特表2021-528150(P2021-528150A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528150(P2021-528150A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】二室式容器兼用注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/19 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
   A61M5/19
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-570489(P2020-570489)
(86)(22)【出願日】2018年11月27日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】KR2018014743
(87)【国際公開番号】WO2020111296
(87)【国際公開日】20200604
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100136777
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 純子
(72)【発明者】
【氏名】イム・ドクス
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジュンシク
(72)【発明者】
【氏名】イ・テホ
(72)【発明者】
【氏名】パク・ソンフン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066GG16
(57)【要約】
本発明は、第1端部、第1端部の反対方向の第2端部および第1端部と第2端部の間に位置するバイパス部を有するシリンダ;シリンダの第2端部に装着されたフィンガーグリップ;シリンダ空間内に第1端部から第2端部側に順に配置される第1ストッパー〜第3ストッパー;および第3ストッパーと連結され、フィンガーグリップの内面に接触するように設けられた複数個の支持リブを有するプランジャーロッドを含み、第1ストッパーおよび第2ストッパーの間の空間は前室を形成し、第2ストッパーおよび第3ストッパーの間の空間は後室を形成し、前室と後室には、第1成分と第2成分がそれぞれ収容され、バイパス部を通じて前室と後室が連通する前のプランジャーロッドの初期位置で、前室と後室の長さの比率は、1.6:1〜3:1であり、初期位置で、フィンガーグリップおよびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに一つ以上の支持リブが位置した状態である二室式容器兼用注射器を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部、第1端部の反対方向の第2端部および第1端部と第2端部の間に位置するバイパス部を有するシリンダ;
シリンダの第2端部に装着されたフィンガーグリップ;
シリンダ空間内に第1端部から第2端部側に順に配置される第1ストッパー〜第3ストッパー;および
第3ストッパーと連結され、フィンガーグリップの内面に接触するように設けられた複数個の支持リブを有するプランジャーロッドを含み、
第1ストッパーおよび第2ストッパーの間の空間は前室を形成し、第2ストッパーおよび第3ストッパーの間の空間は後室を形成し、
前室と後室には、第1成分と第2成分がそれぞれ収容され、
バイパス部を通じて前室と後室が連通する前のプランジャーロッドの初期位置で、前室と後室の長さの比率は、1.6:1〜3:1であり、
初期位置で、フィンガーグリップおよびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに一つ以上の支持リブが位置した状態である、二室式容器兼用注射器。
【請求項2】
初期位置で、一つの支持リブは一面がフィンガーグリップの終端と一致するように配置された、請求項1に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項3】
フィンガーグリップはグリップ部およびグリップ部からプランジャーロッド側に延びた延長部を含む、請求項1に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項4】
初期位置で、少なくとも一つの支持リブは延長部内に位置した、請求項3に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項5】
初期位置で、一つの支持リブは一面が延長部の終端と一致するように位置した、請求項4に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項6】
第2ストッパーはシリンダの内周面に接触する複数個の接触リブを有し、フィンガーグリップと隣接した最後端の接触リブはシリンダの内周面と接触する面が平坦面で形成された、請求項1に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項7】
少なくとも一つの接触リブはシリンダの内周面と接触する面が曲面部で形成された、請求項6に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項8】
第2ストッパーは、前面と後面および複数個の接触リブを有する第1部材および第1部材から第1端部側に突出した第2部材を含み、
複数個の接触リブは、前面と後面を連結する側面に形成された、請求項6に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項9】
プランジャーロッドは、支持リブの後端に配置される複数個の補強リブをさらに含み、
支持リブの厚さは、補強リブの厚さより厚く形成された、請求項1に記載の二室式容器兼用注射器。
【請求項10】
第2ストッパーは、第1〜第4接触リブを有し、
第2および第3接触リブの間の間隔は、第1および第2接触リブの間の間隔または第3および第4接触リブの間の間隔より大きく形成された、請求項6に記載の二室式容器兼用注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二室式容器兼用注射器(プレフィルドシリンジ)に関する。
【背景技術】
【0002】
容器兼用注射器は、注射器内にあらかじめ薬液を収容しているため、医療機関で別途の薬液容器から注射器に薬液を移動させずに注射器自体をすぐに使用することができ、便利かつ安全であるため医療業界で広く使われている。
【0003】
このような容器兼用注射器としては、注射器シリンダ内に分離された空間を形成し、各空間に薬剤と薬液を分離して収容できる形態の二室式容器兼用注射器が知られている。
【0004】
二室式容器兼用注射器は、注射器シリンダの内部に3個のストッパー(「栓」または「ガスケット」ともいう)が挿入されて、隣接する2個のストッパーの間にそれぞれ空間が形成されることによって、シリンダ内に2個の空間が形成される構造である。
【0005】
注射器シリンダ内の注射針側に隣接するように挿入される順序に沿って、ストッパーは前方ストッパー、中間ストッパーそして、後方ストッパーに区分される。通常注射器シリンダ内の前方ストッパーと中間ストッパーの間に形成された第1室の空間に薬剤が収容され、中間ストッパーと後方ストッパーに間に形成された第2室の空間に薬液が収容される。
【0006】
そして、注射器シリンダは中空の円筒状に製作され、その中間部分の内面に一部分が外側に突出した溝部が形成される。この溝部によって、第2室に収容された薬液は中間ストッパーの縁に沿って前記溝部内にバイパス(bypass)して第1室に移動することができる。すなわち、前記溝部はバイパス通路の役割をするように製作される。
【0007】
このような構成の二室式容器兼用注射器を使う時には、後方ストッパーに結合されたプランジャー(plunger)を指で加圧して後方ストッパーを円筒形シリンダ内で前進させると、後方ストッパーの前進によって加圧力が薬液と中間ストッパーに伝達される。その結果、後方ストッパーの前進と共に中間ストッパーも前進することになる。
【0008】
そして、プランジャーを継続的に前進させて中間ストッパーがバイパス通路の役割をする溝部に到達すると、バイパス通路の役割をする溝部を通じて中間ストッパーの縁で第1室と第2室が相互に流体移動可能に連結された状態となる。また、前記加圧力によって第2室に収容された薬液が第1室内に流入して、第1室に流入する薬液と第1室内に収容されている薬剤が相互に混合されて注射薬が製造される。
【0009】
したがって、二室式容器兼用注射器を利用して患者に投薬する時には、注射器の第1室で薬剤と薬液が混合された注射薬を患者に投薬することになる。
【0010】
しかし、従来の二室式容器兼用注射器は注射器シリンダ内に形成された第2室と第1室がバイパス溝部により相互に連通する初期には、溝部を通過する薬液がプランジャーの加圧によって比較的大きな運動エネルギーを有することになる。
【0011】
したがって、プランジャーを速く押圧する場合、第2室に収容されている薬液がバイパス溝部を速く抜け出ながら薬液の一部が注射器の胴体の針が装着される部分まで到達することになり、この時、前方ストッパーと注射器シリンダの内面が結合する部分に形成された間隔またはさらに他の溝を通じて薬液の一部が漏出したり、場合によっては薬液が逆流してバイパス溝部側に逆流する問題が発生する。
【0012】
したがって、前方ストッパーの前方に漏洩した薬液は第1室内にある空気とともに押し出されて注射針側に漏出する。このような場合、容器兼用注射器自体が汚染する場合もあり、漏洩した薬液によって薬剤を分散溶解できるだけの必要な薬液の量が不足することになって適正な割合で正確な注射薬を製造できなくなる問題がある。
【0013】
また、二室式容器兼用注射器において、使用者が注射器を使用時、プランジャーロッドの揺れが発生する場合に薬液がプランジャーロッド側に漏出する問題があり、揺れによって使用者が安定的に注射器内の薬液と薬剤を混合し難い問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は薬剤と薬液の密封性および安定性をより向上させ、薬剤と薬液の混合がより効果的に行われ得、プランジャーロッドの揺れが改善された二室式容器兼用注射器を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一側面によると、第1端部、第1端部の反対方向の第2端部および第1端部と第2端部の間に位置するバイパス部を有するシリンダ;シリンダの第2端部に装着されたフィンガーグリップ;シリンダ空間内に第1端部から第2端部側に順に配置される第1ストッパー〜第3ストッパー;および第3ストッパーと連結され、フィンガーグリップの内面に接触するように設けられた複数個の支持リブを有するプランジャーロッドを含み、第1ストッパーおよび第2ストッパーの間の空間は前室を形成し、第2ストッパーおよび第3ストッパーの間の空間は後室を形成し、前室と後室には、第1成分と第2成分がそれぞれ収容され、バイパス部を通じて前室と後室が連通する前のプランジャーロッドの初期位置で、前室と後室の長さの比率は、1.6:1〜3:1であり、初期位置で、フィンガーグリップおよびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに一つ以上の支持リブが位置した状態である二室式容器兼用注射器を提供する。
【0016】
また、初期位置で、一つの支持リブは一面がフィンガーグリップの終端と一致するように配置されたことを含む。
【0017】
また、フィンガーグリップはグリップ部およびグリップ部からプランジャーロッド側に延びた延長部を含む。
【0018】
また、初期位置で、少なくとも一つの支持リブは延長部内に位置したことを含む。
【0019】
また、初期位置で、一つの支持リブは一面が延長部の終端と一致するように位置したことを含む。
【0020】
また、第2ストッパーはシリンダの内周面に接触する複数個の接触リブを有し、フィンガーグリップと隣接した最後端の接触リブはシリンダの内周面と接触する面が平坦面で形成されたことを含む。
【0021】
また、少なくとも一つの接触リブはシリンダの内周面と接触する面が曲面部で形成されたことを含む。
【0022】
また、第2ストッパーは、前面と後面および複数個の接触リブを有する第1部材および第1部材から第1端部側に突出した第2部材を含み、複数個の接触リブは、前面と後面を連結する側面に形成されたことを含む。
【0023】
また、プランジャーロッドは、支持リブの後端に配置される複数個の補強リブをさらに含み、支持リブの厚さは、補強リブの厚さより厚く形成されたことを含む。
【0024】
また、第2ストッパーは、第1〜第4接触リブを有し、第2および第3接触リブの間の間隔は、第1および第2接触リブの間の間隔または第3および第4接触リブの間の間隔より大きく形成されたことを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、薬剤と薬液がそれぞれ収容される前室と後室の体積を十分に確保することによって、薬剤と薬液を混合する時に、より効果的に混合することができる。
【0026】
また、第2ストッパーは、4個の接触リブを有するように設けることによって、薬液と薬剤間の密封性を向上させることによって、注射器の安全性がより増大し得る。
【0027】
また、プランジャーロッドに支持リブを形成することによって、薬液がプランジャーロッド側に漏出することを防止するとともに、プランジャーロッドの揺れを改善して使用者の便宜性が増大し得る。
【0028】
また、プランジャーロッドの第1ねじ山の周り方向に沿って形成された尖端部によって、第3ストッパーとの結合力この増大する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例に係る二室式容器兼用注射器を示した図面である。
図2図1の各構成要素が分離された状態の図面である。
図3】本発明の一実施例に係る第2ストッパーを示した図面である。
図4】本発明の一実施例に係る第1ストッパーを示した断面図である。
図5図1に図示された針装着部側を拡大した部分拡大図である。
図6】本発明の一実施例に係るフィンガーグリップを示した図面である。
図7】本発明の一実施例に係るプランジャーロッドを示した図面である。
図8】本発明の一実施例に係る第3ストッパーを示した図面である。
図9】本発明の一実施例に係るフィンガーグリップとプランジャーロッドがシリンダに結合された状態を示した図面である。
図10図1に図示された二室式容器兼用注射器の一作動状態を説明するために主な構成要素だけを図示した図面である。
図11図1に図示された二室式容器兼用注射器の一作動状態を説明するために主な構成要素だけを図示した図面である。
図12図1に図示された二室式容器兼用注射器の一作動状態を説明するために主な構成要素だけを図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則って本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0031】
また、図面符号にかかわらず、同一または対応する構成要素は同一または類似する参照番号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにし、説明の便宜のために図示された各構成部材の大きさおよび形状は誇張または縮小され得る。
【0032】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎないものであって、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例が存在し得ることが理解されるべきである。
【0033】
図1は本発明の一実施例に係る二室式容器兼用注射器1を示した図面であり、図2図1の各構成要素が分離された状態の図面である。
【0034】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例に係る二室式容器兼用注射器1(以下、「注射器」という)は、バイパス部100を有するシリンダ10、シリンダ10空間内に順に配置される第1ストッパー〜第3ストッパー20、30、40、シリンダ10の後方に装着されたフィンガーグリップ50および第3ストッパー40と連結されるプランジャーロッド60を含む。
【0035】
より具体的には、前記シリンダ10は、第1端部11、第1端部11の反対方向の第2端部12および第1端部11と第2端部12の間に位置するバイパス部100を有する。
【0036】
前記フィンガーグリップ50は、シリンダ10の第2端部12に装着され得る。
【0037】
前記第1〜第3ストッパー20、30、40は、シリンダ10空間内に第1端部11から第2端部12側に順に配置され得る。
【0038】
ここで、前記第1ストッパー20および第2ストッパー30の間の空間は前室2を形成し、第2ストッパー30および第3ストッパー40の間の空間は後室3を形成する。
【0039】
前記前室2と後室3には、第1成分と第2成分がそれぞれ収容され得る。
【0040】
前記プランジャーロッド60は、第3ストッパー40と連結され、フィンガーグリップ50の内面に接触するように設けられた複数個の支持リブ61を有することができる。
【0041】
前記バイパス部100を通じて前室2と後室3が連通する前のプランジャーロッド60の初期位置で、前室2と後室3の長さの比率は1.6:1〜3:1であり、初期位置で、フィンガーグリップ50およびフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに一つ以上の支持リブ61が位置した状態であり得る。
【0042】
本文書で、初期位置とは、前室2と後室3に第1および第2成分がそれぞれ収容され、前記プランジャーロッド60が前進する前の状態すなわち、使用者が注射器を作動する前の状態を意味する。
【0043】
また、注射器1は、シリンダ10に装着される針装着部70、針装着部に装着されるハブ7およびハブ7に固定された針6を含む。
【0044】
また、注射器1は針6を保護するための保護キャップ8を含む。
【0045】
より具体的には、前記シリンダ10は中心軸Cを有する中空の円筒状を有し、第1端部11と第1端部11の反対方向の第2端部12を有する。
【0046】
前記シリンダ10は、第1端部11に針装着部70が連結され、第1端部11の反対方向の第2端部12側にプランジャーロッド60が挿入されるように設けられ得る。
【0047】
また、前記第2端部12はフィンガーグリップ50が装着されるようにシリンダ10の外周面の周り方向に沿って外側に所定の高さだけ突出するように設けられ得る。
【0048】
ここで、前記シリンダ10は円筒状に透明なガラスまたは樹脂で製作され得、中心軸Cに沿って延び、均一な直径を有し得る。
【0049】
また、前記シリンダ10は内周面に溝部で形成されたバイパス部100を有する。バイパス部100はシリンダ10の内周面が半径方向の外側に向けて陥没した流動通路130を有する。
【0050】
前記流動通路130は長さ方向に沿って所定の長さを有するように設けられ得る。
【0051】
本文書で、説明の便宜のために、注射器1の第1端部11側に向かう方向を前方と指称し、第2端部12側へ向かう方向を後方と指称し、それぞれの構成要素で第1端部11側に向き合う面を前面と指称し、第2端部12側に向き合う面を後面と指称する。
【0052】
また、特定の構成要素の「長さ方向」とは図1のy軸方向(図1の中心軸C方向)を示し、「長さ」とは長さ方向に沿った長さを示し、半径方向とは図1のx軸方向を示す。
【0053】
一方、前記注射器1はシリンダ10の第1端部11側に隣接したシリンダ10内に配置された第1ストッパー20、第1ストッパー20の後方に位置するようにシリンダ10内に配置された第2ストッパー30および第2ストッパー30の後方に位置するようにシリンダ10内に配置された第3ストッパー40を含む。
【0054】
ここで、前記第1〜第3ストッパー20、30、40はそれぞれ、前方ストッパー、中間ストッパー、後方ストッパーを意味する。
【0055】
前記第1ストッパー〜第3ストッパー20、30、40は、シリンダ10空間内に第1端部11から第2端部2側に順に配置され、その間に前室2と後室3をそれぞれ提供する。
【0056】
具体的には、第1ストッパー20と第2ストッパー30の間には第1成分が収容される前室2が形成される。ここで、前記第1成分は薬剤であり得る。
【0057】
また、第2ストッパー30と第3ストッパー40の間には第2成分が収容される後室3が形成される。ここで、前記第2成分は薬液であり得る。
【0058】
前記第1〜第3ストッパー20、30、40それぞれは医療用ゴム材質で形成され得、シリンダ10の内周面に密着して前室および後室2、3を密封するように設けられる。したがって、第1〜第3ストッパー20、30、40はそれぞれ気密のためにシリンダ10の内径より大きい直径を有するように設けられ得、シリンダ10の内周面と接触するリング形態の突起(「接触リブ」ともいう)が多数具備され得る。
【0059】
また、第1成分(薬剤)と第2成分(薬液)が前室2と後室3にそれぞれ収容され、混合前の状態で、前室2とバイパス部100は流体移動可能に連結された状態であり、後室3とバイパス部100は第2ストッパー30により流体の移動が不可能に分離される。
【0060】
また、前記バイパス部100は、後室3から第2成分が溝部の内部(流動通路)に流入する入口110および溝部の内部(流動通路)から第2成分が前室2に流出する出口120を有する。
【0061】
図3は、本発明の一実施例に係る第2ストッパーを示した図面である。
【0062】
図3を参照すると、前記第2ストッパー30は、前面31aと後面31bおよび複数個の接触リブ32を有する第1部材31を含み、複数個の接触リブ32は、前面31aと後面31bを連結する側面に形成され得る。
【0063】
前記第2ストッパー30は、第1部材31から第1端部11側に突出した第2部材35をさらに含むことができる。
【0064】
前記第1部材31はシリンダ10の内周面に接触して後室3を密封し、第2部材35はシリンダ10の内周面に接触せずに第1部材31からシリンダ10の第1端部11側に突出し得る。
【0065】
前記第2部材35は第1端部11側に行くほど直径が小さくなる円錐状を有することができる。
【0066】
具体的には、前記第2ストッパー30の第1部材31はシリンダ10の内周面に接触する複数個の接触リブ32を有し、フィンガーグリップ50と隣接した最後端の接触リブ32dはシリンダ10の内周面と接触する面が平坦面で形成され得る。
【0067】
また、前記接触リブのうち少なくとも一つの接触リブ32a、32b、32cは、シリンダ10の内周面と接触する面が曲面部で形成され得る。
【0068】
より具体的には、前記接触リブ32はシリンダ10の内周面に接触する第1〜第4接触リブ32a、32b、32c、32dを有することができる。
【0069】
一例として、第1〜第3接触リブ32a、32b、32cはシリンダ10の内周面と接触する面が曲面部で形成され、第4接触リブ32dはシリンダ10の内周面と接触する面が平坦面で形成され得る。
【0070】
前記のように、第4接触リブ32dのシリンダ10の内周面と接触する面を平坦面で形成することによって、第1成分(薬剤)と第2成分(薬液)の間の密封がより効果的になされ得る。
【0071】
特に、第2および第3接触リブ32b、32cの間の間隔w1は、第1および第2接触リブ32a、32bの間の間隔w2または第3および第4接触リブ32c、32dの間の間隔w3より大きく形成され得る。
【0072】
前記のように、第2ストッパー30に4個の接触リブを形成することによって、より効果的に前室と後室の間を密封することができ、曲面部を通じて第2ストッパー30が前方に移動する時、スライド移動性が向上し得る。
【0073】
すなわち、第1部材31にはシリンダ10の内周面にそれぞれ接触する第1〜第4接触リブ32a、32b、32c、32dが形成され、第2部材35は第1接触リブ32aからシリンダ10の第1端部11側に突出するように形成され、外周面がシリンダ10の長さ方向の中心軸Cに対して所定の角度を有する斜面を含む。
【0074】
これに加え、図4は本発明の一実施例に係る第1ストッパーを示した断面図である。
【0075】
前記第1ストッパー20は、前面21および後面22を有し、前面と後面を連結する側面にはシリンダ10の内周面と接触するリング形態の突起(「接触リブ」ともいう)が多数具備され得る。
【0076】
この時、第1ストッパー20の後面22には前記第2部材35が挿入され得る陥没部23が設けられ得る。
【0077】
前記陥没部23は第2部材35の円錐状と合致する円錐状で設けられ得る。すなわち、第2部材35の高さh1と底面の直径d1は、陥没部23の高さh2と底面の直径d2とそれぞれ同じである。
【0078】
また、陥没部23は底面が開放されて長さ方向の中心軸Cに対して所定の角度を有する斜面が設けられ得る。
【0079】
したがって、第2ストッパー30の前進により第2ストッパー30と第1ストッパー20が接触する時、第2部材35が陥没部23内に挿入されて第1部材31の前面31aは第1ストッパー20の後面22に接触し、第2部材35の外周面は陥没部23の内周面に接触することができる。
【0080】
また、前記円錐状の陥没部23は前室2に流入した第2成分すなわち、薬液の運動エネルギーを効果的に分散させる機能を遂行することができる。
【0081】
図5は、図1に図示された針装着部70側を拡大した部分拡大図である。
【0082】
前記針装着部70は第1ストッパー20が挿入され得る空間部71を有し、前記空間部71は針6の内部と流体移動可能に連結される。また、前記空間部71を形成する針装着部70の内周面には、第1ストッパー20の周面(前面と後面を連結する側面)と接触してその間の空間に所定の隙間を形成するための隙間形成部72、73が設けられる。前記隙間形成部は長さ方向に沿って延びた一つ以上の溝部72および一つ以上の突起部73を含むことができる。
【0083】
また、第1ストッパー20が第1端部11側に前進すると、第1ストッパー20は前記空間部71内に進入することになる。第1ストッパー20が前記空間部71に進入する時、隙間形成部72、73との接触によって第1ストッパー20と空間部71の内周面の間には所定の隙間が発生する。ここで前記隙間を通じて前室2内の薬剤と薬液の混合物が針6側に移動され得る。
【0084】
図6は、本発明の一実施例に係るフィンガーグリップ50を示した図面である。
【0085】
図6を参照すると、前記フィンガーグリップ50はシリンダ10の後方すなわち、第2端部12に装着され得る。
【0086】
具体的には、前記フィンガーグリップ50は、グリップ部51およびグリップ部51からプランジャーロッド側に延びた延長部52を含む。
【0087】
前記グリップ部51は所定の厚さを有し、シリンダ10の第2端部12が挿入されて結合されるように内側に所定の空間部が形成された差込み部510を含む。
【0088】
前記グリップ部51は、シリンダ10の第2端部12が通過して差し込まれるように、一側が開放された第1挿入ホール511を有する第1面51aおよび第1面51aの反対方向のプランジャーロッド60が挿入されるように設けられた第2挿入ホール512を有する第2面51bを含む。
【0089】
ここで、前記差込み部510は第1面51aと第2面51bを連結する側面によって形成される空間であり得る。
【0090】
前記グリップ部51は、差込み部510に挿入されたシリンダの第2端部12がフィンガーグリップと固定されるように、グリップ部の第2面51bから差込み部510側に突出形成された一対の装着突起513を有する。
【0091】
前記一対の装着突起513はシリンダの第2端部12の外周面と接触してフィンガーグリップを固定することができる。
【0092】
また、前記フィンガーグリップはグリップ部51の第2面51bからプランジャーロッド側に延びた延長部52を含む。
【0093】
前記延長部52は第2面51bから第2挿入ホール512の周り方向に沿って長さ方向に延長形成され得る。
【0094】
すなわち、前記延長部52の縦断面52aはリング形態で形成され得る。
【0095】
したがって、前記プランジャーロッド60は、延長部52および第2挿入ホール512を順に通過してシリンダの内部に挿入され得る。
【0096】
図7は本発明の一実施例に係るプランジャーロッド60を示した図面、図8は本発明の一実施例に係る第3ストッパーを示した図面である。
【0097】
図7および図8を参照すると、前記プランジャーロッド60は第3ストッパー40と連結され、フィンガーグリップ50内に配置され、フィンガーグリップ50の内面に接触するように設けられた複数個の支持リブ61を有する。
【0098】
前記プランジャーロッド60は支持リブ61の後端に配置される複数個の補強リブ62をさらに含む。
【0099】
より具体的には、前記プランジャーロッド60は、長さ方向に沿って延長形成された胴体部600を含む。前記胴体部600は、断面が十字(+)状を有し得る。
【0100】
前記支持リブ61と補強リブ62はそれぞれ、胴体部600から半径方向側に延びるように形成され得る。この時、それぞれのリブは円の形状を有し得る。
【0101】
前記複数個の支持リブ61はプランジャーロッドの胴体部600の先端側に形成された第1支持リブ611と、第1支持リブ611の後方側に第1支持リブ611と所定の間隔離れて配置された第2支持リブ612を含む。
【0102】
また、前記複数個の補強リブ62は、第2支持リブ612の後方側に所定の間隔離れてそれぞれ配置された第1補強リブ〜第3補強リブ621、622、623を含む。
【0103】
ここで、前記支持リブ61および補強リブ62はそれぞれ、プランジャーロッドの剛性を増加させることができる。
【0104】
これに加え、前記支持リブ61の厚さt1、t1’は、補強リブ62の厚さt2より厚く形成され得る。
【0105】
より具体的には、第1支持リブ611と第2支持リブ612のそれぞれの厚さt1’、t1は、第1〜第3補強リブ621、622、623の厚さt2より厚く形成され得る。
【0106】
ここで、前記第1支持リブ611の厚さt1’は第2支持リブ612の厚さt1より厚く形成され得る。
【0107】
また、前記プランジャーロッド60は第3ストッパー40と締結されるように設けられた第1ねじ山64を有し、第3ストッパー40は第1ねじ山64が回転して噛み合うように設けられた第2ねじ山44を有する。
【0108】
特に、前記第1ねじ山64は、第1ねじ山64の周り方向に沿って少なくとも一部の領域である尖端部65を含む。
【0109】
前記尖端部65は、第1ねじ山64の少なくとも一部の領域の周り方向側が鋭く形成された領域を意味する。
【0110】
前記のように、第1ねじ山の尖端部65により、第3ストッパー40の第2ねじ山44と螺合時に結合力がさらに向上することによって、使用者がプランジャーロッド60を後方側に作動させる時、プランジャーロッド60が第3ストッパー40と分離されることを防止できる。
【0111】
ここで、プランジャーロッド60は初期状態で、プランジャーロッドの一部の領域がフィンガーグリップおよびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに挿入され得る。
【0112】
これに加え、前記プランジャーロッド60は第2支持リブ612に隣接するように形成されたプランジャー溝部601を含むことができる。前記プランジャー溝部601はプランジャーロッドの胴体部600から内側に所定の深さだけ陥没するように形成され得、前記プランジャー溝部601は一例として、プランジャーロッドを射出製作する時に生成される射出ゲートであり得る。
【0113】
すなわち、射出ゲートの位置を支持リブの後端に形成して、これを位置識別手段として活用することができる。
【0114】
前記プランジャー溝部601は、使用者がプランジャーロッド60を第3ストッパー40に連結する時(シリンダとプランジャーロッドを組み立てる時)、プランジャーロッド60の第2支持リブ612をフィンガーグリップの終端に位置させやすいように、位置を識別できるようにする。
【0115】
したがって、使用者はプランジャーロッド60を第3ストッパー40に連結して初期位置を有するようにする時、プランジャー溝部601によって位置を識別できるため組み立てが容易となる。
【0116】
前述したように形成された注射器1の初期位置(初期状態)はバイパス部100を通じて前室2と後室3が連通する前の状態であって、プランジャーロッド60の一つ以上の支持リブ61がフィンガーグリップ50およびフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ10内領域のうち少なくとも一つに位置した状態であり得る。
【0117】
より具体的には、少なくとも一つの支持リブ61はフィンガーグリップ50内に配置され、残りの一つの支持リブ61の一部はフィンガーグリップ50内に配置され、残りの一部はフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ内に配置され得る。
【0118】
また、少なくとも一つの支持リブ61はフィンガーグリップ50内に配置され、残りの一つの支持リブ61はフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ内に配置され得る。
【0119】
特に、初期位置で、一つの支持リブ61は一面がフィンガーグリップの終端と一致するように配置され得る。
【0120】
図9は、本発明の一実施例に係るフィンガーグリップとプランジャーロッドがシリンダに結合された状態を示した図面である。
【0121】
図9を参照すると、初期位置で、少なくとも一つの支持リブ61は延長部52内に位置することができる。
【0122】
すなわち、一つの支持リブ61は延長部52内に配置され、残りの支持リブ61の一部は延長部52内に配置され、残りの一部はシリンダ内に配置され得る。
【0123】
特に、初期位置で、一つの支持リブ61は一面が延長部52の終端と一致するように位置することができる。
【0124】
前記一つの支持リブ61の一面(後面)が延長部52の終端と一致するとは、延長部の縦断面52aと支持リブの一面(フィンガーグリップ内に位置した支持リブの外部側に露出する露出面(支持リブの後面))が略同一平面を形成することを意味する。
【0125】
ここで、「略同一平面」は支持リブ61の厚さに10%の長さだけがフィンガーグリップ50に突出したりフィンガーグリップ50内に挿入された場合を含む。
【0126】
具体的には、第2支持リブ612の一面(フィンガーグリップ内に位置した第2支持リブの外部側に露出する露出面(第2支持リブの後面))は延長部の縦断面52aと略同一平面を形成することを意味する。
【0127】
すなわち、前記「略同一平面」は、第2支持リブ612の厚さに10%の長さだけがフィンガーグリップ50から突出したりフィンガーグリップ50内に挿入された場合を含む。
【0128】
より具体的には、前記プランジャーロッド60の第1支持リブ611と第2支持リブ612は初期位置で、フィンガーグリップ50およびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内領域のうち少なくとも一つに位置し得、特に、第2支持リブ612の一面がフィンガーグリップ50の終端と一致するように配置され得る。
【0129】
また、初期位置で、第2支持リブ612はフィンガーグリップ50内に配置され、第1支持リブ611の一部はフィンガーグリップ50内に配置され、残りの一部はシリンダ内に配置され得る。
【0130】
また、初期位置で、第2支持リブ612はフィンガーグリップ50内に配置され、第1支持リブ611はフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ内に配置され得る。
【0131】
また、第2支持リブ612の一面(後面)がフィンガーグリップ50の終端と一致するように配置され得る。
【0132】
また、初期位置で、第2支持リブ612は延長部52内に配置され、第1支持リブ611の一部は延長部52内に配置され、残りの一部はフィンガーグリップ50と隣接したシリンダ内に配置され得る。
【0133】
特に、第2支持リブ612の一面(後面)がフィンガーグリップ50の延長部52内に位置することができる。
【0134】
一方、薬剤と薬液を混合する前の状態である、初期位置で、前室2と後室3の長さの比率は1.6:1〜3:1を有することができる。
【0135】
より具体的には、前記前室2の長さL1は第1ストッパー20の後面22から第2ストッパー30の第1部材31の前面31aまでの長さを意味し、後室3の長さL2は第2ストッパー30の後面から第3ストッパー40の前面までの長さを意味する。
【0136】
ここで、前記第2ストッパー30の前面31aには円錐状の第2部材35が追加され得るが、この時にも、前室の長さL1は第1ストッパー20の後面から第2ストッパー30の第1部材31の前面31aまでの長さであり得る。また、前記第1ストッパー20の背面(後面)には陥没部23が追加され得るが、この時にも、前室の長さL1は第1ストッパー20の後面から第2ストッパー30の第1部材31の前面31aまでの長さであり得る。
【0137】
前記第2ストッパー30の後面から第3ストッパー40の前面までの長さL2が1であるとき、第1ストッパー20の後面22から第2ストッパー30の第1部材の前面31aまでの長さL1は1.6〜3を有することができる(前室と後室の長さの比率は1.6:1〜3:1)。
【0138】
好ましくは、第2ストッパー30の後面から第3ストッパー40の前面までの長さL2が1であるとき、第1ストッパー20の後面22から第2ストッパー30の第1部材の前面31aまでの長さL1は1.8〜2.8を有することができる(前室と後室の長さの比率は1.8:1〜2.8:1)。
【0139】
より好ましくは、第2ストッパー30の後面から第3ストッパー40の前面までの長さL2が1であるとき、第1ストッパー20の後面22から第2ストッパー30の第1部材の前面31aまでの長さL1は2.0〜2.6を有することができる(前室と後室の長さの比率は2:1〜2.6:1)。
【0140】
換言すると、第1ストッパー20の後面22から第2ストッパー30の第1部材の前面31aまでの長さL1が1であるとき、第2ストッパー30の後面から第3ストッパー40の前面までの長さL2は0.1〜0.66を有することができる(前室と後室の長さの比率は1:0.1〜1:0.66)。
【0141】
前述した通り、より厚く形成された第1および第2支持リブ611、612はフィンガーグリップおよびフィンガーグリップと隣接したシリンダ内に配置されて、プランジャーロッド60の揺れを防止する役割をし、特に、第2支持リブ612の一面(後面)がフィンガーグリップの終端と一致するように配置されることによって、プランジャーロッドがシリンダ10で揺れることを防止するとともに、後室3に収容される薬液が後方側に漏出することをより効果的に防止することができる。
【0142】
すなわち、第2支持リブ612の一面(後面)が延長部52の終端(縦断面)と一致するように配置されることによって、使用者が注射器を使う時、プランジャーロッドが揺れることなく、より安定して使用できる効果がある。
【0143】
図10図12は、図1に図示された二室式容器兼用注射器の一作動状態を説明するために主な構成要素だけを図示した図面である。
【0144】
図10図12を参照すると、初期状態(図10参照)で、前室2と後室3は互いに流体移動が不可能な状態(密封された状態)であって、前室2には第1成分(薬剤)が収容されており、後室3には第2成分(薬液)が収容されている。
【0145】
この状態で、プランジャーロッド60を前方側に加圧すると、薬液と共に第2ストッパー30が前方に移動することになり、第2ストッパー30の後面31bがバイパス部の入口110を通過する地点で、前室2と後室3は流体移動可能に連通する。
【0146】
特に、初期位置で、プランジャーロッド60が第1端部11側に移動する時、バイパス開始位置(第2ストッパー30の後面31bがバイパス部の入口110を通過する直前の地点、第2ストッパー30の後面31bとバイパス部の入口110が一直線上に位置する地点)まで第1ストッパーの後面22からシリンダの第1端部11までの体積は一定に維持され、第1ストッパーの後面22からシリンダの第1端部11までの長さL3も一定に維持される(図11参照)。
【0147】
前記のように、初期位置で、プランジャーロッド60が第1端部11側に移動してバイパス部を通じて前室と後室が連通し始める位置(第2ストッパー30の後面31bがバイパス部の入口110を通過する地点)を通過する時に、薬液は流動通路130に沿って前室2に流入して薬剤と混合される(図12参照)。
【0148】
この時、使用者は注射器1を振って薬剤と薬液を混合させることができる。
【0149】
前記のように薬剤と薬液が混合された後、プランジャーロッド60を前方に加圧すると混合された薬剤と薬液が前方に移動し、これによって第1ストッパーが前進して第1ストッパー20は空間部71内に進入し、第1ストッパー20は隙間形成部72、73との接触によって発生した所定の隙間を通じて前室2内の薬剤と薬液の混合物が針6側に移動される。
【0150】
本発明は、前述したような前室と後室の長さの比率を有するように、シリンダ10内に第1〜第3ストッパー20、30、40をそれぞれ配置することによって、前室2と後室3の体積がより向上し得る。
【0151】
これにより、後室3に収容された薬液が第2および第3ストッパー30、40との接触面積が小さくなって、薬液の保管安定性がより向上し得る。
【0152】
また、前室2の体積がより向上することにより、薬液が前室2に移動された後に薬剤と薬液を混合する時、より迅速かつ効果的に混合することができる。
【0153】
ここで、前室の体積は第1ストッパーの後面と第2ストッパーの間の体積を意味し、後室の体積は第2ストッパーの後面と第3ストッパーの前面の間の体積を意味する。
【0154】
また、円錐状の第1ストッパー20の陥没部23は、前室2に流入した薬液の運動エネルギーを効果的に分散させる機能を遂行する。
【0155】
前記プランジャーロッド60を加圧すると、薬液と共に第2ストッパー30が前方側に移動し、第2ストッパー30の後面31bがバイパス部100の入口110を通過する時、薬液は流動通路130に沿って前室2に流動して前記陥没部23の斜面に衝突することになって渦流が発生する。
【0156】
したがって、前記のような渦流によって薬剤と薬液の混合を促進させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】