(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528109(P2021-528109A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】心臓内ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/17 20210101AFI20210924BHJP
A61M 60/295 20210101ALI20210924BHJP
A61M 60/427 20210101ALI20210924BHJP
A61M 60/569 20210101ALI20210924BHJP
【FI】
A61M60/17
A61M60/295
A61M60/427
A61M60/569
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-541773(P2020-541773)
(86)(22)【出願日】2019年6月13日
(85)【翻訳文提出日】2020年7月27日
(86)【国際出願番号】US2019036904
(87)【国際公開番号】WO2020005551
(87)【国際公開日】20200102
(31)【優先権主張番号】62/689,861
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520277106
【氏名又は名称】ダグラス,ロバート,イー.
(71)【出願人】
【識別番号】520277117
【氏名又は名称】ダグラス,キャスリーン,エム.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,ロバート,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,キャスリーン,エム.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD09
4C077FF04
4C077JJ08
4C077JJ20
(57)【要約】
心臓内装置構成要素(ICDC)を心臓の1〜4の腔に挿入する。第1の時期の間に、三尖弁及び僧帽弁が開いている間右心房及び左心房のICDCは拡張する。右心房及び左心房の拡張は、これらの心房からそれぞれの心室に血液を押し込む。右心室及び左心室のICDCはこの時期に収縮し、肺動脈弁及び大動脈弁は閉じている。次の時期では、三尖弁及び僧帽弁が閉じている間に右心房及び左心房のICDCは収縮し、右心房及び左心房は血液で満たされている。右心室及び左心室のICDCは、肺動脈弁と大動脈弁が開いている間、この時期に拡張する。このシーケンスは、肺動脈及び大動脈への血流を増加させ、心不全患者における血液をポンピングする能力の低下を治療するのに役立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心房心臓内装置構成要素を体積収縮させ、心室心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心房心臓内装置構成要素を体積拡張させ、前記心室心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;を含む、
方法。
【請求項2】
前記心房心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮並びに前記心室心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を前記心臓の感知されるタイミングと同期して連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる方法であって:
第1の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が開いている間に前記右心房及び前記左心房の第1の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップであって、前記第1の心臓内装置構成要素は、前記右心房及び前記左心房に設置され、前記左心房及び前記右心房からの血液を前記左心室及び前記右心室に体積拡張によって移動させる、ステップと;
前記第1の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が閉じている間に前記右心室及び前記左心室の第2の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
第2の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が閉じている間に前記右心房及び前記左心房の前記第1の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記第2の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が開いている間に前記右心室及び前記左心室の前記第2の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;を含む、
方法。
【請求項4】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を前記心臓のタイミングに応じて連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を電極による前記心臓の腔の壁に供給される電気パルスに同期して連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮のタイミングをコントローラからの入力に応じて連続する時期において変更するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮のタイミングを患者の活動レベルに応じて連続する時期において変更するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の心臓内装置構成要素の第1の拡張の体積を計算するステップ及び前記第2の心臓内装置構成要素の第2の拡張の体積を計算するステップを有し、前記第1の拡張の体積及び前記第2の拡張の体積は、各腔の既存の血液駆出率、各腔のサイズ、及び所望の出力のうちの少なくとも1つに基づいて計算される、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
計算された前記第1の拡張の体積のために前記第1の心臓内装置構成要素を構成するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
心エコーデータに基づいて計算された前記第1の拡張の体積を調整するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
計算された前記第1の拡張の体積、計算された前記第2の拡張の体積、各時期に対する各腔から放出される血液の関連する容積、腔の数、ポンピングされる血液の全容積、各腔における圧力のうちの少なくとも1つを示すデータを格納するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
加圧流体を貯蔵する容器であって、前記流体は、前記少なくとも1つの体積変位機構を、前記流体が前記ICDCに供給されるとき体積拡張させ、前記流体が前記ICDCから解放されるとき体積収縮させるように、導管を通過する、容器と;
前記ICDCへの前記加圧流体の供給及び前記ICDCからの前記加圧流体の解放を制御する、少なくとも1つのバルブと;
前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記少なくとも1つのバルブを作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項13】
前記コントローラに電力を供給するバッテリをさらに有する、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記心臓を前記ICDCと同期させるために電気パルスを供給するように前記心臓の腔の壁に付けられる電極をさらに有する、
請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのICDCは、前記右心房、前記左心房、及び前記右心室におけるより前記左心室において高い拡張圧力を作り出す、
請求項12に記載の装置。
【請求項16】
流体が異なる圧力レベルで腔間を通過することを可能にするチューブを有する、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、大動脈弁、心室中隔、及び心房中隔を有する心臓からの血流を増加させるために心臓内装置構成要素(ICDC)をインプラントする方法であって:
第1のICDCを、静脈構造を通って前記右心房に挿入するステップと;
前記第1のICDCが前記左心房及び前記右心房にあるように前記第1のICDCが前記左心房及び前記右心房を分離する前記心房中隔を通って挿入されるように、前記心房中隔に孔をあけるステップと;
第2のICDCが前記左心室及び前記右心室にあるように前記第2のICDCが前記左心室及び前記右心室を分離する前記心室中隔を通って挿入されるように、前記心室中隔に孔をあけるステップと;を含む、
方法。
【請求項18】
前記第1のICDCと前記第2のICDCとの間にコネクタチューブを配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のICDCと流体貯蔵源との間にコネクタチューブを配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のICDCと流体貯蔵源との間にコネクタチューブを配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
胸壁にICDCコントローラを配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
胸壁にICDC電源を配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
胸壁に加圧流体容器を配置するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のICDCを、画像誘導を用いて静脈構造を通って前記右心房に挿入するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
画像誘導を用いて前記心房中隔に孔をあけるステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項26】
画像誘導を用いて前記心室中隔に孔をあけるステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項27】
心臓からの血流を増加させる装置であって:
シリンダタイプ形状の装置内のピストンと;
前記心臓の少なくとも1つの腔内の血液を移動させるように前記ピストンを作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項28】
前記ピストンは磁化されている、
請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラは、前記シリンダに近接した磁石の間で電流を交互に流し、永久磁石が前記ピストンに付けられる、
請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラは、感知される心拍タイミングに応じて前記ピストンを作動させる、
請求項27に記載の装置。
【請求項31】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる方法であって:
第1の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が開いている間に前記右心房及び前記左心房の第1の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップであって、前記第1の心臓内装置構成要素は、前記右心房及び前記左心房に設置され、前記左心房及び前記右心房からの血液を前記左心室及び前記右心室に体積拡張によって移動させる、ステップと;
前記第1の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が閉じている間に前記右心室及び前記左心室の第2の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
第2の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が閉じている間に前記右心房及び前記左心房の前記第1の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記第2の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が開いている間に前記右心室及び前記左心室の前記第2の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮をペースメーカが発する信号に同期して連続する時期において繰り返すステップと;を含む、
方法。
【請求項32】
重度の不整脈に応じて前記ペースメーカが発する信号との同期から前記体積拡張及び収縮を分離するステップを含む、
請求項31に記載の方法。
【請求項33】
右心房、左心房、右心室、及び左心室を含む腔、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
加圧流体を貯蔵する容器であって、前記流体は、前記少なくとも1つの体積変位機構を、前記流体が前記ICDCに供給されるとき体積拡張させ、前記流体が前記ICDCから解放されるとき体積収縮させるように、導管を通過する、容器と;
前記ICDCへの前記加圧流体の供給及び前記ICDCからの前記加圧流体の解放を制御する、少なくとも1つのバルブと;
前記腔内の圧力を感知する少なくとも1つの圧力センサと;
前記少なくとも1つの圧力センサによって感知される圧力に基づいて前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記少なくとも1つのバルブを作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項34】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心室心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心室心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;を含む、
方法。
【請求項35】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心房心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心房心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;を含む、
方法。
【請求項36】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
前記ICDCの前記体積変位機構を制御する前記ICDCの内部の少なくとも1つの機械的体積変位装置と;
少なくともいくつかの圧縮性材料(例えば、ガス)であって、前記機械的体積変位装置が拡張するとき前記装置の内部の前記圧縮性材料の圧力が減少し、前記機械的体積変位装置が収縮するとき前記装置の内部の前記圧縮性材料の圧力が増加するように、前記ICDCを充填する、少なくともいくつかの圧縮性材料と;
前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記機械的体積変位装置を作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、概して、医学、より具体的には、心不全に関する。
【背景技術】
【0002】
心不全は、心臓が血液を体内の臓器に十分に送り出すことができない健康状態である。よくある原因の1つは、冠動脈疾患(心臓への血管が狭くなること)による心筋梗塞(心臓発作としても知られる)がある。心筋梗塞の間、心筋の一部が死滅し、残った心筋は働きが過剰になり、時間とともに徐々に伸びていく。心臓が肥大し、ポンプ能力が低下する。冠動脈疾患と心筋梗塞は、心不全の多くの原因の1つに過ぎない。その他の原因は、高血圧、心臓弁の異常、心筋の異常(例えば、ウイルス性心筋炎、アミロイドーシス、HIV、不整脈、サルコイドーシスなど)などを含む。
【0003】
右心不全(右心房及び右心室の病理による)がある場合、血液が体内の臓器に逆流し、患者は脚の腫れに悩まされることがある。左心不全(左心房及び左心室の病理による)がある場合、血液が肺に逆流し、患者は重度の息切れに苦しむことがある。最終的には、原因によっては、心不全が進行する(すなわちポンプ不全が悪化する)ことがあり、その状態は致死的である。
【0004】
左心室補助装置(LVAD)は、心臓移植を待っている末期心不全患者を治療するために開心手術手技を介して配置される電池作動式機械式ポンプである。LVADは左心室から血液を引き出し、それを大動脈に送り、その後、全身に送られる。LVADにはいくつかの限界がある。第一に、LVADは、左心室を支援するためのポンプとしてのみ機能する。したがって、他の心室は支援されない。第二に、重大なリスクを伴う大規模な開心術が必要である。第三に、内部ハードウェアを体外の外部ハードウェアに接続する患者の皮膚から出るチューブを必要とする。したがって、LVADメンテナンスに関連する一連の課題がある。これらの限界を考慮すると、心不全に苦しむ患者を支援するために、より良い方法及び装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
この文書で言及されるすべての例、態様及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0006】
本発明の一態様によれば、方法は、心臓の各腔(chambers)に心臓内装置構成要素(例えば、拡張/収縮のための心臓内装置構成要素であるが、これに限定されない)を挿入することを含む。右心房及び左心房の心臓内装置構成要素は拡張しているが、三尖弁及び僧帽弁は最初の時期(the first-time epoch)の間に開いている。右心房及び左心房における心臓内装置構成要素の拡張は、これらの心房からそれぞれの心室への血液の増加した流れを押し出す。右心室及び左心室の心臓内装置構成要素は、この時期で収縮し、肺動脈弁及び大動脈弁が閉じている。逆に、その後の時期では、右心房及び左心房の心臓内装置構成要素は、三尖弁及び僧帽弁が閉鎖されている間に収縮する。右心室及び左心室における心臓内装置構成要素は、この時期で拡張し、肺動脈弁及び大動脈弁が開く。このシーケンス、肺動脈及び大動脈への血流を増加させる。心臓内装置構成要素は、心拍及びそれぞれの腔の機能に応じて、連続する時期における拡張及び収縮を交互に行う。心臓内装置構成要素は、心臓の1〜4つの腔に設置される。
【0007】
幾つかの実装は、以下を含むがこれらに限定されない要素を含む:心臓内装置構成要素(ICDC)と;流体を貯蔵し、ICDCを流体が挿入されるとき拡張させ、流体が放出されるときに収縮させるようにチューブ状システムを通過させる加圧流体ボトルと;空気をICDCに流入させ又は放出させるために開閉する弁を備えた加圧流体のためのイン/アウトチューブと;加圧流体のための貯蔵要素と;制御機構であって、限定されるものではないが:チューブのための圧力ゲージと;集められたデータ(例えば、圧力、容積、速度等)に基づいて腔(複数可)からの血液を空にする間(すなわち、駆出フェーズ(ejection phase))に開閉するための流体/空気入出力弁(複数可)のタイミングのためのアルゴリズムを備える計算システム(computed system)と;収集されたデータ(例えば、圧力、容積、速度等)に基づいて、腔(複数可)への血液の充填する間に開閉するための流体/空気入出力弁(複数可)のタイミングのためのアルゴリズムを備えるコンピュータシステムと;好ましくは胸壁の皮下脂肪の内部の電源(注:システムコントローラ及び電源が体外にある場合、これらの要素は、バッテリバックアップとともにローカルの商用電源に接続することができる)と;を有する、制御機構。さらなる実装において、所望の駆出パラメータ(ejection parameters)(例えば、1回拍出量(stroke volume)、駆出率など)は、以下の要因:弁開口サイズ;開放期間;及び心腔サイズ;を含むが、これらに限定されない複数の要因の分析によって、心臓内ポンプによって修正され得る。
【0008】
幾つかの実装は、以下を含むが、これらに限定されない、ICDC及び関連チューブを埋め込む方法を含む:上大静脈(Superior Vena Cava)(SVC)に近接して身体に、そしてSVCに、その後SVCに続いて右心房(RA)に入るように、装置を入れること;を含み、その結果、ICDCセット1(IS1)が、RAと左心房(LA)を分離する心房中隔(inter-atrial septum)を通って:1つのICDCはLA内にあり、1つはRAにあり、ICDCコネクタは心房中隔にあるように、挿入され;次いで、ICDCセット2(IS2)が、RAを通って、そして右心室(RV)に挿入され、次いで:ICDCセット2は、RVと左心室(LV)を分離する心室中隔(inter-ventricular septum)を通って挿入され得るような位置に移動され:1つのICDCはRV内にあり、1つはLV内にあり、ICDCコネクタは心室中隔にある。引き続いての実装では、コネクタチューブ(複数可)の位置は、次のオプションを含む:IS1とIS2のコネクタ間;IS1のコネクタと外部(又は内部)流体貯蔵源との間;IS2のコネクタと外部(又は内部)流体貯蔵源の間。
【0009】
いくつかの実施態様は、前述の構成要素のセットと共に1つ又は複数の電極の追加を含む。これらの電極の目的は、ICDC構成要素と協調して、心臓機能を刺激し、同期させることである。電極による刺激の速度は、患者の活動レベルに依存して変化し得る。
【0010】
いくつかの実装は、システム要素の位置のバリエーションを含む。例示的な位置は、以下を含むが、これらに限定されない:内蔵型ユニットとして体の内部ではあるが、電源を交換するための設備(provision)を備える;体の内部のICDC並びに体及びコントローラの内部と外部の両方のコネクタチューブ及び配線と、体の外部の流体貯蔵要素及び電源。さらなる実装では、ICDCを拡張させ、収縮が生じるときにガスが放出される機構として加圧ガス(例えば、空気)が使用される場合、加圧ガスボトルが、体外にガスを保持し、貯蔵されたガスが消費されたときに定期的に交換され得る。ICDCを拡張/収縮させる機構として使用される流体が液体(例えば、生理食塩水)である場合、流体は閉鎖系内に貯蔵され得る。
【0011】
幾つかの実装は、流体圧力差以外のメカニズムを含み、ICDCの原因は、以下を含むが、これらに限定されない:閉鎖システムの場合、チューブ状システム(tubular system)内の磁化ピストンであって、このチューブ状システムは、右心房(RA)及び左心房(LA)のためのICDCと右心室(RV)及び左心室(LV)のためのICDCとを接続することができ、これは、チューブ状システムの磁石の間に電流の流れを交互に流す、ピストンと、ピストンの永久磁石。チューブ上の磁石の間で交互に、且つ心拍と同期して電流が供給される。従って、ピストンの動きは、1つのICDC内に流体を押し込み、1つの時期の間に他から抜き取り、次の時期の間に逆転する。
【0012】
いくつかの実装は、LVからの血流を増加させるICDC以外の機構を有する。これは、限定されるものではないが、以下を含む:LV内に配置された一端で開放された円筒形型チューブ内のピストン。血液がLAからLVに流入している時期の間には、ピストンはシリンダの基部に近くなる。そして、駆出時期の間、ピストンはシリンダの開放端に向かって前進し、したがってシリンダ内の血液を押し出し、それによってこの時期の間に駆出される血液の体積に寄与する。さらなる実装は、限定されるものではないが以下を含むことができる:シリンダの近端にある磁石とピストンにある永久磁石との間の交流電流。電流は、心拍と同期してシリンダ上の磁石間で交互に供給される。このオプションは、流体を外部/内部に貯蔵する必要を取り除く。
【0013】
幾つかの実装は、現在患者内に存在するペースメーカと共に作動する方法を含む。本方法は、以下を含むが、これらに限定されない:ペースメーカによって発せられる信号は、システム内のセンサによって検出され、コントローラ要素に通信され得る。次いで、コントローラは、それにしたがってICDCの拡張/収縮を同期させる。ペースメーカなしで、システムコントローラはICDCの拡張/収縮の時期のタイミングを提供することに注意されたい。
【0014】
幾つかの実装形態は、ICDC要素内の圧力センサと共に動作する方法を含む。本方法は、以下を含むが、これらに限定されない:腔内の圧力及び圧力変化を感知するICDC内の圧力センサを含むこと。この情報は、コントローラに送信され、ICDCの拡張又は収縮をトリガするために使用され得る。圧力データもまた、診断目的のために利用可能である。
【0015】
幾つかの実装は、心臓内の人工弁(valve prosthesis)と共に動作する方法を含む。ICDCは人工弁の位置決め中に協調運動を達成するために、人工弁に関連付けられる。この方法は、以下を含むが、これらに限定されない:ICDCと人工弁との間の機械的接続;ICDCと人工弁との間の電気的接続;及び人工弁の位置を検出するためのICDC内のセンサシステム。注:ICDCは、同期した運動を達成するために自然心臓弁と同様に機能し得る。
【0016】
いくつかの実装は、ICDCに2つ(又はそれより多い)レベルの圧力を提供する方法を含む。2レベルの圧力システムの例は、以下を含むが、これらに限定されない:システムは、LV用の高圧要素と、RA、LA、及びRV用の低圧要素とを有することができる。別々のチューブは、これらの2つの異なる圧力レベルの流体を、それらの貯蔵要素(すなわち、高圧及び低圧)から各ICDCに通過させる。これは、これらの腔間の圧力差のおおよその大きさに適応する。
【0017】
いくつかの実装は、時期のタイミングを制御する方法を含む。時期の持続時間は、患者からの手動入力によりコントローラ要素で制御することができる。タイミングに影響を及ぼす可能性のある変数は、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:活動レベルの増加に対応する時期の時間間隔の減少を伴う患者の活動レベル;ICDCの起動の間の選択された時期間隔(例えば、2つの時期についてはオン、2つの時期についてはオフ)。
【0018】
いくつかの実装は、プリインストールプランニングプロセス(pre-installation planning process)を提供する方法を含んでいる。「システム」の観点からは、各腔から駆出される血液の量は(シャントがないと仮定すると)ほぼ等しいはずである。一例として、体を通る全血流は、左室からの駆出が低いために制限され、一方、RA、RV、及びLAは、血液量を増加させることができる。この例のシナリオでは、LVは全身への流れの「律速段階(rate-limiting step)」である。この規定では、プレインストールプロセスは、以下を含み得るが、これらに限定されない:心臓機能を検査する間の心エコー図(又は他の画像検査手順)の間に、既存の駆出パラメータ(例えば、拡張終期容積、収縮終期容積、駆出率など)を計算することができる。腔のサイズ、各腔に対する容積駆出の現在のレベル、駆出の所望のレベルに基づいて、ICDCのサイズを計算して、駆出の現在のレベルと比較して、所望の抽出(extraction)のレベルを達成することができる。これは、ICDCのサイズ及びICDCへの流体流量を決定する。
【0019】
いくつかの実装は、システム動作のチェックを提供するための方法を含む。これは、以下を含むが、これらに限定されない:システムは、超音波モニタを含むことができ、この超音波モニタは、システムの設置後且つ動作中に、各腔のための駆出容積のエコー計算を実行する機能を実行する。このモニタは、システムコントローラにリンクすることができ、必要に応じて、各腔のICDCサイズの調整を計算することができ、制御システムは、これらの必要な調整を実行する。
【0020】
いくつかの実装は、システムコントローラ内に、報告期間にわたるシステムの利用に関するレポートを生成する能力を提供する方法を含む。報告要素は、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない:報告は:各腔の各時期の間のICDCサイズ;各時期の各腔の関連する駆出パラメータ(収縮終期容積、拡張終期容積、駆出率など);及び時期数;報告期間中の総駆出容積;及びこれらの測定値に関する統計を示すことができる。腔内の圧力測定値が利用可能であれば、これらを報告に含めることができる。この情報は、患者の健康及び運動能力などの測定指標の進歩と相関しうる。患者の全体的な健康状態が改善されるにつれて、各時期の健康に対する装置パラメータ(例えば、ICDCサイズ)を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】心臓内装置構成要素によって補助され、左心室に流入する酸素化された血液を示す。
【
図2】心室からの血液駆出中に機能する心臓内装置構成要素を示す。
【
図3】心房からの血液駆出中に機能する心臓内装置構成要素を示す。
【
図4】心臓内ポンプシステム構成要素の実装を示す。
【
図5】心臓内装置構成要素(ICDC)サブ要素を示す。
【
図6】拡張/収縮フェーズの間の心臓内装置構成要素体積及び内圧を示す。
【
図8】全体的な心臓内ポンプシステム構成要素を示す。
【
図9】臨床設定、装置の配置及び追跡期間の概要を示す。
【
図10】ICDCの配置の好ましい方法の概要を示す。
【
図11】拡張及び収縮の間のそれぞれの圧力とともに心臓及び動脈を図示する。
【
図12】流体の一部がICDCの心房構成要素からICDCの心室構成要素へと前後にシフトされるシステムを示す。
【
図13】心臓機能を刺激するための電極及び人工弁の追加を伴うICDCシステムを示す。
【
図14】心室中隔を通って単一の穿刺を通して配置され、各心房及び各心室への心臓内ポンプを生じ得る装置を示す。
【
図15】心室中隔を通って単一の穿刺を通して配置されることができ、各心房及び各心室へのICDCを生じることができる実装を示している。
【
図16】ICDCが拡張している間に、装置内の圧力が低下する例示のICDC装置を示す。
【
図17】拡張/収縮フェーズの間のICDCによる容積変位及び内圧を定量化したものである。
【
図18】リザーバなしの左室ICDCのみを含む簡略化されたシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、僧帽弁222が開いた状態での左心房206の収縮の間に左心室208に流入する酸素化された(酸素を含んだ)血液(oxygenated blood)を示しており、これにより、酸素化された血液226が、サイクルのこの部分の間に拡張している左心室208に流入することを可能にする。大動脈弁224は、この瞬間に閉じている。心房構成要素102及び心室構成要素104を含む心臓内装置は、体積変位(volumetric displacement)によって酸素化された血液226の流れを促進する。左心房206内の心房心臓内装置構成要素(ICDC)102は、左心房206が空になっている/収縮しているときに拡張する(容積の増加)。左心室208が充填/弛緩すると、心室ICDC104は収縮する(容積の減少)。サイクルの次の部分の間に、拡張/収縮プロセスが逆転される、すなわち、左心房206が拡張し、左心室208が収縮する。サイクルのこの次の部分では、大動脈弁224が開放され、それによって酸素化された血液226が体内に流れることを可能にし、僧帽弁222が閉鎖される。同様の拡張/収縮は、右心房と右心室、及びそれぞれの弁で起こる。したがって、ICDCは、拡張/収縮による血液の体積変位によって充填フェーズと排出フェーズの両方で心臓を支援する。
【0023】
図2は、心室からの血液駆出中に機能するICDC102、104を示す。心室ICDC104は、右心室204及び左心室208が空になっている/収縮しているときに拡張する。心室ICDC104は右心室204内で拡張し、脱酸素化された血液(deoxygenated blood)228を、肺動脈弁220を通って肺動脈214内に押し込む。同時に、心室ICDC104は、酸素化された血液226を左心室208から大動脈弁224を通って大動脈212に押し込んでいる。三尖弁218は閉じられる。僧帽弁222も閉じられる。この間、心房ICDC102は収縮し、これは、下大静脈及び上大静脈210から弛緩する右心房202への脱酸素化された血液228の流れを助け、酸素化された血液226は、肺静脈216から弛緩する左心房206への流れを助ける。心臓内の全ての腔が同一のサイズ及び形状であるわけではないので、各ICDCは、例えば、拡張及び収縮による特定の容積変位を有するように、その腔のために特別に設計され得る。
【0024】
図3は、心房からの血液駆出中に機能するICDCを示している。心機能のこの時期は、
図2に記載された時期の次に来る。心房ICDC102は、右心房202及び左心房208が空になるときに拡張する。心室ICDC104は、右心室204及び左心室208が充満するときに収縮する。ICDCは、異なる材料、形状及びサイズで構成することができる。説明目的のために、心房ICDC102はバルーン型の設計で示され、心室ICDC104はピストン−シリンダ型の設計で示されている。三尖弁218は開いており、脱酸素化された血液228が右心房202から右心室204に流れることを可能にしている。肺動脈弁220は閉じられる。僧帽弁222は、酸素化された血液226が左心房206から左心室208へ流れることができるように開いている。肺動脈弁220及び大動脈弁224は、この時期に閉じられる。
【0025】
図4は、ピストン−シリンダ型ICDC100の実装形態をより詳細に示す。バッテリパック400が、システムに電力を供給する。心臓内又は外部(例えば、皮下胸壁)プログラマブル装置であることができるコンピュータ/制御システム402が、ICDC100のタイミングを提供する。これらのコンピュータ/制御システム402のコマンドは、電気接続404を介して、又は無線システムを介してICDCに送信することができる。図の右の部分は、流体貯蔵装置406(例えば、圧縮空気、非圧縮性流体)を示す。流体は、チューブ408を介して貯蔵装置からICDC100に流れる(すなわち、非コンプライアント材料(non-compliant materials)で作製される)。また、貫通装置410が示されており、これは、装置の配置のために心房中隔又は心室中隔を穿孔する(すなわち、小さい孔を作る)ように設計されている。このシステムレイアウトのバリエーションには、主要構成要素が体の内側か外側かが含まれる。ICDC100は、
図7で後述する複数のサブ要素を有し:外部ケーシングサブ要素;内部支持構造;体積拡張/収縮サブ要素;内部媒質サブ要素;心臓固定サブ要素;センサ構成要素;及び制御構成要素を含むことに留意されたい。
【0026】
図5は、バルーン設計型ICDCのサブ要素をより詳細に示している。流体408(例えば、圧縮空気)の通過のためのチューブは、心房中隔又は心室中隔を横切るICDCのサブ構成要素と接合する。2つのバルーン500は、心房中隔又は心室中隔に付けられるICDCのサブ構成要素502によって接続される。ICDCのバルーンサブ構成要素500は、心臓ポンピングを補助するために血液を移動させるように拡張及び収縮する。これらのバルーン500は、左右の心房、左右の心室、又はその両方に配置される。図に示されているように、2つのバルーン500が示されているが、拡張/収縮サブ要素は、限定されるものではないが、腔から血液を押し出すための収縮又は腔内への血液の流れを可能にするための拡張を可能にする内部ピストン又は類似の装置を有するシリンダを含み得る。右心房/心室内のバルーン500体積拡張/収縮サブ要素は、内部媒質サブ要素を取り囲んでいる。ICDCは、電気接続404又は無線通信を介して送受信することができる。ICDC100のサブ構成要素は、それぞれの腔を隔てる壁(心房中隔又は心室中隔)を通過する。心臓固定サブ要素502は、心房中隔又は心室中隔上に配置される。外部ケーシングサブ要素が、内部支持構造を取り囲み、センサ構成要素及び制御構成要素を収容する。
【0027】
図6は、拡張/収縮フェーズの間の容積変位及びICDC100内の内圧の量を示す。具体的には、ICDC内の容積及び圧力は、拡張(すなわち、拡大)及び収縮(すなわち、縮小)に応じて示される。示された容積及び圧力は単なる例示であり、患者によって変化する。
【0028】
図7は、ICDCの機能及び要件を示している。図は自明であるが、設計の柔軟性に留意することが重要である。例えば、ICDCには、広範囲の非毒性材料を使用することができる。同様に、拡張/収縮又は減圧/圧縮を介して血液の容積を移動させるために、異なるメカニズムを使用することができる。複数のICDCの複数のサブ要素があり、それらは:外部ケーシングサブ要素700;内部媒質サブ要素702;体積拡張/収縮サブ要素704;内部支持構造サブ要素706;及び心臓固定サブ要素708を含む。外部ケーシングサブ要素700は、特定の設計要件710を有する。外部ケーシング材料は、心臓及び血液に接触するので、限定されるものではないが、次のものを含む厳しい一連の要件を満たす必要がある:耐久性;気密性;液密性;無毒性;及び滑らかなエッジ。材料は、限定されるものではないが、次のものを含み得る:金属(複数可);非金属(複数可);プラスチック(複数可);合成物(複数可);自己移植片(複数可);及び同種移植片(複数可)。内部媒質サブ要素702は、特定の設計要件712を有し得る。内部媒質は、名目上は(nominally):ICDCの容積を増加/減少させるための圧縮性ガス;又は、心臓腔の外側に位置するリザーバを伴う非圧縮性流体のいずれかからなる。体積拡張/収縮サブ要素704は、特定の設計要件714を有する。体積拡張/収縮サブ要素は、心腔を空にすること/充填することと同期して実行される。材料は、限定されるものではないが:バルーン;スプリング;ピストン;等を含み得る。内部支持構造サブ要素706は、特定の設計要件716を有し得る。内部支持構造サブ要素は次のものを提供する:体積拡張/収縮サブ要素の心臓固定サブ要素への固定;センササブ要素を収容する;及び制御サブ要素を収容する。心臓固定サブ要素708は、特定の設計要件718を有する。心臓固定サブ要素は、心臓装置の心臓(例えば、心室中隔の線維部分)への取り付けを提供する。
【0029】
図8は、全体的なシステム構成要素を示している。システム800全体は、複数の要素:心臓内装置構成要素100;制御装置804;バッテリパック806;貫通装置808;通信システム810;ホース812;及び、該当する場合、心臓弁(複数可)814;を有する。ICDC100の機能816は、収縮及び拡張の連続サイクルを実行することである816。制御装置804(例えば、胸壁の皮下脂肪中の電気装置)の機能818は、ICDCパラメータ(例えば、拡張/収縮の速度(rate)及び容積など)を、心リズムモニタリング(heart rhythm monitoring)に従って制御することである。バッテリパック806(例えば、バッテリは、胸壁の皮下脂肪内の装置のケーシングに含まれる)の機能806は、胸壁内の電気装置及びICDC820の両方に電力を供給することである。バッテリパックは、胸壁の電気装置と同じ外部ケーシングに含まれ得る又は交換を容易にするために分離され得る。貫通装置808の機能822は、心房中隔又は心室中隔を穿刺することである。貫通装置808は、種々の材料(例えば、金属又は非金属)、形状(例えば、変化する鋭さの)などで作ることができる。貫通装置808は、ICDCの配置時にのみ単回使用され得る。通信システム810の機能824は、心臓内ポンプシステム全体の要素間の電力及び情報の伝達を提供することである。無線通信システム810もまた、実装され得ることに留意されたい。ホースサブ要素812は、ICDCが拡張又は収縮することを可能にするために、気体(gas)又は他の流体(fluid)の移送を行う機能826を有する。気体又は流体は、ICDCの拡張フェーズの間に、心臓の外部から、心臓の内部へ移送され得ることに留意されたい。代替的には、ガス又は流体は、1つの腔内のICDC構成要素から別の腔内のICDC構成要素に移送されることができる。ホース812は、限定されるものではないが、プラスチック、ゴム、ゴアテックス(登録商標)等を含む非コンプライアント材料(noncompliant materials)を含む材料で作ることができる。加えて、ICDC100が開閉のサイクルの心臓弁814の機能828と連動して機能するように、心臓弁(複数可)814をこの全体システムに統合することが可能である。
【0030】
図9は、臨床設定、装置の配置、及びフォローアップ期間(follow up period)の概要を示している。この図は、患者が治療されるであろうプロセスの文脈の中で位置づける。重要なのは、ICDCの内部配置に関してなされなければならない事前計画である。また、心臓に設置される拡張/収縮装置の数には、1つの腔から4つの腔すべてに及ぶ可能性のあるかなりの柔軟性があることに留意されたい。また、心臓内装置構成要素の据え付けにすぐに続く期間中に、必要に応じて、タイミング及び体積拡張/収縮に対して臨床的レビュー及び調整が行われることに留意されたい。第1のステップ900は、患者の病歴(例えば、息切れ)、身体検査(例えば、頸静脈拡張)、臨床検査(例えば、心臓マーカーの上昇)、術前画像(例えば、心エコー図)及び診断(例えば、駆出率20%の左心不全)を含む術前評価を行うことである。右心房、左心房、右心室、左心室の収縮の心拍リズム及び正確なタイミングが、正確に特徴づけられる。第2のステップ902は、
図8に記載されているような、特定の心臓内装置構成要素(例えば、単一心室対二重心室対心房−心室の組み合わせ;容量、材料など)及び支持装置を選択することである。第3のステップ904は、術前計画セッション(複数可)(例えば、それが血管内処置であるか開放式処置(open procedure)であるかを決定すること;留意される主要な解剖学的ランドマークなど)を行うことである。第4のステップ906は、ICDC及びアクセサリの配置である。また、スタッフは初期モニタリング、装置の調整(又は臨床的に必要に応じて交換)などを行う。第5の最終のステップ908は、ルーチンのフォローアップを行うことであり、装置は調整又は臨床的に必要に応じて交換される。
【0031】
図10は、好ましい静脈アクセス部位が頸静脈である静脈側を通してのICDCの血管内配置の方法の概要を示す。第1のステップ1000は、頸静脈での針穿刺、管の拡張、必要に応じた血管切開、頸静脈へのそして次に上大静脈への大きいシースの配置である。心臓内装置の拡張/収縮構成要素(複数可)を心臓内に配置することができる複数の経路がある。代替的には、これは大腿静脈アクセスを介して配置することもできる。第2のステップ1002は、関連するリード/チューブと共にICDCを、シースを通して配置し、上大静脈を通り、右心房を通り、次いで右心室に入る。第3のステップ1004は、画像誘導下にあり、小さい穴が心室中隔の線維部分を貫通して形成され、貫通装置を用いて小さな心室間欠陥を形成する。次いで、心臓固定装置が、ICDCを心室中隔の線維部分に固定し、右心室のICDCの構成要素と左心室のICDCの構成要素との間の内部流体媒質の移動を可能にするように配置される。第4のステップ1006は、ICDCの左心室構成要素が、新しく作られた心室間欠陥を通って左心室に、及びICDCの右心室構成要素を右心室内に配置されるためのものである。第5のステップ1008は、生成された心室内欠陥がシールされるように、装置が心臓の所定の位置に固定されるためのものである。第6のステップ1010は、その導線(lead)がICDCから右心室、右心房、上大静脈、及び頸静脈へ延び、胸壁内の電気制御装置に接続するように導線を配置することである。心臓の電気的活動がモニタされ、ICDCは、心臓を補助し、駆出率を最適レベルまで向上させるために、同期モードでポンピングを開始する。装置が設置された後、術者は評価を実施し、必要に応じて修正し、標準的な静脈/皮膚閉鎖手技を実施する。
【0032】
図11は、拡張及び収縮の間のそれぞれの圧力とともに心臓及び動脈を図示する。ワイヤ404が、上大静脈から三尖弁204を通って右心房202に入り、右心室204及び左心室208に配置されたバルーン構成要素500を有する心室中隔の線維部分に位置するICDC装置100に通って示されている。また、心腔内及び動脈を出て行く目標圧を示す表も示されている。左心室(LV)/大動脈と心臓の他の心腔との間のほぼ1桁の圧力の差に留意されたい。このより高い圧力は、左心室208の強い筋肉構造によって得られる。また、患者が心筋梗塞を起こした場合、この筋組織の一部が損傷を受け、心拍出量の損失をもたらし得ることにも留意されたい。この損失は、ICDC100の拡張/収縮要素500によって補償される。これは、経時的に左心室の機能を回復させるのに役立ち得る。左心室208及び右心室204内に配置された拡張/圧縮要素500の容積は、医師が望むように、同じであっても又はわずかに異なってもよい。これは、これらの要素の特定のサイズが、手元の患者の特定の心臓構造及び状態に基づいて決定されることを示す。代替のセットアップは、右心房202内に配置された単一の流体貯蔵源1100を有することである。別の代替のセットアップは、右心房内に配置された流体貯蔵源1100と、左心房1102内に配置された流体貯蔵源とを有することである。流体貯蔵源は、固定装置1104によって、心房に固定することができる。このセットアップは、すべての構造が直線的に接続されているので、単一の装置で接続されたすべての構造の血管内配置を可能にする。
【0033】
図12は、流体の一部が心房ICDC102から心室ICDC104へ行き来きしてシフトされるシステムを示す。この図は、左心室208が酸素化された血液226を大動脈212に放出する時期である。ICDC102の右心房変位サブ構成要素102aは収縮し(大きい破線の楕円から小さい実線の楕円へ移動することが示されている)、これは、上大静脈/下大静脈210から右心房202へ脱酸素化された血液228を引き込むのを助ける。ICDC102の左心房変位サブ構成要素102bは収縮し(大きい破線の楕円から小さい実線の楕円へ移動することが示されている)、これは、肺静脈216から左心房206へ酸素化された血液226を引き込むのを助ける。ICDC104の右心室変位サブ構成要素104aが拡張し(破線楕円から大きい実線楕円へ移動することが示されている)、これは、右心室204が開いた肺動脈弁220を通して脱酸素化された血液228を肺動脈214へ放出するのを助ける。三尖弁218は、この時期の間に閉じられることに留意されたい。ICDC104の左心室変位サブ構成要素104bが拡張し(破線楕円から大きい実線楕円へ移動することが示されている)、これは、左心室208が酸素化された血液226を、開放大動脈弁224を通して大動脈212へ放出するのを助ける。僧帽弁222は、この時期の間に閉じられることに留意されたい。ICDC102の心房変位構成要素が収縮するにつれて、流体媒質は、ICDCの心房変位構成要素からホース1200へ移動する。ホース1200の位置は、変化可能である(例えば、右心房202、右心室204、左心房206、左心室208、弁又は心筋の任意の組み合わせを通る経路)。また、ICDCを装置の他の部分に接続するワイヤ404も示されている。バルーンのサイズ、形状、材料、及び他の特性は、バルーンが配置される心腔に最適に設計されるように変更することができることに留意されたい。図に示されている時期は、血液を心房に充填させ血液を心室から出させる。この特定の構成は、図示された心臓内装置の拡張/収縮構成要素内の流体を貯蔵し、流体貯蔵装置(例えば、胸膜腔内のような心臓外に貯蔵された)及び流体貯蔵装置からの関連するチューブの必要性を排除する。心房内の心臓内装置の拡張/収縮構成要素と心室内の装置とを接続するシリンダ内のサブ要素は、心房心臓内装置の拡張/収縮構成要素から流体を引っ張り、心室心臓内装置の拡張/収縮構成要素に流体を押し込むピストン(又は他のタイプのサブ要素)を有することができる。このプロセスは、心機能の次の時期に逆転する。
【0034】
図13は、心臓機能を刺激するための電極及び人工弁の追加を伴うICDCシステムを示す。この図は、左心室208が酸素化された血液226を大動脈212に放出する時期である。ICDC102の右心房変位サブ構成要素102aは収縮し(大きい破線の楕円から小さい実線の楕円へ移動することが示されている)、これは、上大静脈/下大静脈210から右心房202へ脱酸素化された血液228を引き込むのを助ける。ICDC102の左心房変位サブ構成要素102bは収縮し(大きい破線楕円から小さい実線楕円へ移動することが示されている)、これは、肺静脈216から左心房206への酸素化された血液226の引き込むのを助ける。ICDC104の右心室変位サブ構成要素104aは拡張し(破線楕円から大きい実線楕円へ移動することが示されている)、これは右心室204が脱酸素化された血液228を開いた肺動脈弁を通して肺動脈214へ放出するのを助ける。三尖弁218は、この時期の間に閉じられることに留意されたい。ICDC104の左心室変位サブ構成要素104bは拡張し(破線楕円から大きい実線楕円へ移動することが示されている)、これは、左心室208が酸素化された血液226を、開放大動脈弁224を通して大動脈212へ放出するのを助ける。僧帽弁222は、この時期の間に閉じられることに留意されたい。ICDC102の心房変位構成要素が収縮するにつれて、流体媒質は、ICDCの心房変位構成要素からホース1200へ移動する。ホース1200の位置は、変化可能である(例えば、右心房202、右心室204、左心房206、左心室208、弁又は心筋の任意の組み合わせを通る経路)。また、ICDCを装置の他の部分に接続するワイヤ404も示されている。可能な設計の代替案は、心臓の機能を刺激するために電極を組み込むことである。電気パルスを送信するための電極及び関連する電気接続配線1300が、赤色で示されており、右心房202、左心房206、右心室204、左心室208、又はそれらの任意の組み合わせを刺激するために使用することができる。制御構成要素(図示せず)は、電気パルスを送信するタイミングを決定する。これらのパルスは、次に、対応する弁の開閉を伴う腔の収縮/弛緩の信号を送る。また、人工弁又は他の装置もこの全体の装置に組み込むこともできることに留意されたい。例えば、機械的僧帽弁1302の図が示される。
【0035】
図14は、心室中隔を通る単一の穿刺を通して血管内に配置され、各心房及び各心室にICDCをもたらすことができる実装を図示する。電気制御装置402及びバッテリ400は、ワイヤ404を介してICDCに接続される。ワイヤ404は、右心房ICDC流体貯蔵装置1100に取り付けられており、この右心房ICDC流体貯蔵装置は、右心房に固定されることができるように固定装置1104とともに示されている。ワイヤ404及び流体輸送チューブ408の両方は、右心房ICDC流体貯蔵装置1100から右心室ICDC装置500まで延びる。心室中隔を通って配置された固定装置100は、右心室ICDC装置500を左心室ICDC装置500に接続する。固定装置100は、ワイヤ404及び、オプションで、チューブを含む。ワイヤ404及びチューブ408は、左心室ICDC装置500から左心房内のリザーバ1100に延び、それは固定装置1104を介して左心房に取り付けることができる。チューブの端部近くには、貫通装置410が、心室中隔を通って装置が配置されることができるように含められることができる。代替的には、貫通装置410は、別個の装置であってもよい。
【0036】
図15は、心室中隔を通る単一の穿刺を通して配置することができ、ICDCを各心房及び各心室にもたらすことができる実装を示している。電気制御装置402及びバッテリ400は、ワイヤ404を介してICDCに接続される。ワイヤ404は、右心房ICDC流体貯蔵装置1100に取り付けられており、この右心房ICDC流体貯蔵装置は右心房に固定できるように固定装置1104とともに示されている。ワイヤ404は、右心房ICDC流体貯蔵装置1100から右心室ICDC装置500に延びる。心室中隔を通って配置された固定装置100は、右心室ICDC装置500を左心室ICDC装置500に接続する。固定装置100は、ワイヤ404を含む。ワイヤ404は、左心室ICDC装置500から左心房内のリザーバに延びる。チューブの端部の近くには、貫通装置410が、心室中隔を通って装置が配置できるように含められることができる。代替的には、貫通装置410は、別個の装置であることができる。この装置にはチューブがないことに注意してください。従って、チューブレスシステムを達成することができる。
【0037】
図16は、ICDCが拡張している間に、装置内の圧力が低下するICDC装置の例を示す。これは、装置の半径を変更し、装置の拡張及び収縮を駆動するようにピストンを使用するハブ1602及びスポーク1606装置を有する機械的体積変位装置を備えた空気及び装置充填バルーン1600によって達成され得る。
図16Aは、スポーク1606の半径が減少するバルーン1600の収縮を示す。この時期の間に、バルーンの内圧は増加し、心腔の内圧は減少し、心腔の充填を助ける。
図16Bは、スポーク1606の半径を増加させることによるバルーン1600の拡張を示す。この時期の間、バルーンの内圧は低下し、心腔の内圧は上昇し、心腔が空になるのを助ける。ICDCの中央ハブはスポーク上にピストンを有し、これは球状の形に半径方向外方に突出する。スポークの先端1600は、バルーン1600の表面に接触し、円形で耐久性があるように設計される。
【0038】
図17は、拡張/収縮フェーズの間のICDCによる体積変位及び内圧を定量化したものである。この例では、拡張フェーズ(体積34mL)から収縮フェーズ(体積4mL)までのICDCの体積の差は、約30mLである。材料内の圧縮性材料(すなわち、空気)の体積は、拡張フェーズでは33mL、収縮フェーズでは3mLである。ICDC内の非圧縮性材料の体積は、拡張フェーズと収縮フェーズの両方について1mLとして示されている。標準的な圧力−体積関係の計算が利用される。これは、ICDC圧力が拡張フェーズでは低く、収縮フェーズではより高いことを示している。空気を使用するこのシステムは、複数の流体貯蔵装置を必要としない。
【0039】
図18は、リザーバなしの左心室ICDCのみを含む簡略化されたシステムを示す。これは、心室中隔を通る単一の穿刺を通して配置され、単一のICDCを左心室にもたらすことができる。電気制御装置402及びバッテリ400は、ワイヤ404を介してICDCに接続される。ICDC502の一部が、装置を心室中隔の右心室側に固定するために使用され、これは、心室中隔を横断するICDC100の別の部分に接続され、左心室ICDCバルーン装置500に接続され、これは、
図16により詳細に示される。固定装置100は、ワイヤ404を含む。ワイヤ404は、左心室ICDC装置500内に左心房内のリザーバまで延びる。貫通装置410は、装置が心室中隔を通って配置されることができるように含められることができる。代替的には、貫通装置410は、別個の装置であることができる。チューブ及びリザーバの両方がこの装置に存在しないことに留意されたい。このことは、このシステムの柔軟性を強調している。
【手続補正書】
【提出日】2021年1月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心房心臓内装置構成要素を体積収縮させ、心室心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心房心臓内装置構成要素を体積拡張させ、前記心室心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;を含む、
方法。
【請求項2】
前記心房心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮並びに前記心室心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を前記心臓の感知されるタイミングと同期して連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる方法であって:
第1の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が開いている間に前記右心房及び前記左心房の第1の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップであって、前記第1の心臓内装置構成要素は、前記右心房及び前記左心房に設置され、前記左心房及び前記右心房からの血液を前記左心室及び前記右心室に体積拡張によって移動させる、ステップと;
前記第1の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が閉じている間に前記右心室及び前記左心室の第2の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
第2の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が閉じている間に前記右心房及び前記左心房の前記第1の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記第2の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が開いている間に前記右心室及び前記左心室の前記第2の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;を含む、
方法。
【請求項4】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を前記心臓のタイミングに応じて連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮を電極による前記心臓の腔の壁に供給される電気パルスに同期して連続する時期において繰り返すステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮のタイミングをコントローラからの入力に応じて連続する時期において変更するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮のタイミングを患者の活動レベルに応じて連続する時期において変更するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の心臓内装置構成要素の第1の拡張の体積を計算するステップ及び前記第2の心臓内装置構成要素の第2の拡張の体積を計算するステップを有し、前記第1の拡張の体積及び前記第2の拡張の体積は、各腔の既存の血液駆出率、各腔のサイズ、及び所望の出力のうちの少なくとも1つに基づいて計算される、
請求項3に記載の方法。
【請求項9】
計算された前記第1の拡張の体積のために前記第1の心臓内装置構成要素を構成するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
心エコーデータに基づいて計算された前記第1の拡張の体積を調整するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
計算された前記第1の拡張の体積、計算された前記第2の拡張の体積、各時期に対する各腔から放出される血液の関連する容積、腔の数、ポンピングされる血液の全容積、各腔における圧力のうちの少なくとも1つを示すデータを格納するステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
加圧流体を貯蔵する容器であって、前記流体は、前記少なくとも1つの体積変位機構を、前記流体が前記ICDCに供給されるとき体積拡張させ、前記流体が前記ICDCから解放されるとき体積収縮させるように、導管を通過する、容器と;
前記ICDCへの前記加圧流体の供給及び前記ICDCからの前記加圧流体の解放を制御する、少なくとも1つのバルブと;
前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記少なくとも1つのバルブを作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項13】
前記コントローラに電力を供給するバッテリをさらに有する、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記心臓を前記ICDCと同期させるために電気パルスを供給するように前記心臓の腔の壁に付けられる電極をさらに有する、
請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのICDCは、前記右心房、前記左心房、及び前記右心室におけるより前記左心室において高い拡張圧力を作り出す、
請求項12に記載の装置。
【請求項16】
流体が異なる圧力レベルで腔間を通過することを可能にするチューブを有する、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる方法であって:
第1の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が開いている間に前記右心房及び前記左心房の第1の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップであって、前記第1の心臓内装置構成要素は、前記右心房及び前記左心房に設置され、前記左心房及び前記右心房からの血液を前記左心室及び前記右心室に体積拡張によって移動させる、ステップと;
前記第1の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が閉じている間に前記右心室及び前記左心室の第2の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
第2の時期において、前記三尖弁及び前記僧帽弁が閉じている間に前記右心房及び前記左心房の前記第1の心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記第2の時期において、前記肺動脈弁及び前記大動脈弁が開いている間に前記右心室及び前記左心室の前記第2の心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記第1の心臓内装置構成要素及び前記第2の心臓内装置構成要素の体積拡張及び体積収縮をペースメーカが発する信号に同期して連続する時期において繰り返すステップと;を含む、
方法。
【請求項18】
重度の不整脈に応じて前記ペースメーカが発する信号との同期から前記体積拡張及び収縮を分離するステップを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
右心房、左心房、右心室、及び左心室を含む腔、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
加圧流体を貯蔵する容器であって、前記流体は、前記少なくとも1つの体積変位機構を、前記流体が前記ICDCに供給されるとき体積拡張させ、前記流体が前記ICDCから解放されるとき体積収縮させるように、導管を通過する、容器と;
前記ICDCへの前記加圧流体の供給及び前記ICDCからの前記加圧流体の解放を制御する、少なくとも1つのバルブと;
前記腔内の圧力を感知する少なくとも1つの圧力センサと;
前記少なくとも1つの圧力センサによって感知される圧力に基づいて前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記少なくとも1つのバルブを作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項20】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心室心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心室心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;を含む、
方法。
【請求項21】
血流を増加させるために心臓を治療する方法であって:
房室弁が閉じ、大動脈弁及び肺動脈弁が開いている第1の時期の間に、心房心臓内装置構成要素を体積収縮させるステップと;
前記房室弁が開き、前記大動脈弁及び前記肺動脈弁が閉じている第2の時期の間に、前記心房心臓内装置構成要素を体積拡張させるステップと;を含む、
方法。
【請求項22】
右心房、左心房、右心室、左心室、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、及び大動脈弁を有する心臓からの血流を増加させる装置であって:
少なくとも1つの体積変位機構を有する少なくとも1つの心臓内装置構成要素(ICDC)と;
前記ICDCの前記体積変位機構を制御する前記ICDCの内部の少なくとも1つの機械的体積変位装置と;
少なくともいくつかの圧縮性材料(例えば、ガス)であって、前記機械的体積変位装置が拡張するとき前記装置の内部の前記圧縮性材料の圧力が減少し、前記機械的体積変位装置が収縮するとき前記装置の内部の前記圧縮性材料の圧力が増加するように、前記ICDCを充填する、少なくともいくつかの圧縮性材料と;
前記少なくとも1つの体積変位機構の体積拡張及び収縮の繰り返しを制御するように前記機械的体積変位装置を作動させるコントローラと;を有する、
装置。
【請求項23】
心臓からの血流を増加させる装置であって:
前記心臓の腔内に配置されるように構成される体積変位機構と;
前記体積変位機構の内部に配置される機械的体積変位装置であって、前記体積変位機構を体積拡張及び体積収縮させるように構成される、機械的体積変位装置と;
を有する、装置。
【請求項24】
前記体積変位機構は、バルーンを有する、
請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記機械的体積変位装置は、ハブを有する、
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記機械的体積変位装置は、前記中央ハブから突出するスポークをさらに有する、
請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記スポークは、可変長によって特徴付けられる、
請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記機械的体積変位装置は、前記スポークに取り付けられるピストンをさらに有する、
請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記スポークの先端は、球を定める、
請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記スポークの先端は、前記バルーンに接触する、
請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記体積変位機構は、:
前記機械的体積変位装置が前記体積変位機構を拡張させるとき、前記体積変位機構内の圧縮性材料の圧力が減少し、
前記機械的体積変位装置が前記体積変位機構を収縮させるとき、
前記体積変位機構内の前記圧縮性材料の前記圧力が増加する、
ように、前記圧縮性材料で満たされる、
請求項23に記載の装置。
【国際調査報告】