(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
−テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)の組み合わせと、経口送達システムとを含む液体組成物、対象における疼痛、炎症及び/又は不安を治療する方法;及び液体組成物を経口的に投与するステップ、並びに特定の関連遺伝子の発現を下方制御又は上方制御するステップを含む、対象の心拍数を制御する方法に関する。
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体組成物又は請求項10に記載の食品の有効量をそれを必要とする対象に経口的に投与するステップを含む、疼痛、炎症及び/又は不安を治療する方法。
THC:CBDの重量比が1以上:1であるTHCとCBDの組み合わせに、細胞を接触させるステップを含む、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5遺伝子(CCL5、配列番号4に示される)の発現を下方制御する及び/又は小脳変性症関連タンパク質2遺伝子(CDR2、配列番号2に示される)の発現を下方制御する及び/又はカンナビノイド受容体2遺伝子(CNR2、配列番号3に示される)の発現を上方制御する及び/又はインターロイキン8遺伝子(CXCL8、配列番号1に示される)の発現を上方制御する及び/又はアドレナリン受容体β2遺伝子(ADRB2、配列番号5に示される)の発現を上方制御する方法。
THC:CBDの重量比が1:1.2以上であるTHCとCBDの組み合わせに、細胞を接触させるステップを含む、インターロイキン8遺伝子(CXCL8、配列番号1に示される)の発現を下方制御する及び/又はケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5遺伝子(CCL5、配列番号4に示される)の発現を上方制御する及び/又はカンナビノイド受容体2遺伝子(CNR2、配列番号3に示される)の発現を上方制御する及び/又はアドレナリン受容体β2遺伝子(ADRB2、配列番号5に示される)の発現を上方制御する方法。
細胞をTHCとCBDとの組み合わせに接触させるステップを含む、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及びインターロイキン−15(IL−15)又はそれらの組み合わせから選択される、炎症に関連するバイオマーカーの濃度に影響を与える方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、組成物、方法、及び用途などの特に例示される実施形態に限定されず、もちろん変動してもよいことが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限を意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0021】
本明細書で引用されてもよい全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が本明細書に参照により援用される。
【0022】
本明細書では、特許明細書、その他の外部文書、又はその他の情報源が参照されている場合、これは、一般に、本発明の特徴を論じるための文脈を提供することを目的としている。特に明記されていない限り、このような外部文書への言及は、このような文書、又はこのような情報源が、いかなる管轄区においても、先行技術であること、又はその当該技術分野の一般常識の一部をなすことを認めるものと解釈されるべきではない。
【0023】
「投与する」という用語は、治療される障害及び/又は病状に罹患している又はそのリスクがある対象に、組成物を提供することを指す。
【0024】
「有効量」とは、対象に投与されたとき、効果を達成する量の組成物が提供されるのに、十分な量を意味する。治療法の場合、この効果は、疼痛、炎症及び/又は不安の治療、又は対象の心拍数制御であってもよい。したがって、「有効量」は「治療的有効量」であってもよい。「治療的有効量」とは、対象に投与されたとき、疾患、障害及び/又は病状の治療、又は疾患、障害及び/又は病状の症状の治療量の組成物が提供されるのに、十分な量を意味する。
【0025】
本明細書の用法では、用語「治療する(treating)」、「治療(treatment)」、「治療する(treat)」などは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得るために、対象(例えば、患者)、組織又は細胞に影響を与えることを意味する。効果は、疾患又は関連症状を完全に又は部分的に予防し又は重症度を軽減する観点から予防的であってもよく、及び/又は疾患の部分的な又は完全な治癒の観点から治療的であってもよい。したがって、例えば、炎症を「治療する」への言及は、(a)疾患の進行の阻止、例えば、症状の悪化又は合併症を経時的に予防すること;(b)炎症の影響を軽減又は改善する、すなわち、炎症の少なくとも1つの症状又は合併症の改善をもたらすこと;(c)炎症の追加的な症状又は合併症の発生を予防すること;及び/又は(d)炎症又は炎症関連症状が対象に発生するのを防ぐことを包含してもよい。したがって、別の例では、疼痛を「治療する」への言及は、(a)疼痛の重症度が増加するのを防ぐこと;(b)対象が経験する疼痛の重症度を軽減又は改善すること;(c)疼痛の発生源からの拡散を防ぐこと;及び/又は(d)対象における疼痛の発生を防止又は遅延させることを包含してもよい。したがって、さらなる例では、不安を「治療する」ことへの言及は、(a)例えば、対象の心拍数の増加を防ぐことによって、不安の重症度が増加するのを防ぐこと;(b)例えば、対象の心拍数を低下させることによって、短期的及び/又は長期的に対象が経験する不安の重症度を軽減又は改善すること;(c)不安に関連する追加的な症状の発症を防ぐこと;及び/又は(d)対象における不安の発生を防止又は遅延させることを包含してもよい。
【0026】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の用法では、文脈上例外が明記されていない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「脂肪酸」及び/又は「少なくとも1つの脂肪酸」への言及は、1つ又は複数の脂肪酸などを含んでもよい。
【0027】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明は、本明細書に記載されるものと同様の又は同等の任意の材料及び方法を使用して実施又は試験され得るが、次に、好ましい材料及び方法を説明する。
【0028】
名詞に続く「(s)」という用語は、単数形又は複数形、或いはその双方を考察する。
【0029】
「及び/又は」という用語は、「及び」又は「又は」を意味し得る。
【0030】
文脈上別段の必要がない限り、本明細書で言及される全ての百分率は、組成物の重量百分率である。
【0031】
文脈上別段の必要がない限り、本明細書で言及される全ての量は、重量による量であることが意図される。
【0032】
本発明の様々な特徴は、特定の値又は値の範囲を参照して説明される。これらの値は、様々な適切な測定技術の結果に関連することが意図され、したがってあらゆる特定の測定手法に固有の誤差限界を含むものと解釈されるべきである。本明細書で言及される値のいくつかは、この変動性を少なくとも部分的に考慮するために、「約」という用語で表記される。「約」という用語は、値を記述するのに使用される場合、値の±25%、±10%、±5%、±1%又は±0.1%以内の量を意味してもよい。
【0033】
「含む(comprising)」という用語は、包括的意味で使用され、すなわち、記載された特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在又は追加を排除するものではない。この用語を含む本明細書の記述を解釈する際に、各記述においてこの用語によって前置される特徴は全て、存在する必要があるが、その他の特徴もまた存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprised)」などの関連用語もまた、同一様式で解釈されるべきである。
【0034】
化合物又は組成物への添加剤の形態の文脈における「薬学的に許容可能」という用語は、化合物又は組成物への添加剤の形態が、薬学的意味での使用に適することを意味することを意図している。したがって、薬学的に許容可能な形態及び/又は添加剤は、それらが本明細書に記載の組成物中に存在する量では、対象にとって無毒である。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、栄養補給食品組成物である。薬学的に許容可能な任意の成分は、栄養補給食品用途にも適することが理解されるであろう。
【0035】
化合物又は組成物への添加剤の形態の文脈における「獣医学的に許容可能」という用語は、化合物又は組成物への添加剤の形態が、獣医学的意味での使用に適することを意味することを意図している。したがって、獣医学的に許容可能な形態及び/又は添加剤は、それらが本明細書に記載の組成物中に存在する量では、非ヒト対象にとって無毒である。
【0036】
化合物の形態又は組成物への添加剤の文脈での「栄養補助食品的に許容可能」という用語は、組成物への添加剤の化合物の形態が、栄養補助食品的意味での使用に適することを意味することを意図している。したがって、栄養補助食品的に許容可能な形態及び/又は添加剤は、それらが本明細書に記載の組成物中に存在する量では、対象にとって無毒である。全ての薬学的に許容可能な形態及び添加剤は、典型的には、栄養補助食品的にも許容可能であることが理解されよう。
【0037】
「カンナビノイド」という用語は、本明細書の用法で、内在性カンナビノイドシステムが関与する活性を有する任意の化合物に関する。
【0038】
「植物性カンナビノイド」という用語は、大麻植物に由来するものであれ、又は合成的に作製されたものであれ、大麻植物の抽出物中に報告されているカンナビノイドを指す。
【0039】
「カンナビノイド画分」という用語は、大麻抽出物に存在するカンナビノイドの組み合わせを記述するために使用される。
【0040】
本明細書で開示される範囲の数字(例えば、1〜10)のへの言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)への言及もまた包含し、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2〜8、1.5〜5.5、及び3.1〜4.7)、ひいては本明細書で明示的に開示される全ての範囲の全ての部分的な範囲が開示されることが意図される。これらは、具体的に意図されるものの単なる例であり、列挙される最低値と最高値の間の全ての可能な数値の組み合わせは、同様に、本出願で明示的に記載されるものと見なされるべきである。
【0041】
実施形態の説明
本発明は、Δ
9−テトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)の組み合わせ、及び経口送達システムを含む液体組成物を提供する。
【0042】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の液体組成物の対象への経口投与が、双方のカンナビノイドの十分な生物学的利用能を達成して対象に生物学的応答を提供しながら、いかなる顕著な観察された有害事象ももたらさないことを見いだした。
【0043】
THCは大麻の主な向精神性成分であり、その主要な薬理学的効果としては、鎮痛、筋弛緩、制吐、食欲刺激、精神活性などが挙げられる。THCは、CB1受容体及びCB2受容体双方の部分作動薬である。CB1受容体でのTHC活性が、主にその向精神作用に関与するとされる。CB1受容体が、主に脳内をはじめとする中枢神経系で発現される一方で、CB2受容体は、典型的には末梢神経系内を含めた全身で発現される。また、THCは向精神薬効力が十分に立証されていることから、吸入及び経口投与をはじめとする様々な形態で投与された際に、血液脳関門を通過し得ることが知られている。
【0044】
THCの活性に関する最近のデータのほとんどは、ヒト内在性カンナビノイドシステムに焦点を当てている。しかし、本発明以前には、イヌ又はネコなどのコンパニオン動物によるTHCの摂取はTHCの毒性をもたらし、その結果、次のような症状をはじめとするTHCの毒性が生じることが一般的に想定されていた:
・喘ぎ(イヌの場合)、不安、極度の興奮
・瞳孔の拡大、生気のない目(glossy−eyes)、及び「茫然自失」の外観
・極度の無気力状態
・よろめき、つまずき、バランスを崩したり失ったりせずに歩くことができない
・流涎及び嘔吐
・下痢(特にペットが高脂肪の食物、カンナバター、又は油を摂取した場合)
・膀胱のコントロール不能
・異常な心拍数及び血圧。
【0045】
CBDは、カンナビスサティバ(Cannabis sativa)植物の抽出物中に存在する、主要な非向精神性カンナビノイドであり、場合によっては、植物の遺伝的性質及び採用されている抽出技術次第で、抽出物の最大40%を構成する。動物実験及びヒト実験の双方で、CBDの薬物動態及び薬物動力学が非常に複雑であることが示唆されている。CBDは、内在性カンナビノイドシステム(ECS)内のCB1及びCB2内在性カンナビノイド受容体の双方で動作し、アナンダミドを分解する酵素である脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)を抑制することによって、内在性カンナビノイドシグナル伝達(アナンダミド)を間接的に刺激するようである。重要なことに、これは、より多くのアナンダミドが受容体に留まることを可能にし、これは抗不安薬及び抗鬱薬様の効果を誘発する。カンナビノイド受容体でのこの間接的な作動薬特性もまた、その有望な安全性プロファイルを説明してもよい。さらに、CBDは、バニロイド、アデノシン、及びセロトニン受容体にもまた作用することが示されており、抗不安作用、抗鬱作用、神経保護作用、抗炎症作用、及び免疫調節作用をはじめとする、動物モデル及びヒトにおける幅広い潜在的な治療特性を説明する。
【0046】
組み合わせて使用されるTHCとCBDは、生物学的応答を最大化するなど、いくつかの適応症の治療において相乗的に作用すると考えられている。CBDは、中毒症、鎮静、及び頻脈などのTHCのいくつかの望ましくない効果に拮抗する一方で、鎮痛、制吐、及び抗発がん性の特性に寄与することが実証されている。したがって、本発明の液体組成物はTHCとCBDの組み合わせを含み、これらの2つの活性カンナビノイドの有益な協力を利用する。
【0047】
本発明の組成物は、液体形態である。液体形態の組成物は、錠剤などのその他の剤形と比較して、対象の要件に応じて投与量がより容易に調節されてもよいので、好ましいこともある。さらに、液体形態の組成物は、非ヒト対象などの固体組成物を嚥下できないこともある対象への経口投与にも好ましいこともある。したがって、液体組成物は、医薬組成物、獣医学的組成物及び/又は栄養補給食品組成物であってもよい。液体組成物は、典型的には、経口送達システム中のカンナビノイドの溶液及び/又は懸濁液である。
【0048】
また、驚くべきことに、本発明の液体組成物を投与することが、対象の遺伝子発現プロファイル(実施例4)及び炎症性バイオマーカー濃度(実施例5)に影響を与えることが見いだされた。さらに、遺伝子の発現は、組成物に含有されるTHC:CBDの比率に応じて驚くほど異なっていた(
図20〜26を参照されたい)。
【0049】
したがって、いくつかの実施形態では、液体組成物は、CBDと比較したTHCの重量比として、より高い量を含む。このような液体組成物は、本明細書で「高THC組成物」と称されてもよい。これらの実施形態におけるTHC:CBDの重量比は、1:1を上回ってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、THC:CBDの重量比は、約1.01:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1、95:1、99:1以上であってもよい。THC:CBDの重量比は、限定されることなく、これらのいずれかの比率から任意のその他の比率までであってもよい。例えば、THC:CBDの重量比は、約1.01:1〜約99:1、約1.01:1〜約10:1又は約1.1:1〜約3:1であってもよい。
【0050】
驚くべきことに、高THC組成物の投与は、処置後72時間でCDR2の下方制御を示し、投与後1.5時間及び72時間でCXCL8の上方制御を示し、これは、ビヒクル(対照)の投与後、又はCBDと比較してより低い比率のTHCを含む組成物の投与後に得られた結果とは、有意に異なっていた。
【0051】
その他の実施形態では、液体組成物は、CBDと比較したTHCの重量比として、より低い量を含む。別の言い方をすれば、これらの実施形態では、液体組成物は、THCと比較したCBDの重量比として、より高い量を含んでいる。このような液体組成物は、本明細書で「高CBD組成物」と称されてもよい。これらの実施形態では、THC:CBDの重量比は、1:1.2以上であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、THC:CBDの重量比は、約1:1.2、1:1.21、1:1.25、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6:、1:1.7:、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4:、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:95、1:99以下であってもよい。THC:CBDの重量比は、限定されることなく、これらのいずれかの比率から任意のその他の比率までであってもよい。例えば、THC:CBDの重量比は、1:1.2〜約1:99、約1:1.3〜約1:10又は約1:1.4〜約1:5であってもよい。
【0052】
驚くべきことに、THCと比較してより高い比率のCBDを含む液体組成物の投与は、処置後1.5時間及び72時間のCCL5の上方制御、処置後1.5時間のCDR2の下方制御、2:1のTHC:CBD組成物の投与後よりも高いレベルでの治療後1.5時間のCNR2の上方制御、投与後1.5時間及び72時間のCXCL8の下方制御及び3倍を超えるADRB2の上方制御を示した。さらに、驚くべきことに、炎症性バイオマーカーGM−CSF及びIL−15の濃度は、対照及び高THC組成物の投与と比較して、高CBD組成物で上昇した。
【0053】
THC及びCBDは、大麻植物からの分離及び抽出のアーチファクトであると考えられており、それらの天然の生合成前駆体は、それぞれ、Δ
9−テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)及びカンナビジオール酸(CBDA)である。分析的にも、THCA及びCBDAは脱炭酸THC及び脱炭酸CBDに分解する傾向があるため、正確な濃度を検出することは困難である。いくつかの実施形態では、液体組成物は、脱炭酸THC及び脱炭酸CBDの非天然量を含む。いくつかの実施形態では、液体組成物は、約0.5mg/ml未満のTHCA及び/又はCBDAを含む。
【0054】
一般に、カンナビノイドが大麻抽出からアクセスされる場合、例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、又は超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)技術に関連する条件など、分析条件下での脱炭酸の防止が困難なため、THCとTHCAの濃度、そして同様にCBDとCBDAの濃度は合わせて報告される。文脈上別段の必要がない限り、本明細書で言及される任意の量のTHCは、THCとTHCAの合計量を指すものとして読み取られてもよい。文脈上別段の必要がない限り、本明細書で言及される任意の量のCBDは、CBDとCBDAの合計量を指すものとして読み取られてもよい。さらに、文脈上別段の必要がない限り、上記のTHC:CBDの相対量は、いくつかの実施形態では、CBDとCBDAの合計量と比較したTHCとTHCAの合計量を指してもよい。いくつかの実施形態では、液体組成物は、THC、THCA、CBD及びCBDAの組み合わせを含んでもよい。THC、THCA、CBD、及びCBDAの構造は、下の表1に示される。
【0056】
組成物は、任意の有効量のTHCを含んでもよい。いくつかの実施形態では、THCの最小量は、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%又は0.5%であってもよい。いくつかの実施形態では、THCの最大量は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%又は0.6%以下であってもよい。組成物は、例えば、約0.01%〜約10%又は約0.1%〜約1%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量のTHCを含んでもよい。
【0057】
組成物は、任意の有効量のCBDを含んでもよい。いくつかの実施形態では、CBDの最小量は、少なくとも約0.01%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%又は0.5%であってもよい。いくつかの実施形態では、CBDの最大量は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%又は0.6%以下であってもよい。組成物は、例えば、約0.01%〜約10%又は約0.1%〜約1%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量のCBDを含んでもよい。
【0058】
組成物中に存在するTHC及びCBDは、天然又は合成の供給源から、又は半合成の供給源を含む組み合わせの供給源から提供されてもよい。天然の供給源から提供されるカンナビノイドは、単離され、精製され、次に混ぜ合わされてもよい。代案としては、大麻植物の抽出物(例えば、THC、THCA、CBD、及びCBDAの1つ又は複数が濃縮されている抽出物)を使用して、カンナビノイドが提供されてもよい。合成又は半合成又は単離された天然のTHC、THCA、CBD及び/又はCBDAを大麻抽出物に添加して、これらのカンナビノイドのいずれかで抽出物が富化されてもよい。これらの混合物は、当該技術分野で公知の任意の手段によって調製されてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせに加えて、液体組成物は、1つ又は複数の追加的なカンナビノイドを含む。1つ又は複数の追加的なカンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビノール(CBN)、及びカンナビクロメン(CBC)から選択されてもよい。その他の実施形態では、これらの追加的なカンナビノイドのいずれかの量は、約1%、0.7%又は0.5%以下であってもよく、又は組成物は、これらの追加的なカンナビノイドのいずれか又は全てを含まなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせは、大麻抽出物の形態で提供される。
【0061】
現在までに、100を超えるカンナビノイドが大麻抽出物中で同定されている。これらのカンナビノイドの包括的なリストは、Mahmoud A. El Sohly and Waseem Gul,“Constituents of Cannabis Sativa”In Handbook of Cannabis Roger Pertwee(Ed.)Oxford University Press(2014)(ISBN:9780199662685)に見られ得る。大麻植物中で同定されているカンナビノイドとしては、カンナビゲロール(E)−CBG−C5、カンナビゲロールモノメチルエーテル(E)−CBGM−C5 A、カンナビゲロール酸A(Z)−CBGA−C5 A、カンナビゲロバリン(E)−CBGV−C3、カンナビゲロール酸A(E)−CBGA−C5 A、カンナビゲロール酸Aモノメチルエーテル(E)CBGAM−C5 A及びカンナビゲロバリン酸A(E)−CBGVA−C3 A;(±)−カンナビクロメンCBC−C5、(±)−カンナビクロメン酸A CBCA−C5 A、(±)−カンナビバリクロメン、(±)−カンナビクロメバリンCBCV−C3、(±)−カンナビクロメバリン酸A CBCVA−C3 A;(−)−カンナビジオールCBD−C5、カンナビジオールモノメチルエーテルCBDMC、カンナビジオール−C4 CBD−C4、(−)−カンナビジバリンCBDV−C3、カンナビジオルコールCBD−Cl、カンナビジオール酸CBDA−C5、カンナビジバリン酸CBDVA−C3;カンナビノジオールCBND−C5、カンナビノジバリンCBND−C3;Δ9−テトラヒドロカンナビノールΔ9−THC−C5、Δ9−テトラヒドロカンナビノール−C4Δ9−THC−C4、Δ9−テトラヒドロカンナビバリンΔ9−THCV−C3、Δ9−テトラヒドロカンナビオルコールΔ9−THCO−Cl、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸AΔ9−THCA−C5 A、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸BΔ9−THCA−C5 B、Δ9−テトラヒドロカンナビノール酸−C4 A及び/又はBΔ9−THCA−C4 A及び/又はB、Δ9−テトラヒドロ−カンナビバリン酸AΔ9−THCVA−C3 A、Δ9−テトラヒドロカンナビオルコール酸A及び/又はBΔ9−THCOA−Cl A及び/又はB、(−)−Δ8−トランス−(6aR,10aR)−Δ8−テトラヒドロカンナビノールΔ8−THC−C5、(−)−Δ8−トランス−(6aR,10aR)−テトラヒドロカンナビノール酸AΔ8−THCA−C5 A、(−)−(6aS,10aR)−Δ9−テトラヒドロカンナビノール(−)−シス−Δ9−THC−C5;カンナビノールCBN−C5、カンナビノール−C4 CBN−C4、カンナビバリンCBN−C3、カンナビノールC2 CBN−C2、カンナビオルコールCBN−Cl、カンナビノール酸A CBNA−C5 A、カンナビノールメチルエーテルCBNM−C5、(−)−(9R,10R)−トランス−カンナビトリオール(−)−トランス−CBT−C5、(+)−(9S,10S)−カンナビトリオール(+)−トランス−CBT−C5、(±)−(9R,10S/9S,10R)−カンナビトリオール(±)−シス−CBT−C5、(−)−(9R,10R)−トランス−10−O−エチル−カンナビトリオール(−)−トランス−CBT−OEt−C5、(±)−(9R,10R/9S,10S)−カンナビトリオール−C3(±)−トランス−CBT−C3、8,9−ジヒドロキシ−Δ6a(10a)−テトラヒドロカンナビノール8,9−Di−OH−CBT−C5、カンナビジオール酸AカンナビトリオールエステルCBDA−C5 9−OH−CBT−C5エステル、(−)−(6aR,9S,10S,10aR)−9,10−ジヒドロキシヘキサヒドロカンナビノール、カンナビリプソール、カンナビリプソール−C5、(−)−6a,7,10a−トリヒドロキシ−Δ9−テトラヒドロカンナビノール(−)−カンナビテトロール、10−オキソ−Δ6a(10a)テトラヒドロカンナビノール(OTHC);(5aS,6S,9R,9aR)−カンナビエルソインCBE−C5、(5aS,6S,9R,9aR)−C3−カンナビエルソインCBE−C3、(5aS,6S,9R,9aR)−カンナビエルソイン酸A CBEA−C5 A、(5aS,6S,9R,9aR)−カンナビエルソイン酸B CBEA−C5 B;(5aS,6S,9R,9aR)−C3−カンナビエルソイン酸B CBEA−C3 B、カンナビグレンドール−C3 OH−イソ−HHCV−C3、デヒドロカンナビフランDCBF−C5、カンナビフランCBF−C5、(−)−Δ7−トランス−(1R,3R,6R)−イソテトラヒドロカンナビノール、(±)−Δ7−1,2−シス−(1R,3R,6S/1S,3S,6R)−イソテトラヒドロカンナビバリン、(−)−Δ7−トランス−(1R,3R,6R)−イソテトラヒドロカンナビバリン;(±)−(laS,3aR,8bR,8cR)−カンナビシクロールCBL−C5、(±)−(1aS,3aR,8bR,8cR)−カンナビシクロール酸A CBLA−C5 A、(±)−(laS,3aR,8bR,8cR)−カンナビシクロバリンCBLV−C3;カンナビシトランCBT−C5;カンナビクロマノンCBCN−C5、カンナビクロマノンC3 CBCN−C3、及びカンナビクマロノンCBCON−C5が挙げられる。
【0062】
大麻抽出物中に存在する任意のカンナビノイドの重量の合計は、本明細書ではカンナビノイド画分と称されてもよい。カンナビノイド画分は典型的には、大麻抽出物に存在する化合物の大部分を占めている。いくつかの実施形態では、大麻抽出物は、最大量が約97%、96%、95%、94%、90%、80%、70%又は60%のカンナビノイド画分を含む。カンナビノイド画分の最小量は、少なくとも約15%、20%、30%、40%、又は50%であってもよい。大麻抽出物は、例えば、約15%〜約97%又は約50%〜約94%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでのカンナビノイド画分を含んでもよい。
【0063】
カンナビノイド画分に加えて、大麻抽出物は、テルペン及びテルペノイド、ステロールなどのフィトステロール、トリグリセリド、アルカン、スクアレン、トコフェロール、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノール、カンフラビン、及びアルカロイドをはじめとする、多種多様な二次代謝産物もまた含んでもよい。これらの二次代謝産物の混合物は、大麻品種、抽出された大麻植物の部分、抽出方法、抽出物の処理、及び季節をはじめとする、いくつかの要因によって変動する。いくつかの実施形態では、大麻抽出物は、最大約20%、15%、10%、6%又は5%の最大量の非カンナビノイド画分を含んでもよい。大麻抽出物は、少なくとも約0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%又は3%の最小量の非カンナビノイド画分を含んでもよい。大麻抽出物は、例えば、約0.001%〜約20%又は約0.1%〜約6%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでの量の非カンナビノイド画分を含んでもよい。
【0064】
大麻植物にはいくつかの種類があり、2つの異なる命名規則の下で記述されている。これらの規則の1つは、大麻植物の3つの異なる種、すなわちカンナビス・サティバ・リンネウス(Cannabis sativa Linnaeus)、カンナビス・インディカLAM.(Cannabis indica LAM.)、及びカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)を同定する。別の規則では、全ての大麻植物が大麻(Cannabis sativa)L.種に属するものとして同定され、様々な品種が、大麻(Cannabis sativa)亜種sativa及び亜種indicaをはじめとする、いくつかの亜種に分類されている。本明細書の用法では、「大麻」という用語は、これらの植物品種のいずれか及び全てを指す。
【0065】
大麻抽出物は、当該技術分野で公知の任意の手段によって調製されてもよい。抽出物は、大麻植物の任意の部分から形成されてもよい。抽出物は、葉、種子、毛状突起、花、キーフ、シェイク、蕾、茎、又はそれらの組み合わせに、抽出剤を接触させることによって形成されてもよい。例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールなど)、水、炭化水素(例えば、ブタン、ヘキサンなど)、油(例えば、オリーブ油、植物油など)、極性有機溶媒(例えば、酢酸エチル、ポリエチレングリコールなど)又は超臨界流体(例えば、液体CO
2)をはじめとする、当該技術分野で公知の任意の適切な抽出剤が使用されてもよい。抽出剤は、大麻抽出物を組成物への組み込み前に完全に又は部分的に除去されてもよく、又はそれは組成物に含まれてもよく、いくつかの実施形態では、経口送達システムの一部をなしてもよい。抽出剤は、任意選択的に減圧下(例えば、真空下)で、抽出物を加熱することによって除去されてもよい。揮発性のより高い植物代謝物(テルペンなど)のいくつかもまた、抽出剤と共に除去されてもよく、いくつかのカンナビノイドは、カンナビノイド酸(例えば、THCA又はCBDA)の脱炭酸のように、加熱下で分解されてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、抽出剤を除去することは、抽出物のカンナビノイド画分を濃縮してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、抽出物を濾紙又は微細な篩(例えば、孔径5μmの篩)に通過させることによって、抽出物が濾過されて、粒子状物質が除去される。
【0066】
いくつかの実施形態では、大麻抽出物は、植物材料に熱と圧力を加えることによって形成される。典型的に、これらの実施形態では抽出剤は必要でない。
【0067】
経口送達システム
液体組成物は、経口送達システムを含む。経口送達システムは、1つ又は複数の薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な担体を含み、それが対象に経口投与されることを可能にする様式で、THC及びCBDを可溶化し又は懸濁させる。
【0068】
組成物は、大量の経口送達システムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%又は96%の経口送達システムの最小濃度を含む。組成物は、約99.99%、99.9%、99.5%、99%、98.5、98%、97.5%、97%又は96.5%の経口送達システムの最大濃度を含んでもよい。組成物中の脂肪酸成分の濃度は、例えば、約40%〜約99.99%又は約75%〜約98%など、これらの最小値のいずれかからこれらの最大値のいずれかまでであってもよい。
【0069】
経口送達システムは、好ましくは全液体成分を含む。いくつかの実施形態では、経口送達システムは、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、脂肪酸(任意選択的に油の形態)、乳化剤、及び水又はそれらの組み合わせから選択される液体成分を含む。
【0070】
適切な乳化剤としては、カチオン性、アニオン性、両性イオン性、及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、乳化剤は、以下のグループから選択されてもよい:硫酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、アルキルカルボン酸塩、レシチン、四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール(PEG)、アルキル化脂肪酸及び/又は脂肪酸エステル、ポリオール(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート及びソルビタントリステアレートなど)の脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、エトキシル化アミン、エトキシル化脂肪酸アミド、ポロクサマー、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、40、60又は80又はツイーン20、40、60又は80)、PEG化油(例えば、ポリオキシル35ヒマシ油)、及びそれらの組み合わせ。
【0071】
THCとCBDはどちらも脂溶性であるため、いくつかの実施形態では、経口送達システムは脂肪酸を含む。脂肪酸は、グリセリドなどの遊離酸又はエステルの形態であってもよい。したがって、「脂肪酸」への言及は、遊離脂肪酸及びそのエステルを含むことが理解されよう。脂肪酸エステルとしては、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドなどのグリセリルエステルが挙げられる。ジグリセリド及び/又はトリグリセリドに含まれる脂肪酸残基は、同一又は異なってもよく、本明細書に記載の脂肪酸のいずれかから選択されてもよい。
【0072】
脂肪酸は、飽和及び不飽和脂肪酸又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0073】
不飽和脂肪酸は、1〜n/2の二重炭素−炭素結合を含んでもよく、ここで、nは、脂肪酸側鎖の炭素原子の数である。典型的には、不飽和脂肪酸は、1〜10個の二重炭素−炭素結合を含む。二重炭素−炭素結合は、シス又はトランスであってもよい。典型的には、二重炭素−炭素結合はシスである。
【0074】
脂肪酸は、
・2〜6個の炭素原子を含む短鎖脂肪酸(SCFA)(カルボキシル炭素を含む);
・7〜13個の炭素原子を含む中鎖脂肪酸(MCFA)(カルボキシル炭素を含む);
・14〜22個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸(LCFA)(カルボキシル炭素を含む);及び/又は
・例えば、23〜100個の炭素原子などの23個以上の炭素原子を含む超長鎖脂肪酸(VLCFA)(カルボキシル炭素を含む)
であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分は、MCFA、LCFA又はそれらの組み合わせを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、脂肪酸成分は、酪酸(4:0);カプロン酸(6:0);カプリル酸(8:0);カプリン酸(10:0);ウンデカン酸(11:0);ラウリン酸(12:0);トリデカン酸(13:0);ミリスチン酸(14:0);ミリストレイン酸(14:1);ペンタデカン酸(15:0);シス−10−ペンタデカン酸;シス−10−ペンタデセン酸;パルミチン酸(16:0);パルミトレイン酸(16:1n−9);ヘキサデセン酸(16:1);ヘキサデカジエン酸(16:2);マルガリン酸/ヘプタデカン酸(17:0);シス−10−ヘプタデカン酸;シス−10−ヘプタデセン酸;マルガロレイン酸(17:1);ステアリン酸(18:0);バクセン酸(18:1);オレイン酸(18:1);エライジン酸(18:1);リノール酸(LA;18:2);リノレエライジン酸(18:2n−6);α−リノレン酸(ALA)及びγ−リノレン酸(GLA)をはじめとするリノレン酸(18:3);オクタデカトリエン酸(18:3);ステアリドン酸(SDA;18:4n−3);アラキジン酸(20:0);ガドレイン酸(20:1n−11)、ゴンドウ酸(20:1n−9)及びパウリン酸(20:1n−7)をはじめとするエイコセン酸(20:1);エイコサジエン酸(20:1n−6);シス−11、14、17−エイコサトリエン酸;シス−8、11、14−エイコサトリエン酸;エイコサテトラエン酸;アラキジン酸(AA;20:0);エイコサペンタエン酸(20:5n−3);ヘンイコシル酸(21:0);ベヘン酸(22:0);鯨油酸/エルカ酸(22:1n−9);ジコサジエン酸(22:2n−6);ドコサペンタン酸/ドコサペンタエン酸(DPA;22:5);ドコサヘキサエン酸(DHA;22:6n−3);トリコシル酸(23:0);リグノセリン酸(24:0);及びネルボン酸(24:1n−9)からなる群から選択される、1つ又は複数の脂肪酸を含む。
【0077】
脂肪酸成分は、天然由来であっても又は合成的に製造されていてもよい(すなわち非天然)脂肪酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、液体組成物は、非天然源からの少なくとも1つの脂肪酸を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、脂肪酸は、食用油の形態で提供される。いくつかの実施形態では、食用油は、亜麻仁油、麻種子油、魚油、ココナツ油、カカオ脂、パーム核油、パーム油、綿実油、コムギ胚芽油、大豆油、オリーブ油、コーンオイル、ヒマワリ油、紅花油、キャノーラ油、ゴマ油、落花生油、ローズマリー油、アニス油、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、脂肪酸成分は、本明細書に記載の油のいずれかなどの2、3、4又はそれ以上の油の組み合わせを含む。
【0079】
少なくとも1つのMCFAを含むトリグリセリドは、本明細書で中鎖トリグリセリド(MCT)と称されてもよい。いくつかの実施形態では、経口送達システムは、MCTを含む。これらの実施形態では、MCTは、本明細書でMCT油と称される、MCFAを含む油の形態で提供されてもよい。MCT油は、本発明の組成物中で投与された場合をはじめとして、対象に投与された場合に、有利には一連の健康上の利点と関連している。
【0080】
経口送達システムが脂肪酸を含むいくつかの実施形態では、組成物は抗酸化剤をさらに含み、脂肪酸の酸化が遅延又は防止されてもよい。適合性の任意の抗酸化剤が、含まれていてもよい。抗酸化剤は、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、トコフェロール、及び五環式トリテルペン酸(オーストラリア国仮特許出願第2019901093号明細書に記載されるものなど)又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0081】
組成物は、安定化量の抗酸化剤を含んでもよい。安定化量とは、脂肪酸成分の酸化を遅延させるのに有効な量である。
【0082】
いくつかの実施形態では、抗酸化剤の最小濃度は、少なくとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%又は0.1%であってもよい。いくつかの実施形態では、抗酸化剤の最大濃度は、約20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%又は5%以下であってよい。組成物は、例えば、約0.0001%〜約20%又は約0.05%〜約6%など、これらの最小濃度のいずれかからこれらの最大濃度のいずれかまでの濃度の抗酸化剤を含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、THC及びCBD以外のさらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分を含んでもよい。任意の適合性の活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、さらなる活性成分は、抗炎症薬、鎮痛剤、アヘン剤、抗痙攣剤、抗生物質、抗蠕虫薬(anti−helmintic)、ステロイド及びホルモン、麻酔薬、鎮静剤、抗潰瘍、制吐剤、精神安定剤、抗寄生虫薬、気管支拡張剤、充血除去剤、還流薬物療法、解熱剤、利尿剤、抗寄生虫薬、止痒(antiprutitic)剤、及び交感神経様作用薬のいずれか1つ又は複数から選択されてもよい。
【0084】
存在する場合、さらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分は、投与後に対象に適切な用量を提供するのに十分な治療的に有用な量で含まれる。したがって、組成物は、さらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分の有効量を含んでもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、それぞれのさらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分は、少なくとも約0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%又は0.05%の最小量で存在する。いくつかの実施形態では、それぞれのさらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分は、約10%、5%、1%又は0.5%以下の最大量で存在する。組成物は、それぞれが、例えば、約0.0001%〜約10%又は約0.01%〜約1%など、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでのさらなる活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分を含んでもよい。
【0086】
THC及びCBDなどの本明細書に記載される様々な化合物への言及は、関連する化合物、及びその薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な塩、互変異性体、及び溶媒和化合物を含む。
【0087】
様々な化合物は、薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な塩として提供されてもよい。薬学的及び獣医学的に許容可能な塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルキルアンモニウムなどの薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な陽イオンの塩;塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸などの薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な無機酸の酸付加塩;酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、サリチル酸、スルファニル酸(sulphanilic)、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、吉草酸、及びオロチン酸などの薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な有機酸の塩が挙げられる。アミン基の塩(存在する場合)はまた、アミノ窒素原子がアルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル部分などの適切な有機基を保有する、四級アンモニウム塩もまた含む。
【0088】
塩は、化合物の遊離塩基形態を1つ又は複数の当量の適切な酸と反応させることなどによって、従来の手段によって形成されてもよい。
【0089】
薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な塩への言及は、その溶媒付加形態又は結晶形態、特に溶媒和化合物又は多形体を含むものと理解されるべきである。
【0090】
「互変異性体」は、化合物の別の構造異性体と平衡状態にある化合物の構造異性体である。この平衡は、典型的には、熱力学によって駆動され、従来の技術では、互変異性を示す化合物の互変異性体を1つだけ分離することは不可能である。本発明の化合物のいずれかが互変異性体を示す範囲で、本発明は、様々な化合物とその誘導体の全ての互変異性体を含むことが意図される。
【0091】
化合物は、水、エタノールなどの許容可能な溶媒を含む、非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在してもよい。溶媒和化合物は、化学量論的量又は非化学量論的量の溶媒を含有する。水和物は、溶媒が水である場合に形成される。アルコラートは、溶媒がアルコールである場合に形成される。一般に、溶媒和形態は、本明細書で提供される組成物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であると見なされる。
【0092】
液体組成物は、薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な添加剤をさらに含んでもよい。添加剤は、1つ又は複数の着色剤、増量剤、賦形剤、結合剤、保存料、香料、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤及び可溶化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。添加剤は、米国薬局方/国民医薬品集(USP/NF)、英国薬局方(BP)、欧州薬局方(EP)、日本薬局方(JP)、又は中国薬局方(ChP)に含まれる任意の添加剤であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、非天然(例えば、合成的に製造された)であってもよい添加剤を含む。
【0093】
液体組成物は、薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品の配合の技術分野で周知のものなどの技術に従って配合されてもよい(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,2005,Lippincott Williams & Wilkins及び/又はVeterinary pharmacology and therapeutics,Riviere,J.(Ed.);Papich,Mark G.,(Ed.);Wiley−Blackwell;2017を参照されたい)。
【0094】
薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品組成物は、単位用量剤形で調製されてもよい。このような形態では、組成物は、適切な量の成分を含有する単位用量に細分化される。単位用量剤形は、個別の量の調整物を含有するパッケージ化された調整物であり得る。調製物は、溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤、チンキ剤であってもよく、又は溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤又はチンキ剤で満たされたカプセルであってもよい。
【0095】
本明細書に記載の薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品組成物を調製するために、薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品的に許容可能な添加剤は、固体又は液体のどちらかであり得る。固体添加剤の場合、これらは、組成物が液体形態で提供されるように、液体組成物の液体成分内で可溶性及び/又は分散性でなければならない。
【0096】
本発明の液体組成物は、無菌であってもよい。滅菌液体形態組成物としては、無菌の溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられる。
【0097】
典型的には、組成物の投与は、経口投与である。組成物は、任意の適切な形態で、経口投与のために製剤化されてもよい。例えば、経口投与のための組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤、シロップ剤の1つ又は複数の液体形態に製剤化され、又は溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤、シロップ剤、チンキ剤又はそれらの組み合わせで充填されたカプセル剤に製剤化されてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、投与単位形態は、カプセル剤であってもよい。カプセル剤を形成するために、典型的には、成分は薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な賦形剤(例えば、担体)の1つ又は複数と組み合わされて液体組成物が提供され、それは次にカプセルシェル内に封入される。硬質及び軟質カプセルシェルをはじめとする、当該技術分野で公知の任意の適切なカプセルシェルが使用されてもよい。適切な硬質カプセルシェルは、ゼラチン、HPMC、デンプン、プルラン及び/又はポリ酢酸ビニル(PVA)を含んでもよい。適切な軟質カプセルは、ポリオール(例えば、グリセリン又はソルビトール)などの増粘剤で増粘されたゼラチンを含んでもよい。上述したように、カプセルシェルは、溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤、シロップ剤、又はそれらの組み合わせなどの本明細書に記載の剤形のいずれかで充填されてもよい。
【0099】
様々なその他の材料がコーティングとして、そうでなければ投与単位の物理的形態を変更するために、存在してもよい。例えば、カプセルはシェラック、砂糖、又はその双方でコーティングされてもよい。もちろん、任意の投薬単位形態を調製する際に使用される任意の材料は、薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能であり、使用される量では実質的に無毒でなければならない。さらに、液体組成物は、徐放性製剤及び調合物に組み込まれてもよい。
【0100】
また、使用直前に希釈することが意図される製剤もまた含まれる。このような場合、本発明の液体組成物の濃縮形態(例えば、経口送達システムの全部又は一部を欠く形態)が、使用直前に液体担体(経口送達システムなど)で希釈されてもよい。代案としては、本発明の液体組成物は、使用直前に液体担体でさらに希釈されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明の液体組成物は、食品に組み込まれる。したがって、別の態様では、本発明の液体組成物を含む食品が提供される。食品は液体に限定されないことが、理解されるであろう。適切な食品としては、ベイクド製品をはじめとする固形食品及び飲料などの液状食品が挙げられる。組成物は、製造中に食品に組み込まれてもよく、又は既存の製品に添加されてもよい。したがって、本明細書で開示される食品は、少なくとも1つの安全であると一般に認められる(GRAS)成分をさらに含んでもよい。GRAS成分は、米国食品医薬品局(FDA)が管理するGRASデータベースに含まれる任意の成分であってもよい。いくつかの実施形態では、食品は、犬用ビスケットなどの動物用おやつである。
【0102】
食品は機能性食品であってもよく、その中で、食品は、薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に活性の成分もまた含む。上記の活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分のいずれでも、機能性食品に含まれてもよい。活性薬学、獣医学及び/又は栄養補給食品成分は、組成物の一部として含まれてもよく、又は機能性食品に別々に組み込まれてもよい。
【0103】
薬学的、獣医学的及び/又は栄養補助食品的に許容可能な担体及び/又は希釈剤としては、あらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤などが挙げられる。
【0104】
必要に応じて、活性成分の徐放性を与えるように適合された製剤が採用されてもよい。さらに、液体組成物は、自己乳化型薬物送達システム(SEED)、脂質ベースの薬物送達システム(LBDDS)及び/又は自己マイクロ乳化型薬物送達システム(SMEDDS)を提供するように調合されてもよい。
【0105】
本発明の実施は、別段の指示がない限り、当業者の技術の範囲内の従来の製薬及び/又は医療技術を採用する。このような技術は熟練した当業者にはよく知られており、文献で十分に説明されている。
【0106】
本発明の液体組成物を調製する方法もまた、提供される。方法は、
・THCと液体担体とを含む、THC溶液を調製するステップ;
・CBDと液体担体とを含む、CBD溶液を調製するステップ;及び
THC溶液のアリコートをCBD溶液のアリコートと組み合わせて、THCとCBDの組み合わせを含む液体組成物を提供するステップ
を含む。
【0107】
典型的には、THC溶液は第1の濃度のTHCを含み、CBD組成物は第2の濃度のCBDを含む。第1及び第2の濃度は、所定の濃度であってもよく、又は分析技術によって評価されてもよい。GC、HPLC、及びUPLCをはじめとする、任意の適切な分析技術が用いられてもよい。
【0108】
この方法に従って液体組成物を調製することによって、THC:CBDの最終比率の制御が可能になる。THC又はCBDのいずれかが大麻植物材料の抽出によって得られる場合、THC又はCBDの濃度は抽出物毎に変動することもある。THC及びCBDの供給源に関係なく、この方法は、アリコートの量の調整を可能にして、液体組成物中のTHC及びCBDの最終比率を確実にする。
【0109】
THC及び/又はCBD組成物の液体担体は、経口送達システムを含んでもよい。本明細書に記載の任意の経口送達システムが使用されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、方法は、液体組成物の希釈をさらに含む。液体組成物は、経口送達システムで希釈されてもよい。本明細書に記載の任意の経口送達システムが使用されてもよい。
【0111】
この方法によって製造される液体組成物は、本明細書に記載の液体組成物のいずれかであってもよい。
【0112】
治療の方法
本発明の液体組成物を使用して、内在性カンナビノイドシステムに関連する、任意の疾患、障害又は病状が治療されてもよい。THC及びCBD療法は、以下の疾患、障害、及び病状の1つ又は複数の治療に有用であることが示されている:疼痛管理−術後、関節炎、がん、神経障害性、傷害、不安緩和、てんかん治療、胃腸の健康状態、皮膚の健康の改善−アトピー性皮膚炎、掻痒感、食欲刺激、緩和ケア、抗炎症性、緑内障の緩和、関節及び骨健康の改善、睡眠の補助、OCDをはじめとする神経系のサポート、鬱病、片頭痛、自閉症、アレルギー(例えば、接触アレルギー、食物アレルギー又はその他のアレルギー)、嘔吐及び悪心の軽減、筋肉痙攣の抑制を助ける、恐怖症の管理、行動障害の管理、認知機能障害の管理、がん増殖の減少、細菌/真菌の殺滅又は増殖遅延、血糖レベル及び脂肪酸の不均衡の減少。
【0113】
特に、本発明は、疼痛、炎症及び/又は不安を治療する方法を提供する。方法は、本発明の液体組成物の有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。本明細書に記載される本発明の液体組成物のいずれでも、これらの方法に採用されてもよい。
【0114】
本発明の方法で治療される疼痛は、侵害受容性疼痛、心因性疼痛、及び/又は神経障害性疼痛であってもよい。侵害受容性疼痛は、感覚神経終末(又は侵害受容器)の刺激に関連している。心因性疼痛は、疼痛障害をもたらす心理的要因に関連している(他の物理的原因による疼痛が除外された場合に診断されることが多い)。神経障害性疼痛は、末梢神経系(PNS)又は中枢神経系(CNS)の損傷又は機能不全に関連している。カンナビノイド受容体(例えば、CB1受容体及びCB2受容体)は、PNS及びCNSで発現されることが報告されている。治療される疼痛は、内在性カンナビノイドシステムに関連する、任意の疼痛であってもよい。
【0115】
本発明の方法で治療される炎症は、内在性カンナビノイドシステムの活性に関連する任意の形態の炎症であってもよい。炎症は、局所的又は全身的であってもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、炎症は、症状であるか、又は疾患及び/又は障害を引き起こしてもよい。疾患及び/又は障害は、変形性関節症(osteoarthrisis)(OA)、リウマチ様関節炎(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、非放射線性軸性脊椎関節炎(nr−axSpA)、特発性関節炎、前側膝疼痛、凍瘡、慢性再発性多巣性骨髄炎、線維筋痛症、家族性地中海熱(FMF)、痛風、成長痛、血色素症(haemochromatosic)関節炎、局所性強皮症、ループス、リウマチ性多発筋痛症、反応性関節炎、ロスリバー熱、強皮症、シーバー病、シェーグレン症候群及び脊椎関節炎、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0117】
本方法において治療される不安は、内在性カンナビノイドシステムに関連する、又は炎症性疾患及び/又は障害、及び/又は疼痛などの内在性カンナビノイドシステムに関連する対象の疾患及び/又は病状の経験に関連する、任意の形態の不安であってもよい。不安は、全般性不安又は特定の不安(例えば、恐怖症、音又は旅行への不安、分離不安など)であってもよい。不安は、ヒト及び非ヒト動物の双方によって経験される。例えば、イヌの場合、不安の軽減の1つの尺度は心拍数である。驚くべきことに、CBDと比較してより低い量のTHCを含む本発明の実施形態では、対象の平均心拍数が治療期間にわたって低下することが見いだされた。
【0118】
方法は、本発明の液体組成物の有効量を投与するステップを含む。有効量は、対象の症状の重症度及び種類、対象の病歴、対象の身体的属性(体重、性別など)、投与される医薬組成物に含まれる活性成分の特定の組み合わせをはじめとする多くの要因に基づいて当業者によって決定されてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも約0.001mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.12mg/kg、0.15mg/kg又は0.2mg/kgのTHCの最小用量を提供する液体組成物が対象に投与される。対象に提供されるTHCの最大用量は、約10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.25mg/kg又は0.24mg/kg以下であってもよい。対象に投与されるTHCの用量は、例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kg又は約0.12mg/kg〜約0.24mg/kgなど、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでであってもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、少なくとも約0.001mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.12mg/kg、0.15mg/kg又は0.2mg/kgのCBDの最小用量を提供する液体組成物が対象に投与される。対象に提供されるCBDの最大用量は、約10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、0.4mg/kg、0.3mg/kg、0.25mg/kg又は0.24mg/kg以下であってもよい。対象に投与されるCBDの用量は、例えば、約0.001mg/kg〜約10mg/kg、約0.01mg/kg〜約1mg/kg、約0.1mg/kg〜約0.3mg/kg又は約0.12mg/kg〜約0.24mg/kgなど、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでであってもよい。
【0121】
上記のTHC及びCBDの用量のいずれもが、限定されることなく組み合わされてもよく、例えば、組成物に含有されるTHC:CBDの比率に基づいて決定されてもよい。
【0122】
本発明の液体組成物は、食物の有無にかかわらず投与されてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、投与の前に少なくとも約3、6、8、10又は12時間絶食される。その他の実施形態では、液体組成物は、食物を摂取してから約0.5時間、1時間又は2時間以内に投与されてもよい。
【0123】
方法は、少なくとも2つの活性成分、すなわちTHC及びCBDを任意選択的に、さらなる活性成分と共に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、THC及びCBDが同一液体組成物に製剤化される一方で、これらの方法のいくつかの実施形態では、活性化合物を同時に、別々に、又は連続して投与するステップを伴ってもよい。同時にとは、活性成分のそれぞれが、同一組成物中で同時に投与されることを意味する。別々にとは、活性成分のそれぞれが、異なる組成物中で、任意選択的に異なる投与経路で同時に投与されることを意味する。連続的にとは、組成物及びさらなる活性成分のそれぞれが、任意選択的に異なる投与経路によって、おそらくは異なる時点で、別々に投与されることを意味する。典型的には、活性成分が連続して投与される場合、それらは、互いに24時間以内に、又は12、8、6、5、4、3、2、又は1時間以内に投与される。THCは、CBDの前又は後に投与されてもよい。
【0124】
THC及びCBDは、治療される疾患、障害、及び/又は病状に基づいて、必要に応じて1日1、2、3、4回又はそれ以上投与されてもよい。典型的には、組成物は、1日1回又は1日2回(BID)投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、ピークTHC血漿濃度は、投与後約3、2、1.5、又は1時間以内に達成されてもよい。ピークTHC血漿濃度は、投与後少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、又は0.67時間後に発生してもよい。ピークTHC血漿濃度は、投与後約0.2時間〜約3時間、又は投与後約0.67時間〜約1.5時間で達成されてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、ピークCBD血漿濃度は、投与後約3、2、1.5、又は1時間以内に達成されてもよい。ピークCBD血漿濃度は、投与後少なくとも約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、又は0.67時間後に発生してもよい。ピークCBD血漿濃度は、投与後約0.2時間〜約3時間、又は投与後約0.67時間〜約1.5時間で達成されてもよい。
【0127】
組成物からのTHC及びCBDの吸収は、同時に投与された場合でも独立していると見なされてもよい一方で、いくつかの実施形態では、THC及びCBD双方のピーク血漿濃度が、約0.5、0.4、0.3又は0.2時間以内に達成される。
【0128】
いくつかの実施形態では、達成されたピークTHC血漿濃度(C
max)は、約19ng/mL〜約71.3ng/mLであった。驚くべきことに、THCは投与の72時間後に、対象の血液中で検出可能であることが観察された。したがって、いくつかの実施形態では、THC血漿濃度は、少なくとも約0.11ng/ml、0.22ng/mL、0.28ng/ml、0.34ng/ml、0.47ng/ml、0.58ng/ml、1.48ng/ml、1.91ng/ml、10.5ng/ml、71.3ng/mLであってもよい。達成される血漿THC濃度は、例えば、約0.11ng/ml〜約71.3ng/ml、約0.22ng/mL〜約0.58ng/mL、約1.48ng/mL〜約10.5ng/mL、約0.47ng/mL〜約1.91ng/mL、又は約0.11ng/mL〜約0.46ng/mLなど、これらの濃度のいずれかからその他の濃度のいずれかまでであってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、達成されたピークCBD血漿濃度(C
max)は、約5ng/mL〜約69ng/mLであった。驚くべきことに、CBDは投与後72時間まで、対象の血液中で検出可能であることが観察された。したがって、いくつかの実施形態では、CBD血漿濃度は、少なくとも約0.23ng/mL、0.26ng/mL、0.28ng/mL、0.46、ng/mL、0.76ng/mL、0.88ng/mL、5.74ng/mL、69ng/mLであってもよい。達成される血漿CBD濃度は、例えば、約0.23ng/ml〜約69ng/ml、約0.76ng/mL〜約5.74ng/mL、約0.11ng/mL〜約0.46ng/mL又は約0.23ng/mL〜約0.88ng/mLなど、これらの濃度のいずれかからその他の濃度のいずれかまでであってもよい。
【0130】
本明細書に記載されるTHC及び/又はCBDの血漿濃度のいずれも、限定されることなく、少なくとも約6時間、12時間、18時間、24時間、32時間、又はより長い時間、投与後に維持されてもよい。
【0131】
血漿濃度に加えて、投与された活性成分の曲線下面積(AUC)を計算することもまた有用である。いくつかの実施形態では、イヌ対象に、0.24mg/kgのCBDと組み合わせて0.12mg/kgのTHCの用量を投与した後のTHC濃度のAUCは、例えば、約95〜約100など、約90〜約110であってもよい。イヌ対象に、0.12mg/kgのCBDと組み合わせて0.24mg/kgのTHCの用量を投与した後のTHC濃度のAUCは、例えば、約150〜約160など、約145〜約170であってもよい。いくつかの実施形態では、イヌ対象に、0.24mg/kgのTHCと組み合わせて0.12mg/kgのCBDの用量を投与した後のCBD濃度のAUCは、例えば、約35〜約45など、約30〜約50であってもよい。イヌ対象に、0.12mg/kgのTHCと組み合わせて0.24mg/kgのCBDの用量を投与した後のCBD濃度のAUCは、例えば、約100〜約105など、約95〜約110であってもよい。これらのAUCの結果は、THC及びCBDはどちらも、本発明の液体組成物の経口投与後に測定可能な血漿濃度を達成することを示す。驚くべきことに、0.24mg/kgのTHCと0.12mg/kgのCBD投与後におけるTHCのAUCは、0.12mg/kgのTHCと0.24mg/kgのCBD投与後におけるTHCのAUCの2倍未満である。同様に、0.12mg/kgのTHCと0.24mg/kgのCBDの投与後に達成されたCBDのAUCは、0.24mg/kgのTHCと0.12mg/kgのCBDの投与後に達成されたCBDのAUCの2倍超であることが、驚くべきことに見いだされた。THC及びCBD双方の生物学的利用能におけるこの相対的改善は、本発明の高CBD組成物の経口吸収の観点から相乗効果を示唆する。
【0132】
治療される対象は、ヒト又は非ヒト対象であってもよい。非ヒト対象は、内在性カンナビノイドシステムを保有する任意の動物であってもよい。内在性カンナビノイドシステムは、全ての脊椎動物にわたり、並びに一部の無脊椎動物でも高度に保存されていると考えられている。本明細書で使用される「動物」という用語は、コンパニオン動物、食料生産動物、及び動物園の動物を含むが、これらに限定されるものではない。コンパニオン動物としては、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、及びウマが挙げられる。食料生産動物としては、畜牛、ヤギ、ヒツジ、家禽、鶏、及びブタが挙げられる。動物園の動物としては、サル、ゾウ、キリン及びその他の有蹄動物、クマ、マウス、及びその他の小型哺乳類が挙げられる。典型的には、対象はイヌ又はネコであり、最も典型的にはイヌである。
【0133】
別の態様では、本発明は、対象の心拍数を制御する方法を提供する。方法は、本発明の液体組成物の有効量を対象に経口的に投与するステップを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、心拍数を制御することは、経口投与後の一定期間にわたり対象の平均心拍数を低下させることを意味する。これらの実施形態では、液体組成物は、高CBD組成物であってもよい。
【0135】
液体組成物は、本明細書に記載の有効量のいずれかで投与さされてもよい。したがって投与後のTHC及びCBDの薬物動態プロファイルは、本明細書に記載の任意の血漿濃度プロファイルであってもよい。
【0136】
いくつかの実施形態では、心拍数を制御することは、投与後の一定期間にわたり、平均的な心臓(average heart)の上昇を防ぐことを意味する。
【0137】
投与後の時間は、例えば、最大で約72時間など、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、18、20、24時間以上であってもよい。
【0138】
また、本明細書には、別個のパート
(a)THC及び経口送達システムを含む液体組成物;及び
(b)CBD及び経口送達システムを含む液体組成物
を含むパートキットも開示されている。
【0139】
パート(a)及びパート(b)の経口送達システムは、本明細書に記載の任意の経口送達システムであってもよい。典型的には、パート(a)及びパート(b)の経口送達システムは同じである。いくつかの実施形態では、パート(a)及び(b)を組み合わせて、本発明の液体組成物が提供されてもよい。
【0140】
遺伝子発現
本発明の一態様は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(CCL5、配列番号4に示される)、小脳変性症関連タンパク質2(CDR2、配列番号2に示される)、カンナビノイド受容体2(マクロファージ)(CNR2、配列番号3に示される)、インターロイキン8(CXCL8、配列番号1に示される)、及びアドレナリン受容体β2(ADRB2、配列番号5に示される)から選択される、1つ又は複数の遺伝子の発現を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、これらの遺伝子の全ての発現が、これらの方法において調節されてもよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法は、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせと細胞との接触は、THCとCBDの組み合わせを対象に投与することによって達成され得る。
【0143】
THCとCBDの組み合わせは、本明細書に記載の液体組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。液体組成物は、本明細書に記載の用量のいずれかで細胞に提供されてもよく、及び/又は対象に投与されてもよい。
【0144】
ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5遺伝子(CCL5)はケモカインをコードし、血液単球、記憶Tヘルパー細胞、及び好酸球の化学誘引物質として機能する。それは、好塩基球からヒスタミンの放出を引き起こし、好酸球を活性化する。その関連経路には、色素上皮由来因子(PEDF)誘導シグナル伝達経路、及びtoll様受容体シグナル伝達経路がある。したがって、この遺伝子の上方制御は、免疫細胞間情報伝達、組織化、協調の改善をもたらしてもよい。
【0145】
カンナビノイド受容体2遺伝子(CNR2)は、末梢カンナビノイド受容体としても知られているCB2受容体をコードする。CB2受容体は、CNSの内外双方の免疫細胞中に主に位置する。この遺伝子の上方制御は、処置された活性化合物の代謝に関与する生理的取り込みを細胞レベルで強化してもよい。
【0146】
インターロイキン8遺伝子(CXCL8)は、CXCケモカインファミリーの一員であり炎症反応の主要なメディエーターであるタンパク質、インターロイキン8(IL−8)をコードする。コードされたタンパク質は、主に好中球によって分泌され、好中球を感染部位に誘導することによって走化性因子として機能する。このケモカインは、強力な血管新生因子でもある。その関連経路の中には、PEDF誘導シグナル伝達がある。IL−8は、好中球、好塩基球、及びT細胞を誘引する走化性因子であるが、単球は誘引しない。これはまた、好中球の活性化にも関与している。これは炎症性刺激に応答して、いくつかの細胞型から放出される。これは強力な炎症性サイトカインであり、がん性疼痛をはじめとする様々な疼痛状態に関与している。この遺伝子の下方制御は、抗炎症効果を示唆している。
【0147】
小脳変性症関連タンパク質2遺伝子(CDR2)は、ミトコンドリアレベルで細胞のカルシウム輸送と神経機能に役割を果たす、タンパク質をコードする。CDR2はCB1受容体の活性化と関連しており、CBDに帰する神経保護作用の経路の一部を形成すると考えられている。
【0148】
アドレナリン受容体β2遺伝子(ADRB2)は、β−2アドレナリン作動性受容体をコードする。アドレナリンは、この受容体のリガンドである。ADRB2は疼痛反応と関連しており、抗鬱薬が、末梢性β−アドレナリン受容体媒介抗腫瘍壊死因子α(TNFα)機序によって媒介される神経障害性疼痛を抑制すると報告されている。ADRB2の作用は、闘争−逃走反応の促通に関連しているが、神経炎症過程にも関与している。ADRB2刺激はまた、造血前駆細胞及び幹細胞の遊走を増加させると考えられている。
【0149】
遺伝子の発現レベルは、当該技術分野で公知の任意の技術に従って判定されてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、CNR2は、THCとCBDの組み合わせの投与後に上方制御される。上方制御は、THCとCBDの組み合わせへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、又は3倍増加してもよい。上方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、ADRB2は、THCとCBDの組み合わせの投与後に上方制御される。上方制御は、THCとCBDの組み合わせへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、又は3倍増加してもよい。上方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、遺伝子の制御(上方制御又は下方制御)は、細胞が曝露及び/又は対象に投与されたTHC:CBDの比率に応じて変動する。いくつかの実施形態では、高THC組成物への曝露は、CCL5の下方制御をもたらしてもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍又は1倍の変化であってもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。いくつかの実施形態では、高CBD組成物への曝露は、CCL5の上方制御をもたらしてもよい。上方制御は、THCとCBDの組み合わせへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、又は3倍増加してもよい。上方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、高CBD組成物への曝露は、CXCL8の下方制御をもたらしてもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍又は1倍の変化であってもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。いくつかの実施形態では、高THC組成物への曝露は、CXCL8の上方制御をもたらしてもよい。上方制御は、THCとCBDの組み合わせへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍、1倍、1.5倍、又は2倍増加してもよい。上方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、高THC組成物への曝露は、CDR2の下方制御をもたらしてもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露前に得られたサンプルにおける遺伝子の発現レベルよりも少なくとも約0.5倍、1倍、1.5倍、又は2倍の変化であってもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。いくつかの実施形態では、高CBD組成物への曝露はまた、CDR2の下方制御及び/又は上方制御をもたらしてもよく、例えば、THCとCBDへの曝露から約70、48、36、24、12、6、5、4、3又は2時間以内に、CDR2の発現が下方制御されてもよい一方で、処置の約2、3、4、5、6、12、24、36、48又は70時間後には、CDR2の発現が上方制御されてもよい。CDR2の下方制御は、THCとCBDへの曝露前に得られたサンプル中の遺伝子の発現レベルよりも約0.5倍、1倍、又は1.2倍の変化であってもよい。CDR2の上方制御は、THCとCBDへの曝露前に得られたサンプル中の遺伝子の発現レベルよりも約0.5倍、1倍、又は1.2倍の変化であってもよい。下方制御は、THCとCBDへの曝露後、少なくとも約1、1.5、6、12、18、24、48、36、72時間以上持続してもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明は、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む、CCL5及びCDR2を下方制御してCNR2、CXCL8、及びADRB2を上方制御する方法を提供し、THC:CBDの重量比は1以上:1である。組み合わせは、本明細書に記載の高THC液体組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。THCとCBDの組み合わせを細胞に接触させるステップは、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含んでもよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明は、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む、CXCL8及びCDR2を下方制御してCCL5、CNR2、及びADRB2を上方制御する方法を提供し、THC:CBDの重量比は1:1.2以上である。組み合わせは、本明細書に記載の高CBD組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。THCとCBDの組み合わせを細胞に接触させるステップは、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含んでもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明は、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む、CXCL8を下方制御してCCL5、CNR2、及びADRB2を上方制御する方法を提供し、THC:CBDの重量比は1:1.2以上である。組み合わせは、本明細書に記載の高CBD組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。THCとCBDの組み合わせを細胞に接触させるステップは、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含んでもよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、遺伝子調節の方法はまた、疼痛、炎症及び/又は不安を治療するための方法である。
【0159】
バイオマーカー
本発明の一態様は、炎症に関連するバイオマーカーの濃度に影響を与える方法を提供する。バイオマーカーは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)及びインターロイキン−15(IL−15)又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、方法は、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む。THCとCBDの組み合わせを細胞に接触させるステップは、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含んでもよい。
【0161】
THCとCBDの組み合わせは、本明細書に記載の液体組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。
【0162】
THCとCBDの組み合わせが細胞に接触され、及び/又は対象に投与されると、GM−CSFの濃度が低下する。したがって、組み合わせは、本明細書に記載の液体組成物のいずれかによって提供されてもよい。いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせの投与後のGM−CSFの最大ピーク血漿濃度は、約180pg/ml、150pg/ml、120pg/ml、100pg/ml、80pg/ml、又は70pg/mlまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のGM−CSFCSFの最小ピーク血漿濃度は、少なくとも約20pg/ml、30pg/ml、又は40pg/mlであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のGM−CSFCSFのピーク血漿濃度は、例えば、約20pg/ml〜約180pg/ml又は約40pg/ml〜約80pg/mlなど、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のGM−CSFのピーク濃度は、投与後約7、6、5、4、3、又は2時間以内に発生してもよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む、インターロイキン15の濃度を減少させる方法が提供され、THC:CBDの重量比は1以上:1である。組み合わせは、本明細書に記載の高THC液体組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含む、インターロイキン15の濃度を減少させる方法が提供され、THC:CBDの重量比は1以上:1である。組み合わせは、本明細書に記載の高THC液体組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。
【0165】
IL−15濃度を低下させるこれらの方法では、THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15の最大ピーク血漿濃度は、最大約150pg/ml又は100pg/mlまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15の最小ピーク血漿濃度は、少なくとも約20pg/ml、約40pg/ml、又は約50pg/mlであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15のピーク血漿濃度は、例えば、約20pg/ml〜約150pg/mlなど、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15のピーク血漿濃度は、投与後約4.5時間以内に到達されてもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせに細胞を接触させるステップを含む、インターロイキン15の濃度を増加させる方法が提供され、THC:CBDの重量比は1:1.2以上である。組み合わせは、本明細書に記載の高CBD組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、THCとCBDの組み合わせを対象に投与するステップを含む、インターロイキン15の濃度を増加させる方法が提供され、THC:CBDの重量比は1以上:1である。組み合わせは、本明細書に記載の高CBD組成物のいずれかの形態で提供されてもよい。
【0168】
IL−15濃度を増加させるこれらの方法では、THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15の最大ピーク血漿濃度は、約1500pg/ml、約1000pg/ml、約750pg/ml、約650pg/ml、又は約600pg/mlまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15の最小ピーク血漿濃度は、少なくとも約250pg/ml、約300pg/ml、約350pg/ml、約400pg/ml、約450pg/ml又は約500pg/mlであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15のピーク血漿濃度は、例えば、約250pg/ml〜約1500pg/mlなど、これらの最小量のいずれかからこれらの最大量のいずれかまでであってもよい。THCとCBDの組み合わせの投与後のIL−15のピーク血漿濃度は、投与後約4.5、4又は3.5時間以内に到達されてもよい。比較のために、ビヒクルのみを投与した場合のIL−15のピーク血漿濃度は、投与後約5時間で約220pg/mlに達した。
【0169】
本明細書に記載の治療法のいくつかの実施形態は、GM−CSF及び/又はIL−15の濃度に影響を与えることをさらには含む。
【0170】
対象から採取されたサンプル中のバイオマーカーの濃度は、当該技術分野で公知の任意の技術に従って判定されてもよい。
【実施例】
【0171】
本発明は、非限定的な実施例によってさらに説明される。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、多くの修正を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。
【0172】
実施例1−カンナビノイド含有組成物のイヌへの投与
この実施例は、異なる比率のTHCとCBDを含む2つの組成物のイヌへの単回経口投与を記載する。投与後に動物から血液を採取し、有害作用又は毒性の証拠について観察した。
【0173】
この研究では、IVP1とIVP2の2つの組成物を様々な量で投与した。IVPは、本研究の場合のように別々に投与され得て、又は実施例2及び3に記載されるように、それらは共に混合されてTHCとCBDの固定比を提供し得る。
【0174】
治験用獣医学的製品1(IVP1):
組成−MCT油中の4.75mg/mlのTHC;製剤型−油性溶液
治験用獣医学的製品2:(IVP2):
組成−MCT油中の4.58mg/mlのCBD;製剤型−油性溶液
対照獣医学的製品(CVP):
組成−活性成分なしの中鎖トリグリセリド(MCT)油;製剤型−キャリアオイル
【0175】
設計
カンナビジオール(CBD)油及びテトラヒドロカンナビノール(THC)油、又はプラセボを11匹のイヌに単回経口投与した。
【0176】
−3匹のイヌが対照となり、活性成分なしのMCT油を投与された(処置1)。
−処置2は、4匹のイヌにIVP1とIVP2を2:1の比率で投与した。
−処置3は、4匹のイヌにIVP1とIVP2を1:2の比率で投与した。
【0177】
用量計算
イヌは、以下の表2に示すように、個々の1日目体重に基づいて処置した。投与量は0日目に先立って計算され、実際のイヌの体重と分析証明書に基づくIVP活性成分組成とに基づいて、mg/kg体重で目標投与量を提供する。
【0178】
【表2】
【0179】
有害事象のモニタリング及び記録
各試験動物は、以下の臨床徴候(THC毒性に関連している)の発生について、試験期間を通して綿密にモニターした:鎮静/嗜眠、興奮/不随意運動、運動障害、眼球変化、咳嗽、流涎/唾液分泌、空嘔吐/吐き気、嘔吐、下痢、失禁、心拍数、呼吸数、体温変化、及び/又は任意のその他の異常な観察。
【0180】
重篤有害事象(SAE)は、致死的又は生命を脅かし、又は重大な能力障害又は不能状態又は先天性異常/先天性欠損をもたらし、又は日常的な予防策及び一般的な応急処置を超えた専門家の介入が必要となる、永続的又は長期的な徴候をもたらす、有害事象として定義された。以下のうちの一つの反応が報告された場合、AEは自動的に重篤なものとして分類された:ショック(起源が何であれ、全てのショック反応:循環器、アナフィラキシー性)、虚脱、失神、免疫介在性疾患(副作用からの)、癲癇発作/痙攣、失明、難聴、完全麻痺/不全麻痺、悪性新生物(投与部位の肉腫を含む)、呼吸窮迫、呼吸困難、無呼吸、重要臓器の不全(機能の完全な喪失)、子宮出血、子宮破裂、又は子宮留膿症、腹膜炎、糖尿病(SARとして報告された場合)、及び/又は全身性の関与と可動性の低下を伴う注射部位反応。
【0181】
採血
22ゲージの針と5mLのシリンジを使用して、各動物から各薬物濃度の試料採取時点で、約5mLの血液サンプルを採取した。
【0182】
結果
【0183】
【表3】
【0184】
採血の結果は、CBDについては表4に、THCについては表5に記載される。表4及び表5のデータ点もプロットされ、これらのグラフは
図1〜16に示される。
【0185】
【表4】
【0186】
表4に提供されるCBD試料採取の結果は、対象イヌによるCBDの良好な取り込みを実証する。最初のピーク又はC
maxは、全ての対象において0.67〜1.5時間で達成された。CBDの最初のピーク濃度は5ng/mL〜69ng/mLの範囲であった。投与後12時間の対象で記録されたCBDの最低レベルは、0.23ng/mLのCBDであった。投与後12時間で記録された最高レベルは0.88ng/mLであった。0.26ng/mL及び0.28ng/mLのCBD濃度が、投与後16時間及び32時間の対象で記録された。計算されたAUC
0-∞は0.339ng.時間/mLであり、終末半減期(t
1/
2)は12.6時間である。
【0187】
【表5】
【0188】
対象の血漿分画中で記録されたTHCレベルを表5に示す。最初のピーク又はC
maxは、全ての対象において0.67〜1.5時間で達成された。CBDの最初のピーク濃度は19ng/mL〜71.3ng/mLの範囲であった。投与後12時間の対象で記録されたCBDの最低レベルは、0.67ng/mLのCBDであった。投与12時間後で記録された最高レベルは1.91ng/mLであった。0.34ng/mL及び0.28ng/mLのCBD濃度が、投与後16時間及び32時間の対象で記録された。計算されたAUC
0-∞は0.6ng.時間/mLであり、終末半減期(t
1/
2)は18.4時間である。
【0189】
【表6】
【0190】
イヌ対象は、投与後12時間にわたり観察した。目視観察結果は、表6に記録される。各対象について記録された身体心拍数及び呼吸数を表7に記載し、治療群毎の平均値を心拍数及び呼吸数について、それぞれ
図17及び
図18にて互いにプロットした。
【0191】
12時間の観察を通して、CBD/THCの投与の結果として発生した有害作用の証拠はなかったことに留意すべきである。赤目を示したイヌが2匹いたが、対照の2匹(TG3)も同一徴候を示したので、目の赤みはIVP投与に起因するものではなかった。重要なことに、CBDとTHCの投与を受けた第2及び第3の治療群では、運動の問題は見られなかった。弛緩又は軽度の鎮静のいくつかの証拠があった一方でイヌはいかように無能力であるようには見えず、動くために立ち上がったときに、歩くのに苦労することはなかった。下痢又は嘔吐などの胃腸への影響は観察されず、全ての動物は元気で、投与翌日には普通に食べていた。
【0192】
【表7】
【0193】
図17にプロットされた心拍数データは、対照群(TG1)と(TG2)の間にほとんど違いがなかったことを示すが、CBD用量よりも低いTHC用量を投与されたTG3との違いはあるように見えた。
図18の呼吸数グラフでは、TG3はまた、TG1(対照)及びTG2(CBD増加)の双方に対して、やや低レベルであることが示される。これは、研究で見られたカンナビノイドの濃度が、投与後12時間まで生理学的効果を有することを示す。
【0194】
実施例2
組成物は、キャリアオイル中のTHCとCBDの組み合わせを含む。THC及びCBDを既知の濃度のMCT油中で別々のストック溶液に調製し、次に各ストック溶液の一部を2:1のTHCとCBDの所定の望ましい比率で混合した。このカンナビノイドの比率は、MCT油中にある。0.9%(すなわち、約0.6%のTHCと約0.3%のCBD)、1.9%、及び2.7%のTHCとCBDの合算濃度を含む、3つの組成物を調製した。
【0195】
実施例3
組成物は、キャリアオイル中のTHCとCBDの組み合わせを含む。THC及びCBDを既知の濃度のMCT油中で別々のストック溶液に調製し、次に各ストック溶液の一部を1:2のTHCとCBDの所定の望ましい比率で混合した。このカンナビノイドの比率は、MCT油中にある。0.9%(すなわち、約0.3%のTHCと約0.6%のCBD)、1.9%、及び2.7%のTHCとCBDの合算濃度を含む、3つの組成物を調製した。
【0196】
実施例4
本実施例は、実施例1に記載された研究中に採取された血液サンプルに対して行われた遺伝子発現解析を記載する。遺伝子発現解析は、処置前、投与後1.5時間、及び投与後72時間に採取された血液サンプルに対して実施した。
【0197】
イヌの血液を採取し、即座に100μlの血液をラベル付き室温RNAprotect Animal Blood チューブに入れ、閉じて穏やかに8〜10回反転させ、次に15〜25℃で2時間直立させてから−20℃の冷凍庫内で保存し、ドライアイス上で発送する。
【0198】
RNeasy Protect Animal Bloodキットを使用して、RNAprotect Animal Bloodチューブ内に収集した全血からRNAを抽出した。RNAは30μlでエッペンドルフチューブ内に溶出させ、パラフィルムで密封した。
【0199】
RNAの品質及び濃度は、Nanodrop分光光度計を使用してサンプルの濃度及びOD260/280値を測定し、Agilent RNA TapeScreenを使用してRNAの品質を調べることによって判定される。
【0200】
完全性の測定では、Agilent TapeStationを使用して、全RNAの1μlをRNAScreen Tapeで分析した。
【0201】
遺伝子の定量化は、RT
2プロファイラーPCRアレイを使用して、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)とマイクロアレイ解析を組み合わせて行った。
【0202】
実験用RNAサンプルを第1鎖cDNAに変換した。次に、cDNA鋳型をすぐ使用できるRT
2qPCR Master Mixと混合し、あらかじめ分注された遺伝子特異的プライマーセットを含有する同一プレートの各ウェル内に分注した。qPCR後、相対的発現をddCt法で判定した。結果を
図20〜24に示す。
【0203】
相補的(Complimentary)デオキシリボ核酸(cDNA)合成は、QIAGEN RT
2 First Strandキット(カタログ番号330401)を使用して行った。或いは、RNA収量が低いサンプルでは、qPCR解析の前にRT
2PreAMP反応を使用した。
【0204】
実施例5
本実施例は、実施例1に記載された研究中に採取された血液サンプルに対して行われたバイオマーカー解析を記載する。解析は、処置前、投与後1.5時間、及び投与後72時間に採取された血液サンプルに対して実施した。
【0205】
バイオマーカー濃度は、関心のある各バイオマーカーに対する抗体が負荷された磁気ビーズからなる磁気ビーズパネルを使用して判定した。
【0206】
実施例6
本実施例では、可動性の障害及び/又は疼痛の徴候をもたらすいずれかの関節の変形性関節症(OA)がある、様々な犬種及び年齢の、性別でほぼバランスの取れた最大約45匹のイヌを対象とした研究について記載する。
【0207】
治療配分は二重盲検化プラセボ対照で無作為化される。イヌは、獣医によってOAと診断される。イヌは、適度に安定した治療計画(列挙される治療法)下にある。イヌには、試験前と試験期間中に同じ記録された種類と量の食餌が供給される。試験前及び試験期間中の2週間は、その他の油性OA療法又は支持療法は使用されない。
【0208】
OAのあるイヌは、4群に分けられる。飼い主又は臨床医のどちらも、補給剤の性質を知らない。
【0209】
1.処置群1(プラセボ群−15匹)には、オリーブ油を1ml/10kgの用量で1日2回、8週間にわたり経口投与する。
2.処置群2(CPAT01−0.75×群−15匹)には、CannPal AUS;CPAT01混合油を0.54mg/kgの用量で1日2回、8週間にわたり、食餌上で経口投与する。
3.処置群3(CPAT01−1.5×群−15匹)には、CannPal AUS;CPAT01混合油を1.08mg/kgの用量で1日2回、8週間にわたり、食餌上で経口投与する。
4.処置群4(CPAT01−2.5×群−15匹)には、CannPal AUS;CPAT01混合油を1.8mg/kgの用量で1日2回、8週間にわたり、食餌上で経口投与する。
【0210】
イヌは飼い主の書面による同意を得た上で登録される。全ての手順は、適用される動物倫理委員会(AEC)の要件及びオーストラリアの動物ケアに関する法規制に準拠している。
【0211】
一定間隔で(例えば、第2週目、第0週目、第2週目、第4週目、第6週目、第8週目)、飼い主は、OAのあるイヌがどのように進行し又は悪化しているかを評価するための検証済みの飼い主アンケートである、イヌの簡易疼痛インベントリ(CPBI)、イヌの整形外科的指標(COI)、ハドソン活動指数(又は同様のもの)に記入する。約0週目、4週目、及び8週目の獣医の診察には、獣医の主観的評価及び採血が含まれる。血液サンプルはCBC/生化学について試験し、肝臓及び腎臓の酵素(尿素、クレアチニン、ALP、ALT)及び白血球をモニターする。血漿カンナビノイド(CBD及びTHC)アッセイもまた、各来院時に血液から実施する。