(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528174(P2021-528174A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】移動補助のためのシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
A61H 3/00 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
A61H3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2020-571602(P2020-571602)
(86)(22)【出願日】2019年4月9日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月16日
(86)【国際出願番号】US2019026605
(87)【国際公開番号】WO2019245633
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】62/686,128
(32)【優先日】2018年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520498549
【氏名又は名称】モべオ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MOVEO SRL
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パニツォーロ,ファウスト・アントーニオ
(72)【発明者】
【氏名】ジリオ,ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ディ・リッド,ラウラ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA09
4C046AA25
4C046AA42
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD06
4C046DD38
4C046DD39
4C046DD41
4C046DD43
(57)【要約】
たとえば、移動が困難になった人々が歩容時に使用するエネルギを減少させること、ならびに疲労および関節への負荷を減少させることを助けるための、移動補助のためのシステムおよび装置が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、たとえばエクソスケルトンなどの歩行補助装置がユーザに連結され得る。上記装置は、ユーザの胴部に連結され得るハーネスと、ユーザの脚部に連結され得る支持部とを含み得る。上記装置は、重複歩または他の体の動きの際に拡張して筋肉の緊張を軽減して歩行の代謝コストを高めることができる、ハーネスおよび支持部に連結される弾性変形可能な部材をさらに含み得る。弾性変形可能な部材は、歩容周期の位相時に機械的エネルギを蓄積および放出して、股関節で生成される生物学的トルクに追加のトルクを与えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行補助装置であって、
ユーザの胴部に連結されて前記胴部に対する自身の位置を維持するように構成されるハーネスと、
前記ユーザの脚部に連結されて前記脚部に対する自身の位置を維持するように構成される支持部と、
前記ハーネスおよび前記支持部に連結される弾性変形可能な部材とを備え、前記部材は、重複歩時に第1の弛緩状態から第2の拡張状態に遷移して、前記重複歩時に前記ユーザが必要とする力およびエネルギのいずれかを減少させるように構成される、歩行補助装置。
【請求項2】
前記弾性変形可能な部材は、前記支持部および前記ハーネスに力を及ぼして、前記胴部に対する前記脚部の屈曲および伸展のいずれかを助ける、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弾性変形可能な部材は、前記第1の状態から前記第2の状態への遷移時に機械的エネルギを蓄積し、前記第2の状態から前記第1の状態への遷移時に機械的エネルギを放出して、前記ユーザの股関節における屈曲および伸展のいずれかを助ける、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弾性変形可能な部材は、調整可能な接続部材を用いて前記ハーネスおよび前記支持部のいずれかに連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記調整可能な接続部材の長さを変えて、前記弾性変形可能な部材にさまざまなレベルの予負荷を与えることができる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記弾性変形可能な部材は、ばねまたはエラストマーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記弾性変形可能な部材は受動的である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハーネスはユーザの股関節に巻き付けられるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記弾性変形可能な部材は、ベルクロ、バックル、クリップ、および接着剤のうちの1つ以上を用いて前記ハーネスおよび前記支持部に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記弾性変形可能な部材に連結されるコネクタをさらに備え、前記コネクタは前記ハーネスの一部を中に通して受けるように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記コネクタは、前記弾性変形可能な部材の一部を中に通して受けて前記コネクタを前記弾性変形可能な部材に固定する第1の開口部と、前記ハーネスの一部を中に通して受けて前記コネクタを前記ハーネスに固定する第2の開口部とを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ハーネスの前記一部は、前記ハーネスから延びるストラップを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ユーザの第2の脚部に連結されるように構成される第2の支持部と、
前記ハーネスおよび前記第2の支持部に連結される第2の弾性変形可能な部材とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ハーネスは、前記ハーネスの第1の端部の上の第1の固定特徴が前記ハーネスの第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって前記胴部に対する前記ハーネスの位置を維持するように前記胴部を取り囲むことによって、前記胴部に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記支持部は、前記支持部の第1の端部の上の第1の固定特徴が前記支持部の第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって前記脚部に対する前記支持部の位置を維持するように前記脚部を取り囲むことによって、前記脚部に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ハーネスは、前記ハーネスの外面にわたって離間している複数の固定特徴を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記支持部は、前記支持部の外面にわたって離間している複数の固定特徴を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ハーネスの周囲は、前記ハーネスの前記第1の端部を前記ハーネスの前記外面の上の前記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能である、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記支持部の周囲は、前記ハーネスの前記第1の端部を前記支持部の前記外面の上の前記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能である、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記支持部は、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られる、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記ハーネスは、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られる、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記支持部は、前記支持部の長さに沿って延びて前記支持部の構造を補強して前記支持部の前記長さにわたって負荷を分散させるストラップをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年6月18日に出願された米国仮出願第62/686,128号の利益を主張する。この出願の全内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
たとえば、移動が困難になった人々が歩容時に使用するエネルギを減少させること、ならびに疲労および関節への負荷を減少させることを助けるための、移動補助のためのシステムおよび装置が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
背景
歩行は人間の移動の最も一般的な形態である。人間は、選択された速度を変えることによって自分の歩容を異なる地形に、かつ異なる作業に応じて適応させているが、長年の進化によって筋骨格系はエネルギ消費について最適化されるように細かく調整されている。特に、人間は歩行の最中に、固定距離に費やされる代謝コストを最小限に抑える歩行速度を採用することを決定している。
【0004】
進化の発達にもかかわらず、人間はさまざまな理由(たとえば、老化および筋萎縮、長時間の激しい運動による疲労等)で歩行能力が低下する。たとえば、高齢者は筋肉量が減少し(サルコペニア)、その結果として好ましい歩行速度が低下する。さらに、この筋肉量の減少は近位筋群よりも遠位筋群に影響を及ぼすため、全体的な歩行力学が変化する。したがって、若年成人では足関節は速歩の力学的仕事の主な発生源であるが、この関節にまたがる筋肉の量の減少は、高齢者における力学的仕事の主な寄与因子である股関節につながる。
【0005】
歩行速度の低下に加えて、老化に伴い安定性が低下する。安定性の減少は転倒のリスク増加に関連しており、転倒は死亡事故および怪我による救急来院の主な原因である。そのため、転倒による怪我の治療に伴う費用は高く、人の転倒を防止可能な補助装置はこの問題の効果的な解決策であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歩行速度の低下および不安定性の増加は、たとえば高齢者などのさまざまな人口集団における全体的な移動性の低下を引き起こす。その結果、影響を受けた人口集団は、歩行速度が低下して歩行距離が短くなる傾向があり、一般に活動が低下し、十分な量の運動を行わなくなる。そのため、高血圧、心血管リスクの増加、肥満、および不活動に伴う他の疾患は、高齢者などの低移動性集団における発生率が高い。
【0007】
近年の技術開発により、歩行を改善して転倒のリスクを減らすロボット補助装置が製造されている。これらのシステムは一般に電気機械アクチュエータによって電力が供給され、当該アクチュエータは、装着者の関節を補助するトルクを印加することにより、その下に作用する筋肉のエネルギ需要に関連する負担を軽減する。歩行補助装置は通常、人間歩行の異なる位相を検出して電気機械的補助を適切に与えるウェアラブルセンサおよびオンボードコントローラを埋め込んでいる。
【0008】
これらのシステムは、目覚ましい結果を示しているが、通常は剛性フレームで構成されており、これにより、構造体が高い補助力を維持および伝達することができる。それでもやはり、メインフレームに関連する質量の面でペイロードが高く、これらのシステムに組み込まれることが多い電子機器およびバッテリは、歩行を補助するための効果的なツールとしてのこれらのシステムの日常使用を厳しく制限し得る。システムに電力を供給するのに必要なバッテリをこれらのシステムと共に使用すると、使用時間が電源自体の持続時間まで短くなる。
【0009】
これらおよび他の課題に鑑みて、改善された移動補助のための装置およびシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
たとえば、移動が困難になった人々が歩容時に使用するエネルギを減少させること、ならびに疲労および関節への負荷を減少させることを助けるための、移動補助のためのシステムおよび装置が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、たとえばエクソスケルトンなどの歩行補助装置をユーザの1つ以上の身体部分に連結して、ユーザに対する装置の位置を維持することができる。上記装置は、ユーザの胴部に連結され得るハーネスと、ユーザの脚部に連結され得る支持部とを含み得る。上記装置は、重複歩(walking stride)または他の体の動きの際に伸縮して筋肉の緊張を軽減して歩行の代謝コストを高めることができる、ハーネスおよび支持部に連結される弾性変形可能な部材をさらに含み得る。弾性変形可能な部材は、歩容周期の位相時に機械的エネルギを蓄積および放出して、股関節で生成される生物学的トルクに追加のトルクを与えることができる。これにより、すべての移動レベルのユーザを補助することができ、いくつかの実施形態では、たとえば高齢の人々などの特定の限られた移動性集団においてよく見られる股関節強度低下の増強を助けることができる。
【0011】
本願に開示される装置の例示的な実施形態は、2つの身体部分の間にアンカー固定されてユーザが動く際に補助を提供する弾性要素および/またはばね要素を含み得る。たとえば、弾性変形可能な部材は、弾性変形可能な部材が胴部とたとえば大腿、膝、および/または下腿などの脚の一部との間に延びて内部にエネルギを蓄積するようにユーザにアンカー固定されることができる。この延びは、重複歩時など、かかとが固体表面との接触位置から動いて固体表面から持ち上げられると起こり得る。蓄積されたエネルギは、歩行を開始するために脚筋が生成する正および負の仕事の一定の割合を蓄積した結果であり得る。歩行時に装置を装着すると、弾性変形可能な部材は脚筋と平行にさまざまな長さに伸縮して、蓄積されたエネルギの一定の割合を用いることによってユーザを補助して、股関節屈曲伸展、および歩容時に上げた脚が歩行面に接触する前の当該脚の前進運動を助けることができる。
【0012】
弾性変形可能な部材はさまざまな構成を含み得る。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材は、1つ以上のコイルを有するばねを含み得る。コイルの長さ、厚み、コイルの数、および材料弾性係数などのパラメータを変化させて特定のユーザについての調整を助けることができる。他の実施形態では、弾性変形可能な部材は、上述の動きによって圧縮されてその長さが変化してユーザが動く際に補助を提供することができる圧縮ばね、コイル、ウェーブ、またはワッシャを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、ハーネスおよび/または胴部にアンカー固定される弾性変形可能な部材の端部を、作動部、受動的な機械的リンク機構等によって外部から動かすことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、当該部材の動きを、反対側の脚部につながれたリンク機構を介して能動的に制御するまたは受動的に制御することができる。この動きは、歩容周期内のさまざまな点で弾性要素を始動させるようにばね要素を伸長または圧縮させるように作用し得る。この動きを用いて、たとえば、弾性要素の機能をオフにすること、および、ばね要素に追加のエネルギを与えて、本願に開示されるシステムの1つ以上の構成要素を有する受動的な機械的リンク機構によって動かされる装着者に与えられる補助を増加させることができる。さらなる例として、いくつかの実施形態では、部材のうちの1つの拡張および弛緩を、反対側の脚部にアンカー固定された別の弾性変形可能な部材の動きによって能動的におよび/または受動的に制御することができる。この動きは、部材106が歩容周期中のさまざまな点で始動するように部材106を伸長および/または圧縮させることができる。たとえば、胴部と第1の脚部との間にアンカー固定される1つの部材106が弛緩状態から複数の拡張状態に遷移すると、反対側の脚部にアンカー固定される第2の部材は複数の拡張状態のうちの1つから弛緩状態に遷移することができる。反対側の弾性変形可能な部材を弛緩状態にすることによって、部材は受動エネルギを蓄積する位置に戻り、部材は次の脚の振り出し時の拡張の準備をする。
【0014】
一局面において、ハーネスと、支持部と、弾性変形可能な部材とを含み得る歩行補助装置が提供される。上記ハーネスは、ユーザの胴部に連結されて上記胴部に対する上記ハーネスの位置を維持するように構成され得、上記支持部は、上記ユーザの脚部に連結されて上記脚部に対する上記支持部の位置を維持するように構成され得、上記弾性変形可能な部材は、上記ハーネスおよび上記支持部に連結され、重複歩時に第1の弛緩状態から第2の拡張状態に遷移して、上記重複歩時に上記ユーザが必要とする力およびエネルギのいずれかを減少させるように構成され得る。
【0015】
本明細書に記載される装置および方法は多数の追加の特徴および/または変形例を有することができ、そのすべてが本開示の範囲内にある。いくつかの実施形態では、たとえば、上記弾性変形可能な部材は、上記支持部および上記ハーネスに力を及ぼして、上記胴部に対する上記脚部の屈曲および伸展のいずれかを助け得る。特定の実施形態では、上記弾性変形可能な部材は、上記第1の状態から上記第2の状態への遷移時に機械的エネルギを蓄積し、上記第2の状態から上記第1の状態への遷移時に機械的エネルギを放出して、上記ユーザの股関節における屈曲および伸展のいずれかを助け得る。
【0016】
特定の実施形態では、上記弾性変形可能な部材は、調整可能な接続部材を用いて上記ハーネスおよび上記支持部のいずれかに連結され得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記調整可能な接続部材の長さを変えて、上記弾性変形可能な部材にさまざまなレベルの予負荷を与えることができる。上記弾性変形可能な部材は受動的であり得る。そしていくつかの実施形態では、上記弾性変形可能な部材は、ばねまたはエラストマーを含み得る。
【0017】
特定の実施形態では、上記ハーネスはユーザの股関節に巻き付けられるように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記弾性変形可能な部材は、ベルクロ(登録商標)、バックル、クリップ、および接着剤のうちの1つ以上を用いて上記ハーネスおよび上記支持部に連結され得る。そしていくつかの実施形態では、上記装置は上記弾性変形可能な部材に連結されるコネクタを含み、上記コネクタは上記ハーネスの一部を中に通して受けるように適合され得る。上記コネクタは、上記弾性変形可能な部材の一部を中に通して受けて上記コネクタを上記弾性変形可能な部材に固定する第1の開口部と、上記ハーネスの一部を中に通して受けて上記コネクタを上記ハーネスに固定する第2の開口部とを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記ハーネスの上記一部は、上記ハーネスから延びるストラップを含み得る。
【0018】
特定の実施形態では、上記装置は、上記ユーザの第2の脚部に連結されるように構成される第2の支持部と、上記ハーネスおよび上記第2の支持部に連結される第2の弾性変形可能な部材とをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、上記ハーネスは、上記ハーネスの第1の端部の上の第1の固定特徴が上記ハーネスの第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって上記胴部に対する上記ハーネスの位置を維持するように上記胴部を取り囲むことによって、上記胴部に連結され得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記支持部は、上記支持部の第1の端部の上の第1の固定特徴が上記支持部の第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって上記脚部に対する上記支持部の位置を維持するように上記脚部を取り囲むことによって、上記脚部に連結され得る。
【0019】
特定の実施形態では、上記ハーネスは、上記ハーネスの外面にわたって離間している複数の固定特徴を含み得る。そしていくつかの実施形態では、上記支持部は、上記支持部の外面にわたって離間している複数の固定特徴を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記ハーネスの周囲は、上記ハーネスの上記第1の端部を上記ハーネスの上記外面の上の上記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能であり得る。そしていくつかの実施形態では、上記支持部の周囲は、上記ハーネスの上記第1の端部を上記支持部の上記外面の上の上記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能である。
【0020】
特定の実施形態では、上記支持部は、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られ得る。いくつかの実施形態では、上記ハーネスは、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られ得る。さらに、いくつかの実施形態では、上記支持部は、上記支持部の長さに沿って延びて上記支持部の構造を補強して上記支持部の上記長さにわたって負荷を分散させるストラップをさらに含み得る。
【0021】
上述の特徴または変形例はいずれも、多数の異なる組み合わせで本開示の任意の特定の局面または実施形態に適用可能である。任意の特定の組み合わせが明示的に記載されていないのは、本概要における繰り返しを避けるために過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】ユーザに連結された装置の一実施形態の正面図である。
【
図2D】
図2Aのハーネスに取り付けられる固定特徴の斜視図である。
【
図2F】追加の肩ストラップを含む
図2Eのハーネスの斜視図である。
【
図4A】弾性変形可能な部材の一実施形態の第1の表面の概略図である。
【
図4B】
図4Aの弾性変形可能な部材の第2の表面の概略図である。
【
図5A】コネクタおよび支持部に連結されてこれらの間に延びる弾性変形可能な部材の斜視図である。
【
図6A】ユーザに連結された装置の一実施形態の正面図である。
【
図7】
図6Aの装置のハーネスの外面の概略図である。
【
図10】弾性変形可能な部材の一実施形態の正面図である。
【
図12】
図11の弾性変形可能な部材の支持部の正面図である。
【
図13A】コネクタに連結された弾性変形可能な部材の別の実施形態の正面図である。
【
図14A】コネクタの別の実施形態の正面図である。
【
図15A】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15B】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15C】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15D】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15E】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15F】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15G】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図15H】
図13Aのコネクタおよび弾性変形可能な部材の、支持部に連結されるステップ時の斜視図である。
【
図17】調整可能なストラップが中に挿入されて
図13Aのコネクタに連結された
図16の受け部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
たとえば、移動が困難になった人々が歩容時に使用するエネルギを減少させること、ならびに疲労および関節への負荷を減少させることを助けるための、移動補助のためのシステムおよび装置が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、たとえばエクソスケルトンなどの歩行補助装置をユーザの1つ以上の身体部分に連結して、ユーザに対する装置の位置を維持することができる。上記装置は、ユーザの胴部に連結され得るハーネスと、ユーザの脚部に連結され得る支持部とを含み得る。上記装置は、重複歩または他の体の動きの際に拡張して筋肉の緊張を軽減して歩行の代謝コストを高めることができる、ハーネスおよび支持部に連結される弾性変形可能な部材をさらに含み得る。弾性変形可能な部材は、歩容周期の位相時に機械的エネルギを蓄積および放出して、股関節で生成される生物学的トルクに追加のトルクを与えることができる。これにより、すべての移動レベルのユーザを補助することができ、いくつかの実施形態では、たとえば高齢の人々などの特定の限られた移動性集団においてよく見られる股関節強度低下の増強を助けることができる。
【0024】
本明細書に開示される装置および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の1つ以上の例を添付の図面に示す。当業者は、本明細書に具体的に説明されて添付の図面に図示される装置および方法は非限定的な例示的な実施形態であることを理解するはずである。1つの例示的な実施形態に関連して図示または説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。
【0025】
図1A〜
図1Cは、補助歩行に用いられ得る装置100の一実施形態を示す。たとえば、装置100を、装置の位置がユーザに対して維持されるようにユーザの身体部分に連結することができる。装置100を装着して、疲労および筋骨格系の関節に対する負荷を減らして、歩行および/または歩容時の適切な姿勢の維持に関連するエネルギ負担を軽くしつつ、快適さを維持することができる。図示のように、装置100はハーネス102を含み得る。ハーネス102は、たとえば腰部および/または臀部などのユーザの身体部分の形状に適合して、装着時の快適さを可能にすることができる。図示のように、ハーネスはユーザの腰部を取り囲んで腰部に連結することができる。いくつかの実施形態では、ハーネスは、追加のクッションを提供して装着時のハーネスの快適さを高めるパッド103または他の特徴を含み得る。ハーネス102は、ユーザの形状に適合することによって薄型を維持できるため、ユーザはハーネス102を個別的に装着することができる。
【0026】
装置100は1つ以上の支持部104を含み得る。各支持部104は、ハーネス102に接続して股関節と脚部との間に2つの接触点を作り出して補助歩行を支持することができる。支持部104は、たとえば大腿および/または脚の他の部分などのユーザの身体部分の形状に適合して、装着時の快適さを可能にすることができる。図示のように、支持部104は大腿に巻き付けることができるが、いくつかの実施形態では支持部を膝および/または下腿に巻き付けてもよい。支持部104を1本以上のストラップ105、107によってユーザに固定することができる。
図1Bおよび
図1Cに示すように、支持部が脚部を取り囲んだ後、ストラップ105、107を用いて脚部に対する支持部104の位置をさらに固定することができる。
【0027】
ハーネス102および支持部104は弾性変形可能な部材106によって互いに接続可能である。弾性変形可能な部材106は、歩容周期の特定の位相において機械的エネルギを蓄積および放出することができる。弾性変形可能な部材106は、ハーネスと支持部との間の距離に基づいて変形可能である。以下にさらに説明するように、部材106を伸ばして変形させてその長さを増加させて、部材106をより弛緩した状態から1つ以上の拡張状態に遷移させることができる。弛緩状態は、弾性変形可能な材料の真の弛緩状態であってもよいし、いくつかの実施形態では、ある程度の量の弾性変形が弛緩状態において存在するように弾性変形可能な材料に予負荷を加えてもよい。この予負荷の印加を用いて、弾性変形可能な部材が生成する力を増加させることにより、ユーザの移動(たとえば、歩行)時により大きな補助を提供することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置100の装着者の具体的な特性に基づいて弾性変形可能な部材106をカスタマイズおよび/またはチューニングすることができる。部材106をチューニングすることにより、ユーザの動きを妨害または邪魔することなく、部材がユーザの歩容時の所望の時点で所望のレベルの補助力を提供するように適切に調整されることを確実にすることができる。弾性変形可能な部材106のチューニングは、たとえば、体重、身長、脚長等を含む多数のパラメータに基づくことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材の長さ、幅、厚み、剛性、および/または他のパラメータを変化させて特定のユーザについての調整を助けることができる。たとえば、装置がユーザに快適にフィットすることを確実にするように、弾性変形可能な部材のサイズまたは材料をユーザの身体部分の高さ、重さ、および/または長さに基づいて変えることができる。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106がより大きな力を吸収して当該力をユーザおよび/または装置に及ぼすことができるように、当該部材の厚みを増加させることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ハーネスと支持部とを接続する際に弾性変形可能な部材106を1回、2回、または3回以上折り畳むことができる。そのような実施形態では、当該部材はより大きな力に耐えることができ、耐破断性が向上し得る。
【0030】
弾性変形可能な部材106はさまざまな構成を含み得る。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材は材料の層で構成され得る。たとえば、弾性変形可能な部材は、単一材料または異なる材料の2層以上を含み得る。異なる材料を使用することにより、単一材料の使用では達成できない場合がある、単一の所望の正味の効果を生み出すことができる。材料の層は、所望量の変形、拡張、および支持を生じさせるように材料を選んで当該選択材料を積層することによってチューニングすることができる。いくつかの実施形態では、積層材料は、材料を互いに独立したさまざまな方向に伸ばすことができるように、異なる弾性を有し得る。
【0031】
図示のように、弾性変形可能な部材106は支持部104から近位に延びてハーネス102の一部によって受けられることができるが、いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106はハーネス102から延びて支持部104の一部によって受けられてもよいことが認識されるはずである。弾性変形可能な部材106は、部材を脚部の形状に適合させて装着時の快適さを可能にする、図示のような幅広の平坦な形状を有し得る。部材106は、脚部の形状に適合して使用時に変形することによって薄型を維持できるため、脚部の表面に実質的に平坦に接触することができるので、ユーザは装置100を個別的に用いることができる。弾性変形可能な部材106は脚部の前面に沿う、たとえばユーザの大腿四頭筋に沿うことができるが、装置は、弾性変形可能な部材がたとえば膝腱などの脚部の後面、または脚部の側面に沿って延びるように設定されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106は、1つ以上のコイルを有するばねを含み得る。コイルの長さ、厚み、コイルの数、および材料弾性係数などのパラメータを変化させて特定のユーザについての調整を助けることができる。他の実施形態では、弾性変形可能な部材106は、圧縮されて部材106を拡張状態からより弛緩した状態に遷移させてユーザが動く際に補助を提供することができる圧縮ばね、コイル、ウェーブ、またはワッシャを含み得る。
【0033】
装置100は、弾性変形可能な部材106を装置の他の構成要素に取り付けるためのコネクタ108を含み得る。たとえば、図示のように、コネクタ108を弾性変形可能な部材106に取り付けて、支持部104をハーネス102に連結することができる。コネクタ108は、弾性変形可能な部材およびハーネスを中に通して受ける1つ以上の開口部を中に有し得る。コネクタ108は、コネクタ108および/または部材106が脚部の形状に適合することにより装着時の快適さを可能にすることができる弓形形状を有し得る。コネクタ108は、脚部の形状に適合することによって薄型を維持できるため、脚部の表面に接触することができる。
【0034】
コネクタ108を調整可能なストラップ109(たとえば、ラチェットストラップ、連続調整可能なバックルストラップ等)に連結して、支持部104をハーネス102に連結することができる。たとえば、図示のように、調整可能なストラップ109はハーネス102から延びて、弾性変形可能な部材106に連結されるコネクタ108に取り付けられることができる。調整可能なストラップ109により、支持部およびハーネスがユーザに連結されるとストラップの長さLを調整することができる。たとえば、ラチェットストラップを利用する実施形態では、ラチェットストラップは複数の段を含むことができ、隣接する段の間で動かされてコネクタとハーネスとの間の距離を変えることができる。調整可能なストラップ109の長さLを短くするように調整することにより、弾性変形可能な部材106に予負荷を加えて、弛緩状態において存在する弾性変形量を変えることができ、その結果として、弾性変形可能な部材が弛緩状態からより拡張した状態に移る際に生成する力の量を調整することができる。各拡張状態において弾性変形可能な部材106が蓄積するエネルギ量は、ラチェットストラップ109の長さLに反比例し得る。
【0035】
上述のように、
図1A〜
図1Cに示すように、ハーネスをユーザの腰部に連結することができ、支持部を脚部に連結することができるが、以下にさらに説明するように、装置の他の向きも可能であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、装置100はユーザの片脚に連結する単一の支持部104および弾性変形可能な部材106を含むことができるが、他の実施形態では、装置100はユーザの第2の脚部に連結される第2の支持部および弾性変形可能な部材を含む第2の支持部構造体101を含んでもよい。
【0036】
図2A〜
図2Cは、平らに広げたハーネス102の一実施形態を示す。ハーネス102は、1つ以上の延在部110および1つのクッション112を含み得る。
図2Aに示すように、装置100は、クッション112から延びる第1の延在部110aおよび第2の延在部110bを含み得る。第1および第2の延在部110a、110bは、ユーザの胴部を取り囲んで胴部に対するハーネス102の位置を固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の延在部110a、110bの各々は、胴部の周りにハーネスを固定するバックル113a、113bを含むことができるが、いくつかの実施形態では、延在部を互いにつないで、接着して、ステープル留めして、または他の方法で取り付けて、ハーネスの位置を固定してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ハーネス102は、ハーネスをユーザに固定するための固定特徴(たとえば、フックおよびループファスナ)(図示せず)を自身の上に含み得る。固定特徴は、ハーネス102の外面の長さに沿って均一に分散させることができるが、いくつかの実施形態では、外面が自身の上に単一の固定特徴を含んでもよい。固定特徴はさまざまな方法で互いにインターフェイス接続可能である。固定特徴のうちの1つ以上は、対応する固定特徴の対応するループに取り付けられるように成形されるフックを含み得る。たとえば、ハーネス102の第1の端部は、ハーネスの第2の端部に位置する第2の固定特徴に重なって胴部に対するハーネス102の位置を維持する固定特徴を含み得る。ハーネス102の周囲は、さまざまなサイズのユーザにフィットするように、ハーネスの第1の端部をハーネスの外面に沿って位置決めされた複数の固定特徴のうちの別の固定特徴に固定することによって調整可能であり得る。追加のベルトおよび/またはストラップを用いてハーネスの構造およびそのアンカー固定点を補強して、ハーネス全体に負荷を分散させ、ハーネスが連結される身体部分が受け得る擦れを減少させることもできる。
【0038】
クッション112は、1つ以上の身体部分に当接してハーネス102をユーザに固定することができる。
図2Bおよび
図2Cに示すように、クッション112は内面114および外面116を含み得る。内面114は、身体部分と位置合わせされてハーネスの快適な連結を可能にする1つ以上のインターフェイス118を含み得る。クッション112は、ハーネス102がユーザに装着された際に軽量で、快適で、通気性があり、柔軟であるように、ユーザに対して位置決めされることができる。内面114、外面116、およびインターフェイス118のうちの1つ以上は、ナイロン、ネオプレン、穴の開いたネオプレン、ミッレリーゲ(Millerighe)(たくさんの細いストライプが入った織物)、ならびに、装着時の擦れおよび/または皮膚への刺激を最小限に抑えつつハーネス102の構造およびアンカー固定点を補強して装置100の負荷を分散させる他の軟質材料および/または弾性材料から作ることができる。図示のように、クッション112は、装着時にクッション112がユーザの背中の一部に沿って位置決めされるようにハーネス102の中間部全体にわたって延びることができるが、いくつかの実施形態ではクッションはハーネスの全長に沿って延びてもよい。また、クッションはさまざまな形状を有することができる。
【0039】
ハーネス102は、自身の上に1つ以上の固定点120を含み得る。固定点120は、ハーネスを装置100の残りの構成要素に連結するように構成され得る。
図1Aに示すように、固定点120を、ハーネス102を装着しているユーザの中線のいずれかの側に位置決めしてユーザの各脚部と位置合わせすることができる。固定点120は、装着時にハーネス102から遠位に延びてコネクタ108および/または弾性変形可能な部材106に連結することができる。固定点120は図示のようにダイヤモンド形であることができるが、いくつかの実施形態では、固定点120はとりわけ、線形、正方形、矩形、および三角形であってもよい。いくつかの実施形態では、3つ以上の固定点を用いてハーネスを残りの構成要素に連結することができる。
【0040】
固定点120は、ハーネス102に摺動可能に連結されてハーネスに対する固定点の位置を調整するように構成され得る。たとえば、図示のように、固定点120を折り畳んで折り畳まれた向きにして開口部(図示せず)を中に形成することができる。固定点はさまざまな方法で固定されてその折り畳まれた向きを維持することができる。図示のように、固定点120の両端に位置するファスナ119が互いにスナップ留めされて、固定点の折り畳まれた向きを維持することができる。いくつかの実施形態では、図示されるファスナの代わりにまたはファスナに加えて、1つ以上のフック、ストラップ、フックおよびループファスナ、接着剤、針、ならびに他の同様の特徴を用いて、固定点を折り畳まれた向きに維持することができる。いくつかの実施形態では、1つ、2つ、または3つ以上のファスナが固定点120の表面に沿って位置して、折り畳まれた向きをさらに固定することができる。
【0041】
固定点120は、弾性変形可能な部材106との連結の位置を決定するためにハーネス102に沿って位置決めされることができるが、いくつかの実施形態では、固定点はハーネス102に一体的に連結されてもよい。各固定点120は、固定点120に取り付けられて固定点120から遠位に延びる調整可能なストラップ109を含み得る。調整可能なストラップ109は、固定点120にスナップ留めされることによって固定点120に連結することができるが、いくつかの実施形態では、ストラップ109は、ハーネス102の一部、またはハーネス102に連結されたたとえば「D」リング等の特徴に巻き付けられてもよい。なお、調整可能なストラップ109はすべての実施形態に含まれる必要はない。いくつかの実施形態では、長さ調整が不要な場合、
図2Eに示すように、たとえば単純な長さまたはループの材料などの固定長ストラップ109′が設けられ得る。そのような実施形態では、弾性変形可能な部材106および/またはコネクタ108は固定長ストラップ109′の開口部124′内に配置され得る。
【0042】
ハーネス102′は図示のようにユーザの胴部に連結されることができるが、いくつかの実施形態では、ハーネスは
図2Fに示すように肩ストラップ121′を含んでもよいし、ユーザの胸部、肩部、および/または他の身体部分に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、ハーネス102は、ユーザに装着されて装置の重量および力を均一に分布させてユーザの快適さを高めるひとつなぎのシャツであってもよい。
【0043】
図3A〜
図3Dは支持部104の一実施形態を示す。支持部104は、ユーザの大腿に取り付けられて大腿に対する支持部104の位置を固定することができるが、支持部104は、とりわけ、下腿、脚の他の部分、腕部、および/または肩部など、他の身体部分に固定されてもよい。装置100は2つの支持部を用いることができるが、いくつかの実施形態では、1つ、3つ、または別の数の支持部を用いてもよい。いくつかの実施形態では各支持部104は異なる脚に連結されることができるが、特定の実施形態では、複数の支持部が(たとえば、ユーザの大腿および下腿等で)片脚に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、支持部は
図1A〜
図1Cに示すように大腿の前面に連結されることができるが、他の実施形態では、支持部は脚部の後面および/または側面に沿って延びてもよい。
【0044】
支持部104は内面126および外面128を含み得る。
図3Bに示すように、内面126は、装着時にたとえばユーザの大腿などの身体部分に当接するように構成される受け部130を含み得る。図示のように、受け部130は、クッション部132および1つ以上の摩擦面134を含み得る。クッション部132は、装着時の快適さおよび詰め物のために用いられ得るネオプレンから作ることができる。摩擦面134は、大腿に当接して支持部104の位置を維持するのを助けることができる。摩擦面134は、グリップを改善するために、摩擦を増大させるために、および支持部の滑りを避けるためにシリコーンが挿入された弾性テープから作ることができる。2つの摩擦面134が示されているが、1つ、3つ、または別の数の摩擦面を用いてもよい。クッション部132は図示のように摩擦面134同士の間に配置されることができるが、いくつかの実施形態では、摩擦面はクッション部132の同じ側に配置されてもよい。
【0045】
外面128は、自身の上に固定特徴を含み得る。たとえば、大腿がクッション部132内に静止するように支持部が脚部の周りに位置決めされると、支持部の端部が大腿を取り囲んで支持部を脚部に連結して、脚部に対する支持部の位置を維持することができる。支持部104上の固定特徴は、支持部104に沿って外面128に連結して支持部を脚部に固定することができる。1本以上のストラップを支持部に連結して、支持部をユーザにさらに固定することができる。支持部104の周囲は、さまざまなサイズのユーザにフィットするように、支持部の第1の端部を支持部の外面に沿って位置決めされ得る複数の固定特徴のうちの別の固定特徴に固定することによって調整可能であり得る。追加のベルトおよび/またはストラップを用いて支持部の構造およびそのアンカー固定点を補強して、支持部全体に負荷を分散させ、支持部が連結される身体部分が受け得る擦れを減少させることもできる。
【0046】
図3Bに示すように、各支持部104は外面128に連結される2本のストラップ105、107を含むことができるが、いくつかの実施形態では1本、3本、またはそれ以上のストラップを用いてもよい。第1のストラップ105は、自身の上に1つ以上の固定特徴136a(たとえば、第1の種類のフックおよびループファスナ等)を含み得る。固定特徴136aは、
図3Aに示すようにストラップ105の長さに沿って均一に分散させることができるが、いくつかの実施形態では他の構成を用いてもよい。ストラップ105はさらに、支持部がたとえばユーザの脚部などの身体部分を取り囲むと、固定特徴136a、136bが大腿に対する支持部104の位置を固定するように、固定特徴136aに重なるように構成され得る固定特徴136b(たとえば、第2種類のフックおよびループファスナ)を自身の端部に含み得る。固定特徴のいくつかの非限定的な例として、支持部の装着時の快適さを可能にして圧縮を減らしつつ、大腿に対する支持部104の位置を維持するのに十分な摩擦も維持する、とりわけ、軟性弾性体、バックル、クリップ、接着剤、ならびにフックおよびループファスナ(たとえば、ベルクロ)を挙げることができる。
【0047】
図3Aに戻って、いくつかの実施形態では、支持部は、固定特徴137(たとえば、第1の種類のフックおよびループファスナ)がその端部に配置された第2のストラップ107を含み得る。使用時、ストラップ107をユーザの脚部に巻き付け、支持部の外面128上の固定特徴143(たとえば、第2の種類のフックおよびループファスナ)に固定することができる。この構成はストラップ105について示されているものとは異なるが、他の構成も可能である(たとえば、ストラップ105の固定特徴136a、136bを一致させる、等)。
【0048】
固定特徴136、137、143はさまざまな方法で互いにインターフェイス接続可能である。固定特徴136、137、143のうちの1つ以上は、反対側の固定特徴136、137、143上に位置する対応するフックおよび/またはループに取り付けられるように成形されるフックおよび/またはループを含み得る。たとえば、
図3Aに示すように、第1のストラップ105は一連のフックを有する追加の固定特徴136bを含むことができ、固定特徴136bは、第1のストラップ105に沿って位置する一連のループを有する1つ以上の第2の固定特徴136aに重なってフックとループとを絡み合わせて第1のストラップをそこに固定する。いくつかの実施形態では、支持部104は、1本以上のストラップを中に挿入可能なバックル138を含み得る。第1のストラップ105をバックルに挿入すると、第1のストラップ105の固定特徴136bのフックが第1のストラップ105上の固定特徴136aのループと絡み合って支持部を脚部にさらに固定するように、第1のストラップ105を折り返すことができる。同様に、いくつかの実施形態では、第2のストラップは自身の上に一連のフックを有する追加の固定特徴137を含むことができ、固定特徴137は、自身の上に一連のループが位置するストリップ143に重なってフックとループとを絡み合わせて第2のストラップをそこに固定する。
【0049】
使用時、支持部104を大腿に巻き付けて支持部を脚部に連結することができる。次いで、ストラップ105、107の各々を支持部104の外面128に巻き付けて支持部をさらに固定することができる。たとえば、自身の上にフックを有する第1のストラップ105の第1の端部上の固定特徴を支持部104に巻き付けて、支持部に追加の圧力を加えることができる。第1のストラップ105を支持部に巻き付けた後にバックル138に通して、第1のストラップ105上の固定特徴136bのフックが第1のストラップ105に沿って位置決めされたループを有する固定特徴136aのうちの1つに連結するように、折り畳むことができる。次いで、第2のストラップ107を支持部に巻き付けて、その上の固定特徴137を支持部の外面128に沿って位置決めされたストリップ143に連結することができる。いくつかの実施形態では、第1のストラップ105の第1の端部上の固定特徴136bは、第1のストラップの固定特徴136aのフックと絡み合うように構成されるループを自身の上に含み得る。
【0050】
外面128は、弾性変形可能な部材を支持部104に固定するホルダ140を含み得る。
図3C〜
図3Dに示すように、ホルダ140は外面から支持部の距離にわたって延びることができる。ホルダ140は、ホルダが支持部の外面128からオフセットされて中を通る開口部142を形成することができるように複数の点で支持部に連結される材料のストラップを含み得る。いくつかの実施形態では、ホルダ140の内面は、自身の上に1つ以上の固定特徴(図示せず)を含み得る。装置100の1つ以上の特徴を開口部から挿入して、および/またはホルダ140に巻き付けて、支持部を装置100の残りの構成要素に連結することができる。たとえば、以下にさらに説明するように、弾性変形可能な部材106の一部をホルダ140の開口部142および外面128に通して、弾性変形可能な部材を支持部に固定することができる。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106は、ホルダ140の内面上の固定特徴に連結されて支持部104に対する部材106の位置を固定するように構成される固定特徴を自身の上に有し得る。いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、固定パッチ139を外面128上に位置決めして、弾性変形可能な部材106上の固定特徴とインターフェイス接続させて、支持部に対する部材の位置をさらに固定することができる。いくつかの実施形態では、第2のストラップ107の固定特徴137はストリップ143を越えて延びて固定パッチ139とインターフェイス接続して、第2のストラップを支持部104にさらに固定することができる。
【0051】
図4Aおよび
図4Bは、弾性変形可能な部材106の実施形態を示す。弾性変形可能な部材106は、弾性変形可能な部材106が胴部とたとえば大腿、膝、および/または下腿などの脚の一部との間に延びてユーザが動く際に補助を提供するように、ユーザにアンカー固定されることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106はハーネス102と支持部104とを連結することができる。弾性変形可能な部材106は、第1の弛緩状態から複数の拡張状態のうちの1つに遷移するように構成され得る。拡張状態では、弾性変形可能な部材106は、胴部に対する脚位置が変化する際の伸びなど、ハーネス102と支持部104との間の距離を増大させることができるように大きい長さを有することができる。この伸びは、重複歩時など、かかとが固体表面との接触位置から動いて固体表面から持ち上げられると起こり得る。弾性変形可能な部材106がその長さを変化させ、屈曲、伸展、および収縮できることにより、装着時のより自然な重複歩を可能にすることができ、歩行時にユーザが及ぼす力およびエネルギの量を減少させることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ハーネスおよび/または胴部にアンカー固定される弾性変形可能な部材106の端部を作動部によって外部から動かすことができるが、いくつかの実施形態では、部材106を本願に開示されるシステムの1つ以上の構成要素を有する受動的な機械的リンク機構によって動かしてもよい。たとえば、部材106のうちの1つの拡張および弛緩を、反対側の脚部にアンカー固定された別の弾性変形可能な部材106の動きによって能動的におよび/または受動的に制御することができる。この動きは、部材106が歩容周期中のさまざまな点で始動するように部材106を伸長および/または圧縮させることができる。胴部と第1の脚部との間にアンカー固定される1つの部材106が弛緩状態から複数の拡張状態に遷移すると、反対側の脚部にアンカー固定される第2の部材は複数の拡張状態のうちの1つから弛緩状態に遷移することができる。反対側の弾性変形可能な部材106を弛緩状態にすることによって、部材106は次の脚の振り出し時にエネルギを蓄積する準備ができている。
【0053】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106を、布地141、フックおよびループファスナ(たとえば、ベルクロ)、バックル、ならびに/またはクリップでハーネスおよび支持部に連結して、部材を装置の構成要素に固定することができる。たとえば、一片以上の布地ならびに/またはフックおよびループファスナを、図示のように弾性変形可能な部材106の表面に配置することができる。次いで、弾性変形可能な部材106上の布地141が固定パッチ139に連結するように、弾性変形可能な部材106を、ホルダ140の中心部と支持部の外面128との間の開口部142から挿入することができる。いくつかの実施形態では、布地141は、ホルダ140の内面上の1つ以上の固定特徴に連結して、部材106をホルダ140と外面128との間に配置して、部材106を支持部104に連結することができる。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106を支持部104および/または装置の他の構成要素に接着することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材106はその表面上に1つ以上の把持部145を含み得る。
図4Bに示すように、把持部145は布地141と反対側の表面に位置することができるが、いくつかの実施形態では、把持部は布地141と同じ表面に位置してもよい。把持部はホルダの一部に接触して、ホルダ140と、外面128と、弾性変形可能な部材との間のインターフェイスにおける摩擦を最大化して、ホルダ140と外面128との間の部材106の位置をさらに固定することができる。把持部は、とりわけゴムおよびナイロンなどの高摩擦材料から作られて、ホルダ140および外面128の材料に対する弾性変形可能な部材の動きに耐えることができる。
【0055】
弾性変形可能な部材106は、拡張状態から弛緩状態への遷移時に用いられ得る機械的エネルギを内部に蓄積する受動要素であり得る。蓄積されたエネルギは、歩行時に脚筋が生成する正および負の仕事の一定の割合を蓄積した結果であり得る。弾性変形可能な部材106は、第1の弛緩状態と拡張状態のうちの1つとの間で遷移するためのばねまたはエラストマーを含み得る。たとえば、弾性変形可能な部材106は、その弛緩状態において、静止位置にあるユーザに固定されるハーネスおよび支持部に連結され得る。弾性変形可能な部材106の長さを拡張して、歩行の補助に用いられ得る機械的エネルギで部材106に予負荷を加えることができる。弾性変形可能な部材106が拡張される程度、したがって内部に蓄積されるエネルギ量は、上述のように、調整可能なストラップ109の長さLによって調整することができる。弾性変形可能な部材106の予負荷は、人間の歩行を向上させるように長さ、張力、および生体力学的知識に基づく他のパラメータを制御するように設定することができる。歩容時、弾性変形可能な部材106は支持部104およびハーネス102の各々に力を及ぼして、それらの間の相対的な屈曲または伸長を助けることができる。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材は、ユーザの歩行時に同様に屈曲伸展可能なたとえば大腿四頭筋などの脚筋と実質的に平行に延びる。歩行時に装置100を装着すると、弾性変形可能な部材106は脚筋と平行にさまざまな長さに伸縮して、蓄積されたエネルギの一定の割合を用いることによってユーザを補助して、股関節屈曲伸展、および歩容時に上げた脚が歩行面に接触する前の当該脚の前進運動を助けることができる。
【0056】
弾性変形可能な部材106は、たとえばボタンなどの1つ以上の固定特徴146を自身の上に有するカバー144を含み得る。カバー144は、1つ以上の固定特徴を自身の上に有する布片を含み得る。カバーは、たとえば、矩形、正方形、三角形など、さまざまな形状を有することができる。
図4Bに示すように、カバー144は、その角部に位置決めされた4つのボタンを含み得る。固定特徴146は、部材を支持部104およびハーネス102に連結するように構成され得る。4つの固定特徴146が示されているが、3つ以下の、あるいは5つ以上の固定特徴がカバー144に沿って配置されてもよい。カバー144は、カバー144を曲げて各固定特徴146をカバーの反対側の端部の上の対応する固定特徴に連結してそれらの間に開口部(図示せず)を形成できるように、可撓性を有し得る。いくつかの実施形態では、ボタンに加えてまたはボタンの代わりに、クリップ、接着剤、またはフックおよびループファスナを用いることができる。いくつかの実施形態では、カバーは、カバーの表面に沿って配置されて、カバーを弾性変形可能な部材106およびその開口部内に配置された任意の物体にさらに固定する、たとえばフックおよびループファスナなどの追加の固定特徴を含み得る。開口部内に物体を配置して、支持部104とハーネス106との間の接続の確立を助けることができる。
【0057】
弾性変形可能な部材106は、その遠端でコネクタ108に連結され得る。コネクタ108の一実施形態を
図5A〜
図5Eに示す。コネクタ108は、弾性変形可能な部材106が連結された、ハーネス102と支持部104との間のインターフェイスであり得る剛性部品である。いくつかの実施形態では、コネクタ108は、歩行時の脚部の屈曲伸展時に弾性変形可能な部材106によって自身に加えられる負荷に耐えることができる。
【0058】
コネクタ108は、カバー144を中に通して受けるように構成され得る開口部152を含み得る。
図5Aに示すように、カバー144の近端を開口部152に通して折り畳み、固定特徴146を互いにスナップ留めしてコネクタ108をそこに固定することができる。支持部をハーネスに最初に取り付ける際にコネクタ108の位置を調整して、弛緩状態におけるハーネス102と支持部104との間の距離を変えることができる。コネクタ108と調整可能なストラップ109との間の距離を調整できることにより、上記に詳細に説明したように、弾性変形可能な部材106が装置100に与えることができる予負荷のレベルを変化させることができる。
【0059】
コネクタ108は、調整可能なストラップ109またはハーネス102の別の特徴を中に通して受けるように構成され得るボア154を含み得る。ストラップ109をハーネスに巻き付ける、つなぐ、接着する、または他の方法で取り付けると、ハーネスと支持部との間の距離を調整して、弾性変形可能な部材106が弾性変形可能な部材106に与えることができる予負荷を決定することができる。たとえば部材の長さを拡張することによって弾性変形可能な部材106への予負荷を調整することにより、装置が提供する支持力を増加させることができる。ボア154は、図示のように開口部152よりも小さくてもよいが、いくつかの実施形態では、ボアは開口部152と同じサイズでもよいし、開口部152よりも大きくてもよい。
【0060】
コネクタ108は、及ぼされる力に耐えるように適合されたポリマー材料または別の機械加工可能な材料で3D印刷を用いて作ることができる。図示のように、コネクタ108は、コネクタがユーザの脚部に適合できるようにする弓形形状をとることができるが、いくつかの実施形態では、コネクタは直線であってもよいし、複数の平面において湾曲していてもよい。
【0061】
図6A〜
図6Bは、補助歩行に用いられ得る装置200の別の実施形態を示す。たとえば、装置200を、装置の位置がユーザに対して維持されるようにユーザの身体部分に連結することができる。装置200を装着して、疲労および筋骨格系の関節に対する負荷を減らして、歩行および/または歩容時の適切な姿勢の維持に関連するエネルギ負担を軽くしつつ、快適さを維持することができる。図示のように、装置200はハーネス202を含み得る。ハーネス202は、たとえば腰部および/または臀部などのユーザの身体部分の形状に適合して、装着時の快適さを可能にすることができる。図示のように、ハーネスはユーザの腰部を取り囲んで腰部に連結することができる。いくつかの実施形態では、ハーネスは、追加のクッションを提供して装着時のハーネスの快適さを高めるパッド(図示せず)または他の特徴を含み得る。ハーネス202は、ユーザの形状に適合することによって薄型を維持できるため、ユーザはハーネス202を個別的に装着することができる。
【0062】
装置200は1つ以上の支持部204を含み得る。各支持部204は、ハーネス202に接続して股関節と脚部との間に2つの接触点を作り出して補助歩行を支持することができる。支持部204は、たとえば大腿および/または脚の他の部分などのユーザの身体部分の形状に適合して、装着時の快適さを可能にすることができる。図示のように、支持部204は大腿に巻き付けることができるが、いくつかの実施形態では支持部を膝および/または下腿に巻き付けてもよい。支持部204を1本以上のストラップ205、207によってユーザに固定することができる。
図6Bに示すように、支持部が脚部を取り囲んだ後、ストラップ205、207を用いて脚部に対する支持部204の位置をさらに固定することができる。
【0063】
ハーネス202および支持部204は弾性変形可能な部材206によって互いに接続可能である。弾性変形可能な部材206は、歩容周期の特定の位相において機械的エネルギを蓄積および放出することができる。弾性変形可能な部材206は、ハーネスと支持部との間の距離に基づいて変形可能である。以下にさらに説明するように、部材206を伸ばして変形させてその長さを増加させて、部材206をより弛緩した状態から1つ以上の拡張状態に遷移させることができる。弛緩状態は、弾性変形可能な材料の真の弛緩状態であってもよいし、いくつかの実施形態では、ある程度の量の弾性変形が弛緩状態において存在するように弾性変形可能な材料に予負荷を加えてもよい。この予負荷の印加を用いて、弾性変形可能な部材が生成する力を増加させることにより、ユーザの移動(たとえば、歩行)時により大きな補助を提供することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、装置200の装着者の具体的な特性に基づいて弾性変形可能な部材206をカスタマイズおよび/またはチューニングすることができる。部材206をチューニングすることにより、ユーザの動きを妨害または邪魔することなく、部材がユーザの歩容時の所望の時点で所望のレベルの補助力を提供するように適切に調整されることを確実にすることができる。弾性変形可能な部材206のチューニングは、たとえば、体重、身長、脚長等を含む多数のパラメータに基づくことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材の長さ、幅、厚み、剛性、および/または他のパラメータを変えて特定のユーザについての調整を助けることができる。たとえば、装置がユーザに快適にフィットすることを確実にするように、弾性変形可能な部材のサイズまたは材料をユーザの身体部分の高さ、重さ、および/または長さに基づいて変えることができる。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材206がより大きな力を吸収して当該力をユーザおよび/または装置に及ぼすことができるように、当該部材の厚みを増加させることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ハーネスと支持部とを接続する際に弾性変形可能な部材206を1回、2回、または3回以上折り畳むことができる。そのような実施形態では、当該部材はより大きな力に耐えることができ、耐破断性が向上し得る。
【0066】
弾性変形可能な部材206はさまざまな構成を含み得る。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材は材料の層で構成され得る。たとえば、弾性変形可能な部材は、単一材料または異なる材料の2層以上を含み得る。異なる材料を使用することにより、単一材料の使用では達成できない場合がある、単一の所望の正味の効果を生み出すことができる。材料の層は、所望量の変形、拡張、および支持を生じさせるように材料を選んで当該選択材料を積層することによってチューニングすることができる。いくつかの実施形態では、積層材料は、材料を互いに独立したさまざまな方向に伸ばすことができるように、異なる弾性を有し得る。
【0067】
図示のように、弾性変形可能な部材206は支持部204から近位に延びてハーネス202の一部によって受けられることができるが、いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材206はハーネス202から延びて支持部204の一部によって受けられてもよいことが認識されるはずである。弾性変形可能な部材206は、部材を脚部の形状に適合させて装着時の快適さを可能にする、図示のような幅広の平坦な形状を有し得る。部材206は、脚部の形状に適合して使用時に変形することによって薄型を維持できるため、脚部の表面に実質的に平坦に接触することができるので、ユーザは装置200を個別的に用いることができる。弾性変形可能な部材206は脚部の前面に沿う、たとえばユーザの大腿四頭筋に沿うことができるが、装置は、弾性変形可能な部材がたとえば膝腱などの脚部の後面、または脚部の側面に沿って延びるように設定されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材206は、1つ以上のコイルを有するばねを含み得る。コイルの長さ、厚み、コイルの数、および材料弾性係数などのパラメータを変化させて特定のユーザについての調整を助けることができる。他の実施形態では、弾性変形可能な部材206は、圧縮されて部材206を拡張状態からより弛緩した状態に遷移させてユーザが動く際に補助を提供することができる圧縮ばね、コイル、ウェーブ、またはワッシャを含み得る。
【0069】
装置200は、弾性変形可能な部材206を装置の他の構成要素に取り付けるためのコネクタ208を含み得る。たとえば、図示のように、コネクタ208を弾性変形可能な部材206に取り付けて、支持部204をハーネス202に連結することができる。コネクタ208は、弾性変形可能な部材およびハーネスを中に通して受ける1つ以上の開口部を中に有し得る。コネクタ208は、コネクタ208および/または部材206が脚部の形状に適合することにより装着時の快適さを可能にすることができる弓形形状を有し得る。コネクタ208は、脚部の形状に適合することによって薄型を維持できるため、脚部の表面に接触することができる。
【0070】
コネクタ208を調整可能なストラップ209(たとえば、ラチェットストラップ、連続調整可能なバックルストラップ等)に連結して、支持部204をハーネス202に連結することができる。たとえば、図示のように、調整可能なストラップ209はハーネス202から延びて、弾性変形可能な部材206に連結されるコネクタ208に取り付けられることができる。調整可能なストラップ209により、支持部およびハーネスがユーザに連結されるとストラップの長さL1を調整することができる。たとえば、ラチェットストラップを利用する実施形態では、ラチェットストラップは複数の段を含むことができ、隣接する段の間で動かされてコネクタとハーネスとの間の距離を変えることができる。調整可能なストラップ209の長さL1を短くするように調整することにより、弾性変形可能な部材206に予負荷を加えて、弛緩状態において存在する弾性変形量を変えることができ、その結果として、弾性変形可能な部材が弛緩状態からより拡張した状態に移る際に生成する力の量を調整することができる。各拡張状態において弾性変形可能な部材206が蓄積するエネルギ量は、ラチェットストラップ209の長さL1に反比例し得る。
【0071】
上述のように、
図6A〜
図6Bに示すように、ハーネス202をユーザの腰部に連結することができ、支持部204を脚部に連結することができるが、以下にさらに説明するように、装置200の他の向きも可能であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、装置200はユーザの片脚に連結する単一の支持部204および弾性変形可能な部材206を含むことができるが、他の実施形態では、装置200はユーザの第2の脚部に連結される第2の支持部および弾性変形可能な部材を含む第2の支持部構造体201を含んでもよい。
【0072】
図7は、平らに広げたハーネス202の実施形態を示す。ハーネス202は、ハーネス202の第1の端部と第2の端部との間に延びる1つ以上の延在部210を含み得る。
図7に示すように、装置200は、ハーネスに沿って延びる第1の組の延在部210aおよび第2の組の延在部210bを含み得る。第1および第2の組の延在部210a、210bは、ユーザの胴部を取り囲んで胴部に対するハーネス202の位置を固定するように構成され得る。各組の延在部210a、210bは、各組の延在部を互いに連結するための1つ以上のバックルを含み得る。たとえば、図示のように、第1の組の延在部210aは、第2の組の延在部210bの対応するバックル213a、213bに受けられるように構成される一対のバックル211a、211bを含み得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の組の延在部210a、210bは単一のバックルを含むことができるが、3つ以上のバックルの配置も可能である。追加の実施形態では、延在部210a、210bを互いにつないで、接着して、ステープル留めして、または他の方法で取り付けて、ハーネスの位置を固定してもよい。
【0073】
図8は、ハーネス202のさまざまな構成要素をより詳細に示す。図示のように、ハーネス202は、ベース214、エアメッシュ216、リップストップ218、およびカプラ220を含み得る。ベース214は、ユーザの胴部に当接する弾性材料を含み得る。ベース214を伸ばしてユーザの形状に適合させて、装着時のハーネス202の滑りを最小限に抑えることができる。いくつかの実施形態では、ベース214は、追加のクッションを提供して装着時のハーネスの快適さを高めるパッド(図示せず)または他の特徴を含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ベース214は、ハーネスをユーザに固定するための固定特徴(たとえば、フックおよびループファスナ)222を自身の上に含み得る。固定特徴222は、ハーネス202の外面の長さに沿って均一に分散させることができるが、いくつかの実施形態では、外面が自身の上に単一の固定特徴を含んでもよい。固定特徴222はさまざまな方法で互いにインターフェイス接続可能である。固定特徴222のうちの1つ以上は、対応する固定特徴の対応するループに取り付けられるように成形されるフックを含み得る。たとえば、ハーネス202の第1の端部は、ハーネス202の第2の端部に位置する第2の固定特徴222bに重なって胴部に対するハーネス202の位置を維持する固定特徴222aを含み得る。ハーネス202の周囲は、さまざまなサイズのユーザにフィットするように、ハーネス202の第1の端部をハーネスの外面に沿って位置決めされた複数の固定特徴のうちの別の固定特徴に固定することによって調整可能であり得る。追加のベルトおよび/またはストラップを用いてハーネス222の構造およびそのアンカー固定点を補強して、ハーネス全体に負荷を分散させ、ハーネスが連結される身体部分が受け得る擦れを減少させることもできる。
【0075】
エアメッシュ216は、外面224と、ユーザのためにハーネスをクッション保護する内面226とを含み得る。内面226はベース214の外面に当接してもよいし、いくつかの実施形態では、ベース214を通っておよび/またはベース214の周りに突き出てユーザの胴部に当接する。いくつかの実施形態では、ベース214に対するエアメッシュ216の位置は、延在部210a、210bが中を通過可能な1つ以上の溝を形成することができる。延在部210a、210bの大部分が溝の中に配置され続けるように当該延在部を溝に通すことにより、延在部が破れて、または外面および/もしくは衣類に引っ掛かって、ハーネス202の滑りおよび裂けを引き起こすリスクが最小限に抑えられる。
【0076】
図示のように、内面226は、身体部分と位置合わせされてハーネスの快適な連結を可能にする1つ以上のインターフェイス230を有するクッション228を含み得る。クッション228は、ハーネス202がユーザに装着された際に軽量で、快適で、通気性があり、柔軟であるように、ユーザに対して位置決めされることができる。外面224、内面226、およびインターフェイス230のうちの1つ以上は、ナイロン、ネオプレン、穴の開いたネオプレン、ミッレリーゲ、ならびに、装着時の擦れおよび/または皮膚への刺激を最小限に抑えつつハーネス102の構造およびアンカー固定点を補強して装置100の負荷を分散させる他の軟質材料および/または弾性材料から作ることができる。図示のように、クッション228は、装着時にクッション228がユーザの背中の一部に沿って位置決めされるようにハーネス202の中間部全体にわたって延びることができるが、いくつかの実施形態ではクッションはハーネスの全長に沿って延びてもよい。また、クッション228はさまざまな形状を有することができる。
【0077】
リップストップ218は、リップストップがエアメッシュ216の少なくとも一部に重なるようにエアメッシュ216の外部に配置され得る。リップストップ218は、リップがハーネスの他の材料中に生じた場合に、構造的支持を提供してリップの伝播を防止するように機能する。リップストップ218はナイロンから形成されることができるが、当業者によって認識されるように、この材料に厳密には限定されない。
【0078】
カプラ220は、自身の上に1つ以上の固定点232を含み得る。固定点232は、ハーネス202を装置200の残りの構成要素に連結するように構成され得る。たとえば、固定点232は、調整可能なストラップ209を中に通して受けるための開口部234を中に含み得る。固定点232を、ハーネス202を装着しているユーザの中線のいずれかの側に位置決めしてユーザの各脚と位置合わせすることができる。固定点232は、装着時にハーネス202から遠位に延びてコネクタ208および/または弾性変形可能な部材206に連結することができる。固定点232は図示のようにバックルであることができるが、いくつかの実施形態では、固定点120は、ボタン、ベルクロストリップ、フックなどであってもよい。いくつかの実施形態では、3つ以上の固定点232を用いてハーネス202を残りの構成要素に連結することができる。
【0079】
固定点232は、ハーネス202に摺動可能に連結されてハーネスに対する固定点232の位置を調整するように構成され得る。たとえば、図示のように、固定点232をカプラ220のインターフェイスに配置して、固定点232をカプラ220に沿って摺動させることができる。いくつかの実施形態では、図示されるファスナの代わりにまたはファスナに加えて、1つ以上のフック、ストラップ、フックおよびループファスナ、接着剤、針、ならびに他の同様の特徴を用いて、固定点を所与の向きに維持することができる。いくつかの実施形態では、1つ、2つ、または3つ以上のファスナが固定点232の表面に沿って位置して、折り畳まれた向きをさらに固定することができる。
【0080】
固定点232は、弾性変形可能な部材206との連結の位置を決定するためにハーネス202に沿って位置決めされることができるが、いくつかの実施形態では、固定点をカプラ220に縫い込むかまたは他の方法で一体的に連結して、ハーネス202に対する固定点232の固定位置を維持してもよい。各固定点220は、固定点220に取り付けられて固定点220から遠位に延びる調整可能なストラップ209を含み得る。調整可能なストラップ209は、固定点232の開口部234から挿入されて開口部234に巻き付けられることによって、固定点232に連結することができる。
図7に示すように、ハーネス202は、調整可能なストラップ209および固定点232の位置を維持および/または規制するように構成される1つ以上の横方向に延びるストラップ238を含み得る。
【0081】
なお、調整可能なストラップ209はすべての実施形態に含まれる必要はない。いくつかの実施形態では、長さ調整が不要な場合、
図9に示すように、たとえば単純な長さまたはループの材料などの固定長ストラップ209′が固定点の開口部234を通って配置され得る。固定長ストラップ209′はナイロンまたは別の織物材料で作ることができる。そのような実施形態では、弾性変形可能な部材206および/またはコネクタ208は、固定長ストラップ209′の開口部236′内に配置され得る。図示のように、横方向に延びるストラップ238を用いて、固定長ストラップ209′および固定点232の位置を維持および/または規制することができる。
【0082】
図10および
図11は、弾性変形可能な部材206の代替実施形態を示す。弾性変形可能な部材206は、弾性変形可能な部材206が胴部とたとえば大腿、膝、および/または下腿などの脚の一部との間に延びてユーザが動く際に補助を提供するように、ユーザにアンカー固定されることができる。たとえば、いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材206はハーネス202と支持部204とを連結することができる。弾性変形可能な部材206は、第1の弛緩状態から複数の拡張状態のうちの1つに遷移するように構成され得る。拡張状態では、弾性変形可能な部材206は、胴部に対する脚位置が変化する際の伸びなど、ハーネス202と支持部204との間の距離を増大させることができるように大きい長さを有することができる。この伸びは、重複歩時など、かかとが固体表面との接触位置から動いて固体表面から持ち上げられると起こり得る。弾性変形可能な部材206がその長さを変化させ、屈曲、伸展、および収縮できることにより、装着時のより自然な重複歩を可能にすることができ、歩行時にユーザが及ぼす力およびエネルギの量を減少させることができる。いくつかの実施形態では、部材206の幅は、約10センチメートルから約15センチメートル、約11センチメートルから約14センチメートル、約12センチメートルから約13.5センチメートルであることができ、または約13センチメートルの値を有することができ、弛緩状態における長さは、約30センチメートルから約40センチメートル、約32センチメートルから約38センチメートルであることができ、または約35センチメートルの値を有することができる。部材206の幅および長さは、患者の身長、体重、および/または解剖学的構造に基づいて異なり得ることが認識されるはずである。
【0083】
いくつかの実施形態では、ハーネスおよび/または胴部にアンカー固定される弾性変形可能な部材206の端部を作動部によって外部から動かすことができるが、いくつかの実施形態では、部材206を本願に開示されるシステムの1つ以上の構成要素を有する受動的な機械的リンク機構によって動かしてもよい。たとえば、部材206のうちの1つの拡張および弛緩を、反対側の脚部にアンカー固定された別の弾性変形可能な部材206の動きによって能動的におよび/または受動的に制御することができる。この動きは、部材206が歩容周期中のさまざまな点で始動するように部材206を伸長および/または圧縮させることができる。胴部と第1の脚部との間にアンカー固定される1つの部材206が弛緩状態から複数の拡張状態に遷移すると、反対側の脚部にアンカー固定される第2の部材は複数の拡張状態のうちの1つから弛緩状態に遷移することができる。反対側の弾性変形可能な部材206を弛緩状態にすることによって、部材206は次の脚の振り出し時にエネルギを蓄積する準備ができている。
【0084】
弾性変形可能な部材206は、部材206をハーネス202および支持部204に連結するために、自身に連結された1つ以上のベース241を含み得る。支持部241の例示的な実施形態を
図12に示す。たとえば、図示のように、第1および第2のベース24lを部材206の両端に配置して部材206をベース24lに連結することができる。部材206を各ベース241に巻き付けて部材206をベース241に連結することができる。部材206を1回、2回、3回、または4回以上巻き付けて、部材206をベース241に確実に連結することができる。上述のように、いくつかの実施形態では、フックおよびループファスナ(たとえば、ベルクロ)、バックル、接着剤、および/またはクリップを用いて部材を装置の構成要素に固定することもできる。一実施形態では、たとえば、部材206をベース241のうちの1つに巻き付けてマスチック接着剤で固定することができ、部材206の第2の端部を反対側の端部でループに挿入する、および/またはベルクロでベース241に連結することができる。
図10および
図11に示すように、一実施形態では、部材206を部材206の各端でベース241に巻き付けることができ、接着剤を利用して部材がベースから分離しないことを確実にすることができる。
【0085】
ベース241を、
図6A〜
図6Bに示すように、コネクタ208のうちの1つ以上に連結して支持部204にグラウンドすることができる。ベース241をコネクタ208および/または支持部204内に受けてそこに部材206を連結することができる。
図11に示すように、ベース241は、ベース241の一端または両端が部材206から突き出るように、弾性変形可能な部材206の幅よりも大きい幅を有することができる。いくつかの実施形態では、ベース241の突出端は、
図15A〜
図15Hに示されて、以下でさらに詳細に述べるように、支持部204内に配置されてそこにベースを(およびそれによって、弾性変形可能な部材を)連結することができる。
【0086】
ベース241はプラスチック材料で作ることができる。図示のように、ベース241は、ベース241がハーネス202、支持部204、またはユーザの解剖学的構造の周りに屈曲および/または変形できるように湾曲を有することができる。ベース241の湾曲度は、ベース材料を塑性変形させるさまざまな方法(たとえば、ワックス、ヒートガン等)のいずれかを用いることによってカスタマイズすることができる。
【0087】
図13A〜
図13Bは、コネクタ308に連結された弾性変形可能な部材306の代替実施形態を示す。弾性変形可能な部材306をその長さに沿って、ベース241同士の間でコネクタ308を貫通する複数の部材に分割することができる。たとえば、図示のように、弾性変形可能な部材306は第1および第2の部材306a、306bを含み得る。第1および第2の部材306a、306bは、コネクタに対する弾性変形可能な部材の相対的な位置決めを維持するのを助けることによって、力分布を改善することができる。たとえば、図示のように弾性変形可能な部材を分割することを、第1および第2の部材306a、306bをコネクタ308に形成された別個のスロットに通すことと組み合わせることができる。これにより、弾性変形可能な部材が、たとえば、小さな空間にわたって過度な力を及ぼしてコネクタ308を破壊し得る、またはさらには単に装着者に不快感をもたらし得るように、コネクタ308の片側に摺動するまたは束になることを防ぐことができる。第1および第2の部材306a、306bをこのように分割し、より良い力分布を提供することにより、コネクタ308を、より軽量、より安価等であるように、より少ない材料を用いて作ることもできることが認識されるはずである。さらに、弾性的に変形可能な部材306のさまざまな分割態様が、上述のような1つの部材および2つの部材の使用を含む他の実施形態、ならびに複数の部材が利用される他の実施形態において可能である。これらの変形例はすべて本開示の範囲内にあると見なされる。
【0088】
弾性変形可能な部材306を、部材306の全長にわたって、またはその長さの一部にわたって、第1および第2の部材306a、306bに分割することができる。たとえば、
図13Aに示すように、弾性変形可能な部材306は単一片として内側ベース241aの内面に取り付けられることができ、弾性変形可能な部材306は、
図13Bに示すように、第1および第2の部材306a、306bが外側ベース241bに連結されるように、その残りの長さ全体にわたって第1および第2の部材306a、306bに分割されている。上述のように、弾性変形可能な部材306を複数の部材に分割することにより、弾性変形可能な部材306はコネクタ308に対する滑りおよび/または望ましくない動きを回避することができる。弾性変形可能な部材306が第1および第2の部材306a、306bに分割されるいくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材306を単一片としてベース241の1つ以上に連結した後、および/または他の方法で巻き付た後、切断して、弾性変形可能な部材306をベース241に容易に連結できるように別々の部材を形成できることが認識されるはずである。そのような実施形態では、弾性変形可能な部材306の分割は、その長さ全体にわたって延びてもよいし、コネクタ308または別のベース241に連結する前に終端してもよい。いくつかの実施形態では、弾性変形可能な部材を、ベース241同士の間に延びる3つまたは4つ以上の部材に分割することができる。
【0089】
図14A〜
図14Bは、弾性変形可能な部材306を装置の他の構成要素に取り付けるためのコネクタ308の代替実施形態を示す。たとえば、
図13Aおよび
図13Bに示すように、コネクタ308を第1および第2の弾性変形可能な部材306に取り付けて支持部204をハーネス202に連結することができる。コネクタ308は、弾性変形可能な部材306が連結された、ハーネス202と支持部204との間のインターフェイスであり得る剛性部品であり得る。いくつかの実施形態では、コネクタ108は、歩行時の脚部の屈曲伸展時に第1および第2の部材306a、306bによって自身に加えられる負荷に耐えることができる。コネクタ308は、コネクタ308ならびに/または第1および第2の部材306a、306bが脚部の形状に適合することにより装着時の快適さを可能にすることができる、
図14Bに示すような弓形形状を有し得る。コネクタ308は、脚部の形状に適合することによって薄型を維持できるため、脚部の表面に接触することができる。
【0090】
コネクタ308は、弾性変形可能な部材およびハーネスを中に通して受ける1つ以上の開口部352を中に有し得る。たとえば、コネクタ308は、
図13A〜
図13Bに示すように、第1および第2の部材306a、306bを中に通して受けるように構成される一対の開口部352a、352bを含み得る。開口部352a、352bは、第1および第2の部材306a、306bが中を通って折り畳まれることができるように、コネクタ308のスロットとして形成され得る。第1および第2の部材306a、306bの位置は、当該部材がそれぞれの開口部352a、352bの中で摺動できるように当該開口部の各々の内部で調整可能であるが、それぞれの部材間のもつれを回避するために互いに相互作用することは制限されている。さらに、いくつかの実施形態では、開口部352a、352bを、第1および第2の部材306a、306bのサイズと一致させて第1および第2の部材306a、306bの所望の位置決めを維持するようにサイズ決めすることができる。これにより、上述のように、コネクタ308上の力の均一な分布を確実にすることができ、また、コネクタは弾性変形可能な1つまたは複数の部材からの集中応力に耐える必要がないため、コネクタを、より軽量、より安価等であるように、より少ない材料を用いて作ることができる。
【0091】
コネクタ308は、コネクタ308をハーネス202に連結するための1つ以上の特徴を中に受けるように構成され得るボア354を含み得る。たとえば、ボア354は、以下にさらに述べるように、調整ストラップ209の一部を中に受ける受け部材360に取り付けられるように構成され得る。ボア354は、図示のように開口部352a、352bよりも小さくてもよいが、いくつかの実施形態では、ボアは開口部352a、352bと同じサイズでもよいし、開口部352a、352bよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、ボア354は、調整可能なストラップ209またはハーネス202の別の特徴を中に通して受けることができる。
【0092】
図15A〜
図15Hは、第1および第2の部材306a、306bが中に配置されたコネクタ308を装置200の支持部204に連結するための例示的な方法を示す。支持部204は、開口部242を露出する1つ以上のフラップ244、246を有するホルダ240を含むことができ、弾性変形可能な部材306およびベース241は開口部242を通って弾性変形可能な部材306を支持部204に固定することができる。
図15Bに示すように、第1および第2の部材306a、306bが連結された上下ベース241a、241bをホルダの開口部242に通してホルダ240内に配置する。ベース241は
図15Cに示されるように位置合わせされると開口部242よりも長い場合があるため、これはベース241a、241bを傾けて通すことによって行われる。
【0093】
ホルダ240は、ベース241a、241bを中に受けて部材306a、306bを支持部204に固定するように構成される1つ以上のインサート248を含み得る。インサート248は、ベース241が内部に収まるようにサイズ決めされた、ホルダ240に沿って位置するポケットの形態であり得る。
図15C〜
図15Dに示すように、ベース241a、241bの突出端をインサート248内に位置決めして、支持部204からのベースの移動および引き抜きを制限することができる。ホルダ240はベースを中に受けるための複数のインサートを含み得ることが認識されるはずである。
【0094】
ベース241a、241bの各々は、
図15E〜
図15Fに示すように、インサート248内に配置され得る。ベース241a、241bを隣接するインサート248内に配置して、ベースをインサートに連結することができる。図示のように、下部ベース241aを開口部242から挿入して、開口部242から遠い方のインサート248内に配置し、上部ベース241bを開口部242に近い方の隣接するインサート248に挿入することができるが、ベースの配置は異なり得る。支持部204からハーネス202に向かって延びる部材306a、306bの長さは、ベース241a、241bが中に配置されるインサート248を選択することによって規制できることが認識されるはずである。ベースがそこに固定された後、
図15G〜
図15Hに示すように、フラップ244、246を閉じて、ベース241a、241bを支持部にさらに固定して引き抜きを防止することができる。
【0095】
図16は、コネクタ308に連結され得る受け部材360の例示的な実施形態を示す。受け部材360の内面は、コネクタ308のボア354に連結するための嵌合特徴(図示せず)を有し得る。受け部材360は、ハーネス202から中を通って延びる調整可能なストラップ209を受けて、支持部204および弾性変形可能な部材306をハーネス202に連結するように構成され得る。受け部材360は、調整可能なストラップ209を中に挿入するための内腔(図示せず)を規定する受け部362を有し得る。調整可能なストラップ209が中に挿入された受け部材360の例示的な実施形態を
図17により詳細に示す。上述のように、受け部材360はラチェット機構を含むことができ、当該ラチェット機構は、当該ラチェット機構の爪が係合可能な一連の隆起、特徴、または他の窪みを含み得るストラップ209に対して自身の位置を選択的にロックすることができる。したがって、(a)ベース241が支持部204上に配置される際に挿入されるインサート248を選択すること、および(b)受け部材360のラチェット機構を用いてストラップ209に対するコネクタ308の位置を調整すること、のいずれかによって、当初の予負荷張力量を弾性変形可能な部材に加えることができる。
【0096】
図18A〜
図18Bは、弾性変形可能な部材306a、306bが内部に配置されたコネクタ308に連結された受け部360の例示的な実施形態を示す。
図18Bに示すように、受け部360の嵌合特徴は、ねじ、ボルト、またはボア354から受けられる当業者に公知の別の機構を用いて、コネクタ308と嵌合することができる。受け部360は、コネクタ308から近位に延びて調整ストラップ209を中に受けることができる。
【0097】
本明細書に開示される装置100、200は、装置が装置の上の衣類の着用を可能にするように薄型であることができるが、いくつかの実施形態では、ハーネスおよび支持部の周囲は、それが衣類の上に装着されるように調整されてもよい。本明細書に記載の装置100、200の実施形態はバッテリ、アクチュエータ、または剛性フレーム構成要素を含まないため、装置100、200の薄型設計を促進することができる。いくつかの実施形態では、装置100、200を体に密着したスパンデックスパンツの上に装着して、装置がユーザの脚部および腰部に対してぴったりとフィットすることを確実にすることができる。ハーネス、支持部、ストラップ、および弾性変形可能な要素を作る際に用いる材料は、汗を減少させて装着者の快適さを高めることが知られているさまざまな材料のうちのいずれかであり得る。
【0098】
なお、上記の説明または添付の図面に表現または含意されている方法ステップの順序付けはいずれも、開示される方法をその順序でステップを実行することに限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に開示される方法の各々のさまざまなステップは、さまざまな順番のうちのいずれかで実行可能である。さらに、説明される方法は一実施形態に過ぎないため、追加のステップを含むまたはより少ないステップを含むさまざまな他の方法も本開示の範囲内にある。
【0099】
特定の実施形態を上記に説明しているが、説明される概念の精神および範囲内で多数の変更が加えられ得ることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021年2月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行補助装置であって、
ユーザの胴部に連結されて前記胴部に対する自身の位置を維持するように構成されるハーネスと、
前記ユーザの膝より上で前記ユーザの脚部に連結されて前記脚部に対する自身の位置を維持するように構成される支持部と、
前記ハーネスおよび前記支持部に連結される弾性変形可能な部材とを備え、前記弾性変形可能な部材は、重複歩時に第1の弛緩状態から第2の拡張状態に遷移して、前記重複歩時に前記ユーザが必要とする力およびエネルギのいずれかを減少させるように構成され、前記歩行補助装置はさらに、
前記ハーネスから延びて、前記弾性変形可能な部材に連結されるコネクタに取り付けられる調整可能なストラップを備え、前記調整可能なストラップは、前記支持部および前記ハーネスが前記ユーザに連結されると前記調整可能なストラップの長さを調整できるように構成され、
前記弾性変形可能な部材は、前記ユーザの前記脚部の前面に沿うように構成される、歩行補助装置。
【請求項2】
前記弾性変形可能な部材は、前記支持部および前記ハーネスに力を及ぼして、前記胴部に対する前記脚部の屈曲および伸展のいずれかを助ける、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項3】
前記弾性変形可能な部材は、前記第1の弛緩状態から前記第2の拡張状態への遷移時に機械的エネルギを蓄積し、前記第2の拡張状態から前記第1の弛緩状態への遷移時に機械的エネルギを放出して、前記ユーザの股関節における屈曲および伸展のいずれかを助ける、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項4】
前記弾性変形可能な部材は、調整可能な接続部材を用いて前記ハーネスおよび前記支持部のいずれかに連結される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項5】
前記調整可能な接続部材の長さを変えて、前記弾性変形可能な部材にさまざまなレベルの予負荷を与えることができる、請求項4に記載の歩行補助装置。
【請求項6】
前記弾性変形可能な部材は、ばねまたはエラストマーを備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項7】
前記弾性変形可能な部材は受動的である、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項8】
前記ハーネスはユーザの股関節に巻き付けられるように構成される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項9】
前記弾性変形可能な部材は、ベルクロ、バックル、クリップ、および接着剤のうちの1つ以上を用いて前記ハーネスおよび前記支持部に連結される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項10】
前記弾性変形可能な部材に連結されるコネクタをさらに備え、前記コネクタは前記ハーネスの一部を中に通して受けるように適合される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項11】
前記コネクタは、前記弾性変形可能な部材の一部を中に通して受けて前記コネクタを前記弾性変形可能な部材に固定する第1の開口部と、前記ハーネスの一部を中に通して受けて前記コネクタを前記ハーネスに固定する第2の開口部とを備える、請求項10に記載の歩行補助装置。
【請求項12】
前記ハーネスから延びる前記調整可能なストラップはラチェットストラップであり、前記ラチェットストラップは、複数の段を含み、隣接する段の間で動かされて前記コネクタと前記ハーネスとの間の距離を変えることができる、請求項11に記載の歩行補助装置。
【請求項13】
前記ユーザの第2の脚部に連結されるように構成される第2の支持部と、
前記ハーネスおよび前記第2の支持部に連結される第2の弾性変形可能な部材とをさらに備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項14】
前記ハーネスは、前記ハーネスの第1の端部の上の第1の固定特徴が前記ハーネスの第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって前記胴部に対する前記ハーネスの位置を維持するように前記胴部を取り囲むことによって、前記胴部に連結される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項15】
前記支持部は、前記支持部の第1の端部の上の第1の固定特徴が前記支持部の第2の端部の上の第2の固定特徴に重なって前記脚部に対する前記支持部の位置を維持するように前記脚部を取り囲むことによって、前記脚部に連結される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項16】
前記ハーネスは、前記ハーネスの外面にわたって離間している複数の固定特徴を備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項17】
前記支持部は、前記支持部の外面にわたって離間している複数の固定特徴を備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項18】
前記ハーネスの周囲は、前記ハーネスの前記第1の端部を前記ハーネスの前記外面の上の前記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能である、請求項16に記載の歩行補助装置。
【請求項19】
前記支持部の周囲は、前記支持部の前記第1の端部を前記支持部の前記外面の上の前記複数の固定特徴のうちのいずれか1つに固定することによって調整可能である、請求項17に記載の歩行補助装置。
【請求項20】
前記支持部は、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られる、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項21】
前記ハーネスは、ネオプレン、ナイロン、およびミッレリーゲのうちの1つ以上で作られる、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項22】
前記支持部は、前記支持部の長さに沿って延びて前記支持部の構造を補強して前記支持部の前記長さにわたって負荷を分散させるストラップをさらに備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項23】
前記弾性変形可能な部材は、前記ユーザの前記脚部の後面および/または側面に沿うようにさらに構成される、請求項1に記載の歩行補助装置。
【国際調査報告】