特表2021-530191(P2021-530191A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-530191ブラシレス直流電気モータ、および関連する制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530191(P2021-530191A)
(43)【公表日】2021年11月4日
(54)【発明の名称】ブラシレス直流電気モータ、および関連する制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/16 20160101AFI20211008BHJP
   H02K 29/08 20060101ALI20211008BHJP
【FI】
   H02P6/16
   H02K29/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-573240(P2020-573240)
(86)(22)【出願日】2019年6月27日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月10日
(86)【国際出願番号】EP2019067247
(87)【国際公開番号】WO2020002553
(87)【国際公開日】20200102
(31)【優先権主張番号】1856030
(32)【優先日】2018年6月29日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ−ルイ、エラーダ
【テーマコード(参考)】
5H019
5H560
【Fターム(参考)】
5H019BB01
5H019BB05
5H019BB15
5H019BB20
5H019BB23
5H019CC03
5H560AA08
5H560BB04
5H560BB07
5H560BB12
5H560DA02
5H560DA18
5H560DC06
5H560EB01
5H560HA00
5H560TT15
(57)【要約】
本発明は、ブラシレス直流電気モータ(1)であって、−ロータ(3)であって、前記電気モータ(1)の極を形成するように前記ロータ(3)の周囲に分散配置された磁性要素(5)と、前記電気モータ(1)の極対の個数の3倍に等しい個数の極対を有する制御磁石(19)と、を備えるロータ(3)と、−電磁励磁コイル(9)を有するステータ(7)と、−好適には第1および第2ホール効果センサ(17、17’)のみである少なくとも第1および第2ホール効果センサ(17、17’)であって、前記ロータの所定の角度位置を検出するように構成された第1および第2ホール効果センサ(17、17’)と、−前記ロータ(3)を回転させるように、前記ロータ(3)の位置に応じて、前記コイル(9)に所定の励磁信号のシーケンスを印加するように構成された制御ユニット(14)と、を備えた電気モータ(1)において、前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)は、プリント回路(21)に配置されるとともに、前記制御磁石(19)の中心と前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)とをそれぞれ通る直線(ΔおよびΔ’)間の角度が10°以上であるように離間し、
前記第1ホール効果センサ(17)は、前記励磁信号の切替の時点を決定するために使用され、前記第2ホール効果センサ(17’)は、モータの始動時の前記ロータ(3)の回転方向を判定するために、前記第1ホール効果センサ(17)と組み合わせて使用される、または前記第1ホール効果センサ(17)および前記ホール効果センサ(17’)間でその逆もまた同様である電気モータ(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレス直流電気モータ(1)であって、
−ロータ(3)であって、前記電気モータ(1)の極を形成するように前記ロータ(3)の周囲に分散配置された磁性要素(5)と、前記電気モータ(1)の極対の個数の3倍に等しい個数の極対を有する制御磁石(19)と、を備えるロータ(3)と、
−電磁励磁コイル(9)を有するステータ(7)と、
−好適には第1および第2ホール効果センサのみである少なくとも第1および第2ホール効果センサ(17、17’)であって、前記ロータの所定の角度位置を検出するように構成された第1および第2ホール効果センサ(17、17’)と、
−前記ロータ(3)を回転駆動するように、前記ロータ(3)の位置に応じて、前記コイル(9)に所定の励磁信号のシーケンスを印加するように構成された制御ユニット(14)と、
を備えた電気モータ(1)において、
前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)は、プリント回路(21)に配置されるとともに、前記制御磁石(19)の中心と前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)とをそれぞれ通る直線(ΔおよびΔ’)間の角度が10°以上であるように離間し、
前記第1ホール効果センサ(17)は、前記励磁信号の切替のタイミングを決定するために使用され、前記第2ホール効果センサ(17’)は、始動時の前記ロータ(3)の回転方向を判定するために、前記第1ホール効果センサ(17)と組み合わせて使用される、または前記第1ホール効果センサ(17)および前記ホール効果センサ(17’)に関してその逆である、
電気モータ(1)。
【請求項2】
前記制御磁石(19)および前記第1および前記第2ホール効果センサ(17、17’)は、前記第1および前記第2ホール効果センサ(17、17’)の一方および他方の状態変化が、それぞれ前記励磁信号の切替のタイミングの前と後とに生じるように、且つ、前記ロータ(3)が一定の速度で回転している場合、前記ホール効果センサ(17、17’)うちの一方の状態変化と前記励磁信号の切替のタイミングとの間の時間が、前記励磁信号の切替のタイミングと前記ホール効果センサ(17、17’)のうちの他方の状態変化との間の時間に等しいように構成され、
前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサ(17、17’)は、前記切替のタイミングを決定するために前記制御ユニット(14)により使用され、前記切替のタイミングに遅れる前記ホール効果センサ(17,17’)は、始動時の前記ロータ(3)の回転方向を判定するために、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサ(17、17’)と組み合わせて使用される、
請求項1に記載の電気モータ(1)。
【請求項3】
前記制御磁石(19)の中心と前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)とをそれぞれ通る前記直線(ΔおよびΔ’)間の前記角度は、19°未満である、
請求項2に記載の電気モータ(1)。
【請求項4】
前記制御磁石(19)の中心と前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)とをそれぞれ通る前記直線(ΔおよびΔ’)間の前記角度は、実質的に16°に等しい、
請求項3に記載の電気モータ(1)。
【請求項5】
−請求項1乃至4のいずれかに記載の電気モータ(1)、
を備える特にワイパー装置用のギアードモータ。
【請求項6】
ブラシレス直流電気モータ(1)を制御するための方法であって、
前記電気モータ(1)は、
−ロータ(3)であって、前記電気モータ(1)の極を形成するように前記ロータ(3)の周囲に分散配置された磁性要素(5)と、前記電気モータ(1)の極対の個数の3倍に等しい個数の極対を有する制御磁石(19)と、を備えるロータ(3)と、
−電磁励磁コイル(9)を有するステータ(7)と、
−好適には第1および第2ホール効果センサのみである少なくとも第1および第2ホール効果センサ(17、17’)であって、前記ロータの所定の角度位置を検出するように構成された第1および第2ホール効果センサ(17、17’)と、
−前記第1および第2ホール効果センサ(17、17’)が配置されるプリント回路(21)であって、前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)は、前記制御磁石(19)の中心と前記第1ホール効果センサ(17)および前記第2ホール効果センサ(17’)とをそれぞれ通る直線(ΔおよびΔ’)間の角度が10°以上であるように離間する、プリント回路(21)と、
を備え、
前記方法は、
−前記ロータ(3)を回転駆動するように、前記ロータ(3)の位置に応じて前記コイル(9)に印加される所定の励磁信号のシーケンスを決定する予備ステップ(101)と、
−前記ホール効果センサ(17、17’)のうちの一方が供給する信号に基づいて、前記励磁信号の切替のタイミングを決定するステップ(102)と、
−前記ホール効果センサ(17、17’)が供給する信号に基づいて、前記ロータ(3)の回転方向を判定するステップ(104)と、
−前記決定された切替のタイミングに基づいて、特定の励磁信号のシーケンスを印加するステップ(104)と、
を備える方法。
【請求項7】
前記制御磁石(19)および前記第1および前記第2ホール効果センサ(17、17’)は、前記第1および前記第2ホール効果センサ(17、17’)の一方および他方の状態変化が、それぞれ前記励磁信号の切替のタイミングの前と後とに生じるように、且つ、前記ロータ(3)が一定の速度で回転している場合、前記ホール効果センサ(17、17’)うちの一方の状態変化と前記励磁信号の切替のタイミングとの間の時間が、前記励磁信号の切替のタイミングと前記ホール効果センサ(17、17’)のうちの他方の状態変化との間の時間に等しいように構成され、
前記切替のタイミングは、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサ(17、17’)が供給する信号に基づいて決定され、前記切替のタイミングに遅れる前記ホール効果センサ(17,17’)は、始動時の前記ロータ(3)の回転方向を判定するために、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサ(17、17’)と組み合わせて使用される、
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車両機器を対象としたブラシレス直流電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのブラシレス直流電気モータが、自動車両機器において、特にワイパー装置のギアードモータにおいて使用されている。
【0003】
ブラシレス直流電気モータは、長い寿命、小さい全体寸法、少ない消費電力等の多くの利点を有し得る。
【0004】
しかしながら、ブラシ付きの電気モータに比較して、電気モータの制御は複雑である。なぜならば、正しい動作を得るために、ブラシレス直流電気モータのロータの角度位置を正確に把握することが不可欠であるためである。この理由は、このような電気モータが、ロータに配置された永久磁石を駆動するように、ステータに配置された電磁励磁コイルであって、インバータを介して交互に給電される電磁励磁コイルを備えていることにある。
【0005】
最適なタイミングでインバータスイッチを切り替えることで電磁コイルへの給電を切り替えてロータを所望どおり駆動させるために、ロータの位置を、少なくともセクタにより、切替中に数個の正確なポイントで把握する必要がある(通常、台形励磁の場合、ロータの1回転毎に6回の切替)。
【0006】
この目的のために、ホール効果センサを使用するという方法が知られている。例えば、切替動作に対応する6個の正確なポイントを検出するように120°で配置された3つのセンサを使用する。
【0007】
6極のモータの場合、近接して配置された2つのホール効果センサを有するアセンブリの形式もある。この場合、回転方向を迅速に検出するために、2つのホール効果センサを、制御磁石の中心に対して10°の角度で配置する必要がある。しかしながら、このようなアセンブリは、特に制御磁石のサイズが小さい場合、市販のセンサのサイズを理由として、すなわち、その全体寸法により所望の角度が得られないため不可能であることが多い。
【0008】
したがって、限られたコストで小さい全体寸法を有するブラシレス直流電気モータを提供するための解決策を見出す必要がある。
【発明の概要】
【0009】
この目的のために、本発明は、
ブラシレス直流電気モータであって、
−ロータであって、前記電気モータの極を形成するように前記ロータの周囲に分散配置された磁性要素と、前記電気モータの極対の個数の3倍に等しい個数の極対を有する制御磁石と、を備えるロータと、
−電磁励磁コイルを有するステータと、
−好適には第1および第2ホール効果センサのみである少なくとも第1および第2ホール効果センサであって、前記ロータの所定の角度位置を検出するように構成された第1および第2ホール効果センサと、
−前記ロータを回転駆動するように、前記ロータの位置に応じて、前記コイルに所定の励磁信号のシーケンスを印加するように構成された制御ユニットと、
を備えた電気モータにおいて、
前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサは、プリント回路に配置されるとともに、前記制御磁石の中心と前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサとをそれぞれ通る直線間の角度が10°以上であるように離間し、
前記第1ホール効果センサは、前記励磁信号の切替のタイミングを決定するために使用され、前記第2ホール効果センサは、始動時の前記ロータの回転方向を判定するために、前記第1ホール効果センサと組み合わせて使用される、または前記第1ホール効果センサおよび前記ホール効果センサに関してその逆である、
電気モータに関する。
【0010】
本発明による電気モータは、以下の態様を同様に有し得る。
−前記制御磁石および前記第1および前記第2ホール効果センサは、前記第1および前記第2ホール効果センサの一方および他方の状態変化が、それぞれ前記励磁信号の切替のタイミングの前と後とに生じるように、且つ、前記ロータが一定の速度で回転している場合、前記ホール効果センサ)うちの一方の状態変化と前記励磁信号の切替のタイミングとの間の時間が、前記励磁信号の切替のタイミングと前記ホール効果センサのうちの他方の状態変化との間の時間に等しいように構成され、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサは、前記切替のタイミングを決定するために前記制御ユニットにより使用され、前記切替のタイミングに遅れる前記ホール効果センサは、始動時の前記ロータの回転方向を判定するために、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサと組み合わせて使用される。
−前記制御磁石の中心と前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサとをそれぞれ通る前記直線間の前記角度は、19°未満である。
−前記制御磁石の中心と前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサとをそれぞれ通る前記直線間の前記角度は、実質的に16°に等しい。
【0011】
また、本発明は、
−上述の電気モータ、
を備える特にワイパー装置用のギアードモータに関する。
【0012】
また、本発明は、
ブラシレス直流電気モータを制御するための方法であって、
前記電気モータは、
−ロータであって、前記電気モータの極を形成するように前記ロータの周囲に分散配置された磁性要素と、前記電気モータの極対の個数の3倍に等しい個数の極対を有する制御磁石と、を備えるロータと、
−電磁励磁コイルを有するステータと、
−好適には第1および第2ホール効果センサのみである少なくとも第1および第2ホール効果センサであって、前記ロータの所定の角度位置を検出するように構成された第1および第2ホール効果センサと、
−前記第1および第2ホール効果センサが配置されるプリント回路であって、前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサは、前記制御磁石の中心と前記第1ホール効果センサおよび前記第2ホール効果センサとをそれぞれ通る直線間の角度が10°以上であるように離間する、プリント回路と、
を備え、
前記方法は、
−前記ロータを回転駆動するように、前記ロータの位置に応じて前記コイルに印加される所定の励磁信号のシーケンスを決定する予備ステップと、
−前記ホール効果センサのうちの一方が供給する信号に基づいて、前記励磁信号の切替のタイミングを決定するステップと、
−前記ホール効果センサが供給する信号に基づいて、前記ロータの回転方向を判定するステップと、
−前記決定された切替のタイミングに基づいて、特定の励磁信号のシーケンスを印加するステップと、
を備える方法に関する。
【0013】
本発明の他の態様によれば、前記制御磁石および前記第1および前記第2ホール効果センサは、前記第1および前記第2ホール効果センサの一方および他方の状態変化が、それぞれ前記励磁信号の切替のタイミングの前と後とに生じるように、且つ、前記ロータが一定の速度で回転している場合、前記ホール効果センサうちの一方の状態変化と前記励磁信号の切替のタイミングとの間の時間が、前記励磁信号の切替のタイミングと前記ホール効果センサのうちの他方の状態変化との間の時間に等しいように構成され、前記切替のタイミングは、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサが供給する信号に基づいて決定され、前記切替のタイミングに遅れる前記ホール効果センサは、始動時の前記ロータの回転方向を判定するために、前記切替のタイミングに先行する前記ホール効果センサと組み合わせて使用される。
【0014】
本発明の他の特徴および利点が、添付図面を参照して非限定的な例として呈示される以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による磁石一体型(または埋設型または埋蔵型)電気モータを示す図。
図2】電気モータの電源回路を示す図。
図3】ホール効果センサおよび関連する制御マグネットを示す図。
図4】第1構成によるホール効果センサから送信された信号を示す図。
図5】第2構成によるホール効果センサから送信された信号を示す図。
図6】本発明による電気モータを制御するための方法のステップのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全ての図において、同一の要素には同じ参照番号を付す。
【0017】
以下の実施形態は例である。単数または複数の実施形態について説明がなされるが、これは、各説明が同一の実施形態に関すること、または特性が1つの実施形態にのみ適用可能であるということを意味しない。種々の実施形態の単純な特徴を組み合わせたり交換したりすることで、他の実施形態を提供してもよい。
【0018】
本発明は、ブラシレス直流電気モータ、例えば、ワイパー装置のギアードモータ等の自動車両機器において使用される電気モータに関する。また、本発明は、このようなギアードモータに関する。
【0019】
図1は、ロータ3を備えた電気モータの部分概略図である。ロータ3は、回転軸Xを中心として回転可能に装着されるとともに、複数の極を備えている。これらの極は、例えば、ロータ3の回転軸Xを中心として分散配置された永久磁石5であって、N極とS極とが交互に形成されるように構成された永久磁石5によって形成されている。
【0020】
また、電気モータは、電気モータの相を形成する複数の電磁励磁コイル9を備えたステータ7を備えている。これらにより、電力の供給を受けた際、電磁励磁コイル9とロータ3の極との相互作用の結果、ロータ3を回転駆動させることができる。
【0021】
図2は、電気モータ1の相の電源回路の一例を示す図である。本例において、電気モータ1は、A、BおよびCで示され、中点で接続された三角形配置の3つの相を備えている。電源回路は、インバータ10を備えている。インバータ10は、並列に配置されるとともに電圧源13の端子に接続された3つの分岐B1、B2およびB3を備えている。各分岐B1、B2、B3は、直列に配置された2つのスイッチ15を備えている。スイッチ15の開閉は、例えばマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサの形態にある制御ユニット14により制御される。分岐B1、B2およびB3の中点は、電気モータ1の相A、BおよびCにそれぞれ接続されている。
【0022】
一方で、制御ユニット14がスイッチ15を最適な態様で開閉してロータ3を所望の回転方向に所望の速度で回転させ得るためには、ロータ3の位置を60電気角(electric degrees)度毎に正確に把握することが不可欠である。
【0023】
この目的のために、図3に示すように、第1ホール効果センサ17が、制御磁石19に結び付けられている。制御磁石19は、電気モータ1の極数の3倍に等しい個数の極を備えている。例えば、6極の電気モータ1の場合、18個の極を備えている。これにより、ホール効果センサ17の変化(高レベルから低レベルへの移行、またこの逆)は、60電気角毎に生じる(すなわち、6極の電気モータの場合は20°)。
【0024】
始動時のロータ3の回転方向を判定するために、第2ホール効果センサ17’も使用される。この第2ホール効果センサ17’は、例えば、第1ホール効果センサ17と同様に制御磁石19に結び付けられている。
【0025】
さらに、電気モータ1のコストおよび全体寸法を削減するために、第1ホール効果センサ17および第2ホール効果センサ17’を、プリント回路21に組み込む必要があるが、このことにより、制御磁石19に対するホール効果センサ17、17’のレイアウトの可能性が制限される。
【0026】
6個の極、すなわち3対の極を備えた電気モータ1の場合、インバータ10の切替は、20°毎に行われなければならない。したがって、始動時のロータ3の回転方向を検出するためには、回転軸Xに垂直な直線ΔおよびΔ’であって、第1ホール効果センサ17の中心、および第2ホール効果センサ17’の中心をそれぞれ通る直線Δ、Δ’が10°の角度をなすように、第2ホール効果センサ17’を配置する必要がある。これは、2つのホール効果センサ17および17’の中心間の距離Daが、以下の式により与えられることを意味する。
Da=2×Dr×tan(10/2)
式中、Drは、制御磁石19の回転軸Xとプリント回路21との間の距離である。また、センサ17および17’の保護ハウジングのサイズも考慮しなければならない。例えば、ハウジングは平行六面体の形状を有し、ホール効果センサは平行六面体の中央に配置されている。
【0027】
ハウジングの幅は、例えば2乃至3mmであり、ハウジングの高さは、例えば1.5乃至2.5mmである。したがって、10°の角度に適合するために2つのホール効果センサ17と17’とが離間すべき距離を決定することができる。この距離がハウジングの幅より小さいとき、すなわち小径の制御磁石19が使用されている場合、10°の角度に適合できない。制御磁石19の直径を大きくする、ひいては電気モータ1の全体寸法を大きくする必要を回避するために、2つのセンサ17および17’は、プリント回路21においてできる限り互いに近接して配置されるとともに、信号処理を、制御磁石19の中心と第1ホール効果センサ17および第2ホール効果センサ17’の中心とをそれぞれ通る2つの直線ΔおよびΔ’間に形成された角度に応じて適合させる。したがって、本例において、この角度は10°より大きく、例えば14°である。この場合、ホール効果センサ17、17’および制御磁石19は、図5を参照して以下に説明するように、位相進み信号を得るように構成される。
【0028】
図4は、制御磁石19の中心と第1ホール効果センサ17および第2ホール効果センサ17’とをそれぞれ通る2つの直線ΔとΔ’との間の角度が10°に等しくなるように、第1ホール効果センサ17と第2ホール効果センサ17’とが配置されている場合に、センサ17および17’により取得される信号を示す。ロータ3が一定速度で回転している場合、第1ホール効果センサ17の状態変化は、切替のタイミングに対応し、第2ホール効果センサ17’の状態変化は、第1ホール効果センサ17の状態変化の持続時間に等しい持続時間を有する時間間隔で生じる。第2ホール効果センサ17’は、ロータ3の回転方向を判定するために、第1ホール効果センサ17と組み合わせて使用される。有利には、間隔をより短くしてモータにより生成されるノイズを更に低減させるように、中間切替操作を同様に実施してもよい。
【0029】
制御磁石19の中心と第1ホール効果センサ17および第2ホール効果センサ17’とをそれぞれ通る2つの直線ΔとΔ’との間の角度が10°以上、例えば14°である場合、ホール効果センサ17および17’および制御磁石19は、ホール効果センサ17および17’の状態変化が、ホール効果センサ17および17’の両方について等しい切替のタイミングに対して先行して生じるように構成される。。図5に概略的に示すように、ホール効果センサ17および17’のうちの一方が第1回転方向において先行し、他方が第2回転方向において先行する。したがって、この構成において、切替のタイミングを決定する信号は、ロータ3の回転方向に応じて、第1ホール効果センサ17から、または第2ホール効果センサ17’から送信される。切替のタイミングに遅れる他方のホール効果センサ17、17’は、ロータ3の回転方向を判定するために、切替のタイミングを決定するために使用されるホール効果センサ17、17’と組み合わせて使用される。
【0030】
したがって、この構成により、2つのホール効果センサ17、17’をプリント回路に配置しつつ小径の制御磁石19を使用することができ、これにより、小さい全体寸法の電気モータ1を提供することができる。更に、位相進み信号を供給するホール効果センサ17、17’を使用することにより、ホール効果センサ17、17’が送信した信号の電子処理をする必要なく、より高い運転トルクを得ることができる。
【0031】
2つのセンサが同一の状態、または異なる状態を有し得ることに留意されたい。異なる状態は、切替が近傍にないことを意味し、同一の状態は、切替エリアが近傍にあることを示す。2つの切替動作をオフセットするために2つのセンサがオフセットされている場合、モータの回転方向を判定するために、一方の切替動作が他方より優先され得る。
【0032】
また、本発明は、上述の電気モータを制御するための方法に関する。本方法の種々のステップについて、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0033】
第1ステップ101は、ロータ3を回転駆動するように、ロータ3の位置に応じてコイル9に印加される所定の励磁信号のシーケンスを決定する予備ステップに関する。この決定は、ロータ3の角度位置に応じてコイル9が給電され得るようにインバータ10のスイッチ15の位置(開または閉)を決定することに対応する。
【0034】
第2ステップ102は、ホール効果センサ17または17’の一方が供給する信号に基づいて、励磁信号の切替のタイミングを決定することに対応する。励磁信号の切替のタイミングを決定するためのホール効果センサ17、17’の選択は、例えば、ロータ3の回転方向に依存する。このような場合、一方のホール効果センサをモータの位置を判定するために使用することができるとともに、他方のホール効果センサをロータの回転方向を判定するために使用することができる。
【0035】
ステップ103は、2つのホール効果センサ17および17’が供給する信号に基づいてロータ3の回転方向を判定することに対応する。
【0036】
ステップ104は、ステップ102で決定された切替のタイミングにしたがって、ステップ101で決定された励磁信号のシーケンスを印加することに関する。
【0037】
制御磁石19の中心と第1ホール効果センサ17および第2ホール効果センサ17’とをそれぞれ通る2つの直線ΔとΔ’との間の角度が上述のように10°以上となるホール効果センサのレイアウトを利用することにより、位相進み信号が得られるため、より高い運転トルクが得られる。この位相進みは、ホール効果センサ17、17’により送信された信号の電子処理をする必要なく得ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】