヘッド210は並進移動位置210bまで並進移動する。プリントヘッド210の並進移動位置210bが、点線で
図2に示されており、プリントヘッド210が並進移動することになる方向を示している。実際には、プリントヘッド210が並進移動すると、第1の部分203及び第2の部分204がプリントヘッド210とともに動くが、このことは単純にするために
図2には示されていない。
【0086】
図3は、第1のアクチュエータ301が第2の方向308に並進移動し、第2のアクチュエータ302が第1の方向307に並進移動するプリントヘッド調節装置300の例示的な実施形態を示す。装置300は第1の屈曲配設部305によって第1の部分303に接続されている第1のアクチュエータ301を備える。装置300は第2の屈曲配設部306によって第2の部分304に接続されている第2のアクチュエータ302も備える。
【0087】
第2のアクチュエータ302が第1の方向307に並進移動し、これにより、第2の屈曲配設部306により第1の方向307に第2の部分304の並進移動が起こる。第1のアクチュエータ301は第2の方向308に並進移動する。ここで、第2の方向308は第1の方向307とは反対である。これにより、第1の屈曲配設部305により第2の方向308に第1の部分303の並進移動が起こる。第1の部分303は第2の部分304とは反対の方向に並進移動する。
【0088】
上述されているように、第1の部分303及び第2の部分304がプリントヘッド310に接続されている。
図3に示されているように、第1の部分303にはプリントヘッド310の第1の端311が接続され、第2の部分304にはプリントヘッド310の第2の端312が接続されている。第1の部分303が第2の方向308に動くのに応じて、プリントヘッド310の第1の端311が第2の方向308(負のx方向)に動く。第2の部分304が第1の方向307に動くのに応じて、プリントヘッド310の第2の端312が第1の方向307(正のx方向)に動く。これにより、プリントヘッド310がx‐y平面内で回転する。この例では反時計回りの方向に回転が起こる。第1の部分303への第1の端311の接続箇所と、第2の部分304への第2の端312の接続箇所とについて等距離にある箇所の付近で回転が起こる。たとえば、プリントヘッドの中心に一致するようにこれを構成してもよい。並進移動の双方が逆であると仮定すると、反対方向(時計回り)の回転を実現することができることは、当業者であれば明らかである。
【0089】
このように、プリントヘッドの回転を第1及び第2の部分の反対方向の並進移動によって実現することができ、さらに視点を変えれば、プリントヘッドの回転を第1及び第2のアクチュエータの反対方向の並進移動によって実現することができる。第1及び第2の部分の反対方向の並進移動によってプリントヘッドの回転が付与される一方で、第1及び第2の部分の同じ方向の並進移動によってプリントヘッドの並進移動が付与される。
【0090】
第1の部分303の並進移動と第2の部分304の並進移動との大きさが等しい場合、プリントヘッド310の動作で回転が支配的になる(そのため、並進移動がほぼなくなる)。
【0091】
図4は、第1の部分403及び第2の部分404を有し、y方向の動作を抑制するようにさらなる束縛がなされたプリントヘッド調節装置400の例示的な実施形態を示す。装置400は第1の屈曲配設部405によって第1の部分403に接続されている第1のアクチュエータ401を備える。装置400は第2の屈曲配設部406によって第2の部分404に接続されている第2のアクチュエータ402も備える。
【0092】
上述されているように、第1のアクチュエータ401及び第2のアクチュエータ402の反対方向の並進移動によりその方向のプリントヘッドの回転が起こることになる一方で、第1のアクチュエータ401及び第2のアクチュエータ402の同じ方向の並進移動によりプリントヘッドの並進移動が起こることになる。各アクチュエータの並進移動によって、それぞれに対応する部分の所望の並進移動を確実に引き起こすために、意図しない方向の動作を妨げるように、すなわち、主に所望の方向になるように動作を束縛するようにその対応する部分を束縛することができる。たとえば、第2のアクチュエータ402を第1の方向407又は第2の方向408(すなわちx軸に沿った方向)に並進移動させることが必要である場合、y軸に沿った動作を抑制するように第2の部分404を束縛することができる。他の例では、第1の方向407及び第2の方向408に動くことに限られるように束縛してもよい。自由度をなくすことにより、第2の部分404の並進移動が第2のアクチュエータ402の並進移動に平行になることが確実になる。第2の部分404の並進移動が第1の部分403の並進移動に平行になることを確実とするのにもこれを利用することできる。代わりに第1の部分403に同じ原理を適用することができる。
【0093】
図1〜
図3の構成では、部分がx‐y平面内で動くように屈曲配設部によって束縛される(屈曲配設部によってz軸についての動作が抑制される)。その一方で、x軸における並進移動を残してy方向の動作を抑制することによって自由度をなくすように部分をさらに束縛することができる。
【0094】
たとえば、
図4では、第2の部分は、第3の屈曲配設部413を用いることにより第1及び第2の方向407/408に(すなわちx軸に沿って)主に動くように束縛される。第3の屈曲配設部413はy方向に配置されており、y方向はx方向に垂直であり、したがって、第1の方向407及び第2の方向408に垂直である。第3の屈曲配設部413は装置400の平面内にある。第3の屈曲配設部413はプリントヘッドの回転平面内にある。第3の屈曲配設部413は第1の屈曲配設部405及び第2の屈曲配設部406と同じ平面内にある。
【0095】
図4は、第2の部分404と装置400の中央基部409との間に配置されている第3の屈曲配設部413を示す。第2の部分404は第3の屈曲配設部413によって中央基部409に接続されている。これにより、第2の部分404の動作が束縛され、y軸(第1の方向407及び第2の方向408に垂直)についての動作が抑制される。
【0096】
第3の屈曲配設部413は2つの屈曲部413a及び413bを備える。この屈曲配設部は、安定性を付与し、意図しないy軸についての並進移動を抑制するように構成されている。
【0097】
さらに、第1の部分403と第2の部分404とがプリントヘッドを介して接続され、第3の屈曲配設部413によって課される束縛が第1の部分403にも作用する。このようにして、第1の部分403の動作もy軸において抑制される。
【0098】
第3の屈曲配設部413によってx‐y平面内の弧状の経路での第2の部分404の並進移動が可能になり、僅かな動作では、この並進移動はx方向の直線動作として現れる。これにより、実質的なy方向の動作を抑制するように第2の部分404が束縛される。
【0099】
使用時、第1の部分403と第2の部分404とがプリントヘッドを介して接続されるので、y軸において部分を両方とも束縛する必要はなく、たとえば、第1及び第2の部分403/404の各々に第3の屈曲配設部413を用いて束縛する必要はない。したがって、y軸の方に延びる第3の屈曲配設部413によって中央基部409が第2の部分404に取り付けられ、第1の部分403には取り付けられていない様子が示されている。さらに、当業者であれば理解するが、第2の部分404を直接束縛するのではなく、第1の部分403のy軸動作を束縛するように第1の部分403と中央基部409との間で第3の屈曲配設部を実施してもよい。
【0100】
y軸における並進移動を抑制するように第1及び第2の部分が束縛されるので、意図しないy方向の並進移動のない高精度なx方向の並進移動を実現することができる。これにより、プリントヘッドの並進移動(部分の並進移動が同じ方向の移動である場合)又は回転(部分の並進移動が反対方向の移動である場合)をもたらす部分の平行する並進移動を引き起こす、アクチュエータの平行する並進移動をともなう運動系が実現される。
【0101】
図5Aはプリントヘッド調節アセンブリ500の3次元斜視図を示す。
図5Bは、分解図で示す以外は、同じ図を示す。たとえば、アセンブリ500は本明細書で説明されているようなプリントヘッド調節装置5000を備える。たとえば、プリントヘッド調節装置5000は、上述されている特徴、すなわち
図1〜
図4の装置100,200,300又は400をそれぞれ参照して説明されている特徴のいずれかを備えてもよい。特に、上述されているように、一対の部分を並進移動させるように構成されている一対の平行アクチュエータを備えてもよい。上記の図のように、調節装置5000はx‐y平面内に配置されてz方向の厚さを持つ。
【0102】
プリントヘッド調節装置5000はプリントヘッド支持構成体514に接続される。プリントヘッド調節装置5000の下部(すなわち負のz方向の下部)が支持構成体514の上部に取り付けられる。たとえば、支持構成体514は、装置5000を受け入れる凹所を備えてもよい。他の例では、構成体514はネジなどの取付手段によって装置に接続される。支持構成体514の反対側の端はプリントヘッド510に接続される。たとえば、プリントヘッド510は下面(すなわち、負のz方向であり、支持構成体514に接続される側とは反対側)にあるノズルの配列を備えてもよい。
【0103】
装置5000、構成体514及びプリントヘッド510はすべてx‐y平面で同じ断面形状を持ってもよい。たとえば、
図5は正方形/矩形形状としてこれを示している。このように、支持構成体514及び装置5000はプリントヘッド510と同じ端面を持ってもよい。いくつかの例では、各々は、たとえば
図2に示されているように、平行四辺形形状の端面を持ってもよい。また一方で、正方形、矩形、台形などの他の形状が考えられる。
【0104】
いくつかの例では、調節装置5000と支持構成体514との間に別体のプリントヘッドカプラを配置してもよい。例として、第1及び第2の部分に、たとえばネジなどの取付手段によって接続されるようにこれを配置してもよい。部分の動きをカプラの動きに変換するようにカプラを構成してもよい。いくつかの例では、カプラは支持構成体514と同じ断面形状、たとえば平行四辺形を持ってもよい。
【0105】
特に、支持構成体514は装置5000の第1及び第2の部分に接続される。これにより、第1及び第2の部分の並進移動が支持構成体514の動きに変換される。さらには、この動きは支持構成体514によってプリントヘッド510の動きに変換される。プリントヘッド510は支持構成体を介して第1及び第2の部分に接続されている。したがって、部分が動くのに応じて、支持構成体514及びプリントヘッド510も動く。
【0106】
たとえば、第1及び第2の部分が同じ方向(たとえばx方向)に並進移動する場合、支持構成体514がその方向に並進移動する。したがって、プリントヘッド510もその方向に並進移動する。第1及び第2の部分が反対の方向に並進移動する場合、支持構成体514が回転する(x‐y平面内)ことで、プリントヘッド510の回転を引き起こす。これにより、上述の平行運動系が実現される。
【0107】
支持構成体514は、枠状構造、管状構造や格子状構造であってもよい。たとえば、これはタワークレーンや鋼橋などに用いられている構造など、軽量で剛性が高く安定した構造であってもよい。構成体514は完全な中実である必要はない。構成体514は、部分の動きをプリントヘッド510にカップリングさせるように設けられる。構成体514により、調節装置5000の位置をプリントヘッド514よりも高くすることもできる。上述の理由から、プリントヘッド510の調節のためにより広いスペースが設けられるので、このことは優先事項である。たとえば、アクチュエータの並進移動を実現するために装置5000の上にモータや必要な配線を設けることができる。特に、円筒形ドラムが用いられる場合(たとえば、シングルパスプリンタに用いられる場合)、円筒形ドラムから離れたところで垂直高さ(z方向)とともにスペースの広さが増大する。
【0108】
構成体514を3Dプリントしてもよいし、軽金属やその他材料、たとえばアルミニウムで形成してもよい。たとえば、押出成形によって形成してもよい。
【0109】
構成体514は、
図5に示されているように四つ角に柱がある枠形状を備えてもよい。これに加えて、必要に応じて、さらなる構造的支持及び剛性のために枠を横断する架橋体515を設けてもよい。構成体514は、x‐y平面内でU字形を形成するように、一面が開放した構成も持ってもよい。たとえば、この構成は一面で一切架橋体515を設けない構成を含んでもよい。この構成は、プリントヘッド510からの配線及び配管を配索するためのスペースを可能にするように設けることができる。電力用などの配線とインクを供給する配管とがプリントヘッド510から上(正のx方向)に出る場合があり、このため、構成体から外部に配索する必要がある場合がある。これを、支持構成体514の開放した一面を通して実現してスペースを抑えてもよい。たとえば、これは
図5Bに示されており、配線/配管516がプリントヘッド510の上部から構成体514の開放した下面を通って枠の内部で配索され、開放した面(y−z平面の面であって右側の面)の側から這い出る。他の3つの面が、面を横断する架橋体515を有する様子が示されている。より複雑な他の架橋体が存在してもよい。
【0110】
調節装置の実施形態に束縛条件の計算を施すのが有用であり、この計算はGrubler方程式を用いて以下のように行なうことができる。
D=3(L−1)−2P
Grubler方程式において、Dは必要な自由度の数であり、Lはリンクの個数であり、Pは回動部の個数である。
【0111】
図4の平行する運動の調節装置に適用する場合、並進移動の自由度1つと、回転用の自由度1つとが必要であり、合計2つの必要な自由度が得られる。
【0112】
図4の実施形態によって得られる自由度の数を、Grubler方程式を用いて計算することができる。リンク及び回動部の個数については計算しなければならない。第1のアクチュエータ401(第1のリンク)が第1の回動部401a(第1の回動部)によって中央基部409(第2のリンク)に接続されている。中央基部409は第2の回動部402a(第2の回動部)によって第2のアクチュエータ402(第3のリンク)に接続されている。
【0113】
第1のアクチュエータ401は第1の屈曲部405a(第3の回動部)によって第1の屈曲配設部405の基部405c(第4のリンク)にも接続されている。第1の屈曲配設部405の基部405cは第2の屈曲部405b(第4の回動部)によって第1の部分403(第5のリンク)に接続されている。
【0114】
第2のアクチュエータ402は第3の屈曲部406a(第5の回動部)によって第2の屈曲配設部406の基部406c(第6のリンク)にも接続されている。第2の屈曲配設部406の基部406cは第4の屈曲部406b(第6の回動部)によって第2の部分404に接続されている。第1の部分403及び第2の部分404はプリントヘッドを介して剛体的に接続されるように束縛され、したがって、単一のリンク(両方ともが第5のリンク)として作用する。
【0115】
さらには第2の部分404は第5の屈曲部413b(第7の回動部)によって第3の屈曲配設部413の基部413c(第7のリンク)に接続されている。第3の屈曲配設部413の基部413cは第6の屈曲部413a(第8の回動部)によって中央基部409(第2のリンク)に接続されている。
【0116】
以上により、合計でL=7個のリンクとP=8個の回動部とがあることになる。したがって、Grubler方程式によって自由度の数はD=3*(7−1)−2*(8)=2である。これにより、並進移動の自由度1つと回転の自由度1つとが得られる。したがって、例として第1の方向407に垂直な並進移動、たとえばy軸及びz軸における意図しない並進移動を抑制するように
図4の実施形態が適切に束縛される。
【0117】
第3の屈曲配設部413を含む場合、動きを束縛して意図しない並進移動を除くことによって、たとえば
図1〜
図3の簡略化された実施形態における第3の屈曲配設部413のない例よりも安定性が改善されることが分かる。Grubler方程式をL=5個のリンクとP=6個の回動部とについて解くと仮定すると、自由度の数はD=3*(6−1)−2*(6)=3になる。これにより3自由度が得られることで、意図しない方向の動作が許容され、第3の屈曲配設部413を含むことの効果が示される。
【0119】
当業者であれば理解するが、回動部、屈曲部及びアクチュエータの他の構成を用いてプリントヘッド調節装置を実施してもよい。特に、他の例では、第1の方向の第1のアクチュエータの並進移動によって第2の方向の第1の部分の並進移動を引き起こしてもよい。さらに、他の例では、アクチュエータを装置の他の縁(本図の装置の上縁及び下縁)から動作させ、y軸に沿ったアクチュエータの動作によってx軸に沿った第1及び第2の部分の動作を引き起こすように屈曲配設部を配設してもよい。
【0120】
複数のプリントヘッドをシングルパスプリンタの円筒形ドラムの周囲に設けてもよく、この場合、各プリントヘッドは、ドラムに対して遠い側に接続されるプリントヘッド調節装置を有する。この構成では、ドラムからの距離が増すので、プリントヘッド間のスペースが広くなる。これにより、調節のためのスペースを広くすることができる。
【0121】
図1、特に、第1の屈曲配設部105の第1の屈曲部105aなどの屈曲部について検討する。第1の屈曲部105aはx方向に延び、y方向で細いので、x‐y平面内で屈曲することができる。x方向で細い一方で、高いz方向の剛性を実現するようにz方向で高さが高いように屈曲部を形成することによってz方向の意図しない動作を抑制することができる。たとえば、z方向の屈曲部の高さはy方向の厚さよりも何倍も大きくてもよい。これは、y方向に向いた屈曲部、たとえば屈曲部413a/bに適用することもできる。
【0122】
さらには、z軸において配置される屈曲配設部を設けることによってz方向の動作をさらに抑制してもよい。たとえば、z軸において配置される屈曲部を備える第4の屈曲配設部を介して中央基部を第1及び/又は第2の部分に接続してもよい。これにより、z軸における動作を抑制するように第1及び第2の部分が束縛される。
【0123】
たとえば、第1のアクチュエータ及び/又は第2のアクチュエータの並進移動を調節ネジによって実現してもよい。第1の方向及び第2の方向の並進移動を実現するために、調節ネジに第1/第2の方向(すなわちx軸に沿った方向)に沿った軸を設ける。調節ネジの回転によって第1及び/又は第2のアクチュエータの並進移動が実現される。手動でネジを調節してもよい。
【0124】
第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータの並進移動をモータによって制御してもよい。たとえば、モータはステッピングモータであってもよい。コンピュータが各アクチュエータの必要な動作を計算してモータを通じて動作を高精度に実現するように、モータをプロセッサによって制御してもよい。これにより、人為的操作よりも高い精度が可能になる。いくつかの例では、モータを用いて、アクチュエータを並進移動させる調節ネジの回転を制御する。手作業を介することを不要にして調節を自動的に制御してもよく、離れた場所から、たとえばネットワーク接続を用いて制御するという発展が考えられる。コンピュータは、「人為的ミス(human error)」を排除して人間の操作者よりも迅速に作業をこなすこともでき、かつ/又は一度に複数の作業を管理することができる。
【0125】
細かいピッチの送りネジと組み合わせたステッピングモータを用いることで、電力を落としたときにシステムの位置状態が維持される。これによりロック装置の必要がない。一般的には、調節機構には、ロック解除、調節、ロックのサイクルが必要である。ロック段階では、調節の精度を低下させる多少の意図しない動作が引き起こされることが多い。ロック工程ではシステムの自動化がより困難になる。屈曲部には、たとえばスライドヒンジとは異なり、一切バックラッシュやスロップがなく、したがって、ロック構成要素や固定構成要素が必要ないので、本開示ではロック工程が存在しない。これにより、製造がより容易であり、よりコンパクトで、高精度なシステムが実現される。
【0126】
いくつかの例では、装置とプリントヘッドとの間にプリントヘッドカプラを配置する。
【0127】
いくつかの実施形態では、第3の屈曲配設部413を除いて、y位置を制御する別の調節装置を有する3自由度構成を設ける。実際には、プリントヘッドから液滴が吐出されるタイミングの同期を調節してヘッドの相対y位置の差を補償することができるので、y軸における高精度な調節は決定的要因ではないといえる。そうではあるが、いくつかの実施形態では、屈曲部413aを所定の可動部に接続する(中央基部409にくっつけて接続するのではない)ことができ、この新たな可動部と中央基部409との間に第3のアクチュエータを設けて独立したy方向の調節を実現してもよい。
【国際調査報告】