(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528510(P2021-528510A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】成形品およびその方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/10 20060101AFI20210924BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20210924BHJP
C08F 8/42 20060101ALI20210924BHJP
B29C 43/02 20060101ALI20210924BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
C08L23/10
C08L23/26
C08F8/42
B29C43/02
B29C45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-564906(P2020-564906)
(86)(22)【出願日】2019年5月28日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月8日
(86)【国際出願番号】US2019034179
(87)【国際公開番号】WO2019231916
(87)【国際公開日】20191205
(31)【優先権主張番号】62/678,558
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519452389
【氏名又は名称】パフォーマンス マテリアルズ エヌエー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シアン
【テーマコード(参考)】
4F204
4F206
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F204AA11
4F204AA22
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4J100JA58
(57)【要約】
ブレンドから形成された成形品であって、そのブレンドが、1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含み、その前駆体酸コポリマーが、(a)エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有する?,?−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、その前駆体酸コポリマーの?,?−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている、成形品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレンドから形成された成形品であって、前記ブレンドが、
1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、
部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含み、前記前駆体酸コポリマーが、(a)エチレンの共重合単位と、前記前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている、成形品。
【請求項2】
前記ポリプロピレンが、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記前駆体酸コポリマーが、50g/10分〜500g/10分のメルトインデックスI2を有する、請求項1または2に記載の成形品。
【請求項4】
前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する前記酸基が、ナトリウムイオン含有塩基によって中和される、請求項1〜3のいずれかに記載の成形品。
【請求項5】
前記アイオノマーが、0.1g/10分〜20g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の成形品。
【請求項6】
前記アイオノマーが、検出することができないか、または約3.0J/g未満である凍結エンタルピーを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の成形品。
【請求項7】
前記成形品が、射出成形品である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形品。
【請求項8】
前記成形品が、圧縮成形品である、請求項1〜6に記載の成形品。
【請求項9】
前記成形品が、次の特性:
35%以下の内部ヘイズ、
160分後の伸びが1,200%未満のオーブンクリープ、または
35℃を超える熱変形温度(HDT)、のうちの少なくとも1つを示す、請求項1〜8のいずれかに記載の成形品。
【請求項10】
成形品を製造する方法であって、
1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含むブレンドを提供することであって、前記前駆体酸コポリマーが、(a)エチレンの共重合単位と、前記前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する前記酸基の約25%〜約65%が中和されている、ブレンドを提供することと、
前記ブレンドを成形品に成形することと、を含む、方法。
【請求項11】
成形が、射出成形によって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成形が、圧縮成形によって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリプロピレンが、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、またはそれらの組み合わせである、請求項10〜12に記載の方法。
【請求項14】
前記前駆体酸コポリマーが、50g/10分〜500g/10分のメルトインデックスI2を有する、請求項10〜13に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する前記酸基が、ナトリウムイオン含有塩基によって中和される、請求項10〜14に記載の方法。
【請求項16】
前記アイオノマーが、0.1g/10分〜20g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有する、請求項10〜15に記載の方法。
【請求項17】
前記アイオノマーが、検出することができないか、または約3.0J/g未満である凍結エンタルピーを有する、請求項10〜16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、成形品、より具体的には、改善された特性を有する成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、化粧品の包装では、耐擦傷性、透明性、硬度、および耐薬品性のためにガラス容器が、しばしば使用された。ガラス容器の使用は、使用には比較的費用がかかるため、制限がないわけではなく、場合によっては、法外に高い費用がかかる可能性がある。ガラスはかなり密度が高く、重量が重い傾向があるため、送料が高くなることがある。さらに、ガラスは、表面の傷および引っかき傷に対してかなり耐性があり得るが、ガラスは脆い。
【0003】
プラスチック化粧品の包装は、アイオノマーの使用によって、ガラス包装のいくつかの欠点を克服することができる。しかしながら、アイオノマーは熱可塑性であるため、高温操作条件下(例えば、射出成形プロセス)でのアイオノマーの変形、流動、またはクリープの可能性により、アイオノマーの使用にいくつかの制限がある。さらに、射出成形プロセスによって製造された容器は、しばしば厚い壁構造を有し得る。かかる射出成形容器を成形する際にアイオノマーを使用するとき、壁の厚さに起因して光学特性が低下し得る。
【0004】
したがって、改善された熱変形温度と、室温およびアイオノマーの融点より低い高温での改善された剛性/モジュラスと、所定の剛性での使用上限温度の改善と、高温での改善された長期クリープとを有し、これらがすべて、良好な光学特性を維持しつつ改善され得るアイオノマー組成物を製造することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の実施形態では、ブレンドから形成された成形品が開示される。そのブレンドは、1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含み、その前駆体酸コポリマーは、(a)エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、その前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている。
【0006】
本明細書の実施形態では、成形品を製造する方法も開示する。その方法は、1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含むブレンドを提供することであって、その前駆体酸コポリマーは、(a)エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、その前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている、ブレンドを提供することと、そのブレンドを成形品に成形することと、を含む。
【0007】
実施形態の追加の特徴および利点は、後に続く詳細な説明で述べられ、その説明から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、後に続く発明を実施するための形態、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む本明細書に記載される実施形態を実践することによって、認識されるであろう。
【0008】
上記および以下の説明の両方は、さまざまな実施形態を説明し、特許請求される主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、かつ本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を例示し、説明と共に、特許請求される主題の原則および操作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に示されるかまたは記載される1つ以上の実施形態による例示的なブレンド、および比較樹脂に関するオーブンクリープ試験の結果をグラフで示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次いで、本明細書でさらに説明されるように、ブレンドから形成された成形品の実施形態を詳細に参照する。ブレンドは、化粧品容器(例えば、キャップ、ボトル、タブまたは厚肉容器)として使用するための物品へと射出成形、圧縮成形、またはブロー成形することができる。しかしながら、これは、本明細書に記載の実施形態の例示的な実行に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上述したものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、本明細書に記載の成形品は、携帯電話のカバーおよびケース、ならびに自動車の内装部品などの他の用途で使用することができる。
【0011】
ブレンド
ブレンドは、ポリプロピレンおよびアイオノマーを含む。ブレンドは、1重量%〜30重量%のポリプロピレンおよび60重量%〜99重量%のアイオノマーを含む。ポリプロピレンの1重量%〜30重量%およびアイオノマーの60重量%〜99重量%のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、1重量%から、3重量%から、または5重量%から、30重量%まで、25重量%まで、20重量%まで、または15重量%までのポリプロピレン、およびブレンドの総重量に基づいて、60重量%から、65重量%から、75重量%から、80重量%から、または85重量%から、99重量%まで、97重量%まで、または95重量%までのアイオノマーを含有する。他の実施形態では、ブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、1重量%〜30重量%、3重量%〜30重量%、3重量%〜20重量%、3重量%〜15重量%のポリプロピレン、およびブレンドの総重量に基づいて、60重量%〜99重量%、60重量%〜97重量%、70重量%〜97重量%、または80重量%〜97重量%のアイオノマーを含有する。さらなる実施形態では、ブレンドは、ブレンドの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%、5重量%〜20重量%、または5重量%〜15重量%のポリプロピレン、およびブレンドの総重量に基づいて、60重量%〜95重量%、70重量%〜95重量%、80重量%〜95重量%、または85重量%〜95重量%のアイオノマーを含有する。
【0012】
ポリプロピレン
ポリプロピレンは、ポリプロピレンホモポリマー、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、またはそれらの組み合わせであり得る。本明細書のいくつかの実施形態では、ポリプロピレンはポリプロピレンホモポリマーである。ポリプロピレンホモポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーの総重量に基づいて、プロピレンに由来する単位を100重量%含有する。ポリプロピレンホモポリマーは、0.890g/cc〜0.910g/ccの密度および/または1g/10分〜500g/10分のメルトフローレート(230℃、2.16kgでASTM D1238に従って測定した場合)であり得る。0.890g/cc〜0.910g/ccおよび/または1g/10分〜500g/10分のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、ポリプロピレンホモポリマーは、次の特性:(a)0.890g/cc〜0.908g/cc、0.895g/cc〜0.910g/cc、または0.895g/cc〜0.908g/ccの密度、および/または(b)下限である1g/10分、3g/10分、もしくは5g/10分から、上限である200g/10分、100g/10分、50g/10分、35g/10分、30g/10分、もしくは20g/10分までのメルトフローレート(230℃、2.16kgでASTM D1238に従って決定した場合)、の一方または両方を有する。好適なポリプロピレンホモポリマーの非限定的な例としては、Washington Penn Plastic Co.,Inc.(Washington,PA)から入手可能なH2UFO、LyondellBasell Industries N.V.(Houston,TX)から入手可能なPRO−FAX(商標)PD702、Braskem S.A.(Brazil)から入手可能なD080T、Pinnacle Polymers Company(Garyville,LA)から入手可能な1104A、またはTotal S.A.(France)から入手可能な3721WZもしくはPPR 7220が挙げられる。好適なポリプロピレンホモポリマーのさらなる非限定的な例としては、メタロセン技術で製造されたもの、例えば、ExxonMobil Chemical Company(Spring,TX)から入手可能なACHIEVE(商標)Advanced PP1605、LyondellBasell Industries N.V.(Houston,TX)から入手可能なMETOCENE(商標)HM2089が挙げられる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーである。本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、2つのコモノマーの共重合から生じる共重合単位を含むポリマーを指す。コポリマーは、本明細書では、その構成コモノマーおよび/またはその構成コモノマーの量に関して説明され得、例えば、「プロピレンと、15重量%のα−オレフィンとを含むコポリマー」、または同様な説明がされ得る。好適なα−オレフィンの非限定的な例には、C
2およびC
4〜C
20α−オレフィン、またはC
4〜C
10α−オレフィン、またはC
4〜C
8α−オレフィンが含まれる。代表的なα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、および1−オクテンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、その中で重合された芳香族コモノマーを含有していない。いくつかの実施形態では、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0014】
いくつかの実施形態では、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーの単位の総重量%に基づいて、プロピレンに由来する単位を50重量%超およびα−オレフィンに由来する単位を相反する量(reciprocal amount)含む。プロピレンに由来する単位の50重量%を超えるすべての個々の値および部分範囲、ならびにα−オレフィンに由来する単位の相反する量は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの単位の総重量%に基づいて、下限である60重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、または90重量%から、上限である99重量%、97重量%、95重量%、90重量%、80重量%、または70重量%までのプロピレンに由来する単位、および相反する量のα−オレフィンに由来する単位を含む。α−オレフィンに由来する単位の相反する量は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーの単位の総重量%に基づいて、50重量%未満、または下限である1重量%、3重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、もしくは30重量%から、上限である49重量%、40重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、もしくは10重量%までのα−オレフィンに由来する単位を含み得る。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の適切な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載されるような13C NMR分析により測定されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.890g/cc〜0.910g/ccの密度および/または1g/10分〜500g/10分のメルトフローレート(230℃、2.16kgでASTM D1238に従って測定した場合)を有し得る。0.890g/cc〜0.910g/ccおよび/または1g/10分〜500g/10分のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、本明細書のいくつかの実施形態では、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、次の特性:(a)0.890g/cc〜0.908g/cc、0.895g/cc〜0.910g/cc、または0.895g/cc〜0.908g/ccの密度、および/または(b)下限である1g/10分、3g/10分、もしくは5g/10分から、上限である200g/10分、100g/10分、50g/10分、35g/10分、30g/10分、もしくは20g/10分までのメルトフローレート(230℃、2.16kgでASTM D1238に従って決定した場合)、の一方または両方を有する。好適なランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、LyondellBasell Industries N.V.(Houston,TX)から入手可能なPRO−FAX(商標)RP323MもしくはRP448S、またはTotal S.A.(France)から入手可能な7823MZが挙げられる。
【0016】
本明細書に記載のポリプロピレンは、当技術分野で知られているさまざまな方法によって、例えば、通常は、固体のチタン遷移金属成分を含む触媒であるメタロセン触媒またはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、単一ステップまたは複数ステップで、スラリー重合、気相重合、塊状重合、溶液重合、またはそれらの組み合わせなどの重合方法によって、調製することができる。ポリプロピレンを調製するための他の例示的な方法は、参照により本明細書に組み込まれるWO2013/074087、U.S.8,058,373、およびWO2017/003762において見出すことができる。
【0017】
ブレンドは、本明細書に記載の1つ以上のポリプロピレンの実施形態を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ブレンドは、少なくとも2つのポリプロピレンを含み、各ポリプロピレンは、組成的に、構造的に、および/または物理的に互いに異なる。少なくとも2つのポリプロピレンがブレンド中に存在する実施形態では、ブレンドは、1重量%〜30重量%の少なくとも2つのポリプロピレンを含む。
【0018】
アイオノマー
本明細書の実施形態では、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成されたアイオノマーを開示する。前駆体酸コポリマー(a)は、エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量%に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含む。5重量%〜30重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、前駆体酸コポリマー(a)は、エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量%に基づいて、5重量%〜25重量%、約7重量%〜約25重量%、または約7重量%〜約22重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含む。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術などの任意の適切な技術を使用して、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,498,282号に記載されるような13C NMR分析により測定されてもよい。
【0019】
3〜8個の炭素原子を有する好適なα,β−不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、およびこれらの酸コモノマーの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を含む。他の実施形態では、3〜8個の炭素原子を有するα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸を含む。
【0020】
前駆体酸コポリマーは、10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2を有する。メルトインデックスI2は、190℃、2.16kgでASTM D1238に従って測定される。10g/10分〜4,000g/10分のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、前駆体酸コポリマーは、10g/10分〜2500g/10分、10g/10分〜1,250g/10分、25g/10分〜1,000g/10分、25g/10分〜750g/10分、50g/10分〜500g/10分、または100g/10分〜450g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。
【0021】
前駆体酸コポリマーは、反応性コモノマーおよび存在するならば溶媒(複数可)の各々が、開始剤と一緒に撹拌反応器に連続的に供給される連続プロセスで合成することができる。開始剤の選択は、開始剤の分解温度と組み合わされた予想される反応器温度範囲に基づいており、この選択の基準は業界でよく理解されている。一般に、エチレンと酸コモノマーとを共重合させて前駆体酸コポリマーを生成させる合成中、反応温度は、約120℃〜約300℃、または約140℃〜約260℃にすることができる。反応器中の圧力は、約130〜約310MPa、または約165〜250MPaに維持することができる。
【0022】
反応器は、例えば、激しい撹拌のための手段を備えているオートクレーブ反応器のあるタイプを説明している米国特許第2,897,183号に記載されているようなオートクレーブ反応器であり得る。この特許はまた、「実質的に一定の環境」下でのエチレンの重合のための連続プロセスも記載している。この環境は、ある特定のパラメーター、例えば、圧力、温度、開始剤濃度、およびポリマー生成物と未反応エチレンとの割合を、重合反応中に、実質的に一定に保つことによって維持される。かかる条件は、さまざまな連続撹拌槽型反応器のいずれかにおいて、その中でも、例えば、連続撹拌等温反応器および連続撹拌断熱反応器のいずれかにおいて、達成することができる。
【0023】
前駆体酸コポリマーを含有する反応混合物を、激しく攪拌し、オートクレーブから連続的に取り出す。反応混合物が反応容器を出た後、得られた前駆体酸コポリマー生成物は、揮発性の未反応モノマーおよび存在するならば溶媒(複数可)から、未重合材料および溶媒(複数可)を、減圧下または高温で気化させるなどの従来の手順によって、分離される。前駆体酸コポリマーの非限定的な例としては、E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.(Wilmington,DE U.S.A.)から入手可能なNUCREL(商標)0403、0903、または0910が挙げられる。
【0024】
一般には、本明細書に記載のアイオノマーを得るために、重合反応の間、反応器の内容物は、単相が実質的に反応器全体に存在するような条件下で、維持されるべきである。これは、米国特許第5,028,674号に記載されているように、反応器温度を調整することによって、反応器圧力を調整することによって、共溶媒を添加することによって、またはこれらの技術の任意の組み合わせによって、達成することができる。従来の手段を使用して、単相が実質的に反応器全体にわたって維持されているかどうかを判定することができる。例えば、Haschらは、“High−Pressure Phase Behavior of Mixtures of Poly(Ethylene−co−Methyl Acrylate)with Low−Molecular Weight Hydrocarbons,”Journal of Polymer Science:Part B:Polymer Physics,Vol.30,1365−1373(1992)において、単相条件と多相条件間の境界を判定する際に使用することができる曇り点測定について説明している。
【0025】
本明細書に記載のブレンドで有用なアイオノマーを得るために、前駆体酸コポリマーは、前駆体酸コポリマー中の酸基(例えば、カルボン酸)が反応して酸塩基(acid salt group)(例えば、カルボン酸塩)を形成するように、金属カチオンを含む塩基で中和される。本明細書の実施形態では、前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%、または約30%〜約60%、または約35%〜約60%、または約30%〜約55%、または約35%〜約55%が、中和される。前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の中和レベルは、添加された塩基性金属化合物の量に基づいて計算するか、または赤外分光法を使用して測定することができる。実際の中和レベルは、赤外分光法を使用して、1530〜1630cm
−1におけるカルボキシレートアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークと、1690〜1710cm
−1におけるカルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピークとを比較することによって、判定することができる。酸性基を中和することができる塩基性金属化合物の量は、酸コポリマー中の目標量の酸部分を中和するように計算された化学量論量の塩基性化合物を添加することによって、提供され得る。アイオノマーの非限定的な例としては、E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.(Wilmington,DE U.S.A.)から入手可能なSURLYN(商標)PC−350、PC−2000、およびPC−2200が挙げられる。
【0026】
任意の安定なカチオンおよび2つ以上の安定なカチオンの任意の組み合わせが、アイオノマーの酸基に対する対イオンとして好適であると考えられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびいくつかの遷移金属のカチオンなどの二価および一価のカチオンを使用することができる。いくつかの実施形態では、カチオンは、二価カチオン(例えば、亜鉛、カルシウム、またはマグネシウム)である。他の実施形態では、カチオンは、一価カチオン(例えば、カリウムまたはナトリウム)である。さらなる実施形態では、前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基は、ナトリウムイオン含有塩基(sodium−ion−containing base)によって中和される。これは、前駆体酸の酸基の水素原子がナトリウムカチオンによって置き換えられるナトリウムアイオノマーを提供することができる。本明細書で使用されるアイオノマーを得るために、前駆体酸コポリマーは、米国特許第3,404,134号および第6,518,365号に記載されている手順などの任意の従来の手順によって中和することができる。
【0027】
アイオノマーは、0.1g/10分〜20g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。0.1g/10分〜20g/10分のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、アイオノマーは、190℃および2.16kgでASTM法D1238に従って測定すると、0.5g/10分〜18g/10分、1.0g/10分〜15g/10分、または3g/10分〜15g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。
【0028】
さらに、アイオノマーは、MettlerまたはTAによって製造されたDSC装置(例えば、Universal V3.9A model)を使用すると、ASTM法D3418に従って示差走査熱量測定(DSC)によって判定されるように、検出できないか、または約3.0J/g未満の凍結エンタルピーを有し得る。検出できない、または約3.0J/g未満のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、アイオノマーは、検出できないか、または約2J/g未満の凍結エンタルピーを有し得る。本明細書で使用される場合、「検出できない」とは、DSC曲線において観察可能な変曲を生じさせない凍結エンタルピーを指す。あるいは、ピーク高さが非常に小さく、半値幅が比較的大きい可能性があるため、ベースラインをDSCトレースから差し引いたときに、積分面積が小さい広いピークを検出または識別できない場合がある。一般に、ASTM D3418に準拠している場合、0.2J/g未満の凍結エンタルピーは検出できないと考えられる。
【0029】
成形品
成形品は、本明細書に記載のブレンドから形成され、組成物の射出成形、ブロー成形、トランスファー成形、鋳造、押出成形、オーバー成形、圧縮成形、またはキャビティ成形などのプロセスを使用して形成することができる。いくつかの実施形態では、成形品は射出成形品である。他の実施形態では、成形品は圧縮成形品である。
【0030】
本明細書のいくつかの実施形態では、成形品を製造する方法は、1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のイオノマーと、を含むブレンドを提供することであって、その前駆体酸コポリマーは、(a)エチレンの共重合単位と、前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、その前駆体酸コポリマーのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている、ブレンドを提供することと、そのブレンドを成形品に成形することと、を含む。前述のように、成形は、射出成形または圧縮成形によって達成することができる。
【0031】
成形品は、以下の特性:35%以下の内部ヘイズ、160分後に1,200%未満の伸びのオーブンクリープ、または35℃を超える熱変形温度(HDT)、のうちの少なくとも1つを示し得る。
【0032】
本明細書に記載される実施形態は、以下の非限定的な例によってさらに例示され得る。
【0033】
試験方法
特に明記しない限り、以下の試験方法が使用される。
【0034】
密度
密度は、ASTM D792に従って測定し、1立方センチメートル当たりのグラム数(またはg/cc)で報告する。
【0035】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちI2を、190℃、2.16kgにおいてASTM D1238に従って測定し、10分当たりのグラム数(またはg/10分)で報告する。
メルトフローレート
【0036】
メルトフローレート、すなわちMFRを、230℃、2.16kgにおいてASTM D1238に従って測定し、10分当たりのグラム数(またはg/10分)で報告する。
【0037】
凍結エンタルピー
凍結エンタルピーは、MettlerまたはTAによって製造されたDSC装置(例えば、Universal V3.9A model)を使用するとき、ASTM法D3418に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定し、ジュール/グラム(またはJ/g)で報告する。
【0038】
内部ヘイズ
内部ヘイズは、ASTM D1003に従って測定し、%で報告する。サンプルは、ホットプレスによって、210℃で6インチ×6インチ×10ミル(L×W×T)フィルムに圧縮成形し、次いでヘイズを測定するために水冷によって室温まで冷却する。
【0039】
オーブンクリープ試験
厚さ10ミル、長さ3インチ、および幅1インチのフィルムサンプルを、210℃で圧縮成形により調製する。フィルムサンプルを温度85℃のオーブン中に吊るし、30グラムの重りをフィルムサンプルに取り付ける。寸法変化%は、フィルム長の変化を元のフィルム長で割ることによって算出され、
図1に示した時間間隔で測定される。フィルムがオーブンの底に触れるポイントまで伸びた場合、試験は失敗である(すなわち、1200%の寸法変化)。
【0040】
熱変形温度(HDT)
HDTは、0.45MPaの負荷を使用してISO75に従って測定し、℃で報告する。
【0041】
引張特性
引張強度、引張弾性率、および破断点伸びは、ISO527に従って測定する。タイプ1Aの試験棒は、引張測定用に射出成形する。
【実施例】
【0042】
材料
【表1】
【0043】
アイオノマーは、次のように調製することができる。最初に、前駆体酸コポリマー(例えば、エチレンとメタクリル酸との非中和コポリマー)を、以下の例外:(1)エチレン対メタクリル酸の比率および開始剤の流量を制御することにより、反応器条件を、約200℃〜約260℃の温度および170MPa〜240MPaの圧力に維持してもよい、(2)プロパンテロゲンは反応器に供給されない。(3)反応器中のメタノールの全濃度を、エチレン、メタクリル酸、メタノール、および開始剤の溶液の全供給量に基づいて約2〜5モル%に維持してもよい、および(4)系は、反応器を通過して流れる材料の滞留時間が約5秒間〜2分間である定常状態に維持する、を除いて、米国特許第5,028,674号の実施例1に記載されている手順に実質的に従って、断熱連続撹拌オートクレーブでのフリーラジカル重合によって製造する。過酢酸tert−テルトブチルは、50%濃度の無臭ミネラルスピリットの溶液として利用することができる開始剤である。
【0044】
配合物
【表2】
【0045】
表2の配合物を、溶融押出(二軸押出機でバレル温度は約210℃である)から作製し、次いで、引張試験およびHDT試験用にISO 527タイプ1A試験棒へと射出成形するか、またはオーブンクリープおよび内部ヘイズ測定用に3インチ×1インチ×10ミル(L×W×T)および6インチ×6インチ×10ミルのフィルムへとそれぞれ圧縮成形する。その結果を、以下の表3および4、ならびに
図1に示す。以下に示すように、本発明の1および2は、比較Aと比較して、透明度の低下(すなわち、内部ヘイズの増加)を最小限に抑えつつ、はるかに高い引張特性、HDT、およびオーブンクリープ抵抗を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
本明細書に開示される寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。代わりに、他に特定されない限り、そのような各寸法は、記述された値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0049】
存在する場合、いかなる相互参照または関連する特許もしくは出願、および本出願がその優先権または利益を主張するいかなる特許出願または特許を含む、本明細書に引用されるすべての文書は、明示的に除外または他の制限がない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、本明細書において開示もしくは特許請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、もしくは他の任意の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、または開示することを認めるものではない。さらに、本文書内の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する範囲で、本文書内でその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるべきである。
【0050】
本発明の特定の実施形態が図示し、説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくさまざまな他の変更および修正を行い得ることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正をすべて網羅することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2021年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレンドから形成された成形品であって、前記ブレンドが、
1重量%〜30重量%のポリプロピレンと、
部分的に中和された前駆体酸コポリマーから形成された、60重量%〜99重量%のアイオノマーと、を含み、前記前駆体酸コポリマーが、(a)エチレンの共重合単位と、前記前駆体酸コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜30重量%の、3〜8個の炭素原子を有するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位と、を含み、かつ(b)10g/10分〜4,000g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有し、前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する酸基の約25%〜約65%が中和されている、成形品。
【請求項2】
前記ポリプロピレンが、ランダムプロピレン/α−オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記前駆体酸コポリマーが、50g/10分〜500g/10分のメルトインデックスI2を有する、請求項1または2に記載の成形品。
【請求項4】
前記前駆体酸コポリマーの前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に由来する前記酸基が、ナトリウムイオン含有塩基によって中和される、請求項1〜3のいずれかに記載の成形品。
【請求項5】
前記アイオノマーが、0.1g/10分〜20g/10分のメルトインデックスI2(190℃、2.16kgでのASTM D1238による)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の成形品。
【請求項6】
前記アイオノマーが、検出することができないか、または約3.0J/g未満である凍結エンタルピーを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の成形品。
【請求項7】
前記成形品が、射出成形品である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形品。
【請求項8】
前記成形品が、圧縮成形品である、請求項1〜6に記載の成形品。
【請求項9】
前記成形品が、次の特性:
35%以下の内部ヘイズ、
160分後の伸びが1,200%未満のオーブンクリープ、または
35℃を超える熱変形温度(HDT)、のうちの少なくとも1つを示す、請求項1〜8のいずれかに記載の成形品。
【国際調査報告】