特表2021-528377(P2021-528377A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2021528377-ジカルボン酸の調製方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528377(P2021-528377A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】ジカルボン酸の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/27 20060101AFI20210924BHJP
   C07C 55/14 20060101ALI20210924BHJP
   C07C 55/12 20060101ALI20210924BHJP
   C07C 55/10 20060101ALI20210924BHJP
   C07C 55/16 20060101ALI20210924BHJP
   C07C 55/02 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 31/08 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 27/25 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 27/199 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 27/19 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 27/24 20060101ALI20210924BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20210924BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20210924BHJP
【FI】
   C07C51/27
   C07C55/14
   C07C55/12
   C07C55/10
   C07C55/16
   C07C55/02
   B01J31/08 Z
   B01J27/25 Z
   B01J27/199 Z
   B01J29/70 Z
   B01J29/08 Z
   B01J27/19 Z
   B01J29/40 Z
   B01J27/24 Z
   B01J27/125 Z
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-565330(P2020-565330)
(86)(22)【出願日】2018年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月13日
(86)【国際出願番号】CN2018093445
(87)【国際公開番号】WO2019242038
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】201810638022.9
(32)【優先日】2018年6月20日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン,シンチュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ダージー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA09A
4G169BA10A
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4G169BA42A
4G169BB01A
4G169BB01B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB07A
4G169BB07B
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BB10A
4G169BB12A
4G169BB12B
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4G169BC60B
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4G169BD05B
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4G169BD06B
4G169BD07B
4G169BD12A
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4G169CB07
4G169CB25
4G169CB38
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4G169DA06
4G169FC08
4G169ZA04A
4G169ZA04B
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4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZC08
4H006AA02
4H006AC46
4H006BA12
4H006BA30
4H006BC31
4H006BD51
4H006BD70
4H006BE02
4H039CA65
4H039CC40
4H039CH70
(57)【要約】
環状オレフィンとモノカルボン酸を含有する原料系を、付加触媒の作用で、付加反応させ、カルボン酸シクロエステルを含有する中間生成物系を生成するステップ1)と、前記中間生成物系を酸化触媒の作用で開環酸化反応させ、対応するジカルボン酸生成物を生成するステップ2)と、を含むジカルボン酸の製造方法を提供する。二塩基酸合成経路の付加反応の単流転化率が低く、対応するカルボン酸シクロエステルの選択性が高く、付加−酸化合成経路では、付加と酸化反応の速度がいずれも速く、対応する二塩基酸製品の収率が高い。本願に係る付加−酸化合成経路は、対応する二塩基酸製品の連続的且つ安定的な大規模な生産に適しているに適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィンと低級モノカルボン酸を含有する原料系を、付加触媒の存在下、付加反応させ、カルボン酸環状エステルを含有する中間生成物系を生成するステップ1)と、
カルボン酸環状エステルを含有する前記中間生成物系を酸化剤及び酸化触媒の存在下、開環酸化反応させ、対応するジカルボン酸生成物を生成するステップ2)と、
を含むことを特徴とする、ジカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
前記環状オレフィンは、5つ以上の炭素原子を含み、1つの炭素−炭素二重結合を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
前記環状オレフィンは、式Iに示す化学式の化合物、式IIに示す化学式の化合物、式IIIに示す化学式の化合物、式IVに示す化学式の化合物から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【化1】
(ここで、式I中のR101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれ、
式II中のR201、R202、R203、R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれ、
式III中のR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれ、
式IV中のR401、R402、R403、R404、R405、R406、R407、R408、R409、R410、R411、R412、R413、R414は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。)
【請求項4】
前記低級モノカルボン酸は、式Vに示す化学式を有する化合物から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【化2】
(ここで、R501は、H、C1〜C3のヒドロカルビル基又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。)
【請求項5】
ステップ1)では、前記付加触媒は、担持型無機酸、カチオン交換樹脂、及び分子篩のうち少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項6】
前記担持型無機酸中の無機酸は、重硫酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、AlCl3、及びヘテロポリ酸から選ばれる少なくとも1種であり、前記担持型無機酸中の担体は、シリカ、珪藻土、及びカオリンから選ばれる少なくとも1種であり、前記担持型無機酸中、無機酸の含有量が5〜25重量%である、ことを特徴とする請求項5に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項7】
前記カチオン交換樹脂は、スルホン酸型強酸性マクロポーラスイオン交換樹脂であり、その酸強度のHammett指数H0が−10未満であり、イオン交換樹脂のH+交換容量が1.0mmol/L以上であり、
前記分子篩は、トポロジー構造がFAU、BEA、MFIであるHY、Hβ、及びHZSM−5分子篩から選ばれる少なくとも1種であり、NH3化学吸着により測定したときに、前記分子篩の弱酸中心の密度が0.005〜0.35mmol/g、中等強度酸中心の密度が0.01〜0.5mmol/g、強酸中心の密度が0.003〜0.15mmol/gである、ことを特徴とする請求項5に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項8】
前記低級モノカルボン酸と前記環状オレフィンとのモル比が、0.2〜10.0であり、前記環状オレフィンの供給空間速度が0.6〜3.0g・g-1・h-1である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項9】
前記付加反応は、1つ又は複数の反応器にて行われ、前記反応器は、固定床反応器、釜式反応器から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項10】
前記付加反応の条件は、圧力0.1〜2.0MPa、反応温度50〜150℃である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項11】
ステップ2)では、前記酸化反応の反応条件は、反応温度40〜120℃、反応圧力0.1〜0.5MPaである、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項12】
ステップ2)では、前記酸化剤は、HNO3、亜硝酸塩、過酸化水素水から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項13】
ステップ2)では、前記酸化触媒は、NH4VO3、Cu(NO32、Co(NO32、Fe(NO33、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、及びヘテロポリ酸から選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項14】
ステップ2)では、前記酸化剤とカルボン酸環状エステルとのモル比は、酸化剤:カルボン酸環状エステル=(3〜15):1であり、
酸化触媒の添加量については、前記酸化触媒を加えた後において、酸化反応系中の各酸化触媒の濃度がそれぞれ0.01〜1.0質量%であることを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項15】
カルボン酸環状エステルを含有する前記中間生成物系は、付加反応終了後の混合系であるか、又は単にカルボン酸環状エステルである、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【請求項16】
前記開環酸化反応が終了した後、生成物中の低級モノカルボン酸を分離して得て、ステップ1)の前記付加反応の原料に循環して再利用するステップ3)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のジカルボン酸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ジカルボン酸の調製方法に関し、化学品の生産及び製造の新技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
ジカルボン酸は、高分子化学工業及び有機合成の重要な化学前駆体材料である。アジピン酸は、ジカルボン酸のうち代表的なものであり、現在、主にシクロヘキサノール/シクロヘキサノンを酸化する方法により生産される。代表的な経路には、1)シクロヘキサンを酸化してシクロヘキサノール−シクロヘキサノン(KA油)を生成し、KA油を酸化してアジピン酸を生産する経路と、2)シクロヘキセンを水和してシクロヘキサノールを生成し、シクロヘキサノールを酸化してアジピン酸を生産する経路がある。第1の生産経路では、シクロヘキサンを酸化してKA油を生成するステップにおいてシクロヘキサンの単流転化率が低く(通常、シクロヘキサンの転化率が6%未満)、反応プロセスの操作条件が制御されにくく、事故が発生しやすい。第2の生産経路では、シクロヘキセン水和経路はプロセス操作の安全性に関して顕著な優位性があるものの、以下の問題が存在する。1)シクロヘキセン、水原料の純度への要件が高い。シクロヘキセンやシクロヘキサンなどの上流材料は水への溶解度が近いので、シクロヘキサン不純物が溶解することによる反応速度への悪影響を低減させるためにシクロヘキセン原料中のシクロヘキサン不純物の含有量をできるだけ低下させる必要があり;原料中の水における酸素の含有量は水和反応に影響するので、極力低下させる必要がある、2)水和反応の速度が低い。極性の差異のため、シクロヘキセンの水への溶解度は極めて小さく、その結果、反応速度が反応濃度により制限される。3)単流転化率が低い。シクロヘキセンの水和反応は熱力学的平衡による制限を受ける反応であり、報告によれば、シクロヘキセン原料のスラリー反応器での滞在時間を延ばしても、シクロヘキセンの反応単流転化率が僅か12%程度である。4)反応操作及び後続の分離、循環のコストが高い。反応系が「油相(シクロヘキセン)−水相−固相(分子篩)」という複雑な三相系であるので、強力な撹拌により乳化系を形成して、反応の物質移動を促進する必要があり;撹拌に伴い触媒が摩損され、摩損により生じた微細な触媒により後続の材料分離が困難になり;これに加えて、シクロヘキセンの単流転化率によって、大量の未反応シクロヘキセン材料を循環させる必要がある。
【0003】
上記の代表的な経路に加えて、ほかのアジピン酸合成経路も報告されている。US5166421には、ブタジエンを原料として、2回のヒドロホルミル化によりアジピン酸を調製する方法が報告されている。この経路では、アジピン酸の全収率が低く、使用される貴金属触媒のコストが高い。GB1402480には、まず、環状モノオレフィンと炭素数4〜12の飽和脂肪族二塩基酸とを付加して、対応する二塩基酸エステルを生成し、次に、生成したエステルを酸化してジカルボン酸を得る方法が報告されている。この方法では、付加反応ステップに使用される反応原料が固液両相であるので、間欠的操作しかできず、反応効率が低く、また最終生成物と原料との分離も難しい。したがって、現在の技術の現状に鑑み、プロセスの操作条件が安全であり、反応速度が高く、反応転化率及び原子利用率が高いという特徴がある新しいジカルボン生産方法が期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様によれば、
環状オレフィンと低級モノカルボン酸を含有する原料系を、付加触媒の存在下、付加反応させ、カルボン酸環状エステルを含有する中間生成物系を生成するステップ1)と、
カルボン酸環状エステルを含有する前記中間生成物系を酸化剤及び酸化触媒の存在下、開環酸化反応させ、対応するジカルボン酸生成物を生成するステップ2)と、を含む、ジカルボン酸の調製方法を提供する。
【0005】
好ましくは、前記環状オレフィンは、5つ以上の炭素原子を含み、1つの炭素−炭素二重結合を含む。
前記環状オレフィンは、式Iに示す化学式の化合物、式IIに示す化学式の化合物、式IIIに示す化学式の化合物、式IVに示す化学式の化合物から選ばれる少なくとも1種である。
【化1】
(ここで、式I中のR101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。好ましくは、式I中のR101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108はC1〜C3のアルキル基である。
式II中のR201、R202、R203、R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。好ましくは、式II中のR201、R202、R203、R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210はC1〜C3のアルキル基である。
式III中のR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。好ましくは式III中のR301、R302、R303、R304、R305、R306、R307、R308、R309、R310、R311、R312はC1〜C3のアルキル基である。
式IV中のR401、R402、R403、R404、R405、R406、R407、R408、R409、R410、R411、R412、R413、R414は、それぞれ独立して、H、C1〜C3のヒドロカルビル基、ハロゲン元素又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。好ましくは、式IV中のR401、R402、R403、R404、R405、R406、R407、R408、R409、R410、R411、R412、R413、R414はC1〜C3アルキル基である。)
【0006】
前記低級モノカルボン酸は、式Vに示す化学式を有する化合物から選ばれる少なくとも1種である。
【化2】
(ここで、R501は、H、C1〜C3のヒドロカルビル基又はC1〜C3のハロゲン化ヒドロカルビル基から選ばれる。好ましくは、R501はC1〜C3のアルキル基又はビニル基である。より好ましくは、前記低級モノカルボン酸は、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸から選ばれる少なくとも1種である。)
【0007】
これに対応して、前記付加反応生成物は、以下の式VI、式VII、式VIII、式IXに示される。
【化3】
且つ、前記開環酸化反応の生成物は、以下の式X、XI、XII及びXIIIに示される。
【化4】
【0008】
使用する二塩基酸と比較して、低級モノカルボン酸、特に酢酸は環状オレフィンに対して優れた相溶性を有する。反応物同士の接触性がよりよくなり、反応物の割合がより広い範囲で調整可能になり、それにより、より高い反応活性及び選択性を達成させる。さらに、酢酸と環状オレフィンとの反応混合物が液相であるので、本発明における反応は、固定床を用いて連続的に操作でき、効率が高まる。
【0009】
本発明では、飽和モノカルボン酸を原料として得られる付加中間生成物は液体であり、たとえば酢酸シクロヘキシルである。液体の酢酸シクロヘキシルを使用すると、後続の酸化操作により有利となり、酸化反応ステップの連続操作が可能になり、さらに反応速度が高まり、選択性がより高くなる。本発明では、酸化反応させて得られるジカルボン酸生成物は、飽和モノカルボン酸とより容易に分離できる。本発明で使用される飽和モノカルボン酸はより低価である。
【0010】
好ましくは、ステップ1)では、前記付加触媒は、担持型無機酸、カチオン交換樹脂、及び分子篩のうち少なくとも1種を含む。
【0011】
好ましくは、前記酸性触媒は固体酸触媒である。
【0012】
固体酸触媒には、以下の利点がある。
a)より高い転化率及び選択性を有する。
b)固定床を用いて連続的に操作可能である。
c)生成物と触媒を分離しやすい。
d)設備への腐食性が小さい。
【0013】
好ましくは、前記担持型無機酸中の無機酸は、重硫酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、AlCl3、及びヘテロポリ酸から選ばれる少なくとも1種であり、前記担持型無機酸中の担体は、シリカ、珪藻土、及びカオリンから選ばれる少なくとも1種であり、前記担持型無機酸中、無機酸の含有量が5〜25重量%である。
【0014】
好ましくは、前記カチオン交換樹脂は、スルホン酸型強酸性マクロポーラスイオン交換樹脂であり、その酸強度のHammett指数H0が−10未満であり、イオン交換樹脂のH+交換容量が1.0mmol/L以上であり、
前記分子篩は、トポロジー構造がFAU、BEA、MFIであるHY、Hβ、及びHZSM−5分子篩から選ばれる少なくとも1種であり、NH3化学吸着により測定したところ、前記分子篩の弱酸中心の密度が0.005〜0.35mmol/g、中等強度酸中心の密度が0.01〜0.5mmol/g、強酸中心の密度が0.003〜0.15mmol/gである。
【0015】
好ましくは、前記低級モノカルボン酸と前記環状オレフィンとのモル比が、0.2〜10.0であり、前記環状オレフィンの供給空間速度が0.6〜3.0g・g-1・h-1である。
【0016】
前記付加反応では、酸/オレフィンモル比は、0.2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10のうちの任意の値、及び上記の各値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の値であってもよい。前記環状オレフィンの供給空間速度は、0.6g・g-1・h-1、1g・g-1・h-1、1.5g・g-1・h-1、2.0g・g-1・h-1、2.5g・g-1・h-1、3.0g・g-1・h-1又は上記の各値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の値であってもよい。
【0017】
好ましくは、前記付加反応は、1つ又は複数の反応器にて行われ、前記反応器は、固定床反応器、釜式反応器から選ばれる少なくとも1種である。
【0018】
好ましくは、前記付加反応の条件は、圧力0.1〜2.0MPa、反応温度50〜150℃である。
【0019】
前記付加反応の圧力は、0.1MPa、0.5MPa、1.0MPa、1.5MPa、2.0MPaのうちの任意の値又は上記の値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の値であってもよい。
【0020】
前記付加反応の温度の下限は、50〜60℃から選ばれる任意の値又は範囲であり、前記付加反応の温度の上限は、130〜150℃から選ばれる任意の又は範囲である。
【0021】
好ましくは、ステップ2)では、前記酸化反応の反応条件は、反応温度40〜120℃、反応圧力0.1〜0.5MPaである。
【0022】
前記酸化反応の温度の下限は、40〜50℃から選ばれる任意の値又は範囲であり、前記酸化反応の温度の上限は、100〜120℃から選ばれる任意の値又は範囲である。
【0023】
好ましくは、ステップ2)では、前記酸化剤は、HNO3、亜硝酸塩、過酸化水素水から選ばれる少なくとも1種である。
【0024】
好ましくは、ステップ2)では、前記酸化触媒は、NH4VO3、Cu(NO32、Co(NO32、Fe(NO33、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、及びヘテロポリ酸から選ばれる少なくとも1種である。
【0025】
好ましくは、ステップ2)では、前記酸化剤とカルボン酸環状エステルとのモル比は、酸化剤:カルボン酸環状エステル=(3〜15):1であり、
酸化触媒の添加量については、前記酸化触媒を加えた後において、酸化反応系中の各酸化触媒の濃度がそれぞれ0.01〜1.0質量%であることを満たす。
【0026】
酸化剤は、1種又は複数であってもよく、投入量を決定するにあたり、各酸化剤の質量濃度は別々計算される。
【0027】
好ましくは、カルボン酸環状エステルを含有する前記中間生成物系は、付加反応終了後の混合系であるか、又は単にカルボン酸環状エステルである。
【0028】
好ましくは、前記調製方法は、
前記開環酸化反応が終了した後、生成物中の低級モノカルボン酸を分離して得て、ステップ1)の前記付加反応の原料に循環して再利用するステップ3)をさらに含む。
【0029】
1つの好適な実施形態では、原料であるシクロオレフィンとカルボン酸はそれぞれ固定床反応器に投入され、反応器内には一定量の固体触媒が充填されている。反応操作圧力は0.1〜2.0MPa、反応温度は50〜150℃、シクロオレフィンの供給空間速度は0.6〜3.0g・g-1・h-1、酸/オレフィンモル比は0.2〜10.0であり、最適な操作条件としては、反応圧力は0.1〜1.1MPa、反応温度は70〜125℃、シクロオレフィンの供給空間速度は0.6〜2.0g・g-1・h-1、酸/オレフィンモル比は1〜6である。反応終了後、得た生成物を精留して分離し、純度が99.5%よりも大きいカルボン酸環状エステルの製品又はカルボン酸環状エステルとその対応するカルボン酸との混合物を得る。
【0030】
1つの好適な実施形態では、酸化反応のステップは以下のとおりである。一定量の酸化剤を釜式反応器に加え、一定量の触媒を加え、一定の回転数(100〜300rmp/min)で撹拌して溶解する。溶液中、各触媒の濃度範囲が0.01〜1.0質量%である。反応器の温度を反応温度に上げた後、カルボン酸環状エステル、又はカルボン酸環状エステルとその対応するカルボン酸の混合物を加える。反応温度の範囲は40〜120℃であり、硝酸とカルボン酸環状エステルとのモル比は3〜15である。10〜60分間反応させて、反応を停止する。材料を冷却して、結晶化して分離し、洗浄して精製し、対応する二酸製品を得る。
【発明の効果】
【0031】
本願が奏し得る有益な効果は以下を含む。
1)本願に係る付加−酸化合成経路では、付加反応には、環状オレフィンと低級モノカルボン酸が原料として使用される。使用する反応物は互いに相溶性を有するため、反応物中の酸/オレフィンの比を容易に向上でき、環状オレフィンの転化率(環状オレフィン転化率は95%以上に達する)を向上させるとともに、反応物分子同士をよく接触させ、反応速度を高める。
2)本願の付加反応で使用される低級一塩基酸は、酸性が強く、酸性が弱い高炭素数のカルボン酸よりも、付加反応の反応速度及び転化率の両方が明らかに向上する。
3)本願では、好ましい固体酸触媒には適切な酸強度と酸中心数の分布、優れたチャンネルシステム及び大きな比表面積がある。したがって、付加反応には、高い単流転化率及び目標生成物の選択性がある。触媒と生成物が分離されやすく、且つ設備への腐食性が低い。
4)本願では、付加反応が固定床反応プロセスを用いることができ、付加反応が連続的に実施できるため、反応効率が高まり、反応の時間空間収率が2.0kg・kg-1・h-1以上に達する。
5)本願に係る付加−酸化合成経路では、付加反応の生成物を分離せずに、次の酸化反応に用いることができ、このため、分離コストを節約し、柔軟に操作できる。
6)本願では、付加反応により生成した対応するエステルがすべて液体であるので、固体生成物の場合の後続の酸化反応の操作し難さを回避する。
7)本願に係る付加−酸化合成経路では、二塩基酸の収率が高い。環状オレフィン換算で、対応する二塩基酸の収率は95%以上に達する
8)本願に係る付加−酸化合成経路では、反応条件が温和であり、連続的且つ安定的な大規模な生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例32におけるシクロヘキセンの転化率と酢酸シクロヘキシルの選択性の経時的変化である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を参照しながら本発明をさらに説明するが、本願は、これらの実施例に制限されない。特に断らない限り、本願の実施例における原料及び触媒はすべて市販品として購入する。
【0034】
生成物の具体的な方法は、以下のとおりである。
付加生成物の分析:収集した付加反応生成物について、FID検出器が装備されたアジレント7890Bガスクロマトグラフィーにて生成物の組成を定量的に分析した。ガスクロマトグラフィーカラムとしてFFAPカラムを用いた。n−ブタノールを内部標準として生成物を定量的に分析した。
酸化生成物の分析:収集した酸化反応生成物について、華普S6000液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を定量的に分析した。液体クロマトグラフィーカラムとしてHSS‐T3カラムを用いて分析した。
【0035】
実施例1
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst15 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は85.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.1%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度65%の硝酸145.5gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物5.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.17gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に、反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.9%、グルタル酸の収率は2.8%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0036】
実施例2
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst35 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は84.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が65%の硝酸121.2gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物3.7gとメタバナジン酸アンモニウム0.11gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.6%、グルタル酸の収率は3.1%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0037】
実施例3
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst36 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は81.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.1%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が60%の硝酸105.0gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.2gメタバナジン酸アンモニウムと0.07gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.1%、グルタル酸の収率は3.5%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0038】
実施例4
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst39 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は81.9%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.8%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が60%の硝酸78.8gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物0.6gとメタバナジン酸アンモニウム0.02gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は94.2%、グルタル酸の収率は6.5%、コハク酸の収率は0.4%であった。
【0039】
実施例5
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は83.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.9%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸63.1gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物1.0gとメタバナジン酸アンモニウム0.04gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は93.1%、グルタル酸の収率は6.0%、コハク酸の収率は0.4%であった。
【0040】
実施例6
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst70 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は82.6%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.5%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が45%の硝酸87.5gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物1.7gとメタバナジン酸アンモニウム0.04gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は95.1%、グルタル酸の収率は4.5%、コハク酸の収率は0.3%であった。
【0041】
実施例7
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂DA330 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は84.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.5%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物1.7gとメタバナジン酸アンモニウム0.08gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を50℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.5%、グルタル酸の収率は3.0%、コハク酸の収率は0.2%であった。
【0042】
実施例8
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂DNW−II 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は83.1%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.4%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を40℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.6%、グルタル酸の収率は2.6%、コハク酸の収率は0.3%であった。
【0043】
実施例9
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂D005 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は85.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を60℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.1%、グルタル酸の収率は3.0%、コハク酸の収率は0.3%であった。
【0044】
実施例10
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂HNV−8 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は84.6%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.3%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を80℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。30分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は95.1%、グルタル酸の収率は3.6%、コハク酸の収率は0.4%であった。
【0045】
実施例11
担持型リンタングステン酸触媒HPW/SiO2 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は80.7%、酢酸シクロヘキシルの選択性は97.8%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を90℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。30分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は93.3%、グルタル酸の収率は4.1%、コハク酸の収率は0.6%であった。
【0046】
実施例12
担持型リンモリブデン酸触媒HPM/SiO2 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は81.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は97.6%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を100℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。30分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は92.1%、グルタル酸の収率は4.6%、コハク酸の収率は0.7%であった。
【0047】
実施例13
担持型ケイタングステン酸触媒HSW/SiO2 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を120℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は84.9%、酢酸シクロヘキシルの選択性は97.1%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を120℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。20分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は90.8%、グルタル酸の収率は4.8%、コハク酸の収率は1.0%であった。
【0048】
実施例14
担持型シリコンモリブデン酸触媒HSM/SiO2 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を120℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は85.4%、酢酸シクロヘキシルの選択性は96.9%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸コバルト六水和物3.3gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は91.2%、グルタル酸の収率は6.1%、コハク酸の収率は1.5%であった。
【0049】
実施例15
Hβ分子篩触媒 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は75.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸鉄2.9gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は90.4%、グルタル酸の収率は6.9%、コハク酸の収率は1.9%であった。
【0050】
実施例16
HY分子篩触媒 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は62.3%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.4%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が20%のオキシドール99.2gを250mlの反応釜に加え、リンモリブデン酸2.3gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を80℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は85.6%、グルタル酸の収率は9.8%、コハク酸の収率は2.3%であった。
【0051】
実施例17
HZSM−5分子篩触媒 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は71.4%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.9%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が20%のオキシドール99.2gを250mlの反応釜に加え、タングステン酸アンモニウム3.8gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を80℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は82.1%、グルタル酸の収率は10.4%、コハク酸の収率は3.6%であった。
【0052】
実施例18
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を120℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は85.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.1%であった。
【0053】
未反応のシクロヘキセンを付加反応生成物から分離し、モル比が3.7の酢酸と酢酸シクロヘキシルとを主とする混合物を得た。この酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物をさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。反応溶液に上記酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物45.7gを加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.1%、グルタル酸の収率は3.1%、コハク酸の収率は0.2%であった。
【0054】
実施例19
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂DNW−II 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を140℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が6:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は2.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は81.1%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.5%であった。
未反応のシクロヘキセンを付加反応生成物から分離し、モル比が6.4の酢酸と酢酸シクロヘキシルとを主とする混合物を得た。この酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物をさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。反応溶液に上記酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物66.3gを加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.4%、グルタル酸の収率は3.0%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0055】
実施例20
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst70 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を150℃、反応圧力2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が6:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は3.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は78.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%の酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、(NH46Mo724 1.1gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は93.1%、グルタル酸の収率は5.5%、コハク酸の収率は0.7%であった。
【0056】
実施例21
三塩化アルミニウムを担持させたシリカ(AlCl3−SiO2)触媒 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を150℃、反応圧力を2.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が6:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は0.6g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は50.3%、酢酸シクロヘキシルの選択性は97.6%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、(NH42MoO4 1.4gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は93.4%、グルタル酸の収率は5.2%、コハク酸の収率は0.7%であった。
【0057】
実施例22
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂DA330 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力2MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が2:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は2.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は76.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.6%であった。
未反応のシクロヘキセンを付加反応生成物から分離し、モル比が1.6の酢酸と酢酸シクロヘキシルとを主とする混合物を得た。この酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物をさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。反応溶液に上記酢酸/酢酸シクロヘキシル混合物30.0gを加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.9%、グルタル酸の収率は2.7%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0058】
実施例23
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂D 005 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を50℃、反応圧力を1.0MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は67.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gを加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は83.3%、グルタル酸の収率は12.4%、コハク酸の収率は2.5%であった。
【0059】
実施例24
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が0.5:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は0.8g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は39.6%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.6%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、メタバナジン酸アンモニウム0.1gを加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は81.2%、グルタル酸の収率は13.5%、コハク酸の収率は2.6%であった。
【0060】
実施例25
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が0.2:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は0.6g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は17.5%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.7%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.7%、グルタル酸の収率は2.7%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0061】
実施例26
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂DNW−II 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロペンテンとのモル比が4:1となるように、反応物シクロペンテンと酢酸を反応器にそれぞれ加えた。シクロペンテンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロペンテンの転化率は81.2%、酢酸シクロペンチルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロペンチルを得た。この酢酸シクロペンチルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロペンチル16.0gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロペンチルの転化率は100%、グルタル酸の収率は96.7%、コハク酸の収率は2.9%であった。
【0062】
実施例27
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を80℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が10:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸とを混合して反応器に入れた。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は96.4%、アジピン酸ジシクロヘキシルの選択性は98.3%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸78.8gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物0.96gとメタバナジン酸アンモニウム0.07gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.5%、グルタル酸の収率は2.9%、コハク酸の収率は0.4%であった。
【0063】
実施例28
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。ギ酸とシクロヘプテンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘプテンとギ酸を反応器にそれぞれ加えた。シクロヘプテンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘプテンの転化率は85.3%、ギ酸シクロヘプチルの選択性は98.5%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きいギ酸シクロヘプチルを得た。このギ酸シクロヘプチルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られたギ酸シクロヘプチル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。ギ酸シクロヘプチルの転化率は100%、ピメリン酸の収率は95.6%、アジピン酸の収率は3.4%、グルタル酸の収率は0.5%であった。
【0064】
実施例29
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。アクリル酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンとアクリル酸を反応器にそれぞれ加えた。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は84.3%、アクリル酸シクロヘキシルの選択性は98.6%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きいアクリル酸シクロヘキシルを得た。このアクリル酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られたアクリル酸シクロヘキシル19.3gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。アクリル酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は95.1%、グルタル酸の収率は3.5%、コハク酸の収率は0.6%であった。
【0065】
実施例30
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。トリフルオロ酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンとトリフルオロ酢酸を反応器にそれぞれ加えた。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は86.3%、トリフルオロ酢酸シクロヘキシルの選択性は98.5%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きいトリフルオロ酢酸シクロヘキシルを得た。このトリフルオロ酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られたトリフルオロ酢酸シクロヘキシル24.5gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。トリフルオロ酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は95.8%、グルタル酸の収率は3.3%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0066】
実施例31
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とクロロシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物である3−クロロシクロヘキセンと酢酸とを混合して反応器に入れた。3−クロロシクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。クロロシクロヘキセンの転化率は80.1%、酢酸クロロシクロヘキシルの選択性は98.1%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸クロロシクロヘキシルを得た。この酢酸クロロシクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸クロロシクロヘキシル22.1gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸クロロシクロヘキシルの転化率は100%、クロロアジピン酸の収率は96.2%、グルタル酸の収率は3.0%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0067】
実施例32
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を100℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とメチルシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物メチルシクロヘキセンと酢酸とを混合して反応器に入れた。メチルシクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は250時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。メチルシクロヘキセンの転化率は83.2%、酢酸メチルシクロヘキシルの選択性は98.5%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸メチルシクロヘキシルを得た。この酢酸メチルシクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸メチルシクロヘキシル19.5gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸メチルシクロヘキシルの転化率は100%、メチルアジピン酸の収率は96.4%、グルタル酸の収率は2.9%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0068】
実施例33
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 10mlをステンレス反応釜に詰め、次にシクロヘキセン20gと酢酸56gを反応釜に加えた。反応釜を密封した後、温度を100℃に上げた。続いて4時間加熱しながら撹拌させて反応を停止した。次に反応釜の温度を室温に下げた。反応生成物を取り出し、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は91.2%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98.2%であった。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸78.8gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物0.48gとメタバナジン酸アンモニウム0.07gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を60℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。60分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.1%、グルタル酸の収率は3.1%、コハク酸の収率は0.5%であった。
【0069】
実施例34
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。酢酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンと酢酸をそれぞれ反応器に投入した。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は1000時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は83%〜84%、酢酸シクロヘキシルの選択性は98%〜99%であった。反応結果を図1に示した。
付加反応生成物を精留して、純度が99.5%よりも大きい酢酸シクロヘキシルを得た。この酢酸シクロヘキシルをさらに酸化反応させた。具体的な反応ステップは以下のとおりである。濃度が50%の硝酸110.3gを250mlの反応釜に加え、硝酸銅三水和物2.5gとメタバナジン酸アンモニウム0.1gをそれぞれ加えた。反応釜の温度を70℃に上げた。激しく撹拌して触媒を溶解させた。付加反応させて得られた酢酸シクロヘキシル17.8gを反応溶液に加えた。40分間撹拌しながら反応させた。次に反応釜の温度を室温に下げ、反応を停止した。反応して得られた生成物について、液体クロマトグラフィーにて生成物の組成を分析した。酢酸シクロヘキシルの転化率は100%、アジピン酸の収率は96.8%、グルタル酸の収率は2.6%、コハク酸の収率は0.1%であった。
【0070】
比較例1
マクロポーラス強酸性イオン交換樹脂Amberlyst45 60mlをステンレス鋼管型固定床反応器の中央部に詰め、触媒の上下部をそれぞれ石英砂で充填した。反応器の温度を90℃、反応圧力を0.1MPaに上げた。カプロン酸とシクロヘキセンとのモル比が4:1となるように、反応物であるシクロヘキセンとカプロン酸を反応器にそれぞれ加えた。シクロヘキセンの供給空間速度は1.0g・g-1・h-1であった。反応は24時間連続して行った。反応生成物を収集して、ガスクロマトグラフィーにより生成物の組成を分析した。シクロヘキセンの転化率は64.1%、カプロン酸シクロヘキシルの選択性は98.1%であった。カプロン酸を反応物として用いたとき、付加反応の転化率は同じ条件での実施例5よりはるかに低かった。
【0071】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願に対するいかなる形態の制限ではなく、本願は、好ましい実施例にて以上に開示されているが、本願を制限するためのものではなく、任意の当業者であれば、本願の技術的解決手段を逸脱しない範囲内で、上記開示される技術内容を用いたいくつかの変更や修飾は、すべて等価実施例に相当し、技術的解決手段範囲に含まれる。
図1
【国際調査報告】