(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530331(P2021-530331A)
(43)【公表日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】心臓灌流磁気共鳴イメージングを使用して虚血性心疾患を検出するために完全定量ピクセル単位心筋血流および心筋血流予備能マップを自動的に生成および分析するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20211015BHJP
【FI】
A61B5/055 382
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2021-514658(P2021-514658)
(86)(22)【出願日】2019年5月17日
(85)【翻訳文提出日】2021年1月13日
(86)【国際出願番号】IB2019054112
(87)【国際公開番号】WO2019220417
(87)【国際公開日】20191121
(31)【優先権主張番号】62/672,787
(32)【優先日】2018年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/680,185
(32)【優先日】2018年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520449024
【氏名又は名称】ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ、デパートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒューマン・サービシーズ、ナショナル・インスティテューツ・オブ・ヘルス
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA, DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES, NATIONAL INSTITUTES OF HEALTH
(71)【出願人】
【識別番号】520449035
【氏名又は名称】サークル・カーディオバスキュラー・イメージング・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CIRCLE CARDIOVASCULAR IMAGING INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スー,リー−ユー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ベノボイ,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】アライ,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA05
4C096AA10
4C096AB12
4C096AB38
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC14
4C096DC18
4C096DC25
4C096DC28
4C096DC33
4C096DC35
(57)【要約】
完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのコンピュータが実行する方法であって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信するステップと、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像における心臓の動きを補正するステップであり、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、補正するステップと、運動補正心筋灌流MRI画像の強度および運動補正AIF画像の強度を補正するステップであり、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップと、運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して、心筋血流マップを生成するステップとを含む、コンピュータが実行する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのコンピュータが実行する方法であって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信するステップと、
前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像における心臓の動きを補正するステップであり、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、補正するステップと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像の強度および前記運動補正AIF画像の強度を補正するステップであり、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像、前記左心室心筋組織領域セグメント化、および前記時間−信号強度特性を使用して、心筋血流マップを生成するステップと、
前記心筋血流マップを出力するステップと
を含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項2】
前記心臓の動きを補正するステップは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像において前記心臓の動きを検出するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項3】
前記心臓の動きを検出するステップは、前記心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよび前記AIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、前記第1のコピーおよび前記第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを含む、請求項2に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項4】
前記心臓の動きを検出するステップは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するステップを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項5】
前記非剛体変位推定は、大変位オプティカルフロー推定を含む、請求項4に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項6】
前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するステップをさらに含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項7】
前記参照フレームを識別する前に、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーのノイズを除去するステップをさらに含む、請求項6に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項8】
前記ノイズを除去するステップは、主成分分析法を使用して実行される、請求項7に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項9】
前記心臓の動きを補正するステップは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像を前記参照フレームに見当合わせするステップであって、これにより、前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項10】
前記見当合わせするステップは、補間ワーピング方法を使用して実施される、請求項9に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項11】
前記補間ワーピング方法は、2Dバイキュービック補間ワーピング方法を含む、請求項10に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項12】
前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像の元の信号強度分布を復元するステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項13】
前記強度を補正するステップは、
信号強度バイアス場を推定するステップと、
前記信号強度バイアス場を使用して前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと
を含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項14】
前記信号強度バイアス場を推定するステップは、適合法を使用して実施される、請求項13に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項15】
前記適合法は、5次2D多項式最小二乗適合法を含む、請求項14に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項16】
前記時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップは、左心室および右心室を識別するステップを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項17】
前記左心室および右心室を識別するステップは、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、
類似性チェック法を使用するステップであって、特定の候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、
線形投票方式を使用するステップであって、前記2つの心室領域のうちの第1の心室領域を前記左心室に割り当て、前記2つの心室領域のうちの第2の心室領域を前記右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップと
を含む、請求項16に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項18】
前記線形投票方式は、画像中心までの距離、以前に選択された候補領域までの距離、領域のサイズ、信号強度の上り勾配、ピーク値(PV)、ピークまでの時間(TTP)、半値全幅(FWHM)、およびM値のうちの少なくとも1つに基づく、請求項17に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項19】
前記時間−信号強度特性を決定するステップは、心筋時間−信号強度曲線およびAIF時間−信号強度曲線を決定するステップを含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項20】
前記心筋血流マップを生成するステップは、ピクセル単位のデコンボリューション法を使用して実施される、請求項1〜19のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項21】
前記受信するステップは、プロトン密度(PD)画像を受信するステップと、前記PD画像を前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像に非線形的に見当合わせするステップとをさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項22】
完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのシステムであって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信し、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得するために前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像における心臓の動きを補正するための運動補正ユニットと、
表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得するために、前記運動補正心筋灌流MRI画像の強度および前記運動補正AIF画像の強度を補正するための強度補正ユニットと、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するための分析ユニットと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像、前記左心室心筋組織領域セグメント化、および前記時間−信号強度特性を使用して、前記心筋血流マップを生成し、前記心筋血流マップを出力するためのマップ生成器と
を備える、システム。
【請求項23】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像において前記心臓の動きを検出するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよび前記AIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、前記第1のコピーおよび前記第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを行うように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記非剛体変位推定は、大変位オプティカルフロー推定を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するようにさらに構成されている、請求項24〜26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記運動補正ユニットは、前記参照フレームを識別する前に、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーのノイズを除去するようにさらに構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記ノイズを除去するステップは、主成分分析法を使用して実行される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像を前記参照フレームに見当合わせするステップであって、前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを行うように構成されている、請求項27〜29のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記見当合わせするステップは、補間ワーピング方法を使用して実施される、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記補間ワーピング方法は、2Dバイキュービック補間ワーピング方法を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記運動補正ユニットは、前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像の元の信号強度分布を復元するようにさらに構成されている、請求項30〜32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記強度補正ユニットは、
信号強度バイアス場を推定するステップと、
前記信号強度バイアス場を使用して前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと
を行うように構成されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記信号強度バイアス場を推定するステップは、適合法を使用して実施される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記適合法は、5次2D多項式最小二乗適合法を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記分析ユニットは、左心室および右心室を識別するように構成されている、請求項34〜36のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記左心室および右心室を識別するステップは、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、
類似性チェック法を使用するステップであって、特定の前記候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、
線形投票方式を使用するステップであって、前記2つの心室領域のうちの第1の心室領域を前記左心室に割り当て、前記2つの心室領域のうちの第2の心室領域を前記右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップと
を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記線形投票方式は、画像中心までの距離、以前に選択された候補領域までの距離、領域のサイズ、信号強度の上り勾配、ピーク値(PV)、ピークまでの時間(TTP)、半値全幅(FWHM)、およびM値のうちの少なくとも1つに基づく、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記分析ユニットは、心筋時間−信号強度曲線およびAIF時間−信号強度曲線を決定するように構成されている、請求項37〜39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記マップ生成器は、ピクセル単位のデコンボリューション法を使用して前記心筋血流マップを生成するように構成されている、請求項22〜40のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
心臓疾患を自動的に検出および診断するためのコンピュータが実行する方法であって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するステップと、
前記安静時およびストレス時心筋血流マップならびに前記心筋灌流MRI画像を使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するステップと、
前記関心セグメント化領域、前記MPRマップ、前記時間−信号強度曲線ならびに前記安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するステップと、
前記関心特徴を自動的に分類するステップであって、これにより、分類出力を取得する、分類するステップと、
正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示す分類出力を出力するステップと
を含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項43】
前記左心室の関心セグメント化領域を決定するステップは、ピクセル動態の分析に基づく、請求項42に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項44】
前記MPRマップを決定するステップは、前記安静時心筋血流マップの、前記ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用して実施される、請求項42または43に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項45】
前記分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項42〜44のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項46】
前記イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む、請求項45に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項47】
心臓疾患を自動的に検出および診断するためのシステムであって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信し、前記安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するための領域決定ユニットと、
前記関心セグメント化領域、前記MPRマップ、前記時間−信号強度曲線ならびに前記安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するための特徴抽出ユニットと、
前記関心特徴を分類して分類出力を取得し、分類出力を出力して、正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示すための分類ユニットと
を備える、システム。
【請求項48】
前記領域決定ユニットは、ピクセル動態の分析に基づいて前記左心室の前記関心セグメント化領域を決定するように構成されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記特徴抽出ユニットは、前記安静時心筋血流マップの、前記ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用して前記MPRマップを決定するように構成されている、請求項47または48に記載のシステム。
【請求項50】
前記分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項47〜49のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項51】
前記イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む、請求項50に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の利益に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所、国立心肺血液研究所によるプロジェクト番号1ZIAHL006137−01〜1ZIAHL006137−08ならびに契約番号HHSN268201600299AおよびHHSN268201700377Aの下で政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
技術分野
本発明は、心臓磁気共鳴イメージング灌流画像系列を使用した心筋血流分析および虚血性心疾患の検出の分野に関し、より詳細には、心筋血流マップ、それらの派生機能、および自動分類を介した自動完全定量心筋血流分析および心臓疾患検出に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心筋灌流磁気共鳴画像の完全自動、完全定量心筋灌流分析を可能にするシステムは存在しない。したがって、完全定量血流(MBF)および心筋血流予備能(MPR)分析のデータは手動で実施する必要があり、これは面倒で時間がかかる。
【0004】
したがって、完全定量MBFおよびMPRマップを自動的に生成し、これらのマップを使用して、特徴を抽出し、自動心臓疾患検出および診断を実施するための方法およびシステムが必要である。
【0005】
概要
第1の広い態様によれば、完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのコンピュータが実行する方法であって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信するステップと、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像における心臓の動きを補正するステップであり、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、補正するステップと、運動補正心筋灌流MRI画像の強度および運動補正AIF画像の強度を補正するステップであり、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップと、運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して、心筋血流マップを生成するステップと、心筋血流マップを出力するステップとを含む、コンピュータが実行する方法が提供される。
【0006】
1つの実施形態では、心臓の動きを補正するステップは、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像において心臓の動きを検出するステップを含む。
【0007】
1つの実施形態では、心臓の動きを検出するステップは、心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよびAIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、第1のコピーおよび第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを含む。
【0008】
1つの実施形態では、心臓の動きを検出するステップは、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するステップを含む。
【0009】
1つの実施形態では、非剛体変位推定は、大変位オプティカルフロー推定を含む。
1つの実施形態では、この方法は、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するステップをさらに含む。
【0010】
1つの実施形態では、この方法は、参照フレームを識別する前に、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーのノイズを除去するステップをさらに含む。
【0011】
1つの実施形態では、ノイズを除去するステップは、主成分分析法を使用して実施される。
【0012】
1つの実施形態では、心臓の動きを補正するステップは、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像を参照フレームに見当合わせするステップであって、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを含む。
【0013】
1つの実施形態では、見当合わせするステップは、補間ワーピング方法を使用して実施される。
【0014】
1つの実施形態では、補間ワーピング方法は、2Dバイキュービック補間ワーピング方法を含む。
【0015】
1つの実施形態では、この方法は、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像の元の信号強度分布を復元するステップをさらに含む。
【0016】
1つの実施形態では、強度を補正するステップは、信号強度バイアス場を推定するステップと、信号強度バイアス場を使用して運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップとを含む。
【0017】
1つの実施形態では、信号強度バイアス場を推定するステップは、適合法を使用して実施される。
【0018】
1つの実施形態では、適合法は、5次2D多項式最小二乗適合法を含む。
1つの実施形態では、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップは、左心室および右心室を識別するステップを含む。
【0019】
1つの実施形態では、左心室および右心室を識別するステップは、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、類似性チェック法を使用するステップであって、特定の候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、線形投票方式を使用するステップであって、2つの心室領域のうちの第1の心室領域を左心室に割り当て、2つの心室領域のうちの第2の心室領域を右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップとを含む。
【0020】
1つの実施形態では、線形投票方式は、画像中心までの距離、以前に選択された候補領域までの距離、領域のサイズ、信号強度の上り勾配、ピーク値(PV)、ピークまでの時間(TTP)、半値全幅(FWHM)、およびM値のうちの少なくとも1つに基づく。
【0021】
1つの実施形態では、時間−信号強度特性を決定するステップは、心筋時間−信号強度曲線およびAIF時間−信号強度曲線を決定するステップを含む。
【0022】
1つの実施形態では、心筋血流マップを生成するステップは、ピクセル単位のデコンボリューション法を使用して実施される。
【0023】
1つの実施形態では、受信するステップは、プロトン密度(PD)画像を受信するステップと、PD画像を心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像に非線形的に見当合わせするステップとをさらに含む。
【0024】
第2の広い態様によれば、完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのシステムであって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信し、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得するために心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像における心臓の動きを補正するための運動補正ユニットと、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得するために、運動補正心筋灌流MRI画像の強度および運動補正AIF画像の強度を補正するための強度補正ユニットと、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するための分析ユニットと、運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して、心筋血流マップを生成し、心筋血流マップを出力するためのマップ生成器とを備える、システムが提供される。
【0025】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像において心臓の動きを検出するように構成されている。
【0026】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよびAIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、第1のコピーおよび第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを行うように構成されている。
【0027】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するように構成されている。
【0028】
1つの実施形態では、非剛体変位推定は、大変位オプティカルフロー推定を含む。
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するようにさらに構成されている。
【0029】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、参照フレームを識別する前に、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーのノイズを除去するようにさらに構成されている。
【0030】
1つの実施形態では、上記ノイズを除去するステップは、主成分分析法を使用して実施される。
【0031】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像を参照フレームに見当合わせするステップであって、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを行うように構成されている。
【0032】
1つの実施形態では、上記見当合わせは、補間ワーピング方法を使用して実施される。
1つの実施形態では、補間ワーピング方法は、2Dバイキュービック補間ワーピング方法を含む。
【0033】
1つの実施形態では、運動補正ユニットは、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像の元の信号強度分布を復元するようにさらに構成されている。
【0034】
1つの実施形態では、強度補正ユニットは、信号強度バイアス場を推定するステップと、信号強度バイアス場を使用して運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップとを行うように構成されている。
【0035】
1つの実施形態では、上記信号強度バイアス場を推定するステップは、適合法を使用して実施される。
【0036】
1つの実施形態では、適合法は、5次2D多項式最小二乗適合法を含む。
1つの実施形態では、分析ユニットは、左心室および右心室を識別するように構成されている。
【0037】
1つの実施形態では、上記左心室および右心室を識別するステップは、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、類似性チェック法を使用するステップであって、特定の候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、線形投票方式を使用するステップであって、2つの心室領域のうちの第1の心室領域を左心室に割り当て、2つの心室領域のうちの第2の心室領域を右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップとを含む。
【0038】
1つの実施形態では、線形投票方式は、画像中心までの距離、以前に選択された候補領域までの距離、領域のサイズ、信号強度の上り勾配、ピーク値(PV)、ピークまでの時間(TTP)、半値全幅(FWHM)、およびM値のうちの少なくとも1つに基づく。
【0039】
1つの実施形態では、分析ユニットは、心筋時間−信号強度曲線およびAIF時間−信号強度曲線を決定するように構成されている。
【0040】
1つの実施形態では、マップ生成器は、ピクセル単位のデコンボリューション法を使用して心筋血流マップを生成するように構成されている。
【0041】
別の広い態様によれば、心臓疾患を自動的に検出および診断するためのコンピュータが実行する方法であって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するステップと、安静時およびストレス時心筋血流マップならびに心筋灌流MRI画像を使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するステップと、関心セグメント化領域、MPRマップ、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するステップと、関心特徴を自動的に分類するステップであって、これにより、分類出力を取得する、分類するステップと、正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示す分類出力を出力するステップとを含む、コンピュータが実行する方法が提供される。
【0042】
1つの実施形態では、左心室の関心セグメント化領域を決定するステップは、ピクセル動態の分析に基づく。
【0043】
1つの実施形態では、MPRマップを決定するステップは、安静時心筋血流マップの、ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用して実施される。
【0044】
1つの実施形態では、分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む。
【0045】
1つの実施形態では、イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む。
【0046】
さらなる広い態様によれば、心臓疾患を自動的に検出および診断するためのシステムであって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信し、安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するための領域決定ユニットと、関心セグメント化領域、MPRマップ、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するための特徴抽出ユニットと、関心特徴を分類して分類出力を取得し、分類出力を出力して、正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示すための分類ユニットとを備える、システムが提供される。
【0047】
1つの実施形態では、領域決定ユニットは、ピクセル動態の分析に基づいて左心室の関心セグメント化領域を決定するように構成されている。
【0048】
1つの実施形態では、特徴抽出ユニットは、安静時心筋血流マップの、ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用してMPRマップを決定するように構成されている。
【0049】
1つの実施形態では、分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
1つの実施形態では、イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む。
【0051】
また別の広い態様によれば、心筋血流を分析するためのコンピュータが実行する方法であって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するステップと、安静時およびストレス時心筋血流マップならびに心筋灌流MRI画像を使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するステップと、関心セグメント化領域、MPRマップ、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するステップと、関心特徴を出力するステップとを含む、コンピュータが実行する方法が提供される。
【0052】
またさらなる広い態様によれば、心筋血流を分析するためのシステムであって、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するステップと、安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するステップとを行うための領域決定ユニットと、関心セグメント化領域、大域的に左心室(LV)心筋全体および/または特定の関心領域内で測定されたMPRマップ、時間−信号強度曲線、ピクセル単位およびセクタ単位の灌流指標、心筋内の病変(灌流欠陥)のサイズ、位置、テクスチャ、パターン、重症度、および粒度、ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するステップと、関心特徴を出力するステップとを行うための特徴抽出ユニットとを備える、システムが提供される。
【0053】
「心筋血流ピクセルマップ」(以下、「心筋血流マップ」としも称される)という表現は、生理学的単位(たとえば、ml/g/min、グラム、秒)または任意の単位(たとえば、信号強度、速度、またはパーセンテージ)で表される絶対単位および/または相対単位において、画像内の各ピクセルにおける心筋組織を灌流(イリゲート)する血液の量を示す完全定量心筋血流マップを指すことを理解されたい。完全定量心筋血流マップは、冠状動脈によって供給される心臓組織を通過する血液の量を示す。完全定量心筋血流マップは、筋肉を通過する血液の量を示すだけでなく、血液が十分に通過していない領域の所在に応じて、完全定量心筋血流マップは、冠状動脈のいずれの枝が閉塞されているかを示すことができる。
【0054】
図面の簡単な説明
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面と組み合わせて取り上げられる、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】1つの実施形態による、心筋血流ピクセルマップを生成するための方法のフローチャートである。
【
図2a】3つの異なるスライス位置における、ストレス時系列の例示的なピクセル単位の心筋血流マップを示す図である。
【
図2b】3つの異なるスライス位置における、安静時系列の例示的なピクセル単位の心筋血流マップを示している。
【
図3】1つの実施形態による、大変位オプティカルフローを示す図である。
【
図4】1つの実施形態による、PDからT1への見当合わせを示す図である。
【
図5a】1つの実施形態による、PD画像を示す図である。
【
図5b】1つの実施形態による、PD画像の強度サンプリングを示す図である。
【
図5c】1つの実施形態による、推定2Dバイアス場を示す図である。
【
図5d】1つの実施形態による、補正灌流画像を示す図である。
【
図6】1つの実施形態による、時間−信号強度特性のプロセスを示す図である。
【
図7】1つの実施形態による、AIFタイミングポイント検出を示す図である。
【
図8】1つの実施形態による、心筋血流ピクセルマップを取得するためのピクセル単位のデコンボリューションを示す図である。
【
図9】1つの実施形態による、心筋血流ピクセルマップを生成するためのシステムのブロック図である。
【
図10】1つの実施形態による、
図1の方法のステップの少なくともいくつかを実行するように適合された処理モジュールのブロック図である。
【
図11】1つの実施形態による、
図1の方法によって生成された心筋血流ピクセルマップから関心特徴を抽出するための方法のフローチャートである。
【
図12a】1つの実施形態による、心臓の生画像を示す図である。
【
図12b】
図12aの生画像の右心室および左心室への例示的な自動関心領域セグメント化を示す図である。
【
図12c】
図12aの生画像の左心室心筋への例示的な自動関心領域セグメント化を示す図である。
【
図13a】ストレス時系列の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示す図である。
【
図13b】安静時系列の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示す図である。
【
図13c】心筋血流予備能の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示す図である。
【
図14】1つの実施形態による、
図8のシステムによって生成される心筋血流ピクセルマップから関心特徴を抽出するためのシステムのブロック図である。
【
図15】1つの実施形態による、
図10の方法のステップの少なくともいくつかを実行するように適合された処理モジュールのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
添付の図面全体を通して、同様の特徴は同様の参照符号によって識別されることに留意されたい。
【0057】
詳細な説明
図1は、心筋血流ピクセルマップを生成するためのコンピュータが実行する方法10を示している。方法10は、少なくとも1つのプロセッサまたは処理ユニットと、メモリと、通信手段とを備えるコンピュータマシンによって実施され、メモリには、プロセッサによって実行されると、方法10のステップ12〜22を実施するステートメントおよび命令が記憶されていることを理解されたい。
【0058】
ステップ12において、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像の系列および動脈入力関数(AIF)MRI画像の系列が受信される。心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像は、実質的に同時にまたは順次的に撮影されることを理解されたい。MRI画像は、高速ローアングルショット(FLASH(登録商標))MRI画像、定常自由歳差運動(FISP)MRI画像、または灌流研究に適した他のタイプのMRI画像を含んでもよい。取得パラダイムは、自由呼吸、デュアルボーラス法またはデュアルシーケンス法の下での息止めのいずれかであってもよい。
【0059】
ステップ14において、後述するように、心臓の動きを補正するために、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像について運動補正が実施され、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像が得られる。
【0060】
ステップ16において、後述するように、磁気共鳴イメージングの画像の強度均一性を改善するために、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像に対して強度補正が実施され、これにより、表面コイル強度補正灌流MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像が得られる。
【0061】
ステップ18において、より詳細に後述するように、表面コイル強度補正灌流MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性/測定基準が決定され、AIF画像と心筋灌流MRI画像の両方において左心室心筋組織領域が識別され、セグメント化される。
【0062】
ステップ20において、後述するように、心筋血流ピクセルマップが、運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して生成される。
図2aは、3つの異なるスライス位置でのストレス時系列の例示的な心筋血流ピクセルマップを示し、
図2bは、3つの異なるスライス位置での安静時系列の例示的な心筋血流ピクセルマップを示している。
【0063】
ステップ22において、心筋血流ピクセルマップが出力される。1つの実施形態では、心筋血流ピクセルマップはメモリに記憶される。同じまたは別の実施形態では、心筋血流ピクセルマップは、コンピュータマシンに送信される。1つの実施形態では、心筋血流ピクセルマップは、表示ユニットに表示される。
【0064】
1つの実施形態では、方法10のステップ12は、プロトン密度(PD)画像を受信することをさらに含む。この場合、方法10は、後述するように、PD画像を心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像に非線形的に見当合わせするステップをさらに含み、ステップ18は、心筋灌流MRI画像に見当合わせされたPD画像をさらに使用して実施される。
【0065】
1つの実施形態では、AIF MRI画像の系列の系列および心筋灌流MRI画像の系列は、それぞれ、ストレス時AIF MRI画像の系列およびストレス時心筋灌流MRI画像の系列を含む。この場合、ストレス時AIF MRI画像の系列およびストレス時心筋灌流MRI画像の系列がステップ12において受信され、ストレス時の心筋血流マップが生成される。
【0066】
別の実施形態では、AIF MRI画像の系列の系列および心筋灌流MRI画像の系列は、それぞれ、安静時AIF MRI画像の系列および安静時心筋灌流MRI画像の系列を含む。この場合、安静時AIF MRI画像の系列および安静時心筋灌流MRI画像の系列がステップ12において受信され、安静時の心筋血流マップが生成される。
【0067】
さらなる実施形態では、AIF MRI画像の系列の系列および心筋灌流MRI画像の系列は、それぞれ、ストレス時および安静時AIF MRI画像の系列ならびにストレス時および安静時心筋灌流MRI画像の系列を含む。この場合、ストレス時および安静時AIF MRI画像の系列ならびにストレス時および安静時心筋灌流MRI画像の系列がステップ12において受信され、ストレス時の心筋血流マップと安静時の心筋血流マップの両方が生成される。
【0068】
以下に、方法10の1つの例示的な実施形態を説明する。
心臓の生画像の最初の系列またはシーケンスが受信され、受信された画像は心臓の動きを補正するために処理される。受信した生画像の系列は、ストレス時および/または安静時のAIF MRI系列、ならびにストレス時および/または安静時の心筋灌流MRI系列(PD画像ありまたはなし)を含む。
【0069】
画像の系列の運動補正を実施するために、この方法では、灌流系列の動態に特に適したオプティカルフローの定式化に基づく非剛体変位推定に続く事後補間ワーピングを使用する。1つの実施形態では、本方法は、呼吸パラダイムに対するロバスト性、様々な特性を有する心臓灌流画像系列を見当合わせする能力、および完全定量心筋灌流分析を容易にするために使用されるPD画像および独立したAIF取得などの補助系列の処理との互換性を提供する。この実施態様は、自動参照フレームおよびPD画像の検出、ならびに処理速度を向上させるマルチスレッドアーキテクチャも備えている。
【0070】
生画像、すなわち心筋灌流MRI画像、AIF MRI画像、および存在する場合にはPD画像は、最初に前処理される。生画像系列のプロキシコピーなどのコピーが生成され、動きを推定するために使用され、一方、元の生系列は、後の見当合わせ段階において幾何学的変換中にのみ使用される。処理パラメータを標準化し、計算時間を最適化するために、プロキシ画像は最初により小さいサイズに再スケーリングされ、より低いダイナミックレンジに量子化される。運動推定後の画像ワーピングは元の生画像を使用するため、補間によって引き起こされる、予測される平滑化以外に画質の低下はない。生画像の前処理は省略されてもよいことを理解されたい。
【0071】
次に、参照心筋灌流MRI画像またはフレーム、参照AIF MRI画像またはフレーム、およびPD画像またはフレームが生画像のコピーから検出される。参照フレーム/画像は、他のすべての画像がそれに対して見当合わせされる初期ターゲットとして使用される。1つの実施形態では、最適な参照フレームは、系列の後期強調期間に自動的に識別される。この最適な参照フレームρは、プロキシ系列全体にわたる構造的な動きを平滑化することに加えて、過渡画像アーティファクトおよびノイズを低減するために分散保持率の高い主成分分析(PCA)分解を使用してプロキシ系列のノイズを最初に除去することにより、自動的に検出される。次に、PCAが低減された系列の逆順において連続する隣接要素が、左心室(LV)のコントラストのフラッシュアウトに表面上対応する大きい相関係数の低下が差分分析によって検出されるまで、ともに相互相関される。心筋灌流およびAIF系列に先行するPDフレームは、PDから非PDへの画像遷移に対応する大きい相関変動を識別することにより、同様の方法で自動的に検出される。
【0072】
次のステップは、大変位オプティカルフロー(OF)運動推定である。ペアにした連続画像間の非剛体変形マップが、心筋灌流およびAIF MRI系列において、大変位、すなわち大変位オプティカルフロー(LDOF)に対してロバストなOF定式化を使用して計算される。この特性は、運動推定アーティファクトを引き起こすことなく、心筋灌流MRI系列に見られる広範囲の動きおよび高速の心室ボーラス到来に対応することを可能にし得る。
図3に示すように、LDOF定式化は、離散的な特徴点の追跡と、粗いものから細かいものへの最適化スキームにおける連続的な変分オプティカルフローステップとを組み合わせる。位置合わせされる2つの画像I
1,I
2と、画像領域ω:x=(x,y)
T内の2次元の点xが与えられると、オプティカルフロー場w:=(u,v)
Tが、ピクセル強度エネルギー項によって与えられる。
【0074】
ここで、ψはオクルージョンを軽減するためのロバストな関数である。
式1は、対応する点が同じ強度を有するはずであるという仮定からの逸脱にペナルティを課すが、これは実際にはめったに発生せず、そのため、追加される照明に対して不変の勾配(∇)制約が定義される。
【0076】
1つの実施形態では、式1および2は、比較的弱い特徴(強度および勾配)に一致し得、一意でない解をもたらし得る。したがって、計算されたフロー場に適用される正則化項を導入することができる。
【0078】
したがって、変分オプティカルフローモデルは以下の式によって与えられる。
【0080】
ここで、α、γは調整パラメータである。
大変位推定は、以下のように、ランドマーク対応エネルギー項を追加することによって実現される。
【0082】
ここで、w
1(x)は所与の点xを一致させることによって構築される対応ベクトルであり、δ(x)は一致の存在を示すバイナリ変数であり、τは一致記述子ベクトル間の距離に関連する一致スコアである。離散記述子マッチングのタスクは、連続的な変動モデルと互換性を有するように連続的なアプローチで定式化することができる。
【0084】
ここで、f
1(x),f
2(x)はI
1,I
2における記述子ベクトルの場である。
したがって、最終的なLDOFモデルは以下のように表すことができる。
【0086】
輝度勾配方向(HOG)追跡構成要素は、任意に移動する解剖学的構造の大変位を処理することができ、一方、変分計算モジュールは、高密度の流れ場を推定して、サブピクセル精度において心筋壁の弾性運動などの比較的微妙な変形を測定することができる。LDOF法は、α、すなわち流れ場の平滑性、β、すなわち記述子一致項の重み、およびγ、すなわち勾配整合性項の重みの3つの主要なパラメータによって制御される。これらのパラメータは、最適化された値(たとえば、小さいαならびに大きいβおよびγ)に設定される。これらの値は、たとえばグリッド検索アプローチを使用して、患者の小規模なサブセットから自動的に学習することができる。
【0087】
1つの実施形態では、後続の動きを計算する前に現在のフレームを直ちに見当合わせする代わりに、各心筋灌流およびAIF MRI画像ペアの段階的変形場[fx、fy]が、後の段階のワーピングのために保存される。1つの実施形態において、すべての画像を参照フレームまたは連続して見当合わせされた画像に直ちに見当合わせする方法と比較して、この事後アプローチは、隣接するフレーム間の連続的な平滑化および変位推定の改善を回避することができる。このアプローチは、患者の息止めが不完全であるか、または灌流後期に組織のコントラストが大きく変化するために大きい運動イベントが発生する心臓灌流系列によく適し得る。さらに、所与の流れ場の推定は事前見当合わせされたフレームに依存しないため、運動補正(MOCO)パイプラインは、隣接する画像ペアのグループが複数のLDOF処理エンジンによって処理され、独立したCPUスレッドによって実行される並列処理アーキテクチャとして設計することができる。
【0088】
すべての連続画像ペアに対する運動推定に続いて、すべての心筋灌流およびAIF MRI画像が、段階的推定から計算された累積変位を用いた2Dバイキュービック補間ワーピングを使用してρに見当合わせされる。この手順は、ρから所与の画像フレームtへのピクセル単位の[x、y]偏位を完全に解決する。
【0090】
次に、PDから非PDへの画像見当合わせを実施することができる。心筋またはAIF灌流画像の運動補正が完了すると、PD画像は最後のPDフレームに位置合わせされる。次に、これらの画像は、
図4に示すように、測光特性が一致し、構造情報が増加するように、PDおよびT1フレームのブリッジ画像を介して心筋灌流およびAIF MRI系列に見当合わせされる。T1ブリッジ画像(IbrT1)は最初に、心室コントラスト動態の影響を受けないために参照フレームρに至る運動補正ベースラインT1フレームの中央値(IT1)を取得することによって構築される。IT1のエッジ強調画像(IedgeT1)が、ソーベル演算子を用いて得られる勾配画像の重み付けされた組み合わせを使用して計算される。同様に、PDブリッジ画像(IbrPD)は、中央値(IPD)画像およびエッジ強調(IedgePD)画像によって構築される。次に、ヒストグラム均等化とアンシャープマスキングがIedgeT1およびIedgePD画像に対して実施されて、解剖学的境界勾配がさらに強調される。これに続いて、正確なヒストグラムが指定されて、最終的なブリッジ画像ペアが形成される。IbrPDをIbrT1にマッピングする流れ場は、離散特徴対応成分を強調するために、高い勾配整合性パラメータγおよび大きい記述子一致重みβを使用して、上記で概説したLDOFプロセスを用いて計算される。結果もたらされる変位は、最終的に運動補正PD画像に適用されて、運動補正灌流T1系列と再見当合わせされる。
【0091】
その後、画像の後処理が実施される。1つの実施形態では、運動補正PD、心筋灌流およびAIF画像の後処理は、正確なヒストグラム指定を使用して、それらの測光プロファイルをそれらの対応する生フレームと一致させることに限定される。これにより、2D補間ワーピング段階中に常に変更されている元の信号強度分布が復元される。その結果、入力心筋灌流MRI系列の運動補正バージョン、AIF系列の運動補正バージョン、および心筋灌流MRI系列に非線形的に見当合わせされたPD画像が得られる。
【0092】
次に、入力心筋灌流MRI系列の運動補正バージョンおよびAIF系列の運動補正バージョンに対して強度補正が以下のように実施されて、表面コイルバイアス場、表面コイルバイアスを補正した心筋灌流系列、および表面コイルバイアスを補正したAIF系列が得られる。入力心筋灌流MRI系列の運動補正バージョンの代わりに、心筋灌流およびAIF MRI系列に非線形的に見当合わせされたPD画像が使用されてもよいことを理解されたい。
【0093】
最初に、PD重み付けMRまたはベースライン心筋画像の短軸スタックが使用されて、種々のイメージング位置での信号強度プロファイルが推定される。種々の組織のプロトン密度はあまり変化しないため、画像の信号強度の変化は、主に不均一な表面コイルの受信によって支配される。階層領域重み付けスキームを組み合わせる高次多項式関数フィッティングが使用されて、PDまたはベースライン心筋灌流画像から表面コイル強度プロファイルが近似される。周囲の組織よりも心臓への多項式フィッティングに重みを付けるために、フィッティングをさらに制約するために心臓内でより高密度のサンプリングが使用される。より低密度のサンプリングは、心臓の外側および背景領域内で使用される。本体領域および背景領域は、強度閾値によって自動的にセグメント化される。次に、5次2D多項式最小二乗フィッティングなどの適合法が使用されて、信号強度バイアス場が推定される。5次多項式フィッティングは、肺の近くの心外膜の縁部における不完全な表面コイル信号強度フィッティングを最小限に抑えるように選択される。これは、これらの領域におけるプロトン密度の急激な遷移が高次の形式であり、心臓用途にとって重大であり得るためである。次に、推定された信号強度バイアス場が使用されて、心筋灌流およびAIF画像を推定強度バイアス場によって除算することにより、これらが補正される。
【0094】
出力は、
図5cに示されているような表面コイルバイアス場、
図5dに示されている画像などの表面コイルバイアスが補正された心筋灌流系列、および表面コイルバイアスが補正されたAIF系列を含む。
【0095】
1つの実施形態では、表面コイル強度補正後、画像系列は、ベースライン心筋灌流またはAIF画像に基づいてベースライン強度を除去するようにさらに調整される。
【0096】
次に、信号動態ならびに左心室心筋組織領域の識別およびセグメント化から導出される信号強度曲線および測定基準を得るために、LVおよび心筋信号の検出が、表面コイルバイアスを補正した心筋灌流系列および表面コイルバイアスを補正したAIF系列を使用したタイミング点検出とともに実施される。
【0097】
図6は、画像系列からAIFを測定するための画像処理方法の1つの実施形態を示している。同じ方法が、専用のAIFまたは標準的な心筋画像系列のいずれにも適用可能であることを理解されたい。
【0098】
心臓領域が、最初に心筋灌流およびAIF画像上で検出される。さらなる処理を支援するために、境界ボックスの形で、心臓領域の位置が決定される。これは、心室を最もよく示す領域を識別することによって達成することができる。候補心室領域は、時系列画像のピクセル単位の標準偏差マップから動的に閾値処理される。この標準偏差マップは、造影剤の灌流によって引き起こされるものなど、強度が大きく変化するピクセルを強調し、一方で、胸壁など、常に明るいままである領域を除去する。1つの実施形態では、このマップは、候補心室領域を得るために、AIF系列の平均より1標準偏差上、かつ心筋灌流系列の平均より2標準偏差上で閾値処理される。閾値、すなわち、AIF系列の1標準偏差および心筋灌流系列の2標準偏差は、単なる例示であることが理解されるべきである。
【0099】
二値化後、心室の時間信号特性と一致しない領域が識別され、除去される。たとえば、強度の増加がそれらのベースライン強度の2倍未満であり、それによって最小のコントラスト増強を示す領域が除去され得る。同じまたは別の例において、時系列の最初または最後の3フレーム内にピーク強度が発生する領域も除去され得る。
【0100】
次に、類似度チェックが実施されて、各領域が一意の心室候補を表すか否かが調べられる。同様の領域が、乳頭筋、画像アーティファクト、またはスライス配置によって分割された可能性のある単一の心室領域としてグループ化される。1つの実施形態では、同様の領域は、統計的に決定された閾値を超える相互相関係数を有する平均時間−信号強度曲線を有し、その最小ユークリッド距離が各領域の平均半径の合計よりも小さいものとして識別される。最終領域は線形投票スキームの対象となって、時間−信号特徴に基づいて、いずれの2つの候補領域がRVおよびLVキャビティに最も特徴的であるかが繰り返し決定される。投票分類に使用される特徴は、画像の中心までの距離、以前に選択した候補領域までの距離、各領域のサイズ、信号強度の上り勾配、ピーク値(PV)、ピークまでの時間(TTP)、半値全幅(FWHM)、および/または式9に示すような前の3つの特徴を組み合わせたM値を含み得る。
【0102】
各特徴について、候補心室は、より大きい領域サイズ、PV、上り勾配、M値、より小さいTTP、FWHM、ならびに画像の中心および以前に選択した心室までの距離がより短いなど、典型的な心室特性とどの程度一致しているかによってランク付けされる。1つの実施形態では、ランクは、1〜Nのスコアに変換され、1は最低ランクであり、Nは候補領域の数であり、最高である。各領域の特徴スコアが合計され、合計スコアが最も高い領域が心室領域として選択される。第2の心室も同様に選択される。選択された2つの心室領域が使用されて、後続の処理のために心臓の周囲に境界ボックスが作成される。
【0103】
次に、心室ピクセル検出が実施される。心室血液プールピクセルの検出をさらに進めるために、独立成分分析(ICA)法が最初に使用されて、以前に識別された心室領域から代表的な時間−信号強度曲線が得られる。すべての心室領域において2つの独立した信号源(RVとLV)が混在していると仮定して、ICAは、2つの心室の動的コントラストを表す2つの主要な時間−信号を分離して抽出する。境界ボックス内のすべてのピクセルが、ICAプロセス後のRVおよびLV時間−信号との相互相関を計算することにより、RV、LV、または背景領域に分類される。相互相関が統計的に決定された値よりも大きいピクセルは、一致する心室に割り当てられ、次いで、残りのピクセルが、背景領域として分類される。RVは、ピーク強度に到達する最初の領域として識別され、その後にLV領域が識別される。
【0104】
次のステップは、デフォルトの事前定義された閾値よりも明るいLVピクセルを選択して、血液プールの平均強度値を計算することに存する。このステップは、造影剤を受け取らず、暗いままであるため、前のステップからLV領域に含まれている可能性のある任意の乳頭筋ピクセルを除外することができる。このステップはまた、潜在的な部分ボリュームエラーを含むピクセルも除外し得る。これらのピクセルは、平均的なLVピクセルよりも暗くなるためである。この方法は、LVキャビティが心臓内の比較的小さいが明るい領域である場合に、手動分析を厳密に再現することができる。デフォルトの閾値は、最大強度の投影画像から、LV領域の最大強度範囲の75パーセンタイルとして計算することができる。最後に、灌流イメージングはすべてのR−R間隔において実施されるため、AIF画像から導出される信号強度曲線は、たとえば時間単位を画像フレームから秒に変換するために、0.5秒ごとに線形的に再サンプリングされる。この再サンプリングされた曲線は、AIF時間−信号強度曲線と称される。
【0105】
さらに、AIFタイミング点が計算される。1つの実施形態において、定量的灌流分析および候補心室領域選択のための時間−信号特性を計算するために、3つのコントラスト増強時点、すなわち、コントラスト増強点のベースライン、開始点、およびピークが、AIF時間−信号強度曲線から導出される。最初に、単純に時間−信号強度曲線のピーク値からピーク時点が検出される。次に、ベースライン時間が、系列の開始と立ち上がりピーク(ピーク時間の前の最大強度変化の点によって示される)との間の隣接点(すなわち、直に隣接する点)との強度変化が最小である曲線の点として決定される。最後に、開始時点が、立ち上がりピークに線をフィッティングし、このフィッティングされた線とベースライン強度との交点に幾何学的に最も近い曲線の点を選択することによって検出される。一例として、自動的に検出されたAIFタイミング点を
図7に示す。
【0106】
次に、ピクセル単位のデコンボリューションを実施して、運動補正心筋灌流系列、左心室心筋組織領域セグメント化、ならびにAIFおよび心筋の時間−信号強度曲線、ならびに任意選択的に表面コイルバイアス場を使用して、心筋血流ピクセルマップを取得することができる。
【0107】
1つの実施形態において、組織内のコントラスト輸送のシステム応答が線形的で静止していると仮定すると、組織のコントラスト濃度曲線は、動脈入力関数およびインパルス応答関数の畳み込みとして表現することができる。インパルス応答関数は、システムを通過するコントラスト通過時間を特徴付ける確率密度関数である。この関数h(t)は、式10で表されるようにデコンボリューションの逆プロセスによって取得することができる。デコンボリューションはノイズに敏感であるため、h(t)の形状は数学モデルに制約される。モデルを記述する最適なパラメータが、反復計算によって決定される。この全体的なプロセスは、モデル制約付きデコンボリューションと呼ばれる。
【0109】
式10は、ロジスティックインパルス応答関数を提案する。ここで、Fは関数の大きさを表し、tおよびkは、動的に変化するコントラスト濃度に起因するh(t)の時間遅延長および減衰率をそれぞれ表す。
【0110】
1つの実施形態では、このモデルは、格子間オフセット項Iが導入されていることによって、一般的に使用されるフェルミ関数とは異なる。このパラメータは、初回通過中および初回通過後のインパルス応答関数のゼロからの線形シフトを提供する。これは、格子間空間へのコントラストの漏れおよび初回通過動態に対する低速のクリアランスを説明する。ピクセル単位とセクタ単位の両方の分析におけるMBFは、LV動脈入力および心筋時間−信号強度曲線からこのモデルを使用して推定される。
【0111】
出力は、
図8に示すような心筋血流ピクセルマップになる。
図9は、完全定量心筋血流マップを生成するためのシステム50の1つの実施形態を示している。システム50は、運動補正ユニット52、強度補正ユニット54、分析器56、およびマップ生成器58を備える。システム50は、心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像系列および動脈入力関数(AIF)MRI画像の系列を受信するように構成されている。システム50は、PD画像系列をさらに受信するように構成することができる。
【0112】
運動補正ユニット52は、上述したように、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を得るために、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像について運動補正を実施するように構成されている。
【0113】
強度補正ユニット54は、上述したように、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を得るために、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像に対して強度補正を実施するように構成されている。
【0114】
分析器56は、上述したように、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するように構成される。
【0115】
マップ生成器58は、上述したように、運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して心筋血流マップを生成するように構成されている。マップ生成器58は、生成された心筋血流マップを出力するようにさらに構成される。
【0116】
1つの実施形態では、各ユニット52〜58は、それぞれのプロセッサ、それぞれのメモリ、およびそれぞれの通信ユニットを備えている。別の実施形態では、ユニット52〜58のうちの少なくとも2つは、同じプロセッサ、同じメモリ、および/または同じ通信ユニットを共有してもよい。たとえば、
図10は、いくつかの実施形態による、方法10のステップ12〜22を実行するための例示的な処理モジュール80を示すブロック図である。処理モジュール80は、典型的には、メモリ84に記憶されたモジュールまたはプログラムおよび/または命令を実施し、それによって処理動作を実行するための1つまたは複数のコンピュータ処理ユニット(CPU)および/またはグラフィック処理ユニット(GPU)82、メモリ84、ならびにこれらの構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス86を含む。通信バス86は、任意選択的に、システム構成要素間の通信を相互接続および制御する回路(チップセットと呼ばれることもある)を含む。メモリ84は、DRAM、SRAM、DDR RAMまたは他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、1つまたは複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステート記憶装置などの不揮発性メモリを含み得る。メモリ84は、任意選択的に、CPU(複数可)82から遠隔に配置された1つまたは複数の記憶装置を含む。メモリ84、または代替的に、メモリ84内の不揮発性メモリデバイス(複数可)は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ84、またはメモリ84のコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそのサブセットを記憶する。
【0117】
運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を得るために、心筋灌流MRI画像およびAIF MRI画像について運動補正を実施するための運動補正モジュール90、
表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を得るために、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像に対して強度補正を実施するための強度補正モジュール92、
表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するための分析モジュール94、ならびに
運動補正心筋灌流MRI画像、左心室心筋組織領域セグメント化、および時間−信号強度特性を使用して心筋血流マップを生成するためのマップ生成モジュール96。
【0118】
上記で識別された要素の各々は、前述のメモリデバイスの1つまたは複数に記憶することができ、上記の機能を実施するための命令セットに対応する。上記で識別されたモジュールまたはプログラム(すなわち、命令セット)は、別個のソフトウェアプログラム、手順またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットが、様々な実施形態において組み合わされてもよく、または他の様態で再構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メモリ84は、上記で識別されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを記憶することができる。さらに、メモリ84は、上で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶することができる。
【0119】
図9は、処理モジュール80を示しているが、本明細書に記載の実施形態の構造図としてではなく、管理モジュール内に存在し得る様々な特徴の機能的説明として意図されている。実際には、当業者によって認識されるように、別個に示されたアイテムを組み合わせることができ、いくつかのアイテムを分離することができる。
【0120】
生成される心筋血流マップがストレス時および安静時心筋血流マップを含む1つの実施形態では、関心特徴は、後述するように自動的に抽出され得る。
【0121】
図11は、心臓疾患を自動的に検出および診断するための方法100の1つの実施形態を示している。この方法は、少なくとも1つのプロセッサまたは処理ユニット、メモリ、および通信手段を備えたコンピュータマシンによって実行されることを理解されたい。
【0122】
ステップ102において、運動補正心筋灌流磁気共鳴イメージング画像、時間−信号強度曲線、ならびに安静時および/またはストレス時心筋血流マップが受信される。
【0123】
ステップ104において、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室を包含する関心セグメント化領域が、安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して決定される。
【0124】
自動灌流および心筋血流セグメント化フレームワークは、運動補正灌流画像と計算された心筋血流マップの両方を使用して、左心室を含む組織を抽出する。この組織のセグメント化は、セグメント化を受けているピクセル動態の分析に基づいており、領域成長または空間セグメント化を実施する種々のタイプの機械学習アルゴリズムと組み合わせることができる。
図12bは、
図12aの生画像の右心室および左心室への例示的な自動関心領域セグメント化を示し、一方、
図12cは、
図12aの生画像の左心室心筋への例示的な自動関心領域セグメント化を示す。
【0125】
心筋血流予備能(MPR)マップの自動計算は、安静時心筋血流マップの、ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせによって実施される。この非剛体見当合わせは、ユニモーダルおよびマルチモーダルの非剛体見当合わせを実施することが可能である運動補正モジュールを使用して実施される。安静時からストレス時への心筋血流マップの見当合わせに続いて、安静時の心筋血流値に対するストレス時の心筋血流値のピクセル単位の分割が実施されて、MPRが計算される。
図13aは、ストレス時系列の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示し、一方、
図13bは、安静時系列の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示している。
【0126】
ステップ106において、関心特徴が、自動的に定量化およびセグメント化されたCMRストレス時および安静時心筋灌流ピクセルマップならびに時間−信号強度曲線から抽出される。これらの特徴は、ピクセル単位およびセクタ単位の灌流指標(心筋血流予備能の心筋血流の例示的なセクタ単位の極座標プロットを示す
図13cに示す)、心筋血流量、ならびに/または、グローバルにLV心筋全体内および/もしくは特定の関心領域内で測定された心筋血流予備能の推定値を含み得る。測定値は、生理学的単位(たとえば、ml/g/min、グラム、秒など)または任意の単位(たとえば、信号強度、速度、またはパーセンテージ)で表される絶対および相対灌流を含み得る。測定値はまた、心筋内の病変(灌流欠陥)のサイズ、位置、テクスチャ、パターン、重症度、または等級付けも含み得る。
【0127】
ステップ108において、左心室の関心セグメント化領域からの関心特徴を使用して分類が実施され、それによって分類出力が得られる。抽出された関心特徴を分類するために使用される分類器のタイプは、(限定ではないが)サポートベクタマシン、ニューラルネットワーク、ベイズ分類器、k最近傍法、ロジスティック回帰モデルおよび/または線形判別分析などの任意の適切な機械学習エンジンとすることができる。
【0128】
1つの実施形態では、分類出力は、以下を含み得る。
−心拍数、ECGゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および/もしくは信号強度線形性測定値などのイメージング品質保証係数、
−動画、プロット、およびマップ中で疑いのある心筋病変の場所およびサイズにラベル付けするための記号およびマーカ、潜在的な画像アーティファクト(暗い領域または運動補正アーティファクトなど)にもラベルを付けることができる、
−種々の冠状動脈における重大な狭窄の位置および可能性を予測するための、灌流欠陥領域の、冠状動脈の解剖学的構造への解剖学的マッピング、
−灌流欠陥のパターンは、冠状動脈疾患ではなく微小血管疾患を予測するのに有用であり得る、ならびに/または
−大域的および局所的な心筋灌流、危険にさらされている、もしくは介入が必要な可能性のある心筋セクタ/領域および冠状動脈を要約するための統合されたマシン生成の診断レポート。
【0129】
ステップ110において、分類出力が出力される。1つの実施形態では、分類出力はメモリに記憶される。同じまたは別の実施形態では、分類出力は、表示ユニットに表示することができる。
【0130】
1つの実施形態においては、診断レポートが、大域的および局所的な心筋灌流、危険にさらされている、または介入が必要な可能性のある心筋セクタ/領域および冠状動脈を要約するために生成され得る。
【0131】
図14は、心筋血流を分析するためのシステム150の1つの実施形態を示している。システム150は、領域決定ユニット152、特徴抽出ユニット154、および分類ユニット156を備える。
【0132】
システム150は、運動補正心筋灌流磁気共鳴イメージング画像、時間−信号強度曲線、ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するように構成されている。
【0133】
領域決定ユニット152は、上述したように、安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するように構成されている。
【0134】
特徴抽出ユニット154は、関心セグメント化領域、MPRマップ、時間−信号強度曲線、ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するように構成されている。分類ユニット156は、上述したように、抽出された特徴を分類して分類出力を取得し、分類出力を出力して、正常対異常の心筋領域およびそれらの対応する冠状動脈領域を示すように構成されている。
【0135】
システム50および150はともに組み合わせることができることを理解されたい。
図15は、いくつかの実施形態による、方法100のステップ102〜108を実行するための例示的な処理モジュール180を示すブロック図である。処理モジュール180は、方法10のステップ12〜20をさらに実行するように構成され得る。処理モジュール180は、典型的には、メモリ184に記憶されたモジュールまたはプログラムおよび/または命令を実施し、それによって処理動作を実行するための1つまたは複数のコンピュータ処理ユニット(CPU)および/またはグラフィック処理ユニット(GPU)182、メモリ184、ならびにこれらの構成要素を相互接続するための1つまたは複数の通信バス186を含む。通信バス186は、任意選択的に、システム構成要素間の通信を相互接続および制御する回路(チップセットと呼ばれることもある)を含む。メモリ184は、DRAM、SRAM、DDR RAMまたは他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、1つまたは複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステート記憶装置などの不揮発性メモリを含み得る。メモリ184は、任意選択的に、CPU(複数可)182から遠隔に配置された1つまたは複数の記憶装置を含む。メモリ184、または代替的に、メモリ184内の不揮発性メモリデバイス(複数可)は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。いくつかの実施形態では、メモリ184、またはメモリ184のコンピュータ可読記憶媒体は、以下のプログラム、モジュール、およびデータ構造、またはそのサブセットを記憶する。
【0136】
左心室のMPRマップおよび関心セグメント化領域を決定するための領域決定モジュール190、ならびに
関心特徴を抽出するための特徴抽出モジュール192、ならびに
関心特徴を分類するための分類モジュール194。
【0137】
上記で識別された要素の各々は、前述のメモリデバイスの1つまたは複数に記憶することができ、上記の機能を実施するための命令セットに対応する。上記で識別されたモジュールまたはプログラム(すなわち、命令セット)は、別個のソフトウェアプログラム、手順またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットが、様々な実施形態において組み合わされてもよく、または他の様態で再構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メモリ84は、上記で識別されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを記憶することができる。さらに、メモリ84は、上で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を記憶することができる。
【0138】
図12は、処理モジュール180を示しているが、本明細書に記載の実施形態の構造図としてではなく、管理モジュール内に存在し得る様々な特徴の機能的説明として意図されている。実際には、当業者によって認識されるように、別個に示されたアイテムを組み合わせることができ、いくつかのアイテムを分離することができる。
【0139】
上述した本発明の実施形態は、単なる例示であることが意図されている。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2021年1月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのコンピュータが実行する方法であって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信するステップと、
前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像における心臓の動きを補正するステップであり、これにより、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得する、補正するステップと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像の強度および前記運動補正AIF画像の強度を補正するステップであり、これにより、表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像、前記左心室心筋組織領域セグメント化、および前記時間−信号強度特性を使用して、心筋血流マップを生成するステップと、
前記心筋血流マップを出力するステップと
を含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項2】
前記心臓の動きを補正するステップは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像において前記心臓の動きを検出するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項3】
前記心臓の動きを検出するステップは、前記心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよび前記AIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、前記第1のコピーおよび前記第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを含む、請求項2に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項4】
前記心臓の動きを検出するステップは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するステップを含む、請求項3に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項5】
前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するステップをさらに含む、請求項3〜4のいずれか1項に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項6】
前記心臓の動きを補正するステップは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像を前記参照フレームに見当合わせするステップであって、これにより、前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを含む、請求項5に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項7】
前記見当合わせするステップは、補間ワーピング方法を使用して実施される、請求項6に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項8】
前記強度を補正するステップは、
信号強度バイアス場を推定するステップと、
前記信号強度バイアス場を使用して前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと
を含む、請求項6または7に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項9】
前記時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するステップは、左心室および右心室を識別するステップを含み、
前記左心室および右心室を識別するステップは、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、
類似性チェック法を使用するステップであって、特定の候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、
線形投票方式を使用するステップであって、前記2つの心室領域のうちの第1の心室領域を前記左心室に割り当て、前記2つの心室領域のうちの第2の心室領域を前記右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップと
を含む、請求項8に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項10】
完全定量心筋血流マップを自動的に生成するためのシステムであって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像および動脈入力関数(AIF)MRI画像を受信し、運動補正心筋灌流MRI画像および運動補正AIF画像を取得するために前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像における心臓の動きを補正するための運動補正ユニットと、
表面コイル強度補正MRI画像および表面コイル強度補正AIF画像を取得するために、前記運動補正心筋灌流MRI画像の強度および前記運動補正AIF画像の強度を補正するための強度補正ユニットと、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を使用して、時間−信号強度特性を決定し、左心室心筋組織領域をセグメント化するための分析ユニットと、
前記運動補正心筋灌流MRI画像、前記左心室心筋組織領域セグメント化、および前記時間−信号強度特性を使用して、前記心筋血流マップを生成し、前記心筋血流マップを出力するためのマップ生成器と
を備える、システム。
【請求項11】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像において前記心臓の動きを検出するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の第1のコピーおよび前記AIF MRI画像の第2のコピーを生成するステップと、前記第1のコピーおよび前記第2のコピーを再スケーリングするステップであり、これにより、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーを取得する、再スケーリングするステップとを行うように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよびAIF MRI画像の再スケーリングコピーに対して非剛体変位推定を実施するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像の再スケーリングコピーおよび前記AIF MRI画像の再スケーリングコピーの各々について参照フレームを識別するようにさらに構成されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記運動補正ユニットは、前記心筋灌流MRI画像および前記AIF MRI画像を前記参照フレームに見当合わせするステップであって、前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を取得する、見当合わせするステップを行うように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記見当合わせするステップは、補間ワーピング方法を使用して実施される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記強度補正ユニットは、
信号強度バイアス場を推定するステップと、
前記信号強度バイアス場を使用して前記運動補正心筋灌流MRI画像および前記運動補正AIF画像を補正するステップであって、これにより、前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像を取得する、補正するステップと
を行うように構成されている、請求項10〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記分析ユニットは、左心室および右心室を識別するように構成されており、
前記左心室および右心室を識別するステップは、
前記表面コイル強度補正MRI画像および前記表面コイル強度補正AIF画像内の候補心室領域を決定するステップと、
類似性チェック法を使用するステップであって、特定の前記候補心室領域を再グループ化して、2つの心室領域を取得する、類似性チェック法を使用するステップと、
線形投票方式を使用するステップであって、前記2つの心室領域のうちの第1の心室領域を前記左心室に割り当て、前記2つの心室領域のうちの第2の心室領域を前記右心室に割り当てる、線形投票方式を使用するステップと
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
心臓疾患を自動的に検出および診断するためのコンピュータが実行する方法であって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信するステップと、
前記安静時およびストレス時心筋血流マップならびに前記心筋灌流MRI画像を使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するステップと、
前記関心セグメント化領域、前記MPRマップ、前記時間−信号強度曲線ならびに前記安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するステップと、
前記関心特徴を自動的に分類するステップであって、これにより、分類出力を取得する、分類するステップと、
正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示す分類出力を出力するステップと
を含む、コンピュータが実行する方法。
【請求項20】
前記MPRマップを決定するステップは、前記安静時心筋血流マップの、前記ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用して実施される、請求項19に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項21】
前記分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項19または20に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項22】
前記イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む、請求項21に記載のコンピュータが実行する方法。
【請求項23】
心臓疾患を自動的に検出および診断するためのシステムであって、
心筋灌流磁気共鳴イメージング(MRI)画像、時間−信号強度曲線ならびに安静時およびストレス時心筋血流マップを受信し、前記安静時およびストレス時心筋血流マップを使用して、心筋血流予備能(MPR)マップおよび左心室の関心セグメント化領域を決定するための領域決定ユニットと、
前記関心セグメント化領域、前記MPRマップ、前記時間−信号強度曲線ならびに前記安静時およびストレス時心筋血流マップから関心特徴を抽出するための特徴抽出ユニットと、
前記関心特徴を分類して分類出力を取得し、分類出力を出力して、正常な心筋領域対異常な心筋領域、および対応する冠状動脈領域を示すための分類ユニットと
を備える、システム。
【請求項24】
前記特徴抽出ユニットは、前記安静時心筋血流マップの、前記ストレス時心筋血流マップへの非剛体見当合わせを使用して前記MPRマップを決定するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記分類出力は、イメージング品質保証係数、疑わしい心筋病変の位置およびサイズをラベル付けする記号およびマーカ、冠状動脈の解剖学的構造への灌流欠陥領域の解剖学的マッピング、灌流欠陥のパターン、ならびに診断レポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項23または24に記載のシステム。
【請求項26】
前記イメージング品質保証係数は、心拍数、心電図ゲーティング中のRR間隔、血管拡張性の系統的応答、および信号強度線形性測定値のうちの1つを含む、請求項25に記載のシステム。
【国際調査報告】