特表2021-528830(P2021-528830A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-528830放熱を有する磁気アシストアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528830(P2021-528830A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】放熱を有する磁気アシストアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/10 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
   H01J35/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-514083(P2021-514083)
(86)(22)【出願日】2019年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月16日
(86)【国際出願番号】US2019052444
(87)【国際公開番号】WO2020068675
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】16/146,914
(32)【優先日】2018年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ヴァンス スコット
(72)【発明者】
【氏名】グリーンランド、ケイシー オソー
(72)【発明者】
【氏名】ボストロム、ニール
(57)【要約】
一例では、リフトアセンブリは、X線管の回転可能なアノードに力を及ぼし得る。リフトアセンブリは、リフトシャフト及びリフト電磁石を含み得る。リフトシャフトは、アノードに結合され得、かつ、アノードの回転軸の周りを回転するように構成され得る。リフト電磁石は、磁力をリフトシャフトに半径方向に加えるように構成され得る。リフト電磁石は、リフトシャフトに向けて配向された第1の極及び第2の極を含み得る。巻線は、第1の極の周りに配置され得る。リフトアセンブリは、放熱構造を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管の回転可能なアノードに力を及ぼすように構成されたリフトアセンブリであって、
前記アノードに結合され、かつ前記アノードの回転軸の周りを回転するように構成されたリフトシャフトと、
前記リフトシャフトに磁力を実質的に半径方向に加えるように構成されたリフト電磁石であって、前記リフトシャフトに向けて配向された少なくとも第1の極及び第2の極を備える、前記リフト電磁石と、
少なくとも前記第1の極の周りに配置された巻線と、
放熱構造と、
を備える、リフトアセンブリ。
【請求項2】
前記放熱構造が、前記リフト電磁石の周りに冷却剤を導くように構成されたダクト、シュラウド、またはジェットを備える、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項3】
前記放熱構造が、少なくとも部分的に前記リフト電磁石を囲んで冷却剤を前記リフト電磁石の周りに押しやるシュラウドを備える、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項4】
前記放熱構造が、前記巻線に結合された、前記巻線から延在する、または前記巻線に埋め込まれた1つまたは複数のフィンを備える、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項5】
前記フィンが、前記リフトシャフトに対して垂直に配向されている、請求項4に記載のリフトアセンブリ。
【請求項6】
前記フィンが、前記リフトシャフトに対して平行に配向されている、請求項4に記載のリフトアセンブリ。
【請求項7】
前記放熱構造の最大寸法が、前記リフトシャフトに対して実質的に平行または実質的に垂直である、請求項1から6のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項8】
前記放熱構造が、前記リフト電磁石の外表面、前記巻線、または前記リフト電磁石と前記巻線との間に配置された熱インターフェース材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項9】
前記熱インターフェース材料が、少なくとも部分的に前記リフト電磁石を囲む冷却剤の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する、請求項8に記載のリフトアセンブリ。
【請求項10】
前記熱インターフェース材料が、前記巻線に少なくとも部分的に適合するか、または、前記熱インターフェース材料が、サーマルグリース、エポキシ、充填剤、もしくはポッティング材料を備える、請求項8に記載のリフトアセンブリ。
【請求項11】
前記放熱構造が、前記リフト電磁石を通って流体の流れの方向に延在する1つまたは複数の開口部を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項12】
前記開口部が、前記第1の極と前記第2の極との間の空間まで延在する、請求項11に記載のリフトアセンブリ。
【請求項13】
前記第1の極の上に配置された1つまたは複数のチャネルと、
前記リフト電磁石を通って前記チャネルまで延在する1つまたは複数の開口部と、
をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項14】
少なくとも部分的に前記リフト電磁石の周りに配置された冷却剤をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項15】
前記巻線が、外側巻線及び内側巻線を備え、
前記外側巻線は、前記内側巻線よりも高い抵抗を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項16】
X線源のアノードアセンブリを回転させることと、
前記アノードアセンブリに結合されたリフトシャフトにリフト電磁石によって磁力を加えることと、
放熱構造を使用して前記リフト電磁石を冷却することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記リフト電磁石を前記冷却することが、少なくとも部分的に前記リフト電磁石の周りに冷却剤を導くことを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リフト電磁石を前記冷却することが、冷却剤を、前記リフト電磁石の周りに導くダクト、シュラウド、またはジェットを使用して、少なくとも部分的に前記リフト電磁石の周りに前記冷却剤を押しやることを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記リフト電磁石を前記冷却することが、冷却剤を、前記リフト電磁石に結合されたフィンを通して、または前記リフト電磁石に画定された開口部もしくはチャネルを通して導くことを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
X線源の回転可能なアノードに力を及ぼすように構成されたリフトアセンブリであって、
前記アノードの回転軸の周りを回転するため前記アノードに結合されたリフトシャフト手段と、
磁力を前記リフトシャフト手段に半径方向に加えるためのリフト電磁石手段と、
前記リフト電磁石手段を冷却するための放熱手段と、
を備える、リフトアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、X線撮像システムに関し、X線撮像システムで用いられるX線源用の磁気リフトアセンブリに関する実施形態を含む。
【0002】
X線撮像システムは、通常、X線源、検出器、ならびに、X線源及び検出器用のガントリなどの支持構造を含む。動作中、X線源は、通常、X線などの放射線を物体に向けて放出する。放射線は物体を通過し、検出器に衝突する。検出器は、放射線を受け、受けた放射線を表すデータを送信する。
【0003】
X線源は、真空ギャップによって分離されたカソード及びアノードを含む。X線は、電子を放出するカソードのエミッタに電流を流すことによって生成される。電子は、アノードに向かって加速し、次いでアノードに衝突する。電子がアノードに衝突すると、エネルギーの一部がX線に変換される。入射電子ビームのエネルギーの大部分は、アノードにおいて熱に変換される。電子ビームがターゲットに当たると高温が発生するため、アノードには、円盤状のアノードターゲットを回転させるなど、発生した熱を分散させる機能を含めることができる。円盤状のアノードターゲットは、ベアリングアセンブリを介して誘導モータによって回転され得る。
【0004】
X線源及び放射線検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)システムまたはスキャナなどのX線撮像システムにおける構成要素であり得る。X線撮像システムは、X線源及び検出器の両方を回転させて異なる角度における物体の様々な画像を生成するガントリを含む。ガントリの回転及び/またはアノードの回転によって課された重(G)力は、X線源の構成要素に応力をもたらし得る。特に、ガントリ及び/またはアノードの回転から生じたG力は、回転しているアノードを備えるX線源のベアリングアセンブリに応力をもたらし得る。さらに、ベアリングアセンブリへの応力は、回転速度が増加するにつれて増大し得るが、高性能X線源及びCTシステムでは回転速度の増加が望ましい場合がある。本開示は、回転しているX線撮像システム(例えば、CTスキャナ)におけるベアリングアセンブリへの応力を低減することに関する解決策を含む。
【0005】
本明細書中で請求される主題は、不利な点を解決するまたは上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景は、本明細書中に記載されたいくつかの実施形態が実施され得る1つの例示的な技術領域を説明するためにのみ提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的なX線源の概略図である。
図2A】例示的なガントリの斜視図である。
図2B】回転しているアノードX線源を含む図2Aのガントリの一部の斜視図である。
図3A】X線源の別の例の斜視図である。
図3B図3AのX線源の斜視断面図である。
図3C図3AのX線源の側面断面図である。
図3D】X線源の別の例の側面断面図である。
図3E】X線源の別の例の側面断面図である。
図4A】X線管に実装され得るリフト電磁石の例の斜視図である。
図4B図3Dのリフト電磁石の底面断面図である。
図5】X線管に実装されているリフト電磁石の別の例の斜視図である。
図6】X線管に実装されているリフト電磁石の別の例の斜視図である。
図7A】リフト電磁石の別の例の斜視図である。
図7B図7Aのリフト電磁石の上面図である。
図8A】リフト電磁石の周りに流れを導く例示的なシュラウドの上面概略図である。
図8B図8Aのシュラウドの底面概略図である。
図8C】リフト電磁石の周りに流れを導く例示的なシュラウドの上面概略図である。
図8D図8Cのシュラウドの底面概略図である。
図9】リフト電磁石の別の例の概略断面図である。
図10】リフト電磁石の別の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照し、開示の様々な態様を説明するために特定の言語を使用する。図面及び説明をこのように用いることは、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。追加の態様は、特許請求の範囲を含む開示に照らして明らかになり得、または、実践によって学習され得る。
【0008】
本発明は、X線管の回転構成要素への負荷を低減するために使用され得るリフトアセンブリによって生成された熱を放散するための実施形態に関する。X線管は、動作中に熱を発生させる。したがって、X線管は、発生した熱を拡散するためアノードを回転させるなどの特徴を含み得る。しかしながら、回転しているアノードの回転構成要素は、CTシステムにおけるガントリの回転に起因する力を受け得る。かくして、リフトアセンブリをX線管に組み込んで、回転構成要素にかかる力を相殺し得る。そのようなリフトアセンブリはまた、放散される必要があり得る熱を発生させ得る。したがって、開示された実施形態は、リフト電磁石によって発生した熱を放散するための例示的な構成を含む。
【0009】
ここで、開示の例示的な実施形態の様々な態様を説明するために、図面を参照する。図面は、そうした例示的な実施形態の図形表現及び概略表現であり、開示を限定するものではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけでもないことが理解されよう。
【0010】
図1は、回転可能な円盤状のアノード122を備えた例示的な回転式または回転しているアノードX線源100の概略図である。X線源100は、ハウジング102、及びハウジング102内のX線インサート110を含む。ハウジング102は、インサート110を囲む。絶縁油または空気などの流体冷却剤が、ハウジング102とインサート110の間の空間または空洞を満たし、X線源100によって生成された熱を放散し得る。
【0011】
カソード112を含むカソードアセンブリ114及びアノードアセンブリ120は、インサート110によって画定された真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)内に配置される。アノードアセンブリ120は、アノード122、ベアリングアセンブリ130、及びベアリングアセンブリ130に機械的に結合されたロータ128を含む。アノード122は、カソード112から離間し、かつ、反対の位置に配置されている。アノード122及びカソード112は、アノード122とカソード112の間に高電圧差(または高電位)の印加を可能にする電気回路において接続されている。カソード112は、電源に接続された電子エミッタ116を含む。
【0012】
X線源100の動作に先立って、インサート110は、インサート110によって囲まれ得る真空を生成するために排気され得る。動作中、熱及び電位が、カソード112の電子エミッタ116に印加されて、図1において「e」として示される電子を、熱電子放出によってカソード112から放出させる。次に、アノード122とカソード112の間に高電圧差を印加すると、電子「e」が、電子エミッタ116から、アノード122上に配置された焦点トラック124上の焦点に向けて加速する。焦点トラック124は、例えば、タングステン(W)、レニウム(Re)または他の適切な材料といった、高原子(「高Z」)番号を有する材料を含み得る。電子「e」が加速すると、それらは、かなりの量の運動エネルギーを獲得し、回転している焦点トラック124に当たると、この運動エネルギーの一部は、図1において「x」として示されるX線に変換される。
【0013】
焦点トラック124は、放出されたX線「x」がX線源ウィンドウ104を通過し得るように配向されている。ウィンドウ104は、ベリリウム(Be)などのX線透過性材料を含むので、焦点トラック124から放出されたX線「x」は、ウィンドウ104を通過して、意図された物体、次いで検出器に当たってX線画像を生成する。
【0014】
電子「e」が焦点トラック124に当たると、電子「e」のかなりの量の運動エネルギーは熱をもたらし、その大部分は、焦点トラック124に、特に焦点の領域に伝達される。焦点トラック124上の特定の焦点における熱を低減するため、円盤状のアノードターゲットは、通常はロータ128及びステータ106を含む誘導モータを使用して、高速で回転される。誘導モータは、トルクを生成するのに必要なロータ128における電流がステータ巻線との電磁結合によって得られる交流(AC)電動機であり得る。ロータ128は、ロータの回転がアノードに伝達されるように、ベアリングアセンブリ130のハブを通してアノード122に機械的に結合されている。他の構成では、モータは、直流(DC)モータであり得る。
【0015】
電子「e」によって生成された熱によるアノード122の過熱を回避するために、ロータ128は、アノード122を、電子「e」のビームにさらされるアノードの領域が焦点トラック124に沿って変動するように、シャフトの中心線の周りを高速度(例えば、80から300Hz)で回転させる。X線源100はまた、アノード122及びカソード112によって生成される熱を管理するための他の冷却機能を含むことができる。
【0016】
X線源(X線源100など)及び放射線検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナなどの回転X線撮像システムに含めることができる。CTは、単一のスキャン操作(「スキャン」)でいくつかの投影画像(「X線投影」)を収集することによって物体の内部構造を撮像することを含むものであり、人体の選択された部分の内部構造を見るために医療分野で広く使用される。通常、いくつかの2次元投影は物体から作成されており、物体の3次元表現は、様々な断層撮影再構成法を用いて、これらの投影から構成される。3次元画像から、物体を通る従来のCTスライスを生成することができる。2次元投影は、通常、X線源からの放射線を、物体を通して透過させ、その放射線を2次元撮像デバイス(すなわち、放射線検出器)またはピクセル検出器のアレイ(単に「ピクセル」と呼ばれる)を含み得るイメージャ上に収集することによって生成される。このようなCTシステムの一例を図2Aに示す。
【0017】
図2Aは、回転しているX線システムのガントリ200の例を示す。一部の状況では、ガントリ200は、回転しているアセンブリまたはガントリアセンブリと呼ばれ得る。ガントリ200は、回転可能なガントリフレーム202を支持する静止ガントリフレーム204を含む。回転可能なガントリフレーム202は、X線源210及び放射線検出器またはイメージャ(図示せず)を支持し得る。ガントリ200はまた、回転している構成要素及び/または静止ガントリフレーム204を囲み美的カバーを提供するためのガントリカバー206も含む。
【0018】
回転可能なガントリフレーム202は、回転可能なガントリフレーム202のガントリ開口208の軸の中心の周りを回転する環状形状(すなわち、リング形状)を含み得る。回転可能なガントリフレーム202上に配置された構成要素にかかる、矢印260で示される遠心力(またはガントリ力)は、重力(g−力、Gの、gの、またはG負荷)の単位を上回り得、g−力の倍数(例えば、g−力の20倍)であり得る。例えば、X線源210が回転可能なガントリフレーム202上に軸の中心から半径0.7メートルで取り付けられ、回転可能なガントリフレーム202が、0.275秒/回転(秒/回転)で回転している場合、ベアリングアセンブリなどの、X線源210上の構成要素は、37gの力を受け得る。
【0019】
一般に、CTスキャナは、より高い回転ガントリ速度で動作することが望ましい。しかしながら、ガントリがより高速で回転するCTスキャナの動作は、ベアリングアセンブリはより大きな力(例えば、ガントリの回転によるg−力)を受けるので、X線源のベアリング寿命に悪影響を与え得る。そのような状況では、より高いガントリ速度、及び結果として生じる遠心力260は、ベアリングアセンブリの寿命を縮め得る。
【0020】
一部のX線源は、より高い力(例えばg−力)を効果的に処理可能であり得る液体金属ベアリング(LMB)を実装する。しかしながら、LMBの実装は、コストを大幅に増加させる可能性があり、システム設計(例えば、X線源の設計)への大幅な変更を必要とし得る。
【0021】
他のX線源は、X線源の回転している構成要素の支持を磁気的に支援するために、かつ、ベアリングアセンブリにかかる力を低減させるために、磁気リフト構成を実装し得る。一部の状況では、そのような構成は、既存の撮像システムに実装され得るので、かつ/または、非常に費用効果の高い後方互換性の向上を提供し得るので、LMBよりも有利な場合がある。図2Bに注目して、磁気リフト構成の例をさらに詳細に説明する。
【0022】
図2Bは、ガントリ200の一部、特に、回転可能なガントリフレーム202に取り付けられたX線源210を示す。X線源210は、源ハウジング211、カソード(図1の112)によって放出された電子を受けることができるアノード242、アノード242のシャフト243に結合されたロータ234、ロータ234を囲むステータ232、ロータ234に結合された強磁性リフトシャフト226、及び、矢印262によって示される磁気揚力をリフトシャフト226に提供し、それによってロータ234及びアノード242のシャフト243を、遠心力と反対に、ガントリの回転軸に関して半径方向に沿って「リフトする」ことができるリフト電磁石222(またはリフト多極電磁石または電磁石)を含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、リフトするとは、リフトシャフト226の半径方向に沿って力を加えることを指す。リフト力または揚力は、2つの構成要素を引き寄せる(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)引力または2つの構成要素を押し分ける(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)斥力もしくは反発力であり得る。本開示では、リフト力または揚力を引力として参照するが、リフト力または揚力は、半径方向に沿った任意の大きさ(正または負)を有する力であり得る。
【0024】
説明のために、図2Bは、垂直方向のy−軸、水平方向のx−軸、及びx−y平面に直交するz−軸を有するデカルト座標系を含む。ガントリ200の回転は、x−y平面で生じ、アノード242のシャフト243の中心線またはアノード242の回転軸は、z−軸に平行に延在する。ガントリの回転中、遠心力260は、ガントリ200の軸213に直交してX線源210に加えられる。
【0025】
リフト電磁石222は、磁気揚力262(例えば、磁力、反作用力、または平衡力)を、ベアリングアセンブリまたはアノードアセンブリにかかる力(ガントリ200の遠心力260を含む)を相殺、減衰、低減、または平衡化するように、遠心力260と実質的に反対の方向に加え得る。磁気揚力262は、以下の1つまたは複数をもたらし得る:振動またはノイズを低減する、ベアリング寿命を延ばす、ベアリング負荷能力を高める、熱接触を制御する、回転しているアセンブリのセンタリング及び精度を向上させる、ならびに、より小さなベアリング(例えば、ボールベアリングまたは他の回転ベアリング)の使用を可能にする。追加的にまたは代替的に、磁気揚力262の支援により、回転しているアノードX線源において他のベアリングタイプの使用が可能になり得る。医用撮像の場合、振動及びノイズを低減することで、患者及び/または医療スタッフの経験も向上し得る。
【0026】
図3Aは、X線源210の斜視図を示す。図3Aに示されるように、X線源210は、カソード及びアノードを真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)に囲む壁(例えばインサート壁、真空壁または真空エンベロープ壁)を含む、インサート212とも称されるエンベロープを含み得る。インサート212は、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220を囲み得る。リフト電磁石222は、巻線(またはコイルまたはワイヤ)224が示されるように極の間でコア225の周りにまたは極の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極を有するリフト電磁石コア225を含み得る。
【0027】
図3Bは、X線源210の斜視断面図を示し、図3Cは、X線源210の側面断面図を示す。図3Bから図3Cに示されるように、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220は、アノードアセンブリ中心線(またはベアリング中心線)248の周りでの回転を容易にし得る。アノードアセンブリ240は、アノード242、及びアノード242を支持するアノード外側シャフト244を含む。アノードアセンブリ240はまた、アノード外側シャフト244に結合されかつベアリングアセンブリ250のベアリング252及び254に回転可能に結合されているアノード内側シャフト246も含む。
【0028】
アノード内側シャフト246は、少なくとも1つのベアリングレース(例えば、ボールベアリングレース)を含み得る。例えば、図示の構成では、ベアリングアセンブリ250は、アノード内側シャフト246上の外側ボールベアリング252及び対応するレース、ならびに内側ボールベアリング254及び対応するレースを含む。本明細書で使用される場合、外側とは、アノードアセンブリ240の縁により近い、アノード242により近い、またはモータアセンブリ230からより離れた相対位置を指す。内側とは、アノードアセンブリ240の中部により近い、アノード242からより離れた、またはモータアセンブリ230により近い位置を指す。
【0029】
図示の実施形態は、ローラ要素ベアリング(例えば、工具鋼ボールベアリングまたは工具鋼レースウェイ)を含むが、他の実施形態では、他のベアリングタイプが実装され得る。例えば、他の構成は、すべり軸受(例えば、スリーブ軸受またはジャーナル軸受)、または液体金属軸受などの流体軸受を含み得る。参照によりその全体が本明細書に援用される、2015年12月14日に出願された「液体金属の防湿コーティング」と題された米国特許出願第14/968,078号は、液体金属軸受の例を開示している。
【0030】
モータアセンブリ230は、ステータ232及びロータ234を含み得る。ロータ234は、一端にロータボイド236または開口部を含み、それは円筒形であり得る。ロータボイド236は、ロータ234が、アノードシャフト(例えば、アノード内部シャフト246)に取り付けられること、及び/またはベアリング中心線248と位置合わせされることを可能とする。構成要素(例えば、アノードシャフト、ロータ234、またはロータシャフト)は、恒久的または半恒久的な締結または取付け機構を使用して互いに取り付けられ得る。モータアセンブリ230に近接するインサート壁215(またはインサート壁の一部)は、ロータ234とステータ232の間に配置され得る。ステータ232の巻線の磁場からの電磁誘導は、インサート壁215を通過してロータ234に到達し得る。インサート壁215とロータ234の間の小さな隙間により、ロータ234は機械的抵抗なしに回転することが可能となる。
【0031】
リフトアセンブリ220は、ロータ234に結合されたリフトシャフト226、及びリフトシャフト226に磁力を加え得るリフト電磁石222を含む。リフトシャフト226は、リフトシャフトボイド227または開口部を含み得、それは円筒形であり得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、ロータ234をリフトシャフト226に結合させ得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、両方とも動作のために磁場を用いるモータアセンブリ230とリフトアセンブリ220の間の磁気絶縁を向上させるために非強磁性材料を含み得る。図示されていない構成では、リフトシャフト226は、ロータ234と統合され得る、または、ロータ234に恒久的に取り付けられ得る(例えば、溶接またはろう付けされる)。
【0032】
リフト電磁石222は、リフトシャフト226に向けて配向された少なくとも2つの極を含み得る。いくつかの構成では、リフト電磁石222は、巻線224が極の間でコア225(またはコアウェブ)の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極(三極)を含み得る。
【0033】
材料の選択は、リフト電磁石222またはリフトシャフト226などの磁気デバイスの性能に影響を及ぼし得る。磁性材料は、真空において(例えば、X線源の真空エンベロープ)かつ処理後、磁化されたままであり、冷間引抜炭素磁性鉄(CMI−C)などの真空対応である必要がある。
【0034】
リフト電磁石222またはリフトシャフト226は、強磁性かつ/またはフェリ磁性材料を含み得る。本明細書で使用される場合、技術を説明するのを簡単にするために、「強磁性」材料は、自発磁化を示すことができる材料(すなわち、強磁性材料またはフェリ磁性材料のいずれか)を指す。
【0035】
コア225の周りの巻線224は、エナメル磁石線(すなわち、トランス線またはリッツ線)などの、電気的に絶縁されたシースを備える導電性材料(例えば、銅またはアルミニウム)を含み得る。
【0036】
リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の揚力を低減することができる2つの要因は、リフトギャップのサイズ、及び透磁率が1より大きいインサート壁などの間隙物質の存在である。図3Cに示すように、リフトギャップ228は、リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の間隔であり得る。リフトギャップ228は、インサート壁214とリフトシャフト226の間の真空とともに、リフトアセンブリ220に近接するインサート壁214を含み得る。いくつかの例では、リフトギャップ228は、リフト電磁石222及びインサート壁214が異なる電位を有する場合などの、リフト電磁石222がインサート壁214に接触しない場合、インサート壁214とリフト電磁石222の間に空間を含み得る。真空を含むリフトギャップ228は、リフトシャフト226が機械的抵抗(例えば、インサート壁214またはリフト電磁石222に接触することによる摩擦)なしに回転するためのクリアランスを提供する。
【0037】
真空及び空気は、1という比透磁率(μrで表される)を有し、したがって、電磁石シャフト226とリフト電磁石222の間の電磁結合の減衰を最小化する。インサート壁214は、通常、リフト電磁石222とリフトシャフト226の間の電磁結合の減衰を増加させ揚力を低減するように透磁率>1の導電性材料からなる。
【0038】
リフトアセンブリ220は、(リフトシャフト226を介して)回転しているアセンブリに磁気揚力を加え得、それによって、例えば、ベアリングアセンブリ250及びその構成要素の動作寿命を向上させ、かつ/または、耐荷重能力を高めることができる。リフト電磁石222の磁力は、ガントリ(例えば、ガントリ200)の遠心力などの、ベアリングアセンブリ250への負荷を相殺するために、ならびに振動を抑制しアノードアセンブリ(例えばアノードアセンブリ240)またはX線源の他の回転構成要素に安定性を加えるために使用され得る。リフトアセンブリ220によって生成された力は、質量中心(または質量中心以外)を含む、回転しているアセンブリのどこにでも加えられ得、力を提供する磁気リフトデバイスの1つまたは組み合わせを使用し得る。
【0039】
前述のように、X線管は、動作中に熱を発生する。例えば、電子がアノードの焦点軌道またはターゲットに当たると、電子の運動エネルギーが熱を生成する。追加的にまたは代替的に、ベアリングアセンブリ、電磁石リフトアセンブリ及び/またはモータアセンブリは、摩擦及び/またはジュール加熱を介して熱を発生させ得るが、熱量は、電子がアノードに当たることから発生する熱よりも少なくあり得る。発生した熱は、X線管の構成要素に熱ストレスを与えることを回避するために、放散される必要があり得る。
【0040】
したがって、X線管は、熱を放散するための特徴を含み得る。例えば、回転している円盤状のアノードを実装して、電子ビームによって発生した熱をより広い領域に拡散させ得る。液体または空気などの流体冷却剤が、ハウジングと真空エンベロープを画定するインサートの間の空間または空洞を満たし、X線源によって発生された熱を放散し得る。冷却流体は、インサート及びモータステータなどの、X線管の様々な部分を囲んで冷却し得る。いくつかの構成では、冷却流体は、絶縁油または他の適切な冷却剤であり得る。追加的にまたは代替的に、X線管は、冷却流体からX線管の外部に熱を放散させるための熱交換器を含み得る。
【0041】
リフトアセンブリがX線管に組み込まれて、CTシステムにおけるガントリの回転に起因する回転構成要素への力を相殺するとき、リフトアセンブリはまた、放散される必要のあり得る熱も発生させ得る。ガントリの回転力を相殺するために必要な揚力を生成するために、リフト電磁石は、そのコアまたは巻線を通過する相対的に高い電流を必要とし得る。一例では、5アンペア(A)以上の電流がリフト電磁石の巻線を通過し得る。この電流によって巻線が加熱され得、状況によっては、500ワット(W)以上の熱が発生する。リフト電磁石によって発生した熱が適切に放散されない場合、リフトアセンブリ及び/またはX線管の様々な構成要素に支障をきたし得る。例えば、電気絶縁体(例えば、巻線の周り)または他の電気配線は、過度の熱によって損傷し得る。別の例では、X線管のインサートを囲む冷却剤(例えば、絶縁油)は、過度の熱にさらされると化学変化を起こして機能しなくなる場合がある。したがって、リフトアセンブリ及びX線管が適切に動作するために、リフトアセンブリによって発生した熱を放散する必要があり得る。
【0042】
したがって、開示された実施形態は、リフト電磁石によって発生した熱を放散するための例示的な構成を含む。例えば、いくつかの実施形態では、リフト電磁石は、リフト電磁石を囲む絶縁油などの冷却剤によって冷却され得る。いくつかの構成では、リフト電磁石を冷却する冷却剤は、X線管の他の部分(例えば、アノード、ベアリングアセンブリ及び/またはモータアセンブリ)を冷却する冷却剤と同じであり得、X線管のハウジングとインサートの間に配置され得る。
【0043】
さらに、開示された実施形態は、本明細書中で放熱構造、サーマル放散構造、冷却構造、または熱伝達構造と呼ばれる、リフト電磁石から冷却剤への放熱を増加させるための例示的な構成を含む。例えば、相対的に高い熱伝導率を有する材料を様々な構成要素のインターフェースに実装して、放熱を増加させ得る。別の例では、リフト電磁石の巻線またはコアなどの特定の構成要素の表面積を増加させて、放熱を向上させ得る。
【0044】
さらに、開示された放熱構造は、リフト電磁石の周りに冷却剤を導いてリフト電磁石に近接しての冷却剤の流れを向上させ、それによって冷却を向上させる構成を含む。いくつかの例示的な構成は、冷却剤の流れをリフト電磁石に近接するように導くために、自由対流を実装している。そのような構成では、ガントリの回転力が、冷却剤を、リフト電磁石に近接する流れに導き得る。フィンまたは薄い熱伝導性平面構造は、冷却剤が冷却剤の流れまたは回転しているガントリの遠心力によって駆動されると放熱を増加させるように配向され得る。他の構成では、強制対流を実装して、冷却剤の流れをリフト電磁石に近接するように導き得る。そのような構成では、フィンは、冷却剤がリフト電磁石に近接して駆動されると強制対流の放熱を増加させるように配向され得る。
【0045】
図4Aは、リフト電磁石300の例の斜視図を示す。リフト電磁石300は、図3Cのリフト電磁石222に関して説明された適切な態様、例えばコア302及び3つの極304、306、308を含み得る。巻線310、312、及び314は、極304、306、308の間でコア302の周りに巻き付けられ得る。巻線310、312、314は、ポリマー(例えば、ポリイミド、または別の適切な絶縁材料)などの、電気的に絶縁されたシースを備えた導電性材料(例えば、銅、アルミニウムまたは別の適切な導電性材料)を含み得る。
【0046】
図4Bは、リフト電磁石300の底面断面図を示す。図示のように、熱インターフェース316は、巻線310、312、314と極304、306、308(または極304、306、308に近接するコア302)の間に配置され得る。熱インターフェース316は、相対的に高い熱伝導率を有する材料を含み得、動作中に巻線310、312、314から離れて熱が伝達するのを容易にし得る。図示されていないが、熱インターフェース316はまた、巻線310、312、314またはリフト電磁石300の他の部分の周りに配置され得る。いくつかの構成では、熱インターフェース316は、リフト電磁石300または巻線310、312、314の外面に配置され得る。
【0047】
熱インターフェース316は、リフト電磁石300の動作中(例えば、ガントリが回転しているとき)、ヒートシンクとして機能し得るコア302への熱の伝達を容易にし得る。いくつかの構成では、コア302の相対的に大きな熱質量は、リフト電磁石300の動作中、巻線310、312、314で発生した熱を格納し得る。格納された熱は、リフト電磁石300がオフにされた後、冷却剤に(例えば、リフト電磁石300を囲む冷却剤に)伝達され得る。特に、ガントリが回転しておらずしたがってリフト電磁石300が動作する必要がないとき、スキャンとスキャンの間に、熱は冷却剤に伝達され得る。追加的にまたは代替的に、熱インターフェース316は、巻線310、312、314及びコア302から冷却剤への熱の伝達を容易にし得る。熱インターフェース316は、異なる構成要素間の熱接触面積を増加させることによって放熱を容易にし得る。
【0048】
熱インターフェース316は、相対的に高い熱伝導率を有する固体または液体材料を含み得る。いくつかの構成では、熱インターフェース316の熱伝導率は、冷却剤(例えば、絶縁油)の熱伝導率よりも高くあり得る。追加的にまたは代替的に、熱インターフェース316は、巻線310、312、314及びコア302の表面に適合する材料(すなわち、「適合材料」)を含み得、それにより、十分に大きな表面積との良好な熱接触を形成する。熱インターフェース316は、一部の領域で少なくとも部分的に冷却剤に接触し得るので、熱インターフェース316の材料は、それが冷却剤中で化学変化を起こさないように、かつ/または、冷却剤を汚染し得る材料を冷却剤中に放出しないように選択され得る。
【0049】
いくつかの構成では、熱インターフェース316は、相対的に高い熱伝導率を有するサーマルグリース、エポキシ、充填剤、またはポッティング材料であり得る。他の構成では、熱インターフェース316は、相対的に高い熱伝導率を有する箔であり得る。例えば、熱インターフェース316は、少なくとも0.5W/(m・K)、50W/(m・K)から200W/(m・K)の間、50W/(m・K)から500W/(m・K)の間、または50W/(m・K)から2200W/(m・K)の間の熱伝導率を有する材料を含み得る。熱インターフェース316は、銅、金、銀、ダイアモンド、窒化ホウ素、アルミニウムまたは他の適切な材料などの材料を含み得る。
【0050】
熱インターフェース316は、任意の適切な技術を用いて配置または形成され得る。例えば、熱インターフェース316は、巻線310、312、314がコア302の周りに巻かれる前に、極304、306、308の周りに配置され得る。別の例では、熱インターフェース316は、巻線310、312、314とコア302の間の位置に液体または粘弾性固体として注入され得る。ガスまたはエアポケットは、排気または別の適切な手法で取り除かれ得る。次に、熱インターフェース316は硬化され得る、または、固化が可能となり得る。
【0051】
図5及び6は、リフト電磁石400の別の例の斜視図を示す。リフト電磁石400は、図3Cのリフト電磁石222及び/または図4Aのリフト電磁石300に関して説明された適切な態様を含み得る。特に、リフト電磁石400は、コア402を含み、3つの極404、406、408を有する。巻線410、412、及び414は、極404、406、408の間でコア402の周りに巻き付けられ得る。
【0052】
図5に示されるように、リフト電磁石400は、巻線410、412、及び414の1つまたは複数の上に配置された突起またはフィン416(例えば、薄い熱伝導性平面構造)を含み得る。図5は、極404上に配置されたフィン416を示しているが、他の極406、408もまた、フィン416を含み得る。追加的にまたは代替的に、図4Bに示されるように、リフト電磁石400は、巻線410、412、及び414の1つまたは複数の上にまたはそれらの間に配置された突起またはフィン418を含み得る。
【0053】
いくつかの構成では、フィン416または418は、巻線410、412、及び414に挿入され得る。例えば、フィン416、418は、隣接する巻線410、412、及び414の間に挿入され得るか、または、巻線410、412、及び414と織り合わされ得る。他の構成では、フィン416、418は、任意の適切な接着剤または固定機構を使用して、巻線410、412、及び414に結合され得る。リフト電磁石400が、サーマルグリース、エポキシ、ポッティング材料または充填剤などの熱インターフェースを含む構成では、フィン416、418は、熱インターフェースに挿入され得るか、または熱インターフェースと結合され得る。追加的にまたは代替的に、フィン416、418は、熱インターフェース材料で形成され得る。特に、フィン416、418は、成形され得るか、さもなければ、ポッティング材料または充填剤から形成され得る。
【0054】
フィン416、418は、相対的に高い熱伝導率を有する材料を含み得る。例えば、フィン416、418は、少なくとも0.5W/(m・K)、50W/(m・K)から200W/(m・K)の間、50W/(m・K)から500W/(m・K)の間、または50W/(m・K)から2200W/(m・K)の間の熱伝導率を有する材料を含み得る。いくつかの構成では、フィン416、418は、銅、金、銀、ダイアモンド、窒化ホウ素、アルミニウムまたは他の適切な材料などの材料を含み得る。フィン416、418は、熱がリフト電磁石400から周囲の冷却剤に伝わり得る表面積を増加させ得る。
【0055】
図5の構成では、420で示される冷却剤の流れは、ガントリの回転によって引き起こされ得、冷却剤を、リフト電磁石400に沿って遠心力に平行な方向(またはリフトシャフト、またはアノードもしくはリフトシャフトの回転軸に垂直)に流し得る。遠心力の方向は、ガントリの回転軸に垂直であり得る。そのような構成は、冷却剤がリフト電磁石400の周りを自由に流れるので、自由対流構成と称され得る。
【0056】
そのような構成では、フィン416は、遠心力に平行に(またはリフトシャフト、またはアノードもしくはリフトシャフトの回転軸に垂直に)、したがって冷却剤の流れ420に平行に延在するように成形かつ配置され得る。特に、フィン416の最大または最長の寸法は、遠心力420及び/または冷却剤の流れに平行であり得る。そのような構成では、冷却剤は、熱を除去するためにフィン416上を流れ得、流れる冷却剤にさらされるフィン416の表面積が最大化されて、リフト電磁石400の自由対流冷却を容易にし得る。
【0057】
いくつかの構成では、冷却剤は、遠心力420の結果として自由に流れ得る。他の構成では、冷却剤は、遠心力420の結果自由に流れるのではなく、リフト電磁石400の周りを特定の方向に流れるように強制され得る。同様に、図6に示されるように、冷却剤は、方向422に流れるように導かれ得る。そのような構成は、冷却剤がリフト電磁石400の周りを特定の方向に導かれるので、強制対流構成と称され得る。しかしながら、他の構成では、冷却剤は、遠心力または他の力の結果として自由に流れ得る。図示の構成では、方向422は、ガントリの回転によって引き起こされる遠心力に垂直である。追加的にまたは代替的に、方向422は、アノードまたはリフトシャフトの回転軸に平行であり得る。さらに、方向422は、極404、406、408の間に画定されたチャネルに平行であり得る。しかしながら、他の強制対流構成では、冷却剤は、リフト電磁石400の周りを任意の適切な方向に導かれ得る。
【0058】
図6に示されるように、フィン418は、冷却剤の流れの方向422に実質的に平行に、そしてガントリの回転によって引き起こされる遠心力に実質的に垂直に(またはリフトシャフト、またはアノードもしくはリフトシャフトの回転軸に平行に)延在するように成形かつ配置され得る。特に、フィン418の最大または最長の寸法は、一般に、方向422及び/または冷却剤の流れに平行であり得る。そのような構成では、冷却剤は、熱を除去するためにフィン418上を流れ得、流れにさらされるフィン418の表面積が最大化されて、リフト電磁石400の強制対流冷却を容易にし得る。
【0059】
示されるように、フィン418は、実質的に平面であり得、極404、406、408のそれぞれの周りに延在し得る。いくつかの構成では、極404、406、408のそれぞれは、複数の専用フィン418によって囲まれている。例えば、フィン418のそれぞれは、極404、406、408のうちの1つを受けるように画定された開口部を備えた実質的に平面であり得る。他の構成では、フィン418のそれぞれは、極404、406、408の3つ全てを囲む。例えば、フィン418のそれぞれは、極404、406、408のそれぞれを受けるように画定された3つの開口部を備えた実質的に平面であり得る。
【0060】
状況によっては、強制対流構成の熱伝達は、より多くの量の冷却剤がフィン418上を流れるので、同等の自由対流構成よりも大きくなり得る。特に、強制対流構成の対流熱伝達係数は、自由対流構成の数倍大きくあり得る。状況によっては、強制対流構成の対流熱伝達係数は、自由対流構成の10倍大きくあり得る。したがって、大量の熱を放散かつ除去する必要がある状況では、強制対流構成が好ましくあり得る。しかしながら、強制対流構成は、構成要素が冷却剤を特定の方向にそしてリフト電磁石400の特定の領域に押しやることが必要とされるため、実装するのにより複雑かつ費用がかかり得る。
【0061】
図7Aは、リフト電磁石500の別の例の斜視図を示し、図7Bは、リフト電磁石500の上面図を示す。リフト電磁石500は、上記のリフト電磁石に関して説明された適切な態様を含み得る。特に、リフト電磁石500は、コア502を含み、3つの極504、506、508を有する。巻線510、512、及び514は、極504、506、508の間でコア502の周りに巻き付けられ得る。
【0062】
示されるように、リフト電磁石500は、コア502を通って延在する開口部516及び518を含み得る。開口部516は、コア502の上部を通って極504、506、508の間の空間まで延在し得る。リフト電磁石500はまた、極504、506、508上に配置された(または極504、506、508の長さ延在する)スロットまたはチャネル520も含み得る。いくつかの構成では、チャネル520は、極504、506、508に沿って延在し得、極504、506、508の表面に画定され得る。開口部518は、コア502の上部を通ってチャネル520まで延在して、冷却剤がチャネル520と開口部518の間を移動することを可能にし得る。図7Aは、極504上のチャネル520を示しているが、極504、506、508のいくつかまたは全てが同様のチャネルを含み得ることを理解すべきである。開口部516、518及びチャネル520は、任意の適切なプロセス、例えば、穴開けまたは機械加工によって形成され得る。
【0063】
いくつかの態様では、図7Aから図7Bは、冷却剤がリフト電磁石500の周りを自由に流れる自由対流構成であり得る。他の態様では、強制流構成を実装して、冷却剤をリフト電磁石500の周りに導き得る。ガントリの回転によって引き起こされる522で示される遠心力により、冷却剤は、リフト電磁石500に沿って遠心力522に平行な方向に流れ得る。追加的にまたは代替的に、いくつかの状況では、冷却剤は、リフト電磁石500の底部に向かって配置されたより高温の冷却剤及びリフト電磁石500の上部に向かって配置されたより低温の冷却剤を伴う温度勾配を含み得る。そのような状況では、浮力が、より高温の冷却剤を上方に、遠心力522の方向に平行に駆動し得る。
【0064】
冷却剤は、極504、506、508の間、そして開口部516を通って移動し得、巻線510、512、514及び/または極504、506、508から熱を伝達する。追加的にまたは代替的に、冷却剤は、チャネル520に沿って開口部518を通って移動し得、巻線510、514及び/または極504、508から熱を伝達する。チャネル520及び開口部516、518は、冷却剤が、リフト電磁石500の周りをかつ/またはそれを通って遠心力522と平行に流れることを可能にし得る。
【0065】
他の構成では、冷却剤は、遠心力522の結果自由に流れるのではなく、リフト電磁石500の周りを特定の方向に流れるように強制され得る。そのような構成では、シュラウドが、リフト電磁石500を少なくとも部分的に囲み得、冷却剤をリフト電磁石500の周りにかつ/またはそれを通って特定の方向(例えば、遠心力522に垂直)に導くための入口、出口、チャネル、及び/または開口部を含み得る。
【0066】
チャネル520及び開口部516、518は、リフト電磁石500、具体的には、極504、506、508及び巻線510、512、514の電磁性能を損なわないように構成され得る。したがって、チャネル520及び開口部516、518は、コア502における望ましくない場所での飽和を回避するようにサイズ設定され、成形され、配置され得る。例えば、図7Bに示されるように、開口部516は、長い方の寸法及び短い方の寸法を有する実質的に楕円形であり、長い方の寸法は、リフト電磁石500のコア502を通る磁束に平行に配置される。追加的にまたは代替的に、チャネル520は、リフト電磁石500の電磁性能に悪影響を与えるような極504、506、508の断面積の減少が起こらないように構成され得る。
【0067】
上記の自由対流構成では、ガントリの回転は、冷却剤の流れを、リフト電磁石の周りにかつリフト電磁石を通るように導き得る。ガントリが静止しているとき、X線管、したがってリフト電磁石は、ガントリの頂部または底部に配置され得、重力または浮力が、冷却剤をリフト電磁石の周りにかつリフト電磁石を通して駆動して、熱を伝達し得る。したがって、自由対流構成は、ガントリが回転していない状況でも、リフト電磁石を冷却するように動作し得る。しかし、そのような状況では、冷却剤はガントリが回転しているときほど速くリフト電磁石を通って流れない場合があり、したがって熱はそれほど速く伝達されない。
【0068】
いくつかの実施形態では、巻線を通る抵抗は、リフト電磁石の冷却を容易にするように構成され得る。例として図7Aから図7Bを参照すると、外側の極504、508及び対応する巻線510、514は、内側の極506及び巻線512よりも相対的に冷却しやすい場合がある。特に、外側の巻線510、514は、より大量の冷却剤にさらされ得、より多くの冷却剤を外側の巻線510、514の周りに導くことがより容易であり得る。したがって、外側の巻線510、514は、内側の巻線512よりも高い抵抗を有するように構成され得る。そのような構成では、抵抗が増加するため、外側の巻線510、514は、内側の巻線512よりも熱くなり得る。追加的にまたは代替的に、内側の巻線512よりも高いゲージの線を、外側の巻線510、514に使用し得る。そのような構成では、外側の巻線510、514の直径は、内側の巻線512の対応する直径よりも大きくあり得る。外側の巻線510、514は、リフト電磁石300の周囲に配置されているため、内側の巻線512と比較した場合、相対的に冷却しやすいので、外側の巻線510、514には、より高いゲージの線を使用し得る。
【0069】
さらなる実施形態では、リフト電磁石及びその巻線は、エポキシなどの電気的に非伝導のポッティング材料によって少なくとも部分的に囲まれ得る。そのような構成は、巻線間の空間を排除し得、エポキシは熱伝導及び熱伝達を増大させるので、巻線とリフト電磁石のコアの間により良好な熱インターフェースを提供し得る。追加的にまたは代替的に、そのような構成は、過度の熱により冷却剤中に形成される気泡または他の汚染物質の可能性を低減し得る。このことは、ひいては、気泡によって引き起こされるアークまたはアーチファクトの可能性を低減し得る。いくつかの態様において、冷却フィンまたはチャネルは、対流を介して熱伝達を増大させるために、ポッティング材料に成形され得る。
【0070】
さらなる構成では、ダクト、シュラウド、またはジェットが、リフト電磁石に向けられ得る。そのような構成の例を、図8Aから図8Dに示す。図8Aは、リフト電磁石600の周りに流れを導く例示的なシュラウド602(またはダクトまたはジェット)の上面概略図であり、図8Bは、その底面概略図である。図8Cは、リフト電磁石600の周りに流れを導くシュラウド612(またはダクトまたはジェット)の別の例の上面概略図であり、図8Dは、その底面概略図である。
【0071】
図8Aから図8Bに示されるように、いくつかの態様では、シュラウド602は、入口604及び出口606、または任意の適切な数の入口及び出口を含み得る。入口604は、冷却剤がシュラウドによって画定された空洞608に入ることを可能にし得、出口606は、冷却剤が空洞608を出ることを可能にし得る。リフト電磁石600は、空洞608に少なくとも部分的にまたは全体的に配置され得る。シュラウドの入口604は、開口冷却ダクト、平行に延びているダクト、または別個のダクトの出口に流体的に結合され得る。
【0072】
矢印によって示されるように、冷却剤は、例えば隣接する巻線のセットの間などの所望の領域においてより高い速度でリフト電磁石600の周りをまたはそれを通って強いられ得る。一例では、シュラウド602は、冷却剤を、巻線に近接してかつ/またはリフト電磁石600の極の間に導き得る。したがって、いくつかの実施形態では、入口の少なくとも一部は、リフト電磁石600の極の間の空間と整列され得る。シュラウド602はリフト電磁石600を実質的に囲むように示されているが、他の構成が実装され得る。
【0073】
例えば、図8Cから図8Dに示されているように、シュラウド612は、リフト電磁石600を部分的に囲んでいる。そのような構成では、シュラウド612は、リフト電磁石600を受けかつ部分的に囲む空洞618を画定する。そのような構成では、冷却剤は、矢印によって示されるように、所望の領域においてより高い速度でリフト電磁石600の周りにまたはそれを通って強いられ得る。シュラウド612は、入口614及び出口616、または任意の適切な数の入口及び出口を含み得る。入口614は、冷却剤がシュラウド612によって画定された空洞618に入ることを可能にし得、出口606は、冷却剤が空洞618を出ることを可能にし得る。
【0074】
前述のように、シュラウド、ダクト、またはジェットは、任意の適切な数の入口及び/または出口を含み得る。いくつかの構成では、シュラウドは、少なくとも2つの入口を含み得る、または、4つの入口もしくは任意の適切な数の入口を含み得る。シュラウドの入口のサイズは、冷却剤を、リフト電磁石の周りにまたはそれを通って所望の量または所望の速度で導くように選択され得る。例えば、極の間の空間に冷却剤を導く入口は、リフト電磁石の側面の周りに冷却剤を導く入口よりもサイズ(例えば、直径または少なくとも1つの次元)が大きくあり得る。そのような構成では、異なる入口は、異なる量かつ速度で、冷却剤を導く。
【0075】
状況によっては、ダクト、シュラウド、またはジェットは、成形または3Dプリントされ得る。いくつかの態様では、ダクト、シュラウド、またはジェットは、劣化、汚染、または冷却流体による損傷に耐性のある材料を含み得る、またはその材料で形成され得る。例えば、ダクト、シュラウド、またはジェットは、ポリマーで形成され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、ダクト、シュラウド、またはジェットは、本明細書中に記載された他の放熱構造とともに含まれ得る。例えば、ダクト、シュラウド、またはジェットは、フィン、開口部、または熱インターフェースとともに含まれ得る。いくつかの態様では、ダクト、シュラウド、またはジェットは、フィンまたは開口部などの放熱構造と整列し得る。ダクト、シュラウド、またはジェットは、リフト電磁石のすぐそばを通過することなく、リフト電磁石を囲むハウジングにおける周囲流体量への漏れを最小限に抑えつつ、強制流がリフト電磁石を冷却することを確実にするように構成され得る。
【0077】
前述のように、いくつかの実施形態では、リフト電磁石の領域から熱を除去する冷却剤は、X線管の他の部分(例えば、インサート及び/またはステータアセンブリ)を冷却するのと同じ冷却剤であり得る。他の実施形態では、リフト電磁石は、X線管の他の部分とは別個の冷却剤及び/または冷却構成を用い得る。そのような構成では、冷却剤は、例えばより良好な熱特性を備えた冷却剤を使用することによって、リフト電磁石の冷却を向上させるように選択され得る。例えば、冷却流体の熱伝導率は、最大0.2W/(m・K)であり得る。より良好な熱特性を備えた冷却剤は比較的より高価であり得るが、リフト電磁石を冷却するために必要な冷却剤の量は、X線アセンブリの他の部分を冷却するために必要な冷却剤の量よりも少なくあり得るため、リフト電磁石のみを冷却するのに、より高価な冷却剤を使用することは費用効果が高くあり得る。
【0078】
他の実施形態では、冷却フィンは、巻線上ではなく、リフト電磁石(例えば、リフト電磁石のコア)上に直接含まれ得る。そのような構成は、リフト電磁石のコアと巻線の間に比較的良好なサーマルリンクがある場合に実装され得る。そのような構成の例を図9に示す。
【0079】
図9は、リフト電磁石624の別の例の概略断面図である。図示のように、いくつかの構成では、フィン624は、リフト電磁石624の頂部に配置され得る。特に、フィン624は、リフト電磁石624のコア622の曲面上に配置され得る。状況によっては、フィン624は、電磁石624の表面に機械加工され得る。そのような構成では、フィン624は、曲面の深さまたは半径に対応する深さを含み得る。
【0080】
いくつかの構成では、リフト電磁石の頂部は、X線管の外部に直接露出するようにX線管のハウジングと接触し得る(例えば、リフト電磁石が、X線管ハウジングと同じ電位にあるとき)。X線管は、冷却剤として機能する空気または他の流体に囲まれ得、ファンまたは他の冷却装置を使用してハウジングを冷却し得る。そのような構成では、リフト電磁石からX線管のハウジングの空気外部への放熱を容易にするために、リフト電磁石に近接するハウジングの外部にフィンを追加し得る。そのような構成は、ガントリが回転しているときの空気流による自由対流冷却または強制対流冷却を含み得る。他の構成では、リフト電磁石は、X線管のハウジングの外側に配置され得、そのような構成は、リフト電磁石が、本明細書中に記載されたものと同様の他の方法で冷却されることを可能にし得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、スペーサが、巻線からの放熱を増加させるために、巻線のターンの間に配置され得る。そのような構成の例を図10に示す。図10は、リフト電磁石630の別の例の斜視図である。図示のように、スペーサ632は、巻線634のターンの間に配置され得る。そのような構成は、巻線634からの放熱を増加させ得る。スペーサ632は、相対的に高い熱伝導率を有する材料で形成され得る。例えば、スペーサ632は、銅、金、銀、ダイアモンド、窒化ホウ素、アルミニウム、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)または他の適切な材料を含み得る。スペーサ632は、中実の材料であってもよく、または内側が中空であってもよい。スペーサ632を含む構成は、冷却流体が、巻線の隣接するターンの間を流れることを可能にし得、それによって冷却を容易にする。追加的にまたは代替的に、スペーサ632は、冷却流体がスペーサ632に浸透して冷却を容易にすることを可能にするボイドまたは複数のボイドもしくは開口部を含み得る。
【0082】
一例では、リフトアセンブリ(220)は、X線管の回転可能なアノード(242)に力を及ぼし得る。リフトアセンブリ(220)は、リフトシャフト(226)及びリフト電磁石(300、400、500、600、630)を含み得る。リフトシャフト(226)は、アノード(242)に結合され得、かつ、アノード(242)の回転軸の周りを回転するように構成され得る。リフト電磁石(300、400、500、600、630)は、磁力をリフトシャフト(226)に半径方向に加えるように構成され得る。リフト電磁石(300、400、500、600、630)は、リフトシャフト(226)に向けて配向された第1の極及び第2の極を含み得る。巻線(224)は、第1の極の周りに配置され得る。リフトアセンブリ(220)は、放熱構造を含み得る。
【0083】
放熱構造は、冷却剤をリフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに導くように構成されたダクト、シュラウド、またはジェット(602、612)を含み得る。放熱構造は、リフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに冷却剤を押しやるためにリフト電磁石(300、400、500、600、630)を少なくとも部分的に囲むシュラウド(602、612)を含み得る。
【0084】
放熱構造は、巻線(224)に結合されている、巻線(224)から延在している、または巻線(224)に埋め込まれた1つまたは複数のフィン(416、418)を含み得る。フィン(416、418)は、リフトシャフト(226)に対して平行にまたは垂直に配向され得る。放熱構造の最大寸法は、リフトシャフト(226)に対して実質的に平行または垂直であり得る。
【0085】
放熱構造は、リフト電磁石(300、400、500、600、630)の外表面、巻線(224)、または、リフト電磁石(300、400、500、600、630)と巻線(224)の間に配置された熱インターフェース材料(316)であり得る。熱インターフェース材料(316)は、リフト電磁石(300、400、500、600、630)を少なくとも部分的に囲む冷媒の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し得る。熱インターフェース材料(316)は、巻線(224)に少なくとも部分的に適合し得る。熱インターフェース材料(316)は、サーマルグリース、エポキシ、充填剤、またはポッティング材料を含み得る。
【0086】
放熱構造は、リフト電磁石(300、400、500、600、630)を通って流体の流れの方向に延在する1つまたは複数の開口部(516、518)を含み得る。開口部(516、518)は、第1の極と第2の極の間の空間まで延在し得る。放熱構造は、第1の極の上に配置された1つまたは複数のチャネル(520)及びリフト電磁石(300、400、500、600、630)を通ってチャネル(520)まで延在する1つまたは複数の開口部(518)を含み得る。冷却剤は、リフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに少なくとも部分的に配置され得る。
【0087】
別の例示的な実施形態では、方法は、X線源のアノードアセンブリ(240)を回転させること、リフト電磁石(300、400、500、600、630)によってアノードアセンブリ(240)に結合されたリフトシャフト(226)に磁力を加えること、及び放熱構造を使用してリフト電磁石(300、400、500、600、630)を冷却することを含み得る。リフト電磁石(300、400、500、600、630)の冷却は、少なくとも部分的にリフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに冷却剤を導くことを含み得る。リフト電磁石(300、400、500、600、630)の冷却は、冷却剤をリフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに導くダクト、シュラウド、またはジェットを使用して、少なくとも部分的にリフト電磁石(300、400、500、600、630)の周りに冷却剤を押しやることを含み得る。リフト電磁石(300、400、500、600、630)の冷却は、冷却剤を、リフト電磁石(300、400、500、600、630)に結合されたフィンを通して、または、リフト電磁石(300、400、500、600、630)に画定された開口部もしくはチャネルを通して導くことを含み得る。
【0088】
別の例示的な実施形態では、リフトアセンブリ(220)は、X線源の回転可能なアノード(242)に力を及ぼすように構成され得る。リフトアセンブリ(220)は、アノード(242)の回転軸の周りを回転するためのアノード(242)に結合されたリフトシャフト手段、磁力をリフトシャフトに半径方向に加えるためのリフト電磁石(300、400、500、600、630)手段、及びリフト電磁石(300、400、500、600、630)を冷却するための放熱手段を含み得る。
【0089】
この説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び単語は、書誌的意味に限定されるものではなく、開示の明確かつ一貫した理解を可能にするために単に使用される。文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることが理解されよう。したがって、例えば、「構成要素表面」への言及は、そのような表面のうちの1つまたは複数への言及を含む。
【0090】
「実質的に」という用語によって、記載された特性、パラメータ、または値がその通りに達成される必要はなく、例えば公差、測定誤差、測定精度の制限及び当業者に知られている他の要因を含む偏差または変形が、特性が提供することを意図した効果を妨げない量で発生し得ることが意味される。
【0091】
本開示の態様は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の形態で具現化され得る。記載された態様は、あらゆる点で例示的であり、限定するものと見なされるべきではない。請求された主題は、上述の説明によってではなく、添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものとする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
【国際調査報告】