特表2021-527797(P2021-527797A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527797(P2021-527797A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】クロス波形媒体及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/08 20060101AFI20210917BHJP
【FI】
   F28F25/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2021-528830(P2021-528830)
(86)(22)【出願日】2018年11月30日
(85)【翻訳文提出日】2021年5月20日
(86)【国際出願番号】US2018063327
(87)【国際公開番号】WO2020068143
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】62/736,135
(32)【優先日】2018年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520417263
【氏名又は名称】ブレントウッド・インダストリーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BRENTWOOD INDUSTRIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エドワーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ミラー
(57)【要約】
第1のシートと第2のシートとを含む充填物パックである。第1のシートは、第1の端部と、第2の端部と、第1の複数のフルートとを有する。第1の微細構造は、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、第1の上部フラットストリップを第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部とを含む。複数の第1の円弧は、第1の上部フラットストリップを第1の導管側部に接続し、第1の下部フラットストリップを第1の導管側部に接続する。第2のシートは、第2の複数のフルートを有する。第2の微細構造は、第2の上部フラットストリップと、第2の下部フラットストリップと、第2の上部フラットストリップを第2の下部フラットストリップに接続する第2の導管側部を含む。複数の第2の円弧は、第2の上部フラットストリップを第2の導管側部に接続し、第2の下部フラットストリップを第2の導管側部に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックを通って流れる流体を、実質的に反対方向にパックを通って流れるガスで冷却するためのクロス波形充填物パックアセンブリであって、
長手方向軸を規定し、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延びる第1の複数のフルートとを有する第1のシートであって、前記第1のシート上に第1の微細構造が規定され、
前記第1の微細構造は、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部と、を含み、複数の第1の円弧は、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の導管側部に接続し、且つ、前記第1の下部フラットストリップを前記第1の導管側部に接続し、
前記第1の複数のフルートは、前記長手方向軸に対して第1のフルート角度で延在し、前記第1のフルート角度は、約0度から45度である、
前記第1のシートと、
第2の複数のフルートを有する第2のシートであって、前記第2のシート上に第2の微細構造が規定され、
前記第2の微細構造は、第2の上部フラットストリップと、第2の下部フラットストリップと、前記第2の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する第2の導管側部と、を含み、複数の第2の円弧は、前記第2の上部フラットストリップを前記第2の導管側部に接続し、且つ、前記第2の下部フラットストリップを前記第2の導管側部に接続する、
前記第2のシートと、
を備え、
前記第1のシートは、組み立てられた構成において、前記第1のシートは第2のシートに接続され、
前記第1の複数のフルートは、組み立てられた構成において、前記第2の複数のフルートに対して前記長手方向軸の反対側に延びる、
充填物パックアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の端部に沿って延びる第1のコネクタの列と、
前記第2の端部に沿って延びる第2のコネクタの列と、
を更に備える、請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のフルート角度は約15度から30度である、請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のフルート角度は約20度である、請求項3に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の導管側部は、第1の変曲線によって構成され、
前記第1の変曲線は、それぞれの前記第1の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する前記複数の第1の円弧の間に位置している、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の複数のフルートは、フルート高さを規定する、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項7】
前記フルート高さは約19ミリメートルである、
請求項6に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項8】
第3のシートと、第4のシートと、第5のシートと、を更に備え、
前記第3のシートと、前記第4のシートと、前記第5のシートとは、組み立てられた構成において、前記第1のシート及び前記第2のシートに接続され、
前記第3のシートは第3の微細構造を含み、前記第4のシートは第4の微細構造を含み、前記第5のシートは第5の微細構造を含む、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の微細構造と前記第2の微細構造とは、弧状であって、波形を有する、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の端部に沿って延びる第1のコネクタの列を更に備え、
前記第1のコネクタの列は、複数のコネクタタブにより構成されている、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の微細構造は、前記第1の上部フラットストリップと前記第1の下部フラットストリップとの間の全体的に弧状の表面を規定し、
前記流体は、動作中に前記弧状の表面に沿って、前記第1の端部と前記第2の端部との間で流れ、
前記弧状の表面は、前記複数の第1の円弧により構成されている、
請求項1に記載の充填物パックアセンブリ。
【請求項12】
冷却タワー内の冷却媒体を冷却するための充填物パックを組み立てるための充填物シートであって、
第1の端部と、
第2の端部であって、前記第1の端部に実質的に平行に、且つ、全体的に長手方向軸に対して垂直に延在し、前記第1の端部と前記第2の端部とは、前記充填物シートの横方向軸に実質的に平行に延在している、前記第2の端部と、
第1のフルート角度で前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延びる複数のフルートと、
前記複数のフルート上に規定された微細構造と、
を備え、
前記微細構造は、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部と、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の導管側部に接続し、且つ、前記第1の下部フラットストリップを前記第1の導管側部に接続する複数の第1の円弧とを含む、
充填物シート。
【請求項13】
前記微細構造は、前記横方向軸に実質的に平行に延在し、
前記第1の導管側部は、隣接する前記第1の上部フラットストリップと前記第1の下部フラットストリップとの間の前記複数の第1の円弧を接続する第1の変曲線により構成されている、
請求項12に記載の充填物シート。
【請求項14】
前記第1のフルート角度は約0度から45度である、請求項12に記載の充填物シート。
【請求項15】
第1の部分と第2の部分とを更に備え、
前記複数のフルートは、第1の複数のフルートと第2の複数のフルートとを含み、前記第1の複数のフルートは、第1のフルート角度で延び、前記第2の複数のフルートは、第2のフルート角度で延びる、
請求項12に記載の充填物シート。
【請求項16】
前記第1の部分は、全体的に前記横方向軸に平行に延びるコネクタの中央列によって前記第2の部分から分離されている、請求項15に記載の充填物シート。
【請求項17】
前記複数のフルートはフルート高さを規定し、前記フルート高さは約19ミリメートルである、請求項12に記載の充填物シート。
【請求項18】
前記微細構造は、微細構造の深さ及び微細構造の高さを規定し、前記微細構造の深さは約2から3ミリメートルであり、前記微細構造の高さは約5から7.6ミリメートルである、請求項12に記載の充填物シート。
【請求項19】
前記微細構造は、微細構造の間隔及び微細構造の高さを規定し、前記微細構造の間隔は、前記微細構造の高さの約2倍である、請求項12に記載の充填物シート。
【請求項20】
前記微細構造は、微細構造の半径及び微細構造の深さを規定し、前記微細構造の半径は、前記微細構造の深さの約70から100パーセントである、請求項12に記載の充填物シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月25日に出願され、「クロス波形媒体及び関連方法」をタイトルとした米国仮特許出願第62/736135号に基づく優先権を主張し、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
クロス波形媒体又は充填物は、何十年もの間、冷却タワー及び散水ろ床処理装置市場における標準製品であり、油/水の分離、バイオタワー、硝化タワー、デミスター、並びに関連するシステム及び市場においても利用することができる。クロス波形媒体製品は、最初の構成以来、一般的な構成がほとんど変更されることなく、これらの市場向けの商品になっている。限定的な微細構造特徴や専用の接着剤結合などのベーシックな変更は、比較的最近の、クロス波形媒体製品のマイナーチェンジである。クロス波形媒体製品は、これらの市場のメーカーによって差別化されておらず、その設計も、通常、油/水の分離、バイオタワー、硝化タワー、デミスターなど、これら様々な応用のためには変更されていない。
【0003】
冷却タワー産業に特有ではあるが、利用条件に合うように、既存の冷却タワーの性能を改善し、改善された冷却タワーの性能に基づいて、新たな冷却タワー設計のサイズを減少させるために、新製品を後付けすることを可能とするように、クロス波形媒体製品を区別化することは有利であろう。冷却タワーの性能を特徴づける方法の1つは、意図した動作条件を満たすために必要なファンの馬力量を比較することである。元の従来のクロス波形媒体を、性能が改善された交換用クロス波形媒体に置き換えることによる冷却タワーの全体的な性能の改善は、充填物製造業者にとっても、冷却タワーの所有者にとっても有利であろう。更に、既存のタワーに比べ、より小さく、同様な又は向上された性能を有するタワーを設計及び設置することによって冷却タワーの全体的な性能を改善することは、充填物製造業者にとっても冷却タワーの所有者にとっても有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クロス波形充填物の典型的な設計は、シンプルなクロス波形の台形のフルート形状を含み、台形には線形の側壁を有する。これらの充填物製品には、充填物の表面積を増やし、充填物の微細構造の表面上に流れる水膜を混合させるように設計された特徴又は「微細構造」を有する。表面積が増加されると、より多くの水膜が充填物内の気流に晒される。充填物の熱性能は、空気流れへの水の質量移動速度の増加に依存するため、微細構造の変更は利点を提供する場合がある。しかしながら、組み立てられた充填物製品全体の圧力損失(pressure drop)をもたらす微細構造の変更は、タワー全体の性能を低下させる可能性がある。
【0005】
クロス波形充填物の設計性能の一側面は、充填物シートの表面上に水が完全に分布するように促進することである。表面上に水が完全に分布することで、空気と接触する水の有効表面積が増加し、より高い質量移動効率が可能となる。完全な水分布のトレードオフは、通常、表面の変化により生じる圧力損失であり、実際には、圧力損失の変化、又は同じ馬力で実現される気流の減少を克服するための馬力の増加によって熱性能の向上が相殺され、全体的に性能は大幅に変化しないこととなる。
【0006】
冷却タワーの容量は、充填物を通過する空気の量に依存する。既存の馬力ファンがより多くの空気の質量流量を、充填物を通して提供するように、所定の充填物の圧力損失を更に低減させることは有利であろう。タワーを通過するこの増加した空気の流れは、通常、ユニットがより低い出口水温を達成すること、又は所定の一連の動作条件下でより多くの水を冷却することを可能にする。
【0007】
既知の充填物製品よりも熱性能を向上するとともに、より低い圧力損失を維持することができるクロス波形媒体又は充填物を設計、構築、及び展開することが有利であろう。クロス波形媒体又は充填物の好ましい実施形態は、所定の動作条件及び用途のために、微細構造の表面積の増加と圧力損失とのバランスをとることによって、従来技術の媒体及び充填物の欠点に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単に言えば、好ましい発明は、パックを通って流れる流体を、実質的に反対方向に当該パックを通って流れるガスで冷却するクロス波形充填物パックアセンブリに関する。クロス波形充填物パックアセンブリは、第1のシートと第2のシートとを含む。第1のシートは、長手方向軸を規定し、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部から第2の端部に向かって延びる第1の複数のフルート(flute)とを有する。第1の微細構造は、前記第1のシート上に規定され、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部と、を含む。複数の第1の円弧は、第1の上部フラットストリップを第1の導管側部に接続し、且つ、前記第1の下部フラットストリップを第1の導管側部に接続する。第1の複数のフルートは、長手方向軸に対して第1のフルート角度で延びる。第1のフルート角度は約0度から45度である。第2のシートは、第2の複数のフルートを有する。第2の微細構造は、前記第2のシート上に規定され、第2の上部フラットストリップと、第2の下部フラットストリップと、前記第2の上部フラットストリップを前記第2の下部フラットストリップに接続する第2の導管側部と、を含む。第1の微細構造と第2の微細構造とは、全体的に、充填物パックアセンブリの縦軸方向と横方向軸との両方において弧状又は波状であるか、又は好ましくは、微細構造のほぼ任意の断面に沿って正弦波のような波形を形成する。更に、マクロ構造又は微細構造12を運ぶフルートも、好ましくは、図5に示されるように、それらの断面において角度のある形状であって、フルートの長手方向に実質的に垂直な線に沿って実質的に正弦波のような波形を規定する。これは、既知のシートにおける典型的な台形のフルートとは対照的である。複数の第2の円弧は、第2の上部フラットストリップを第2の導管側部に接続し、且つ、第2の下部フラットストリップを第2の導管側部に接続する。第1のシートは、組み立てられた構成において、第2のシートに接続され、第1の複数のフルートは、組み立てられた構成において、第2の複数のフルートに対して長手方向軸の反対側に延びる。
【0009】
別の態様において、好ましい発明は、パックを通って流れる流体を、実質的に反対方向にパックを通って流れるガスで冷却するクロス波形充填物パックアセンブリに関する。当該クロス波形充填物パックアセンブリには、第1のシートと第2のシートとを含む。第1のシートは、長手方向軸を規定し、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部から第2の端部に向かって延びる第1の複数のフルートとを有する。第1の微細構造は、前記第1のシート上に規定され、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、前記第1の上部フラットストリップを前記第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部と、を含む。複数の第1の円弧は、第1の上部フラットストリップを第1の導管側部に接続し、且つ、第1の下部フラットストリップを第1の導管側部に接続する。第1の複数のフルートは、長手方向軸に対して第1のフルート角度で延びる。第1のフルート角度は約0度から45度である。第2のシートは、第2の複数のフルートを有する。第2の微細構造は、前記第2のシート上に規定され、第2の上部フラットストリップと、第2の下部フラットストリップと、前記第2の上部フラットストリップを前記第2の下部フラットストリップに接続する第2の導管側部と、を含む。複数の第2の円弧は、第2の上部フラットストリップを第2の導管側部に接続し、且つ、第2の下部フラットストリップを第2の導管側部に接続する。第1のシートは、組み立てられた構成において、第2のシートに接続され、第1の複数のフルートは、組み立てられた構成において、第2の複数のフルートに対して長手方向軸の反対側に延びる。
【0010】
更に別の態様において、好ましい発明は、冷却タワー内の冷却媒体を冷却するための充填物パックを組み立てる充填物シートに関する。充填物シートは、第1の端部と、第1の端部に実質的に平行し、且つ長手方向軸に対して概ね垂直に延びる第2の端部とを含む。第1の端部と第2の端部とは、充填物シートの横軸に実質的に平行に延びる。複数のフルートが、第1のフルート角度で第1の端部から第2の端部に向かって延びる。複数のフルート上でマイクロ構造が規定される。微細構造は、第1の上部フラットストリップと、第1の下部フラットストリップと、第1の上部フラットストリップを第1の下部フラットストリップに接続する第1の導管側部とを含む。複数の第1の円弧は、第1の上部フラットストリップを第1の導管側部に接続し、且つ、第1の下部フラットストリップを第1の導管側部に接続する。
【0011】
前述した概要、及び好ましい発明についての以下の詳細な説明は、添付の図面を参照すれば、よりよく理解されるであろう。本発明を説明するために、現在の好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、示された具体的な配置及び手段には限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の好ましい実施形態に係る、クロス波形媒体、又は充填物パック、又はアセンブリの上面斜視図である。
図2図1のクロス波形パックの第1のシートの上面図である。
図3図2の線3−3に沿って得られた、図2に示す第1のシートの断面図である。
図4図3の形状4の内部を示す図であって、図2に示す第1のシートの拡大断面図である。
図5A図2の線5−5に沿って得られた、図2に示す第1のシートのフルート又はマクロ構造の断面図である。
図5B図2の線5−5に沿って得られた、図2に示す第1のシートのフルート又はマクロ構造の断面図であって、寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明において、便宜上、特定の用語を使用しているが、これに限定されるものではない。本明細書に具体的に記載されていない限り、「a」、「an」、及び「the」との用語は、1つの要素に限定されず、「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきである。「右」、「左」、「下」、及び「上」との言葉は、参照される図面内の方向を示す。「内向き」又は「遠ざかる」、及び「外向き」又は「近接する」との言葉は、それぞれ、充填物パック及びその関連部分の幾何学的中心に向かう方向及び離れる方向を指す。用語には、上記の単語、その派生語、及び同意語が含まれる。
【0014】
本明細書において、「約」、「ほぼ」、「一般的に」、「実質的に」、及び同様の用語は、本発明の構成要素の寸法又は特性を説明するときに使用され、説明される寸法/特性が厳密な境界又はパラメータではなく、当業者によって理解されるように、機能的に同一又は類似であって、微小な差異を有するものを除外しないことを示すことも理解されるべきである。最低限に、数値パラメータを含むような参照は、当技術分野で受け入れられている数学的及び産業的原則(例えば、丸め、測定又は他の系統的誤差、製造公差など)を使用し、最下位桁を変化させないようなバリュエーションを含む。
【0015】
図1乃至4に示されているように、好ましい発明は、クロス波形媒体、充填物パック、又はアセンブリに関するものであって、一般に符号100で示されている。クロス波形媒体、充填物パック、又はアセンブリ10は、好ましくは、積み重ねてかみ合わされた複数の充填物シート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pを含む。第1の好ましい実施形態において、クロス波形媒体又は充填物パック100は、積み重ねてかみ合わされた第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16層を含む16層の充填物シート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pを含む。ただし、これに限定されるものではなく、2枚以上のシート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pを積み重ねてかみ合わせることによってクロス波形媒体又は充填物100を構成することもできる。クロス波形媒体又は充填物100、及びシート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pのそれぞれは、全体的に長手方向に延びる長手方向軸14と、横方向軸16とを規定する。横方向軸16は、シート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pに対して全体的に横方向に延びる。充填物パック100を通る空気及び水は、全体的に、シート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pの第1の端部11aと第2の端部11bとの間で、長手方向軸14に沿って流れる。本明細書において、充填物シート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pについて、参照符号10を用いて全体的に説明する。
【0016】
好ましい実施形態において、シート10のそれぞれは、約19ミリメートル(19mm)のフルート高さHfを有するが、これに限定されることなく、設計パラメータ及び好みに応じて、より小さい又はより大きいフルート高さHfを有してもよい。フルート高さHfは、例えば、様々な構成及び応用において、約5から30ミリメートル(5〜30mm)の範囲であってもよい。シート10の第1のシート10aは、シート10の代表例として図2乃至図4に示されている。ただし、本開示を検討する際に、当業者によって理解されるように、クロス波形媒体又は充填物100のほぼ任意の場所に配置された複数のシート10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pのいずれかを構成することができる。シート10のそれぞれは、第1の端部11aと第2の端部11bとを含み、作動中に、空気及び水は、第1の端部11aと第2の端部11bとの間で、気流方向28に、充填物パック100を通って流れる。パック100内の各連続のシート10は、隣接するシート10に対して180度(180°)回転してパック100のクロス波形を規定し、第1の端部11aが、第2の端部11bに実質的に平行に延在し、長手方向軸14に対して全体的に垂直に延びており、第1の端部11aと第2の端部11bとが、横方向軸16に実質的に平行に延びている。したがって、好ましくは、充填物パック100は、その厚さを通して交互する第1の端部11aと第2の端部11bを有して、充填物パック100のクロス波形を規定する。充填物又はパック100は、このように、各シート10が、充填物パック100内の隣接するシート10に対して実質的に180度(180°)回転するように構成されるには限定されることなく、他の方法、例えば、様々な設計上の考慮事項、並びに設計者及び性能上の好みに応じて、各シート10は、隣接するシート10に対して回転されないか、又は各シート10が、隣接するシート10に対して別の角度で回転されるように構成することもできる。
【0017】
好ましいクロス波形媒体又は充填物100の各シート10は、第1の部分22と第2の部分24とを含む。第1の部分22は、コネクタ18cの中央列と第1の端部11aとの間で延在し、下部である第2の部分24は、コネクタ18cの中央列と第2の端部11bとの間で延在する。シート10は、第1の部分22及び第2の部分24を含むことに限定されることなく、単一の部分、例えば、第1のシート10aの上部である第1の部分22、又は第1のシート10aの下部である第2の部分24から構成されることもでき、又は設計者の好み、好ましい機能、サイズの制限、又は他の要素に応じて、第1の部分22及び第2の部分24に接続された、又は一体的に形成された他の部分を含むこともできる。好ましい実施形態において、複数のフルート20は、第1の部分22上の第1の複数のフルート20と、第2の部分24上の第2の複数のフルート20とを含み、第1の複数のフルート20は、第1のフルート角度Δf1で延在し、第2の複数のフルート20は、第2のフルート角度Δf2で延在している。第1の部分22は、好ましくは、全体的に横方向軸16に平行に延びるコネクタ18cの中央列によって、第2の部分24から分離されている。フルート角度は、総称的に参照符号Δfによって示される。好ましい実施形態において、フルート20は、実質的に同一のフルート角度Δfで延在するが、第2の部分24のフルート20は、第1の部分22のフルート20に対して長手方向軸14の反対側に延在している。これにより、本明細書で更に詳細に説明されるように、好ましい充填物パック100のクロス波形構造を規定する。
【0018】
好ましい実施形態において、シート10は、フルート又は波形20を含み、当該フルート又は波形20は、気流が第1の部分22と第2の部分24とを通して、第1の端部11aと第2の端部11bとの間で、気流方向28に流れるように導く。フルート20は、第1の部分22内に第1のフルート角度Δf1を規定し、第2の部分24内に第2のフルート角度Δf2を規定する。第1のフルート角度Δf1と第2のフルート角度Δf2とは、好ましい実施形態においてはほぼ同一で、20度(20°)である。従来技術のクロス波形媒体又は充填物の典型的なフルート角度30度(30°)に比べ、空気が気流方向28に第1の端部11aと第2の端部11bとの間で流れるときに、フルートのマクロ構造的な形状によって生じる充填物圧力損失が低減される。この減少した第1のフルート角度Δf1及び第2のフルート角度Δf2、並びに微細構造12の弧状及び波形は、フルートのマクロ構造的な形状による圧力損失を低減し、より多くの圧力損失がクロス波形媒体又は充填物パック100の微細構造12により起因することを可能とし、これによって、通常の媒体又は充填物よりも充填物パック100の熱性能が向上される。例えば、Brentwood Industries CF1900クロスフルート膜充填物は、限定的な微細構造を有し、その微細構造は、CF1900を製造するための金型に物理的に切り込まれた特徴によって規定される。特徴はボールミルにより比較的浅く金型に切り込まれ、CF1900充填物パックのシートは、製造中に金型にミル加工された形状に形成される。CF1900の微細構造も離散的であり、CF1900波形充填物シートの表面上で比較的広く間隔を空けて配置されている。シート10の第1の部分22のフルート20は、好ましくは、長手方向軸14に対して第1の方向に延在し、第2の部分24のフルート20は、好ましくは、長手方向軸14に対して反対の第2の方向に延びる。しかしながら、それに限定されず、異なる角度で構成され、長手方向軸14に対して実質的に同じ方向に延びるか、又は設計者の好み、機能目的、又は他の要素に基づいて構成されてもよい。第1のシート10aの第1の微細構造20と各シート10の他の微細構造20は、全体的に、第1の上部フラットストリップ12btと第1の下部フラットストリップ12bbとの間の弧状表面を規定し、動作中に流体は、当該弧状表面に沿って第1の端部11aと第2の端部11bとの間で、水流方向26に流れる。
【0019】
シート10は、好ましくは、コネクタ18の列に沿って互いに接続されて、組み立てられた充填物10を規定する。参照符号18によって全体的に示されているコネクタ18の列は、好ましくは、第1の端部11aに近接する第1の端部列18aと、第2の端部11bに近接する第2の端部列18bと、好ましくは、第1の端部と第1の端部との間の中央に位置する中央列18cと、2つの中間列18dとを含み、2つの中間列18dは、それぞれ第1の端部列18aと中央列18cとの間、及び第2の端部列18bと中央列18cとの間に配置される。第1の端部列18aと、第2の端部列18bと、中央列18cと、中間列18dとを含むコネクタ18は、記載された場所に配置されること、又は添付の図面に示された構成を有することに限定されないが、好ましくは、クラッシュロック、締結、クランプ、接着結合、又は他の接続メカニズム若しくは方法等によって、充填物パック100となるようにシート10が、位置合わせて接続されるように設計及び構成されている。好ましい実施形態では、第1のシート10aは、組み立てられた構成において、第2のシート10bに接続される。第1のシート10aの第1の複数のフルート20は、組み立てられた構成において、第2のシート10bの第2の複数のフルート20に対して長手方向軸14の反対側に延びる。第1のシート10aの第1の端部11aは、第2のシート10bの第2の端部11bの近くに配置されている。更に、第3のシート10cは、好ましくは、第2のシート10bに接続され、第3のシート10cの第3の複数のフルート20は、第2のシート10bの第2の複数のフルート20に対して長手方向軸14の反対側に延びる。同様に、残りの第4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16枚目のシート10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、 10n、10o、10pは、好ましくは、それらの隣接するシート10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10n、10o、10pに接続され、それぞれのフルート20は、長手方向の反対側に延びる。充填物パック100は、このような配置に限定されず、例えば、フルート20は、全体的に長手方向軸14に平行に延びることができ、オフセット(図示せず)、又は他の方法によって、隣接するシート10を構成することができる。充填物パック100内の隣接するシート10のフルート20の部分がその長さに沿って互いに接触する場合に生じる気流の完全な遮断を排除することで圧力損失が生じる。それに対して、前記オフセットは、特に、波形又はフルート20が、組み立てられた構成において、フルート角度Δfで第1の端部11aから第2の端部11bに向かって延びるときに、その長さに沿って接触しないように設計されたとき、圧力損失を低減することもできる。
【0020】
好ましいクロス波形媒体又は充填物100の各シート10の微細構造12は、比較的深く、波状の、連続的な構造を含む。微細構造12は、好ましくは、横軸16、第1の端部11a、及び第2の端部11bに実質的に平行に延びるが、そのように限定されず、横軸16に対してある角度で延在するか、又は山形のような形状で構成することができる。好ましくは、微細構造12は、使用中に、水が幅全体、又は横軸16を横切って、シート10の長さ又は長手軸14に沿って広がることを可能にし、充填物シート10上の水の分布を改善する。比較的深く、弧状であり、連続的な水平微細構造12は、充填物パック100内の熱伝達表面として実質的にシート10の全ての表面積の使用を容易にする。水が組み立てられた充填物シート10で流れるとき、チャネリング又はプーリングが発生した場合、微細構造12は、常に水を方向転換し、シート10の幅全体にわたって一貫した水の膜を促進する。微細構造12は、横軸16に実質的に平行に延びるコネクタ18、18a、18b、18c、18dの列を除いて、基本的に充填物シート10の表面全体を含む。シート10は、コネクタ18a、18b、18c、18dの第1の端部、第2の端部、中央、及び中間の列のそれぞれを含むことに限らず、好ましくは、第1の端部11a及び第2の端部11bに沿って延びる第1の端部列18a及び第2の端部列18bを含む。コネクタ18は、好ましくは、複数のシート10を充填物パック100内に一緒に固定するように構成され、充填物パック100内で複数のシート10の接続を容易にするために、シート10上の概ね任意の所望の位置に任意の数のコネクタ18を含むことができる。コネクタ18は、好ましくは、特定の用途及び設計者の好みに応じて、パック100内でシート10の強固な係合を容易にするように設計されている。好ましい実施形態において、波状の微細構造12を有し、全体的に第1の端部11aから第2の端部11bまでの長手方向軸14に沿った垂直方向の水流に対する障壁は、微細構造12の水平の上部に厚い膜を形成し、充填物パック100内のシート10の幅全体にわたって水膜を横方向に完全に分配することを容易にし、それにより、一貫した水膜の分配及び水流方向26の水の流れを可能にすることができる。
【0021】
1991年8月17日に出願され、「冷却タワー用の熱交換器−Gatの流れと反対方向の水の流れのためにジグザグな溝が付けられた要素を有する」をタイトルとしたドイツ出願第DE41 27 245号に記載されたクロス波形充填材(「245−APP」)の性能を測定し、CF1900と比較した。245−APPに従って構成された充填物シートは、導管側部と、表面要素又はシート1の微細構造の平らなストリップとの間に鋭形エッジ(sharp−edged)の移行が存在する。245−APPは、「この微細なプロファイルは、気体と液体の主な流れ方向に対するチャネルの傾斜角度にほぼ対応する角度で、チャネルプロファイルの方向に伸びている。その結果、取り付けられた状態において、微細プロファイリングがほぼ水平に走ることによって、液体はそれぞれのフローチャネル内のチャネルの端部に保持され、チャネルの傾斜にもかかわらず、チャネルの端部から離れない」と記載している。急激な移行の結果として、プロファイルピークからプロファイルトラフへ移行するとき、又はプロファイルトラフからプロファイルピークへ移行するときに、液体の膜に乱流が生成され、熱交換及び物質移動が促進される。フルート角度が減少したにもかかわらず、熱性能が向上するが、245−APPにより構成されたシートのパックの圧力損失は、CF1900の圧力損失よりも高い。圧力損失が大幅に増加した場合、熱性能の向上によって相殺されないため、245−APPにより構成された充填物は、全体的に性能が既存のCF1900よりも低い。
【0022】
好ましい交差波形充填物パック100において、充填物シート10は、微細構造12には更にフィレット又は円弧12aを有し、これによって弧状構造が設けられる。対照的に、245−APPにより構成されたシートの水平の微細構造には、鋭いコーナーが存在する。図4に示されるように、円弧12aは、好ましい微細構造12の山における上部フラットストリップと微細構造12の谷における下部フラットストリップ12bとの間の移行部に形成され、導管側部12cは、フラットストリップ12bの間に延びている。好ましい微細構造12の導管側部12cは、実質的に、隣接するフラットストリップ12bの間、或いは上部フラットストリップ12btと下部フラットストリップ12bbとの間で移行する円弧12aの間の変曲線であるが、それに限定されることなく、設計者の好み、微細構造12のサイズ、機能上の考慮事項、又はその他の要因に応じて、フラットな部分又は他の成形された部分から構成されてもよい。第1のシート10aの第1の導管側部又は変曲線12cは、好ましくは、第1の上部フラットストリップ12btを第1の下部フラットストリップ12bbに接続する複数の第1の円弧12aのうち第1の円弧12aと第2の円弧12aとの間に配置される。好ましいクロス波形充填物パック100について測定した結果、動作中の圧力損失が低いだけでなく、245−APPにより構成された、急激な移行を有するクロス波形パックに比べ、熱性能が同様に維持され、又は少なくとも1つの測定テストにおいて増加したことを示した。これは予想外の結果であった。なぜなら、通常、圧力損失の減少は熱性能の低下に伴うためである。従って、以下の表1に示すように、好ましいシート10で構成された好ましい充填物パック100は、標準のCF1900製品、及びに245−APPにより構成されたパックと比較して、大幅に減少した圧力損失を有するとともに、少なくとも同様な又はより高い熱性能を有し、全体的にタワーの性能が大幅に向上した。
【0023】
第1のシート10aは、第1の微細構造12を含み、第1の微細構造12は、第1の上部フラットストリップ12btと、第1の下部フラットストリップ12bbと、第1の上部フラットストリップ12btを第1の下部フラットストリップ12bbに接続する第1の導管側部12cとを含む。第1のシート10aはまた、第1の上部フラットストリップ12btを第1の導管側部12cに接続し、且つ、第1の下部フラットストリップ12bbを第1の導管側部12cに接続する複数の第1の円弧12aを含む。第1の複数のフルート20は、長手方向軸14に対して第1のフルート角度Δf1で延びる。第1のフルート角度Δf1は、約0度から45度であるが、それに限定されず、15度から30度(15−30°)であってもよく、好ましい実施形態においては、約20度(20°)である。
【0024】
第2のシート10bは、第2の複数のフルート20と、第2のシート10b上に規定され第2の微細構造12とを含む。他の複数のシート10も、フルート20と微細構造12とを含み、実質的に第1のシート10a及び第2のシート10bと同様に構成される。第2のシート10bの微細構造12は、第2の上部フラットストリップ12btと、第2の下部フラットストリップ12bbと、第2の上部フラットストリップ12btを第2の下部フラットストリップ12bbに接続する第2の導管側部12cとを含む。複数の第2の円弧12aは、第2の上部フラットストリップ12btを第2の導管側部12cに接続し、且つ、第2の下部フラットストリップ12bbを第2の導管側部12cに接続する。第1のシート10aは、組み立てられた構成において、第2のシート10bに接続され、第1の複数のフルート20は、組み立てられた構成において、第2の複数のフルート20に対して長手方向軸14の反対側に延びる。第1のシート10aは、好ましくは、充填物パック100内で第2のシート10bに接続される。このとき、第1のシート10aの第1の端部11aが第2のシート10bの第2の端部11bに近接して配置され、フルート20がクロス波形になるように、第2のシート10bは、第1のシート10aに対して約180度回転して構成される。好ましい実施形態において、第1のシート10aは、第1の端部11aに沿って延びるコネクタ18aの第1の端列と、第2の端部に沿って延びるコネクタ18bの第2の端列とを含む。充填物パック100の組み立てられた構成において、第1のシート10aのコネクタ18aの第1の端列は、第2のシート10bのコネクタ18bの第2の端列に接続され、第1のシート10aのコネクタ18bの第2の端列は、第2のシート10bのコネクタ18aの第1の端列に接続される。第1のシート10a及び第2のシート10bのコネクタの中央列18c、並びに第1のシート10a及び第2のシート10bのコネクタの中間列18dもまた、充填物パック100に取り付けられている。好ましい実施形態において、コネクタの第1の端部列18a及び第2の端部列18bと、コネクタの中央列18cと、コネクタの中間列18dとは、複数のコネクタタブから構成される。
【0025】
表1を参照すれば、ファンパワは、CF1900クロス波形充填物、245−APPにより構成されたクロス波形充填物、及び好ましいクロス波形充填物パック100のそれぞれの測定テストにおいて、同じ冷水温度を達成するように決められたものである。微細構造の密度と高さは、鋭い微細構造を備えた245−APPにより構成された充填物パックにおいて、ベースラインCF1900を超えて増加したが、好ましい充填物パック100の製品構成においては、含まれるフィレット12aを除いて実質的に同じであった。フィレット12aは、フラットストリップ12bと導管側部12cとの間であり、フラットストリップ12bと導管側部12cとは、実質的に好ましいシート10の隣接するフィレット12aの間の変曲線から構成される。好ましいクロス波形充填物パック100がより高い熱性能又は効率を有するため、必要な気流が減少し、これによって、必要なファンパワが減少し、タワー全体の性能の向上に繋がる。以下の表1に示すように、各シナリオにおいて、好ましいクロス波形充填物パック100は、CF1900充填物パック及び245−APP充填物パックよりも低いファンパワで機能し、同じ冷水温度を達成している。245−APPにより構成された充填物パックよりも、7.7から35.8パーセント(7.7−35.8%)少ないファンパワで機能する。
【0026】
【表1】
【0027】
245−APPにより構成されたパック及び好ましいクロス波形充填物パック100がCF1900充填物と比較されるとき、245−APPにより構成されたパック及び好ましいクロス波形充填物パック100の場合は、フルート角度が30度(30°)から20度(20°)に減少したことに留意されなければならない。表1の結果によれば、2245−APPにより構成されたパックと比較すると、同じ熱性能において、CF1900充填物はより低い圧力損失を有する。
【0028】
好ましいクロス波形パック100のシート10の微細構造12の形状は、動作中に、空気と水との界面における水表面の形状に影響を与える。245−APPにより構成されたパックの鋭い微細構造は、水膜の流れの上流に堰効果を発生させる。この効果により、水膜の厚さが大幅に増加する(ウォーターホールドアップとも呼ばれる)。245−APPにより構成された充填物の「堰」でのこの流体膜の厚さは、水の施用量によっては、微細構造の実際の高さよりもはるかに大きくなる場合がある。この流体膜厚の増加は、組み立てられた充填物シートの間で空気が流れることができる断面積を減らすことで、245−APPにより構成された充填物内の空気の流れを妨げる。柔軟な微細構造は、表面に付着するため、水を保持しない。したがって、空気と水との界面はより厳密に微細構造の形状に従う。この現象の結果、充填物パック100内の好ましいシート10上のより薄く分布している水の層が、245−APPにより構成された充填物パックのシートの表面に見られる水のポケットのような厚い膜の形成、そしてウォーターホールドアップを生じないことである。従って、充填物パック100内の好ましいシート10のより柔軟で、弧状の微細構造12によって、気流に対するインピーダンスが低減され、それにより、充填物パック100を通って気流方向28に流れる空気の圧力損失が低減される。
【0029】
好ましいクロス波形充填物パック100と、245−APPにより構成された充填物パックへの水の施用量は、充填物パック100と、245−APPにより構成された充填物パックとの表面上の水の厚さに影響を与える。さまざまな水負荷下での熱性能と圧力損失との違いに寄与する。隣接する微細構造表面が近接すること(すなわち、連続する水平リブ又は上部リブ間のスペース)は、2つの表面を横切る水の架橋を形成し、又は水を両方の表面(設計上本来的である)に付着させ、微細構造を埋める(設計上本来的ではない)こととなる。隣接する微細構造表面間の距離がより大きければ、水の表面張力が破壊され、微細構造12の表面が有効表面積を支配することが可能となり、空気と充填物表面との界面作用に基づいて、より薄く分散した膜を形成することで、充填物内の混合を改善する。好ましいシート10の微細構造12のフィレット設計又は比較的滑らかで弧状の円弧12aは、円弧12aと、フラットストリップ12bと、導管側部12cとを含む微細構造12の表面を横切る水の架橋を支持しない。
【0030】
好ましいクロス波形充填物パック100を含む構造化シート充填物製品は、設置中及び動作中に加えられる構造的な負荷を対処するように構成されている。典型的には、用途のために選択されたゲージにおける充填物パック100の圧縮強度は、フルート20及び微細構造12の形状の構成に基づいて十分である。製品設計の構造性能に応じて、シート10に構造リブ(図示せず)を追加することが好ましい場合があり、一方、熱性能及び圧力損失に焦点を当てることは、製品の用途に左右される。これらの構造リブは、基本的に微細構造12を貫通し、そこで水が充填物パック100を通って直接流れるための排水路を提供することができ、それにより、水の空気流に晒されることが制限される。様々な充填ゲージの構造的な保全性のために構造リブが好ましいシート10に組み込まれる場合、熱性能のわずかな変化が予想される。
【0031】
好ましいクロス波形充填物シート10の第1のフルート角度Δf1及び第2のフルート角度Δf2は、垂直の位置から又は長手方向軸14に対して0から45度(0−45°)の範囲である。微細構造12の微細構造の深さAは、約0.08インチから0.12インチ(0.08−0.12インチ)、又は2から3ミリメートル(2−3mm)の範囲である。微細構造12の微細構造の高さBは、約0.2から0.3インチ(0.2−0.3インチ)、又は5から7.6ミリメートル(5−7.6mm)の範囲である。フィレット又は円弧12aの微細構造半径D、Eは、微細構造の深さAのパーセンテージとして、70から100パーセント(70−100%)の範囲であり、一般に、シート10の全体にわたって必ずしも一貫しているとは限らない。したがって、微細構造の半径D、Eは、好ましい実施形態において、約0.056インチから0.12インチ(0.056−0.12インチ)、又は1.4から3ミリメートル(1.4−3mm)の範囲である。更に、微細構造12のピーク間の微細構造の間隔Cは、好ましい実施形態において、微細構造の高さBの約2倍、又は約0.4インチから0.6インチ(0.4−0.6インチ)、又は10から15ミリメートル(10−15mm)の範囲である。微細構造の深さA、微細構造の高さB、微細構造の間隔C、及び微細構造の半径D、Eは、上記の寸法及び範囲に限定されず、シート10が一般的な好ましい構成となることができ、通常の動作条件に耐え、本明細書に記載された好ましい機能を果たすことができる限り、設計上の要求、設計者の好み、及び設計特徴に基づいて異なるサイズ及び寸法を有するように設計及び構成することができる。
【0032】
図2図5A、及び図5Bに示すように、好ましい実施形態のフルート20は、好ましくは、波状であるか、又はフルート20に対して実質的に垂直な線に沿ってとられる正弦波のような形状を有する。フルート20は、上述したように、フルート高さHf、及びフルート間隔Gを有する。好ましいシート10のフルート間隔Gは、約0.5から3インチ(0.5−3インチ)、又は12.7から76ミリメートル(12.7−76mm)の範囲であり、シート10の特に好ましい構成においては、約2インチ(2インチ)、又は51ミリメートル(51mm)である。
【0033】
これらの理由により、好ましいクロス波形媒体又は充填物シート10、及び組み立てられた充填物パック100の設計は、新規で独創的であり、市場で提供される既存の商業製品よりも重要な商業的価値を有する。
【0034】
当業者は、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記好ましい実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されることなく、本開示によって定義される本発明の精神及び範囲内の改変をカバーすることを意図することを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】