特表2021-530487(P2021-530487A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530487(P2021-530487A)
(43)【公表日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】EP4阻害剤およびその合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20211015BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20211015BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20211015BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20211015BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211015BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211015BHJP
【FI】
   C07D471/04 105Z
   C07D471/04CSP
   A61K31/437
   A61K45/00
   A61P35/02
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】127
(21)【出願番号】特願2021-500587(P2021-500587)
(86)(22)【出願日】2019年7月11日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月5日
(86)【国際出願番号】US2019041351
(87)【国際公開番号】WO2020014445
(87)【国際公開日】20200116
(31)【優先権主張番号】62/696,440
(32)【優先日】2018年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/737,250
(32)【優先日】2018年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/834,525
(32)【優先日】2019年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520401712
【氏名又は名称】アリーズ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513043352
【氏名又は名称】株式会社AskAt
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マンフレディ, マーク
(72)【発明者】
【氏名】エクセディ, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】カストロ, アルフレッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】奥村 祥征
【テーマコード(参考)】
4C065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065BB05
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH02
4C065JJ01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP03
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は増殖性障害を処置するための、N−((4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェネチル)カルバモイル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド組成物、およびその使用を提供する。いくつかの実施形態では、化合物IIは結晶形である。いくつかの実施形態において、化合物IIは、その内容がそれら全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,960,407号および第9,265,756号に記載されているような、多形形態Aである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物II:
【化62】
またはその薬学的に受容可能な塩、および
【化63-1】
【化63-2】
からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物。
【請求項2】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される2つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される3つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される4つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される5つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される6つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される7つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される8つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される9つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、もしくはI−10のそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1または12に記載の組成物。
【請求項14】
【化64】
からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
不純物化合物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、もしくはIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩が、独立して、約0.5未満の重量パーセント、および/または面積パーセントHPLC、および/または量パーセントHPTLCである、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
不純物化合物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、もしくはIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩が、独立して、約0.2未満の重量パーセント、および/または面積パーセントHPLC、および/または量パーセントHPTLCである、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
全有機不純物が、約2.0%未満の重量パーセント、および/または面積パーセントHPLC、および/または量パーセントHPTLCである、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記全有機不純物が、化合物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IX、またはその薬学的に受容可能な塩からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
約0.01〜1.0重量パーセントの量の水をさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
約0.01〜0.5重量パーセントの量の酢酸エチルをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
約0.01〜0.2重量パーセントの量のアセトニトリルをさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物、および薬学的に受容可能なアジュバント、キャリア、またはビヒクルを含む、医薬組成物。
【請求項23】
患者においてがんを処置するための方法であって、前記患者に請求項22に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項24】
がん免疫療法剤を投与することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記がん免疫療法剤が、Programmed Death−1(PD−1)受容体に特異的に結合し、PD−1活性を阻害する抗体またはその抗原結合部分である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、直腸結腸がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、膵臓がん、肝臓がん、肝細胞がん、神経芽細胞腫、他の固形腫瘍または他の血液がんである、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項22に記載の医薬組成物および前記がん免疫療法剤が単一剤形で投与される、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
請求項22に記載の医薬組成物および前記がん免疫療法剤が別個の剤形で投与される、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EP4阻害剤:N−((4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェネチル)カルバモイル)−4−メチルベンゼンスルホンアミドおよびその合成に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタグランジンは、炎症に伴う疼痛、発熱および他の症状の媒介因子である。プロスタグランジンE2(PGE2)は、炎症状態において検出される主要なエイコサノイドである。加えて、PGE2はまた、様々な生理学的および/または病理学的状態、例えば、痛覚過敏、子宮収縮、消化のぜん動、覚醒、胃酸分泌の抑制、血圧、血小板機能、骨代謝、血管新生などにも関与している。
異なる薬理学的特性を示す4種のPGE2受容体サブタイプ(EP1、EP2、EP3およびEP4)が存在する。EP4サブタイプであるGs共役受容体は、cAMP産生ならびにPI3KおよびGSK3βシグナル伝達を刺激し、多種多様な組織に分配され、PGE媒介性生物学的事象における主要な役割を示唆している。N−((4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェネチル)カルバモイル)−4−メチルベンゼンスルホンアミドを含む様々なEP4阻害剤は、例えば、その内容がそれら全体において参照により本明細書に組み込まれる、WO2002/032900、WO2005/021508、US6,710,054、およびUS7,238,714に以前に記載されている。このような化合物の合成の改善に対する必要性が未だに対処されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2002/032900号
【特許文献2】国際公開第2005/021508号
【特許文献3】米国特許第6,710,054号明細書
【特許文献4】米国特許第7,238,714号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
N−((4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェネチル)カルバモイル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド(本明細書の化合物II)の組成物はいくらかの不純物を含み得ることが現在判明している。
【化1】
【0005】
一態様では、本発明は、式Iの化合物:
【化2】
(式中、RおよびRのそれぞれは本明細書で定義された通りである)またはその薬学的に受容可能な塩である、化合物IIの不純物を提供する。別の態様では、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および関連した中間体を合成するための方法を提供する。
【0007】
本出願に記載されている化合物II、および薬学的に受容可能な塩またはその組成物は、増殖性障害を処置するのに有用である。いくつかの実施形態において、増殖性障害は本明細書に記載されている通りである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、CT−26腫瘍を保持するBALB/Cマウスにおける成長動態を表している。CT−26腫瘍を保持するBALB/Cマウスを、ビヒクル(0.5%メチルセルロースおよびIgG2a)、抗PD−1、または化合物Xを、15mg/kgQDおよびBIDで、単独でまたは抗PD−1と組み合わせて処置した。平均腫瘍体積(mm)および平均の標準誤差(n=10/群)が示されている。
【0009】
図2図2は、腫瘍を保持するマウスのKaplan−Meier曲線を表している。ビヒクル(0.5%メチルセルロースおよびIgG2a)、抗PD−1、または化合物Xを、15mg/kgQDおよびBIDで、単独でまたは抗PD−1と組み合わせて処置した腫瘍保持マウスのKaplan−Meier曲線。マウスは腫瘍接種後から99日モニターし、動物は腫瘍サイズが3000mmを超えた時点で屠殺した。
【0010】
図3図3は、4T1腫瘍を保持するBALB/Cマウスにおける腫瘍成長動態を表している。4T1腫瘍を保持するBALB/Cマウスは、ビヒクル、抗CTLA4、または化合物Xを、15mg/kgBIDで、単独でまたは抗CTLA41と組み合わせて処置した。平均腫瘍体積(mm)および平均の標準誤差(n=10/群)が示されている。
【0011】
図4図4は腫瘍保持マウス研究のKaplan−Meier曲線を表している。ビヒクル、抗CTLA4、または化合物Xを15mg/kgBIDで、単独でまたは抗CTLA4と組み合わせて処置した腫瘍保持マウスのKaplan−Meier曲線。マウスは腫瘍接種後、41日間モニターし、動物は腫瘍サイズが3000mmを超えた時点で屠殺した。
【0012】
図5図5は、ビヒクル(0.5%メチルセルロースおよびPBS)、抗PD1、または化合物Xを15mg/kgBIDで、単独でまたは抗PD1と組み合わせて処置した、CT−26腫瘍を保持するBALB/Cマウスを表す。平均腫瘍体積(mm)および平均の標準誤差(n=7/群)が示される。
【0013】
図6図6は、ビヒクル(0.5%メチルセルロースおよびPBS)、抗PD1、または化合物Xを15mg/kgBIDで、単独でまたは抗PD1と組み合わせて処置した、4T1腫瘍を保持するBALB/Cマウスを表す。平均腫瘍体積(mm)および平均の標準誤差(n=7/群)が示される。
【0014】
図7図7は、ビヒクル(0.5%メチルセルロースおよびPBS)、抗PD1、または化合物X(CPD−X)を15mg/kgBIDで、単独でまたは抗PD1と組み合わせて処置したBALB/cマウスにおいて成長させたCT−26腫瘍の免疫細胞の組成を表している。制御性T細胞(a)、樹状細胞(b)、活性化T細胞(c)および活性化PD−1高T細胞(d)のパーセンテージが示されている。ビヒクルを処置群と比較するスチューデントのt検定を使用してp値を決定した;p<0.05、**p<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.本発明のある種の態様の一般的説明
当業者であれば、活性のある医薬品(「API」または「原薬」)の不純物プロファイルはあらゆる医薬用製品の重要な態様であると認識している。よって、合成または分解から生じる不純物は、API純度のモニタリングおよび規制基準の順守につながるという意味で有用である。
【0016】
ある種の実施形態において、本発明は、化合物II(グラピプラントとしても公知)
【化3】
およびその中の1種または複数の不純物化合物(すなわち、不純物)を含む組成物を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、化合物IIは結晶形である。いくつかの実施形態において、化合物IIは、その内容がそれら全体において参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,960,407号および第9,265,756号に記載されているような、多形形態Aである。いくつかの実施形態において、化合物IIの多形形態Aは、2シータ°9.8、13.2、13.4、13.7、14.1、17.5、19.0、21.6、24.0および25.7+/−0.2において主要ピークを含む、Cu Kα放射線での照射により得られる粉末X線回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物IIの多形形態Aは、それが約160℃で吸熱性事象を示す示差走査熱量測定(DSC)を特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物IIの多形形態Aは、約9.9、約13.5、約14.3、約16.1、約17.7、約21.8、約24.14、および約25.8において2-シータ度で表される特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを示す。いくつかの実施形態において、化合物IIの多形形態Aは、約155〜170℃で吸熱/発熱を示した示差走査熱量測定プロファイルを示す。いくつかの実施形態において、化合物IIの多形形態Aは、約30℃〜約150℃に加熱した場合、0.5〜0.6%の質量損失を示す熱重量分析を示す。
【0018】
ある種の実施形態において、本発明は、患者において増殖性障害を処置するための方法であって、患者に、本明細書に記載されている医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、このような不純物は、本明細書に記載されている式Iの化合物、および化合物III〜V、またはその薬学的に受容可能な塩を含み、各変数は本明細書で定義された通りであり、実施形態に記載されている。いくつかの実施形態において、このような組成物は本明細書に記載されているものを含み、各変数は本明細書で定義された通りであり、実施形態に記載されている。
【0019】
一態様では、本発明は、式Iの化合物:
【化4】
(式中、
は、メチル、エチル、プロピル、または−C(O)CHであり、
は、メチル、
【化5】
であり、ただし、Rがエチルの場合、Rは、
【化6】
ではない)
またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0020】
2.定義
本発明の化合物は、上で一般に記載されているものを含み、本明細書において開示されているクラス、部分クラスおよび種によってさらに例示される。本明細書で使用する場合、特に示さない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、元素周期表CAS版に従って特定される。さらに、有機化学の一般的な原理は、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれている、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、編:Smith,M.B.およびMarch, J.、John Wiley & Sons、New York:2001年に記載されている。
【0021】
本明細書で使用される場合、「EP4活性を阻害する薬剤」または「EP4阻害剤」という用語は、EP4受容体の生物学的活性を減少させるまたは減衰させる薬剤を指す。このような薬剤は、タンパク質、例えば、抗EP4抗体、核酸、アミノ酸、ペプチド炭水化物、小分子(有機または無機)、あるいは細胞中に存在するEP4受容体の量を減少させること、またはEP4受容体の結合もしくはシグナル伝達活性を低下させることのいずれかによりEP4受容体の活性を低下させる任意の他の化合物または組成物を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「EP4受容体活性」または「EP4活性」は、PGE刺激によるcAMPレベルのEP4媒介性増加を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「選択的EP4阻害剤」とは、当技術分野で公知の標準的方法により決定された場合、EP1、EP2、またはEP3活性の阻害に対するIC50の10分の1以下、好ましくは100分の1以下のIC50でEP4活性を阻害する薬剤である。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「測定可能な親和性」または「測定可能な程度に阻害する」とは、本明細書に記載されているEP4阻害剤、またはその塩もしくは組成物およびEP4を含むサンプルと、前記化合物またはその組成物の非存在下でEP4を含む同等のサンプルとの間のEP4活性における測定可能な変化を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に受容可能な塩」は、妥当な医療的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う塩を意味する。薬学的に受容可能な塩は、当技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらが、参照により本明細書に組み込まれている、J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66巻、1〜19頁に薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と共に、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に、またはイオン交換などの当技術分野において使用されている他の方法を使用することにより形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
【0026】
適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに、薬学的に受容可能な塩には、適切な場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、(C1〜6アルキル)スルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム陽イオン、四級アンモニウム陽イオン、およびアミン陽イオンが含まれる。
【0027】
特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、該構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー異性体および幾何(または立体構造)異性体)、例えば、各不斉中心に関してRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE立体構造異性体を含むことがやはり意図される。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー異性体および幾何(または立体構造)異性体混合物が、本発明の範囲内にある。特に明記しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体が、本発明の範囲内にある。
【0028】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、所望の生物学的応答を導き出す物質(例えば、治療剤、組成物、および/または製剤)の量を意味する。いくつかの実施形態において、物質の治療有効量は、疾患、状態、または障害に罹患しているまたはそれらに感受性の高い対象に投薬レジメンの一部として投与された場合、疾患、状態、または障害を処置する、診断する、予防する、および/またはそれらの発症を遅延させるのに十分な量である。本技術分野の当業者であれば認識しているように、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞または組織などの因子に応じて様々となり得る。例えば、疾患、状態、または障害を処置するための製剤中の化合物の有効量は、疾患、状態、または障害の1つまたは複数の症状または特徴を軽減する、回復させる、緩和する、阻害する、予防する、発症を遅延させる、それらの重症度を減少させるおよび/またはそれらの発症率を減少させる量である。いくつかの実施形態において、「治療有効量」は、DNA−PKに関連する疾患または障害の1つまたは複数の症状を処置するのに十分である、化合物、または化合物を含有する組成物の少なくとも最小量である。
【0029】
用語「処置する」または「処置すること」とは、本明細書で使用する場合、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状を、部分的にまたは完全に軽減する、阻害する、その発症を遅延させる、予防する、回復させるおよび/または緩和することを指す。本明細書で使用する場合、用語「処置」、「処置する」および「処置している」は、本明細書に記載されている疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状を部分的または完全に軽減する、阻害する、それらの発症を遅延させる、予防する、回復させるおよび/または緩和することを指す。いくつかの実施形態において、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に、行われてもよい。いくつかの実施形態において、用語「処置すること」は、疾患または障害の進行を予防するまたは停止することを含む。他の実施形態では、処置は、症状のない状態で施してもよい。例えば、処置は、感受性の高い個体に、症状の発症前に(例えば、症状歴に照らし合わせて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせて)行われてもよい。処置はまた、症状が治癒した後に、例えば、これらの再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。よって、いくつかの実施形態において、用語「処置すること」は、疾患または障害の再燃または再発を予防することを含む。
【0030】
「単位剤形」という表現は、本明細書で使用する場合、処置される対象にとって適切な治療製剤の物理的に個別の単位を指す。しかし、本発明の組成物の1日あたりの合計使用量は、妥当な医療的判断の範囲内で、主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物に対する具体的な有効な用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、使用される具体的な活性剤の活性、使用される具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、および使用される具体的な活性剤の排出速度、処置の期間、使用される具体的な化合物(複数可)と組み合わせてまたは同時に使用される薬物および/または追加の治療法を含めた様々な因子、ならびに医療分野において周知の同様の因子に依存する。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「HPLCの面積パーセント」または「面積パーセントHPLC」は、HPLCクロマトグラムにおけるピークの面積パーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、面積パーセンテージは、HPLCクロマトグラムにおける組成物の総面積に対するものである。いくつかの実施形態において、面積パーセンテージは、HPLCクロマトグラムにおいて化合物IIの面積に対するものである。いくつかの実施形態において、HPLC法は実施例に記載されている通りである。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「HPTLCの量パーセント」または「量パーセントHPTLC」とは、高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)で測定した場合の構成成分の量パーセンテージを指す。いくつかの実施形態において、量パーセンテージは、HPTLCクロマトグラムにおける組成物の総量に対するものである。いくつかの実施形態において、量パーセンテージは、HPTLCクロマトグラムにおいて化合物IIの量に対するものである。いくつかの実施形態において、HPTLC法は実施例に記載されている通りである。
【0033】
用語「重量パーセント」は、本明細書で使用する場合、非塩形態に基づき計算した構成成分の重量パーセンテージを指す。化合物IIの重量パーセンテージは、組成物の総重量に対する、非塩形態の化合物IIの重量パーセントを指す。いくつかの実施形態において、不純物または全有機不純物の重量パーセンテージは、組成物の総重量に対する、不純物または全有機不純物の重量パーセントを指す。いくつかの実施形態において、不純物または全有機不純物の重量パーセンテージは、組成物内の化合物IIの重量に対する、不純物または全有機不純物の重量パーセントを指す。
3.例示的化合物の説明
【0034】
ある種の不純物化合物が化合物IIを含む組成物中に存在し得ることが現在判明している。
【0035】
1つの態様に従い、本発明は、式Iの化合物:
【化7】
(式中、
は、メチル、エチル、プロピル、または−C(O)CHであり、
は、メチル、
【化8】
であり、ただし、Rがエチルの場合、Rは、
【化9】
ではない)
またはその薬学的に受容可能な塩である不純物化合物を提供する。
【0036】
上記に一般的に定義されているように、Rはメチル、エチル、プロピル、または−C(O)CHである。
【0037】
いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは−C(O)CHである。いくつかの実施形態において、Rは、メチル、プロピル、または−C(O)CHである。
【0038】
上記に一般的に定義されているように、Rはメチル、
【化10】
である。
【0039】
いくつかの実施形態において、Rはメチルである。
【0040】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化11】
である。
【0041】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化12】
である。
【0042】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化13】
である。
【0043】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化14】
である。
【0044】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化15】
である。
【0045】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化16】
である。
【0046】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化17】
である。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明は、式I−aの化合物
【化18】
(式中、Rは、
【化19】
である)
またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、式IまたはI−aの化合物は、表1から選択される。
表1.式IまたはI−aの例示的な化合物。
【化20】
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物I−1:
【化21】
またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物I−2:
【化22】
またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
4.例示的組成物の説明
【0051】
別の態様では、本発明は、化合物II:
【化23】
またはその薬学的に受容可能な塩、および少なくとも1つの式Iの化合物:
【化24】
またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物(式中、RおよびRのそれぞれは、個々におよび組み合わせて、上記に記載されている実施形態において定義されている通りである)を提供する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および少なくとも1つの式I−aによる化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物(式中、Rは上記に記載されている実施形態において定義されている通りである)を提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、化合物II:
【化25】
またはその薬学的に受容可能な塩、および表1から選択される少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される2つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される3つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される4つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される5つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される6つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される7つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される8つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される9つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10のそれぞれ、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つまたは複数の化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される2つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される3つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される4つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される5つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される6つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10のそれぞれ、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−5、I−6、またはI−7からなる群から選択される1つまたは複数の化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−5、I−6、またはI−7からなる群から選択される1つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、およびI−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される2つの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−5、I−6、およびI−7のそれぞれ、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;およびI−5、I−6、およびI−7から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−1、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−2、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−3、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−4、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−5、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−6、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−7、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−8、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−9、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−10、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III:
【化26】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの1つまたは複数の化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物III、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV:
【化27】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IV、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V:
【化28】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物V、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI:
【化29】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VI、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII:
【化30】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII:
【化31】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物VIII、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX:
【化32】
、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式Iの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;式I−aの化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;表1から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、組成物は、化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩;I−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物IX、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記表1に表されている化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、化合物I−1、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、化合物I−2、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明は、上記の表1に描示される少なくとも1つの化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。前記組成物は、上記の表1に描示される化合物のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはその薬学的に受容可能な塩を含むことができ、必要に応じて化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含み得る。前記組成物は、必要に応じて、化合物III−IXのうちの1、2、3、4、5、6、または7、もしくはその薬学的に受容可能な塩も含み得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、、本発明は、上記の表1に描示される化合物のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10またはその薬学的に受容可能な塩;化合物III−IXのうちの1、2、3、4、5、6、または7、もしくはその薬学的に受容可能な塩;および化合物II、もしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、99.95、または99.999重量パーセントの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95重量パーセントの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約98重量パーセントの量で含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、または99.95面積パーセントHPLCの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95面積パーセントHPLCの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約98面積パーセントHPLCの量で含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、または99.9量パーセントHPTLCの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約95量パーセントHPTLCの量で含む。いくつかの実施形態では、組成物は、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を、少なくとも約98量パーセントHPTLCの量で含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物は、5.0、4.0、3.0、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.25、1、0.75、0.5、0.25、0.2、0.1、0.01、0.005、または0.001重量パーセント以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約5.0重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約0.05〜2.0、0.05〜1.9、0.05〜1.8、0.05〜1.7、0.05〜1.6、0.05〜1.5、0.05〜1.4、0.05〜1.3、0.05〜1.2、0.05〜1.1、0.05〜1.0、0.1〜2.0、0.15〜2.0、0.2〜2.0、0.25〜2.0、0.3〜2.0、0.4〜2.0、0.5〜2.0、0.6〜2.0、0.7〜2.0、0.8〜2.0、0.9〜2.0、または1.0〜2.0重量パーセントである。
【0136】
いくつかの実施形態では、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物は、5.0、4.0、3.0、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.25、1、0.75、0.5、0.25、0.2、0.15、0.1、または0.05面積パーセントHPLC以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約5.0面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0〜5.0、2.0〜4.5、2.0〜4.0、2.0〜3.8、2.0〜3.6、2.0〜3.5、2.0〜3.2、2.0〜3.0、2.0〜2.9、2.0〜2.8、2.0〜2.7、2.0〜2.6、2.0〜2.5、2.0〜2.4、2.0〜2.3、2.0〜2.2、または2.0〜2.1面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約0.05〜2.0、0.05〜1.9、0.05〜1.8、0.05〜1.7、0.05〜1.6、0.05〜1.5、0.05〜1.4、0.05〜1.3、0.05〜1.2、0.05〜1.1、0.05〜1.0、0.1〜2.0、0.15〜2.0、0.2〜2.0、0.25〜2.0、0.3〜2.0、0.4〜2.0、0.5〜2.0、0.6〜2.0、0.7〜2.0、0.8〜2.0、0.9〜2.0、または1.0〜2.0面積パーセントHPLCである。
【0137】
いくつかの実施形態では、化合物IIもしくはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物は、5.0、4.0、3.0、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1量パーセントHPTLC以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約5.0量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0〜5.0、2.0〜4.5、2.0〜4.0、2.0〜3.8、2.0〜3.6、2.0〜3.5、2.0〜3.2、2.0〜3.0、2.0〜2.9、2.0〜2.8、2.0〜2.7、2.0〜2.6、2.0〜2.5、2.0〜2.4、2.0〜2.3、2.0〜2.2、または2.0〜2.1量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、全有機不純物の量は、約0.1〜2.0、0.1〜1.9、0.1〜1.8、0.1〜1.7、0.1〜1.6、0.1〜1.5、0.1〜1.4、0.1〜1.3、0.1〜1.2、0.1〜1.1、0.1〜1.0、0.1〜2.0、0.2〜2.0、0.3〜2.0、0.4〜2.0、0.5〜2.0、0.6〜2.0、0.7〜2.0、0.8〜2.0、0.9〜2.0、または1.0〜2.0量パーセントHPTLCである。
【0138】
いくつかの実施形態では、全有機不純物は、式Iの化合物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物は、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、およびI−10から選択される1つまたは複数の化合物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物は、化合物III−IXから選択される1つまたは複数の化合物を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、それぞれの有機不純物は、独立に、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.15、0.1、または0.05面積パーセントHPLC以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.5面積パーセントHPLC以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.2面積パーセントHPLC以下である。いくつかの実施形態では、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXから選択される有機不純物は、独立に、存在しないか、または約0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、0.2〜0.3、0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.15〜0.2、0.05〜0.15、または0.05〜0.1面積パーセントHPLCである。
【0140】
いくつかの実施形態では、それぞれの有機不純物は、独立に、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1量パーセントHPTLC以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.5量パーセントHPTLC以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.2量パーセントHPTLC以下である。いくつかの実施形態では、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXから選択される有機不純物は、独立に、存在しないか、または約0.2〜0.5、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.4、0.2〜0.3、0〜0.2、0〜0.1、または0.1〜0.2量パーセントHPTLCである。
【0141】
いくつかの実施形態では、それぞれの有機不純物は、独立に、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.15、0.1、または0.05重量パーセント以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.5重量パーセント以下である。いくつかの実施形態では、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXのそれぞれは、独立に、約0.2重量パーセント以下である。いくつかの実施形態では、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−IXから選択される有機不純物は、独立に、存在しないか、または約0.02〜0.18、0.03〜0.17、0.04〜0.16、0.05〜0.15、0.06〜0.14、0.07〜0.13、0.08〜0.12、0.09〜0.1、0.1〜0.2、0.1〜0.15、または0.15〜0.2重量パーセントである。
【0142】
いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2、0.2〜0.5、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.4、0.2〜0.3、または0.3〜0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1、0.2、0.3、または0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−1もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0143】
いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2または0〜0.2量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−2もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0144】
いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2、0.2〜0.5、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.4、0.2〜0.3、または0.3〜0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1、0.2、0.3、または0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−3もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0145】
いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2または0〜0.2量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物I−4もしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0146】
いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2、0.2〜0.5、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.4、0.2〜0.3、または0.3〜0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1、0.2、0.3、または0.4量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物IIIもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0147】
いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2面積パーセントHPLCである。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05面積パーセントHPLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1〜0.2または0〜0.2量パーセントHPTLCである。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.1量パーセントHPTLC未満である。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05、0.1、0.15、または0.2重量パーセントである。いくつかの実施形態では、化合物Vもしくはその薬学的に受容可能な塩の量は、約0.05重量パーセント未満である。
【0148】
いくつかの実施形態において、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩を含む組成物は、1つまたは複数の遺伝毒性不純物を含有する。いくつかの実施形態において、組成物中の遺伝毒性不純物のそれぞれは、独立して、約15ppm以下である。いくつかの実施形態において、組成物中の遺伝毒性不純物のそれぞれは、独立して、約10ppm以下である。いくつかの実施形態において、組成物中の遺伝毒性不純物のそれぞれは、独立して、約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ppm、または1ppm未満である。いくつかの実施形態において、組成物は約15ppm以下の全遺伝毒性不純物を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約10ppm以下の全遺伝毒性不純物を含む。いくつかの実施形態において、組成物は約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1ppm、または約1ppm未満の全遺伝毒性不純物を含む。いくつかの実施形態において、遺伝毒性不純物は化合物VIである。いくつかの実施形態において、遺伝毒性不純物は化合物VIIである。
【0149】
いくつかの実施形態において、組成物は、約0.01〜1.0重量パーセントの量の残留水を含む。いくつかの実施形態において、残留水は約0〜0.2、0.2〜0.4、0.4〜0.6、0.6〜0.8、または0.8〜1重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留水は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、または0.9重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留水は約0.1重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、残留水は約0.1重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留水は約0.2重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留水含有量は実施例に記載されている水のカールフィッシャー電量滴定法(Coulometric Karl Fischer Titration)(蒸発法)により測定される。
【0150】
いくつかの実施形態において、組成物は、約0.01〜0.5、0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントの量で残留溶媒を含む。いくつかの実施形態において、残留溶媒は約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒は約0.05重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、残留溶媒含有量は、実施例に記載されているキャピラリーGC法で測定される。
【0151】
いくつかの実施形態において、組成物は、残留溶媒酢酸エチルを約0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントの量で含む。いくつかの実施形態において、残留溶媒酢酸エチルは約0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、または0.45重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒酢酸エチルは約0.05重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、残留溶媒酢酸エチルは約0.1重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒酢酸エチルは約0.05〜0.1重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒酢酸エチルは約0.1〜0.15重量パーセントである。
【0152】
いくつかの実施形態において、組成物は約0.05〜0.2、0.1〜0.2、または0.05〜0.15重量パーセントの量で残留溶媒アセトニトリルを含む。いくつかの実施形態において、残留溶媒アセトニトリルは約0.05、0.1、0.15、または0.2重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒アセトニトリルは約0.05重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、残留溶媒アセトニトリルは約0.1重量パーセントである。
【0153】
いくつかの実施形態において、組成物は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、化合物III、またはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−5、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、組成物は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、化合物I−6、またはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−7、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0155】
いくつかの実施形態において、組成物は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、化合物IV、またはその薬学的に受容可能な塩、および化合物I−4、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記および本明細書に記載されている任意の化合物を単離した形態で提供する。本明細書で使用する場合、用語「単離した」は、化合物が、その化合物の通常の環境に存在し得る他の構成成分から分離された形態で提供されることを意味する。ある種の実施形態において、単離した化合物は固体形態である。いくつかの実施形態において、単離した化合物は適切なHPLC法で決定された場合、少なくとも約50%の純度を有する。ある種の実施形態において、適切なHPLC法で決定された場合、単離した化合物は少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.99%、または99.999%の純度を有する。パーセント純度は、所望の化合物の重量パーセント(%w/w)により、HPLCクロマトグラムの総面積に対する面積%により、または当技術分野で公知の他の方法により測定することができる。
【0157】
いくつかの実施形態において、組成物は錠剤である。いくつかの実施形態において、錠剤中の化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、HPLCの少なくとも約95面積パーセントの量である。いくつかの実施形態において、上記に記載されている、錠剤中の有機不純物の量は、HPLCクロマトグラムの総面積に対して、HPLCの約0.5%面積パーセント以下である。
【0158】
開示化合物は、当技術分野で公知の任意の手段で精製することができる。このような手段として、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィー;中圧液体クロマトグラフィー(MPLC);高速液体クロマトグラフィー(HPLC);分取HPLC(分取HPLC);フラッシュクロマトグラフィー(FC);液体クロマトグラフィー(LC);超臨界流体クロマトグラフィー(SFC);薄層クロマトグラフィー(TLC);分取TLC(分取TLC);液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS、LCMSまたはLC/MS);再結晶化;沈殿;摩砕;蒸留;誘導体化;酸塩基抽出などが挙げられる。
【0159】
化合物に対する用語「精製された」、「精製された形態で」または「単離および精製された形態で」とは、合成プロセス(例えば、反応混合物から)、またはその天然の供給源または組合せから単離された後の前記化合物の物理的状態を指す。よって、化合物に対する用語「精製された」、「精製された形態」または「単離および精製された形態」とは、本明細書に記載されているまたは当業者に周知の精製プロセス(複数可)(例えば、クロマトグラフィー、再結晶化など)から、in vivoもしくは医薬用途に好適であり、および/または本明細書に記載されているもしくは当業者に周知の標準的分析技術による特徴付けを可能にするのに十分な純度で得た後の前記化合物(あるいはその互変異性体もしくは立体異性体、または前記化合物、前記立体異性体、もしくは前記互変異性体の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物)の物理的状態を指す。
5.化合物IIおよび関連する中間体の合成の説明
【0160】
いくつかの実施形態において、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、スキーム1に従い合成される:
【化33】
【0161】
ステップS−1において、化合物G、またはその塩のアルキルアミノ部分は、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)保護基で保護されて、化合物F、またはその塩を得る。適切なBoc保護試薬および反応条件は当業者には周知であり、例えば、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。いくつかの実施形態において、ステップS−1は、化合物GとBocOとの間の反応を含む。いくつかの実施形態において、ステップS−1は溶媒THFを含む。いくつかの実施形態において、ステップS−1は約15〜20℃における反応である。
【0162】
ステップS−2において、化合物F、またはその塩を、
【化34】
とカップリングして、化合物E、またはその塩を得る。いくつかの実施形態において、ステップS−2は、化合物Eの塩酸塩をもたらす。適切なカップリング反応物条件は当業者には周知である。いくつかの実施形態において、ステップS−2は溶媒EtOHを含む。いくつかの実施形態において、ステップS−2は約20℃での反応である。
【0163】
ステップS−3において、化合物E、またはその塩のニトロ部分を、アミノ部分へと還元させて、化合物D、またはその塩を得る。いくつかの実施形態において、ステップS−3の出発材料化合物Eは塩酸塩である。いくつかの実施形態において、ステップS−3は化合物D塩酸塩をもたらす。適切な還元剤および条件は当業者に周知であり、例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, 3rd Edition, John Wiley & Sons, 2018を参照されたい。いくつかの実施形態において、ステップS−3は、化合物EとHとの間の反応を含む。いくつかの実施形態において、ステップS−3は水素付加触媒を含む。いくつかの実施形態において、水素付加触媒はPd/Cである。いくつかの実施形態において、ステップS−3は溶媒EtOHを含む。いくつかの実施形態において、化合物EとHとの間の反応は約20℃における反応である。いくつかの実施形態において、化合物EとHとの間の反応の後に約50℃での蒸留が続く。
【0164】
ステップS−4において、化合物D、またはその塩のアミノ部分をプロピオニル基で保護して、化合物C、またはその塩を得る。適切なプロピオニル保護試薬は当業者には周知であり、例えば、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。いくつかの実施形態において、ステップS−4は、化合物Dとプロピオン酸無水物との間の反応を含む。いくつかの実施形態において、化合物Dとプロピオン酸無水物との間の反応は約20℃における反応である。いくつかの実施形態において、ステップS−4は塩基を含む。いくつかの実施形態において、塩基はNEtである。いくつかの実施形態において、ステップS−4は溶媒THFを含む。
【0165】
ステップS−5において、化合物C、またはその塩に、環化を行い、化合物B、またはその塩を得る。環化試薬を促進する適切な条件は当業者に周知である。いくつかの実施形態において、ステップS−5は塩基を含む。いくつかの実施形態において、塩基は水性NaOHである。いくつかの実施形態において、ステップS−5は溶媒EtOHを含む。いくつかの実施形態において、ステップS−5は約35℃での反応である。
【0166】
ステップS−6において、化合物B、またはその塩中のBoc保護基を除去して、化合物A、またはその塩を得る。脱保護を促進する適切な条件は当業者には周知であり、例えば、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。いくつかの実施形態において、ステップS−6は酸を含む。いくつかの実施形態において、酸は水性HClである。いくつかの実施形態において、ステップS−6は溶媒EtOHを含む。いくつかの実施形態において、ステップS−5は約77〜80℃での反応である。いくつかの実施形態において、脱保護反応の後に蒸留が続く。いくつかの実施形態において、蒸留の後に塩基、例えば、水性NHの添加が続く。いくつかの実施形態において、反応混合物は活性炭素と共に撹拌し、これに続いて濾過する。
【0167】
ステップS−7において、化合物A、またはその塩を、化合物
【化35】
とカップリングして、化合物II、またはその塩を得る。適切なカップリング反応条件は当業者には周知である。いくつかの実施形態において、ステップS−7は溶媒CHClを含む。いくつかの実施形態において、ステップS−7はほぼ室温における反応である。
【0168】
当業者であれば、化合物II、またはその塩は、結晶多形形態で調製することができることを認識している。化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩の結晶多形形態の例は、その内容がそれら全体において参照により本明細書に組み込まれるWO2006095268、および米国特許第7,960,407号および第9,265,756号に記載されている。
【0169】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物E:
【化36】
またはその塩を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は化合物Eの塩酸塩を提供する。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物D:
【化37】
またはその塩を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は化合物Dの塩酸塩を提供する。
【0171】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物C:
【化38】
またはその塩を提供する。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物B:
【化39】
またはその塩を提供する。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Eを調製するための方法であって、(1)化合物Fを提供するステップ、および(2)化合物Fを
【化40】
と反応させるステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Fを提供するステップは化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は、上記ステップS−1およびS−2に対して記載されている通りである。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Dを調製するための方法であって、(1)化合物Eを提供するステップおよび(2)化合物Eの−NO基を−NH基へと還元させるステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Eを提供するステップは、化合物Fを、
【化41】
と反応させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む、化合物Fを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は上記ステップS−1、S−2、およびS−3に対して記載されている通りである。
【0175】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Cを調製するための方法であって、(1)化合物Dを提供するステップ、および(2)化合物Dの−NH基をプロピオニル基で保護するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Dを提供するステップは、化合物Eの−NO基を−NH基へと還元することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Fを、
【化42】
と反応させることを含む、化合物Eを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む、化合物Fを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は、上記ステップS−1、S−2、S−3、およびS−4に対して記載されている通りである。
【0176】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Bを調製するための方法であって、(1)化合物Cを提供するステップ、および(2)化合物Cを環化するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Cを提供するステップは、化合物Dの−NH基をプロピオニル基で保護することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Eの−NO基を−NH基へと還元することを含む、化合物Dを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Fを、
【化43】
と反応させることを含む、化合物Eを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む、化合物Fを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は、上記ステップS−1、S−2、S−3、S−4、およびS−5に対して記載されている通りである。
【0177】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Aを調製するための方法であって、(1)化合物Bを提供するステップ、および(2)化合物BのBoc保護基を除去するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Bを提供するステップは、化合物Cを環化することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Dの−NH基をプロピオニル基で保護することを含む、化合物Cを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Eの−NO基を−NH基へと還元することを含む、化合物Dを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Fを、
【化44】
と反応させることを含む、化合物Eを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む、化合物Fを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は、上記ステップS−1、S−2、S−3、S−4、S−5、およびS−6に対して記載されている通りである。
【0178】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物IIを調製するための方法であって、(1)化合物Bを提供するステップ、(2)化合物BのBoc保護基を除去して、化合物Aを得るステップ、および(3)化合物Aを、
【化45】
と反応させるステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Bを提供するステップは、化合物Cを環化することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Dの−NH基をプロピオニル基で保護することを含む、化合物Cを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Eの−NO基を−NH基へと還元することを含む、化合物Dを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Fを、
【化46】
と反応させることを含む、化合物Eを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Gの−NH基をBoc保護基で保護することを含む、化合物Fを提供するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法の溶媒および条件は、上記ステップS−1、S−2、S−3、S−4、S−5、S−6、およびS−7に対して記載されている通りである。
6.分析、製剤、および投与
6.1.分析
【0179】
化合物II、例えば、上記表1に示されている化合物、または立体異性体もしくはその薬学的に受容可能な塩の合成中にある種の不純物が生じることが発見された。各不純物の単離および特徴付けは、いくつかの目的に対して有用である。一般的に、医薬組成物は、薬物品質および純度に対して規定された標準を満たす高レベルの純度を必要とする。例えば、化合物IIの合成において、製造の分解物または副産物を含む不純物が多くの場合形成され、これらは、化合物IIの治療効果を妨害し、および/または十分高い量で存在する場合有毒性になり得る。よって、このような不純物の存在および量を決定し、立体化学的純度を含めた、化合物IIの化学純度をモニターする能力を有することが望ましい。これを行うため、不純物を同定、単離、および化学的に特徴付けることが重要であり、これらの不純物は、化合物IIの純度を確認する標準物質として、クロマトグラフィー法で使用することができる。
【0180】
したがって、一態様では本発明は、開示化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を調製する方法であって、例えば、以下の実施例で示されている条件下で適切な出発材料または材料を接触させて、化合物またはその薬学的に受容可能な塩を調製することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、参照標準として、および/またはサンプル、例えば、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩のサンプル中の不純物の存在を決定する方法において有用である。
【0181】
本発明はまた、不純物を決定するための方法であって、一組の条件下で、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む基準溶液をHPLCカラムに注入して、第1のHPLCクロマトグラムを得るステップであって、基準溶液中に存在する化合物の量および/または化学的同一性が公知であるステップ、前記一組の条件下で、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩を含むサンプル溶液をHPLCカラムに注入して、第2のHPLCクロマトグラムを得るステップ、ならびにサンプル溶液中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、基準溶液は複数回注入する。いくつかの実施形態において、決定するステップは、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間と、第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークとを比較して、サンプル溶液中の化合物の存在を決定することを含む。他の実施形態では、決定するステップは、HPLCクロマトグラム上でサンプル溶液のピーク面積および基準溶液のピーク面積を定量化し、これらからサンプル溶液中の化合物の量を推定することを含む。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、アセトニトリル、過塩素酸、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは水、アセトニトリル、リン酸、ナトリウム過塩素酸塩、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。
【0182】
本発明はまた、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩から本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料を含有し、式Iの公知の化学構造を有する基準化合物が加えられたサンプル溶液を単一または一連の注入でHPLCカラムに注入するステップ、HPLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに材料中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、アセトニトリル、過塩素酸、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、アセトニトリル、リン酸、ナトリウム過塩素酸塩、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。本方法は、不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を書面形式で記録することをさらに含み得る。
【0183】
本発明はまた、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩から本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、単一または一連の注入で、材料が溶解された溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得るステップ、式Iの構造を有することが公知の化合物の材料中の量を決定するステップ、および材料中の不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を書面形式で記録するステップを含む方法を提供する。ある場合には、材料中の化合物の量は、(i)式Iの構造を有することが公知の化合物の対照クロマトグラム上でのピークに対応するクロマトグラム上のピークを同定すること、(ii)式Iの構造を有することが公知の化合物の相対的保持時間に対応するクロマトグラム上のピークを同定すること、および/または(iii)式Iの構造を有することが公知の化合物の公知の量のスパイクに対応するクロマトグラム上のピークを同定することにより決定される。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、アセトニトリル、過塩素酸、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。いくつかの実施形態において、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、アセトニトリル、リン酸、ナトリウム過塩素酸塩、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。
【0184】
本発明はまた、不純物を決定するための方法であって、一組の条件下で、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む基準溶液をHPTLCプレート上に適用して、第1のHPTLCクロマトグラムを得るステップであって、基準溶液中に存在する化合物の量および/または化学的同一性が公知であるステップ、前記一組の条件下で、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩を含むサンプル溶液をHPTLCプレートに適用して、第2のHPTLCクロマトグラムを得るステップ、ならびにサンプル溶液中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、基準溶液は複数回分析される。いくつかの実施形態において、決定するステップは、第1のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分および第2のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分の保持時間を比較して、サンプル溶液中の化合物の存在を決定することを含む。他の実施形態では、決定するステップは、HPTLCクロマトグラム上でサンプル溶液の構成成分および基準溶液の構成成分を定量化し、これらからサンプル溶液中の化合物の量を推定することを含む。いくつかの実施形態において、HPTLCプレートはシリカゲルであり、塩化メチレンおよびアセトニトリル、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。
【0185】
本発明はまた、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩から本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料を含有し、式Iの公知の化学構造を有する基準化合物が加えられたサンプル溶液をHPTLCプレート上に適用するステップ、HPTLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに材料中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、HPTLCプレートはシリカゲルであり、塩化メチレンおよびアセトニトリル、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。本方法は、不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を書面形式で記録することをさらに含み得る。
【0186】
本発明はまた、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩から本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料が溶解した溶液をHPTLCプレート上に適用し、HPTLCクロマトグラムを得るステップ、式Iの構造を有することが公知の化合物の材料中の量を決定するステップ、ならびに材料中の不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を書面形式で記録するステップを含む方法を提供する。ある場合には、材料中の化合物の量は、(i)式Iの構造を有することが公知の化合物の対照クロマトグラム上での構成成分に対応する化合物をクロマトグラム上で同定すること、(ii)式Iの構造を有することが公知の化合物の相対的保持時間に対応する構成成分をクロマトグラム上で同定すること、および/または(iii)式Iの構造を有することが公知の化合物の公知の量のスパイクに対応する構成成分をクロマトグラム上で同定することにより決定される。いくつかの実施形態において、HPTLCプレートはシリカゲルであり、塩化メチレンおよびアセトニトリル、またはこれらの混合物を含む移動相を使用して溶出される。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を、以下により完全に記載されている様々な分析法(例えば、HPLC、HPTLC、GC、SFC、LCMS)における基準または標準としてのその使用を可能にするだけ十分な純度で提供する。いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも0.5%の純度、少なくとも1%の純度、少なくとも5%の純度、少なくとも10%の純度、少なくとも15%の純度、少なくとも25%の純度、少なくとも50%の純度、少なくとも75%の純度、少なくとも95%の純度、または少なくとも97%の純度で単離され得る。いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に受容可能な塩は、単離され、および/または固体として包装される。
【0188】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の存在および/または量を決定するための方法を提供する。例えば、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩は、化合物IIの合成中、不純物として形成され得る。本明細書で使用する場合、用語「不純物」とは、化合物IIの貯蔵中に生じた分解物および/または化合物IIの製造のための化学反応において形成された副産物を指すことができる。一実施形態では、本方法は、一組の条件下で、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む基準溶液をHPLCカラムに注入して、第1のHPLCクロマトグラムを得るステップであって、基準溶液中に存在する式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の量および/または化学的同一性が公知であるステップ、同じ一組の条件下で、化合物IIを含むサンプル溶液をHPLCカラムに注入して、第2のHPLCクロマトグラムを得るステップ、および第1のHPLCクロマトグラムを第2のHPLCクロマトグラムと比較して、不純物(式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩)の存在および/または量を決定するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、一組の条件下で、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む基準溶液をHPTLCプレート上に適用して、第1のHPTLCクロマトグラムを得るステップであって、基準溶液中に存在する式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の量および/または化学的同一性が公知であるステップ、同じ一組の条件下で、化合物IIを含むサンプル溶液をHPTLCプレート上に適用して、第2のHPTLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに第1のHPTLCクロマトグラムを第2のHPTLCクロマトグラムと比較して、不純物(式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩)の存在および/または量を決定するステップを含む。基準溶液は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩のサンプル(例えば、固体サンプル)を第1の溶媒に溶解することにより形成してもよいし、サンプル溶液は、固体サンプルを第2の溶媒に溶解することにより形成されてもよい。いくつかの実施形態において、基準溶液は追加の化合物(複数可)を含有してもよく、追加の化合物(複数可)の量および/または同一性もまた公知である。一実施形態では、サンプル(例えば、サンプル溶液)は化合物IIを含んでもよい。本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含有する疑いがある他のサンプルを包含してもよいことを理解されたい。
【0189】
いくつかの実施形態において、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の存在は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間を、第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間と比較することにより決定することができる。例えば、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む標準溶液は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に対応し、特定の保持時間を有するピークを有するクロマトグラムを生成し得る。次いで、サンプル溶液を標準溶液と同じ条件下でHPLCカラムに注入し、生成したクロマトグラムを検討して、ピークが、標準溶液のHPLCクロマトグラムにおける式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に対応するピークと同じ保持時間で存在するかどうか決定することができる。このようなピークの存在は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩がサンプル中に存在することを示唆し得る。別の実施形態では、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の量は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの面積を、第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークの面積と比較し、これらから、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の含有量を計算することにより決定することができる。
【0190】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物IIから本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料を含有し、本明細書に記載の式Iの公知の化学構造を有する基準化合物、またはその薬学的に受容可能な塩が加えられたサンプル溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得て、材料中の化合物の存在および/または量を決定する方法を提供する。
【0191】
いくつかの実施形態において、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の存在は、第1のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分の保持時間を、第2のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分の保持時間と比較することによって決定することができる。例えば、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む標準溶液は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に対応し、特定の保持時間を有する構成成分を有するクロマトグラムを生成することができる。次いで、標準溶液と同じ条件下で、サンプル溶液をHPTLCプレート上に適用し、生成したクロマトグラムを検討して、構成成分が、標準溶液のHPTLCクロマトグラムにおける式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に対応する構成成分と同じ保持時間で存在するかどうか決定することができる。このような構成成分の存在は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩がサンプル中に存在することを示唆することができる。別の実施形態では、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の量は、第1のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分の量を、第2のHPTLCクロマトグラムにおける構成成分の量と比較し、これらから、サンプル溶液中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の含有量を計算することによって決定することができる。
【0192】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物IIから本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料を含有し、本明細書に記載されている、式Iの公知の化学構造を有する基準化合物、またはその薬学的に受容可能な塩が加えられたサンプル溶液を、HPTLCプレート上に適用し、HPTLCクロマトグラムを得て材料中の化合物の存在および/または量を、決定する方法を提供する。
【0193】
本発明の方法は、材料中の不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を書面形式で記録することをさらに含み得る。
【0194】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物IIから本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料が溶解された溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得て、本明細書に記載されている、式Iの構造を有することが公知の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の材料中の量を決定する方法を提供する。次いで、材料中の不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を記録することができる。材料中の化合物の量は、(i)対照クロマトグラム上のピークに対応するクロマトグラム上のピークを同定すること、(ii)式Iの構造を有することが公知の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩の相対的保持時間に対応するクロマトグラム上のピークを同定すること、および/または(iii)式Iの構造を有することが公知の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩の公知の量のスパイクに対応するクロマトグラム上のピークを同定することにより決定することができる。
【0195】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物IIから本質的になる材料中の不純物を決定するための方法であって、材料が溶解された溶液をHPTLCプレート上に適用し、HPTLCクロマトグラムを得て、本明細書に記載されている、式Iの構造を有することが公知の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の材料中の量を決定する方法を提供する。次いで、材料中の不純物としての化合物の化学的同一性および化合物の量を記録することができる。材料中の化合物の量は、(i)対照クロマトグラム上での構成成分に対応するクロマトグラム上で構成成分を同定すること、(ii)式Iの構造を有することが公知の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩の相対的保持時間に対応する構成成分をクロマトグラム上で同定すること、および/または(iii)式Iの構造を有することが公知の化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩の公知の量のスパイクに対応する構成成分をクロマトグラム上で同定することにより決定することができる。
【0196】
本発明のいくつかの実施形態は、化合物IIを含むサンプル中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の量および/または存在を決定するのに有用であり得る。サンプルは新たに製造された材料のサンプルであってもよいし、またはサンプルは所与の期間の間貯蔵されていたものであってもよい。一実施形態では、化合物IIのサンプルは貯蔵され、本明細書に記載されている方法を使用して定期的に分析して、例えば、化合物IIの分解により形成されていた可能性がある、サンプル中の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の存在および/または量を決定することができる。ある場合には、サンプルは、ストレスがかかった条件下、すなわち化合物IIの分解を意図的に促進する、例えば、高温および/または高湿気の条件下に配置してもよく、サンプルは本明細書に記載されている方法を使用して、定期的に分析して、サンプル中の、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の存在および/または量を決定する。
6.2.薬学的に受容可能な組成物
【0197】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書で以下に詳細に記載されている、提供された組成物、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および1つまたは複数の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0199】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および1つまたは複数の式I−aの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0200】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および表1から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0201】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにI−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0202】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにI−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0203】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、I−1、I−2、I−3、I−4、I−8、I−9、およびI−10からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびにI−5、I−6、およびI−7からなる群から選択される1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、ならびに薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0204】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物III、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物IV、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物V、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物中の化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、本明細書に記載されている量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、99.95、または99.999重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、または99.95面積パーセントHPLCの量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、または99.9量パーセントHPTLCの量で存在する。
【0208】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物中の有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩は、本明細書に記載されている量で存在する。いくつかの実施形態において、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩は、個々に、存在しないか、または約0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、0.2〜0.3、0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.15〜0.2、0.05〜0.15、または0.05〜0.1面積パーセントHPLCで存在する。いくつかの実施形態において、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩は、個々に、存在しないか、または約0.2〜0.5、0.3〜0.5、0.4〜0.5、0.2−0.4、0.2〜0.3、0〜0.2、0〜0.1、または0.1〜0.2量パーセントHPTLCで存在する。いくつかの実施形態において、有機不純物I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、およびIII−Vのそれぞれ、またはその薬学的に受容可能な塩は、個々に、存在しないか、または約0.02〜0.18、0.03〜0.17、0.04〜0.16、0.05〜0.15、0.06〜0.14、0.07〜0.13、0.08〜0.12、0.09〜0.1、0.1〜0.2、0.1〜0.15、または0.15〜0.2重量パーセントで存在する。
【0209】
いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−1、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−2、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、化合物I−1もしくはI−2、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、99.95、または99.999重量パーセントの量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物I−1もしくはI−2、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、または99.95面積パーセントHPLCの量で存在する。いくつかの実施形態において、化合物I−1もしくはI−2、またはその薬学的に受容可能な塩は、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、または99.9量パーセントHPTLCの量で存在する。
【0210】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されている医薬組成物は、本明細書に記載されている量の水および1種または複数の残留溶媒を含む。いくつかの実施形態において、水は約0〜0.2、0.2〜0.4、0.4〜0.6、0.6〜0.8、または0.8〜1重量パーセントである。いくつかの実施形態において、残留溶媒(例えば、酢酸エチルおよびアセトニトリル)は、約0.01〜0.5、0.05〜0.2、0.1〜0.2、0.05〜0.15、0.2〜0.5、0.25〜0.5、0.3〜0.5、0.35〜0.5、0.4〜0.5、0.2〜0.45、0.2〜0.4、0.2〜0.35、または0.2〜0.3重量パーセントである。
【0211】
いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物はがん免疫療法剤を含む。
【0212】
ある種の実施形態において、本発明の医薬組成物中の化合物IIの量は、生体サンプルまたは患者において、EP4活性、またはその突然変異体を測定可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。ある種の実施形態において、本発明の医薬組成物中の化合物I−1の量は、生体サンプルまたは患者において、EP4活性、またはその突然変異体を測定可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。ある種の実施形態において、本発明の医薬組成物中の化合物I−2の量は、生体サンプルまたは患者において、EP4活性、またはその突然変異体を測定可能な程度に阻害するのに有効であるような量である。ある種の実施形態において、本発明の医薬組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与向けに製剤化される。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、患者へ経口投与向けに製剤化される。
【0213】
用語「患者」とは、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0214】
用語「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクル」とは、共に製剤化される、本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性のキャリア、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物中で使用することができる、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルには、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0215】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸により、経鼻により、頬により、経膣により、または埋め込まれたレザーバーを介して投与することができる。用語「非経口的」には、本明細書で使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内への注射または注入技法が含まれる。好ましくは、本組成物は、経口的に、腹腔内にまたは静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液剤とすることができる。これらの懸濁液剤は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌注射調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液剤または懸濁液剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に使用される。
【0216】
この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いてよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、とりわけポリオキシエチル化型のオリーブ油またはヒマシ油などの、天然の薬学的に受容可能な油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液剤はまた、エマルション剤および懸濁液剤を含む、薬学的に受容可能な剤形の製剤化に一般に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。薬学的に受容可能な固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される、Tweens、Spansおよび他の乳化剤、または生体利用率の向上剤などの、他の一般に使用される界面活性剤もまた、製剤化の目的で使用することができる。
【0217】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、以下に限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液剤または溶液剤を含めた、任意の経口的に許容される剤形で、経口により投与することができる。経口使用向けの錠剤の場合、一般に使用されるキャリアには、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、通常、加えられる。カプセル剤形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁液剤が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と一緒にされる。所望の場合、ある種の甘味剤、着香剤または着色剤も添加されてもよい。
【0218】
代替的に、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、直腸投与向けの坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体となり、したがって、直腸で溶融して薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。このような物質には、カカオ脂、ビーワックスおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0219】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚または腸管下部の疾患を含めた、局所施用により容易に接近可能な領域または器官を含む場合、局所的に投与することもできる。好適な局所製剤は、これらの領域または器官の各々向けに容易に調製される。
【0220】
腸管下部向けの局所施用は、直腸の坐剤製剤(上を参照されたい)または好適な浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチ剤もまた、使用されてもよい。
【0221】
局所施用の場合、提供される薬学的に受容可能な組成物は、1つまたは複数のキャリア中に懸濁または溶解された活性構成成分を含有する好適な軟膏剤で製剤化されてもよい。本発明の化合物の局所投与向けキャリアには、以下に限定されないが、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が含まれる。代替的に、提供される薬学的に受容可能な組成物は、1種または複数の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁または溶解した活性構成成分を含有する、好適なローション剤またはクリーム剤で製剤化され得る。好適なキャリアには、以下に限定されないが、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0222】
眼用途の場合、提供される薬学的に受容可能な組成物は、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中のマイクロ化懸濁液剤として、または好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤を含むかまたは含まない、等張性のpH調整した滅菌生理食塩水中の溶液剤として製剤化されてもよい。代替的に、眼用途の場合、薬学的に受容可能な組成物は、ワセリンなどの軟膏剤中で製剤化されてもよい。
【0223】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、経鼻用エアゾールまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技法に準拠して調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、生体利用率を向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の慣用的な可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液剤として調製されてもよい。
【0224】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与向けに製剤化される。このような製剤は、食物と共に、または食物なしに投与されてもよい。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物なしに投与される。他の実施形態において、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、食物と一緒に投与される。
【0225】
単一剤形の組成物を生成するためにキャリア物質と一緒にされ得る、本発明の化合物の量は、処置される宿主、投与の特定の様式に応じて様々となろう。好ましくは、提供される組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の間となる阻害剤の投与量が、これらの組成物を服用する患者に投与され得るよう製剤化されるべきである。
【0226】
任意の特定の患者のための具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物組合せ、ならびに処置を行う医師の判断および処置を受ける特定の疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存することもやはり理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存するであろう。
6.3.投与
【0227】
いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物は、単一剤形として単一組成物で投与される。本明細書に記載されている、本明細書の医薬組成物は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および1つまたは複数の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含み得る。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は本明細書に記載されている通りである。いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物は、1つまたは複数の化合物III−V、またはその薬学的に受容可能な塩をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物は水、および/または1つもしくは複数の残留溶媒をさらに含む。また本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−1、またはその薬学的に受容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−2、またはその薬学的に受容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0228】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているような化合物II、またはその薬学的塩もしくは組成物、およびがん免疫療法剤は、単一剤形として単一組成物で投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているような化合物II、またはその薬学的塩もしくは組成物、およびがん免疫療法剤は、複数投与量レジメンとして別個に投与される。複数投与量レジメンとして投与される場合、2種の薬剤は同時に、逐次的にまたは互いにある時間内に、例えば、互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20、21、22、23、または24時間内に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、2種の薬剤は、24時間より長く間をあけて、複数投与量レジメンとして投与される。
【0229】
本明細書で使用する場合、用語「組合せ」、「組み合わせた」および関連用語は、本発明による治療剤の同時投与または逐次投与を指す。例えば、化合物II、またはその薬学的塩もしくは組成物は、別個の単位剤形で、がん免疫療法剤と同時にもしくは逐次に投与されてもよく、または単一の単位剤形でがん免疫療法剤と同時に投与されてもよい。したがって、本発明は、化合物II、またはその薬学的塩もしくは組成物、がん免疫療法剤、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0230】
単一剤形を生成するためにキャリア物質と一緒にされ得る、化合物IIおよびがん免疫療法剤の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に応じて様々となる。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の間となる各薬剤の投与量が投与され得るよう製剤化されるべきである。
【0231】
いくつかの実施形態において、化合物IIおよびがん免疫療法剤は相乗的に作用することができる。したがって、各薬剤の量は、その治療剤だけしか利用しない単剤療法において必要となる量未満となる。このような組成物において、各薬剤の通常投与される量の約50%〜約100%の間の投与量を投与することができる。いくつかの実施形態において、各薬剤は、各薬剤の通常投与される量の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の投与量で投与される。本明細書で使用する場合、語句「通常投与される」とは、FDAの承認を受けている治療剤が、FDAのラベルインサートに従う投薬に対して承認された量を意味する。
【0232】
本発明の組成物中に存在する各薬剤の量は、唯一の活性剤として該治療剤を含む組成物で通常投与される量以下となる。いくつかの実施形態において、本開示の組成物中の各薬剤の量は、唯一の治療活性剤として該薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲となる。
【0233】
いくつかの実施形態において、記載される化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは組成物および/またはがん免疫療法剤またはその医薬組成物はまた、補綴物、人工弁、脈管移植片、ステントおよびカテーテルなどの、埋込式医療用装具をコーティングするための組成物に取り込ませることもできる。脈管ステントは、例えば、再狭窄(損傷後の脈管壁の再狭小化)の克服に使用されてきた。しかし、ステント、または他の埋込式装具を使用する患者は、凝塊形成または血小板活性化のリスクがある。これらの望ましくない作用は、キナーゼ阻害剤を含む、薬学的に受容可能な組成物によりこれらのデバイスを予めコーティングすることにより予防または軽減することができる。記載される化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは組成物および/またはがん免疫療法剤またはその医薬組成物によりコーティングされた埋込式装具は、本発明の別の実施形態である。
1種または複数の他の治療剤との共投与
【0234】
処置される特定の状態、または疾患に依存して、その状態を処置するために通常投与される追加の治療剤も、この発明の組成物において存在し得る。本明細書において使用する場合、特定の疾患、または状態を処置するために通常投与される追加の治療剤は、「処置される疾患、または状態のために適切である」として公知である。
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明は、開示されている疾患または状態を処置する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の本明細書において開示されている化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与するステップ、および本明細書に記載されているものなどの、有効量の1種または複数の追加の治療剤を同時にまたは逐次に共投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、1種の追加の治療剤を共投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、2種の追加の治療剤を共投与するステップを含む。いくつかの実施形態において、開示化合物および追加の治療剤(単数または複数)を組み合わせると、相乗的に作用する。
【0236】
本発明の化合物はまた、公知の治療プロセス、例えば、ホルモンまたは放射線の投与と組み合わせて使用され得る。ある特定の実施形態において、提供される化合物は、放射線増感剤として、特に、放射線治療に対して乏しい感受性を示す腫瘍の処置のために使用される。
【0237】
本発明の化合物は、単独で投与するか、または1種もしくは複数の他の治療化合物と組み合わせて投与することができ、可能な併用療法は、一定の組み合わせの形態、または本発明の化合物と1種もしくは複数の他の治療化合物との投与が交互であるか、または互いに独立している形態、または一定の組み合わせと1種もしくは複数の他の治療化合物との組み合わせた投与の形態をとり得る。本発明の化合物は、それ以外に、またはそれに加えて、特に、腫瘍治療のために、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科手術介入、またはこれらの組み合わせと組み合わせて、投与することができる。上で記載されたように、他の処置ストラテジーの文脈で、補助的な治療と同様に、長期間の治療が可能である。他の可能な処置は、腫瘍退縮後の患者の状態を維持するための治療、またはさらに、例えばリスクがある患者における化学予防治療である。
【0238】
1種または複数の他の治療剤は、複数投与量レジメンの一部として、本発明の化合物または組成物とは別個に投与されてもよい。代わりに、1種または複数の他の治療剤薬剤は、単一組成物中に本発明の化合物と一緒に混合された単一剤形の一部であってもよい。複数投与量レジメンとして投与される場合、1種または複数の他の治療剤および本発明の化合物または組成物は、同時に、逐次的にまたは互いにある時間内に、例えば、互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、18、20、21、22、23、または24時間内に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤および本発明の化合物または組成物は、24時間より長く間をあけて複数投与量レジメンとして投与される。
【0239】
本明細書で使用する場合、用語「組合せ」、「組み合わせた」および関連用語は、本発明による治療剤の同時投与または逐次投与を指す。例えば、本発明の化合物は、別個の単位剤形で、1種または複数の他の治療剤と同時にもしくは逐次にまたは単一単位剤形で一緒に投与されてもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物、1種または複数の他の治療剤、および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む単一の単位剤形を提供する。
【0240】
単一剤形を生成するためにキャリア物質と一緒にされ得る、本発明の化合物および1種または複数の他の治療剤の(上記に記載されている追加の治療剤を含むような組成物中の)量は、処置される宿主および投与の特定の様式に応じて様々となろう。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の間となる本発明の化合物の投与量が投与され得るよう製剤化されるべきである。
【0241】
1種または複数の他の治療剤を含むような組成物において、1種または複数の他の治療剤および本発明の化合物は相乗的に作用することができる。したがって、このような組成物中の1種または複数の他の治療剤の量は、その治療剤だけしか利用しない単剤療法において必要となる量未満であってよい。このような組成物において、1種または複数の他の治療剤の0.01〜1,000μg/kg体重/日の間の投与量を投与することができる。
【0242】
本発明の組成物中に存在する1つまたはそれより多くの他の治療剤の量は、唯一の活性な薬剤としてその治療剤を含む組成物で通常投与される量以下であり得る。好ましくは、本開示の組成物中の1つまたはそれより多くの他の治療剤の量は、唯一の治療上活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%の範囲である。いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの他の治療剤は、その薬剤について通常投与される量の、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の投薬量で投与される。本明細書中で使用される場合、語句「通常投与される」とは、FDAの承認を受けている治療剤が、FDAラベルインサートにより投薬について承認されている量を意味する。
【0243】
本発明の化合物またはその医薬組成物はまた、補綴物、人工弁、脈管移植片、ステントおよびカテーテルなどの、埋込式医療用装具をコーティングするための組成物に取り込ませることもできる。脈管ステントは、例えば、再狭窄(損傷後の脈管壁の再狭小化)の克服に使用されてきた。しかし、ステント、または他の埋込式装具を使用する患者は、凝塊形成または血小板活性化のリスクがある。これらの望ましくない作用は、キナーゼ阻害剤を含む、薬学的に受容可能な組成物によりこれらのデバイスを予めコーティングすることにより予防または軽減することができる。本発明の化合物によりコーティングされた埋込式装具は、本発明の別の実施形態である。
例示的な他の治療剤
【0244】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。いくつかの実施形態において、PARP阻害剤は、オラパリブ(Lynparza(登録商標)、AstraZeneca);ルカパリブ(Rubraca(登録商標)、ClovisOncology);ニラパリブ(Zejula(登録商標)、Tesaro);タラゾパリブ(MDV3800/BMN673/LT00673、Medivation/Pfizer/Biomarin);ベリパリブ(ABT−888、AbbVie);およびBGB−290(BeiGene,Inc.)から選択される。
【0245】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標)、Merck);ロミデプシン(Istodax(登録商標)、Celgene);パノビノスタット(Farydak(登録商標)、Novartis);ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);エンチノスタット(SNDX−275、Syndax Pharmaceuticals)(NCT00866333);およびチダミド(Epidaza(登録商標)、HBI−8000、Chipscreen Biosciences、China)から選択される。
【0246】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、CDK阻害剤、例えば、CDK4/CDK6阻害剤である。いくつかの実施形態において、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブ(Ibrance(登録商標)、Pfizer);リボシクリブ(Kisqali(登録商標)、Novartis);アベマシクリブ(Ly2835219、Eli Lilly);およびトリラシクリブ(G1T28、G1 Therapeutics)から選択される。
【0247】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤である。いくつかの実施形態において、PI3K阻害剤は、イデラリシブ(Zydelig(登録商標)、Gilead)、アルペリシブ(BYL719、Novartis)、タセリシブ(GDC−0032、Genentech/Roche);ピクチリシブ(GDC−0941、Genentech/Roche);コパンリシブ(BAY806946、Bayer);デュベリシブ(旧名称IPI−145、Infinity Pharmaceuticals);PQR309(Piqur Therapeutics、Switzerland);およびTGR1202(旧名称RP5230、TG Therapeutics)から選択される。
【0248】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、プラチンとも呼ばれている白金ベース治療薬である。プラチンは、これらが主に急速に再生している細胞、例えば、がん細胞においてDNA修復および/またはDNA合成を阻害するようDNAの架橋を引き起こす。いくつかの実施形態において、白金ベース治療薬は、シスプラチン(Platinol(登録商標)、Bristol−Myers Squibb);カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)、Bristol−Myers Squibb;また、Teva;Pfizer);オキサリプラチン(Eloxitin(登録商標)Sanofi−Aventis);ネダプラチン(Aqupla(登録商標)、Shionogi)、ピコプラチン(Poniard Pharmaceuticals);およびサトラプラチン(JM−216、Agennix)から選択される。
【0249】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はタキサン化合物であり、タキサン化合物は、細胞分裂に不可欠な微小管の破壊を引き起こす。いくつかの実施形態において、タキサン化合物は、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、Sanofi−Aventis;Docefrez(登録商標)、Sun Pharmaceutical)、アルブミン結合パクリタキセル(Abraxane(登録商標);Abraxis/Celgene)、カバジタキセル(Jevtana(登録商標)、Sanofi−Aventis)、およびSID530(SK Chemicals,Co.)(NCT00931008)から選択される。
【0250】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はヌクレオシド阻害剤、または正常なDNA合成、タンパク質合成、細胞複製を妨げる、さもなければ急速に増殖する細胞を阻害する治療剤である。
【0251】
いくつかの実施形態において、ヌクレオシド阻害剤は、トラベクテジン(グアニジンアルキル化剤、Yondelis(登録商標)、Janssen Oncology)、メクロレタミン(アルキル化剤、Valchlor(登録商標)、Aktelion Pharmaceuticals);ビンクリスチン(Oncovin(登録商標)、Eli Lilly;Vincasar(登録商標)、Teva Pharmaceuticals;Marqibo(登録商標)、Talon Therapeutics);テモゾロミド(アルキル化剤5−(3−メチルトリアゼン−1−イル)−イミダゾール−4−カルボキサミド(MTIC)に対するプロドラッグ、Temodar(登録商標)、Merck);シタラビン注射(ara−C、抗代謝性シチジンアナログ、Pfizer);ロムスチン(アルキル化剤、CeeNU(登録商標)、Bristol−Myers Squibb;Gleostine(登録商標)、NextSource Biotechnology);アザシチジン(シチジンのピリミジンヌクレオシドアナログ、Vidaza(登録商標)、Celgene);オマセタキシンメペサクシネート(セファロタキシンエステル)(タンパク質合成阻害剤、Synribo(登録商標);Teva Pharmaceuticals);アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(アスパラギンを枯渇する酵素、Elspar(登録商標)、Lundbeck;Erwinaze(登録商標)、EUSA Pharma);エリブリンメシル酸塩(微小管阻害剤、チューブリンベースの抗有糸分裂剤、Halaven(登録商標)、Eisai);カバジタキセル(微小管阻害剤、チューブリンベースの抗有糸分裂剤、Jevtana(登録商標)、Sanofi−Aventis);カパセトリン(チミジル酸シンターゼ阻害剤、Xeloda(登録商標)、Genentech);ベンダムスチン(二官能性メクロレタミン誘導体、鎖間DNA架橋を形成すると考えられている、Treanda(登録商標)、Cephalon/Teva);イクサベピロン(エポチロンBの半合成アナログ、微小管阻害剤、チューブリンベースの抗有糸分裂剤、Ixempra(登録商標)、Bristol−Myers Squibb);ネララビン(デオキシグアノシンアナログのプロドラッグ、ヌクレオシド代謝阻害剤、Arranon(登録商標)、Novartis);クロファラビン(clorafabine)(リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤のプロドラッグ、デオキシシチジンの競合阻害剤、Clolar(登録商標)、Sanofi−Aventis);ならびにトリフルリジンおよびチピラシル(チミジンベースのヌクレオシドアナログおよびチミジンホスホリラーゼ阻害剤、Lonsurf(登録商標)、Taiho Oncology)から選択される。
【0252】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はキナーゼ阻害剤またはVEGF−Rアンタゴニストである。本発明において有用な承認されたVEGF阻害剤およびキナーゼ阻害剤として、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech/Roche)抗VEGFモノクローナル抗体;ラムシルマブ(Cyramza(登録商標)、Eli Lilly)、抗VEGFR−2抗体およびziv−アフリバーセプト(VEGF Trapとしても公知)(Zaltrap(登録商標);Regeneron/Sanofi)、VEGFR阻害剤、例えば、レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標)、Bayer);バンデタニブ(Caprelsa(登録商標)、AstraZeneca);アキシチニブ(Inlyta(登録商標)、Pfizer);およびレンバチニブ(Lenvima(登録商標)、Eisai);Raf阻害剤、例えば、ソラフェニブ(Nexavar(登録商標)、Bayer AG and Onyx);ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標)、Novartis);およびべムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)、Genentech/Roche);MEK阻害剤、例えば、コビメチニブ(cobimetanib)(Cotellic(登録商標)、Exelexis/Genentech/Roche);トラメチニブ(Mekinist(登録商標)、Novartis);Bcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブ(Gleevec(登録商標)、Novartis);ニロチニブ(Tasigna(登録商標)、Novartis);ダサチニブ(Sprycel(登録商標)、BristolMyersSquibb);ボスチニブ(Bosulif(登録商標)、Pfizer);およびポナチニブ(Inclusig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals);Her2およびEGFR阻害剤、例えば、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標)、AstraZeneca);エルロチニブ(Tarceeva(登録商標)、Genentech/Roche/Astellas);ラパチニブ(Tykerb(登録商標)、Novartis);アファニチブ(Gilotrif(登録商標)、Boehringer Ingelheim);オシメルチニブ(活性化EGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca);およびブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)、Ariad Pharmaceuticals);c−MetおよびVEGFR2阻害剤、例えば、カボザンチニブ(cabozanitib)(Cometriq(登録商標)、Exelexis);およびマルチキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(Sutent(登録商標)、Pfizer);パゾパニブ(Votrient(登録商標)、Novartis);ALK阻害剤、例えば、クリゾチニブ(Xalkori(登録商標)、Pfizer);セリチニブ(Zykadia(登録商標)、Novartis);およびアレクチニブ(Alecenza(登録商標)、Genentech/Roche);ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、イブルチニブ(Imbruvica(登録商標)、Pharmacyclics/Janssen);ならびにFlt3受容体阻害剤、例えば、ミドスタウリン(Rydapt(登録商標)、Novartis)が挙げられる。
【0253】
開発中の、および本発明において使用することができる他のキナーゼ阻害剤およびVEGF−Rアンタゴニストとして、チボザニブ(Aveo Pharmaecuticals);バタラニブ(Bayer/Novartis);ルシタニブ(Clovis Oncology);ドビチニブ(TKI258、Novartis);チアウアニブ(Chipscreen Biosciences);CEP−11981(Cephalon);リニファニブ(Abbott Laboratories);ネラチニブ(HKI−272、Puma Biotechnology);ラドチニブ(Supect(登録商標)、IY5511、Il−Yang Pharmaceuticals、S.Korea);ルキソリチニブ(Jakafi(登録商標)、Incyte Corporation);PTC299(PTC Therapeutics);CP−547,632(Pfizer);フォレチニブ(Exelexis、GlaxoSmithKline);クイザルチニブ(Daiichi Sankyo)およびモテサニブ(Amgen/Takeda)が挙げられる。
【0254】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はmTOR阻害剤であり、mTOR阻害剤は細胞増殖、血管新生およびグルコース取り込みを阻害する。いくつかの実施形態において、mTOR阻害剤は、エベロリムス(Afinitor(登録商標)、Novartis);テムシロリムス(Torisel(登録商標)、Pfizer);およびシロリムス(Rapamune(登録商標)、Pfizer)である。
【0255】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はプロテアソーム阻害剤である。本発明に有用な承認されたプロテアソーム阻害剤として、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標)、Takeda);カルフィルゾミブ(Kyprolis(登録商標)、Amgen);およびイキサゾミブ(Ninlaro(登録商標)、Takeda)が挙げられる。
【0256】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は成長因子アンタゴニスト、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、または上皮成長因子(EGF)またはその受容体(EGFR)のアンタゴニストである。本発明において使用することができる承認されたPDGFアンタゴニストとして、オララツマブ(Lartruvo(登録商標);Eli Lilly)が挙げられる。本発明において使用することができる承認されたEGFRアンタゴニストとして、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)、Eli Lilly);ネシツムマブ(Portrazza(登録商標)、Eli Lilly)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標)、Amgen);およびオシメルチニブ(活性化EGFRを標的とする、Tagrisso(登録商標)、AstraZeneca)が挙げられる。
【0257】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はアロマターゼ阻害剤である。いくつかの実施形態において、アロマターゼ阻害剤は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標)、Pfizer);アナスタゾール(Arimidex(登録商標)、AstraZeneca)およびレトロゾール(Femara(登録商標)、Novartis)から選択される。
【0258】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はヘッジホッグ経路のアンタゴニストである。本発明において使用することができる承認されたヘッジホッグ経路阻害剤として、ソニデジブ(Odomzo(登録商標)、Sun Pharmaceuticals);およびビスモデギブ(Erivedge(登録商標)、Genentech)が挙げられ、両方とも基底細胞癌の処置のためのものである。
【0259】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は葉酸阻害剤である。本発明において有用な、承認された葉酸阻害剤として、ペメトレキセド(Alimta(登録商標)、Eli Lilly)が挙げられる。
【0260】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はCCケモカイン受容体4(CCR4)阻害剤である。本発明において有用となり得る、現在検討中のCCR4阻害剤として、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標)、協和発酵キリン株式会社、日本)が挙げられる。
【0261】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はイソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のIDH阻害剤として、AG120(Celgene;NCT02677922);AG221(Celgene、NCT02677922;NCT02577406);BAY1436032(Bayer、NCT02746081);IDH305(Novartis、NCT02987010)が挙げられる。
【0262】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はアルギナーゼ阻害剤である。本発明に使用することができる、現在検討中のアルギナーゼ阻害剤として、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群(NCT02732184)および固形腫瘍(NCT02561234)に対して第1相臨床試験において現在検討中のAEB1102(ペグ化組換えアルギナーゼ、Aeglea Biotherapeutics);ならびにCB−1158(Calithera Biosciences)が挙げられる。
【0263】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はグルタミナーゼ阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のグルタミナーゼ阻害剤として、CB−839(Calithera Biosciences)が挙げられる。
【0264】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、腫瘍抗原、すなわち、腫瘍細胞の細胞表面上に発現するタンパク質に結合する抗体である。本発明において使用することができる、腫瘍抗原に結合する、承認された抗体として、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、Genentech/BiogenIdec);オファツムマブ(抗CD20、Arzerra(登録商標)、GlaxoSmithKline);オビヌツズマブ(抗CD20、Gazyva(登録商標)、Genentech)、イブリツモマブ(抗CD20およびイットリウム−90、Zevalin(登録商標)、Spectrum Pharmaceuticals);ダラツムマブ(抗CD38、Darzalex(登録商標)、Janssen Biotech)、ジヌツキシマブ(抗糖脂質GD2、Unituxin(登録商標)、United Therapeutics);トラスツズマブ(抗HER2、Herceptin(登録商標)、Genentech);アド−トラスツズマブエムタンシン(抗HER2、エムタンシンに融合、Kadcyla(登録商標)、Genentech);およびペルツズマブ(抗HER2、Perjeta(登録商標)、Genentech);ならびにブレンツキシマブベドチン(抗CD30−薬物コンジュゲート、Adcetris(登録商標)、Seattle Genetics)が挙げられる。
【0265】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。本発明において有用な、承認されたトポイソメラーゼ阻害剤として、イリノテカン(Onivyde(登録商標)、Merrimack Pharmaceuticals);トポテカン(Hycamtin(登録商標)、GlaxoSmithKline)が挙げられる。本発明において使用することができる、現在検討中のトポイソメラーゼ阻害剤として、ピクサントロン(Pixuvri(登録商標)、CTI Biopharma)が挙げられる。
【0266】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は抗アポトーシスタンパク質、例えば、BCL−2の阻害剤である。本発明において使用することができる、承認された抗アポトーシス剤として、ベネトクラックス(Venclexta(登録商標)、AbbVie/Genentech);およびブリナツモマブ(Blincyto(登録商標)、Amgen)が挙げられる。臨床試験を受けており、本発明において使用することができる、アポトーシスタンパク質を標的とする他の治療剤として、ナビトクラックス(ABT−263、Abbott)、BCL−2阻害剤(NCT02079740)が挙げられる。
【0267】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はアンドロゲン受容体阻害剤である。本発明において有用な、承認されたアンドロゲン受容体阻害剤として、エンザルタミド(Xtandi(登録商標)、Astellas/Medivation)が挙げられ、承認されたアンドロゲン合成阻害剤として、アビラテロン(Zytiga(登録商標)、Centocor/Ortho)が挙げられ、承認された性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体アンタゴニスト(デガラリクス、Firmagon(登録商標)、FerringPharmaceuticals)が挙げられる。
【0268】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であり、SERMは、エストロゲンの合成または活性を妨げる。本発明において有用な、承認されたSERMとして、ラロキシフェン(Evista(登録商標)、Eli Lilly)が挙げられる。
【0269】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は骨吸収阻害剤である。骨吸収を阻害する承認された治療薬は、デノスマブ(Xgeva(登録商標)、Amgen)であり、これは、RANKLに結合し、破骨細胞、これらの前駆体、および破骨細胞様巨大細胞の表面上に見出され、骨転移を伴う固形腫瘍における骨病理を媒介する、その受容体RANKへの結合を阻止する抗体である。骨吸収を阻害する、他の承認された治療剤として、ビスホスホネート、例えば、ゾレドロン酸(Zometa(登録商標)、Novartis)が挙げられる。
【0270】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、2つの主要なp53抑制タンパク質、MDMXとMDM2との間の相互作用の阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のp53抑制タンパク質阻害剤として、MDMXおよびMDM2に等価に結合して、これらとp53との相互作用を撹乱するステープルペプチド、ALRN−6924(Aileron)が挙げられる。ALRN−6924は、AML、進行性骨髄異形成症候群(MDS)および末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(NCT02909972;NCT02264613)の処置に対して、臨床試験において現在評価中である。
【0271】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、トランスフォーミング成長因子−ベータ(TGF−ベータまたはTGFβ)の阻害剤である。本発明において使用することができる、現在検討中のTGF−ベータタンパク質の阻害剤として、乳房、肺、肝細胞、結腸直腸、膵臓、前立腺および腎臓がん(NCT02947165)を含めた、様々ながんの処置に対して臨床で試験されている抗TGF−ベータ抗体、NIS793(Novartis)が挙げられる。いくつかの実施形態において、TGF−ベータタンパク質阻害剤は、フレソリムマブ(GC1008;Sanofi−Genzyme)であり、フレソリムマブは、黒色腫(NCT00923169);腎臓細胞癌(NCT00356460);および非小細胞肺がん(NCT02581787)に対して現在検討中である。さらに、いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、TGF−ベータトラップ、例えば、Connolly et al. (2012) Int’l J. Biological Sciences 8:964-978に記載されているものなどである。固形腫瘍の処置に対して現在臨床試験中の1つの治療用化合物は、M7824(MerckKgaA−旧名称MSB0011459X)であり、M7824は、二重特異性、抗PD−L1/TGFβトラップ化合物(NCT02699515);および(NCT02517398)である。M7824は、TGFβ「トラップ」として機能する、ヒトTGF−ベータ受容体IIの細胞外ドメインに融合したPD−L1に対する完全ヒトIgG1抗体で構成される。
【0272】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、グレンバツムマブベドチン−モノメチルアウリスタチンE(MMAE)(Celldex)、細胞傷害性MMAEに結合した抗糖タンパク質NMB(gpNMB)抗体(CR011)から選択される。gpNMBは、がん細胞の転移能力に関連する複数の種類の腫瘍型により過剰発現されるタンパク質である。
【0273】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤は、抗増殖性化合物である。このような抗増殖性化合物には、以下に限定されないが、アロマターゼ阻害剤;抗エストロゲン薬;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性化合物;アルキル化化合物;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化過程を誘発する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物抗代謝拮抗物質;白金化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的とする/低下させる化合物、およびさらには抗血管新生化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン薬;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答調節剤;抗増殖抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がんアイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液悪性疾患の処置に使用される化合物;Flt−3を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物;Hsp90阻害剤(17−AAG(17−アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17−DMAG(17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシ−ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI−504、CNF1010、CNF2024、CNF1010(Conforma Therapeuticsから)など);テモゾロミド(Temodal(登録商標));キネシンスピンドルタンパク質阻害剤(GlaxoSmithKlineからのSB715992もしくはSB743921、またはCombinatoRxからのペンタミジン/クロルプロマジンなど);MEK阻害剤(Array BioPharmaからのARRY142886、AstraZenecaからのAZD244、PfizerからのPD181461およびロイコボリンなど)が含まれる。
【0274】
用語「アロマターゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、エストロゲン産生、例えば基質であるアンドロステンジオンおよびテストステロンの、それぞれ、エストロンおよびエストラジオールへの変換を阻害する化合物に関する。この用語には、以下に限定されないが、ステロイド、とりわけアタメスタン、エキセメスタンおよびフォルメスタン、ならびに特に非ステロイド、とりわけアミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾールおよびレトロゾールが含まれる。エキセメスタンは、商標名Aromasin(商標)で上市されている。フォルメスタンは、商標名Lentaron(商標)で上市されている。ファドロゾールは、商標名Afema(商標)で上市されている。アナストロゾールは、商標名Arimidex(商標)で上市されている。レトロゾールは、商標名Femara(商標)またはFemar(商標)で上市されている。アミノグルテチミドは、商標名Orimeten(商標)で上市されている。アロマターゼ阻害剤である化学治療剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍などのホルモン受容体陽性腫瘍の処置に特に有用である。
【0275】
用語「抗エストロゲン」とは、本明細書で使用する場合、エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの作用を拮抗する化合物に関する。この用語には、以下に限定されないが、タモキシフェン、フルベストラント、ラロキシフェンおよびラロキシフェン塩酸塩が含まれる。タモキシフェンは、商標名Nolvadex(商標)で上市されている。ラロキシフェン塩酸塩は、商標名Evista(商標)で上市されている。フルベストラントは、商標名Faslodex(商標)で投与することができる。抗エストロゲンである化学治療剤を含む本発明の組合せは、乳房腫瘍などのエストロゲン受容体陽性腫瘍の処置に特に有用である。
【0276】
用語「抗アンドロゲン」は、本明細書で使用する場合、アンドロゲンホルモンの生物学的作用を阻害することが可能な任意の物質に関し、以下に限定されないが、ビカルタミド(Casodex(商標))を含む。用語「ゴナドレリンアゴニスト」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、アバレリックス、ゴセレリンおよび酢酸ゴセレリンが含まれる。ゴセレリンは、商標名Zoladex(商標)で投与することができる。
【0277】
用語「トポイソメラーゼI阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシアンおよびそのアナログである9−ニトロカンプトテシン、およびマクロ分子である、カンプトテシンコンジュゲートPNU−166148が含まれる。イリノテカンは、例えば、商標Camptosar(商標)で、例えば上市されている形態で、投与することができる。トポテカンは、商標名Hycamptin(商標)で上市されている。
【0278】
用語「トポイソメラーゼII阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、ドキソルビシン(Caelyx(商標)などのリポソーム製剤を含む)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシンなどのアントラサイクリン、アントラキノンであるミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシンであるエトポシドおよびテニポシドが含まれる。エトポシドは、商標名Etopophos(商標)で上市されている。テニポシドは、商標名VM26−Bristolで上市されている。ドキソルビシンは、商標名Acriblastin(商標)またはAdriamycin(商標)で上市されている。エピルビシンは、商標名Farmorubicin(商標)で上市されている。イダルビシンは、商標名Zavedos(商標)で上市されている。ミトキサントロンは、商標名Novantronで上市されている。
【0279】
用語「微小管活性剤」は、以下に限定されないが、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサン;ビンブラスチンまたはビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチンまたはビンクリスチン硫酸塩およびビノレルビンなどのビンカアルカロイド;ディスコデルモライド;コチシンおよびエポチロンおよびそれらの誘導体を含めた、微小管安定化化合物、微小管脱安定化化合物および微小管重合阻害剤に関する。パクリタキセルは、商標名Taxol(商標)で上市されている。ドセタキセルは、商標名Taxotere(商標)で上市されている。ビンブラスチン硫酸塩は、商標名Vinblastin R.P(商標)で上市されている。ビンクリスチン硫酸塩は、商標名Farmistin(商標)で上市されている。
【0280】
用語「アルキル化剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランまたはニトロソ尿素(BCNUまたはGliadel)が含まれる。シクロホスファミドは、商標名Cyclostin(商標)で上市されている。イホスファミドは、商標名Holoxan(商標)で上市されている。
【0281】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「HDAC阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼを阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。これには、以下に限定されないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)が含まれる。
【0282】
用語「抗新生物抗代謝拮抗物質」には、以下に限定されないが、5−フルオロウラシルまたは5−FU、カペシタビン、ゲムシタビン、DNA脱メチル化化合物(5−アザシチジンおよびデシタビンなど)、メトトレキセートおよびエダトレキセートおよび葉酸アンタゴニスト(ペメトレキセドなど)が含まれる。カペシタビンは、商標名Xeloda(商標)で上市されている。ゲムシタビンは、商標名Gemzar(商標)で上市されている。
【0283】
用語「白金化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、カルボプラチン、シスプラチン、シスプラチナムおよびオキサリプラチンが含まれる。カルボプラチンは、例えば、商標名Carboplat(商標)で、例えば上市されている形態で投与することができる。オキサリプラチンは、例えば、商標名Eloxatin(商標)で、例えば上市されている形態で、投与することができる。
【0284】
用語「タンパク質もしくは脂質キナーゼ活性;またはタンパク質もしくは脂質ホスファターゼ活性を標的とする/低下させる化合物;あるいはさらには抗血管新生化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、a)血小板由来成長因子受容体(PDGFR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけイマチニブ、SU101、SU6668およびGFB−111などのN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体などのPDGF受容体を阻害する化合物などの、PDGFRを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、b)線維芽成長因子受容体(FGFR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、c)インスリン様成長因子受容体I(IGF−IR)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけIGF−I受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはIGF−I受容体もしくはその成長因子の細胞外ドメインを標的とする抗体などの、IGF−IRを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、d)Trk受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物、あるいはエフリンB4阻害剤、e)AxI受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、f)Ret受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、g)イマチニブなどのKit/SCFR受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、h)c−Kit受容体チロシンキナーゼファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけイマチニブなどのc−Kit受容体を阻害する化合物などの、PDGFRファミリーの一部である、C−kit受容体チロシンキナーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、i)イマチニブまたはニロチニブ(AMN107)などのN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体;PD180970;AG957;NSC680410;ParkeDavisからのPD173955;またはダサチニブ(BMS−354825)などの、c−Ablファミリーメンバーおよびその遺伝子融合産物を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物などの、c−Ablファミリーのメンバー、その遺伝子融合産物(例えばBCR−Ablキナーゼ)および変異体を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、j)セリン/トレオニンキナ−ゼのタンパク質キナーゼC(PKC)およびRafファミリー、MEK、SRC、JAK/pan−JAK、FAK、PDK1、PKB/Akt、Ras/MAPK、PI3K、SYK、TYK2、BTKおよびTECファミリーのメンバー、ならびに/またはミドスタウリンなどのスタウロスポリン誘導体を含む、サイクリン依存性キナーゼファミリー(CDK)のメンバーを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物(さらなる化合物の例には、UCN−01、サフィンゴール、BAY43−9006、ブリオスタチン1、ペリフォシン(Perifosine);ルルモフォシン(llmofosine);RO318220およびRO320432;GO6976;lsis3521;LY333531/LY379196;イソキノリン化合物;FTI;PD184352またはQAN697(P13K阻害剤)またはAT7519(CDK阻害剤)が含まれる)、k)メシル酸イマチニブ(Gleevec(商標))またはチルホスチン(tyrphostin)(チルホスチンA23/RG−50810;AG99;チルホスチンAG213;チルホスチンAG1748;チルホスチンAG490;チルホスチンB44;チルホスチンB44(+)鏡像異性体;チルホスチンAG555;AG494;チルホスチンAG556、AG957など)およびアダホスチン(4−{[(2,5−ジヒドロキシフェニル)メチル]アミノ}−安息香酸アダマンチルエステル;NSC680410、アダホスチン)を含めた、タンパク質−チロシンキナーゼ阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物などの、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、l)上皮成長因子受容体ファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけ、EGF受容体、ErbB2、ErbB3およびErbB4などのEGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーを阻害する、またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合する化合物、タンパク質あるいは抗体、CP358774、ZD1839、ZM105180;トラスツズマブ(Herceptin(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、Iressa、タルセバ、OSI−774、Cl−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3および7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体などの受容体チロシンキナーゼ(ホモ二量体またはヘテロ二量体としてのEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)およびその変異体の上皮成長因子ファミリーを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、m)c−Metを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、とりわけc−Met受容体のキナーゼ活性を阻害する化合物、またはc−Metの細胞外ドメインを標的とするもしくはHGFに結合する抗体などの、c−Met受容体を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物、n)以下に限定されないが、PRT−062070、SB−1578、バリシチニブ、パクリチニブ、モメロチニブ、VX−509、AZD−1480、TG−101348、トファシチニブおよびルキソリチニブを含めた、1種または複数のJAKファミリーメンバー(JAK1/JAK2/JAK3/TYK2および/またはpan−JAK)を標的とする、そのキナーゼ活性を低下させるまたは阻害する化合物、o)以下に限定されないが、ATU−027、SF−1126、DS−7423、PBI−05204、GSK−2126458、ZSTK−474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF−4691502、BYL−719、ダクトリシブ、XL−147、XL−765およびイデラリシブを含めた、PI3キナーゼ(PI3K)を標的とする、そのキナーゼ活性を低下させるまたは阻害する化合物、ならびにq)以下に限定されないが、シクロパミン、ビスモデギブ、イトラコナゾール、エリスモデギブおよびIPI−926(サリデギブ)を含む、ヘッジホッグタンパク質(Hh)またはスムーズンド受容体(SMO)経路のシグナル伝達作用を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物などのタンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリンおよび/またはトレオニンキナーゼ阻害剤または脂質キナーゼ阻害剤が含まれる。
【0285】
用語「PI3K阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、PI3Kα、PI3Kγ、PI3Kδ、PI3Kβ、PI3K−C2α、PI3K−C2β、PI3K−C2γ、Vps34、p110−α、p110−β、p110−γ、p110−δ、p85−α、p85−β、p55−γ、p150、p101およびp87を含む、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼファミリーにおける1種または複数の酵素に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。本発明において有用なPI3K阻害剤の例には、以下に限定されないが、ATU−027、SF−1126、DS−7423、PBI−05204、GSK−2126458、ZSTK−474、ブパルリシブ、ピクトレリシブ、PF−4691502、BYL−719、ダクトリシブ、XL−147、XL−765およびイデラリシブが含まれる。
【0286】
用語「Bcl−2阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、ABT−199、ABT−731、ABT−737、アポゴシポール、Ascentaのpan−Bcl−2阻害剤、クルクミン(およびそのアナログ)、デュアルBcl−2/Bcl−xL阻害剤(Infinity Pharmaceuticals/Novartis Pharmaceuticals)、ゲナセンス(G3139)、HA14−1(およびそのアナログ;WO2008118802を参照されたい)、ナビトクラックス(およびそのアナログ、US7390799を参照されたい)、NH−1(Shenayng Pharmaceutical University)、オバトクラックス(およびそのアナログ、WO2004106328を参照されたい)、S−001(Gloria Pharmaceuticals)、TWシリーズの化合物(Univ.of Michigan)およびベネトクラックスを含む、B細胞リンパ腫2タンパク質(Bcl−2)に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Bcl−2阻害剤は、低分子治療剤である。いくつかの実施形態において、Bcl−2阻害剤は、ペプチド模倣薬である。
【0287】
用語「BTK阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、AVL−292およびイブルチニブを含めた、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0288】
用語「SYK阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、PRT−062070、R−343、R−333、Excellair、PRT−062607およびフォスタマチニブを含めた、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)に対する阻害活性を有する化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0289】
BTK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2008039218およびWO2011090760に見出すことができる。
【0290】
SYK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2003063794、WO2005007623およびWO2006078846に見出すことができる。
【0291】
PI3K阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2004019973、WO2004089925、WO2007016176、US8138347、WO2002088112、WO2007084786、WO2007129161、WO2006122806、WO2005113554およびWO2007044729に見出すことができる。
【0292】
JAK阻害性化合物のさらなる例、および本発明の化合物と組み合わせて、このような化合物により処置可能な状態は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、WO2009114512、WO2008109943、WO2007053452、WO2000142246およびWO2007070514に見出すことができる。
【0293】
さらなる抗血管新生化合物には、例えばタンパク質または脂質キナーゼ阻害に無関係な、その活性に対して別の機構を有する化合物、例えば、サリドマイド(Thalomid(商標))およびTNP−470が含まれる。
【0294】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに有用なプロテアソーム阻害剤の例には、以下に限定されないが、ボルテゾミブ、ジスルフィラム、エピガロカテキン−3−ガレート(EGCG)、サリノスポラミドA、カルフィルゾミブ、ONX−0912、CEP−18770およびMLN9708が含まれる。
【0295】
タンパク質または脂質ホスファターゼを標的とする、それらの活性を低下させるまたは阻害する化合物は、例えば、ホスファターゼ1、ホスファターゼ2AまたはCDC25の阻害剤(オカダ酸またはその誘導体など)である。
【0296】
細胞分化過程を誘発する化合物には、以下に限定されないが、レチノイン酸、α−、γ−もしくはδ−トコフェロールまたはα−、γ−もしくはδ−トコトリエノールが含まれる。
【0297】
シクロオキシゲナーゼ阻害剤という用語には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、Cox−2阻害剤、5−アルキル置換2−アリールアミノフェニル酢酸および誘導体(セレコキシブ(Celebrex(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、エトリコキシブ、バルデコキシブなど)、または5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸(5−メチル−2−(2’−クロロ−6’−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブなど)が含まれる。
【0298】
用語「ビスホスホネート」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、エトリドン酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸が含まれる。エトリドン酸は、商標名Didronel(商標)で上市されている。クロドロン酸は、商標名Bonefos(商標)で上市されている。チルドロン酸は、商標名Skelid(商標)で上市されている。パミドロン酸は、商標名Aredia(商標)で上市されている。アレンドロン酸は、商標名Fosamax(商標)で上市されている。イバンドロン酸は、商標名Bondranat(商標)で上市されている。リセドロン酸は、商標名Actonel(商標)で上市されている。ゾレドロン酸は、商標名Zometa(商標)で上市されている。用語「mTOR阻害剤」は、シロリムス(Rapamune(登録商標))、エベロリムス(Certican(商標))、CCI−779およびABT578などの、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)を阻害し、かつ抗増殖活性を有する化合物に関する。
【0299】
用語「ヘパラナーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、ヘパリン硫酸分解を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物を指す。この用語には、以下に限定されないが、PI−88が含まれる。用語「生物学的応答調節剤」とは、本明細書で使用する場合、リンホカインまたはインターフェロンを指す。
【0300】
H−Ras、K−RasまたはN−Rasなどの、用語「Ras発がんアイソフォームの阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、Rasを標的とする、その腫瘍活性を低下させるまたは阻害する化合物、例えば、L−744832、DK8G557またはR115777(Zarnestra(商標))などの「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」を指す。用語「テロメラーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、テロメラーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。テロメラーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけテロメスタチンなどのテロメラーゼ受容体を阻害する化合物である。
【0301】
用語「メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、メチオニンアミノペプチダーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。メチオニンアミノペプチダーゼを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物には、以下に限定されないが、ベンガミドまたはその誘導体が含まれる。
【0302】
用語「プロテアソーム阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、プロテアソームを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物を指す。プロテアソームを標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物には、以下に限定されないが、ボルテゾミブ(Velcade(商標))およびMLN341が含まれる。
【0303】
用語「マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤」または(「MMP」阻害剤)には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、コラーゲンペプチド模倣阻害剤および非ペプチド模倣阻害剤、テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサメートペプチド模倣阻害剤であるバチマスタットおよびその経口的に生体利用可能なアナログであるマリマスタット(BB−2516)、プリノマスタット(AG3340)、メタスタット(NSC683551)、BMS−279251、BAY12−9566、TAA211、MMI270BまたはAAJ996が含まれる。
【0304】
用語「血液悪性疾患の処置において使用される化合物」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、FMS様チロシンキナーゼ型受容体(Flt−3R)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物である、FMS様チロシンキナーゼ阻害剤;インターフェロン、1−β−D−アラビノフラノシルシトシン(1−β−D−arabinofuransylcytosine)(ara−c)およびビスルファン;および未分化リンパ腫キナーゼを標的とする、低下させるまたは阻害する化合物であるALK阻害剤が含まれる。
【0305】
FMS様チロシンキナーゼ型受容体(Flt−3R)を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、PKC412、ミドスタウリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518などの、Flt−3R受容体キナーゼファミリーのメンバーを阻害する化合物、タンパク質または抗体である。
【0306】
用語「HSP90阻害剤」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、HSP90の内在性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物;ユビキチンプロテアソーム経路により、HSP90クライアントタンパク質を分解する、標的とする、低下させるまたは阻害する化合物が含まれる。HSP90の内在性ATPアーゼ活性を標的とする、低下させるまたは阻害する化合物は、とりわけ、17−アリルアミノ,17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体、他のゲルダナマイシン関連化合物などのHSP90のATPアーゼ活性を阻害する化合物、タンパク質または抗体;ラジシコールおよびHDAC阻害剤である。
【0307】
用語「抗増殖性抗体」には、本明細書で使用する場合、以下に限定されないが、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、トラスツズマブ−DM1、エルビタックス、ベバシズマブ(Avastin(商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、PRO64553(抗CD40)および2C4抗体が含まれる。抗体とは、これらが所望の生物活性を示す限り、無傷モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の無傷抗体から形成された多重特異的抗体、および抗体断片を意味する。
【0308】
急性骨髄性白血病(AML)の処置の場合、本発明の化合物は、標準白血病治療法と組み合わせて、とりわけAMLの処置に使用される治療法と組み合わせて使用することができる。特に、本発明の化合物は、例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに/またはダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara−C、VP−16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボ白金およびPKC412などの、AMLの処置に有用な他の薬物と組み合わせて投与することができる。
【0309】
他の抗白血病性化合物には、例えば、ピリミジンアナログであるAra−Cが含まれ、これは、デオキシシチジンの2’−アルファ−ヒドロキシリボース(アラビノシド)誘導体である。同様に、ヒポキサンチン、6−メルカプトプリン(6−MP)およびリン酸フルダラビンのプリンアナログも含まれる。酪酸ナトリウムおよびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)などの、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を標的とする、その活性を低下させるまたは阻害する化合物は、ヒストンデアセチラーゼとして公知の酵素の活性を阻害する。具体的なHDAC阻害剤には、MS275、SAHA、FK228(以前のFR901228)、トリコスタチンA、ならびにN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロパンアミドまたはその薬学的に受容可能な塩およびN−ヒドロキシ−3−[4−[(2−ヒドロキシエチル){2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはその薬学的に受容可能な塩、とりわけ乳酸塩を含めるがこれらに限定されない、US6,552,065に開示されている化合物が含まれる。ソマトスタチン受容体アンタゴニストとは、本明細書で使用する場合、オクトレオチドおよびSOM230などの、ソマトスタチン受容体を標的とする、処理するまたは阻害する化合物を指す。腫瘍細胞に損傷を与える手法とは、電離放射線などの手法を指す。上記およびこれ以降に言及されている用語「電離放射線」は、電磁光線(X線およびガンマ線など)または粒子(アルファ粒子およびベータ粒子など)のどちらか一方として発生する電離放射線を意味する。電離放射線は、以下に限定されないが、放射線療法で供給され、当技術分野において公知である。Hellman、Principles of Radiation Therapy、Cancer、Principles and Practice of Oncology、Devitaら(編)、第4版、1巻、248〜275頁(1993年)を参照されたい。
【0310】
同様に、EDG結合剤およびリボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤が含まれる。用語「EDG結合剤」とは、本明細書で使用する場合、FTY720などのリンパ球の再循環をモジュレートする免疫抑制薬のクラスを指す。用語「リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤」とは、以下に限定されないが、フルダラビンおよび/またはシトシンアラビノシド(ara−C)、6−チオグアニン、5−フルオロウラシル、クラドリビン、6−メルカプトプリン(とりわけ、ALLに対してはara−Cアゴニストと組み合わせて)、ならびに/あるいはペントスタチンを含めた、ピリミジンまたはプリンヌクレオシドアナログを指す。リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤は、とりわけヒドロキシ尿素または2−ヒドロキシ−1H−イソインドール−1,3−ジオン誘導体である。
【0311】
同様に、1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンまたはその薬学的に受容可能な塩、1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンコハク酸塩などのVEGFの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;Angiostatin(商標);Endostatin(商標);アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD474;SU5416;SU6668;ベバシズマブ;またはrhuMAbおよびRHUFabなどの抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体、MacugonなどのVEGFアプタマー;FLT−4阻害剤、FLT−3阻害剤、VEGFR−2 IgGI抗体、Angiozyme(RPI4610)およびベバシズマブ(Avastin(商標))が、特に含まれる。
【0312】
光線力学療法とは、本明細書で使用する場合、がんを処置または予防するために、感光性化合物として公知のある種の化学品を使用する治療法を指す。光線力学療法の例には、Visudyne(商標)およびポルフィマーナトリウムなどの化合物を用いる処置が含まれる。
【0313】
血管新生抑制性ステロイドとは、本明細書で使用する場合、例えば、アネコルタブ、トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、11−α−エピヒドロコチゾール、コルテキソロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、テストステロン、エストロンおよびデキサタサゾンなどの、血管新生を遮断または阻害する化合物を指す。
【0314】
コルチコステロイドを含有するインプラントは、フルオシノロンおよびデキサタサゾンなどの化合物を指す。
【0315】
他の化学治療用化合物には、以下に限定されないが、植物アルカロイド、ホルモン化合物およびアンタゴニスト;生物学的応答調節剤、好ましくはリンホカインまたはインターフェロン;アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体;shRNAまたはsiRNA;あるいは様々な化合物、または他のもしくは未知の作用機序を有する化合物が含まれる。
【0316】
コード番号、一般名または商標名により特定される活性化合物の構造は、標準抄録「The Merck Index」の実版から、またはデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から採用することができる。
例示的がん免疫療法剤
【0317】
いくつかの実施形態において、1種または複数の他の治療剤はがん免疫療法剤である。本明細書で使用される場合、用語「がん免疫療法剤」は、被験体において免疫応答を向上させる、刺激する、および/または上方調節するのに有効な薬剤を指す。いくつかの実施形態において、本発明の化合物とのがん免疫療法剤の投与は、がんを処置する上で相乗効果を有する。
【0318】
腫瘍免疫剤は、例えば、低分子薬物、抗体、または生物学的もしくは低分子であり得る。生物学的腫瘍免疫剤の例としては、がんワクチン、抗体、およびサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0319】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞の(i)刺激(共刺激を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)阻害(共阻害を含む)シグナルのアンタゴニストであり、これらの両方が、抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。
【0320】
刺激分子および阻害分子の特定のものは、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの1つの重要なファミリーは、B7ファミリーであり、これは、B7−1、B7−2、B7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H2(ICOS−L)、B7−H3、B7−H4、B7−H5(VISTA)、およびB7−H6を含む。共刺激受容体または共阻害受容体に結合する膜結合リガンドの別のファミリーは、コグネイトTNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、これは、CD40およびCD40L、OX−40、OX−40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4−1BBL、CD137(4−1BB)、TRAIL/Apo2−L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTβR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRを含む。
【0321】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL−6、IL−10、TGF−β、VEGF、および他の免疫抑制性サイトカイン)、または免疫反応を刺激するための、T細胞活性化を刺激するサイトカインである。
【0322】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物と腫瘍免疫剤との組み合わせ物は、T細胞応答を刺激し得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)(例えば、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LAG−3、TIM−3、ガレクチン9、CEACAM−1、BTLA、CD69、ガレクチン−1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM−1、およびTIM−4);または(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト(例えば、B7−1、B7−2、CD28、4−1BB(CD137)、4−1BBL、ICOS、ICOS−L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3およびCD28H)である。
【0323】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、NK細胞の阻害受容体のアンタゴニスト、またはNK細胞の活性化受容体のアゴニストである。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、リリルマブなどの、KIRのアンタゴニストである。
【0324】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、マクロファージまたは単球を阻害または枯渇する薬剤であり、CSF−1Rアンタゴニスト(例えば、RG7155(WO11/70024、WO11/107553、WO11/131407、WO13/87699、WO13/119716、WO13/132044)またはFPA−008(WO11/140249;WO13169264;WO14/036357)が挙げられるCSF−1Rアンタゴニスト抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0325】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、正の共刺激受容体を連結するアゴニスト性剤、阻害性の受容体、アンタゴニスト、および抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増大させる1つまたはそれより多くの薬剤を介してシグナル伝達を減衰させる遮断剤、腫瘍微小環境内の異なる免疫抑制経路に打ち勝つ(例えば、阻害受容体の関与を遮断する(例えば、PD−L1/PD−1相互作用)、Tregsを枯渇もしくはは阻害する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ(daclizumab))を使用して、またはエキソビボ抗CD25ビーズ枯渇により)、IDOなどの代謝酵素を阻害する、あるいはT細胞のエネルギーまたは枯渇を逆転/防止する)薬剤、ならびに先天性免疫活性化および/または炎症を腫瘍部位で誘発する薬剤から選択される。
【0326】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CTLA−4アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CTLA−4アンタゴニストは、アンタゴニスト性CTLA−4抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性CTLA−4抗体は、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブ(tremelimumab)である。
【0327】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD−1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD−1アンタゴニストは、注入により投与される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、プログラム細胞死−1(PD−1)受容体に特異的に結合し、そしてPD−1活性を阻害する、抗体またはその抗原結合部分である。いくつかの実施形態において、PD−1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD−1抗体である。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト性PD−1抗体は、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)、またはMEDI−0680(AMP−514;WO2012/145493)である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、ピディリズマブ(pidilizumab)(CT−011)であり得る。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、IgG1のFc部分に融合したPD−L2(B7−DC)の細胞外ドメインからなる、AMP−224と呼ばれる組換えタンパク質である。
【0328】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD−L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD−L1アンタゴニストは、アンタゴニスト性PD−L1抗体である。いくつかの実施形態において、PD−L1抗体は、MPDL3280A(RG7446;WO2010/077634)、デュルバルマブ(durvalumab)(MEDI4736)、BMS−936559(WO2007/005874)、およびMSB0010718C(WO2013/79174)である。
【0329】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、LAG−3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、LAG−3アンタゴニストは、アンタゴニスト性LAG−3抗体である。いくつかの実施形態において、LAG3抗体は、BMS−986016(WO10/19570、WO14/08218)、またはIMP−731もしくはIMP−321(WO08/132601、WO009/44273)である。
【0330】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD137(4−1BB)アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD137(4−1BB)アゴニストは、アゴニスト性CD137抗体である。いくつかの実施形態において、CD137抗体は、ウレルマブ(urelumab)またはPF−05082566(WO12/32433)である。
【0331】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、GITRアゴニストである。いくつかの実施形態において、GITRアゴニストは、アゴニスト性GITR抗体である。いくつかの実施形態において、GITR抗体は、BMS−986153、BMS−986156、TRX−518(WO006/105021、WO009/009116)、またはMK−4166(WO11/028683)である。
【0332】
いくつかの実施形態において、がん免疫療法剤は、インドールアミン(2,3)−ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、IDOアンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド(NLG−8189、NewLink Genetics Corporation);カプマチニブ(capmanitib)(INC280、Novartis);GDC−0919(Genentech/Roche);PF−06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol−MyersSquibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンを分解する酵素(Kynase、KynTherapeutics);およびNLG−919(WO09/73620、WO009/1156652、WO11/56652、WO12/142237)から選択される。
【0333】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、OX40アゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、アゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態において、OX40抗体は、MEDI−6383またはMEDI−6469である。
【0334】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、OX40Lアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、アンタゴニスト性OX40抗体である。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、RG−7888(WO06/029879)である。
【0335】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アゴニストは、アゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アンタゴニストは、アンタゴニスト性CD40抗体である。いくつかの実施形態において、CD40抗体は、ルカツムマブ(lucatumumab)またはダセツズマブ(dacetuzumab)である。
【0336】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、CD27アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD27アゴニストは、アゴニスト性CD27抗体である。いくつかの実施形態において、CD27抗体は、バーリルマブ(varlilumab)である。
【0337】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、MGA271(B7H3に対して)(WO11/109400)である。
【0338】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ(adecatumumab)、アフツズマブ(afutuzumab)、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenatox)、アポリズマブ(apolizumab)、アテゾリマブ(atezolimab)、アベルマブ(avelumab)、ブリナツモマブ(blinatumomab)、BMS−936559、カツマキソマブ(catumaxomab)、デュルバルマブ、エパカドスタット(epacadostat)、エプラツズマブ(epratuzumab)、インドキシモド(indoximod)、イノツズマブオゾガマイシン、インテルムマブ(intelumumab)、イピリムマブ、イサツキシマブ(isatuximab)、ランブロリズマブ(lambrolizumab)、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ(obinutuzumab)、オカラツズマブ(ocaratuzumab)、オファツムマブ、オラタツマブ(olatatumab)、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ(ticilimumab)、サマリズマブ(samalizumab)、またはトレメリムマブである。
【0339】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、免疫刺激薬である。例えば、PD−1およびPD−L1阻害性軸を遮断する抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を開放することができ、免疫療法に感受性があるとは従来、考えられていなかった一部の腫瘍タイプを含めた、増加している数の腫瘍組織学における永続的な抗腫瘍応答を誘発することが臨床試験において示された。例えば、Okazaki,T.ら(2013年)Nat.Immunol.14巻、1212〜1218頁;Zouら(2016年)Sci.Transl.Med.8巻を参照されたい。抗PD−1抗体であるニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol−Myers Squibb、ONO−4538、MDX1106およびBMS−936558としても公知)は、以前の抗血管新生治療法の間またはその後に、疾患進行を経験したRCCを有する患者における、全生存率を改善させる可能性を示した。
【0340】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療剤は、腫瘍細胞のアポトーシスを特異的に誘発する。本発明において使用することができる承認を受けている免疫調節治療剤には、ポマリドミド(Pomalyst(登録商標)、Celgene);レナリドマイド(Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノールメブテート(Picato(登録商標)、LEO Pharma)が含まれる。
【0341】
他の実施形態において、免疫調節治療剤はがんワクチンである。いくつかの実施形態において、がんワクチンは、シプリューセル−T(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)(無症候性または最小限の症候性転移性の去勢抵抗性(ホルモン不応性)前立腺がんの処置に承認を受けている);およびタリモジンラヘルパレプベク(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前はT−VECとして公知であった)(黒色腫における、切除不能な皮膚、皮下および節病巣の処置に承認を受けた、遺伝子修飾した腫瘍溶解性ウイルス治療法)から選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、肝細胞癌(NCT02562755)および黒色腫(NCT00429312)に対する、GM−CSFを発現するよう操作されているチミジンキナーゼ−(TK−)欠損ワクシニアウイルスである、ペキサスチモジンデバシレプベク(PexaVec/JX−594、SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)などの腫瘍溶解性ウイルス治療法;ペラレオレップ(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)(結腸直腸がん(NCT01622543);前立腺がん(NCT01619813)、頭頚部扁平上皮細胞がん(NCT01166542)、膵臓腺癌(NCT00998322)および非小細胞肺がん(NSCLC)(NCT00861627)を含めた多数のがんにおける、RASにより活性化されていない細胞では複製しない呼吸器腸管孤立ウイルス(レオウイルス)の変異体);卵巣がん(NCT02028117)、結腸直腸がん、膀胱がん、頭頚部扁平上皮癌および唾液腺がん(NCT02636036)などの転移性または進行性上皮腫瘍における、エナデノツシレブ(NG−348、PsiOxus、以前はColoAd1として公知であった)(T細胞受容体CD3タンパク質に特異的な完全長CD80および抗体断片を発現するよう操作されているアデノウイルス);黒色腫(NCT03003676)、および腹膜疾患、結腸直腸がんまたは卵巣がん(NCT02963831)における、ONCOS−102(Targovax/以前のOncos)(GM−CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス);GL−ONC1(GLV−1h68/GLV−1h153、Genelux GmbH)(癌性腹膜炎(NCT01443260);卵管がん、卵巣がん(NCT02759588)において、それぞれ、ベータ−ガラクトシダーゼ(ベータ−gal)/ベータ−グルコロニダーゼまたはベータ−gal/ヒトナトリウムヨウ素共輸送体(hNIS)を発現するよう操作されているワクシニアウイルスが検討された);あるいは膀胱がん(NCT02365818)における、CG0070(Cold Genesys)(GM−CSFを発現するよう操作されているアデノウイルス)から選択される。
【0342】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、JX−929(SillaJen/以前のJennerex Biotherapeutics)(プロドラッグである5−フルオロシトシンを細胞毒性薬5−フルオロウラシルに変換することが可能な、シトシンデアミナーゼを発現するよう操作されている、TKおよびワクシニア成長因子欠損ワクシニアウイルス);TG01およびTG02(Targovax/以前のOncos)(難治性RAS変異を標的とするペプチドをベースとする免疫療法剤);およびTILT−123(TILT Biotherapeutics)(Ad5/3−E2F−デルタ24−hTNFα−IRES−hIL20と表される操作されたアデノウイルス);およびVSV−GP(ViraTherapeutics)(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)のグリコタンパク質(GP)を発現するよう操作されており、抗原特異的CD8T細胞応答を向上するよう設計されている抗原を発現するようさらに操作され得る、水泡性口内炎ウイルス(VSV))から選択される。
【0343】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、キメラ抗原受容体すなわちCARを発現するよう操作されているT細胞である。このようなキメラ抗原受容体を発現するよう操作されているT細胞は、CAR−T細胞と呼ばれる。
【0344】
結合ドメインからなるCARが構築され、このドメインは、細胞表面抗原に特異的なモノクローナル抗体から誘導される、天然リガンドである一本鎖可変断片(scFv)であって、Tリンパ球において活性化シグナルを生じることが可能な、TCRに由来するCD3−ゼータシグナル伝達ドメインなどの、T細胞受容体(TCR)の機能端部であるエンドドメインに融合している、一本鎖可変断片(scFv)から誘導され得る。抗原に結合すると、このようなCARは、エフェクター細胞における内因性シグナル伝達経路にリンクし、TCR複合体により開始されるものと類似の活性シグナルを生じる。
【0345】
例えば、いくつかの実施形態において、CAR−T細胞は、米国特許第8,906,682号(June、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載されているものの1つであり、この特許は、抗原結合ドメイン(CD19に結合するドメインなど)を有する細胞外ドメインであって、T細胞抗原受容体複合体ゼータ鎖(CD3ゼータなど)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合している、細胞外ドメインを含むよう操作されているCAR−T細胞を開示している。CARは、T細胞において発現する場合、抗原結合特異性に基づいて、抗原認識の方向を変えることができる。CD19の場合、抗原は、悪性B細胞上で発現する。200を超える臨床試験が、現在、幅広い範囲の適応症において、CAR−Tを使用して、進行中である[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0346】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)のアクチベーターである。RORγtは、CD4+(Th17)およびCD8+(Tc17)T細胞のタイプ17エフェクターサブセットの分化および維持、ならびにNK細胞などの、IL−17を発現する自然免疫細胞部分集合の分化において、重要な役割を有する転写因子である。いくつかの実施形態において、のアクチベーターは、固形腫瘍(NCT02929862)の処置に関する臨床試験において現在評価されているLYC−55716(Lycera)である。
【0347】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、toll様受容体(TLR)のアゴニストまたはアクチベーターである。TLRの好適なアクチベーターは、SD−101(Dynavax)などのTLR9のアゴニストまたはアクチベーターを含む。SD−101は、濾胞性B細胞および他のリンパ腫(NCT02254772)に関して現在、検討されている免疫刺激性CpGである。本発明において使用することができるTLR8のアゴニストまたはアクチベーターには、頭頚部の扁平上皮細胞がん(NCT02124850)および卵巣がん(NCT02431559)に関して、現在、検討中のモトリモド(VTX−2337、VentiRx Pharmaceuticals)が含まれる。
【0348】
本発明において使用され得る他の腫瘍免疫剤としては、ウレルマブ(BMS−663513、Bristol−Myers Squibb)、抗CD137モノクローナル抗体;バーリルマブ(CDX−1127、Celldex Therapeutics)、抗CD27モノクローナル抗体;BMS−986178(Bristol−Myers Squibb)、抗OX40モノクローナル抗体;リリルマブ(IPH2102/BMS−986015、Innate Pharma、Bristol−Myers Squibb)、抗KIRモノクローナル抗体;モナリズマブ(monalizumab)(IPH2201、Innate Pharma、AstraZeneca)抗NKG2Aモノクローナル抗体;アンデカリキシマブ(andecaliximab)(GS−5745、Gilead Sciences)、抗MMP9抗体;MK−4166(Merck & Co.)、抗GITRモノクローナル抗体が挙げられる。
【0349】
いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、エロツズマブ、ミファムルチド、toll様受容体のアゴニストまたはアクチベーター、およびRORγtのアクチベーターから選択される。
【0350】
いくつかの実施形態において、免疫刺激治療剤は、組換えヒトインターロイキン15(rhIL−15)である。rhIL−15は、診療所において、黒色腫および腎細胞癌(NCT01021059およびNCT01369888)、ならびに白血病(NCT02689453)に対する治療剤として、試験されている。いくつかの実施形態において、免疫刺激剤は、組換えヒトインターロイキン12(rhIL−12)である。いくつかの実施形態において、IL−15ベースの免疫治療剤は、ヘテロ二量体IL−15(hetIL−15、Novartis/Admune)であり、これは、可溶性IL−15結合タンパク質IL−15受容体α鎖に複合体化した、内因性IL−15の合成形態からなる融合複合体(IL15:sIL−15RA)であり、これは、黒色腫、腎細胞癌、非小細胞肺がんおよび頭頚部扁平上皮癌(NCT02452268)に関して、第1相臨床試験で試験されている。いくつかの実施形態において、組換えヒトインターロイキン12(rhIL−12)は、NM−IL−12(Neumedicines、Inc.)、NCT02544724、またはNCT02542124である。
【0351】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams et.al.,“Big opportunities for small molecules in immuno−oncology,”Cancer Therapy 2015,Vol.14,pages 603−622に記載されるものから選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams et.alの表1に記載される例から選択される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams et.alの表2に列挙されるものから選択される腫瘍免疫的標的を標的化する、低分子である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Jerry L.Adams et.alの表2に列挙されるものから選択される低分子薬剤である。
【0352】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogood,“Small molecule immuno−oncology therapeutic agents,”Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018,Vol.28,pages 319−329に記載される低分子腫瘍免疫剤から選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Peter L.Toogoodに記載される経路を標的化する薬剤である。
【0353】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、Sandra L.Ross et al.,“Bispecific T cell engager(BiTE(R))antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing”,PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されるものから選択され、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、CD19/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、EGFR/CD3二重特異的抗体構築物である。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させる。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、細胞間接着分子1(ICAM−1)および巻き添え(bystander)細胞のFASの上方調節を誘導するサイトカインを放出する。いくつかの実施形態において、二重特異的T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))抗体構築物は、T細胞を活性化させ、これは、巻き添え細胞溶解の誘導をもたらす。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、固形腫瘍内にある。いくつかの実施形態において、溶解する巻き添え細胞は、BiTE(登録商標)により活性化されたT細胞の近隣にある。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)ネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、巻き添え細胞は、EGFRネガティブがん細胞を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、PD−L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、エキソビボで増殖した腫瘍浸潤T細胞である。いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAAs)と直接接続させる、二重特異的抗体構築物またはキメラ抗体受容体(CAR)である。
例示的な免疫チェックポイント阻害剤
【0354】
いくつかの実施形態において、腫瘍免疫剤は、本明細書中に記載されるような免疫チェックポイント阻害剤である。
【0355】
用語「チェックポイント阻害剤」は、本明細書で使用する場合、がん細胞が患者の免疫系を回避するのを阻止するのに有用な作用剤に関する。抗腫瘍免疫破壊の主な機序の1つは「T細胞の疲弊」として公知であり、これは、阻害性受容体の上方調節をもたらす抗原への長期曝露に起因する。これらの阻害性受容体は、無差別な免疫反応を予防するために、免疫チェックポイントとして働く。
【0356】
PD−1、および細胞毒性T−リンパ球抗原4(CTLA−4、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA;CD272)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン−3(Tim−3)、リンパ球活性化遺伝子−3(Lag−3;CD223)などの共阻害性受容体は、チェックポイント調節因子と称されることが多い。それらは、細胞周期進行および他の細胞内シグナル伝達過程が進行するべきかを細胞外情報が指令することを可能にする、分子「ゲートキーパー」として働く。
【0357】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤はPD−1への抗体である。PD−1は、プログラム細胞死1受容体(PD−1)に結合して、この受容体が阻害性リガンドPDL−1に結合するのを阻止し、こうして、腫瘍が宿主の抗腫瘍免疫応答を抑制する能力を無効にする。
【0358】
1つの局面において、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療剤または低分子である。別の局面において、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質またはそれらの組合せである。さらなる局面において、チェックポイント阻害剤は、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN−15049、CHK1、CHK2、A2aR、B−7ファミリーのリガンドまたはそれらの組合せから選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する。追加的な局面において、チェックポイント阻害剤は、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN−15049、CHK1、CHK2、A2aR、B−7ファミリーのリガンドまたはそれらの組合せから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。ある局面において、チェックポイント阻害剤は、免疫刺激剤、T細胞成長因子、インターロイキン、抗体、ワクチンまたはそれらの組合せである。さらなる局面において、インターロイキンはIL−7またはIL−15である。特定の局面において、インターロイキンは、グリコシル化IL−7である。追加的な局面において、ワクチンは樹状細胞(DC)ワクチンである。
【0359】
チェックポイント阻害剤には、免疫系の阻害経路を統計的に有意な方法で、遮断または阻害する任意の薬剤が含まれる。このような阻害剤は、低分子阻害剤を含むことができる、あるいは免疫チェックポイント受容体に結合して遮断または阻害する抗体またはその抗原結合断片、あるいは免疫チェックポイント受容体リガンドに結合して遮断または阻害する抗体を含むことができる。遮断または阻害のために標的とされ得る例示的な免疫チェックポイント分子には、以下に限定されないが、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、B7−H3、B7−H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK、γδおよびメモリCD8(αβ)T細胞のすべてに発現する)、CD160(BY55とも称される)、CGEN−15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aRおよび様々なB−7ファミリーのリガンドが含まれる。B7ファミリーのリガンドには、以下に限定されないが、B7−1、B7−2、B7−DC、B7−H1、B7−H2、B7−H3、B7−H4、B7−H5、B7−H6およびB7−H7が含まれる。チェックポイント阻害剤には、CTLA−4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160およびCGEN−15049のうちの1つまたは複数に結合して、その活性を遮断または阻害する、抗体もしくはその抗原結合断片、他の結合タンパク質、生物治療剤または低分子が含まれる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(CTLA−4ブロッキング抗体)(抗OX40)、PD−L1モノクローナル抗体(抗B7−H1;MEDI4736)、MK−3475(PD−1ブロッカー)、ニボルマブ(抗PD1抗体)、CT−011(抗PD1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDL1抗体)、BMS−936559(抗PDL1抗体)、MPLDL3280A(抗PDL1抗体)、MSB0010718C(抗PDL1抗体)およびイピリムマブ(抗CTLA−4チェックポイント阻害剤)が含まれる。チェックポイントタンパク質リガンドには、以下に限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H3、B7−H4、CD28、CD86およびTIM−3が含まれる。
【0360】
特定の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD−1アンタゴニスト、PD−L1アンタゴニストおよびCTLA−4アンタゴニストから選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))およびペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(抗PD−1抗体、Opdivo(登録商標)、Bristol−Myers Squibb);ペムブロリズマブ(抗PD−1抗体、Keytruda(登録商標)、Merck);イピリムマブ(抗CTLA−4抗体、Yervoy(登録商標)、Bristol−Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD−L1抗体、Imfinzi(登録商標)、AstraZeneca);およびアテゾリズマブ(抗PD−L1抗体、Tecentriq(登録商標)、Genentech)から選択される。
【0361】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK−3475)、ニボルマブ(BMS−936558)、ピジリズマブ(CT−011)、AMP−224、MDX−1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS−936559、イピリムマブ、リリルマブ(lirlumab)、IPH2101、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはトレメリムマブからなる群より選択される。
【0362】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、REGN2810(Regeneron)(基底細胞癌(NCT03132636);NSCLC(NCT03088540);皮膚扁平上皮癌(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);および黒色腫(NCT03002376)を有する患者において試験された抗PD−1抗体);びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および多発性骨髄腫に関する臨床試験中の、ピジリズマブ(CureTech)(CT−011としても公知であり、PD−1に結合する抗体);非小細胞肺がん、メルケル細胞癌、中皮腫、固形腫瘍、腎がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頚部がん、および胃がんに関する臨床試験中の、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、Pfizer/Merck KGaA)(MSB0010718Cとしても公知であり、完全ヒトIgG1抗PD−L1抗体);または非小細胞肺がん、黒色腫、トリプルネガティブ乳がんおよび進行性、または転移性固形腫瘍に関する臨床試験中の、PDR001(Novartis)(PD−1に結合する阻害性抗体)である。トレメリムマブ(CP−675,206;Astrazeneca)は、中皮腫、結腸直腸がん、腎臓がん、乳がん、肺がんおよび非小細胞肺がん、膵臓導管腺癌、膵臓がん、生殖細胞がん、頭頚部の扁平上皮細胞がん、肝細胞癌、前立腺がん、子宮内膜がん、肝臓における転移性がん、肝臓がん、大細胞型B細胞性リンパ腫、卵巣がん、子宮頚がん、転移性未分化甲状腺がん、尿路上皮がん、卵管がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、軟組織肉腫および黒色腫を含めた、いくつかの適応症に関する臨床試験において検討された、CTLA−4に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。AGEN−1884(Agenus)は、進行性固形腫瘍(NCT02694822)について、第1相臨床試験において現在検討中の、抗CTLA4抗体である。
【0363】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫グロブリンムチン含有タンパク質−3(TIM−3)の阻害剤である。本発明において使用することができるTIM−3阻害剤には、TSR−022、LY3321367およびMBG453が含まれる。TSR−022(Tesaro)は、固形腫瘍(NCT02817633)において現在、検討中の抗TIM−3抗体である。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍(NCT03099109)において現在、検討中の抗TIM−3抗体である。MBG453(Novartis)は、進行性悪性腫瘍(NCT02608268)において現在、検討中の抗TIM−3抗体である。
【0364】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ある種のT細胞およびNK細胞上の免疫受容体である、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体、すなわちTIGITの阻害剤である。本発明において使用することができるTIGIT阻害剤には、BMS−986207(Bristol−Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP−313M32(Oncomed);および抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)が含まれる。
【0365】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子−3(LAG−3)の阻害剤である。本発明において使用することができるLAG−3阻害剤には、BMS−986016およびREGN3767およびIMP321が含まれる。抗LAG−3抗体である、BMS−986016(Bristol−Myers Squibb)は、神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)において、現在、検討されている。REGN3767(Regeneron)もまた、抗LAG−3抗体であり、悪性腫瘍(NCT03005782)において現在、検討中である。IMP321(Immutep S.A.)は、LAG−3−Ig融合タンパク質であり、黒色腫(NCT02676869);腺癌(NCT02614833);および転移性乳がん(NCT00349934)において検討されている。
【0366】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、OX40アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のOX40アゴニストには、転移性腎臓がん(NCT03092856)ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812;NCT05082566)における、PF−04518600/PF−8600(Pfizer)(アゴニスト性抗OX40抗体);がんの第1相臨床試験(NCT02528357)におけるGSK3174998(Merck)(アゴニスト性抗OX40抗体);進行性固形腫瘍(NCT02318394およびNCT02705482)におけるMEDI0562(Medimmune/AstraZeneca)(アゴニスト性抗OX40抗体);結腸直腸がん(NCT02559024)、乳がん(NCT01862900)、頭頚部がん(NCT02274155)および転移性前立腺がん(NCT01303705)を有する患者における、MEDI6469(アゴニスト性抗OX40抗体)(Medimmune/AstraZeneca);ならびに進行性がん(NCT02737475)におけるBMS−986178(Bristol−Myers Squibb)(アゴニスト性抗OX40抗体)が含まれる。
【0367】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD137(4−1BBとも呼ばれる)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD137アゴニストには、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(NCT02951156)、ならびに進行性がんおよび新生物(NCT02554812およびNCT05082566)における、ウトミルマブ(PF−05082566、Pfizer)(アゴニスト性抗CD137抗体);黒色腫および皮膚がん(NCT02652455)ならびに神経膠芽腫および膠肉腫(NCT02658981)におけるウレルマブ(BMS−663513、Bristol−Myers Squibb)(アゴニスト性抗CD137抗体)が含まれる。
【0368】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD27アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のCD27アゴニストには、扁平上皮細胞頭頚部がん、卵巣癌、結腸直腸がん、腎細胞がんおよび神経膠芽腫(NCT02335918)、リンパ腫(NCT01460134)、ならびに神経膠腫および星状細胞腫(NCT02924038)におけるバルリルマブ(CDX−1127、Celldex Therapeutics)(アゴニスト性抗CD27抗体)が含まれる。
【0369】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のGITRアゴニストには、悪性黒色腫および他の悪性固形腫瘍(NCT01239134およびNCT02628574)におけるTRX518(Leap Therapeutics)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍およびリンパ腫(NCT02740270)におけるGWN323(Novartis)(アゴニスト性抗GITR抗体);進行性がん(NCT02697591およびNCT03126110)におけるINCAGN01876(Incyte/Agenus)(アゴニスト性抗GITR抗体);固形腫瘍(NCT02132754)におけるMK−4166(Merck)(アゴニスト性抗GITR抗体)、ならびに進行性固形腫瘍(NCT02583165)におけるMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)(ヒトIgG1 Fcドメインを有するアゴニスト性六量体GITRリガンド分子)が含まれる。
【0370】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、誘発性T細胞共刺激剤(ICOS、CD278としても公知)アゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のICOSアゴニストには、リンパ腫(NCT02520791)におけるMEDI−570(Medimmune)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02723955)における、GSK3359609(Merck)(アゴニスト性抗ICOS抗体);第1相試験(NCT02904226)における、JTX−2011(Jounce Therapeutics)(アゴニスト性抗ICOS抗体)が含まれる。
【0371】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、キラーIgG様受容体(KIR)阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のKIR阻害剤には、白血病(NCT01687387、NCT02399917、NCT02481297、NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)およびリンパ腫(NCT01592370)における、リリルマブ(IPH2102/BMS−986015、Innate Pharma/Bristol−Myers Squibb)(抗KIR抗体);骨髄腫(NCT01222286およびNCT01217203)における、IPH2101(1−7F9、Innate Pharma);ならびにリンパ腫(NCT02593045)における、IPH4102(Innate Pharma)(長い細胞質尾部の3つのドメイン(KIR3DL2)に結合する抗KIR抗体)が含まれる。
【0372】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD47とシグナル調節タンパク質アルファ(SIRPa)との間の相互作用のCD47阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD47/SIRPa阻害剤には、第1相試験(NCT03013218)における、ALX−148(Alexo Therapeutics)(CD47に結合してCD47/SIRPa媒介性シグナル伝達を阻止する(SIRPa)のアンタゴニスト性変異体);第1相の臨床試験(NCT02890368およびNCT02663518)における、TTI−621(SIRPa−Fc、Trillium Therapeutics)(SIRPaのN末端CD47結合ドメインとヒトIgG1のFcドメインとを連結させることにより生成する可溶性組換え融合タンパク質は、ヒトCD47に結合して、ヒトCD47がその「私を食べないで(do not eat」)シグナルをマクロファージに送るのを阻止することにより作用する);白血病(NCT02641002)における、CC−90002(Celgene)(抗CD47抗体);ならびに結腸直腸の新生物および固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄性白血病(NCT02678338)およびリンパ腫(NCT02953509)における、Hu5F9−G4(Forty Seven,Inc.)が含まれる。
【0373】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CD73阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCD73阻害剤には、固形腫瘍(NCT02503774)における、MEDI9447(Medimmune)(抗CD73抗体);および固形腫瘍(NCT02754141)における、BMS−986179(Bristol−Myers Squibb)(抗CD73抗体)が含まれる。
【0374】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、インターフェロン遺伝子タンパク質の刺激因子(STING、膜貫通タンパク質173またはTMEM173としても公知)のアゴニストを含む。臨床試験において現在検討中のSTINGのアゴニストには、リンパ腫(NCT03010176)における、MK−1454(Merck)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド);ならびに第1相試験(NCT02675439およびNCT03172936)における、ADU−S100(MIW815、Aduro Biotech/Novartis)(アゴニスト性合成環式ジヌクレオチド)が含まれる。
【0375】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、CSF1R阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のCSF1R阻害剤には、結腸直腸がん、膵臓がん、転移性および進行性がん(NCT02777710)ならびに黒色腫、非小細胞肺がん、扁平上皮細胞頭頚部がん、消化管間質腫瘍(GIST)および卵巣がん(NCT02452424)における、ペキシダルチニブ(PLX3397、Plexxikon)(CSF1R低分子阻害剤);ならびに膵臓がん(NCT03153410)、黒色腫(NCT03101254)および固形腫瘍(NCT02718911)における、IMC−CS4(LY3022855、Lilly)(抗CSF−1R抗体);ならびに進行性固形腫瘍(NCT02829723)における、BLZ945(4−[2((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−ベンゾチアゾール−6−イルオキシル]−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド、Novartis)(CSF1Rの経口利用可能な阻害剤)が含まれる。
【0376】
本発明において使用することができるチェックポイント阻害剤は、NKG2A受容体阻害剤を含む。臨床試験において現在検討中のNKG2A受容体阻害剤には、頭頚部の新生物(NCT02643550)および慢性リンパ球性白血病(NCT02557516)における、モナリズマブ(IPH2201、Innate Pharma)(抗NKG2A抗体)が含まれる。
【0377】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブまたはピジリズマブから選択される。
7.化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用
【0378】
いくつかの実施形態において、本発明は、患者において増殖性障害を処置するための方法であって、患者に、本明細書に記載されている医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩、および1つもしくは複数の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩を含む。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物は、1つもしくは複数の化合物III−V、またはその薬学的に受容可能な塩をさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書の医薬組成物は、水、および/または1種もしくは複数の残留溶媒をさらに含む。また本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−1、またはその薬学的に受容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、活性成分としての化合物I−2、またはその薬学的に受容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0379】
いくつかの実施形態において、本発明は、患者において増殖性障害を処置するための方法であって、患者に、本明細書に記載されているような化合物II、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは組成物を、本明細書に記載されているようながん免疫療法剤と組み合わせて投与するステップを含む方法を提供する。
【0380】
いくつかの実施形態において、増殖性障害は本明細書に記載されているようなものから選択されるがんである。いくつかの実施形態において、患者は、免疫療法で処置された、または処置を受けているまたは処置すべきがん患者である。いくつかの実施形態において、がん患者は、本発明の処置を受ける時点で、妊娠しておらず、授乳もしていない。いくつかの実施形態において、がん患者は、本発明の処置を受ける時点で、受胎していない。
【0381】
本明細書で使用する場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」とは、本明細書に記載されているような疾患もしくは障害、または1つもしくは複数のそれらの症状を逆転させる、軽減する、それらの発症を遅延させる、またはそれらの進行を阻害することを指す。いくつかの実施形態において、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に、行われてもよい。他の実施形態において、処置は、症状の非存在下で行われてもよい。例えば、処置は、症状の発症前に、感受性の高い個体に行われてもよい(例えば、症状歴に照らし合わせて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせて)。処置はまた、症状が治癒した後に、例えば、その再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。
【0382】
いくつかの実施形態において、がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、直腸結腸がん、乳がん、胃がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、膵臓がん、肝臓がん、肝細胞がん、神経芽細胞腫、他の固形腫瘍または他の血液がんである。
【0383】
いくつかの実施形態において、がんは非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態において、がんは進行したおよび/または転移性NSCLCである。いくつかの実施形態において、がんは卵巣がんである。いくつかの実施形態において、がんは乳がんである。いくつかの実施形態において、がんは頭頸部がんである。いくつかの実施形態において、がんは直腸結腸がん(CRC)である。いくつかの実施形態において、がんは進行したまたは進行性のマイクロサテライト安定(MSS)CRCである。
【0384】
NSCLC患者
いくつかの実施形態において、がん患者はNSCLC患者である。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は免疫療法で処置された。いくつかの実施形態において、NSCLC患者はPD−1/L1免疫療法で処置された。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は最低12週間PD−1/L1免疫療法で処置された。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は最低12週間付与されたPD−1/L1免疫療法において進行していた(別名、PD−1/L1後NSCLC腺癌(post−PD−1/L1 NSCLC adenocarcinoma)患者)。
【0385】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者はNSCLCの病理学的に診断された腺癌組織学を有する。
【0386】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、RECIST1.1(固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors))にしたがって臨床的におよび/またはX線検査で進行している、進行した(ステージIIIb)および転移性(ステージIV)の患者である。
【0387】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は少なくとも18歳である。
【0388】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は公知のPD−L1陽性状態(>1%)を有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者はRECIST1.1による測定可能病変を有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、最低12週間付与された、PD−1またはPD−L1アンタゴニストによる過去の免疫療法処置から進行がある。いくつかの実施形態において、過去の免疫療法は、化学療法と共にまたは化学療法なしで付与され、任意の系統で使用された。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、進行後、1つの追加の系統の介入化学療法がある。
【0389】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者はECOG0〜1のパフォーマンスステータスを有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者はECOGパフォーマンスステータスグレード0を有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者はECOGパフォーマンスステータスグレード1を有する。ECOGパフォーマンスステータスは、Oken M, Creech R, Tormey D, et al. "Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group" Am J Clin Oncol. 1982; 5:649-655で論じられている。ECOGパフォーマンスステータスグレード0は、完全に活動的であり、疾患前の動作をすべて制限なしで実行することができる患者を指す。ECOGパフォーマンスステータスグレード1は、肉体的に激しい活動には制限があるが、歩行および軽いまたは座って行う性質の作業、例えば、軽い家事、事務などを行うことができる患者を指す。
【0390】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、以下の通り、十分な骨髄、腎臓、および肝臓機能を有する(療法開始の7日以内):
・好中球絶対数(ANC)≧1000/μL;および/または
・ヘモグロビン>9g/dl;および/または
・血小板数>75,000/μL;および/または
・血清クレアチニン≦1.5×正常上限(ULN)、もしくはクレアチニンレベル>1.5×施設ULN(Cockcroft−Gault式を使用)を有する被験体に対して糸球体濾過率(GFR)≧40mL/分;および/または
・血清全ビリルビン≦1.5×ULN、もしくは全ビリルビンレベル>1.5ULNを有する被験体に対して直接ビリルビン≦ULN;および/または
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN(または肝臓転移が存在する場合≦5×)。
【0391】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、過去の療法からのすべての臨床的に有意な進行中の有害事象(AE)について、グレード1またはベースラインまで回復している。
【0392】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、クローン病および潰瘍性大腸炎、または非感染性間質性肺疾患を含めた、炎症性腸疾患(IBD)の最近の病歴(最近12カ月内)を有さない。
【0393】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、有害事象の管理のために使用する以外は、処置開始前の3日以内にまたは研究中のいかなる時点においても、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)またはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤の現行の使用はない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者はアスピリン製品を使用していない、または予防的心血管用量でのみこれを使用する。
【0394】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、連続的な全身免疫抑制療法を必要とする、消化管(GI)潰瘍もしくは大腸炎(IBD以外)または臨床的に有意な自己免疫疾患(すなわち重篤)を最近(最近12カ月以内)または現在有さない。
【0395】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、PD−1抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴を持たない。
【0396】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の計画された最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けていない。
【0397】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の最初の用量前の2週以内にコルチコステロイド(>10mgの一日プレドニゾン当量)または他の免疫抑制薬物のいずれかによる連続的な全身的処置を必要とする任意の状態を有さない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、活動性自己免疫疾患の非存在下で、吸入または局所的ステロイドおよび10mgまでの一日プレドニゾン当量の生理学的補充用量を取っている。
【0398】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は公知のEGFR、ALK、またはROS遺伝子変更を有さない。
【0399】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は喫煙歴を有する。
【0400】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、無制御なまたは命にかかわる症候性の併発疾患(公知の症候性HIV、症候性B型肝炎およびC型肝炎、または活動性結核[TB]を含む)を有さない。
【0401】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置開始の3週間以内に化学療法または研究用薬剤またはデバイスを受けていない、または大手術もしくは全身放射線を受けていない、または本発明の処置の開始前、これらのうちのいずれかの合併症から不十分な治癒または回復を有した。
【0402】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置開始前の3年以内に潜在的に命にかかわる第2の悪性疾患を有さない。
【0403】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は臨床的に不安定な中枢神経系(CNS)/脳転移(処置したまたは安定したCNS転移は許容される)を有さない。
【0404】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、寛解のために許容された病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)を除いて、任意の他の同時進行の抗腫瘍性処置を行っていない。
【0405】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、これらに限定されないが、
・脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月);および/または
・心筋梗塞(登録前<6カ月);および/または
・不安定な狭心症;および/または
・うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類(New York Heart Association Classification)クラスII);および/または
・薬物を必要とする重度の心不整脈
を含む、臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患を有さない。
【0406】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤の同時投与を必要とする医学的状態を有さない。
【0407】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は妊娠または授乳していない、または本発明の処置中に受胎する予定はない。
【0408】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、進行したまたは転移性PD−1/L1後非小細胞肺がん(NSCLC)腺癌を有する。
【0409】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、任意のPD−1またはPD−L1チェックポイント阻害剤で最低12週間過去に処置したことのあるNSCLCと診断された成人患者である。
【0410】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、グラピプラン、1日2回(BID)300mgの開始用量レベルで処置される。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は2年までの間グラピプランおよびペムブロリズマブで処置される。
【0411】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は組織学的に確認された非小細胞肺がん(NSCLC)腺癌を有する成人患者である。
【0412】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、同時進行の化学放射線療法による治癒的意図の処置に適していない進行した(ステージIIIb)疾患を有し、転移性の(ステージIV)患者である。
【0413】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は最低12週間PD−1またはPD−L1アンタゴニストを投与後、RECIST v1.1にしたがって臨床的におよび/またはX線検査で進行している。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は化学療法と共に免疫療法を受けた。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は化学療法を伴わない免疫療法を受けた。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は任意の系統での免疫療法を受けた。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は1つ以下の免疫療法の過去のレジメンを受けた。
【0414】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、現地の研究者/放射線学により評価されたように、RECIST v1.1に従い測定可能病変を有する。いくつかの実施形態において、以前に照射された領域に位置する病変は、このような病変において進行が実証された場合、測定可能と考えられる。
【0415】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、複数のコア生検のための気管支鏡、胸腔鏡または経皮的生検(1つの生検当たり最低3通りの経路)を介して安全に到達できる疾患を有する。
【0416】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0〜1を有する。
【0417】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、以下の表Aに定義されているような十分な器官機能を有する。
【0418】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、処置開始前の3日以内にまたは処置中のいかなる時点においても、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)を使用しない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、AEの管理のため、処置開始前の3日以内にまたは処置中のいずれかの時点において、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)を使用する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、予防的心血管用量に限定されたアスピリン製品を使用する。
【0419】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、公知の上皮成長因子受容体(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、またはROS遺伝子変更を有さない。
【0420】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は公知のBRAF遺伝子変異を有さない。
【0421】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は喫煙歴を有する(生涯の煙草の本数>100本)。
【0422】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、PD−1/L1抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴を持たない。
【0423】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、処置前の4週以内に研究用薬剤を含む過去の全身抗がん療法を受けていない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、過去の療法によるすべてのAEから≦グレード1またはベースラインまで回復している。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は≦グレード2ニューロパシーを有する。
【0424】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置開始の2週間以内に過去の放射線療法を受けていない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、すべての放射線関連の毒性から回復し、コルチコステロイドを必要とせず、放射線肺炎に罹ったことがない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、非中枢神経系(CNS)疾患に対する待機的放射線(≦2週間の放射線療法)に対して1週間のウォッシュアウトを有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、寛解のみのために許容された病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)を除いて、本発明の処置中任意の抗腫瘍性処置を受けない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置開始前に、手術を受け、ならびに介入に由来する毒性および/または合併症から完全に回復している。
【0425】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は実験処置の最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けていない。
【0426】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置前および処置中に強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を摂取しない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を摂取していたが、本発明の処置の投薬前の≧5半減期以内に他の薬物に移行している。
【0427】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の最初の用量前の4週以内に研究用薬剤の研究に参加しない、または参加していない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の最初の用量前の4週以内に研究用デバイスを使用していない。
【0428】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は免疫不全の診断を有さない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の最初の用量前の7日以内に、慢性全身ステロイド療法(10mgの一日プレドニゾン当量を超える投薬)、または任意の他の形態の免疫抑制療法を受けない。
【0429】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は本発明の処置の最初の用量前の3年以内に積極的な処置を進めているまたは必要とする公知の追加の潜在的に命にかかわる悪性疾患を有さない。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は皮膚の基底細胞癌を有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は皮膚の扁平上皮癌を有する。いくつかの実施形態において、NSCLC患者は潜在的に治癒的療法を受けてきた上皮内癌(すなわち、乳癌、上皮子宮頸がん)を有する。
【0430】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、公知の活動性のCNS転移および/または癌性髄膜炎を有さない(臨床的に安定したおよび/または以前に処置した不活性なCNS転移は許容される)。
【0431】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、過去2年間全身的処置を必要とする活動性自己免疫疾患(つまり、疾患修飾薬、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬物の使用を伴う)を有さない。いくつかの実施形態において、全身的処置は補充療法(つまり、副腎不全または下垂体不全に対するチロキシン、インスリン、または生理学的コルチコステロイド補充療法)ではない。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎である。
【0432】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴を有さない、または現行の肺炎を有する。
【0433】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、全身療法を必要とする活動性感染症を有さない。
【0434】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、最近の(最近12カ月以内)または現行のGI潰瘍または大腸炎または非免疫大腸炎を有さない。
【0435】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の公知の病歴を有さない。
【0436】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、B型肝炎または公知の活動性C型肝炎ウイルス感染症の公知の病歴を有さない。
【0437】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患:脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月)、心筋梗塞(登録前<6カ月)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類クラスII)、または無制御な心不整脈を有さない。
【0438】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置との協調を妨げる公知の精神障害または物質乱用障害を有さない。
【0439】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置前に妊娠試験が陽性である、妊娠の可能性がある女性(WOCBP)ではない。
【0440】
いくつかの実施形態において、NSCLC患者は、本発明の処置の予測される期間内に授乳していない、または受胎する、または子供の父親になることが予想されていない。
【0441】
CRC患者
いくつかの実施形態において、CRC患者は組織学的に確認された進行した、転移性、または進行性の直腸結腸がん(CRC)である。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト安定疾患(MSS)は過去のPCRまたは免疫組織化学の結果に基づく。
【0442】
いくつかの実施形態において、CRC患者は少なくとも18歳である。
【0443】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、第一選択の5−FUベースの療法において進行している、療法を拒絶した、または5−FUベースの療法に耐えられない。
【0444】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、RECIST1.1(固形腫瘍における応答評価基準)の通り測定可能病変を有する。
【0445】
いくつかの実施形態において、CRC患者はECOG0〜1のパフォーマンスステータスを有する。いくつかの実施形態において、CRC患者はECOGパフォーマンスステータスグレード0を有する。いくつかの実施形態において、CRC患者はECOGパフォーマンスステータスグレード1を有する。
【0446】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、以下の通り、十分な骨髄、腎臓、および肝臓機能を有する(療法開始の7日以内):
・好中球絶対数(ANC)≧1000/μL;および/または
・ヘモグロビン>9g/dl;および/または
・血小板数>75,000/μl;および/または
・血清クレアチニン≦1.5×正常上限(ULN)、もしくはクレアチニンレベル>1.5×施設ULN(Cockcroft−Gault式を使用)を有する被験体に対して糸球体濾過率(GFR)≧40mL/分;および/または
・血清全ビリルビン≦1.5×ULN、もしくは全ビリルビンレベル>1.5ULNを有する被験体に対して直接ビリルビン≦ULN;および/または
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN(または肝臓転移が存在する場合、≦5×)。
【0447】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、過去の療法によるすべての臨床的に有意な進行中の有害事象(AE)について、グレード1またはベースラインまで回復している。
【0448】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置開始の少なくとも3週間前には過去の処置(他の研究用療法を含む)を完了している。
【0449】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、抗PD−1、抗PD−L1、または抗PD−L2治療抗体で処置されていない。
【0450】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、AEの管理のために使用する以外は、本発明の処置開始前の3日以内にまたは本発明の処置中のいかなる時点でも、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)またはシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤を使用していない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、任意のアスピリン製品を使用しない、または予防的心血管用量でのみこれを使用する。
【0451】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、クローン病および潰瘍性大腸炎、または非感染性間質性肺疾患を含む、炎症性腸疾患(IBD)の最近の(最近12カ月以内)病歴を有さない。
【0452】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、連続的な全身免疫抑制療法を必要とする、最近(最近12カ月以内)または現行の消化管(GI)潰瘍または大腸炎(IBD以外)または臨床的に有意な自己免疫疾患(すなわち重篤)を有さない。
【0453】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の2週以内に、コルチコステロイド(>10mgの一日プレドニゾン当量)または他の免疫抑制薬物のいずれかによる連続的な全身的処置を必要とする任意の状態を有さない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、臨床的に活動性のある有意な(重篤)自己免疫疾患の非存在下で、吸入または局所的ステロイドおよび10mgまでの一日プレドニゾン当量の生理学的補充用量を摂取している。
【0454】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、キメラ抗体またはヒト化抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴を持たない。
【0455】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けていない。
【0456】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、寛解のみのために許容された病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)を除いて、任意の他の同時進行の抗腫瘍性処置を受けていない。
【0457】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、無制御なまたは命にかかわる症候性の併発疾患(公知の症候性HIV、症候性B型肝炎およびC型肝炎、または活動性結核[TB]を含む)を有さない。
【0458】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置開始の3週間以内に大手術もしくは全身放射線を受けていない、または本発明の処置の開始前、手術または放射線の合併症から不十分な治癒または回復をしている。
【0459】
いくつかの実施形態において、CRC患者は最近3年以内に潜在的に命にかかわる第2の悪性疾患を有さない。
【0460】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、臨床的に不安定な中枢神経系(CNS)/脳転移(処置したまたは安定したCNS転移は許容される)を有さない。
【0461】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、これらに限定されないが:
・脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月);および/または
・心筋梗塞(登録前<6カ月);および/または
・不安定な狭心症;および/または
・うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類クラスII);および/または
・薬物を必要とする重度の心不整脈
を含む、臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患を有さない。
【0462】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤の同時投与を必要とする医学的状態を有さない。
【0463】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、進行したまたは進行性のMSS CRCを有する。
【0464】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、グラピプラン、開始用量300mgの1日2回(BID)の経口投与で処置される。
【0465】
いくつかの実施形態において、CRC患者はグラピプラン300mg、BID経口投与、およびペムブロリズマブ200mg、3週ごとの(Q3W)IV投与で処置される。
【0466】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、MSSである、組織学的に確認された進行した、転移性、または進行性のCRCを有する成人患者である。いくつかの実施形態において、マイクロサテライト安定性は、施設標準に従い、過去のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、Next−Gen配列決定、または免疫組織化学の結果に基づく。
【0467】
いくつかの実施形態において、CRC患者はそのうちの少なくとも1つがフルオロウラシルを含んだ、進行したまたは転移性CRCに対する少なくとも2回の過去の系統の療法を受けた。いくつかの実施形態において、CRC患者は補助療法を受け、その完了から6カ月以内に進行が生じている。
【0468】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、現地の研究者/放射線学により評価されたように、RECIST v1.1に従い測定可能病変を有する。いくつかの実施形態において、以前に照射された領域に位置する病変は、このような病変において進行が実証された場合、測定可能と考えられる。
【0469】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、複数のコア生検のために安全に入手できる到達可能な腫瘍を有する。
【0470】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0〜1を有する。
【0471】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、以下の表Aに定義されているような十分な器官機能を有する。
【0472】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、経口の錠剤を嚥下および吸収することができる。
【0473】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、閉経していない、避妊している女性であるか、または男性である。
【0474】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、抗PD−1、抗PD−L1、または抗PD−L2薬剤による、または別の刺激性または共阻害性T−細胞受容体(例えば、CTLA−4、OX40、CD137)を対象とする薬剤による過去の療法を受けていない。
【0475】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置開始前の3日以内にまたは本発明の処置中のいかなる時点においても、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)を使用しない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置のAEの管理のため、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)を使用する。いくつかの実施形態において、CRC患者は予防的心血管用量に限定されたアスピリン製品を使用する。
【0476】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、キメラ抗体またはヒト化抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴を持たない。
【0477】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置前の4週以内に(または5半減期、どちらか短い方)研究用薬剤を含む全身抗がん療法を過去に受けていない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、過去の療法によるすべてのAEから≦グレード1またはベースラインまで回復している。いくつかの実施形態において、CRC患者は≦グレード2ニューロパシーを有する。いくつかの実施形態において、CRC患者は大手術を受け、本発明の処置開始前に、介入に由来する毒性および/または合併症から完全に回復している。
【0478】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置開始の2週間以内に過去の放射線療法を受けていない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、すべての放射線関連の毒性から回復し、コルチコステロイドを必要とせず、放射線肺炎に罹ったことがない。いくつかの実施形態において、CRC患者は非中枢神経系(CNS)疾患に対する待機的放射線(≦2週間の放射線療法)に対して1週間のウォッシュアウトを有する。いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置と同時進行的に抗腫瘍性処置を受けない。いくつかの実施形態において、CRC患者は寛解のみのための病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)のための抗腫瘍処置を受ける。
【0479】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けていない。
【0480】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を摂取しない。いくつかの実施形態において、CRC患者は強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を摂取していたが、本発明の処置の投薬前の≧5半減期以内に他の薬物に移行している。
【0481】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の4週以内に研究用薬剤の研究に参加しない、または参加していない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の4週以内に研究用デバイスを使用していない。
【0482】
いくつかの実施形態において、CRC患者は免疫不全の診断を有さない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の最初の用量前の7日以内に、慢性全身ステロイド療法(10mgの一日プレドニゾン当量を超える投薬)、または任意の他の形態の免疫抑制療法を受けない。
【0483】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の開始前の3年以内に、進行するまたは積極的な処置を必要とした公知の追加の潜在的に命にかかわる悪性疾患を有さない。いくつかの実施形態において、CRC患者は皮膚の基底細胞癌を有する。いくつかの実施形態において、CRC患者は皮膚の扁平上皮癌を有する。いくつかの実施形態において、CRC患者は、上皮内癌(例えば、乳癌、上皮子宮頸がん)を有し、潜在的に治癒的な療法を受けている。
【0484】
いくつかの実施形態において、CRC患者は公知の活動性CNS転移および/または癌性髄膜炎を有さない。いくつかの実施形態において、CRC患者は、脳転移を以前に処置したことがあり、放射線学的には安定している、すなわち、反復画像化により少なくとも4週間の間進行の証拠がなく(反復画像化は、実験スクリーニング中に実施されるべきであることに注目されたい)、および/または臨床的に安定しており、本発明の処置の最初の用量前の少なくとも14日以内にステロイド処置の必要がない。
【0485】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置の開始前の2年間に全身的処置(すなわち、疾患修飾薬、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬物の使用を伴う)を必要とする活動性自己免疫疾患を有さない。いくつかの実施形態において、CRC患者は本発明の処置の開始前の2年間に補充療法(例えば、副腎不全または下垂体不全に対するチロキシン、インスリン、または生理学的コルチコステロイド補充療法)を受けている。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、これらに限定されないが、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む。
【0486】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴を有さない、または現行の肺炎を有する。
【0487】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、全身療法を必要とする活動性感染症を有さない。
【0488】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、最近の(本発明の処置開始から12カ月以内)または現行のGI潰瘍または非免疫大腸炎を有さない。
【0489】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の公知の病歴を有さない。
【0490】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、B型肝炎または公知の活動性C型肝炎ウイルス感染症の公知の病歴を有さない。
【0491】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患:脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月)、心筋梗塞(登録前<6カ月)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類クラスII)、または無制御な心不整脈を有さない。
【0492】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置との協調を妨げる公知の精神障害または物質乱用障害を有さない。
【0493】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置前に妊娠試験が陽性である、妊娠の可能性がある女性(WOCBP)ではない。
【0494】
いくつかの実施形態において、CRC患者は、本発明の処置中に、授乳していない、または受胎する、または子供の父親になることが予想されていない。
【0495】
がん
がんには、一実施形態では、非限定的に、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性多血症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病および固形腫瘍(肉腫および癌腫など)(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚がん、子宮がん、精巣がん、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽細胞腫(GBM、神経膠芽腫としても公知)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経鞘腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)である。
【0496】
いくつかの実施形態において、がんは、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽細胞腫(GBM、神経膠芽腫としても公知)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経鞘腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫または網膜芽細胞腫が含まれる。
【0497】
いくつかの実施形態において、がんは、聴神経鞘腫、星状細胞腫(例えば、グレードI−毛様細胞性星細胞腫、グレードII−低悪性星状細胞腫、グレードIII−退形成性星細胞腫もしくはグレードIV−神経膠芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹グリオーマ、上衣腫、混合型神経膠腫、視神経膠腫、上衣下腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、乏突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性(PNET)腫瘍または神経鞘腫である。いくつかの実施形態において、がんは、脳幹グリオーマ、頭蓋咽頭腫、上衣腫、若年性毛様細胞性星細胞腫(JPA)、髄芽腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)またはラブドイド腫瘍などの、成人よりも子供に一般的に見出されるタイプである。いくつかの実施形態において、患者は成人のヒトである。いくつかの実施形態において、患者は子供または小児患者である。
【0498】
がんには、別の実施形態では、非限定的に、中皮腫、胆管道(肝臓および胆管)、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部または頚部のがん、皮下または眼内黒色腫、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、胃腸管(胃、結腸直腸および十二指腸)、子宮がん、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚部癌、膣癌、外陰部の癌、ホジキン病、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣がん、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓がんまたは尿管がん、腎細胞癌、腎盂癌、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸椎腫瘍(spinal axis tumor)、脳幹グリオーマ、下垂体腺種、副腎皮質がん、胆嚢がん、多発性骨髄腫、胆管細胞癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または上述のがんのうちの1つまたは複数の組合せが含まれる。
【0499】
いくつかの実施形態において、がんは、肝細胞癌、卵巣がん、卵巣上皮がんまたは卵管がん;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮体部漿液性腺癌(UPSC);前立腺がん;精巣がん;胆嚢がん;肝臓胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺がん;副腎皮質腺腫;膵臓がん;膵管腺癌または膵臓腺癌;胃腸管/胃(GIST)がん;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺がん;神経膠腫または脳がん;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
【0500】
いくつかの実施形態において、がんは、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質腺腫、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫から選択される。
【0501】
いくつかの実施形態において、がんは、肉腫、癌腫またはリンパ腫などの固形腫瘍である。固形腫瘍は、嚢胞または液状領域を通常は含まない、異常な組織の塊を一般に含む。いくつかの実施形態において、がんは、腎細胞癌または腎臓がん;肝細胞癌(HCC)または肝芽腫または肝臓がん;黒色腫;乳がん;結腸直腸癌または結腸直腸がん;結腸がん;直腸がん;肛門がん;非小細胞肺がん(NSCLC)または小細胞肺がん(SCLC)などの肺がん;卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌または卵管がん;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮体部漿液性腺癌(UPSC);前立腺がん;精巣がん;胆嚢がん;肝臓胆管癌;軟部組織および骨滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;未分化甲状腺がん;副腎皮質癌;膵臓がん;膵管腺癌または膵臓腺癌;胃腸管/胃(GIST)がん;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺がん;神経膠腫または脳がん;神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST);ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
【0502】
いくつかの実施形態において、がんは、腎細胞癌、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸直腸腫、結腸直腸がん、結腸がん、直腸がん、肛門がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質癌、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、脳がん、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫から選択される。
【0503】
いくつかの実施形態において、がんは、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣癌、卵管がん、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、未分化甲状腺がん、副腎皮質癌、膵臓がん、膵管腺癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症1型関連悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症または髄芽腫から選択される。
【0504】
いくつかの実施形態において、がんは肝細胞癌(HCC)である。いくつかの実施形態において、がんは肝芽腫である。いくつかの実施形態において、がんは結腸がんである。いくつかの実施形態において、がんは直腸がんである。いくつかの実施形態において、がんは、卵巣がんまたは卵巣癌である。いくつかの実施形態において、がんは卵巣上皮がんである。いくつかの実施形態において、がんは卵管がんである。いくつかの実施形態において、がんは乳頭状漿液嚢胞腺癌である。いくつかの実施形態において、がんは子宮体部漿液性腺癌(UPSC)である。いくつかの実施形態において、がんは肝臓胆管癌である。いくつかの実施形態において、がんは、軟部組織および骨滑膜肉腫である。いくつかの実施形態において、がんは横紋筋肉腫である。いくつかの実施形態において、がんは骨肉腫である。いくつかの実施形態において、がんは未分化甲状腺がんである。いくつかの実施形態において、がんは副腎皮質癌である。いくつかの実施形態において、がんは、膵臓がんまたは膵管腺癌である。いくつかの実施形態において、がんは膵臓腺癌である。いくつかの実施形態において、がんは神経膠腫である。いくつかの実施形態において、がんは悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)である。いくつかの実施形態において、がんは神経線維腫症1型関連MPNSTである。いくつかの実施形態において、がんはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。いくつかの実施形態において、がんは髄芽腫である。
【0505】
いくつかの実施形態において、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、肛門がん、虫垂がん、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、星状細胞腫、脳および脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系胚芽腫、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、中枢神経系がん、子宮頸がん、小児期がん、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、結腸がん、直腸結腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、子宮内膜がん、上衣芽腫、上衣細胞腫、食道がん、感覚神経芽腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼のがん、骨の線維性組織球腫、胆嚢がん、胃がん、消化菅カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓がん、肝細胞がん、組織球症、ランゲルハンス細胞がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、唇および口腔がん、肝臓がん、上皮内小葉癌(LCIS)、肺がん、リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、マクログロブリン血症、男性の乳がん、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん、NUT遺伝子を含む正中管癌、口のがん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻腔がん、副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔のがん、口腔がん、口唇がん、中咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔がん、鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、中間分化型松果体実質腫瘍(Pineal Parenchymal Tumors of Intermediate Differentiation)、松果体芽腫、下垂体の腫瘍、形質細胞新生物、胸膜肺芽腫(Pleuropulmonary Blastoma)、乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、明細胞腎臓細胞癌、腎盂がん、尿管がん、移行性細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、原発不明の頸部扁平上皮がん、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、胃がん、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、腎孟尿管の移行性細胞がん、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、妊娠性絨毛腫瘍、小児期の未知の原発性、稀ながん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍である。
【0506】
ある種の実施形態において、がんは、膀胱がん、乳がん(TNBCを含む)、子宮頸がん、直腸結腸がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、食道の腺癌、神経膠芽腫、頭頸部がん、白血病(急性および慢性)、低悪性度の神経膠腫、肺がん(腺癌、非小細胞肺がん、および扁平上皮癌を含む)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、黒色腫、多発性骨髄腫(MM)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん(腎臓の明細胞癌および腎臓乳頭状細胞癌を含む)、および胃がんから選択される。
【0507】
いくつかの実施形態において、がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、直腸結腸がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、膵臓がん、肝臓がん、肝細胞がん、神経芽細胞腫、他の固形腫瘍または他の血液がんである。
【0508】
いくつかの実施形態において、がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、直腸結腸がん、多発性骨髄腫、またはAMLである。
【0509】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連固形腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)−16に陽性な治癒不能固形腫瘍および成人T細胞白血病(これは、ヒトT細胞性白血病ウイルスI型(HTLV−I)により引き起こされ、白血病細胞におけるHTLV−Iのクローン組込みを特徴とするCD4+T細胞白血病の非常に侵襲性の形態である(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02631746を参照されたい))、ならびに胃がん、鼻咽頭癌、子宮頚がん、膣がん、疣状がん、頭頚部の扁平上皮癌およびメルケル細胞癌におけるウイルス関連腫瘍(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759を参照されたい。https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02426892もまた参照されたい)を含めた、ウイルス関連がんの診断、予後および処置のための方法および組成物をさらに特徴とする。
【0510】
いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする患者において腫瘍を処置するための方法であって、患者に、化合物IIまたはその薬学的な塩もしくは組成物および本明細書に記載されているようながん免疫療法剤を投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、腫瘍は、本明細書に記載されているがんのいずれかを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍は黒色腫がんを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍は乳がんを含む。いくつかの実施形態において、腫瘍は肺がんを含む。いくつかの実施形態において腫瘍は小細胞肺がん(SCLC)を含む。いくつかの実施形態において、腫瘍は非小細胞肺がん(NSCLC)を含む。
【0511】
いくつかの実施形態において、腫瘍は、腫瘍のさらなる成長を抑止することにより処置される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、処置前の腫瘍のサイズに比べて、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%、腫瘍のサイズ(例えば、体積または塊)を退縮させることにより処置される。いくつかの実施形態において、腫瘍は、処置前の腫瘍の量に比べて、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%または99%、患者における腫瘍の量を低減させることにより処置される。
【0512】
本発明の方法による化合物および組成物は、がんを処置する、またはそれらの重症度を軽減するのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与することができる。必要な正確な量は、被験体の人種、年齢および全身状態、疾患または状態の重症度、具体的な薬剤、その投与形式などに応じて、被験体ごとに様々となろう。本発明の方法に従う化合物および組成物は、投与を容易にするため、および投与量を均質とするために、投与量単位形態で好ましくは製剤化される。「投与量単位形態」という表現は、本明細書で使用する場合、処置される患者にとって適切な、物理的に個別の薬剤の単位を指す。しかし、化合物および組成物の1日あたりの合計使用量は、妥当な医療的判断の範囲内で、主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の患者または生物に対する具体的に有効な用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、使用される具体的な化合物の活性、使用される具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、投与経路、および使用される具体的な化合物の排出速度、処置の期間、使用される具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物を含めた様々な因子、ならびに医療分野において周知の同様の因子に依存する。用語「患者」とは、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0513】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置されている疾患または状態の重症度に応じて、経口的に、直腸により、非経口的に、嚢内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤またはドロップ剤によるなど)、口腔により、経口噴霧剤または点鼻薬などとして、ヒトおよび他の動物に投与することができる。ある種の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るため、1日あたり、1回または複数回で、1日あたり約0.01mg/被験体の体重のkg〜約50mg/被験体の体重のkg、および好ましくは約1mg/kg〜約25mg/被験体の体重のkgの投与量レベルで、経口的または非経口的に投与することができる。
【0514】
経口投与向けの液状剤形には、以下に限定されないが、薬学的に受容可能なエマルション剤、マイクロエマルション剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液状剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤ならびに乳化剤などの、当技術分野において一般に使用される不活性な希釈剤を含有することができる。不活性な希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、着香剤および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
【0515】
公知技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、注射調製物、例えば注射可能な水性または油性の滅菌懸濁液剤を製剤化することができる。滅菌注射調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液剤、懸濁液剤またはエマルション剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液,U.S.P.および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、従来、使用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0516】
注射可能な製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターでろ過することにより、または滅菌水もしくは他の注射可能な滅菌媒体中に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態の殺菌剤を配合することにより、滅菌され得る。
【0517】
本明細書に記載の化合物の作用を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を減速させることが望ましいことが多い。これは、水への溶解度が乏しい、結晶性物質またはアモルファス性物質の液体懸濁液の使用により行うことができる。次に、化合物の吸収速度は、この溶出速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶形態に依存することがある。代替として、非経口的に投与される化合物形態の吸収遅延は、油性ビヒクル中に化合物を溶解または懸濁することにより行われる。ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に、本化合物のマイクロ封入マトリックスを形成させることにより、注射可能なデポ剤形態が作製される。化合物とポリマーとの比、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。注射可能なデポ製剤もまた、身体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルション中に本化合物を捕捉することにより調製される。
【0518】
直腸または膣投与向けの組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが、身体温度では液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの、好適な非刺激性賦形剤またはキャリアと混合することにより調製することができる坐剤である。
【0519】
経口投与向けの固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固形剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1腫の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリア、ならびに/あるいはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの剤形はまた、緩衝化剤を含んでもよい。
【0520】
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として使用されてもよい。錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング剤、および医薬調合分野において周知の他のコーティング剤などのコーティング剤およびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を必要に応じて含んでもよく、これらは、腸管のある部分において、必要に応じて遅延させて、活性成分(単数または複数)を単独で、または優先的に放出するような組成物とすることもできる。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコール(polethylene glycol)などの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として使用されてもよい。
【0521】
活性化合物はまた、上記のような1種または複数の賦形剤とのマイクロ封入形態にあることもできる。錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング剤、放出制御用コーティング剤、および医薬調合分野において周知の他のコーティング剤などのコーティング剤およびシェルを用いて調製することができる。このような固形剤形では、活性化合物はスクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性な希釈剤と混合されてもよい。このような剤形はまた、通常実務のように、不活性な希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよびマイクロクリスタリンセルロースなどの錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、これらの剤形はまた、緩衝化剤を含んでもよい。それらは、乳白剤を必要に応じて含んでもよく、これらは、腸管のある部分において、必要に応じて遅延させて、活性成分(単数または複数)を単独で、または優先的に放出するような組成物とすることもできる。使用され得る埋め込み組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。
【0522】
本発明の化合物の局所または経皮投与向け剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液剤、噴霧剤、吸入薬またはパッチ剤が含まれる。活性構成成分は、滅菌条件下において、必要となることがある、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の必要な保存剤または緩衝化剤と混合される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本発明の範囲内にあることがやはり企図されている。さらに、本発明は、身体への化合物の制御送達の提供という追加の利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図する。このような剤形は、適切な媒体中に本化合物を溶解または分注することにより作製することができる。吸収促進剤はまた、本化合物が皮膚を通過する流動を増大させるために使用することもできる。速度は、速度制御膜を設けることによるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に本化合物を分散させることによるかのどちらか一方によって、制御することができる。
【0523】
以下の実施例は、例証的目的のためのみに提供され、いかなる方法によっても本発明を制限すると解釈されないものとする。
例証
【0524】
以下の実施例において、ある種の例示的な実施形態で表されているように、化合物は、以下の一般的手順に従い調製される。一般的な方法は本発明のある化合物の合成を表しているが、以下の一般的方法、および当業者に公知の他の方法は、本明細書に記載されている、すべての化合物ならびにこれらの化合物のそれぞれのサブクラスおよび種に適用することができることを認識されたい。
【0525】
本発明のある種の化合物に適用可能な調製の方法は、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれるUS7,354,934、WO00/56729、USSN60/232,891、およびUSSN60/234,510、ならびにAn, H.; Wang, T.; Mohan, V.; Griffey, R. H.; Cook, P. D. Tetrahedron 1998, 54, 3999-4012に開示されている。当業者は、単に所定の実験だけを使用してこのような開示された方法を変化させて、本発明の化合物の調製、試験、および分析の交互の手段を提供することできる。
【実施例】
【0526】
(実施例1)
化合物IIの調製
1.化合物Fの調製
【化47】
出発材料および試薬:
【表1】
不活化したガラスラインニング100L反応器に化合物G(3)を入れ、これに続いてTHF(4)を入れた。滴下漏斗に、BocOのTHF中溶液(1および2)を入れた。温度を15〜20℃の間で保ちながら、BocO溶液を55分間にわたり化合物Gの溶液に加えた。添加中に、高粘度の白色懸濁液が形成された。投入の終わりに、透明な黄色がかった溶液が形成され、後者を20℃で16時間撹拌した。HPLCによると、IPC(「インプロセスコントロール」)用サンプルは、変換>98%を示し、ワークアップを開始した。ジャケット温度50℃および200〜150mbarの真空で、約80%の溶媒(17.5L)を留去した。MCH(5)を透明な黄色の溶液に20℃で加えた。生成物が沈殿し始め、懸濁液を0〜3℃に冷却した。30分間撹拌後、この温度で生成物を濾別し、生成したケーキをMCH(6)で洗浄した。生成物をロータバップで、槽温度50℃および300〜10mbarで乾燥させて、化合物F:白色から黄色がかった固体を、純度93.47%a/aGCおよび収率81.9%で生成した。
2.化合物EおよびDの調製
【化48】
試薬および量:
【表2】
【0527】
不活化したガラスライニング100L反応器に、4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジン(1)および化合物F(2)を入れ、これに続いてEtOH(3)を入れた。透明な黄色の溶液を20℃で18時間撹拌し、IPC用サンプルは、HPLCによると、変換が未だ完了していないことを示した(化合物F:4.51%;4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジン:0.23%)。少量の4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジン(11)を加え、溶液を追加の2.30時間撹拌した。HPLCによると第2のIPCは、過剰の化合物F(4.3%)に関して最小量の変化を示した。4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジン(12)を加え、溶液を20℃で追加の2時間撹拌した(加えた4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジンの量(11+12)は205g(8.6モル%)であった)。HPLCによると、第3のIPCは、4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジンが過剰であった(2.6%)ことを示した。化合物F(13)を加え、溶液を14時間撹拌した。HPLCによると、第4のIPCは、4−クロロ−2,6−ジメチル−3−ニトロピリジンが依然として過剰であった(2.0%)ことを示した。残りの化合物F(14)を加え、反応混合物を4時間撹拌した。懸濁液を滴下漏斗に移し、反応器をMeOH(4)で洗浄した。反応器を洗浄し、乾燥させ、不活化した。Pd/C(5)を入れ、一緒にしたメタノールの溶液を再度反応器に移した。滴下漏斗をMeOH(6)ですすぎ、反応器に移した。反応器を不活化し、混合物を20℃で15時間、1250mbar下で水素添加した(7)。H雰囲気をNで置き換え、HPLCによるとIPC用サンプルは変換の完了を示した。触媒を濾別し、生成した濾液をインライン濾過して、生成物の溶液を得た。フィルターケーキをEtOH(8)で洗浄した。生成物溶液(65L)を反応器に入れ、MeOH/EtOHを50℃のジャケット温度および100mbarで部分的に留去した。40Lの溶媒を留去した後、生成物は結晶化し始めた。EtOAc(9)を懸濁液に20℃で加えた。懸濁液を0℃に冷却し、1時間撹拌し、次いで濾過した。フィルターケーキを氷冷のEtOAc(10)で洗浄し、N下、槽温度50℃および300〜10mbarで乾燥させて、化合物D:白色固体を純度91.67%GCおよび収率87%で生成した。
3.化合物C、B、およびAの調製
【化49】
試薬および量:
【表3】
【0528】
不活化したガラスライニング100L反応器に化合物D(1:4.41kg)を入れ、これに続いてTHF(2)およびNEt(3)を入れた。プロピオン酸無水物(4)を懸濁液に5分間にわたり加えた。顕著な発熱は観察されなかった。添加中、温度を20℃で保持した。白色懸濁液を20℃で16時間撹拌し、HPLCによるとIPC用サンプルは98%までの変換を示した。THF(31L)をジャケット温度55℃および150〜210mbarで留去した。第1の部分のEtOH(5)を加え、さらに溶媒(15L)を留去した。第2の部分のEtOH(6)を加え、さらに15Lの溶媒を留去した。3M NaOH(7)を20〜25℃で加え、透明な黄色がかった溶液を35℃で16時間撹拌した。HPLCによると、IPC用サンプルは93%の変換を示した。35℃で追加の24時間撹拌後、HPLCによると、IPC用サンプルは99.3%の変換を示した。透明な黄色の溶液をTBME(8および9)で2回抽出した。一緒にした有機相をジャケット温度55℃および220mbarで濃縮した。58Lの溶媒の蒸留後、EtOH(10)を加え、追加の15Lの溶媒を留去した。HCl 2M(11)を20〜25℃で20分間にわたり加えた。透明な溶液を1.3時間77〜80℃に加熱した。HPLCによると、IPC用サンプルは変換の完了を示した。EtOH(15L)をジャケット温度55℃および90mbarで留去した。23℃で、混合物をHO(12)で希釈した。NH25%(13)を17〜19℃で20分間にわたり加えた。pHが約10であったので、生成した溶液をCHCl(14および15)で2回抽出した。一緒にした有機相を活性炭(16)と共に、20〜25℃で18時間撹拌した。懸濁液をセライト(17)上で濾過し、フィルターケーキをCHCl(18)で洗浄した。反応器を洗浄し、インライン濾過後、生成物溶液を反応器に移した。溶液をジャケット温度55℃および500〜350mbarで濃縮した。38LのCHClの蒸留後、さらなるCHCl(19)を加えて、共沸の蒸留を確実にした。さらに21Lの蒸留後、TBME(20)を3回に分けて加えた。さらに33Lの蒸留後、追加のTBME(21)を2回に分けて加え、蒸留を継続した。さらに20Lの蒸留後、NMRによると、IPC用サンプルは、TBMEに対してCHCl含有量13モル%を示した。ジャケット温度55℃および320mbarで、TBME(23)を4回に分けて加えた。さらに20Lの蒸留後、NMRによると、IPC用サンプルは、TBMEに対して4モル%のCHCl含有量を示した。白色懸濁液を0℃に冷却し、この温度で60分間撹拌した。混合物を濾過し、フィルターケーキをTBME(22)で洗浄した。生成物を20Lフラスコに移し、45℃(外部温度)および5mbarで乾燥させて、2.364kgの化合物A:無色から黄色の固体を、純度99.3%HPLCおよび収率71%で得た。
4.化合物IIの調製
【化50】
【0529】
化合物Aのジクロロメタン中溶液に、等モルのp−トルエンスルホニルイソシアネートを加える。生成した混合物を室温で3時間撹拌する。溶媒の除去後、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶出するシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィーで残渣を精製して、化合物IIを生成する。調製の例および化合物IIの特徴付けは、その内容がそれ全体において本明細書に組み込まれる、一部の刊行物、例えば、WO2006095268に見出すことができる。
4.1.多形形態Aの調製(米国特許第7,960,407号に記載されている通り)
ステップ1:粗製の非晶質生成物
【0530】
機械撹拌装置、温度計、および2個の滴下漏斗を備えた4口丸底フラスコを水槽に浸す(水槽温度18℃)。フラスコ内で、化合物AおよびトリエチルアミンのCHCl中溶液に、内部温度を28℃未満に維持した滴下漏斗の1つから、イソシアン酸p−トシルをゆっくりと滴下添加する。生成した溶液を室温で撹拌し、次いで、内部温度を22℃未満に維持しながらクエン酸水溶液を滴下添加する。生成した混合物を室温で激しく撹拌し、次いで、NaOH水溶液を滴下添加する。添加完了後、溶液のpH値が5〜5.5であることを確認する。次いで、層を分離し、水層をCHClで再抽出し、有機層を一緒にする。有機層をクエン酸水溶液とNaOH水溶液の混合物で洗浄する。層を分離後、水層をCHClで再抽出し、有機層を一緒にする。生成した有機層にNaSOおよび木炭を加え、混合物を室温で穏やかに撹拌する。混合物を、セライトパッドを介して濾過した後、これを濃縮して、粗生成物を得る。
ステップ2:多形形態Aへの変換およびその精製
【0531】
機械撹拌装置、温度計および還流冷却器を備えた丸底、4口フラスコを水槽に浸す。フラスコ内で、高温の(40℃)アセトンを粗製の化合物IIに加える(ステップ1)。混合物を窒素雰囲気下、50℃で撹拌し、次いで、ゆっくりと室温に冷却する。アセトンを加え、混合物を窒素雰囲気下、室温で撹拌する。紙フィルターを介して結晶を濾過し、アセトンで洗浄し、窒素ガスを流すことにより乾燥させて、表題化合物の結晶を得、これを以下の手順でさらに精製する。
【0532】
機械撹拌装置、温度計および還流冷却器を備えたステンレス3口反応器を水槽に浸す。フラスコ内で、上記化合物のアセトン中混合物(懸濁液)を50℃で撹拌し、次いで室温に冷却する。アリコートを取り出し、結晶を吸引により収集し、HPLC分析用サンプルを調製して結晶の純度を決定する。混合物を窒素雰囲気下、室温で撹拌する。紙フィルターを使用して、結晶を濾別し、アセトンで洗浄し、窒素ガスを流すことにより乾燥させ、減圧下40℃で乾燥させる。生成物を以下の手順でさらに精製する。
【0533】
機械撹拌装置、温度計および還流冷却器を備えた丸底、4口フラスコを水槽に浸す。フラスコ内で、アセトンを上述の結晶に加える。混合物を窒素雰囲気下、50℃で撹拌し、次いで、ゆっくりと室温に冷却する。アリコートを取り出し、結晶を吸引で収集して、HPLC分析用のサンプルを調製して、結晶の純度を決定する。混合物を窒素雰囲気下室温で撹拌する。結晶を、紙フィルターを介して濾過し、アセトンで洗浄し、窒素ガスを流すことにより乾燥させ、減圧下40℃で乾燥させて、表題化合物、多形形態Aを得る。
4.2.プロトコール2(米国特許第7,960,407号に記載されている通り)
【0534】
清潔な、乾燥した3口丸底フラスコに化合物AおよびCHClを入れる。温度を21℃未満に保ちながら、CHClに溶解したイソシアン酸トシルを反応物に加え、撹拌する。HPLCにより反応物が完了したとみなされたら、活性炭を加える。生成したスラリーを、0.5ミクロンフィルターを介して濾過してほこりのない3口丸底フラスコに取り、CHClでフィルターを洗浄する。反応物を撹拌可能な最小容量まで大気濃縮し、内部温度58℃〜62℃が達成されるまで、ほこりのないアセトンによる置換を継続する。反応物を少なくとも30℃に冷却し、化合物II多形形態Aのシードを加える。反応物を20℃〜25℃の間で造粒させる。反応を0℃〜5℃へ冷却し、造粒した後、反応物をほこりのないフィルター上で濾過する。0℃〜5℃に冷却したほこりのないアセトンで2回固体を洗浄する。湿ったケーキをほこりのない3口丸底のフラスコに戻し、ほこりのない酢酸エチルを加える。スラリーを少なくとも75℃に加熱し、しばらくの間保持する。反応物を少なくとも30℃に冷却し、固体をほこりのないフィルター上で濾過する。固体をほこりのない酢酸エチルで洗浄する。湿ったケーキを同じほこりのない3口丸底フラスコに戻し、ほこりのない酢酸エチルを加える。スラリーを少なくとも75℃に加熱し、しばらくの間保持する。反応物を少なくとも30℃に冷却し、固体をほこりのないフィルター上で濾過する。固体をほこりのない酢酸エチルで洗浄する。生成物を45℃〜50℃に乾燥させて、表題生成物、多形形態Aを生成する。
【0535】
上記方法により生成した粒径は、ミリングを必要としない粒径を生成する。単純な手動ふるいプロセスによりあらゆる塊を除去する。0.0278インチ開口を有するほこりのない#25手動ふるいを介して、生成物を手動で篩い分けする。
4.3プロトコール3(米国特許第9,265,756号に記載されている通り)
【0536】
化合物Aの多形形態Aを、1:2ジクロロメタン/アセトン(v/v)中化合物Aの形態Jのスラリーにより25℃で調製する。化合物Aの形態Jは、未確認の量の水を有するジクロロメタン(DCM)溶媒和物である。形態Jの結晶は、化合物Aを2:1ジクロロメタン/n−ヘプタン(2:1)中に沈殿させることにより調製する。調製の実施例は、例えば、その内容がそれ全体において本明細書に組み込まれる米国特許第9,265,756号に見出すことができる。
(実施例2)
メチル誘導体不純物:化合物I−1
【0537】
化合物II生成物において、不純物は分子質量477ダルトンを有することが判明した。これは化合物IIの分子質量より14ダルトン少ない。不純物を単離した。LC−MSおよびNMRを含む分析技術を使用することによりこれは化合物I−1として同定されている。不純物の形成は、化合物IIの合成に使用されているプロピオン酸無水物中の無水酢酸の不純物が原因であり得ると考えられる。化合物I−1の例示的合成は以下のスキーム2に示されている。
スキーム2
【化51】
(実施例3)
プロピル誘導体不純物:化合物I−2
【0538】
不純物は、化合物IIの生成物のHPLC上で、RRT1.06で観察された。LC−MSおよびNMRを含む分析技術を使用して、不純物を化合物I−2と同定した。これは、以下のスキーム3で示されている通り、独立した合成により確認された。
スキーム3
【化52】
【0539】
250mLの3Nフラスコに、化合物1(5.0g、1当量)を入れ、窒素下で撹拌を開始した。THF(50mL、10vol)を入れ、これに続いてトリエチルアミン(5.33mL、3当量)を入れた。反応混合物を氷浴で0〜5℃に冷却した。内部温度を0〜15℃に維持しながら、酪酸無水物(4.2mL、2当量)を30分間にわたり滴下添加した。室温で2時間撹拌し、HPLCでモニターした。反応混合物をロータバップ上で約20mLに濃縮し、200pfエタノール(3×17.5mL)と同時蒸発させた。水酸化ナトリウムの3N溶液(22.5mL)を入れ、反応物を加熱還流(約76℃)させた。還流で8時間保持し、室温に冷却した。HPLCにより反応をモニターした。反応混合物をMTBE(2×35mL)で抽出した。一緒にした有機層を約25mL(5vol)に濃縮した。エタノール(10mL、2vol)で同時蒸着した。反応混合物を2N HCl(20mL)で希釈し、76℃で3時間の還流に設定した。反応をHPLCによりモニターした。反応は完了まで進まなかったので(約25%SMが依然として残留)、6時間の還流後、追加の2N HCl(約5ml)を加え、反応物を追加の13時間還流させながら撹拌した。HPLCによりモニターされた通り、反応が完了した。反応混合物をロータバップ上で約30mLに濃縮し、25mLの水を加え、約30mLへと同時蒸着した。約25mLの50%NaOHを加え、15分間撹拌した。pHは約11であると観察された。反応混合物をDCM(2×25mL)で抽出し、一緒にした有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮した。MTBE(3×25mL)で約20mLへと同時蒸着した。0〜5℃に冷却し、ヘプタン(25ml)で希釈した。0℃で6時間撹拌し、濾過し、ヘプタンで洗浄した。高真空下、30℃で乾燥させた。
【0540】
250mL 3Nフラスコに、化合物2(2.5g、1当量)のブチル誘導体を入れ、窒素下で撹拌を開始した。DCM(37.5mL、15vol)を入れ、内容物を−5〜0℃に冷却した。内部温度0〜5℃を維持しながら、イソシアン酸p−トルエンスルホニル(1.3mL、1当量)を30分間にわたり滴下添加した。−5〜0℃で4時間撹拌し、HPLCでモニターした。反応混合物を5%NaHCO(25mL)でクエンチした。層を分離し、水層をDCM(1×25ml)で抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、ロータバップ上で濃縮した。MTBE(3×10mL)で同時蒸着した。ヘプタンで希釈し、o/n室温で撹拌した。0℃に3時間冷却し、濾過した。フィルターケーキをヘプタンで洗浄し、フィルター上で1時間乾燥させて、化合物I−2を生成した:5g(濃度調節収率:3.05g);収率:74%;HPLC純度:98.1%;qNMRによる濃度:60.9%。
(実施例4)
ダイマー不純物:化合物I−3
【0541】
化合物IIの生成物において、m/z308.18113において主要な二価イオンおよびm/z615.35486においてその対応する一価イオンを示す不純物が発見された。不純物を単離し、LC−MSおよびNMRを含む分析技術を使用することにより、化合物I−3と同定した。不純物の形成は、化合物IIの合成のステップS−7における化合物IIの逆分解が原因となり得ると考えられている。化合物I−3の例示的な合成は以下のスキーム4に示されている。
スキーム4
【化53】
(実施例5)
二重添加不純物:化合物I−4
【0542】
化合物II生成物において、不純物は化合物I−4と同定された。不純物は、反応媒体中に存在する際の、イソシアン酸p−トルエンスルホニルの過剰反応または化合物IIの過剰加熱により、化合物IIの合成のステップS−7において形成され得ると考えられている。化合物I−4の例示的合成は以下のスキーム5に示されている。
スキーム5
【化54】
(実施例6)
分解物:化合物I−5
【0543】
化合物II生成物において、不純物は、MS−MSを含む分析技術を使用することにより化合物I−5と同定された。不純物は、塩基性条件下での化合物IIの分解により形成され得ると考えられている。あらゆる特定の理論に拘束されることなく、分解の機序は以下のスキーム6に示されている。MS−MSは、不純物のm/zは338[M+H]であることを示した。これは、独立した合成で確認された。
スキーム6
【化55】
(実施例7)
分解物:化合物I−6
【0544】
化合物II生成物において、不純物は、LC−MSおよびMS−MSを含む分析技術を使用することにより化合物I−6と同定された。不純物は、酸性条件での化合物IIの光誘起分解により形成され得ると考えられている。MS−MSは、不純物のm/zが506[M+H]であり、これは化合物IIのm/zより14ダルトン重いことを示した。MS−MSはまた、すべての断片ピークは化合物IIのものと同じであったが、14ダルトンの追加はp−トルエンスルホニル部分におけるものであったことを示した。MS−MSスペクトルに基づく、提案されたMS−MS衝突誘起フラグメンテーションが以下のスキーム7に示されている。
スキーム7
【化56】
(実施例8)
分解物:化合物I−7
【0545】
化合物II生成物において、不純物は、LC−MSおよびMS−MSを含む分析技術を使用することにより化合物I−7と同定された。不純物は酸性条件での化合物IIの光誘起分解により形成され得ると考えられている。MS−MSは、不純物のm/zは280[M+H]であることを示した。MS−MSスペクトルに基づく、提案されたMS−MS衝突誘起フラグメンテーションが以下のスキーム8に示されている。
スキーム8
【化57】
(実施例9)
アミド不純物:化合物I−8
【0546】
化合物II生成物において、不純物は化合物I−8と同定された。不純物は、化合物IIの合成のステップS−5において形成され得るものであり、化合物Eの−NHBoc基を−NH基へと脱保護し、これがステップS−4のプロピオン酸無水物と反応したことに起因すると考えられる。化合物I−8の例示的合成が以下のスキーム9に示されている。
スキーム9
【化58】
(実施例10)
メチル誘導体不純物:化合物I−9
【0547】
化合物II生成物は不純物:化合物I−9を含み得る。不純物の形成は、化合物IIの合成に使用されているプロピオン酸無水物中の無水酢酸の不純物に起因し得ると考えられる。化合物I−9の例示的合成は以下のスキーム10に示されている。
スキーム10
【化59】
(実施例11)
プロピル誘導体不純物:化合物I−10
【0548】
化合物II生成物は、不純物:化合物I−10を含み得る。不純物の形成は、化合物IIの合成に使用されているプロピオン酸無水物中の酪酸無水物の不純物に起因し得ると考えられる。化合物I−10の例示的合成は以下のスキーム11に示されている。
スキーム11
【化60】
(実施例12)
分析法
12.1.組成物サンプルを分析するためのHPLC法
【表4】
純度評価のための勾配条件:
【表5】
例示的保持時間:
【表6】
12.2.原薬サンプルの純度を分析するためのHPLC法
【表7】
勾配条件:
【表8】
【0549】
この方法は、その意図する目的を満たすのに適した正確さおよび精度を示し、特異的であり、安定していることが示される。本方法は、0.05%のレベルで、公知の分解生成物、前駆体、および合成不純物をモニタリングすることが可能である。
12.3.ヘッドスペースサンプリングを使用したキャピラリーガスクロマトグラフィー(DMAC方法)
【0550】
キャピラリーGC方法は、残留溶媒を決定するために使用することができる。この方法は確立されており、0.01%のレベルで酢酸エチルおよびアセトニトリルをモニタリングすることが可能である。
ガスクロマトグラフィー条件:
【表9】
ヘッドスペース条件:
【表10】
12.4.水のカールフィッシャー電量滴定法(蒸発法)
【0551】
サンプルの含水量は、電量的に生成したヨウ素を使用するカールフィッシャー滴定法により決定される。エンドポイントに到達するために必要とされるヨウ素の量を、必要とされるヨウ素を生成するために使用される電流により決定する。蒸発方法では、水を電解滴定セルに運ぶ乾燥窒素のスイープ下でサンプルを加熱する。自動滴定装置を使用して水を電気化学的に滴定し、装置が含水量を計算する。
【0552】
装置および試薬:
1.標準的実験装置
2.蒸発炉付きの自動電量測定カールフィッシャー滴定装置、例えば、水蒸発装置(炉)モデルVA−06または同等品を有する、MitsubishiモデルCA−06
3.カソードおよびアノード溶液、例えば、Aquastar Coulomat CおよびCoulomat A、EM Science製
4.チューブの乾燥のための乾燥剤、例えば、マグネシウム過塩素酸塩
5.乾燥窒素
【0553】
手順:
1.製造者の指示書に従い、装置マニュアルに記載されている通り、装置を設定し、これに続いて適切な起動手順(例えば、電源投入前、CA−06の始動、窒素流速度の調節、電極のオン、ボートの調整)または同等の手順を行う。サンプルに対して炉を適切な温度に設定する。
2.公知の含水量を含有する適切な標準物質を使用して性能チェックを行う。装置が許容される精度限界内で含水量を計算するように徹底する。
3.以下の計算に従い適量のサンプルを秤量して、白金ボート(または適切なサンプルホルダー)に入れる:
必要とされるサンプル(ミリグラム)=100mg/理論的%H
4.サンプル重量を記す。(それが適当であれば、重量を滴定装置に入れる。)
5.サンプルを炉に移す(水蒸発装置)。
6.滴定順序を開始し、装置の自動フィーチャーを使用して水蒸気を滴定する。
7.滴定した水のマイクログラム数を記す。(自動の計算を実施した場合、%HOを記す。)
【0554】
計算:
含水量が自動的に計算されない場合、以下の方程式を使用して結果を得る。
【数1】
【0555】
(実施例13:進行したまたは転移性のPD−1/L1後非小細胞肺がん(NSCLC)腺癌を有する患者における、グラピプラン、EP4阻害剤、およびペムブロリズマブ、PD−1チェックポイント阻害剤のフェーズ1b/2実験)
全体的設計:本実験は、最低12週間の間PD−1またはPD−L1チェックポイント阻害剤のいずれかで以前に処置していた、NSCLCと診断された成人患者において、ペムブロリズマブと組み合わせたグラピプランの安全性および効力を評価するための多施設、非盲検、単一アーム、フェーズ1b/2実験である。参加者登録および連続的な安全性評価はmTPIモデルにより指示される。用量の漸増および漸減に対する決定は、参加する実験研究者およびスポンサーで構成される安全性審査委員会(SRB)によりなされる。実験開始時にSRBにより低下されない限り、グラピプラン開始用量は、1日2回300mg(BID)である。用量の漸増および確認は、選択された用量のいずれかで処置した14名の参加者が許容されると判明した後、終了する。連続的な安全性評価フェーズに続いて、全治験サイズ25名までの追加の参加者が登録して効力を評価する。完全奏効(CR)を達成するものを含む参加者は、2年までまたは参加者が臨床的悪化、許容不可能な毒性、または同意撤回を伴う疾患進行を経験するまでグラピプランおよびペムブロリズマブによる処置を受けることができ、これに続いて、これらの実験処置の最後の日から30日および90日後に処置終了追跡診察を行う。
・参加者らはサイクル1、第1日目にグラピプランおよびペムブロリズマブで処置する。
・PKサンプルを実施計画(SoE)に示されている通り採取する。
・腫瘍評価用スキャンは、すべての参加者に対して、最初の3サイクルは処置開始から8週間ごとに(+/−7日)、次いでその後は12週ごとに(+/−7日)および研究者の裁量で評価される。
・参加者は併用処置の間通常の食事を維持するように指導され、食物は、類似のクラスの薬物(COX−2阻害剤)において共通の軽度GI AEを低減することが公知であるため、グラピプランを食物と共に定期的に摂取することが促される。投薬後PKサンプルを採取する場合、朝の食物摂取をその日の薬物投与日誌に記録する。
・強制的腫瘍生検は、サイクル1、第1日目の前におよびサイクル1の終点とサイクル3の終点との間、理想的には同じ腫瘍由来の、反復生検に対して安全とみなされた、10名までの評価可能な参加者のサブセットで収集される。第3の腫瘍生検は、入手が安全であり、スポンサーに相談の上、腫瘍評価について部分奏効を有する生検サブグループ内の任意の参加者において、RECISTv1.1応答記録の1カ月以内に収集される。
【0556】
主な組み入れ基準:
1.組織学的に確認された非小細胞肺がん(NSCLC)腺癌を有する男性および女性の成人患者(インフォームドコンセント署名日に年齢≧18歳)。
2.化学放射線療法が同時進行している、治癒的意図の処置に適していない進行した(ステージIIIb)疾患および転移性(ステージIV)の患者。過去の処置レジメンの数に対する制限はない。
3.患者は、最低12週間の間PD−1またはPD−L1アンタゴニストの投与を受けた後、RECIST v1.1にしたがって臨床的におよび/またはX線検査で進行していなければならない。注釈:免疫療法は、化学療法と共にまたは化学療法なしで付与されていてもよく、任意の系統で使用されていてもよいが、ただし、許容される免疫療法の過去のレジメンは1つ以下とする。
4.現地の研究者/放射線学により評価されたRECIST v1.1に従う測定可能病変を有する。以前に照射された領域に位置する病変は、このような病変において進行が実証された場合、測定可能と考えられる。
5.生検サブグループ(10名の参加者)に対して、複数のコア生検のための気管支鏡、胸腔鏡または経皮的生検(1回の生検当たり最低3通りの経路)を介して安全に到達できる疾患であり、参加者は実験で新しく得た生検からの組織を提供する意志がある。
6.Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0〜1を有する。
7.以下の表Aで定義されているような十分な器官機能を有する。
8.閉経していない女性およびすべての男性については避妊を使用する意志がある。
9.治験に対して文書によるインフォームドコンセントを提供する意志があり、それが可能である。
【表A】
ALT(SGPT)=アラニンアミノトランスフェラーゼ(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ); ANC=好中球絶対数; aPTT=活性化部分的トロンボプラスチン時間; AST(SGOT)=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ); CrCl=クレアチニンクリアランス; GFR=糸球体濾過率; INR=国際正規化比; PT=プロトロンビン時間; ULN=正常上限。
1最近2週間以内に、エリスロポエチン依存なし、および濃縮赤血球(pRBC)輸血なしで基準を満たさなければならない。
2クレアチニンクリアランス(単位:ml/分)はCockcroft-Gault式で予測するものとする。
注釈:この表は、処置を受けるための資格を定義する実験値要件を含む;実験値要件は特定の化学療法の投与に対する地方の規制およびガイドラインに適応させるべきである。
【0557】
主な除外基準:
1.AEの管理のために使用されている、またはさもなければ医学的指導者の認可を得ている場合を除いて、処置開始前の3日以内または実験中のいずれかの時点における、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)の現行の使用。スポンサーと相談した場合を除いて、アスピリン製品は、予防的心血管用量に限定される。
2.公知の上皮成長因子受容体(EGFR)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、またはROS遺伝子変更を有する任意の患者。
3.公知のBRAF遺伝子変異を有する任意の患者。
4.喫煙歴を有さない任意の患者(生涯の煙草の本数≦100本)は、登録前にスポンサーに相談すべきである。
5.PD−1/L1抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴。
6.処置前の4週以内に研究用薬剤を含む過去の全身抗がん療法を受けている。注釈:参加者は、過去の療法によるすべてのAEから≦グレード1またはベースラインまで回復している。≦グレード2ニューロパシーを有する参加者は、スポンサーとの相談後、適格となり得る。
7.実験処置開始の2週間以内に過去の放射線療法を受けている。参加者は、すべての放射線関連の毒性から回復しており、コルチコステロイドを必要とせず、放射線肺炎に罹ったことがないことが必要である。非中枢神経系(CNS)疾患に対する待機的放射線(≦2週間の放射線療法)に対して1週間のウォッシュアウトが許される。
注釈:寛解のみのために許容された病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)を除いて、他の同時進行の抗腫瘍性処置は実験に対して許されない。
注釈:参加者が手術を受けた場合、参加者は、実験処置を開始する前の介入に由来する毒性および/または合併症から完全に回復していなければならない。
8.実験処置の最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けている。
9.強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を服用している参加者は、投薬前の≧5半減期以内に他の薬物に移行することができる場合を除いて、実験から除外される。
10.研究用薬剤の研究に現在参加しているもしくは参加していた、または実験処置の最初の用量前の4週以内に研究用デバイスを使用していた。注釈:研究用実験の追跡フェーズに入った参加者は、過去の研究用薬剤の最終用量から4週間後である場合に限り参加可能である。
11.実験処置の最初の用量前の7日以内に、免疫不全の診断を受けている、または慢性全身ステロイド療法(10mgの一日プレドニゾン当量を超える投薬)または任意の他の形態の免疫抑制療法を受けている。
12.過去3年以内に、進行しているまたは積極的な処置を必要とする、公知の追加の潜在的に命にかかわる悪性疾患を有する。注釈:潜在的に治癒的療法を受けた、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、または上皮内癌(例えば、乳癌、上皮子宮頸がん)を有する参加者は除外されないものとする。
13.公知の活動性CNS転移および/または癌性髄膜炎を有する(臨床的に安定したおよび/または以前に処置した不活性なCNS転移は許容される)。
14.過去2年間の間に全身的処置を必要とする(すなわち、疾患修飾薬、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬物の使用を伴う)活動性自己免疫疾患を有する。補充療法(例えば、副腎不全または下垂体不全に対するチロキシン、インスリン、または生理学的コルチコステロイド補充療法)は全身的処置の形態とは考えられていないので、許容される。自己免疫疾患は、これらに限定されないが、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む。
15.ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴を有する、または現行の肺炎を有する。
16.全身療法を必要とする活動性感染症を有する。
17.最近の(最近12カ月)または現行のGI潰瘍もしくは大腸炎または非免疫性大腸炎。
18.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の公知の病歴を有する。
19.B型肝炎または公知の活動性C型肝炎ウイルス感染症の公知の病歴を有する。
20.臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患:脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月)、心筋梗塞(登録前<6カ月)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類クラスII)、または無制御な心不整脈。
21.処置する研究者の見解により、実験の結果を混乱させ得る、参加者の全実験期間の参加を妨げ得る、または参加者の参加への関心があまりない任意の状態、療法、または検査所見の異常の履歴または現在の証拠を有する。
22.実験の必要条件との協調を妨げる公知の精神障害または物質乱用障害を有する。
23.処置前、妊娠試験が陽性である、妊娠の可能性がある女性(WOCBP)。
24.予測される実験期間内に授乳している、または受胎する、または子供の父親になることが予想される。
【0558】
参加者数:
・米国内のおよそ3〜6の実験センターからおよそ30名の患者がスクリーニングされて、25名の参加者をこの実験に登録する。登録は、実験処置の最初の用量の開始時と定義される。
・最初のサイクル(すなわち、用量制限毒性[DLT]期間)の間にAE以外の理由で処置から離脱した参加者は差し替えられる
【0559】
介入群および期間:
【0560】
1サイクルの処置は3週間ごと(Q3W)と定義される。
・参加者はサイクル1第1日目から開始して、グラピプランとペムブロリズマブの組合せを受ける。
・グラピプランの用量は、BIDで経口投与される300mgである(1日用量は8〜12時間の間隔で、好ましくは食物と共に摂取する)。
・ペムブロリズマブ用量は200mg、IV、Q3Wである。
・用量およびスケジュール調節、コルチコステロイド投与、およびモニタリングプランはプロトコールに記載されている。
・最初のサイクルにおいてDLTを有する参加者は、これらの毒性が改善するまでグラピプランとペムブロリズマブのこれらの両方の用量をそのままにとどめ、スポンサーと相談した場合を除いて、グラピプランのこれらの既存の用量を50mgBIDまたは100mgBIDだけ減少させる。
・最初のサイクル後、治療により発現した、許容できない最初の有害事象(TEAE)を経験した参加者は、これらの毒性が改善するまでグラピプランおよびペムブロリズマブのこれらの用量をそのままにとどめ、これらの既存のグラピプラン用量を50mgBID分だけ減らす。TEAEの性質によっては、グラピプラン投与を投与2週間/休み1週間のスケジュールに切り替えることも研究者により考慮されるものとする。
・グラピプラン用量を150mgBID未満に低減しなければならない任意の参加者は、グラピプラン処置を停止するが、臨床上の利益が実証される場合にはペムブロリズマブを受け続けることができる。
【0561】
5日間またはそれよりも長い間、グレード2またはそれよりも高い消化不良を有する参加者は、研究者の判断で、症状が軽減するまで、グラピプランの用量の2時間後に摂取する経口BIDでのラニチジン75mgを開始することができる。
【0562】
追加の用量調節およびモニタリングプランはプロトコールに記載されている。
【0563】
CRを達成するものを含む参加者は、臨床的悪化、許容不可能な毒性、または同意撤回を伴う疾患進行を経験するまでグラピプランおよびペムブロリズマブの投与を受け、これに続いてこれらの実験処置の最終日から30日および90日後に処置終了追跡診察が行われる。
【0564】
各参加者に対する実験期間は、28日までの実験への組み込みのためのスクリーニング期間、21日ごとに最大35サイクル(2年まで)繰り返される組合せ処置サイクルの過程、ならびに実験処置投与の最終日から30日および90日後の処置終了追跡診察を含むことになる。処置終了から90日目の追跡診察が実験診察の終点と考えられる。
【0565】
すべての参加者に対する用量の漸減は安全性規定が示す任意の時間に行われる(例えば、最初の6名の参加者のうちの4名またはそれよりも多くの参加者がDLTを経験するなど)。すでに登録し、重篤なAEなしに薬物を受けている参加者は、スポンサーと相談後、元の用量レベルで追加の用量を受けることが許されてもよい。
【0566】
予想される登録期間は15カ月である。実験停止日は、すべての参加者が16週の処置を完了した(すなわち、第2の腫瘍評価まで)または実験処置を止めた日付のいずれかと定義される。実験停止日後、実験処置を継続して受ける参加者は観察が続けられ、すべての参加者が実験処置を止めた時点で適当な統計分析(安全性、薬物暴露および活性に対するリスティングまたは表の更新)が実施される。
【0567】
統計的検討事項:
サンプルサイズの決定:併用の副作用プロファイルはペムブロリズマブ単独の場合と類似していると予想される。
【0568】
mTPI設計に対して推奨されるサンプルサイズは、n=k(d+1)である(Ji and Wang, J Clin Oncol. 2013;31(14):1785-91)。8名の被験体に1つの用量レベル(k=8)が投薬され、2つの用量が試験される場合(d=2)、24名の被験体が必要と予測される。1つの用量が試験される場合、n=16の被験体が必要と予測される。選択された用量のいずれかで処置した14名の参加者が受容可能と判明した後で、用量漸増および確認は終了する。連続的な安全性評価フェーズ後、全治験サイズ25名までの追加の被験体を評価して、効力の推定値を確立する。多重度に対する正式な仮説検定または調節は存在しない。
【0569】
一般的な統計手法:安全性パラメーターの記述的分析を、処置した集団全体(少なくとも1つの用量のグラピプランに曝露されたすべての参加者と定義される)に実施する。TEAEの種類、頻度、重症度および関連性をMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)に従い分析する。米国国立癌研究所の有害事象の一般用語基準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)(NCI−CTCAE)v5.0に従い実験の異常を分析する。
【0570】
薬物動態学的分析:グラピプランのPKパラメーターは、用量レベルおよび最終用量からの時間により、記述統計学を使用して要約される。グラピプランの血漿PKは、CmaxおよびAUC PKパラメーターに対して記載される。任意の追加のPK分析は統計分析プラン(SAP)に記載される。
【0571】
集団PKおよび曝露−応答分析:本実験からのデータは、集団PK分析における過去の実験から収集したデータと共に含まれる。PKパラメーターに対する共変量の影響(例えば、体重、年齢、性別、人種、および併用薬)は、必要および適当な場合調査される。
【0572】
追加の探索的PKおよび/または曝露−応答モデリングを、必要に応じてデータに適用することができる。
【0573】
PKおよび/または任意の集団PKの結果または曝露−応答分析は、臨床研究報告とは別に報告されてもよい。
【0574】
効力分析:抗腫瘍効力データは、スクリーニングにおいておよび実験処置中の最低1つの他の時間点において疾患評価を受けた参加者を含む評価可能な奏効集団について記述により提示される。
【0575】
以下の推定値および信頼区間(CI)は、いくつかのシナリオの下でのORR推定値の精度の概説を提供することを意図する。
1/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.04(0.0020、0.1761)である。
2/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.08(0.0144、0.2310)である。
3/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.12(0.0335、0.2817)である。
4/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.16(0.0566、0.3296)である。
5/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.20(0.0823、0.3754)である。
8/25の被験体が奏効した場合、平均(95%CI)は0.32(0.1703、0.5036)である。
【0576】
(実施例14:進行したまたは進行性のマイクロサテライト安定(MSS)直腸結腸がん(CRC)を有する患者における、グラピプラン、EP4阻害剤、およびペムブロリズマブ、PD−1チェックポイント阻害剤のフェーズ1b実験)
全体的設計:本実験は、進行したまたは進行性のMSS CRCを有する成人患者において、ペムブロリズマブと組み合わせたグラピプランの多施設、非盲検、単一アーム、フェーズ1b、安全性、および効力実験である。これは、グラピプランをPD−1抗体(ペムブロリズマブ)と組み合わせた最初の実験であり、したがって、参加者登録および連続的な安全性評価はmTPIモデルにより指示されることになる。併用処置期間は35サイクル(2年まで)からなる。実験はまた、単剤としてのグラピプラン、ならびに以下の併用処置期間にペムブロリズマブと組み合わせたグラピプランの薬力学を評価する目的のための1週間の単剤導入期間を含む。コホート1に登録した参加者は、単剤導入期間中はグラピプランで処置し、コホート1およびコホート2に登録したすべての参加者は、併用処置期間中、グラピプランおよびペムブロリズマブによる処置を受ける。およそ30名の患者に対して本実験のスクリーニングが計画され、コホート1への登録に対して15名までの参加者およびコホート2への登録に対して10名までの参加者が許容される。コホート2への参加者の登録前にコホート1への参加者が登録する。連続的な安全性評価フェーズ後、全治験サイズ25名までの参加者の追加参加者の登録が評価されて、効力の推定値を確立する。
【0577】
単剤導入期間:コホート1
・参加者は、単剤として薬理学的に活性な用量のグラピプランを用いて1週間処置する。グラピプランの開始用量300mgを1日2回(BID)経口投与する。
・参加者は単剤導入期間中は通常の食事を維持するように指導され、食物は、類似のクラスの薬物(COX−2阻害剤)において一般的な軽度GI AEを低減することが公知であるため、グラピプランを食物と共に定期的に摂取することが促される。
・第1日目のグラピプランの最初の用量前にコホート1において反復生検に対して安全とみなされた参加者に対して強制的な処置前腫瘍生検を収集し、単剤導入期間の第5日目と、併用処置期間のサイクル1第1日目のペムブロリズマブの投薬前との間に、理想的には同じ腫瘍から強制的な処置後腫瘍生検を得る。
・PKサンプルは実施計画(SoE)に示されている通り採取する。
【0578】
併用処置期間:コホート1および2
・コホート1および2のすべての参加者は、サイクル1第1日目から開始して、用量の漸減が生じない限り、BIDで経口投与されるグラピプラン開始用量300mg、および3週ごとに(Q3W)IVで200mg投与される固定用量のペムブロリズマブで処置される。
・PKサンプルはSoEに示されている通り採取される。
・コホート2において反復生検に対して安全とみなされた参加者に対して、強制的な処置前腫瘍生検はサイクル1第1日目のいずれかの薬剤の最初の用量を受ける前のスクリーニングの間に収集され、強制的な第2の腫瘍生検は、サイクル1の終点と、サイクル3の終点との間に、理想的には同じ腫瘍から収集される。第3の腫瘍生検は、生検がすでに奏効から1カ月以内に得られている、またはさもなければ医学的指導者と相談した場合を除いて、固形腫瘍における応答評価基準バージョン1.1(RECISTv1.1)応答記録の1カ月以内に、腫瘍評価に対して部分奏効(PR)を有する任意の参加者に対して収集される。
・腫瘍評価のためのスキャンは、すべての参加者(コホート1および2)に対して処置開始から最初の3サイクルの間は、8週ごとに(+/−7日)、次いでその後は12週ごとに(+/−7日)、および研究者の裁量により評価される。
・参加者は併用処置の間通常の食事を維持するように指導され、食物は、類似のクラスの薬物(COX−2阻害剤)において一般的な軽度GI AEを低減することが公知であるため、グラピプランを食物と共に定期的に摂取することが促される。投薬後PKサンプルを採取する場合、朝の食物摂取をその日の薬物投与日誌に記録する。
【0579】
主な組み入れ基準:
1.組織学的に確認された進行した、転移性、または進行性のCRC(MSSである)を有する男性および女性の成人患者(インフォームドコンセント署名日に年齢≧18歳)。マイクロサテライト安定性は、施設標準による、過去のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、Next−Gen配列決定、または免疫組織化学の結果に基づく。
2.患者は、進行したまたは転移性のCRCに対して少なくとも2回の過去の系統の療法を受け、このうち少なくとも1回がフルオロウラシルを含んだ。補助療法は、進行がその完了の6カ月以内に生じた場合のみ、1系統の療法とカウントされる。過去の処置レジメンの数に対する制限はない。
3.現地の研究者/放射線学により評価されたRECIST v1.1に従う測定可能病変を有する。以前に照射された領域に位置する病変は、このような病変において進行が実証された場合、測定可能と考えられる。
4.複数のコア生検に対して、安全に到達できる到達可能な腫瘍であり、患者は処置前および処置中に新しく得た生検からの組織を提供する意志がある。
5.Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0〜1を有する。
6.上記表Aで定義されているような十分な器官機能を有する。
7.経口錠剤を嚥下および吸収することができる。
8.閉経していない女性およびすべての男性については避妊を使用する意志がある。
9.治験に対して文書によるインフォームドコンセントを提供する意志があり、それが可能である。
【0580】
主な除外基準:
1.抗PD−1、抗PD−L1、または抗PD−L2薬剤を用いた、または別の刺激性もしくは共阻害性T−細胞受容体(例えば、CTLA−4、OX40、CD137)を対象とする薬剤を用いた過去の療法を受けた。
2.AEの管理のために使用した、またはさもなければスポンサーによる承認を受けた場合を除いて、処置開始前の3日以内または実験のいずれかの時点における、NSAID(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)の現行の使用。スポンサーと相談した場合を除いて、アスピリン製品は、予防的心血管用量に限定されるべきである。
3.キメラ抗体またはヒト化抗体に対する重篤な過敏性反応の病歴。
4.処置前の4週以内、または5半減期以内のどちらか短い方に、研究用薬剤を含む、過去の全身抗がん療法を受けた。参加者は、過去の療法によるすべてのAEから、≦グレード1またはベースラインまで回復していなければならない。≦グレード2ニューロパシーを有する参加者はスポンサーと相談後、適格になり得る。参加者が大手術を受けた場合、この参加者は実験処置の開始前に、介入に由来する毒性および/または合併症から完全に回復していなければならない。
5.実験処置開始の2週間以内に過去の放射線療法を受けている。参加者は、すべての放射線関連の毒性から回復しており、コルチコステロイドを必要とせず、放射線肺炎に罹ったことがない。非中枢神経系(CNS)疾患に対する待機的放射線(≦2週間の放射線療法)に対して、1週間のウォッシュアウトが許される。寛解のみのために許容された病変の局所的放射線(処置後の非標的病変と考えられる)を除いて、他の同時進行の抗腫瘍性処置は実験に対して許されない。
6.実験薬物の最初の用量前の30日以内に生ワクチンを受けている。
7.強力なCYP3A4またはP−糖タンパク質阻害剤もしくは誘導剤を服用している参加者は、投薬前の≧5半減期以内に他の薬物に移行することができる場合を除いて、実験から除外される。
8.研究用薬剤の研究に現在参加しているもしくは参加していた、または実験処置の最初の用量前の4週以内に研究用デバイスを使用していた。研究用実験の追跡フェーズに入った参加者は、過去の研究用薬剤の最終用量から4週間後である場合に限り参加可能である。
9.実験薬物の最初の用量前の7日以内に、免疫不全の診断を受けている、または慢性全身ステロイド療法(10mgの一日プレドニゾン当量を超える投薬)または任意の他の形態の免疫抑制療法を受けている。
10.過去3年以内に、進行しているまたは積極的な処置を必要とする、公知の追加の潜在的に命にかかわる悪性疾患を有する。潜在的に治癒的療法を受けた、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、または上皮内癌(例えば、乳癌、上皮子宮頸がん)を有する参加者は除外されないものとする。
11.公知の活動性CNS転移および/または癌性髄膜炎を有する。脳転移を以前に処置した参加者は参加できるが、ただし、この参加者は放射線学的に安定している、すなわち、反復画像化により少なくとも4週間の間進行の証拠がなく(反復画像化は、実験スクリーニング中に実施されるべきであることに注目されたい)、および/または臨床的に安定しており、実験処置の最初の用量前の少なくとも14日間の期間、ステロイド処置の必要がないものとする。
12.過去2年間の間に全身的処置を必要とする(すなわち、疾患修飾薬、コルチコステロイドまたは免疫抑制薬物の使用を伴う)活動性自己免疫疾患を有する。補充療法(例えば、副腎不全または下垂体不全に対するチロキシン、インスリン、または生理学的コルチコステロイド補充療法)は全身的処置の形態とは考えられていないので、許容される。自己免疫疾患は、これらに限定されないが、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む。
13.ステロイドを必要とする(非感染性)肺炎の病歴を有する、または現行の肺炎を有する。
14.全身療法を必要とする活動性感染症を有する。
15.最近の(最近12カ月以内)または現行のGI潰瘍もしくは非免疫大腸炎。
16.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の公知の病歴を有する。
17.B型肝炎または公知の活動性C型肝炎ウイルス感染症の公知の病歴を有する。
18.臨床的に有意な(すなわち、活動性)心血管疾患:脳血管系障害/脳卒中(登録前<6カ月)、心筋梗塞(登録前<6カ月)、不安定狭心症、うっ血性心不全(≧ニューヨーク心臓協会心機能分類クラスII)、または無制御な心不整脈。
19.処置する研究者の見解により、実験の結果を混乱させ得る、参加者の全実験期間の参加を妨げ得る、または参加者の参加への関心があまりない任意の状態、療法、または検査所見の異常の履歴または現在の証拠を有する。
20.実験の必要条件との協調を妨げる公知の精神障害または物質乱用障害を有する。
21.処置前、妊娠試験が陽性である、妊娠の可能性がある女性(WOCBP)。
22.予測される実験期間内に授乳している、または受胎する、または子供の父親になることが予想される。
【0581】
参加者数:米国内のおよそ3〜5の実験センターからおよそ30名の患者がスクリーニングされて、25名の参加者をこの実験に登録する(コホート1に15名の参加者およびコホート2に10名の参加者)。登録は実験薬物の最初の用量の開始時と定義される。単一薬剤導入(コホート1)の間または併用の最初のサイクル(すなわち、用量制限毒性[DLT]期間)の間にAE以外の理由で処置から離脱した参加者は差し替えられる。
【0582】
処置群および期間:
【0583】
1サイクルの処置はQ3Wと定義される。
【0584】
ペムブロリズマブ用量は200mg、IV、Q3Wとする。
・用量およびスケジュール調節、コルチコステロイド投与、およびモニタリングプランはプロトコールに記載されている。
【0585】
グラピプランの用量は、BIDで経口投与される300mgである(1日用量は8〜12時間の間隔で、好ましくは食物と共に摂取する)。
・最初のサイクルにおいてDLTを有する参加者は、これらの毒性が改善するまでこれらの用量をそのままにとどめ、スポンサーと相談した場合を除いて、これらの既存の用量を50mgBIDまたは100mgBIDだけ減少させる。
・最初のサイクル後、治療により発現した、許容できない最初の有害事象(TEAE)を経験した参加者は、これらの毒性が改善するまでこれらの用量をそのままにとどめ、これらの既存の用量を50mgBID分だけ減らす。TEAEの性質によっては、グラピプラン投与を投与2週間/休み1週間のスケジュールに切り替えることも研究者により考慮されるものとする。
・グラピプラン用量を150mgBID未満に低減しなければならない任意の参加者は、グラピプラン処置を停止するが、臨床上の利益が実証される場合にはペムブロリズマブを受け続けることができる。
【0586】
5日間またはそれよりも長い間、グレード2またはそれよりも高い消化不良を有する参加者は、研究者の判断で、腹部の不快感が軽減するまで、グラピプランの用量の2時間後に摂取する経口BIDでのラニチジン75mgを開始することができる。
【0587】
追加の用量調節およびモニタリングプランはプロトコールに記載されている。
【0588】
完全奏効(CR)を達成するものを含む参加者は、2年までまたは参加者が、疾患進行、許容不可能な毒性、または同意撤回を経験するまでグラピプランおよびペムブロリズマブによる処置を受けることができ、これに続いてこれらの実験薬物の最終日から30日および90日後に処置終了追跡診察が行われる。
【0589】
各参加者に対する実験期間は、28日までの実験への組み込みのためのスクリーニング期間、7日間の単剤導入(コホート1に対してのみ)、21日ごと繰り返される併用処置サイクルの過程、ならびに最終実験薬物投与から30日および90日後のすべての参加者に対する処置終了追跡診察を含むことになる。参加者は、最大35サイクル(2年まで)実験薬物を受け続けることができる。
【0590】
すべての参加者に対する用量漸減は、安全性規定が示す任意の時間に行われる(例えば、最初の5名の参加者のうちの3名またはそれよりも多くの参加者がDLTを経験するなど)。すでに登録し、重篤なAEなしに薬物を受けている参加者は、スポンサーと相談後、元の用量レベルで追加の用量を受けることが許されてもよい。
【0591】
予想される登録期間は10カ月である。実験停止日は、すべての参加者が16週の処置を完了した(すなわち、第2の腫瘍評価まで)または実験薬物を止めた日付のいずれかと定義される。実験停止日後、実験薬物を継続して受ける参加者は観察が続けられ、すべての参加者が実験薬物を止めた時点で適当な統計分析(安全性、薬物暴露および活性に対するリスティングまたは表の更新)を実施する。
【0592】
統計的検討事項:
【0593】
サンプルサイズの決定:併用の副作用プロファイルはペムブロリズマブ単独の場合と類似していると予想される。
【0594】
mTPI設計に対して推奨されるサンプルサイズは、n=k(d+1)である(Ji and Wang, J Clin Oncol. 2013;31(14):1785-91)。8名の被験体に1つの用量レベル(k=8)が投薬され、2つの用量が試験される場合(d=2)、24名の被験体が必要と予測される。1つの用量が試験される場合、n=16名の被験体が必要と予測される。連続的な安全性評価フェーズ後、全治験サイズ25名までの追加の被験体を評価して、効力の推定値を確立する。多重度に対する正式な仮説検定または調節は存在しない。
【0595】
一般的な統計手法:安全性パラメーターの記述的分析を、処置した集団全体(少なくとも1つの用量のグラピプランに曝露されたすべての参加者と定義される)に実施する。具体的には、両方の実験コホートをプールし、コホートごとの分析は実施しない。TEAEの種類、頻度、重症度および関連性をMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)に従い分析する。米国国立癌研究所の有害事象の一般用語基準(NCI−CTCAE)v5.0に従い実験の異常を分析する。
【0596】
薬物動態学的分析:グラピプランのPKパラメーターは、用量レベルおよび最終用量からの時間により、記述統計学を使用して要約される。グラピプランの血漿PKは、CmaxおよびAUC PKパラメーターに対して記載される。任意の追加のPK分析は統計分析プラン(SAP)に記載される。
【0597】
集団PKおよび曝露−応答分析:本実験からのデータは、集団PK分析における過去の実験から収集したデータと共に含まれる。PKパラメーターに対する共変量の影響(例えば、体重、年齢、性別、人種、および併用薬)は、必要および適当な場合調査される。
【0598】
追加の探索的PKおよび/または曝露−応答モデリングを、必要に応じてデータに適用することができる。
【0599】
PKおよび/または任意の集団PKの結果または曝露−応答分析は、臨床研究報告とは別に報告されてもよい。
【0600】
効力分析:抗腫瘍効力データは、スクリーニングにおいておよび実験処置中の最低1つの他の時間点において疾患評価を受けた参加者を含む評価可能な奏効集団について記述により提示される。
【0601】
スポンサーの裁量で将来の治験計画を可能にするための非公式の中間分析が行われ、データは、用量発見の決定を可能にする継続ベースで検討される。
【0602】
(実施例15:CT−26結腸腺癌マウスモデルにおける化合物Xの抗腫瘍活性)
化合物Xは、EP4受容体選択的アンタゴニストであり(例えば、US7,238,714を参照されたい)、以下の式:
【化61】
またはその薬学的に受容可能な塩を有する。
【0603】
BALB/cマウスで成長させたCT−26マウス結腸腺癌モデルにおいて、単剤としてのおよびマウス抗PD−1抗体と組み合わせた化合物Xの抗腫瘍活性を評価した。マウスは、右の側腹部に、5×10個の腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均サイズ71mm(腫瘍細胞接種から6日後)に到達した時点で投薬を開始した。それぞれ10匹のマウスを含む8つの別個のコホートにおける投薬レジメンは以下の通りである:
【表11】
【0604】
投薬期間中、15mg/kg1日1回(QD)およびBIDで投薬した化合物Xにより処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、ビヒクル処置したマウスととりわけ異なることはなかった(図1)。処置期間中、抗PD−1と組み合わせて15mg/kgQDおよびBIDで投薬した化合物Xにより処置したマウスにおける腫瘍成長動態もまた単剤抗PD−1で処置したマウスととりわけ異なることはなかった。各投薬レジメンは、処置期間中および処置を中止した後、各コホートの体重の平均増加により示されている通り、マウスに許容されるものであった。
【0605】
処置を中止した後、抗PD−1と組み合わせて15mg/kgBIDでの化合物Xにより処置したマウスは、抗PD−1と比べて成長動態の低減(図1)および生存の改善(図2)を実証した。腫瘍接種後99日間マウスを継続してモニターした後、10匹のうち5匹のマウスが依然生存していた(4匹は腫瘍なし)のに対して、抗PD−1を単剤として処置した10匹では1匹のマウスのみが、化合物Xでは10匹のうち1匹のマウスが依然生存し、腫瘍がなかった。これらのデータは抗PD−1と組み合わせた場合、化合物Xは、改善された長期的な抗腫瘍応答をもたらすことを示している。
【0606】
CT26腫瘍細胞を6匹の腫瘍ナイーブマウス、または以前化合物Xおよび抗PD−1単独もしくはそれらの組合せで処置したCT26腫瘍保持マウスの完全奏効マウスに接種した。データは、完全奏効を有するマウスは、ナイーブマウスと比べて、CT26の成長を低減したことを示しており、これは、治癒したマウスにワクチン効果があったことを示唆している。
【0607】
単剤として用いた、およびマウス抗PD1抗体と組み合わせた化合物Xの抗腫瘍活性を追加の実験において、BALB/cマウスで成長させたCT−26マウス結腸腺癌モデルにおいて評価した。マウスは、右の側腹部に、5×10個の腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均サイズ91mmに到達した時点で、投薬を開始した。7匹のマウスをそれぞれ含む4つの別個のコホートの投薬レジメンは以下の通りである:
【表12】
【0608】
投薬期間中、15mg/kg1日2回(BID)で投薬した化合物Xおよび抗PD1で処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、ビヒクル群のものよりも低かった(図5)。抗PD1と組み合わせて15mg/kg、BIDで投薬した化合物Xにより処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、いずれかの単剤で処置したマウスより低かった。各投薬レジメンは、処置期間中、各コホートの体重の平均増加により示されている通り、マウスに許容されるものであった。
【0609】
(実施例16:4T1乳がんマウスモデルにおける化合物Xの抗腫瘍活性)
単剤として用いたおよびマウス抗CTLA4抗体と組み合わせた化合物X(上記の実施例15に記載される通りの化合物)の抗腫瘍活性を、BALB/cマウスで成長させた4T1マウス乳がんモデルにおいて評価した。マウスは、右の側腹部に3×10個の腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均サイズ100mmに到達した時点で(腫瘍細胞接種から7日後)投薬を開始した。
【0610】
投薬期間中、15mg/kg、BIDで投薬した化合物Xおよび抗CTLA4で処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、ビヒクル処置したマウスと比べて低減した(図3)。さらに、化合物Xおよび抗CTLA4を組み合わせて処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、いずれかの薬剤が単独で投薬された場合と比べて低減した。各投薬レジメンは、処置期間中および処置を中止した後、各コホートの体重の平均増加により示されている通り、マウスに許容されるものであった。
【0611】
処置を中止した後、抗CTLA4と組み合わせて15mg/kgBIDでの化合物Xにより処置したマウスは、いずれかの単剤単独の場合と比べて改善された生存率を実証した(図4)。例えば、腫瘍接種後47日間マウスを継続してモニターした後、組み合わせて処置した10匹のうち7匹のマウスは依然生存したのに対して、いずれかの単剤を単独で用いて処置したマウスのうち、腫瘍接種の47日後に生存していたマウスはいない。組み合わせて処置した10匹のマウスのうちの3匹は腫瘍接種から55日後の実験終了時にまだ生存していた。これらのデータは、化合物Xおよび抗CTLA4の併用は、いずれかの薬剤単独の場合と比べて改善された抗腫瘍応答をもたらすことを示唆している。
【0612】
単剤として用いた、およびマウス抗PD1抗体と組み合わせた化合物Xの抗腫瘍活性を、追加の実験において、BALB/cマウスで成長させた4T1マウス乳がんモデルにおいて評価した。マウスは、右の側腹部に3×10個の腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均サイズ97mmに到達した時点で、投薬を開始した。7匹のマウスそれぞれを含む4つの別個のコホートの投薬レジメンは以下の通りである:
【表13】
【0613】
投薬期間中、15mg/kg1日2回(BID)で投薬した化合物Xにより処置したマウスの腫瘍成長動態は、ビヒクル群および単独で投薬した抗PD1のものより低かった(図6)。抗PD1と組み合わせて、15mg/kgBIDで投薬した化合物Xにより処置したマウスにおける腫瘍成長動態は、いずれかの単剤で処置したマウスにおけるものより低かった。各投薬レジメンは、処置期間中、各コホートの体重の平均増加により示されている通り、マウスに許容されるものであった。
【0614】
(実施例17:CT−26結腸腺癌マウスモデルにおける免疫細胞組成に対する化合物Xの影響)
単剤として用いたおよびマウス抗PD1抗体と組み合わせた化合物X(上記の実施例15に記載される通りの化合物)の免疫細胞組成をBALB/cマウスで成長させたCT−26マウス結腸腺癌モデルにおいて評価した。マウスは、右の側腹部に、5×10個の腫瘍細胞を皮下接種した。腫瘍が平均サイズ85mmに到達した時点で、投薬を開始した。10匹のマウスをそれぞれ含む4つの別個のコホートの投薬レジメンは以下の通り列挙される:
【表14】
【0615】
動物に7日間投薬した後、腫瘍を切除し、これを使用して単一細胞懸濁物を調製した。腫瘍および免疫細胞を表す生細胞を、異なる蛍光タグにコンジュゲートした複数の免疫細胞マーカー(抗CD45、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD25、抗FoxP3、抗PD−1、抗CD11c)を標的とする抗体カクテルで染色した。染色した細胞を4%パラホルムアルデヒド中に固定し、マルチカラーフローサイトメーター(Fortessa)を使用して定量化した。データをFloJoソフトウエアで分析した。
【0616】
化合物X、抗PD−1および2種の薬剤の組合せは、制御性T細胞(CD45、CD4、FoxP3、CD25陽性)の有意な低減をもたらした(図7a)。単独でおよび抗PD−1と共に投薬した化合物Xは、樹状細胞(CD45、CD11c陽性)のパーセンテージの増加をもたらしたのに対して、抗PD−1単独では増加を生じなかった(図7b)。化合物Xの抗PD−1との組合せはまた、CD25の発現を評価することにより、活性化T細胞(CD45、CD3、CD8)のパーセンテージの増加をもたらしたが、単独で投薬したいずれの薬剤も増加をもたらすことはなかった(図7c)。CD25のパーセンテージは、PD−1のレベルが増加したT細胞においてより高かった(図7d)。総合的に、これらの知見は、単独で用いたおよび抗PD−1抗体と組み合わせた化合物Xは、CT−26腫瘍の免疫細胞組成を変化させ、炎症促進性の表現型の増加を示すことを実証している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】