(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-529828(P2021-529828A)
(43)【公表日】2021年11月4日
(54)【発明の名称】炎症性腸疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20211008BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20211008BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20211008BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20211008BHJP
C12Q 1/06 20060101ALN20211008BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P1/04ZNA
A61K39/395 D
A61P37/04
A61K39/39
A61K39/395 Y
C12Q1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2021-521941(P2021-521941)
(86)(22)【出願日】2019年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月25日
(86)【国際出願番号】US2019040601
(87)【国際公開番号】WO2020010254
(87)【国際公開日】20200109
(31)【優先権主張番号】62/693,798
(32)【優先日】2018年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】521003999
【氏名又は名称】アーティザン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スコフィールド, ホイットマン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C085
【Fターム(参考)】
4B063QA01
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4C085FF21
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG08
(57)【要約】
炎症性腸疾患を治療することを必要とする対象における、その治療のための組成物及び方法を記載する。ある特定の態様では、本開示は、過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法を提供し、該方法は、該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含み、ここで、該対象は、該患者の生体試料におけるB.fragilis株またはB.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【請求項2】
前記薬剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体がヒト化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体がモノクローナルである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体がB.fragilis毒素に結合する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤がワクチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記IBDがクローン病である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記IBDが活動性IBDである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記IBDが非活動性IBDである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記B.fragilis株が、B.fragilisのエンテロトキシン産生株である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記B.fragilis株が、BFT1、BFT2、及びBFT3から選択される毒素を産生する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が哺乳類である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が18歳以上である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が18歳未満である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記生体試料が血液試料である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記生体試料が便試料である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤が経口投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤が静脈内投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が皮下投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料における前記B.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【請求項34】
前記薬剤が抗体である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体がヒト化される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記抗体がモノクローナルである、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体が前記B.fragilis毒素に結合する、請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、請求項33〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記薬剤がワクチンである、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記IBDがクローン病である、請求項33〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、請求項33〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記IBDが活動性IBDである、請求項33〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記IBDが非活動性IBDである、請求項33〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が哺乳類である、請求項33〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象がヒトである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が18歳以上である、請求項33〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象が18歳未満である、請求項33〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記生体試料が血液試料である、請求項33〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記生体試料が便試料である、請求項33〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記薬剤が経口投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記薬剤が静脈内投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤が皮下投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項33〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、前記B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項63】
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項64】
炎症性腸疾患または障害を治療または予防するためのワクチン組成物であって、不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、前記ワクチン組成物。
【請求項65】
前記炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項64に記載のワクチン組成物。
【請求項66】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項64〜65のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項67】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項64〜66のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項68】
前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、請求項64〜67のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項69】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項68に記載のワクチン組成物。
【請求項70】
経口投与または静脈内投与用に製剤化される、請求項64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項71】
筋肉内投与または皮下投与用に製剤化される、請求項64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項72】
対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法であって、前記対象に対して、請求項64〜71のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項73】
前記対象が哺乳類である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象がヒトである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ワクチン組成物が前記対象に1回投与される、請求項72〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記ワクチン組成物が前記対象に2回以上投与される、請求項72〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ワクチン組成物が、前記対象に経口投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ワクチン組成物が、前記対象に筋肉内投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記薬剤が前記対象に筋肉内投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記薬剤が皮下投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記ワクチンの投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項72〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項84】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項84〜86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記ワクチンが、前記対象に経口投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記薬剤が皮下投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記薬剤が抗体を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項94】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項93〜94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項93〜95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項93〜95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記対象が哺乳類である、請求項93〜98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記対象がヒトである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項93〜100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項104】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項104〜106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記薬剤が抗体を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項112】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項111〜112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項111〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項111〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記対象が哺乳類である、請求項103〜116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記対象がヒトである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項103〜118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項122】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項122〜124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、請求項122〜126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、請求項122〜126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記薬剤が抗体を含む、請求項121に記載の方法。
【請求項130】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項129〜130のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項129〜131のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項129〜131のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記対象が哺乳類である、請求項121〜134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記対象がヒトである、請求項135に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月3日に出願された米国仮出願第62/693,798号の優先権を主張する。当該仮出願は、あらゆる目的のため、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、電子的に提出され、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる配列表を含む。該配列表は、2019年7月2日に作成され、ARTI_003_01WO_SeqList_ST25.txtという名称であり、サイズは約13.3キロバイトである。
【0003】
本開示は、炎症性腸疾患を予防または治療するための組成物及び方法に関する。より具体的には、本開示は、炎症性腸疾患に関連する少なくとも1つのタイプの細菌の数または病原効果を低減するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎(UC)及びクローン病(CD)を含む多様な疾患である。IBDの症状には、下痢、けいれん、腹痛、体重減少、直腸出血、疲労、貧血、瘻孔、穿孔、腸閉塞、及びしばしば外科的介入の必要性が含まれ得る。米国疾病管理予防センターによると、米国では約140万人がIBDに苦しんでおり、米国内で最も一般的な消火器疾患の1つとなっている。米国におけるIBDの医療費全体は年間17億ドルを超えると推定される。
【0005】
IBDには治療薬がない。IBDの現在の治療法は、炎症過程を低減し、該疾患に関連する炎症過程の有害作用を低減することに向けられている。治療法には、抗炎症薬(例えば、メサラミン、スルファサラジン、インフリキシマブ、アダリムマブ、プレドニゾン、及び/またはブデソニド)ならびに免疫抑制薬(例えば、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、及び/またはシクロスポリン)の投与が含まれ得る。かかる治療法は、多くの場合、有害な副作用、例えば、吐き気、嘔吐、食欲不良、消化不良、不快感、頭痛、腹痛、発熱、発疹、膵炎、骨髄抑制、抗体の形成、急性輸液反応、及び日和見感染の増加と関連している。
【0006】
従って、当技術分野では、IBDの治療法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、炎症性腸疾患(IBD)を予防または治療することを必要とする対象における、その予防または治療のための組成物及び方法に関する。
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、IBDと診断された対象を治療する方法に関し、該方法は、該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含み、ここで、該対象は、該患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される。該薬剤は、例えば、抗体の場合もワクチンも場合もある。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、IBDと診断された対象を治療する方法に関し、該方法は、該対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含み、ここで、該対象は、該患者の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法に関し、該方法は、該対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は、治療を必要とする対象を治療する方法に関し、該方法は、該対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び該対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、炎症性腸疾患の発症または進行に関連する1つ以上の細菌の数または病原効果を低減する免疫原性組成物(例えば、ワクチン)に関する。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法を提供し、該方法は、該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む。
【0014】
いくつかの態様では、本開示は、対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法を提供し、該方法は、該対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む。
【0015】
いくつかの態様では、本開示は、炎症性腸疾患を治療または予防するためのワクチン組成物を提供し、該ワクチン組成物は、不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む。
【0016】
いくつかの態様では、本開示は、炎症性腸疾患を治療または予防することを必要とする対象におけるその方法を提供し、該方法は、該対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含む。
【0017】
これら及び他の態様を、以下に、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】IBD患者から単離されたETBF株が、単一コロニー形成時に盲腸の炎症を引き起こすことを示すグラフである。このグラフは、NTBF基準株(ATCC(登録商標)25285)、またはIBD患者(#1、#2、または#3)から単離されたETBF株のいずれかでコロニー形成されたマウスの盲腸重量を示す。NTBF株とETBF株間の統計的有意差は、アスタリスクで示されている(一元配置ANOVAとそれに続くダネット多重比較検定、****=調整p値<0.0001、N=3〜4)。
【
図2】NTBF基準株(ATCC(登録商標)25285)、ETBF基準株(ATCC(登録商標)43859)、及びIBD患者から単離されたETBF株(#1、#2、または#3)でコロニー形成されたノトバイオートマウスの盲腸組織の組織学スコアを示す。この組織学スコアは、炎症の程度(軽度、中等度、重度)、上皮損傷の程度(限局性びらん、びらん、拡張潰瘍/肉芽組織/偽ポリープ)、ならびに病変部の割合(10〜25%、25〜50%、50〜75%、及び75〜100%)に基づいて割り当てられた。スコアは重症度とともに増加する。アスタリスクは、一元配置ANOVAとそれに続くダネット多重比較検定を用いて特定された統計的有意性を示している(*=p<0.05、**=p<0.005、****=p<0.0001)。
【
図3】様々な微生物叢バックグラウンド設定においてIBD患者から単離されたNTBF株またはETBF株でコロニー形成されたマウスにおける便リポカリン2レベルを示す代表的なデータを示す。アスタリスクは、二元配置ANOVAシダック多重比較検定を用いて特定された統計的有意性を示している(*=p<0.05、**=p<0.01)。
【
図4】IBD患者から単離されたNTBF株またはETBF株でコロニー形成されたノトバイオートマウスの盲腸組織外植片における炎症性サイトカインIL−17(A)及びTNF(B)のレベルを示す。アスタリスクは、t検定を用いて特定された統計的有意性を示している(*=p<0.05、**=p<0.01)。
【
図5】合成微生物叢バックグラウンドでNTBF(A)またはETBF(IBD単離株、B)でコロニー形成されたマウスの盲腸組織の代表的な組織画像を示す。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色を標準的なプロトコルに従って行った。スケールバー=500マイクロメートル。
【
図6】HT29細胞からのE−カドヘリン放出によって測定される、抗Bft高度免疫血清及び免疫前血清から精製されたウサギIgGによるBft活性の中和を示す。
【
図7】NTBF株またはETBF株の培養上清に加えて、対照または抗Bftウサギポリクローナル抗体で18時間処理した後のHT29細胞からのE−カドヘリン放出を示す。NTBF及びETBF基準株はATCC(登録商標)より購入した(それぞれ、株番号25285及び43859)。「IBD−ETBF」は、IBD患者から単離されたETBF株を指す。点線は、処理なしのベースラインのE−カドヘリン放出を表す。rBft=組み換えBft1タンパク質。アスタリスクは、二元配置ANOVAシダック多重比較検定を用いて特定された統計的有意性を示している(****=p<0.0001)。
【
図8】ETBFが、活動性炎症性腸疾患を有する対象で濃縮されることを示す。クローン病または潰瘍性大腸炎の成人152人及びIBDの病歴のない健康な対照67人からの便試料を、bft毒素をコードする遺伝子の存在についてPCRでアッセイした。アスタリスクは、フィッシャーの直接確率検定によって特定された、示されたグループ間の統計的差異を示している(**=p<0.005)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)を含めた炎症性腸疾患(IBD)は、共生細菌のサブセットに対する調節不全の免疫応答に起因する。この細菌のサブセットを標的とする治療法は、この疾患を改善する可能性がある。
【0020】
B.fragilis(Bacteroides fragilis)は、嫌気性のグラム陰性桿菌である。B.fragilisは、免疫系を含めた宿主の健康を形作る一般的な共生嫌気性菌である(ヒト結腸細菌叢の約0.5%)。B.fragilisが宿主に与える影響は、高度に株依存性である。高レベルの多糖類Aを発現する株は、強力な抗炎症効果を発揮することが確認されている一方、いくつかの他の株は、病原性を発揮することが実証されている。Bftと呼ばれる炎症性エンテロトキシンをコードする遺伝子を有するエンテロトキシン産生B.fragilis(ETBF)株は、急性下痢症状を発現する小児及び家畜から同定された。しかしながら、IBDにおけるETBFの因果的役割はこれまで確立されていない。
【0021】
本開示は、エンテロトキシン産生B.fragilis株が、大腸炎の発症及び進行に寄与し、ひいては、炎症性腸疾患の予防及び/または治療において標的化され得るという発見に関する。
【0022】
従って、いくつかの態様では、本開示は、炎症性腸疾患を治療または予防することを必要とする対象において、該対象に対してB.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することによって炎症性腸疾患を治療または予防するための組成物及び方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、炎症性腸疾患を治療または予防することを必要とする対象における、そのための組成物及び方法を提供し、該方法は、該対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む。該薬剤は、例えば、ワクチン、受動免疫療法(例えば、抗体)、抗生物質、またはプロバイオティックのうちの1つ以上でよい。
【0023】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料と同様もしくは同等の任意の方法及び材料を本開示の実践または試験において使用することもできるが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0024】
本明細書で使用される、以下の用語の各々は、この節においてそれに関連付けられた意味を有する。
【0025】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、当該冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0026】
本明細書で使用される、「約」は、測定可能な値、例えば、量、時間的な期間等を指すときに使用される場合、特定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%の変動を、かかる変動が本開示の方法を行うのに適切であるために包含することを意味している。
【0027】
「疾患」は、動物が恒常性を維持することができず、当該疾患が改善されない場合、当該動物の健康が悪化し続ける場合の当該動物の健康状態である。対照的に、動物の「障害」は、当該動物が恒常性を維持することができるが、当該動物の健康状態が、当該障害がない場合よりも良くない場合の健康状態である。治療せずに放置しても、障害は必ずしも当該動物の健康状態をさらに低下させるとは限らない。
【0028】
疾患または障害の兆候または症状の重症度、かかる兆候または症状を患者が経験する頻度、またはその両方が減少する場合、当該疾患または障害は「軽減」される。
【0029】
本明細書で使用される、「微生物叢」という用語は、対象内または対象上に存在する微生物の集団を指す。対象の微生物叢は、疾患がない場合に見られる共生微生物を含むとともに、疾患または障害の有無にかかわらず対象に見られる病原性共生生物及び病原微生物も含み得る。
【0030】
本明細書で使用される、「病原性共生生物」という用語は、非罹患または罹患対象の微生物叢に存在する疾患を引き起こす可能性のある微生物叢の成員であって、疾患または障害の発症または進行に寄与する可能性があるものを指す。
【0031】
化合物の「有効量」または「治療有効量」は、当該化合物が投与される対象に対して有益な効果をもたらすのに十分な化合物の量である。
【0032】
「患者」、「対象」、「個体」等の用語は、本明細書では同義で使用され、インビトロであろうとインビボであろうと、本明細書に記載の方法に適した任意の動物、またはその細胞を指す。ある特定の非限定的な実施形態では、該患者、対象または個体は、非限定的な例として、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、または他の家畜哺乳類である。
【0033】
「治療的」治療は、病的状態の兆候または症状を示す対象に対して、それらの兆候または症状を軽減または排除する目的で投与される治療である。
【0034】
本明細書で使用される、「疾患または障害の治療」は、患者が経験する当該疾患または障害の兆候または症状の重症度及び/または頻度を低減することを意味する。
【0035】
本明細書で使用される、「炎症性腸疾患(IBD)」という用語は、一群の結腸及び小腸の炎症性疾患を指す。クローン病、潰瘍性大腸炎、不確定大腸炎、顕微鏡的大腸炎及びコラーゲン蓄積大腸炎を含めたいくつかの障害がIBDのクラスに含まれる。IBDの最も一般的な形態は、クローン病及び潰瘍性大腸炎である。潰瘍性大腸炎は、大腸(結腸)及び直腸を侵し、腸壁の内層(例えば、粘膜及び粘膜下層)に影響を与える。クローン病は、消化管の任意の部分(例えば、口、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門等)を侵す場合があり、腸壁のすべての層に影響を与え得る。IBDの臨床症状としては、直腸及び/または腸内出血、腹痛及びけいれん、下痢、ならびに体重減少が挙げられる。さらに、IBDは結腸癌の危険因子であり、結腸癌のこの危険性は、8〜10年のIBD後に著しく増加する。
【0036】
本明細書で使用される、「生体試料」という句は、微生物、核酸またはポリペプチドの存在が提示される、またはそれを検出可能な細胞、組織、排せつ物、または体液(例えば、全血、血漿、もしくは血清)を含む任意の試料を含むことを意図している。本質的に液体である試料は、本明細書では「体液」と呼ばれる。生体試料は、例えば、当該対象の領域をこすることもしくは拭き取ること、または針を使用して体液を採取すること等の様々な技術によって患者から採取され得る。様々な身体試料の収集方法が当技術分野で周知である。
【0037】
本明細書で使用される、「免疫原性組成物」は、対象において免疫反応を誘発する組成物を指す。該免疫反応は、例えば、B.fragilis等の細菌に対して向けられ得る。いくつかの実施形態では、該免疫反応は、細菌が産生するタンパク質または他の分子、例えば、エンテロトキシンに向けられる。いくつかの実施形態では、該免疫原性組成物は、該細菌及びそれに関連する臨床兆候に対する防御免疫を付与することが可能である。
【0038】
本明細書で使用される、「抗体」という用語は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然源または組み換え源に由来する無傷の免疫グロブリンであることができ、また、無傷の免疫グロブリンの免疫反応性部分であることができる。いくつかの実施形態では、該抗体は合成抗体である。本開示の抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、細胞内抗体(「イントラボディ」)、Fv、Fab及びF(ab)2、ならびに一本鎖抗体(scFv)、重鎖抗体、例えば、ラクダ抗体、ならびにヒト化抗体を含めた様々な形態で存在し得る(Harlow et al,1999,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、Harlow et al.,1989,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York、Houston et al,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883、Bird et al,1988,Science 242:423−426)。
【0039】
本明細書で使用される、「合成抗体」という用語は、組み換えDNA技術を使用して生成される抗体、例えば、本明細書に記載のバクテリオファージによって発現される抗体等を意味する。この用語はまた、当該抗体をコードするDNA分子の合成によって生成され、そのDNA分子が抗体タンパク質、または該抗体を特定するアミノ酸配列を発現する抗体を意味すると解釈されるべきであり、ここで、該DNAまたはアミノ酸配列は、利用可能であり、当技術分野で周知の合成DNAまたはアミノ酸配列技術を使用して得られたものである。
【0040】
本明細書で使用される、「重鎖抗体(heavy chain antibody)」または「重鎖抗体(heavy chain antibodies)」という用語は、ペプチドによる免疫化及びその後の血清の単離によって、またはかかる抗体をコードする核酸配列のクローニング及び発現のいずれかによって、ラクダ類種から得られる免疫グロブリン分子を含む。「重鎖抗体(heavy chain antibody)」または「重鎖抗体(heavy chain antibodies)」という用語は、さらに、重鎖病を有する動物から単離された、または動物からのVH(可変重鎖免疫グロブリン)遺伝子のクローニング及び発現によって調製された免疫グロブリン分子を包含する。
【0041】
本明細書で使用される、「抗原」または「Ag」という用語は、適応免疫反応を誘発する分子として定義される。この免疫反応は、抗体産生、または特定の免疫原性コンピテント細胞の活性化、またはその両方に関与し得る。当業者には、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含めた任意の高分子が抗原として機能し得ることが理解されよう。さらに、抗原は、組み換えまたはゲノムDNAもしくはRNAに由来することができる。当業者には、適応免疫反応を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAまたはRNAが、それ故、本明細書でその用語が使用されるように、「抗原」をコードすることが理解されよう。さらに、当業者には、抗原が、遺伝子の完全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要がないことが理解されよう。本開示が、複数の遺伝子の部分ヌクレオチド配列の使用を含むがこれに限定されず、これらのヌクレオチド配列が、所望の免疫反応を誘発する様々な組み合わせに配置されることは容易に分かる。さらに、当業者には、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要が全くないことが理解されよう。抗原が、合成されて生成される場合も生体試料に由来する場合もあることは容易に分かる。かかる生体試料としては、微生物叢試料、組織試料、腫瘍試料、細胞または生体液を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される「アジュバント」という用語は、抗原特異的適応免疫反応を増強する任意の分子として定義される。
【0043】
抗体に関して本明細書で使用される、「特異的に結合する」という用語は、試料中で特定の抗原を認識してこれに結合するが、他の分子を実質的に認識も結合もしない抗体を意味する。例えば、1つの種からの抗原に特異的に結合する抗体はまた、1つ以上の種からのその抗原にも結合し得る。しかし、かかる種間反応性はそれ自体、特異的としての抗体の分類を変更しない。別の例では、抗原に特異的に結合する抗体はまた、当該抗原の異なる対立形質にも結合し得る。しかしながら、かかる交差反応性はそれ自体、特異的としての抗体の分類を変更しない。
【0044】
場合によっては、「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語を、抗体、タンパク質、またはペプチドと第二の化学種との相互作用に関して使用し、該相互作用が該化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存すること、例えば、抗体が一般的にタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識し、これに結合することを意味することができる。
【0045】
「単離された」とは、自然の状態から変化したまたは取り出されたことを意味する。例えば、生きている動物においてその通常の状況で自然に存在する核酸またはペプチドは「単離されて」いないが、その自然の状況の共存物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在する場合もあれば、非天然環境、例えば、宿主細胞等に存在する場合もある。
【0046】
本開示の文脈の中では、一般的に存在する核酸塩基に対して以下の略語が使用される。「A」はアデノシンを指し、「C」はシトシンを指し、「G」はグアノシンを指し、「T」はチミジンを指し、「U」はウリジンを指す。本明細書で使用される、「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。従って、本明細書で使用される、核酸とポリヌクレオチドは同義である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、これを加水分解して単量体「ヌクレオチド」にすることができるという一般的な知識を有する。該単量体ヌクレオチドを加水分解してヌクレオシドにすることができる。本明細書で使用されるポリヌクレオチドには、組み換え手段、すなわち、通常のクローニング技術及びPCR等を用いた組み換えライブラリまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含むがこれに限定されない、当技術分野で利用可能な任意の手段、及び合成手段によって得られるすべての核酸配列が含まれるがこれらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、同義で使用され、ペプチド結合によって共有結合されたアミノ酸残基からなる化合物を指す。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含む必要があり、タンパク質またはペプチドの配列を構成することができるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドには、ペプチド結合によって互いに結合された2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書で使用される場合、該用語は、例えば、当技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも呼ばれる短い鎖、ならびに多くの種類があり、当技術分野で一般にタンパク質と呼ばれるより長い鎖の両方を指す。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性な断片、実質的に相同のポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組み換えペプチド、合成ペプチド、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0048】
「プロバイオティック」という用語は、対象の微生物叢に所望の、好ましい、中性の、有益な及び/または少数しか存在しない細菌の数を増やすことによって、当該対象の微生物叢の復元を助けるために対象に投与することができる1つ以上の細菌を指す。同様に、「外科的プロバイオティック」は、当該対象の微生物叢に所望の、好ましい、中性の、有益な、及び/または少数しか存在しない、細菌の疾患関連株に系統的に類似した当該細菌の株である。
【0049】
本明細書で使用される、「バリアント」という用語は、それぞれ、参照核酸配列またはペプチド配列とは配列が異なるが、参照分子の本質的な生物学的特性を保持する核酸配列またはペプチド配列である。核酸バリアントの配列の変化は、参照核酸によってコードされるペプチドのアミノ酸配列を変化させない場合もあれば、アミノ酸置換、付加、欠失、融合及び切断をもたらす場合もある。ペプチドバリアントの配列の変化は、通常、限定的または保存的であるため、参照ペプチドとバリアントの配列は全体的に極めて類似しており、多くの領域で同一である。バリアントと参照ペプチドは、任意の組み合わせでの1つ以上の置換、付加、欠失によってアミノ酸配列が異なる場合がある。核酸またはペプチドのバリアントは、天然に存在する対立遺伝子バリアントである場合もあれば、天然に存在することが知られていないバリアントである場合もある。核酸及びペプチドの天然に存在しないバリアントは、突然変異誘発技術によって作製されても直接合成によって作製されてもよい。
【0050】
本明細書で使用される、「B.fragilis」は、Bacteroides fragilisの省略形である。B.fragilisは、グラム陰性桿菌であり、その16S RNA遺伝子配列によって特徴づけられ得る(下記表1参照)。B.fragilis株は、配列番号1の配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一である16S RNA遺伝子配列を有し得る。
【表1】
【0051】
本明細書で使用される、「NTBF」は、非毒素産生B.fragilisの省略形であり、エンテロトキシンをコードする遺伝子を含まない、及び/またはエンテロトキシンを産生しないB.fragilis株を指す。
【0052】
本明細書で使用される、「ETBF」は、B.fragilisのエンテロトキシン産生株を指す。ETBF株は、Bftと呼ばれる炎症性エンテロトキシンをコードする遺伝子を有する。ETBF株は、当業者に既知のいくつかの方法を使用して、例えば、PCRを使用して、B.fragilis試料中のBft遺伝子を検出することにより、NTBF株と区別され得る。
【0053】
本明細書で使用される、「Bft」は、ETBF株が産生するエンテロトキシンを指す。Bftは、20kDaのメタロプロテアーゼ毒素である。B.fragilis病原性島(BfPAI)と呼ばれる、ETBF株に固有の6kb染色体領域内に含まれる異なるbft遺伝子座によってコードされる3つの既知のBftのアイソタイプが存在する。様々なBftのアイソタイプを下記表2に示す。いくつかの実施形態では、ETBF株は、Bft1、Bft2、及び/またはBft3のうちの少なくとも1つを発現する。実験研究により、E−カドヘリンは、Bftとの接触後に細胞から放出されるが、E−カドヘリンがBftによって直接切断されることはないことが示された。従って、細胞からのE−カドヘリン放出は、Bft活性を測定するための読取り値として使用され得る。
【表2】
【0054】
本明細書に記載のBftは、配列番号2〜4のいずれか1つの配列を有し得る。いくつかの実施形態では、該Bftは、配列番号2〜4のいずれか1つの配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である配列を有し得る。
【0055】
本明細書で使用される、「炎症性サイトカイン」は、炎症を促進するシグナル伝達分子を指す。炎症性サイトカインの非限定的な例としては、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−17(IL−17)、インターロイキン−18(IL−18)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンガンマ(IFN−ガンマ)、マクロファージ炎症性タンパク質2(MIP−2)、RANTES(CCL5)及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)が挙げられる。
【0056】
範囲:本開示全体を通して、本開示の様々な態様は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであること、ならびに本開示の範囲に対する変更できない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分的範囲を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1〜6等の範囲の記載は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6等の部分的範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、当該範囲の幅に関係なく適用される。
【0057】
免疫原性組成物(例えば、ワクチン)
本明細書では、IBDの発症または進行に関連する1つ以上の細菌の数または病原効果を低減することができる免疫原性組成物を提供する。いくつかの実施形態では、該免疫原性組成物は、B.fragilis株、例えば、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減し得る。いくつかの実施形態では、該免疫原性組成物は、B.fragilis株が産生するエンテロトキシン(例えば、Bft1、Bft2、及び/またはBft3)の影響を低減し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルを低減し得る。例えば、免疫原性組成物は、IL−1、IL−3、IL−6、IL−12、IL−17、IL−18、TNF、IFN−ガンマ、MIP−2、RANTES及び/またはGM−CSFのレベルを低減し得る。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、対象においてTNF及びIL−17の一方または両方のレベルを低減する。
【0059】
本開示が包含する免疫原性組成物の1つの種類は、ワクチンである。「ワクチン」及び「ワクチン組成物」という用語は、本明細書では同義で使用される。
【0060】
いくつかの実施形態では、該ワクチンは、少なくとも1つの細菌を含む。例えば、いくつかの実施形態では、該ワクチンは、不活化細菌または死菌を含む。不活化または死とは、当該細菌が、哺乳類に病気を引き起こす能力を失っているが、その免疫原性、特に該細菌の1つ以上の抗原に対して特異的な免疫反応を引き起こす能力を保持していることを示す。不活化細菌という用語には、非毒性細菌も含まれる。不活化細菌の調製または選択方法は、当技術分野で周知である。それらとしては、熱不活化法、または化学的不活化法が挙げられる。不活化は、当該細菌を、化学薬品、例えば、ホルマリン、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、β−プロピオラクトン、エチレンイミン、バイナリエチレンイミン(BEI)、チメロサール、またはそれらの誘導体に曝露することによって行ってもよい。別の方法として、不活化は、物理的処理、例えば、熱処理または超音波処理によって行ってもよい。不活化された病原体は、従来の濃縮技術、特に、限外濾過によって濃縮される場合、及び/または従来の精製手段によって、特に、ゲル濾過、スクロース勾配での超遠心分離、または選択的沈殿を含むがこれに限定されないクロマトグラフィー技術を用いて精製される場合がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、該ワクチン組成物の不活化細菌または死菌は、セグメント細菌(SFB)もしくはHelicobacter flexispira、またはLactobacillus、Helicobacter、S24−7、Erysipelotrichaceae及びPrevotellaceaeからなる群から選択される少なくとも1つの科の細菌である。いくつかの実施形態では、Prevotellaceae科の細菌は、Paraprevotella属またはPrevotella属の細菌である。他の実施形態では、該細菌は、Acidaminococcus種、Actinomyces種、Akkermansia muciniphila、Allobaculum種、Anaerococcus種、Anaerostipes種、Bacteroides種、Bacteroidesその他、Bacteroides acidifaciens、Bacteroides coprophilus、Bacteroides fragilis、Bacteroides ovatus、Bacteroides uniformis、Barnesiellaceae種、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacteriumその他、Bifidobacterium種、Bilophila種、Blautia obeum、Blautia producta、Blautiaその他、Blautia種、Bulleidia種、Catenibacterium種、Citrobacter種、Clostridiaceae種、Clostridialesその他、Clostridiales種、Clostridium perfringens、Clostridium種、Clostridiumその他、Collinsella aerofaciens、Collinsella種、Collinsella stercoris、Coprococcus catus、Coprococcus種、Coriobacteriaceae種、Desulfovibrionaceae種、Dialister種、Dorea formicigenerans、Dorea種、Doreaその他、Eggerthella lenta、Enterobacteriaceaeその他、Enterobacteriaceae種、Enterococcus種、Erysipelotrichaceae種、Eubacterium biforme、Eubacterium biforme、Eubacterium dolichum、Eubacterium種、Faecalibacterium prausnitzii、Fusobacterium種、Gemellaceae種、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilusその他、Helicobacter種、Helicobacter Lachnospiraceaeその他、Lachnospiraceae種、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus mucosae、Lactobacillus zeae、Lactobacillus種、Lactobacillaceae種、Lactococcus種、Leuconostocaceae種、Megamonas種、Megasphaera種、Methanobrevibacter種、Mitsuokella multacida、Mitsuokella種、Mucispirillum schaedleri、Odoribacter種、Oscillospira種、Parabacteroides distasonis、Parabacteroides種、Paraprevotella種、Paraprevotellaceae種、Parvimonas種、Pediococcus種、Pediococcusその他、Peptococcus種、Peptoniphilus種、Peptostreptococcus anaerobius、Peptostreptococcusその他、Phascolarctobacterium種、Prevotella copri、Prevotella種、Prevotella stercorea、Prevotellaceae、Proteus種、Rikenellaceae種、Roseburia faecis、Roseburia種、Ruminococcaceaeその他、Ruminococcaceae種、Ruminococcus bromii、Ruminococcus gnavus、Ruminococcus種、Ruminococcusその他、Ruminococcus torques、Slackia種、S24−7種、SMB53種、Streptococcus anginosus、Streptococcus luteciae、Streptococcus種、Streptococcusその他、Sutterella種、Turicibacter種、UC Bulleidia、UC Enterobacteriaceae、UC Faecalibacterium、UC Parabacteroides、UC Pediococcus、Varibaculum種、Veillonella種、Sutterella、Turicibacter、UC Clostridiales、UC Erysipelotrichaceae、UC Ruminococcaceae、Veillonella parvula、Veillonella種、Veillonella dispar、及びWeissellaから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、該ワクチン組成物の不活化細菌または死菌は、B.fragilisである。例えば、該ワクチン組成物の不活化細菌または死菌は、B.fragilisのエンテロトキシン産生株であり得る。該ワクチン組成物に使用され得る例示的なETBF株としては、86−5443−2−2、2−078382−3(ATCC(登録商標)番号43858)、BOB25、20656−2−1、20793−3、20793−3、20656−2−1、8B−5443−2−2、及びATCC(登録商標)番号43859が挙げられる。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物に使用するためのETBF株は、ヒトの便試料から単離され得る。いくつかの実施形態では、ETBF株は、人工的に作り出された株、例えば、BFTを発現または過剰発現するように操作された非毒素産生B.fragilis株であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、該ワクチンは、抗原(例えば、ペプチドもしくはポリペプチド)、抗原をコードする核酸(例えば、抗原発現ベクター)、または抗原もしくは細胞成分を発現もしくは提示する細胞を含む。例えば、いくつかの実施形態では、該抗原は、疾患または障害の発症または進行に関連する1つ以上の細菌の抗原であり、それにより、該1つ以上の細菌に対する免疫反応を誘導する。
【0064】
いくつかの実施形態では、該抗原は、細菌が産生する毒素、例えば、エンテロトキシンである。いくつかの実施形態では、該抗原は、B.fragilis株が産生するエンテロトキシン(例えば、不活化エンテロトキシン)、またはその断片である。該エンテロトキシンは、例えば、配列番号2〜4のいずれか1つの配列を含み得る。いくつかの実施形態では、該エンテロトキシンは、配列番号2〜4のいずれか1つの配列と約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%同一である配列を有する。いくつかの実施形態では、該エンテロトキシンは、配列番号2〜4のいずれか1つから単離または誘導される配列を有するペプチド断片である。いくつかの実施形態では、該抗原(例えば、不活化B.fragilisエンテロトキシン)は、組み換え型である。
【0065】
いくつかの実施形態では、該ワクチンは、さらなる免疫刺激剤、または免疫刺激剤をコードする1つ以上の核酸を含む混合物を含む。免疫刺激剤としては、抗原、免疫調節物質、抗原提示細胞またはアジュバントが挙げられるがこれに限定されない。アジュバントとは、免疫学的組成物と一緒に(または連続して)投与された場合に免疫反応を増強する化合物を指す。適切なアジュバントの例としては、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ミョウバン、ナノ粒子ベースのアジュバント、a−インターフェロン(IFN−a)、β−インターフェロン(IFN−β)、γ−インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFa、TNFp、GM−CSF、上皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、MHC、CD80、及びCD86が挙げられる。適切なアジュバント及び/または免疫調節物質のさらなる例としては、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI(例えば、ムラミルジペプチド等)、KLHペプチド、コレラ毒素またはその一部、サルモネラ毒素またはその一部、E.coli易熱性エンテロトキシンまたはその一部、E.coliエンテロトキシンまたはその一部、AB5毒素またはその一部、鉱物塩、アルミニウム塩(例えば、水酸化物、リン酸塩、ミョウバン等)、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム(単層リポソーム媒体、免疫刺激再構成インフルエンザビロソーム[IRIV])、ウイルス様粒子、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)(例えば、脂肪酸のモノグリセリド等)、古細菌脂質、ISCOMS(例えば、免疫刺激複合体、サポニンと脂質の構造複合体等)、マイクロ粒子(例えば、PLG等)、エマルション(例えば、MF59、モンタナイド(Montanide)等)、モノホスホリルリピド(MPL)または合成誘導体、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)または誘導体、Detox(MPL+CWS)、AS04(ミョウバン+MPL)、AS02(水中油型エマルション+MPL+QS21)、AS01(リポソーム+MPL+QS21)、OM−174(例えば、リピドA誘導体、E.coli等)、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド(例えば、CpG等)、二本鎖R A(dsR A)、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド(例えば、フラジェリン、モノホスホリルリピドA等)、サポニン(例えば、クイル(Quil)、QS−21等)、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)(例えば、イミキモド、レシキモド[R848]等)、サイトカインまたはケモカイン(例えば、IL−2、IL−12、GM−CSF、Flt3等)、アクセサリー分子(例えば、B7.1等)、リポソーム(例えば、DNPC/Chol等)、DC Choi(例えば、リポソームに自己組織化することができる類脂質性免疫調節物質等)、ナノ粒子ベースのアジュバント、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム(例えば、精製されたN.meningitidis外膜タンパク質からなる疎水性、タンパク質性、ナノ粒子等)、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)が挙げられるがこれらに限定されない。かかる例示的なアジュバント及び/または免疫調節物質、ならびに他のものは、入手可能な文献に容易に記載されており、本開示の組成物及び方法に有用である。
【0066】
さらに、本開示のワクチンは、医薬的に許容される担体と適切に組み合わせてもよい。かかる担体の例は、滅菌水、生理食塩水、リン酸緩衝液、培養液等である。さらに、該ワクチンは、必要に応じて、安定剤、懸濁液、防腐剤、界面活性剤等を含み得る。
【0067】
ワクチン投与は、1回(すなわち、単回投与によって)または2回以上(すなわち、複数回投与によって)行うことができる。
【0068】
該ワクチン組成物は、さらに、使用される投与方法に応じた製剤化の目的で他の薬剤を含むことができる。医薬ワクチン組成物が注射可能な場合、それらは無菌、パイロジェンフリー及び微粒子状物質フリーであり得る。等張製剤が好ましくは使用される。一般に、等張性のための添加剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。場合によっては、リン酸緩衝生理食塩水等の等張液が好ましい。安定剤としては、ゼラチン及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が該製剤に添加される。
【0069】
該ワクチンは、さらに、医薬的に許容される賦形剤を含むことができる。該医薬的に許容される賦形剤としては、媒体、アジュバント、担体または希釈剤を挙げることができる。
【0070】
該ワクチン、または他の免疫学的組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入経由、バッカル投与経由、胸膜内、静脈内、動脈内、胃内、経鼻、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内、またはそれらの組み合わせを含めた、多くの異なる経路による全身的または局所的投与用に製剤化され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、該ワクチンは、対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルを低減し得る。例えば、該ワクチンは、対象においてIL−1、IL−3、IL−6、IL−12、IL−17、IL−18、TNF、IFN−ガンマ、MIP−2、RANTES及び/またはGM−CSFのレベルを低減し得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、対象においてTNF及びIL−17の一方または両方のレベルを低減する。
【0072】
受動免疫療法
本明細書では、IBDを治療及び/または予防するための受動免疫療法、ならびにそれを含む組成物もまた提供する。実施形態では、対象における炎症性腸疾患は、治療有効量の受動免疫療法または受動ワクチンを該対象に投与することによって治療され得る。
【0073】
該受動免疫療法または受動ワクチンは、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入経由、バッカル投与経由、胸膜内、静脈内、動脈内、胃内、経鼻、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、及び関節内、またはそれらの組み合わせを含めた、多くの異なる経路によって全身的または局所的に投与され得る。別の方法として、該受動免疫療法または受動ワクチンは、直腸内に、または浣腸によって投与され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、該受動免疫療法または受動ワクチンは、少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌、例えば、セグメント細菌(SFB)もしくはHelicobacter flexispira、またはLactobacillus、Helicobacter、S24−7、Erysipelotrichaceae及びPrevotellaceaeからなる群から選択される少なくとも1つの科の細菌の数または病原効果を低減する。いくつかの実施形態では、Prevotellaceae科の細菌は、Paraprevotella属またはPrevotella属の細菌である。いくつかの実施形態では、該細菌は、Acidaminococcus種、Actinomyces種、Akkermansia muciniphila、Allobaculum種、Anaerococcus種、Anaerostipes種、Bacteroides種、Bacteroidesその他、Bacteroides acidifaciens、Bacteroides coprophilus、Bacteroides fragilis、Bacteroides ovatus、Bacteroides uniformis、Barnesiellaceae種、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacteriumその他、Bifidobacterium種、Bilophila種、Blautia obeum、Blautia producta、Blautiaその他、Blautia種、Bulleidia種、Catenibacterium種、Citrobacter種、Clostridiaceae種、Clostridialesその他、Clostridiales種、Clostridium perfringens、Clostridium種、Clostridiumその他、Collinsella aerofaciens、Collinsella種、Collinsella stercoris、Coprococcus catus、Coprococcus種、Coriobacteriaceae種、Desulfovibrionaceae種、Dialister種、Dorea formicigenerans、Dorea種、Doreaその他、Eggerthella lenta、Enterobacteriaceaeその他、Enterobacteriaceae種、Enterococcus種、Erysipelotrichaceae種、Eubacterium biforme、Eubacterium biforme、Eubacterium dolichum、Eubacterium種、Faecalibacterium prausnitzii、Fusobacterium種、Gemellaceae種、Haemophilus parainf uenzae、Haemophilusその他、Helicobacter種、Helicobacter Lachnospiraceaeその他、Lachnospiraceae種、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus mucosae、Lactobacillus zeae、Lactobacillus種、Lactobacillaceae種、Lactococcus種、Leuconostocaceae種、Megamonas種、Megasphaera種、Methanobrevibacter種、Mitsuokella multacida、Mitsuokella種、Mucispirillum schaedleri、Odoribacter種、Oscillospira種、Parabacteroides distasonis、Parabacteroides種、Paraprevotella種、Paraprevotellaceae種、Parvimonas種、Pediococcus種、Pediococcusその他、Peptococcus種、Peptoniphilus種、Peptostreptococcus anaerobius、Peptostreptococcusその他、Phascolarctobacterium種、Prevotella copri、Prevotella種、Prevotella stercorea、Prevotellaceae、Proteus種、Rikenellaceae種、Roseburia faecis、Roseburia種、Ruminococcaceaeその他、Ruminococcaceae種、Ruminococcus bromii、Ruminococcus gnavus、Ruminococcus種、Ruminococcusその他、Ruminococcus torques、Slackia種、S24−7種、SMB53種、Streptococcus anginosus、Streptococcus luteciae、Streptococcus種、Streptococcusその他、Sutterella種、Turicibacter種、UC Bulleidia、UC Enterobacteriaceae、UC Faecalibacterium、UC Parabacteroides、UC Pediococcus、Varibaculum種、Veillonella種、Sutterella、Turicibacter、UC Clostridiales、UC Erysipelotrichaceae、UC Ruminococcaceae、Veillonella parvula、Veillonella種、Veillonella dispar、及びWeissellaから選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、受動免疫療法または受動ワクチンは、B.fragilis株(例えば、エンテロトキシン産生B.fragilis株)の数または病原効果を低減する。いくつかの実施形態では、受動免疫療法または受動ワクチン反応は、エンテロトキシン、例えば、B.fragilis株(例えば、Bft1、Bft2、及び/またはBft3)が産生するエンテロトキシンの数または病原効果を低減する。
【0076】
いくつかの実施形態では、受動免疫療法または受動ワクチンは、抗体を含む。一般に、抗体は、ジスルフィド結合によって互いに連結された2本の重鎖及びジスルフィド結合によって軽鎖に連結された2本の重鎖を含む。2種類の軽鎖、すなわち、ラムダ及びカッパが存在する。抗体分子の機能活性を決定する5つの主な重鎖のクラス(またはアイソタイプ)、すなわち、IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEがある。各鎖は、異なる配列ドメインを含む。軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、可変ドメイン(VL)及び定常ドメイン(CL)を含む。重鎖は、4つのドメイン、すなわち、可変ドメイン(VH)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3、まとめてCHと呼ばれる)を含む。軽鎖の可変領域(VL)と重鎖の可変領域(VH)の両方が、抗原への結合認識及び特異性を決定する。軽鎖の定常領域ドメイン(CL)及び重鎖の定常領域ドメイン(CH)は、抗体鎖の会合、分泌、経胎盤移動性、補体結合、及びFc受容体(FcR)への結合等の重要な生物学的特性を付与する。「抗体」という用語には、Fab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、TandAbダイマー、Fv、scFv(一本鎖Fv)、dsFv、ds−scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ(scFv−Fab融合、それぞれ、二重特異性または三重特異性)、sc−ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ(scFv−CL融合)、BiTE(二重特異性T細胞誘導、T細胞を引き付けるためのscFv−scFvタンデム)、DVD−Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット)、SIP(小免疫タンパク質、ミニボディの一種)、SMIP(「小モジュラー免疫薬」scFv−Fcダイマー、DART(ds−安定化ダイアボディ「デュアルアフィニティリターゲティング」)、1つ以上のCDRを含む小抗体ミメティック等の抗原結合ドメインを含む抗体断片が含まれる。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを指し得る。
【0077】
様々な抗体ベースの構築物及び断片を調製及び使用するための技術は、当技術分野で周知である(Kabat et al,1991参照、参照することにより本明細書に具体的に組み込まれる)。ダイアボディは、特に、さらにEP404,097及びWO93/11161に記載されている。一方、線状抗体は、さらにZapata et al.(1995)に記載されている。抗体は、従来の技術を使用して断片化することができる。例えば、F(ab’)2断片は、当該抗体をペプシンで処理することによって生じ得る。得られたF(ab’)2断片を、ジスルフィド架橋を還元するように処理して、Fab’断片を産生することができる。パパイン消化がFab断片の形成をもたらし得る。Fab、Fab’及びF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAb、TandAb、ds−scFv、ダイマー、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片ならびに他の断片もまた、組み換え技術によって合成することもできれば、化学的に合成することもできる。抗体断片を産生するための技術は、当技術分野で周知であり、説明されている。例えば、Beckman et al.,2006、Holliger&Hudson,2005、Le Gall et al,2004、Reff&Heard,2001、Reiter et al.,1996、及びYoung et al.,1995の各々は、効果的な抗体断片の産生をさらに記載している。いくつかの実施形態では、該抗体は、「キメラ」抗体であり、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されている。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト化抗体であり、例えば、米国特許第6,982,321号及び第7,087,409号に記載されている。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト抗体であり、例えば、US6,075,181及び6,150,584に記載されている。いくつかの実施形態では、該抗体は、シングルドメイン抗体であり、例えば、EP0 368 684、WO06/030220及びWO06/003388に記載されている。
【0078】
実施形態では、該抗体は、B.fragilis(例えば、エンテロトキシン産生B.fragilis)に結合する。いくつかの実施形態では、該抗体は、B.fragilisが産生するエンテロトキシン、例えば、Bft1、Bft2、及び/またはBft3に結合する。Bft1、Bft2、及びBft3のうちの1つ以上に結合する例示的な抗体は、Mootien,S.,et al.,PLoS One,Vol.12,Issue 3(2017)、及びQadri,F.,et al.,Clin.Diagn.Lab.Immunol.,Vol.3,Issue 5,(1996)に記載されており、これらは、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、該抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト化される。いくつかの実施形態では、該抗体は、IgM、IgD、IgG、IgAまたはIgEである。いくつかの実施形態では、該抗体はモノクローナル抗Bft抗体ICT11である(Qadri,et al.参照)。
【0079】
いくつかの実施形態では、該抗体は、対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルを低減し得る。例えば、該抗体は、IL−1、IL−3、IL−6、IL−12、IL−17、IL−18、TNF、IFN−ガンマ、MIP−2、RANTES及び/またはGM−CSFのレベルを低減し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、対象においてTNF及びIL−17の一方または両方のレベルを低減する。
【0080】
抗生物質
実施形態では、少なくとも1つの抗生物質、またはいくつかの種類の抗生物質の組み合わせを有効量含む治療有効量の抗生物質組成物が、当該対象に投与され得る。該抗生物質組成物は、単独で、または本開示の抗体もしくはワクチンと組み合わせて投与され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、投与された抗生物質は、少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌の数または病原効果を低減する。いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌は、セグメント細菌(SFB)もしくはHelicobacter flexispira、またはLactobacillus、Helicobacter、S24−7、Erysipelotrichaceae及びPrevotellaceaeからなる群から選択される少なくとも1つの科の細菌から選択される。いくつかの実施形態では、Prevotellaceae科の細菌は、Paraprevotella属またはPrevotella属の細菌である。いくつかの実施形態では、該細菌は、Acidaminococcus種、Actinomyces種、Akkermansia muciniphila、Allobaculum種、Anaerococcus種、Anaerostipes種、Bacteroides種、Bacteroidesその他、Bacteroides acidifaciens、Bacteroides coprophilus、Bacteroides fragilis、Bacteroides ovatus、Bacteroides uniformis、Bamesiellaceae種、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacteriumその他、Bifidobacterium種、Bilophila種、Blautia obeum、Blautia producta、Blautiaその他、Blautia種、Bulleidia種、Catenibacterium種、Citrobacter種、Clostridiaceae種、Clostridialesその他、Clostridiales種、Clostridium perfringens、Clostridium種、Clostridiumその他、Collinsella aerofaciens、Collinsella種、Collinsella stercoris、Coprococcus catus、Coprococcus種、Coriobacteriaceae種、Desulfovibrionaceae種、Dialister種、Dorea formicigenerans、Dorea種、Doreaその他、Eggerthella lenta、Enterobacteriaceaeその他、Enterobacteriaceae種、Enterococcus種、Erysipelotrichaceae種、Eubacterium biforme、Eubacterium biforme、Eubacterium dolichum、Eubacterium種、Faecalibacterium prausnitzii、Fusobacterium種、Gemellaceae種、Haemophilus parainfiuenzae、Haemophilusその他、Helicobacter種、Helicobacter Lachnospiraceaeその他、Lachnospiraceae種、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus mucosae、Lactobacillus zeae、Lactobacillus種、Lactobacillaceae種、Lactococcus種、Leuconostocaceae種、Megamonas種、Megasphaera種、Methanobrevibacter種、Mitsuokella multacida、Mitsuokella種、Mucispirillum schaedleri、Odoribacter種、OsciUospira種、Parabacteroides distasonis、Parabacteroides種、Paraprevotella種、Paraprevotellaceae種、Parvimonas種、Pediococcus種、Pediococcusその他、Peptococcus種、Peptoniphilus種、Peptostreptococcus anaerobius、Peptostreptococcusその他、Phascolarctobacterium種、Prevotella copri、Prevotella種、Prevotella stercorea、Prevotellaceae、Proteus種、Rikenellaceae種、Roseburia faecis、Roseburia種、Ruminococcaceaeその他、Ruminococcaceae種、Ruminococcus bromii、Ruminococcus gnavus、Ruminococcus種、Ruminococcusその他、Ruminococcus torques、Slackia種、S24−7種、SMB53種、Streptococcus anginosus、Streptococcus luteciae、Streptococcus種、Streptococcusその他、Sutterella種、Turicibacter種、UC Bulleidia、UC Enterobacteriaceae、UC Faecalibacterium、UC Parabacteroides、UC Pediococcus、Varibaculum種、Veillonella種、Sutterella、Turicibacter、UC Clostridiales、UC Erysipelotrichaceae、UC Ruminococcaceae、Veillonella parvula、Veillonella種、Veillonella dispar、及びWeissellaから選択される。いくつかの実施形態では、投与された抗生物質は、B.fragilisの数または病原効果を低減する。いくつかの実施形態では、投与された抗生物質は、エンテロトキシン産生B.fragilisの数または病原効果を低減する。
【0082】
投与される抗生物質の種類及び投与量は、当該炎症性疾患または障害の性質、当該対象の変化した微生物叢の特徴、当該対象の病歴、投与の頻度、投与方法等に応じて大きく異なる。初期投与量はより多い場合があり、その後、より少ない維持量が続く。該用量は、毎週または隔週の低頻度で投与される場合もあれば、より少量の用量に分割し、毎日、週2回等投与して、有効薬量レベルを維持する場合もある。いくつかの実施形態では、投与される抗生物質は、リポペプチド、フルオロキノロン、ケトライド、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフル、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフメタゾール、セフォニシド、セフォテタン、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフォジジム、セフォタキシム、セフポドキシム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフル、セフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフクリジン、セフェピム、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピロム、セフキノム、セファクロメジン(cefaclomezine)、セファロラム、セファパロール、セフカネル、セフェドロロール(cefedrolor)、セフェムピドン(cefempidone)、セフェトリゾール、セフィビトリル、セフマチレン、セフメピジウム(cefmepidium)、セフォベシン、セフォキサゾール(cefoxazole)、セフロチル(cefrotil)、セフスミド(cefsumide)、セフタロリン、セフチオキシド、セフラセタイム、イミペネム、プリマキシン、ドリペネム、メロペネム、エルタペネム、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピロミド酸、ピペミド酸、ロソクサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、トロバフロキサシン、プルリフロキサシン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンg、ペニシリンv、ピペラシリン、ピバンピシリン、ピブメシリナム、チカルシリン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、リネゾリド、クリンダマイシン、メトロニダゾール、バンコマイシン、バンコシン、ミコブティン、リファンピン、ニトロフラントイン、クロラムフェニコール、またはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つである。
【0083】
プロバイオティクス
いくつかの実施形態では、治療有効量のプロバイオティック組成物が当該対象に投与され得る。該プロバイオティック組成物は、単独で、または本開示の免疫原性組成物(例えば、ワクチン)と組み合わせて投与され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、該プロバイオティック組成物は、有効量の、少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌、またはいくつかのタイプの細菌の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、該プロバイオティックは、外科的プロバイオティックである。いくつかの実施形態では、本開示は、炎症性腸疾患または障害の治療を必要とする対象におけるその方法であり、該対象に対して、該対象の微生物叢に所望の、好ましい、中性の、有益な、及び/または少数しか存在しない、少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌、またはいくつかのタイプの細菌の組み合わせを投与するステップを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのタイプの細菌は、ある種の細菌の第一の株の少なくとも1つの細菌であり、該種の細菌の該第一の株は、当該対象における炎症性腸疾患の発症または進行に寄与せず、該種の細菌は、少なくとも第二の細菌の株を含み、該細菌の種の該第二の株は、該炎症性腸疾患の発症または進行に寄与する。
【0086】
いくつかの実施形態では、該少なくとも1つのタイプの細菌は、IBDを有さない健康な対象から同定された細菌の種の少なくとも1つの細菌である。
【0087】
本開示の方法に従って投与される細菌は、生細菌を含み得る。1つまたはいくつかの異なるタイプの細菌を同時にまたは連続して投与することができる。かかる細菌は、微生物叢から単離され、既知の技術を使用して培養中で増殖されたものを含めた任意の供給源から得ることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される、投与される細菌は、さらに、緩衝剤を含む。有用な緩衝剤の例としては、重炭酸ナトリウム、牛乳、ヨーグルト、乳児用調製粉乳、及び他の乳製品が挙げられる。
【0089】
細菌の投与は、当該生物を所望の場所に導入するのに適した任意の方法によって達成され得る。該細菌を担体と混合し、(消化管への容易な送達用に)液体または食品に適用することができる。該担体材料は、該細菌及び該対象に対して非毒性であるべきである。好ましくは、該担体は、貯蔵中の当該細菌の生存能力を高める成分を含む。該製剤は、食味を改善し、保存可能期間を延長し、栄養面での恩恵を与える等の追加の成分を含むことができる。投与される細菌(例えば、プロバイオティック、外科的プロバイオティック)の投与量は、炎症性疾患または障害の性質、当該対象の変化した微生物叢の特徴、当該対象の病歴、投与の頻度、投与方法、宿主からの薬剤のクリアランス等によって大きく異なる。初期投与量はより多い場合があり、その後、より少ない維持量が続く。該用量は、毎週または隔週の低頻度で投与される場合もあれば、より少量の用量に分割し、毎日、週2回等投与して、有効薬量レベルを維持する場合もある。様々な用量が、所望の細菌による消化管のコロニー形成を達成するのに有効であることが企図される。いくつかの実施形態では、該用量は、一投与あたり約10
6〜約10
10CFU、または一投与あたり約10
10〜約10
13CFUに及ぶ。いくつかの実施形態では、該用量は、一投与あたり約10
4〜約10
6CFUに及ぶ。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示は、かかる治療を必要とする対象に対して、有効量の少なくとも1つの胃、食道、もしくは腸内細菌、またはそれらの組み合わせを投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、該細菌は、経口投与される。別の方法として、細菌は、直腸内に、または浣腸によって投与され得る。
【0091】
変化した微生物叢を修正するための投与用に企図される生物の1つは、少なくとも1つのLactobacillus種である。いくつかの実施形態では、本開示の治療法において投与される細菌は、生物の組み合わせの投与を含む。
【0092】
治療用の細菌をそのまま投与することは可能であるが、それを医薬製剤で、例えば、意図された投与経路及び標準的な薬務に関して選択された適切な医薬賦形剤、希釈剤または担体と混合して投与することが好ましい場合がある。該賦形剤、希釈剤及び/または担体は、当該製剤の他の成分と適合するという意味で、及びそのレシピエントに対して有害でないという意味で「許容される」必要がある。治療的使用のために許容される賦形剤、希釈剤、及び担体は、製薬分野では周知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy.Lippincott Williams&Wilkins(A.R.Gennaro edit.2005)に記載されている。医薬賦形剤、希釈剤、及び担体の選択は、意図された投与経路及び標準的な薬務に関して選択することができる。
【0093】
本開示のプロバイオティック製剤の送達に物理的制約はないが、経口送達は、その容易性及び利便性のため、ならびに経口製剤は、牛乳、ヨーグルト、及び乳児用調製粉乳等のさらなる混合物に容易に対応するため、消化管への送達に好ましい。結腸への送達のために、細菌を直腸内に、または浣腸によって投与することもできる。
【0094】
いくつかの実施形態では、IBDの治療は、当該対象に少数しか存在しない少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌の数を補うために、少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌を投与すること、及び当該対象に過剰である少なくとも1つのタイプ(例えば、属、種、株、亜株等)の細菌の数を減らすための少なくとも1つの抗生物質を投与することの両方によって達成される。
【0095】
治療方法
本明細書では、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)の治療または予防を必要とする対象におけるその方法もまた提供する。いくつかの実施形態では、対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法は、該対象に対して、B.fragilis株、例えば、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含み、該薬剤は、例えば、ワクチンまたは抗体を含む。いくつかの実施形態では、対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法は、該対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含み、該薬剤は、例えば、ワクチンまたは抗体を含む。いくつかの実施形態では、対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための該方法は、該対象に対して、ワクチン組成物を投与することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、IBDと診断された対象を治療する方法は、該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含み、ここで、該対象は、該患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される。いくつかの実施形態では、IBDと診断された対象を治療する方法は、該対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含み、ここで、該対象は、該患者の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される。いくつかの実施形態では、該対象は、該薬剤の投与前にIBDと診断される。いくつかの実施形態では、該対象は、該薬剤の投与後にIBDと診断される。
【0097】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象を治療する方法は、該対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び該対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象を治療する方法は、該対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び該対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む。いくつかの実施形態では、B.fragilis株または毒素の存在の検出は、薬剤の投与前に行われる。いくつかの実施形態では、B.fragilis株または毒素の存在の検出は、該薬剤の投与後に行われる。いくつかの実施形態では、B.fragilis株または毒素の存在の検出は、該薬剤の投与前及び後の両方に行われる。
【0098】
上記の方法で使用するための生体試料は、例えば、便試料でも血液試料(例えば、全血、血漿、または血清試料)でもよい。いくつかの実施形態では、該生体試料は、細胞、組織、または体液であり得る。いくつかの実施形態では、該生体試料は、生検によって採取してもよい。
【0099】
B.fragilis株またはB.fragilis毒素の存在は、任意の許容される方法で検出され得る。例えば、B.fragilis株の存在は、16sRNA遺伝子配列決定を用いて検出され得る(例えば、Kozich et al.,Applied and Environmental Microbiology,79(17),5112−5120(2013)参照)。いくつかの実施形態では、試料(例えば、便試料)のB.fragilis 16sRNA遺伝子(例えば、配列番号1またはそれに対して少なくとも95%同一の配列)の検出により、その試料におけるB.fragilis株の存在が示される。
【0100】
B.fragilis毒素は、例えば、PCRベースのアプローチを用いて検出され得る。PCRベースのアプローチでは、DNAは、患者の便試料(または他の患者試料)から抽出してもよく、また、目的のDNA領域は、適切なプライマーを使用して増幅してもよい。Bftを検出する場合、以下の例示的なプライマー対のうちの1つ以上が使用され得る:配列番号5と6、配列番号7と8、及び配列番号9と10。増幅産物の存在は、その後、ゲル電気泳動を使用して視覚化され得る。Bftを検出するための例示的なPCRベースのアッセイは、Boleij et al.,Clinical Infectious Diseases:an Official Publication of the Infectious Diseases Society of America,60(2),208−215,2015、Odamaki et al.,Anaerobe,18(1),14−18,2012、及びFranco et al.,Molecular Microbiology,45(4),1067−1077,2002にも記載されており、これらは、各々、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0101】
B.fragilis毒素は、非PCRベースのアプローチを使用しても検出され得る。いくつかの実施形態では、血液試料は、抗Bft抗体の存在に関して試験される場合もあれば、可溶性毒素について試験される場合もある。いくつかの実施形態では、B.fragilis毒素は、ELISAを使用して検出され得る。B.fragilis毒素の存在を特定するための例示的なELISAベースのアプローチは、Mootien,S.,et al.,PLoS One,Vol.12,Issue 3(2017)、及びQadri,F.,et al.,Clin.Diagn.Lab.Immunol.,Vol.3,Issue 5,(1996)に示されており、これらは、各々、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、該患者に投与される薬剤は、Bft1、Bft2、及びBft3のうちの少なくとも1つに結合及び/またはそれを阻害し得る。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft1及びBft2に結合及び/またはそれを阻害する。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft1及びBft3に結合及び/またはそれを阻害する。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft2及びBft3に結合及び/またはそれを阻害する。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft1、Bft2、及びBft3に結合及び/またはそれを阻害する。
【0103】
いくつかの実施形態では、該薬剤は、細胞膜に結合しているBftに結合及び/またはそれを阻害し得る。いくつかの実施形態では、該薬剤は、分泌されたBftに結合及び/またはそれを阻害し得る。いくつかの実施形態では、該薬剤は、細胞内Bftに結合及び/またはそれを阻害し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft活性を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低下させ得る。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft活性を、約5%〜約25%、約25%〜約50%、約50%〜約75%、または約75%〜100%低下させ得る。いくつかの実施形態では、該薬剤は、Bft活性を、約95%〜100%低下、例えば、活性を95%、96%、97%、98%、99%、または100%低下させ得る。E−カドヘリン放出は、Bft活性の読取り値として使用され得る。従って、いくつかの実施形態では、該薬剤は、E−カドヘリン放出を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%低下させ得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、該対象に投与される薬剤は抗体である。いくつかの実施形態では、該抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、該抗体はヒト化抗体である。該抗体は、例えば、エンテロトキシン産生B.fragilis、またはそれによって産生されるエンテロトキシンに結合し得る。いくつかの実施形態では、該抗体は、Bft1、Bft2、及びBft3のうちの少なくとも1つに結合する。
【0106】
いくつかの実施形態では、該対象に投与される薬剤はワクチンである。実施形態では、該ワクチンは、不活化B.fragilis、例えば、エンテロトキシン産生B.fragilisを含む。いくつかの実施形態では、該ワクチンは、B.fragilisエンテロトキシンを含む。該B.fragilisエンテロトキシンは、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列、またはそれと少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、該B.fragilisエンテロトキシンは、組み換え型である。
【0107】
該薬剤は、医薬組成物で投与され得る。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、アジュバント、及び/または医薬的に許容される担体を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、該薬剤は、該対象に対して、経口投与または筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、該薬剤は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入経由、バッカル投与経由、胸膜内、静脈内、動脈内、胃内、経鼻、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、または関節内、またはそれらの組み合わせに投与される。該薬剤は、該対象に1回、または2回以上投与され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、複数の薬剤が該対象に投与される。例えば、複数の抗体、複数のワクチン、複数の抗生物質及び/または複数のプロバイオティックが対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、第一の薬剤及び第二の薬剤が対象に投与され、該第一の薬剤及び第二の薬剤の各々は、独立して、抗体、ワクチン、抗生物質、及びプロバイオティックから選択される。いくつかの実施形態では、該第一の薬剤及び第二の薬剤は、同時に投与され得る。いくつかの実施形態では、該第一の薬剤が投与された後、該第二の薬剤が投与され得る。いくつかの実施形態では、該第一の薬剤及び第二の薬剤は、治療上有効な間隔で投与される。
【0110】
いくつかの実施形態では、該対象は哺乳類である。いくつかの実施形態では、該対象は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、または他の家畜哺乳類である。いくつかの実施形態では、該対象はヒトである。該対象は、男性でも女性でもよい。いくつかの実施形態では、該対象は、18歳以上である。いくつかの実施形態では、該対象は、18歳未満である。いくつかの実施形態では、該対象は、5歳未満である。いくつかの実施形態では、該対象は、1歳未満である。
【0111】
本開示の方法のいくつかの実施形態では、該対象は「活動性IBD」を有する。活動性IBDは、血性下痢、腹痛、発熱等の症状を含み得る。いくつかの実施形態では、該対象は「非活動性IBD」を有する。非活動性IBDは、腸の炎症が軽度〜無であること、及び重度の胃腸疾患がないことと関連し得る。IBD患者が「活動性」IBDを有するか「非活動性」IBDを有するかは、医師が管理する活動指標であるSimple Clinical Colitis Activity Index(SCCAI)(Walmsley,et al.,Gut,43(1),29−32, 1998)を潰瘍性及び不確定大腸炎の対象に関して、ならびにHarvey Bradshaw Index(HBI)(Harvey&Bradshaw,Lancet,1(8167),514, 1980)をクローン病の対象に関して使用して特定され得る。スコア>4の対象は、活動性疾患を有すると見なされる。
【0112】
いくつかの実施形態では、該治療は、対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルを低減する。炎症性サイトカインの減少は、血液試料、便試料、または生検試料で検出され得る。いくつかの実施形態では、該治療は、IL−1、IL−3、IL−6、IL−12、IL−17、IL−18、TNF、IFN−ガンマ、MIP−2、RANTES及び/またはGM−CSFのレベルを低減し得る。いくつかの実施形態では、該治療は、対象においてTNF及びIL−17の一方または両方のレベルを低減する。
【0113】
さらなる説明をすることなく、当業者は、前述の説明及び以下の例示的な実施例を使用して、本開示の組成物を作製及び利用し、請求項に係る方法を実施することができると考えられる。従って、以下の実施例は、好ましい実施形態を具体的に指示するものであって、決して本開示の残りの部分を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供されており、特に指定のない限り、限定するようには意図されていない。従って、本開示は、以下の実施例に限定されるものとは決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるすべての変形を包含すると解釈されるものとする。
【0115】
実施例1
IBD患者から単離されたETBF株はマウスの盲腸の炎症を引き起こす
無菌マウス(N=3〜4)に、B.fragilis非毒素産生(NTBF)基準株ATCC(登録商標)25285、または異なるIBD対象から単離された4つのETBF株の1つでコロニー形成した。コロニー形成の4日後、マウスをサクリファイスし、腸の炎症の兆候を調べた。
【0116】
IBD患者から単離されたETBF株による無菌マウスのコロニー形成により、盲腸の自然炎症が生じた。NTBFによるコロニー形成とは対照的に、調べた各ETBF株によるコロニー形成は、ETBF株と関連する盲腸損傷及び炎症のマーカーである盲腸重量の有意な減少をもたらした(
図1)(Rhee,K.J.,et al.,Infection and Immunity,77(4),1708−1718参照)。
【0117】
別の実験では、無菌マウス(N=5〜6)に、NTBFもしくはETBF基準株、またはIBD患者から単離されたETBF株でコロニー形成した。コロニー形成の3日後、マウスをサクリファイスし、盲腸組織を切片にした。H&E染色切片を検査し、組織学的スコアを割り当てた。
図2に示すように、NTBF基準株でコロニー形成されたマウスでは炎症はほとんどまたは全く認められなかった。対照的に、ETBF基準株、またはIBD患者から単離されたETBF株でコロニー形成されたマウスは、高レベルの炎症を示した。これらの差は統計的に有意であった。
【0118】
この外植盲腸組織を、炎症性サイトカインIL−17及びTNFの存在についても調べた。
図4Aに示すように、IL−17レベルは、NTBF株でコロニー形成されたマウスと比較して、IBD患者から単離されたETBF株でコロニー形成されたマウスにおいて上昇した。TNFレベルもまた、ETBFコロニー形成マウスにおいて上昇した(
図4B)。
【0119】
IBD患者から単離されたETBF株が、様々な微生物叢のバックグラウンド設定でも炎症を引き起こすかどうかを特定するために、無菌マウスにETBF単独で(単一コロニー形成)、9株の合成微生物叢群落と組み合わせて(合成微生物叢)、患者の微生物叢試料と組み合わせて(患者の微生物叢)または健康な患者由来の微生物叢試料と組み合わせて(健康な微生物叢)コロニー形成した。NTBFでコロニー形成されたマウスを対照として使用した。
【0120】
コロニー形成の5日後、腸の炎症を便のリポカリン2レベルを測定することによって調べた。
図3に示すように、IBD患者由来のETBF株は、単一コロニー形成下、9株の合成微生物叢群落、IBD患者の便微生物叢(すなわち、本明細書で使用されるETBF株の元の供給源)、及び健康な人由来の全便微生物叢において、腸の炎症を引き起こした。
【0121】
炎症を引き起こすETBFの能力を、組織像によっても確認した。
図5A及び5Bは、9株の合成微生物叢バックグラウンドとの関連で、でNTBF株またはETBF株(IBD単離株)でコロニー形成されたマウスの盲腸組織の代表的な組織画像である。
図5Bでは、ETBFコロニー形成が、これら組織における炎症レベルの劇的な増加をもたらすことは明らかである。
【0122】
まとめると、これらのデータは、生理学的に適切なコロニー形成量で、ETBFが宿主に対して強力な病原性を発揮し、マウスにIBD様疾患を引き起こす可能性があることを示している。従って、これらのデータは、IBDの病因におけるETBFの因果的役割を実証する。
【0123】
実施例2
ETBFでコロニー形成されたヒトIBD患者は活動性疾患を有する可能性が高い
IBD患者を外来診察室で募集した。患者がインフォームドコンセントを提供した後、彼らに臨床情報及び便試料を提供するように依頼した。DNAを、約25〜75mgの便試料から抽出し、16s rRNA遺伝子配列決定を使用して、相対存在量>0.05%でB.fragilisを有する対象を特定した。続いて、bft毒素遺伝子の存在を、これらB.fragilis陽性対象N=152IBD及びN=67対照で、3つのプライマーセット(表3)でのPCR及びゲル電気泳動を使用してアッセイした。これらプライマーセットの2つ以上が予想されるサイズのバンドを生じた場合、対象をETBF陽性と見なした。
【表3】
【0124】
IBD対象の疾患活動性は、医師が管理する活動性指標であるSimple Clinical Colitis Activity Index(SCCAI)(Walmsley,et.al.Gut,43(1),29−32, 1998)を潰瘍性及び不確定大腸炎の対象に関して、ならびにHarvey Bradshaw Index(HBI)(Harvey&Bradshaw,Lancet,1(8167),514, 1980)をクローン病の対象に関して使用して特定した。スコア>4の対象は、活動性疾患を有すると見なされる。
【0125】
図8に示すように、調べた健康な対照患者の約10%(67人中7人)がETBFについて陽性であった。非活動性IBD患者の約6%(116人中7人)、及び活動性IBD患者の約22%(36人中8人)がETBFについて陽性であった。このデータは、ETBFでコロニー形成されたIBD患者は活動性形態の該疾患を有する可能性が高いことを実証する。
【0126】
実施例3
Bftを標的にして阻害する抗体
ETBFが産生する毒素であるBftは、ETBFの病原性活性に関与している。従って、Bftの阻害は、IBDに苦しむ患者を治療するための可能な戦略であり得る。
【0127】
この仮説を検証するため、ウサギを組み換えBftで免疫した。続いて、血清を採取し、IgGを精製した。免疫前及び免疫後の血清から精製したウサギIgGを、組み換えBft1とともに37℃で1時間インキュベートし、その後培養HT29細胞に添加した。細胞培養上清を18時間後に回収し、E−カドヘリン放出のレベルをELISAで測定した。
図6に示すように、抗Bft高度免疫血清から精製されたウサギIgGは、Bft活性を中和したが、免疫前の血清からのものは中和しなかった。
【0128】
次に、HT29細胞を、NTBFまたはETBF株の培養上清(すなわち、分泌されたBftを含む)で、対照または抗Bftウサギポリクローナル抗体とともに18時間処理した。HT29細胞培養上清を回収し、E−カドヘリン放出を標準的なELISAを使用して測定した。
図7に示すように、抗bft IgGは、Bftの活性を阻害した。抗bft IgGでの処理後、Bft活性はベースラインレベルまで低下し、プロテアーゼ活性のほぼ完全な阻害が示された。
【0129】
まとめると、これらのデータは、抗Bft IgGを使用してBftの活性を阻害し、ETBF株の病原性を低減する可能性があることを実証する。
【0130】
実施例4
患者のワクチン接種
患者にETBFのワクチンを接種し、ひいてはIBDを治療または予防するため、組み換えB.fragilisエンテロトキシンを既知の毒素配列から合成する。その後、そのエンテロトキシンを筋肉内投与用のワクチンとして製剤化する。そのワクチン組成物を、患者に対して治療有効量、すなわち、その患者においてエンテロトキシンに対する免疫反応を刺激するのに十分な量投与する。
【0131】
実施例5
IBDに苦しむ患者の治療
炎症性腸疾患に苦しむ患者を治療するため、B.fragilisエンテロトキシンに特異的に結合し、これを中和するヒト化モノクローナル抗体を提供する。この抗体は、治療有効量、すなわち、ETBFまたはETBFが産生するエンテロトキシンの量または病原効果を低減するのに十分な量で患者に投与される。患者のIBDの症状が消失するまで、または臨床的に許容されるレベルに低下するまで、必要に応じて治療を繰り返す。
【0132】
本開示の番号付き実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、以下の番号付き実施形態を記載する。
【0133】
1.過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、前記対象は、前記患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【0134】
2.前記薬剤が抗体である、実施形態1に記載の方法。
【0135】
3.前記抗体がヒト化される、実施形態2に記載の方法。
【0136】
4.前記抗体がモノクローナルである、実施形態2または3に記載の方法。
【0137】
5.前記抗体がB.fragilis毒素に結合する、実施形態2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
6.前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、実施形態5に記載の方法。
【0139】
7.前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、実施形態6に記載の方法。
【0140】
8.前記薬剤がワクチンである、実施形態1に記載の方法。
【0141】
9.前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、実施形態8に記載の方法。
【0142】
10.前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、実施形態8に記載の方法。
【0143】
11.前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、実施形態9に記載の方法。
【0144】
12.前記ワクチンがアジュバントを含む、実施形態8〜11のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
13.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態12に記載の方法。
【0146】
14.前記IBDがクローン病である、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
15.前記IBDが潰瘍性大腸炎である、実施形態14に記載の方法。
【0148】
16.前記IBDが活動性IBDである、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
17.前記IBDが非活動性IBDである、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
18.前記B.fragilis株が、B.fragilisのエンテロトキシン産生株である、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
19.前記B.fragilis株が、BFT1、BFT2、及びBFT3から選択される毒素を産生する、実施形態18に記載の方法。
【0152】
20.前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、実施形態19に記載の方法。
【0153】
21.前記対象が哺乳類である、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
22.前記対象がヒトである、実施形態21に記載の方法。
【0155】
23.前記対象が18歳以上である、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
24.前記対象が18歳未満である、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
25.前記生体試料が血液試料である、実施形態1〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
26.前記生体試料が便試料である、実施形態1〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
27.前記薬剤が経口投与される、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
28.前記薬剤が静脈内投与される、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0161】
29.前記薬剤が筋肉内投与される、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
30.前記薬剤が皮下投与される、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
31.前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、実施形態1〜30のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
32.前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、実施形態31に記載の方法。
【0165】
33.過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、前記対象は、前記患者の生体試料における前記B.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【0166】
34.前記薬剤が抗体である、実施形態33に記載の方法。
【0167】
35.前記抗体がヒト化される、実施形態34に記載の方法。
【0168】
36.前記抗体がモノクローナルである、実施形態34または35に記載の方法。
【0169】
37.前記抗体が前記B.fragilis毒素に結合する、実施形態33〜36のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
38.前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、実施形態33〜37のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
39.前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、実施形態38に記載の方法。
【0172】
40.前記薬剤がワクチンである、実施形態30に記載の方法。
【0173】
41.前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、実施形態30に記載の方法。
【0174】
42.前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、実施形態40に記載の方法。
【0175】
43.前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、実施形態41に記載の方法。
【0176】
44.前記ワクチンがアジュバントを含む、実施形態40〜43のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
45.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態44に記載の方法。
【0178】
46.前記IBDがクローン病である、実施形態33〜45のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
47.前記IBDが潰瘍性大腸炎である、実施形態33〜45のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
48.前記IBDが活動性IBDである、実施形態33〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
49.前記IBDが非活動性IBDである、実施形態33〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
50.前記対象が哺乳類である、実施形態33〜49のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
51.前記対象がヒトである、実施形態50に記載の方法。
【0184】
52.前記対象が18歳以上である、実施形態33〜51のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
53.前記対象が18歳未満である、実施形態33〜51のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
54.前記生体試料が血液試料である、実施形態33〜53のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
55.前記生体試料が便試料である、実施形態33〜53のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
56.前記薬剤が経口投与される、実施形態33〜55のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
57.前記薬剤が静脈内投与される、実施形態33〜55のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
58.前記薬剤が筋肉内投与される、実施形態33〜55のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
59.前記薬剤が皮下投与される、実施形態33〜55のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
60.前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、実施形態33〜59のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
61.前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、実施形態60に記載の方法。
【0194】
62.治療を必要とする対象を治療する方法であって、前記対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び前記対象に対して、前記B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0195】
63.治療を必要とする対象を治療する方法であって、前記対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0196】
64.炎症性腸疾患または障害を治療または予防するためのワクチン組成物であって、不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、前記ワクチン組成物。
【0197】
65.前記炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎である、実施形態64に記載のワクチン組成物。
【0198】
66.前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、実施形態64〜65のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
【0199】
67.前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態64〜66のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
【0200】
68.前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、実施形態64〜67のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
【0201】
69.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態68に記載のワクチン組成物。
【0202】
70.経口投与または静脈内投与用に製剤化される、実施形態64〜69のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
【0203】
71.筋肉内投与または皮下投与用に製剤化される、実施形態64〜69のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
【0204】
72.対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法であって、前記対象に対して、実施形態64〜71のいずれか1つに記載のワクチン組成物を投与することを含む、前記方法。
【0205】
73.前記対象が哺乳類である、実施形態72に記載の方法。
【0206】
74.前記対象がヒトである、実施形態73に記載の方法。
【0207】
75.前記ワクチン組成物が前記対象に1回投与される、実施形態72〜74のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
76.前記ワクチン組成物が前記対象に2回以上投与される、実施形態72〜74のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
77.前記ワクチン組成物が、前記対象に経口投与される、実施形態72〜76のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
78.前記ワクチン組成物が、前記対象に筋肉内投与される、実施形態72〜76のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
79.前記薬剤が前記対象に筋肉内投与される、実施形態72〜76のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
80.前記薬剤が皮下投与される、実施形態72〜76のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
81.前記ワクチンの投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、実施形態72〜80のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
82.前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、実施形態81に記載の方法。
【0215】
83.対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0216】
84.前記薬剤がワクチンを含む、実施形態83に記載の方法。
【0217】
85.前記ワクチンが不活化細菌を含む、実施形態84に記載の方法。
【0218】
86.前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、実施形態84に記載の方法。
【0219】
87.前記ワクチンがアジュバントを含む、実施形態84〜86のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
88.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態87に記載の方法。
【0221】
89.前記ワクチンが、前記対象に経口投与される、実施形態84〜88のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
90.前記ワクチンが、前記対象に筋肉内投与される、実施形態84〜88のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
91.前記薬剤が筋肉内投与される、実施形態84〜88のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
92.前記薬剤が皮下投与される、実施形態84〜88のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
93.前記薬剤が抗体を含む、実施形態83に記載の方法。
【0226】
94.前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態93に記載の方法。
【0227】
95.前記抗体がヒト化抗体である、実施形態93〜94のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
96.前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、実施形態93〜95のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
97.前記抗体がエンテロトキシンに結合する、実施形態93〜95のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
98.前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態97に記載の方法。
【0231】
99.前記対象が哺乳類である、実施形態93〜98のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
100.前記対象がヒトである、実施形態99に記載の方法。
【0233】
101.前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、実施形態93〜100のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
102.前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、実施形態101に記載の方法。
【0235】
103.対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0236】
104.前記薬剤がワクチンを含む、実施形態103に記載の方法。
【0237】
105.前記ワクチンが不活化細菌を含む、実施形態104に記載の方法。
【0238】
106.前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、実施形態104に記載の方法。
【0239】
107.前記ワクチンがアジュバントを含む、実施形態104〜106のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
108.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態107に記載の方法。
【0241】
109.前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、実施形態104〜108のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
110.前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、実施形態104〜108のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
111.前記薬剤が抗体を含む、実施形態98に記載の方法。
【0244】
112.前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態111に記載の方法。
【0245】
113.前記抗体がヒト化抗体である、実施形態111〜112のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
114.前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、実施形態111〜113のいずれか1つに記載の方法。
【0247】
115.前記抗体がエンテロトキシンに結合する、実施形態111〜113のいずれか1つに記載の方法。
【0248】
116.前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態115に記載の方法。
【0249】
117.前記対象が哺乳類である、実施形態103〜116のいずれか1つに記載の方法。
【0250】
118.前記対象がヒトである、実施形態117に記載の方法。
【0251】
119.前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、実施形態103〜118のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
120.前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、実施形態119に記載の方法。
【0253】
121.対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【0254】
122.前記薬剤がワクチンを含む、実施形態121に記載の方法。
【0255】
123.前記ワクチンが不活化細菌を含む、実施形態122に記載の方法。
【0256】
124.前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、実施形態122に記載の方法。
【0257】
125.前記ワクチンがアジュバントを含む、実施形態122〜124のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
126.前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、実施形態125に記載の方法。
【0259】
127.前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、実施形態122〜126のいずれか1つに記載の方法。
【0260】
128.前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、実施形態122〜126のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
129.前記薬剤が抗体を含む、実施形態121に記載の方法。
【0262】
130.前記抗体がモノクローナル抗体である、実施形態129に記載の方法。
【0263】
131.前記抗体がヒト化抗体である、実施形態129〜130のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
132.前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、実施形態129〜131のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
133.前記抗体がエンテロトキシンに結合する、実施形態129〜131のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
134.前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施形態133に記載の方法。
【0267】
135.前記対象が哺乳類である、実施形態121〜134のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
136.前記対象がヒトである、実施形態135に記載の方法。
【0269】
本明細書で引用されるありとあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。本開示は、特定の実施形態への言及を含むが、本開示の他の実施形態及び変形が、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのかかる実施形態及び均等物の変形を含むと解釈されることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2021年3月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【請求項2】
前記薬剤が抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体がヒト化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体がモノクローナルである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体がB.fragilis毒素に結合する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤がワクチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記IBDがクローン病である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記IBDが活動性IBDである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記IBDが非活動性IBDである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記B.fragilis株が、B.fragilisのエンテロトキシン産生株である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記B.fragilis株が、BFT1、BFT2、及びBFT3から選択される毒素を産生する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が哺乳類である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象がヒトである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が18歳以上である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が18歳未満である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記生体試料が血液試料である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記生体試料が便試料である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤が経口投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤が静脈内投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が皮下投与される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
炎症性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料における前記B.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【請求項34】
前記薬剤が抗体である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗体がヒト化される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記抗体がモノクローナルである、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体が前記B.fragilis毒素に結合する、請求項33〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、請求項33〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記薬剤がワクチンである、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項40〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記IBDがクローン病である、請求項33〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、請求項33〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記IBDが活動性IBDである、請求項33〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記IBDが非活動性IBDである、請求項33〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が哺乳類である、請求項33〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象がヒトである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が18歳以上である、請求項33〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象が18歳未満である、請求項33〜51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記生体試料が血液試料である、請求項33〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記生体試料が便試料である、請求項33〜53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記薬剤が経口投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記薬剤が静脈内投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤が皮下投与される、請求項33〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項33〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、前記B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項63】
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項64】
炎症性腸疾患または障害を治療または予防するためのワクチン組成物であって、不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、前記ワクチン組成物。
【請求項65】
前記炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎である、請求項64に記載のワクチン組成物。
【請求項66】
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、請求項64〜65のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項67】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項64〜66のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項68】
前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、請求項64〜67のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項69】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項68に記載のワクチン組成物。
【請求項70】
経口投与または静脈内投与用に製剤化される、請求項64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項71】
筋肉内投与または皮下投与用に製剤化される、請求項64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
【請求項72】
対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法であって、前記対象に対して、請求項64〜71のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項73】
前記対象が哺乳類である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記対象がヒトである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ワクチン組成物が前記対象に1回投与される、請求項72〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記ワクチン組成物が前記対象に2回以上投与される、請求項72〜74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ワクチン組成物が、前記対象に経口投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ワクチン組成物が、前記対象に筋肉内投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記薬剤が前記対象に筋肉内投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記薬剤が皮下投与される、請求項72〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記ワクチンの投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項72〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項84】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項84〜86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記ワクチンが、前記対象に経口投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記薬剤が筋肉内投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記薬剤が皮下投与される、請求項84〜88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記薬剤が抗体を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項94】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項93〜94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項93〜95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項93〜95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記対象が哺乳類である、請求項93〜98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記対象がヒトである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項93〜100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項104】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項104〜106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、請求項104〜108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記薬剤が抗体を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項112】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項111〜112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項111〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項111〜113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記対象が哺乳類である、請求項103〜116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記対象がヒトである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、請求項103〜118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項122】
前記薬剤がワクチンを含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記ワクチンが不活化細菌を含む、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、請求項122に記載の方法。
【請求項125】
前記ワクチンがアジュバントを含む、請求項122〜124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、請求項122〜126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、請求項122〜126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記薬剤が抗体を含む、請求項121に記載の方法。
【請求項130】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項129〜130のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、請求項129〜131のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、請求項129〜131のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記対象が哺乳類である、請求項121〜134のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記対象がヒトである、請求項135に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0133】
1.
炎症性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、前記対象は、前記患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0165
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0165】
33.
炎症性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、前記対象は、前記患者の生体試料における前記B.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0269
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0269】
本明細書で引用されるありとあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。本開示は、特定の実施形態への言及を含むが、本開示の他の実施形態及び変形が、本発明の真の主旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのかかる実施形態及び均等物の変形を含むと解釈されることを意図している。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
(項目2)
前記薬剤が抗体である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗体がヒト化される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記抗体がモノクローナルである、項目2または3に記載の方法。
(項目5)
前記抗体がB.fragilis毒素に結合する、項目2〜4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記薬剤がワクチンである、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記ワクチンがアジュバントを含む、項目8〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記IBDがクローン病である、項目1〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記IBDが活動性IBDである、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記IBDが非活動性IBDである、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記B.fragilis株が、B.fragilisのエンテロトキシン産生株である、項目1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記B.fragilis株が、BFT1、BFT2、及びBFT3から選択される毒素を産生する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記対象が哺乳類である、項目1〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記対象がヒトである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記対象が18歳以上である、項目1〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記対象が18歳未満である、項目1〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記生体試料が血液試料である、項目1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記生体試料が便試料である、項目1〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記薬剤が経口投与される、項目1〜26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記薬剤が静脈内投与される、項目1〜26のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記薬剤が筋肉内投与される、項目1〜26のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記薬剤が皮下投与される、項目1〜26のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、項目1〜30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、項目31に記載の方法。
(項目33)
過敏性腸疾患(IBD)と診断された対象を治療する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む前記方法であり、
前記対象は、前記患者の生体試料における前記B.fragilis毒素の存在を検出することによってIBDと診断される、前記方法。
(項目34)
前記薬剤が抗体である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記抗体がヒト化される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記抗体がモノクローナルである、項目34または35に記載の方法。
(項目37)
前記抗体が前記B.fragilis毒素に結合する、項目33〜36のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記B.fragilis毒素が、BFT1、BFT2、及び/またはBFT3である、項目33〜37のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記B.fragilis毒素が、配列番号2〜4のいずれか1つと少なくとも95%または100%同一の配列を有する、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記薬剤がワクチンである、項目30に記載の方法。
(項目41)
前記ワクチンが不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、項目30に記載の方法。
(項目42)
前記ワクチンが不活化B.fragilis細菌を含む、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記ワクチンがアジュバントを含む、項目40〜43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記IBDがクローン病である、項目33〜45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記IBDが潰瘍性大腸炎である、項目33〜45のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記IBDが活動性IBDである、項目33〜47のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記IBDが非活動性IBDである、項目33〜47のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
前記対象が哺乳類である、項目33〜49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
前記対象がヒトである、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記対象が18歳以上である、項目33〜51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
前記対象が18歳未満である、項目33〜51のいずれか1項に記載の方法。
(項目54)
前記生体試料が血液試料である、項目33〜53のいずれか1項に記載の方法。
(項目55)
前記生体試料が便試料である、項目33〜53のいずれか1項に記載の方法。
(項目56)
前記薬剤が経口投与される、項目33〜55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
前記薬剤が静脈内投与される、項目33〜55のいずれか1項に記載の方法。
(項目58)
前記薬剤が筋肉内投与される、項目33〜55のいずれか1項に記載の方法。
(項目59)
前記薬剤が皮下投与される、項目33〜55のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、項目33〜59のいずれか1項に記載の方法。
(項目61)
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、項目60に記載の方法。
(項目62)
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis株の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、前記B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
(項目63)
治療を必要とする対象を治療する方法であって、
前記対象の生体試料におけるB.fragilis毒素の存在を検出すること、及び
前記対象に対して、B.fragilis毒素の発現または活性を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
(項目64)
炎症性腸疾患または障害を治療または予防するためのワクチン組成物であって、不活化B.fragilisエンテロトキシンを含む、前記ワクチン組成物。
(項目65)
前記炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎である、項目64に記載のワクチン組成物。
(項目66)
前記不活化B.fragilisエンテロトキシンが組み換え型である、項目64〜65のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
(項目67)
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、項目64〜66のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
(項目68)
前記ワクチン組成物がアジュバントを含む、項目64〜67のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
(項目69)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目68に記載のワクチン組成物。
(項目70)
経口投与または静脈内投与用に製剤化される、項目64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
(項目71)
筋肉内投与または皮下投与用に製剤化される、項目64〜69のいずれか1項に記載のワクチン組成物。
(項目72)
対象における炎症性腸疾患を治療または予防するための方法であって、前記対象に対して、項目64〜71のいずれか1項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、前記方法。
(項目73)
前記対象が哺乳類である、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記対象がヒトである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記ワクチン組成物が前記対象に1回投与される、項目72〜74のいずれか1項に記載の方法。
(項目76)
前記ワクチン組成物が前記対象に2回以上投与される、項目72〜74のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記ワクチン組成物が、前記対象に経口投与される、項目72〜76のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
前記ワクチン組成物が、前記対象に筋肉内投与される、項目72〜76のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記薬剤が前記対象に筋肉内投与される、項目72〜76のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記薬剤が皮下投与される、項目72〜76のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
前記ワクチンの投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、項目72〜80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、項目81に記載の方法。
(項目83)
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、エンテロトキシン産生B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
(項目84)
前記薬剤がワクチンを含む、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記ワクチンが不活化細菌を含む、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、項目84に記載の方法。
(項目87)
前記ワクチンがアジュバントを含む、項目84〜86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記ワクチンが、前記対象に経口投与される、項目84〜88のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内投与される、項目84〜88のいずれか1項に記載の方法。
(項目91)
前記薬剤が筋肉内投与される、項目84〜88のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記薬剤が皮下投与される、項目84〜88のいずれか1項に記載の方法。
(項目93)
前記薬剤が抗体を含む、項目83に記載の方法。
(項目94)
前記抗体がモノクローナル抗体である、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記抗体がヒト化抗体である、項目93〜94のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、項目93〜95のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、項目93〜95のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記対象が哺乳類である、項目93〜98のいずれか1項に記載の方法。
(項目100)
前記対象がヒトである、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、項目93〜100のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記薬剤の投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、項目101に記載の方法。
(項目103)
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株が産生するエンテロトキシンの影響を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
(項目104)
前記薬剤がワクチンを含む、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記ワクチンが不活化細菌を含む、項目104に記載の方法。
(項目106)
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、項目104に記載の方法。
(項目107)
前記ワクチンがアジュバントを含む、項目104〜106のいずれか1項に記載の方法。
(項目108)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目107に記載の方法。
(項目109)
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、項目104〜108のいずれか1項に記載の方法。
(項目110)
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、項目104〜108のいずれか1項に記載の方法。
(項目111)
前記薬剤が抗体を含む、項目98に記載の方法。
(項目112)
前記抗体がモノクローナル抗体である、項目111に記載の方法。
(項目113)
前記抗体がヒト化抗体である、項目111〜112のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、項目111〜113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、項目111〜113のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、項目115に記載の方法。
(項目117)
前記対象が哺乳類である、項目103〜116のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
前記対象がヒトである、項目117に記載の方法。
(項目119)
前記薬剤の投与により、前記対象において1つ以上の炎症性サイトカインのレベルが低下する、項目103〜118のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記ワクチンの投与により、前記対象においてTNF及びIL−17の少なくとも一方のレベルが低下する、項目119に記載の方法。
(項目121)
対象において炎症性腸疾患を治療または予防する方法であって、前記対象に対して、B.fragilis株の数または病原効果を低減する薬剤を投与することを含む、前記方法。
(項目122)
前記薬剤がワクチンを含む、項目121に記載の方法。
(項目123)
前記ワクチンが不活化細菌を含む、項目122に記載の方法。
(項目124)
前記ワクチンが不活化エンテロトキシンを含む、項目122に記載の方法。
(項目125)
前記ワクチンがアジュバントを含む、項目122〜124のいずれか1項に記載の方法。
(項目126)
前記アジュバントが、完全または不完全フロイントアジュバント、RIBI、KLHペプチド、コレラ毒素、E.coli易熱性毒素、E.coliエンテロトキシン、サルモネラ毒素、ナノ粒子ベースのアジュバント、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、リポソーム、ビロソーム、コクリエート(cochleate)、ユーロシン(eurocine)、古細菌脂質、ISCOMS、マイクロ粒子、モノホスホリルリピド(MPL)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(MDP)、Detox、AS04、AS02、AS01、OM−174、OM−トリアシル、オリゴヌクレオチド、二本鎖RNA、病原体関連分子パターン(PAMP)、TLRリガンド、サポニン、キトサン、a−ガラクトシルセラミド、小分子免疫賦活薬(SMIP)、サイトカイン、ケモカイン、DC Choi、PLA(ポリ乳酸)マイクロ粒子、PLG(ポリ[ラクチド−co−グリコリド])マイクロ粒子、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)マイクロ粒子、ポリスチレン(ラテックス)マイクロ粒子、プロテオソーム、及び3’,5’−サイクリックジグアニル酸(c−di−GMP)からなる群から選択される、項目125に記載の方法。
(項目127)
前記ワクチンが、前記対象に経口または静脈内投与される、項目122〜126のいずれか1項に記載の方法。
(項目128)
前記ワクチンが、前記対象に筋肉内または皮下投与される、項目122〜126のいずれか1項に記載の方法。
(項目129)
前記薬剤が抗体を含む、項目121に記載の方法。
(項目130)
前記抗体がモノクローナル抗体である、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記抗体がヒト化抗体である、項目129〜130のいずれか1項に記載の方法。
(項目132)
前記抗体が、前記エンテロトキシン産生B.fragilisに結合する、項目129〜131のいずれか1項に記載の方法。
(項目133)
前記抗体がエンテロトキシンに結合する、項目129〜131のいずれか1項に記載の方法。
(項目134)
前記エンテロトキシンが、配列番号2〜4のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、項目133に記載の方法。
(項目135)
前記対象が哺乳類である、項目121〜134のいずれか1項に記載の方法。
(項目136)
前記対象がヒトである、項目135に記載の方法。
【国際調査報告】