(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
Jに示される構造を有するフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖であって、コンドロイチン硫酸A塩を原料として、酵素的分解、保護基操作、グリコシル化を順次行い、該オリゴ糖化合物を合成する該フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の製造方法をさらに開示し、該フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、明確な構造を有するため、医薬分野に適用できる。
式J中、qは1、2、3、又は4であり、YはH、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウムであり、好ましくは、式J中、qは1、2、3、又は4であり、Yはナトリウムである、請求項1に記載のフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖。
前記ステップ(1)では、無機酸は塩化水素、硫酸、硝酸、及びリン酸から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、塩化水素、又は硫酸であり、C1〜C4アルカノールはメタノール、又はエタノールであり、好ましくは、メタノールであり、前記MOH塩基は、NaOH、KOH、又はLiOHであり、好ましくは、NaOHである、請求項5に記載のフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、低価なコンドロイチン硫酸グリカンを原料とし、酵素的分解、化学修飾及びフコシル化によりフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を得て、合成経路が簡単で効率的であり、化合物の構造が明確であり、従来技術に存在する欠陥を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本出願は、Jに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を提供する。
【化2】
(式J中、Acはアセチル基であり、qは正の整数であり、且つq≦10であり、Yは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はN(R
6)
4であり、ここで、R
6はC1〜C4アルキル基であり、Rはアジド基、C1〜C4アルコキシ基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基である。)
【0009】
第2態様によれば、本出願は、コンドロイチン硫酸グリカンを原料とし、酵素的分解、化学修飾及びフコシル化によりフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を得る上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法を提供する。
【0010】
第3態様によれば、本出願は、フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を合成するための中間体化合物を提供する。
【0011】
第4態様によれば、本出願は、上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
第5態様によれば、本出願は、上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の用途を提供する。
詳細
【0013】
本出願の実施形態では、本出願は、Jに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を提供する。
【化3】
(式J中、Acはアセチル基であり、qは正の整数であり、且つq≦10であり、Yは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はN(R
6)
4であり、ここで、R
6はC1〜C4アルキル基であり、Rはアジド基、C1〜C4アルコキシ基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基である。)
【0014】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖において、Rがアジド基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基である場合、
【化4】
はβ立体配置であり、RがC1〜C4アルコキシ基である場合、
【化5】
はα立体配置である。
【0015】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖において、Rはアジド基であり、
【化6】
はβ立体配置である。
【0016】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖において、Rはメチル基であり、
【化7】
はα立体配置である。
【0017】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖において、式J中、qは1、2、3、又は4であり、YはH、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウムであり、Rはアジド基であり、
【化8】
はβ立体配置であり、又は、Rはメチル基であり、
【化9】
はα立体配置である。
【0018】
本出願のいくつかの実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖において、式J中、qは1、2、3、又は4であり、Yはナトリウムであり、Rはアジド基であり、
【化10】
はβ立体配置であり、又は、Rはメチル基であり、
【化11】
はα立体配置である。
【0019】
本出願の特に好ましい実施形態では、本出願に係るJに示されるフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖は、下記化合物から選ばれる1種である。
アジド−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}十ナトリウム塩、
アジド−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}十五ナトリウム塩、及び
メチル−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}十ナトリウム塩。
【0020】
第2態様によれば、本出願の実施形態において、本出願は、上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法を提供し、この合成方法は、
無機酸のC1〜C4アルカノール溶液中に、式A化合物(即ち、コンドロイチン硫酸M塩、好ましくは、Mはナトリウムである)からスルホン酸根を除去し、MOH塩基で処理し、式B化合物を得て、ここで、式A中のm及び式B中のnは正の整数であり、且つ20≦n≦mであるステップ(1)と、
【化12】
塩化ナトリウムを含有する弱酸性緩衝液中に、ヒアルロニダーゼの作用で式B化合物(即ちコンドロイチンM塩、好ましくは、Mはナトリウムである)から式C化合物を得て、ここで、前記ヒアルロニダーゼは動物の精巣由来であり、活性が400〜1000IU/mgであり、前記精巣はウシ精巣又はヒツジ精巣から選ばれ、好ましくは、ウシ精巣であり、qは1〜10の正の整数であるステップ(2)と、
【化13】
式C化合物を求核性試薬RX(たとえばアジドナトリウム、C1〜C4アルコキシナトリウム、フェノキシナトリウム、C1〜C4アルキルチオナトリウム、C1〜C4アルカノイルチオナトリウム、安息香酸ナトリウム、又はベンゾイルチオナトリウム)と反応させ、式D化合物を得るステップ(3)と、
【化14】
R
1C(O)H又はR
1C(O)Hジ脂肪アルコール(たとえばR
1CH(OCH
3)
2)の存在下、酸で触媒し、式D化合物のアセチルガラクトサミン残基の4,6ジヒドロキシ基を選択的に保護し、式E化合物を得るステップ(4)と、
【化15】
式E化合物を無水物R
2−O−R
2の作用で環化し、次に、アルカリで触媒し、R
3OH溶液中にラクトン環を開環し、式F化合物を得るステップ(5)と、
【化16】
式F化合物を酸触媒作用下、フコースドナーである式G化合物と反応させ、式H化合物を得るステップ(6)と、
【化17】
酸作用で式H化合物からガラクトサミン4,6−OH保護を除去し、次に、フコース上の保護基R4を選択的に除去し、式I化合物を得るステップ(7)と、
【化18】
式I化合物に硫酸化及び脱保護操作を行い、式J′化合物を得るステップ(8)と、を含み、
【化19】
ここで、式D〜式J化合物、RXにおいて、Rはアジド基、C1〜C4アルコキシ基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基であり、好ましくは、Rはアジド基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基である場合、
【化20】
はβ立体配置であり、RがC1〜C4アルコキシ基である場合、
【化21】
はα立体配置であり、
RXにおいて、Xは水素、又はアルカリ金属(ナトリウム、カリウム、又はリチウム)であり、
R
1C(O)H又はR
1C(O)Hジ脂肪アルコール、式E〜式H化合物において、R
1は非置換フェニル基又は置換フェニル基であり、ここで、前記置換フェニル基とは、ベンゼン環が1つ又は2つ以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ基、C1〜C4アルキル基(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)、C1〜C4ハロアルキル基(たとえばトリフルオロメチル基)、及びC1〜C4アルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はt−ブトキシ基)から選ばれる1種又は複数種であり、且つ、選択的に、前記置換基はベンゼン環の任意の位置にあり、好ましくは、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、及び4−ブロモフェニル基から選ばれる1種であり、より好ましくは、フェニル基、及び4−メトキシフェニル基から選ばれる1種であり、ここで、前記R
1C(O)H又はR
1C(O)Hジ脂肪アルコールにおいて、脂肪アルコールはC1〜C4アルカノール(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)であり、好ましくはメタノールであり、
無水物R
2−O−R
2、又は式F〜式I化合物において、R
2は、脂肪族アシル基、非置換ベンゾイル基又は置換ベンゾイル基、及びアセチルプロピオニル基から選ばれる1種であり、ここで、前記脂肪族アシル基とは、C2〜C6アルカノイル基(たとえばアセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、n−バレリル基、ピバロイル基又はn−ヘキサノイル基)であり、前記置換ベンゾイル基とは、ベンゼン環が1つ又は2つ以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ基、C1〜C4アルキル基(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)、C1〜C4ハロアルキル基(たとえばトリフルオロメチル基)、及びC1〜C4アルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はt−ブトキシ基)から選ばれる1種又は複数種であり、且つ、選択的に、前記置換基はベンゼン環の任意の位置にあり、好ましくは、R
2はアセチル基、ベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、及び4−ブロモベンゾイル基から選ばれる1種であり、より好ましくはアセチル基、及びベンゾイル基から選ばれる1種であり、
R
3OH、又は式F〜式I化合物において、R
3は、非置換ベンジル基又は置換ベンジル基、C1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基、及びアリル基から選ばれる1種であり、ここで、前記置換ベンジル基とは、ベンゼン環が1つ又は2つ以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ基、C1〜C4アルキル基(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)、C1〜C4ハロアルキル基(たとえばトリフルオロメチル基)、及びC1〜C4アルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はt−ブトキシ基)から選ばれる1種又は複数種であり、且つ、選択的に、前記置換基はベンゼン環の任意の位置にあり、好ましくは、R
3はメチル基、エチル基、アリル基、ベンジル基、及び4−メトキシベンジル基から選ばれる1種であり、より好ましくはメチル基、エチル基、及びベンジル基から選ばれる1種であり、
式G〜式H化合物において、R
4は非置換ベンジル基又は置換ベンジル基から選ばれ、前記置換ベンジル基とは、ベンゼン環が1つ又は2つ以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ基、C1〜C4アルキル基(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)、C1〜C4ハロアルキル基(たとえばトリフルオロメチル基)、及びC1〜C4アルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はt−ブトキシ基)から選ばれる1種又は複数種であり、且つ、選択的に、前記置換基はベンゼン環の任意の位置にあり、好ましくは、R
4はベンジル基又はp−メトキシベンジル基であり、
式G〜式I化合物において、R
5は脂肪族アシル基、非置換ベンゾイル基又は置換ベンゾイル基、及びアセチルプロピオニル基から選ばれる1種であり、ここで、前記脂肪族アシル基とは、C2〜C6アルカノイル基(たとえばアセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、n−バレリル基、ピバロイル基又はn−ヘキサノイル基)であり、前記置換ベンゾイル基とは、ベンゼン環が1つ又は2つ以上の置換基で置換されたことを意味し、前記置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、ニトロ基、C1〜C4アルキル基(たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基)、C1〜C4ハロアルキル基(たとえばトリフルオロメチル基)、及びC1〜C4アルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はt−ブトキシ基)から選ばれる1種又は複数種であり、且つ、選択的に、前記置換基はベンゼン環の任意の位置にあり、好ましくは、R
5はアセチル基、ベンゾイル基、アセチルプロピオニル基、4−クロロベンゾイル基、及び4−ブロモベンゾイル基から選ばれる1種であり、より好ましくはアセチル基、アセチルプロピオニル基又はベンゾイル基であり、
式G化合物において、Etはエチル基であり、
式A〜式D及びMOH塩基において、Mはナトリウム、カリウム、リチウム又はカルシウム(好ましくはナトリウム)である。
【0021】
本出願に係る実施形態では、本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、J′化合物即ちYがNaのJ化合物を得た後、本分野における一般的な技術により、YがNa以外のものであるJ化合物が得られ得る。
【0022】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(1)では、無機酸の由来は、塩化水素、硫酸、硝酸、及びリン酸から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、塩化水素、又は硫酸であり、C1〜C4アルカノールはメタノール、又はエタノールであり、好ましくは、メタノールであり、前記MOH塩基は、NaOH、KOH、又はLiOHであり、好ましくは、NaOHである。
【0023】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(2)では、好ましくは、ヒアルロニダーゼは、活性が400〜1000IU/mgであり、添加量がコンドロイチンの質量の2.0〜3.0%であり、反応温度が37℃であり、前記弱酸性緩衝液のpH値は3.0〜6.5(好ましくは5.0〜5.2)であり、前記緩衝液は、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液、酢酸−酢酸カリウム緩衝液、リン酸二水素ナトリウム−リン酸水素二ナトリウム緩衝液又はリン酸二水素カリウム−リン酸水素二カリウム緩衝液のうちの1種であり、好ましくは、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液であり、前記緩衝液の濃度が0.01M〜1Mであり、好ましくは、0.1Mの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液であり、一定の濃度の塩化ナトリウムとは、塩化ナトリウムの濃度が0.05M〜0.5Mであり、好ましくは、0.15Mであることを意味し、前記ヒアルロニダーゼは、動物精巣由来のヒアルロニダーゼから選ばれ、たとえばSigma−Aldrich社から購入したウシ精巣由来のヒアルロニダーゼである。
【0024】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(3)では、RXがアジドナトリウム、ナトリウムフェノラート、C1〜C4アルキルチオナトリウム、C1〜C4アルカノイルチオナトリウム、安息香酸ナトリウム、又はベンゾイルチオナトリウムである場合、アルカリ性溶液において、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウムクロリドの作用で、式C化合物をアジドナトリウム、ナトリウムフェノラート、C1〜C4アルキルチオナトリウム、C1〜C4アルカノイルチオナトリウム、安息香酸ナトリウム、又はベンゾイルチオナトリウムと反応させ、式D化合物を得て、且つ式D化合物において、
【化22】
はβ立体配置であり、ここで、前記アルカリ性溶液に使用される有機アルカリが、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、及びジイソプロピルエチルアミンから選ばれる1種又は複数種であり、RXがC1〜C4アルキルアルコールである場合、式C化合物をHClのアルキルアルコール溶液において一晩反応させ、次に、アルカリ性条件下、カルボキシ基を放出して式D化合物を得て、且つ式D化合物において
【化23】
はα立体配置であり、ここで、前記アルカリ性条件下で使用される無機アルカリは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムから選ばれる1種又は複数種であり、
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(4)では、酸で触媒するとは、下記プロトン酸又はルイス酸存在下、好ましくは、p−トルエンスルホン酸、又はカンファースルホン酸存在下を意味する。
【0025】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(5)では、使用されるアルカリは、ナトリウムメトキシド、及び酢酸ナトリウムから選ばれる1種又は複数種である。
【0026】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(6)では、酸で触媒するとは、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホネートアルキルシリケート、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩、及び三フッ化ホウ素エーテルから選ばれる1種又は複数種、好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸金属塩から選ばれるプロトン酸又はルイス酸存在下を意味し、前記ステップ(6)の反応は有機溶媒にて行われ、前記有機溶媒はジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、トリクロロメタン、エチルエーテル、及びトルエンから選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、ジクロロメタンとN,N−ジメチルホルムアミドとの混合溶媒であり、ジクロロメタンとN,N−ジメチルホルムアミドとの体積比が3:1〜2:1である。
【0027】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(7)では、使用される酸は、酢酸、カンファースルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸から選ばれる1種又は複数種である。前記「フコース上の保護基R
4を選択的に除去する」ために使用される試薬は硝酸セリウムアンモニウム、DDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン)から選ばれる1種である。
【0028】
本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成方法において、前記ステップ(8)では、硫酸化に使用される試薬は、三酸化硫黄ピリジン複合体、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体、及び三酸化硫黄トリエチルアミン複合体から選ばれる1種であり、前記硫酸化は、選択的に、無水ピリジン又は無水DMFにて行われ、保護基除去はテトラヒドロフランと水との混合溶媒にて行われ、テトラヒドロフランと水との体積比が3:1〜2:1であり、前記アルカリは、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムから選ばれる1種又は2種である。
【0029】
第3の態様によれば、本出願は、式D〜式I化合物から選ばれる1種である、フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を合成するための中間体化合物を提供する。
【化24】
ここで、各置換基の定義は上記合成方法の定義と同じであり、好ましくは、Rがアジド基、フェノキシ基、C1〜C4アルキルチオ基、C1〜C4アルカノイルチオ基、ベンゾイルオキシ基、又はベンゾイルチオ基である場合、
【化25】
はβ立体配置であり、RがC1〜C4アルコキシ基である場合、
【化26】
はα立体配置である。
【0030】
本出願の特に好ましい実施形態では、本出願は、以下から選ばれる、上記重要中間体を製造するための中間体化合物を提供する。
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩、
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩、
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩、
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩、
アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]、
アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]、
アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}、
アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}、
アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}、
アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}、
メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩、
メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩、
メチル−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]、
メチル−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}、及び
メチル−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}。
【0031】
第4の態様によれば、本出願は、上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を含む医薬組成物を提供する。本出願に係る上記医薬組成物は、経口又は非経口投与の製剤の形態であってもよく、用量が0.1〜1000mg/回/日であってもよい。
【0032】
第5の態様によれば、本出願は、上記フコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖の、抗凝固薬の製造における使用を提供する。本出願に係るフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖化合物は、優れた抗凝固活性を有し、APTT(活性化部分トロンビン時間)を明らかに延ばし、且つPT(プロトロンビン時間)やTT(トロンビン時間)に対して顕著な影響がない。
【0033】
本出願では、生産しやすく、容易に抽出できるコンドロイチン硫酸グリカンを原料とし、低価な動物精巣由来のヒアルロニダーゼを用いて原料を加水分解し、化学修飾を容易に実施できるオリゴ糖断片を得て、次に、この断片に対して一般的な保護基操作及びグリコシル化を行ってフコシル化コンドロイチン硫酸オリゴ糖を得る。経路が全体として簡単で効率的であり、且つ標識可能な基(たとえばアジド基は後でclick反応により標識することに有利である)を有し、フコシル化コンドロイチン硫酸の生物学的機能の検討や医薬品化学研究に保証を提供する。
【0034】
本出願の他の特徴及び利点は後述する明細書において説明され、且つ、この一部は明細書から明らかになるか、又は本出願を実施することにより把握できる。本出願の目的及び他の利点は明細書、特許請求の範囲に記載の手段により実現・取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本出願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例を詳細に説明する。なお、矛盾がない限り、本出願の実施例及び実施例の特徴は互いに任意に組み合わせることができる。
【0036】
以下、実施例にて本出願の実施可能性をさらに説明し、本出願の特許範囲を制限する。
検出器具:
核磁気:Bruker AV−400型核磁気共鳴装置
質量分析:Bruker APEX IV型質量分析装置
略語
CDCl
3:重水素化クロロホルム
EtOAc:酢酸メチル
MeOH:メタノール
HRMS:高解像度質量分析
ESI:エレクトロスプレー質量分析
【0037】
実施例1:コンドロイチングリカンの合成
市販のコンドロイチン硫酸Aナトリウム塩25gを塩酸−メタノール溶液(0.5%塩化アセチル、v/v)2.5Lに投入し、室温で24時間撹拌し、吸引濾過して溶媒を除去し、得た固体を同じ濃度の塩酸−メタノール溶液2.5Lに再度投入した。このような操作に従って繰り返して液体を3回交換し、最終的に得た固体を濃度0.1Mの水酸化ナトリウム溶液750mLに溶解し、室温で24時間撹拌した。IR−120カチオン交換樹脂を加えて溶液をpH=3.5に中和し、ろ過して樹脂を除去し、適量の水酸化ナトリウム固体を加えてpH=8.0に調整し、乾固するまで濃縮させ、白色シロップを得た。その後、このシロップを少量の蒸留水で溶解して、激しく撹拌している絶対エタノール2000mLに緩やかに滴下して白色沈殿を析出させ、析出させた沈殿を減圧ろ過方法により収集し、少量の冷たい絶対エタノールでろ過ケーキを洗浄し、続いて、収集した固体を無水塩化カルシウムの入れた乾燥器に投入して所定の重量まで減圧乾燥させ、白色のアモルファス粉末状固体としてコンドロイチングリカン15.0gを得た。該粗製品はさらに精製せずに、次のステップの合成にそのまま利用できる。
【0038】
実施例2:(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース二ナトリウム塩、(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース三ナトリウム塩、及び(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース四ナトリウム塩の合成
実施例1で得たコンドロイチングリカン15.0gをpH=5.00の0.15M塩化ナトリウム含有の0.10M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液750mLに投入し、恒温水浴を用いて反応液を37.0℃に昇温すると、ヒアルロニダーゼ乾燥粉末(Sigma−Aldrich社から購入、商品番号H−3506、Lot#SLBL1922V)375mgを加え、37.0℃で7日間撹拌した。反応終了後、反応液を沸騰するまで昇温し、105℃で15min撹拌し、溶液が濁らなくなると室温まで高速で冷却し、1/20体積の無水エタノールと混合した後減圧蒸留し、乾固するまで濃縮させ、白色シロップを得た。その後、このシロップを少量の蒸留水で溶解し、激しく撹拌している無水エタノール2000mLに緩やかに滴下して白色沈殿を析出させ、析出させた沈殿を減圧ろ過方法によって収集し、少量の冷たい絶対エタノールでろ過ケーキを洗浄し、続いて、収集した固体を無水塩化カルシウムの入れた乾燥器に投入して所定の重量まで減圧乾燥させ、白色のアモルファス粉末状固体22gを得た。
【0039】
粗製品5.0gを、まずSephadex LH−20で脱塩し、次に、強力な陰イオン交換樹脂で分離し、NaCl溶液で溶出し(0.15M〜0.20M)、留分をTLCにより検知し(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、次に、Sephadex LH−20で脱塩し、凍結乾燥させ、目標四糖として(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース二ナトリウム塩(1.26g、38%)、六糖として(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース三ナトリウム塩(1.15g、35%)、及び八糖として(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース四ナトリウム塩(427mg、13%)をそれぞれ得た。
【0040】
目標オリゴ糖のスペクトルデータは文献の報道と一致した。四糖:R
f=0.30(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−2Na]
2−m/z 387.1095、実測値387.1082、六糖:R
f=0.24(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−3Na+H]
2−m/z 576.6652、実測値576.6622、八糖:R
f=0.20(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−4Na+2H]
2−m/z 766.2209、実測値766.2228.
【0041】
実施例3:アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩の合成
(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース二ナトリウム塩(660mg、0.81mmol)、N−メチルモルホリン(2.4mL、24.0mmol)、及びアジドナトリウム(3.0g、46.0mmol)を水(15mL)に溶解し、0℃に冷却し、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウムクロリド(1.4g、8.4mmol)を加えて、15分間撹拌した後、氷浴を取り外し、室温に自然昇温して36時間反応し続けた。反応終了後、濃縮させて溶媒を除去し、Sephadex LH−20で脱塩し、凍結乾燥させて白色固体(531mg、78%)を得た。R
f=0.24(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、
1H NMR(600MHz,D
2O)δ4.75(1H,d,J=9.4Hz),4.54-4.50(3H,m),4.19(2H,m),4.07-4.01(2H,m),3.89(1H,dd,J=3.1Hz,J=10.7Hz),3.84-3.76(7H,m),3.73-3.70(3H,m),3.62-3.59(1H,m),3.52-3.49(2H,m),3.42-3.37(1H,m),3.36-3.32(1H,m),2.06(3H,s),2.05(3H,s);
13C NMR(150MHz,D
2O)δ175.9,175.0,174.9,174.5,104.2,104.1,100.9,88.9,80.3,79.9,79.7,77.0,76.4,76.1,75.3,75.0,73.7,72.7,72.4,71.8,67.7,61.1,61.0,51.0,50.4,22.5,22.2、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−2Na]
2−m/z 399.6127、実測値399.6119.
【0042】
実施例4:アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩の合成
(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース三ナトリウム塩(500mg、0.41mmol)、N−メチルモルホリン(1.2mL、12.0mmol)、及びアジドナトリウム(1.5g、23.0mmol)を水(10mL)に溶解し、0℃に冷却し、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリジニウムクロリド(0.7g、4.2mmol)を加え、15分間撹拌した後、氷浴を取り外し、室温に自然昇温して36時間反応し続けた。反応終了後、濃縮させて溶媒を除去し、Sephadex LH−20で脱塩し、凍結乾燥させて白色固体(383mg、75%)を得た。R
f=0.30(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、
1HNMR(600MHz,D
2O)δ4.75(1H,d,J=9.5Hz),4.54-4.50(4H,m),4.19(1H,m),4.15-4.13(1H,m),4.07-4.00(3H,m),3.91-3.88(1H,dd,J=2.8Hz,J=10.7Hz),3.84-3.75(10H,m),3.72-3.70(5H,m),3.62-3.58(2H,m),3.54-3.49(3H,m),3.42-3.33(4H,m),2.06(3H,s),2.05(3H,s),2.04(3H,s);
13C NMR(150MHz,D
2O)δ175.9,175.0,174.6,174.5,104.3,104.2,104.1,100.8,88.9,80.3,79.9,79.7,77.0,76.4,76.1,75.3,75.0,73.7,72.7,72.5,72.4,71.8,67.7,61.1,61.0,51.0,50.9,50.4,22.5,22.2、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−3Na+H]
2−m/z 589.1684、実測値589.1676.
【0043】
実施例5:アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩の合成
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩(540mg、0.64mmol)、及びカンファースルホン酸(300mg、1.29mmol)を、アルゴンガス保護下、無水N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(1.5mL、9.6mmol)を加えて45℃に加熱し、5時間減圧反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、飽和重炭酸ナトリウム溶液を滴下してクエンチングし、反応液をそのままSephadex LH−20で精製し(純水溶出)、凍結乾燥させて白色固体(556mg、85%)を得た。R
f=0.50(CHCl
3/MeOH/H
2O/=1/1/0.3)、
1H NMR(600MHz,D
2O)δ7.61-7.57,7.50-7.48(10H,m),5.80(1H,s,PhCH),5.76(1H,s,PhCH),4.89(1H,d,J=9.3Hz),4.66(1H,d,J=8.5Hz),4.62(1H,m),4.61(1H,m),4.55(1H,d,J=7.9Hz),4.52(1H,d,J=7.9Hz),4.29-4.23(4H,m),4.21-4.17(2H,m),4.09(1H,dd,J=3.2Hz,J=10.9Hz),4.02(1H,dd,J=3.3Hz,J=11.0Hz),3.88(1H,m),3.79(1H,m),3.77-3.72(2H,m),3.71-3.69(1H,m),3.62(1H,dd,J=J=9.2Hz),3.51-3.46(2H,m),3.35-3.25(2H,m),2.06(3H,s,CH
3CO),2.04(3H,s,CH
3CO);
13C NMR(150MHz,D
2O)δ175.8,175.1,175.0,174.2,173.3,167.6,136.6,136.5,129.9,129.8,128.6,126.5,126.4,104.4,104.3,101.3,101.1,88.7,80.4,77.6,76.6,76.2,75.3,75.2,74.9,73.5,72.5,72.1,71.7,68.9,68.6,68.1,66.4,50.8,50.1,45.4,38.8,34.2,22.6,22.2、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
42H
49N
5O
222−m/z 487.6440、実測値487.6438.
【0044】
実施例6:アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩の合成
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩(450mg、0.36mmol)、及びカンファースルホン酸(345mg、1.50mmol)を、アルゴンガス保護下、無水N,N−ジメチルホルムアミド(7.5mL)に溶解し、ベンズアルデヒドジメチルアセタール(1.35mL、9.0mmol)を加え、45℃に加熱し、5時間減圧反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、飽和重炭酸ナトリウム溶液を滴下してクエンチングし、反応液をそのままSephadex LH−20で精製し(純水溶出)、凍結乾燥させて白色固体(445mg、81%)を得た。R
f=0.45(CHCl
3/MeOH/H
2O/=1/1/0.3)、
1H NMR(600MHz,D
2O)δ7.61-7.57,7.50-7.48(15H,m),5.79(1H,s,PhCH),5.75(2H,s,PhCH),4.88(1H,d,J=9.3Hz),4.67-4.64(2H,m),4.62(1H,m),4.59(1H,m),4.57-4.51(4H,m),4.27-4.22(6H,m),4.22-4.15(3H,m),4.08(1H,dd,J=3.2Hz,J=11.0Hz),4.03-4.00(2H,m),3.86(1H,m),3.78-3.69(7H,m),3.64-3.60(2H,m),3.51-3.48(2H,m),3.35-3.28(3H,m),2.06(3H,s,CH
3CO),2.05(3H,s,CH
3CO),2.04(3H,s,CH
3CO);
13C NMR(150MHz,D
2O)δ175.7,175.1,175.0,174.2,167.7,136.7,136.6,129.9,129.8,128.7,128.6,126.6,126.5,104.5,104.4,101.3,101.1,88.7,80.5,78.0,77.6,76.7,76.2,75.3,75.2,75.0,73.6,72.5,72.1,71.7,69.0,68.6,68.2,66.4,65.6,57.0,50.8,50.1,22.6,22.2;ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
63H
73N
6O
333−m/z 480.4745、実測値480.4741.
【0045】
実施例7:アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]の合成
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩(170mg、0.166mmol)、安息香酸無水物(1.17g、5.17mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(7.5mL)に溶解し、85℃で加熱して7時間反応させ、室温に冷却し、無水ピリジン(4mL)及び4−ジメチルアミノピリジン(41mg、0.335mmol)を加えて、常温で36時間反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、メタノール(4mL)及び無水酢酸ナトリウム(20mg、0.24mmol)を順次加え、室温で一晩反応させた。反応液を濃縮させてメタノールを除去し、大量の無水エチルエーテルを加えて、微黄白色固体を析出させ、ろ過してろ液を除去し、カラムクロマトグラフィーにより精製し(CH
2Cl
2/MeOH 30:1)、白色固体(144mg、2段収率66%)を得た。R
f=0.35(CH
2Cl
2/MeOH=20:1)、
1H NMR(600MHz,DMSO-d
6)δ7.99-7.93,7.69-7.60,7.56-7.48,7.44-7.43,7.38-7.36,7.31-7.29(27H,m),5.82(1H,d,J=6.4Hz),5.43(1H,s,PhCH),5.37(1H,s,PhCH),5.09(1H,m),5.04(1H,dd,J=J=9.6Hz),4.99(1H,dd,J=J=8.0Hz),4.97-4.95(2H,m),4.84(1H,dd,J=J=8.5Hz),4.56(1H,d,J=7.4Hz),4.44(1H,d,J=8.0Hz),4.41(1H,d,J=9.9Hz),4.35(1H,m),4.27(1H,m),4.10-3.97(6H,m),3.93(1H,m),3.85(2H,m),3.80-3.76(2H,m),3.72(1H,m),3.68(1H,m),3.63(3H,s,COOCH
3),3.57(1H,m),3.48(3H,s,COOCH
3),1.17(3H,s,CH
3CO),1.15(3H,s,CH
3CO);
13C NMR(150MHz,DMSO-d
6)δ169.0,168.7,167.8,167.3,165.1,164.3,138.3,138.2,133.6,133.2,132.8,130.7,129.7,129.6,129.5,129.4,129.2,128.8,128.7,128.6,128.5,128.4,128.0,127.9,126.1,126.0,101.0,100.6,100.0,99.8,88.2,79.5,77.9,74.3,73.6,73.2,72.3,72.0,71.4,71.3,68.3,67.5,65.9,52.3,52.2,49.9,48.9,22.1,21.9;ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
65H
71N
6O
25+m/z1335.4463、実測値1335.8818.
【0046】
実施例8:アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]の合成
アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]三ナトリウム塩(350mg、0.231mmol)、安息香酸無水物(1.62g、7.26mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、85℃で加熱して12時間反応させ、室温に冷却し、無水ピリジン(4mL)及び4−ジメチルアミノピリジン(56mg、0.462mmol)を加え、常温で36時間反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、メタノール(4mL)及び無水酢酸ナトリウム(28mg、0.346mmol)を順次加え、室温で一晩反応させた。反応液を濃縮させてメタノールを除去し、大量の無水エチルエーテルを加えて、微黄白色固体を析出させ、ろ過してろ液を除去し、カラムクロマトグラフィーにより精製し(CH
2Cl
2/MeOH 20:1)、白色固体(262mg、2段収率60%)を得た。R
f=0.28(CH
2Cl
2/MeOH=20:1)、
1H NMR(600MHz,DMSO-d
6)δ8.01-7.95,7.71-7.62,7.58-7.50,7.46-7.45,7.41-7.36,7.33-7.27(38H,m),5.84(1H,d,J=6.6Hz),5.45(1H,s,PhCH),5.38(1H,s,PhCH),5.34(1H,s,PhCH),5.08-5.03(3H,m),5.02-4.95(4H,m),4.87-4.83(2H,m),4.57(1H,d,J=6.8Hz),4.52(1H,d,J=6.6Hz),4.46(1H,d,J=7.8Hz),4.43(1H,d,J=10.0Hz),4.38(1H,m),4.28(1H,m),4.25(1H,m),4.12-3.98(10H,m),3.86(3H,m),3.80-3.78(4H,m),3.76-3.69(3H,m),3.63(3H,s,COOCH
3),3.61(3H,s,COOCH
3),3.59(1H,m),3.57(1H,m),3.51(3H,s,COOCH
3),1.19(3H,s,CH
3CO),1.16(6H,s,CH
3CO);
13C NMR(150MHz,DMSO-d
6)δ168.9,168.7,168.6,167.8,167.3,165.1,164.4,164.3,138.3,138.2,133.6,133.2,132.8,130.7,129.7,129.6,129.5,129.4,129.2,128.8,128.7,128.6,128.5,128.4,128.0,127.9,126.1,126.0,101.0,100.8,100.7,100.0,99.8,99.7,88.2,79.5,79.4,77.8,74.3,74.0,73.6,73.2,72.3,72.1,72.0,71.4,71.3,68.3,67.5,65.9,52.3,52.2,34.7,22.1,21.9、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
94H
106N
8O
372+m/z 969.8341、実測値969.8078.
【0047】
実施例9:アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)](55.0mg、41.8μmol)、及びエチル−2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−1−チオ−β−L−フコース(137mg、0.251mmol)を、アルゴンガス保護下、無水ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(1.8mL/0.6mL)に溶解し、4Å分子篩(200mg)を加えて、室温で2時間撹拌し、0℃に冷却し、N−ヨードスクシンイミド(75.2mg、0.334mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(10.7mg、0.042mmol)を順次加え、この温度を維持しながら2.5時間反応させ、室温に緩やかに昇温し、一晩反応させた。トリエチルアミンを加えて反応をクエンチングし、珪藻土で分子篩をろ過除去し、ろ液を乾固するまで蒸発させ、得た固体を酢酸/無水酢酸(0.8mL/2.4mL)混合溶媒に加えて、70℃で3時間反応させ、溶媒をトルエンで乾燥させ、カラムクロマトグラフィーにより分離し(DCM/MeOH=35:1)、減圧濃縮させて白色固体(67.2mg、70%)を得た。R
f=0.30(DCM/MeOH=25:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
119H
139N
7O
412+m/z 1161.4515、実測値1161.4293。
【0048】
実施例10:アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)](71.4mg、37.5μmol)、及びエチル−2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−1−チオ−β−L−フコース(217mg、0.375mmol)を、アルゴンガス保護下、無水ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド(2.2mL/1.1mL)に溶解し、4Å分子篩(300mg)を加えて、室温で2時間撹拌し、0℃に冷却し、N−ヨードスクシンイミド(110mg、0.488mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸銀(14.5mg、0.056mmol)を順次加え、この温度を維持しながら2.5時間反応させ、室温に緩やかに昇温し、一晩反応させた。トリエチルアミンを加えて反応をクエンチングし、珪藻土で分子篩をろ過除去し、ろ液を乾固するまで蒸発させ、得た固体を酢酸/無水酢酸(0.8mL/2.4mL)混合溶媒に加え、70℃で3時間反応させ、溶媒をトルエンで乾燥させ、カラムクロマトグラフィーにより分離し(DCM/MeOH=35:1)、減圧濃縮させて白色固体(78.1mg、62%)を得た。R
f=0.30(DCM/MeOH=20:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
175H
202N
8O
612+m/z1696.6503、実測値1696.6086。
【0049】
実施例11:アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}(46.0mg、0.02mmol)を、ジクロロメタン(2mL)と水(200μL)の混合溶媒に溶解し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(46mg、0.20mmol)を加え、室温で4時間反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、反応液をジクロロメタンで希釈し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム/チオ硫酸ナトリウム溶液(1:1)及び飽和食塩水で順次洗浄し、ジクロロメタンを用いて3回逆抽出し、有機相を併せて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて得た粗製品を80%酢酸水溶液(2.0mL)に溶解し、60℃で3時間反応させ、次に、無水トルエンで溶媒を乾燥させ、ジクロロメタン/メタノール(1:1)を直接溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、減圧濃縮させて白色固体(24.0mg、2段収率73%)を得た。R
f=0.20(DCM/MeOH 8:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
73H
95N
6NaO
372+m/z 835.2812、実測値835.2966。
【0050】
実施例12:アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}(35.7mg、0.011mmol)を、ジクロロメタン(1.5mL)と水(150μL)の混合溶媒に溶解し、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(37mg、0.165mmol)を加えて、室温で4時間反応させた。TLCで反応終了を検知した場合、反応液をジクロロメタンで希釈し、有機相を飽和重炭酸ナトリウム/チオ硫酸ナトリウム溶液(1:1)及び飽和食塩水で順次洗浄し、ジクロロメタンを用いて3回逆抽出し、有機相を併せて、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮させて得た粗製品を80%酢酸水溶液(2.0mL)に溶解し、60℃で3時間反応させ、次に、無水トルエンで溶媒を乾燥させ、ジクロロメタン/メタノール(1:1)を直接溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、減圧濃縮させて白色固体(17.8mg、2段収率71%)を得た。R
f=0.30(DCM/MeOH 6:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
106H
134N
6Na
2O
552+m/z 1208.3829、実測値1208.4847。
【0051】
実施例13:アジド−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}十ナトリウム塩の合成
アルゴンガス保護下、アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}(24mg、14.7μmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解し、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(246mg、1.77mmol)を加えて50℃で90時間反応させ、室温に冷却し、トリエチルアミン(100μL)及びメタノール(150μL)を加えて反応をクエンチングし、ジクロロメタン/メタノール1:1を直接溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、減圧濃縮させて、得た白色固体をテトラヒドロフラン−水(3:1、2mL)混合溶媒に溶解し、−5℃に冷却し、新しい1M水酸化リチウム−35%過酸化水素(2:1、0.75mL)の混合溶液を滴下し、−5℃で1時間反応させ、室温移し一晩反応させた。氷浴条件下、メタノール(0.5mL)を加えて、4M水酸化ナトリウム溶液(1.3mL)を緩やかに滴下し、室温に自然昇温して10時間反応させた。IR−120カチオン交換樹脂で反応液をpH=7に中和し、ろ過して、蒸留水を用いて樹脂を洗浄し、ろ液を濃縮させ、水を溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、凍結乾燥させて、白色固体(22.0mg、2段収率77%)を得た。ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
40H
67N
7O
54S
82−m/z 882.5244、実測値882.5250。
【0052】
実施例14:アジド−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}十五ナトリウム塩の合成
アルゴンガス保護下、アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}(19.5mg、8.2μmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(0.8mL)に溶解し、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(206mg、1.47mmol)を加えて50℃で90時間反応させ、室温に冷却し、トリエチルアミン(100μL)及びメタノール(150μL)を順次加えて反応をクエンチングし、ジクロロメタン/メタノール1:1を直接溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、減圧濃縮させて、得た白色固体をテトラヒドロフラン−水(3:1、2mL)混合溶媒に溶解し、−5℃に冷却し、新しい1M水酸化リチウム−35%過酸化水素(2:1、0.75mL)混合溶液に滴下し、−5℃で1時間反応させ、室温に移し一晩反応させた。氷浴条件下、メタノール(0.5mL)を加えて、4M水酸化ナトリウム溶液(1.3mL)を緩やかに滴下し、室温に自然昇温して10時間反応させた。IR−120カチオン交換樹脂で反応液をpH=7に中和し、ろ過して、蒸留水を用いて樹脂を洗浄し、ろ液を濃縮させ、水を溶出剤として、Sephadex LH−20で精製し、凍結乾燥させて、白色固体(16.2mg、2段収率68%)を得た。ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
60H
100N
9O
81S
123−m/z 875.3549、実測値875.3564。
【0053】
実施例15:メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩の合成
(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−2−デオキシ−N−アセチルアミノ−D−ガラクトピラノース二ナトリウム塩(490mg、0.60mmol)を、塩酸−メタノール溶液(3.5%体積の塩化アセチルに無水メタノールを加えて製造したもの)50mLに溶解し、室温で16時間反応させ、氷浴下、0.1M水酸化ナトリウム溶液を滴下して溶液をpH=12に調整し、2時間撹拌して、濃縮させて溶媒を除去し、Sephadex LH−20で脱塩し、凍結乾燥させて白色固体(345mg、70%)を得た。R
f=0.24(n−ブタノール/水/エタノール/酢酸=1/1/1/0.05)、
1H NMR(400MHz,D
2O)δ4.41-4.38(3H,m),4.32(1H,d,J=8.5Hz),4.06(1H,m),4.01(1H,m),3.92-3.87(2H,m),3.72-3.62(7H,m),3.59-3.57(4H,m),3.49-3.45(1H,m),3.40~3.36(5H,m),3.28-3.19(2H,m),1.92(3H,s),1.90(3H,s);
13C NMR(100MHz,D
2O)δ175.9,175.0,174.9,174.5,104.2,104.1,102.2,100.9,80.4,80.2,79.7,76.1,75.3,75.0,74.9,73.7,72.7,72.5,71.8,67.8,67.7,61.1,61.0,57.1,51.0,22.6,22.3、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値[M−2Na]
2−m/z 394.1173、実測値394.1180.
【0054】
実施例16:メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩の合成
メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩(195mg)を原料として、アジド−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩の合成方法によって、白色固体(200mg、84%)を製造し、R
f=0.50(CHCl
3/MeOH/H
2O/=1/1/0.3)、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
43H
52N
5O
232−m/z 482.1486、実測値482.1473.
【0055】
実施例17:メチル−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]の合成
メチル−[(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]二ナトリウム塩(200mg)を原料として、アジド−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]の合成方法によって、白色固体(180mg、2段収率70%)を製造した。R
f=0.35(CH
2Cl
2/MeOH=20:1)、
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ8.24-8.01,7.62-7.38,7.34-7.32,7.14(25H,m),6.21(1H,m),5.58-5.51(2H,m),5.47-5.46(2H,m),5.31(1H,dd,J=J=9.6Hz),5.23(1H,m),5.08(1H,m),5.06(1H,m),4.96(1H,d,J=8.6Hz),4.91(1H,d,J=7.1Hz),4.77(1H,m),4.52(1H,m),4.47(1H,m),4.27-4.20(3H,m),4.13(1H,m),4.04-3.96(3H,m),3.90~3.86(2H,m),3.69(3H,s,COOCH
3),3.65(3H,s,COOCH
3),3.52(1H,m),3.40(4H,m),1.54(3H,s,CH
3CO),1.41(3H,s,CH
3CO)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
66H
74N
3O
26+[M+NH4
+]m/z 1324.4555、実測値1324.4960.
【0056】
実施例18:メチル−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
メチル−[(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]を原料(130mg)として、アジド−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成方法によって、白色固体(164.7mg、73%)を製造した。R
f=0.30(DCM/MeOH=25:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
120H
142N
4O
422+[M+2NH
4]
2+m/z 1155.9561、実測値1155.5210。
【0057】
実施例19:メチル−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}の合成
メチル−{(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−p−メトキシベンジル−3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}を原料(140mg)として、アジド−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}の合成方法によって、白色固体(68.6mg、2段収率70%)を製造した。R
f=0.20(DCM/MeOH 8:1)、ESI−Q−TOF(正イオンモード)計算値C
74H
102N
4O
382+m/z 827.3081、実測値827.1324。
【0058】
実施例20:メチル−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}十ナトリウム塩の合成
メチル−{(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2,4−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(3−O−アセチルプロピオニル−α−L−フコシル)−(1→3)−(2−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラヌロン酸メチル)−(1→3)−(2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−α−D−ガラクトピラノシル)]}を原料(68.6mg)として、アジド−{(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)−(1→4)−[(2,4−ジ−O−スルホ−α−L−フコシル)−(1→3)−(β−D−グルコピラヌロン酸)−(1→3)−(4,6−ジ−O−スルホ−2−デオキシ−2−N−アセチルアミノ−β−D−ガラクトピラノシル)]}十ナトリウム塩の合成方法によって、白色固体(64.0mg、2段収率78%)を製造した。
1H NMR(400MHz,D
2O)δ5.62(1H,d,J=3.8Hz),5.52(1H,d,J=3.7Hz),4.84(1H,m),4.80(1H,m),4.75(2H,m),4.62(1H,m),4.50-4.36(7H,m),4.25-4.06(7H,m),4.02-3.88(7H,m),3.70-3.52(8H,m),3.46(3H,s,OCH
3),1.99(3H,s,COOCH
3),1.95(3H,s,COOCH
3),1.29(3H,d,J=6.4Hz),1.18(3H,d,J=6.5Hz);
13C NMR(100MHz,D
2O)δ175.0,174.9,103.7,101.9,99.9,96.6,81.5,81.1,80.9,77.2,76.5,76.3,76.1,75.9,75.4,75.2,75.1,73.6,72.9,72.3,71.8,69.9,68.0,67.2,66.5,66.3,66.2,57.3,51.4,22.6,22.3,15.8,15.7、ESI−Q−TOF(負イオンモード)計算値C
41H
67N
3O
55S
82−m/z 868.5157、実測値868.5182。
【0059】
抗凝固活性のテスト
本出願のオリゴ糖化合物J1(式J化合物、ここで、Y=Na、q=1、Rはアジド基であり、
【化27】
はβ立体配置である)、J2(式J化合物、ここで、Y=Na、q=2、Rはアジド基であり、
【化28】
はβ立体配置である)、J3(式J化合物、ここで、Y=Na、q=3、Rはアジド基であり、
【化29】
はβ立体配置である)、J4(式J化合物、ここで、Y=Na、q=4、Rはアジド基であり、
【化30】
はβ立体配置である)に対して、活性化部分トロンビン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)、トロンビン時間(TT)を含む抗凝固活性をテストした。
【0060】
APTT測定
実験にわたって、APTTキットの取扱書に従って操作し、まず、貧血小板血漿20μlと被測定溶液(対照群又はサンプル溶液)5μlをテストカップに混合して、37℃の予熱領域で3minインキュベートし、次に、該混合系へAPTT試薬25μlを加え、さらに37℃で3minインキュベートし続け、次に、テストカップをテスト領域に移し、5min予熱した塩化カルシウム溶液25μlを加えた直後、フィブリンが形成された時間を記録し、実験終了後、凝固計からフィブリンが形成された時間を読み取った。
【0061】
PT測定
実験にわたって、PTキットの取扱書に従って操作し、まず、貧血小板血漿20μlと被測定溶液(対照群又はサンプル溶液)5μlをテストカップに混合して、37℃の予熱領域で3minインキュベートし、次に、テストカップをテスト領域に移した後、予熱されたPT試薬(予熱時間は10minよりも長く、30min未満)50μlを加えた直後、フィブリンが形成された時間を記録し、実験終了後、凝固計からフィブリンが形成された時間を読み取った。
【0062】
TT測定
実験にわたって、TTキットの取扱書に従って操作し、まず、貧血小板血漿20μlと被測定溶液(対照群又はサンプル溶液)5μlをテストカップに混合して、37℃の予熱領域で3minインキュベートし、次に、テストカップをテスト領域に移した後、予熱されたTT試薬(予熱時間は10minよりも長く、30min未満)50μlを加えた直後、フィブリンが形成された時間を記録し、実験終了後、凝固計からフィブリンが形成された時間を読み取った。
【0063】
テスト結果を以下に示す(表中のデータは、APTT/PT/TTを1倍延ばすのに必要な濃度を表す)。
【表1】
【0064】
以上、本出願の実施形態を開示したが、前記内容は本出願を容易に理解するためにする実施形態に過ぎず、本出願を限定するものではない。当業者であれば、本出願で開示された趣旨及び範囲を逸脱することなく、実施の形態及び詳細について任意の修正や変化を加えることができるが、本出願特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により定められる範囲に準じる。