特表2021-528831(P2021-528831A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレックス イメージング コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-528831(P2021-528831A)
(43)【公表日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】磁気アシストベアリングの真空浸透
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/10 20060101AFI20210924BHJP
【FI】
   H01J35/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2021-514093(P2021-514093)
(86)(22)【出願日】2019年9月23日
(85)【翻訳文提出日】2021年4月20日
(86)【国際出願番号】US2019052466
(87)【国際公開番号】WO2020068686
(87)【国際公開日】20200402
(31)【優先権主張番号】16/146,867
(32)【優先日】2018年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ヴァンス スコット
(72)【発明者】
【氏名】グリーンランド、ケイシー オソー
(72)【発明者】
【氏名】ボストロム、ニール
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ジョナサン
(57)【要約】
一実施例では、リフトアセンブリは、X線源の回転可能なアノードに力を及ぼし得る。リフトアセンブリは、リフトシャフト及びリフト電磁石を含み得る。リフトシャフトは、アノードに結合され得、かつ、アノードの回転軸の周りを回転するように構成され得る。リフト電磁石は、磁力をリフトシャフトに半径方向に加えるように構成され得る。リフト電磁石は、真空エンベロープの内部と真空エンベロープの外部の間を延在する結合部分、及び、結合部分に結合された巻線部分を含み得る。巻線は、少なくとも部分的に巻線部分を囲み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源の回転可能なアノードに力を及ぼすように構成されたリフトアセンブリであって、
前記アノードに結合され、かつ、前記アノードの回転軸の周りを回転するように構成されたリフトシャフトと、
磁力を前記リフトシャフトに半径方向に加えるように構成されたリフト電磁石であって、
真空エンベロープの内部と前記真空エンベロープの外部との間に延在する結合部分と、
前記結合部分に結合された巻線部分と、
少なくとも部分的に前記巻線部分を囲む巻線と、
を備える、前記リフト電磁石と、
を備える、リフトアセンブリ。
【請求項2】
前記結合部分と前記巻線部分との境界面における前記結合部分の少なくとも1つの寸法が、前記巻線部分の対応する寸法よりも大きい、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項3】
前記巻線が、前記結合部分と前記巻線部分との境界面に近接して延在する、または、前記巻線が、前記結合部分と前記巻線部分との前記境界面を完全に覆うように延在する、請求項1または2に記載のリフトアセンブリ。
【請求項4】
前記結合部分をインサート壁に対して整列させるように構成された整列機構をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項5】
前記整列機構が、前記インサート壁によって画定された開口部の内部に配置されたときの前記結合部分を保持する、前記結合部分に画定されたフランジを備える、請求項4に記載のリフトアセンブリ。
【請求項6】
前記整列機構が、前記結合部分の下部と上部との間に延在するテーパを備え、
前記テーパは、前記インサート壁によって画定された開口部の内部に配置されたときの前記結合部分を保持する、請求項4に記載のリフトアセンブリ。
【請求項7】
前記結合部分が、前記巻線部分を受けるようなサイズ及び形状を有する開口部を画定する、請求項1から6のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項8】
前記リフト電磁石が、前記リフトシャフトに向かって配向された少なくとも3つの極を備え、
前記結合部分、前記巻線部分、及び前記巻線は、前記3つの極の少なくとも1つの一部である、請求項1から7のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項9】
前記リフト電磁石が、前記インサート壁に結合された壁インサート、及び、前記壁インサートを通って延在する前記リフトシャフトに向けて配向された少なくとも3つの極を備える、請求項4に記載のリフトアセンブリ。
【請求項10】
前記結合部分と前記巻線部分との境界面が実質的に平面である、請求項1から9のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項11】
前記真空エンベロープを画定するインサート壁を備えるアノードアセンブリに動作可能に結合されている請求項1から10のいずれか一項に記載のリフトアセンブリであって、
前記アノードは、前記真空エンベロープの内部に配置され、電子を生成するように構成されたカソードから離間して配置される、リフトアセンブリ。
【請求項12】
前記巻線部分が、前記真空エンベロープの外部に配置され、
前記結合部分が、前記真空エンベロープを画定するインサート壁を通って延在する、請求項1から11のいずれか一項に記載のリフトアセンブリ。
【請求項13】
前記インサート壁と前記結合部分との間にろう付けまたは溶接をさらに備える、請求項12に記載のリフトアセンブリ。
【請求項14】
前記結合部分もしくは前記巻線部分が、低炭素鋼、高純度鉄、コバルト−鉄、もしくはニッケル−鉄を備える、または、
前記巻線部分がステンレス鋼またはセラミックを備える、請求項12に記載のリフトアセンブリ。
【請求項15】
X線源の回転可能なアノードに力を及ぼすように構成されたリフトアセンブリを製造する方法であって、
真空エンベロープの内部と前記真空エンベロープの外部のと間に延在するように結合部分を配置することと、
前記結合部分に対して巻線部分を位置決めしてリフト電磁石の少なくとも1つの極を形成することであって、前記リフト電磁石は、前記アノードに力を及ぼすように構成される、前記位置決めすることと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記結合部分を、前記真空エンベロープを少なくとも部分的に画定するインサート壁にろう付けまたは溶接することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記リフト電磁石の前記極をアニーリングすることをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記巻線部分の少なくとも一部の周りに巻線を配置することをさらに含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記巻線部分と前記結合部分との境界面の周りに巻線を配置することをさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
アノードアセンブリの回転可能なアノードに力を及ぼすように構成されたリフトアセンブリであって、
前記アノードに結合され、かつ、前記アノードの回転軸の周りを回転するように構成されたリフトシャフト手段と、
磁力を前記リフトシャフト手段に半径方向に加えるためのリフト電磁石手段と、
真空エンベロープの内部と前記真空エンベロープの外部との間に延在する結合手段と、
前記結合手段に結合し、かつ巻線手段を少なくとも部分的に囲む巻線を受けるための前記巻線手段と、
を備える、リフトアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、X線撮像システムに関し、X線撮像システムで用いられるX線源用の磁気リフトアセンブリに関する実施形態を含む。
【背景技術】
【0002】
X線撮像システムは、通常、X線源、検出器、ならびに、X線源及び検出器用のガントリなどの支持構造を含む。動作中、X線源は、通常、X線などの放射線を物体に向けて放出する。放射線は物体を通過し、検出器に衝突する。検出器は、放射線を受け、受けた放射線を表すデータを送信する。
【0003】
X線源は、真空ギャップによって分離されたカソード及びアノードを含む。X線は、電子を放出するカソードのエミッタに電流を流すことによって生成される。電子は、アノードに向かって加速し、次いでアノードに衝突する。電子がアノードに衝突すると、エネルギーの一部がX線に変換される。入射電子ビームのエネルギーの大部分は、アノードにおいて熱に変換される。電子ビームがターゲットに当たると高温が発生するため、アノードには、円盤状のアノードターゲットを回転させるなど、発生した熱を分散させる機能を含めることができる。円盤状のアノードターゲットは、ベアリングアセンブリを介して誘導モータによって回転され得る。
【0004】
X線源及び放射線検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)システムまたはスキャナなどのX線撮像システムにおける構成要素であり得る。X線撮像システムは、X線源及び検出器の両方を回転させて異なる角度における物体の様々な画像を生成するガントリを含む。ガントリの回転及び/またはアノードの回転によって課された重(G)力は、X線源の構成要素に応力をもたらし得る。特に、ガントリ及び/またはアノードの回転から生じたG力は、回転しているアノードを備えるX線源のベアリングアセンブリに応力をもたらし得る。さらに、ベアリングアセンブリへの応力は、回転速度が増加するにつれて増大し得るが、高性能X線源及びCTシステムでは回転速度の増加が望ましい場合がある。本開示は、回転しているX線撮像システム(例えば、CTスキャナ)におけるベアリングアセンブリへの応力を低減することに関する解決策を含む。
【0005】
本明細書中で請求される主題は、不利な点を解決するまたは上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されるものではない。むしろ、この背景は、本明細書中に記載されたいくつかの実施形態が実施され得る1つの例示的な技術領域を説明するためにのみ提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的なX線源の概略図である。
図2A】例示的なガントリの斜視図である。
図2B】回転しているアノードX線源を含む図2Aのガントリの一部の斜視図である。
図3A】X線源の別の実施例の斜視図である。
図3B図3AのX線源の斜視断面図である。
図3C図3AのX線源の側面断面図である。
図3D】X線源の別の実施例の側面断面図である。
図3E】X線源の別の実施例の側面断面図である。
図4】X線源に実装され得るリフト電磁石の実施例の斜視図である。
図5】X線源に実装され得るリフト電磁石の別の実施例の側面断面概略図である。
図6】結合部分と巻線部分の間に実装され得る境界面の側面断面概略図である。
図7A】リフト電磁石に実装され得る極インサートの実施例の側面断面図である。
図7B】リフト電磁石に実装され得る極インサートの実施例の側面断面図である。
図7C】リフト電磁石に実装され得る極インサートの実施例の側面断面図である。
図7D】リフト電磁石に実装され得る極インサートの実施例の側面断面図である。
図7E】リフト電磁石に実装され得る極インサートの実施例の側面断面図である。
図7F】極インサートに実装され得る結合部分の実施例の側面断面図である。
図8A】リフト電磁石の別の例示的な実施形態の側面断面図である。
図8B】リフト電磁石に実装することができる真空壁インサートの例示的な実施形態の斜視図である。
図9A】リフト電磁石の例示的な実施形態の断面図である。
図9B】リフト電磁石の例示的な実施形態の断面図である。
図10A】リフト電磁石の例示的な実施形態の側面図である。
図10B】リフト電磁石の例示的な実施形態の側面図である。
図11A】リフト電磁石の別の例示的な実施形態の断面図である。
図11B】リフト電磁石の別の例示的な実施形態の断面図である。
図12A】リフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図である。
図12B】リフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図である。
図12C】リフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図である。
図12D】リフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図である。
図12E】リフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図である。
図13】リフト電磁石を製造するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面を参照し、開示の様々な態様を説明するために特定の言語を使用する。図面及び説明をこのように用いることは、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。追加の態様は、特許請求の範囲を含む開示に照らして明らかになり得、または、実践によって学習され得る。
【0008】
本発明は、磁気を用いてX線源のアノードアセンブリのベアリングアセンブリへの負荷を低減することに関し、より具体的には、コンピュータ断層撮影(CT)システムにおいてベアリングアセンブリにかかる力を相殺するためにアノードアセンブリのシャフトをリフトするための電磁石に関する。電磁石は、ガントリの回転、アノードの回転、重力などに起因するベアリングアセンブリにかかる力を相殺し得る。例示的な実施形態は、アノード及びベアリングアセンブリに対して様々な位置におけるリフト電磁石(または磁気アクチュエータまたはリフト磁石)及びリフト電磁石の様々な変形及びアノードアセンブリにおけるベアリングアセンブリへの磁気リフトを支持するための構成要素を含む。一部の状況では、磁気リフトは、磁気アシストベアリングとも呼ばれ得る。
【0009】
ここで、開示の例示的な実施形態の様々な態様を説明するために、図面を参照する。図面は、そうした例示的な実施形態の図形表現及び概略表現であり、開示を限定するものではなく、必ずしも縮尺通りに描かれているわけでもないことが理解されよう。
【0010】
図1は、回転可能な円盤状のアノード122を備えた例示的な回転式または回転しているアノードX線源100の概略図である。X線源100は、ハウジング102、及びハウジング102内のX線インサート110を含む。ハウジング102は、インサート110を囲む。絶縁油または空気などの流体冷却剤が、ハウジング102とインサート110の間の空間または空洞を満たし、X線源100によって生成された熱を放散し得る。
【0011】
カソード112及びアノードアセンブリ120は、インサート110によって画定された真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)内に配置される。アノードアセンブリ120は、アノード122、ベアリングアセンブリ130、及びベアリングアセンブリ130に機械的に結合されたロータ128を含む。アノード122は、カソード112から離間し、かつ、反対の位置に配置されている。アノード122及びカソード112は、アノード122とカソード112の間に高電圧差(または高電位)の印加を可能にする電気回路において接続されている。カソード112は、電源に接続された電子エミッタ116を含む。
【0012】
X線源100の動作に先立って、インサート110は、インサート110によって囲まれ得る真空を生成するように真空化され得る。動作中、熱及び電位が、カソード112の電子エミッタ116に印加されて、図1において「e」として示される電子を、熱電子放出によってカソード112から放出させる。次に、アノード122とカソード112の間に高電圧差を印加すると、電子「e」が、電子エミッタ116から、アノード122上に配置された焦点トラック124上の焦点に向けて加速する。焦点トラック124は、例えば、タングステン(W)、レニウム(Re)または他の適切な材料といった、高原子(「高Z」)番号を有する材料を含み得る。電子「e」が加速すると、それらは、かなりの量の運動エネルギーを獲得し、回転している焦点トラック124に当たると、この運動エネルギーの一部は、図1において「x」として示されるX線に変換される。
【0013】
焦点トラック124は、放出されたX線「x」がX線源ウィンドウ104を通過し得るように配向されている。ウィンドウ104は、ベリリウム(Be)などのX線透過性材料を含むので、焦点トラック124から放出されたX線「x」は、ウィンドウ104を通過して、意図された物体、次いで検出器に当たってX線画像を生成する。
【0014】
電子「e」が焦点トラック124に当たると、電子「e」のかなりの量の運動エネルギーは熱をもたらし、その大部分は、焦点トラック124に、特に焦点の領域に伝達される。焦点トラック124上の特定の焦点における熱を低減するため、円盤状のアノードターゲットは、通常はロータ128及びステータ106を含む誘導モータを使用して、高速で回転される。誘導モータは、トルクを生成するのに必要なロータ128における電流がステータ巻線との電磁結合によって得られる交流(AC)電動機であり得る。ロータ128は、ロータの回転がアノードに伝達されるように、ベアリングアセンブリ130のハブを通してアノード122に機械的に結合されている。他の構成では、モータは、直流(DC)モータであり得る。
【0015】
電子「e」によって生成された熱によるアノード122の過熱を回避するために、ロータ128は、アノード122を、電子「e」のビームにさらされるアノードの領域が焦点トラック124に沿って変動するように、シャフトの中心線の周りを高速度(例えば、80−300Hz)で回転させる。X線源100はまた、アノード122及びカソード112によって生成される熱を管理するための他の冷却機能を含むことができる。
【0016】
X線源(X線源100など)及び放射線検出器は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナなどの回転X線撮像システムに含めることができる。CTは、単一のスキャン操作(「スキャン」)でいくつかの投影画像(「X線投影」)を収集することによって物体の内部構造を撮像することを含むものであり、人体の選択された部分の内部構造を見るために医療分野で広く使用される。通常、いくつかの2次元投影は物体から作成されており、物体の3次元表現は、様々な断層撮影再構成法を用いて、これらの投影から構成される。3次元画像から、物体を通る従来のCTスライスを生成することができる。2次元投影は、通常、X線源からの放射線を、物体を通して透過させ、その放射線を2次元撮像デバイス(すなわち、放射線検出器)またはピクセル検出器のアレイ(単に「ピクセル」と呼ばれる)を含み得るイメージャ上に収集することによって生成される。このようなCTシステムの一例を図2Aに示す。
【0017】
図2Aは、回転しているX線システムのガントリ200の例を示す。一部の状況では、ガントリ200は、回転しているアセンブリまたはガントリアセンブリと呼ばれ得る。ガントリ200は、回転可能なガントリフレーム202を支持する静止ガントリフレーム204を含む。回転可能なガントリフレーム202は、X線源210及び放射線検出器またはイメージャ(図示せず)を支持し得る。ガントリ200はまた、回転している構成要素及び/または静止ガントリフレーム204を囲み美的カバーを提供するためのガントリカバー206も含む。
【0018】
回転可能なガントリフレーム202は、回転可能なガントリフレーム202のガントリ開口208の軸の中心の周りを回転する環状形状(すなわち、リング形状)を含み得る。回転可能なガントリフレーム202上に配置された構成要素にかかる、矢印260で示される遠心力(またはガントリ力)は、重力(g−力、Gの、gの、またはG負荷)の単位を上回り得、g−力の倍数(例えば、g−力の20倍)であり得る。例えば、X線源210が回転可能なガントリフレーム202上に軸の中心から半径0.7メートルで取り付けられ、回転可能なガントリフレーム202が、0.275秒/回転(秒/回転)で回転している場合、ベアリングアセンブリなどの、X線源210上の構成要素は、37gの力を受け得る。
【0019】
一般に、CTスキャナは、より高い回転ガントリ速度で動作することが望ましい。しかしながら、ガントリがより高速で回転するCTスキャナの動作は、ベアリングアセンブリはより大きな力(例えば、ガントリの回転によるg−力)を受けるので、X線源のベアリング寿命に悪影響を与え得る。そのような状況では、より高いガントリ速度、及び結果として生じる遠心力260は、ベアリングアセンブリの寿命を縮め得る。
【0020】
一部のX線源は、より高い力(例えばg−力)を効果的に処理可能であり得る液体金属ベアリング(LMB)を実装する。しかしながら、LMBの実装は、コストを大幅に増加させる可能性があり、システム設計(例えば、X線源の設計)への大幅な変更を必要とし得る。
【0021】
他のX線源は、X線源の回転している構成要素の支持を磁気的に支援するために、かつ、ベアリングアセンブリにかかる力を低減させるために、磁気リフト構成を実装し得る。一部の状況では、そのような構成は、既存の撮像システムに実装され得るので、かつ/または、非常に費用効果の高い後方互換性の向上を提供し得るので、LMBよりも有利な場合がある。図2Bに注目して、磁気リフト構成の例をさらに詳細に説明する。
【0022】
図2Bは、ガントリ200の一部、特に、回転可能なガントリフレーム202に取り付けられたX線源210を示す。X線源210は、源ハウジング211、カソード(図1の112)によって放出された電子を受けることができるアノード242、アノード242のシャフト243に結合されたロータ234、ロータ234を囲むステータ232、ロータ234に結合された強磁性リフトシャフト226、及び、矢印262によって示される磁気揚力をリフトシャフト226に提供し、それによってロータ234及びアノード242のシャフト243を、遠心力と反対に、ガントリの回転軸に関して半径方向に沿って「リフトする」ことができるリフト電磁石222(またはリフト多極電磁石または電磁石)を含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、リフトするとは、リフトシャフト226の半径方向に沿って力を加えることを指す。リフト力または揚力は、2つの構成要素を引き寄せる(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)引力または2つの構成要素を押し分ける(例えば、リフトシャフト226及びリフト電磁石222)斥力もしくは反発力であり得る。本開示では、リフト力または揚力を引力として参照するが、リフト力または揚力は、半径方向に沿った任意の大きさ(正または負)を有する力であり得る。
【0024】
説明のために、図2Bは、垂直方向のy−軸、水平方向のx−軸、及びx−y平面に直交するz−軸を有するデカルト座標系を含む。ガントリ200の回転は、x−y平面で生じ、アノード242のシャフト243の中心線またはアノード242の回転軸は、z−軸に平行に延在する。ガントリの回転中、遠心力260は、ガントリ200のX線源210の直交軸213に加えられる。
【0025】
リフト電磁石222は、磁気揚力262(例えば、磁力、反作用力、または平衡力)を、ベアリングアセンブリまたはアノードアセンブリにかかる力(ガントリ200の遠心力260を含む)を相殺、減衰、低減、または平衡化するように、遠心力260と実質的に反対の方向に加え得る。磁気揚力262は、以下の1つまたは複数をもたらし得る:振動またはノイズを低減する、ベアリング寿命を延ばす、ベアリング負荷能力を高める、熱接触を制御する、回転しているアセンブリのセンタリング及び精度を向上させる、ならびに、より小さなベアリング(例えば、ボールベアリングまたは他の回転ベアリング)の使用を可能にする。追加的にまたは代替的に、磁気揚力262の支援により、回転しているアノードX線源において他のベアリングタイプの使用が可能になり得る。医用撮像の場合、振動及びノイズを低減することで、患者及び/または医療スタッフの経験も向上し得る。
【0026】
図3Aは、X線源210の斜視図を示す。図3Aに示されるように、X線源210は、カソード及びアノードを真空エンクロージャ(または真空エンベロープ)に囲む壁(例えばインサート壁、真空壁または真空エンベロープ壁)を含む、インサート212とも称されるエンベロープを含み得る。インサート212は、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220を囲み得る。リフト電磁石222は、巻線(またはコイルまたはワイヤ)224が示されるように極の間でコア225の周りにまたは極の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極を有するリフト電磁石コア225を含み得る。
【0027】
図3Bは、X線源210の斜視断面図を示し、図3Cは、X線源210の側面断面図を示す。図3Bから図3Cに示されるように、アノードアセンブリ240、ベアリングアセンブリ250、モータアセンブリ230、及びリフトアセンブリ220は、アノードアセンブリ中心線(またはベアリング中心線)248の周りでの回転を容易にし得る。アノードアセンブリ240は、アノード242、及びアノード242を支持するアノード外側シャフト244を含む。アノードアセンブリ240はまた、アノード外側シャフト244に結合されかつベアリングアセンブリ250のベアリング252及び254に回転可能に結合されているアノード内側シャフト246も含む。
【0028】
アノード内側シャフト246は、少なくとも1つのベアリングレース(例えば、ボールベアリングレース)を含み得る。例えば、図示の構成では、ベアリングアセンブリ250は、アノード内側シャフト246上の外側ボールベアリング252及び対応するレース、ならびに内側ボールベアリング254及び対応するレースを含む。本明細書で使用される場合、外側とは、アノードアセンブリ240の縁により近い、アノード242により近い、またはモータアセンブリ230からより離れた相対位置を指す。内側とは、アノードアセンブリ240の中部により近い、アノード242からより離れた、またはモータアセンブリ230により近い位置を指す。
【0029】
図示の実施形態は、ローラ要素ベアリング(例えば、工具鋼ボールベアリングまたは工具鋼レースウェイ)を含むが、他の実施形態では、他のベアリングタイプが実装され得る。例えば、他の構成は、すべり軸受(例えば、スリーブ軸受またはジャーナル軸受)、または液体金属軸受などの流体軸受を含み得る。参照によりその全体が本明細書に援用される、2015年12月14日に出願された「液体金属の防湿コーティング」と題された米国特許出願第14/968,078号は、液体金属軸受の例を開示している。
【0030】
モータアセンブリ230は、ステータ232及びロータ234を含み得る。ロータ234は、一端にロータボイド236または開口部を含み、それは円筒形であり得る。ロータボイド236は、ロータ234が、アノードシャフト(例えば、アノード内部シャフト246)に取り付けられること、及び/またはベアリング中心線248と位置合わせされることを可能とする。構成要素(例えば、アノードシャフト、ロータ234、またはロータシャフト)は、恒久的または半恒久的な締結または取付け機構を使用して互いに取り付けられ得る。モータアセンブリ230に近接するインサート壁215(またはインサート壁の一部)は、ロータ234とステータ232の間に配置され得る。ステータ232の巻線の磁場からの電磁誘導は、インサート壁215を通過してロータ234に到達し得る。インサート壁215とロータ234の間の小さな隙間により、ロータ234は機械的抵抗なしに回転することが可能となる。
【0031】
リフトアセンブリ220は、ロータ234に結合されたリフトシャフト226、及びリフトシャフト226に磁力を加え得るリフト電磁石222を含む。リフトシャフト226は、リフトシャフトボイド227または開口部を含み得、それは円筒形であり得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、ロータ234をリフトシャフト226に結合させ得る。ロータ−リフトシャフトアダプタ238は、両方とも動作のために磁場を用いるモータアセンブリ230とリフトアセンブリ220の間の磁気絶縁を向上させるために非強磁性材料を含み得る。図示されていない構成では、リフトシャフト226は、ロータ234と統合され得る、または、ロータ234に恒久的に取り付けられ得る(例えば、溶接またはろう付けされる)。
【0032】
リフト電磁石222は、リフトシャフト226に向けて配向された少なくとも2つの極を含み得る。いくつかの構成では、リフト電磁石222は、巻線224が極の間でコア225(またはコアウェブ)の周りに巻かれた、「M」または「W」形状に形成された3つの極(三極)を含み得る。
【0033】
材料の選択は、リフト電磁石222またはリフトシャフト226などの磁気デバイスの性能に影響を及ぼし得る。磁性材料は、真空において(例えば、X線源の真空エンベロープ)かつ処理後、磁化されたままであり、冷間引抜炭素磁性鉄(CMI−C)などの真空対応である必要がある。
【0034】
リフト電磁石222またはリフトシャフト226は、強磁性かつ/またはフェリ磁性材料を含み得る。本明細書で使用される場合、技術を説明するのを簡単にするために、「強磁性」材料は、自発磁化を示すことができる材料(すなわち、強磁性材料またはフェリ磁性材料のいずれか)を指す。
【0035】
コア225の周りの巻線224は、エナメル磁石線(すなわち、トランス線またはリッツ線)などの、電気的に絶縁されたシースを備える導電性材料(例えば、銅またはアルミニウム)を含み得る。
【0036】
リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の揚力を低減することができる2つの要因は、リフトギャップのサイズ、及び透磁率が1より大きいインサート壁などの間隙物質の存在である。図3Cに示すように、リフトギャップ228は、リフトシャフト226とリフト電磁石222の間の間隔であり得る。リフトギャップ228は、インサート壁214とリフトシャフト226の間の真空とともに、リフトアセンブリ220に近接するインサート壁214を含み得る。いくつかの例では、リフトギャップ228は、リフト電磁石222及びインサート壁214が異なる電位を有する場合などの、リフト電磁石222がインサート壁214に接触しない場合、インサート壁214とリフト電磁石222の間に空間を含み得る。真空を含むリフトギャップ228は、リフトシャフト226が機械的抵抗(例えば、インサート壁214またはリフト電磁石222に接触することによる摩擦)なしに回転するためのクリアランスを提供する。
【0037】
真空及び空気は、1という比透磁率(μで表される)を有し、したがって、それらは、電磁石シャフト226とリフト電磁石222の間の電磁結合を減衰させない。インサート壁214は、通常、リフト電磁石222とリフトシャフト226の間の電磁結合を減衰させ揚力を低減することができるような透磁率>1の導電性材料からなる。
【0038】
透磁率は、材料における、その磁場の形成を支持する能力の尺度である。比透磁率は、自由空間の透磁率に対する所与の材料の透磁率の比率である。インサート壁214の厚さを薄くすること及び/または比透磁率が低い材料を使用することにより、リフト電磁石222と電磁石シャフト226の間に生成される磁力の減衰が最小化されることを確保する。リフト領域におけるインサート壁214は、ステンレス鋼などの、低い透磁率または最小の強磁性を有する材料を含み得る。さらに、リフトギャップ228を低減させると、リフト電磁石222によってリフトシャフト226に加えられる磁力は増加し得る。リフトシャフト226にかかるリフト電磁石222の力は、リフトギャップの2乗に反比例し、力Fは、略算式F=1/gapによって低磁場において近似することができる。リフトギャップ228はgapで表されている。一例では、リフトギャップ228は、2ミリメートル(mm)未満であり得る。別の例では、リフトギャップ228は、1mm未満であり得る。
【0039】
磁場の磁束が極の間ではなく主にリフトシャフト226に作用するために、極の端部間の距離は、リフトギャップ228よりも少なくとも10倍大きくあり得る。例では、リフト領域におけるインサート壁214は、1mm未満であり得る。
【0040】
リフトアセンブリ220は、(リフトシャフト226を介して)回転しているアセンブリに磁気揚力を加え得、それによって、例えば、動作寿命を向上させ、かつ/または、ベアリングアセンブリ250及びその構成要素の耐荷重能力を高めることができる。リフト電磁石222の磁力は、ガントリ(例えば、ガントリ200)の遠心力などの、ベアリングアセンブリ250への負荷を相殺するために、ならびに振動を抑制しアノードアセンブリ(例えばアノードアセンブリ240)またはX線源の他の回転している構成要素に安定性を加えるために使用され得る。リフトアセンブリ220によって生成された力は、質量中心(または質量中心以外)を含む、回転しているアセンブリのどこにでも加えられ得、力を提供する磁気リフトデバイスの1つまたは組み合わせを使用し得る。
【0041】
X線源210は、その全体が参照によって本明細書中に援用される、2017年3月20日に出願された「X線管用の磁気リフト装置」と題された米国特許出願第15/464,142号に記載されている任意の適切な特徴を含み得る。特に、X線源210は、上記で参照した出願に記載されたリフトアセンブリの任意の適切な態様、または任意の他の適切な特徴を含み得る。
【0042】
前述のように、リフトギャップ228を低減させると、リフト電磁石222によってリフトシャフト226に加えられる磁力は増加し得る。したがって、いくつかの実施形態では、リフト電磁石222によってリフトシャフト226に及ぼされる磁力を増加させるために、リフトギャップ228を低減させることが望ましい場合がある。追加的にまたは代替的に、リフトギャップ228は低減され得、したがって、より小さなまたはパワーが劣るリフト電磁石が、リフトアセンブリ220に実装され得る。
【0043】
図3Dは、X線源310の別の実施例の側面断面図を示す。X線源310は、X線源210に関して上記で説明された任意の適切な特徴を含み得、同様の特徴は、同様の番号付けで示す。しかしながら、図3Dの構成では、X線源310は、インサート壁314に統合されたリフト電磁石322を備えたリフトアセンブリ320を含む。具体的には、リフト電磁石322の極は、インサート壁314に統合され、そのことは、例えば図3Cのリフトギャップ228に対してリフトギャップ328のサイズを低減させ、それによって、リフト電磁石322によってリフトシャフト226に及ぼす磁場強度を増加させる。
【0044】
リフト電磁石322の極がインサート壁314に統合される構成では、インサート壁314は、リフトギャップ228に寄与しない場合があり、そのことは、リフトギャップ228の例えば約1mm(例えば、インサート壁314の厚さ)の低減につながる。そのような構成は、リフトシャフト226、リフト電磁石222、及び/またはインサート壁214などのリフトアセンブリ220の構成要素においてより高い精度を必要とし得る。
【0045】
リフト電磁石322をインサート壁314に統合することは、様々な課題を提起し得る。例えば、リフト電磁石322の極は、インサート壁314を通って真空エンクロージャの内部まで延在するので、真空エンクロージャの真空化能力を損なわないようにまたは低下させないようにインサート壁314に結合されなければならない。したがって、インサート壁314とリフト電磁石322の極の接合部は、インサート壁314の内部の真空が損なわれないように気密でなければならない。さらに、接合部は、高温及び他の厳しい条件を伴い得る、X線源310の下流の製造プロセスに対応しなければならない。さらに、接合部は、接合部及びX線源310の他の構成要素の両方について高い寸法精度を維持しながら形成されなければならない。状況によっては、必要な寸法精度は、+/−0.05mm以内になり得る。
【0046】
別の実施例では、リフト電磁石322の極または電磁石浸透部を囲む真空壁(例えば、インサート壁314)は、リフト電磁石322によって生成される磁場の減衰を最小にするように構成されなければならない。さらに別の実施例では、真空の内部のリフト電磁石322に使用される材料は、真空対応でなければならず(例えば、真空エンクロージャを汚染しない及び/または真空の完全性を低下させない)、所望の磁気特性を維持しなければならない。さらに、そのような材料は、比較的高温及び大きな力を伴い得る、X線源310の動作条件において、真空対応性及び所望の磁気特性を維持しなければならない。
【0047】
したがって、開示された実施形態は、リフト電磁石322の極をインサート壁314に統合してリフトギャップ328のサイズを低減させ、それによって、リフト電磁石322によってリフトシャフト226に及ぼされる磁場の強度を増加させる構成を含む。そのような構成は、例えばろう付けまたは溶接によってインサート壁に固定されて極をインサート壁に埋め込むプラグ、パッチ、またはインサートを含み得る。開示された構成は、真空エンクロージャの真空化能力を損なわないまたは低下させないものであり、プラグ、パッチ、またはインサートを取り付ける接合部は、真空エンベロープが損なわれないように気密であり得る。さらに、開示された構成は、X線源の既存の製造プロセスに対応しており、接合部及びX線源の他の構成要素の両方について高い寸法精度を維持しながら形成され得る。さらに、真空の内部のプラグ、パッチ、またはインサートに使用される材料は、真空対応であり得、所望の磁気特性を維持し得る。例えば、材料は、低炭素鋼、高純度鉄、コバルト−鉄、ニッケル−鉄、または他の適切な材料であり得る。
【0048】
リフト電磁石322は、極の間でコア325の周りにまたは極自体の周り(図示せず)に巻かれた巻線324を含む。巻線324は、一般に、エナメル磁石線(すなわち、トランス線)などの、電気的に絶縁されたシースを備える導電性材料(例えば、銅またはアルミニウム)から形成され得る。しかしながら、巻線324の材料(例えば、導電性材料または電気的に絶縁されたシース)は、相対的に低い耐熱性を有し得、かくして、アニーリング、溶接またはろう付けなどの、X線源の高温の製造ステップに耐えることができない場合がある。さらに、リフト電磁石322の極またはコア325は、強磁性材料及びフェリ磁性材料を含み得、それらはその材料のキュリー温度を超えると、それらの磁気特性を失い得る。しかしながら、X線源の高温の製造ステップ(例えばろう付け)は、キュリー温度を超える場合があり、高温操作または再アニーリングプロセス後の低速冷却プロセスがないと、材料は磁気特性を失い得る。かくして、リフト電磁石322の特定の部分は、製造中、高温を超えないことが望ましくあり得る。
【0049】
したがって、開示された実施形態のいくつかは、2つ以上の部分から形成される極磁石を含み得る。その1つは、例えばインサート壁に溶接またはろう付けによって永久的に結合され(例えば、「結合部分」)、もう1つは、巻線を含む(例えば、「巻線部分」)。結合部分は、相対的に高温で行われるろう付け、アニーリング、及び脱気などの製造ステップを経てもよい。対照的に、巻線及び磁性材料などの温度感受性特徴を含み得る巻線部分は、それらの特徴を損傷し得る温度(例えば、コイル絶縁温度限界及び融点)を超えないように、高温の製造ステップが完了した後に結合部分に結合され得る。
【0050】
図3Eは、X線源311の別の実施例の側面断面図を示す。X線源311は、X線源310に関して上記で説明された任意の適切な特徴を含み得、同様の特徴は、同様の番号付けで示す。図3Eに示されるように、いくつかの構成では、モータアセンブリ230とリフトアセンブリ220の位置は切り替えられ得る。そのような構成では、リフトアセンブリ220は、ベアリングアセンブリ250に隣接して、モータアセンブリ230よりもアノードアセンブリ240のより近くに配置され得る。
【0051】
図4は、リフト電磁石350の斜視図を示す。リフト電磁石350は、図3DのX線源310または図3EのX線源311などのX線源に組み込まれ得る。したがって、リフト電磁石350は、図3Dのリフト電磁石322に関して説明された任意の適切な特徴を含み得、またはその逆である。図示のように、リフト電磁石350は、インサート壁352に統合されている。インサート壁352は、インサート壁352の内部354を外部356から分離し得る。インサート壁352は、内部354を真空にすることを可能にし得る真空エンベロープを画定し得る。
【0052】
リフト電磁石350は、コア355を含み、3つの極360、362、及び364を有する。図示のように、極360、362、及び364は、「M」または「W」形状を形成し得る。リフト電磁石350は、コア355の巻線部分366、368、370の周りに巻かれた巻線、コイル、または線(図示せず)を含み得る。さらに、リフト電磁石350は、インサート壁352の外部356から内部354までインサート壁352を通って延在する結合部分363、365、及び367を含み得る。結合部分363、365、367は、インサート壁352に結合されたプラグ、パッチ、またはインサートを含み得る。結合部分363、365、367のそれぞれは、サイズ、形状、及び位置において、極360、362、364の巻線部分366、368、370のうちの1つに対応し得る。
【0053】
結合部分363、365、367は、例えばろう付けまたは溶接によってインサート壁352に固定されて、極をインサート壁352に埋め込み得る。いくつかの構成では、ろう付け接合部は、結合部分363、365、367とインサート壁352の間に配置されて、内部354を外部356から気密的に密閉し得る。いくつかの構成では、結合部分363、365、367及び巻線部分366、368、370の対応する各対は、真空浸透極アセンブリと称され得る。
【0054】
いくつかの構成では、結合部分363、365、367の材料は、インサート壁382へのろう付けに適するように選択され得る。追加的にまたは代替的に、結合部分363、365、367は、少なくとも部分的に真空の内部に配置され得るので、結合部分363、365、367の材料は、真空の質を汚染または低下させないように選択され得る。対照的に、いくつかの構成では、巻線部分366、368、370はろう付けされず、真空中に配置されないので、他の適切な材料が実装され得る。かくして、いくつかの実施形態では、異なる材料が、結合部分363、365、367及び巻線部分366、368、370に使用され得る。例えば、巻線部分366、368、370の材料は、相対的に高い透磁率を有し得るが、ろう付けに、または真空の内部に配置されるのに必ずしも適しているとは限らない。いくつかの実施形態では、巻線部分366、368、370の材料は、結合部分363、365、367よりも高い透磁率を有し得る。追加的にまたは代替的に、結合部分363、365、367の材料は、その熱膨張特性に基づいて選択され得る。例えば、結合部分363、365、367の材料は、材料が温度変化したときに構成要素が変形または損傷しないように、インサート壁382及び/またはろう付け材料と同様の熱膨張係数を有するように選択され得る。
【0055】
結合部分363、365、367は、低炭素鋼、高純度鉄、コバルト−鉄、ニッケル−鉄、または他の適切な材料などの強磁性材料を含み得る。インサート壁352は、ステンレス鋼またはセラミックなどの非磁性材料で形成され得る。巻線部分366、368、370は、低炭素鋼、高純度鉄、コバルト−鉄、ニッケル−鉄、または他の適切な材料などの強磁性材料で形成され得る。結合部分363、365、367とインサート壁352の間のろう付けは、銅、金、ニッケル、銀、パラジウム、それらの様々な合金、または任意の他の適切なろう付け材料を含み得る。いくつかの構成では、結合部分363、365、367、巻線部分366、368、370、及び/またはインサート壁352の材料は、同様の熱膨張係数を含むように選択され得る。図5は、リフト電磁石380の別の実施例の側面断面概略図を示す。リフト電磁石380は、3つの極383、387、394を有するコア385などのリフト電磁石350に関して説明された適切な態様を含み得、極のそれぞれは、対応する結合部分393、395、397及び巻線部分388、390、392を含む。示されるように、インサート壁382は、内部384を外部386から分離し、結合部分393、395、及び397は、インサート壁382を通って延在する。結合部分393、395、及び397は、インサート壁382と結合され、それによって、内部384を外部386から密閉し、内部384を真空にすることを可能にする。示されるように、巻線391は、極383、387、394の間でコア855の巻線部分388、390、392の周りに巻き付けられ得る。
【0056】
図示の構成では、巻線391は、結合部分393、395、及び397と巻線部分388、390、392の境界面330に近接して配置される。特に、巻線391は、結合部分393、395、及び397と巻線部分388、390、392の境界面330を越えて延在するが、他の構成が実装され得る。
【0057】
図5に示されるように、リフト電磁石380は、リフトシャフト381に近接して配置され得、リフトシャフト381に揚力を及ぼす。極383、387、394の結合部分393、395、及び397は、インサート壁382を通って延在するので、それらは、リフトシャフト381により近く配置され得る。したがって、極383、387、394とリフトシャフト381の間のリフトギャップ399は、リフトアセンブリ220がインサート壁214の完全に外部に位置する図3Cに示されている構成などの他の構成と比較した場合、より小さくあり得る。図3Fに示される構成では、リフトギャップ399は、1mm以下の距離に低減され得る。
【0058】
図5の構成では、結合部分393、395、及び397と巻線部分388、390、392の境界面330は、実質的に平面である。しかしながら、例えば図6に示されるように、他の構成が実装され得る。図6は、上記で説明された結合部分と巻線部分の間に実装され得る境界面330a−eの側面断面概略図を示す。構成330aは、図5の境界面330などの、実質的に平面の境界面を示す。構成330bでは、境界面は、実質的にV字型、円錐形、または角形状で、2つの平面上に配置される。構成330c及び330dでは、境界面は平面ではなく、代わりに湾曲している。構成330eでは、境界面は、互いと境界を接する歯またはノブを含む。構成330aでは、結合部分及び巻線部分は、それらが恒久的にまたは取り外し可能に固定されるまで、互いに対して移動され得る。対照的に、構成330b−eの角、湾曲、またはノブという特徴は、結合部分及び巻線部分を互いに対して(少なくとも1つの次元で)保持し得る。そのような構成は、結合部分を巻線部分と整列させること、及び/または結合部分を巻線部分に固定することを支援し得る。図6は2次元断面図を示しているが、境界面は、結合部分及び巻線部分を互いに対して保持する任意の適切な3次元構成を含み得ることを理解すべきである。
【0059】
図7Aは、図3DのX線源310もしくは図3EのX線源311などのX線源にまたは図4から図5のリフト電磁石350、380に実装され得る極インサート400の実施例の側面断面概略図を示す。図示のように、極インサート400は、インサート壁402に配置され得る。極インサート400は、結合部分404及び巻線部分406を含む。
【0060】
結合部分404は、インサート壁402にろう付けまたは溶接され得、それによって、気密な密閉を形成する。いくつかの構成では、ろう付け材料416(例えば、銅または他の適切なろう付け材料)は、結合部分404とインサート壁402の間に配置され得る。ろう付け材料416は、加熱かつ溶融され得、結合部分404とインサート壁402の間にろう付け結合を形成する。他の構成では、結合部分404は、インサート壁402に溶接され得る。しかしながら、結合部分404とインサート壁402を結合するのに任意の適切な結合構成を実装し得る。
【0061】
インサート壁402は、インサート壁402の内部412を外部414から分離し得る。結合部分404は、インサート壁402によって画定された開口部を密閉し得、それによって、内部412を真空とすることを可能とする。高温の製造ステップが完了した後、巻線部分406は結合部分404に結合され得、及び/または、巻線408は極インサート400の少なくとも一部の周りに配置され得る。
【0062】
巻線部分406は、結合部分404と恒久的にまたは取り外し可能に結合され得る。いくつかの構成では、巻線部分406は、結合部分404に対して位置決めまたは圧入されて、結合部分404と共に巻線部分406を保持し得る。他の構成では、巻線部分406は、接着剤または機械的結合、または任意の他の適切な結合構成を使用して、結合部分404と結合され得る。接着剤、機械的結合、または他の適切な結合構成は、X線源の動作条件(例えば、高温)において構造的完全性を維持し得る。
【0063】
図示のように、巻線408は、結合部分404と巻線部分406の境界面410においてまたは近接して巻線部分406の周りに配置され得る。そのような構成では、巻線408は、磁場を結合部分404に及び/またはリフトシャフトに近接する極インサート400の端部に導き得る。巻線408は、巻線部分406が結合部分404に結合される前または後に、しかし一般に高温の製造ステップが完了した後に、巻線部分406の周りに配置され得る。
【0064】
極インサート400の図示の構成では、巻線部分406及び/または巻線408などの温度感受性を有し得る構成要素は、それらの特徴を損傷し得る温度(例えば、コイルの絶縁温度制限)を越えないように、高温の製造ステップが完了した後、結合部分404に結合される。
【0065】
図7Aの構成では、巻線部分406は、結合部分404上に配置され、結合部分404の対応する寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法(例えば、長さまたは幅)を含む。結合部分404のそのような構成は、結合部分404が極インサート400の残りの部分よりも低い印加電流で飽和しないことを確実にするのを容易にし得る。したがって、結合部分404の断面積は、少なくとも、巻線部分406の断面積と同じ大きさであり得る。
【0066】
図7Bは、図3DのX線源310または図3EのX線源311などのX線源に実装され得る極インサート420の別の実施例の側面断面図を示す。この構成は、結合部分404の寸法に対応する及び/または実質的に同じサイズである少なくとも1つの寸法(例えば、長さまたは幅)を有する巻線部分426を含む。図7Aの巻線408は、一般に境界面410まで巻線部分406上を延在するが、図4Bの構成では、巻線422は、巻線部分426及び結合部分404の少なくとも一部の両方の周りに配置される。そのような構成では、巻線422は、巻線部分426と結合部分404の境界面424を完全に覆うように延在する。そのような構成では、巻線422は、磁場を結合部分404に及び/またはリフトシャフトに近接する極インサート420の端部に導き得る。いくつかの状況では、境界面424を完全に覆うよう延在するように巻線422を配置することにより、結合部分404への及び/または極インサート420の端部への磁場の封じ込めを向上させ得る。
【0067】
図7A及び7Bの構成では、極インサート400、420は、境界面において実質的に矩形の断面を含む。特に、巻線部分406、426及び結合部分404は、断面が実質的に矩形である。しかしながら、極インサートは、任意の適切な構成及び特徴を有し得る。例えば、極インサートは、インサート壁に対して極インサートを位置決めすること、結合部分に対して巻線部分を位置決めすること、及び/または、ろう付けもしくはフラックス材料を封じ込めることを容易にし得る整列または固定特徴を含み得る。そのような構成は、以下で図4Cから図4Gに関して説明される。
【0068】
図7Cは、図3DのX線源310または図3EのX線源311などのX線源に実装され得る極インサート440の別の実施例の側面断面図を示す。示されるように、極インサート440は、巻線部分446及び上記の任意の適切な特徴を含み得る結合部分444を含む。巻線448は、結合部分444と巻線部分446の境界面450でまたはそれに近接して巻線部分446の周りに配置され得る。
【0069】
しかしながら、図示の構成では、結合部分444は、下部442と上部443の間を延在する。示されるように、下部442は、インサート壁402によって画定された開口部に配置されるようなサイズ及び形状であり、上部443は、下部442よりも広いか、または大きい少なくとも1つの寸法を含む。そのような構成では、上部443は、インサート壁402によって画定された開口部に結合部分444を位置決めすることを容易にし、開口部の内部に配置されたときの結合部分444を保持するフランジまたはリムを画定する。結合部分444によって画定されたフランジは、インサート壁402に対して極インサート440を位置決め及び/または整列させることを容易にし得、整列または固定特徴と称され得る。
【0070】
ろう付け材料456(例えば、銅または他の適切なろう付け材料)は、結合部分444とインサート壁402の間に配置され得る。示されるように、ろう付け材料456は、インサート壁402の上面と極インサート440の底面の間に配置され得る。特に、ろう付け材料456は、極インサート440の上部443のフランジとインサート壁402の上面の間に配置される。そのような構成は、インサート壁402と極インサート440の境界面にろう付け材料456を保持することを容易にし得る。追加的にまたは代替的に、極インサート440は、ろう付け材料456の位置においてまたはそれに近接して配置された凹部または突起を含み得、ろう付け材料を所定の位置に保持するのを容易にする。
【0071】
図7Dは、図3DのX線源310または図3EのX線源311などのX線源に実装され得る極インサート460の別の実施例の側面断面図を示す。極インサート460は、一般に、図7Cの極インサート440に関する上記の特徴を含み得る。極インサート460は、下部462と上部463の間を延在する結合部分464を含み、上部463は、巻線部分446を受けるようなサイズ及び形状の開口部468を画定する。
【0072】
上部463はまた、巻線部分446の底部より上に延在するフランジ469を画定する。開口部468及び/またはフランジ469は、巻線部分446に対して結合部分464を位置決め及び/または整列させることを容易にし得、整列または固定特徴と称され得る。追加的にまたは代替的に、フランジ469は、結合部分464と巻線部分446の境界面450より上に延在し、巻線448を収容及び/または位置決めすることを容易にし得る。さらに、いくつかの構成では、フランジ469は、極インサート460がリフトシャフトに向けられたときに生成される磁場を導くことを容易にし得る。
【0073】
図7Eは、図3DのX線源310または図3EのX線源311などのX線源に実装され得る極インサート480の別の実施例の側面断面図を示す。極インサート480は、一般に、図7C及び7Dの極インサート440、460に関して上記で説明された特徴を含み得る。しかしながら、図7C及び7Dでは、結合部分444、464の上部は、巻線部分446の対応する寸法よりも広いか、または大きい少なくとも1つの寸法を含む。対照的に、図示の構成では、結合部分484の上部483は、巻線部分446と実質的に同じサイズである。
【0074】
そのような構成では、結合部分484は、実質的にT字形または十字形の断面を含む。結合部分484は、上部483及び下部482の対応する寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を含む中間部分485を含む。下部482は、インサート壁402によって画定された開口部に受けられるようなサイズ及び形状になっている。中間部分485は、インサート壁402によって画定された開口部に極インサート480を位置決めすることを容易にし、開口部の内部に配置されたときの極インサート440を保持するフランジまたはリムを画定する。
【0075】
図7Eに示される構成では、巻線498は、巻線部分446と結合部分484の少なくとも一部の両方の周りに配置され得る。そのような構成では、巻線498は、巻線部分446と結合部分484の境界面490を完全に覆うように延在する。いくつかの構成では、巻線498は、中間部分485によって画定されたフランジに対して位置決めされ得、巻線498を所定の位置に保持することを容易にし得る。
【0076】
いくつかの構成では、巻線は、マンドレルまたはフォームに形成され得る。一実施例では、マンドレルまたはフォームは、サイズ及び形状において、巻線部分、結合部分、またはその両方に対応し得る。巻線は、マンドレルまたはフォームの周りに巻かれて所望の形状に形成され得、巻線は、巻線部分及び/または結合部分の周りに配置され得る。いくつかの態様では、巻線は、巻線部分と結合部分の境界面を囲み得る。例えば、巻線498は、マンドレルまたはフォームに形成され得、境界面490ならびに巻線部分446及び結合部分484の少なくとも一部を囲むように配置され得る。とはいえ、そのような構成は、他の実施形態でも同様に実装され得る。
【0077】
図7Fは、極インサートにおける結合部分490の例示的な実施形態の側面断面図を示す。結合部分490は、上記の極インサートのいずれかに実装され得る。図示のように、結合部分490は、下部492と上部493の間を延在するテーパを含む。下部492は、インサート壁402によって画定された開口部に位置決めされるようなサイズ及び形状であり、上部493は開口部よりも大きく、それによって、結合部分490をインサート壁402によって画定された開口部に位置決めするのを容易にし、開口部の内部に配置されたときの結合部分490を保持する。結合部分490によって画定されたテーパは、インサート壁402に対して結合部分490を位置決め及び/または整列させることを容易にし得、整列または固定特徴と称され得る。ろう付け材料457(例えば、銅または他の適切なろう付け材料)は、結合部分490とインサート壁402の間に配置され得、結合部分490及びインサート壁402は、互いとろう付けされ得る。
【0078】
図7Aから図7Fに示される構成では、結合部分及び巻線部分は、例えば矩形または台形の断面を含む。しかしながら、結合部分及び巻線部分は、円形、楕円形、または他の適切な形状の構成を含み得る。例えば、図3Eは、結合部分及び巻線部分が角が丸い矩形形状を含む構成を示す。本明細書中に記載の概念を包含する他の構成が実装され得る。
【0079】
他の構成では、極インサートは、ろう付けまたは他の結合プロセスの前または最中にろう付けまたはフラックス材料を含むように配置された凹部を含み得る。そのような凹部は、上記の構成でろう付け材料が示されている位置にまたはその近くに配置され得る。さらに、極インサートは、結合部分及び巻線部分を互いに対して位置決めまたは整列させるための突起及び対応する凹部を含み得る。例えば、結合部分が突起を含み得、巻線部分が、巻線部分に対する結合部分の位置決めまたは整列を容易にするようなサイズ及び形状を有する対応する凹部を含み得、またはその逆である。同様に、極インサート及びインサート壁は、極インサート及びインサート壁を互いに対して位置決めまたは整列させるための突起及び対応する凹部を含み得る。例えば、結合部分が突起を含み得、インサート壁が、巻線部分に対する結合部分の位置決めまたは整列を容易にするようなサイズ及び形状を有する対応する凹部を含み得、またはその逆である。
【0080】
極インサート及び/またはリフト電磁石は、本明細書中に記載の概念を実装するのに任意の適切な方法で製造され得る。一実施例では、結合部分及び/または巻線部分などの様々な部分は、機械加工によって形成され得る。部分は、汚染物質及び他の望ましくない物質を除去するために洗浄され得る。次に、部分は互いにろう付けされ得る。特に、結合部分は、上記のように、インサート壁にろう付けされ得る。インサート壁と結合部分の間の接合部は、視覚的に検査され得、及び/または、それが適切に気密に密閉され真空を保持可能であることを検証するためにテストされ得る。結合部分などの部分は、所望の構成にさらに機械加工され得る。例えば、いくつかの構成では、結合部分は、例えば巻線部分とインターフェースするように、所望の平坦度に機械加工され得る。追加的にまたは代替的に、結合部分を機械加工して、巻線部分を受けるもしくは嵌合するための開口部もしくは凹部、または、巻線部分を結合部分と整列させることを容易にするための1つもしくは複数のフランジを生成し得る。
【0081】
いくつかの構成では、極インサート及び/またはリフト電磁石は、製造中に固定具によって支持され得る。例えば、極インサート及び/またはリフト電磁石は、例えばグラファイトを含む支持体によって支持され得る。ろう付けプロセス中にインサートの1つまたは複数に重量または力が適所に加えられ得る。例えば、間にろう付け材料が配置された状態で、インサート壁に結合部分が当てられ得る。
【0082】
図7Aから図7Fの構成では、極インサートは、インサート壁に直接結合されるプラグ、パッチ、またはインサート(例えば、結合部分)を含み得る。しかしながら、他の構成では、極インサートは、代わりに、その後インサート壁に結合され得る壁インサートに結合され得る。そのような構成は、例えば関連する部品に必要であり得る機械加工を単純化することによって、製造プロセスを単純化し得る。さらに、図7Aから図7Fの構成に示されるように、各極インサートに対して別個の結合部分を有するのではなく、極インサートの全てに対して1つの壁インサートが用いられ得る。図8Aは、そのような構成の実施例を示す。
【0083】
図8Aは、リフト電磁石500の例示的な実施形態の側面断面図を示す。図示のように、リフト電磁石500は、壁インサート510に結合された3つの極インサート508を含む。極インサート508は、壁インサート510を通って延在し、リフトシャフト502に近接して終端する。インサート壁512は、真空エンベロープを少なくとも部分的に画定し得、アノードを回転させるモータアセンブリの一部であり得るリフトシャフト502及びロータ504を囲み得る。壁インサート510は、インサート壁512に結合され得る。例えば、極インサート508は、壁インサート510にろう付けまたは溶接され得る。いくつかの構成では、壁インサート510がインサート壁512に結合される前に、極インサート508は壁インサート510に結合され得る。次に、壁インサート510は、例えばろう付けまたは溶接によって、インサート壁512に結合され得る。
【0084】
リフト電磁石500の構成は、例えば関連する部品に必要であり得る機械加工を単純化することによって、製造プロセスを単純化し得る。特に、壁インサート510は、インサート壁512に結合される前に製造され得、及び/または、極インサート508は、インサート壁512に結合される前に壁インサート510に結合され得る。次に、壁インサート510は、極インサート508と共に、インサート壁512に結合され得る。さらに、図7Aから図7Fの構成に示されるように、各極インサートに対して別個の結合部分を有するのではなく、極インサート508の全てに対して単一の壁インサート510が使用され得る。
【0085】
いくつかの構成では、極インサート508は、別個の結合部分及び巻線部分を必要としない場合がある。代わりに、極インサート508は、壁インサート510を通って延在し得、かつ、壁インサート510に結合され得る。他の構成では、極インサート508のそれぞれは、例えば図7Aから図7Fに関して上で説明したように、壁インサート510に結合された結合部分を含み得る。壁インサート510は、次いで、インサート壁512に結合され得る。
【0086】
図8Bは、図8Aのリフト電磁石500に実装され得る壁インサート510の例示的な実施形態の斜視図を示す。図示のように、壁インサート510は、リフト電磁石の各極インサートを受けるようなサイズ及び形状の開口部516を含み得る。極インサートは、開口部516に配置され得、ろう付けまたは溶接によって壁インサート510に結合され得る。
【0087】
例えば、図3Bに示されるように、リフトシャフト226は、実質的に円筒形であり得、環状断面を含み得る。したがって、インサート壁214及び/またはリフトアセンブリ220に近接する壁インサートは、円筒形であり得、リフトシャフト226に対応しかつそれを受けるような環状断面を含み得る。かくして、いくつかの構成では、本明細書中に記載のリフトアセンブリ及び極インサートは、インサート壁の湾曲に対応する丸みを帯びたまたは輪郭を描かれた構成を含み得る。例えば、本明細書中に記載の結合部分は、インサート壁の内部に曲面または輪郭を描かれた表面を含み得る。曲面または輪郭を描かれた表面は、リフトアセンブリのリフトシャフトの湾曲に対応し得、それによって、極インサートをリフトシャフトの近くに配置して、リフトシャフトのより大きな力を発揮することを可能にする。図9Aは、そのような構成の実施例を示す。
【0088】
図9Aは、リフト電磁石520の別の例示的な実施形態の断面図を示す。図示のように、リフト電磁石520は、リフトシャフト522を囲むインサート壁524に配置された壁インサート526を含む。示されるように、いくつかの構成では、リフトシャフト522は、質量を低減するように、中空、管状であり得、及び/または、環状断面を有し得る。壁インサート526は、インサート壁524に結合され得る。極インサート528は、壁インサート526を通って延在し得、かつ、壁インサート526に結合され得る。インサート壁524、壁インサート526、及び極インサート528は、ろう付けまたは溶接(または同等のもの)を介して互いと結合され得る。極インサート528は、壁インサート526を通って延在し、リフトシャフト522に近接して終端する。
【0089】
示されるように、インサート壁524は円筒形であり、リフトシャフト522に対応する環状断面を含む。極インサート528は、インサート壁524の湾曲に対応するような丸みを帯びたまたは輪郭を描かれた構成を含む。特に、極インサート528は、インサート壁524の内部に曲面または輪郭を描かれた表面を含む。曲面または輪郭を描かれた表面は、リフトシャフト522の湾曲に対応し得、それによって、極インサート528をリフトシャフト522の近くに配置して、リフトシャフト522のより大きな力を発揮することを可能にする。壁インサート526は、図5Bの壁インサート514のように、実質的に平面であり得る。そのような構成は、壁インサート526及びインサート壁524の互いに対する結合及び位置決めを容易にし得る。図5Cに示される図は1つの極インサート528を含むが、極インサート528の構成は、リフト電磁石の極インサートの全てに含まれ得る。さらに、極インサート528の構成は、上記の実施形態のいずれかに含まれ得る。
【0090】
図9Bは、リフト電磁石540の別の例示的な実施形態の断面図を示す。図示の構成では、インサート壁544は、サドルジョイント542を含み得る。そのような構成では、壁インサート546は、サドルジョイント542に近接してインサート壁544に結合され得る。極インサート548は、壁インサート544を通って延在し、リフトシャフト522に近接して終端する。
【0091】
極インサート548は、リフトシャフト522の湾曲に対応するような丸みを帯びたまたは輪郭を描かれた構成を含む。特に、極インサート548は、インサート壁544の内部に曲面または輪郭を描かれた表面を含む。曲面または輪郭を描かれた表面は、リフトシャフト542の湾曲に対応し得、それによって、極インサート548をリフトシャフト542の近くに配置して、リフトシャフト542のより大きな力を発揮することを可能にする。壁インサート546は、図5Bの壁インサート514のように、実質的に平面であり得る。そのような構成は、壁インサート546及びインサート壁544の互いに対する結合及び位置決めを容易にし得る。
【0092】
図9Aから図9Bに示されるように、いくつかの構成では、極インサートは、丸みを帯びたまたは輪郭が描かれた表面を有する矩形の断面を含み得る。他の構成では、極インサートは、環状またはリング状の構成を含み得る。図10Aから図10Bは、環状またはリング状の極インサートを備えるリフト電磁石の実施例を示す。
【0093】
図10Aは、リフト電磁石560の別の例示的な実施形態の側面図を示す。図示のように、いくつかの構成では、リフト電磁石520は、インサート壁564の外周の少なくとも一部の周りを延在する湾曲したまたは輪郭が描かれた極インサート568を含み得る。極インサート568は、リフトシャフト(図示せず)に近接して配置されるように、インサート壁564を通って外部と内部の間を延在し得る。
【0094】
図10Bは、リフト電磁石570の別の例示的な実施形態の側面図を示す。示されるように、リフト電磁石570は、インサート壁574の外周の周りを延在する環状またはリング形状の極インサート578を含む。極インサート578は、リフトシャフト(図示せず)に近接して配置されるように、インサート壁574を通って外部と内部の間を延在し得る。図示の構成では、極インサート578は、インサート壁574全体の周りを延在し、リフトシャフトの周りに同心円状のリングを形成する。他の構成では、極インサート578は、インサート壁574の一部の周りを延在し得る。例えば、極インサート578は、インサート壁574の外周の半分の周りを延在し得、半円を形成する。別の実施例では、極インサートは、図10Aの極インサート568の構成のように、インサート壁の外周の半分未満の周りを延在し得る。他の構成では、極インサート578は、インサート壁574の外周の任意の適切な部分の周りを延在するように形成され得る。
【0095】
さらなる構成では、極インサート578は、インサート壁574及び/またはリフトシャフトの周りにリングを含み得るが、そのようなリングは、インサート壁574及び/またはリフトシャフトと同心でない場合がある。そのような構成の実施例を図5Gに示す。
【0096】
図11Aから図11Bは、リフト電磁石580の別の例示的な実施形態の断面図を示す。図示のように、リフト電磁石580は、インサート壁582を通って延在しインサート壁582に結合されたリング形状の極インサート588を含む。インサート壁582は、真空エンベロープを少なくとも部分的に画定し得、アノードを回転させるモータアセンブリの一部であり得るリフトシャフト584及びロータ586を囲み得る。リフトシャフト584及びロータ586は、中心線587の周りを回転し得る。しかしながら、極インサート588は、中心線587と同心に配置されるのではなく、中心線587からオフセットされた中心線589を中心として延在する。そのような構成では、極インサート588は、片側でリフトシャフト584により近く配置され、したがって、極インサート588がリフトシャフト584により近い側にリフト力を及ぼす。
【0097】
図11Bに示されるように、リフトシャフト584及び極インサート588は、互いと同心でない場合がある。そのような構成では、リフトシャフト584と極インサート588の間のギャップAは、リフトシャフト584の他方の反対側のギャップBよりも、リフトシャフト584の一方の側でより大きくあり得る。かくして、ギャップAは、ギャップBよりも小さくすることができる。
【0098】
図12Aから図12Eは、インサート壁におけるリフト電磁石の例示的な製造ステップの概略断面図を示す。ステップ610において、インサート壁の本体612が提供され得る。いくつかの構成では、本体612は、ステンレス鋼または他の適切な材料で形成され得る。本体612は、実質的に円筒形であり得る。いくつかの構成では、本体612の外径は、リフト電磁石のインサート壁の所望の外径に対応し得る。
【0099】
ステップ620において、本体612を機械加工して、凹部622及び開口部624を生成し得る。開口部のサイズ及び形状は、その中に挿入される極インサートに対応し得る。ステップ630において、極インサート632が、開口部624内に配置され得る。ステップ640において、埋め戻しまたはろう付け材料642が、凹部622に配置され得る。埋め戻し642材料は、極インサート632を開口部に保持し得る。追加的にまたは代替的に、埋め戻し642材料は、本体612に対して極インサート632を保持し得る。いくつかの構成では、埋め戻しまたはろう付け材料642は銅を含み得る。埋め戻しまたはろう付け材料642は、溶融または加熱されてその粘度を増加させ得、それが固化、硬化、または固くなるまで、凹部622内に配置され得る。ステップ650において、開口部652が、本体612に機械加工され得る。開口部652は、リフトアセンブリのリフトシャフトを受けるようなサイズ及び形状であり得る。いくつかの構成では、開口部652は、リフトシャフトがX線源の他の回転構成要素と同心となるようリフトシャフトを受けるように配置され得る。
【0100】
図13は、インサート壁にリフト電磁石を製造するための例示的な方法700のフローチャートである。ステップ702において、結合部は、真空エンベロープの内部と真空エンベロープの外部の間を延在するように配置され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、方法700は、結合部分が、真空エンベロープを少なくとも部分的に画定するインサート壁にろう付けまたは溶接されるステップ704を含み得る。いくつかの実施形態では、結合部分をインサート壁にろう付けまたは溶接することにより、真空エンベロープを気密的に密閉し得る。他の実施形態では、結合部分は、他の適切な方法でインサート壁に結合され得る。
【0102】
ステップ706において、リフト電磁石の極は、アニーリングされ得る。アニーリングは、その磁気特性を変化させるための、リフト電磁石の極(例えば、結合部分、巻線部分、またはその両方)の熱処理を含み得る。いくつかの実施形態では、極は、所望の磁気特性、例えば、アノードに結合されたリフトシャフトに磁力を加えるのに十分に高い透磁率を有するようにアニーリングされ得る。アニーリングにおいて、原子は結晶格子内を移動し、磁気特性の変化をもたらす。材料が冷えると、再結晶が起こる。状況によっては、材料の磁気特性は、温度、加熱速度、冷却速度、及び材料を取り巻く雰囲気に依存し得る。そのような状況では、アニーリングは、それらの(または他の)条件を変えることによって制御され得る。例えば、磁気特性を変化させるためのアニーリングは、材料のキュリー温度を超えて材料を加熱することを含み得る。いくつかの構成では、アニーリングは、使用される材料及び他の条件に応じて、セ氏150度からセ氏900度の間で材料を加熱することを含み得る。さらに、所望の特性を達成するために、さらなる熱処理が使用され得る。
【0103】
ステップ708において、巻線は、巻線部分の少なくとも一部の周りに配置され得る。いくつかの態様では、巻線は、巻線部分と結合部分の境界面の周りに配置され得るが、他の構成が実装され得る。
【0104】
ステップ710において、巻線部分は、結合部分に対して位置決めされ得、リフト電磁石の少なくとも1つの極を形成する。リフト電磁石及び/または極は、アノードに力を及ぼすように構成され得る。
【0105】
開示されたプロセス及び/または方法について、プロセス及び方法で実行される機能は、文脈によって示され得るように、異なる順序で実装され得る。さらに、概説されたステップ及び操作は単なる実施例として提供され、ステップ及び操作の一部は、オプションであってもよく、より少ないステップ及び操作に結合されてもよく、または、追加のステップ及び操作に拡張されてもよい。
【0106】
一例の実施形態では、リフトアセンブリ(220)は、X線源(210)の回転可能なアノード(242)に力を及ぼし得る。リフトアセンブリ(220)は、リフトシャフト(226)及びリフト電磁石(222)を含み得る。リフトシャフト(226)は、アノード(242)に結合され得、アノード(242)の回転軸の周りを回転するように構成され得る。リフト電磁石(222)は、磁力をリフトシャフト(226)に半径方向に加えるように構成され得る。リフト電磁石(222)は、真空エンベロープの内部と真空エンベロープの外部の間を延在する結合部分(363、365、367)、及び、結合部分(363、365、367)に結合された巻線部分(366、368、370)を含み得る。巻線(391)は、巻線部分(366、368、370)を少なくとも部分的に囲み得る。
【0107】
いくつかの態様では、結合部分(363、365、367)と巻線部分(366、368、370)の境界面における結合部分(363、365、367)の少なくとも1つの寸法は、巻線部分(366、368、370)の対応する寸法より大きくあり得る。いくつかの実施形態では、巻線(391)は、結合部分(363、365、367)と巻線部分(366、368、370)の境界面に近接して延在し得るか、または、巻線(391)は、結合部分(363、365、367)と巻線部分(366、368、370)の境界面を完全に覆うように延在する。
【0108】
リフトアセンブリ(220)は、インサート壁(382)に対して結合部分(363、365、367)を整列させるように構成された整列機構を含み得る。整列機構は、インサート壁(382)によって画定された開口部の内部に配置されたときの結合部分(363、365、367)を保持する、結合部分(363、365、367)に画定されたフランジを含み得る。追加的にまたは代替的に、整列機構は、結合部分(363、365、367)の下部と上部の間を延在するテーパを含み得る。テーパは、インサート壁(382)によって画定された開口部の内部に配置されたときの結合部分(363、365、367)を保持し得る。結合部分(363、365、367)は、巻線部分(366、368、370)を受けるようなサイズ及び形状の開口部を画定し得る。
【0109】
リフト電磁石(222)は、リフトシャフト(226)に向けて配向された少なくとも3つの極を含み得る。結合部分(363、365、367)、巻線部分(366、368、370)及び巻線(391)は、3つの極のうちの少なくとも1つの一部であり得る。リフト電磁石(222)は、インサート壁(382)に結合された壁インサート、及び壁インサートを通って延在するリフトシャフト(226)に向けて配向された少なくとも3つの極を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、結合部分(363、365、367)と巻線部分(366、368、370)の境界面は、実質的に平面であり得る。リフトアセンブリ(220)は、真空エンベロープを画定するインサート壁(382)を含むアノードアセンブリ(240)に動作可能に結合され得る。アノード(242)は、真空エンベロープの内部に配置され得、電子を生成するように構成されたカソードから離間され得る。
【0111】
巻線部分(366、368、370)は、真空エンベロープの外部に配置され得、結合部分(363、365、367)は、真空エンベロープを画定するインサート壁(382)を通って延在する。ろう付けまたは溶接は、インサート壁(382)と結合部分(363、365、367)の間に配置され得る。結合部分(363、365、367)及び/または巻線部分は、低炭素鋼、高純度鉄、コバルト−鉄、またはニッケル−鉄を含み得る。追加的にまたは代替的に、巻線部分(366、368、370)は、ステンレス鋼またはセラミックを含み得る。
【0112】
別の例示的な実施形態では、リフトアセンブリ(220)は、アノードアセンブリ(240)の回転可能なアノード(242)に力を及ぼすように構成され得る。リフトアセンブリ(220)は、アノード(242)に結合されかつアノード(242)の回転軸の周りを回転するように構成されたリフトシャフト(226)、及び、極が真空エンベローブの内部と真空エンベローブの外部の間を延在するように、真空エンベローブを少なくとも部分的に画定するインサート壁(382)に少なくとも1つの極を結合させるための手段を含むリフト電磁石(222)を含み得る。
【0113】
この説明及び特許請求の範囲で使用される用語及び単語は、書誌的意味に限定されるものではなく、開示の明確かつ一貫した理解を可能にするために単に使用される。文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれることが理解されよう。したがって、例えば、「構成要素表面」への言及は、そのような表面のうちの1つまたは複数への言及を含む。
【0114】
「実質的に」という用語によって、記載された特性、パラメータ、または値がその通りに達成される必要はなく、例えば公差、測定誤差、測定精度の制限及び当業者に知られている他の要因を含む偏差または変形が、特性が提供することを意図した効果を妨げない量で発生し得ることが意味される。
【0115】
本開示の態様は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の形態で具現化され得る。記載された態様は、あらゆる点で例示的であり、限定するものと見なされるべきではない。請求された主題は、上述の説明によってではなく、添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内に入る全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものとする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13
【国際調査報告】