(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528344(P2021-528344A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】二重真空ガラスの製造方法及びそれによって製造される二重真空ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20210924BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
C03C27/06 101E
C03C27/06 101D
E06B3/663 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-514982(P2020-514982)
(86)(22)【出願日】2019年7月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】KR2019007940
(87)【国際公開番号】WO2020005039
(87)【国際公開日】20200102
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075445
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】520081776
【氏名又は名称】ミレクス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンバン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ソクウ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ソンジュン
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016BA01
2E016BA02
2E016BA03
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA01
4G061AA09
4G061AA11
4G061AA13
4G061BA01
4G061CB02
4G061CD02
4G061CD22
4G061CD23
4G061CD25
4G061DA44
(57)【要約】
本発明は二重真空ガラスの製造方法及びそれによって製造される二重真空ガラスに関するもので、真空ガラスの一側面をなす板状のベースパネルと、真空ガラスの他側面をなす板状のカバーパネルと、前記ベースパネルとカバーパネルの間に空間を形成するように前記ベースパネルと前記カバーパネルの間を離隔させるスペーサーと、前記スペーサーによって離隔される前記ベースパネルと前記カバーパネルの間に結合する帯部材と、前記帯部材の外側から前記ベースパネルの縁部と前記カバーパネルの縁部間の空間に満たされて結合及びシーリングするシーラー(sealer)とを含んでなる。よって、ベースパネルにスペーサーが一体に形成され、ベースパネルとカバーパネルの間が合成樹脂材及びゲル状のシーラーによって結合されることにより、真空ガラスの成形作業を容易に行うことができ、それにかかる時間を縮めることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースパネルの成形時、多数のスペーサーをベースパネルに一体に成形する成形段階と、
ベースパネルとカバーパネルの縁部の内側に位置する帯部材を提供する帯部材形成段階と、
ベースパネルの帯部材に多数のピン部材を位置させるピン部材載置段階と、
ベースパネルの帯部材に位置するピン部材をベースパネルの上側から帯部材を備えたカバーパネルで押圧する押圧段階と、
ベースパネルの帯部材とカバーパネルの帯部材の間に備えられたピン部材を除去するピン部材除去段階と、
帯部材の外側からベースパネルの縁部とカバーパネルの縁部間の空間にゲル状のシーラーを満たしてシーリングするシーリング段階と、
互いに重なったベースパネルとカバーパネル間の空気を排出させて真空を発生させる真空発生段階と、
互いに重なったベースパネルとカバーパネルに熱を加えてシーラーを硬化させる硬化段階と、
を含んでなる、二重真空ガラスの製造方法。
【請求項2】
ベースパネルの成形時、多数のスペーサーをベースパネルに一体に成形する成形段階と、
前記ベースパネルのエッジから内側に位置する帯部材を提供する帯部材形成段階と、
前記ベースパネルの帯部材に多数のピン部材を位置させるピン部材載置段階と、
別途の帯部材を前記ベースパネルの帯部材上に載せて前記ピン部材を支持するピン部材支持段階と、
前記ベースパネルの上側からカバーパネルを覆って前記別途の帯部材を押圧する押圧段階と、
前記ベースパネルの帯部材と前記別途の帯部材の間に備えられたピン部材を除去するピン部材除去段階と、
前記帯部材の外側から前記ベースパネルの縁部と前記カバーパネルの縁部間の空間にゲル状のシーラーを満たしてシーリングするシーリング段階と、
互いに重なった前記ベースパネルと前記カバーパネル間の空気を排出させて真空を発生させる真空発生段階と、
前記互いに重なったベースパネルとカバーパネルに熱を加えてベントホールを塞ぎながらシーラーを硬化させる硬化段階と、
を含んでなる、二重真空ガラスの製造方法。
【請求項3】
前記成形段階は、
前記ベースパネルに成形された前記スペーサーの端部表面に一定の厚さの支持層を形成する段階を含む、請求項1又は2に記載の二重真空ガラスの製造方法。
【請求項4】
前記ベースパネルの上部にカバーパネルを載せるときに重なる帯部材の厚さは、前記スペーサーの高さより大きく形成される、請求項1又は2に記載の二重真空ガラスの製造方法。
【請求項5】
前記押圧段階は、一定の温度に加熱した後に室温で硬化して前記ベースパネルの帯部材とカバーパネルの帯部材を仮接合する仮接合段階を含む、請求項1又は2に記載の二重真空ガラスの製造方法。
【請求項6】
二重真空ガラスの一側面をなす板状のベースパネルと、
前記二重真空ガラスの他側面をなす板状のカバーパネルと、
前記ベースパネルとカバーパネルとの間に空間を形成するように前記ベースパネルと前記カバーパネルとの間を離隔させるスペーサーと、
前記スペーサーによって離隔される前記ベースパネルと前記カバーパネルとの間に結合する帯部材と、
前記帯部材の外側から前記ベースパネルの縁部と前記カバーパネルの縁部間の空間に満たされて結合及びシーリングするシーラー(sealer)と、
を含んでなる、二重真空ガラス。
【請求項7】
前記スペーサーは、前記ベースパネル用金型で前記ベースパネルに一体に形成する方法、前記ベースパネルの一面にエッチング工程で一体に形成する方法、前記ベースパネルの一面を面加工で一体に形成する方法、及び別に形成して前記ベースパネルの一面に並べる方法のいずれか一方法で成形される、請求項6に記載の二重真空ガラス。
【請求項8】
前記シーラーは、前記ベースパネルの側面と前記カバーパネルの側面にも形成される、請求項6に記載の二重真空ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重真空ガラスの製造方法及びそれによって製造される二重真空ガラスに関する。より詳しくはベースパネルとカバーパネルの間に空間を形成するように支持するスペーサーをベースパネルに一体に備えて作業を容易にすることができる真空ガラス製造方法及びそれによって製造される真空ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の窓戸は断熱性のために2枚以上を重ねた形態の複層ガラスが適用されている実情である。このような複層ガラスは2枚のガラスが外部から密閉した状態を維持しながらも互いに密接に結合することができる。したがって、真空ガラスはその内部の空気層が媒介体の役割をすることにより、単層のガラスから構成される通常の一般ガラスに比べて防音、防風、放熱の効果に優れるという特徴がある。
【0003】
従来の真空ガラスの製造方法は次のようである。
【0004】
まず、ベースパネル10の上面の縁部に方形の枠部材11を装着させる枠部材装着段階を含む(S10)。
【0005】
その後、ベースパネル10に多数のスペーサー12を載せて横方向及び縦方向に並べて整列させるスペーサー整列段階を含む(S20)。ここで、スペーサー12と枠部材11はベースパネル10より低い融点のガラス素材からなる。このスペーサー12のそれぞれは直径及び高さがおよそ0.3〜1mmとなるように形成される。
【0006】
その後、加熱されたベースパネル10の上側からカバーパネル20を載せてベースパネル10の上部を覆う段階を含む(S30)。このとき、ベースパネル10の縁部とカバーパネル20の縁部を合わせる。このカバーパネル20には、ベースパネル10とカバーパネル20の間にある空気を抜き出すためのベントホール21が形成されている。ベントホール21は真空ガラスの成形作業前に予めカバーパネル20に形成しておく。
【0007】
覆う段階(S30)の後、ベースパネル10を加熱する加熱段階を含む(S30)。この加熱段階(S30)は、枠部材11とスペーサー12が固定されたベースパネル10をおよそ500℃以上に加熱する加熱段階を含む(S40)。
【0008】
加熱段階(S40)の後、カバーパネル20のベントホール21を通してベースパネル10とカバーパネル20の間にある空気を抜き出して真空を発生させる真空発生段階を含む(S50)。真空発生段階(S50)は、カバーパネル20のベントホール21に真空発生装置を連結した後、10
−2torr以下の真空圧の真空を発生させる。
【0009】
その後、ベントホール21から真空発生装置を分離した後、別途の栓22をベントホール21に差し込んでベントホール21を塞ぐことでベースパネル10にカバーパネル20を固定する作業を完了する(S60)。ここで、栓22は、ベントホール21を全く塞ぐためには、締まりばめで差し込まれるように弾性素材から形成される。
【0010】
前記のような工程によって製造される従来の真空ガラス製造方法には次のような問題点があった。
【0011】
一つ目、ベースパネル10の上面に多数のスペーサー12を載せて横方向及び縦方向に整列させる作業が難しく、これに作業時間が長くかかる。
【0012】
二つ目、真空発生時、高真空(10
−3torr以上)を発生させれば栓22がベントホール21内に吸い込まれるため、高真空の適用が難しい。
【0013】
三つ目、ベントホールと栓の接合が不安定であるため、真空の発現が難しい。
【0014】
四つ目、枠部材11が溶融した後、ベースパネル10とカバーパネル20に付着するため、縁部がこぎれいではなく、脆性が高い。
【0015】
五つ目、融着結合時、高温(500〜550℃)に加熱すれば強化ガラスの特性がなくなるため、二重真空強化ガラスの製作が不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたもので、ベースパネルにスペーサーを一体に形成し、ベースパネルとカバーパネルの間を合成樹脂材とゲル状のシーラーで結合することにより、作業を容易にして所要時間を縮めるようにした二重真空ガラスの製造方法及びそれによって製造される二重真空ガラスを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記のような目的を達成するための本発明は、ベースパネルの成形時、多数のスペーサーをベースパネルに一体に成形する成形段階と、ベースパネルとカバーパネルの縁部の内側に位置する帯部材を提供する帯部材形成段階と、ベースパネルの帯部材に多数のピン部材を位置させるピン部材載置段階と、ベースパネルの帯部材に位置するピン部材をベースパネルの上側から帯部材を備えたカバーパネルで押圧する押圧段階と、ベースパネルの帯部材とカバーパネルの帯部材の間に備えられたピン部材を除去するピン部材除去段階と、帯部材の外側からベースパネルの縁部とカバーパネルの縁部間の空間にゲル状のシーラーを満たしてシーリングするシーリング段階と、互いに重なったベースパネルとカバーパネル間の空気を排出させて真空を発生させる真空発生段階と、互いに重なったベースパネルとカバーパネルに熱を加えてシーラーを硬化させる硬化段階と、を含んでなる。
【0018】
また、本発明は、ベースパネルの成形時、多数のスペーサーをベースパネルに一体に成形する成形段階と、前記ベースパネルのエッジから内側に位置する帯部材を提供する帯部材形成段階と、前記ベースパネルの帯部材に多数のピン部材を位置させるピン部材載置段階と、別途の帯部材を前記ベースパネルの帯部材上に載せて前記ピン部材を支持するピン部材支持段階と、前記ベースパネルの上側からカバーパネルを覆って前記別途の帯部材を押圧する押圧段階と、前記ベースパネルの帯部材と前記別途の帯部材の間に備えられたピン部材を除去するピン部材除去段階と、前記帯部材の外側から前記ベースパネルの縁部と前記カバーパネルの縁部間の空間にゲル状のシーラーを満たしてシーリングするシーリング段階と、互いに重なった前記ベースパネルと前記カバーパネル間の空気を排出させて真空を発生させる真空発生段階と、前記互いに重なったベースパネルとカバーパネルに熱を加えてベントホールを塞ぎながらシーラーを硬化させる硬化段階と、を含んでなる。
【0019】
前記成形段階は、前記ベースパネルに成形された前記スペーサーの端部表面に一定の厚さの支持層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記ベースパネルの上部にカバーパネルを載せたときに重なった帯部材の厚さは、前記スペーサーの高さより大きく形成することができる。
【0021】
また、前記真空発生段階で真空は10
−3torr以下であってもよい。
【0022】
また、前記押圧段階は、一定の温度に加熱した後に室温で硬化して前記ベースパネルの帯部材とカバーパネルの帯部材を仮接合する仮接合段階をさらに含むことができる。
【0023】
また、本発明は、真空ガラスの一側面をなす板状のベースパネルと、真空ガラスの他側面をなす板状のカバーパネルと、前記ベースパネルとカバーパネルの間に空間を形成するように前記ベースパネルと前記カバーパネルの間を離隔させるスペーサーと、前記スペーサーによって離隔される前記ベースパネルと前記カバーパネルの間に結合する帯部材と、前記帯部材の外側から前記ベースパネルの縁部と前記カバーパネルの縁部間の空間に満たされて結合及びシーリングするシーラー(sealer)とを含んでなる。
【0024】
また、前記スペーサーは、前記ベースパネル用金型で前記ベースパネルに一体に形成する方法、前記ベースパネルの一面にエッチング工程で一体に形成する方法、前記ベースパネルの一面を面加工で一体に形成する方法、及び別に形成して前記ベースパネルの一面に並べる方法のいずれか一方法で一定の規格の突起を形成して板ガラスに成形することができる。
【0025】
また、前記シーラーは、前記ベースパネルの側面と前記カバーパネルの側面にも形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ベースパネルにスペーサーが一体に形成され、ベースパネルとカバーパネルの間を合成樹脂材とゲル状のシーラーで結合することにより、真空ガラスの成形作業を容易にし、これにかかる時間を縮めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来の二重真空ガラスの製造時の結合構造を示す分解斜視図である。
【
図2】従来の二重真空ガラスの製造工程を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施例による二重真空ガラスの製造時の結合構造を示す分解斜視図である。
【
図4】
図3の二重真空ガラスの製造時の結合構造を示す断面図である。
【
図5a】本発明の第1実施例による二重真空ガラスの製造過程を示す図である。
【
図5b】本発明の第1実施例による二重真空ガラスの製造過程を示す図である。
【
図6】
図5a及び
図5bの二重真空ガラスの製造方法の工程を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施例による二重真空ガラスの製造方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書及び請求範囲で使う用語又は単語は、通常的又は辞書的意味に限定して解釈されるものではなく、‘発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができる’と言う原則にしたがって本発明の技術的思想に合う意味と概念に解釈されなければならない。
【0029】
また、本明細書に記載した実施例と図面に示す構成は、本発明の好適な実施例に過ぎないものであるだけで、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願の時点にこれらを取り替えることができる多様な均等物又は変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0030】
図3は本発明の第1実施例による二重真空ガラス製造時の結合構造を示す分解斜視図、
図4は
図3の二重真空ガラス製造時の結合構造を示す断面図である。
図5a及び
図5bは本発明の第1実施例による二重真空ガラスの製造過程を示す図、
図6は
図5a及び
図5bの二重真空ガラスの製造方法の工程を示す図である。
【0031】
図3〜
図6を参照すれば、本発明の第1実施例による二重真空ガラスの製造方法は、まず、スペーサー120が形成されたベースパネル110を成形する成形段階(S100)を含む。
【0032】
成形段階(S100)は、ベースパネル110の一面(図面で上面)にスペーサー120を成形する。スペーサー120は、ベースパネル用金型(図示せず)でベースパネル110を成形するとき、ベースパネル110の一面(上面)に一体に成形することができる。ここで、スペーサー120とスペーサー120の間隔はおよそ10〜30mm程度であってもよい。スペーサー120の厚さ及び高さはおよそ0.3〜2mmに形成することができる。
【0033】
成形段階(S100)は、スペーサー120の表面に支持層121を形成する段階(S101)をさらに含む。支持層121は、ベースパネル110の上側にカバーパネル130を覆うとき、カバーパネル130と接触するスペーサー120の表面で発生し得るクラックを防止することができるように緩衝の役割をする。
【0034】
成形段階(S100)の後、ベースパネル110とカバーパネル130の四辺縁部にそれぞれ帯部材140、141を形成する帯部材形成段階(S110)を含む。ベースパネル110に形成される帯部材140はベースパネル110に形成される多数のスペーサー120の外側に備えることができる。
【0035】
帯部材140、141は幅が6〜10mmになるように形成し、ベースパネル110とカバーパネル130のエッジから一定の距離だけ内側に位置させることができる。この帯部材140、141は合成樹脂材から形成することができる。その例として、EVA(Ethylene−Vinyl Acetate Copolymer)、PVB(Poly−vinyl butyral)などを使うことができる。このEVAはエチレンとビニルアセテートを共重合、すなわち化合して生産したもので、透明性及び接着力が大きく、弾性及び低温熱封合性に優れる。EVAは柔らかいながらも強く、ポリウレタンのような他の極性ポリマーより安価であるので価格競争力を持っている。EVAは内部衝撃に強くて吸収性に優れた素材で、スポンジよりは硬くて人体に無害な環境に優しい素材である。
【0036】
ベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141を互いに重ねたときの高さはスペーサー120の高さより大きく形成することができる。
【0037】
その後、ベースパネル110の帯部材140に多数のピン部材145を載置させるピン部材載置段階(S120)を含む。ここで、ピン部材145は、帯部材140、141によってベースパネル110とカバーパネル130の間に形成された空間から空気を抜き出して真空状態を作るとき、空気を排出させるホールを形成することができる。ピン部材145の外径はおよそ0.5〜3mmに形成することができる。
【0038】
ピン部材載置段階(S120)の後、ベースパネル110の上側にカバーパネル130を覆って帯部材の間に位置するピン部材を押圧する押圧段階(S130)を含む。ベースパネル110の上側からカバーパネル130を覆うとき、ベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141が重なるようにする。これにより、カバーパネル130の帯部材141に位置するピン部材145が帯部材141とカバーパネル130によって押圧できる。
【0039】
押圧段階(S130)は、70〜120℃の温度に加熱した後に室温で硬化させることで、互いに重なるベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141を仮接合する仮接合段階(S131)をさらに含むことができる。すなわち、帯部材140、141の間に挟まれたピン部材145によって空気が移動することができるベントホールを形成することができる。
【0040】
その後、ベントホールを形成するピン部材145を除去するピン部材除去段階(S140)を含む。すると、ピン部材145が位置するベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141に空気が移動することができる通路を形成することができる。
【0041】
ピン部材除去段階(S140)の後には、ベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141が重なった後に帯部材140、141の外側に備えられた空間にゲル(gel)状のシーラー(sealer)150を満たしてシーリングするシーリング段階(S150)を含む。シーラー150は弾性を有する柔軟な素材からなることができる。
【0042】
シーリング段階(S150)の後には、ベースパネル110とカバーパネル130が互いに重なり、硬化しなかったシーラー150でシーリングされた状態で、真空チャンバー200で真空を発生させる真空発生段階(S160)を含む。真空発生段階(S160)では、真空チャンバー200で真空を発生させることによって、互いに重なったベースパネル110とカバーパネル130間の空間から空気を真空チャンバー200の外側に排出させることができる。すなわち、ベースパネル110とカバーパネル130間の真空状態を真空チャンバー200の真空状態と同一にしてシーラーを圧縮させることができる。
【0043】
その後、真空発生段階(S160)の後、真空チャンバー200内で90〜140℃の温度に加熱してベントホールを塞ぎ、一定の時間の間に室温で冷却及び硬化させて製品を完成する硬化段階(S170)を含む。
【0044】
図7は本発明の第2実施例による真空ガラス製造方法を示す工程図である。
【0045】
図7に示すように、本発明の第2実施例による真空ガラス製造方法は、スペーサー120が形成されたベースパネル110を成形する成形段階(S200)を含む。
【0046】
成形段階(S200)は、ベースパネル110の一面(図面で上面)にスペーサー120を成形する。スペーサー120は、ベースパネル用金型(図示せず)でベースパネル110を成形するとき、ベースパネル110の一面(上面)に一体に成形することができる。ここで、スペーサー120とスペーサー120の間隔はおよそ10〜30mm程度であってもよい。スペーサー120の厚さ及び高さはおよそ0.3〜1.2mmに形成することができる。
【0047】
成形段階(S200)は、スペーサー120の上端表面に支持層121をコートする段階をさらに含む。支持層121は、ベースパネル110の上側にカバーパネル130を覆うとき、カバーパネル130と接触するスペーサー120の表面に発生し得るクラックを防止するように緩衝の役割をする。
【0048】
成形段階(S200)の後、ベースパネル110のエッジから内側に帯部材140を形成する帯部材形成段階(S210)を含む。ここで、帯部材140はベースパネル110に形成される多数のスペーサー120の外側に備えることができる。帯部材140は幅が6〜10mmになるように形成し、ベースパネル110のエッジから一定の距離だけ内側に位置させることができる。
【0049】
帯部材形成段階(S210)の後、ベースパネル110に形成された帯部材140に多数のピン部材145を載置させるピン部材載置段階(S220)を含む。ここで、ピン部材145は、帯部材140、141によってベースパネル110とカバーパネル130の間に形成された空間から空気を抜き出して真空状態を作るとき、空気を排出させるホールを形成することができる。ピン部材145は外径がおよそ0.5〜3mmになるように形成することができる。
【0050】
ピン部材載置段階(S220)の後、別に形成される帯部材141をベースパネル110の帯部材140に載せてピン部材145を支持するピン部材支持段階(S230)を含む。
【0051】
その後、ベースパネル110の上側からカバーパネル130を覆って別途の帯部材141を押圧する押圧段階(S240)を含む。この押圧段階(S240)は、カバーパネル130の荷重で別途の帯部材141の上部を押圧することで、ピン部材145によってベースパネル110の帯部材140と別途の帯部材141の間に通路を形成することができる。この通路は、ベースパネル110とカバーパネル130間の空間にある空気を排出させることができる。押圧段階(S240)は、70〜120℃の温度に加熱した後に室温で硬化させることにより、互いに重なるベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141を仮接合する仮接合段階(S241)をさらに含むことができる。すなわち、帯部材140、141の間に挟まれたピン部材145によって、空気が移動することができるベントホールを形成することができる。
【0052】
押圧段階(S240)の後、別途の帯部材141とベースパネル110の帯部材140の間に挟まれたピン部材145を除去するピン部材除去段階(S250)を含む。ピン部材除去段階(S250)は、ピン部材145を除去することにより、ピン部材145が挟まれた別途の帯部材141とベースパネル110の帯部材140の間にピン部材形状の通路を形成することができる。
【0053】
ピン部材除去段階(S250)の後、帯部材140、141の外側からベースパネル110の縁部とカバーパネル130の縁部間の空間にゲル(gel)状のシーラー(sealer)を満たしてシーリングするシーリング段階(S260)を含む。シーリング段階(S260)は、ゲル状のシーラー150を互いに重なったベースパネル110とカバーパネル130の縁部間の空間に満たすことにより、帯部材140、141によって内側に形成されるベースパネル110とカバーパネル130間の空間をシーリングすることができる。
【0054】
シーリング段階(S260)の後、ベースパネル110とカバーパネル130が互いに重なり、硬化していないシーラー150でシーリングされた状態で真空チャンバー200に真空を発生させる真空発生段階(S270)を含む。シーリング段階(S260)でシーリングされたベースパネル110とカバーパネル130を真空チャンバー200に入れた後、真空チャンバー200に真空を発生させてベースパネル110とカバーパネル130間の空気を外部に排出させることによって真空状態を作ることができる。このとき、真空チャンバーは10
−3torr以下の圧力の高真空状態であってもよい。
【0055】
真空発生段階(S270)の後、真空チャンバー内で90〜140の温度に加熱して帯部材の間に形成されたベントホールを溶かして塞ぎ、シーラー150を硬化させる硬化段階(S280)を含む。この硬化段階(S280)は、一定時間の間に室温で冷却させて帯部材とシーラーを軟質から硬質に変化させることができる。
【0056】
本発明の一実施例による真空ガラス製造方法によって製造される真空ガラス100は、
図5及び
図6を参照すれば、ベースパネル110と、スペーサー120と、カバーパネル130と、帯部材140、141と、シーラー150とを含んでなる。
【0057】
ベースパネル110は真空ガラス100の一面(図面で底面)をなすことができる。このベースパネル110は一定の大きさの方形に形成される板状のガラスから形成することができる。
【0058】
スペーサー120はベースパネル110とカバーパネル130の間で支持してベースパネル110とカバーパネル130の間を支持することができる。本発明の一実施例で、スペーサー120は、ベースパネル110の成形時、すなわちベースパネル用金型(図示せず)でベースパネル110を成形するとき、ベースパネル110に一体に形成することができる。すなわち、スペーサー120はベースパネル110と同じ素材から形成することができる。ここで、スペーサー120はおよそ0.3〜1.2mmに形成することができる。
【0059】
スペーサー120は別途の部材から成形された後、ベースパネル110とカバーパネル130の間を支持することができる。スペーサー120は一定の厚さの板状に形成されるベースパネル110をエッチング(Etching)加工で一面に形成することができる。スペーサー120はベースパネル110の一面を一定の深さに切削して加工し、横方向に加工した後に縦方向に加工することによって形成することができる。
【0060】
カバーパネル130は真空ガラス100の他側面(図面で上面)をなすもので、板状のガラスから形成することができる。
【0061】
スペーサー120は、真空ガラス100の完成時、カバーパネル130と接触する端部に支持層121を形成することができる。支持層121は、スペーサー120の端部がカバーパネル130に接触するとき、スペーサー120又はカバーパネル130に発生し得るクラックを防止することができる。
【0062】
帯部材140、141はベースパネル110とカバーパネル130の間に真空空間を形成することができる。帯部材140、141はベースパネル110のエッジとカバーパネル130のエッジから内側に離隔させて備えることができる。ベースパネル110の帯部材140とカバーパネル130の帯部材141を重ねた厚さはベースパネル110とカバーパネル130の間を支持するスペーサー120の高さより大きく形成することができる。重なった帯部材140、141の厚さはおよそ1.2〜1.6mmに形成することができる。
【0063】
シーラー(sealer)150は帯部材140、141の外側からベースパネル110の縁部とカバーパネル130の縁部間の空間を満たしてベースパネル110とカバーパネル130の間をシーリングすることができる。シーラー150はベースパネル110とカバーパネル130の側面にも一緒に形成することができる。シーラー150は、
図4に示すように、断面‘T’字形に形成することによってベースパネル110とカバーパネル130の結合強度を向上させることができる。すなわち、断面‘T’字形のシーラー150はベースパネル110とカバーパネル130の側面を支持する面積を増やすことにより、ベースパネル110とカバーパネル130の間でT字形のシーラー150を引っ張る圧力に対抗することができる。
【国際調査報告】