特表2021-527388(P2021-527388A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527388(P2021-527388A)
(43)【公表日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】回転電気機械の為の固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20210913BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20210913BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   H02K15/02 D
   H02K15/085
   H02K1/18 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2021-517907(P2021-517907)
(86)(22)【出願日】2019年6月4日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2019064499
(87)【国際公開番号】WO2019234026
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】1854969
(32)【優先日】2018年6月7日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505337087
【氏名又は名称】モトール ルロワ−ソメー
(71)【出願人】
【識別番号】520479168
【氏名又は名称】スカイアジュール
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】サン−ミッシェル,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ジャノ,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ガス,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ラングラード,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ドスュールモン,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601CC02
5H601DD01
5H601DD11
5H601EE03
5H601EE14
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB32
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD07
5H601GD19
5H601HH21
5H601JJ06
5H601KK14
5H601KK21
5H601KK30
5H615RR02
5H615SS09
5H615SS18
5H615SS19
(57)【要約】
本発明は、電気機械固定子(2)を製造する為の方法であって、該方法が、歯付きリング(25)と、ここで、該歯付きリング(25)が、材料の複数のブリッジ(27)によって互いに接合された複数の歯(23)及び外側に向かって径方向に開いているスロット(21)をそなえている、該スロット(21)の外側に作成された複数の巻線(22)と、該歯付きリング(25)に取り付けられるように構成されたヨーク(29)とを用い、該方法が、シート形態絶縁材の少なくとも1つの片(37a、37b)を、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分(22a、22b)に取り付けること、該スロット(21)の内部に向けられた径方向移動によって、上記複数の巻線部分(22a、22b)を該絶縁材(37a、37b)と共に該スロット(21)内に挿入すること、及び該スロット(21)を径方向に閉じることを含む、上記方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械の固定子(2)を製造する為の方法であって、該方法が、
歯付きリング(25)と、ここで、該歯付きリング(25)が、材料の複数のブリッジ(27)によって互いに接合された複数の歯(23)を備えており且つ外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を該複数の歯の間に画定し、該スロット(21)が、相互に平行な対向するエッジ(33)を有する、
該スロット(21)の外側に作成された複数の巻線(22)と、
該歯付きリング(25)に取り付けられるように構成されたヨーク(29)と
を用い、該方法が、
シート形態絶縁材の少なくとも1つの片(37a、37b)を、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分(22a、22b)に取り付けること、ここで、該シート形態絶縁材の複数の片が直線の巻線部分にわたって延在する、
該スロット(21)の内部に向けられた径方向移動によって、上記複数の巻線部分(22a、22b)を該絶縁材(37a、37b)と共に該スロット(21)内に挿入すること、及び
該ヨーク(29)を該リング(25)の径方向外表面上に組み立てて、該スロット(21)を径方向に閉じること
を含む、前記方法。
【請求項2】
電気機械の固定子(2)を製造する為の方法であって、該方法が、
歯付きリング(25)と、ここで、該歯付きリング(25)が、材料の複数のブリッジ(27)によって互いに接合された複数の歯(23)を備えており且つ外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を該複数の歯の間に画定する、
該スロット(21)の外側に作成された複数の巻線(22)と、ここで、該複数の巻線(22)はそれぞれ、横断面が矩形である、エッジに巻き付けられた少なくとも1つの電気導体(34)を備えている、
該歯付きリング(25)に取り付けられるように構成されたヨーク(29)と
を用い、該方法が、
シート形態絶縁材の少なくとも1つの片(37a、37b)を、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分(22a、22b)に取り付けること、
該スロット(21)の内部に向けられた径方向移動によって、上記複数の巻線部分(22a、22b)を該絶縁材(37a、37b)と共に該スロット(21)内に挿入すること、及び
該ヨーク(29)を該リング(25)の径方向外表面上に組み立てて、該スロット(21)を径方向に閉じること
を含む、前記方法。
【請求項3】
電気機械の固定子(2)を製造する為の方法であって、該方法が、
歯付きリング(25)と、ここで、該歯付きリング(25)が、材料の複数のブリッジ(27)によって互いに接合された複数の歯(23)を備えており且つ該外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を該複数の歯の間に画定する、
該スロット(21)の外側に作成された複数の巻線(22)と、
該歯付きリング(25)に取り付けられるように構成されたヨーク(29)と
を用い、該方法が、
シート形態絶縁材の少なくとも1つの片(37a、37b)を、該スロット(21)の全高にわたって、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分(22a、22b)に取り付けること、ここで、該シート形態絶縁材が、該スロット(21)の高さに実質的に等しい高さをもつ、
該スロット(21)の内部に向けられた径方向移動によって、上記複数の巻線部分(22a、22b)を該絶縁材(37a、37b)と共に該スロット(21)内に挿入すること、及び
該ヨーク(29)を該リング(25)の径方向外表面上に組み立てて、該スロット(21)を径方向に閉じること
を含む、前記方法。
【請求項4】
電気機械の固定子(2)を製造する為の方法であって、該方法が、
歯付きリング(25)と、ここで、該歯付きリング(25)が、材料の複数のブリッジ(27)によって互いに接合された複数の歯(23)を備えており且つ該外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を該複数の歯の間に画定する、
該スロット(21)の外側に作成された複数の巻線(22)と、
該歯付きリング(25)に取り付けられるように構成されたヨーク(29)と
を用い、該方法が、
シート形態絶縁材の少なくとも1つの片(37a、37b)を、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分(22a、22b)に取り付けること、ここで、該シート形態絶縁材の複数の片(37a、37b)がそれぞれ、関連付けられた巻線部分(22a、22b)の長手方向軸(Z)に実質的に沿って延在する2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)を備えており、該巻線部分(22a、22b)が横断面において矩形であり、該シート形態絶縁材の各片(37a、37b)の該2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)が、対応する巻線部分(22a、22b)の同じ面にわたって延在する、
対応するシート形態絶縁材の該長手方向エッジが、該スロットの開口に向かって、又は同じスロットに挿入された巻線の一部分に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在するように、該スロット(21)の内部に向けられた径方向移動によって、上記巻線部分(22a、22b)を該絶縁材(37a、37b)と共に該スロット(21)内に挿入すること、及び
該ヨーク(29)を該リング(25)の径方向外表面上に組み立てて、該スロット(21)を径方向に閉じること
を含む、前記方法。
【請求項5】
該複数の巻線(22)が該絶縁材(37)と共に複数の該スロット(21)に挿入されると、該絶縁材(37)が各スロット(21)内で該スロット(21)の全高にわたって延在する、請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該シート形態絶縁材の複数の片(27a、27b)が、挿入後、該スロット(21)の各側で該スロット(21)から軸方向に突出する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該シート形態絶縁材の複数の片(37a、37b)がそれぞれ、関連付けられた巻線部分(22a、22b)の長手方向軸(Z)に実質的に沿って延在する2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)を備えており、ここで、該巻線部分(22a、22b)が横断面において矩形であり、及び、シート形態絶縁材の各片(37a、37b)の該2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)が、対応する巻線部分(22a、22b)の同じ面にわたって延在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
シート形態絶縁材の各片(37a、37b)の該長手方向エッジ(54、54a、54b)が、該面上で互いに接触する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
シート形態絶縁材の各片(37a、37b)が、それ自身の上に少なくとも部分的に重ねられた状態になる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
シート形態絶縁材の対応する1片(37a、37b)の該長手方向エッジ(54)が、該スロット(21)の開口に向かって、又は同じスロット(21)に挿入された巻線の一部分(22a、22b)、特に異なる位相を有する巻線の一部分(22a、22b)、に向かって、方向付けされている巻線部分(22a、22b)の面にわたって延在するように、該巻線部分(22a、22b)が、対応するスロット(21)内に配置される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該シート形態絶縁材の複数の片(37a、37b)が、該巻線部分(22a、22b)の周りに巻き付けられたテープ、特に該巻線部分(22a、22b)の周りの一巻きから次の巻きまでそれ自身の上に重ねられたテープ、の形態を取る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該シート形態絶縁材の該複数の片(37a、37b)が、それらの表面の少なくとも一部にわたって、更に好ましくはそれらの表面全体にわたって、接着剤結合を使用して該巻線(22)に固定される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
シート形態絶縁材の各片(37a、37b)が、その長手方向端部の少なくとも一方で、好ましくはその長手方向端部の両方で、該シート形態絶縁材の全体若しくは一部上で、及び/又は対応する巻線部分の全体若しくは一部上で、接着剤結合を使用して、又は、例えば該シート形態絶縁材(37a、37b)及び該巻線部分(22a、22b)にまたがり、少なくとも1つの接着テープを使用して、該巻線部分(22a、22b)に固定される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
巻線部分(22a、22b)のそれぞれが、シート形態絶縁材の単一の片(37a、37b)で被覆される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
巻線部分(22a、22b)のそれぞれが、少なくとも部分的に互いに、若しくは触れ合うエッジで、重ねられたシート形態絶縁材の少なくとも2つの片(37a、37b)で被覆され、特に、シート形態絶縁材の2つの片(37a、37b)が、U字に形成され、且つ対応する巻線部分(22a、22b)の上で端から端まで固定される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該スロット(21)に挿入される該巻線(22)部分が、該絶縁材(37)の少なくとも厚さ1つ分、更に好ましくは該絶縁材(37)の少なくとも厚さ2つ分、該スロットの内壁(33、35)から離れている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
該巻線(22)が実質的に矩形の断面を有し、該シート形態絶縁材(37a、37b)を該複数の巻線部分(22a、22b)のそれぞれに固定する該ステップが、
該シート形態絶縁材の片(37a、37b)を平らに広げること、
該シート形態絶縁材(37a、37b)と該巻線の第1の面(80)との間の接触を維持する為に、該シート形態絶縁材(37a、37b)と接触している該巻線部分(22a、22b)に圧力(P)を加えることによって、特に第1の面とは反対側の第2の面(81)に圧力を加えることによって、該巻線の該第1の面(80)を該シート形態絶縁材(37a、37b)上に、特に該シート形態絶縁材の片(37a、37b)の中央に置くこと、
該シート形態絶縁材の片(37a、37b)の2つの自由面を該巻線の2つの対向する側面(82、83)に当てがうこと、
該シート形態絶縁材の片(37a、37b)の2つの自由フラップのうちの1つを該第2の面(81)上に折り畳み、次に該シート形態絶縁材の片(37a、37b)の残りの自由フラップを該第2の面(81)上に折り畳むこと、ここで、該シート形態絶縁材の片(37a、37b)が、対応する巻線に関して、端部が該第2の面(81)と重ねられるような、幅を有する、及び
シート形態絶縁材(37a、37b)に巻き付けられた該巻線の該第2の面(81)に圧力を加えること、
の複数のサブステップを含み、
該複数のサブステップが、該シート形態絶縁材の片(37a、37b)を第3の面(82、83)に対して折り畳むことができるフラップ折畳み用のウィングと、該シート形態絶縁材の片(37a、37b)の該2つのフラップを該第2の面(81)上に折り畳むことができるスライドと、該巻線(22)を所定位置に保持し、該巻線の該第2の面(81)に圧力を加えることができる保持ツールと、を備えている、好適な折畳みデバイスを使用して実施される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
該巻線部分(22a、22b)を挿入する該ステップ中、各スロットが、巻線の少なくとも2つの部分(22a、22b)を、特に異なる位相の巻線の少なくとも2つの部分(22a、22b)を、受け入れ、該2つの巻線部分(22a、22b)が好ましくは、該スロット(21)内で径方向に重ねられる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
同じスロット(21)内の該2つの巻線部分(22a、22b)が、該シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ1つ分、好ましくは該シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ2つ分、更に好ましくは該シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ4つ分、互いから離されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
シート形態絶縁材の対応する片(37a、37b)の該長手方向エッジ(54)が、巻線部分(22a、22b)に向かって、方向付けされている他方の巻線部分(22a、22b)の面にわたって延在するように、各巻線部分(22a、22b)が、対応するスロット(21)内に配置される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
該シート形態絶縁材(37a、37b)が、可撓性の電気絶縁性材料で作られており、特にアラミド、例えばNomex(登録商標)、で作られており、又は、アラミドの及びポリエステルの又はポリイミドのラミネートで、特にNMN(Nomex(登録商標)−Mylar(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプの若しくはNKN(Nomex(登録商標)−Kapton(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプのNomex(登録商標)ラミネートで作られているか、若しくはマイカ/ポリエステルで作られている、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
該シート形態絶縁材の複数の片が直線の巻線部分のみにわたって延在する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
径方向内側のリング(25)であって、
外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を複数の歯(23)の間に成す該複数の歯(23)、ここで、該スロット(21)が、相互に平行な対向するエッジ(33)を有する、及び
材料の複数のブリッジ(27)、ここで、材料の各ブリッジが、隣接する2つの歯(23)を該隣接する2つの歯の基部で空気間隙の側で接続し、且つ該スロット(21)の底部をこれらの複数の歯の間に画定する、を備えている、前記リング(25)と、並びに
該リング(25)に取り付けられた径方向外側のヨーク(29)と、
該スロット(21)内に分散された様式で配置されている複数の巻線(22)と、を備えており、
該複数の巻線(22)が、スロット(21)ごとに、第1の位相の巻線(22)と、該第1の位相とは異なる第2の位相の巻線(22)とを少なくとも有し、これらの巻線部分(22a、22b)が、シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ2つ分、該スロット(21)内で離され、シート形態絶縁材(37a、37b)の1つの片が該複数の巻線(22)のそれぞれを少なくとも部分的に取り囲んでいる、
固定子(2)。
【請求項24】
径方向内側のリング(25)であって、
外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を複数の歯(23)の間に成す該複数の歯(23)、及び
材料の複数のブリッジ(27)、ここで、材料の各ブリッジが、隣接する2つの歯(23)を該隣接する2つの歯の基部で空気間隙の側で接続し、且つ該スロット(21)の底部をこれらの複数の歯の間に画定する、
を備えている、前記リング(25)と、
該リング(25)に取り付けられた径方向外側のヨーク(29)と、
該スロット(21)内に分散された様式で配置されている複数の巻線(22)と、ここで、該複数の巻線(22)が、スロット(21)ごとに、第1の位相の巻線(22)と、該第1の位相とは異なる第2の位相の巻線(22)とを少なくとも有し、これらの巻線部分(22a、22b)が、シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ2つ分、該スロット(21)内で離され、シート形態絶縁材(37a、37b)の1つの片が、該複数の巻線(22)のそれぞれを少なくとも部分的に取り囲み、該複数の巻線(22)がそれぞれ、エッジ上に巻き付けられた矩形の横断面の少なくとも1つの電気導体(34)を備えている、
を備えている、
固定子(2)。
【請求項25】
径方向内側のリング(25)であって、
外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を複数の歯(23)の間に成す該複数の歯(23)、及び
材料の複数のブリッジ(27)、ここで、材料の各ブリッジが、隣接する2つの歯(23)を該隣接する2つの歯の基部で空気間隙の側で接続し、且つ該スロット(21)の底部をこれらの複数の歯の間に画定する、
を備えている、前記リング(25)と、
該リング(25)に取り付けられた径方向外側のヨーク(29)と、
該スロット(21)内に分散された様式で配置されている複数の巻線(22)と、ここで、該複数の巻線(22)が、スロット(21)ごとに、第1の位相の巻線(22)と、該第1の位相とは異なる第2の位相の巻線(22)とを少なくとも有し、これらの巻線部分(22a、22b)が、シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ2つ分、該スロット(21)内で離され、シート形態絶縁材(37a、37b)の1つの片が、該スロット(21)の全高にわたって該巻線(22)のそれぞれを少なくとも部分的に取り囲み、該シート形態絶縁材が、該スロット(21)の高さに実質的に等しい高さをもつ、
を備えている、
固定子(2)。
【請求項26】
径方向内側のリング(25)であって、
外側に向かって径方向に開いているスロット(21)を複数の歯(23)の間に成す該複数の歯(23)、及び
材料の複数のブリッジ、ここで、材料の各ブリッジが、隣接する2つの歯(23)を該隣接する2つの歯の基部で空気間隙の側で接続し、且つ該スロット(21)の底部をこれらの複数の歯の間に画定する
を備えている、前記リング(25)と、
該リング(25)に取り付けられた径方向外側のヨーク(29)と、
該スロット(21)内に分散された様式で配置されている複数の巻線(22)と、ここで、該複数の巻線(22)が、スロット(21)ごとに、第1の位相の巻線(22)と、該第1の位相とは異なる第2の位相の巻線(22)とを少なくとも有し、これらの巻線部分(22a、22b)が、シート形態絶縁材(37a、37b)の少なくとも厚さ2つ分、該スロット(21)内で離され、シート形態絶縁材(37a、37b)の1つの片が、該巻線(22)のそれぞれを少なくとも部分的に取り囲み、該シート形態絶縁材の複数の片(37a、37b)がそれぞれ、関連付けられた巻線部分(22a、22b)の長手方向軸(Z)に実質的に沿って延在する2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)を備えており、該巻線部分(22a、22b)が横断面において矩形であり、シート形態絶縁材の各片(37a、37b)の該2つの対向する長手方向エッジ(54、54a、54b)が、対応する巻線部分(22a、22b)の同じ面にわたって延在し、対応するシート形態絶縁材の該長手方向エッジが、該スロットの開口に向かって、又は同じスロットと関連付けられた異なる位相を有する巻線の一部分に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在する
を備えている、
固定子(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械(rotating electrical machines)に、より特にはそのような機械の固定子に、関する。本発明はまた、これらの機械を製造する為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの既知の固定子において、ヨークは、巻線が導入されることを可能にするように、空気間隙に向かって完全に開いているか又は半分開いているスロットを形成する。一般に、該半分開いているスロットは、ばらばらに配置されている円形の横断面の電気導体を受け入れ、一方、該開いているスロットは、規則的な様式(ordered manner)で配置された矩形の横断面の電気導体を収容する。両方の場合において、該電気導体は、U字形のスロットであって且つ該電気導体を受け入れる該スロットに挿入されたシートによって、固定子集団から絶縁される。異なる位相を有する2つの巻線を受け入れるスロットの場合に、異なる位相を有する巻線はまた、絶縁シートによって互いから離される。該1以上の絶縁シートは、該電気導体が挿入されている間、該スロット内において所定位置に保持される必要がある。
【0003】
米国特許第6198190号明細書は、矩形の横断面のU字形の電気導体を受け入れる、空気間隙に向かって半分開いているスロットを有する固定子を記載している。そのような電気導体は、該スロットの長手方向軸に沿って該電気導体を該スロット内に滑り込ませることによって、該スロット内に挿入される。該電気導体は、該スロット内に配置されたS字形の絶縁体によって、固定子集団から且つお互いに絶縁される。該絶縁材は、該電気導体が挿入される前に、該スロット内に挿入される。
【0004】
仏国特許出願公開第3019947号明細書は、複数の歯を有する歯付きリングを備えている固定子であって、該歯付きリングは、材料の複数のブリッジによって互いに接続され且つコイルを受け入れる為のスロットを複数の歯の間に画定する該複数の歯を備えており、ここで、該スロットが外側に向かって径方向に開いている、上記固定子を記載している。該スロットの開口は、該歯付きリングに取り付けられたヨークによって閉じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スロットの簡単で且つ効率的な充填を可能にすると同時に、十分な電磁性能を提供する、回転電気機械固定子を製造する為の方法を有することの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、より特には、実現できる限り最良に、絶縁材に対する損傷の危険性を制限すると同時に、スロット内における巻線の迅速且つ簡単な配置を可能にしながら、該スロット内の巻線を絶縁することを目的とする。
【0007】
方法
本発明は、第1の観点に従って、電気機械の固定子を製造する為の方法を用いて、この必要性に対処し、該方法が、
歯付きリングと、ここで、該歯付きリングが、材料の複数のブリッジによって互いに接合された歯を備えており且つ外側に向かって径方向に開いているスロットを該複数の歯の間に画定する、
該スロットの外側に作成された複数の巻線と、
該リングに取り付けられるように構成されたヨークと
を用い、該方法が、
シート形態絶縁材の少なくとも1つの片を、該複数の巻線それぞれの少なくとも一部分に取り付けること、
該スロットの内部に向けられた径方向移動によって、上記巻線部分を該シート形態絶縁材と共に該スロット内に挿入すること、及び、
該ヨークを該リング上に組み立てて、該スロットを径方向に閉じること
を含む。
【0008】
該ヨークは、とりわけ、巻線が挿入された後に、該巻線を該スロット内で保持することができる。該ヨークは、多数の様式で該リングと組み立てられうる。
【0009】
該スロットが外側に向かって径方向に開いているという事実は、該スロットの内部に向かう径方向移動によって、該巻線が該スロットに挿入されることを可能にする。これは、一方では、該スロットの内部へのアクセスがより簡単になる限り、ここで、これらは、完全に開いており且つ空気間隙に向かうのではなく外側に向かうスロットである、また他方では、必要な工具の為に、該リングの周りで利用可能な空間が、該固定子のボア(bore)内の利用可能な空間よりもはるかに大きい限り、該巻線の設置をより簡単にする。
【0010】
該シート形態絶縁材を該巻線に固定することは、該巻線が該スロットのエッジから絶縁されることを可能にするが、また、該固定子が製造されている間、該巻線の導体を機械的に保持する。この保持は、該巻線を該スロットに挿入し易くし且つ該巻線の巻回の間の空間を減少する。
【0011】
該巻線を該絶縁材有する該スロット内に挿入することは、特に、該スロットが外側に向かって開いており、それによって該巻線の挿入の為に利用可能な空間が増加するという事実によって可能にされる。該絶縁材を損傷する危険性が低減される。加えて、該巻線を該スロットの表面に対して絶縁するステップが、該スロットの外部で実施されて、より簡単になり且つより信頼性が高くなる。
【0012】
最後に、該電気導体の挿入を可能にする為に、該絶縁材が該スロットの開口に向かって開いている必要性はもはやないので、そのような絶縁は、該巻線上で該絶縁材を配列する為の選択肢の範囲を増加させることを可能にする。それは、該巻線のより良好な絶縁を可能にする。
【0013】
該方法は、該絶縁材を固定するステップの前に、該巻線を形成するステップを含む。
【0014】
該方法は、該シート形態絶縁材が接着剤で予め被覆されていない場合に、該シート形態絶縁材を複数の巻線部分のそれぞれに固定するステップの前に、該接着剤を該シート形態絶縁材に、又は対応する複数の巻線部分に施与するステップを含みうる。
【0015】
該巻線が実質的に矩形の断面を有する場合、該シート形態絶縁材を複数の巻線部分のそれぞれに固定するステップは、
該シート形態絶縁材を平らに広げること、
該シート形態絶縁材と該巻線の第1の面との間の接触を維持する為に、該シート形態絶縁材と接触している該巻線部分に圧力を加えることによって、特に第1の面とは反対側の第2の面に圧力を加えることによって、該巻線の該第1の面を該シート形態絶縁材上に、特に該シート形態絶縁材の片の中央に置くこと、
該シート形態絶縁材の片の2つの自由面を該巻線の2つの対向する側面に当てがうこと、
該シート形態絶縁材の片のうちの1つの自由フラップを該第2の面上に折り畳み、次に該シート形態絶縁材の片の残りの自由フラップを該第2の面上に折り畳むこと、ここで、該シート形態絶縁材の片が、対応する巻線に関して、端部が該第2の面と重ねられるような、幅を有する、及び、
該巻線の該第2の面に圧力を加えること
の複数のサブステップを含みうる。
【0016】
そのような折畳みの方法は、該シート形態絶縁材の該片が該巻線部分に対してぴったりと保持されることを確保し、それによって、該巻線部分上の該シート形態絶縁材の該片にしわが作られることを回避し、該且つ巻線が該スロットに挿入される際に且つ該ヨークが該リング上に取り付けられる際に、該シート形態絶縁材の該片に対する損傷の危険性を制限する。
【0017】
該絶縁材を固定する複数のステップが、該シート形態絶縁材の片を該側面に対して折り畳むことができるフラップ折畳み用のウィングと、該シート形態絶縁材の片の2つのフラップを該第2の面上に折り畳むことができるスライドと、該巻線を所定位置に保持し、該巻線の該第2の面に圧力を加えることができる保持ツールと、を備えている、好適な折畳みデバイスを使用して、実施されうる。加えて、該材料のブリッジの存在は、該固定子全体がラッカーで含浸されている場合に、該空気間隙におけるラッカーの損失の危険性を低減する。これは、洗浄の必要性を低減することを可能にする。
【0018】
それはまた、該固定子が取り付けられる該機械の動作中、該空気間隙内へのラッカーの漏れを低減することを可能にする。これは、該機械のメンテナンスを単純化する。
【0019】
語「ラッカー」は、本明細書において広い意味で理解されるべきであり、任意のタイプの含浸材料、特にポリマー、を包含する。
【0020】
該固定子は、単純に該固定子の端部のみで封止することによって、閉じられた含浸チャンバとして使用されることができる。従って、工具は単純化される。これはまた、失われるラッカーの量及び洗浄作業を低減する。
【0021】
その上、そのような固定子は、従来技術における該空気間隙上で開いている該スロットの存在に関連付けられた電磁妨害を大幅に低減する。該空気間隙に向かう該スロットの開口がないことは、該スロットの脈動を低減することを可能にする。該機械の電磁性能が改善される。
【0022】
固定子
スロット
少なくとも1つのスロット、更に好ましくは全てのスロット、は、相互に平行な対向するエッジを有しうる。該スロットの幅は好ましくは、その全高にわたって実質的に一定である。
【0023】
少なくとも1つの歯、更に好ましくは全ての歯、は、該固定子の軸に垂直な面内の断面で見られた場合に、台形の全体形状を有しうる。
【0024】
好ましくは、材料の幾つかのブリッジがそれぞれ、変形可能なゾーンを有し、好ましくは、材料の全てのブリッジがそれぞれ、変形可能なゾーンを有する。「変形可能なゾーン」によって意味されることは、該材料のブリッジが接続する該歯の相対的な移動すると、好ましくは変形する、該材料のブリッジのゾーンである。該材料のブリッジの変形は、該材料のブリッジの円周方向寸法の延長又は短縮をもたらし得、これは、該リングの円周方向寸法の延長又は短縮につながる。好ましい変形は、該ブリッジに与えられる特定の形状の結果でありうる。
【0025】
該変形可能なゾーンは、該リングが該ヨークと組み立てられる際に、該リングによって経験される機械的応力に適応することを可能にする。加えて、望ましい場合、該ヨークを取り付ける前により広く開いているスロットを有すること、そしてそれ故に、該巻線が挿入される際に、該巻線と該スロットの壁との間により大きい隙間を有することを可能にし、それによって巻線の挿入をより容易にし且つ該絶縁材に対する損傷の危険性を低減する。
【0026】
好ましくは、材料の複数のブリッジはそれぞれ、とりわけ少なくとも1つの局所化された制限部(restriction)の形態、少なくとも1つの局所化された圧縮部(crushing)の形態、少なくとも1つの開口の形態、又は少なくとも1つの局所化された処理部(treatment)の形態、の低減された透磁率のゾーンを示す。該材料のブリッジの該低減された透磁率のゾーンは、該機械が動作中の場合に、磁気的に飽和された状態になり、それによって磁束の通過を制限し且つ該機械の効率を増加させる。
【0027】
好ましくは、該スロットのそれぞれの底部は、巻線、好ましくは実質的に矩形の横断面の巻線、が当接する少なくとも1つの平面部分を有する。該1以上の平面部分は、該スロットの径方向軸に実質的に垂直である。
【0028】
該スロットの底部は、窪み及び/又は変形可能なゾーンを除いて、平らでありうる。
【0029】
該変形可能なゾーン又は該窪みは好ましくは、該材料のブリッジと該対応する巻線との間に隙間を形成し、それは、該固定子を含浸する場合にラッカーが浸透するのをより簡単にしうる。
【0030】
これは、該巻線が該スロットの底部に平らに載ることを可能にすることによって、矩形の横断面の巻線の場合に、該スロットの該巻線による良好な充填を可能にする。
【0031】
ヨーク・リング境界面
好ましくは、該リングは、該ヨークを該リング上に組み立てるステップ中に、その径方向外の表面に、該ヨークに属する補完的なレリーフと連携するレリーフを有する。そのようなレリーフは、補完的な形状を通じて、該リング及び該ヨークが互いに相対的に固定されて保たれることを可能にする。該連携するレリーフは好ましくは、あり継ぎ(dovetails)及びほぞ穴(mortises)穴タイプを有する。
【0032】
該方法は、複数の材料のブリッジによって接続される歯を有する金属薄板の帯(a strip of sheet metal)を螺旋状に巻くステップを伴う、該リングを製造する予備的ステップを含み得、ここで、各スロットの対向するエッジは好ましくは、該帯がそれ自体の上に巻かれて該リングを形成する場合に、実質的に相互に平行になる。
【0033】
変形において、該帯は、幾つかの歯をそれぞれが備えている複数のセクタで形成され得、ここで、該セクタはリンクによって接続され、これらのセクタは金属薄板の帯から切られる。該リンクは柔軟なブリッジであり得、該ブリッジは、該セクタを互いに、及び/又は補完的な形状の部分、例えばあり継ぎ(dovetails)及びほぞ穴(mortises)タイプの部分、又は、とりわけ該リングが該ヨークによって圧縮して保持される場合に、互いに当接するようになる補完的なレリーフ、に接続する。
【0034】
該補完的な形状は、様々なセクタが該材料のブリッジのレベルで組み立てられるように、該材料の複数のブリッジ上にありうる。好ましくは、該様々なセクタの該補完的な形状の組み立ては、該材料の複数のブリッジの該変形可能なゾーン及び/又は低減された透磁率のゾーンから離れて実施される。これは、とりわけ非常に大型の機械の場合に、組み立てをより簡単にする。例えば、該セクタは、隣接するセクタに属する突出する形状を補完することと連携する窪んだ形状を示す。
【0035】
変形において、該リングを製造するステップは、予め切られた(precut)磁気ラミネーションを積層するステップを伴いうる。
【0036】
更なる変形において、該リングは、付加製造を使用して、例えば粉末焼結を使用して製造されうる。
【0037】
金属薄板の帯を、その幅がこれを許容する場合は、螺旋状に直接巻くことによって、場合によっては、上記金属薄板の帯の切り取り時該帯に好適なスロットを形成することを又は付加製造によって、例えば粉末焼結によって得られた、予め切られた磁気ラミネーション若しくはスライスを積層することを伴って又は場合によってはそれを伴わずに、この巻線を容易にするように該ヨークが作成されうる。
【0038】
巻線
複数の巻線は、集中された(concentrated)様式又は分散された(distributed)様式で、該スロット内に配置されうる。
【0039】
「集中された」によって意味されることは、該複数の巻線が単一の歯の周りにそれぞれ巻かれることである。
【0040】
「分散された」によって意味されることは、該複数の巻線のうちの少なくとも1つが、隣接していない2つのスロットを連続して通ることである。
【0041】
好ましくは、該巻線は、とりわけ回転子極の数が8以下の場合に、該スロット内に分散された巻線として配置される。
【0042】
該複数の巻線はそれぞれ、横断面で円形の形状、又はとりわけ丸み付けられた角を有する多角形の形状、好ましくは矩形の形状、でありうる少なくとも1つの電気導体を備えているが、このリストは網羅的でない。
【0043】
該導体の横断面が円形である場合、該導体は、六角形の巻線に従って組み立てられうる。該導体の横断面が多角形である場合、該導体は、径方向に方向付けされている1以上の列で巻線を形成するように組み立てられうる。組み立てを最適化することは、より多量の電気導体が該スロット内に配置されることを可能にし得、及びそれ故に、同じ体積でより強力な固定子を得ることを可能にする。
【0044】
該電気導体は、該巻線内にランダムに配置されうる。好ましくは、該電気導体は該巻線内に配列される。「配列された」によって意味されることは、該導体が該巻線内でランダムに配置されるのではなく、該巻線内で規則的な様式で配置されることである。それらは、該巻線内にランダムではなく積層され、例えば、位置合わせされた電気導体の1以上の列で、とりわけ1つ又は2つの列で、好ましくは単一の列で、配置される。
【0045】
好ましくは、該電気導体は横断面が矩形であり、及び、該巻線はエッジ上に巻かれる。「エッジ」によって意味されることは、「フラット」(flat)とは対照的に、該巻線のワイヤの狭い面である。エッジ上に巻かれる巻線は、伸長方向を含む細長の矩形横断面の、とりわけ矩形のワイヤが、フラットに垂直に巻かれる巻線である。従って、該ワイヤは、その横断面の伸長方向に垂直な巻線の軸の周りに巻かれる。
【0046】
該電気導体は好ましくは、絶縁性被覆、特にエナメル、によって、外部から電気的に絶縁される。
【0047】
好ましくは、該スロット内に挿入される該巻線の複数の部分はそれぞれ、シート形態絶縁材の対応する片の少なくとも厚さ1つ分、更に好ましくは、シート形態絶縁材の対応する片の少なくとも厚さ2つ分、該スロットの内表面から離されている。そのようなシート形態絶縁材の片は、該スロットに対する該巻線のより良好な絶縁を可能にする。
【0048】
好ましくは、該巻線の複数の部分を挿入するステップの間、各スロットは、巻線の少なくとも2つの部分、とりわけ異なる位相を有する少なくとも2つの巻線部分、を受け入れる。好ましくは、これら2つの巻線部分は、該スロット内で少なくとも径方向に重ね合わされる。
【0049】
同じスロットにおける2つの巻線部分は、シート形態絶縁材の少なくとも厚さ1つ分、好ましくはシート形態絶縁材の少なくとも厚さ2つ分、更に好ましくはシート形態絶縁材の少なくとも厚さ4つ分、互いから離されうる。1つの同じスロット内に載置された該2つの巻線部分の間において、シート形態絶縁材の厚さの数が多いほど、絶縁が良好になる。
【0050】
該巻線は、該スロットの外部に巻線オーバーハングを形成する。
【0051】
該方法は、シート形態絶縁材の追加の片を使用することによって、異なる位相を有する隣接する2つの巻線オーバーハングを離すステップを含みうる。該シート形態絶縁材の該追加の片は、該2つの巻線オーバーハングの間で、該2つのオーバーハングが重なり合うゾーンにおいて、2つの巻線オーバーハングのうち1つの少なくとも一部に固定されうる。
【0052】
好ましくは、該巻線は、U字形(「Uピン」)巻線でもなく、I字形(「Iピン」)巻線でもない。
【0053】
該方法は、該固定子を捻る(「スキューイング」(skewing))ステップを伴いうる。そのようなスキューイングは、該スロット内の該巻線を締めること且つ該スロットの高調波を低減することに寄与しうる。
【0054】
絶縁材
該シート形態絶縁材は、好ましくは可撓性の任意の電気絶縁性材料で作られており、特にアラミド、例えばNomex(登録商標)、で作られており、又は、アラミドの及びポリエステルの又はポリイミドのラミネートで、例えばNMN(Nomex(登録商標)−Mylar(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプの若しくはNKN(Nomex(登録商標)−Kapton(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプのNomex(登録商標)ラミネートで作られているか、若しくはマイカ/ポリエステルで作られていうる。
【0055】
好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、直線の巻線部分にわたって延在する。
【0056】
好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、直線の巻線部分のみにわたって延在し、ここで、該巻線の曲線部分はシート形態絶縁材を有さない。
【0057】
好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、それらの表面の少なくとも一部にわたって、更に好ましくはそれらの表面全体にわたって、接着剤結合を使用して、該巻線に固定される。該シート形態絶縁材の結合は、該シート形態絶縁材の全体若しくは一部にわたって、及び/又は、該対応する巻線部分の全体若しくは一部にわたって接着剤を使用して、又は接着テープを使用して行われうる。代替として、シート形態絶縁材の各片は、該シート形態絶縁材の片上で、若しくは該巻線上で直接、接着剤による接着剤結合を使用して、又は、例えば該シート形態絶縁材及び該巻線部分にまたがり、少なくとも1つの接着テープを使用して、少なくともその長手方向端部の一方で、好ましくはその長手方向端部の両方で、該巻線部分に固定される。
【0058】
好ましくは、各巻線部は、シート形態絶縁材の単一の片で被覆される。
【0059】
変形において、各巻線部は、少なくとも部分的に互いに、若しくは触れ合うエッジで、重ねられたシート形態絶縁材の少なくとも2つの片で被覆され、特に、シート形態絶縁材の2つの片は、U字に形成され、且つ該対応する巻線部分の上で端から端まで固定される。
【0060】
好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、該巻線部分が該スロット内に挿入された後、該スロットの全高にわたって延在する。
【0061】
好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、挿入後、該スロットの各側で該スロットから軸方向に突出する。
【0062】
変形において、該絶縁材が、該スロットを越えて突出することなく該スロット内にぴったり収まるように、該絶縁材は、該スロットの高さに実質的に等しい高さをもつ。これは、低電圧機械の場合に有利であることが判りうる。
【0063】
該シート形態絶縁材の複数の片は、該スロットの高さ以上の長さにわたって延在する。
【0064】
該シート形態絶縁材の各片は、該対応する巻線部分の周りに1回以上巻かれうる。好ましくは、該シート形態絶縁材の複数の片は、該対応する巻線部分の周りを少なくとも1回、更に好ましくは少なくとも2回、通る。
【0065】
該シート形態絶縁材の複数の片はそれぞれ、関連付けられた巻線部分の長手方向軸に沿って実質的に延在する2つの対向する長手方向エッジを備えうる。好ましくは、その場合、該シート形態絶縁材の複数の片は、アラミド、又はアラミドとポリエステルとのラミネート、若しくはアラミドとポリイミドとのラミネートで作られる。
【0066】
好ましくは、該巻線部分は矩形の横断面であり、及び、該シート形態絶縁材の各片の該2つの対向する長手方向エッジは、該対応する巻線部分の同じ面にわたって延在する。
【0067】
該シート形態絶縁材の各片の該長手方向エッジは、上記面上で互いに接触しうる。その場合、該シート形態絶縁材の複数の片は、該対応する巻線部分の周りを1回通る。
【0068】
変形において、該シート形態絶縁材の各片は、それ自身の上に少なくとも部分的に重ね合わされうる。その場合、該シート形態絶縁材の複数の片は該巻線部分の周りを2回以上通る。好ましくは、該絶縁材は次に、長手方向エッジの少なくとも一方に近接するその表面上で、接着剤で少なくとも被覆される。
【0069】
好ましくは、該シート形態絶縁材の片の2つの長手方向エッジは、該巻線が矩形の断面を有する場合に、該巻線部分の同じ面にわたって延在する。該シート形態絶縁材は、とりわけ、上に記載した方法を使用して、該巻線部分に固定される。その場合、第2の面上に折り畳まれた2つのフラップのみが接着剤で被覆されることがありうる。
【0070】
好ましくは、各巻線部分は、シート形態絶縁材の対応する片の長手方向エッジが、該スロットの開口に向かって、又は、同じスロットに挿入された、とりわけ異なる位相を有する、巻線の一部分に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在するように、対応するスロット内に配置される。
【0071】
好ましくは、各スロットが少なくとも2つの巻線を受け入れ且つ該絶縁材が該対応する巻線部分の周りを1回通る例において、各巻線部分は、シート形態絶縁材の対応する片の長手方向エッジが、該スロットの開口に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在するように、対応するスロット内に配置される。従って、異なる位相を有する2つの巻線部分は、シート形態絶縁材の厚さ2つ分、離され、ここで、絶縁材の厚さの少なくとも1つは連続している。
【0072】
好ましくは、各スロットが少なくとも2つの巻線を受け入れ且つ各絶縁材が該対応する巻線部分の周りを2回以上通る例において、各巻線部分は、シート形態絶縁材の対応する片の長手方向エッジが、他方の巻線部分、とりわけ異なる位相の他方の巻線部分、に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在するように、対応するスロット内に配置される。次に、異なる位相を有する該巻線は、絶縁材の厚さ4つ分、互いから離される。
【0073】
変形において、各スロットが少なくとも2つの巻線を受け入れる例において、該シート形態絶縁材の各片の長手方向エッジは、それらが重ね合わされる面の幅よりも短い距離、互いから離され得、各巻線部は、シート形態絶縁材の対応する片の長手方向エッジが、該スロットの開口に向かって、方向付けされている該巻線部分の面にわたって延在するように、対応するスロット内に配置される。従って、異なる位相を有する2つの巻線部分は、シート形態絶縁材の厚さ2つ分、離され、絶縁材の厚さの少なくとも1つは連続している。
【0074】
変形において、該シート形態絶縁材は、該巻線部分の周りに巻かれたテープの形態を取りうる。その場合、該シート形態絶縁材は、該対応する巻線部分の周りを複数回通る。好ましくは、該テープは、該巻線部分の周りの一巻きから次の巻きまでそれ自体の上に重ねられる。その場合、該シート形態絶縁材は好ましくは、マイカ/ポリエステルで作られる。
【0075】
固定子
第2の観点に従った、本発明の更に別の主題は、固定子であり、該固定子は、
径方向内側のリングであって、
外側に向かって径方向に開いているスロットを複数の歯の間に成す該複数の歯、及び
材料の複数のブリッジ、ここで、材料の各ブリッジが、隣接する2つの歯を該隣接する2つの歯の基部で空気間隙の側で接続し、且つ該スロットの底部をこれらの複数の歯の間に画定する、を備えている、上記リングと、
該リングに取り付けられた径方向外側のヨークと、
該スロット内に配置されている複数の巻線と、を備えており、
該複数の巻線が、スロットごとに、第1の位相の巻線と、該第1の位相とは異なる第2の位相の巻線とを少なくとも有し、これらの複数の巻線が、シート形態絶縁材の1以上の片の少なくとも厚さ2つ分、該スロット内で離され、シート形態絶縁材の1つの片がこれらの複数の巻線のそれぞれを少なくとも部分的に取り囲んでいる。
【0076】
本発明の第1の観点と関連して上記に記載された特徴はまた、この第2の観点に当てはまる。
【0077】
機械及び回転子
本発明の更なる主題は、上記した通りの固定子を備えている回転電気機械である。該機械は同期式であってもよく又はなくてもよい。該機械は、リラクタンス機でありうる。該機械は、同期モータを構成しうる。
【0078】
該回転電気機械は、巻線型回転子又は永久磁石回転子を備えうる。
【0079】
本発明は、本発明の非限定的な例示的実施態様の下記の詳細な説明を読み且つ添付の図面を研究することにより、よりよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、本発明に従う固定子の概略部分斜視図であり、ここで、該ヨークは、該リングに部分的に取り付けられている。
図2図2は、図1の固定子の横断面の概略図である。
図3図3は、巻線を有する固定子のリングの概略斜視図である。
図4図4は、図3の横断面の図の詳細である。
図5図5は、図4の詳細を示す。
図6A図6Aは、図4の変型例を示す。
図6B図6Bは、図4の変型例を示す。
図6C図6Cは、図4の変型例を示す。
図7図7は、巻線部分に対する絶縁シートの固定の変形を示す。
図8図8は、巻線部分に対する絶縁シートの固定の変形を示す。
図9図9は、絶縁材を巻線部分に固定する為の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1図5は、回転電気機械の固定子2を示す。該固定子は、モータの文脈において、回転子の回転を駆動する回転磁場を生成することを可能にし、及び、交流発電機の場合に、該回転子の回転が、該固定子の巻線内に起電力を誘起する。
【0082】
下記に示されている例は概略であり、且つ必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0083】
固定子
該固定子2は、歯付きリング25の複数の歯23の間に形成された複数のスロット21内に配置される巻線22を備えている。該スロット21は、材料の複数のブリッジ27によって、空気間隙の側で閉じられ、該材料のブリッジ27はそれぞれ、該リング25の2つの連続する歯を互いに接合し、且つ該リング25の外側に向かう径方向開口28を有する。
【0084】
該固定子2は、該リング25に取り付けられたヨーク29を備えている。該ヨーク29は、該ヨーク29を該リング25上に取り付ける為に、該歯付きリング25に属するあり継ぎタイプ52の突出するレリーフと連携する、ほぞ穴タイプの窪んだレリーフ50を有する。
【0085】
該複数のスロット21は、記載されている例において、相互に平行な径方向エッジ33を有し、及び、該機械の回転軸Xに垂直な面内の断面において、実質的に矩形の形状である。
【0086】
該スロット35の底部は、該巻線22の形状を実質的に補完する形状を有する。図1図4の例において、該スロットの底部35は、窪み40の各側に1つずつあって且つそれに対して矩形の該巻線22が当接する、2つの平面部分30を有する。該スロットの底部35は、フィレット36によって径方向エッジ33に接続される。
【0087】
該材料のブリッジ27は、図示されている通り、一定の厚さのものであり得、且つ実質的に変形不能でありうる。図示されていない変形において、該材料の複数のブリッジ27のそれぞれは、低減された透磁率のゾーン、とりわけに、局所化された制限部(localized restriction)、材料の圧縮部(crushing)、局所化された処理部(localized treatment)、又は1以上の開口を有して、ラミネーションが磁気的に飽和されることを可能にし、それによって磁束の通過を制限し、及び/又は、該リング25の円周方向直径を変化させることを可能にする、変形可能なゾーンをそれぞれ有する。
【0088】
該リング25及び/又は該ヨーク29はそれぞれ、軸Xに沿って積層された磁気ラミネーションのパックで形成され、ここで、該ラミネーションは例えば、同一であり、且つ厳密に重ねられる。該ラミネーションは、クリップ留めによって、リベットによって、タイロッドによって、溶接によって、及び/又は任意の他の技法によって、一緒に保持されうる。該磁気ラミネーションは好ましくは、磁性鋼でできている。
【0089】
代替的には、該リング25及び/又は該ヨーク29は、切り抜かれ、そしてその(それらの)上に巻かれた、金属薄板の1以上の帯で形成されうる。
【0090】
巻線及び絶縁材
該巻線22は、集中された(concentrated)様式又は分散された(distributed)様式で、好ましくは分散された様式で、該スロット21内に配置されうる。
【0091】
図2に示されている例において、該巻線22の電気導体34は、配列された規則的な様式(arranged orderly manner)で該スロット内に配置される。
【0092】
図4で見えるように、該電気導体34は好ましくは、矩形の平らにされた横断面を有し、且つ例えば単一の列で、径方向に重ねられる。該電気導体は、フラットを介して互いに重ねられる。該巻線22は真横向きに巻かれると言われる。該巻線22は、横断面において、実質的に矩形の形状でありうる。
【0093】
図示されている例において、該巻線22は該電気導体34の単一の径方向の列を有する。しかしながら、該巻線22は、電気導体の複数の径方向の列、例えば2列の電気導体、を有しうる。
【0094】
各スロット21は、異なる位相を有する積層された2つの巻線部分22a及び22bを受け入れることができる。各巻線22は、横断面において、実質的に矩形の形状でありうる。
【0095】
図4に示されている例において、各スロット21は、異なる位相を有する2つの巻線部分22a及び22bを受け入れる。
【0096】
スロット21内に係合されるように意図された各巻線部分22a及び22bは、絶縁シート37a及び37bで取り囲まれて、巻線を該スロットの壁33及び36から絶縁し、且つ異なる位相を有する巻線部分22a及び22bを互いから絶縁することができる。
【0097】
該巻線22は、該スロット21の外側で形成され、及び、該スロット内に係合されることが意図されたそれらの部分22a及び22bはそれぞれ、絶縁シート37a又は37bで取り囲まれる。該絶縁シート37a又は37bは、その表面の少なくとも一部にわたって接着剤で被覆され、及び、該絶縁シート37a及び37bを上に有する該巻線部分22a及び22bは該スロット21内に挿入される。この動作は、該スロット21が外側に向かって径方向に完全に開いているという事実によって、より簡単にされる。
【0098】
各絶縁シート37a又は37bは、対応するスロット21内に挿入された該巻線部分24a又は24bの全高にわたって延在する。好ましくは、図3に示されている通り、該絶縁シート37a又は37bは、該リング25の各側で該スロット21から軸方向外側に延在しうる。
【0099】
該絶縁シート37a及び37bは、それらの表面全体にわたって接着剤の層を有し、従って、接着剤結合によって該対応する巻線部分24a及び24bに固定されることができる。代替例として、該絶縁シート37a及び37bは、任意の他の手段によって該巻線部分22a及び22bに固定される。
【0100】
該絶縁シート37a及び37bは、アラミド、例えばNomex(登録商標)で作られ得、又は、アラミドの及びポリエステルの又はポリイミドのラミネートで、例えば、NMN(Nomex(登録商標)−Mylar(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプの若しくはNKN(Nomex(登録商標)−Kapton(登録商標)−Nomex(登録商標))タイプのNomex(登録商標)ラミネートで作られうる。
【0101】
図4及び図5に示されている通り、各絶縁シート37a又は37bは、該対応する巻線部分22a又は22bの周りに2回巻き付けられうる。それ故に、該巻線部分22a又は22bは、該対応する絶縁シート37a又は37bの厚さ2つ分、該スロット21から絶縁される。
【0102】
該絶縁シート37a又は37bの長手方向エッジ54a又は54bは、該巻線部分24の同じ面60a又は60bにわたって、特に電気導体34のフラットに該対応する巻線22の面60a又は60bにわたって、延在する。該巻線部分22a及び22bは、該面60aが該面60bに面するように、該スロット21内で方向付けされる。従って、1つの同じスロット内にある異なる位相を有する該巻線部分22a及び22bは、絶縁材37aの厚さ2つ分及び絶縁材37bの厚さ2つ分、すなわち絶縁材の厚さ4つ分、互いから離される。
【0103】
図3に示されている通り、該巻線22は、該スロットの外側に巻線オーバーハング56を形成する。
【0104】
異なる位相を有する隣接する巻線22の巻線オーバーハング56は、何らの絶縁材を有していない接続部分58を有する。
【0105】
回転子
図1に示されている該回転子1は、シャフト上に取り付ける為の中央開口5を備えており、且つ該回転子の回転軸Xに沿って軸方向に延在する磁気回転子物体3を備えており、ここで、この回転子物体は、例えば軸Xに沿って積層された磁気ラミネーションのパックによって、形成され、該ラミネーションは例えば、同一であり且つ厳密に重ねられる。
【0106】
該回転子1は例えば、該磁気回転子物体3のハウジング8内に配置された複数の永久磁石7を備えている。代替として、該回転子は巻線型回転子である。
【0107】
固定子を製造する為の方法及び機械
該固定子は、以下に記載されている製造方法を使用して得られうる。
【0108】
該巻線22は、該電気導体34を巻くことによって、とりわけエッジ上に、巻かれる。該巻線22は、該スロット21内に挿入されることが意図される直線部分22a及び22bを有する。これらの直線部分24は、シート形態絶縁材37a又は37bで取り囲まれ、各絶縁シート37a又は37bは本明細書で上記された通りである。該絶縁シート37a又は37bは、接着剤結合によって、又は何らかの他の手段によって、該対応する巻線部分22a又は22bに固定される。該絶縁シート37a又は37bは、ラミネーションのパックからの且つ互いからの絶縁を巻線に提供する。
【0109】
該シート形態絶縁材の複数の片37a及び37bは、図9に示されている方法を使用して、該巻線部分22a及び22bに固定されうる。
【0110】
A.該シート形態絶縁材37aは、最初に、図示されていない折畳みデバイスのプラットフォーム上に平らに配置される。
【0111】
B.絶縁されるべき該巻線部分22aの第1の面80aが、絶縁材上に設置されて、該第1の面80とは反対側の第2の面81上の保持ツールを使用して圧力Pを施与する。
【0112】
C.該巻線部分22aのどちらかの側に延在する、該シート形態絶縁材の片37aの2つの自由面が、同時に折り畳まれ平らに均されるか、又はさもなくば折畳みデバイスのプラットフォームのフラップ折畳み用のウィングを使用して、側面82及び83上に置かれる。
【0113】
D.該面82から延在する該シート形態絶縁材の片37aの自由フラップが、該面82から、又は折畳みデバイスのプラットフォームのフラップ折畳み用のウィングから始まって、該第2の面81に沿って摺動するスライドを使用して、該第2の面81の上に折り畳まれる。
【0114】
E.該面83から延在する該シート形態絶縁材の片37aの自由フラップが、ステップDで該第2の面81の上に折り畳まれた該シート形態絶縁材の片の部分の上に折り畳まれる。このステップは、該面83から始まって該第2の面81に沿って摺動するスライドを使用して実施される。
【0115】
F.折畳みデバイスの保持ツールを使用して、圧力Pが該第2の面81に施与される。
【0116】
本明細書の上記された方法において、シート形態絶縁材の片37aが接着剤で被覆される。変形において、巻線部分22aは接着剤で被覆され、そして、接着剤の層は、ステップEで折り畳まれた該シート形態絶縁材の部分を固定することを可能にする為に、ステップDとEとの間で、該第2の面81と重ねられた該シート形態絶縁材の片に施与される。
【0117】
本発明は、接着剤施与のこの方法に、又は接着剤被覆デバイスの使用に限定されず、接着剤の施与が手で実施されることが可能である。
【0118】
次に、該絶縁シート37a又は37bで取り囲まれた該巻線22の直線部分22a及び22bは、該スロット21の内部に向かう径方向移動によって、該リング25の該スロット21内に挿入される。異なる位相を有する2つの直線の巻線部分22は、連続して1つの同じスロット21内に挿入される。スロット21に属する巻線22の該2つの直線部分22a及び22bは、径方向に重ねられ且つ2つの巻線の面60が互いに向かって方向付けされるように、方向付けされる。
【0119】
追加のステップにおいて、該ヨーク29は、あり継ぎ52をほぞ穴50に滑り込ませることによって、該リング27に取り付けられる。該ヨーク29は、それを拡張させ且つ該リング25を越えて挿入するのをより簡単にする為に、前もって加熱されうる。それが該リング25を越えて挿入された後、冷えるにつれて収縮し得、該リング25と該ヨーク29との間の最小限の隙間を達成することを可能にする。
【0120】
変形として、又は加えて、該リング25は、収縮させ、そして該ヨーク29の挿入をより簡単にする為に、前もって冷却されうる。
【0121】
図6A及び図6Bに示されている実施態様は、該絶縁シート37a及び37bが該巻線部分22a及び22bの周りに巻き付けられる様式の点で、図1図5のそれらと異なる。
【0122】
図6Aに示されている実施態様において、該絶縁シート37a及び37bは、1巻きを越えて、該対応する巻線部分22a又は22bの周りに巻き付けられる。該絶縁シート37a又は37bの各長手方向エッジ54a又は54bは、同じ絶縁シート37a又は37bの層と且つ巻線の同じ面60a又は60bと重ねられる。従って、該巻線部分22a及び22bは、該絶縁材37a又は37bの厚さ1つ分、スロットから絶縁され、絶縁材37aの厚さ2つ分及び絶縁材37bの厚さ2つ分、すなわち絶縁材の厚さ4つ分、互いから絶縁される。
【0123】
図6Bに示されている実施態様において、該絶縁シート37a及び37bは、それらの長手方向エッジ54a及び54bが、重ねられることなしに、該面60a及び60b上で互いに面するように、巻き付けられる。スロット21の該巻線部分22a及び22bは、該シート形態絶縁材の複数の片37a及び37bの該長手方向エッジ54a及び54bと重ねられる該面60a及び60bが両方とも、該開口28に向かって方向付けされるように、該スロット21内に配置される。該巻線部分22a及び22bは、該絶縁シート37a又は37bの厚さ1つ分、該スロット21から絶縁され、絶縁材37bの不連続の厚さ分及び絶縁材37aの連続する厚さ分、互いから絶縁される。この実施態様において、該巻線部分22a又は22bの表面は、該シート形態絶縁材の接着剤被覆の代わりに又は追加的に、接着剤で被覆されうる。
【0124】
図6Cに示されている実施態様において、巻線部分22a及び22bのそれぞれは、U字に形作られたシート形態絶縁材の2つの片37a又は37bによって、外部から絶縁される。該シート形態絶縁材の2つの片37a又は37bは、該対応する巻線部分22a又は22bの周りに端から端まで配置され、少なくとも部分的に重なり合い、特に、空気間隙及び該スロット21の開口に向かって、方向付けされている該面60a及び61a又は60b及び61b上に重なり合う。該巻線部分22a及び22bは、該絶縁シート37a又は37bの厚さ1つ分、該スロット21から絶縁され、絶縁材37a及び37bの厚さ2つ分、互いから絶縁され、ここで、該厚さのそれぞれは、該シート形態絶縁材の複数の片37a又は37bのうちの1つによって形成される。
【0125】
図7に示されている変形において、該シート形態絶縁材37a又は37bは、該対応する巻線部分22aの表面には積層されず、接着テープ62を使用して2つの端部で取り付けられる。
【0126】
図8に示されている変形において、該シート形態絶縁材37a又は37bは、該巻線部分22aの周りに巻き付けられる接着テープである。該テープの連続する巻回は、良好な絶縁を提供する為に、部分的に重なり合う。この実施態様において、該接着テープは好ましくは、マイカ/ポリエステルでできている。
【0127】
当然ながら、本発明は、前述の例示的な実施態様に制限されず、該回転子は、永久磁石回転子ではなく巻線型回転子であることができる。
【0128】
表現「〜〜1つを有する」は、「少なくとも1つを備えている」と同義であると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
【国際調査報告】