特表2021-530660(P2021-530660A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-530660冷蔵システムおよび複数充填床冷蔵システムの動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-530660(P2021-530660A)
(43)【公表日】2021年11月11日
(54)【発明の名称】冷蔵システムおよび複数充填床冷蔵システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/00 20060101AFI20211015BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20211015BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20211015BHJP
   F25B 7/00 20060101ALI20211015BHJP
   F25B 41/48 20210101ALI20211015BHJP
【FI】
   F25B5/00 A
   F25B1/00 101
   F25B1/00 396D
   F25B1/00 396Z
   F25B6/02 Z
   F25B7/00 D
   F25B41/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-571516(P2020-571516)
(86)(22)【出願日】2019年7月1日
(85)【翻訳文提出日】2020年12月16日
(86)【国際出願番号】IB2019055599
(87)【国際公開番号】WO2020008337
(87)【国際公開日】20200109
(31)【優先権主張番号】18181285.0
(32)【優先日】2018年7月2日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】520496109
【氏名又は名称】アルバクリ,サミ アブドルラーマン エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバクリ,サミ アブドルラーマン エイ.
(57)【要約】
熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するチラー(B)と、冷気を貯蔵する冷蔵部(C)と、HTFの循環を可能にする圧縮機(A)とを備え、バイパス制御弁(K;L)が、チラー(B)の出口と冷蔵部(C)の出口との間に適用され、圧縮機(A)の入口の温度を所定の設定温度に保持するように適合されている、冷蔵システムが開示されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵システムであって、
熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するチラー(B)と、
冷気を貯蔵するための冷蔵部(C)と、
前記HTFの循環を可能にする圧縮機(A)と、を備え、
バイパス制御弁(K;L)が、前記チラー(B)の出口と前記冷蔵部(C)の出口との間に適用され、前記圧縮機(A)の入口の温度を所定の設定温度に保持するように適合されている、冷蔵システム。
【請求項2】
冷蔵システムであって、
冷気を貯蔵するための冷蔵部(C)と、
熱伝達流体(HTF)の循環を可能にする圧縮機(A)と、
ユーザに冷気を供給するための熱交換器コイル(D)であって、前記圧縮機(A)と前記冷蔵部との間に配置されている熱交換器コイル(D)と、
バイパス制御弁(L)を備えたバイパスラインであって、前記バイパスラインが前記冷蔵部(C)の入口および出口を接続し、前記バイパス制御弁(L)が、所定の設定温度に前記冷蔵部(C)の前記出口の温度を保持するように前記バイパスラインを通るバイパス流を制御するように適合された、バイパスラインと、を備える、冷蔵システム。
【請求項3】
熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するための冷却源(B)としてのチラーと、冷気を貯蔵するための冷蔵部(C)としての複数充填床システムと、高圧下で動作する閉回路において前記HTFの循環を可能にするHTF圧縮機(A)と、ユーザに冷気を提供する熱交換器コイル(D)と、を備える、中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のためのエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムを動作させる方法であって、以下の温度および動作圧力の設定値:
・チラーの設定温度としてのチラーの出口における充填設定温度、
・充填モード中の各充填床の底部の設定温度としての全ての充填床の出口における設定温度、
・前記HTF圧縮機の入口における設定温度、
・設定圧力としての前記HTF圧縮機の設定圧力、
・冷却目的の前記熱交換器の設定温度としての、前記ユーザに冷却を提供するための前記熱交換器における設定温度、
が前記システムを起動する前に所定値に設定され、
充填段階では、前記熱伝達流体が前記HTF圧縮機(A)によって圧縮され、
前記加圧されたHTFが前記チラー(B)に入り、そこで温度が前記チラーの設定温度まで低下し、
前記低温の加圧されたHTFが、下から前記複数充填床システム(C)に入り、上から出て、
前記複数充填床システムの前記出口(ポイント(3))において、前記HTFが前記HTF圧縮機に流れ、
前記複数充填床システムの上部(ポイント(3))の前記HTFの温度が充填床の出口において前記設定温度に到達すると、前記充填段階が停止し、
設定温度として前記HTF圧縮機(A)の前記入口における前記HTF温度を保持するために、バイパス制御弁(K)が前記チラー(B)の出口と前記複数充填床システム(C)の出口と前記HTF圧縮機(A)の出口との間に適用され、
バイパスが適用されていない場合、ポイント(3)における前記複数充填床システムの前記出口の前記HTF温度が、開始時に高く、前記複数充填床の温度低下に起因して前記充填段階の過程で低下することを特徴とする、方法。
【請求項4】
一体に接続された複数の充填床が使用される場合、
・第1の充填床(C1)(ポイント1、2、3、4から5)の充填中、第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、ならびに第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)が閉じられ、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれ、前記HTFが、第1の充填床(C1)から通過し、前記ポイント(1)、(2)、(3)、(4)および(5)を経由して流れ、この段階で、前記圧縮機(A)の入口(ポイント(5))の前記HTF温度が、前記HTF圧縮機(A)の入口の前記設定温度になるように前記バイパス制御弁(K)によって制御され、
・第1の充填床(C1)の出口(ポイント(3))の前記HTF温度が前記複数充填床の出口の前記設定温度に到達すると、前記第2の充填床が、前記第1の充填床(C1およびC2)によって充填を開始し(ポイント1、2、3、4、5から6)、この段階で、第2および第3の充填床の入口間の前記制御弁(CV2)が閉じられ、第1および第2の充填床の入口間の前記弁(CV1)、第1および第2の充填床の出口間の前記制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の前記制御弁(CV4)が開かれ、前記HTFが、前記ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)を介して前記第1および第2の充填床(C1およびC2)を流れ、前記圧縮機(A)の入口(ポイント(7))の前記HTF温度が、前記設定温度になるように第1および第2の充填床の出口間の前記制御弁(CV3)および/または前記バイパス制御弁(K)を使用して制御され、ポイント(5)の前記第2の充填床(C2)の出口の前記HTF温度が、前記複数充填床の出口の前記設定温度に到達すると、前記充填段階が停止し、
・第3の充填床(C3)を接続する場合、前記第3の充填床(C3)を充填するために、第1および第2の充填床の出口間の前記制御弁(CV3)が閉じられ、第1および第2の充填床の入口間の前記制御弁(CV1)、第2および第3の充填床の入口間の前記制御弁(CV2)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の前記制御弁(CV4)が開かれ、前記HTFが、前記ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(6)および(7)を経由して前記第2および第3の充填床(C2およびC3)を流れ、前記圧縮機(A)の入口(ポイント(8))の前記HTF温度が、前記設定温度になるように第2および第3の充填床の出口間の前記制御弁(CV4)および/または前記バイパス制御弁(K)を使用して制御され、
・さらなる充填床を接続する場合、最後の充填床を充填するために、最後の2つを除く前の充填床の前記制御弁が閉じられ、最後の2つの充填床の前記制御弁が開かれ、前記HTFが、前記最後の充填床と最後の充填床の1つ前に流れ、前記圧縮機(A)の入口の前記HTF温度が、前記設定温度になるように前記最後の充填床の1つ前の出口に取り付けられた前記制御弁および/または前記バイパス制御弁(K)を使用して制御される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全ての充填床が一体に並列に接続されている場合、
・全ての充填床(C1、C2およびC3)(ポイント1、2、3、4、5、6、7から8)を充填するとともに、前記バイパス弁が前記設定温度になるように前記HTF圧縮機(A)の前記入口の前記HTFの前記温度を制御し、この段階で、全ての制御弁(CV1、CV2、CV3およびCV4)が開かれ、前記HTFが、前記ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)を経由して流れ、前記圧縮機(A)の入口の前記HTF温度が、前記バイパス制御弁(K)を使用して制御され、
・ポイント(7)の前記HTF温度が前記複数充填床の出口において前記設定温度に到達すると、前記充填段階が停止する、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
全ての充填床が、並列順序ではなく直列順序で一体に接続されることができ、この場合、第1の充填床の出口を第2の充填床の入口に接続し、前記第2の充填床の出口を第3の充填床の入口に接続する追加の接続パイプが使用され、前記圧縮機(A)の入口(ポイント(8))の前記HTF温度が、前記バイパス制御弁(K)を使用して制御される、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記充填プロセスが、上から下へまたは下から上へのいずれかとすることができる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
排出段階では、前記熱伝達流体が前記HTF圧縮機(A)(ポイント(1))によって圧縮され、
前記加圧されたHTFの一部が、上から前記充填床システムに入り、下から出る(ポイント(2))一方で、前記加圧されたHTFの残りの部分が、ポイント(3)にバイパスされ、
前記熱交換器コイルの前記入口における前記HTFの前記温度が冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に維持されるように、前記バイパス制御弁(L)を通る前記HTFのバイパスされた質量流量が制御され、ファンが周囲温度によって空気を吹き付け、
前記熱交換器コイルの前記出口では、前記HTFの前記温度(ポイント(4))が周囲温度と同様であり、
前記充填床システムの前記出口(ポイント(2))の前記HTFの前記温度が、冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に到達すると、前記排出段階が停止する、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
一体に接続された複数の充填床が使用される場合、
・第3の充填床(C3)(ポイント1、2から3)の排出中に、前記バイパス制御弁(L)が、前記熱交換器コイルの入口において前記HTFの温度を制御し、第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、前記第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、ならびに前記第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)は閉じており、前記第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、ならびに前記充填床(C1、C2およびC3)の出口と前記熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)が開かれ、前記HTFが、前記HTF圧縮機(A)から前記ポイント(1)、(2)および(3)を経由して前記熱交換器コイル(D)に流れ、前記第3の充填床(C3)を排出している間、ポイント(3)の温度が、前記バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に一定に保たれ、前記第3の充填床(C3)の出口の前記HTF温度(ポイント(2))が冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に到達すると、前記第3の充填床の前記排出が停止され、前記第2の充填床の前記排出が開始され、
・前記第2の充填床(ポイント1、2から3)の排出中に、前記バイパス弁(L)が、前記熱交換器コイルの入口の前記HTFの前記温度を、冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に制御し、前記第1の充填床(C1)の出口の前記排出制御弁(DCV1)、前記第3の充填床(C3)の出口の前記排出制御弁(DCV3)、ならびに前記第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の前記排出制御弁(DCV4)が閉じられ、前記第2の充填床(C2)の出口の前記排出制御弁(DCV2)、前記第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の前記排出制御弁(DCV5)、ならびに前記充填床(C1、C2およびC3)の出口と前記熱交換器コイル(D)との間の前記弁(DCV6)が開かれ、前記HTFが、前記HTF圧縮機(A)から前記ポイント(1)、(2)および(3)を経由して前記熱交換器コイル(D)に流れ、前記第2の充填床(C2)を排出している間、ポイント(3)の温度が、前記バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度になるように一定に保たれ、前記第2の充填床(C2)の出口(ポイント(2))の前記HTF温度が、冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度に到達すると、前記第2の充填床の前記排出が停止し、
・前記第1の充填床(C1)を排出するために、前記第1の充填床(C1)の出口の前記排出制御弁(DCV1)、前記第2の充填床(C2)の出口の前記排出制御弁(DCV2)、ならびに前記第3の充填床(C3)の出口の前記排出制御弁(DCV3)が閉じられ、前記第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の前記排出制御弁(DCV4)、前記第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の前記排出制御弁(DCV5)、ならびに前記充填床(C1、C2およびC3)の出口と前記熱交換器コイル(D)との間の前記弁(DCV6)が開かれ、前記HTFが、前記HTF圧縮機(A)から前記ポイント(1)および(2)を経由して前記熱交換器コイル(D)に流れ、前記第1の充填床(C1)を排出している間、ポイント(2)の温度が、前記バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度になるように一定に保たれ、前記第1の充填床(C1)の出口(ポイント(2))の前記HTF温度が冷却目的で前記熱交換器の前記設定温度(ここでは、16℃である)に到達すると、前記第1の充填床の前記排出が停止する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
排出が下から上へまたは上から下へとすることができる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各充填床が、単分散および/または多分散の固体粒子としての充填材料によってランダムに充填される、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記充填材料が、酸化アルミニウム、鋼もしくはセラミック、または相変化材料(PCM)などの内部に流体を含むその他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体から作製されることができる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記充填材料が、酸化アルミニウム、鋼もしくはセラミック、または相変化材料(PCM)などの内部に流体を含むその他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体のうちの2つ以上の混合物とすることができる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数充填床システムが、建物の外側に垂直または水平に、および/または地面または地下に配置されることができ、および/または移動可能とすることもできる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記HTF流体が、二酸化炭素、窒素、乾燥空気またはその他の適切なガスとすることができる、前の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧された低温の単一または複数充填床の冷蔵および分配システムに関する。本システムは、冷却目的だけでなく、太陽電池パネルなどのエネルギー貯蔵システム用にも開発された。
【背景技術】
【0002】
動機
大規模な水力または地熱エネルギーの使用に適した豊富な天然資源がない多くの国では、発電は、主に火力発電所に基づいており、最大40年のプラント寿命を考慮して、当面の間そうし続けるであろう。天然ガス、石油または固体燃料(石炭、バイオマス、都市廃棄物、廃棄物固形燃料、さらには乾燥下水汚泥)などの燃料を使用する従来の発電所と、ウラン235などの核燃料を使用する原子力発電所とを区別することができる。従来の火力発電所では、化石燃料が燃焼し、高温の熱流を生み出す。この流れの一部は、機械的エネルギーに変換され、発電機と結合された蒸気タービンを駆動し、残りは、残留熱としてシステムから大気中に放散される。
【0003】
近年、科学的研究により、化石燃料の燃焼などの人間の活動が地球規模の気候変動に寄与することが確認されている。化石燃料を発電に転換するという観点からのエネルギー部門は、二酸化炭素排出の主要な発生源と見なされている。二酸化炭素濃度、したがって、地球の平均気温のさらなる増加を回避するために、CO排出量の大幅な削減が必要とされる。より低いCO排出量は、再生可能エネルギー源の使用を増加させることによって達成されることができる。しかしながら、世界中で増大する現在および将来の電気エネルギーの需要は、再生可能エネルギーで完全にカバーすることはできない。火力発電所の効率向上に加えて、CO排出量を削減するための追加の方法は、それらの電気負荷を削減するためのエンドユーザの能力である。産業、大建築物、および家庭でのエネルギー効率の取り組みは、照明、冷暖房システム、および主要な電化製品を対象としており、全て電力網から引き出され、光熱費が増える。
【0004】
流動床システムは、垂直容器内に配置された固体粒子の大部分であり、流体(気体または液体)は、多孔質プレートまたはノズルを介して底部から流れる。流体から粒子への新たな力は、流動化状態を引き起こし、気固相互作用のための効果的な方法を提供する。流動床システムは、単純な構造、大規模な運用への適合性、相(流体および固体)間の高熱および物質移動速度、粒子の広範囲の幾何学的および機械的特性にわたる可能な動作、ならびにシステムに出入りする固体の移動の可能性がある連続動作を含むいくつかの利点によって特徴付けられる。異なる変数が、粒子サイズ分布や表面流動化速度などの流動化挙動に影響を与える可能性がある。表面流動化速度が最小流動化速度を下回る場合、ガスは粒子の間質空間を通って流れるため、粒子は静止して充填されたままである。この場合、床は、多孔質媒体(一般に固定床または充填床として知られている)のように挙動する。表面流動化速度が最小流動化速度を超えると、床は不均一になり、気泡が明確に区別されることができる。この体制では、気泡の合体および崩壊が頻繁に発生する。表面流動化速度が固体終端速度(すなわち、重力に起因して粒子が自由落下に到達する速度)を超えると、粒子は、より速く動き始め、ストリーマおよびクラスタを形成する。ここでは、床の全体的な構造がより均質に変化する。より高い表面流動化速度では、粒子は、完全に同伴される。床全体が希薄な気固懸濁液になる。表面流動化速度に加えて、気固流の流動化挙動はまた、粒子の機械的および物理的特性、ならびに固体密度と流体密度との差異にも依存する。
【0005】
充填床(固定床)レクターは用途が広く、吸着、蒸留、分離プロセス、触媒反応を含む化学処理アプリケーションにおいて頻繁に使用される。充填床の新たな応用分野は、供給の安全性を維持し、特に風力発電および太陽光発電などのエネルギーグリッドにおける断続的な発電の増加に起因する将来の電力システムの柔軟性を向上させるために特に関心のある熱エネルギー貯蔵システムである。充填床の熱エネルギー貯蔵システムは、熱伝達流体が循環する固体材料から構成されている(バルク固体分率は約0.6である)。バルク固体分率(ランダム最密充填限界)は、床内の固体の最大体積空隙率を定義する。このパラメータは、通常の球体充填(単分散系)の粒子サイズとは無関係であり、非球形粒子を含む多分散系の粒子サイズ分布および粒子形状に依存する。
【0006】
熱エネルギー(熱)は、顕熱、潜熱または化学エネルギーとして充填床に蓄えられ、数時間、数日または数か月後に使用されることができる。充填段階では、高温の熱伝達流体(通常は空気)が上から下に床に流れ込み、貯蔵固形物を加熱する一方で、低温の熱伝達流体は、排出段階で下から上に流れ込む。化学エネルギー貯蔵システムの場合、熱エネルギーは、化学反応を使用して貯蔵/放出される。化学エネルギー貯蔵は、分子間結合に貯蔵されたポテンシャルエネルギーを回復するために完全に可逆的である必要がある吸熱化学反応を必要とする。潜熱貯蔵システムは、材料の相変化に必要なエンタルピー差を使用するため、温度に応じた適切な材料の選択が重要になる。熱エネルギーの貯蔵/放出は、一般に、固体から液体への相変化、およびその逆の相変化に基づいている。充填床潜熱エネルギー貯蔵システムは、太陽熱蓄熱、低温蓄熱システム、および廃熱回収システムに適用されることができる。実用的な熱エネルギー貯蔵システムでは、断熱容器に充填された固体材料の温度を上げたり下げたりすることによって、熱エネルギーが貯蔵/放出される。実用的な岩盤貯蔵システムは、熱風の流れによって満たされ、冷気の逆流によって排出される珪岩−岩盤から構成されている。そのようなシステムの場合、通常、排出温度は時間とともに低下し、ランダムに充填された床を使用するとかなりの圧力損失が発生するが、技術的および経済的側面により、顕熱蓄熱システムが優れている。他の熱エネルギー貯蔵システムと比較して、実用的な熱エネルギー貯蔵システムは、高いエネルギー密度、熱伝達流体と充填床材料との間の良好な熱伝達、使用される固体粒子の機械的および化学的安定性、低い熱損失、低い投資および運用コスト、および無制限の数の充填および排出サイクルを含む、いくつかの利点を有する。
【0007】
この特許では、熱エネルギー(熱)の代わりに、実用的な熱エネルギー貯蔵システムを使用して冷却エネルギー(冷気)を貯蔵する。特許調査が実施され、本発明に関連する可能性のある刊行物が以下に評価される:
以下のインターネットウェブサイト(「リバーサイド」)に「冷却熱エネルギー貯蔵」に関する開示がある。
【0008】
(http://www.energydepot.com/rpucom/library/hvac015.asp)
このウェブサイトでは、開示は、貯蔵媒体として氷を使用する冷却熱エネルギー貯蔵について説明している。本発明は、貯蔵媒体として氷を使用していない。
【0009】
文献カナダ国特許出願公開第2830125号明細書は、改良された蓄熱システムについて説明している。本発明との相違は、以下のとおりである:
−このシステムは、熱エネルギーを貯蔵するために使用され、冷蔵には使用されない
−このシステムは、開回路であるが、本発明は、充填および排出段階の間は閉システムを有する
−バイパスが使用されていないため、排出段階中のHTFの温度は低下する。本発明では、充填および排出段階中に一定の温度を維持するためにバイパス弁が使用される
−本発明のプロセスはまた、充填および排出段階中の異なる分配システムを有する。
【0010】
文献中国特許第103075907号明細書は、高圧下での蓄熱または冷蔵用の単一の貯蔵システムについて説明している。複数充填床システムならびに充填および排出段階に関する情報は、この文献には記載されていない。
【0011】
文献特開2013127245号公報は、可能な熱回収システムを備えた強化された冷却システムを開示している。本発明のプロセスは、システムがオフピーク時に充填され、ピーク時に排出されることができるため、完全に異なる。
【0012】
文献韓国特許出願公開第2014087697号明細書は、複数充填床システムならびに充填および排出段階に関する情報を開示していない。
【0013】
「Integrated Thermal Energy Storage for Cooling Applications」というタイトルを有する文献(最終報告書、作成者:ニューヨーク州アルバニーのニューヨーク州エネルギー研究開発局;ロバート・カーバーシニアプロジェクトマネージャー:作成者:メリーランド州ベルトビルのOptimized Thermal Systems,Inc.、カラ・マーティンCOO、ポール・カリノフスキー熱システムエンジニア;パートナーシップで作成:Johnson Controls,Inc.、Bitzer Scroll,Inc.;2017年6月)は、貯蔵媒体としての水の使用の可能性について説明している。
【0014】
文献国際公開第2017151606号パンフレットは、蓄熱システムについて説明している。本発明との相違は、以下のとおりである:
−文献内のシステムは、熱エネルギーを貯蔵するために使用され、冷蔵には使用されない
−このシステムは、開回路であるが、本発明は、充填および排出段階の間は閉システムを有する。
−排出段階での熱伝達流体(HTF)の温度は、全てのモジュールのHTF質量流量を変更することによって制御される。このプロセスは、充填および排出段階中に完全に異なる分配システムを有する
【発明の概要】
【0015】
冷蔵について以下に説明する本発明は、チラー、単一または複数充填床システム、圧縮機、および熱交換器コイルからなる新規プロセスに関する。適用されたチラー(冷凍サイクルまたは他のプロセスに基づく)は、約−50℃の低温を提供する(使用されるチラーのタイプおよび設計条件に応じて、温度は高くなることも低くなることもある)。
【0016】
単一または複数充填床システムは、少なくとも1つの充填床を有することができる。それは、2つ以上の充填床を含むことができる。それぞれは、ランダムに単分散または多分散の固体粒子(例えば、酸化アルミニウム、鋼、石、岩、セラミック、プラスチック、または任意の適切な固体材料から構成される)、ラシヒリングのような小さな物体、相変化材料(PCM)などによって充填されており、構造化されたパッキングを設計することができる。
【0017】
圧縮機は、回路内の熱伝達流体(例えば、二酸化炭素、窒素、乾燥空気またはその他の適切なガス)の循環を可能にする。圧縮機に必要な駆動力は、例えば電気モーターによって圧縮機シャフトに供給される。熱交換器コイルは、エンドユーザに冷却を提供する。
【0018】
夜間、オフピーク時、または再生可能資源からの余剰発電中に、システムは、熱伝達流体(HTF)を圧縮することによって充填され、チラーによって冷却される。低温流は、下から複数充填床システムに入り、上から出る(その逆も可能である)。したがって、複数充填床システム内の固体粒子の温度は低下し、HTFの温度は上昇する。高温の熱伝達流体は、複数充填床システムを出て、回路内で発生する圧力降下を補償する圧縮機に入る。システムは、加圧されており、動作圧力は、15barである(動作圧力は、設計条件に応じて高くなることも低くなることもある)。日中またはピーク時間中は、チラーは、スイッチオフされ、圧縮機は、複数充填床システムと熱交換器コイルとの間で熱伝達流体を循環させる。
【0019】
本発明によって開発された加圧、低温、単一または複数充填床の冷蔵および分配システムをよりよく説明するために使用される図、および前記図の説明が以下に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、プロセスコンポーネントの概略図である。
図2図2は、システムの簡素化されたプロセスレイアウトである。
図3図3は、バイパスなしの充填プロセス(一般)の概略図である。
図3-1】図3.1は、バイパスなしの充填中のポイント(0)および(1)における温度変化である。
図4図4は、バイパスありの充填プロセス(一般)の概略図である。
図4-1】図4.1は、バイパスありの充填中のポイント(0)および(1)の温度変化である。
図5a図5は、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の充填段階シーケンスの概略図である。図5.aは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の充填段階シーケンスの概略図(第1の充填床の充填)である。
図5b図5.bは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の充填段階シーケンスの概略図(第1および第2の充填床の充填)である。
図5c図5.cは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の充填段階シーケンスの概略図(第2および第3の充填床の充填)である。
図6図6は、並列に一体に接続された全ての充填床の場合の充填シーケンスの概略図である。
図7図7は、バイパスを使用した排出プロセス(一般)の概略図である。
図7-1】図7.1は、バイパスありおよびなしの充填中のポイント(0)および(1)での温度変化である。
図8a図8は、排出段階(一般)のシーケンスの概略図である。図8.aは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の排出段階シーケンスの概略図である(第3の充填床の排出)。
図8b図8.bは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の排出段階シーケンスの概略図である(第2の充填床の排出)。
図8c図8.cは、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の排出段階シーケンスの概略図である(第1の充填床の排出)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によって開発された加圧、低温、単一または複数充填床の冷蔵および分配システムをよりよく説明するために、参照符号が図の部品および構成要素に個別に割り当てられ、これらの符号のそれぞれの説明が以下に提供される:
A−熱伝達流体(HTF)圧縮機
B−チラー
C−複数充填床システム
C1−第1の充填床
C2−第2の充填床
C3−第3の充填床
D−熱交換器コイル
E−ユーザ
F−熱交換器用ファン
G−蒸発器
H−チラー用圧縮機
I−凝縮器
J−膨張弁
K−バイパス制御弁(充填)
L−バイパス制御弁(排出)
0−HTF圧縮機の入口のポイント(図3
1−充填によるHTF圧縮機とチラーとの間のポイント(図3
2−充填による第1の充填床の入口(図3
3−充填による第1の充填床の出口(図3
CV1:第1および第2の充填床の入口間の制御弁(充填中の図5
CV2:第2および第3の充填床の入口間の制御弁(充填中の図5
CV3:第1および第2の充填床の出口間の制御弁(充填中の図5
CV4:第2および第3の充填床の出口間の制御弁(充填中の図5
DCV1:第1の充填床(C1)の出口における排出制御弁(排出中の図8
DCV2:第2の充填床(C2)の出口における排出制御弁(排出中の図8
DCV3:第3の充填床(C3)の出口における排出制御弁(排出中の図8
DCV4:第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(排出中の図8
DCV5:第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(排出中の図8
DCV6:充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の排出制御弁(排出中の図8
プロセス構成要素
このプロセスは、複数充填床システム、チラー、熱交換器コイル、およびHTF圧縮機から構成されている(図1を参照)。
【0022】
1)複数充填床システム:このシステムは、冷気を貯蔵するために互いに接続された少なくとも1つ以上の充填床を備える。各充填床は、ランダムに充填材によって満たされている。充填材料は、単分散および/または多分散の固体粒子とすることができる。充填材料は、例えば、酸化アルミニウム、鋼もしくはセラミック、または相変化材料(PCM)などの内部に流体を含む他の固体粒子、および/またはラシヒリングのような小さな物体および/または充填材料として設計されることができる他のものから作製されることができる。充填材料は、これらの材料の2つ以上の混合物とすることができる。複数充填床システムは、建物の外側に垂直または水平に、および/または地面(地下)に配置されることができ、および/または移動可能とすることもできる。
【0023】
2)チラー:熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却する。
【0024】
3)熱交換器コイル:エンドユーザに冷却を提供する。
【0025】
4)HTF圧縮機:圧縮機は、高圧下で作動する閉回路におけるHTF(例えば、二酸化炭素、窒素、乾燥空気またはその他の適切なガス)の循環を可能にする。
【0026】
プロセス説明
図2は、中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての、加圧された低温/超低温の複数充填床冷蔵システムの簡略化されたプロセスレイアウトを示している。このプロセスには、チラー(冷却源)(B)、複数充填床システム(冷蔵)(C)、HTF圧縮機(圧力降下補償)(A)、および熱交換器コイル(ユーザへの冷気の供給)(D)の4つの構成要素が必要である。
【0027】
チラー(B)は、蒸発器(G)、チラー用圧縮機(H)、凝縮器(I)おとび膨張弁(J)を備える。それは、よく知られている技術である。
【0028】
本発明のプロセスにおいて、いくつかの設定値(温度および動作圧力)は、設計条件およびユーザ要件にしたがって定義されなければならない。これらは以下のとおりである:
・チラーの出口における充填設定温度(チラーの設定温度)、
・全ての充填床の出口における設定温度(充填モード中の各充填床の底部の設定温度)、
・HTF圧縮機の入口における設定温度、
・HTF圧縮機の設定動作圧力(設定圧力)、
・ユーザに冷却を提供するための熱交換器における設定温度(冷却目的の熱交換器の設定温度)。
【0029】
これらの温度および圧力の設定値は、システムを起動する前に所定値に設定される。
【0030】
図3に示すように、充填段階では、熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1))。加圧されたHTFは、チラー(B)に入り、そこで温度が約−50℃に低下する(HTFの温度は、高くても低くてもよい−ここでは、チラーの設定温度は、−50℃と想定されている)(ポイント(2))。次に、冷たく加圧されたHTFは、下から複数充填床システム(C)に入り、上から出る。複数充填床システムの出口(ポイント(3))において、HTFは、HTF圧縮機に流れる。複数充填床システムの上部(ポイント(3))におけるHTFの温度が特定の値(ここでは、−5℃であるが、これよりも高くても低くてもよい−ここでは、全ての充填床の出口の設定温度は、−5℃と想定されている)に到達すると、充填段階が停止する。ポイント(3)の出口HTF温度は、開始時に高く、冷蔵システムの温度低下に起因して充填段階の過程で低下することに留意されたい。これは、HTF圧縮機およびチラーが圧縮機(A)の入口におけるHTF温度が異なるため、異なる性能で動作することを意味する。図3.1では、充填段階中のポイント(0)および(1)においてHTF流体の温度が低下することがわかる。
【0031】
ポイント(1+2)における質量流量の一部がポイント(4)にバイパスされている場合(図4を参照)、充填段階中、出口HTF温度は、一定値(ここでは、10℃であるが、高くても低くてもよい)に維持されることができる。バイパス制御弁(K)を通る質量流量を調整するために制御回路が必要である。図4.1では、バイパス制御弁(K)を使用して、HTF流体の温度がポイント(0)および(1)において一定に保たれていることがわかる。
【0032】
充填段階での圧力降下は、主に複数充填床システムの圧力損失に関連している。圧力損失を低減するためには、動作圧力(設定圧力)を上げることが好ましい(ここでは、動作圧力は、15バールであるが、それより高くても低くてもよい)。より高い動作圧力が適用される場合、複数充填床システムの圧力損失は低くなる。動作圧力を上げると、複数充填床システムおよび関連する全ての構成要素の壁の厚さの増加をもたらす。充填段階中のHTFの質量流量は、充填温度(ここでは、−50℃)を達成し、システム内の圧力損失を補償するためのチラー容量に依存する。
【0033】
図5は、並列に一体に接続された3つの充填床の場合の充填段階シーケンスを示している。
【0034】
・第1の充填床(C1)(ポイント1、2、3、4から5)を充填するとともに、バイパス弁がHTF圧縮機の入口におけるHTFの設定温度を一定に制御する(ここでは、10℃である)。この段階(図5.a)では、第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)と第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)は閉じている。第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、および第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる。したがって、HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、および(5)を経由して流れる。圧縮機(A)の入口(ポイント(5))におけるHTF温度(設定温度)は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される(図5.a)。
【0035】
・第1の充填床(C1)の出口(ポイント(3))のHTF温度が複数充填床の出口の設定温度(ここでは、−5℃)に到達すると、第2の充填床は、第1の充填床(C1およびC2)とともに充填を開始する(ポイント1、2、3、4、5から6)とともに、バイパス制御弁(K)は、HTF圧縮機の入口のHTFの温度を設定温度に制御する(ここでは、10℃である)。この段階で(図5.bを参照)、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)は閉じられる。第1および第2の充填床の入口間の弁(CV1)、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる。したがって、HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、および(6)を経由して流れる。圧縮機(A)の入口(ポイント(7))のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して設定温度に制御される(図5.b)。
【0036】
・ポイント(5)における第2の充填床(C2)の出口のHTF温度が複数充填床の出口の設定温度(ここでは、−5℃)に到達すると、第3の充填床は、第2の充填床(C2およびC3)とともに充填を開始する。図5.cは、第3の充填床(C3)の充填段階を示している。
【0037】
・第3の充填床(C3)を充填するために、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)が閉じられる。第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる。したがって、HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、および(7)を経由して流れる。圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される(図5.c)。圧縮機の入口温度は、目的に応じて10℃、それよりも低くまたは高く設定されることができる。
【0038】
・第4(図示されていない)または追加の充填床を接続する場合にも、同様の手順が適用される。
【0039】
・充填プロセスは、上から下、または下から上のいずれかとすることができる。
【0040】
図6は、並列に一体に接続された全ての充填床の場合の充填シーケンスを示している。
【0041】
・全ての充填床(C1、C2、およびC3)(ポイント1、2、3、4、5、6、7から8)を充填するとともに、バイパス弁がHTF圧縮機の入口のHTFの温度を10℃に制御する。この段階で、全ての制御弁(CV1、CV2、CV3、およびCV4)が開かれる。したがって、HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、および(8)を経由して流れる。圧縮機(A)の入口のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される(図6)。
【0042】
・ポイント(7)のHTF温度が複数充填床の出口において設定温度(ここでは、−5℃)に到達すると、充填段階が停止する。
【0043】
図6に示すように、並列に一体に接続された全ての充填床の場合の充填シーケンスもまた、並列順序ではなく、直列順序(ポイント1、2、5、3、6、4、7、8)とすることができる。この場合、追加の接続パイプが必要である(すなわち、第1の充填床の出口から第2の充填床の入口、および第2の充填床の出口から第3の充填床の入口)。圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される。ここで、直列の充填段階(C1、C2、およびC3)は、より高いシステム内の圧力損失をもたらすことに留意されたい。
【0044】
図7に示すように、排出段階では、熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1))。図7.1は、バイパスシステムのないポイント(3)の出口HTF温度が開始時に非常に低く、冷蔵システムの温度が上昇するため、排出段階の過程で上昇することを示している。バイパス制御弁(L)を使用すると、ポイント(3)の出口HTF温度は、冷却目的で熱交換器の設定温度で一定に保たれる。ここで、加圧されたHTFの一部は、上から充填床システムに入り、下から出る(ポイント(2))一方で、加圧されたHTFの残りの部分は、ポイント(3)にバイパスされる。熱交換器コイルの入口におけるHTFの温度が、排出段階中に冷却目的で熱交換器の設定温度に維持される(ここでは、16℃である)(この設定温度は、ユーザに応じてより高くまたはより低く選択されることができる)ように、バイパス制御弁(L)を通るHTFのバイパスされた質量流量が制御される。ファンは、50℃の周囲温度の空気をコイルに吹き付けて、エンドユーザに冷却を提供する(周囲温度は、より低くても高くてもよい)。熱交換器コイルの出口では、HTFの温度(ポイント(4))は、周囲温度と同様である。充填床システムの出口(ポイント(2))のHTFの温度が、冷却目的で熱交換器の設定温度(ここでは、16℃)に到達すると、排出段階が停止する。排出段階中のHTFの質量流量は、HTF圧縮機とシステムで発生する圧力損失とに依存する。一般に、システムは、充填段階と比較して、HTFのはるかに高い質量流量で排出されることができる。これは、ピーク時に大量の冷気を供給するのに非常に重要である。
【0045】
図8は、排出段階のシーケンスを以下のように示している:
・バイパス制御弁(L)が16℃の熱交換器コイルの入口においてHTFの温度を制御している間に、第3の充填床(C3)(ポイント1、2から3)を排出する。第3の充填床(C3)を排出するために、第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、ならびに第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)は閉じている。第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、および充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)が開かれる。したがって、HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)、(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる。第3の充填床(C3)を排出している間、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度に一定に保たれる(図8.a)。ここで、ポイント(3)の出口温度は16℃であるが、実装条件によってはより高くまたは低くすることができる。第3の充填床(C3)の出口におけるHTF温度(ポイント(2))が冷却目的で熱交換器の設定温度(16℃)に到達すると、第3の充填床の排出が停止され、第2の充填床の排出が開始する。
【0046】
・バイパス弁(L)が熱交換器コイルの入口のHTFの温度を冷却目的で熱交換器の設定温度(ここでは、16℃である)に制御している間に、第2の充填床(ポイント1、2から3)を排出する。第2の充填床(C2)を排出するために、第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、および第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)は閉じている。第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁の排出制御弁(DCV6)が開かれる。したがって、HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)および(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる。第2の充填床(C2)の排出中、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して(図8.b)冷却目的で熱交換器の設定温度になるように一定に保たれる(ここでは、16℃であるが、実装条件に応じてより高くまたはより低くすることができる)。第2の充填床(C2)の出口(ポイント(2))のHTF温度が冷却目的で熱交換器の設定温度(16℃)に到達すると、第2の充填床の排出が停止する。
【0047】
・第1の充填床(C1)を排出するために、第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、および第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)が閉じている。第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の排出制御弁(DCV6)が開かれる。したがって、HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)および(2)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる。第1の充填床(C1)の排出中、ポイント(2)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して(図8.c)冷却目的で熱交換器の設定温度になるように一定に保たれる(ここでは、16℃であるが、実装条件に応じてより高くまたはより低くすることができる)。第1の充填床(C1)の出口(ポイント(2))のHTF温度が冷却目的で熱交換器の設定温度(16℃)に到達すると、第1の充填床の排出が停止する。
【0048】
・同様の手順が追加の充填床にも適用される。
【0049】
・排出は、下から上、または上から下のいずれかとすることができる。
【0050】
本発明の一般的な説明
中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムは、熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するためのチラー(冷却源)(B)と、冷気を貯蔵するための複数充填床システム(冷蔵)(C)と、高圧下で動作する閉回路においてHTFの循環を可能にするHTF圧縮機(A)と、熱交換器コイル(ユーザに冷気を供給する)(D)(図2)とを備える。
【0051】
開始段階(システムを開始する前)では、以下の設定値(温度および動作圧力)が所定値に設定される:
・チラーの出口における充填設定温度(チラーの設定温度)、
・全ての充填床の出口における設定温度(充填モード中の各充填床の底部の設定温度)、
・HTF圧縮機の入口における設定温度、
・HTF圧縮機の設定圧力(設定圧力)、
・ユーザに冷却を提供するための熱交換器における設定温度(冷却目的の熱交換器の設定温度)。
【0052】
充填段階では、熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1));加圧されたHTFは、チラー(B)に入り、そこで温度がチラーの設定温度(ポイント(2))まで低下する;低温の加圧されたHTFは、下から複数充填床システム(C)に入り、上から出る;複数充填床システムの出口(ポイント(3))において、HTFは、HTF圧縮機に流れる;複数充填床システムの上部のHTFの温度(ポイント(3))が充填床の出口で設定温度に到達すると、充填段階が停止する;バイパスが適用されていない場合、ポイント(3)の複数充填床システムの出口のHTF温度は、開始時に高く、複数充填床の温度低下に起因して充填段階の過程で低下する。(図3
充填段階中に、設定温度としてHTF圧縮機(A)の入口におけるHTF温度を保持するために、バイパス制御弁(K)がチラー(B)の出口と複数充填床システム(C)の出口とHTF圧縮機(A)の出口との間に適用される。(図4
互いに接続された複数の充填床が使用される場合;充填床の充填において;
・第1の充填床(C1)は、以下のように(ポイント1、2、3、4から5)(図5.a)の間で充填される;
第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、ならびに第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)は閉じている;第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;(図5.a)
HTFは、第1の充填床(C1)から通過し、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)および(5)を経由して流れる;(図5.a)
この段階で、圧縮機(A)の入口(ポイント(5))のHTF温度は、HTF圧縮機(A)の入口の設定温度になるように、バイパス制御弁(K)によって制御される(図5.a);
・第1の充填床(C1)の出口(ポイント(3))のHTF温度が複数充填床の出口の設定温度に到達すると、第2の充填床は、第1の充填床(C1およびC2)によって充填を開始する(ポイント1、2、3、4、5から6)(図5.b);
この段階で、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)が閉じられる;第1および第2の充填床の入口間の弁(CV1)、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)を介して第1および第2の充填床(C1およびC2)を流れる;圧縮機(A)の入口(ポイント(7))のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される;ポイント(5)の第2の充填床(C2)の出口のHTF温度が複数充填床の出口の設定温度に到達すると、充填段階が停止する(図5.b)。
【0053】
・第3の充填床(C3)を接続する場合;第3の充填床(C3)を充填するために、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)が閉じられる;第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(6)および(7)を経由して第2および第3の充填床(C2およびC3)を流れる;圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される(図5.c)。
【0054】
・さらに充填床を接続する場合;最後の充填床を充填するために、最後の2つを除く前の充填床の制御弁が閉じられる;最後の2つの充填床の制御弁が開かれる;HTFは、最後の充填床と最後の充填床の1つ前に流れる;圧縮機(A)の入口のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される。
【0055】
全ての充填床が並列に接続されている場合(図6);
・全ての充填床(C1、C2およびC3)(ポイント1、2、3、4、5、6、7から8)を充填するとともに、バイパス弁が設定温度になるようにHTF圧縮機(A)の入口においてHTFの温度を制御する;この段階で、全ての制御弁(CV1、CV2、CV3およびCV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)を経由して流れる;圧縮機(A)の入口のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される(図6);
ポイント(7)のHTF温度が複数充填床の出口で設定温度に到達すると、充填段階が停止する(図6)。
【0056】
全ての充填床が並列順序ではなく直列順序に接続されている場合;この場合、第1の充填床の出口を第2の充填床の入口に接続し、第2の充填床の出口を第3の充填床の入口に接続する追加の接続パイプが使用される。圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される。
【0057】
充填プロセスは、本発明において開発された単一または複数充填床冷蔵システムの場合、上から下または下から上のいずれかとすることができる。
【0058】
排出段階中(図7)。
【0059】
熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1));
加圧されたHTFの一部は、上から充填床システムに入り、下から出る(ポイント(2))一方で、加圧されたHTFの残りの部分は、ポイント(3)にバイパスされる;
熱交換器コイルの入口におけるHTFの温度が冷却目的で熱交換器の設定温度に維持されるように、バイパス制御弁(L)を通るHTFのバイパスされた質量流量が制御される;
ファンは、周囲温度で空気を吹き付ける;熱交換器コイルの出口では、HTFの温度(ポイント(4))は周囲温度と同様である;
充填床システムの出口(ポイント(2))のHTFの温度が、冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、排出段階が停止する(図7)。
【0060】
一体に接続された複数の充填床が使用される場合(図8);
・第3の充填床(C3)(ポイント1、2から3)の排出中(図8.a)、
バイパス制御弁(L)は、熱交換器コイルの入口においてHTFの温度を制御する;
第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、ならびに第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)は閉じている;
第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、および充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)が開かれる;
HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)、(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる;第3の充填床(C3)を排出している間、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度に一定に保たれる。
【0061】
第3の充填床(C3)の出口のHTF温度(ポイント(2))が冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、第3の充填床の排出が停止され、第2の充填床の排出が開始される。
【0062】
・第2の充填床(ポイント1、2から3)の排出中(図8.b)、
バイパス弁(L)は、熱交換器コイルの入口のHTFの温度を、冷却目的で熱交換器の設定温度になるように制御する。
【0063】
第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、および第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)は閉じている;
第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁の排出制御弁(DCV6)が開かれる;
HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)および(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる;
第2の充填床(C2)を排出している間、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度に一定に保たれる;
第2の充填床(C2)の出口(ポイント(2))のHTF温度が冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、第2の充填床の排出が停止する。
【0064】
・第1の充填床(C1)を排出するために(図8.c)、
第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、および第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)が閉じている;
第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の排出制御弁(DCV6)が開かれる;
HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)および(2)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる;
第1の充填床(C1)を排出している間、ポイント(2)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度に一定に保たれる;
第1の充填床(C1)の出口(ポイント(2))のHTF温度が冷却目的で熱交換器の設定温度(ここでは、16℃である)に到達すると、第1の充填床の排出が停止する。
【0065】
排出プロセスは、本発明において開発された単一または複数充填床冷蔵システムの場合、上から下または下から上のいずれかとすることができる。
【0066】
本発明において開発された単一または複数充填床冷蔵システムの各充填床は、単分散および/または多分散固体粒子として充填材料によってランダムに充填される。
【0067】
本発明において開発された単一または複数充填床冷蔵システムの各充填床の充填材料は、酸化アルミニウム、鋼もしくはセラミック、または相変化材料(PCM)などの内部に流体を含む他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体から作製されることができる。
【0068】
本発明において開発された単一または複数充填床冷蔵システムの各充填床の充填材料は、酸化アルミニウム、鋼もしくはセラミック、または相変化材料[PCM]などの内部に流体を含むその他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体のうちの2つ以上の混合物とすることができる。
【0069】
本発明において開発された単一または複数充填床システムは、建物の外側に垂直または水平に、および/または地面(地下)に配置されることができ、および/または移動可能とすることもできる。
【0070】
本発明において開発された単一または複数充填床システムのHTF流体は、二酸化炭素、窒素、乾燥空気またはその他の適切なガスとすることができる。
【0071】
本発明のさらなる実施形態は、以下の実施例に関する:
1.熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するためのチラー(冷却源)(B)と、冷気を貯蔵するための複数充填床システム(冷蔵)(C)と、高圧下で動作する閉回路においてHTFの循環を可能にするHTF圧縮機(A)と、熱交換器コイル(ユーザに冷気を提供する)(D)と、を備える、中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のためのエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、
以下の設定値(温度および動作圧力についての)がシステムを起動する前に所定値に設定されることを特徴とする、システム。
【0072】
・チラーの出口における充填設定温度(チラーの設定温度)、
・全ての充填床の出口における設定温度(充填モード中の各充填床の底部の設定温度)、
・HTF圧縮機の入口における設定温度、
・HTF圧縮機の設定圧力(設定圧力)、
・ユーザに冷却を提供するための熱交換器における設定温度(冷却目的の熱交換器の設定温度)。
【0073】
充填段階では、熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1));加圧されたHTFは、チラー(B)に入り、そこで温度がチラーの設定温度(ポイント(2))まで低下する;低温の加圧されたHTFは、下から複数充填床システム(C)に入り、上から出る;複数充填床システムの出口(ポイント(3))において、HTFは、HTF圧縮機に流れる;複数充填床システムの上部のHTFの温度(ポイント(3))が充填床の出口で設定温度に到達すると、充填段階が停止する;バイパスが適用されていない場合、ポイント(3)の複数充填床システムの出口のHTF温度は、開始時に高く、複数充填床の温度低下に起因して充填段階の過程で低下する。
【0074】
2.HTF圧縮機(A)の入口のHTF温度を設定温度として保持するためにチラー(B)の出口と複数充填床システム(C)の出口とHTF圧縮機(A)の出口との間にバイパス制御弁(K)が適用されている場合の、実施例1のような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システム。
【0075】
3.一体に接続された複数の充填床が使用される場合の、実施例1または2のような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の複数充填床冷蔵システム;
・第1の充填床(C1)(ポイント1、2、3、4から5)の充填中、第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、ならびに第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)が閉じられる;第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;HTFは、第1の充填床(C1)から通過し、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)および(5)を経由して流れる;この段階で、圧縮機(A)の入口(ポイント(5))のHTF温度は、HTF圧縮機(A)の入口の設定温度になるようにバイパス制御弁(K)によって制御される;
・第1の充填床(C1)の出口(ポイント(3))のHTF温度が複数充填床の出口の設定温度に到達すると、第2の充填床は、第1の充填床(C1およびC2)によって充填を開始する(ポイント1、2、3、4、5から6);この段階で、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)が閉じられる;第1および第2の充填床の入口間の弁(CV1)、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)を介して第1および第2の充填床(C1およびC2)を流れる;圧縮機(A)の入口(ポイント(7))のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される;ポイント(5)の第2の充填床(C2)の出口のHTF温度は、複数充填床の出口の設定温度に到達すると、充填段階が停止する。
【0076】
・第3の充填床(C3)を接続する場合;第3の充填床(C3)を充填するために、第1および第2の充填床の出口間の制御弁(CV3)が閉じられる;第1および第2の充填床の入口間の制御弁(CV1)、第2および第3の充填床の入口間の制御弁(CV2)、ならびに第2および第3の充填床の出口間の制御弁(CV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(6)および(7)を経由して第2および第3の充填床(C2およびC3)を流れる;圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される。
【0077】
・さらに充填床を接続する場合;最後の充填床を充填するために、最後の2つを除く前の充填床の制御弁が閉じられる;最後の2つの充填床の制御弁が開かれる;HTFは、最後の充填床と最後の充填床の1つ前に流れる;圧縮機(A)の入口のHTF温度は、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)を使用して制御される。
【0078】
必要に応じて、圧縮機(A)の入口(ポイント(7))のHTF温度は、制御弁CV3を使用して制御され、必要に応じて、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)も制御される。同様に、圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、制御弁CV4を使用して制御されることができ、必要に応じて、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)も制御されることができる。最後に、圧縮機(A)の入口のHTF温度は、最後の充填床の1つ前の出口に取り付けられた制御弁を使用して制御されることができ、必要に応じて、設定温度になるようにバイパス制御弁(K)も制御されることができる。
【0079】
これは、以下の理由のために有利である:C1およびC2の充填段階中に、C1とC2との間で質量流量を除算することにより、圧縮機の入口のHTF温度が制御されることができる。充填段階の開始時には、C1の出口温度は低く、C2の出口温度は高い。混合温度が一定(圧縮機の入口でのHTF温度の設定値)になるように、大量のHTFがC1に流れ、少量のHTFがC2に流れる。しばらくすると、C2の出口温度が低くなる。したがって、混合温度が一定(圧縮機の入口のHTF温度の設定値)になるように、より多くのHTFがC2を流れ、残りの部分がC1を流れる。
【0080】
4.全ての充填床が並列に一体に接続されている場合の、前の実施例のような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の複数充填床冷蔵システムであって、
・全ての充填床(C1、C2およびC3)(ポイント1、2、3、4、5、6、7から8)を充填するとともに、バイパス弁が設定温度になるようにHTF圧縮機(A)の入口のHTFの温度を制御する;この段階で、全ての制御弁(CV1、CV2、CV3およびCV4)が開かれる;HTFは、ポイント(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7)を経由して流れる。圧縮機(A)の入口のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される;
・ポイント(7)のHTF温度が複数充填床の出口において設定温度に到達すると、充填段階が停止する;
5.前の例のような中央空調、その他の冷却要件のため、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の複数充填床冷蔵システムであって、全ての充填床が並列順序の代わりに直列順序に接続されることができる;この場合、第1の充填床の出口を第2の充填床の入口に接続し、第2の充填床の出口を第3の充填床の入口に接続する追加の接続パイプが使用される;圧縮機(A)の入口(ポイント(8))のHTF温度は、バイパス制御弁(K)を使用して制御される。
【0081】
6.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、充填プロセスは、上から下へまたは下から上へのいずれかとすることができる。
【0082】
7.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システム;
排出段階中に、熱伝達流体は、HTF圧縮機(A)によって圧縮される(ポイント(1));加圧されたHTFの一部は、上から充填床システムに入り、下から出る(ポイント(2))一方で、加圧されたHTFの残りの部分は、ポイント(3)にバイパスされる;熱交換器コイルの入口におけるHTFの温度が冷却目的で熱交換器の設定温度に維持されるように、バイパス制御弁(L)を通るHTFのバイパスされた質量流量が制御される;ファンは周囲温度によって空気を吹き付ける;熱交換器コイルの出口では、HTFの温度(ポイント(4))は、周囲温度と同様である;充填床システムの出口(ポイント(2))のHTFの温度が冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、排出段階が停止する。
【0083】
8.相互に接続された複数の充填床が使用される場合の、実施例1または2のような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の複数充填床冷蔵システム;
・第3の充填床(C3)(ポイント1、2から3)の排出中に、バイパス制御弁(L)は、熱交換器コイルの入口においてHTFの温度を制御する;第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、ならびに第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)は閉じている。第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)が開かれる。HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)および(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる;第3の充填床(C3)を排出している間、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度に一定に保たれる;第3の充填床(C3)の出口のHTF温度(ポイント(2))が冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、第3の充填床の排出が停止され、第2の充填床の排出が開始される。
【0084】
・第2の充填床(ポイント1、2から3)の排出中に、バイパス弁(L)は、熱交換器コイルの入口のHTFの温度を、冷却目的で熱交換器の設定温度に制御する;第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)、ならびに第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)は閉じている;第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCV2)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCVS)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)は開かれる;HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)、(2)および(3)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる;第2の充填床(C2)を排出している間、ポイント(3)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度になるように一定に保たれる;第2の充填床(C2)の出口(ポイント(2))のHTF温度は、冷却目的で熱交換器の設定温度に到達すると、第2の充填床の排出が停止する。
【0085】
・第1の充填床(C1)を排出するために、第1の充填床(C1)の出口の排出制御弁(DCV1)、第2の充填床(C2)の出口の排出制御弁(DCVZ)、ならびに第3の充填床(C3)の出口の排出制御弁(DCV3)は閉じている;第1および第2の充填床(C1およびC2)の入口間の排出制御弁(DCV4)、第2および第3の充填床(C2およびC3)の入口間の排出制御弁(DCV5)、ならびに充填床(C1、C2およびC3)の出口と熱交換器コイル(D)との間の弁(DCV6)は開かれる。HTFは、HTF圧縮機(A)からポイント(1)および(2)を経由して熱交換器コイル(D)に流れる。第1の充填床(C1)を排出している間、ポイント(2)の温度は、バイパス制御弁(L)を使用して冷却目的で熱交換器の設定温度になるように一定に保たれる;第1の充填床(C1)の出口(ポイント(2))のHTF温度が冷却目的で熱交換器の設定温度(ここでは、16℃である)に到達すると、第1の充填床の排出が停止する。
【0086】
9.中央空調、その他の冷却要件、または前の例のいずれかと同様に再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとして、加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、排出が下から上へまたは上から下へとすることができる、システム。
【0087】
10.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、各充填床が単分散および/または多分散固体粒子としての充填材料によってランダムに充填されている、システム。
【0088】
11.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、充填材料が、酸化アルミニウム、鋼、セラミック、または相変化材料(PCM)などの内部の流体を含むその他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体から作製されることができる、システム。
【0089】
12.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、充填材料が、酸化アルミニウム、鋼、セラミック、または相変化材料(PCM)などの内部の流体を含むその他の固体粒子および/またはラシヒリングのような小さな物体のうちの2つ以上の混合物とすることができる、システム。
【0090】
13.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、複数充填床システムが、建物の外側に垂直または水平に、および/または地面(地下)に配置されることができ、および/または移動可能とすることもできる、システム。
【0091】
14.前の例のいずれかのような中央空調、その他の冷却要件のための、または再生可能エネルギー源のエネルギー貯蔵システムとしての加圧された低温/超低温の単一または複数充填床冷蔵システムであって、HTF流体が、二酸化炭素、窒素、乾燥空気またはその他の適切なガスとすることができる、システム。
【0092】
15.熱伝達流体(HTF)を低温または超低温に冷却するためのチラー(B)と、HTFの循環を可能にする圧縮機(A)と、冷気を貯蔵するための冷蔵部(C)であって、チラー(B)が圧縮機(A)と冷蔵部(C)との間に配置されている冷蔵部と、バイパス制御弁(K)を備えたバイパスラインであって、バイパスラインが冷蔵部(C)の入口および出口を接続し、バイパス制御弁(K)が、冷蔵部(C)の出口(したがって、圧縮機(A)の入口)の温度を所定の設定温度に保持するようにバイパスラインを通るバイパス流を制御するように適合された、バイパスラインと、を備える冷蔵システム(図4および6を参照)。必要に応じて、圧縮機(A)の出口を冷蔵部(C)の出口に接続するために、さらなるバイパスラインが設けられることができる。このさらなるバイパスラインは、バイパス制御弁(K)(例えば、三方弁を使用することによって)または追加のバイパス制御弁によっても制御されることができる。
【0093】
16.冷気を貯蔵するための冷蔵部(C)と、熱伝達流体(HTF)の循環を可能にする圧縮機(A)と、ユーザに冷気を供給するための熱交換器コイル(D)であって、圧縮機(A)と冷蔵部との間に配置された熱交換器コイル(D)と、バイパス制御弁(L)を備えたバイパスラインであって、バイパスラインが冷蔵部(C)の入口および出口を接続し、バイパス制御弁(L)が、冷蔵部の出口(C)(したがって、熱交換器コイル(D)の入口)の温度を所定の設定温度に保持するようにバイパスラインを通るバイパス流を制御するように適合された、バイパスラインと、を備える冷蔵システム(図7を参照)。
【0094】
圧縮機は、単なるポンプではなく、HTFの圧縮を提供し、したがって圧縮機全体の温度降下/上昇に関係することが理解される。さらに、双方の冷蔵システム(実施例15および16)を組み合わせることができることが理解される。このために、チラーBおよび熱交換器コイルDは、平行な流体ラインに配置されることができるが、同じ冷蔵部および圧縮機に結合されることができる。さらなる実施形態によれば、冷蔵部のみが共同で使用され、他の全ての構成要素は、冷蔵部の入口/出口に結合する。入口/出口という用語は、使用法または流れの方向に応じて定義されることができることがさらに理解される。例えば、一方の動作(冷蔵部の充填)の入口は、他方の動作(冷蔵部の排出)の出口になることができる。
【0095】
冷蔵部の出口の温度は、大幅に異なることができる。これは、システムの劣化をもたらす。例えば、圧縮機または熱交換器コイルは、入口の特定の温度範囲で最適に動作する。さらに、所定の温度を維持することにより、熱応力または過剰な凝縮水が回避されることができる。実施形態は、バイパス弁を使用することによってこれを達成する。このために、バイパス制御弁K、Lを制御して任意の適切な温度を設定し、この温度を保持する制御ユニットが設けられることができる。
【0096】
バイパス制御弁K、Lがバイパスライン(すなわち、それを通る流体量)のみを制御し、冷蔵部の出口(または入口)を制御しないことは、さらに有利である。冷蔵部Cとの間の流路にはバイパス弁K、Lが設けられていないため、HTFは、自由に流れることができる。これは、バイパス制御弁K、Lが故障した場合(例えば、ブロッキングしている)であっても、システムがなおも動作するため、信頼性を向上させる。
図1
図2
図3
図3-1】
図4
図4-1】
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図7-1】
図8a
図8b
図8c
【国際調査報告】