特表2021-530629(P2021-530629A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レンチング アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2021-530629スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス
<>
  • 特表2021530629-スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス 図000003
  • 特表2021530629-スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス 図000004
  • 特表2021530629-スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス 図000005
  • 特表2021530629-スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530629(P2021-530629A)
(43)【公表日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】スパンボンド布の製造において溶剤をプロセス空気から分離する方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20211015BHJP
   D01D 5/098 20060101ALI20211015BHJP
【FI】
   D04H3/16
   D01D5/098
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-502547(P2021-502547)
(86)(22)【出願日】2019年7月17日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月15日
(86)【国際出願番号】EP2019069239
(87)【国際公開番号】WO2020016296
(87)【国際公開日】20200123
(31)【優先権主張番号】18183887.1
(32)【優先日】2018年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(72)【発明者】
【氏名】サゲレル−フォリク,イブラヒム
【テーマコード(参考)】
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4L045AA05
4L045BA01
4L045DA08
4L045DA21
4L045DA45
4L047AB03
4L047BA09
4L047EA05
4L047EA22
(57)【要約】
フィラメント(3)を広げてスパンボンド布(8)にし、スパンボンド布(8)を除湿し、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を吸引除去するデバイスであって、スパンボンド布(8)を搬送方向で搬送するコンベヤデバイス(7)を含み、コンベヤデバイス(7)がフィラメント(3)の堆積表面(6)を有し、コンベヤデバイス(7)が、少なくとも堆積表面(6)の領域において、気体および液体透過性であり、コンベヤデバイス(7)の堆積表面(6)の下方に、一次除湿デバイス(9)が設けられ、堆積表面(6)の上流および/または下流および/または側方に、少なくとも1つの上側吸引デバイス(10、11)が配置される、デバイス。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント(3)を広げてスパンボンド布(8)にし、前記スパンボンド布(8)を除湿し、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を吸引除去するデバイスであって、前記スパンボンド布(8)を搬送方向で搬送するコンベヤデバイス(7)を含み、
前記コンベヤデバイス(7)が前記フィラメント(3)の堆積表面(6)を有し、
前記コンベヤデバイス(7)が、少なくとも前記堆積表面(6)の領域において、気体および液体透過性であり、
前記コンベヤデバイス(7)の前記堆積表面(6)の下方に、一次除湿デバイス(9)が設けられ、
前記堆積表面(6)の上流および/または下流および/または側方に、少なくとも1つの上側吸引デバイス(10、11)が設けられることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
動作中の前記上側吸引デバイス(11)が、前記堆積表面(6)に向かう前記搬送方向もしくは前記搬送方向と反対の、または前記搬送方向および前記搬送方向と反対の、吸引方向を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
動作中の前記上側吸引デバイス(10)が、前記堆積表面(6)に向かう前記搬送方向を横断する吸引方向を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
機械方向(11)の各吸引デバイスに二次除湿デバイス(12)が割り当てられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記二次除湿デバイス(12)が真空下で動作可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記上側吸引デバイス(11)が前記堆積表面(6)の上流で前記搬送方向に配置されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記上側吸引デバイス(11)が前記堆積表面(6)の下流で前記搬送方向に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
セルロースフィラメントを製造するデバイスと、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイスとを含む、アセンブリ。
【請求項9】
フィラメント(3)を広げてスパンボンド布(8)にし、前記スパンボンド布(8)を除湿し、溶剤および/または凝固剤それぞれを含んだプロセス空気を吸引除去し、前記凝固剤または前記溶剤それぞれを前記プロセス空気から分離し回収する方法であって、フィラメント(3)が紡糸システム(2)から取り出されてコンベヤデバイス(7)の堆積表面(6)上に広げられてスパンボンド布にされ、次に更に搬送され、前記堆積表面(6)上の前記フィラメント(3)が圧力を低減することによって前記コンベヤデバイス(7)の下面から除湿され、前記コンベヤデバイス(7)によって反射したプロセス空気が、前記コンベヤデバイス(7)の上方における前記堆積表面(6)の上流および/または下流および/または横方向隣の少なくとも1つの区画において吸引除去されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記凝固剤または前記溶剤がそれぞれ、廃棄物の流れから排出され、次に回収されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントを広げてスパンボンド布にし、スパンボンド布を除湿し、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を吸引除去するデバイスであって、スパンボンド布を搬送方向へ搬送するコンベヤベルトを有するコンベヤデバイスを含み、コンベヤベルトの上面に、フィラメントの堆積表面が配置され、コンベヤデバイスが、少なくとも堆積表面の領域において、気体および液体透過性であり、コンベヤベルトの下面、少なくとも堆積表面の下方に、除湿デバイスが設けられ、コンベヤベルトの上方であって堆積表面の隣に、少なくとも1つの吸引デバイスが設けられる、デバイスに関する。更に、本発明は、フィラメントを広げてスパンボンド布にし、スパンボンド布を除湿し、コンベヤベルトの下方および上方で、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を吸引除去し、溶剤および凝固剤を排気から分離し回収する、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数十年にわたって、スパンボンド布はスパンボンドまたはメルトブローン方法に従って製造されてきた。例えば、GB 2 114 052およびEP 3 088 585に記載されているようなスパンボンド方法では、フィラメントはノズルを通して押し出され、次に下方に載置された伸展ユニットを通して引き出され伸展される。
【0003】
それとは対照的に、例えば、US5,080,569、US4,380,570、およびUS5,695,377に記載されているものなどのメルトブローン方法では、押し出されたフィラメントは、ノズルを出るときに高温高速のプロセス空気によって既に引っ張られ伸展されている。両方の技術において、フィラメントは堆積表面に、例えば有孔コンベヤベルト上に、不規則なパターンで広げられて不織布となり、後処理段階に搬送され、最終的に巻かれて不織布ロールとなる。
【0004】
知られている吸引デバイスは、例えば、US7,001,567、EP1079012、EP1340844、またはUS6,331,268に記載されている。
【0005】
従来技術による方法およびデバイスは、主に、例えばポリプロピレン(PP)などのプラスチックフィラメントを分散させるために開発されてきた。これらのフィラメントは、堆積表面上で簡単に移動することができ、吸引が不良の場合は質の悪い不織布となることがある。この理由から、プロセス空気の反射を防ぐために、プロセス空気全体が堆積表面を通して吸引される。
【0006】
熱可塑性材料向けの既によく知られているスパンボンドおよびメルトブローン方法とは対照的に、例えばリヨセル紡糸塊(spinning mass)から作られた、セルロース系スパンボンド布を製造する吸引ユニットは、追加のタスクに対する解決策を見出さなければならない。スパンボンド技術を使用したセルロース系スパンボンド布の製造は、例えば、US8,366,988に記載されており、US6,358,461およびUS6,306,334のメルトブローン技術を使用する。それにより、リヨセル紡糸塊は、既に知られているスパンボンドおよびメルトブローン方法と同様に伸展されるが、更にフィラメントが、セルロースを再生し形態の安定したフィラメントを作製するために、不織布を分散させる前に凝固剤と接触させられる。ウェットフィラメントが、乱気流を用いて不規則なパターンで不織布として広げられる。
【0007】
使用される紡糸塊は3〜17%のセルロース含量を有するので、セルロース系スパンボンド布技術では、熱可塑性スパンボンド布の場合よりも、製品1kg当たりでより多くのプロセス空気が必要になる。これにより、生産性が等しい場合に、熱可塑性スパンボンド布工場と比較して、より多くのプロセス空気がノズルを通して運ばれ、凝固剤および溶剤とともに吸引除去されることになる。より多くのプロセス空気がより高速で同じ堆積表面に衝突することになり、更にこのプロセス空気はより多くの液体を含む。
【0008】
結果として、廃棄物の流れの中に微細液滴として分散して存在している溶剤および凝固剤も、排出しなければならない。特に、リヨセル紡糸塊から作られたスパンボンド布を製造する場合、溶剤NMMOの減少をできるだけ低減し、回収を最大限にすべきである。これにより、製造工場の効率だけでなく、排気量制限の分野における公的規制を満たすことも促進される。
【0009】
セルロース系スパンボンド布の製造におけるプロセス空気流が増加すること、ならびに多量の溶剤および凝固剤を最初に吸引除去し、次に更に排出しなければならないことにより、これまで知られているスパンボンド布工場は、生産性と、経済操業に必要な溶剤の回収、および排気の純度に関する公的規制のいずれも満たすことができないため、使用することができない。
【0010】
従来技術では、セルロース系スパンボンド布の製造の場合、フィラメントを分散させて不織布にすることができるようにするため、プロセス空気は堆積表面を通して吸引除去されることが示されている。したがって、吸引ユニットは、広げられたフィラメントが反射空気によってずれることなく、また不織布内部が不均等にならないように、できるだけ均等かつ経済的に、堆積表面を通してプロセス空気を吸引除去しなければならない。それよりもむしろ、プロセス空気の反射を防止すべきである。
【0011】
熱可塑性材料からとセルロースからとの、スパンボンド布の作製における上述した違いにより、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気の全量をエネルギー効率良く吸引除去することも、回収することもできない。したがって、需要の増加を満たし、またセルロース系スパンボンド布のスパンボンド布工場における商業的および環境的に適切な操業を可能にするために、本発明のタスクは、効率および環境保護のための需要を満たすことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、セルロース系スパンボンド布の製造において、不織布の分散に悪影響を及ぼすことなく、できるだけ経済的に、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、このタスクは、フィラメントを広げてスパンボンド布にし、スパンボンド布を除湿し、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を吸引除去するデバイスであって、スパンボンド布を搬送方向で搬送するコンベヤデバイスを含み、コンベヤデバイスがフィラメントの堆積表面を有し、コンベヤデバイスが、少なくとも堆積表面の領域において、気体および液体透過性であり、コンベヤデバイスの堆積表面の下方に、一次除湿デバイスが設けられ、堆積表面の上流および/または下流および/または側方に、少なくとも1つの上側吸引デバイスが配置されることを特徴とする、デバイスによって解決される。
【0014】
また、機械方向において、デバイスは、堆積表面の上流もしくは下流、または堆積表面の横方向隣に、堆積表面によって反射したプロセス空気を吸引除去する、少なくとも1つの上側吸引デバイスを有する。
【0015】
タスクは更に、フィラメントを広げてスパンボンド布にし、スパンボンド布を除湿し、溶剤および/または凝固剤それぞれを含んだプロセス空気を吸引除去し、凝固剤または溶剤それぞれをプロセス空気から分離し回収する方法であって、フィラメントが紡糸システムから取り出されてコンベヤデバイスの堆積表面上に広げられてスパンボンド布にされ、次に搬送され、堆積表面上のフィラメントが圧力を低減することによってコンベヤデバイスの下面から除湿され、コンベヤデバイスによって反射したプロセス空気が、コンベヤデバイスの上方における堆積表面の上流および/または下流および/または横方向隣の少なくとも1つの区画において吸引除去されることを特徴とする、方法によって解決される。
【0016】
次のステップで、更に、凝固剤または溶剤がそれぞれ、廃棄物の流れから排出され回収されてもよい。
【0017】
本発明の一態様では、更に、セルロース系スパンボンド布を作製するデバイスと上述のタイプのデバイスとを含むアセンブリが提供される。
【0018】
以下、デバイス、方法、およびアセンブリについて並行して更に詳細に記載し、有利な実施形態の変形例について考察する。
【0019】
フィラメントを広げてスパンボンド布にし、スパンボンド布を除湿し、溶剤および凝固剤を含んだプロセス空気を排出するデバイスを用いて、例えば紡糸システムから得られてもよいフィラメントが、堆積表面上へと誘導される。紡糸システムから押し出されてスパンボンド布状になった紡糸塊フィラメントのセルロースを再生するために、押出物に、例えば、ノズルを介して凝固液が噴霧される。次に、湿潤したスパンボンド布が堆積表面上に広げられる。同時に、伸展に必要なプロセス空気が堆積表面上に流れる。堆積表面は、好ましくはスパンボンド布を搬送方向で搬送するコンベヤベルトを有する、コンベヤデバイス上に載置される。ここで、コンベヤベルトの上面にはフィラメントの堆積表面が配置され、コンベヤ方向は、少なくとも堆積表面の領域において、気体および液体透過性である。コンベヤベルトの下面には、少なくとも堆積表面の下方に、例えば真空ボックスを有する、一次除湿デバイスが設けられる。この区画の上方に、少なくとも1つの上側吸引デバイスが設けられる。本発明によれば、主に溶剤および凝固剤が一次除湿デバイスによって除去され、プロセス空気は、安定した欠陥のない不織布の分散に必要な量のみが除去される。プロセス空気の残りの部分は、コンベヤデバイスの上方にある少なくとも1つの吸引デバイスによって反射され回収され、吸引除去される。コンベヤデバイスはまた、堆積表面の上流または下流の少なくとも機械方向の領域において、気体および液体透過性であってもよい。この領域は二次除湿デバイスも有してもよく、それを使用して、一方の側では、溶剤および凝固剤がやはりスパンボンド布から除去され、他方の側では、スパンボンド布がコンベヤベルトから持ち上げられ、上方に載置された吸引デバイスによって吸引除去されないように保持される。
【0020】
実施形態の変形例では、動作中の上側吸引デバイスは、堆積表面に向かう搬送方向もしくは搬送方向と反対の、または搬送方向および搬送方向と反対の、吸引方向を有する。
【0021】
実施形態の変形例では、動作中の上側吸引デバイスは、堆積表面に向かう搬送方向を横断する吸引方向を有する。
【0022】
本発明の範囲内で、この区画の上方でデバイスが少なくとも1つの上側吸引デバイスを有するという概念に基づいて、堆積表面によって既に反射したプロセス空気がコンベヤベルトの上方で吸引除去されることが理解される。
【0023】
上側吸引デバイスの正確な実施形態とは関係なく、好ましくは、堆積表面の下方で各吸引デバイスに二次除湿デバイスが割り当てられる。このように、スパンボンド布は、一方の側ではコンベヤデバイス上に固定され、他方の側では反射したプロセス空気が吸引除去される。
【0024】
好ましくは、除湿デバイスならびに吸引デバイスの下流に、湿気分離器または液滴分離器が配置される。このように、溶剤または凝固剤が排出され、プロセス空気および/またはスパンボンド布から回収されてもよい。
【0025】
実施形態の変形例では、上側吸引デバイスは、堆積表面の上流にコンベヤデバイスの搬送方向で配置される。
【0026】
別の実施形態の変形例では、上側吸引デバイスは、堆積表面の下流にコンベヤデバイスの搬送方向で配置される。
【0027】
実施形態の変形例では、上側吸引デバイスは、堆積表面の横方向隣にコンベヤデバイスの搬送方向で配置される。
【0028】
特に好ましくは、1つの上側吸引デバイスが堆積表面の上流に搬送方向で配置され、1つの上側吸引デバイスが堆積表面の下流に搬送方向で配置される。
【0029】
更により好ましくは、1つの上側吸引デバイスが堆積表面の上流および下流にそれぞれ搬送方向で配置され、1つの上側吸引デバイスが堆積表面の横方向隣に配置される。
【0030】
好ましい実施形態の変形例では、上側吸引デバイスは堆積表面の周りで長方形を形成するので、反射したプロセス空気を360°の角度で吸引除去する。
【0031】
本発明では、堆積表面を主にスパンボンド布の除湿に使用し、プロセス空気を堆積表面から反射させ、反射したプロセス空気を吸引除去し、続いて任意に溶媒および凝固剤も分離し、結果としてそれぞれ凝固剤回収タンクに戻すかまたは溶剤処理に戻すことを可能にする、方法が提供される。
【0032】
本発明によるデバイスによって、スパンボンド布を除湿し、プロセス空気を反射させ、反射したプロセス空気をコンベヤベルトの上方において堆積表面の隣で吸引除去することができる。
【0033】
本発明をより良好に例証するために、本発明による方法および本発明によるデバイスの好ましい実施形態を用いて、以下の図面に実質的な特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明によるデバイスを示す概略図である。
図2図1によるデバイスを示す斜視図である。
図3】該デバイスの上面図である。
図4】本発明の実施形態の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、紡糸システム2によって押し出され伸展された紡糸塊フィラメント3を広げてスパンボンド布8にし、除湿するのに用いられる、本発明によるデバイス1を示している。それにより、プロセス空気5およびフィラメント3が堆積表面6上に衝突し、スパンボンド布8が形成される前に、セルロースを再生しフィラメント3の形態を安定させるために、フィラメント3に凝固液4が噴霧される。
【0036】
リヨセルプロセスの場合、凝固液は、0〜40重量%のNMMO、好ましくは10〜30重量%のNMMO、より好ましくは15〜25重量%のNMMOを有する、完全脱塩水とNMMOの混合物であってもよい。スパンボンド布8は、堆積表面6および除湿デバイス9によって脱水され、スパンボンド布8内の凝固剤および溶剤の部分は大幅に低減される。
【0037】
セルロース流量10kg/h/m〜1000kg/h/mの紡糸システム2の高い生産性により、一次除湿デバイス9は既に多量の凝固剤および溶剤による応力を受けているので、従来技術に対応するデバイスおよび方法のように、プロセス空気の量を完全に吸引除去することはできず、堆積表面6に衝突する際に全ての方向に反射される。しかしながら、驚くことに、セルロースフィラメント3は堆積表面6に良好に付着するが、それにかかわらず不織布の分散が可能である。
【0038】
本発明によれば、堆積表面6が主に、凝固剤および溶剤の混合物を一次除湿デバイス9によってスパンボンド布8から除去し、凝固剤および溶剤を含んだ高温高速の空気流を反射させることができる役割を果たす限り、この反射効果が利用される。本発明によるデバイスの1つの利点は、プロセス空気5の全量が一次除湿デバイス9によって高エネルギー入力で吸引除去されるのではなく、それよりもむしろ、大幅に少ない圧力損失でコンベヤデバイス7の上方で除去されるので、エネルギーが大幅に節約されることである。
【0039】
本発明によれば、反射したプロセス空気5は、コンベヤベルト方向で上側吸引デバイス11(MDボックス)によって、またその反対側で、コンベヤベルト方向を横断する方向で上側吸引デバイス10(CDボックス)によって捕捉され吸引除去されてもよい。このように、凝固剤および溶剤を含んだプロセス空気5が、工場空間内で分散されるのを防ぐことが可能であった。このように、溶剤を回収できるだけではなく、排気量制限に準拠することもできる。
【0040】
これにより、本発明によるデバイスの更なる利点が得られる。反射したプロセス空気は高速で上側吸引デバイス10、11に流入し、圧力損失は比較的少ないので、プロセス空気5を更に搬送するのに必要なエネルギーは非常に少なくなる。上側吸引デバイスの吸引効果は強力なので、本発明によれば、スパンボンド布8が吸引デバイス10、11内に引き込まれないように、二次除湿デバイス12が使用されてもよい。例示的な実施形態では、2つの二次除湿デバイス12が示されている。
【0041】
本発明によれば、凝固剤および溶剤の量の一部分は、一次除湿デバイス9および二次除湿デバイス12を介してスパンボンド布8から吸引除去され、他の部分は、上側吸引デバイス10、11を介して、凝固剤および溶剤を含む反射したプロセス空気5から吸引除去される。凝固剤および溶剤の量の一部分は、排液ライン15を介して除湿デバイス9,12から分離され、凝固剤および溶剤の液滴は、液滴分離器15を用いて排気から除去される。凝固剤および溶剤の分離した量は、凝固剤回収タンク17に回収されてもよく、凝固液噴霧システムに給送されるかまたは溶剤処理10に戻されてもよい。溶剤サイクルは、図4に示されるように閉じていてもよく、溶剤は回収され再使用されてもよい。排気18は、液滴分離器16の下流の更なる清浄ステップに供給されてもよい。
【0042】
経済および環境上の利点は、第一に、スパンボンド布8を除湿しプロセス空気5を吸引除去する、本発明によるデバイス1を使用して達成され、吸引性能が低減されることがあるので、第二に、溶媒を分離および回収する、図4に示される本発明の方法を使用して達成される。
【0043】
スパンボンド布8は、コンベヤデバイス7のコンベヤベルト上を、多層スパンボンド布を作製するために次の紡糸システム2に搬送されるか、または洗浄され、任意に固化され、乾燥され、任意に前処理され、最後に不織布ロールに巻かれる。
【0044】
本発明による方法は、セルロース系スパンボンド布の作製に使用されてもよい、様々な溶剤およびイオン液、好ましくは第三アミノオキシド、より好ましくはNMMOを回収するのに使用されてもよい。
【0045】
本発明は、スパンボンド方法による、ならびにメルトブローン方法による、セルロース系スパンボンド布の作製におけるプロセス空気の除湿および吸引除去に使用されてもよい。それにより、紡糸システム2当たりのパルプ流量は、10kg/h/m〜1000kg/h/m、好ましくは20kg/h/m〜500kg/h/m、より好ましくは30kg/h/m〜300kg/h/mの範囲であってもよい。パルプ1kg当たりのプロセス空気の固有の量は、30Nm/kg〜1000Nm/kg、好ましくは50Nm/kg〜700Nm/kg、より好ましくは70Nm/kg〜400Nm/kgの範囲であってもよい(単位「Nm」は「標準立方メートル」を意味する)。
【0046】
堆積表面6上に広げられる押し出されたフィラメント3は、0.1μm〜100μm、好ましくは1μm〜40μm、更により好ましくは3μm〜30μmの範囲の直径を有してもよい。
【0047】
噴霧システム4を通るパルプ1kg当たりの凝固液の固有の流量は、2l/kg〜300l/kg、好ましくは10l/kg〜200l/kg、より好ましくは20l/kg〜150l/kgの範囲であってもよい。その点において、凝固剤は、単一物質用ノズル、二物質用ノズル、または当業者に知られている他のタイプのものを介して噴霧されてもよい。
【0048】
紡糸システム2と堆積表面6との間の距離が遠いほど、衝突速度は低くなるが、周囲空気も吸い込まれるので、吸引除去しなければならない空気の量は多くなる。紡糸システム2と堆積表面6との間の距離は、0.1〜5m、好ましくは0.3〜4m、更により好ましくは0.5〜3mの範囲であってもよい。衝突時のプロセス空気5の速度は、5m/s〜250m/s、好ましくは10m/s〜150m/s、更により好ましくは15m/s〜50m/sの範囲であってもよい。
【0049】
堆積表面6は、例えば、脱水に適した織布コンベヤベルトを形成する。コンベヤベルトは、真空プレート14上に置かれ、それによってプロセス空気5の動圧に耐えるように支持される。真空プレート14は、脱水の効果を向上し、スパンボンド布8を安定させるために、様々な形態の穴を有してもよい(詳細には図示せず)。広げられるスパンボンド布8は、5g/m〜500g/m、好ましくは10g/m〜300g/m、より好ましくは15g/m〜200g/mの範囲の単位面積当たりの質量を有してもよい。単位面積当たりの質量が大きく、フィラメント直径が微細であり、凝固液の量が多く、プロセス空気の量が多く、紡糸システム2と堆積表面6との間の距離が短く、コンベヤベルトの空気透過性が低く、いくつかの不織布層が重なっている場合、より多くのプロセス空気5が反射され、吸引デバイス10、11によって回収され吸引除去される。
【0050】
凝固剤および溶剤の主要部分は一次除湿デバイス9によって吸引除去される。それにより、スパンボンド布8の水分負荷が低減されるので、除湿デバイス9の下流にあるスパンボンド布8内の液体の部分は、0.1kg/kg〜10kg/kg、好ましくは1kg/kg〜8kg/kg、より好ましくは3kg/kg〜6kg/kgの範囲である。
【0051】
凝固剤および溶剤の量のうち少量はまた、二次除湿デバイス12を介して吸引除去される。溶剤は、一次除湿デバイス9ならびに二次除湿デバイス12の最低点に蓄積して、排液ライン15を介して凝固剤回収タンク17に排出される。
【0052】
プロセス空気5の主要部分は反射され、吸引デバイス(MD/CDボックス)10、11を介して排出される。MD/CDボックス10、11は、例えば、具体的には、反射したプロセス空気をより良好に排出する、そらせ板を形成している(詳細には図示せず)。MDボックス11とコンベヤベルト7との中間にはギャップが存在し、その間をコンベヤベルト7およびスパンボンド布8が搬送されてもよい。二次除湿デバイス12は、MDボックス11の下方に載置されて、スパンボンド布8を保持する。
【0053】
一次除湿デバイス9および二次除湿デバイス12は、1つの装置として、または別個に構成されてもよい。
【0054】
上側吸引デバイス10、11は、1つの装置として、または別個に構成されてもよい。
【0055】
一次除湿デバイス9、二次除湿デバイス12、および吸引デバイスはそれぞれ、分離器16および真空ブロワを有する別個の吸引ライン13によって、または共通の真空ラインによって供給されてもよい。それらの間の他の変形例も可能である。
【0056】
使用される分離器は、例えば液滴分離器であってもよく、他の分離の変形例も可能である。
【0057】
多層スパンボンド布を作製するために、本発明によるいくつかのデバイスが前後に位置付けられてもよい。それにより、コンベヤ方向の第1の二次除湿デバイス12は、既に広げられたスパンボンド布8を固定し、次の紡糸システム2の反射したプロセス空気5によって損傷しないようにするのに役立つ。
【0058】
実施形態の変形例では、コンベヤデバイス7は、スパンボンド布を分散させ、除湿し、更にそれを搬送する、回転する有孔真空ドラムを有してもよい。本発明によれば、次に反射効果が、真空ドラムでプロセス空気を除去するため、吸引デバイス10、11をそれぞれ調節することによって利用されてもよい。回転する真空ドラムは、一次除湿デバイスを有する堆積表面と、二次除湿デバイスを有する吸引デバイスの下方にある不織布の保持エリアとを有してもよい(図示せず)。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】