(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
アミノ酸配列SEQ ID NO:2〜4、12〜14、22〜24、32〜34、42〜44、52〜54、62〜64、72〜74、82〜84、92〜94、102〜104、107〜109、112〜114、117〜119、122〜124、132〜134、137〜139、142〜144、147〜149、152〜154又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7〜9、17〜19、27〜29、37〜39、47〜49、57〜59、67〜69、77〜79、87〜89、97〜99、157〜159、162〜164、167〜169、172〜174、177〜179又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDRを含む、抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、107、112、117、122、127、132、137、142、147、152又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、108、113、118、123、128、133、138、143、148、153又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、119、124、129、134、139、144、149、154又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、157、162、167、172、177又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、158、163、168、173、178又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、159、164、169、174、179又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR3を含む、請求項1に記載の抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、106、111、116、121、126、131、136、141、146、151又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:6、16、26、36、46、56、66、76、86、96、156、161、166、171、176又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:82から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:83から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:84から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:87から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:88から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:89から選択された軽鎖CDR3を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:102から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:103から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:104から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:157から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:158から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:159から選択された軽鎖CDR3を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:81又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:86又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、請求項4に記載の抗体又はその機能的断片。
アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、請求項5に記載の抗体又はその機能的断片。
前記抗体又はその機能的断片が、CD47とSIRPαの相互作用を遮断し、好ましくは、前記抗体又はその機能的断片が、顕著な血球凝集活性を有さず、任意選択で、前記抗体又はその機能的断片は、ヒト化され、任意選択で、前記抗体又はその機能的断片は、IgG1型又はIgG4型である、前記請求項のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片。
前記請求項のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片をコードする核酸分子、及び/又は前記いずれかの態様の核酸を含むベクター、及び/又は前記いずれかの態様のベクターを含む細胞、及び/又は前記請求項のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片又はそのコード核酸及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
前記請求項のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片又は核酸分子又はベクター又は細胞又は医薬組成物の、癌又はアテローム性動脈硬化症を治療するための薬物の製造における用途。
【発明を実施するための形態】
【0047】
I.定義
本発明において、特に断りのない限り、本明細書で使用される科学用語及び技術用語は、当業者が一般的に理解する意味を有する。また、本明細書において使用されるタンパク質及び核酸化学、分子生物学、細胞及び組織培養、微生物学、免疫学の関連用語および実験室の操作ステップは、いずれも対応する分野で広く使用されている用語および一般的なステップである。また、本発明をよりよく理解するために、以下、関連する用語の定義及び解釈を提供する。
【0048】
一態様において、本明細書は、CD47(例えば、ヒトCD47)に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその抗原結合断片を提供する。具体的な態様において、このような抗CD47抗体は、CD47とSIRPαの結合を遮断し、貪食作用を促進し、Fcエフェクター機能(例えば、FcγRへの結合、ADCC又はCDC)が低下しているか又は有さず、及び/又は、凝集(例えば、血球凝集)活性をほとんど又は全く有さない。
【0049】
具体的な態様において、本明細書は、ヒトCD47に特異的に結合する抗CD47モノクローナル抗体を提供し、上記抗CD47抗体は、親抗体の変異体である。特定の態様において、本明細書に係る、CF系で発現される抗CD47抗体は、グリコシル化されない。具体的な態様において、本明細書は、CD47(例えば、ヒトCD47)に特異的に結合する抗体を提供する。特定の態様において、本明細書は、1つ以上のアミノ酸残基の修飾を含み、上記修飾のない親抗体と比べて、抗原との親和性を維持する抗CD47抗体(例えば、重鎖可変領域のフレームワーク領域における5〜13個のアミノ酸置換)を提供する。いくつかの態様において、このような抗CD47抗体は、インビボ若しくはインビトロのいずれか又は両方において、SIRPαとCD47の相互作用を阻害し、グリコシル化されず、貪食作用を促進し、抗腫瘍活性を有する(例えば、血球凝集などの凝集を促進することなく)、及び/又は、Fcエフェクター機能(例えば、FcγRへの結合、ADCC又はCDC)が低いか又は有さない。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は、インビボにおいて動物又は哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパトア内に天然に存在しない配列を含むことができる。
【0051】
本明細書において使用される用語「約」又は「およそ」は、特に断りのない限り、所定の値又は範囲のプラス又はマイナス10%以内を意味する。整数が必要とされる場合、これらの用語は、最も近い整数に切り上げられるか又は切り下げられるかのいずれかの、所定の値又は範囲のプラス又はマイナス10%以内を意味する。
【0052】
本明細書において使用されるとき、用語「CD47」又は「インテグリン結合タンパク質」又は「IAP」又は「卵巣癌抗原」又は「OA3」又は「Rh関連抗原」又は「MER6」は、互換的に使用され、かつ免疫グロブリンスーパーファミリーに属する複数回膜貫通型受容体を指す。
【0053】
用語「赤色血液細胞」及び「赤血球」は、同義語であり、かつ本明細書において互換的に使用される。
【0054】
用語「凝集」は、細胞のクラスタリングを指すのに対し、用語「血球凝集」は、細胞の特定のサブセット、すなわち赤色血液細胞のクラスタリングを指す。したがって、血球凝集は、凝集の1つの型である。
【0055】
抗体鎖のポリペプチド配列に関して、語句「実質的に同一」は、参照ポリペプチド配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示す抗体鎖として解釈され得る。核酸配列に関して、該用語は、参照核酸配列に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を示すヌクレオチド配列として解釈され得る。
【0056】
用語「同一性」又は「相同性」は、配列同一性の一部としていずれの保存的置換を考慮せず、必要に応じて、配列全体について最大のパーセント同一性を達成するために配列をアラインしギャップを導入した後の、比較対象の対応する配列の残基と同一である候補配列中のヌクレオチド塩基又はアミノ酸残基のパーセントを指す。N末端又はC末端の伸長や挿入は、いずれも同一性又は相同性を低下させると解釈されるべきではない。アラインのための方法とコンピュータプログラムはいずれも容易に入手可能であり、本分野で周知である。配列分析ソフトウェアを使用して、配列同一性を測定することができる。
【0057】
抗体又は抗原の、語句及び用語「機能的断片、変異体、誘導体又は類似体」等及びそれらの複数の形態等は、目的の全長抗体又は抗原と共通する質的な生物学的活性を有する化合物又は分子である。例えば、抗CD47抗体の機能的断片又は類似体は、CD47分子に結合し得るもの、又は、リガンド若しくはアゴニスト抗体若しくはアンタゴニスト抗体がCD47に結合する能力を抑止し得るか又は実質的に低下させ得るものである。
【0058】
「置換」変異体は、天然配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、同じ位置に異なるアミノ酸が挿入された変異体である。上記置換は、単一とすることができ、ここでは分子における1つのアミノ酸のみが置換されており、或いは、上記置換は、複数とすることができ、ここでは同じ分子における2つ以上のアミノ酸が置換されている。複数の置換は、連続した部位に存在することができる。同様に、1つのアミノ酸は、複数の残基で置換されてよく、その場合、このような変異体は、置換と挿入の両方を含む。「挿入」変異体は、1つ以上のアミノ酸が天然配列中の特定の位置におけるあるアミノ酸に直接隣接して挿入された変異体である。あるアミノ酸に直接隣接するとは、該アミノ酸のα−カルボキシル官能基又はα−アミノ官能基に連結することを意味する。「欠失」変異体は、天然アミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸が除去された変異体である。通常、欠失変異体では、分子の特定の領域中の1つ又は2つのアミノ酸が欠失される。
【0059】
本明細書において使用されるとき、用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体が含まれる)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、1つ以上のCDR配列又はCDR由来配列を保有する抗体断片又は合成ポリペプチド(このポリペプチドが所望の生物学的活性を示す限り)をカバーする。抗体(Abs)及び免疫グロブリン(Igs)は、同じ構造的特徴を有する糖タンパク質である。「抗体」は、天然に産生されたか、部分的に若しくは全体的に合成的に(例えば、組換え)産生されたかにかかわらず、全長免疫グロブリンの結合特異性を保持する、免疫グロブリン分子の可変領域の一部を少なくとも含有する任意の断片を含めて免疫グロブリン及び免疫グロブリン断片も指す。したがって、抗体は、免疫グロブリン抗原結合ドメイン(抗体結合部位)に対して相同又は実質的に相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。抗体は、抗腫瘍幹細胞抗体断片などの抗体断片を含む。したがって、本明細書において使用されるとき、用語「抗体」は、合成抗体、組換えによって産生された抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、ヒト抗体、非ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体及び抗体断片、例えば、それだけには限らないが、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、Fd断片、Fd’断片、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖Fab(scFab)、ダイアボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体又は上記いずれかの抗体の抗原結合断片を含む。本明細書に係る抗体は、任意の免疫グロブリンの型(例えば、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA及びIgY)のメンバー、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)のメンバーを含む。
【0060】
本発明に係る抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAなど)、又はサブクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
2a、IgG
3、IgG
4、IgA
1、IgA
2など)の抗体とすることができる(「型」及び「クラス」、並びに「亜型」及び「サブクラス」は、本明細書において互換的に使用されてよい)。天然又は野生型(すなわち、集団の人工的に操作されていないメンバーから得られた)抗体及び免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽鎖(L)及び2つの同一の重鎖(H)からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
H)を有し、その後ろに複数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V
L)を有し、他方の端に定常ドメインを有する。「人工的に操作されていない」とは、外来性抗原結合分子を含有するか又は発現させるように処置されていないことを意味する。野生型は、抗原結合分子のアミノ酸を変化させるために、突然変異誘発、組換え方法の使用などの操作の形によって得られた対立遺伝子若しくは多型、又は変異体若しくは誘導体と比べて、集団において見出された最も広く認められる対立遺伝子若しくは種、又は操作されていない動物から得られた抗体を指す。
【0061】
本明細書において使用されるとき、「抗CD47抗体」は、本明細書で定義されたCD47に特異的に結合する抗体又はこれらの抗体に由来するポリペプチド(誘導体)を指し、CD47とその受容体の結合を阻害するか又は実質的に低下させる分子、又はCD47活性を阻害する分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
抗体の可変ドメインの文脈における用語「可変」は、抗体間で配列が大きく異なり、その特定の標的に対する特定の抗体の特異的認識及び結合において使用される、関連する分子のいくつかの部分を指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインにわたって均等に分布していない。可変性は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインの両方における、相補性決定領域(CDRs、すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)又は超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域又はフレームワーク配列と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、3つのCDRsによって連結し、β−シート配置を主に取る4つのFR領域を含み、CDRsは、β−シート構造に連結するループを形成し、ある場合にはβ−シート構造の一部を形成する。各鎖におけるCDRは、FR領域によって接近して連結することが多く、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の標的結合部位(エピトープ又は決定基)の形成に寄与する(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institute of Health,Bethesda,MD (1987)を参照)。本明細書において使用されるとき、免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けは、特に断りのない限り、Kabatらの免疫グロブリンアミノ酸残基の番号付けシステムに従って行われる。1つのCDRは、同族のエピトープに特異的に結合する能力を有することができる。
【0063】
本発明で使用される用語「ヒンジ」又は「ヒンジ領域」は、抗体の第1の定常ドメインと第2の定常ドメインとの間のアミノ酸を含むフレキシブルなポリペプチドを指す。
【0064】
本明細書において使用されるとき、抗体の「抗体断片」又は「抗原結合断片」は、全長未満であるが、抗原に結合する抗体の可変領域の一部(例えば、1つ以上のCDR及び/又は1つ以上の抗体結合部位)を少なくとも含有し、したがって、結合特異性及び全長抗体の特異的結合能の少なくとも一部を保持する全長抗体の任意の部分を指す。したがって、抗原結合断片は、抗体断片が由来する抗体と同一の抗原に結合する抗原結合部分を含有する抗体断片を指す。抗体断片は、全長抗体の酵素的処理によって産生された抗体誘導体と、合成的に、例えば、組換えによって産生された誘導体とを含む。抗体は、抗体断片を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、Fd、及びFd’断片、並びに修飾断片を含めたその他の断片を含むが、これらに限定されない(例えば、Methods in Moleculer Biology,Vol 207:Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols (2003);Chapter 1;p3−25,Kipriyanovを参照)。上記断片は、例えば、ジスルフィド結合によって、及び/又はペプチドリンカーによって一緒に連結している複数の鎖を含むことができる。抗体断片は、一般的に、少なくとも又は約50個のアミノ酸、通常、少なくとも又は約200個のアミノ酸を含有する。抗原結合断片は、抗体フレームワーク中に挿入された場合に(対応する領域を置換することなどによって)、抗原に免疫特異的に結合する(すなわち、少なくとも又は少なくとも約10
7〜10
8M−1のKaを示す)抗体をもたらす任意の抗体断片を含む。「機能的断片」又は「抗CD47抗体の類似体」は、リガンドに結合するか又はシグナル伝達を開始する上記受容体の能力を抑制するか又は実質的に低下させることができる断片又は類似体である。本明細書において使用されるとき、機能的断片は、一般的に「抗体断片」と同義であり、そして抗体に関しては、リガンドに結合するか又はシグナル伝達を開始する上記受容体の能力を抑止するか又は実質的に低下させることができる、F
v、F
ab、F
(ab′)2などの断片を指すことができる。「F
v」断片は、非共有結合において、1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体(V
H−V
L二量体)からなる。該立体配置では、各可変ドメインの3つのCDRsが相互作用して、インタクト抗体中のようにV
H−V
L二量体の表面上で標的結合部位を決定する。全体として、上記6つのCDRsは、インタクト抗体に標的結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は標的に特異的な3つのCDRsのみを含むF
vの半分)でさえ、標的を認識し、結合する能力を有することができる。
【0065】
「一本鎖F
v」、「sF
v」又は「scab」抗体断片は、抗体のV
H及びV
Lドメインを含み、これらのドメインが単一ポリペプチド鎖に存在する。一般的に、上記F
vポリペプチドは、V
H及びV
Lドメイン間の、しばしばフレキシブルな分子であるポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、sFvが標的結合のための所望の構造を形成することを可能にする。
【0066】
用語「ダイアボディ(diabody)」は、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(V
L)に結合している重鎖可変ドメイン(V
H)を含むことができる、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指す。同じ鎖上の2つの可変ドメイン間で対になれないほど短いリンカーを使用することにより、上記ダイアボディドメインは別の鎖の結合ドメインと対にさせられ、2つの抗原結合部位を生成する。
【0067】
F
ab断片は、軽鎖の可変及び定常ドメイン、並びに重鎖の可変及び第1の定常ドメイン(C
H1)を含有する。F
ab′断片は、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含むために、C
H1ドメインのカルボキシル末端で数個の残基が付加されている点でF
ab断片と異なる。F
ab′断片は、F
(ab′)2ペプシン消化産物のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合の切断により生成することができる。抗体に別途酵素処理及び化学的処理を行うことによって、目的の他の機能的断片を生成することができる。
【0068】
用語「直鎖状Fab」は、Millerら(Millerら,(2003),JImmunol.170:4854−4861)によって報告された四価の抗体を指す。「直鎖状Fab」は、各CH1−VH位置で同一軽鎖と対になった、同じCH1−VHドメインのタンデムからなる。これらの分子は、抗体の結合価を増加させ、アビディティー効果によるその機能的親和性を向上させるために開発されたが、それらは、単一特異性である。
【0069】
本明細書において使用されるとき、「モノクローナル抗体」は、同一抗体の集団を指し、これは、モノクローナル抗体の集団中の個々の抗体分子各々が、他の抗体分子に対して同一であることを意味する。このような特性は、複数の異なる配列を有する抗体を含有する抗体のポリクローナル集団の特性とは対照的である。モノクローナル抗体は、いくつかの周知の方法によって製造できる(Smith et al.(2004) J. Clin. Pathol. 57,912−917;及びNelson et al.,J Clin Pathol(2000),53,111−117)。例えば、モノクローナル抗体は、例えば、骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞株を産生することによるB細胞の不死化によって、又はEBVなどのウイルスによるB細胞の感染によって製造できる。組換え技術は、インビトロで、抗体をコードするヌクレオチドの人工配列を保有するプラスミドを用いて、宿主細胞を形質転換することによって、宿主細胞のクローン集団から抗体を製造することもできる。
【0070】
本明細書において使用されるとき、用語「ハイブリドーマ」又は「ハイブリドーマ細胞」は、抗体を産生するリンパ球と抗体を産生しない癌細胞を融合することにより産生される細胞又は細胞株(通常、骨髄腫又はリンパ腫細胞)を指す。当業者に知られているように、ハイブリドーマは、特定のモノクローナル抗体を産生し、持続的に供給することができる。ハイブリドーマを産生するための方法は、本分野の周知のものである(例えば、Harlow&Lane,1988)。用語「ハイブリドーマ」又は「ハイブリドーマ細胞」に言及する場合、それは、ハイブリドーマのサブクローン及び子孫細胞をさらに含む。
【0071】
本明細書において使用されるとき、「従来の抗体」は、2つの重鎖(H及びH′と表され得る)と、2つの軽鎖(L及びL′と表され得る)と、2つの抗体結合部位とを含有する抗体を指し、各重鎖は、全長免疫グロブリン重鎖又は抗原結合能を保持するその任意の機能領域であってよく(例えば、重鎖は、VH鎖、VH−CH1鎖及びVH−CH1−CH2−CH3鎖を含むが、これらに限定されない)、各軽鎖は、全長軽鎖又はその任意の機能領域であってよい(例えば、軽鎖は、VL鎖及びVL−CL鎖を含むが、これらに限定されない)。各重鎖(H及びH′)は、1つの軽鎖(それぞれ、L及びL′)と対になる。
【0072】
本明細書において使用されるとき、全長抗体は、2つの全長重鎖(例えば、VH−CH1−CH2−CH3又はVH−CH1−CH2−CH3)と、2つの全長軽鎖(VL−CL)と、ヒンジ領域とを有する抗体、例えば、抗体を分泌するB細胞によって天然に産生される抗体と合成的に産生される同一ドメインを有する抗体である。
【0073】
本明細書において使用されるとき、dsFvは、VH−VL対を安定化させる、操作された分子間ジスルフィド結合を有するFvを指す。
【0074】
本明細書において使用されるとき、Fab断片は、パパインを用いて全長免疫グロブリンを消化することによって得られる抗体断片、又は組換え法などの方法によって合成的に産生される同一構造を有する断片である。Fab断片は、軽鎖(VL及びCLを含有する)と、重鎖(VH)の可変ドメイン及び重鎖の1つの定常領域ドメイン(CH1)を含有する別の鎖とを含有する。
【0075】
本明細書において使用されるとき、F(ab’)2断片は、pH4.0〜4.5でペプシンを用いて免疫グロブリンを消化することによって得られる抗体断片、又は組換え法などの方法によって合成的に産生される同一構造を有する断片である。F(ab’)2断片は、2つのFab断片を実質的に含有し、各重鎖部分は、2つの断片を連結させるジスルフィド結合を形成するシステインを含むさらなる数個のアミノ酸を含有する。
【0076】
本明細書において使用されるとき、Fab’断片は、F(ab’)2断片の半分(1つの重鎖及び1つの軽鎖)を含有する断片である。
【0077】
本明細書において使用されるとき、scFv断片は、任意の順序でポリペプチドリンカーによって共有結合している可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VL)を含有する抗体断片を指す。リンカーは、2つの可変ドメインが、実質的に妨害されずに架橋される長さである。例示的リンカーは、溶解度を高めるために、いくつかのGlu又はLys残基が分散されている(Gly−Ser)n残基である。
【0078】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列が1つの種に由来し定常領域配列が別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指す。
【0079】
「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又は抗体の他の抗原結合サブ配列)である、非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0080】
また、ヒト化において、VH及び/又はVLのCDR1、CDR2及び/又はCDR3内のアミノ酸残基を突然変異させることにより、抗体の1つ以上の結合特性(例えば親和性)を改善することも可能である。突然変異は、例えば、PCRによって媒介される突然変異を行うことにより導入することができ、抗体の結合又は他の機能特性への影響は、本明細書に記載のインビトロ又はインビボ試験により評価することができる。一般的には、保存的突然変異が導入される。このような突然変異は、アミノ酸置換、添加又は欠失であってよい。また、CDR内の突然変異は、通常、1つ又は2つを超えない。したがって、本発明に係るヒト化抗体は、CDR内に1又は2個のアミノ酸変異を含有する抗体をさらにカバーする。
【0081】
本明細書において使用されるとき、用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する、抗原上の任意の抗原決定基を指す。エピトープ決定基は、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群を含有し、通常、特定の三次元構造的特徴及び特定の荷電特徴を有する。
【0082】
本明細書において使用されるとき、可変ドメイン又は可変領域は、異なる抗体間で変わるアミノ酸の配列を含有する、抗体の重鎖又は軽鎖の特定のIgドメインである。各軽鎖及び各重鎖は、1つの可変領域ドメイン(VL及びVH)をそれぞれ有する。可変ドメインは、抗原特異性を提供し、したがって、抗原認識を担う。各可変領域は、CDR及びフレームワーク領域(FR)を含有し、CDRは、抗原結合部位ドメインの一部である。
【0083】
本明細書において使用されるとき、「抗原結合ドメイン」及び「抗原結合部位(antigen−binding site)」は、同族(cognate)抗原を認識し、物理的に相互作用する抗体内のドメインを示すために交換可能に使用される。天然の従来の全長抗体分子は、2つの従来の抗原結合部位を有し、各々が、重鎖可変領域の部分と、軽鎖可変領域の部分とを含有する。従来の抗原結合部位は、可変領域ドメイン内の逆平行β鎖に連結するループを含有する。抗原結合部位は、可変領域ドメインの他の部分を含有することができる。各従来の抗原結合部位は、重鎖に由来する3つの超可変領域と、軽鎖に由来する3つの超可変領域とを含有する。超可変領域は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる。
【0084】
本明細書において使用されるとき、「超可変領域」、「HV」、「相補性決定領域」、「CDR」及び「抗体CDR」は、抗体の抗原結合部位を共に形成する各可変領域内の複数の部分のうち1つを示すために交換可能に使用される。各可変領域ドメインは、CDR1、CDR2及びCDR3と名づけられた3つのCDRを含有する。例えば、軽鎖可変領域ドメインは、VLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3と名づけられた3つのCDRを含有し、重鎖可変領域ドメインは、VHCDR1、VHCDR2及びVHCDR3と名づけられた3つのCDRを含有する。可変領域の3つのCDRは、直鎖状アミノ酸配列に沿って不連続であるが、フォールディングされたポリペプチド中で近接する。CDRは、可変ドメインのβシートの平行な鎖に連結するループ内に位置する。本明細書において記載されるように、当業者であれば、CDRを知っており、かつCDRをKabat又はChothia番号付けに基づいて同定できる(例えば、Kabat, E.A. et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition,U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242及びChothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901−917を参照)。
【0085】
本明細書において使用されるとき、フレームワーク領域(FR)は、βシート内に位置する、抗体可変領域ドメイン内のドメインであり、FR領域は、そのアミノ酸配列に関して、超可変領域よりも比較的保存されている。
【0086】
本明細書において使用されるとき、「定常領域」ドメインは、可変領域ドメインのアミノ酸配列よりも比較的保存されているアミノ酸配列を含有する抗体重鎖又は軽鎖中のドメインである。従来の全長抗体分子では、各軽鎖は、単一の軽鎖定常領域(CL)ドメインを有し、各重鎖は、CH1、CH2、CH3及びCH4を含む、1つ以上の重鎖定常領域(CH)ドメインを含有する。全長IgA、IgD及びIgGアイソタイプは、CH1、CH2、CH3及びヒンジ領域を含有するが、IgE及びIgMは、CH1、CH2、CH3及びCH4を含有する。CH1及びCLドメインは、抗体分子のFabアームを延長し、したがって、抗原との相互作用及び抗体アームの回転に役立つ。抗体定常領域は、それだけには限らないが、例えば、種々の細胞、生体分子及び組織との相互作用による、該抗体が特異的に結合する抗原、病原体及び毒素のクリアランスなどのエフェクター機能を果たすことができる。
【0087】
本明細書において使用されるとき、抗体の機能領域は、該抗体の少なくともVH、VL、CH(例えば、CH1、CH2又はCH3)、CL若しくはヒンジ領域ドメイン、又は少なくともその機能領域を含有する抗体の部分である。
【0088】
本明細書において使用されるとき、VHドメインの機能領域は、全長VHドメインの結合特異性の少なくとも一部を保持する(例えば、全長VHドメインの1つ以上のCDRを保持することによって)全長VHドメインの少なくとも一部であり、その結果、上記VHドメインの機能領域は、単独又は、別の抗体ドメイン(例えば、VLドメイン)若しくはその領域と組み合わせて、抗原に結合する。例示的なVHドメインの機能領域は、VHドメインのCDR1、CDR2及び/又はCDR3を含有する領域である。
【0089】
本明細書において使用されるとき、VLドメインの機能領域は、全長VLドメインの結合特異性の少なくとも一部を保持する(例えば、全長VLドメインの1つ以上のCDRを保持することによって)全長VLドメインの少なくとも一部であり、その結果、上記VLドメインの機能領域は、単独又は、別の抗体ドメイン(例えば、VHドメイン)若しくはその領域と組み合わせて、抗原に結合する。例示的なVLドメインの機能領域は、VLドメインのCDR1、CDR2及び/又はCDR3を含有する領域である。
【0090】
本明細書において使用されるとき、抗体又はその抗原結合断片に関して、用語「特異的に結合する」又は用語「免疫特異的に結合する」は、本明細書において交換可能に使用され、抗体又は抗原結合断片の、抗体と抗原の抗体結合部位との間の非共有結合相互作用によって、同族抗原と1つ以上の非共有結合を形成する能力を指す。上記抗原は、単離された抗原であってもよく、腫瘍細胞中で存在してもよい。通常、抗原に免疫特異的に結合する(又は特異的に結合する)抗体は、約1×10
7M−1若しくは1x10
8M−1若しくはそれ以上の親和性定数Ka(又は1x10
−7M若しくは1×10
−8M若しくはそれ以下の解離定数(Kd))で上記抗原に結合する。親和性定数は、抗体反応の標準的動力学的方法、例えば、免疫測定、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka (2000) Curr. Opin. Biotechnol 11:54;Englebienne (1998) Analyst. 123:1599)、等温滴定熱量測定法(ITC)又は本分野で周知のその他の動力学的相互作用測定によって測定することができる(例えば、Paul, ed., Fundamental Immunology, 2nd ed., Raven Press, New York, pages 332−336 (1989)を参照。さらに、抗体の結合親和性を算出するための例示的SPR及びITC法の説明については、米国特許第7,229,619号を参照)。結合速度のリアルタイム検出及びモニタリングのための装置及び方法は周知であり、市販されている(例えば、BiaCore 2000,Biacore AB,Upsala,Sweden and GE Healthcare Life Sciences; Malmqvist (2000) Biochem. Soc. Trans. 27:335を参照)。
【0091】
本明細書において使用されるとき、抗体に関する用語「競合」は、第1の抗体又はその抗原結合断片が、第2の抗体又はその抗原結合断片の結合と十分に類似した方式でエピトープに結合し、それによって、第1の抗体とその同族エピトープの結合の結果が、第2の抗体の非存在下よりも、第2の抗体の存在下で、検出可能に低下することを意味する。或いは、第2の抗体とそのエピトープの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に低下する場合もありうるが、そうである必要はない。すなわち、第1の抗体によって第2の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができ、第2の抗体によって第1の抗体とその各自のエピトープとの結合を阻害する必要はない。しかしながら、それぞれの抗体が、同レベルか、より高いレベルか、より低いレベルかにかかわらず、他の抗体とその同族エピトープ又はリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、上記抗体は、その各自のエピトープの結合について互いに「交差競合する」と言われる。競合及び交差競合抗体はどちらも本発明に含まれる。このような競合又は交差競合がどのようなメカニズムで発生するかにかかわらず(例えば、立体障害、立体配位変化、又は共通エピトープ若しくはその断片との結合)、当業者であれば、本発明の教示に基づいて、このような競合及び/又は交差競合抗体が本発明に含まれ、本発明に開示された方法に適用可能であることを認識することができる。
【0092】
本明細書において使用されるとき、「ポリペプチド」は、共有結合している2つ以上のアミノ酸を指す。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において交換可能に使用される。
【0093】
用語「単離されたタンパク質」、「単離されたポリペプチド」又は「単離された抗体」は、(1)その天然状態において付随する天然結合成分に関連しない、(2)同じ種に由来する他のタンパク質を含まない、(3)異なる種からの細胞によって発現されている、又は(4)天然に存在しないタンパク質、ポリペプチド又は抗体を指す。したがって、化学的に合成されたポリペプチド、又は天然に由来する細胞とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、その天然結合成分から「単離される」。タンパク質は、本分野において周知のタンパク質精製技術を用いて、単離により天然結合成分を実質的に含まなくてもよい。
【0094】
ペプチド又はタンパク質において、好適な保存的アミノ酸置換は、当業者に周知であり、得られた分子の生物学的活性を変化させることなく一般的に行うことができる。一般的に、当業者であれば、ポリペプチド内の重要でない領域における単一アミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識することができる(例えば、Watson et al.,Molecular Biology of the Gene,4th Edition,1987,The Benjamin/Cummings Pub.co.,p.224を参照)。
【0095】
本明細書において使用されるとき、用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」は、少なくとも2つの連結しているヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体を含有するオリゴマー又はポリマーであり、通常、リン酸ジエステル結合を介して連結するデオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸を含む(RNA)。
【0096】
本明細書において使用されるとき、単離された核酸分子は、核酸分子の天然供給源中に存在するその他の核酸分子から分離される核酸分子である。cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、組換え技術によって製造される場合に、その他の細胞性物質若しくは培地を実質的に含まないもの、又は化学的に合成される場合に、化学前駆体若しくはその他の化学物質を実質的に含まないものであってよい。本明細書に係る例示的な単離された核酸分子は、提供される抗体又は抗原結合断片をコードする単離された核酸分子を含む。
【0097】
配列「相同性」又は「同一性」は、本分野で一致して認められている意味であり、開示された技術を用いて、2つの核酸又はポリペプチド分子又は領域間の配列同一性のパーセンテージを算出することができる。配列相同性は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長に沿って、又は該分子の領域に沿って測定することができる。(例えば、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed., Academic Press, New York,1993; Computer Analysis of Sequence Data,Part I, Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987; and Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991を参照)。2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド間の相同性を測定するための方法が多く存在するが、用語「相同性」は、当業者に周知である(Carrillo, H. & Lipman, D., SIAM J Applied Math 48: 1073 (1988))。
【0098】
本明細書において使用されるとき、核酸配列、領域、エレメント又はドメインに関して、用語「作動可能に連結する」は、核酸領域が互いに機能的に関連していることを示す。例えば、プロモーターは、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結することができ、それによって、上記プロモーターは、上記核酸の転写を調節又は媒介する。
【0099】
本明細書において使用されるとき、「発現」は、ポリヌクレオチドの転写及び翻訳によってポリペプチドを産生するプロセスを指す。ポリペプチドの発現レベルは、例えば、宿主細胞から産生されたポリペプチドの量を測定する方法を含む、本分野で公知の任意の方法を使用して評価することができる。このような方法は、ELISAによる細胞溶解物中のポリペプチドの定量、ゲル電気泳動法後のクーマシーブルー染色、Lowryタンパク質アッセイ及びBradfordタンパク質アッセイを含むことができるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書において使用されるとき、「宿主細胞」は、ベクターを受け取り、維持し、複製し、増幅するための細胞である。宿主細胞は、さらに、ベクターによってコードされるポリペプチドを発現するために使用することができる。宿主細胞が分裂するとき、ベクターに含有される核酸が複製されて、核酸を増幅する。宿主細胞は、真核細胞であってもよく、原核細胞であってもよい。好適な宿主細胞は、CHO細胞、様々なCOS細胞、HeLa細胞、HEK細胞、例えば、HEK293細胞を含むが、これらに限定されない。
【0101】
「コドン最適化」は、核酸配列を修飾して目的の宿主細胞における発現を向上させるために、天然アミノ酸配列を維持しながら、天然配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50個若しくはそれ以上の、又はそれよりもさらに多いコドン)を、宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に、又は最も頻繁に使用されるコドンで置換する方法を指す。異なる種は、特定のアミノ酸のある特定のコドンについて特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン利用の差異)は、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と関連付けられ、該翻訳効率は、翻訳されるコドンの性質及び特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられている。細胞内で選択されるtRNAの利点は、一般的に、ペプチド合成に最も頻繁に使用されるコドンを反映する。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいて所与の生物において最も良く遺伝子発現するようにカスタマイズすることができる。コドン利用表は、例えば、www.kazusa.orjp/codon/に利用可能なコドン利用データベース(“Codon Usage Database”)において容易に入手可能であり、かつこれらの表は、様々な方法で調整することができる。(NakamuraY.ら,“Codonusage tabulated from the international DNA sequence databases:status for the year 2000.Nucl.AcidsRes.,28:292(2000)を参照する。
【0102】
本明細書において使用されるとき、「ベクター」は、複製可能な核酸であり、ベクターを適切な宿主細胞に形質転換するとき、該ベクターから1つ以上の異種のタンパク質を発現させることができる。ベクターについての言及は、一般的に制限消化及び連結によって、ポリペプチド又はその断片をコードする核酸を導入できるベクターを含む。ベクターについての言及は、ポリペプチドをコードする核酸を含有するベクターをさらに含む。ベクターは、核酸の増幅のために、又は核酸によってコードされるポリペプチドの発現/提示のために、ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入するために使用される。ベクターは、一般的にエピソームのままであるが、遺伝子又はその部分をゲノム染色体に組み込むことを引き起こすように設計されてもよい。また、酵母人工染色体及び哺乳動物人工染色体などの人工染色体であるベクターも考慮される。このような媒体の選択及び用途は、当業者に周知である。
【0103】
本明細書において使用されるとき、ベクターは、「ウイルスベクター」又は「ウイルスのベクター」をさらに含む。ウイルスのベクターは、外因性遺伝子を細胞に(媒体又はシャトル(shuttle)として)移行するように外因性遺伝子に作動可能に連結した、操作されたウイルスである。
【0104】
本明細書において使用されるとき、「発現ベクター」は、DNAを発現することができるベクターを含み、上記DNAは、例えば、プロモーター領域の、DNA断片の発現に影響を与える調節配列に作動可能に連結する。このような追加の断片は、プロモーター及びターミネーター配列を含むことがあり、任意選択で、1つ以上の複製起点、1つ以上の選択可能マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル等を含むことができる。発現ベクターは、一般的に、プラスミド又はウイルスDNAに由来するか、又は両方のエレメントを含有することができる。したがって、発現ベクターは、組換えDNA又はRNA構築物、例えば、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、又は適切な宿主細胞への導入に際してクローニングされたDNAの発現をもたらす他のベクターを指す。適切な発現ベクターは、当業者に周知であり、真核細胞及び/又は原核細胞において複製可能な発現ベクター、及びエピソームのままである発現ベクター又は宿主細胞ゲノムに組み込まれる発現ベクターを含む。
【0105】
本明細書において使用されるとき、疾患を有する又は疾患状態にある個体を「治療する」ことは、上記個体の症状が、部分的又は全体的に寛解するか、又は治療後そのまま変化しないことを意味する。したがって、治療は、予防、治療及び/又は治癒を含む。予防は、潜在的な疾患の防止及び/又は症状の悪化若しくは疾患の進行の防止を指す。治療は、提供される任意の抗体若しくはその抗原結合断片、及び本明細書において提供される組成物の任意の薬学的用途をさらに含む。
【0106】
本明細書において使用されるとき、「治療効果」は、個体の治療によって得られる効果を意味し、疾患若しくは疾患状態の症状の変化、通常は改良若しくは改善、又は疾患若しくは疾患状態の治癒である。
【0107】
本明細書において使用されるとき、「治療有効量」又は「治療有効用量」は、対象への投与後に治療効果を達成するのに少なくとも十分な、薬剤、化合物、物質又は化合物を含有する組成物の量を指す。したがって、それは、疾患又は病症の症状を防止、治癒、改善、抑制又は部分的に抑制するために必要な量である。
【0108】
本明細書において使用されるとき、「予防有効量」又は「予防有効用量」は、対象への投与時に、例えば疾患又は症状の発生又は再発の防止又は遅延、疾患又は症状の発生又は再発の可能性の低減など、意図される予防効果を有する薬剤、化合物、物質又は化合物を含有する組成物の量を指す。完全な予防有効用量は、1用量の投与で達成する必要はなく、一連の用量が投与されたときのみ達成されてもよい。したがって、予防有効量は、1回又は複数回の投与において投与し得る。
【0109】
本明細書において使用されるとき、用語「患者」は、哺乳動物、例えばヒトを指す。
【0110】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:2〜4、12〜14、22〜24、32〜34、42〜44、52〜54、62〜64、72〜74、82〜84、92〜94、102〜104、107〜109、112〜114、117〜119、122〜124、132〜134、137〜139、142〜144、147〜149、152〜154又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7〜9、17〜19、27〜29、37〜39、47〜49、57〜59、67〜69、77〜79、87〜89、97〜99、157〜159、162〜164、167〜169、172〜174、177〜179又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDRを含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0111】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、107、112、117、122、127、132、137、142、147、152又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、108、113、118、123、128、133、138、143、148、153又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、119、124、129、134、139、144、149、154又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、157、162、167、172、177又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、158、163、168、173、178又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、159、164、169、174、179又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0112】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、106、111、116、121、126、131、136、141、146、151又はそれらの任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:6、16、26、36、46、56、66、76、86、96、156、161、166、171、176又はそれらの任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0113】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:2から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:3から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:4から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:7から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:8から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:9から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0114】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:12から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:13から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:14から選択された重鎖CDR3、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:17から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:18から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:19から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0115】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:22から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:23から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:24から選択された重鎖CDR3、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:27から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:28から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:29から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0116】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:32から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:33から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:34から選択された重鎖CDR3、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:37から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:38から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:39から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0117】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:42から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:43から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:44から選択された重鎖CDR3、及び/又はアミノ酸配列SEQ ID NO:47から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:48から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:49から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0118】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:52から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:53から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:54から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:57から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:58から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:59から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0119】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:62から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:63から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:64から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:67から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:68から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:69から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0120】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:72から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:3から選択された重鎖CDR73、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:74から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:77から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:78から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:79から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0121】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:82から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:83から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:84から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:87から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:88から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:89から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0122】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:92から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:93から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:94から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:97から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:98から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:99から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0123】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:102から選択された重鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:103から選択された重鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:104から選択された重鎖CDR3、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:157から選択された軽鎖CDR1、アミノ酸配列SEQ ID NO:158から選択された軽鎖CDR2、及びアミノ酸配列SEQ ID NO:159から選択された軽鎖CDR3を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0124】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:1又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:6又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0125】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:11又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:16又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0126】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:21又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:26又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0127】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:31又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:36又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0128】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:41又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:46又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0129】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:51又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:56又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0130】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:61又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:66又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0131】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:71又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:76又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0132】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:81又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:86又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0133】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:91又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:96又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0134】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0135】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:106又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0136】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:111又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0137】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:116又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0138】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:121又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0139】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:126又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0140】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:131又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0141】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:136又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0142】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:141又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0143】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:146又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0144】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:151又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:156又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0145】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0146】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:106又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0147】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:111又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0148】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:116又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0149】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:121又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0150】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:126又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0151】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:131又はその変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0152】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:136又はその変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0153】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:141又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0154】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:146又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0155】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:151又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:161又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0156】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0157】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:106又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0158】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:111又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0159】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:116又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0160】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:121又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0161】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:126又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0162】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:131又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0163】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:136又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0164】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:141又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0165】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:146又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0166】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:151又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:166又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0167】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0168】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:106又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0169】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:111又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0170】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:116又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0171】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:121又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0172】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:126又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0173】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:131又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0174】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:136又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0175】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:141又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0176】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:146又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0177】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:151又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:171又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0178】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:101又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0179】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:106又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0180】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:111又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0181】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:116又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0182】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:121又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0183】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:126又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0184】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:131又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0185】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:136又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0186】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:141又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0187】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:146又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0188】
一態様において、本開示は、アミノ酸配列SEQ ID NO:151又はその任意の変異体から選択された重鎖可変領域、及び/又は、アミノ酸配列SEQ ID NO:176又はその任意の変異体から選択された軽鎖可変領域を含む、抗体又はその機能的断片に関する。
【0189】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される抗体又はその機能的断片又は変異体をコードする単離された核酸配列、本発明に係る抗体又はその機能的断片をコードするCD47結合部位のヌクレオチド配列を含有するベクター構築物、このようなベクターを含有する宿主細胞、及びポリペプチドを生産する組換え技術に関する。
【0190】
一態様において、本明細書に開示される抗体又はその機能的断片又は変異体をコードする単離された核酸配列は、核酸配列SEQ ID NO:5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180から選択される。
【0191】
一態様において、本開示は、抗体、その断片、相同体、その誘導体等、例えば、標識化接合体又は細胞毒性接合体、並びに抗体、特定の細胞型を死滅させる接合体などの使用についての使用説明書を含むキットをさらに含む。該説明書は、インビトロ、インビボ又はエキソビボでの抗体、接合体などを使用するための指示を含むことができる。抗体は、液体形態であってもよく、一般的に凍結乾燥された固体であってもよい。該キットは、適切な他の試薬、例えば、緩衝液、再構成溶液及び所定の用途に必要な他の成分を含むことができる。その用途のための、例えば、治療上の用途又は診断アッセイの実施のための説明書と共に、所定量の包装された試薬の組み合わせが検討される。抗体が標識され、例えば酵素で標識される場合、該キットは、基質と酵素に必要な補因子(例えば、検出可能な発色団又は発蛍光団を提供する基質前駆体)とを含むことができる。また、他の添加剤、例えば、安定剤、緩衝液(例えば、ブロッキング用緩衝液又は溶解用緩衝液)などを含むこともできる。様々な試薬の相対量は、試薬溶液の濃縮物を提供するように変更されてよく、それは使用者に柔軟性、空間の節約、試薬の節約等を提供する。これらの試薬は、一般的に凍結乾燥された乾燥粉末として提供され、溶解時に適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む。
【0192】
本発明に係る抗体は、哺乳動物を治療するために使用することができる。1つの実施形態において、例えば、前臨床データを得る目的のために、目的の抗体又は等価物は、非ヒト哺乳動物に投与される。治療される例示的な非ヒト哺乳動物は、非ヒト霊長類動物、イヌ、ネコ、齧歯類動物、及び前臨床試験が行われる他の哺乳動物を含む。このような哺乳動物は、抗体で治療する疾患の確立した動物モデルであってもよく、目的の抗体の毒性を研究するために使用されてもよい。これらの実施形態のそれぞれにおいて、哺乳動物を対象に用量漸増試験を行ってよい。
【0193】
第2の成分、(例えば、抗体に接合された治療薬部分)を有するか有さないかに関わらず、単独で投与されるか又は細胞毒性因子と組み合わせて投与されるかに関わらず、抗体は、いずれも治療薬として使用することができる。本発明は、抗体ベースの治療方法に関し、この方法としては、CD47によって媒介される疾患、障害又は状態を治療するために、本発明に係る抗体を動物、哺乳動物又はヒトに投与することを含む。
【0194】
本発明において使用される用語「治療」は、治療的治療及び予防的治療又は予防措置を指す。それは、疾患状態、疾患の進行、疾患の原因物質(例えば、細菌若しくはウイルス)又は他の異常状態の有害効果を予防、治癒、逆転、軽減、改善、最小化、阻害又は停止することを意味する。
【0195】
したがって、本発明は、二重特異的抗CD47抗体を含む多価抗体をさらに含み、この抗体は、該抗体に連結し、診断又は治療の機能を有するエフェクター分子、原子又は他の物質を有する。例えば、抗体は、該抗体に連結し、癌をインビボで診断又は治療するために使用される放射性診断標識、又は放射性細胞毒性原子若しくは金属、又は細胞毒性物質(例えば、リシン鎖)を有することができる。
【0196】
また、本発明に係る抗体は、免疫測定法、精製方法、及び免疫グロブリン又はその断片を使用する他の方法において使用されてもよい。このような用途は、本分野で周知である。
【0197】
したがって、本発明は、本発明に係る抗CD47抗体又はその断片を含む組成物をさらに提供し、上記抗体は、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と都合良く組み合わせられ、これは、本分野の一般的な手法である。
【0198】
本発明において使用される用語「医薬組成物」は、様々な調製物の製剤を指す。治療有効量の多価抗体を含む製剤は、滅菌液体溶液、液体懸濁液又は凍結乾燥形態であり、任意選択で安定剤又は賦形剤を含有する。
【0199】
本発明において使用される用語「障害」は、本発明の抗体を用いる治療で効果が得られる任意の状態を指す。これは、哺乳動物、特にヒトを上記障害にかかりやすくする病的状態を含む慢性及び急性の障害又は疾患を含む。本明細書において治療される障害の非限定的な例は、癌、炎症、自己免疫疾患、感染、心血管疾患、呼吸器疾患、神経疾患及び代謝性疾患を含む。
【0200】
本発明において使用される用語「癌」は、哺乳動物、特にヒトの生理的状態を指すか又は説明しており、その典型的な特徴は、細胞が無秩序に増殖することである。癌の例は、癌腫(carcinoma)、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病を含むが、これらに限定されない。
【0201】
本発明に係る抗体は、単独で投与される組成物として使用されてもよく、他の活性剤と併用されてもよい。
【0202】
上記いずれかの態様に係る抗体又はその機能的断片をコードする、核酸。
【0203】
上記いずれかの態様に係る核酸を含む、ベクター。
【0204】
上記いずれかの態様に係るベクターを含む、細胞。
【0205】
上記いずれかの態様に係る抗体又はその機能的断片又はそのコード核酸及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0206】
癌を治療する方法は、上記いずれかの態様に係る抗体又はその機能的断片又はコード核酸の治療有効量を上記哺乳動物に投与するステップを含む。
【0207】
CD47の異常発生に関連する哺乳動物の疾患を治療する方法は、上記いずれかの態様に係る抗体又はその機能的断片又はコード核酸の治療有効量を上記哺乳動物に投与するステップを含む。
【0208】
なお、上記実施形態に係る治療薬は、適切な担体、賦形剤、及び製剤中に組み込まれて改善された移動、送達、耐性などをもたらす他の試薬とともに投与されることを理解されたい。多数の適切な製剤は、すべての医薬品化学者にとって周知の薬局方であるRemington’s Pharmaceutical Sciences(第15版,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1975))、特にその中のBlaug、Seymourによる第87章に見出すことができる。これらの製剤は、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー剤、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有担体(例えば、Lipofectin
TM)、DNA接合体、無水吸収性ペースト、水中油型及び油中水型エマルション、エマルションカーボワックス(異なる分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカーボワックスを含む半固体混合物を含む。製剤中の有効成分が製剤によって不活性化されず、製剤が投与経路において生理学的に適合性及び忍容性を示すものである限り、上記いずれかの混合物は、いずれも本発明に係る治療及び治療方法に適用可能である。
【0209】
1つの実施形態において、上記抗体を治療薬として使用することができる。このような試薬は一般的に、被験体の異常なCD47の発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連する疾患又は病態を治療、緩和及び/又は予防するために使用される。治療レジメンは、標準的な方法を用いて、例えば異常なCD47の発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連する疾患又は障害、例えば癌又は他の腫瘍性障害に罹患した(又はそれらを発症するリスクを有するか又はそれらが進行している)ヒト患者などの被験体を特定することによって、実施することができる。抗体製剤、好ましくはその標的抗原に対して高い特異性及び高い親和性を有する抗体製剤は、被験体に投与されると、標的との結合による作用を一般的に示す。抗体の投与によって、標的(例えばCD47)の発現、活性及び/又はシグナル伝達機能を除去又は抑制又は阻止することができる。抗体の投与によって、標的(例えばCD47)とそれが天然に結合する内因性リガンド(例えばSIRPα)との結合を除去又は抑制又は阻止することができる。例えば、抗体は標的に結合して、CD47の発現、活性及び/又はシグナル伝達を調節、遮断、抑制、減少、阻害、中和するか、又は他の形で妨げる。いくつかの実施形態において、異常なCD47の発現に関連する疾患又は障害を治療するために、(表2に記載されるアミノ酸配列を有する)重鎖及び軽鎖のCDRを有する抗体を被験体に投与することができる。1つの実施形態において、異常なCD47の発現に関連する疾患又は障害は、癌であってもよい。
【0210】
非限定的な例として、異常なCD47の発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連した疾患又は障害は、血液癌及び/又は固形腫瘍を含む。血液癌は、例えば、白血病、リンパ腫及び骨髄腫を含む。非限定的な例として、いくつかの形態の白血病は、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄増殖性疾患/腫瘍(MPDS)、及び骨髄異形成症候群を含む。非限定的な例として、いくつかの形態のリンパ腫は、ホジキンリンパ腫、低悪性度及び侵襲性非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び濾胞性リンパ腫(小細胞型及び大細胞型)を含む。非限定的な例として、いくつかの形態の骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)、巨細胞骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はBence−Jones骨髄腫を含む。固形腫瘍は、例えば、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、黒色腫、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、及び腎臓腫瘍を含む。
【0211】
癌及び他の腫瘍性障害に関連する症状は、例えば、炎症、熱、全身倦怠感、熱、疼痛、しばしば局所炎症、食欲減退、体重減少、浮腫、頭痛、疲労、発疹、貧血、筋力低下、筋疲労、及び腹痛、下痢又は便秘などの腹部症状を含む。
【0212】
本明細書に記載の抗体の治療有効量は、一般的に、治療目的を達成するために必要とされる量に関する。上記に述べたように、それは、抗体とその標的抗原との結合に相互作用し、場合によっては標的の機能を妨げることができる。また、投与に必要な量は、特異的抗原に対する抗体の結合親和性に依存し、投与された抗体が身体から除去される速度にも依存する。非限定的な例として、本明細書に記載の抗体又は抗体断片の治療有効用量の一般的な範囲は、約0.1mg/kg体重〜約100mg/kg体重であってよい。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約0.1mg/kg体重〜約0.3mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約0.4mg/kg体重〜約0.6mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約0.7mg/kg体重〜約0.9mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約1.0mg/kg体重〜約2.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約2.0mg/kg体重〜約3.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約3.0mg/kg体重〜約4.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約4.0mg/kg体重〜約5.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約5.0mg/kg体重〜約6.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約6.0mg/kg体重〜約7.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約7.0mg/kg体重〜約8.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約8.0mg/kg体重〜約9.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約9.0mg/kg体重〜約10.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約10.0mg/kg体重〜約15.0mg/kg体重である。1つの実施形態において、本明細書に記載の抗体の治療有効用量は、約15.0mg/kg体重〜約20.0mg/kg体重である。一般的な投与頻度は、例えば、1日1回、1日2回、1日おきに1回、1週間に1回の範囲である。
【0213】
特定の炎症関連障害を診断又は治療するための任意の公知の方法を組み合わせて、治療の有効性を決定することができる。炎症関連障害の1つ以上の症状の軽減は、抗体が臨床効果を与えることを示す。
【0214】
別の実施形態において、CD47を標的とする抗体は、CD47の局在化及び/又は定量に関連した、本分野で周知の方法により使用することができる(例えば、適切な生理学的試料中のCD47及び/又はCD47とSIRPαの両方のレベルを測定するための使用、診断方法における使用、タンパク質のイメージングにおける使用など)。1つの特定の実施形態において、CD47又はその誘導体、断片、類似体若しくは相同体に対して特異的であり、抗体由来の抗原結合ドメインを含む抗体は、薬理学的に活性な化合物(以下、「治療薬」と呼ばれる)として使用される。
【0215】
別の実施形態において、免疫アフィニティー、クロマトグラフィー又は免疫沈降法などの標準的な方法によって、CD47に対して特異的な抗体を使用してCD47ポリペプチドを単離することができる。CD47タンパク質を標的とする抗体(又はその断片)を使用して、生物学的試料中のタンパク質を検出することができる。いくつかの実施形態において、例えば所定の治療レジメンの効果を判定するという目的で、臨床試験手順の一環として生物学的試料中のCD47を検出することができる。抗体を検出可能な物質と結合する(すなわち物理的に連結する)ことによって、検出を促進することができる。検出可能な物質の例は、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質及び放射性物質を含む。適切な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼを含み、適切な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンを含み、適切な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンを含み、発光物質の1つの例は、ルミノールを含み、生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、フルオレセイン及びイクオリンを含み、適切な放射性物質の例は、
125I、
131I、
35S又は
3Hを含む。
【0216】
別の実施形態において、本開示に係る抗体は、試料中のCD47及び/又はCD47とSIRPαタンパク質(又はそのタンパク質断片)の両方を検出するための試薬として使用することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、検出可能な標識を含む。抗体は、ポリクローナル抗体であるか、又はより好ましくはモノクローナル抗体である。完全な抗体又はその断片(例えば、Fab、scFv、又はF(ab’)
2)が使用される。抗体に関して用語「標識」は、検出可能な物質を該抗体と結合する(すなわち物理的に連結する)ことによる該抗体の直接的標識と、直接標識された別の試薬との反応による該抗体の間接的標識とを含むことを意図している。間接的標識の例は、蛍光標識された第2の抗体を用いて第1の抗体を検出することと、蛍光標識されたストレプトアビジンによって検出されるようにビオチンで抗体を末端標識することとを含む。用語「生物学的試料」は、被験体から単離された組織、細胞及び生物学的液体、並びに被験体の体内に存在する組織、細胞及び液体を含むことを意図している。したがって、使用される用語「生物学的試料」は、血液、及び血清、血漿又はリンパ液を含む血液の画分又は成分を含む。換言すれば、上記実施形態の検出方法を用いて、生物学的試料中の分析物mRNA、タンパク質又はゲノムDNAをインビトロ及びインビボで検出することができる。例えば、分析物mRNAをインビトロで検出する技術は、Norhternハイブリダイゼーション及びインサイチューハイブリダイゼーションを含む。分析物タンパク質をインビトロで検出する技術は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、Westernブロット、免疫沈降法及び免疫蛍光法を含む。分析物ゲノムDNAをインビトロで検出する技術は、Southernハイブリダイゼーションを含む。免疫測定を行うための手順は、例えば、「ELISA:Theoryand Practice:Methodsin Molecular Biology」,第42巻,J.R.Crowther(編集)Human Press,Totowa,N.J.,1995;「Immunoassay」,E.Diamandis及びT.Christopoulus,Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.,1996;以及「Practiceand Theory of Enzyme Immunoassays」,P.Tijssen,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,1985に説明されている。また、分析物タンパク質をインビボで検出する技術は、標識した抗分析物タンパク質抗体を被験体の体内に導入することを含む。例えば、放射性マーカーで抗体を標識し、次に標準的なイメージング法によって被験体の体内における該放射性マーカーの存在又は位置を検出することができる。
【0217】
本明細書に記載の抗体及びその誘導体、断片、類似体及び相同体を、投与に適した医薬組成物中に添加することができる。このような組成物の製造に関連する原理及び考慮事項、並びに成分の選択のガイダンスは、本分野で周知のものであり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences:The Science And Practice Of Pharmacy第19版(Alfonso R.Gennaroら編集)Mack Pub.Co.,Easton,Pa.:1995;Drug Absorption Enhancement:Concepts,Possibilities,Limitations,And Trends,Harwood Academic Publishers,Langhorne,Pa.,1994;及びPeptide And Protein Drug Delivery(Advances In Parenteral Sciences,第4巻),1991,M.Dekker,NewYorkを参照されたい。
【0218】
このような組成物は、一般的に、抗体及び薬学的に許容される担体を含む。抗体断片を使用するとき、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さい阻害性断片が好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を維持したペプチド分子を設計することができる。このようなペプチドは、化学的に合成されるか、及び/又は組換えDNA技術によって産生される(例えば、Marascoら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:7889−7893(1993)を参照)。
【0219】
本明細書において使用されるとき、用語「薬学的に許容される担体」は、薬剤投与に適合する任意及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことを意図している。適切な担体について、本分野では標準的な参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に述べられており、該書籍は、参照によって本明細書に組み込まれる。このような担体又は希釈剤の好ましい例は、水、生理食塩水、リンゲル液、グルコース溶液及び5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定されない。リポソーム、及び固定油などの非水性担体を使用することもできる。このような媒体及び試薬を薬学的活性物質において使用することは、本分野で周知である。任意の従来の媒体又は試薬が抗体と不適合でない限り、組成物におけるその使用が考えられる。
【0220】
体内に投与するための製剤は、無菌でなくてはならない。無菌濾過膜で濾過することによって容易に実現することができる。
【0221】
上記実施形態の医薬組成物は、その意図される投与経路に適合するように配合される。投与経路の例は、非経口投与、例えば静脈内投与、皮内投与、皮下投与、経口投与(例えば吸入)、経皮投与(例えば局所投与)、経粘膜投与及び直腸内投与を含む。非経口投与、皮内投与又は皮下投与に使用される溶液又は懸濁液は、水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール系、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒などの注射用滅菌希釈剤と、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗細菌剤と、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤と、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤と、塩化ナトリウム又はデキストロースなどの浸透圧調節用試薬とを含むことができる。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調整することができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラスやプラスチックで作られた多数回投与バイアルに封入することができる。
【0222】
注射用途に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(本明細書において水溶性である)又は分散液と、滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用の滅菌粉末とを含む。静脈内投与について、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL
TM(BASF社、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合に、組成物は無菌でなければならず、かつ容易に注射可能である程度に流動性を有さなければならない。組成物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、かつ細菌及び真菌などの微生物の汚染作用を防止しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)を含有する溶媒又は分散媒、及びそれらの適切な混合物であってよい。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合に必要な粒径を維持することにより、また、界面活性剤を使用することにより、適正な流動性を保つことができる。微生物の作用に対する防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールによって実現することができる。多くの場合に、組成物中に等張剤、例えば糖類、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。上記組成物中に、吸収を遅延させる試薬、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含有することによって、注射用組成物の持続的吸収を実現することができる。
【0223】
必要に応じて、必要量の抗体を、上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせ(必要に応じて)を有する適切な溶媒に添加した後、濾過滅菌を行うことにより、滅菌注射溶液を調製することができる。一般的に、塩基性分散媒と上記に列挙したものから選ばれた他の必要な成分とを含む滅菌担体に抗体を添加することにより、分散液を調製する。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製方法は、有効成分及び任意の更なる所望の成分を含む粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥であり、それらの成分は上記成分の滅菌濾過溶液由来である。
【0224】
吸入投与について、二酸化炭素などの気体などの適切な推進剤を含む加圧容器、ディスペンサー又は噴霧器からエアロゾルスプレーの形で化合物を投与する。
【0225】
経粘膜的又は経皮的手段によって全身投与を行うこともできる。経粘膜投与又は経皮投与については、製剤中に、浸透すべきバリアに適した浸透剤を使用する。このような浸透剤は、本分野で周知のものであり、例えば、経粘膜投与のための洗浄剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻スプレー又は坐剤を使用することによって行うことができる。経皮投与については、1つ以上の上記抗体を本分野で周知の膏薬、軟膏、ゲル又はクリームに配合することができる。
【0226】
さらに、直腸投与のために、化合物を坐剤(例えばココアバター又は他のグリセリドなど、従来の坐剤基剤を有するもの)又は停留性浣腸剤の形で製造することができる。
【0227】
1つの実施形態において、上記抗体は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む持続/制御放出製剤などの、身体からの速やかな排出を防ぐ担体を用いて製造することができる。エチレン−酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤を製造する方法は、当業者にとって自明である。
【0228】
例えば、これらの有効成分は、例えばコアセルベーション技術によって、又は界面重合法によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれコロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルション中のヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中にカプセル化することができる。
【0229】
持続放出製剤を調製することができる。持続放出製剤の適切な例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、該マトリクスは、フィルム又はマイクロカプセルなどの成形物品の形である。持続放出マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT
TM(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドとからなる注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン−酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日間以上にわたって分子を放出することができるが、いくつかのヒドロゲルがタンパク質を放出する期間は比較的短い。
【0230】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染細胞を標的とするリポソームを含む)は、薬学的に許容される担体として使用されてよい。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されたような当業者に周知の方法に従って調製することができる。
【0231】
投与を容易にし、用量を均一にするために、非経口組成物を単位剤形として調製することが特に有利である。本明細書で使用されるとき、単位剤形は、治療される被験体に用いられ、単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体とともに所望の治療効果を達成するように計算された所定量の1つ以上の上記抗体を含むものである。上記実施形態の単位剤形の仕様は、抗体の固有の特性及び達成されるべき具体的な治療効果と、個体を治療するためのこのような抗体を配合する技術分野に固有の制限とによって決定され、且つこれらに直接依存する。
【0232】
上記医薬組成物は、投与のための取扱説明書とともに容器、パック又はディスペンサーに入れることができる。
【0233】
本明細書に記載の製剤は、治療される具体的な疾患に応じて複数の上記抗体、好ましくは相補的活性を有するが互いに悪影響を及ぼさないものを含んでもよい。代替的に又はそれに加えて、組成物は、細胞毒性剤、サイトカイン、化学療法剤又は増殖阻害剤などの、その機能を高める試薬を含むことができる。このような分子は、意図する目的に対して有効な量で適切に組み合わせて存在する。
【0234】
1つの実施形態では、1つ以上の上記抗体を併用療法において投与することができる。すなわち、治療薬(様々な形態の癌、自己免疫疾患及び炎症性疾患などの病理学的症状又は障害を治療するために使用される)などの他の試薬と併用して投与することができる。用語「併用」は、本明細書において、試薬をほぼ同じ時点で、同時に又は順次投与することを意味する。順次投与する場合、第2の化合物の投与を開始するとき、2つの化合物のうち第1の化合物が治療部位において依然として有効濃度で検出可能であることが好ましい。
【0235】
例えば、併用療法は、本明細書に記載の1つ以上の抗体と、1つ以上の追加の治療薬(例えば、下記に詳細に述べるような、1つ以上のサイトカイン及び増殖因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤、及び/又は細胞毒性剤若しくは細胞増殖抑制剤)との同時配合及び/又は同時投与を含むことができる。このような併用療法は、投与される治療薬を低用量で有利に使用することができ、それにより単独療法に関連する様々な潜在的な毒性又は合併症が回避される。
【0236】
本明細書に記載の抗体と併用される好ましい治療薬は、炎症反応の異なる段階を妨害する試薬である。1つの実施形態において、本明細書に記載の1つ以上の抗体を、他のサイトカイン若しくは増殖因子アンタゴニストなどの1つ以上の追加の試薬(例えば、可溶性受容体、ペプチド阻害剤、小分子、リガンド融合体)、又は他の標的に結合する抗体若しくは抗原結合断片(例えば、他のサイトカイン若しくは増殖因子、その受容体、又は他の細胞表面分子に結合する抗体)、及び抗炎症性サイトカイン又はそのアゴニストと同時配合及び/又は同時投与することができる。
【0237】
他の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、自己免疫障害、炎症性疾患などに対するワクチンアジュバントとして使用される。これらのタイプの障害を治療するためのアジュバントの組み合わせは様々な抗原との併用に適し、上記抗原は標的とする自己抗原、すなわち、自己免疫に関与する自己抗原(例えばミエリン塩基性タンパク質)、炎症性自己抗原(例えばアミロイドペプチドタンパク質)、又は移植抗原(例えば同族抗原)由来である。抗原は、タンパク質から誘導されるペプチド又はポリペプチドと、糖類、タンパク質、ポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド、自己抗原、アミロイドペプチドタンパク質、移植抗原、アレルゲン、又は他の巨大分子成分のいずれかの断片とを含むことができる。いくつかの例には、複数の抗原が抗原性組成物に含まれる。
【0238】
明確かつ簡潔な説明の目的のために、本明細書では、同じ又は別個の実施形態の一部として特徴を説明しているが、本発明の範囲は、説明される特徴の全部又は一部を組み合わせたいくつかの実施形態を含み得ることが理解されるであろう。
【実施例】
【0239】
1.CD47及びSIRPα融合タンパク質の真核細胞での発現
ヒトCD47のcDNAプラスミド(Sino Biological,品番:HG12283−G)をテンプレートとし、ヒトCD47分子のN末端の細胞外領域断片(19−135)をPCRで増幅し、ここでCys33はGlyに突然変異し、PCRプライマーは以下のとおりである:
上流プライマー5’CTGAGAGGTGCCAGATGTCAGCTACTATTTAATAAAACAAAATCTGTAGAATTCACGTTTGGTAATGACACTGTCGT3’
下流プライマー5’TCCGCCTCCGCCGCTAGCTGAAACAACACGATA3’
【0240】
増幅産物を、自己構築された真核発現プラスミドシステム(C末端His6tagを含み、精製を容易にする)にクローニングした。HEK293.6E細胞を5〜7日間トランスフェクトした後、培地上清を収集し、Niアフィニティーカラムにより精製して、組換えヒトCD47分子のN末端の細胞外領域タンパク質(hCD47)を得た。
【0241】
ヒトSIRPαcDNAプラスミド(Sino Biological,品番:HG11612−M)をテンプレートとし、自己構築された、マウスIgG2aFc断片を有する真核発現プラスミドシステムにクローニングし、このプラスミドでHEK293.6E細胞を5〜7日間トランスフェクトした後、培地上清を収集し、ProteinAアフィニティーカラムにより精製して、組換えヒトSIRPα−Fc融合タンパク質を得た。1mgのSIRPα−Fc融合タンパク質をPBSで濃度1mg/mlに調節し、EZ−LinkSulfo−NHS−LC−LC−Biotin(Thermofisher,品番:21338)試薬を1mg秤量し、150μLのddH2Oで速やかに溶解し、溶解したSulfo−NHS−LC−LC−Biotin試薬13.2μLをタンパク質溶液に加え、上下を反転させて均一に混合した。氷上で2時間インキュベートし、反応終了後、タンパク質を10000ダルトン(Da)の限外濾過管に移し、濃縮してPBSに液交換し、OD280を測定して、r−streptavidin(PrimeGene社,品番:1005−01)を用いてタンパク質のビオチン化効率を検出し、その後にタンパク質を分注して保存した。結果をそれぞれ
図1と
図2に示す。
【0242】
2.ヒトCD47遺伝子安定形質転換細胞株の構築
ヒトCD47全長配列を含有するレンチウイルスベクターを構築し、レンチウイルスパッケージングキットの使用説明書(Lenti−Pac HIV Expression Packaging Kit,GeneCopoeia,品番:HPK−LvTR−20)に従って、構築されたレンチウイルスと包装プラスミドによりHEK293T細胞をコトランスフェクトし、レンチウイルスのパッケージングを行った。48時間トランスフェクトした後に、培地を収集し、500*gで10分間遠心分離して細胞の破片を除去し、レンチウイルスを含有する培養上清を得て、0.45μmのPES濾過膜で濾過した後、1.5mlのEP管(管あたり200μl)に分注し、10μlの上清を用いて1x10
6個のCHO細胞を感染させ、残りの上清を−80℃で保存した。感染後、培地に10μg/mlのpuromycinを加えてスクリーニングし、陽性クローンの限界希釈後、ヒト全長CD47分子を安定して発現させる細胞株hCD47−CHO−1B10を得た。結果を
図3に示す。
【0243】
3.ハイブリドーマの製造
ヒトCD47組換えタンパク質又はhCD47−CHO−1B10細胞を抗原として等量の免疫アジュバント(フロイントアジュバント)と混合し、群ごとに6匹の6〜8週齢の雌性Balb/cマウスを免疫した。初回免疫の2週間後、追加免役を行った。3回の免疫後、眼窩から採血して血清の力価を検出した。融合する前に、1x10
6個のhCD47−CHO安定形質転換細胞をショック免疫のために尾静脈注射した。3日後、頸椎脱臼によってマウスを殺し、マウスの脾臓と一部の末梢リンパ節をDMEM培地で粉砕して遠心分離し、上清を捨て、脾臓細胞塊を軽く崩し、5mlの赤血球溶解液を加え、50s溶解した後、DMEMを40ml加えて遠心分離し、赤血球を含まない脾臓細胞懸濁液を得た。適量のリンパ節及び脾臓細胞の懸濁液とSP2/0を混合して、BTXエレクトロフュージョン装置を用いて細胞融合を行った。融合細胞を96ウェルプレートに播種し、HATを含むDMEM完全培地中に、5%CO2、37℃の条件下で培養した。約1週間でハイブリドーマ細胞の増殖状況を観察し、60%以上に増殖したとき、抗体検査のために上清を取り出した。
【0244】
4.ハイブリドーマ上清のスクリーニング
0.05Mの重炭酸塩緩衝液(pH9.0)を用いて1μg/mlのhCD47抗原(hCD47R−ECDchis)を調製し、96ウェルマイクロタイタープレート(Costar,品番:9018)にウェルあたり100μl加え、4℃で一晩インキュベートした。翌日PBSで3回洗浄し、200μlの2%脱脂粉乳/PBSで室温で2時間ブロッキングし、PBSで3回洗浄し、ハイブリドーマ上清を50μl加え、室温で1時間インキュベートした後に、PBSTとPBSで3回洗浄した。第2の抗体(抗mouse IgG−Fc−HRP,Jackson Immuno Research,品番:115−035−071)を加えて1時間インキュベートし、3回繰り返して洗浄し、発色液(TMB溶液、Sigma,品番:T2885)を50μl加えて37℃で5分間放置した後に、2M濃硫酸溶液を50μl加えて反応を終了させ、直ちにマイクロプレートリーダーに入れてOD450値を読み取った。
【0245】
ELISAで検出した、CD47抗体に結合する陽性クローン上清に対して、CD47陽性細胞との結合をさらに検証した。CCRF−CEM細胞(ATCC(登録商標)CRM−CCL−119
TM)を5×10
4/ウェルで96ウェルプレートに入れ、各ウェルにハイブリドーマ上清を50μl加え、4℃で60分間インキュベートし、上清を遠心分離して吸引除去し、0.5%BSA/PBSで洗浄した。次に、第2の抗体溶液(抗mouse IgG−Fc−AF647,Jackson Immuno Research,品番:115−606−071)を50μl加え、4℃で45分間インキュベートした後、0.5%BSA/PBSで洗浄して余分な第2の抗体を除去した。最後に、1μg/mlの蛍光色素(ヨウ化プロピジウム,PI,Sigma,品番:P4170)を含有するPBS溶液60μlを用いて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで検出した。結果を
図4に示す。
【0246】
5.CD47−SIRPα遮断実験
CCRF−CEM細胞を5×10
4個/ウェルで96ウェルプレートに加え、各ウェルにハイブリドーマ上清を50μl加え、4℃で30分間インキュベートした。1μg/mlのビオチン化SIRPα−Fc融合タンパク質を50μl加え、4℃で30分間インキュベートし、0.5%BSA/PBSで洗浄した後、第2の抗体溶液(SA−PE,Jackson Immuno Research,品番:016−110−084)を50μl加えた。最後に、1μg/mlの蛍光色素(ヨウ化プロピジウム,PI,Sigma,品番:P4170)を含有するPBS溶液60μlを用いて細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターで検出した。結果を
図5に示す。ハイブリドーマ陽性クローン1H1、2E4、7A11、7G5、7H5、9C4、9G11、10B8、12G8、14G6、15A7及び15G6は、CD47陽性細胞の表面に結合すると、SIRPαとCD47の結合を効果的に防ぐことができる。
【0247】
6.クローン候補抗体遺伝子
前期スクリーニングの結果から、ハイブリドーマ細胞のRNAを抽出し、cDNAに逆転写した。cDNAをテンプレートとしてPCR増幅を行い、配列を決定して、以下の候補陽性クローンの重鎖及び軽鎖の可変領域配列を得た。
【0248】
クローン2E4−C7:
重鎖
核酸配列
CAGATCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGGTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACTGACGACTATATAAACTGGGTGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATGCTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGATTGTAGACACATCCTCCACCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTTCAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACTTTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTCGGAGAGAAAGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAATTACTTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGCCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTTATAGGTACCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン7A11−C2:
重鎖
核酸配列
CAGATCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACTGACTACTATCTACACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTGCAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGACCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATATTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン7G5−D10:
重鎖
核酸配列
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGACTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACTGACTACTATATAAACTGGGTGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTGCAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTGCTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGACCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCTTCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAACAATATTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン7H5−B12:
重鎖
核酸配列
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGATGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACATTTACCAATTACAATTTTCACTGGGTAAAGCAGACACCTGGACAGGGCCTGGAATGGATTGGAACATTTTATCCAGTAAATGGTGATACTTCCTACAATCAGAAGTTCGATGGCAAGGCCACAGTGACTGCAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGAGGGGGTACGAGGGCTATGGACTACTGGGGTCAAGGGACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GATGTTTTGATGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGGGCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTATTTAGCATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAACTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAA
クローン9G11−D2:
重鎖
核酸配列
CAGATCCTGCTGCAGCAGTCTGGACCTGACCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACTGACTACTATATACACTGGGTGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAATTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACACCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTACAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン10B8−B8:
重鎖
核酸配列
CAGATCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGACCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCTGGATACACCTTCACTGACTACTATATACACTGGATGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACACCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTGCAAGAAGGAGGGAAGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGTCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGCAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAATTGTTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAGGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン12G8−A9:
重鎖
核酸配列
CAGATCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTACATCTTCACTGACTACTATATACACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTGCAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCATGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGACCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATCACTGTCAGCAATATTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン14G6−C1:
重鎖
核酸配列
CAAATCCAGCTACAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGACTGGGGCTTCAGTGAGGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTTCACCTTCACTGACTCCTATATAAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACAGGGACTTCAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGACAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCTTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAACAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTTTTTCTGTACAAGAAGGAGGGAGGATTCTTTTGACTATTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGACCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCATTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATATTATAGCTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン15G6−E8:
重鎖
核酸配列
CAGATCCAGCTGCAGCAGTCTGGACCTGAGCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATATCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACTGACTACTATATACACTGGGTGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGCGGTAATACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACACATCCTCCAGCACAGTCTACATGCAGCCCAGCAGCCTGACATCTGAGGACATTGCTGTCTATTTCTGTGCAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAACTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTATTTGGCCTGGTACCAGCGGAAGCCAGGGCAGTCTCCTAAACTGTTGATTTACTGGGCATCCAATAGGGAATCTGGGGTCCCCGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTTATAGGTATCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
クローン15A7−A10:
重鎖
核酸配列
CAGATCCTGCTGCAGCAGTCTGGACCTGACCTGGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGATTTCCTGCAAGGCTTCGGGATACACCTTCACTGACAACTATATACACTGGGTGAAGCAGAAGCCTGGACAGGGACTTGAGTGGATTGGATGGATTTATCCTGGAAGTGGTAATGCTAAGTACAATGAGAAATTCAAGGGCAAGGCCACATTGACTGTAGACAGATCCTCCAGCACACCCTACATGCAACTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCTGTCTATTTCTGTACAAGAAGGAGGGAGGATTCCTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCA
軽鎖
核酸配列
GACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTAGCTGTGTCAGTTGGAGAGAAGGTTACTATGAGCTGCAAGTCCAGTCAGAGCCTTTTATATAGTAGCAATCAAAAGAACTACTTGGCCTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAACTGCTGATTTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGAAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTTATAGGTATCCGCTCACGTTCGGCGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAA
【0249】
7.キメラ抗体の構築と発現
重鎖及び軽鎖の可変領域配列断片を増幅し、GibsonAssemblyを介して、完全な抗体の重鎖及び軽鎖を発現させる対応するプラスミドベクターに挿入し、ここで、ヒト重鎖定常領域を含むベクターに重鎖可変領域をクローニングすることにより、哺乳動物細胞に完全なIgG1重鎖を発現させることができる。同様に、ヒト軽鎖定常領域を含むベクターに軽鎖可変領域をクローニングすることにより、哺乳動物細胞に完全なIgGkappa軽鎖を発現させることができる。配列が正しかったプラスミドは、哺乳動物細胞HEK293.6EにCD47候補抗体を瞬時に発現させ、5〜7日後に細胞上清を収集し、濾過して精製した。ProteinAクロマトグラフィーを用いてIgGを精製し、50mMのTris−HCl(pH8.0)と250mMのNaClで洗浄し、結合したIgGを0.1MのGlycine−HCl(pH3.0)で溶出した。濃縮管(Millipore)を用いてタンパク質を限外濾過により濃縮し、PBSに液交換し、IgGの濃度を測定した。
【0250】
キメラ抗体のCD47への結合及び遮断
組換えで発現されるキメラ抗体に対して、ELISA及びFACSによりそれぞれ抗原と細胞レベルでヒトCD47分子結合及びCD47−SIRPα遮断実験を行った。
【0251】
組換えCD47抗原を用いてキメラ抗体のCD47への結合を検出
0.05Mの重炭酸塩緩衝液(pH9.0)を用いて1μg/mlのhCD47抗原を調製し、96ウェルマイクロタイタープレートにウェルあたり100μl加え、4℃で一晩インキュベートした。翌日PBSで3回洗浄し、200μlの2%脱脂粉乳/PBSを用いて室温で2時間ブロッキングし、PBSで3回洗浄し、等比希釈された抗体を50μl加え、室温で1時間インキュベートした後に、PBSTとPBSで3回洗浄した。第2の抗体抗mouse IgG−Fc−HRPを加えて1時間インキュベートし、3回繰り返し洗浄して、発色液(TMB溶液,Sigma,品番:T2885)を50μl加え、37℃で5分間放置した後、直ちに2Mの濃硫酸溶液を50μl加えて反応を終了させ、直ちにマイクロプレートリーダーに入れてOD450値を読み取った(
図6−1)。
【0252】
組換えCD47抗原を用いてCD47−SIRPα結合に対するキメラ抗体の阻害作用を検出
1μg/mlの組換えタンパク質hCD47を一晩被覆し、翌日PBSで3回洗浄して、2%脱脂粉乳/PBS200μlを用いて室温で2時間ブロッキングし、PBSで3回洗浄し、先に等比希釈された異なる濃度のCD47キメラ抗体を50μl加えた。次にビオチン化SIRPα−Fc融合タンパク質を50μl加え、それぞれ室温で1時間インキュベートした後にPBSTとPBSで3回繰り返し洗浄して、第2の抗体(SA−HRP,Jackson Immuno Research,品番:016−030−084)を加え、1時間インキュベートした。3回繰り返し洗浄して、発色液を50μl加え、37℃で5分間放置した後、直ちに2Mの濃硫酸溶液を50μl加えて反応を終了させ、直ちにマイクロプレートリーダーに入れてOD450値を読み取った(
図6−2)。
【0253】
細胞レベルでのCD47に結合するキメラ抗体の生物学的活性を検出
hCD47を発現させる腫瘍細胞CCRF−CEMを選択し、96ウェルU底プレートにウェルあたり5×10
4個の細胞を播き、等比希釈された異なる濃度のCD47キメラ抗体を50μl加えた。4℃で60分間インキュベートした後に、0.5%BSA/PBSで余分な第1の抗体を洗い流し、次に第2の抗体抗mouse IgGFc−AF647溶液を50μl加えた。4℃で45分間インキュベートした後に、0.5%BSA/PBSで余分な第2の抗体を洗い流し、最後に1μg/mlの蛍光色素PIを含有するPBS溶液60μlを用いて細胞を再懸濁させ、直ちにフローサイトメーターにより検出した(
図6−3)。
【0254】
細胞レベルでのCD47−SIRPα結合に対するキメラ抗体の阻害効果の検出
CCRF−CEMを96ウェルU底プレートにウェルあたり5×10
4個の細胞を播き、等比希釈された異なる濃度のCD47キメラ抗体を50μl加え、4℃で30分間インキュベートした後に、1μg/mlのビオチン化SIRPα−Fc融合タンパク質溶液を50μl加え、4℃で30分間インキュベートした後に、0.5%BSA/PBSで余分な第1の抗体を洗い流し、次に第2の抗体SA−PE溶液を50μl加え、最後に1μg/mlの蛍光色素PIを含有するPBS溶液60μlを用いて細胞を再懸濁させ、直ちにフローサイトメーターにより検出した(
図6−4)。実験結果は、構築されたヒト−マウスキメラ抗体が抗原と細胞の両方のCD47に結合できるとともに、CD47−SIRPα受容体及びリガンドの結合を競合的に阻害する生物学的活性を有することを示している。
【0255】
8.抗CD47モノクローナル抗体によるカニクイザルリンパ球の認識
新鮮なサルの血液を4ml収集して50mlの遠心管に入れ、赤血球溶解液を10ml加え、室温で10分間静置し、1200rpmで10分間遠心分離した。PBSを20ml加えて2回洗浄し、2回目の洗浄前に細胞を数え、2x10
5個の細胞/管で細胞の染色を準備した。1200rpmで10分間遠心分離し、100μg/mlのマウスIgGで5〜10分間ブロッキングし、異なる濃度の抗体を加え、氷上で60分間インキュベートした。2回洗浄して余分な第1の抗体を洗い流し、第2の抗体(抗human IgGFc−AF647,Jackson Immuno Research,品番:109−606−170)を加え、氷上で45分間インキュベートし、2回洗浄して余分な第2の抗体を洗い流し、最後に1μg/mlのPI/PBSで細胞を再懸濁させ、フローサイトメーターにより検出した。結果を
図7に示す。
【0256】
9.抗CD47抗体によって媒介される細胞貪食作用
Ficoll(GE healtheare,品番:17−1440−03)を用いて新鮮なヒト血液からPBMC細胞を分離し、ヒトの洗浄されたPBMC細胞の上清を捨て、MACS Bufferを用いて細胞(1x10
7個の細胞/80μL)を再懸濁させ、CD14 MicroBeads human−lyophilized(10^
7個の細胞/20μL)(MACS,品番:130097052)を加え、選別磁気スタンドにより非単核細胞を溶出してから、最後にMACS Bufferで単核細胞を溶出し、RPMI1640培地(40ng/mlのCSF−1を含有する)で培養して誘導しマクロファージとした。
【0257】
1μMのCFSEで標識されたCCRF−CEM細胞をCD47陽性標的細胞として使用し、1×10
5個/ウェルで96ウェルプレートに50μl接種し、次に最終濃度の4倍に希釈した抗体を50μl加えた。そして密度が2.5×10
5個/mlであり、CSF1で7日間誘導され成熟したマクロファージを100μl加え、マクロファージ:CCRF−CEM=1:4とした。37℃のインキュベーターで4時間インキュベートし、最後にフローサイトメーターにより収集された細胞を検出した。結果を
図8に示す。
【0258】
貪食率%=貪食された細胞の数/(貪食された細胞の数+貪食されなかった細胞の数)×100%
【0259】
10.赤血球凝集試験
被験抗体をPBS溶液で倍加希釈して、濃度を10μg/mlとし、96ウェルプレートに異なる希釈倍率の抗体を50μl加え、更に密度が1x10
8個/mlの新鮮な赤血球を50μl加え、室温で数分間静置した後、肉眼で見える凝集粒子が一部の反応ウェルに現れた。顕著な凝集現象が現れていない反応ウェルを2時間放置した後、顕微鏡で赤血球の凝集があるかどうかを確認した。結果を
図9に示す。
【0260】
11.抗体のヒト化
マウスモノクローナル抗体15G6のヒト化は、典型的なCDR移植ポリシーを参照して行った。すなわち、マウス抗15G6の軽、重鎖可変領域CDR配列を、相同性の高いヒト生殖系配列IGKV4−1*01とIGHV1−3*01に移植し、フレームワーク領域4は、マウス抗体との相同性が最も高いIGKJ1*01とIGHJ4*01を選択し、その後、同時にコンピュータを用いて相同性モデリングを行い、逆突然変異部位を設計した。
【0261】
軽、重鎖誘導体に対してそれぞれ遺伝子合成を行い(蘇州泓迅生物科技公司、蘇州金唯智生物科技公司)、抗体kappa鎖定常領域又はヒトIgG1定常領域を含有するベクターにクローニングし、プラスミドをペアリングした後にHEK293.6E細胞をトランスフェクトし、5〜7日間発現させ、上清を取ってProteinAカラム精製を行った。
【0262】
ヒト化抗体の重鎖/軽鎖可変領域配列は以下のとおりである。
【0263】
VH−v1:
核酸配列
CAGATTCAGCTGGTGCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACAAGCAGCAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGATACCGCCGTGTACTTCTGTGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v2:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v3:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCATGACCGTGGACACCAGCATCAGCACCGCCTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v4:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCATGACCAGAGACACCAGCATCAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v5:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCATGACCAGAGACACCAGCATCAGCACCGCCTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v6:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCcctGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v7:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAActgAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v8:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACATTGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v9:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTTCAGTCTGGCGCCGAAGTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACAACTGTCACCGTTAGCTCT
VH−v10:
核酸配列
CAGGTTCAGCTGGTGCAGTCTGGACCCGAGCTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACCAGCACAAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGACACCGCCGTGTACTACTGCGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
VH−v11:
核酸配列
CAGATTCAGCTGGTGCAGTCTGGCGCCGAACTGAAGAAACCTGGCGCCTCTGTGAAGGTGTCCTGCAAGGCTAGCGGCTACACATTCACCGACTACTACATCCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGACAGGGACTTGAATGGATGGGCTGGATCTACCCTGGCAGCGGCAACACCAAGTACAACGAGAAGTTCCAGGGCAGAGTGACCCTGACCGTGGACACAAGCAGCAGCACCGTGTACATGGAACTGAGCAGCCTGAGAAGCGACGATACCGCCGTGTACTTCTGTGCCAGAAGAAGAGAGGACAGCTTCGACTACTGGGGCCAGGGAACACTGGTCACCGTTAGCTCT
Vk−v1:
核酸配列
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGGCCGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAGCCTGCTGTACTCCAGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGAGAAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTACTGGGCCAGCAACAGAGAATCCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGATCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGTTCTACAGATACCCTCTGACCTTCGGCCAGGGCACCAAGGTGGAAATCAAG
Vk−v2:
核酸配列
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGGCCGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAGCCTGCTGTACTCCAGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTACTGGGCCAGCAACAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGATCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGTTCTACAGATACCCTCTGACCTTCGGCCAGGGCACCAAGGTGGAAATCAAG
Vk−v3:
核酸配列
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGactGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAGCCTGCTGTACTCCAGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTACTGGGCCAGCAACAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGATCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGTTCTACAGATACCCTCTGACCTTCGGCCAGGGCACCAAGGTGGAAATCAAG
Vk−v4:
核酸配列
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGGCCGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAGCCTGCTGTACTCCAGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTACTGGGCCAGCAACAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGATCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGTTCTACAGATACCCTCTGACCTTCGGCCAGGGCACCAAGCTGGAAATCAAG
Vk−v5:
核酸配列
GACATCGTGATGACACAGAGCCCTGATAGCCTGGCCGTGTCTCTGGGAGAGAGAGCCACCATCAACTGCAAGAGCAGCCAGAGCCTGCTGTACTCCAGCAACCAGAAGAACTACCTGGCCTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCTCCTAAGCTGCTGATCTACTGGGCCAGCAACAGAGAAAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCTCTGGATCTGGCACCGACTTCACCCTGACAATCAGCTCCCTGCAGGCCGAGGATGTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGTTCTACAGATACCCTCTGACCTTCGGCCAGGGCACCAAGGTGGAACTGAAG
【0264】
12.ヒト化h15G6抗体のCD47への結合及びCD47−SIRPαへの遮断作用
全ての重鎖と軽鎖を真核発現ベクターに構築し、全ての重鎖と軽鎖を互いにペアリングし、瞬時に発現した抗体を用いて親和性検出、受容体リガンド遮断実験を行った結果、ヒト化した抗体のCD47に対する親和性と受容体リガンドに対する遮断能は顕著に変化していないことが示された。さらに赤血球凝集試験を行った結果、
図10に示すとおり、凝血現象が現れなかった。
【0265】
13.ヒト化h15G6抗体の親和性測定
Fortbio、ELISA及びFACSにより抗CD47モノクローナル抗体とヒトCD47分子の親和性を測定した。
【0266】
Fortbioによる親和性測定
ProteinAプローブをそれぞれ5μg/mlの被検抗体で被覆し、組換えタンパク質hCD47を段階希釈し、5μg/ml、2.5μg/ml、1.25μg/ml、0.625μg/ml、0μg/mlの5つの濃度に設定して、Fortbio機器により試料検出を行った。結果を
図11に示す。
【0267】
さらに、ELISA及びFACS法を用いて、抗原レベル及び細胞レベルで、ヒト化抗体がヒトCD47分子に結合できるとともに、受容体リガンドCD47−SIRPαが互いに結合することを阻害する活性を有することを検出した。結果を
図12に示す。
【0268】
14.ヒト化h15G6−IgG4抗体によって媒介される細胞貪食(ADCP)
Ficoll(GE healtheare,品番:17−1440−03)を用いて新鮮なヒト血液からPBMC細胞を分離し、ヒトの洗浄されたPBMC細胞の上清を捨て、MACS Bufferを用いて細胞(10^
7個の細胞/80μL)を再懸濁させ、CD14 MicroBeads human−lyophilized(10^
7個の細胞/20μL)(MACS,品番:130097052)を加え、選別磁気スタンドにより非単核細胞を溶出してから、最後にMACS Bufferで単核細胞を溶出し、RPMI1640培地(40ng/mlのCSF−1を含有する)で培養して誘導し、マクロファージとした。
【0269】
ヒト化h15G6の可変領域を、完全なヒトIgG4抗体の重鎖を発現させるプラスミドベクターに挿入することにより、哺乳動物細胞に発現させてh15G6−IgG4を得た。配列が正しかったプラスミドは、哺乳動物細胞HEK293.6EにCD47候補抗体を瞬時に発現させ、5〜7日後に細胞上清を収集し、濾過して精製した。ProteinAクロマトグラフィーを用いてIgGを精製し、50mMのTris−HCl(pH8.0)と250mMのNaClで洗浄し、結合したIgGを0.1MのGlycine−HCl(pH3.0)で溶出した。濃縮管(Millipore)を用いてタンパク質を限外濾過により濃縮し、PBS溶液に液交換し、IgGの濃度を測定した。
【0270】
1μMのCFSEで標識されたCCRF−CEM細胞を、CD47陽性標的細胞として使用し、1×10
5個/ウェルで96ウェルプレートに50μl接種し、次に最終濃度の4倍に希釈したヒト化h15G6抗体(IgG4)を50μl加えた。そして密度が2.5×10
5個/mlであり、CSF−1で7日間誘導して成熟したマクロファージを100μl加え、マクロファージ:CCRF−CEM=1:4とした。37℃のインキュベーターで4時間インキュベートし、最後にフローサイトメーターにより収集された細胞を検出した。結果を
図13に示す。
【0271】
15.ヒト化h15G6抗体とリツキシマブとの相乗効果
1μMのCFSEで標識されたDaudi細胞を、CD47+標的細胞として使用し、1×10
5個/ウェルで96ウェルプレートに50μl接種し、次に最終濃度の4倍に希釈したヒト化h15G6−IgG4抗体を50μl加えた。そして密度が2.5×10
5個/mlであり、CSF−1で7日間誘導して成熟したマクロファージを100μl加え、マクロファージ:Daudi=1:4とした。37℃のインキュベーターで4時間インキュベートし、最後にフローサイトメーターにより収集された細胞を検出した。結果を
図14に示す。
【0272】
貪食率%=貪食された細胞の数/(貪食された細胞の数+貪食されなかった細胞の数)×100%
【0273】
16.ヒト化h15G6抗体のFc機能試験
抗体依存性細胞によって媒介される細胞毒性作用(ADCC)
適量のエフェクター細胞(NK−92MI−CD16)を用意し、2.5%FBSを含有するRPMI1640培地を用いて細胞を密度4×10
6個/mlに再懸濁させ、同様に、標的細胞(CCRF−CEM)を密度4×10
5個/mlに再懸濁させた。抗体の初期濃度を40μg/mlに設定し、次に10倍等比希釈した。エフェクター細胞50μl(2×10
5個/ウェル)を96ウェルU底プレートに入れ、異なる希釈比率の抗体を25μl加え、37℃、5%CO2のインキュベーターで30分間インキュベートした。インキュベート完了後、標的細胞を25μl(1×10
4個/ウェル)加え、1000rpmで1分間遠心分離し、37℃、5%CO2のインキュベーターで4hインキュベートした。検出の30分前に、ウェルの最も大きい標的細胞に溶解液(10×)を2μl加え、そのまま培養し続けた。30分後に、1000rpmで3分間遠心分離し、細胞上清50μlを黒色のマイクロタイタープレートに入れ、等量のLDHを用いて基質(CytoTox−ONE Homogeneous Membrane Integrity Assay,Promega,品番:G7892)を検出し、軽く振とうして均一に混合した。10分後に、25μlの停止溶液で停止し、10s振とうし、excitation560nm、emission590nmのFluorescence波長を選択して、化学発光を検出した。結果を
図15に示す。
【0274】
補体によって媒介される細胞毒性作用(CDC)
標的細胞(CCRF−CEM)を密度2×10
6個/mlに再懸濁させた。抗体の初期濃度を30μg/mlに設定し、RPMI1640培地で抗体を1:3で等比希釈した。RPMI1640培地で30%補体を調製した。細胞懸濁液50μl(1×10
5個/ウェル)を96ウェルプレートに入れ、異なる希釈濃度の抗体を50μl加え、次に30%に希釈した補体を50μl加え、37℃、5%CO2のインキュベーターで2時間インキュベートした。RPMI培地(0.1%BSAを含有する)で40%CCK8を含有する検出溶液を調製し、細胞−抗体−補体を2時間インキュベートした後、各ウェルにCCK8溶液を50μl加えて染色し、10秒間振とうし、37℃、5%CO2のインキュベーターで4時間インキュベートした。インキュベート完了後、10秒間振とうし、マイクロプレートリーダーを使用して、450nmを検出波長とし、630nmを基準波長としてOD値を読み取った。結果を
図16に示す。
【0275】
17.抗CD47モノクローナル抗体の、CD47ヒト化マウスにおける毒性試験
CD47ヒト化マウスC57BL/6−Cd47
tm1(hCD47)/Bcgen(バイオサイトジェン社,品番:B−CM−021)を用意し、抗体の腹腔内注射法(10mg/kg体重)を用いて2回投与し、群ごとに3匹の被験マウスを設定した。1回目の投与後2、6、9、13日目に被験マウスの血液を採取し、一般的血液検査を行い、7日目に2回目の投与を行い、9、13、18日目に被験マウスに一般的血液検査を行った。結果を
図17に示す。
【0276】
被験マウスの体重結果によると、1回目の投与後は3日目にマウスの体重が減少し始め、6日目にマウスの体重が回復したが、翌日2回目の投与を行ったところ、2回目の投与後3日目にはマウスの体重に明らかに変化はなく、その後11日間にわたってマウスの体重は正常範囲内で安定していた。陽性対照群control2では、CD47抗体の1回目の注射後、3群のマウスはいずれも3日目に死亡し、残りのマウスは正常であった。
【0277】
一般的血液検査及び血液生化学検査結果は
図18に示すとおり、抗CD47モノクローナル抗体の1回目の投与後、ブランク対照群と比較して被験群のマウスは末梢血赤血球数が減少したが、2回目の投与後、赤血球数はほぼ安定し、1週間内にほぼ正常に回復した。
【0278】
18.ヒト化CD47モノクローナル抗体の、ヒトBurkittリンパ腫Raji細胞株皮下異種移植NOD/SCIDマウスモデルにおける抗腫瘍作用
10%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培養液にRaji細胞を培養した。対数増殖期のRaji細胞を収集し、PBSで適切な濃度に再懸濁させ、NOD/SCIDマウス皮下腫瘍接種のためにmatrigelと1:1で混合した。雌マウスの右側に1×10
7個のRaji細胞を皮下接種し、腫瘍の平均体積が89.39mm
3になったとき、腫瘍の大きさに応じてランダムに群分けした。群ごとに6匹のマウスを設定し、治療群のマウスに対して10mg/kgの用量で毎週2回尾静脈注射し、計2週間投与して、腫瘍体積をモニタリングした。腫瘍体積の計算方法は、腫瘍体積(mm
3)=1/2×(a×b
2)(ただしaは長径、bは短径)である。
【0279】
その結果は
図19に示すとおり、投与後9日目に溶媒対照群のマウスは平均腫瘍体積が649.67mm
3に成長したが、治療群は腫瘍がいずれも完全に消失し、腫瘍体積が0mm
3になり、相対腫瘍阻害率は100%に達した。
【0280】
19.ヒト化CD47モノクローナル抗体の、ヒト卵巣癌SKOV−3細胞皮下異種移植NPGマウスモデルにおける抗腫瘍作用
10%ウシ胎児血清を含有するMcCoy’s5a培養液にSKOV−3細胞を培養した。対数増殖期のSK−OV−3細胞を収集し、PBSで適切な濃度に再懸濁させ、NPGマウス皮下腫瘍接種のためにmatrigelと1:1で混合した。雌マウスの右側に1×10
7個のSKOV−3細胞を皮下接種した。腫瘍の平均体積が93.76mm
3になったとき、腫瘍の大きさに応じてランダムに群分けした。群ごとに6匹のマウスを設定し、治療群のマウスに対して10mg/kgの用量で毎週3回尾静脈注射し、計4週間投与して、腫瘍体積をモニタリングした。腫瘍体積の計算方法は、腫瘍体積(mm
3)=1/2×(a×b
2)(ただしaは長径、bは短径)である。
【0281】
その結果は
図20に示すとおり、最終投与後2日目に、溶媒対照群のマウスは平均腫瘍体積が190.53mm
3になったが、治療群の腫瘍体積は1209.74mm
3であった。溶媒対照群と比較して、相対腫瘍抑制率は36.51%であり、顕著な腫瘍抑制効果を示した(p値は0.0211)。
【0282】
20.ヒト化CD47モノクローナル抗体の、ヒト前骨髄球性白血病細胞HL−60皮下異種移植NPGマウスモデルにおける抗腫瘍作用
10%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培養液にHL−60細胞を培養した。対数増殖期のHL−60細胞を収集し、PBSで適切な濃度に再懸濁させ、NPGマウス皮下腫瘍接種のためにmatrigelと1:1で混合した。雌マウスの右側に1×10
7個のHL−60細胞を皮下接種した。腫瘍の平均体積が107.9mm
3になったとき、腫瘍の大きさに応じてランダムに群分けした。群ごとに6匹のマウスを設定し、治療群のマウスに対して3mg/kg、10mg/kgの用量で2週間投与した。1週目は3回、2週目は2回投与して、腫瘍体積をモニタリングした。腫瘍体積の計算方法は、腫瘍体積(mm
3)=1/2×(a×b
2)(ただしaは長径、bは短径)である。
【0283】
その結果は
図21に示すとおり、投与後14日目に、溶媒対照群のマウスは平均腫瘍体積が1734.22mm
3になり、10mg/kgと3mg/kgの治療群の平均腫瘍体積はそれぞれ0mm
3と107.13mm
3であった。治療群は、10mg/kgと3mg/kgの2つの用量でいずれも顕著な腫瘍阻害効果を示し、相対腫瘍阻害率TGI(%)はそれぞれ100%と96.78%であった。
【0284】
21.ヒト化CD47モノクローナル抗体の、CD47が高度に発現した肺癌PDXマウスモデルにおける抗腫瘍作用
肺癌患者の腫瘍組織の異種移植担癌マウスモデルから腫瘍組織を取り、直径2〜3mmの腫瘍塊に切り分け、NPGマウスの右前肩甲骨に皮下接種した。平均腫瘍体積が102.97mm
3になったとき、腫瘍の大きさに応じてランダムに群分けした。群ごとに6匹のマウスを設定し、治療群のマウスに対して1mg/kg、3mg/kgの用量で毎週2回尾静脈注射し、計3週間投与して、腫瘍体積をモニタリングした。腫瘍体積の計算方法は、腫瘍体積(mm
3)=1/2×(a×b
2)(ただし、aは長径、bは短径)である。
【0285】
その結果は
図22に示すとおり、3mg/kgの治療群は顕著な腫瘍阻害作用を示し、終点での相対腫瘍阻害率TGI(%)が88.62%であった。1mg/kgの治療群は、投与終了後も顕著な腫瘍阻害作用を示さず、終点での相対腫瘍阻害率TGI(%)は10.71%であった。
【0286】
22.繰り返し静脈注射することによりカニクイザルに投与されたヒト化CD47モノクローナル抗体の毒性探索試験
本試験は、4匹のカニクイザル(雌雄半分ずつ)をランダムに2群に分け、それぞれ高用量群、低用量群とした。毎週1回投与し、計5回、すなわち、D1、D8、D15、D22及びD29にそれぞれ投与した。各群の動物の投与量と濃度は以下の表に示すとおりである。静脈注射により、投与量は10ml/kgであった。
【0287】
【表1】
【0288】
試験期間中、すべての動物に死亡や瀕死状態は見られなかった。2群の動物の臨床観察、体重、体温、心電図、凝血機能等は、いずれも投与に関連する指標に変化を示さなかった。試験期間中、2群の動物の血球数指標をそれぞれの薬物投与前の値と比較すると、主な変化は赤血球関連指標(RBC、HGB、HCT)の減少であった。具体的には、初回投与(D1)の2〜4h後、各治療群の動物はRBC、HGB及びHCTが顕著に減少し、その後D2〜D7は減少し続けた。2回目の投与(D8)の2〜4h後、上記指標は低下し続け、最も低いレベルまで下がったが、その後回復し、それ以降は投与するたびに(3〜5回)いずれも上記指数の低下とその後の回復が見られた。試験期間中、HGBは、いずれも90g/L以下までは低下しなかった。投薬停止後、各群の動物のRBC、HGB、HCTは顕著な回復傾向を示し、最終投与(D60)の31日後、試験品の低用量群と高用量群の動物のRBC、HGB、HCTは、ほぼ回復した。
【0289】
23.毒物動態試験
カニクイザルの後肢の静脈から約1mlの血液を採取し、血液試料に抗凝血剤を加えず、採取後2h以内に血清を分離した。血中濃度検出は、ヒトCD47抗原を被覆するELISA法を用い、二次検出抗体をAnti−Human IgG(Fc specific)−Peroxidase antibody produced in goatとした。Winnonlinソフトウェアを使用して薬物動態パラメータを算出し、以下の表に示す。
【0290】
【表2】
本明細書において使用されるとき、抗体の「抗体断片」又は「抗原結合断片」は、全長未満であるが、抗原に結合する抗体の可変領域の一部(例えば、1つ以上のCDR及び/又は1つ以上の抗体結合部位)を少なくとも含有し、したがって、結合特異性及び全長抗体の特異的結合能の少なくとも一部を保持する全長抗体の任意の部分を指す。したがって、抗原結合断片は、抗体断片が由来する抗体と同一の抗原に結合する抗原結合部分を含有する抗体断片を指す。抗体断片は、全長抗体の酵素的処理によって産生された抗体誘導体と、合成的に、例えば、組換えによって産生された誘導体とを含む。抗体は、抗体断片を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、Fd、及びFd’断片、並びに修飾断片を含めたその他の断片を含むが、これらに限定されない(例えば、Methods in Moleculer Biology,Vol 207:Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols (2003);Chapter 1;p3−25,Kipriyanovを参照)。上記断片は、例えば、ジスルフィド結合によって、及び/又はペプチドリンカーによって一緒に連結している複数の鎖を含むことができる。抗体断片は、一般的に、少なくとも又は約50個のアミノ酸、通常、少なくとも又は約200個のアミノ酸を含有する。抗原結合断片は、抗体フレームワーク中に挿入された場合に(対応する領域を置換することなどによって)、抗原に免疫特異的に結合する(すなわち、少なくとも又は少なくとも約10
のKaを示す)抗体をもたらす任意の抗体断片を含む。「機能的断片」又は「抗CD47抗体の類似体」は、リガンドに結合するか又はシグナル伝達を開始する上記受容体の能力を抑制するか又は実質的に低下させることができる断片又は類似体である。本明細書において使用されるとき、機能的断片は、一般的に「抗体断片」と同義であり、そして抗体に関しては、リガンドに結合するか又はシグナル伝達を開始する上記受容体の能力を抑止するか又は実質的に低下させることができる、F
二量体の表面上で標的結合部位を決定する。全体として、上記6つのCDRsは、インタクト抗体に標的結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は標的に特異的な3つのCDRsのみを含むF
本明細書において使用されるとき、抗体又はその抗原結合断片に関して、用語「特異的に結合する」又は用語「免疫特異的に結合する」は、本明細書において交換可能に使用され、抗体又は抗原結合断片の、抗体と抗原の抗体結合部位との間の非共有結合相互作用によって、同族抗原と1つ以上の非共有結合を形成する能力を指す。上記抗原は、単離された抗原であってもよく、腫瘍細胞中で存在してもよい。通常、抗原に免疫特異的に結合する(又は特異的に結合する)抗体は、約1×10
M若しくはそれ以下の解離定数(Kd))で上記抗原に結合する。親和性定数は、抗体反応の標準的動力学的方法、例えば、免疫測定、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka (2000) Curr. Opin. Biotechnol 11:54;Englebienne (1998) Analyst. 123:1599)、等温滴定熱量測定法(ITC)又は本分野で周知のその他の動力学的相互作用測定によって測定することができる(例えば、Paul, ed., Fundamental Immunology, 2nd ed., Raven Press, New York, pages 332−336 (1989)を参照。さらに、抗体の結合親和性を算出するための例示的SPR及びITC法の説明については、米国特許第7,229,619号を参照)。結合速度のリアルタイム検出及びモニタリングのための装置及び方法は周知であり、市販されている(例えば、BiaCore 2000,Biacore AB,Upsala,Sweden and GE Healthcare Life Sciences; Malmqvist (2000) Biochem. Soc. Trans. 27:335を参照)。
ヒトSIRPαcDNAプラスミド(Sino Biological,品番:HG11612−M)をテンプレートとし、自己構築された、マウスIgG2aFc断片を有する真核発現プラスミドシステムにクローニングし、このプラスミドでHEK293.6E細胞を5〜7日間トランスフェクトした後、培地上清を収集し、ProteinAアフィニティーカラムにより精製して、組換えヒトSIRPα−Fc融合タンパク質を得た。1mgのSIRPα−Fc融合タンパク質をPBSで濃度1mg/mlに調節し、EZ−LinkSulfo−NHS−LC−LC−Biotin(Thermofisher,品番:21338)試薬を1mg秤量し、150μLのdd
で速やかに溶解し、溶解したSulfo−NHS−LC−LC−Biotin試薬13.2μLをタンパク質溶液に加え、上下を反転させて均一に混合した。氷上で2時間インキュベートし、反応終了後、タンパク質を10000ダルトン(Da)の限外濾過管に移し、濃縮してPBSに液交換し、OD280を測定して、r−streptavidin(PrimeGene社,品番:1005−01)を用いてタンパク質のビオチン化効率を検出し、その後にタンパク質を分注して保存した。結果をそれぞれ
ヒトCD47組換えタンパク質又はhCD47−CHO−1B10細胞を抗原として等量の免疫アジュバント(フロイントアジュバント)と混合し、群ごとに6匹の6〜8週齢の雌性Balb/cマウスを免疫した。初回免疫の2週間後、追加免役を行った。3回の免疫後、眼窩から採血して血清の力価を検出した。融合する前に、1x10
個のhCD47−CHO安定形質転換細胞をショック免疫のために尾静脈注射した。3日後、頸椎脱臼によってマウスを殺し、マウスの脾臓と一部の末梢リンパ節をDMEM培地で粉砕して遠心分離し、上清を捨て、脾臓細胞塊を軽く崩し、5mlの赤血球溶解液を加え、50s溶解した後、DMEMを40ml加えて遠心分離し、赤血球を含まない脾臓細胞懸濁液を得た。適量のリンパ節及び脾臓細胞の懸濁液とSP2/0を混合して、BTXエレクトロフュージョン装置を用いて細胞融合を行った。融合細胞を96ウェルプレートに播種し、HATを含むDMEM完全培地中に、5%
のインキュベーターで4hインキュベートした。検出の30分前に、ウェルの最も大きい標的細胞に溶解液(10×)を2μl加え、そのまま培養し続けた。30分後に、1000rpmで3分間遠心分離し、細胞上清50μlを黒色のマイクロタイタープレートに入れ、等量のLDHを用いて基質(CytoTox−ONE Homogeneous Membrane Integrity Assay,Promega,品番:G7892)を検出し、軽く振とうして均一に混合した。10分後に、25μlの停止溶液で停止し、10s振とうし、excitation560nm、emission590nmのFluorescence波長を選択して、化学発光を検出した。結果を
個/mlに再懸濁させた。抗体の初期濃度を30μg/mlに設定し、RPMI1640培地で抗体を1:3で等比希釈した。RPMI1640培地で30%補体を調製した。細胞懸濁液50μl(1×10
のインキュベーターで2時間インキュベートした。RPMI培地(0.1%BSAを含有する)で40%CCK8を含有する検出溶液を調製し、細胞−抗体−補体を2時間インキュベートした後、各ウェルにCCK8溶液を50μl加えて染色し、10秒間振とうし、37℃、5%
のインキュベーターで4時間インキュベートした。インキュベート完了後、10秒間振とうし、マイクロプレートリーダーを使用して、450nmを検出波長とし、630nmを基準波長としてOD値を読み取った。結果を