(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、複素環式スルホンアミド誘導体、並びに自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患の治療及び予防におけるそれらの使用、並びに該誘導体を含有する組成物及びそれらの調製のプロセスに関する。
実施例1−295、例えば実施例1、実施例48もしくは実施例92の化合物の遊離塩基、又はそれらの医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物である、請求項1〜17のいずれか一項記載の式(I)の化合物。
カリウムチャネル阻害、例えばKv1.3の阻害により媒介された疾患又は状態、特に自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患の予防又は治療において使用するための、請求項1〜18のいずれか一項記載の化合物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において使用される用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0007】
本明細書において使用される用語「シアノ」は、炭素原子が、窒素原子に三重結合されている基を指す。
【0008】
本明細書において使用される用語「C
1-6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。そのような基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。
【0009】
本明細書において基又は基の一部分として使用される用語「C
1-6アルコキシ」は、1個以上の酸素原子を含むC
1-6アルキル基を指し、ここでC
1-6アルキルは、本明細書において定義されているものである。そのような基の例としては、メトキシ、エトキシ又はプロポキシを含む。
【0010】
本明細書において基又は基の一部分として使用される用語「ハロC
1-6アルキル」は、1個又は2個以上の水素原子が、ハロゲンにより置き換えられている、本明細書に定義されたようなC
1-6アルキル基を指す。従って用語「ハロC
1-6アルキル」は、モノハロC
1-6アルキル、並びにまたポリハロC
1-6アルキルも含む。そこには、ハロゲンにより置き換えられた水素原子が1、2、3又はそれよりも多く存在してよく、そのためハロC
1-6アルキルは、1、2、3個又はそれよりも多いハロゲンを有してよい。そのような基の例としては、フルオロエチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル又はトリフルオロエチルなどを含む。
【0011】
本明細書において使用される用語「オキソ」は、基=Oを指す。
【0012】
本明細書において使用される用語「ニトロ」は、基-N(=O)
2を指す。
【0013】
本明細書において使用される用語「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、基OHを指す。
【0014】
本明細書において基又は基の一部分として使用される用語「C
1-6アルカノール」は、ヒドロキシル基を含むC
1-6アルキル基を指し、ここでC
1-6アルキルは、本明細書において定義されているものである。C
1-6アルカノール基の例としては、-CH
2OHを含む。
【0015】
本明細書において使用される用語「C
3-8シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子の飽和された単環の炭化水素環を指す。そのような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを含む。
【0016】
本明細書において使用される用語「アリール」は、例えば3〜12の環員を含む、炭素環式の単環又は二環の芳香族不飽和環系を指す。アリール環の例は、フェニル及びナフチルを含む。
【0017】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリール」は、例えば3〜12の環員を含む、単環又は二環の芳香族不飽和環系を指す。各環は、典型的には窒素、硫黄及び酸素から選択されたヘテロ原子を最大5個含むことができる。典型的にはこのヘテロアリール環は、最大4個のヘテロ原子、より典型的には最大3個のヘテロ原子、より一般的には最大2個、例えば1個のヘテロ原子を含むであろう。
【0018】
5員のヘテロアリール基の例は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾール及びテトラゾール基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0019】
6員のヘテロアリール基の例は、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン及びトリアジンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0020】
二環式ヘテロアリール基は、例えば、以下から選択された基であってよい:
a)1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたベンゼン環;
b)0、1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピリジン環;
c)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピリミジン環;
d)0、1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピロール環;
e)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたピラゾール環;
f)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイミダゾール環;
g)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたオキサゾール環;
h)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイソオキサゾール環;
i)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたチアゾール環;
j)0、1又は2個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたイソチアゾール環;
k)0、1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたチオフェン環;
l)0、1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたフラン環;
m)1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたシクロヘキシル環;及び
n)1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5-又は6-員環に縮合されたシクロペンチル環。
【0021】
別の5員環に縮合された5員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1-b]チアゾール)及びイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2-a]イミダゾール)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
5員環に縮合された6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、イソベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジン(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン)、ベンゾジオキソール、イミダゾピリジン及びピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン)基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0023】
2個の融合された6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンゾオキサジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン及びプテリジン基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0024】
芳香環及び非芳香環を含む多環式ヘテロアリール基の例は、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチオフェン、ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾフラン、テトラヒドロトリアゾロピラジン(例えば、5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン)、クロマン、チオクロマン、イソクロマン、クロメン、イソクロメン、ベンゾジオキサン、ベンゾオキサジン、ベンゾジアゼピン、及びインドリン基を含む。
【0025】
本明細書において使用される用語「ヘテロシクリル」は、例えば、3〜12環員を含む、単環又は二環の非芳香族の、部分飽和又は完全飽和の環系を指す。各環は、典型的には窒素、硫黄及び酸素から選択された、ヘテロ原子を最大5個含むことができる。
【0026】
「ヘテロシクリル」の特定の例は、モルホリン、ピペリジン(例えば、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル及びピペリジン-4-イル)、ピペリジノン、ピロリジン(例えば、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル及びピロリジン-3-イル)、ピロリドン、アゼチジン、ピラン(2H-ピラン又は4H-ピラン)、ジヒドロチオフェン、オキセタニル、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えばテトラヒドロピラン-4-イル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、ピラゾリン-2-イル、ピラゾリジン、ピペラジノン及びピペラジンを含む。
【0027】
用語「ヘテロシクリル」は、スピロ及び架橋した複素環式誘導体への言及を含むことは明らかであろう。そのようなスピロ及び架橋した複素環式誘導体の例は、1-アザスピロ[3.3]ヘプチル、5-アザスピロ[2.4]ヘプチル、5-アザスピロ[3.4]オクチル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、6-アザスピロ[3.4]オクチル、5-アザスピロ[2.5]オクチル又は2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクチル、ヘキサヒドロピロロ[2,3-c]ピロリジニル、オキサスピロ[3.3]ヘプタニル、ジアザスピロ[3.4]オクタニル、ジアザスピロ[4.4]ノニル、オキサ-アザスピロ[3.4]オクタニル、オキサ-アザスピロ[4.4]ノニル、テトラヒドロフロ[3,4-c]ピロリジニル、オキサ-アザスピロ[3.3]ヘプチル、ジアザスピロ[4.5]デカニル、ジアザスピロ[3.4]オクタニル、オクタヒドロ-ナフチリジニル、テトラヒドロピラジノ-オキサジニル、オキサジアゾスピロ[5.5]ウンデカニル及びオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニルを含む。
【0028】
本明細書において使用される用語「任意に置換された」とは、本明細書において定義されたような置換基により置換され得る基又は置換されない基を指す。
【0029】
(実施態様)
一実施態様において、R
1は、
C
1-6アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルもしくはi-ペンチルなど);
C
1-6アルコキシ(例えばプロポキシなど);
-X-C
3-8シクロアルキル(例えば-(CH
2)-シクロプロピル、-(CH
2)
2-シクロプロピル、-シクロブチル、-(CH
2)-シクロブチル、-シクロペンチルもしくは-シクロヘキシルなど);
ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロメチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロブチル、ジフルオロブチルもしくはトリフルオロブブチルなど);
アリール(例えばフェニルなど);
ヘテロシクリル(例えばピロリジニルもしくはテトラヒドロピラニルなど);又は
ヘテロアリール(例えばフラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピリジニルもしくはイミダゾリルなど)を表し;
ここで該シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、1以上(例えば、1、2、3又は4)のR
a基により任意に置換されてよい。
【0030】
更なる実施態様において、R
1は:
ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロメチル、フルオロプロピル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、フルオロブチル、ジフルオロブチルもしくはトリフルオロブチルなど);
アリール(例えばフェニルなど);又は
ヘテロアリール(例えばフラニル、チオフェニル、ピラゾリル、ピリジニルもしくはイミダゾリルなど)を表し、
ここで該アリール又はヘテロアリール基は、1以上(例えば、1、2、3又は4)のR
a基により任意に置換されてよい。
【0031】
更なる実施態様において、R
1は:
ヘテロアリール(例えばピリジニルなど)を表し;
ここで該ヘテロアリール基は、1以上(例えば、1、2、3又は4)のR
a基により任意に置換されてよい。
【0032】
また更なる実施態様において、R
1は:
ハロC
1-6アルキル(例えばフルオロプロピルなど);
アリール(例えばフェニルなど、特に非置換のフェニル);又は
ヘテロアリール(例えばピリジニルなど、特に非置換のピリジル)を表す。
【0033】
一実施態様において、R
aは、C
1-6アルキル(例えばメチルなど)、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)、ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロメチルなど)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ、CONR
xR
y(例えばCONH
2など)又はC
3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピルなど)を表す。
【0034】
一実施態様において、R
2は、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)、ハロC
1-6アルキル(例えばジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルなど)又はシアノを表す。更なる実施態様において、R
2は、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)を表す。
【0035】
一実施態様において、nは、0〜3から選択された整数を表す。
【0036】
更なる実施態様において、nは、0を表す。
【0037】
また更なる実施態様において、nは、1又は2を表す。
【0038】
代わりの実施態様において、nは1を表し、且つR
2は、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)、ハロC
1-6アルキル(例えばジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルなど)又はシアノを表す。更なる実施態様において、nは1を表し、且つR
2は、3-フッ素、4-フッ素、3-塩素、4-塩素、4-ジフルオロメチル、4-トリフルオロメチル又は4-シアノを表す。また更なる実施態様において、nは1を表し、且つR
2は4-塩素を表す。
【0039】
代わりの実施態様において、nは2を表し、且つR
2は、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)、ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロメチルなど)又はシアノを表す。更なる実施態様において、nは2を表し、且つR
2は、2-フルオロ、4-クロロ;3-フルオロ、4-クロロ;3-クロロ、4-フルオロ;3-フルオロ、4-トリフルオロメチル;3-クロロ、4-トリフルオロメチル;3-シアノ、4-クロロ;3,4-ジフルオロ;又は、3,4-ジクロロを表す。また更なる実施態様において、nは2を表し、且つR
2は、3-フルオロ、4-クロロを表す。
【0040】
代わりの実施態様において、nは3を表し、且つR
2は、ハロゲン(例えばフッ素もしくは塩素など)を表す。更なる実施態様において、nは3を表し、且つR
2は、3,5-ジフルオロ、4-クロロを表す。
【0041】
一実施態様において、R
3は:
水素;
1以上のシクロアルキル基(例えばシクロプロピルなど)により任意に置換された、C
1-6アルキル(例えばメチル、n-プロピル、i-プロピル、ジメチルプロピル、n-ブチルもしくはt-ブチルなど);
1以上のC
1-6アルキル(例えばメチルなど)、C
1-6アルコキシ(例えばメトキシなど)、ハロC
1-6アルキル(例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロエチルなど)、ハロゲン(例えばフッ素など)、ヒドロキシ又はシアノ基により任意に置換された、-X-C
3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピル、-CH
2-シクロプロピル、-(CH
2)
2-シクロプロピル、-シクロブチル、-CH
2-シクロブチル、-(CH
2)
2-シクロブチル、-C(H)(CH
3)-シクロブチル、シクロヘキシル、-CH
2-シクロヘキシルもしくはビシクロ[1.1.1]ペンタニルなど);
1以上のヒドロキシ基により任意に置換された、ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロエチル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、フルオロブチル、トリフルオロブチルもしくはトリフルオロペンチルなど);
1以上のハロゲン(例えばフッ素など)基により任意に置換された、-X-アリール(例えば-フェニルもしくは-CH
2-フェニルなど)を表すか;
或いは、R
3及びR
4は、それらが結合した窒素原子と一緒に連結し、1以上のC
1-6アルキル(例えばメチルなど)、ハロC
1-6アルキル(例えばジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチルなど)又はハロゲン(例えばフッ素など)により任意に置換された、ヘテロシクリル環(例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、アゼピニル、1-アザスピロ[3.3]ヘプチル、5-アザスピロ[2.4]ヘプチル、5-アザスピロ[3.4]オクチル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、3-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、6-アザスピロ[3.4]オクチル、5-アザスピロ[2.5]オクチル又は2-オキサ-6-アザスピロ[3.4]オクチルなど)を形成する。
【0042】
更なる実施態様において、R
3は:
1以上のC
1-6アルキル(例えばメチルなど)、C
1-6アルコキシ(例えばメトキシなど)、ハロC
1-6アルキル(例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロエチルなど)、ハロゲン(例えばフッ素など)、ヒドロキシ又はシアノ基により任意に置換された、-X-C
3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピル、-CH
2-シクロプロピル、-(CH
2)
2-シクロプロピル、-シクロブチル、-CH
2-シクロブチル、-(CH
2)
2-シクロブチル、-C(H)(CH
3)-シクロブチル、シクロヘキシル、-CH
2-シクロヘキシル又はビシクロ[1.1.1]ペンタニルなど);或いは、
1以上のヒドロキシ基により任意に置換された、ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロエチル、ジフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、フルオロブチル、トリフルオロブチル又はトリフルオロペンチルなど)を表す。
【0043】
また更なる実施態様において、R
3は:
-X-C
3-8シクロアルキル(例えばビシクロ[1.1.1]ペンタニルなど、特に非置換のビシクロ[1.1.1]ペンタニル);又は
ハロC
1-6アルキル(例えばトリフルオロプロピルなど、特に非置換のトリフルオロプロピル)を表す。
【0044】
一実施態様において、R
4は、水素、C
1-6アルキル(例えばメチルもしくはエチルなど)又はC
3-8シクロアルキル(例えばシクロプロピルなど)を表す。更なる実施態様において、R
4は、水素を表す。
【0045】
一実施態様において、mは、0〜3から選択された整数を表す。
【0046】
一実施態様において、R
5は、C
1-6アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルもしくはi-ブチルなど)又は-X-アリール(例えば-CH
2-フェニルなど)を表すか、或いはmは2を表し、且つ該2個のR
5基は連結して、C
3-8シクロアルキル基(例えばシクロプロピルもしくはシクロブチルなど)を形成する。更なる実施態様において、R
5は、C
1-6アルキル(例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルもしくはi-ブチルなど)を表す。また更なる実施態様において、R
5は、C
1-6アルキル(例えばメチルなど)を表す。
【0048】
更なる実施態様において、mは2を表す。
【0049】
代わりの実施態様において、mは1を表し、且つR
5は、C
1-6アルキル(例えばメチル、n-プロピル、i-プロピルもしくはi-ブチルなど)又は-X-アリール(例えば-CH
2-フェニルなど)を表す。
【0050】
代わりの実施態様において、mは2を表し、且つR
5は、C
1-6アルキル(例えばメチルもしくはエチルなど)を表すか、或いは該2個のR
5基は連結し、C
3-8シクロアルキル基(例えばシクロプロピルもしくはシクロブチルなど)を形成する。
【0051】
更なる実施態様において、mは2を表し、且つR
5は、C
1-6アルキル(例えばメチルもしくはエチルなど)を表す。また更なる実施態様において、mは2を表し、且つR
5は、C
1-6アルキル(例えばメチルなど)を表す。
【0052】
代わりの実施態様において、mは3を表し、且つR
5は、C
1-6アルキル(例えばメチルなど)を表す。
【0053】
一実施態様において、本発明は、実施例1-295の化合物の遊離塩基である式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0054】
一実施態様において、本発明は、実施例1、実施例48又は実施例92の化合物の遊離塩基である式(I)の化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0055】
式(I)の化合物及びそれらの亜群の言及はまた、例えば、以下に考察されるような、それらのイオン型、塩、溶媒和物、異性体(幾何異性体及び立体化学異性体を含む)、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及び保護された型も含み:好ましくは、それらの塩又は互変異性体又は異性体又はN-オキシド又は溶媒和物;並びに、より好ましくは、それらの塩又は互変異性体又はN-オキシド又は溶媒和物、更により好ましくは、それらの塩又は互変異性体又は溶媒和物を含む。以後、本発明の任意の態様において定義される、化合物及びそれらのイオン型、塩、溶媒和物、異性体(幾何異性体及び立体化学異性体を含む)、互変異性体、N-オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体及び保護された型(化学プロセスにおける中間化合物は除く)は、「本発明の化合物」と称される。
【0056】
(塩)
特定の式(I)の化合物は、塩、例えば酸付加塩の形状で、又は特定の場合においては、有機塩基及び無機塩基の塩、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩及びリン酸塩などの形状で存在することができる。そのような塩は全て、本発明の範囲内であり、且つ式(I)の化合物の言及は、本化合物の塩型を含む。
【0057】
本発明の塩は、文献「医薬用塩類:特性、選択及び用法(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」P. Heinrich Stahl(編集者)、Camille G. Wermuth(編集者)、ISBN:3-90639-026-8、ハードカバー、388頁、2002年8月において説明された方法などの、従来の化学方法により、塩基性部分又は酸性部分を含む親化合物から合成され得る。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基型の、水中又は有機溶媒中、又はこれら2種の混合液中での、好適な塩基又は酸との反応により、調製されることができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体が、使用される。
【0058】
酸付加塩(モノ塩又はジ塩)は、無機及び有機の両方の、多種多様な酸により形成されてよい。酸付加塩の例は、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)樟脳酸、樟脳-スルホン酸、(+)-(1S)-樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプタン酸、D-グルコン酸、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば(+)-L-乳酸、(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(±)-DL-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシル酸及び吉草酸、並びにアシル化されたアミノ酸位及び陽イオン交換樹脂からなる群から選択される酸により形成された、モノ塩又はジ塩を含む。
【0059】
塩の1つの特定の群は、酢酸(acetic)、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシラート)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸(acetic)、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸及びラクトビオン酸から形成される塩からなる。1つの特定の塩は、塩酸塩である。
【0060】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従うアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成してよい。そのような第四級アンモニウム化合物は、式(I)の範囲内である。
【0061】
本発明の化合物は、それから塩が形成される酸のpK
aに応じ、モノ塩又はジ塩として存在してよい。
【0062】
医薬品において使用するための式(I)の化合物の塩は、医薬として許容され得なければならないことは、理解されるであろう。好適な医薬として許容し得る塩は、当業者には明らかであろう。医薬として許容し得る塩は、Berge、Bighley及びMonkhouseの文献、J. Pharm. Sci. 66, pp. 1-19(1977)により説明されたものを含む。そのような医薬として許容し得る塩は、例えば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸又はリン酸などの無機酸、並びに例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸などの有機酸により形成された酸付加塩を含む。例えばシュウ酸塩又はギ酸塩などの他の塩は、例えば、式(I)の化合物の単離において使用されてよく、且つ本発明の範囲内に含まれる。しかし医薬として許容し得ない塩もまた、その後医薬として許容し得る塩へ転換され得る中間体型として調製されてよい。例えば本発明の化合物の精製又は分離において有用であり得るそのような医薬として許容し得ない塩型もまた、本発明の一部を形成する。
【0063】
特定の式(I)の化合物は、1当量以上の酸と、酸付加塩を形成してよい。本発明は、その範囲内に、全ての可能性のある化学量論的形及び非化学量論的形を含む。
【0064】
(溶媒和物)
有機化学の分野の業者は、多くの有機化合物は、その中でそれらが反応されるか、又はそれからそれらが沈殿もしくは晶出される溶媒と、錯体を形成することができることを理解するであろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として公知である。例えば、水との錯体は、「水和物」として公知である。本発明の化合物の医薬として許容し得る溶媒和物は、本発明の範囲内である。一実施態様において、本発明の化合物の医薬として許容し得る溶媒和物は、それらの水和物を含む。
【0065】
本発明は、式(I)の化合物の医薬として許容し得る誘導体を含むこと、並びにこれらは本発明の範囲内に含まれることは理解されるであろう。
【0066】
本明細書において使用される「医薬として許容し得る誘導体」は、レシピエントへの投与時に、式(I)の化合物又はそれらの活性のある代謝産物もしくは残留物を(直接又は間接に)提供することが可能である、式(I)の化合物の任意の医薬として許容し得るエステル又はそのようなエステルの塩を含む。
【0067】
(N-オキシド)
アミン官能基を含む式(I)の化合物はまた、N-オキシドも形成してよい。アミン官能基を含む式(I)の化合物への本明細書の言及は、N-オキシドも含む。
【0068】
化合物がいくつかのアミン官能基を含む場合、1又は2個以上の窒素原子が酸化され、N-オキシドを形成してよい。N-オキシドの特定の例は、第三級アミン又は窒素-含有複素環の窒素原子のN-オキシドである。
【0069】
N-オキシドは、対応するアミンの、過酸化水素又は過酸(例えばペルオキシカルボン酸)などの酸化剤による処理により形成されることができ、例えば、「最新有機化学(Advanced Organic Chemistry)」、Jerry March、第4版、Wiley Interscienceを参照されたい。より特定すると、N-オキシドは、L. W. Deadyの手法(Syn. Commun. 7, 509-514 (1977))により生成することができ、ここではアミン化合物は、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中で、m-クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)と反応される。
【0070】
(プロドラッグ)
最終の脱保護段階前に生成され得る式(I)の化合物の特定の保護された誘導体は、それ自体は医薬活性を有さないが、しかし特定の場合において、経口又は非経口に投与され、その後体内で代謝され、医薬活性のある本発明の化合物を形成することができることは、当業者により理解されるであろう。従ってそのような誘導体は、「プロドラッグ」と称され得る。本発明の化合物のそのようなプロドラッグは全て、本発明の範囲内に含まれる。本発明の化合物に適したプロドラッグ官能性の例は、「今日の薬剤(Drugs of Today)」、19, 9, 499-538(1983)、及び「化学トピックス(Topics in Chemistry)」、第31章、306-316頁、及びH. Bundgaardの「プロドラッグのデザイン(Design of Prodrugs)」、Elsevier社、1985年、第1章に説明されている(そこに記載された内容は参照により本明細書に組み入れられる)。更に例えば、H. Bundgaardの「プロドラッグのデザイン」(そこに記載された内容は引用により本明細書中に組み込まれている)に説明されたような、「プロ-部分(pro-moieties)」として当業者に公知の特定の部分は、そのような官能性が本発明の化合物内に存在する場合は、適切な官能性に置き換えられてよいことは当業者により理解されるであろう。
【0071】
また、それらの多形体も、本発明の化合物及び様々な塩の範囲内に含まれる。
【0072】
(エナンチオマー)
式(I)の化合物は、アキラル又はRもしくはSエナンチオマーであってよい。追加のキラル中心が式(I)の化合物中に存在する場合、本発明は、それらの混合物を含む全ての可能性のあるエナンチオマー及びジアステレオマーを、その範囲内に含む。異なる異性体型は、通常の方法により、一方の型を他方の型から分離又は分割することができるか、或いは任意の所定の異性体を、通常の合成方法によるか又は立体特異的合成もしくは不斉合成により得ることができる。本発明はまた、任意の互変異性体型又はそれらの混合物へも広がる。
【0073】
(同位体)
本発明はまた、式(I)において列挙されたものと同一であるが、実際には、1個以上の原子が、天然に最も一般に認められる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられている、全ての医薬として許容し得る同位体-標識された化合物も含む。
【0074】
本発明の化合物に包含するのに適している同位体の例は、
2H(D)及び
3H(T)などの水素の同位体、
11C、
13C及び
14Cなどの炭素の同位体、
36Clなどの塩素の同位体、
18Fなどのフッ素の同位体、
123I、
125I及び
131Iなどのヨウ素の同位体、
13N及び
15Nなどの窒素の同位体、
15O、
17O及び
18Oなどの酸素の同位体、
32Pなどのリンの同位体、並びに
35Sなどの硫黄の同位体を含む。
【0075】
特定の同位体-標識された式(I)の化合物、例えば放射性同位元素を組み込んでいるものは、薬物及び/又は基質の組織分布試験において有用である。式(I)の化合物は、標識された化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素又は受容体の間の複合体の形成を検出又は同定するために使用することができる点で、それらはまた価値のある診断特性も有することができる。検出又は同定の方法は、放射性同位元素、酵素、蛍光基質、発光基質(例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリン及びルシフェラーゼ)などの、標識物質により標識された化合物を使用することができる。放射性同位元素であるトリチウム、すなわち
3H(T)、及び炭素-14、すなわち
14Cは、それらの容易な取込み及び即座の検出手段の観点から、この目的のために特に有用である。
【0076】
重水素、すなわち
2H(D)などのより重い同位体による置換は、例えば増大したインビボにおける半減期又は減少された必要用量などの、より大きい代謝安定性から生じる、特定の治療上の利点をもたらし得、その結果一部の状況においては好ましいものであり得る。
【0077】
11C、
18F、
15O及び
13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、標的占有率を試験するための陽電子放出断層撮影(PET)試験において有用であり得る。
【0078】
同位体-標識された式(I)の化合物は一般に、当業者に公知の従来の技術によるか、又は先に利用された非-標識試薬の代わりに、適切な同位体-標識された試薬を使用する添付された実施例及び調製において説明されたプロセスに類似したプロセスにより、調製され得る。
【0079】
(純度)
式(I)の化合物は、医薬組成物における使用が意図されているので、これらは各々好ましくは、実質的に純粋な形状で、例えば、少なくとも60%の純度、より好適には少なくとも75%の純度及び好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも98%の純度で提供されることは容易に理解されるであろう(%は重量ベースの重量で与えられる)。本化合物の不純な調製品は、医薬組成物において使用されるより純粋な形状の調製に使用されてよい。
【0080】
(プロセス)
本発明の更なる態様に従い、式(I)の化合物及びそれらの誘導体を調製するプロセスが提供される。以下のスキームは、本発明の化合物を合成するために使用することができる合成スキームの例である。以下のスキームにおいて、反応基は、保護基により保護され、且つ良く確立された技術に従い脱保護されることができる。
【0081】
本発明の更なる態様において、以下の工程を含む、本明細書において定義された式(I)の化合物を調製するプロセスが提供される:
(a)式(II)の化合物:
【化2】
(式中、R
1、R
2、n、R
5及びmは、本明細書に定義されたものである)を、式HNR
3R
4の化合物と反応させる工程;
(b)式(I)の化合物の保護された誘導体を脱保護する工程;
(c)式(I)の化合物又はそれらの保護された誘導体を、更なる式(I)の化合物又はそれらの保護された誘導体へ相互転換する工程;並びに
(d)任意に、式(I)の化合物の医薬として許容し得る塩を形成する工程。
【0082】
プロセス(a)は典型的には、式(II)の化合物を、MeCN及びDIEAなどの好適な試薬中に溶解し、引き続きCOMUなどの好適な試薬の存在下で、式HNR
3R
4の化合物を添加する工程を含む。
【0083】
式(II)の化合物は、これらのスキーム及び本明細書における実施例1〜5に提供された実験手順に従い、調製されてよい。
【0084】
式HNR
3R
4の化合物は、公知であるか、又は公知の手順に従い調製され得るかのいずれかである。
【0085】
プロセス(c)に関する広範な周知の官能基の相互転換は、前駆体化合物の式(I)の化合物への転換に関して、当業者により公知であり、且つ「最新有機化学(Advanced Organic Chemistry)」、Jerry March著、第4版、John Wiley & Sons社、1992年に説明されている。例えば、有機錫試薬(スティル反応)、グリニャール試薬を使用するなどの可能性のある金属が触媒した官能性付与、並びに窒素求核試薬との反応は、「パラジウム試薬及び触媒(Palladium Reagents and Catalysts)」[Jiro Tsuji, Wiley社、ISBN 0-470-85032-9]及び「有機合成のための有機パラジウム化学ハンドブック(Handbook of OrganoPalladium Chemistry for Organic Synthesis)」[第1巻、Ei-ichi Negishi編集、Wiley社、ISBN 0-471-31506-0]に説明されている。
【0086】
適切ならば、本明細書に記載された反応は、当業者に公知の1以上の反応に続くか又は先行し、並びに他の式(I)の化合物を供するための本明細書に定義されたR
1、R
2、R
3、R
4及びR
5への必要な置換を達成するために適切な順番で実行される。その条件を文献において認めることができるそのような反応の非限定的例は、以下を含む:
反応性官能基の保護、
反応性官能基の脱保護、
ハロゲン化、
脱ハロゲン化、
脱アルキル化、
アミン、アニリン、アルコール及びフェノールのアルキル化、
ヒドロキシル基へのミツノブ反応、
適切な基への付加環化反応、
ニトロ、エステル、シアノ、アルデヒドの還元、
遷移金属-触媒型カップリング反応、
アシル化、
スルホニル化/スルホニル基の導入、
エステル基のケン化/加水分解、
エステル基のアミド化又はエステル交換反応、
カルボキシル基のエステル化又はアミド化、
ハロゲン交換、
アミン、チオール又はアルコールによる求核置換、
還元的アミノ化、
カルボニル基及びヒドロキシルアミン基のオキシム形成、
S-酸化、
N-酸化、
塩化。
【0087】
アリールカップリング及び還元に関与する反応の順番は、変動してよいことは、認められている。また広範なパラジウムベースの触媒が、アリールカップリング反応を実行するために適していることも、認められている。
【0088】
また異性体分離は、この合成の順番の任意の好適な段階で行われてよいことも認められ得る。そのようなキラル分離は、本発明の重要な態様を形成すること、及びそのような分離は、本明細書記載の方法論に従い実施されてよいか、もしくは公知の方法論に従い実施されてよいことは、強調されるべきである。また、クロマトグラフィー分離、キラル分割又は特定の工程における改善された溶解度もしくは収量を生じるために、例えば、Boc-保護アミン、又はSEM-保護アミドなど、この合成における中間体の保護された誘導体の一時的形成が恩恵があり得ることも認められる。
【0089】
先に説明した多くの反応において、その分子上の望ましくない位置で置き換わる反応を防止するために、1以上の基を保護することは、必要とされ得る。保護基、並びに官能基の保護及び脱保護の方法の例は、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(T. Green及びP. Wuts;第4版;John Wiley and Sons社、2007年)に認めることができる。
【0090】
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(-OR)又はエステル(-OC(=O)R)として保護されてよく、例えば:tert-ブチルエーテル;テトラヒドロピラニル(THP)エーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、又はトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリル又はtert-ブチルジメチルシリルエーテル;又はアセチルエステル(-OC(=O)CH
3)としてである。
【0091】
アミン基は、例えば、アミド(-NRCO-R)又はカルバメート(-NRCO-OR)として保護されてよく、例えば:メチルアミド(-NHCO-CH
3);ベンジルカルバメート(-NHCO-OCH
2C
6H
5、-NH-Cbz又はNH-Z)として;tert-ブチルカルバメート(-NHCOOC(CH
3)
3、NH-Boc)として;2-ビフェニル-2-プロピルカルバメート(-NHCO-OC(CH
3)
2C
6H
4C
6H
5、NH-Boc)、9-フルオレニルメチルカルバメート(-NH-Fmoc)として、6-ニトロベラトリルカルバメート(-NH-Nvoc)として、2-トリメチルシリルエチルカルバメート(-NH-Teoc)として、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート(-NH-Troc)として、アリルカルバメート(-NH-Alloc)として、又は2(-フェニルスルホニル)エチルカルバメート(-NH-Psec)としてである。
【0092】
環状アミン及び複素環式N-H基などのアミンのための他の保護基は、トルエンスルホニル(トシル)及びメタンスルホニル(メシル)基、パラ-メトキシベンジル(PMB)基などのベンジル基及びテトラヒドロピラニル(THP)基を含む。
【0093】
カルボン酸基は、エステルとして保護されてよく、例えば:C
1-7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;tert-ブチルエステル);C
1-7ハロアルキルエステル(例えば、C
1-7トリハロアルキルエステル);トリC
1-7アルキルシリル-C
1-7アルキルエステル;又は、C
5-20アリール-C
1-7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル;パラ-メトキシベンジルエステル)としてである。
【0094】
特定の本発明の化合物は、標準の化学方法により、本発明の他の化合物へ転換され得ることは、当業者により理解されるであろう。
【0095】
医薬として許容し得る塩は、慣習的に、適切な酸又は酸誘導体との反応により調製されてよい。
【0096】
(治療的有用性)
本発明の化合物、それらの亜群及び実施例は、カリウムチャネルインヒビターであり、これらは本明細書記載の病状又は病態を予防又は治療するのに有用であり得る。加えて、本発明の化合物、及びそれらの亜群は、カリウムチャネル阻害により、特にカリウムチャネルKv1.3の阻害により媒介された疾患又は病態を予防又は治療することにおいて有用であろう。
【0097】
カリウムチャネル阻害により媒介される疾患又は病態の例は、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患を含む。
【0098】
従って本発明の更なる態様に従い、治療において使用するために提供された本明細書に定義された式(I)の化合物が存在する。
【0099】
本発明の更なる態様に従い、カリウムチャネル阻害により、特にカリウムチャネルKv1.3の阻害により媒介される、疾患又は病態の予防又は治療において使用するための、本明細書に定義された式(I)の化合物が提供される。
【0100】
本発明の更なる態様に従い、カリウムチャネル阻害により、特にカリウムチャネルKv1.3の阻害により媒介される、疾患又は病態の予防又は治療のための医薬品の製造における、本明細書に定義された式(I)の化合物の使用が提供される。
【0101】
本発明の更なる態様に従い、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患の予防又は治療において使用するための、本明細書に定義された式(I)の化合物が提供される。
【0102】
本発明の更なる態様に従い、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患の予防又は治療のための医薬品の製造における、本明細書に定義された式(I)の化合物の使用が提供される。
【0103】
本発明の化合物は、成人集団の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、小児集団の治療に有用であり得る。
【0104】
自己免疫疾患の例は、関節リウマチ及び多発性硬化症を含む。
【0105】
心臓血管疾患の一つの特定の例は、不整脈を含む。
【0106】
Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される特定の疾患又は病態の例は、以下を含む:乾癬、乾癬性関節炎、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、グレーヴス病、関節リウマチ、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、強直性脊椎炎(ベヒテレフ病)、歯周病、I型糖尿病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、抗-糸球体基底膜腎炎、急速進行性糸球体腎炎、進行性慢性腎不全、慢性腎疾患、腎線維症、ブドウ膜炎、扁平部炎、喘息、落葉状天疱瘡、封入体性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、ベーチェット病、アトピー性皮膚炎、アレルギー性及び刺激性接触性皮膚炎、扁平苔癬、シェーグレン症候群、移植片-対-宿主-反応、宿主-対-移植片-反応、移植拒絶反応、末期腎疾患、血管化コンポジット同種移植(VCA)拒絶反応、円形脱毛症、炎症性骨吸収疾患、抗-好中球細胞質自己抗体-関連血管炎、変形性関節症、内膜過形成関連疾患、乳癌、白血病、慢性リンパ球性白血病、ヒト肺腺癌、皮膚T細胞リンパ腫、骨肉腫、神経芽細胞腫、卵巣癌及びメラノーマ、神経炎症性障害、神経変性、HIV-1-関連神経認知障害(HAND)、アルツハイマー病におけるミクログリア-誘導性酸化ストレス、肥満症、及びインスリン抵抗性、再狭窄/新生内膜過形成、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化性血管疾患又はASVD)、急性冠症候群、急性虚血性卒中、高血圧。
【0107】
一実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は、以下を含む:乾癬、関節リウマチ、I型糖尿病、多発性硬化症、抗-糸球体基底膜腎炎、急速進行性糸球体腎炎、進行性慢性腎不全、慢性腎疾患、腎線維症、アレルギー性及び刺激性接触性皮膚炎、移植拒絶反応、喘息、末期腎疾患、血管化コンポジット同種移植拒絶反応、円形脱毛症、炎症性骨吸収疾患、ヒト肺腺癌、メラノーマ、神経炎症性障害、神経変性、肥満症、及びインスリン抵抗性、再狭窄/新生内膜過形成、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化性血管疾患又はASVD)及び急性冠症候群。
【0108】
更なる実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は:乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性及び刺激性接触性皮膚炎、関節リウマチ、ブドウ膜炎及び多発性硬化症、例としてアトピー性皮膚炎、アレルギー性及び刺激性接触性皮膚炎、関節リウマチ、ブドウ膜炎及び多発性硬化症などを含む。
【0109】
一実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は、乳癌、卵巣癌、白血病、慢性リンパ球性白血病、骨肉腫、神経芽細胞腫、ヒト肺腺癌、メラノーマ、再狭窄及び新生内膜過形成など、抗増殖反応を必要とするものである。
【0110】
一実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は、神経変性などの、神経保護反応を必要とするものである。
【0111】
一実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は、肥満症及びインスリン抵抗性などの、細胞代謝の調節を必要とするものである。
【0112】
一実施態様において、Kv1.3などのカリウムチャネルにより媒介される疾患又は病態は、Kv1.3
high表現型細胞、特にKv1.3
high表現型免疫系細胞、より特定するとKv1.3
high表現型のクラス-スイッチされたメモリーB-細胞及び/又はエフェクターメモリーT-細胞の阻害により治療され得るもの、更により特定すると、特に乾癬性関節炎、I型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、喘息、抗-糸球体基底膜腎炎、急性冠症候群からなる群から選択される、T-細胞駆動した自己免疫疾患及び慢性炎症性病態である。
【0113】
Kv1.3
high表現型細胞は、当業者に周知の免疫組織化学的染色又はパッチ-クランプ分析のいずれか、並びに例えば、Wulffらの文献、J. Clin. Invest. 111、1703(2003);Rusらの文献、PNAS 102、11094(2005)に記載されたものにより決定され得る、Kv1.3発現数が、1細胞につき750〜2900の、特に950〜2900のKv1.3チャネルの範囲である細胞であることは理解されるであろう。
【0114】
対象の細胞内のKv1.3発現が、本明細書において定義されるように高いかどうかの分析は、特に以下により決定され得ることは、当業者には明らかであろう:
(a)該対象から試料を得る工程;
(b)任意に、該試料からKv1.3発現が決定されるべき細胞を単離する工程;
(c)任意に、該細胞を好適な培地において培養する工程;並びに
(d)該細胞におけるKv1.3発現を決定する工程。
【0115】
一実施態様において、該試料は、例えば関節リウマチに罹患していることが疑われる対象由来の、液体試料、特に滑液もしくは脳脊髄液の試料、白血球除去試料、もしくは末梢血試料、又は該対象由来の、組織試料、特に乾癬病巣、滑膜組織もしくは脳浸潤液などの罹患組織由来の試料である。
【0116】
一実施態様において、Kv1.3発現が決定されるべき該細胞は、リンパ球、B-細胞、又はTEM細胞などのT-細胞;CD4
+ T-細胞又はCD8
+ T-細胞から選択されてよい。
【0117】
一実施態様において、Kv1.3発現が決定されるべき該細胞は、当該技術分野において公知の技術、特に密度勾配遠心分離及びFACS(蛍光活性化セルソーティング)により、単離され、ここで特にそのような単離は、液体試料の場合に使用される。
【0118】
一実施態様において、該好適な培地は、例えば抗生物質などの必要な添加物質が補充されてよい、イスコフ改変ダルベッコ培地のような、ダルベッコ培地など、当該技術分野において公知である。
【0119】
試料が組織試料を含む実施態様において、この単離及び培養は、特定の場合において、試料調製の工程、例えばパラフィン調製により置き換えられてよい。
【0120】
該細胞におけるKv1.3発現は、当該技術分野において公知の技術により、特に本明細書において言及されるようなパッチ-クランプ技術などの、パッチ-クランプによるか、又は本明細書に含まれる参考文献において説明されるような、該細胞を免疫組織化学的染色に供し且つ蛍光顕微鏡によりKv1.3発現を決定することにより決定され、ここで該細胞中の対応するるKv1.3発現は、本明細書において列挙された参考文献において説明されるような、当該技術分野において公知の方法を介した前述の技術により得られた結果から計算されることは理解されるであろう。そのような方法の例は、例えば文献PNAS, 103, 17414(2006);J. Clin. Invest., 111, 1703(2003);J. Invest. Dermatol., 131, 118(2011);PNAS, 102, 11094(2005)に説明されている。
【0121】
(医薬組成物)
この活性化合物について単独で投与されることは可能であるが、これは医薬組成物(例えば製剤)として存在することが好ましい。一実施態様において、これは無菌の医薬組成物である。
【0122】
従って本発明は更に、先に定義されたような医薬組成物、並びに少なくとも1種の式(I)の化合物(及び本明細書に定義したようなそれらの亜群)を、本明細書に説明したような、1種以上の医薬として許容し得る賦形剤及び任意に他の治療的又は予防的物質と一緒に含有する(例えば混和している)医薬組成物の製造方法を提供する。
【0123】
この医薬として許容し得る賦形剤(複数可)は、例えば、担体(例えば固体、液体又は半固体の担体)、アジュバント、希釈剤、充填剤又は増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤、香味剤、甘味料、矯味剤、安定化剤又は任意の医薬組成物において通常使用される他の賦形剤から選択されることができる。様々な種類の医薬組成物に関する賦形剤の例は、以下により詳細に示される。
【0124】
本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る」とは、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合っている、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題点もしくは合併症を伴わずに、理にかなった医学的判断の範囲内で、対象(例えばヒト)の組織と接触した使用に適している、化合物、物質、組成物、及び/又は剤形に関連している。各担体、賦形剤などもまた、製剤の他の成分と適合性があるという意味で、「許容され得」なければならない。
【0125】
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の技術に従い製剤化されることができ、例えば、「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、Mack Publishing社、Easton, PA, USAを参照されたい。
【0126】
これらの医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、舌下、眼内、耳内、直腸、膣内、又は経皮の投与に適した任意の形状であることができる。これらの組成物が、非経口的投与について意図される場合、これらは、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与のために、又は注射、注入もしくは他の送達手段による、標的臓器もしくは組織への直接送達のために、製剤化されることができる。この送達は、ボーラス注射、短期注入もしくは長期注入によることができ、且つ受動送達又は好適な注入ポンプもしくはシリンジポンプの利用を通じてであることができる。
【0127】
非経口的投与に適合された医薬製剤は、抗酸化物質、緩衝液、静菌剤、共溶媒、界面活性剤、有機溶媒混合物、シクロデキストリン錯体形成剤、乳化剤(乳剤製剤を形成し且つ安定化するため)、リポソーム形成のためのリポソーム成分、ポリマーゲルを形成するためのゲル化可能なポリマー、凍結乾燥保護剤、並びにとりわけ、可溶性の形状で活性成分を安定化し、且つ製剤を意図されたレシピエントの血液と等張にするための物質の組合せを含有することができる、水性及び非水性の無菌の注射溶液を含む。非経口的投与のための医薬製剤はまた、懸濁化剤及び増粘剤を含むことができる、水性及び非水性の無菌懸濁液の形状をとることができる(R. G. Stricklyの文献、「経口及び注射用製剤における可溶化剤(Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations)」、Pharmaceutical Research、21(2)巻、2004年、201-230頁)。
【0128】
これらの製剤は、例えば、密封されたアンプル、バイアル及び予め充填されたシリンジなど、単位投与量又は反復投与量の容器内で提供されてよく、且つ使用直前に、無菌の液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とする、フリーズドライされた(凍結乾燥された)状態において貯蔵されてよい。一実施態様において、この製剤は、その後適切な希釈剤を使用し再構成するための、ボトル中の活性医薬成分として提供される。
【0129】
医薬製剤は、式(I)の化合物、又はそれらの亜群を凍結乾燥することにより、調製することができる。凍結乾燥は、組成物をフリーズドライする手順を指す。従ってフリーズドライと凍結乾燥は、本明細書において同義語として使用される。
【0130】
即時注射の溶液及び懸濁液は、無菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製されてよい。
【0131】
非経口注射のための本発明の医薬組成物はまた、医薬として許容し得る無菌の水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又は乳液、並びに使用直前に無菌の注射可能な溶液又は分散液に再構成するための無菌の散剤も含むことができる。
【0132】
好適な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース及びそれらの好適な混合物、植物油(例えばひまわり油、ベニバナ油、トウモロコシ油又はオリーブ油)、並びに注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどを含む。適切な流動性は、例えばレシチンなどの増粘性物質又はコーティング物質を使用することにより、分散液の場合必要な粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持されることができる。
【0133】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などのアジュバントを含んでよい。微生物の活動の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの包含により確実にされてよい。同じく糖類、塩化ナトリウムなどの張度を調節する物質を含むことが望ましいこともある。注射用医薬形状の延長された吸収は、例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチンなどの吸収を遅延する物質の包含についてもたらされ得る。
【0134】
本発明の一つの特定の実施態様において、医薬組成物は、例えば、注射又は注入による静脈内(i.v.)投与に適した形状である。静脈内投与に関して、この溶液は、そのまま投薬されることができるか、又は投与前に点滴バッグ(例えば0.9%食塩水又は5%デキストロースなどの医薬として許容し得る賦形剤が入っている)へ注入することができる。
【0135】
別の特定の実施態様において、医薬組成物は、皮下(s.c.)投与に適した形状である。
【0136】
経口投与に適した医薬剤形は、錠剤(コート又は非コート)、カプセル剤(硬又は軟シェル)、カプレット剤、丸剤、舐剤、シロップ剤、液剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠剤、ウェファー又は口腔内貼付剤などの貼付剤を含む。
【0137】
従って錠剤組成物は、活性化合物の単位用量を、不活性希釈剤又は担体、例えば糖類又は糖アルコール、例として;乳糖、ショ糖、ソルビトール又はマンニトール;及び/又は、非糖から誘導された希釈剤、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、又はセルロースもしくはそれらの誘導体、例として微結晶性セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、並びにトウモロコシデンプンなどのデンプンと一緒に含むことができる。錠剤はまた、ポリビニルピロリドンなどの、結合剤及び造粒剤、崩壊剤(例えば架橋したカルボキシメチルセルロースなどの膨潤可能な架橋したポリマー)、滑沢剤(例えばステアリン酸塩)、保存剤(例えばパラベン)、抗酸化剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸もしくはクエン酸緩衝液)、並びにクエン酸/重曹混合物などの発泡剤のような標準成分を含んでもよい。そのような賦形剤は、周知であり、且つ本明細書において詳細に考察することは不要である。
【0138】
錠剤は、薬物を、胃液と接触した時点で放出するか(即時放出錠剤)、又は長時間にわたってもしくはGI管の特定領域で制御された様式で放出する(制御放出錠剤)ように設計されてよい。カプセル製剤は、硬ゼラチン又は軟ゼラチンの種類であってよく、且つ活性成分を固体、半固体、もしくは液体の形状で含有することができる。ゼラチンカプセル剤は、動物ゼラチン又は合成もしくは植物由来のそれらの同等物から形成することができる。
【0139】
固体剤形(例えば;錠剤、カプセル剤など)は、コートされるか又はコートされないことができる。コーティングは、保護フィルムとして(例えば、ポリマー、ワックスもしくはワニス)、又は薬物放出を制御する機構として又は美的もしくは識別を目的としてのいずれかとして作用してよい。コーティング(例えば、Eudragit(商標)型ポリマー)は、胃腸管内の所望の位置で、活性成分を放出するように設計することができる。従ってコーティングは、胃腸管内の特定のpH条件下で分解し、これにより胃において、又は回腸、十二指腸、空腸もしくは結腸において、この化合物を選択的に放出するように、選択することができる。
【0140】
コーティングの代わりに又はコーティングに加えて、この薬物は、放出制御剤、例えば胃腸管において制御された様式で化合物を放出するように適合され得る放出遅延剤などを含有する固形マトリクス中に提供されることができる。代わりにこの薬物は、例えばポリメタクリレートポリマーコーティングなどの、胃腸管における酸性又はアルカリ性に変動する条件下で化合物を選択的に放出するように適合され得る、ポリマーコーティング中に提供されることができる。代わりにマトリクス物質又は放出遅延コーティングは、剤形が胃腸管を通過する際に実質的に連続して浸食される、浸食可能なポリマー(例えば無水マレイン酸ポリマー)の形状をとることができる。別の代替において、コーティングは、腸管における微生物の作用下で崩壊するように設計されることができる。更なる代替として、活性化合物は、化合物の放出の浸透圧制御を提供する送達システム中に製剤化されることができる。浸透圧放出製剤及び他の遅延放出製剤又は持続放出製剤(例えば、イオン交換樹脂をベースにした製剤)は、当業者に周知の方法に従い、調製されてよい。
【0141】
式(I)の化合物は、担体と共に製剤化され、ナノ粒子の形状で投与されてよく、増大したナノ粒子の表面積は、それらの吸収を補助する。加えてナノ粒子は、細胞への直接浸透の可能性をもたらす。ナノ粒子薬物送達システムは、2006年3月13日に刊行された文献「薬物送達のためのナノ粒子技術(Nanoparticles Technology for Drug Delivery)」、Ram B Gupta及びUday B. Kompella編集、Informa Healthcare社、ISBN 9781574448573に記載されている。薬物送達のためのナノ粒子はまた、文献J. Control. Release, 91 (1-2), 167-172(2003);及び、Sinhaらの文献、Mol. Cancer Ther. August 1, 5, 1909 (2006)にも記載されている。
【0142】
本医薬組成物は典型的には、およそ1%(w/w)〜およそ95%(w/w)の活性成分、及び99%(w/w)〜5%(w/w)の医薬として許容し得る賦形剤又は賦形剤の組合せを含有する。特に本組成物は、およそ20%(w/w)〜およそ90%(w/w)の活性成分、及び80%(w/w)〜10%の医薬として許容し得る賦形剤又は賦形剤の組合せを含有する。本医薬組成物は、およそ1%〜およそ95%、特におよそ20%〜およそ90%の活性成分を含有する。本発明の医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、予め充填されたシリンジ、糖衣錠、錠剤又はカプセル剤の形状などの、単位剤形であってよい。
【0143】
この医薬として許容し得る賦形剤(複数可)は、製剤の所望の物理的形状に従い選択されることができ、且つ例えば、希釈剤(例えば、充填剤又は増量剤などの固形希釈剤;並びに、溶媒及び共溶媒などの液体希釈剤)、崩壊剤、緩衝剤、滑沢剤、流動化剤、放出制御剤(例えば、放出を妨害又は遅延するポリマー又はワックス)、結合剤、造粒剤、顔料、可塑剤、抗酸化剤、保存剤、香味剤、矯味剤、張度調節剤及びコーティング剤から選択されることができる。
【0144】
当業者は、製剤において使用するための成分の好適な量を選択するための専門知識を有するであろう。例えば、錠剤及びカプセル剤は典型的には、0〜20%崩壊剤、0〜5%滑沢剤、0〜5%流動化剤及び/又は0〜99%(w/w)充填剤/又は増量剤(薬物投与量に応じて)を含有する。これらはまた、0〜10%(w/w)ポリマー結合剤、0〜5%(w/w)抗酸化剤、0〜5%(w/w)顔料を含有してもよい。緩徐放出錠剤は、加えて、0〜99%(w/w)の放出制御(例えば遅延)ポリマー(投与量に応じて)を含有する。錠剤又はカプセル剤のフィルムコーティングは、典型的には、0〜10%(w/w)ポリマー、0〜3%(w/w)顔料、及び/又は0〜2%(w/w)可塑剤を含有する。
【0145】
非経口製剤は、典型的には、0〜20%(w/w)緩衝液、0〜50%(w/w)共溶媒、及び/又は0〜99%(w/w)注射用水(WFI)(投与量に応じて及び場合によってはフリーズドライ)を含有する。筋肉内デポ剤に関する製剤はまた、0〜99%(w/w)の油分も含有してよい。
【0146】
経口投与のための医薬組成物は、活性成分を固形担体と一緒にし、望ましいならば得られる混合物を造粒し、且つ望ましいか必要ならば、この混合物を、適当な賦形剤の添加後に、錠剤、糖衣錠コア又はカプセル剤へと加工することにより、得ることができる。またこれらは、活性成分が測定された量で拡散もしくは放出されることを可能にするポリマー又はワックスマトリクスに混入されることも可能である。
【0147】
本発明の化合物はまた、固形分散剤として製剤化されることもできる。固形分散剤は、2種以上の固形物の均質で極めて細かい分散相である。固形分散剤の一種である固溶液(分子分散系)は、調剤技術における使用について周知であり((Chiou及びRiegelmanの文献、J. Pharm. Sci., 60, 1281-1300 (1971)参照)、且つ溶解度が増加し且つ水に溶けにくい薬物の生物学的利用能を増加する点で有用である。
【0148】
この本発明はまた、先に説明した固溶液を含有する固形剤形を提供する。固形剤形は、錠剤、カプセル剤、咀嚼錠及び分散錠又は発泡錠剤を含む。公知の賦形剤は、固溶液と配合され、所望の剤形を提供することができる。例えばカプセル剤は、(a)崩壊剤及び滑沢剤、又は(b)崩壊剤、滑沢剤及び界面活性剤と配合された固溶液を含有することができる。加えて、カプセル剤は、乳糖又は微結晶性セルロースなどの増量剤を含有することができる。錠剤は、少なくとも1種の崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、増量剤及び流動促進剤と配合された固溶液を含有することができる。咀嚼錠は、増量剤、滑沢剤、及び望ましいならば追加の甘味剤(人工甘味料など)、及び好適な香料と配合された固溶液を含有することができる。固溶液はまた、薬物及び好適なポリマーの溶液を、糖ビーズ(‘ノンパレイユ’)などの担体の表面上に噴霧することにより形成されてもよい。これらのビーズは、引き続きカプセルに充填されるか、又は錠剤に圧縮されることができる。
【0149】
本医薬製剤は、単独のパッケージ、通常はブリスターパック内に治療の全てのコースを含む「患者パック」において、患者へ提供されてよい。患者パックは、薬剤師が大量の供給品から医薬品の患者への供給を分割する伝統的調剤よりも、いつもは患者処方箋中で喪失するような、患者パックに含まれる添付文書に、患者が常にアクセスする点で、利点がある。添付文書の封入は、医師の指示への患者の服薬遵守が改善されることが示されている。
【0150】
局所使用及び鼻への送達のための組成物は、軟膏剤、クリーム剤、スプレー、貼付剤、ゲル剤、液滴及び挿入物(例えば、眼内挿入物)を含む。そのような組成物は、公知の方法に従い、製剤化されることができる。
【0151】
直腸又は膣内投与のための製剤の例は、例えば、活性化合物を含有する、造形された成形可能な(shaped moldable)又はワックス状の物質から形成され得る、ペッサリー及び坐剤を含む。活性化合物の液剤もまた、直腸投与のために使用されてよい。
【0152】
吸入により投与するための組成物は、吸入可能な粉末組成物又は液体もしくは粉末スプレーの形状をとってよく、且つ粉末吸入装置又はエアロゾル分配装置を使用し、標準の形状で投与することができる。そのような装置は、周知である。吸入による投与のために、粉末化された製剤は典型的には、活性化合物を、乳糖などの不活性固形粉末化された希釈剤と一緒に含有する。
【0153】
式(I)の化合物は、一般に単位剤形で提示され、従って典型的には、所望のレベルの生物活性を提供するのに十分な化合物を含有するであろう。例えば製剤は、1ng〜2gの活性成分、例えば1ng〜2mgの活性成分を含有してよい。これらの範囲内で、化合物の特定の部分範囲(sub-range)は、0.1mg〜2gの活性成分(より一般には10mg〜1g、例えば50mg〜500mg)、又は1μg〜20mg(例えば、1μg〜10mg、例えば0.1mg〜2mgの活性成分)である。
【0154】
経口組成物に関して、単位剤形は、活性化合物を1mg〜2g、より典型的には10mg〜1g、例えば50mg〜1g、例えば100mg〜1g含有してよい。
【0155】
この活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒト又は動物患者)へ、所望の治療効果を達成するのに十分な量で、投与されるであろう。
【0156】
(治療方法)
本明細書に定義された式(I)の化合物及び亜群は、カリウムチャネル阻害により、特にカリウムチャネルKv1.3の阻害により媒介される広範な病状又は病態の予防又は治療において、有用であることができる。従って本発明の更なる態様に従い、本明細書記載の式(I)の化合物を、それを必要とする対象へ投与することを含む、カリウムチャネル阻害(例えばKv1.3)により媒介される病状又は病態を治療する方法が提供される。そのような病状及び病態の例は、先に示されており、且つ特に自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患を含む。
【0157】
これらの化合物は、一般に、そのような投与を必要とする対象、例えばヒト又は動物患者、特にヒトへ投与される。
【0158】
これらの化合物は典型的には、治療的又は予防的に有用である量、及び一般に無毒である量で投与されるであろう。しかし、特定の状況において(例えば、生命を脅かす疾患の場合)、式(I)の化合物を投与することの恩恵は、何らかの毒性作用又は副作用の欠点に勝ることがあり、この場合ある程度の毒性に関連した量で化合物を投与することが望ましいと考えられることがある。
【0159】
これらの化合物は、有益な治療効果を維持するために長期間にわたって投与されるか、又は短期間のみ投与されてよい。或いはこれらは、継続様式で又は間欠投薬を提供する様式(例えばパルス様式)で投与されてよい。
【0160】
式(I)の化合物の典型的1日投与量は、100pg〜100mg/kg体重の範囲、より典型的には5ng〜25mg/kg体重、及びより一般には10ng〜15mg/kg体重(例えば体重1kgにつき10ng〜10mg、及びより典型的には1μg/kg〜20mg/kg、例えば1μg〜10mg/kg)であることができるが、より高い又はより低い投与量も、必要であれば投与されてよい。式(I)の化合物は、1日1回を基に、又は例えば、2日、もしくは3日、もしくは4日、もしくは5日、もしくは6日、もしくは7日、もしくは10日、もしくは14日、もしくは21日、もしくは28日毎の反復を基に投与されることができる。
【0161】
本発明の化合物は、例えば、1〜1500mg、2〜800mg、又は5〜500mg、例えば2〜200mg又は10〜1000mgの範囲の投与量で経口投与されてよく、特定の投与量の例は、10、20、50及び80mgを含む。これらの化合物は、毎日1回又は2回以上投与されてよい。本化合物は、継続して投与されることができる(すなわち、治療レジメンの期間にわたり間断なく毎日服用される)。或いは本化合物は、間欠的に投与されることができる(すなわち、1週間など所定の期間継続して服用され、その後1週間などの期間中断され、次に1週間などの別の期間について継続的に服用され、並びにそれが治療レジメンの期間を通じて続く)。間欠投与に関与する治療レジメンの例は、投与が、1週間オン、1週間オフのサイクル;又は2週間オン、1週間オフのサイクル;又は、3週間オン、1週間オフのサイクル;又は、2週間オン、2週間オフのサイクル;又は、4週間オン、2週間オフのサイクル;又は、1週間オン、3週間オフのサイクルであり−1以上のサイクルについて、例えば2、3、4、5、6、7、8、9又は10回もしくはそれよりも多いサイクル数であるレジメンを含む。
【0162】
一つの特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、最大10日間の、特に最大5日間、1週間の、毎日1時間の期間にわたる、式(I)の化合物の注入が与えられ、且つこの治療は、2〜4週間、特に3週間毎など、所望の間隔をあけて、反復される。
【0163】
より特定すると、患者には、5日間、毎日1時間の期間にわたる式(I)の化合物の注入が与えられ、この治療は、3週間毎に反復されてよい。
【0164】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、30分〜1時間にわたる注入、それに続く変動する期間、例えば1〜5時間、例えば3時間の維持注入で与えられる。
【0165】
更なる特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、12時間〜5日間の期間にわたる連続注入、特に24時間〜72時間の連続注入により与えられる。
【0166】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、本化合物が、1週間に1回経口で与えられる。
【0167】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、本化合物が、7、14又は28日間など、7〜28日間の間、1日1回経口的に与えられる。
【0168】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、本化合物が、1日間、2日間、3日間、5日間又は1週間にわたり1日1回経口的に与えられ、それに必要な日数の間のオフが続き、1又は2週間のサイクルを完了する。
【0169】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、本化合物が、2週間にわたり、1日1回、経口的に与えられ、それに2週間のオフが続く。
【0170】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、2週間にわたり、1日1回、経口的に与えられ、それに1週間のオフが続く。
【0171】
別の特定の投薬スケジュールにおいて、患者には、1週間にわたり、1日1回、経口的に与えられ、それに1週間のオフが続く。
【0172】
しかし最終的には、投与される化合物の量及び使用される組成物の種類は、治療される疾患又は生理的状態の性質に見合っており、且つ医師の判断によるであろう。
【0173】
カリウムチャネルインヒビターは、単独の薬剤として、又は他の治療的活性物質と組合せて使用されることができることは理解されるであろう。組合せの実験は、例えば、Chou TC、Talalay P.の文献、「用量−効果関係の定量分析:複数の薬物又は酵素インヒビターの組合せ効果(Quantitative analysis of dose-effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors)」、Adv Enzyme Regulat;22: 27-55(1984)に説明されたように、行うことができる。
【0174】
本明細書に定義したような化合物は、例えば、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患などの、特定の病状を治療するために、単独の治療薬として投与されることができるか、或いはこれらは、より多くの他の化合物(又は療法)の一つとの組合せ療法において投与されることができる。前記状態の治療に関して、本発明の化合物は、有利なことに、治療される疾患の療法を支援する1種以上の他の治療的物質と組合せて利用されてよい。
【0175】
本発明の組合せ中に存在する化合物の各々は、個別に変動する投薬スケジュール及び異なる経路を介して与えられてよい。従って2種以上の薬剤の各々の薬量学は、異なってよく:各々は、同時に又は異なる時点で投与されてよい。当業者は、自身の共通の一般的知識を通じて、使用するための投薬レジメン及び組合せ療法を知っている。例えば本発明の化合物は、現存するそれらの組合せレジメンに従い投与される1種以上の他の薬剤と組合せて使用されてよい。
【0176】
式(I)の化合物が1、2、3、4種又はそれよりも多い(特に、1又は2種、より特定すると1種の)他の治療薬との併用療法において投与される場合、これらの化合物は、同時に又は連続して投与されることができる。後者の場合、2種以上の化合物は、有利な作用又は相乗作用が達成されることを確実にするのに十分である、期間及び量及び様式で投与されるであろう。連続して投与される場合、これらは、近くに配置された間隔で(例えば、5〜10分間の期間にわたり)、又はより長い間隔で(例えば、1、2、3、4時間又はそれよりも長い時間離れて、又は必要ならばより長い期間離れてさえ)投与されることができ、正確な薬物投与レジメンは、これらの治療薬(複数可)の特性に見合っている。これらの用量は、例えば、1回の治療コースにつき1回、2回又はそれよりも多く投与されてよく、これは、例えば、7、14、21又は28日毎に反復されてよい。
【0177】
一実施態様において、治療において使用するための医薬品を製造するための、式(I)の化合物が提供され、ここで該化合物は、1、2、3又は4種の他の治療薬と組合せて使用される。別の実施態様においては、式(I)の化合物を含有する、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患を治療するための医薬品が提供され、ここで該医薬品は、1、2、3又は4種の他の治療薬と組合せて使用される。
【0178】
この組合せの各成分に関する特定の方法及び投与の順番及び各々の用量及びレジメンは、投与される特定の他の薬効のある物質(medicinal agent)及び本発明の化合物、それらの投与経路、治療される特定の腫瘍及び治療される特定の宿主によって左右されることは理解されるであろう。最適な方法及び投与の順番及び用量及びレジメンは、通常の方法を使用し且つ本明細書に示した情報を鑑み、当業者により容易に決定され得る。
【0179】
組合せで与えられる場合の本発明の化合物及び1種以上の他の治療薬(複数可)の重量比は、当業者により決定され得る。当業者が周知のように、該比及び正確な用量及び投与頻度は、特定の本発明の化合物及び使用される他の治療薬(複数可)、治療される特定の状態、治療される状態の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時刻及び全身的な身体の状態、投与様式、並びに個体が摂取する他の薬物療法によって決まる。更に有効一日量は、治療される対象の反応に応じて、及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減少又は増加されてよいことは明白である。本式(I)の化合物と別の治療薬の特定の重量比は、1/10〜10/1、より特定すると1/5〜5/1、更により特定すると1/3〜3/1の範囲であってよい。
【0180】
一実施態様において、本医薬組成物は、式(I)の化合物を、医薬として許容し得る担体及び任意に1種以上の治療薬(複数可)と一緒に含有している。
【0181】
別の実施態様において、本発明は、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患の予防又は治療のための医薬組成物の製造における、本発明の組合せの使用に関する。
【0182】
更なる実施態様において、本発明は、自己免疫、炎症、心臓血管、神経、聴覚、腎臓及び代謝が媒介する疾患に罹患した患者の治療において、同時に、個別に又は連続して使用するための、組合せた調製品としての、式(I)の化合物及び1種以上の追加の治療薬を含有する製品に関する。
【0183】
好適な追加の治療薬の例としては、以下が挙げられる:メトトレキセート、コルチコステロイド様プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン及び同類のもの;ミコフェノレートモフェチル、タクロリムス、レフルノミド又はテリフルノミド(teriflunomide)、シクロスポリンA、シクロホスファミド、ミトキサントロン、フィンゴリモド、アザチオプリン、ガラティラメル酢酸、フマル酸ジメチル、IK-1インヒビター様TRAM-34、JAK-インヒビター様トファシチニブ又はブラチシニプ(braticinip)、SYK-インヒビター様フォスタマチニブ、インターフェロン-ベータ(IFN-β)。
【実施例】
【0184】
(実施例)
本発明は、以下の実施例において説明された具体的実施態様を参照することにより、ここで例証されるが、これらにより限定されるものではない。
【0185】
((2S)-3-メチル-3-ニトロ-2-{[(1 'S)-1'-フェニルエチル]アミノ}ブタン酸(4)の合成
1)
【化3】
【0186】
2-ニトロプロパン(3、3.7mL、40mol、1.0当量)及び水(40mL)を、アルゴン下で、撹拌子の入った500mLフラスコ中に入れ、水酸化カリウム(2.7g、48mmol、及び1.2当量)を全て一気に添加した。このフラスコを、調節した油浴中に配置し、45℃に加熱した。(S)-(-)-α-メチルベンジルアミン(1、4.8g、40mmol)を迅速に添加した。この反応混合物を、およそ45℃で維持し、グリオキシル酸(2、50%水溶液、3.7g、40mmol、1.0当量)をシリンジによりゆっくり滴加(60分間、最後の1/3はできる限りゆっくりと)しながら、勢いよく撹拌した。この反応混合物は濁り始め、その後透明となり、且つ固形物が再度形成され始めた時点で、添加を遅くした。添加の完了後、この反応物を、更に3h、アルゴン下、35℃で撹拌し、且つ3M塩酸水溶液(30.4mL、92mmol)を滴加(30分間かけて)しながら、勢いよく撹拌した。生じる粘稠な帯黄白色懸濁液を、室温で一晩撹拌した。冷却した懸濁液を、吸引濾過により濾過し、このフィルターケーキを、希HCl水溶液、水及びジエチルエーテルによりすすいだ。フィルターケーキ中の固形物を、吸引により乾燥させ、その後高真空下で50℃で3h乾燥させ、わずかに帯黄白色の粉末(5.4g)を得た。
【0187】
(3-メチル-3-ニトロ-(2(S)-(1(S)-フェニルエチル-アミノ))-酪酸(4)の精製
1)
3M HCl、水及び酢酸を、エレンマイヤーフラスコ中に配置し、60℃の浴に浸しながら、良く撹拌し、40〜50℃に温めた。この溶液がこの温度に到達した時点で、化合物4を、撹拌している温DMSO溶液(50℃、無水、40mL)中に溶解し、25mL酢酸を添加し、透明な溶液を形成し、次に温DMSO溶液を、均一な滴下速度(even dropwise rat)で、エレンマイヤーへ添加した。次にこの懸濁液を、ペーパーを通して、エチルエーテルで、吸引濾過した。その後このフィルターケーキを、吸引し、30分間かけて「乾固」まで圧縮した。次にこの固形物を、室温に移し、完全真空下で12時間乾燥させた。
【0188】
(3-メチル-3-ニトロ-(2(S)-(1(S)-フェニルエチル-アミノ))-酪酸(4)の第二の精製(手順は上記第一の沈殿に類似している)
1)
希塩酸水溶液、水及び酢酸の溶液を、1Lエレンマイヤーフラスコ中に配置し、45〜60℃の浴に浸しながら、良く撹拌し、40℃に温めた。別のフラスコで、無水DMSO(40mL)中の化合物4の溶液に、酢酸を添加した。次にこの混合物を50℃に温め、エレンマイヤーフラスコに滴加した。添加の完了時に、懸濁液を撹拌し、且つ0℃の浴中に配置し、室温に冷却した。次にこの懸濁液を、ペーパーを通して吸引濾過し、希塩酸水溶液、水、イソプロパノール及びジエチルエーテルですすいだ。その後このフィルターケーキを、吸引し、30分間かけて「乾固」まで圧縮した。次にこの濾過物を、室温で真空に移し、完全真空下で14時間乾燥させた。その後、この固形物を、高真空下、50℃で3時間乾燥させ、化合物4を白色粉末(1.4g、収率13.2%)として生じた。
【0189】
(メチル (2S)-3-メチル-3-ニトロ-2-{[(1'S)-1'-フェニルエチル]アミノ}ブタノエート(5)の合成
1)
【化4】
【0190】
撹拌子を備えた乾燥機で乾燥させた100mLフラスコ中に、化合物4(1.4g、5.3mmol)及び炭酸セシウム(1.8g、5.6mmol、1.1当量)を、アルゴン下、急速で撹拌(string)しながら、充填した。ジメチルホルムアミド(10mL)を迅速に添加し、10分間攪拌し、5分間は音波処理の補助を伴った。この反応混合物を0℃まで冷却した後、ヨードメタン(378.7uL、6.1mmol、1.2当量)を、15分間かけて滴加した。この反応混合物を、アルゴン下、0℃で、1時間撹拌し、次に撹拌を12時間継続しながら、外界温度まで温めた。この反応物を、EtOAc、水及び3.0M塩酸水溶液の入った分液漏斗へ、EtOAc及び水で洗い流した。有機層を分離した。水層を、pH7〜8へ調節し、EtOAcにより抽出した。一緒にした有機相を、3%Li
2SO
4、半分-飽和されたNaHCO
3水溶液及びブラインにより洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を濃縮し、琥珀色の油状物(1.5g、定量)を生じた。得られた化合物5を、更に精製することなく使用した。
【0191】
(メチル (2S)-3-アミノ-3-メチル-2-{[(1'S)-1'-フェニルエチル]アミノ}ブタノエート(6)の合成
1)
【化5】
【0192】
化合物5(1.5g、5.3mmol)を、活性化し粉末化した分子篩4A(1.8g)と共に、無水THF(10mL)及び氷酢酸(12mL)中に溶解し、アルゴン下で3時間穏やかに撹拌した。次にこのフラスコを、0℃の浴に浸し、20分間良く撹拌した。冷反応混合物へ、亜鉛末(3.1g、52.9mmol、10.0当量)を添加した。この混合反応物を、0℃で2時間撹拌し、その後外界温度まで温め、撹拌を16時間継続した。次にこの混合物を、THFで希釈し、セライトパッドを通して濾過し、追加のTHFで洗浄した。この溶液を、回転蒸発させ、わずかに黄色の油状の固形物を生じた。この物質を、3:1のクロロホルム/イソプロパノール及びEDTA溶液に、pH10.5〜11.0で溶解した。追加の4M NaOH溶液を、少量ずつ添加し、pH=10.5〜11.0とした。漏斗の内容物を、完全に振盪させ、水相を分離した。その後有機相を、EDTA、pH=10.5〜11.0、ブラインにより洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させ、引き続きヘプタンを添加し蒸発させ、明るい琥珀色の油状物を生じた。得られた化合物6は、更に精製することなく使用した。
【0193】
(メチル(2S)-3-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-メチル-2-{[(1'S)-1'-フェニルエチル]アミノ}ブタノエート(7)の合成
1)
【化6】
【0194】
化合物6(5.3mmol)を、アルゴン下で、無水THF(10mL)中に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(1.0mL、5.8mmol、1.1当量)をこの溶液へ添加した。tert-ブチルピロカルボナート(1.3g、5.9mmol、1.2当量)を添加した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を、EtOAc中に溶解し、1当量のHClを含有する水、半分飽和されたNaHCO
3溶液、14%NH
4OH、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し(contracted)、BOC-ジアミノ-エステル残渣を生じ、これをCombiFlashにより精製し(DCM中の0〜5%EtOAcで溶離)、これを粘稠な油状物(940.3mg、収率51%(3工程))として供した。
【0195】
(メチル (2S)-2-アミノ-3-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-メチルブタノエート(8)の合成
1)
【化7】
【0196】
化合物7(0.6g、1.7mmol)を、50mLフラスコ中で、無水THF(10mL)中に溶解し、アルゴン下に配置した。水酸化パラジウム触媒(0.12g、20wt%)を、迅速に秤量し、このフラスコに加えた。次にフラスコに、水素を充填し、且つ補充した(refilled)。2時間後、LC/MSは、反応が完了したことを示した。この混合物を、セライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮し乾固させた。残渣を、CombiFlashにより精製し(DCM中0〜5%のMeOHで溶離)、化合物8を白色固形物(451.7mg、定量)として供した。
【0197】
(メチル 3-(フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(11)の合成)
【化8】
【0198】
CHCl
3(60mL)中のメチル 3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート塩酸塩(9、5.15g)及びEt
3N(8.36mL、2.06当量)の撹拌溶液へ、フェニルスルホニルクロリド(10、5.30g、1.03当量)を、0℃で添加した。この反応混合物を撹拌し、一晩かけて外界温度に温めた。反応の完了をTLCにより確認した後、H
2O及び1N HClを、この反応混合物へ添加し、水相を、AcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し(filered)、真空において濃縮させ、メチル 3-(フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(11、9.07g、過重量)を生じた。得られた化合物2を、更に精製することなく使用した。
【0199】
(メチル 3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(13)の合成)
【化9】
【0200】
DMF(20mL)中のメチル 3-(フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(11、9.07g)及び4-(ブロモメチル)-1-クロロ-2-フルオロベンゼン(12、7.8g、1.2当量)の撹拌溶液へ、K
2CO
3(8.3g、2.当量)を、室温で添加した。この反応混合物を2時間撹拌した。反応の完了をTLCにより確認した後、H
2O及び1N HClを、反応混合物へ添加し、水相をAcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、希HCl水溶液及びブラインにより2回洗浄した。有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、粗生成物を生じた。この粗生成物を、シリカ-ゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(13、12.65g、過重量)を生じた。
【0201】
(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(14)の合成)
【化10】
【0202】
THF及びMeOH(1:1、60mL)中の3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ [1.1.1]ペンタン-1-カルボキシラート(13、12.65g)の撹拌溶液へ、2N NaOH水溶液(60mL、2.0当量)を室温で添加した。この反応混合物を、1時間撹拌した。反応の完了をTLCにより確認した後、反応混合物を、真空において濃縮し、次に1N HCl水溶液を添加し、水相をAcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、ブラインで洗浄した。有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(14、11.75g、化合物1からの3工程について99%)を生じた。得られた化合物14を、更に精製することなく使用した。
【0203】
(メチル (R)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(15)の合成)
【化11】
【0204】
DMF(20mL)中の3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(14、4.5g)、メチル (R)-2-アミノ-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-メチルブタノエート(8、2.8g、1.03当量)及びiPr
2NEt(3.83mL、2.0当量)の撹拌溶液へ、HATU(4.6g、1.1当量)を、0℃で添加した。この反応混合物を撹拌し、外界温度で2時間温めた。反応の完了をTLCにより確認した後、H
2O及び1N HClを、この反応混合物へ添加し、水相をAcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、H
2O及びブラインで2回洗浄した。一緒にした抽出物を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、粗生成物を生じた。この粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘキサン/酢酸エチル)により精製し、メチル(R)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(15、6.78g、97%)を生じた。得られた化合物6を、更に精製することなく使用した。
【0205】
(メチル (R)-3-アミノ-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(16)の合成)
【化12】
【0206】
CHCl
3(20mL)中のメチル (R)-3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(3-(N-(4-クロロ- 3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(15、6.78g)の撹拌溶液へ、TFA(20mL)を、室温で添加した。この反応混合物を1時間撹拌した。反応の完了をTLCにより確認した後、反応混合物を真空において濃縮し、その後飽和NaHCO
3水溶液を、慎重に添加し、水相を、AcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、ブラインにより洗浄した。有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、メチル (R)-3-アミノ-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(7、5.70g、定量)を生じた。得られた化合物16を、更に精製することなく使用した。
【0207】
(メチル (R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボキシラート(17)の合成)
【化13】
【0208】
ジオキサン(100mL)中のメチル (R)-3-アミノ-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシアミド)-3-メチルブタノエート(16、5.70g)の撹拌溶液へ、リン酸トリス(トリメチルシリル)(17.4mL、5.0当量)を、室温で添加した。この反応混合物を、30分間還流した。反応の完了をTLCにより確認した後、反応混合物を、外界温度まで冷却し、その後飽和NaHCO
3 水溶液を、0℃で慎重に添加し、水相を、AcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、飽和NaHCO
3水溶液及びブラインにより洗浄した。有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、メチル (R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボキシラート(17、5.56g、過重量)を生じた。得られた化合物17を、更に精製することなく使用した。
【0209】
((R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボン酸の塩酸塩(19)の合成)
【化14】
【0210】
6N HCl水溶液(15mL)中のメチル (R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド) ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボキシラート(17、5.56g)の撹拌溶液を、3時間還流した。反応の完了をTLCにより確認した後、反応混合物を、外界温度に冷却し、次にNaHCO
3(7.56g)を、0℃で慎重に添加し、水相をTHFにより2回抽出した。有機相を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、粗生成物(18、5.64g、過重量)を生じ、これは少量の化合物17を含有していた。6N HCl水溶液(10mL)及びジオキサン(10mL)中の得られた混合物の一部分(2.76g)の撹拌溶液を、4時間還流した。反応の完了をLC-MSにより確認した後、反応混合物を外界温度に冷却し、反応混合物を、真空において濃縮し、次にH
2Oを添加し、水相をAcOEtにより2回抽出した。一緒にした抽出物を、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮し、その後Et
2Oによりスラリーとし、(R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボン酸(19、2.54g、化合物15からの3工程について87%)を生じた。
【0211】
(実施例1:(R)-N-(ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボキサミド(E1))
【化15】
【0212】
(R)-2-(3-(N-(4-クロロ-3-フルオロベンジル)フェニルスルホンアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-5-カルボン酸の塩酸塩(19、500mg、0.92mmol)を、MeCN中に溶解し、DIEA(357.4mg、2.8mmol、3.0当量)、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-3-アミン塩酸塩(20、165.3mg、1.4mmol、1.5当量)、及びCOMU(473.7mg、1.1mmol、1.2当量)を、これに添加した。室温で2時間撹拌した後、溶媒を、減圧下で除去し、残渣を、分取TLC(CHCl
3:MeOH=9:1(v/v))により精製し、化合物21を白色固形物(198.0mg、37%)として生じた。
MS: M/z 実測値(m+H) 572。
【化16】
【0213】
(実施例2(E2))
【化17】
【0214】
実施例2の化合物は、下記スキームに従い、実施例1について先に説明した手順に類似した様式で調製した:
【化18】
【0215】
MS: M/z実測値(m+H) 584。
【0216】
(実施例3(E3))
【化19】
【0217】
実施例3の化合物は、下記スキームに従い、実施例1について先に説明した手順に類似した様式で調製した:
【化20】
【0218】
MS: M/z実測値(m+H) 616。
【0219】
(実施例4(E4))
【化21】
【0220】
実施例4の化合物は、下記スキームに従い、実施例1について先に説明した手順に類似した様式で調製した:
【化22】
【0221】
MS: M/z実測値(m+H) 562。
【0222】
(実施例5(E5))
【化23】
【0223】
実施例5の化合物は、下記スキームに従い、実施例1について先に説明した手順に類似した様式で調製した:
【化24】
【0224】
MS: M/z実測値(m+H)654。
【0225】
(実施例6から295)
実施例6から295の化合物は、実施例1について先に説明した手順に類似した様式で調製した:
【表1】
【0226】
(生物学的アッセイ)
(K
v1.3効能評価)
(電気生理学的記録)
研究室において生物物理学的及び薬理学的に検証された、K
v1.3チャネルの外来性ヒトa-サブユニットを安定して発現している専有の(proprietary)チャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO-K
v1.3)を使用し、自動パッチ-クランプ電気生理学を用い、被験化合物の、K
v1.3電流をブロックする能力を評価した。QPatch HTシステム(Sophion Bioscience社、デンマーク)を、通常のホールセル配置で使用した。このシステムは、1回の実験アッセイの試行において、最大48の平行して独立した実験が可能である、自動化されたチップベースの平面パッチ−クランプ装置である。細胞を、各ウェルに添加し、小さい開口部上へ吸引により引き寄せ、細胞膜と処理したシリコン表面の間にギガオームのシールを得、且つアクセスが吸引パルス及び/又は電圧パルスにより達成された後、ホールセル測定が開始される。QPatch HTは、静的灌流(static perfusion)を使用し、これにより小容積の測定する溶液又は薬物が、チップ上のリザーバに添加され、且つこの溶液は、石英で覆われた(quartz-lined)マイクロフルイディック流路を通って細胞を超えて灌流し;この溶液は、次の試料の適用が行われた際には、毛管現象により除去される。
【0227】
CHO-K
v1.3細胞は、トリプシン-EDTA(0.05%)を使用するT175細胞培養フラスコからの解離により、実験のために調製し、細胞は、QPatch HTに実装された細胞ホテル(cell hotel)中の無血清培地内に維持した。これらの細胞は、採取し、洗浄し、且つQPatch HTにより、細胞外測定溶液中に再浮遊させ、その直後に、チップ上の測定ウェル部位に適用した。実験は、以下の溶液を用いて行った;細胞外液は、以下を含み;150mM NaCl、10mM KCl、1mM MgCl
2、3mM CaCl
2、10mMグルコース及び10mM HEPES(pH7.4、NaOH)、及び細胞内液は、以下を含んだ;20mM KCl、120mM KF、10mM HEPES、10mM EGTA、5mM ATP(pH7.2、KOH)。
【0228】
合成された化合物のK
v1.3に対する効能(50%阻害濃度、IC
50)を、個別の細胞に対し被験化合物の4種の漸増濃度を累積的に適用することにより確立された濃度-反応関係から決定し、最低でも1つの化合物につきN≧3の個別細胞を使用し、IC
50値をもたらした。
【0229】
ホールセル配置の達成時;ビヒクル(0.1〜0.3%DMSOv/v)の2つの添加を、2回のボーラス添加で各細胞に適用し、各添加の間には2分間の測定期間をおいた(合計の測定時間は4分間)。このビヒクル期間の後、4種の濃度の被験試料を、2分間隔で、1種の試験濃度につき2回のボーラス添加として適用し、且つ電流に対する効果を、4分間の測定期間の間測定した。
【0230】
電流は、一段階(single step)電圧プロトコールを用いて誘発した。細胞は、-80mVの保持電位から、+30mV(500ms)まで脱分極し、外向き電流を生じ、その後この保持電位を回復することにより細胞は最終的に再分極した。コマンド電圧を、この実験期間を通じて、周波数0.067Hzで印加した。この電圧プロトコールの各スイープに関して、個別の細胞の膜電流及び受動的特性を、QPatchアッセイソフトウェア(バージョン5.2)により記録した。カーソルを、+30mVまでのステップ500msの2〜490ms(0.4〜99%)の間の電荷(カーソル間隔の間で記録された電流の積分)を計算するように配置した。
【0231】
各試験濃度適用期間についての電荷の阻害率(%)は、対照(すなわちビヒクル)期間の最後に測定された電荷値に対する、各濃度の試験期間の最後の時点での平均電荷の減少として計算した。S字濃度反応曲線(4つのパラメータのロジスティック曲線)を、阻害率にフィットさせ、これからIC
50を決定した。曲線当てはめは、0及び100%で制約した。
【0232】
本発明の化合物は、先に言及したアッセイにおいて試験し、且つ結果を、表1に示している:
表1:Kv1.3効能値
【表2】