【実施例】
【0140】
(実施例1)
式(I-0)の化合物の調製
化合物7a〜c
【0141】
【化23】
【0142】
アルゴン雰囲気下で、アミンR-NH
2(1当量)及び触媒量のDMAPを、まず乾燥ジクロロメタン中に溶解させ、新たに蒸留したトリエチルアミン(1.1当量)で処理した。10分後、反応混合物を0℃に冷却し、新たに蒸留した塩化クロロアセチル(1.1当量)を滴下により添加した。反応混合物を次いで終夜室温で撹拌した。粗製物を1M HCl
(aq)で数回洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、エバポレーションすることで、純粋な生成物が定量的収量で得られた。
【0143】
【化24】
【0144】
1H (CDCl
3) δ (ppm): 8.32 (s, 1H, (NH)), 7.48 (d, 2H, J = 8Hz), 7.27 (t, 2H, J = 8Hz), 7.09 (t, 1H, J = 6 Hz), 4.12 (s, 2H).
13C: 164.05, 136.77, 129.13 (2xC), 125.24, 120.21 (2xC), 42.97
収量:定量的
【0145】
【化25】
【0146】
1H (DMSO) δ (ppm): 13.35 (s, 1H) , 10.00 (s, 1H), 7.92 (t, 1H, J= 2H), 7.30 (t, 2H, J = 8 Hz), 7.22 (t, 1H, J = 8 Hz), 4.25 (s, 2H), 2.04 (s, 3H).
収量:定量的
【0147】
【化26】
【0148】
1H (CDCl
3) δ (ppm): 6.43 (s, 1H (NH)), 3.98 (s, 2H), 3.72 ( m, 1H), 1.85 (d, 2H, 11 Hz), 1.66 (dd, 2H, J = 13 Hz, J = 2 Hz), 1.56 (m , 1H), 1.31 (m, 2H), 1.14 (m, 3H).
13C: 169.01, 165.19, 48.77, 42.69, 32.74, 25.39, 24.69 (2C)
収量:定量的
【0149】
化合物8: 3-アミノ-8-ヒドロキシ-1-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0150】
【化27】
【0151】
200mgのアロエサポナリン(4.0.10
-5mol)、75mgのクロロアセトアミド(9.5×10
-5mol、2.4当量)、260mgの炭酸セシウム(1.9.10
-4mol、5当量)、及び触媒量のKIを、30mLの無水DMF中にて90℃で1時間の間加熱した。アルキル化誘導体への低い変換率が観察された。反応混合物を140℃に終夜加熱した。出発材料及びアルキル化誘導体(痕跡量)とともに、化合物8を単離した(57mg)。収率=27%。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 7.66 (d, 1H), 7.5 (t, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.18 (d, 1H), 6.66 (d, 1H), 4.32 (s, 1H), 2.71 (s, 1H).
13C NMR δ (ppm): 188.42, 166.75, 160.92, 159.48, 150.18, 142.0, 140.5, 129.4, 125.8, 123.2, 115.6, 101.0, 29.25.
GC-MS:rt = 12.60分 - m/z (IE) = 253.
【0152】
化合物9: 3-アニリノ-8-ヒドロキシ-1-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0153】
【化28】
【0154】
50mgのアロエサポナリン、66mgの化合物7a(2当量)、319mgのCs
2CO
3(5当量)、触媒量のKIを、90℃に10mLのDMF中にて1時間の間加熱した。次いで、反応混合物を16時間の間加熱還流した。抽出(AcOEt/H
2O)、及びフラッシュクロマトグラフィーを用いる精製で、化合物9が得られた。収率=32%。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 13.21 (1H, s), 7.67 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 0.75 Hz, 1H), 7.49 (t, J= 7.7 Hz, 1 H), 7.34 (t, J = 7Hz, 2H), 7.18 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 7.11 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 0.5 Hz, 1H), 2.71 (s, 3H).
13C NMR δ (ppm): 184.0, 183.12, 162.92, 147.7, 139.20, 135.0, 134.4, 130.3, 129.9, 125.1, 122.9, 121.6,118.9, 117.3, 24.5.
【0155】
化合物10: 3,8-ジアニリノ-1-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0156】
【化29】
【0157】
100mgのアロエサポナリン、120mgの化合物7a(4当量)、640mgのCs
2CO
3(5当量)及び触媒量のKIを、90℃に10mLのDMF中にて1時間の間加熱した。次いで、反応混合物を16時間の間加熱還流した。抽出(AcOEt/H
2O)、及びフラッシュクロマトグラフィーを用いる精製で、化合物10が得られた。収率=16%。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 7.66 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.57 (dd J = 6.7Hz, 1Hz, 1H), 7.46 (dd, J = 6.7Hz, 1Hz, 1H), 7.36-7.30 (m, 5H), 7.25 (dd, J = 9.4 Hz, 2Hz), 7.17 (dd J = 6.7Hz, 1Hz, 1H), 7.12-7.04 (m, 2.38), 7.0 (dd, J= 2.6, 0.5 Hz, 1H), 2.74 (s, 3H).
13C δ (ppm): 187.38, 184.45 148.42, 147.45, 144.34, 140.12, 140.05, 136.44, 134.35, 134.28, 133.52, 129.69, 129.50, 129.32 124.45, 123.88, 123.77, 122.91, 121.16, 120.35, 119.83, 117.06, 111.0, 72.58, 61.72, 60.42, 29.71, 24.37.
【0158】
化合物11: N-(3-((6-(3-アセトアミドアニリノ)-8-メチル-9,10-ジオキソ-1-アントリル)アミノ)フェニル)アセトアミド
【0159】
【化30】
【0160】
200mgのアロエサポナリン、890mgの化合物7b(5当量)、1.20gのCs
2CO
3(5当量)及び触媒量のKIを、90℃に10mLのDMF中にて1時間の間加熱した。次いで、反応混合物を16時間の間加熱還流した。抽出(AcOEt/H
2O)、及びフラッシュクロマトグラフィーを用いる精製で、化合物11が得られた。収率=64%。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ (ppm): 11.34 (NH, d, J = 1.5 Hz), 10.02 (2xNH, dd, J
1 = 6Hz, J
2 = 1.5 Hz), 9.21 (NH, d, J = 1.5 Hz), 7.69 ( 1H, s), 7.66 (2H d, J = 2Hz), 7.59 (2H, s), 7.55 (1H, m), 7.32 ( 2 H, t, J = 8.5 Hz), 7.23 (2H, t; J = 6 Hz), 7.01 ( 1H, d, J = 3.5 Hz), 6.91 (1H, d, J=3.5 Hz), 2.70 (3H, s),2.05 ( 3H, s), 2.04 (3H, s).
MS : m/z = 517.
【0161】
化合物12: 3,8-ビス(シクロヘキシルアミノ)-1-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0162】
【化31】
【0163】
200mgのアロエサポナリン、688mgの化合物7c(5当量)、640mgのCs
2CO
3(5当量)及び触媒量のKIを、90℃に10mLのDMF中にて1時間の間加熱した。次いで、反応混合物を16時間の間加熱還流した。抽出(AcOEt/H
2O)、及びフラッシュクロマトグラフィーを用いる精製で、化合物12が4%の収率で得られた。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ (ppm): 9.70 (1H, d, J = 4Hz), 7.38 (1H, td, J
1 = 7 Hz, J
2= 1.5 Hz), 7.34 (1H, t, J = 8Hz), 6.96 (1H, d, J = 8 Hz), 6.51 (d, 1H, J = 1.5 Hz), 2.69 (3 H, s), 2.06-1.90 (6 H), 1.80-166 (m, 6H), 1.42-1.29 (m, 12H), 1.27-1.12 (m, 6H).
【0164】
化合物14:(6-アニリノ-8-メチル-9,10-ジオキソ-1-アントリル)-4-メチルベンゼンスルホネート
【0165】
【化32】
【0166】
化合物14の調製を下記に例示する。
【0167】
【化33】
【0168】
0.1gのアロエサポナリン、(3.9.10
-4mol)、187mgの塩化トシル(9.8.10
-4mol、2.5当量)、280μLのトリエチルアミン(2.0.10
-3、5当量)を、終夜3mLのアセトニトリル中にて還流させた。溶媒を減圧下で除去し、粗製物をAcOEt中に可溶化し、1M HCl/NaCl溶液で数回洗浄した。フラッシュクロマトグラフィーにより、化合物13を55%の収率で単離することができた。
【0169】
225mgの化合物13(4.0.10
-4mol、1当量)を120℃で終夜5mLの1/1のDMSO/アニリン混合物中にて加熱した。結果として生じたスラリーを酢酸エチルで抽出し、HCl及びNaCl溶液で数回洗浄し、フラッシュクロマトグラフィーによって精製することで、化合物14が88%の収率で得られた。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ (ppm): 10.99 (s, 1 H), 7.79 (d, J = 9 Hz, 2H) 7.57 (d, J= 0.5 Hz), 7.52 (d, J = 25 Hz, 1 H), 7.46 (d, J = 9Hz, 2H), 7.42 (d, J= 0.5 Hz, 1H), 7.38 (d, 7Hz, 2H), 7.16 (t, J= 7.8 Hz, 1H), 6.93 (t, J= 11.5 Hz, 2H), 6.48 (d, 8.72 Hz, 2 H), 6.41 (t J= 9 H, 1H).
13C NMR δ (ppm): 188.2 183.51, 152.81, 148.87, 147.00, 145.14, 139.70, 137.40, 135.91, 134.01, 132.11, 131.67, 130.95, 129.29, 128.80, 124.81, 123.80, 121.14, 117.95, 117.76, 116.06, 115.72, 114.27, 25.61, 24.06.
【0170】
化合物15: 3,8-ビス(シクロヘキシルアミノ)-1-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸
【0171】
【化34】
【0172】
マイクロ波バイアルに、化合物13(30mg、0.049mmol)、シクロヘキシルアミン(3.2mL、27.7mmol、800当量)及び湿ったDMSO(2mL)を投入した。混合物を100℃で1時間の間マイクロ波放射下にて撹拌した後に、それを周囲温度に到達させた。混合物を1M HCl溶液でクエンチし、Et
2Oで抽出した。合わせた有機層をNaClの飽和溶液で洗浄し、無水MgSO
4で脱水し、真空中で濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン/AcOEt、80:20から50/50)によって精製することで、化合物15が赤色の固体として得られた(13mg、81%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 10.86 (s, 1H), 9.65 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.26 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.6, 7.3 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.34 (dd, J = 7.3, 1.0 Hz, 1H), 7.30 - 7.23 (m, 1H), 3.84 - 3.68 (m, 1H), 3.67 - 2.54 (m, 1H), 2.62 (s, 3H), 2.03 - 1.94 (m, 2H), 1.84 (m, 2H), 1.72 (m, 4H), 1.59 (m, 2H), 1.50 - 1.02 (m, 10H).
13C NMR (101 MHz, DMSO-d
6) δ 186.6, 183.3, 165.1, 157.4, 149.9, 140.1, 134.8, 134.5, 134.3, 133.5, 124.5, 119.2, 113.9, 113.2, 110.9, 49.8, 47.8, 32.4, 32.2, 25.2, 24.6, 24.1, 19.4
MS (ESI-) 459.38 (ESI+) 462.19
【0173】
化合物16: 3,8-ビス(ブチルアミノ)-1-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸
【0174】
【化35】
【0175】
マイクロ波バイアルに、化合物13(30mg、0.049mmol)、ブチルアミン(3.9mL、39.6mmol、800当量)及びウェットなDMSO(2mL)を投入した。混合物を100℃で1時間の間マイクロ波放射下にて撹拌した後に、それを周囲温度に到達させた。混合物を1M HCl溶液でクエンチし、Et
2Oで抽出した。合わせた有機層をNaClの飽和溶液で洗浄し、無水MgSO
4で脱水し、真空中で濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/MeOH、95:05から50:50)によって精製することで、化合物16が赤色の固体として得られた(5mg、25%)。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.93 (s, 1H), 9.53 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.6, 7.3 Hz, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.35 (dd, J = 7.4, 1.1 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 8.8, 1.1 Hz, 1H), 3.32 (td, J = 6.8, 5.7 Hz, 2H), 3.23 (td, J = 6.8, 5.7 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.65 (tt, J = 7.7, 6.2 Hz, 2H), 1.54 - 1.31 (m, 6H), 0.93 (dt, J = 19.3, 7.3 Hz, 6H).
13C NMR (101 MHz, クロロホルム-d) δ 186.6, 183.3, 166.0, 157.5, 150.8, 140.1, 134.9, 134.6, 134.3, 133.3, 124.5, 118.6, 114.0, 113.4, 110.9, 31.0, 30.7, 19.8, 19.6, 13.7, 13.7
MS (ESIpos) 409.15
【0176】
化合物17b: 1-アミノ-2,5-ジヒドロキシ-4-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0177】
【化36】
【0178】
140mgのアロエサポナリンを6mLのジジクロロエタン中に0℃で部分溶解させた。次いで、50μLの60% HNO
3溶液及び1滴の濃硫酸を滴下により添加した。溶液を5時間かけて撹拌した。反応粗製物を蒸留水及びブラインで数回洗浄した。有機相を減圧下でエバポレーションすることで、粗製混合物が得られた。これをジクロロメタン中のメタノールの勾配(1%から15%)を使用してシリカ上で画分することで、31mgの化合物17aを21%の収率で得ることができる。
1H NMR (MeOD) 7.47 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.11 (dd J = 6.9 Hz, H= 2.3 Hz , 1H), 6.79 (s, 1H), 2.61 (s, 3H)
MS : (ESI-) m/z = 343.39
【0179】
次いで、12mgの化合物17aを、3mLの水及び大過剰のヒドラジン一水和物溶液(0.2mLの50%水溶液)中に溶解させた。反応物を薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングし、100mLの1M HCl溶液で1.5時間後にクエンチした。激しいかき混ぜ下での酢酸エチルを用いた3回の連続抽出によって、化合物17bを得た。紫色の化合物17b(90%の収率)は、いかなるクロマトグラフィー工程も用いることなく直接使用することができる。
1H NMR (MeOD) : 7.64 (dd, J= 4.5 Hz, 1H), 7.52 (t, J= 6.5 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8 Hz), 6.69 (s, 1H); 2.56 (s, 3H)
13C NMR (MeOD) : 189.5, 184.49, 161.73, 151.18, 146.48, 142.34, 134.68, 134.57, 121.86, 119.90, 118.04, 117.16, 112.37, 23.38
MS : (ESI-) m/z = 268.35
【0180】
化合物18b: 1,8-ジアミノ-2,5-ジヒドロキシ-4-メチル-アントラセン-9,10-ジオン
【0181】
【化37】
【0182】
140mgのアロエサポナリンを6mLのジクロロエタン中に0℃で部分溶解させた。次いで、50uLの60% HNO3溶液及び1滴の濃硫酸を滴下により添加した。溶液を5時間かけて撹拌した。反応粗製物を蒸留水及びブラインで数回洗浄した。有機相を減圧下でエバポレーションすることで、粗製混合物が得られた。これをジクロロメタン中のメタノールの勾配(1%から15%)を使用してシリカ上で画分することで、18mgの化合物18aを得ることができる。
1H NMR (MeOD) 7.26 (t, 1H), 7.26 (d, 1H), 6.37 (s, 1H), 2.51 (s, 3H)
MS : (ESI-) m/z = 343.39
【0183】
次いで、12mgの化合物18aを、3mLの水及び大過剰のヒドラジン一水和物溶液(0.2mLの50%水溶液)中に溶解させた。反応物をTLCによってモニタリングし、100mLの1M HCl溶液で1.5時間後にクエンチした。激しいかき混ぜ下での酢酸エチルを用いた3回の連続抽出によって、化合物18bを得た。紫色の化合物18b(90%の収率)は、いかなるクロマトグラフィー工程も用いることなく直接使用することができる。
1H (MeOD) : 7.71 (d, J = 8.21 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 8.21 Hz, 1H) , 6.85 (s, 1H), 2.61 (s, 3H)
【0184】
化合物19b: 4,5-ジアミノ-3,8-ジヒドロキシ-1-メチル-9,10-ジオキソ-アントラセン-2-カルボン酸
【0185】
【化38】
【0186】
400mgの3,8-ジヒドロキシ-1-メチル-9,10-ジオキソ-アントラセン-2-カルボン酸を、8mLの硫酸及び200μLの55%硝酸溶液中に溶解させた。30分後、粗製物を酢酸エチル中に希釈し、水で数回洗浄することで酸痕跡を除去し、シリカゲルを介して精製することで化合物19aが得られた(35%の収率)。
1H NMR (MeOD): 8.04 (d, J = 8.61 Hz, 1H), 7.54 (J = 8.6 Hz), 2.92 (s, 3H)
質量分析: ESI (-) : 387 (M-H)
【0187】
次いで、18mgの化合物19aを4mLの水中に溶解させ、次いで、3滴のヒドラジン溶液を反応混合物に添加した。12時間後に、TLCモニタリングは出発材料を示した。4滴を添加し、反応物を2日間放置した。反応が終わったら、酢酸エチル及び1M HClを添加した。数回の洗浄後、生成物を乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィーを介して精製することで、化合物19bが86%の収率で得られた。
1H NMR (MeOD): 7.33 (dd, J = 8Hz, 1Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 8Hz, 1Hz, 1H), 2.56 (s, 3H)
質量分析: ESI (+) : 351 (M+Na), 329 (M+)
【0188】
化合物20b: 4,5,7-トリアミノ-3,8-ジヒドロキシ-1-メチル-9,10-ジオキソ-アントラセン-2-カルボン酸
【0189】
【化39】
【0190】
400mgの3,8-ジヒドロキシ-1-メチル-9,10-ジオキソ-アントラセン-2-カルボン酸を、8mLの硫酸及び200μLの55%硝酸溶液中に溶解させた。30分後、粗製物を酢酸エチル中に希釈し、水で数回洗浄することで酸痕跡を除去し、シリカゲルを介して精製することで、化合物20aが得られた(41%の収率)。
1H NMR (MeOD) : 8.41 (s, 1H), 2.86 (s, 3H)
質量分析: ESI (-) : 432.44
【0191】
次いで、35mgの化合物20aを、3mLの水及び大過剰のヒドラジン一水和物溶液(0.2mLの50%水溶液)中に溶解させた。反応物をTLCによってモニタリングし、100mLの1M HCl溶液で1.5時間後にクエンチした。激しいかき混ぜ下での酢酸エチルを用いた3回の連続抽出によって、化合物20bを得た。紫色の化合物20b(90%の収率)は、いかなるクロマトグラフィー工程も用いることなく直接使用することができる。
MS:(ESI-)m/z=432(M-H)
【0192】
(実施例2)
UV-可視分析
UV-可視分析をGenesys10 UV光度計で実施し、「VisionLite Scan」ソフトウェアを活用して記録した。各分子について、ある特定の量を精密天秤で秤量し、メタノール中に完全に溶解させる(必要ならば超音波処理下で)ことで、母液を1mg/mLで得た。系列希釈を行うことで、0.0025mg/mLから0.5mg/mLの範囲における試料を得た。試料を1cmの石英キュベット中190nmから800nmで分析した。各濃度について、可視スペクトル(400〜800nm)における最大吸収の波長を2nmの精度で記録し、幅をA/2で測定した。追加として、モル吸光係数εを各試料について算出し、平均値のlogを提示した。λ
max visibleは色の特徴であり、L
1/2は色の輝度の特徴であり、εは色の強度の特徴である。
【0193】
【表1】
【0194】
(実施例3)
本発明の化合物の物理化学的特性に対する、R2位におけるアルキル基の影響
水とオクタノールとの間の分配係数(logP=log(C
octanol/C
water))、及び本発明の化合物のpH=4での水中可溶性を判定し、対応する非メチル化化合物のものと比較した。
【0195】
- 水とオクタノールとの間の分配係数は、疎水性相(織物繊維環境等)と水との間の染料の親和性の差異の効果的な測定である。log Pが増加すると、色相に達するのに必要とされる染料の量が減り、消費率がより良好である。これは、より効果的なプロセス、並びに染色した後の染浴中の残留染料の減少につながる。
- pH=4での水中における対応する分子の可溶性(典型的な染色プロセス)。可溶性が低いほど、残留染料による水の汚染が少ない。
【0196】
この2つのパラメータは、予測的ツールを使用して算出された。
【0197】
Chemicalize予測ツール: Chemicalizeは、ChemAxon Software社からの化学的特性予測的ツールである。本発明の化合物及び対応する非メチル化化合物についての分配係数及び可溶性予測の結果を、Table 1(表2)にまとめる。
【0198】
【表2】
【0199】
Table 1(表2)の結果は、本発明の化合物が、対応する非メチル化化合物よりも約0.5log(実験値及び算出値について)高い分配係数を有することを実証している。これらの結果は、本発明の化合物が、対応する非メチル化化合物よりも3倍低い水中可溶性を有することも実証している。
【0200】
したがって、本発明の化合物は、対応する非メチル化化合物よりも、水との比較において良好な繊維親和性を有し、それによって、染料による廃水の可能な汚染を制限する。
【0201】
Chemicalize検証
予測モデルを検証するために、5つのアントラキノンの実験及び理論logPを判定した。理論値は、ChemAxon社からのChemicalizeのオンラインソフトウェアを使用して決定し、実験値は、下記のプロトコールを使用してUV-Vis分光法アッセイによって決定した。結果をTable 2(表3)に記載する。
【0202】
オクタノール及び水の1:1混合物(pH=7)を、分液漏斗におけるアッセイの24時間前に調製した。次いで、正確な量の生成物を添加し、完全な溶解まで超音波処理した。次いで、相を激しく撹拌し、6時間の間放置した。次いで、2つの相を分離し、有機相を希釈し、予め実施された較正曲線を使用してUV分光光度法によって分析した。水性相を酸性化し、エバポレーションした。同じ方法を用いるUV-Vis分光光度法での分析のため、残渣をオクタノール中に溶解した。
【0203】
【表3】
【0204】
Table 2(表3)における測定及び算出logPは、5つの分子とも同様と思われ、これは、Chemicalizeを使用する予測の妥当性を裏付けている。