(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本開示は、Campylobacterに特異的であり、ある特定の実施形態では、被験体におけるCampylobacter感染を中和することができる抗体およびその抗原結合性断片を提供する。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、例えば分泌型IgA抗体などのIgA抗体を含む。開示される抗体または抗原結合性断片を含む医薬組成物も提供される。被験体におけるCampylobacter感染を処置または防止するために抗体、抗原結合性断片、および組成物を使用する方法も提供される。ある特定の実施形態では、本開示の組換え分泌型IgA抗体を、Campylobacter感染を有するまたはそれが発生するリスクがある被験体に経口投与する。
前記抗体または抗原結合性断片が、前記FliDエピトープに、ELISAによって測定して約0.1μg/mL未満、または約0.05μg/mL未満、または約0.03μg/mL未満のEC50で結合することができる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記抗体または抗原結合性断片が、in vitro細胞運動性アッセイにおける前記Campylobacterの運動性を低下させることができる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記抗体または抗原結合性断片が、被験体におけるCampylobacter感染を中和することができる、請求項1から5までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記Campylobacterが、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、またはその両方を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記Campylobacterが、C.jejuni 81−176、C.coli 10092/ATB、またはその両方を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記抗体または抗原結合性断片が、親抗体または抗原結合性断片と比較して、可変領域内に生殖細胞系列でコードされるアミノ酸を少なくとももう1つ含み、ただし、前記親抗体または抗原結合性断片は1つまたは複数の体細胞変異を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記抗体または抗原結合性断片が、IgA、IgG、IgD、IgE、またはIgMアイソタイプである、請求項1から12までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
前記抗体または抗原結合性断片が、キメラ抗体もしくは抗原結合性断片、ヒト化抗体もしくは抗原結合性断片、またはヒト抗体もしくは抗原結合性断片である、請求項1から21までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片。
(i)前記第1の抗体または抗原結合性断片が、それぞれ配列番号9〜14に従ったHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含み、
(ii)前記第2の抗体または抗原結合性断片が、それぞれ配列番号25〜30に従ったHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3の配列を含む、
請求項24に記載のキット。
(i)前記第1の抗体または抗原結合性断片が、配列番号2に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVHおよび配列番号4に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、
(ii)前記第2の抗体または抗原結合性断片が、配列番号22に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVHおよび配列番号24に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVLを含む、
請求項24または25に記載のキット。
前記第1の抗体または抗原結合性断片と前記第2の抗体または抗原結合性断片が、それぞれ同じアイソタイプである、請求項24から27までのいずれか一項に記載のキット。
(i)配列番号1、5、7、8、21、37、または38のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも75%の同一性を有する、VHをコードするポリヌクレオチド;
(ii)配列番号3、6、23、または39に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも75%の同一性を有する、VLをコードするポリヌクレオチド;および/または
(iii)それぞれ配列番号15〜20、またはそれぞれ配列番号31〜36に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、HCDR1をコードする配列、HCDR2をコードする配列、HCDR3をコードする配列、LCDR1をコードする配列、LCDR2をコードする配列、およびLCDR3をコードする配列
を含む、請求項30または31に記載の単離されたポリヌクレオチド。
前記宿主細胞がCHO細胞、HEK293細胞、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、ヒト肝細胞、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞である、請求項35に記載の組換え宿主細胞。
請求項1から22までのいずれか一項に記載の抗体または抗原結合性断片を作製する方法であって、請求項34から36までのいずれか一項に記載の組換え宿主細胞を、前記抗体または抗原結合性断片の発現に適した条件下で、かつ、それに適した時間にわたって培養することを含む方法。
被験体におけるCampylobacter感染を処置するための方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合性断片、または有効量の請求項23に記載の組成物を投与することを含む方法。
Campylobacter感染を有する被験体における腸炎症を低減するための方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合性断片、または有効量の請求項23に記載の組成物を投与することを含む方法。
Campylobacter感染を有する被験体によるCampylobacterの腸からの排出を増加させる方法であって、前記被験体に、有効量の請求項1から22までのいずれか一項に記載の抗体もしくは抗原結合性断片、または有効量の請求項23に記載の組成物を投与することを含む方法。
前記投与することが、前記抗体、抗原結合性断片、または組成物を前記被験体に2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれよりも多く投与することを含む、請求項38から42までの請求項のいずれか一項に記載の方法。
前記方法が、前記抗体、抗原結合性断片、または組成物を前記被験体に複数回投与することを含み、第2のまたは逐次的な投与が、それぞれ第1のまたは前の投与の約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、約12時間後、約24時間後、約48時間後、約74時間後、約96時間後、またはそれよりも後におこなわれる、請求項38から43までのいずれか一項に記載の方法。
前記抗体、抗原結合性断片、または組成物が前記被験体に、前記被験体が前記Campylobacterに感染する前に少なくとも1回投与される、請求項38から44までのいずれか一項に記載の方法。
前記投与の後に、前記被験体由来の便試料が、有効量の前記抗体、抗原結合性断片、または組成物が投与される前の前記被験体由来の便試料と比較して増加した数のCampylobacterコロニー形成単位(CFU)を含む、請求項38から45までのいずれか一項に記載の方法。
前記投与の後に、前記被験体由来の便試料が、有効量の前記抗体、抗原結合性断片、または組成物が投与される前の前記被験体由来の便試料と比較して減少した量のリポカリン−2(LCN2)を含む、請求項38から46までのいずれか一項に記載の方法。
前記投与の後に、前記被験体が、有効量の前記抗体、抗原結合性断片、または組成物が投与される前の前記被験体と比較して減少した量の多形核(PMN)細胞浸潤物を盲腸に含み、前記PMN細胞が、Gr1+CD11b+である、請求項38から47までのいずれか一項に記載の方法。
前記投与の後に、前記被験体は、有効量の前記抗体、抗原結合性断片、または組成物が投与される前の前記被験体と比較して改善された盲腸の組織学的検査所見を有する、請求項38から48までのいずれか一項に記載の方法。
前記投与の後に、前記抗体または抗原結合性断片が前記被験体の盲腸および/または糞便中に前記投与後少なくとも4時間にわたってまたは少なくとも8時間にわたって存在する、請求項38から49までのいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本開示のCampylobacter(「Campy」)反応性rSIgAのマウス微生物叢との交差反応性および幅を示す。
【0005】
【
図2】
図2は、本開示のCampy反応性rSIgAの細菌運動性を限定する能力を調査する細菌運動性アッセイの設計を示す。
【0006】
【
図3】
図3は、
図2に示した実験の結果を示す。培養プレートは以下の通りであった:(左から右に)=偽感染;mAbなし;対照rSIgA;Campy反応性rSIgA。
【0007】
【
図4A】
図4Aは、10
9CFUのCampylobacter jejuni 81−176株を感染させる1時間前にCampy反応性rSIgAの予防投薬を受け、その後、感染の6時間後にrSIgAの第2の投薬を受けたC57BL/6マウスの便中のヒトIgAでコーティングされた細菌に関するFACS分析を示す。示されている通り、感染の4時間後、6時間後、および9時間後に便試料を取得した。
【0008】
【
図4B】
図4Bは、無感染マウス(左)と感染マウス(右)の便中の抗ヒトIgAでコーティングされた細菌を示す。
【0009】
【
図5A】
図5Aおよび5Bは、(A)感染の24時間後および(B)感染の72時間後の、処置を受けた動物および処置を受けていない動物におけるCampylobacterの排出を示す。
【
図5B】
図5Aおよび5Bは、(A)感染の24時間後および(B)感染の72時間後の、処置を受けた動物および処置を受けていない動物におけるCampylobacterの排出を示す。
【0010】
【
図6】
図6は、感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中のリポカリン−2のELISAによる数量化を示す。
【0011】
【
図7A】
図7A〜7Eは、FliDに結合する本開示の例示的な抗体であるCAA1およびCCG4(rSIgAと表される)に関するin vitroにおける特徴付けを示す。(A)ELISAによって測定した、CAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのコーティングされた組換えFliDへの結合。3種のmAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(B)バイオレイヤー干渉法(BLI)によって実施した交差競合試験。FliD抗原をAPSセンサーに固定化し、次いで、CAA1と一緒にインキュベートした後、1%BSAを伴うCGG4、CAA1またはPBSと会合させた。(C)還元および変性条件下でのCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのFliD抗原(70KDa)への結合に関するウエスタンブロット分析。(D)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(E)共焦点顕微鏡で観察されたCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgA2のC.jejuniへの結合。細菌はSyto BCを使用して染色し、一方mAbはAF647とコンジュゲートした抗ヒトIgAを使用して検出した。
【
図7B】
図7A〜7Eは、FliDに結合する本開示の例示的な抗体であるCAA1およびCCG4(rSIgAと表される)に関するin vitroにおける特徴付けを示す。(A)ELISAによって測定した、CAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのコーティングされた組換えFliDへの結合。3種のmAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(B)バイオレイヤー干渉法(BLI)によって実施した交差競合試験。FliD抗原をAPSセンサーに固定化し、次いで、CAA1と一緒にインキュベートした後、1%BSAを伴うCGG4、CAA1またはPBSと会合させた。(C)還元および変性条件下でのCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのFliD抗原(70KDa)への結合に関するウエスタンブロット分析。(D)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(E)共焦点顕微鏡で観察されたCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgA2のC.jejuniへの結合。細菌はSyto BCを使用して染色し、一方mAbはAF647とコンジュゲートした抗ヒトIgAを使用して検出した。
【
図7C】
図7A〜7Eは、FliDに結合する本開示の例示的な抗体であるCAA1およびCCG4(rSIgAと表される)に関するin vitroにおける特徴付けを示す。(A)ELISAによって測定した、CAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのコーティングされた組換えFliDへの結合。3種のmAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(B)バイオレイヤー干渉法(BLI)によって実施した交差競合試験。FliD抗原をAPSセンサーに固定化し、次いで、CAA1と一緒にインキュベートした後、1%BSAを伴うCGG4、CAA1またはPBSと会合させた。(C)還元および変性条件下でのCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのFliD抗原(70KDa)への結合に関するウエスタンブロット分析。(D)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(E)共焦点顕微鏡で観察されたCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgA2のC.jejuniへの結合。細菌はSyto BCを使用して染色し、一方mAbはAF647とコンジュゲートした抗ヒトIgAを使用して検出した。
【
図7D】
図7A〜7Eは、FliDに結合する本開示の例示的な抗体であるCAA1およびCCG4(rSIgAと表される)に関するin vitroにおける特徴付けを示す。(A)ELISAによって測定した、CAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのコーティングされた組換えFliDへの結合。3種のmAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(B)バイオレイヤー干渉法(BLI)によって実施した交差競合試験。FliD抗原をAPSセンサーに固定化し、次いで、CAA1と一緒にインキュベートした後、1%BSAを伴うCGG4、CAA1またはPBSと会合させた。(C)還元および変性条件下でのCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのFliD抗原(70KDa)への結合に関するウエスタンブロット分析。(D)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(E)共焦点顕微鏡で観察されたCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgA2のC.jejuniへの結合。細菌はSyto BCを使用して染色し、一方mAbはAF647とコンジュゲートした抗ヒトIgAを使用して検出した。
【
図7E】
図7A〜7Eは、FliDに結合する本開示の例示的な抗体であるCAA1およびCCG4(rSIgAと表される)に関するin vitroにおける特徴付けを示す。(A)ELISAによって測定した、CAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのコーティングされた組換えFliDへの結合。3種のmAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(B)バイオレイヤー干渉法(BLI)によって実施した交差競合試験。FliD抗原をAPSセンサーに固定化し、次いで、CAA1と一緒にインキュベートした後、1%BSAを伴うCGG4、CAA1またはPBSと会合させた。(C)還元および変性条件下でのCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgAのFliD抗原(70KDa)への結合に関するウエスタンブロット分析。(D)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(E)共焦点顕微鏡で観察されたCAA1、CCG4およびHGN194 rSIgA2のC.jejuniへの結合。細菌はSyto BCを使用して染色し、一方mAbはAF647とコンジュゲートした抗ヒトIgAを使用して検出した。
【0012】
【
図8A】
図8A〜8Dは、離乳したばかりのC57BL/6マウスがC.jejuni感染に対して高度に感受性であることを示す。(A〜C)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスに10
8CFUのC.jejuniを経口感染させた。感染の6日後に、感染した動物の便中の(A)細菌負荷量(CFU)、および(B)リポカリン2(LCN2)を決定した。(C)感染の6日後の、感染マウス由来の盲腸の代表的なH&E切片および病理組織学的スコアの統計解析。白色の矢印:粘膜下炎症;白色のアスタリスク:杯細胞の数の減少を伴う陰窩過形成;黒色のアスタリスク:上皮剥離;黒色の矢印:粘膜炎症。スケールバー:200μm。(D)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中IgA濃度の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図8B】
図8A〜8Dは、離乳したばかりのC57BL/6マウスがC.jejuni感染に対して高度に感受性であることを示す。(A〜C)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスに10
8CFUのC.jejuniを経口感染させた。感染の6日後に、感染した動物の便中の(A)細菌負荷量(CFU)、および(B)リポカリン2(LCN2)を決定した。(C)感染の6日後の、感染マウス由来の盲腸の代表的なH&E切片および病理組織学的スコアの統計解析。白色の矢印:粘膜下炎症;白色のアスタリスク:杯細胞の数の減少を伴う陰窩過形成;黒色のアスタリスク:上皮剥離;黒色の矢印:粘膜炎症。スケールバー:200μm。(D)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中IgA濃度の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図8C】
図8A〜8Dは、離乳したばかりのC57BL/6マウスがC.jejuni感染に対して高度に感受性であることを示す。(A〜C)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスに10
8CFUのC.jejuniを経口感染させた。感染の6日後に、感染した動物の便中の(A)細菌負荷量(CFU)、および(B)リポカリン2(LCN2)を決定した。(C)感染の6日後の、感染マウス由来の盲腸の代表的なH&E切片および病理組織学的スコアの統計解析。白色の矢印:粘膜下炎症;白色のアスタリスク:杯細胞の数の減少を伴う陰窩過形成;黒色のアスタリスク:上皮剥離;黒色の矢印:粘膜炎症。スケールバー:200μm。(D)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中IgA濃度の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図8D】
図8A〜8Dは、離乳したばかりのC57BL/6マウスがC.jejuni感染に対して高度に感受性であることを示す。(A〜C)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスに10
8CFUのC.jejuniを経口感染させた。感染の6日後に、感染した動物の便中の(A)細菌負荷量(CFU)、および(B)リポカリン2(LCN2)を決定した。(C)感染の6日後の、感染マウス由来の盲腸の代表的なH&E切片および病理組織学的スコアの統計解析。白色の矢印:粘膜下炎症;白色のアスタリスク:杯細胞の数の減少を伴う陰窩過形成;黒色のアスタリスク:上皮剥離;黒色の矢印:粘膜炎症。スケールバー:200μm。(D)12日齢、21日齢および56日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中IgA濃度の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0013】
【
図9A】
図9A〜9Dは、離乳したばかりのマウスにおける、経口投与されたCAA1およびCCG4 rSIgA2のC.jejuni感染に対する予防活性を示す。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8cfuのC.jejuniを感染させる2時間前に、PBS中200μgの示されているmAbを強制飼養することによって経口投与した。(A)C.jejuni感染の24時間後、48時間後および72時間後の糞便中細菌負荷量(CFU)を決定した。(B)便中のリポカリン−2(LCN)レベル。(C)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる多形核(PMN)細胞浸潤物の統計解析。(D)感染の72時間後に、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアを決定した。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図9B】
図9A〜9Dは、離乳したばかりのマウスにおける、経口投与されたCAA1およびCCG4 rSIgA2のC.jejuni感染に対する予防活性を示す。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8cfuのC.jejuniを感染させる2時間前に、PBS中200μgの示されているmAbを強制飼養することによって経口投与した。(A)C.jejuni感染の24時間後、48時間後および72時間後の糞便中細菌負荷量(CFU)を決定した。(B)便中のリポカリン−2(LCN)レベル。(C)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる多形核(PMN)細胞浸潤物の統計解析。(D)感染の72時間後に、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアを決定した。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図9C】
図9A〜9Dは、離乳したばかりのマウスにおける、経口投与されたCAA1およびCCG4 rSIgA2のC.jejuni感染に対する予防活性を示す。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8cfuのC.jejuniを感染させる2時間前に、PBS中200μgの示されているmAbを強制飼養することによって経口投与した。(A)C.jejuni感染の24時間後、48時間後および72時間後の糞便中細菌負荷量(CFU)を決定した。(B)便中のリポカリン−2(LCN)レベル。(C)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる多形核(PMN)細胞浸潤物の統計解析。(D)感染の72時間後に、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアを決定した。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図9D】
図9A〜9Dは、離乳したばかりのマウスにおける、経口投与されたCAA1およびCCG4 rSIgA2のC.jejuni感染に対する予防活性を示す。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8cfuのC.jejuniを感染させる2時間前に、PBS中200μgの示されているmAbを強制飼養することによって経口投与した。(A)C.jejuni感染の24時間後、48時間後および72時間後の糞便中細菌負荷量(CFU)を決定した。(B)便中のリポカリン−2(LCN)レベル。(C)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる多形核(PMN)細胞浸潤物の統計解析。(D)感染の72時間後に、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアを決定した。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0014】
【
図10A】
図10A〜10Dは、CAA1 SIgA1およびSIgA2がC.jejuni感染に対して同様の予防活性を有することを。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、CAA1をrSIgA1またはrSIgA2として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図10B】
図10A〜10Dは、CAA1 SIgA1およびSIgA2がC.jejuni感染に対して同様の予防活性を有することを。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、CAA1をrSIgA1またはrSIgA2として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図10C】
図10A〜10Dは、CAA1 SIgA1およびSIgA2がC.jejuni感染に対して同様の予防活性を有することを。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、CAA1をrSIgA1またはrSIgA2として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図10D】
図10A〜10Dは、CAA1 SIgA1およびSIgA2がC.jejuni感染に対して同様の予防活性を有することを。(A〜D)21日齢のC57BL/6マウスに、10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、CAA1をrSIgA1またはrSIgA2として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0015】
【
図11A】
図11A〜11Dは、IgGへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CAA1予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスに、CAA1をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図11B】
図11A〜11Dは、IgGへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CAA1予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスに、CAA1をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図11C】
図11A〜11Dは、IgGへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CAA1予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスに、CAA1をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図11D】
図11A〜11Dは、IgGへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CAA1予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスに、CAA1をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後、48時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)Gr1
+CD11b
+としてゲーティングされる、盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化。(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0016】
【
図12-1】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-2】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-3】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-4】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-5】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-6】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-7】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-8】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-9】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-10】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-11】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-12】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-13】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-14】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-15】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-16】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-17】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-18】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-19】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-20】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-21】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-22】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-23】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-24】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-25】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-26】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-27】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-28】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-29】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-30】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-31】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【
図12-32】
図12は、FliDアミノ酸配列保存の解析を示す。C.jejuniおよびC.coli分離株由来のFliDアミノ酸配列をGenBankから検索し、CLC Main Workbenchソフトウェア(Qiagen)を使用して解析した。配列ロゴの各文字の高さは、特定の部位におけるそのアミノ酸の保存のレベルを表す。FliDのコンセンサス配列が一番上に示されている。
【0017】
【
図13】
図13は、種々の扁桃試料由来のFliD反応性IgA
+およびIgG
+メモリーB細胞の頻度を示す。種々の扁桃試料についてのIgA
+(上のパネル)およびIgG
+(下のパネル)メモリーB細胞レパートリーのFliD抗原に対する反応性の分析が示されている。
【0018】
【
図14A】
図14A〜14Cは、FliD反応性mAbのマウス微生物叢との交差反応性および離乳したばかりのC57BL/6マウスの盲腸における持続性を示す。(A)C.jejuniまたはC.coliを偽感染または感染させたマウスの糞便微生物叢に対する示されているmAbの特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(B〜C)示されている時点での種々のマウス腸亜区画におけるHGN194(B)rSIgAおよび(C)rIgG抗体のELISAによる薬物動態学評価。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図14B】
図14A〜14Cは、FliD反応性mAbのマウス微生物叢との交差反応性および離乳したばかりのC57BL/6マウスの盲腸における持続性を示す。(A)C.jejuniまたはC.coliを偽感染または感染させたマウスの糞便微生物叢に対する示されているmAbの特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(B〜C)示されている時点での種々のマウス腸亜区画におけるHGN194(B)rSIgAおよび(C)rIgG抗体のELISAによる薬物動態学評価。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図14C】
図14A〜14Cは、FliD反応性mAbのマウス微生物叢との交差反応性および離乳したばかりのC57BL/6マウスの盲腸における持続性を示す。(A)C.jejuniまたはC.coliを偽感染または感染させたマウスの糞便微生物叢に対する示されているmAbの特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(B〜C)示されている時点での種々のマウス腸亜区画におけるHGN194(B)rSIgAおよび(C)rIgG抗体のELISAによる薬物動態学評価。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0019】
【
図15A】
図15A〜15Dは、種々のC.jejuni感染用量でのCAA1 rSIgAの予防活性を示すさらなるデータを提示する。(A〜B)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた24時間後、72時間後および120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中細菌負荷量(CFU)の数量化。(C〜D)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中リポカリン−2(LCN)の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図15B】
図15A〜15Dは、種々のC.jejuni感染用量でのCAA1 rSIgAの予防活性を示すさらなるデータを提示する。(A〜B)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた24時間後、72時間後および120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中細菌負荷量(CFU)の数量化。(C〜D)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中リポカリン−2(LCN)の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図15C】
図15A〜15Dは、種々のC.jejuni感染用量でのCAA1 rSIgAの予防活性を示すさらなるデータを提示する。(A〜B)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた24時間後、72時間後および120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中細菌負荷量(CFU)の数量化。(C〜D)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中リポカリン−2(LCN)の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図15D】
図15A〜15Dは、種々のC.jejuni感染用量でのCAA1 rSIgAの予防活性を示すさらなるデータを提示する。(A〜B)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた24時間後、72時間後および120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中細菌負荷量(CFU)の数量化。(C〜D)10
7または10
9CFUのC.jejuniを感染させた120時間後に測定した、200μgのCAA1 rSIgA2を強制飼養によって投与した21日齢のC57BL/6マウスにおける糞便中リポカリン−2(LCN)の数量化。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。少なくとも2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【0020】
【
図16A】
図16A〜16Dは、IgAアイソタイプスイッチがIgase感受性には影響を及ぼすが、FliD親和性または特異性には影響を及ぼさないことを示す。(A)PBSまたはNeisseria gonorrhoeae.からのrIgAプロテアーゼ(IgAse Pro−Pro−Y−Pro)と一緒に終夜(18時間)インキュベートしたCAA1 rSIgA1およびrSIgA2の変性非還元ゲル(1:SIgA1+PBS;2:SIgA2+PBS;3:SIgA1+Igase;4:SIgA2+Igase)。(B)ELISAによって測定したrSIgA1およびrSIgA2 CAA1のFliDへの結合。mAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(C)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(D)感染していない離乳したばかりのC57BL/6マウスの糞便微生物叢に対するCAA1 rSIgA1およびrSIgA2結合の代表的なヒストグラム。
【
図16B】
図16A〜16Dは、IgAアイソタイプスイッチがIgase感受性には影響を及ぼすが、FliD親和性または特異性には影響を及ぼさないことを示す。(A)PBSまたはNeisseria gonorrhoeae.からのrIgAプロテアーゼ(IgAse Pro−Pro−Y−Pro)と一緒に終夜(18時間)インキュベートしたCAA1 rSIgA1およびrSIgA2の変性非還元ゲル(1:SIgA1+PBS;2:SIgA2+PBS;3:SIgA1+Igase;4:SIgA2+Igase)。(B)ELISAによって測定したrSIgA1およびrSIgA2 CAA1のFliDへの結合。mAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(C)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(D)感染していない離乳したばかりのC57BL/6マウスの糞便微生物叢に対するCAA1 rSIgA1およびrSIgA2結合の代表的なヒストグラム。
【
図16C】
図16A〜16Dは、IgAアイソタイプスイッチがIgase感受性には影響を及ぼすが、FliD親和性または特異性には影響を及ぼさないことを示す。(A)PBSまたはNeisseria gonorrhoeae.からのrIgAプロテアーゼ(IgAse Pro−Pro−Y−Pro)と一緒に終夜(18時間)インキュベートしたCAA1 rSIgA1およびrSIgA2の変性非還元ゲル(1:SIgA1+PBS;2:SIgA2+PBS;3:SIgA1+Igase;4:SIgA2+Igase)。(B)ELISAによって測定したrSIgA1およびrSIgA2 CAA1のFliDへの結合。mAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(C)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(D)感染していない離乳したばかりのC57BL/6マウスの糞便微生物叢に対するCAA1 rSIgA1およびrSIgA2結合の代表的なヒストグラム。
【
図16D】
図16A〜16Dは、IgAアイソタイプスイッチがIgase感受性には影響を及ぼすが、FliD親和性または特異性には影響を及ぼさないことを示す。(A)PBSまたはNeisseria gonorrhoeae.からのrIgAプロテアーゼ(IgAse Pro−Pro−Y−Pro)と一緒に終夜(18時間)インキュベートしたCAA1 rSIgA1およびrSIgA2の変性非還元ゲル(1:SIgA1+PBS;2:SIgA2+PBS;3:SIgA1+Igase;4:SIgA2+Igase)。(B)ELISAによって測定したrSIgA1およびrSIgA2 CAA1のFliDへの結合。mAbの段階希釈物を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で1時間インキュベートした。ビオチン化抗ヒトSC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を実施した。(C)C.jejuniおよびC.coliの純粋培養物に対する示されているmAbのin vitroにおける特異的結合の代表的なヒストグラム。3回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。(D)感染していない離乳したばかりのC57BL/6マウスの糞便微生物叢に対するCAA1 rSIgA1およびrSIgA2結合の代表的なヒストグラム。
【0021】
【
図17A】
図17A〜17Dは、IgGフォーマットへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CCG4の予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスにCCg4をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)感染の72時間後の盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化、および(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図17B】
図17A〜17Dは、IgGフォーマットへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CCG4の予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスにCCg4をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)感染の72時間後の盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化、および(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図17C】
図17A〜17Dは、IgGフォーマットへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CCG4の予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスにCCg4をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)感染の72時間後の盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化、および(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【
図17D】
図17A〜17Dは、IgGフォーマットへの変換により、C.jejuni感染に対する経口CCG4の予防活性が低下することを示す。(A〜D)10
8CFUのC.jejuniを感染させる2時間前に、21日齢のC57BL/6マウスにCCg4をrSIgA2またはrIgG1として200μgを強制飼養することによって経口投与した。(A)感染の24時間後および72時間後の動物の便中の細菌負荷量(CFU)の数量化。(B)感染の72時間後の盲腸に浸潤した多形核細胞の代表的なドットプロットおよび相対的な数量化。(C)便中のリポカリン−2(LCN)の数量化、および(D)感染の72時間後の、異なる処置条件下での盲腸における病理組織学的スコアの統計解析。ドットは個々のマウスを表し、結果は±SEMとして表されている。マン・ホイットニー検定(A〜D)を使用した。
*p<0.05、
**p<0.01。2回の実験のうちの代表的な1回の実験が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
Campylobacterに特異的な抗体および抗原結合性断片、それを含む組成物、ならびに、被験体におけるCampylobacter感染を処置する(例えば、低減する、遅延させる、排除する、または防止する)ための、抗体および組成物の使用方法が本明細書に提示される。一部の実施形態では、本開示の抗体は、二量体IgA分子などのIgA分子を含む。ある特定の実施形態では、本開示のIgA抗体は、本明細書に記載の分泌形態(SIgA)で提供される。本開示の抗体および抗原結合性断片の投与、例えば、ここに開示されるSIgAの経口送達による投与により、重症新生児胃腸炎に関連するCampylobacterの種などのCampylobacterによる感染を処置することができる。
【0023】
背景として、Campylobacterは、世界的に確立された下痢の原因であり、最近、抗生物質耐性によりヒト健康に対する世界的脅威が提起され得る細菌のWHOリストに加えられた(World Health Organization(WHO)、2017)。Campylobacterの疫学は、この細菌との遭遇が散発的である高所得国と、幼児期の感染がほぼ普遍的であり、乳児における生命を脅かす急性水様下痢の主要な原因になっている低所得および中所得国との間で異なる(Riddle and Guerry, Vaccine, 34:2903-2906 (2016))。
【0024】
主要な人畜共通感染症であることを考慮すると、Campylobacter感染は、汚染された加熱不十分な動物肉(家禽が主要な細菌保有宿主である)、水または低温殺菌されていない牛乳の消費に主に関連付けられる(Kaakoush et al., Clin.Microbiol.Rev., 28:687-720 (2015))。Campylobacter jejuniおよびC.coliがヒトにおけるCampylobacter腸炎の主要な原因である(Man, Nat.Rev.Gastroenterol.Hepatol., 8:669-685 (2011))。
【0025】
カンピロバクター症は、一般には、平均で6日間続く水様または血性下痢、発熱、体重減少、および痙攣を特徴とする急性胃腸疾病をもたらすKaakoush et al., Clin.Microbiol.Rev., 28:687-720 (2015);World Health Organization (WHO) (2013))。Campylobacter腸炎に付随する重症脱水は、特に発展途上国における新生児および小児の死亡の重要な原因である(Platts-Mills et al., Lancet Glob.Health., 3: e564-75 (2015))。さらに、C.jejuni感染は、ギラン・バレー症候群(GBS)などの自己免疫性状態(Islam et al., PLoS One, 7: e43976 (2012);Yuki et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A., 101:11404-11409 (2004))および炎症性腸疾患(IBD)(Gradel et al., Gastroenterology, 137:495-501 (2009))の発症に一貫して結び付けられてきた。
【0026】
実験動物モデルおよびヒト健康志願者試験の両方で示されている通り、Campylobacterの毒力および病原性には鞭毛に媒介される運動性が重要であると考えられる(Black et al., J.Infect.Dis., 157:472-479 (1988);Morooka et al., J.Gen.Microbiol., 131:1973-1980 (1985))。しかし、鞭毛の主要な構成物であるフラジェリン(FlaA)は、同じC.jejuni種内であってさえ高レベルの保存を示さず、また、その多数のグリコシル化パターンは株および成長相に応じて著しく変動する(Parkhill et al., Nature, 403:665-668 (2000);Thibault et al., J.Biol.Chem., 276:34862-34870 (2001))。組換え非グリコシル化形態のC.jejuniフラジェリンは免疫原性が低いことが臨床試験において示され(Riddle and Guerry, Vaccine, 34:2903-2906 (2016))これにより、FlaAが治療の標的として難しいものになっている。さらに、C.jejuniをワクチンに使用する可能性は、細菌リポオリゴ糖(LOS)のガングリオシド模倣物に付随するGBS発生のリスクによって限定されている(Riddle and Guerry, Vaccine, 34:2903-2906 (2016))。
【0027】
これらの欠点に起因して、現在、Campylobacter感染を防止するための世界的な規制当局に認可されたワクチンは存在しない。補水が主要な治療形態であり、また、重症感染では抗生物質が有益であることが示されているが、抗生物質耐性が急速に発生することに起因して推奨されないことも多い。感染から回復した場合であっても、低所得国における乳児のCampylobacterを含めた腸内病原体への継続的な曝露が、栄養分の吸収不良、成長不良、認知発達障害、微生物叢の変化、および経口ワクチン接種に対する応答性の低下に関連する小腸の無症状の慢性炎症である環境性腸疾患(EE)/環境性腸内機能障害(EED)に結び付けられている(Watanabe and Petri, EBioMedicine, 10:25-32 (2016))。
【0028】
本開示は、Campylobacter鞭毛キャッピングタンパク質FliDに結合する抗体および抗原結合性断片を提供する。本開示による抗体は、Campylobacterの運動性を有利に限定し、本開示に記載のCampylobacter感染の動物モデルにおいて、Campylobacter感染クリアランスを追加刺激し、上皮損傷および多形核(PMN)細胞浸潤に関連する炎症マーカーのレベルを有意に低下させることができる。
【0029】
本開示のCampylobacter FliDに特異的な抗体または抗原結合性断片、抗体または抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含有するベクター、ならびに抗体もしくは抗原結合性断片を発現し、かつ/または本開示のポリヌクレオチドもしくはベクターを含むもしくは含有する宿主細胞を含む組成物も本明細書に提示される。Campylobacter感染を処置するため、および/または付随する症状を低減するための方法および使用も提供される。
【0030】
Campylobacter感染を研究するための非ヒト動物モデルも提供される。
【0031】
本開示をより詳細に記載する前に、本開示を理解するために本明細書で使用される特定の用語の定義を提示することが役立ち得る。追加的な定義が本開示全体を通して記載される。
【0032】
本説明では、濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲はいずれも、別段の指定のない限り、記載されている範囲内のあらゆる整数の値、および、適切な場合にはその分率(整数の10分の1および100分の1など)を含むものと理解されるべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズまたは厚さなどの任意の物理的特色に関する本明細書に記載の数の範囲はいずれも、別段の指定のない限り、記載されている範囲内のあらゆる整数を含むものと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段の指定のない限り、示されている範囲、値、または構造の±20%を意味する。「1つの(a)」および「1つの(an)」という用語は、本明細書で使用される場合、列挙されている構成成分の「1つまたは複数(one or more)」を指すことが理解されるべきである。選択肢(例えば、「または(or)」)は、選択肢の一方、両方、またはこれらの任意の組合せのいずれかを意味するものと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「含む(include)」、「有する(have)」、および「含む(comprise)」という用語は同義に使用され、これらの用語およびその変形は、非限定的なものと解釈されることが意図されている。
【0033】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される要素、構成成分、事象、または状況が存在してもしなくてもよいこと、ならびに、記載には、要素、構成成分、事象、または状況が存在する例およびそれらが存在しない例が含まれることを意味する。
【0034】
さらに、本明細書に記載の構造およびサブユニットの種々の組合せに由来する個々の構築物または構築物の群は、各構築物または構築物の群が個別に記載されているものと同じ程度に本出願により開示されることが理解されるべきである。したがって、特定の構造または特定のサブユニットの選択は本開示の範囲内に入る。
【0035】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」と等価ではなく、請求項の指定の材料もしくはステップ、または特許請求された主題の基本的な特徴に実質的な影響を及ぼさない指定の材料もしくはステップを指す。例えば、タンパク質ドメイン、領域、もしくはモジュール(例えば、結合性ドメイン、ヒンジ領域、もしくはリンカー)またはタンパク質(1つもしくは複数のドメイン、領域、もしくはモジュールを有し得る)は、ドメイン、領域、モジュール、もしくはタンパク質のアミノ酸配列(例えば、アミノ末端またはカルボキシ末端またはドメイン間にあるアミノ酸)に含まれる伸長、欠失、変異、またはこれらの組合せの、ドメイン、領域、モジュール、もしくはタンパク質の長さへの寄与が、組み合わせて最大で20%(例えば、最大で15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)であり、ドメイン(複数可)、領域(複数可)、モジュール(複数可)、もしくはタンパク質の活性(例えば、結合性タンパク質の標的結合親和性)に実質的な影響を及ぼさない(すなわち、活性を50%よりも大きく、例えば、40%よりも大きく、30%よりも大きく、25%よりも大きく、20%よりも大きく、15%よりも大きく、10%よりも大きく、5%よりも大きく、または1%よりも大きくは低下させない)ものであれば、特定のアミノ酸配列「から本質的になる(consists essentially of)」。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣物を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後に修飾されているアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基と結合したα−炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する化学化合物を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「変異」は、核酸分子またはポリペプチド分子の、それぞれ参照または野生型核酸分子またはポリペプチド分子と比較した配列の変化を指す。変異の結果、ヌクレオチド(複数可)またはアミノ酸(複数可)の置換、挿入または欠失を含めたいくつかの異なる型の配列の変化が生じ得る。
【0038】
「保存的置換」とは、特定のタンパク質の結合特徴に著しく影響しないまたはそれを著しく変更させないアミノ酸置換を指す。一般に、保存的置換は、置換されるアミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。保存的置換は、以下の群のうちの1つにおいて見いだされる置換を含む:群1:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT);群2:アスパラギン酸(AspまたはD)、グルタミン酸(GluまたはZ);群3:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);群4:アルギニン(ArgまたはR)、リシン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);群5:イソロイシン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);および群6:フェニルアラニン(PheまたはF)、チロシン(TyrまたはY)、トリプトファン(TrpまたはW)。それに加えて、またはその代わりに、アミノ酸を、同様の機能、化学構造、または組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、または硫黄含有)によって保存的置換群に群分けすることができる。例えば、脂肪族群分けは、置換目的に関して、Gly、Ala、Val、Leu、およびIleを含み得る。他の保存的置換群としては、硫黄含有:Metおよびシステイン(CysまたはC);酸性:Asp、Glu、Asn、およびGln;低分子脂肪族、非極性またはわずかに極性を有する残基:Ala、Ser、Thr、Pro、およびGly;極性、負に荷電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、およびGln;極性、正に荷電した残基:His、Arg、およびLys;高分子脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、およびCys;ならびに高分子芳香族残基:Phe、Tyr、およびTrpが挙げられる。追加的な情報は、Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman and Companyに見いだすことができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」または「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指す。タンパク質は、天然に存在するアミノ酸ポリマー、ならびに1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸ポリマーの人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマーに適用される。本開示のタンパク質、ペプチド、およびポリペプチドのバリアントも意図されている。ある特定の実施形態では、バリアントタンパク質、ペプチド、およびポリペプチドは、本明細書に記載の定義されたまたは参照アミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.9%同一であるアミノ酸配列を含む、またはそれからなる。
【0040】
「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」または「ポリ核酸」は、天然のサブユニット(例えば、プリンまたはピリミジン塩基)で構成されたものであっても非天然サブユニット(例えば、モルホリン環)で構成されたものであってもよい、共有結合により連結したヌクレオチドを含む高分子化合物を指す。プリン塩基は、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、およびキサンチンを含み、ピリミジン塩基は、ウラシル、チミン、およびシトシンを含む。核酸分子は、mRNA、マイクロRNA、siRNA、ウイルスゲノムRNA、および合成RNAを含むポリリボ核酸(RNA)、ならびにcDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含むポリデオキシリボ核酸(DNA)を含み、これらはいずれも一本鎖であっても二本鎖であってもよい。一本鎖である場合、核酸分子は、コード鎖であっても非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。アミノ酸配列をコードする核酸分子は、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列の一部のバージョンは、イントロン(複数可)が転写と同時のまたは転写後の機序によって取り除かれる限りはイントロン(複数可)も含んでよい。言い換えれば、遺伝暗号重複性または縮退の結果として、またはスプライシングにより、異なるヌクレオチド配列が同じアミノ酸配列をコードし得る。
【0041】
本開示の核酸分子のバリアントも意図されている。バリアント核酸分子は、本明細書に記載の定義されたまたは参照ポリヌクレオチドの核酸分子と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%同一であり、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは99.9%同一であることが好ましい、または、0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、約65〜68℃、もしくは0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミド、約42℃というストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でポリヌクレオチドにハイブリダイズする。核酸分子バリアントは、標的分子への結合などの本明細書に記載の機能性を有するその結合性ドメインをコードする能力を保持する。
【0042】
「パーセント配列同一性」は、配列を比較することによって決定される、2つまたはそれよりも多くの配列間の関係を指す。配列同一性を決定するための好ましい方法は、比較される配列間の最良の一致がもたらされるように設計される。例えば、最適に比較するために配列をアラインメントする(例えば、最適なアラインメントのために第1のアミノ酸配列または核酸配列と第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができる)。さらに、比較する目的で非相同配列を無視することができる。本明細書において参照されるパーセント配列同一性は、別段の指定のない限り、参照配列の長さにわたって算出される。配列同一性および類似性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータープログラムに見いだすことができる。配列アラインメントおよびパーセント同一性の算出は、BLASTプログラム(例えば、BLAST2.0、BLASTP、BLASTN、またはBLASTX)を使用して実施することができる。BLASTプログラムで使用される数学アルゴリズムは、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997に見いだすことができる。本開示の文脈内では、配列解析ソフトウェアを解析に使用する場合、解析の結果は、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解されよう。「デフォルト値」とは、最初の初期化時にソフトウェアに元々ロードされた任意の値またはパラメーターのセットを意味する。
【0043】
「単離された」という用語は、材料が元の環境(例えば、天然に存在する場合には天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物中に存在する天然に存在する核酸またはポリペプチドは単離されていないが、同じ核酸またはポリペプチドが、天然の系では共存している材料の一部または全部から分離されている場合、それは単離されたものである。そのような核酸は、ベクターの一部であり得る、かつ/またはそのような核酸もしくはポリペプチドは、組成物(例えば、細胞溶解物)の一部であり得るが、それでもなお、そのようなベクターまたは組成物が当該核酸またはポリペプチドの天然の環境の一部ではないという点で、単離されたものである。
【0044】
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNAまたはRNAのセグメントを意味する。遺伝子は、コード領域の前後の領域(例えば、5’非翻訳領域(UTR)および3’UTR)ならびに個々のコードセグメント(エクソン)の間の介在配列(イントロン)を含む。
【0045】
「機能的バリアント」とは、本開示の親または参照化合物と構造的に類似しているまたは実質的に構造的に類似しているが、組成がわずかに異なる(例えば、1つの塩基、原子または官能基が異なる、付加された、または除去された)ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指し、したがって、ポリペプチドまたはコードされるポリペプチドは、親ポリペプチドの少なくとも1つの機能を、少なくとも50%の効率で、好ましくは、親ポリペプチドの活性の少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のレベルで果たすことができる。言い換えれば、本開示のポリペプチドまたはコードされるポリペプチドの機能的バリアントは、結合親和性を測定するためのアッセイ(例えば、Biacore(登録商標)または会合定数(Ka)または解離定数(KD)を測定する四量体染色)などの選択されたアッセイにおいて親または参照ポリペプチドと比較して機能的バリアントが示す性能の低下が50%以下であれば、「同様の結合性」、「同様の親和性」または「同様の活性」を有する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「機能的部分」または「機能的断片」とは、親または参照化合物のドメイン、部分または断片のみを含むポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指し、ポリペプチドまたはコードされるポリペプチドは、親または参照化合物のドメイン、部分または断片に付随する少なくとも50%の活性、好ましくは親ポリペプチドの活性の少なくとも55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、もしくは100%のレベルを保持する、または、生物学的利益(例えば、エフェクター機能)をもたらす。本開示のポリペプチドまたはコードされるポリペプチドの「機能的部分」または「機能的断片」は、選択されたアッセイにおいて親もしくは参照ポリペプチドと比較して機能的部分または断片が示す性能の低下が50%以下(好ましくは20%以下もしくは10%以下、または親和性に関しては親もしくは参照と比較して対数差以下)であれば、「同様の結合性」または「同様の活性」を有する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「工学的に操作された」、「組換え」または「非天然」という用語は、少なくとも1つの遺伝子の変更を含む、または外因性もしくは異種核酸分子の導入によって改変された生物体、微生物、細胞、核酸分子、またはベクターを指し、そのような変更または改変は、遺伝子工学(すなわち、人為的な介入)によって導入される。遺伝子の変更としては、例えば、機能的なRNA、タンパク質、融合タンパク質もしくは酵素をコードする発現可能な核酸分子が導入される改変、または他の核酸分子の付加、欠失、置換、もしくは細胞の遺伝子材料の他の機能的破壊が挙げられる。追加的な改変としては、例えば、改変によりポリヌクレオチド、遺伝子、またはオペロンの発現が変更される非コード調節領域が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「異種」または「非内因性」または「外因性」とは、宿主細胞もしくは被験体に対してネイティブではない任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、もしくは活性、または、宿主細胞もしくは被験体に対してネイティブであるが変更されている任意の遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、もしくは活性を指す。異種、非内因性、または外因性とは、ネイティブな遺伝子と変更された遺伝子、タンパク質、化合物、または核酸分子の間で構造、活性、またはその両方が異なるように変異させたまたは他のやり方で変更された遺伝子、タンパク質、化合物、または核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、異種、非内因性、または外因性遺伝子、タンパク質、または核酸分子(例えば、受容体、リガンドなど)は、宿主細胞または被験体に対して内因性でなくてよく、その代わりに、そのような遺伝子、タンパク質、または核酸分子をコードする核酸は、コンジュゲーション、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔などによって宿主細胞に付加されたものであってよく、付加された核酸分子は、宿主細胞のゲノムに組み込まれていてもよく、染色体外遺伝子材料(例えば、プラスミドまたは他の自己複製性ベクター)として存在してもよい。「相同な」または「ホモログ」という用語は、宿主細胞、種、または系統において見いだされるまたはそれに由来する遺伝子、タンパク質、化合物、核酸分子、または活性を指す。例えば、ポリペプチドをコードする異種または外因性ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、ネイティブなポリヌクレオチドまたは遺伝子と相同であり得、相同なポリペプチドまたは活性をコードするが、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは変更された構造、配列、発現レベル、またはこれらの任意の組合せを有し得る。非内因性ポリヌクレオチドまたは遺伝子、ならびにコードされるポリペプチドまたは活性は、同じ種、異なる種、またはこれらの組合せに由来するものであり得る。
【0049】
ある特定の実施形態では、宿主細胞に対してネイティブな核酸分子もしくはその一部は、変更されているかもしくは変異している場合には宿主細胞に対して異種とみなされる、または、宿主細胞に対してネイティブな核酸分子は、異種発現制御配列を用いて変更されているかもしくは宿主細胞に対してネイティブな核酸分子に通常は付随しない内因性発現制御配列を用いて変更されている場合には異種とみなされ得る。さらに、「異種」という用語は、宿主細胞に対して異なる、変更された、または内因性ではない生物活性を指し得る。本明細書に記載の通り、1つよりも多くの異種核酸分子を、別々の核酸分子として、複数の個別に制御される遺伝子として、ポリシストロニックな核酸分子として、融合タンパク質をコードする単一の核酸分子として、またはこれらの任意の組合せで宿主細胞に導入することができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「内因性」または「ネイティブな」という用語は、宿主細胞または被験体に通常存在するポリヌクレオチド、遺伝子、タンパク質、化合物、分子、または活性を指す。
【0051】
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、遺伝子などの核酸分子のコード配列に基づいてポリペプチドが産生されるプロセスを指す。プロセスは、転写、転写後制御、転写後修飾、翻訳、翻訳後制御、翻訳後修飾、またはこれらの任意の組合せを含み得る。発現される核酸分子は、一般には、発現制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結している。
【0052】
「作動可能に連結」という用語は、単一の核酸断片上の2つまたはそれよりも多くの核酸分子の、一方の機能が他方の影響を受けるような会合を指す。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を及ぼすことができる場合、そのコード配列と作動可能に連結している(すなわち、コード配列はプロモーターによる転写制御下にある)。「連結していない」とは、付随する遺伝子エレメントが互いに密接に関連せず、一方の機能が他方に影響を及ぼさないことを意味する。
【0053】
本明細書に記載の通り、1つよりも多くの異種核酸分子を、別々の核酸分子として、複数の個別に制御される遺伝子として、ポリシストロニックな核酸分子として、融合タンパク質をコードする単一の核酸分子として、またはこれらの任意の組合せで宿主細胞に導入することができる。2つまたはそれよりも多くの異種核酸分子を宿主細胞に導入する場合、その2つまたはそれよりも多くの異種核酸分子を、単一の核酸分子として(例えば、単一のベクター上)、別々のベクター上で、宿主染色体の単一の部位もしくは多数の部位に組み込んで、またはこれらの任意の組合せで導入することができることが理解される。参照される異種核酸分子またはタンパク質活性の数は、宿主細胞に導入される別々の核酸分子の数ではなく、コード核酸分子の数またはタンパク質活性の数を指す。
【0054】
「構築物」という用語は、組換え核酸分子(または、文脈から明白に示される場合、本開示の融合タンパク質)を含有する任意のポリヌクレオチドを指す。(ポリヌクレオチド)構築物は、ベクター(例えば、細菌ベクター、ウイルスベクター)中に存在してもよく、ゲノムに組み込むこともできる。「ベクター」は、別の核酸分子を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、例えば、染色体内、非染色体内、半合成または合成核酸分子を含み得るプラスミド、コスミド、ウイルス、RNAベクターまたは直鎖状もしくは環状DNAもしくはRNA分子であり得る。本開示のベクターは、トランスポゾン系も含む(例えば、Sleeping Beauty、例えば、Geurts et al., Mol. Ther. 8: 108, 2003:Mates et al., Nat. Genet. 41: 753, 2009を参照されたい)。例示的なベクターは、自律複製することができるベクター(エピソームベクター)、ポリヌクレオチドを細胞ゲノムに送達することができるベクター(例えば、ウイルスベクター)、または連結した核酸分子を発現させることができるベクター(発現ベクター)である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」または「ベクター」は、適切な宿主における核酸分子の発現をもたらすことができる適切な制御配列と作動可能に連結した核酸分子を含有するDNA構築物を指す。そのような制御配列は、転写をもたらすためのプロモーター、そのような転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合性部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、ウイルス、または単に潜在的なゲノム挿入断片であり得る。ベクターは、適切な宿主に形質転換されたら、宿主ゲノムとは独立して複製し、機能することができる、または、一部の例では、ゲノムにそれ自体が組み込まれるもしくはベクターに含有されるポリヌクレオチドをベクター配列を伴わずにゲノム内に送達することができる。本明細書では、「プラスミド」、「発現プラスミド」、「ウイルス」、および「ベクター」は、多くの場合、互換的に使用される。
【0056】
「導入される」という用語は、核酸分子を細胞に挿入することに関しては、「トランスフェクション」、「形質転換」または「形質導入」を意味し、核酸分子を細胞のゲノム(例えば、染色体、プラスミド、色素体、またはミトコンドリアDNA)に組み込むこともでき、自律的なレプリコンに変換することもでき、一過性に発現させることもできる核酸分子の真核細胞または原核細胞への組み入れへの言及を含む(例えば、トランスフェクトされたmRNA)。
【0057】
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドをベクターのある特定のエレメントと作動可能に連結することができる。例えば、ライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングをもたらすために必要とされるポリヌクレオチド配列を作動可能に連結することができる。発現制御配列は、妥当な転写開始、終結、プロモーター、およびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;および場合によって、タンパク質分泌を増強する配列を含み得る。発現制御配列は、目的の遺伝子と隣接しており、発現制御配列がトランスにまたは目的の遺伝子が制御される距離で作用する場合、作動可能に連結し得る。
【0058】
ある特定の実施形態では、ベクターは、プラスミドベクターまたはウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクターまたはγ−レトロウイルスベクター)を含む。ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)、コロナウイルス、オルト−ミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)などのマイナス鎖RNAウイルス、ラブドウイルス(例えば、狂犬病および水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹およびセンダイ)、ピコルナウイルスおよびアルファウイルスなどのプラス鎖RNAウイルス、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス1型および2型、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス)、およびポックスウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、およびカナリアポックス)を含めた二本鎖DNAウイルスが挙げられる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポーバウイルス、ヘパドナウイルス、および肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血症肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV−BLV群、レンチウイルス、スプーマウイルスが挙げられる(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology, Third Edition, B. N. Fields et al., Eds., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, 1996)。
【0059】
「レトロウイルス」は、RNAゲノムを有するウイルスであり、RNAゲノムは、逆転写酵素を使用してDNAに逆転写され、次いで、逆転写されたDNAが宿主細胞のゲノムに組み入れられる。「ガンマレトロウイルス」は、Retroviridae科の属を指す。ガンマレトロウイルスの例としては、マウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、およびトリ細網内皮症ウイルスが挙げられる。
【0060】
「レンチウイルスベクター」は、遺伝子送達のためのHIVに基づくレンチウイルスベクターを含み、これは組込み型または非組込み型であり得、比較的大きなパッケージング容量を有し、様々な異なる細胞型に形質導入することができる。レンチウイルスベクターは、通常、3つ(パッケージング、エンベロープ、および移入)またはそれよりも多くのプラスミドを産生細胞に一過性トランスフェクションした後に生成される。HIVと同様に、レンチウイルスベクターは、標的細胞に、ウイルス表面糖タンパク質と細胞表面上の受容体の相互作用を通じて侵入する。侵入したら、ウイルスRNAは、ウイルス逆転写酵素複合体によって媒介される逆転写を受ける。逆転写産物は二本鎖直鎖状ウイルスDNAであり、これが感染細胞のDNAへのウイルスの組込みの基体になる。
【0061】
ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクターであり得る。他の実施形態では、ウイルスベクターは、より複雑なレトロウイルス由来ベクター、例えば、レンチウイルス由来ベクターであり得る。HIV−1由来ベクターがこのカテゴリーに属する。他の例としては、HIV−2、FIV、ウマ伝染性貧血ウイルス、SIV、およびマエディ−ビスナウイルス(ヒツジレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターが挙げられる。導入遺伝子を含有するウイルス粒子を用いて哺乳動物宿主細胞への形質導入を行うためにレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターならびにパッケージング細胞を使用する方法は当技術分野で公知であり、以前に、例えば、米国特許第8,119,772号;Walchli et al., PLoS One 6: 327930, 2011;Zhao et al., J. Immunol. 174: 4415, 2005;Engels et al., Hum. Gene Ther. 14: 1155, 2003;Frecha et al., Mol. Ther. 18: 1748, 2010;およびVerhoeyen et al., Methods Mol. Biol. 506: 97, 2009に記載されている。レトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクター構築物および発現系も市販されている。例えばアデノウイルスに基づくベクターおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターを含めたDNAウイルスベクター;アンプリコンベクター、複製欠損HSVおよび弱毒化HSVを含めた単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来するベクターを含めた他のウイルスベクターもポリヌクレオチド送達のために使用することができる(Krisky et al., Gene Ther. 5: 1517, 1998)。
【0062】
本開示の組成物および方法と共に使用することができる他のベクターとしては、バキュロウイルスに由来するベクターおよびα−ウイルスに由来するベクター(Jolly, D J. 1999. Emerging Viral Vectors. pp 209-40 in Friedmann T. ed. The Development of Human Gene Therapy. New York: Cold Spring Harbor Lab)、またはプラスミドベクター(例えば、sleeping beautyまたは他のトランスポゾンベクターなど)が挙げられる。
【0063】
ウイルスベクターゲノムが、宿主細胞において発現させる複数のポリヌクレオチドを別々の転写物として含む場合、ウイルスベクターは、バイシストロン性または多シストロン性発現を可能にするために、2つ(またはそれよりも多くの)転写物の間に追加的な配列も含み得る。ウイルスベクターに使用されるそのような配列の例としては、配列内リボソーム進入部位(IRES)、フューリン切断部位、ウイルス2Aペプチド、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「宿主」という用語は、目的のポリペプチド(例えば、本開示の抗体)を作製するための異種核酸分子を用いた遺伝子改変の標的とされる細胞または微生物を指す。
【0065】
宿主細胞は、ベクター、もしくは核酸の組み入れを受けることまたはタンパク質を発現させることができる任意の個々の細胞または細胞培養物を含み得る。この用語は、遺伝学的にまたは表現型的に同じであるか異なるかにかかわらず、宿主細胞の後代も包含する。適切な宿主細胞は、ベクターに依存し得、それらとして、哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および細菌細胞を挙げることができる。これらの細胞を、ウイルスベクター、リン酸カルシウム沈殿による形質転換、DEAE−デキストラン、電気穿孔、微量注射、または他の方法を使用してベクターまたは他の材料を組み入れるように誘導することができる。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, 1989)を参照されたい。
【0066】
本明細書で使用される場合、「鞭毛キャッピングタンパク質」は、「FliD」、および「フック関連タンパク質2(HAP2)」とも称され、C.jejuniおよびC.coli種にわたって高い配列保存を有するおよそ70kDaのタンパク質である(Chintoan-Uta et al., Vaccine, 34:1739-1743 (2016))(例えば、
図12;配列番号:43から95)。理論に束縛されることを望むものではないが、Campylobacter FliDオリゴマーは、フラジェリン分子のアセンブリを調節することによってフィラメントの末端成長を制御する、鞭毛の先端に位置するキャップタンパク質複合体を形成すると考えられる。フィラメント伸長におけるその機能的役割に起因して、FliD欠損変異体は、細菌運動性に欠陥を示す(Song et al., J.Mol.Biol., 429:847-857 (2017))。FliDは、ニワトリにおける天然の感染の間の細胞接着(Freitag et al., Cell.Microbiol., (2017))および免疫原性に関与することが提唱されている。
【0067】
「抗原」または「Ag」とは、本明細書で使用される場合、免疫応答を惹起する免疫原性分子を指す。この免疫応答は、抗体産生、特定の免疫コンピテント細胞の活性化、補体の活性化、抗体依存的な細胞傷害性、またはこれらの任意の組合せを伴い得る。抗原(免疫原性分子)は、例えば、ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、グリコポリペプチド、ポリヌクレオチド、多糖、脂質などであり得る。抗原は合成されていても組換えによって作製されたものであっても生体試料に由来するものであってもよいことが容易に明らかになる。1つまたは複数の抗原を含有し得る例示的な生体試料としては、組織試料、便試料、細胞、生体液、またはこれらの組合せが挙げられる。抗原は、抗原を発現するように改変または遺伝子操作された細胞によって産生され得る。抗原はまた、Campylobacterに存在するもの;例えば、FliDタンパク質またはその一部の場合もある。
【0068】
「エピトープ」または「抗原エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、または他の結合性分子、ドメイン、もしくはタンパク質などの同類の結合性分子が認識し、特異的に結合する任意の分子、構造、アミノ酸配列、またはタンパク質決定因子を含む。エピトープ決定因子は、一般に、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面群分けを含有し、特定の三次元構造的特徴、ならびに特定の電荷特徴を有することができる。抗原がペプチドまたはタンパク質であるかまたはそれを含む場合、エピトープは、連続したアミノ酸で構成され得る(例えば、直鎖状エピトープ)、またはタンパク質フォールディングによって近傍になるタンパク質の異なる部分もしくは領域に由来するアミノ酸(例えば、不連続もしくはコンフォメーショナルエピトープ)、もしくはタンパク質フォールディングとは無関係に極めて近傍にある連続していないアミノ酸で構成され得る。
【0069】
抗体、抗原結合性断片、および組成物
一態様では、本開示は、Campylobacter鞭毛キャッピングタンパク質(FliD)エピトープに特異的である、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。ある特定の実施形態では、エピトープは、コンフォメーショナルエピトープである。他の実施形態では、エピトープは、直鎖状エピトープである。
【0070】
本開示の抗体または抗原結合性断片は、FliDエピトープまたは抗原に「特異的」である、つまり、エピトープまたはエピトープを含む抗原とは会合または合体する一方で、試料中の他の分子または構成成分のいずれにも顕著には会合または合体しない。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、FliDとは会合または合体する(例えば、結合する)一方で、試料中の他の分子または構成成分(例えば、他のCampylobacterタンパク質を含めた他の抗原または潜在的な抗原)とは顕著には会合しない。ある特定の実施形態では、FliDに特異的な本開示の抗体または抗原結合性断片は、FliDエピトープに、ELISAによって測定して約0.1μg/mL未満、または約0.05μg/mL未満、または約0.03μg/mL未満のEC50で結合することができる。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、FliDエピトープに、約0.03μg/mL、または約0.025μg/mL、または約0.020μg/mLのEC50で結合することができる。
【0071】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、FliDエピトープに、ELISAによって測定して(例えば、OD 450nmの読み取りで)約0.1μg/mL未満(すなわち、約0.1μg/mL未満、約0.09μg/mL未満、約0.08μg/mL未満、約0.07μg/mL未満、約0.06μg/mL未満、約0.05μg/mL未満、約0.04μg/mL未満、約0.03μg/mL未満、約0.025μg/mL未満、または約0.02μg/mL未満、またはそれよりも小さい)EC50で結合することができる。ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、FliDエピトープに、ELISAによって測定して(例えば、OD 450nmの読み取りで)約0.05μg/mL未満、または約0.03μg/mL未満のEC50で結合することができる。
【0072】
抗体または抗原結合性断片のFliDに対するEC50を測定するための例示的なアッセイは、抗体または抗原結合性断片を、FliDを予めコーティングした96ウェルELISAプレートを用いて室温で約1時間インキュベートし、次いで、ビオチン化抗Ig SC抗体を使用し、その後、ストレプトアビジン−APと一緒にインキュベートして検出を行うことを含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」は、抗体または抗原結合性断片が、抗原とは10
5M
−1(この会合反応の会合速度(on−rate)[K
on]の解離速度(off rate)[K
off]に対する比と等しい)と等しいまたはそれよりも大きい親和性またはK
a(すなわち、単位1/Mの特定の結合相互作用の平衡会合定数)で会合または合体する一方で、試料中の他の分子または構成成分のいずれとも顕著には会合または合体しないことを指す。あるいは、親和性は、単位Mの特定の結合相互作用の平衡解離定数(K
d)として定義することができる(例えば、10
−5M〜10
−13M)。抗体は、「高親和性」抗体または「低親和性」抗体に分類することができる。「高親和性」抗体とは、K
aが少なくとも10
7M
−1、少なくとも10
8M
−1、少なくとも10
9M
−1、少なくとも10
10M
−1、少なくとも10
11M
−1、少なくとも10
12M
−1、または少なくとも10
13M
−1である抗体を指す。「低親和性」抗体とは、K
aが最大10
7M
−1、最大10
6M
−1、最大10
5M
−1である抗体を指す。あるいは、親和性は、単位Mの特定の結合相互作用の平衡解離定数(K
d)として定義することができる(例えば、10
−5M〜10
−13M)。
【0074】
特定の標的に結合する本開示の抗体を同定するため、ならびに結合性ドメインまたは結合性タンパク質の親和性を決定するための種々のアッセイ、例えば、ウエスタンブロット、ELISA、分析用超遠心、分光法、および表面プラズモン共鳴(Biacore(登録商標))分析などが公知である(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51: 660, 1949;Wilson, Science 295: 2103, 2002;Wolff et al., Cancer Res. 53: 2560, 1993;および米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または均等物を参照されたい)。親和性または見かけの親和性または相対的な親和性を評価するためのアッセイも公知である。特定の実施例では、免疫グロブリン結合性タンパク質の見かけの親和性を、例えば、標識された四量体を使用したフローサイトメトリーによって種々の濃度の四量体への結合を評価することにより、測定する。一部の実施例では、免疫グロブリン結合性タンパク質の見かけのK
dを、様々な濃度の標識された四量体の2倍希釈物を使用し、その後、非線形回帰によって結合曲線を決定することで測定し、見かけのK
dを、最大半量の結合をもたらすリガンドの濃度として決定する。
【0075】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、in vitro細胞運動性アッセイにおけるCampylobacterの運動性を低下させることができる。例示的な運動性アッセイを
図2に概略的に例示する;Riazi et al., PLoS One 8 (12): e83928 (2013)も参照されたい。
【0076】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、1つまたは複数のCampylobacter spによる感染を中和することができる。本明細書で使用される場合、「中和抗体」は、宿主への感染を開始し、かつ/または永続させる病原体の能力を中和する、すなわち、防止する、阻害する、低下させる、妨害する、または干渉することができる抗体である。「中和抗体」および「中和する抗体(antibody that neutralizes)」または「中和する抗体(antibodies that neutralize)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0077】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、Campylobacterは、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、またはその両方を含む。ある特定の実施形態では、Campylobacterは、C.jejuni 81−176、C.coli 10092/ATB、またはその両方を含む。
【0078】
抗体技術の当業者によって理解される用語は、それぞれ、本明細書において明白に違う定義がなされていなければ、当技術分野において得られた意味が与えられる。例えば、「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖で構成されるインタクトな抗体、ならびに、インタクトな抗体によって認識される抗原標的分子に結合する能力を有するまたは保持するインタクトな抗体の任意の抗原結合性部分または断片、例えば、scFv、Fab、またはFab’2断片などを指す。したがって、本明細書では、「抗体」という用語は、最も広範な意味で使用され、インタクトな抗体と、断片抗原結合性(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、単鎖可変性断片(scFv)を含めた単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含めたその機能的(抗原結合性)抗体断片とを含めたポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。この用語は、細胞内抗体、ペプチボディ(peptibody)、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば、二重特異性抗体、ジアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、タンデムジ−scFv、およびタンデムトリ−scFvなどの、遺伝子操作された形態および/または他のやり方で改変された形態の免疫グロブリンを包含する。別段の指定のない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含するものと理解されるべきである。この用語は、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含めた任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含めたインタクトなまたは全長抗体も包含する。
【0079】
「V
L」または「VL」および「V
H」または「VH」という用語は、それぞれ抗体軽鎖および重鎖に由来する可変結合性領域を指す。ある特定の実施形態では、VLは、カッパ(κ)クラス(本明細書では「VK」とも)である。ある特定の実施形態では、VLは、ラムダ(λ)クラスである。可変結合性領域は、「相補性決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として公知の別個の明確に定義された小領域で構成される。「相補性決定領域」、および「CDR」という用語は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、一般に、抗体の抗原特異性および/または結合親和性を付与し、フレームワーク領域によって互いに分離されている、抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。各可変領域内に3つのCDRが存在する(HCDR1、HCDR2、HCDR3;LCDR1、LCDR2、LCDR3;それぞれCDRHおよびCDRLとも称される)。ある特定の実施形態では、抗体VHは、以下の通り4つのFRおよび3つのCDRを含み:FR1−HCDR1−FR2−HCDR2−FR3−HCDR3−FR4;抗体VLは、以下の通り4つのFRおよび3つのCDRを含む:FR1−LCDR1−FR2−LCDR2−FR3−LCDR3−FR4。一般に、VHとVLは、それらのそれぞれのCDRを通じて一緒になって抗原結合性部位を形成する。
【0080】
本明細書で使用される場合、CDRの「バリアント」は、最大1〜3つのアミノ酸置換(例えば、保存的または非保存的置換)、欠失、またはこれらの組合せを有するCDR配列の機能的バリアントを指す。
【0081】
CDRおよびフレームワーク領域の番号付けは、Kabat、Chothia、EU、IMGT、およびAHo番号付けスキームなどの任意の公知の方法またはスキームに従うことができる(例えば、Kabat et al., "Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.;Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987));Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27: 55, 2003;Honegger and Pluckthun, J. Mol. Bio. 309: 657-670 (2001)を参照されたい)。Antigen receptor Numbering And Receptor Classification(ANARCI)ソフトウェアツール(2016, Bioinformatics 15: 298-300)を使用して、比較する異なる分子に対して等価の残基位置をアノテートすることができる。
【0082】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、(i)それぞれ配列番号9〜14;または(ii)それぞれ配列番号25〜30に従ったHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3アミノ酸配列を含む。
【0083】
「CL」という用語は、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」または「軽鎖定常領域」、すなわち、抗体軽鎖に由来する定常領域を指す。「CH」という用語は、「免疫グロブリン重鎖定常領域」または「重鎖定常領域」を指し、これは、抗体のアイソタイプに応じてCH1、CH2、およびCH3(IgA、IgD、IgG)、またはCH1、CH2、CH3、およびCH4ドメイン(IgE、IgM)にさらに分けられる。
【0084】
「Fab」(抗原結合性断片)は、抗体の抗原に結合する部分であり、軽鎖と鎖間ジスルフィド結合によって連結した重鎖の可変領域およびCH1を含む。各Fab断片は、抗原結合性に関して一価である、すなわち、単一の抗原結合性部位を有する。抗体をペプシン処置することにより、二価の抗原結合活性を有し、なお抗原と架橋結合することができる、2つのジスルフィド連結したFab断片に大まかに対応する単一の大きなF(ab’)2断片が得られる。FabおよびF(ab’)2はどちらも、「抗原結合性断片」の例である。Fab’断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端に抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含めた追加的な数残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離のチオール基を有するFab’に対する本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として作製された。抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0085】
「Fv」は、完全な抗原認識および抗原結合性部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、非共有結合性により密接に会合した重鎖可変領域ドメイン1つと軽鎖可変領域ドメイン1つの二量体からなる。これらの2つのドメインのフォールディングにより、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみで構成されるFvの半分)でも、抗原を認識し、それに結合する能力を有するが、一般には、結合性部位全体よりも親和性が低い。
【0086】
「単鎖Fv」は、「sFv」または「scFv」とも省略され、V
H抗体ドメインとV
L抗体ドメインが接続して単一のポリペプチド鎖になった抗体断片である。sFvポリペプチドは、sFvが抗原への結合のための所望の構造を形成することが可能になるポリペプチドリンカーをV
HドメインとV
Lドメインの間にさらに含むことが好ましい。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994);Borrebaeck 1995, infraを参照されたい。
【0087】
抗体発生の間、生殖細胞系列可変(V)、接合(J)、および多様性(D)遺伝子遺伝子座のDNAが再構成され得、コード配列にヌクレオチド挿入および/または欠失が生じ得る。得られた配列によって体細胞変異がコードされる可能性があり、これは、対応する既知の生殖細胞系列配列を参照することによって同定することができる。一部の状況では、抗体の所望の特性(例えば、Campylobacter sp.への特異的結合)に重要ではない、または抗体に望ましくない特性(例えば、抗体が投与される被験体における免疫原性のリスクの増大)を付与する、またはその両方である体細胞変異を、対応する生殖細胞系列でコードされるアミノ酸によって、または異なるアミノ酸によって置き換えることができ、その結果、抗体の望ましい特性が改善または維持され、抗体の望ましくない特性が減少するまたは抑止される。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、親抗体または抗原結合性断片が1つまたは複数の体細胞変異を含むのであれば、親抗体または抗原結合性断片と比較して、可変領域内に生殖細胞系列でコードされるアミノ酸を少なくとももう1つ含む。本開示の例示的な抗Campylobacter抗体の可変領域アミノ酸配列を本明細書の表1に提示し、体細胞変異が下線によって示されている。
【0088】
ここに開示される(「親」)抗体と比較して可変領域(例えば、VH、VL、フレームワークまたはCDR)に1つまたは複数のアミノ酸の変更を含むバリアント抗体であって、Campylobacter FliDエピトープに親抗体と同様のまたはより強力な親和性で特異的に結合することができるバリアント抗体も本明細書に提示される。例えば、一部の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、配列番号2または22のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)、および配列番号4または24のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、但し、バリアント抗体または抗原結合性断片がCampylobacter FliDエピトープに、それぞれ配列番号2または22に従ったVHおよび配列番号4または24に従ったVLを有する親抗体と同様のまたはより良好な親和性で特異的に結合することを条件とする。
【0089】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、(i)配列番号2に対して少なくとも85%(すなわち、少なくとも85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、またはそれよりも大きな)アミノ酸同一性を有するVH、および配列番号4に対して少なくとも85%(すなわち、少なくとも85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、またはそれよりも大きな)アミノ酸同一性を有するVL;または(ii)配列番号22に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVHおよび配列番号24に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVLを含み得る。
【0090】
さらなる実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、(i)配列番号2に従ったVHおよび配列番号4に従ったVL;または(ii)配列番号22に従ったVHおよび配列番号24に従ったVLを含む。
【0091】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合性断片は、多重特異性;例えば、二重特異性、三重特異性などである。
【0092】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合性断片は、IgA、IgG、IgD、IgE、またはIgMアイソタイプである。
【0093】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、IgAアイソタイプである。ヒトでは、IgA抗体は、単量体形態、二量体形態、または四量体形態で見いだされる。IgAサブクラスは、IgA1およびIgA2を含む。IgA1は、IgA2よりも長いヒンジ配列(FabアームとFcの間)を有する。例えば、Woof and Kerr, Immunology 113 (2): 175-177 (2004)を参照されたい。
【0094】
理論に束縛されることを望むものではないが、IgA二量体は、一般に、少なくとも、IgA分泌細胞において形成される接続鎖(「J鎖」)ポリペプチドによって連結した2つのIgA単量体を含む。可溶性IgA二量体は、一般に、上皮細胞の基底膜側に見いだされるポリ−Ig受容体(「pIgR」)タンパク質と複合体を形成することができる。IgA二量体−pIgR複合体は、形成された後、上皮細胞に内部移行し、管腔への放出のために管腔側に輸送される。管腔への分泌前に、pIgRの一部が切断され、一方、分泌型構成成分または「SC」として公知の部分はIgAと結合したままであり、分泌型IgA(SIgA)を形成する。理論に束縛されることを望むものではないが、SCにより、おそらくIgA二量体内のタンパク質分解感受性部位が保護されることによって小胞および管腔環境におけるIgA二量体の安定性が改善されると考えられる。
【0095】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、IgA1アイソタイプまたはIgA2アイソタイプである。
【0096】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、IgA二量体分子を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、分泌型IgA分子を含む。
【0098】
「Fc」断片またはFcポリペプチドは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方の抗体H鎖のカルボキシ末端部分(すなわち、IgGのCH2ドメインおよびCH3ドメイン)を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域内の配列によって決定される。Fcドメインは、FcRなどの細胞受容体によって認識され、また、補体活性化タンパク質であるC1qが結合する、抗体の部分である。本明細書で考察されている通り、Fc含有ポリペプチド(例えば、本開示の抗体)の1つまたは複数の機能性を改変する(例えば、改善する、低下させる、または除去する)ために、Fcドメインに対して改変(例えば、アミノ酸置換)を行うことができる。ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合性断片は、CH2(もしくはその断片)、CH3(もしくはその断片)、またはCH2およびCH3を含めたFcポリペプチドまたはその断片を含み、ここで、CH2、CH3、またはその両方は、任意のアイソタイプのものであってよく、また、それぞれ対応する野生型CH2またはCH3と比較してアミノ酸置換または他の改変を含有してよい。ある特定の実施形態では、本開示のFcポリペプチドは、会合して二量体を形成する2つのCH2−CH3ポリペプチドを含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、配列番号40〜42のいずれか1つに対して少なくとも90%の同一性(すなわち、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の配列同一性)を有する重鎖定常領域を含む。
【0100】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合性断片は、モノクローナル抗体または抗原結合性断片である。「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、一部の場合に微量で存在し得る、可能性のある天然に存在する変異以外は同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なるエピトープに対するものである異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一のエピトープに対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体の混入を伴わずに合成することができるという点で有利である。「モノクローナル」という用語は、いずれかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものとは解釈されない。例えば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256: 495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ方法体系によって調製することもでき、細菌細胞、真核動物細胞、または植物細胞において組換えDNA法を使用して作製することもできる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。モノクローナル抗体はまた、例えばClackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)and Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)に記載されている技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。モノクローナル抗体はまた、PCT公開第WO2004/076677A2号に開示されている方法を使用して得ることもできる。
【0101】
本開示の抗体および抗原結合性断片は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であり、一方、鎖(複数可)の残りは別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である「キメラ抗体」、ならびに、所望の生物活性を示す限りは、そのような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号および同第7,498,415号;ならびにMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照されたい)。例えば、キメラ抗体は、ヒト残基と非ヒト残基とを含み得る。さらに、キメラ抗体は、レシピエント抗体においてもドナー抗体においても見いだされない残基を含み得る。これらの改変は、抗体の性能をさらに改良するために行われる。さらなる詳細に関しては、Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-329 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)を参照されたい。キメラ抗体はまた、霊長類化抗体およびヒト化抗体も包含する。
【0102】
「ヒト化抗体」は、一般に、非ヒトである供給源に由来する1つまたは複数のアミノ酸残基が導入されたヒト抗体であるとみなされる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、一般には、可変ドメインから取得される。ヒト化は、Winterおよび共同研究者の方法に従い(Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986);Reichmann et al., Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988))、非ヒト可変配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって実施することができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、実質的に少ないインタクトなヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号および同第7,498,415号)。一部の例では、「ヒト化」抗体は、非ヒト細胞または動物によって産生され、ヒト配列、例えばH
Cドメインを含む抗体である。
【0103】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体に存在する配列のみを含有する抗体である。しかし、本明細書で使用される場合、ヒト抗体は、本明細書に記載の改変およびバリアント配列を含めた、天然に存在するヒト抗体(例えば、ヒトから単離される抗体)においては見いだされない残基または改変を含み得る。これらの改変は、一般には、抗体の性能をさらに改良または増強するために行われる。一部の例では、ヒト抗体は、トランスジェニック動物によって産生されたものである。例えば、米国特許第5,770,429号;同第6,596,541号および同第7,049,426号を参照されたい。
【0104】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体または抗原結合性断片は、キメラ抗体または抗原結合性断片、ヒト化抗体または抗原結合性断片、またはヒト抗体または抗原結合性断片である。
【0105】
本明細書に開示される任意の抗体または抗原結合性断片と、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤とを含む組成物も本明細書に提示される。そのような組成物に使用するための薬学的に許容される構成成分を本明細書においてさらに考察する。
【0106】
別の態様では、本開示は、(i)Campylobacter鞭毛キャッピングタンパク質(FliD)直鎖状エピトープに特異的である第1の抗体またはその抗原結合性断片;および(ii)Campylobacter鞭毛キャッピングタンパク質(FliD)コンフォメーショナルエピトープに特異的である第2の抗体またはその抗原結合性断片を含むキットを提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、(i)第1の抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号9〜14に従ったHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3配列を含み、(ii)第2の抗体または抗原結合性断片は、それぞれ配列番号25〜30に従ったHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3配列を含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、(i)第1の抗体または抗原結合性断片は、配列番号2に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVHおよび配列番号4に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVLを含み、(ii)第2の抗体または抗原結合性断片は、配列番号22に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVHおよび配列番号24に対して少なくとも85%のアミノ酸同一性を有するVLを含む。さらなる実施形態では:(i)第1の抗体または抗原結合性断片は、配列番号2に従ったVHおよび配列番号4に従ったVLを含み、(ii)第2の抗体または抗原結合性断片は、配列番号22に従ったVHおよび配列番号24に従ったVLを含む。
【0109】
ある特定の実施形態では、キットの第1の抗体または抗原結合性断片と第2の抗体または抗原結合性断片は、それぞれ同じアイソタイプである。特定の実施形態では、第1の抗体または抗原結合性断片と第2の抗体または抗原結合性断片は、それぞれ分泌型IgAである。
【0110】
ある特定の実施形態では、キットは、例えば、被験体におけるCampylobacter感染を処置または診断するための、第1の抗体または抗原結合性断片および第2の抗体または抗原結合性断片の使用に関する指示または説明書をさらに含む。
【0111】
ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞
別の態様では、本開示は、ここに開示される抗体またはその抗原結合性断片のいずれかをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、宿主細胞における発現のためにコドン最適化されたものである。コード配列が分かったまたは同定されたら、公知の技法およびツールを使用して、例えば、GenScript(登録商標)OptimiumGene(商標)ツールを使用してコドン最適化を実施することができる;Scholten et al., Clin. Immunol. 119: 135, 2006も参照されたい)。コドン最適化された配列は、部分的にコドン最適化された配列(すなわち、1つまたは複数のコドンが宿主細胞における発現のために最適化された配列)および完全にコドン最適化された配列を包含する。
【0112】
本開示の抗体および抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチドは、異なるヌクレオチド配列を有する一方で、それでも、例えば、遺伝暗号の縮退、スプライシングなどに起因して同じ抗体または抗原結合性断片をコードする可能性があることも理解されよう。
【0113】
ある特定の実施形態では、FliDに特異的な抗体または抗原結合性断片をコードする単離されたポリヌクレオチドは、(i)配列番号1、5、7、8、21、37、もしくは38のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも75%の同一性(すなわち、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性)を有する、VHをコードするポリヌクレオチド;(ii)配列番号3、6、23、もしくは39に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも75%の同一性を有する、VLをコードするポリヌクレオチド;ならびに/または(iii)それぞれ配列番号15〜20、もしくはそれぞれ配列番号31〜36に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、HCDR1をコードする配列、HCDR2をコードする配列、HCDR3をコードする配列、LCDR1をコードする配列、LCDR2をコードする配列、およびLCDR3をコードする配列を含む。
【0114】
本明細書に開示されるポリヌクレオチド(すなわち、FliDに特異的な抗体または抗原結合性断片をコードするポリヌクレオチド)を含むまたは含有するベクターも提供される。ベクターは、本明細書に開示されるベクターの任意の1つまたは複数を含み得る。
【0115】
別の態様では、本開示は、本開示による抗体もしくは抗原結合性断片を発現する;または本開示によるベクターもしくはポリヌクレオチドを含むもしくは含有する宿主細胞も提供する。
【0116】
そのような細胞の例としては、これだけに限定されないが、真核細胞、例えば、酵母細胞、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞;およびE.coliを含めた原核細胞が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。特定のそのような実施形態では、細胞は、CHO細胞(例えば、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al., PNAS 77: 4216 (1980))、ヒト胎児由来腎臓細胞(例えば、HEK293T細胞)、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、ヒト肝細胞、例えばHepa RG細胞、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞などの哺乳動物細胞株である。哺乳動物宿主細胞株の他の例としては、マウスセルトリ細胞(例えば、TM4細胞);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76);サル腎臓細胞(CV1);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);TRI細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞が挙げられる。抗体産生に適した哺乳動物宿主細胞株としては、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K. C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)に記載されているものも挙げられる。
【0117】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、E.coliなどの原核細胞である。E.coliなどの原核細胞におけるペプチドの発現は、十分に確立されている(例えば、Pluckthun, A. Bio/Technology 9: 545-551 (1991)を参照されたい)。例えば、特に、グリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌において抗体を産生させることができる。抗体断片およびポリペプチドの細菌における発現に関しては、例えば、米国特許第5,648,237号;同第5,789,199号;および同第5,840,523号を参照されたい。
【0118】
特定の実施形態では、細胞に、本説明によるベクターを発現ベクターと共にトランスフェクトすることができる。「トランスフェクション」という用語は、DNAまたはRNA(例えば、mRNA)分子などの核酸分子の、真核細胞などの細胞への導入を指す。本説明に関しては、「トランスフェクション」という用語は、核酸分子を、哺乳動物細胞を含めた真核細胞などの細胞に導入するための当業者に公知の任意の方法を包含する。そのような方法は、例えば、電気穿孔、リポフェクション、例えば、カチオン性脂質および/またはリポソームに基づくもの、リン酸カルシウム沈殿、ナノ粒子に基づくトランスフェクション、ウイルスに基づくトランスフェクション、または、DEAE−デキストランもしくはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーに基づくトランスフェクションなどを包含する。ある特定の実施形態では、導入は、ウイルスによるものではない。
【0119】
さらに、本開示の宿主細胞に、例えば、本開示による抗体またはその抗原結合性断片を発現させるために、本開示によるベクターを安定にまたは一過性にトランスフェクトすることができる。そのような実施形態では、細胞に、本明細書に記載のベクターを安定にトランスフェクトすることができる。あるいは、細胞に、本明細書に開示される抗体または抗原結合性断片をコードする本開示によるベクターを一過性にトランスフェクトすることができる。ここに開示される実施形態のいずれかでは、ポリヌクレオチドは、宿主主細胞に対して異種であり得る。
【0120】
したがって、本開示は、本開示の抗体または抗原結合性断片を異種性に発現する組換え宿主細胞も提供する。例えば、細胞は、抗体を完全にまたは部分的に得た種とは異なる種の細胞(例えば、ヒト抗体または工学的に操作されたヒト抗体を発現するCHO細胞)であり得る。一部の実施形態では、宿主細胞の細胞型は、抗体または抗原結合性断片を天然には発現しない。さらに、宿主細胞は、抗体または抗原結合性断片に対して、抗体または抗原結合性断片のネイティブな状態(または抗体もしくは抗原結合性断片を工学的に操作したもしくはそれが由来する親抗体のネイティブな状態)では存在しない翻訳後修飾(PTM;例えば、グリコシル化またはフコシル化)を付与し得る。そのようなPTMの結果、機能的差異(例えば、免疫原性の低下)が生じ得る。したがって、本明細書に開示される宿主細胞によって産生される本開示の抗体または抗原結合性断片は、ネイティブな状態にある抗体(または親抗体)とは別個の1つまたは複数の翻訳後修飾を含み得る(例えば、CHO細胞によって産生されるヒト抗体は、ヒトから単離されたおよび/またはネイティブなヒトB細胞または形質細胞によって産生された抗体とは別個の、より多くの翻訳後修飾を含み得る)。
【0121】
本開示の結合性タンパク質の発現に有用な昆虫細胞は当技術分野で公知であり、それらとして、例えば、Spodoptera frugipera Sf9細胞、Trichoplusia ni BTI−TN5B1−4細胞、およびSpodoptera frugipera SfSWT01「Mimic(商標)」細胞が挙げられる。例えば、Palmberger et al., J. Biotechnol. 153 (3-4): 160-166 (2011)を参照されたい。特にSpodoptera frugiperda細胞へのトランスフェクションのために昆虫細胞と併せて使用することができる多数のバキュロウイルス株が同定されている。
【0122】
糸状菌または酵母などの真核微生物も、タンパク質をコードするベクターのクローニングまたは発現に適した宿主であり、それらとして、「ヒト化」グリコシル化経路を有し、部分的にまたは完全にヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす真菌および酵母株が挙げられる。Gerngross, Nat. Biotech. 22: 1409-1414 (2004);Li et al., Nat. Biotech. 24: 210-215 (2006)を参照されたい。
【0123】
植物細胞を本開示の結合性タンパク質を発現させるための宿主として利用することもできる。例えば、PLANTIBODIES(商標)技術(例えば、米国特許第5,959,177号;同第6,040,498号;同第6,420,548号;同第7,125,978号;および同第6,417,429号に記載されている)では、トランスジェニック植物を使用して抗体を産生させる。
【0124】
ある特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞を含む。特定の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞、HEK293細胞、PER.C6細胞、Y0細胞、Sp2/0細胞、NS0細胞、ヒト肝細胞、骨髄腫細胞、またはハイブリドーマ細胞である。
【0125】
関連する態様では、本開示は、抗体、抗原結合性断片を産生させるための方法であって、本開示の宿主細胞を、抗体または抗原結合性断片の産生に十分な条件下で、かつ、それに適した時間にわたって培養することを含む方法を提供する。組換えによって産生された抗体の単離および精製に有用な方法は、例として、組換え抗体を培養培地中に分泌する適切な宿主細胞/ベクター系から上清を得、次いで、市販のろ過装置を使用して培地を濃縮することを含み得る。濃縮後、濃縮物を単一の適切な精製マトリックスまたは一連の適切なマトリックス、例えば、親和性マトリックスまたはイオン交換樹脂などに適用することができる。組換えポリペプチドをさらに精製するために1つまたは複数の逆相HPLCステップを使用することができる。これらの精製方法は、免疫原をその天然の環境から単離する場合にも使用することができる。本明細書に記載の単離された/組換え抗体の1つまたは複数を大規模生産するための方法は、妥当な培養条件を維持するためにモニタリングおよび制御されるバッチ細胞培養を含む。可溶性抗体の精製は、本明細書に記載されており、また、当技術分野で公知であり、国内および外国の規制当局の法律およびガイドラインに適合する方法に従って実施することができる。
【0126】
Campylobacter感染のモデル
さらに別の態様では、本開示は、Campylobacter感染および病理発生、ならびに潜在的な治療法および研究用試薬を調査するための動物モデルを提供する。
【0127】
簡単に述べると、Campylobacter病原体を研究するための既存の動物モデルには、費用が高いことおよび集中的な注意を払う状況(例えば、ノトバイオートまたは無菌動物)、Campylobacterによる腸コロニー形成に対する抵抗性(例えば、実験用マウス)、ならびにトランスジェニック動物(例えば、SIGIRRまたはIL10
−/−マウス)の予測不可能なまたは有害な作用など、多数の欠点がある。実施例に記載の通り、すでに母親の抗体を受け取っていないが、成熟した胃腸免疫系を保有しておらず、減損した(depleted)腸内細菌叢を有する離乳した動物(マウス21日齢)が、驚いたことに、Campylobacterに感染しやすいことが最近見いだされ、したがって、Campylobacterの病理発生およびその潜在的な処置を研究するための改善されたモデルがもたらされる。
【0128】
ある特定の実施形態では、(i)成熟した胃腸免疫系を有さず、(ii)減損した腸内細菌叢を有し、減損が、抗生剤(antibiotic agent)によって引き起こされたものである、離乳した哺乳動物を含む、非ヒト哺乳動物が提供される。ある特定の実施形態では、非ヒト哺乳動物は、Campylobacter感染をさらに含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、本開示の非ヒト哺乳動物は、マウス(例えば、C57BL/6マウス)、ラット、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)などであるかまたはそれを含む。離乳した非ヒト哺乳動物は、すでに母親哺乳動物(すなわち、非ヒト哺乳動物を出産した母親、または代理の母親)の乳を介して栄養分を受け取っていない。
【0130】
本開示による成熟した胃腸免疫系は、抗原または病原体に対する機能的な内因性免疫活性(例えば、粘膜保護)を果たすことができるものである。例えば、成熟した胃腸免疫系は、消化管関連リンパ組織におけるT細胞への提示のためにミクロフォールド細胞、樹状細胞、およびマクロファージを介して抗原を処理し、また、B細胞を介して抗原中和性IgA免疫グロブリンを産生させる。例えば、Gutzeit et al., Immunol. Rev. 260 (2): 76-85 (2014)を参照されたい。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される非ヒト哺乳動物は、IgA免疫グロブリンを内因性に産生しないか、または、胃腸免疫系が成熟かつ機能的であるとみなされる年齢および/または発育段階にある参照健康非ヒト哺乳動物(すなわち、同じ種のもの)と比較して減少した量のIgA免疫グロブリンを産生する。成熟した胃腸免疫系は、一般には、健康な動物において年齢と共に天然に生じる。例えば、健康な成体マウス(56日齢)は成熟した胃腸免疫系を有する。
【0131】
共生細菌(集合的に「叢」または「微生物叢」とも称される)は、腸に存在し、宿主に種々の防御能および代謝能を付与することが理解される(Gutzeit et al., Immunol. Rev. 260 (2): 76-85 (2014)を参照されたい)。叢は、Campylobacterなどの病原体によるコロニー形成を防止または阻害し得る。減損した腸内細菌叢は、健康な参照非ヒト哺乳動物(すなわち、同じ種かつ同じ年齢またはほぼ同じ年齢)の腸内細菌叢と比較して以下のものの1つまたは複数の統計的に有意な低減を有するものである:細菌の全体数;細菌の1つもしくは複数の成長速度;細菌の代謝機能;細菌の防御機能;および/または細菌の多様性。
【0132】
そのような非ヒト哺乳動物が母親からの離脱によって離乳し得る年齢または発育段階は、関連する動物飼育標準およびその生物体に関する公知の生物学に従うことになる。例えば、マウスは、生後約15日目、生後約16日目、生後約17日目、生後約18日目、生後約19日目、生後約20日目、生後約21日目、生後約22日目、生後約23日目、生後約24日目、生後約25日目、生後約26日目、生後約27日目、生後約28日目、生後約29日目、または生後約30日目、またはそれよりも後に離乳し得る。ある特定の実施形態では、離乳したマウスは、18日齢、19日齢、20日齢、21日齢、22日齢、23日齢、または24日齢、またはそれよりも上である。ある特定の実施形態では、非ヒト哺乳動物を、それぞれその非ヒト哺乳動物が成熟した胃腸免疫系を保有する年齢または発育段階の年齢未満または発育段階前の年齢または発育段階で選択する。他の実施形態では、非ヒト哺乳動物を操作して(例えば、遺伝学的にまたは他のやり方で)、成熟した胃腸免疫系の発達を遅延させるまたは防止することができる。胃腸免疫系は経時的に成熟し得、したがって、好ましい実施形態では、非ヒト哺乳動物は最近離乳したものであることが理解されよう。最近離乳した哺乳動物は、約1日から約10日までに離乳した哺乳動物である。
【0133】
本開示による非ヒト哺乳動物は、減損した腸内細菌叢を有する。当業者に公知の方法を使用して細菌数、成長速度、代謝機能、防御機能、および多様性を決定し、参照と比較することができる。
【0134】
腸内細菌叢を、例えば、抗生剤を投与することによって減損させることができる。例示的な抗生剤としては、バンコマイシンおよび他のグリコペプチド系抗生物質、トリメトプリム、アンピシリン、メトロニダゾール、およびストレプトマイシン、およびその類似体、およびこれらの組合せが挙げられる。好ましい実施形態では、抗生剤は、Campylobacterが耐性を有する薬剤、例えば、バンコマイシンまたはその類似体であるかまたはそれを含む。腸内細菌叢を減損させるための抗生剤の用量設定および投与は、例えば、非ヒト哺乳動物の年齢、サイズ、および/または健康を説明する公知の原理、ならびに所望の効果に従って決定することができる。
【0135】
さらなる実施形態では、非ヒト哺乳動物は、Campylobacter(例えば、目的のCampylobacter、例えば、C.jejuni、C.coli、またはその両方など)をさらに含む。Campylobacterは、例えば、腸においてコロニーを形成させるために十分な量で、経口的に(例えば、強制飼養によって)投与することができる。例えば、12日齢、21日齢、または56日日齢のマウスに10
8〜10
9個のCampylobacterを接種する。ある特定の実施形態では、非ヒト哺乳動物に導入されるCampylobacterは、約10
5個、約5×10
5個、約10
6個、約5×10
6個、約10
7個、約5×10
7個、約10
8個、約5×10
8個、約10
9個、約5×10
9個、約10
10個、約5×10
5個、約10
11個、約5×10
11個、または約10
12個のCampylobacter、またはそれよりも多くを含む。投与されたら、非ヒト哺乳動物宿主においてCampylobacterの数はより大きな数に成長し得る。
【0136】
関連する態様では、(i)成熟した胃腸免疫系を有さず、(ii)減損した腸内細菌叢を有する離乳した非ヒト哺乳動物に、Campylobacterを非ヒト哺乳動物における腸管感染を引き起こすために十分な量で投与または接種することを含む方法が提供される。
【0137】
別の態様では、(i)離乳しており、(ii)成熟した胃腸免疫系を有さない非ヒト哺乳動物に、非ヒト哺乳動物の腸内細菌叢を減損させる薬剤を投与することを含む方法が提供される。ある特定の実施形態では、薬剤は、例えば、バンコマイシンまたはその類似体などの、本明細書に開示される抗生剤を含む。ある特定の実施形態では、方法は、Campylobacterを、非ヒト哺乳動物においてCampylobacterを含む腸管感染を引き起こすために十分な量で非ヒト哺乳動物に投与すること、または非ヒト哺乳動物に接種することをさらに含む。
【0138】
方法および使用
本開示の抗体もしくは抗原結合性断片、またはそれを含む組成物を使用して被験体を処置する方法であって、被験体が、Campylobacter spによる感染を有する、有すると考えられる、または有するリスクがある、方法も本明細書に提示される。「処置する(treat)」、「処置(treatment)」または「好転させる(ameliorate)」とは、被験体(例えば、ヒトまたは霊長類、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、マウス、もしくはラットなどの非ヒト哺乳動物)の疾患、障害、または状態の医学的管理を指す。一般に、本開示の抗体または組成物を含む妥当な用量または処置レジメンを、治療的または予防的利益を引き出すために十分な量で投与する。治療的または予防的/防止的利益としては、臨床転帰の改善;疾患に付随する症状の軽減もしくは緩和;症状の発生の減少;生活の質の改善;長期にわたる無疾患状態;疾患の程度の低下、病態の安定化;疾患増悪の遅延;寛解;生存;長期生存;またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0139】
本開示の抗体、抗原結合性断片、または組成物の「治療有効量」または「有効量」とは、臨床転帰の改善;疾患に付随する症状の軽減もしくは緩和;症状の発生の減少;生活の質の改善;長期にわたる無疾患状態;疾患の程度の低下、病態の安定化;疾患増悪の遅延;寛解;生存;または長期生存を含めた治療効果を統計的に有意な様式でもたらすために十分な組成物または分子の量を指す。単独で投与される個々の活性成分について言及する場合、治療有効量は、その成分またはその成分を発現する細胞の単独での効果を指す。組合せについて言及する場合、治療有効量は、段階的に投与されるか、逐次的に投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす、複数の活性成分を合わせた量または組み合わされる補助活性成分と活性成分を発現する細胞を合わせた量を指す。組合せは、例えば、Campylobacter sp.エピトープ(例えば、FliDエピトープ)に特異的に結合する2つの異なる抗体を含み得、当該エピトープは、ある特定の実施形態では同じもしくは異なるCampylobacter sp.のものであり得、かつ/または同じもしくは異なるエピトープを含み得る。
【0140】
したがって、ある特定の実施形態では、被験体におけるCampylobacter感染を処置するための方法であって、被験体に、有効量の本明細書に開示される抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0141】
ある特定の実施形態では、Campylobacter感染を有する被験体における腸炎症を低減する(すなわち、低減するまたは完全に抑止する)ための方法であって、被験体に、有効量の本明細書に開示される抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0142】
ある特定の実施形態では、Campylobacter感染を有する被験体によるCampylobacterの腸からの排出を増加させる方法であって、被験体に、有効量の本明細書に開示される抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0143】
ここに開示される実施形態のいずれかでは、抗体または抗原結合性断片は、分泌型IgA分子を含む。
【0144】
本開示によって処置することができる被験体は、一般に、ヒトおよび獣医薬のための他の霊長類被験体、例えば、サルおよび類人猿などである。マウスおよびラットなどの他のモデル生物体も本開示に従って処置することができる。上述の実施形態のいずれかでは、被験体は、ヒト被験体であり得る。被験体は、雄/男性であっても雌/女性であってもよく、また、乳児、若年、青年、成体、および老齢被験体を含めた任意の適切な年齢の被験体であってよい。
【0145】
したがって、ここに開示される組成物の投与の典型的な経路としては、限定することなく、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、直腸、膣、および鼻腔内が挙げられる。「非経口」という用語は、本明細書で使用される場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技法を含む。ある特定の実施形態では、投与は、経口、静脈内、非経口、胃内、胸膜内、肺内、直腸内、皮内、腹腔内、腫瘍内、皮下、局所、経皮、大槽内、髄腔内、鼻腔内、および筋肉内から選択される経路による投与を含む。特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合性断片、または組成物を被験体に経口投与することを含む。
【0146】
本発明のある特定の実施形態による医薬組成物は、患者に組成物が投与されると、その中に含有される活性成分を生物が利用可能になるように製剤化される。被験体または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投薬単位の形態を取り得、例えば、錠剤は単一の投薬単位であり得、また、エアロゾル形態の本明細書で説明される抗体または抗原結合性断片の容器は複数の投薬単位を保持し得る。そのような剤形を調製する実際の方法は当業者には公知であるまたは明らかになる。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)を参照されたい。投与される組成物は、いずれにしても、本明細書における教示に従って目的の疾患または状態を処置するための有効量の本開示の抗体またはその抗原結合性断片を含有する。
【0147】
組成物は、固体または液体の形態であり得る。一部の実施形態では、担体(複数可)は粒子であり、したがって、組成物は、例えば錠剤または散剤の形態である。担体(複数可)は液体であり得、それに伴って組成物は例えば経口油、注射液またはエアロゾルになり、これは、例えば、吸入による投与に有用である。経口投与が意図されている場合、医薬組成物は、固体または液体のいずれかの形態であることが好ましく、半固体、半流動体、懸濁液およびゲルの形態は本発明で固体または液体のいずれかとみなされる形態に含まれる。
【0148】
経口投与用の固体組成物として、医薬組成物を散剤、顆粒剤、圧縮された錠剤、ピル、カプセル剤、チューインガム、ウェーハなどに製剤化することができる。そのような固体組成物は、一般には、1つまたは複数の不活性な希釈剤または食用担体を含有する。さらに、以下の1つまたは複数が存在し得る:結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなど;賦形剤、例えば、デンプン、ラクトースまたはデキストリンなど、崩壊剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、トウモロコシデンプンなど;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotexなど;滑剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンなど;香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味剤など;および着色剤。組成物がカプセル剤、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、上記の型の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは油などの液体担体を含有し得る。
【0149】
組成物は、液体、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、液剤、エマルションまたは懸濁剤の形態であり得る。液体は、2つの例として、経口投与用または注射による送達用であり得る。経口投与が意図されている場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、保存剤、色素/着色剤および調味料のうちの1つまたは複数を含有する。注射によって投与されることが意図された組成物には、界面活性物質、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤および等張化剤のうちの1つまたは複数を含めることができる。
【0150】
液体の医薬組成物は、液剤であるか、懸濁剤であるか、または他の同様の形態であるかにかかわらず、以下のアジュバントのうちの1つまたは複数を含み得る:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水溶液、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウムなど、不揮発性油、例えば、溶媒または懸濁媒としての機能を果たし得る合成モノまたはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒など;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸など;緩衝液、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液またはリン酸緩衝液など、および張度を調整するための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはブドウ糖など。非経口調製物は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回投薬用バイアルに封入することができる。生理食塩水が好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は、滅菌されていることが好ましい。
【0151】
非経口投与または経口投与のいずれかが意図された液体組成物は、適切な投薬量が得られる量の本明細書において開示されている抗体または抗原結合性断片を含有すべきである。一般には、この量は、組成物中少なくとも0.01%の抗体または抗原結合性断片である。経口投与が意図されている場合、この量は、組成物の重量の0.1%から約70%の間に変動し得る。ある特定の経口医薬組成物は、約4%から約75%の間の抗体または抗原結合性断片を含有する。ある特定の実施形態では、本発明による医薬組成物および調製物は、希釈前に非経口投薬単位が0.01〜10重量%の抗体または抗原結合性断片を含有するように調製される。
【0152】
組成物は局所投与が意図されたものであり得、その場合、担体は、溶液、エマルション、軟膏剤またはゲル基剤を適切に含み得る。基剤は、例えば、以下の1つまたは複数を含み得る:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水およびアルコールなどの希釈剤、ならびに乳化剤および安定剤。局所投与用の組成物中には増粘剤が存在し得る。経皮投与が意図されている場合、組成物は、経皮吸収パッチまたはイオン導入デバイスを含み得る。医薬組成物は、例えば、直腸内で融解し、薬物を放出する坐薬の形態での直腸内投与が意図されたものであり得る。直腸内投与用の組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含有する。そのような基剤としては、限定することなく、ラノリン、カカオバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0153】
組成物は、固体または液体投薬単位の物理的形態を改変する様々な材料を含み得る。例えば、組成物は、活性成分の周りにコーティング殻を形成する材料を含み得る。コーティング殻を形成する材料は、一般には、不活性であり、例えば、糖、シェラック、および他の腸溶コーティング剤から選択することができる。あるいは、活性成分をゼラチンカプセルで包むことができる。固体または液体の形態の組成物は、本開示の抗体または抗原結合性断片に結合し、それにより、化合物の送達を補助する薬剤を含み得る。この能力で作用し得る適切な薬剤としては、モノクローナルまたはポリクローナル抗体、1つまたは複数のタンパク質またはリポソームが挙げられる。組成物は、エアロゾルとして投与することができる投薬単位から本質的になり得る。エアロゾルという用語は、コロイド性の系から加圧パッケージからなる系までにわたる種々の系を示すために使用される。送達は、液化もしくは圧縮ガスによるもの、または活性成分を分配する適切なポンプ系によるものであり得る。活性成分(複数可)を送達するためにエアロゾルを単一相、二相、または三相系で送達することができる。エアロゾルの送達は、一緒にキットを形成し得る必要な容器、活性化因子、弁、副容器などを含む。当業者は、過度な実験を伴わずに好ましいエアロゾルを決定することができる。
【0154】
医薬組成物は、製薬技術分野で周知の方法体系によって調製することができる。例えば、注射によって投与されることが意図された組成物は、本明細書に記載の抗体、その抗原結合性断片、または抗体コンジュゲートを含む組成物、ならびに必要に応じて塩、緩衝液および/または安定剤のうちの1つまたは複数を、滅菌蒸留水と合わせて溶液を形成することによって調製することができる。均一な溶液または懸濁液の形成を容易にするために界面活性物質を添加することができる。界面活性物質は、ペプチド組成物と非共有結合により相互作用して、抗体またはその抗原結合性断片の水性送達系中への溶解または均一な懸濁を容易にする化合物である。
【0155】
一般に、妥当な用量および処置レジメンは、組成物(複数可)を、治療的および/または予防的利益(例えば、臨床転帰の改善(例えば、下痢もしくは付随する脱水、もしくは炎症の頻度、持続時間、もしくは重症度の低減)、またはより長い無疾患および/もしくは全生存、または症状の重症度の低下を含めた本明細書に記載のものなど)をもたらすために十分な量で提供するものである。予防的使用に関しては、用量は、疾患または障害に関連する疾患を防止する、その発症を遅延させる、またはその重症度を低下させるために十分なものであるべきである。本明細書に記載の方法に従って投与される組成物の予防的利益は、前臨床試験(in vitroおよびin vivo動物試験を含む)ならびに臨床試験を実施し、それにより得られたデータを、妥当な統計学的、生物学的、および臨床的方法および技法によって解析することによって決定することができ、これらは全て当業者が容易に実施することができる。
【0156】
組成物は有効量(例えば、Campylobacter感染を処置するための)で投与され、有効量は、使用される特定の化合物の活性;化合物の代謝安定性および作用の長さ;被験体の年齢、体重、全体的な健康、性別、および食事;投与方式および時間;排泄速度;薬物の組合せ;特定の障害または状態の重症度;および治療を受けている被験体を含めた種々の因子に応じて変動する。ある特定の実施形態では、本開示の製剤および方法に従った治療の施行後、試験被験体は、プラセボで処置されたまたは他の適切な対照被験体と比較して、処置される疾患または障害に付随する1つまたは複数の症状の約10%から約99%までの低減を示す。
【0157】
一般に、治療的に有効な1日用量は(70kgの哺乳動物に対して)約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)から約100mg/kg(すなわち、7.0g)であり、治療有効用量は(70kgの哺乳動物に対して)約0.01mg/kg(すなわち、0.7mg)から約50mg/kg(すなわち、3.5g)までであることが好ましく、治療有効用量は(70kgの哺乳動物に対して)約1mg/kg(すなわち、70mg)から約25mg/kg(すなわち、1.75g)までであることがより好ましい。
【0158】
ある特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合性断片、または組成物を被験体に2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれよりも多く投与することを含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、方法は、抗体、抗原結合性断片、または組成物を対象に複数回投与することを含み、第2のまたは逐次的な投与を、それぞれ第1のまたは前の投与の約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、約12時間後、約24時間後、約48時間後、約74時間後、約96時間後、またはそれよりも後に実施する。
【0160】
ある特定の実施形態では、方法は、被験体がCampylobacterに感染する前に、抗体、抗原結合性断片、または組成物を少なくとも1回投与することを含む。
【0161】
ここに開示される方法のいずれかでは、投与後に、被験体由来の便試料は、有効量の抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与する前の被験体由来の便試料と比較して増加した数のCampylobacterコロニー形成単位(CFU)を含む。
【0162】
リポカリン−2(LCN2)は、腸炎症のマーカーであり、上皮損傷および好中球浸潤に結び付けられる。ここに開示される方法のいずれかでは、投与後に、被験体由来の便試料は、有効量の抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与する前の被験体由来の便試料と比較して減少した量のLCN2を含む。LCN2は、例えば、抗LCN2抗体を使用し、ELISAアッセイを行って測定することができる。
【0163】
ここに開示される方法のいずれかでは、投与後に、被験体は、有効量の抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与する前の被験体と比較して減少した量の多形核(PMN)細胞浸潤物を被験体の盲腸に含む、ここで、PMN細胞はGr1
+CD11b
+である。
【0164】
ここに開示される方法のいずれかでは、投与後に、被験体は、有効量の抗体、抗原結合性断片、または組成物を投与する前の被験体と比較して改善された盲腸の組織学的検査所見を有する。標準の組織学的分析およびスコア化技法を使用して、組織(例えば、盲腸)を損傷、炎症、または他のCampylobacter感染のしるしについてスコア化することができる。
【0165】
ここに開示される方法のいずれかでは、投与後に、抗体または抗原結合性断片が被験体の盲腸および/または糞便中に投与後少なくとも4時間にわたってまたは少なくとも8時間にわたって存在する。
【0166】
本開示の抗体または抗原結合性断片を含む組成物は、1つまたは複数の他の治療剤の投与と同時に、その前に、またはその後に投与することもできる。そのような併用療法は、本発明および1つまたは複数の追加的な活性薬剤の化合物を含有する単一の医薬投薬形態(dosage formulation)の投与、ならびに本開示の抗体または抗原結合性断片を含む組成物および各活性薬剤のそれ自体の別々の投薬形態での投与を含み得る。例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合性断片と他の活性薬剤を患者に錠剤またはカプセル剤などの単一の経口投薬組成物として一緒に投与することもでき、各薬剤を別々の経口投薬形態で投与することもできる。同様に、本明細書に記載の抗体または抗原結合性断片と他の活性薬剤を被験体に生理食塩水溶液または他の生理的に許容される溶液中などの単一の非経口投薬組成物として投与することもでき、各薬剤を別々の非経口投薬形態で投与することもできる。別々の投薬形態を使用する場合、抗体または抗原結合性断片と1つまたは複数の追加的な活性薬剤を含む組成物を基本的に同じ時間、すなわち、同時に投与することもでき、別々に時間差で、すなわち、逐次的におよび任意の順序で投与することもできる。併用療法は、これらのレジメン全てを包含するものと理解される。
【0167】
関連する態様では、ここに開示される抗体、抗原結合性断片、および組成物の使用が提供される。
【0168】
ある特定の実施形態では、(a)被験体におけるCampylobacter感染を処置する;(b)Campylobacter感染を有する被験体における腸炎症を低減する;および/または(c)Campylobacter感染を有する被験体によるCampylobacterの腸からの排出を増加させる方法において使用するための、抗体、抗原結合性断片、または組成物が提供される。処置、炎症の低減、および腸からの排出の増加は本明細書に記載の通りであることが理解されよう。
【0169】
ある特定の実施形態では、(a)被験体におけるCampylobacter感染を処置するため;(b)Campylobacter感染を有する被験体における腸炎症を低減するため;および/または(c)Campylobacter感染を有する被験体によるCampylobacterの腸からの排出を増加させるための医薬を製造または調製する方法における使用のための、抗体、抗原結合性断片、または組成物が提供される。ある特定の実施形態では、医薬を経口投与用に製剤化する。
【実施例】
【0170】
(実施例1)
実験方法
細菌運動性、接着、または粘膜侵入に関連する選択されたCampylobacter抗原に対する免疫グロブリンを単離し、効力、選択性、および幅についてin vitroおよびex−vivoで試験した。対応する組換えSIgA(rSIgA)を同時トランスフェクションによって哺乳動物細胞において発現させ、アフィニティーカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0171】
Campylobacterの運動性を抑えるrSIgAの能力をin vitroにおいて運動性アッセイによって評価し(Riazi et al., PLoS one 2013)、一方、rSIgAの幅およびマウス微生物叢との交差反応性を、mAbを感染または偽感染マウスの便と一緒にインキュベートし、その後、ヒトIgAでコーティングされた細菌のFACS分析を行うことによって評価した。
【0172】
Campylobacter感染に対する経口投与されたrSIgAの予防活性をC57BL/6マウスモデルにおいて試験した。第1の実験では、C57/BL6マウスを、mAb投与の48時間前にバンコマイシンの経口強制飼養によって3回前処置した。次に、1時間後に、動物に10
9CFUのCampylobacter jejuni 81−176株(コレクション番号ATCC BAA−2151)を感染させ、次いで、抗体を6時間間隔で再度2回投与した。別の実験では、雌C57BL/6マウス(21日齢)を、mAb投与の48時間前、24時間前および12時間前にPBS 200μl中10mgのバンコマイシン(Sigma−Aldrich)で前処置した。次いで、マウスにPBS 200μl中200μgのFliD反応性mAbを単回経口投与し、2時間後に10
8CFUのC.jejuni 81−176(コレクション番号ATCC BAA−2151)を経口強制飼養によって感染させた。この感染は、Campylobacter coli株10092/ATB(コレクション番号NCTC 11437)などの他のCampylobacter種を用いて行うこともできる。実験全体を通して動物の便中の細菌排出をモニタリングした。便試料中の腸炎症のマーカーであるリポカリン−2をELISAによって測定し、盲腸に関する組織学的評価を実施して、粘膜上皮の細菌侵入および変化を調査した。
【0173】
(実施例2)
Campylobacter特異的モノクローナルIgA抗体の生成
Campylobacter鞭毛キャッピングタンパク質(FliD)は、これまで治療用モノクローナル抗体の潜在的な標的としては評価されていない。FliDをmAb開発の抗原として選択した。スイス起源の50の扁桃試料中のIgG
+およびIgA
+FliD反応性メモリーB細胞の頻度を、抗原特異的メモリーB細胞レパートリー分析(Antigen−specific−Memory−B−cell−Repertoire−Analysis)(AMBRA)を使用して評価した(Pinna et al., Eur.J.Immunol., 39:1260-1270 (2009))(
図13)。次いで、選択された扁桃由来のIgG
+およびIgA
+メモリーB細胞を不死化し(Traggiai et al., Nat.Med., 10:871-875 (2004))、培養上清を384ウェルプレートに基づくハイスループットプラットフォームを使用してスクリーニングして、FliD反応性抗体を発現する細胞クローンを同定した。
【0174】
ヒトモノクローナル抗体「CAA」および「CCG4」を産生するメモリーB細胞クローンを単離し、FliD抗原に対するそれらの特異性および親和性に基づいて選択した。CAA1は、21アミノ酸のHCDR3およびV
K1−39/J
K5を有するV
H3−48/D2−15/J
H3によってコードされるIgA1として単離された。CCG4は、より短い(11アミノ酸)HCDR3およびV
L3−27/J
L3を有するV
H3−9/D1−7/J
H1によってコードされるIgG3として単離された。例示的なmAb由来の可変領域の核酸およびアミノ酸配列を表1に提示する。
【0175】
ヒトは、主にヒンジ領域の長さおよびグリコシル化が異なる2つのIgAアイソタイプサブクラスを示す。IgA1は、IgA2よりも13アミノ酸長いヒンジを有し、セリン残基およびトレオニン残基に最大5つのO結合グリカンを含有する。IgA1のヒンジがより長いことは、より大きな柔軟性およびより長いFabリーチを付与すると考えられるが、IgA1のIgA1プロテアーゼに対する感受性にも寄与する可能性がある。IgA2はプロリン−セリンおよび/またはプロリン−トレオニンペプチド結合を欠くより短いヒンジ領域を有し、IgA1プロテアーゼに対する抵抗性を有する(Plaut, Annu.Rev.Microbiol., 37:603-622 (1983))。さらに、IgA2アイソタイプは、PPs M細胞の表面上のデクチン−I受容体と接触することにより逆トランスサイトーシスを受ける可能性がある(Rochereau et al., PLoS Biol., 11: e1001658 (2013))。IgG、IgM、およびIgA1アイソタイプはこの能力を有さないと考えられている。Cα1領域およびIgA2のグリコシル化パターンはどちらも、病原体に対する適応免疫を追加刺激し得るデクチン−I受容体との相互作用に重要であると考えられる(Rochereau et al., Eur.J.Immunol., 45:773-779 (2015))。
【0176】
さらなる試験のためにIgA1と比較してIgA2足場を最初に選択し、CAA1およびCCG4の両方をrSIgA2として作製した後、さらなるin vitroにおける特徴付けを行った。抗原と非反応性の対照抗体として、HIV糖タンパク質を標的とするHGN194 mAb(Corti et al., PLoS One, 5: e8805 (2010))もrSIgA2として発現させた。抗体を哺乳動物細胞へのプラスミドの同時トランスフェクションによってrSIgA2として発現させ、CaptureSelect IgAアフィニティーカラムを使用して精製した。
【0177】
精製されたrSIgAの構造的および機能的特徴付けをELISAおよびUPLC分析を使用して実施した。Campylobacter反応性rSIgAは、最近の臨床分離株を含めた重症感染に関連付けられる最も一般的なCampylobacter種を認識し、それに結合することができ(
図1)、マウス微生物叢との限定された交差反応性を示し、これは、共生の種の鞭毛における同様の抗原との相同性のレベルが穏当であること、または非Fab媒介性相互作用に起因する可能性がある。
【0178】
表1に本開示による例示的な抗FliD mAbの配列、ならびに例示的なFliDタンパク質の配列を提示する。抗体のCDR配列(アミノ酸およびヌクレオチド)が太字で示されている。体細胞変異から生じた抗体残基に下線が引かれている。
【0179】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【表1-28】
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【0180】
(実施例3)
rSIgA2であるCampylobacter特異的抗体はFLiDに結合する
CAA1およびCCG4は、SIgA2フォーマットで元のFliD結合活性を維持し、鞭毛タンパク質に対して同様のEC50を示した(
図7A)。CAA1 SIgA2のEC50は0.02372であり、CCG4 SIgA2のEC50は0.02954であった。エピトープビニングから、一方の抗体の抗原への結合によって他方のmAbの結合が妨げられないことが示され(
図7B)、したがって、2つの異なるエピトープが認識されることが示される。変性還元条件でのウエスタンブロット分析により、この2種のmAbが構造的に異なる抗原性決定因子に結合し、CAA1は直鎖状エピトープを標的とし、CCG4はコンフォメーショナルエピトープを標的とすることが示された(
図7C)。C.jejuniおよびC.coli歴史的分離株の鞭毛におけるこれらのエピトープへの抗体の接近可能性をフローサイトメトリーによって、および共焦点イメージングによって確認した(
図7D、7E)。
【0181】
(実施例4)
rSIgAはin vitroにおいてCampylobacterの運動性を阻害する
運動性アッセイが
図2に概略的に示されている。結果が
図3に提示されている。CAA1(rSIgA2)のCampylobacter鞭毛への結合により、感染および侵入力を最大にするために必要な条件である細菌運動性が低下する。HIV−1gp120に対する対照rSIgA2 HGN194は運動性アッセイにおいて細菌の拡散を抑えることができず、それにより、細菌運動性の阻害がSIgAの高度にグリコシル化された構造の「生得的な」交差反応性に起因するものではないことが示された。
【0182】
(実施例5)
Campylobacter感染のマウスモデル
Campylobacter病理発生を研究するためのモデルとして、SIGIRRまたはIL10
−/−マウスなどの、細菌に対する炎症反応の悪化を特徴とする遺伝子操作された動物が提唱されている(Heimesaat et al., Front.Cell.Infect.Microbiol., 4: 77 (2014);Stahl et al., PLoS Pathog., 10: e1004264 (2014))。しかし、これらの変異は、共生微生物の存在によってさえ潜在的に自然発症腸炎が生じる程度までマウス免疫系を劇的に変更させるものである(Mansfield et al., Infect.Immun., 75:1099-1115 (2007))。
【0183】
さらに、マウス腸は、コロニー形成抵抗性、および炎症を限定するある特定のレベルの寛容性に起因してCampylobacterに対する抵抗性が高いことが示されている(Bereswill et al., PLoS One, 6: e20953 (2011);Chang and Miller, Infect.Immun., 74:5261-5271 (2006);Masanta et al., Clin.Dev.Immunol., 2013: 526860 (2013))。常在微生物叢の潜在的な影響を克服するために、Campylobacter種が本質的に抵抗性を有するバンコマイシン(Taylor and Courvalin, Antimicrob.Agents Chemother., 32:1107-1112 (1988))の経口強制飼養による前処置を採用した。前処置により盲腸における頑強な細菌コロニー形成が可能になるが、観察された炎症の徴候は最小であったので、成体野生型マウスにおける病理は増強されないと思われる(Stahl et al., PLoS Pathog., 10: e1004264 (2014))。
【0184】
乳児野生型マウスは成体動物と比較してC.jejuni感染に対する易罹患性が高いことが以前に報告されており、微生物叢組成が著しく異なることに結び付けられている(Haag et al., Eur.J.Microbiol.Immunol. (Bp), 2:2-11 (2012))。免疫適格条件下の新生児および乳児における疾患を再現することができるモデルを設定するために、C.jejuni 81−176感染に対する感受性を子(12日齢)、離乳したばかり(21日齢)および成体(56日齢)C57BL/6マウスにおいて評価した。動物を、マウス微生物叢を減損させるためにバンコマイシンを用いて経口強制飼養によって前処置した後、C.jejuni 81−176をマウス当たり10
9CFUで感染させた。感染の6日後に便からCampylobacterを単離し、21日齢の動物では12日齢および56日齢のマウスよりもほぼ2ログ高い排出が明らかになった(
図8A)。これらの結果と一致して、離乳したばかりのマウスでは、便中のリポカリン−2のレベルおよび盲腸の組織学的スコア値によって測定して、子および成体マウスと比較して有意に高い腸炎症が示された(
図8B〜8C)。
【0185】
抗生物質による前処置により、異なる動物において同等の、感染の生態学的ニッチがもたらされることが予想されるので、3群のマウスによって示されたC.jejuni感染に対する異なる感受性は他の因子によって説明される可能性がある。12日齢、21日齢および56日齢のマウスの便中のマウスIgAの分析により、群の間で濃度が異なることが明らかになった(
図8D)。特に、離乳したばかりのマウスで示された便中のIgAは子および成体マウスと比較して無視できるレベルであった。理論に束縛されることを望むものではないが、この観察は、乳によってもたらされる母親の抗体の外因性供給(12日齢のマウス)から成体動物(56日齢のマウス)において確立される内因性産生への転移と一致する可能性がある。したがって、離乳したばかりのマウスのC.jejuni感染に対する易罹患性に関する因子は、これらの動物では腸免疫系が相対的に未熟であることおよび母親の抗体が枯渇していることに起因して分泌型IgAの濃度が低いことであり得る。これらのデータに基づいて、離乳したばかりのマウスを、FliD反応性mAbの予防活性を試験するための免疫コンピテントマウスモデルとして選択した。
【0186】
CAA1およびCCG4のマウス微生物叢へのオフターゲットの結合の結果、mAb利用可能性が低下し、したがって、予防的状況における病原体に対する活性が低下する可能性がある。これを調査するために、rSIgAの、離乳したばかりのマウスの微生物叢との潜在的な交差反応性を評価した。C.jejuni、C.coliまたはPBS(偽感染)を経口感染させた動物由来の便を感染の24時間後に採取し、2種のFliD反応性mAbおよび対照rSIgA HGN194と一緒にインキュベートした。偽および感染動物の便由来のヒトIgAでコーティングされた細菌を分析することにより、どちらのCampylobacter反応性rSIgAも重症感染に関連付けられる最も一般的な種を認識し、それに結合することができ、それにより、マウス微生物叢との交差反応性が限定されていることが示される(
図14A)。
【0187】
抗体の予防有効性を試験するための条件を設定するために、離乳したばかりのマウスの異なる胃腸管における経口投与されたSIgAの薬物動態学を評価した。マウス微生物叢との交差反応性を示さなかったCampylobacterに関連しないHGN194 rSIgA2(
図14A)をPBS中150μg(≒15mg/Kg)の単回経口強制飼養として投与し、投与の2時間後、4時間後および8時間後の異なる腸亜区画におけるその濃度を測定した(
図14B)。盲腸におけるHGN194 rSIgA濃度は、投与後最初の4時間はほぼ一定に維持され、次いで、8時間後までに劇的に低下する傾向があった(
図14B)。投与の12時間後または24時間後にヒト抗体は検出可能でなかった(データは示していない)。
【0188】
(実施例6)
経口投与されたrSIgAの予防効果
離乳したばかりの動物(21日齢)をバンコマイシンで処置し、次いで、マウス当たり200μgのrSIgA2 CAA1、CCG4、HGN194またはPBSを単回経口強制飼養により投与し、2時間後にマウス当たり10
8CFUのC.jejuni 81−176を経口感染させた。処置した動物および対応する対照群を72時間にわたってモニタリングし、その間、感染の重症度および炎症の程度を記録した。処置したマウスの便を分析することにより、Campylobacterの排出が感染の24時間後に高く、その後、経時的に有意に低減したことを特徴とする傾向が明らかになった。逆に、無処置群およびHGN194処置群では、初期の時点で低排出が示され、その後、感染の48時間後にCFUが一貫して増加した(
図9A)。
図5Aおよび5Bは、マウスに200μgのmAbをマウス当たり10
9CFUのC.jejuni 81−176を感染させる前に1回、および感染させた後に2回投与した別々の実験のデータを示す。
【0189】
これらの結果から、CAA1およびCCG4により、粘膜上皮の表面に接着する病原体の能力が妨げられるかまたは低下し、したがって、感染後初期の蠕動または粘膜線毛活性による細菌のクリアランスを容易にすることができることが示唆される。この仮説は、感染の72時間後にCAA1およびCCG4で処置した動物の便において記録された上皮損傷および好中球浸潤に結び付けられる腸炎症のマーカーであるリポカリン−2のレベルが対照群と比較して有意に低いことによってさらに裏付けられた(感染/無感染および感染/HGN194処置群)(
図9B)。
図6は、マウスに、200μgのmAbを、マウス当たり10
9CFUのC.jejuni 81−176を感染させる前に1回、および感染させた後に2回投与した別々の実験のデータを示す。
【0190】
Campylobacter種菌をより多くまたはより少なく投与した動物においても同様の所見が観察された(マウス当たり10
7または10
9CFU;
図15A、15B)。さらに、FliD反応性mAbの単回投与で処置した動物では、無感染マウスと同等であり、HGN194処置群よりも有意に低下したPMN細胞浸潤のレベルおよび盲腸における組織学的スコア値が示され、したがって、「生得的な活性」によって駆動されるものではなく(Kaetzel, Immunol.Rev., 206:83-99 (2005);Phalipon et al., Immunity, 17:107-115 (2002))高度にグリコシル化されたSIgAに関連するin vivo有効性が裏付けられる(
図9C、9D)。
【0191】
これらの結果から、rSIgA2フォーマットの本開示のFliD特異的抗体が、経口送達後に、感染後初期の細菌クリアランスを加速することによってCampylobacter感染および炎症を保護することが示される。
【0192】
(実施例7)
IgAアイソタイプスイッチはCAA1予防活性に影響を及ぼさない
IgA1およびIgA2は、腸におけるポリマーIgの架橋結合能および/または持続性に影響を及ぼす可能性があるFabリーチ、柔軟性、およびグリコシル化に差異を有し得るので、以下の実験を実施して、この2種のIgAアイソタイプが、Campylobacter感染の本明細書に記載の免疫適格性マウスモデルにおいて異なる予防活性を発揮し得るかどうかを決定した。
【0193】
FliD反応性CAA1をSIgA1およびSIgA2として組換えによって作製した。この2つのサブクラスが適当にアセンブリされたことを分析方法によって、およびNeisseria gonhorrehoeae由来のIgA1プロテアーゼで消化することによって確認した(
図16A)。CAA1 SIgA1およびSIgA2はFliDに対して同等の結合を示し(
図16B)、in vitroにおいてもex vivoにおいてマウス微生物叢を用いた場合にも、2つのフォーマット間でCampylobacter種に対する反応性に有意差は観察されなかった(
図16C、16D)。
【0194】
次いで、2つのサブクラスの予防活性をCampylobacter感染のマウスモデルにおいて試験した。以前の所見と一致して、FliD反応性mAbを投与した動物では、感染後初期の時点でより高いCampylobacterの排出が示され、その後、経時的に低減したが、感染した無処置動物では逆の傾向が生じた(
図10A)。CAA1 rSIgA2では排出がrSIgA1よりも加速されたが、感染の72時間後の便におけるリポカリン−2のレベル、PMN浸潤および盲腸における対応する組織学的スコアによって示される通り、どちらのサブクラスも感染動物において同等に炎症を限定することができた(
図10B〜10D)。
【0195】
これらの結果から、IgA1とIgA2の構造的差異により、in−vivoモデルにおいてこれらの2つのCAA1フォーマットによって発揮される予防活性の差異は生じないことが示される。
【0196】
(実施例8)
mAb CAA1およびCCG4はIgGとして発現させた場合には経口予防活性が低下する
SIgAは、腸粘膜と関連して発現される最も豊富な抗体であり、腸内病原体に対する防御の最前線になり得ると考えられるが、複雑なタンパク質構造を特徴とし、薬物として開発することは現在のところIgGに基づくモノクローナル抗体と比較して困難であり得る。Campylobacter反応性mAbの活性はFliDに対する特異性に依存することが示されたので、CAA1、CCG4およびCampylobacterとは無関係の抗体HGN194をrIgG1として生成し、予防活性についてそれらの対応するSIgA2対応物と比較して評価した。
【0197】
グリコシル化が粘膜表面上のムチンと相互作用するmAbの能力に影響を及ぼす可能性があるので、対照mAbであるrIgG1としてのHGN194のマウス腸管における局在化および持続性を、抗体を21日齢のマウスに単回経口強制飼養として投与し、次いで、2時間後、4時間後および8時間後に異なる腸亜区画における当該抗体の濃度を測定することによって評価した(
図14C)。HGN194 rSIgA2を用いた場合と同様に、すべての時点で盲腸においてrIgG1の最高濃度が検出された;しかし、この腸亜区画では、rIgG1濃度はrSIgA2よりも速く低下する傾向があり、投与の4時間後までに有意な低下が観察された(
図14B、14C)。
【0198】
FliD反応性mAb CAA1およびCCG4のrIgG1またはSIgA2としての予防活性も評価した。mAbを離乳したばかりのマウスに経口投与し、その2時間後にC.jejuni 81−176を感染させた。興味深いことに、SIgA2抗体で処置した動物では、排出が感染の24時間後に高く、その後、48時間後および72時間後には有意に低減することを特徴とする、以前に観察されたパターンが示され、同じ抗体のIgGバージョンで処置された群では、無処置群と同様の傾向が明らかになった(
図11Aおよび17A)。感染の72時間後の感染動物の盲腸におけるPMN細胞浸潤および便中のリポカリン−2レベルによって示された通り、CAA1およびCCG4 IgGの炎症を限定する能力がそれらのポリマー対応物と比較して低いことにより、in vivo有効性に関するSIgAフォーマットの重要性がさらに確認された(
図11B、Cおよび17B、17C)。全体として、FliD反応性IgG抗体で処置したマウスと無処置の動物の間に組織学的スコアに有意差は観察されなかった。逆に、SIgAバージョンの抗体では、以前に観察された有益な効果を再現することができ、盲腸における組織学的スコアが無処置マウスおよびIgGで処置したマウスのどちらよりも有意に低い値に維持された(
図11Dおよび17D)。
【0199】
これらのデータから、Campylobacter感染の前に経口投与されたCAA1およびCCG4 IgGの予防活性が、SIgAとして発現させた同じ抗体と比較して限定されたものであることが示される。理論に束縛されることを望むものではないが、経口投与されたCAA1およびCCG4 IgGの活性の欠如は、胃腸管内での持続性、および、SIgAフォーマットに関連する異なる架橋結合性の両方に依拠する可能性がある。
【0200】
上記の種々の実施形態を組み合わせて別の実施形態をもたらすことができる。本明細書において参照されているおよび/または本出願データシートに列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は、2018年7月17日出願の米国仮特許出願第62/699,573号を含め、全てがそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに別の実施形態をもたらすために種々の特許、適用および刊行物の概念を使用するために必要であれば、実施形態の態様を改変することができる。
【0201】
上記の詳細な説明を踏まえてこれらおよび他の変化を実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において使用される用語は、当該請求項を本明細書および特許請求の範囲に開示されている特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、可能性のある全ての実施形態をそのような特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の全範囲と共に含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示により限定されない。