特表2021-529112(P2021-529112A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-529112ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォームを製造する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-529112(P2021-529112A)
(43)【公表日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20211001BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20211001BHJP
   B29C 45/70 20060101ALI20211001BHJP
【FI】
   B29C44/00 D
   C08J9/12CEZ
   C08J9/12CFG
   B29C45/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-572735(P2020-572735)
(86)(22)【出願日】2019年7月2日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月10日
(86)【国際出願番号】FR2019051625
(87)【国際公開番号】WO2020008133
(87)【国際公開日】20200109
(31)【優先権主張番号】1856128
(32)【優先日】2018年7月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリオ・コケ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレナ・ケミネット
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・ディライユ
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・デュラン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ミラレス
【テーマコード(参考)】
4F074
4F206
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA71B
4F074AA76B
4F074AB00
4F074AB01
4F074AB03
4F074BA33
4F074CA26
4F074DA02
4F074DA23
4F074DA36
4F206AA29
4F206AA32
4F206AB02
4F206AG20
4F206AR06
4F206AR07
4F206AR11
4F206JA07
4F206JF01
4F206JF04
4F206JN21
4F206JN25
4F206JQ81
4F214AA29
4F214AA32
4F214AB02
4F214AG20
4F214AR06
4F214AR07
4F214AR11
4F214AR15
4F214UA08
4F214UB01
4F214UC02
4F214UF01
4F214UF04
4F214UL21
4F214UL25
4F214UM81
(57)【要約】
本発明は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを有するコポリマーフォームを製造する方法であって、以下の工程:
- 溶融状態のコポリマーを発泡剤と混合する工程であり、前記コポリマーが熱拡散係数a及び結晶化温度Tcを有する、工程と、
- 温度Tmで厚さhの金型を用意する工程と、
- 温度Tpでコポリマー及び発泡剤の混合物を密閉金型に射出する工程と、
- 金型の開放により混合物を発泡させる工程と、
を含み、
コポリマー及び発泡剤の混合物の密閉金型への射出と金型の開放の間の保持時間が、(topt-25%)から(topt+25%)までの範囲に含まれ、
toptは秒で表され、式(I):

(式中、aはm2/秒で表され、hはmで表され、Tm、Tc及びTpは℃で表される)
によって得られる、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォームを製造する方法であって、以下の工程:
- コポリマーメルトを発泡剤と混合する工程であり、前記コポリマーが熱拡散係数a及び結晶化温度Tcを有する、工程と、
- 温度Tmで厚さhの金型を用意する工程と、
- 温度Tpで前記コポリマー及び前記発泡剤の混合物を密閉金型に射出する工程と、
- 前記金型を開放することによって前記混合物を発泡させる工程と、
を含み、
前記コポリマー及び前記発泡剤の混合物の密閉金型への射出と金型の開放の間の保持時間が、(topt-25%)から(topt+25%)までに及ぶ範囲内であり、
toptは秒で表され、式(I):
【数1】
(式中、aはm2/秒で表され、hはmで表され、Tm、Tc及びTpは℃で表される)
によって得られる、方法。
【請求項2】
前記保持時間が(topt-20%)から(topt+20%)まで、好ましくは(topt-15%)から(topt+15%)まで、より好ましくは(topt-10%)から(topt+10%)まで、に及ぶ範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発泡剤が物理的発泡剤である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記発泡剤が、二窒素、二酸化炭素、炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、及びヒドロクロロフルオロカーボンから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発泡剤が、発泡剤並びにポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーの質量の合計に対して、0.1%から5%まで、好ましくは0.2%から2%まで、更により優先的には0.2%から1%まで、の質量量で混合物中に存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミドブロックが、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド5.4、ポリアミド5.9、ポリアミド5.10、ポリアミド5.12、ポリアミド5.13、ポリアミド5.14、ポリアミド5.16、ポリアミド5.18、ポリアミド5.36、ポリアミド6.4、ポリアミド6.9、ポリアミド6.10、ポリアミド6.12、ポリアミド6.13、ポリアミド6.14、ポリアミド6.16、ポリアミド6.18、ポリアミド6.36、ポリアミド10.4、ポリアミド10.9、ポリアミド10.10、ポリアミド10.12、ポリアミド10.13、ポリアミド10.14、ポリアミド10.16、ポリアミド10.18、ポリアミド10.36、ポリアミド10.T、ポリアミド12.4、ポリアミド12.9、ポリアミド12.10、ポリアミド12.12、ポリアミド12.13、ポリアミド12.14、ポリアミド12.16、ポリアミド12.18、ポリアミド12.36、ポリアミド12.Tのブロック、若しくはそれらの混合物、又はそれらのコポリマー、好ましくはポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6又はポリアミド6.10、のブロックである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエーテルブロックが、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラヒドロフランのブロック、若しくはそれらの混合物、又はそれらのコポリマー、好ましくはポリエチレングリコール又はポリテトラヒドロフランのブロックである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
- 前記コポリマーのポリアミドブロックが、100から20000g/molまで、好ましくは200から10000g/molまで、更により優先的には200から1500g/molまでの範囲の数平均モル質量を有し、及び/又は
- 前記コポリマーのポリエーテルブロックが、100から6000g/molまで、好ましくは200から3000g/molまで、更により優先的には800から2500g/molまでの範囲の数平均モル質量を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コポリマーのうちのポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比が、0.1から10まで、好ましくは0.3から3まで、更により優先的には0.3から0.9までである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
好ましくはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリレートとのコポリマー、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーから選択される、コポリマーメルトを、発泡剤及び1種又は複数の添加剤と混合する工程を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記温度Tpが、170℃から300℃まで、好ましくは180℃から250℃までである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記温度Tmが、10℃から100℃まで、好ましくは20℃から80℃までである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金型が1から30mmまで、好ましくは2から15mmまでの長さに開放されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記保持時間中に金型に加えられる圧力が、100から300MPaまで、好ましくは150から250MPaまでである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記フォームが、600kg/m3以下、好ましくは400kg/m3以下、より優先的には300kg/m3以下の密度を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーから形成されるフォームを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のポリマーフォームが、スポーツ用具、例えば、靴底又は靴底成分、グローブ、ラケット又はゴルフボール、特にスポーツの練習用の個人用防護品目(ジャケット、ヘルメットの内装部品、覆い等)、の分野で特に使用されている。例えば、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォーム(又はPEBAフォーム)は、これらの用途に特に適している。
【0003】
このような用途には、反発能力を確保する特定の物性のセット、低圧縮永久ひずみ、及び変形することなく反復衝撃に耐え且つ初期形状に回復する能力が必要である。
【0004】
フォームの品質と特性はとりわけ、フォームを製造する方法によって、特に、型開き技法(金型を開放する際に発泡が起こる)又は「コアバック」技法(金型内部のコアを引き抜くことによって発泡が起こる)による射出成形によってフォームが製造される場合に、影響される。
【0005】
Riesらによる文献、Foam injection molding of thermoplastic elastomers: blowing agents, foaming process and characterization of structural foams、AIP Conference Proceedings、1593巻、401〜410頁(2014)では、「コアバック」技法を使用したTPE(熱可塑性エラストマー)フォームの射出成形の方法が開示されており、溶融ポリマーが金型を満たした直後に金型が開放される。
【0006】
Ishikawaらによる文献、Polypropylene/CO2 foaming in core-back molding, Society of Plastics Engineers (2011)では、「コアバック」射出成形方法によるCO2を使用したポリプロピレンの発泡について、記載されている。ポリマーの射出後、1秒未満で金型が開放される。
【0007】
Sporrerらによる文献、Controlling Morphology of Injection Molded Structural Foams by Mold Design and Processing Parameters、Journal of Cellular Plastics、43巻、313〜330頁(2007)では、ポリプロピレンの射出成形の方法について記載されており、この場合、2、4、又は5秒遅れて金型が開放される。
【0008】
FR3047245では、射出成形方法により得られたPEBAフォームについて記載されており、この場合、金型を開放する前の保持時間が25から40秒までにわたっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】FR3047245
【特許文献2】EP613919
【特許文献3】JP2004/346274
【特許文献4】JP2004/352794
【特許文献5】EP1482011
【特許文献6】FR2846332
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Riesら、Foam injection molding of thermoplastic elastomers: blowing agents, foaming process and characterization of structural foams、AIP Conference Proceedings、1593巻、401〜410頁(2014)
【非特許文献2】Ishikawaら、Polypropylene/CO2 foaming in core-back molding, Society of Plastics Engineers (2011)
【非特許文献3】Sporrerら、Controlling Morphology of Injection Molded Structural Foams by Mold Design and Processing Parameters、Journal of Cellular Plastics、43巻、313〜330頁(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォームを製造する方法を提供し、通常の、低密度フォームの製造を可能とすることが真に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォームを製造する方法であって、以下の工程:
- コポリマーメルトを発泡剤と混合する工程であり、前記コポリマーが熱拡散係数a及び結晶化温度Tcを有する、工程と、
- 温度Tmで厚さhの金型を用意する工程と、
- 温度Tpでコポリマー及び発泡剤の混合物を密閉金型に射出する工程と、
- 金型を開放することによって混合物を発泡させる工程と、
を含み、
コポリマー及び発泡剤の混合物の密閉金型への射出と金型の開放の間の保持時間が、(topt-25%)から(topt+25%)までに及ぶ範囲内であり、
toptは秒で表され、式(I):
【0013】
【数1】
【0014】
(式中、aはm2/秒で表され、hはmで表され、Tm、Tc及びTpは℃で表される)
によって得られる、方法に関する。
【0015】
ある特定の実施形態によれば、保持時間は(topt-20%)から(topt+20%)まで、好ましくは(topt-15%)から(topt+15%)まで、より好ましくは(topt-10%)から(topt+10%)まで、に及ぶ範囲内である。
【0016】
ある特定の実施形態によれば、発泡剤は物理的発泡剤である。
【0017】
ある特定の実施形態によれば、物理的発泡剤は、二窒素、二酸化炭素、炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、及びヒドロクロロフルオロカーボンから選択される。
【0018】
ある特定の実施形態によれば、発泡剤は、発泡剤並びにポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーの質量の合計に対して、0.1%から5%まで、好ましくは0.2%から2%まで、更により優先的には0.2%から1%まで、の質量量で混合物中に存在する。
【0019】
ある特定の実施形態によれば、ポリアミドブロックは、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド5.4、ポリアミド5.9、ポリアミド5.10、ポリアミド5.12、ポリアミド5.13、ポリアミド5.14、ポリアミド5.16、ポリアミド5.18、ポリアミド5.36、ポリアミド6.4、ポリアミド6.9、ポリアミド6.10、ポリアミド6.12、ポリアミド6.13、ポリアミド6.14、ポリアミド6.16、ポリアミド6.18、ポリアミド6.36、ポリアミド10.4、ポリアミド10.9、ポリアミド10.10、ポリアミド10.12、ポリアミド10.13、ポリアミド10.14、ポリアミド10.16、ポリアミド10.18、ポリアミド10.36、ポリアミド10.T、ポリアミド12.4、ポリアミド12.9、ポリアミド12.10、ポリアミド12.12、ポリアミド12.13、ポリアミド12.14、ポリアミド12.16、ポリアミド12.18、ポリアミド12.36、ポリアミド12.Tのブロック、若しくはそれらの混合物、又はそれらのコポリマー、好ましくはポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6、又はポリアミド6.10のブロックである。
【0020】
ある特定の実施形態によれば、ポリエーテルブロックは、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラヒドロフランのブロック、若しくはそれらの混合物、又はそれらのコポリマー、好ましくはポリエチレングリコール又はポリテトラヒドロフランのブロックである。
【0021】
ある特定の実施形態によれば:
- コポリマーのポリアミドブロックは、100から20000g/molまで、好ましくは200から10000g/molまで、更により優先的には200から1500g/molまでの範囲の数平均モル質量を有し、及び/又は
- コポリマーのポリエーテルブロックは、100から6000g/molまで、好ましくは200から3000g/molまで、更により優先的には800から2500g/molまでの範囲の数平均モル質量を有する。
【0022】
ある特定の実施形態によれば、コポリマーのうちのポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比は、0.1から10まで、好ましくは0.3から3まで、更により優先的には0.3から0.9までである。
【0023】
ある特定の実施形態によれば、方法は、好ましくはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、エチレンとアクリレートとのコポリマー、及びエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマーから選択される、コポリマーメルトを、発泡剤及び1種又は複数の添加剤と混合する工程を含む。
【0024】
ある特定の実施形態によれば、温度Tpは、170℃から300℃まで、好ましくは180℃から250℃までである。
【0025】
ある特定の実施形態によれば、温度Tmは、10℃から100℃まで、好ましくは20℃から80℃までである。
【0026】
ある特定の実施形態によれば、金型は1から30mmまで、好ましくは2から15mmまでの長さに開放される。
【0027】
ある特定の実施形態によれば、保持時間中に金型に加えられる圧力は、100から300MPaまで、好ましくは150から250MPaまでである。
【0028】
ある特定の実施形態によれば、フォームは、600kg/m3以下、好ましくは400kg/m3以下、より優先的には300kg/m3以下の密度を有する。
【0029】
本発明により、上述のニーズが満たされる。本発明は、より具体的には、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有する改善されたコポリマーフォームを射出成形によって製造する方法を提供し、通常の、低密度フォームを得ることが可能となる。
【0030】
このことは、特定の保持時間(コポリマーメルトの金型への射出と金型の開放の間)を適用することによって実現される。この保持時間は、熱拡散係数及びコポリマーの結晶化温度、金型厚さと金型温度、並びにコポリマー射出中のコポリマーの温度、の関数として適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。10秒の保持時間に相当する。
図1B】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。20秒の保持時間に相当する。
図1C】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。30秒の保持時間に相当する。
図1D】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。35秒の保持時間に相当する。
図1E】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。40秒の保持時間に相当する。
図1F】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。45秒の保持時間に相当する。
図1G】実施例1に記載の方法に従って射出成形によって得られた金型の画像を示す図である。50秒の保持時間に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明を以下の記述においてより詳細に且つ非限定的に説明する。
【0033】
特に指示がない限り、全ての百分率ジは質量百分率である。
【0034】
本発明は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーフォーム(又はPEBA)を製造する方法に関する。
【0035】
PEBAは、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックとの重縮合によって生じる、例えば、とりわけ、
1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ジカルボキシル鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックとの重縮合、
2)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックと、例えば、ポリエーテルジオールとして知られているα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノエチル化及び水素添加により得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックとの重縮合、
3)ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックとポリエーテルジオールとの重縮合、得られる生成物は、この特定の場合では、ポリエーテルエステルアミドである、
から生じる。
【0036】
ジカルボキシル鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば、連鎖制限性のジカルボン酸の存在中でポリアミド前駆体の縮合から生じる。ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックは、例えば、連鎖制限性のジアミンの存在中でポリアミド前駆体の縮合から生じる。
【0037】
3つのタイプのポリアミドブロックを有利に使用することができる。
【0038】
第1のタイプによれば、ポリアミドブロックは、ジカルボン酸、特に4から20個の炭素原子を含有するもの、好ましくは6から18個の炭素原子を含有するもの、及び、脂肪族又は芳香族ジアミン、特に2から20個の炭素原子を含有するもの、好ましくは6から14個の炭素原子を含有するもの、の縮合から生じる。
【0039】
ジカルボン酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸を挙げることができるが、二量体化脂肪酸も挙げることができる。
【0040】
ジアミンの例として、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)及び2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体、パラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)並びにピペラジン(Pip)、を挙げることができる。
【0041】
有利には、ポリアミドブロックPA4.12、PA4.14、PA4.18、PA6.10、PA6.12、PA6.14、PA6.18、PA9.12、PA10.10、PA10.12、PA10.14及びPA10.18が使用される。PA X.Yという表記では、従来通り、Xはジアミン残基に由来する炭素原子の数を表し、Yは、二酸残基に由来する炭素原子の数を表す。
【0042】
第2のタイプによれば、ポリアミドブロックは、4から12個の炭素原子を含有するジカルボン酸又はジアミンの存在中で、6から12個の炭素原子を含有する、1つ又は複数のα,ω-アミノカルボン酸の縮合及び/又は、1つ又は複数のラクタムの縮合から生じる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム、及びラウリルラクタムを挙げることができる。α,ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸を挙げることができる。
【0043】
有利には、第2のタイプのポリアミドブロックは、PA11(ポリウンデカナミド)、PA12(ポリドデカンアミド)、又はPA6(ポリカプロラクタム)のブロックである。PA Xという表記では、Xは、アミノ残基に由来する炭素原子の数を表す。
【0044】
第3のタイプによれば、ポリアミドブロックは、少なくとも1つのα,ω-アミノカルボン酸(又はラクタム)、少なくとも1つのジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸の縮合から生じる。
【0045】
この場合、ポリアミドPAブロックは、
- ジカルボン酸から選択される連鎖制限剤の存在中での、
- X個の炭素原子を含有する直鎖脂肪族又は芳香族ジアミン、
- Y個の炭素原子を含有するジカルボン酸、及び
- ラクタム及びZ個の炭素原子を含有するα,ω-アミノカルボン酸、並びに、X1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジアミンとY1個の炭素原子を含有する少なくとも1つのジカルボン酸の等モル混合物から選択され、(X1、Y1)が(X、Y)とは異なる、コモノマー{Z}であって、
- ポリアミド前駆体モノマーの全量に対して、有利には50%以下、好ましくは20%以下、更により有利には10%以下の範囲の質量割合で導入される、コモノマー{Z}
の重縮合によって調製される。
【0046】
有利には、Y個の炭素原子を含有するジカルボン酸が連鎖制限剤として使用され、この制限剤は、ジアミンの化学量論に対して過剰に導入される。
【0047】
この第3のタイプの一変形によれば、ポリアミドブロックは、連鎖制限剤の任意選択の存在中で、6から12個の炭素原子を含有する、少なくとも2つのα,ω-アミノカルボン酸の縮合若しくは少なくとも2つのラクタムからの縮合、又は同一数の炭素原子を有さない1つのラクタム及び1つのアミノカルボン酸からの縮合、から生じる。脂肪族α,ω-アミノカルボン酸の例として、アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸を挙げることができる。ラクタムの例として、カプロラクタム、オエナントラクタム、及びラウリルラクタムを挙げることができる。脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンを挙げることができる。脂環式二酸の例として、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を挙げることができる。脂肪族二酸の例として、ブタン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸及び二量体化脂肪酸を挙げることができる。これらの二量体化脂肪酸は、好ましくは少なくとも98%の二量体含有量を有し;これらは好ましくは水素化されており;これらは、例えば、Croda社製のPripolというブランド名で、又はBASF社製のEmpolというブランド名で、又はOleon社製のRadiacidというブランド名で販売されている製品、及びポリオキシアルキレンα,ω-二酸である。芳香族二酸の例として、テレフタル酸(T)及びイソフタル酸(I)を挙げることができる。脂環式ジアミンの例として、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)及び2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)の異性体並びにパラ-アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)を挙げることができる。一般的に使用されるその他のジアミンは、イソホロンジアミン(IPDA)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンとすることができる。
【0048】
第3のタイプのポリアミドブロックの例として、以下を挙げることができる:
- PA6.6/6、ここで6.6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を示し、6はカプロラクタムの縮合から生じる単位を示す;
- PA6.6/6.10/11/12、ここで6.6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、6.10はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、11はアミノウンデカン酸の縮合から生じる単位を示し、12はラウリルラクタムの縮合から生じる単位を示す。
【0049】
PA X/Y、PA X/Y/Z等という表記はコポリアミドに関するものであり、この場合、X、Y、Z等は上記のホモポリアミド単位を表す。
【0050】
有利には、本発明で使用するコポリマーのポリアミドブロックは、ポリアミドPA6、PA11、PA12、PA5.4、PA5.9、PA5.10、PA5.12、PA5.13、PA5.14、PA5.16、PA5.18、PA5.36、PA6.4、PA6.9、PA6.10、PA6.12、PA6.13、PA6.14、PA6.16、PA6.18、PA6.36、PA10.4、PA10.9、PA10.10、PA10.12、PA10.13、PA10.14、PA10.16、PA10.18、PA10.36、PA10.T、PA12.4、PA12.9、PA12.10、PA12.12、PA12.13、PA12.14、PA12.16、PA12.18、PA12.36若しくはPA12.Tのブロック、又はそれらの混合物若しくはコポリマーを含み、好ましくは、ポリアミドPA6、PA11、PA12、PA6.10、PA10.10若しくはPA10.12のブロック、又はそれらの混合物若しくはコポリマーを含む。
【0051】
ポリエーテルブロックは、アルキレンオキシド単位から形成されている。
【0052】
ポリエーテルブロックは、特に、PEG(ポリエチレングリコール)ブロック、すなわち、エチレンオキシド単位から形成されているブロック、及び/又はPPG(プロピレングリコール)ブロック、すなわち、プロピレンオキシド単位から形成されているブロック、及び/又はPO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、すなわち、ポリトリメチレンエーテルグリコール単位から形成されているブロック、及び/又はPTMGブロック、すなわち、ポリテトラヒドロフランとしても知られているテトラメチレングリコール単位から形成されているブロック、とすることができる。PEBAコポリマーは、それらの鎖中にいくつかのタイプのポリエーテルを含むことができ、コポリエーテルはブロックであっても統計的形状であってもよい。
【0053】
ビスフェノール、例を挙げるとビスフェノールAのオキシエチル化によって得られたブロックを使用することもできる。後者の生成物は、EP613919に特に記載している。
【0054】
ポリエーテルブロックはまた、エトキシル化第一級アミンから形成することができる。エトキシル化第一級アミンの例として、式:
【0055】
【化1】
【0056】
(式中、m及びnは1から20の間の整数、xは8から18の間の整数である)
の生成物を挙げることができる。これらの生成物は、例えばCECA社からNoramox(登録商標)のブランド名で及びClariant社からGenamin(登録商標)のブランド名で市販されている。
【0057】
可撓性ポリエーテルブロックは、NH2鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを含むことができ、かかるブロックは、ポリエーテルジオールと呼ばれるα,ω-ジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレンブロックのシアノアセチル化によって得ることもできる。より具体的には、市販製品のJeffamine又はElastamineを使用することができる(例えば、Jeffamine (登録商標)D400、D2000、ED2003、XTJ542、これらはHuntsman社からの市販製品であり、JP2004/346274、JP2004/352794及びEP1482011にも記載されている)。
【0058】
ポリエーテルジオールブロックは、未修飾形態で使用され、カルボン酸末端基を有するポリアミドブロックと共重縮合されるか、又はアミノ化されてポリエーテルジアミンに変換され、カルボン酸末端基を有するポリアミドブロックと縮合される、かのいずれかである。PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を含有するPEBAコポリマーの2段階での調製に関する一般的な方法は公知であり、例えば、FR2846332に記載されている。PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を含有する本発明のPEBAコポリマーの調製に関する一般的な方法は公知であり、例えば、EP1482011に記載されている。ポリエーテルブロックを、ポリアミド前駆体及び連鎖制限性の二酸と混合して、ランダムに分布した単位を有するポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するポリマーを調製することができる(1段階法)。
【0059】
言うまでもなく、本発明の本明細書でのPEBAという名称は、Arkema社により販売のPebax(登録商標)製品、Evonik(登録商標)社により販売のVestamid(登録商標)製品及びEMS社により販売のGrilamid(登録商標)製品のみならず、Sanyo社により販売のPelestat(登録商標)タイプPEBA製品又は他のサプライヤーからのその他のPEBAにも関連するものである。
【0060】
上記のブロックコポリマーが少なくとも1種のポリアミドブロック及び少なくとも1種のポリエーテルブロックを全体として含む場合、本発明はまた、本明細書に記載されるものから選択される2種、3種、4種(又は更にはそれ以上)の様々なブロックを含むコポリマーアロイの全てをカバーするが、ただし、これらのブロックは少なくともポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含むことを、条件とする。
【0061】
例えば、本発明によるコポリマーアロイは、異なる3種のブロック(又は「トリブロック」コポリマー)を含むブロックを含有するセグメント化コポリマーを含むことができ、セグメント化コポリマーは、上記のブロックのうちのいくつかの縮合から生じる。前記トリブロックコポリマーは、好ましくはコポリエーテルエステルアミド及びコポリエーテルアミドウレタンから選択される。
【0062】
本発明の文脈で特に好ましいPEBAコポリマーは、下記のうちからのブロックを含むコポリマーである:
- PA11及びPEG;
- PA11及びPTMG;
- PA12及びPEG;
- PA12及びPTMG;
- PA6.10及びPEG;
- PA6.10及びPTMG;
- PA6及びPEG;
- PA6及びPTMG。
【0063】
本発明による方法により得られるフォームは、上記のPEBAコポリマーを含む:好ましくは、1種のかかるコポリマーのみが使用される。しかし、上記のように2種以上のPEBAコポリマーの混合物を使用することが可能である。
【0064】
PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、好ましくは100から20000g/molまで、より優先的には200から10000g/molまで、更により優先的には200から1500g/molまでである。ある特定の実施形態では、PEBAコポリマー中のポリアミドブロックの数平均モル質量は、100から200g/molまで、又は200から500g/molまで、又は500から1000g/molまで、又は1000から1500g/molまで、又は1500から2000g/molまで、又は2000から2500g/molまで、又は2500から3000g/molまで、又は3000から3500g/molまで、又は3500から4000g/molまで、又は4000から5000g/molまで、又は5000から6000g/molまで、又は6000から7000g/molまで、又は7000から8000g/molまで、又は8000から9000g/molまで、又は9000から10000g/molまで、又は10000から11000g/molまで、又は11000から12000g/molまで、又は12000から13000g/molまで、又は13000から14000g/molまで、又は14000から15000g/molまで、又は15000から16000g/molまで、又は16000から17000g/molまで、又は17000から18000g/molまで、又は18000から19000g/molまで、又は19000から20000g/molまで、である。
【0065】
ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、好ましくは100から6000g/molまで、より優先的には200から3000g/molまで、更により優先的には800から2500g/molまでである。ある特定の実施形態では、ポリエーテルブロックの数平均モル質量は、100から200g/molまで、又は200から500g/molまで、又は500から800g/molまで、又は800から1000g/molまで、又は1000から1500g/molまで、又は1500から2000g/molまで、又は2000から2500g/molまで、又は2500から3000g/molまで、又は3000から3500g/molまで、又は3500から4000g/molまで、又は4000から4500g/molまで、又は4500から5000g/molまで、又は5000から5500g/molまで、又は5500から6000g/molまで、である。
【0066】
数平均分子量は、連鎖制限剤の含有量によって設定される。これは、式:
Mn=nmonomer×MWrepeating unit/nchain limiter+MWchain limiter
に従って計算することができる。
【0067】
この式中、nmonomerはモノマーのモル数を表し、nchain limiterは過剰の制限剤(例えば二酸)のモル数を表し、MWrepeating unitは反復単位のモル質量を表し、MWchain limiterは過剰の制限剤(例えば二酸)のモル質量を表す。
【0068】
ポリアミドブロックの数平均モル質量及びポリエーテルブロックの数平均モル質量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、ブロックの共重合の前に測定することできる。
【0069】
有利には、コポリマーのうちのポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比は、0.1から10まで、好ましくは0.3から3まで、更により優先的には0.3から0.9まで、である。特に、コポリマーのうちのポリアミドブロックのポリエーテルブロックに対する質量比は、0.1から0.2まで、又は0.2から0.3まで、又は0.3から0.4まで、又は0、4から0.5まで、又は0.5から0.6まで、又は0.6から0.7まで、又は0.7から0.8まで、又は0.8から0.9まで、又は0.9から1まで、又は1から1.5まで、又は1.5から2まで、又は2から2.5まで、又は2.5から3まで、又は3から3.5まで、又は3.5から4まで、又は4から4.5まで、又は4.5から5まで、又は5から5.5まで、又は5.5から6まで、又は6から6.5まで、又は6.5から7まで、又は7から7.5まで、又は7.5から8まで、又は8から8.5まで、又は8.5から9まで、又は9から9.5まで、又は9.5から10まで、である。
【0070】
好ましくは、本発明で使用するコポリマーは、40ショアD以下、より好ましくは35ショアD以下の瞬間硬度を有する。硬度測定は、ISO 868標準に従って実行することができる。
【0071】
本発明で使用するコポリマーは、熱拡散係数a及び結晶化温度Tcを有する。
【0072】
熱拡散係数は、Hot Disk社のデバイスを使用して、ISO 22007-2:2008標準に準拠した非定常面熱源法によって測定することができる。結晶化温度は示差走査熱量測定(DSC)によって測定することができる。
【0073】
DSC測定は、以下のパラメーターを用いて実行される:
- -80℃で平衡;
- 20℃/分で240℃まで加熱;
- 20℃/分で-80℃まで冷却;
- 20℃/分で240℃まで加熱。
【0074】
本発明による方法は、上記のコポリマーを溶融状態で、発泡剤と混合する工程を含む。
【0075】
発泡剤は、化学的又は物理的薬剤とすることができる。好ましくは、発泡剤は、物理的薬剤、例を挙げると、二窒素又は二酸化炭素、又は炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボン又はヒドロクロロフルオロカーボン(飽和又は不飽和)である。例えば、ブタン又はペンタンを使用することができる。
【0076】
物理的発泡剤は、液体又は超臨界形態でコポリマーと混合され、次に発泡工程中に気相に変換される。
【0077】
発泡剤は、発泡剤並びにポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーの質量の合計に対して、0.1%から5%まで、好ましくは0.2%から2%まで、更により優先的には0.2%から1%まで、の質量量で混合物中に存在するのが好ましい。特に、発泡剤は、発泡剤並びにポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーの質量の合計に対して、0.1%から0.2%まで、又は0.2%から0.3%まで、又は0.3%から0.4%まで、又は0、4%から0.5%まで、又は0.5%から0.6%まで、又は0.6%から0.7%まで、又は0.7%から0.8%まで、又は0.8%から0.9%まで、又は0.9%から1%まで、又は1%から1.5%まで、又は1.5%から2%まで、又は2%から2.5%まで、又は2.5%から3%まで、又は3%から3.5%まで、又は3.5%から4%まで、又は4%から4.5%まで、又は4.5%から5%まで、の質量量で存在することができる。
【0078】
ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーは、種々の添加剤、例えば、エチレンと酢酸ビニル又はEVAのコポリマー(例えば、Arkema社製のEvatane(登録商標)の名称で販売されているもの)、又はエチレンとアクリレートのコポリマー、又は、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートのコポリマー、例えば、Arkema社製のLotryl(登録商標)の名称で販売されているもの、と組み合わせることができる。これらの添加剤によって、発泡体の硬度、その外観及びその心地よさを調整することが可能である。添加剤は、ポリアミドブロック及びポリエーテルブロックを含有するコポリマーに対して、0から50質量%まで、優先的には5%から30質量%までの含有量で添加することができる。
【0079】
本発明による方法はまた、温度Tmで金型を用意する工程を含む。ある特定の実施形態では、Tmは10から100℃まで、好ましくは20℃から80℃までである。特に、金型温度Tmは、10から20℃まで、又は20から30℃まで、又は30から40℃まで、又は40から50℃まで、又は50から60℃まで、又は60から70℃まで、又は70から80℃まで、又は80から90℃まで、又は90から100℃とすることができる。
【0080】
金型は、型開き技法(発泡は金型を開放することによって生じる)又は「コアバック」技法(発泡は金型内部のコアを引き抜くことによって生じる)を使用して射出成形の方法を実行するのに適した金型である。金型は任意の可能な形状を有することができるが、平行六面体の形状を有するのが好ましい。金型は厚さhを有する。金型の厚さという用語は、金型を閉じた場合の金型キャビティの平均厚さを意味する。厚さは、金型の開放の方向に沿った金型の寸法である。
【0081】
本発明による方法は、コポリマー及び発泡剤(及び任意選択で添加剤)の混合物を密閉金型に射出する工程を含む。射出中、金型は温度Tmにある。
【0082】
コポリマーを含む混合物を、温度Tpで金型に射出する。本発明の適用では、混合物の温度は、コポリマーの温度に見立てる(これらの2つの温度は同一である)。温度Tpは、170℃から300℃まで、好ましくは180℃から250℃までの値を有することができる。ある特定の実施形態では、温度Tpは、170から180℃まで、又は180から190℃まで、又は190から200℃まで、又は200から210℃まで、又は210から220℃まで、又は220から230℃まで、又は230から240℃まで、又は240から250℃まで、又は250から260℃まで、又は260から270℃まで、又は270から280℃まで、又は280から290℃まで、又は290から300℃まで、である。
【0083】
本発明による方法はまた、混合物を発泡させる工程を含み、これは、金型を開放することによって実行される。金型の開放中、好ましくはある特定の距離にわたって(すなわち、金型はある特定の長さが開放されている)、金型が閉じられていたときに金型に維持されていた圧力が低下するが、このことによって、混合物の発泡が引き起こされる。
【0084】
好ましくは、金型は、1から5mmまで、又は5から10mmまで、又は10から15mmまで、又は15から20mmまで、又は20から25mmまで、又は25から30mmまでの長さに開放されている。1から30mmまで又は2から15mmまでの長さの開放が特に好ましい。
【0085】
本発明によれば、保持時間、すなわち、金型への混合物の射出(より正確には射出の終了)と金型の開放(より正確には開放の開始)との間の時間は、(topt-25%)から(topt+25%)までに及ぶ範囲内であり、
toptは秒で表され、式(I)
【0086】
【数2】
【0087】
(式中、aはm2/秒で表され、hはmで表され、Tm、Tc及びTpは℃で表される)
により得られる。
【0088】
ある特定の実施形態では、保持時間は、(topt-25%)から(topt-22%)まで、又は(topt-22%)から(topt-20%)まで、又は(topt-20%)から(topt-17%)まで、又は(topt-17%)から(topt-15%)まで、又は(topt-15%)から(topt-12%)まで、又は(topt-12%)から(topt-10%)まで、又は(topt-10%)から(topt-7%)まで、又は(topt-7%)から(topt-5%)まで、又は(topt-5%)から(topt-2%)まで、又は(topt-2%)から(topt-1%)まで、又は(topt-1%)からtopt秒まで、又はtopt秒から(topt+1%)まで、又は(topt+1%)から(topt+2%)まで、又は(topt+2%)から(topt+5%)まで、又は(topt+5%)から(topt+7%)まで、又は(topt+7%)から(topt+10%)まで、又は(topt+10%)から(topt+12%)まで、又は(topt+12%)から(topt+15%)まで、又は(topt+15%)から(topt+17%)まで、又は(topt+17%)から(topt+20%)まで、又は(topt+20%)から(topt+22%)まで、又は(topt+22%)から(topt+25%)までに及ぶ範囲内である。特に好ましい保持時間の範囲は、(topt-25%)から(topt+25%)までである。ある特定の実施形態では、保持時間はおよそtoptとすることができる。
【0089】
有利には、圧力が、例えば100から150MPaまで、又は150から200MPaまで、又は200から250MPaまで、又は250から300MPaまでの圧力が、保持時間中に、密閉金型内に加えられる。好ましい範囲は、100から300MPaまで、又は150から250MPaまでである
【0090】
好ましくは、本発明による方法は、例えば大気中で、例えば室温まで金型を冷却する工程を含む。本発明による方法はまた、好ましくはフォームが例えば室温に冷却された後に、フォームを金型から剥ぎ取る工程を含むことができる。
【0091】
好ましくは、本発明による方法は、架橋工程を含まず、生成されたフォームは架橋されていない。
【0092】
本発明によって生成されたフォームは、好ましくは600kg/m3以下、より優先的には500kg/m3以下、更により優先的には400kg/m3以下、特に好ましくは300kg/m3以下、の密度を有する。例えば、フォームの密度は、50から600kg/m3まで、又は100から400kg/m3まで、より特に好ましくは150から300kg/m3まで、とすることができる。
【0093】
好ましくは、本フォームは、ISO 8307標準に準拠して、55%以上の反発弾性を有する。
【0094】
好ましくは、本フォームは、ISO 7214標準に準拠して、10%以下の、より特に好ましくは8%以下の圧縮永久ひずみを有する。
【0095】
好ましくは、本フォームはまた、疲労耐性及び減衰について優れた特性も有する。
【0096】
本発明によって生成されたフォームは、スポーツ用具、例えば、運動靴の靴底、スキー靴、靴底の種々のパーツ(例えばヒール又はアーチ)におけるインサートの形態でのミッドソール、インソール若しくは機能性靴底の部材、又は補強体若しく靴上部の構造へのインサートの形態での若しくは防護体の形態での靴上部の部材、を製造するのに使用することができる。
【0097】
フォームはまた、膨脹式のボール、スポーツ用グローブ(例えばフットボールのグローブ)、ゴルフボールの部材、ラケット、防護要素(ジャケット、ヘルメットの内部要素、覆い等)の製造にも使用することができる。
【0098】
本発明によって生成されたフォームは、資本財に適した触覚特性とあいまって、有利である耐衝撃性、耐振動性及び対ノイズ性を有することができる。したがって、本フォームは、鉄道レールソール、又は自動車産業、輸送、電気及び電子機器、建設、若しくは製造業の種々の部品を製造するのにも使用できる。
【0099】
本発明によるこれらのフォーム品は、例えば、脱気出口を備えたエクストルーダーでこれらを溶融することによって(任意選択でこれらをみじん切りにした後)、容易にリサイクルすることができる。
【実施例】
【0100】
下記の実施例は、本発明を制限することなく本発明を例示する。
【0101】
(実施例1)
PEBAコポリマーから形成されるフォームは、TrexelシリーズII型の物理的発泡剤を射出するためのシステムを備えたArburg Allrounder 270C射出成形機を使用して製造する。操作パラメーターは以下の通りである:
- シース温度:50から230℃まで(フィードホッパーからインジェクターノズルまで);射出された混合物の温度は、インジェクターノズルでのシース温度に見立てることができる;
- 射出速度:80cm3;
- 金型を開放する前の保持時間:10、20、30、35、40、45、又は50秒;
- 保持圧力:150MPa;
- 冷却時間:100秒;
- 金型温度:60℃;
- 金型開放の長さ:12mm;
- 金型開放速度:20mm/秒;
- 金型厚さ:3mm。
【0102】
使用される発泡剤は二窒素であり、0.6質量%の割合に導入される。
【0103】
PEBAは、PA11ブロック及びPTMGブロックを含有するコポリマーであり、密度が1.02g/cm3であり、融点135℃及び硬度32ショアDを有する。その結晶化温度は63℃であり、熱拡散係数は1.22×10-7m2/秒である。
【0104】
式(I)により算出されたパラメーターtoptは32秒である。
【0105】
結果を図1A図1Gに提示する。
【0106】
10秒又は20秒の保持時間を適用する場合、中空コアを含むフォームが得られることが観察され、したがって、このようなフォームは不十分である。保持時間が50秒の場合、フォームの膨張は不均一である。
【0107】
これに対して、35秒の保持時間では、得られたフォームは均一な厚さを有し、中空コアを有さないことが観察される。
【0108】
(実施例2)
Aとして示されたPEBAコポリマー又はBとして示されたPEBAコポリマーから形成されるフォームは、TrexelシリーズII型の物理的発泡剤を射出するためのシステムを備えたArburg Allrounder 270C射出成形機を使用して製造する。操作パラメーターは以下の通りである:
- シース温度:(射出された混合物の温度に見立てることができる):変更可能なパラメーター;
- 射出速度:112cm3;
- 金型を開放する前の保持時間:変更可能なパラメーター;
- 冷却時間:120〜180秒;
- 金型温度:変更可能なパラメーター;
- 金型開放の長さ:12mmまで;
- 金型開放速度:50mm/秒;
- 全サイクル時間:145〜220秒。
【0109】
使用される発泡剤は二窒素であり、0.6質量%の割合に導入される。
【0110】
PEBA Aは、PA11ブロック及びPTMGブロックを含有するコポリマーであり、密度が1.02g/cm3であり、融点135℃及び硬度32ショアDを有する。その結晶化温度は63℃であり、熱拡散係数は1.23×10-7m2/秒である。
【0111】
PEBA Bは、PA11ブロック及びPTMGブロックを含有するコポリマーであり、密度が1.03g/cm3であり、融点148℃及び硬度39ショアDを有する。その結晶化温度は90℃であり、熱拡散係数は1.22×10-7m2/秒である。
【0112】
使用される製造方法のパラメーターを、下の表(表1)
【0113】
【表1】
【0114】
にまとめる。
【0115】
結果を下の表(表2)
【0116】
【表2】
【0117】
にまとめる。
【0118】
フォーム1A、2A、3A及び4Aは、本発明による方法によって生成される。フォーム1B、1C、2B、2C、3B、3C、4B、及び4Cは反例である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
【国際調査報告】