(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
DDI値が200〜350gの場合、52以上、特に52〜80であるブローフィルムバブル安定性点数(BSS)を有し、DDI値が350gを超える場合、40以上、特に40〜80未満であるBSS点数を有する、請求項1に記載のポリエチレン組成物。
DDI値が200〜350gの場合、バブル安定性点数(BSS)が52以上、特に52〜80である一方、DDI値が350gを超える場合、BSS点数が40以上、特に40〜80未満である、請求項8に記載のブローフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「ポリエチレン組成物」という表現は、好ましくは分子量が異なる2種以上のエチレン重合体成分で構成された組成物を含むことであり、また、このような組成物は関連分野で「バイモーダル(bimodal)」または「マルチモーダル(multimodal)」重合体と指称される。
【0011】
一般的に、本発明のポリエチレン組成物は1種以上のエチレン共重合体を含む。
【0012】
上記の定義された特徴1)〜6)を含む本明細書で定義するすべての特徴は前記エチレン重合体組成物を指すものである。当該技術分野において通常適用される添加剤のような他の成分を添加することにより、前記特徴のうち、1つ以上を変形させることができる。
【0013】
特に、溶融指数値のような、流動学的および構造的特徴を以前に与えられた間隔内または外で変形するために、本ポリエチレン組成物をラジカル開始剤と反応させる可能性もある。
【0014】
上記ラジカル開始剤は、好ましくは有機ペルオキシドから選択される。
【0015】
特に有用な有機ペルオキシドは、有機モノペルオキシドおよび/または有機ジペルオキシドである。このような有機モノペルオキシドおよびジペルオキシドは、約125℃〜約145℃の範囲、代替的に約130℃〜約140℃の範囲、代替的に約132℃〜約136℃の範囲の温度で1時間の半減期を有する可能性がある。さらなる代替は、約145℃〜165℃の範囲、または約150℃〜約160℃の範囲、または約154℃〜158℃の範囲の温度で0.1時間の半減期を有する有機ペルオキシドを含む。有機ペルオキシドは、約175g/mol〜約375g/molの範囲、代替的に約200g/mol〜約350g/molの範囲の分子量を有する可能性がある。必要に応じ、2種以上のペルオキシド混合物を使用する可能性がある。適切な有機ペルオキシドは、これらに限定されるものではないが、ジクミルペルオキシド(CAS(登録商標)登録番号80‐43‐3)、ジ(ターシャリ‐ブチルペルオキシアイソプロピル)ベンゼン(ら)(CAS(登録商標)登録番号25155‐25‐3)、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ターシャリ‐ブチルペルオキシ)ヘキサン(CAS(登録商標)登録番号78‐63‐7)、ターシャリ‐ブチルクミルペルオキシド(CAS(登録商標)登録番号3457‐61‐2)、および2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ターシャリ‐ブチルペルオキシ)ヘキシン(CAS(登録商標)登録番号1068‐27‐5)、およびこれらの混合物を含む。
【0016】
好ましい有機ペルオキシドは、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ターシャリ‐ブチルペルオキシ)ヘキサンである。
【0017】
ラジカル開始剤との反応は、オレフィン重合体でラジカル開示反応に効果的なものとして当業界に公知された条件下で任意の手段によって実施され得る。
【0018】
特に、このような反応は、不活性雰囲気下、たとえば窒素下で作動する、特に二軸スクリュー押出機のように、溶融状態で重合体を加工するために一般的に使用される通常の装置で実行され得るということが知られている。
【0019】
ポリエチレン組成物に添加されるラジカル開始剤の量は、当業者によって容易に決定され得る。一般に、このような量は、0.1〜100重量ppm、特に0.5〜100重量ppmのペルオキシドからポリエチレン組成物までの範囲で構成され、正確な量は、流動学、たとえばERで所望の変化によって決定されるか、またはフィルム試験、たとえばバブル安定性試験によって決定される。
【0020】
反応温度は、好ましくは180〜300℃の範囲である。
【0021】
MIF/MIP比は分子量分布の流動学的測定値を提供する。
【0022】
分子量分布のまた別の測定値はM
w/M
n比によって提供され、ここでM
wは重量平均モル質量であり、M
nは数平均モル質量であり、両方とも実施例に説明されているようにGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される。
【0023】
本発明のポリエチレン組成物のM
w/M
n値は好ましくは25〜65、好ましくは30〜65の範囲である。
【0024】
Mw値は、好ましくは200,000〜400,000g/molである。
【0025】
分子量分布に関する追加情報は、流動学的多分散性ERによって提供され、これは貯蔵弾性率(G’)対損失弾性率(G”)のプロットから決定され、高分子量末端多分散性の尺度である。これは下記式によって計算する:
ER=(1.781*10
-3)*G'
G''=5,000dyn/cm
2の値で。
【0026】
本発明のポリエチレン組成物に対する好ましいER値は、2〜5である。
【0027】
さらに、本発明のポリエチレン組成物は以下の追加的な特徴のうち少なくとも1つを有することが好ましい。
− エチレンホモポリマーまたはコポリマーA)の密度が、0.960〜0.971g/cm
3、より好ましくは0.965〜0.970g/cm
3;
− 1000で割ったη
0.02とLCBIとの比である、比(η
0.02/1000)/LCBIが、120〜180、好ましくは125〜178;
− 共単量体含量が組成物の総重量(IRによって決定されたとおり)を基準にして2重量%以下、特に0.2〜2重量%であり;
− ET値が25以下、特に3〜25;
ETは下記式によって計算する:
tanδ=C
3におけるET=C
2/G*
ここで:
G*=[(G’)
2+(G’’)
2]
1/2;
tanδ=G’’/G’;
C2=10
6dyn/cm
2およびC
3=1.5
G’=貯蔵弾性率;
G’=損失弾性率;
G’とG”との両方ともが、190℃の温度でプレート−プレート回転型レオメータでの動的振動剪断によって測定される;
− 長鎖分岐指数(LCBI)が0.70以下、特に、0.70〜0.45である。
【0028】
押出圧力の側面から最上の加工能力を達成するために、MIFの値は好ましくは9〜15g/10分、または9〜13g/10分の範囲でなければならない。
【0029】
エチレン共重合体に存在する共単量体または共単量体らは一般的に式CH
2=CHRを有するオレフィンから選択され、ここでRは1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルラジカルである。
【0030】
具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1およびデセン−1である。特に好ましい共単量体はヘキセン−1である。
【0031】
上述のように、本ポリエチレン組成物は、フィルムブローイング工程によって特に良好に加工され得る。
【0032】
実際に、本ポリエチレン組成物は、優れたDDI値を保持しながらも高いバブル安定性等級を有するブローフィルムを提供する。
【0033】
本ポリエチレン組成物のブローフィルムのバブル安定性点数は12.5μmであるフィルム厚さに対して40より高く、DDIは200gより高く、好ましくは350gより高くてもよい。
【0034】
一般に、上記特性のバランスは、DDI値が200〜350gの場合、バブル安定性点数(簡潔性BSSと呼ばれる)が52以上、特に52〜80となるものである一方、DDI値が350g以上の場合、BSS点数が40以上、特に40〜80未満となるものである。
【0035】
ブローフィルム(管状フィルムとも呼ばれる)押出技術は、薄いプラスチックフィルムの生産によく知られている。この工程は、環状ダイによって溶融された熱可塑性樹脂を押し出した後、溶融したウェブの「バブルのような(bubble‐like)」膨張を含む。
【0036】
本ポリエチレン組成物は、大規模な産業プラントの典型的な工程条件下でも高いフィルムバブル安定性を保障する。すなわち、環状ダイから出てくるフィルムバブルは、高い取出(take‐off)速度でも安定的に保持され、軸方向または放射方向の両方で形状が変更される傾向を示さない。
【0037】
好ましくは、バブルは、最大取出速度でバブル安定性試験(実施例で詳述のように実施される)中、溶融材料を軸方向に±3cm以下に振動する凝固された材料と区切する(delimit)凍結線(frost line)を有する。
【0038】
本開示はさらに、上述のような本ポリエチレン組成物を含むブローフィルムに関する。特にブローフィルムは、単層または多層である可能性があり、ここで少なくとも1つの層は本ポリエチレン組成物を含む。
【0039】
上記ブローフィルムは、5〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲の厚さを有する可能性がある。
【0040】
用いられる重合方法と触媒の種類には原則的に制限がないが、本発明のポリエチレン組成物はチーグラー・ナッタ触媒の存在下で気相重合方法によって製造することができることが明らかになった。
【0041】
チーグラー・ナッタ触媒は元素周期表の1、2または13族の有機金属化合物と元素周期表の4〜10族の遷移金属化合物(新表記法による)との反応生成物を含む。特に、遷移金属化合物はTi、V、Zr、CrおよびHfの化合物から選択することができ、好ましくはMgCl
2上に担持される。
【0042】
特に好ましい触媒は元素周期表の1、2または13族の前記有機金属化合物とMgCl
2上に担持されたTi化合物を含む固体触媒成分との反応生成物を含む。
【0043】
好ましい有機金属化合物は有機Al化合物である。
【0044】
したがって、好ましい実施形態において、本発明のポリエチレン組成物はチーグラー・ナッタ重合触媒、より好ましくはMgCl
2上に担持されたチーグラー・ナッタ触媒、さらに好ましくは下記a)〜c)の反応生成物を含むチーグラー・ナッタ触媒を用いることによって得られる。
a) MgCl
2上に担持されたTi化合物および電子供与体化合物EDを任意選択で含む固体触媒成分;
b) 有機Al化合物;および選択的に
c) 外部電子供与体化合物ED
ext。
【0045】
適切なチタニウム化合物はテトラハライドまたは式TiX
n(OR
1)
4−nの化合物であり、式中、0≦n≦3であり、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、R
1はC
1−C
10炭化水素基である。四塩化チタニウムが好ましい化合物である。
【0046】
ED化合物は一般的にアルコール、ケトン、アミン、アミド、ニトリル、アルコキシシラン、脂肪族エーテル、および脂肪族カルボン酸のエステルから選択される。
【0047】
好ましくはED化合物はアミド、エステルおよびアルコキシシランから選択される。
【0048】
エステルを用いて優れた結果が得られるため、エステルがED化合物として特に好ましい。エステルの具体的な例は、C1−C20脂肪族カルボン酸のアルキルエステル、特に脂肪族モノカルボン酸のC1−C8アルキルエステル、例えばエチルアセテート、メチルホルミエート、エチルホルミエート、メチルアセテート、プロピルアセテート、i−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、i−ブチルアセテートである。さらに、脂肪族エーテル、特にC2−C20脂肪族エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンが好ましい。
【0049】
前記固体触媒成分において、追加の担体が最小量で用いられるとしてもMgCl
2が基本的な担持体である。MgCl
2はそのまま用いられるか、ハロゲン化化合物との反応によってMgCl
2に変換され得る前駆体として用いられるMg化合物から得ることができる。特許文献からチーグラー・ナッタ触媒用担持体として広く知られている活性形MgCl
2の使用が特に好ましい。米国特許第4,298,718号および米国特許第4,495,338号はチーグラー・ナッタ触媒作用でこれら化合物の使用を最初に記述したものである。これら特許からオレフィン重合用触媒成分に担持体または共担持体として用いられる活性形マグネシウムジハライドはX線スペクトルによって特徴付けられ、そのスペクトルにおいて非活性ハライドのスペクトルのASTMカードの参照において表される最も強い回折線は強度が減少しながら広がっていることが知られている。活性形の好ましいマグネシウムジハライドのX線スペクトルにおいて、前記最も強い線は強度が減少して最大強度が最も強い線のものに比べてより低い角度に移動(displace)するハローによって代替される。
【0050】
本発明のポリエチレン組成物の製造に特に適したものは、最初に選択的に不活性媒質の存在下でチタニウム化合物をMgCl
2または前駆体Mg化合物と接触させ、MgCl
2上に担持されたチタニウム化合物を含有する個体成分a)を製造し、成分a)をED化合物と任意選択的に接触させることによって製造される触媒であり、このED化合物は選択的に不活性媒質の存在下で反応混合物に単独で添加されるか、ED化合物が主成分である他の化合物との混合物として添加される。
【0051】
「主成分」という用語に関して、本発明者は前記ED化合物が接触混合物を取り扱うときに用いられた不活性溶媒または希釈剤が排除された他の可能な混合物に対してモル量の観点で主成分となることを意図する。その後、ED処理された生成物は最終生成物を回収するために適切な溶媒で洗浄することができる。必要に応じ、好ましいED化合物を用いた処理が1回以上繰り返され得る。
【0052】
前述のように、MgCl
2の前駆体は出発必須Mg化合物として用いられ得る。これは例えば、式MgR′
2のMg化合物から選択することができ、ここで、R′基は独立的に、選択的に置換されたC1−C20炭化水素基、OR基、OCOR基、塩素であり得、ここで、Rは選択的に置換されたC1−C20炭化水素基であり、ただし、R′基は同時に塩素ではない。またMgCl
2と適切なルイス塩基間のルイス付加物が前駆体として適している。特に好ましいクラスはMgCl
2(R″OH)
m付加物によって構成され、ここでR″基はC1−C20炭化水素基、好ましくはC1−C10アルキル基であり、mは0.1〜6、好ましくは0.5〜3、より好ましくは0.5〜2である。このような類型の付加物は一般的に付加物と非混和性である不活性炭化水素の存在下でアルコールとMgCl
2とを混合し、付加物の溶融点(100〜130℃)にて攪拌条件下で操作することで得られる。次いで、エマルジョンが急速にクエンチングされ、それによって付加物が球状粒子の形態で固化されるようにする。これら球状付加物を製造する代表的な方法は、例えば米国特許第4,469,648号、米国特許第4,399,054号および国際公開公報WO98/44009号に報告されている球状化に使用可能な別の方法としては例えば米国特許第5,100,849号および第4,829,034号に記述された噴霧冷却法が挙げられる。
【0053】
MgCl
2・(EtOH)
m付加物が特に興味深く、ここでmは0.15〜1.7であり、これはより高いアルコール含量を有する付加物を、アルコール含量が上記の値に減少されるまで50〜150℃の間に含まれる温度で窒素流動中で行われる熱脱アルコール化工程を受けさせることで得られる。このような類型の工程はEP395083に記述されている。
【0054】
また、脱アルコール化は付加物をアルコール基と反応可能な化合物と接触させることで化学的に行うことができる。
【0055】
一般的にこれらの脱アルコール化された付加物はまた半径0.1μm以下の孔による多孔性(水銀法によって測定)が0.15〜2.5cm
3/g、好ましくは0.25〜1.5cm
3/gの範囲であることを特徴とする。
【0056】
これらの付加物は好ましくは四塩化チタニウムである上述のTiX
n(OR
1)
4−n化合物(またはそれの混合物)と反応することとなる。Ti化合物との反応は付加物をTiCl
4(一般的に冷却された状態)に懸濁することで行うことができる。混合物は80〜150℃の範囲の温度まで加熱され、その温度で0.5〜2時間保持される。チタニウム化合物を用いた処理は1回以上行うことができる。これはまた前述の電子供与体化合物の存在下で行われてもよい。工程の終了時、固体は通常の方法(例えば、液体の沈降および除去、濾過、遠心分離)を通じて懸濁液の分離によって回収され、溶媒を用いて洗浄され得る。洗浄は一般的に不活性炭化水素溶液で行うが、ハロゲン化炭化水素等のようなより極性の溶媒(例えば、誘電率がより高い溶媒)を用いることも可能である。
【0057】
次いで、上述のように、個体成分a)は有効量の供与体を固体上に固定できる条件下でED化合物と接触させることができる。この方法の高い汎用性によって、用いられる供与体の量は広く変わり得る。一例として、供与体は中間生成物でTi含量に対して0.5〜20、好ましくは1〜10の範囲のモル比で用いられ得る。厳格に要求されるものではないが、接触は一般的に液体炭化水素のような液体媒質で行われる。接触が行われる温度は試薬の性質によって変わり得る。一般的に、温度は−10〜150℃、好ましくは0〜120℃の範囲に含まれる。任意の特定試薬の分解または劣化を引き起こす温度は、たとえこの温度が一般的に適切な範囲内に含まれるとしても、回避すべきであるのが一般的である。また、処理時間は試薬の性質、温度、濃度などのような他の条件によって変わり得る。一般的に、この接触ステップは10分〜10時間、より頻繁には0.5〜5時間持続できる。必要に応じ、最終供与体の含量をさらに増加させるために、このステップが1回以上繰り返されてもよい。このステップの終了時、固体は通常の方法(例えば、液体の沈降および除去、濾過、遠心分離)を通じて懸濁液の分離によって回収され、溶媒を用いて洗浄され得る。洗浄は通常不活性炭化水素液体で行われるが、ハロゲン化炭化水素または含酸素炭化水素のようなより極性の溶媒(例えば、より高い誘電率を有する)を用いることも可能である。
【0058】
前述のように、前記固体触媒成分はこれを公知の方法によって元素周期表の1、2または13族の有機金属化合物、特にAl−アルキル化合物と反応させることによって、オレフィン重合用触媒に変換される。
【0059】
アルキル−Al化合物は好ましくは例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物中から選択される。アルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムハイドライドまたはアルキルアルミニウムセスキクロリド、例えばAlEt
2ClおよびA1
2Et
3Cl
3を選択的に前記トリアルキルアルミニウム化合物との混合物において用いることも可能である。
【0060】
前記チーグラー・ナッタ触媒の製造に選択的に用いられる外部電子供与体化合物ED
extは、固体触媒成分a)で用いられるEDと同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、エーテル、エステル、アミン、ケトン、ニトリル、シランおよびこれらの混合物からなる群より選択される。特に有利には、C2−C20脂肪族エーテル、特に環状エーテル、好ましくは炭素数3〜5の環状エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサンから選択できる。
【0061】
触媒成分a)は好ましくは公知の技術にしたがって少量のポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンを製造することによって予備重合することができる。
【0062】
固体成分a)をED化合物で処理する場合、このような処理前または後に予備重合を実行する可能性がある。
【0063】
製造される予備重合体の量は成分a)1g当たり最大500gであり得る。好ましくは個体成分a)1g当たり0.5〜20gである。
【0064】
予備重合は上述のように外部電子供与体化合物と組み合わせて使用し得る有機アルミニウム化合物のような適切な助触媒を使用して行われる。
【0065】
これは液相または気相で0〜80℃、好ましくは5〜70℃の温度で行うことができる。
【0066】
前述の重合触媒を使用することによって本発明のポリエチレン組成物は下記のステップを任意の相互順序で含む方法で製造され得ることが明らかになった:
a) 水素の存在下で気相反応器においてエチレンを任意選択的に1種以上の共単量体とともに重合するステップ;
b) ステップa)より少ない量の水素の存在下で、別の気相反応器においてエチレンを1種以上の共単量体と共重合するステップ;
ここで、前記気相反応器のうち少なくとも1つにおいて、成長する重合体粒子が高速流動化または輸送条件下で、第1重合ゾーン(上昇管(riser))を通って上方に流れ、前記上昇管を離れた後、第2重合ゾーン(下降管(downdomer))に入り、前記第2重合ゾーンを通ってそれらは重力の作用下で下方に流れ、前記下降管を離れた後、前記上昇管内に再び投入されることによって前記2つの重合ゾーンの間に重合体の循環を確立する。
【0067】
第1重合ゾーン(上昇管)において、高速流動条件は1つ以上のオレフィン(エチレンおよび共単量体)を含むガス混合物を重合体粒子の輸送速度よりも速い速度で供給することにより確立される。前記反応ガス混合物の速度は、好ましくは0.5〜15m/s、より好ましくは0.8〜5m/sである。「搬送速度」および「高速流動条件」という用語は、当該分野において周知であり、その定義については、例えば左記を参照されたい:「D. Geldart, Gas Fluidisation Technology, page 155 et seq., J. Wiley & Sons Ltd., 1986」。
【0068】
第2重合ゾーン(下降管)において、重合体粒子は、高密度化形態で重力の作用下で流れ、その結果、固体の密度が高い値(反応器の体積当たりの重合体の質量)に達し、これは重合体のバルク密度に近接する。
【0069】
言い換えれば、重合体がプラグ流れ(充填流れモード)で下降管を通って垂直下向して流れ、その結果、重合体粒子の間に少量のガスのみが飛沫同伴(entrain)される。
【0070】
このような方法により、ステップb)から得られるエチレン共重合体成分B)よりも分子量が低いエチレン重合体である、前に定義された成分A)をステップa)から得ることができる。
【0071】
好ましくは、比較的低分子量のエチレンポリマーを製造するためのエチレンの重合(ステップa)は、比較的高分子量のエチレン共重合体を製造するためのエチレンの共重合(ステップb)の上流で行われる。この目標達成のために、ステップa)からエチレン、水素、任意選択的には共単量体および不活性ガスを含むガス混合物を第1気相反応器、好ましくは気相流動床反応器に供給する。重合は前述のチーグラー・ナッタ触媒の存在下で行われる。
【0072】
水素の供給量は特定の触媒の使用可否によって変化し、いかなる場合でもステップa)で得られたエチレン重合体の溶融流れ指数MIEは130g/10分g/10分以下であることが適している。上記範囲のMIEを得るために、ステップa)で水素/エチレンのモル比は直接法で1〜4であり、エチレン単量体の量は重合反応器に存在するガスの総体積を基準にして2〜20体積%、好ましくは4〜15体積%である。供給混合物の残りの部分は、存在する場合、不活性ガスおよび1種以上の共単量体で構成される。重合反応によって発生された熱を消散させるのに必要な不活性ガスは窒素または飽和炭化水素から便利に選択され、最も好ましいものはプロパンである。
【0073】
ステップa)において、反応器内の操作温度は50〜120℃の範囲から選択され、好ましくは65〜100℃の範囲から選択され、操作圧力は0.5〜10MPa、好ましくは2.0〜5MPaである。
【0074】
ステップa)で得られたエチレン重合体は全方法、すなわち直列連結された第1および第2反応器で生成されたエチレン重合体の総重量の30〜70%を占める。
【0075】
次いで、ステップa)から出たエチレン重合体と同伴ガスは第1重合反応器から出たガス混合物がステップb)の反応器(第2気相重合反応器)に導入されることを防止するために固体/ガス分離ステップが行われる。前記ガス混合物は第1重合反応器に再循環され、分離されたエチレン重合体はステップb)の反応器に供給される。第2反応器に重合体を導入する適切な供給点は固体濃度が特に低い下降管と上昇管との連結部位に位置するため、流動条件に悪影響を与えない。
【0076】
ステップb)の操作温度は65〜95℃の範囲であり、圧力は1.5〜4.0MPaの範囲である。第2気相反応器はエチレンと1種以上の共単量体とを共重合して相対的に高分子量のエチレン共重合体を生成することを目的とする。さらに、最終エチレン重合体の分子量分布を広げるために、上昇管と下降管内で単量体および水素濃度の異なる条件を確立することによってステップb)の反応器を便利に操作することができる。
【0077】
上記の目的のために、ステップb)で重合体粒子を同伴し、かつ上昇管から出たガス混合物が下降管に進入することを部分的にまたは全体的に防止するので、2つの異なるガス組成ゾーンを得る。これは下降管の適切な地点、好ましくはその上部に位置するラインを通じて下降管の内部にガスおよび/または液体混合物を供給することにより達成できる。前記ガス及び/または液体混合物は、上昇管内にあるガス混合物とは異なる適切な組成を有するべきである。前記ガス及び/または液体混合物は、ポリマー粒子の流れに対して向流のガスの上向き流れが、特にその上部で発生し、上昇管から来るポリマー粒子と同伴されるガス混合物に対するバリアとして作用するように調整することができる。特に、水素含有量が低い混合物を供給して下降管内の高分子量重合体の画分を生成することが有利である。ステップb)の下降管に1種以上の共単量体を任意選択的にエチレン、プロパンまたは他の不活性ガスとともに供給してもよい。
【0078】
直接法で、ステップb)の下降管における水素/エチレンのモル比は0.01〜0.5の範囲であり、前記下降管内に存在するガスの総体積を基準にしたとき、エチレン濃度は直接法で5〜20体積%である。残りはプロパンまたは類似の不活性ガスである。下降管内に存在する水素のモル濃度が極めて低いため、本発明の方法を行うことにより相対的に多量の共単量体を高分子量のポリエチレン画分に結合させることが可能になる。
【0079】
下降管から出た重合体粒子はステップb)の上昇管に再導入される。
【0080】
ステップb)の上昇管において、水素/エチレンのモル比は0.01〜0.5の範囲であり、エチレン濃度は上昇管に存在するガスの総体積を基準として5〜20体積%の範囲である。
【0081】
最終ポリエチレンの密度が所望の値になるように共単量体の含有量を調整する。上昇管内および下降管内の前記共単量体の濃度は上昇管に存在するガスの総体積を基準として0.05~1体積%となる。
【0082】
残りはプロパンまたはそれ以外の不活性ガスである。
【0083】
上述の重合方法に関するさらなる詳細はWO2005019280で提供される。
実施例
【0084】
本明細書において提供されるような様々な実施形態、組成物および方法の実施及び利点は、以下の実施例で説明する。これら実施例は、単に例示的なものに過ぎず、いかなる形においても付属する請求の範囲を限定することを意図しない。
【0085】
以下の分析方法は、重合体組成物を特性化するのに使用される。
【0087】
23℃でISO1183-1:2012にしたがって測定した。
【0088】
複合剪断粘度η0.02(eta(0.02))ERおよびET
下記のように0.02rad/sの角周波数および190℃で測定した。
検体を200℃および200バール下で4分間1mm厚のプレートに溶融圧縮した。直径25mmのディスク標本がスタンピングされ、190℃で予熱したレオメータに挿入した。市販されている任意の回転型レオメータを用いて測定を行うことができる。ここでプレート−プレートジオメトリが備えられたAnton Paar MCR 300を用いた。いわゆる振動数掃引(frequency−sweep)を5%の一定する歪み振幅下でT=190℃で行い(測定温度で検体を4分間アニーリングした後)、628〜0.02rad/sの励起振動数ωの範囲で物質の応力反応の測定および分析を行った。標準化された基本ソフトウェアを用いて流動学的特性、すなわち貯蔵弾性率G′、損失弾性率G″、位相遅れδ(=arctan(G″/G′))および複素粘度η*を、適用された振動数の関数として計算し、すなわち、η*(ω)=[G′(ω)
2+G″(ω)
2]
1/2/ωである。0.02rad/sの適用された振動数ωでの後者の値はη
0.02である。
【0089】
文献[R. Shroff および H. Mavridis, "New Measures of Polydispersity from Rheological Data on Polymer Melts," J. Applied Polymer Science 57 (1995) 1605(米国特許第5,534,472号の列10、20〜30行も参照)]の方法によってERを決定した。これは下記式によって計算する:
ER=(1.781*10
-3)*G'
G''=5,000dyn/cm
2の値で。
【0090】
当業者であれば認知するであろうが、最低G”値が5,000dyn/cm
2を超える場合、ERの決定は外挿を含む。次に計算されたER値は、ログG’対ログG”プロットで非線形性の程度によって異なるであろう。温度、プレート直径よび振動数範囲は、レオメータの分解能内で最低G”値が5,000dyn/cm
2に近いか、その未満になるように選択される。
【0091】
同様に、文献[R. Shroff および H. Mavridis, "New Measures of Polydispersity from Rheological Data on Polymer Melts," J. Applied Polymer Science 57 (1995) 1605-1626]の方法によってETを決定した。ETは、ポリマーの超高分子量端における多分散性(polydispersity)の記述、および/または極めて広い分子量分布の記載のための高感度定数である。ETが高いほど、ポリマー樹脂は流動学的に広い。
【0092】
これは下記式によって計算する:
tanδ=C
3におけるET=C
2/G*
ここで:
G*=[(G’)
2+(G’’)
2]
1/2;
tanδ=G’’/G’;
【0093】
C2=10
6dyn/cm
2およびC
3=1.5。
【0095】
重合体の結晶化ポテンシャルおよび加工性ポテンシャルを定量化するために、HMWcopo(高分子量共重合体)指数が使用されるが、下記の式によって定義される:
HMWcopo=(η
0.02xt
maxDSC)/(10^5)
【0096】
この指数は重合体の容易な加工(低い溶融粘度)ポテンシャルと急速結晶化ポテンシャルが増加するにつれて減少する。これはまた上述のように測定された0.02rad/sの振動数で溶融複合剪断粘度(η
0.02)と関連のある高分子量画分の量と、静止結晶化(quiescent crystallization)に関する最大熱流時間(t
maxDSC)によって定量化される、結晶化を遅延させる共単量体の導入量に対する説明であり、定量法である。
【0097】
t
maxDSCは示差走査熱量計装置(TA Instruments Q2000)を使用して124℃の一定温度で等温条件下で測定される。サンプル5〜6mgを秤量してアルミニウムDSCパン(pans)に移す。熱履歴を除去するためにサンプルを20K/分で最大200℃まで加熱し、また20K/分で試験温度まで冷却させる。冷却直後、等温試験を直ちに開始して結晶化が起こるまでの時間を記録する。結晶化熱流最大(ピーク)、t
maxDSCまでの時間間隔を供給者ソフトウェア(TA Instruments)を使用して測定する。測定を3回繰り返した後、平均値(分単位)を計算する。120分以上これらの条件下で結晶化が観察されなければ、t
maxDSC=120分の値をHMWcopo指数のさらなる計算に使用する。
【0098】
溶融粘度η
0.02値にt
maxDSC値を掛けて算出された値を因数100000(10^5)で標準化する。
【0100】
モル質量分布およびそれから由来する平均Mn、MwおよびMw/Mnの測定は、2003年発行のISO 16014−1,−2,−4に記載された方法を使用して高温ゲル浸透クロマトグラフィーにより実行した。言及されたISO標準による説明は下記の通りである:溶媒1、2、4−卜リクロロベンゼン(TCB)、装置および溶液の温度135℃および濃度検出器としてTCBとともに使用可能なPolymerChar(Valencia, Paterna 46980, Spain)IR−4赤外線検出器、直列で連結された下記の予備カラムSHODEX UT−Gおよび分離カラムSHODEX UT 806 M(3x)並びにSHODEX UT 807(Showa Denko Europe GmbH, Konrad−Zuse−Platz 4,81829 Muenchen, Germany)が備えられたウォーターズアライアンス(WATERS Alliance)2000を使用した。
【0101】
溶媒を窒素下で真空蒸溜して2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.025重量%を使用して安定化した。使用された流速は1ml/分であり、注入量は500μlであり、重合体濃度は0.01%<濃度<0.05%(w/w)の範囲であった。分子量の較正は、Polymer Laboratories(現在Agilent Technologies, Herrenberger Str. 130, 71034 Boeblingen, Germany)の単分散ポリスチレン(PS)の標準を580g/mol〜11600000g/molの範囲で使用し、付加的にヘキサデカンと共に使用して実行した。
【0102】
次に較正曲線を汎用較正(Universal Calibration)方法(Benoit H., Rempp P. and Grubisic Z., & in J. Polymer Sci., Phys. Ed., 5, 753(1967))でポリエチレン(PE)に適合させた。したがって、使用されたマルク−ホウインク(Mark−Houwink)パラメータはPSの場合、k
PS=0.000121dl/g、α
PS=0.706であり、PEの場合、k
PE=0.000406dl/g、α
PE=0.725であり、135℃でTCBにおいて有効であった。データの記録、較正および計算はそれぞれNTGPC_Control_V6.02.03およびNTGPC_V6.4.24(hs GmbH、Hauptstraβe36、D−55437 Ober−Hilbersheim, Germany)を使用して実行した。
【0104】
特定の荷重下で190℃でISO 1133−2:2011にしたがって測定した。
【0106】
LCB指数は10
6g/molの分子量に対して測定された分岐因子g′に相応する。高いMwで長鎖分岐を測定できるようにする分岐因子g′を多角度レーザー光散乱法(MALLS)と結合されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。GPCから溶出したそれぞれの画分に対する回転半径(前記記載のとおりであるが、0.6ml/分の流速および30μm粒子で充填されたカラムを使用)はMALLS(検出器Wyatt Dawn EOS, Wyatt Technology, カリフォルニア、サンタバーバラ)を使用して様々な角度から光散乱を分析することによって測定する。波長658nmの120mWのレーザー光源を使用した。比屈折率(specific index of refraction)が0.104ml/gで得られた。データ評価はWyatt ASTRA 4.7.3およびCORONA 1.4ソフトウェアで実行した。LCB指数は下記に記載されたように測定する。
【0107】
パラメータg′は同一の分子量を有する線形重合体の測定平均二乗回転半径に対する測定平均二乗回転半径の比である。線形分子は1のg′を示すが、LCBの存在下では1未満の値を示す。分子量Mの関数としてのg′の値は、下記の式から計算した:
g′(M)=<Rg
2>
サンプル、M/<Rg
2>
線形参照、M
ここで、<Rg
2>、Mは分子量Mの画分に対する平均二乗根回転半径である。
【0108】
GPCから溶出されたそれぞれの画分に対する回転半径(前記記載のとおりであるが、0.6ml/分の流速および30μm粒子で充填されたカラムを使用)は様々な角度から光散乱を分析することによって測定される。したがって、このようなMALLS構成から分子量Mおよび<Rg
2>
サンプル、Mを測定し、測定M=10
6g/molからg′を定義することが可能である。<Rg
2>
線形参照、Mは溶液中の線形重合体に対する回転半径と分子量との間の確立された関係によって計算され(文献[Zimm BH、Stockmayer WH、「The Dimensions of Chain Molecules Containing Branches and Rings」The Journal of Chemical Physics 17, 1301(1949)])、記載された同一の装置および方法論を使用して線形PEの参照を測定することによって確認される。
【0109】
実験的検証のために、2つの線形PE参照、IUPAC 5AおよびIUPAC 5Bが使用された。
【0111】
共単量体含有量はBrukerのFT−IR分光光度計Tensor27を使用してASTM D 6248 98にしたがってIRで測定して、共単量体としてブテンまたはヘキセンそれぞれに対してPE内のエチル−またはブチル−測鎖を測定するためのケモメトリックモデルを使用して較正する。結果は重合方法のマスバランス(mass−balance)から由来された予測された共単量体含有量と比較して一致することが確認された。
【0113】
厚さが12.5μmであるフィルムで、ASTM D1709、方法Aにしたがって測定した。フィルムは、以下のバブル安定性試験で説明されているように生産され、それにしたがって基本設定は次の通りである:
−処理量:72Kg/h;
−ブローアップ比BUR:4;
−ネック(neck)長さNL:960mm(8DD);
−引取(haul‐off)速度:67m/min.
【0115】
バブル安定性試験BSTは、下記特性を有する、細川‐アルパインの常用単層ブローフィルム系列に対して実行される:
−重量計量式(gravimetric dosing)である、溝付および冷却供給セクションを備えた単一スクリュー押出機;
−直径D=50mm、長さ30Dであり、せん断および混合部材(elements)を備えたスクリュー;
−205℃+/−5℃の範囲の溶融温度を達成するために180℃から220℃まで昇温する温度プロファイル(11個ゾーン)(押出機:180/185/190/195/200/205/205、ヘッド:210/210/220/220);
−スクリーン後に測定される溶融温度;
−スクリーン交換機:スクリーン面積120cm
2、スクリーンパックは使用せず、単に直径が約2mmである穴50〜60個のダイ‐プレートである;
−溶融圧力(押出圧力):スクリーン交換機以前に測定される;
−直径120mm、ダイギャップ1.0mmであり、螺旋状マンドレル(4個ポート)を備えたフィルムダイ;
−二重リップ冷却リング(細川‐アルパインCR32)、冷却された冷却空気(18℃+/−2℃)、内部バブル冷却IBCなし;
−補正バスケット;ネック長さに合わせたバスケットの高さ(上端の冷却リングから下端のバスケットまで970mmを使用する)
−木材平坦化デバイス、取出ユニットおよびフィルムワインダ;
【0116】
バブル安定性試験を下記基本設定から開始する:
−処理量:72Kg/h;
−ブローアップ比BUR:4;
−ネック(neck)長さNL:960mm(8DD);
−フィルム厚さ:12.5μm;
−引取(haul‐off)速度:67m/min.
【0117】
バブルの水平(HM)および垂直移動(VM)を安定した条件で3分間観察する。
【0118】
このバブルの動きが両方向に+/−3cm未満であれば、サンプルに25ポイントの点数を付与する。
【0119】
バブルの水平および垂直移動を測定するためにクロスラインレーザを使用する(下記の図面参照)。
【0120】
その後、引取速度を5m/min(処理量、BURおよびNLを一定に保持する)に段階的に増加させると、下の表に示すようなフィルム厚さの減少がもたらされる。
【0121】
与えられた引取速度で、安定した条件に達した後、3分間バブルを再び観察する。
【0122】
HMおよびVMが、
≦+/−3cmであれば、3ポイントが付加され;
≦+/−5cmであれば、2ポイントが付加され;
≦+/−10cmであれば、1ポイントが付加され;
≧+/−10cmであれば、0ポイントが付加されるであろう。
【0123】
移動が≦5cm(2または3ポイント)であれば、試験を継続し、引取速度をさらに増加させる可能性がある。移動が≧+/−5cm(1または0ポイント)であれば、試験を終了する。
試験を基本設定(72Kg/h、BUR:4、NL960mm、12,5μm、67m/min)で開始し、HMまたはVMが>3cmの場合、25ポイントの点数で3ポイント(HMまたはVM>+/−10cm)、2ポイント(HMまたはVM+/−5〜10cm)、または1ポイント(HMまたはVM+/−3〜5cm)を削減し、これは最小点数を22ポイントとなるようにする。
【0125】
以下の実施例は、試験が97m/minの引取速度と>5cmおよび≦10cm(1ポイント、試験終了)のバブルの水平または垂直移動で終了したサンプルに対する結果を示す。
【0126】
この実施例で総点は39ポイントである。
【表1】
【0128】
重合方法は
図1に示すように直列に連結された2つの気相反応器を含むプラントで連続条件下で行われた。
【0130】
米国特許第4,399,054号の実施例2に記載されている方法にしたがうが、しかし10000RPMの代わりに2000RPMで操作して約3モルのアルコールを含む塩化マグネシウムとアルコールの付加物を調製した。付加物を窒素流下で50〜150℃の温度範囲にわたって25%のアルコールの重量含量に達するまで熱処理にかけた。窒素でパージした2Lの4口丸底フラスコ中に1LのTiCl
4を約0℃において導入した。次いで、ほぼ同一の温度において上記のように調製した25重量%のエタノールを含む70gの球状MgCl
2/EtOH付加物を撹拌下で加えた。温度を約2時間で約140℃に上昇させ、約60分間保持する。次いで、撹拌を停止して固体生成物を沈降させて上澄液を吸い出した。
【0131】
次いで、固体残渣を80℃でヘプタンで1回、25℃でヘキサンで5回洗浄し、真空下で30℃において乾燥した。
【0132】
上記報告の合成経路にしたがって製造された十分な量の固体触媒成分をWO01/85803の実施例7に記載の方法にしたがい、1gのポリプロピレン/g触媒成分の量でプロピレンと予備重合させた。
【0135】
ポリエチレンは、
図1に示したような2つの相互連結された反応ゾーンを有する流動床反応器及びマルチゾーン循環反応器のカスケードで製造された。
【0136】
重合を行うために、前述したように製造された9.5g/hの固体触媒を、1.5kg/hの液体プロパンを使用して第1攪拌予備接触容器に供給し、ここにまた、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)を投入した。アルミニウムアルキル対チーグラー触媒の重量比は2:1であった。第1の予備接触容器を40℃で平均滞留時間25分に維持させた。第1の予備接触容器の触媒懸濁液を第2の撹拌予備接触容器に連続的に移し、これを平均滞留時間25分で操作し、また40℃に維持させた。触媒懸濁液を、ライン(2)を介して流動床反応器(FBR)(1)に連続的に移した。
【0137】
流動床反応器(1)において、分子量調節剤として水素を使用して、不活性希釈剤としてプロパンの存在下でエチレンを重合した。エチレン47kg/h、水素165g/h、およびプロパン11kg/hを、ライン(3)を介して流動床反応器(1)に供給した。コモノマーは添加しなかった。重合温度80℃、圧力3.0MPaで重合を実施した。選択の供給速度により、反応器内のエチレン濃度が7.4体積%に、反応器内の水素/エチレンのモル比が2.7になった。
【0138】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンは、102g/10分のMIEおよび0.968g/cm
3の密度を有していた。
【0139】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンをマルチゾーン循環反応器(MZCR)に連続的に移し、この反応器は、反応器のガス出口において測定された2.6MPaの圧力および83℃の温度で操作し、バリアのフラッシング(flushing)のみをもつ単峰性(monomodal)セットアップで稼働した。
【0140】
上昇管(5)は内径200mm、長さ19mであった。下降管(6)は全長18m、内径300mmを有する上部5m及び内径150mmを有する下部13mを有する。3つの位置で下降管に単量体を供給した。バリアの真下に位置した投入地点1(8)で25kg/hの液体凝縮物(10)、10kg/hのエチレン(9)および900g/hの1−ヘキセン(9)を導入した。投入地点1から2.3メートル下に位置した投入地点2(11)で、15kg/hの液体凝縮物(13)および5kg/hのエチレン(12)を導入した。投入地点2から4.0メートル下に位置した投入地点3(14)で、15kg/hの液体凝縮物(16)および5kg/hのエチレン(15)を投入した。5kg/hのプロパン、33.4kg/hのエチレン及び8g/hの水素を、ライン(19)を通して再循環システムに供給した。
【0141】
フラッシング手段として機能する液体凝縮物は、再循環ストリーム(ライン19)の凝縮物から生じるストリームから得られる。
【0142】
最終ポリマーはライン(18)を介して不連続的に排出された。
【0143】
第1反応器は第1および第2反応器の両方によって製造された最終ポリエチレン樹脂の総量の約46重量%(スプリット重量%)を製造した。
【0144】
得られたポリエチレンポリマーの最終MIFは、10.7g/10分であった。得られた密度は、0.951g/cm
3であった。
【0145】
共単量体(ヘキセン−1)の量は約0.90重量%であった。
【0147】
エチレン47kg/h、水素150g/h、およびプロパン11kg/hを、ライン(3)を介して流動床反応器(1)に供給したことを除いては、実施例1での条件と同一にした。選択の供給速度により、反応器内のエチレン濃度が6.6体積%に、反応器内の水素/エチレンのモル比が2.7になった。
【0148】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンは、99g/10分のMIEおよび0.968g/cm
3の密度を有していた。
【0149】
3つの位置で下降管に単量体を供給した。投入地点1(8)で25kg/hの液体凝縮物(10)、10kg/hのエチレン(9)および450g/hの1−ヘキセン(9)を導入した。投入地点2(11)で、15kg/hの液体凝縮物(13)および5kg/hのエチレン(12)を導入した。投入地点3(14)で、15kg/hの液体凝縮物(16)および5kg/hのエチレン(15)を投入した。5kg/hのプロパン、34.8kg/hのエチレン及び6.5g/hの水素を、ライン(19)を通して再循環システムに供給した。
【0150】
フラッシング手段として機能する液体凝縮物は、再循環ストリーム(ライン19)の凝縮物から生じるストリームから得られる。
【0151】
第1反応器は第1および第2反応器の両方によって製造された最終ポリエチレン樹脂の総量の約45重量%(スプリット重量%)を製造した。
【0152】
得られたポリエチレンポリマーの最終MIFは、11.5g/10分であった。得られた密度は、0.954g/cm
3であった。
【0153】
共単量体(ヘキセン−1)の量は約0.45重量%であった。
【0155】
重合を行うために、10.5g/hの固体触媒および0,21g/hのテトラヒドロフラン(THF)を、1.5kg/hの液体プロパンを使用して第1攪拌予備接触容器に供給し、ここにまた、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)を投入したことを除いては、実施例1での条件と同一にした。アルミニウムアルキル対チーグラー触媒の重量比は2:1であった。
【0156】
エチレン46kg/h、水素185g/h、およびプロパン11kg/hを、ライン(3)を介して流動床反応器(1)に供給した。選択の供給速度により、反応器内のエチレン濃度が7.3体積%に、反応器内の水素/エチレンのモル比が3.4になった。
【0157】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンは、101g/10分のMIEおよび0.968g/cm
3の密度を有していた。
【0158】
マルチゾーン循環反応器(MZCR)は、反応器のガス出口において測定された2.6MPaの圧力および85℃の温度で操作し、バリアのフラッシング(flushing)のみをもつ単峰性(monomodal)セットアップで稼働した。
【0159】
3つの位置で下降管に単量体を供給した。投入地点1(8)で25kg/hの液体凝縮物(10)、9.5kg/hのエチレン(9)および500g/hの1−ヘキセン(9)を導入した。投入地点2(11)で、15kg/hの液体凝縮物(13)および4.5kg/hのエチレン(12)を導入した。投入地点3(14)で、15kg/hの液体凝縮物(16)および4.5kg/hのエチレン(15)を投入した。5kg/hのプロパン、31.8kg/hのエチレン及び10g/hの水素を、ライン(19)を通して再循環システムに供給した。
【0160】
フラッシング手段として機能する液体凝縮物は、再循環ストリーム(ライン19)の凝縮物から生じるストリームから得られる。
【0161】
第1反応器は第1および第2反応器の両方によって製造された最終ポリエチレン樹脂の総量の約47重量%(スプリット重量%)を製造した。
【0162】
得られたポリエチレンポリマーの最終MIFは、7.1g/10分であった。得られた密度は、0.953g/cm
3であった。
【0163】
共単量体(ヘキセン−1)の量は約0.52重量%であった。
【0165】
重合を行うために、12.5g/hの固体触媒および0.25g/hのTHFを、1.5kg/hの液体プロパンを使用して第1攪拌予備接触容器に供給し、ここにまた、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)を投入したことを除いては、実施例1での条件と同一にした。アルミニウムアルキル対チーグラー触媒の重量比は2:1であった。
【0166】
エチレン49.5kg/h、水素185g/h、およびプロパン11kg/hを、ライン(3)を介して流動床反応器(1)に供給した。選択の供給速度により、反応器内のエチレン濃度が7.5体積%に、反応器内の水素/エチレンのモル比が3.2になった。
【0167】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンは、95g/10分のMIEおよび0.967g/cm
3の密度を有していた。
【0168】
マルチゾーン循環反応器(MZCR)は、反応器のガス出口において測定された2.6MPaの圧力および85℃の温度で操作し、バリアのフラッシング(flushing)のみをもつ単峰性(monomodal)セットアップで稼働した。
【0169】
3つの位置で下降管に単量体を供給した。投入地点1(8)で25kg/hの液体凝縮物(10)、9.5kg/hのエチレン(9)および1000g/hの1−ヘキセン(9)を導入した。投入地点2(11)で、15kg/hの液体凝縮物(13)および4.5kg/hのエチレン(12)を導入した。投入地点3(14)で、15kg/hの液体凝縮物(16)および4.5kg/hのエチレン(15)を投入した。5kg/hのプロパン、31.5kg/hのエチレン及び8g/hの水素を、ライン(19)を通して再循環システムに供給した。
【0170】
フラッシング手段として機能する液体凝縮物は、再循環ストリーム(ライン19)の凝縮物から生じるストリームから得られる。
【0171】
第1反応器は第1および第2反応器の両方によって製造された最終ポリエチレン樹脂の総量の約49重量%(スプリット重量%)を製造した。
【0172】
得られたポリエチレンポリマーの最終MIFは、10.0g/10分であった。得られた密度は、0.951g/cm
3であった。
【0173】
共単量体(ヘキセン−1)の量は約1.0重量%であった。
【0175】
ポリエチレンは、
図1に示したような2つの相互連結された反応ゾーンを有する流動床反応器及びマルチゾーン循環反応器のカスケードで製造された。
【0176】
重合を行うために、WO2016206958の実施例1に記載のように製造された10.8g/hの固体触媒を、1.1kg/hの液体プロパンを使用して第1攪拌予備接触容器に供給し、ここにまた、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)を投入した。トリイソブチルアルミニウムおよびジエチルアルミニウムクロリドの重量比は7:1であった。アルミニウムアルキル対チーグラー触媒の重量比は5:1であった。第1の予備接触容器を50℃で平均滞留時間30分に維持させた。第1の予備接触容器の触媒懸濁液を第2の撹拌予備接触容器に連続的に移し、これを平均滞留時間30分で操作し、また50℃に維持させた。触媒懸濁液を、ライン(2)を介して流動床反応器(FBR)(1)に連続的に移した。
【0177】
流動床反応器(1)において、分子量調節剤として水素を使用して、不活性希釈剤としてプロパンの存在下でエチレンを重合した。エチレン50kg/h、水素235g/h、およびプロパン11kg/hを、ライン(3)を介して流動床反応器(1)に供給した。コモノマーは添加しなかった。重合温度80℃、圧力3.0MPaで重合を実施した。選択の供給速度により、反応器内のエチレン濃度が9.9体積%に、反応器内の水素/エチレンのモル比が2.6になった。
【0178】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンは、91g/10分のMIEおよび0.967g/cm
3の密度を有していた。
【0179】
流動床反応器(1)で得られたポリエチレンをマルチゾーン循環反応器(MZCR)に連続的に移し、この反応器は、反応器のガス出口において測定された2.6MPaの圧力および80℃の温度で操作し、バリアのフラッシング(flushing)のみをもつ単峰性(monomodal)セットアップで稼働した。上昇管(5)は内径200mm、長さ19mであった。下降管(6)は全長18m、内径300mmを有する上部5m及び内径150mmを有する下部13mを有する。3つの位置で下降管に単量体を供給した。バリアの真下に位置した投入地点1(8)で25kg/hの液体凝縮物(10)、10kg/hのエチレン(9)および1000g/hの1−ヘキセン(9)を導入した。投入地点1から2.3メートル下に位置した投入地点2(11)で、15kg/hの液体凝縮物(13)および5kg/hのエチレン(12)を導入した。投入地点2から4,0メートル下に位置した投入地点3(14)で、15kg/hの液体凝縮物(16)および5kg/hのエチレン(15)を投入した。5kg/hのプロパン、30.0kg/hのエチレン及び5g/hの水素を、ライン(19)を通して再循環システムに供給した。
【0180】
フラッシング手段として機能する液体凝縮物は、再循環ストリーム(ライン19)の凝縮物から生じるストリームから得られる。
【0181】
最終ポリマーはライン(18)を介して不連続的に排出された。
【0182】
第1反応器は第1および第2反応器の両方によって製造された最終ポリエチレン樹脂の総量の約49重量%(スプリット重量%)を製造した。
【0183】
得られたポリエチレンポリマーの最終MIFは、8.7g/10分であった。得られた密度は、0.951g/cm
3であった。
共単量体(ヘキセン−1)の量は約1.0重量%であった。
【表2】
注 C
2H
4=エチレン;C
6H
12=ヘキセン;エチレンとヘキセンの量は体積パーセントである;スプリット=該当反応器で生産されたポリマーの重量;*ネックの高さ:8DD、BUR:4:1、速度=72kg/h、フィルムの厚さ=12.5μm。