(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527477(P2021-527477A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】股関節または肩関節プロテーゼ、及び位置付け器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/30 20060101AFI20210917BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-568783(P2020-568783)
(86)(22)【出願日】2019年6月10日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月29日
(86)【国際出願番号】ES2019070399
(87)【国際公開番号】WO2019238992
(87)【国際公開日】20191219
(31)【優先権主張番号】P201830565
(32)【優先日】2018年6月11日
(33)【優先権主張国】ES
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520481541
【氏名又は名称】デサロジョス バイオメカニコス インノヴァサン エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】コルテス クベロ,ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】アティエンサ ビセンテ,カルロス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ペニュエラス ヘライズ,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア トーレス,フェルナンド
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097AA11
4C097CC05
4C097CC12
4C097CC13
4C097CC14
4C097CC18
4C097SC04
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
プロテーゼは、実質的に半球形の球形構成要素(1)を備える。球形構成要素(1)は、骨幹端構成要素(2)によって支持される。骨幹端構成要素(2)は、大腿管または上腕管に挿入するために設けられた骨幹ピン(3)の、通路のための横断開口部(21)と整合される。骨幹端構成要素(2)は、骨幹ピン(3)が通過する長手方向の連結手段(24)によって、骨幹ピン(3)に接合される。器具は、K鋼線(102、102’)の適切な位置付けを可能にする、K鋼線をセンタリングするための手段(100)と、大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置(200)と、プロテーゼ要素のための、それぞれの導入装置(300、400、500)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨頭または上腕骨頭を置換するための、股関節または肩関節プロテーゼであって、
ボア(13)及び凹部(14)を有する背面(12)を伴う、実質的に半球形状の球形構成要素(1)と、
概ね中央にある横断アパーチャ(21)、前記頭部構成要素(1)の前記ボア(13)に装着されるシャンク(22)、及び前記アパーチャ(21)を通過する長手方向の穴(23)から構成され、前記穴の開口部が前記シャンク(22)の反対側にある、骨幹端構成要素(2)と、
大腿管または上腕管に挿入するよう意図され、大腿骨に固定する遠位ネジのための1つまたは複数の固定用アパーチャ(32)が定められた第1のセグメント(31)、及び前記骨幹端構成要素(2)の前記アパーチャ(21)に部分的に配置される第2のセグメント(33)を有する、骨幹ネイル(3)と、
前記穴(23)に配置され、前記骨幹ネイル(3)の前記第2のセグメント(33)を通過する、係止デバイス(24)と
を備える、プロテーゼ。
【請求項2】
前記骨幹端構成要素(2)は、その全面にわたり溝を有する、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記係止デバイス(24)は、前記骨幹ネイル(3)を完全に通過し、その先端にはネジ山が付けられる、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記骨幹ネイル(3)はブラケット(34)を有し、前記ブラケット(34)は、前記第2のセグメント(33)において、前記骨幹端構成要素(2)の上方でその上に載り、かつ前記シャンク(22)の反対側にある、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
請求項1に記載のプロテーゼを位置付けるために使用することができる、大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置であって、一方の端部にグリップ(202)、及び反対側の端部に円錐形または円筒形のドリルビット(203)を伴う管状部(201)を備え、前記ドリルビット(203)はその先端に、キルシュナ鋼線(102、102’)を密接させて通過させるよう構成された通路を有し、前記グリップ(202)は、前記管状部(201)の前記アパーチャと整合された通路開口部を有することを特徴とする、大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置。
【請求項6】
前記ドリルビット(203)は、内部的に先細で適応性のある様々な要素から構成され、前記管状部(201)の内径は、前記ドリルビット(203)に作られた前記通路よりも大きい、請求項5に記載の大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置。
【請求項7】
前記ドリルビット(203)に近い格納可能な爪部(205)を制御するためのホルダ(204)を有する、請求項5に記載の大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置。
【請求項8】
前記ホルダ(204)は、前記管状部(201)の内側のネジ(206)上のナットであり、前記キルシュナ鋼線(102)の前記通路のためにカニューレが装着され、前記格納可能な爪部(205)に接続された、請求項7に記載の大腿骨頭または上腕骨頭のためのカニューレ状抽出装置。
【請求項9】
請求項1に記載のプロテーゼの位置付けに使用することができ、逆「U」型の全体形状を有することを特徴とする、キルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)であって、
大腿管または上腕管に挿入することを意図され、その下部に垂直開口部(105)を伴う、一方の端部のセンタリングネイル(101)と、
その下部に垂直開口部(105’)を伴うハンドルガイド(104)であって、前記ハンドルガイド(104)の上縁部は、前記センタリングネイル(101)の前記垂直開口部の前記上縁部と整合された、反対側の端部のハンドルガイド(104)と
を有する、キルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)。
【請求項10】
第1のキルシュナ鋼線(102)のための上部通路を伴う、前記ハンドルガイド(104)の前記垂直開口部(105’)におけるスリーブ(103)を有し、前記センタリングネイル(101)の前記垂直開口部(105)の前記上縁部と整合された、請求項9に記載のキルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)。
【請求項11】
前記スリーブ(103)は、第2のキルシュナ鋼線(102’)のための別の通路を有する、請求項10に記載のキルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)。
【請求項12】
前記ハンドルガイド(104)は、前記キルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)の残りの部分とは異なりX線を透過し、かつ異なる展開角度を伴うマーク(505)を有する、請求項9に記載のキルシュナ鋼線センタリングデバイス(100)。
【請求項13】
請求項1に記載の球形構成要素(1)と使用することができ、逆「U」型の形状を有することを特徴とする、球形構成要素挿入デバイス(300)であって、
下縁部で開かれた凹部(304)を伴い、かつ前記球形構成要素(1)のボア(13)に向けて方向付けられた上縁部を伴う、ハンドル(301)と、
前記球形構成要素(1)の凹部(14)と互換可能で、アクチュエータ(303)を使用して解放できる、支持部(302)と
を有する、球形構成要素挿入デバイス(300)。
【請求項14】
前記スリーブ(301)は、前記球形構成要素挿入デバイス(300)の残りの部分とは異なりX線を透過し、かつ異なる展開角度を伴うマーク(505)を有する、請求項13に記載の球形構成要素挿入デバイス(300)。
【請求項15】
骨幹端構成要素挿入デバイス(400)であって、請求項1に記載の骨幹端構成要素(2)と使用することができ、直線の中空ロッドから成り、一方の端部における骨幹端構成要素(2)のためのクランプ(403)、及び反対側の端部におけるグリッパ(404)を伴うことを特徴とする、骨幹端構成要素挿入デバイス(400)。
【請求項16】
管状で同軸の2本の本体を備え、前記クランプ(403)は、外側管状本体の突出部(406)と、骨幹端構成要素(2)の対応したクリップのためのバヨネットクロージャとから構成され、両管状本体の間の相対的移動を係止するための前記グリッパ(404)の近くにネジ(407)をさらに備える、請求項15に記載の骨幹端構成要素挿入デバイス(400)。
【請求項17】
骨幹ネイル挿入デバイス(500)であって、請求項1に記載の骨幹ネイル(3)と使用することができ、逆「U」型の形状を有し、第1の端部において下部に向かって開かれた溝(503)、及び反対側の端部において前記骨幹ネイル(3)のための取り外し可能な接続部を伴うハンドグリップ(501)を有することを特徴とする、骨幹ネイル挿入デバイス(500)。
【請求項18】
前記ハンドグリップ(501)は、センタリングデバイス(500)の残りの部分とは異なりX線を透過し、かつ異なる展開角度を伴うマーク(505)を有する、請求項17に記載の骨幹ネイル挿入デバイス(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要とされる任意の事例において、大腿骨頭または上腕骨頭を置換するための、股関節または肩関節プロテーゼ(もしくは関節形成)に関し、それらは、患者に対して比較的非侵襲的な方法によって設定することができる。
本発明は、全て最小限の侵襲的方法で、プロテーゼの位置付けのために使用される器具にも関する。
【背景技術】
【0002】
通常の医療行為において、股関節または肩関節の置換を実施すること、換言すると、大腿骨頭または上腕骨頭を取り除き、股関節もしくは肩関節プロテーゼまたは関節形成として知られている、関節の機能を復元するデバイスを位置付けることが、必要となることがある。これは、骨折、関節症、腫瘍などの、様々な理由のためであり得る。
【0003】
しかし、股関節または肩関節のいずれかのためのプロテーゼを位置付けする方法は、非常に侵襲的であり、このような外科的処置は非常に重大なリスクを含む。
【0004】
必要とされる任意の事例において、手術の侵襲的な特性を最小限に抑えるために、股関節もしくは肩関節プロテーゼ(または関節形成)を置換する任意の取り組みは、以下の2つの重要な課題を克服しなければならない。
1.大腿骨頭/上腕骨頭を、いかにして最小限の侵襲的方法で取り除き、患者の損傷を軽減することができるか?
2.一旦大腿骨頭/上腕骨頭が取り除かれると、どのタイプのデバイスを、容易かつ小さい侵襲的で埋め込むことができるか?
【0005】
第2の課題について、股関節の事例において、米国特許出願公開第2003060889号明細書、米国特許出願公開第2016256281号明細書、及び米国特許出願公開第2002095214号明細書のプロテーゼが知られている。これらの各々は、その場で互いに接続される、より小さい要素で構成された、寛骨臼または大腿骨頭のためのプロテーゼの置換を含む。
【0006】
肩関節の事例において、上腕骨頭の取り除きは類似するが、関節及びその構成要素のサイズのために幾分異なる課題を提起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003060889号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016256281号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002095214号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
申請者は、これら2つの冒頭の課題を解決するための、本発明に類似すると考えられ得るいかなるプロテーゼまたは道具も知らない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下から成る。
−特許請求の範囲による、人体の内側で共に組み立てられる様々な部品から構成された、股関節または肩関節プロテーゼ。
−対応する特許請求の範囲による、このプロテーゼを適用するための器具。
【0010】
それらの異なる実施形態で説明する、股関節または肩関節プロテーゼ及び器具は、先行技術の課題を克服する。
【0011】
本明細書を通して、形容詞「上部の」及び「下部の」は、非限定として使用されるよう考慮すべきである。それらの使用は、本発明を複雑な説明をする必要なく、より容易に理解されるよう意図される。詳細には、「上部の」は、実際の使用時に患者の頭部に最も近い要素の領域を指すものと考慮すべきである。反対に「下部の」は、患者の頭部から最も離れた部分を指す。
【0012】
股関節または肩関節プロテーゼの目的は、位置付けが必要な任意の事例において、必要とされる股関節または肩関節の置換手術によって生じる合併症を軽減させることである。このため、プロテーゼの設計は、一旦埋め込まれて生体力学的要求に直面する際に、設置が比較的非侵襲的な手術技術を要するという事実が優先された。
【0013】
プロテーゼ及びその器具の設計は、最小限の侵襲的方法で、標準的なプロテーゼ手術と比較して、可能な限り侵襲性を最小限に抑えた経皮の位置付けを可能にする。
【0014】
股関節の事例において、プロテーゼの設置のために、Stryker社で作られたガンマネイル、またはSynthes社で作られたPFNAネイルなど、近位大腿骨の髄内釘固定法と同じ切開部が作られる。プロテーゼは、2つの切開部を用いて肩関節にも位置付けられ得る。
【0015】
大腿骨頭及び上腕骨頭を置換するために使用される、股関節または肩関節プロテーゼは、以下の構成要素を含む。
1.実質的に半球形状の球形構成要素(股関節プロテーゼの事例において、これは大腿骨頭を置換し、肩関節プロテーゼの事例において、これは上腕骨頭を置換する)。この構成要素は、中に形成されたボア及び凹部を伴う背面を有し、患者の体内への構成要素の挿入を容易にする。
2.概ね中央にある横断アパーチャを伴う、全体的に直線の要素として形成された、骨幹端構成要素は、上記のボアに装着される。骨幹端構成要素は、球形構成要素のボアに装着されるシャンクを有する。この構成要素は、このアパーチャを通過する長手方向の穴も有し、この穴の開口部は、シャンクの反対側にある。
3.3番目に、このプロテーゼは、大腿管または上腕管の中への挿入を意図された、骨幹ネイルを備える。このネイルは、大腿骨または上腕骨に固定するための1つまたは複数の遠位ネジのための、1つまたは複数の固定用アパーチャが定められた、第1のセグメントを有し、これは骨幹端構成要素のアパーチャを通過できる。このネイルは、骨幹端構成要素のアパーチャの中に部分的に配置された、第2のセグメントも有する。
4.最後に、このプロテーゼは、上記の穴に受け入れられ、骨幹ネイルの第2のセグメントを通過するよう構成された、係止デバイスを有する。
【0016】
第1の好ましい実施形態において、骨幹端構成要素は、その表面全体にわたる溝を有する。
【0017】
好ましくは、係止デバイスは、骨幹ネイルを完全に通過し、その先端にはネジ山が付けられる。
【0018】
より好ましくは、このネイルは、第2のセグメントにおいて、骨幹端構成要素の上方の、シャンクの反対側に、ブラケットを有する。
【0019】
本発明は、プロテーゼを位置付ける補助をする、様々な器具にも関する。
【0020】
まずこれは、一方の端部にグリップ、及び反対側の端部にドリルビットを伴う管状部を含む、大腿骨頭または上腕骨頭のための、カニューレ状抽出装置に関する。円錐形または円筒形であり得るこのドリルビットは、第1のキルシュナ鋼線を密接させて、ドリルビットの先端または中心を通過させる。したがって、カニューレ状抽出装置を、結果に影響を及ぼす通路の公差なしで、大腿骨頭または上腕骨頭に誘導することができる。キルシュナ鋼線を通過させるため、グリップは対応したアパーチャを有しなければならない。
【0021】
好ましい実施形態において、ドリルビットは、先細でいくらか適応性のある様々な要素から構成される。その実施形態において、管状部の内径は、第1のキルシュナ鋼線の径よりも大きく、それによって、必要に応じてドリルビットのエキスパンダが挿入されてよく、それは先細の要素を分離し、ドリルビットを大腿骨頭または上腕骨頭の中に係止するのに役立つ。
【0022】
本発明は、大腿骨または上腕骨の骨幹、頸部、及び頭部におけるキルシュナ鋼線センタリングデバイスにも関し、それは逆「U」型の全体形状を有する。この逆「U」型は、2つの要素、すなわち一方の端部のセンタリングネイル、及び反対側の端部のハンドルガイドから構成される。
−センタリングネイルは、大腿管または上腕管の中への挿入を意図され、その下部に垂直開口部を有する。
−センタリングネイルが一旦大腿骨または上腕骨の内側に挿入されると、ハンドレールガイドは体外に残り、その下部に垂直開口部も有し、その上縁部は、センタリングネイルの垂直開口部における上縁部と整合される。この整合は、ハンドルガイドの垂直開口部に配置されたスリーブによるものであり得る。スリーブは、キルシュナ鋼線のための上部通路を有し、センタリングネイルの垂直開口部における上縁部と整合される。したがって垂直開口部は直線であるか、またはスリーブと相補的な形態を有し得る。スリーブは、第2のキルシュナ鋼線のための別の通路を有し得る。
【0023】
本発明は、球形構成要素挿入デバイスにも関する。このデバイスは、やはり逆「U」型を有し、下縁部を通る開放凹部を伴うハンドルと、挿入デバイスに取り付けられた球形構成要素のボアに向けて方向付けられた上縁部とを伴う。この取り付けのため、球形構成要素挿入デバイスは、球形構成要素の凹部と互換性のある支持部を有し、外側から(例えばハンドルから)アクセスできるアクチュエータを使用して、解放することができる。
【0024】
加えて、本発明は、骨幹端構成要素のための挿入デバイスを備え、これは直線で中空のロッドから成り、一方の端部に骨幹端構成要素のための解放可能クランプ、及び反対側の端部にグリッパを伴う。
【0025】
好ましくは、挿入デバイスは管状で同軸の2本の本体を備え、クランプは、外側管状本体において、骨幹端構成要素の対応したクリップのためのバヨネットクロージャにおける突起部で構成される。挿入デバイスは、両管状本体間の相対移動を係止するため、グリッパ近くにネジ山も備える。
【0026】
最後に、本発明は、骨幹ネイルのための挿入デバイスにも関する。これはネイルと共に使用することができ、逆「U」型の形状を有し、下部に向けて開かれた溝を伴うハンドグリップを第1の端部に、かつ骨幹ネイルのための取り外し可能な接続部を反対側の端部に有する。この溝は、骨幹端構成要素のための挿入デバイスを保持するために設けられる。ハンドグリップは、センタリングネイルが取り外し可能な接続部を通ることのみが異なるが、キルシュナ鋼線センタリングデバイスのハンドルガイドと同じ要素であり得る。さらにハンドグリップは、支持部を球形構成要素のために位置付ける、球形構成要素挿入デバイスにおけるハンドルとしてもよい。
【0027】
センタリングデバイスのハンドルガイド、球形構成要素挿入デバイスのハンドル、及び骨幹ネイル挿入デバイスのハンドグリップは、各々が、センタリングデバイスの残りの部分とは異なりX線を透過するマークのセットを有し、かつ異なる展開角度を伴う。換言すると、異なる角度に方向付けられた横断深さを有する。
【0028】
プロテーゼ及び種々の器具の他の変形は、以下に示される。
【0029】
本発明の、より良好な理解のために、非限定の実施形態における以下の図が添付される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】適切な球形構成要素挿入デバイスに位置された、球形構成要素の例の斜視図である。
【
図2】球形構成要素の近くにおける、骨幹端構成要素の実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1及び
図2の実施形態に従って取り付けられた、骨幹ネイル及びプロテーゼの斜視図である。
【
図4】前方の球形構成要素挿入デバイスの斜視図である。
【
図5】キルシュナ鋼線センタリングデバイス(センタリングネイル+ガイドハンドル)の斜視図である。
【
図6】患者の体(この事例では股関節)に設置されたスリーブの例を伴い、作られた切開部を表わす、キルシュナ鋼線センタリングデバイスの斜視図である。
【
図7】大腿骨頭または上腕骨頭の抽出装置の、第1のバージョンの斜視図である。
【
図8】骨幹端構成要素挿入デバイスの斜視図である。
【
図9】骨幹端構成要素挿入デバイスの詳細図である。
【
図10】連結された、球形構成要素、及び骨幹端構成要素挿入デバイスの斜視図である。
【
図11】骨幹ネイル挿入デバイスの例を伴う、骨幹ネイルの斜視図である。
【
図14】大腿骨頭及び上腕骨頭の抽出装置の、第2の実施形態を示す図である。
【
図15】
図14の大腿骨頭及び上腕骨頭の抽出装置の、長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に本発明の実施形態を、非限定の例示として概略で説明する。股関節プロテーゼに関して説明することになり、その様に表されるが、肩関節プロテーゼに関しても適用可能である。
【0032】
本発明のプロテーゼは、3つの独立した本体から構成され、図で示された実施形態は次に対応する。
−全体的に半球形状の、球形構成要素1。これは、双極性/2つの関節、または単極性であり得る。
−球形構成要素1を支持するため、患者の体の内側で球形構成要素1に接続される、骨幹端構成要素2。これは、大腿骨のオフセットを制御するために、様々な長さで生成される。
−適切な位置に固定するために、骨幹端構成要素2のアパーチャ21を通過する、骨幹ネイル3。骨幹ネイルは、様々な径及び長さで生成される。
【0033】
図1において球形構成要素1が確認でき、これは実質的に半球で形成され得る球形面11を有するが、代替として、半球よりもいくらか大きく、または半球よりもいくらか小さく形成され得る。球形構成要素1は、骨幹端構成要素2に固定するための背面12も有し、例においてはネジ山付きで示されたボア13を含む。望ましくは、ネジ山は円錐形である。球形構成要素1の背面12は、球形構成要素挿入デバイス300である第1の器具のための、凹部14を有する。球形構成要素1は、外科医が最も好適なものを選び得るよう、様々なサイズで生成される。
【0034】
図2において2で示される骨幹端構成要素は、シャンク22によって球形構成要素1に接続される。シャンク22はネジ山が付けられるか、またはボア13と一致する別のタイプの固定具を含み得る。この構成要素は、横断アパーチャ21を有し、これを通して骨幹ネイル3は挿入される。骨幹ネイル3は、大腿管の内側に位置付けられ、両構成要素1、2を動かなくする。この構成要素は、シャンク22の反対側において長手方向の穴23も備え、ここに、骨幹端構成要素2を骨幹ネイル3に堅固に接続するために係止デバイス24が挿入される。係止デバイス24は、通常はネジ山付きのネジであり、その先端は、骨幹ネイル3を完全に、または部分的に貫通する。示される実施形態において、骨幹端構成要素2は、その全面にわたって溝が施され、大腿骨における支持を向上させる。他のタイプの仕上げも可能である。
【0035】
最後に、骨幹ネイル3は、大腿管に挿入するよう構成され、増加する断面を有する第1のセグメント31を有し、1つまたは複数の固定用アパーチャ32が、大腿骨に固定するための1つまたは複数のネジのために構成される。骨幹ネイル3の第2のセグメント33は、横断アパーチャ2内で係合されるよう構成され、その上部は上方に突出する。このように骨幹ネイル3は、係止デバイス24を受け入れるよう準備される。
図3において、骨幹ネイル3は、骨幹端構成要素2のアパーチャ21の縁部において、支持ブラケット34を伴って示される。支持ブラケット34は、骨幹ネイル3が挿入され、患者が手術された脚を降ろしたとき、関節の動き及び歩行時の荷重によって作り出されるモーメントを伝達する助けをするときの、制止部を形成する。
【0036】
骨幹端構成要素2と骨幹ナイル3との間に形成された角度(頸部−骨幹の角度)は、概ね125°(例えば120°と130°の間など、大きくても少なくてもよい)となる。
【0037】
次に、股関節プロテーゼの位置付けにおける好ましい方法を、必要な器具を表わしながら説明する。プロテーゼの要素を位置付ける最も好適な方法として、これらの器具は本発明の一部を形成する。
【0038】
プロテーゼの位置付け方法は、2つまたは3つの切開部(
図6)を必要とする:
−大転子に僅かに近位の上部切開部(IS);
−キルシュナ鋼線がキルシュナ鋼線センタリングデバイスに従って入る部位によって画定されることになる、中間切開部(IM);
−遠位ネジの位置付けによって画定されることになる、下部切開図(図示せず)。下部切開部は、中間切開部(IM)と一致する場合は必要ではない。
【0039】
まず、大腿骨頭が取り除かれる。これは、大腿骨頭または上腕骨頭のカニューレ状抽出装置200を使用して実行され、これは中間切開部(IM)に挿入される。大腿骨頭を取り除くために、大腿骨頭のカニューレ状抽出装置200を、可能な限り垂直かつセンターに、大腿骨頭の海綿骨の中に貫入しなければならない。
【0040】
したがって、第1のキルシュナ鋼線102はガイドとして使用され、中間切開部(IM)を通して挿入される。第2のキルシュナ鋼線102’も、以下で示されるように、中間切開部(IM)を通して適用され得る。
【0041】
大腿骨頭のカニューレ状抽出装置200のためのガイドとして役立つ、このキルシュナ鋼線は、大腿骨の骨幹、頸部、及び頭部においてセンタリングされなければならない。キルシュナ鋼線102、102’は、逆「U」型の全体形状を有するキルシュナ鋼線センタリングデバイス100によって、正確な位置に係止される。
【0042】
キルシュナ鋼線センタリングデバイス100は、一方の端部にキルシュナ鋼線のセンタリングネイル101、及びキルシュナ鋼線センタリングデバイス100の残り部分を形成するハンドルガイド104を有する。センタリングネイル101は、上部切開部ISを通して大腿管に挿入することが意図される一方で、ハンドルガイド104は患者の体の外側に配置される。
【0043】
センタリングネイル101を挿入する前に、好適な径のドリルビットを用い、大転子の先端において、この上部切開部ISを通して入口が作られる。開口部も、股関節包の上部領域に作られ、この開口部を通して、カニューレが装着された大腿骨頭抽出装置200を使用して、後で大腿骨頭を取り除くのを可能にする。
【0044】
センタリングネイル101及びハンドルガイド104の両方は、それらの下部に垂直開口部105、105’を有し、それは、一旦キルシュナ鋼線が位置付けられたら、キルシュナ鋼線センタリングデバイス100を取り除くのを可能にする。両開口部の上縁部は、整合される。
【0045】
第1のキルシュナ鋼線102をセンタリングして位置付けすることは不可欠であり、したがって外科医は、通常手術室で利用可能である画像増強管を使用するか、または他の類似の方法を使用して、その位置を確認しなければならない。
【0046】
図5及び
図6は、キルシュナ鋼線102、102’が位置付けられ、使用位置に配置されたキルシュナ鋼線センタリングデバイス100を示す。2本のキルシュナ鋼線102、102’を整合させるのに役立つスリーブ103が使用され得る。これは、ハンドルガイド104から取り外すことができる。スリーブ103が使用される場合、このスリーブは第1のキルシュナ鋼線102のための上部通路を有し、それはセンタリングネイル101の垂直開口部105における上縁部と実際に整合されることになる。スリーブ103は、さらなるキルシュナ鋼線102、102’のための、さらなる通路を有し得る。
【0047】
使用するキルシュナ鋼線102、102’を位置付けるために使用された後、キルシュナ鋼線センタリングデバイス100、及び使用された場合にはスリーブ103は、取り外される。
【0048】
カニューレ状抽出装置の好ましいモデルが、
図7に示される。これは、管状部201、換言するとカニューレ状部を含み、一方の端部にグリップ202、及び反対側の端部に、円錐形または円筒形であり得るドリルビット203を有する。ドリルビット203は、その中央に第1のキルシュナ鋼線102を密接させて通過させる。したがって、カニューレ状抽出装置200を、結果に影響を及ぼす通路の公差なしで、大腿骨頭に誘導することができる。
【0049】
1つの実施形態において、ドリルビット203は、内部的に先細でいくらか適応性のある様々な要素から構成される。この実施形態において、管状部201の内径は、第1のキルシュナ鋼線102の径よりも大きく、それによって、必要に応じてドリルビット203のエキスパンダ(図示せず)を挿入することができ、それは先細の要素を分離し、かつドリルビット203を大腿骨頭の中に係止するのに役立つ。
【0050】
第2のキルシュナ鋼線102’は、大腿骨頭をしっかりと固定し、カニューレ状抽出装置200が大腿骨頭の中に挿入されたときに大腿骨頭が回転するのを防止する。したがって、第2のキルシュナ鋼線102’は任意選択である。
図6において、この第2のキルシュナ鋼線は、第1のキルシュナ鋼線102の下に定められているが、実際の位置は変化し得る。
【0051】
図14は、カニューレ状抽出装置200の第2の例を示し、これも管状部201、グリップ202、及びドリルビット203を伴う。加えて、この解決策はホルダ204を有する。ホルダ204は格納可能な爪部205に作用する。格納可能な爪部205は、突出するか、またはドリルビット203の近くに後退する。示される実施形態において、ホルダ204は、管状部201の内部におけるネジ206上のナットであり、さらに、キルシュナ鋼線102の通路のためのカニューレが装着される。内部ネジ206は、
図15に示されるように、格納可能な爪部205に接続されると、格納可能な爪部205を押し出し、または格納する。
【0052】
格納可能な爪部205の先端は、この目的のためにドリルビット203の近くまたはドリルビット203に設けられたアパーチャを通り抜けて通じるよう配置される。例えば示されるように、この先端は、(ドリルビットに向けて方向付けられた)湾曲した内側部を有し、この先端が、初めに管状部201から出るのに役立つ傾斜面を形成し得る。
【0053】
したがって外科医は、一旦ドリルビットが大腿骨頭または上腕骨頭に係止されると、大腿骨頭または上腕骨頭に対するグリップ力を増加させ、相対的な回転を防止し得る。
【0054】
大腿骨頭のカニューレ状抽出装置200を、中間切開部IMを通して挿入する前に、カニューレ状抽出装置200をそれによって作られたアパーチャを通過させるのに十分な径のドリルビットを使用して、大腿骨外側皮質骨に、同じ中間切開部からドリルで穴を開けなければならない。同じキルシュナ鋼線をガイドとして使用する、カニューレが装着されたドリルビットは、このドリルの穴開けのために使用されることになる。
【0055】
次のステップは、大腿骨頭のカニューレ状抽出装置200を、中間切開部IMから大腿骨頭に挿入することである。大腿骨頭の海綿骨に到達し、軟骨下骨に近付いて骨が硬くなると、より大きいグリップ力が、カニューレ状抽出装置200の回転によって実現される。カニューレ状抽出装置200を挿入するとき、第2の鋼線は、寛骨臼内での頭部の回転を防止する。
【0056】
一旦大腿骨頭が抽出装置に固定されると、キルシュナ鋼線102、102’は取り外され、影響を受けた肢は内転される。次に、大腿骨頭のカニューレ状抽出装置200の補助を伴い、大腿骨頭は、上部切開部ISを通して抽出するために、(関節包の上部領域ですでに作られている開口部を通して)関節の上部で関節が外される。一旦大腿骨頭が抽出されると、カニューレ状抽出装置200は、中間切開部IMから取り外すことができる。
【0057】
この大腿骨頭を取り外す技術を使用して、関節包及び関節唇の一体性が保たれる。これは、股関節がそれ自体の安定要素を保持し、デバイスに正確な安定性をもたらし、変位を防止することを意味する。さらに、任意の他のプロテーゼの取り組み(股関節形成)と比較すると、より小さい切開部及びより少ない軟組織の切開しか必要とせず、したがって手術中の出血を軽減させる。
【0058】
次に、球形構成要素1が取り付けられることになる、球形構成要素挿入デバイス300が使用される。
図1及び
図4に示される実施形態で確認できるように、この挿入デバイスは、湾曲したハンドル301及び球形構成要素1の支持部302を有する点で、キルシュナ鋼線センタリングデバイス100といくらか類似する。この支持部302を、球形構成要素1の凹部14に、十分堅固に接続することができ、次に外部アクチュエータ303を望ましく使用するとき、凹部14を解放することができる。外部アクチュエータ303は、示された事例においてはネジであり、支持部302のアーム部を引き離す。
【0059】
確認できるように、球形構成要素挿入デバイス300のハンドル301は、球形構成要素1のボア13に向けて方向付けられた凹部304を有する。換言すると、凹部304を通して挿入される任意の直線器具は、別の操作を必要とせずにボア13と接触する。凹部304の下部は、ハンドル301が、凹部304内に位置付けられた要素の存在に関わらず抜き取られるよう、開いている。
【0060】
そのため、中空で細長い2本の同軸ロッド401、402から成る、骨幹端構成要素挿入デバイス400を使用することができる。外側の管状ロッド401は、一方の端部において骨幹端構成要素2のためのクランプ403を備え、反対側の端部において、内側ロッド402はグリッパ404を有する。外側ロッド401は、凹部304に位置付けられたときに、ボア13と完全に整合させるよう、適切な外径を有する(
図10)。外科医は、骨幹端構成要素2を中間切開部IMを通して挿入し、この構成要素を好適な方法、一般にネジ止めによってボア13に固定する。骨幹端構成要素挿入デバイス400におけるインジケータは、この構成要素がいつ、骨幹ネイル3を受け入れるために完全に準備されたアパーチャ21に対して正確な位置にあるかを、外科医に表示する。
【0061】
図9は、好ましい骨幹端構成要素挿入デバイス400の、2つの詳細を示す。両ロッド401、402の相対的移動は、クランプ403を解放するか、または固定して保持するかを可能にする。クランプ403が、骨幹端構成要素2の対応したクリップのための、外側管状本体におけるバヨネットクロージャの突出部406で構成されるのが確認できる。さらに、2つの突出部405は内側ロッド402に配置され、それは骨幹端構成要素2の対応したノッチ25に入らなければならない。ロッド401、402の両方が共に回転する場合、突出部405は、骨幹端構成要素2がボア13にネジ止めされるのを保証する。これらのロッドが独立して回転する場合、突出部405は、クランプ403をバヨネット構成で接続解除させ得る。グリッパ404に近いネジ407は、外側ロッド401に対してフランジ408を締め付ける、両同軸ロッド401、402の間の動きを堅固に接続する。フランジ408は、ロッド401、402に対して摺動できるが、内側ロッド402に対して回転できない。歯、または他の方法によって、フランジ408の緊密さが、外側ロッド401が回転するのを確実に防止する。
【0062】
一旦、球形構成要素1が骨幹端構成要素2に固定されると、球形構成要素挿入デバイス300を取り外し、アクチュエータ303によって凹部14を解放することができる。
【0063】
次に、骨幹ネイル3は、
図11に示される骨幹ネイル挿入デバイス500を使用して、位置付けられ得る。この骨幹ネイル挿入デバイス500は、ハンドグリップ501を有し、これは球形構成要素挿入デバイス300のハンドル301と同一であり得る。ハンドグリップ501は、その下部に溝503を有し、それが骨幹端構成要素挿入デバイス400を保持することができる。任意の取り外し可能な形態である骨幹ネイル3は、骨幹ネイル挿入デバイス500の他方の端部に配置される。この骨幹ネイル挿入デバイス500は、骨幹ネイル3の解放機構504を有し、それは外側から、例えば骨幹ネイル3を保持または解放するネジでアクセスできる。
【0064】
骨幹ネイル挿入デバイス500も、遠位ネジまたは対応した工具の通路のためのオリフィス(506)を伴って形成され得る。
図6で確認できるように、中間切開部IMは、それらの位置付けのために使用される。
【0065】
骨幹ネイル3は、次に上部切開部ISを通して、このネイルが骨幹端構成要素2のアパーチャ21を通過するまで、挿入される。この時点において、骨幹ネイル3は、その第2のセグメント33のサイズがアパーチャ21のサイズに関連されるため、特に骨幹ネイル3がブラケット34を有する場合に、係止される。
【0066】
一旦骨幹ネイル3が位置付けられると、係止デバイス24は、骨幹端構成要素挿入デバイス400の内側ロッド402の内部における穴を通して挿入され、好適にネジ止めまたは固定される。係止デバイス24は、ネジ山領域で終端するのが好ましい。係止デバイス24は、骨幹端構成要素2または骨幹端構成要素挿入デバイス400に予め設定され、それによって固定は、固定具またはネジ止め工具の導入のみを必要とし得る。
【0067】
一旦係止デバイス24が設置されると、骨幹端構成要素は、骨幹端構成要素挿入デバイスから接続解除される。この時点において、股関節形成デバイスの大腿骨に対する前傾が選ばれる。
【0068】
図、特に
図12において、ハンドル301、ハンドグリップ501、及びハンドルガイド104の各々が、一連の方向マーク505を有するのが確認できる。これらは、外科医が、球形構成要素挿入デバイス300またはキルシュナ鋼線センタリングデバイス100の角度方向(前傾)を確定するのを可能にする。これら一連のマークは、残りの器具とは異なり、X線を透過させるオブジェクト(アパーチャ、差し込みなど)から成る。各オブジェクトは、異なる角度(「0°、8°、及び16°」、「0°、10°、及び20°」、「0°、5°、10°、及び15°」など)を有する。
【0069】
したがって、外科医が画像増強管を使用するとき、歪んでいないマーク505は、大腿骨に対して適用された前傾角度を示すことになる。
図12は、第1のマーク505に対応した角度で生成されているので、このマークは歪んでいないが、他は歪んでいる。
【0070】
ハンドル301、ハンドルガイド104、もしくはハンドルグリップ501は同一であってもよく、または同じ要素であってもよい。
【0071】
一旦前傾が選ばれると、骨幹ネイル3は、遠位ネジを位置付けることによって大腿骨に固定され得る。骨幹ネイル3の下部において、1つまたは複数の遠位ネジが各固定用アパーチャ32に配置される。この挿入は、先行技術における任意で公知の方法であってよく、固定用アパーチャ32の位置及び方向に依拠して、下部切開部または中間切開部IMのいずれかを通される。
【0072】
一旦これが成されると、骨幹ネイル挿入デバイス500は後退され、最終位置に位置付けられた股関節形成デバイスから離れる。
【0073】
したがって本発明は、プロテーゼに加えて、その位置付けを補助するため、及び大腿骨頭を取り除くために設計された、以下の一連の好ましい器具全体を含む:
−キルシュナ鋼線センタリングデバイス100;
−大腿骨頭または上腕骨頭のカニューレ状抽出装置200;
−球形構成要素挿入デバイス300;
−骨幹端構成要素挿入デバイス400;
−骨幹ネイル挿入デバイス500。
【0074】
始めの2つの挿入デバイス300、400は、次の挿入デバイスの挿入のためのガイドとして役立つ。換言すると、球形構成要素挿入デバイス300は、骨幹端構成要素挿入デバイス400を挿入するためのガイドとして役立ち、次に骨幹ネイル挿入デバイス500の挿入のためのガイドとして役立ち(
図10)、それによって誤差を最小限に抑え、外科医による操作を向上させる。
【0075】
しかし、プロテーゼを使用する部位で組み立てるのを可能にするが、例えば通常使用している直線挿入デバイスなど、外科医の仕事を向上させることのない他の異なる器具も使用され得る。
【0076】
さらに、プロテーゼから大腿骨への荷重の伝達は、様々なポイントで分配される。骨幹端構成要素2は、その荷重をカルカーに伝達し、その一方で骨幹ネイル3は、その荷重を骨幹及び対応した固定用アパーチャ32を通して遠位ネジに伝達する。この全ては、十分な安定性をもたらし、そのためセメント接合は必須ではなく、股関節形成をセメント接合する複雑さを回避する。
【0077】
しかし、セメント接合が好ましい場合、骨幹端構成要素2及び/または骨幹ネイル3は、一旦位置付けると、カニューレ、シリンジなどを通して、プロテーゼ及び大腿骨の異なる部分の間の接触を増加させるために、チャネルを有して外側からセメントの導入を可能にし得る。
【0078】
全ての材料、特に患者の体内に残る材料は、生体適合性のあるものでなければならない。
【国際調査報告】