特表2021-528622(P2021-528622A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-528622高温構成部材を冷却する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528622(P2021-528622A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】高温構成部材を冷却する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20210924BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
   F25B9/00 Z
   F25B9/00 311
   C21D1/00 119
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-570939(P2020-570939)
(86)(22)【出願日】2019年6月19日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2019066208
(87)【国際公開番号】WO2019243423
(87)【国際公開日】20191226
(31)【優先権主張番号】1850768-1
(32)【優先日】2018年6月21日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501426943
【氏名又は名称】イェスタムプ・ハードテック・アクチエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・オルソン
【テーマコード(参考)】
4K034
【Fターム(参考)】
4K034AA19
4K034BA01
4K034BA02
4K034BA05
4K034CA01
4K034DA04
4K034DB03
4K034DB04
4K034DB05
4K034DB06
4K034DB08
4K034FA01
4K034FB15
4K034GA07
4K034GA18
(57)【要約】
本発明は、ガスを用いて自動車構成部材(20)を冷却する装置(1)であって、冷却予定の自動車構成部材(20)を受けるための再閉可能な開口部(12)を含む冷却ボックス(11)を含み、ここで、少なくとも1つのヒートシンク(13)は、ガスを冷却するために冷却ボックス(11)内に設けられ、装置(1)は、ガスと少なくとも1つのヒートシンク(13)の冷却面およびガスと自動車構成部材(20)の両方における熱交換を向上させるために前記冷却ボックス(11)内へ超低周波音をもたらすように配置された少なくとも1つの超低周波音パルセータ(2、3)を含む、装置(1)に関する。本発明は、さらに、そのような装置において自動車構成部材を冷却する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車構成部材(20)を冷却する方法であって、閉空間(10)内で前記構成部材(20)を冷却する工程を含み、前記冷却は、ガスによる冷却を含み、該ガスは、前記閉空間(10)内のヒートシンク(13)の冷却面との熱交換によって冷却され、ここで、ガスと少なくとも1つのヒートシンク(13)の冷却面との間およびガスと自動車構成部材(20)との間の両方における熱交換を向上させるために、低周波音波が前記閉空間(10)内にもたらされる、前記方法。
【請求項2】
前記構成部材の総包絡面積を超える面積の冷却面によって前記ガスを冷却する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
音波は、50Hzより低い周波数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
音波は、閉空間の第1の端部からもたらされ、該閉空間(10)を通って前記第1の端部の反対にある閉空間(10)の第2の端部へ伝搬する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ガスを用いて自動車構成部材(20)を冷却する装置(1)であって、冷却予定の自動車構成部材(20)を受けるための開口部(12)を含む冷却ボックス(11)を含み、ここで、少なくとも1つのヒートシンク(13)は、ガスを冷却するために冷却ボックス(11)内に設けられ、該装置(1)は、ガスと少なくとも1つのヒートシンク(13)の冷却面との間およびガスと自動車構成部材(20)との間の両方における熱交換を向上させるために前記冷却ボックス(11)内へ超低周波音をもたらすように配置された少なくとも1つの超低周波音パルセータ(2、3)を含む、前記装置。
【請求項6】
少なくとも1つのヒートシンク(13)の全冷却面は、冷却ボックス(11)の開口部(12)の面積より大きい、請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
冷却ボックス(11)の内壁は、少なくとも1つのヒートシンク(13)の一部を形成する、請求項5または6に記載の装置(1)。
【請求項8】
冷却ボックス(11)の外の場所で自動車構成部材(20)を把持し、前記構成部材を冷却ボックス(11)内へ動かし、冷却後に前記構成部材を冷却ボックス(11)の外の場所へ動かすように配置された少なくとも1つのグリッパアーム(17、18)を含むグリッパユニット(16)を含み、少なくとも1つのグリッパアーム(17、18)は、冷却中、前記冷却ボックス(11)内へ延びるように配置される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
冷却ボックス(11)の開口部(12)を閉じるように配置され、1つの関連した動きで前記グリッパユニット(16)による冷却ボックス(11)への構成部材の導入と同時に前記冷却ボックス(11)を閉じるように前記グリッパユニット(16)に連結されたドア(19)を含む、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
冷却ボックス(11)の開口部(12)を閉じるように配置され冷却面の一部を形成するヒートシンク(13)を含む内面を有するドア(19)を含み、可撓性冷却管は、ドア(19)の前記ヒートシンク(13)に冷却流体をもたらすように配置される、請求項5〜8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
冷却ボックス(11)の開口部(12)は、スリット形であり、典型的には板の形の細長い形を有する冷却予定の自動車構成部材(20)を受けるように適用され、ここで、装置は、前記自動車構成部材(20)を前記開口(12)を通して前記冷却ボックス内へ、および/または前記冷却ボックスから外へ案内するように適用された少なくとも1つの案内要素(32)を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
第1および第2のスリット形開口部(12)は、冷却ボックス(11)の対向する側部に配置され、少なくとも1つの案内要素(32)は、前記自動車構成部材(20)を第1のスリット形開口部(12)を通って前記冷却ボックス内へ案内し、第2のスリット形開口部(12)を通って前記冷却ボックスから外に案内するように適用される、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記案内要素(32)は、各開口部(12)に配置された一対のコンベヤロール(32)からなり、前記一対のコンベヤロール(32)は、間に自動車構成部材(20)を案内するように配置される、請求項11または12に記載の装置(1)。
【請求項14】
第1の超低周波音パルセータ(2)は、第1の共鳴管(6)を介して冷却ボックス(11)に連結される、請求項5〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
第2の超低周波音パルセータ(3)は、第2の共鳴管(7)を介して冷却ボックス(11)に連結される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
第1の超低周波音パルセータ(2)は、P−パルセータであり、第2の超低周波音パルセータ(3)は、S−パルセータである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
第1の超低周波音パルセータ(2)および第2の超低周波音パルセータ(3)はともにPS−パルセータである、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
第1の超低周波音パルセータ(2)および第2の超低周波音パルセータ(3)はともに、シリンダ(2a)と、前記超低周波音を生成するように前記シリンダ(2a)内を動くように配置されたピストン(21)とを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
第1の共鳴管(6)および第2の共鳴管(7)はともに、共通の超低周波音パルセータに連結され、前記パルセータは、シリンダ(2b)と、前記超低周波音を生成するように前記シリンダ(2b)内を動くように配置されたピストン(21)とを含み、第1の共鳴管(6)および第2の共鳴管(7)は、前記共通の超低周波音パルセータの互いに反対にある端部に連結される、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
第1および第2の共鳴管(6、7)は、ほぼ同じ長さであり、定在音波は、第1の超低周波音パルセータ(2)から第2の超低周波音パルセータ(3)へ生成され、第1の超低周波音パルセータは、第1および第2の共鳴管(6、7)と冷却ボックス(11)を合わせた長さに相当する波長の定在音波を生成するように配置される、請求項15〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
第1の超低周波音パルセータは、第1および第2の共鳴管(6、7)と冷却ボックス(11)を合わせた長さに相当する波長の半分の定在音波を生成するように配置される、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車製造において構成部材、典型的にはいわゆるホワイトボディの一部である構成部材として使用される構成部材を冷却する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業における構成部材の製造では、構成部材は、しばしば、熱間圧延から冷却工程を経て成形工程、そして周囲温度にする最終冷却まで、いくつかの工程により処理される。最良の効率のため、また時間の無駄を回避するために、すべての工程を迅速に実行しなければならず、全体効率は、最も遅い工程によって左右されるので、各工程を極力効率の良い状態にしなければならない。
【0003】
一般的に、成形工程前の細部の冷却の冷却工程は、空気冷却を伴い、したがって最も時間が掛かる工程である。したがって、この冷却工程に掛かる時間を短縮することができれば、プロセスの各工程を同様に短くできるので全体の時間を冷却工程の短縮時間の倍数分短縮することができる。
【0004】
特許文献1には、高温鋼ブランクがいくつもの工程を受ける装置内に冷却ツールとプレスツールが隣り合わせに配置されたプレスシステムが記載されている。この装置は、冷却工程が従来の装置より迅速に実行できるという点で効率を向上させる。この方法に関する課題は、鋼ブランクの均一な冷却を達成することであり、鋼製品の冷却の場合、冷却速度は、鋼製品の特性を左右し得るので最も重要なものである。
【0005】
上述のように、一般的に、特にいくつかの工程が互いの後に実行されるプロセスでは、空気冷却は効率的な冷却には遅すぎる。しかし、空気冷却での冷却速度を上げる方法がある。
【0006】
とりわけ、周囲空気との熱交換を向上させるために超低周波音を適用することによって空気冷却を改善することが知られている。特許文献2には、低周波音発生器が記載されている。これは有利であるが、これまで産業用途では成功裏に実現されていない。
【0007】
したがって、自動車製造における鋼構成部材などの高温物体を冷却するのに必要な時間を短縮する冷却方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP3067128B1
【特許文献2】SE462374B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、典型的には自動車構成部材である高温物体の改善された空気冷却を提供する方法および装置を提供することである。これは、本発明の方法および装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、自動車構成部材を冷却する方法であって、閉空間内で前記構成部材を冷却する工程を含み、前記冷却は、ガスによる冷却を含み、ガスは、前記閉空間内のヒートシンクの冷却面との熱交換によって冷却され、ここで、ガスと少なくとも1つのヒートシンクの冷却面との間およびガスと自動車構成部材との間の両方における熱交換を向上させるために、低周波音波が前記閉空間内にもたらされる、方法に関する。
【0011】
本発明では、冷却は、強制空気流を使用せずに達成される。その代わりに、本発明は、冷却予定の物体近くに配置されたヒートシンクとの熱交換によって冷却するという概念に基づいている。これは、均一な熱交換を促進するので有利である。たとえばファンによって生成される強制空気流では、冷却予定物品の表面に沿って保護膜が生成されることがあり、その膜が周囲空気との熱交換を阻害することになる。したがって、強制空気流のない超低周波音を用いた冷却は、高温物体の空気冷却の非常に効率的な方法である。
【0012】
特定の一実施形態では、方法は、前記構成部材の総包絡面積(total envelope area)を超える面積の冷却面によって前記ガスを冷却する工程を含む。
【0013】
特定の一実施形態では、音波は、50Hzより低い周波数、好ましくは25Hzより低い周波数を有する。
【0014】
音波は、好ましくは、閉空間の第1の端部からもたらされ、閉空間を通って前記第1の端部の反対にある閉空間の第2の端部へ伝搬する。
【0015】
第2の態様によれば、本発明は、ガスを用いて自動車構成部材を冷却する装置であって、冷却予定の自動車構成部材を受けるための開口部を含む冷却ボックスを含み、ここで、少なくとも1つのヒートシンクは、ガスを冷却するために冷却ボックス内に設けられ、装置は、ガスと少なくとも1つのヒートシンクの冷却面およびガスと自動車構成部材の両方における熱交換を向上させるために前記冷却ボックス内へ超低周波音をもたらすように配置された少なくとも1つの超低周波音パルセータ(infra sound pulsator)を含む、装置に関する。
【0016】
特定の一実施形態では、少なくとも1つのヒートシンクの全冷却面は、冷却ボックスの開口部の面積より大きい。
【0017】
特定の一実施形態では、冷却ボックスの内壁は、少なくとも1つのヒートシンクの一部を形成する。
【0018】
特定の一実施形態では、装置は、冷却ボックスの外の場所で自動車構成部材を把持し、前記構成部材を冷却ボックス内へ動かし、冷却後に前記構成部材を冷却ボックスの外の場所へ動かすように配置された少なくとも1つのグリッパアームを含むグリッパユニットを含み、少なくとも1つのグリッパアームは、冷却中、前記冷却ボックス内へ延びるように配置される。
【0019】
特定の一実施形態では、装置は、冷却ボックスの開口部を閉じるように配置され、1つの関連した動きで前記グリッパユニットによる冷却ボックスへの構成部材の導入と同時に前記冷却ボックスを閉じるように前記グリッパユニットに連結されたドアを含む。ドアは、冷却面の一部を形成するヒートシンクを含む内面を有することができる。可撓性冷却管は、ドアの前記ヒートシンクに冷却流体をもたらすように配置される。
【0020】
特定の一実施形態では、冷却ボックスの開口部は、スリット形であり、典型的には板の形の細長い形を有する冷却予定の自動車構成部材を受けるように適用され、ここで、装置は、前記自動車構成部材を前記開口を通して前記冷却ボックス内へ、および/または前記冷却ボックスから外へ案内するように適用された少なくとも1つの案内要素を含む。
【0021】
特定の一実施形態では、第1および第2のスリット形開口部は、冷却ボックスの対向する側部に配置され、少なくとも1つの案内要素は、前記自動車構成部材を第1のスリット形開口部を通って前記冷却ボックス内へ案内し、第2のスリット形開口部を通って前記冷却ボックスから外に案内するように適用される。
【0022】
特定の一実施形態では、各案内要素は、各開口部に配置された一対のコンベヤロールからなり、一対のコンベヤロールは、それぞれそれらの間に自動車構成部材を案内するように配置される。
【0023】
特定の一実施形態では、第1の超低周波音パルセータは、第1の共鳴管を介して冷却ボックスに連結される。第2の超低周波音パルセータは、第2の共鳴管を介して冷却ボックスに連結することができる。
【0024】
第1の超低周波音パルセータは、P−パルセータとすることができ、第2の超低周波音パルセータは、S−パルセータとすることができる。
【0025】
別の特定の一実施形態では、第1の超低周波音パルセータおよび第2の超低周波音パルセータはともにPS−パルセータである。
【0026】
特定の一実施形態では、第1の超低周波音パルセータおよび第2の超低周波音パルセータはともに、シリンダと、前記超低周波音を生成するように前記シリンダ内を動くように配置されたピストンとを含む。
【0027】
特定の一実施形態では、第1の共鳴管および第2の共鳴管はともに、共通の超低周波音パルセータに連結され、前記パルセータは、シリンダと、前記超低周波音を生成するように前記シリンダ内を動くように配置されたピストンとを含み、第1の共鳴管および第2の共鳴管は、前記共通の超低周波音パルセータの互いに反対にある端部に連結される。
【0028】
好ましくは、第1および第2の共鳴管は、ほぼ同じ長さであり、定在波は、第1の超低周波音パルセータから第2の超低周波音パルセータへ生成され、第1の超低周波音パルセータは、第1および第2の共鳴管と冷却ボックスを合わせた長さに相当する波長の定在波を生成するように配置される。
【0029】
特定の一実施形態では、第1の超低周波音パルセータは、第1および第2の共鳴管と冷却ボックスを合わせた長さに相当する波長の半分の定在波を生成するように配置される。
【0030】
典型的には、この方法および装置は、鋼、アルミニウム、亜鉛めっき鋼などの板または予備成形部材などの自動車構成部材の冷却に適用される。
【0031】
他の実施形態および利点は、詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0032】
次に、添付の図面を参照して本発明に関する例示的な一実施形態について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】高温物体を冷却する装置の一実施形態の概略図である。
図2】高温物体を冷却する装置の一代替実施形態の概略図である。
図3図1に示される装置に使用される冷却ボックスの概略図である。
図4図1に示される装置に使用される冷却ボックスの概略図である。
図5図1および図2の装置に使用されるパルセータの第1の実施形態の図である。
図6図1および図2の装置に使用されるパルセータの第2の実施形態の図である。
図7】異なる運転モードにあるパルセータの第3の実施形態の図である。
図8】異なる運転モードにあるパルセータの第3の実施形態の図である。
図9】異なる運転モードにあるパルセータの第3の実施形態の図である。
図10】異なる運転モードにあるパルセータの第3の実施形態の図である。
図11図1に示される装置に使用される別の冷却ボックスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、たとえば蒸気を含むまたは含まない空気または任意の他のガスである冷却ガスを用いて自動車構成部材20などの構成部材を冷却する装置1を示している。装置は、具体的には自動車構成部材20である冷却予定の物品を受ける開口部12を含む冷却ボックス11内に配置された閉空間10を含む。開口部は、再閉可能であることが好ましい。ガスを冷却する冷却ボックス11内には、少なくとも1つのヒートシンク13が設けられる。装置1は、冷却ガスと少なくとも1つのヒートシンク13の冷却面との間、ならびに冷却ガスと冷却予定の自動車構成部材20との間の熱交換を向上させるように超低周波音を前記冷却ボックス11にもたらすように配置された少なくとも1つの超低周波音パルセータ2および3を含む。
【0035】
効率的な冷却を達成するため、ヒートシンク13の全冷却面は、冷却ボックス11の開口部12の面積より大きい。すなわち、これは、ヒートシンク13の冷却面が開口部12の面積より大きい場合、自動車構成部材20が前記開口部から入れられるように配置されることを考慮すると、少なくとも、冷却予定の前記自動車構成部材20の主要寸法より大きいことになる。しかし、複数のヒートシンク13が配置されることが好ましく、前記ヒートシンク13は、全冷却面を増加させる冷却フランジを含むこともできる。冷却効率は、ヒートシンク13の全冷却面の増加と共に向上するが、冷却は、ただ1つのヒートシンクの小さな冷却面による影響も受けることが当業者には明らかである。
【0036】
図1に示されるように、冷却ボックス11の内壁は、ヒートシンク13の一部を形成する。図示の実施形態では、上側壁と下側壁はともに内面にヒートシンク13を含む。冷却効果を全体的または少なくともその大半をさらに増加させるために、冷却ボックス11の内面はヒートシンクからなる、またはそれを含んでよい。
【0037】
ドア19は、冷却ボックス11の開口部12を閉鎖するように配置される。図示の実施形態では、ドア19の内面は、冷却面の一部を形成するヒートシンク13を含む。可撓性冷却管(図示せず)は、ドアの前記ヒートシンク13を冷却する冷却流体をもたらすように配置することができる。
【0038】
図11には、本発明の装置の冷却ボックス11の一代替実施形態が示されており、開口部12は、冷却ボックス11の閉空間10に鋼ブランクなどを横から受け入れるように配置された少なくとも1つの細長いアパーチャ、すなわちスリット形開口部からなる。さらに、冷却ボックス11は、冷却予定の物体が冷却ボックスの一方側から入れられ冷却後に冷却ボックスの反対側から取り出されるように、冷却ボックス11上に互いに対向して配置されることが好ましい2つのそのような開口部12を備えることができる。したがって、具体的には、この実施形態は金属シートなどのブランクを効率的に冷却することに適用される。開口部12は、開口部を覆っているが金属ブランクの導入および/または退出は可能にするように配置された可撓性カーテン(図示せず)を備えることができる。そのようなカーテンは、音響公害を最低限に抑え、冷却効果を最大にするように閉空間10内で超低周波音の定在波を極力減衰させずに保つために配置される。
【0039】
図11に示されるように、案内要素32は、自動車構成部材20を間に案内するように各開口部12に配置することができる。図示の実施形態では、案内要素32は、ブランクを間に受けて案内するように配置されたコンベヤロールからなる。コンベヤロールの代わりとして、高温金属ブランクが摺動できる任意の表面を、好ましくは前記金属ブランクを冷却ボックス11の閉空間10を通って運搬するための装置と組み合わせて設けてもよい。さらに、コンベヤロールまたは任意の他のタイプの案内要素を冷却ボックス11内に配置してもよい。当然、コンベヤロールまたは他のタイプの案内要素は、冷却予定の自動車構成部材20の長さより小さい距離を置いて一定の間隔に配置される必要がある。さらに、図11には、ヒートシンク13の有効冷却面を増加させるために設けられた冷却フランジ33が示されている。図1に示される実施形態に関して、冷却管(図示せず)は、好ましくは、前記ヒートシンク13を冷却するたとえば水である冷却流体を提供するように配置される。
【0040】
第1の超低周波音パルセータ2は、第1の共鳴管6を介して冷却ボックス11に連結され、前記第1の共鳴管6の第1の外端4に配置される。第2の超低周波音パルセータ3は、第2の共鳴管7を介して冷却ボックス11に連結され、前記第2の共鳴管7の第2の外端5に配置される。
【0041】
第1および第2の共鳴管6および7は、それらの全長に沿って実質的に同じ断面を有する管状とすることができる。しかし、それらは、断面が変化する通路を含んでもよい。ある断面域から他の断面域への移行部はディフューザと呼ばれることがある。図示の実施形態では、そのようなディフューザは、第1および第2の共鳴管6および7のそれぞれの外端4および5のところと、共鳴管と冷却ボックス11の閉空間10との間の移行部の両方に配置される。管状の共鳴器は曲がっていてよく、または直線状でもよい。
【0042】
制振ダンパ14は、それぞれの第1および第2の共鳴管6および7の各外端4および5に配置される。制振ダンパ14は、パルセータの波動から生じる振動、したがって生成される音波を減少させるために配置される。制振ダンパ14は、ばねに吊下げられ、音波に応じて生み出される揺動の方向に対して平行な方向、したがって第1および第2の共鳴管6および7の軸方向に平行な方向のばねの反作用により揺動可能な重錘を含むことができる。
【0043】
図2には、冷却装置1の別の第2の実施形態が概略的に示されている。ほとんどの部材について、第2の実施形態は図1に示される第1の実施形態と同一である。図2では、冷却予定の物品20aは、冷却ガス28によって冷却される変則的な形状の物品である。冷却ガスは、ミストとして例示されているが、ほとんどの場合空気のような乾燥した不可視のガスである。第2の実施形態では、フィズル弁(fizzle valve)15が、第1および第2の共鳴管6および7のそれぞれの外端4および5に配置される。フィズル弁15は、とりわけ、開口部12が開けられたときにシステムからの音の放射を弱めるように配置される。すなわち、開口部12が開けられたときに非常に大きな音が前記開口部から漏れることがある。フィズル弁15は、音波の振幅を減少させることができる。フィズル弁15は、開口部12が開けられると同時に開くように配置される。
【0044】
定在音波を保つために、一方のフィズル弁15は、反対端のフィズル弁より大きな開口部を有することが特徴的となり得る。すなわち、ドア19およびフィズル弁15の開放は、システム内の音波の波長に影響を及ぼし得る。開口部12およびフィズル弁15が再び閉じられるとき、所望の波長の定在波がシステム内において第1および第2の共鳴管6および7の外端間で再び伝搬する前にいくらか時間がかかり得る。この時間を最小限に抑えるために、開放の間、定在波を大きいままにすることが望ましい。これは、少なくとも部分的に、開口部12の開放のときに常にフィズル弁15が開けられることによって達成される。さらに、開口部12の開放時間を最小限にする、すなわち冷却済み物品の退出と冷却予定の新しい物品の挿入との間の時間を最小限にすることが有利である。
【0045】
次に、図3および図4を参照すると、図1および図2に示されるような装置の冷却ボックス11がより詳細に述べられる。
【0046】
冷却ボックス11の閉空間10の形状は、冷却予定の物品の形状に適用させることができる。冷却予定の物品が細長い物体の場合、中間がくびれた若干テーパ状の形状の閉空間を有することが効率的であることが証明されている。したがって、断面域が冷却ボックス11の閉空間10でより広くなる図1および図2に示される実施形態とは対照的に、そうではなく、冷却ボックス11の閉空間10において同じ幅またはより細い幅を有することになり得る。
【0047】
図3および図4に示される実施形態では、冷却ボックス11は、主要延長部が音波の方向に対して平行な方向にある、直方体の形状を有する。これは、そうした形状内に簡単に適合できるたとえば鋼ブランクなどに有用な形状である。
【0048】
図示の冷却ボックス11は、ドア19によって守られる開口部12を含む。少なくとも1つのグリッパアーム17、18を含むグリッパユニット16は、冷却ボックス11の外の場所にある冷却予定の自動車構成部材20’を把持するように配置される。前記グリッパユニット16により、前記構成部材20’は冷却ボックス11内へ動かされ、冷却後のすでに冷却済みの構成部材20’’が冷却ボックス11の外の場所へ動かされる。グリッパアーム17、18は、冷却の間、前記冷却ボックス11内へ延びるように配置される。
【0049】
図示の実施形態では、冷却ボックス11の開口部12を閉じるように配置されるドア19は、1つの関連した動きで前記グリッパユニット16による冷却ボックス11への構成部材の導入と同時に前記冷却ボックス11を閉じるようにグリッパユニット16に連結される。図4に示される実施形態では、一体のグリッパユニット16を含む2つのドア19が提供される。これは、冷却ボックス11の運転時間を最大にするように、開口部12の開放時間を最小限にするので、有利である。さらに、開口部12が短時間しか開けられないことにより、冷却ボックス11内の定在波が極力減衰されずに維持されるので、ドア19が閉じられた後すぐまたは間もなく定在波が引き続き伝搬することができる。
【0050】
図5図10には、3つの異なるタイプのパルセータが示されている。超低周波音パルセータ2は、P−パルセータまたはS−パルセータであってよい。P−パルセータは、空気パルスを投入するパルセータであり、S−パルセータは、空気パルスを排出または解放するパルセータである。空気パルスの投入または排出を交互に行うパルセータは、PS−パルセータと呼ばれる。1つのP−パルセータおよび1つのS−パルセータのどちらかをシステムの互いに反対にある端部に配置する、またはPS−パルセータを両方の端部に配置する。互いに反対にある端部のパルセータは、定在音波がパルセータ間にとどめられるように互いに同期させる必要がある。一般的に、この同期は、定在音波によって左右される自然なペースのパルセータの揺動を可能にし、前記自然なペースの方向の力の印加による動きを促進するように設定される。
【0051】
図5には、第1のタイプのPS−パルセータ2aが示されている。シリンダ内を前後に動くピストン21は、PS−パルセータとして働くように配置される。図示のパルセータ2aは、第1の管状共鳴管6の第1の外端4に設けられる。好ましくは、対応するPS−パルセータは、反対端である、第2の管状共鳴管7の第2の外端5に設けられる。互いに反対にあるPS−パルセータは、一方がその最外位置にあるときに他方がその最内位置にあるように互いに位相がずれて動作するように配置される。パルセータは、相互作用により、互いの位相が半波長ずれることになる。それによって、管状共鳴管6および7のそれぞれの外端4と外端5との間で、半波長の定在波が生成されることになる。
【0052】
図6には、別のパルセータ2bが示されており、このパルセータは、第1の共鳴管6の第1の外端4と第2の共鳴管7の第2の外端5の両方に連結される。この構造の場合、ピストンは、共鳴管の一方の外端4に圧力をもたらすと同時に、他方の共鳴管の外端から圧力を解放することになる。
【0053】
図7図10には、異なるモードにある、高強度の音波を生成する特定のタイプのパルセータ2cが示されている。パルセータ2cは、ばね付勢ピストン26を含む。パルセータ2cは、弁入口開口部29を含む入口チャンバ24と、弁出口開口部30を含む出口チャンバ25を含む。ばね付勢ピストン26は、弁入口開口部29および弁出口開口部30と向かい合うように配置されたピストンポート31を含む。入口チャンバ24は、連続圧力源(図示せず)に連結され、出口チャンバ25は、連続負圧源(図示せず)に連結される。
【0054】
ばね付勢ピストン26が動くと、ピストンポート31は、弁入口開口部29を介して入口チャンバ24をピストン26の内部に、または弁出口開口部30を介して出口チャンバ25をピストン26の内部に、交互に連結する。弁入口開口部29および入口チャンバ24とピストン26の内部との間の連結は、ばね付勢ピストン26の位置によって左右される。開口部は、弁入口開口部29および弁出口開口部30の一方だけが一度にピストンポート31と整列するように配置される。
【0055】
図7では、ばね付勢ピストン26はその最内位置にあり、ばね付勢ピストン26を保持するばね27は、最も圧縮された状態にある。この位置から、ばね27は、ばね付勢ピストン26に作用してそれを内方に押し、それによって第1の共鳴管6の外端4内の空気が圧縮されて第1の共鳴管6内でパルスが生み出され冷却ボックス11を通って第2の共鳴管7へ伝わる。
【0056】
図7に示される位置では、ピストンポート31は、弁入口ポート29と整列して位置し、入口チャンバ24をピストン26の内部に連結させ、それによって共鳴管内の圧力がさらに増加し、前記共鳴管内に定在波が確立される。
【0057】
図8に示される位置では、ピストン26はその最外位置から動いており、共鳴管の方へ内方に向かうその動きは加速し続け、それによって前記共鳴管内の空気はさらに圧縮される。ピストンポート31は、依然として、入口チャンバ24をピストン26の内部に連結するように弁入口ポート29と少なくとも部分的に整列して位置し、それによって共鳴管内の圧力がさらに増加する。
【0058】
図9に示される位置では、ピストン26は、ばね27が外方、すなわちピストン26の動きの反対方向に働き始める位置へ動き、それによって前記ピストン26の動きが減速する。さらに、ばねの非付勢位置と実質的に同じ位置を通過したところで、ピストンポート31は、弁入口ポート29との連結から弁出口ポート30との連結にうつり、それによって空気がピストン26の内部から弁出口ポート30を介して出口チャンバ内、さらには負圧源(図示せず)へ吸い出される。
【0059】
図10に示される位置では、ピストン26は最内位置へ動き、その位置から戻って外方へ動き出す。ばね27が伸長され、それによって共鳴管内の圧力を解放するようにピストン26が外方に引っ張られ、その動作は、ピストンポート31が弁出口ポート30に連結されると空気がピストン26の内部から出口チャンバ25の方に向けて吸い出されることで増進される。
【0060】
ピストン26は、図10に示される位置から、図9および図8にそれぞれ示される位置を通って図7に示される位置の方に向けて逆に動くことになる。したがって、半波長の定在波が生成されパルセータ2cと共鳴管の反対端にある対応するパルセータによって留められるという点から、パルセータ2cは自己調節性である。他方のパルセータは、第1のパルセータ2cと半分の長さ分位相がずれるように自己調節される。
【0061】
図1および図2に示されるように、第1および第2の共鳴管6および7は、ほぼ同じ長さであることが好ましく、定在波は、第1の超低周波音パルセータ2から第2の超低周波音パルセータ3へ生成され、ここで、第1の超低周波音パルセータ2は、第1および第2の共鳴管6および7と冷却ボックス11を合わせた長さに相当する波長の半分の定在波を生成するように配置される。したがって、第1および第2のパルセータ2および3は、位相が互いに半波長ずれる。
【0062】
定在波の波長は、上記から明らかなように、システムの長さ、すなわち第1のパルセータ2と第2のパルセータ3との間の長さに応じて決まる。好ましくは、6.8メートルの波長の音が得られる周波数は、50Hz以下であり、したがってパルセータ同士の間に3.4メートルの長さが必要となる。しかし、冷却効果は、周波数が低いほど上がり、特定の一実施形態では、パルセータ間の長さは約8.5メートルであり、よって約20Hzの周波数の音波を得ることになる。非常に高い冷却効率を達成するには、周波数を20Hz以下に保てばよく、したがって、前記の非常に高い冷却効率を得るには、第1および第2の共鳴管6および7と冷却ボックス11を合わせた長さは、約8.5メートル以上でなければならない。
【0063】
上記において、特定の実施形態を参照して本発明を述べた。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されない。以下にある特許請求の範囲の範囲内で他の実施形態も可能であることが当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】