【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、とりわけ、精子機能を向上させるための、例えばそれにより生殖補助を促進する培地、組成物及び方法を提供する。
【0004】
本明細書では、受精を増進させる方法であって、(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、哺乳類精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること、及び(c)ステップ(b)から得られた哺乳類精子に、受精を増進させる条件下において、卵子への到達手段を提供することを含み、有効量は、改善された精子機能を誘導するのに十分な量である、方法が提供される。
【0005】
本明細書では、向上した精子機能を誘導する方法であって、(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に、有効量の、(i)解糖系エネルギー源、又は(ii)糖新生基質から選択される第1のエネルギー源を提供すること、及び(c)その後、ステップ(b)からの哺乳類精子に、有効量の、(i)解糖系エネルギー源、又は(ii)糖新生基質から選択される第2のエネルギー源を提供することであって、提供される第2のエネルギー源がステップ(b)で選択されないことを含み、有効量は、向上した精子機能を誘導するのに十分な量である、方法が提供される。
【0006】
本明細書では、(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供することのプロセスによって調製される、向上した割合の超活性化精子を含む精子調製液であって、有効量は、1つ以上の精子機能の向上を誘導するのに十分な量であり、向上した割合の超活性化精子を含む精子調製液は、未処理の哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源を独立に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子又はC−HTFなどの標準受精能獲得培地で処理された哺乳類精子から選択される好適な対照精子と比べて1つ以上の精子機能の向上を含む、精子調製液が提供される。
【0007】
本明細書では、向上した精子機能を誘導する方法であって、(a)緩衝剤を含む、且つ約6〜7のpH及び約300〜400mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する保存培地に哺乳類精子を提供すること、(b)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、哺乳類精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び(c)ステップ(b)からの増強された哺乳類精子に有効量の(i)解糖系エネルギー源、及び/又は(ii)糖新生基質を提供することを含み、それにより好適な対照精子と比較した向上した精子機能を誘導する、方法が提供される。
【0008】
本明細書では、受精を増進させる方法であって、(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすることであって、インキュベーション前に、哺乳類精子は、緩衝剤を含み、且つ弱酸性pH及び約300〜400mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する保存培地に貯蔵される、インキュベートすること、(b)ステップ(a)からの増強された精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること、(c)ステップ(a)の増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源を独立に提供するか、又は有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供することによって得られるものを上回るレベルまで精子機能の1つ以上を向上させること、及び(d)向上した精子機能を有する哺乳類精子に、受精を増進させる条件下において、卵子への到達手段を提供することを含む方法が提供される。
【0009】
本明細書では、a)緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物を含む第1の組成物を含む第1の容器、及びb)哺乳類精子に好適な少なくとも第1のエネルギー源を含む第2の組成物を含む第2の容器を含むキットであって、哺乳類精子を第1の組成物中で好適な時間にわたってインキュベートすると、増強された哺乳類精子を生じさせ、増強された哺乳類精子に有効量の少なくとも第1のエネルギー源を提供すると、好適な対照と比べて、増強された哺乳類精子の機能を向上させる、キットが提供される。
【0010】
本明細書では、少なくとも5%の超活性化精子を含む超活性化精子調製液であって、任意選択で、超活性化に基づいて事前に選別されておらず、任意選択で、超活性化精子及び/又は中間精子は、好適な対照と比べて、細胞内RNA濃度(マイクロRNAを含む低分子非コードRNAなど)の10、15、20、25、30、35、40、45、50%又はそれを超える(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍又はそれを超える)低下を有する、超活性化精子調製液が提供される。
【0011】
本明細書では、a.正常精子の雄、低受精能の雄又は精子減少症の雄、例えば低受精能(精子減少症を含む)の雄などの雄対象の精液から精子を濃縮すること、b.精子を、エネルギー枯渇下において、精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、c.増強された精子に、有効量の解糖系エネルギー源又は有効量の糖新生基質から選択されるが、但し有効量の解糖系エネルギー源及び糖新生基質の両方ではない、第1のエネルギー源を提供することによって調製される精子調製液が提供される。
【0012】
本明細書では、緩衝剤を含み、且つ弱酸性pH及び約300〜400mOsm/kg、例えば約300〜380、320〜370、330〜370、340〜360、例えば約320、330、340、350、360、370又は380、例えば約350の重量オスモル濃度を有する精子保存培地であって、有意な量の卵黄を含まないか、又は一部の実施形態では一切の卵黄を含まない精子保存培地が提供される。
【0013】
本明細書では、(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供することによって調製される精子調製液であって、ステップ(b)の精子は、好適な対照精子と異なるエピジェネティックプロファイルを含む、精子調製液が提供される。
【0014】
本明細書では、改善された適応度を有する子孫を作製する方法であって、(a)精子試料を、エネルギー枯渇下において、増強された精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、(b)増強された精子に有効量の第1のエネルギー源を提供すること、及び(c)その後、ステップ(b)からの精子に有効量の第2のエネルギー源を提供すること、(d)ステップ(c)からの精子を卵子に受精させて、胚を発生させること、及び(e)雌対象において胚を成長させて、改善された適応度を有する子孫を作製することを含み、改善された適応度は、病態を発症する低下したリスクを含む、方法が提供される。
【0015】
本明細書に記載される様々な方法、培地、調製液及びキットは、組み合わせて使用することができる。例えば、本発明により提供される精子保存培地で保存される精子調製液は、一部の実施形態では、本発明により提供される様々な方法(例えば、精子機能を亢進させる、受精を増進させる、改善された適応度を有する子孫を作製する等)であって、一部の実施形態では、本発明により提供される様々なキットを使用して実施することができ、従って特定の実施形態では、本発明により提供される精子調製液が作製されることになる方法及び/又は生殖補助方法を含めた受精方法など、本発明により提供される更なる方法において使用することができる。
【0016】
本明細書に記載される方法、培地、精子調製液及びキットの特徴には、以下に挙げる実施形態の態様の1つ以上が含まれ、これらの実施形態は、組み合わせ及び挿入することができるものであり、具体的に提供されない限り、組み合わせ又は修飾を受け入れない狭義の具体的な実施形態と見なされてはならない。本開示の例は、以下に挙げる実施形態に容易に適合させることのできる非限定的な例示を提供する。
【0017】
1.受精を増進させる方法であって、
(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、哺乳類精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、
(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること、及び
(c)ステップ(b)から得られた哺乳類精子に、受精を増進させる条件下において、卵子への到達手段を提供すること
を含み、有効量は、改善された精子機能を誘導するのに十分な量である、方法。
【0018】
2.曲線速度、頭部振幅(amplitude of lateral head displacement)、オートファジー、精子受精能獲得、超活性化精子の割合、中間運動能精子の割合並びに超活性化精子及び中間運動能精子の割合から選択される1つ以上の精子機能は、増強された哺乳類精子が第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源の一方のみを提供されるか、又は第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供される方法と比べて改善される、実施形態1の方法。
【0019】
3.第1のエネルギー源は、解糖系エネルギー源であり、及び第2のエネルギー源は、糖新生基質であるか、又は第1のエネルギー源は、糖新生基質であり、及び第2のエネルギー源は、解糖系エネルギー源であり、更に、ステップ(a)の哺乳類精子は、ヒト精子である、実施形態1の方法。
【0020】
4.体外で実施される、実施形態3の方法。
【0021】
5.ステップ(c)は、ステップ(b)からの哺乳類精子の腟内又は子宮内授精(IUI)での人工授精により、雌対象の生殖路において体内で実施される、実施形態3の方法。
【0022】
6.ステップ(b)の第2のエネルギー源を提供することは、有効量の第1のエネルギー源を提供された増強された哺乳類精子の子宮内授精(IUI)により、雌対象の生殖路において体内で実施される、実施形態1の方法。
【0023】
7.第1のエネルギー源は、ピルビン酸である糖新生基質であり、及び第2のエネルギー源は、解糖系エネルギー源である、実施形態6の方法。
【0024】
8.ステップ(c)は、ステップ(b)からの哺乳類精子を卵子と共にインキュベートするか、又はステップ(b)からの哺乳類精子を卵子の細胞質に注入して、卵子の体外受精を増進させることを含む、実施形態4の方法。
【0025】
9.受精を増進させることは、胚であって、好適な対照精子によって発生された胚と比べて向上した生存能及び/又は改善された着床を呈する胚の発生を含む、実施形態1の方法。
【0026】
10.受精を増進させることは、少なくとも2細胞期発育段階、胚盤胞期発育段階又は子孫まで発育する胚の発生を含む、実施形態1の方法。
【0027】
11.ステップ(a)の哺乳類精子は、精子減少症の対象又は低受精能の対象からのものである、実施形態1の方法。
【0028】
12.ステップ(a)の哺乳類精子は、ヒト、非ヒト霊長類、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ又はマウス精子である、実施形態1の方法。
【0029】
13.ステップ(a)の哺乳類精子は、ヒト精子である、実施形態12の方法。
【0030】
14.ステップ(a)の哺乳類精子は、非低温又は低温貯蔵から回収された精子である、実施形態1の方法。
【0031】
15.ステップ(a)の哺乳類精子は、2回分以上の射精液のプールとして提供される、実施形態1の方法。
【0032】
16.ステップ(a)の哺乳類精子は、ステップ(a)前に密度勾配遠心法、スイムアップ法又はマイクロフルイディクスによって精液から濃縮される、実施形態1の方法。
【0033】
17.200〜280mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度で実施される、実施形態1の方法。
【0034】
18.ステップ(b)は、少なくとも第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源と組み合わせて、解糖系の上流又は下流の1つ以上の成分を哺乳類精子に提供することを更に含む、実施形態1の方法。
【0035】
19.第1のエネルギー源は、(i)グルコース、又は(ii)ピルビン酸から選択され、及び第2のエネルギー源は、(i)グルコース、又は(ii)ピルビン酸から選択され、第1及び第2のエネルギー源は、異なる、実施形態3の方法。
【0036】
20.ステップ(a)のエネルギー枯渇条件下でのインキュベーションは、少なくとも10分にわたるものである、実施形態1の方法。
【0037】
21.向上した精子機能を誘導する方法であって、
(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、
(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に、有効量の、(i)解糖系エネルギー源、又は(ii)糖新生基質から選択される第1のエネルギー源を提供すること、及び
(c)その後、ステップ(b)からの哺乳類精子に、(i)有効量の、解糖系エネルギー源、又は(ii)糖新生基質から選択される第2のエネルギー源を提供することであって、提供される第2のエネルギー源は、ステップ(b)で選択されない、提供すること
を含み、有効量は、向上した精子機能を誘導するのに十分な量である、方法。
【0038】
22.向上した精子機能は、好適な対照精子と比べて向上しており、好適な対照精子は、未処理の哺乳類精子、有効量の解糖系エネルギー源又は糖新生基質を独立に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子、有効量の解糖系エネルギー源及び糖新生基質を同時に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子又は標準受精能獲得培地(C−HTF)で処理された精子である、実施形態21の方法。
【0039】
23.体外で実施される、実施形態21の方法。
【0040】
24.ステップ(c)は、ステップ(b)からの哺乳類精子の腟内又は子宮内授精(IUI)での人工授精により、雌対象の生殖路において体内で実施される、実施形態21の方法。
【0041】
25.向上した精子機能は、コンピュータ支援精液分析(CASA)によって測定される運動能の向上を含む、実施形態21の方法。
【0042】
26.運動能の向上は、哺乳類精子の曲線速度の向上、超活性化精子の割合の向上、中間運動能精子の割合の向上又はこれらの組み合わせを含む、実施形態25の方法。
【0043】
27.向上した精子機能は、精子−透明帯結合検査によって測定される精子受精能獲得の向上を含む、実施形態21の方法。
【0044】
28.向上した精子機能は、精子侵入検査によって測定される、卵子を受精させる哺乳類精子の能力の向上を含む、実施形態21の方法。
【0045】
29.向上した精子機能は、好適な対照精子で発生された胚と比べて向上した生存能、改善された着床、少なくとも2細胞期発育段階、胚盤胞期発育段階又は子孫まで発育する向上した能力を有する胚の発生を含む、実施形態21の方法。
【0046】
30.哺乳類精子は、ヒト、非ヒト霊長類、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ又はマウス精子である、実施形態21の方法。
【0047】
31.哺乳類精子は、ヒト精子である、実施形態30の方法。
【0048】
32.解糖系エネルギー源は、グルコースであり、及び糖新生基質は、ピルビン酸である、実施形態31の方法。
【0049】
33.実施形態21の方法によって調製される、向上した精子機能を有する哺乳類精子を含む精子調製液。
【0050】
34.(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び
(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること
のプロセスによって調製される、向上した割合の超活性化精子を含む精子調製液であって、有効量は、1つ以上の精子機能の向上を誘導するのに十分な量であり、向上した割合の超活性化精子を含む精子調製液は、
未処理の哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源を独立に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子又は標準受精能獲得培地(C−HTF)で処理された哺乳類精子
から選択される好適な対照精子と比べて1つ以上の精子機能の向上を含む、精子調製液。
【0051】
35.第1のエネルギー源は、解糖系エネルギー源であり、及び第2のエネルギー源は、糖新生基質であるか、又は第1のエネルギー源は、糖新生基質であり、及び第2のエネルギー源は、解糖系エネルギー源である、実施形態34の精子調製液。
【0052】
36.ステップ(a)の哺乳類精子は、2回分以上の射精液のプールとして提供される、実施形態34の精子調製液。
【0053】
37.ステップ(a)の哺乳類精子は、低受精能の雄又は精子減少症の雄からのものである、実施形態34の精子調製液。
【0054】
38.ステップ(a)の哺乳類精子は、ヒト、非ヒト霊長類、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、ネコ又はマウス精子である、実施形態34の精子調製液。
【0055】
39.ステップ(a)の哺乳類精子は、ヒト精子である、実施形態38の精子調製液。
【0056】
40.減少した細胞内RNAを更に含む、実施形態34の精子調製液。
【0057】
41.向上した精子機能を誘導する方法であって、
(a)緩衝剤を含み、且つ約6〜7のpH及び約300〜400mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する保存培地に哺乳類精子を提供すること、
(b)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、哺乳類精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び
(c)ステップ(b)からの増強された哺乳類精子に有効量の(i)解糖系エネルギー源、及び/又は(ii)糖新生基質を提供すること
を含み、それにより好適な対照精子と比較して向上した精子機能を誘導する、方法。
【0058】
42.解糖系エネルギー源と糖新生基質とは、同時に提供される、実施形態41の方法。
【0059】
43.解糖系エネルギー源と糖新生基質とは、順次提供される、実施形態41の方法。
【0060】
44.向上した精子機能は、曲線速度、頭部振幅、オートファジー、精子受精能獲得、超活性化精子の割合、中間運動能精子の割合又はこれらの組み合わせの向上を含む、実施形態41の方法。
【0061】
45.向上した精子機能は、超活性化精子及び中間運動能精子の割合の向上である、実施形態41の方法。
【0062】
46.ステップ(a)の哺乳類精子は、2回分以上の射精液のプールとして提供される、実施形態41の方法。
【0063】
47.保存培地は、卵黄を含まない、実施形態41の方法。
【0064】
48.保存培地は、抗生物質を更に含む、実施形態41の方法。
【0065】
49.保存培地は、血清アルブミンを更に含む、実施形態41の方法。
【0066】
50.緩衝剤は、HEPES、MOPS又はこれらの組み合わせである、実施形態41の方法。
【0067】
51.保存培地は、約6.6〜6.9のpH及び約330〜370mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する、実施形態41の方法。
【0068】
52.保存培地は、グルコース、フルクトース、マンノース及びスクロースからなる群から選択される1つ以上の炭素源を更に含む、実施形態41の方法。
【0069】
53.保存培地中の哺乳類精子は、ステップ(a)前に非低温条件下で貯蔵される、実施形態41の方法。
【0070】
54.受精を増進させる方法であって、
(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇条件下において、精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすることであって、インキュベーション前に、哺乳類精子は、緩衝剤を含み、且つ弱酸性pH及び約300〜400mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する保存培地に貯蔵される、インキュベートすること、
(b)ステップ(a)からの増強された精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること、
(c)ステップ(a)の増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源を独立に提供するか、又は有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供することによって得られるものを上回るレベルまで精子機能の1つ以上を向上させること、及び
(d)向上した精子機能を有する哺乳類精子に、受精を増進させる条件下において、卵子への到達手段を提供すること
を含む方法。
【0071】
55.ステップ(a)の哺乳類精子は、2回分以上の射精液のプールとして提供される、実施形態54の方法。
【0072】
56.1つ以上の精子機能は、曲線速度、頭部振幅、オートファジー、精子受精能獲得、超活性化精子の割合、中間運動能精子の割合並びに超活性化精子及び中間運動能精子の割合から選択される、実施形態54の方法。
【0073】
57.体外で実施される、実施形態54の方法。
【0074】
58.ステップ(d)は、ステップ(c)からの、向上した精子機能を有する哺乳類精子の子宮内授精(IUI)により、雌対象の生殖路において体内で実施される、実施形態54の方法。
【0075】
59.ステップ(b)の第2のエネルギー源を提供することは、ステップ(b)からの、有効量の第1のエネルギー源を提供された増強された哺乳類精子の子宮内授精(IUI)により、雌対象の生殖路において体内で実施される、実施形態54の方法。
【0076】
60.ステップ(d)は、向上した精子機能を有する哺乳類精子を卵子と共にインキュベートするか、又は向上した精子機能を有する哺乳類精子を卵子の細胞質に注入して、卵子の体外受精を増進させることを含む、実施形態57の方法。
【0077】
61.a)緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物を含む第1の組成物を含む第1の容器、及び
b)哺乳類精子に好適な少なくとも第1のエネルギー源を含む第2の組成物を含む第2の容器
を含むキットであって、
哺乳類精子を第1の組成物中で好適な時間にわたってインキュベートすると、増強された哺乳類精子を生じさせ、
増強された哺乳類精子に有効量の少なくとも第1のエネルギー源を提供すると、好適な対照と比べて、増強された哺乳類精子の機能を向上させる、キット。
【0078】
62.緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物を含む第1の組成物は、栄養素不含合成ヒト卵管液である、実施形態61のキット。
【0079】
63.増強された哺乳類精子の機能は、曲線速度、頭部振幅、オートファジー、精子受精能獲得、超活性化精子の割合、中間運動能精子の割合、超活性化精子及び中間運動能精子の割合又はこれらの組み合わせである、実施形態61〜62のいずれか1つのキット。
【0080】
64.緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物は、約0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03mM未満又はそれより低いグルコース濃度を含む、実施形態61〜63のいずれか1つのキット。
【0081】
65.緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物は、約0.15、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.005、0.003、0.002mM未満又はそれより低いピルビン酸濃度を含む、実施形態61〜64のいずれか1つのキット。
【0082】
66.好適な時間は、少なくとも約10、20、30、40、45、50、55、60、90、120、150又は180分である、実施形態61〜65のいずれか1つのキット。
【0083】
67.緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物は、約200〜280mOsm、例えば約220〜260、225〜255、230〜250mOsmの範囲の容量オスモル濃度を含む、実施形態61〜66のいずれか1つのキット。
【0084】
68.増強された哺乳類精子に有効量の少なくとも第1のエネルギー源を提供することは、少なくとも約270、275、280、285、290又は295mOsmの容量オスモル濃度におけるものである、実施形態61〜67のいずれか1つのキット。
【0085】
69.第1の組成物は、7.5〜12.5mMなど、例えば約5〜20mMのHEPES、90〜100mMなど、例えば約80〜120mMの塩化ナトリウム、4〜7mM mMなど、例えば約3〜8mMの塩化カリウム、1.5〜2.5mMなど、例えば約1〜5mMの塩化カルシウム、0.3〜0.4mMなど、例えば約0.1〜0.5mMのリン酸カリウム、0.16〜0.35mMなど、例えば0.1〜0.5mMの硫酸マグネシウム、15〜30mMなど、例えば約10〜50mMの重炭酸ナトリウムの1つ以上を含む、実施形態61〜68のいずれか1つのキット。
【0086】
70.第1の組成物は、例えば、約0.0001%、0.0002%、0.0003%、0.0004%、0.0005%、0.0006%、0.0007%、0.0008%、0.0009%又は0.001%のフェノールレッドを更に含む、実施形態61〜69のいずれか1つのキット。
【0087】
71.第1の組成物及び/又は第2の組成物は、例えば、約1〜20μg/ml、2〜18μg/ml、4〜16μg/ml、6〜14μg/ml又は8〜12μg/mlの濃度のゲンタマイシンなどの抗生物質を更に含む、実施形態61〜70のいずれか1つのキット。
【0088】
72.第1のエネルギー源は、解糖系エネルギー源又は糖新生基質である、実施形態61〜71のいずれか1つのキット。
【0089】
73.少なくとも第1のエネルギー源を含む第2の組成物が入った第2の容器は、緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物を更に含む、実施形態61〜72のいずれか1つのキット。
【0090】
74.第1の組成物、第2の組成物又は第1の組成物と第2の組成物との両方は、例えば、滅菌ろ過によって事前に滅菌されている滅菌水溶液などの水溶液である、実施形態61〜73のいずれか1つのキット。
【0091】
75.第1の組成物及び/又は第2の組成物は、凍結乾燥組成物である、実施形態61〜73のいずれか1つのキット。
【0092】
76.哺乳類精子に好適な少なくとも第2のエネルギー源を含む第3の組成物を含む第3の容器を更に含み、増強された哺乳類精子に有効量の第2のエネルギー源を提供すると、精子の機能を向上させ、有効量の第2のエネルギー源は、第1のエネルギー源の有効量と同時に又は逐次的に提供される、実施形態61〜75のいずれか1つのキット。
【0093】
77.第3の組成物は、例えば、滅菌ろ過によって事前に滅菌されている滅菌水溶液などの水溶液である、実施形態76のキット。
【0094】
78.第3の組成物は、凍結乾燥組成物である、実施形態76のキット。
【0095】
79.哺乳類精子に好適な少なくとも第2のエネルギー源を含む第3の組成物を含む第3の容器は、緩衝化精子増強用エネルギー枯渇組成物を更に含む、実施形態76〜78のいずれか1つのキット。
【0096】
80.第3の組成物は、例えば、約1〜20μg/ml、2〜18μg/ml、4〜16μg/ml、6〜14μg/ml又は8〜12μg/mlの濃度のゲンタマイシンなどの抗生物質を更に含む、実施形態76〜79のいずれか1つのキット。
【0097】
81.第2のエネルギー源は、解糖系エネルギー源又は糖新生基質であり、第2のエネルギー源は、第1のエネルギー源として選択されないものである、実施形態76〜80の1つのキット。
【0098】
82.解糖系エネルギー源は、例えば、約100mM〜1M、200〜900mM、300〜800mM、400〜600mM又は500mM、例えば少なくとも約100、200、300、400、500、600、700、800、900mM又は1Mの濃度のグルコースである、実施形態72〜81のいずれか1つのキット。
【0099】
83.糖新生基質は、例えば、約10〜50mM、15〜45mM、20〜40mM又は25〜35mM、例えば少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45又は50mMの濃度のピルビン酸である、実施形態72〜82のいずれか1つのキット。
【0100】
84.第1のエネルギー源又は任意選択で第2のエネルギー源は、有効量のグルコースであり、グルコースの有効量は、希釈剤への導入時に約0.6mM〜10.0mM、例えば約1.0〜7.0mM、2.5〜7.0mM、3.5〜6.5mM又は約5mM、例えば少なくとも約1、2、3又は4mMである、実施形態71〜83のいずれか1つのキット。
【0101】
85.第1のエネルギー源又は任意選択で第2のエネルギー源は、有効量のピルビン酸であり、ピルビン酸の有効量は、希釈剤への導入時に約0.15〜0.66mM、例えば約0.20〜0.50mM、0.25〜0.40mM又は約0.30mMである、実施形態71〜83のいずれか1つのキット。
【0102】
86.第1のエネルギー源は、任意選択で、ピルビン酸ナトリウムの形態のピルビン酸である、実施形態71〜85のいずれか1つのキット。
【0103】
87.第2のエネルギー源は、グルコースである、実施形態76〜86のいずれか1つのキット。
【0104】
88.第1の組成物は、例えば、約1〜10mg/ml、2〜8mg/ml又は3〜7mg/mlの濃度のヒト血清アルブミンを含む、実施形態71〜87のいずれか1つのキット。
【0105】
89.ヒト血清アルブミンを含む更なる容器を含む、実施形態71〜88のいずれか1つのキット。
【0106】
90.第1及び/又は第2の組成物は、例えば、約97.8mMの濃度のNaCl、例えば約4.7mMの濃度のKCl、例えば約2mMの濃度のCaCl
2、例えば約0.37mMの濃度のKH
2PO
4、例えば約0.2mMの濃度のMgSO
4.7H
2O、例えば約4mg/mlの濃度のHSA、例えば約10μg/mlの濃度のゲンタマイシン、例えば約10mMの濃度のHEPES及び例えば約0.0006%の濃度のフェノールレッドから本質的になる、実施形態71〜89のいずれか1つのキット。
【0107】
91.第3の組成物は、例えば、約97.8mMの濃度のNaCl、例えば約4.7mMの濃度のKCl、例えば約2mMの濃度のCaCl
2、例えば約0.37mMの濃度のKH
2PO
4、例えば約0.2mMの濃度のMgSO
4・7H
2O、例えば約4mg/mlの濃度のHSA、例えば約10μg/mlの濃度のゲンタマイシン、例えば約10mMの濃度のHEPES及び例えば約0.0006%の濃度のフェノールレッドから本質的になる、実施形態76〜90のいずれか1つのキット。
【0108】
92.マイクロ流体デバイス、密度勾配溶液、精子単離マトリックス(シラン化シリカなど、任意選択で栄養素不含合成ヒト卵管液に懸濁される)又はこれらの組み合わせから選択される精子の選択手段を更に含む、実施形態71〜91のいずれか1つのキット。
【0109】
93.飢餓−レスキュー法/飢餓−再栄養法など、本明細書に記載されるとおりの方法の実施に関する説明書などの使用説明書を更に含む、実施形態71〜92のいずれか1つのキット。
【0110】
94.哺乳類ドナーからの哺乳類精子の試料を採取するための採取容器を更に含む、実施形態71〜93のいずれか1つのキット。
【0111】
95.第1の容器及び/又は第2の容器は、ボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である、実施形態71〜94のいずれか1つのキット。
【0112】
96.第3の容器は、ボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である、実施形態76〜95のいずれか1つのキット。
【0113】
97.第1の容器及び/又は第2の容器は、多目的容器である、実施形態71〜96のいずれか1つのキット。
【0114】
98.第3の容器は、多目的容器である、実施形態76〜97のいずれか1つのキット。
【0115】
99.精子機能を向上させる方法であって、
i)精子を、エネルギー枯渇下において、精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、
ii)増強された精子に、解糖系エネルギー源又は糖新生基質から選択されるが、但し有効量の解糖系エネルギー源及び有効量の糖新生基質の両方ではない、有効量の第1のエネルギー源を提供すること、及び
iii)その後、有効量の糖新生基質及び解糖系エネルギー源の両方を提供するように、精子に有効量の第2のエネルギー源を提供すること
を含み、それにより精子機能を向上させる、方法。
【0116】
100.エネルギー枯渇は、例えば、約0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03mM未満のグルコース又はそれより低い、約0.02又は0.01mM未満など、例えば約0.01mM未満の低グルコース濃度を含む、実施形態99の方法。
【0117】
101.エネルギー枯渇は、例えば、約0.15、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.005、0.003、0.002mM未満又はそれより低い低ピルビン酸濃度を含む、実施形態99又は実施形態100の方法。
【0118】
102.エネルギー枯渇は、少なくとも約10、20、30、40、50、60分、例えば少なくとも約30、40、45、50、55、60、90、120、150若しくは180分又は1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5若しくは10時間にわたるものである、実施形態99〜101のいずれか1つの方法。
【0119】
103.精子の増強後に有効量の第1のエネルギー源を提供することと、有効量の第2のエネルギー源を提供することとの間の時間は、少なくとも約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60分、例えば少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20分、例えば少なくとも約5〜15分である、実施形態99〜102のいずれか1つの方法。
【0120】
104.糖新生基質は、例えば、約0.15〜0.66mM、例えば約0.25〜0.40mM又は約0.30mMなど、約0.20〜0.50mMの濃度のピルビン酸である、実施形態99〜103のいずれか1つの方法。
【0121】
105.解糖系エネルギー源は、例えば、約0.6mM〜10.0mM、1.0〜7.0mM、2.5〜7.0mM、3.5〜6.5mM又は5mM、例えば少なくとも約1、2、3又は4mMの濃度のグルコースである、実施形態99〜104のいずれか1つの方法。
【0122】
106.第1のエネルギー源は、グルコースなどの解糖系エネルギー源である、実施形態99〜105のいずれか1つの方法。
【0123】
107.第2のエネルギー源は、グルコースなどの解糖系エネルギー源である、実施形態99〜105のいずれか1つの方法。
【0124】
108.第1のエネルギー源は、ピルビン酸などの糖新生基質である、実施形態99〜105のいずれか1つの方法。
【0125】
109.第2のエネルギー源は、ピルビン酸などの糖新生基質である、実施形態99〜105のいずれか1つの方法。
【0126】
110.精子は、哺乳類精子(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ又は霊長類精子、例えばヒト精子)である、実施形態99〜109のいずれか1つの方法。
【0127】
111.エネルギー枯渇中、約200〜280mOsm、例えば約220〜260、225〜255、230〜250mOsmの範囲の容量オスモル濃度で実施され、任意選択で、有効量の第1及び/又は第2のエネルギー源を添加すると、容量オスモル濃度は、少なくとも約270、275、280、285、290又は295mOsmに増加する、実施形態99〜110のいずれか1つの方法。
【0128】
112.例えば、CASA又はDNA断片化(例えば、TUNELによる)、脂質過酸化、活性酸素種若しくはこれらの組み合わせを測定することによる、精子の運動能又は品質の1つ以上の定量的評価を更に含む、実施形態99〜111のいずれか1つの方法。
【0129】
113.治療前に、精子は、低温貯蔵から回収される、前出の実施形態のいずれか1つの方法。
【0130】
114.治療前に、精子は、非低温貯蔵から回収される、実施形態99〜112のいずれか1つの方法。
【0131】
115.精子は、2回分以上の射精液(例えば、2、3、4、5、6回分又はそれを超える射精液)からプールされる、実施形態99〜114のいずれか1つの方法。
【0132】
116.精子は、例えば、1ミリリットル当たりの精子が約1500万個未満の精子数である低受精能の雄又は精子減少症の雄から入手される、実施形態99〜115のいずれか1つの方法。
【0133】
117.エネルギー枯渇前に、精子は、例えば、密度勾配遠心法、スイムアップ法又はマイクロフルイディクスによって精液から濃縮される(又は単離される)、実施形態99〜116のいずれか1つの方法。
【0134】
118.精子を雌生殖路に提供することを更に含み、任意選択で、有効量の第2のエネルギー源は、雌生殖路に提供される、実施形態99〜117のいずれか1つの方法。
【0135】
119.体外で実施される、実施形態99〜118のいずれか1つの方法。
【0136】
120.向上した機能を有する精子を、受精を増進させる条件下で卵子と接触させることを更に含む、実施形態119の方法。
【0137】
121.実施形態99〜117のいずれか1つの方法によって調製された精子に、卵子を受精させるのに十分な時間にわたり、卵子への到達手段(例えば、ICSIによることを含む)を提供することを含む、受精方法。
【0138】
122.好適な対照と比べて、超活性化精子及び/又は中間運動能精子の少なくとも約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95若しくは100%の増加又はそれより大きい、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5倍の増加などであるか又はそれより大きい、約1.2倍を含む増加がある、実施形態99〜121のいずれか1つの方法。
【0139】
123.少なくとも第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源と組み合わせて、NADH、NAD+、クエン酸、AMP又はADPなどの解糖系の上流又は下流の1つ以上の成分を精子に提供するステップを更に含む、実施形態99〜122のいずれか1つの方法。
【0140】
124.少なくとも5%の超活性化精子を含む超活性化精子調製液であって、任意選択で、超活性化に基づいて事前に選別されておらず、任意選択で、超活性化精子及び/又は中間精子は、好適な対照と比べて、細胞内RNA濃度(マイクロRNAを含む低分子非コードRNAなど)の10、15、20、25、30、35、40、45、50%又はそれを超える(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10倍又はそれを超える)低下を有する、精子調製液。
【0141】
125.a.正常精子の雄、低受精能の雄又は精子減少症の雄、例えば低受精能(精子減少症を含む)の雄などの雄対象の精液から精子を濃縮すること、
b.精子を、エネルギー枯渇下において、精子を増強するのに好適な時間にわたってインキュベートすること、
c.増強された精子に、有効量の解糖系エネルギー源又は有効量の糖新生基質から選択されるが、但し有効量の解糖系エネルギー源及び糖新生基質の両方ではない、第1のエネルギー源を提供すること
によって調製される精子調製液。
【0142】
126.実施形態125の調製液に、卵子を受精させるのに十分な時間にわたり、有効量の糖新生基質及び解糖系エネルギー源の両方を提供するように、第2のエネルギー源の有効量及び卵子への到達手段を提供することを含む、受精方法。
【0143】
127.体外で実施される、実施形態126の方法。
【0144】
128.雌の生殖路(腟又は子宮)において体内で実施される、実施形態126の方法。
【0145】
129.精子は、精子減少症の対象又は低受精能の(例えば、精子運動能が低い)対象からのものである、実施形態125の調製液。
【0146】
130.実施形態99〜120のいずれか1つの方法によって調製される、実施形態125の調製液。
【0147】
131.i)精子との接触時にエネルギー枯渇を誘導する精子増強溶液、
ii)有効量の解糖系エネルギー源又は有効量の糖新生基質から選択されるが、但し有効量の解糖系エネルギー源及び糖新生基質の両方ではない、第1のエネルギー源を提供する溶液、及び
iii)有効量の第2のエネルギー源を提供する溶液
を含む製品。
【0148】
132.精子単離マトリックスを更に含む、実施形態131の製品。
【0149】
133.精子単離マトリックスは、シラン化シリカであり、任意選択で、シラン化シリカは、いかなる解糖系エネルギー源又は糖新生基質も実質的に含まない培地中にある、実施形態132の製品。
【0150】
134.緩衝剤を含み、且つ弱酸性pH及び約300〜400mOsm/kg、例えば約300〜380、320〜370、330〜370、340〜360、例えば約320、330、340、350、360、370又は380、例えば約350の重量オスモル濃度を有する精子保存培地であって、有意な量の卵黄を含まないか、又は一部の実施形態では一切の卵黄を含まない精子保存培地。
【0151】
135.炭素源を更に含み、任意選択で、炭素源は、グルコース、フルクトース、マンノース、スクロース又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態134の精子保存培地。
【0152】
136.炭素源は、グルコースである、実施形態135の精子保存培地。
【0153】
137.グルコースは、約0.1〜0.4Mの濃度、約0.2〜0.4Mなど、例えば約0.30〜0.36M又は約0.33Mの濃度で存在する、実施形態136の精子保存培地。
【0154】
138.緩衝剤は、両性イオン緩衝剤であり、緩衝剤濃度は、約1〜100mM、例えば1〜50mM、1〜40mM、1〜30mM、1〜20mM、5〜15mM、例えば約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20mM、例えば約10mMである、実施形態134〜137のいずれか1つの精子保存培地。
【0155】
139.緩衝剤は、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)又はこれらの組み合わせである、実施形態138の精子保存培地。
【0156】
140.抗生物質を更に含む、実施形態134〜139のいずれか1つの精子保存培地。
【0157】
141.抗生物質は、アミノグリコシドである、実施形態140の精子保存培地。
【0158】
142.抗生物質は、ゲンタマイシンである、実施形態140又は141の精子保存培地。
【0159】
143.ゲンタマイシンは、約5〜20μg/ml、例えば約10μg/mlの濃度で存在する、実施形態142の精子保存培地。
【0160】
144.血清アルブミンを更に含む、実施形態131〜143のいずれか1つの精子保存培地。
【0161】
145.血清アルブミンは、ウシ血清アルブミン(BSA)若しくはヒト血清アルブミン(HSA)又はこれらの組み合わせであり、より詳細には、血清アルブミンは、約1.5〜4.5%(W/V)、例えば約2〜4%、2.5〜3.5%又は3%の濃度で存在する、実施形態144の精子保存培地。
【0162】
146.約340〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する、実施形態134〜145のいずれか1つの精子保存培地。
【0163】
147.約6〜7、例えば6.6〜6.9のpHを有する、実施形態134〜146のいずれか1つの精子保存培地。
【0164】
148.ステロール、抗酸化剤又は抗炎症剤の1つ以上を更に含む、実施形態134〜147のいずれか1つの精子保存培地。
【0165】
149.両性イオン緩衝剤及び約6.6〜6.9のpH、約0.25〜0.36Mの濃度のグルコース、約320〜380mOsm/kgの重量オスモル濃度を含む精子保存培地であって、有意な量の卵黄を含まないか、又は一部の実施形態では一切の卵黄を含まない精子保存培地。
【0166】
150.抗生物質を更に含み、任意選択で、抗生物質は、ゲンタマイシンである、実施形態149の精子保存培地。
【0167】
151.pHは、約6.8であり、グルコース濃度は、約0.330mMであり、重量オスモル濃度は、約350mOsm/kgであり、及び血清アルブミンは、BSA及び/又はHSAであり、任意選択で、BSA及び/又はHSAは、約2〜4%(W/V)の濃度で存在する、実施形態149又は実施形態150の精子保存培地。
【0168】
152.緩衝剤は、HEPES、MOPS又はこれらの組み合わせである、実施形態151の精子保存培地。
【0169】
153.滅菌製剤として任意選択で密閉滅菌容器に提供される、実施形態149〜152のいずれか1つの精子保存培地。
【0170】
154.凍結乾燥される、実施形態153の精子保存。
【0171】
155.液体製剤である、実施形態153の精子保存培地。
【0172】
156.保存培地中に約4℃で最長4、5、6、7、8、9、10、11、12日間又はそれを超えて貯蔵された精子は、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80%又はそれを超える運動精子を維持する、実施形態149〜155のいずれか1つの精子保存培地。
【0173】
157.保存培地中に約4℃で7日間にわたって貯蔵された精子は、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80%又はそれを超える運動精子を有する、実施形態149〜156のいずれか1つの精子保存培地。
【0174】
158.保存培地中に約4℃で4、5、6、7、8、9、10、11、12日間又はそれを超えて貯蔵された精子は、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも約75%の運動精子を有する、実施形態149〜157のいずれか1つの精子保存培地。
【0175】
159.保存培地中に約4℃で7日間にわたって貯蔵された精子は、受精能獲得培地への移し替え時、保存培地中にある貯蔵前の対照精子と比べて1、2、5、10、15又は20%以下だけ低下した運動精子率である、実施形態149〜158のいずれか1つの精子保存培地。
【0176】
160.培地中に貯蔵した精子は、
低温貯蔵した細胞と比べて少なくとも30、40、50、55、60、65、70、80、85、90、95%又はそれを超えるTUNEL染色の減少、
低温貯蔵した細胞と比べて少なくとも30、40、50、55、60、65、70、80、85、90、95%又はそれを超える脂質過酸化の減少、
低温貯蔵した細胞と比べて少なくとも30、40、50、55、60、65、70、80、85、90、95%又はそれを超える活性酸素種の減少、又は
1つ、2つ又は3つ全てを含めた前述の組み合わせ
の1つ以上を呈する、実施形態156〜159のいずれか1つの精子保存培地。
【0177】
161.約6.7〜6.9のpHを有し、両性イオン緩衝剤、約0.25〜0.35Mの濃度のグルコース、抗生物質、約340〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度、約2〜4%(W/V)の濃度のBSA又はHSAから本質的になる滅菌液体精子保存培地であって、この保存培地中に4℃で最長12日間にわたって貯蔵された精子は、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも60%の運動精子を維持し、任意選択で、この培地は、卵黄を含有しない、滅菌液体精子保存培地。
【0178】
162.前出の実施形態のいずれか1つの精子保存培地を含む組成物であって、生存精子を更に含み、任意選択で、精子は、精液から(例えば、密度勾配遠心法、スイムアップ法、ろ過又はマイクロフルイディクスによって)濃縮される、組成物。
【0179】
163.精子は、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ又はヒトなどの霊長類精子など、哺乳類精子である、実施形態162の組成物。
【0180】
164.哺乳類精子は、精子数の減少した、例えば1ミリリットル当たり約1500万個未満の精子を有する対象からのものである、実施形態163の組成物。
【0181】
165.約4℃で最長4、5、6、7、8、9、10、11、12日間又はそれを超えて貯蔵したとき、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80%又はそれを超える精子は、運動能を有する、実施形態162〜164のいずれか1つの組成物。
【0182】
166.(i)精子、例えばヒト精子、及び
(ii)緩衝剤
を含む組成物であって、5〜7(例えば、6〜7又は6.6〜6.9)のpH及び約300〜400mOsm/kg(例えば、約300〜380、320〜370、330〜370、340〜360、例えば約320、330、340、350、360、370又は380、例えば約350)の重量オスモル濃度を有し、培地は、任意選択で、有意な量の卵黄を含まないか、又は一部の実施形態では一切の卵黄を含まない、組成物。
【0183】
167.組成物の非精子部分は、実施形態134〜161のいずれか1つの精子保存培地である、実施形態166の組成物。
【0184】
168.ヒト精子と液体精子保存培地とを含む組成物であって、液体精子保存培地は、約6.7〜6.9のpHを有し、両性イオン緩衝剤、約0.25〜0.35Mの濃度のグルコース、約340〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度、抗生物質、約2〜4%(W/V)の濃度のBSA又はHSAから本質的になり、4℃で最長12日間にわたって貯蔵したとき、受精能獲得培地への移し替え時に好適な対照精子と比べて少なくとも60%の精子は、運動能を有し、任意選択で、培地は、卵黄を含有しない、組成物。
【0185】
169.精子は、2回分以上の射精液(例えば、2、3、4、5、6回分又はそれを超える射精液)からプールされる、実施形態134〜168のいずれか1つの組成物。
【0186】
170.精子を、実施形態134〜161のいずれか1つの培地と接触させることを含む、精子を保存する方法。
【0187】
171.実施形態162〜169のいずれか1つの組成物を雌レシピエントの生殖器官(例えば、腟又は子宮)に導入することを含む受精方法であって、任意選択で、雌レシピエントの生殖器官への導入前に、精子は、組成物から単離されて受精能獲得培地に置かれる、方法。
【0188】
172.実施形態162〜169のいずれか1つの組成物を卵子に接触させること(例えば、ISCIによるなど、注入によることを含む)を含む受精方法であって、任意選択で、卵子に接触させる前に、精子は、組成物から単離されて受精能獲得培地に置かれる、方法。
【0189】
173.(a)哺乳類精子を、エネルギー枯渇下において、増強された哺乳類精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、及び
(b)ステップ(a)からの増強された哺乳類精子に有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を順次提供すること
によって調製される精子調製液であって、ステップ(b)の精子は、好適な対照精子と異なるエピジェネティックプロファイルを含む、精子調製液。
【0190】
174.好適な対照精子は、未処理の哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源又は第2のエネルギー源を独立に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子、有効量の第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を同時に提供されている、ステップ(a)の増強された哺乳類精子又は標準受精能獲得培地(C−HTF)で処理された精子である、実施形態173の精子調製液。
【0191】
175.異なるエピジェネティックプロファイルは、DNAメチル化、DNAアセチル化、RNAメチル化、タンパク質(例えば、ヒストン)メチル化、タンパク質(例えば、ヒストン)アセチル化又はこれらの組み合わせの変化したレベルを含む、実施形態173〜174のいずれか1つの精子調製液。
【0192】
176.ステップ(b)の精子は、好適な対照精子と比べて減少したRNAレベルを更に含む、実施形態173〜175のいずれか1つの精子調製液。
【0193】
177.減少したRNAレベルは、非コードRNA(ncRNA)の減少を含む、実施形態176の精子調製液。
【0194】
178.非コードRNAは、miRNAである、実施形態177の精子調製液。
【0195】
179.改善された適応度を有する子孫を作製する方法であって、
(a)精子試料を、エネルギー枯渇下において、増強された精子を生じさせるのに好適な時間にわたってインキュベートすること、
(b)増強された精子に有効量の第1のエネルギー源を提供すること、及び
(c)その後、ステップ(b)からの精子に有効量の第2のエネルギー源を提供すること、
(d)ステップ(c)からの精子を卵子に受精させて、胚を発生させること、及び
(e)雌対象において胚を成長させて、改善された適応度を有する子孫を作製すること
を含み、改善された適応度は、病態を発症する低下したリスクを含む、方法。
【0196】
180.改善された適応度を有する子孫は、病態を発症しない、実施形態179の方法。
【0197】
181.ステップ(c)の精子は、好適な対照精子と異なるエピジェネティックプロファイルを含む、実施形態179〜180のいずれか1つの方法。
【0198】
182.ステップ(c)の精子は、好適な対照精子と比べて減少した細胞内RNAレベルを含む、実施形態179〜181のいずれか1つの方法。
【0199】
183.病態は、肥満又は肥満関連障害(例えば、2型糖尿病、心血管疾患、呼吸器疾患、不妊症又は癌)である、実施形態179〜182のいずれか1つの方法。
【0200】
184.第1のエネルギー源は、解糖系エネルギー源であり、及び第2のエネルギー源は、糖新生基質である、実施形態179〜183のいずれか1つの方法。
【0201】
185.第1のエネルギー源は、糖新生基質であり、及び第2のエネルギー源は、解糖系エネルギー源である、実施形態179〜183のいずれか1つの方法。