(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528119(P2021-528119A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】インプラント表面改質処理装置
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-563667(P2020-563667)
(86)(22)【出願日】2018年7月12日
(85)【翻訳文提出日】2020年11月5日
(86)【国際出願番号】KR2018007898
(87)【国際公開番号】WO2019216485
(87)【国際公開日】20191114
(31)【優先権主張番号】10-2018-0052417
(32)【優先日】2018年5月8日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520434101
【氏名又は名称】圓益キュー・エヌ・シィ株式会社
【氏名又は名称原語表記】WONIK QNC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ユン・グァン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ビョン・ノ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴン・レ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ・ヒ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA01
4C159AA23
4C159AA29
(57)【要約】
本発明はインプラント表面改質処理装置に関するもので、筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、上記内部電極が収容され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する筒形構造の紫外線放電容器と、上記紫外線放電容器が内側に収容される外部電極を含み、上記内部電極の内側にインプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、
上記内部電極が収容され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する筒形構造の紫外線放電容器と、
上記紫外線放電容器が内側に収容される外部電極を含み、上記内部電極の内側にインプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うインプラント表面改質処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
UV光源はエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
UV光源は172nmエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項4】
請求項1において、
UV光源は222nmエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項5】
請求項1において、
UV光源はUVC波長帯UV光源であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記インプラントフィクスチャは、
上記UV光を透過するケースに収容されたことを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記ケースは、
厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm透過率60%以上を有する合成石英ガラス材質であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項8】
請求項1において、
上記内部電極の内側に挿入され、インプラントフィクスチャを支持する支持部をさらに含むインプラント表面改質処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
上記支持部は、
上記内部電極の内側で往復移動して、インプラントフィクスチャを内部電極の内側に引き込むか、外部に排出することを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項10】
請求項8において、
上記支持部は、
上記内部電極の内側で回転することを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項11】
請求項8において、
上記支持部は、
空気が流入及び流出できる空気流通口を含むインプラント表面改質処理装置。
【請求項12】
請求項8または請求項10において、
上記支持部は、
セラミック材質であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項13】
請求項1において、
上記外部電極は、
発生したUV光を上記内部電極側に反射する筒形構造であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインプラント表面改質処理装置に関するもので、より詳細には、歯科用インプラントの表面をUV(紫外線)光処理するインプラント表面改質処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、人工歯である歯科用インプラントの施術比重が拡大している。インプラントは歯骨に挿入されるフィクスチャ(Fixture)に結合され、歯の役割をするものである。
【0003】
通常、人工歯である歯科用インプラントの構造は、Fixture(固定体-人工歯根)、Abutment(橋脚歯)、Crown(補綴、人工歯)の3つの構造物からなっており、Fixtureの材質はチタン及びチタン合金が一般的である。
【0004】
インプラント施術において歯骨に挿入されるインプラントFixture部位は歯骨に完全に植立される必要がある。
【0005】
このために従来技術として、UV(紫外線)光をインプラント表面、特にFixture部位に照射すると、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンによるインプラント表面改質現象が、インプラントを植立した後、骨形成細胞の増殖、付着機能を促進させて優れた治療結果を得るようにするものがあり、詳細には大きく3つの理由で説明される。
【0006】
第一に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面に付着されている炭素分子を分解および蒸発させて骨形成細胞がインプラント表面に十分に付着されるようにすることである。
【0007】
第二に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面の電荷をマイナス電荷からプラス電荷に変化させ、マイナス電荷を帯びている人体細胞及びその細胞の付着と機能を促進させる蛋白質を静電気的にインプラント表面へ引き付けて密接な結合になるようにすることである。
【0008】
第三に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面の親水性を増加させてインプラント表面に血液が十分に濡れるようにすれば、インプラント表面に十分に形成された血餅は、その後、骨形成細胞がインプラント表面に十分に付着されるように促進させることである。
【0009】
しかし、従来技術であるUV(紫外線)光を用いた表面改質処理装置の表面改質処理方法は、インプラントと光源が一定の位置離れてインプラントに光が照射される構造なので、インプラントのFixture部の表面全体に一様に光が照射されるためには、インプラントと光源間の一定の距離を維持してインプラントを回転させながら処理するのが一般的な方法であった。
【0010】
このような方法でインプラント表面改質処理に要求される処理時間は、一般のUV光(通常、UVC波長帯域)で20〜30分程度要され、真空紫外線波長のうち172nmエキシマUV光では1〜2分程度要される。
【0011】
韓国公開特許10-2016-0049683号(インプラント酸化膜除去装置、2016年5月10日公開)には、チャンバに複数のインプラントフィクスチャを固定させた後、チャンバの内部にプラズマガスを供給して酸化膜を除去する装置が公開されている。
【0012】
上記フィクスチャはホルダーにそれぞれ装着され、ホルダーに装着されたフィクスチャを回転させて全体的に一様に酸化膜を除去できる装置の構造について記載されている。
【0013】
しかし、上記韓国公開特許は、装置の構成が非常に複雑であり、フィクスチャの表面とプラズマガスが直接接触するようにするためにフィクスチャを保管用ケースから分離してホルダーに装着しなければならず、処理が終わった後、再びフィクスチャを保管用ケースに入れて保管したり、直ちに施術をすることになる。
【0014】
このように使用者が直接フィクスチャを保管用ケースから取り出してホルダーに装着する過程で時間がかなり要され、通常のインプラント施術で多数のフィクスチャを同時に用いないため、親水性処理されたフィクスチャを再び保管用ケースに収納する場合、再び表面が酸化し得る等の問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の詳細な説明
技術的課題
本発明が解決しようとする技術的課題は、単純化した装置の構成でインプラント表面改質処理時間を最小化するインプラント表面改質処理装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、インプラントフィクスチャを保管用ケースから取り出さずに、保管用ケースに収容された状態で親水性処理できるインプラント表面改質処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
課題の解決手段
上記のような課題を解決するための本発明のインプラント表面改質処理装置は、筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、上記内部電極が収容され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する筒形構造の紫外線放電容器と、上記紫外線放電容器が内側に収容される外部電極を含み、上記内部電極の内側にインプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うことができる。
【0018】
本発明の一実施例によれば、UV光源はエキシマUV光であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源は172nmエキシマUV光であり得る。
【0019】
本発明の一実施例によれば、UV光源は222nmエキシマUV光であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源はUVC波長帯UV光源であり得る。
【0020】
本発明の一実施例によれば、上記インプラントフィクスチャは、上記UV光を透過するケースに収容されたものであり得る。
【0021】
本発明の一実施例によれば、上記ケースは厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm透過率60%以上を有する合成石英ガラス材質であり得る。
【0022】
本発明の一実施例によれば、上記内部電極の内側に挿入され、インプラントフィクスチャを支持する支持部をさらに含み得る。
【0023】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、上記内部電極の内側で往復移動して、インプラントフィクスチャを内部電極の内側に引き込んだり外部に排出することができる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、上記内部電極の内側で回転することができる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、空気が流入及び流出できる空気流通口が形成されたものであり得る。
【0026】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、セラミック材質であり得る。
本発明の一実施例によれば、上記外部電極は、発生したUV光を上記内部電極側に反射する筒形構造にすることができる。
【0027】
発明の効果
本発明は、単純な構成で二重管構造のUVランプ内側でインプラントの表面改質処理を行うことによって、インプラントフィクスチャの表面全体に均一のUVを同時に照射することが可能となり、表面改質処理時間を急激に短縮できる効果がある。
【0028】
また、本発明は、インプラントフィクスチャを保管する光透過ケースを装着した状態のままでインプラントフィクスチャの表面処理が可能であるので、表面処理に要される時間を短縮できる効果があり、表面改質処理過程で発生し得るインプラントフィクスチャの汚染を防止できる効果も期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の実施のための形態
以下、本発明のインプラント表面改質処理装置について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
本発明の実施例は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記で説明する実施例は様々な他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されるわけではない。むしろ、これら実施例は本発明をより充実かつ完全にして当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0032】
本明細書で用いられた用語は特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられた通り、単数の形態は、文脈上異なる場合を明確に指摘するのでなければ、複数の形態を含み得る。また、本明細書で用いられる場合、「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらグループの存在を特定するものであり、1つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在または付加を排除するのではない。本明細書で用いられた通り、用語「及び/又は」は当該列挙された項目のうちいずれか1つ及び1つ以上の全ての組合わせを含む。
【0033】
本明細書で第1、第2などの用語が多様な部材、領域及び/又は部位を説明するために用いられるが、これら部材、部品、領域、層及び/又は部位はこれら用語によって限定されないことは自明である。これら用語は特定の順序や上下、または、優劣を意味せず、1つの部材、領域または部位を他の部材、領域または部位と区別するだけのために用いられる。従って、以下で述べる第1部材、領域または部位は、本発明の教示から逸脱しなくても第2部材、領域または部位を指すことができる。
【0034】
以下、本発明の実施例は本発明の実施例を概略的に示す図面を参照して説明する。図面において、例えば、製造技術及び/又は公差によって、示された形状の変形が予想され得る。従って、本発明の実施例は、本明細書に示された領域の特定の形状に制限されたものと解釈されてはならず、例えば、製造上もたらされる形状の変化を含まなければならない。
【0035】
図1は本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の分解斜視図であり、
図2は
図1の結合状態図であり、
図3は
図2の断面構成図である。
【0036】
図1〜
図3をそれぞれ参照すると、本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置は、放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する円筒状構造の紫外線放電容器(20)と、上記紫外線放電容器(20)の内側で面に多数の光透過部を有する内部電極(10)と、上記紫外線放電容器(20)の外面に形成された外部電極(30)で構成されたUV光源(UVランプ)、及び上記内部電極(10)の内側に挿入され、空気の流入及び流出が可能な構造の空気流通口(41)が設けられた支持部(40)を含んで構成される。
【0037】
以下、上記のように構成される本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の構成と作用についてさらに詳細に説明する。
【0038】
以下、上記のように構成される本発明の望ましい実施例によるインプラント表面処理装置の構成と作用についてさらに詳細に説明する。
【0039】
まず、内部電極(10)の形状は円筒状構造であり、上記紫外線放電容器(20)の内部に挿入された時、外部から電源の供給ができるように電力供給線(11)が設けられる。
【0040】
上記内部電極(10)の内側は収容空間部(12)が設けられており、この後で説明するが、インプラントフィクスチャが収容空間部(12)に位置した状態でフィクスチャの表面改質処理がなされる。
【0041】
上記内部電極(10)は、
図1〜
図3のそれぞれに示した通り、金属ワイヤを網の形態で製織して透過部(13)が多数形成され得るようにする。
【0042】
内部電極(10)が網の形態で製織されたのは1つの例であり、
図4のように金属材の円筒構造の面にパンチングなどの方法で多数の透過部(13)を形成した構造であるか、
図5のように多数の切欠部を形成してスリット形状の光透過部を形成するなど多様な構造を適用することができる。
【0043】
図5の(a)は、切欠部が面の上端から所定の長さで形成され、スリットが上部側に露出した構造であり、
図5の(b)は、切欠部が中央の一部のみに形成された構造であり、図面に示してはいないが、多数のスリットが円筒状で円周方向に構成されるように切欠部が形成され得る。
【0044】
また、本発明の紫外線放電容器(20)は「円筒状」に限定して説明するが、これは図面と説明を一致させるためであり、多角筒形の構造を含む「筒形」の構造であれば、いずれも適用可能である。
【0045】
この後で説明する内部電極(10)と外部電極(30)も形状を「円筒状」に特定するのは図面に示された構造を説明するためであり、UVランプ点灯時に内部電極(10)と外部電極(30)は熱膨張し得ることを考慮して切欠を行うこともでき、上記紫外線放電容器(20)の内・外側に密着することができる構造として真空蒸着、スクリーン印刷などその形状や構成方法が局限されるわけではない。
【0046】
図6の(a)と(b)には外部が切り欠かれた外部電極(30)の実施例を示した。
紫外線放電容器(20)は、外部管の内面と内部管の外面との間にガス充填領域(22)が存在する構造で上記ガス充填領域(22)に放電ガスが封入され、紫外線放電容器(20)の外部管の外側表面に外部電極(30)が、内部管の内側表面に内部電極(10)が形成され、内部電極(10)と外部電極(30)との間に電気エネルギーを印加すると、放電ガスのエネルギー変化によってUV光が発生する。
【0047】
放電用ガスとしては、下記表1でXe(波長172nm)、ArF(波長193nm)、KrCl
*(波長222nm)、KrF(波長248nm)、XeCl(波長308nm)、XeF(波長351nm)等のエキシマUV光を発生させる放電ガスが使用され、その他に下記表2でUVC波長帯(100nm〜280nm)の紫外線を発生させ得る物質を使用することもできるが、技術分野で通常の知識を有する者によって電気エネルギーを印加する電極構造の変更(放電空間内に電極形成)が必要なこともある。
【0050】
本発明では一実施例として172nmのエキシマ(excimer)UV光を用いて5〜40秒でインプラントフィクスチャの表面改質処理を行うことができるようにした。
【0051】
ただし、172nmのエキシマ(excimer)UV光を放出するために、上記紫外線放電容器(20)の材質は高価な高純度の合成石英ガラスを用いなければならないが、上記紫外線放電容器(20)の材質による製造コストを低くするために、他の波長帯の光源を用いることもでき、この時、波長に応じた光エネルギーの差によってインプラントフィクスチャの表面改質処理時間は多少増加することがある。
【0052】
本発明で上記紫外線放電容器(20)の収容空間部(21)を限定する内部管の内側面は上記内部電極(10)と密着する。
【0053】
その次に、外部電極(30)は内側に収容空間部(31)を有する筒形構造であり、内壁面は光を反射できるように鏡面処理されたことが望ましい。また、厚さが薄いホイル(foil)形態またはメッシュ形態であってもよく、放電を引き起こすための導電性の材質であれば、形態と関係なく使用は可能である。しかし、UV光を内側に反射させて効率を上げるためには、筒形構造が最も好適である。
【0054】
外部電極(30)の収容空間部(31)には上記紫外線放電容器(20)の全部または一部が挿入され得る。
【0055】
本発明での172nmのエキシマ(excimer)UV光は、上記内部電極(10)と紫外線放電容器(20)及び外部電極(30)の結合状態で内部電極(10)と外部電極(30)に電気エネルギーを供給して放電ガスエネルギーの変化によって172nmエキシマUV光を発生させ、発生した172nmエキシマUV光は内部電極(10)の透過部(13)を通じて内部電極(10)の収容空間部(12)の内部に放出される。
【0056】
この時、収容空間部(12)に上述したインプラントフィクスチャを配置して、172nmエキシマUV光による表面改質処理を行うことができる。
【0057】
このために上記内部電極(10)の内側には支持部(40)が挿入され、挿入方向に往復移動が可能な状態で結合される。
【0058】
上記支持部(40)は上向に移動して上記内部電極(10)、紫外線放電容器(20)及び外部電極(30)の結合構造の上部側に上端部が露出することができ、露出した上端部にインプラントフィクスチャを固定するホルダーを設け、インプラントフィクスチャがホルダーに固定された状態で下向に移動してインプラントフィクスチャを内部電極(10)の収容空間部(12)に引き込ませることができる。
【0059】
上記UV光のエネルギー及び生成されたオゾンでインプラントフィクスチャの表面改質処理を行う。
【0060】
この時、UV光はインプラントフィクスチャの周囲全体に照射されるので、表面改質処理時間を画期的に減らすことができ、構成を非常に単純化できる特徴がある。
【0061】
上記ではインプラントフィクスチャを直接内部電極(10)の収容空間部(12)に引き込む例を説明したが、
図7に示した通り、インプラントフィクスチャ(51)が収容されたケース(50)が引き込まれることができ、UV光はケース(50)を透過して収容されたインプラントフィクスチャを表面改質処理することができる。
【0062】
上記ケース(50)は石英ガラス材質であってもよく、厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm透過率60%以上の合成石英ガラスが望ましい。
【0063】
このように本発明はインプラントフィクスチャ保管用ケースからインプラントフィクスチャを引き出していない状態で表面改質処理が可能なので、表面改質処理過程で発生し得るインプラントフィクスチャの汚染を防止することができる。
【0064】
上記支持部(40)は、UV光及びオゾンと反応しないセラミック材質とし、内側には長手方向に沿って空気の流入及び流出が可能な構造の空気流通口(41)が設けられることができる。
【0065】
上記空気流通口(41)を通じて外部空気が上記内部電極(10)の内部または、インプラントフィクスチャが収容された上記ケース(50)の内部に流入するようにしてUV光の照射によって発生するオゾンをインプラントフィクスチャの周辺、即ち、必要空間に限定されるようにオゾン発生濃度を調節することができる。
【0066】
場合によって上記支持部(40)は上記内部電極の内側で回転することもできる。
このように本発明は単純な構成で二重管構造のUVランプの内側でインプラントフィクスチャの表面全体に均一のUVを同時に照射することが可能となり、表面改質処理時間を急激に短縮できる効果がある。
【0067】
また、ケース(50)からインプラントフィクスチャを引き出さなくても表面改質処理が可能なため、インプラントフィクスチャの汚染を防止する効果がある。
【0068】
本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様に修正および変形されて実施され得ることは本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、紫外線を用いた人工歯の表面改質に関連したもので、紫外線とオゾンを用いて人工歯の表面の炭素を除去できるという自然法則を利用して、人工歯の植立を円滑にすることができる技術として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0070】
10:内部電極 11:電力供給線 12、21、31:収容空間 13:透過部 20:紫外線放電容器 22:ガス充填領域 30:外部電極 40:支持部 41:排気管 50:ケース
【手続補正書】
【提出日】2020年11月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインプラント表面改質処理装置に関するもので、より詳細には、歯科用インプラントの表面をUV(紫外線)光処理するインプラント表面改質処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、人工歯である歯科用インプラントの施術比重が拡大している。インプラントは歯骨に挿入されるフィクスチャ(Fixture)に結合され、歯の役割をするものである。
【0003】
通常、人工歯である歯科用インプラントの構造は、Fixture(固定体-人工歯根)、Abutment(橋脚歯)、Crown(補綴、人工歯)の3つの構造物からなっており、Fixtureの材質はチタン及びチタン合金が一般的である。
【0004】
インプラント施術において歯骨に挿入されるインプラントFixture部位は歯骨に完全に植立される必要がある。
【0005】
このために従来技術として、UV(紫外線)光をインプラント表面、特にFixture部位に照射すると、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンによるインプラント表面改質現象が、インプラントを植立した後、骨形成細胞の増殖、付着機能を促進させて優れた治療結果を得るようにするものがあり、詳細には大きく3つの理由で説明される。
【0006】
第一に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面に付着されている炭素分子を分解および蒸発させて骨形成細胞がインプラント表面に十分に付着されるようにすることである。
【0007】
第二に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面の電荷をマイナス電荷からプラス電荷に変化させ、マイナス電荷を帯びている人体細胞及びその細胞の付着と機能を促進させる蛋白質を静電気的にインプラント表面へ引き付けて密接な結合になるようにすることである。
【0008】
第三に、UV(紫外線)光の光エネルギーとUV(紫外線)光によって生成されたオゾンがインプラント表面の親水性を増加させてインプラント表面に血液が十分に濡れるようにすれば、インプラント表面に十分に形成された血餅は、その後、骨形成細胞がインプラント表面に十分に付着されるように促進させることである。
【0009】
しかし、従来技術であるUV(紫外線)光を用いた表面改質処理装置の表面改質処理方法は、インプラントと光源が一定の位置離れてインプラントに光が照射される構造なので、インプラントのFixture部の表面全体に一様に光が照射されるためには、インプラントと光源間の一定の距離を維持してインプラントを回転させながら処理するのが一般的な方法であった。
【0010】
このような方法でインプラント表面改質処理に要求される処理時間は、一般のUV光(通常、UVC波長帯域)で20〜30分程度要され、真空紫外線波長のうち172nmエキシマUV光では1〜2分程度要される。
【0011】
韓国公開特許10-2016-0049683号(インプラント酸化膜除去装置、2016年5月10日公開)には、チャンバに複数のインプラントフィクスチャを固定させた後、チャンバの内部にプラズマガスを供給して酸化膜を除去する装置が公開されている。
【0012】
上記フィクスチャはホルダーにそれぞれ装着され、ホルダーに装着されたフィクスチャを回転させて全体的に一様に酸化膜を除去できる装置の構造について記載されている。
【0013】
しかし、上記韓国公開特許は、装置の構成が非常に複雑であり、フィクスチャの表面とプラズマガスが直接接触するようにするためにフィクスチャを保管用ケースから分離してホルダーに装着しなければならず、処理が終わった後、再びフィクスチャを保管用ケースに入れて保管したり、直ちに施術をすることになる。
【0014】
このように使用者が直接フィクスチャを保管用ケースから取り出してホルダーに装着する過程で時間がかなり要され、通常のインプラント施術で多数のフィクスチャを同時に用いないため、親水性処理されたフィクスチャを再び保管用ケースに収納する場合、再び表面が酸化し得る等の問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の詳細な説明
技術的課題
本発明が解決しようとする技術的課題は、単純化した装置の構成でインプラント表面改質処理時間を最小化するインプラント表面改質処理装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、インプラントフィクスチャを保管用ケースから取り出さずに、保管用ケースに収容された状態で親水性処理できるインプラント表面改質処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
課題の解決手段
上記のような課題を解決するための本発明のインプラント表面改質処理装置は、筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、上記内部電極が収容され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する筒形構造の紫外線放電容器と、上記紫外線放電容器が内側に収容される外部電極を含み、上記内部電極の内側にインプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うことができる。
【0018】
本発明の一実施例によれば、UV光源はエキシマUV光であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源は172nmエキシマUV光であり得る。
【0019】
本発明の一実施例によれば、UV光源は222nmエキシマUV光であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源はUVC波長帯UV光源であり得る。
【0020】
本発明の一実施例によれば、上記インプラントフィクスチャは、上記UV光を透過するケースに収容されたものであり得る。
【0021】
本発明の一実施例によれば、上記ケースは厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm透過率60%以上を有する合成石英ガラス材質であり得る。
【0022】
本発明の一実施例によれば、上記内部電極の内側に挿入され、インプラントフィクスチャを支持する支持部をさらに含み得る。
【0023】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、上記内部電極の内側で往復移動して、インプラントフィクスチャを内部電極の内側に引き込んだり外部に排出することができる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、上記内部電極の内側で回転することができる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、空気が流入及び流出できる空気流通口が形成されたものであり得る。
【0026】
本発明の一実施例によれば、上記支持部は、セラミック材質であり得る。
本発明の一実施例によれば、上記外部電極は、発生したUV光を上記内部電極側に反射する筒形構造にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、単純な構成で二重管構造のUVランプ内側でインプラントの表面改質処理を行うことによって、インプラントフィクスチャの表面全体に均一のUVを同時に照射することが可能となり、表面改質処理時間を急激に短縮できる効果がある。
【0028】
また、本発明は、インプラントフィクスチャを保管する光透過ケースを装着した状態のままでインプラントフィクスチャの表面処理が可能であるので、表面処理に要される時間を短縮できる効果があり、表面改質処理過程で発生し得るインプラントフィクスチャの汚染を防止できる効果も期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の実施のための形態
以下、本発明のインプラント表面改質処理装置について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
本発明の実施例は当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記で説明する実施例は様々な他の形態に変形され得、本発明の範囲が下記実施例に限定されるわけではない。むしろ、これら実施例は本発明をより充実かつ完全にして当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0032】
本明細書で用いられた用語は特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられた通り、単数の形態は、文脈上異なる場合を明確に指摘するのでなければ、複数の形態を含み得る。また、本明細書で用いられる場合、「含む(comprise)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらグループの存在を特定するものであり、1つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在または付加を排除するのではない。本明細書で用いられた通り、用語「及び/又は」は当該列挙された項目のうちいずれか1つ及び1つ以上の全ての組合わせを含む。
【0033】
本明細書で第1、第2などの用語が多様な部材、領域及び/又は部位を説明するために用いられるが、これら部材、部品、領域、層及び/又は部位はこれら用語によって限定されないことは自明である。これら用語は特定の順序や上下、または、優劣を意味せず、1つの部材、領域または部位を他の部材、領域または部位と区別するだけのために用いられる。従って、以下で述べる第1部材、領域または部位は、本発明の教示から逸脱しなくても第2部材、領域または部位を指すことができる。
【0034】
以下、本発明の実施例は本発明の実施例を概略的に示す図面を参照して説明する。図面において、例えば、製造技術及び/又は公差によって、示された形状の変形が予想され得る。従って、本発明の実施例は、本明細書に示された領域の特定の形状に制限されたものと解釈されてはならず、例えば、製造上もたらされる形状の変化を含まなければならない。
【0035】
図1は本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の分解斜視図であり、
図2は
図1の結合状態図であり、
図3は
図2の断面構成図である。
【0036】
図1〜
図3をそれぞれ参照すると、本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置は、放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する円筒状構造の紫外線放電容器(20)と、上記紫外線放電容器(20)の内側で面に多数の光透過部を有する内部電極(10)と、上記紫外線放電容器(20)の外面に形成された外部電極(30)で構成されたUV光源(UVランプ)、及び上記内部電極(10)の内側に挿入され、空気の流入及び流出が可能な構造の空気流通口(41)が設けられた支持部(40)を含んで構成される。
【0037】
以下、上記のように構成される本発明の望ましい実施例によるインプラント表面改質処理装置の構成と作用についてさらに詳細に説明する。
【0038】
まず、内部電極(10)の形状は円筒状構造であり、上記紫外線放電容器(20)の内部に挿入された時、外部から電源の供給ができるように電力供給線(11)が設けられる。
【0039】
上記内部電極(10)の内側は収容空間部(12)が設けられており、この後で説明するが、インプラントフィクスチャが収容空間部(12)に位置した状態でフィクスチャの表面改質処理がなされる。
【0040】
上記内部電極(10)は、
図1〜
図3のそれぞれに示した通り、金属ワイヤを網の形態で製織して透過部(13)が多数形成され得るようにする。
【0041】
内部電極(10)が網の形態で製織されたのは1つの例であり、
図4のように金属材の円筒構造の面にパンチングなどの方法で多数の透過部(13)を形成した構造であるか、
図5のように多数の切欠部を形成してスリット形状の光透過部を形成するなど多様な構造を適用することができる。
【0042】
図5の(a)は、切欠部が面の上端から所定の長さで形成され、スリットが上部側に露出した構造であり、
図5の(b)は、切欠部が中央の一部のみに形成された構造であり、図面に示してはいないが、多数のスリットが円筒状で円周方向に構成されるように切欠部が形成され得る。
【0043】
また、本発明の紫外線放電容器(20)は「円筒状」に限定して説明するが、これは図面と説明を一致させるためであり、多角筒形の構造を含む「筒形」の構造であれば、いずれも適用可能である。
【0044】
この後で説明する内部電極(10)と外部電極(30)も形状を「円筒状」に特定するのは図面に示された構造を説明するためであり、UVランプ点灯時に内部電極(10)と外部電極(30)は熱膨張し得ることを考慮して切欠を行うこともでき、上記紫外線放電容器(20)の内・外側に密着することができる構造として真空蒸着、スクリーン印刷などその形状や構成方法が局限されるわけではない。
【0045】
図6の(a)と(b)には外部が切り欠かれた外部電極(30)の実施例を示した。
紫外線放電容器(20)は、外部管の内面と内部管の外面との間にガス充填領域(22)が存在する構造で上記ガス充填領域(22)に放電ガスが封入され、紫外線放電容器(20)の外部管の外側表面に外部電極(30)が、内部管の内側表面に内部電極(10)が形成され、内部電極(10)と外部電極(30)との間に電気エネルギーを印加すると、放電ガスのエネルギー変化によってUV光が発生する。
【0046】
放電用ガスとしては、下記表1でXe(波長172nm)、ArF(波長193nm)、KrCl
*(波長222nm)、KrF(波長248nm)、XeCl(波長308nm)、XeF(波長351nm)等のエキシマUV光を発生させる放電ガスが使用され、その他に下記表2でUVC波長帯(100nm〜280nm)の紫外線を発生させ得る物質を使用することもできるが、技術分野で通常の知識を有する者によって電気エネルギーを印加する電極構造の変更(放電空間内に電極形成)が必要なこともある。
【0049】
本発明では一実施例として172nmのエキシマ(excimer)UV光を用いて5〜40秒でインプラントフィクスチャの表面改質処理を行うことができるようにした。
【0050】
ただし、172nmのエキシマ(excimer)UV光を放出するために、上記紫外線放電容器(20)の材質は高価な高純度の合成石英ガラスを用いなければならないが、上記紫外線放電容器(20)の材質による製造コストを低くするために、他の波長帯の光源を用いることもでき、この時、波長に応じた光エネルギーの差によってインプラントフィクスチャの表面改質処理時間は多少増加することがある。
【0051】
本発明で上記紫外線放電容器(20)の収容空間部(21)を限定する内部管の内側面は上記内部電極(10)と密着する。
【0052】
その次に、外部電極(30)は内側に収容空間部(31)を有する筒形構造であり、内壁面は光を反射できるように鏡面処理されたことが望ましい。また、厚さが薄いホイル(foil)形態またはメッシュ形態であってもよく、放電を引き起こすための導電性の材質であれば、形態と関係なく使用は可能である。しかし、UV光を内側に反射させて効率を上げるためには、筒形構造が最も好適である。
【0053】
外部電極(30)の収容空間部(31)には上記紫外線放電容器(20)の全部または一部が挿入され得る。
【0054】
本発明での172nmのエキシマ(excimer)UV光は、上記内部電極(10)と紫外線放電容器(20)及び外部電極(30)の結合状態で内部電極(10)と外部電極(30)に電気エネルギーを供給して放電ガスエネルギーの変化によって172nmエキシマUV光を発生させ、発生した172nmエキシマUV光は内部電極(10)の透過部(13)を通じて内部電極(10)の収容空間部(12)の内部に放出される。
【0055】
この時、収容空間部(12)に上述したインプラントフィクスチャを配置して、172nmエキシマUV光による表面改質処理を行うことができる。
【0056】
このために上記内部電極(10)の内側には支持部(40)が挿入され、挿入方向に往復移動が可能な状態で結合される。
【0057】
上記支持部(40)は上向に移動して上記内部電極(10)、紫外線放電容器(20)及び外部電極(30)の結合構造の上部側に上端部が露出することができ、露出した上端部にインプラントフィクスチャを固定するホルダーを設け、インプラントフィクスチャがホルダーに固定された状態で下向に移動してインプラントフィクスチャを内部電極(10)の収容空間部(12)に引き込ませることができる。
【0058】
上記UV光のエネルギー及び生成されたオゾンでインプラントフィクスチャの表面改質処理を行う。
【0059】
この時、UV光はインプラントフィクスチャの周囲全体に照射されるので、表面改質処理時間を画期的に減らすことができ、構成を非常に単純化できる特徴がある。
【0060】
上記ではインプラントフィクスチャを直接内部電極(10)の収容空間部(12)に引き込む例を説明したが、
図7に示した通り、インプラントフィクスチャ(51)が収容されたケース(50)が引き込まれることができ、UV光はケース(50)を透過して収容されたインプラントフィクスチャを表面改質処理することができる。
【0061】
上記ケース(50)は石英ガラス材質であってもよく、厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm透過率60%以上の合成石英ガラスが望ましい。
【0062】
このように本発明はインプラントフィクスチャ保管用ケースからインプラントフィクスチャを引き出していない状態で表面改質処理が可能なので、表面改質処理過程で発生し得るインプラントフィクスチャの汚染を防止することができる。
【0063】
上記支持部(40)は、UV光及びオゾンと反応しないセラミック材質とし、内側には長手方向に沿って空気の流入及び流出が可能な構造の空気流通口(41)が設けられることができる。
【0064】
上記空気流通口(41)を通じて外部空気が上記内部電極(10)の内部または、インプラントフィクスチャが収容された上記ケース(50)の内部に流入するようにしてUV光の照射によって発生するオゾンをインプラントフィクスチャの周辺、即ち、必要空間に限定されるようにオゾン発生濃度を調節することができる。
【0065】
場合によって上記支持部(40)は上記内部電極の内側で回転することもできる。
このように本発明は単純な構成で二重管構造のUVランプの内側でインプラントフィクスチャの表面全体に均一のUVを同時に照射することが可能となり、表面改質処理時間を急激に短縮できる効果がある。
【0066】
また、ケース(50)からインプラントフィクスチャを引き出さなくても表面改質処理が可能なため、インプラントフィクスチャの汚染を防止する効果がある。
【0067】
本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様に修正および変形されて実施され得ることは本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって自明なものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、紫外線を用いた人工歯の表面改質に関連したもので、紫外線とオゾンを用いて人工歯の表面の炭素を除去できるという自然法則を利用して、人工歯の植立を円滑にすることができる技術として産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0069】
10:内部電極 11:電力供給線 12、21、31:収容空間 13:透過部 20:紫外線放電容器 22:ガス充填領域 30:外部電極 40:支持部 41:空気流通口 50:ケース
【手続補正書】
【提出日】2021年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、
上記内部電極が収容され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する筒形構造の紫外線放電容器と、
上記紫外線放電容器が内側に収容される外部電極を含み、上記内部電極の内側にインプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うインプラント表面改質処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
UV光源はエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
UV光源は172nmの波長を有するエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項4】
請求項1において、
UV光源は222nmの波長を有するエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項5】
請求項1において、
UV光源はUVC波長帯UV光源であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記インプラントフィクスチャは、
上記UV光を透過するケースに収容されたことを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
上記ケースは、
厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm波長のUV光の透過率が60%以上を有する合成石英ガラス材質であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項8】
請求項1において、
上記内部電極の内側に挿入され、インプラントフィクスチャを支持する支持部をさらに含むインプラント表面改質処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
上記支持部は、
上記内部電極の内側で往復移動して、インプラントフィクスチャを内部電極の内側に引き込むか、外部に排出することを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項10】
請求項8において、
上記支持部は、
上記内部電極の内側で回転することを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項11】
請求項8において、
上記支持部は、
空気が流入及び流出できる空気流通口を含むインプラント表面改質処理装置。
【請求項12】
請求項8または請求項10において、
上記支持部は、
セラミック材質であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項13】
請求項1において、
上記外部電極は、
発生したUV光を上記内部電極側に反射する筒形構造であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項14】
筒形構造であり、面に多数の透過部を有する内部電極と、
上記内部電極の外側に形成され、UV光源になる放電用ガスが充填されるガス充填領域を有する紫外線放電容器と、
外部電極と、
インプラントフィクスチャを支持し、上記インプラントフィクスチャが上記内部電極の内側に引き込まれるか、外部に排出されるように上記内部電極の内側で往復移動する支持部を含み、
上記内部電極の内側に上記インプラントフィクスチャを配置して表面改質を行うインプラント表面改質処理装置。
【請求項15】
請求項14において、
UV光源は172nmの波長を有するエキシマUV光であることを特徴とするインプラント表面改質処理装置。
【請求項16】
請求項14において、
上記外部電極は上記紫外線放電容器の外側に形成されるインプラント表面改質処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の一実施例によれば、UV光源はエキシマUV光であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源は172nm
の波長を有するエキシマUV光
(即ち、172nmエキシマUV光)であり得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の一実施例によれば、UV光源は222nm
の波長を有するエキシマUV光
(即ち、222nmエキシマUV光)であり得る。
本発明の一実施例によれば、UV光源はUVC波長帯UV光源であり得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明の一実施例によれば、上記ケースは厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm
波長のUV光の透過率が60%以上を有する合成石英ガラス材質であり得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
上記ケース(50)は石英ガラス材質であってもよく、厚さ1mmの石英ガラスを基準に172nm
波長のUV光の透過率が60%以上の合成石英ガラスが望ましい。
【国際調査報告】