(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、概して、免疫学および分子生物学の分野に関する。より具体的には、本明細書で提供されるのは、(A)LY75に対する抗体、またはその抗原結合部分と、(B)ベネトクラクスとを含む医薬組合せ;医薬組合せの調製方法;およびLY75の発現または活性によって媒介されるがんなどの疾患の治療方法である。
前記医薬組合せが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または非ホジキンリンパ腫の治療における同時、個別もしくは逐次使用のための組合せ製剤の形態である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
そのような治療を必要とする患者のがんを、(A)および(B)を前記患者に投与することにより治療するための説明書をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組合せ。
患者のがんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、請求項1〜11のいずれか一項で定義される医薬組合せの成分(A)および(B)の治療有効量を同時に、逐次的にまたは個別に投与することを含む方法。
がん治療に使用するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組合せであって、成分(A)および(B)が、前記がんの治療のために前記患者に同時に、個別にまたは逐次的に投与される医薬組合せ。
がん治療における同時、個別または逐次使用のための医薬組合せの製造における、請求項1〜11のいずれか一項で定義される医薬組合せの成分(A)および(B)の使用。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、本明細書で定義される成分(A)および(B)を含む医薬組合せに関し、ここで、医薬組合せは、同時、個別または逐次使用のための組合せ製剤の形態である。成分(A)は、本明細書で定義される抗LY75抗体に関する。成分(B)は、ベネトクラクスまたはその薬学的に許容される塩に関する。
【0036】
LY75タンパク質の一例は、本明細書の配列番号15に示されている。用語「抗LY75抗体」および「LY75抗体」は、本明細書では交換可能に使用される。
【0037】
本明細書に開示されるLY75抗体は、LY75受容体を発現する細胞と接触すると取り込まれることがある。本明細書で議論されるように、LY75受容体は、白血病、好ましくは急性骨髄性白血病または慢性リンパ性白血病、リンパ腫、好ましくはDLBCL B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、T細胞/組織球豊富型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫を含むがこれらに限定されない特定のがん細胞で、過剰発現および/または差次的に発現される。
【0038】
したがって、本明細書に開示されるLY75抗体が薬物に結合する場合(本明細書では「抗体薬物複合体」または「ADC」と呼ぶこともある)、これらADC分子のがん細胞への取り込みは細胞死をもたらし、したがって腫瘍治療をもたらす。
【0039】
抗LY75抗体は、特定のアミノ酸配列を持つCDR領域などの、特定の構造的特徴を持っている。本明細書には、LY75への結合を示す親和性薬剤、例えば抗体を形成できるCDRのセットが記載されている。
【0040】
本発明の抗LY75抗体のいずれも、単離された抗体であり得る。
【0041】
したがって、本開示は、抗体、好ましくは単離された抗体(以下に概説するように、多種多様なよく知られている抗体構造、誘導体、模倣物および複合体を含む)、抗体組合せをコードする核酸、抗体組合せを作るために使用される宿主細胞、抗体組合せ、および抗体と任意で医薬担体とを含む医薬組合せを作製する方法、医薬組合せの使用を含む治療方法、ならびにがん治療のための医薬組合せの使用を提供する。
【0042】
リンパ球抗原75は、捕捉された抗原を、細胞外空間から特殊な抗原処理コンパートメントに導くエンドサイトーシス受容体として作用し、Bリンパ球の増殖の減少を引き起こすと考えられている。
【0043】
SWISS−PROTによると、リンパ球抗原75は脾臓、胸腺、結腸および末梢血リンパ球で発現している。骨髄細胞株およびBリンパ系細胞株で検出されている。本明細書で指定されるアイソフォームOGTA076bおよびOGTA076cは、ホジキンおよびリード−スターンバーグ(HRS)細胞と呼ばれる悪性ホジキンリンパ腫細胞で発現される。LY75はエンドサイトーシス受容体として機能し、捕捉された抗原を、細胞外空間から特殊な抗原処理コンパートメントに導く。それはBリンパ球の増殖の減少を引き起こす。
【0044】
LY75の発現は、膵臓がん、膀胱がん、卵巣がん、乳がん(トリプルネガティブを含む)、結腸直腸がん、食道がん、皮膚がん、甲状腺がんおよび肺(非小細胞)がん、ならびに多発性骨髄腫およびリンパ腫(DLBCLを含む)や白血病の多くの様々なサブタイプで観察されている。
【0045】
特定の場合、抗LY75抗体は、ヒト以外の種のLY75と交差反応する場合がある。例えば、臨床試験を容易にするために、抗LY75抗体をマウスまたは霊長類のLY75分子と交差反応させる場合がある。あるいは、特定の実施形態では、抗体はヒトLY75に完全に特異的であり得、種または他のタイプの非ヒト交差反応性を示さない場合がある。
【0046】
本発明で使用される抗体は、本明細書に記載されているように、以下に記載されている従来の抗体ならびに抗体誘導体、断片および模倣物を含むいくつかのフォーマットをとることができる。一実施形態では、本発明は、本明細書で定義される6つのCDRのセットを含む抗体構造を提供する(以下に記載される少数のアミノ酸変化を含む)。
【0047】
本明細書で使用される「抗体」は、当業者に理解されるように、いくつかの実施形態では本明細書で定義される6つのCDRのセットを少なくとも含む、多種多様な構造を含む;従来の抗体(モノクローナルおよびポリクローナル抗体の両方を含む)、ヒト化および/またはキメラ抗体、抗体断片、改変抗体(例えば、以下に概説するアミノ酸修飾を含む)、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、および当該技術分野で知られている他の類似体を含むが、これらに限定されない。
【0048】
従来の抗体構造単位は、通常、四量体を含む。各四量体は通常、2つの同一のポリペプチド鎖の対で構成され、各対は1つの「軽」鎖(通常約25kDaの分子量)と1つの「重」鎖(通常約50〜70kDaの分子量)とを持つ。ヒト軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖に分類される。重鎖はミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンに分類され、それぞれ抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。IgGには、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4のいくつかのサブクラスがあるが、これらに限定されない。IgMにはサブクラスがあり、IgM1およびIgM2が含まれるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で使用される「アイソタイプ」は、それらの定常領域の化学的および抗原的特性によって定義される免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。既知のヒト免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgD、およびIgEである。治療用抗体は、アイソタイプおよび/またはサブクラスの任意の組合せのハイブリッドも含むことができることを理解されたい。
【0049】
多くの実施形態では、IgGアイソタイプが本発明で使用され、IgG1はいくつかの適用で特定の用途を見出す。
【0050】
各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。可変領域では、重鎖と軽鎖の各Vドメインに3つのループが集まり、抗原結合部分を形成する。各ループは相補性決定領域と呼ばれ(以下「CDR」と呼ぶ)、アミノ酸配列の変化が最も著しい。「可変」とは、可変領域の特定の区分の配列が抗体間で大幅に異なることを指す。可変領域内の可変性は均等に分布していない。代わりに、V領域は、それぞれ9〜15個またはそれ以上のアミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極端な可変性の短い領域で区切られた、15〜30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチで構成される。
【0051】
各VHおよびVLは、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDR」)と4つのFRとで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて次の順序で配置されている:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。
【0052】
超可変領域は一般に、アミノ酸残基約24〜34個(LCDR1;「L」は軽鎖を示す)、50〜56個(LCDR2)および89〜97個(LCDR3)のアミノ酸残基を軽鎖可変領域に包含し、約31〜35B個(HCDR1;「H」は重鎖を示す)、50〜65個(HCDR2)、および95〜102個(HCDR3)を重鎖可変領域に包含する;Kabat et al., SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)および/または超可変ループを形成する残基(例えば残基26〜32個(LCDR1)、50〜52個(LCDR2)および91〜96個(LCDR3)を軽鎖可変領域に包含し、26〜32個(HCDR1)、53〜55個(HCDR2)および96〜101個(HCDR3)を重鎖可変領域に包含する;Chothia and Lesk (1987) J. Mol. Biol. 196:901−917。本発明の特定のCDRを、以下に記載する。
【0053】
本明細書を通して、可変ドメインの残基に言及する場合、カバットナンバリングシステムを通常使用する(おおよそ、軽鎖可変領域の残基1〜107および重鎖可変領域の残基1〜113)(例えば、Kabat et al., 上記参照(1991))。
【0054】
CDRは、抗原結合、またはより具体的には抗体のエピトープ結合部位の形成に寄与する。「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリンすなわち抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続アミノ酸またはタンパク質の三次フォールディングによって並置された非連続アミノ酸の両方から形成される。連続アミノ酸から形成されるエピトープは通常、変性溶媒へのばく露時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは通常、変性溶媒での処理時に損なわれる。エピトープは通常、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸を、固有の空間的配座で含む。本明細書に記載されるように、所定の抗体がどのエピトープに結合するかを決定する方法(すなわち、エピトープマッピング)は、当該技術分野でよく知られており、例えば、免疫ブロット法および免疫沈降アッセイが含まれ、そこではLY75の重複または連続ペプチドを、所与の抗LY75抗体との反応性について試験する。エピトープの空間的配座を決定する方法には、当該技術分野の技術および本明細書に記載の技術、例えば、X線結晶学および二次元核磁気共鳴が含まれる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照)。「エピトープマッピング」という用語は、抗体抗原認識についての分子決定基の同定プロセスを指す。
【0055】
各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を定義する。Kabatらは、重鎖および軽鎖の可変領域の多数の一次配列を収集した。配列の保存の程度に基づいて、彼らは個々の一次配列をCDRとフレームワークとに分類し、それらのリストを作成した(SEQUENCES OF IMMUNOLOGICAL INTEREST, 5th edition, NIH publication, No. 91−3242, E.A. Kabat et al.を参照)。
【0056】
免疫グロブリンのIgGサブクラスでは、重鎖にいくつかの免疫グロブリンドメインがある。本明細書における「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、明確な三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本発明において興味深いのは、定常重(CH)ドメインおよびヒンジドメインを含む重鎖ドメインである。IgG抗体の文脈では、IgGアイソタイプにはそれぞれ3つのCH領域がある。したがって、IgGの文脈における「CH」ドメインは次の通りである:「CH1」は、KabatにおけるようにEUインデックスに従って118〜220位を指す。「CH2」は、KabatにおけるようにEUインデックスに従って237〜340位を指し、「CH3」は、KabatにおけるようにEUインデックスに従って341〜447位を指す。
【0057】
重鎖の別のタイプのIgドメインは、ヒンジ領域である。本明細書における「ヒンジ」または「ヒンジ領域」または「抗体ヒンジ領域」または「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1および第2定常ドメイン間にアミノ酸を含む柔軟なポリペプチドを意味する。構造的に、IgG CH1ドメインはEU 220位で終わり、IgG CH2ドメインは残基EU 237位で始まる。したがって、IgGの場合、抗体ヒンジは本明細書において221位(IgG1のD221)〜236位(IgG1のG236)を含むように定義され、ここで、番号付けはKabatにおけるようにEUインデックスに従っている。いくつかの実施形態では、例えば、Fc領域の文脈において、下部ヒンジが含まれ、「下部ヒンジ」は通常226位または230位を指す。
【0058】
本発明において特に興味深いのは、Fc領域である。本明細書で使用される「Fc」または「Fc領域」または「Fcドメイン」とは、第1定常領域免疫グロブリンドメインおよび場合によってはヒンジの一部を除く抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインの柔軟性ヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMの場合、FcにはJ鎖が含まれる場合がある。IgGの場合、Fcドメインは免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCγ1(Cγ1)とCγ2(Cγ2)の間の下部ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、そのカルボキシル末端に残基C226またはP230を含むと定義され、番号付けはKabatにおけるようにEUインデックスに従っている。いくつかの実施形態では、以下により詳細に説明するように、例えば1つもしくは複数のFcγR受容体またはFcRn受容体への結合を変えるために、Fc領域にアミノ酸修飾が行われる。
【0059】
一部の実施形態では、抗体は全長である。本明細書における「全長抗体」とは、抗体の天然の生物学的形態を構成する構造を意味し、可変領域および定常領域を含み、本明細書に概説される1つまたは複数の修飾を含む。
【0060】
あるいは、抗体は、抗体断片、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体模倣体」と呼ぶこともある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合(「抗体複合体」と呼ぶこともある)、および各々の断片をそれぞれ含むがこれらに限定されない様々な構造であり得る。CDRのセットの使用に頼る構造は、「抗体」の定義に含まれる。
【0061】
一実施形態では、抗体は抗体断片である。特異的抗体断片には以下が含まれるが、これらに限定されない:(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)単一の可変領域からなるdAb断片(Ward et al., 1989, Nature 341:544−546、参照により内容全体が組み込まれる)断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)F(ab’)2断片、2つの連結されたFab断片を含む二価断片、(vii)一本鎖Fv分子(scFv)、VHドメインとVLドメインは、2つのドメインが会合して抗原結合部位を形成することを可能にするペプチドリンカーによって連結されている(Bird et al., 1988, Science 242:423−426, Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879−5883、参照により内容全体が組み込まれる)、(viii)二重特異性一本鎖Fv(WO03/11161、参照により本明細書に組み込まれる)ならびに(ix)「ダイアボディ」または「トリアボディ」、遺伝子融合により構築された多価または多重特異性断片(Tomlinson et. al., 2000, Methods Enzymol. 326:461−479; WO94/13804; Holliger et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6444−6448、全て内容全体が参照により組み込まれる)。
【0062】
いくつかの実施形態では、抗体は、異なる種からの混合物、例えばキメラ抗体および/またはヒト化抗体であり得る。すなわち、本発明において、CDRセットは、本明細書の配列により具体的に記載されたもの以外のフレームワークおよび定常領域とともに使用することができる。
【0063】
一般的に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」は両方とも、複数の種からの領域を結合する抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は従来的に、マウス(または場合によってはラット)からの可変領域(単数または複数)とヒトからの定常領域(単数または複数)とを含む。「ヒト化抗体」とは、一般に、ヒト抗体に見られる配列と交換された可変ドメインフレームワーク領域を有する非ヒト抗体を指す。一般に、ヒト化抗体では、CDRを除く抗体全体がヒト起源のポリヌクレオチドによってコードされるか、そのCDR内を除いてそのような抗体と同一である。一部または全てが非ヒト生物に由来する核酸によってコードされているCDRは、ヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークに移植されて抗体が作られ、その特異性は移植したCDRによって決定される。そのような抗体の作製は、例えば、WO 92/11018, Jones, 1986, Nature 321:522−525, Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534−1536に記載されており、これらは全て参照により組み込まれる。選択されたアクセプターフレームワーク残基の対応するドナー残基への「復帰突然変異」は、最初の移植構築物で失われた親和性を回復するためにしばしば必要である(米国特許第5530101号明細書;米国特許第5585089号明細書;米国特許第5693761号明細書;米国特許第5693762号明細書;米国特許第6180370号明細書;米国特許第5859205号明細書;米国特許第5821337号明細書;米国特許第6054297号明細書;米国特許第6407213号明細書、全て内容全体が参照により組み込まれる)。ヒト化抗体は最適にはまた、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域を含み、したがって典型的にはヒトFc領域を含む。ヒト化抗体は、遺伝子組み換え免疫系を持つマウスを使用して生成することもできる。Roque et al., 2004, Biotechnol. Prog. 20:639−654、参照により内容全体が組み込まれる。非ヒト抗体をヒト化および再形成するための様々な技術および方法が、当該技術分野でよく知られている(Tsurushita & Vasquez, 2004, Humanization of Monoclonal Antibodies, Molecular Biology of B Cells, 533−545, Elsevier Science (USA)、およびその中に引用されている参考文献を参照、全て内容全体が参照により組み込まれる)。ヒト化の方法には、以下に記載されている方法が含まれるが、これらに限定されない:Jones et al., 1986, Nature 321:522−525; Riechmann et al.,1988; Nature 332:323−329; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239:1534−1536; Queen et al., 1989, Proc Natl Acad Sci, USA 86:10029−33; He et al., 1998, J. Immunol. 160: 1029−1035; Carter et al., 1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:4285−9, Presta et al., 1997, Cancer Res. 57(20):4593−9; Gorman et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4181−4185; O’Connor et al., 1998, Protein Eng 11:321−8、全て内容全体が参照により組み込まれる。ヒト化または非ヒト抗体可変領域の免疫原性を低下させる他の方法には、例えば、参照により内容全体が組み込まれるRoguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:969−973に記載されているように、リサーフェシング法が含まれ得る。一実施形態では、当該技術分野で知られているように、親抗体は親和性成熟されている。構造ベースの方法は、例えば米国特許出願第11/004,590に記載されているように、ヒト化および親和性成熟に使用することができる。選択ベースの方法は、抗体の可変領域をヒト化および/または親和性成熟するために使用され得、以下に記載されている方法が含まれるが、これらに限定されない:Wu et al., 1999, J. Mol. Biol. 294:151−162; Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272(16):10678−10684; Rosok et al., 1996, J. Biol. Chem. 271(37): 22611−22618; Rader et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8910−8915; Krauss et al., 2003, Protein Engineering 16(10):753−759、全て内容全体が参照により組み込まれる。他のヒト化方法は、CDRの一部のみの移植を伴う場合があり、以下に記載されている方法を含むが、これらに限定されない:米国特許出願第09/810,510; Tan et al., 2002, J. Immunol. 169:1119−1125; De Pascalis et al., 2002, J. Immunol. 169:3076−3084、全て内容全体が参照により組み込まれる。
【0064】
本明細書に開示される抗体は、単離されたものでも組換え体でもよい。本明細書に開示される様々なポリペプチドを説明するために使用される場合、「単離された」とは、発現元の細胞または細胞培養物から同定および分離ならびに/または回収されたポリペプチドを意味する。したがって、単離された抗体は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、LY75に特異的に結合する単離された抗体は、LY75以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。したがって、「単離された」抗体は、通常は天然には見られない形態で見られる(例えば、自然に発生しない)抗体である。本明細書で定義される単離された抗体は、一実施形態では、「自然」発生の抗体には存在しない少なくとも1個のアミノ酸を含んでもよい。このアミノ酸は、付加または置換により導入され得る。導入されたアミノ酸は、自然発生のアミノ酸でも非自然発生のアミノ酸でもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、組換えタンパク質、単離されたタンパク質または実質的に純粋なタンパク質である。「単離された」タンパク質は、自然状態では通常付随する物質、例えば、所与の試料中の総タンパク質の少なくとも約5重量%、または少なくとも約50重量%を構成する物質の少なくとも一部を伴わない。単離されたタンパク質は、状況次第で、総タンパク質含量の5〜99.9重量%を構成し得ることが理解される。例えば、タンパク質は、誘導性プロモーターまたは高発現プロモーターの使用を通して著しく高い濃度で作られ得、その結果、タンパク質は増加した濃度レベルで作られる。組換えタンパク質の場合、その定義には、当該技術分野で知られている多種多様な生物および/または宿主細胞においての、自然には産生されない抗体の産生が含まれる。通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程により調製される。「単離された抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。例えば、LY75に特異的に結合する単離された抗体は、LY75以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。もちろん、単離された抗LY75抗体は、ベネトクラクスと会合し得る。
【0065】
異なる特異性を有する単離されたモノクローナル抗体は、明確な組成で組み合せることができる。したがって例えば、以下でさらに議論されるように、本発明の抗体を必要に応じて個別に製剤に含めるか、または除外することができる。
【0066】
本発明の抗LY75抗体は、LY75(例えば、配列番号15)に特異的に結合する。特定の抗原またはエピトープに対する「特異的結合」または「特異的に結合」または「特異的」とは、非特異的相互作用とは明らかに異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を、通常は結合活性を持たない類似構造の分子である対照分子の結合と比較して決定することにより測定することができる。例えば、特異的結合は、標的に類似した対照分子との競合により決定することができる。
【0067】
特定の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対するK
Dが、少なくとも約10
−4M、少なくとも約10
−5M、少なくとも約10
−6M、少なくとも約10
−7M、少なくとも約10
−8M、少なくとも約10
−9M、あるいは少なくとも約10
−10M、少なくとも約10
−11M、少なくとも約10
−12M、もしくはそれ以上である抗体によって示されることができ、ここでK
Dは、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指す。典型的には、抗原に特異的に結合する抗体は、抗原またはエピトープに対して、対照分子の20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍以上のK
Dを有するであろう。しかしながら、本発明において、本発明のLY75抗体のADCを投与する場合、重要なことは、K
Dが、取り込みと、その結果としての有意な副作用なしでの細胞死とを可能にするのに十分であるということである。
【0068】
また、特定の抗原またはエピトープに対する特異的結合は、例えば、抗原またはエピトープに対して、対照と比較して少なくとも20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5,000倍、10,000倍以上のK
AまたはK
aをエピトープに対して有する抗体によって示されることができ、ここでK
AまたはK
aは、特定の抗体抗原相互作用の会合速度を指す。
【0069】
LY75に対する抗体の結合能力を評価する標準的なアッセイは、タンパク質レベルまたは細胞レベルで行うことができ、当該技術分野では、例えばELISA、ウエスタンブロット、RIA、BIAcore(登録商標)アッセイおよびフローサイトメトリー分析などが知られている。適切なアッセイは、実施例に詳細に記載されている。抗体の結合反応速度(例えば、結合親和性)も、Biacore(登録商標)システム分析などの、当該技術分野で知られている標準的なアッセイによって評価することができる。RajiまたはDaudi B細胞腫瘍細胞への結合を評価するために、Raji(ATCC寄託番号CCL−86)またはDaudi(ATCC寄託番号CCL−213)細胞を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションなどの公的に入手可能なソースから入手することができ、フローサイトメトリー分析などの標準的なアッセイで使用することができる。
【0070】
LY75(配列番号15)に結合するLY75抗体は、細胞表面にLY75を発現する細胞と接触すると取り込まれる場合がある。これらの抗体を、本明細書では、「抗LY75」抗体、または説明を簡単にするために「LY75抗体」と呼ぶ。両方の用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0071】
LY75抗体は、表面にLY75を発現する細胞、特に腫瘍細胞と接触すると取り込まれる。すなわち、薬物複合体も含む本明細書で定義されるLY75抗体は腫瘍細胞によって取り込まれ、薬物の放出およびそれに続く細胞死をもたらし、LY75発現を示すがんの治療を可能にする。この文脈での取り込みは、いくつかの方法で測定することができる。一実施形態では、LY75抗体は、MAbZapなどの標準的なアッセイを使用して、本明細書で概説される細胞株などの細胞と接触される。当業者には、MAbZapアッセイが、抗体―薬物複合体(ADC)で見られると予想される効果の描写であることは明らかであろう。後者の場合、ADCが取り込まれ、したがって薬物が細胞に取り込まれる。有毒薬物には、細胞を殺す能力、すなわち標的とするがん細胞を殺す能力がある。MabZapアッセイからのデータは、ADCアッセイを代表するものとして当業者に容易に受け入れられている(Kohls, M and Lappi, D., [2000] Biotechniques, vol. 28, no. 1, 162−165)。
【0072】
これらのin vitroアッセイの実施形態では、LY75抗体は、毒素を含む抗LY75抗体とともに添加される;例えば、LY75抗体はマウス由来であってもヒト化であってもよく、抗LY75抗体は抗マウスであるか抗ヒト化であり得、サポリンなどの毒素を含み得る。[LY75抗体]―[抗LY75抗体―薬物複合体]複合物が形成されると、複合物は取り込まれ、薬物(例えばサポリン)が放出され、細胞死に至る。取り込みの際にのみ薬物が放出されるため、取り込まれることがない場合、細胞は生存し続ける。以下に概説するように、理論に拘束されることなく、治療用途では、抗LY75抗体は毒素を含み、取り込まれると、抗体と毒素の間の結合が切断され、毒素を放出して細胞を殺す。
【0073】
一実施形態では、抗LY75抗体は、本明細書に記載の特定の抗体の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)または可変領域(VR)を含む(例えば、本明細書で「LY75_A1」と呼ぶ)。したがって、一実施形態では、抗体は、配列番号1に示される配列を有する抗体LY75_A1の重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびに配列番号2に示される配列を有する抗体LY75_A1の軽鎖可変(VL)領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメインを含む。
【0074】
別の実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号5を含む第1のvhCDRと;配列番号6を含む第2のvhCDRと;配列番号7を含む第3のvhCDRとを含む重鎖可変領域;ならびに配列番号8を含む第1のvlCDRと;配列番号9を含む第2のvlCDRと;配列番号10を含む第3のvlCDRとを含む軽鎖可変領域を含む。
【0075】
別の実施形態では、抗LY75抗体はヒトLY75に結合し、配列番号1を含むアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、およびその保存的配列修飾を含む。抗体は、配列番号2を含むアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、およびその保存的配列修飾をさらに含んでもよい。
【0076】
さらなる実施形態では、抗LY75抗体はヒトLY75に結合し、それぞれ配列番号1および/または2に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域、ならびにそれらの保存的配列修飾を含む。
【0077】
さらなる実施形態では、抗LY75抗体はヒトLY75に結合し、それぞれ配列番号38および/または39に示されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖、ならびにそれらの保存的配列修飾を含む。
【0078】
本明細書で使用される場合、保存的配列修飾という用語は、例えば、類似の特徴を有するアミノ酸によるアミノ酸の置換を指す。そのような置換が保存的と見なされるものは、当業者にとっては一般知識である。保存的配列修飾であると考えられる他の修飾には、例えば、グリコシル化が含まれる。
【0079】
場合により、配列番号5〜10の1つまたは複数は、独立して1、2、3、4または5つの保存的アミノ酸置換を含む;任意に、1つまたは複数の配列番号5〜10は、独立して1または2つの保存的アミノ酸置換を含む。
【0080】
好ましくは、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に有意な影響を与えない、またはそれを変化させないアミノ酸修飾を含むことを意図する。そのような保存的修飾には、アミノ酸置換、付加、および欠失が含まれる。修飾は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発などの当該技術分野で知られている標準的な技法によって、本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、以下を持つアミノ酸が含まれる:塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基と置き換えることができ、改変された抗体を、本明細書に記載の機能アッセイを使用し、保持された機能について試験することができる。
【0081】
上記配列のいずれかに対して、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、またはそれ以上の配列同一性を有する重鎖および軽鎖可変領域を含む単離された抗体も、本発明に含まれる。上記値の中間の範囲、例えば、上記の配列のいずれかと少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%または95〜100%の配列同一性を有する重鎖および軽鎖可変領域も、本発明に含まれることが意図されている。一実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号1を含む重鎖可変領域、または配列番号1と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。別の実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号2を含む軽鎖可変領域、または配列番号2と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。別の実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号16、17および18を含む配列番号1の重鎖可変領域のフレームワークと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク領域を含む。別の実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号19、20および21を含む配列番号2の軽鎖可変領域のフレームワークと少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク領域を含む。
【0082】
さらなる実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号38を含む重鎖、または配列番号38と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。別の実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号39を含む軽鎖、または配列番号39と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一である配列を含む。重鎖は、配列番号5〜7または1の配列を含み得る。軽鎖は、配列番号8〜10または2の配列を含み得る。
【0083】
一実施形態では、抗LY75抗体を、本明細書では、以下のCDR、ならびに限られた数のアミノ酸変異を含む変異体を含む「LY75_A1抗体」と呼ぶ:
【表1】
【0084】
本明細書では、本発明のCDRセットを含む可変重鎖および軽鎖、ならびに全長重鎖および軽鎖(例えば、定常領域も同様に含む)も開示される。当業者には理解されるように、抗LY75抗体のCDRセットを、マウス、ヒト化またはヒト定常領域(フレームワーク領域を含む)に組み込むことができる。したがって、本開示は、本明細書に開示される配列番号と少なくとも約90%〜99%、90、91、92、93、94、95、96、97、98、および99%同一である可変重鎖および軽鎖ならびに全長重鎖および軽鎖を提供し、全て本発明で使用される。
【0085】
いくつかの実施形態では、抗LY75抗体は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体とヒトLY75への結合をめぐって競合する抗体である。結合をめぐって競合する抗体は、定型的な技術を使用して特定することができる。そのような技術には、例えば、1つの抗体が別の抗体の標的抗原への結合を阻害する能力を示す免疫学的検定、すなわち競合的結合アッセイが含まれる。競合的結合は、試験中の免疫グロブリンが、LY75などの共通抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイで測定される。例えば、以下のような多くの種類の競合的結合アッセイが知られている:固相直接または間接放射免疫測定法(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242 (1983)を参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614 (1986)を参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1988)を参照);I−125標識を使用した固相直接標識RIA(Morel et al., Mol. Immunol. 25(1):7 (1988)を参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheung et al., Virology 176:546 (1990));直接標識RIA。(Moldenhauer et al., Scand. J. Immunol. 32:77 (1990))。典型的に、そのようなアッセイは、非標識試験免疫グロブリンおよび標識参照免疫グロブリンのいずれかを有する固体表面または細胞に結合した精製抗原の使用を伴う。競合的阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することにより測定される。通常、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。通常、競合する抗体が過剰に存在する場合、それは参照抗体の共通抗原への特異的結合を少なくとも50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%、75〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜99%またはそれ以上阻害する。
【0086】
モノクローナル抗体は、様々な既知の技術を使用して、LY75への結合について特徴付けることができる。一般的に、抗体は最初にELISAによって特徴付けられる。簡単に説明すると、マイクロタイタープレートをPBS中の精製したLY75でコーティングし、PBSで希釈したウシ血清アルブミン(BSA)などの無関係なタンパク質でブロックする。LY75免疫マウスからの血漿の希釈液を各ウェルに加え、37℃で1〜2時間インキュベートする。プレートをPBS/Tween 20で洗浄してから、アルカリホスファターゼに結合したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに37℃で1時間インキュベートする。洗浄後、プレートをABTS基質で展開させ、405のODで分析する。好ましくは、最高力価を発するマウスを融合に使用する。
【0087】
上記のELISAアッセイを使用して、抗体と、したがって、LY75免疫原と陽性反応を示す抗体を産生するハイブリドーマとをスクリーニングすることができる。次に、好ましくは高親和性でLY75に結合するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特性評価することができる。次に、(ELISAにより)親細胞の反応性を保持している各ハイブリドーマから1つのクローンを選択し、細胞バンクを作製し、抗体を精製することができる。
【0088】
抗LY75抗体を精製するために、選択したハイブリドーマをローラーボトル、2リットルのスピナーフラスコまたは他の培養システムで増殖させることができる。上清をろ過および濃縮した後のプロテインAセファロース(Pharmacia、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)を用いる親和性クロマトグラフィーにより、タンパク質を精製することができる。緩衝液のPBSへの交換後、濃度を、1.43吸光係数を使用するOD
280によって、または好ましくは比濁分析によって決定することができる。IgGは、ゲル電気泳動および抗原特異的方法で確認できる。
【0089】
選択した抗LY75モノクローナル抗体が固有のエピトープに結合するかを判断するために、市販の試薬(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)を使用して各抗体をビオチン化することができる。ビオチン化MAb結合は、ストレプトアビジン標識プローブで検出することができる。精製された抗体のアイソタイプを決定するために、当該技術分野で認められた技術を使用してアイソタイプELISAを実行することができる。例えば、マイクロタイタープレートのウェルを、10μg/mlの抗Igで一晩4℃でコーティングすることができる。5%BSAでブロッキングした後、プレートを、10μg/mlのモノクローナル抗体または精製されたアイソタイプ対照と、周囲温度で2時間反応させる。次に、ウェルをIgG1または他のアイソタイプ特異的複合体プローブのどちらかと反応させることができる。プレートは上記のように展開および分析される。
【0090】
LY75を発現する生細胞へのモノクローナル抗体の結合を試験するために、フローサイトメトリーを使用することができる。簡単に説明すると、膜結合LY75を発現する細胞株および/またはヒトPBMC(標準的な増殖条件下で増殖される)を、0.1%BSAを含むPBS中の様々な濃度のモノクローナル抗体と4℃で1時間混合する。洗浄後、細胞を一次抗体染色と同じ条件下でフルオレセイン標識抗IgG抗体と反応させる。試料は、FACScan装置により、光および側面散乱特性を使用して分析し、単一細胞をゲート制御し、標識抗体の結合を測定することができる。蛍光顕微鏡を使用する代替アッセイを、フローサイトメトリーアッセイに加えてまたはその代わりに使用することができる。上記のように細胞を正確に染色し、蛍光顕微鏡で検査することができる。この方法では、個々の細胞を視覚化できるが、抗原の密度によっては感度が低下する場合がある。
【0091】
抗LY75 IgGを、LY75抗原との反応性について、ウエスタンブロッティングによりさらに試験することができる。簡単に言えば、LY75を発現する細胞からの細胞抽出物を調製し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけることができる。電気泳動後、分離された抗原をニトロセルロース膜に移し、20%マウス血清でブロックし、試験されるモノクローナル抗体でプローブする。IgG結合は、抗IgGアルカリホスファターゼを使用して検出することができ、BCIP/NBT基質錠剤(Sigma Chem.Co.、セントルイス、ミズーリ州)で展開することができる。
【0092】
様々な抗LY75抗体の結合親和性、交差反応性、および結合反応速度を分析する方法には、例えば、Biacore(商標) 2000 SPR機器(Biacore AB、ウプサラ、スウェーデン)を使用するBiacore(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析などの、当該技術分野で知られている標準的なアッセイが含まれる。
【0093】
一実施形態では、抗体は、配列番号15を含むヒトLY75に特異的に結合する。好ましくは、抗LY75抗体は、高い親和性でヒトLY75に結合する。
【0094】
好ましくは、抗LY75抗体は、5×10
−8M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、2×10
−8M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、5x10
−9M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、4x10
−9M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、3x10
−9M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、2x10
−9M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、1x10
−9M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、5x10
−10M以下のK
DでLY75タンパク質に結合し、または1x10
−10M以下のK
DでLY75タンパク質に結合する。
【0095】
一実施形態では、抗LY75抗体は、LY75への結合をめぐって、本明細書に記載の特定の抗LY75抗体(例えばLY75_A1)と競合する(例えば、交差競合する)。そのような競合する抗体は、標準的なLY75結合アッセイにおいて、1つまたは複数のmAbのLY75への結合を競合的に阻害する能力に基づいて特定することができる。例えば、組換えヒトLY75タンパク質をプレートに固定し、抗体の1つを蛍光標識し、非標識抗体が標識抗体の結合と競合する能力を評価する標準的なELISAアッセイを使用することができる。追加または代替として、BIAcore分析を使用して、抗体が交差競合する能力を評価できる。本発明の抗LY75抗体のヒトLY75への結合を阻害する試験抗体の能力は、試験抗体がヒトLY75への結合をめぐって抗体と競合できることを実証する。
【0096】
一実施形態では、競合する抗体は、本明細書に記載の特定の抗LY75モノクローナル抗体(例えば、LY75_A1)と同じヒトLY75上のエピトープに結合する抗体である。X線結晶構造解析や二次元核磁気共鳴などの標準的なエピトープマッピング手法を使用して、抗体が参照抗体と同じエピトープに結合するかどうかを判断することができる(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G. E. Morris, Ed. (1996)を参照)。
【0097】
一実施形態では、LY75への結合をめぐって競合し、および/またはヒトLY75上の同じエピトープに結合する抗体は、ヒト抗体である。
【0098】
本明細書に記載される所望の特性を有する単一の原型抗LY75 mAbが単離されると、類似の特性を有する、例えば同じエピトープを有する他のmAbが生成され得る。例えば、マウスを本明細書に記載のLY75で免疫し、ハイブリドーマを産生し、得られたmAbを、LY75への結合をめぐって原型mAbと競合する能力についてスクリーニングすることができる。マウスを、原型mAbが結合するエピトープを含むLY75の小さな断片で免疫することもできる。エピトープは、例えば、LY75にまたがる一連の重複ペプチドへの結合についてスクリーニングすることにより、場所を特定することができる。あるいは、Jespers et al., Biotechnology 12:899, 1994の方法を使用して、同じエピトープを有し、したがって原型mAbと類似の特性を有するmAbの選択を導くことができる。ファージディスプレイを使用して、最初に原型抗体の重鎖を(好ましくはヒトの)軽鎖のレパートリーとペアリングしてLY75結合mAbを選択し、次に新しい軽鎖を(好ましくはヒトの)重鎖のレパートリーとペアリングして、原型mAbと同じエピトープを有する(好ましくはヒト)LY75結合mAbを選択する。あるいは、原型mAbの変異体を、抗体の重鎖および軽鎖をコードするcDNAの突然変異誘発により得ることができる。
【0099】
2つの抗体間の競合レベルを評価するために、例えば、放射免疫測定法または他の標識を抗体に使用するアッセイ法を使用することができる。例えば、LY75抗原を、標識化合物(例えば、
3H、
125I、ビオチン、またはルビジウム)に結合した飽和量の第1抗LY75抗体またはその抗原結合断片とともに、同量の第2非標識抗LY75抗体の存在下でインキュベートすることができる。次に、非標識ブロッキング抗体の存在下で抗原に結合した標識抗体の量を評価し、非標識ブロッキング抗体の非存在下での結合と比較する。競合は、ブロッキング抗体の非存在下と比較した非標識ブロッキング抗体の存在下での結合シグナルの変化率によって決定される。したがって、ブロッキング抗体の非存在下での結合と比較して、ブロッキング抗体の存在下で標識抗体の結合が50%阻害される場合、2つの抗体間に50%の競合が存在する。したがって、第1抗体と第2抗体との間の50%以上、60%以上、70%以上、例えば70%、71%、72%、73%、74%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の競合への言及は、一次抗体が二次抗体の抗原への結合(またはその逆)を50%、60%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上(一次抗体の非存在下での二次抗体による抗原の結合と比較して)阻害することを意味する。したがって、一次抗体の抗原への結合の、二次抗体による50%、605、70%、71%、72%、73%、74%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の阻害は、2つの抗体が同じエピトープに結合することを示す。
【0100】
本発明は、「抗体誘導体」または「抗体類似体」とも呼ばれることもある変異抗体を包含する。すなわち、本明細書に開示される抗体に対して行うことができるいくつかの修飾があり、CDRのアミノ酸修飾(親和性成熟)、フレームワーク領域のアミノ酸修飾、Fc領域のアミノ酸修飾、グリコシル化変異、他のタイプの共有結合修飾(例えば、薬物複合体の結合など)を含むが、これらに限定されない。
【0101】
本明細書において「変異体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾のために親ポリペプチドの配列とは異なるポリペプチド配列を意味する。この場合、親ポリペプチドは、LY75では、例えば配列番号1もしくは2にそれぞれ列挙されている全長可変重鎖もしくは軽鎖であるか、または配列番号5〜10および16〜21に列挙されている重鎖および軽鎖のCDR領域もしくはフレームワーク領域のいずれかである。アミノ酸の修飾には、置換、挿入および欠失が含まれ得るが、多くの場合、前者が好まれる。アミノ酸置換は、保存的または非保存的置換であり得、保存的置換が好ましいことが理解されるであろう。さらに、前記置換は、天然アミノ酸または非天然アミノ酸のいずれかによる置換であってもよい。
【0102】
一般に、本明細書に記載されるように、変異体は、抗体の機能が依然として存在する限り、任意の数の修飾を含むことができる。つまり、例えばLY75_A1抗体は、ヒトLY75に依然として特異的に結合するはずである。例えば、アミノ酸変異体がFc領域で生成される場合、変異抗体は、抗体の特定の用途または適応に必要な受容体結合機能を維持する必要がある。
【0103】
この場合の「変異体」は、列挙されたCDR配列、抗体のフレームワークまたはFc領域において作製され得る。
【0104】
しかしながら、一般的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸置換が全体として利用され、これは、最小限の修飾で機能を変更することが目的であることが多いためである。場合によっては、1〜5個の修飾(例えば、個々のアミノ酸置換、挿入または欠失)があり、1〜2、1〜3および1〜4個のものも多くの実施形態で使用される。修飾の数は、修飾される領域のサイズによって決めることができる;例えば、一般に、CDR領域において望まれる修飾は少ない。CDR領域内でさえ、修飾の位置が効果を著しく変え得ることは、当業者によって理解されるであろう。一実施形態では、重鎖および/または軽鎖のCDR1、CDR2もしくはCDR3のいずれかで修飾を行うことができる。さらなる実施形態では、修飾は、重鎖および/または軽鎖のCDR1もしくはCDR2のいずれかで行われる。さらなる実施形態では、修飾は、重鎖および/または軽鎖のCDR1に位置する。
【0105】
アミノ酸修飾の数が機能的ドメイン内にあり得ることに注意する必要がある:例えば野生型または改変タンパク質のFc領域に1〜5個の修飾を、ならびに、例えばFv領域に1〜5個の修飾を持つことが望ましい場合がある。変異ポリペプチド配列は、親配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有することが好ましい(例えば、LY75_A1の可変領域、定常領域、ならびに/または重鎖および軽鎖配列、ならびに/またはCDR)。配列のサイズに応じて、パーセント同一性はアミノ酸の数に依存することに注意する必要がある。
【0106】
本明細書における「アミノ酸置換」または「置換」とは、親ポリペプチド配列の特定の位置のアミノ酸を、天然または非天然のアミノ酸であり得る別のアミノ酸で置き換えることを意味する。例えば、置換S100Aは、100位のセリンがアラニンで置換されている変異ポリペプチドを指す。本明細書で使用される「アミノ酸挿入」または「挿入」とは、親ポリペプチド配列の特定の位置にアミノ酸を付加することを意味する。本明細書で使用する「アミノ酸欠失」または「欠失」とは、親ポリペプチド配列の特定の位置でのアミノ酸の除去を意味する。
【0107】
本明細書で使用される「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「前駆体ポリペプチド」、または「前駆体タンパク質」とは、後に修飾されて変異体を生成する非修飾ポリペプチドを意味する。一般に、本明細書の親ポリペプチドは、LY75_A1である。したがって、本明細書で使用される「親抗体」とは、修飾されて変異抗体を生成する抗体を意味する。
【0108】
本明細書における「野生型」または「WT」または「天然」とは、対立遺伝子変異を含む、自然界に見られるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgGなどは、意図的には修飾されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を持つ。
【0109】
本明細書において「変異Fc領域」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾のために、野生型Fc配列のものとは異なるFc配列を意味する。Fc変異体は、Fcポリペプチドそれ自体、Fc変異ポリペプチドを含む組成物、またはアミノ酸配列を指し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、1つもしくは複数のアミノ酸修飾は、LY75_A1のCDRの1つもしくは複数において行われる。一般に、任意の1つのCDRにおいて、1または2または3つのアミノ酸のみが置換され、通常、6つのCDRのセット内で4、5、6、7、8、9または10個を超える変更は行われない。しかしながら、任意のCDRにおける置換なし、1、2または3個の置換の任意の組合せは、他の任意の置換と独立してかつ任意に組み合せることができることを理解されたい。6つのCDRのいずれでも置換ができることは明らかである。一実施形態では、置換は、重鎖および/または軽鎖のCDR1で行われる。
【0111】
場合によっては、CDRにおけるアミノ酸修飾は「親和性成熟」と呼ばれる。「親和性成熟」抗体は、1つまたは複数のCDRにおいて1つまたは複数の変化(単数または複数)を有し、それらの変化(単数または複数)を持たない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善がもたらされた抗体である。まれではあるが、抗原に対する抗体の親和性を低下させることが望ましい場合もあるが、これは一般的には好ましくない。
【0112】
親和性成熟は、抗原に対する抗体の結合親和性を、「親」抗体と比較して少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%もしくはそれ以上、または1、2、3、4〜5倍増加させるために行うことができる。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有することになる。親和性成熟抗体は、既知の手順によって生成される。例えば、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)ドメインシャッフリングによる親和性成熟について説明しているMarks et al., 1992, Biotechnology 10:779−783を参照。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えば、Barbas, et al. 1994, Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91:3809−3813; Shier et al., 1995, Gene 169:147−155; Yelton et al., 1995, J. Immunol. 155:1994−2004; Jackson et al., 1995, J. Immunol. 154(7):3310−9; and Hawkins et al, 1992, J. Mol. Biol. 226:889−896に記載されている。
【0113】
あるいは、本発明の抗体のCDRの1つまたは複数において、例えば抗原に対する抗体の親和性を有意に変化させない「サイレント」なアミノ酸修飾を行うことができる。これらは、発現の最適化を含む、いくつかの理由で行うことができる(本発明の抗体をコードする核酸に対して行うことができるように)。
【0114】
したがって、本明細書に開示されるCDRおよび抗体の定義には、変異CDRおよび抗体が含まれる;すなわち、抗体は、LY75_A1のCDRの1つもしくは複数にアミノ酸修飾を含むことができる。加えて、以下に概説するように、アミノ酸修飾は、本明細書に記載のフレームワークおよび定常領域を含む、CDRの外側の任意の領域で独立しておよび任意に行うこともできる。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗LY75抗体は、変異Fcドメインから構成される。当該技術分野で知られているように、抗体のFc領域はいくつかのFc受容体およびリガンドと相互作用し、エフェクター機能と呼ばれる一連の重要な機能的能力を付与する。これらのFc受容体には以下が含まれるが、これらに限定されない:(ヒトでは)FcγRI(CD64)、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含む;FcγRII(CD32)、アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含む;ならびにFcγRIII(CD16)、アイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158、抗体依存性細胞傷害(ADCC)と相関)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)を含む、FcRn(新生児受容体)、C1q(補体依存性細胞傷害(CDC)に関与する補体タンパク質)およびFcRn(血清半減期に関与する新生児受容体)。適切な修飾は、例えば以下に全体的に概説されているように、1つまたは複数の位置で行うことができる:米国特許出願第11/841,654号明細書およびそこに引用されている参考文献、米国特許出願公開第2004/013210号明細書、米国特許出願公開第2005/0054832号明細書、米国特許出願公開第2006/0024298号明細書、米国特許出願公開第2006/0121032号明細書、米国特許出願公開第2006/0235208号明細書、米国特許出願公開第2007/0148170号明細書、米国特許出願第12/341,769号明細書、米国特許第6,737,056号明細書、米国特許第7,670,600号明細書、米国特許第6,086,875号明細書、これらは全て、参照によりそれらの全体が、特にFc受容体への結合を増加させる特定のアミノ酸置換について、明示的に組み込まれる。
【0116】
上記で概説した修飾に加えて、他の修飾を行うことができる。例えば、分子は、VHおよびVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み込みにより安定化され得る(Reiter et al., 1996, Nature Biotech. 14:1239−1245、その内容全体が参照により組み込まれる)。
【0117】
さらに、システインでの修飾は、以下でさらに説明する抗体―薬物複合体(ADC)の用途で特に有用である。いくつかの実施形態では、薬物部位のより特異的で制御された配置を可能にするために、抗体の定常領域を、特に「チオール反応性」である1つまたは複数のシステインを含むように設計することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,521,541号明細書を参照。
【0118】
さらに、以下に概説するように、様々な抗体の共有結合修飾を行うことができる。
【0119】
抗体の共有結合修飾は、本発明の範囲内に含まれ、一般に、常にではないが、翻訳後に行われる。例えば、抗体の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、抗体のいくつかのタイプの共有結合修飾が分子に導入される。
【0120】
システイニル残基は、最も一般的には、クロロ酢酸やクロロアセトアミドなどのα−ハロ酢酸(および対応するアミン)と反応して、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を生成する。システイニル残基は、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、リン酸クロロアセチル、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、2−ピリジルジスルフィドメチル、p−クロロメルクリ安息香酸、2−クロロメルクリ−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールなどとの反応によって誘導体化することもできる。
【0121】
ヒスチジル残基は、pH 5.5〜7.0でジエチルピロカーボネートとの反応により誘導体化されるが、それはこの試薬がヒスチジル側鎖に比較的特異的であるためである。パラブロモフェナシルブロミドも有用である;反応は、pH 6.0の0.1Mカコジル酸ナトリウム中で行うことが好ましい。
【0122】
リシニルおよびアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応する。これらの薬剤による誘導体化には、リジニル残基の電荷を逆転させる効果がある。アルファアミノ含有残基を誘導体化するための他の適切な試薬には、以下が含まれる:ピコリンイミジン酸メチルなどのイミドエステル;リン酸ピリドキサール;ピリドキサール;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O―メチルイソ尿素;2,4―ペンタンジオン;およびグリオキシレートとのトランスアミナーゼ触媒反応。
【0123】
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3―ブタンジオン、1,2―シクロヘキサンジオン、ニンヒドリンなどの1つまたは複数の従来試薬との反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化では、グアニジン官能基のpKaが高いため、反応をアルカリ性条件下で行う必要がある。さらに、これらの試薬は、アルギニンのイプシロン−アミノ基だけでなく、リジンの基とも反応する可能性がある。
【0124】
チロシル残基の特定の修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によるチロシル残基へのスペクトル標識の導入に特に関心を持ってなされ得る。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールとテトラニトロメタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を形成する。チロシル残基は125Iまたは131Iを用いてヨウ素化され、放射免疫アッセイで使用する標識タンパク質が調製されるが、上記のクロラミンT法が適している。
【0125】
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミドとの反応によって選択的に修飾され(R’−N=C=N−−R’)、ここで、RおよびR’は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまたは1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどの、任意に異なるアルキル基である。さらに、アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によりアスパラギニルおよびグルタミニル残基に変換される。
【0126】
二官能性薬剤による誘導体化は、以下に説明する方法に加えて様々な方法で使用するために、抗体を水不溶性支持マトリックスまたは表面に架橋するのに有用である。一般的に使用される架橋剤には、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、およびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミドが含まれる。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化可能な中間体を生成する。あるいは、臭化シノモルグソゲン活性化炭水化物などの反応性水不溶性マトリックス、ならびに全て内容全体が参照により組み込まれる米国特許第3,969,287号明細書;米国特許第3,691,016号明細書;米国特許第4,195,128号明細書;米国特許第4,247,642号明細書;米国特許第4,229,537号明細書;および米国特許第4,330,440号明細書に記載されている反応性基質は、タンパク質の固定化に使用される。
【0127】
グルタミニルおよびアスパラギニル残基はしばしば、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基にそれぞれ脱アミド化される。あるいは、これらの残基は弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれの形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0128】
その他の修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(T. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79−86 [1983]、参照により内容全体が組み込まれる)、N末端アミンのアセチル化、およびC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
【0129】
さらに、当業者に理解されるように、標識(蛍光、酵素、磁気、放射性などを含む)は全て、抗体(ならびに本発明の他の組成物)に付加することができる。
【0130】
別のタイプの共有結合修飾は、グリコシル化の変化である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体を、完全にまたは部分的に非グリコシル化、例えば、非フコシル化することができる。
【0131】
抗体の別のタイプの共有結合修飾は、例えば、以下に記載されている方法で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンなどの様々なポリオールを含むがこれらに限定されない様々な非タンパク質性ポリマーに抗体を連結することを含む:2005−2006 PEG Catalog from Nektar Therapeutics(NektarのWebサイトで入手可能)米国特許第4,640,835;4,496,689;4,301,144;4,670,417; 4,791,192または4,179,337号明細書、全て内容全体が参照により組み込まれる。さらに、当該技術分野で知られているように、抗体内の様々な位置でアミノ酸置換を行い、PEGなどのポリマーの付加を促進することができる。例えば、参照により内容全体が組み込まれる米国特許出願公開第2005/0114037A1号明細書を参照。
【0132】
追加の実施形態では、抗体は標識を含んでもよい。本明細書において「標識された」とは、化合物が、その化合物の検出を可能にする少なくとも1つの元素、同位体または化学化合物に結合していることを意味する。一般に、標識は次の3つのクラスに分類される:a)放射性同位体または重同位体であり得る同位体標識;b)磁気、電気、熱;およびc)着色または発光色素;ただし、標識には酵素や磁性粒子などの粒子も含まれる。好ましい標識には、以下が含まれるが、これらに限定されない:蛍光ランタニド錯体(ユーロピウムおよびテルビウムの蛍光錯体を含む)、ならびに量子ドット、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、テキサスレッド、アレクサ色素、Cy色素などが含まれるが、これらに限定されない蛍光標識、ならびに参照により明示的に組み込まれるRichard P. Hauglandによる第6版のMolecular Probes Handbookに記載されているその他のもの。
【0133】
(抗体薬物複合体)
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗LY75抗体は、薬物と結合し、抗体薬物複合体(ADC)を形成する。一般に、ADCは腫瘍学用途で使用され、細胞傷害性薬剤または細胞増殖抑制剤の局所送達に抗体―薬物複合体を使用すると、腫瘍への薬物部位の標的送達が可能になり、より高い効果、より低い毒性などが可能になる。この技術の概要は、Ducry et al., Bioconjugate Chem., 21:5−13 (2010), Carter et al., Cancer J. 14(3):154 (2008)およびSenter, Current Opin. Chem. Biol. 13:235−244 (2009)において提供されており、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
したがって、本発明は、とりわけ、薬物に結合した抗LY75抗体を含む医薬組合せを提供する。一般に、結合は抗体に共有結合することによりなされ、さらに以下に説明するように、一般的にはリンカー、多くの場合ペプチド結合に依存する(以下で説明するように、標的部位でのプロテアーゼによる切断に感受性となるようにまたはならないように設計されている場合がある)。さらに、上記のように、リンカー薬物ユニット(LU−D)の結合は、抗体内のシステインへの結合によって行うことができる。当業者によって理解されるように、抗体当たりの薬物部位の数は反応の条件に応じて変化する可能性があり、薬物:抗体が1:1〜10:1まで変化する可能性がある。当業者には理解されるように、実際の数値は平均値である。
【0135】
したがって、抗LY75抗体は薬物に結合している可能性がある。以下に説明するように、ADCの薬物は、化学療法剤、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)などの細胞傷害性薬剤を含むが、これらに限定されない任意の数の薬剤であってもよく、または放射性同位体(すなわち、放射性複合体)が提供される。他の実施形態では、本発明は、ADCを使用する方法をさらに提供する。
【0136】
本発明で使用する薬剤には、細胞傷害性薬剤、特にがん治療に使用されるものが含まれる。そのような薬物には、一般に、DNA損傷剤、代謝拮抗剤、天然物およびそれらの類似体が含まれる。細胞傷害性薬剤の例示的なクラスには、以下が含まれる:ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤などの酵素阻害剤、およびチミジル酸シンターゼ阻害剤、DNAインターカレーター、DNA切断剤、トポイソメラーゼ阻害剤、アントラサイクリン系薬物、ビンカ薬、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞傷害性ヌクレオシド、プテリジン系薬物、ジイネン、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤、およびタキソール。
【0137】
これらのクラスのメンバーには、例えば、以下が含まれる:タキソール、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5―フルオロウラシル、6―メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、ロイロシン、ロイロシデイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポトフィロトキシン、およびエトポシドまたはリン酸エトポシドなどのポドフィロトキシン誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール、タキソテールレチノイン酸を含むタキサン、酪酸、N8−アセチルスペルミジン、カンプトテシン、カリケアマイシン、エスペラマイシン、エンジイン、デュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、カリケアマイシン、カンプトテシン、ヘミアステリン、メイタンシノイド(DM1を含む)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、およびメイタンシノイド(DM4)ならびにそれらの類似体。
【0138】
毒素は抗体−毒素複合体として使用でき、以下が含まれ得る:ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシンなどの小分子毒素(Mandler et al (2000) J. Nat. Cancer Inst. 92(19):1573−1581; Mandler et al (2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025−1028; Mandler et al (2002) Bioconjugate Chem. 13:786−791)、メイタンシノイド(EP 1391213; Liu et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618−8623)、およびカリケアマイシン(Lode et al (1998) Cancer Res. 58:2928; Hinman et al (1993) Cancer Res. 53:3336−3342)、ヘミアステリン(WO2004/026293; Zask et al., (2004) J. Med. Chem, 47: 4774−4786)。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含むメカニズムにより、細胞傷害性および細胞増殖抑制効果を発揮することができる。
【0139】
抗LY75抗体と、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウリスタチン、トリコテセン、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ピロロベンズジアゼピンおよびCC1065などの1つまたは複数の小分子毒素、および毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体との複合体も、使用することができる。
【0140】
好ましくは、抗LY75抗体はDM1またはDM4、最も好ましくはDM4に結合される。メイタンシノイド薬物部位としての使用に適したメイタンシン化合物は、当該技術分野でよく知られており、既知の方法に従って天然源から単離することができ、遺伝子工学技術(Yu et al (2002) PNAS 99:7968−7973を参照)、またはメイタンシノールおよび既知方法に従って合成的に調製されたメイタンシノール類似体を使用して生成することができる。以下に記載されるように、薬物は、抗体への結合用のチオールまたはアミン基などの機能的に活性な基の組み込みによって修飾され得る。
【0141】
例示的なメイタンシノイド薬物部位には、次のような修飾芳香環を有するものが含まれる:C−19−デクロロ(米国特許第4,256,746号明細書)(アンサマイトシンP2の水素化アルミニウムリチウム還元により調製);C−20−ヒドロキシ(またはC−20−デメチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4,361,650号明細書および米国特許第4,307,016号明細書)(ストレプトマイセスもしくは放線菌を使用した脱メチル化またはLAHを使用した脱塩素により調製);およびC―20―デメトキシ、C―20―アシルオキシ(−−OCOR)、+/−−デクロロ(米国特許第4,294,757号明細書)(塩化アシルを用いたアシル化により調製)ならびに他の位置に修飾を有するもの。
【0142】
例示的なメイタンシノイド薬物部位には、以下のような修飾を有するものも含まれる:C−9−SH(米国特許第4,424,219号明細書)(メイタンシノールとH2SまたはP2S5との反応により調製);C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH
2OR)(米国特許第4,331,598号明細書);C−14−ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CH
2OHまたはCH
2OAc)(米国特許第4,450,254号明細書)(ノカルジアから調製);C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号明細書)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの変換により調製);C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号明細書および米国特許第4,315,929号明細書)(Trewia nudlfloraから分離);C−18−N−デメチル(米国特許第4,362,663号明細書および第4,322,348号明細書)(ストレプトマイセスによるメイタンシノールの脱メチル化により調製);ならびに4,5―デオキシ(米国特許第4,371,533号明細書)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元により調製)。
【0143】
特に有用なのは、DM1(参照により組み込まれる米国特許第5,208,020号明細書に開示される)およびDM4(参照により組み込まれる米国特許第7,276,497号明細書に開示される)である。以下にあるいくつかの追加のメイタンシノイド誘導体および方法も参照:5,416,064、WO/01/24763、7,303,749、7,601,354、米国特許出願第12/631,508、WO02/098883、6,441,163、7,368,565、WO02/16368およびWO04/1033272、これらは全て、その内容全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0144】
メイタンシノイドを含むADC、その製造方法、およびそれらの治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020;5,416,064;6,441,163号明細書および欧州特許EP 0 425 235 B1に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618−8623 (1996)は、ヒト結腸直腸がんに対するモノクローナル抗体C242に連結されたDM1と称されるメイタンシノイドを含むADCを記載した。複合体は、培養された結腸がん細胞に対して細胞傷害性が高いことが発見され、in vivo腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。
【0145】
Chari et al., Cancer Research 52:127−131 (1992)は、ヒト結腸がん細胞株の抗原に結合するマウス抗体A7に、またはHER−2/neuがん遺伝子に結合する他のマウスモノクローナル抗体TA.1に、メイタンシノイドがジスルフィドリンカーを介して結合したADCについて説明している。TA.1−メイタンソノイド複合体の細胞傷害性が、細胞あたり3x105 HER−2表面抗原を発現するヒト乳がん細胞株SK−BR−3でin vitroで試験された。薬物複合体は、遊離メイタンシノイド薬物と同様の細胞傷害性の程度を達成し、これは、抗体分子あたりのメイタンシノイド分子の数を増やすことによって増加させることができた。A7−メイタンシノイド複合体は、マウスにおいて低い全身細胞傷害性を示した。
【0146】
複数の抗体を含む組成物の場合、薬物負荷は、抗体あたりの薬物分子の平均数であるpで表される。薬物負荷量は、抗体あたり1〜20薬物(D)の範囲であり得る。結合反応の調製における抗体あたりの薬物の平均数は、質量分析法、ELISAアッセイ、およびHPLCなどの従来手段によって特徴付けられ得る。pに関する抗体−薬物−複合体の定量的分布も測定され得る。
【0147】
場合によっては、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段により、pが特定の値である均質な抗体薬物複合体を、他の薬物負荷の抗体薬物複合体から分離、精製、および特性評価することができる。例示的な実施形態では、pは2、3、4、5、6、7、もしくは8またはそれらの分数である。
【0148】
抗体―薬物複合体化合物の生成は、当業者に知られている任意の技術により達成することができる。簡単に言えば、抗体―薬物複合体化合物は、抗体ユニットとしての抗LY75抗体、薬物、および任意で薬物と結合剤をつなぐリンカーを含むことができる。
【0149】
薬物および/またはリンカーを結合剤に共有結合させるためのいくつかの異なる反応が利用可能である。これは、結合剤のアミノ酸残基、例えば、リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、および芳香族アミノ酸の様々な部位を含む抗体分子の反応によって達成することができる。一般的に使用される共有結合の非特異的方法は、化合物のカルボキシ(またはアミノ)基を抗体のアミノ(またはカルボキシ)基に連結させるカルボジイミド反応である。さらに、化合物のアミノ基を抗体分子のアミノ基に連結させるために、ジアルデヒドやイミドエステルなどの二機能性薬剤が使用されている。
【0150】
薬物の結合剤への結合にも利用できるのは、シッフ塩基反応である。この方法は、グリコールまたはヒドロキシ基を含む薬物の過ヨウ素酸塩酸化を伴い、したがってアルデヒドを形成してからそれが結合剤と反応する。結合剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して結合が起こる。イソチオシアネートは、薬物を結合剤に共有結合させるカップリング剤としても使用することができる。他の技術は当業者に知られており、本発明の範囲内である。
【0151】
いくつかの実施形態では、リンカーの前駆体である中間体は、適切な条件下で薬物と反応する。他の実施形態では、反応基は、薬物および/または中間体上で使用される。薬物と中間体との反応生成物、または誘導体化された薬物は、その後、適切な条件下で本発明の抗LY75抗体と反応する。
【0152】
所望の化合物への化学修飾が、本発明の複合体を調製する目的でその化合物の反応をより便利にするために行われてもよいことが理解されるであろう。例えば、アミン、ヒドロキシル、またはスルフヒドリルなどの官能基は、薬物の活性または他の特性に最小限のまたは許容可能な影響を与える位置で薬物に付加されてもよい。
【0153】
典型的には、抗体薬物複合体化合物は、薬物ユニットと抗体ユニットの間にリンカーユニットを含む。いくつかの実施形態では、適切な環境でのリンカーの切断により抗体から薬物ユニットが放出されるように、リンカーは細胞内または細胞外条件下で切断可能である。例えば、特定のプロテアーゼを分泌する固形腫瘍は、切断可能なリンカーの標的として機能し得る;他の実施形態では、利用されるのは細胞内プロテアーゼである。さらに他の実施形態では、リンカーユニットは切断可能ではなく、薬物は、例えば、リソソームにおける抗体分解により放出される。
【0154】
いくつかの実施形態では、リンカーは、細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)に存在する切断剤により切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含むがこれらに限定されない細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素により切断されるペプチジルリンカーであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長またはそれ以上である。
【0155】
開裂剤には、カテプシンBおよびDおよびプラスミンが含まれるが、これらに限定されるわけではなく、これらは全て、ジペプチド薬物誘導体を加水分解して、標的細胞内で活性薬物を放出することが知られている(例えば、Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67−123を参照)。ペプチジルリンカーは、LY75発現細胞に存在する酵素により切断可能であり得る。例えば、がん組織で高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼカテプシン−Bによって切断可能なペプチジルリンカーを使用することができる(例えば、Phe−LeuまたはGly−Phe−Leu−Glyリンカー(配列番号46))。そのようなリンカーの他の例は、例えば、参照によりその全体が全ての目的のために本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号明細書に記載されている。
【0156】
いくつかの実施形態では、細胞内プロテアーゼにより切断可能なペプチジルリンカーは、Val−CitリンカーまたはPhe−Lysリンカーである(例えば、val−citリンカーを用いたドキソルビシンの合成を記載する米国特許第6,214,345号明細書を参照)。
【0157】
他の実施形態では、切断可能なリンカーはpH感受性、すなわち特定のpH値で加水分解に感受性である。通常、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソーム中で加水分解可能な酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス−アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)を使用してもよい。(例えば、米国特許第5,122,368、5,824,805、5,622,929号明細書;Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67−123; Neville et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653−14661.を参照。)そのようなリンカーは、血液中のような中性pH条件下では比較的安定であるが、リソソームのおおよそのpHであるpH 5.5または5.0未満では不安定である。特定の実施形態では、加水分解性リンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療薬剤に結合したチオエーテルなど)である(例えば、米国特許第5,622,929号明細書を参照)。
【0158】
さらに他の実施形態では、リンカーは還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。例えば、以下を使用して形成できるものを含む、様々なジスルフィドリンカーが当該技術分野で知られている:SATA(N−スクシンイミジル−5−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−アルファ−メチル−アルファ−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)−、SPDBおよびSMPT。(例えば、Thorpe et al., 1987, Cancer Res. 47:5924−5931; Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987を参照。また、米国特許第4,880,935号明細書も参照)。
【0159】
他の実施形態では、リンカーは、マロン酸リンカー(Johnson et al., 1995, Anticancer Res. 15:1387−93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al., 1995, Bioorg−Med−Chem. 3(10):1299−1304)、または3’−N−アミド類似体(Lau et al., 1995, Bioorg−Med−Chem. 3(10):1305−12)である。
【0160】
さらに他の実施形態では、リンカーユニットは切断可能ではなく、薬物は抗体分解により放出される。(その全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2005/0238649号明細書を参照)。
【0161】
多くの実施形態では、リンカーは自壊性である。本明細書で使用する「自壊性スペーサー」という用語は、2つの離隔した化学部位に共有結合して安定した3部分子になることができる二官能性化学部位を指す。第1部位への結合が切断されると、第2化学部位から自然に分離する。例えば、WO 2007/059404A2、WO06/110476A2、WO05/112919A2、WO2010/062171、WO09/017394、WO07/089149、WO 07/018431、WO04/043493およびWO02/083180を参照、これらは薬物と切断可能基質とが自壊的リンカーを介して任意に連結されている薬物切断可能基質複合体に関し、これらは全て参照により明示的に組み込まれる。
【0162】
多くの場合、リンカーは細胞外環境に対して実質的に感受性ではない。本明細書で使用する場合、リンカーの文脈において「細胞外環境に対して実質的に感受性ではない」とは、抗体薬物複合体化合物が細胞外環境(例えば、血漿)に存在すると、抗体薬物複合体化合物の試料中のリンカーの約20%、15%、10%、5%、3%、または約1%以下が切断されることを意味する。
【0163】
リンカーが細胞外環境に実質的に感受性ではないかどうかは、例えば、所定の時間(例えば、2、4、8、16、または24時間)抗体―薬物複合体化合物を血漿とともにインキュベートし、次に、血漿中に存在する遊離薬物の量を定量化することにより決定することができる。
【0164】
他の、相互に排他的でない実施形態では、リンカーは細胞取り込みを促進する。特定の実施形態では、リンカーは、治療薬剤に結合すると(すなわち、本明細書に記載の抗体薬物複合体化合物のリンカー治療薬剤部位の環境で)、細胞取り込みを促進する。さらに他の実施形態では、リンカーは、アウリスタチン化合物と本発明の抗LY75抗体の両方に結合すると、細胞取り込みを促進する。
【0165】
本組成物および方法で使用することができる様々な例示的なリンカーが、以下に記載されている:WO2004/010957号、米国特許公開第2006/0074008号明細書、米国特許公開第20050238649号明細書、および米国特許公開第2006/0024317号明細書(これらのそれぞれが、参照によりその全体が全ての目的のために本明細書に組み込まれる)。好ましくは、リンカーはSPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)である。
【0166】
薬物負荷はpで表され、分子内の抗体あたりの薬物部位の平均数である。薬物負荷(「p」)は、抗体あたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の部位(D)であり得るが、ただし、多くの場合、平均数は分数または小数である。一般に、1〜4の薬物負荷が多くの場合有用であり、1〜2も有用である。本発明のADCは、1〜20、例えば1〜15、1〜10、2〜9、3〜8、4〜7、5〜6の範囲の薬物部位と結合した抗体のコレクションを含む。結合反応からのADCの調製物中の抗体あたりの薬物部位の平均数は、質量分析およびELISAアッセイなどの従来の手段によって特性評価され得る。
【0167】
pの観点からのADCの定量的分布も測定することができる。場合によっては、電気泳動などの手段により、pが特定の値である均質なADCを、他の薬物負荷のADCから分離、精製、および特性評価することができる。
【0168】
いくつかの抗体−薬物複合体では、pは、抗体上の結合部位の数によって制限される場合がある。例えば、上記の例示的な実施形態のように、結合がシステインチオールである場合、抗体は1つまたは複数だけのシステインチオール基を有するか、またはリンカーが結合し得る1つまたは複数だけの十分に反応性のあるチオール基を有し得る。特定の実施形態では、より高い薬物負荷、例えばp>5では、特定の抗体薬物複合体の凝集、不溶性、毒性、または細胞透過性の損失を引き起こし得る。特定の実施形態では、本発明のADCの薬物負荷は、1〜約8;約2〜約6;約3〜約5;約3〜約4;約3.1〜約3.9;約3.2〜約3.8;約3.2〜約3.7;約3.2〜約3.6;約3.3〜約3.8;または約3.3〜約3.7の範囲である。実際、特定のADCについて、抗体あたりの薬物部位の最適比は8未満であり得、約2〜約5であり得ることが示されている。米国特許公開第2005/0238649A1号明細書を参照(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0169】
特定の実施形態では、理論最大値よりも少ない薬物部位が、結合反応中に抗体に結合される。抗体は、例えば、以下で議論されるように、薬物―リンカー中間体またはリンカー試薬と反応しないリジン残基を含んでもよい。一般的に、抗体には、薬物部位に結合する可能性のある遊離および反応性システインチオール基は多く含まれてはいない;実際、抗体中のほとんどのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在する。特定の実施形態では、抗体は、部分的または完全な還元条件下で、ジチオスレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの還元剤で還元されて、反応性システインチオール基を生成し得る。特定の実施形態では、抗体を変性条件にさらし、リジンまたはシステインなどの反応性求核基を露呈させる。
【0170】
ADCの負荷(薬物/抗体比)は、異なる方法で制御される場合があり、例えば:(i)抗体に対する薬物リンカー中間体またはリンカー試薬のモル過剰の制限により、(ii)結合反応時間または温度の制限により、(iii)システインチオール修飾の部分的または制御的還元条件により、(iv)組換え技術により抗体のアミノ酸配列を操作し、リンカー薬物結合の数および/または位置を制御するためにシステイン残基の数および位置を変更することによる(例えば、本明細書およびWO2006/034488(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように調製されたthioMabまたはthioFabなど)。
【0171】
複数の求核基が薬物リンカー中間体またはリンカー試薬に続いて薬物部位試薬と反応する場合、得られる生成物は、抗体に結合した1つまたは複数の薬物部位の分布を持つADC化合物の混合物であることを理解されたい。抗体あたりの薬物の平均数は、抗体に特異的で薬物に特異的なデュアルELISA抗体アッセイによって混合物から計算できる。混合物中の個々のADC分子は、質量分析により同定され、HPLC、例えば疎水性相互作用クロマトグラフィーにより分離される。
【0172】
いくつかの実施形態では、単一の負荷値を有する均質なADCは、電気泳動またはクロマトグラフィーにより複合体混合物から単離され得る。
【0173】
(ADCの細胞傷害性効果を判定する方法)
薬物または抗体薬物複合体が細胞に対して細胞増殖抑制効果および/または細胞傷害性効果を発揮するかどうかを判定する方法は知られている。一般に、抗体薬物複合体の細胞傷害性または細胞増殖抑制活性は、以下によって測定することができる:抗体薬物複合体の標的タンパク質を発現している哺乳類細胞を細胞培養液にばく露させる;約6時間〜約5日間、細胞を培養する;細胞の生存率を測定する。細胞ベースのin vitroアッセイを使用して、抗体薬物複合体の生存率(増殖)、細胞傷害性、およびアポトーシスの誘導(カスパーゼ活性化)を測定することができる。
【0174】
抗体薬物複合体が細胞増殖抑制効果を発揮するかどうかを判断するには、チミジン取り込みアッセイを使用することができる。例えば、96ウェルプレートの5,000細胞/ウェルの密度で標的抗原を発現しているがん細胞を72時間培養し、72時間の最後の8時間の間0.5μCiの
3H−チミジンにばく露させた。培養細胞への
3H−チミジンの取り込みは、抗体薬物複合体の存在下および非存在下で測定される。
【0175】
細胞傷害性を判定するために、壊死またはアポトーシス(プログラム細胞死)を測定することができる。壊死は通常、形質膜の透過性の増加;細胞の腫れ、および原形質膜の破裂を伴う。アポトーシスは通常、膜小疱形成、細胞質の凝縮、および内因性エンドヌクレアーゼの活性化によって特徴付けられる。がん細胞に対するこれらいずれかの影響の判定は、抗体薬物複合体ががんの治療に有用であることの指標となる。
【0176】
細胞の生存率は、ニュートラルレッド、トリパンブルー、ALAMAR(商標)ブルーなどの色素の取り込みを細胞内で判断することで測定することができる(例えば、Page et al., 1993, Intl. J. Oncology 3:473−476を参照)。そのようなアッセイでは、色素を含む培地で細胞をインキュベートし、細胞を洗浄し、色素の細胞取り込みを反映する残りの色素を分光測光法で測定する。タンパク質結合色素のスルホローダミンB(SRB)を、細胞傷害性の測定にも使用することができる(Skehan et al., 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:1107−12)。
【0177】
あるいは、MTTなどのテトラゾリウム塩は、生細胞を検出するが死細胞を検出しないことにより、哺乳類細胞の生存および増殖の定量的比色アッセイに使用される(例えば、Mosmann、1983、J. Immunol。Methods 65:55−63を参照)。
【0178】
アポトーシスは、例えばDNA断片化を測定することで定量化することができる。DNA断片化の定量的in vitro測定用の市販の測光法が利用可能である。TUNEL(断片化されたDNA中の標識ヌクレオチドの取り込みを検出する)およびELISAベースのアッセイを含むそのようなアッセイの例は、Biochemica, 1999, no. 2, pp. 34−37 (Roche Molecular Biochemicals)に記載されている。
【0179】
アポトーシスは、細胞の形態学的変化を測定することでも判断できる。例えば、壊死の場合と同様に、原形質膜の完全性の損失は、特定の色素(例えば、アクリジンオレンジまたはエチジウムブロマイドなどの蛍光色素)の取り込みを測定することにより判断できる。アポトーシス細胞数を測定する方法は、Duke and Cohen, Current Protocols in Immunology (Coligan et al. eds., 1992, pp. 3.17.1−3.17.16)によって説明されている。細胞はDNA色素(例えば、アクリジンオレンジ、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム)で標識することもでき、細胞ではクロマチン凝縮と内核膜に沿った辺縁趨向が観察され得る。アポトーシスを判断するために測定することができる他の形態学的変化には、例えば、細胞質凝縮、膜小疱の増加、および細胞収縮が含まれる。
【0180】
アポトーシス細胞の存在は、培養物の結合区画と「浮遊」区画の両方で測定することができる。例えば、両方の区画は、上清を除去し、結合した細胞をトリプシン処理し、遠心洗浄工程(例えば、2000rpmで10分間)後に調製物を合わせ、アポトーシスを検出する(例えば、DNA断片化を測定する)ことで収集することができる。(例えば、Piazza et al., 1995, Cancer Research 55:3110−16を参照)。
【0181】
In vivoでは、本発明の抗LY75抗体の治療組成物の効果を、適切な動物モデルで評価することができる。例えば、がん外植片または継代された異種移植組織が、ヌードまたはSCIDマウスなどの免疫不全動物に導入されている異種がんモデルを使用することができる(Klein et al., 1997, Nature Medicine 3: 402−408)。有効性は、腫瘍形成、腫瘍退縮または転移などの阻害を測定するアッセイを使用して測定することができる。
【0182】
前述の方法の実施において使用される治療組成物を、所望の送達方法に適した担体を含む医薬組成物に製剤化することができる。適切な担体には、治療用組成物と組合せたときに治療用組成物の抗腫瘍機能を保持し、通常患者の免疫系と反応しない任意の材料が含まれる。例には、滅菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水などの任意のいくつかの標準的な医薬担体が含まれるが、これらに限定されない(大体において、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th Edition, A. Osal., Ed., 1980を参照)。
【0183】
(抗体の生産方法)
本明細書に開示される抗体は、任意の適切な方法により作製され得る。これらの方法には、抗体をコードする単離された核酸(単数または複数)を含む宿主細胞の培養が含まれる。当業者によって理解されるように、これは、抗体の性質に応じて、様々な方法で行うことができる。抗体が完全長の従来型抗体である場合、例えば、抗体が産生され単離され得るような条件下での重鎖可変領域および軽鎖可変領域。
【0184】
LY75_A1の可変重鎖および軽鎖は本明細書に開示されている(タンパク質および核酸配列の両方);当該技術分野で理解されるように、これらを容易に増幅させ、全長重鎖および軽鎖を生成することができる。すなわち、本明細書で概説するV
HおよびV
K区分をコードするDNA断片が提供されたため、これらのDNA断片を、標準的な組換えDNA技術によりさらに操作し、例えば、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子に、Fab断片遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換することができる。これらの操作では、V
KまたはV
HをコードするDNA断片は、抗体定常領域や柔軟性リンカーなど、別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動可能に連結される。この文脈で使用される「作動可能に連結される」という用語は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように2つのDNA断片が結合されることを意味するものとする。
【0185】
V
H領域をコードする単離されたDNAは、V
HをコードするDNAを、重鎖定常領域(C
H1、C
H2およびC
H3)をコードする別のDNA分子に作動可能に連結させることにより、完全長重鎖遺伝子に変換することができる。マウス重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で知られており[例えば、e.g. Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, US Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242を参照]、これらの領域を包含するDNA断片は、標準PCR増幅により得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子の場合、V
HをコードするDNAを、重鎖C
H1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動可能に連結させることができる。
【0186】
VL/VK領域をコードする単離されたDNAは、V
LをコードするDNAを、軽鎖定常領域C
Lをコードする別のDNA分子に作動可能に連結させることにより、完全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。マウス軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野で知られており[例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, US Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242を参照]、これらの領域を包含するDNA断片は、標準PCR増幅により得ることができる。好ましい実施形態では、軽鎖定常領域はカッパまたはラムダ定常領域であり得る。
【0187】
scFv遺伝子を作製するために、V
HおよびV
L/V
KをコードするDNA断片を、柔軟性リンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly
4−Ser)
3をコードする別の断片に動作可能に連結させることにより、V
HおよびV
L/V
K配列が連続した一本鎖タンパク質として、V
L/V
K領域とV
H領域が柔軟性リンカーで連結された状態で発現され得る[例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423−426; Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879−5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552−554を参照]。
【0188】
本明細書に開示される抗体をコードする核酸が提供される。そのようなポリヌクレオチドは、重鎖および軽鎖のそれぞれの可変領域および定常領域の両方をコードするが、本明細書に記載の組成物に従って他の組合せも企図される。
【0189】
ポリヌクレオチドは、RNAまたはDNAの形態であり得る。DNA、cDNA、ゲノムDNA、核酸類似体、および合成DNAの形態のポリヌクレオチドも使用することができる。DNAは二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖の場合、コード(センス)鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。ポリペプチドをコードするコード配列は、本明細書で提供されるコード配列と同一であっても、異なるコード配列であってもよく、その配列は、遺伝コードの冗長性または縮重の結果として、本明細書で提供されるDNAと同じポリペプチドをコードする。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される抗体をコードする核酸(単数または複数)は発現ベクターに組み込まれ、それは染色体外であるか、または導入される宿主細胞のゲノムに組み込まれるように設計され得る。発現ベクターには、任意の数の適切な調節配列(転写および翻訳制御配列、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、複製起点などが含まれるが、これらに限定されない)または他の要素(選択遺伝子など)が含まれ、これらは全て、当該技術分野でよく知られているように、作動可能に連結されている。場合によっては、2つの核酸が使用され、それぞれ異なる発現ベクター(例えば、1つ目の発現ベクターの重鎖、2つ目の発現ベクターの軽鎖)に入れられるか、あるいはそれらは同じ発現ベクターに入れられる場合がある。調節配列の選択を含む発現ベクター(単数または複数)の設計は、宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存する可能性があることを、当業者は理解するであろう。
【0191】
一般に、核酸および/または発現を適切な宿主細胞に導入して、選択された宿主細胞に適した任意の方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、感染)を使用して組換え宿主細胞を作製し、核酸分子(単数または複数)が、1つまたは複数の発現制御因子(例えば、ベクター内、細胞内のプロセスによって作製され、宿主細胞ゲノムに組み込まれた構築物内)に作動可能に連結されるようにする。得られた組換え宿主細胞は、発現に適した条件下で(例えば、誘導物質の存在下で、適切な非ヒト動物で、適切な塩、成長因子、抗生物質、栄養補助剤などが補充された適切な培養培地で)維持され、それにより、コード化されたポリペプチド(単数または複数)が産生される。場合によっては、ある細胞で重鎖が生成され、別の細胞で軽鎖が生成される。
【0192】
発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞株は当該技術分野で知られており、バージニア州マナサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含み、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HEK 293細胞、NSO細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞がん細胞(例えば、Hep G2)、および他のいくつかの細胞株を含むが、これらに限定されない。細菌、酵母、昆虫、および植物を含むがこれらに限定されない非哺乳類細胞も、組換え抗体を発現するために使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、ウシまたはニワトリなどのトランスジェニック動物で産生され得る。
【0193】
抗体分子生物学、発現、精製、およびスクリーニングの一般的な方法はよく知られており、例えば、米国特許第4,816,567、4,816,397、6,331,415および7,923,221号明細書、ならびにAntibody Engineering, edited by Kontermann & Dubel, Springer, Heidelberg, 2001 and 2010 Hayhurst & Georgiou, 2001, Curr Opin Chem Biol 5:683−689; Maynard & Georgiou, 2000, Annu Rev Biomed Eng 2:339−76; and Morrison, S. (1985) Science 229:1202を参照。
【0194】
医薬組合せの成分(B)は、ベネトクラクスまたはその薬学的に許容される塩である。ベネトクラクスは、抗アポトーシスB細胞リンパ腫−2(Bcl−2)タンパク質を阻害し、プログラム細胞死を誘導する小分子経口薬である。特定の染色体異常(17p欠失)を有する患者の慢性リンパ性白血病(CLL)に適応される。2015年、米国食品医薬品局(FDA)は、再発したか、これまでの治療が無効であり、17p欠失遺伝子変異を有するCLL患者を対象に、画期的治療薬の指定をベネトクラクスに付与した。
【0195】
ベネトクラクスの構造式を以下に示す:
【化1】
IUPAC名は4−(4−{[2−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル]メチル}−1−ピペラジニル)−N−({3−ニトロ−4−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イルオキシ)ベンズアミドである。ベネトクラクスは、米国ではVenclexta(登録商標)、欧州ではVenclyxto(登録商標)の商品名で販売されている。
【0196】
(医薬組成物)
本発明の医薬組合せは、同時、個別または逐次使用のための組合せ製剤の形態である。同様に、本発明の方法において、医薬組合せの成分(A)および(B)は、同時に、個別にまたは逐次的に患者に投与され得る。
【0197】
「組合せ製剤」という用語には、固定用量組合せと非固定用量組合せの両方が含まれる。
【0198】
「固定用量組合せ」という用語は、活性成分(例えば、成分(A)および(B))が単一の実体または投与量の形態であることを意味する。言い換えれば、活性成分は単一の組成物または製剤に存在する。
【0199】
「非固定用量組合せ」という用語は、有効成分(例えば、成分(A)および(B))が異なる実体または投与量で(例えば、別個の組成物または製剤として)、例えば部品のキットとして存在することを意味する。次いで、(所望の組成物または製剤中の)独立成分(A)および(B)は、同じ時点または異なる時点で別個にまたは逐次的に投与することができる。
【0200】
投与が逐次的である場合、第2成分の投与の遅れは、組合せの使用から生じる効果の利益を失うようなものであってはならない。したがって、一実施形態では、逐次的治療は、11日間の期間内の組合せの各成分の投与を伴う。別の実施形態では、この期間は10日間である。別の実施形態では、この期間は9日間である。別の実施形態では、この期間は8日間である。別の実施形態では、この期間は7日間である。別の実施形態では、この期間は6日以内である。別の実施形態では、この期間は5日以内である。別の実施形態では、この期間は4日以内である。別の実施形態では、この期間は3日以内である。別の実施形態では、この期間は2日以内である。別の実施形態では、この期間は24時間以内である。別の実施形態では、この期間は12時間以内である。
【0201】
成分(A)および(B)は任意の順序で投与でき、例えば、成分(A)を最初に投与し、次に成分(B)を投与してもよい;または成分(B)を最初に投与し、次に成分(A)を投与してもよい。
【0202】
組合せ製剤で投与される成分(A)と成分(B)の総量の比率は、例えば、治療を受ける患者亜集団のニーズまたは一人の患者のニーズに対処するために変化させることができ、その異なるニーズは、患者の年齢、性別、体重などが原因であり得る。
【0203】
成分(A)および(B)は、単一の組成物または別個の組成物のいずれで存在するかにかかわらず、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と独立して製剤化することができる。本発明の医薬組合せはまた、少なくとも1つの他の抗腫瘍剤、または抗炎症剤または免疫抑制剤を含み得る。組合せ療法で使用することができる治療薬剤の例は、本明細書に開示されている抗体の使用に関する以下の節でより詳細に説明されている。
【0204】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合性のある、ありとあらゆる溶剤、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などが含まれる。好ましくは、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(例えば注射または注入による)に適している。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち抗体、免疫複合体、または二重特異性分子は、化合物を不活性化する可能性のある酸の作用や他の自然条件から化合物を保護する材料でコーティングされ得る。
【0205】
成分(A)および/または(B)は、1つまたは複数の薬学的に許容される塩の形態であり得る。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩を指す[例えば、Berge, S.M., et al. (1977) J. Pharm. Sci. 66:1―19を参照]。そのような塩の例には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどの非毒性無機酸から誘導されるもの、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの非毒性有機酸から誘導されるものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属から誘導されるもの、ならびにN、N’―ジベンジルエチレンジアミン、N―メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどの非毒性有機アミンから誘導されるものが含まれる。
【0206】
本発明の医薬組合せまたはその一部は、薬学的に許容される抗酸化剤も含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例には、以下が含まれる:(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α―トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤;および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤。
【0207】
本発明の医薬組合せに使用することができる適切な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブオイルなどの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持できる。
【0208】
これらの組合せまたはその一部は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順によって、ならびに様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることの両方によって保証され得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射可能な医薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含めることによりもたらされ得る。
【0209】
薬学的に許容される担体には、滅菌注射用溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野で知られている。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と相性が良くない場合を除き、本発明の医薬組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性化合物も、組成物に組み込むことができる。
【0210】
治療用組成物は、典型的には、製造および保管の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含む溶剤または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合は必要な粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによりもたらすことができる。
【0211】
滅菌注射液は、適切な溶剤に必要な量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙した成分の1つまたは組合せとともに組み込み、続く滅菌精密ろ過によって調製することができる。一般に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒および上に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌溶媒に組み込むことにより調製される。滅菌注射液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分の粉末と、以前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望の成分とを生じる真空乾燥および凍結乾燥(凍結乾燥)である。
【0212】
単一剤形を製造するために担体材料と組み合せることができる活性成分の量は、治療を受ける被験体、および特定の投与様式に応じて変化するだろう。単一剤形を生成するために担体材料と組み合せることができる活性成分の量は、一般に、治療効果をもたらす組成物の量になる。一般に、100パーセントのうち、この量は、活性成分の約0.01パーセント〜約99パーセント、好ましくは約0.1パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは、薬学的に許容される担体と組み合せた活性成分の約1パーセント〜約30パーセントの範囲である。
【0213】
投与レジメンは、最適な望ましい反応(例えば相乗効果の組合せ、治療反応)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラス投与をしたり、いくつかの分割用量を経時的に投与したり、または治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少または増加させたりすることができる。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、投与量単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される投与量単位形態は、治療を受ける被験体への単位用量として適した物理的に別個の単位を指す;各単位は、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果をもたらすために計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与量単位形態の仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに(b)個体の感応性の治療のためにそのような活性化合物を配合する技術に固有の制限によって決定され、それらに直接依存する。
【0214】
抗LY75抗体の投与については、投与量は、約0.0001〜100mg/kg、例えば0.001〜50mg/kg、0.005〜20mg/kg、0.01〜10mg/kg、より通常は0.01〜5mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、投与量は、0.05mg/kg体重、0.1mg/kg体重、0.3mg/kg体重、0.3mg/kg体重、0.5mg/kg体重、1mg/kg体重、2 mg/kg体重、3mg/kg体重、4mg/kg体重、5mg/kg体重、6mg/kg体重、7mg/kg体重、8mg/kg体重、9mg/kg体重、10mg/kg体重、12mg/kg体重、15mg/kg体重、20mg/kg体重、25mg/kg体重、30mg/kg体重、または0.1〜20mg/kg、0.5〜15mg/kg、1〜10mg/kg、2〜8mg/kg、3〜7mg/kg、4〜6mg/kgの範囲内であり得る。例示的な治療計画は、1日1回、2日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月に1回、6週間に1回、3ヶ月に1回または3〜6か月に1回の投与を伴う。本発明の抗LY75抗体の好ましい投与レジメンには、静脈内投与による1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれ、抗体は以下の投与スケジュールのいずれかを使用して投与される:(i)4週間ごとに6回の投与、その後3ヶ月ごと;(ii)3週間ごと;(iii)3mg/kg体重を1回、その後3週間ごとに1mg/kg体重。
【0215】
いくつかの実施形態では、抗LY75抗体(例えば、LY75−DM4)の投与量は、10〜1500nmまたは18〜1200nM(例えば、約18.75、37.5、75、150、300、600または1200nM)の血漿抗体濃度を達成するように調整される。好ましくは、抗LY75抗体(例えば、LY75−DM4)は、15nM〜50nM、50〜100nM、100〜500nMまたは500〜1200nmの血漿抗体濃度を達成するように調整される。
【0216】
いくつかの態様では、ベネトクラクス(またはその薬学的に許容される塩)の投与量は、0.5〜500nmまたは0.64〜400nM(例えば、約0.64、3.2、16、80、400または2000nM)の血漿濃度を達成するように調整される。好ましくは、ベネトクラクス(またはその薬学的に許容される塩)は、0.5nM〜20nM、20〜50nM、50〜100nMまたは100〜500nmの血漿濃度を達成するように調整される。経口投与してもよい。いくつかの実施形態では、ベネトクラクス(またはその薬学的に許容される塩)の用量は、約100 mg、200mg、300mg、400mg、または500mgである。ベネトクラクスまたはその薬学的に許容される塩は、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、オンコビンおよびプレジゾンまたはプレドニゾロンの1つもしくは複数とともに投与され得る(すなわち、CHOP療法)。
【0217】
好ましくは、成分(A)と(B)との組合せは相乗的組合せである。当業者は、相乗的組合せが、組合せの効果が個々の成分の効果の合計よりも大きいものであることを理解するであろう。相乗効果は、Chou―Talalay併用係数(CI)を使用して定量化することができる(“Evaluation of combination chemotherapy: integration of nonlinear regression, curve shift, isobologram, and combination index analyses”, Zhao L, et al. Clin Cancer Res. (2004) Dec 1;10(23):7994―8004;および“Computerized quantitation of synergism and antagonism of taxol, topotecan, and cisplatin against human teratocarcinoma cell growth: a rational approach to clinical protocol design”, Chou TC, Motzer RJ, Tong Y, Bosl GJ., J. Natl. Cancer Inst. (1994) Oct 19;86(20):1517―24を参照)。この併用係数(CI)メソッドは、質量作用の法則の半有効原理から導出された複数の薬物効果の方程式に基づいている。これは、強力な相乗作用(CI<0.3)、相乗作用(CI=0.3〜0.9)、相加効果(CI=0.9〜1.1)、または拮抗作用/利益なし(CI>1.1)の定量的定義を提供し、薬物の組合せの自動シミュレーション用のコンピューターソフトウェアのアルゴリズムを提供する。それは、各薬剤単独およびそれらの組合せの効力(D(m)値)と用量効果曲線の形状(m値)の両方を考慮する。Chou―Talalay併用係数(CI)は、Synergy Rパッケージ(“Preclinical versus Clinical Drugs Combination Studies”, Chou TC. Leuk. Lymphoma. (2008);49(11):2059―2080、およびその中の参考文献を参照、それらの全てが参照により本明細書に具体的に組み込まれる)を使用して推定できる。組合せのCIは、適切な細胞株、例えばABC―DLBLC細胞株(TMD8またはHBL1など)で、例えば実施例26で使用される条件下で試験することができる。
【0218】
好ましくは、本発明の医薬組合せは、Chou―Talalay併用係数(CI)が0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3または0.2未満である相乗的組合せである。好ましくは、CIは0.1〜0.5、0.1〜0.3または0.1〜0.2である。
【0219】
特に、患者のがんを治療する方法であって、本発明の医薬組合せの成分(A)および(B)の治療上有効な相乗的量を、それを必要とする患者に同時に、逐次的にまたは個別に投与することを含む方法が提供される。がんの治療に使用するための本発明の医薬組合せも提供され、ここで、相乗的量の成分(A)および(B)は、がんの治療のために患者に同時に、個別にまたは逐次的に投与される。好ましくは、成分(A)および(B)の量は、上記で開示された血漿濃度を提供するために患者に投与される。
【0220】
また、がん治療における同時、個別または逐次使用のための医薬組合せの製造における、相乗的量の本発明の医薬組合せの成分(A)および(B)の使用も提供される。また、治療における使用のための、または薬剤としての使用のための、本発明の相乗的な医薬組合せが提供される。
【0221】
いくつかの方法では、異なる結合特異性を持つ2つ以上の抗LY75モノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は示された範囲内に収まる。通常、抗体は複数回投与される。単回投与の間隔は、例えば、毎日、週2回、毎週、毎月、3か月ごと、6か月ごと、または1年ごとであり得る。また、患者の標的抗原に対する抗体の血中濃度を測定することにより指示されるように、間隔は不規則であり得る。いくつかの方法では、投与量は、約1〜1000μg/ml、5〜750μg/ml、10〜600μg/ml、15〜500μg/ml、20〜400μg/mlおよびいくつかの方法では約25〜300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整される。
【0222】
あるいは、抗LY75抗体は徐放性製剤として投与することができ、この場合、より少ない頻度の投与が必要とされる。投与量と頻度は、患者における抗体の半減期によって異なる。一般に、ヒト抗体は最長の半減期を示し、その後にヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体が続く。投与の用量と頻度は、治療が予防的か治療的かによって異なり得る。予防的応用では、比較的低い投与量が、長期間にわたって比較的低い頻度で投与される。一部の患者は、生涯にわたって治療を受け続ける。治療用途では、疾患の進行が軽減または終了するまで、好ましくは患者が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的高い投与量が比較的短い間隔で必要になる場合がある。その後、患者に予防措置を施すことができる。
【0223】
本発明の医薬組合せにおける活性成分の実際の投与量レベルを変化させて、特定の患者、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を患者にとって有毒となることなく達成するのに有効な量の活性成分を得ることができる。選択された投与量レベルは、以下を含む様々な薬物動態因子によって決まる:使用される本発明の特定の組成物、またはそれらのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定の化合物の排出速度、治療期間、使用される特定の組成物と組合せて使用される他の薬物、化合物および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、全体的な健康状態および過去の病歴、ならびに医学の分野でよく知られている同様の要因。
【0224】
抗LY75抗体の「治療有効量」は、好ましくは、疾患症状の重症度の改善、疾患症状のない期間の頻度および持続時間の増加、または病気の苦痛による損傷または障害の予防をもたらす。例えば、LY75媒介性腫瘍の治療では、「治療有効用量」は、好ましくは、細胞増殖または腫瘍成長を、少なくとも約20%、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%または少なくとも約90%、未治療の被験体と比較して阻害する。腫瘍成長を阻害する化合物の能力は、ヒト腫瘍での効力を予測する動物モデルシステムで評価することができる。あるいは、組成物のこの特性は、化合物の細胞増殖を阻害する能力を調べることにより評価することができ、そのような阻害は、当業者に知られているアッセイによりin vitroで測定することができる。治療化合物の治療有効量は、腫瘍サイズを減少させるか、そうでなければ被験体の症状を改善することができる。当業者は、被験体のサイズ、被験体の症状の重症度、および特定の組成物または選択された投与経路などの要因に基づいて、そのような量を決定することができるだろう。
【0225】
本発明の医薬組合せは、当該技術分野で知られている様々な方法の1つまたは複数を使用して、1つまたは複数の投与経路を介して投与され得る。成分(A)および(B)は、同じ経路または異なる経路で投与され得る。当業者によって理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて変わる。本発明の抗体の好ましい投与経路には、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄、または例えば注射もしくは注入による他の非経口投与経路が含まれる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、経腸および局所投与以外の、通常注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射ならびに注入を含むが、これらに限定されない。
【0226】
あるいは、抗LY75抗体は、局所、表皮または粘膜投与経路などの非腸管外経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下または局所投与することができる。
【0227】
好ましくは、ベネトクラクスまたはその薬学的に許容される塩は、例えば錠剤で経口投与される。
【0228】
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤など、急速な放出から化合物を保護する担体とともに調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法が特許化されているか、または当業者に一般的に知られている[例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems (1978) J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., N.Yを参照]。
【0229】
治療組成物は、当該技術分野で知られている医療機器で投与することができる。例えば、好ましい実施形態では、成分(A)および/または(B)は、米国特許第5,399,163;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824;または4,596,556号明細書に開示されている器具などの無針皮下注射器具で投与することができる。本発明において有用なよく知られているインプラントおよびモジュールの例には、以下が含まれる:制御された速度で薬剤を分配するための埋め込み型微量注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号明細書;皮膚を通して薬剤を投与するための治療器具を開示する米国特許第4,486,194号明細書;正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号明細書;連続的薬物送達のための可変流量埋め込み型注入装置を開示する米国特許第4,447,224号明細書;多室区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,439,196号明細書;および浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許第4,475,196号。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。他の多くのそのようなインプラント、送達システム、およびモジュールが、当業者に知られている。
【0230】
特定の実施形態では、抗LY75抗体は、in vivoでの適切な分布を確実にするために製剤化され得る。例えば、血液脳関門(BBB)は多くの高親水性化合物を除外する。(必要に応じて)治療化合物がBBBを通過することを保証するために、それらは、例えばリポソームに製剤化することができる。リポソームの製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811;5,374,548;および5,399,331号明細書を参照。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に輸送される1つまたは複数の部位を含むことができ、したがって、標的薬物送達を強化する[例えば、V.V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照]。例示的な標的化部位には、以下が含まれる:葉酸またはビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号明細書を参照);マンノシド[Umezawa et al. (1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038];抗体[P.G. Bloeman et al. (1995) FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180];界面活性剤プロテインA受容体[Briscoe et al. (1995) Am. J. Physiol. 1233:134];p120[Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090];K. Keinanen; M.L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler (1994) Immunomethods 4:273も参照。
【0231】
(用途および方法)
本明細書で使用する「被験体」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図している。非ヒト動物には、全ての脊椎動物、例えば哺乳類および非哺乳類、非ヒト霊長類など、羊、犬、猫、牛、馬、鶏、両生類、および爬虫類などが含まれる。好ましい被験体には、LY75活性により媒介される障害を有するヒト患者が含まれる。
【0232】
いくつかの好ましい実施形態では、被験体は、17p欠失、例えば慢性リンパ性白血病に特徴的なものを有するヒト被験体である。
【0233】
該方法は、異常なLY75発現に関連する障害を有するヒト患者の治療に特に適している。腫瘍細胞上のLY75の発現を考慮すると、本発明の組合せおよび方法は、腫瘍形成障害、例えばLY75を発現する腫瘍細胞の存在を特徴とする障害を持つ被験体を治療するために、またはそのような以下を含む障害の治療用薬剤の製造において使用することができる:例えば、慢性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病を含む白血病、DLBCLを含む非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、T細胞/組織球豊富型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫。LY75は、以下の実施例5および7に示すように抗体結合時に取り込まれることが実証されているため、抗LY75抗体を、任意のペイロード作用機序、例えばADCアプローチ、放射免疫複合体、またはADEPTアプローチで使用することができる。
【0234】
一般にADCとして投与される抗LY75抗体を使用してLY75機能を阻害またはブロックすることができ、これは、特定の疾患症状の予防または改善に繋げることができ、それによってLY75を疾患のメディエーターとして関与させる。これは、抗体とLY75との間の複合体の形成を可能にする条件下で、試料および対照試料を抗LY75抗体と接触させることで実現できる。抗体とLY75との間に形成された任意の複合物が検出され、試料および対照で比較される。
【0235】
抗体組成物(例えば、モノクローナル抗体、および免疫複合体)をin vivoおよびin vitroで投与する適切な経路は、当該技術分野でよく知られており、当業者によって選択され得る。例えば、抗体組成物は、注射(例えば、静脈内または皮下)により投与することができる。使用される分子の適切な投与量は、被験体の年齢および体重、ならびに抗体組成物の濃度および/または製剤化によって決まる。
【0236】
前述のように、抗LY75抗体は、1つまたは複数の他の治療薬、例えば細胞傷害剤、放射毒性剤または免疫抑制剤と同時投与することができる。抗体は(免疫複合体として)薬剤に結合させるか、薬剤とは個別に投与することができる。後者の場合(個別投与)、抗体は、薬剤の前、後、もしくは同時に投与することができ、または他の既知の療法、例えば抗がん療法、例えば放射線と同時投与することができる。そのような治療剤には、とりわけ、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチンブレオマイシン硫酸塩、カルムスチン、クロラムブシル、およびシクロホスファミドヒドロキシ尿素などの抗腫瘍薬が含まれ、これらはそれ自体では患者に対して毒性または準毒性のレベルでのみ有効である。シスプラチンは4週間に1回100mg/kgの用量で静脈内投与され、アドリアマイシンは21日に1回60〜75 mg/mlの用量で静脈内投与される。本発明の抗体との同時投与に適した他の薬剤には、がん、例えば胃がん、結腸直腸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がんまたは肺がんの治療に使用される他の薬剤、例えばAvastin(登録商標)、5FUおよびゲムシタビンが含まれる。本発明の抗LY75抗体またはその抗原結合断片と化学療法剤との同時投与は、ヒト腫瘍細胞に細胞傷害効果をもたらす異なる機構を介して作用する2つの抗がん剤を提供する。そのような同時投与は、薬物に対する耐性の発現または腫瘍細胞を抗体に対して非反応性にする腫瘍細胞の抗原性の変化に起因する問題を解決することができる。
【0237】
本発明の医薬組合せは、血清および/または補体と共に投与することもできる。これらの組成物は、補体が抗体にごく接近して位置する場合に有利となり得る。あるいは、抗体、および補体または血清を個別に投与することができる。
【0238】
また、成分(A)および(B)を使用説明書と共に含むキットも本発明の範囲内である。キットはさらに、免疫抑制試薬、細胞傷害剤、放射毒性剤などの1つもしくは複数の追加試薬、または1つもしくは複数の追加抗体(例えば、一次抗体とは異なるLY75抗原のエピトープに結合する相補的活性を有する抗体)を含むことができる。
【0239】
したがって、本発明の医薬組合せで治療される患者に、(本明細書に開示される抗体の投与の前に、同時に、または後に)細胞傷害剤または放射毒性剤などの別の治療剤をさらに投与することができ、これは抗体の治療効果を増強または増大させる。
【0240】
他の実施形態では、被験体を、FcγまたはFcγ受容体の発現もしくは活性を調節、例えば増強もしくは阻害する薬剤でさらに治療することができ、例えば被験体をサイトカインで治療することにより治療することができる。多重特異性分子による治療中の投与に好ましいサイトカインには、顆粒球コロニー刺激因子(G―CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM―CSF)、インターフェロン―γ(IFN―γ)、および腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。
【0241】
全ての論文、出版物、特許、特許出願、プレゼンテーション、テキスト、レポート、原稿、パンフレット、書籍、インターネット投稿、ジャーナル記事、定期刊行物、製品ファクトシートなどを含むがこれらに限定されない本明細書で引用された全ての参考文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書での参考文献の議論は、それらの著者らによる主張を単に要約することを意図しており、参考文献が先行技術を構成することを認めるものではなく、出願人は引用文献の正確性と適切性に疑問を投げかける権利を留保する。
【0242】
前述の発明は、理解を明確にするために、例示および実施例によりある程度詳細に説明されたが、本発明の教示に照らして、特定の変更および修正が、従属請求項の趣旨または範囲から逸脱することなくそれらに対して行われ得ることは、当業者には明白であろう。
【0243】
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これらはさらに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0244】
(実施例1:LY75抗原に対するヒトモノクローナル抗体の生成)
標準的な手順に従い、全長LY75をトランスフェクトしたCHO細胞でマウス(異種マウスIgG1)を免疫した。
【0245】
LY75に対して生じた抗体の特異性を、LY75をトランスフェクトしたHEK293細胞で、続いてLY75を発現するHT29細胞でのフローサイトメトリーによって試験した。細胞表面LY75タンパク質に結合する抗体の能力を試験するために、抗体をLY75発現細胞とともにインキュベートした。細胞をFACS緩衝液(DPBS、2%FBS)で洗浄し、遠心分離し、100μlの希釈した一次LY75抗体(FACS緩衝液でも希釈)に再懸濁した。抗体―細胞株複合体を氷上で60分間インキュベートした後、上記のようにFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞抗体ペレットを100μlの希釈した二次抗体(FACS緩衝液でも希釈)に再懸濁し、氷上で60分間氷上でインキュベートした。ペレットを前述のように洗浄し、200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。試料をBD FACScanto IIフローサイトメーターに注入し、BD FACSdivaソフトウェアを使用してデータを分析した(結果は表示されていない)。
【0246】
(実施例2:LY75に対するモノクローナル抗体の構造的特性評価)
LY75_A1モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNA配列を、標準的なPCR技術を使用して取得し、標準的なDNA配列決定技術を使用して配列決定した。
【0247】
抗体配列を突然変異させ、1つまたは複数の残基で生殖系列残基に戻すことができる。
【0248】
LY75_A1の重鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および1に示されている。LY75_A1の軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、それぞれ配列番号4および2に示されている。
【0249】
LY75_A1の重鎖のアミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号38および202に示されている。LY75_A1の軽鎖のアミノ酸およびヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号39および203に示されている。
【0250】
LY75_A1重鎖免疫グロブリン配列と既知ヒト生殖細胞系免疫グロブリン重鎖配列との比較により、LY75_A1重鎖が、ヒト生殖細胞系V
H 3―15のV
H区分とヒト生殖細胞系J
H JH4のJ
H区分とを利用することが示された。CDR領域決定のKabatシステムを使用したLY75_A1 V
H配列のさらなる分析は、それぞれ配列番号5、6および7に示される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域の描写をもたらした。生殖系列V
H 3―15および生殖系列J
H JH4配列に対するLY75_A1 CDR1、CDR2およびCDR3 V
H配列のアライメントを、
図1に示す。
【0251】
LY75_A1軽鎖免疫グロブリン配列と既知ヒト生殖細胞系免疫グロブリン軽鎖配列との比較により、LY75_A1軽鎖が、ヒト生殖細胞系V
K O12のV
K区分とヒト生殖細胞系J
K JK4のJ
K区分とを利用することが示された。CDR領域決定のKabatシステムを使用したLY75_A1 V
K配列のさらなる分析は、それぞれ配列番号8、9および10に示される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域の描写をもたらした。生殖細胞系V
K O12および生殖細胞系J
K JK4配列に対するLY75_A1 CDR1、CDR2、およびCDR3 V
K配列のアラインメントを、
図2に示す。
【0252】
(実施例3:LY75に対するモノクローナル抗体を使用した免疫組織化学的手法)
LY75に特異的なヒトモノクローナル抗体を使用して、FFPE HT―29およびA549細胞ペレット、FFPE非ホジキンリンパ腫および膵臓がんアレイ、新鮮凍結リンパ腫/白血病腫瘍、卵巣がん、膵臓がん、および乳がん切片ならびに正常組織アレイで、免疫組織化学的手法を実施した。
【0253】
(材料および方法)
(材料)
キシレン(X5P―1gal)、Fisher Scientific、米国ペンシルバニア州。
Histoprep 100%エタノール(HC―800―1GAL)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
熱誘導エピトープ検索用10xクエン酸緩衝液(AP9003125)、Thermo Scientific、米国マサチューセッツ州。
Thermo Scientific* Pierce* Peroxidase Suppressor (35000)、Thermo Scientific、米国マサチューセッツ州。
無血清タンパク質ブロック(X0909)、Dako、米国カリフォルニア州。
二次抗体:ヤギ抗ヒトIgG Fab―FITC複合体(109―097―003)、Jackson Immunoresearch、米国ペンシルバニア州。
クロムピュアヒトIgG、全分子(09―000―003)、Jackson Immunoresearch、米国ペンシルベニア州
三次抗体:マウス抗FITC(ab10257)、Abcam、米国マサチューセッツ州
精製ヒトIgGアイソタイプ対照(1―001A)、R&D Systems、米国ミネソタ州
Tween―20(BP337―100)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州
アセトン(BP2403―4)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州
Dual Link EnVision+ HRP共役ポリマー、マウスおよびウサギ(K4063)、Dako、米国カリフォルニア州。
DAB 2溶液キット(882014)、Invitrogen、米国ニューヨーク州。
ハリスヘマトキシリン(23―245―677)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Faramount封入剤(S302580)、Dako、米国カリフォルニア州。
【0254】
組織切片およびアレイは、米国メリーランド州のUS Biomax社または米国メリーランド州のOrigeneから購入した。
【0255】
(FFPEスライドの調製:脱パラフィンおよび再水和)
FFPEスライドをキシレンで脱パラフィンし(2x3分)、1:1キシレン:100%エタノール(1x3分)、100%エタノール(2x3分)、95%エタノール(1x3分)、70%エタノール(1x3分)、50%エタノール(1x3分)、および水道水(1x3分)で再水和した。
【0256】
(FFPEスライドの調製:抗原検索(マイクロ波))
LY75抗原を、マイクロ波加熱、沸騰するまでの高出力、その後コプリンジャーに入れた50mLの1xクエン酸緩衝液における10分間の低出力を使用して回収した。その後、スライドをさらに15分間室温まで冷却した後、水道水で3分間洗浄した。疎水性バリアペンで各組織切片/TMAの周りに円を描いてから、スライドをPBSで3回洗浄し、各洗浄に3分かけた。
【0257】
(FFスライドの調製)
スライドを―80℃の保管場所から取り出し、ドラフト内で室温で20〜30分間乾燥させた。スライドを―20℃の氷冷アセトンで10分間固定し、その後、ドラフト内で室温で20分間乾燥させた。スライドを洗浄し、PBSで再水和させ、3回各3分間洗浄した。切片に疎水性バリアペンで輪郭を描いた。
【0258】
(抗体複合体の調製)
一次抗LY75抗体を無血清タンパク質ブロック(SFPB)で希釈して、最終目的濃度の20倍の濃度の溶液(最終1μg/mLに対して20μg/mL)を得た。二次抗体であるヤギ抗ヒト免疫グロブリンG(IgG)抗原結合断片(Fab)をSFPBで同様に調製し、等濃度の溶液を作製した。
【0259】
等量の一次抗体と二次抗体とをラベル付きチューブ内で合わせ、穏やかに混合し、室温で3分間インキュベートし、一次抗体濃度を最終目的濃度の10倍にした(最終1μg/mLに対して10μg/mLmL)。この混合物をSFPBで1:5に希釈し、穏やかに混合し、室温で30分間インキュベートし、一次抗体濃度を最終目的濃度の2倍にした(最終1μg/mLに対して2μg/mL)。
【0260】
最終染色複合物を生成するために、ヒトIgGの1%(10μg/μL)溶液をSFPBで調製し、同量を一次/二次抗体混合物に加えた。この組合せを穏やかに混合し、室温で30分間インキュベートして、一次/二次抗体混合物の一次抗体濃度の半分に希釈し、目的の最終一次抗体濃度(1μg/mL)を得た。
【0261】
(免疫染色)
一方、内因性組織ペルオキシダーゼ活性は、組織をペルオキシダーゼ抑制剤とともに、加湿チャンバー内で室温で5〜10分間インキュベートすることによりブロックした。次に、スライドをPBSで3回×3分洗浄した。組織を、加湿チャンバー内で室温で30分間、SFPB中でインキュベートした。最終染色複合物を各組織切片および/またはマイクロアレイに塗布し、スライドを加湿チャンバー内で室温で30分間インキュベートした。次に、スライドをPBSで1回、PBST(PBS+0.125%Tween―20)で1回、各洗浄で3分洗浄した。三次抗体マウス抗FITCを、加湿チャンバー内で、室温で30分間、2μg/mLの濃度で塗布した。次に、切片をPBSで1回、PBSTで1回、各洗浄で3分洗浄した。次に、Dual Link EnVision+抗マウス/ウサギHRP共役ポリマーを組織に塗布し、スライドを加湿チャンバー内で室温で30分間インキュベートした。次に、スライドをPBSで1回、PBSTで1回、各洗浄で3分洗浄した。製造業者の指示に従って調製したDAB溶液で組織を室温で10分間インキュベートした。次に、スライドを流水道水で2分間、PBSで1回3分間洗浄した。スライドを室温で30秒間ヘマトキシリンで対比染色し、流水道水で洗浄した。スライドを室温で30分間乾燥させた後、カバースリップをFaramount封入剤を使用してスライドに封入した。
【0262】
(結果)
LY75_A1はFFPEトリプルネガティブ乳がん試料で陽性を示し、その中で77%の切片が陽性染色を示し、55%が強い(+++)染色を示した。
【0263】
FF正常組織におけるLY75の染色は、全体的に無し〜弱いものであった。乳房、唾液腺、および膵臓の管上皮は、著しく弱い〜中程度の染色を示し、脾臓は低陽性で染色された。したがって、LY75に対する抗体は、試験されたがんのいくつかにおける、ならびに場合によりLY75の発現を示す他のがんの種類における治療薬および診断薬として有用であり得る。
【0264】
(実施例4:DM1結合抗LY75モノクローナル抗体のHT―29細胞における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0265】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0266】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0267】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0268】
(結果)
図3aに示されている結果は、LY75に結合することが知られている抗体の亜集団を示しており、HT―29細胞の細胞死を誘発することができる。これは、抗体がLY75に結合することができるのに対し、DM1に結合した場合はほんのわずかだけが効果を示したことを示唆している。その後、さらなる細胞傷害活性分析のために亜集団から選択された抗体。
【0269】
(実施例5:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の結腸直腸がん細胞における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0270】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0271】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0272】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0273】
(結果)
図3bは、HT―29細胞に対するDM1およびDM4に結合した抗LY75抗体の細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度および毒素に結合した他の抗LY75抗体(実施例1から選択)に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0274】
(実施例6:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体のリンパ腫細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0275】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0276】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0277】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0278】
(結果)
図3cは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のRAJI細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3dは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のNamalwa細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3eは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のKarpas299細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度ならびにDM1およびDM4に結合した他の抗LY75抗体(実施例1から選択)に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0279】
(実施例7:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の膵臓がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0280】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0281】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0282】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0283】
(結果)
図3fは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のBxPC3細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3gは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のHupT4細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3hは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のHPAFFII細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度ならびにDM1およびDM4に結合した他の抗LY75抗体(実施例1から選択)に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0284】
(実施例8:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の慢性リンパ性白血病細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0285】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0286】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0287】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0288】
(結果)
図3iは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のEHEB細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3jは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のMec―1細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度ならびにDM1およびDM4に結合した他の抗LY75抗体(実施例1から選択)に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0289】
(実施例9:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の急性単球性白血病細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0290】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0291】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0292】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0293】
(結果)
図3kは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のAML―193細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度ならびにDM1およびDM4に結合した他の抗LY75抗体(実施例1から選択)に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0294】
(実施例10:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の乳がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0295】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0296】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0297】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0298】
(結果)
図3lは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のHCC 70(ER陰性、PR陰性、およびHer2陰性)細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3mは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のHCC 1806(ER陰性、PR陰性およびHer2陰性)細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3nは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のMDA―MB―468細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0299】
(実施例11:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の膀胱がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0300】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0301】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0302】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0303】
(結果)
図3oは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のRT4細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3pは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体の5637細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3qは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のSW780細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0304】
(実施例12:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の頭頸部がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0305】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0306】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0307】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0308】
(結果)
図3rは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のSCC―9細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0309】
(実施例13:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の食道がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0310】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0311】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0312】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0313】
(結果)
図3sは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のOE 19細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0314】
(実施例14:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の卵巣がん細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0315】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0316】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0317】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0318】
(結果)
図3tは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のOVCAR―3細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3uは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のSK―OV―3細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0319】
(実施例15:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の多発性骨髄腫細胞株における有効性)
(材料)
細胞ストリッパー(非酵素的細胞解離)(MT―25―056CI)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
PBS、pH 7.4(1X)(SH30028LS)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
RPMI 1640培地(MT―10―041―CM)、Fisher Scientific、米国ペンシルベニア州。
Cell Titer Glo(G7572)、Promega、米国ウィスコンシン州。
【0320】
(方法)
細胞ストリッパーを使用して細胞を解離し、カウントした。5e3細胞/ウェルを遠心してペレットにした(懸濁細胞の場合、細胞の倍加時間に応じて、10e3細胞/ウェルなどより多くを使用することができる)。ペレットを培養培地に再懸濁し、1e5細胞/mLの濃度にした。
【0321】
50μl/ウェルの細胞懸濁液を、96ウェル白色側面透明底プレートのウェルに加えた。抗体を希釈し、0〜20nMの間の濃度(試験濃度の2倍)に相当する8点に滴定した(3倍滴定)。希釈した抗体または培地(未処理試料用)(50ul/ウェル)を適切なウェルに加えた。過剰な培地(200ul/ウェル)をプレートの外側の行および列に追加し、蒸発を防いだ。プレートを37℃で72時間インキュベートした。
【0322】
プレートをインキュベーターから取り出し、室温で30分間インキュベートした。その間、Cell Titer Glo溶液を解凍した。プレートを軽く叩き、100μl/ウェルPBSで1回洗浄した(懸濁細胞の場合、プレートを最初に遠心して細胞をペレットにした)。100μl/ウェルのPBSおよび100μlのCell titer gloを各ウェルに加え、トリチュレートして混合した。プレートを暗所で室温で15分間インキュベートし、顕微鏡で可視化し、効率的な細胞溶解が起こったことを確認した。次に、プレートをGlomaxルミノメーターで読み取った。
【0323】
(結果)
図3vは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のMOLP―8細胞に対する細胞傷害活性を示している。
図3wは、DM1およびDM4に結合した抗LY75抗体のRPMI8226細胞に対する細胞傷害活性を示している。これらの結果は、抗体濃度に比例した細胞傷害活性の増加を示している。
【0324】
(実施例16:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体のRaji異種移植モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、皮下Rajiバーキットリンパ腫SCIDマウス異種移植モデルで試験した。
【0325】
免疫不全SCIDマウスにRaji(ヒトバーキットリンパ腫)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを5つの治療グループに分け、1グループ当たり3〜6匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ129〜132mm3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));グループ2(LY75_DM1;10mg/kg)、グループ3(アイソタイプ対照―DM1;10mg/kg)、グループ4(LY75_DM4;5mg/kg)、グループ5(アイソタイプ対照―SPBDDM4;5mg/kg)。1週間後に2回目の投与を行った。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に2回腫瘍を測定した。マウスを、腫瘍が2000mm3の腫瘍体積エンドポイントに達したときに、または60日後のいずれか早いときに安楽死させた。有効性は、腫瘍成長遅延(TGD)、エンドポイントまでの時間(TTE)の中央値の増加から、およびADC処理マウス対PBS処理マウスのKaplan Meier生存曲線の差のログランク分析から決定した。最初にエンドポイントに達した5匹の溶媒処理対照マウスをサンプリングし、腫瘍をホルマリン固定およびパラフィン包埋によって処理した。
【0326】
(結果)
図4aは、LY75_DM1とLY75_DM4がそれぞれ、対照と比較してRajiバーキットリンパ腫SCIDマウス異種移植モデルにおいて有意な抗腫瘍活性と有意な生存期間の延長とを実証したことを示している;しかしながら、5mg/kgのLY75_DM4用量は10mg/kgの用量のLY75_DM1よりも有意に効果的であり、6匹中5匹のマウスで完全だが一過性の腫瘍退縮をもたらした。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒト非ホジキンリンパ腫がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0327】
(実施例17:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体のNamalwa異種移植モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、Namalwaバーキット皮下リンパ腫SCIDマウス異種移植モデルで試験した。
【0328】
免疫不全SCIDマウスにNamalwa(ヒトバーキットリンパ腫)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを5つの治療グループに分け、1グループ当たり6匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ114mm3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));グループ2(LY75_DM1;10mg/kg)、グループ3(アイソタイプ対照―DM1;10mg/kg)、グループ4(LY75_DM4;5mg/kg)、グループ5(アイソタイプ対照―SPBDDM4;5mg/kg)。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に2回腫瘍を測定した。マウスを、腫瘍が2000mm3の腫瘍体積エンドポイントに達したときに、または60日後のいずれか早いときに安楽死させた。有効性は、腫瘍成長遅延(TGD)、エンドポイントまでの時間(TTE)の中央値の増加から、およびADC処理マウス対PBS処理マウスのKaplan Meier生存曲線の差のログランク分析から決定した。最初にエンドポイントに達した5匹の溶媒処理対照マウスをサンプリングし、腫瘍をホルマリン固定およびパラフィン包埋によって処理した。
【0329】
(結果)
図4bは、LY75_DM1とLY75_DM4がそれぞれ、対照と比較してNamalwaバーキットリンパ腫SCIDマウス異種移植モデルにおいて有意な抗腫瘍活性と生存期間の延長とを実証したことを示している;しかしながら、5mg/kgのLY75_DM4用量は10mg/kgの用量のLY75_DM1よりも有意に効果的であり、腫瘍体積が短時間で減少した。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒト非ホジキンリンパ腫がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0330】
(実施例18:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の膵臓がん異種移植モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、皮下HPAFII膵臓腺がん無胸腺ヌードマウス異種移植モデルで試験した。
【0331】
免疫不全無胸腺ヌードマウスにHPAFII(ヒト膵臓腺がん)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを5つの治療グループに分け、1グループ当たり6匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ〜114mm3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));グループ2(LY75_DM1;10mg/kg)、グループ3(アイソタイプ対照―DM1;10mg/kg)、グループ4(LY75_DM4;5mg/kg)、グループ5(アイソタイプ対照―SPBDDM4;5mg/kg)。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に3回腫瘍を測定した。マウスを、腫瘍が2000mm3の腫瘍体積エンドポイントに達したときに、または90日後のいずれか早いときに安楽死させた。有効性は、腫瘍体積に対する治療の効果から、およびADC処理マウスまたはPBS処理マウスのKaplan Meier生存曲線の差のログランク分析から決定した。溶媒処理対照マウスから腫瘍をサンプリングし、ホルマリン固定およびパラフィン包埋により処理した。
【0332】
(結果)
図4cは、LY75_DM1とLY75_DM4が、対照と比較してHPAFIIヌードマウス異種移植モデルにおいて有意かつ同様に強力な抗腫瘍活性と生存期間の延長とを提示したことを示している。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒト膵がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0333】
(実施例19:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の膀胱がん異種移植モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、皮下SW780ヒト膀胱がんSCIDマウス異種移植モデルで試験した。
【0334】
免疫不全無胸腺ヌードマウスにHPAFII(ヒト膵臓腺がん)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを5つの治療グループに分け、1グループ当たり6匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ〜114mm3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));グループ2(LY75_DM1;1mg/kg)、グループ3(LY75_DM1;2.5mg/kg)、グループ4(LY75_DM1;5mg/kg)、グループ5(LY75_DM4;1mg/kg))、グループ6(LY75_DM4;2.5mg/kg))、グループ7(LY75_DM4;5mg/kg))、グループ8(アイソタイプ対照―SPBDDM4;5mg/kg)。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に3回腫瘍を測定した。マウスを、腫瘍が2000mm3の腫瘍体積エンドポイントに達したときに、または90日後のいずれか早いときに安楽死させた。有効性は、腫瘍体積に対する治療の効果から、およびADC処理マウスまたはPBS処理マウスのKaplan Meier生存曲線の差のログランク分析から決定した。溶媒処理対照マウスから腫瘍をサンプリングし、ホルマリン固定およびパラフィン包埋により処理した。
【0335】
(結果)
図4dは、LY75_DM1とLY75_DM4が、対照と比較してSW780ヌードマウス異種移植モデルにおいて有意かつ同様に強力な抗腫瘍活性と生存期間の延長とを提示したことを示している。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒト膀胱がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0336】
(実施例20:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の乳がん異種移植片モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、皮下MDA―MB―468無胸腺ヌードマウス異種移植モデルで試験した。
【0337】
免疫不全無胸腺ヌードマウスに、MDA―MB―468(ヒトトリプルネガティブ乳腺がん)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを7つの治療グループに分け、1グループ当たり10匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ167mm3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;20mMコハク酸ナトリウム、pH 5.0、6%トレハロース、0.04%ポリソルベート);グループ2(LY75_DM1;5mg/kg)、グループ3(LY75_DM1;10mg/kg)、グループ4(LY75_DM4;5mg/kg)、グループ5(LY75_DM4;2.5mg/kg)、グループ6(LY75_DM4;1mg/kg)、グループ7(アイソタイプ対照―DM4;5mg/kg)。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に2回腫瘍を測定した。腫瘍接種の82日後にマウスを安楽死させた。有効性は、抗腫瘍活性(治療群の平均腫瘍サイズ/対照群の平均腫瘍サイズ×100)およびADC処理マウス対PBS処理マウスのエンドポイントまでの平均時間(TTE)の増加から決定した。接種後71日目の溶媒処理対照マウスから最も大きい5つの腫瘍をサンプリングし、ホルマリン固定およびパラフィン包埋により処理した。
【0338】
(結果)
図4eは、LY75_DM1とLY75_DM4がそれぞれ、対照と比較してMDA―MB―468ヌードマウス異種移植モデルで劇的な抗腫瘍活性を実証したことを示している。LY75_DM4では用量依存性活性が観察され、2.5および5mg/kgは1mg/kgよりもはるかに強力であった。5mg/kgでは、LY75_DM1とLY75_DM4は同様に効果的であった。10および5mg/kgのLY75_DM1ならびに5および2.5mg/kgのLY75_DM4について、平均腫瘍体積の持続的な回帰が観察された。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒトのトリプルネガティブ乳がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0339】
(実施例21:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体の結腸直腸がん異種移植モデルにおける有効性)
LY75_DM1およびLY75_DM4の有効性を、皮下COLO205結腸直腸腺がん無胸腺ヌードマウス異種移植モデルで試験した。
【0340】
免疫不全無胸腺ヌードマウスにCOLO205(ヒト大腸腺がん)腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍を定着させ、マウスを5つの治療グループに分け、1グループ当たり6匹のマウスにした。平均腫瘍体積が1グループあたり平均サイズ117mm
3に達したら、各グループを以下の化合物の1つで処理し、指定の投与量で静脈内投与した:グループ1(溶媒;リン酸緩衝生理食塩水(PBS));グループ2 LY75_DM1;10mg/kg)、グループ3(アイソタイプ対照―DM1;10mg/kg)、グループ4(LY75_DM4;5mg/kg)、グループ5(アイソタイプ対照―DM4;5mg/kg)。2回目の投与は、最初の投与の12日後に投与した。体重(BW)をモニターし、マウスを健康と副作用について頻繁に検査し、週に2回腫瘍を測定した。マウスを、腫瘍が1000mm
3の腫瘍体積エンドポイントに達したときに、または60日後のいずれか早いときに安楽死させた。有効性は、腫瘍成長遅延(TGD)、エンドポイントまでの時間(TTE)の中央値の増加から、およびADC処理マウス対PBS処理マウスのKaplan Meier生存曲線の差のログランク分析から決定した。最初にエンドポイントに達した5匹の溶媒処理対照マウスをサンプリングし、腫瘍をホルマリン固定およびパラフィン包埋によって処理した。
【0341】
(結果)
図4fは、LY75_DM1とLY75_DM4が、対照と比較してCOLO205結腸直腸腺がんヌードマウス異種移植モデルにおいて同様の適度な抗腫瘍活性と生存期間の延長とを提示したことを示している。全ての処理は忍容性が高く、毒性の臨床徴候は観察されなかった。これらのデータは、LY75_DM1やLY75_DM4などのLY75に対するADCが、ヒト結腸直腸がん患者の治療において臨床的利益をもたらす可能性を示唆している。
【0342】
(実施例22:DM1結合およびDM4結合抗LY75モノクローナル抗体のカニクイザルにおける毒性)
6匹の雄サルを1グループ当たり2匹の試験に割り当てた。溶媒(PBS)、LY75_DM4(切断可能)またはLY75_DM1(切断不可能)のいずれかを2回(1日目および29日目)、0mg/kg/用量(PBS、溶媒)、5mg/kg/用量(LY75_DM4、切断可能)または10mg/kg/用量(LY75_DM1、切断不可)での15分間静脈内注入により投与した。投与開始(1日目)前に、ならびに各投与後1、2、3、7、14、21および28日目の毒物動態評価用に血液試料を収集した。臨床病理分析用の血液試料は、投与開始(1日目)前に、ならびに各投与後1、3、7、14、21および28日目に収集した(1回目の投与後28日目は、2回目の投与前時点でもあった)。57日目の最終採血後、全ての試験動物を安楽死させ、剖検した。各採血から分離した血漿を単離し、凍結させ、ELISAによりADC濃度を分析するためにOxford BioTherapeutics社に輸送した。
【0343】
治療関連の臨床病理所見には、軽度の再生性貧血と、好中球数で最も顕著な血中白血球プロファイルの一過性の減少が含まれていた。貧血は、5mg/kgのLY75_DM4で治療した両方の動物と、10mg/kgのLY75_DM1で治療した2匹の動物のうちの1匹で観察された。投与後1週間で最下点を伴う重度の好中球減少症およびカウントの急速な回復が全ての動物で観察された;好中球の絶対数の最下点は、LY75_DM4処理動物で低かった。APTTおよびPT凝固パラメーターに対する被験物質関連の影響はなかった。血清化学変化には、5mg/kgのLY75_DM4と10mg/kgのLY75_DM1の投与後のAST、CK、LDH(各治療グループの2匹の動物のうち1匹で)、およびグロブリンの一過性の増加が含まれていた。さらに、肝臓特異的酵素ALTの一過性の増加は、LY75_DM4処置動物でのみ観察された。血清化学パラメーターの短期間の増加および/または増加の大きさは、それらが有害ではなかったことを示唆している。被験物質関連の尿検査所見はなかった。4週間の回復期間後の剖検での検査では、治療に関連する肉眼的病理所見や絶対および相対臓器重量の変化はなかった。甲状腺(卵胞のコロイド形態の変化)および腎臓(外皮質の拡張した尿細管)のみでの組織病理学的所見は、最小の重症度として格付けした;他の試験パラメーターの変化とは関係ない;そして、有害ではなく、毒性学的重要性は最小限である。結論:5mg/kgのLY75_DM4または10mg/kgのLY75_DM1の2回投与による反復投与治療は、カニクイザルで十分に忍容された。4週間の回復期間後、治療関連の毒性所見は全て可逆的であった。
【0344】
(実施例23:競合的蛍光活性化細胞選別(FACS)結合分析によるLY75_A1のエピトープ特性評価)
(方法)
COLO205細胞(ATCC、カタログ番号CCL―222)を、Cell Stripper(Cellgro、カタログ番号MT―25―056CI)で組織培養フラスコから剥離した。細胞を洗浄し、FACS緩衝液(PBS+2%FBS)に再懸濁し、増殖培地で中和し、カウントした。細胞をV Bottom 96ウェルプレートにウェルあたり50,000細胞で播種した。細胞をFACS緩衝液(PBS(Fisher、カタログ番号SH30028―03)+2%FBS)で1回洗浄した。抗LY75―mAb(実施例1から選択)またはLY75_A1を250nMから開始してウェルに加え、3倍に連続希釈し、関連するウェルに氷上で45分間適用した。単一または複数の染色工程を必要とする試験ウェルには必要に応じてFACS緩衝液を残し、最終染色が試験された全ての条件で同時に完了することを確実にした。2つのウェルは、対照として染色せずにFACS緩衝液中に残した。
【0345】
ブロッキング抗体とのインキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を、MCC―DM1に結合した抗LY75―mAb(1nM)を含むFACS緩衝液に再懸濁し、氷上で45分間インキュベートした。細胞を上記のように洗浄し、FACS緩衝液に1μg/mlのマウス抗メイタンシン抗体を加えて再懸濁し、氷中で45分間インキュベートした。細胞を上記のように洗浄し、2ug/mlヤギ抗マウスkappa RPEを含むFACS緩衝液に再懸濁した。細胞を氷上で45分間インキュベートした後、上記のように洗浄した。細胞をウェルあたり200μlでFACS緩衝液に再懸濁した。各試料の平均蛍光強度は、Guava EasyCyte Plus HT Flow Cytometer(96ウェルプレート形式)を使用して測定し、生データはGuava Cytosoftを使用して分析した。
【0346】
(結果)
図5aは、抗LY75―mAb―MCC―DM1によるブロッキングにより、抗LY75―mAbの結合が減少したことを示している。LY75_A1のCOLO205細胞への結合の分析により、LY75_A1は抗LY75―mAb―MCC―DM1の結合をブロックできないことが示された(
図5bを参照)。したがって、抗LY75―mAbおよびLY75_A1は非競合抗体であり、LY75_A1は、他の抗LY75抗体とは異なる特有のLY75のエピトープを認識すると判断することができる。
【0347】
(実施例24:ペプチドマイクロアレイアッセイによるLY75_A1のエピトープ特性評価)
(方法)
ペプチドマイクロアレイ分析は、テキサス州ヒューストンのLC Sciencesが実施し、簡単に言えば、この方法は次の工程で構成されていた:全長LY75タンパク質の残基216〜1666にまたがる1つのアミノ酸重複を有するLY75タンパク質の連続8マーペプチドを合成し、マイクロアレイチップに固定化した。実験が3連で行われるように、チップは3つのパネルを含んでいた。抗体が結合したペプチドを識別するために、マイクロアレイをLY75_A1でアドレス指定した。結合アッセイは、以下の条件下で実施した:
連続したペプチドを3連で含むマイクロアレイを、4℃の結合緩衝液1mLで20分間洗浄した。次に、結合緩衝液(pH 7.0)中の1μg/mLのLY75_A1と4℃で2時間インキュベートした。アレイを再度4℃の0.5mLの洗浄緩衝液で30分間洗浄した後、結合緩衝液(pH 7.0)中の25ng/mL抗ヒトIgG Alexa 647複合体と4℃で1時間インキュベートした。アレイを再度4℃の0.5mL洗浄緩衝液で30分間洗浄した。
【0348】
次に、アレイを635nmおよびPMT 500でスキャンし、シグナル強度を記録した。ペプチドが少なくとも2/3の公的重複で存在する場合、ペプチドは検出可能として分類した。複製の平均シグナル強度は、最終シグナル強度として報告した。
【0349】
(結果)
図6からわかるように、抗体LY75_A1は、アレイ上にあるいくつかのペプチドへの特異的結合を示した。LY75_A1結合で見られる最大シグナルは25000(スケール1―65535)であり、アレイ上の全てのスポットの平均シグナルは約885であった。3000のシグナル強度を非特異的結合のバックグラウンドカットオフポイントとして設定した。観測された抗体結合シグナル強度のレベルに基づいて、LY75_A1のエピトープを形成する潜在的な配列が確認された。これらの領域は、
図6a〜6jに、配列番号22〜31として示されている。
【0350】
(実施例25:LY75_A1ペプチドプルダウンアッセイ)
(方法)
(1.1 プルダウンアッセイ)
組換えLY75タンパク質を、オンビーズトリプシン分解(Promega、米国)により消化した。得られた消化ペプチドは、C18捕捉カラム(Thermo Fisher Scientific)を使用して回収した。次に、精製したペプチドを、LY75A1抗体で架橋した200μlのプロテインAビーズと4℃で一晩インキュベートした。翌日、非結合ペプチドを収集し、ビーズを1mlのPBSで2回洗浄した。抗体結合ペプチドを、90℃で100μlのPBSで5分間加熱することによりビーズから溶出した。この溶出工程を繰り返した。
【0351】
(1.2 質量分析)
試料を、nanoACQUITY UPLC BEH 130 C18カラム、75μmx250mm(186003545)およびLTQ Orbitrap Velos(Thermo Fisher Scientific)を取り付けたWaters nanoACQUITY UPLCシステムを使用した液体クロマトグラフィー質量分析法により分析した。ペプチドを、3%から35%アセトニトリルに増加する300nl/分勾配で120分かけて溶出した。フルスキャン質量スペクトルを、Orbitrapにて400〜2000m/zの質量範囲で60000の分解能で取得した。各サイクルで、機器に取り付けられたナノスプレーイオン源によるリニアイオントラップでのCID MS/MSスキャン用に、最も強力な20個のペプチドを選択した。
【0352】
(1.3 ペプチドのアミノ酸配列分析)
LTQ Orbitrap Velosから生成された生データを、Mowseアルゴリズム(Curr Biol. 1993 Jun 1;3(6):327―3)を使用して、コンタミタンパク質配列とともにEnsembl(http://www.ensembl.org/index.html)、IPI(www.ebi.ac.uk/IPI/IPIhuman.html)およびSwissProt(http://www.uniprot.org)で構成される配列データベースに対して検索をかけることによりピークリストからアミノ酸配列を推測するMascotソフトウェア(Matrix Science)で処理した。ペプチド同定の基準には、未切断部位が2つまでのトリプシン消化、ならびに様々な生物学的および化学的修飾(酸化メチオニン、MMTSまたはヨードアセトアミドによるシステイン修飾、およびセリン、スレオニン、チロシンのリン酸化)が含まれる。期待値が0.05%以下、イオンスコアが28以上で1位のペプチドをOGAPデータベースにロードした。
【0353】
(1.4 LY75関連ペプチドの識別)
LY75を識別するプロセスでは、上記のように、天然に存在するヒトタンパク質の質量分析によって実験的に得られたペプチド配列を使用して、公開されたヒトゲノム配列のコーディングエクソンを識別および編成した。これらの実験的に決定された配列を、国際特許出願WO2009/087462に記載されているように、ペプチド質量、ペプチドシグネチャー、ESTおよびパブリックドメインゲノム配列データの処理および統合によりコンパイルされたOGAP(登録商標)データベースと比較した。
【0354】
(結果)
抗体LY75_A1を使用したペプチドプルダウンアッセイの結果を、以下のテーブル1および
図7に示す。プルダウンアッセイのペプチド溶出1aと1bの両方およびマイクロアレイアッセイで同定されたペプチドが、エピトープを形成する可能性が最も高い候補であると考えられた。
テーブル1:ペプチドマイクロアレイとペプチドプルダウン実験との比較
【表2】
【0355】
テーブル1は、ペプチドマイクロアレイアッセイとペプチドプルダウンアッセイの両溶出1aおよび1bとの両方で、いくつかの重複LY75ペプチド領域が同定されたことを示している。これらの領域は、採用された両方の手法で試験されたLY75_A1によって結合されるため、抗体LY75_A1によって認識されるエピトープを含む可能性が最も高いと考えられる。
【0356】
(実施例26:LY75_DM4とベネトクラクスとの相乗的組合せ)
いくつかの活性化B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC―DLBCL)細胞株(すなわちU2932、HBL1、OCI−Ly10、TMD8細胞株)を72時間にわたり、増加する用量のLY75_DM4(すなわち18.75―37.5―75―150―300―600―1200nM)に単独で、または増加する用量のベネトクラクス(0.64―3.2―16―80―400―2000―10000nM)と組み合わせてばく露させた。これに続いて、MTT[3―(4,5―ジメチルチアゾリル―2)―2,5―ジフェニルテトラゾリウム臭化物]アッセイを行った。
【0357】
Chou―Talalay併用係数(C.I.)は、Synergy Rパッケージを使用して推定した(Preclinical versus Clinical Drugs Combination Studies. Chou TC. Leuk. Lymphoma. 2008;49(11):2059−2080)。これは、強力な相乗作用(<0.3)、相乗作用(0.3〜0.9)、相加効果(0.9〜1.1)、または拮抗作用/利益なし(>1.1)の定量的定義を提供する。
【0358】
異なる用量のLY75_DM4の、ベネトクラクスとの組合せにおける、様々なABC−DLBCL細胞株に対するCI対フラクショナル効果の代数的推定プロットを
図8〜11に示す。裏付けとなるデータを以下のテーブル2〜5に示す。(「フラクショナル効果」とは、細胞生存率に対する薬物用量、またはこの場合には2つの異なる薬物用量の組み合わせの効果である)。以下を参照:“Drug combination studies and their synergy quantification using the Chou−Talalay method”, Chou TC Cancer Res. 2010 Jan 15;70(2):440−6. doi: 10.1158/0008−5472.CAN−09−1947. Epub 2010 Jan 12;“Evaluation of combination chemotherapy: integration of nonlinear regression, curve shift, isobologram, and combination index analyses”, Zhao L1, Wientjes MG, Au JL. Clin Cancer Res. 2004 Dec 1;10(23):7994−8004;および“Computerized quantitation of synergism and antagonism of taxol, topotecan, and cisplatinagainst human teratocarcinoma cell growth: a rational approach to clinical protocol design”, Chou TC1, Motzer RJ, Tong Y, Bosl GJ. J Natl Cancer Inst. 1994 Oct 19;86(20):1517−24).
テーブル2:異なる用量のLY75_DM4のベネトクラクスとの組み合せにおける、U2932 ABC−DLBCL細胞株に対するChou−Talalay併用係数(CI)。
【0359】
【表3】
テーブル3:異なる用量のLY75_DM4のベネトクラクスとの組み合せにおける、HBL−1 ABC−DLBCL細胞株に対するChou−Talalay併用係数(CI)。
【0360】
【表4-1】
【表4-2】
テーブル4:異なる用量のLY75_DM4のベネトクラクスとの組み合せにおける、OCI−LY10 ABC−DLBCL細胞株に対するChou−Talalay併用係数(CI)。
【0361】
【表5】
テーブル5:異なる用量のLY75_DM4のベネトクラクスとの組み合せにおける、TMD8 ABC−DLBCL細胞株に対するChou−Talalay併用係数(CI)。