(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527230(P2021-527230A)
(43)【公表日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】線形及び回転マルチトラック絶対位置エンコーダ並びにそれを使用した方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/347 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
G01D5/347 110A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2021-518041(P2021-518041)
(86)(22)【出願日】2019年6月6日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月15日
(86)【国際出願番号】US2019035759
(87)【国際公開番号】WO2019236821
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】62/681,896
(32)【優先日】2018年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520478183
【氏名又は名称】ジョンソン、フィリップ エム.
(71)【出願人】
【識別番号】520478194
【氏名又は名称】ジョンソン、デイビッド ケイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、フィリップ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、デイビッド ケイ.
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA37
2F103CA03
2F103DA06
2F103DA12
2F103DA13
2F103EA12
2F103EA15
2F103EB02
2F103EB06
2F103EB12
2F103EB16
2F103EB18
2F103EB32
2F103FA15
(57)【要約】
光学位置エンコーダ及びそれを使用した方法について説明する。実施例では、光学位置エンコーダは、マルチトラック・ハイブリッド巡回2進コード−2(HCBC−2)符号化されたスケールと、光学読出しアセンブリ(ORA)とを含み、ORAは、絶対位置光学読出しと、スケールに対する自動物理的整合とを与える。また、線形光学位置エンコーダ、回転光学位置エンコーダ、及びそのようなエンコーダを使用してスケールに対するORAの位置を測定する方法について説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド巡回2進コード2(HCBC−2)で符号化された第1の領域を備える基板を備えるスケールと、
光学読出しアセンブリ(ORA)と
を備える、光学絶対位置エンコーダであって、
前記HCBC−2で符号化された前記第1の領域が、
ハイブリッド巡回2進コード(HCBC)パターンの第1のマルチトラック・アレイを備える第1の下位領域と、
HCBCパターンの第2のマルチトラック・アレイを備える第2の下位領域と
を備え、前記第2のマルチトラック・アレイが前記第1のマルチトラック・アレイの反射及び補完であって、
前記ORAが、前記HCBC−2符号化されたスケール上に光パルスを放出するように構成された少なくとも1つの光源を備え、
前記ORAが、前記HCBC−2スケールによって反射された光の少なくとも一部分を測定し、前記ORAに対する前記HCBC−2スケールの位置を決定するように構成された、光学絶対位置エンコーダ。
【請求項2】
前記スケールが、前記第1の下位領域を備える第1の内側領域と、前記第2の下位領域を備える第2の内側領域とを備え、
前記第1のマルチトラック・アレイの各トラックが、非測定方向においてよりも測定方向において長い符号化されたストリップである、請求項1に記載の光学絶対位置エンコーダ。
【請求項3】
前記スケールが、第1の外側領域と、第2の外側領域とをさらに備え、
前記第1の外側領域、前記第2の外側領域、又は前記第1の外側領域と前記第2の外側領域の両方が、少なくとも1つの符号化されていない整合トラックを備える、
請求項2に記載の光学絶対位置エンコーダ。
【請求項4】
前記第1の領域が、前記第1の外側領域と前記第2の外側領域との間に配設された、請求項3に記載の光学絶対位置エンコーダ。
【請求項5】
前記第1の外側領域及び前記第2の外側領域が、それぞれ、符号化されていない整合トラックを備える、請求項4に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの整合トラックが、第1の整合トラック・ペアと、第2の整合トラック・ペアとを備え、
前記第1の外側領域が前記第1の整合トラック・ペアを備え、
前記第2の外側領域が前記第2の整合トラック・ペアを備え、
前記第1の整合トラック・ペア及び第2の整合トラック・ペアの各々が、第1のトラックと、前記第1のトラックに隣接する第2のトラックとを備え、前記第1のトラックが、前記スケールの長さ全体にわたって非反射性又は非透過性であり、前記第2のトラックが、前記スケールの前記長さ全体にわたって反射性又は透過性である、請求項4に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項7】
前記ORAが光学センサー・アレイを備え、前記光学センサー・アレイが、
光源のアレイと、
光センサーのアレイと
を備える、請求項3から6までのいずれか一項に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項8】
光センサーの前記アレイが複数の共焦点光学センサーを備える、請求項7に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項9】
前記光学センサー・アレイが、少なくとも1つの読出しラインを備える読出しライン・アセンブリを備え、
前記少なくとも1つの読出しラインが、複数の読出し光源と、複数の読出しライン光学センサーとを備え、
光源の前記アレイが前記複数の読出し光源を備え、
光センサーの前記アレイが前記複数の前記読出しライン光学センサーを備える、
請求項7に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項10】
前記光学センサー・アレイが複数の整合センサーをさらに備える、請求項9に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項11】
前記複数の読出しライン光学センサーが、第1の方向において線形位置誤差を最も正確に測定するように構成され、
前記複数の整合センサーが、第2の方向において整合位置を最も正確に測定するように構成され、
前記第1の方向と前記第2の方向とが互いに異なる、
請求項9に記載の絶対光学位置エンコーダ。
【請求項12】
前記光学絶対位置エンコーダが線形光学絶対位置エンコーダであり、
前記スケールが平面であり、前記第1のマルチトラック・アレイ及び第2のマルチトラック・アレイが、平面2次元レイアウトで前記基板上に構成されるか、又は前記基板内に形成された、請求項1から11までのいずれか一項に記載の光学絶対位置エンコーダ。
【請求項13】
前記光学絶対位置エンコーダが回転光学絶対位置エンコーダであり、
前記スケールが回転スケールであり、
前記基板が、円筒形ドラムの内面又は外面であるか、又は円筒形ドラムの内面上若しくは外面上に配設された、請求項1から11までのいずれか一項に記載の光学絶対位置エンコーダ。
【請求項14】
読出しアセンブリに対するスケールの絶対位置を測定する方法であって、
光源から光パルスを放出することであって、前記光パルスがスケールに入射し、前記スケールがハイブリッド2進巡回コード2(HCBC−2)で符号化された第1の領域を備える、光パルスを放出することと、
光学読出しアセンブリ(ORA)を用いて、前記スケールによって反射された前記光パルスの少なくとも一部分を検出し、少なくとも1つのセンサー信号を生成することと、
前記少なくとも1つのセンサー信号に基づいて、コントローラを用いて、前記読出しアセンブリに対する前記スケールの位置を計算することと
を含み、
前記HCBC−2スケールで符号化された前記第1の領域が、
ハイブリッド巡回2進コード(HCBC)パターンの第1のマルチトラック・アレイを備える第1の下位領域と、
HCBCパターンの第2のマルチトラック・アレイを備える第2の下位領域と
を備え、前記第2のマルチトラック・アレイが前記第1のマルチトラック・アレイの反射及び補完である、方法。
【請求項15】
前記スケールが、前記第1の下位領域を備える第1の内側領域と、前記第2の下位領域を備える第2の内側領域とを備え、
前記第1のマルチトラック・アレイの各トラックが、非測定方向においてよりも測定方向において長い符号化されたストリップである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スケールが、第1の外側領域と、第2の外側領域とをさらに備え、
前記第1の外側領域、前記第2の外側領域、又は前記第1の外側領域と前記第2の外側領域の両方が、少なくとも1つの符号化されていない整合トラックを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の外側領域及び前記第2の外側領域が、それぞれ、符号化されていない整合トラックを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ORAが光学センサー・アレイを備え、前記光学センサー・アレイが、
前記光パルスを放出するように構成された光源のアレイと、
前記スケールによって反射された光を検出するように構成された光センサーのアレイと
を備える、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
光センサーの前記アレイが複数の共焦点光学センサーを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光学センサー・アレイが、少なくとも1つの読出しラインを備える読出しライン・アセンブリを備え、
前記少なくとも1つの読出しラインが、複数の読出し光源と、複数の読出しライン光学センサーとを備え、
光源の前記アレイが前記複数の読出し光源を備え、
光センサーの前記アレイが、前記複数の前記読出しライン光学センサーを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセンサー信号が複数のセンサー信号を含み、前記方法は、
前記複数のセンサー信号を測定することと、
前記複数のセンサー信号から基準信号値を生成することと、
複数の正規化されたセンサー信号を生成するために、前記基準信号値を用いて前記複数のセンサー信号の各々を正規化することと
をさらに含み、
前記読出しアセンブリに対する前記スケールの前記位置を計算することが、前記複数の正規化されたセンサー信号に基づいて実行される、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
精密工業機械のサーボ制御ループにおける高精度、高サンプル・レートの線形及び回転位置エンコーダは、機械精度及び速度を著しく改善することができる。そのような改善は、より高い帯域幅の位置及び速度フィードバック、(すなわち、より高い位置サンプル・レート)を与えることによって、及び機械的リンク機構(たとえば、ギア、レバー及びカム)における摩耗、たわみ及び緩みに関連する位置誤差をなくすことによって達成され得る。
【背景技術】
【0002】
(たとえば、2進デジタル・グレイ・コード・スケールを用いる)光学マルチトラック・アブソリュート・エンコーダは、測定スケールに対する読出し機構の不完全な整合により起こる測定誤差の可能性により、シングルトラック手法の方を好んで、しばしば退けられる。しかしながら、アブソリュート・エンコーダは、一般に、精度及び機械オペレータ安全性が改善されるという潜在的な利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国非仮特許出願第15/711,238号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、改善されたマルチトラック光学絶対位置符号化システム及び方法に関する。明らかになるように、本明細書で開示するシステム及び方法は、位置誤差を著しく低減し、同時に、より高い測定サンプル・レートを与え得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の様々な実施例による、平面ハイブリッド巡回2進コード−2(Planar Hybrid Cyclic Binary Code-2)(HCBC−2)スケール上に入射し、HCBC−2スケールによって光学センサーに反射される、共焦点(confocal)光学センサー・アレイにおいて生成される光線を示す、本開示による、光学絶対線形位置エンコーダ(Optical Absolute Linear Position Encoder)の1つの実例の高レベル・ブロック図である。
【
図2】本開示の様々な実施例による、スケールの平面に垂直な方向から見た、平面共焦点光学センサー・アレイ(Planar Confocal Optical Sensor Array)、及び整合トラックをもつ平面HCBC−2スケールの部分の図である。本開示の様々な実施例による、読出しライン・アレイ中の例示的な5つの読出しライン・アセンブリ、及び平面共焦点光学センサー・アレイ中の4つの個々の整合センサーも示されている。
【
図3】本開示の様々な実施例による、外側透明ウィンドウの部分を含む例示的な共焦点光学センサー・セル(Confocal Optical Sensor Cell)(COSC)の注釈付き3D等角図である。
【
図4】本開示の様々な実施例による、
図3に示された共焦点光学センサー・セル(COSC)設計とウィンドウとによって生成された回折限界(diffraction-limited)点広がり関数(point spread function)(すなわち、X座標及びY座標の関数としての光学収差及び回折の存在下でのぼやけ画像放射照度(blurred image irradiance))を示す光学ソフトウェアによって生成された3D表面プロットである。
【
図5】本開示の様々な実施例による、
図4に示された光学画像点広がり関数のXY等高線図(contour plot)である。
【
図6】米国非仮特許出願第15/711,238号(‘238出願)と本開示の様々な実施例とに開示されているHCBCコード・パターンの数学による、重みなし番号付けシステム(Unweighted Numbering System)単一周期可変オフセット・バー・パターンの下位領域、及び重み付き番号付けシステム(Weighted Numbering System)複数周期一定オフセット・バー・パターンの下位領域を示す、本開示による、例示的な68トラックHCBC−2平面又は円筒マルチトラック・スケールの選択された領域のノンスケール図である。
【
図7】HCBC−2コードの重みなし番号付けシステム、単一周期、可変オフセット部分を表す3つの連続垂直バー・パターンを示し、また、‘238出願と本開示の様々な実施例とに開示されているHCBCコード・パターンの数学による、
図5の例示的な光学読出しぼけスポットを示す、
図6中の小さい領域の拡大図である。
【
図8】本開示の様々な実施例による、5つのマージされた共焦点光学センサー・セル(Merged Confocal Optical Sensor Cell)(MCOSC)と環境ウィンドウの断面との実例を示すYZ平面内の断面図である。
【
図9】本開示の様々な実施例による、Y位置読出しのために使用される単一の読出しラインにおけるマージされた複数の共焦点光学センサー・セル(MCOSC)、+第2のXZ平面内の整合センサーとして使用される2つの単一回転COSCのXZ平面内の断面図である。
【
図10】本開示の様々な実施例による、円筒HCBC−2スケール上に入射し、円筒HCBC−2スケールによって反射された、共焦点光学センサー・アレイ(COSA)の円筒バージョンにおいて生成された光線を示す、本開示による、絶対光学回転位置エンコーダ(Absolute Optical Rotary Position Encoder)(AORPE)の高レベル・ブロック図である。
【
図11】本開示の様々な実施例による、それぞれ、位置読出しとして動作する複数のMCOSCを含んでおり、また、整合センサーとして動作する2つの例示的な回転COSCを示す、図面の平面に平行な軸の周りを回転する円筒HCBC−2スケールと、5つの例示的な回転読出しライン(Rotational Readout Line)(RRL)を備える共焦点光学センサーの円筒アレイとのXY図である。
【
図12】すべて、図面の平面に垂直な軸をもつ回転円筒HCBC−2スケールを整合させ、読み出すように構成された、位置読出しとして動作する5つの例示的なMCOSCと、整合センサーとして動作する2つの例示的な回転COSCとを示す本開示の様々な実施例による、例示的な光学絶対回転位置エンコーダ(Optical Absolute Rotary Position Encoder)のYZ断面図である。
【
図13】本開示の様々な実施例による、光学絶対線形位置エンコーダ又は光学絶対回転位置エンコーダを用いて物体の線形位置又は回転位置を測定するための方法の例示的な動作を示す流れ図である。
【
図14】米国非仮特許出願第(USPTO出願第)15/711,238号の従来技術と本開示の様々な実施例とに開示されているHCBCコード・パターンの数学による、光学絶対線形位置エンコーダとともに使用するために調整された、HCBC−2平面スケールのいくつかの非限定的な実例についてのパラメータの表である。
【
図15】米国非仮特許出願第(USPTO出願第)15/711,238号の従来技術と本開示の様々な実施例とに開示されているHCBCコード・パターンの数学による、本開示の様々な実施例による、光学絶対回転位置エンコーダとともに使用するために調整された、HCBC−2円筒スケールのいくつかの非限定的な実例についてのパラメータの表である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、一般に、光学絶対線形位置エンコーダ(OALPE)、光学絶対回転位置エンコーダ(OARPE)、及びそれを使用した方法に関する。開示されるエンコーダは、それぞれ、マルチトラック・ハイブリッド巡回2進コード−2(HCBC−2)符号化スケールと、光学読出しアセンブリ(ORA)とを含み、ORAは、絶対位置光学読出しと、それらのそれぞれのスケールに対する自動物理的整合とを与える。実施例では、HCBC−2スケールは、平面基板若しくは円筒基板に取り付けられるか、又はそのような基板上に書き込まれる。両方のスケール実施例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Non-Contact Coordinate Measuring Machine using Hybrid Cyclic Binary Code Structured Light」と題する米国非仮特許出願第15/711,238号(以下、「‘238出願」)に開示されているハイブリッド巡回2進コード(HCBC)から導出される。3D表面プロファイリング測定を実行するためのHCBCの生成及び復号に関する式形式及びフローチャート図面中の数学的要件の説明は、‘238出願において見られ、したがって、簡潔のためにここでは繰り返さない。
【0007】
線形位置エンコーダ実施例におけるHCBC−2スケールは、いくつかの2進バー・パターン・トラックの平面2次元物理的レイアウトを含む。対照的に、回転位置エンコーダの実施例におけるHCBC−2スケールは、円筒形ドラムの外側若しくは内側の周りに巻かれたフレキシブルな薄いシート基板上のトラックの同様のセットか、又は円筒形ドラムの外面若しくは内面にエッチングされるか若しくは書き込まれるトラックのセットのいずれかを含む。トラックのセットが内面上にあるときは、透明な円筒シェル基板が使用される。
【0008】
‘238出願では、HCBCコードは時間シーケンスにおける構造光(structured light)として投影され、したがって連続時間シーケンスとして読み出される。対照的に、本明細書で説明する線形絶対位置エンコーダ及び回転絶対位置エンコーダは、パターニングされたスケール・トラックのセットとして実施されるHCBCコードの改変体(以下「HCBC−2」)を利用する。トラックのセット全体は、個々のセンサー・ユニット(セル)の固定されたアレイ、すなわち、平行読出しのアレイの使用によって、はるかに短い時間中に読み出され得る。結果は、すべてのトラックのためのコード・ビット(2進値)の読出しが、ほとんど同時になり得る(たとえば、10ナノ秒(ns)未満の遅れ又は進み)。これは、線形位置又は回転位置のいずれかの高い時間読出しレート、たとえば、200キロヘルツ(kHz)、500kHz、又はさらには1メガヘルツ(MHz)よりも大きいサンプリング・レートを可能にする。
【0009】
本開示のHCBC−2コードはまた、それがHCBCコードを反射及び補完(complementary)バージョンとペアにするという点で、‘238出願に記載されているHCBCコードとは異なり、ここで、「補完」は、コード・パターンにおける「1」2進ビットが反射コード・パターンにおける対応するロケーションにおいて「0」ビットによって置換されること、及びその逆を意味する。2次元HCBCパターンと比較して得られた2次元HCBC−2パターンの詳細な実例が、本開示の
図6に与えられている。別の差異は、本開示における線形エンコーダと回転エンコーダの両方のためのマルチトラック・スケールが、
図2、
図6及び
図11に示された、HCBC−2位置測定トラックの中央グループのいずれかの側で整合機能を実行する2つの外側の、符号化されていない、整合トラックを含むことである。たとえば、整合トラックは、HCBC−2スケールに対するエンコーダ読出しアセンブリ(Encoder Readout Assembly)の正確な物理的整合を維持するために、整合センサー及び制御された整合アクチュエータとともに使用される。
【0010】
「ストライプル(stripel)」という用語が‘238出願において導入され、また、1次元距離測定ユニットを示すために、本開示全体にわたって使用される。ストライプルは、「デジタル分解能要素」及び「量子化増分」など、同等の他の名称を有する、「ストライプ分解能要素」を表すための便利な略称である。どのHCBC又はHCBC−2スケール実施例においても、選定されたストライプル幅Q
Sがある。例のために、本開示全体にわたって、Q
S=100nm(0.1μm)が様々な実施例において使用される。より大きい又はより小さいストライプル値が選定され得、値が小さくなるほど、所与のトラック長に対する全符号化ストライプルの数が多くなり、したがって1つ又は複数のスケール・トラックを追加する必要がある。
図14及び
図15の表は、異なるエンコーダ設計実施例を促進するために、関連する説明とともに本開示中に含まれている。
【0011】
一緒に約1μmの幅をもつ回折限界光点広がり関数を生じる、比較的短い(たとえば、400nm)光源波長、及び読出しセルにおける光開口数(optical numerical aperture)(NA)の中程度の値(たとえば、0.3)との適合性のために、例示的な100nmストライプル幅実施例値を選定した。当業者によって理解されるように、NA及び物理的点広がり関数幅の他の値も使用され得る。
【0012】
‘238出願に開示されている方法を使用して、識別されたストライプルの内側の外挿によって、Q
Sよりも小さい(たとえば、Q
Sの0.1又はさらには0.01まで)測定誤差が達成され得る。さらに、外挿のみから利用可能なものに加えて、(
図1、
図2、
図8、
図10、
図11及び
図12に示されているように、複数の読出しラインの使用によって本開示で説明する)複数の(たとえば、5つ、10個、20個又はより多くの)同時測定値の平均化により、精度改善が可能になり得る。
【0013】
図1は、本開示による、移動している物体の線形位置及び速度を決定するための光学絶対線形位置エンコーダ(OALPE)の1つの実例を表す高レベル・ブロック図である。光学絶対線形位置エンコーダ(OALPE)は、線形エンコーダ光学読出しアセンブリ(Linear Encoder Optical Readout Assembly)(LEORA)100と、読出し光平行主光線(Readout Light Parallel Chief Ray)(RLPCR)120と、平面HCBC−2スケール110とを含む。座標配向インジケータ101は、Y座標を、測定の方向と、スケール110のトラックの各々の符号化方向とに平行であると定義し、また、Z座標を焦点整合の方向に平行であると定義する。X座標は図面の平面に垂直である。
【0014】
図1における線形エンコーダ光学読出しアセンブリ(LEORA)100は、オペレータ及び機械インターフェース145と、コントローラ140と、平面共焦点光学センサー・アレイ(Planar Confocal Optical Sensor Array)(PCOSA)130と、微整合アクチュエータ(Fine Alignment Actuator)160と、随意の粗整合アクチュエータ(Coarse Alignment Actuator)150と、環境ウィンドウ125と、慣性センサー(Inertial Sensor)146とを含む。
【0015】
オペレータ及び機械インターフェース145は、LEORA100においてコントローラ140への及びコントローラ140からの電力及びデータ転送を行うように構成される。コントローラ140は、データ(すなわち、電気信号)を、慣性センサー146と、PCOSA130と、微整合アクチュエータ160と、随意の粗整合アクチュエータ150とに送信し、慣性センサー146と、PCOSA130と、微整合アクチュエータ160と、随意の粗整合アクチュエータ150とから受信するように構成される。いくつかの実施例では、粗整合アクチュエータ150はOALPE全体の初期設置のためにのみ使用され得、その時間において、それらは、たとえば、細目ねじ機械式親ねじ(fine thread mechanical lead screw)によって、手動で調整され得る。
【0016】
コントローラ140は、PCOSA130において作成された電気信号サンプルから電気整合制御信号を生成するように、並びに、オペレータ及び機械インターフェース145を介したデータ報告のために、測定されたY位置及び速度を計算するように構成される。実施例では、微整合アクチュエータ160は、焦点(Z方向)と、ピッチ角と、ロール角と、ヨー角と、平面HCBC−2スケール110に対するLEORA100のトラック・センタリング(X方向)誤差とを制御するために、コントローラ140からの電気制御信号に応答して、圧電力、静電力、又は電磁力を与えるように構成され得る。
【0017】
随意の粗整合アクチュエータ150は、微整合アクチュエータ160と連続して、すなわち、所与の整合座標に、より大きい一定の加算値又は減算値を与えるように動作し得る。位置誤差信号及び速度誤差信号は、PCOSA130とオペレータ及び機械インターフェース145とからの信号を使用して、測定された位置及び速度の比較によってコントローラ140において生成され得る。
【0018】
再び
図1において、
図2、
図3、
図8及び
図9に関して詳細に説明するように、平面共焦点光学センサー・アレイ(PCOSA)130は、共焦点光学構成において、光源(レーザー又は発光ダイオード)のアレイと、光センサー、好ましくは相補型金属酸化物半導体(Complementary Metal Oxide Semiconductor)(CMOS)フォトダイオード・ピクセルのアレイとから構成される。
【0019】
読出し光平行主光線(RLPCR)120は、個々の光源(例が
図3中に光源302として示されている)によって放出され、Z方向に進行させられる、複数の単一中央光線(例は
図3における単一光線390である)を表す。RLPCR120は、次いで、逆Z方向において2進スケール110から反射され、反射の大きさは、Z焦点と、RLPCRの2進コード化スケール上のY位置とに依存する。最適なZ焦点は、反射光の大きさがスケール110に対するエンコーダ本体のY位置にほとんど完全に応じて変動するように、Z(焦点)アクチュエータ制御ループによって維持される。反射光線は、それぞれ、複数の共焦点センサー・セル(例は
図3中の光センサー305である)の各々における知られている光センサー・ピクセルによって受光される。
【0020】
図1において、また、複数のRLPCRの各々がY測定座標の一意の値に関連することが、座標配向シンボル101を使用して見られ得る。したがって、中央読出しライン(central readout line)(RL C)から各読出しラインの事前較正されたY変位を知ることにより、複数の同時絶対位置測定の平均化を行うことが可能になる。9つの読出しラインの場合、センサー・ランダム・ノイズ誤差の影響は3分の1に低減され得る。
【0021】
図2は、整合トラックAT1〜AT4を含む、平面HCBC−2スケール110のセクションを示す、Z方向におけるビューである。また、平面共焦点光学センサー・アレイ(PCOSA)130の様々な部分が重ね合わせられて示されている。図面中の読出しライン・アセンブリ230は、すべて座標インジケータ201のX軸に平行な、5つの位置読出しライン(RL C−2、RL C−1、RL C、RL C+1、RL C+2)の例示的なアレイを備える。ラインRL Cは、アレイの中心読出しラインとして見られ、それのY位置は、エンコーダの位置を表すために使用され得る。例示的な実施例では、各読出しラインは、
図6に示された例示的な平面HCBC−2スケール110における68個のコード・トラックによる、共焦点構成における点光源とポイント・センサーとの68個のペアから構成される。視覚的明瞭さのために、
図2の読出しラインにおけるトラック及びドットは、68個よりも少なく描かれている。
【0022】
PCOSA130はまた、XY平面内に、それぞれWx及びWyの寸法をもつ矩形ハウジングのコーナーに、4つの整合センサーAS1、AS2、AS3、及びAS4を備える。9つの読出しラインを使用した1つの例示的な線形位置エンコーダ実施例では、Wxは約8mmであり、Wyは約12mmであり得る。しかしながら、
図2は、視覚的明瞭さのために、9つの代わりに5つの読出しラインのみを示す。
【0023】
座標インジケータ・シンボル201の原点は、PCOSA130上のXY平面の幾何学的中心と考えられ得るが、平面HCBC−2スケール110は、図面中へのZ軸に沿った別のXY平面内にあり得る。Z軸の周りの回転はヨー角として定義されるが、ピッチ角はX軸の周りの回転として定義され、ロール角はY軸の周りの回転として定義される。
【0024】
図2の実例はゼロ不整合の条件を示す。その条件では、すべての4つの整合センサーが、白い(AT2及びAT4)整合トラックと黒い(AT1及びAT3)整合トラックとの間の遷移ラインにわたってセンタリングされる。ゼロ不整合の場合、整合センサーからの正規化された信号は等しく、アクチュエータ補正動きは必要とされない。多くの適用例では、しかしながら、整合センサーによって検出されるべきX及びヨー不整合があり得る。AS1とAS2との間、またAS4とAS3との間のY距離Wyがわかっていて、AS1からのセンサー信号がS
1として定義され、AS2からの信号がS
2として定義されるなどの場合、(初期整合後のシステム動作中に予想され得るような)小さい回転及び偏心のための誤差信号は、以下の式を使用してコントローラ140において作成され得る。
ΔX=K
X(S
1+S
2−S
3−S
4) (1)
φ=(K
YAW)(S
1−S
2+S
2−S
4)/Wy (ラジアン) (2)
ここで、ΔXはX整合誤差であり、φはヨー不整合誤差であり、Kx、Kyawは較正定数である。X不整合が大きい場合、整合センサーの点広がり関数(PSF、
図5)の楕円ぼけ領域は、最大又は最小信号値のみが利用可能であるように、白い又は黒い整合トラック内に完全に入り得る。しかしながら、誤差方向(すなわち、
図2における+X又は−X)は依然として決定され得、慣性センサー146からの速度フィードバック(減衰)信号の助けを借りて、コントローラは、共焦点光学センサー・アレイ130を、回転し、及び/又は適切な方向に平行移動し得、すなわち、大きい誤差信号ΔXは、最初に、それが、式(1)に提示された、ΔX対信号S
1、S
2などの線形領域にある点まで低減され得る。コントローラは、次いで、ΔX及びヨー角φを最小にするために、慣性センサー146からの速度フィードバックとともに、式(1)及び式(2)を使用し得る。
【0025】
明快及び理解の容易さのために、
図2は、AT1及びAT3を「黒い」(低反射率)トラックとして、AT2及びAT4を「白い」(高反射率)トラックとして示すが、トラックのペア中の1つのトラックの反射率値がトラックのペア中の別のトラックの反射率値と交換された構成が使用され得る。
【0026】
PCOSA130のコーナーにある整合センサーAS1、AS2、AS3及びAS4が読出しライン・アレイ230中の位置読出しセンサーに対して(たとえば、90°)回転されるので、これらのセンサーについての回折ぼけスポットはX方向においてより狭い。したがって、整合センサーは、回転されず、Y方向において線形位置誤差を最も正確に測定するように設計された読出しライン中の同等のセンサーに対して、X方向における線形整合位置を最も正確に測定することができる。
【0027】
PCOSA、慣性センサー146による感知、及び少なくとも1つの微整合アクチュエータ160による補正の後の残留被制御Δφ誤差が、5マイクロラジアン(μrad)くらい小さい(後で示すが、ヨー誤差感知及び補正の後の妥当な値である)場合、中心線RL C−2上の最も外側のトラック・センサーについてのY誤差は、(ここで、
図6に示されたHCBC−2コード構成を参照して)ΔY=2mm×1
−3m/mm×5
−6ラジアン=1
−8m、すなわち10nmになるであろう。この誤差は、たとえば、9つの読出しラインの各々において測定された誤差値を平均化することによって低減され得、読出しラインの各々は、たとえば、
図6に示されているように、HCBC−2コード中のコード・トラックの冗長な反射性質の結果として、2つの位置測定値を与える。ランダム・ガウシアン・センサー雑音統計のために、そのような平均化は、全体的なY位置測定誤差が2.4nmに低減し得るように、√18=4.24の誤差低減係数を与え得る。
【0028】
次に、例示的な線形エンコーダ光学読出しアセンブリ(LEORA)100における各共焦点光学センサー・セル(COSC)のための例示的な光学設計を示す、
図3に注目する。9つの読出しライン及び68個のトラックの場合、COSC読出しセンサー・セルの総数は68×9=612になるであろう。コード読出しセルに加えて、各LEORAは、
図2に関して前に説明した少なくとも4つの整合センサー(AS)セルを含んでいる。各ASは、LEORA読出しセルと同じ光学設計を有するが、X方向における信号大きさ変動を最良に決定するために、90度だけそれの軸の周りを回転させられる。
【0029】
図3において、単一の共焦点光学センサー・セル(COSC)が共焦点顕微鏡構成であることが見られ得る。点光源302からの光は、透明プリズム・セクション310中に入り、次いで50%公称透過ビーム・スプリッタ312を通る。光源光の残りの50%は、次いでレンズ360によって集束され、透明な平面ウィンドウ125の部分を通って、スケール110(スケールは
図3に示されていない)上にぼけスポット400を形成する。ぼけスポット400においてスケールから反射された光線束の部分はレンズ360に戻る。ビーム・スプリッタ表面312がなければ、光線束の部分は集束され、光源302において共役像(conjugate image)を形成するであろう。しかしながら、ビーム・スプリッタ312を用いると、光のほぼ半分は光センサー305上に集束される。光源302、フォトダイオード・センサー305及びスケール測定点400(
図4及び
図5)は、透過光大きさ又は反射光大きさの差にかかわらず、互いの共焦点像のままである。
【0030】
平面HCBC−2スケール110から反射され、光源302に到達する入射光の一部は、センサー305に到達した光から失われるが、光源302の性能に影響を及ぼさないことが予想される。偏光光源(たとえば、LEDではなく、垂直キャビティ面発光レーザー(Vertical Cavity Surface-Emitting Laser)などのレーザー・ダイオード)が1/4波長板と協働して使用され、センサー305上に入射する光を増加させ、光源302上に入射する量を低減し、すなわち光学効率を改善し得る。その目的のための光学構成は当業者によって理解されよう。
【0031】
図3〜
図5におけるスケール読出しスポット400の小さいエリアを考えると、照明に対する共焦点顕微鏡手法は、読出しライン間に何もない、スケール(すなわち、読出しライン)の重要な領域上でのみ光源302のエネルギーを維持する。1つのトラックからの一部の光が隣接するトラックの共焦点レンズ中に、すなわち+X方向/−X方向に反射されるように、各トラック中のスポット400において、スケールから拡散反射される光があり得る。しかしながら、可能性があるクロストーク光線の入射角は、たいてい、光センサー305によって受け入れられる光線錐(cone of rays)の外側にあるので、これが著しいクロストークを引き起こすことは予想されない。これは、商用ソフトウェアZemax(登録商標)OpticStudio(登録商標)を使用した詳細な光学光線追跡によって検証されている。結果として、クロストークを回避するためにCOSC間の吸収フィルムが不要になり、たとえば、
図9に示されているようなマージされたCOSC(MCOSC)の読出しラインを作製するためのより広範な方法が可能になる。
【0032】
図3に示された例示的な実施例におけるレンズ360は、バイコニック・シングレット(biconic singlet)(すなわち、主光線の方向において見たとき、円形ではなく、矩形の光収集開口を有する単レンズ)である。場合によっては、バイコニック・レンズは、X方向対Y方向において異なる球面曲率又は非球面曲率を有する前面と後面とを有する。レンズ360の場合、表面曲率は、X方向とY方向の両方についてポイント400において焦点を生成するために各々について同じであるが、見られ得るように、レンズのX幅(
図3の例示的な実施例では100μm)はレンズのY幅(
図3の例示的な実施例では800μm)よりも著しく小さい。その結果、回折限界ぼけスポット400の照明プロファイルはやや楕円になり、XぼけがYぼけよりも著しく大きくなる。これは、
図4、
図5、及び
図7において、光学光線追跡ぼけスポット400について見られ得る。
【0033】
図3における環境ウィンドウ125は、LEORA100の内部のための環境保護を行いながら、読出し光平行主光線(Readout Light Parallel Chief Ray)(RLPCR)120を含む、すべての読出し光線を透過する、ガラス又は他の材料の平面平行ストリップであり得る。実施例では、事前較正された光出力パルス・エネルギーをもつ、指定された繰り返し率(たとえば、500kHzの又はより大きい)で、短い持続時間(たとえば、1〜50ns)の光パルスを放出し、受光するために、PCOSA130中の光源及びセンサーのすべてが同期させられる。ビーム・スプリッタ表面312によって反射されない戻る光は、先に進み続け、光源302に入射することができる。
【0034】
読出しライン間のY方向距離は、いくつかの測定ラインからの測定値を平均化することにより読出し精度が改善され得るように、事前較正され、知られ得る。スケール上の単一の測定点から反射された光線は一般に散乱させられるが、散乱光のかなりの部分は、光を生成した同じMCOSCによって収集される。本開示の例示的な実施例では、(LED302と像点400との間の)主光線390とCOSC全体との全長Hは約3.3mmである。
【0035】
図3におけるCOSCは、
図8及び
図9に見られ得るように、整合センサーAS1〜AS4の役に立つために「そのままで」及び90°回転されて使用され得る、センサー・セルを表す。しかしながら、読出しライン・センサー・アレイ230にとって、各X幅が1つのHCBC−2トラック幅に等しくなるように、X寸法においてCOSCをスタック(「マージ」)することが有利である。また、ビーム・スプリッタ310がすべて平坦面を有するので、1つの斜辺が薄いビーム・スプリッタ・コーティングをもつ、2つの長い45°×90°×45°三角プリズムの斜辺を互いに接着することによって、単一の長いビーム・スプリッタ・ロッドM310を作製することが可能であり、望ましい。上記の検討の結果として、理解の明快のために、非球面レンズ360と光源302と光センサー305とのマージされたスタックに加えて、マージされたビーム・スプリッタM310を含む、マージされた共焦点光学センサー・セル(MCOSC)を定義することが望ましいことがわかった。単一の読出しラインを定義するMCOSCの1つの実例が、
図9のXZビューにおいて見られ得る。
【0036】
図4は、光学収差と回折効果の両方を考慮して、
図3のCOSC光学システムのための光学シミュレーション・ソフトウェアによって計算された画像放射照度についてのホイヘンス(Huygens)方法点広がり関数(PSF)の表面プロファイルの1つの実例である。X寸法(X幅)における100μmの狭いレンズ口径により、その寸法においてレンズ収差が低減されることが予想され得るが、収差が低減されて獲得された分解能改善は、増大した回折の効果によって圧倒される、すなわち、開口が縮小されると、低減されたレンズ収差の効果を支配する大きい回折効果が生じる。したがって、
図3に示されている100μmの例示的なレンズ口径X幅により、
図4においてXぼけがYぼけよりもはるかに大きくなる。
図5のPSF等高線図は、
図4のために使用されたデータと同じデータからプロットされており、約3.8μmのXぼけとは対照的に、計算されたYぼけが約1.2μmであることを示す。
【0037】
図6は、(Y=0における)スケールの左側の始点に近い平面HCBC−2 2進スケール・パターンの例示的なY領域を示す。座標配向インジケータ608は、スケール測定方向Yを右側になるように示す。図面は、スケール・コードを作成するためのすべてのルールと数学的に一致するが、測定方向Yにおいてより大きく伸ばされ、トラック方向Xにおいて圧縮されている。これは、図面の閲覧者が、重みなし番号付けシステム(UWNS)の(Y方向)最小周期Λ
MINと、重みなし番号付けシステム−反射相補(UWNS−RC)の(Y方向)最小周期Λ
MINの両方、並びに本開示の例示的な実施例の(X方向)68スケール・トラックを可視化することを可能にするために行われる。
【0038】
光学ぼけスポット400の物理的寸法Xぼけ及びYぼけは、合計HCBC−2スケール幅(68トラック×100μmトラック幅=6.8mm)と比較して非常に小さく(Yぼけ約1μm)、HCBC−2スケールのすべてのトラック並びにぼけスポット400のサイズを示す単一ページ図面を作成することは実現不可能であるので、
図6において寸法TWは一定の縮尺で描かれていない。
【0039】
図6はまた、回転エンコーダの円筒形スケールの開始領域を想定するために使用され得、スケールは、ここでは、それの回転軸が座標配向に示されたX軸に平行である、円筒の外側又は内側の周りに巻かれた薄膜と考えられ得る。
【0040】
図6における読出しラインRL C−2は、一連の読出しぼけ円695を通る直線として示されており、円695は、はるかに小さい読出しぼけスポット400の代わりに、大きく見えるようにしたものである。(本開示の例示的な線形エンコーダ・システムによる)図中には68個の読出し円及び68個のトラックがあるが、任意の好適な数の読出し円及びトラックが使用され得る。すべてのトラックのためのトラック幅TWには、
図3に見られるように、100μmのCOSCレンズX幅に一致するように、100μmの値が割り当てられる。
【0041】
垂線RL C−2は、読出しラインRL C−2が符号化されたスケール上のY=0の近くにあるかのように、読出しラインRL C−2の位置を表す。2つの整合センサー(AS1及びAS4)がスケールの符号化された部分の左側に見られ得、AS1は、トラックAT3とトラックAT4との間の遷移ラインに位置するが、
図6の下部にあるAS4は、トラックAT1とトラックAT2との間の遷移ラインに位置する。
図2に見られる左側ASと右側ASとの間のY距離Wyは数ミリメートル又はより大きいので、2つの左側ASのみが図面に示されているが、スケール上のY距離の約1ミリメートルのみが
図6に示されている。
【0042】
同じく
図6において、大きい屈曲したブラケットHCBC−2は、整合トラックAT1及びAT3(黒い実例)並びに整合トラックAT2及びAT4(白い実例)を除く、スケール上のすべての位置読出しトラックを含む。スケールHCBC−2は、したがって、コーディングされたスケール・セクションHCBC(下側中間サイズ・ブラケット)と、反射/補完セクションHCBC−RC(上側中間サイズ屈曲ブラケット)とを含むものとして見られ得る。パターン反射プロセスは、ヒンジ・ライン604の周りの元のHCBCのコピーの上方回転として可視化され得る。
【0043】
図6の右側にある、屈曲したブラケットUWNS、WNS、WNS RC及びUWNS RCは、それぞれ、重みなし番号付けシステム、重み付き番号付けシステム、反射及び補完重み付き番号付けシステム、並びに反射及び補完重みなし番号付けシステムを指す。重みなし番号付けシステム方形波バー・パターンは、同じ反復周期を有するが、それぞれ固定基準に対する異なる一意のYオフセットを有することを思い出すことは有用であり得る。本開示の例示的な実施例では、重みなし番号付けシステム方形波バー・パターンの反復周期Λ
MINは32ストライプル(0.1μmストライプル幅の選択された値に対して3.2μm周期)である。
図6に示されたこれらのパターンの約30個の周期があり、3.2×30=96μmのみの物理的Y距離をカバーすることがわかる。
【0044】
図6に示されたすべてのパターンの水平方向(Y)広がりは、元のHCBCコード(
図6の下部)又はHCBC−RCコード(
図6の上部)のいずれかについて重みなし番号付けシステム(UNWS)バー周期をカウントすることによって推定され得る。
図6についての結果は、示されている32個のバー(及び周期)であり、これは32×32μm=1,024μm(1.024mm)の水平距離を示す。
【0045】
矩形ボックス606は、
図6における矩形ボックスに対する
図7の図面全体の寸法及び概略位置を識別する。これは、最初に、
図6におけるコード・パターンの水平方向(Y)広がりが
図6におけるボックス606の内側のバー・パターンの周期と同じであることを確認することによって検証され得る。
図7における中央パターンの垂直方向(X)広がりは、定義によって、1つのトラック幅(TW)であり、
図6におけるボックス606の高さは、
図7における図面の中心における寸法決定された距離TWに等しいと見られ得る。
【0046】
図7は、1つの中央トラック幅790、及びバー・パターン及び光ぼけスポット400の1つの実例及び中央の「重みなし番号付けシステム」(NWNS)バー・パターン790上に重ね合わせられた読出しラインRL C−2の拡大図を示し、また、隣接する上側NWNSバー・パターン791及び隣接する下側NWNSバー・パターン789の部分を示す。座標配向インジケータ608は
図7においても適用される。すべての3つのバー・パターンは、固定の反復周期Λ
MIN(本開示の例示的な設計では3.20μm)によって特徴付けられる。3つのバー・パターンのX長さ(図面に見られる垂直高さ)は、図面に示されているように1つのスケール・トラック幅TWに等しい。TWは、好都合に、
図3におけるレンズ360のX幅と同じになるように、例示的な設計では100μmになるように定義され得る。2つの他のバー・パターンの短い部分が図面において中央パターンの上及び下に示されており、上側パターンは、トラック・エッジ715において開始し、1つのストライプル幅Q
S(本開示の例示的な設計では100nmであるが、他の値が割り当てられ得る)だけ左にオフセットされる(シフトされる)。トラック・エッジ714において開始する下側パターンは、Q
Sだけ右にオフセットされるように見られ得る。(定義された0位置に対する)絶対オフセット整数値の範囲を−(Λ
MIN/2−1)〜(Λ
MIN/2−1)として定義することは好都合であるが、制約的でない。この定義は、‘238出願において開示されているHCBCの例示的な実施例において使用されている。
【0047】
図7における3つの読出しトラックは、座標インジケータ708のY軸に平行な水平分離ライン714及び715によって定義される。この場合、838.86ミリメートルの最大長を符号化する、幅100nmの8,388,608個のストライプルの最大符号化長さを可能にするために68個のトラックが使用される。この長さは、読出しトラックの数を2だけ増加させることによって2倍になり得る、すなわち、上記の例ではトラックが70個になり、
図14におけるHCBC表値による、同じ0.1μmストライプル幅に対して1,677.72ミリメートルのトラックが可能になる。70コード・トラック+4整合トラックの例示的な設計のための(X寸法における)符号化されたスケール幅は、したがって、すべてのトラックが100μm幅を有すると仮定すると、約7.4mmになり得る。‘238出願において説明されている複数の読出しライン(たとえば、9つのライン又はより多い)にわたる読出し信号平均化及び位置外挿の使用によって、絶対位置測定誤差は1〜5nmの範囲内であり得、最小検出可能動きは1nmよりも小さくなり得る。パルス状グローバル照明をもつ共焦点顕微鏡読出しセンサー・アセンブリの使用、及びすべてのセンサー要素の本質的に瞬時の読出しにより、LRMAPEシステムの線形バージョンと回転バージョンの両方の最大読出しサンプル・レートは少なくとも500kHz、及びいくつかの事例では少なくとも1MHzであり得る。また、測定トラックの数は68個又は70個に限定されず、トラックの各々の詳細(たとえば、それらの幅)は異なり得ることに留意されたい。
【0048】
次に、線形エンコーダについての断面図における5つのマージされた共焦点測定ユニット(MCOSC)の例示的なグループを示す、
図8に注意を向けると、各MCOSCは、前に
図2に示された例示的な5つの読出しラインによる、スケール110上の5つの位置読出しライン(RL C−2、RL C−1、RL C、RLC+1及びRL C+2)の各々中のスケール110上に読出しぼけスポット400を与える。また、
図2に見られるそれらのロケーションによる2つの回転された整合センサー(AS1及びAS2)が
図8に示されている。
図3から、本開示の例示的なCMU(confocal measurement unit)実施例における読出しポイント400とLED光源302との間の高さHは800μmであることが思い出され得る。これは、すべてのCOSC光学設計寸法をスケール・ダウン又はスケール・アップすることによって、測定精度に影響を及ぼすことなしに減少又は増加され得る。そのようなスケーリングは、レンズ360とウィンドウ125との間、又はウィンドウ125とスケール110との間のクリアランス距離に影響を及ぼし得るが、MCOSC開口数(numerical aperture)又はYぼけサイズには影響を及ぼさない。
【0049】
図9は、中心読出しラインRL CのXZ断面、+COSC整合センサーAS1及びAS4の2つの別個の断面を示す。読出しセンサーに対するAS1及びAS4の相対Y位置は、
図2のXYビューにおいてより明らかに見られ得る。見られ得るように、
図9における整合センサーAS1及びAS4は、Y位置センサーMCOSCに対して90°回転されたCOSCを含む。この構成の理由は、X寸法においてより高い精度でスケール整合トラックAT1、AT2、AT3及びAT4に対する不整合の測定を可能にするためであるが、読出しライン・アレイにおける位置センサー(MCOSC)は、Y寸法においてより高い精度を達成するように整合される。
図5に示されたCOSC点広がり関数400の非対称性を仮定すれば、図示のように整合COSCを90°回転することによって、改善された不整合感知が得られ得る。
図3におけるプリズム310について示されているような、ビームスプリッタ・プリズムの短い断片310が、
図9に示されたより長いプリズムM310の代わりに整合センサーのために使用され得る。しかしながら、より長いプリズムM310は、マージされた(MCOSC)位置センサーのフル読出しアレイとともに使用するためにより便利であり得、全体的な作製及び組立コストを低減し得る。
【0050】
図10は、本開示による、光学絶対回転位置エンコーダOARPEの1つの実例の高レベル・ブロック図である。回転エンコーダは、平面HCBC−2スケール110の代わりに、外側円筒形HCBC−2スケール1010又は内側円筒形HCBC−2スケール1020を利用する。回転エンコーダはまた、平面共焦点光学センサー・アレイ(PCOSA)130の代わりに、円筒形共焦点光学センサー・アレイ(CCOSA)1130を利用する。さらに、回転エンコーダは、スケール回転の中心(すなわち、
図12に見られるZ軸に沿ったポイント1201)に向けられる読出し光半径方向主光線(Readout Light Radial Chief Ray)1025を生成する。例示的な一実施例では、読出し光半径方向主光線1025は、円筒本体1015の外表面1010に取り付けられたHCBC−2スケールから反射され得る。別の例示的な実施例では、読出し光半径方向主光線1025は、最初に透過性外表面1010を通り、次いで本体1015の随意の透明な円筒シェル・バージョンを通り、その後、読出し光半径方向主光線1025は、内表面1020に取り付けられたHCBC−2スケールによって反射され、同じシェル及び表面を通って戻され、CCOSA1030に再び入り得る。
【0051】
オペレータ及び機械インターフェース・ブロック1045並びに回転エンコーダ読出しアセンブリ1000の他の要素も、前に説明した
図1におけるオペレータ及び機械インターフェース・ブロック145並びに線形エンコーダ読出しアセンブリ100と同じ機能を実行し得るが、詳細な構成のいくつかは異なり得る。
【0052】
図11は、円筒形共焦点光学センサー・アレイ(CCOSA)1130aを通る、円筒形HCBC−2スケール1010/1020(2つの参照番号1010及び1020は内側スケール及び外側スケールの代替を表す)の湾曲面における座標配向インジケータ1101のZ軸方向における(すなわち、上から見下ろした)3Dビューである。線1180は、軸方向インジケータ1101のX軸に平行な、スケール回転の軸を示す。
【0053】
回転エンコーダのために、CCOSA1130aは非平面支持構造を利用し得る。しかしながら、支持構造の内側の各個々のCOSC及びMCOSCは、前に説明した線形エンコーダ設計におけるものと同じであり得る。5つの例示的な回転読出しラインRRL C−2、RRL C−1、RRL C、RRL C+1及びRRL C+2を備える共焦点回転読出しライン・アレイ(Confocal Rotational Readout Line Array)(CRRLA)1140aが示されており、ここでRRL Cは、この場合も中央読出しラインを示す。より多い又はより少ない読出しラインが使用され得る。回転エンコーダのための整合トラックはまた、平坦面とは対照的に、円筒面の内側又は外側のいずれかにあり、したがって新しい番号AT5、AT6、AT7及びAT8によって参照される。回転エンコーダのための整合センサーは、個々には線形エンコーダの場合と同じであり得るが、それらの円筒整合のために、図面において新しい名称AS5、AS6、AS7及びAS8が与えられている。湾曲した円筒面に沿った個々のX方向コード・トラック幅は、必要な場合、線形エンコーダの場合と同じMCOSC設計を維持するために平面スケールの場合と同じであり得る。
【0054】
図12は、X方向において見たときの、
図11に示されている例示的な円筒形共焦点光学センサー・アレイ(CCOSA)1130aにおける5つのMCOSCの断面図を含んでいるYZ平面内のビューである。例示的な5つの読出しMCOSCは、各MCOSCの光軸が円筒形マルチトラック・スケール1010/1020の回転軸と交差するように延長され得るように構成される。2つの回転された整合センサーCOSC(AS5及びAS6)が読出しMCOSCの左側及び右側に示されている。整合センサーAS5及びAS6は、座標配向インジケータ1101に対して異なるYZ平面、すなわち、
図11に示されているように、異なるX座標をもつ平面内にあり得る。
【0055】
環境ウィンドウ1225は透明円筒形シェルの部分である。また、
図12には、アーク距離L(
図10において回転エンコーダOARPEによって測定される位置量)、スケール・パターンまでの半径R、及び回転角θ(必要な場合、関係θ=L/Rを使用して、最終出力パラメータとして計算され得る)をもつ扇形の破線輪郭が示されている。この例示的なシステムにおけるCOSC/MCOSCの高さHはすべてのCOSC及びMCOSCに対して800μmであるが、任意の好適な高さが使用され得る。明快のために、図面における円形断面全体を示すためにスケール1010/1020の半径Rが選定されている。半径Rは、距離Hに対してスケーリングされ、例示的な実施例では、約2,000μm(2mm)である。任意の好適な半径Rが使用され得、半径値が大きくなると、弧角θの値は示されているものよりも小さくなることが予想され得る。また、
図12に示されているように、CCOSA1130b、CCOSA1130c及びCCOSA1130dなど、随意の追加のCCOSAが使用され得る。また、CRRLA1140aに示された5つよりも少ない又は多い読出しMCOSCが任意のCRRLAにおいて使用され得る。
【0056】
図13は、本開示で説明する様々な例示的な実施例による、平面読出しアセンブリ又は回転読出しアセンブリに対する平面又は回転(たとえば、円筒形)スケールの位置を測定するための方法における例示的な動作のフローチャートである。方法1300は随意のブロック1301で開始し、ブロック1301に従って、第2の機械部品又はデバイスに対する線形又は回転位置が望まれる、第1の機械部品又はデバイスに平面又は回転(たとえば、円筒形)スケールが取り付けられる。本方法は、次いで随意のブロック1302に進み、ブロック1302に従って、較正された線形位置読出しアセンブリ又は回転位置読出しアセンブリが前記第2の機械部品又はデバイスに取り付けられる。
【0057】
本方法は、次いでブロック1303に進み、ブロック1303に従って、平面又は円筒形共焦点光学センサー・アレイ130又は1130aの光源から光パルスが放出される。その目的で、コントローラ(たとえば、
図1におけるコントローラ140又は
図10におけるコントローラ140)は、
図1〜
図12に示されているように、線形又は回転/円筒形エンコーダ光学読出しアセンブリの一部である平面又は回転/円筒形共焦点光学センサー・アレイ(COSA)における光源(たとえば、LED又はレーザー・ダイオード)の全部又は一部分から一連の光パルスを放出させ得る。実施例では、光源エミッタの時間パルス幅は、スケールと読出しヘッドとの間の相対的動きを「フリーズ」するために、短く保たれる。また、相対速度推定における時間遅延及び誤差を低減するか、さらには最小にするために、高いパルス繰り返し周波数(PRF)を使用することが望ましいことがある。そのような推定は、測定された位置差を既知のパルス繰り返し周期で除することによって、又は位置差にPRFを乗ずることによって実行され得る。他の箇所で説明したように、パルス幅は1〜10nsもの短さであり、PRFは500kHz〜1MHzもの高さであり得る。線形又は回転/円筒形エンコーダ光学読出しアセンブリの初期微整合は、許容できる整合精度を達成するために数パルス時間を必要とし得、その時間中、警告フラグが位置データ報告に付随し得る。
【0058】
本方法は、次いでブロック1304に進み得、ブロック1304に従って、HCBC−2スケールから反射された光によって生成されたセンサー信号が測定される。実施例では、それぞれの平面又は回転スケールのいずれかから反射された光の一部分が各個々のCOSC(例示的なCOSC構成が
図3において見られ得る)中の光センサー(たとえば、フォトダイオード)によってキャプチャされたとき、そのような信号が測定され、測定された信号の大きさをもつ電気信号パルスが生じる。本方法は、次いでブロック1305に進み得、ブロック1305に従って、基準信号値が生成される。実施例では、基準信号値は、読出しライン・センサーからのすべての信号値を平均化することによって生成される。本方法は、次いでブロック1306に進み得、ブロック1306に従って、ブロック1304に従って測定されたセンサー信号が基準信号値で正規化される。HCBC−2スケール中には等しい「白」反射エリアと「黒」反射エリアとがあるので、基準信号値は、各信号を1又は0にデジタル化する際に使用するための信頼できる50%基準レベルであり得、測定の精度を改善するために外挿計算にも使用され得る。照明され、測定される面積が比較的大きく(たとえば、幅7mm×長さ10〜20mm)、HCBC−2の性質が冗長であるので、いずれかの測定スケール上の汚れ又はグリースの小さい面積の影響は無視できることが予想される。
【0059】
本方法は、次いでブロック1307に進み得、ブロック1307に従って、整合プロセスが実行される。実施例では、整合プロセスは、COSAのそれぞれのHCBC−2マルチトラック・スケールに対する少なくとも1つのCOSAの微整合を開始する目的で、誤差信号を作成するために、測定された信号のいくつかのグループを使用することを含む。特に、重みなし番号付けシステムの主要な領域UWNS及びUWNS RC(
図6参照)の下位領域(たとえば、4つの象限の各々)から測定された信号の大きさは、下位領域についての焦点誤差の大きさを推定するために使用され得る。「ディザリング」されたZ座標走査中の測定されたコントラスト変動など、自動焦点測定の任意の好適な方法が使用され得る。
【0060】
次に、ピッチ及びロール角整合について考えると、重みなし番号付けシステム(UNWS)象限の左側ペアの推定された焦点ぼけの符号及び大きさ(たとえば、
図6のように)と、象限の右側ペアの推定された焦点ぼけの符号及び大きさとの比較は、ピッチ角誤差の方向及び大きさを与え得るが、(たとえば、
図6のように)UNWS象限の上側ペアの推定された焦点ぼけの符号及び大きさと、象限の下側ペアの推定された焦点ぼけの符号及び大きさとの比較は、ロール角誤差の方向及び大きさを与え得る。上記で説明したZ、ロール及びピッチ整合誤差の低減の後、(たとえば、
図2及び
図11のように)COSA中の少なくとも4つの専用ASユニットからの信号の大きさが、読出しアセンブリ130及び/又は1140aの自動微ヨー整合のための符号及び大きさ誤差信号を作成するために使用され得る。
【0061】
本方法は、次いで決定ブロック1308に進み得、決定ブロック1308に従って、整合が許容できるかどうかに関する決定が行われる。実施例では、決定は、ピッチ、ロール、ヨー及び平均焦点誤差を所定の許容差値のセットと比較することを伴い、整合は、誤差が所定の許容差を下回る場合は許容でき、誤差が所定の許容差を上回る場合は許容できない。結果が「いいえ」である場合、本方法は整合プロセスの継続を求め、位置データは報告されない。しかし、ブロック1308において、結果が「はい」である場合、本方法はブロック1309に進み得、ブロック1309に従って、光エネルギーの最後に受信されたパルスについての線形又は回転位置値がコントローラ140又は1040において計算される。
【0062】
本方法は、次いでブロック1310に進み、ブロック1310に従って、位置が報告される。実施例では、コントローラ140又は1040は、測定された位置値を、オペレータ及び機械インターフェース145又は1045を介してシステム・ユーザに報告する。本方法は、次いでブロック1311に進み、ブロック1311に従って、動作が継続するべきか否かに関する決定が行われる。「はい」である場合、本方法は、ブロック1303にループ・バックし、反復するが、「いいえ」である場合、本方法は、ブロック1312に進み、終了する。
【0063】
図14は、平面HCBC−2スケール絶対位置線形エンコーダの一例についての例示的な符号化パラメータの表である。示されている表は、第1の数値行の破線ブロック1401に見られるように、ストライプル幅Q
Sに対して100nmの選定された特定の値について事前計算される。表は、破線ブロック1402中の例示的な8,388,608を含む、第2の数値行に「符号化されたストライプルの総数N
S」の6つの利用可能な値を含む。各項目が、HCBCコードとHCBC−2コードの両方の要件である、前の項目の2倍及び次の項目の半分の値を有するように、第2の数値行における例示的な項目の各々は一意の2のべき乗を表すことが気づかれ得る。たとえば、破線ボックス1402中の選択された値8,388,608は、2の23乗、すなわち2
23と書かれ得、次の列における値16,777,216は、2の24乗、すなわち2
24と書かれ得る。
【0064】
表を使用するために、ユーザは、最初に、本開示の例示的なシステム設計による、破線ボックス1402中の8,388,608など、第2の数値行における「符号化されたストライプルの総数N
S」の6つの値のうちの1つを選定する。ボックス1402と同じ列に留まり、ユーザは、次に、第3の数値行において見出されるボックス1403中の838.861mmの事前計算された「符号化されたスケール長(mm)」を読み取り得る。より大きい又はより短い「符号化されたスケール長」が望まれる場合、ユーザは、「符号化されたスケール長」の新しい値を取得するために、第2の数値行における「符号化されたストライプルの総数N
S」の異なる値を選択し得る。そうすることはまた、「コード・トラックの総数p
max.」を最後に決定するために、6つの可能性の中から適切な列を規定することが見られ得る。
【0065】
「コード・トラックの総数p
max.」を決定するために、ユーザは、次に、第1列における「ストライプルにおける最小方形波周期Λ
MIN」の6つの事前入力された値のうちの1つを選定する。本開示の例示的なシステム設計による、32の選定された値が破線ボックス1404中に示されている。この選択は、コード・トラックの総数p
max.の6つの可能な値と、「重みなしトラックの総数」の右側列における1つの値とを含んでいる行を規定する。Λ
MIN=32の選択された実例について、同じ行において、ボックス1405中に見られるように、重みなしトラックの総数の一般的な値は30である。「コード・トラックの総数p
max.」のための値は、次に、「最小方形波周期Λ
MIN」と同じ行を有し、選択された「符号化されたストライプルの総数N
S」と同じ列を有する、表項目中に見られ得る。N
S=8,388,608の例示的な選択について、本開示の例示的なシステム設計による、合計68個のHCBC−2トラックが必要とされることが、ボックス1406中に見られ得る。‘238出願において与えられた方法を使用することによって、100nm以外のQ
Sの選定のために新しい表が構築され得る。
【0066】
図15は、本開示による、円筒形スケールHCBC−2回転マルチトラック絶対位置エンコーダの一例のための例示的な符号化パラメータの表である。
図15の表は、
図14に関して説明したものと同様の様式で使用され得る。第1の数値行名「ナノメートルでのストライプル・アーク長(Stripel Arc Length)」に対するボックス1501項目は、この場合も(例のために)100nmであるが、平面上に代わり、
図12に示されているような円筒面上のアーク長に関する。ボックス1504中の100nmストライプル・アーク長のための符号化されたスケール直径(mm)を
図12の図面の物理的サイズ及びスケールに適合させるために、「1回転当たりの符号化されたストライプルの総数N
S」のための131,072のボックス1502項目が選定されたが、1502の行における6つの利用可能な項目のいずれかが選定され得る。「符号化されたスケール周長」に対するボックス1503中の13.1072mmの項目は、
図14のボックス1403中の838.861mmの「符号化されたスケール長」の前に説明した項目にまさに類似する。
図15のボックス1504に戻ると、選定された例に対するスケール直径はわずか4.17mmであることが見られ得る。しかしながら、5つのより大きいスケール直径(最高133.5mm)をもつエンコーダのためのパラメータも
図15中に文書化されている。回転エンコーダの特定の直径のための要件は、1回転当たりのストライプルの総数及び最適化されたストライプル・アーク長のための2の異なる倍数の組合せによって満たされ得ることに留意されたい。
【0067】
図15は、Λ
MINのための32ストライプル周期(ボックス1506)、及びボックス1507中の30個の重みなし番号付けシステム・トラックの例示的な選択を示す。ボックス1506及び1507と同じ行におけるボックス1508は、ストライプル・アーク長100nmをもつ直径4.17mmの例示的な円筒形スケールを符号化するために(この実例では)合計56個のコード・トラックが使用されるであろうことを示している。
図15における表はまた、本開示における例示的なシステム設計による一定の100nmストライプル・アーク長に対するマイクロラジアン(μrad)での事前計算された角ストライプル・アーク長(Angular Stripel Arc Length)の行を含む。ボックス1505は、直径4.17mmの例示的なエンコーダについての47.9μradの値と、直径133.5mmのエンコーダについての1.498μradの値とを示す。本明細書において線形エンコーダについて説明した1つのストライプルの小さい部分に対する測定の外挿及び複数読出しライン平均化方法は回転エンコーダにも適用するので、達成可能な角度精度は、
図15の表に示されたストライプル値よりも1桁又はおそらく2桁良い、すなわち、100mm又はより大きいエンコーダ直径に対してナノラジアン範囲内であり得る。
【0068】
以下の例は、本開示による追加の非限定的な実施例を表す。
【0069】
「実例1」
この実例によれば、ハイブリッド巡回2進コード2(HCBC−2)で符号化された第1の領域を含む基板を含むスケールと、光学読出しアセンブリ(ORA)とを含む光学絶対位置エンコーダが提供され、HCBC−2で符号化された第1の領域は、ハイブリッド巡回2進コード(HCBC)パターンの第1のマルチトラック・アレイを含む第1の下位領域と、HCBCパターンの第2のマルチトラック・アレイを含む第2の下位領域とを含み、第2のマルチトラック・アレイが第1のマルチトラック・アレイの反射及び補完であり、ORAは、HCBC−2符号化されたスケール上に光パルスを放出するように構成された少なくとも1つの光源を含み、ORAは、HCBC−2スケールによって反射された光の少なくとも一部分を測定し、ORAに対するHCBC−2スケールの位置を決定するように構成される。
【0070】
「実例2」
この実例は、スケールが、第1の下位領域を含む第1の内側領域と、第2の下位領域を含む第2の内側領域とを含み、第1のマルチトラック・アレイの各トラックが、非測定方向においてよりも測定方向において長い符号化されたストリップである、実例1の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0071】
「実例3」
この実例は、スケールが、第1の外側領域と、第2の外側領域とをさらに含み、第1の外側領域、第2の外側領域、又は第1の外側領域と第2の外側領域の両方が、少なくとも1つの符号化されていない整合トラックを備える、実例2の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0072】
「実例4」
この実例は、第1の領域が、第1の外側領域と第2の外側領域との間に配設された、実例3の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0073】
「実例5」
この実例は、第1の外側領域及び第2の外側領域が、それぞれ符号化されていない整合トラックを備える、実例4の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0074】
「実例6」
この実例は、少なくとも1つの整合トラックが、第1の整合トラック・ペアと第2の整合トラック・ペアとを含み、第1の外側領域が第1の整合トラック・ペアを含み、第2の外側領域が第2の整合トラック・ペアを含み、第1の整合トラック・ペア及び第2の整合トラック・ペアの各々が、第1のトラックと、第1のトラックに隣接する第2のトラックとを備え、第1のトラックが、スケールの長さ全体にわたって非反射性又は非透過性であり、第2のトラックが、スケールの長さ全体にわたって反射性又は透過性である、実例4の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0075】
「実例7」
この実例は、ORAが光学センサー・アレイを含み、光学センサー・アレイが、光源のアレイと、光センサーのアレイとを含む、実例3から6のいずれか1つの特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0076】
「実例8」
この実例は、光センサーのアレイが複数の共焦点光学センサーを含む、実例7の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0077】
「実例9」
この実例は、光学センサー・アレイが、少なくとも1つの読出しラインを含む読出しライン・アセンブリを含み、少なくとも1つの読出しラインが、複数の読出し光源と、複数の読出しライン光学センサーとを含み、光源のアレイが複数の読出し光源を含み、光センサーのアレイが複数の読出しライン光学センサーを含む、実例7の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0078】
「実例10」
この実例は、光学センサー・アレイが複数の整合センサーをさらに含む、実例9の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0079】
「実例11」
この実例は、複数の読出しライン光学センサーが、第1の方向において線形位置誤差を最も正確に測定するように構成され、複数の整合センサーが、第2の方向において整合位置を最も正確に測定するように構成され、第1の方向と第2の方向とが互いに異なる、実例9の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0080】
「実例12」
この実例は、光学絶対位置エンコーダが線形光学絶対位置エンコーダであり、スケールが平面であり、第1のマルチトラック・アレイ及び第2のマルチトラック・アレイが、平面2次元レイアウトで基板上に構成されたか、又は基板内に形成された、実例1から11のいずれか1つの特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0081】
「実例13」
この実例は、光学絶対位置エンコーダが回転光学絶対位置エンコーダであり、スケールが回転スケールであり、基板が、円筒形ドラムの内面若しくは外面であるか、又は円筒形ドラムの内面若しくは外面に配設される、実例1から11のいずれか1つの特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0082】
「実例14」
この実例によれば、光源から光パルスを放出することであって、光パルスがスケールに入射し、スケールが、ハイブリッド2進巡回コード2(HCBC−2)で符号化された第1の領域を含む、光パルスを放出することと、光学読出しアセンブリ(ORA)を用いて、スケールによって反射された光パルスの少なくとも一部分を検出し、少なくとも1つのセンサー信号を生成することと、少なくとも1つのセンサー信号に基づいて、コントローラを用いて、読出しアセンブリに対するスケールの位置を計算することとを含む、読出しアセンブリに対するスケールの絶対位置を測定する方法であって、HCBC−2スケールで符号化された第1の領域が、ハイブリッド巡回2進コード(HCBC)パターンの第1のマルチトラック・アレイを含む第1の下位領域と、HCBCパターンの第2のマルチトラック・アレイを含む第2の下位領域とを含み、第2のマルチトラック・アレイが第1のマルチトラック・アレイの反射及び補完である、スケールの絶対位置を測定する方法が提供される。
【0083】
「実例15」
この実例は、スケールが、第1の下位領域を含む第1の内側領域と、第2の下位領域を含む第2の内側領域とを含み、第1のマルチトラック・アレイの各トラックが、非測定方向においてよりも測定方向において長い符号化されたストリップである、実例14の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0084】
「実例16」
この実例は、スケールが、第1の外側領域と、第2の外側領域とをさらに含み、第1の外側領域、第2の外側領域、又は第1の外側領域と第2の外側領域の両方が、少なくとも1つの符号化されていない整合トラックを備える、実例15の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0085】
「実例17」
この実例は、第1の外側領域及び第2の外側領域が、それぞれ符号化されていない整合トラックを備える、実例16の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0086】
「実例18」
この実例は、ORAが光学センサー・アレイを含み、光学センサー・アレイが、光パルスを放出するように構成された光源のアレイと、スケールによって反射された光を検出するように構成された光センサーのアレイとを含む、実例16又は実例17の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0087】
「実例19」
この実例は、光センサーのアレイが複数の共焦点光学センサーを含む、実例18の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0088】
「実例20」
この実例は、光学センサー・アレイが、少なくとも1つの読出しラインを含む読出しライン・アセンブリを含み、少なくとも1つの読出しラインが、複数の読出し光源と、複数の読出しライン光学センサーとを含み、光源のアレイが複数の読出し光源を含み、光センサーのアレイが、複数の読出しライン光学センサーを含む、実例18の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0089】
「実例21」
この実例は、少なくとも1つのセンサー信号が複数のセンサー信号を含み、本方法が、複数のセンサー信号を測定することと、複数のセンサー信号から基準信号値を生成することと、複数の正規化されたセンサー信号を生成するために、基準信号値を用いて複数のセンサー信号の各々を正規化することとをさらに含み、読出しアセンブリに対するスケールの位置を計算することが、複数の正規化されたセンサー信号に基づいて実行される、実例14の特徴のいずれか又はすべてを含む。
【0090】
本開示の他の実施例は、本明細書の検討、及び本明細書で開示する本発明の実施から当業者に明らかになろう。本明細書及び実例は例示的なものにすぎないと考えられ、本発明の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【国際調査報告】