特表2021-530639(P2021-530639A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530639(P2021-530639A)
(43)【公表日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】浮床システム
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/20 20060101AFI20211015BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20211015BHJP
【FI】
   E04F15/20
   E04F15/18 602A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2021-522135(P2021-522135)
(86)(22)【出願日】2019年7月3日
(85)【翻訳文提出日】2021年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2019067860
(87)【国際公開番号】WO2020007918
(87)【国際公開日】20200109
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/068239
(32)【優先日】2018年7月5日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501080701
【氏名又は名称】ロウ アンド ボナー ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Low & Bonar B.V.
(71)【出願人】
【識別番号】521002693
【氏名又は名称】ロウ アンド ボナー ジャーマニー ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Low & Bonar Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ−ディーター ベトヒャー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ズィーベル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン マーイ
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA19
2E220AC01
2E220BA01
2E220BA22
2E220BC06
2E220CA07
2E220DB09
2E220EA03
2E220GA07X
2E220GA07Y
2E220GA22X
2E220GA25X
2E220GA25Y
2E220GA28X
2E220GA33X
2E220GB22Y
2E220GB33X
2E220GB35X
2E220GB43Y
(57)【要約】
少なくとも1つの力遮断材料の層(102)と、少なくとも1つの力遮断材料の層(102)の上に配置された型枠の層(103)とを含む、浮床システム(100)のための複合構造であって、型枠の層(103)は、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であることを特徴とする、浮床システム(100)のための複合構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの力遮断材料の層(102)と、前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)の上に配置された型枠の層(103)とを含む、浮床システム(100)のための複合構造であって、前記型枠の層(103)は、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であることを特徴とする、浮床システム(100)のための複合構造。
【請求項2】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)が、1〜10mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1記載の複合構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)が、織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、発泡材料の層、ゴム材料の層および絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットを含む群から選択される材料で構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の複合構造。
【請求項4】
前記型枠の層(103)が、3〜20mm、好ましくは5〜19mm、より好ましくは7〜18mm、さらにより好ましくは9〜17mm、最も好ましくは10〜16mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項5】
前記型枠の層(103)が、半分閉じられたハニカム構造または弛緩したハニカム構造の少なくとも一方の側に取り付けられたカバー層を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項6】
前記カバー層が、2次元(2D)層であり、かつ織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、連続層またはそれらの組み合わせを含む群から選択される材料で構成され得ることを特徴とする、請求項5記載の複合。
【請求項7】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)、前記型枠の層(103)および前記カバー層が、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されており、好ましくは、前記層が、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーで構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項8】
前記型枠の層(103)が、弛緩したハニカム構造を含み、ここで、半六角形セルが、互いに0°〜110°の間、好ましくは、1°〜110°の間、より好ましくは20°〜100°の間、さらにより好ましくは35°〜95°の間、最も好ましくは50°〜90°の間の角度であることを特徴とする、請求項4または5記載の複合構造。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の複合構造と、前記少なくとも1つの力遮断材料の層に面していない前記型枠の層の側にあるフローティングスクリードの層(104)とを含む、浮床システム(100)。
【請求項10】
前記フローティングスクリードの層(104)が、最大4.0cm、好ましくは最大3.5cm、より好ましくは最大3.0cm、さらにより好ましくは最大2.5cm、最も好ましくは最大2.0cm、さらに最も好ましくは1.5cmの厚さを有することを特徴とする、請求項9記載の浮床システム。
【請求項11】
請求項9または10記載の浮床システムの層を含む、浮床システム(100)の製造方法であって、最初に前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を床スラブ(101)上に供給し、続いて前記型枠の層(103)を供給し、最後に前記フローティングスクリードの層(104)を供給し、前記型枠の層(103)が、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を、床スラブ(101)上に供給し、前記型枠の層(103)を、ロールから前記床スラブ(101)上に圧延することによって、または前記床スラブ(101)上に段階的に敷設することによって供給することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を床スラブ(101)上に供給すること、および前記型枠の層(103)を供給することを、双方の層を同時に1つのロールから前記床スラブ(101)上に圧延することによって実施する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項9または10記載の浮床システム(100)の、木製床スラブおよび/またはコンクリートスラブ上の浮床システムとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明:
本発明は、衝撃音を低減するための浮床システム用の複合構造、上記複合構造を含む浮床システム、および上記浮床システムの製造方法に関する。
【0002】
衝撃音は、例えば、人が歩くことによって、または物が床に落下することによって、または食器洗浄機や洗濯機などの電気機器によって、高層のアパートや建物において真下の部屋で発生する。
【0003】
衝撃音は、中〜高音に達し得るので、衝撃音は、特に衝撃音が250Hz未満の周波数を有する場合には、衝撃音源の真下の部屋にいる人にとって非常に不快である。
【0004】
したがって、従来は衝撃音を遮断するために多くの努力がなされてきた。これまでに衝撃音を低減するために、2つの主要な解決策が提案されている。
【0005】
第1の解決策は、フローティングスクリードの層の重量を増加させることにより床スラブ上の荷重を増加させることであり、第2の解決策は、床スラブとフローティングスクリードの層との間に絶縁層を導入することである。この絶縁層は、フローティングスクリードの層と床スラブとを分離し、衝撃音を直接伝達できないようにし、衝撃音の伝達を低減する。
【0006】
しかしながら、衝撃音が共振周波数より低い周波数を有する場合、音波は依然として絶縁層を通って床スラブに伝達され続け、したがって、床スラブが出され、絶縁層の絶縁特性は、特に250Hz未満の周波数で低下する。
【0007】
共振周波数は、空気音の波長が、建築部材の曲げ波と等しいので、吸音が崩れる周波数である。
【0008】
したがって、高品質の高層のアパートおよび建物では、快適な騒音レベルに対して十分な衝撃音遮断が提供されなければならず、したがって、十分な衝撃音遮断材料およびシステムに対する需要が高い。
【0009】
独国特許出願公開第19901086号明細書には、建物の天井、特に木製の天井用の吸音システムが開示されている。この吸音システムは、床スラブと、該床スラブ上に空隙容積を含む絶縁層と、2枚のサンドイッチフローティングスクリードプレートとコアとを備え、該コアが低密度材料を含む構造と、該絶縁層上の木製カバープレートとを備える。コアの低密度材料は、高い空隙容積を提供し、これらの空隙容積は、絶縁層の空隙容積に接続される。
【0010】
米国特許第4,860,506号明細書には、フロアフレーム上に敷設された緩衝部材によって弾性的に支持されたフロアパネルを含む浮床用のフロアパネルが開示されており、このフロアパネルには、複数の貫通孔と、適当な間隔でパネルの下側に一体的に結合された支持手段とが設けられている。したがって、フロアパネルの空隙容積は、互いに接続され、空気の圧縮および膨張を防止する。
【0011】
独国特許出願公開第102009009088号明細書には、建物の天井、特に木製の天井用の吸音システムが開示されている。吸音システムは、フローティングスクリードの層と、床スラブとフローティングスクリードとの間にある吸音領域とを備える。吸収領域は、最大5kPa・s・m−2の流体抵抗を有する少なくとも1つの空気流路を含む。この吸音システムは、250Hz未満の周波数で衝撃音の騒音を最大15dB低減することが可能である。
【0012】
米国特許第4,685,259号明細書には、複数の層を含む複合パネル構造を含む音響定格フローリングが開示されている。複合パネルは、コアと、該コアに結合された繊維材料の少なくとも1つの音響的に半透過性の表面とを含む。コアは、厚紙、クラフト紙またはアルミニウムで作られたハニカム構造などの壁構造であり得る。ハニカム構造のセルは、第1の側面および第2の側面に対して開口している。
【0013】
米国特許出願公開第2006/0230699号明細書には、サブフロアアセンブリ上に配置された第1の層および第2の層の吸音材料を含む音響制御床システムが開示されている。第1の層は、高度に多孔性の3次元マトリックスフィラメント状マット、米国特許第4,685,259号明細書に記載されているような厚紙、クラフト紙またはアルミニウムで作られたハニカム構造、または突起を有するプラスチックマットであり得る。第2の層は、そこから延在する複数の円錐形、ディンプル様、および/またはカスパティ突起を有するプラスチックマットであり得る。
【0014】
欧州特許出願公開第0057372号明細書には、プロファイル材、金属シートおよび断熱層の複合材を含む中空床が開示されている。
【0015】
従来技術の衝撃音吸収システムは、当該技術分野で周知されている簡単な手段で250Hzを超える周波数の衝撃音を吸収することができる。しかしながら、250Hz未満の周波数の衝撃音を吸収するためには、低い吸収特性を有するオプションであっても、利用できるオプションは少ない。
【0016】
本願の課題は、従来技術の欠点を排除または少なくとも低減し、低周波数で吸音特性を与える、浮床システムの複合構造、浮床システム、および浮床システムの供給方法を提供することである。
【0017】
この課題は、請求項1記載の複合構造、請求項9記載の浮床システム、および請求項11記載の浮床システムを提供する方法によって達成される。
【0018】
浮床システムのための複合構造は、少なくとも1つの力遮断材料の層と、該少なくとも1つの力遮断材料の層の上に配置された型枠の層とを含み、型枠の層は、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であることを特徴とする。
【0019】
驚くべきことに、複合構造が、250Hz未満の周波数などの低周波数で、浮床システムにおける衝撃音を低減することが分かった。
【0020】
複合構造は、好ましくは250Hz未満、好ましくは150Hz未満、より好ましくは100Hz未満、さらにより好ましくは80Hz未満、最も好ましくは50Hz未満の共振周波数を有する。したがって、浮床システムにおける衝撃音は、低周波数、特に250Hz未満、好ましくは150Hz未満、より好ましくは100Hz未満、さらにより好ましくは80Hz未満、最も好ましくは50Hz未満の周波数で低減される。
【0021】
型枠の層は、3次元層であり、3次元構造を含む。型枠の層の3次元構造のために、空隙容積は、型枠の少なくとも1つの力遮断材料の層に面する側、および/または型枠の少なくとも1つの力遮断材料の層に面しない側に設けることができる。
【0022】
好ましくは、型枠の層の一方の側に設けられた空隙容積が、互いに接続され、かつ/または型枠の層の他方の側の空隙容積が、互いに接続される。しかしながら、一方の側と他方の側との空隙容積は、型枠の層を通して接続されていない。接続された空隙容積は、少なくとも1つの空気流路を提供する。
【0023】
型枠の層は、例えば、国際公開第2006/053407号によって開示されているような、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造であり得る。この半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造は、3次元(3D)構造および接続領域が形成されるように、すなわち、半六角形のセル壁および小さな接続領域が形成されるように、材料の平面に対して垂直な塑性変形によって、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成され得る連続フィルムから製造され得る(図4)。続いて、3D構造は、互いに向かって折り畳まれて、ハニカムセルの形で互いに隣接するセル壁を有するセルを形成する。
【0024】
好ましくは、形成されたハニカムセルは、ハニカム構造がその延長部全体にわたって水不透過性および/またはガス不透過性であり、型枠の層の一方の側の空隙が、型枠の層の他方の側の空隙容積に接続されないように、ハニカムセルの一方の端部で閉じられている。
【0025】
代替的に、形成されたハニカムセルは、型枠の層の一方の側の空隙容積は、他方の側の空隙容積と接続されるように、一方の端部で孔を示すか、または端部で開口している。
【0026】
型枠の層は、弛緩したハニカム構造とすることもできる。この弛緩したハニカム構造は、半六角形のセル壁が互いに出会ってハニカム構造を形成する前に塑性変形されたフィルムの折り畳みが停止されることを除いて、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造と同じ方法で製造される。
【0027】
塑性変形されたフィルムの折り畳みが、セル壁が互いに出会う前に停止されるので、半六角形のセル壁は、互いに角度αである。
【0028】
弛緩したハニカム構造が、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造と同じ方法で製造されるという事実のために、塑性変形されたフィルムは、また、弛緩したハニカム構造が、水不透過性でもあり、型枠の層の一方の側の空隙容積が、型枠の層の他方の側の空隙容積に接続されないように、3D構造および接続領域を含む。
【0029】
複合構造は、EN 29052:1992に従って決定されるように、好ましくは15MN/m未満、より好ましくは10MN/m未満、さらにより好ましくは5MN/m未満の動的剛性を有し、ここで、複合構造は、好ましくは厚さが最大20mm、好ましくは最大19mm、より好ましくは最大18mm、さらにより好ましくは最大17mm、最も好ましくは最大16mmの型枠の層を含む。
【0030】
少なくとも1つの力遮断材料の層は、2次元(2D)層であってよく、また、織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、垂直配向を有する繊維を含む高ロフト不織布(例えば、V−ラップ不織布)、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、発泡材料の層およびゴムの層を含む群から選択される材料からなってもよい。
【0031】
織布、不織布、編布、ネットおよびスクリムは、天然繊維、例えば、麻、ジュートまたは亜麻繊維、鉱物繊維、例えば、ガラス、玄武岩またはロックウール繊維、あるいは合成ポリマーで作られた繊維を含んでよい。
【0032】
好ましくは、織布、不織布、編布、ネットおよびスクリムは、合成ポリマーまたは無機繊維で構成され、より好ましくは熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0033】
好ましい実施形態では、織布、不織布、編布、ネットおよびスクリムは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑ポリマーで構成されている。
【0034】
少なくとも1つの力遮断材料の層は、絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットであってもよい。好ましくは、絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットのフィラメントは、押し出されたポリマーフィラメントである。押し出された絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットは、任意の適切なプロセスによって提供され得る。好ましくは、押し出された絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットは、ポリマーフィラメントを押し出し、好ましくは未だ溶融状態で、フィラメントを曲げ、絡み合わせ、互いに接触させることにより、押し出されたフィラメントを集めて3次元構造にすることにより提供される。押し出されたフィラメントの曲げおよび絡み合いは、好ましくは、押し出された絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットの構造を規定するプロファイル表面にフィラメントを集めることによって開始される。好ましくは、フィラメントが集められる表面は、フィラメントの3次元構造化マットが、丘および谷、半球、正および/または負の尖形、カップおよび/またはワッフル、ピラミッド、U字形溝、V字形溝、円錐および/または半球で覆われた円筒を含む3次元形状に成形されるようにプロファイル加工される。
【0035】
好ましくは、絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットのポリマーフィラメントは、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0036】
好ましい実施形態では、絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットのポリマーフィラメントは、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されており、好ましくは、ポリマーフィラメントは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーで構成されている。
【0037】
複合構造は、少なくとも1つの力遮断材料の層を含む。複合構造が2層以上の力遮断材料を含む場合、これらの層は、同じ種類の材料または異なる種類の材料で構成され得る。
【0038】
複合構造は、好ましくは、浮床システムの全表面の点から見て、最大で1:2、好ましくは最大で1:5、さらにより好ましくは最大で1:10の、型枠の層と力遮断材料の層との間の接触領域を含み、これは、少なくとも1つの力遮断材料の層に対してより硬い材料を使用することを可能にし、それによって、少なくとも1つの力遮断材料の層の改善された長期形状安定性を提供し、それによって、複合構造および浮床システムの寿命を延ばす。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、型枠の層と少なくとも1つの力遮断材料の層との間の接触領域を減少させることによって、表面積当たりの有効質量がより大きくなり、したがって、力遮断材料の層に接触領域で適用される力が増加し、250Hz未満の周波数での衝撃音の吸収につながると考えられる。
【0040】
浮床システムの衝撃音低減性能は、少なくとも1つの力遮断材料の層の剛性を低減することによってさらに向上させることができる。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層の材料は、繊維を含み得る。本発明の範囲内では、繊維という用語は、ステープルファイバーおよびフィラメントの双方を指すことが理解されている。ステープルファイバーは、2〜200mmの範囲の特定の比較的短い長さを有するファイバーである。フィラメントは、200mmを上回る、好ましくは500mmを上回る、より好ましくは1000mmを上回る長さを有する繊維である。フィラメントは、例えば、紡糸口金の紡糸孔を通してフィラメントを連続押出しおよび紡糸することによって形成される場合には、実質的にエンドレスであってもよい。
【0042】
少なくとも1つの力遮断材料の層の繊維は、一成分繊維および二成分繊維を含むことができ、ここで二成分繊維は、並んでいる(side-by-side)モデル、同心または偏心コア/シースモデル、または海島(islands-in-the-sea)モデルであってもよい。
【0043】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層の繊維は、コア/シースモデルの二成分繊維であり、ここで、シースおよびコアは、同じ化学構造を有し得る2つのポリマーで構成され得るか、またはシースおよびコアは、異なる化学構造の異なるポリマーで構成され得る。
【0044】
異なるポリマーを含む二成分繊維を使用することにより、二成分繊維は、少なくとも部分的に溶融したシースの点から見て、一定のコアの引張強度の特性と一定の繊維間の結合強度の特性とを両立させることができる。
【0045】
二成分繊維のコアおよびシースの場合、シースポリマーがコアポリマーの溶融温度より低い溶融温度を有する限り、任意の適切なポリマーが使用され得る。好ましくは、二成分繊維のコアおよびシースは、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0046】
好ましくは、二成分フィラメントのコアは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーで構成されている。
【0047】
さらに好ましい実施形態では、二成分フィラメントのシースは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーで構成されている。
【0048】
一実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層は、最大10mm、好ましくは最大9mm、より好ましくは最大8mm、さらにより好ましくは最大7mm、最も好ましくは最大6mmの厚さを有する。
【0049】
別の実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層は、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、より好ましくは少なくとも3mm、さらにより好ましくは少なくとも4mm、最も好ましくは少なくとも5mmの厚さを有する。
【0050】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層は、少なくとも100g/m、好ましくは少なくとも200g/m、より好ましくは少なくとも300g/m、さらにより好ましくは少なくとも400g/m、最も好ましくは少なくとも500g/mの重量を有する。
【0051】
理論に束縛されるものではないが、少なくとも1つの力遮断層の重量が高いほど、力遮断挙動が良好であると考えられる。しかしながら、少なくとも1つの力遮断層の重量が高くなれば、コストも増加するので、少なくとも1つの力遮断層の重量は、3000g/m未満、好ましくは2500g/m未満、より好ましくは2000g/m未満、さらにより好ましくは1500g/m未満、最も好ましくは1000g/m未満であり得る。
【0052】
少なくとも1つの力遮断材料の層の厚さは、適用される圧力5cN/cm(0.5kPa)でDIN EN ISO 9073−2(1996年10月)に従って決定される。少なくとも1つの力遮断材料の層が、織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、または一方向繊維の圧密層である場合、圧力は25cmのプレッシャーフットに適用される。少なくとも1つの力遮断材料の層が発泡材料の層、ゴムの層、または絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットである場合、厚さは、適用される圧力20cN/cm(2kPa)でDIN EN ISO 9863−1(2002)に従って決定され、圧力は25cmのプレッシャーフットに適用される。
【0053】
複合構造では、少なくとも1つの力遮断材料の層は、複合構造の延長部全体にわたる連続層として、またはパターン化された層として存在することができ、そこでは、少なくとも1つの力遮断材料の層の力遮断材料のみが存在し、型枠の層は少なくとも1つの力遮断材料の層と接触している。
【0054】
少なくとも1つの力遮断材料の層が、パターン化された層として存在する場合、材料の量が低減され、さらに複合構造のコストも削減される。少なくとも1つの力遮断材料の層が、パターン化された層として存在する場合、複合構造では、その複合構造がより容易に取り扱われ、貯蔵され、輸送され、販売され、設置され得るように、巻き上げられる能力が改善されている。
【0055】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの力遮断材料の層は、当業者に公知の任意の方法によって型枠の層に結合され得る。好ましくは、少なくとも1つの力遮断材料の層と型枠の層との間の結合は、熱的、機械的および/または化学的に行われる。
【0056】
一実施形態では、型枠の層は、最大50mm、好ましくは最大35mm、好ましくは最大20mm、好ましくは最大19mm、より好ましくは最大18mm、さらにより好ましくは最大17mm、最も好ましくは最大16mmの厚さを有する。
【0057】
別の実施形態では、型枠の層は、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも5mm、より好ましくは少なくとも7mm、さらにより好ましくは少なくとも9mm、最も好ましくは少なくとも10mmの厚さを有する。
【0058】
型枠の層の厚さは、適用される圧力20cN/cm(2kPa)でDIN EN ISO 9863−1(2002)に従って決定され、圧力は25cmのプレッシャーフットに適用される。
【0059】
好ましい実施形態では、型枠の層は、弛緩したハニカム構造からなり、ここで、半六角形のセル壁は、互いに0°〜110°の間、好ましくは1°〜110°の間、より好ましくは20°〜100°の間、さらにより好ましくは35°〜95°の間、最も好ましくは50°〜90°の間の角度αである。
【0060】
別の実施形態では、間の角度αは、少なくとも0°、好ましくは少なくとも1°、より好ましくは少なくとも15°、さらにより好ましくは少なくとも30°、さらにより好ましくは少なくとも40°、最も好ましくは少なくとも50°である。
【0061】
別の実施形態では、間の角度αは、最大110°、好ましくは最大90°、より好ましくは最大85°、さらにより好ましくは最大80°以下、さらにより好ましくは最大70°、最も好ましくは最大65°である。
【0062】
角度αが110°より大きい場合、型枠の安定性が低下し、フローティングスクリードの重量を支えることができなくなることがある。
【0063】
型枠の層は、任意の適切な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成され得る。
【0064】
好ましくは、型枠の層は、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑ポリマーで構成されている。
【0065】
好ましい実施形態では、型枠の層は、半分閉じられたハニカム構造または弛緩したハニカム構造の少なくとも一方の側に取り付けられたカバー層を含む。
【0066】
カバー層は、2次元(2D)層であってよく、かつ織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、連続フィルム、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される材料からなり得る。
【0067】
カバー層の織布、不織布または編布は、鉱物繊維、例えば、ガラス、玄武岩またはロックウール繊維、および/または熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成された繊維を含み得る。
【0068】
好ましくは、カバー層に含まれる繊維は、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0069】
カバー層に含まれる繊維は、一成分繊維および二成分繊維であってよく、ここで、二成分繊維は、並んでいる、同心または偏心コア/シースモデル、または海島モデルであり得る。
【0070】
一実施形態では、カバー層に含まれる一成分繊維は、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0071】
好ましくは、カバー層に含まれる一成分繊維は、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑ポリマーで構成されている。
【0072】
好ましい実施形態では、カバー層に含まれる繊維は、コア/シースモデルの二成分繊維である。好ましくは、カバー層に含まれる二成分繊維のコアおよびシースは、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0073】
熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーを含む二成分繊維を使用することにより、二成分繊維は、少なくとも部分的に溶融したシースの点から見て、一定のコアの引張強度の特性と一定の繊維間の結合強度の特性とを両立させることができる。
【0074】
カバー層に含まれる二成分繊維のコアおよびシースの場合、任意の適切な熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーが使用され得る。好ましくは、シースのポリマーは、コアのポリマーの融点よりも低い融点を有する。
【0075】
好ましくは、カバー層に含まれる二成分繊維のコアは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑ポリマーで構成されている。
【0076】
好ましくは、カバー層の二成分繊維のシースは、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑ポリマーで構成されている。
【0077】
好ましい実施形態では、複合構造の層は、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。複合構造の層は、異なるポリマーで構成することができ、好ましくは、複合構造の層は、1つの熱可塑性ポリマーまたは1つの熱可塑性エラストマーポリマーまたは1つのポリマーファミリーで構成されている。
【0078】
本発明の範囲内で、ポリマーファミリーについて、1つのファミリーのポリマーが少なくとも50%の同じモノマー単位で構成されていることが理解されるべきである。
【0079】
好ましくは、複合構造の層は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも100%の同一のモノマー単位で構成されている熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0080】
複合構造の全ての層は、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されているので、複合構造中の全ての層を熱的に結合させることができ、追加の化学的および/または機械的結合は必要とされないだろう。
【0081】
一実施形態では、複合構造は、ただ1つの熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。好ましくは、型枠の層、カバー層および少なくとも1つの力遮断材料の層は、ただ1つの熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されている。
【0082】
本発明の範囲内で、「ただ1つの熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマー」という表現は、ただ1つの熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーのコポリマーも含まれることを意味する。
【0083】
複合構造の全ての層は、ただ1つの熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成されているので、複合構造の層をリサイクル前に分離する必要がないため、その寿命後の複合構造のリサイクルをはるかに容易にすることができる。
【0084】
本願の課題は、上述の特徴を含む複合構造と、少なくとも1つの力遮断材料の層に面していない型枠の層の側にあるフローティングスクリードの層とを含む浮床システムによっても解決される。浮床システムは、250Hz未満の低周波数、特に250Hz未満、好ましくは150Hz未満、より好ましくは100Hz未満、さらにより好ましくは80Hz未満、最も好ましくは50Hz未満の周波数で衝撃音吸収特性を提供する。
【0085】
好ましい実施形態では、フローティングスクリードの層は、フローティングスクリードが、力遮断材料の少なくとも1つの層に面していない型枠の層の表面全体にわたって、型枠の層の表面と直接接触し、少なくとも1つの力遮断材料の層に面する型枠の層の一方の側に、空気流路が設けられ得るように、複合構造の頂部に適用される。
【0086】
一実施形態では、フローティングスクリードの層は、型枠の層の両側に空気流路が設けられるように、複合構造の頂部に適用される。好ましくは、フローティングスクリードは、予め形成されたプレートとして複合構造に適用される。
【0087】
好ましい実施形態では、フローティングスクリードのプレートは、浮床システム全体にわたって延長する厚さを有する。好ましくは、フローティングスクリードのプレートの厚さは、フローティングスクリードのプレートの延長部全体にわたって一定である。
【0088】
本発明の範囲内で、フローティングスクリードのプレートの一定の厚さとは、その厚さが平均厚さの最大±20%、好ましくは最大±15%、さらにより好ましくは最大±10%、最も好ましくは最大±5%の変動を有することを意味する。
【0089】
複合構造は、好ましい実施形態において、浮床システムにおけるフローティングスクリードの層の厚さが、最大4.0cm、好ましくは最大3.5cm、より好ましくは最大3.0cm、さらにより好ましくは最大2.5cm、さらにより好ましくは最大2.0cm、最も好ましくは最大1.5cmであることを可能にする。
【0090】
フローティングスクリードの層の厚さが4.0cmを上回ると、コストが高くなり、浮床システム構造全体の重量が重くなるため好ましくない。
【0091】
本願の課題は、以下の方法によっても解決される:少なくとも1つの力遮断材料の層および型枠の層を含む複合構造を床スラブ上に供給する工程と、型枠の層上にフローティングスクリードの層を適用する工程とを含む浮床システムの製造方法であって、型枠の層が、半分閉じられたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であることを特徴とする、方法が提供される。
【0092】
浮床システムの製造方法において供給される複合構造は、上記の特徴のいずれかを含み得る。
【0093】
以下の図面および図面の説明は、例示的な例であり、本発明の限定的な特徴として理解されるべきではない。
【0094】
本方法に従って提供される浮床システムは、上記の複合構造および/または上記の浮床システムの任意の実施形態も含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1図1は、浮床システムの一実施形態の概略側面図を示す。
図2図2は、浮床システムの別の実施形態の概略側面図を示す。
図3図3は、弛緩したハニカム構造の概略側面図を示す。
図4図4は、弛緩したハニカム構造の断面の斜視図を示す。
【0096】
図1では、床スラブ101の上面に配置された少なくとも1つの力遮断材料の層102を含む浮床システム100の一実施形態が示されている。型枠の層としての弛緩したハニカム構造103が、少なくとも1つの力遮断材料の層102上に供給され、さらに、フローティングスクリードの層104が、上面にプレートとして供給される。層102、103および104を供給することによって、空気流路は、力遮断材料の層102に面している型枠の層の側(105aおよび105b)ならびに力遮断材料の層102に面していない型枠の層の側(105cおよび105d)にある型枠の層103に設けられる。空気流路105aおよび105bは、互いに接続されている(図示せず)。また、空気流路105cおよび105dも、互いに接続されている(図示せず)。
【0097】
図2では、床スラブ201の上面に配置された少なくとも1つの力遮断材料の層202を含む浮床システム200の別の実施形態が示されている。例えば、弛緩したハニカム構造である型枠の層203が、少なくとも1つの力遮断材料の層上に供給され、さらに、フローティングスクリードの層204が、型枠の層の上面に供給され、ここで、フローティングスクリード204は、表面全体にわたって型枠の層203と接触している。層202、203および204を供給することによって、空気流路205aおよび205bが、力遮断材料の層202に面する型枠の層の側に設けられる。空気流路205aおよび205bは、互いに接続されている(図示せず)。
【0098】
図3には、弛緩したハニカム構造303の側面図が示されており、これは、ハニカム306および307の2つの半分の間の角度αを有する。これにより、上側308aおよび308bならびに下側308cおよび309dにあるハニカムを開いて角度αを設けることが可能である。
【0099】
図4には、いくつかの半六角形セル406および407と、接続領域408aおよび408bとを含む、弛緩したハニカム構造403の斜視図が示されている。
【0100】
実施例1
力遮断材料の層として厚さ10mmの発泡材料と、ポリプロピレン製の弛緩したハニカム構造からなる型枠の層とを含み、ハニカムの2つの半分の間の角度αが60°である浮床システムのための複合構造が提供されている。
【0101】
複合構造の性能は、第1表に示すように、EN 29052:1992に従って評価されている。
【表1】
【0102】
比較例
力遮断材料の層として10mmの厚さを有する発泡材料が、型枠の層なしで提供された。
【0103】
第2表に示すように、発泡材料の層の性能を、EN 29052:1992に従って評価した。
【表2】
【0104】
複合構造は、36Hzの平均共振周波数(F)および10.2MN/mの動的剛性を有しており、これは、74Hzの平均共振周波数(F)および43.8MN/mの動的剛性を有する発泡材料の層に対して有意な改善である。
【0105】
50Hz未満の共振周波数は、衝撃音の低減、特に動的剛性の低減に優れていると考えられる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの力遮断材料の層(102)と、前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)の上に配置された型枠の層(103)とを含む、浮床システム(100)のための複合構造であって、前記型枠の層(103)は、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であり、前記ハニカム構造は、半六角形のセル壁および小さな接続領域が形成されるように、3次元構造および接続領域が形成され、続いて、前記半六角形のセル壁が、互いに角度αであるか、またはハニカムセルの形で互いに隣接するように、前記3次元構造が互いに向かって折り畳まれるような、フィルムの平面に対して垂直な塑性変形によって、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成され得る連続フィルムから製造されており、前記構造は、水不透過性であり、前記型枠の層の一方の側の空隙容積が、前記型枠の層の他方の側の空隙容積に接続されていないことを特徴とする、浮床システム(100)のための複合構造。
【請求項2】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)が、1〜10mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1記載の複合構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)が、織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、発泡材料の層、ゴム材料の層および絡み合ったフィラメントの3次元構造化マットを含む群から選択される材料で構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の複合構造。
【請求項4】
前記型枠の層(103)が、3〜20mm、好ましくは5〜19mm、より好ましくは7〜18mm、さらにより好ましくは9〜17mm、最も好ましくは10〜16mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項5】
前記型枠の層(103)が、半分閉じられたハニカム構造または弛緩したハニカム構造の少なくとも一方の側に取り付けられたカバー層を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項6】
前記カバー層が、2次元(2D)層であり、かつ織布、スパンボンドまたはスパンレイド不織布、メルトブローン不織布、カード不織布、エアレイド不織布、湿式レイド不織布、編布、ネット、スクリム、押し出された絡み合ったフィラメントの2次元マット、一方向繊維の圧密層、連続層またはそれらの組み合わせを含む群から選択される材料で構成され得ることを特徴とする、請求項5記載の複合構造
【請求項7】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)、前記型枠の層(103)および前記カバー層が、熱可塑性ポリマーおよび/または熱可塑性エラストマーポリマーで構成されており、好ましくは、前記層が、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−1,2−フランジカルボキシレート、ポリアミド、特にポリアミド6またはポリアミド6,6、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテル、ポリエーテルエステル、コポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーで構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の複合構造。
【請求項8】
前記型枠の層(103)が、弛緩したハニカム構造を含み、ここで、半六角形セルが、互いに0°〜110°の間、好ましくは、1°〜110°の間、より好ましくは20°〜100°の間、さらにより好ましくは35°〜95°の間、最も好ましくは50°〜90°の間の角度であることを特徴とする、請求項4または5記載の複合構造。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の複合構造と、前記少なくとも1つの力遮断材料の層に面していない前記型枠の層の側にあるフローティングスクリードの層(104)とを含む、浮床システム(100)。
【請求項10】
前記フローティングスクリードの層(104)が、最大4.0cm、好ましくは最大3.5cm、より好ましくは最大3.0cm、さらにより好ましくは最大2.5cm、最も好ましくは最大2.0cm、さらに最も好ましくは1.5cmの厚さを有することを特徴とする、請求項9記載の浮床システム。
【請求項11】
請求項9または10記載の浮床システムの層を含む、浮床システム(100)の製造方法であって、最初に前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を床スラブ(101)上に供給し、続いて前記型枠の層(103)を供給し、最後に前記フローティングスクリードの層(104)を供給し、前記型枠の層(103)が、半分閉じられて折り畳まれたハニカム構造または弛緩したハニカム構造であり、前記ハニカム構造は、半六角形のセル壁および小さな接続領域が形成されるように、3次元構造および接続領域が形成され、続いて、前記半六角形のセル壁が、互いに角度αであるか、またはハニカムセルの形で互いに隣接するように、前記3次元構造が互いに向かって折り畳まれるような、フィルムの平面に対して垂直な塑性変形によって、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーポリマーで構成され得る連続フィルムから製造されており、前記構造は、水不透過性であり、前記型枠の層の一方の側の空隙容積が、前記型枠の層の他方の側の空隙容積に接続されていないことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を、床スラブ(101)上に供給し、前記型枠の層(103)を、ロールから前記床スラブ(101)上に圧延することによって、または前記床スラブ(101)上に段階的に敷設することによって供給することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの力遮断材料の層(102)を床スラブ(101)上に供給すること、および前記型枠の層(103)を供給することを、双方の層を同時に1つのロールから前記床スラブ(101)上に圧延することによって実施する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
請求項9または10記載の浮床システム(100)の、木製床スラブおよび/またはコンクリートスラブ上の浮床システムとしての使用。
【国際調査報告】