(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531162(P2021-531162A)
(43)【公表日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】エタノールとベンゼンからエチルベンゼンを製造するための触媒、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
B01J 29/70 20060101AFI20211022BHJP
C07C 2/86 20060101ALI20211022BHJP
C07C 15/073 20060101ALI20211022BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20211022BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20211022BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20211022BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20211022BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20211022BHJP
【FI】
B01J29/70 Z
C07C2/86
C07C15/073
B01J37/08
B01J37/10
B01J37/04 102
C01B39/48
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2021-504290(P2021-504290)
(86)(22)【出願日】2018年7月27日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月22日
(86)【国際出願番号】CN2018097323
(87)【国際公開番号】WO2020019276
(87)【国際公開日】20200130
(31)【優先権主張番号】201810812858.6
(32)【優先日】2018年7月23日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ス,ション
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャオリ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヤンチャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,タオ
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G073BA69
4G073BB42
4G073BD01
4G073BD21
4G073CZ41
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4G073FA15
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4G073FD21
4G073FD24
4G073FF04
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4G073GA13
4G073GB02
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4G169AA08
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4G169FB30
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4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA32A
4G169ZA32B
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4G169ZB06
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4G169ZC06
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4G169ZD03
4G169ZF02B
4H006AA02
4H006AC25
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC13
4H006DA20
4H039CA12
4H039CL25
(57)【要約】
本出願は、エタノールとベンゼンをワンステップで気相アルキル化してエチルベンゼンを製造するための触媒を開示し、該触媒は、該反応に対してアルキル化反応活性が高く、アルキル化生成物におけるエチルベンゼンの選択性が高く、水熱安定性が高く、反応性能が安定であるという特徴を有する。前記触媒は、メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブを含み、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は50〜200である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モレキュラーシーブ触媒であって、
メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブを含み、
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は50〜200である、
ことを特徴とするモレキュラーシーブ触媒。
【請求項2】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は50〜100である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は60〜100である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は60〜80である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記メソポーラスチャンネルの大きさは3〜50nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブは結晶粒堆積体であり、個々の前記結晶粒の大きさは100〜1000nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
テンプレート剤を含む水溶液にアルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源を加え、撹拌し、ゲル状前駆体を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られたゲル状前駆体を水熱結晶化するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物を中性まで洗浄し、乾燥するステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた生成物を焼成し、前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ(4)と、を含む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒の製造方法。
【請求項8】
ステップ(1)における前記アルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源、及びテンプレート剤のモル比は、
SiO2:Al2O3:M2O:R:H2O=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000を満たし、
Rはテンプレート剤であり、テンプレート剤自体のモル数で計算され、アルミニウム源のモル数は、Al2O3のモル数で計算され、アルカリ源のモル数は、対応するアルカリ金属酸化物M2Oのモル数で計算され、シリコン源のモル数は、SiO2のモル数で計算され、水のモル数はH2O自体のモル数で計算される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(1)における前記テンプレート剤は、1、4−MPB、グルコース、活性炭のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記1、4−MPBの製造方法は、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液を還流し、再結晶し、乾燥し、1、4−MPBを得るステップを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液は、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに入れて得られ、
前記還流は30〜80℃の水浴還流であり、
前記再結晶の前にアセトンを採用して抽出し、
前記再結晶の溶媒は、メタノール−ジエチルエーテルの混合溶媒を含み、メタノールとジエチルエーテルとの体積比は0.05〜50:1〜20であり、
前記乾燥条件は、60〜120℃で5〜20h処理することである、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水浴還流の時間は6〜48hである、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(1)における前記メソポーラス構造を含むシリコン源は、メソポーラス構造を含むシリコン酸化物、MCM−48、SBA−15のうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(1)における前記アルミニウム源は、メタアルミン酸ナトリウム、アルミニウム粉、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択され、
前記アルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(1)における前記撹拌時間は5〜24hである、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(2)における前記水熱結晶化は、水熱動的結晶化であり、
前記水熱動的結晶化の条件は、120〜260℃の水熱条件下で100〜360h動的結晶化することである、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(2)における前記動的結晶化は回転式結晶化であり、回転速度は5〜30回転/分である、
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(3)は、
ステップ(2)で得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過して洗浄し、60〜110℃で乾燥処理するステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(4)における前記焼成温度は200〜600℃であり、前記焼成の時間は1〜20hである、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
1、4−MPBテンプレート剤Rを合成するステップ1)であって、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに溶解し、30〜80℃に加熱し、6〜48h還流し、反応液をアセトンで抽出し、得られた生成物をメタノール−ジエチルエーテル混合溶媒で再結晶し、再結晶後の生成物を60〜120℃の真空乾燥炉で5〜20h乾燥処理し、前記テンプレート剤Rを得るステップ1)と、
TNU−9モレキュラーシーブを製造するステップ2)であって、
ステップ1)で得られたテンプレート剤Rを水に溶解した後、アルミニウム源、アルカリ源及びメソポーラス構造を含むシリコン源を順次加え、溶液Iを得て、溶液I中の各物質のモル比はSiO2:Al2O3:M2O:R:H20=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000であり、前記溶液Iを5〜24h撹拌してゲル状にし、反応缶に入れ、120〜260℃で、モーターによる動的水熱条件下で100〜360h結晶化し、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを60〜110℃で乾燥処理した後、200〜600℃で1〜20h焼成し、即ち前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ2)と、を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から6のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒、請求項7から20のいずれか一項に記載の方法で製造されたモレキュラーシーブ触媒であって、エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する反応に用いられる、モレキュラーシーブ触媒。
【請求項22】
エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法であって、ベンゼンとエタノールを含む原料を、触媒を含む固定床反応器によって反応させ、前記エチルベンゼンを得、
前記触媒は、請求項1から6のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒、請求項7から20のいずれか一項に記載の方法で製造されたモレキュラーシーブ触媒のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするエタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法。
【請求項23】
前記反応の温度は300〜500℃であり、前記反応の圧力は0.1〜2MPaであり、前記原料におけるベンゼンとエタノールのモル比は3〜7:1であり、前記原料の供給重量空間速度は3〜8h−1である、
ことを特徴とする請求項22に記載のエタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールとベンゼンの気相アルキル化反応によるエチルベンゼンの製造に応用できる触媒、その製造方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
エチルベンゼンは工業上重要で基本的な有機原料であり、主に触媒脱水素によるスチレンの製造に用いられ、さらに高分子材料分野におけるゴムプラスチックの製造などに用いられ、溶媒、希釈剤又はジエチルベンゼンの製造にも用いられる。社会経済の急速な発展に伴い、エチルベンゼンの市場需要と生産能力は、明らかな上昇傾向を示している。資料によると、1998年から2015年まで、全世界のエチルベンゼンの需要量の年間成長率は3.7%となり、中国の年間成長率はさらに5.3%にも達し、1998年の800ktから2015年の2Mtに増加した。
【0003】
現在、工業的には主にベンゼンとエチレンのアルキル化反応によってエチルベンゼンを製造し、主なプロセスはAlCl
3液相アルキル法とモレキュラーシーブ(Molecular Sieve)アルキル化法の2種類がある。AlCl
3液相アルキル法は、プロセスが簡単で、操作条件が緩和で、エチレンの転化率が高いが、機器の腐食、環境汚染、高い維持費などという問題がある。モレキュラーシーブアルキル化法は、主にMobilとBadger社が発売したZSM−5モレキュラーシーブ気相アルキル化によるエチルベンゼンの製造プロセス(US3751504、US3751506、US4016218、US4547605)及びUOPとLummus社が開発したBeta型とY型モレキュラーシーブ液相炭化水素化法によるエチルベンゼンの製造プロセス(US4891458、US5227558、ZL02151177)を含み、これらの方法は、腐食と汚染がなく、プロセスが簡単で、熱エネルギー回収利用率が高いなどという利点がある。石油資源の枯渇や石油価格の高騰に伴い、エチレンのアルキル化のコストは大幅に増加し、エチレンに代わってエチルベンゼンを製造するための新たな原料を求めることは傾向となっている。近年、石炭によるエタノールの製造技術とバイオによるエタノールの製造技術の進歩と成熟に伴い、エタノールの価格と生産コストは低下傾向を示し、その応用の将来性は更に大きくなった。環境にやさしい再生可能資源--エタノールをアルキル化試薬として採用すれば、エチルベンゼンの製造コストを大幅に低減させ、企業の経済的効益と総合競争力を高めることができ、該プロセスにより吸引力及び高い社会的価値を備えさせることができる。
【0004】
エタノールからエチルベンゼンを製造するプロセスは、エタノールとベンゼンを反応器内でエタノール脱水反応と、エチレンとベンゼンのアルキル化反応を同時に行うことである。採用された触媒は、エタノールの高い脱水選択性と転化率を満たす必要があるだけでなく、さらにエチレンとベンゼンのアルキル化の触媒効率も要求されている。中国石油化工株式会社は、ZSM−5を採用し、バインダを加えて希土類酸化物やアルカリ土類金属酸化物を改質して一連の触媒を得る。処理された触媒をエチルベンゼンの製造反応に用いると、390℃で、1.2MPaで、エタノール重量空間速度が0.8h
−1で、ベンゼンエタノールのモル比が6.5である条件下で、エチルベンゼンの選択性は99%にも達し、再生周期は半年(CN103121909A、CN102872899A、CN102276413A、CN102875315、CN102274746A)である。鄭シン源らは、βモレキュラーシーブを触媒として採用し、240〜260℃で、n(ベンゼン):n(エチレン)=4〜6で、ベンゼンの空間速度が3〜5h
−1である条件下で、エタノールの転化率が99%より大きく、エチルベンゼンの収率が80%より大きい(化学反応ステップとプロセス、2006、22、172−175)ということが分かる。同様に、イタリアビルサリス株式会社は、BEA族ゼオライトを触媒として採用して、バイオエタノールとベンゼンを触媒してアルキル化反応させる(WO2011077240)。特許WO2010143043は、MTW族ゼオライトを触媒として、バイオマス由来の糖を発酵させて得られたエタノールをアルキル化試薬として、ベンゼンとアルキル化反応を行ってエチルベンゼンを生成することを提案し、該反応の経済性を大幅に向上させた。上記モレキュラーシーブ触媒に加えて、最近、Ehsan Rahmaniらは、Fe基のMIL−110とAl−LiドープのMIL−53のようなMOFs材料を採用し、相対温和な反応条件下(175〜200℃)で、ベンゼンとエタノールをアルキル化反応させてエチルベンゼンを製造する試みを行い、選択性が75%より大きい(Microporous and Mesoporous Materials、2017、249、118−127;Ind.Eng.Chem.Res.2018、57、169−178)。該研究は、反応触媒の選択と反応条件の制御のために新しい解決手段を提供したが、工業化実施までにはまだかなりの距離があるため、現在でもモレキュラーシーブ触媒を中心としている。
【0005】
市場に存在する様々なモレキュラーシーブに対して、研究者は、それらがベンゼンとエタノールへの触媒性能を比較した。孫林平は、コークス化ベンゼンとエタノールの気相アルキル化反応におけるZSM−5、Beta及びYゼオライトの触媒性能を検討した結果は、BetaとYゼオライトチャネルにおけるケージ構造が大分子を生成しやすく、触媒が速やかに不活性化したが、ZSM−5モレキュラーシーブが優れた不活性化耐性を示すことを示した(石油学報(石油加工)、2006、22、146−148)。Odedairoらは、MORとZSM−5モレキュラーシーブの触媒反応性能を比較考察し、ZSM−5におけるエチルベンゼンの選択性がより高いと結論した(Catalysis Today、2013、204、73−84)。中国科学院山西石炭化学研究所石炭転化国家重点実験室の高俊華らは、ベンゼンとエタノールの気相アルキル化反応によるエチルベンゼンの製造における異なる構造のモレキュラーシーブの触媒性能を比較した時にも類似した結論を得て、ZSM−5モレキュラーシーブの触媒性能がより理想的で、活性がより高く、安定性が高い。しかし、ZSM−5触媒チャネルが小さすぎて、反応の物質移動が影響を受けやすいため、副反応の発生を引き起こしてコークス化の不活性化を引き起こし、また、その水熱安定性が低いため、該反応過程において構造が崩壊し、失活しやすい。文献Applied Catalysis A:General、2010、385、31−45は、ZSM−5チャネル構造と類似した2種類のモレキュラーシーブSSZ−33とTNU−9とのエタノールアルキル化反応性能を比較研究し、反応は、ベンゼンとエタノールとの比率が1:1で、250〜300℃の条件下で行い、TNU−9モレキュラーシーブにおけるエタノールの転化率がZSM−5より優れているが、エチルベンゼンの選択性がやや低いと結論した。しかし、文献は、TNU−9モレキュラーシーブの合成及び物理的性質について詳細な記述が欠けており、ベンゼンとエタノールの気相アルキル化反応の選択条件もより狭い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造するための活性が高く、かつ安定性が高い触媒及びその製造方法に関し、具体的には、該発明に使用された触媒は、メソポーラス・マイクロポーラス複合構造を含むTNU−9モレキュラーシーブ(Molecular Sieve)である。本発明は、高ケイ素含有量のメソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブを合成することにより、触媒の水熱安定性、高いアルキル化活性及びエチルベンゼン選択性を主に解決する。触媒の詳細な製造方法は、メソポーラス構造を有する酸化ケイ素、MCM−48又はSBA−15をケイ素源として、1、4−MPBをテンプレート剤として採用し、水熱合成法でTNU−9モレキュラーシーブを合成することである。触媒は、エタノールとベンゼンのアルキル化反応に応用され、反応温度が300〜500℃で、反応圧力が0.1〜2MPaで、供給質量空間速度が3〜8h
−1で、ベンゼンとエタノールとの比率が3〜7の反応環境下で、主な生成物はエチルベンゼンと水である。本発明の触媒は、エタノールとベンゼンをワンステップで気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する反応過程において、長期間に安定して使用することができ、且つ良好なベンゼンとエタノールとのアルキル化反応性能を維持することができる。本発明は水熱合成されたメソポーラス・マイクロポーラス複合構造を含む10員環交差構造の三次元TNU−9モレキュラーシーブを採用し、エタノールとベンゼンをワンステップで気相アルキル化してエチルベンゼンを製造するプロセスに応用する。該触媒は、高いアルキル化活性と高いエチルベンゼン選択性を有するだけでなく、さらに一定の水熱安定性能と、安定した触媒反応性能を有する。該特許発明は、エタノールとベンゼンを反応させてエチルベンゼンを製造するために新たな触媒を提供し、応用の将来性が高い。
【0007】
本出願の一態様によれば、エタノールとベンゼンをワンステップで気相アルキル化してエチルベンゼンを製造するための触媒を開示し、該触媒は、該反応に対してアルキル化反応活性が高く、アルキル化生成物におけるエチルベンゼンの選択性が高く、水熱安定性が高く、反応性能が安定であるという特徴を有する。
【0008】
前記モレキュラーシーブ触媒であって、
メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブを含み、
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は50〜200である、
ことを特徴とする前記モレキュラーシーブ触媒。
【0009】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミニウムモル比SiO
2/Al
2O
3の上限は、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110又は100から選択され、下限は、100、95、90、85、80、75、72、70、68、65、64、63、60、58、56、55、52又は50から選択される。
【0010】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は50〜100である。
【0011】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は60〜100である。
【0012】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は60〜80である。
【0013】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブは、マイクロポーラス、メソポーラスチャンネル構造を含み、前記メソポーラスチャンネルの大きさは3〜50nmである。
【0014】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブは結晶粒堆積体であり、個々の前記結晶粒の大きさは100〜1000nmである。
【0015】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブに含まれるマイクロポーラスの孔径は0.3〜0.8nmである。
【0016】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブに含まれるマイクロポーラスの孔径は0.4〜0.7nmである。
【0017】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブに含まれるメソポーラスの孔径は6〜13nmである。
【0018】
選択的に、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブに含まれるメソポーラスの孔径の上限は、13nm、12nm、11nm又は10nmから選択され、下限は、9nm、8nm、7nm又は6nmから選択される。
【0019】
具体的には、前記触媒はメソポーラスとマイクロポーラスが複合した高ケイ素TNU−9モレキュラーシーブであり、モレキュラーシーブのメソポーラスチャンネルの大きさは3〜50nmであり、モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO
2/Al
2O
3は50〜200であり、触媒は小結晶粒堆積体を呈し、個々の結晶粒の大きさは100〜1000nmである。
【0020】
選択的に、前記触媒は、エタノールとベンゼンを反応させてエチルベンゼンを製造するために用いられる。
【0021】
本出願の別の態様によれば、エタノールをワンステップで気相アルキル化してエチルベンゼンを製造するための触媒を開示し、該方法は、簡便で確実で、工業的生産しやすい。
【0022】
方法は、
テンプレート剤を含む水溶液にアルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源を加え、撹拌し、ゲル状前駆体を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られたゲル状前駆体を水熱結晶化するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物を中性まで洗浄し、乾燥するステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた生成物を焼成し、前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ(4)と、を含む、
ことを特徴とする前記触媒の製造方法。
【0023】
選択的に、ステップ(1)における前記アルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源、及びテンプレート剤のモル比は、以下を満たす:
SiO
2:Al
2O
3:M
2O:R:H
2O=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000、
Rはテンプレート剤であり、テンプレート剤自体のモル数で計算され、アルミニウム源のモル数は、Al
2O
3のモル数で計算され、アルカリ源のモル数は、対応するアルカリ金属酸化物M
2Oのモル数で計算され、シリコン源のモル数は、SiO
2のモル数で計算され、水のモル数はH
2O自体のモル数で計算される。
【0024】
選択的に、ステップ(1)における前記テンプレート剤は、1、4−MPB、グルコース、活性炭のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
選択的に、前記1、4−MPBの製造方法は、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液を還流し、再結晶し、乾燥し、1、4−MPBを得るステップを含む。
【0026】
選択的に、前記1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液は、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに入れて得られ、
前記還流は30〜80℃の水浴還流であり、
前記再結晶の前にアセトンを採用して抽出し、
前記再結晶の溶媒は、メタノール−ジエチルエーテルの混合溶媒を含み、メタノールとジエチルエーテルとの体積比は0.05〜50:1〜20であり、
前記乾燥条件は、60〜120℃で5〜20h処理することである。
【0027】
選択的に、前記水浴還流の時間は6〜48hである。
【0028】
選択的に、ステップ(1)における前記メソポーラス構造を含むシリコン源は、メソポーラス構造を含むシリコン酸化物、MCM−48、SBA−15のうちの少なくとも1つから選択される。
【0029】
選択的に、ステップ(1)における前記アルミニウム源は、メタアルミン酸ナトリウム、アルミニウム粉、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0030】
前記アルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0031】
選択的に、ステップ(1)における前記撹拌時間は5〜24hである。
【0032】
選択的に、ステップ(2)における前記水熱結晶化は、水熱動的結晶化であり、
前記水熱動的結晶化の条件は、120〜260℃の水熱条件下で100〜360h動的結晶化することである。
【0033】
選択的に、前記結晶化温度の上限は、260℃、240℃、220℃、200℃、180℃、160℃又は140℃から選択され、下限は、140℃、130℃又は120℃から選択される。
【0034】
選択的に、前記結晶化時間の上限は、360h、340h、300h或280hから選択され、下限は、280h、260h、240h、200h、180h、160h、140h、120h又は100hから選択される。
【0035】
選択的に、ステップ(2)における前記動的結晶化は回転式結晶化であり、回転速度は5〜30回転/分である。
【0036】
選択的に、前記回転速度の上限は、30回転/分、25回転/分、20回転/分又は15回転/分から選択され、下限は、15回転/分、10回転/分又は5回転/分から選択される。
【0037】
選択的に、ステップ(4)における前記焼成温度は200〜600℃であり、前記焼成の時間は1〜20hである。
【0038】
選択的に、前記焼成温度の上限は、600℃、580℃、550℃、520℃、500℃又は450℃から選択され、下限は450℃、400℃、300℃又は200℃から選択される。
【0039】
選択的に、前記焼成時間の上限は、20h、18h、15h、12h又は10hから選択され、下限は、10h、8h、5h、3h又は1hから選択される。
【0040】
選択的に、ステップ(3)は、
ステップ(2)で得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過して洗浄し、60〜110℃で乾燥処理するステップ、を含む。
【0041】
一つの実施形態として、前記方法は、
1、4−MPBテンプレート剤Rを合成するステップ1)であって、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに溶解し、30〜80℃に加熱し、6〜48h還流し、反応液をアセトンで抽出し、得られた生成物をメタノール−ジエチルエーテル混合溶媒で再結晶し、再結晶後の生成物を60〜120℃の真空乾燥炉で5〜20h乾燥処理し、前記テンプレート剤Rを得るステップ1)と、
TNU−9モレキュラーシーブを製造するステップ2)であって、
ステップ1)で得られたテンプレート剤Rを水に溶解した後、アルミニウム源、アルカリ源及びメソポーラス構造を含むシリコン源を順次加え、溶液Iを得て、溶液I中の各物質のモル比はSiO
2:Al
2O
3:M
2O:R:H
20=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000であり、前記溶液Iを5〜24h撹拌してゲル状にし、反応缶に入れ、120〜260℃で、モーターによる動的水熱条件下で100〜360h結晶化し、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを60〜110℃で乾燥処理した後、200〜600℃のマッフル炉に入れて1〜20h焼成し、即ち前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ2)と、を含む。
【0042】
1つの具体的な実施形態として、前記方法は、
1、4−MPBテンプレート剤Rを合成するステップ1であって、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに溶解し、
30〜80℃の水浴釜に入れて還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物をメタノール−ジエチルエーテルの混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを60〜120℃の真空乾燥炉に移して5〜20h乾燥処理し、テンプレート剤を得るステップ1と、
TNU−9モレキュラーシーブを製造するステップ2であって、
ステップ1)で得られたテンプレート剤Rを水に溶解した後、アルミニウム源、アルカリ源及びメソポーラス構造を含むシリコン源を順次加え、各物質がそれぞれSiO
2、Al
2O
3、M
2O、R、H
2Oで計算されるモル比はSiO
2:Al
2O
3:M
2O:R:H
20=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000であり、Rは1)におけるテンプレート剤であり、Mはアルカリ金属であり、配合された溶液を5〜24h激しく撹拌してゲル状にし、ステンレス反応缶に入れ、120〜260℃で、モーターによる動的水熱条件下で100〜360h結晶化し、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを60〜110℃のオーブンで乾燥処理した後、サンプルを200〜600℃のマッフル炉に入れて1〜20h焼成し、即ちメソポーラス・マイクロポーラス複合構造を有するモレキュラーシーブを得るステップ2と、を含む。
ステップ1で、還流処理の時間は6〜48hであり、
ステップ2におけるアルミニウム源は、メタアルミン酸ナトリウム、アルミニウム粉、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちのいずれか1つ又は複数の混合アルミニウム源であり、アルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちのいずれか1つ又は2つの混合物であり、
ステップ2で採用されたシリコン源は、メソポーラス構造を含む酸化シリコン、MCM−48又はSBA−15のうちのいずれか1つ又は2つの混合シリコン源であり、
ステップ2における結晶化過程では、モーターによる回転式結晶化を採用し、回転速度は5〜30回転/分である。
【0043】
前記触媒はエタノールからエチルベンゼンを製造する反応に応用される。評価条件は、触媒を固定床反応器の反応管に充填して反応評価を行い、原料がベンゼンとエタノールであり、ベンゼンとエタノールのモル比が3〜7:1であり、供給重量空間速度が3〜8h
−1であり、反応温度が300〜500℃であり、反応圧力が0.1〜2MPaであることである。
【0044】
本出願の別の態様によれば、上記モレキュラーシーブ触媒、上記方法で得られたモレキュラーシーブ触媒は、エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する反応に用いられる。
【0045】
本出願の別の態様によれば、エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法を提供し、
ベンゼンとエタノールを含む原料を、触媒を含む固定床反応器によって反応させ、前記エチルベンゼンを得て、
前記触媒は、上記モレキュラーシーブ触媒、上記方法で製造されたモレキュラーシーブ触媒のうちの少なくとも1つを含み、
選択的に、前記反応の温度は300〜500℃であり、前記反応の圧力は0.1〜2MPaであり、前記原料におけるベンゼンとエタノールのモル比は3〜7:1であり、前記原料の供給重量空間速度は3〜8h
−1である。
前記触媒は、上記触媒、上記方法で製造された触媒のうちの少なくとも1つである。
選択的に、ベンゼン/エタノールのモル比が4〜7:1であり、350〜470℃で、重量空間速度が4〜8h
−1の反応条件下で、エチルベンゼンの選択性は93%より大きい。
【0046】
本出願では、「MCM−48モレキュラーシーブ」は、M41Sシリーズのメソポーラスモレキュラーシーブに属し、約2.6nmの均一な孔径と2セットの互いに独立した三次元螺旋状チャンネル網目構造を有する。
「SBA−15モレキュラーシーブ」は、P3mm空間群に属するメソポーラスモレキュラーシーブであり、二次元六角貫通孔構造のメソポーラスを有する。
1、4−MPBは、1、4−ジ(N−メチルピロール)ブタンの略である。
【0047】
本出願により得られた有益な効果は次の通りである:
1)本出願で提供された触媒の製造方法は確実であり、プロセスが簡単で、再現性が高く、
2)本出願で提供された触媒は、エタノールを転化してワンステップで効率的にエチルベンゼンを生成することができ、プロセスが簡単で、機器投資が節約され、生産コストが低減され、
3)本出願で提供された触媒は、エタノールとベンゼンの気相アルキル化反応によるエチルベンゼンの製造プロセスに応用され、従来技術に比べて、該触媒は水熱安定性と生成物におけるエチルベンゼンの選択性が向上し、評価結果によって、ベンゼン/エタノールのモル比が4〜7:1で、350〜470℃で、重量空間速度が4〜8h
−1の反応条件下で、エチルベンゼンの選択性が93%より大きいであることが示され、
4)本出願で提供された触媒は、水熱安定性と触媒反応安定性が高く、モレキュラーシーブを650℃で焼成すると、相対結晶度が約15%低下し、800℃で飽和水蒸気を投入して処理する条件下で、相対結晶度が約30%のみ低下する。触媒の応用の将来性が高く、応用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】TNU−9モレキュラーシーブのトポロジー構成図である。
【
図2】実施例1におけるTNU−9触媒の反応前のXRD図である。
【
図3】実施例1におけるTNU−9触媒の反応前のSEM図である。
【
図4】実施例1におけるTNU−9触媒の反応前のSEM図である。
【
図5】実施例1における触媒をエタノールとベンゼンの気相アルキル化反応によるエチルベンゼンの製造反応に用いるベンゼンの転化率である。
【
図6】実施例1における触媒をエタノールからエチルベンゼンを製造する反応に用いるエチルベンゼンの選択性である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、実施例に関連して本出願を詳細に説明するが、本出願はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
特に明記されていない限り、本出願の実施例における原料は、いずれも商業的方法で購入される。
【0051】
メソポーラス構造を含む酸化ケイ素は、南開大学モレキュラーシーブ有限会社から購入され、そのメソポーラスチャンネルは15nmである。
MCM−48モレキュラーシーブは、南開大学モレキュラーシーブ有限会社から購入され、そのシリカアルミナ比は30である。
SBA−15モレキュラーシーブは、南開大学モレキュラーシーブ有限会社から購入され、そのシリカアルミナ比は40である。
本出願の実施例における分析方法は以下の通りである:
オランダPANAnalytical社のX’pert−Pro型X線回折装置を用いてXRD構造解析を行う。
HITACHI S−5500 FE−SEM電子顕微鏡を用いてSEMトポグラフィー解析を行う。
PANAlytical Epsilon 5エネルギー分散X線蛍光分光計ED−XRFを用いてシリカアルミナ比試験を行う。
Micromeritics社ASAP2010型物理吸着器を用いて孔構造試験を行う。
【0052】
本出願の実施例では、エタノール、ベンゼンの転化率及びエチルベンゼンの選択性は、いずれも炭素モル数に基づいて計算される。
【0053】
実施例1
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びメソポーラス酸化ケイ素材料20gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は60である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0054】
実施例2
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は50である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0055】
実施例3
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びSBA−15材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は56である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0056】
実施例4
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して12h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びメソポーラス酸化ケイ素材料30gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は75である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0057】
実施例5
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して12h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤15.8gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びメソポーラス酸化ケイ素材料20gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は60である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは10nmである。
【0058】
実施例6
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して12h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤21.5gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びメソポーラス酸化ケイ素材料20gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は60である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは13nmである。
【0059】
実施例7
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、硝酸アルミニウム九水和物2.0g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は50である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0060】
実施例8
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して12h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、180℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は63である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0061】
実施例9
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して12h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、200℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は65である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0062】
実施例10
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して8h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で360h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は58である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは6nmである。
【0063】
実施例11
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して15h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉0.14g、水酸化ナトリウム3.6g及びMCM−48材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は20回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は52である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは7nmである。
【0064】
実施例12
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して8h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、硝酸アルミニウム九水和物2.0g、水酸化ナトリウム3.6g及びSBA−15材料15gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で240h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は56である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは10nmである。
【0065】
実施例13
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、アルミニウム粉1.5g、水酸化カリウム4.2g及びSBA−15材料20gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で200h回転して水熱結晶化し、回転速度は15回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は64である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは9nmである。
【0066】
実施例14
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、70℃の水浴鍋に入れて20h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを75mlの水に溶解した後、メタアルミン酸ナトリウム2.0g、水酸化カリウム4.2g及びSBA−15材料20gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で200h回転して水熱結晶化し、回転速度は30回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて6h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は70である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは8nmである。
【0067】
実施例15
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、70℃の水浴鍋に入れて20h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して10h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、硝酸アルミニウム九水和物2.0g、水酸化ナトリウム3.6g及びSBA−15材料24gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で210h回転して水熱結晶化し、回転速度は10回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて5h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は68である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは10nmである。
【0068】
実施例16
1、4−ジブロモブタン21.6g、N−メチルテトラヒドロピロール17.2gを100mlのアセトンに入れて、60℃の水浴鍋で24h還流処理し、アセトンを用いて過剰量のアミンを抽出し、得られた混合物を100mlのメタノール−ジエチルエーテル(体積比2:1)の混合溶媒に入れて再結晶し、サンプルを80℃の真空乾燥炉に移して5−20h乾燥処理し、即ち1、4−MPBテンプレート剤を得る。1、4−MPBテンプレート剤10.7gを150mlの水に溶解した後、メタアルミン酸ナトリウム1.6g、水酸化ナトリウム3.6g及びSBA−15材料12gを順次加え、溶液を10h撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れ、160℃の条件下で300h回転して水熱結晶化し、回転速度は5回転/分であり、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを80℃のオーブンに移して12h乾燥処理した後、サンプルを500℃のマッフル炉に入れて5h焼成し、即ちTNU−9モレキュラーシーブを得る。得られたTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナ比は72である。マイクロポーラスは0.55nmであり、メソポーラスは12nmである。
【0069】
実施例17
操作は実施例1と同じであり、区別は溶液を5h激しく撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れることである。
【0070】
実施例18
操作は実施例1と同じであり、区別は溶液を24h激しく撹拌してゲル状にして200mlのステンレス反応缶に入れることである。
【0071】
実施例19
操作は実施例1と同じであり、区別は120℃の条件下で回転して水熱結晶化することである。
【0072】
実施例20
操作は実施例1と同じであり、区別は260℃の条件下で回転して水熱結晶化することである。
【0073】
実施例21
操作は実施例1と同じであり、区別は100h回転して水熱結晶化することである。
【0074】
実施例22
操作は実施例1と同じであり、区別はサンプルを200℃のマッフル炉に入れて焼成することである。
【0075】
実施例23
操作は実施例1と同じであり、区別はサンプルを600℃のマッフル炉に入れて焼成することである。
【0076】
実施例24
操作は実施例1と同じであり、区別はサンプルをマッフル炉に入れて1h焼成することである。
【0077】
実施例25
操作は実施例1と同じであり、区別はサンプルをマッフル炉に入れて20h焼成することである。
【0078】
実施例26
実施例1〜25で得られたTNU−9モレキュラーシーブをXRD試験によって特徴付け、典型的なXRDマップは
図2に示すように、実施例1に対応する。XRDマップは、合成されたモレキュラーシーブがTNU−9モレキュラーシーブであり、マップにおいて2θ=7.142
o、7.588
o、7.887
o、8.819
o、9.080
o、12.556
o、14.395
o、15.215
o、22.878
o、22.908
o、23.444
o、25.263
oの回折ピーク強度がより高く、3つの最強ピークの位置が2θ=7.142
o、7.887
o及び9.080
oに現れることを示している。
他のサンプルのXRDマップは
図2と類似し、いずれもTNU−9モレキュラーシーブの製造に成功した。
【0079】
実施例27
実施例1〜25で得られたTNU−9モレキュラーシーブをSEM試験によって特徴付け、典型的なSEMマップは
図3と
図4に示すように、実施例1に対応する。SEMマップは、モレキュラーシーブが小結晶粒堆積体を呈し、個々の結晶粒の大きさが100〜1000nmであり、小結晶粒が不規則な形態を呈し、又は厚さが約20nmの薄片状構造を呈することを示している。
他のサンプルのSEMマップは
図3と
図4と類似し、小粒又は薄片状の結晶粒堆積体を呈し、個々の結晶粒の大きさが100〜1000nmである。
【0080】
実施例28
実施例1の触媒を固定床反応床の反応管に充填して反応評価を行い、原料はベンゼンとエタノールであり、そのモル比はベンゼン:エタノール=4:1であり、反応温度は390℃であり、重量空間速度は5.5h
−1であり、反応圧力は常圧である。その反応性能を
図5と
図6に示す。
図5は、反応時間が0〜12hであり、ベンゼンの転化率が22%以上であり、且つ転化率がほぼ維持されていることを示している。
図6は、反応時間が0〜12hであり、エチルベンゼンの選択性が92%以上であり、且つ選択性がほぼ維持されていることを示している。
図5と
図6は、触媒の安定性が高く、触媒効果に優れ、反応物の転化率が高く、目的生成物の選択性が高いことを示している。
他の実施例から得られた触媒効果は、
図5及び
図6と類似する。
【0081】
実施例29
実施例1〜25の触媒を固定床反応床の反応管に充填して反応評価を行い、原料はベンゼンとエタノールであり、そのモル比はベンゼン:エタノール=6:1であり、反応温度は390℃であり、重量空間速度は6.5h
−1であり、反応圧力は常圧である。実施例1〜16の反応結果を表1に示す。表1は、本出願の実施例1〜16で製造されたモレキュラーシーブ触媒はエタノールとベンゼンの気相アルキル化反応を触媒する時に、エタノールの転化率が99%以上であり、ベンゼンの転化率が15%以上であり、エチルベンゼンの選択性が98%以上であることを示している。対照例1、対照例2と比べ、本出願で製造されたTNU−9モレキュラーシーブ触媒は対照例1と対照例2とほぼ同じ活性を達成した。また、表1から分かるように、本出願で製造されたTNU−9モレキュラーシーブ触媒は、エタノールとベンゼンの気相アルキル化反応を触媒する副生成物キシレンの含有量が540ppmまで低いことに対して、対照例1と対照例2のキシレンの含有量が850ppm以上であり、本出願の触媒で製造された生成物の純度がより高い。
実施例17〜25の反応結果は実施例1と類似する。
【0082】
対照例1
対照触媒は南開モレキュラーシーブ工場から購入されたナノZSM−5モレキュラーシーブ触媒(SiO
2/Al
2O
3=25)を採用し、反応評価試験条件は実施例28と同じである。触媒反応の結果を表1に示す。
【0083】
対照例2
対照触媒は南開モレキュラーシーブ工場から購入されたナノZSM−5モレキュラーシーブ触媒(SiO
2/Al
2O
3=25)を採用し、反応評価試験条件は実施例28における反応条件と同じである。触媒反応の結果を表1に示す。
【0085】
実施例30
実施例1〜25で得られたTNU−9モレキュラーシーブ触媒、対照例1と対照例2におけるナノZSM−5モレキュラーシーブ触媒を水熱安定性試験する。
触媒を650℃で4時間焼成し、焼成後の触媒の相対結晶度を測定する。実験の結果は、実施例1〜25で得られたTNU−9モレキュラーシーブ触媒の相対結晶度が約15%低下し、対照例1と対照例2におけるナノZSM−5モレキュラーシーブ触媒の相対結晶度が約16%低下することを表明した。
触媒を800℃で飽和水蒸気を投入して8時間処理し、水蒸気処理後の触媒の相対結晶度を測定する。実験の結果は、実施例1〜25で得られたTNU−9モレキュラーシーブ触媒の相対結晶度が約30%低下し、対照例1と対照例2におけるナノZSM−5モレキュラーシーブ触媒の相対結晶度が約28%低下することを表明した。
両者の熱安定性と水熱安定性の差は大きくない。
以上述べたのは、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、本出願に対していかなる形式の制限をするものではなく、本出願は、好ましい実施例で上のように開示されているが、本出願を限定するものではなく、当業者は、本出願の技術的解決手段を逸脱することなく、上記開示された技術的内容を利用して若干の変更又は修正を行うことは、同等の実施例と同一であり、いずれも技術的解決手段の範囲内に属する。
【手続補正書】
【提出日】2021年3月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モレキュラーシーブ触媒であって、
メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブを含み、
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は50〜200である、
ことを特徴とするモレキュラーシーブ触媒。
【請求項2】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は50〜100であり、
好ましくは、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は60〜100であり、
より好ましくは、前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブのシリカアルミナモル比SiO2/Al2O3は60〜80である、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記メソポーラスチャンネルの大きさは3〜50nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記メソポーラスとマイクロポーラスが複合したTNU−9モレキュラーシーブは結晶粒堆積体であり、個々の前記結晶粒の大きさは100〜1000nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
テンプレート剤を含む水溶液にアルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源を加え、撹拌し、ゲル状前駆体を得るステップ(1)と、
ステップ(1)で得られたゲル状前駆体を水熱結晶化するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた生成物を中性まで洗浄し、乾燥するステップ(3)と、
ステップ(3)で得られた生成物を焼成し、前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ(4)と、を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒の製造方法。
【請求項6】
ステップ(1)における前記アルミニウム源、アルカリ源、メソポーラス構造を含むシリコン源、及びテンプレート剤のモル比は、
SiO2:Al2O3:M2O:R:H2O=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000を満たし、
Rはテンプレート剤であり、テンプレート剤自体のモル数で計算され、アルミニウム源のモル数は、Al2O3のモル数で計算され、アルカリ源のモル数は、対応するアルカリ金属酸化物M2Oのモル数で計算され、シリコン源のモル数は、SiO2のモル数で計算され、水のモル数はH2O自体のモル数で計算される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(1)における前記テンプレート剤は、1、4−MPB、グルコース、活性炭のうちの少なくとも1つを含み、
ステップ(1)における前記メソポーラス構造を含むシリコン源は、メソポーラス構造を含むシリコン酸化物、MCM−48、SBA−15のうちの少なくとも1つから選択され、
ステップ(1)における前記アルミニウム源は、メタアルミン酸ナトリウム、アルミニウム粉、硝酸アルミニウム、水酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つから選択され、
前記アルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうちの少なくとも1つから選択される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記1、4−MPBの製造方法は、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液を還流し、再結晶し、乾燥し、1、4−MPBを得るステップを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールを含む溶液は、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに入れて得られ、
前記還流は30〜80℃の水浴還流であり、前記水浴還流の時間は6〜48hであり、
前記再結晶の前にアセトンを採用して抽出し、
前記再結晶の溶媒は、メタノール−ジエチルエーテルの混合溶媒を含み、メタノールとジエチルエーテルとの体積比は0.05〜50:1〜20であり、
前記乾燥条件は、60〜120℃で5〜20h処理することである、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(1)における前記撹拌時間は5〜24hであり、
ステップ(2)における前記水熱結晶化は、水熱動的結晶化であり、前記水熱動的結晶化の条件は、120〜260℃の水熱条件下で100〜360h動的結晶化することであり、
ステップ(3)は、ステップ(2)で得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過して洗浄し、60〜110℃で乾燥処理するステップを含み、
ステップ(4)における前記焼成温度は200〜600℃であり、前記焼成の時間は1〜20hである、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(2)における前記動的結晶化は回転式結晶化であり、回転速度は5〜30回転/分である、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
1、4−MPBテンプレート剤Rを合成するステップ1)であって、
1、4−ジブロモブタン、N−メチルテトラヒドロピロールをアセトンに溶解し、30〜80℃に加熱し、6〜48h還流し、反応液をアセトンで抽出し、得られた生成物をメタノール−ジエチルエーテル混合溶媒で再結晶し、再結晶後の生成物を60〜120℃の真空乾燥炉で5〜20h乾燥処理し、前記テンプレート剤Rを得るステップ1)と、
TNU−9モレキュラーシーブを製造するステップ2)であって、
ステップ1)で得られたテンプレート剤Rを水に溶解した後、アルミニウム源、アルカリ源及びメソポーラス構造を含むシリコン源を順次加え、溶液Iを得て、溶液I中の各物質のモル比はSiO2:Al2O3:M2O:R:H20=5〜100:1:1〜30:5〜20:1000〜4000であり、前記溶液Iを5〜24h撹拌してゲル状にし、反応缶に入れ、120〜260℃で、モーターによる動的水熱条件下で100〜360h結晶化し、得られた生成物を洗浄液が中性になるまでろ過洗浄処理し、ろ過したケーキを60〜110℃で乾燥処理した後、200〜600℃で1〜20h焼成し、即ち前記モレキュラーシーブ触媒を得るステップ2)と、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から4のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法で製造されたモレキュラーシーブ触媒の使用であって、エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する反応に用いられる、使用。
【請求項14】
エタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法であって、ベンゼンとエタノールを含む原料を、触媒を含む固定床反応器によって反応させ、前記エチルベンゼンを得、
前記触媒は、請求項1から4のいずれか一項に記載のモレキュラーシーブ触媒、請求項5から12のいずれか一項に記載の方法で製造されたモレキュラーシーブ触媒のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とするエタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法。
【請求項15】
前記反応の温度は300〜500℃であり、前記反応の圧力は0.1〜2MPaであり、前記原料におけるベンゼンとエタノールのモル比は3〜7:1であり、前記原料の供給重量空間速度は3〜8h−1である、
ことを特徴とする請求項14に記載のエタノールとベンゼンを気相アルキル化してエチルベンゼンを製造する方法。
【国際調査報告】