(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527039(P2021-527039A)
(43)【公表日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】悪性リンパ腫性障害の治療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20210913BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210913BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20210913BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/433 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20210913BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/06
A61K31/407
A61K31/433
A61K31/5513
A61K31/519
A61K31/506
A61K31/404
A61K31/426
A61K31/495
A61K31/5377
A61K31/53
A61K31/505
A61K31/454
A61K31/40
A61K31/437
A61K31/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2020-567578(P2020-567578)
(86)(22)【出願日】2019年6月5日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月30日
(86)【国際出願番号】US2019035576
(87)【国際公開番号】WO2019236703
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】62/680,739
(32)【優先日】2018年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520447673
【氏名又は名称】アクチュエイト セラピューティクス、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルス、フランシス
(72)【発明者】
【氏名】マザール、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA20
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC13
4C086BC21
4C086BC36
4C086BC42
4C086BC50
4C086BC64
4C086BC73
4C086BC82
4C086BC86
4C086CB03
4C086CB05
4C086CB07
4C086CB11
4C086CB22
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
【解決手段】 患者に有効量のGSK−3β阻害剤、例えば9−ING−41を投与することからなる悪性リンパ増殖性障害の治療方法が提供される。また、GSK−3β阻害剤、例えば9−ING−41を第2の治療剤または複数の治療剤と組み合わせて投与することからなる悪性リンパ増殖性障害の治療方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その治療を必要とする患者に悪性リンパ増殖性障害を治療する方法であって、前記患者に有効量のGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記悪性リンパ増殖性障害は、悪性B細胞リンパ増殖性障害である、方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記悪性B細胞リンパ増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、管外縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、毛細血管白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ウォルデンストロームマクログロブリン血症/リンパ形成不全リンパ腫、多発性骨髄腫、血漿細胞異形成症、血漿細胞新生物、原発性縦隔B細胞リンパ腫、ホジキン病、またはカステルマン病である、方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、前記悪性B細胞リンパ増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である、方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、ダブルヒットリンパ腫である、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記悪性リンパ増殖性障害は、悪性T細胞リンパ増殖性障害である、方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記悪性T細胞リンパ増殖性障害は、T細胞白血病/リンパ腫、管外ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大T/ヌル細胞リンパ腫、皮下パンニクル炎様T細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ性白血病、T細胞性大粒径リンパ球白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、移植後リンパ増殖症候群、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV−1+)成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、T細胞前リンパ球性白血病(T−PLL)、または非特定型T細胞リンパ腫である、方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の方法において、前記悪性リンパ増殖性障害は、化学療法抵抗性である、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、9−ING−41、チデグルシブ、LY2090314、CHIR−99021、CHIR−98014、SB216763、SB415286、AR−A011418、CG701338、またはCG202796である、方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY2090314である、方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、9−ING−41である、方法。
【請求項12】
請求項10記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、チデグルシブである、方法。
【請求項13】
請求項10記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、LY2090314である、方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の方法において、前記GSK−3β阻害剤は、第2の治療剤と組み合わせて投与される、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記第二の治療剤は、サブ治療量で投与される、方法。
【請求項16】
請求項14または15記載の方法において、前記第二の治療剤は、抗癌剤である、方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記抗癌剤は、アポトーシスモジュレーター、CDKモジュレーター、またはmTOR/AKT/PI3Kのモジュレーターである、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記抗癌剤は、アポトーシスモジュレーターである、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記アポトーシスモジュレーターは、Bcl−2阻害剤である、方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記Bcl−2阻害剤は、ベネトクラックス、ABT−737、またはナビトクラックスである、方法。
【請求項21】
請求項20の方法であって、前記Bcl−2インヒビターは、ベネトグラックスである、方法。
【請求項22】
請求項17記載の方法において、前記抗癌剤は、CDKモジュレーターである、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、前記CDKモジュレーターは、CDK9阻害剤である、方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、前記CDK9阻害剤は、BAY−1143572、LDC000067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887である、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記CDK9阻害剤は、BAY−1143572である、方法。
【請求項26】
請求項17記載の方法において、前記抗癌剤は、mTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターである、方法。
【請求項27】
請求項26の方法であって、前記mTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターは、PI3Kインヒビターである、方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、前記PI3K阻害剤は、コパンリシブまたはイデラリシブである、方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記PI3K阻害剤は、イデラリシブである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月5日に出願された米国仮出願第62/680,739号に対する優先権の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、悪性リンパ増殖性障害の治療のために、3−(5−フルオロベンゾフラン−3−イル)−4−(5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]インドール−7−イル)ピロール−2,5−ジオンを含むGSK−3β阻害剤を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
悪性リンパ増殖性障害とは、リンパ球の異常増殖を特徴とする疾患群である。悪性リンパ増殖性障害には、一般的に悪性B細胞リンパ増殖性障害と悪性T細胞リンパ増殖性障害の2種類がある。
【0004】
悪性B細胞リンパ増殖性障害としては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、管外縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、毛細血管白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ウォルデンシュトロームマクログロブリン血症/リンパ形成不全リンパ腫、多発性骨髄腫、血漿細胞異形成症、血漿細胞新生物、原発性縦隔B細胞リンパ腫、ホジキン病、およびカステルマン病などが挙げられる。
【0005】
悪性T細胞リンパ増殖性疾患としては、T細胞白血病/リンパ腫、管外ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大T/ヌル細胞リンパ腫、皮下パンニクル炎様T細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ性白血病、T細胞性大粒径リンパ球白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、移植後リンパ増殖症候群、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV−1
+)成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、T細胞性前リンパ性白血病(T−PLL)、および非特定型T細胞リンパ腫などが挙げられる。
【0006】
グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK−3)はセリン(S)/スレオニン(T)キナーゼであり、当初は代謝、特にグリコーゲン生合成の主要な調節因子として記述された。Embi Net al.ウサギ骨格筋から得られたグリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(Glycogen synthase kinase−3)。また、このキナーゼは、その機能を利用し、糖質の代謝を制御することが明らかになっている。Eur J Biochem.1980;107:519−27.それ以来、多くの多様な基質の変調を介して、癌や老化、免疫障害、代謝障害、神経障害を含むいくつかの疾患プロセスで役割を果たすことが示される。Sutherland C.善意のGSK3基質とは何ですか?Int J Alzheimers Dis.2011;2011:505607;Gao C,et al.GSK3:2型糖尿病とアルツハイマー病のための新規治療法の開発のための重要なターゲット。Rev Neurosci.2011;23:1−11;Wang H,et al.,ラパマイシン複合体1-およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3-ベータシグナル伝達経路の哺乳類標的の収束は、先天性炎症反応を調節する。J Immunol.2011;186:5217−26;Klamer G,et al.炎症を治療するための低分子GSK3beta阻害剤の使用。Curr Med Chem.2010;17:2873−81;Henriksen EJ.骨格筋におけるグリコーゲン合成酵素キナーゼ−3の調節障害とインスリン抵抗性と2型糖尿病の病因。Curr Diabetes Rev.2010;6:285−93.GSK−3は、2つのユビキチンに発現し、高度に保存された2つのアイソフォーム、GSK−3αおよびGSK−3βを有し、基質および機能的効果の両方が共有され、かつ異なる。GSK−3βの異常な過剰発現は、様々な固形腫瘍において腫瘍の増殖および化学療法抵抗性を促進することが示される。しかし、GSK−3βがB細胞リンパ腫の発症、治療抵抗性、生存に及ぼす影響については、B細胞における代謝チェックポイント調節因子としての機能が知られているにもかかわらず、ほとんど知られていない。Jellusova J,et al.GSK3はB細胞における代謝チェックポイント調節因子である。Nat Immunol.2017;18:303−12.
【0007】
GSK−3β阻害剤は、GSK−3βによって媒介される疾患の臨床経過を潜在的に変化させる能力のために関心がある。いくつかのGSK−3β阻害剤は、チデグルシブ、LY2090314、9−ING−41、CHIR−99021およびCHIR−98014、SB216763およびSB415286、AR−A011418、CG701338およびCG202796を含む。Amy Walz、Andrey Ugolkov、Sunandana Chandra、et al.,Molecular Pathwaysを参照。がんの治療のための標的としてのグリコーゲン合成酵素キナーゼ−3bの再検討、Clin Cancer Res;23(8)April 15,2017,OF1−OF7を参照。
【0008】
3−(5−フルオロベンゾフラン−3−イル)−4−(5−メチル−5H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]インドール−7−イル)ピロール−2,5−ジオン(「9−ING−41」)は、以下の化学構造を有するGSK−3β阻害剤である。
【化1】
【0009】
9−ING−41の合成、特性、および/または生物学的活性は、米国特許第8,207,216号に記載される;Gaisina,et al.、From a Natural Product Lead to the Identification of Potent and Selective Benzofuran−3−yl−(indol−3−yl)maleimides as Glycogen Synthase Kinase 3β Inhibitors That Suppress Proliferation and Survival of Pancreatic Cancer Cells,J.Med.Chem. 2009,52,1853−1863;およびHilliard,et al.,Glycogen synthase kinase 3β inhibitors induce apoptosis in ovarian cancer cells and inhibit in in vivo tumor growth,Anti−Cancer Drugs 2011,22:978−985。9−ING−41は、脳、肺、乳房、卵巣、膀胱、神経芽腫、腎、膵臓などの特定の癌の治療、および外傷性脳損傷の治療に有用であることが報告される。
【0010】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の臨床経過は、1990年代後半に抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブが標準的な化学療法に追加されたことにより、奏効率および生存率が改善されたにもかかわらず、依然として変化する。Coiffier B,et al.Long−term outcome of patients in the LNH−98.5 trial,the first randomized study comparing rituximab−CHOP to standard CHOP chemotherapy in DLBCL patients:a study by the Groupe d'Etudes des Lymphomes de l'Adulte.Blood.2010;116:2040−5;Feugier P,et al.Long−term results of the R−CHOP study in the treatment of elderly patients with diffuse large B−cell lymphoma:a study by the Groupe d'Etude des Lymphomes de l'Adulte.J Clin Oncol.2005;23:4117−26.患者の60%は長期無病生存を享受するが、生物学的に不利な患者のサブセットは化学療法不応性疾患を有し、予後はあまり好ましくない。Sehn LH,et al.Introduction of combined CHOP plus rituximab therapy dramatically improved outcome of diffuse large B−cell lymphoma in British Columbia.J Clin Oncol.2005;23:5027−33.特に、DLBCLにおけるc−MYCとBCL−2の二重転座は、「ダブルヒットリンパ腫」(「DHL」)と呼ばれ、標準的なR−CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)療法後の転帰が不良であり、長期生存を達成した患者はほとんどいない。Petrich AM,et al.Impact of induction regimen and stem cell transplantation on outcomes in double−hit lymphoma:a multicenter retrospective analysis.Blood.2014;124:2354−61.
【0011】
このように、リンパ腫を含む悪性リンパ増殖性疾患を治療するための新しい方法、特にDLBCLなどの治療抵抗性リンパ腫を治療するための新しい方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
いくつかの態様において、本開示は、必要としている患者の悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供し、この方法は、有効量のGSK−3β阻害剤を当該患者に投与する工程を含む。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、悪性リンパ増殖性障害が悪性B細胞リンパ増殖性障害である場合に、有効量のGSK−3β阻害剤を患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者における悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0014】
いくつかの態様において、本開示は、それを必要とする患者における悪性B細胞リンパ増殖性障害を治療する方法を提供し、この方法は、GSK−3β阻害剤の有効量を前記患者に投与することからなる。ここで、悪性B細胞リンパ増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、管外縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、毛細血管白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ウォルデンシュトロームマクログロブリン血症/リンパ形成不全リンパ腫、多発性骨髄腫、血漿細胞異形成症、血漿細胞新生物、原発性縦隔B細胞リンパ腫、ホジキン病、およびカステルマン病である。
【0015】
いくつかの態様において、本開示は、悪性B細胞リンパ増殖性障害がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である場合に、有効量のGSK−3β阻害剤を患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者における悪性B細胞リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0016】
いくつかの態様において、本開示は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫がダブルヒットリンパ腫である場合に、有効量のGSK−3β阻害剤を前記患者に投与する工程を含む、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する方法を提供する。
【0017】
いくつかの態様において、本開示は、悪性リンパ増殖性障害が悪性T細胞リンパ増殖性障害である場合に、有効量のGSK−3β阻害剤を当該患者に投与する工程を含む、悪性リンパ増殖性障害を必要とする患者における悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、それを必要とする患者における悪性T細胞リンパ増殖性障害を治療する方法を提供し、この方法は、GSK−3β阻害剤の有効量を前記患者に投与する工程を含む。ここで、悪性T細胞リンパ増殖性障害は、T細胞白血病/リンパ腫、管外ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大T/ヌル細胞リンパ腫、皮下パンニクル炎様T細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ性白血病、T細胞性大粒径リンパ球白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、移植後リンパ増殖症候群、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV−1
+)成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、T細胞性前リンパ性白血病(T−PLL)、および非特定型T細胞リンパ腫である。
【0019】
いくつかの態様において、本開示は、悪性リンパ増殖性障害が化学療法不応性である、上記のいずれかの態様に従った方法を提供する。
【0020】
いくつかの態様において、本開示は、上記のいずれかの態様に従った方法を提供し、前記GSK−3β阻害剤は、9−ING−41、チデグルシブ、LY2090314、CHIR−99021、CHIR−98014、SB216763、SB415286、AR−A01418、CG70138、またはCG202796である、方法を提供する。
【0021】
いくつかの態様において、本開示は、GSK−3β阻害剤が9−ING−41、チデグルシブ、またはLY20090314である、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0022】
いくつかの態様において、本開示は、GSK−3β阻害剤が9−ING−41である、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0023】
いくつかの態様において、本開示は、GSK−3β阻害剤がチデグルシブである、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0024】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤はLY2090314である、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0025】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、第2の治療剤と組み合わせて投与される、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0026】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、第2の治療剤と組み合わせて投与され、前記第2の治療剤は、サブ治療量で投与される、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0027】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、第2の治療剤と組み合わせて投与され、前記第2の治療剤は、抗癌剤である、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0028】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、抗癌剤と組み合わせて投与され、前記抗癌剤は、アポトーシスモジュレーター、CDKモジュレーター、またはmTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0029】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、抗癌剤と組み合わせて投与され、前記抗癌剤はアポトーシスモジュレーターである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0030】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、アポトーシスモジュレーターと組み合わせて投与され、前記アポトーシスモジュレーターは、Bcl−2阻害剤である、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0031】
いくつかの態様において、本開示は、GSK−3β阻害剤をBcl−2阻害剤と組み合わせて投与し、前記Bcl−2阻害剤は、ベネトクラックス、ABT−737、またはナビトクラックスである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0032】
いくつかの態様では、本開示は、GSK−3β阻害剤をBcl−2阻害剤と組み合わせて投与し、前記Bcl−2阻害剤はベネトグラックスである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0033】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤が抗癌剤と組み合わせて投与される、前記抗癌剤がCDKモジュレーターである、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0034】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、CDKモジュレーターと組み合わせて投与され、前記CDKモジュレーターは、CDK9阻害剤である、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0035】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、CDK9阻害剤と組み合わせて投与され、ここで、CDK9阻害剤は、BAY−1143572、LDC000067、Dinaciclib(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887である、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0036】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、CDK9阻害剤と組み合わせて投与され、ここで、CDK9阻害剤は、BAY−1143572である、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0037】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、抗癌剤と組み合わせて投与され、前記抗癌剤は、mTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターである、上記のいずれかの態様に記載の方法を提供する。
【0038】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、mTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターと組み合わせて投与され、前記mTOR/AKT/PI3K経路のモジュレーターは、PI3K阻害剤である、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0039】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤は、PI3K阻害剤と組み合わせて投与され、PI3K阻害剤は、コパンリシブまたはイデラリシブである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【0040】
いくつかの態様において、本開示は、前記GSK−3β阻害剤はPI3K阻害剤と組み合わせて投与され、前記PI3K阻害剤はイデラリシブである、前述の態様に記載の方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1A〜1Eは、9−ING−41処理によるリンパ腫細胞の生存性および増殖を示す。 96ウェルプレートウェルあたり10,000個の細胞(SUDHL−4(
図1B)、KPUM−UH1(
図1C)、Karpas 422(
図1D)、TMD8(
図1E))を、未処理のまま、または1μMの9−ING−41で処理した後、3回に分けて、1日目、3日目、5日目、および7日目の細胞数をMTSアッセイを用いて算出した。簡潔に言えば、20μLのMTS試薬を細胞に添加し、2時間インキュベートした後、Biotekプレートリーダーを用いて490nm(A490)での吸光度を読み取った。OD=490nmの吸光度は細胞密度に比例して増加する。エラーバーは、レプリケート間の標準偏差を表す。3日目の生存率を
図1Aに示す。
【
図2】
図2A〜2Oは、9−ING−41と組み合わせた化学療法剤を用いたリンパ腫細胞の生存率を示す。10,000個の細胞(
図1A、F、K:Daudi;
図1B、G、L:SUDHL−4;
図1C、H、M:KPUM−UH1;
図1D、I、N:Karpas422;E、J、O:TMD8)を96ウェルプレートのウェルあたりにプレートし、9−ING−41(0−0.5μM)およびVenetoclax(0〜5,000nM)(
図1A〜E)またはBAY−1143572(0〜50μM)(
図1F〜J)またはイデラリシブ(0〜50μM)(
図1K〜O)の両方を3回反復で処理した。日後のバイアビリティを、MTSアッセイを用いて分析した。簡単に言えば、20μlのMTS試薬を細胞に添加し、2時間インキュベートし、Biotekプレートリーダーを用いて490nmでの吸光度を読み取った。無処理対照の平均吸光度を1に設定した後、相対吸光度を計算する。OD=490nmにおける吸光度は細胞密度に比例して増加する。
【
図3】0.5μMの9−ING−41を添加した場合と添加していない場合のベネトクラックス、BAY1143572およびイデラリシブのIC
50値を
図3に示す。
【
図4】
図4は、リンパ腫においてGSK3αおよびGSK3βのmRNAおよびタンパク質が過剰発現することを示す。(A)GSK3αおよびGSK3β mRNAが、正常なBまたはTリンパ球における低発現と比較して、リンパ腫ラインで過剰発現することを示すリアルタイムPCR定量。B)精製された正常BまたはTリンパ球と比較して、GSK3αおよびGSK3βタンパク質もまた、様々なリンパ腫ラインで豊富に発現することを示すウエスタンブロット画像。
【
図5】
図5は、GSK3がリンパ腫細胞の増殖および生存に必須であることを示す。健康なドナーから単離した刺激のない末梢血Bリンパ球およびTリンパ球を正常対照として使用した。様々なMCLおよびTCLライン(A)およびDLBCLライン(B)におけるGSK3阻害剤9−ING−41のプロアポトーシス効果。C)9−ING−41で処理した様々なリンパ腫細胞株の細胞増殖プロファイル。結果(A−C)は3つの独立した実験からのものである。
【
図6】リンパ腫細胞におけるGSK3の阻害または欠失は、G2/Mにおける細胞周期の停止をもたらすことを示す。(A)0、1.0および2.0μMの9−ING−41で24時間処理した後の3つの代表的な細胞株Jeko、MinoおよびOCI−Ly3の細胞周期プロファイル。(B)親Ly−1細胞およびGSK3α、GSK3β、GSK3αβノックアウトサブクローンの細胞周期プロファイル。インセット。ノックアウトLy−1サブクローンにおけるGSK3αおよびGSK3βタンパク質の枯渇を示すウエスタンブロット画像。
【
図7】
図7は、9−ING−41によるGSK3の阻害が、有糸分裂原相停止をもたらすことを示す。(A)有糸分裂の間の連続的な工程(M1−M5)の漫画の描写(Shutterstockから購入し、改変したもの)。(B)未処理および1.0μMの9−ING−41で24時間処理したジェコ細胞の代表的なライト染色像。様々な有糸分裂期細胞(M1−M5)が未処理の細胞(左のパネル)で容易に識別される一方で、9−ING−41細胞(右のパネル)では、多数のプロフェーズ(M1)細胞のみが見られる。(C)未処理または9−ING−41で処理したジェコ細胞100個をカウントしたときに同定された有糸分裂M1−M5細胞の数を示す棒グラフ。同様の結果(データは未提示)が、少なくとも4つの異なるリンパ腫細胞株において観察された。
【
図8】
図8は、GSK3βがセントロソームに局在することを示す。(A)GSK3βが間期のイエコ細胞の核およびセントロソーム対に局在することを示す免疫蛍光画像。(B)(A)に示したものをクローズアップ(拡大)した画像。(C−F)野生型Ly−1細胞におけるGSK3βとペリセントリンのセントロソームへのコロケーションを示す共免疫染色のシングルまたはマルチチャンネル画像。(G−H)GSK3βヌルのLy−1細胞におけるGSK3βとペリセントリンの共免疫染色のシングルまたはマルチチャンネル画像は、染色がGSK3βに特異的であることを示す。(K)GSK3β(緑色)がイエコ細胞の分裂性紡錘体に似た花火のような構造に局在することを示す免疫蛍光画像。(L)(K)の有糸分裂細胞のクローズアップ画像。(M)α−チューブリン(赤)染色による微小管構造とDNA(青)のオーバーレイ画像。(N)(M)のクローズアップ画像。(O−P)GSK3βヌルLy−1細胞ではGSK3βの紡錘体構造染色がないことを示す画像。(Q)9−ING−41で処理したジェコ細胞において、GSK3βが分裂紡錘体構造および分極したセントロソームに局在することを示す免疫蛍光画像。(R)(Q)に示す代表的な有糸分裂細胞のクローズアップ画像。
【
図9】
図9は、一次リンパ腫患者(P)細胞におけるGSK3タンパク質の異常発現および9−ING−41に対する増殖応答を示す。(A)患者サンプルと正常B細胞コントロールにおけるGSK3αおよびGSK3βタンパク質の過剰発現を示すイムノブロット。P1:MCL、P2:高悪性度B細胞リンパ腫、P3:濾胞性大細胞型B細胞リンパ腫3B、P4:DLBCL、P5:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫。(B)9−ING−41は、5人の患者サンプルすべてで増殖を抑制した。(C)各種リンパ腫患者のパラフィン組織切片におけるGSK3βの免疫組織化学染色。代表的な画像は、異なるリンパ腫サンプルにおけるGSK3β(茶色の部分)の過剰発現のスペクトルを示す。メチレンブルーのカウンター染色(青色)は、背景にGSK3β陰性の細胞を示し、抗体陰性のコントロールパネルには、GSK3β陰性の細胞を示す。画像は、40倍の倍率の下で収集した。
【
図10】
図10は、ジェコ由来のキセノグラフトマウスモデルにおける9−ING−41のインビボでの抗リンパ腫効果を示す。(A)9−ING−41の治療スケジュールと投与量を示す実験デザイン。(B)9−ING−41を未処理または9−ING−41で処理したキセノグラフトベアリングマウスの生物発光画像。示す画像は、実験終了時(17日目)に収集した。実験は2回行われ、どちらも同様の結果が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示の一部を形成する以下の詳細な説明を参照することにより、本発明の主題をより容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載および/または示された特定の方法、条件またはパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される用語は、例示の方法のみで特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、請求された発明を限定することは意図されていないことが理解されよう。
【0043】
本明細書で別段の定義がない限り、本願に関連して使用される科学的および技術的用語は、当技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0044】
上記および本開示の全体にわたって採用されるように、以下の用語および略語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0045】
本開示において、単数形の「a」、「an」および「the」は、複数の参照を含み、特定の数値への参照は、文脈が明確に他のことを示さない限り、少なくともその特定の数値を含む。したがって、例えば、「化合物」への参照は、当業者に知られているそのような化合物およびその等価物の1つまたは複数への参照であり、そのような化合物および等価物は、当業者に知られる。本明細書で使用されるように、用語「複数」は、1つ以上を意味する。値の範囲が表現される場合、別の実施形態は、一方の特定の値および/または他方の特定の値を包含する。同様に、値が近似値として表現される場合、前置詞「約」の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。すべての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。
【0046】
本明細書で使用されるように、用語「成分」、「組成物」、「化合物組成物」、「化合物」、「薬物」、「薬理活性剤」、「活性剤」、「治療上の」、「療法」、「治療」、または「薬剤」は、本明細書で互換的に使用され、被験体(ヒトまたは動物)に投与されると、局所的および/または全身的作用によって所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘導する化合物または化合物または物質の組成物を指す。
【0047】
本明細書で使用されるように、用語「治療の」、「治療」または「療法」(およびそれらの異なる形態)には、予防的(例えば、予防的)治療、治癒的または緩和的治療が含まれる。本明細書で使用されるように、「治療」という用語は、状態、疾患または障害の少なくとも1つの悪影響または負の効果または症状を緩和または軽減することを含む。この状態、疾患または障害は、癌であり得る。
【0048】
上記および本開示全体に採用されるように、用語「有効量」とは、関連する障害、状態、または副作用の治療に関して所望の結果を達成するために必要な用量で、必要な期間だけ有効な量を意味する。本発明の成分の有効量は、選択された特定の化合物、成分または組成物、投与経路、および個人において所望の結果を引き出すための成分の能力だけでなく、緩和されるべき状態の病状または重症度などの要因によっても、患者ごとに異なることが理解されるだろう。ホルモンレベル、年齢、性別、体重、患者の状態、治療されている病理学的状態の重症度、特定の患者に続く同時投薬や特別な食事、および技術に熟練した者が認める他の要因を考慮して、適切な投与量は主治医の裁量に委ねられる。投与量は、改善された治療反応を提供するために調整されても良い。有効量はまた、成分のあらゆる毒性または有害な効果が、治療上有益な効果に勝るものである。
【0049】
いくつかの実施形態では、有効量は患者の体重に基づく。いくつかの実施形態では、9−ING−41の有効量は、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約0.1mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、または約10mg/kgである。
【0050】
上記および本開示全体を通して採用されるように、用語「副治療量」とは、単独の治療剤として投与した場合に効果がない量を指す。
【0051】
「薬剤学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、または他の問題のある合併症を伴わない、ヒトおよび動物の組織との接触に適した化合物、材料、組成物、および/または投与形態であって、合理的な利益/リスク比に見合ったものを意味する。
【0052】
本発明の範囲内で、開示された化合物は、薬学的に許容される塩の形態で調製することができる。"薬剤学的に許容される塩"とは、親化合物がその酸または塩基の塩を作ることによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。製薬学的に許容される塩の例としては、アミンのような塩基性残基の鉱酸または有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリまたは有機酸塩;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。製薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成された親化合物の従来の非毒性塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するものが含まれる。そして、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が挙げられる。これらの生理学的に許容される塩は、当技術分野で知られる方法、例えば、遊離のアミン塩基を水性アルコールに過剰に溶解するか、遊離のカルボン酸を水酸化物のようなアルカリ金属塩基で中和するか、またはアミンで中和することによって調製される。
【0053】
本明細書に記載される化合物は、代替の形態で調製することができる。例えば、多くのアミノ含有化合物は、酸付加塩として使用または調製することができる。しばしば、そのような塩は、化合物の単離および取り扱い特性を改善する。例えば、試薬、反応条件等に応じて、本明細書に記載の化合物は、例えば、それらの塩酸塩またはトシル酸塩として使用または調製することができる。同形の結晶形態、すべてのキラル形態およびラセミ形態、N−オキシド、水和物、溶媒和物、および酸塩水和物もまた、本発明の範囲内にあることが企図される。
【0054】
本発明の特定の酸性または塩基性化合物は、ツビタイオンとして存在しても良い。遊離酸、遊離塩基、およびツビテリオンを含む化合物のすべての形態は、本発明の範囲内にあることが企図される。アミノ基およびカルボキシ基の両方を含む化合物が、しばしばそれらのツビテリオンの形態と平衡状態で存在することは、当技術分野でよく知られる。したがって、例えば、アミノ基およびカルボキシ基の両方を含む本明細書に記載された化合物のいずれかは、それらの対応する双性イオンへの参照も含む。
【0055】
用語「投与する」とは、本発明の化合物または組成物を直接投与すること、または体内で活性化合物または物質の等価量を形成するプロドラッグ、誘導体またはアナログを投与することのいずれかを意味する。
【0056】
用語「被験体」、「個体」、および「患者」は、本明細書において互換的に使用され、本発明に従った医薬組成物による予防的治療を含む治療が提供される動物、例えばヒトを指す。本明細書で使用される「被験体」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を指す。用語「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、本明細書において互換的に使用され、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類(特に高等霊長類)、羊、犬、げっ歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、豚、猫、ウサギ、牛、馬、および爬虫類、両生類、鶏、および七面鳥などの非哺乳動物を含む。
【0057】
本開示は、有効量のGSK−3β阻害剤をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0058】
本開示の方法を用いて治療され得る悪性リンパ増殖性障害は、悪性B細胞リンパ増殖性障害、または悪性T細胞リンパ増殖性障害であり得る。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害は、悪性B細胞リンパ増殖性障害である。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害は、悪性T細胞リンパ増殖性障害である。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて治療され得る悪性B細胞リンパ増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、管外縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、毛細血管白血病、原発性中枢神経系リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、ウォルデンシュトロームマクログロブリン血症/リンパ形成不全リンパ腫、多発性骨髄腫、血漿細胞異形成症、血漿細胞新生物、原発性縦隔B細胞リンパ腫、ホジキン病、およびカステルマン病である。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて治療される悪性B細胞リンパ増殖性障害は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、ダブルヒットリンパ腫である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて治療される悪性B細胞リンパ増殖性障害は、マントル細胞リンパ腫である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本開示の方法を用いて治療され得る悪性T細胞リンパ増殖性障害は、T細胞白血病/リンパ腫、管外ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、腸管症型T細胞リンパ腫、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大T/ヌル細胞リンパ腫、皮下パンニクル炎様T細胞リンパ腫、T細胞性急性リンパ性白血病、T細胞性大粒径リンパ球白血病、リンパ球芽球期慢性骨髄性白血病、移植後リンパ増殖症候群、ヒトT細胞白血病ウイルス1型陽性(HTLV−1
+)成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、T細胞性前リンパ性白血病(T−PLL)、および非特定型T細胞リンパ腫
である。
【0063】
いくつかの実施形態において、本開示の方法を用いて治療される悪性T細胞リンパ増殖性障害は、T細胞リンパ腫である。
【0064】
本開示のいくつかの態様において、悪性リンパ増殖性障害は、化学療法不応性悪性リンパ増殖性障害であっても良い。化学療法不応性悪性リンパ増殖性障害は、1つ以上の化学療法治療に反応しなかった悪性リンパ増殖性障害である。いくつかの実施形態では、化学療法不応性悪性リンパ増殖性障害は、ダブルヒットリンパ腫(すなわち、c−MYCおよびBCL−2の二重転座を有するリンパ腫)である。他の実施形態では、難治性悪性リンパ増殖性障害が奏効しなかった化学療法は、R−CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)である。さらに別の実施形態では、難治性悪性リンパ増殖性障害が奏効しなかった化学療法は、モノクローナル抗体、キナーゼ阻害剤、酵素調節剤、およびアポトーシス調節剤を有するか否かを問わず、細胞毒性療法の組み合わせである。
【0065】
本発明の方法を用いて状態が治療される患者は、動物、好ましくは哺乳動物である。いくつかの実施形態では、患者はヒトである。他の実施形態では、患者はイヌ(すなわち、イヌ)である。さらに他の実施形態では、患者はネコ(すなわち、ネコ)である。好ましい実施形態では、状態が本開示の方法を用いて治療される患者は、ヒトである。
【0066】
本開示の方法において投与されるGSK−3β阻害剤は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3β(GSK−3β)の活性を阻害する任意の化合物である。
【0067】
いくつかの態様において、本開示の方法において投与されるGSK−3β阻害剤は、9−ING−41、チデグルシブ、LY2090314、CHIR−99021、CHIR−98014、SB216763、SB415286、AR−A011418、CG701338、またはCG202796である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示の方法において投与されるGSK−3β阻害剤は、9−ING−41である。したがって、いくつかの局面において、本開示は、有効量の9−ING−41を当該患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者における悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0069】
他の実施形態では、本開示の方法において投与されるGSK−3β阻害剤はチデグルシブであり、本開示は、チデグルシブの有効量を患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者における悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0070】
さらに別の実施形態では、本開示の方法において投与されるGSK−3β阻害剤はLY2090314であり、本開示は、LY2090314の有効量を前記患者に投与する工程を含む、必要とする患者における悪性リンパ増殖性障害を治療する方法を提供する。
【0071】
本開示の悪性リンパ増殖性障害を治療する方法において、有効量のGSK−3β阻害剤を、単独の治療剤として、または1つ以上の他の治療剤と組み合わせて、患者に投与することができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤を唯一の治療剤として患者に投与することからなる。GSK−3β阻害剤が、本開示の方法において投与される唯一の治療上有効な化合物である場合、治療は、単剤療法と称される。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41を唯一の治療剤として投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブを唯一の治療剤として投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314を単独治療剤として投与する工程を含む。
【0073】
他の実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせてGSK−3βを投与する工程を含む。GSK−3β阻害剤が第2の治療剤と組み合わせて投与される場合、その治療は併用療法と呼ばれる。併用療法では、GSK−3β阻害剤と第2の治療薬を同時に患者の体内に導入したり、患者に適用したりする必要はない。併用療法では、GSK−3β阻害剤と第二の治療薬が同時に患者の体内に導入されていれば良い。したがって、併用療法は特定の投与スケジュールを意図するものではない。
【0074】
いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、1つ以上の他の治療剤と組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブを1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314を1つまたは複数の他の治療剤と組み合わせて投与する工程を含む。
【0075】
いくつかの態様において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、アポトーシス調節剤と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、アポトーシスモジュレーターと組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、アポトーシスモジュレーターと組み合わせてチデグルシブを投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、アポトーシスモジュレーターと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0076】
いくつかの局面において、アポトーシスモジュレーターは、Bcl−2阻害剤である。例示的なBcl−2阻害剤としては、ベネトクラックス、ABT−737、およびナビトクラックスが挙げられる。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、Bcl−2阻害剤と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、Bcl−2阻害剤と組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをBcl−2阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、Bcl−2阻害剤と組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0077】
いくつかの局面では、Bcl−2阻害剤は、ベネトクラックス、ABT−737、またはナビトクラックスである。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をベネトグラックス、ABT−737、またはナビトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41をベネトグラックス、ABT−737またはナビトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。他の実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブを、ベネトグラックス、ABT−737またはナビトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をベネトグラックス、ABT−737またはナビトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。
【0078】
いくつかの局面では、Bcl−2阻害剤はベネトグラックスである。他の局面では、Bcl−2阻害剤はABT−737である。さらに他の局面では、Bcl−2阻害剤は、ナビトグラックスである。いくつかの局面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をベニトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をABT−737と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をナビトグラックスと併用して投与する工程を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41をナビトグラックスと併用して投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、ABT−737と組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41をナビトグラックスと併用して投与する工程を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブとベニトグラックスを併用して投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをABT−737と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブとナビトグラックスを併用して投与する工程を含む。
【0081】
さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をベネトグラックスと併用して投与する工程を含む。さらに別の実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をABT−737と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をナビトグラックスと組み合わせて投与する工程を含む。
【0082】
いくつかの局面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をサイクリン依存性キナーゼ(CDK)モジュレーターと組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)モジュレーターと組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをサイクリン依存性キナーゼ(CDK)モジュレーターと組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)モジュレーターと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0083】
いくつかの局面において、CDKモジュレーターは、環状依存性キナーゼ9(「CDK9」)インヒビターである。例示的なCDK9阻害剤としては、BAY−1143572、LDC0067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−79387が挙げられる。いくつかの態様において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、CDK9阻害剤と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、CDK9阻害剤と組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、CDK9阻害剤と組み合わせてチデグルシブを投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、CDK9阻害剤と組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0084】
いくつかの局面において、CDK9阻害剤は、BAY−1143572、LDC0067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887である。いくつかの態様において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、BAY−1143572、LDC0067、Dinaciclib(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−79387と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、BAY−1143572、LDC0067、Dinaciclib(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−79387と組み合わせて、9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、BAY−1143572、LDC000067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887との組み合わせでチデグルシブを投与する工程を含む。さらに別の実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を処置する方法は、BAY−1143572、LDC0067、Dinaciclib(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−79387と組み合わせて、LY2090314を投与する工程を含む。
【0085】
いくつかの局面において、CDK9阻害剤は、BAY−1143572である。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、BAY−1143572と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性疾患を治療する方法は、9−ING−41をBAY−1143572と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをBAY−1143572と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をBAY−1143572と組み合わせて投与する工程を含む。
【0086】
いくつかの態様において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターと組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターと組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターと組み合わせてチデグルシブを投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0087】
いくつかの側面において、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターは、PI3K阻害剤である。例示的なPI3K阻害剤には、コパンリシブおよびイデラリシブが含まれる。いくつかの局面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をPI3K阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41をPI3K阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをPI3K阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、LY2090314をPI3K阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む。
【0088】
いくつかの局面では、PI3K阻害剤はコパンリシブまたはイデラリシブである。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブまたはイデラリシブと組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブまたはイデラリシブと組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブをコパンリシブまたはイデラリシブと組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブまたはイデラリシブと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0089】
いくつかの局面では、PI3K阻害剤はコパンリシブである。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブと組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブと組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブとコパンリシブを併用して投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、コパンリシブと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0090】
いくつかの局面では、PI3K阻害剤はイデラリシブである。いくつかの側面において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、GSK−3β阻害剤をイデラリシブと組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、9−ING−41をイデラリシブと組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、イデラリシブと組み合わせてチデグルシブを投与する工程を含む。さらに他の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、イデラリシブと組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
【0091】
まだ他の態様において、第2の治療剤は、5−フルオロウラシル、酢酸アビラテロン、アセチルコリン、アド−トラスツズマブ・エムタンシン、アファチニブ、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アミノレブリン酸、アナストロゾール、アナストロゾール、アプレピタント、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ・エルウィニア・クリサンテミ、アテゾリズマブ、アキシチニブ、アザシチジン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ベンジルイソチオシアネート、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブリナトモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クロファラビン、コビメチニブ、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダラツマブ、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、デフィブロチドナトリウム デガレリクス、デニレキン・ジフィチトックス(diftitox)、デノスマブ、デキサメタゾン、デキサゾキサン、ジヒドロテストステロン(DHT)、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、ドキソルビシン、エロツズマブ、エルトロンボパグ エンザルツァルタミド、エピルビシン、メシル酸エリブリン、エルロチニブ、エトポシド、エベロリムス、エクセメスタン、フィルグラスチム、リン酸フルダラビン、フルタミド、フルベストラント、フルベストラント ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イフォスファミド、イマチニブ、イビキモド、インターフェロンアルファ−2b、イピリムマブ、イリノテカン、イクサベピロン、イクサゾミブ、ランレオチド、ラパチニブ、レナリドミド、レンバチニブ、レトロゾール、ロイコボリン。ルプロライド、ロムスチン、メクロレスタミン、酢酸メグストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ネチツムマブ、ネララビン、ネツピタント、ニロチニブ、ニルタミド、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オパツズマブ、オラパリブ、オマセタキシンメペスクチネート、オシメルチニブ、オキサリプラチン、オゾガミシン、パクリタキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、パミドロネート、パニツムマブ、パノビノスタット、パゾパニブ、ペガスパルガーゼ、ペグインターフェロンアルファ−2b、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド、ペルツズマブ、プレリキサフォー、ポマリドマイド、ポナチニブ。プラトレキサート、プレドニゾン、プロカルバジン、プロプラノロール、塩化ラジウム223、ラロキシフェン、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、レゴラフェニブ、リツキシマブ、ロラピタント、ロミデプシン、ロミプロスティム、ラキソリチニブ、シルツキシマブ、シプルセル−T、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タリモジンラヘルパレプベック、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオグアニン。チオテパ、ティピラシル、トポテカン、トレミフェン、トレミフェン、トシツモマブ、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、トリフリジン、三酢酸ウリジン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラックス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビスモデギブ、ボリノスタット、ジブアフリセプト、ゾレドロン酸のうちの1種または2種以上、およびそれらの製薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンのうちの1つまたは複数である。
【0092】
いくつかの側面において、GSK−3β阻害剤を第2の治療剤と組み合わせて投与することは、所与の治療効果をもたらすために必要な第2の治療剤の量を減少させる。すなわち、いくつかの実施形態では、治療的に有効な治療は、第2の治療剤のサブ治療量(すなわち、単独の治療剤として投与した場合には効果がない量)と組み合わせてGSK−3β阻害剤を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、GSK−3β阻害剤は、アポトーシス調節剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、Bcl−2阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、ベネトクラックス、ABT−737、またはナビトクラックスの亜治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、亜治療量のベネトグラックスと組み合わせて投与される。
【0093】
他の実施形態では、チデグルシブは、Bcl−2阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チデグルシブは、ベネトグラックス、ABT−737、またはナビトグラックスの亜治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チデグルシブは、亜治療量のベネトグラックスと組み合わせて投与される。
【0094】
さらに別の実施形態では、LY2090314は、Bcl−2阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、LY2090314は、ベネトクラックス、ABT−737、またはナビトクラックスの亜治療量と組み合わせて投与される。 いくつかの実施形態では、LY2090314は、亜治療量のヴェネトグラックスと組み合わせて投与される。
【0095】
他の実施形態では、GSK−3β阻害剤は、CDKモジュレーターのサブ治療量と組み合わせて投与される。他の実施形態では、GSK−3β阻害剤は、CDK9阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。他の実施形態では、GSK−3β阻害剤は、CDK9阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、CDK9阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、BAY−1143572、LDC0067、Dinaciclib(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、BAY−1143572のサブ治療量と組み合わせて投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、チデグルシブは、CDK9阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チデグルシブは、BAY−1143572、LDC0067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チデグルシブは、サブ治療量のBAY−1143572と組み合わせて投与される。
【0097】
いくつかの実施形態では、LY2090314は、CDK9阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、LY2090314は、BAY−1143572、LDC000067、ダイナシクリブ(SCH727965)、SNS−032(BMS−387032)、AT7519、P276−00、AZD5438、PHA−767491、またはPHA−793887のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、LY2090314は、サブ治療量のBAY−1143572と組み合わせて投与される。
【0098】
いくつかの態様において、GSK−3β阻害剤は、MTOR/AKT/PI3経路のモジュレーターのサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの側面において、GSK−3β阻害剤は、PI3K阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、PI3K阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。他の実施形態では、9−ING−41は、コパンリシブまたはイデラリシブのサブ治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、コパンリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。さらに別の実施形態では、9−ING−41は、イデラリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。
【0099】
いくつかの実施形態では、チデグリシブは、PI3K阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。他の実施形態では、チデグルシブは、コパンリシブまたはイデラリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、チデグルシブは、コパンリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。さらに他の実施形態では、チデグルシブは、イデラリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、LY2090314は、PI3K阻害剤のサブ治療量と組み合わせて投与される。他の実施形態では、LY2090314は、コパンリシブまたはイデラリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、LY2090314は、コパンリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。さらに他の実施形態では、LY2090314は、イデラリシブの亜治療量と組み合わせて投与される。
【0101】
GSK−3β阻害剤は、GSK−3β阻害剤と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とからなる医薬組成物中に投与されても良い。いくつかの実施形態では、9−ING−41は、9−ING−41および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤からなる医薬組成物中に投与されても良い。他の実施形態では、チデグルシブは、チデグルシブと少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とからなる医薬組成物中に投与されても良い。他の実施形態では、LY2090314は、LY2090314および少なくとも1つの薬剤学的に許容される担体または賦形剤からなる医薬組成物中に投与されても良い。同様に、第2の治療剤は、第2の治療剤と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とからなる医薬組成物中に投与されても良い。製薬学的に許容される担体または賦形剤は、当技術分野で知られる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Company(1990)を参照。
【0102】
いくつかの態様において、GSK−3β阻害剤および第2の治療剤は、単一の医薬組成物中に一緒に投与され得る。したがって、いくつかの態様において、本開示は、GSK−3β阻害剤と第2の治療剤と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤とからなる医薬組成物に向けられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、GSK−3β阻害剤;アポトーシス調節剤、CDK調節剤、またはmTOR/AKT/PI3K調節剤のうちの1またはそれ以上;および薬剤学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY2090314のうちの1つ以上、アポトーシスモジュレーター、CDKモジュレーター、またはmTOR/AKT/PI3Kモジュレーターのうちの1またはそれ以上、および薬剤学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY2090314のうちの1またはそれ以上;Venetoclax、BAY−1143572、またはイデラリシブのうちの1またはそれ以上;および製薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY20090314;Venetoclax;および薬学的に許容される担体または賦形剤のうちの1またはそれ以上を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY2090314;BAY−1143572;および薬剤学的に許容されるキャリアまたは賦形剤のうちの1またはそれ以上を含む。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、9−ING−41、チデグルシブ、またはLY2090314;イデラリシブ;および薬学的に許容される担体または賦形剤のうちの1またはそれ以上を含む。
【0103】
医薬組成物および併用療法の代表的な投与方法も提供される。本発明の様々な実施形態は、リンパ腫の治療のためにヒト患者に医薬組成物または併用療法を投与する方法に関する。方法は、一般に受け入れられる投与経路(例えば、経口、静脈内、皮下、非経口、吸入、局所など)によって医薬組成物または組合せ療法を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物または組合せ療法は、経口、静脈内および/または皮下投与され得る。投与は、任意の適切な投与レジメンを用いて行われ得る。適切な投与レジメンは、当技術分野の通常の当業者に知られる。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、医薬組成物または併用療法は、ヒト患者に1日1回投与されても良い。他の実施形態では、医薬組成物または併用療法は、ヒト患者に1日2回投与されても良い。いくつかの実施形態では、医薬組成物または併用療法は、食事の間にヒト患者に投与されても良い。
【0105】
本開示の他の局面では、GSK−3β阻害剤は、別の非化学療法的な抗癌剤治療と組み合わせて投与されても良い。いくつかの実施形態では、GSK−3β阻害剤は、放射線療法と組み合わせて投与される。したがって、いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、放射線療法と組み合わせて9−ING−41を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、チデグルシブを放射線療法と組み合わせて投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、悪性リンパ増殖性障害を治療する方法は、放射線療法と組み合わせてLY2090314を投与する工程を含む。
[実施例]
【0106】
以下の実施例は、本開示の特定の側面をさらに例示するものであり、本開示の範囲を何らかの形で限定することを意図するものではない。
材料−実施例1〜5
【0107】
ダウディ(Burkit)およびSUDHL−4(生殖中心(GC)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL))細胞株を、American type;culturation;colturation;colture.ATCC)から購入した。KPUM−UH1(ダブルヒットDLBCL)細胞は、京都府立医科大学黒田純也より入手した。すべての細胞株を無菌的に培養し、水ジャケットインキュベーター(Thermo−Forma)中で37℃、5%CO2で維持し、0.3g/mLグルタミン、10%FBS(Sigma)を含むRPMI−1640(Corning)、および抗生物質および抗真菌試薬(Gemini Bioproducts;最終濃度−100units/mLペニシリンG、100μg/mLストレプトマイシン硫酸塩、および250ng/mLアンホテリシンB)を与えた。カルパス422(GC−DLBCL)細胞はシグマから購入した。TMD8(活性化B細胞(ABC)DLBCL)細胞は、NCIからDr.Louis Stoudtの研究室から入手し、上記のように維持したが、20%FBSを用いた。アッセイのためのすべての細胞数は、TC20自動細胞カウンター(BioRad)を使用して定量化した。試験したすべてのリンパ腫細胞株は、活性なGSK−3βを発現する。
【0108】
VenetoclaxおよびIdelalisibをSelleck Chemicalsから購入した。BAY−1143572はアクティブバイオケムから購入した。すべての薬剤をDMSOに再懸濁した。薬物を含まないDMSOを無処理対照として使用した。
【実施例1】
【0109】
実施例1−生存性および増殖アッセイ(MTSアッセイ
3日目の細胞生存率および7日間にわたる増殖は、製造業者の指示に従って、Promega CellTiter 96(商標登録)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay試薬(MTS)を用いて、9−ING−41の濃度を変化させて細胞を処理した後に測定した。処理の最後に、96ウェルプレートに20μLの試薬をウェルあたり添加し、37℃で2−4時間インキュベートした。490nm(A490)における吸光度をPowerwave XSプレートリーダー(Biotek)を用いて測定した。
【0110】
本研究で使用したすべてのリンパ腫細胞株は、活性なGSK−3βを発現する。SUDHL−4、KPUM−UH1、Karpas 422、またはTMD8リンパ腫細胞をプレートし、1日目、3日目、5日目および7日目の細胞数をMTSアッセイを用いて測定した。
図1を参照。3日目の細胞生存率(
図1A)は、1μM9−ING−41処理時に40〜70%(p<0.05)減少し、SUDHL−4およびKPUM−UH1は細胞生存率の最も高い減少を示した。1μM9−ING−41に曝露すると、すべてのリンパ腫細胞株は増殖停止を起こし(
図1B−1E)、7日目にはコントロールと比較して30%未満の増殖を示した(p<0.05)。9−ING−41の濃度を変化させた(0.1μM、0.5μM、1μM、5μM、および10μM)リンパ腫細胞の細胞生存率も試験し、生存率の低下は、0.5μM以上の9−ING−41の濃度で見られた。
【実施例2】
【0111】
実施例2−EnzChek(商標登録)カスパーゼ3アッセイ
EnzChekカスパーゼ3アッセイ(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を製造者の指示に従って実施した。100,000個の細胞を12ウェルプレートにプレートし、9−ING−41の様々な濃度で24時間、二重に処理した。処理の終わりに、細胞を200rcfで5分間遠心分離し、1X PBSで1回洗浄し、キットで提供された1X溶解緩衝液50μL中で溶解した。効率的な溶解のために、細胞は1回の凍結融解サイクルを受けた。溶解した細胞は、細胞破片を除去するために再び遠心分離し、上清をアッセイに使用した。Z−DEVD−R110基質を含む2X基質作業溶液の50μLを細胞溶解液に添加し、その後室温で45分間インキュベートした。このアッセイで使用されるロダミン110由来の基質(Z−DEVD−R110)は、非蛍光ビスアミド化合物であり、細胞溶解物中の活性カスパーゼ3と多分カスパーゼ7を介して酵素的に切断されると、2段階のプロセスで蛍光モノアミドに変換され、その後、さらに蛍光R110生成物に変換される。これらの生成物の両方は、その後、対応する波長(励起496nm/発光520nm)でBiotekシナジー2蛍光プレートリーダーを使用して測定した。蛍光読取値は、標準BCAアッセイ(Pierce Thermo Fisher Scientific)を介して決定された細胞溶解液中のタンパク質量に正規化した。相対的な蛍光は、無処理対照を1とした後に計算した。
【0112】
ENZCHEKカスパーゼ3アッセイは、リンパ腫細胞を0.5μMまたはそれ以上の濃度の9−ING−41で処理した際に、観察されたカスパーゼ3/7活性の増加を明らかにした。Xenograftマウスを用いた薬物動態試験では、20mg/kgを静脈内投与すると、30分以内に血漿中に約8μMの9−ING−41濃度が、脳内に約40μMの9−ING−41濃度が得られることが示唆された。Ugolkov A,Qiang W,Bondarenko G,Procissi D,Gaisina I,James CD,Chandler J,Kozikowski A,Gunosewoyo H,O'Halloran T,Raizer J,Mazar AP.GSK−3阻害剤9−ING−41とCCNUの併用療法は、患者由来の異種移植モデルにおける同所性化学抵抗性膠芽腫を治癒させた。Transl Oncol.2017;10:669−78.https://doi.org/10.1016/j.tranon.2017.06.003.
【0113】
MTSおよびENZCHEKカスパーゼ3アッセイのデータは、9−ING−41が単剤でリンパ腫細胞株の増殖を阻害し、リンパ腫細胞の生存率を低下させることを示す。理論に拘束されることを意図しないが、これらの結果は、GSK−3βを標的とすることで、攻撃性の高いB細胞リンパ腫細胞株の増殖と生存率を低下させ、生存シグナルとDNA損傷応答に変化に富んだ効果を誘導し、最終的にはアポトーシスにつながることを示唆する。これらの効果は、DLBCL細胞株の由来細胞とは独立したものであった。
【0114】
典型的な化学療法抵抗性細胞株であるDHL細胞株KPUM−UH1における9−ING−41の活性は特に興味深いものである。理論に拘束されることを意図しないが、Luminex分析(後述)は、9−ING−41が、c−MYCシグナル伝達のダウンレギュレーションおよびサバイビンの減少を介したアポトーシスの誘導を通じて、KPUM−UH1細胞株において効果を発揮することを示唆する。このサバイビンのダウンレギュレーションは、この細胞株におけるNF−κBの変化とは関連せず、またそれによって駆動されているようには見えない。これは、GSK−3β抑制がサバイビン効果を介してNF−κB介在性アポトーシスにALL細胞を感作する急性リンパ芽球性白血病(ALL)において記載されてきたものとは対照的である。Hu Y,Gu X,Li R,Luo Q,Xu Y.を参照。グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3β阻害は、小児急性リンパ性白血病細胞の核内因子κB 介在性アポトーシスを誘導する。J Exp Clin Cancer Res.2010;29:154.https://doi.org/10.1186/1756−9966−29−154.
【実施例3】
【0115】
実施例3−ウェスタンブロット分析
9−ING−41単独および9−ING−41とVenetoclaxまたはBAY−1143572のいずれかを組み合わせた場合のウエスタンブロットを介してKPUM−UH1細胞におけるc−MYCレベルを分析した。約10000万個の細胞を200rcfで5分間スピンダウンし、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(Roche)を補充した50μlのMillipore Milliplex MAP溶解緩衝液で溶解する前にPBSで1回洗浄した。β−メルカプトエタノール(Bio−Rad)を補充した4Xサンプルバッファー中で変性したタンパク質をウェルあたりに装填した。Bio−RadステインフリーのCriterion 4−20%プレキャストゲルを使用した。140ボルトで90分間ゲルを走らせた後、Bio−Radゲルイメージャーを用いてステインフリー技術を活性化し、ゲル中に装填された総タンパク質レベルを可視化した。次に、ニトロセルロースターボトランスファーパックおよびシステム(Bio−Rad)を用いてタンパク質を膜にトランスファーし、トリス緩衝生理食塩水0.1%Tween 20(TBS−T)中の5%w/vドライミルクを用いて1時間膜をブロックした。その後、膜を5%TBS−T中の5%BSAで希釈した一次抗体で一晩インキュベートした。その後、膜をTBS−Tで3回(1回の15分間洗浄と2回の5分間洗浄)洗浄した後、対応するHRPと共役した二次抗体を1時間インキュベートし、前と同様にTBS−Tで洗浄した。最終洗浄後、膜をPierce SuperSignal West Pico化学発光キットを用いて現像し、Bio−Radイメージングシステムを用いて可視化した。使用した抗体は、ウサギ抗−GSK−3β(Cell Signaling,Cat.No:12456)、ウサギ抗−phospho−GSK−3β(Y216)(Abcam、Cat.No:ab75745)、Rabbit anti−c−MYC(Cell Signaling、Cat.No:5605)、ウサギ抗−c−MYC(Ser 62)(Cell Signaling、Cat.番号:13748)、ウサギ抗−c−MYC(Thr58)(Abcam、Cat.番号:ab185655)、マウス抗−β−アクチン(Sigma、Cat.番号:A5441)を1:1000希釈した。抗ウサギHRPおよび抗マウスHRP二次抗体は、Cell Signalingから購入し、1:5000希釈で使用した。必要に応じて、膜をRESTORE PLUSウエスタンブロットストリッピングバッファー(Pierce)を用いて10分間ストリッピングし、TBS−Tで数回洗浄した後、以前と同様に再ブロッキングし、再プロービングした。バンド強度の定量は、Image Jソフトウェア(NIH)を用いて行った。ダブルヒットリンパ腫細胞株KPUM−UH1におけるこれらの実験は、9−ING−41処理によりphospho−c−MYCが修飾されることを示唆する。
【実施例4】
【0116】
実施例4−ルミネックス分析
NF−κBのシグナリング変化[MILLIPLEXMAP NF−κB Signaling Magnetic Bead Kit 6−plex Kit、EMD Millipore、分析物:c−MYC、FADD(Ser194)、IκBα(Ser32)、IKKα/β(Ser177/Ser181)、NF−κB(Ser536)、TNFR1]、DNA損傷[ミリプレックスMAP DNA損傷/遺伝毒性磁気ビーズパネル、EMDミリポア、分析対象:ATR (total)、Chk1 (Ser345)、Chk2(Thr68)、H2A.X(Ser139)、MDM2 (total)、p21(Total)、p53(Ser15)]、およびapoptotic pathways[Bio−plex pro RBM apoptosis panel 2 and 3、Bio−Rad、analytes:Bad、Bax/Bcl−2dimer、Bcl−xL、Bim、Mcl−1、active caspase 3、Bcl−xL/Bak dimer、Mcl−1/Bak dimer、survivin]は、1μM9−ING−41を48時間処理した場合に無処理対照と比較して、メーカーの指示に従って、FLEXMAP 3D装置を用いたLuminexマルチプレックス技術を用いて決定した。細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ)およびホスファターゼ阻害剤カクテル2および3(シグマ)を補充したMILLIPLEX MAP Lississバッファー中で溶解し、BCAタンパク質の定量後、15μgのタンパク質を各ウェルに添加した。すべてのサンプルを二重に実行し、9−ING−41処理した細胞と非処理対照との間のMFIまたは絶対量の変化を分析し、統計的有意性を決定するために非対数t検定を行った。
【0117】
NF−κBシグナル伝達の分析は、カルパス422細胞株およびTMD8細胞株において総c−MYCレベルの有意な減少を示したが、残りの細胞株においてはこのタンパク質の減少の傾向のみを示した。p−H2A.X(Ser139)の評価を介したDNA損傷シグナル伝達は、SUDHL−4およびKarpas 422細胞株において増加していることが見出された(両方ともp<0.05)。さらに、9−ING−41処理時のphospho−p53(Ser15)の有意な増加が、SUDHL−4およびTMD8細胞において観察された。アポトーシスシグナル伝達経路解析の結果、TMD8を除くすべてのリンパ腫細胞株において、サバイビンの有意な減少(〜2倍、p<0.05)と活性カスパーゼ3の増加が認められた。KPUM−UH1を除いて、すべてのリンパ腫細胞株は、Mcl−1/Bakダイマーにおいて有意な減少(〜2倍、p<0.05)を示し、一方、Bcl−xl/Bakダイマー発現は、TMD8を除くすべての細胞株において有意な減少(〜1.5倍、p<0.05)を示した。
【実施例5】
【0118】
実施例5−組み合わせの用量応答
Daudi、SUDHL−4、KPUM−UH1、Karpas 422、またはTMD8細胞を、一連の濃度の9−ING−41(0μM、0.05μM、0.5μM)およびVenetoclax(0nM、0.05μM、0.5μM、5nM、5nM、50nM、500nM、5000nM)、BAY−1143572(0μM、0.005μM、0.05μM、0.5μM、5μM、50μM)、またはイデラリシブ(0μM、0.005μM、0.05μM、0.5μM、5μM、50μM)のいずれかの濃度で同時に処理した。
図2を参照。MTSアッセイを用いた3日目のバイアビリティを、上述のように決定した。バックグラウンド吸光度をサンプルのA490から差し引き、ビヒクル/無処理対照のA490を1とし、残りのサンプルの相対A490を計算した。IC50は、A490が0.添加効果は、9−ING−41の0.5μMと組み合わせたときの新規薬剤のIC50の倍数変化として計算した。
【0119】
図3に示すように、9−ING−41と第2の治療剤を用いた併用療法は、所与の治療効果をもたらすために必要な第2の治療剤の量を減少させることができる。示されるように、0.5μMの9−ING−41を用いたSUDHL−4細胞株の組み合わせ治療は、VenetoclaxのIC50値の8倍の減少を示した。同様に、KPUMUH1細胞株を0.5μM9−ING−41と併用した場合、VenetoclaxのIC50値は2倍に減少した。0.5μM9−ING−41を用いたSUDHL−4細胞株の併用処理では、BAY−1143572のIC50値が8倍に減少した。9−ING−41を用いた併用処理は、検討した細胞株においてイデラリシブのIC50値に有意な変化を示さなかった。
【0120】
材料および方法−実施例6〜11
このような研究は、患者からの情報提供を目的としたものではない。このリンパ腫SPORE生物試料プロトコールは、ヘルシンキ宣言に基づき、メイヨークリニック機関審査委員会によって承認された。すべての主要な患者サンプルは、脾臓またはリンパ節からの生検組織であった。新鮮な組織サンプルは、細胞懸濁液に穏やかに解離され、フィコール・パケ密度勾配遠心分離に供された。初代リンパ腫細胞は、その後、増殖アッセイに直接使用するか、またはリンパ腫診断確認後、後にウェスタン分析のために−80℃で保存した。
【0121】
本研究で使用したすべてのリンパ腫細胞株は、ATCC(Manassas,VA)またはDSMZ(Braunschweig,Germany)から購入した。DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)株は、10%ヒト血清(Sigma−Aldrich)を補充したIMDM培地で培養した;TCL(T細胞非ホジキンリンパ腫)およびMCL(マントル細胞リンパ腫)株は、10%子牛胎児血清を補充したRPMI−1640培地で維持した。マウスの異種移植モデル化に使用したJeko細胞株は、レンチウイルス導入によりFireflyルシフェラーゼ(Fluc)で安定的に発現させた。細胞株は定期的にマイコプラズマ感染の有無をチェックし、自家製SNPベースPCR法またはATCCによるショートタンデムリピートプロファイリングで認証する。
【0122】
抗体およびその他の試薬
共通薬剤はSigma−Aldrichからのものであった。抗ヒトGSK3α(Cat#4337)、GSK3β(Cat#12456)、ホスホ−GSK3α−S21/GSK3β−S9(Cat#9327)を含む免疫ブロット用抗体は、Cell Signalingから購入した。免疫蛍光に使用したマウス抗GSK3βモノクローナル抗体(クローン7/GSK3β、Cat#610201、BD Biosciences)、抗α−チューブリン抗体(クローンMD1A、Cat#T9026)およびウサギ抗ペリセントリン抗体(Cat#ab4448)は、それぞれSigmaおよびAbcamから購入した。Alexa 488またはAlexa 565コンジュゲート二次抗体は、Life Technologies社の製品であった。
【0123】
アポトーシスアッセイ
細胞を24ウェルプレートに5x10
5細胞/ウェルで播種し、指示された濃度の9−ING−41で48時間インキュベートした。細胞は、その後、FITC結合アネキシンV(ライフテクノロジーズ)とヨウ化プロピジウムで染色し、BD FACSカリバーフローサイトメーター上で分析に続いた。
【0124】
DNA細胞周期
細胞をコールドエタノールで固定および透過させ、RNaseで処理し、ヨウ化プロピジウム(Sigma)で染色した。染色した細胞を、CELLQuest PROソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して、BD FACSカリバー上で実行した。データは、FlowJo v.Xソフトウェア(Tree Star Inc)を用いて分析した。
【0125】
増殖アッセイ
細胞を96ウェルプレートに1x10
4細胞/ウェルで播種し、指示された濃度の9−ING−41で48時間インキュベートした後、チミジン取り込みのために分析される前に、トリチウム標識チミジンで一晩パルシングした。
【0126】
ウエスタンイムノブロット法
ウェスタン分析は、LI−COR試薬システムを使用して、LI−COR Odyssey CLXイメージャー上で、以前に記載され、開発されたように実施した。
【0127】
定量PCR
リンパ腫細胞株からの全mRNAをRNAeasyキット(Qiagen)を用いて単離し、superscript III cDNA合成キット(Life technology)を用いてcDNAを合成した。その後、ABI 7500 Real−Time PCR Systems(Applied Biosystems)上でRT
2 SYBR Green ROX qPCR Mastermix(Qiagen)を用いてqPCRを行った。
【0128】
薬剤IC50の計算
細胞の生存および増殖に対する9−ING−41のIC50をオンラインIC50計算ツール(https://www.aatbio.com/tools/ic50−calculator/)を用いて計算した。
【0129】
免疫組織化学染色
厚さ5μmのパラフィン切片の免疫組織化学(IHC)を標準プロトコールに従って実施した。スライド上の組織切片をキシレンで脱パラフィン化し、一連のアルコールで再水和した後、クエン酸緩衝液(pH6.0)で抗原を回収し、得られたスライドを30%過酸化水素で内因性ペルオキシダーゼをクエンチした。得られたスライドは、30%過酸化水素で内因性ペルオキシダーゼをクエンチした。スライドを、抗GSK3b抗体(BD、1:150)で2時間室温でインキュベートし、トリス緩衝生理食塩水(各5分間)で3回洗浄し、ビオチン化抗マウス二次抗体(1:200)で1時間室温でインキュベートした。室温で1時間、HRP共役ABC複合体(ベクタステイン、ベクターラボラトリーズ)でスライドを処理した後、3,39−ジアミノベンジジン(DAB、ベクターラボラトリーズ)で発色を現像し、メチレンブルーでカウンターステインし、DPXでマウントし、ニコンエクリプスTi顕微鏡で検査し、イメージ化した。
【0130】
GSK3βのセントロソームおよび紡錘体局在化のための免疫蛍光染色
セントロソームにおけるGSK3βとペリセントリンの共免疫染色(
図8C−8J)のために、我々は、3%パラホルムアルデヒドを含むPBS中で室温で5分間、サイトスピンスライド上の細胞を固定することにより、不完全固定法を使用した。細胞は、その後、PBS中の0.2%トリトンX−100で10分間浸透させ、1時間PBS中の5%BSAでブロッキングに続いて、4℃で一晩マウス抗GSK3β mAbとウサギ抗ペリセントリンで免疫染色した。その後、細胞を洗浄し、フルオロクローム共役二次抗体でさらに染色した。
【0131】
リンパ腫細胞のサイトスピン調製物上のGSK3βおよびα−チューブリンの他のすべての免疫染色は、室温で15分間、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定した後、透過化および上記と同様の染色工程を行った。細胞を、従来のツァイス顕微鏡またはツァイスLSR 780共焦点顕微鏡で分析し、イメージ化した。
【実施例6】
【0132】
実施例6.リンパ腫細胞において、GSK3αおよびGSK3βが過剰発現する。
精製ヒト正常B・T細胞およびDLBCL、MCL、TCLリンパ腫細胞株におけるGSK3αおよびGSK3βの発現状況を調べた。RT−qPCRにより、ほとんどのリンパ腫細胞株でGSK3αおよびGSK3β mRNAの発現量が、正常リンパ球での発現量が低いのに比べて、高いが変動することがわかった(
図4A)。GSK3タンパク質の発現をウエスタンブロット法で解析したところ、ほとんどのリンパ腫細胞株(Ly−19を除く)でGSK3αタンパク質が強い発現を示したのに対し、BおよびTリンパ球では弱い発現を示した(
図4B、緑色)。同様に、GSK3βタンパク質もまた、すべてのリンパ腫細胞株において強く発現したが、正常リンパ球においては非常に弱く発現した(長時間の曝露後に見える;図未提示)(
図4B、赤色)。これらのデータは、GSK3タンパク質がほとんどのB−およびT−リンパ腫細胞株で過剰発現することを示す。
【0133】
ウェスタンブロットにより、GSK3αおよびGSK3βタンパク質の両方が、正常リンパ球と同様に、我々のリンパ腫細胞株パネル全体にわたって変動的にリン酸化されることが示された。
【実施例7】
【0134】
実施例7.GSK3αおよびGSK3βはリンパ腫細胞において機能的に重要である。
GSK3αおよびGSK3βの両方がリンパ腫細胞において過剰発現しており、両方の酵素が細胞機能に重要な複数のシグナル伝達経路に関与することを考えると、GSK3αおよびGSK3βがリンパ腫細胞の生存および増殖を機能的に支持するかどうかを検討した。TCLおよびMCL株を低用量の9−ING−41で48時間処理したところ、アポトーシスが誘導された(
図5A);DLBCL株はより高い濃度を必要とした(
図5B)。対照的に、9−ING−41の10.0μMの濃度であっても、精製正常非刺激Tリンパ球または末梢血単核細胞において有意なアポトーシスは検出されなかった。各種リンパ腫細胞株の細胞生存率に対する最大効果(IC50)の半分の濃度での9−ING−41の阻害濃度を算出した(表1)。
【表1】
【0135】
9−ING−41は、正常リンパ球に影響を与えることなくリンパ腫細胞のアポトーシスを特異的に誘導することができる。リンパ腫細胞増殖におけるGSK3の役割を調べるために、9−ING−41の存在下または非存在下でチミジン取り込みアッセイを行った。すべてのTCLおよびMCL株の増殖率は、1.0μMという低濃度の9−ING−41の存在下で大幅に抑制された。DLBCL株はわずかに高い濃度を必要とした。様々なリンパ腫細胞株の細胞増殖に対する9−ING−41のIC
50を計算した(表1)。これらのデータは、リンパ腫細胞の増殖と生存にGSK3活性が重要であることを示す。
【0136】
CRISPR/CAS9ノックアウト技術を用いて、GSK3AおよびGSK3B遺伝子を遺伝的に削除した。
【0137】
また、GSK3αとGSK3βの両遺伝子の第1コードエクソンを標的とするガイドRNA(gRNA)をウェブツール(http://crispr.mit.edu/)を用いて設計した。gRNA配列(GSK3α:GACAGATGCCTTTCCGCCGC;GSK3β:CGGCTTGCAGCTCTCCGCAA)を、GFPを共発現させたpx458 ベクター(Addgene)にクローニングした。構築物をヌクレオフェクションキット(Lonza、バーゼル、スイス)を用いてリンパ腫細胞にヌクレオフェクションした。36時間ポストヌクレオフェクション、GFPを発現する単細胞は、アリアII FACSソーター上の1セル/ウェルで96ウェルプレートに並べ替えた。単細胞サブクローンを2週間培養した後、各サブクローンをPCRおよびSanger's DNAシークエンシングにより遺伝子型を決定した。
【0138】
CAS9−T2A−GFPとgRNA特異的GSK3AまたはGSK3B遺伝子エクソン1配列を担持したコンストラクトを一過性に発現させた後、GFPを発現した単細胞をフローソーティングにより96ウェルプレートに選別した。2−3週間の培養後、GSK3A、GSK3B、またはその両方の遺伝子に特異的な修飾を有する単細胞サブクローンを遺伝子欠失のためにジェノタイピングし、タンパク質欠乏のためにウエスタンブロットを検証した。表2にまとめたように、試験した5つの細胞株すべてから、いくつかのGSK3Aヌルノックアウトサブクローンが容易に得られ、GSK3BヌルサブクローンもLy−1細胞株から得られた。しかし、Ly−19、Jeko、Mino、およびKarpas 299細胞株から24−36個の単細胞サブクローンを解析したところ、ノックアウトサブクローンは検出されなかった。CRISPR/CAS9は、Ly−1細胞におけるGSK3B遺伝子のバイトリル欠失(19/24、79%)のための非常に効率的なアプローチであるが、試験した他のリンパ腫細胞株(0/24、0/24、0/36、0/26、0%)ではGSK3Bヌルクローンが存在しなかったことを考えると、これらのデータは、これらの細胞株におけるリンパ腫細胞の生存にGSK3Bが必要であるという結論を支持するものであった。shRNAノックダウンを用いても同様の結果が観察され、GSK3BノックダウンはLy−1を除くいくつかのリンパ腫細胞株において致死的であることが示された。
【表2】
【0139】
実施例7.GSK3阻害は、リンパ腫細胞におけるG2/M進行をブロックする。
リンパ腫細胞周期動態に対する9−ING−41の効果を調べた。9−ING−41処置後、試験したすべてのラインにおいて、処置のわずか24時間後にG2/Mでの細胞周期の遮断が見られた(
図6A)ことは、GSK3活性が有糸分裂の成功した進行に必要であることを示す。このG2/M停止がGSK3β阻害に特異的に起因するかどうかをさらに決定するために、親(野生型)、GSK3A、GSK3B、およびGSK3A/BノックアウトLy−1サブクローンの細胞周期プロファイルを調べた。治療を行わなかった場合、親の野生型およびGSK3AヌルLy−1サブクローンは正常な細胞周期プロファイルを示したが、GSK3BおよびGSK3A/BノックアウトサブクローンはG2/Mでの細胞の増加を示した(
図6B)。さらに、GSK3A/Bダブルノックアウトサブクローンでは、有糸分裂不全に起因すると考えられる多形(>4N)細胞の増加も認められた。GSK3B−nullおよびGSK3A/B−null Ly−1細胞のこれらの細胞周期異常は、Ly−1細胞株固有の代償メカニズムを介する可能性が高く、Ly−1子孫の生存にはほとんど影響を与えない。9−ING−41処置が、細胞周期進行に対するGSK3BシングルまたはGSK3A/B二重欠失の効果をフェノコピーすることは、GSK3Bがリンパ腫細胞周期G2/M進行に重要であること、および9−ING−41がリンパ腫細胞のための強力な細胞周期遮断剤であることを示す。
【実施例8】
【0140】
実施例8.GSK3阻害は、リンパ腫細胞を有糸分裂の前段階で停止させる。
G2/Mで停止した細胞は、フローサイトメトリーのヒストグラム(
図6A)上では単一のDNA含有量(4N)のピークとして現れるが、実際には、成功した細胞分裂に重要なG2/Mには少なくとも5つの連続したステップ(M1−M5)が存在する。これらには、前相(M1、染色体の凝縮、分裂紡錘体形成開始)、前メタフェース(M2、核膜破壊、セントロソーム分極)、メタフェース(M3、染色体対が中間平面に整列)、アナフェース(M4、娘染色体の分離)、テロフェーズ(M5、娘核の再形成)、および最終的なサイトキネシス(2つの娘細胞の分離)が含まれる。これらの離散的な工程のそれぞれは、ライト染色された細胞上でユニークな識別可能な核の形態を持つ(
図7Aに描かれる)。どの段階で逮捕されるようになるかを決定するために、未処理および9−ING−41処理されたジェコ細胞の形態を調べた。
図7B(左パネル)に示されているように、すべてのM1−M5分裂段階は未処理のジェコ細胞で容易に同定されたが、9−ING−41処理された細胞(右パネル)では、大部分の細胞が、凝縮した染色体の形態と、M2−M5形態を持つ同定可能な細胞を伴わずに、プロトフェイズ(M1)細胞に類似した細胞質染色の減少を示した。100個の有糸分裂細胞の差動計数によって、有糸分裂細胞のすべての段階(M1−M5)は、未処理の細胞で容易に識別可能であることが見出された;9−ING−41処理の有糸分裂細胞では、原相(M1)細胞のみが説明された(
図7C)。同様の結果は、DHL−6、Ly−3、Mino、Karpas299を含む他のリンパ腫株でも観察された。これらの観察は、GSK3活性が有糸分裂期の進行に必要であるという結論を支持する。
【実施例9】
【0141】
実施例9.GSK3βは、リンパ腫細胞のセントロソームおよび有糸分裂紡錘体に局在する。
2つの重要な前相イベント、セントロソーム分極および有糸分裂紡錘体形成におけるGSK3βの関与を調べた。間期のJeko細胞またはLy−1細胞におけるGSK3βタンパク質の細胞内局在を免疫蛍光染色で調べた。間期の間期において、GSK3βは、ジェコ(Jeko)細胞では核内に顕著に局在し、細胞質ではセントロソーム様ペアドットに局在した(
図8A−B)。さらに、これらの細胞質のペアドットが実際にセントロソームであることを示すために、不完全固定プロトコルを用いて、まず、wt Ly−1細胞をGSK3βタンパク質とセントロソームマーカーであるペリセントリンのために染色したところ、細胞質のGSK3βドットはペリセントリンと完全にコロケーションすることが判明した(
図8D−8F)。さらに、抗GSK3β抗体染色は、GSK3BヌルLy1細胞においてGSK3βタンパク質に特異的であることが示された(
図8G−J)。このことから、GSK3βは間期細胞のセントロソームと核に局在していると結論づけた。
【0142】
有糸分裂細胞におけるGSK3βの細胞内局在を決定するために、正常有糸分裂期のジェコ細胞におけるGSK3βの局在を解析した。GSK3β染色(緑色、
図8K−L)は、中央部に偏光したセントロソームがあり、有糸分裂の紡錘体や微小管が外側に伸びる「花火のような」パターンを示した。α−チューブリンは、GSK3βと同様の染色パターン(赤色、
図8M−N)を示し、GSK3βが有糸分裂中に微小管に局在することを示唆する。これらの結果から、GSK3βは有糸分裂中にセントロソームや有糸分裂紡錘体に特異的に局在することが示唆された。9−ING−41で処理したジェコ細胞におけるGSK3βの局在を決定した(
図8Q−R)。同様の花火のようなGSK3β染色パターンが、GSK3β局在の変化を伴わない全ての原相細胞において観察された。これらのデータをまとめると、GSK3βは間期の間にセントロソームと核に局在し(
図8A−B)、有糸分裂の間にセントロソームと有糸分裂性微小管に局在していることが示された(
図8K−L)。9−ING−41の処理は、GSK3βの局在を変化させず、また、セントロソームの分極や微小管形成にも影響を与えなかった。
【実施例10】
【0143】
実施例10.リンパ腫患者からの初代細胞におけるGSK3の発現および標的化
MCL、高悪性度B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫グレード3B、DLBCL、または血管性免疫芽球性TCLを有する患者から新鮮に分離された一次リンパ腫細胞におけるGSK3αおよびGSK3βタンパク質の発現を調べた。5つのサンプルはすべて、正常血液B細胞コントロールと比較し、GSK3αおよびGSK3βタンパク質の発現が強かった(
図9A)。これらの患者細胞は、9−ING−41の抗増殖効果にも同様に反応した(
図9B)。様々なタイプのリンパ腫を有する別のコホートの患者からのパラフィンサンプルを、GSK3βタンパク質の発現についてIHCでプローブした。
図9Cに示すように、すべてのサンプルにおいて、GSK3βの過剰発現が変動する強度で認められた。Gene Expression Profile Interactive Analysis(http://gepia.cancerpku.cn)の公開データベースから得られた一次DLBCL患者サンプルのRNA−Seq解析もまた、正常リンパ球よりもリンパ腫においてGSK3αおよびGSK3βの発現が増加することを示した。
【0144】
最近発表されたRNA−Seqデータ(Schmitz R,Wright GW,Huang DW,et al.Genetics and Pathogenesis of Diffuse Large B−Cell Lymphoma.N Engl J Med.2018;378(15):1396−1407)の臨床生存データを持つ234人のDLBCL患者のコホート[追跡期間中央値は10.5年(95%CI:7.9−未到達)]について解析した。レシーバー操作特性(ROC)曲線分析を行い、GSK3αとGSK3βの発現を二分化し、高発現群と低発現群の最適なカットオフ値(GSK3αでは10.5、GSK3βでは8.6)を設定した。GSK3α高発現群(≧10.5、n=172)のOSは7.8年(95%OS:7.2−8.4)であり、GSK3α低発現群(<10.5、n=62)のOSは8.9年(95%OS:8.2−10.1)と有意に(p=0.03)高かった。同様に、GSK3β高発現群(≧8.6、n=170)では7.8年(95%OS:7.2−8.2)、GSK3β低発現群(<8.6、n=62)では9.7年(95%OS:8.6−11.5)と有意に(p=0.0005)高いOSが得られた。これらの結果は、GSK3αまたはGSK3βのそれぞれの過剰発現が、より悪い臨床転帰と相関することを示唆する。さらに、グループ化データはまた、DLBCL患者の大多数がGSK3αまたはGSK3βのいずれかの高発現群に分離されることを示し、さらにGSK3αおよびGSK3βは一般的にリンパ腫において過剰発現するという結論を検証した。
【実施例11】
【0145】
実施例11.ヒトリンパ腫のマウス異種移植片におけるGSK3の標的化
ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子Flucを発現するジェコ細胞を有するNGSマウスを皮下注射することにより、MCL異種移植マウスモデルを樹立した。
【0146】
これらの実験で使用したNSG(NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ)マウスは、ジャクソン研究所(メイン州、バー ハーバー)から購入した。生後8週齢の同性の8〜10匹のマウスを右脇腹に5×106個のFlucを発現するJeko細胞を皮下注射した。腫瘍の移植は、ジェコ細胞接種の4日後にイメージングで確認した。腫瘍移植されたマウスをコントロールおよび治療群に無作為にグループ分けし、その後、未処理または指示されたようにIP注入によって9−ING−41で処理した。腫瘍体積は、15mg/mlのD−ロイシフェリン(ミズーリ州、セントルイス、GoldBio)200ulのIP注入の20分後にIVISイメージャー(カリフォルニア州、アラメダ、クセノゲン)で測定し、2.5%イソフルランで麻酔した。すべてのイメージング変数は、比較可能性のために一貫性を維持した。最大の腫瘍がIACUCプロトコルのサイズ制限を満たした時点で実験を終了した。
【0147】
2つの独立した実験において、イメージング(通常、腫瘍接種から4日後)によって確認された移植腫瘍を有する8匹および10匹のマウスを、無作為に対照として、または9−ING−41処置40mg/kgを1日おきにIP投与した(
図10A)。
図10Bに示すように、コントロール(未処理)群のマウスは、17日目までに顕著なルシフェラーゼ活性を有する大きな腫瘍を有した;しかしながら、9−ING−41処理マウスは、はるかに低いルシフェラーゼ活性を有する小さな腫瘍を有した。これらのデータは、9−ING−41がMCLのマウスモデルにおいて単剤抗腫瘍活性を有することを実証した。
【実施例12】
【0148】
実施例12 9−ING−41を用いたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のヒトに9−ING−41を1日1mg/kg投与し、21日サイクルで6回投与した。治療後、そのヒトのDLBCLは寛解する。
【実施例13】
【0149】
実施例13 9−ING−41を用いたマントル細胞リンパ腫(MCL)の治療
【0150】
マントル細胞リンパ腫に苦しむヒトに9−ING−41を1日3mg/kgを6回21日周期で投与した。処置後、ヒトのMCLは寛解する。
【実施例14】
【0151】
実施例14 9−ING−41を用いたT細胞リンパ腫(TCL)の治療
T細胞リンパ腫(非ホジキン)に苦しむヒトに、9−ING−41を1日2mg/kg、21日サイクルで6回投与する。処置後、このヒトのT細胞リンパ腫は寛解する。
【0152】
Karmali,et al.,GSK−3β inhibitor,9−ING−41,reduces cell viability and halts proliferation of B−cell lymphoma cell lines as a single agent and in combination with novel agents,Oncotarget.2017 Dec 29;8(70):114924-114934参照、その参照が本明細書全体に組み込まれる。
【0153】
See Wu,et al.,Targeting glycogen synthase kinase 3 for therapeutic benefit in lymphoma,Blood.Published online May 17,2019(http://www.bloodjournal.org);doi:10.1182/blood.2018874560参照、その参照が本明細書全体に組み込まれる。
【国際調査報告】