(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528154(P2021-528154A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】携帯角膜知覚計
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
A61B3/16 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-570549(P2020-570549)
(86)(22)【出願日】2019年6月5日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月10日
(86)【国際出願番号】ES2019070386
(87)【国際公開番号】WO2019243646
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】18382436.6
(32)【優先日】2018年6月18日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520007813
【氏名又は名称】ブリル エンジンズ エセ エレ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブイサン フェレール ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラト ラウレント ダヴィード
(72)【発明者】
【氏名】ニエト カビア ラウラ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA02
4C316AA03
4C316AA20
4C316FA12
(57)【要約】
本発明は携帯角膜知覚計に関し、当該角膜知覚計の充填フェーズにおいて一定体積の気体を収容すべく意図された拡張可能な空洞を含み、第1のバルブ手段を介して気体の供給源に接続された送気装置と、第2のバルブ手段を介して送気装置に接続されていて、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて送気装置に収容されている当該体積の気体の吹き出しを誘導するのに適した排気ノズルと、当該角膜知覚計の上述の噴気フェーズにおいて、排気圧力をほぼ一定に維持すべく送気装置の拡張可能な空洞の制御された収縮により、送気装置に含まれる当該体積の気体の吹き出しを排気ノズルに向けて確実に放出する機構を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯角膜知覚計(1)であって、
前記角膜知覚計の充填フェーズ(A)において一定体積の気体(3)を収容すべく意図された拡張可能な空洞(6)を含み、第1のバルブ手段(5)を介して気体の供給源(2)に接続された送気装置(4)と、
第2のバルブ手段(13)を介して前記送気装置(4)に接続されていて、前記角膜知覚計の噴気フェーズ(C)において前記送気装置(4)に収容されている前記体積の気体(3)の吹き出し(14)を、例えば患者の角膜等の目標に向けて誘導するのに適した排気ノズル(12)とを含み、前記膜知覚計が更に、
前記角膜知覚計の前記噴気フェーズ(C)において、排気圧力をほぼ一定に維持すべく前記送気装置の前記拡張可能な空洞(6)の制御された収縮により、前記送気装置(4)に含まれる前記体積の気体(3)の吹き出し(14)を前記排気ノズル(12)に向けて確実に放出する機構(7)を含む携帯角膜知覚計(1)。
【請求項2】
前記機構が、前記角膜知覚計の充填フェーズ(A)において前記拡張可能な空洞(6)の拡張の影響から位置エネルギーを蓄積すると共に、前記角膜知覚計の噴気フェーズ(C)において前記位置エネルギーを放出可能な弾性位置エネルギー蓄積手段(8)を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項3】
前記弾性位置エネルギー蓄積手段(8)が、前記角膜知覚計の充填フェーズ(A)において引き伸ばされ、噴気フェーズ(C)において一定の復元力(F)を瞬時に印加する少なくとも1個の定圧ばね(18,18’)を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項4】
前記拡張可能な空洞(6)が可動壁(6a)を有し、前記機構(7)が、前記少なくとも1個の定圧ばね(18)で形成されている場合、前記可動壁(6a)と前記弾性位置エネルギー蓄積手段(8)を機械的に連結する伝達手段(9)を含んでいることを特徴とする、請求項2又は3に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項5】
前記伝達手段(9)がラック及びピニオンにより伝達を行い、前記ラック部(10)が前記拡張可能な空洞(6)の前記可動壁(6a)に接合され、前記ピニオン部(11)が前記弾性エネルギー蓄積手段(8)に接合されていて、これら全てが、
前記気体(3)を前記拡張可能な空洞(6)へ取り込む前記角膜知覚計の充填フェーズ(A)において、前記拡張可能な空洞(6)の拡張が、前記可動壁(6a)を移動させ、次いで前記ラック部(10)を第1の方向に移動させることにより前記ピニオン部(11)が回転軸(11a)の回り且つ前記弾性位置エネルギー蓄積手段(8)を緊張させる方向に確実に回転することで生じ、
前記角膜知覚計の噴気フェーズ(C)において、前記拡張可能なチャンバ(6)が前記排気ノズル(12)に接続されたならば、前記弾性エネルギー蓄積手段(8)が、前記ラック部(10)を第1の方向とは逆方向に確実に移動させると共に現時点で収縮方向にある前記拡張可能な空洞(6)の前記可動壁(6a)を移動させる力のモーメント(M)を前記ピニオン部(11)に印加することにより、前記蓄積された位置エネルギーを放出して、充填フェーズ(A)において内部に蓄積された体積の気体(3)を排出させるためであることを特徴とする、請求項4に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項6】
前記機構(7)が、
定圧ばね(18)の支持体(15)であって、前記ばねを巻く/緩めるリール(15b)、及び前記ばねが前記ピニオン部(11)に接合している動作終端(18a)の移動を誘導する直線ガイド(15a)が設けられた支持体(15)を含み、
前記角膜知覚計の噴気フェーズ(C)において前記ピニオン部(11)に作用する復元力(F)の印加点(P)を決定する、前記ばね動作終端(18a)と前記ピニオン部(11)との接合部が、前記ピニオン部(11)の固定された回転軸(11a)と自身との距離(p)を維持すべく誘導されて移動可能な接合部であるため、前記復元力(F)が前記ピニオン部(11)にほぼ一定値の力のモーメント(M)を確実に印加することを特徴とする、請求項3及び5に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項7】
前記支持体(15)と前記送気装置(14)の少なくとも一方が前記角膜知覚計に載置されていて、異なる安定位置をとり得て、各々が、
a)噴気フェーズ(C)の開始時点で前記ピニオン部(11)の回転軸に対して、復元力(F)の印加点(P)から異なる距離にある異なる位置(p)、又は、
b)噴気フェーズ(C)の開始時点で前記ばね(18)の異なる引き伸ばしの程度、又は、
c)各位置においてa)及びb)の両方の影響の異なる組み合わせ、を生じさせることを特徴とする、請求項6に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項8】
前記第1のバルブ手段が少なくとも2個の動作位置、すなわち
気体の前記供給源(2)と前記送気装置(4)の連通を阻止する閉鎖位置、及び
加圧気体の前記供給源(2)と前記送気装置(4)の連通を可能にする充填位置をとることができ、
前記角膜知覚計が更に、前記第1のバルブ手段(5)の統括信号を生成することが可能な、前記送気装置(4)の前記拡張可能な空洞(6)の拡張計測値を検知する手段(19)を含み、従って前記拡張可能な空洞(6)が前記角膜知覚計の噴気に伴い所定体積(V1)の気体(3)に対応する拡張計測値に達したならば充填位置(5b)から閉鎖位置(5a)まで移動して充填フェーズ(A)を終了することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項9】
前記検知手段(19)が光センサを含むことを特徴とする、請求項8に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項10】
前記拡張可能な空洞(6)がピストングループ(6a)、バッグ(6b)又は軸ベローズ(6c)のうちから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記角膜知覚計(1)。
【請求項11】
噴気カウンタ(20)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項12】
前記噴気カウンタ(20)が、前記拡張可能な空洞(6)が1回の吹き出し(14)に充分であるか又は前記角膜知覚計の噴気に伴う所定体積の気体(3)に対応する拡張計測値に達したことを前記検知手段(19)が検知した回数をカウントすることを特徴とする、請求項8及び11に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項13】
前記噴気回数が所定の値に達したことを示す視覚及び/又は聴覚インジケータ(21)を備えていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項14】
前記機構(7)が、前記角膜知覚計の前記噴気フェーズ(C)において、0.3秒〜0.7秒間、好適には0.4〜0.6秒間にわたり、前記送気装置(4)に含まれる前記気体(3)の前記吹き出し(14)を前記排気ノズル(12)に向けて確実に放出することが可能であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項15】
前記機構が(7)、前記角膜知覚計の前記噴気フェーズ(C)において、0.0003バール〜0.01バールの範囲の名目値の矩形パルスに従い、前記排気ノズル(12)の口から4mmの距離で計測された排気圧力を維持することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項16】
前記気体(3)の供給源(2)が医療用圧縮気体の交換可能なカートリッジで形成されていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項17】
前記第1のバルブ手段(5)を介して周囲気体を空気として吸入可能にする前記拡張可能な空洞(6)の制御された拡張を行うアクチュエータを備えていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の角膜知覚計(1)。
【請求項18】
前記拡張可能な空洞(6)の制御された拡張を行う前記アクチュエータが、前記拡張可能な空洞(6)の可動壁(6a)を移動させ、前記アクチュエータが操作可能又はモーター駆動可能であることを特徴とする、請求項17に記載の角膜知覚計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の角膜の触覚計測に適した異なる強度レベルで空気の吹き出しを実行可能な携帯角膜知覚計に関する。
【背景技術】
【0002】
触覚計測は知覚、特に触覚の計測である。
【0003】
角膜触覚計測は臨床分野全般で神経栄養性角膜炎の評価に用いられている。頭文字NKでも知られる神経栄養性角膜炎は、角膜の知覚を喪失させる三叉神経の損傷により生じる角膜の変性疾患、角膜上皮の自発創傷の発現及び回復力の低下であり、結果的に潰瘍、無菌壊死及び角膜穿孔が生じ得る。糖尿病や眼ヘルペスの患者、コンタクトレンズ使用者及び何らかの種類のドライアイ患者の角膜知覚も影響を受ける恐れがある。
【0004】
研究現場では、触覚計測は例えば角膜鎮痛剤の持続時間の記録等、異なる目的に用いられてきた。
【0005】
角膜感覚を評価する定性的及び定量的な方法がある。最も一般的な定量的方法は、角膜表面にぴったり沿って曲がるナイロンモノフィラメントを有する携帯コシュボネ角膜知覚計により実行される。前記フィラメントは、短いほど強い圧力を加える。検査はフィラメントが伸長した状態で開始され、患者から反応が得られるまで短くなる。
【0006】
非接触で空気の吹き出しを用いる技術も知られている。しかし、当該技術を適用する従来公知の計測機器では携帯角膜知覚計を用いることができない。
【0007】
空気吹き出し式の角膜知覚計の第1の公知文献は特許文献WO第9412104号であり、知覚を判定したい目の角膜又は結膜に様々な濃度のCO2と空気の混合物を含む気体流、又は酸性等張液を適用するステップ、及び口頭の回答又は論理スケールの使用を通じた痛覚閾値及び強度の判定に基づく、刺激性薬品の適用により生じる局所的刺激の定性的又は定量的触覚計測を実行するステップを含む方法を記述している。
【0008】
本方法の実装に提案する機材はCO2シリンダ及び空気シリンダ、気体混合装置、気体流インジケータ、圧力トランスデューサ、オシロスコープ、バルブ、パルスジェネレータ、気体混合物を排出する管を支持する汎用レンズ支持部を含んでいる。
【0009】
実施に際して、当該機材は気体混合物の連続的な流れを生成し、この流れは3口バルブにより患者の目に照準を合わせた排出管に向けられる。3口バルブから上流に配置された流量レギュレータにより適切な流れが生じ、実験データに基づき、又は機材内に組み込まれた圧力トランスデューサにより、気体混合物の均等な圧力が予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO第9412104号
【特許文献2】WO第201817594号
【特許文献3】WO第9317613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
流量レギュレータ及び圧力トランスデューサを含む上述の機材は小型化に適しておらず、少なくとも医師が把持できる程度の携帯型の自立的機器は実現できない。
【0012】
特許文献WO第201817594号及びWO第9317613号に空気吹き出し技術を用いた角膜知覚計用の代替的機材が記述されているが、小型化に適していない。
【0013】
特許文献WO第201817594号は、ペダルにより噴気が起動され、持続時間である2秒間にわたり目標圧力で気体を吹き出す圧力レギュレータ及びいくつかの要素が介入する機材が提案している。
【0014】
特許文献WO第9317613号は、空気圧縮機を直列接続して空気流を調整可能なノズルの較正を提案している。経験則に従い空気流が目標圧力値に変換される。
【0015】
本発明の第1の目的は、上述の公知な装置の代替案であって、持ち運び可能な小型の携帯角膜知覚計となり得るものを開示することである。
【0016】
本発明の別の目的は、輪郭が顕著に矩形、すなわち吹き出しを行う間の圧力値がほぼ一定である正確且つ異なる圧力で空気のパルスを噴射可能であって、これらすべてを満たしても小型化が損なわれない角膜知覚計である。
【0017】
当該角膜知覚計が自律的、且つ電気グリッドへの接続ケーブルを必要としない点も視野に入れている。次いで、空気吹き出しの実行及び制御に用いる機構は、角膜知覚計の自律性を損なわないよう、電池を用いる必要があることを想定して、電気圧縮装置、例えば電気モーター、ソレノイド又は他の種類の装置を必要としないことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の角膜知覚計の目的は携帯角膜知覚計であって、当該角膜知覚計の充填フェーズにおいて一定体積の気体を収容すべく意図された拡張可能な空洞を含み、第1のバルブ手段を介して気体の供給源に接続された送気装置と、第2のバルブ手段を介して送気装置に接続されていて、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて送気装置に収容されている当該体積の気体の吹き出しを、例えば患者の角膜等の目標に向けて誘導するのに適した排気ノズルと、当該角膜知覚計の上述の噴気フェーズにおいて、排気圧力をほぼ一定に維持すべく送気装置の拡張可能な空洞の制御された収縮により、送気装置に含まれる当該体積の気体の吹き出しを排気ノズルに向けて確実に放出する機構を含む携帯角膜知覚計である。
【0019】
本発明の角膜知覚計は、流量又は圧力レギュレータが気体の供給源と直列に配置されていないため角膜知覚計の小型化が可能になる。同様に、送気装置は排気圧力を、排出する気体の吹き出しを得るのに充分な極小体積の気体に圧縮可能にするため、公知の機材と比較してシステムの効率が大幅に向上する。同様に、要求された圧力で吹き出しを行うべく選択された解決策を小型化して、吹き出す気体の体積を少なくすることができる。更に、収縮が機械的に簡単に制御できる拡張可能な空洞を用いることで、時間が経過してもほぼ等しい圧力で空気の吹き出しを簡単且つ効果的に行うことができる。
【0020】
一変型例において、噴気フェーズにおける拡張可能な空洞の制御された収縮を確実に行う機構は、角膜知覚計の充填フェーズにおいて拡張可能な空洞の拡張の影響から位置エネルギーを蓄積すると共に、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて前記位置エネルギーを放出可能な弾性位置エネルギー蓄積手段を含んでいる。従って、噴気すべき気体の吹き出しが抽出される気体の体積を圧縮するためにモーター手段、特に電力を消費するものを使用する必要がない。
【0021】
好適には、弾性位置エネルギー蓄積手段は、角膜知覚計の充填フェーズにおいて引き伸ばされ、噴気フェーズにおいて一定の復元力を瞬時に印加する少なくとも1個の定圧ばねを含んでいる。これは、輪郭が矩形、すなわち圧力がほぼ一定の吹き出しが得られるべく寄与する簡単且つ効果的な方式である。
【0022】
本発明の一変型例によれば、拡張可能な空洞は可動壁を有し、当該機構は、定圧ばねで形成されている場合、可動壁と弾性位置エネルギー蓄積手段を機械的に連結する伝達手段を含んでいる。有利な特徴として、ばね又は位置エネルギー蓄積手段は必ずしも拡張可能な空洞の可動壁の移動方向に整列していないため、角膜知覚計内の要素を角膜知覚計の小型化に寄与すべく配置することができる。
【0023】
注目すべき点として、上述の伝達手段はラック及びピニオンにより伝達を行い、ラック部は拡張可能な空洞の可動壁に接合され、ピニオン部は弾性エネルギー蓄積手段に接合されていて、これらは全て、加圧気体の供給源から送られた気体を拡張可能な空洞へ取り込む角膜知覚計の充填フェーズにおいて、前記拡張可能な空洞の拡張は、可動壁を移動させ、次いでラック部を第1の方向に移動させることによりピニオン部が回転軸の回り且つ弾性位置エネルギー蓄積手段を緊張させる方向に確実に回転することで生じ、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて、拡張可能なチャンバが排気ノズルに接続されたならば、弾性エネルギー蓄積手段が、ラック部を第1の方向とは逆方向に確実に移動させると共に現時点で収縮方向にある拡張可能な空洞の可動壁を移動させる力のモーメントをピニオン部に印加することにより、蓄積された位置エネルギーを放出して、充填フェーズにおいて内部に蓄積された体積の気体を排出させるためである。
【0024】
本発明の特に精密な変型例によれば、当該機構は、少なくとも1個の定圧ばねの支持体であって、前記ばねを巻く/緩めるリール、及びばねがピニオン部に接合している動作終端の移動を誘導する直線ガイドが設けられた支持体を含み、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて当該ピニオン部に作用する復元力の印加点を決定する、上述のばね動作終端とピニオン部との接合部は、前記ピニオン部の固定された回転軸と自身との距離を維持すべく誘導されて移動可能な接合部であるため、復元力はピニオン部にほぼ一定値の力のモーメントを確実に印加する。
【0025】
本発明において、支持体と送気装置の少なくとも一方が角膜知覚計に載置されていて、噴気フェーズの開始時点でピニオン部の回転軸に対して、各々が復元力の印加点から異なる距離にある異なる安定位置をとり得る。
【0026】
注目すべき一変型例によれば、第1のバルブ手段は少なくとも2個の動作位置を取ることができ、一方は気体の供給源と送気装置の連通を阻止する閉鎖位置、他方は加圧気体の供給源と送気装置の連通を可能にする充填位置であり、角膜知覚計は更に、第1のバルブ手段の統括信号を生成することが可能な、送気装置の拡張可能な空洞の拡張計測値を検知する手段を含み、当該手段は上述の拡張可能な空洞が角膜知覚計の噴気に伴い所定体積の気体に対応する拡張計測値に達したならば充填位置から閉鎖位置まで移動して充填フェーズを終了する。
【0027】
当該変型例は、充填フェーズが空洞の可動壁の純然たる機械的停止により、例えば経路の終端、又は終端を有する機構7の任意の要素により停止されて、空洞が拡張できなければ空洞内の気体の圧力が高まるものと比較して有利であるが、加圧気体の供給源から気体を供給し続ける。この事実は、排気圧力の良好な制御に影響を及ぼし得る。
【0028】
上述の検知手段は光センサを含んでいてよい。
【0029】
拡張可能な空洞は、好適には、ピストングループ、バッグ又は軸ベローズのうちから選択されてよい。
【0030】
角膜知覚計は噴気カウンタを有していてよい。噴気カウンタは、拡張可能な空洞が1回の吹き出しに充分であるか又は角膜知覚計の噴気に伴う所定体積の気体に対応する拡張計測値に達したことを検知手段が検知した回数をカウントすることができる。
【0031】
角膜知覚計は噴気回数が所定の値に達したことを示す視覚及び/又は聴覚インジケータを備えていてよい。
【0032】
更に詳細に記述すれば、角膜知覚計は、上述の噴気フェーズにおいて、0.0003バール〜0.01バールの範囲の名目値の矩形パルスに従い、排気ノズルの口から4mmの距離で計測された排気圧力で0.3秒〜0.7秒間、好適には0.4〜0.6秒間にわたり、送気装置に含まれる気体の吹き出しを排気ノズルに向けて確実に放出することが可能である。
【0033】
本発明では気体の供給源が医療用圧縮気体の交換可能なカートリッジで形成されているものとする。
【0034】
代替的に、又は補間的に、角膜知覚計は第1のバルブ手段を介して周囲気体を空気として吸入可能にする拡張可能な空洞の制御された拡張を行うアクチュエータを備えているものとする。
【0035】
拡張可能な空洞の制御された拡張を行う前記アクチュエータは、前記拡張可能な空洞の可動壁を移動させ、前記アクチュエータは操作可能又はモーター駆動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明による携帯角膜知覚計の全体図である。
【
図2】本発明による角膜知覚計の主構成要素の基本図である。
【
図3】本発明による角膜知覚計で意図された従来用途を示す描図である。
【
図4】バルブ手段及び本発明による角膜知覚計の一変型例による送気装置の外部筐体又は上部の構成を示す描図である。
【
図5】可動壁の起動により角膜知覚計の送気装置から、拡張可能な空洞に収容された所定体積の気体の放出を確実に行う適当な機構の透視図である。
【
図6a】
図5による機構の一連の動作を示す描図であり、各々がフロー図及び対応する状態にある機構を含む描図である。
【
図6b】
図5による機構の一連の動作を示す描図であり、各々がフロー図及び対応する状態にある機構を含む描図である。
【
図6c】
図5による機構の一連の動作を示す描図であり、各々がフロー図及び対応する状態にある機構を含む描図である。
【
図8a】弾性位置エネルギー蓄積手段が拡張可能な空洞に対して異なる位置をとる
図5の機構を示す描図である。
【
図8b】弾性位置エネルギー蓄積手段が拡張可能な空洞に対して異なる位置をとる
図5の機構を示す描図である。
【
図9】公表されている現行技術水準の角膜知覚計装置により得られた気体の対応する吹き出しの輪郭形状を示す描図である。
【
図10】本発明の角膜知覚計により得られた気体の対応する吹き出しの輪郭形状を示す描図である。
【
図11】本発明の角膜知覚計により得られた気体の対応する吹き出しの輪郭形状を示す描図である。
【
図12】本発明による角膜知覚計の各変型例の主構成要素の対応する基本図である。
【
図13】本発明による角膜知覚計の各変型例の主構成要素の対応する基本図である。
【
図14】本発明による角膜知覚計の別の変型例、具体的には拡張可能な空洞収容された所定体積の気体の放出を確実に行う機構の長手方向の切断面を示す描図である。
【
図15a】弾性位置エネルギー蓄積手段が拡張可能な空洞に対して異なる位置をとる
図14の機構を示す描図である。
【
図15b】弾性位置エネルギー蓄積手段が拡張可能な空洞に対して異なる位置をとる
図14の機構を示す描図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に、本発明を例示する携帯端末角膜知覚計1を示す。角膜知覚計1は銃の形状をなす全般的構成を有し、握把又はグリップ状部と、
図3に示すように、角膜知覚計1が噴気する都度、気体の吹き出し14をパルス状に1パルスずつ患者の角膜に向けて誘導すべく排気ノズル12が配置された本体とを明示している。
【0038】
図2に、当該方式の角膜知覚計の主構成要素及びそれら関係を示す。角膜知覚計1は、第1のバルブ手段5を介して気体の供給源2に接続された送気装置4、及び第2のバルブ手段13を介して送気装置4に接続された排気ノズル12を含んでいる。
【0039】
本発明による角膜知覚計1に特徴的なのは、送気装置4が拡張可能な空洞6(
図5及び
図6a〜6c参照)を含んでいることである。拡張可能な空洞6は、角膜知覚計1の充填フェーズにおいて加圧気体3供給源2から供給される所定体積V1の気体3を受容して、角膜知覚計1の噴気フェーズにおいて所定体積V2の気体3を排気ノズル12に向けて排出することを目的としており、これら全てについて以下で詳述する。体積V1とV2が等しい場合もあるが必ずしもそうではなく、その理由は、充填フェーズの開始前に拡張可能な空洞6に気体3が収容されている可能性もあるため気体のバランスを考慮する必要があるからである。
【0040】
本例では、気体3の供給源2は、粒子を含まず、除菌済み、且つ油分及び水分を含まないことを特徴とする医療用圧縮気体、具体的には精製及び濾過された大気又は酸素と窒素を各々21%及び79%の比率で含む気体混合物の圧縮により得られる種類の医療用空気の交換可能なカートリッジ2aで形成されている。カートリッジの容積は400〜600mlの範囲であってよく、角膜知覚計が自身の機能を果たせるよう気体3の圧力は約5〜7バールの範囲にあってよい。しかし、後述するように他のオプションでは拡張可能な空洞6を気体で充満させるものとする。
【0041】
角膜知覚計1は、角膜知覚計の上述の噴気フェーズにおいて、送気装置4の拡張可能な空洞6の制御された、具体的には排気ノズル12の気体3の排気圧力をほぼ一定に保つべく制御された収縮により排出される所定体積V2の気体3の放出を確実に行う機構7を備えている。
【0042】
拡張可能な空洞6は、例えばピストン、軸ベローズ又はバッグの形式に構成されていてよい。本発明の実装例において、拡張可能な空洞6は軸ベローズ型であって、機構7に連結された可動壁6aを有している。拡張可能な空洞6は、
図4に示すような剛性外部ジャケット又は筐体6bに完全に又は部分的に収容されていてよく、これらは全て
図4に示すように接続ヘッドの機能を実行可能であって、角膜知覚計1の充填及び噴気フェーズにおいて拡張可能な空洞6に気体3を供給すると共に排気ノズル12に向けて気体3を排出すべく第1及び第2のバルブ手段5、13との流体接続を形成できる。
【0043】
図5に、本発明の注目すべき一変型例による、拡張可能な空洞6(一部のみ示す)及び上述の機構7により形成されたアセンブリをより詳細に示す。
【0044】
当該変型例において、機構7は、拡張可能な空洞6の制御された収縮を行うべく、角膜知覚計の充填フェーズにおいて流入する気体3の圧力を利用して拡張可能なチャンバが拡張した場合に位置エネルギーを蓄積可能であって、角膜知覚計の噴気フェーズにおいて前記位置エネルギーを放出する弾性位置エネルギー蓄積手段8を含み、これを利用して拡張可能な空洞6を収縮させて内部に貯蔵された所定体積V2の気体3を排出する。
【0045】
当該変型例により、電流源を必要とするモーター又はアクチュエータを使用せずに気体を駆動することができ、同時に角膜知覚計が簡素化され、当該機器の製造コストを市場に受け入れられるレベルに維持することができる。
【0046】
本例において、弾性位置エネルギー蓄積手段8は、角膜知覚計の充填フェーズにおいて変形して噴気フェーズにおいて一定の復元力F(
図7参照)を瞬間的に印加する定圧ばね18で形成されている。当該態様に注目すべき理由は、輪郭が矩形、すなわち値又は振幅が一定の、排気ノズル12を通る気体3の吹き出しを排出可能にするためであり、当該態様は良好な診断を実行して患者の検査から信頼できる結果を得られるようにするのに非常に重要である。本発明は、
図14に例示するように、複数の定圧ばね18の使用を考慮しており、この点について以下に述べる。
【0047】
定圧ばねは、引っ張りばねの公知且つ特別な変型例である。本例において、当該ばね18は、プリハードン鋼又はステンレス鋼の強く巻かれた帯で形成されている。他の可能な材料として炭素鋼又はInconel(商標)がある。
【0048】
本例において、拡張可能な空洞6は可動壁6aを有し、機構7は当該可動壁6aと定圧ばね18を機械的に連結する伝達手段9を含んでいる。
【0049】
上述の伝達手段9は、ラック及びピニオンによる伝達を含み、ラック部10は拡張可能な空洞6の可動壁6aに接合され、ピニオン部11はばね18に、特にその動作終端18aに接合されている。
【0050】
機構7は、前記ばねを巻く/緩めるリール15bが設けられた、定圧ばね18の支持体15、及び伝達手段9のピニオン部11に接合された上述のばね動作終端18aの移動を誘導する直線ガイド15aを有している。
【0051】
ピニオン部11は、本例において、角膜知覚計1のフレームに固定された回転軸11a又は支点の回りを回転可能なカンチレバーの形状をなしている。カンチレバーは回転軸11aの一方の側は伝達手段9のラック部10と係合する歯を備えていて、カンチレバーは回転軸11aの他方の側でばね8の動作終端18aに接合されている。次いで、直線ガイド15aに沿った一方向又はその逆方向への動作終端18aの直線移動によりカンチレバーに力のモーメントが印加されて回転軸11aの回りに回転が生じ、逆も成り立つ。
【0052】
本発明は高度に正確な角膜知覚計1の一変型例を提供するものであり、当該変型例は、ばね18の復元力により駆動される可動壁6aに対し拡張可能な空洞6の収縮方向に印加される力を、噴気操作中にばね18の動作終端18aの全経路にわたりほぼ一定に保つべく選択される。
【0053】
この目的のため、
図7に示すように、角膜知覚計1の当該補強された変型例において、ばね18の上述の動作終端18aとピニオン部11との間の接合部は、角膜知覚計の噴気フェーズにおいてピニオン部11に作用する復元力Fの印加点Pを決定し、ピニオン部11の回転軸11aと復元力Fが掛かる直線部分との距離である距離pが常に一定になるような可動接合部であるため、一定の力のモーメントが生じる。このためにカンチレバーは、ばね18の動作終端18aを前記カンチレバーに連結する、コネクタ24に設けられた突起24bがスライド可能なガイド要素又はガイド部11bを有し、
図5に拡大表示している。本例において、コネクタ24は、コネクタ24の当該部分に堅牢に接合され、且つばね18の動作終端18aが嵌合する受容部を有している。
【0054】
角膜知覚計1の動作原理について
図6a〜6cを参照しながら以下に述べる。
【0055】
図6aに示す待機状態Bにおいて、第1のバルブ手段5は、加圧気体の供給源2と送気装置4との間の連通を阻止する閉鎖位置5aをとる。好適には、第2のバルブ手段13もまた拡張可能な空洞6に含まれ得る残留気体3の排気を阻止する閉鎖位置13aをとる。
【0056】
図6bに示す充填フェーズAにおいて噴気を待つ上述の待機状態Bからバルブ手段5が起動されて、加圧気体の供給源2と送気装置4との間の連通を可能にする充填位置5bをとる。角膜知覚計1の充填フェーズAにおいて、加圧気体の供給源2から送られた気体3の拡張可能な空洞6への流入が可動壁6aを移動させることにより前記拡張可能な空洞6を拡張させ、次いてピニオン部11を回転軸11a回りの回転を確実に行う第1の方向に、及びばね18を引き伸ばして緊張させる方向にラック部10を移動させる。
【0057】
本発明は、角膜知覚計が、拡張可能な空洞6の拡張計測値を検知すべく第1のバルブ手段5の統括信号を生成可能な検知手段19を備えていて、上述の拡張可能な空洞6が、角膜知覚計の噴気に伴い排出される所定体積V2の気体3の吹き出しを生じさせるのに充分な気体の体積に対応する拡張計測値に達したならば、充填位置5bから閉鎖位置5aまで移動して充填フェーズAを終了するものとする。
【0058】
次いで
図6cに示す角膜知覚計の噴気フェーズCが、好適には自動的に開始されるが、ユーザーの操作に応答して開始されてもよいものとする。
【0059】
このため、第2のバルブ手段13が起動されて、所定期間、例えば0.5秒間に閉鎖位置13aから噴気位置13bまで移動することができる。
【0060】
この場合、第2のバルブ手段13、及び当然ながら第1のバルブ手段5も同様に電子機器であってよく、角膜知覚計1は、第2のバルブ手段13の開口時間が0.5秒に工場で設定されたタイマーを備えていても、又は代替的に、噴気フェーズCにおける気体の吹き出し持続時間として、工場で予めプログラムされた値のリストから値をユーザーが選択するか又は任意の値を入力できるようにする画面及び一連のボタン等、ユーザーが設定又は選択可能な他の手段を備えていてよい。
【0061】
第2のバルブ手段13が噴気位置13bをとったならば、ばね18は蓄積された弾性位置エネルギーをほぼ瞬時に放出し、伝達手段9のピニオン部11に復元力Fを印加してラック部10を確実に移動させて、現在収縮方向にある拡張可能な空洞6の可動壁6aを移動させ、充填フェーズAにおいて蓄積された気体3のうち排出対象である所定体積V2の気体3を排出する。
【0062】
噴気動作は、バルブ手段13が再度閉鎖位置13aをとった時点でバルブ手段13の動作により中断されるが、本例では0.5秒経過したならば中断される。
【0063】
次いで角膜知覚計1は
図6aに示すように再び待機位置Bにある。
【0064】
角膜知覚計は知覚感度の評価に用いられる装置である。角膜知覚計1の全機能を発揮できるようにすべく、空気吹き出しを異なる圧力で噴気する用意があることが重要である。
【0065】
本例の角膜知覚計1の機構7において、力のモーメントの値はMであり(
図7参照)、
[数1]
M=F*p
距離pが変更されたならば変化し得る。本発明の角膜知覚計1の別の態様ではこの原理を利用して、支持体15又は送気装置4の少なくとも一方を、各々が噴気フェーズCの開始時点で異なる距離pにある異なる安定位置をとり得る角膜知覚計に載置するものとする。
【0066】
本例の角膜知覚計1では第1の変形例を選択するが、これは支持体15が送気装置4に対して、より具体的には拡張可能な空洞6に対して異なる位置をとり得る角膜知覚計に載置されていることを意味する。この特徴は、
図8a、8bに示すものであり、
図8aは最も強い刺激を与える位置に対応し、
図8bは最も弱い刺激を与える位置に対応している。
【0067】
図示する形式において、支持体15と定圧ばね18は共に角膜知覚計1に載置されて誘導され、支持体15に設けられた対応する歯22と嵌合する車輪形式の起動手段23により拡張可能な空洞6に対する相対位置が変化し得る。車輪は指の圧力、すなわちユーザーにより手動で起動可能であり、角膜知覚計1には車輪又は支持体15に嵌合してこれらに異なる安定位置をとらせる弾性手段が設けられていてよく、各々の位置が異なる排気圧力での気体3の吹き出しの噴気に対応している。
【0068】
所望の圧力で空気吹き出しを行うべく調整可能ないくつかのパラメータがある。例えば充填フェーズAで拡張可能な空洞6に導入される気体3の体積及び/又は機構7のピニオン部11の初期角度位置及び/又は距離p及び/又は初期状態で拡張可能な空洞6に存在する気体3の体積及び/又は距離p(最終的に角膜知覚計の支持体15を拡張可能な空洞6に対して最大5個の異なる位置をとらせるよう選択)及び/又は角膜知覚計1に応答して調整可能な他のパラメータのうち定圧ばね18の特徴を変えながら異なる試験を実行した結果、以下の表1、2に示す特徴を有する携帯角膜知覚計1の最適設計が実現された。
【0070】
表1:5個の異なる空気吹き出しオプションの各々に対する角膜知覚計のパラメータ。(*)値は角膜知覚計の排気ノズルから4mmの距離で計測された。
【0072】
表2:5個の異なる空気吹き出しオプションの各々に対する角膜知覚計のパラメータ。
【0073】
角膜知覚計1が提供する、異なる強さで空気の吹き出しを複数回行うことが可能な多用途性に加え、これらの吹き出しがほぼ一定の名目値で矩形の輪郭に沿うため、本態様も当分野の技術水準で文書化された他の角膜知覚計に比べて向上している。
【0074】
特許文献WO第9317613号から抜粋した
図9に、公知の角膜知覚計機材から得られる空気吹き出しの時間経過に伴う輪郭を例示しており、上側の輪郭が、公知の技術を補強したと思われる角膜知覚計の輪郭に対応している。
【0075】
上述の輪郭とは対照的に、
図10、11に各々0.0086バール及び0.00046バールの目標圧力で本発明の目的である角膜知覚計により得られた対応する気体の吹き出しの輪郭形状を示す。これらの吹き出しが示す矩形輪郭及び特にほぼ一定の圧力値により気体のパルスがどのように得られたかに注目されたい。
【0076】
気体2の供給源が交換可能なカートリッジの形式である本発明の角膜知覚計1の変型例において、
図2に破線で示す主構成要素が角膜知覚計1の本体に収容可能である一方、前記カートリッジがハンドルとして構成された部分に収容可能である。
【0077】
加圧気体3のカートリッジの再充電は任意の電子機器で電池を交換する従来の操作と同程度に簡単である。しかし本発明は、カートリッジの電源が消耗間近になる時点を推定して角膜知覚計の予防的保守を実行できることを目標として角膜知覚計に噴気カウンタを設ける。
【0078】
角膜知覚計が検知手段19を装備できることを利用して、本発明の一変型例では噴気カウンタが、角膜知覚計の1回の噴気に伴い拡張可能な空洞6が気体3の所定体積に達したことを検知手段19が検知した回数をカウントする。換言すれば、カウンタは充填フェーズAが完了した回数をカウントすることより、カートリッジから抽出された気体3の体積を推定することが可能になる。
【0079】
気体3を収容するカートリッジの容量が分かっていれば、噴気回数が所定の値に達したことを示してカートリッジ交換を行うべき旨を警告する視覚及び/又は音声インジケータ21を角膜知覚計に設ける必要性が薄れる。
【0080】
図12、13に本発明による角膜知覚計の代替的な変型例を示し、拡張可能な空洞6への気体3の供給に言及している。
【0081】
これらの変型例において、気体3の供給源2としてカートリッジ2aを用いるのではなく、角膜知覚計に、第1のバルブ手段5を介して周囲気体を空気として吸入可能にする拡張可能な空洞6の制御された拡張25を行うアクチュエータを設けている。
【0082】
拡張可能な空洞6の制御された拡張25を行うアクチュエータは、前記拡張可能な空洞6の可動壁6aを移動させるものであり、前記アクチュエータは操作可能、すなわち
図12に示すように手動で起動可能であるか、又は例えば
図13に示すようにソレノイド装置によりモーター駆動される。
【0083】
角膜知覚計の動作原理は上述のものと同一であるが、異なる点は、充填フェーズにおいて噴気を待つ待機状態Bからバルブ手段5が起動されることにより、気体の供給源2と送気装置4との間の連通が可能になるが、気体の供給源2は今回周囲空気である。角膜知覚計の充填フェーズにおいて、拡張可能な空洞6への気体の流入は、既に言及した拡張可能な空洞6の制御された拡張25を行うアクチュエータによる拡張可能な空洞の可動壁6の
図12、13の矢印で示す方向への移動により生じる吸入により行われる。
【0084】
加圧気体3のカートリッジ2aを備えた角膜知覚計の方式と同様に、伝達手段9による可動壁6aの移動が弾性位置エネルギー蓄積手段8を引き伸ばして緊張させる。
【0085】
図14に、ソレノイド装置の形式でモーター駆動される拡張可能な空洞6の制御された拡張25を行うアクチュエータを備えた
図13に示す解決策を実行する角膜知覚計1を示す。本方式では、弾性位置エネルギー蓄積手段8がこの場合は伝達手段9に並行して作用する2個の定圧ばね18、18’を含み、他の場合では単一の定圧ばねを有する角膜知覚計の方式と類似している点に注意されたい。
【0086】
図14の当該方式はまた、本発明が、角膜知覚計の主構成要素により形成されたアセンブリが正しく組み立てられていれば自立的であることを前提とすることを示すために用いられる。この目的のため、当該アセンブリには一種のフレーム又はベースプレート26が設けられていて、これに弾性位置エネルギー蓄積手段8の支持体15が、誘導されて移動可能なように結合されていて、前記支持体が伝達機構9に対して、弾性位置エネルギー蓄積手段8により、上述のフレーム又はベースプレート26に堅牢に固定された拡張可能な空洞6の可動壁6aに伝達される力を変調可能にする異なる位置をとることができる。この特徴は
図15a、15bに示すものであり、
図15aは最も強い刺激を有する位置に対応し、
図15bは最も弱い刺激を有する位置に対応している。
【0087】
これらの例において、上述の誘導された移動は、ガイド及びピン集合により、具体的には、ばね18、18’の中心に垂直なフレーム又はベースプレート26に接合され且つ支持体15に設けられた孔に沿うように挿入された直線ロッド27の形状のピンにより、前記支持体がロッドに沿ってスライド可能なように行われる。
【国際調査報告】