特表2021-527621(P2021-527621A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-527621ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527621(P2021-527621A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/06 20060101AFI20210917BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210917BHJP
【FI】
   A61K49/06
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-529205(P2020-529205)
(86)(22)【出願日】2019年1月29日
(85)【翻訳文提出日】2020年5月15日
(86)【国際出願番号】CN2019073688
(87)【国際公開番号】WO2020154891
(87)【国際公開日】20200806
(31)【優先権主張番号】201910078756.0
(32)【優先日】2019年1月28日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520169409
【氏名又は名称】フーベイ ティアンシュ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUBEI TIANSHU PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジファ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ユンロン
【テーマコード(参考)】
4C085
4H039
【Fターム(参考)】
4C085HH07
4C085KB12
4C085KB45
4C085KB56
4H039CA65
4H039CE20
(57)【要約】
本発明はガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供する。当該加水分解方法は、触媒を用いてtert−ブチルエステルを加水分解するステップを含み、前記触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む。当該加水分解方法には酸などの除去しにくい他の物質が取り扱われていなく、加水分解の効率が高く、得られる生成物の純度が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を用いてtert−ブチルエステルを加水分解するステップを含み、
前記触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む
ことを特徴とするガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法。
【請求項2】
前記ジルコニアと塩化チタンのモル比は1:(0.1〜1)であり、1:(0.4〜0.5)であることが好ましいことを特徴とする請求項1に記載の加水分解方法。
【請求項3】
前記硫酸と水の体積比は(0.5〜3):10であり、(1〜1.5):10であることが好ましいことを特徴とする請求項1又は2に記載の加水分解方法。
【請求項4】
前記ジルコニアとシリカの質量体積比は1:(10〜20)であり、1:(12〜15)であることが好ましいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項5】
前記焼成の温度は500℃〜700℃であり、550℃〜600℃であることが好ましいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項6】
前記tert−ブチルエステルは(s)−ジ−tert−ブチル−2,2’−((2−((2−ビス(2−(tert−ブトキシ)−2−オキソエチル)アミノ)−3−(4−エトキシフェニル)プロピル)(2−(tert−ブトキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アザ)ジアセテートまたは一般式(I)〜(III)のいずれかで表される構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項7】
前記tert−ブチルエステルと前記触媒の質量比は1:(1〜1000)であり、1:(50〜100)であることが好ましいことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項8】
前記加水分解の温度は70℃〜90℃であり、時間は8〜24hであり、好ましくは、前記加水分解の温度は85℃〜90℃であり、時間は12〜15hであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項9】
触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含むことを特徴とするガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解用触媒。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年01月28日に出願された、中国特許出願201910078756.0に基づく優先権を主張し、その全内容を参照により本出願に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、画像診断に用いられる造影剤の技術分野に関するものであり、具体的には、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
核磁気共鳴画像法(Nuclear Magnetic Resonance Imaging、NMRと略称される。)は、磁気共鳴画像法(MRI)とも呼ばれ、非侵襲的で、解剖学的画像の解像度が高く、生体に毒性も損傷も与えないといったメリットがあるため、既に臨床医学診断における通常の診断技術となっている。核磁気共鳴画像法では、人体内の水素原子核が外部磁場の条件でエネルギーの高い状態からエネルギーの低い状態に緩和することにより画像が生じる。画像の品質は人体内の水素原子核の密度と分布状況によって影響され、明晰な磁気共鳴画像法による解剖学的画像が得られないことが多く、疾患や損傷を正確に判断することが困難である。造影剤は、その周囲にある水素原子核の緩和時間を変え、検査する標的部位と周囲の背景組織とのコントラストを向上させ、NMRIの感度と精度を改善することができる。
【0004】
今まで、臨床で最も広く使用されているのは、ガドリニウムを中心とする錯体系標的磁気共鳴技術である。ガドリニウム(Gd)は、外層に七つの不対電子を持つため、強力な常磁性イオンである。結合状態ではないガドリニウムイオンは毒性を有するが、毒性のない有機キレート剤と錯体を形成した後、常磁性作用に顕著な影響を与えることがなく、ガドリニウムの毒性作用をほとんど解消することができる。静脈内注射が可能であるガドリニウムのさまざまなキレート剤、例えば、ガドブトロールまたはガドテリドールは、既に磁気共鳴画像法(MRI)技術の不可欠な一部となっている。
【0005】
先行技術では、ガドリニウムのキレート剤の調製方法が複数提供されているが、それらの調製方法では、窒素原子を含むエステルを酸に変換するステップが取り込まれ、当該ステップにおいて、酸でエステルを酸に変換するとともに、樹脂で目的生成物と不純物とを分離するのが一般的である。当該ステップにより、大規模生産の場合、生産プロセス全体として、コストが高く、収率が低く、目的生成物の純度が悪い。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、第1、触媒を用いてtert−ブチルエステルを加水分解するステップを含み、前記触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の好ましい一実施形態では、前記ジルコニアと塩化チタンのモル比は1:(0.1〜1)であり、1:(0.4〜0.5)であることが好ましい。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態では、前記硫酸と水の体積比は(0.5〜3):10であり、(1〜1.5):10であることが好ましい。
【0009】
本発明の好ましい一実施形態では、前記ジルコニアとシリカのモル比は1:(10〜20)であり、1:(12〜15)であることが好ましい。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態では、前記焼成の温度は500℃〜700℃であり、550℃〜600℃であることが好ましい。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態では、前記tert−ブチルエステルは、(s)−ジ−tert−ブチル−2,2’−((2−((2−ビス(2−(tert−ブトキシ)−2−オキソエチル)アミノ)−3−(4−エトキシフェニル)プロピル)(2−(tert−ブトキシ)−2−オキソエチル)アミノ)エチル)アザ)ジアセテートまたは一般式(I)〜(III)のいずれかで表される構造を有するものである。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態では、上記のtert−ブチルエステルと前記触媒の質量比は1:(1〜1000)であり、1:(50〜100)であることが好ましく、1:100であることがさらに好ましい。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態では、加水分解の温度は70℃〜90℃であり、時間は8〜24hである。さらに好ましくは、前記加水分解の温度は85℃〜90℃であり、時間は12〜15hである。
【0014】
上記の加水分解反応において、水の添加量と前記tert−ブチルエステルの重量比は20:1〜20:5である。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態では、好ましくは、加水分解は、具体的に、上記のガドリニウム系イオン性造影剤の中間体と水を混合させ、上記の触媒を加え、70℃〜90℃で8〜24h反応させることを含んでもよい。
【0016】
加水分解において、加水分解の反応終了後の反応液を濾過し、水で洗浄して濃縮した後に、エタノールおよび/またはアセトンで再結晶することをさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の他の目的は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解用触媒を提供することにある。当該触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む。他の条件の最適化は、上記の関連内容で述べた通りであり、ここでは贅言しない。
【0018】
本発明の加水分解方法には、酸などの除去しにくい他の物質が取り扱われていなく、加水分解の効率が高く、得られる生成物の純度が高く(純度は98%を超え、収率は88%を超え、より好ましくは、純度は99%を超え、収率は90%を超える。)、ガドリニウム系造影剤の調製過程における生産コストを大幅に低減させ、調製過程で生じた排ガス、排水及び残渣を効率的に低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例を結合しながら本発明の具体的な実施形態についてさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するために記載されたものであり、本発明の範囲を限定するために記載されたものではない。
【0020】
実施例で使用される技術手段は、特に断りのない限り、当業者が熟知する通常の手段であり、使用される原料はいずれも市販品である。
【0021】
実施例1
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0022】
本実施例で提供される加水分解方法は下記のステップを含む:
式(III)で表される化合物を、蒸留水が200mL入った500mLの反応フラスコに加え、撹拌しながら触媒を加え(式(III)で表される化合物と触媒の質量比は1:100である。)、90℃で12時間反応させ、濾過し、少量の水で洗浄し、乾固するまで減圧濃縮し、95%エタノールで再結晶させ、テリドール(teridol)として白色固体17gが得られた。
【0023】
そのうち、触媒の調製方法は下記の通りである:ZrO5g、TiCl3gを蒸留水100mLに加え、硫酸10mLを加え、固体が完全に溶解するまで80℃程度で加熱し、SiO60mlを加えて2時間吸着させ、濾過し、水で二回洗浄し、10%NaOH50mlで二回洗浄し、中性になるまで蒸留水で洗浄し、550℃で焼成して触媒が得られた。
【0024】
本実施例で得られたテリドールの純度は99.8%であり、収率は96%であった。本実施例で得られた製品の元素分析結果は、C:50.37%、N:13.80%、H:8.09%であり、C1732の理論値は、C:50.44%、N:13.85%、H:8.01%である。そのうち、本実施例で得られた製品の赤外吸収スペクトルとH NMR スペクトルは、いずれも得られた物質がテリドールであることを示した。
【0025】
実施例2
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0026】
tert−ブチルエステルが式(II)で表される化合物であり、再結晶に用いられる溶剤がエタノール/アセトン(6:4)であったこと以外、実施例1におけるステップと同じであった。当該実施例ではブトロール21gが得られた。
【0027】
本実施例で得られたブトロールの純度は99.7%であり、収率は95%であった。本実施例で得られた製品の元素分析結果は、C:47.82%、N:12.32%、H:7.64%であり、C1834の理論値は、C:47.97%、N12.43%、H:7.62%である。そのうち、本実施例で得られた製品の赤外吸収スペクトルと°1H NMR スペクトルは、いずれも得られた物質がブトロールであることを示した。
【0028】
実施例3
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0029】
tert−ブチルエステルが式(I)で表される化合物であったこと以外、実施例1におけるステップと同じであった。
【0030】
本実施例で得られた生成物の純度は99%であり、収率は96%であった。1H−NMR(400MHZ)(DMSO−d6)δ:1.31(t(7Hz)、2.47(dd(14.7Hz),1H)、2.78−2.90(m,4H)、2.90−3.10(m,3H)、3.20−3.50(m,9H)、3.60−3.75(m,2H)、3.99(q(7Hz),2H)、6.80−6.85(m,2H)、7.10−7.15(m,2H)、8−12(m,5H)。
【0031】
実施例4
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0032】
本実施例で提供される加水分解方法は下記のステップを含む:
式(III)で表される化合物を、蒸留水が200mL入った500mLの反応フラスコに加え、撹拌しながら触媒を加え(式(III)で表される化合物と触媒の質量比は1:1である。)、70℃で24時間反応させ、濾過し、少量の水で洗浄し、乾固するまで減圧濃縮し、95%エタノールで再結晶させ、白色固体が得られた。そのうち、使用された触媒は、実施例1における触媒と同じものであった。本実施例で得られたテリドールの元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例1のと同じであった。本実施例で得られたテリドールの純度は99%であり、収率は90%であった。
【0033】
実施例5
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0034】
本実施例で提供される加水分解方法は下記のステップを含む:
式(III)で表される化合物を、蒸留水が200mL入った500mLの反応フラスコに加え、撹拌しながら触媒を加え(式(III)で表される化合物と触媒の質量比は1:50である。)、90℃で15時間反応させ、濾過し、少量の水で洗浄し、乾固するまで減圧濃縮し、95%エタノールで再結晶させ、白色固体が得られた。そのうち、使用された触媒は、実施例1における触媒と同じものであった。本実施例で得られたテリドールの元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例1のと同じであった。本実施例で得られたテリドールの純度は99.5%であり、収率は92%であった。
【0035】
実施例6
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0036】
tert−ブチルエステルが式(II)で表される化合物であり、再結晶に用いられる溶剤がエタノール/アセトン(6:4)であったこと以外、実施例5におけるステップと同じであった。本実施例で得られたブトロールの純度は99.5%であり、収率は93%であった。本実施例で得られた生成物の元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例2のと同じであった。
【0037】
実施例7
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供し、反応式は下記の通りである。
【0038】
tert−ブチルエステルが式(I)で表される化合物であったこと以外、実施例5におけるステップと同じであった。本実施例で得られた生成物の純度は99%であり、収率は90%であった。本実施例で得られた生成物の元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例3のと同じであった。
【0039】
実施例8
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供する。本実施例において、下記のような触媒の調製方法が使用されたこと以外、実施例1におけるステップと同じであった。当該触媒の調製方法において、ZrO5g、TiCl0.76gを、蒸留水100mLに加え、硫酸5mLを加え、固体が完全に溶解するまで80℃程度で加熱し、SiO50mlを加えて2時間吸着させ、濾過し、水で二回洗浄し、10%NaOH50mlで二回洗浄し、中性になるまで蒸留水で洗浄し、500℃で焼成して触媒が得られた。
【0040】
本実施例で得られたテリドールの元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例1のと同じであった。本実施例で得られたテリドールの純度は99%であり、収率は88%であった。
【0041】
実施例9
本実施例は、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供する。本実施例において、下記のような触媒の調製方法が使用されたこと以外、実施例1におけるステップと同じであった。当該触媒の調製方法において、ZrO5g、TiCl7.59gを、蒸留水100mLに加え、硫酸30mLを加え、固体が完全に溶解するまで80℃程度で加熱し、SiO100mlを加えて2時間吸着させ、濾過し、水で二回洗浄し、10%NaOH50mlで二回洗浄し、中性になるまで蒸留水で洗浄し、700℃で焼成して触媒が得られた。
【0042】
本実施例で得られたテリドールの元素分析結果、赤外吸収スペクトルおよび1H NMRスペクトルは実施例1のと同じであった。本実施例で得られたテリドールの純度は98.5%であり、収率は90%であった。
【0043】
最後に、本発明の方法は好ましい実施案にすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の技術的思想および趣旨の範疇内のいかなる修正、同等な置き換え、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、触媒を用いてtert−ブチルエステルを加水分解するステップを含み、前記触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む、ガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法を提供する。本発明が提供する加水分解方法は、工業上、大規模生産することができ、従来の方法が小規模生産のみに適用され、純度が不十分で、加水分解の效率が低いといった欠点を補う。
【手続補正書】
【提出日】2020年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒を用いてtert−ブチルエステルを加水分解するステップを含み、
前記触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含む
ことを特徴とするガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解方法。
【請求項2】
前記ジルコニアと塩化チタンのモル比は1:(0.1〜1)であることを特徴とする請求項1に記載の加水分解方法。
【請求項3】
前記硫酸と水の体積比は(0.5〜3):10であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加水分解方法。
【請求項4】
前記ジルコニアとシリカの質量体積比は1:(10〜20)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項5】
前記焼成の温度は500℃〜700℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項6】
前記tert−ブチルエステルは一般式(I)〜(III)のいずれかで表される構造を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項7】
前記tert−ブチルエステルと前記触媒の質量比は1:(1〜1000)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項8】
前記加水分解の温度は70℃〜90℃であり、時間は8〜24hであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加水分解方法。
【請求項9】
触媒の調製方法は、ジルコニアと塩化チタンを、硫酸と水の存在下、固体が溶解するまで60℃〜90℃で反応させ、シリカを加えて1〜5h反応させ、固体を濾取して洗浄した後に焼成するステップを含むことを特徴とするガドリニウム系造影剤におけるtert−ブチルエステルの加水分解用触媒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の好ましい一実施形態では、好ましくは、加水分解は、具体的に、上記のtert−ブチルエステルと水を混合させ、上記の触媒を加え、70℃〜90℃で8〜24h反応させることを含んでもよい。
【国際調査報告】