(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527782(P2021-527782A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】機械的振動の受動的減衰の体系と方法
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20210917BHJP
H02N 2/18 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
F16F15/02 L
H02N2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-568288(P2020-568288)
(86)(22)【出願日】2019年6月6日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月25日
(86)【国際出願番号】FR2019051368
(87)【国際公開番号】WO2019234366
(87)【国際公開日】20191212
(31)【優先権主張番号】1854917
(32)【優先日】2018年6月6日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518099723
【氏名又は名称】フィテア テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】PYTHEAS TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】グロソ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】モスカ,フレデリック
【テーマコード(参考)】
3J048
5H681
【Fターム(参考)】
3J048AA03
3J048AC07
3J048BG10
3J048CB24
3J048EA07
5H681AA18
5H681BB08
5H681DD65
5H681EE10
5H681EE20
5H681EE24
5H681GG18
(57)【要約】
本発明は、支持体により支持されている振動構造物により発生した機械的振動の受動的減衰装置に関するものであり、その装置は、振動の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換するために振動構造物と支持体の間に挿入されたトランスデューサを含み、以下のような事実により特徴付けられ、
トランスデユーサは、以下で構成される:
〇第1軸(および互いに垂直な第2軸)を備えた屈曲構造物
〇応力が加わった時点で電気エネルギーを生成するように適合している圧電素子のスタック(積層材)で、このスタックは、第1軸に沿って屈曲構造物により圧縮応力が加わるため、前記構造物の変形により、前記スタックに加わった圧縮応力が変化する、
2つの周辺固定具は屈曲構造物に固定され、各固定具は第2軸に沿って配置されている、
・屈曲構造物を振動構造物に固定させる第1固定具
・屈曲構造物を支持体に固定させる第2固定具
・固定具の少なくとも1つには、弾性サスペンションが組み込まれていること
シャントが圧電スタックに接続されており、前記圧電スタックに加わった応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を放散する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(3)により支持されている振動構造物(2)により発生した機械的振動の受動的減衰装置であり、振動の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換するために振動構造物と支持体の間に挿入されたトランスデューサー(1)を含む装置で、次の事実により特徴付けられ、
トランスデユーサ(1)は、以下を含む:
〇第1軸(A−A)および第2軸(B−B)が互いに垂直である屈曲構造物(10)
〇圧電スタック(4)を形成するように第1軸(A−A)に沿って積み重ねた圧電素子で、この圧電スタックは、応力が加わった時点で電気エネルギーを生成するように適合しており、そのスタックには第1軸(A−A)に沿って屈曲構造物により圧縮応力が加わり、前記構造物の変形により前記スタックに加わる圧縮応力が変化するようになる、
2個の周辺固定具(5a、5b)は屈曲構造物(10)に固定され、各固定具には第2軸(B−B)に沿って配置されている、
・屈曲構造物(10)を振動構造物(2)に固定する第1固定具(5a)
・屈曲構造物(10)を支持体(3)に固定する第2固定具(5b)
・固定具(5b)の少なくとも1つには、弾性サスペンション(6)が組み込まれている
前記装置は、減衰される周波数帯域に応じて圧電スタック(4)の電気的剛性を変更するための手段を含み、その手段とは、前記圧電スタックに加わった応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を放散するように前記圧電スタックに接続されたシャント(7)である。
【請求項2】
弾性サスペンションが、振動構造物(2)から最も遠く離れた固定具(5b)に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
弾性サスペンション(6)がエラストマー製サスペンションである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
弾性サスペンション(6)が金属製または空気圧式または油圧式サスペンションである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
シャント(7)が、前記圧電スタックに加わった応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を熱的に放散するように、圧電スタック(4)の端子に接続された電気抵抗器からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
シャント(7)が、圧電スタック(4)の端子に接続された電気抵抗器とインダクタからなり、減衰する周波数帯域で調整されたRLC共振電子回路を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
電子管理ユニット(70)が、支持体の振動を捕捉するように配置された加速度計(71)に、および/または振動構造物の振動を捕捉するように配置された加速度計に接続されており、電子制御ユニットがシャント(7)を駆動して、加速度計(71)から発信された信号に応じて前記圧電スタックの電気的剛性が変化する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
圧電スタック(4)に加わった応力により生成され、かつシャント(7)により放散されない電気エネルギーの一部により、1つまたは複数の電子機器(70、71)に電力を供給する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
屈曲構造物(10)が以下のようなもの、
第1軸(A−A)に垂直に、かつ第2軸(B−B)の両側に対称に配置された、2つの対向する横エンドキャップ(12a、12b)、
第2軸(B−B)に垂直に配置され、かつ第1軸(A−A)の両側に対称に配置された、2つの対向する横フランジ(13a、13b)、
第1軸(A−A)に沿って延び、横エンドキャップ(12a、12b)を横フランジ(13a、13b)に接続する同一の縦向アーム(14a、14b、15a、15b)、
である、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
一方では縦向アーム(14a、14b、15a、15b)と他方では横エンドキャップ(12a、12b)および横フランジ(13a、13b)との接続がジョイント(継手)で構成されており、そのジョイントは、各アームの端部位置に調整されたヒンジを形成する、薄い領域(140、150)により形成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
エラストマー製パッド(8)が横フランジ(13a、13b)の間に挿入され、第2軸(BB)に沿った屈曲構造物(10)の隙間が制限されている、請求項9または10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
以下のとおり、圧電スタック(4)に予応力が加わり、前記スタックに加わる予応力が、
第1軸(AA)に沿って取り付けられ、その上に圧電スタック(4)が取り付けられているロッド(40)と、屈曲構造物(10)に取り付けられた締結部材(40a、40b)の協働により、または
直接屈曲構造物(10)により
生成されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
モーターが支持体(3)により支持されている、自動車のワイパーモーター(2)の機械的振動を緩和する方法であって、前記方法は請求項1に記載の減衰装置を使用するもので、前記ワイパーモーターと前記支持体の間にトランスデューサー(1)を挿入している。
【請求項14】
支持体(3)により支持された振動構造物(2)により発生した機械的振動を緩和する方法であって、前記方法は、以下からなる手順を含む:
トランスデューサ(1)を前記振動構造物と前記支持体の間に挿入して、請求項1に記載の減衰装置を使用する、
減衰する周波数帯域に応じて、シャント(7)により圧電スタック(4)の電気的剛性を変更する。
【請求項15】
50Hz±10Hz〜20KHz±100Hzの周波数帯域で機械的振動を緩和する方法であって、この振動は支持体(3)で支持されている振動構造物(2)により生成され、前記方法は請求項1に記載の減衰装置を使用するものであり、前記振動構造物と前記支持体の間にトランスデユーサ(1)を挿入している。
【請求項16】
500Hz±100Hz〜20kHz±100Hzの範囲の周波数帯域で、40dB/ディケード±10dB/ディケード〜60dB/ディケード±10dB/ディケードの減衰により機械的振動を緩和する方法であって、その振動は支持体(3)により支持されている振動構造物(2)により発生し、前記方法は請求項1に記載の減衰装置を使用するもので、前記振動構造物と前記支持体の間にトランスデューサ(1)を挿入している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的振動の受動的減衰の体系と方法を対象としている。
【0002】
本発明は、つまり電気的振動を、減衰される振動と位相が逆に作用する機械的振動に変換するアクチュエータ(作動装置)のようには機能しない受動的振動絶縁装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0003】
振動絶縁装置は、一般的には、一方では振動を生成する構造物と、他方ではそうした振動の影響を受ける可能性が高い部品の間に取り付けられている。この装置により、振動構造物の振動を吸収することができ、振動の影響を受けやすい部品に振動が伝わらないよう阻止することもできる。例えば、振動絶縁装置を回転機の支持部品とその回転機自体の間に挿入し、回転機により発生した振動が支持部品に伝達しないようにすることができる。
【0004】
さまざまな技術に基づき異なる種類の振動絶縁装置が存在している。特に、流体室・オリフィスあるいはエラストマー製または金属製サスペンション(懸架装置)への絶縁装置が知られている。これらの絶縁装置は純粋に機械的なものであり、振動の力学的エネルギーを熱エネルギー(高温)に変換する。こうした技術は成熟しており定評があるが、性能や作動状態への適合性という点で、一定数の制約が明らかとなっている(温度、振動構造物の動作方式、静的な力の伝達、…)。
【0005】
振動の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する電気活性材料を用いた電磁サスペンション、磁気収縮サスペンションまたは圧電サスペンションも知られている。これらの技術は高性能であり、使用状況によりうまく適合することができる。しかしながらそうした装置は汎用性に欠けており、時には前記の純粋に機械的な絶縁装置ほど頑丈ではないと考えられている。さらに、そうしたソリューション(解決策)では、受動式アセンブリ(組立品)の中に実装された場合には(サスペンションにはアクチュエータの役割なし)、使用する電気活性材料の相対的な剛性のため、低周波数での効果的な減衰が不可能となる。
【0006】
図1は、圧電スタック(積層物)で得られる減衰を示す図である。横軸はヘルツ単位での振動周波数に相当し、縦軸はデシベル単位での伝達率(励起力に対する伝達力の比率)に相当する。約100Hzまでは、伝達率がゼロであり、つまり圧電スタックはいかなる減衰も生成することなくすべての振動を通過させることが確認されている。約20dBという伝達率の正のピークが、500Hzあたりに出現し、この除去は、圧電スタックが減衰場所で振動現象を増幅することを意味している。この周波数のピーク以降になって初めて、伝達率が負になる。圧電スタックにより、約500Hzから約20kHzまでにわたる周波数帯域で、ディケードあたり約40dBの振動が減衰されているが、この周波数帯域(Z)は、特に減衰には有利であるノイズに相当している。
【0007】
国際公開第2017/048906号(ミシガン大学)および特許第3790255号公報(太平洋セメント社)により、トランスデューサ(変換器)を搭載した機械的振動減衰装置が知られている。このトランスデューサは、屈曲時のみ作動する二枚羽根の形をしている。実際には、この種の装置の性能は、特に静的保持の際における振動減衰・緩和という点では限られている。
【0008】
また、米国特許出願公開第2005/134149号明細書(DENG KEN K)により、シンバル型のトランスデューサを搭載した機械的振動減衰装置も知られている。圧電素子は、シンバルにより放射状に圧縮されている。ここでも、この装置の性能は、振動の減衰および緩和という点では最適なものとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2017/048906号
【特許文献2】特許第3790255号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/134149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況に鑑み、本発明の目的とは、前述の先行技術の振動絶縁装置のものと比べて性能が増大した振動絶縁装置を提案することである。
【0011】
本発明の別の目的とは、作動状態への適合性を最適化することができる振動絶縁装置を提案することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的とは、設計が簡単、堅牢かつ安価である頑丈な振動絶縁装置を提案することである。
【0013】
本発明の補足目的とは、特に低周波数での広い周波数帯域における効果的な振動減衰を可能とし、約500Hzから約20KHzまでの周波数帯域において減衰が向上する振動絶縁装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明により提案する解決策とは、支持体により支持されている振動構造物から発生した機械的振動の受動的減衰装置であり、この装置は以下を含む。
振動の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換するため振動構造物と支持体の間に挿入したトランスデューサで、以下を含むもの:
〇第1軸と第2軸が互いに垂直である屈曲構造物
〇圧電スタックを形成するように第1軸に沿って積み重ねられた圧電素子で、その圧電スタックは応力が加わった時点で電気エネルギーを生成するのに適しており、そのスタックには第1軸に沿って屈曲構造物により圧縮応力が加わっているため、前記構造物の変形により、前記スタックに加わる圧縮応力が変化する。
2つの周囲固定具は屈曲構造物に固定されており、その固定具のそれぞれが第2軸に沿って配置されている。
〇屈曲構造物を振動構造物に固定させる第1固定具
〇屈曲構造物を支持体に固定させる第2固定具
〇固定具のうちの少なくとも一つには、好ましくは弾性サスペンションが組み込まれている
圧電スタックの電気的剛性を変更する手段で、その手段とは、前記圧電スタック上に加わった応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を放散するようにするため圧電スタックに接続されたシャント(短絡分流器)である。
【0015】
この減衰装置または振動絶縁装置には、屈曲型の圧電変換器が含まれ、好ましくは、前記変換器と直列に配置された弾性サスペンションと組み合わさっている。出願者は、この特に頑丈な振動絶縁装置は、前記の先行技術による振動絶縁装置のものと比べて性能が向上していることを確認している。この装置により、とりわけおよそ50Hzから20kHzにわたる周波数帯域で振動の効果的な減衰が可能となり、およそ500Hzから20kHzにわたる周波数帯域では40dB/ディケード〜60dB/ディケードという減衰を伴っている。さらに、シャントの制御を簡単に行え、作動状態に応じて圧電スタックの剛性を変化させることができ、実際振動減衰がさらに向上するとともに、全般的には装置の電気機械的結合をも向上させることができる。
【0016】
本発明のその他の有利な特徴を以下に列挙する。そうした特徴のそれぞれは、単独で、あるいは上記に規定する優れた特性と組み合わせて検討することができ、該当する場合には、一つまたは複数の分割特許申請の対象とすることができる。
有利なことに、弾性サスペンションは振動構造物から最も遠く離れた位置にある固定具内に組み込まれている。
弾性サスペンションは、エラストマー製サスペンションとするか、金属製または空気圧式または油圧式のサスペンションとすることができる。
シャントは、圧電スタックの端部に接続された電気抵抗器からなり、前記圧電スタックに加わる応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を熱的に発散できるようになっている。
代替実施形態によれば、シャントは圧電スタックの端子に接続された電気抵抗器とインダクタからなり、減衰される周波数帯域で調整されたRLC(抵抗器・コイル・コンデンサ)共振電子回路を形成することができる。
有利なことに、電子管理ユニットは、支持体の振動を捕捉するように配置された加速度計または振動構造物の振動を捕捉するように配置された加速度計に接続されており、その電子管理ユニットによりシャントが駆動し、加速度計から発信された信号に応じて前記圧電スタックの電気的剛性が変化する。
有利なことに、圧電スタックに加わった応力により生成され、かつシャントにより放散しない電気エネルギーの一部により、一台または複数の電気機器に電力が供給される。
有利なことに、屈曲構造物は、以下のようなものである: - 第1軸に垂直に配置され、第2軸の両側に対称的に配置された2つの対向する横エンドキャップ、- 第2軸に垂直に配置され、第1軸の両側に対称的に配置された2つの対向する横フランジ、- 第1軸に沿って延び、横エンドキャップを横フランジに接続する同一の縦向アーム。
一方では縦向アーム、もう一方では横エンドキャップと横フランジの間の接続部は、有利なことにジョイント(継手)で構成され、そのジョイントは各アームの端部位置に調整されたヒンジ(蝶番)を形成する薄い領域により形成されている。
有利なことに、エラストマー製パッドが横フランジの間に挿入され、第2軸に沿った屈曲構造物のたわみを制限するようになっている。
有利なことに、圧電スタックに予応力が加えられ、前記スタックに加わった予応力の力は次のようなものにより生成されている。−第1軸に沿って取り付けられたロッドの協働によるもので、その上に圧電スタックが取り付けられ、屈曲構造物内に締結部材が取り付けられている。−または直接屈曲構造物によるもの。
【0017】
本発明の別の側面とは、自動車のワイパーモーターの力学的振動の緩和方法に関するものであり、そのモーターは支持体により支持されており、前記方法は、前記特徴のいずれか一つに従った減衰装置を使用するもので、前記ワイパーモーターと前記支持体の間にトランスデューサを挿入している。
【0018】
本発明のさらに別の側面とは、支持体(3)により支持されている振動構造物により発生した機械的振動の緩和方法に関するものであり、前記方法は、以下のものからなる手順を含む。
前記特徴のいずれか一つに従った減衰装置を利用し、前記振動構造物と前記支持体の間にトランスデューサを挿入している。
減衰される周波数帯域に応じてシャントを用いて圧電スタックの電気的剛性を変化させる。
【0019】
本発明のさらに別の側面とは、50Hz±10Hzから20kHz±100Hzにわたる周波数帯域での力学的振動の緩和方法に関するものであり、前記振動は支持体により支持されている振動構造物により発生し、前記方法は前記特徴のいずれか一つに従った減衰装置を使用するもので、前記振動構造物と前記支持体の間にトランスデユーサを挿入している。
【0020】
本発明のさらに別の側面とは、500Hz±100Hzから20kHz±100Hzにわたる周波数帯域で40dB/ディケード±10dB/ディケード〜60dB/ディケード±10dB/ディケードという減衰により機械的振動を緩和する方法に関するものであり、前記振動は支持体により支持されている振動構造物により発生し、前記方法は前記特徴のいずれか一つに従った減衰装置を使用するもので、前記振動構造物と前記支持体の間にトランスデユーサを挿入している。
【0021】
本発明のその他の利点および特徴は、以下についての例示的かつ非限定的な例として作成された添付の図面を参照しながら、下記の好ましい実施形態の説明を読むことでより明らかになると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】前述したように、圧電スタックを用いて得られる減衰を示す図である。
【
図2】本発明に従ったトランスデユーサの透視図であり、屈曲構造物を示す。
【
図4a】
図3のトランスデューサのA−Aに沿った断面図である。
【
図4b】代替実施形態に従った
図3のトランスデューサのA−Aに沿った断面図である。
【
図5】振動構造物と支持体の間に挿入された
図2〜4a・4bのトランスデューさを例示しており、圧電スタックはシャントに接続されている。
【
図6】本発明に準拠する減衰装置を用いて得られる減衰を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本説明の中で使用する可能性のある右/左、上/下、高/低、水平/垂直という用語は、基本的に、添付の図面に示す部材の位置を指す。それらは、参考として、および非限定的な例としてのみ使用している。
【0024】
図5で、本発明の減衰装置は、振動構造物2と前記振動構造物を支持する支持体3の間に挿入されたトランスデューサ1を含む。この振動構造物2は、例えば、自動車のワイパーの回転機またはモーターである。後者の場合、支持体3は、ワイパーを支持するリンク機構または車両のシャーシ部材に相当し得る。
トランスデューサ1の機能とは、振動構造物2により発生した振動の力学的エネルギーを電気エネルギーに変換し、これらの振動が支持体3にまったくまたはほとんど伝達されないようにすることである。
【0025】
図2〜5に関連して、トランスデューサ1は、屈曲構造物10を含む。「屈曲構造物」とは、屈曲と引張を組み合わせた構造物と理解される。この機械的構造物は変形可能であり、力学的増幅器を形成し、振動構造物2の振動力を圧電スタック4に向けて伝達し増幅する。
【0026】
構造物10は、互いに垂直な第1軸A−Aおよび第2軸B−Bを有する。添付の図では、軸A−Aは水平な縦軸であり、軸B−Bは垂直な横軸である。構造物10は全体的に八角形であり、第1軸A−Aに沿って延びている。長さが5cmから30cmの間、幅が2cmから10cmの間、そして高さが2cmから10cmの間にある筐体の中に入れることができる。
【0027】
構造物10は、好ましくは以下のようなものとする。
第1軸A−Aに垂直に配置され、かつ第2軸B−Bの両側に対称に配置された、対向する2つの同一の(または同一ではない)小型サイドパネルまたは横エンドキャップ12a、12bで、これらのエンドキャップは、全体的に平行六面体形または円筒形である。
第2軸B−Bに垂直に配置され、第1軸A−Aの両側に対称に配置された、対向する2つの同一(または同一ではない)小型横フランジ13a、13bで、これらのフランジは、全体的に平行六面体形または円筒形である。
第1軸A−Aに沿って延び、エンドキャップ12a、12bを横フランジ13a、13bに接続する同一の縦向アーム14a、14b、15a、15bで、これらのアームの断面は、正方形、長方形、円形、楕円形などとなる可能性がある。
【0028】
より具体的には、構造物10は以下のようなものとする。
上部フランジ13aを左側横エンドキャップ12bの上端に接続する一対の上部アーム14a
上部フランジ13aを左側横エンドキャップ12bの下端に接続する一対の下部アーム14b
上部フランジ13aを右側横エンドキャップ12aの上端に接続する一対の上部アーム15a
上部フランジ13aを右側横エンドキャップ12aの下端に接続する一対の下部アーム15b
【0029】
掲載していない代替実施形態では、アーム14a、14b、15a、15bの各対は、単一のアームに置き換えられている。ただし、アーム対を使用すると、前記アーム内の機械的応力をより適切に分散させることができる。掲載していない別の代替実施形態では、アーム14a、14b、15a、15bの各対は、3本以上のアームの組み合わせにより置き換えられている。
【0030】
エンドキャップ12a、12b、フランジ13a、13bおよびアーム14a、14b、15a、15bは、好ましくは鋼、ステンレス鋼、アルミニウムまたは複合材料でできており、機械加工または注入によって得られた剛性のモノブロック部品を形成している。しかしながら、これらの部材は、例えば溶接、ねじ込みまたはボルト締めにより一緒に組み立てられた別個の部品の形態となり得る。
【0031】
一方のアーム14a、14b、15a、15bと、他方のエンドキャップ12a、12bおよびフランジ13a、13bとの接続は、有利なことに、ジョイントからなる。構造物10の設計を簡素化するため、これらのジョイントは、各アーム14a、14b、15a、15bの端部位置に調整されているヒンジを形成する、薄い領域140、150からなる。したがって、機械部品の数が制限され、それによりトランスデューサのメンテナンスが明らかに改良される。
【0032】
したがって、機械的構造物10は弾性的に変形可能である。B−B軸に沿って圧縮(曲げ)応力を受けると、フランジ13a、13bは接近する傾向がある。このフランジ13a、13bの接近により、エンドキャップ12a、12bを隔てる距離が増加する。逆に、軸B−Bに沿った圧縮応力が逆になる(伸長)と、フランジ13a、13bが遠ざかり、エンドキャップ12a、12bの分離距離が減少する。これらの圧縮応力とは、振動構造物2の振動により発生することが理解される。
【0033】
B−B軸に沿った構造物10の隙間を制限するため、エラストマー製パッド8を2つのフランジ13a、13bの間に挿入することができる。このパッド8により、構造物10を損傷しやすくするその過度の変位が回避される。
【0034】
圧電素子のスタック4が構造物10内に取り付けられている。これは、応力が加わった時点で電気エネルギーを生成するように適合している。スタック4の圧電素子は、有利なことに、機械的応力の作用下で電気的に分極するように適合させた圧電セラミック式または圧電複合材料式のワッシャー(座金)またはディスク(円盤)の形状となっている。ワッシャーの数は、構造物10の長さに応じて、3個から20個まで変動する。一例として、8個のPZT(チタノジルコン酸鉛)ハードセラミックワッシャーを使用しており、スタック4の剛性は16MN/mであり、ヤング係数は約50GPaである。このスタック4は、100ニュートンという力の下で73Vの電圧を供給することができる。
【0035】
図2〜5では、スタック4は、構造物10の変形により前記スタックに加わった圧縮応力が変化するように、エンドキャップ12a、12bの間にある第1軸A−Aに沿って取り付けられている。とりわけ、前項で説明したとおり、振動構造物2が振動すると、構造物10は軸B−Bに沿って変形する。はさみ効果により、圧縮応力がスタック4に加わる。したがって、構造物10は、スタック4に向けて振動構造物2の振動力を伝達および増幅する機械的増幅器の役割を果たしている。
【0036】
スタック4は、有利なことに予応力がかかっており、トランスデューサ1の機械的引張強度を向上させている。
図4aでは、スタック4は、第1軸A−Aに沿って取り付けられたロッド40に装着されている。エンドキャップ12a、12b内に取り付けられた締結部材40a、40b、ロッド40のねじ込み端部に係合する。締結部材40a、40bとロッド40の協働により、スタック4に予応力を加えることができる。
【0037】
図4bでは、スタック4に加わる予応力を直接生成するのは構造物10である。構造物10は、スタック4を配置できるようにするために弾性的に変形される。実際には、軸B−Bに沿った圧縮応力がフランジ13a、13bに加わり、エンドキャップ12a、12bが離れ、スタック4の挿入が可能となる。フランジ13a、13bを緩めることにより、エンドキャップ12a、12bが接近し、そのように予応力が加わっているスタック4を圧迫する。スタック4の挿入を容易にするため、これはエンドキャップ12a、12b内に取り付けられた締結部材400a、400bにより軸A−Aに沿った位置に保持されたガイドロッド400に取り付けられている。
【0038】
トランスデューサ1の組み立ては、以下のように非常に簡単かつ非常に迅速に行われる。つまり、ロッド40がスタック4に挿入される。スタック4は、構造物10内でエンドキャップ12a、12bの間に設置されている。締結部材40a、40bは、前記部材がロッド40のねじ込み端部と係合するように、エンドキャップ12a、12b内に配置されている。締結部材40a、40bは、専用の工具(例えばトルクレンチ)でねじ込まれており、所望の予応力の量に従ってスタック4に予応力が加わるようになっている。構造物10内へのスタック4の取り付けを容易にすべく、上部フランジ13aおよび/または下部フランジ13bは2つの部分で作ることができるため、加工日を調整できるようなっている。
【0039】
2つの周辺固定具5a、5bが構造物10に固定されている。上部固定具5aは上部フランジ13aに固定され、下部固定具5bは下部フランジ13bに固定されている。したがって、固定具5a、5bは、第2軸B−Bに沿って配置される。フランジ13a、13b上の固定具5a、5bの固定は、例えば、溶接、ねじ込みまたはボルト締めによって達成することができる。固定具5a、5bの形状は、フランジ13a、13bの形状と相補的である。
図2〜5では、固定具5a、5bは、例えば機械加工によって得られた鋼、ステンレス鋼、アルミニウムまたは複合材料で作製された平行六面体形で硬い扁平フランジ形である。その長さと幅の寸法は、フランジ13a、13bの寸法に対応している。その厚さは、1cmから10cmの間で変動し得る。
【0040】
図5では、上部固定具5aを使用して、ねじ込みまたはボルト締めにより構造物10を振動構造物2に固定している。また、下部固定具5bは、構造物10を固定するのに使用され、これもねじ込みまたはボルト締めによって行われる。
【0041】
本発明の有利な特性によれば、固定具5aおよび/または5bのうち少なくとも1つには、弾性サスペンションが組み込まれている。「一体化(組み込み)」とは、固定具5bおよびサスペンション6が、一緒に組み立てられた2つの別個の部品となりうるか、または逆に1つの同じ部品で形成されうるものと理解される。
【0042】
図2〜5では、このサスペンション6を組み込んでいるのは下部固定具5bである。後者は、下部固定具5bと支持体3の間の境界面として機能する。下部固定具5bは、この単一のサスペンション6により形成することができる。しかしながら、サスペンション6は、振動構造物2と前記固定具の間にある上部固定具5aにしか組み込むことができない。2つの固定具5aおよび5bにはまた、それぞれ弾性サスペンションを組み込むことができる。ただし、減衰に関しての最良の結果は、弾性サスペンションが振動構造物2から最も遠く離れた固定具5bに組み込まれたときに得られる。
【0043】
設計を簡素化し、堅牢性を向上させ、複雑でコストのかかる解決策をなくすため、このサスペンション6は、好ましくは、例えば天然ゴムまたは合成ゴムのエラストマー製フランジの形態であり、その形状は、固定具5bのものと相補的である。
図2〜5では、このフランジは平行六面体形フランジの形状となっており、その長さと幅の寸法は下部固定具5bのものに対応している。その厚さは1cmから10cmまでの間で変動し得る。例えば、剛性が250kN/m、ヤング率が約1.5MPaの天然ゴムフランジが使用されている。実際には、サスペンション6の剛性は、減衰される振動の周波数帯域に応じて選択される。エラストマー製フランジ6は、接着、ねじ込み、またはボルト締めによりフランジ5b上に組み立てられる。
【0044】
またサスペンション6は、下部固定具5bと支持体3の間に組み立てられた1つまたは複数のエラストマー製パッドの形状となり得る。またサスペンション6は、例えばつるまきばねや板ばねなどの金属製サスペンション、または空気圧式あるいは油圧式サスペンションの形状となりうる。
【0045】
図5に関して、シャント7が圧電スタック4に接続されている。このシャント7は、スタック4の電気的剛性を変更するために、そしてより一般的には本装置の電気機械的結合を向上させるために使用されている。電気機械的結合は、力学的エネルギーを電気エネルギーに、またはその逆に変換する際の装置の効率を反映している。これは、以下の比率で定義できる電気機械的結合係数(CCEM)によって特徴付けられている。
【0047】
ここで、電気エネルギーはスタック4により生成されるエネルギーであり、力学的エネルギーは屈曲構造物10に加わるエネルギーである。
【0048】
シャント7は、特に、構造物10の変形中にスタック4に加わった応力により生成された電気エネルギーの全部または一部を放散することができる。スタック4は、シャント7に送信される電気信号を生成する。信号受信時に、シャント7は電気信号への抵抗をもたらす。この抵抗により、スタック4は構造物10の変形に抵抗するため、その電気的剛性が変化する。そのため、スタック4は緩衝器として機能する。
【0049】
したがって、スタック4の電気的剛性(およびより一般的には装置の電気機械的結合係数)は、減衰される周波数帯域に応じて変更することができる。本発明者らは、本装置の電気機械的結合がシャント7により改善されることを観察した(シャントのある装置のCCEM係数は、シャントのない同等の装置のCCEM係数よりも大きい)。
【0050】
シャント7は、スタック4の端子に並列または直列に接続された電気抵抗器からなり、電気エネルギーの全部または一部を熱的(つまり高温という形で)に放散することができる。圧電スタック4が電気コンデンサと同等であることを知った上で、減衰される周波数帯域に調整されたローパスフィルタ(低域通過濾波器)またはハイパスフィルタ(高域通過濾波器)を実現できるようになるRC(抵抗器・コンデンサ)電子回路が得られる。
【0051】
またシャント7は、減衰される周波数帯域に調整された並列または直列のRLC共振電子回路を形成するようにするため、スタック4の端子に接続された電気抵抗器およびインダクタ(コイル)で構成することができる。この種類のシャント7(抵抗性または抵抗性−誘導性)は、受動的で安定しており、簡素かつコンパクトである。
【0052】
代替実施形態では、負の容量を有するシャント7が使用され、これにより装置の電気機械的結合がさらに向上している。このシャント7は、抵抗器と、減衰される周波数帯域に調整された実数および虚数のインピーダンスを有する合成負コンデンサを含む。負のコンデンサの電気インピーダンスにより、圧電スタック4の剛性が変化して減衰が増加し、装置の電気機械的結合が最適化される。
【0053】
図5では、電子管理ユニット70が支持体3の振動を捕捉するように配置された加速度計71および/または振動構造物2の振動を捕捉するように配置された加速度計に接続されている。次に、管理ユニット70は、加速度計71から発信される信号に応じてスタック4の電気的剛性を変更できるようにシャント7を駆動するよう適合している。例えば、シャント7は、可変抵抗器または可変インピーダンスを一体化することができ、その値は、加速度計71から発信される信号に応じて管理ユニット70により変更される。
【0054】
圧電スタック4に加わった応力により生成され、シャント7により放散されない電気エネルギーの一部は、1つまたは複数の電子部品に電力を供給するのに使用することができる。この電気エネルギーは、例えば、管理ユニット70および/または加速度計71に電力を供給するのに使用できる。
【0055】
図6は、本発明に準拠した減衰装置を用いて得ることができる減衰を示す図である。横軸はヘルツ単位での振動の周波数に相当し、縦軸はデシベル単位での伝達率に相当する。点線の曲線1は、
図1の減衰曲線を反復している(圧電スタックのみ)。実線の曲線2は、弾性サスペンションと組み合わせた圧電スタック4で得られた減衰曲線である。約50Hz(±10Hz)まで、伝達率はほぼゼロのままである。曲線1と比較して、本発明に従った装置は、減衰曲線の変曲点を約50dB±10dBだけ戻すことを可能にする。この周波数帯域から伝達率は負になり、500Hz(±100Hz)の周波数まで40dB/ディケード(±10dB/ディケード)という減衰が生じている。この周波数付近では、約20dBという伝達率のピークが発生し、振動の減衰は少なくなっている。ただし、シャント7の調整(例えば抵抗、インダクタンスまたは負の容量の値)により、この除去を処理および軽減することができる。このピークから、減衰は、500Hz±100Hzから20KHz±100Hzまでの周波数範囲で40dB/ディケード±10dB/ディケード〜60dB/ディケード±10dB/ディケードである。要約すると、本発明に従った装置は、圧電スタックのみによって得られるもの(100Hz〜20kHz)よりも広い周波数範囲(50Hz〜20kHz)にわたって振動減衰を可能にする。さらに、ノイズの軽減はより優れている(40dB/ディケード以上)。
【0056】
上記の実施形態における、本発明のさまざまな要素および/または手段および/または手順の構成は、すべての実施においてそのような構成を必要とするものとして理解すべきではない。いずれにせよ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの要素および/または手段および/または手順に対してさまざまな変更を行うことができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0057】
1 トランスデューサ
2 振動構造物
3 支持体
4 スタック
5a、5b 固定具
6 サスペンション
7 シャント
8 パッド
10 構造物
12a、12b エンドキャップ
13a、13b フランジ
14a、14b、15a、15b アーム
40 ロッド
40a、40b 締結部材
70 管理ユニット
71 加速度計
【国際調査報告】