(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-529699(P2021-529699A)
(43)【公表日】2021年11月4日
(54)【発明の名称】車両のタイヤ監視システムにおいてセンサモジュールホルダ内でのセンサモジュールの誤った配置を検出する方法およびタイヤ監視システム
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20211008BHJP
【FI】
B60C23/04 140D
B60C23/04 140A
B60C23/04 160Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2021-500206(P2021-500206)
(86)(22)【出願日】2019年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月3日
(86)【国際出願番号】EP2019067796
(87)【国際公開番号】WO2020007890
(87)【国際公開日】20200109
(31)【優先権主張番号】102018211211.8
(32)【優先日】2018年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パーシヴ ダラムズヒ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クレッチュマン
(72)【発明者】
【氏名】シチャオ ユー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル レフラー
(57)【要約】
本発明の一様相は、タイヤ監視システムを装備した車両(1)のタイヤ(2)において、センサモジュールホルダ(13)内でのセンサモジュール(12)の誤った配置を検出する方法に関する。センサモジュール(12)の誤った配置の検出を、タイヤ監視システムの複数のセンサモジュール(12)によって特定された動作パラメータ(FPQ)の比較に基づき、このセンサモジュール(12)に対し、動作パラメータ(FPQ)と、このセンサモジュール(12)について予想される動作パラメータ(FPQ)との間に、車両(1)の速度に依存する偏差が存在することを確定することによって行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ監視システムを装備した車両(1)のタイヤ(2)において、センサモジュールホルダ(13)内でのセンサモジュール(12)の誤った配置を検出する方法であって、
前記タイヤ監視システムは、前記車両(1)のそれぞれのタイヤ(2)のそれぞれのセンサモジュールホルダ(13)内に配置された複数のセンサモジュール(12)を有し、前記センサモジュール(12)により、それぞれ、前記センサモジュール(12)の配置箇所(4)においてセンシングによって検出した加速度に依存して、該当する前記タイヤ(2)の動作パラメータ(FPQ)を特定し、前記車両(1)に配置された受信および評価装置(30、40)に無線で送信し、
複数の前記センサモジュール(12)のうちの1つの前記センサモジュールの、該当する前記センサモジュールホルダ(13)内での誤った配置の検出を、複数の前記センサモジュール(12)によって特定された前記動作パラメータ(FPQ)の比較に基づき、前記センサモジュール(12)に対し、前記動作パラメータ(FPQ)と、前記センサモジュール(12)について予想される動作パラメータ(FPQ)との間に、前記車両(1)の速度に依存する偏差が存在することを確定することによって行う、センサモジュールホルダ(13)内でのセンサモジュール(12)の誤った配置を検出する方法。
【請求項2】
前記センサモジュールホルダ(13)が、それぞれの前記センサモジュール(12)を差し込むための、弾性材料から形成された収容部としてそれぞれ構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記センサモジュールホルダ(13)が、それぞれの前記タイヤ(2)のタイヤ接触面の内側にそれぞれ固定されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記タイヤ監視システムは、タイヤ圧監視システムとして構成されており、前記センサモジュール(12)により、それぞれの前記タイヤ(2)における圧力をそれぞれ検出し、該当する前記タイヤ(2)の動作パラメータとして、前記タイヤ圧を前記受信および評価装置(30、40)に無線で送信する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記センサモジュール(12)により、該当する前記センサモジュール(12)の前記配置箇所(4)においてそれぞれセンシングによって検出される前記加速度には、半径方向加速度および/または接線方向加速度が含まれる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記センサモジュール(12)によってそれぞれ特定される前記動作パラメータ(FPQ)は、該当する前記タイヤ(2)のタイヤ接地面の長さ(L)を表す、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記センサモジュール(12)によってそれぞれ特定される前記動作パラメータは、該当する前記タイヤ(2)の外周に対する前記タイヤ接地面の前記長さ(L)の比を示す、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記車両(1)に対して動作に応じて設けられる、前記車両(1)の前記速度の全領域のあらかじめ定めた部分領域において、前記偏差の前記確定を行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記偏差の前記確定には、前記車両(1)の速度の変化に伴って単調に変化する偏差の確定が含まれる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
車両用のタイヤ監視システムであって、前記タイヤ監視システムは、
車両(1)のそれぞれのタイヤ(2)のそれぞれのセンサモジュールホルダ(13)に配置可能な複数のセンサモジュール(12)であって、前記センサモジュール(12)の配置箇所(4)においてセンシングによって検出された加速度に依存して、該当する前記タイヤ(2)の動作パラメータ(FPQ)を特定して、無線で送信するようにそれぞれ構成されている前記センサモジュール(12)と、
前記センサモジュール(12)によって送信された、前記タイヤ(2)の前記動作パラメータ(FPQ)を受信して評価する、前記車両(1)に配置可能な受信および評価装置(30、40)と、
を有し、
前記受信および評価装置(30、40)はさらに、複数の前記センサモジュール(12)によって特定された前記動作パラメータ(FPQ)の比較に基づき、前記センサモジュール(12)に対し、前記動作パラメータ(FPQ)と、前記センサモジュール(12)について予想される動作パラメータ(FPQ)との間に、前記車両(1)の速度に依存する偏差が存在することが確定されることにより、該当する前記センサモジュールホルダ(13)内での、複数の前記センサモジュール(12)のうちの1つの前記センサモジュールの誤った配置の検出が行われるように構成されている、
タイヤ監視システム。
【請求項11】
前記センサモジュール(12)によってそれぞれ特定される前記動作パラメータ(FPQ)は、該当する前記タイヤ(2)のタイヤ接地面の長さ(L)を表す、請求項10記載のタイヤ監視システム。
【請求項12】
前記センサモジュール(12)によってそれぞれ特定される前記動作パラメータは、該当する前記タイヤ(2)の外周に対する前記タイヤ接地面の前記長さ(L)の比を示す、請求項11記載のタイヤ監視システム。
【請求項13】
前記車両(1)に対して動作に応じて設けられる、前記車両(1)の前記速度の全領域のあらかじめ定めた部分領域において、前記偏差の前記確定を行う、請求項10から12までのいずれか1項記載のタイヤ監視システム。
【請求項14】
前記偏差の前記確定には、前記車両(1)の速度の変化に伴って単調に変化する偏差の確定が含まれる、請求項10から13までのいずれか1項記載のタイヤ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを装備した車両におけるタイヤ監視システムの分野に関する。
【0002】
タイヤ監視システムは、例えば、現代の道路走行自動車(例えば、乗用車、貨物自動車など)に使用され、一般に、車両のそれぞれのタイヤのそれぞれのセンサモジュールホルダ内に配置されている複数のセンサモジュールを有し、これらのセンサモジュールはそれぞれ、センシングによって検出した少なくとも1つの量(例えば圧力、温度、加速度など)に依存して、該当するタイヤの少なくとも1つの動作パラメータ(例えば、タイヤ圧、タイヤ温度など)を特定し、車両に配置されている受信および評価装置に無線によって送信する。
【0003】
多くの場合にデジタルデータテレグラムの形態をした無線送信は、一般に、センサモジュールにおいて定められた送信ストラテジにしたがって特定の時間毎に行われる。
【0004】
ここでは動作パラメータとして、例えば、センシングによって検出される複数の量のうちの1つを直接に使用することができ、このことは、例えば、圧力および温度の量については有利であり、これにより、対応するタイヤ動作パラメータ「タイヤ圧」もしくは「タイヤ温度」が車両に配置された受信および評価装置に伝送される。
【0005】
これに対し、センサモジュールによってセンシングして検出される加速度(例えば半径方向加速度)は、一般に、それそのものでは、伝送される動作パラメータとして使用されず、センサモジュール側において、加速度の時間経過を評価することと、場合によって1つ以上の別の量を一緒に考慮することとに基づき、1つ以上の動作パラメータの特定が行われる。この場合にこれらの動作パラメータは、検出された加速度に依存するが、この加速度をそれそのものとして表さない。
【0006】
例えば、このような仕方で、センシングによって検出した加速度から、該当する車両ホイールもしくは車両タイヤの回転速度が特定され、動作パラメータとしてデータ送信に取り込まれることが多い。
【0007】
さらに、例えば、センシングによって検出した加速度に依存して、しばしばコンタクトパッチとも称される、該当するタイヤのタイヤ接地面の長さを表す動作パラメータを特定可能である。
【0008】
個々のタイヤに配置されているセンサモジュールホルダにより、有利には、例えば、センサモジュールが故障した場合またはセンサモジュールの電池が消耗した場合にセンサモジュールを容易に後から交換可能になる。
【0009】
このようなセンサモジュールホルダを使用する際に判明したのは、センサモジュールホルダ内での誤った(例えばわずかに傾いた)センサモジュールの配置が、特に、センシングによる加速度の検出の結果を大きく劣化させてしまい得ることである。この場合には、その結果、検出した加速度に依存して特定されるすべての動作パラメータも基本的に劣化してしまい得る。
【0010】
本発明の課題は、タイヤ監視システムにおいて、該当するセンサモジュールホルダ内でのセンサモジュールの誤った配置に関して、タイヤ監視システムの信頼性を改善することである。
【0011】
上記の課題は、請求項1に記載した方法もしくは請求項10に記載したタイヤ監視システムによって解決される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関する。
【0012】
本発明の第1様相は、タイヤ監視システムを装備した車両のタイヤにおいて、センサモジュールホルダ内でのセンサモジュールの誤った配置を検出する方法に関し、タイヤ監視システムは、車両のそれぞれのタイヤのそれぞれのセンサモジュールホルダ内に配置された複数のセンサモジュールを有し、これらのセンサモジュールにより、それぞれ、センサモジュールの配置箇所においてセンシングによって検出した加速度に依存して、該当するタイヤの動作パラメータを特定し、車両に配置された受信および評価装置に無線で送信し、複数のセンサモジュールのうちの1つのセンサモジュールの、該当するセンサモジュールホルダ内での誤った配置の検出を、複数のセンサモジュールによって特定された動作パラメータの比較に基づき、このセンサモジュールに対し、動作パラメータと、このセンサモジュールについて予想される動作パラメータとの間に、車両の速度に依存する偏差が存在することを確定することによって行う。
【0013】
したがって本発明の基本的な着想は、センサモジュールの誤った配置を検出することにある。
【0014】
複数のセンサモジュールのうちの1つのセンサモジュールの、該当するセンサモジュールホルダ内での誤った配置の検出は、すでに説明したように、複数のセンサモジュールにより、これらのセンサモジュールの配置箇所においてセンシングによって検出した加速度に依存して特定された動作パラメータの比較に基づき、このセンサモジュールに対し、動作パラメータと、センサモジュールホルダ内での正常な配置の際に予想されるこのセンサモジュールについての動作パラメータとの間に、車両の速度に依存する偏差が存在することを確定する、ことによって行うことが可能である。
【0015】
ここで、また以下においてセンサモジュールの誤った配置とは、センサモジュールが、タイヤにおいてこのセンサモジュールホルダの想定された位置および/または想定された配向で固定されていないことを意味する。
【0016】
ここでは、例えば緩んだ、すなわち移動するホルダの実践的にはむしろ確率の低いケース、または例えば確かに多少安定はしているが、位置および/または配向が誤っているホルダのより確率的なケースが存在することがあり得る。特に、本発明の上述の様相による方法により、センサモジュールホルダ内で傾いて取り付けられたセンサモジュールの検出を実現可能である。
【0017】
多くの場合の実践的に関連する誤配置について判明したのは、これによって引き起こされる、検出された加速度に基づく少なくとも1つの動作パラメータの劣化(すなわち予想される動作パラメータからの偏差)が、車両の瞬時速度に対する依存性を示すことである。したがって、車両の速度に依存する偏差の上述の確定は、検出対象の誤配置について特に高い説得力を有する。
【0018】
特定される動作パラメータの偏差が、速度依存性を有する1つの理由の実体は、速度に依存してセンサモジュールおよびセンサモジュールホルダに作用する遠心力により、一般的なタイヤ材料(例えばゴム)の、および/またはしばしば同様にゴムまたはこれに類するものから作製されるセンサモジュールホルダのたいていの場合の大きな可塑性に関係して、誤って配置されたセンサモジュールの位置および/または配向に相応に影響を与え、すなわち速度に依存してこれらを変化させることにある。
【0019】
特にこの点に関し、センサモジュールホルダが、それぞれのセンサモジュールを差し込むための、弾性材料(ゴムまたはこれに類するもの)から形成された収容部としてそれぞれ構成されている場合、上記の方法は特に有利である。
【0020】
この収容部は、例えば、少なくともほぼ円筒形の収容空間を画定していてよく、この収容空間には、これに応じて、全体としてまたは少なくとも部分的に適切に寸法設計された円筒形の形状を有するセンサモジュールを差し込み可能である。円筒軸線は、ここでは特にタイヤの半径方向に延在するように設けられていてよい。
【0021】
一実施形態では、センサモジュールホルダが、それぞれのタイヤのタイヤ接触面の内側にそれぞれ固定されているように構成される。
【0022】
センサモジュールホルダの固定は、特に、例えばタイヤにおける接着によって実現可能である。
【0023】
一実施形態では、タイヤ監視システムは、タイヤ圧監視システムとして構成されているようにし、センサモジュールにより、それぞれのタイヤにおける圧力をそれぞれ検出し、該当するタイヤの(別の)動作パラメータとして、タイヤ圧を(も)受信および評価装置に無線で送信する。
【0024】
すなわちこの実施形態では、センサモジュールの配置箇所における加速度だけをセンシングによって検出するのはなく、該当するタイヤにおける圧力も少なくとも検出する。
【0025】
それぞれのタイヤにおける圧力の検出とは択一的または付加的に、センサモジュールにより、それぞれ1つの温度を検出し、例えば、これにより、タイヤの別の動作パラメータとしてタイヤ温度も特定し、車両側の受信および評価装置に送信するように構成することも可能である。
【0026】
一実施形態では、センサモジュールにより、該当するセンサモジュールの配置箇所においてそれぞれセンシングによって検出される加速度には、半径方向加速度および/または接線方向加速度が含まれるように構成される。しかしながら択一的または付加的には、センシングによって検出される加速度は、少なくとも1つの、他に配向された加速度または別の形式の加速度(例えば衝撃、振動その他)も含まれていてよい。
【0027】
半径方向加速度の検出は、多くの応用(例えば回転速度および/またはタイヤ接地面の長さおよび/またはタイヤ荷重の特定)に特に有利であることが判明している。
【0028】
別の一実施形態では、センサモジュールによってそれぞれ特定される動作パラメータは、該当するタイヤのタイヤ接地面(コンタクトパッチ)の長さを表すように構成される。
【0029】
この意味において、タイヤ接地面の長さを表すのは、例えば、この長さの絶対な寸法であるが、該当するタイヤにおいて確定可能な別の量、例えばタイヤ周長またはタイヤ直径に対してこの長さを示す例えば相対的な寸法でもある。
【0030】
一実施形態では、特定される動作パラメータは、以下では「タイヤ接地率」(フットプリント率、FPQ)とも称される、該当するタイヤの外周に対するタイヤ接地面の長さの比を示す。
【0031】
測定技術的には、該当するセンサモジュールにおけるタイヤ接地率の特定は、例えば、このためにセンサモジュールのタイヤ接地面通過に対応する時間と、タイヤの完全な一回転(360°)に対応する時間とから商を形成することによって実現可能である。
【0032】
一実施形態では、該当するタイヤ監視システムは、車両のホイールに、したがってタイヤに作用する車輪荷重を特定するためにも使用される。
【0033】
このような荷重監視機能の実現のためには、例えば、特に上述した動作パラメータを使用(処理)することができ、この動作パラメータは、例えば上で挙げたタイヤ接地率のような、タイヤ接地面の長さを表す。
【0034】
特定のタイヤにおける車輪荷重を特定する際には、例えば、このタイヤについて特定されるタイヤ圧および/またはこのタイヤのセンサモジュールに記憶されているタイヤ情報に該当するタイヤの特性に関連して、このような動作パラメータを処理することができる。
【0035】
一実施形態では、センサモジュールにより、該当するタイヤの車輪荷重を別の動作パラメータとして特定して送信する。
【0036】
極めて低い車速、例えば約10km/hよりも低い場合、センサモジュールに働く遠心力の速度依存の作用は、無視できるかもしくは測定技術的にむしろ不正確にしか確定できない傾向がある。
【0037】
極めて高い車速、例えば約100km/hよりも高い場合、確かに遠心力は比較的に大きいが、この場合もセンサモジュールの位置および/または配向に与える遠心力の影響がある程度に飽和することにより、特定される動作パラメータと、予想される動作パラメータとの間の偏差については、比較的小さな速度依存の作用だけしか観察できないことが多い。
【0038】
特にこの様相の一実施形態により、車両に対して動作に応じて設けられる、車両の速度の全領域のあらかじめ定めた部分領域において、偏差の確定を行うように構成される。
【0039】
一実施形態において、上記の部分領域は、下限によってあらかじめ定められ(例えば固定にあらかじめ設定され)、この下限は、例えば少なくとも0km/h、特に少なくとも5km/hであってよく、かつ例えば最大で60km/h、特に最大で50km/hであってよい。
【0040】
一実施形態において、上記の部分領域は、上限によってあらかじめ定められ(例えば固定にあらかじめ設定され)、この上限は、例えば最大で150km/h、特に最大で100km/hであってよく、かつ例えば少なくとも0km/h、特に少なくとも70km/hであってよい。
【0041】
車速の部分領域だけにこのように焦点を定めることにより、有利には、行われる検出の品質もしくは信頼性に影響が及ぼされる。
【0042】
本発明の一実施形態では、車速の特定のために、例えば、タイヤが装着された1つまたは複数の車両ホイールの回転速度の検出(例えば平均値形成)に基づいて車両の速度が特定されるように構成され、ここでこれらの検出のそれぞれは、それ自体、この車両の該当する車両ホイールに配置されているセンサ装置(例えば回転数センサ)により、かつ/またはこの車両ホイールのタイヤにおけるセンサモジュールによって行われる加速度のセンシングによる検出に基づいて実現可能である。
【0043】
少なくとも1つのこのようなホイール回転速度の検出とは択一的または付加的に、車速の検出のために衛星支援位置特定システム(例えばGPS)も利用可能である。
【0044】
一実施形態では、偏差の確定には、車両の速度の変化に伴って単調に変化する偏差の確定が含まれるように構成される。
【0045】
このような手段も、多くの場合に上述の検出の品質の改善に役立つ。速度に依存してセンサモジュールに働く遠心力の上で説明した影響により、このような単調な関係が予想できるため、このような単調性を確定することは、センサモジュールの誤配置の検出について高い説得力を有する。
【0046】
基本的には、変化する車両の速度に伴って単調に変化する偏差の確定に対しては、該当するセンサモジュールの誤配置が存在することの判断基準として、車速の増大に伴って増大する偏差が使用される変化形態も、このような判断基準として車速の増大に伴って減少する偏差が使用される変化形態も共に対象になる。
【0047】
速度の増大に伴って減少する偏差の確定が行われる後者の変化形態は、センサモジュールの実践的に頻繁に発生する誤配置の検出に特に良好に適しており、この誤配置の実体は、該当するセンサモジュールホルダ内でセンサモジュールがやや傾いており、かつ/または正常に(すなわち完全に)埋め込まれずに保持されていることにある。
【0048】
頻繁に発生するこのケースにおいて、この傾きおよびタイヤ材料からのセンサモジュールの誤った間隔は、特に、比較的低い車速において、特定される動作パラメータの劣化に、したがって動作パラメータと、予想される動作パラメータとの間の比較的大きな偏差に結び付くのに対し、車速の増大に伴って、センサモジュールは、より大きな遠心力により、立ち上げられて、タイヤ材料に近づくように押圧されるかもしくはセンサモジュールホルダに押圧される傾向があり、これにより、特定される動作パラメータの偏差は、小さくなるか、もしくはもはや有意ではないと確定可能である。
【0049】
上記の方法では、誤った配置の検出は、好ましくは並列の、すなわち実質的に同時にまたは時間的に重なる処理手法で、該当するタイヤ監視システムのすべてのセンサモジュールについて実行され、ここではすべてのセンサモジュールによって特定された、それぞれ個別のセンサモジュールの動作パラメータの比較に基づき、このセンサモジュールについての動作パラメータが、このセンサモジュールについて予想される動作パラメータから大きな偏差を示しているか否か、かつこの偏差が、車両の速度に依存するか否かが検査される。
【0050】
最後の様相は、センサモジュールの誤配置の確定の前にまず、種々異なる車速について特定した動作パラメータを収集(記憶)して、評価しなければならないことであると理解される。上ですでに説明したように、ここでは、上方にかつ/または下方に向かって画定される車速の部分領域についてのみ、該当する情報を収集もしくは評価するように構成可能である。
【0051】
一実施形態では、車両の少なくとも3つの異なる速度について、誤配置の評価もしくは検出に使用される動作パラメータを収集する。
【0052】
一実施形態では、検出アルゴリズムによってあらかじめ定められた車両の速度毎に、例えば統計的手法によって実行される評価もしくは検出について、それぞれのセンサモジュールの少なくとも10個の動作パラメータもしくは動作パラメータの10個の特定結果を収集する。
【0053】
一実施形態では、誤配置の評価もしくは検出に対し、車両の走行動特性的な状態のあらかじめ設定された領域においてのみ動作パラメータを収集する。この領域は、例えば、車両が、(例えばあらかじめ設定された閾値を下回る横方向加速度で)実質的に直線的に走行し、かつ/または(例えばあらかじめ設定された閾値を下回る長手方向加速度で)実質的に一定の速度で走行するように構成可能である。
【0054】
特定のセンサモジュールについての特定対象であり予想される動作パラメータに関していえば、この特定は、例えば、あらかじめ定められた数学モデルに基づいて行うことが可能であり、この数学モデルにより、タイヤおよび/または車両の1つ以上の別の動作パラメータに依存して、すべてのセンサモジュールについての動作パラメータ(タイヤ動作パラメータ)が表される。
【0055】
この数学モデルは、有利には、少なくとも、タイヤを装着した車両ホイールにおける個別のタイヤ圧に対する、かつ個別の車輪荷重に対する、個々のセンサモジュールについての動作パラメータの依存性を考慮しようとするものである。これは、異なるタイヤ圧および/またはタイヤに作用する異なる車輪荷重が、異なるタイヤ変形状態もしくはタイヤ幾何学形状に結び付き、これらそれ自体は、タイヤが路面上を転動する際に、センシングによって検出される加速度の異なる時間経過に結び付くためである。
【0056】
上記の数学モデルにより、センサモジュール毎に、例えば、センサモジュールによって特定された動作パラメータが、別の複数のセンサモジュールによって特定された動作パラメータを考慮して妥当であるか否か、かつ動作パラメータの対応する偏差は、数学モデルによってあらかじめ設定された、車両速度の依存性を有するか否かについて妥当性検査を行うことができる。
【0057】
このことは、センシングによって検出した加速度に依存して動作パラメータのタイヤ接地率(FPQ)を特定するセンサモジュールを備えたタイヤ監視システムの実施例において説明されており、タイヤ接地率(FPQ)は、該当するタイヤの外周に対する、タイヤ接地面の長さの比として定義されており、かつ、例えば、完全なホイール1回転の時間に対する、センサモジュールのコンタクトパッチ通過の時間の比として、測定技術的にセンサモジュールによって特定される。
【0058】
さらに前提とされるのは、車両が2トラック4ホイールの、同一の4つのタイヤを備えた車両であり、これらのタイヤではタイヤ圧が同じであり、このタイヤには同じ車輪荷重が作用し、車両が、一定の速度で直線的に走行することである。この場合に予想できるのは、個別のセンサモジュールによって特定される動作パラメータ(ここでは、すなわちFPQ)が、すべてのセンサモジュールについて同一であることである。
【0059】
すなわち、特定のセンサモジュールの動作パラメータの偏差を検査する際には、この状況において、例えば、他の3つのセンサモジュールの動作パラメータの平均値(例えば、算術平均値)を、予想される動作パラメータとして使用可能である。特定のセンサモジュールについて、動作パラメータと、この予想される動作パラメータとの間に、車両の速度に依存する偏差が存在することが確定される場合、このことは、該当するセンサモジュールホルダ内でのこのセンサモジュールの誤った配置として相応に評価可能である。
【0060】
例えば同一のタイヤ圧、同一の車輪荷重などのような上述の前提が満たされない場合、予想される動作パラメータを特定するために使用される数学モデルにより、このことを適切に考慮(モデル化)可能である。
【0061】
この点に関し、例えば、特定のタイヤにおける比較的低いタイヤ圧(該当するセンサモジュールによってセンシングによって検出される)は、このタイヤについての比較的大きなタイヤ接地率に結び付くことを考慮することができる。同様に、例えば、車両のカーブ走行時には、車速にも依存して、カーブ外側のタイヤのタイヤ接地率が増大し、カーブ内側のタイヤのタイヤ接地率が減少することを考慮することができる。
【0062】
好ましい一実施形態では、特定のセンサモジュールについて予想される動作パラメータの特定は、残りのセンサモジュールの正規化された動作パラメータの平均値形成に基づいて行われ、ここでこの正規化は次のように構成される。すなわちこの正規化により、センサモジュールホルダ内ですべてのセンサモジュールが正常に配置されている場合であっても、異なるタイヤ圧および/または異なる車輪荷重によって物理的になお残る影響、および/または走行状態(速度、車線の傾斜、操舵角など)の影響が補償されるように構成される。
【0063】
一実施形態では、予想される動作パラメータの特定は、上述された数学モデルに基づいて行われ、このモデルにより、個々のセンサモジュールについて動作パラメータの、車両の速度に対する依存性も考慮される。例えば、これにより、このセンサモジュールによって特定された動作パラメータの速度依存性が、モデルにしたがって予想される速度依存性および/または複数のタイヤのうちの別のタイヤにおいて観察される速度依存性とは大きく異なることによってセンサモジュールの誤配置を確定することができる。
【0064】
本発明の一実施形態では、誤配置の検出が、プログラム制御された仕方で実行され、これは、有利には、該当するタイヤ監視システムの受信および評価装置を用いて実現可能である。
【0065】
(例えば、センサモジュールの配置箇所においてセンシングによって検出した加速度に基づいて)タイヤ監視システムの受信および評価装置それ自体により、車両の瞬時速度が特定されない場合には、実際の車速についての情報は、車両電子装置(例えばホイールセンサおよび/またはGPS装置)の別の部分から、受信および評価装置に通信されるように構成可能である。
【0066】
本発明の別の様相は、車両用のタイヤ監視システムに関し、このタイヤ監視システムは、以下、すなわち、
・車両のそれぞれのタイヤのそれぞれのセンサモジュールホルダ内に配置可能な複数のセンサモジュールであって、センサモジュールの配置箇所においてセンシングによって検出された加速度に依存して、該当するタイヤの動作パラメータを特定して無線で送信するようにそれぞれ構成されているセンサモジュールと、
・センサモジュールによって送信された、タイヤの動作パラメータを受信して評価する、車両に配置可能な受信および評価装置とを有し、
受信および評価装置はさらに、複数のセンサモジュールによって特定された動作パラメータの比較に基づき、このセンサモジュールに対し、動作パラメータと、このセンサモジュールについて予想される動作パラメータとの間に、車両の速度に依存する偏差が存在することが確定されることにより、該当するセンサモジュールホルダ内での、複数のセンサモジュールのうちの1つのセンサモジュールの誤った配置の検出が行われるように構成されている。
【0067】
本発明の第1様相による上記の検出方法について説明された実施形態および特別な構成は、個別にまたは任意の組み合わせで、本発明の別の様相によるタイヤ監視システムの実施形態もしくは特別な構成としても相応に構成可能であり、またこの逆も可能である。
【0068】
以下では、添付の図面に関連し、複数の実施例に基づいて本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】センサモジュールホルダに保持されたセンサモジュールが配置されているタイヤを備えた車両ホイールの概略側面図である。
【
図2】
図1のセンサモジュールのブロック図である。
【
図3】センサモジュールホルダ内でのセンサモジュールの誤った配置を例示するための、
図1のタイヤの詳細の概略側面図である。
【
図5】タイヤ監視システムを装備した車両の概略平面図である。
【
図6】センサモジュールを用いて特定されたタイヤ接地率に、センサモジュールの誤った配置が与える作用を例示する図である。
【0070】
図1には、リムおよびリムに装着されたタイヤ2を有する車両ホイールWが示されている。該当する車両の走行中のタイヤ2の回転は、矢印3によってシンボリックに表されている。
【0071】
タイヤ2には、該当する車両のタイヤ監視システムの一コンポーネントとしてセンサモジュール12が、センサモジュールホルダ13内に配置されており、センサモジュールホルダ13は、弾性材料(例えばゴム)から形成される収容部として構成されており、この収容部にセンサモジュール12が差し込まれている。
【0072】
センサモジュールホルダ13は、描画された実施例において円筒形の収容空間を画定し、これにより、対応して円筒形に形成されたセンサモジュール12の本体がそこに収容され、センサモジュール本体の弾性的な外被によって固定される。センサモジュール13は、この実施例において、タイヤ2のタイヤ接触面の内側に接着されている。
【0073】
車両の走行中、センサモジュール12により、例えば、特に、
図1に書き込まれたタイヤ2のタイヤ接地面の長さLを表す動作パラメータが特定される。
【0074】
図2には、タイヤ2における圧力を表す圧力センサ信号「p」を検出する圧力センサ14と、加速度、すなわち描画された実施例では半径方向加速度を表す加速度センサ信号「a」を検出する加速度センサ16と、タイヤ2の内部の温度を表す温度センサ信号「T」を検出する温度センサ18とを有するセンサモジュール12のブロック図が示されている。
【0075】
センサモジュール12はさらに、制御装置20の動作を制御するプログラムを記憶する関連する記憶装置22を備えた、プログラム制御される制御装置20(例えばマイクロコントローラ)を有する。制御装置20は、上で挙げたセンサ信号p、T、aを受信し、これらのセンサ信号に応じ、プログラム制御されて、複数のタイヤ動作パラメータを特定する。これらのタイヤ動作パラメータは、特定の時間毎に制御装置20によって形成されるデータテレグラムDに取り込まれ、無線送信装置24により、無線送信Rの形態で、車両に配置されておりかつ
図1に同様に描画されている無線受信装置30に送信され、この無線受信装置30からさらに評価装置40に送信される。
【0076】
したがってこの実施例において受信および評価装置は、無線送信Rを受信して復号する無線受信装置30および評価装置40から形成され、この評価装置40により、デジタルバスシステム32(例えばCANバス、LINバスまたはこれに類するもの)を介して、無線受信装置30によって復号されたデータテレグラムDが受け取られ、次に評価されるか、もしくはここから得られる情報が、車両電子装置の別の部分に転送される。
【0077】
評価装置40は、描画された実施例において、プログラム制御される計算ユニット42と、計算ユニット42の動作を制御するプログラムを記憶する、対応する記憶ユニット44とから形成される。実践的には評価装置40は、例えば、該当する車両にいずれせよ設けられている中央制御装置(ECU)の部分機能として実現することも可能である。
【0078】
無線送信Rによって受信および評価装置に伝送されるタイヤ2のタイヤ動作パラメータとして、描画された実施例では、特に、タイヤ2のタイヤ圧、タイヤ温度、回転速度およびタイヤ接地率FPQが設けられている。
【0079】
ここでタイヤ圧およびタイヤ温度は、対応するセンサ信号「p」および「T」に基づいて直接に特定されるのに対し、回転速度およびタイヤ接地率FPQの特定は、センサモジュール12の配置箇所4における半径方向加速度を表すセンサ信号「a」の時間経過の、制御装置20によって行われる評価に基づく。
【0080】
回転速度を特定するためには、例えば、それぞれのホイール回転に伴って周期的に変化する、センサ信号「a」の重力方向成分を評価可能であるか、または例えば、センサ信号「a」において、コンタクトパッチ(タイヤ接触面)が配置箇所4を通過する毎に発生する信号特性の出現の周波数を評価可能である。これにより、タイヤ接地率FPQも特定可能であり、タイヤ接地率FPQはここでは、
図1に書き込まれたタイヤ接地面の長さLと、タイヤ2の全周との間の比として定義される。
【0081】
タイヤ接地面に入る際のセンサモジュール12の衝突毎に、またタイヤ接地面から出る際のセンサモジュール12の持ち上がり毎に、センサ信号「a」における典型的な信号特性が示され、これにより、動作パラメータFPQは、衝突と持ち上がりとの間の期間と、タイヤ2の1回転(360°)全体の時間との商として計算可能である。
【0082】
すでに挙げた動作パラメータの他に、センシングによって検出した量に依存して、制御装置20により、さらに別の動作パラメータを特定して受信および評価装置に伝送可能である。
【0083】
図3および
図4には、拡大された(縮尺通りではない)図により、センサモジュールホルダ13内でのセンサモジュール12の配置が、タイヤ2の配置箇所4において再度、例示されている。
【0084】
図3には、センサモジュールホルダ13内でのセンサモジュール12の、実践的には排除することができない誤った配置が明瞭に示されている。センサモジュール12は、この実施例において、タイヤ2の周方向に見て、(特定の傾斜角αで)やや傾いて配置されている。
【0085】
タイヤ圧およびタイヤ温度を特定するために、センサモジュール12のこのような誤配置は、一般に問題にはならない。しかしながらこの誤配置は基本的に、特に、検出された加速度(信号「a」)に依存してセンサモジュール12によって特定される、ここでは特に特定されるタイヤ接地率FPQのようなすべての動作パラメータを劣化させてしまうことがある。斜めになったセンサモジュール12は、もはや本来のように半径方向加速度を検出することはできず、描画された状況では、実際に、配置箇所4において、半径方向に対してやや傾いて配向された加速度が検出される。
【0086】
図3に例示したセンサモジュール12の誤配置は、半径方向加速度の、センシングによって検出される結果の劣化に結び付く。したがってこの誤った事例により、このように誤って設置されたセンサモジュール12が組み込まれているタイヤ監視システムの機能および信頼性も損なわれてしまう。
【0087】
本発明が目指しているのは、例えば、
図3に描画されたようなセンサモジュールの誤配置を検出することであり、これにより、例えば、該当するセンサモジュールから供給される動作パラメータを、受信および評価装置により、全体的にまたは部分的に無効と評価することができ、かつ/またはさらに使用されないようにすることができる。
【0088】
これに対し、
図4には、センサモジュールホルダ13内でのセンサモジュール12の誤りのない、もしくは正しい配置が例示されている。
【0089】
図5には、一実施形態によるタイヤ監視システムが装備された車両1が示されており、車両1は、描画された実施例において、2つの前輪W1、W2および2つの後輪W3、W4を備えた、2トラック4ホイールの道路走行自動車(例えば乗用車)である。ホイールW1〜W4はそれぞれ、センサモジュール12−1、12−2、12−3もしくは12−4が配置されているタイヤを装備している。関連するセンサモジュールホルダは、
図5において、参照符号13−1〜13−4で示されている。
【0090】
図5のタイヤ監視システムの以下の説明において前提としたのは、それぞれの車両ホイールW1〜W4が、車両ホイールW(
図1)について
図1〜
図4に関連してすでに説明したように構成されており、したがってそれぞれのセンサモジュール12−1〜12−4も、関連するセンサモジュールホルダ13−1〜13−4と共に、
図1〜
図4に関連してコンポーネント12もしくは13についてすでに説明したように構成されており機能することである。
【0091】
車両1に使用されるタイヤ監視システムには、それぞれ
図5に描画されていない車両1のタイヤのセンサモジュールホルダ13−1〜13−4の対応するセンサモジュールホルダにそれぞれ配置されており、かつ殊にセンシングによって検出した加速度に(ここでは半径方向加速度に)依存して、該当するタイヤの複数の動作パラメータ、その中でも特にタイヤ接地率FPQを特定して無線(無線送信R1〜R4として)を送信するようにそれぞれ構成されているセンサモジュール12−1〜12−4が含まれている。
【0092】
さらにタイヤ監視システムには、センサモジュール12−1〜12−4によって送信された動作パラメータを受信して評価する、車両1に配置された受信および評価装置が含まれている。
【0093】
ここでは無線受信装置30と、通信バス32を介してこれに接続されているプログラム制御される評価装置40とから構成される受信および評価装置は、すべてのセンサモジュール12−1〜12−4によって特定されたタイヤ接地率FPQの比較に基づき、このセンサモジュールに対し、タイヤ接地率FPQと、このセンサモジュールについて予想されるタイヤ接地率FPQとの間に、車両1の速度に依存する偏差が存在することを確定することにより、該当するセンサモジュールホルダ13−1、13−2、13−3もしくは13−4内でのセンサモジュール12−1〜12−4(例えば
図3を参照されたい)のうちの1つのセンサモジュールの誤った配置の検出を行うように構成されている。
【0094】
この検出の際には、例えば、一種の妥当性検査を次のように行うことができる。すなわち、センサモジュール12−1〜12−4毎にそれぞれ、該当するセンサモジュールによって供給されるFPQ値が、残りの3つのセンサモジュールによって供給されるFPQ値を考慮して妥当であるか否かが検査される。妥当でないことが確定される場合、すなわちFPQ値が正常なセンサモジュール配置の際に予想されるFPQ値から大きく(例えば、あらかじめ定めた閾値を上回る)偏差することが確定される場合、このことは、車両1の速度にこの偏差が依存するとき、該当するセンサモジュールの誤配置として評価される。
【0095】
車両1の速度を特定するために、描画された実施例では、車両においてホイールW1〜W4のそれぞれ1つに対応付けられて設置されるホイールセンサ(回転数センサ)10−1〜10−4が使用される。これらのホイールセンサ10−1〜10−4によって供給されるセンサ信号S1〜S4は、有線で(例えばデジタルバスシステム32を使用して)評価装置40に伝送され、この評価装置40により、ここから瞬時の車速が特定される。
【0096】
瞬時の車速の知識に基づき、評価装置40は、車両1の走行中に連続して、それぞれ供給元のセンサモジュールの該当する識別子に対応付けて(例えばそれぞれの無線送信R1、R2、R3もしくはR4に符号化して)、かつ該当する時点における車両1の速度に対応付けて、センサモジュール12−1〜12−4によって供給されるFPQ値を含むデータを収集する。これらのデータに基づき、評価装置40により、上で説明した検出が実行される。
【0097】
例えば、ホイールW4に設置されたセンサモジュール12−4が誤って配置されておりかつ検出方法の枠内において、センサモジュール12−4によって供給されるFPQ値の妥当性が検査される場合、評価装置40により、種々異なる車速について収集したデータに基づき、例えば、FPQ値と、予想されるFPQ値との間の偏差を確定可能である。予想されるFPQ値は、例えば、あらかじめ定められかつ評価装置40内で動作するアルゴリズムにしたがい、例えば残りのセンサモジュール12−1〜12−3によって供給されるFPQ値から特定可能である。しかしながら誤配置の最終的な確定の前には、確定された偏差が、検出方法によって定められた仕方で、車速に依存するか否か(例えば車速の増大に伴って偏差が増大/減少する)が検査される。
【0098】
図6は、センサモジュールの誤配置が、このセンサモジュールによって特定されるFPQ値に与える影響を例示的に示している。
【0099】
図6では、FPQ値は上方に増大するようにプロットされている。点もしくは実線によって描画されたFPQ値は、正常に配置されたセンサモジュールのFPQ値である。これに対し、破線は、同じ走行状況において誤って配置されたセンサモジュールのFPQ値を例示している。
【0100】
図6において5つの部分図「A」〜「E」はまず、該当するタイヤに実際に作用する車輪荷重に対するFPQ値の依存性を例示している。個々の部分線
図A〜Eについては、以下の車輪荷重、すなわち525kg(A)、600kg(B)、675kg(C)、750kg(D)および825kg(E)がベースになっている。ここから読み取れるのは、車輪荷重が大きければ大きいほどFPQ値が大きくなることである。
【0101】
それぞれの部分線
図A〜E内ではFPQ値に対し、インデックスi(ただしi=1、2または3)によってしるしが付けられてそれぞれ3つの結果が示されており、インデックスiは、以下のように該当する車速を表す。すなわち、40km/h(i=1)、60km/h(i=2)および90km/h(i=3)である。ここから見て取れるのは、正常に配置されたセンサモジュールの描画された実施例において、車速に対するFPQ値の特定の依存性が存在することである。描画された実施例では、車速の増大に伴ってFPQ値がやや大きくなる傾向がある。
【0102】
これに対し、誤って配置されたセンサモジュールのFPQ値(破線)については、予想されるFPQ値(実線)に比べて大きな偏差が生じており、この偏差は車速に依存している。描画された実施例において当てはまるのは、しかも車輪荷重に依存しないで当てはまるのは、40km/h〜90km/hの観察される速度領域における偏差が、車速の増大と共に単調に減少することである。
【0103】
描画された実施例において、この偏差は、40km/h(i=1)の速度では比較的大きく、また90km/h(i=3)の速度ではほぼ0である。
【0104】
図5に描画されたタイヤ監視システムの実施例に転用すると、このタイヤ監視システムでは、誤って配置されたセンサモジュール(12−1、12−2、12−3または12−4)を確定するための判断基準として設定することができるのは、例えば、車速40km/h〜90km/hの部分領域において、該当するセンサモジュールについて、車速の増大に伴って単調に減少するFPQ値が発生することである。
【符号の説明】
【0105】
1 車両
W 車両ホイール
2 タイヤ
3 矢印
4 配置箇所
L タイヤ接地面の長さ
FPQ タイヤ接地率
10−1 ホイールセンサ
10−2 ホイールセンサ
10−3 ホイールセンサ
10−4 ホイールセンサ
12 センサモジュール
13 センサモジュールホルダ
14 圧力センサ
p 圧力センサ信号
16 加速度センサ
a 加速度センサ信号
18 温度センサ
T 温度センサ信号
20 制御装置
22 記憶装置
24 無線送信装置
D データテレグラム
R 無線送信
30 無線受信装置
32 バスシステム
40 評価装置
42 計算ユニット
44 記憶ユニット
【国際調査報告】