【実施例】
【0104】
以下の実施例は請求されている発明をさらに良好に説明するため提供されるのであって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。特定の材料が言及されている限りにおいて、それは単に説明を目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本発明の能力を行使することなく、且つ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物を開発してもよい。
【0105】
実施例1.オルチクマブを投与されたヒト患者にて改善された乾癬の症状。
安定したアテローム性動脈硬化症の患者にてオルチクマブ(LDLのMDA修飾されたエピトープに対するヒトモノクローナルIgG1抗体)を調べるフェーズ2a試験では、登録された4人の患者が乾癬の病歴を有することが分かった。4人の患者のうち3人にオルチクマブを静脈内(IV)投与した(1245mgの初回用量、続いて毎週830mg×3、次に毎月830mg×2)一方で、4人目の患者にはプラセボを投与した。この試験の過程で、乾癬のための併用薬物を投与された患者はいなかった。オルチクマブで治療された3人の患者のうち2人は乾癬の改善を経験した。1人の患者は初回用量の後に改善を報告した。UVA/B及び局所ステロイドに不応性だった第2の患者は肘と膝双方のプラークの改善を報告した。これらの結果は、LDLの酸化形態を標的とする抗炎症性分子であるオルチクマブによる治療が乾癬患者にて治療価値を実証することを示した。
【0106】
実施例2.シミュレーション及び実際の薬物動態(PK)
プラーク内で局所的にマクロファージの炎症誘発性活性を停止するオルチクマブの能力は、その治療活性の根底にある重要なメカニズムであると考えられていたので、焦点となった。オルチクマブを使用することに関する初期仮説は、全身区画からのoxLDLを中和することに関し、これは全身oxLDLの90%を中和するために4μg/mL=約28nM=11mgのオルチクマブを要した。さらなる試験管内のアッセイは、oxLDLが介在するサイトカイン放出の50%または90%の阻害(すなわち、単球走化性タンパク質1、MCP−1の阻害)を達成するために必要とされるオルチクマブの最小有効濃度への洞察を提供した:
MCP−1阻害のためのIC
50:約10nM=1.5μg/mL=約4mg
MCP−1阻害のためのIC
90:約30〜80nM=4.5〜12μg/mL=12.4〜33mg
【0107】
MCP−1阻害のためのIC
90としての低い範囲(12.4mgオルチクマブ)と比べて実施例1の臨床試験における投与量(1245mgの初回用量、続いて毎週830mg×3、次いで毎月830mg×2)は67倍及び100倍多かった。実施例1の臨床試験における投与量は、MCP−1阻害のためのIC
90としての高い範囲(33mgのオルチクマブ)と比べて25倍及び38倍多かった。
【0108】
アテローム性動脈硬化症の患者では、高分子に対する内皮透過性が増加し、注入された高分子の動脈壁への取り込みが時間とともに急速且つ直線的であり、1時間以内に循環血流に対する平衡に達することが報告されている(Ross et al.,NEJM,1999)。
【0109】
この背景情報に基づいて、我々はシミュレーションモデルにて最大96時間少なくとも12μg/mLのオルチクマブの定常状態血漿濃度が得られる負荷投与量を提案した(
図1)。8mg/kgの負荷用量(平均83kgの患者で664mg)、続いて隔週〜毎週の2mg/kg(166mg)皮下(SC)投薬。この負荷用量は、実施例1における負荷用量の1.9分の1であり、毎週の投薬は実施例1における毎週の投薬の5分の1であった。
【0110】
SC投薬に基づく別の設定のシミュレーションでは:
(1)2mg/kg(166mg)での毎週投薬は2〜4日目の間で12μg/mLの閾値を達成した(
図2A);
(2)2mg/kgでの隔週投薬は12μg/mLの閾値を達成しなかったが、1〜6日目からの4μg/mLの閾値を達成した(
図2A);
(3)2mg/kgでの毎月投薬は4μg/mLの閾値での持続的な曝露を達成しなかった(
図2A);
(4)5mg/kg(415mg)の負荷用量、続いて2mg/kgでの隔週投薬は12μg/mLの閾値を達成しなかったが、6日目まで4μg/mLを上回る曝露を維持した(
図2B)。
【0111】
オルチクマブの臨床試験では、以下の表1〜4はPKデータを要約する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
Cmax、1.25mg/kgでの単回用量:1.25mg/kg=104mg、これはSC投与に対するIV投与で最大曝露量が6.9倍大きかった(半減期は双方とも20日);SC用量は4〜12μg/mLの閾値に達していない。Cmax、360mgでの単回用量:360mg=4.34mg/kg(FIH試験の3.5倍)、SC投与に対するIV投与では9.2倍の最大曝露量(SCに対するIVで半減期は24.3日に対して33.5日);SC用量は4〜12μg/mLの範囲に入る。
【0112】
その結果、シミュレートしたPKデータ及び実際のPKデータに基づいて、8mg/kg(664mg)が最適であるが、5mg/kg(415mg)でおそらく十分である。臨床試験における単回用量の半減期(すなわち、360mgの単回SC用量で24日)に基づいて毎月の投薬は合理的である。
【0113】
オルチクマブの別の設定の試験では:
(1)1mg/kgの毎週のSC用量及び定常状態での4μg/mLを上回る上記維持濃度。
図3はフェーズIのデータ由来のPKパラメーターを用いた毎週のSC投薬後のヒトPKプロファイルのシミュレーションを示す。SC投与後の生物学的利用率は70%である。
(2)1.5mg/kgの隔週のSC用量及び定常状態での4μg/mLを上回る上記維持濃度。
図4はフェーズIのデータ由来のPKパラメーターを用いた隔週のSC投薬後のヒトPKプロファイルのシミュレーションを示す。
(3)約3〜4mg/kgの毎月のSC用量及び4μg/mLを上回る上記維持濃度。
図5はフェーズIのデータ由来のPKパラメーターを用いた毎月のSC投薬後のヒトPKプロファイルのシミュレーションを示す。
【0114】
シミュレートしたPKデータに基づいて、且つ成功の最大見込みのための12μg/mLの閾値の血漿濃度を目標として、毎週の投薬は2mg/kg(166mg)以上であるべきであり;4mg/kg(332)が好ましく、隔週投薬は>2.5mg/kg(208mg)でなければならず;高用量はシミュレートしなかった;且つ、毎月の投薬は6mg/kg(498mg)であるべきである。いくつかの実施形態では、最終的な推奨はSC注射を介した毎月500mgである。毎月500mgの毎月の投薬は12ヵ月の投薬計画にわたって12回用量、または3ヵ月の投薬計画にわたって3回用量投与することができる。毎月330mgの毎月投薬(最低4μg/mLの血漿濃度閾値を満たすための)は、12ヵ月の投薬計画にわたって12回用量、または3ヵ月の投薬計画にわたって3回用量投与することができる。
【0115】
実施例3.慢性尋常性乾癬及び冠状動脈疾患の患者にて毎月投与されるオルチクマブの有効性、安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価するための多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照フェーズ2試験。
乾癬の患者はアテローム性動脈硬化症を加速させており、循環器疾患(CVD)を発症するリスクが高くなっている。乾癬及びアテローム性動脈硬化症は双方とも、IL−6、TNFα、C−反応性タンパク質(CRP)のような一般的な炎症性メディエーターを共有する。
【0116】
MDA−LDL及びoxLDLは乾癬患者で有意に増加することが報告されている。重要なことに、oxLDLは乾癬性皮膚病変に特異的に見いだされたのに対して、同じ患者の非病変皮膚にはoxLDLはなかった。さらに、oxLDLに対する抗体は、疾患の重症度(乾癬面積及び重症度指数[PASI]スコア)、と同様に乾癬患者の総コレステロール、LDL、oxLDL、及びCRPと相関すると考えられている。しかしながら、出願人の発明に先立って、oxLDLへの自己抗体の投与が乾癬にどのように影響し得るのかは不明である。
【0117】
この試験の主な目的は、乾癬の病変面積、重症度の低減及び改善に関してプラセボに対するオルチクマブの優位性を評価することである。副次的な目的には、中程度の尋常性乾癬の成人対象におけるオルチクマブの皮下用量の安全性及び忍容性の評価すること;中程度の尋常性乾癬の成人対象におけるオルチクマブの皮下用量の有効性を評価すること;中程度の尋常性乾癬の対象における乾癬の重症度及び面積(複数可)の変化を評価すること;中程度の尋常性乾癬の対象の冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影(CCTA)で血管周囲脂肪減衰の空間的変化をマッピングすることによって冠状動脈炎症の変化を評価すること;中程度の尋常性乾癬の対象においてCCTAによって評価された冠状動脈プラーク容量の変化を評価すること;中程度の尋常性乾癬の成人におけるオルチクマブの薬物動態をわずかな採血で評価すること;中程度の尋常性乾癬の対象におけるオルチクマブの薬力学的効果に対する血漿濃度を評価することが挙げられる。
【0118】
主要な転帰指標には、治療の成功(なくなった=0またはほぼなくなった=1)を達成した乾癬患者の比率及び治験責任医師の5ポイント制の静的全般的評価2011年修正版(sIGA)におけるベースラインからの(≧)2ポイント以上の改善(ベースラインから16週目まで)が挙げられる。
【0119】
副次的な転帰指標には、ベースラインから16週目までに少なくとも75%のPASIスコア(PASI75)の低下を達成している対象の比率;PASI90を達成している[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日でのベースラインPASIスコアからの少なくとも90%の低下(PASI90の応答)の達成]対象の比率;PASI75を達成している[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日でのベースラインPASIスコアからの少なくとも75%の低下(PASI75の応答)の達成]参加者の比率;2、4、6、8、8、10、12及び16週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]でのベースラインPASIスコアからの少なくとも50%の低下(PASI50の応答)を達成している参加者の比率;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]でのPASIスコアにおけるベースラインからの平均的変化;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]でのsIGA2011年修正版における平均的変化;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]でのsIGA2011年修正版におけるベースラインで3のスコアを持つ参加者についてベースラインから(≧)2ポイント以上の改善を達成している対象の比率;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]にてベースラインで3のスコアを持つ参加者について5ポイント制のsIGAで、なくなった=0またはほぼなくなった=1を達成している対象の比率;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]にてベースラインで3のスコアを持つ参加者について5ポイント制のsIGAで、なくなった=0またはほぼなくなった=1、且つベースラインからの(≧)2ポイント以上の改善を達成している対象の比率;4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日[時間枠:ベースライン、4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48及び52週目±3日]にて掻痒数的評価尺度スコアにおけるベースラインからの平均的変化;皮膚科生活の質指数(DLQI)全スコアにおけるベースラインから16週目及び52週目±3日まで[時間枠:ベースライン、16週目及び52週目±3日]のDLQIの平均的変化における変化;体表面積(BSA)におけるベースラインから16週目及び52週目±3日まで[時間枠:ベースライン、16週目及び52週目±3日]のBSA平均の変化;コレステロール及び脂質プロファイルにおける変化(ベースラインから16週目及び52週目±3日までの平均的変化);高感度C−反応性タンパク質の変化(ベースラインから16週目及び52週目±3日までの平均的変化);酸化され、修飾された脂質の変化;LDL、リポタンパク質(a)、oxLDL、及びoxHDLの変化(ベースラインから16週目及び52週目±3日までの平均的変化);1つ以上の治療中に発生した有害事象(AE)または任意の重篤なAEを伴った参加者の数及び比率[時間枠:ベースラインから最大52週目±3日まで];血流力学及びEKGパラメーターの変化[時間枠:ベースラインから最大52週目±3日まで];血液化学及び血液学における変化[時間枠:ベースラインから最大52週目±3日まで];体重及びBMIに対する影響[時間枠:ベースラインから最大52週目±3日まで];身体検査における変化[時間枠:ベースラインから最大52週目±3日まで]が挙げられる。
【0120】
診査指標には、スクリーニングにて−190ハウンズフィールド単位から−30ハウンズフィールド単位までで対象についてCT血管造影法で測定される冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)の変化;近位右冠状動脈、近位左下行前動脈及び左回旋動脈の周囲のスクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;スクリーニングにて−30ハウンズフィールド単位から−70ハウンズフィールド単位(HU)(低い群)までで対象についてCT血管造影法で測定される冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)の変化;近位右冠状動脈、近位左下行前動脈及び左回旋動脈の周囲のスクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;スクリーニングにて−71ハウンズフィールド単位(HU)から−110ハウンズフィールド単位(HU)(中程度の群)までで対象についてCT血管造影法で測定される冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)の変化;近位右冠状動脈、近位左下行前動脈及び左回旋動脈の周囲のスクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;スクリーニングにて>110ハウンズフィールド単位(HU)から−190ハウンズフィールド単位(HU)(高い群)までで対象についてCT血管造影法で測定される冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)の変化;近位右冠状動脈、近位左下行前動脈及び左回旋動脈の周囲のスクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;スクリーニングにて≦70ハウンズフィールド単位(HU)を持つ対象及び>70ハウンズフィールド単位(HU)(高い群)を持つ対象についてCT血管造影法で測定される冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)の変化;近位右冠状動脈、近位左下行前動脈及び左回旋動脈の周囲のスクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;冠状アテローム性動脈硬化症の指標としての、冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影法(CCTA)によって評価される石灰化されていない且つ減衰の少ない冠状動脈プラーク体積の変化;スクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;冠状動脈の石灰化スコアの変化;スクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;全プラーク体積(非石灰化プラークに濃厚カルシウムプラークを加える)の変化;スクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;線維状プラーク体積の変化;スクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;減衰の少ないプラーク体積及び線維性脂肪プラーク体積の変化;スクリーニングから52週目±3日まで[時間枠:スクリーニングから52週目±3日まで]の平均的変化;ならびに濃厚石灰化プラーク断面積(DCB)の変化;非石灰化プラーク断面積(NCB)の変化が挙げられる。
【0121】
試験設計
スクリーニング期間(表5)に続いて、対象は2つの群、オルチクマブまたは対応するプラセボの330mg/月の皮下(sc)(1.1ml×2sc投与)の1つに登録されるであろう。各対象はオルチクマブまたはプラセボによる毎月の治療を最大48週間受けるであろう。対象は、各群でオルチクマブまたは対応するプラセボに等しく無作為化されるであろう(約50人の対象がオルチクマブで50人が対応するプラセボ)。単回使用の充填済みバイアル及び対応するプラセボはAbcentra、LLCによって提供されるであろう。参加者は皮下オルチクマブまたは対応するプラセボを投与されるであろう。概算100人の参加者:中程度の慢性尋常性乾癬の男性及び女性の対象―第1群に50人の対象及び第2群に50人の対象が登録を計画されている。
【0122】
各群で少なくとも20人の女性を無作為化するためにあらゆる努力が払われ、スタチンでの同数の対象を各治療群に無作為化するための努力が払われるであろう。加えて、対象が双方の治療群にわたって高、中、低の群にほぼ等しく無作為化されるように、無作為化はコンピューター断層撮影血管造影のスクリーニングでのハウンズフィールド単位測定によって階層化される。
【0123】
計画されている治療はオルチクマブまたは対応するプラセボの330mg sc(1.1ml×2回のsc注射)の毎月の皮下注射である。盲検化された安全性、忍容性、及び有効性のデータは、最初の5人の対象が2週間の投薬を完了した後2週間ごとに16週間まで、及びその後1ヵ月(±1週)ごとにまたは必要に応じて早めに、内部安全性審査委員会(ISRC)によって審査されるであろう。
【0124】
16週目から52週目(表6)まで、盲検化された安全性、忍容性、及び有効性のデータは、少なくとも1ヵ月ごとにまたは必要に応じて早めに52週まで内部安全性審査委員会(ISRC)によって審査されるであろう。
【0125】
安全性モニタリング計画は、試験開始前に完了し、最後の対象が最後の来診を完了するまで続くであろう。この試験では、検査値、バイタルサイン、身体検査、心電図(EKG)、及び有害事象(AE)に基づいて停止基準が利用されるであろう。
【0126】
レスキュー薬:16週目以降、治験責任医師の意見で乾癬を治療するために(現在の盲検治療に加えて)薬物治療を必要とする任意の対象は、局所コルチコステロイド、ビタミンD類似体、局所レチノイド、角質溶解薬、コールタール、カルシポトリオールジスラノール、または試験中どんな期間に必要と見なされてもよい、治験責任医師の医学的判断において対象の乾癬の治療に安全であり、且つ潜在的に有効であろう、任意の併用における処方もしくは非処方の局所乾癬治療を取り入れることが許されてもよい。治験責任医師及び資格のあるスタッフは、これらの薬物の投与を監督する必要があり、関連するログはサイトが完了するために治験依頼者によって提供される。
【0127】
対象すべてがその群での16週間の参加を完了してしまうとすぐに(すなわち、16週間の治療を完全に完了した、または時期尚早に中止した)、一次有効性分析を行ってオルチクマブの有効性を評価する。16週目の分析の目的は、治験の実施を変更することへの影響を最小限に抑えながら、治験からの有効性及び安全性の早期の兆候を治験依頼者に提供することである。治験責任医師及び対象は、治療の割り当てならびに盲検化されていない有効性及び安全性の評価の結果が分からないままであろう。
【0128】
16週間すべてのデータを取得し、すべてのデータクエリを解決し、データベースを仕上げ、盲検化を解き、及び分析するのに時間がかかるので、各群での参加は16週目の分析の実施中も継続するであろう。有効性のために試験を中止する予定はない一方で、16週目の分析結果に基づいて、無用のために試験が中止されてもよく、または試料サイズを修正してもよい。実行される分析の詳細は統計分析計画(SAP)で利用可能になるであろう。
【0129】
試験対象集団
適格
同意時に18〜75歳の男性または女性。
月経停止(代わりの医学的原因がなく、12ヵ月間月経がないことと定義され、濾胞刺激ホルモン[FSH]>40mIU/mLによって確認される)及び/または外科的に不妊(子宮摘出術または両側卵巣摘出術)ではない限り、試験に参加中及び試験薬の最終用量の後4ヵ月間、以下の避妊法の1つを使用することに同意する女性対象:
排卵の抑制に関連する(エストロゲン及びプロゲストゲンを含有する)経口、膣内、または経皮のホルモン避妊剤の組み合わせ
排卵の抑制に関連する経口、注射、または埋め込み可能なプロゲストゲンのみのホルモン避妊剤
子宮内避妊器具
子宮内ホルモン放出システム
両側卵管結紮/閉塞
精管切除されたパートナー
性的禁欲(性交なし)
出産の可能性のある女性のパートナーを持つ男性は、試験中及び試験後4ヵ月間、性的に活発になった場合、二重バリア法に同意する必要がある。男性の対象は、試験への参加後4ヵ月間精子を提供してはならない。
以前に候補者であった、または局所療法及び/または光線療法を受けたことがある必要がある。
スクリーニングに先立って少なくとも6ヵ月間の尋常性乾癬の診断。患者は以下の基準すべてを満たさなければならない:
スクリーニング時及び無作為化時の安定した尋常性乾癬
スクリーニング時及びベースライン時、3%〜10%の間の体表面積(BSA)のプラークによる被覆
PASI≧4.5、ただしPASI12より低い
スクリーニング時及びベースライン時、3−中程度(5ポイント制)のsIGAスコア
−190ハウンズフィールド単位から―30ハウンズフィールド単位の範囲内でCT血管造影法によって測定されたスクリーニング冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)。
治験責任医師と上手くコミュニケーションを取り、試験の要件を理解し、遵守することができる。書面によるインフォームドコンセントを理解し、署名する。
バイタルサインは、以下の範囲内であり、且つ安定している必要がある。
収縮期血圧、90〜150mmHg
拡張期血圧、50〜90mmHg
脈拍数、40〜100bpm
血圧(≦150/90mmHg);プロトコール中に安定した用量で推移することを目的とする最大2種の降圧薬の安定した用量(45日以上の使用)が含まれてもよい。
臨床検査のスクリーニング結果(分画を伴うCBC及び血小板及び化学プロファイル)は正常範囲内でなければならず、正常範囲を外れる場合、治験責任医師及び治験依頼者が臨床的に重要ではないと認める必要がある。
対象は、これらの薬剤が一次及び主要な二次の評価項目の解釈を妨げず、プロトコールで除外されたものとして列記されていない限り、試験に参加している間、安定した用量の慢性的併用薬物を続けてもよい。安定した投薬とは、1日目(ベースライン)に先立って少なくとも60日間に薬物の種類に変更がなく、1日目(ベースライン)に先立って少なくとも45日間用量に変更がなく、試験の経過中併用薬物の変更が計画されていないことと定義される。
試験中に脂質低下療法または食事療法を変更する計画がない限り、ベースラインより前に安定した脂質低下療法または脂質改質食事療法を行っている対象を含めてもよい。
【0130】
除外
非プラーク形態の乾癬のいずれか:スクリーニング時またはベースライン時での乾癬性紅皮症、滴状乾癬または膿疱性乾癬
頭皮、手掌または足底の乾癬のみの対象。
重度の乾癬PASI>10
薬物誘発性乾癬(例えば、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、またはリチウムによる乾癬の新たな発症または増悪)を有する。
ベースラインに先立って3ヵ月以内の、シクロスポリン、ミコフェノール酸、ピメクロリムス、またはタクロリムスのような、しかし、これらに限定されない他の生物学的療法または免疫抑制剤による治療。
患者が試験に参加するのに適格であるには、以下の最小限の休薬期間が必要であろう。
エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブまたは他の生物製剤のような生物学的療法のスクリーニングに先立って3ヵ月の休薬
シクロスポリン、ミコフェノラート、タクロリムスを含むがこれらに限定されない免疫抑制剤、及びメトトレキサート、アザチオプリン、チオグアニン、プレドニゾン、メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、ミコフェノール酸モフェチルを含むがこれらに限定されない全身性免疫抑制剤のためのスクリーニングに先立って1ヵ月の休薬
以下:治験責任医師の意見では、疾患の活動性を変えてもよい全身レチノイド、光線療法または光線化学療法、高い効力の局所コルチコステロイド、乾癬の「代替医療」治療、長期の日光曝露または日焼けベッドの使用についてのスクリーニングに先立って2週間の休薬。
試験治療の開始前1週間以内及び試験期間中の局所コルチコステロイド、ビタミンD類似体及び局所レチノイド、角質溶解剤、コールタール及びジスラノールのような、しかし、これらに限定されない薬剤による局所治療
全身投与された生物製剤またはその賦形剤に対するアレルギー/過敏症の病歴。
オルチクマブまたはSC製剤の内容物のいずれかに対する過敏症またはアレルギーの病歴がある対象
投薬初日に先立って2ヵ月以内の治験薬/治験用具を伴う臨床試験への参加。
感染症の素因となる基礎疾患(例えば、免疫不全、制御不良の糖尿病の病歴、脾臓摘出術)を有する。
近親者、試験サイトの従業員である、またはこの試験の実施に関与する試験サイトの従業員と依存関係にある(例えば、配偶者、親、子供、兄弟)、または強要されて同意する可能性がある。
慢性もしくは急性のB型及びC型肝炎、または保因者の状態。抗HBcAb及び検出不可能な抗HBsAbの患者も除外すべきである。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の陽性歴
結核の病歴、結核、または結核の陽性のツベルクリン皮膚検査(TST)。以前にBCGワクチン接種を受けた対象は、インターフェロンガンマ放出アッセイ(IGRA)で陰性反応を示した後、試験に参加することができる。
再発性感染症の病歴
過去5年間での悪性腫瘍の病歴、または治療された皮膚扁平上皮癌もしくは基底細胞癌及び子宮頸部の原位置で治療された癌腫を除く活動性悪性疾患の疑い。
制限された薬物または試験の安全な実施を妨げる可能性が高いと考えられる他の薬剤の摂取
大鬱病性障害、統合失調症、双極性障害、人格障害、または治験責任医師が試験コンプライアンスを著しく妨げると考える他のDSM−V障害の診断。
スクリーニング来診に先立って1年以内の自殺念慮
治験責任医師の意見で、スクリーニング前の8週間における臨床的に有意であったという病気。
治験責任医師の意見では臨床的に重要であると考えられる、または安全性検査、身体検査、もしくは潜在的な有害事象の解釈を妨げる可能性のある肝臓、腎臓、肺、心臓、腫瘍、またはGIの疾患
異常な肝機能検査、SGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、もしくは血清ビリルビン(これらの検査のいずれかについて>1.5×ULN)によって示される肝疾患もしくは肝障害、または肝硬変の病歴。
臨床的に有意に異常なクレアチニン、BUN、もしくは尿成分(例えば、アルブミン尿)によって示される腎機能障害の病歴もしくは存在、またはCockroft Gault方程式(GFR<60mL/分)によって定義されるような中程度から重度の腎機能障害
スクリーニングの前の年に薬物もしくは溶剤の乱用の重要な病歴、またはスクリーニング時での薬物乱用(DOA)検査が陽性。
薬物乱用と見なされる可能性のある薬物を合法的な医学的監督下で使用している対象は、治験責任医師が登録の正当性を文書化し、これを治験依頼者と検討した後、治験責任医師の裁量で登録することができる。
スクリーニング前の過去1年間のアルコール乱用の病歴、または現在週に21単位を超える飲酒(3杯または3単位/日)。
冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影に関連する除外;
スティント配置を含む以前の冠状動脈手術;
手順を実行するリスクを高める状態(推定糸球体濾過率<60mL/分/1.73m2またはヨウ素化造影剤に対する既知のアレルギー);
手順を技術的に実行困難にする要因(体重>136kg、10秒間息を止めることができない、頻脈または不整脈(例えば、心房細動)の現在または以前の(昨年内の)診断。
対象は、治験責任医師の意見では試験に参加するのに好適ではない。
3ヵ月以内に>500mLの臨床的に重大な失血または献血。
不十分な静脈アクセス。
【0131】
治験薬:オルチクマブは、特定の酸化された低密度リポタンパク質であるマロンジアルデヒド修飾ヒトApoB100に対して向けられた完全ヒト化組換えモノクローナル抗体である。尋常性乾癬及び冠状動脈炎症のある対象にて抗炎症作用を及ぼすことを目的とする。
【0132】
試験期間:試験には約14.5ヵ月かかり、4週間のスクリーニング期間、48週間の薬物または対応するプラセボの投与、治療評価来診の一端(52週目±3日)及び各群の対象が最後の治療来診後、外来通院に戻るための2週間を含む。
【0133】
対象の持続期間:対象は、スクリーニング(4週間)、治療(48週間)、治療評価来診の一端(52週目±3日)及び経過観察(2週間)を含むすべての試験来診を完了するのに、それぞれ約58週間(14.5ヵ月)かかるであろう。
【0134】
試験手順
スクリーニング(−30日目〜−1日目)(表5評価のスケジュールも参照のこと)。インフォームドコンセントが得られ、対象は適格性を判定するための手続きを受けるであろう。試験への参加にインフォームドコンセントを与え、スクリーニングの適格基準すべてを満たし、スクリーニングの除外がない適格な男性及び女性の対象は、スクリーニング期間中に冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影を受け、それがベースライン測定値として使用されるであろう。
【0135】
ベースライン(1日目、1週目、1回目の来診)
適格な男性及び女性の対象は、1日目に適格性ならびにベースラインの有効性及び安全性の評価を再確認した後、330mgのオルチクマブまたは対応するプラセボに無作為に割り当てられるであろう。対象は1.1mlのsc注射として投与される330mgのオルチクマブまたは対応するプラセボによる治療を毎月、治療の48週間±3日間受けるであろう。安全性及び忍容性は、身体検査、AE及び併用薬物の評価、自殺傾向の評価、バイタルサイン、安全性臨床検査(血液学[凝固を含む]、化学、尿検査及びECG)によってモニターされるであろう。
【0136】
以下の測定値は、ベースライン来診時に投薬に先立って得られるであろう(表5評価のスケジュールも参照のこと)。
乾癬面積及び重症度指数―PASI
体表面積(BSA)の乾癬被覆率
治験責任医師の全般的評価(sIGA)
患者の全般的評価(PtGA)
臨床的な掻痒数値評価尺度(INRS)
皮膚科生活の質指数―DPQI
冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影のスクリーニングを完了し、読み取り、解釈した
体表面積の標準化されたデジタル写真(頭部及び鼠径部を除く)―選択された部位
乾癬性関節炎質問表。
【0137】
治療段階[1週目〜16週目(1〜9回目の来診)]
安全性、忍容性、及び有効性は、最初の5人の対象が2週間の治療を完了した後、及びその後毎月±1週で、または必要に応じて早めに、登録されたすべての対象について内部安全性審査委員会(ISRC)によって審査されるであろう。この試験では、臨床検査値、バイタルサイン、心電図(ECG)、有害事象、及び身体検査(AE)に基づいて個々の基準及び試験の停止基準が利用されるであろう。
【0138】
以下の評価基準は、4、8、12及び16週目±3日に得られるであろう(表5評価のスケジュールも参照のこと)。
乾癬面積及び重症度指数―PASI
治験責任医師の全般的評価(sIGA)
臨床的な掻痒数値評価尺度(INRS)
【0139】
以下も16週目±3日に得られるであろう(表5評価のスケジュールも参照のこと)。
患者の全般的評価(PtGA)
皮膚科生活の質指数―DPQI
乾癬によって影響を受ける体表面積(%)
試験薬管理
身体検査
妊娠検査
実験室評価
3回の12誘導ECG
体表面積の標準化されたデジタル写真(頭部及び鼠径部を除く)―選択された部位
乾癬性関節炎質問表
【0140】
治療段階[20週目〜52週目(10〜19回目の来診)]
安全性、忍容性、及び有効性は登録されたすべての対象について内部安全性審査委員会(ISRC)によって少なくとも毎月審査されるであろう。この試験では、臨床検査値、バイタルサイン、心電図(ECG)、及び有害事象(AE)に基づいて個々の基準及び試験の停止基準が利用されるであろう。
【0141】
以下の評価基準は、20、24、28、32、36、40、44、48、及び52週目±3日に得られるであろう(表6評価のスケジュールも参照のこと)。
乾癬面積及び重症度指数―PASI
治験責任医師の全般的評価(sIGA)
臨床的な掻痒数値評価尺度(INRS)
乾癬によって影響を受ける体表面積(%)
試験薬管理
【0142】
以下も28、36及び52週目±3日に得られるであろう(表6評価のスケジュールも参照のこと)。
患者の全般的評価(PtGA)
身体検査
実験室評価
3回の12誘導ECG
【0143】
以下も52週目±3日に得られるであろう(表6評価のスケジュールも参照のこと)。
皮膚科生活の質指数―DPQI
妊娠検査
冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影(CCTA)
体表面積の標準化されたデジタル写真(頭部及び鼠径部を除く)―選択された部位
乾癬性関節炎質問表
【0144】
経過観察来診―スクリーニング後54週目(20回目の来診)
【0145】
以下は54週目±3日に得られるであろう(表5評価のスケジュールも参照のこと):バイタルサイン。
【0146】
統計的方法
試料サイズの検討事項:
以前の試験では、主要評価項目についてのプラセボ奏効率は0%から10%に及ぶ。真のプラセボ奏功率を10%と仮定し、アルファ=0.05の有意水準で二項比率の両側2試料比較に基づいて、100人の対象(アームあたり50人の対象)の試料サイズは90%の検出力を提供して27パーセント点の改善を検出し、すなわち、活性がある側で37%の真の奏功率を検出するであろう。母集団のPK推定値については、試料サイズという点では正式な統計的評価は実施されなかった。
【0147】
脂質低下療法の対象をプラセボ群と活性治療群の間で均等に分配するためにあらゆる努力が払われるであろう。
【0148】
一次有効性分析:
一次分析、と同様に他のすべての有効性分析は、すべての無作為化された対象として定義された包括解析(ITT)の分析設定で実施されるであろう。活性剤群とプラセボ群は、アルファ=0.05の有意水準にて両側のCochran−Mantel−Haenszel統計(無作為化階層化変数によって階層化される)を用いて比較する。
【0149】
重要な二次有効性分析:
一次有効性分析が統計的に有意であるならば(p<0.05)、次に、アルファ=0.05の有意水準にて両側のCochran−Mantel−Haenszel統計(無作為化階層化変数によって階層化される)を用いて重要な二次評価項目を分析するであろう。しかしながら、一次分析が統計的に有意でなければ、重要な二次分析の結果は確認ではなく試験的である。
【0150】
データの提示/記述統計学:
人口統計、安全性、PK、及び有効性のデータすべては、表形式にて、且つ適宜、記述統計学によって列記され、要約されるであろう。薬物動態及び有効性のデータも適宜グラフで表示されるであろう。PK及び有効性パラメーターの一対比較も報告されるであろう。群間の比較のために探索的分析が実施されてもよい。
【0151】
統計モデル:
一般に、統計モデルはモデル効果についての推定値及び信頼区間を用いて要約されるであろう。幾何平均比及び区間推定は各時点で比較されたCトラフについて報告されるであろう。
【0152】
転帰指標
乾癬面積及び重症度指数(PASI)―PASIは頭頚部(H)、上肢(UL)、体幹(T)、及び下肢(LL)の4つの身体領域の評価を組み合わせる。各領域における乾癬の影響を受けた皮膚の比率には関与した比率:1(0〜9%)、2(10〜29%)、3(30〜49%)、4(50〜69%)、5(70〜89%)または6(90〜100%)を表す数値スコアが与えられる。各領域(H、UL、T、LL)内で、3つのプラーク徴候の重症度―紅斑(E)、肥厚/硬結(I)及び落屑/鱗屑(D)―は0(なし)、1(軽度)、2(中程度)、3(重度)、または4(非常に重度)の5ポイント尺度で評価される。
【0153】
病変の重症度及び影響を受けた領域の評価は単一のスコアにまとめられる。最終的なPASI=各領域の重症度パラメーターの合計×面積スコア×領域の加重(その際、頭:0.1、腕:0.2、体:0.3、脚:0.4);考えられる総スコアの範囲:0=疾患なし〜72=最大疾患であろう。
【0154】
PASI評価は頭皮、手のひら、指の爪、足の裏、つま先の爪を除外するので測定できる最大PASIスコアは<72であろう。
【0155】
この評価に関与する治験責任医師にはビデオトレーニングが必須であろう。
【0156】
最終的なPASIスコアは次の式を用いて算出されるであろう。
PASI=0.1(EH+IH+HH)AH+0.2(EUL+IUL+HUL)AUL+0.3(ET+IT+HT)AT+0.4(ELL+ILL+HLL)ALL
【0157】
ベースラインからのPASIスコアの低下は改善を示す。変化率は、ベースライン値から16週目及び52週目の値を差し引くことによって算出されるであろう。変化率は、(参加者ごとではなく)各治療群全体ごとに算出されるであろう。ベースラインからの正の変化率は改善を示すであろう。
【0158】
この評価に関与する治験責任医師にはトレーニングが必須であろう。
【0159】
体表面積―乾癬の影響を受けた体表面積の比率としてスコア化される;0〜100%。乾癬病変の体表面積を推定するのに一般的に使用される方法は、火傷の表面積を推定するために元々開発された「9の法則」である。それは頭頚部について9%、各腕について9%、前肢及び後肢について9%、4つの体幹四半部についてそれぞれ9%、生殖器について残りの1%の適用範囲として定義されている。BSAは、1つの「手形」がBSAの約1%を反映していると仮定して、影響を受けた患者の手の領域の数によって推定することもできる。
【0160】
この評価に関与する治験責任医師にはトレーニングが必須であろう。
【0161】
治験責任医師の全般的評価―IGAは硬結、紅斑、及び鱗屑に焦点を当てた乾癬の重症度に関する医師の全体的な評価を示す「0=なくなった」、「1=ほぼなくなった」、「2=軽度」、「3=中程度」または「4=重度」を含む5つのカテゴリーの尺度である。「なくなった」または「ほぼなくなった」という治療の成功は、乾癬の兆候がないこと、または病変の色が正常〜ピンク色であること、プラークの肥厚がないこと、及び病巣の鱗屑がない〜最小限であることからなる。IGAは疾患の臨床徴候及び症状のすべての全般的な評価を捕らえ、分類する。この尺度は固定的評価として、すなわち、以前の評価に関係なくスコア化されるであろう。IGAを成功させるには、「なくなった」または「ほぼなくなった」の指定を有し、ベースラインから2ポイントの改善を示す必要がある。したがって、患者がベースラインで「軽度」の疾患を有するならば、患者は「なくなった」に到達する必要がある。患者がベースラインで「中程度」の疾患を有するならば、「ほぼなくなった」に到達する必要がある。そして、患者がベースラインで「重度」に分類されるならば、患者は3ポイントの改善が必要であるが、それでも「ほぼなくなった」に到達する必要がある。
【0162】
この評価に関与する治験責任医師にはトレーニングが必須であろう。
【0163】
掻痒数値評価尺度―掻痒NRSは、プロトコールで指定された診療所来診中に完了される、自己管理患者が報告する転帰質問表である。対象は、「掻痒なし」を表す0及び「考えられる最悪の掻痒」を表す10にわたる11ポイントの尺度で過去24時間における乾癬による掻痒の最悪のレベルを最もよく表す整数に丸を付けることによって掻痒の重症度を示す。
【0164】
皮膚科生活の質指数(DLQI)―DLQIは乾癬集団に使用される皮膚科固有の生活の質の尺度である。10項目の質問表は、参加者の健康関連の生活の質(日常生活、人間関係、症状及び感情、余暇、仕事及び学校、ならびに治療)を評価する。DLQIの質問は、0(最高)〜30(最悪)の総スコア範囲で0(まったくない/関係ない)〜3(非常に多い)として参加者によって評価され;スコアが高いほど生活の質が低いことを示す。
【0165】
患者の全般的評価(PtGA)―PtGAは、各項目5ポイントの尺度(0=なくなった;1=ほぼなくなった;2=軽度;3=中程度;4=重度)で時間内にその時点で全体的な皮膚疾患を評価するように参加者に依頼する。
【0166】
冠状動脈血管周囲脂肪減衰指数(FAI)―CT血管造影法で測定した。
【0167】
【表5】
【0168】
PK=薬物動態;ECG=心電図;ET=早期終了;F/U=経過観察;乾癬面積及び重症度指数−PASI;BSA=乾癬の影響を受けた体表面の割合;治験責任医師の静的全般的評価(sIGA);患者の全般的評価(PtGA);臨床上の掻痒数値評価尺度(INRS);皮膚科生活の質指数(DLQI);冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影(CCTA)
【0169】
a安全上の理由及び/または他の理由から、予定外の来診はどんなときでも行われてもよい。安全性検査、EKG及び身体検査及び他の評価は治験責任医師の裁量で実施されてもよい。
【0170】
b来診は±3日以内に行うべきである。
【0171】
c血液学及び凝固検査、hsCRP、SMA25(血清−アミラーゼ、包括的代謝プロファイル(CMP)(eGFRを含む):(A:G比;アルブミン、血清;アルカリホスファターゼ、血清;ALT(SGPT);AST(SGOT);ビリルビン、合計;BUN;BUN:クレアチニン比;カルシウム、血清;二酸化炭素、合計;塩化物、血清;クレアチニン、血清;グロブリン、合計;グルコース、血清;カリウム、血清;タンパク質、合計、血清;ナトリウム、血清)クレアチンキナーゼ(CK)、合計、血清ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT);乳酸デヒドロゲナーゼ(LD);乳酸、血漿脂質パネル:コレステロール、合計;高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール;低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール(計算);トリグリセリド;超低密度リポタンパク質(VLDL)、リポタンパク質(a)oxLDL及びoxHDL;マグネシウム、血清;リン、血清;尿酸、血清を含む。
【0172】
また、指示されたすべての来診での尿検査。スクリーニングでは、尿中薬物検査も行われるであろう。検査のみでの肝炎パネル、FSH検査は閉経後の女性のスクリーニングで行われるであろう。Mantouxツベルクリン皮膚検査は検査でのみ実施される(Bacille Calmette−Guerin(BCG)ワクチン接種を受けている対象には、インターフェロンγ放出アッセイ(IGRA)を提供することができる)。
【0173】
d出産の可能性のある女性について。スクリーニングでの血清妊娠検査(中央検査室)及び言及される他のすべての来診での尿妊娠検査(臨床現場)。
【0174】
e血圧、脈拍数、呼吸数、体温については仰臥位(少なくとも5分)、血圧及び脈拍数については立位(1分後及び3分後)が含まれる。身長はスクリーニング時に1回測定されるであろう。体重を1、4、7及び9回目の来診で測定し、ポンド(lb)で記録し、BMIをCRFに入力する。
【0175】
f対象が仰臥位で5分間静かに休息した後、3回の心電図が記録されるであろう。
【0176】
gスクリーニング及び投与前のベースラインでは、皮膚科検査は銀白色の鱗屑で覆われた隆起した炎症性病変を特徴とする中程度の尋常性乾癬の存在を示さなければならない。鱗屑を削り取って、下にある炎症を起こした皮膚を露出させてもよい。
【0177】
【表6】
【0178】
PK=薬物動態;ECG=心電図;ET=早期終了;F/U=経過観察;乾癬面積及び重症度指数−PASI;BSA=乾癬の影響を受けた体表面の割合;治験責任医師の静的全般的評価(sIGA);患者の全般的評価(PtGA);治験責任医師の全般的評価(sIGA);臨床上の掻痒数値評価尺度(INRS);皮膚科生活の質指数(DLQI);冠状動脈コンピューター断層撮影血管造影(CCTA)
【0179】
a安全上の理由及び/またはその他の理由から、予定外の来診はどんなときでも行われてもよい。安全性検査、EKG及び身体検査及び他の評価は治験責任医師の裁量で実施されてもよい。
【0180】
b来診は±3日以内に行うべきである。
【0181】
c血液学及び凝固検査、hsCRP、SMA25(血清−アミラーゼ、包括的代謝プロファイル(CMP)(eGFRを含む):(A:G比;アルブミン、血清;アルカリホスファターゼ、血清;ALT(SGPT);AST(SGOT);ビリルビン、合計;BUN;BUN:クレアチニン比;カルシウム、血清;二酸化炭素、合計;塩化物、血清;クレアチニン、血清;グロブリン、合計;グルコース、血清;カリウム、血清;タンパク質、合計、血清;ナトリウム、血清)クレアチンキナーゼ(CK)、合計、血清ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT);乳酸デヒドロゲナーゼ(LD);乳酸、血漿脂質パネル:コレステロール、合計;高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール;低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール(計算);トリグリセリド;超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロール(計算);リポタンパク質(a);マグネシウム、血清;リン、血清;尿酸、血清を含む。
【0182】
また、指示されたすべての来診での尿検査。スクリーニングでは尿中薬物検査も行われるであろう。検査のみでの肝炎パネル、FSH検査は閉経後の女性のスクリーニングで行われるであろう。Mantouxツベルクリン皮膚検査は検査でのみ実施される(Bacille Calmette−Guerin(BCG)ワクチン接種を受けている対象には、インターフェロンγ放出アッセイ(IGRA)を提供することができる)。
【0183】
d出産の可能性のある女性について。スクリーニングでの血清妊娠検査(中央検査室)及び言及される他のすべての来診での尿妊娠検査(臨床現場)。
【0184】
e血圧、脈拍数、呼吸数、体温については仰臥位(少なくとも5分)、血圧及び脈拍数については立位(1分後及び3分後)が含まれる。身長はスクリーニング時に1回測定されるであろう。体重を、10、14、19、及び20回目の来診で測定し、ポンド(lb)で記録し、BMIをCRFに入力する。
【0185】
f対象が仰臥位で5分間静かに休息した後、3回の心電図が記録されるであろう。
【0186】
本発明の種々の実施形態は上記の詳細な説明に記載されている。これらの説明は上記の実施形態を直接説明している一方で、当業者は本明細書に示され、記載されている特定の実施形態に対する修正及び/または変形を思いついてもよいことが理解される。この説明の視野の範囲内に入るそのような修正または変形は、同様にそこに含まれることが意図されている。特に言及されない限り、本明細書及びクレームにおける単語及び語句には該当する技術分野(複数可)の当業者に通常の且つ慣習的な意味を与えることが本発明者らの意図である。
【0187】
出願の時点で出願人に知られている本発明の種々の実施形態の前述の説明が提示されており、例証及び説明の目的を対象としている。本説明は、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示される正確な形態に限定するものでもなく、上記の教示に照らして多くの修正及び変形が可能である。記載されている実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用を説明するのに、ならびに当業者が種々の実施形態で、且つ企図される特定の使用に適しているとして種々の修正とともに本発明を利用するのを可能にするのに役立つ。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示されている特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
【0188】
本発明の特定の実施形態を示し、説明してきたが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広範な態様から逸脱することなく変更及び修正が行われてもよく、したがって、添付のクレームは、本発明の真の精神及び範囲の範囲内にあるものとして、その範囲内にそのような変更及び修正すべてを包含するものであることが当業者に明白であろう。一般に、本明細書で使用される用語は概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。
【0189】
本明細書で使用されるとき「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、実施形態にとって有用である組成物、方法、及びそれらの各構成要素(複数可)に関して使用されるが、有用であろうとなかろうと、特定されていない要素を含むことに対して制限はない。一般に、本明細書で使用される用語は概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。含む(including)、含有する(containing)または有する(having)のような用語の同義語としての「含む(comprising)」という開放型用語は、本発明を説明し、請求するのに本明細書で使用されるが、本発明またはその実施形態は代わりに、「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」のような代替用語を用いて記載されてもよい。