(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-527923(P2021-527923A)
(43)【公表日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】微細気孔層形成用スラリーの製造方法及びこれによって製造された微細気孔層を含むガス拡散層
(51)【国際特許分類】
H01M 4/96 20060101AFI20210917BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20210917BHJP
【FI】
H01M4/96 Z
H01M4/96 H
H01M4/96 B
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-568496(P2020-568496)
(86)(22)【出願日】2019年6月11日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月9日
(86)【国際出願番号】KR2019007020
(87)【国際公開番号】WO2019245218
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】10-2018-0069575
(32)【優先日】2018年6月18日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ジ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジュン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ダ キョン
【テーマコード(参考)】
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
5H018BB12
5H018EE08
5H018EE18
5H018HH01
5H018HH05
5H126BB06
(57)【要約】
本発明は、5mgKOH/g以上の酸価と10mgKOH/g以下のアミン価とを有する水系湿潤分散剤を用いて、有機溶剤にブラックカーボンと疎水性フッ素樹脂とを希釈、分散させて微細気孔層形成用スラリーを製造する。この時、前記水系湿潤分散剤の添加量は、ブラックカーボン100重量部に対して5〜30重量部で調節する。本発明は、前記スラリーを炭素繊維紙の少なくとも一面に、コーティングし、乾燥して粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層を形成した後、これらを圧搾、積層して形成する粒度分析グラフ上、独立した2個のピーク(Peak)が発生する微細気孔層を含むガス拡散層を製造する。本発明のガス拡散層は、粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生するため、排水性能に優れ、それによって同等な電圧値で濃度分極曲線の電流値が上昇する効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤に分散剤を用いてブラックカーボンと疎水性フッ素樹脂とを希釈、分散させてガス拡散層を成す微細気孔層形成用スラリーを製造するにあたり、
前記分散剤として、5mgKOH/g以上の酸価と10mgKOH/g以下のアミン価とを有するポリアクリル系高分子及びポリウレタン系高分子の中で選択された1種の水系湿潤分散剤を使用することを特徴とする微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項2】
水系湿潤分散剤の添加量を、ブラックカーボン100重量部に対して5〜30重量部で調節する請求項1に記載の微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項3】
前記湿潤分散剤が、5〜20mgKOH/gの酸価を有する請求項1に記載の微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項4】
前記ポリアクリル系高分子である湿潤分散剤は、アンモニウムポリアクリレート及び変性ポリアクリレートの中で選択された1種である請求項1に記載の微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項5】
有機溶剤内のブラックカーボン、疎水性フッ素樹脂及び水系湿潤分散剤の全体固形分が5〜10%である請求項1に記載の微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項6】
前記スラリーの粒度分析グラフ上、独立した2個のピークは、1μm以下のピーク1種と3〜10μmのピーク1種とからなる請求項1に記載の微細気孔層形成用スラリーの製造方法。
【請求項7】
少なくとも一面に形成されて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層が、圧搾、積層して形成されることを特徴とするガス拡散層。
【請求項8】
前記微細気孔層は1μm以下の粒度分布1種と3〜10μmの粒度分布1種とからなる請求項7に記載のガス拡散層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年06月18日付韓国特許出願第10‐2018‐0069575号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、燃料電池のガス拡散層の一部を構成する微細気孔層製造に用いられるスラリーの製造方法に係り、より具体的には、燃料電池用ガス拡散層の排水性能を大きく向上させるために粒度分析グラフ上、独立した2個のピーク(Peak)が発生する微細気孔層を形成することができるスラリーの製造方法に関する。
また、本発明は、前記粒度分析グラフ上、独立した2個のピーク(Peak)が発生する微細気孔層形成用スラリーで製造された微細気孔層を含んで排水性能に優れ、同等電圧値で濃度分極曲線の電流値が上昇する効果を備えるガス拡散層に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は高分子電解質膜の2つの重要側面上の触媒層で燃料(典型的には水素が豊富な気体)及び酸化剤(典型的には大気中の酸素)が水へと電気化学的に転換される高効率エネルギー供給源である。電気機械的反応は電気エネルギーを生成させ、反応物を反応させて水を生成する。このような過程において、高分子電解質膜は電極及び外部回路を通じて電子を使って電気的作業を行う半電池間の量子の輸送を取り扱う。前記類型の燃料電池の主な問題は、膜とそれに接した触媒層が必要とする水分保持率との間の均衡を保つことである。もし、前記電気機械的反応中に生成された水を適切に取り除くことができない場合は、生成された水がガス拡散層の空隙を防いで気体輸送を邪魔し、出力を減少させる問題が発生する。
一般に、燃料電池の性能は、触媒が形成された電極での反応速度、電解質膜を通じた陽性子の移動及び物質の伝達速度などによって決まる。水素高分子電解質の燃料電池を例えると、燃料極に供給された水素は白金触媒上で吸着、分解、脱着の一連の過程を経るが、電極の電位を一定量失うことでこのような反応に必要な活性化エネルギーを減少させて円滑な反応を進めることができる。この時、消耗する電極電位を活性化損失と言う。また、抵抗性損失で集電体、接触抵抗、電解質膜抵抗などによる電位損失もある。最後に、燃料極及び空気極で反応物が円滑に供給されない場合発生する濃度損失がある。このような幾つかの要因による電位の損失は燃料電池全体の性能減少の原因として作用する。
ナピオンは高分子重量の20%程度が水和されると、高分子の親水性SO
3‐基が集まってチャンネルを形成しながら水を含むようになり、このチャンネルを通じて水素イオンに対する高い伝導性を示す。この時、水素イオンは水和されたH
3O
+形態で膜を通過する。よって、高分子膜が水分を失って乾燥になると、水素イオンの伝導度が低下し、膜の収縮を引き起こして膜と電極の間の接触抵抗を増加させる。逆に、水が多すぎると電極に水が溢れるフラディング現象が起きて物質の伝達を妨害し、電極の反応速度が低下する。よって、生成される水を速く排出して水の量を均一に維持させることが燃料電池の重要な性質の一つである。
日本特開第2006‐179253号などでは、燃料電池用ガス拡散層に含まれる微細気孔層を形成するために使われる微細気孔層形成用スラリーを製造する時、分散剤として非イオン性界面活性剤(例:ポリオキシエチレントリデシルエーテル)を使って溶媒内にカーボンブラックとフルオロポリマー(フッ素樹脂)を分散させる方法を掲載しているが、前記従来方法で製造された微細気孔層形成用スラリーは、
図2で図示されたような形態で一元化された粒度分布を備えるので、これによって製造された微細多孔層を含むガス拡散層は排水性能が不良で、それによって同等な電圧値で濃度分極曲線の電流値が低下する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、製造されたガス拡散層の排水能力を向上させられるように、粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造する方法を提供することである。
本発明のまた別の課題は、前記スラリーで製造され、粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層を含み、排水能に優れ、同等電圧値で濃度分極曲線の電流値が上昇する効果を示す燃料電池用ガス拡散層を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を達成するために、本発明は5mgKOH/g以上の酸価と10mgKOH/g以下のアミン価とを有する水系湿潤分散剤を用いて、有機溶剤にブラックカーボンと疎水性フッ素樹脂とを希釈、分散させて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造する。この時、前記水系湿潤分散剤の添加量は、ブラックカーボン100重量部に対して5〜30重量部に調節する。
また、本発明は、前記スラリーを炭素繊維紙の少なくとも一面にコーティング、乾燥して粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層を含むガス拡散層を製造する。
【発明の効果】
【0005】
本発明のガス拡散層は、粒度分析グラフ上、独立した2個のピークを備えるため、排水性能に優れ、それによって同等な電圧値で濃度分極曲線の電流値が上昇する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施例1で製造した微細気孔層形成用スラリーの粒度分布グラフ。
【
図2】比較実施例1で製造した微細気孔層形成用スラリーの粒度分布グラフ。
【
図3】実施例1ないし実施例2及び比較実施例1ないし比較実施例3で製造したガス拡散層それぞれの電圧/電流濃度の相関関係を示すグラフ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付の図面などを通じて本発明を詳しく説明する。
本発明による微細気孔層形成用スラリーの製造方法は、有機溶剤に分散剤を用いて、ブラックカーボンと疎水性フッ素樹脂とを希釈、分散させてガス拡散層を成す微細気孔層形成用スラリーを製造する際、前記分散剤として5mgKOH/g以上の酸価と10mgKOH/g以下のアミン価とを有するポリアクリル系高分子及びポリウレタン系高分子の中で選択された1種の水系湿潤分散剤を使用することを特徴とする。
前記水系湿潤分散剤の酸価が5mgKOH/g未満の場合、分散性能が改善されないし、アミン価が10mgKOH/gを超過する場合、再度凝集して分散安定性が低下され、スラリーの粒度を調節しにくい。
前記水系湿潤分散剤の添加量は、ブラックカーボン100重量部に対して5〜30重量部程度添加することが好ましい。5重量部未満で添加した時は、分散剤を添加していないスラリーと排水性能が同等な水準であり、30重量部を超過して添加した時は、熱処理工程で揮発する水系湿潤分散剤の量が多くて、乾燥された微細気孔層内の多量の巨大気孔が生成され、製造されたガス拡散層表面の外観品質が使いがたいほど低下する問題が発生する。
【0008】
前記ブラックカーボンでは、カーボンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック(Channel Black)、ファーネスブラック(Furnace Black)、ランプブラック(Lamp Black)、ナフタレンブラックまたはアントラセンブラック(Anthracene Black)等を用いることができる。
前記ポリアクリル系高分子である湿潤分散剤は、アンモニウムポリアクリレートまたは変性ポリアクリレートであることが好ましい。
前記疎水性フッ素樹脂では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FER)、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)またはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等を用いることができる。
前記湿潤分散剤は、5〜20mgKOH/gの酸価を有することが好ましい。
【0009】
本発明においては、有機溶剤内のブラックカーボン、疎水性フッ素樹脂及び水系湿潤分散剤の全体固形分を5〜10%に調節することが好ましい。前記固形分が10%を超過する場合は、カーボンブラック、疎水性フッ素樹脂及び水系湿潤分散剤が有機溶媒に充分に濡れずに分散性が低下する恐れがある。
前記スラリーの粒度分布グラフにおけるD50値は、1.0μm未満1個と3〜10μm1個とからなってもよい。より好ましくは0.3〜1.0μmで1個、3〜8μmで1個であってもよい。1.0μm未満の粒子のみで構成された微細気孔層は、コーティング層内でパッキングされる度合いが細かくて、抜水性能は優れているが、燃料電池内で発生した水を排出する性能が低下する。3〜10μm程度の粒子のみで構成された微細気孔層は、コーティング層内のスラリー粒子の間に隙間が多く、排水性能に優れるが、排水が多すぎると高分子膜の内部が水分を失って乾燥し、水素イオンの伝導度が低下し、膜の収縮を引き起こして膜と電極の間の接触抵抗を増加させる。
【0010】
本発明によるガス拡散層は少なくとも一面に形成されて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層が炭素繊維紙上に形成され、圧搾、積層された構造を有する。
本発明のガス拡散層を製造する方法の具現例の一つとして、(i)有機溶剤にカーボンブラックと、疎水性フッ素樹脂及び水系湿潤分散剤とを添加した後、希釈、分散させて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した後、(ii)前記の粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを炭素繊維紙の少なくとも一面にコーティングし、乾燥して前記炭素繊維紙の少なくとも一面に粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層を形成して、本発明のガス拡散層を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例及び比較実施例を通じて本発明を具体的に検討してみる。
しかし、本発明の保護範囲は下記実施例のみに限定されるように解釈してはならない。
実施例1
アルコール系有機溶媒に(i)比表面積が220m
2/gで粒径が40nmであるカーボンブラックと(ii)ポリテトラフルオロエチレンとを77:23の重量比で投入し、続いてこれに分散剤として9mgKOH/gの酸価と7mgKOH/gのアミン価とを有するアンモニウムアクリレート(水系湿潤分散剤)を、前記カーボンブラック100重量部に対して15重量部添加し、その後、2時間混合して
図1のように粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した。
次に、前記のように製造されて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを、炭素繊維紙の一面にドクターブレードを利用してコーティングし、120℃で7分間乾燥して一面に粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層が形成されたガス拡散層を製造した。
この時、粒度分析はマイクロトラック(Microtrac)社の粒度分布計(Particle size analyzer)を利用して測定し、プログラム内の基本カーボンブラック(Carbon Black)測定モードを利用した。
製造されたガス拡散層の電圧/電流濃度の相関関係を測定した結果は、
図3の図面符号1番グラフのとおりであり、製造されたガス拡散層は排水性能に優れ、同等の電圧値での濃度分極曲線の電流値が上昇した。
【0012】
実施例2
アルコール系有機溶媒に(i)比表面積が220m
2/gで粒径が40nmであるカーボンブラックと(ii)ポリテトラフルオロエチレンとを77:23の重量比で投入し、続いてこれに分散剤として9mgKOH/gの酸価と7mgKOH/gのアミン価とを有するアンモニウムアクリレート(水系湿潤分散剤)を、前記カーボンブラック100重量部に対して30重量部添加し、その後、2時間混合して粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した。
次に、前記のように製造されて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを、炭素繊維紙の一面にドクターブレードを利用してコーティングし、120℃で7分間乾燥して一面に粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層が形成されたガス拡散層を製造した。
この時、粒度分析はマイクロトラック(Microtrac)社の粒度分布計(Particle size analyzer)を利用して測定し、プログラム内の基本カーボンブラック(Carbon Black)測定モードを使用した。
製造されたガス拡散層の電圧/電流濃度の相関関係を測定した結果は、
図3の図面符号2番グラフのとおりであり、製造されたガス拡散層は排水性能に優れ、同等の電圧値での濃度分極曲線の電流値が上昇した。
【0013】
比較実施例1
アルコール系有機溶媒に(i)比表面積が220m
2/gで粒径が40nmであるカーボンブラックと(ii)ポリテトラフルオロエチレンとを77:23の重量比で投入し、分散剤を使用せずに2時間混合して
図2のように粒度分析グラフ上1個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した。
次に、前記のように製造されて一元化された粒度分布を有する微細気孔層形成用スラリーを、炭素繊維紙の一面にドクターブレードを利用してコーティングし、120℃で7分間乾燥して一面に粒度分析グラフ上1個のピークが発生する微細気孔層が形成されたガス拡散層を製造した。
製造されたガス拡散層の電圧/電流濃度の相関関係を測定した結果は
図3の図面符号3番グラフのとおりであり、製造されたガス拡散層は排水性能が不良で、同等の電圧値での濃度分極曲線の電流値が下降した。
【0014】
比較実施例2
アルコール系有機溶媒に(i)比表面積が220m
2/gで粒径が40nmであるカーボンブラックと(ii)ポリテトラフルオロエチレンとを77:23の重量比で投入し、続いてこれに分散剤として9mgKOH/gの酸価と7mgKOH/gのアミン価とを有するアンモニウムアクリレート(水系湿潤分散剤)を前記カーボンブラック100重量部に対して4重量部添加し、その後、2時間混合して粒度分析グラフ上1個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した。
次に、前記のように製造されて粒度分析グラフ上1個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを、炭素繊維紙の一面にドクターブレードを利用してコーティングし、120℃で7分間乾燥して一面に粒度分析グラフ上1個のピークが発生する微細気孔層が形成されたガス拡散層を製造した。
この時、粒度分析はマイクロトラック(Microtrac)社の粒度分布計(Particle size analyzer)を利用して測定し、プログラム内の基本カーボンブラック(Carbon Black)測定モードを使用した。
製造されたガス拡散層の電圧/電流濃度の相関関係を測定した結果は
図3の図面符号4番グラフのとおりであり、製造されたガス拡散層は排水性能が不良で同等の電圧値での濃度分極曲線の電流値が下降した。
【0015】
比較実施例3
アルコール系有機溶媒に(i)比表面積が220m
2/gで粒径が40nmであるカーボンブラックと(ii)ポリテトラフルオロエチレンとを77:23の重量比で投入し、続いてこれに分散剤として9mgKOH/gの酸価と7mgKOH/gのアミン価とを有するアンモニウムアクリレート(水系湿潤分散剤)を前記カーボンブラック100重量部に対して50重量部添加し、その後、2時間混合して粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを製造した。
次に、前記のように製造されて粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層形成用スラリーを炭素繊維紙の一面にドクターブレードを利用してコーティングし、120℃で7分間乾燥して一面に粒度分析グラフ上、独立した2個のピークが発生する微細気孔層が形成されたガス拡散層を製造した。
この時、粒度分析はマイクロトラック(Microtrac)社の粒度分布計(Particle size analyzer)を利用して測定し、プログラム内の基本カーボンブラック(Carbon Black)測定モードを使用した。
製造されたガス拡散層の電圧/電流濃度の相関関係を測定した結果は
図3の図面符号5番グラフのとおりであり、製造されたガス拡散層は排水性能が不良で同等の電圧値での濃度分極曲線の電流値が下降した。
【符号の説明】
【0016】
1:実施例1で製造したガス拡散層の電圧/電流濃度の相関結果を測定したグラフ。
2:実施例2で製造したガス拡散層の電圧/電流濃度の相関結果を測定したグラフ。
3:比較実施例1で製造したガス拡散層の電圧/電流濃度の相関結果を測定したグラフ。
4:比較実施例2で製造したガス拡散層の電圧/電流濃度の相関結果を測定したグラフ。
5:比較実施例3で製造したガス拡散層の電圧/電流濃度の相関結果を測定したグラフ。
【国際調査報告】