(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本出願は、アルブミン結合部分と融合したサイトカインを含む融合タンパク質を提供する。該融合タンパク質は、治療抗体などの抗原結合部分をさらに含み得る。本出願はまた、該融合タンパク質を作製及び使用する方法を提供する。本出願はまた、半減期延長ドメインと融合したサイトカインを含む融合タンパク質及び第2の薬剤を投与することを含む治療方法を提供する。
a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分を含む融合タンパク質であって、前記サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される、前記融合タンパク質。
a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、前記サイトカイン-ALBBMと前記抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能である、前記融合タンパク質。
前記サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される、請求項2記載の融合タンパク質。
前記IL-21が、配列番号1、2、126、171、若しくは172、又は配列番号1、2、126、171、若しくは172と少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項5記載の融合タンパク質。
前記融合タンパク質が、配列番号120〜125、129〜154、及び160〜167のいずれか1つ、又は配列番号120〜125、129〜154、及び160〜167のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の融合タンパク質。
前記腫瘍抗原が、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される、請求項21記載の融合タンパク質。
個体における疾患又は病態を治療する方法であって、請求項1〜23のいずれか一項記載の融合タンパク質又は請求項24記載の医薬組成物を前記個体に投与することを含む、前記方法。
個体における疾患又は病態を治療する方法であって、i)サイトカイン及びii)前記サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;並びにb)第2の薬剤を前記個体に投与することを含む、前記方法。
前記第2の薬剤が、治療抗体、免疫チェックポイント阻害剤、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む、請求項26又は請求項27記載の方法。
前記癌が、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、頭頸部癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される、請求項30記載の方法。
前記サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、及びIL-33からなる群から選択される、請求項30〜32のいずれか一項記載の方法。
前記治療抗体が、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2(ERBB2)、EGFR、及びCD20(MS4A1)からなる群から選択される腫瘍抗原に結合する、請求項34記載の方法。
前記治療抗体が、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される腫瘍抗原に結合する、請求項34記載の方法。
前記免疫チェックポイント調節剤が、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、4-1BB、CD47、TIGIT、GITR、TIM3、LAG3、CD27及びB7H4からなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である、請求項39記載の方法。
前記融合タンパク質中のサイトカインがIL-21であり、前記第2のサイトカインが、IL-7、IL-15、IL-15Rαに結合したIL-15又はその半減期延長バリアントからなる群から選択される、請求項43記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0062】
(本出願の詳細な説明)
本出願は、サイトカイン及び半減期延長ドメインを含む融合タンパク質に関する。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との結合は、任意に切断可能である。
【0063】
本出願は、さらに、上記のような融合タンパク質を投与することを含む、疾患又は障害(癌又は炎症性疾患など)を治療する方法を提供する。いくつかの実施態様では、本方法は、a)i)サイトカインと、ii)半減期延長ドメインを含む融合タンパク質、及びb)第2の薬剤を投与することを含む。例示的な第2の薬剤には、治療薬、免疫チェックポイント阻害剤、第2のサイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、化学療法剤、又は免疫細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
また提供されるのは、本明細書に記載の二重特異性抗体を含む組成物、キット及び製造品並びにその製造方法である。
【0065】
I.定義
用語「抗体」は、その最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、全長抗体及びその抗原結合断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。用語「抗体部分」は、全長抗体又はその抗原結合断片を指す。
【0066】
「単離された」抗体(又は構築物)は、その生成環境(例えば、天然又は組換え)の成分から同定、分離及び/又は回収されたものである。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その生成環境からの全ての他の成分と会合しない。組換えトランスフェクト細胞から生じたものなどの、その生成環境の混入成分は、典型的には抗体の研究、診断又は治療用途に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性の溶質を含んでよい。好ましい実施態様では、ポリペプチドは、(1)例えば、ローリー法により決定されるように、抗体の95重量%を超えるまで、いくつかの実施態様では、99重量%を超えるまで;(2)スピニングカップ配列決定装置を使用してN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで;又は(3)クマシーブルー又は好ましくは銀染色を用いた非還元条件下又は還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。単離された抗体(又は構築物)は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内にインサイツで抗体を含む。しかし、通常、単離されたポリペプチド、抗体、又は構築物は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0067】
全長抗体は、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に関与する。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「V
H」及び「V
L」と呼ばれることがある。両鎖中の可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)(LC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖(LC)CDR、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖(HC)CDR)と呼ばれる高度に可変性の3つのループを含有する。本明細書に開示される抗体及び抗原結合断片のCDR境界は、Kabat、Chothia、又はAl-Lazikani (Al-Lazikaniの文献 1997; Chothiaの文献 1985; Chothiaの文献 1987; Chothiaの文献 1989; Kabatの文献 1987; Kabatの文献 1991)の規約によって定義又は同定され得る。重鎖又は軽鎖の3つのCDRは、CDRよりも高度に保存されており、超可変ループを支持するための足場を形成する、フレームワーク領域(FR)として知られる隣接するストレッチ間に挿入される。重鎖及び軽鎖の定常領域は、抗原結合に関与しないが、様々なエフェクター機能を示す。抗体は、それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいてクラスに割り当てられる。抗体の5つの主要なクラス又はアイソタイプは、α、δ、ε、γ、及びμの重鎖の存在によってそれぞれ特徴付けられるIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMである。主要な抗体クラスのいくつかは、IgG1(γ1重鎖)、IgG2(γ2重鎖)、IgG3(γ3重鎖)、IgG4(γ4重鎖)、IgA1(α1重鎖)、又はIgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分割される。
【0068】
用語「全長抗体」、「完全な抗体」、又は「抗体全体」は、抗体断片とは対照的に、実質的に完全な形態の抗体を指すために互換的に使用される。具体的には、全長の4鎖抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有する抗体を含む。全長の重鎖のみの抗体は、重鎖可変ドメイン(V
HHなど)及びFc領域を含む。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアント)であり得る。場合によっては、完全な抗体は、1以上のエフェクター機能を有し得る。
【0069】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と呼ばれることがある。これらのドメインは、一般に、(同じクラスの他の抗体に対して)抗体の最も変化する部分であり、抗原結合部位を含有する。ラクダ種由来の重鎖のみの抗体は、「V
HH」と呼ばれる単一重鎖可変領域を有する。そのため、V
HHは、特別な種類のVHである。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「抗原結合断片」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv')、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖Fv(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1以上のCDRを含む抗体の一部から形成された多特異性抗体、ラクダ化された単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体を含む抗体断片、又は抗原に結合するが、完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体断片を指す。抗原結合断片は、親抗体又は親抗体断片(例えば、親scFv)が結合する同じ抗原に結合することができる。いくつかの実施態様では、抗原結合断片は、1以上の異なるヒト抗体からのフレームワーク領域に移植された特定のヒト抗体からの1以上のCDRを含んでよい。
【0071】
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小抗体断片である。この断片は、しっかりとした非共有結合の1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗原結合特異性を抗体に付与する6個の超可変ループ(それぞれ重鎖及び軽鎖からの3個のループ)が出現する。しかし、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0072】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、単一ポリペプチド鎖に連結されたV
H及びV
L抗体ドメインを含む抗体断片である。いくつかの実施態様では、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするV
HドメインとV
Lドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概説については、Pluckthunの文献、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)、113巻、Rosenburg及びMoore(編)、Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
【0073】
用語「重鎖のみの抗体」又は「HCAb」は、重鎖を含むが、通常4鎖抗体内に見られる軽鎖を欠く機能性抗体を指す。ラクダ科動物(ラクダ、ラマ、又はアルパカなど)は、HCAbを生成することが知られている。
【0074】
用語「単一ドメイン抗体(single-domain antibody)」、「単一ドメイン抗体(single domain antibody)」、又は「sdAb」は、3つの相補性決定領域(CDR)を有する単一の抗原結合ポリペプチドを指す。sdAbは単独で、対応するCDR含有ポリペプチドと対をなすことなく、抗原に結合することができる。場合によって、単一ドメイン抗体は、ラクダ科のHCAbから操作され、それらの重鎖可変ドメインは、本明細書では、「V
HH」(重鎖抗体の重鎖の可変ドメイン)と称される。ラクダ科のsdAbは、最小の既知の抗原結合抗体断片の1つである(例えば、Hamers-Castermanらの文献, Nature 363:446-8 (1993); Greenbergらの文献, Nature 374:168-73 (1995); Hassanzadeh-Ghassabehらの文献、Nanomedicine (Lond), 8:1013-26 (2013)を参照されたい)。基本的なV
HHは、N末端からC末端に以下の構造:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有し、FR1〜FR4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を指し、CDR1〜CDR3は相補性決定領域1〜3を指す。
【0075】
用語「超可変領域」、「HVR」、又は「HV」は、本明細書で使用する場合、配列が超可変であり、かつ/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、単一ドメイン抗体は、3つのHVR(又はCDR):HVR1(又はCDR1)、HVR2(又はCDR2)、及びHVR3(又はCDR3)を含む。HVR3(又はCDR3)は、3つのHVRのうち最も多様性を示し、抗体に細かい特異性を付与するのに特有の役割を果たすと考えられる。例えば、Hamers-Castermanらの文献, Nature 363:446-448 (1993); Sheriffらの文献, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照されたい。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖と軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内に見出される非隣接抗原結合部位を意味することが意図される。これらの特定の領域は、Kabatらの文献, J. Biol. Chem. 252:6609-6616 (1977); Kabatらの文献, U.S. Dept. of Health and Human Services,「免疫学的に興味のあるタンパク質の配列(Sequences of proteins of immunological interest) (1991); Chothiaらの文献, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); Al-Lazikani B.らの文献, J. Mol. Biol., 273: 927-948 (1997); MacCallumらの文献, J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996); Abhinandan及びMartinらの文献, Mol. Immunol., 45: 3832-3839 (2008); Lefranc M.P.らの文献, Dev. Comp. Immunol., 27: 55-77 (2003);並びにHonegger及びPluckthunらの文献, J. Mol. Biol., 309:657-670 (2001)によって記載されており、これらの定義は、互いを比較した場合に、アミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体又は移植された抗体又はそのバリアントのCDRを参照するためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内にあることが意図される。上記引用文献の各々によって定義されるCDRを包含するアミノ酸残基を、比較として以下の表1に記載する。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、当技術分野において知られており、例えば、Abhinandan及びMartinらの文献, Mol. Immunol., 45: 3832-3839 (2008); Ehrenmann F.らの文献, Nucleic Acids Res., 38: D301-D307 (2010);並びにAdolf-Bryfogle J.らの文献, Nucleic Acids Res., 43: D432-D438 (2015)を含む。この段落で引用された参考文献の内容は、本出願で使用するために、かつ本明細書の1以上の特許請求に含めることを可能にするために、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている。
表1:CDRの定義
【表1】
1残基の番号付けは、前出のKabatらの命名法に従う。
2残基の番号付けは、前出のChothiaらの命名法に従う。
3残基の番号付けは、前出のMacCallumらの命名法に従う。
4残基の番号付けは、前出のLefrancらの命名法に従う。
5残基の番号付けは、前出のHonegger及びPluckthunの命名法に従う。
【0077】
表現「Kabatでの可変ドメイン残基の番号付け」又は「Kabatでのアミノ酸位置の番号付け」及びその変形は、前出のKabatらにおける抗体のコンパイルの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用して、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮又はFR若しくはHVRへの挿入に対応するより少ない又は追加のアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後の1個のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含んでよい。残基のKabat番号付けは、抗体の配列と「標準的な」Kabat番号付け配列の相同性領域でのアライメントによって所定の抗体について決定され得る。
【0078】
本明細書で特に示さない限り、免疫グロブリン重鎖中の残基の番号付けは、前出のKabatらのようなEU指数の番号付けである。「KabatのようなEU指数」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基の番号付けを指す。
【0079】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義されるCDR残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0080】
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト抗体由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域(HVR)からの残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体に見出されない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、その中で、全ての又は実質的に全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jonesらの文献, Nature 321:522-525 (1986); Riechmannらの文献, Nature 332:323-329 (1988); 及びPrestaの文献, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。
【0081】
本明細書で同定されるポリペプチド及び抗体配列に対して、「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」又は「相同性」は、配列同一性の一部としての任意の保存的置換を考慮して配列を整列させた後に、比較されるポリペプチド中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)、又はMUSCLEソフトウェアなどの公に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アライメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、本明細書の目的のために、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムMUSCLE(Edgar, R.C.の文献, Nucleic Acids Research 32(5):1792-1797, 2004; Edgar, R.C.の文献, BMC Bioinformatics 5(1):113, 2004)を用いて生成される。
【0082】
「相同性」は、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性を指す。2つの比較された配列の両方における位置が、同じ塩基又はアミノ酸のモノマーサブユニットによって占有される場合、例えば、2つのDNA分子の各々の中の1つの位置がアデニンによって占有される場合、分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性のパーセントは、2つの配列によって共有されている一致位置又は相同位置の数を、比較される位置の数で割り、100をかける関数である。例えば、2つの配列中の位置の10個中6個が一致しているか、又は相同であると、2つの配列は60%相同である。例として、DNA配列ATTGCC及びTATGGCは50%相同性を共有する。一般に、2つの配列が、最大の相同性を与えるように整列されたときに、比較が行われる。
【0083】
用語「定常ドメイン」は、抗原結合部位を含有する可変ドメインである免疫グロブリンの他の部分に対してより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常ドメインは、重鎖のC
H1、C
H2及びC
H3ドメイン(集合的にC
H)、並びに軽鎖のCHL(又はC
L)ドメインを含有する。
【0084】
任意の哺乳動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てることができる。
【0085】
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約118からアミノ酸約215(EU番号付けシステム)に及ぶ。
【0086】
「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230に対応するIgG内の領域として定義される(Burtonの文献, Molec. Immunol.22:161-206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置に重鎖内S-S結合を形成する最初と最後のシステイン残基を配置することによって、IgG1配列と整列され得る。
【0087】
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「H2」ドメインの「C2」とも呼ばれる)は、通常、アミノ酸約231からアミノ酸約340に及ぶ。CH2ドメインは、それが別のドメインと密接に対を形成していないという点で特有である。むしろ、2つのN-結合分岐糖鎖は、完全な天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に挿入される。糖質は、ドメインド-メイン対合の置換を提供し、CH2ドメインを安定化させるのに役立ち得ると推測されている。Burtonの文献, Molec Immunol. 22:161-206 (1985)。
【0088】
「CH3ドメイン」(「C2」又は「H3」ドメインとも呼ばれる)は、残基C末端からFc領域内のCH2ドメインまでの(すなわち、抗体配列のアミノ酸残基約341からC末端まで、典型的には、IgGのアミノ酸残基446又は447に)ストレッチを含む。
【0089】
本明細書では、用語「Fc領域」又は「断片結晶性領域」は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、Cys226位のアミノ酸残基から、又はPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって除去されてもよい。したがって、完全抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有していない抗体の混合物を有する抗体集団を含んでよい。本明細書に記載の抗体に使用するのに適する天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3及びIgG4を含む。
【0090】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。好ましいFcRは天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にスプライシングされた形態を含み、FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制性受容体」)を含み、主にその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。抑制性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する(M. Daeronの文献, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch及びKinetらの文献, Annu. Rev. Immunol. 9: 457-92 (1991); Capelらの文献, Immunomethods 4: 25-34 (1994);並びにde Haasらの文献, J. Lab. Clin. Med. 126: 330-41 (1995))で概説されている。将来に識別されるべきものを含む他のFcRは、本明細書で用語「FcR」に包含される。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗体又は抗体部分が結合する抗原上の原子又はアミノ酸の特定の基を指す。2つの抗体又は抗体部分は、抗原に対して競合的結合を示す場合、抗原内の同じエピトープに結合し得る。
【0092】
本明細書で使用する場合、第1の抗体又はその断片が、等モル濃度の第1の抗体又はその断片の存在下で、第2の抗体又はその断片の標的抗原結合を少なくとも約50%(少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%若しくは99%のいずれか1つなど)を阻害する場合に、第1の抗体又はその断片は、標的抗原への結合について第2の抗体又はその断片と「競合する」、又はその逆もまた同じである。それらの交差競合に基づいて抗体を「ビニングする」ための高スループットプロセスが、PCT公開WO 03/48731に記載されている。
【0093】
本明細書で使用する場合、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」及び「に特異的である」は、生物分子を含む分子の不均一な集団の存在下で標的の存在を決定する、標的と抗体又は抗体部分との間の結合などの測定可能で再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(エピトープであり得る)を特異的に認識する抗体又は抗体部分は、他の標的への結合よりも高い親和性で、結合活性で、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこの標的に結合する抗体又は抗体部分である。いくつかの実施態様では、無関係の標的に対する抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合、標的への抗体の結合の約10%未満である。いくつかの実施態様では、標的に特異的に結合する抗体は、10
-5M、10
-6M、10
-7M、10
-8M、10
-9M、10
-10M、10
-11M、又は10
-12M以下の解離定数(K
D)を有する。いくつかの実施態様では、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されているタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施態様では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、それを必要とするわけではない。抗体又は抗原結合ドメインの結合特異性は、当技術分野で公知の方法によって実験的に決定することができる。そのような方法には、Octet、ウェスタンブロット、ELISA試験、RIA試験、ECL試験、IRMA試験、EIA試験、BIACORE(商標)試験及びペプチドスキャンが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
「結合親和性」は、一般的に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。特に示さない限り、本明細書で使用する場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。結合親和性は、K
d、K
off、K
on、又はK
aによって示すことができる。用語「K
off」は、本明細書で使用する場合、動的選択の設定から決定され、s
-1の単位で表される、抗体/抗原複合体からの抗体(又は抗原結合ドメイン)の解離のオフ速度定数を指すことが意図される。用語「K
on」は、本明細書で使用する場合、抗体/抗原複合体を形成するための抗原への抗体(又は抗原結合ドメイン)の会合のオン速度定数を指すことが意図され、M
-1 s
-1の単位で表される。用語の平衡解離定数「K
D」又は「K
d」は、本明細書で使用する場合、特定の抗体-抗原相互作用の解離定数を指し、平衡状態で抗体分子の溶液に存在する全ての抗体結合ドメインの半分を占めるのに必要な抗原の濃度を説明し、K
off/K
onに等しく、Mの単位で表される。K
dの測定は、全ての結合物質が溶液中にあると仮定する。抗体が、例えば、酵母発現システム中の細胞壁に結合している場合、対応する平衡速度定数は、K
dの良好な近似を与えるEC50として表される。親和定数K
aは、解離定数K
dの逆であり、M
-1の単位で表される。解離定数(K
D又はK
d)は、抗原への抗体の親和性を示す指標として使用される。例えば、簡単な分析は、様々なマーカー物質でマークされた抗体を用いるスキャッチャード法によって、及びキットに添付された使用者説明書及び実験操作に従って、市販の測定キット又は類似のキットである(Amersham Biosciencesによって製造された)BiacoreXを用いることによって可能である。これらの方法を用いて導くことができるK
D値は、M(モル)の単位で表される。標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、例えば、10
-5M、10
-6M、10
-7M、10
-8M、10
-9M、10
-10M、10
-11M、又は10
-12M以下の解離定数(K
d)を有し得る。
【0095】
50%阻害濃度(IC
50)は、特異的な生物学的又は生化学的機能を阻害する際の物質(抗体など)の有効性の尺度である。これは、特定の薬物又は他の物質(阻害剤、抗体など)が、所与の生物学的プロセス(例えば、アルブミンとCD155の結合、又はプロセスの成分、すなわち酵素、細胞、細胞受容体又は微生物)を半分阻害するのにどの程度必要とされるかを示す。これらの値は、典型的には、モル濃度として表される。IC
50は、アゴニスト薬又は他の物質(抗体など)の「EC
50」に匹敵する。EC
50はまた、インビボでの最大効果の50%を得るのに必要な血漿濃度を表す。本明細書で使用する場合、「IC
50」は、インビトロでの抗原生物活性(アルブミン生物活性など)の50%を中和するのに必要な抗体(抗アルブミンsdAbなど)の有効濃度を示すために使用される。IC
50又はEC
50は、FACS分析(競合結合アッセイ)、細胞ベースのサイトカイン放出アッセイ、又は増幅発光近接均質アッセイ(amplified luminescent proximity homogeneous assay(AlphaLISA))によるリガンド結合の阻害などのバイオアッセイによって測定することができる。
【0096】
本明細書で使用する場合、用語「サイトカイン」は、哺乳動物において、予め選択された細胞型、例えば、癌細胞又はウイルス感染細胞に対して細胞破壊的免疫応答を刺激又は誘導することができる任意のタンパク質又はペプチド、その類似体又は機能的断片を意味することが理解される。したがって、様々なサイトカインをこの用途に組み込むことができることが企図される。有用なサイトカインには、例えば、そのような細胞破壊的免疫応答を刺激又は誘導することができる腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL)、リンホカイン(L)、コロニー刺激因子(CSF)、種バリアントを含むインターフェロン(IFN)、それらの切断類似体が含まれる。有用な腫瘍壊死因子には、例えば、TNFαが含まれる。有用なリンホカインには、例えば、LTが含まれる。有用コロニー刺激因子には、例えば、GM-CSF及びM-CSFが含まれる。有用なインターロイキンには、例えば、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL22、及びIL-33が含まれる。有用なインターフェロンには、例えば、IFN-α、IFN-α及びIFN-γが含まれる。用語「サイトカイン」はまた、修飾を含み、その所望の機能のいずれかの少なくとも有意な部分(少なくとも約50%など)を維持する野生型サイトカイン(IL-21、IL-7、IL-15など)の任意のバリアントを包含することが理解される。
【0097】
用語「切断型IL-21」は、本明細書で使用する場合、野生型IL-21のC末端及びN末端の一方又は両方における1以上のアミノ酸の欠失を有するIL-21を含むタンパク質又はペプチドを指す。本明細書に記載の切断型IL-21を含む融合タンパク質は、抗原結合部分、リンカー、シグナル配列、若しくはアルブミン結合部分などの他の部分又はドメインを有することができるが、該融合タンパク質中のIL-21は、野生型IL-21よりもアミノ酸が少なくとも1個少ない切断型である。いくつかの実施態様では、野生型IL-21は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。
【0098】
本明細書に記載の構築物、抗体、又はその抗原結合断片をコードする「単離された」核酸分子は、同定され、それが生成された環境において通常関連付けられる少なくとも1つの混入核酸分子から分離された核酸分子である。好ましくは、単離核酸は、生成環境に関連付けられる全ての成分と会合しない。本明細書に記載のポリペプチド及び抗体をコードする単離核酸分子は、天然に見出される形態又は設定以外の形態にある。したがって、単離核酸分子は、天然で細胞内に存在する本明細書に記載のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。単離核酸は、通常、核酸分子を含有する細胞中に含まれる核酸分子を含むが、該核酸分子は、染色体外、又はその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0099】
用語「制御配列」は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適する制御配列には、例えば、プロモーター、任意に、オペレーター配列、及びリボソーム結合部位が含まれる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0100】
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれるときに、「作動可能に連結」される。例えば、プレ配列又は分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現する場合には、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結される;プロモーター又はエンハンサーは、その配列の転写に影響を及ぼす場合には、コード配列に作動可能に連結される;又はリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置される場合には、コード配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結された」とは、連結されているDNA配列が連続していることを意味し、分泌リーダーの場合には、連続し、かつ読み取り段階にあることを意味する。しかし、エンハンサーは連続している必要はない。連結は、都合の良い制限部位でのライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが、従来の方法に従って使用される。
【0101】
用語「ベクター」は、本明細書で使用する場合、それが連結されている別の核酸を増幅させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。あるベクターは、それらが作動可能に連結された核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では、「発現ベクター」と呼ばれる。
【0102】
用語「トランスフェクト」又は「形質転換」又は「形質導入」は、本明細書で使用する場合、外因性核酸が宿主細胞に転移又は導入されるプロセスを指す。「トランスフェクトされた」又は「形質転換された」又は「形質導入された」細胞は、外因性の核酸でトランスフェクト、形質転換、又は形質導入されたものである。細胞は、主要な対象細胞及びその子孫を含む。
【0103】
用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」は、互換的に使用され、そのような細胞の子孫を含む、外来性核酸が導入された細胞を指す。宿主細胞は、継代の数に関係なく、初代形質転換細胞及びそれ由来の子孫を含む「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含む。子孫は、核酸含量において親細胞と完全に同一でなくてもよいが、変異を含んでよい。最初に形質転換された細胞においてスクリーニング又は選択されたのと同じ機能又は生物活性を有する変異体子孫が本明細書に含まれる。
【0104】
本明細書で使用する場合、「治療」又は「治療すること」は、臨床結果を含む有益な又は所望の結果を得るための手法である。本出願の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、以下のもの:疾患から生じる1以上の症状を軽減すること、疾患の程度を減少させること、疾患を安定化すること(例えば、疾患の悪化を予防又は遅延させること)、疾患の拡散(例えば、転移)を防止又は遅延させること、疾患の再発を予防又は遅延させること、疾患の進行を遅延若しくは減速すること、疾患状態を改善すること、疾患の緩解(部分的又は全体)を提供すること、疾患の治療に必要な1以上の他の薬物の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、生活の質を向上又は改善すること、体重を増加させること、及び/又は生存を延長することのうちの1以上が含まれるが、これらに限定されない。また「治療」に包含されるのは、癌の病理学的結果(例えば、腫瘍体積など)の低下である。本出願の方法は、治療のこれらの態様のいずれか1以上を企図する。
【0105】
癌の文脈では、用語「治療すること」は、癌細胞の増殖を阻害すること、癌細胞の複製を阻害すること、全腫瘍負荷を軽減すること、及び疾患に関連付けられる1以上の症状を改善することのうちのいずれか又は全てを含む。
【0106】
用語「阻害」又は「阻害する」は、任意の表現型特性の減少若しくは停止、又はその特性の発生、程度、若しくは尤度の減少又は停止を指す。「低下させる」又は「阻害する」ことは、基準のそれと比較して、活性、機能、及び/若しくは量を減少させるか、低下させるか、又は停止することである。ある実施態様では、「低下させる」又は「阻害する」ことは、20%又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。別の実施態様では、「低下させる」又は「阻害する」ことは、50%又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。さらに別の実施態様では、「低下させる」又は「阻害する」ことは、75%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。
【0107】
本明細書で使用する場合、「基準」は、比較のために使用される任意の試料、標準物質、又はレベルを指す。基準は、健康な試料及び/又は非罹患試料から取得されてよい。いくつかの例では、基準は、未処理の試料から取得してよい。いくつかの例では、基準は、非罹患で、未処理の個体の試料から得られる。いくつかの例では、基準は、個体又は患者ではない1以上の健康な個体から得られる。
【0108】
本明細書で使用する場合、「疾患の発症を遅延させること」は、疾患(癌など)の発症を延ばす、妨害する、遅らせる、遅延させる、安定化する、抑制する、かつ/又は延期することを意味する。この遅延は、治療される疾患及び/又は個体の病歴に応じて、様々な時間の長さとすることができる。当業者には明らかなように、十分な又は有意な遅延は、個体が疾患を発症しないという点で、予防を効果的に包含することができる。例えば、転移の発症などの後期の癌を遅延させ得る。
【0109】
「予防」は、本明細書で使用する場合、疾患にかかる可能性はあるが、疾患とはまだ診断されていない個体における疾患の発生又は再発に対する予防を提供することを含む。
【0110】
本明細書で使用する場合、機能又は活性を「抑制すること」は、関心のある条件又はパラメータを除いて、そうでなければ同じ条件と比較した場合に、あるいは別の条件と比較して、機能又は活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体は、抗体の非存在下における腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低下させる。
【0111】
用語「対象」、「個体」、及び「患者」は、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類、又は霊長類を含むが、これらに限定されない哺乳動物を指すために、本明細書では互換的に使用される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0112】
薬剤の「有効量」は、所望の治療又は予防の結果を達成するのに必要な投与量及び期間で有効な量を指す。この用語は、本明細書に記載の撮像方法のいずれかによる検出のための画像を提供する線量にも適用される。特定の用量は、選択された特定の薬剤、従うべき投与計画、他の化合物と組合せて投与されるか否か、投与の時期、撮像されるべき組織、及び搬送される物理的な送達システムのうちの1以上に応じて変化し得る。
【0113】
適用の物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体における所望の応答を誘発する物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの能力などの要因によって変化し得る。治療有効量はまた、物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の毒性又は有害な作用より、治療上有益な効果が上回る量である。治療有効量は、1回以上の投与で送達され得る。
【0114】
「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するのに必要な投与量及び期間で有効な量を指す。典型的には、必ずしもそうではないが、予防的用量が、疾患の前又はより初期の段階で対象において使用されるので、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
【0115】
用語「医薬製剤」及び「医薬組成物」は、有効成分(複数可)の生物学的活性を有効にするような形態であり、製剤が投与される個体にとって許容できない毒性であるさらなる成分を含まない調製物を指す。このような製剤は無菌であり得る。
【0116】
「医薬として許容し得る担体」は、個体への投与のための医薬組成物を含む治療薬と共に使用するための、当技術分野で通常の非毒性の固体、半固体、又は液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料、製剤補助剤、又は担体を指す。医薬として許容し得る担体は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある。医薬として許容し得る担体は、使用される製剤に適している。
【0117】
「無菌(sterile)」製剤は、無菌(aseptic)であるか、又は生きている微生物及びそれらの胞子を実質的に含まない。
【0118】
1以上のさらなる治療剤と「組合せた」投与は、同時(simultaneous)(同時(concurrent))で連続的であるか、又は任意の順序での連続的な投与を含む。
【0119】
用語「同時(concurrently)」は、少なくとも一部の投与が時間的に重複するか、又は1つの治療剤の投与が他の治療剤の投与に対して短い期間内に入る2種以上の治療剤の投与を指すために本明細書で使用される。例えば、2種以上の治療剤は、約30、15、10、5、又は1分以下のいずれかなどの約60分以下の時間間隔で投与される。
【0120】
用語「連続的」は、1種以上の薬剤(複数可)の投与が、1種以上の他の薬剤(複数可)の投与を中止した後に継続する2種以上の治療剤の投与を指すために本明細書で使用される。例えば、2種以上の治療剤の投与は、約20、30、40、50、又は60分、1日、2日、3日、1週間、2週間、又は1ヶ月、又はそれ以上のいずれかなどの、約15分間超の時間間隔で行われる。
【0121】
本明細書で使用する場合、「組合せ」は、1つの治療様式を別の治療様式に加えた投与を指す。このように、「組合せ」は、他の治療様式の個体への投与の前、間又は後での1つの治療様式の投与を指す。
【0122】
用語「添付文書」は、治療用製品の商業的パッケージに習慣的に含まれ、そのような治療用製品の使用に関する表示、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む説明書を指すために使用される。
【0123】
「製品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患若しくは障害(例えば、癌)を治療するための薬剤、又は本明細書に記載のバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む任意の製造物(例えば、パッケージ若しくは容器)又はキットである。特定の実施態様では、製造物又はキットは、本明細書に記載の方法を実施するためのユニットとして、促進、分配、又は販売される。
【0124】
本明細書に記載の本出願の実施態様は、実施態様「からなる」及び/又は「から本質的になる」ことを含むことが理解される。
【0125】
本明細書で値又はパラメータの「約」への言及は、その値又はパラメータ自体に向けられた変動を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」に言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0126】
本明細書で使用する場合、値又はパラメータの「not」への言及は、一般に、値又はパラメータ「以外」を意味し、説明する。例えば、本方法は、タイプXの癌を治療するために使用されないとは、本方法がX以外のタイプの癌を治療するために使用されることを意味する。
【0127】
本明細書で使用される用語「約X〜Y」は、「約X〜約Y」と同じ意味を有する。
【0128】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つ」、「又は」及び「その」は、特に文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0129】
II-A.アルブミン結合部分を含む融合タンパク質
本明細書に提供されるのは、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択されるサイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカー(約1〜30個のアミノ酸など)を介して連結される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(V
HH抗体など)である。比較的小さい分子量を有するsdAbは、融合タンパク質の癌の浸透を増加させ、それにより、ある種の癌、例えば、固形腫瘍を治療するのにより良好に適するものにするのに役立ち得る。
【0130】
いくつかの実施態様では、a)IL-21、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一であるか又は異なる第2のサイトカインが、アルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、アルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-21は、切断されたIL-21である。いくつかの実施態様では、切断されたIL-21は、配列番号126、171、又は172のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号21、22及び24からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0131】
いくつかの実施態様では、a)IL-21、b)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-21が配列番号1、2、126、171、若しくは172のアミノ酸配列、又は配列番号1、2、126、171、若しくは172と少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントを含み、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインが、アルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-21は、切断されたIL-21である。いくつかの実施態様では、切断されたIL-21は、配列番号126、171、又は172のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号21、22及び24からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0132】
いくつかの実施態様では、a)IL-21、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-21が配列番号1、2、126、171、若しくは172、又は配列番号1、2、126、171、若しくは172と少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-21は、切断されたIL-21である。いくつかの実施態様では、切断されたIL-21は、配列番号126、171、若しくは172のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号21、22及び24からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0133】
いくつかの実施態様では、a)IL-7、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号21、22、及び24からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0134】
いくつかの実施態様では、a)IL-7、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-7が、配列番号96〜98のいずれか1つ、又は配列番号96〜98のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0135】
いくつかの実施態様では、a)IL-7、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-7が、配列番号96〜98のいずれか1つ、又は配列番号96〜98のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施態様では、a)IL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15であり、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15及びIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、リンカー「(IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー))を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0137】
いくつかの実施態様では、a)IL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-15が、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15であり、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15及びIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、リンカー(IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0138】
いくつかの実施態様では、a)IL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-15が、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15であり、IL-15Rα又はIL-15Rα若しくはその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15及びIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、リンカー(IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0139】
いくつかの実施態様では、a)IL-15Rスシ(sushi)ドメインを含むサイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、IL-15Rスシドメインは、配列番号127〜128のいずれか1つ、又は配列番号127〜128のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質はIL-15を含まない。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質はさらにIL-15を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rスシドメインは、リンカー(「IL-15とIL-15Rスシドメインとの間のリンカー」)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rスシドメインとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15スシドメインとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0140】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、IL-15又はIL-15Rαの一方と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合は、IL-15とIL-15Rαの両方と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、IL-15RαのN末端及び/又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、IL-15のN末端及び/又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、IL-15及び/又はIL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、IL-15及び/又はIL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、第2のサイトカインのN末端又はC末端とさらに融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαは、リンカー(「IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー」を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0141】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供され、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα;(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15;(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分;(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン(IL-15又はIL-15Rα)及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、リンカー(「IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー」)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0142】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、そのIL-15は、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα、(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15、(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分、(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαは、リンカー(「IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー」)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0143】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、並びにb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-15が、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα、(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15、(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分、(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端にIL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、配列番号101〜108のいずれか1つ、又は配列番号101〜108のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、リンカー(「IL-15とIL-15Rαとの間のリンカー」)を介して連結される。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、IL-15とIL-15Rαとの間のリンカーは、切断可能ではない。
【0144】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、並びにb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、そのIL-15Rαが、配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つ、又は配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα;(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15;(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分;(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0145】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、並びにb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-15Rαが、配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つ、又は配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα;(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15;(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分;(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0146】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、並びにb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-15が、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、IL-15Rαが、配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つ、又は配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15はIL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα、(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15、(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分、(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0147】
いくつかの実施態様では、a)IL-15及びIL-15Rαを含むIL-15Rαに結合したIL-15、並びにb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分は、アルブミン結合部分、IL-15、及びIL-15Rαの順でN末端からC末端に含み、IL-15が、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、IL-15Rαが、配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つ、又は配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0148】
いくつかの実施態様では、a)IL-33、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインとアルブミン結合部分との間にリンカーは存在しない。
【0149】
いくつかの実施態様では、a)IL-33、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-33が、配列番号109及び155〜157のいずれか1つ、又は配列番号109及び155〜157のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列含み、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインは、アルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインとアルブミン結合部分との間にリンカーは存在しない。
【0150】
いくつかの実施態様では、a)IL-33、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-33が、配列番号109及び155〜157のいずれか1つ、又は配列番号109及び155〜157のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインは、アルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインとアルブミン結合部分との間にリンカーは存在しない。
【0151】
いくつかの実施態様では、a)IL-22、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインは、アルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、アルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、抗アルブミン抗体(V
HH単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体(sdAb)など)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0152】
いくつかの実施態様では、a)IL-22、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-22が、配列番号109〜110のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、記アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメインを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0153】
いくつかの実施態様では、a)IL-22、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む融合タンパク質であって、IL-22が、配列番号109〜110のいずれか1つ、又は配列番号109〜110のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含み、アルブミン結合部分が、抗アルブミン抗体又はその断片(V
HH抗体などの単一ドメイン抗体など)を含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のC末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカインはアルブミン結合部分のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端とC末端の両方と融合する。いくつかの実施態様では、第1のサイトカインと同一の又は異なる第2のサイトカインがアルブミン結合部分の他端と融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0154】
抗原結合部分を含む融合タンパク質
また本明細書に提供されるのは、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が任意に切断可能である、融合タンパク質である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。このような融合タンパク質は、様々な利点を提供する。例えば、いくつかの実施態様では、腫瘍抗原に結合する抗原結合部分は、サイトカインの癌近接部への局所送達を可能にし、より低いオフターゲット毒性及び効力の増加をもたらす。
【0155】
ある利点は、その三次構造及び全体的な構成設計によりそのような融合タンパク質によって提供される。例えば、いくつかの実施態様では、サイトカイン(IL-21など)は、切断可能なリンカー(MMP感受性リンカーなど)を介してアルブミン結合部分のC末端と融合し、抗原結合部分はアルブミン結合部分のN末端と融合する。融合タンパク質中のサイトカイン(IL-21など)は、そのN末端(3次元構造でC末端に近い)がそれらの相互作用に必要とされ得るので、サイトカイン受容体(IL-21Rなど)との相互作用から一時的に遮断され得る。癌細胞は、様々なMMPを分泌することが知られているので、融合タンパク質が腫瘍抗原に結合する時、リンカーがMMPによって切断可能であり、かつ活性になると、サイトカイン(IL-21など)は、融合タンパク質から放出される。MMP感受性リンカーは、典型的には、より高いMMP活性を有する癌の活性サイトカインへの暴露がより多くなることを保証する。そのため、サイトカイン(IL-21など)の不必要な毒性及び副作用を回避することができる。加えて、末梢免疫細胞上のサイトカイン(IL-21など)とサイトカイン受容体(IL-21Rαなど)との相互作用を防止することにより、融合タンパク質の癌送達の効率を高めることができる。
【0156】
いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一のドメイン抗体(V
HH抗体など)である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一のドメイン抗体(V
HH抗体など)である。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分及び抗原結合部分は両方とも単一ドメイン抗体(V
HH抗体など)である。
【0157】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分がサイトカインのN末端と融合し、抗原結合部分がサイトカイン-ALBBMのN末端に結合している、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、sdAbはV
HH単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は抗体又はその断片である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0158】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分がサイトカインのN末端と融合し、抗原結合部分がサイトカイン-ALBBMのC末端に結合している、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、sdAbはV
HH単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は抗体又はその断片である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0159】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分がサイトカインのC末端と融合し、抗原結合部分がサイトカイン-ALBBMのC末端に結合している、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、sdAbはV
HH単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は抗体又はその断片である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0160】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分がサイトカインのC末端と融合し、抗原結合部分がサイトカイン-ALBBMのN末端に結合している、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、sdAbはV
HH単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は抗体又はその断片である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0161】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分がアルブミン結合ドメイン(ABD)であり、抗原結合部分が、腫瘍抗原に結合する単一ドメイン抗体(腫瘍抗原に結合するV
HH抗体など)である、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、サイトカイン-ALBBMのN末端又はC末端に連結される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0162】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分が、単一ドメイン抗体(抗アルブミンV
HH抗体などの「抗アルブミンdsAb」)であり、抗原結合部分が、腫瘍抗原に結合する単一ドメイン抗体(腫瘍抗原に結合するV
HH抗体など)である、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、サイトカイン-ALBBMのN末端又はC末端に連結される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、抗アルブミンsdAbはV
HH単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0163】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分が、アルブミン結合ドメイン又は単一ドメイン抗体(抗アルブミンV
HH抗体などの「抗アルブミンdsAb」)であり、抗原結合部分が、抗メソテリン単一ドメイン抗体(抗-MSLN V
HH抗体など)である、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、サイトカイン-ALBBMのN末端又はC末端に連結される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、V
HH単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。
【0164】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分が、アルブミン結合ドメイン又は単一ドメイン抗体(抗アルブミンV
HH抗体などの「抗アルブミンdsAb」)であり、抗原結合部分が、腫瘍抗原に結合する単一ドメイン抗体であり、サイトカインがIL-21である、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、サイトカイン-ALBBMのN末端又はC末端に連結される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、V
HH単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、抗原結合部分はV
HH単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施態様では、sdAbは、メソテリンに結合する。
【0165】
いくつかの実施態様では、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含む融合タンパク質であって、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能であり、アルブミン結合部分が、アルブミン結合ドメイン又は単一ドメイン抗体(抗アルブミンV
HH抗体などの「抗アルブミンdsAb」)であり、抗原結合部分が、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含む抗メソテリン単一ドメイン抗体を含み、a)該抗MSLN V
Hが、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくはCDR1中に3、2若しくは1個までの置換を含むそのバリアント、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくはCDR2中に3、2若しくは1個までの置換を含むバリアント、配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくはCDR3中に3、2若しくは1個までの置換を含むそのバリアントを含むか;又はb)該抗MSLN V
Hが、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくはCDR1中に3、2若しくは1個までの置換を含むそのバリアント、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくはCDR2中に3、2若しくは1個までの置換を含むそのバリアント、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくはCDR3中に3、2若しくは1個までの置換を含むそのバリアントを含む、融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、サイトカイン-ALBBMのN末端又はC末端に連結される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合ドメインは、配列番号3〜11、又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、V
HH単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、サイトカイン及びアルブミン結合部分は、第1のリンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、第2のリンカーを介してサイトカイン-ALBBMと融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは切断可能である。いくつかの実施態様では、切断可能なリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。
【0166】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、配列番号120〜125、129〜154、及び160〜167のいずれか1つのアミノ酸配列、又は配列番号120〜125、129〜154、及び160〜167のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を含むそのバリアントを含む。
【0167】
A.融合タンパク質の性質
1 血清半減期
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質の血清半減期は、個体に投与した場合には少なくとも約15日、約14日、約13日、約12日、約11日、約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、約24時間、約24時間、約20時間、約18時間、約16時間、約14時間、約12時間、約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約3時間、約2時間、又は約1時間である。該融合タンパク質は、様々な経路を介して、例えば、静脈内、経口、皮下又は腹腔内投与することができる。
【0168】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質の血清半減期は、基準タンパク質よりも長い(少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%超など)。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質の血清半減期は、基準タンパク質の血清半減期の少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、12倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍である。いくつかの実施態様では、基準タンパク質は、同じサイトカイン及び/又は同じ抗原結合部分を含むが、アルブミン結合部分を有していない。いくつかの実施態様では、同一のサイトカイン及び同一の抗原結合部分は、融合タンパク質と同じ順序で、及び/又は同じリンカーを介して融合する。
【0169】
2 安定性
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、基準タンパク質よりも高い安定性を有する。いくつかの実施態様では、基準タンパク質は、同じサイトカイン及び/又は同じ抗原結合部分を含むが、アルブミン結合部分を有していない。いくつかの実施態様では、同一のサイトカイン及び同一の抗原結合部分は、融合タンパク質と同じ順序で、及び/又は同じリンカーを介して融合する。
【0170】
いくつかの実施態様では、安定性は熱安定性を含む。
【0171】
いくつかの実施態様では、安定性は、融合タンパク質が、規定された条件下で保存された後に、許容可能な度合いの化学構造又は生物学的機能を保持する程度によって評価される。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、規定時間保存した後に、その化学構造又は生物学的機能を100%維持しない場合であっても、高い安定性を有する。いくつかの実施態様では、規定時間保存した後に、本明細書に記載の融合タンパク質の構造又は機能を約90%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%維持することは、高い安定性を有すると見なされ得る。
【0172】
安定性は、とりわけ、規定温度で規定時間保存した後に、製剤(液体又は再構成された)中に残存する未変性の(凝集又は分解していない)融合タンパク質の割合を決定することによって測定することができる。未変性の融合タンパク質の割合は、未変性が非凝集及び非分解を意味するように、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC])によって決定することができる。いくつかの実施態様では、融合タンパク質の未変性型の少なくとも約90%(少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%など)を、所定の温度で規定時間保存した後に、製剤中で検出することができる。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質の未変性型の少なくとも約90%(少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%など)は、室温(約25℃)で少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約20時間、少なくとも約22時間、少なくとも約24時間、少なくとも約26時間、少なくとも約28時間、少なくとも約30時間、少なくとも約32時間、少なくとも約34時間、少なくとも約36時間、少なくとも約38時間、少なくとも約40時間、少なくとも約42時間、少なくとも約44時間、少なくとも約46時間、又は少なくとも約48時間後に製剤中で検出することができる。
【0173】
安定性は、とりわけ、規定温度で規定時間保存した後に、製剤(液体又は再構成した)中の凝集体の中に形成する融合タンパク質の割合を決定することによって測定することができ、安定性は、形成される凝集体のパーセントに反比例する。凝集した融合タンパク質の割合は、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー[SE-HPLC])によって決定することができる。いくつかの実施態様では、所定の温度で規定時間保存した後に、製剤中の凝集体として存在する融合タンパク質は約10%未満(好ましくは約5%未満)である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、実質的に凝集がなく、例えば、該融合タンパク質のせいぜい約6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.1%が、所定の温度で規定時間、例えば、室温(約25℃)で少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約14時間、少なくとも約16時間、少なくとも約18時間、少なくとも約20時間、少なくとも約22時間、少なくとも約24時間、少なくとも約26時間、少なくとも約28時間、少なくとも約30時間、少なくとも約32時間、少なくとも約34時間、少なくとも約36時間、少なくとも約38時間、少なくとも約40時間、少なくとも約42時間、少なくとも約44時間、少なくとも約46時間、又は少なくとも約48時間後に、製剤中の凝集体の中で検出することができる。
【0174】
融合タンパク質のその標的(複数可)に対する結合親和性の測定はまた、安定性を評価するために使用され得る。例えば、室温(約25℃)で規定時間(例えば、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間)保存した後に、サイトカイン及び/又は抗原結合ドメインが、前記保存前の抗体の結合親和性よりも少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の親和性を有する場合に、本出願の融合タンパク質は安定であると見なされ得る。結合親和性は、例えば、ELISA又はプラズモン共鳴などの任意の方法によって決定してよい。このような細胞への融合タンパク質の結合は、FACS分析などにより直接測定してよい。
【0175】
3 臨床的性質
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、基準タンパク質と比較して改善された臨床的性質を有する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、基準タンパク質の細胞毒性活性と比較して、改善された細胞毒性活性を示す。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、基準タンパク質の抗腫瘍効果と比較して、より高い抗腫瘍効果(腫瘍負荷を低減し、生存を改善するなど)を示す。いくつかの実施態様では、該基準タンパク質は、同じサイトカイン及び/又は同じ抗原結合部分を含むが、アルブミン結合部分を有していない。いくつかの実施態様では、同一のサイトカイン及び同一の抗原結合部分は、融合タンパク質と同じ順序で、かつ/又は同じリンカーを介して融合する。
【0176】
細胞毒性
本明細書に記載の融合タンパク質の細胞に対する細胞毒性(ADCC活性など)は、多くのアッセイを用いて試験することができる。例えば、該融合タンパク質が認識することができる抗原を発現する癌細胞株、及びエフェクター細胞(例えば、PBMC細胞)を、96ウェルプレート内で混合する。様々な濃度の融合タンパク質を各ウェルに添加する。インキュベーション後、EC50(ADCC活性を表す)を計算することができる。
【0177】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、基準タンパク質のADCC活性と比較して、改善された細胞に対するADCC活性を示す。いくつかの実施態様では、細胞に特異的な融合タンパク質のEC50は、約50%、40%、30%、20%、10%以下、又は基準タンパク質よりも低い。いくつかの実施態様では、細胞は腫瘍細胞である。いくつかの実施態様では、腫瘍細胞は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、頭頚部癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌に由来する。いくつかの実施態様では、該基準タンパク質は、同じサイトカイン及び/又は同じ抗原結合部分を含むが、アルブミン結合部分を有していない。いくつかの実施態様では、同一のサイトカイン及び同一の抗原結合部分は、融合タンパク質と同じ順序で、及び/又は同じリンカーを介して融合する。
【0178】
癌の治療
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、個体における癌(例えば、腫瘍成長を阻害することによって)を治療する。いくつかの実施態様では、融合は、基準タンパク質の抗腫瘍効果と比較して、癌に対して増強された抗腫瘍効果を示した。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質の投与は、基準タンパク質の腫瘍負荷と比較して、腫瘍負荷の減少(少なくとも約10%、20%、30%、40%又は50%未満などの腫瘍体積)をもたらした。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、頭頚部癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌を含む群から選択される。いくつかの実施態様では、該基準タンパク質は、同じサイトカイン及び/又は同じ抗原結合部分を含むが、アルブミン結合部分を有していない。いくつかの実施態様では、同一のサイトカイン及び同一の抗原結合部分は、融合タンパク質と同じ順序で、及び/又は同じリンカーを介して融合する。
【0179】
B.リンカー
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、サイトカインとアルブミン結合部分との間に第1のリンカーを含む。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の融合タンパク質は、アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)と抗原結合部分との間に第2のリンカーを含む。
【0180】
いくつかの実施態様では、第1のリンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号21、22、及び24からなる群から選択される。
【0181】
いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0182】
いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、切断可能でないリンカーである。
【0183】
いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、約1〜40個(1〜35、1〜30、1〜25、1〜20、4〜20、又は4〜16個など)のアミノ酸の長さを有する。
【0184】
いくつかの実施態様では、第1のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0185】
いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号21、22、及び24からなる群から選択される。
【0186】
いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、可撓性リンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜14からなる群から選択される。
【0187】
いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である。
【0188】
いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。
【0189】
いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、約1〜40個(1〜35、1〜30、1〜25、1〜20、4〜20、4〜16、4〜12、又は5〜9個)のアミノ酸の長さを有する。
【0190】
いくつかの実施態様では、第1及び/又は第2のリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser配列を含まない。いくつかの実施態様では、第1及び/又は第2のリンカーは、GSリンカーではない。
【0191】
融合タンパク質に使用される第1及び/又は第2のリンカー(複数可)の長さ、可撓性及び/又は他の性質の度合いは、その標的に結合する1以上の成分(サイトカイン、アルブミン結合分子、及び/又は抗原結合部分など)に対する親和性、特異性又は結合活性を含むが、これらに限定されない性質にある程度影響を及ぼす可能性がある。例えば、2つの隣接ドメインが互いに立体的に干渉しないことを確実にするために、より長いリンカーを選択してよい。いくつかの実施態様では、リンカー(ペプチドリンカーなど)は、隣接ドメインが互いに対して自由に移動するように、可撓性残基(グリシン及びセリンなど)を含む。例えば、グリシン-セリンダブレットは、適切なペプチドリンカーであり得る。いくつかの実施態様では、リンカーは非ペプチドリンカーである。いくつかの実施態様では、リンカーはペプチドリンカーである。
【0192】
他のリンカーの考慮事項は、溶解性、親油性、親水性、疎水性、安定性(多かれ少なかれ安定であり、かつ計画的な分解)、剛性、柔軟性、免疫原性、抗体結合の調節、及びミセル又はリポソームに組み込まれる能力などの、得られる化合物の物理的又は薬物動態学的性質に対する効果を含む。
【0193】
非ペプチドリンカー
上記の成分のカップリングは、両成分がそれぞれの活性、すなわち、サイトカイン受容体、アルブミン、又は標的抗原へのそれぞれの結合を保持する限り、2つの分子を結合する任意の化学反応によって達成され得る。この結合は、多くの化学的メカニズム、例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合及び錯化を含むことができる。いくつかの実施態様では、結合は共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接縮合又は外部架橋分子の取り込みのいずれかによって達成することができる。多くの二価又は多価の連結剤は、この文脈においてタンパク質分子をカップリングするのに有用であり得る。例えば、代表的なカップリング剤は、チオエステル類、カルボジイミド、スクシンイミドエステル類、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン類及びヘキサメチレンジアミン類などの有機化合物を含むことができる。このリストは、当技術分野で知られている様々なクラスのカップリング剤を網羅することを意図するものではなく、むしろ、より一般的なカップリング剤の例である(Killen及びLindstromらの文献, Jour. Immun. 133:1335-2549 (1984); Jansenらの文献, Immunological Reviews 62:185-216 (1982);並びにVitettaらの文献, Science 238:1098 (1987)を参照されたい)。
【0194】
本出願に適用することができるリンカーは、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用について記載している文献(例えば、Ramakrishnan, S.らの文献, Cancer Res. 44:201-208 (1984)に記載されている。いくつかの実施態様では、本明細書で使用する非ペプチドリンカーには、(i)EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩;(ii)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジルジチオ)-トルエン(Pierce Chem. Co.,カタログ番号(21558G));(iii)SPDP(スクシンイミジル-6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co.,カタログ番号21651G);(iv)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル6[3-(2-ピリジルジチオ)-プロピアナミド(propianamide)]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co.,カタログ番号2165-G);及び(v)EDCにコンジュゲートされたスルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホ-スクシンイミド:Pierce Chem. Co.,カタログ番号24510)が含まれる。
【0195】
上記のリンカーは、異なる属性を有する成分を含有し、そのため、異なる物理化学的性質を有する融合タンパク質をもたらし得る。例えば、アルキルカルボキシレートのスルホ-NHSエステルは、芳香族カルボキシレートのスルホ-NHSエステルよりも安定である。NHS-エステル含有リンカーは、スルホ-NHSエステルよりも可溶性が低い。さらに、リンカーSMPTは、立体障害性ジスルフィド結合を含有し、安定性の高い抗体融合タンパク質を形成することができる。ジスルフィド結合はインビトロで切断されるので、一般に、他の結合よりも安定性が低く、利用できる抗体融合タンパク質は少ない。特に、スルホ-NHSは、カルボジイミドカップリングの安定性を高めることができる。カルボジイミドカップリング(EDCなど)は、スルホ-NHSと共に使用される場合、カルボジイミドカップリング反応単独よりも加水分解に対して耐性が高いエステルを形成する。
【0196】
ペプチドリンカー
ペプチドリンカーは、天然に存在する配列、又は非天然の配列を有してよい。例えば、重鎖のヒンジ領域由来の配列をリンカーとして使用してよい。例えば、WO1996/34103を参照されたい。
【0197】
ペプチドリンカーは、任意の適切な長さであり得る。いくつかの実施態様では、ペプチドリンカーは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、75、100個又はそれより多いアミノ酸長のいずれかである。いくつかの実施態様では、ペプチドリンカーは、100、75、50、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5個以下又はそれより少ないアミノ酸長のいずれかである。いくつかの実施態様では、ペプチドリンカーの長さは、約1個のアミノ酸〜約10個のアミノ酸、約1個のアミノ酸〜約20個のアミノ酸、約1個のアミノ酸〜約30個のアミノ酸、約5個のアミノ酸〜約15個のアミノ酸、約10個のアミノ酸〜約25個のアミノ酸、約5個のアミノ酸〜約30個のアミノ酸、約10個のアミノ酸〜約30個のアミノ酸長、約30個のアミノ酸〜約50個のアミノ酸、約50個のアミノ酸〜約100個のアミノ酸、又は約1個のアミノ酸〜約100個のアミノ酸のいずれかである。
【0198】
このようなペプチドリンカーの本質的な技術的特徴は、前記ペプチドリンカーがいかなる重合活性も含まないことである。二次構造の促進の不在を含むペプチドリンカーの特性は、当技術分野で公知であり、例えば、Dall’Acquaらの文献(Biochem. (1998) 37, 9266-9273), Cheadleらの文献(Mol Immunol (1992) 29, 21-30)並びにRaag及びWhitlowの文献(FASEB (1995) 9(1), 73-80)に記載されている。「ペプチドリンカー」に関連して特に好ましいアミノ酸はGlyである。さらに、いかなる二次構造も促進しないペプチドリンカーが好ましい。ドメイン同士の結合は、例えば、遺伝子工学によって提供することができる。融合され、作動可能に連結された融合タンパク質成分の調製方法、及びそれらの哺乳動物細胞又は細菌中での発現方法は、当技術分野で周知である(例えば、WO 99/54440, Ausubelの文献, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N. Y. 1989及び1994、又はSambrookらの文献, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 2001)。
【0199】
ペプチドリンカーは、プロテアーゼによって、特にマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)によって切断可能でない安定なリンカーであり得る。
【0200】
リンカーはまた、可撓性リンカーであり得る。典型的な可撓性リンカーには、グリシンポリマー(G)
n、グリシン-セリンポリマー(例えば、
【化1】
(式中、nは少なくとも1つの整数である)を含む)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当技術分野で公知の他の可撓性リンカーが含まれる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的非構造化されており、したがって、成分間の中立テザーとして作用することができる可能性がある。グリシンは、アラニンよりも著しくφ-ψ空間に接近し、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限されない(Scheraga, Rev. Computational Chem. 11 173-142 (1992)を参照されたい)。当業者なら、抗体融合タンパク質の設計が、全て又は部分的に可撓性であるリンカーを含むことができ、その結果、該リンカーは、可撓性リンカー部分と、所望の抗体融合タンパク質構造を提供するために、あまり柔軟ではない構造を付与する1以上の部分とを含むことができることを認識するであろう。
【0201】
C.サイトカイン
本明細書に記載の融合タンパク質はサイトカインを含む。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。
【0202】
IL-21
IL-21は、広範囲の免疫及び非免疫細胞型に対して多面発現作用を有するT細胞及びナチュラルキラーT細胞によって産生されるI型サイトカインである。このサイトカインは、CD4
+及びCD8
+ T細胞、B細胞、マクロファージ、単球、及び樹状細胞(DC)を含むが、これらに限定されない広範囲の細胞型に対して多様な影響を及ぼす。IL-21の機能的受容体は、IL-21受容体(IL-21R)、並びにIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、及びIL-15の受容体のサブユニットでもある共通のサイトカイン受容体γ鎖(γc)で構成される。
【0203】
NK細胞及びCD8
+ T細胞における細胞毒性プログラムの活性化は、癌免疫療法に重要であり、その結果、初期の研究は、IL-21がこの疾患に有望な免疫療法剤であるという説得力のある証拠を提供した。IL-21は、成熟を促進し、細胞毒性を増強し、NK細胞によってIFN-γ及びパーフォリンの産生を誘導する。これに対応して、IL-21によって誘導される細胞溶解活性は、B16黒色腫の増殖を著しく阻害する。さらに、IL-21は、IL-15と共に、抗原特異的CD8
+ T細胞数及びそれらのエフェクター機能を拡張し、腫瘍退縮をもたらす。Leonardらの文献 F1000Res. 2016 Feb 26;5. pii: F1000 Faculty Rev-224。
【0204】
いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-21である。いくつかの実施態様では、IL-21は野生型IL-21である。いくつかの実施態様では、IL-21はヒトIL-21に由来する。いくつかの実施態様では、IL-21はヒト野生型IL-21である。いくつかの実施態様では、IL-21は切断型IL-21である。
【0205】
いくつかの実施態様では、IL-21は、配列番号1、2、126、171、若しくは172、又は配列番号1、2、126、171、若しくは172と少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。
【0206】
いくつかの実施態様では、IL-21は、切断型IL-21である。いくつかの実施態様では、切断型IL-21は、配列番号126、171、又は172のアミノ酸配列を含む。
【0207】
いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に1個以上のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の1個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の2個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の3個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の4個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の5個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の6個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の7個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の8個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の9個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の10個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に全11個のアミノ酸を欠いている。
【0208】
いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に11個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に10個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に9個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは配列番号1のC末端に8個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは配列番号1のC末端に7個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に6個のアミノ酸が欠失している。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に5個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に4個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に3個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に2個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に1個のアミノ酸を欠いている。
【0209】
いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に14個、13個、又は12個のアミノ酸を欠いている。
【0210】
いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に少なくとも9〜10、9〜11、10〜12、又は12〜15個の連続するアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に少なくとも9〜14個、10〜14個、11〜14個、又は12〜14個の連続するアミノ酸を欠いている。
【0211】
いくつかの実施態様では、本明細書に提供されるIL-21バリアントは、C末端に10個のアミノ酸を欠いており、配列番号1のQ1〜L123の配列を表す配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0212】
IL-7
IL-7は、IL-2スーパーファミリーのメンバーの1つである。IL-2スーパーファミリーは、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15及びIL-21を含む。IL-2スーパーファミリーは、共通のγ鎖サブユニットを有する受容体に結合する。共通のγ鎖サブユニットに加えて、IL-7の受容体(IL-7R)は、結合を起こすためにIL-7Rα鎖を必要とする。Linらの文献, Anticancer Res. 2017 Mar;37(3):963-967を参照されたい。
【0213】
インターロイキン-7(IL-7)は、マウス及びヒトでのT細胞の発達に必要であり、活性化リンパ球よりもむしろ間質組織によって産生される。正常な状態では、IL-7はT細胞とって制限のある資源であるが、リンパ球減少状態では蓄積する。IL-7は、IL-7受容体α鎖(IL-7Rα)及び共通のサイトカイン受容体γ鎖(γc)からなるヘテロ二量体受容体を介してシグナル伝達する。IL-7はまた、最近、リンパ組織誘導因子(LTi)細胞を調節し、二次リンパ器官の発達を誘導し、慢性炎症の状況で、出生後に三次リンパ組織を誘導することができることが実証されている。動物において、IL-7療法は、癌に対する養子免疫療法の有効性を増強し、ワクチン応答を増強し、急性及び慢性の感染の状況でウイルスクリアランスを増強する。Mackallらの文献, Nature Reviews Immunology volume 11, pages 330-342 (2011)を参照されたい。
【0214】
いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-7である。いくつかの実施態様では、IL-7は野生型IL-7である。いくつかの実施態様では、IL-7はヒトIL-7に由来する。いくつかの実施態様では、IL-7はヒト野生型IL-7である。
【0215】
いくつかの実施態様では、IL-7は、配列番号96〜98のいずれか1つ、又は配列番号96〜98のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。
【0216】
IL-15、IL-15Rα、及びIL-15Rαに結合したIL-15
IL-15のヘテロ三量体受容体は、IL-2R/IL-15Rβ(CD122)及び共通のガンマ(γc)鎖(CD132)をIL-2受容体と共有する。IL-15及びIL-2は、T細胞増殖の刺激、細胞傷害性Tリンパ球の生成、B細胞による免疫グロブリン合成の刺激、並びにNK細胞の生成及び持続性を含むある種の機能を共有する。しかし、多くの適応性免疫応答において、IL-2及びIL-15はまた、明確でしばしば競合する役割を有する。IL-2とは異なり、IL-15は、抗腫瘍性免疫応答を減衰させることができる調節性T細胞(Treg)の維持に必要とされない。IL-15とは対照的に、IL-2は、CD8+エフェクターT細胞の活性化誘導細胞死(AICD)を介するT細胞応答を阻害する。しかし、IL-15は、NK、エフェクターCD8+及び表現型CD8+ T記憶細胞の分化に必要である。加えて、臨床前の研究に基づくと、それらの毒性は異なると思われ、IL-2とは対照的に、血管毛細管漏れがIL-15ではほとんど観察されない。要約すると、IL-15は、主に、CD8 T細胞及びNK細胞の増殖並びに細胞毒性機能を刺激し、増強された抗腫瘍応答をもたらす。しかし、最初は癌治療薬としての見込みを示したが、IL-15の有効性は、その短いインビボ半減期によって制限された。Steelらの文献, Trends Pharmacol Sci. 2012 Jan; 33(1): 35-41。Robinson らの文献 Immunol Lett. 2017 Oct; 190: 159-168を参照されたい。
【0217】
場合によって、治療薬としてのIL-15の有効性は、IL-15の生物学的活性を安定化及び増加させるのに不可欠の役割を果たすIL-15Rαの利用可能性によって制限される。非結合IL-15は、インビボで天然に見出されないので、IL-15Rαに結合したIL-15は、IL-15の生理的形態に似ており、遊離IL-15よりもIL-15Rβ/γCに対する高い親和性を有する。Robinsonらの文献, Immunol Lett. 2017 Oct; 190: 159-168を参照されたい。
【0218】
いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-15であるか、又はIL-15を含む。いくつかの実施態様では、IL-15は、野生型IL-15である。いくつかの実施態様では、IL-15は、ヒトIL-15に由来する。いくつかの実施態様では、IL-15は、ヒト野生型IL-15である。
【0219】
いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15Rαであるか、又はIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rαは、野生型IL-15Rαである。いくつかの実施態様では、IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαに由来する。いくつかの実施態様では、IL-15Rαはヒト野生型IL-15Rαである。いくつかの実施態様では、IL-15Rαは、可溶性IL-15受容体のスシドメイン(すなわち、IL-15Rスシドメイン)である。いくつかの実施態様では、IL-15Rスシドメインは、配列番号127〜128のいずれか1つ又は配列番号127〜128のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0220】
いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15である。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、野生型IL-15及び/又は野生型IL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、ヒトIL-15由来のIL-15及び/又はヒトIL-15Rα由来のIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、ヒト野生型IL-15及び/又はヒト野生型IL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、マウスIL-15由来のIL-15及び/又はマウスIL-15Rα由来のIL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、マウス野生型IL-15及び/又はマウス野生型IL-15Rαを含む。いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15は、可溶性IL-15受容体のスシドメイン(すなわち、IL-15Rスシドメイン)である。いくつかの実施態様では、IL-15Rスシドメインは、配列番号127〜128のいずれか1つ、又は配列番号127〜128のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むか、又はそれからなる。
【0221】
いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαに共有結合していない。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15Rαと融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、IL-15は、IL-15RαのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、(1)アルブミン結合部分、IL-15、IL-15Rα、(2)アルブミン結合部分、IL-15Rα、IL-15、(3)IL-15、IL-15Rα、アルブミン結合部分、(4)IL-15Rα、IL-15、アルブミン結合部分からなる群から選択される順序で、N末端からC末端に前記IL-15、IL-15Rα及びアルブミン結合部分を含む。いくつかの実施態様では、IL-15及びIL-15Rαは、第2のリンカーを介して融合する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27〜45からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号27の配列を有する。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、切断可能でないリンカーである。いくつかの実施態様では、第2のリンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。
【0222】
いくつかの実施態様では、IL-15又はIL-15Rαに結合したIL-15は、配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つ、又は配列番号99、100、若しくは127のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むヒトIL-15を含む。
【0223】
いくつかの実施態様では、IL-15又はIL-15Rαに結合したIL-15は、N72D変異を含むヒトIL-15を含む。Hanらの文献, Cytokine. 2011 Dec; 56(3): 804-810を参照されたい。
【0224】
いくつかの実施態様では、IL-15Rα又はIL-15Rαに結合したIL-15は、配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つ、又は配列番号101〜108(配列番号103〜104など)のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含むヒトIL-15Rαを含む。
【0225】
IL-33
インターロイキン-33(IL-33)は、IL-1ファミリーのメンバーである。これは、最初に、Tヘルパー2(T
H2)細胞及び肥満細胞を活性化する2型免疫応答のインデューサとして説明された。現在は、IL-33もグループ2の自然リンパ球系細胞(ILC2)、調節性T(T
reg)細胞、T
H1細胞、CD8
+ T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞を強力に刺激するという証拠が蓄積している。この多面発現性は、組織及び代謝恒常性、感染、炎症、癌及び中枢神経系の疾患におけるIL-33の役割に反映される。
【0226】
IL-33は、間質及びバリア組織において広範に発現しており、このことが、1型、2型及び調節性の免疫応答を形成するユビキタスかつ重要な免疫調節剤にさせる。分泌配列を欠き、核内に隔離されているが、IL-33は放出され、様々なプロテアーゼによって高度に活性のある形態に処理される。IL-33は、病原体除去を制御するだけでなく、グループ2の自然リンパ球系細胞及び調節性T細胞によって媒介される組織修復を支持するサイトカインネットワークに寄与する。IL-33の役割は、増殖し続け、保護的免疫応答と病理学的免疫応答の両方を調節すると予想される。IL-33を送達又は遮断することが、免疫恒常性を維持し、感染性及び炎症性疾患に対して保護するのに有望な治療戦略として明らかになりつつある。Liewの文献, Nature Reviews Immunology 16巻, ページ676-689 (2016)を参照されたい。
【0227】
いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-33である。いくつかの実施態様では、IL-33は野生型IL-33である。いくつかの実施態様では、IL-33はヒトIL-33に由来する。いくつかの実施態様では、IL-33はヒト野生型IL-33である。
【0228】
いくつかの実施態様では、IL-33は、配列番号109及び155〜157のいずれか1つ、又は配列番号109及び155〜157のいずれか1つと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。
【0229】
いくつかの実施態様では、IL-33は、C208S、C227S、C232S及びC259Sから選択される1以上の変異を含む。Cohenらの文献、Nature Communications 6巻, Article number: 8327 (2015)を参照されたい。
【0230】
IL-22
インターロイキン-22(IL-22)は、Tヘルパー(Th)-17細胞、γδ T細胞、NKT細胞及び新たに説明された自然リンパ球系細胞(ILC)によって産生される、最近説明されたIL-10ファミリーサイトカインである。ヒトIL22遺伝子は、IFN-γ及びIL-26をコードする遺伝子の近傍の染色体12q15に位置する。サイトカインの活性のある分泌型は、146個のアミノ酸のタンパク質である。
【0231】
IL-22受容体(IL-22R)は、2型サイト受容体及びIL-10、IL-19、IL-20、IL-24、IL-26、IL-28及びIL-29の受容体と共に、IL-10ファミリーの受容体のメンバーである。IL-22受容体は、2つのヘテロダイマーサブユニットのIL-22R1及びIL-10R2で構成される。研究から、IL-22R1サブユニットへのIL-22の最初の結合が、IL-10R2サブユニットの二次結合を可能にし、それによって下流のシグナル伝達が可能になることが示唆されている。
【0232】
IL-22は、様々な機能を有し、最も顕著には、非造血細胞、特に上皮細胞に対する栄養効果を有する。IL-22は、状況及び/又はサイトカインの環境に応じて、いくつかの器官における上皮の再生及び病理に関与する。様々な疾患におけるその関与が、臨床開発のための魅力的な標的にさせている。Dudakovらの文献, Annu Rev Immunol. 2015 Mar 21; 33: 747-785を参照されたい。
【0233】
いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-22である。いくつかの実施態様では、IL-22はヒトIL-22である。いくつかの実施態様では、IL-22はヒトIL-22に由来する。いくつかの実施態様では、IL-22は、ヒト野生型IL-22である。
【0234】
いくつかの実施態様では、IL-22は、配列番号110〜111のいずれか、又は配列番号110〜111のいずれかと少なくとも80%(少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれか1つなど)の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む。
【0235】
サイトカインバリアント
いくつかの実施態様では、サイトカインバリアントは、本明細書に提供される融合タンパク質中に存在することができる。変異は、ヒト野生型サイトカインタンパク質と比較して、アミノ酸配列の変化をもたらすサイトカインポリペプチドをコードする1以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であってよい。アミノ酸置換は、ロイシンとセリンとの置換などの、1つのアミノ酸を、類似の構造的及び/又は化学的性質を有する別のアミノ酸に置換した結果、例えば、保存的アミノ酸置換であり得る。例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発を含む当業者に知られている標準的な技術を用いて、本明細書に提供される分子をコードするヌクレオチド配列中に変異を導入することができる。挿入又は欠失は、任意に、約1〜10個のアミノ酸の範囲内に存在し得る。ある実施態様では、置換、欠失、又は挿入は、元の分子と比較して25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、又は2個未満のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様では、置換は、1以上の予測された非必須アミノ酸残基に行われる保存的アミノ酸置換である。許容される変異は、配列中のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換を系統的に行い、完全長又は成熟天然配列が示す活性について、得られたバリアントを試験することによって決定してよい。
【0236】
アミノ酸配列挿入は、1つの残基若しくは複数の残基の長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに1つの又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。
【0237】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、電荷が類似している側鎖を有するアミノ酸残基と置換されたものである。電荷が類似している側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。あるいは、変異は、飽和変異誘発などのコーディング配列の全部又は一部に沿ってランダムに導入することができ、得られた変異体を生物活性(例えば、サイトカイン受容体への結合)についてスクリーニングし、活性を保持する変異体を同定することができる。変異誘発後、コードタンパク質を発現させることができ、タンパク質の活性を決定することができる。
【0238】
保存的(例えば、類似の性質及び/又は側鎖を有するアミノ酸のグループ内での)置換は、サイトカインの性質を維持するか、又は著しく変化させないように行ってよい。アミノ酸を、それらの側鎖の性質の類似性:(例えば、Lehningerの文献, Biochemistry 73-75 (第2版 1975)参照):(1)非極性:Ala (A)、Val (V)、Leu (L)、Ile (I)、Pro (P)、Phe (F)、Trp (W)、Met (M) ; (2)非荷電極性: Gly (G)、Ser (S)、Thr (T)、Cys (C)、Tyr (Y)、Asn (N)、Gln (Q); (3)酸性: Asp (D)、Glu (E); 及び(4)塩基性: Lys (K)、Arg (R)、His(H)に応じてグループ化され得る。
【0239】
あるいは、天然に存在する残基を、共通の側鎖の性質:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; (2)中性親水性: Cys、Ser、Thr、Asn、Gln; (3)酸性: Asp、Glu; (4)塩基性: His、Lys、Arg; (5)鎖配向に影響を与える残基: Gly、Pro; 及び(6)芳香族: Trp、Tyr、Pheに基づいてグループに分けてもよい。
【0240】
この変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR変異誘発などの当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。ポリペプチドを生成するために、クローニングしたDNAに部位特異的変異誘発(例えば、Carterの文献, 1986, Biochem J. 237:1-7;及びZollerらの文献, 1982, Nucl. Acids Res. 10:6487-500参照)、カセット変異誘発(例えば、Wellsらの文献, 1985, Gene 34:315-23参照)、又は他の公知の技術を実行することができる。
【0241】
D.アルブミン結合部分
本明細書に記載の融合タンパク質はアルブミン結合分子を含む。関心のあるタンパク質に連結されるアルブミン結合分子及び方法は、例えば、WO 1991/01743、WO 2001/45746、WO 2002/076489、WO 2004/041865、又は米国特許公開第20070269422A1号に記載されており、それらの内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0242】
アルブミン結合分子は、例えば、WO 1991/01743、WO 2001/45746、WO 2002/076489、WO2004/041865、米国特許公開第20070269422A1号; 米国特許公開第20160152686A1号; Dennisらの文献 (2002), JBC 277(38): 35035-35043に記載されているアルブミン結合分子のいずれかであり得る。
【0243】
いくつかの実施態様では、アルブミン結合分子は、ヒト血清アルブミン(HSA)、カニクイザル血清アルブミン(CMSA)、及び/又はマウス血清アルブミン(MSA)に結合する。
【0244】
いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、約1〜1000nM(約1〜900nM、1〜800nM、1〜700nM、1〜600nM、1〜500nM、1〜400nM、1〜300nM、1〜200nM、1〜100nM、1〜50nM、1〜25nM、又は0.1〜1nMなど)のK
Dでアルブミン(HASなど)に結合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合タンパク質は、ストレプトコッカスタンパク質G(SPG)のアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。例えば、Nygrenらの文献 J. Mol. Recogn. (1988) 1(2): 69-74を参照されたい。
【0245】
1 アルブミン結合ドメイン(ABD)
いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分はアルブミン結合ドメイン(ABD)を含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合分子は、SPG株G148のABDを含む。いくつかの実施態様では、アルブミン結合分子は、SPG株G148のC末端アルブミン結合ドメイン3(ABD3)を含む。例えば、Nilvebrant及びHober (2013)の文献, Comput. Struct. Biotechol. J., 6: e201303009を参照されたい。
【0246】
いくつかの特定の実施態様では、ABDは、約1.2nMのHSAに対するK
Dを有する
【化2】
のアミノ酸配列を有する。
【0247】
いくつかの実施態様では、配列番号3のABDよりもHSAに対して比較的低い親和性を有するABDが好ましい。したがって、HSAに対する親和性が低い配列番号3のバリアントが、本開示に含まれる。
【0248】
いくつかの特定の実施態様では、ABDは、配列番号4〜11のいずれか1つのアミノ酸配列を有する。
【0249】
変異は、アミノ酸配列に変化をもたらす配列番号3〜11のいずれか1つのABDポリペプチドをコードする1以上のコドンの置換、欠失、又は挿入であってよい。アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、類似の又は異なる構造的及び/又は化学的性質を有する別のアミノ酸と置換した結果であり得る。例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発及びPCR媒介変異誘発を含む当業者に公知の標準的な技術を用いて、本明細書に提供される分子をコードするヌクレオチド配列中に変異を導入することができる。
【0250】
許容される変異は、配列中のアミノ酸の挿入、欠失、又は置換を系統的に行い、活性について、得られたバリアントを試験することによって決定してよく、いくつかの実施態様では、HSAに対してより低い親和性を有するバリアントが選択される。そのようなある種のバリアントを表3に例示する。
【0251】
2 抗アルブミン抗体又はその断片
本発明によれば、アルブミン結合部分はまた、抗アルブミン抗体又はその抗原結合断片であり得る。いくつかの実施態様では、抗アルブミン抗体又はその抗原結合断片は、抗HSA抗体又はその抗原結合断片である。
【0252】
HSAのいくつかのアイソフォームを、以下の表2に列挙する(例えば、UniProtKB - P02768 (ALBU_HUMAN)参照)。いくつかの実施態様では、抗アルブミン抗体又はその抗原結合断片は、配列番号52〜55のいずれか1つに結合する。
表2
【表2】
【0253】
抗アルブミン抗体又はその断片は、鳥及び哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、又はニワトリ)を含むいずれかの動物由来であってよい。ある実施態様では、抗体はヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。本明細書で使用する場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、又はヒト遺伝子から抗体を発現するマウスから単離された抗体を含む。
【0254】
ある実施態様では、抗アルブミン抗体は、癌抗原と免疫特異的に結合する完全ヒト抗体などの完全ヒト抗体である。このような完全ヒト抗体は、対象に投与されたときに不完全ヒト抗体に向けられた免疫応答などの、望まれない又は不必要な副作用の発症を最小化するために、完全マウス(又は他の完全又は部分的な非ヒト種の抗体)、ヒト化抗体、又はキメラ抗体よりも有利である。
【0255】
本明細書に提供される抗アルブミン抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、又はより高い多特異性であってよい。多特異性抗体は、ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であるか、又はポリペプチドと、異種ポリペプチド又は固体支持体材料などの異種エピトープの両方に対して特異的であってよい。いくつかの実施態様では、本明細書に提供される抗体は、ポリペプチドの所与のエピトープに対して単一特異的であり、他のエピトープに免疫特異的に結合しない。
【0256】
本明細書に提供される抗アルブミン抗体は、モノクローナル抗体であるか、又はモノクローナル抗体に由来し得る。抗アルブミン抗体は、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え生成された抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体、一本鎖Fvs(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化抗体又はそれらのヒト化バージョン、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片であり得るが、これらに限定されない。
【0257】
特に、本明細書に提供される抗アルブミン抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性のある部分、すなわち、アルブミン(HSAなど)に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含む。本明細書に提供される免疫グロブリン分子は、いずれかの種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又は免疫グロブリン分子のサブクラスであり得る。いくつかの実施態様では、抗アルブミン抗体は、IgG1抗体などのIgG抗体である。
【0258】
アルブミンのエピトープに特異的に結合する能力を保持する抗体断片を含む抗アルブミン抗体のバリアント及び誘導体も本開示に含まれる。例示的な断片は、Fab断片(抗原結合ドメインを含有し、軽鎖及びジスルフィド結合により架橋された重鎖の一部を含む抗体断片);Fab'(ヒンジ領域を介してFabと重鎖の追加部分を含む単一抗結合ドメインを含有する抗体断片);F(ab')
2(重鎖のヒンジ領域中の鎖間ジスルフィド結合により結合された2つのFab'分子;Fab'分子は同じ又は異なるエピトープに向けられてもよい);二重特異性Fab(2つの抗原結合ドメインを有するFab分子、それらの各々は異なるエピトープに向けられてよい);sFvとしても知られている可変領域を含む一本鎖Fab鎖(10〜25個のアミノ酸の鎖により結合された抗体の単一軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ジスルフィド結合Fv、又はdsFv(ジスルフィド結合により結合された抗体の単一軽鎖及び重鎖の可変抗原結合決定領域);ラクダ化VH(VH界面にあるいくつかのアミノ酸が、天然に存在するラクダ抗体の重鎖中に見出されるものである抗体の単一重鎖の可変抗原結合決定領域);二重特異性sFv(2つの抗原結合ドメインを有するsFv又はdsFv分子、それらの各々は異なるエピトープに向けられてよい);ダイアボディ(第1のsFvのVHドメインが第2のsFvのVLドメインと会合し、第1のsFvのVLドメインが第2のsFvのVHドメインと会合した時に形成される二量化sFv;ダイアボディの2つの抗原結合領域は同じ又は異なるエピトープに向けられてよい);及びトリアボディ(ダイアボディと同様に形成されるが、3つの抗原結合ドメインが単一複合体中に作製される三量化sFv;3つの抗原結合ドメインは、同じ又は異なるエピトープに向けられてよい)を含む。抗体の誘導体はまた、抗体結合部位の1以上のCDR配列を含む。CDR配列は、2以上のCDR配列が存在する場合に、足場上で互いに連結され得る。ある実施態様では、本明細書に提供される抗HSA抗体は、一本鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含む抗体断片であり、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの概説については、Pluckthunの文献、「モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)」、113巻、Rosenburg及びMoore(編)らの文献、Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
【0259】
ある状況では、抗体全体よりむしろ、抗アルブミン抗体断片を使用する利点がある。より小さいサイズの断片は、迅速なクリアランスを可能にし、細胞、組織、又は器官への接近を改善し得る。ある抗体断片の概説については、Hudsonらの文献, 2003, Nature Med. 9:129-34を参照されたい。
【0260】
抗体断片の生成のための様々な技術が開発されてきた。従来、これらの断片は、完全な抗体のタンパク質分解消化により誘導された(例えば、Morimotoらの文献, 1992, J. Biochem. Biophys. Methods 24:107-17;及びBrennanらの文献, 1985, Science 229:81-83参照)。しかし、これらの断片は、現在では組換え宿主細胞によって直接生成することができる。Fab、Fv、及びscFv抗体断片は全て、大腸菌又は酵母細胞中で発現させ、そこから分泌させることができるため、大量のこれらの断片の容易な生成が可能になる。抗体断片は、上記の抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SH断片を、大腸菌から直接回収し、化学的に結合させて、F(ab')
2断片を形成することができる(Carterらの文献, 1992, Bio/Technology 10:163-67)。別の手法によれば、F(ab')
2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab')
2断片については、例えば、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片の生成のための他の技術は、当業者に明らかである。ある実施態様では、抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である(例えば、WO 93/16185; 米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号参照)。Fv及びscFvは、定常領域を欠いている完全な結合部位を有する。そのため、これらは、インビボでの使用中に非特異的結合を低減するのに適し得る。scFv融合タンパク質は、scFvのアミノ末端又はカルボキシ末端のいずれかでエフェクタータンパク質の融合をもたらすように構築され得る(例えば、前出のBorrebaeck(編)参照)。抗体断片はまた、例えば、上記の参考文献に記載されているように、「線状抗体」であり得る。このような線状抗体は、単一特異性又は二重特異性などの多特異性であり得る。
【0261】
単一ドメイン抗体(sdAb)
いくつかの実施態様では、抗体断片は、単一ドメイン抗体(sdAb)である。
【0262】
いくつかの実施態様では、sdAbは、V
HH単一ドメイン抗体である。
【0263】
いくつかの実施態様では、sdAbは、約1〜1000nM(約1〜900nM、1〜800nM、1〜700nM、1〜600nM、1〜500nM、1〜400nM、1〜300nM、1〜200nM、1〜100nM、1〜50nM、1〜25nM、又は0.1〜1nMなど)のK
Dでアルブミン(HSAなど)に結合する。他の実施態様では、sdAbは、約10〜800nM(約20〜500nM、50〜300nM又は100〜200nMなど)のK
Dでアルブミン(HSAなど)に結合する。
【0264】
いくつかの実施態様では、sdAbは、約5.5のpH及び/又は約7.5のpHで、約1〜1000nM(約1〜900nM、1〜800nM、1〜700nM、1〜600nM、1〜500nM、1〜400nM、1〜300nM、1〜200nM、1〜100nM、1〜50nM、1〜25nM、又は0.1〜1nMなど)のK
Dでアルブミン(HSAなど)に結合する。いくつかの実施態様では、sdAbは、約5.5のpH及び/又は約7.5のpHで、約1〜200nMのK
Dでアルブミン(HSAなど)に結合する。
【0265】
いくつかの実施態様では、単一ドメイン抗体又はその断片は、配列番号69、72、75、78、81、84、87、90、及び93のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR1、又は最大約3個のアミノ酸置換を含むそれらのバリアント;配列番号70、73、76、79、82、85、88、91、及び94のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR2、又は最大約3個のアミノ酸置換を含むそれらのバリアント;並びに配列番号71、74、77、80、83、86、89、92、及び95のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR3、又は最大約3個のアミノ酸置換を含むそれらのバリアントを含む。
【0266】
いくつかの実施態様では、単一ドメイン抗体又はその断片は、以下:(1)配列番号69のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号70のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント、及び配列番号71のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(2)配列番号72のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号73のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;及び配列番号74のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(3)配列番号75のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号76のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;及び配列番号77のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(4)配列番号78のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号79のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号80のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(5)配列番号81のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号82のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を有するバリアント;及び配列番号83のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(6)配列番号84のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号85のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;及び配列番号86のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(7)配列番号87のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号88のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;及び配列番号89のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;(8)配列番号90のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号91のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むバリアント;及び配列番号92のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むバリアント;又は(9)配列番号93のアミノ酸配列を含むCDR1、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;配列番号94のアミノ酸配列を含むCDR2、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアント;及び配列番号95のアミノ酸配列を含むCDR3、若しくは最大約3個のアミノ酸置換を含むそのバリアントのうちのいずれか1つを含む。
【0267】
いくつかの実施態様では、単一ドメイン抗体又はその断片は、配列番号60〜68及び168〜170からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、単一ドメイン抗体又はその断片は、配列番号60〜68及び168〜170からなる群から選択されるアミノ酸配列と約80%又は少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様では、単一ドメイン抗体又はその断片は、配列番号60〜68及び168〜170のいずれか1つ、又は配列番号60〜68及び168〜170のいずれか1つと少なくとも約80%(少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%のいずれかなど)の配列同一性を有するそのバリアントのアミノ酸配列を含むV
HHドメインを含む。
【0268】
いくつかの実施態様では、アルブミンに結合する単一ドメイン抗体又はその断片は、配列番号60〜68及び168〜170のいずれかに記載の配列を有する重鎖可変ドメイン内のCDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR1、CDR2、CDR3を含む。
【0269】
E. 抗原結合部分
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は抗原結合部分をさらに含み、該抗原結合部分は、アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)のN末端又はC末端と融合する。
【0270】
いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍は、固体又は液体の腫瘍である。いくつかの実施態様では、腫瘍は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、頭頚部癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される癌である。いくつかの実施態様では、癌は、高レベルの腫瘍抗原を発現する。例えば、いくつかの実施態様では、癌は、基準組織のレベルの少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍のレベルを発現する。いくつかの実施態様では、基準組織は、同じ個体の中の癌細胞を含まない組織である。
【0271】
いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン(「MSLN」)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。
【0272】
いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、抗体(全長抗体など)又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様では、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は、癌細胞上で発現する抗原のポリペプチド、ポリペプチド断片、又はエピトープに免疫特異的に結合することができる。一実施態様では、抗体はヒト癌抗原に結合する。いくつかの実施態様では、本明細書に提供される抗体又はその抗原結合断片は、癌抗原の細胞外ドメイン(ECD)に結合する。ある実施態様では、抗体は、癌抗原のECD中のエピトープに結合する。いくつかの実施態様では、癌抗原は、固体又は液体の腫瘍癌細胞上で発現する。
【0273】
本明細書に提供される癌抗原に結合する抗体は、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え生成された抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、細胞内抗体、一本鎖Fvs(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性など)、ラクダ化抗体又はそれらのヒト化バリアント、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、抗イディオタイプ(抗-Id)抗体、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片であり得るが、これらに限定されない。
【0274】
いくつかの実施態様では、本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、癌抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子(例えば、固体又は液体の腫瘍癌抗原)を含む。本明細書に提供される免疫グロブリン分子は、いずれかの種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又は免疫グロブリン分子のサブクラスであり得る。特定の実施態様では、本明細書に提供される抗体は、IgG1抗体などのIgG抗体である。
【0275】
癌抗原のエピトープに特異的に結合する能力を保持する抗体断片を含む抗体のバリアント及び誘導体も、本開示に含まれる。例示的な断片には、Fab断片;Fab';F(ab')
2;二重特異性Fab;sFvとしても知られる可変領域を含む一本鎖Fab鎖;ジスルフィド結合Fv又はdsFv;ラクダ化VH;二重特異性sFv;ダイアボディ;及びトリアボディが含まれる。抗体の誘導体には、抗体結合部位の1以上のCDR配列も含まれる。CDR配列は、2以上のCDR配列が存在する場合に、足場上で互いに連結され得る。ある実施態様では、本明細書に提供される抗体は、一本鎖Fv(「scFv」)を含む。上の節で簡単に説明したように、抗体断片の生成のための様々な技術が開発されてきた。
【0276】
いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原に結合する単一可変ドメイン抗体(sdAb)(V
HH抗体など)である。ある種の生物、ラクダ及び軟骨魚は、それらの免疫系の一部としてFc等価ドメイン構造上に取り付けられた高親和性単一V様ドメインを有する(Woolvenらの文献, 1999, Immunogenetics 50: 98-101;及びStreltsovらの文献, 2004, Proc Natl Acad Sci USA. 101:12444-49)。V様ドメイン(ラクダではV
HH、サメではV-NARと呼ばれる)は、典型的には長い表面ループを示し、標的抗原の空洞への侵入を可能にする。それらはまた、疎水性表面パッチをマスキングすることにより単離されたVHドメインを安定化する。
【0277】
抗メソテリン単一ドメイン抗体(抗-MSLN dsAb)
いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、抗メソテリン単一ドメイン抗体(「抗-MSLN dsAb」)である。
【0278】
本明細書に提供される抗MSLN抗体(例えば、sdAb)は、メソテリンのアイソフォーム又はその任意の断片(配列番号56〜59のいずれか1つなど)のいずれかに結合することができる。いくつかの実施態様では、本明細書に提供される抗MSLN抗体は、配列番号56〜59又はその断片のいずれか1つに結合する。
【0279】
いくつかの実施態様では、抗MSLN dsAbは、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含み、a)抗MSLN V
Hは、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR3、又はCDR中に合計で最大5、4、3、2、若しくは1個のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含むか;又はb)抗MSLN V
Hは、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR3、又はCDR中に合計で最大5、4、3、2、若しくは1個のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。
【0280】
いくつかの実施態様では、抗MSLN dsAbは、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含み、a)抗MSLN V
Hは、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR1又はCDR1中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2又はCDR2中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR3又はCDR3中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアントを含むか;又はb)抗MSLN V
Hは、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR1又はCDR1中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2又はCDR2中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR3又はCDR3中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアントを含む。いくつかの実施態様では、抗MSLN dsAbは、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含み、a)抗MSLN V
Hは、配列番号187のアミノ酸配列を含むCDR1又はCDR1中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号188のアミノ酸配列を含むCDR2又はCDR2中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号189のアミノ酸配列を含むCDR3又はCDR3中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアントを含む。いくつかの実施態様では、抗MSLN dsAbは、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含み、a)抗MSLN V
Hは、配列番号190のアミノ酸配列を含むCDR1又はCDR1中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号191のアミノ酸配列を含むCDR2又はCDR2中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号192のアミノ酸配列を含むCDR3又はCDR3中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアントを含む。いくつかの実施態様では、抗MSLN dsAbは、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含み、a)抗MSLN V
Hは、配列番号193のアミノ酸配列を含むCDR1又はCDR1中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、配列番号194のアミノ酸配列を含むCDR2又はCDR2中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアント、及び配列番号195のアミノ酸配列を含むCDR3又はCDR3中に最大3、2、若しくは1個の置換を含むそのバリアントを含む。
【0281】
いくつかの実施態様では、抗MSLN sdAbは、配列番号173〜186のいずれかに記載の配列を有する重鎖可変ドメイン内に、CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR1、CDR2、CDR3を含む。
【0282】
F. 融合タンパク質バリアント
いくつかの実施態様では、本明細書に提供される融合タンパク質のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、融合タンパク質の全体又は任意の成分(複数可)において融合タンパク質の結合親和性及び/又は他の生物学的性質を向上させることが望ましい場合がある。融合タンパク質のアミノ酸配列バリアントは、融合タンパク質をコードする核酸配列に適切な改変を導入することによって、又はペプチド合成によって調製され得る。このような改変は、例えば、融合タンパク質のアミノ酸配列中の残基からの欠失、及び/又は残基への挿入及び/又は残基の置換を含む。最終構築物が所望の特性を有するように、欠失、挿入、及び置換を任意に組合せることで、最終構築物に到達することができる。
【0283】
I 置換、挿入、欠失及びバリアント
いくつかの実施態様では、1以上のアミノ酸置換を有する融合タンパク質バリアントが提供される。置換変異誘発のための関心部位は、アルブミン結合分子及び/又は抗原結合部分のHVR並びにFRを含む。保存的置換は表3に示されている。より多くの実質的な変化は、アミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載するように、「例示的な置換」の見出しの下に提供される。アミノ酸置換は、融合タンパク質の成分中に導入され、生成物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。節「V.調製方法」の下の小区分「1. アミノ酸配列バリアント」も参照されたい。
表3. アミノ酸置換
【表3】
【0284】
共通の側鎖特性に従って、アミノ酸をグループ化してよい:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys, Ser, Thr, Asn, Gln;
(3)酸性:Asp, Glu;
(4)塩基:His, Lys, Arg;
(5)鎖の方向に影響を与える残基:Gly, Pro;
(6)芳香族:Trp, Tyr, Phe。
【0285】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。
【0286】
1つのタイプの置換バリアントは、親抗体の1以上の超可変領域残基を置換することを含む(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)。一般に、さらなる研究のために選択され、得られたバリアント(複数可)は、親抗体に対するある生物学的特性(例えば、親和性の増大、免疫原性の低下)において修飾(例えば、改善)を有し、かつ/又は親抗体のある生物学的特性を実質的に保持するであろう。例示的な置換バリアントは、親和性成熟抗体であり、これは、例えば、本明細書に記載のものなどのファージディスプレイベースの親和性成熟技術を使用して、都合よく作製され得る。簡単に説明すると、1以上のHVR残基を変異させ、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。
【0287】
例えば、抗体親和性を向上させるために、HVR中で変更(例えば、置換)を行ってよい。そのような変更は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhuryの文献, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)参照)、及び/又はSDR(a-CDR)中で行ってよく、生じたバリアントVH又はVLは結合親和性について試験される。第2のライブラリーからの構築及び再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboomらの文献、Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O’Brienら(編), Human Press, Totowa, NJ, (2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施態様では、多様性は、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド特異的変異誘発)のいずれかによって成熟のために選択された可変遺伝子に導入される。次いで、第2のライブラリーが作製される。次いで、ライブラリーをスクリーニングして、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法はHVR指向手法を含み、その中で、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4〜6個の残基)がランダム化される。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデリングを使用して特異的に同定され得る。特に、CDR-H3及びCDR-L3はしばしば標的化される。
【0288】
いくつかの実施態様では、置換、挿入、又は欠失は、そのような変更が抗原と結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1以上のHVR内で生じてもよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書で提供される保存的置換)をHVR中で行ってよい。そのような変更は、HVR「ホットスポット」又はCDRの外側であってよい。
【0289】
変異誘発のために標的化され得る抗体の残基又は領域の同定に有用な方法は、Cunningham及びWellsらの文献(1989) Science, 244:1081-1085によって記載される「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又は基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)は、抗体と抗原の相互作用が影響を与えるか否かを決定するために同定され、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置換される。さらなる置換は、最初の置換に機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、又はさらに、抗体と抗原の間の接触点を同定するための抗原抗体複合体の結晶構造。このような接触残基及び隣接する残基は、置換の候補として標的化又は除去され得る。それらが所望の性質を含有するか否かを決定するために、バリアントをスクリーニングしてよい。
【0290】
アミノ酸配列挿入には、1つの残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さ範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個又は複数個のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPT用)又はポリペプチドへの抗体のN末端又はC末端の融合が含まれる。
【0291】
2 誘導体
いくつかの実施態様では、本明細書に提供される融合タンパク質は、当技術分野で公知であり、容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含有するようにさらに修飾されてよい。融合タンパク質の誘導体化に適する部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダム共重合体のいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー類、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール類(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性による製造上の利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量であってよく、分岐状又は非分岐状であってよい。融合タンパク質に結合したポリマーの数は変化してもよく、2以上のポリマーが結合している場合、それらは同一分子又は異なる分子であり得る。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善されるべき融合タンパク質の特定の性質又は機能、融合タンパク質誘導体が規定条件下での治療に使用されるか否かなどを含むが、これら限定されない留意事項に基づいて決定することができる。
【0292】
いくつかの実施態様では、放射線への暴露によって選択的に加熱され得る融合タンパク質及び非タンパク質部分のコンジュゲートが提供される。いくつかの実施態様では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kamらの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 11600-11605 (2005))。放射線は、任意の波長のものであってよく、通常の細胞に害はないが、融合タンパク質の非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含むが、これに限定されない。
【0293】
II-B.切断型IL-21を含む融合タンパク質
本出願はまた、切断型ヒトIL-21を含むヒトIL-21バリアントを含む融合タンパク質を提供する。理論に拘束されることなく、C末端に1〜11個のアミノ酸を欠くIL-21の切断型を含む融合タンパク質は、野生型対応物及びC末端に12個以上のアミノ酸を欠く切断された対応物よりも安定性が改善されていることが明らかになっている。本明細書に記載の切断型IL-21を含む融合タンパク質が、抗アルブミン結合部分を含む融合タンパク質に限定されないことが企図される。
【0294】
いくつかの実施態様では、a)野生型IL-21のC末端に約1〜11個のアミノ酸を欠く切断型IL-21、及びb)第2の部分(単一ドメイン抗体部分など)を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、IL-21はヒト由来である。いくつかの実施態様では、a)配列番号126、171、若しくは172のアミノ酸配列を含む切断型IL-21、及びb)第2の部分を含む融合タンパク質が提供される。いくつかの実施態様では、切断型IL-21は、C末端のL123とS133を含むL123〜S133に1以上のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、切断型IL-21は、配列番号1に記載の配列を有するIL-21のC末端のL123とS133を含むL123〜S133に任意の1個、任意の2個、任意の3個、任意の4個、任意の5個、任意の6個、任意の7個、任意の8個、任意の9個、任意の10個、又は全11個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、IL-21バリアントは、配列番号1のC末端に11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、切断型IL-21は、配列番号1のC末端に約5〜11、6〜11、7〜11、8〜11、9〜11、又は10〜11個のアミノ酸(例えば、連続アミノ酸)を欠いている。
【0295】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、少なくとも約15kDa、18kDa、20kDa、22kDa、25kDa、28kDaの分子量を有する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、約1000kDa、500kDa、250kDa、100kDa、70kDa、50kDa、40kDa、又は30kDa以下の分子量を有する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、約15kDa〜約1000kDa、約15kDa〜約500kDa、約15kDa〜約100kDa、約15kDa〜約70kDa、約20kDa〜約50kDa、約25kDa〜約30kDa、又は約28kDaの分子量を有する。
【0296】
いくつかの実施態様では、第2の部分は、半減期延長部分を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長部分はアルブミン結合部分(例えば、アルブミン結合抗体部分、例えば、単一ドメインアルブミン結合抗体部分)である。いくつかの実施態様では、半減期延長部分はFcドメイン(例えば、IgG1 Fcドメイン)である。
【0297】
いくつかの実施態様では、第2の部分は抗原結合部分を含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、約50kDa、40kDa、30kDa、20kDa又は15kDa未満の分子量を有する。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、単一ドメイン抗体部分を含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、アルブミンに特異的に結合する単一ドメイン抗体部分を含む。
【0298】
いくつかの実施態様では、第2の部分は、切断型IL-21のN末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の部分は、切断型IL-21のC末端と融合する。
【0299】
いくつかの実施態様では、第2の部分は、リンカー(IL-21に隣接するか、又はIL-21に隣接しないかのいずれかであり得る)を介して切断型IL-21と融合する。いくつかの実施態様では、第2の部分は、リンカーを介して切断型IL-21のN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、リンカーは剛性リンカーである。いくつかの実施態様では、リンカーは、可撓性リンカーである。
【0300】
III.医薬組成物
本出願によってさらに提供されるのは、本明細書に記載の融合タンパク質のいずれか1つを含む医薬組成物、及び任意に、医薬として許容し得る担体である。医薬組成物は、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、所望の純度を有する本明細書に記載の融合タンパク質を、任意選択の医薬として許容し得る担体、賦形剤又は安定剤と混合することによって調製することができる(レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences) 第16版, Osol, A.(編) (1980))。
【0301】
該医薬組成物は、好ましくは安定であるべきであり、本明細書に記載の融合タンパク質は、実質的に、保存時にその物理的及び化学的安定性並びに完全性を保持している。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技術が当技術分野において利用可能であり、ペプチド及びタンパク質薬物送達(Peptide and Protein Drug Delivery), 247-301, Vincent Lee(編), Marcel Dekker社, New York, N.Y., Pubs. (1991)及びJones, A.の文献 Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)に概説されている。選択された時間、選択された温度で安定性を測定することができる。迅速なスクリーニングのために、該製剤は40℃で2週間〜1ヶ月間維持されてよく、その時に安定性が測定される。該製剤が2〜8℃で保存される予定である場合には、一般に、該製剤は、少なくとも1ヶ月間、30℃若しくは40℃で安定であり、かつ/又は少なくとも2年間、2〜8℃で安定でなければならない。該製剤が30℃で保存される予定である場合には、一般に、該製剤は少なくとも2年間、30℃で安定であり、かつ/又は少なくとも6ヶ月間、40℃で安定でなければならない。例えば、保存中の凝集の程度は、タンパク質安定性の指標として用いることができる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の融合タンパク質の安定な製剤は、製剤中に凝集体として存在する融合タンパク質の約10%未満(好ましくは約5%未満)を含んでよい。
【0302】
許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度において、レシピエントに対して非毒性であり、緩衝剤、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む抗酸化剤;保存剤、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)、安定剤、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、EDTA及び/又は非イオン性界面活性剤などのキレート剤を含む。
【0303】
生理学的に許容し得る担体の例には、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン類;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンなどのアミノ酸類;単糖類、二糖類、並びにグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0304】
緩衝剤は、特に安定性がpH依存性である場合に、治療効果を最適化する範囲内にpHを制御するために使用される。緩衝剤は、好ましくは、約50mM〜約250mMの範囲の濃度で存在する。本出願での使用に適する緩衝剤は、有機酸と無機酸の両方及びその塩を含む。例えば、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、酢酸塩。さらに、緩衝剤は、ヒスチジン及びトリスなどのトリメチルアミン塩を含んでよい。
【0305】
保存剤は、微生物の増殖を抑制するために添加され、典型的には、0.2%〜1.0%(w/v)の範囲で存在する。保存剤の添加は、例えば、多用途(多重投与)製剤の生成を容易にし得る。本出願での使用に適する保存剤には、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物);塩化ベンゼトニウム、チメロサール、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン類;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3-ペンタノール及びm-クレゾールが含まれる。
【0306】
時には、「安定化剤」として知られている等張化剤は、組成物中の液体の張度を調節又は維持するために存在する。タンパク質及び抗体などの大きな荷電生体分子と共に使用される場合、等張化剤は、アミノ酸側鎖の荷電基と相互作用し、それによって分子間相互作用及び分子内相互作用の可能性を減少させることができるので、しばしば「安定化剤」と称される。等張化剤は、他の成分の相対量を考慮して、0.1%〜25重量%、好ましくは1%〜5%の任意の量で存在することができる。好ましい等張化剤には、多価糖アルコール類、好ましくは、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールなどの3価以上の糖アルコール類が含まれる。
【0307】
さらなる賦形剤には、以下:(1)増量剤、(2)溶解促進剤、(3)安定化剤及び(4)変性又は容器壁への付着を防止する薬剤のうちの1以上の役割を果たすことができる薬剤が含まれる。このような賦形剤には、多価糖アルコール類(上で列挙した);アラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなどのアミノ酸類;スクロース、ラクトース、ラクチトール、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビトール、ミオイニシトース(myoinisitose)、ミオイニシトール、ガラクトース、ガラクチトール、グリセロール、シクリトール(例えば、イノシトール)、ポリエチレングリコールなどの有機糖類又は糖アルコール類;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は他の免疫グロブリンなどの低分子量タンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー類;単糖類(例えば、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例えば、ラクトース、マルトース、スクロース);ラフィノースなどの三糖類;及びデキストリン又はデキストランなどの多糖類が含まれる。
【0308】
非イオン性界面活性剤(surfactant)又は界面活性剤(detergent)(「湿潤剤」としても知られている)は、治療剤を可溶化するのを助け、かつ治療用タンパク質を攪拌誘導凝集から保護するために存在し、活性のある治療用タンパク質又は抗体の変性を引き起こすことなく、製剤が剪断表面応力に曝されることも可能にする。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、好ましくは、約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在する。
【0309】
適切な非イオン性界面活性剤には、ポリソルベート(20、40、60、65、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオール類、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)-20、TWEEN(登録商標)-80など)、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、グリセロールモノステアレート、ショ糖脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが含まれる。使用することがきる陰イオン性界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムが含まれる。陽イオン性界面活性剤には、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムが含まれる。
【0310】
インビボ投与に使用される予定の医薬組成物のために、それらは無菌でなければならない。該医薬組成物は、滅菌濾過膜を介して濾過することにより無菌化され得る。該医薬組成物は、本明細書では一般に、無菌アクセスポート、例えば、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈用溶液バッグ又はバイアルを有する容器内に配置される。
【0311】
投与経路は、適切な方法で、長期間にわたる単回若しくは複数回のボーラス又は注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内又は関節内経路、局所投与、吸入又は徐放性若しくは持続放出手段による注射又は注入などによる公知の、許容される方法に従う。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、腫瘍内、又は硝子体内など局所的に投与される。
【0312】
持続放出調製物が調製され得る。持続放出調製物の適切な例には、アンタゴニストを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタミン酸塩の共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸-グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なマイクロスフェア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0313】
該医薬組成物はまた、本明細書で、治療される特定の兆候に必要なものとして2種以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してよい。あるいは、又は加えて、該組成物は、細胞毒性薬剤、化学療法剤、サイトカイン、免疫抑制剤、又は増殖抑制剤を含んでよい。そのような分子は、意図される目的に有効な量で組み合わさって適切に存在する。
【0314】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョン中のヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルそれぞれに捕捉されてもよい。このような技術は、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版に開示されている。
【0315】
本明細書に開示される抗体融合タンパク質は、免疫リポソームとして製剤化することができる。抗体融合タンパク質を含有するリポソームは、当技術分野で知られており、Epsteinらの文献, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwangらの文献, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980);並びに米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号などに記載されている方法によって調製される。循環時間が増加したリポソームについては、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0316】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって作製することができる。リポソームを規定細孔径のフィルターを通して押し出すと、所望の直径を有するリポソームが得られる。
【0317】
いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、使い捨ての密閉バイアルなどの使い捨てのバイアルに含まれる。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、多用途バイアルに含まれる。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は、容器内のバルク中に含まれる。いくつかの実施態様では、該医薬組成物は凍結保存される。
【0318】
IV. 治療方法
本出願の一態様は、本明細書に記載の融合タンパク質又は医薬組成物を用いて、個体における疾患又は病態を治療する方法を提供する。例えば、本明細書に記載の融合タンパク質は、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択されるサイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含む。いくつかの実施態様では、該アルブミン結合部分は、アルブミン結合ドメイン又は本明細書に記載のアルブミンに結合する単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。いくつかの実施態様では、本方法は、第2の薬剤を投与することをさらに含む。
【0319】
本出願の別の態様は、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i)サイトカイン及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質、並びにb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及び半減期延長ドメインは、リンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、リンカーは、1〜40個(1〜35、1〜30、1〜25、1〜20、4〜20、又は4〜16個など)のアミノ酸の長さを有する。いくつかの実施態様では、リンカーは、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインはIL-21である。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインはアルブミン結合部分(アルブミン結合ドメイン又は抗アルブミン単一ドメイン抗体など)である。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインはアルブミンである。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインはFc断片である。いくつかの実施態様では、Fc断片は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4 Fc断片又はそのバリアントからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、Fc断片はIgG1 Fc断片又はそのバリアントである。いくつかの実施態様では、IgG1 Fc断片又はそのバリアントは297位に変異を含み、297位のアミノ酸は、アラニン、アスパラギン酸又はグリシンに変異される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0320】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体、免疫チェックポイント阻害剤、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤又は免疫細胞を含む。
【0321】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体である。いくつかの実施態様では、治療抗体は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、メソテリン、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、腫瘍抗原は、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される。
【0322】
いくつかの実施態様では、腫瘍抗原はメソテリンである。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、抗メソテリン抗体又はその断片である。いくつかの実施態様では抗メソテリン抗体又はその断片は、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN V
H)を含む一本鎖抗体を含み、抗MSLN V
Hは、CDR1、CDR2、及びCDR3、その中で、a)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR3、又はCDR中に合計3、2、若しくは1個までのアミノ酸置換を含むそのバリアント;又はb)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR3、又はCDR中に合計3、2、若しくは1個のアミノ酸置換を含むそのバリアントを含む。
【0323】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は免疫チェックポイント調節剤である。いくつかの実施態様では、免疫チェックポイント調節剤は、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、CD47、TIGIT、GITR、TIM3、LAG3、4-1BB、CD27及びB7H4からなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である。いくつかの実施態様では、免疫チェックポイントタンパク質はPD-1である。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、抗PD-1抗体又はその断片である。
【0324】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、第2のサイトカインである。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質中のサイトカインはIL-21であり、第2のサイトカインは、IL-7、IL-15、IL-15Rαに結合したIL-15又はその半減期延長バリアントからなる群から選択される。
【0325】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は免疫細胞である。いくつかの実施態様では、免疫細胞はT細胞又はNK細胞を含む。いくつかの実施態様では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞、修飾されたT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞、又は腫瘍から単離されたT細胞を含む。
【0326】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、チロシンキナーゼ阻害剤である。
【0327】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、化学療法剤(ソラフェニブなど)である。
【0328】
いくつかの実施態様では、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i)IL-21及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;及びb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体など)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体など)、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、抗原結合部分(上記など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0329】
いくつかの実施態様では、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i)IL-7及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;及びb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体など)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体など)、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、抗原結合部分(上記など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0330】
いくつかの実施態様では、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i)IL-15及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;及びb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体など)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体など)、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、抗原結合部分(上記など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0331】
いくつかの実施態様では、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i) IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;及びb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体など)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体など)、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、抗原結合部分(上記など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0332】
いくつかの実施態様では、個体における疾患又は病態を治療する方法であって、a) i)IL-33及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;及びb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、第2の薬剤は、治療抗体(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体など)、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体など)、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、抗原結合部分(上記など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0333】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、上記のIL-21を含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-21、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-21のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、アルブミン結合部分と融合したIL-21(「IL-21-ALBBM」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、i)IL-21、及びii)IL-21のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに、第2の薬剤(CD20又はメソテリンなどの腫瘍抗原に結合する治療抗体、ソラフェニブなどの化学療法剤、抗PD-1抗体などの免疫調節剤)を含む。いくつかの実施態様では、癌は高レベルの腫瘍抗原を発現する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病などの)、頭頚部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0334】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、上記のIL-7を含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-7、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-7のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、アルブミン結合部分と融合したIL-7(「IL-7-ALBBM」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、i)IL-7、及びii)IL-7のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに、第2の薬剤を含む。いくつかの実施態様では、癌は高レベルの腫瘍抗原を発現する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0335】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、上記のIL-15を含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-15のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したIL-15(「IL-15-ALBBM」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、i)IL-15、及びii)IL-15のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに、第2の薬剤を含む。いくつかの実施態様では、癌は高レベルの腫瘍抗原を発現する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0336】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、上記のIL-15Rαに結合したIL-15を含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-15Rαに結合したIL-15、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-15Rαに結合したIL-15のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したIL-15Rαに結合したIL-15(「IL-15Rα-ALBBMに結合したIL-15」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、i)IL-15Rαに結合したIL-15、及びii)IL-15Rαに結合したIL-15のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに、第2の薬剤を含む。いくつかの実施態様では、癌は高レベルの腫瘍抗原を発現する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0337】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、上記のIL-33を含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-33、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-33のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したIL-33(「IL-33-ALBBM」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、i)IL-33、及びii)IL-33のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、さらに、第2の薬剤を含む。いくつかの実施態様では、癌は高レベルの腫瘍抗原を発現する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ配列である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0338】
いくつかの実施態様では、個体における炎症性疾患を治療する方法であって、融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供され、該融合タンパク質が、a)IL-22、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分が、IL-22のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、アルブミン結合部分は、アルブミン結合ドメイン又は本明細書に記載のものなどの抗アルブミン単一ドメイン抗体である。いくつかの実施態様では、個体における炎症性疾患を治療する方法であって、融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供され、該融合タンパク質は、a)IL-22、及びii)半減期延長ドメインを含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又はポリアミノ酸配列である。いくつかの実施態様では、疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は潰瘍性回腸炎、及び腸の移植片対宿主病からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0339】
いくつかの実施態様では、個体における中皮腫を治療する方法であって、上記のサイトカインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における中皮腫を治療する方法であって、i)サイトカイン、及びii)サイトカインのN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、第2の薬剤(抗メソテリン抗体など)をさらに含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ酸配列である。
【0340】
いくつかの実施態様では、個体における肺癌を治療する方法であって、上記のサイトカインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、個体における肺癌を治療する方法であって、i)サイトカイン、及びii)サイトカインのN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、第2の薬剤をさらに含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ酸配列である。
【0341】
いくつかの実施態様では、個体における卵巣癌を治療する方法であって、上記のサイトカインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、個体における卵巣癌を治療する方法であって、i)サイトカイン、及びii)サイトカインのN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、第2の薬剤をさらに含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ酸配列である。
【0342】
いくつかの実施態様では、個体における胃癌を治療する方法であって、上記のサイトカインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、サイトカインのN末端又はC末端と融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は腫瘍抗原に結合する。いくつかの実施態様では、個体における胃癌を治療する方法であって、i)サイトカイン、及びii)サイトカインのN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、本方法は、第2の薬剤をさらに含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ酸配列である。
【0343】
いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、a)上記のIL-21を含む融合タンパク質、及びb)IL-7、IL-15、IL-15Rαに結合したIL-15又はそれらの半減期延長バリアントからなる群から選択される第2のサイトカインを該個体に投与することを含む方法が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、a)IL-21、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、アルブミン結合部分は、IL-21のN末端若しくはC末端又はそのバリアントと融合する。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、アルブミン結合部分と融合したIL-21(「IL-21-ALBBM」)及びb)抗原結合部分を含み、サイトカイン-ALBBMと抗原結合部分との間の結合は、任意に切断可能である。いくつかの実施態様では、該抗原結合部分は、腫瘍抗原(メソテリンなど)に結合する。いくつかの実施態様では、個体における癌を治療する方法であって、a) i)IL-21、及びii)IL-21のN末端又はC末端と融合する半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;b)IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその半減期延長バリアントからなる群から選択される第2の薬剤を該個体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、抗体又はその断片、アルブミン、結合タンパク質(アルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質など)、抗体誘導体、又は本明細書に記載のポリアミノ酸配列である。いくつかの実施態様では、第1の半減期延長サイトカインは、任意にプロテアーゼ切断可能なペプチドリンカーを介して、第2の半減期延長サイトカインと融合する。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、個体はヒトである。
【0344】
疾患を治療するための融合タンパク質
いくつかの実施態様では、疾患又は病態を治療するための融合タンパク質は、本明細書に記載(節IIの中など)の融合タンパク質のいずれかを含む。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、i)サイトカイン及びii)サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのC末端と融合する。いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、サイトカインのN末端と融合する。いくつかの実施態様では、サイトカイン及び半減期延長ドメインは、リンカーを介して連結される。いくつかの実施態様では、リンカーは、本明細書に記載(節II-Bの中など)の任意のリンカーであり得る。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、サイトカインは、IL-21である。
【0345】
半減期延長ドメイン
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の疾患又は病態を治療するための融合タンパク質は、半減期延長ドメインを含む。
【0346】
いくつかの実施態様では、本明細書に提供される融合タンパク質は、抗体及びその断片、アルブミン、アルブミン結合タンパク質、IgG結合タンパク質、及びポリアミノ酸配列からなる群から選択される半減期延長ドメインを含む。当技術分野で利用可能な融合タンパク質の半減期を延長するための他のメカニズムも使用してもよいことが企図される。
【0347】
a)抗体及びその断片
FcRn媒介リサイクルが可能な抗体又はその断片にサイトカインを結合させることにより、対象からのサイトカインのクリアランスを低減又は別の方法で遅延させることができ、それにより、投与されたサイトカインの半減期を長くすることができる。
【0348】
いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは抗体又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、該抗体又はその断片は、FcRn媒介リサイクルが可能である、いずれかの重鎖ポリペプチド又はその一部(例えば、Fcドメイン又はその断片)などのFcRn媒介リサイクルを可能にする任意の抗体又はその断片である。FcRn媒介リサイクルは、FcRn受容体の抗体又はその断片のFc領域への結合を必要とすることが当技術分野で認識されている。例えば、複数の研究により、残基I253、S254、H435、及びY436(Kabat EUインデックス番号付けシステムによる番号付け)が、ヒトFc領域とヒトFcRn複合体との間の相互作用に重要であることを示された。例えば、Firan, M.らの文献, Int. Immunol. 13 (2001) 993-1002; Shields, R.L.らの文献 J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604を参照されたい。残基248〜259、301〜317、376〜382、及び424〜437(Kabat EUインデックス番号付けシステムによる番号付け)の様々な変異体も検査され、報告されている。Yeung, Y.A.らの文献 (J. Immunol. 182 (2009) 7667-7671。
【0349】
いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、重鎖ポリペプチド又は軽鎖ポリペプチドのいずれかを含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、重鎖ポリペプチド又は軽鎖ポリペプチドのいずれかの一部を含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、Fcドメイン又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、CH2及びCH3ドメイン又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、重鎖ポリペプチドの定常ドメインを含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、軽鎖ポリペプチドの定常ドメインを含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は、重鎖ポリペプチド又はその断片(例えば、Fcドメイン又はその断片)を含む。いくつかの実施態様では、抗体又はその断片は軽鎖ポリペプチドを含む。
【0350】
いくつかの実施態様では、抗体又はその断片はFcドメイン又はその断片を含む。いくつかの実施態様では、Fc断片は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4 Fc断片又はそのバリアントからなる群から選択される。いくつかの実施態様では、Fc断片は、IgG1 Fc断片又はそのバリアントである。いくつかの実施態様では、IgG1 Fc断片又はそのバリアントは、297位に変異を含む。いくつかの実施態様では、297位のアミノ酸はアスパラギンである。いくつかの実施態様では、297位のアミノ酸(例えば、アスパラギン)は、アラニン、アスパラギン酸又はグリシンに変異される。
【0351】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質のサイトカインは、サイトカインの第2コピーの対応する半減期延長ドメインとジスルフィド結合を形成するサイトカインの1コピーの半減期延長ドメインによって二量体を形成する。
【0352】
b)アルブミン
アルブミンは、そのサイズ及びFcRn媒介リサイクルに対する感受性により、約3週間の延長された血清半減期を有し、細胞内分解を防止する天然の担体タンパク質である。そのため、サイトカインをアルブミンに結合させることにより、サイトカインの半減期を大幅に延長することができる。この手法は、治療上有益なタンパク質の血漿半減期を延長するために行われてきた。例えば、WO 2001/079271A1及びWO 2003/59934A2を参照されたく、これらの内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。HSAのいくつかのアイソフォームを表2に列挙した。
【0353】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、アルブミンポリペプチド又はその断片若しくはバリアント(本明細書以下では「アルブミン」又は「アルブミンポリペプチド」と称する)を含む半減期延長ドメインを含む。本明細書で使用する場合、用語「アルブミン」及び「アルブミンポリペプチド」は、アルブミンの断片及びアルブミンのバリアントを含む。アルブミンポリペプチドは、アミノ末端及びカルボキシ末端を含む。アルブミンポリペプチドは、それらの内容が引用により本明細書中に組み込まれているWO 2001/079271A1; WO 2003/59934A2;米国特許公開第20160152686A1号; WO 2012/059486; WO 2011/124718;米国特許公開第20070048282号に記載されている任意のアルブミンポリペプチドなどの、その任意の断片又はバリアントを含む任意のアルブミンポリペプチドであり得る。いくつかの実施態様では、アルブミンポリペプチドはHSAである。
【0354】
c)結合タンパク質
血清中のサイトカイン又はそのバリアントの半減期を延長するためのさらなる計画は、上記のアルブミン結合タンパク質又はIgG結合タンパク質などのある結合タンパク質にサイトカインを結合させることを含む。結合タンパク質は、アルブミン又はIgGなどの半減期が延長した血清タンパク質に結合する任意のタンパク質であり得る。アルブミン及びIgGは、血清中で長い半減期を有することが知られているポリペプチドである。
【0355】
いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインはアルブミン結合タンパク質を含む。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、2種以上のアルブミン結合タンパク質を含み、それらの各々は、本明細書に記載のアルブミン結合タンパク質のいずれかであり得る。
【0356】
いくつかの実施態様では、アルブミン結合タンパク質は、本明細書に記載のものなどのアルブミンに結合するか、又は別の方法でアルブミンと会合するナノボディなどの単一ドメイン抗体又はその断片である。例えば、WO 2004041865A2及び米国特許公開第20070269422A1号を参照されたく、これらの内容は引用により本明細書中に組み込まれている。
【0357】
結合タンパク質の別の例は、IgG結合タンパク質である。IgG結合タンパク質が報告されている。特異的IgG結合タンパク質及びそれらの適用を含むIgG結合タンパク質の概要については、例えば、Choeらの文献 (2016) Materials 9(12): 994を参照されたく、これらの内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0358】
d)抗体誘導体
あるいは、本明細書に記載のサイトカインは、scFv、scFc、二重可変ドメイン(DVD)、及びCrossMab手法に基づく抗体誘導体を含むが、これらに限定されない様々な抗体誘導体に連結されてよい。例えば、Kleinらの文献 (2012), MAbs, 4(6): 653-663;米国特許公開第20070071675A1号を参照されたい。抗体誘導体は、二重特異性抗体又はその断片として操作された抗体誘導体を含む。このように、いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、scFv、scFc、二重可変ドメイン(DVD)、CrossMab手法に基づく抗体誘導体、及び二重特異性抗体又はその断片を含むが、これらに限定されない任意の抗体誘導体、バリアント、又はその融合生成物を含むことができる。
【0359】
e)ポリアミノ酸配列
血清中の融合タンパク質の半減期を延長するためのさらなる計画は、該融合タンパク質をポリアミノ酸配列に連結させることによるものである。このように、いくつかの実施態様では、半減期延長ドメインは、ポリアミノ酸配列を含む。ポリアミノ酸配列は、融合タンパク質に連結されたときに、血清中の融合タンパク質の半減期を延長することができる任意のポリアミノ酸配列であり得る。ポリアミノ酸配列の例には、PASポリペプチド及びXTENポリペプチドが含まれる。
【0360】
f)PEG化及びグリコシル化
本明細書に提供されるサイトカインの半減期を延長するためのさらなる計画には、PEG化及びさらなるグリコシル化部位の操作が含まれる。これらの計画の各々を、以下でさらに詳細に説明する。
【0361】
「PEG化」は、薬物、治療タンパク質、ポリペプチド、抗体、抗体断片、抗体誘導体などの分子及びマクロ構造、又は本明細書に提供される融合タンパク質又はその成分(例えば、融合タンパク質の半減期延長ドメイン及び/又は融合タンパク質のサイトカイン又はその機能的断片)のいずれかへの、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー鎖の共有結合又は非共有結合又は融合の過程を指す。PEG化の利点には、例えば、(1)分子の見かけのサイズを、糸球体濾過限界を超えるまで増加させるポリマーの結果としての腎クリアランスの回避、及び/又は細胞クリアランス機構の回避のいずれかによるインビボ循環半減期の顕著な改善、(2)PEGが付着した分子の抗原性及び免疫原性の低下、(3)薬物動態の改善、(4)溶解性の改善、(5)製剤及び投与選択の改善、(6)皮下注射部位における損失の減少を介した生物学的利用能の改善、(7)PEG化分子の熱的及び機械的安定性の改善が含まれる。
【0362】
様々な分子及びマクロ構造のPEG化のための方法は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許公開20140256636A1号; Fee及びDamodaranの文献 (2010) European Pharmaceutical Review, 15(1): 18-26; Chapmanらの文献 (1999) Nature Biotechnol., 17: 780-783; Yangらの文献 (2003), Protein Eng., 16(10): 761-770; Chapmanの文献, Adv. Drug. Deliv. Rev. (2002), 54(4): 531-545を参照されたく、これらの内容は、引用により本明細書中に組み込まれている。
【0363】
「グリコシル化」は、ポリペプチドへの糖又はグリコシル基の付加を指す。ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N-結合されるか、又はO-結合されるかのいずれかである。N-結合は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列のアスパラギン-X-セリン(N-X-S)及びアスパラギン-X-トレオニン(N-X-T) (式中、Xはプロリン(P)以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素結合のための認識配列である。そのため、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を形成する。O-結合グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンを使用してもよいが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの、糖類の1つ(例えば、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロース)の結合を指す。
【0364】
天然のグリコシル化は、タンパク質の分子安定性を高めることが示されている。例えば、Solaらの文献 (2007), Cell. Mol. Life Sci., 64(16): 2133-2152を参照されたい。さらなるグリコシル化部位の操作は、ほとんどの主要な物理化学的不安定性に対して、様々なタンパク質治療薬を安定化させることができることも示されている。例えば、Sola及びGriebenowの文献 (2009), J. Pharm. Sci., 98(4): 1223-1245を参照されたい。グリコシル化によって改善されることが示されている医薬に関連したタンパク質不安定性の中には、例えば、酸化;架橋;pH、化学的、熱的、及び凍結によって誘導される変性/アンフォールディング;沈殿;動力学的活性化;及び凝集がある。同上。
【0365】
融合タンパク質へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位のため)のうちの1以上が、融合タンパク質のアミノ酸配列(例えば、半減期延長ドメインのアミノ酸配列及び/又はサイトカイン若しくはその機能的断片)中に作製されるようにアミノ酸配列を変更することによって簡便に達成される。この改変はまた、(O-結合グリコシル化部位については)融合タンパク質のアミノ酸配列中(例えば、半減期延長ドメインのアミノ酸配列及び/又はサイトカイン若しくはその機能的断片中)の1以上のセリン又はトレオニン残基の付加又は置換によってなされてよい。
【0366】
g)ヘテロ二量化の改変
本明細書に記載の半減期延長ドメインは、2つの異なる半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を促進する1以上の改変を含んでよい。第1の半減期延長ドメイン及び第2の半減期延長ドメインを含むいくつかの実施態様では、その正しいヘテロ二量体形態での融合タンパク質の生成が効率的に生成されるように、第1及び第2の半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を促進することが望ましい。このように、第1の半減期延長ドメインに1以上のアミノ酸改変を行うことができ、Kleinらの文献 (2012), MAbs, 4(6): 653-663に記載されているような任意の計画を含む、当技術分野で利用可能な任意の計画を用いて、第2の半減期延長ドメインに1以上のアミノ酸改変を行うことができる。
【0367】
2つの異なる半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を促進するための1つの計画は、「ノブズイントゥーホールズ(knobs-into-holes)」と称される手法である。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、その各々がCH3ドメインを含む第1の半減期延長ドメイン及び第2の半減期延長ドメインを含む。いくつかの実施態様では、CH3ドメインを含む半減期延長ドメインは、重鎖ポリペプチド又はその断片(例えば、Fcドメイン又はその断片)である。2つの半減期延長ドメインのCH3ドメインは、例えば、WO 1996/027011; Ridgway, J.B.らの文献, Protein Eng. (1996) 9(7): 617-621; Merchant, A.M.らの文献, Nat. Biotechnol. (1998) 16(7): 677-681の中にいくつかの例と共に詳細に記載されている「ノブズイントゥーホールズ」技術によって変更することができる。Kleinらの文献 (2012), MAbs, 4(6): 653-663も参照されたい。ノブズイントゥーホールズ方法を用いて、2つのCH3ドメインの相互作用表面を変更して、2つの変更されたCH3ドメインを含む2つの半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を増大させる。これは、半減期延長ドメインのうちの1つのCH3ドメインに嵩高い残基を導入することにより生じ、これは「ノブ」として作用する。次いで、嵩高い残基を収容するために、ノブを収容することができる他の半減期延長ドメインの中に「穴」が形成される。変更されたCH3ドメインのいずれかは「ノブ」であり得、他方は「穴」であり得る。ジスルフィド架橋の導入は、ヘテロ二量体をさらに安定化し(Merchant, A.M.らの文献, Nat. Biotechnol. (1998) 16(7); Atwell, S.らの文献, J. Mol. Biol. (1997) 270(1): 26-35)並びに収率を増加させる。例えば、「ノブ」と「穴」としての機能を促進する例示的な配列は開示されており、配列番号164〜167の配列に含まれる配列を含む。いくつかの実施態様では、CH3ドメインは、Y349C、T366S、L368A、Y407V、S354C、T366Wから選択される1以上の変異を有する。
【0368】
2つの異なる半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を促進するための別の計画は、荷電残基を変えることによってヘテロ二量体化を支持するイオン相互作用の安定化によるものである。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、その各々がCH3ドメインを含む第1の半減期延長ドメイン及び第2の半減期延長ドメインを含む。いくつかの実施態様では、CH3ドメインを含む半減期延長ドメインは、重鎖ポリペプチド又はその断片(例えば、Fcドメイン又はその断片)である。2つの異なるFcドメイン間の電荷極性を変えることにより、ホモ二量体化が抑制される一方で、ヘテロ二量体化が支持されるようにイオン相互作用を生じさせることができることが観察されている。例えば、WO 2006/106905A1; Gunasekaranらの文献 (2010) 285(25): 19637-19646を参照されたい。例えば、Fcドメインの負に帯電したE356対は、別のFcドメインの正に帯電したK439と対を形成し、第1のFcドメインの負に帯電したE357、E357、及びD399は、それぞれ、第2のFcドメインの正に帯電したK439、K370、及びK409と対を形成することが観察された。WO 2006/106905A1; Gunasekaranらの文献 (2010) 285(25): 19637-19646を参照されたい。このように、E356K、E357K、及びD399Kの変異のうちの少なくとも2つを第1のFcドメインに導入し、変異K370E、K409D、及びK439Eを第2のFcドメインに導入することにより、ホモ二量体形成を抑制しながら、効率的なヘテロ二量化を達成することができる。同上。第1のFc鎖にK392D及びK409D変異を導入し、第2のFc鎖にD399K及びE356Kの変異を導入することにより、効率的なヘテロ二量化が達成された。Gunasekaranらの文献 (2010) 285(25): 19637-19646。
【0369】
2つの異なる半減期延長ドメインのヘテロ二量体化を促進するための別の計画は、ヘテロ二量体化を促進し、かつ/又はホモ二量体化を抑制することができる変更を特定するための構造及び配列に基づく手法を用いることによるものである。ヘテロ二量体化を促進する変更を特定する方法の中には、その内容が引用により本明細書中に組み込まれているMooreらの文献 (2011) 3(6): 546-557の中でとられている手法のように、構造計算を行い、CH3-CH3二量体界面を越えて相互作用する残基について、対になったバリアント組合せのエネルギーを決定することである。Mooreらは、さらなる分析のための出発点として、ホモ二量体形態と比較して、ヘテロ二量体形態でより低いエネルギーを有すると予測された対を特定した。89%のヘテロ二量体化収率が、第1のFcドメインにS364H及びF405A変異を導入し、第2のFcドメインにY349T及びT394F変異を導入することによって達成することができることが観察された。同上。
【0370】
疾患又は障害
本明細書に記載の方法は、疾患又は障害を治療するために使用することができる。いくつかの実施態様では、疾患又は病態は、癌、炎症状態、及び感染症からなる群から選択される。
【0371】
いくつかの実施態様では、疾患又は病態は、炎症性疾患である。いくつかの実施態様では、疾患は、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は潰瘍性回腸炎、及び腸移植片対宿主病からなる群から選択される。
【0372】
いくつかの実施態様では、疾患又は病態は癌である。いくつかの実施態様では、癌は、固体又は液体の腫瘍である。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、白血病(急性骨髄性白血病など)、頭頸部癌、肝臓癌、腎癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様では、癌は、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される。
【0373】
投与計画
融合タンパク質及び/又は第2の薬剤は、任意の適切な投薬量及び投与経路を使用して個体に投与されてよい。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質及び/又は第2の薬剤は、個体に非経口投与される。投与経路は、適切な方法、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、病巣内、関節内、腫瘍内、又は経口経路による注射又は注入で、ある期間にわたる単回若しくは複数回のボーラス又は注入などによって既知の、許容される方法に従う。
【0374】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質及び第2の薬剤は、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)又は連続的に個体に投与される。
【0375】
適切な投薬量又は投与経路の決定は、十分に当業者の技量の範囲内である。動物実験は、ヒト診断用途に有効な用量の決定についての信頼性の高い指針を提供する。有効用量の種間の調整は、Toxicokinetics and New Drug Developmentの中のMordenti, J.及びChappell, W.の文献、「毒物動態における種間調整の使用(The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics)」,Yacobiら(編), Pergamon Press, New York 1989, pp. 42-46に記載されている原理に従って実施することができる。
【0376】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、約3週間に1回から約1週間に2回(約3週間に1回から約2週間に1回、約2週間に1回から約1週間に1回、約1週間に1回から約1週間に2回)投与される。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、約3週間に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、約1週間に2回以上で投与される。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、約3週間に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、約1週間に2回以下で投与される。いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は約3週間に1回、約2週間に1回、約1週間に1回、約1週間に2回投与される。
【0377】
いくつかの実施態様では、該融合タンパク質は、各治療サイクルについて、少なくとも約1週間〜6ヶ月間(1週間から2、3、又は4週間、1週間から1、2、3、4、5、又は6ヶ月間、1ヶ月から2、3、4、5、又は6ヶ月間、3ヶ月から4、5、又は6ヶ月間)投与される。
【0378】
いくつかの実施態様では、各投与のための融合タンパク質の量は、約100ng/kg〜約10mg/kg(例えば、約100ng/kg〜約500ng/kg、約500ng/kg〜約1μg/kg、約1μg/kg〜約5μg/kg、約5μg/kg〜約10μg/kg、約10μg/kg〜約50μg/kg、約50μg/kg〜約100μg/kg、約100μg/kg〜約500μg/kg、約500μg/kg〜約1mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg)である。
【0379】
いくつかの実施態様では、第2の薬剤(メソテリン又はPD-1の阻害剤に結合する治療抗体など)は、1ヶ月あたり約1回から1週間あたり約2回(1ヶ月あたり約1回から約1ヶ月に2回、3回又は4回、約2週間に1回、約3週間に1回、約1週間に1回、又は各週に2回)投与される。
【0380】
いくつかの実施態様では、各投与のための第2の薬剤(メソテリン又はPD-1の阻害剤に結合する治療抗体など)の量は、約100ng/kg〜約100mg/kg(例えば、約100ng/kg〜約500ng/kg、約500ng/kg〜約1μg/kg、約1μg/kg〜約5μg/kg、約5μg/kg〜約10μg/kg、約10μg/kg〜約50μg/kg、約50μg/kg〜約100μg/kg、約100μg/kg〜約500μg/kg、約500μg/kg〜約1mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約5mg/kg〜約10mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kg、又は約50mg/kg〜約100mg/kg)である。
【0381】
V. 調製方法
本明細書に記載の融合タンパク質及び本明細書に記載の融合タンパク質の成分(アルブミン結合部分、サイトカイン又はそのバリアント、抗原結合部分など)は、当技術分野で知られているタンパク質の発現及び精製の方法のいずれかによって調製され得る。
【0382】
いくつかの実施態様では、本出願は、融合タンパク質、アルブミン結合部分、サイトカイン若しくはそれらのバリアント、又は抗原結合部分のいずれか1つのポリペプチド鎖のうちの1以上をコードする単離核酸を提供する。いくつかの実施態様では、単離核酸は、配列番号46〜51及び60〜95のアミノ酸配列のいずれかをコードする核酸配列を含む。
【0383】
いくつかの実施態様では、単離核酸は、発現ベクター、ウイルスベクター、又はクローニングベクターなどのベクターに挿入される。核酸の発現については、ベクターを宿主細胞内に導入すると、宿主細胞内での核酸の発現が可能になり得る。発現ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択マーカー、及びシグナル配列を含むが、これらに限定されない発現を制御するための様々な要素を含み得る。これらの要素は、当業者によって適宜選択されてよい。例えば、プロモーター配列は、ベクター中のポリヌクレオチドの転写を促進するように選択されてよい。適切なプロモーター配列には、T7プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、βアクチンプロモーター、EF1aプロモーター、CMVプロモーター、及びSV40プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。エンハンサー配列は、核酸の転写を増強するように選択されてよい。選択マーカーは、ベクターを用いて挿入された宿主細胞とそうでない宿主細胞の選択を可能にするために選択され得るが、例えば、選択マーカーは、抗生物質耐性を付与する遺伝子であってよい。シグナル配列は、発現したポリペプチドが宿主細胞の外側に輸送されることを可能にするように選択されてよい。いくつかの実施態様では、単離核酸は、シグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。
【0384】
いくつかの実施態様では、上記のベクターを含む単離された宿主細胞が提供される。ベクターを含む宿主細胞は、単離核酸の発現又はクローニングに有用であり得る。適切な宿主細胞には、原核細胞、真菌細胞、酵母細胞、又は哺乳動物細胞などの高等真核細胞を含むことができるが、これらに限定されない。大腸菌などの原核細胞における抗体及び抗原結合断片の発現は、当技術分野において十分に確立されている。概説については、例えば、Pluckthun, A.の文献、BioTechnology 9: 545-551 (1991)を参照されたい。培養中の真核細胞における発現はまた、抗体又はその抗原結合断片の生成のための選択肢として当業者に利用可能であり、最近の概説、例えば、Ref, M. E.の文献 (1993) Curr. Opinion Biotech. 4: 573-576; Trill J. J.らの文献 (1995) Curr. Opinion Biotech 6: 553-560を参照されたい。特に、多細胞生物由来の高等真核細胞は、グリコシル化ポリペプチドの発現に用いることができる。適切な高等真核細胞には、無脊椎動物細胞及び昆虫細胞、並びに脊椎動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0385】
ベクターは、DEAE-デキストラン媒介送達、リン酸カルシウム沈殿法、カチオン性脂質媒介送達、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、微小発射体衝撃(microprojectile bombardment)、受容体媒介遺伝子送達、ポリリジン、ヒストン、キトサン、及びペプチドを介する送達を含むが、これらに限定されない当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて宿主細胞に導入することができる。目的のベクターの発現のための細胞のトランスフェクション及び形質転換のための標準的な方法は、当技術分野において周知である。いくつかの実施態様では、宿主細胞は、第1のポリペプチドをコードする第1のベクター及び第2のポリペプチドをコードする第2のベクターを含む。いくつかの実施態様では、宿主細胞は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドをコードする単離核酸を含む単一ベクターを含む。
【0386】
いくつかの実施態様では、本出願は、本明細書に記載の融合タンパク質、アルブミン結合部分、サイトカイン又はそれらのバリアント、又は抗原結合部分のいずれかを発現させる方法であって、ベクターを含有する単離宿主細胞を培養し、細胞培養物から融合タンパク質、アルブミン結合部分、サイトカイン又はそのバリアント、又は抗原結合部分を回収することを含む方法を提供する。単離宿主細胞は、ベクター中に挿入された単離核酸の発現を可能にする条件下で培養される。ポリヌクレオチドの発現に適切な条件は、適切な培地、培地中の宿主細胞の適切な密度、必要な栄養物の存在、補助因子の存在、適切な温度及び湿度、並びに微生物混入物質の不在を含み得るが、これらに限定されない。当業者は、発現のために、必要に応じて適切な条件を選択することができる。
【0387】
発現したポリペプチド(複数可)は、任意の適切な方法を用いて収集することができる。ポリペプチド(複数可)は、細胞内で、ペリプラズム空間内で発現させることができるか、又は細胞外で培地中に分泌させることができる。ポリペプチドが細胞内で発現する場合、ポリペプチドを含有する宿主細胞は溶解され、ポリペプチドは、遠心分離又は限外濾過によって不要なデブリを除去することにより溶解物から単離され得る。ポリペプチドが大腸菌のペリプラズム空間に分泌される場合、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)などの薬剤の存在下で約30分間解凍してよく、細胞デブリは遠心分離により除去することができる(Carterらの文献, BioTechnology 10:163-167 (1992))。ポリペプチドが培地中に分泌されると、細胞培養物の上清を回収し、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amincon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて濃縮してよい。タンパク質分解及び/又は混入微生物の増殖を抑制するために、プロテアーゼ阻害剤及び/又は抗生物質を、収集及び濃縮の工程で含めてよい。
【0388】
発現したポリペプチド(複数可)は、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、イオン交換カラム上でのイオン交換分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンセファロース上でのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などの適切な方法によってさらに精製することができる(概説については、Bonner, P. L.らの文献, Taylor & Francisによって出版されたタンパク質精製(Protein purification), 2007; Janson, J. C.らの文献、Wiley-VCHによって出版された「タンパク質精製: 原理、高分解能の方法と適用(Protein purification: principles, high resolution methods and applications)」,1998を参照されたい)。
【0389】
いくつかの実施態様では、ポリペプチドはアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。いくつかの実施態様では、プロテインAクロマトグラフィー又はプロテインA/G(プロテインAとプロテインGの融合タンパク質)クロマトグラフィーは、抗体CH2ドメイン及び/又はCH3ドメイン及び/又はVH及び/又はV
HHから誘導される成分を含むポリペプチドの精製に有用であり得る(Lindmarkらの文献, J. Immunol. Meth. 62:1-13 (1983)); Zettlit, K. A.の文献, Antibody Engineering, Part V, 531-535, 2010; Fridyらの文献 2015. Analytical Biochemistry 477, 92-94; Henryらの文献 2016. PLoS One. 2016; 11(9): e0163113)。いくつかの実施態様では、プロテインGクロマトグラフィーは、IgG γ3重鎖を含むポリペプチド及び/又はポリペプチド複合体の精製に有用であり得る(Gussらの文献, EMBO J. 5:1567 1575 (1986))。いくつかの実施態様では、タンパク質Lクロマトグラフィーは、κ軽鎖を含むポリペプチド及び/又はポリペプチド複合体の精製に有用であり得る(Sudhir, P.の文献, Humana Press によって出版された抗原操作のプロトコル(Antigen engineering protocols), 26章, 1995; Nilson, B. H. K.らの文献 J. Biol. Chem., 267, 2234-2239 (1992))。親和性リガンドが結合するマトリックスは、最も多くの場合アガロースであるが、他のマトリックスが利用可能である。制御された細孔ガラスなどの機械的に安定なマトリックス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースで達成することができる場合よりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合には、Bakerbond ABX樹脂(J. T. Bakerの文献, Phillipsburg, N.J.)は、精製に有用である。
【0390】
VI. 製品及びキット
本発明のいくつかの実施態様では、個体に融合タンパク質を投与するための、個体における疾患又は病態(癌又は炎症性疾患など)の治療に有用な材料を含有する製品が提供される。製品は、容器と、容器上の若しくは容器に付随するラベル又は添付文書を含むことができる。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器などが含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されてよい。一般的に、容器は、本明細書に記載の疾患又は障害を治療するのに有効な組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してよい(例えば、容器は、静脈用溶液バッグ又は皮下注射針によって穿刺可能なストッパを有するバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載の融合タンパク質である。ラベル又は添付文書は、組成物が特定の状態を治療するために使用されることを示す。ラベル又は添付文書は、融合タンパク質を患者に投与するための説明書をさらに含む。本明細書に記載の併用療法を含む製品及びキットも企図される。
【0391】
添付文書は、そのような治療用生成物の使用に関する表示、使用、投薬量、投与、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む治療用生成物の商業的パッケージに習慣的に含まれる説明書を指す。いくつかの実施態様では、添付文書は、組成物が疾患又は病態(癌又は炎症性疾患など)を治療するために使用されることを示す。
【0392】
さらに、製品は、注射用の静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液などの医薬として許容し得る緩衝剤を含む第2の容器をさらに含んでよい。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及び注射器を含む、商業的及び利用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでよい。
【0393】
例えば、本明細書に記載の疾患又は病態(癌又は炎症性疾患などの)の治療のために、任意に、製品と組合せて融合タンパク質を個体に投与するための様々な目的に有用なキットも提供される。本発明のキットは、融合タンパク質組成物(又は単位剤形及び/又は製品)を含む1以上の容器を含み、いくつかの実施態様では、別の薬剤(本明細書に記載の薬剤など)及び/又は本明細書に記載の方法のいずれかに従って使用するための説明書をさらに含む。該キットは、治療に適する個体の選択の記述をさらに含んでよい。本発明のキットに供給される説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)上に書かれた説明書であるが、機械可読命令(例えば、磁気又は光学式記憶ディスクで搬送される命令)も許容し得る。
【0394】
例えば、いくつかの実施態様では、該キットは、融合タンパク質を含む組成物を含む。いくつかの実施態様では、該キットは、a)融合タンパク質を含む組成物、及びb)有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの他の薬剤を含む。いくつかの実施態様では、該キットは、a)融合タンパク質を含む組成物、及びb)治療のために該融合タンパク質組成物を個体に投与するための説明書を含む。いくつかの実施態様では、該キットは、a)融合タンパク質を含む組成物、及びb)有効量の本明細書に記載の少なくとも1つの他の薬剤、及びc)治療のための融合タンパク質組成物及び他の薬剤(複数可)を個体に投与するための説明書を含む。融合タンパク質及び他の薬剤(複数可)は、別個の容器又は単一の容器内に存在することができる。例えば、該キットは、1つの別個の組成物又は2以上の組成物を含んでよく、その中の1つの組成物が融合タンパク質を含み、別の組成物が別の薬剤を含む。
【0395】
本発明のキットは、適切な包装の中にある。適切な包装には、バイアル、ボトル、ジャー、及び可撓性包装(例えば、密閉マイラー(Mylar)又はプラスチック袋)などが含まれるが、これらに限定されない。キットは、任意に、緩衝剤などのさらなる成分及び解釈情報を提供し得る。このように、本出願はまた、バイアル(密閉バイアルなど)、ボトル、ジャー、及び柔軟性包装などを含む製品を提供する。
【0396】
融合タンパク質組成物の使用に関する説明書は、一般に、投薬量、投与スケジュール、及び意図された治療のための投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、マルチ用量パッケージ)又はサブユニット用量であってよい。例えば、1週間、8日、9日、10日、11日、12日、13日、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、又はそれ以上のいずれかなどの長期間、個体の有効な治療を提供するために、本明細書に開示される融合タンパク質の十分な投薬量を含有するキットが提供され得る。キットはまた、融合タンパク質及び医薬組成物の複数の単位用量及び使用説明書を含んでよく、薬局、例えば、病院薬局及び調合薬局での保存及び使用に十分な量で包装されてよい。
【0397】
当業者なら、本発明の範囲及び趣旨内でいくつかの実施態様が可能であることを認識する。以下の非限定的な実施例を参照して、これから本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0398】
(例示的な実施態様)
1. a)サイトカイン、及びb)アルブミン結合部分(アルブミンに結合するsdAbなど)を含み、該サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される、融合タンパク質。
【0399】
2.a)アルブミン結合部分と融合したサイトカイン(「サイトカイン-ALBBM」)、及びb)抗原結合部分を含み、該サイトカイン-ALBBMと該抗原結合部分との間の結合が、任意に切断可能である、融合タンパク質。
【0400】
3.該サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、IL-33、及びIL-22からなる群から選択される、請求項2記載の融合タンパク質。
【0401】
4.該サイトカインがIL-21である、請求項1〜3のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0402】
5.該IL-21が、配列番号1、2、126、171、若しくは172、又は配列番号1、2、126、171、若しくは172に少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項4記載の融合タンパク質。
【0403】
6.該アルブミン結合部分が、ヒト血清アルブミン(HSA)及び/又はカニクイザル血清アルブミン(CMSA)に結合する、請求項1〜5のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0404】
7.該アルブミン結合部分が、アルブミン結合ドメイン(ABD)を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0405】
8.該アルブミン結合ドメインが、配列番号3〜11又は配列番号3〜11のいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性を含むそのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0406】
9.該アルブミン結合部分が、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0407】
10.該sdAbがVHH単一ドメイン抗体である、請求項9記載の融合タンパク質。
【0408】
11.該アルブミン結合部分がサイトカインのC末端と融合する、請求項1〜10のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0409】
12.該アルブミン結合部分がサイトカインのN末端と融合する、請求項1〜10のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0410】
13.該サイトカインと該アルブミン結合部分が、第1のリンカーを介して連結されている、請求項1〜12のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0411】
14.該第1のリンカーが、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する、請求項13記載の融合タンパク質。
【0412】
15.該第1のリンカーが、配列番号12〜26及び158〜159からなる群から選択される、請求項13又は請求項14記載の融合タンパク質。
【0413】
16.該抗原結合部分が、該サイトカイン-ALBBMのC末端と融合する、請求項2〜15のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0414】
17.該抗原結合部分が、該サイトカイン-ALBBMのN末端と融合する、請求項2〜15のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0415】
18.該抗原結合部分が、第2のリンカーを介して該サイトカイン-ALBBMと融合する、請求項2〜17のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0416】
19.該第2のリンカーが、約1〜30個のアミノ酸の長さを有する、請求項18記載の融合タンパク質。
【0417】
20.該第2のリンカーが切断可能である、請求項18又は請求項19記載の融合タンパク質。
【0418】
21.該切断可能なリンカーが、マトリックスメタロプロテアーゼ、レグマイン、マトリプターゼ、又はウロキナーゼ感受性である、請求項20記載の融合タンパク質。
【0419】
22.該第2のリンカーが、配列番号12〜45及び158〜159からなる群から選択される、請求項18〜21のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0420】
23.該抗原結合部分が腫瘍抗原に結合する、請求項2〜22のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0421】
24.該腫瘍抗原が、メソテリン(「MSLN」)、GPA33、Her-2、EGFR、及びCD20からなる群から選択される、請求項23記載の融合タンパク質。
【0422】
25.該腫瘍抗原が、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される、請求項23記載の融合タンパク質。
【0423】
26.該抗原結合部分が、抗体又はその断片である、請求項2〜25のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0424】
27.該抗原結合部分が単一ドメイン抗体(sdAb)を含む、請求項2〜26のいずれか一項記載の融合タンパク質。
【0425】
28.抗原結合部分がVHH単一ドメイン抗体を含む、請求項27記載の融合タンパク質。
【0426】
29.該sdAbがメソテリンに結合する、請求項27記載の融合タンパク質。
【0427】
30.請求項1〜29のいずれか一項記載の融合タンパク質を含む医薬組成物。
【0428】
31.個体における疾患又は病態を治療する方法であって、請求項1〜29のいずれか一項記載の融合タンパク質又は請求項30記載の医薬組成物を該個体に投与することを含む、前記方法。
【0429】
32.第2の薬剤を投与することをさらに含む、請求項31記載の方法。
【0430】
33.個体における疾患又は病態を治療する方法であって、i)サイトカイン及びii)該サイトカインと融合した半減期延長ドメインを含む融合タンパク質;並びにb)第2の薬剤を該個体に投与することを含む、前記方法。
【0431】
34.該半減期延長ドメインがアルブミン結合部分である、請求項33記載の方法。
【0432】
35.該半減期延長ドメインがアルブミンである、請求項33記載の方法。
【0433】
36.該半減期延長ドメインがFc断片である、請求項33記載の方法。
【0434】
37.該Fc断片が、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4 Fc断片又はそれらのバリアントからなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【0435】
38.該Fc断片が、IgG1 Fc断片又はそのバリアントである、請求項37記載の方法。
【0436】
39.該IgG1 Fc断片又はそのバリアントが297位に変異を含み、297位の該アミノ酸がアラニン、アスパラギン酸又はグリシンに変異している、請求項38記載の方法。
【0437】
40.該個体がヒトである、請求項31〜39のいずれか一項記載の方法。
【0438】
41.該疾患又は病態が、癌、炎症状態、及び感染からなる群から選択される、請求項31〜40のいずれか一項記載の方法。
【0439】
42.該疾患又は病態が炎症性疾患である、請求項41記載の方法。
【0440】
43.該サイトカインがIL-22である、請求項42記載の方法。
【0441】
44.該疾患が、潰瘍性大腸炎、クローン病、又は潰瘍性回腸炎、及び腸移植片対宿主病からなる群から選択される、請求項42又は請求項43記載の方法。
【0442】
45.該疾患又は病態が癌である、請求項41記載の方法。
【0443】
46.該癌が固体又は液体の腫瘍である、請求項45記載の方法。
【0444】
47.該癌が、中皮腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、リンパ腫、白血病、頭頸部癌、肝臓癌、食道癌、胃癌、及び結腸直腸癌からなる群から選択される、請求項45記載の方法。
【0445】
48.該癌が、中皮腫、肺癌、卵巣癌、及び胃癌からなる群から選択される、請求項47記載の方法。
【0446】
49.該サイトカインが、IL-21、IL-7、IL-15、IL-15Rα又はその断片に結合したIL-15、及びIL-33からなる群から選択される、請求項45〜48のいずれか一項記載の方法。
【0447】
50.該融合タンパク質が、約3週間に1回から約1週間に2回投与される、請求項31〜49のいずれか一項記載の方法。
【0448】
51.各投与のための融合タンパク質の量が、約100ng/kg〜約10mg/kgである、請求項31〜50のいずれか一項記載の方法。
【0449】
52.該融合タンパク質が、個体に非経口投与される、請求項31〜51のいずれか一項記載の方法。
【0450】
53.該融合タンパク質が、個体に静脈内又は皮下投与される、請求項52記載の方法。
【0451】
54.該融合タンパク質が、各治療サイクルについて少なくとも約1週間〜6ヶ月間投与される、請求項31〜53のいずれか一項記載の方法。
【0452】
55.該第2の薬剤が、治療抗体、免疫チェックポイント阻害剤、第2のサイトカイン、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又は免疫細胞を含む、請求項32〜54のいずれか一項記載の方法。
【0453】
56.該第2の薬剤が治療抗体である、請求項55記載の方法。
【0454】
57.該治療抗体が腫瘍抗原に結合する、請求項56記載の方法。
【0455】
58.該腫瘍抗原が、メソテリン(MSLN)、GPA33、Her-2(ERBB2)、EGFR、及びCD20(MS4A1)からなる群から選択される、請求項57記載の方法。
【0456】
59.該腫瘍抗原が、CEA、MUC16、MUC1、AFP、EPCAM、CD19、CD21、CD22、CD30、CD33、CD37、CD45、PSMA、及びBCMAからなる群から選択される、請求項57記載の方法。
【0457】
60.該腫瘍抗原がメソテリンである、請求項59記載の方法。
【0458】
61.該第2の薬剤が、抗メソテリン抗体又はその断片である、請求項60記載の方法。
【0459】
62.該抗メソテリン抗体又はその断片が、抗メソテリン重鎖可変領域(抗MSLN VH)を含む一本鎖抗体を含む、請求項61記載の方法であり、その中で:
【0460】
a)該抗MSLN VHが、配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR3、又は該CDR中に合計3、2又は1個までのアミノ酸置換を含むそれらのバリアントを含むか、又は
【0461】
b)該抗MSLN VHが、配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むCDR3、又は該CDR中に合計3、2又は1個までのアミノ酸置換を含むそれらのバリアントを含む、前記方法。
【0462】
63.メソテリンに結合する第2の薬剤が、1ヶ月あたり約1回から1週間あたり約2回投与される、請求項60〜62のいずれか一項記載の方法。
【0463】
64.各投与のための第2の薬剤の量が、約100ng/kg〜約100mg/kgである、請求項60〜63のいずれか一項記載の方法。
【0464】
65.該第2の薬剤が免疫チェックポイント調節剤である、請求項55のいずれか一項記載の方法。
【0465】
66.該免疫チェックポイント調節剤が、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、4-1BB、CD47、TIGIT、GITR、TIM3、LAG3、CD27及びB7H4からなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である、請求項65記載の方法。
【0466】
67.該免疫チェックポイントタンパク質がPD-1である、請求項66記載の方法。
【0467】
68.該第2の薬剤が、抗PD-1抗体又はその断片である、請求項67記載の方法。
【0468】
69.各投与のための第2の薬剤の量が、約1μg/kg〜約100mg/kgである、請求項67又は68記載の方法。
【0469】
70.該第2の薬剤が、第2のサイトカインである、請求項55記載の方法。
【0470】
71.該融合タンパク質中のサイトカインがIL-21であり、該第2のサイトカインが、IL-7、IL-15、IL15Rαに結合したIL15又はそれらの半減期延長バリアントからなる群から選択される、請求項70記載の方法。
【0471】
72.該第2の薬剤が免疫細胞である、請求項55記載の方法。
【0472】
73.該免疫細胞が、T細胞又はNK細胞を含む、請求項72記載の方法。
【0473】
74.該免疫細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞、修飾T細胞受容体(TCR)を発現するT細胞、又は腫瘍から単離されたT細胞を含む、請求項73記載の方法。
【0474】
75.該第2の薬剤がチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項55記載の方法。
【0475】
76.該第2の薬剤が、個体に非経口又は経口投与される、請求項32〜75のいずれか一項記載の方法。
【0476】
77.該第2の薬剤が、個体に非経口投与される、請求項76記載の方法。
【0477】
78.該第2の薬剤が、個体に静脈内投与される、請求項77記載の方法。
【0478】
79.該融合タンパク質及び該第2の薬剤が、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)又は連続的に個体に投与される、請求項32〜78のいずれか一項記載の方法。
【実施例】
【0479】
(実施例)
以下の実施例は、本出願の純粋な例示であることが意図されており、したがって、決して適用を制限するものと見なされるべきではない。以下の実施例及び詳細な説明は、例示のためのものであり、限定するものではない。
【0480】
実施例1:例示的なIL-21融合タンパク質
この実施例は、本明細書で提供されるある例示的なIL-21融合タンパク質を示す。この実施例に記載の例示的なIL-21融合タンパク質は、本発明の全範囲を表すことを意図するものではないことを理解すべきである。
【0481】
IL-21-(HSA結合分子)-(抗MSLN)は、本明細書では、1)IL-21又はそのバリアント、例えば、切断型IL-21;2)ヒト血清アルブミン(HSA)に結合するペプチド(例えば、ABD又はsdAb);3)腫瘍抗原メソテリン(MSLN)を標的とする1以上の抗体又はその抗原結合断片;4)IL-21のC末端とαHSAのN末端とを連結する4〜20個のアミノ酸で構成される第1のリンカー(L1);及び5)αHSAのC末端と抗MSLNのN末端とを連結する4〜20個のアミノ酸で構成される第2のリンカー(L2)を含むある例示的なIL融合タンパク質を表すために使用される。
【0482】
IL-21は、配列番号1のアミノ酸配列を有することができる。あるいは、IL-21は、配列番号2のアミノ酸配列を有する切断型ヒトIL-21であり得る。
【0483】
HSA結合ペプチドのいくつかの選択肢についての配列(配列番号3〜配列番号11)の表を参照されたい。
【0484】
例示的なL1及びL2リンカーは、独立して選択される配列番号12〜45及び158〜159であり得る。
【0485】
ある例示的なIL-21融合タンパク質では、抗MSLN機能モジュールは、メソテリンの異なるドメインを標的とする2つの単一ドメイン抗体(sdAb)を含み、2つのsdAbは、4〜20個のアミノ酸(L3)で構成される第3のリンカーによって連結される。L3リンカーは、配列番号14及び19〜22から選択することができる。
【0486】
本実施例の例示的なIL-21融合タンパク質の設計は、上記のIL-21融合タンパク質の様々な成分の全ての可能な組合せを企図する。
【0487】
実施例2:抗MSLN単一ドメイン抗体の作製
ラマに免疫接種するために、2つの異なる抗原ペプチドを用いて、抗MSLN単一ドメイン抗体(VHH抗体)を生成した。第1の抗原ペプチド(MSLN抗原1)は、細胞膜に固定されたMSLNを表す。第2の抗原ペプチド(MSLN抗原2)は、細胞膜に固定されたMSLNのC末端を表す。これら2つのペプチドの配列は以下の通りである:
MSLN抗原1(MSLN切断型)
【化3】
MSLN抗原2(MSLN C末端)
【化4】
【0488】
免疫後、RNA抽出のために末梢単核細胞(PBMC)を単離した。VHH抗体ファージディスプレイライブラリーを、抗体遺伝子をコードするmRNA/cDNAを用いて構築した。構築したファージディスプレイライブラリーを、抗原との親和性結合の複数ラウンドを経てスクリーニングした。陽性クローンをELISAにより同定した。陽性クローンの抗体遺伝子を配列決定し、CHO細胞発現のためにUCOEベクター(EMD Millipore)にクローニングした。
【0489】
例示的な抗MSLN単一ドメイン(VHH)抗体を以下の表4に列挙する。例示的な抗MSLN単一ドメイン抗体のCDR配列を以下の表5に列挙する。
表4
【表4】
表5
【表5】
【0490】
実施例3:IL-21融合タンパク質の分子クローニング
オリゴヌクレオチド合成
例示的なオリゴヌクレオチド合成手順を以下に記載する。ヒトIL-21全長をコードするcDNA配列(配列番号1)、ヒトIL-21切断型(配列番号2)、G148-ABD-wt(配列番号3)、低免疫原性G148-ABDバリアント(配列番号4〜11)、HSAを標的とするヒト化sdAb、及びMSLNを標的とするヒト化sdAb(例えば、表4に列挙したもの)を、NgoMIV制限酵素部位、及び5'に付加されたKozak配列及び3'に付加されたSalI制限酵素部位と共に、GeneArt遺伝子合成(ThermoFisher Scientific)又はgBlocks遺伝子断片(Integrated DNA Technologies)を用いる遺伝子合成によって取得した。これらの遺伝子のコドン使用を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における発現のために最適化した。合成オリゴヌクレオチドを、NgoMIV/SalI消化-ライゲーション法によりUCOE発現ベクターCET1019-AS-Puro (CS221284, Millipore Sigma)に挿入した。
【0491】
IL-21融合タンパク質発現ベクターの構築
IL-21融合タンパク質発現ベクターの構築を本明細書に例示する。IL-21のC末端を、ペプチドリンカー(L1)を介してアルブミン結合ドメイン又はアルブミン結合sdAb(αHSA)のN末端と融合し、アルブミン結合ドメイン又はアルブミン結合sdAbのC末端を、第2のペプチドリンカー(L2)を介してメソテリン結合sdAb(抗MSLN)と融合した。これらのポリペプチドをコードするDNA配列を、Gibsonアセンブリ(Synthetic Genomics)又は同様のインビトロ組換え法によって、シームレスに一緒にアセンブリすることができる。Gibsonアセンブリ反応のためにその隣接する断片に重複する配列を有するDNA断片を生成するために、L1若しくはL2リンカーペプチドをコードする20〜40塩基対(bp)の重複配列又はCET1019-AS-Puroベクター配列を、プライマーの5'末端に導入した(
図2、工程1参照)。増幅後、PCR産物を精製し、PureLinkゲル抽出キット(ThermoFisher Scientific)を用いたゲル抽出により回収した。所望の遺伝子-リンカー-ベクター組合せの精製したDNA断片を、Gibsonアセンブリマスターミックス(New England BioLabs)又はNEBuilder HiFi DNAアセンブリマスターミックス(New England BioLabs)によって、製造業者のプロトコルに従って混合し、アセンブリした(
図2、工程2参照)。
【0492】
同様に、
図3は、アルブミン結合分子がABDである場合に、本明細書に提供される例示的なIL-21融合タンパク質の構築を示す。
【0493】
6Hisタグは、任意に、抗MSLN sdAbのC末端と融合することができる。そのような場合、6HisをコードするDNA配列を、抗MSLNの増幅のためのリバースプライマー及びCET1019 AS-puroベクター主鎖の増幅のためのフォワードプライマーを設計するための重複配列として使用した。
【0494】
アセンブリ反応後、製造業者のプロトコルに従って、NEB5-αコンピテント大腸菌細胞(New England BioLabs)の形質転換のために、2μlのアセンブリ生成物を使用した。Amp選択プレートから、PureLink Quickプラスミドミニプレップキット(ThermoFisher Scientific)及びDNA配列検証(DNA sequencing verification)(ELIM Biopharmaceuticals)を用いて、その後のミニプレップのためにコロニーを採取した。
【0495】
実施例4:IL-21融合タンパク質の発現及び精製
IL-21融合タンパク質をコードするDNA配列を、ExpiCHO細胞において一過的に発現させる。簡単に説明すると、1日目に、CHO細胞を、流れが調節されていない125mlのフラスコ中の25mlの一過性トランスフェクション培地(BalanCD(登録商標)Transfectory(商標)CHO, Irvine Scientific, # 91147)、及び4mMのグルタミン中に3〜4×l0e6細胞/mlで播種する。0日目に、22.5μgのプラスミドDNAを1.5mlの一過性トランスフェクション培地中で112.5μgのPEIと混合し、室温で7分間インキュベートする。次いで、混合物を細胞にゆっくりと添加する。1日目に1回、50g/LのTC Yeastolyteと共に、1)0.5mMのバルプロ酸(50μl〜25ml)、2)10% post-TF supplement (Irvine Scientific #91148)、3)1.5mlのグルコース原料(200g/L)、及び4)5% IS Feedを細胞に供給する。CHO細胞を、アフィニティーカラムでの精製のために8日目に回収する。
【0496】
実施例5:インビトロNK細胞増殖アッセイ
ヒトNK細胞を、陰性選択キット-キットII(全てのビーズは、Miltenyi Biotech, Bergisch Gladbach, Germanyからのものである)を使用して単離する。精製を手動で行うか、又はAutoMACS (Miltenyi)を用いて行う。細胞の純度は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって常に制御され、90%超である。単離したNK細胞を、上の実施例1に記載のものを含む本明細書に提供する融合タンパク質で処理する。NK細胞の増殖を、FACS分析を用いてCD69シグナルで監視する。
【0497】
実施例6:インビトロ細胞毒性アッセイ
ヒト肺癌細胞A549を、新たに単離したヒトPBMCと混合し、0、5、10、及び50ng/mLの精製IL-21融合タンパク質とインキュベートする。MMP切断可能なリンカーを使用する場合には、IL-21を活性化するために添加したMMP9を用いて、平行な実験セットを設定する。混合培養物を72時間までインキュベートし、MTS法を使用して、この研究における凍結標的細胞の割合を決定する。
【0498】
実施例7:インビボ有効性研究
Neuマウスに、0日目にA549癌細胞を移植する。腫瘍が約50〜100mm
3まで増殖した後に、マウスをランダム化し、1日おきに本明細書に提供するIL-融合タンパク質及び対照(例えば、PBS中のアイソタイプ対照抗体)で処理する。本明細書に提供するIL-21融合タンパク質は、IL-21併用研究(IL-21と第2の薬剤の併用治療の研究)と比較した場合、同じ用量でより良好な有効性を示すか、又はかなり低い用量で同様の有効性を達成することが予想される。
【0499】
腫瘍サイズ及び体重を、投与前のベースラインで測定する。治療後2週間、腫瘍サイズ及び体重を1週間あたり3回測定する。終末血試料を、PK/PD分析のために収集する。
【0500】
実施例8:抗HSA単一ドメイン抗体の作製
ラマに免疫接種して、イネから発現させたヒト血清アルブミン(HSA)(Sigma、#A9731)を用いて、抗HSA単一ドメイン抗体(V
HH抗体)を生成した。免疫後、末梢単核細胞(PBMC)をRNA抽出のために単離した。V
HH抗体ファージディスプレイライブラリーを、抗体遺伝子をコードするmRNA/cDNAを用いて構築した。構築したファージディスプレイライブラリーを、抗原との親和性結合の複数ラウンドを経てスクリーニングした。陽性クローンを、Octet親和性測定(ForteBio, Octet RED96)によって同定した。陽性クローンの抗体遺伝子の配列を決定し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞発現のためにUCOEベクター(EMD Millipore, #CS221284)にクローニングした。
【0501】
9つの例示的な新規抗HSA単一ドメイン(V
HH)抗体は、上記の方法に従って作製する。配列番号60〜68を参照されたい。これらの9種の例示的な新規V
HH抗体のCDR配列は、配列表に配列番号69〜95として列挙している。9種の抗体の中で、1種の抗体(P367)は、ヒト、カニクイザル及びマウス血清アルブミンと相互作用する。残りの抗体は、ヒトとカニクイザルの血清アルブミンの両方と相互作用する。
【0502】
実施例9:IL-21-抗HSA融合タンパク質の分子クローニング
本明細書では、IL-21-抗HSA融合タンパク質発現ベクターの構築を例示する。GeneArt Gene Synthesis (ThermoFisher Scientific)を用いた遺伝子合成により、ヒトIL-21全長をコードするcDNA配列(配列番号1)を得た。これらの遺伝子のコドン使用を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における発現のために最適化した。ヒトIL-21のC末端を、ペプチドリンカーを介して抗HSA V
HH抗体のN末端と融合した。ヒトIL-21、ポリペプチドリンカー及び抗HSA V
HH抗体をコードするDNA配列は、アセンブリクローニング(New England BioLabs, #E5520S)又は同様のインビトロ組換え法によってシームレスにアセンブルすることができる。IL-21-抗HSA融合のオリゴヌクレオシドを、CHO細胞発現のためにUCOE発現ベクターCET1019-AS-Puro (EMD Millipore, #CS221284)に挿入した。
【0503】
表6にヒトIL-21の配列を列挙する。
表6.インターロイキン21
【表6】
【0504】
表7にヒトIL-21-抗HSA融合タンパク質のための例示的なポリペプチドリンカーを列挙する。
表7
【表7】
【0505】
実施例10:IL-21融合タンパク質の発現及び精製
IL-21融合タンパク質をコードするDNA配列を、ExpiCHO細胞において一過的に発現させる。簡単に説明すると、1日目に、ExpiCHO-S細胞(Gibco(商標)、#A29127)を、ベント式エルレンマイヤー振蕩フラスコ中のExpiCHO発現培地(Gibco(商標)、#A2910001)と共に3〜4×l0e6細胞/mLで播種し、8% CO
2を有する37℃のインキュベーター中の125rpmのオービタルシェーカー上に置いた。0日目に、プラスミドDNAをExpifectamine CHO試薬(Gibco(商標)、#A29129)と混合した。次いで、混合物を細胞にゆっくりと添加する。16時間後、細胞を5% CO
2を有する32℃のインキュベーターに移す。細胞に、ExpiCHO(商標)供給(Gibco(商標)、#A29129)を1日目及び5日目に2回供給する。CHO細胞を、アフィニティーカラムでの精製のために8日目〜12日目に収集する。
【0506】
図4に示すように、抗HSA抗体P367は、ヒト、サル又はマウスの血清アルブミンと相互作用する。P367-IgG1 Fc融合タンパク質をプロテインAバイオセンサー上にロードし、ヒト、サル又はマウスの血清アルブミンに浸漬した。着色した線は、400nM(濃青色)、200nM(暗赤色)及び100nM(淡青色)における異なる濃度の血清アルブミンに対する結合応答を表す。一次実験データを、グローバルフィッティング(赤色)で分析して、K
Dを決定する。
【0507】
実施例11:抗HSA複合体インターロイキン21シグナル伝達効力は組換えIL-21と同様である
10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中でPfeiffer細胞を維持した。100,000個のPfeiffer細胞を、10mMのHEPESを含有するハンクス平衡塩溶液中で、5% CO
2、37℃で30分間、組換えヒトIL-21(rhIL-21)、P390(マウスIL-21-抗HSA、配列番号120の配列を有する)、又はP394(ヒトIL-21-抗HSA、配列番号121の配列を有する)の示した濃度で処理した。リン酸化STAT3は、製造業者の説明書に従って、リン酸化STAT3(Tyr705)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を用いて測定した。665nm/620nmのシグナル比を1000倍し、用量応答曲線(Graphpad Prism)を用いてプロット及びフィッティングをして、EC50を計算した。
【0508】
図5及び表8に示すように、IL-21-抗HSA複合体は、組換えヒトIL-21に対して同等の細胞ベースの効力を示した。
表8:異なるIL-21バリアントのEC50
【表8】
【0509】
実施例12:ADCCアッセイ
NCI-N87及びNCI-H226癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェル及び5,000個のNCI-H226細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO
2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P303は抗MSLN抗体であり、P394はヒトIL-21-抗HSA融合タンパク質であり、P390はマウスIL-21-抗HSA融合タンパク質であり、P461/P462はヒトIL-15/IL-15Rα-抗HSA融合タンパク質である)。
【0510】
図6A及び
図6Bに示すように、mIL-21及びhIL-21抗HSA融合タンパク質は、抗MSLN抗体と組合せると、NK細胞ADCC活性を増強した。増強したADCCの大きさは、IL-21抗HSA融合タンパク質及びrhIL-21との間で同様であった。
【0511】
実施例13.ADCC用量応答
NCI-N87及びNCI-H226癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェル及び5,000個のNCI-H226細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。抗MSLN抗体P303を、3ng/ml(NCI-N87細胞)又は20ng/ml(NCI-H226細胞)のいずれかで各ウェルに添加した。プレートを37℃、5% CO
2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P303は抗MSLN抗体であり、P394はヒトIL-21-抗HSA融合タンパク質であり、P390はマウスIL-21-抗HSA融合タンパク質であり、P461/P462(配列番号123及び124)とP461/P463(配列番号(123及び125)は両方ともヒトIL-15/IL-15Rα-抗HSA融合タンパク質であり、rhIL-15は組換えヒトIL-15である)。
【0512】
図6C及び6Dに示すように、IL-21-抗HSAとIL-15-抗HSAの両方は、抗MSLN抗体と組合せると、0.6ng/ml以下まで完全なADCC効果を示す。
【0513】
実施例14.全長及び切断型IL-21融合タンパク質、異なるリンカーを有する融合タンパク質並びにN末端及びC末端のIL-21融合タンパク質の活性
パートA.
10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中でPfeiffer細胞を維持した。100,000個のPfeiffer細胞を、10mM HEPESを含有するハンクス平衡塩溶液中の示した濃度の組み換えヒトIL-21(rhIL-21)、P394(ヒトIL-21-GSG4-抗HSA、配列番号121の配列を有する)、P593(ヒトIL-21(1-122)-A(EAAAK)4A-抗-HSA)、P636(ヒトIL-21(1〜119)-GSG4-抗HSA)、P637(ヒトIL-21(1〜120)-GSG4-抗HSA)、P744(ヒトIL-21((1〜122)-A(EAAAK)4A-抗-HSA)、P748(抗HSA-A(EAAAK)4A-ヒトIL-21(1〜122)、P750(ヒトIL-21-GSG4-抗HSA)、P751(ヒトIL-21-A(EAAAK)4A-抗HSA)、及びP783(ヒトIL-21(1〜122)-A(EAAAK)4A-抗-HSA)で、37℃、5% CO
2で30分間処理した。リン酸化STAT3を、製造業者の説明書に従って、リン酸化STAT3(Tyr705)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を用いて測定した。665nm/620nmのシグナル比を1000倍し、用量応答曲線(Graphpad Prism)を用いてプロット及びフィッティングして、EC50を計算した。
【0514】
全ての融合タンパク質は、同様のIL-21Rシグナル伝達活性を示し、試験した切断バリアント、試験した異なるリンカー、及び試験したC末端対N末端のIL-21融合が、IL-21シグナル伝達に影響を及ぼさないことを示唆している(
図7A)。
【0515】
パートB.
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェル及び5,000個のNCI-H226細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO
2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P394)(ヒトIL-21-GSG4-抗HSA、配列番号121の配列を有する)、P593(ヒトIL-21(1〜122)-A(EAAAK)4A-抗-HSA)、P636(ヒトIL-21(1〜119)-GSG4-抗HSA)、P637(ヒトIL-21(1〜120))-GSG4-抗HSA)、P744(ヒトIL-21(1〜122)-A(EAAAK)4A-抗HSA)、P748(抗HSA-A(EAAAK)4A-ヒトIL-21(1〜122)、P750(ヒトIL-21-GSG4-抗HSA)、P751(ヒトIL-21-A(EAAAK)4A-抗-HSA)及びP783(ヒトIL-21(1〜122)-A(EAAAK)4A-抗-HSA))。
【0516】
全ての融合タンパク質は、抗MSLN抗体と組合せた場合に類似のADCC機能を示し、試験した切断バリアント(WT対C末端切断)、試験した異なるリンカー(GSG4対A(EAAAK)4A)及び試験したC末端対N末端IL-21融合がNK細胞のIL-21活性化に影響を及ぼさないことを示唆している(
図7B及び7C)。
【0517】
実施例15:IL-21-抗HSA融合タンパク質の薬物動態評価
Balb/cJマウスに、100μlのPBSで希釈したrhIL-21、P325又はP394を腹腔内注射した。投与前の採血に続いて、P394の化合物注射後0.5、2、6、24、48、72、96時間の時点で、又はrhIL-21及びP325の化合物注射後0.25、0.5、1、2、6、24、48、72時間の時点でマウスから採血した。EDTAを有するマイクロテイナー(BD)に血液を入れ、凝血を防止した。IL-21タンパク質を製造業者の説明書に従って、IL-21 ELISA(Life Technologies)を用いて定量し、各化合物は自身の基準として機能した。
【0518】
3μgの組換えヒトIL-21、3μgのP325(ヒトIL-21-無関係ナノボディ)及び3又は30μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)のマウスにおける薬物動態評価は、P394の半減期及び暴露の増加を示し、抗HSAとのIL-21コンジュゲーションの影響を実証した。(
図8)。
【0519】
抗HSAをIL-21にコンジュゲートすると、インビボ半減期及び暴露が増加する。
【0520】
実施例16:IL-21融合タンパク質の特徴付け
パートA. HPLC及びSDS-PAGE
IL-21融合タンパク質の精製後、それらのサイズ及び純度をSDS-PAGE及び/又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。SDS-PAGEについては、4〜12%のビス-トリスタンパク質ゲルプレキャストゲル(Thermofisher)を用い、各ウェルに約lμgのタンパク質を入れた。電気泳動後、タンパク質ゲル上のタンパク質を固定し、InstantBlueタンパク質染色(Expedeon)で染色した。
図9Aに示すように、最適化したリンカーと組合せて、切断型IL-21(1〜122)-A(EAAAK)4A-抗HSA融合タンパク質(AWT-593)は、全長のIL-21-(GSG)4-抗HSA融合タンパク質(AWT-P394、レーン1)と比較して低下した分解(レーン3)を示す。
【0521】
また、
図9F及び9Gに示すように、P748、抗HSA-A(EAAAK)4A-IL-21((1〜122)(P748)(
図9Gのレーン1)は、P593(
図9Fのレーン3)及びP394(
図9Fのレーン1)よりもさらに低下した分解を示し、抗HSA抗体のC末端とのIL-21の融合は、生成中のタンパク質の切断を低下させることを示唆している。
【0522】
HPLCについては、分析をShimadzu LC-2030C HPLCシステムにて行った。約5μgの試料を、25mMのリン酸ナトリウム、500mMの塩化ナトリウム緩衝液、pH6.5を用いて、0.25mL/分で、AdvanceBio 300Å、2.7μM、4.6×300mmのサイズ排除カラム(Agilent)に注入した。データを、LabSolutionsソフトウェア(Shimadzu)によるポストランを用いて分析した。総タンパク質試料の95%超で構成される単一のピークを12.5分で検出することができる。
図9Bは、AWT-P394 IL-21-抗HSA融合タンパク質の代表的なクロマトグラムを示す。
【0523】
パートB. 製剤
最良の配合条件及び異なる分子デザインの安定性を迅速に評価するために、2段階精製したIL-21融合タンパク質を、0.02% Tween 80と共に、異なるpH(3〜7)で様々な量のヒスチジン(5〜20mM)及びNaCl(0〜100mM)を含む異なる緩衝液に緩衝液交換した。タンパク質試料を40℃〜80℃に徐々に加熱し、各試料のリアルタイムタンパク質サイズ分布を、DynaPro Plate Reader III (Wyatt Technology)を用いる動的光散乱(DLS)によって測定した。2段階精製後、IL-21-抗HSA融合タンパク質の99%超が10nMより小さかった。温度勾配中、タンパク質製剤中で凝集を誘導するのに必要な最低温度を、T
開始として決定した。全ての試験条件において最高のT
開始(80℃超)を与える最良の製剤は、pH4.0の5mMのヒスチジン、25mMのNaCl及び0.02% Tween 80であった。
図9C〜9Dを参照されたい。
【0524】
図9Dに示すように、IL-21切断とリンカー最適化の組合せはまた、タンパク質安定性の改善にも寄与する。全長ヒトIL-21-(GSG)4-抗HSA融合タンパク質と比較して、最適化したリンカーを有する切断型IL-21(AWT-P593)は、著しくT
開始を増加させ、示した製剤状態で非常に改善された安定性を示す。
【0525】
パートC. 結合親和性
IL-21-抗HSA融合タンパク質AWT-P394又はAWT-P593に対するヒトIL-21受容体の結合。Octet RED96 (ForteBio)を使用して、相互作用を特徴付けた。簡単に説明すると、ヒトIL-21受容体-hgG1 Fc融合タンパク質を、AHCバイオセンサー上に添加し、100nMの濃度でAWT-P394又はAWT-P593に浸漬した。一次実験データを、グローバルフィッティングを用いて分析し、K
Dを決定した。
図9Eを参照されたい。
【0526】
実施例17:抗HSA抗体
アルブミンは、ヒト血清中の最も豊富なタンパク質であり、3週間の半減期を有する。血清アルブミンの長い半減期は、大部分は、新生児Fc受容体(FcRn)からの保護に起因する。血清アルブミンは、液相ピノサイトーシスと命名されたプロセスを介して体細胞によって摂取され得る。ピノサイトーシス小胞は、その後エンドソーム区画と融合し、pHは4.5〜6.5の範囲内である。小胞中のタンパク質がそれらの受容体から放出される場合、それらはさらにリソソーム分解のために選別される。血清アルブミンとFcRnの結合は、酸性pH(6.5未満)でのみ生じ、FcRnがアルブミンをエンドソームからレスキューし、それらを血清に再循環させるのを可能にする(Grevysらの文献、2018)。したがって、アルブミン依存性半減期延長部分として、抗HSA抗体は、中性と酸性の両方のpHでそれらの結合親和性を保持する必要がある。
【0527】
Octet RED96 (ForteBio)を用いて、pH7.4及びpH5.5でAWT-610とヒト又はサルの血清アルブミンの間の相互作用を特徴付けた。簡単に説明すると、AWT-P610-hgG1 Fc融合タンパク質をプロテインAバイオセンサー上に添加し、pH7.4(左グラフ)又はpH5.5(右グラフ)でヒト(青色着色ライン)又はサル(暗赤色着色ライン)の血清アルブミンに浸漬した。
図10Aを参照されたい。
【0528】
一次実験データをグローバルフィッティング(赤色)で分析して、K
Dを決定した。具体的には、3つの異なる抗HSA抗体は、pH7.4及びpH5.5でヒトとサルの両方の血清アルブミンと相互作用する。Octet RED96 (ForteBio)を用いて結合を測定し、K
Dを、Octetデータ分析HTソフトウェアを使用してグローバルフィッティングによって決定した。表9は、pH5.5とpH7.4の両方における3種類の異なるAnwita抗HSA抗体の計算したK
Dを示す。一般に、抗体は、pH5.5でヒト血清アルブミンに対する結合親和性にわずかな増加を示す。
表9
【表9】
【0529】
抗HSA抗体AWT-P367及びそのヒト化バージョンAWT-P494のT
開始を評価した。AWT-P367及びAWT-P494を、1×PBS pH7.4に緩衝液交換した。タンパク質試料を40℃〜80℃に徐々に加熱し、各試料のリアルタイムタンパク質サイズ分布を、DynaProプレートリーダーIII(Wyatt Technology)を用いて動的光散乱(DLS)によって測定した。
図10Bに示すように、AWT-P494は、AWT-P367と比較して、わずかに増加したT
開始を示す。
【0530】
抗HSA抗体AWT-P342及びその完全ヒト化バージョンAWT-P610のT
開始を評価した。AWT-P342及びAWT-P610を1×PBS pH7.4に緩衝液交換した。タンパク質試料を40℃〜80℃に徐々に加熱し、各試料のリアルタイムタンパク質サイズ分布を、DynaPro Plate Reader III (Wyatt Technology)を用いる動的光散乱(DLS)によって測定した。
図10Cに示すように、AWT-P610は、AWT-P342と比較して減少したT
開始を示す。
【0531】
Octet RED96 (ForteBio)を使用して、抗HSA抗体AWT-P367又はそのヒト化バージョンAWT-P494とヒト、サル又はマウスのアルブミンとの間の相互作用を特徴付けた。簡単に説明すると、AWT-P367又はAWT-P494をAHCバイオセンサー上に添加し、ヒト、サル又はマウスの血清アルブミンに200nMの濃度で浸漬した。一次実験データをグローバルフィッティングで分析して、K
Dを決定した。
図10D〜
図10Eに示すように、ヒト化抗HSA抗体AWT-P494の結合親和性は、その元のクローンAWT-P367と同様である。
【0532】
実施例18:癌細胞を抑制するための抗メソテリン抗体、サイトカイン、又はサイトカイン融合タンパク質
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO
2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P303-R3C7抗MSLN抗体、フコシル化が低下したP303F-R3C7抗メソテリン抗体、P394-ヒトIL-21-抗HSA、P390-マウスIL-21-抗HSA、P431/435-ヒトIL-21-抗HSA-IgG1-R3C7、P479-抗HSA-ヒトIL-15RA スシ/IL-15、P480-抗HSA-ヒトIL-15RA スシ/IL-15、rhIL-21-組換えヒトIL-21、rhIL-15組換えヒトIL-15)。
【0533】
図11に示すように、rhIL-21、mIL-21(P390)及びhIL-21(P394)抗HSA融合タンパク質は、P303単独と比較して抗MSLN抗体P303(R3C7)と組合せた場合に、同様の程度にNK細胞ADCC活性を増強した。さらに、rhIL-15及びhIL-15/IL-15RA抗HSA融合タンパク質(P479及びP480)は、P303単独と比較して、抗MSLN抗体P303(R3C7)と組合せた場合に、同様の程度にNK細胞ADCC活性を増強した。サイトカイン-抗HSA融合タンパク質は、同等の組換えサイトカインと比較して、完全なADCC活性を維持した。
【0534】
実施例19:癌細胞を抑制するための抗メソテリン抗体単独又はハーセプチンと組合せた抗メソテリン抗体
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO
2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(フコシル化が低下したP303F-Anwita抗メソテリン抗体、P380-IL-33-抗HSA、P394-ヒトIL-21-抗HSA)。
【0535】
図12に示すように、P303F(R3C7抗メソテリン抗体)は、NK細胞ADCC中のハーセプチンよりも強力であり、P303F及びハーセプチンの組合せは、P303F単独と同様であった。P394(ヒトIL-21-抗HSA)をP303F及びハーセプチンに添加すると、ADCC機能が著しく改善され、効力が改善した。
【0536】
実施例20:癌細胞を抑制するためのサイトカイン融合タンパク質
10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中でPfeiffer癌細胞株を維持した。1日目に、10,000個のPfeiffer細胞/ウェルを96ウェル平底プレート中の培地中に播種した。RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、30,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO
2で24時間インキュベートし、次いで、FACS分析のために、1μMのプロピジウムヨウ化物で染色した。Pfeiffer細胞を、FSC及びSSCゲーティングに基づいてNK細胞から分離し、合計Pfeiffer細胞数を決定した。Pfeiffer死細胞を、PI染色を用いて決定した。全生存細胞を、合計Pfeiffer細胞数からPI陽性細胞数を減算することにより計算した。より低い生細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(p394-ヒトIL-21-抗HSA、P480-抗HSA-ヒトIL-15RA スシ/IL-15)。
【0537】
図13に示すように、ヒトIL-21-抗HSA融合タンパク質(P394)、ヒトIL-15/IL-15R スシ抗-HSA-融合タンパク質(P480)、及びrhIL-15は、リツキサンと組合せた場合に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞株Pfeifferに対するNK細胞ADCC活性を増強した。
【0538】
実施例21:抗メソテリン抗体単独又は癌細胞を抑制するためのサイトカイン融合タンパク質と組合せた抗メソテリン抗体
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO2で24時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(フコシル化が低下したP303F-Anwita抗メソテリンIgG1抗体R3C7、P480-抗HSA-ヒトIL-15RAスシ/IL-15、rhIL-21-組換えヒトIL-21、rhIL-15-組換えヒトIL-15)。
【0539】
図14に示すように、rhIL-15及びIL-15-抗HSA(P480)は、抗MSLN抗体P303Fと組合せた場合に、P303F及びrhIL-21と組み合わせたP303Fよりも良好にNK細胞ADCC活性を増強した。P480(IL-15/IL-15R スシ抗HSA)は、rhIL-15と比較して同様の効力及び大きさでNK媒介細胞ADCC活性を増強したことから、完全なIL-15活性は抗体融合タンパク質中で保持されることが示唆された。
【0540】
実施例23:癌細胞を抑制するためのIL-15-抗HSA融合タンパク質
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P303-Anwita抗メソテリン抗体R3C7、P480-抗HSA-ヒトIL-15RA スシ/IL-15、P597-抗HSA-ヒトIL-15RA スシペプチドリンカー-IL-15、rhIL-15-組換えヒトIL-15)。
【0541】
図15に示すように、IL-15R スシとIL-15との間にペプチドリンカーを有する抗HSA融合タンパク質P597は、IL-15R スシとIL-15との間に(F2Aリンカー
1の開裂後に)リンカーを含まない抗HSA融合タンパク質のP480と比較してADCC活性を向上させた。P597のADCC効力はrhIL-15と同様であることから、完全なIL-15活性が融合タンパク質中で保持されることが示唆された。
1 P480で使用したF2Aリンカーは、高い開裂効率(90%超)を有する切断可能なリンカーである。タンパク質合成後にIL15を切断する。しかし、IL15とIL15RA スシとの間の高い親和性のために、それらは依然として単一のタンパク質として結合したままである。
【0542】
実施例24:癌細胞を抑制するためのIL-21融合タンパク質
NCI-N87及びH226癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェル、5,000個のH226細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P129-Anwita抗メソテリン抗体R2G12、P126-ヒトIL-21-R2G12-IgG1融合、P107-ヒトIL-21-IgG1融合、P325-ヒトIL-21-R2D2融合、P286/288-ヒトIL-21-R3C7-IgG1-R2G12融合)。
【0543】
図16に示すように、より低い濃度のIL-21-Fc融合タンパク質(P107、P126、P288/286)は、抗MSLN抗体P129(すなわち、R2G12)と組合せた場合に、NK細胞ADCC活性を増強した。しかし、より高い濃度(100nM超)では、IL-21-Fc融合タンパク質(P107、P126、P288/286)は、抗MSLN抗体P129(R2G12)と組合せた場合に、NK細胞ADCC活性を抑制した。この抑制は、IL-21又はFcドメインを含まないIL-21融合タンパク質(P325)では観察されなかった。
【0544】
実施例25:癌細胞を抑制するための抗メソテリン抗体と組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質
NCI-N87癌細胞を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P197-Anwita抗メソテリン抗体R2G12、P390-マウスIL-21-抗HSA、P394-ヒトIL-21-抗HSA)。
【0545】
図17に示すように、マウスとヒトのIL-21-抗HSA融合タンパク質の両方(P390及びP394)は、抗MSLN抗体P197(R2G12)と組合せた場合に、NK細胞ADCC活性を強力に増強する。
【0546】
実施例26:サイトカイン又はサイトカイン-抗HSA融合タンパク質とのインキュベーション後のPBMCのサイトカイン生成
ヒトバフィーコートから単離した凍結PBMC細胞を解凍し、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で増殖させた。1日目に、30,000個のPBMC細胞/ウェルを、示した処理と共に96ウェルプレートに添加した。プレートを、37℃、5% CO2で一晩インキュベートした。2日目に培地を回収し、遠心分離して、PBMC細胞をペレット化した。25μlの培地を、サイトカイン放出についてIFNγ及びIL-6ELISAアッセイにおいて試験した(P394-ヒトIL-21-抗HSA、P597-抗HSA-ヒトIL-15RA スシ(プラス)-IL-15)。
【0547】
図18A〜18Bに示すように、陽性対照フィトヘマグルチニン(PHA)は、PBMCからのロバストなIFNg及びIL-6分泌を刺激する。PBMCは、rIL-21又はIL-21-抗HSA融合タンパク質P394の刺激に応答して、IFNg又はIL-6を分泌しない。rIL-15とIL-15-抗HSA融合タンパク質P597の両方が、PBMCによるIFNg及びIL-6分泌を同様の程度に刺激したため、該融合タンパク質が組換えタンパク質と同様の活性を有することが示唆される。IL-12は、PBMCによってIFN-6分泌を刺激しないが、IFNg分泌を刺激する。IL-7及びIL-2は、最小レベルのIFNg及びIL-6分泌を刺激する。
【0548】
実施例27: 癌を治療するための単独の又は組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質、抗HSA-IL-15Ra-IL-15融合タンパク質及び抗CTLA4
パートA.
MC38細胞を、10%FBS+グルタマックス+NEAA+ピルビン酸ナトリウム+Pen/Strepを補充したDMEM培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、0.5×10
6細胞(50μlのPBS中)を、麻酔したC57BL/6マウス(Taconic)にl8ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を、投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回の投与について1週間に2回、PBS、100μlのPBS中25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)、100μgの抗CTLA-4、又は100μgの抗CTLA-4と組合せた25μgのP394をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0549】
図19Aに示すように、P394及び抗CTLA-4単療法は、PBS対照に対する腫瘍成長を減少させることができる。P394と抗CTLA-4の組合せは、P394及び抗CTLA-4単療法と比較して腫瘍成長をさらに減少させる。
【0550】
パートB.
MC38細胞を、10%FBS+グルタマックス+NEAA+ピルビン酸ナトリウム+Pen/Strepを補充したDMEM培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、0.5×10
6細胞(50μlのPBS中)を、麻酔したC57BL/6マウス(Taconic)にl8ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を、投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回の投与について1週間に2回、PBS、100μlのPBS中100μgの抗CTLA-4、100μgの抗CTLA-4と25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)、100μgの抗CTLA-4と5μgのP597(抗HSA-IL-15Ra-IL-15)、又は100μgの抗CTLA-4と25μgのP394と5μgのP597をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0551】
図19Bに示すように、抗CTLA-4、抗CTLA-4とP394、抗CTLA-4とP597は全て、腫瘍成長を低下させ、抗CTLA-4とP394とP597の3つの組合せは、試験した全ての組合せの大部分において腫瘍成長を低下させた。
【0552】
実施例28:癌を治療するための単独の又は組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質及び抗HSA-IL-15Ra-IL-15融合タンパク質
MC38細胞を、10%FBS+グルタマックス+NEAA+ピルビン酸ナトリウム+Pen/Strepを補充したDMEM培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、0.5×10
6細胞(50μlのPBS中)を、麻酔したC57BL/6マウス(Taconic)にl8ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を、投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回の投与について1週間に2回、PBS、100μlのPBS中25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)、5μgのP597(抗HSA-IL-15Ra-IL-15)、又は5μgのP597と組合せた25μgのP394をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0553】
P394及びP597の単療法は、PBS対照と比較して腫瘍成長を低下させる。P394+P597の組合せ療法は、P394及びP597の単療法と比較して腫瘍成長をさらに低下させる(
図20)。
【0554】
実施例29:同系マウスモデルにおけるインビボ抗腫瘍活性アッセイ
MC38マウス結腸直腸癌細胞(3×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。4日目、8日目、12日目及び16日目に、マウスをPBS、100μg抗PD-1、25μgのP390(mIL-21-抗HSA)、100μgの抗PD-1及び25μgのP390、又は100μgの抗PD-1及び5μgのP390のいずれかで処理した。腫瘍の大きさを、示した日にキャリパーを用いて測定し、腫瘍体積を計算した。
【0555】
図21に示すように、マウスIL-21-抗HSA(P390)の単療法は、腫瘍成長を著しく遅らせる。マウスIL-21-抗HSA(P390)と抗PD-1の組合せは、全てのマウスにおいて腫瘍を排除するか、又は収縮させる。
【0556】
実施例30:癌の治療における抗メソテリン抗体及び/又はIL-21-抗HSA融合タンパク質
NCI-N87細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、3×l0
6個の細胞(100μlのPBS中)を、麻酔したNSGマウス(Jackson)に23ゲージ針を用いて皮下注射した。6日後、マウス1匹あたり100μlのPBS中の10×l0
6個のヒトPBMCを尾静脈に注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回、1週間に2回、100μgのP303F(抗メソトレリン抗体)、25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)又は100μgのP303Fと25μg若しくは5μgのP394のいずれかとの組合せをIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0557】
図22に示すように、P303Fは、対照と比較して腫瘍成長を低下させる。P394単独又はP303Fと組合せたP394を投与した全てのマウスは、PBS対照又はP303F単独と比較して腫瘍成長を著しく低下させた。
【0558】
実施例31:癌を治療するための単独の又はハーセプチンと組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質
NCI-N87細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、3×l0
6個の細胞(100μlのPBS中)を、麻酔したNSGマウス(Jackson)に23ゲージ針を用いて皮下注射した。6日後、マウス1匹あたり100μlのPBS中の10×l0
6個のヒトPBMCを尾静脈に注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回、1週間に2回、20μgのハーセプチン(抗HER2抗体)、25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)、又は20μgのハーセプチンと25μg若しくは5μgのP394のいずれかとの組合せをIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0559】
図23に示すように、ハーセプチン及び25μgのP394単療法は、PBS対照と比較して腫瘍成長を低下させた。ハーセプチンと25μgのP394との組合せは、ハーセプチン又はP394単療法と比較して腫瘍成長をさらに低下させ、さらなる抗腫瘍効果を示す。
【0560】
実施例32:癌の治療における抗メソテリン抗体及び/又はIL-21-抗HSA融合タンパク質
NCI-N87細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、3×l0
6個の細胞(100μlのPBS中)を、麻酔したSCIDマウス(Taconic)に18ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回、1週間に2回、100μlのPBS中100μgのP303F(抗メソトレリン抗体)又は25μgのP390(マウスIL-21-抗HSA)と組合せたP303F、5μgのP390、又は2.5μgの組換えマウスIL-21(5μgのP390用量に相当するモル濃度)をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0561】
図24に示すように、P303Fと25μg若しくは5μgのP390の組合せは、PBS対照、P303F単療法及びrmIL-21と組合せたP303Fと比較して著しく減少した腫瘍成長をもたらした。2.5μgのrmIL-21と組合せたP303Fは、P303Fと同様の腫瘍成長を示し、組換えIL-21がこの用量で有効ではないことを示唆している。P303Fと5μgのP390との組合せは、2.5μgのrmIL-21と組合せたP303Fと比較して著しく低下した腫瘍成長を示し、組換えサイトカインと比較して、半減期が延長したIL-21の効果の改善を強調する。
【0562】
実施例33:癌の治療におけるIL-21-抗HSA融合タンパク質
MC38マウス結腸直腸癌細胞(1×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。PBS、25μgのP390(マウスIL-21-抗HSA)又は組換えマウスIL-21のいずれかで、2週間、1週間に2回(全4回投与)でマウスを処置した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に3回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0563】
図25に示すように、P390(マウスIL-21-抗HSA)は、PBS対照と比較してMC38腫瘍における腫瘍成長を低下させるが、12.5μgの組換えマウスIL-21の1モル当量は、PBS対照と比較して腫瘍成長に対して最小の効果を有する。IL-21-抗HSA(P390)は、同系マウス結腸直腸癌モデルにおける組換えIL-21と比較して優れた抗腫瘍効果を有する。
【0564】
実施例34:癌の治療のための抗PD-1抗体と組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質
ヒトメソテリン(CT26/MSLN)でトランスフェクトしたCT26マウス細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、1×10
6個の細胞(100μlのPBS中)を、麻酔したBALB/cマウスに23ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計4回、1週間に2回、5mg/kgの抗-PD-1抗体、1.25mg/kgのP390(マウスIL-21-抗HSA)又は抗PD-1とP390の組合せをIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0565】
図26に示すように、抗PD-1及びP390単療法は、PBS対照と比較して腫瘍成長に対して最小限の効果を有する。抗PD-1及びP390の組合せは腫瘍成長を相乗的に低下させ、22日までに4/5のマウスが測定可能な腫瘍を有していない。
【0566】
実施例35:癌の治療のための抗PD-1抗体と組合せたIL-21-抗HSA融合タンパク質
MC38細胞を、10% FBS+グルタマックス+NEAA+ピルビン酸ナトリウム+Pen/Strepを補充したDMEM培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、0.5×10
6個の細胞(50μlのPBS中)を、麻酔したC57BL/6マウス(Taconic)に18ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回、1週間に2回、PBS、100μlのPBS中100μgの抗PD-1抗体、25μgのP394(ヒトIL-21-抗HSA)又は25μgのP394と組合せた100μgの抗PD-1をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0567】
図27に示すように、抗PD-1抗体とIL-21-抗HSA(P394)の組合せは、同系マウス結腸直腸癌モデルにおけるいずれかの単療法よりも良好に腫瘍成長を低下させる。
【0568】
実施例36:IL-21-抗HSA融合タンパク質の薬物動態評価
MC38マウス結腸直腸癌細胞(1×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。マウスをPBS又は25μgのP380(抗HSA-ヒトIL-33)のいずれかで2週間処置した(全4回投与)。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に3回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0569】
図28に示すように、半減期延長IL-33による処置は、PBS対照と比較して腫瘍成長を低下させた。
【0570】
実施例37:グランザイムB陽性NK細胞及びCD8 T細胞に対するIL-21-抗HSA融合タンパク質の影響
MC38マウス結腸直腸癌細胞(1×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。マウスを、全5回投与について、5日目から始めて1週間に2回、PBS、100μgの抗PD-1、25μgのP390(マウスIL-21-抗HSA)又は100μgの抗PD-1+25μgのP390のいずれかで処置した。24日目に、マウスを屠殺し、腫瘍を摘出した。細胞を放出させるために腫瘍をホモジナイズし、細胞をCD45、CD8、NK1.1及びグラザイムBについて染色した。CD8 T細胞とNK細胞のうちのグラザイムB陽性細胞の割合をプロットする。
【0571】
図29A〜
図29Bに示すように、P390処置は、グラザイムB陽性CD8 T細胞及びNK細胞の割合を増加させる。
【0572】
実施例38:IL-21受容体の発現に対するIL-21-抗HSA融合タンパク質と抗PD-1抗体の併用の影響
MC38マウス結腸直腸癌細胞(1×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。マウスを、全5回投与について、5日目から始めて1週間に2回、PBS、100μgの抗PD-1、25μgのP390(マウスIL-21-抗HSA)又は100μgの抗PD-1+25μgのP390のいずれかで処置した。24日目に、マウスを屠殺し、腫瘍を摘出した。細胞を放出させるために腫瘍をホモジナイズし、細胞をCD45、CD8、CD4、NK1.1及びIL-21Rについて染色した。CD4 T細胞、CD8 T細胞及びNK細胞のうちのIL-21R陽性細胞の割合をプロットする。
【0573】
図30A〜30Cに示すように、抗PD-1抗体による処置は、CD4 T細胞、CD8 T細胞及びNK細胞におけるIL-21受容体の発現を増加させ、抗PD-1と組合せたP390(マウスIL-21-抗HSA)の処置は、IL-21受容体発現を低下させる。
【0574】
実施例39:IFN-γ分泌免疫細胞に対するIL-21-抗HSA融合タンパク質の影響
MC38マウス結腸直腸癌細胞(1×10
6個の細胞)を、0日目にC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。マウスを、全5回投与について、5日目から始めて1週間に2回、PBS、100μgの抗PD-1、25μgのP390(マウスIL-21-抗HSA)又は100μgの抗PD-1+25μgのP390のいずれかで処置した。24日目に、マウスを屠殺し、マウス脾臓を摘出した。脾臓をホモジナイズして脾細胞を放出し、脾細胞を新鮮なMC38細胞を用いるIFN-γELISpotアッセイに入れた。ELISpotアッセイを製造業者の説明書に従って実行し、MC38応答性免疫細胞の数を表すIFN-gスポットの数を計数した。
【0575】
図31に示すように、半減期延長IL-21での処置は、脾臓中の腫瘍反応性IFN-γ分泌免疫細胞の数を増加させる。
【0576】
実施例40:抗MSLN抗体と延長半減期IL-21の融合
ヒトメソテリン(CT26/MSLN)でトランスフェクトしたCT26マウス細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、1×10
6細胞(100μlPBS中)を、麻酔したBALB/cマウスに23ゲージ針を用いて皮下注射した。ストック試験薬を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に全5回投与について、1週間に2回、1.25mg/kg(100μl)P375(IL-21-抗アルブミン-抗MSLN)をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0577】
図32に示すように、IL-21-抗アルブミン抗MSLN融合タンパク質(P375)は、PBS対照と比較して腫瘍成長を低下させることができた。
【0578】
実施例41:抗MSLN抗体と半減期延長IL-15Ra/IL-15の融合
NCI-N87細胞を、10% FBS+グルタマックス+Pen/Strepを補充したRPMI培地中で培養及び維持した。細胞をトリプシン処理し、培地で洗浄し、計数した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、3×l0
6個の細胞(100μlのPBS中)を、麻酔したNSGマウス(Jackson)に23ゲージ針を用いて皮下注射した。6日後、マウス1匹あたり100μlのPBS中の10×l0
6個のヒトPBMCを尾静脈に注射した。ストック試験薬P197を投与の日にPBSで適当な濃度に希釈し、動物に合計5回、1週間に2回、0.25mg/kg(100μl)P669(抗MSLN-抗アルブミン-IL-15Ra-IL-15)をIP投与した。腫瘍測定(長さ(L)及び幅(W))を、デジタルキャリパーを使用して1週間に2回収集し、腫瘍体積を計算した(L×W×W)/2。
【0579】
図33に示すように、抗MSLN-抗アルブミン-IL-15Ra-IL-15融合タンパク質(P669)は、PBS対照と比較して腫瘍成長を低下させることができた。
【0580】
実施例42
Pfeiffer細胞を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。100,000個のPfeiffer細胞を、5% CO
2、37℃で30分間、10mM HEPESを含有するハンクス平衡塩溶液中の示した濃度の組換えヒトP394(IL-21-(GSG)4-HSA)、P593 (IL21-A(EAAAK)4A-HAS)、P795 (IL21[1-122]-(GSG)4-HSA)、P796 (IL21[1-122]-(G4S)3-HSA)、P797 (IL21[1-122]-HSA)、P799 (IL21[1-122]-VLLC-HSA)、P800 (IL21[1-122]-VHCH1-HSA)、P750 (IL21-(GSG)4-HSA)、P751 (IL21-A(EAAAK)4A-HSA)、又はP744 (IL21[1-122]-A(EAAAK)4A-HSA)で処理した。リン酸化STAT3は、製造業者の説明書に従って、リン酸化STAT3(Tyr705)均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Cisbio)を用いて測定した。665nm/620nmのシグナル比を1000倍し、用量応答曲線(Graphpad Prism)を用いてプロット及びフィッティングして、EC50を計算した。
【0581】
図34に示すように、試験した全てのIL-21融合タンパク質は、同様のADCC活性を有する。
【0582】
実施例43
NCI-N87癌細胞株を、10%ウシ胎仔血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI-1640中で維持した。0日目に、10,000個のNCI-N87細胞/ウェルを、96ウェル平底プレート中の培地に播種した。1日目に、RosetteSep NK単離キット(Stemcell Technologies)を用いて、ヒトのバフィーコートからNK細胞を単離し、示した処理とともに、100,000個のNK細胞/ウェルを癌細胞に添加した。プレートを37℃、5% CO2で48時間インキュベートし、次いで、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、核をSytoxオレンジで染色した。Cytation 1(Biotek)を用いて、各ウェル内に残存する癌細胞の核の数を計数することにより、残りの癌細胞の数を算出した。より低い細胞数は、より良好なNK媒介細胞殺傷を示した(P593 (IL21-A(EAAAK)4A-HAS)、P795 (IL21[1-122]-(GSG)4-HSA)、P796 (IL21[1-122]-(G4S)3-HSA)、P797 (IL21[1-122]-HSA)、P799 (IL21[1-122]-VLLC-HSA)、P800 (IL21[1-122]-VHCH1-HSA)、P750 (IL21-(GSG)4-HSA)、P751 (IL21-A(EAAAK)4A-HSA)、又はP744 (IL21[1-122]-A(EAAAK)4A-HSA))。
【0583】
図35に示すように、試験した全てのIL-21融合タンパク質は、同様のADCC活性を有する。
配列表
【表10】