(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527593(P2021-527593A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】ストリンガシートにプライを接合するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B64F 5/10 20170101AFI20210917BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20210917BHJP
B64C 1/06 20060101ALN20210917BHJP
【FI】
B64F5/10
B64C1/00 B
B64C1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-570508(P2020-570508)
(86)(22)【出願日】2019年5月2日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月9日
(86)【国際出願番号】US2019030412
(87)【国際公開番号】WO2019245653
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】16/015,412
(32)【優先日】2018年6月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】506074451
【氏名又は名称】スピリット・エアロシステムズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPIRIT AEROSYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クリンシク、ジョナサン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウェスターマン、ジェームズ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ディゲンナロ、トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー、ダリン クレイ
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン、ブレイズ フランシス
(57)【要約】
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムおよび方法。第1のプライ層の縁部が輪郭上に位置するように、第1のプライ層は、ストリンガを画定する輪郭を有する器具の表面の部分上へ配置され、押し下げられる。第2のプライ層の縁部が輪郭上に位置し、かつ、第1のプライ層の縁部と重なるように、第2のプライ層は、表面の隣接する部分上へ配置され、押し下げられる。このプロセスは、追加のプライ層について繰り返され得る。システムは、材料のプライのディスペンサと、プライを押し込むためのローラとを有するエンドエフェクタと、エンドエフェクタを器具の上方へ動かすための移動機構とを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合する方法であって、
第1のプライ層を器具の表面の第1の部分上へ配置する段階であって、前記表面は、前記ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する、配置する段階と、
前記第1のプライ層の第1の縁部が前記輪郭上に位置するように、前記第1のプライ層を前記輪郭上へ押し込む段階と、
第2のプライ層を前記器具の前記表面の第2の部分上へ配置する段階であって、前記第2の部分は、前記器具の前記表面の前記第1の部分に隣接する、配置する段階と、
前記第2のプライ層が前記輪郭上で前記第1のプライ層と重なったまま、前記第2のプライ層の第2の縁部が前記輪郭上に位置するように、前記第2のプライ層を前記輪郭上へ押し込む段階と
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の中心で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の一方の側で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在しない、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法を繰り返して、第3のプライ層を前記第1のプライ層の上方に、第4のプライ層を前記第2のプライ層の上方に配置する段階であって、
前記第3のプライ層および前記第4のプライ層が、前記輪郭の、前記第1のプライ層および前記第2のプライ層とは反対側で重なるように、前記第3のプライ層の第3の縁部は、前記第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在せず、前記第4のプライ層の第4の縁部は、前記第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、配置する段階
をさらに備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記器具から前記第1のプライ層および前記第2のプライ層を除去する前に前記第1のプライ層および前記第2のプライ層を少なくとも部分的に硬化させる段階をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のプライ層の前記第2の縁部が接着剤と重なるように、前記接着剤を前記第1のプライ層の前記第1の縁部に塗布する段階をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層は、前記器具の前記表面上へ直接吐出される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のプライ層は、平坦面上へ吐出され、次に、前記器具の前記表面へ移送され、前記第2のプライ層は、前記平坦面上へ吐出され、次に、前記器具の前記表面へ移送される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムであって、
材料のプライ層を器具の表面上へ自動的に吐出するように構成されたディスペンサと、
前記プライ層を前記器具の前記表面上へ自動的に押し込み、かつ、前記プライ層の縁部を前記器具の前記表面の輪郭上へ自動的に押し込むように構成されたローラであって、前記輪郭は、前記ストリンガシート内のストリンガを画定する、ローラと
を有するエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを前記器具の上方へ自動的に動かすように構成された移動機構と
を備え、動作中、前記システムは、
前記移動機構が前記エンドエフェクタを前記器具の上方へ動かしたときに、第1のプライ層の第1の縁部が前記輪郭上に位置するように、前記ディスペンサが前記第1のプライ層を器具の前記表面の第1の部分上へ吐出し、前記ローラが前記第1のプライ層を前記輪郭上へ押し込み、
前記移動機構が前記器具に対する前記エンドエフェクタの位置をシフトさせ、
前記ディスペンサが第2のプライ層を前記器具の前記表面の第2の部分上へ吐出し、前記第2の部分が前記器具の前記表面の前記第1の部分に隣接し、前記移動機構が前記エンドエフェクタを前記器具の上方へ動かしたときに、前記第2のプライ層が前記輪郭上で前記第1のプライ層と重なったまま、前記第2のプライ層の第2の縁部が前記輪郭上に位置するように、前記ローラが前記第2のプライ層を前記輪郭上へ押し込む
よう機能するように構成される、システム。
【請求項10】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の中心で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の一方の側で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在しない、
請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
動作中、前記システムはさらに、第3のプライ層を前記第1のプライ層の上方へ吐出し、かつ、第4のプライ層を前記第2のプライ層の上方へ吐出するように構成され、
前記第3のプライ層および前記第4のプライ層が、前記輪郭の、前記第1のプライ層および前記第2のプライ層とは反対側で重なるように、前記第3のプライ層の第3の縁部は、前記第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在せず、前記第4のプライ層の第4の縁部は、前記第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のプライ層の前記第2の縁部が接着剤と重なるように、前記接着剤を前記第1のプライ層の前記第1の縁部に塗布するように構成された接着剤塗布器をさらに備える、請求項9から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記プライ層が前記器具の前記表面に付着して形成されるように、前記プライ層が吐出されたときに前記プライ層を自動的に加熱するように構成された加熱機構をさらに備える、請求項9から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムであって、
第1のプライ層を平坦面上へ自動的に配置するように構成されたディスペンサと、
前記第1のプライ層を前記平坦面から器具の器具表面であって、前記ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する、器具表面へ、前記第1のプライ層の第1の縁部が前記輪郭上に位置したまま移送するように構成された移送機構と、
前記第1のプライ層を前記輪郭上へ押し込むように構成された形成機構と
を備え、
前記ディスペンサはさらに、第2のプライ層を前記平坦面上へ自動的に配置するように構成され、
前記移送機構はさらに、前記第1のプライ層の第2の縁部が前記輪郭上に位置し、かつ、前記第1のプライ層の前記第1の縁部と重なったまま、前記第2のプライ層を前記平坦面から前記器具の前記器具表面へ移送するように構成され、
前記形成機構はさらに、前記第2のプライ層を前記輪郭上かつ前記第1のプライ層の前記第1の縁部上へ押し込むように構成される、
システム。
【請求項16】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の中心で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のプライ層および前記第2のプライ層が前記輪郭の一方の側で重なるように、前記第1のプライ層の前記第1の縁部は、第1の方向において前記輪郭の中心を越えて延在し、前記第2のプライ層の前記第2の縁部は、第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在しない、
請求項15または16に記載のシステム。
【請求項18】
動作中、前記システムはさらに、第3のプライ層を前記第1のプライ層の上方へ吐出および移送し、かつ、第4のプライ層を前記第2のプライ層の上方へ吐出および移送するように構成され、
前記第3のプライ層および前記第4のプライ層が、前記輪郭の、前記第1のプライ層および前記第2のプライ層とは反対側で重なるように、前記第3のプライ層の第3の縁部は、前記第1の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在せず、前記第4のプライ層の第4の縁部は、前記第2の方向において前記輪郭の前記中心を越えて延在する、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2のプライ層の前記第2の縁部が接着剤と重なるように、前記接着剤を前記第1のプライ層の前記第1の縁部に塗布するように構成された接着剤塗布器をさらに備える、請求項15から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数のプライが前記器具の前記器具表面に付着するように、前記複数のプライを自動的に加熱するように構成された加熱機構をさらに備える、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合パネル構造を製造するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、実施形態は、航空機の胴体および翼または車両の他の本体構成要素において用いられるものなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライ層を共に接合するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリンガは、航空機の胴体および翼に用いられるパネルなどのパネル内の外板を補強するために用いられる長手方向部材である。ストリンガは、外板を別個のセクションに分割するよう機能することにより、外板が安全に曲がることを可能にし、外板に対する円周方向の損傷を制御し、本体屈曲時の負荷に対する剛性を提供する。一実装において、個々のストリンガは、留め具、溶接または結合を用いて外板に取り付けられる別個の部分として構築される。別の実装において、複数のストリンガがストリンガシートまたはシートストリンガに構築される。ストリンガシートを用いて、1または複数の複合プライが、外板の内部に連続的に連結される。ただし、これらのプライが外板に対して凹または凸を形成することでストリンガを生み出すように形作られている場合を除く。
【0003】
ストリンガシートは、プライを輪郭形状器具上に配置し、プライを当該輪郭内へ押し込し込んで実際のストリンガを形成することにより構築される。しかしながら、これにより、プライ材料の縁部が共に引っ張られ、当該器具上でのプライの幅が変わってしまう。1つのストリンガの周囲にプライを形成することにより、プライのシートが一定的に短くなり、プライを他のストリンガから引き離すことができる。また、プライを当該器具の輪郭内へ曲げる正確な深さによっては、プライの必要とされる全幅の変化が引き起こされ得る。より詳細には、複数のストリンガに及ぶ単一の大きい材料シートが用いられている場合、シート全体が、各輪郭内に押し込し込まれてストリンガを形成した時に動き、全ての寸法に望ましくない変化をもたらす。より小さいシートが用いられており、輪郭の中心に置かれた場合、ストリンガ間のエリアに位置するシートの縁部が内側に引っ張られ、隣接するシート間の寸法および隙間の変化を再びもたらす。1つの解決手段は、これらの隣接するシートの縁部を重ねることであるが、これは、ストリンガ間のエリアの厚さの増加をもたらし、他のいかなる利益も提供せず、望ましくない余分な重量を追加することになる。
【0004】
この背景技術での議論は、必ずしも従来技術ではない本発明に関連する情報を提供するよう意図されている。
【発明の概要】
【0005】
実施形態は、航空機の胴体および翼または車両の他の本体構成要素に用いられるものなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライ層を共に接合するためのシステムおよび方法を提供することにより、従来技術の上述のおよび他の問題および限定に対処する。
【0006】
第1の実施形態において、ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するための方法が提供される。概して、方法は、以下の段階を含み得る。第1のプライ層が、器具の表面の第1の部分上へ配置され得る。表面は、ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する。第1のプライ層の第1の縁部が輪郭上に位置するように、第1のプライ層は、輪郭上へ押し込まれ得る。第2のプライ層が、器具の表面の第2の部分上へ配置され得る。第2の部分は、器具お表面の第1の部分に隣接する。第2のプライ層が輪郭上の第1のプライ層と重なったまま、第2のプライ層の第2の縁部が輪郭上に位置するように、第2のプライ層は、輪郭上へ押し込まれ得る。
【0007】
第1の実施形態の様々な実装は、以下の特徴のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。第1のプライ層および第2のプライ層が輪郭の中心で重なるように、第1のプライ層の第1の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在してよく、第2のプライ層の第2の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在してよい。第1のプライ層および第2のプライ層が輪郭の一方の側で重なるように、第1のプライ層の第1の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在してよく、第2のプライ層の第2の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよい。方法は、第3のプライ層を第1のプライ層の上方に、第4のプライ層を第2のプライ層の上方に配置する段階であって、第3のプライ層および第4のプライ層が、輪郭の、第1のプライ層および第2のプライ層とは反対側で重なるように、第3のプライ層の第3の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよく、第4のプライ層の第4の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在してよい、配置する段階を実行するために、繰り返されてよい。器具から第1のプライ層および第2のプライ層を除去する前に、第1のプライ層および第2のプライ層は、少なくとも部分的に硬化されてよい。第2のプライ層の第2の縁部が接着剤と重なるように、接着剤が、第1のプライ層の第1の縁部に塗布されてよい。第1のプライ層および第2のプライ層は、器具の表面上へ直接吐出されてよい。第1のプライ層は、平坦面上へ吐出され、次に、器具の表面へ移送されてよく、第2のプライ層は、平坦面上へ吐出され、次に、器具の表面へ移送されてよい。
【0008】
第2の実施形態において、ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムが提供される。システムは、エンドエフェクタと移動機構とを含み得る。エンドエフェクタは、材料のプライ層を器具の表面上へ自動的に吐出するように構成されたディスペンサと、プライ層を器具の表面上へ自動的に押し込み、かつ、プライ層の縁部を器具の表面の輪郭上へ自動的に押し込むように構成されたローラであって、輪郭は、ストリンガシート内のストリンガを画定する、ローラとを含み得る。移動機構は、エンドエフェクタを器具の上方へ自動的に動かすように構成され得る。動作中、システムは、以下のとおり機能するように構成される。移動機構がエンドエフェクタを器具の上方へ動かしたときに、第1のプライ層の第1の縁部が輪郭上に位置するように、ディスペンサは、第1のプライ層を器具の表面の第1の部分上へ吐出してよく、ローラは、第1のプライ層を輪郭上へ押し込んでよい。移動機構は、器具に対するエンドエフェクタの位置をシフトさせ得る。ディスペンサは、第2のプライ層を器具の表面の第2の部分上へ吐出してよく、第2の部分は、器具の表面の第1の部分に隣接してよく、移動機構がエンドエフェクタを器具の上方へ動かしたときに、第2のプライ層が輪郭上で第1のプライ層と重なったまま、第2のプライ層の第2の縁部が輪郭上に位置するように、ローラは、第2のプライ層を輪郭上へ押し込んでよい。
【0009】
第3の実施形態において、ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムが提供される。システムは、ディスペンサと、移送機構と、形成機構とを含み得る。ディスペンサは、第1のプライ層を平坦面上へ自動的に配置するように構成され得る。移送機構は、第1のプライ層を平坦面から器具の器具表面であって、ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する器具表面へ、第1のプライ層の第1の縁部が輪郭上に位置したまま移送するように構成され得る。形成機構は、第1のプライ層を輪郭上へ押し込むように構成され得る。ディスペンサはさらに、第2のプライ層を平坦面上へ自動的に配置するように構成され得る。移送機構はさらに、第1のプライ層の第2の縁部が輪郭上に位置し、かつ、第1のプライ層の第1の縁部と重なったまま、第2のプライ層を平坦面から器具の器具表面へ移送するように構成され得る。形成機構はさらに、第2のプライ層を輪郭上かつ第1のプライ層の第1の縁部上へ押し込むように構成され得る。
【0010】
第2の実施形態および第3の実施形態の様々な実装は、以下の特徴のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る。第1のプライ層および第2のプライ層が輪郭の中心で重なるように、第1のプライ層の第1の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在してよく、第2のプライ層の第2の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在してよい。第1のプライ層および第2のプライ層が輪郭の一方の側で重なるように、第1のプライ層の第1の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在してよく、第2のプライ層の第2の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよい。システムはさらに、第3のプライ層を第1のプライ層の上方へ吐出/移送し、かつ、第4のプライ層を第2のプライ層の上方へ吐出/移送するように構成されてよく、第3のプライ層および第4のプライ層が、輪郭の、第1のプライ層および第2のプライ層とは反対側で重なるように、第3のプライ層の第3の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよく、第4のプライ層の第4の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在してよい。システムは、第2のプライ層の第2の縁部が接着剤と重なるように、接着剤を第1のプライ層の第1の縁部に塗布するように構成された接着剤塗布器をさらに含み得る。システムは、プライ層が器具の表面に付着して形成されるように、プライ層が吐出されたときにプライ層を自動的に加熱するように構成された加熱機構をさらに含み得る。
【0011】
この発明の概要は、本発明の不可欠な特徴を識別するよう意図されておらず、特許請求の範囲に限定するために用いられるよう意図されてもいない。本発明のこれらおよび他の態様を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
【
図1】例示的なストリンガシートを含む例示的なパネル構造を組み込んだ胴体を有する例示的な航空機の部分等角図である。
【0014】
【
図2】例示的なストリンガシートを含む例示的なパネル構造の詳細を示す、
図1の胴体の一部分の分解等角図である。
【0015】
【
図3】
図2の例示的なストリンガシートなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するための方法の第1の実施形態における段階のフローチャートである。
【0016】
【
図4】ストリンガシートを構築するための器具の部分断面立面図である。
【0017】
【
図5】
図4の器具上へ配置される第1のプライ層の部分断面立面図である。
【0018】
【
図6】
図4の器具上へ配置され、第1のプライ層と重なる第2のプライ層の部分断面立面図である。
【0019】
【
図7】プライを接合するための第1の実装を示すストリンガシートの部分断面立面図である。
【0020】
【
図8】プライを接合するための第2の実装を示すストリンガシートの部分断面立面図である。
【0021】
【
図9】プライを接合するための第3の実装を示すストリンガシートの部分断面立面図である。
【0022】
【
図10】複数のプライを配置して複数のストリンガを生み出すシングル(shingle)法を示すストリンガシートの部分断面立面図である。
【0023】
【
図11】複数のプライを配置して複数のストリンガを生み出す交互法を示すストリンガシートの部分断面立面図である。
【0024】
【
図12】
図2の例示的なストリンガシートなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムの第1の実施形態の部分等角図である。
【0025】
【
図13】
図2の例示的なストリンガシートなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するための方法の第2の実施形態における段階のフローチャートである。
【0026】
【
図14】
図2の例示的なストリンガシートなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムの第2の実施形態の等角図であり、システムは、平坦面からプライ層を取り出したように示されている。
【0027】
【
図15】
図14のシステムの等角図であり、システムは、取り出されたプライ層を器具上へ堆積させたように示されている。
【0028】
これらの図は、示している特定の実施形態に本発明を限定することを意図していない。これらの図面は、必ずしも縮尺どおりではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、添付図面を参照する。実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために本発明の態様を十分詳細に説明するよう意図されている。本発明の実施形態は、限定としてではなく、例として示されている。他の実施形態が利用されてよく、特許請求の範囲から逸脱することなく、変更が行われてよい。したがって、以下の説明は、限定的なものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と、そのような特許請求の範囲が付与される均等物の全範囲とによってのみ、定義される。
【0030】
本明細書において、「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」または「実施形態(embodiments)」についての言及は、言及される1または複数の特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書における「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」または「実施形態(embodiments)」についての別個の言及は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではなく、そのように記載されない限り、相互に排他的なものではない。具体的には、一実施形態において説明する特徴、構成要素、動作、段階等は、他の実施形態にも含まれ得るが、必ずしも含まれるわけではない。したがって、本発明の特定の実装は、本明細書において説明する実施形態の様々な組み合わせおよび/または統合を含み得る。
【0031】
概して、実施形態は、航空機の胴体および翼または車両の他の本体構成要素に用いられるものなどのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライ層を共に接合するためのシステムおよび方法に関する。ストリンガシートは、複数のプライ層を器具の表面上に配置することにより構築され得る。器具の表面は、複数の離間した輪郭を示し得る。当該輪郭は、凹、凸またはそれらのいくつかの組み合わせであってよく、仕上がったストリンガシート内の複数のストリンガを形成する。より詳細には、ストリンガは、波形パネルと同様に離間した変化がある形状という形態を取り得る。これは、仕上がったストリンガシートの面外剛性に離散的な変化をもたらし得る。複数のプライ層を接合することは、複数のプライまたはプライセットを、そのようなプライまたはプライセットの少なくともいくつかを特定の量だけ重ねながら器具上へ配置することを伴い得る。様々な実装は、異なる重なり構成および互い違い配置構成を伴い得る。一実装において、これは、2つのプライまたはプライスタックを重ねることで行われ得る。別の実装において、これは、任意の順番で互い違いに並んだ複数のプライを交互に配置することにより行われ得る。いずれの場合も、これらの重なりは、ストリンガの中心に置かれるなど、1つの位置に生み出されてもよく、互い違いに配置されてもよい。各プライまたはプライセットの縁部は、器具における凹内に押し下げられ得る。これにより、余分な重なりが低減し、所望の最終的な量の重なりが達成される。いかなる量の最終的な重なりも所望されない場合、元の重なりは、ストリンガが形成される場合に当該重なりを突合せ接合体へと低減するように減らされ得る。
【0032】
実施形態は、プライ層の中間部分が器具の形状の変化を吸収するときにプライ層の平面寸法の変化をより良く考慮する方式でプライ層を共に接合することによって、より信頼性が高く強固なストリンガシートを有利に提供する。特に、実施形態は、そうでなければ、プライ層を器具の表面の輪郭の内部に、上方へ、またはそうでなければ上へ配置した結果として隣接するプライ層の縁部が引き離されることから生じ得る隙間または他の潜在的な脆弱箇所を回避する。さらに、重なりに沿った結果的な厚さの増加によって断面の慣性モーメントが有利に増すことにより、ストリンガの使用可能剛性および使用可能軸強度が増す。したがって、いかなる他の利益も提供せず、望ましくない余分な重量を追加してしまう、ストリンガ間のエリアにおける重なりの位置決めとは対照的に、ストリンガの重なりの位置決めは、ストリンガの厚さおよび強度を増やす。
【0033】
ストリンガシートの製造という例示的な文脈で本明細書を説明したが、本技術は、個々のストリンガ、混合ストリンガ外板、ブレードフレームまたは床ビームおよび不可欠なスティフナを有する翼スパーまたは翼外板などの製品を含む、本技術から利益を得るであろう実質的にあらゆる製品の製造において使用され得る。
【0034】
図1および
図2を参照すると、例示的な航空機20が、例示的なパネル構造24を組み込んだ胴体22を有するように示されている。例示的なパネル構造24は、外板26と、複数のストリンガ30および複数のフレーム部材32を有するストリンガシート28とを含み得る。
図3および
図4を参照すると、
図2の例示的なストリンガシート28などのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライ層を共に接合するための方法110の第1の実施形態が示されている。
図4において見られるように、方法110は、器具34を利用してよく、器具34は、表面36を有してよく、表面36は、ストリンガシート38内のストリンガ30のうちの1つを画定する輪郭38を有してよい。表面36は、第1の部分40および第2の部分42を有してよく、第1の部分40は、第2の42に隣接してよい。輪郭38は、凹、凸またはそれらのいくつかの組み合わせであってよい。概して、方法は、以下の段階を備え得る。
【0035】
112に示されるように、第1のまたは他の前のプライ層50が、器具34の表面36の第1の部分40上へ配置され得る。第1の/前のプライ層50は、単一のプライ、複数のプライまたはプライセットを含み得る。114に示されるように、かつ、
図5に示されるように、第1の/前のプライ層50は、第1の/前のプライ層50の第1の縁部52が輪郭38の内側またはそうでなければ輪郭38上に位置するように、輪郭38の内部、上方またはそうでなければ上へ押し込まれ得る。一実装において、116に示されるように、接着剤が、第1の/前のプライ層50の第1の縁部52の露出面に塗布され得る。118に示されるように、第2のまたは他の後のプライ層54が、器具34の表面36の第2の部分42上へ配置され得る。同様に、第2の/後のプライ層54は、単一のプライ、複数のプライまたはプライセットを含み得る。
図6に示されるように、第2の/後のプライ層54が、輪郭38の内側またはそうでなければ輪郭38上で第1の/前のプライ層50と重なったまま、第2の/後のプライ層54の第2の縁部56が輪郭38の内側またはそうでなければ輪郭38の上に位置するように、第2の/後のプライ層54は、120に示されるように、輪郭38の内部、上方またはそうでなければ上へ押し込まれ得る。様々な実装において、第1の/前のプライ層50および第2の/後のプライ層54の重なりは、少なくとも1/4インチ、2インチ以下、1インチ以下、1/2インチ以下、1/4インチと1インチとの間、または1/4インチと1/2インチとの間であってよい。必要とされるかまたは所望される場合、このプロセスは、追加のプライ層について繰り返され得る。一実装において、122に示されるように、プライ層50、54は、器具34からプライ層50、54を除去する前に、少なくとも部分的に硬化され得る。
【0036】
プライ層50、54が特定の輪郭に対して配置されているパターンは、ストリンガシートが内部に組み込まれる構造の性質要件および性能要件を含む特定の用途に依存し得る。
図6に示される実装において、第1の/前のプライ層50および第2の/後のプライ層54が輪郭の中心で重なるように、第1の/前のプライ層50の第1の縁部52は、第1の方向において輪郭38の中心を越えて延在してよく、第2の/後のプライ層54の第2の縁部56は、第2の方向におい輪郭38の中心を越えて延在してよい。
図7を参照すると、この実装の一形態が示されており、当該形態では、ストリンガシートの完全な厚さに対応するプライ層50、54が「プライセット」に分類され得る。次に、これらのプライセットは、隣接するプライセットが互いに重なるように配置され得る。この重なりは、重なり(例えば、1/4インチ)を生み出すために輪郭の中心の上方に延在する各プライセットから少量(例えば、1/8インチ)の間をおいて、輪郭の内側またはそうでなければ輪郭上で中心に置かれ得る。
【0037】
図8を参照すると、この実装の別の形態が示されており、当該形態では、個々のプライ層50A、54A、50B、54B、50C、54Cが、交互に配置された重なりを生み出すために、互い違いに並べられ得る。この重なりは、重なりを生み出すために輪郭の中心線の上方に延在する各プライから少量の間を置いて、輪郭の内側またはそうでなければ輪郭上で中心に置かれ得る。これらのプライが交互に置かれ得るので、全てのプライが置かれるまで、例えば、ストリンガの一方の側からのプライが置かれてよく、次に、他方の側からのプライが置かれてよい。
【0038】
別の実装において、第1のプライ層および第2のプライ層が輪郭の一方の側で重なるように、第1のプライ層の第1の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在してよく、第2のプライ層の第2の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよい。これにより、
図7および
図8に示されるものと同様であるが、重なりの中心が輪郭の中心の一方の側に位置する重なりがもたらされる。この実装の拡張形態では、第3のプライ層が第1のプライ層の上方に配置されてよく、第4のプライ層が第2のプライ層の上方に配置されてよい。第3のプライ層および第4のプライ層が、輪郭の、第1のプライ層および第2のプライ層とは反対側で重なるように、第3のプライ層の第3の縁部は、第1の方向において輪郭の中心を越えて延在しなくてよく、第4のプライ層の第4の縁部は、第2の方向において輪郭の中心を越えて延在してよい。これにより、互い違いに配置された重なりがもたらされ、プライ層の第1のペアの重なりは、輪郭の中心の一方の側にあり、プライ層の第2のペアの重なりは、輪郭の第2の側にある。
【0039】
図9を参照すると、別の実装において、内側層および外部層が重なった、互い違いに配置された突合せ接合が、生み出され得る。このプライ層は、以下の順番で配置され得る。長さは、例示的なものであり、所望されるかまたは必要とされる場合、変更され得る。第1のプライ層50Aが、器具上へ配置され、約1インチだけ中心線を越えて延在し得る。第2のプライ層54Aが、約1/2インチだけ中心線の手前に配置され得る。第3のプライ層50Bが配置され、第2のプライ層54Aの縁部に触れるかまたはほぼ触れるように、1/2インチよりもわずかに短く中心線を越えて延在し得る。第4のプライ層54Bが配置され、中心線に延在し得る。第5のプライ層50Cが、第4のプライ層54Bの縁部に触れるかまたはほぼ触れるように、中心線のすぐ手前に配置され得る。第6のプライ層54Cが配置され、約1/2インチだけ中心線を越えて延在し得る。これらの距離は、特定の用途で所望されるかまたは必要とされる場合に調節され得る。例えば、第2のプライ層54Aと第3のプライ層50Bとの間の突合せ連結部および第4のプライ層54Bと第5のプライ層50Cとの間の突合せ連結部がストリンガ上で中心に置かれるように、これらのプライは再位置決めされてよく、前者は、中心線の一方の側で約1/2インチであり、後者は、中心線の他方の側で約1/2インチである。
【0040】
前述の実装の各々において、プライ層を重ねることにより、そうでなければ、プライを器具の表面の輪郭の内部または上方へ配置した結果として隣接するプライの縁部が引き離されることから生じ得る、隙間または他の潜在的な脆弱箇所が有利に回避される。さらに、重なりに沿ったこの厚さの増加によって断面の慣性モーメントが有利に増すことにより、ストリンガの使用可能剛性および使用可能軸強度が増す。
【0041】
プライ層が特定の輪郭に対して配置され得る異なるパターンに加え、典型的なストリンガシートの複数のストリンガにより、プライ層が典型的な器具の複数の輪郭に対して配置され得る異なるパターンが可能になる。
図10を参照すると、「シングル法」が以下のとおり進行し得る。ストリンガシートは、各プライ層50、54をパネルの同じ側で始め、一連のすぐ隣接するセクションを配置することにより、構築され得る。結果として、各ストリンガ重複エリアは、同じ左じから右へのパターンを有する傾向がある。
図11を参照すると、「交互法」が以下のとおり進行し得る。ストリンガシートは、第1の一連の全ての他のプライ層を配置し、次に、覆われていないセクションを充填する第2の一連の全ての他のプライ層を配置することにより、構築され得る。隣接するセクションが同じロールから同時に配置される場合、この方法の構成は、干渉を回避するために有用であり得る。プライがストリンガの中心線に対して直角に、またはある角度で広げられる場合、交互法は、方向を逆にする必要を回避して、隣接するセクション間の重なりを達成し得る。
【0042】
プライ層は、手動で、デバイスを用いて、または機械により自動的に配置され得る。異なる向きを有する広い予め積み重ねられたプライ層が、所望の幅へと切断されて所望の重なりが実現され、次に、器具上へ配置されて、器具の内部へ、または器具上へ押し込まれ得る。個々のまたは積み重ねられたプライ層は、丸められて器具へ運ばれ、次に、器具の上方で広げられ得る。材料のロールは、プライ層がロールから離れるか、または器具上に設けられるときにプライ層を繰り返し可能に位置合わせすることを容易にするために、レールまたは他の機構上にあってよい。異なる向きの達成は、いくつかの態様のいずれにおいても実現され得る。例えば、プライ層は、大きい平坦面上に、個々に、または積み重ねられるように、前もってある角度で配置され、次に、ストリンガの中心線に沿って切断され得る。結果として生じる平行四辺形へと形作られたセグメントは、連続するバッキングテープのストリップと共に保持され得る。別の例では、プライ層は、配置され、器具上へと直接切断されてよく、堆積されるときにある角度で切断される。プライ層は、配置されるときに、または後のプロセスにより、器具の輪郭の内部に、または器具の輪郭上へ押圧され得る。
【0043】
いくつかの状況において、ストリンガシートが、凹形器具に押し込まれ、次に、除去され、予め配置された外板上に置かれた場合、接合されたプライ層が広げられ得ると共に、互い違いに配置されたかまたは交互に配置されたプライ層が、器具がそれらを適切な位置に保持することなく、真っすぐスプリングバックし得る。これは、多数の態様で解決され得る。1つの可能な解決手段は、凹形器具に最も近いプライ層を、湾曲がより少なくなるように当該器具内の場所へ延在させることであってよい。例えば、当該プライ層は、ストリンガプロファイル内の場所へより真っすぐ延在させられてもよく、ストリンガからベース外板エリアへ延在させられてもよい。別の可能な解決手段は、器具からプライ層を除去する前にプライ層を凹形器具上で統合するか、または部分的に硬化させることであってよい。別の可能な解決手段は、第1の(最も近い)プライが器具上に、少なくとも、第1のプライの縁部を包含するエリア内に置かれる前に、接着剤、表面仕上げ材または他の材料を器具上に塗布することであってよい。これは、硬化の後または袋詰めの前に除去される機内材料またはテープであってよい。別の可能な解決手段は、粘着性接着剤が器具から除去された場合でも隣接するプライ層に付着するように、粘着性接着剤を第1のプライ層の(器具から離れた側の)縁部の近くに塗布することであってよい。別の可能な解決手段は、ストリンガを凹形器具上に配置し、次に、ストリンガを器具から除去することなく、ブラダ、コアまたは同様のデバイスがストリンガ内に設置され、次に、外板がストリンガシートの内部まで配置され得ることであってよい。このように、接合されたプライの縁部は常に、器具に含まれるであろう。
【0044】
言及したように、プライを器具34に塗布する(プライ層を器具34の輪郭38の内部に押し込むことを含む)ために、部分的にまたは完全に自動化されたシステムが用いられ得る。
図12を参照すると、そのようなシステム210の第1の実施形態は、関節式ロボットアーム214上に設置されたエンドエフェクタ212を含み得る。エンドエフェクタ212は、複合材料218のロールのディスペンサ216と、ローラ220のセットとを含み得る。動作中、システム210は、
図3に示され、以上で説明した方法110の形態を実装し得る。ディスペンサ216は、材料218のロールを保持および吐出して、プライ層を生み出し得る。材料218のロールは、予め切断されたプライを有してもよく、米国特許第9,023,176号において説明されるものと同様の切断機構を用いてもよい。材料218のロールは、正しく互い違いに配置されたプライを生み出すために、既に互いにずれている縁部で切断するよう場合によっては準備された1つのプライまたはプライのスタックを有し得る。一実装において、材料の1または多くのプライの1つよりも多くのロールが用いられ得る。
【0045】
一実装において、プライ層が器具34の表面に、または既に配置されている他のプライ層に付着して形状を形成するように、加熱機構220が、プライ層を加熱して、それらを粘着性かつ柔軟性があるようにし得る。ローラ220のセットは、プライ層を器具34の表面上へ、または既に配置されているプライ層上へ押し込み、当該プライ層を輪郭38の内部に押し込み得る。個々のローラは、器具の特定の輪郭に合致するように形作られ得る。一実装において、切断機構は、配置されているプライの幅を調節して、ストリンガの位置および間隔を合致させるか、またはプライ層の重なっている距離を変え得る。概して、プライ層は、器具34内の輪郭38と同じ方向に配置され得る。関節式ロボットアーム214は、器具34の長さの下へとエンドエフェクタ212を動かし得る。一実装において、ストリンガと同じ方向に動かすのではなく、エンドエフェクタは、ストリンガにわたって、または任意の角度で動かされ得るが、ローラは、器具の当該形状上へ形成されることができるように修正される必要があり得る。一実装において、関節式ロボットアームではなく、レールまたは他の移動技術が用いられ得る。
【0046】
図13から
図15を参照すると、
図2の例示的なストリンガシート28などのストリンガシートの構築中に材料の複数のプライ層を共に接合するための方法310およびシステム410の第2の実施形態が示されている。以下のとおりである場合を除き、方法310およびシステム410は、以上で説明した方法110およびシステム210(以上で説明した異なる実装を含む)と実質的に同様または同一であってよい。概して、方法310およびシステム410は、個々のプライを輪郭形状器具上に直接吐出して組み立てるのではなく、個々のプライが、最初に平坦面上に吐出されて組み立てられ、次に、(例えば、ロボット移送機構により)輪郭形状器具へ移送され得る、という点で異なる。少なくともいくつかの用途では、個々のプライを輪郭形状器具上ではなく平坦面に組み立てることにより、より単純かつより強固な機器を用いたより速い組み立てが可能になり得る。概して、方法310およびシステム410は、以下の段階および構成要素を備え得る。
【0047】
312に示されるように、第1のまたは他の前のプライ層50が、ディスペンサにより平坦面412上へ配置され得る。以上で説明したように、第1の/前のプライ層50は、単一のプライ、複数のプライまたはプライセットを含み得る。314に示されるように、第1の/前のプライ層50は、次に、移送機構414により、平坦面412から取り出され、輪郭形状器具434へ移送され得る。
図4において見られるように、器具434は、上述の器具34と同様または同一であってよく、表面436と、ストリンガシート38内のストリンガ30のうちの1つを画定する表面輪郭438とを有してよい。以上で説明したように、輪郭438は、凹、凸またはそれらのいくつかの組み合わせであってよい。移送機構414は、プライ層50を係合させて保持するように構成され得る。移送機構414は、真空カップまたは静電パッドなど、この機能を実現するための実質的にあらゆる適切な技術を用い得る。移送機構414は、プライ層50を器具434の上方へ動かし、次に、プライ層50を器具434の表面436上へ堆積させ得る。
【0048】
器具434へ一旦移送されると、プライ層50の縁部の重なり領域52が、316に示されるように、輪郭438の内側またはそうでなければ輪郭438上に位置するように、プライ層50は、316に示されるように、形成機構により、輪郭438の内部に、輪郭438の上方に、またはそうでなければ輪郭438上へ押し込まれ得る。第1の実装において、形成機構は、移送デバイス414に組み込まれ、かつ、プライ層50を輪郭438上へ押し込むよう機械的に作動するように構成された機械的に駆動される要素であってよい。第2の実装において、形成機構は、プライ層50が器具434と接触させられたときに器具434に封止する弾性ダイアフラムであってよい。次に、ダイアフラムと器具434との間の空間から空気が除去されることにより、ダイアフラムがプライ層50を輪郭438上へ押し込み得る。さらに別の実装において、プライ層50が器具434の表面436上へ一旦置かれると、プライ層50を輪郭438上へ押し込むために、1または複数のローラが用いられ得る。一実装において、318に示されるように、接着剤が、第1の/前のプライ層50の第1の縁部52の露出面に塗布され得る。
【0049】
320に示されるように、ディスペンサにより、第2のまたは他の後のプライ層54が平坦面412上へ配置され得る。次に、第2の/後のプライ層54の第2の縁部56が重なり領域52に沿って第1の/前のプライ層50の第1の縁部52と重なるように、第2の/後のプライ層54は、322に示されるように、移送機構414により、平坦面412から輪郭形状器具434へ移送され得る。様々な実装において、第1の/前のプライ層50および第2の/後のプライ層54の重なりは、少なくとも1/4インチ、2インチ以下、1インチ以下、1/2インチ以下、1/4インチと1インチとの間、または1/4インチと1/2インチとの間であってよい。器具434へ一旦移送されると、324に示されるように、第2の/後のプライ層54は、形成機構により、輪郭438と第1の/前のプライ層50の縁部との内部に、それらの上方に、またはそうでなければそれらの上へ押し込まれ得る。
【0050】
このプロセスは、器具の表面436の一部分または全てを覆うために、必要とされるかまたは所望される場合、追加のプライ層について繰り返され得る。
図14および
図15に示される例示的なシステム410において、器具434は、各プライ層に対して表面436の異なる部分を示すように、移送機構414の下方で回転自在であってよい。一実装において、326に示されるように、プライ層50、54は、器具434からそれらを除去する前に、少なくとも部分的に硬化され得る。
【0051】
図に示される1または複数の実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において、均等物が使用されてよく、置き換えが行われてよいことが理解される。
【0052】
本発明の1または複数の実施形態を説明したように、新規のものとして特許請求され、特許証による保護が所望されるものは、以下を含む。
[他の可能な項目]
[項目1]
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合する方法であって、
第1のプライ層を器具の表面の第1の部分上へ配置する段階であって、上記表面は、上記ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する、配置する段階と、
上記第1のプライ層の第1の縁部が上記輪郭上に位置するように、上記第1のプライ層を上記輪郭上へ押し込む段階と、
第2のプライ層を上記器具の上記表面の第2の部分上へ配置する段階であって、上記第2の部分は、上記器具の上記表面の上記第1の部分に隣接する、配置する段階と、
上記第2のプライ層が上記輪郭上で上記第1のプライ層と重なったまま、上記第2のプライ層の第2の縁部が上記輪郭上に位置するように、上記第2のプライ層を上記輪郭上へ押し込む段階と
を備える、方法。
[項目2]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の中心で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の一方の側で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、上記第1の方向において上記輪郭の中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在しない、
項目1に記載の方法。
[項目4]
上記方法を繰り返して、第3のプライ層を上記第1のプライ層の上方に、第4のプライ層を上記第2のプライ層の上方に配置する段階であって、
上記第3のプライ層および上記第4のプライ層が、上記輪郭の、上記第1のプライ層および上記第2のプライ層とは反対側で重なるように、上記第3のプライ層の第3の縁部は、上記第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在せず、上記第4のプライ層の第4の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、配置する段階
をさらに備える、項目4に記載の方法。
[項目5]
上記器具から上記第1のプライ層および上記第2のプライ層を除去する前に上記第1のプライ層および上記第2のプライ層を少なくとも部分的に硬化させる段階をさらに備える、項目1に記載の方法。
[項目6]
上記第2のプライ層の上記第2の縁部が接着剤と重なるように、上記接着剤を上記第1のプライ層の上記第1の縁部に塗布する段階をさらに備える、項目1に記載の方法。
[項目7]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層は、上記器具の上記表面上へ直接吐出される、項目1に記載の方法。
[項目8]
上記第1のプライ層は、平坦面上へ吐出され、次に、上記器具の上記表面へ移送され、上記第2のプライ層は、上記平坦面上へ吐出され、次に、上記器具の上記表面へ移送される、項目1に記載の方法。
[項目9]
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムであって、
材料のプライ層を器具の表面上へ自動的に吐出するように構成されたディスペンサと、
上記プライ層を上記器具の上記表面上へ自動的に押し込み、かつ、上記プライ層の縁部を上記器具の上記表面の輪郭上へ自動的に押し込むように構成されたローラであって、上記輪郭は、上記ストリンガシート内のストリンガを画定する、ローラと
を有するエンドエフェクタと、
上記エンドエフェクタを上記器具の上方へ自動的に動かすように構成された移動機構と
を備え、動作中、上記システムは、
上記移動機構が上記エンドエフェクタを上記器具の上方へ動かしたときに、第1のプライ層の第1の縁部が上記輪郭上に位置するように、上記ディスペンサが上記第1のプライ層を器具の上記表面の第1の部分上へ吐出し、上記ローラが上記第1のプライ層を上記輪郭上へ押し込み、
上記移動機構が上記器具に対する上記エンドエフェクタの位置をシフトさせ、
上記ディスペンサが第2のプライ層を上記器具の上記表面の第2の部分上へ吐出し、上記第2の部分が上記器具の上記表面の上記第1の部分に隣接し、上記移動機構が上記エンドエフェクタを上記器具の上方へ動かしたときに、上記第2のプライ層が上記輪郭上で上記第1のプライ層と重なったまま、上記第2のプライ層の第2の縁部が上記輪郭上に位置するように、上記ローラが上記第2のプライ層を上記輪郭上へ押し込む
よう機能するように構成される、システム。
[項目10]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の中心で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、
項目9に記載のシステム。
[項目11]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の一方の側で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、第1の方向において上記輪郭の中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在しない、
項目9に記載のシステム。
[項目12]
動作中、上記システムはさらに、第3のプライ層を上記第1のプライ層の上方へ吐出し、かつ、第4のプライ層を上記第2のプライ層の上方へ吐出するように構成され、
上記第3のプライ層および上記第4のプライ層が、上記輪郭の、上記第1のプライ層および上記第2のプライ層とは反対側で重なるように、上記第3のプライ層の上記第3の縁部は、上記第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在せず、上記第4のプライ層の上記第4の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、
項目11に記載のシステム。
[項目13]
上記第2のプライ層の上記第2の縁部が接着剤と重なるように、上記接着剤を上記第1のプライ層の上記第1の縁部に塗布するように構成された接着剤塗布器をさらに備える、項目9に記載のシステム。
[項目14]
上記プライ層が上記器具の上記表面に付着して形成されるように、上記プライ層が吐出されたときに上記プライ層を自動的に加熱するように構成された加熱機構をさらに備える、項目9に記載のシステム。
[項目15]
ストリンガシートの構築中に材料の複数のプライを共に接合するためのシステムであって、
第1のプライ層を平坦面上へ自動的に配置するように構成されたディスペンサと、
上記第1のプライ層を上記平坦面から器具の器具表面であって、上記ストリンガシート内のストリンガを画定する輪郭を有する、器具表面へ、上記第1のプライ層の第1の縁部が上記輪郭上に位置したまま移送するように構成された移送機構と、
上記第1のプライ層を上記輪郭上へ押し込むように構成された形成機構と
を備え、
上記ディスペンサはさらに、第2のプライ層を上記平坦面上へ自動的に配置するように構成され、
上記移送機構はさらに、上記第1のプライ層の第2の縁部が上記輪郭上に位置し、かつ、上記第1のプライ層の上記第1の縁部と重なったまま、上記第2のプライ層を上記平坦面から上記器具の上記器具表面へ移送するように構成され、
上記形成機構はさらに、上記第2のプライ層を上記輪郭上かつ上記第1のプライ層の上記第1の縁部上へ押し込むように構成される、
システム。
[項目16]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の中心で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、
項目15に記載のシステム。
[項目17]
上記第1のプライ層および上記第2のプライ層が上記輪郭の一方の側で重なるように、上記第1のプライ層の上記第1の縁部は、第1の方向において上記輪郭の中心を越えて延在し、上記第2のプライ層の上記第2の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在しない、
項目15に記載のシステム。
[項目18]
動作中、上記システムはさらに、第3のプライ層を上記第1のプライ層の上方へ吐出および移送し、かつ、第4のプライ層を上記第2のプライ層の上方へ吐出および移送するように構成され、
上記第3のプライ層および上記第4のプライ層が、上記輪郭の、上記第1のプライ層および上記第2のプライ層とは反対側で重なるように、上記第3のプライ層の上記第3の縁部は、上記第1の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在せず、上記第4のプライ層の上記第4の縁部は、上記第2の方向において上記輪郭の上記中心を越えて延在する、
項目17に記載のシステム。
[項目19]
上記第2のプライ層の上記第2の縁部が接着剤と重なるように、上記接着剤を上記第1のプライ層の上記第1の縁部に塗布するように構成された接着剤塗布器をさらに備える、項目15に記載のシステム。
[項目20]
上記複数のプライが上記器具の上記表面に付着するように、上記複数のプライを自動的に加熱するように構成された加熱機構をさらに備える、項目15に記載のシステム。
【国際調査報告】