(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
セラミックコア、鋳造金属製ターボ機械部品などの成形体、及び、そのような成形体の製造方法が開示される。該成形体及び該製造方法は、内燃機関の製造方法及び性能を改善することを目的とする。
射出成形アセンブリーであって、(i)付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド、(ii)任意により、該付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドを包む中間層、及び、(iii)任意により、該中間層を取り囲むアウターシェル、を含む射出成形アセンブリー。
該極小の膨張挙動が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、及び約20%未満からなる群より選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項3の射出成形アセンブリー。
該付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドが、中間成形体の特徴要素を形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む、請求項1の射出成形アセンブリー。
該中間成形体がタービンブレード又はタービンベーンを形成するのに適するセラミックコアであり、該1つ又は2つ以上の特徴要素がサイズにおいて約400ミクロンのオーダーである、請求項5の射出成形アセンブリー。
該セラミックコアを用いて鋳造される金属製のターボ機械部品の1つ又は2つ以上の冷却特徴要素を形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む、請求項11のセラミックコア。
該1つ又は2つ以上の冷却特徴要素がチャンネル、通路、空洞、フローチャンネル、孔、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項21のタービンブレード。
該1つ又は2つ以上の冷却特徴要素が冷却通路、冷却チャンネル及び冷却空洞からなる群より選ばれ、該冷却特徴要素が1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素を含む、請求項21のタービンブレード。
該冷却特徴要素が、タービンブレードの吸込側壁から圧力側壁に及ぶ後縁空洞であり、該複数のピンの全部または一部が該空洞の中央平面又は壁に垂直でない、請求項28のタービンブレード。
該複数の衝突孔を構成する個々の衝突孔の中央線がタービンブレードの内壁の表面に対して角度を有し、該角度が約1度から約90度、約10度から約90度、約30度から約90度、又は約60度から約90度、から選ばれる、請求項31のタービンブレード。
該1つ又は2つ以上の交差孔又は該1つ又は2つ以上の衝突孔がタービンブレードの互いに隣接する空洞に対してそれぞれ異なる角度を有することにより特徴付けられる、請求項37のタービンブレード。
複数の冷却孔を有し、該複数の冷却孔がタービンブレードの中に存在する内部冷却空洞及び内部冷却通路をタービンブレードの外部に連結する、請求項19のタービンブレード。
従来のタービンブレードに比べて、該タービンブレードが1つ又は2つ以上の改善された特性を有し、該改善された特性が、改善された耐久性、改善された平均的ブレード冷却効率、メンテナンス頻度の低減、エアフォイル温度の低下、改善された熱転移冷却効率、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項19のタービンブレード。
該タービン入口温度の該上昇が、約1.0%より大きい上昇、約2.0%より大きい上昇、約3%より大きい上昇、約4%より大きい上昇、または約5%より大きい上昇、から選ばれる、請求項42のタービンブレード。
該上昇したタービン入口温度が約1700℃若しくはそれより大、約1750℃若しくはそれより大、約1800℃若しくはそれより大、約1850℃若しくはそれより大、約1900℃若しくはそれより大、約1950℃若しくはそれより大、約2000℃若しくはそれより大、約2050℃若しくはそれより大、約2100℃若しくはそれより大、約2150℃若しくはそれより大、又は約2200℃若しくはそれより大、から選ばれる、請求項44のタービンブレード。
分離されたセラミックグリーン体を製造するための方法であって、(i)セラミックスラリーを提供し、(ii)流動性セラミックスラリーを、請求項1の射出成形アセンブリーの付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドに射出し、(iii)該セラミックスラリーを放置することにより固化させ、これによりセラミックグリーン体を得、そして(iv)該ポリマーモールドを溶解液によって溶解し、これにより分離されたセラミックグリーン体を得る、ことを含む方法。
該極小の膨張が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満、から選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項52の方法。
該流動性セラミックスラリーが、(i)固体粒子成分、(ii)キャリア相成分、(iii)任意により、気孔増加用成分、及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上の添加剤、を含む、請求項50の方法。
(v)分離された該セラミックグリーン体からバインダーを除去し、これによりセラミックブラウン体を得、そして(vi)該セラミックブラウン体を焼結し、これによりセラミックコアを得る、という工程を更に含む、請求項50の方法。
セラミックコアを製造するための方法であって、(i)セラミックスラリーを提供し、(ii)該セラミックスラリーを、請求項1の射出成形アセンブリーの付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドに射出し、(iii)該セラミックスラリーを放置することにより固化させ、これによりセラミックグリーン体を得、(iv)該ポリマーモールドを溶解液によって溶解し、これにより分離されたセラミックグリーン体を得、(v)分離された該セラミックグリーン体を更に加工し、これによりセラミックコアを得る、ことを含む方法。
工程(v)における更なる加工が、分離された該セラミックグリーン体からバインダーを除去し、これにより分離されたセラミックブラウン体を得、該セラミックブラウン体を焼結し、これによりセラミックコアを得ることを含む、請求項57の方法。
該極小の膨張が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満、から選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項61の方法。
該方法が従来のインベストメント鋳造法の1つ又は2つ以上の工程を省くことができ、該工程がコア/ダイ アセンブリー、ワックス−オーバーモールディング、セラミック シェリング、又はこれらの組み合わせから選ばれる、請求項50または57の方法。
該収率が約75%若しくはそれより大、約80%若しくはそれより大、又は約85%若しくはそれより大、から選ばれることによって特徴付けられる、請求項64の方法。
タービンエアフォイルを製造するための方法であって、(i)請求項11のセラミックコアを提供し、(ii)溶融した金属を該セラミックコアに導入し、(iii)該溶融した金属を放置することにより冷却し、そして(iv)該セラミックコアを除去する、ことを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0052】
I.定義
本明細書において、「約」又は「近似的に」という用語は、通常、与えられた値又は範囲からのずれが20%以内、好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内を意味する。「約x」という用語は、更に、x自体を含む。
【0053】
本明細書において、「付加的製造」(又は「3D−印刷」)とは、通常、1つ又は2つ以上の材料を積み上げ造形(build)することによって3次元形状の成分を製造し、これにより最終形状又は最終形状に近い物体を得ることにより特徴付けられる一群の過程を意味する。付加的製造は、製造過程において最初の形体から材料を除去する除去的製造と対比される。付加的製造のこの定義は、射出成形、押出し成形、吹込み成形、真空成形、圧縮成形などの他の従来の製造方法とも対比される。どのような好適な付加的製造技術も、本明細書に開示されるモールドを製造するために用いることができる。そのような付加的製造技術の非限定的な例として、材料押出し法(ME)、バインダー噴射法(BJ)、材料噴射法(MJ)、液槽重合法(VP)、粉末床融合法(PBF)、ステレオリソグラフィー法(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、シート積層法(SL)、及び指向性エネルギー堆積法(DED)を挙げることができる。
【0054】
本明細書において「アルキル」という用語は、飽和又は不飽和の脂肪族基のラジカルを意味するものであって、例として、直鎖状のアルキル、アルケニル及びアルキニル基、鎖状のアルキル、アルケニル及びアルキニル基、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル基、並びに、シクロアルキル置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニル基が挙げられる。明示しない限り、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルは、骨格に30個以下の炭素原子を有するものであり(たとえば、直鎖についてはC
1−C
30、分岐鎖についてはC
3−C
30)、より好ましくは、20個以下の炭素原子を有するものである。同様に、シクロアルキルは、好ましくは、環構造の中に3〜10個の炭素原子を有するものであり、より好ましくは、環構造の中に5個、6個又は7個の炭素原子を有するものである。
【0055】
本明細書において「アルキルアリール」という用語は、アリール基(たとえば、芳香族基又は複素芳香族基)で置換されたアルキル基を意味する。
【0056】
本明細書において「類似体」という用語は、別の化合物(参照化合物)と類似の構造を有するが特定の成分、官能基、原子などに関して異なる化合物を意味する。本明細書において、「誘導体」という用語は、親化合物から化学反応によって形成される化合物を意味する。類似体間の相違及び誘導体間の相違の非限定的な例として、環上の1又は2以上の官能基の1又は2以上の他の官能基への置き換え、及び、環上の1又は2以上の官能基を反応させることによる、1又は2以上の置換基の導入が挙げられる。
【0057】
本明細書において「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、不飽和の脂肪族基であって、上記のアルキルと長さ及び可能な置換において類似するが、少なくとも1つの二重結合又は三重結合をそれぞれ含むものを意味する。
【0058】
本明細書において「アリール」という用語は、5員、6員又は7員の芳香族、複素環式、融合芳香族、融合複素環式、二重芳香族、又は二重複素環式の環状構成体を意味するものであって、任意によりハロゲン、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基で置換されていてもよい。本明細書において広く定義される「Ar」の例として、5員、6員又は7員の単環式芳香族基(0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい)が挙げられ、具体例として、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどが挙げられる。環構造内にヘテロ原子を含むアリール基は、「アリール複素環」又は「複素芳香族」と称してもよい。芳香環は、環の1又は2以上の位置において本明細書に記載の置換基、たとえば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラールキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族モイエティー(moiety)、−CF
3、−CNなどで置換されていてもよい。「Ar」という用語はまた、2又は3以上の環を有する多重環式の環状構成体であって、2又は3以上の炭素が隣接する2つの環に共通であり(これらの環を「融合環」という)、環のうちの少なくとも1つが芳香族であって、他の環がたとえばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又は複素環であるものを含む。複素環式の環の非限定的な例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、及びキサンテニルが挙げられる。
【0059】
本明細書において「アスペクト比」という用語は、物体における幅と高さとの比を意味する。たとえば、アスペクト比が3:1であるとは、物体において幅が高さの3倍であることを意味する。
【0060】
本明細書において「生分解性」ポリマーという用語は、生理的条件又はエンドソーム条件の下で分解して巨大分子種、オリゴマー種及び/又はモノマー種になるポリマーを意味する。種々の好ましい態様においては、該ポリマー及びポリマー生分解副生物は、生体適合性である。生分解性ポリマーは、必ずしも加水分解可能ではなく、完全に分解するためには酵素反応を必要とするものでもよい。1つの態様においては、モールドの製造に用いる、本明細書に開示されるポリマー組成物は、生分解性である。別の1つの態様においては、モールドの製造に用いる、本明細書に開示されるポリマー組成物は、生分解性ではない。
【0061】
本明細書において「鋳造」(casting)という用語は、溶融した又は流動性の材料を所望の形状を有する空ろなキャビティーを有するモールドに注ぎ込み、その後放置して固化することによって物体を製造する過程を意味する。固化された部分は、「鋳造物」として知られており、モールドから分離される。
【0062】
本明細書において「触媒」又は「触媒中心」という用語は、化学反応の活性化エネルギーを低下させる分子種又はその成分であって、通常は化学反応によって分解も消費もされないものであり、再生されるもの又は再生可能であるものを意味する。触媒は、しばしば、化学反応の速さ又は収率を増加させるために用いられるものであり、これらの反応を実施する個人又は事業体に、大きな経済上、効率上及びエネルギー上の利点を与え得るものである。
【0063】
本明細書において「セラミック」という用語は、通常、無機化合物、又は、非金属性の固形材料であって、主としてイオン結合又は共有結合によって保持される金属、非金属又は半金属原子を意味する。代表的なセラミックの例として、酸化物材料、窒化物材料、及びカーバイド材料が挙げられる。
【0064】
本明細書において「セラミックコア」という用語は、鋳造されつつある部品の中に、鋳造過程の後では機械加工ができないほど小さいか又は複雑な空洞を形成するために、主として用いられるセラミック構造体を意味する。セラミックコアは、多様な種類のセラミック材料から製造することができる。そのようなセラミック材料の例として、溶融シリカ、ジルコニウム及び/又はアルミナを含む材料であって、通常はセラミック粉末とバインダーとの混合物の形であるものが挙げられる。ある態様においては、セラミックコアはコートされている。ある態様においては、セラミックコアは消失性セラミックコア(sacrificial ceramic core)である。
【0065】
本明細書において「連鎖移動」という用語は、通常、連鎖重合の最中に起こり得る連鎖移動反応であって、活性の中心が、成長しつつある巨大分子又はオリゴマー分子から別の分子に、又は同じ分子の別の部位に移動して、それにより、該成長しつつある巨大分子又はオリゴマー分子の分子量を限定するものを意味する。
【0066】
本明細書において「連鎖移動剤」(「制御剤」、「変性剤」又は「調整剤」ともいう)という用語は、成長しつつあるポリマー鎖(連鎖担体)のフリーラジカル部位と反応して該ポリマー鎖の更なる成長を阻止する化合物であって、該元のポリマー鎖を不活化して新たな成長鎖を生成することができるものを意味する。連鎖移動剤は、重合過程で形成されるポリマーの分子量分布に影響を与えることができ、また、ポリマーの物理的、機械的及び熱力学的挙動に影響を及ぼすことができる。連鎖移動剤は、連鎖移動反応をするのに十分な低い結合エネルギーを有する少なくとも1つの化学結合を含んでよく、連鎖移動活性は連鎖移動定数の形で報告されており、該定数は0.001から220,000超までに及んでよい。代表的な連鎖移動剤の非限定的な例として、ハロゲン含有化合物、芳香族炭化水素及びチオール(メルカプタン)が挙げられる。
【0067】
本明細書において、オリゴマー化合物やポリマー化合物に関して単数形の「化合物」という語を用いる場合は、そのような混合物の場合を含むものである。本明細書において、変性されていないオリゴマー材料やポリマー材料を指すときは、任意の平均分子量を有するオリゴマー材料やポリマー材料を意味し得る。
【0068】
本明細書において「冷却チャンネル」という用語は、通常、チャンネル又は通路であって、1つ又は2つ以上の冷却剤(気体又は液体)が流れて熱伝達を促進することができるものを意味する。
【0069】
本明細書において「架橋」という用語は、2つの鎖の間の結合を意味する。架橋は、化学的な共有結合、鎖の絡み合いなどの物理化学的相互作用、分子鎖間水素結合、結晶化に見られるような鎖配列、ウレイドピリミジノン(UPy)分子モイエティーが示す自己相補的水素結合のような超分子相互作用、イオン架橋又はイオノマー架橋、環動架橋(自由に動くことができる架橋)、1つの置換基の別の架橋相への分散及び/又は溶解によって形成される半相互貫入ネットワーク、多数の置換基の架橋によって形成される相互貫入ネットワークであって個々の置換基の間で全体が架橋されているネットワーク、液体結晶相互作用、又は他の架橋相互作用であってよい。架橋は、1つの鎖中のペンダント基と別の鎖の骨格との反応、又は、1つのペンダント基と別のペンダント基との反応によって形成してもよい。架橋は、異なる鎖の間に存在してもよいし、また、同一の鎖の中の異なる位置の間に存在してもよい。
【0070】
本明細書において「硬化性」という用語は、強靭化又は高硬度化され得るモノマー材料、オリゴマー材料、ポリマー材料、又はそれらの組成物を意味し、典型的には、これらの中にあるポリマー鎖及び/又はオリゴマー鎖の架橋又は線状重合によって強靭化又は高硬度化され得るものである。
【0071】
本明細書において「硬化する」という用語は、外部からの刺激(その非限定的な例として光、放射線、電子ビーム放射、熱、化学的添加剤(イオン性添加剤を含む)、及びこれらの組み合わせが挙げられる)を与えて架橋を誘導して材料の強靭化又は高硬度化をもたらす過程を意味する。UV硬化とは、光を用いて光硬化性ポリマーの性質を変える過程である。
【0072】
本明細書において「クリープ(creep)」という用語は、一定の応力の下での且つ(典型的には)上昇する温度においての材料の経時的な変形を意味する。クリープは、材料の特性、曝露時間、曝露温度、及び加えられた応力(荷重)の関数である。ある状況の下では、変形は、材料が機能しなくなるほど大きいことがある。変形の速さは、クリープ速度と言い、クリープひずみと時間との関係を反映するものであって、一定の温度と応力との下で、材料の寸法の変化を正確に測定することによって求められる。クリープ限界(creep limit)とは、与えられた温度(たとえば、運転温度)において一定時間(たとえば数時間)、材料のクリープが設定量を越えることなく加えることができる最大の応力を意味する用語である。1つの特定の態様においては、本明細書に開示されるセラミックモールドのクリープ特性は、従来のセラミックモールドに比べて減少し、その減少率は、約0.1%〜約10%、より具体的には、約0.1%若しくはそれより大、約0.5%若しくはそれより大、約1.0%若しくはそれより大、約3.0%若しくはそれより大、約5.0%若しくはそれより大、又は約8.0%若しくはそれより大である。
【0073】
本明細書において「硬化」という用語は、材料が高硬度化する又は安定化する過程を意味するものであって、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーが熱、湿気、触媒、電離放射線、酸若しくは塩基、酸化剤、光酸化還元剤、UV光、又は他の刺激の存在下で重合化反応を受けて直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、又は架橋ポリマーネットワークを形成する過程をも含むものである。
【0074】
本明細書において「可溶性」という用語は、溶解することができる材料(たとえばモールド)について言うものであり、ここで、「溶解する」という用語は、溶質の溶液への推移を意味する。更に説明すれば、「溶解する」という用語は、粒子、イオン性の種、ポリマー、オリゴマー、分子、巨大分子、又は他の分子性成分の、異質な周囲の媒体(コロイド分散液、エマルション又は他の混合物が形成されているような液体環境を含む)への拡散又は分散をも意味する。
【0075】
本明細書において「エンジン効率」という用語は、燃料に含まれるエネルギーの総量と、有効な仕事をするのに用いられたエネルギーの量との関係を意味する。燃焼温度は、ガスタービンエンジンの効率を決める1つの因子である。
【0076】
本明細書において「排気ガス温度」という用語は、タービンを出る排気ガスの温度を意味する。排気ガス温度は、排気流の中に置いた熱電対によって測定され、フライトデッキの計器に華氏温度又は摂氏温度で表示される。
【0077】
本明細書において「フィルム冷却」という用語は、圧縮機から出された抽出空気を用いたタービンブレードの冷却方法であって、該抽出空気をタービンブレードの内室に導き、その後、ブレードの壁の1つ又は2つ以上の小さい孔を介して排出することによって、ブレード外部表面に冷たい空気の層を形成し、これにより該表面を、燃焼器を出る熱い気体から保護するという冷却方法を意味する。
【0078】
本明細書において「充填剤」という用語は、通常、ポリマー組成物に添加して費用を下げ、及び/又は、その性質を改善することができる材料(典型的には、粒子状の材料)を意味する。このような材料は、固体、液体又は気体の形であってよく、また、本来的に場所を占めて主に組成物製造費の低減のために用いられる増量充填剤であってもよく、また、機能的充填剤(その非限定的な例として、補強用充填剤、ゴム状充填剤及び繊維状充填剤が挙げられる)であってもよい。
【0079】
本明細書において「フローチャンネル」という用語は、通常、微視的な大きさのチャンネルであって、1つ又は2つ以上の液体又は気体が貫通することができるものを意味する。
【0080】
本明細書において「フリーラジカル開始剤」という用語は、通常、重合反応を開始するラジカルを生成することができる有機又は無機化合物を意味する。代表的な開始剤の非限定的な例として、過酸化物及びアゾ含有化合物が挙げられる。
【0081】
本明細書において「フリーラジカル阻害剤」という用語は、通常、フリーラジカル重合反応の最中に添加することができる化合物であって、存在するラジカルと反応して該ラジカルを捕捉することができるものを意味する。このような捕捉事象は、ラジカル重合反応過程を阻害するように機能する。
【0082】
本明細書において「ガスタービンエンジン」という用語は、連続燃焼機関又は内燃機関を意味する。航空機を推進したり駆動したりするために典型的に用いられる4種類のガスタービンエンジンとして、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフト、ターボジェット及びアンダクテッドファンが知られている。
【0083】
本明細書において「ゲート」という用語は、材料がモールドのキャビティーに進入する位置を意味する。ゲートの種類として、たとえば、サブ、エッジ、ファン及びカシューが挙げられる。
【0084】
本明細書において「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0085】
本明細書において「熱伝達」という用語は、温度の差による熱(熱エネルギー)の流れ、並びに、その結果として生ずる温度分布及び温度変化を意味する。
【0086】
本明細書において「熱伝達率」という用語は、流体媒体と該流体が流れていく物体表面との間の対流熱伝達の量的特性(quantitative characteristic)を意味する。熱伝達は、局所的に測定することができる。
【0087】
本明細書において「複素環」又は「複素環式」という用語は、3〜10個(好ましくは5〜6個)の環上原子を有する単環式又は二重環式の環の炭素又は窒素によって結合している環状ラジカルであって、炭素原子と1〜4個のヘテロ原子とからなるものを意味する。各ヘテロ原子は、非過酸化酸素、硫黄及びN(Y)からなる群より選ばれ、Yは、無いか、又は、H、O、(C
1−C
4)アルキル、フェニル又はベンジルである。環状ラジカルは、任意により1〜3個の二重結合を含んでよいし、任意により1又は2以上の置換基で置換されていてよい。
【0088】
複素環式の環の非限定的な例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、及びキサンテニルが挙げられる。
【0089】
本明細書において「複素アリール」という用語は、5個又は6個の環上原子を含む単環式芳香族環であって、炭素原子と1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子とからなるものを意味するのであって、各ヘテロ原子は、非過酸化酸素、硫黄及びN(Y)からなる群より選ばれ、ここで、Yは、無いか、又は、H、O、(C
1−C
8)アルキル、フェニル又はベンジルである。複素アリール基の非限定的な例として、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(又は、そのN−オキサイド)、チエニル、ピリミジニル(又は、そのN−オキサイド)、インドリル、イソキノリル(又は、そのN−オキサイド)、キノリル(又は、そのN−オキサイド)などが挙げられる。「複素アリール」という用語は、また、オルト融合二重環式複素環のラジカルであって融合前の環の原子に由来する約8〜10個の環上原子を有するもの(特に、ベンゼンの誘導体、又は、ベンゼンにプロピレン、トリメチレン若しくはテトラメチレンジラジカルを融合させることによって誘導されるもの)をも意味する。複素アリールの例として、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラキソリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(又は、そのN−オキサイド)、チエンチル、ピリミジニル(又は、そのN−オキサイド)、インドリル、イソキノリル(又は、そのN−オキサイド)、キノリル(又は、そのN−オキサイド)などが挙げられる。
【0090】
本明細書において「衝突冷却」という用語は、衝突する流体の温度が衝突される表面の温度と異なるような冷却を意味する。本明細書に記載されるある態様においては、1つ又は2つ以上の衝突冷却方法が、タービンブレードの前縁、タービンブレードの翼弦中央部(mid-chord section)、又はタービンブレードの中の任意の位置で用いられる。
【0091】
本明細書において「衝突距離」という用語は、衝突孔の出口から衝突ジェットの接触位置までの距離を意味する。
【0092】
本明細書において「衝突ジェット」という用語は、円柱状の冷却空気流であって、衝突孔から流れ出て、衝突孔の出口と反対側のエアフォイル壁と接触するものを意味する。
【0093】
本明細書において「射出成形」という用語は、流動可能な材料を、任意により圧力下で、キャビティーに射出することによって部品を製造するための製造過程を意味するものであって、通常、材料は、固化、冷却、高硬度化した後にキャビティーから取り出される。この過程は、多様な種類の材料(プラスチック、ファイバー、セラミック、粉末化した金属など)をバインダーであるポリマー、並びに、多孔性増加用成分、可塑剤、キャリア、結晶化エネルギー調整剤、及び離型促進剤(demolding facilitation agent)である付加的な添加剤とともに用いて、成形体を製造するために用いることができる。射出成形アセンブリーは、1つ又は2つ以上の構成要素を有してよい。構成要素の非限定的な例として、剛体であるアウターシェルと中空の内部キャビティーとからなるモールドが挙げられる。
【0094】
本明細書において「インナーモールド」という用語は、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素に取り囲まれ又は取り巻かれたモールドを意味する。構成要素の非限定的な例として、中間層、及び、外層又はアウターシェルが挙げられる。
【0095】
本明細書において「内部冷却」という用語は、タービンブレードの冷却方法であって、タービンブレードの内部構造を(主として)利用するものを意味する。
【0096】
本明細書において「内部冷却チャンネル」という用語は、タービンブレードの内部に根のように埋め込まれて前縁から後縁へ向かう冷却チャンネルを意味する。冷却チャンネルは、その設計上の考慮事項に依存して、単一の通路又は複数の通路となるチャンネルとして形成してよい。これらの内部冷却チャンネルは、タービンブレードのエアフォイル部又はプラットフォーム部にあってよい。
【0097】
本明細書において「内燃機関」という用語は、熱機関であって、燃料の燃焼が、作動流体の流れ回路の一体的一部分である燃焼室の中で酸化剤(通常は、空気)の存在下で起こるものを意味する。内燃機関は、航空宇宙、自動車、及びエネルギーの部門を含む様々な産業部門において用いられている。
【0098】
本明細書において「インベストメント鋳造法」(「ロストワックス成形」又は「精密鋳造」ともいう)という用語は、破壊可能なコアを用いて部品を鋳造する過程であって、材料(たとえば、金属)を該破壊可能なコアの回りに鋳造するものを意味する。一旦材料が冷却した後に、破壊可能なコアは、鋳造された部品から除去され、鋳造された部品の内部に、破壊可能なコアの形状に対する反転形状を有する空洞を残す。破壊可能な又は除去可能なコアの形状は、普通、該空洞の形状のネガと称される。インベストメント鋳造のための破壊可能なコアを製造するために用いられる材料の1つは、セラミック材料である。
【0099】
本明細書において「アイオノマー種」という用語は、通常、イオン性の繰り返し単位を含むポリマー材料を意味する。
【0100】
本明細書において広く用いられる「噴射可能」という用語は、通常、3次元インクジェット印刷に用いられる硬化性組成物などの、インクジェット印刷過程に用いられる硬化性組成物の適合性を意味する。
【0101】
本明細書において「前縁」という用語は、通常、タービンブレードの前部又は鼻部を意味する。
【0102】
本明細書において、「平均粒子サイズ」という用語は、通常、粒子の集団の統計学的な平均粒子サイズ(直径)を意味する。実質的に球状の粒子の直径は、物理学的又は流体力学的直径を意味してもよい。球状でない粒子の直径は、優先的に、流体力学的直径を意味してもよい。本明細書において、球状でない粒子の直径は、粒子の表面上の2点の間の直線距離の最大値を意味してもよい。平均粒子サイズは、当分野において知られている方法、たとえば動的光散乱法、によって測定することができる。
【0103】
本明細書において「モールド」という用語は、加工器具であって、該加工器具に流動可能な材料を射出してその中で固定した形状を形成するものを意味する。
【0104】
本明細書において「成形条件」という用語は、要求される成形体を得るために成形機に設定される、シリンダー温度、射出速度、モールド温度、射出圧力などの条件を意味する。
【0105】
本明細書において「モノリシック」という用語は、単一の纏まり又は単一部分のみからなる物体を意味する。
【0106】
本明細書において「ネットワーク」という用語は、架橋によって相互に結合したオリゴマー鎖及び/又はポリマー鎖を有する実体を意味するものであり、3次元的に架橋しているものを含む。
【0107】
本明細書において「有機金属」という用語は、化合物、塩、材料又は分子であって、「金属」成分と「有機」成分との両方を含むというハイブリッドの特徴を有するものを意味する。金属成分と有機成分との結合の性質については、限定はない。ここで「金属」とは、周期律表の炭素以外の任意の元素として定義される。また、ここで「有機」とは、炭素含有を意味し、少なくとも1つの炭素原子を含む任意の基、断片、分子又は材料であってよい。
【0108】
「オルト」、「メタ」及び「パラ」という用語は、それぞれ、1,2−、1,3−、及び1,4−の2箇所で置換されているベンゼンを意味する。たとえば、1,2−ジメチルベンゼンという名称とオルトジメチルベンゼンという名称とは、同一の意味である。
【0109】
本明細書において「光開始剤」という用語は、通常、光の吸収により光反応を受ける化合物であって、該光反応により、重合反応を開始することができる反応性を有する種(ラジカル、カチオンなど)を生成する化合物を意味する。代表的な光開始剤の例として、ラジカル光開始剤及びカチオン光開始剤が挙げられる。
【0110】
本明細書において「可塑剤」という用語は、通常、転移温度(たとえば、ガラス転移温度)を下げるために、及び/又は、ポリマーを主体とする材料の粘度を下げるために、ポリマー鎖間に介在することができる化合物(添加剤)を意味する。代表的な可塑剤の例として、フタレート類、ジカーボネート類、ホスフェート類、及び脂肪酸エステル類のような材料類が挙げられる。
【0111】
本明細書において「ポリマー」という用語は、互いに結合した多数の類似の単位から、主として又は完全に構成される分子構造を有する物質を意味する。ポリマーの例として、可塑剤や樹脂として用いられる多数の合成有機材料が挙げられる。
【0112】
本明細書において「プレポリマー」という用語は、ネットワークを形成するための架橋を経ていないオリゴマー鎖又はポリマー鎖を意味する。
【0113】
本明細書において「剛性」という用語は、固体が変形に抵抗する傾向を意味する。「可撓性のある(compliant)」という用語は、力学においては、剛性と反対の意味である。
【0114】
本明細書において「ゴム」又は「エラストマー」という用語は、架橋されたネットワークポリマーを意味する。このポリマーは、「ゴム領域」の範囲内と規定される温度において変形に応答してエラストマー的挙動を示してよい。
【0115】
本明細書において「ランナー」という用語は、典型的にはモールド器具の内部に在り又はその一部であり、溶融した材料をモールド器具の中のキャビティー部分に導くスプルーと連絡するチャンネルのシステムを意味する。
【0116】
本明細書において「消失性モールド」(sacrificial mold)という用語は、通常、他の成形体を形成する過程において犠牲となって除去されたり破壊されたりするために形成される形状パターンを意味する。消失性ポリマー材料の例として、燃え尽きる材料、溶媒可溶材料、及び溶媒分解性材料が挙げられる。消失性ポリマー材料は、他の成形体の製造に用いられるネガ、ポジ、又はその他の像に形成することができる。
【0117】
本明細書において「単結晶合金」という用語は、通常、金属の混合物であって、全体が実質的に単一の粒(即ち、1つの連続的結晶)を形成するように加工(固化)され得るものを意味する。
【0118】
本明細書において「焼結」という用語は、粉末材料が加熱によって(通常、更に圧縮によって)液化することなく固体又は多孔性の塊になる過程を意味する。
【0119】
本明細書において「溶媒分解性」という用語は、一定の触媒(有機溶媒、水、水性溶媒など)の存在下、化学的環境下、又は一定の反応条件下で1つ又は2つ以上の化学反応を受けるポリマーであって、該化学反応によりイオン結合、共有結合及び/又は水素結合が開裂し、最終的に完全な又は部分的なポリマー分解を生じるものを意味する。「水分解性」ポリマーは、溶媒分解性ポリマーの1種であって、水又は水性溶媒の存在下で1つ又は2つ以上の化学反応を受け、イオン結合、共有結合及び/又は水素結合が開裂し、最終的に完全な又は部分的なポリマー分解を生じる。
【0120】
本明細書において「溶媒可溶」という用語は、普通の有機溶媒の存在下で溶解、分解、分散及び/又は膨張をすることができるポリマーを意味する。「水溶性」ポリマーは、溶媒可溶性ポリマーの1種であって、水及び/又は水性溶媒の存在下で溶解、分解、分散及び/又は膨張をすることができる。
【0121】
本明細書において「スプルー」という用語は、溶融している材料を射出成形機のノズルから射出用モールド器具全体の入口地点に導くチャンネルを意味する。
【0122】
本明細書において「ステレオリソグラフィー」という用語は、通常、3次元印刷技術の1形態であって、たとえば、典型的には好適な組成物の光重合反応を用いて、層を積み重ねる方式で、模型、原型、パターン、モールド、ダイ、製造物の部品又は構成要素などの製造に用いられる技術を意味する。
【0123】
本明細書において「置換されている」という用語は、当該官能基が1又は2以上の置換基を自分自身に結合していることを意味する。置換基の非限定的な例として、水素、ハロゲン、シアノ、アルコキシル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、ヒドロキシル、オキソ、ホルミル、アシル、カルボン酸(−COOH)、−C(O)R’、−C(O)OR’、カルボキシレート(−COO−)、1級アミド(たとえば、−CONH
2)、2級アミド(たとえば、−CONHR’)、−C(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NR’S(O)
2R’’、−NR’C(O)R’’、−S(O)
2R’’、−SR’、−S(O)
2NR’R’’、スルフィニル基(たとえば、−SOR’)、及びスルホニル基(たとえば、−SOOR’)が挙げられる。但し、上記の例において、R’とR’’とはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであってよく、R’とR’’とは任意によりそれぞれ独立にハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ又はアリールオキシで置換されていてもよい)、アリール(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ、アルキル又はトリハロアルキルで置換されていてもよい)、ヘテロシクロアルキル(任意によりアリール、ヘテロアリール、オキソ又はアルキル(任意によりヒドロキシルで置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、シクロアルキル(任意によりヒドロキシルで置換されていてもよい)、ヘテロアリール(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ、アルキル又はトリハロアルキルで置換されていてもよい)、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、及びジアルキルアミノカルボニル、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。或る場合には、「置換されている」という用語は、炭素鎖(たとえば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアリール基)中の、ヘテロ原子(たとえば、窒素又は酸素であるが、これらに限らない)に置換され得る1又は2以上の炭素原子の1箇所又は2箇所以上の置換を意味することもある。
【0124】
本明細書において「超分子」という用語は、通常、複数の分子成分の1つ又は複数の集まりであって、該成分が典型的には弱い、しばしば可逆な力(その非限定的な例として分子間力、水素結合、金属配位、疎水力、ファンデルワールス力、π−π相互作用、及び静電効果が挙げられる)を介して集められているものを意味する。
【0125】
本明細書において「膨張」という用語は、通常、架橋ポリマーが、溶媒中に置かれたときに、溶媒に溶解することなく、溶媒の少なくとも一部を吸収する能力を意味する。膨張は、溶媒が架橋ポリマーネットワークに貫入する能力から生ずる。
【0126】
本明細書において「熱可塑性」という用語は、巨大分子構造において直鎖状又は少し分岐状であるポリマーであって、共有結合によっては架橋していないものを意味する。
【0127】
本明細書において「熱硬化性」又は「熱硬化した」という用語は、架橋ポリマーであって、モノマー、オリゴマー又はポリマー前駆体から形成される共有結合性、超分子性、又はその他の架橋を有するポリマーを意味する。
【0128】
本明細書において「チップ」という用語は、タービンブレード又はベーンの最も外側の部分を意味する。
【0129】
本明細書において「後縁(trail edge)」という用語は、タービンブレードの後方又は尾部である後縁を意味する。
【0130】
本明細書において「器具」又「加工器具」という用語は、モールド、ダイ又は他の装置であって、様々な製造過程(たとえば可塑的射出成形、ニッケル補強、熱形成、吹込み成形、真空鋳造、ダイ鋳造、シート金属押し、水力形成、鍛造、複合積上げ加工、機械加工、アセンブリー固定など)に用いられる装置を意味する。
【0131】
本明細書において「タービンブレード」という用語は、ガスタービン又は蒸気タービンのタービン部分を構成する個々の要素を意味する。タービンブレードは回転していても静止していてもよい。静止しているブレードは、「ベーン」とも称される。ブレードは、燃焼器によって製造される高温高圧のガスからエネルギーを抽出することを担当する。ブレードは、また、燃焼器によって製造される高温高圧のガスの流れの方向を決めたり、該流れを促進したりすることを担当する。
【0132】
本明細書において「乱気流発生ピン」又は「ピン」という用語は、タービンブレードの熱交換チャンネル(たとえば、内部冷却チャンネル)に存在するピンを意味する。
【0133】
本明細書において「乱気流発生リブ」又は「リブ」という用語は、タービンブレードの熱交換チャンネル(たとえば、内部冷却チャンネル)に存在するリブを意味する。
【0134】
本明細書において「タービン入口温度」又は「TIT」という用語は、燃焼室排気ガスのタービンユニットに入るときの温度を意味する。ガスタービンの熱効率及び出力は、タービン入口温度を上げることによって向上する。
【0135】
本明細書において「粘弾性」という用語は、変形を受けるときに粘性と弾性との両方の特徴を示す材料の性質を意味する。
【0136】
本明細書において「粘度」という用語は、流れることに対する物質(典型的には、液体)の抵抗を意味する。粘度は、剪断力の概念と関係する。粘度は、流体の異なる層が、互いに抗して移動する際に、互いに又は他の表面に対して剪断力を発揮することによる結果であると理解され得る。粘度には、いくつかの尺度がある。粘度の単位は、Ns/m
2であり、パスカル−秒(Pa−s)として知られている。粘度は、「動」的でもよいし、「絶対」的でもよい。動粘度は、運動量が流体中を移動する速さの尺度であり、ストークス(St)を単位として測定される。動粘度は、重力の影響下での流体の流れにくさ(resistive flow)の尺度である。体積が等しく粘度が異なる2つの流体を同型の毛細管粘度計の中に置き、重力の下で流れるようにすると、粘度の高い方の流体は、粘度の低い方の流体に比べて、毛細管を流れるのに時間を要する。もし、たとえば、第1の流体が流れを完了するのに200秒かかり、第2の流体が流れを完了するのに400秒かかるとすれば、第2の流体は動的粘度の尺度において第1の流体の2倍の粘性を有するという。動粘度の単位は、(長さ)
2/時間 である。普通、動粘度は、センチストークス(cSt)で表される。動粘度のSI単位は、mm
2/s であり、1 cSt に等しい。「絶対粘度」は、「粘度」又は「単純粘度」とも呼ばれることがあり、動粘度と流体密度との積である。絶対粘度は、センチポイズ(cP)を単位として表される。絶対粘度のSI単位は、ミリパスカル−秒(mPa−s)であり、1 cP = 1 mPa−s である。粘度は、たとえば粘度計を与えられた1つの剪断速度で用いることにより、測定することができる。
【0137】
なお、粘度は、たとえば粘度計を与えられた複数の剪断速度で用いることにより、測定することもできる。「ゼロ剪断」粘度は、粘度対剪断速度のプロットにおいて4つの最高の剪断点に最もよく適合する直線を作り、粘度をゼロ剪断速度の位置まで直線的に外挿することによって外挿することができる。また、ニュートン流体に対しては、複数の剪断速度における粘度の値の平均をとることによって決定することができる。粘度はまた、マイクロ流体粘度計を単一又は複数の剪断速度(流速ともいう)で用いて測定することもでき、絶対粘度は、液体が経路を流れる際の圧力の変化に由来する。粘度は、「剪断応力/剪断速度」に等しい。マイクロ流体粘度計を用いて測定される粘度は、いくつかの態様においては、ゼロ剪断粘度(たとえば、コーン プレート粘度計を用いて複数の剪断速度において測定した粘度から外挿することによって得られるゼロ剪断粘度)と、直接比較され得る。
【0138】
数値範囲の例として、温度の範囲、圧力の範囲、分子量の範囲、整数の範囲、力の値の範囲、時間の範囲、厚さの範囲、及びガスの流速の範囲が挙げられる。本明細書に開示される範囲は、その範囲から合理的に教示され得る個々の可能な任意の数値や、その範囲に含まれる部分範囲及びその組み合わせを開示するものである。たとえば、1つの温度範囲の開示は、その温度範囲から教示され得る、本明細書の記載と矛盾しない、個々の可能な温度の値を意味するものと意図されている。別の例を挙げると、アニーリング工程は約5分〜30分の範囲内の時間にわたり行なうことができる旨の開示は、また、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30分の中から独立的に選択することができる時間の値、これらの数値の間の任意の範囲(たとえば、10分〜20分)、並びに、これらの時間の値の間の範囲の任意の可能な組み合わせを意味することもできる。
【0139】
II.射出成形アセンブリー
本明細書において、本明細書に記載される方法により製造される成形体の製造を直接的にも間接的にも可能にする射出成形アセンブリーが開示される。
【0140】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、成形体(たとえば、セラミックコア)の直接的な製造を可能にする。1つの態様においては、射出成形アセンブリーから直接的に製造される成形体は、第2又は最終的な成形体を製造するために用いられる。この態様においては、射出成形アセンブリーから直接的に製造される成形体は、中間成形体と称する。
【0141】
別の特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いて製造される中間成形体(たとえば、セラミックコア)を経由することによる、成形体(たとえば、タービンブレード)の間接的な製造を可能にする。
【0142】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーであって、(1)可溶性であってよいモールド、(2)任意により、該インナーモールドを包む、可撓性、粘弾性又は剛性のある中間層、但し、該中間層は、任意により該インナーモールドと分離されており、また、任意により可溶性である、及び(3)任意により、該中間層を取り囲む、可撓性、粘弾性又は剛性のあるアウターシェル、但し、該アウターシェルは任意により可溶性である、を含む射出成形アセンブリーが開示される。
【0143】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、(1)インナーモールド、(2)該インナーモールドを包む、可撓性、粘弾性又は剛性のある中間層、但し、該中間層は、任意により該インナーモールドと分離されている、及び(3)該中間層を取り囲む、可撓性、粘弾性又は剛性のあるアウターシェルを含む。ただし、成分(1)〜(3)は、任意により可溶性である。
【0144】
ある態様においては、射出成形アセンブリーは、射出成形機の中に載置されている。
【0145】
1つの特定の態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、可溶性であること、付加的に製造されていること、及びモノリシックであることのうちの1つ又は2以上の特徴を有するポリマーモールドである。1つの態様においては、インナーモールドは、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0146】
1つの態様においては、モールドは、2つの部分を有するモールド、又はモノリシックな(1つの部分のみを有する)モールドであり、たとえば、2つの部分を有するインナーモールド、又はモノリシックなインナーモールドである。
【0147】
1つの特定の態様においては、モールドは、ポリマー材料又はコポリマー材料を用いた付加的製造により製造されるモノリシックなモールドである。
【0148】
1つの態様においては、モールドは、射出成形又は鋳造に適する内部キャビティーを有する。1つの特定の態様においては、モールドは、該モールドから製造され得る最終成形体(たとえば、タービンブレード)のネガティブレプリカである内部キャビティーを有し、その一方、モールドの外側は、本明細書に開示される成形アセンブリーの容易な組立て及び分解に適する一般的な形状である。1つの特定の態様においては、インナーモールドはモノリシックなモールドである。
【0149】
通常、モールドから製造される成形体(たとえば、セラミックコア)の内部構造は、モールドの特徴要素によって形成される。1つの特定の態様においては、モールドは複数壁のセラミックモールドである。
【0150】
1つの態様においては、モールドは、該モールドから間接的に、即ち、中間成形体(たとえば、セラミックコア)を経由して、製造される最終成形体(たとえば、タービンブレード)における空洞、複合内部特徴要素、フローチャンネル、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、若しくは他の構造、又はこれらの組み合わせを形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、相互貫入ネットワーク又は半相互貫入ネットワークから選ばれる構造ネットワークを含むモールドである。
【0151】
これらの特徴要素の各々の数は、これらから間接的に製造される最終成形体の内部構造の具体的な形状に依存する。1つの特定の態様においては、モールドは、2つ若しくはそれより多い、3つ若しくはそれより多い、4つ若しくはそれより多い、5つ若しくはそれより多い、又は6つ若しくはそれより多い、特徴要素を含む。1つの態様においては、モールドは複数の特徴要素を含み、内部特徴要素は互いに分離されている。ある態様においては、該1つ又は2つ以上の特徴要素は、モールドと一体化している。
【0152】
1つの態様においては、モールドは、中間成形体(たとえば、セラミックコア)の1つ又は2つ以上の特徴要素を製造するのに好適であって、該1つ又は2つ以上の特徴要素のサイズが約1nmから約10m、より具体的には約500nmから約1m、より具体的には約1ミクロンから約1cm、より具体的には約5ミクロンから約500ミクロン、より具体的には約10ミクロンから約400ミクロン、又はこれらの具体的な寸法の任意の組み合わせである。
【0153】
1つの特定の態様においては、モールドは、中間成形体(たとえば、セラミックコア)の、スロット、孔、ピンフィン又はこれらの組み合わせから選ばれる1つ又は2つ以上の特徴要素を形成するのに適しており、該1つ又は2つ以上の特徴要素は約150ミクロンから約2000ミクロンまでのオーダーにある。具体的には、モールドは、セラミックコアの特徴要素(コア特徴要素)であって、オーダーが約150ミクロン若しくはそれより大、約200ミクロン若しくはそれより大、約250ミクロン若しくはそれより大、約350ミクロン若しくはそれより大、約400ミクロン若しくはそれより大、約450ミクロン若しくはそれより大、又は約500ミクロン若しくはそれより大であるものを形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む。
【0154】
1つの特定の態様においては、モールドは、1つ又は2つ以上の可溶性又は溶融性のインサート又はパターンを含む。1つの態様においては、これらの可溶性又は溶融性のインサート又はパターンは、射出の前にインナーモールドに挿入される。
【0155】
1つの態様においては、可溶性又は溶融性のインサート又はパターンは、デジタルライトプロセッシング、ステレオリソグラフィー技術、インクジェット印刷、又は熱溶解積層法の直接描画を用いて付加的に製造される。別の1つの態様においては、これらのインサート又はパターンは、従来の製造技術(その非限定的な例として、射出成形が挙げられる)を用いて製造される。1つの特定の態様においては、インサート又はパターンは、混合された技術によって製造される。
【0156】
1つの態様においては、可溶性のモールドは、1つ又は2つ以上のロッド(たとえば、セラミックロッド、溶融石英ロッド)を該可溶性のモールドに挿入して中間成形体(セラミックコア)と一体化することを可能にする1つ又は2つ以上の孔を有する。該1つ又は2つ以上の孔の形状は多様であってよく、たとえば、孔の断面は、円形、管状、卵形(ovular)、正方形、長方形、三角形、台形、又は多角形であってよい。ある態様においては、孔の断面の幅及び長さの最小値・最大値は、約100nmと1mとの間、500nmと100cmとの間、1ミクロンと1cmとの間、200ミクロンと10mmとの間、又はこれらの任意の組み合わせの範囲にある。
【0157】
1つの特定の態様においては、モールドは、内部キャビティーと連結した外側キャビティーとを有するコア/シェル モールドである。ある態様においては、コア/シェル モールドは、最終成形体(エアフォイル外側)にプラットフォーム部、エンジェルウィング部、ダブテール部、シャンク(shank)部、及びファーツリー(fir tree)部から選ばれる特徴要素を形成するのに適する。
【0158】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、2つ又はそれより多くのセラミックコアを同時に製造することを可能にする。別の1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、3つ若しくはそれより多くの、4つ若しくはそれより多くの、又は5つ若しくはそれより多くのセラミックコアを同時に製造することを可能にする。
【0159】
1つの特定の態様においては、モールドは、消失性(sacrificial)の又は除去可能なモールドである。1つの態様においては、モールドは、可溶性のモールド、即ち、液体又は溶媒に溶解することによって溶解されることができるモールドである。溶解液は、たとえば、水性溶液、有機溶媒若しくは水、又は酸性若しくは塩基性の溶液であってよい。1つの特定の態様においては、モールドは、溶解液(たとえば、環境)に溶解する少なくとも1つのポリマー又はコポリマーを含む溶解モールドである。
【0160】
1つの態様においては、モールドは、水性環境において、約72時間以内若しくはそれよい短い時間以内、より具体的には、約24時間以内、約20時間以内、約18時間以内、約16時間以内、約14時間若しくはそれよい短い時間以内、より具体的には、約12時間以内、約8時間以内、約6時間以内、約4時間以内、約2時間、約1時間若しくはそれよい短い時間以内、に溶解する。
【0161】
1つの態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、水によって溶解することができる。1つの特定の態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、水によって、約1時間〜約72時間、より具体的には、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、又は約24時間、約1時間〜約72時間、より具体的には、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、又は約24時間という時間範囲で溶解することができる。
【0162】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、溶解液又は溶媒による溶解又は分解の後に極小の膨張挙動を示すことによって特徴づけられる可溶性のポリマーモールドである。1つの態様においては、該極小の膨張挙動は、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満の量のポリマー体積の増加により特徴付けられる。ある態様においては、可溶性のモールドは、モノリシックで可溶性のモールド、より具体的には、付加的に製造されたモノリシックで可溶性のモールドである。
【0163】
1つの特定の態様においては、モールドは、溶解性のポリマー コア/シェル モールドである。
【0164】
ある態様においては、溶解するポリマー コア/シェル モールドの外側キャビティーは、特徴要素を有し、また、1ミクロン〜10mm、より好ましくは25ミクロン〜2.5mm、より好ましくは100ミクロン〜2mm、より好ましくは300ミクロン〜1.75mm、より好ましくは400ミクロン〜1.5mmの範囲の壁の厚さを示す。特徴要素は、プラットフォーム部、エンジェルウィング部、ダブテール部、シャンク部、ファーツリー部、又はタービンエアフォイルの他の特徴要素であってよい。
【0165】
1つの特定の態様においては、可溶性のインナーモールドを、金属、エンジニアリングポリマー、複合材料又は織布を含む外側のシート状又はリボン状のアセンブリーを張力下で用いて工具に固定し、それにより可溶性のインナーモールドに圧縮を加え、該シート状又はリボン状のアセンブリーが可溶性のインナーモールドの表面と契合して、可溶性のインナーモールドの表面の一部又は全部を覆うようにする。任意により、エラストマー材料、粘弾性材料又は剛性材料を含む中間層を可溶性のインナーモールドと外側のシート状のアセンブリーとの間に置き、荷重を均一に又は所望の態様で可溶性のインナーモールドに分配してよい。
【0166】
1つの特定の態様においては、モールドは、可溶性のダイである。
【0167】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、モールドを射出成形に用いるのに適するようにする物理的・熱力学的性質(機械的強度、強靭性、モジュラス、熱安定性など)を示す。
【0168】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、製造過程において約0℃から約300℃までの範囲、より具体的には約15℃から約200℃までの範囲、より具体的には約120℃から約160℃まで又は約40℃から約140℃までの範囲の温度、且つ、約1ccm/sと約30ccm/sとの間、より具体的には約3ccm/s〜約20ccm/sの射出速度という条件に耐える。
【0169】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約1Paから約10GPaまでの範囲の圧力、より具体的には約1Paから約1GPaまでの範囲の圧力、より具体的には約0.1MPaから約1000MPaまでの範囲の圧力、より具体的には約1MPaから約50MPaまでの範囲の圧力に耐える。
【0170】
更に別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約1cP若しくはそれより大、約20cP若しくはそれより大、約200cP若しくはそれより大、約1000cP若しくはそれより大、約10,000cP若しくはそれより大、又は約30,000cP若しくはそれより大、の射出粘度に耐える。
【0171】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、流動性のセラミック(たとえば、シリカやアルミナを主体とするセラミック組成物)の射出温度、圧力及び粘度において使用することに適する。
【0172】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、高い強靭性を示す。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、0.05MJ/m
3超、0.25MJ/m
3超、2.5MJ/m
3超、又は12.5MJ/m
3超の強靭度を示す。
【0173】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、高い引張強度を示す。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、5.0MPa超、好ましくは10.0MPa超、15.0MPa、又は20.0MPa超の引張強度を示す。
【0174】
更なる1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、一定の組成物に対して高い耐溶媒性又は耐薬品性を示す。たとえば、有機溶媒中又は腐食性環境下において、24時間超、又は1週間超、又は2週間超の耐性を示す。
【0175】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、溶媒(その非限定的な例として、水及び有機溶媒が挙げられる)に溶解又は分解したときに小さい膨張挙動を示す。
【0176】
1つの態様においては、該小さい膨張挙動は、溶解又は分解の間のモールドの体積の約200体積%未満、好ましくは約50体積%未満、更に好ましくは約10体積%未満の増加によって特徴付けられる。
【0177】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約−50℃と約400℃との間、更に好ましくは約20℃と約200℃との間、更に好ましくは約45℃と約150℃との間、更に好ましくは約80℃と約130℃との間のガラス転移温度を示す。
【0178】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、たとえば約−80℃と約400℃との間、好ましくは約20℃と約200℃との間、更に好ましくは約45℃と約150℃との間、更に好ましくは約80℃と約130℃との間の調整可能な結晶溶融温度を示す。
【0179】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、光学的透明性によって特徴付けられる。
【0180】
1つの特定の態様においては、インナーモールドは、弾性ポリマー層(中間層)を備えた圧縮シェル(compression shell)(アウターシェル)の一半分(half)の中に置かれる。付加的に製造されたモノリシックモールド(インナーモールド)は、圧縮シェル(アウターシェル)の内側を覆う弾性ポリマー層(中間層)の表面に置かれ、射出中にモールドの外側にかかる圧力を均等な又はより均等な態様で分配することに寄与する。圧縮シェルは、組み立てられて射出成形過程において最終成形体を製造するために用いられる。一旦モノリシックモールドに首尾よく射出が行なわれると、モノリシックモールドは、圧縮シェルから取り出され、溶解液に入れられる。すると、溶解液は、付加的に製造されたモノリシックモールドを射出成形された材料から除去する。
【0181】
ある態様においては、本明細書に開示される射出成形アセンブリーは、射出成形の工程を減らすこと及びユニークな分解能力(たとえば、射出成形アセンブリーのための抗癒着性の向上)を可能にする。
【0182】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーは、1つ又は2つ以上の付加的構成要素を更に含む。その非限定的な例として、射出ユニット又は可塑化装置が挙げられる。これは、溶融した材料(ポリマー)を製造してそれをモールドに移すものであり、溶融した材料はその後固化する。
【0183】
任意により、射出成形アセンブリーは、射出成形システムの一部である。ある態様においては、射出成形システムは、ソフトウェア構成要素を更に含む。
【0184】
射出成形システムのエラストマー成分は、様々な組成であってよい。1つの態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分は、白金触媒下で得た又は湿気で硬化したシリコーンゴム、ポリウレタン半結晶エラストマー、ポリオレフィンゴム、アクリルエラストマー、又はチオール−エン エラストマーを含む。
【0185】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの粘弾性成分は、半結晶直鎖状ポリマー、チオール−エン ポリマー、アクリルネットワークポリマー、直鎖状アクリルポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、チオール−エン ポリマー、芳香族シリコーン、エポキシ/アミン熱硬化性ポリマー、エポキシ/アルコール熱硬化性ポリマー、又はエポキシ/チオール熱硬化性ポリマーを含む。
【0186】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの剛性成分は、半結晶直鎖状ポリマー、チオール−エン ポリマー、アクリルネットワークポリマー、直鎖状アクリルポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(ビスフェノールA)カーボネート、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、チオール−エン ポリマー、芳香族シリコーン、エポキシ/アミン熱硬化性ポリマー、エポキシ/アルコール熱硬化性ポリマー、又はエポキシ/チオール熱硬化性ポリマー、イオン性塩を含む熱硬化性ポリマー、それらの相互貫入ネットワークを含む。
【0187】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分、粘弾性成分又は剛性成分は、任意により、無機粒子又はセラミック粒子を充填して、調整可能なモジュラス、強度及び/又は誘電率を有する複合材料となるようにしてもよい。無機充填剤やセラミック充填剤の例として、ヒュームドシリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭化ホウ素、チタン化ストロンチウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、二硫化モリブデン、又はカルシウムカーボネートが挙げられる。
【0188】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の量は、約0.1体積%から約40体積%まで、より具体的には約1体積%から約20体積%まで、より具体的には約1体積%から約10体積%まで、より具体的には約1体積%から約7体積%までの範囲である。
【0189】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の粒径は、約0.1nmから約10mmまでの範囲である。1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の粒径は、0.1nmから10mmまで、より具体的には1nmから5mmまで、より具体的には50nmから2mmまで、より具体的には100nmから1000ミクロンまでの範囲である。
【0190】
射出成形アセンブリーの成分の物理特性は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約100kPaから約80MPaまで、より具体的には約1MPaから約50MPaまで、より具体的には約3MPaから約30MPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。
【0191】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの粘弾性成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約10MPaから約1000MPaまで、より具体的には約50MPaから約900MPaまで、より具体的には約100MPaから約800MPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。[000186
【0192】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの剛性成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約50MPaから約500GPaまで、より具体的には約100MPaから約250GPaまで、より具体的には約500MPaから約240GPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。
【0193】
可溶性のインナーモールドの組成は、多様であってよく、任意の好適な可溶性の組成、たとえば可溶性のポリマー組成であってよい。
【0194】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含む:(i)1つ又は2つ以上の電子不足モノマー;(ii)任意により、1つ又は2つ以上の電子豊富モノマー;(iii)1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤;及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤。
【0195】
1つの態様においては、電子不足モノマーは、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ブタン酸マレイミド、他のマレイミド、マレイン酸無水物、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、1,2−ジシアノエチレン、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0196】
1つの態様においては、電子豊富モノマーは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルイミダゾール、ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ビニルエーテル、ビニルアセテート、ベンゾフラン、インドール、1−メチルインドール、スチレン、スチレン誘導体、4−ヒドロキシスチレン、スチルベン、スチルベン誘導体、水酸化スチルベン化合物、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、1−ピロリジノ−1−シクロペンテン、1−(トリメチルシリルオキシ)シクロペンタン、炭酸ビニレン、1−モルホリノシクロヘキセン、1−モルホリノシクロペンテン、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、フェニルビニルスルフィド、9−ビニルカルバゾール、トリメチル(ビニルオキシ)シラン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0197】
別の1つの特定の態様においては、インナーモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含むモールドである:(i)1つ又は2つ以上のイオン/塩含有モノマー;(ii)溶媒に溶解可能又は分解可能なポリマーを形成することができる1つ又は2つ以上のモノマー;(iii)任意により、1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤;及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤。
【0198】
1つの態様においては、1つ又は2つ以上のイオン/塩含有モノマーは、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、及びその半水和物、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸カルシウム、及びその半水和物、メタクリル酸銀(I)、アクリル酸リチウム、メタクリル酸リチウム、3−スルホプロピルアクリレート カリウム塩、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸ニッケル(II)、アクリル酸ハフニウム(IV)、アクリル酸亜鉛(II)、カルボキシエチルアクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸ジルコニウム(IV)、メタクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸銅(II)、バリウム(II)からなる群より選ばれる。
【0199】
1つの態様においては、溶媒に溶解可能又は分解可能なポリマーを形成することができる1つ又は2つ以上のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、N−(3−エトキシプロピル)アクリルアミド、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エチレングリコール フェニルエーテル アクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテル アクリレート、ジ(エチレングリコール)−2−エチルヘキシルエーテル アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチル アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル アクリレート、ドデシルアクリレート、2−カルボキシエチル アクリレート オリゴマー、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシル アクリレート、イソボミルアクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、4−ビニルピリジン、4−アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルイミダゾール、3−スルホプロピルアクリレート カリウム塩、メトキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、エトキシプロピルアクリルアミド、プロポキシメチルアクリルアミド、プロポキシエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アルキルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル メタクリレート、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ウレイドメタクリレート、N−スクシンイミジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、エチレングリコール メチルエーテル メタクリレート、トリエチレングリコール メチルエーテル メタクリレート、水酸化されたアクリレート又はメタクリレートと有機無水物との反応に由来するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0200】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含む:(i)1つ又は2つ以上のアルケンモノマー;(ii)1つ又は2つ以上のポリチオールモノマー;及び(iii)1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤、ただし、該1つ又は2つ以上のアルケンモノマー、該1つ又は2つ以上のポリチオールモノマー、又はこれらの両方は、溶媒に溶解可能又は分解可能な無水物結合を有する。1つの態様においては、1つ又は2つ以上のアルケンモノマーは、クロトン酸無水物、メタクリル酸無水物及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。別の1つの態様においては、1つ又は2つ以上のポリチオールモノマーは、リナロール ジメルカプタン、テルピノレン ジメルカプタン、テルピネン ジメルカプタン、ゲラニオール ジメルカプタン、シトラール ジメルカプタン、ジシクロペンタジエン ジメルカプタン、ノルボマジエン ジメルカプタン、レチノール ジメルカプタン、レチノール トリメルカプタン、レチノール テトラメルカプタン、ベータ−カロテン ポリメルカプタン、メルカプタン含有環状アルケン、3級メルカプタン、脂環式メルカプタン、多官能性3級メルカプタン、2級メルカプタンと3級メルカプタンとの混合物、メルカプタン含有2級脂環式アルケン、メルカプタン含有多環式アルケン、トリビニルシクロヘキセン ジメルカプタン、トリビニルシクロヘキセン トリメルカプタン、ポリメルカプタン、脂環式メルカプタン、及びビニルシクロヘキセンからなる群より選ばれる。
【0201】
上記の諸態様における1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、1つ又は2つ以上の触媒は、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、アンモニウム コバルト サルフェート ヘキサハイドレート、ビス(アセチルアセトネート)ジオキソモリブデン、カドミウムアセチルアセトネート、コバルト(II)アセテートテトラハイドレート、コバルト(III)アセチルアセトネート、銅(II)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、マンガン(III)アセチルアセトネート、テトラブチルオルトチタネート、テトラエチルアンモニウム テトラクロロコバルテート、テトラブチルアンモニウム ジクロメート、マグネシウム アセチルアセトネート ジハイドレート、亜鉛アセチルアセトネート ハイドレート、ガリウム アセチルアセトネート、チタン ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトネート)、チタン(IV)イソプロポキシド、トリブチルボレート、トリエチルボレート、トリエチルホスファイト、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニウム−1−プロパンスルホネート、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、3−ピリジニオ−1−プロパンスルホネート、クエン酸、トリエチレンジアミン、ピペラジン、テトラブチルアンモニウム 水素サルフェート、テトラエチルアンモニウム トルエンスルホネート、テトラブチルアンモニウム ブロマイド、テトラエチルアンモニウム ブロマイド、リチウム アセチルアセトネート、リチウムイオジド、リチウム パークロレート、リチウム テトラフェニル ボレート、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0202】
上記の諸態様における1つ又は2つ以上のキャッピング剤又は連鎖移動剤は、ドデシル−3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラエチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,10−デカンジチオール、エチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2−メルカプトエタノール、単官能性脂肪族直鎖状チオール、単官能性脂肪族分岐チオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、3級ドデシルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ジペンテンジメルカプタン、メチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、sec−ブチルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、3級メルカプタン混合物、tert−ブチルメルカプタン、グレープフルーツメルカプタン、チオグリコール酸、チオ乳酸、3−メルカプトプロピオン酸、アンモニウム チオグリコレート、モノエタノールアミン チオグリコレート、ナトリウム チオグリコレート、カリウム チオグリコレート、2−エチルヘキシル チオグリコレート、イソオクチル チオグリコレート、イソトリデシル チオグリコレート、グリセリル チオグリコレート、グリセリル ジメルカプトアセテート、ペンタエリスリトール テトラメルカプトアセテート、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、イソ−トリデシル−3−メルカプトプロピオネート、オクタデシル−3−メルカプトプロピオネート、エトキシル化トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、モノエタノールアミン チオラクテート、チオジグリコール酸、ジアンモニウム ジチオグリコレート、ジ(2−エチルヘキシル)チオジグリコレート、メチレン ビス(ブチルチオグリコレート)、チオジプロピオン酸、ジチオビス(ステアリルプロピオネート)、チオグリセロール、ジチオグリセロール、トリフェニルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリオクチルシラン、tert−ブチルジメチルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリオクチルシラン、及びtert−ブチルジメチルシランからなる群より選ばれる。
【0203】
本明細書に開示される射出成形アセンブリーは、任意により、中間層を含む。中間層は、射出中、インナーモールド層、中間モールド層及びアウターモールド層の全体に圧力を分配し、射出又は他の力(内部の力でも外部の力でもよい)を層の間で移動することなどの機能を発揮することに適している。ある態様においては、中間層は付加的に製造される。任意により、中間層は可溶性である。
【0204】
1つの特定の態様においては、中間層、及び、任意により、剛性のアウターシェルは、射出中、可溶性のモールドのセラミックロッド又は溶融石英ロッドを支えるための、又は、射出中、可溶性のモールドのセラミックロッド又は溶融石英ロッドの適正な位置を確保するための、1つ又は2つ以上の窪み又は孔を有する。
【0205】
中間層のデザインは、多様であってよい。1つの態様においては、中間層は、2つ又は3つ以上の構成要素を含む。別の1つの特定の態様においては、中間層は、3つ又は4つの構成成分を含む。
【0206】
1つの特定の態様においては、中間層は、約1nmから約1mまで、より具体的には約1nmから約10mmまで、より具体的には約100nmから約5mmまで、より具体的には約1ミクロンから約1000ミクロンまでの範囲の厚さ(幅)を有する。
【0207】
1つの好ましい態様においては、中間層は、約1nmから約5cmまで、より具体的には約1ミクロンから約1mmまで、より具体的には約5ミクロンから約500ミクロンまで、より具体的には約10ミクロンから約75ミクロンまでの範囲のギャップを介して、アウターシェルと契合する。
【0208】
中間層の組成は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、有機、無機、セラミック、金属、複合材料、熱可塑性ポリマー又は他の種類の粒子を含む中間層を含み、該粒子の粒径は、約0.1nmから約10mmまで、より具体的には約1nmから約5mmまで、より具体的には約50nmから約2mmまで、より具体的には約100nmから約1000ミクロンまでの範囲である。
【0209】
1つの特定の態様においては、中間層は、熱硬化性エラストマー的ポリマーを含む。1つの態様においては、熱硬化性エラストマーは、白金触媒下で得たシロキサン樹脂又は湿気硬化したシリコーンである。
【0210】
別の1つの態様においては、中間層は、周囲温度においてエラストマー的、粘弾性的、又はガラス状である熱硬化性ポリウレタンを含む。
【0211】
別の1つの態様においては、中間層は、周囲温度においてエラストマー的、粘弾性的、又はガラス状である熱硬化性エポキシ樹脂を含む。
【0212】
1つの態様においては、中間層は、フッ素ポリマー、ケイ素若しくはシリコーン含有ポリマーエラストマー、C
6−C
110+炭化水素鎖、又は親水性の層若しくはコーティングを含む。これらの例として、多糖類、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の水酸基を含む化合物などの、水性・極性の有機分子又は巨大分子が挙げられる。
【0213】
1つの態様においては、中間層は粉末層である。
【0214】
1つの特定の態様においては、中間層は、有機、無機、セラミック、金属、複合材料、及び熱可塑性ポリマーの成分を含む粉末を含む。中間粉末層は、粉末圧縮技術を用いて押し固めてよい。任意により、液体を粉末に添加してボイド部分を無くしてよい。1つの態様においては、液体は、有機油、イオン性液体、水又は有機溶媒である。
【0215】
中間粉末層は、冷却粉末圧縮技術を用いて押し固めて、約10%〜約99%、より具体的には約30%〜約95%、より具体的には約55%〜約90%のタップ密度となるようにしてよい。中間粉末層は、約1kPaから約100GPaまで、より具体的には約10kPaから約10GPaまで、より具体的には約100kPaから約1GPaまで、より具体的には約1MPaから約100MPaまでの範囲の圧力で、粉末圧縮技術を用いて押し固めてよい。
【0216】
中間粉末層は、砂、シリカ、ポリマー(たとえば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン粉末及び/又は炭水化物(たとえば、セルロース及び他のポリエーテルポリマー種)を主体とする粉末))を含んでいてよい。中間粉末層は、押し固めの後において、0.1%と40%との間、より具体的には1%と30%との間、より具体的には2%と27%との間、より具体的には3%と20%との間のボイド分率を有してよい。任意により、液体を粉末に添加してボイド部分を無くしてよい。
【0217】
1つの特定の態様においては、中間層は流体を含む。1つの態様においては、流体は、有機油、イオン性液体、水又は有機溶媒から選ばれる。
【0218】
1つの特定の態様においては、中間層は流体を含む。
【0219】
1つの特定の態様においては、中間層は、圧縮不可能の流体(たとえば、油、水)、加圧された圧縮可能の流体(たとえば、圧縮された空気、窒素又は二酸化炭素)、又は、凝縮物、圧縮可能の流体及び圧縮不可能の流体の混合物を含む。この態様における使用に適する圧縮不可能の流体の例として、シリコーン油、炭化水素油、有機溶媒、溶融した炭化水素ワックス、水、及び溶融したイオン性液体が挙げられる。この態様においては、可溶性であるインナーモールドの外表面とアウターシェルの内表面との間のボイド部分を圧縮不可能の流体で満たすことで、アセンブリーの中間層におけるボイド部分を最小にしたり無くしたりする。圧縮不可能の流体がアウターシェルと可溶性であるインナーモールドとの間に完全に閉じ込められるように、アウターシェルは密封される。
【0220】
または、アウターシェルと可溶性のインナーモールドとの間のキャビティーは、圧縮可能な流体で圧力を加え、流動性の材料(たとえば、セラミックスラリー)をアセンブリーに射出するために用いられる射出圧力より低い、又はこれと同じ、又はこれより高い圧力レベルにする。この態様における使用に適する圧縮可能の流体の例として、空気、窒素及び二酸化炭素が挙げられる。この態様においては、射出力は、可溶性である挿入壁を介して、更に圧縮不可能又は圧縮可能の流体である中間層を介して、アウターシェルに伝達される。この、流体を主体とする中間層は、可溶性のモールドのキャビティーの圧力がアウターシェルに閉じ込められた圧縮不可能又は圧縮可能の流体の圧力によって打ち消され又は相殺されることで、可溶性のモールドに働く有効な力を減ずる。
【0221】
1つの態様においては、射出力は、可溶性の挿入壁を介して、更に圧縮不可能又は圧縮可能の流体である中間層を介して、アウターシェルに伝達される。この、流体を主体とする中間層は、可溶性のモールドの内部キャビティーの圧力がアウターシェルに閉じ込められた圧縮不可能又は圧縮可能の流体の圧力によって打ち消され又は相殺されることで、可溶性のモールドに働く有効な力を減ずる。この態様においては、圧縮可能又は圧縮不可能である中間層は、可溶性のモールド又はその表面の変位を減じ、可溶性のモールドに働く有効な応力を減ずるように、機能する。
【0222】
この態様においては、圧縮可能又は圧縮不可能である中間層は、可溶性のモールド又はその表面の変位を減じ、可溶性のモールドに働く有効な応力を減ずるように、機能する。中間層に使用するのに適する圧縮不可能の流体の粘度は、約1cPから約1000cPまで、より具体的には約1cPから約400cPまで、より具体的には約1cPから約100cPまで、より具体的には約11cPから約60cPまでの範囲である。この態様の中間層に使用するのに適する圧縮可能の流体の圧力は、約1Paから約1GPaまでの範囲、より具体的には約0.1MPaから約1000MPaまでの範囲、より具体的には約0.1MPaから約50MPaまでの範囲である。この態様の中間層に使用するのに適する圧縮可能又は圧縮不可能の流体の温度は、約0℃から約300℃までの範囲、より具体的には約15℃から約200℃までの範囲、より具体的には約15℃から約140℃までの範囲である。
【0223】
本明細書に記載される射出成形アセンブリーは、任意により、アウターシェルを含む。アウターシェルのデザインは、多様であってよい。1つの態様においては、アウターシェルは、2つ又は3つ以上の構成成分を含む。別の1つの態様においては、アウターシェルケーシングは、3つ又は4つ以上の構成成分を含む。
【0224】
アウターシェルの組成は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、アウターシェルは、金属、セラミック、熱硬化性ポリマー、エンジニアリング熱可塑性プラスチック、及び他の材料からなる群より選ばれる材料を含む。1つの特定の態様においては、アウターシェルは、アルミニウム及び鋼からなる群より選ばれる金属材料を含む。1つの特定の態様においては、セラミックは、エンジニアリングセラミックであり、より具体的には、金属酸化物、金属炭化物及び金属窒化物からなる群より選ばれるエンジニアリングセラミックである。1つの態様においては、セラミックは、複合セラミックである。別の1つの特定の態様においては、熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、耐衝撃性ポリスチレン、及びポリプロピレンからなる群より選ばれる。更なる1つの特定の態様においては、熱硬化性ポリマーは、エポキシ、フェノール類、シリコーン及びポリエステルからなる群より選ばれる。これらの材料は、得られるアウターシェルの全体的な性能及び/又は外観を向上させるための1つ又は2つ以上の添加剤を含んでいてよい。
【0225】
1つの特定の態様においては、アウターシェルは剛性であり、1Hz、約20℃における動的機械分析において、50MPaから500GPaまで、より具体的には100MPaから250GPaまで、より具体的には500MPaから240GPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを有する。
【0226】
ある態様においては、アウターシェルは付加的に製造される。
【0227】
他の態様においては、アウターシェルは、たとえば、水性環境、有機溶媒、超臨界流体、イオン性流体、溶融した分子性の種、及び他の溶媒に可溶である。
【0228】
1つの特定の態様においては、アセンブリー(アセンブリー全体でもよいし、アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素でもよい)は、付加的に製造されたものである。本明細書に開示されるアセンブリーの構成要素を形成するのに適する付加的製造技術の例として、ステレオリソグラフィー法(SLA)、デジタルライトプロセッシング法(DLP)、インクジェット印刷、直接描画、及び他の付加的製造方法が挙げられる。他の付加的製造方法の例として、光重合を選択的に行って所望の構造パターンを有する成形体を形成する交互吸着法(layer by layer process)を用いて紫外線又は可視光線を照射し、照射によって各層が形成された後、高硬度化された各層を、その層が制御された又は所望の方式で高硬度化された位置から動かし、更なる層を光に曝した後に高硬度化し、高硬度化されたその層が既に形成された層に適切な方式で接着することができるようにする、付加的製造方法を挙げることができる。これらの付加的製造方法は、材料/ハードウェア/ソフトウェアのための工学的システム統合パラメーター(engineered systems integration parameters)によって制御してよい。
【0229】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素(たとえば、インナーモールド)は、光ポリマー射出法、即ち、インクジェット印刷で用いられる技術とステレオリソグラフィー法で用いられる技術とを組み合わせた付加的製造方法によって製造される。インクジェットプリントヘッドの配列は、造形材料及び支持材料の小滴を堆積し、これによりインクジェット印刷におけるように構成要素である各層を形成する。造形材料は、ステレオリソグラフィー法におけるように、各層が堆積した後に紫外ランプによって硬化される液体光ポリマーである。
【0230】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素(たとえば、インナーモールド)は、デジタルライトプロセッシング法(DLP)、即ち、光学的に透明な窓を介して光硬化性ポリマー樹脂を入れた容器(vat)に一時に1つの層を投射することによって3次元物体を形成し、その結果、樹脂は高硬度化して投射された光の形状となる、交互吸着光造形法(layer by layer stereolithographic process)によって製造される。DLP印刷の当初の層は樹脂となって、高硬度化した当初の層は、造形ヘッド又はそれに連結した支持体に接着する。その後、高硬度化した各層は、その層より前に高硬度化した層に接着する。DLP印刷の造形ヘッドは、ソフトウェア/ハードウェアを用いて機械的に制御されて正又は負の垂直方向に動く。
【0231】
1つの特定の態様においては、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部、中間、外側構成要素を、傾斜機能材料となるように付加的製造方法を用いて形成してよい。この傾斜機能材料は、ポリマー、セラミック、複合材料又は金属の成分を選択的な混合量比で含み、それにより、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部、中間、外側構成要素の物理的、熱力学的及び構造的性質を適切に変更することができる。傾斜機能材料成分のモジュラスは、約0.1MPa/ミクロンから約100GPa/ミクロンまで、より具体的には約0.1MPa/ミクロンから約11GPa/ミクロンまで、より具体的には約0.5MPa/ミクロンから約500MPa/ミクロンまで、より具体的には約1MPa/ミクロンから約100MPa/ミクロンまでの範囲であってよい。
【0232】
図1は、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの1つの態様を示すものであって、該射出成形アセンブリーは、付加的に製造されたインナーモールドと、物体のほぼ中央(107、108)において2等分されたアウターシェル(101、102)とを有している。
図1に表されたアセンブリーは、2つの部分(103、104)の形にアウターシェルを付加的に製造することを含む製造方法を用いて形成してよい。これら2つのアウターシェル部分が組み合わされると、2つのアウターシェル部分は、射出成形(106)を含む過程において流動性の材料(たとえば、セラミックスラリー)を射出して入れるのに適する開かれた内部ネガティブキャビティーを有する構造を形成する。アウターシェルの材料は、金属(たとえば、アルミニウム、鋼)、セラミック、熱硬化性ポリマー、エンジニアリング熱可塑性プラスチック、又は他の材料から機械加工で製造してもよし、金属、プラスチック、セラミック、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーから付加的に製造してもよい。
【0233】
モールドと圧縮シェルとを製造した後、熱硬化性のポリマー又は熱硬化性の複合材料ブレンド(105)を圧縮シェルの各半分の内側のキャビティーに射出して、硬化するための時間を与えてもよい。硬化性で射出され得るポリマーは、A+Bシリコーン前駆体(たとえば、白金触媒下で得たシロキサン樹脂、湿気で硬化したシリコーン)、熱硬化性ウレタン又は熱硬化性エポキシを含んでいてよく、硬化後には、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとの間の支持層として機能するのに適する。この中間の支持層は、モールドの外側と圧縮シェルの内側とは完全に契合しなければならないという要求を減ずるのに適し、また、本明細書に開示される射出成形のためのアセンブリーにおいて実現される内側層、中間層及び外側層の契合界面を提供するのに適する。インナーモールドの外側とアウターシェルの内側とが契合できる形状でない場合に、該中間層は、このような構造的特徴を有する内側層と外側層との間で等しく荷重を伝達するなどの機能をするのに適する。
【0234】
射出のための圧縮シェルとモールドとを組み立てるために、付加的に製造されたモールドの一半分(half)(104)は、圧縮シェルの一半分(half)(101)の中に置いてもよい。この過程は、圧縮シェルの一半分(103)とモールドの一半分(102)とに関しても繰り返される。シェルとモールドとを含む完成されたアセンブリーは、一半分(101)、一半分(104)、ネガティブキャビティー(106)、一半分(103)、及び一半分(102)を特徴とする。完成されたアセンブリーは、射出成形機に適切に装着することができ、射出成形材料を射出して入れることができる。一旦材料をモールドに首尾よく射出すれば、これを、アセンブリーの半分を除去することによって回収することができる。この時点において、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとを再び使用してよいし、また、付加的に製造された圧縮シェルを捨てて、新たにデザインし直してもよい。新たなモールドを選定するときは、付加的に製造される該モールドは、圧縮シェルの内側とおおよそ契合する外側を有するが、モールドの内側は大幅に多様であってよい。
【0235】
図2は、2つの部分を有する圧縮シェルを、付加的に製造されたモノリシックモールドを支持するために用いることが可能で、付加的に製造されたモノリシックモールドは射出成形過程の後に溶解により除去される、という態様を示す。溶解により除去され得るモノリシックモールドを創出する能力は、標準的な射出成形に内在する根本的なデザインの問題を解決する。
図2は、2つの部分を有する圧縮シェルの内部に置かれたモノリシックモールドを示す。デザイン特徴要素(113)は、完全にモールドの上半分に置かれる。もしこのデザイン特徴要素が標準的な射出成形方法を用いて製造されるならば、デザイン特徴要素(113)は、金属モールドの2つの半分が分離されたときに砕け散ってしまうであろう。この例は、従来の射出成形法に内在するデザインの限界を明らかにするものである。溶解法によって除去されるモノリシックモールド(109)を用いることによって、取り出されるときに砕けない複雑な構造特徴的形状を有する成形体を射出成形によって得ることが可能となる。
【0236】
本明細書においては、付加的に製造されたモノリシックモールド(109)が開示される。このモールドは、その外側が本明細書に開示されるモールドアセンブリーの容易な組立てや分解に適する一般的な形状を有しながら、製造される最終成形体のネガティブレプリカである内部キャビティー(110)を有する。付加的な製造とならんで、2つの一半分(115、116)からなり、射出成形用のモールドに一般的に用いられる正方形又は長方形の形状に合致する外形を有する圧縮シェルが、金属(たとえば、アルミニウム、鋼)から機械加工で製造され得る。各圧縮シェルの内側は、付加的に製造されたモノリシックモールドの一般的な外形に適合するように、機械加工される。
【0237】
モールドと圧縮シェルとを製造した後、ポリマー又はポリマー複合体である中間層(108)を、圧縮シェルの各一半分の内側又はモノリシックモールド(109)の外表面に入れ込み、乾燥、高硬度化又は硬化のための時間を与える。ポリマー又はポリマー複合体である中間層は、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとの間の支持層として機能する。中間層は、モールドの外側と圧縮シェルの内側とが完全に契合しなければならないという要求を減じ、また、互いに契合できる形状ではないモールドの外側と圧縮シェルの内側との間で等しく荷重を伝達するように機能する。中間層は、付加的に製造されたモールドへの十分な支持を提供するのに十分な厚さを有する一方、モールドが圧縮シェルによって与えられる増大した強度から利益を受けることを可能にするのに十分な薄さを有する。
【0238】
射出成形のための圧縮シェルとモールドとを組み立てるために、モールド(109)(インナーモールド)は圧縮シェル(アウターシェル)の一半分(116)の中に置かれる。シェルとモールドとを有する完成したアセンブリーは、一半分(116)、モールド(109)、キャビティー(110)及び一半分(115)を含むのを特徴とする。完成したアセンブリーは、射出成形機に適合することができ、与えられた材料(たとえば、プラスチック材料、セラミック材料)を射出して入れることができる。一旦モールドに首尾よく射出が行なわれると、圧縮シェルは取り外され、モノリシックモールド(109)は除去される。この段階で、モノリシックモールド(109)は射出材料で満たされている。
【0239】
付加的に製造されたモールドを最終的な射出成形体から除去するためには、付加的に製造されたモールドを溶解液の中に沈めることが必要である。この液体として、モールド材料を溶解、分散又は分解することができるが内部にある成形体を傷つけることができないようなものを注意して選択しなければならない。一旦付加的に製造されたモールドが除去されると、射出成形体は溶解液から取り出すことができる。この態様においては、付加的に製造されたモールドは過程中に消費されるので、新たなモノリシックモールドを作成することが必要で、新たに作成したモノリシックモールドを、それぞれのデザインのために既存の圧縮シェルとともに利用することになる。
【0240】
図6は、本明細書に開示される、付加的に製造されたコア/シェル モールドの1つの態様を示す。このコア/シェル モールドは、デジタルライトプロジェクション ステレオリソグラフィー法を用いた3D印刷を用いて形成されたものである。
【0241】
III. 射出成形アセンブリーとその構成要素の製造方法
本明細書において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーとその個々の構成要素の製造方法が開示される。他の1つの態様において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーのインナーモールド、中間層及びアウターシェルについての、製造、組立て及び/又は分解方法が開示される。
【0242】
1つの態様において、射出成形アセンブリーの製造方法が開示され、この製造方法は、(i)単数又は複数の好適な材料を提供し、そして(ii)単数又は複数の好適な技術を用いて該好適な材料からモールド、中間層、及び/又は外層を製造することを含む。
【0243】
1つの態様において、好適な技術は、付加的製造技術(additive manufacturing technique)、従来の製造技術、又はこれらの組み合わせ(すなわちハイブリッド型製造技術)である。
【0244】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法は付加的製造方法と射出成形とのプロセス統合を提供し、それにより、改善された形状解像度(geometric resolution)、及び、改善された形状特徴要素設計(geometric feature design)と、高い処理能力(throughout put capability)との組み合わせを可能とする。
【0245】
1つの具体的な態様において、インナーモールドは付加的製造方法で製造され、アウターシェルは従来の方法で製造される。
【0246】
1つの態様において、可溶性モールドの製造と使用の方法が開示され、可溶性モールドは任意により、周囲を覆う外層を用いる射出成形方法に好適な射出成形アセンブリーの構成要素であり、該射出成形アセンブリーにおいて外層の内側に位置する可溶性モールドは、射出成形方法で充填される内部キャビティーを有する。
【0247】
一定の態様において、可溶性モールドの製造方法が付加的製造方法であり、方法がサイズやスケールについて変更可能(scalable)である。1つの具体的な態様において、可溶性モールドは、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0248】
1つの態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が複数回反復されて、その際の収率が約80%より高く、より具体的には約85%又は約85%以上である。
【0249】
1つの具体的な態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が複数回反復されて、そのようなモールドが約15個から約20個提供される。
【0250】
1つの態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が寸法再現性を有する。
【0251】
1つの態様において、本明細書に開示される方法は、伝統的なインベストメント鋳造法の1つ又は2つ以上の工程(コア/ダイ アセンブリー、ワックス オーバー−モールディング、及びセラミック シェリングなどを含む)を省くことを可能にする。
【0252】
1つの具体的な態様において、モノリシックモールド(たとえばインナーモノリシックモールド)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)単数又は複数の好適な材料(たとえば溶解液中に任意により溶解するポリマー又はコポリマー材料)を提供し、そして(ii)単数又は複数の好適な技術を用いて該好適な材料からモノリシックモールドを製造することを含む。1つの具体的な態様において、好適な技術は、単数又は複数の付加的製造方法である。1つの具体的な態様において、付加的製造方法は感光性樹脂ジェッティング又はデジタルライトプロセッシングである。
【0253】
1つの具体的な態様において、中間層は、(i)好適な材料(たとえば熱硬化性エラストマー)を提供し、そして(ii)好適な技術を用いて該好適な材料から中間層を製造することを含む方法により製造され、該好適な技術は鋳造、スプレー、ペイント−オン(paint-on)、真空蒸着、注ぎ込み(pour-in)、射出成形、真空成形、2光子重合、デジタルライトプロジェクション及び生物学的培養法からなる群より選ばれる。この態様において、分子状、オリゴマー状、又は巨大分子状構成成分(たとえば親水性又は疎水性構成成分であるが、これらには限定されない)が、中間層からアセンブリー内層及び/又はアセンブリー外層へ拡散することが好適であり、好適な理由としては、該拡散により、アセンブリー内層及び/又はアセンブリー外層において高硬度化(hardening)、軟化、可塑化、硬化(curing)、部分的溶解、選択的沈殿、重合又は任意の相分離を生じさせ、それにより、粘着性、オムニフォビック(omniphobic)性、選択的可溶性、調節可能な機械的堅牢制、外力に応答する可撓性(responsively compliant)、粘弾性又はエラストマー性を示す挙動が得られる。
【0254】
1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーの内側的構成要素、中間的構成要素及び外側的構成要素(すなわちインナーモールド、中間層及びアウターシェル)が、スプレー法、浸漬被覆、射出成形、鋳造法、拡散ベース可塑化(diffusion-based plasticization)、生物学的培養法、デジタルライトプロジェクション及びステレオリソグラフィー、ブロー成形、発泡成形、除去的機械加工(substractive machining)、インベストメント鋳造法及び他の方法からなる群より選ばれる方法又は技術で形成される。
【0255】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを組み立てる方法が開示され、この方法では、(i)本明細書に開示されるインナーモノリシックモールドを本明細書に開示される中間層の表面にセットし、その際、インナーモノリシックモールドを中間層の上側に配置し、中間層がアウターシェルの内壁を覆い、射出成形中の圧力をモールドの外面に均等に又はより均等に分配するのを補助するのであり;(ii)したがって、中間層を用いる場合は、インナーモールドの周囲に中間層を形成及び/又は閉鎖し、その後にアウターシェルを閉鎖することにより圧縮シェルを組み立てて射出成形アセンブリーを提供し、これを射出成形に用いて射出成形体(たとえばセラミックコア)を製造する。インナーモノリシックモールドに射出成形した後、圧縮シェルから射出成形体を取り出して溶解液中に浸漬する。溶解液が射出成形体からインナーモノリシックモールドを除去する。
【0256】
IV. 中間成形体の製造方法
本明細書において、成形体の製造方法、より具体的には、鋳造による成形体の製造方法が開示される。一定の諸態様において、本願の製造方法により、中間成形体、すなわち、第2又は最終の成形体を製造するために用いられる成形体が得られる。1つの具体的な態様において、本願の製造方法により、のちに金属部品(たとえばタービンブレード)の鋳造に用いることができるセラミックコアが得られ、該鋳造金属部品は所望の形状を有する。一定の諸態様において、中間成形体は、第2又は最終の成形体を製造するために用いられる前に任意に一定期間貯蔵されてもよい。
【0257】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、セラミック、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、合金、熱硬化性エラストマー、熱硬化性生物学的材料、又は細胞培養物構成成分からなる成形体の製造への使用に好適である。
【0258】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法により、中間成形体(たとえばセラミックコア)を従来の方法よりも短時間で製造することができ、それにより、製造コスト及び新たな設計のリードタイム(lead time)を減少することができる。たとえば、本発明の方法を用いると、CADからコア製造までのリードタイムを、複数壁コア(multi-walled core)の場合、約36週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮でき、また、単一壁コア(single walled core)の場合、約30週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮できる。
【0259】
1つの態様において、中間成形体(たとえばセラミックコア、コア/シェル モールド)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)好適な材料(「フィードストック」)を提供し;そして(ii)好適な技術を用いて該好適な材料から中間成形体を製造することを含む。任意により、中間成形体を用いて最終成形体(たとえばタービンブレードなどの鋳造金属部品)を製造する。
【0260】
1つの具体的な態様において、中間成形体はセラミックコアであり、フィードストックはセラミックスラリーであり、そして好適な技術は射出成形である。一定の諸態様において、射出成形は本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いる。1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーの構成要素としてのモールド(たとえばインナーモールド)は、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0261】
他の1つの態様において、セラミックグリーン体の製造方法が開示され、この製造方法は以下の工程を含む。(i)流動性セラミック組成物を、内部キャビティーを含む可溶性モールド(たとえば付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド)の中に射出し、但し該可溶性モールドは本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部に存在し;(b)流動性セラミック組成物を内部キャビティー内で放置することにより固化させてセラミックグリーン体を形成し;(c)射出成形後に射出成形アセンブリーを分解し;(d)射出成形後の可溶性インナーモールドを水又は溶媒中に浸漬し、可溶性成分が除去されて分離されたセラミックグリーン体が得られるまで放置し、そして、任意により;(e)分離されたセラミックグリーン体を更に加工してセラミックコアを得る。
【0262】
1つの態様において、工程(e)における更なる加工が、(i)セラミックグリーン体を処理してバインダーを除去してセラミックブラウン体を得;そして(ii)セラミックブラウン体を焼結により緻密化して、所望の形状と内部構造を有するセラミック焼結体すなわちセラミックコアを製造することを含む。可溶性キャリア相を選択的に除去することが、射出成形後のセラミックグリーン体の中に多孔性と開放内部チャンネルを形成して、焼結工程中に揮発性分解産物を外部に逃がすために好適である。多孔性は、たとえばX線回折により測定できる。
【0263】
1つの態様において、バインダー除去の方法は、浸漬ベース(溶媒)バインダー除去、溶媒蒸気によるバインダー除去、熱によるバインダー除去(ポリマー焼却)、触媒作用によるバインダー除去、真空によるバインダー除去、毛管作用(wicking)によるバインダー除去、又はこれらの組み合わせである。1つの具体的な態様において、バインダー除去は、溶媒によるバインダー除去を行なった後に熱によるバインダー除去を行なうことを含む。
【0264】
1つの具体的な態様において、バインダー除去は溶媒を用いるバインダー除去であり、この方法は、セラミックグリーン体を水又は有機溶媒(たとえばエタノール)中に適切な時間浸漬し、1つ又は2つ以上の不均一相の選択的溶解により、グリーン体から可溶性キャリア相を除去し、同時に不溶性ポリマーを残留させることを含む。1つの具体的な態様において、セラミックグリーン体は、溶媒によるバインダー除去の後で焼結の前の時点で乾燥させる。一定の諸態様において、溶媒によるバインダー除去は、液体ではなく気体を用いる。
【0265】
他の1つの態様において、バインダー除去は熱によるバインダー除去であり、処理方法は、キャリア/バインダーの蒸発温度よりも高い温度でセラミックグリーン体を加熱することを含み、より具体的には、約100℃と約600℃の間の温度で、適切な時間加熱することを含む。1つの態様において、適切な時間は、約10時間より長く、約20時間より長く、約30時間より長く、約40時間より長く、約50時間より長く、又は約60時間より長い。
【0266】
1つの態様において、バインダー除去は、溶媒によるバインダー除去を行なった後に熱によるバインダー除去を行なうことを含む。
【0267】
焼結の条件は、用いるセラミック粉末のタイプと電子特性に依存し、その結果、セラミック射出成形(ceramic injection molded; CIM)された構成要素が得られる。1つの態様において、焼結は、セラミックグリーン体を約1200℃と約1600℃の間の温度に加熱してセラミックブラウン体を製造することを含む。
【0268】
一定の諸態様において、1種又は2種以上の化学的添加剤又は機械的拘束器具を用いて、バインダー除去工程と焼結工程中にセラミックグリーン体の形状と寸法を維持する。1つの具体的な態様において、焼結されたセラミックコアを1種又は2種以上の更なる加工方法に付し、該更なる加工方法としては、仕上げ、機械的加工、研磨、熱処理、ひずみ取り(straightening)、及び電気めっきが挙げられるが、これらに限定されない。
【0269】
1つの具体的な態様において、バインダー除去と焼結の前に輪郭補正工程(profile correction step)を用いる。
【0270】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、流動性セラミック組成物への加熱と加圧によりセラミックグリーン体を製造し、その後それを水又は溶媒条件中に浸漬することを含む。射出成形後の可溶性インナーモールドの浸漬溶解、及び、任意の水又は溶媒によるセラミックグリーン体のバインダー除去の間、セラミックコアの射出が同時に生じてもよく、又は後の工程で生じてもよい。バインダー除去の間、セラミックスラリーのバインダーの可溶性成分が除去され、気孔チャンネルの組織網が現われて、残りの可溶性成分の除去が可能となる。次に、水又は溶媒でバインダー除去されたグリーン状態セラミックコアを焼結に付し、これにより熱によるバインダー除去(セラミックスラリーの残留有機成分の除去)が生じてもよく、その結果、セラミックブラウン体が得られる。バインダー除去工程の終了後、焼結を行なう。
【0271】
一定の諸態様において、本発明の方法は更に、たとえばセラミックスラリーの成分を混合することにより、セラミックスラリーを調製することを含む。
【0272】
他の1つの態様において、セラミックコア又はセラミックコア/シェルの製造方法が開示され、この製造方法は以下の工程を含む。(i)流動性セラミック組成物を、内部キャビティーを含む可溶性モールドの中に射出し、但し該可溶性モールドは本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部に存在し;(b)流動性セラミック組成物を内部キャビティー内で放置することにより固化させてセラミックグリーン体を形成し;(c)射出成形後に射出成形アセンブリーを分解し;(d)射出成形後の可溶性インナーモールドを水又は溶媒中に浸漬し、可溶性成分が除去されて分離されたセラミックグリーン体が得られるまで放置し;そして、(e)分離されたセラミックグリーン体を更に加工してセラミックコアを得て、その際、セラミックグリーン体への更なる加工のために本明細書に開示されるいずれの方法も用いることができる。
【0273】
1つの具体的な態様において、ワックスによるシェル形成(wax-shelling)を含まないコア/シェルの形成方法が開示される。
【0274】
一定の諸態様において、中間成形体(たとえばセラミックコア)の製造方法はサイズやスケールについて変更可能であり、本明細書に開示される方法を用いることにより、CADからコア製造までのリードタイムを、複数壁コア(multi-walled core)の場合、約36週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮でき、また、単一壁コア(single walled core)の場合、約30週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮できる。1つの具体的な態様において、中間成形体の製造方法は、鋳造ターボ機械部品について、サイズやスケールについて変更可能な複雑形状をデザインすることを間接的に可能にする。
【0275】
中間成形体(たとえばセラミックコア)の製造方法は好適な製造条件下で行なわれる。1つの具体的な態様において、好適な製造条件には、射出温度、射出圧力、射出速度、射出時間、保持時間、保持圧力、等が含まれる。
【0276】
1つの態様において、射出成形方法は、低圧射出成形、中圧射出成形、又は高圧射出成形である。
【0277】
1つの態様において、射出成形のプロセス条件は、硬化条件又は固化条件と同じか又は類似している。他の1つの態様において、1つ又は2つ以上の射出成形条件は、1つ又は2つ以上の硬化条件(たとえば温度、圧力、時間、等)と異なる。
【0278】
一定の諸態様において、モールド(たとえばインナーモールド、そして、より具体的には、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド)を提供する際、冷却されていてもよく、室温でもよく、加熱されていてもよい。諸態様において、可溶性モールドは、約20分から約80分の間、より具体的には約30分から約60分の間、更により具体的には約30分又は約60分で溶解する。
【0279】
射出温度は様々の温度から選択できる。1つの態様において、射出温度は、約0℃〜約300℃の範囲、より具体的には約15℃〜約200℃の範囲、より具体的には約20℃〜約140℃の範囲である。
【0280】
射出時間は様々の時間から選択できる。射出時間は、100ミリ秒〜1分の範囲、より具体的には500ミリ秒〜45秒の範囲、より具体的には1秒〜約30秒の範囲である。
【0281】
1つの具体的な態様において、射出温度は、約0℃と約20℃の間、約20℃と約40℃の間、約40℃と約60℃の間、約60℃と約80℃の間、約80℃と約100℃の間、約100℃と約120℃の間、又は約120℃と約140℃の間である。
【0282】
1つの具体的な態様において、射出温度は室温、すなわち約20℃と約25℃の間である。
【0283】
射出圧力は様々の圧力から選択できる。1つの具体的な態様において、セラミックスラリーの射出圧力は、約1Pa〜約1GPaの範囲、より具体的には約100Pa〜約1,000MPaの範囲、より具体的には約0.1MPa〜約50MPaの範囲である。
【0284】
射出された材料の硬化時間又は固化時間は、様々の時間から選択できる。1つの具体的な態様において、硬化時間又は固化時間は、用いるセラミックバインダーの種類に依存して、1秒〜2日の範囲、より具体的には、約1秒、約10秒、約30秒、約60秒、約5分、約10分、約30分、約1時間、約3時間、約6時間、約12時間、約18時間、約20時間、又は約24時間である。
【0285】
硬化温度は様々の温度から選択できる。1つの態様において、低圧での射出成形を行なって流動性セラミックスラリーをモールドに導入し、そして、セラミックスラリーの硬化温度は射出温度よりも高温である。
【0286】
一定の諸態様において、セラミックコアを一定時間貯蔵した後に使用する。1つの具体的な態様において、セラミックコアは、その物理的特性又は成形特性の99%を超える部分又は95%を超える部分を失うことなく、貯蔵することができる。
【0287】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、1つ又は2つ以上の望ましい特性を有するセラミックコアを提供し、該望ましい特性は以下の項目内容を含むが、これらに限定されない。(i)高温での溶融合金の鋳造に耐える好適なグリーン体強度;(ii)低い熱膨張係数;(ii)高い寸法精度;(iii)低減されたボイド;(iv)高い耐クリープ性;(v)高い粉砕性;(vi)高い多孔性;(vii)低減された収縮率;(viii)均一な収縮率;(ix)亀裂や欠陥が少ないこと。特性の相対的評価(すなわち高い及び低い)について、比較対象は従来の方法で製造されたセラミックコアである。
【0288】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアについては、焼結後の曲げ強度が100psi〜5,000psiの範囲、より具体的には100psi〜1,000psiの範囲、より具体的には100psi〜500psiの範囲である。
【0289】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアの内部気孔率(internal porosity)は、焼結前の空気透過性が1.0×10
−4cm
2/(sec−atm)〜9.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−3cm
2/(sec−atm)〜7.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−2cm
2/(sec−atm)〜5.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲となるものである。
【0290】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアの開放気孔率(open porosity)は約50%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、又は約20%未満である。
【0291】
更なる1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアは、均一な収縮率又は低減された収縮率を示す。1つの態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアは、焼結後の線収縮率が0.1%〜10%の範囲、より具体的には1%〜5%の範囲、より具体的には1.5%〜3.75%の範囲である。
【0292】
1つの態様において、本明細書に開示される方法が複数回反復される。1つの具体的な態様において、本願の方法が複数回反復され、再現性のある収縮率を有する複数のセラミックコアが製造される。1つの具体的な態様において、反復された本願の方法の収率(yield)は約70%より大きく、約75%より大きく、約80%より大きく、約85%より大きく、又は約90%より大きい。
【0293】
1つの態様において、セラミックコアは、更にシェルを含むセラミックシステムすなわちモールドの一部である。1つの具体的な態様において、シェルの製造方法が開示され、たとえば、セラミックコアが消失性材料(sacrificial material)(ワックスなど)である場合、セラミックスラリー組成物又は他の原料をセラミックコアに塗布することによりシェルを形成できる。形成したシェルを乾燥させて高硬度化させ、一方、消失性材料を除去する。この態様において、シェルの物理的特性は更なる加工に耐えるのに充分であることが必要である。
【0294】
1つの具体的な態様において、固形粒子状成分とキャリア相成分を含むセラミックスラリーを本明細書に開示される射出成形アセンブリー中に射出して中間成形体を形成する。任意により、気孔増加用成分(pore former)又は他の添加剤をセラミックスラリー組成物に更に加えてもよい。1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリー組成物が使用される。
【0295】
たとえば、ポリエチレングリコール(水に可溶性である)とポリ(ビニルブチラール)(一般に水に不溶性である)とを含むキャリアブレンドを、成分の質量比を約0.1:1、約0.33:0.67、約1:1、約0.75:約0.25、又は1:0.1として用いて調製することができる。射出した後、射出後のグリーン状態の中間成形体を、約1時間〜約72時間の範囲内で水に浸漬してポリエチレングリコール相を除去して、シリカ、アルミナ又はケイ酸ジルコニウムの固形物とポリ(ビニルブチラール)バインダーとを含む半多孔性のグリーン状態中間成形体を得ることができる。焼結すると、ポリ(ビニルブチラール)バインダーが分解し、中間成形体内部の開放通路(open passage)から外部へ逃げる。
【0296】
1つの具体的な態様において、気孔増加用成分をセラミックスラリーのキャリアと固体成分に加えてもよく、これにより、内部多孔性、気孔サイズ分布、及び焼結中のコア内部からの外部焼結炉雰囲気へのアクセスを増加し、また、最終的な焼結コアの機械強度を調節できる。本明細書に開示されるセラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約−50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約450℃の範囲、より具体的には約100℃〜約400℃の範囲、より具体的には約120℃〜約375℃の範囲、より具体的には約200℃〜約375℃の範囲、より具体的には約250℃〜約375℃の範囲である有機固体が挙げられる。更に、気孔増加用成分は、コア焼結加工中に温度上昇につれて徐々に揮発又は燃焼することが好ましく、また、複数の気孔増加用成分をセラミックスラリー組成物に加えてもよく、それにより、温度上昇に伴うセラミックコア成分の質量減少が直線性に近づくように調節できる。
【0297】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法は、セラミックコアなどの中間成形体の製造において金属器具(metal tooling)の必要性を取り除く(一方、従来の方法を用いる製造においては、金属器具によると数日、数週間、数カ月、約半年から1年近く、又は数年もかかることがある)。このことは、本明細書に開示される方法のより幅広い利点の1つであり、これにより、従来の又は未来のインベストメント鋳造法における製造工程数を減少することができ、また、製造コストの低減、及び新たなデザインのためのリードタイム(lead time)の減少を可能にする。
【0298】
これらのセラミックコアは、単独で又は鋳造アセンブリーの一部として、所望の形状を有する鋳造金属部品(たとえばタービンブレード)の製造に用いることができる。セラミックコアは、鋳込み工程後の鋳造アセンブリーから物理的又は化学的工程で除去することができる。
【0299】
1つの態様において、本明細書に開示される方法は、アウター鋳造シェル、中間層、及び/又はインナーモールドの1つ又は2つ以上を溶解除去することを更に含む。
【0300】
IV. 中間成形体
ここに開示されるのは、成形体(たとえばセラミックコア)であり、そして、具体的には、射出成形法、本明細書に開示されるモールド及び/又は射出成形アセンブリーを用いて形成された中間成形体(たとえばセラミックコア)であって、最終成形体の製造での使用に好適な中間成形体である。
【0301】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体が、本明細書に開示されるモールドを用いて形成され、より具体的には、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するモールドを用いて形成される。(i)可溶性である;(ii)付加的に製造される;及び(iii)モノリシックである。
【0302】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体が、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いて形成され、より具体的には、以下の構成要素を含む射出成形アセンブリーを用いて形成される。(i)以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するインナーモールド:可溶性である、付加的に製造される、及びモノリシックである;(ii)任意により、インナーモールドを包む中間層;及び(iii)任意により、中間層を取り囲むアウターシェル。任意により、中間層、アウターシェル、又はその両方が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する:可溶性である、及び、付加的に製造される。
【0303】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される中間成形体(たとえばセラミックコア)は、ターボ機械用途に用いられる部品を形成するための使用に好適である。ターボ機械用途としては、ロケットエンジン部品、ジェットエンジン部品(たとえばタービンブレード又はタービンベーン)、及び産業用ガスタービン部品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0304】
1つの態様において、本明細書に開示される中間成形体(たとえばセラミックコア)は、ターボ機械用途に用いられる金属部品を鋳造で製造する(すなわち鋳造金属部品を製造する)ための使用に好適である。金属はいかなる好適な金属も使用でき、合金又は超合金でもよい。1つの態様において、セラミックコアは、単結晶ニッケルベース超合金からなる部品、一方向凝固超合金からなる部品、及び等軸結晶超合金からなる部品をインベストメント鋳造するための使用に好適である。
【0305】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体はタービンブレードのエアフォイル部品の製造に用いるためのセラミックコアである。
【0306】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体は、2次元のセラミックコア又は3次元のセラミックコア、すなわち、単一壁セラミックコア又は複数壁セラミックコアである。
【0307】
1つの好ましい態様において、成形体又は中間成形体は、従来の方法(たとえば2つ又は3つ以上の構成要素を含むインナーモールドを用いる射出成形)により製造されたセラミックコアに比べて、改善された形状解像度と複雑性によって特徴付けられるセラミックコアである。一定の諸態様において、セラミックコアは、最終成形品(たとえばタービンブレード)の空気冷却の改善を可能にする。
【0308】
一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の望ましい特性により特徴付けられるセラミックコアが開示され、該望ましい特性は以下の項目内容を含むが、これらに限定されない。(i)溶融合金の鋳造に耐える好適なグリーン体強度;(ii)低い熱膨張係数;(ii)高い寸法精度;(iii)低減されたボイド;(iv)高い耐クリープ性;(v)高い粉砕性;(vi)高い多孔性;(vii)低減された収縮率;(viii)均一な収縮率;及び(ix)亀裂や欠陥が少ないこと。特性の相対的評価(すなわち高い及び低い)について、比較対象は従来の方法で製造されたセラミックコアである。
【0309】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、焼結後の曲げ強度が100psi〜5,000psiの範囲、より具体的には100psi〜1,000psiの範囲、より具体的には100psi〜500psiの範囲であることにより特徴付けられる。
【0310】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアについては、気孔率(porosity)が、焼結前の空気透過性が1.0×10
−4cm
2/(sec−atm)〜9.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−3cm
2/(sec−atm)〜7.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−2cm
2/(sec−atm)〜5.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲となるものであることにより特徴付けられる。
【0311】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、開放気孔率が約50%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、又は約20%未満であることにより特徴付けられる。
【0312】
更なる1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、従来のセラミックコアに比べて、低減された収縮率を示すことにより特徴付けられる。1つの態様において、セラミックコアは、焼結後の線収縮率が約0.1%〜約10%の範囲、より具体的には約1%〜約5%の範囲、より具体的には約1.5%〜約3.75%の範囲であることにより特徴付けられる。
【0313】
任意により、中間成形体(たとえばセラミックコア)がモールド(たとえば本明細書に記載される可溶性モールドなど)の中に含まれる。他の諸態様において、中間成形体は、ポリマーモールドから、たとえば可溶性ポリマーモールドを溶解させることにより分離される。
【0314】
中間成形体(たとえばセラミックコア)の組成は様々な組成から選択できる。1つの具体的な態様において、中間成形体はセラミックスラリー組成物から形成されるセラミックコアであり、該セラミックスラリー組成物は、以下の成分カテゴリーのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを含む:キャリア構成成分、セラミック粒子、気孔増加用成分、及び添加剤。
【0315】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は少なくとも1種のキャリアを含む。キャリアの組成は様々な組成から選択できる。
【0316】
1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適なキャリアの例としては、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性直鎖状オリゴマーが挙げられる。熱可塑性ポリマー又は熱可塑性直鎖状オリゴマーの例としては以下のものが挙げられる:パラフィンワックス、ポリエチレン、炭化水素ワックス、石炭由来ワックス、蜜蝋などの天然ワックス、カーボワックス(carbowax)、直鎖状ポリエチレングリコール、分岐鎖状ポリエチレングリコール、直鎖状ポリプロピレングリコール、分岐鎖状ポリプロピレングリコール、短鎖オリゴマー状ポリ−アルファオレフィン、ポリイソブチレン、直鎖状熱可塑性有機化合物、ポリスチレン、ポリスチレン/キシレン ブレンド、ラジカル重合で形成されたポリオレフィン、アルファ−メチルスチレン、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ビニルブチラール)、直鎖状又は分岐鎖状(メタ)アクリルポリマー、熱可塑性脂肪族ポリウレタン、及び非晶質又は半結晶性脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトンなど)。
【0317】
1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーを含むキャリアについては、分子量が約100g/mоlと約1,000,000g/mоlの間、より具体的には約300g/mоlと約100000g/mоlの間、より具体的には約1,000g/mоlと約10,000g/mоlの間であってよい。本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーのガラス転移温度は、約−110℃〜約500℃の範囲、より具体的には約−110℃〜約200℃の範囲、より具体的には−110℃〜約130℃の範囲であってよい。本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーの結晶融解相転移温度(crystalline melt transition)は、約−80℃〜約500℃の範囲、より具体的には約−50℃〜約220℃の範囲、より具体的には約0℃〜約150℃の範囲、より具体的には約20℃〜約130℃の範囲であってよい。
【0318】
1つの態様において、パラフィンワックスを含むキャリアの例としては、飽和及び不飽和炭化水素であって、炭素数が8〜500、より具体的には炭素数が12〜100、より具体的には炭素数が15〜60、より具体的には炭素数が18〜40のものが挙げられる。使用に好適なパラフィンワックスの溶融温度は約−50℃〜約150℃の範囲、より具体的には約0℃〜約140℃の範囲、より具体的には20℃〜約130℃の範囲である。
【0319】
1つの態様において、硬化性又は熱硬化性キャリアは、ペンダント反応性官能基を有するモノマー性、オリゴマー性又はポリマー性の構成成分を含み、該構成成分の分子量は約100g/mоl〜約1,000,000g/mоlの範囲、より具体的には約100g/mоl〜約100,000g/mоlの範囲、より具体的には約130g/mоl〜約10,000g/mоlの範囲である。
【0320】
キャリアはブレンドして組成物(formulation)であってもよく、該組成物は焼結中に加熱されると、温度上昇と共に徐々に分解して、熱重量分析実験で「%質量減少 対 温度」をプロットして得られる曲線の一次導関数が一定値に接近するものでよい。
【0321】
1つの態様において、キャリアは、ブレンドされて組成物(formulation)となった熱可塑性ポリマー又はワックスであってもよく、該組成物は、高温で均一又は可溶性ブレンドを形成し、また、低温で混ざり合わないものであってよい。1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーの射出後の冷却時に、射出後グリーン状態中間成形体を、水又は有機溶媒を含む液体浴に浸漬し、これにより、1又は2つ以上の不均一相が選択的に溶解され、こうして、射出後グリーン状態中間成形体から可溶性キャリア相が除去され、一方、不溶性ポリマーが残留する。可溶性キャリア相の選択的除去は、射出成形後のグリーン状態成形体の中に多孔性と開放内部チャンネルを形成して、焼結工程中に揮発性分解産物を外部へ逃がすために好適である。
【0322】
たとえば、ポリエチレングリコール(水に可溶性である)とポリ(ビニルブチラール)(一般に水に不溶性である)とを含むキャリアブレンドを調製し、その際、成分の質量比を約0.1:1、約0.33:0.67、約1:1、約0.750.25、又は約1:0.1とすることができる。射出した後、射出後のグリーン状態の中間成形体を、1時間〜72時間の範囲内で水に浸漬してポリエチレングリコール相を除去して、シリカ、アルミナ又はケイ酸ジルコニウムの固形物とポリ(ビニルブチラール)バインダーとを含む半多孔性のグリーン状態中間成形体を得ることができる。焼結すると、ポリ(ビニルブチラール)バインダーが分解し、中間成形体内部の開放通路から外部へ逃げる。
【0323】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体が挙げられる。モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体は1つ又は2つ以上の反応性官能基を有し、但し、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の種類により、該1つ又は2つ以上の反応性官能基の数はn=1〜n=50の範囲にあるか又はそれより大きい。モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体から形成される硬化性組成物(curable formulation)は、たとえば、前駆体やその組成物(formulation)の調製に用いる1つ又は2つ以上の反応性官能基によって官能性の程度を変化させることにより調節することができる。
【0324】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの熱機械的及び物理的特性を、分子に1つ又は2つ以上のモイエティー(moiety)を含ませることにより調節することができ、該1つ又は2つ以上のモイエティーの例としては、環状脂肪族結合/リンカー基、及び、立体障害性モイエティー及び/又は立体障害性置換基が挙げられ、該環状脂肪族結合/リンカー基は靭性、剛性、UV耐性及び耐熱性を与えることができ、また、該立体障害性モイエティー及び/又は立体障害性置換基は、高分子の配列を阻害/制御して、重合により非晶質の材料、複合材料、及びそれらの組成物を提供でき、また、高い光学的透明性を提供できる。
【0325】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、結合を形成又は含有し得るモイエティー及び/又は置換基を含み、該モイエティー及び/又は置換基の例としては、ウレタン基、アミド基、チオウレタン基及びジチオウレタン基が挙げられ、これらの基は分子内水素結合を可能にし、靭性と剛性を増加するために使用できる。更に他の諸態様において、エステル結合、ベータ−アミノエステル結合、カーボネート結合、シリルエーテル結合又は他のリンカー基を前駆体に選択的に含ませることにより、環境分解時間と溶媒吸収性を制御できる。環境分解時間と溶媒吸収性は、ペンダント親水性又は疎水性基を材料組成物に導入することによっても調節することができる。
【0326】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、たとえば、メルカプト、アルケン、(メタ)アクリレート、アルキン、アミン及びエポキシで官能化されたモノマー性及びオリゴマー性構成成分又はその混合物から調製できる。硬化性組成物(curable formulation)に存在するモノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の化学量論的モル比の範囲は、約1.00:4.00、約1.00:3.00、約1.00:2.20、約1.00:2.00、約1.00:1.00、約1.00:0.97、約1.00:0.95、約1.00:0.90、約1.00:0.50、約1.00:0.33、約1.00:0.25、及び約1.00:0.20とすることができる。
【0327】
1つの態様において、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体から形成された熱硬化性キャリアは、紫外線(UV)光、熱、酸又は塩基により触媒される硬化方法、又はこれらの組み合わせを適用することにより硬化することができる。硬化した組成物(formulation)を性能特徴付け分析に付し、その後、たとえば、公知の付加的製造方法(たとえばステレオリソグラフィーによる付加的用途)、及びコーティング用途などに使用できる。
【0328】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、熱硬化性キャリア組成物(formulation)に種々の量の開始剤又は触媒を添加して用いて調製することができ、該開始剤又は触媒はモノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の間の付加反応を促進し、この付加反応は任意による熱エイジング工程実施の前または実施中に行なわれる。代表的な付加反応の例としては、フリーラジカルで開始されるチオール−エン付加反応、塩基で触媒されるマイケル付加反応、及び塩基で触媒されるチオール−エポキシ付加反応が挙げられるが、これらに限定されない。
【0329】
1つの態様において、UV硬化性となるように設計された熱硬化性キャリアには、光開始剤も加えることができる。たとえば、フリーラジカル開始剤をアクリレート含有組成物(formulation)及び選択されたチオール−エン組成物(formulation)に加えることができる。代表的な光開始剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(TPO)。UV硬化性組成物(formulation)に添加することができる光開始剤の量は、約0.001重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの諸態様においては、硬化性組成物に添加することができる光開始剤の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、及び約5.00重量%であってよい。いくつかの諸態様においては、フリーラジカル阻害剤(その非限定的な例は、4−メトキシフェノール及び1,4−ヒドロキノンである)を、約0.01〜約2,000ppmの範囲の濃度になるように硬化性組成物に添加することができる。いくつかの諸態様においては、添加するフリーラジカル阻害剤の濃度は、約500ppm、約1,000ppm、又は約1500ppmであってよい。
【0330】
1つの態様において、熱硬化性であるように設計された熱硬化性キャリア(たとえば、チオール−エポキシ、アミン−エポキシ又はアルコール−エポキシを主体とする組成物などの、熱開始ラジカル連鎖重合プロセス又は塩基で触媒されるプロセスで硬化する組成物)には、熱フリーラジカル開始剤又は3級アミン触媒を添加して硬化の触媒としてもよい。代表的な熱フリーラジカル開始剤の非限定的な例として、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。熱フリーラジカル開始剤は、ラジカル開始付加反応において、たとえば、熱エージングの間に、触媒として機能する。硬化性組成物に添加される熱フリーラジカル開始剤の量は、約0.001重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの態様においては、硬化性組成物に添加される熱フリーラジカル開始剤の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%であってよい。3級アミン塩基触媒は、たとえばマイケル付加反応及び/又はチオール−エポキシ反応又は関連する反応において、熱エージングの間に、触媒として用いることができる。
【0331】
硬化性組成物に添加することができる3級アミン塩基触媒の量は、約0.01重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの態様においては、硬化性組成物に添加することができる3級アミン塩基触媒の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%であってよい。
【0332】
本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアを硬化するために、それを完全に硬化し又は実質的に硬化するための重合反応を行なう。ここで、「実質的に」とは、架橋の百分率が少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%であることを意味する。
【0333】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、硬化性組成物を硬化するための1種又は2種以上の化学触媒(たとえば、酸触媒又は塩基触媒)を用いて、一定の時間にわたり化学的に硬化できるように設計されている。該1種又は2種以上の化学触媒は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%の濃度で添加することができる。完全な硬化を達成するために必要な時間は、添加される触媒の濃度と、当該組成物に経時的に生ずる架橋反応の化学的性質とに応じて変動する。ある例においては、その工程は、熱を組成物に加えることによって駆動することができる。
【0334】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、硬化された後には、未反応の、又は部分的に反応した、又は完全に反応した官能基/置換基を有していてよい。代表的な官能基の非限定的な例として、チオール、アルケン、アルキン、ヒドロキシル、カルボン酸、アクリレート、イソシアネート、イソチオシアネート、アミン、エポキシ、ジエン/親ジエン体、ハロゲン化アルキル、カルボン酸無水物、アルデヒド及びフェノール基が挙げられる。
【0335】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ヒドロシリル化で形成される白金触媒シリコーン又は湿気硬化型シリコーンを含む熱硬化性重合体樹脂、ポリジメチルシロキサン、シアネートエステル、熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン−ウレア、熱硬化性ポリウレア、エポキシド/アミン、エポキシド/ヒドロキシル又はエポキシ/チオール構成成分から誘導された脂肪族エポキシ樹脂、アクリル性ネットワークポリマー、又はオキシム誘導熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0336】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ビニルシラン基及び任意によりヘテロ官能性基を含むケイ素含有分子又は巨大分子が挙げられ、該ヘテロ官能性基の例としては(メタ)アクリル基、エポキシ基、アリル基、テトラヒドロフルフリル基、及びイオン性塩成分が挙げられる。ケイ素含有熱硬化性キャリアの例としては、以下のものが挙げられる:メタクリロキシプロピル末端封止ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、4−(フェノキシフェニル)フェニルジメトキシシラン、アリルトリフェニルシラン、テトラキス(エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、(3−グリシドキシプロピル)へプタメチルシクロテトラシロキサン、及びモノビニル官能性ポリジメチルシロキサン(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル末端化)。
【0337】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、イオン性塩を含有する分子又は巨大分子であって、(メタ)アクリレート結合、エポキシ結合、アリル結合、又はテトラヒドロフルフリル結合を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、ジルコニウム(IV)(メタ)アクリレート、ニッケル(II)(メタ)アクリレート、及びアルミニウム(III)(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0338】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素を含有する分子又は巨大分子であって、ビニルシラン(すなわちSi−C=C)基を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、以下のものが挙げられる:ジフェニルメチルシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、(5−ビシクロ[2.2.1]へプタ−2−エニル)ジメチルエトキシシラン、へプタメチルシクロテトラシロキサン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)シクロブテン、(ビシクロへプテニル)エチル末端封止ポリジメチルシロキサン、モノビニル−モノフェニル−モノヒドリド末端封止ポリジメチルシロキサン、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)、100%フェニル(トリメチルシロキサン末端化)、ビニル末端封止ポリジメチルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,t−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、及びテトラビニルシラン。
【0339】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素を含有する分子又は巨大分子であって、シラン(すなわち水素化ケイ素)基を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、以下のものが挙げられる:ポリメチルヒドロシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−シクロテトラヒドロシロキサン、7−9%(メチルヒドロシロキサン)−ジメチルシロキサン共重合体、ヒドリド末端封止ポリジメチルシロキサン、(45−50%メチルヒドロシロキサン)、フェニルメチルシロキサン共重合体(ヒドリド末端化)、ジフェニルシラン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、(メタクリロキシメチル)フェニルジメチルシラン、p−フェニレン(ジメチルシラン)、4,4’−ビス(ジメチルシリル)ビフェニル、1,3,5−トリシラシクロヘキサン。[000149]1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、ヒドロシリル化反応と湿気硬化反応を行なうための触媒及び触媒ブレンドを含む。そのような触媒及び触媒ブレンドの例としては、白金−シクロビニルメチル−シロキサン複合体、0.1−5%シクロメチルビニルシロキサンが挙げられる。
【0340】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、キャリア相と他のセラミックスラリー構成成分とのブレンドの、粘度及びブレンド均一性/混合安定性を調節するのに好適な飽和シロキサン化合物が挙げられる。飽和シロキサン化合物は焼結工程で化学反応を生じてもよいが、キャリア相の硬化反応には参加しなくてもよい。代表的な飽和シロキサン化合物の例としては、以下のものが挙げられる:パーメチルシロキサン及びパーフェニルシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ジフェニルシロキサン ジメチルシロキサン共重合体。
【0341】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素含有構成成分のシラザン類似体が挙げられ、これらのシラザン類似体は、焼結工程で化学反応を生じて窒化ケイ素とその類似体セラミックを形成し、また、キャリア相の硬化反応に参加してもよい。
【0342】
1つの態様において、キャリア相に存在するオリゴマー性又はポリマー性前駆体である構成成分の分子量は100g/mоl〜1,000,000g/mоlの範囲、より具体的には100g/mоl〜100,000g/mоlの範囲、より具体的には130g/mоl〜10,000g/mоlの範囲であってよい。
【0343】
本明細書に記載される他の諸態様において、熱硬化性キャリアは、メルカプタン含有テルペン(たとえば、D−リモネン及び/又はL−リモネン、及び/又はこれらの誘導体又は類似体)及び/又はテルペノイドを含んでいてよい。テルペン又はテルペノイドから誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、ジペンテンジメルカプタン、イソプレンジメルカプタン、ファルネセンジメルカプタン、ファルネセントリメルカプタン、ファルネセンテトラメルカプタン、ミルセンジメルカプタン、ミルセントリメルカプタン、ビサボレンジメルカプタン、ビサボレントリメルカプタン、リナロールジメルカプタン、テルピノレンジメルカプタン、テルピネンジメルカプタン、ゲラニオールジメルカプタン、シトラールジメルカプタン、レチノールジメルカプタン、レチノールトリメルカプタン、レチノールテトラメルカプタン、ベータ−カロテンポリメルカプタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様においては、ポリチオールは、トリメチロールプロパントリチオール、ペンタエリスリチオールトリチオール、ペンタエリスリトールテトラチオール、イノシトール、ジチオール、トリチオール、テトラチオール、ペンタチオール、又はヘキサチオールから誘導される。
【0344】
本明細書に記載される更に別の諸態様においては、熱硬化性キャリアは、メルカプタンを含有する環式、多環式又は直鎖脂肪族のポリアルケン又はアルキンから得られる1種又は2種以上のポリチオール成分を含んでいてよい。これらの基から誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、トリビニルシクロヘキセンジメルカプタン、トリビニルシクロヘキセントリメルカプタン、ジシクロペンタジエンジメルカプタン、ビニルシクロヘキセンジメルカプタン、トリアリルイソシアヌレートジメルカプタン、トリアリルイソシアヌレートトリメルカプタン、フェニルへプタ−1,3,5−トリインポリメルカプタン、2−ブチン−1,4−ジオールジメルカプタン、プロパルギルアルコールジメルカプタン、ジプロパルギルスルフィドポリメルカプタン、ジプロパルギルエーテルポリメルカプタン、プロパルギルアミンジメルカプタン、ジプロパルギルアミンポリメルカプタン、トリプロパルギルアミンポリメルカプタン、トリプロパルギルイソシアヌレートポリメルカプタン、及びトリプロパルギルシアヌレートポリメルカプタンが挙げられる。
【0345】
本明細書に記載される別の諸態様において、熱硬化性キャリアは、メルカプタンを含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルから得られる1種又は2種以上のポリチオール成分を含んでいてよい。これらの基から誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、アラキドン酸ジメルカプタン、アラキドン酸トリメルカプタン、アラキドン酸テトラメルカプタン、エレオステアリン酸ジメルカプタン、エレオステアリン酸トリメルカプタン、リノール酸ジメルカプタン、リノレン酸ジメルカプタン、リノレン酸トリメルカプタン、メルカプタン化亜麻仁油、メルカプタン化桐油、メルカプタン化大豆油、メルカプタン化落花生油、メルカプタン化クルミ油、メルカプタン化アボカド油、メルカプタン化ひまわり油、メルカプタン化とうもろこし油、及びメルカプタン化綿実油が挙げられる。
【0346】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、1種又は2種以上のアルケン成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、テルペン、テルペノイド、二量体化テルペン、二量体化テルペノイド、三量体化テルペン、三量体化テルペノイド、オリゴマー化テルペン、オリゴマー化テルペノイド、高分子化テルペン、高分子化テルペノイド、リモネン、D−リモネン、L−リモネン、ポリ(リモネン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、ファルネセン、ミルセン、ビサボレン、リナロール、テルピノレン、テルピネン、ゲラニオール、シトラール、レチノール、ベータ−カロテン、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ノルボルネン官能化ポリ(テルペン)オリゴマー、ノルボルネン官能化ポリジメチルシロキサン、ノルボルネン官能化ポリ(ブタジエン)、ノルボルネン官能化ポリイソプレンオリゴマー、ポリ(イソプレン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ジビニルエーテル、トリアリルアミン、ジアリルアミン、ジアリルビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、イノシトールジアリルエーテル、イノシトールトリアリルエーテル、イノシトールテトラアリルエーテル、イノシトールペンタアリルエーテル、イノシトールヘキサアリルエーテル、イノシトールジビニルエーテル、イノシトールトリビニルエーテル、イノシトールテトラビニルエーテル、イノシトールペンタビニルエーテル、イノシトールヘキサビニルエーテル、トリアリルシトレート、トリビニルシトレート、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,3,6−シクロオクタトリエン、シクロヘキサンジアリルエーテル、シクロヘキサントリアリルエーテル、シクロヘキサンテトラアリルエーテル、シクロヘキサンペンタアリルエーテル、シクロヘキサンヘキサアリルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサントリビニルエーテル、シクロヘキサンテトラビニルエーテル、シクロヘキサンペンタビニルエーテル、シクロヘキサンヘキサビニルエーテル、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジアリルエーテル、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネン末端封止ビシクロ[2.2.1]へプタ−2,5−ジエン、ノルボルネン官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、アリルエーテル官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ビニルエーテル官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ノルボルネン官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、アリルエーテル官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ビニルエーテル官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、レゾルシノールジアリルエーテル、レゾルシノールジビニルエーテル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、及びアリルアミンが挙げられる。
【0347】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のアクリレート又はメタクリレートを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリ(ジメチルシロキサン)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(イソプレン)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエン−コ−ニトリル)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、ブタジエンについては2以上で500,000より小さく、ニトリルについても2以上で500,000より小さい)、ポリエチレングリコールジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、及び上記成分のメタクリル化相当物が挙げられる。
【0348】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のエポキシを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、エポキシ化テルペン、エポキシ化テルペノイド、エポキシ化二量体化テルペン、エポキシ化二量体化テルペノイド、エポキシ化三量体化テルペン、エポキシ化三量体化テルペノイド、エポキシ化オリゴマー化テルペン、エポキシ化オリゴマー化テルペノイド、エポキシ化高分子化テルペン、エポキシ化高分子化テルペノイド、リモネンオキサイド、リモネンジオキサイド、ポリ(リモネンオキサイド)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(イソプレンオキサイド)−コ−ポリイソプレン共重合体(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエンオキサイド)−コ−ポリブタジエン共重合体(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、エポキシ化ファルネセン、エポキシ化ミルセン、エポキシ化ビサボレン、エポキシ化リナロール、エポキシ化テルピノレン、エポキシ化テルピネン、エポキシ化ゲラニオール、エポキシ化シトラール、エポキシ化レチノール、エポキシ化ベータ−カロテン、エポキシ化アラキドン酸、エポキシ化エレオステアリン酸、エポキシ化リノール酸、エポキシ化リノレン酸、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化大豆油、エポキシ化落花生油、エポキシ化クルミ油、エポキシ化アボカド油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化とうもろこし油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ヤシ油、エポキシ化グリセロール(グリセロールジグリシジルエーテル及びグリセロールトリグリシジルエーテルを含む)、エポキシ化ソルビトール(ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル及びソルビトールヘキサグリシジルエーテルを含む)、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリジメチルシロキサンジグリシジルエーテル、エポキシ化ブタジエンオリゴマー、エポキシ化ブタジエン−コ−ポリニトリルオリゴマー、エポキシ化グレープフルーツメルカプタン、エトキシル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、エトキシル化水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、及びエトキシル化シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)が挙げられる。
【0349】
本明細書に記載される一定の諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のアルキンを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、アセチレン、超臨界アセチレン、プロパルギルアルコール、2−ブチン−1,4−ジオール、フェニルへプタ−1,3,5−トリイン、ジプロパルギルスルフィド、ジプロパルギルエーテル、プロパルギルアミン、ジプロパルギルアミン、トリプロパルギルアミン、トリプロパルギルイソシアヌレート、トリプロパルギルシアヌレート、プロパルギルイノシトール、ジプロパルギルイノシトール、トリプロパルギルイノシトール、テトラプロパルギルイノシトール、ペンタプロパルギルイノシトール、ヘキサプロパルギルイノシトール、ジプロパルギルピペラジン、ジプロパルギルシトレート、トリプロパルギルシトレート、シクロヘキサンジメタノールプロパルギルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトンプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトンジプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトントリプロパルギルエーテル、トリシクロデカンジメタノールプロパルギルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジプロパルギルエーテル、ビスフェノールAビス(プロパルギルエーテル)、水素化ビスフェノールAビス(プロパルギルエーテル)、シクロヘキサンジプロパルギルエーテル、シクロヘキサントリプロパルギルエーテル、シクロヘキサンテトラプロパルギルエーテル、シクロヘキサンペンタプロパルギルエーテル、シクロヘキサンヘキサプロパルギルエーテル、プロパルギルレゾルシノール、及びジプロパルギルレゾルシノールが挙げられる。
【0350】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、また、アルコール成分、無水物成分、アミン成分、及び他の化学成分からなる群より選ばれる1種又は2種以上の成分を含んでいてよい。
【0351】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、また、ポリイソシアネート前駆体、ポリオール前駆体、又はポリアミン前駆体を含んでいてよい。ポリイソシアネート前駆体の例としては以下のものが挙げられる:ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、n,n−メチレンビス(イソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、50℃より高い融点を持つジイソシアネートモノマー、及び50℃より低い融点を持つ液状ジイソシアネートモノマー。ポリオール前駆体及びポリアミン前駆体の例としては、本発明で述べるもの、及び以下のものが挙げられる:1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、ペンタエリスリトール、及びトリエタノールアミン。熱硬化性ポリイソシアネート前駆体、熱硬化性ポリオール前駆体、及び熱硬化性ポリアミン前駆体は、ウレタン触媒又はウレア触媒を含んでもよく、これら触媒の例としては、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、第一スズオクトアート、及び種々のアミン触媒(たとえばトリエチレンジアミン)が挙げられる。
【0352】
セラミックスラリー組成物におけるキャリア成分の量は様々な範囲から選択できる。1つの態様において、セラミックスラリー組成物に存在するキャリア成分の量は0〜約80容量%の範囲、より好ましくは約8〜約65容量%の範囲、より具体的には約10〜約55容量%の範囲、より好ましくは約12〜約30容量%の範囲である。
【0353】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は少なくとも1種の固体粒子成分を含む。固体粒子成分は様々な種類から選択できる。
【0354】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドにおける固体粒子成分について、その粒子サイズ分布(particle size distribution, PSD)を様々な種類から選択でき、粒子サイズ分布の例としてはモノモーダルな粒子サイズ分布とマルチモーダルな粒子サイズ分布(たとえばバイモーダル、トリモーダル、テトラモーダル、ペンタモーダル及びヘキサモーダル)が挙げられる。粒子サイズ分布は任意の適切な技術(たとえば沈降法、動的光散乱法、又はレーザー回折法)で測定できる。
【0355】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分について、その粒子直径は約0.1nm〜約10mmの範囲、より具体的には約1nm〜約5mmの範囲、より具体的には約50nm〜約2mmの範囲、より具体的には約100nm〜約1,000ミクロンの範囲、より具体的には約0.5ミクロン〜約100ミクロンの範囲である。平均粒子直径は任意の適切な技術(たとえば透過型電子顕微鏡)で測定できる。
【0356】
1つの態様において、用いるセラミックスラリーにおける固体粒子サイズ分布は厳密に制御され、該分布が狭い場合から広い場合まで様々であってよい。単分散粒子ブレンドは、キャリア相とブレンドした後に射出した際に剪断増粘(shear thickening)を起こす可能性があり、加工性が乏しくなる可能性がある。加工性の低下に対処するために、粒径分布の広い複数種類の固体粒子を互いに混合して固体粒子混合物を形成することで、粒子充填理論により、粒子同士の隙間を適当なより小さい粒径の粒子で充填させることができる。たとえば、5ミクロンのアルミナ粒子と0.5ミクロンのアルミナ粒子とをブレンドすることでアルミナ粒子の固体部分を60%にして、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いることができる。こうすることで、たとえば、粗い粒子約80%に対して細かい粒子約20%(すなわち粗い粒子と細かい粒子の比率を4:1、半径比率を10:1とする)にすると、スラリー粘度が最小になり、最適化したバイモーダル粒径分布を用いる場合、粘度数値が2〜5減少することが期待できる。
【0357】
1つの態様において、本願に用いるセラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分が、セラミックスラリーの射出時の粘度が減少するように最適化されており、また同時に、中間成形体の焼結時のクリープ及び/又は中間成形体を用いて最終製品を形成する鋳造工程時のクリープが最小になるように最適化されている。最適化された粒子成分の例としては、粒子サイズが約0.5ミクロン、約1ミクロン、約10ミクロン、約20ミクロン、約50ミクロン、又は約70ミクロンであり、また、粒子のアスペクト比が球状からビーム状にわたる範囲(1:1〜100:1)であるものが挙げられる。
【0358】
1つの態様において、本願に好適に用いられるセラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分は、アルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、ケイ酸ジルコニウム、及びこれらの混合物からかなる群より選ばれる。
【0359】
いくつかの態様において、代表的な固体粒子成分はアルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アンヒュームドシリカ、又はケイ酸ジルコニウムの粒子であって、平均粒子サイズが約5m
2/g〜約500m
2/gの範囲にある。いくつかの態様において、ヒュームドシリカ添加剤は平均粒子サイズが約50m
2/g、約75m
2/g、約100m
2/g、約120m
2/g、約150m
2/g、約200m
2/g、約250m
2/g、約300m
2/g、又は約350m
2/gである。
【0360】
いくつかの態様において、アルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アンヒュームドシリカ、又はケイ酸ジルコニウムの粒子は表面官能化されていてもよく、また、これら粒子の例としては、以下の市販品が挙げられる:Cabot 社の CAB-O-SIL TS-720、TS-610、TS-622、及び TS-530、並びに EVONIK 社の AEROSIL R8200、R106、R812S、R202、R208、R972、R974 及び R812S。たとえば、ビニルシラン、メルカプトシラン、アミノシラン及びメタクリロシランが0.01〜15モル%当量の量で添加される。使用に好適な市販品の具体例として、Evonik 社の Dynasylan MTMO、AMMO 及び VTMO、並びに Evonik 社の(メタ)アクリレートシランが挙げられる。
【0361】
1つの態様において、セラミックスラリーにおける固体粒子成分の量は、約40〜約90容量%の範囲、より具体的には約50〜約80容量%の範囲、より具体的には約51〜約66容量%の範囲である。
【0362】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は1種又は2種以上の気孔増加用成分を含む。
【0363】
1つの具体的な態様において、気孔増加用成分をセラミックスラリーに加えてもよく、これにより、セラミックコアの内部多孔性を増加し、気孔サイズ分布を調節し、及びセラミックコア内部からの外部焼結炉雰囲気へのアクセスを促進し、また、最終的な焼結コアの機械強度を調節できる。セラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約300℃の範囲、より具体的には約100℃〜約250℃の範囲、より具体的には約120℃〜約200℃の範囲である有機固体が挙げられる。セラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約−50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約450℃の範囲、より具体的には約100℃〜約400℃の範囲、より具体的には約120℃〜約375℃の範囲、より具体的には約200℃〜約375℃の範囲、より具体的には約250℃〜約375℃の範囲である有機固体が挙げられる。更に、気孔増加用成分は、コア焼結加工中に温度上昇につれて徐々に揮発又は燃焼することが好ましく、また、複数の気孔増加用成分をセラミックスラリー組成物に加えてもよく、それにより、焼結加熱速度とサイクル条件(cycling conditions)を制御することによって温度上昇に伴うセラミックコア成分の質量減少が直線性に近づくように調節できる。
【0364】
1つの具体的な態様において、セラミックスラリーに用いるのに好適な気孔増加用成分の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサン(n=2〜20)、1,6−ヘキサンジオール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、デカン、ウンデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、о−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、フェノール、о−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、ナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、ビフェニル、及び分子量が70g/mоlから700g/mоlの範囲にある他の有機化合物。
【0365】
1つの具体的な態様において、セラミックスラリーに添加することのできる気孔増加用成分の量は約1〜約30容量%の範囲、より具体的には約5〜約25容量%の範囲、より具体的には約10〜約20容量%の範囲、より具体的には約12〜約18容量%の範囲である。
【0366】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は1種又は2種以上の添加剤を含む。添加剤は好適なものであればいずれでもよく、例としては有機添加剤と無機添加剤が挙げられる。
【0367】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドはアルカリ元素、アルカリ土類元素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0368】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドはアルカリ元素、アルカリ土類元素、及び界面活性剤からなる群より選ばれるセラミックスラリー添加剤を含み、該界面活性剤はスラリーブレンド中の固体セラミック粒子を混合工程中に包み込むものである。該界面活性剤の例としては、ステアリン酸、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。セラミックスラリー組成物中のセラミックスラリー添加剤の量は約10〜約10,000ppmの範囲内であり、より具体的には約50〜約5,000ppmの範囲内であり、より具体的には約100〜約1,000ppmの範囲内であり、より具体的には約100〜約500ppmの範囲内である。
【0369】
1つの具体的な態様において、1種又は2種以上のセラミックスラリー添加剤の量は約100ppm、約150ppm、約200ppm、約250ppm、約300ppm、約350ppm、約400ppm、約450ppm、又は約500ppmである。他の1つの具体的な態様において、1種又は2種以上のセラミックスラリー添加剤の量は約150〜約450ppm、約200〜約400ppm、又は約200〜約300ppmである。
【0370】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、可溶性モールド又はモールドアセンブリーの使用を含む製造工程での使用を通じて、インベストメント鋳造法における製造工程数を減らすことができるユニークな能力を示すものであり、該可溶性モールド又はモールドアセンブリーは優れた射出工程性能とユニークな分解性能(たとえば射出成形アセンブリーの癒着防止性の向上)を提供するものであり、これにより、間接的又は直接的製造方法を用いて新規な成形体の製造を可能にする。
【0371】
セラミックスラリーの物理特性は様々の特性から選択できる。1つの態様において、セラミックスラリーは、セラミックコア形成のために用いられる従来のスラリーに比べて、低減された粘度を有し、それにより、セラミックコア形成工程の圧力・温度条件を低減でき、また、製造のためのエネルギーコストを低減できる。セラミックスラリー組成物の粘度は任意の適切な方法(たとえば浸漬プローブ粘度計)で測定できる。
【0372】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、現在用いられているキャリア組成物に比べてセラミックスラリーキャリア相の組成範囲を広くすることによって特徴付けられ、それにより、環境問題上及びコスト上の利点を製造業者に提供できる。
【0373】
他の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、本明細書に開示されるインベストメント鋳造法に用いられるグリーン状態セラミックコアと焼結セラミックコアの周囲温度での機械的強度を向上するものであり、それにより、工程の効率化、製造工程数の減少、及び収率改善を製造業者に提供できる。
【0374】
図5は本明細書に開示される焼結されたセラミックコアの1つの態様を示すものであり、セラミックコアはインベストメント鋳造法で用いるのに好適な3次元的特徴要素(three dimensional feature)を含んでおり、セラミックコアは、付加的に製造された可溶性インナーモールドと機械加工されたアウターシェルを含むモールドアセンブリーにセラミックスラリーを射出成形することにより形成されたものである。
【0375】
図12(a)は本明細書に開示される鋳造コアの1つの態様を示すものである。1つ又は2つ以上の鋳造コアは、内部空洞、内部通路、及び内部の複雑な特徴要素(internal complex feature)の一部又は全部並びに最終的なブレード(8B)に存在する外部特徴要素(external feature)の一部を鋳造工程で形成する。コアは、特徴要素の反転形状を規定するものであり、その非限定的な例としては以下のものが挙げられる:乱気流発生リブ(8C)、乱気流発生ピン(8D)、交差孔(8E)、後縁チャンネル(trail edge channel)(8F)、チップ孔(8G)、入口(8H)、蛇行通路(8J)、単独空洞(8K)、及び衝突孔(8L)。鋳造コアはまた、外部特徴要素の一部も形成し、その外部特徴要素の非限定的な例としてはスクイーラー リム(squealer rim)(8M)が挙げられる。
【0376】
V. 最終成形体の製造方法
本明細書において、最終成形体(たとえばタービンブレードのような鋳造金属部品)の製造方法、具体的には、本明細書に開示されるセラミックコアを用いて最終製品を製造すること、より具体的には、本明細書に開示されるモールド又は射出成形アセンブリーを用いて製造されたセラミックコアを用いて最終製品を製造することが開示される。
【0377】
1つの態様において、最終成形体(たとえばタービンブレード)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)本明細書に開示されるセラミックコアを提供し;(ii)単数又は複数の好適な材料を提供し;そして(iii)該セラミックコアを用い、好適な技術を用いて該好適な材料から成形体を形成することを含む。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるモールド又はインナーモールドを用いてセラミックコアを製造し、より具体的には、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するモールドを用いて製造される:可溶性である、付加的に製造される、及びモノリシックである。
【0378】
1つの具体的な態様において、ターボ機械部品の製造方法が開示され、該方法は、(i)ターボ機械部品の外面形状を規定するモールドを提供し、但し該モールドはターボ機械部品の内部形状を規定するセラミックコアを含み;(ii)モールドとコアとの間に溶融金属を導入し;そして(ii)コアを除去する、ことを含む。1つの具体的な態様において、セラミックコアは本明細書に開示されるセラミックコアであり、より具体的には、本明細書に開示される方法で製造されたセラミックコアである。
【0379】
1つの態様において、タービンブレードの製造又は鋳造方法が開示され、該方法は、(i)タービンブレードの外面形状を規定するモールドを提供し、但し該モールドはタービンブレードの内部形状を規定するセラミックコアを含み;(ii)モールドとコアとの間に溶融金属を導入し;そして(ii)コアを除去する、ことを含む。1つの具体的な態様において、セラミックコアは本明細書に開示されるセラミックコアであり、より具体的には、本明細書に開示される方法で製造されたセラミックコアである。
【0380】
1つの具体的な態様において、本願の方法が複数回反復される。他の1つの態様において、本願の方法は2個以上のタービンフォイルを同時に製造するために好適である。
【0381】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法によると、中子ずれ(core shift)の量を約150ミクロン減少でき、より具体的には、約10ミクロン、約25ミクロン、約50ミクロン、約75ミクロン、約100ミクロン、約125ミクロン、又は約150ミクロン減少できる。
【0382】
他の1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーを用いると、中子ずれの量を約50%減少でき、より具体的には、約10%、約20%、約30%、約40%、又は約50%減少できる。
【0383】
VI. 最終成形体
1つの態様において、最終成形体が開示され、最終成形体の例としては鋳造ターボ機械部品が挙げられるが、これに限定されない。1つの具体的な態様において、最終成形体は内燃機関に使用するためのターボ機械部品であり、より具体的には、航空宇宙産業やエネルギー産業で用いられるガスタービンエンジンである。
【0384】
1つの態様において、最終成形体は、インベストメント鋳造法を用いる方法で形成された鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であり、該インベストメント鋳造法はセラミックコアを用いて行なわれるものであり、該セラミックコアは可溶性モールド又はモールドアセンブリー、特に可溶性の内部セクション又は内部構成要素を有する可溶性モールドを用いて形成されるセラミックコアである。1つの具体的な態様において、鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)は1つ又は2つ以上の本明細書に開示される冷却特徴要素を含む。
【0385】
1つの具体的な態様において、最終製造品は、本明細書に開示されるセラミックコアから製造された鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。1つの態様において、鋳造ターボ機械部品は本明細書に開示されるセラミックコアを用いて製造された鋳造ターボ機械部品であり、より具体的には、本明細書に開示される射出成形アセンブリーと射出成形方法を用いて製造された鋳造ターボ機械部品である。
【0386】
一定の諸態様において、最終成形品は、従来の鋳造ターボ機械部品に比べて改善された工学的性能により特徴付けられる鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。
【0387】
一定の諸態様において、この改善された工学的性能により、鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)が1つ又は2つ以上の望ましい特性を有し、該望ましい特性の例としては以下のものが挙げられる:従来の鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)に比べて、増加した耐久性、低減されたメンテナンス コスト、進歩した冷却能力、改善された機械的性能、改善された局所的構造特性、改善された振動挙動、空気力学的設計の全体的自由度の増加、及びこれらの組み合わせ。
【0388】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される最終成形体(たとえばタービンブレード)は、以下の非限定的な特徴の1つ又は2つ以上を有する鋳造ターボ機械部品である:(1)空気力学的な外面形状、(2)繊細な内部特徴要素(fine internal feature)(たとえば中空チャンネル、内部空洞中への突起など)、(3)内部チャンネル又は蛇行通路、任意により内部チャンネル同士を接続する衝突孔、そして(4)内部乱気流発生特徴要素(internal turbulating feature)。これらのデザイン及び/又は特徴要素は、正常な運転条件下で成形体を内部から又は外部から冷却するためのものである(たとえばフィルム冷却)。
【0389】
1つの具体的な態様において、最終成形体は、高温・高圧・高負荷及び/又は高振動環境下(たとえばターボ機械用途で遭遇する環境下)での使用に好適な鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。高温環境は成形体の材料の軟化点又は融点に近いかそれを超えてもよい。1つの具体的な態様において、高温環境は約1,300℃より高く、約1,400℃より高く、約1,500℃より高く、約1,600℃より高く、約1,700℃より高く、約1,800℃より高く、約1,900℃より高く、約2,000℃より高く、約2,100℃より高く、約2,200℃より高く、又は約2300℃より高い。
【0390】
1つの態様において、最終成形体の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:単結晶ニッケル及び/又はチタンベース超合金製のガスタービンエアフォイル、コンプレッサーエアフォイル、タービンエアフォイル、高圧コンプレッサーブレード、低圧コンプレッサーブレード、高圧タービンブレード、低圧タービンブレード、タービンベーンのセグメント、タービンベーン、ノズルガイドベーン、タービンシュラウド、タービン付属ギアボックス部品、ジェットエンジン部品、モールド、又は鋳造品とセラミックコア、以下のものを製造するためのダイ及びモールド:単結晶ニッケル及び/又はチタンベース超合金製のガスタービンエアフォイル、コンプレッサーエアフォイル、タービンエアフォイル、高圧コンプレッサーブレード、低圧コンプレッサーブレード、高圧タービンブレード、低圧タービンブレード、タービンベーンのセグメント、タービンベーン、ノズルガイドベーン、タービンシュラウド、タービン付属ギアボックス部品、ジェットエンジン部品、モールド、及び現在の材料及び/又は現在の方法では製造できない鋳造品。1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来技術では達成不可能な形状のデザイン及び/又は特徴要素を含む。
【0391】
1つの態様において、最終成形体は鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であって、以下の材料からなる群より選ばれる1種又は2種以上から製造されるものである:ステンレススチール、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、コバルト、チタン超合金、単結晶超合金、金属間超合金(intermetallic superalloy)、セラミックモールド、セラミックオーバーモールド、セラミックコア、鋳造セラミックス、又はレイアップ法で製造された製品(lay-up product)(たとえばセラミックスマトリックス複合体(CMC)部品)。
【0392】
1つの態様において、最終成形体は金属部品を含む鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であって、該金属は以下のものからなる群より選ばれる:ターボ機械用途(たとえばロケットエンジン部品、ジェットエンジン部品及び産業用ガスタービン部品)に用いるための、ニッケルベース単結晶超合金、反応性金属合金、一方向凝固超合金、及び等軸結晶超合金。
【0393】
1つの態様において、最終成形体は鋳造ターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の効率を増加するものである。
【0394】
1つの具体的な態様において、最終成形体はターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の熱効率及び/又は燃料効率を増加するものである。1つの態様において、熱効率及び/又は燃料効率を約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上増加する。
【0395】
1つの態様において、最終成形体はターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の効率を増加するものであり、それにより燃料消費の低減につながり、燃料消費の低減率が1%までにおよび、より具体的には約0.1%以上、約0.2%以上、約0.3%以上、約0.4%以上、約0.5%以上、約0.6%以上、約0.7%以上、約0.8%以上、約0.9%以上、又は約1%以上である。
【0396】
他の1つの態様において、最終成形体は、従来のターボ機械部品に比べて改善された耐久性を有することにより特徴付けられるターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)である。1つの具体的な態様において、耐久性の改善は、取り外し前の時間(0〜100サイクル)で、約0%〜約5%の間、又は約1%〜約5%の間、又はより具体的には約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、又は約5%以上である。他の1つの態様において、サイクルの増加は約1サイクル〜約100サイクルの間、又はより具体的には約10サイクル〜約90サイクルの間、約20サイクル〜約80サイクルの間、約30サイクル〜約70サイクルの間、約40サイクル〜約60サイクルの間、又は約50サイクルである。
【0397】
1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)において可能であったものよりも高温のタービン入口温度(TIT)を可能にするターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)である。1つの態様において、TITの増加は、熱効率、パワー出力又はその両方と関連付けられる。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)は、従来のターボ機械部品の場合と同じか又は類似の量の冷却空気を用いてTITの増加を可能にする。
【0398】
1つの態様において、タービン入口温度が約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、又は約25%増加する。1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加率が約0.5%〜約10%の間、約1%〜約5%の間、又は約2%〜約3%の間である。他の1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加率が約1%より高く、約2%より高く、約3%より高く、約4%より高く、又は約5%より高い。
【0399】
他の1つの態様において、タービン入口温度が約10℃〜300℃高く、たとえば、約100℃〜250℃高く、より具体的には約10℃高く、約100℃高く、約150℃高く、約200℃高く、約250℃高く、又は約300℃高い。1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加分が約10℃と約50℃の間であり、たとえば、約15℃と約45℃の間、約20℃と約40℃の間、又は約30℃である。
【0400】
1つの具体的な態様において、タービン入口温度が約1,000℃より高く、約1,500℃より高く、約1,550℃より高く、約1,600℃より高く、約1,650℃より高く、約1,700℃より高く、約1,750℃より高く、約1,800℃より高く、約1,850℃より高く、又は約1,900℃以上である。
【0401】
1つの態様において、最終成形体はタービンブレード又はタービンノズルである。
【0402】
1つの具体的な態様において、最終成形体はタービンブレードである。タービンブレードは、回転ローターに軸方向に沿って配置取り付けされた1つ又は2つ以上の段に配列され、燃焼から生じる高温ガスによる運動量移行と圧力によってローターを回転させるのものでよい。1つの具体的な態様において、タービンブレードは、以下の材料からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでよい:ステンレススチール、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、コバルト、チタン超合金、単結晶超合金、金属間超合金(intermetallic superalloy)、セラミックモールド、セラミックオーバーモールド、セラミックコア、鋳造セラミックス、又はレイアップ法で製造された製品(lay-up product)(たとえばセラミックスマトリックス複合体(CMC)部品)。
【0403】
図3は典型的なタービンブレードを示す。タービンブレードは、プラットフォーム(3B)を介してシャンク(3C)に接続されているエアフォイル(3A)を含む。入口(3D)は、内部通路に冷却空気を供給する(内部通路は
図4で更に詳細を示す)。内部通路は種々の出口に通じており、出口の例は以下のものを含むが、これらに限定されない:フィルム冷却孔(3E)、後縁チャンネル(3F)、チップ孔(3G)。スクイーラー リム(3N)が存在してもよく、存在しなくてもよいが、これはブレードとそれに対応するフローパス壁(flow path wall)との間の封止界面である。エアフォイル上の部位は以下のように定義される:チップ(3H)はブレードの放射状最外縁端部である;元部(root)(3I)はプラットフォームの放射状外部に接する位置にあるエアフォイルの部分である;前縁(3J)はエアフォイルの空気力学的な最先端部である;後縁(3K)はエアフォイルの空気力学的な最後端部である;圧力側(3L)はエアフォイルの凹形外壁である;そして、吸込み側(3M)はエアフォイルの凸形外壁である。
【0404】
図4は典型的なタービンブレードの中に存在する種々の内部特徴要素を示す。入口(3D)は内部冷却通路に冷却空気を供給する。これらの通路は、蛇行通路(4A)又は元部からチップに延びる単独空洞(4B)のいずれの形でもよい。空洞は複数の内部壁(4C)により隔てられている。後縁チャンネル(4D)はこれらの通路からの供給を受ける。乱気流発生ピン(4E)は空洞中の突起であり、空洞の全体にわたり延びていてもよく、そうでなくてもよい。乱気流発生リブ(4F)は空洞中への部分的突起であり、壁の一部又は全体にわたり延びている。交差孔(4G)又は衝突孔(4H)は空洞同士を接続する。
【0405】
本明細書に開示されるタービンブレードは、凹形の圧力側壁と凸形の吸込み側壁からなるエアフォイルセクションを含み、該圧力側壁と吸込み側壁は前縁と後縁とで接続され、前縁と後縁は複数の内部冷却通路と空洞を含む。これらの空洞は、ブレードの放射状最内縁端部であるシャンク(これはエアフォイルの放射状最内縁端部である元部を貫通する)にある入口通路を通じて冷却空気を供給される。タービンブレードの放射状最外縁端部にはチップが位置する。
【0406】
1つの態様において、最終成形体は、従来の手段で製造されたガスタービンブレードに比べて増加した平均ブレード冷却効果(average blade cooling effectiveness)(φ)を示すガスタービンブレードである。平均ブレード冷却効果が増加することによりガスタービン運転者がTITを増加でき、これによって、ブレードの寿命を損なわずに系の熱効率が増加する。1つの具体的な態様において、平均ブレード冷却効果(φ)の増加率は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上である。他の1つの具体的な態様において、平均ブレード冷却効果(φ)は約0.4φより大きく、約0.45φより大きく、約0.5φより大きく、約0.55φより大きく、約6φより大きく、約0.65φより大きく、約0.75φより大きく、約.8φより大きく、約0.85φより大きく、約.9φより大きく、約0.95φより大きく、又は約1φより大きく、これらの評価温度は約1,400℃〜約2,000℃の間であり、より具体的には約1,400℃、約1,500℃、約1,600℃、約1,700℃、約1,800℃、約1,900℃、又は約2,000℃である。
【0407】
1つの態様において、平均ブレード冷却効果は約0.4φより大きく、約0.42φより大きく、約0.46φより大きく、約0.48φより大きく、約0.50φより大きく、約0.52φより大きく、約0.54φより大きく、約0.56φより大きく、約0.58φより大きく、約0.60φより大きく、約0.62φより大きく、約0.64φより大きく、約0.66φより大きく、約0.68φより大きく、約0.70φより大きく、約0.72φより大きく、約0.74φより大きく、約0.78φより大きく、又は約8.0φより大きく、これらの評価温度は約1,400℃と約2,000℃の間であり、より具体的には約1,400℃、約1,500℃、約1,600℃、約1,700℃、約1,800℃、約1,900℃、又は約2,000℃である。
【0408】
他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の方法で製造されたガスタービンブレードの場合よりも低いエアフォイル温度を示すガスタービンブレードである。1つの態様において、エアフォイル温度の減少率は約5%以上であり、約10%以上であり、約15%以上であり、約20%以上であり、又は約25%以上である。
【0409】
他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、熱伝達冷却効果において約0.1%〜約15%の増加率を示すガスタービンブレードであって、より具体的には、熱伝達冷却効果において示される増加率は、約1%〜約15%の範囲、約5%〜約15%の範囲、より具体的には約0.1%以上、約1%以上、約3%以上、約5%以上、約8%以上、約10%以上、約12%以上、又は約15%以上である。
【0410】
更に他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の方法で製造されたガスタービンブレード又はガスタービンの場合よりも長い有効寿命を有するガスタービンブレードである。1つの具体的な態様において、有効寿命の増加率は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上である。1つの態様において、ブレード故障までの合計時間の改善率は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、より具体的には約3%である。
【0411】
1つの態様において、タービンブレードの故障が発生するまでの時間は3,500時間以上、約3,750時間以上、約4,000時間以上、約4,250時間以上、約4,500時間以上、約4,750時間以上、約5,000時間以上、約5,250時間以上、約5,500時間以上、約5,750時間以上、約6,000時間以上、約6,250時間以上、約6,500時間以上、約6,750時間以上、約7,000時間以上、約7,250時間以上、約7,500時間以上、約7,750時間以上、又は約8,000時間以上である。
【0412】
1つの態様において、最終成形体は、構造的特徴要素、冷却特徴要素及びそれらの組み合わせより選ばれる1種又は2種以上の特徴要素を含むタービンブレードである。
【0413】
一定の諸態様において、ガスタービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却特徴要素を含み、該冷却特徴要素により、ブレードが、ブレードの材料の最高許容温度を超えることができ、具体的には、ブレードが露出される最高温度に耐えることができる。この差分温度(differential temperature)は様々であり得る。一定の諸態様において、この差分温度は約400℃と約600℃の間、約500℃と約700℃の間、又は約600℃と約800℃の間である。1つの具体的な態様において、この差分温度は、ガスタービンブレードの製造に用いる単結晶合金の最高許容温度とガスタービンエンジンの最高可能燃料組成物温度との差を表す。
【0414】
冷却特徴要素は、以下のものから選ばれるメカニズムによってタービンブレードに冷却空気を供給する:対流冷却(convected cooling)、増大された対流冷却(augmented convected cooling)、衝突(非フィルム)冷却、複数パス冷却(multipass cooling)(たとえば2パス、3パス)、フィルム/クロスフロー衝突冷却、蒸散冷却(transpiration cooling)及びこれらの組み合わせ。
【0415】
1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素が以下のものからなる群より選ばれる:空洞、複雑な内部特徴要素、フローチャンネル、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、壁、他の構造体、及びこれらの組み合わせ。これらの特徴要素は、約1nm〜約10mサイズの特徴要素を有する中間成形体(セラミックモールド)を用いて形成され、より具体的には該中間成形体の特徴要素のサイズは約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約500ミクロンであり、より具体的には約10ミクロン〜約400ミクロンであり、又はこれら具体的なサイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0416】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却特徴要素を含み、該冷却特徴要素のサイズのオーダーが1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約500ミクロンであり、より具体的には約10ミクロン〜約400ミクロンであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素のサイズは約400ミクロン以下のオーダーである。
【0417】
1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素は内部冷却特徴要素、外部冷却特徴要素、又はそれらの組み合わせである。1つ又は2つ以上の冷却特徴要素はガスタービンブレードの1つ又は2つ以上の部分に位置していてよく、そして、温度、温度分布、又はそれらの両方に影響を与えてよい。1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素は後縁、翼弦中央部(mid-chord section)、又は前縁に位置していてよい。
【0418】
1つの態様において、最終成形体は1つ又は2つ以上の内部冷却特徴要素を含むガスタービンブレードである。内部冷却においては、コンプレッサーから少量の空気が抽出(bled;抽気)されて、ガスタービンブレードに注入される。冷却空気は、サイクル性能を犠牲にしてエンジンコンプレッサーから供給されるのであり、したがって、本明細書に開示される内部冷却特徴要素は、要求される冷却空気流を最低限に抑えて必要な冷却を提供するものである。1つの具体的な態様において、要求される冷却流は全流量の約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満である。特定の諸態様において、内部冷却特徴要素は、熱伝達係数を約1%、約3%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約18%、又は約20%前後、増加しつつも、通路における冷却流体の圧力損失を顕著に増やすことがない。
【0419】
1つの具体的な態様において、ガスタービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却通路、冷却チャンネル、又は冷却空洞を含む。冷却空気は内部冷却通路と空洞を通過して流れ、内部対流冷却によりエアフォイルのボディーを冷却する。内部空洞と通路は、交差孔又は衝突孔により相互に接続されていてもよい。
【0420】
1つの具体的な態様において、タービンブレードは複数の冷却チャンネルを含み、複数とはすなわち、2つ又は3つ以上、3つ又は4つ以上、4つ又は5つ以上、5つ又は6つ以上、6つ又は7つ以上、7つ又は8つ以上、8つ又は9つ以上、9つ又は10以上、10又は11以上である。1つ又は2つ以上の冷却チャンネルが単一パス又は複数パスであってよい。
【0421】
1つの態様において、冷却チャンネルの間隔、方向、及び形状は様々のものから選択できる。一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の冷却チャンネルの断面形状が、円形、チューブ形、卵形(ovular)、正方形、長方形、三角形、台形、又は多角形である。冷却チャンネルは蛇行状流れ軸又はジグザグ状流れ軸により特徴付けられていてよい。任意により、冷却チャンネルは1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素(turbulating feature)を有してよく、その例としては、1つ又は2つ以上の窪み、突起、ピンフィン(pin-fin)などが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて使用できる。一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素はどのような方向を有していてもよい。
【0422】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上のピンフィン冷却チャンネルを含む。ピンフィンチャンネルは構造的支持を提供するとともに熱伝達を増強してよい。ピンフィンの間隔、方向、形状、及び位置は様々のものから選択できる。
【0423】
更なる1つの態様において、1つ又は2つ以上の冷却チャンネルはピン形状を含み、新規なピン形状は以下の特徴を有する:(1)所望の規模と位置で乱流を生成する能力が増大することにより、タービンエアフォイルの対流冷却を改善する;(2)斜立した又は交差したピン(angled or crossing pin)の使用により、局所的構造的剛性を改善する;(3)衝突冷却の方向の制御性能の増大によって衝突冷却の効果が増大し、これにより対流冷却性能を改善する;(4)突出したノズル形状を有する前縁の衝突孔によって、衝突冷却の効果を増大する;(5)チャンネル長さの増大、及び、内部空洞との位置関係により制限されない理想的な出口角度により、フィルム冷却の効果を改善する;(6)メッシュ衝突冷却を採用することで、より均一なエアフォイル壁温度を可能にする;(7)燃焼温度の増大を可能にすることにより、エンジン効率を改善する;(8)タービンブレードボディー温度の減少により、タービンブレードの耐久性を改善する;そして(9)ブレードの局所的剛性を調節してブレードの振動周波数を調整できる能力の増大により、タービンブレードの耐久性を改善する。
【0424】
ピンの形状は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの形状は円形、ダイヤモンド形、又は立方体形である。
【0425】
ピンの直径(Dp)は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの直径は約1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約100ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。ピンの高さ(Hp)は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの高さ(Hp)は1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約500mmであり、より具体的には約1ミクロン〜約10cmであり、より具体的には約150ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。1つの具体的な態様において、ピンの高さ対直径比が約1.3と約8の間、より具体的には約1/2と約5の間である。
【0426】
一定の諸態様において、ピンは配列されて存在する。配列の種類は直線状(in-line)でもよいし、流れ方向に対してジグザグ状(staggered)でもよい。複数の配列のスパン方向(spanwise)の間隔と流れ方向(streamwise)の間隔とは異なっていてもよい。
【0427】
1つ又は2つ以上のピンフィンチャンネルがブレードのいずれの部分に位置していてもよい。1つの態様において、ピンフィンチャンネルはブレードの後縁に位置する。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるガスタービンブレードは、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンを含む。ピンが壁から壁へ延びる距離は1nm〜1m、より具体的には500nm〜500cm、より具体的には5ミクロン〜500mm、より具体的には50ミクロン〜50mm、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0428】
1つ又は2つ以上のピンの角度は様々のものから選択できる。本明細書に記載されるのは、従来の製造方法のデザイン制限を克服するデザイン先進性であり、従来の製造方法においては、ピンの各配列の方向が直交しなければならない対称面を、モールドの分割線がもたらす。本明細書に開示される成形体においては、ピンの全部又は一部の方向が、モールドの分割線に要求される対称面には限定されない。
【0429】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるタービンブレードは、後縁において1つ又は2つ以上の冷却空洞を含み、該1つ又は2つ以上の冷却空洞は複数の乱気流発生ピンを含み、該乱気流発生ピンは後縁空洞の吸込み側壁と圧力側壁の間に傾斜して配置されている。
【0430】
1つ又は2つ以上のピンは角度により特徴付けられていてもよく、角度は、たとえば、−90度〜90度の範囲であり、より具体的には−70度〜70度の範囲であり、より具体的には−50度〜50度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。これらのピン中心線のベクトルはまた、同じ空洞内の他のピンに対して異なる角度にあってもよい。これらの角度は、たとえば、−90度〜90度の範囲であり、より具体的には−70度〜70度の範囲であり、より具体的には−50度〜50度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。
【0431】
1つの具体的な態様において、最終成形体(たとえばタービンブレード)は、最適化された振動挙動を通じて改善されたサイクル疲労性能を示す。本明細書に開示されるタービンブレードは、改善された振動挙動を示すことにより、改善された耐疲労性と増大された達成可能な使用寿命サイクル数を示すものであり、振動挙動と疲労との関係においては、空気力学的使用により駆動されるブレード振動の共振周波数が、ブレードの高サイクル疲労を引き起こす。振動挙動は、共振周波数と振動モードの形とにより特徴付けられる。共振周波数はブレードの剛性と形状により駆動され、ブレードの剛性と形状に影響を与えるのは、ブレードの外形、材料、温度、空気力学的負荷、機械的制振、及び回転速度である。よって、ブレードの機械的設計においては、ブレードの共振周波数を増加又は減少させることで、エンジン運転条件により刺激される共振周波数を避けることが含まれる。振動モードの形は、ノードライン(node line)と撓みと変化とによって特徴付けされ、各共振周波数で異なる。これらノードラインの位置は、振動モードの形において特定の共振周波数で撓まない位置を特徴付けし、そして、特定の共振周波数で撓まない位置は、ブレードの振動中の高ひずみ領域を規定する。これら高ひずみ領域の位置はタービンブレード設計において解析され、解析結果に基づき、ブレードの高ひずみ位置がブレードのストレスに弱い部分から離れた位置に来るように機械的設計がなされる。エアフォイルの形状(たとえば壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの全体的な空気力学的形状、及びピンの位置と量)は、伝統的に、エンジン運転条件で共振周波数を避け、また、振動モードの形を変えて高ひずみ位置がエアフォイルの重要領域に来るのを避けるように調節されている。
【0432】
本明細書に開示されるタービンブレードに存在する斜立したピンは、タービンブレードが局所的に1つの方向で曲がり、反対の方向で圧縮される時に、張力がかかる。近傍部分の形状に依存して、これが当該領域の等価剛性を増加または減少させることがあり得、その増加又は減少の割合は約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約50%、より具体的には約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約5%である。これがブレードの共振周波数を増加または減少させ、その増加又は減少の割合は約0%〜約84%、より具体的には約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約44%、より具体的には約0%〜約22%である。この態様において、ノードラインをブレード全長の一定割合でシフトでき、その割合は約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約10%、より具体的には約0%〜約7%、より具体的には約0%〜約5%である。ブレードの共振周波数とノードラインの位置を変更できる能力が増加することにより、壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの形状、及びピンの位置と量の選択の自由度がより大きくなる。これにより、空気力学的形状とピン配列デザインを最適化する自由度がより大きくなる。こうして得られる全体的なエンジン効率の改善の割合は約1%、より具体的には約.1%、より具体的には約.01%、より具体的には約.005%である。加えて、自由度の増加により、ブレード故障までの合計時間を改善でき、その改善の割合は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、より具体的には約3%である。
【0433】
1つの具体的な態様において、タービンブレードは後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンを有し、該ピンの角度は空洞の中央平面又は隣接するピンと交差する壁に対して直角か又は直角ではない。これらのピンは同じ角度で配置されてもよいし、様々な角度で配置されていてもよい。
【0434】
1つの具体的な態様において、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンが交差(intersect)する。交差ピン(intersecting pin)は、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置される交差ピンにより形成される局所構造の剛性を更に増加する。これにより、ブレードの振動挙動を調節する能力をより大きくできる。
【0435】
複数のピンが交差していてよく、複数のピンの数は、より具体的には2〜8個、より具体的には2〜5個、より具体的には2〜4個、又はこれら具体的な数のいかなる組み合わせでもよい。これらのピンは各々のピンの長さのいずれの位置で交差していてもよく、たとえば、2個のピンが交差した構造において「V」形状又は十字形状を形成していてもよい。3個のピンが交差した構造において、3側面を有するピラミッド形状を形成していてもよく、または、中央平面と交差して、互いに結合した2個のピラミッド形状を形成していてもよい。
【0436】
この態様において、交差ピンを用いることで、単独のピンを用いる場合に比べて、より広い面積に局所曲げ応力を分散できるので、当該領域の等価剛性を増加でき、増加の割合は約0%〜70%、より具体的には約0%〜約50%、より具体的には約0%〜約20%、又はより具体的には約0%〜約5%である。これによりブレードの共振周波数が増加し、その増加の割合は約0%〜約84%、より具体的には約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約44%、より具体的には約0%〜約22%である。この態様において、ノードラインをブレード全長の一定割合でシフトでき、その割合は約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約10%、より具体的には約0%〜約7%、又はより具体的には約0%〜約5%である。ブレードの共振周波数とノードラインの位置を変更できる能力が増加することにより、壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの形状、及びピンの位置と量の選択の自由度がより大きくなる。これにより、空気力学的形状とピン配列デザインを最適化する自由度がより大きくなり、こうして得られる全体的なエンジン効率の改善の割合は約1%、より具体的には約.1%、より具体的には約.01%、又はより具体的には約.005%である。加えて、自由度の増加により、ブレード故障までの合計時間を改善でき、その改善の割合は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、又はより具体的には約3%である。
【0437】
図8は、本明細書に開示されるタービンブレードの1つの態様における斜立したピン(3A)と交差ピン(3B)を示す。斜立したピン(3A)は後縁空洞の圧力側壁から吸込み側壁に延びて配置される突起である。この態様において、これらのピンは空洞の壁と中央平面との両方に対して角度をなしている。交差ピン(3B)は後縁空洞の圧力側壁から吸込み側壁に延びて配置される1対の突起であり、互いに交差して十字状構造を形成して1つの態様を示している。これらのピンは、他の態様において、より複雑な構造を形成してよい。
【0438】
1つの態様において、内部冷却メカニズムは1つ又は2つ以上のリブ乱気流発生チャンネルであり、すなわち、1つ又は2つ以上の乱気流発生リブを含むチャンネルである。1つの具体的な態様において、リブ乱気流発生チャンネルはガスタービンブレードの翼弦中央部(mid-chord region)に位置する。
【0439】
乱気流発生リブのサイズ、形状、間隔、分布、及び方向(角度)は様々のものから選択できる。乱気流発生リブの代表的な、非限定的な形状の例としては以下のものが挙げられる:正方形、二等辺三角形、逆向き直角三角形(reverse right-angle triangular)、直角三角形、直角台形、等脚台形、半円形、扇形、家形(house shaped)、逆向きカット台形(reverse cut-trapezoidal)、カット台形(cut-trapezoidal)、逆向きブーツ形(reverse boot-shaped)、ブーツ形(boot-shaped)、逆向き五角形(reverse pentagonal)、五角形、及び逆向き直角台形(reverse right angle trapezoidal)。1つの具体的な態様において、リブを内部冷却チャンネルの向かい合う壁面の両側に設ける。1つの具体的な態様において、内部冷却チャンネルの向かい合う壁面の1つの側だけがリブを有する。
【0440】
一定の諸態様において、リブが冷却チャンネルの隣接する壁(すなわち圧力側壁と吸込み側壁)に存在してもよい。代替的な諸態様において、リブは冷却チャンネルの片方の側だけに存在する。リブの配置は対称的でもよく、また、ずれて非対称であってもよい。
【0441】
1つの態様において、リブが流れに対して直角に配置されている。他の1つの態様において、リブは主たる流れに対して斜めに配置されている。1つの具体的な態様において、リブは75度リブ、60度リブ、又は45度リブである。
【0442】
1つの具体的な態様において、タービンブレードはリブ−窪み 複合チャンネル(rib-dimpled compound channel)を含む。
【0443】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の衝突孔を含む。1つの具体的な態様において、タービンブレードは複数の衝突孔を含む。衝突孔のサイズ、形状、孔の貫入角度と位置は様々なものから選択できる。同様に、複数のフィルム冷却孔の間の間隔は様々なものから選択できる。
【0444】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の衝突孔を含み、それらが.013インチもの小さいものであり、それらの位置は内部又は外部のいずれでもよい。他の1つの態様において、タービンブレードは複数の角度で斜立した複数の衝突孔を含む。
【0445】
1つの具体的な態様において、衝突孔がタービンブレードに選択的に配置され、タービンブレードの各部分に対して標的化された冷却(directed cooling)を行なうことを可能にする。1つ又は2つ以上の衝突孔を、タービンブレードの1つ又は2つ以上の部分に位置させることができる。
【0446】
この態様における衝突孔を有するタービンブレードについては、圧力側壁に隣接する空洞への出口が複数の角度で形成され、これにより、衝突流れと衝突位置を設定する自由度を大きくでき、また、理想的な衝突角度が可能となる。この態様において、冷却空気は隣接する空洞から、衝突孔を通じて、エアフォイル壁に隣接する空洞に流入し、エアフォイルの内表面に衝突ジェット(impingement jet)として接触する。冷却空気がエアフォイル壁に衝突することで、対流熱伝達が生じ、(この際、熱伝達速度は衝突部位の中心で最も高くなり、)エアフォイル壁は局所的に各衝突ジェットにより冷却され、壁の局所がその周囲よりも冷却される。
【0447】
1つの態様において、圧力側壁に隣接する空洞への出口を有する衝突孔が複数の角度で形成され、これにより、衝突冷却流れの衝突位置を設定する設計自由度を大きくすることができる。
【0448】
不均一な温度分布を有するエアフォイル壁については、衝突孔を通じての標的化冷却を可能にすることが有利であり、これにより、局部的高温を持つ領域を、衝突孔から出る標的化した衝突ジェットで冷却できる。伝統的な製造方法は、衝突孔が互いに平行でなければならない、という設計上の制限がある。従来の方法を用いて形成した一定のエアフォイル内部壁形状については、衝突ジェットでの冷却が不可能なエアフォイル壁領域が存在する場合がある。1つの態様において、複数の角度で配置された衝突孔を含むタービンブレードが開示され、これにより、従来技術では衝突冷却が不可能であった壁の高温領域に冷却流を付与するように衝突ジェットを確実に標的化することができる。
【0449】
1つの態様において、衝突孔の直径は約1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約100ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。これらの孔の中心線のベクトルは、該孔が貫通する壁に対して同じ角度にあってもよく、異なる角度にあってもよい。これらの角度は、たとえば、約−90度〜約90度の範囲であり、より具体的には約−60度〜約60度の範囲であり、より具体的には約−30度〜約30度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。
【0450】
1つの具体的な態様において、突起材料(positive material)で形成された出口を有する衝突孔を含むタービンブレードが開示され、該衝突孔が前縁空洞を隣接する単数又は複数の空洞に接続する。この突起材料は、衝突孔の出口から対向する壁までの距離を減少させる働きがある。この突起材料はまた、衝突孔の出口のガス空気力学的特性と衝突性能とを改善するような形状で形成されている。この態様において、衝突孔の直径は約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約5mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0451】
この態様において、孔が貫通している壁から突起材料が突起していてよく、孔が壁を貫通する距離は約0nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約10mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。突起の形状は円錐形、テーパーした円錐形、ピラミッド形、又は多角柱形であってよい。孔が貫通する壁に対する孔の角度は約1度〜約90度の範囲であり、より具体的には約10度〜約90度の範囲であり、より具体的には約40度〜約90度の範囲であり、より具体的には約70度〜約90度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。衝突孔の出口から対向する壁への距離は約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約10mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0452】
1つの具体的な態様において、突起材料で形成されたノズル型出口を有する衝突孔が前縁空洞を隣接する単数又は複数の空洞に接続する。この突起材料は、衝突孔の出口から対向する壁までの距離を減少させる働きがある。この突起材料はまた、衝突孔の出口のガス空気力学的特性と衝突性能とを改善するような形状で形成されている。
【0453】
1つの態様において、1つ又は2つ以上の特徴要素が交差孔を含み、より具体的には複数の角度を有する交差孔を含む。
【0454】
1つの態様において、内部冷却特徴要素が冷却メッシュであり、冷却メッシュは小さな孔の高密度な配列を含む。
図11はタービンブレードの衝突冷却メッシュの1態様の図を示し、空気流(7C)が、小さな孔の高密度な配列を通じて、内部空洞(7A)から隣接する空洞(7B)に流入し、該隣接する空洞(7B)は圧力側壁(7D)又は吸込み側壁のいずれかに隣接する。
【0455】
他の1つの態様において、タービンブレードは多孔性の金属壁を含む。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるタービンブレードの圧力側壁の一部が、確率論的構造を有する局所的な多孔性金属体積を包み込んでおり、該確率論的構造を通じて冷却空気が単一又は複数の入口から供給され、そしてフィルム冷却孔又はチップ孔から排出される。
【0456】
他の1つの態様において、1つ又は2つ以上の特徴要素が、外部からの冷却を促進する。
【0457】
1つの態様において、外部冷却メカニズムはフィルム冷却であり、フィルム冷却は、ブレードの構造体における複数の小さな孔を通してブレードの内部から外部へ冷却空気をくみ出すことを含む。すると冷却空気の薄層(フィルム)がブレードの外表面に形成されて、主たる流れからの熱伝達が減少する。
【0458】
1つの具体的な態様において、湾曲通路のフィルム冷却孔が、内部前縁空洞をタービンブレードの外面に接続する。フィルム冷却孔はフィルム冷却の層をブレードの外面に供給する。この態様において、湾曲したフィルム冷却通路は、改善されたフィルム冷却効果を可能にし、また、フィルム冷却孔の入口と出口の配置の自由度をより大きくできる。
【0459】
フィルム冷却通路は、単一曲率半径の1セクションからなるか、又は、複数の曲率半径の複数セクションと複数の直線セクションとの組み合わせからなるスプライン(spline)として定義される仮想上の中心線に従う通路断面によって規定されてよい湾曲を示す。複合中心線スプラインの単独セクションの個々の曲率半径は、無限(直線)〜約1nmほどの小さい値の範囲、より具体的には約100nm、より具体的には約1ミクロン、より具体的には約100ミクロン、より具体的には約200ミクロン、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。中心線スプラインは曲率半径付き曲線又は直線からなる複数セクションの複合体であってよく、セクションの数は約1〜約100の範囲、より具体的には約1〜約50の範囲、より具体的には約1〜約20の範囲、より具体的には約1〜約10の範囲、より具体的には約1〜約6の範囲、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。1つの態様において、複合中心線スプラインは2次元であり、単一の仮想平面においてのみ湾曲を示す。他の1つの態様において、複合中心線スプラインは3次元であり、2つの仮想平面において湾曲を示す。通路の断面はフィルム冷却通路の形状を規定するものであり、その形状の例は、正方形、角の丸い正方形、長方形、角の丸い長方形、台形、角の丸い台形、円形、又は卵形(ovular)であり、また、通路の断面は中心線スプラインに沿って複数の断面形状の間を推移してもよい。断面積は約100平方nm〜約1平方メートルの範囲、より具体的には約200平方nm〜約50平方センチメートルの範囲、より具体的には約300平方nm〜約1平方センチメートルの範囲、より具体的には約500平方nm〜約10平方mmの範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。断面積はフィルム冷却通路の内部入口から拡散形状への移行部にかけて一定でもよく、または、フィルム冷却通路の内部入口から拡散形状への移行部にかけて増加してもよく、後者の増加率は、約80%もの大きい値、より具体的には約70%、より具体的には約45%、又はより具体的には約20%である。
【0460】
フィルム冷却通路は、そのままの形状でエアフォイル壁の外表面を貫通してもよいし、また、拡散形状の出口に推移してエアフォイル壁の外表面を貫通してもよい。フィルム冷却通路の中心線がエアフォイル壁の外表面を貫通する際の角度は約0.01度〜約90度の範囲、より具体的には約0.1度〜約50度の範囲、より具体的には約0.2度〜約40度の範囲、より具体的には約0.2度〜約20度の範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。拡散形状の出口の働きにより、フィルム冷却流がエアフォイルの外表面に接触し続ける傾向が増加され、また、フィルム冷却流の形状の幅が広がり1つのフィルム冷却孔がカバーする範囲がより大きくなる。拡散形状は、フィルム冷却孔の出口から扇形に放射状に広がる複数の側壁を有し、該複数の側壁の各々と出口の中心線の間の角度は約0度〜約70度の範囲、より具体的には約0度〜約50度の範囲、より具体的には約0度〜約30度の範囲、より具体的には約0度〜約15度の範囲、より具体的には約0度〜約10度の範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。
【0461】
1つの具体的な態様において、内壁の一部に孔が高密度で配置されていることによって、多孔性挙動を示し、広い領域に均一で標的化した衝突冷却空気を供給する。衝突冷却は、空気対流冷却方法のうちで熱伝達能力が最も高いものの1つであるが、衝突冷却において最高の熱伝達能力は衝突ジェットの接触領域の中心に存在するため、衝突冷却は高い温度勾配を生じる場合がある。高い温度勾配は、熱によるひずみを生じ、それがタービンブレードの耐久性を減少させる。
【0462】
衝突孔のサイズを減少させること及び衝突孔の量を増加することで、衝突接触部位の間の熱勾配を減少できる。したがって、冷却の必要性が中程度である壁の大きな領域については、衝突孔の面積を最小化し、また、衝突孔の量を最大化することが有利である。伝統的な製造技術においては、衝突孔のサイズが約400ミクロンより大きくなり、また、衝突孔の量が1平方センチ当たり約100個未満となる、という制限がある。この態様において、直径約1nm〜約400ミクロン又はそれ以上の孔の高密度の配置が可能となり、それにより、1平方センチ当たりの孔の個数が約50〜約10億、より具体的には約60〜約100万、より具体的には約80〜約500,000、より具体的には約100〜約100,000、またはこれらのいかなる組み合わせとなる。各孔は壁の厚み全体を貫通して延びており、壁の厚みは約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約50センチメートルであり、より具体的には約10ミクロン〜約10センチメートルであり、より具体的には約250ミクロン〜約15mmであり、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。個々の孔の中心線は内壁の表面に対して一定の角度にあってよく、その角度は約1度〜約90度の範囲であり、より具体的には約10度〜約90度の範囲であり、より具体的には約30度〜約90度の範囲であり、より具体的には約60度〜約90度の範囲であり、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。
【0463】
図9は、本明細書に開示される冷却特徴要素に基づく突起した出口特徴要素(positive exit feature)を有するタービンブレード前縁の衝突孔を示す。この態様において、空気は空洞から入口(4A)と出口(4B)を通じて流れ、出口(4B)は内部壁(4D)と突起した特徴要素(4C)を貫通して延びている。
【0464】
図10は、本明細書に開示される冷却特徴要素に基づく、圧力側空洞における、タービンブレードの斜立した衝突孔(5A)を示す。冷却空気は各孔の入口(5B)と出口(5C)を通じて流れ、その後に圧力側壁(5D)の内側に衝突する。この態様において、これらの衝突孔は空洞壁の全部又は一部に沿って配列されており、孔は互いに平行ではない。
【0465】
図11は、本明細書に開示されるタービンブレードの1つの態様を示し、湾曲した入口通路を持つフィルム冷却孔を含む。この態様において、入口通路(6C)は円形又は非円形の湾曲を持つ1つの平面(6A)に沿って湾曲しており、また、他の平面(6D)においては直線状である。他の1つの態様において、入口通路は2つの平面(6C、6E)において湾曲しており、該2つの平面は円形湾曲と非円形湾曲の組み合わせ、又はこれらのいかなる組み合わせ(6B)でもよい。冷却空気は入口通路(6C、6E)から拡張出口(6G)へ流れる。この拡張出口(6G)は扇形あってよく、それにより、冷却流がエアフォイルの外表面に出る際に、より大きな流れ領域に触れることができる。
【0466】
他の1つの態様において、外部冷却メカニズムは蒸散(transpiration)であり、蒸散はタービンブレード中の孔から空気を放出することを含む。他の1つの態様において、外部冷却方法は遮熱コーティング(thermal barrier coating)を含む。
【0467】
1つの態様において、最終成形体はタービンノズルである。タービンノズルは、静止ケース又は中間アタッチメントに軸方向に沿って配置取り付けされた1つ又は2つ以上の段に配列されることができ、燃焼から生じる高温ガスを再方向付け及び加速して、後のタービンブレード段階及びノズル段階のために望ましい空気力学的・熱力学的な流れ特性を提供する。
【0468】
本願に更に開示されるのは、本明細書に開示される1つ又は2つ以上のタービンブレードを含むガスタービンエンジンである。
【0469】
実施例
実施例1:付加的に製造された可溶性コア/シェル モールドの製造
可溶性コア/シェル モールドを、
図6に示す形状に合わせてデジタルライトプロジェクションを用いて付加的に製造した。形状はインナーネガティブキャビティー及びそれと結合したアウターシェルキャビティーを含む。
【0470】
インナーネガティブキャビティーは以下の寸法を有するセラミックコアの形状を示すものであった。全体高さ:約3インチ;全体幅:約1.25インチ;全体厚み:約0.4インチ;前縁衝突:0.40インチ;後縁スロット:0.025インチ×0.016インチ;乱気流発生部位(turbulator):0.020インチ×0.020インチ;乱気流発生ピン:直径0.030インチ。アウターシェルキャビティーをインナーネガティブキャビティーに結合した。アウターシェルキャビティーの壁厚みは約0.50mm〜1.5mmであった。
【0471】
実施例2:複数壁セラミックコアの製造
焼結した複数壁セラミックコア(一体化したチップタイピンとコアタイ(tip tie pins and core ties)を含む)を付加的に製造された可溶性モールドを用いて製造して、
図7に示す。このセラミックコアは、超合金タービンブレードの単結晶インベストメント鋳造への使用に好適であった。
【0472】
可溶性モールドをセラミック射出成形機に取り付けて、単結晶金属部品の鋳造に好適なセラミック材料を可溶性モールドに射出した。射出の後、モールドを射出成形機から取り外して、水に浸漬し、モールドが完全に溶解してセラミック部品だけが残るまで放置した。具体的には、モールドを浸漬した水をポンプで4時間未満にわたり穏かに撹拌したところモールドが完全に溶解し、溶解中に極小の膨張を示し、その後、グリーン状態セラミックコアが残った。焼結前のセラミックコアは以下の寸法を示した。全体高さ:約3インチ;全体幅:約1.25インチ;全体厚み:約0.4インチ;前縁衝突:0.40インチ;後縁スロット:0.025インチ×0.016インチ;乱気流発生部位(turbulator):0.20インチ×0.020インチ;乱気流発生ピン:直径0.030インチ。焼結後のセラミックコアは以下の近似組成と特性を示した。シリカ、96.68%;ジルコニウム、2.48%;アルミナ、0.84%。見掛け気孔率(1200℃で焼結:28.5%、1500℃で焼結:28.5%);真の気孔率(1200℃で焼結:29.75%、1500℃で焼結:28.5%);プロセス収縮、ダイから焼結後まで(長さ:0.95%、1200℃で焼結、翼弦(chord)、1.35%、プロファイル、1.50%;自由線収縮、1.27%)。
【発明を実施するための形態】
【0052】
I.定義
本明細書において、「約」又は「近似的に」という用語は、通常、与えられた値又は範囲からのずれが20%以内、好ましくは10%以内、更に好ましくは5%以内を意味する。「約x」という用語は、更に、x自体を含む。
【0053】
本明細書において、「付加的製造」(又は「3D−印刷」)とは、通常、1つ又は2つ以上の材料を積み上げ造形(build)することによって3次元形状の成分を製造し、これにより最終形状又は最終形状に近い物体を得ることにより特徴付けられる一群の過程を意味する。付加的製造は、製造過程において最初の形体から材料を除去する除去的製造と対比される。付加的製造のこの定義は、射出成形、押出し成形、吹込み成形、真空成形、圧縮成形などの他の従来の製造方法とも対比される。どのような好適な付加的製造技術も、本明細書に開示されるモールドを製造するために用いることができる。そのような付加的製造技術の非限定的な例として、材料押出し法(ME)、バインダー噴射法(BJ)、材料噴射法(MJ)、液槽重合法(VP)、粉末床融合法(PBF)、ステレオリソグラフィー法(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、シート積層法(SL)、及び指向性エネルギー堆積法(DED)を挙げることができる。
【0054】
本明細書において「アルキル」という用語は、飽和又は不飽和の脂肪族基のラジカルを意味するものであって、例として、直鎖状のアルキル、アルケニル及びアルキニル基、鎖状のアルキル、アルケニル及びアルキニル基、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル基、並びに、シクロアルキル置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニル基が挙げられる。明示しない限り、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルは、骨格に30個以下の炭素原子を有するものであり(たとえば、直鎖についてはC
1−C
30、分岐鎖についてはC
3−C
30)、より好ましくは、20個以下の炭素原子を有するものである。同様に、シクロアルキルは、好ましくは、環構造の中に3〜10個の炭素原子を有するものであり、より好ましくは、環構造の中に5個、6個又は7個の炭素原子を有するものである。
【0055】
本明細書において「アルキルアリール」という用語は、アリール基(たとえば、芳香族基又は複素芳香族基)で置換されたアルキル基を意味する。
【0056】
本明細書において「類似体」という用語は、別の化合物(参照化合物)と類似の構造を有するが特定の成分、官能基、原子などに関して異なる化合物を意味する。本明細書において、「誘導体」という用語は、親化合物から化学反応によって形成される化合物を意味する。類似体間の相違及び誘導体間の相違の非限定的な例として、環上の1又は2以上の官能基の1又は2以上の他の官能基への置き換え、及び、環上の1又は2以上の官能基を反応させることによる、1又は2以上の置換基の導入が挙げられる。
【0057】
本明細書において「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、不飽和の脂肪族基であって、上記のアルキルと長さ及び可能な置換において類似するが、少なくとも1つの二重結合又は三重結合をそれぞれ含むものを意味する。
【0058】
本明細書において「アリール」という用語は、5員、6員又は7員の芳香族、複素環式、融合芳香族、融合複素環式、二重芳香族、又は二重複素環式の環状構成体を意味するものであって、任意によりハロゲン、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基で置換されていてもよい。本明細書において広く定義される「Ar」の例として、5員、6員又は7員の単環式芳香族基(0〜4個のヘテロ原子を含んでいてよい)が挙げられ、具体例として、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンなどが挙げられる。環構造内にヘテロ原子を含むアリール基は、「アリール複素環」又は「複素芳香族」と称してもよい。芳香環は、環の1又は2以上の位置において本明細書に記載の置換基、たとえば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラールキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又は複素芳香族モイエティー(moiety)、−CF
3、−CNなどで置換されていてもよい。「Ar」という用語はまた、2又は3以上の環を有する多重環式の環状構成体であって、2又は3以上の炭素が隣接する2つの環に共通であり(これらの環を「融合環」という)、環のうちの少なくとも1つが芳香族であって、他の環がたとえばシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又は複素環であるものを含む。複素環式の環の非限定的な例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、及びキサンテニルが挙げられる。
【0059】
本明細書において「アスペクト比」という用語は、物体における幅と高さとの比を意味する。たとえば、アスペクト比が3:1であるとは、物体において幅が高さの3倍であることを意味する。
【0060】
本明細書において「生分解性」ポリマーという用語は、生理的条件又はエンドソーム条件の下で分解して巨大分子種、オリゴマー種及び/又はモノマー種になるポリマーを意味する。種々の好ましい態様においては、該ポリマー及びポリマー生分解副生物は、生体適合性である。生分解性ポリマーは、必ずしも加水分解可能ではなく、完全に分解するためには酵素反応を必要とするものでもよい。1つの態様においては、モールドの製造に用いる、本明細書に開示されるポリマー組成物は、生分解性である。別の1つの態様においては、モールドの製造に用いる、本明細書に開示されるポリマー組成物は、生分解性ではない。
【0061】
本明細書において「鋳造」(casting)という用語は、溶融した又は流動性の材料を所望の形状を有する空ろなキャビティーを有するモールドに注ぎ込み、その後放置して固化することによって物体を製造する過程を意味する。固化された部分は、「鋳造物」として知られており、モールドから分離される。
【0062】
本明細書において「触媒」又は「触媒中心」という用語は、化学反応の活性化エネルギーを低下させる分子種又はその成分であって、通常は化学反応によって分解も消費もされないものであり、再生されるもの又は再生可能であるものを意味する。触媒は、しばしば、化学反応の速さ又は収率を増加させるために用いられるものであり、これらの反応を実施する個人又は事業体に、大きな経済上、効率上及びエネルギー上の利点を与え得るものである。
【0063】
本明細書において「セラミック」という用語は、通常、無機化合物、又は、非金属性の固形材料であって、主としてイオン結合又は共有結合によって保持される金属、非金属又は半金属原子を意味する。代表的なセラミックの例として、酸化物材料、窒化物材料、及びカーバイド材料が挙げられる。
【0064】
本明細書において「セラミックコア」という用語は、鋳造されつつある部品の中に、鋳造過程の後では機械加工ができないほど小さいか又は複雑な空洞を形成するために、主として用いられるセラミック構造体を意味する。セラミックコアは、多様な種類のセラミック材料から製造することができる。そのようなセラミック材料の例として、溶融シリカ、ジルコニウム及び/又はアルミナを含む材料であって、通常はセラミック粉末とバインダーとの混合物の形であるものが挙げられる。ある態様においては、セラミックコアはコートされている。ある態様においては、セラミックコアは消失性セラミックコア(sacrificial ceramic core)である。
【0065】
本明細書において「連鎖移動」という用語は、通常、連鎖重合の最中に起こり得る連鎖移動反応であって、活性の中心が、成長しつつある巨大分子又はオリゴマー分子から別の分子に、又は同じ分子の別の部位に移動して、それにより、該成長しつつある巨大分子又はオリゴマー分子の分子量を限定するものを意味する。
【0066】
本明細書において「連鎖移動剤」(「制御剤」、「変性剤」又は「調整剤」ともいう)という用語は、成長しつつあるポリマー鎖(連鎖担体)のフリーラジカル部位と反応して該ポリマー鎖の更なる成長を阻止する化合物であって、該元のポリマー鎖を不活化して新たな成長鎖を生成することができるものを意味する。連鎖移動剤は、重合過程で形成されるポリマーの分子量分布に影響を与えることができ、また、ポリマーの物理的、機械的及び熱力学的挙動に影響を及ぼすことができる。連鎖移動剤は、連鎖移動反応をするのに十分な低い結合エネルギーを有する少なくとも1つの化学結合を含んでよく、連鎖移動活性は連鎖移動定数の形で報告されており、該定数は0.001から220,000超までに及んでよい。代表的な連鎖移動剤の非限定的な例として、ハロゲン含有化合物、芳香族炭化水素及びチオール(メルカプタン)が挙げられる。
【0067】
本明細書において、オリゴマー化合物やポリマー化合物に関して単数形の「化合物」という語を用いる場合は、そのような混合物の場合を含むものである。本明細書において、変性されていないオリゴマー材料やポリマー材料を指すときは、任意の平均分子量を有するオリゴマー材料やポリマー材料を意味し得る。
【0068】
本明細書において「冷却チャンネル」という用語は、通常、チャンネル又は通路であって、1つ又は2つ以上の冷却剤(気体又は液体)が流れて熱伝達を促進することができるものを意味する。
【0069】
本明細書において「架橋」という用語は、2つの鎖の間の結合を意味する。架橋は、化学的な共有結合、鎖の絡み合いなどの物理化学的相互作用、分子鎖間水素結合、結晶化に見られるような鎖配列、ウレイドピリミジノン(UPy)分子モイエティーが示す自己相補的水素結合のような超分子相互作用、イオン架橋又はイオノマー架橋、環動架橋(自由に動くことができる架橋)、1つの置換基の別の架橋相への分散及び/又は溶解によって形成される半相互貫入ネットワーク、多数の置換基の架橋によって形成される相互貫入ネットワークであって個々の置換基の間で全体が架橋されているネットワーク、液体結晶相互作用、又は他の架橋相互作用であってよい。架橋は、1つの鎖中のペンダント基と別の鎖の骨格との反応、又は、1つのペンダント基と別のペンダント基との反応によって形成してもよい。架橋は、異なる鎖の間に存在してもよいし、また、同一の鎖の中の異なる位置の間に存在してもよい。
【0070】
本明細書において「硬化性」という用語は、強靭化又は高硬度化され得るモノマー材料、オリゴマー材料、ポリマー材料、又はそれらの組成物を意味し、典型的には、これらの中にあるポリマー鎖及び/又はオリゴマー鎖の架橋又は線状重合によって強靭化又は高硬度化され得るものである。
【0071】
本明細書において「硬化する」という用語は、外部からの刺激(その非限定的な例として光、放射線、電子ビーム放射、熱、化学的添加剤(イオン性添加剤を含む)、及びこれらの組み合わせが挙げられる)を与えて架橋を誘導して材料の強靭化又は高硬度化をもたらす過程を意味する。UV硬化とは、光を用いて光硬化性ポリマーの性質を変える過程である。
【0072】
本明細書において「クリープ(creep)」という用語は、一定の応力の下での且つ(典型的には)上昇する温度においての材料の経時的な変形を意味する。クリープは、材料の特性、曝露時間、曝露温度、及び加えられた応力(荷重)の関数である。ある状況の下では、変形は、材料が機能しなくなるほど大きいことがある。変形の速さは、クリープ速度と言い、クリープひずみと時間との関係を反映するものであって、一定の温度と応力との下で、材料の寸法の変化を正確に測定することによって求められる。クリープ限界(creep limit)とは、与えられた温度(たとえば、運転温度)において一定時間(たとえば数時間)、材料のクリープが設定量を越えることなく加えることができる最大の応力を意味する用語である。1つの特定の態様においては、本明細書に開示されるセラミックモールドのクリープ特性は、従来のセラミックモールドに比べて減少し、その減少率は、約0.1%〜約10%、より具体的には、約0.1%若しくはそれより大、約0.5%若しくはそれより大、約1.0%若しくはそれより大、約3.0%若しくはそれより大、約5.0%若しくはそれより大、又は約8.0%若しくはそれより大である。
【0073】
本明細書において「硬化」という用語は、材料が高硬度化する又は安定化する過程を意味するものであって、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーが熱、湿気、触媒、電離放射線、酸若しくは塩基、酸化剤、光酸化還元剤、UV光、又は他の刺激の存在下で重合化反応を受けて直鎖状ポリマー、分岐状ポリマー、又は架橋ポリマーネットワークを形成する過程をも含むものである。
【0074】
本明細書において「可溶性」という用語は、溶解することができる材料(たとえばモールド)について言うものであり、ここで、「溶解する」という用語は、溶質の溶液への推移を意味する。更に説明すれば、「溶解する」という用語は、粒子、イオン性の種、ポリマー、オリゴマー、分子、巨大分子、又は他の分子性成分の、異質な周囲の媒体(コロイド分散液、エマルション又は他の混合物が形成されているような液体環境を含む)への拡散又は分散をも意味する。
【0075】
本明細書において「エンジン効率」という用語は、燃料に含まれるエネルギーの総量と、有効な仕事をするのに用いられたエネルギーの量との関係を意味する。燃焼温度は、ガスタービンエンジンの効率を決める1つの因子である。
【0076】
本明細書において「排気ガス温度」という用語は、タービンを出る排気ガスの温度を意味する。排気ガス温度は、排気流の中に置いた熱電対によって測定され、フライトデッキの計器に華氏温度又は摂氏温度で表示される。
【0077】
本明細書において「フィルム冷却」という用語は、圧縮機から出された抽出空気を用いたタービンブレードの冷却方法であって、該抽出空気をタービンブレードの内室に導き、その後、ブレードの壁の1つ又は2つ以上の小さい孔を介して排出することによって、ブレード外部表面に冷たい空気の層を形成し、これにより該表面を、燃焼器を出る熱い気体から保護するという冷却方法を意味する。
【0078】
本明細書において「充填剤」という用語は、通常、ポリマー組成物に添加して費用を下げ、及び/又は、その性質を改善することができる材料(典型的には、粒子状の材料)を意味する。このような材料は、固体、液体又は気体の形であってよく、また、本来的に場所を占めて主に組成物製造費の低減のために用いられる増量充填剤であってもよく、また、機能的充填剤(その非限定的な例として、補強用充填剤、ゴム状充填剤及び繊維状充填剤が挙げられる)であってもよい。
【0079】
本明細書において「フローチャンネル」という用語は、通常、微視的な大きさのチャンネルであって、1つ又は2つ以上の液体又は気体が貫通することができるものを意味する。
【0080】
本明細書において「フリーラジカル開始剤」という用語は、通常、重合反応を開始するラジカルを生成することができる有機又は無機化合物を意味する。代表的な開始剤の非限定的な例として、過酸化物及びアゾ含有化合物が挙げられる。
【0081】
本明細書において「フリーラジカル阻害剤」という用語は、通常、フリーラジカル重合反応の最中に添加することができる化合物であって、存在するラジカルと反応して該ラジカルを捕捉することができるものを意味する。このような捕捉事象は、ラジカル重合反応過程を阻害するように機能する。
【0082】
本明細書において「ガスタービンエンジン」という用語は、連続燃焼機関又は内燃機関を意味する。航空機を推進したり駆動したりするために典型的に用いられる
5種類のガスタービンエンジンとして、ターボファン、ターボプロップ、ターボシャフト、ターボジェット及びアンダクテッドファンが知られている。
【0083】
本明細書において「ゲート」という用語は、材料がモールドのキャビティーに進入する位置を意味する。ゲートの種類として、たとえば、サブ、エッジ、ファン及びカシューが挙げられる。
【0084】
本明細書において「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0085】
本明細書において「熱伝達」という用語は、温度の差による熱(熱エネルギー)の流れ、並びに、その結果として生ずる温度分布及び温度変化を意味する。
【0086】
本明細書において「熱伝達率」という用語は、流体媒体と該流体が流れていく物体表面との間の対流熱伝達の量的特性(quantitative characteristic)を意味する。熱伝達は、局所的に測定することができる。
【0087】
本明細書において「複素環」又は「複素環式」という用語は、3〜10個(好ましくは5〜6個)の環上原子を有する単環式
、二重環式
又は多環式の環
である環状ラジカルであって、炭素原子と1〜4個のヘテロ原子とからなるものを意味する。各ヘテロ原子は、非過酸化酸素、硫黄及びN(Y)からなる群より選ばれ、Yは、無いか、又は、H、O、(C
1−C
4)アルキル、フェニル又はベンジルである。環状ラジカルは、任意により1〜3個の二重結合を含んでよいし、任意により1又は2以上の置換基で置換されていてよい。
【0088】
複素環式の環の非限定的な例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、及びキサンテニルが挙げられる。
【0089】
本明細書において「複素アリール」という用語は、5個又は6個の環上原子を含む単環式芳香族環であって、炭素原子と1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子とからなるものを意味するのであって、各ヘテロ原子は、非過酸化酸素、硫黄及びN(Y)からなる群より選ばれ、ここで、Yは、無いか、又は、H、O、(C
1−C
8)アルキル、フェニル又はベンジルである。複素アリール基の非限定的な例として、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(又は、そのN−オキサイド)、チエニル、ピリミジニル(又は、そのN−オキサイド)、インドリル、イソキノリル(又は、そのN−オキサイド)、キノリル(又は、そのN−オキサイド)などが挙げられる。「複素アリール」という用語は、また、オルト融合二重環式複素環のラジカルであって融合前の環の原子に由来する約8〜10個の環上原子を有するもの(特に、ベンゼンの誘導体、又は、ベンゼンにプロピレン、トリメチレン若しくはテトラメチレンジラジカルを融合させることによって誘導されるもの)をも意味する。複素アリールの例として、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラキソリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(又は、そのN−オキサイド)、チエンチル、ピリミジニル(又は、そのN−オキサイド)、インドリル、イソキノリル(又は、そのN−オキサイド)、キノリル(又は、そのN−オキサイド)などが挙げられる。
【0090】
本明細書において「衝突冷却」という用語は、衝突する流体の温度が衝突される表面の温度と異なるような冷却を意味する。本明細書に記載されるある態様においては、1つ又は2つ以上の衝突冷却方法が、タービンブレードの前縁、タービンブレードの翼弦中央部(mid-chord section)、又はタービンブレードの中の任意の位置で用いられる。
【0091】
本明細書において「衝突距離」という用語は、衝突孔の出口から衝突ジェットの接触位置までの距離を意味する。
【0092】
本明細書において「衝突ジェット」という用語は、円柱状の冷却空気流であって、衝突孔から流れ出て、衝突孔の出口と反対側のエアフォイル壁と接触するものを意味する。
【0093】
本明細書において「射出成形」という用語は、流動可能な材料を、任意により圧力下で、キャビティーに射出することによって部品を製造するための製造過程を意味するものであって、通常、材料は、固化、冷却、高硬度化した後にキャビティーから取り出される。この過程は、多様な種類の材料(プラスチック、ファイバー、セラミック、粉末化した金属など)をバインダーであるポリマー、並びに、多孔性増加用成分、可塑剤、キャリア、結晶化エネルギー調整剤、及び離型促進剤(demolding facilitation agent)である付加的な添加剤とともに用いて、成形体を製造するために用いることができる。射出成形アセンブリーは、1つ又は2つ以上の構成要素を有してよい。構成要素の非限定的な例として、剛体であるアウターシェルと中空の内部キャビティーとからなるモールドが挙げられる。
【0094】
本明細書において「インナーモールド」という用語は、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素に取り囲まれ又は取り巻かれたモールドを意味する。構成要素の非限定的な例として、中間層、及び、外層又はアウターシェルが挙げられる。
【0095】
本明細書において「内部冷却」という用語は、タービンブレードの冷却方法であって、タービンブレードの内部構造を(主として)利用するものを意味する。
【0096】
本明細書において「内部冷却チャンネル」という用語は、タービンブレードの内部に根のように埋め込まれて前縁から後縁へ向かう冷却チャンネルを意味する。冷却チャンネルは、その設計上の考慮事項に依存して、単一の通路又は複数の通路となるチャンネルとして形成してよい。これらの内部冷却チャンネルは、タービンブレードのエアフォイル部又はプラットフォーム部にあってよい。
【0097】
本明細書において「内燃機関」という用語は、熱機関であって、燃料の燃焼が、作動流体の流れ回路の一体的一部分である燃焼室の中で酸化剤(通常は、空気)の存在下で起こるものを意味する。内燃機関は、航空宇宙、自動車、及びエネルギーの部門を含む様々な産業部門において用いられている。
【0098】
本明細書において「インベストメント鋳造法」(「ロストワックス成形」又は「精密鋳造」ともいう)という用語は、破壊可能なコアを用いて部品を鋳造する過程であって、材料(たとえば、金属)を該破壊可能なコアの回りに鋳造するものを意味する。一旦材料が冷却した後に、破壊可能なコアは、鋳造された部品から除去され、鋳造された部品の内部に、破壊可能なコアの形状に対する反転形状を有する空洞を残す。破壊可能な又は除去可能なコアの形状は、普通、該空洞の形状のネガと称される。インベストメント鋳造のための破壊可能なコアを製造するために用いられる材料の1つは、セラミック材料である。
【0099】
本明細書において「アイオノマー種」という用語は、通常、イオン性の繰り返し単位を含むポリマー材料を意味する。
【0100】
本明細書において広く用いられる「噴射可能」という用語は、通常、3次元インクジェット印刷に用いられる硬化性組成物などの、インクジェット印刷過程に用いられる硬化性組成物の適合性を意味する。
【0101】
本明細書において「前縁」という用語は、通常、タービンブレードの前部又は鼻部を意味する。
【0102】
本明細書において、「平均粒子サイズ」という用語は、通常、粒子の集団の統計学的な平均粒子サイズ(直径)を意味する。実質的に球状の粒子の直径は、物理学的又は流体力学的直径を意味してもよい。球状でない粒子の直径は、優先的に、流体力学的直径を意味してもよい。本明細書において、球状でない粒子の直径は、粒子の表面上の2点の間の直線距離の最大値を意味してもよい。平均粒子サイズは、当分野において知られている方法、たとえば動的光散乱法、によって測定することができる。
【0103】
本明細書において「モールド」という用語は、加工器具であって、該加工器具に流動可能な材料を射出してその中で固定した形状を形成するものを意味する。
【0104】
本明細書において「成形条件」という用語は、要求される成形体を得るために成形機に設定される、シリンダー温度、射出速度、モールド温度、射出圧力などの条件を意味する。
【0105】
本明細書において「モノリシック」という用語は、単一の纏まり又は単一部分のみからなる物体を意味する。
【0106】
本明細書において「ネットワーク」という用語は、架橋によって相互に結合したオリゴマー鎖及び/又はポリマー鎖を有する実体を意味するものであり、3次元的に架橋しているものを含む。
【0107】
本明細書において「有機金属」という用語は、化合物、塩、材料又は分子であって、「金属」成分と「有機」成分との両方を含むというハイブリッドの特徴を有するものを意味する。金属成分と有機成分との結合の性質については、限定はない。ここで「金属」とは、周期律表の炭素以外の任意の元素として定義される。また、ここで「有機」とは、炭素含有を意味し、少なくとも1つの炭素原子を含む任意の基、断片、分子又は材料であってよい。
【0108】
「オルト」、「メタ」及び「パラ」という用語は、それぞれ、1,2−、1,3−、及び1,4−の2箇所で置換されているベンゼンを意味する。たとえば、1,2−ジメチルベンゼンという名称とオルトジメチルベンゼンという名称とは、同一の意味である。
【0109】
本明細書において「光開始剤」という用語は、通常、光の吸収により光反応を受ける化合物であって、該光反応により、重合反応を開始することができる反応性を有する種(ラジカル、カチオンなど)を生成する化合物を意味する。代表的な光開始剤の例として、ラジカル光開始剤及びカチオン光開始剤が挙げられる。
【0110】
本明細書において「可塑剤」という用語は、通常、転移温度(たとえば、ガラス転移温度)を下げるために、及び/又は、ポリマーを主体とする材料の粘度を下げるために、ポリマー鎖間に介在することができる化合物(添加剤)を意味する。代表的な可塑剤の例として、フタレート類、ジカーボネート類、ホスフェート類、及び脂肪酸エステル類のような材料類が挙げられる。
【0111】
本明細書において「ポリマー」という用語は、互いに結合した多数の類似の単位から、主として又は完全に構成される分子構造を有する物質を意味する。ポリマーの例として、可塑剤や樹脂として用いられる多数の合成有機材料が挙げられる。
【0112】
本明細書において「プレポリマー」という用語は、ネットワークを形成するための架橋を経ていないオリゴマー鎖又はポリマー鎖を意味する。
【0113】
本明細書において「剛性」という用語は、固体が変形に抵抗する傾向を意味する。「可撓性のある(compliant)」という用語は、力学においては、剛性と反対の意味である。
【0114】
本明細書において「ゴム」又は「エラストマー」という用語は、架橋されたネットワークポリマーを意味する。このポリマーは、「ゴム領域」の範囲内と規定される温度において変形に応答してエラストマー的挙動を示してよい。
【0115】
本明細書において「ランナー」という用語は、典型的にはモールド器具の内部に在り又はその一部であり、溶融した材料をモールド器具の中のキャビティー部分に導くスプルーと連絡するチャンネルのシステムを意味する。
【0116】
本明細書において「消失性モールド」(sacrificial mold)という用語は、通常、他の成形体を形成する過程において犠牲となって除去されたり破壊されたりするために形成される形状パターンを意味する。消失性ポリマー材料の例として、燃え尽きる材料、溶媒可溶材料、及び溶媒分解性材料が挙げられる。消失性ポリマー材料は、他の成形体の製造に用いられるネガ、ポジ、又はその他の像に形成することができる。
【0117】
本明細書において「単結晶合金」という用語は、通常、金属の混合物であって、全体が実質的に単一の粒(即ち、1つの連続的結晶)を形成するように加工(固化)され得るものを意味する。
【0118】
本明細書において「焼結」という用語は、粉末材料が加熱によって(通常、更に圧縮によって)液化することなく固体又は多孔性の塊になる過程を意味する。
【0119】
本明細書において「溶媒分解性」という用語は、一定の触媒(有機溶媒、水、水性溶媒など)の存在下、化学的環境下、又は一定の反応条件下で1つ又は2つ以上の化学反応を受けるポリマーであって、該化学反応によりイオン結合、共有結合及び/又は水素結合が開裂し、最終的に完全な又は部分的なポリマー分解を生じるものを意味する。「水分解性」ポリマーは、溶媒分解性ポリマーの1種であって、水又は水性溶媒の存在下で1つ又は2つ以上の化学反応を受け、イオン結合、共有結合及び/又は水素結合が開裂し、最終的に完全な又は部分的なポリマー分解を生じる。
【0120】
本明細書において「溶媒可溶」という用語は、普通の有機溶媒の存在下で溶解、分解、分散及び/又は膨張をすることができるポリマーを意味する。「水溶性」ポリマーは、溶媒可溶性ポリマーの1種であって、水及び/又は水性溶媒の存在下で溶解、分解、分散及び/又は膨張をすることができる。
【0121】
本明細書において「スプルー」という用語は、溶融している材料を射出成形機のノズルから射出用モールド器具全体の入口地点に導くチャンネルを意味する。
【0122】
本明細書において「ステレオリソグラフィー」という用語は、通常、3次元印刷技術の1形態であって、たとえば、典型的には好適な組成物の光重合反応を用いて、層を積み重ねる方式で、模型、原型、パターン、モールド、ダイ、製造物の部品又は構成要素などの製造に用いられる技術を意味する。
【0123】
本明細書において「置換されている」という用語は、当該官能基が1又は2以上の置換基を自分自身に結合していることを意味する。置換基の非限定的な例として、水素、ハロゲン、シアノ、アルコキシル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アミン、ヒドロキシル、オキソ、ホルミル、アシル、カルボン酸(−COOH)、−C(O)R’、−C(O)OR’、カルボキシレート(−COO−)、1級アミド(たとえば、−CONH
2)、2級アミド(たとえば、−CONHR’)、−C(O)NR’R’’、−NR’R’’、−NR’S(O)
2R’’、−NR’C(O)R’’、−S(O)
2R’’、−SR’、−S(O)
2NR’R’’、スルフィニル基(たとえば、−SOR’)、及びスルホニル基(たとえば、−SOOR’)が挙げられる。但し、上記の例において、R’とR’’とはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールであってよく、R’とR’’とは任意によりそれぞれ独立にハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ又はアリールオキシで置換されていてもよい)、アリール(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ、アルキル又はトリハロアルキルで置換されていてもよい)、ヘテロシクロアルキル(任意によりアリール、ヘテロアリール、オキソ又はアルキル(任意によりヒドロキシルで置換されていてもよい)で置換されていてもよい)、シクロアルキル(任意によりヒドロキシルで置換されていてもよい)、ヘテロアリール(任意により1又は2以上のハロゲン、アルコキシ、アルキル又はトリハロアルキルで置換されていてもよい)、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、及びジアルキルアミノカルボニル、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。或る場合には、「置換されている」という用語は、炭素鎖(たとえば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアリール基)中の、ヘテロ原子(たとえば、窒素又は酸素であるが、これらに限らない)に置換され得る1又は2以上の炭素原子の1箇所又は2箇所以上の置換を意味することもある。
【0124】
本明細書において「超分子」という用語は、通常、複数の分子成分の1つ又は複数の集まりであって、該成分が典型的には弱い、しばしば可逆な力(その非限定的な例として分子間力、水素結合、金属配位、疎水力、ファンデルワールス力、π−π相互作用、及び静電効果が挙げられる)を介して集められているものを意味する。
【0125】
本明細書において「膨張」という用語は、通常、架橋ポリマーが、溶媒中に置かれたときに、溶媒に溶解することなく、溶媒の少なくとも一部を吸収する能力を意味する。膨張は、溶媒が架橋ポリマーネットワークに貫入する能力から生ずる。
【0126】
本明細書において「熱可塑性」という用語は、巨大分子構造において直鎖状又は少し分岐状であるポリマーであって、共有結合によっては架橋していないものを意味する。
【0127】
本明細書において「熱硬化性」又は「熱硬化した」という用語は、架橋ポリマーであって、モノマー、オリゴマー又はポリマー前駆体から形成される共有結合性、超分子性、又はその他の架橋を有するポリマーを意味する。
【0128】
本明細書において「チップ」という用語は、タービンブレード又はベーンの最も外側の部分を意味する。
【0129】
本明細書において「後縁(trail edge)」という用語は、タービンブレードの後方又は尾部である後縁を意味する。
【0130】
本明細書において「器具」又「加工器具」という用語は、モールド、ダイ又は他の装置であって、様々な製造過程(たとえば可塑的射出成形、ニッケル補強、熱形成、吹込み成形、真空鋳造、ダイ鋳造、シート金属押し、水力形成、鍛造、複合積上げ加工、機械加工、アセンブリー固定など)に用いられる装置を意味する。
【0131】
本明細書において「タービンブレード」という用語は、ガスタービン又は蒸気タービンのタービン部分を構成する個々の要素を意味する。タービンブレードは回転していても静止していてもよい。静止しているブレードは、「ベーン」とも称される。ブレードは、燃焼器によって製造される高温高圧のガスからエネルギーを抽出することを担当する。ブレードは、また、燃焼器によって製造される高温高圧のガスの流れの方向を決めたり、該流れを促進したりすることを担当する。
【0132】
本明細書において「乱気流発生ピン」又は「ピン」という用語は、タービンブレードの熱交換チャンネル(たとえば、内部冷却チャンネル)に存在するピンを意味する。
【0133】
本明細書において「乱気流発生リブ」又は「リブ」という用語は、タービンブレードの熱交換チャンネル(たとえば、内部冷却チャンネル)に存在するリブを意味する。
【0134】
本明細書において「タービン入口温度」又は「TIT」という用語は、燃焼室排気ガスのタービンユニットに入るときの温度を意味する。ガスタービンの熱効率及び出力は、タービン入口温度を上げることによって向上する。
【0135】
本明細書において「粘弾性」という用語は、変形を受けるときに粘性と弾性との両方の特徴を示す材料の性質を意味する。
【0136】
本明細書において「粘度」という用語は、流れることに対する物質(典型的には、液体)の抵抗を意味する。粘度は、剪断力の概念と関係する。粘度は、流体の異なる層が、互いに抗して移動する際に、互いに又は他の表面に対して剪断力を発揮することによる結果であると理解され得る。粘度には、いくつかの尺度がある。粘度の単位は、Ns/m
2であり、パスカル−秒(Pa−s)として知られている。粘度は、「動」的でもよいし、「絶対」的でもよい。動粘度は、運動量が流体中を移動する速さの尺度であり、ストークス(St)を単位として測定される。動粘度は、重力の影響下での流体の流れにくさ(resistive flow)の尺度である。体積が等しく粘度が異なる2つの流体を同型の毛細管粘度計の中に置き、重力の下で流れるようにすると、粘度の高い方の流体は、粘度の低い方の流体に比べて、毛細管を流れるのに時間を要する。もし、たとえば、第1の流体が流れを完了するのに200秒かかり、第2の流体が流れを完了するのに400秒かかるとすれば、第2の流体は動的粘度の尺度において第1の流体の2倍の粘性を有するという。動粘度の単位は、(長さ)
2/時間 である。普通、動粘度は、センチストークス(cSt)で表される。動粘度のSI単位は、mm
2/s であり、1 cSt に等しい。「絶対粘度」は、「粘度」又は「単純粘度」とも呼ばれることがあり、動粘度と流体密度との積である。絶対粘度は、センチポイズ(cP)を単位として表される。絶対粘度のSI単位は、ミリパスカル−秒(mPa−s)であり、1 cP = 1 mPa−s である。粘度は、たとえば粘度計を与えられた1つの剪断速度で用いることにより、測定することができる。
【0137】
なお、粘度は、たとえば粘度計を与えられた複数の剪断速度で用いることにより、測定することもできる。「ゼロ剪断」粘度は、粘度対剪断速度のプロットにおいて4つの最高の剪断点に最もよく適合する直線を作り、粘度をゼロ剪断速度の位置まで直線的に外挿することによって外挿することができる。また、ニュートン流体に対しては、複数の剪断速度における粘度の値の平均をとることによって決定することができる。粘度はまた、マイクロ流体粘度計を単一又は複数の剪断速度(流速ともいう)で用いて測定することもでき、絶対粘度は、液体が経路を流れる際の圧力の変化に由来する。粘度は、「剪断応力/剪断速度」に等しい。マイクロ流体粘度計を用いて測定される粘度は、いくつかの態様においては、ゼロ剪断粘度(たとえば、コーン プレート粘度計を用いて複数の剪断速度において測定した粘度から外挿することによって得られるゼロ剪断粘度)と、直接比較され得る。
【0138】
数値範囲の例として、温度の範囲、圧力の範囲、分子量の範囲、整数の範囲、力の値の範囲、時間の範囲、厚さの範囲、及びガスの流速の範囲が挙げられる。本明細書に開示される範囲は、その範囲から合理的に教示され得る個々の可能な任意の数値や、その範囲に含まれる部分範囲及びその組み合わせを開示するものである。たとえば、1つの温度範囲の開示は、その温度範囲から教示され得る、本明細書の記載と矛盾しない、個々の可能な温度の値を意味するものと意図されている。別の例を挙げると、アニーリング工程は約5分〜30分の範囲内の時間にわたり行なうことができる旨の開示は、また、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30分の中から独立的に選択することができる時間の値、これらの数値の間の任意の範囲(たとえば、10分〜20分)、並びに、これらの時間の値の間の範囲の任意の可能な組み合わせを意味することもできる。
【0139】
II.射出成形アセンブリー
本明細書において、本明細書に記載される方法により製造される成形体の製造を直接的にも間接的にも可能にする射出成形アセンブリーが開示される。
【0140】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、成形体(たとえば、セラミックコア)の直接的な製造を可能にする。1つの態様においては、射出成形アセンブリーから直接的に製造される成形体は、第2又は最終的な成形体を製造するために用いられる。この態様においては、射出成形アセンブリーから直接的に製造される成形体は、中間成形体と称する。
【0141】
別の特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いて製造される中間成形体(たとえば、セラミックコア)を経由することによる、成形体(たとえば、タービンブレード)の間接的な製造を可能にする。
【0142】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーであって、(1)可溶性であってよいモールド、(2)任意により、該インナーモールドを包む、可撓性、粘弾性又は剛性のある中間層、但し、該中間層は、任意により該インナーモールドと分離されており、また、任意により可溶性である、及び(3)任意により、該中間層を取り囲む、可撓性、粘弾性又は剛性のあるアウターシェル、但し、該アウターシェルは任意により可溶性である、を含む射出成形アセンブリーが開示される。
【0143】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、(1)インナーモールド、(2)該インナーモールドを包む、可撓性、粘弾性又は剛性のある中間層、但し、該中間層は、任意により該インナーモールドと分離されている、及び(3)該中間層を取り囲む、可撓性、粘弾性又は剛性のあるアウターシェルを含む。ただし、成分(1)〜(3)は、任意により可溶性である。
【0144】
ある態様においては、射出成形アセンブリーは、射出成形機の中に載置されている。
【0145】
1つの特定の態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、可溶性であること、付加的に製造されていること、及びモノリシックであることのうちの1つ又は2以上の特徴を有するポリマーモールドである。1つの態様においては、インナーモールドは、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0146】
1つの態様においては、モールドは、2つの部分を有するモールド、又はモノリシックな(1つの部分のみを有する)モールドであり、たとえば、2つの部分を有するインナーモールド、又はモノリシックなインナーモールドである。
【0147】
1つの特定の態様においては、モールドは、ポリマー材料又はコポリマー材料を用いた付加的製造により製造されるモノリシックなモールドである。
【0148】
1つの態様においては、モールドは、射出成形又は鋳造に適する内部キャビティーを有する。1つの特定の態様においては、モールドは、該モールドから製造され得る最終成形体(たとえば、タービンブレード)のネガティブレプリカである内部キャビティーを有し、その一方、モールドの外側は、本明細書に開示される成形アセンブリーの容易な組立て及び分解に適する一般的な形状である。1つの特定の態様においては、インナーモールドはモノリシックなモールドである。
【0149】
通常、モールドから製造される成形体(たとえば、セラミックコア)の内部構造は、モールドの特徴要素によって形成される。1つの特定の態様においては、モールドは複数壁のセラミックモールドである。
【0150】
1つの態様においては、モールドは、該モールドから間接的に、即ち、中間成形体(たとえば、セラミックコア)を経由して、製造される最終成形体(たとえば、タービンブレード)における空洞、複合内部特徴要素、フローチャンネル、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、若しくは他の構造、又はこれらの組み合わせを形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、相互貫入ネットワーク又は半相互貫入ネットワークから選ばれる構造ネットワークを含むモールドである。
【0151】
これらの特徴要素の各々の数は、これらから間接的に製造される最終成形体の内部構造の具体的な形状に依存する。1つの特定の態様においては、モールドは、2つ若しくはそれより多い、3つ若しくはそれより多い、4つ若しくはそれより多い、5つ若しくはそれより多い、又は6つ若しくはそれより多い、特徴要素を含む。1つの態様においては、モールドは複数の特徴要素を含み、内部特徴要素は互いに分離されている。ある態様においては、該1つ又は2つ以上の特徴要素は、モールドと一体化している。
【0152】
1つの態様においては、モールドは、中間成形体(たとえば、セラミックコア)の1つ又は2つ以上の特徴要素を製造するのに好適であって、該1つ又は2つ以上の特徴要素のサイズが約1nmから約10m、より具体的には約500nmから約1m、より具体的には約1ミクロンから約1cm、より具体的には約5ミクロンから約500ミクロン、より具体的には約10ミクロンから約400ミクロン、又はこれらの具体的な寸法の任意の組み合わせである。
【0153】
1つの特定の態様においては、モールドは、中間成形体(たとえば、セラミックコア)の、スロット、孔、ピンフィン又はこれらの組み合わせから選ばれる1つ又は2つ以上の特徴要素を形成するのに適しており、該1つ又は2つ以上の特徴要素は約150ミクロンから約2000ミクロンまでのオーダーにある。具体的には、モールドは、セラミックコアの特徴要素(コア特徴要素)であって、オーダーが約150ミクロン若しくはそれより大、約200ミクロン若しくはそれより大、約250ミクロン若しくはそれより大、約350ミクロン若しくはそれより大、約400ミクロン若しくはそれより大、約450ミクロン若しくはそれより大、又は約500ミクロン若しくはそれより大であるものを形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む。
【0154】
1つの特定の態様においては、モールドは、1つ又は2つ以上の可溶性又は溶融性のインサート又はパターンを含む。1つの態様においては、これらの可溶性又は溶融性のインサート又はパターンは、射出の前にインナーモールドに挿入される。
【0155】
1つの態様においては、可溶性又は溶融性のインサート又はパターンは、デジタルライトプロセッシング、ステレオリソグラフィー技術、インクジェット印刷、又は熱溶解積層法の直接描画を用いて付加的に製造される。別の1つの態様においては、これらのインサート又はパターンは、従来の製造技術(その非限定的な例として、射出成形が挙げられる)を用いて製造される。1つの特定の態様においては、インサート又はパターンは、混合された技術によって製造される。
【0156】
1つの態様においては、可溶性のモールドは、1つ又は2つ以上のロッド(たとえば、セラミックロッド、溶融石英ロッド)を該可溶性のモールドに挿入して中間成形体(セラミックコア)と一体化することを可能にする1つ又は2つ以上の孔を有する。該1つ又は2つ以上の孔の形状は多様であってよく、たとえば、孔の断面は、円形、管状、卵形(ovular)、正方形、長方形、三角形、台形、又は多角形であってよい。ある態様においては、孔の断面の幅及び長さの最小値・最大値は、約100nmと1mとの間、500nmと100cmとの間、1ミクロンと1cmとの間、200ミクロンと10mmとの間、又はこれらの任意の組み合わせの範囲にある。
【0157】
1つの特定の態様においては、モールドは、内部キャビティーと連結した外側キャビティーとを有するコア/シェル モールドである。ある態様においては、コア/シェル モールドは、最終成形体(エアフォイル外側)にプラットフォーム部、エンジェルウィング部、ダブテール部、シャンク(shank)部、及びファーツリー(fir tree)部から選ばれる特徴要素を形成するのに適する。
【0158】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、2つ又はそれより多くのセラミックコアを同時に製造することを可能にする。別の1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、3つ若しくはそれより多くの、4つ若しくはそれより多くの、又は5つ若しくはそれより多くのセラミックコアを同時に製造することを可能にする。
【0159】
1つの特定の態様においては、モールドは、消失性(sacrificial)の又は除去可能なモールドである。1つの態様においては、モールドは、可溶性のモールド、即ち、液体又は溶媒に溶解することによって溶解されることができるモールドである。溶解液は、たとえば、水性溶液、有機溶媒若しくは水、又は酸性若しくは塩基性の溶液であってよい。1つの特定の態様においては、モールドは、溶解液(たとえば、環境)に溶解する少なくとも1つのポリマー又はコポリマーを含む溶解モールドである。
【0160】
1つの態様においては、モールドは、水性環境において、約72時間以内若しくはそれよい短い時間以内、より具体的には、約24時間以内、約20時間以内、約18時間以内、約16時間以内、約14時間若しくはそれよい短い時間以内、より具体的には、約12時間以内、約8時間以内、約6時間以内、約4時間以内、約2時間、約1時間若しくはそれよい短い時間以内、に溶解する。
【0161】
1つの態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、水によって溶解することができる。1つの特定の態様においては、モールド(たとえば、インナーモールド)は、水によって、約1時間〜約72時間、より具体的には、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、又は約24時間、約1時間〜約72時間、より具体的には、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、又は約24時間という時間範囲で溶解することができる。
【0162】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、溶解液又は溶媒による溶解又は分解の後に極小の膨張挙動を示すことによって特徴づけられる可溶性のポリマーモールドである。1つの態様においては、該極小の膨張挙動は、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満の量のポリマー体積の増加により特徴付けられる。ある態様においては、可溶性のモールドは、モノリシックで可溶性のモールド、より具体的には、付加的に製造されたモノリシックで可溶性のモールドである。
【0163】
1つの特定の態様においては、モールドは、溶解性のポリマー コア/シェル モールドである。
【0164】
ある態様においては、溶解するポリマー コア/シェル モールドの外側キャビティーは、特徴要素を有し、また、1ミクロン〜10mm、より好ましくは25ミクロン〜2.5mm、より好ましくは100ミクロン〜2mm、より好ましくは300ミクロン〜1.75mm、より好ましくは400ミクロン〜1.5mmの範囲の壁の厚さを示す。特徴要素は、プラットフォーム部、エンジェルウィング部、ダブテール部、シャンク部、ファーツリー部、又はタービンエアフォイルの他の特徴要素であってよい。
【0165】
1つの特定の態様においては、可溶性のインナーモールドを、金属、エンジニアリングポリマー、複合材料又は織布を含む外側のシート状又はリボン状のアセンブリーを張力下で用いて工具に固定し、それにより可溶性のインナーモールドに圧縮を加え、該シート状又はリボン状のアセンブリーが可溶性のインナーモールドの表面と契合して、可溶性のインナーモールドの表面の一部又は全部を覆うようにする。任意により、エラストマー材料、粘弾性材料又は剛性材料を含む中間層を可溶性のインナーモールドと外側のシート状のアセンブリーとの間に置き、荷重を均一に又は所望の態様で可溶性のインナーモールドに分配してよい。
【0166】
1つの特定の態様においては、モールドは、可溶性のダイである。
【0167】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、モールドを射出成形に用いるのに適するようにする物理的・熱力学的性質(機械的強度、強靭性、モジュラス、熱安定性など)を示す。
【0168】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、製造過程において約0℃から約300℃までの範囲、より具体的には約15℃から約200℃までの範囲、より具体的には約120℃から約160℃まで又は約40℃から約140℃までの範囲の温度、且つ、約1ccm/sと約30ccm/sとの間、より具体的には約3ccm/s〜約20ccm/sの射出速度という条件に耐える。
【0169】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約1Paから約10GPaまでの範囲の圧力、より具体的には約1Paから約1GPaまでの範囲の圧力、より具体的には約0.1MPaから約1000MPaまでの範囲の圧力、より具体的には約1MPaから約50MPaまでの範囲の圧力に耐える。
【0170】
更に別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約1cP若しくはそれより大、約20cP若しくはそれより大、約200cP若しくはそれより大、約1000cP若しくはそれより大、約10,000cP若しくはそれより大、又は約30,000cP若しくはそれより大、の射出粘度に耐える。
【0171】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、流動性のセラミック(たとえば、シリカやアルミナを主体とするセラミック組成物)の射出温度、圧力及び粘度において使用することに適する。
【0172】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、高い強靭性を示す。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、0.05MJ/m
3超、0.25MJ/m
3超、2.5MJ/m
3超、又は12.5MJ/m
3超の強靭度を示す。
【0173】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、高い引張強度を示す。1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、5.0MPa超、好ましくは10.0MPa超、15.0MPa、又は20.0MPa超の引張強度を示す。
【0174】
更なる1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、一定の組成物に対して高い耐溶媒性又は耐薬品性を示す。たとえば、有機溶媒中又は腐食性環境下において、24時間超、又は1週間超、又は2週間超の耐性を示す。
【0175】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、溶媒(その非限定的な例として、水及び有機溶媒が挙げられる)に溶解又は分解したときに小さい膨張挙動を示す。
【0176】
1つの態様においては、該小さい膨張挙動は、溶解又は分解の間のモールドの体積の約200体積%未満、好ましくは約50体積%未満、更に好ましくは約10体積%未満の増加によって特徴付けられる。
【0177】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、約−50℃と約400℃との間、更に好ましくは約20℃と約200℃との間、更に好ましくは約45℃と約150℃との間、更に好ましくは約80℃と約130℃との間のガラス転移温度を示す。
【0178】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、たとえば約−80℃と約400℃との間、好ましくは約20℃と約200℃との間、更に好ましくは約45℃と約150℃との間、更に好ましくは約80℃と約130℃との間の調整可能な結晶溶融温度を示す。
【0179】
1つの態様においては、可溶性のモールド(たとえば、付加的に製造された可溶性モノリシックモールド)は、光学的透明性によって特徴付けられる。
【0180】
1つの特定の態様においては、インナーモールドは、弾性ポリマー層(中間層)を備えた圧縮シェル(compression shell)(アウターシェル)の一半分(half)の中に置かれる。付加的に製造されたモノリシックモールド(インナーモールド)は、圧縮シェル(アウターシェル)の内側を覆う弾性ポリマー層(中間層)の表面に置かれ、射出中にモールドの外側にかかる圧力を均等な又はより均等な態様で分配することに寄与する。圧縮シェルは、組み立てられて射出成形過程において最終成形体を製造するために用いられる。一旦モノリシックモールドに首尾よく射出が行なわれると、モノリシックモールドは、圧縮シェルから取り出され、溶解液に入れられる。すると、溶解液は、付加的に製造されたモノリシックモールドを射出成形された材料から除去する。
【0181】
ある態様においては、本明細書に開示される射出成形アセンブリーは、射出成形の工程を減らすこと及びユニークな分解能力(たとえば、射出成形アセンブリーのための抗癒着性の向上)を可能にする。
【0182】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーは、1つ又は2つ以上の付加的構成要素を更に含む。その非限定的な例として、射出ユニット又は可塑化装置が挙げられる。これは、溶融した材料(ポリマー)を製造してそれをモールドに移すものであり、溶融した材料はその後固化する。
【0183】
任意により、射出成形アセンブリーは、射出成形システムの一部である。ある態様においては、射出成形システムは、ソフトウェア構成要素を更に含む。
【0184】
射出成形システムのエラストマー成分は、様々な組成であってよい。1つの態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分は、白金触媒下で得た又は湿気で硬化したシリコーンゴム、ポリウレタン半結晶エラストマー、ポリオレフィンゴム、アクリルエラストマー、又はチオール−エン エラストマーを含む。
【0185】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの粘弾性成分は、半結晶直鎖状ポリマー、チオール−エン ポリマー、アクリルネットワークポリマー、直鎖状アクリルポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、チオール−エン ポリマー、芳香族シリコーン、エポキシ/アミン熱硬化性ポリマー、エポキシ/アルコール熱硬化性ポリマー、又はエポキシ/チオール熱硬化性ポリマーを含む。
【0186】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの剛性成分は、半結晶直鎖状ポリマー、チオール−エン ポリマー、アクリルネットワークポリマー、直鎖状アクリルポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(ビスフェノールA)カーボネート、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、チオール−エン ポリマー、芳香族シリコーン、エポキシ/アミン熱硬化性ポリマー、エポキシ/アルコール熱硬化性ポリマー、又はエポキシ/チオール熱硬化性ポリマー、イオン性塩を含む熱硬化性ポリマー、それらの相互貫入ネットワークを含む。
【0187】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分、粘弾性成分又は剛性成分は、任意により、無機粒子又はセラミック粒子を充填して、調整可能なモジュラス、強度及び/又は誘電率を有する複合材料となるようにしてもよい。無機充填剤やセラミック充填剤の例として、ヒュームドシリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭化ホウ素、チタン化ストロンチウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、二硫化モリブデン、又はカルシウムカーボネートが挙げられる。
【0188】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の量は、約0.1体積%から約40体積%まで、より具体的には約1体積%から約20体積%まで、より具体的には約1体積%から約10体積%まで、より具体的には約1体積%から約7体積%までの範囲である。
【0189】
1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の粒径は、約0.1nmから約10mmまでの範囲である。1つの態様においては、射出成形アセンブリーの成分の有機充填剤やセラミック充填剤の粒径は、0.1nmから10mmまで、より具体的には1nmから5mmまで、より具体的には50nmから2mmまで、より具体的には100nmから1000ミクロンまでの範囲である。
【0190】
射出成形アセンブリーの成分の物理特性は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーのエラストマー成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約100kPaから約80MPaまで、より具体的には約1MPaから約50MPaまで、より具体的には約3MPaから約30MPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。
【0191】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの粘弾性成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約10MPaから約1000MPaまで、より具体的には約50MPaから約900MPaまで、より具体的には約100MPaから約800MPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。[000186
【0192】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの剛性成分は、約20℃、1Hzにおける動的機械分析において、約50MPaから約500GPaまで、より具体的には約100MPaから約250GPaまで、より具体的には約500MPaから約240GPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを示す。
【0193】
可溶性のインナーモールドの組成は、多様であってよく、任意の好適な可溶性の組成、たとえば可溶性のポリマー組成であってよい。
【0194】
1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含む:(i)1つ又は2つ以上の電子不足モノマー;(ii)任意により、1つ又は2つ以上の電子豊富モノマー;(iii)1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤;及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤。
【0195】
1つの態様においては、電子不足モノマーは、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ブタン酸マレイミド、他のマレイミド、マレイン酸無水物、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、1,2−ジシアノエチレン、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0196】
1つの態様においては、電子豊富モノマーは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルイミダゾール、ブチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ビニルエーテル、ビニルアセテート、ベンゾフラン、インドール、1−メチルインドール、スチレン、スチレン誘導体、4−ヒドロキシスチレン、スチルベン、スチルベン誘導体、水酸化スチルベン化合物、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、1−ピロリジノ−1−シクロペンテン、1−(トリメチルシリルオキシ)シクロペンタン、炭酸ビニレン、1−モルホリノシクロヘキセン、1−モルホリノシクロペンテン、1−ピロリジノ−1−シクロヘキセン、フェニルビニルスルフィド、9−ビニルカルバゾール、トリメチル(ビニルオキシ)シラン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0197】
別の1つの特定の態様においては、インナーモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含むモールドである:(i)1つ又は2つ以上のイオン/塩含有モノマー;(ii)溶媒に溶解可能又は分解可能なポリマーを形成することができる1つ又は2つ以上のモノマー;(iii)任意により、1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤;及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤。
【0198】
1つの態様においては、1つ又は2つ以上のイオン/塩含有モノマーは、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、及びその半水和物、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸カルシウム、及びその半水和物、メタクリル酸銀(I)、アクリル酸リチウム、メタクリル酸リチウム、3−スルホプロピルアクリレート カリウム塩、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリル酸ニッケル(II)、アクリル酸ハフニウム(IV)、アクリル酸亜鉛(II)、カルボキシエチルアクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸ジルコニウム(IV)、メタクリル酸ジルコニウム(IV)、アクリル酸銅(II)、バリウム(II)からなる群より選ばれる。
【0199】
1つの態様においては、溶媒に溶解可能又は分解可能なポリマーを形成することができる1つ又は2つ以上のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−カルボキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−(3−メトキシプロピル)アクリルアミド、N−(3−エトキシプロピル)アクリルアミド、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エチレングリコール フェニルエーテル アクリレート、ジ(エチレングリコール)エチルエーテル アクリレート、ジ(エチレングリコール)−2−エチルヘキシルエーテル アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチル アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル アクリレート、ドデシルアクリレート、2−カルボキシエチル アクリレート オリゴマー、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシル アクリレート、イソボミルアクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、4−ビニルピリジン、4−アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルイミダゾール、3−スルホプロピルアクリレート カリウム塩、メトキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、エトキシエチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、エトキシプロピルアクリルアミド、プロポキシメチルアクリルアミド、プロポキシエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アルキルアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセテート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル メタクリレート、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ウレイドメタクリレート、N−スクシンイミジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、エチレングリコール メチルエーテル メタクリレート、トリエチレングリコール メチルエーテル メタクリレート、水酸化されたアクリレート又はメタクリレートと有機無水物との反応に由来するモノマー、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0200】
別の1つの特定の態様においては、可溶性のモールドは、次の物の反応生成物である硬化組成物を含む:(i)1つ又は2つ以上のアルケンモノマー;(ii)1つ又は2つ以上のポリチオールモノマー;及び(iii)1つ又は2つ以上のキャッピング剤及び/又は連鎖移動剤、ただし、該1つ又は2つ以上のアルケンモノマー、該1つ又は2つ以上のポリチオールモノマー、又はこれらの両方は、溶媒に溶解可能又は分解可能な無水物結合を有する。1つの態様においては、1つ又は2つ以上のアルケンモノマーは、クロトン酸無水物、メタクリル酸無水物及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。別の1つの態様においては、1つ又は2つ以上のポリチオールモノマーは、リナロール ジメルカプタン、テルピノレン ジメルカプタン、テルピネン ジメルカプタン、ゲラニオール ジメルカプタン、シトラール ジメルカプタン、ジシクロペンタジエン ジメルカプタン、ノルボマジエン ジメルカプタン、レチノール ジメルカプタン、レチノール トリメルカプタン、レチノール テトラメルカプタン、ベータ−カロテン ポリメルカプタン、メルカプタン含有環状アルケン、3級メルカプタン、脂環式メルカプタン、多官能性3級メルカプタン、2級メルカプタンと3級メルカプタンとの混合物、メルカプタン含有2級脂環式アルケン、メルカプタン含有多環式アルケン、トリビニルシクロヘキセン ジメルカプタン、トリビニルシクロヘキセン トリメルカプタン、ポリメルカプタン、脂環式メルカプタン、及びビニルシクロヘキセンからなる群より選ばれる。
【0201】
上記の諸態様における1つ又は2つ以上の触媒及び/又は促進剤は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、1つ又は2つ以上の触媒は、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、アンモニウム コバルト サルフェート ヘキサハイドレート、ビス(アセチルアセトネート)ジオキソモリブデン、カドミウムアセチルアセトネート、コバルト(II)アセテートテトラハイドレート、コバルト(III)アセチルアセトネート、銅(II)アセチルアセトネート、鉄(III)アセチルアセトネート、マンガン(III)アセチルアセトネート、テトラブチルオルトチタネート、テトラエチルアンモニウム テトラクロロコバルテート、テトラブチルアンモニウム ジクロメート、マグネシウム アセチルアセトネート ジハイドレート、亜鉛アセチルアセトネート ハイドレート、ガリウム アセチルアセトネート、チタン ジイソプロポキシド ビス(アセチルアセトネート)、チタン(IV)イソプロポキシド、トリブチルボレート、トリエチルボレート、トリエチルホスファイト、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニウム−1−プロパンスルホネート、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩、3−ピリジニオ−1−プロパンスルホネート、クエン酸、トリエチレンジアミン、ピペラジン、テトラブチルアンモニウム 水素サルフェート、テトラエチルアンモニウム トルエンスルホネート、テトラブチルアンモニウム ブロマイド、テトラエチルアンモニウム ブロマイド、リチウム アセチルアセトネート、リチウムイオジド、リチウム パークロレート、リチウム テトラフェニル ボレート、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0202】
上記の諸態様における1つ又は2つ以上のキャッピング剤又は連鎖移動剤は、ドデシル−3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[2−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラエチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,10−デカンジチオール、エチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、2−メルカプトエタノール、単官能性脂肪族直鎖状チオール、単官能性脂肪族分岐チオール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、3級ドデシルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ジペンテンジメルカプタン、メチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、sec−ブチルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、3級メルカプタン混合物、tert−ブチルメルカプタン、グレープフルーツメルカプタン、チオグリコール酸、チオ乳酸、3−メルカプトプロピオン酸、アンモニウム チオグリコレート、モノエタノールアミン チオグリコレート、ナトリウム チオグリコレート、カリウム チオグリコレート、2−エチルヘキシル チオグリコレート、イソオクチル チオグリコレート、イソトリデシル チオグリコレート、グリセリル チオグリコレート、グリセリル ジメルカプトアセテート、ペンタエリスリトール テトラメルカプトアセテート、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、イソ−トリデシル−3−メルカプトプロピオネート、オクタデシル−3−メルカプトプロピオネート、エトキシル化トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)、モノエタノールアミン チオラクテート、チオジグリコール酸、ジアンモニウム ジチオグリコレート、ジ(2−エチルヘキシル)チオジグリコレート、メチレン ビス(ブチルチオグリコレート)、チオジプロピオン酸、ジチオビス(ステアリルプロピオネート)、チオグリセロール、ジチオグリセロール、トリフェニルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリオクチルシラン、tert−ブチルジメチルシラン、トリエチルシラン、トリイソプロピルシラン、トリブチルシラン、トリイソブチルシラン、トリオクチルシラン、及びtert−ブチルジメチルシランからなる群より選ばれる。
【0203】
本明細書に開示される射出成形アセンブリーは、任意により、中間層を含む。中間層は、射出中、インナーモールド層、中間モールド層及びアウターモールド層の全体に圧力を分配し、射出又は他の力(内部の力でも外部の力でもよい)を層の間で移動することなどの機能を発揮することに適している。ある態様においては、中間層は付加的に製造される。任意により、中間層は可溶性である。
【0204】
1つの特定の態様においては、中間層、及び、任意により、剛性のアウターシェルは、射出中、可溶性のモールドのセラミックロッド又は溶融石英ロッドを支えるための、又は、射出中、可溶性のモールドのセラミックロッド又は溶融石英ロッドの適正な位置を確保するための、1つ又は2つ以上の窪み又は孔を有する。
【0205】
中間層のデザインは、多様であってよい。1つの態様においては、中間層は、2つ又は3つ以上の構成要素を含む。別の1つの特定の態様においては、中間層は、3つ又は4つの構成成分を含む。
【0206】
1つの特定の態様においては、中間層は、約1nmから約1mまで、より具体的には約1nmから約10mmまで、より具体的には約100nmから約5mmまで、より具体的には約1ミクロンから約1000ミクロンまでの範囲の厚さ(幅)を有する。
【0207】
1つの好ましい態様においては、中間層は、約1nmから約5cmまで、より具体的には約1ミクロンから約1mmまで、より具体的には約5ミクロンから約500ミクロンまで、より具体的には約10ミクロンから約75ミクロンまでの範囲のギャップを介して、アウターシェルと契合する。
【0208】
中間層の組成は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーは、有機、無機、セラミック、金属、複合材料、熱可塑性ポリマー又は他の種類の粒子を含む中間層を含み、該粒子の粒径は、約0.1nmから約10mmまで、より具体的には約1nmから約5mmまで、より具体的には約50nmから約2mmまで、より具体的には約100nmから約1000ミクロンまでの範囲である。
【0209】
1つの特定の態様においては、中間層は、熱硬化性エラストマー的ポリマーを含む。1つの態様においては、熱硬化性エラストマーは、白金触媒下で得たシロキサン樹脂又は湿気硬化したシリコーンである。
【0210】
別の1つの態様においては、中間層は、周囲温度においてエラストマー的、粘弾性的、又はガラス状である熱硬化性ポリウレタンを含む。
【0211】
別の1つの態様においては、中間層は、周囲温度においてエラストマー的、粘弾性的、又はガラス状である熱硬化性エポキシ樹脂を含む。
【0212】
1つの態様においては、中間層は、フッ素ポリマー、ケイ素若しくはシリコーン含有ポリマーエラストマー、C
6−C
110+炭化水素鎖、又は親水性の層若しくはコーティングを含む。これらの例として、多糖類、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の水酸基を含む化合物などの、水性・極性の有機分子又は巨大分子が挙げられる。
【0213】
1つの態様においては、中間層は粉末層である。
【0214】
1つの特定の態様においては、中間層は、有機、無機、セラミック、金属、複合材料、及び熱可塑性ポリマーの成分を含む粉末を含む。中間粉末層は、粉末圧縮技術を用いて押し固めてよい。任意により、液体を粉末に添加してボイド部分を無くしてよい。1つの態様においては、液体は、有機油、イオン性液体、水又は有機溶媒である。
【0215】
中間粉末層は、冷却粉末圧縮技術を用いて押し固めて、約10%〜約99%、より具体的には約30%〜約95%、より具体的には約55%〜約90%のタップ密度となるようにしてよい。中間粉末層は、約1kPaから約100GPaまで、より具体的には約10kPaから約10GPaまで、より具体的には約100kPaから約1GPaまで、より具体的には約1MPaから約100MPaまでの範囲の圧力で、粉末圧縮技術を用いて押し固めてよい。
【0216】
中間粉末層は、砂、シリカ、ポリマー(たとえば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン粉末及び/又は炭水化物(たとえば、セルロース及び他のポリエーテルポリマー種)を主体とする粉末))を含んでいてよい。中間粉末層は、押し固めの後において、0.1%と40%との間、より具体的には1%と30%との間、より具体的には2%と27%との間、より具体的には3%と20%との間のボイド分率を有してよい。任意により、液体を粉末に添加してボイド部分を無くしてよい。
【0217】
1つの特定の態様においては、中間層は流体を含む。1つの態様においては、流体は、有機油、イオン性液体、水又は有機溶媒から選ばれる。
【0218】
1つの特定の態様においては、中間層は流体を含む。
【0219】
1つの特定の態様においては、中間層は、圧縮不可能の流体(たとえば、油、水)、加圧された圧縮可能の流体(たとえば、圧縮された空気、窒素又は二酸化炭素)、又は、凝縮物、圧縮可能の流体及び圧縮不可能の流体の混合物を含む。この態様における使用に適する圧縮不可能の流体の例として、シリコーン油、炭化水素油、有機溶媒、溶融した炭化水素ワックス、水、及び溶融したイオン性液体が挙げられる。この態様においては、可溶性であるインナーモールドの外表面とアウターシェルの内表面との間のボイド部分を圧縮不可能の流体で満たすことで、アセンブリーの中間層におけるボイド部分を最小にしたり無くしたりする。圧縮不可能の流体がアウターシェルと可溶性であるインナーモールドとの間に完全に閉じ込められるように、アウターシェルは密封される。
【0220】
または、アウターシェルと可溶性のインナーモールドとの間のキャビティーは、圧縮可能な流体で圧力を加え、流動性の材料(たとえば、セラミックスラリー)をアセンブリーに射出するために用いられる射出圧力より低い、又はこれと同じ、又はこれより高い圧力レベルにする。この態様における使用に適する圧縮可能の流体の例として、空気、窒素及び二酸化炭素が挙げられる。この態様においては、射出力は、可溶性である挿入壁を介して、更に圧縮不可能又は圧縮可能の流体である中間層を介して、アウターシェルに伝達される。この、流体を主体とする中間層は、可溶性のモールドのキャビティーの圧力がアウターシェルに閉じ込められた圧縮不可能又は圧縮可能の流体の圧力によって打ち消され又は相殺されることで、可溶性のモールドに働く有効な力を減ずる。
【0221】
1つの態様においては、射出力は、可溶性の挿入壁を介して、更に圧縮不可能又は圧縮可能の流体である中間層を介して、アウターシェルに伝達される。この、流体を主体とする中間層は、可溶性のモールドの内部キャビティーの圧力がアウターシェルに閉じ込められた圧縮不可能又は圧縮可能の流体の圧力によって打ち消され又は相殺されることで、可溶性のモールドに働く有効な力を減ずる。この態様においては、圧縮可能又は圧縮不可能である中間層は、可溶性のモールド又はその表面の変位を減じ、可溶性のモールドに働く有効な応力を減ずるように、機能する。
【0222】
この態様においては、圧縮可能又は圧縮不可能である中間層は、可溶性のモールド又はその表面の変位を減じ、可溶性のモールドに働く有効な応力を減ずるように、機能する。中間層に使用するのに適する圧縮不可能の流体の粘度は、約1cPから約1000cPまで、より具体的には約1cPから約400cPまで、より具体的には約1cPから約100cPまで、より具体的には約11cPから約60cPまでの範囲である。この態様の中間層に使用するのに適する圧縮可能の流体の圧力は、約1Paから約1GPaまでの範囲、より具体的には約0.1MPaから約1000MPaまでの範囲、より具体的には約0.1MPaから約50MPaまでの範囲である。この態様の中間層に使用するのに適する圧縮可能又は圧縮不可能の流体の温度は、約0℃から約300℃までの範囲、より具体的には約15℃から約200℃までの範囲、より具体的には約15℃から約140℃までの範囲である。
【0223】
本明細書に記載される射出成形アセンブリーは、任意により、アウターシェルを含む。アウターシェルのデザインは、多様であってよい。1つの態様においては、アウターシェルは、2つ又は3つ以上の構成成分を含む。別の1つの態様においては、アウターシェルケーシングは、3つ又は4つ以上の構成成分を含む。
【0224】
アウターシェルの組成は、多様であってよい。1つの特定の態様においては、アウターシェルは、金属、セラミック、熱硬化性ポリマー、エンジニアリング熱可塑性プラスチック、及び他の材料からなる群より選ばれる材料を含む。1つの特定の態様においては、アウターシェルは、アルミニウム及び鋼からなる群より選ばれる金属材料を含む。1つの特定の態様においては、セラミックは、エンジニアリングセラミックであり、より具体的には、金属酸化物、金属炭化物及び金属窒化物からなる群より選ばれるエンジニアリングセラミックである。1つの態様においては、セラミックは、複合セラミックである。別の1つの特定の態様においては、熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、耐衝撃性ポリスチレン、及びポリプロピレンからなる群より選ばれる。更なる1つの特定の態様においては、熱硬化性ポリマーは、エポキシ、フェノール類、シリコーン及びポリエステルからなる群より選ばれる。これらの材料は、得られるアウターシェルの全体的な性能及び/又は外観を向上させるための1つ又は2つ以上の添加剤を含んでいてよい。
【0225】
1つの特定の態様においては、アウターシェルは剛性であり、1Hz、約20℃における動的機械分析において、50MPaから500GPaまで、より具体的には100MPaから250GPaまで、より具体的には500MPaから240GPaまでの範囲の貯蔵モジュラスを有する。
【0226】
ある態様においては、アウターシェルは付加的に製造される。
【0227】
他の態様においては、アウターシェルは、たとえば、水性環境、有機溶媒、超臨界流体、イオン性流体、溶融した分子性の種、及び他の溶媒に可溶である。
【0228】
1つの特定の態様においては、アセンブリー(アセンブリー全体でもよいし、アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素でもよい)は、付加的に製造されたものである。本明細書に開示されるアセンブリーの構成要素を形成するのに適する付加的製造技術の例として、ステレオリソグラフィー法(SLA)、デジタルライトプロセッシング法(DLP)、インクジェット印刷、直接描画、及び他の付加的製造方法が挙げられる。他の付加的製造方法の例として、光重合を選択的に行って所望の構造パターンを有する成形体を形成する交互吸着法(layer by layer process)を用いて紫外線又は可視光線を照射し、照射によって各層が形成された後、高硬度化された各層を、その層が制御された又は所望の方式で高硬度化された位置から動かし、更なる層を光に曝した後に高硬度化し、高硬度化されたその層が既に形成された層に適切な方式で接着することができるようにする、付加的製造方法を挙げることができる。これらの付加的製造方法は、材料/ハードウェア/ソフトウェアのための工学的システム統合パラメーター(engineered systems integration parameters)によって制御してよい。
【0229】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素(たとえば、インナーモールド)は、光ポリマー射出法、即ち、インクジェット印刷で用いられる技術とステレオリソグラフィー法で用いられる技術とを組み合わせた付加的製造方法によって製造される。インクジェットプリントヘッドの配列は、造形材料及び支持材料の小滴を堆積し、これによりインクジェット印刷におけるように構成要素である各層を形成する。造形材料は、ステレオリソグラフィー法におけるように、各層が堆積した後に紫外ランプによって硬化される液体光ポリマーである。
【0230】
1つの特定の態様においては、射出成形アセンブリーの1つ又は2つ以上の構成要素(たとえば、インナーモールド)は、デジタルライトプロセッシング法(DLP)、即ち、光学的に透明な窓を介して光硬化性ポリマー樹脂を入れた容器(vat)に一時に1つの層を投射することによって3次元物体を形成し、その結果、樹脂は高硬度化して投射された光の形状となる、交互吸着光造形法(layer by layer stereolithographic process)によって製造される。DLP印刷の当初の層は樹脂となって、高硬度化した当初の層は、造形ヘッド又はそれに連結した支持体に接着する。その後、高硬度化した各層は、その層より前に高硬度化した層に接着する。DLP印刷の造形ヘッドは、ソフトウェア/ハードウェアを用いて機械的に制御されて正又は負の垂直方向に動く。
【0231】
1つの特定の態様においては、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部、中間、外側構成要素を、傾斜機能材料となるように付加的製造方法を用いて形成してよい。この傾斜機能材料は、ポリマー、セラミック、複合材料又は金属の成分を選択的な混合量比で含み、それにより、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部、中間、外側構成要素の物理的、熱力学的及び構造的性質を適切に変更することができる。傾斜機能材料成分のモジュラスは、約0.1MPa/ミクロンから約100GPa/ミクロンまで、より具体的には約0.1MPa/ミクロンから約11GPa/ミクロンまで、より具体的には約0.5MPa/ミクロンから約500MPa/ミクロンまで、より具体的には約1MPa/ミクロンから約100MPa/ミクロンまでの範囲であってよい。
【0232】
図1は、本明細書に開示される射出成形アセンブリーの1つの態様を示すものであって、該射出成形アセンブリーは、付加的に製造されたインナーモールドと、物体のほぼ中央(107、108)において2等分されたアウターシェル(101、102)とを有している。
図1に表されたアセンブリーは、2つの部分(103、104)の形にアウターシェルを付加的に製造することを含む製造方法を用いて形成してよい。これら2つのアウターシェル部分が組み合わされると、2つのアウターシェル部分は、射出成形(106)を含む過程において流動性の材料(たとえば、セラミックスラリー)を射出して入れるのに適する開かれた内部ネガティブキャビティーを有する構造を形成する。アウターシェルの材料は、金属(たとえば、アルミニウム、鋼)、セラミック、熱硬化性ポリマー、エンジニアリング熱可塑性プラスチック、又は他の材料から機械加工で製造してもよし、金属、プラスチック、セラミック、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーから付加的に製造してもよい。
【0233】
モールドと圧縮シェルとを製造した後、熱硬化性のポリマー又は熱硬化性の複合材料ブレンド(105)を圧縮シェルの各半分の内側のキャビティーに射出して、硬化するための時間を与えてもよい。硬化性で射出され得るポリマーは、A+Bシリコーン前駆体(たとえば、白金触媒下で得たシロキサン樹脂、湿気で硬化したシリコーン)、熱硬化性ウレタン又は熱硬化性エポキシを含んでいてよく、硬化後には、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとの間の支持層として機能するのに適する。この中間の支持層は、モールドの外側と圧縮シェルの内側とは完全に契合しなければならないという要求を減ずるのに適し、また、本明細書に開示される射出成形のためのアセンブリーにおいて実現される内側層、中間層及び外側層の契合界面を提供するのに適する。インナーモールドの外側とアウターシェルの内側とが契合できる形状でない場合に、該中間層は、このような構造的特徴を有する内側層と外側層との間で等しく荷重を伝達するなどの機能をするのに適する。
【0234】
射出のための圧縮シェルとモールドとを組み立てるために、付加的に製造されたモールドの一半分(half)(104)は、圧縮シェルの一半分(half)(101)の中に置いてもよい。この過程は、圧縮シェルの一半分(103)とモールドの一半分(102)とに関しても繰り返される。シェルとモールドとを含む完成されたアセンブリーは、一半分(101)、一半分(104)、ネガティブキャビティー(106)、一半分(103)、及び一半分(102)を特徴とする。完成されたアセンブリーは、射出成形機に適切に装着することができ、射出成形材料を射出して入れることができる。一旦材料をモールドに首尾よく射出すれば、これを、アセンブリーの半分を除去することによって回収することができる。この時点において、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとを再び使用してよいし、また、付加的に製造された
モールドを捨てて、新たにデザインし直してもよい。新たなモールドを選定するときは、付加的に製造される該モールドは、圧縮シェルの内側とおおよそ契合する外側を有するが、モールドの内側は大幅に多様であってよい。
【0235】
図2は、2つの部分を有する圧縮シェルを、付加的に製造されたモノリシックモールドを支持するために用いることが可能で、付加的に製造されたモノリシックモールドは射出成形過程の後に溶解により除去される、という態様を示す。溶解により除去され得るモノリシックモールドを創出する能力は、標準的な射出成形に内在する根本的なデザインの問題を解決する。
図2は、2つの部分を有する圧縮シェルの内部に置かれたモノリシックモールドを示す。デザイン特徴要素(113)は、完全にモールドの上半分に置かれる。もしこのデザイン特徴要素が標準的な射出成形方法を用いて製造されるならば、デザイン特徴要素(113)は、金属モールドの2つの半分が分離されたときに砕け散ってしまうであろう。この例は、従来の射出成形法に内在するデザインの限界を明らかにするものである。溶解法によって除去されるモノリシックモールド(109)を用いることによって、取り出されるときに砕けない複雑な構造特徴的形状を有する成形体を射出成形によって得ることが可能となる。
【0236】
本明細書においては、付加的に製造されたモノリシックモールド(109)が開示される。このモールドは、その外側が本明細書に開示されるモールドアセンブリーの容易な組立てや分解に適する一般的な形状を有しながら、製造される最終成形体のネガティブレプリカである内部キャビティー(110)を有する。付加的な製造とならんで、2つの一半分(115、116)からなり、射出成形用のモールドに一般的に用いられる正方形又は長方形の形状に合致する外形を有する圧縮シェルが、金属(たとえば、アルミニウム、鋼)から機械加工で製造され得る。各圧縮シェルの内側は、付加的に製造されたモノリシックモールドの一般的な外形に適合するように、機械加工される。
【0237】
モールドと圧縮シェルとを製造した後、ポリマー又はポリマー複合体である中間層(108)を、圧縮シェルの各一半分の内側又はモノリシックモールド(109)の外表面に入れ込み、乾燥、高硬度化又は硬化のための時間を与える。ポリマー又はポリマー複合体である中間層は、圧縮シェルと付加的に製造されたモールドとの間の支持層として機能する。中間層は、モールドの外側と圧縮シェルの内側とが完全に契合しなければならないという要求を減じ、また、互いに契合できる形状ではないモールドの外側と圧縮シェルの内側との間で等しく荷重を伝達するように機能する。中間層は、付加的に製造されたモールドへの十分な支持を提供するのに十分な厚さを有する一方、モールドが圧縮シェルによって与えられる増大した強度から利益を受けることを可能にするのに十分な薄さを有する。
【0238】
射出成形のための圧縮シェルとモールドとを組み立てるために、モールド(109)(インナーモールド)は圧縮シェル(アウターシェル)の一半分(116)の中に置かれる。シェルとモールドとを有する完成したアセンブリーは、一半分(116)、モールド(109)、キャビティー(110)及び一半分(115)を含むのを特徴とする。完成したアセンブリーは、射出成形機に適合することができ、与えられた材料(たとえば、プラスチック材料、セラミック材料)を射出して入れることができる。一旦モールドに首尾よく射出が行なわれると、圧縮シェルは取り外され、モノリシックモールド(109)は除去される。この段階で、モノリシックモールド(109)は射出材料で満たされている。
【0239】
付加的に製造されたモールドを最終的な射出成形体から除去するためには、付加的に製造されたモールドを溶解液の中に沈めることが必要である。この液体として、モールド材料を溶解、分散又は分解することができるが内部にある成形体を傷つけることができないようなものを注意して選択しなければならない。一旦付加的に製造されたモールドが除去されると、射出成形体は溶解液から取り出すことができる。この態様においては、付加的に製造されたモールドは過程中に消費されるので、新たなモノリシックモールドを作成することが必要で、新たに作成したモノリシックモールドを、それぞれのデザインのために既存の圧縮シェルとともに利用することになる。
【0240】
図6は、本明細書に開示される、付加的に製造されたコア/シェル モールドの1つの態様を示す。このコア/シェル モールドは、デジタルライトプロジェクション ステレオリソグラフィー法を用いた3D印刷を用いて形成されたものである。
【0241】
III. 射出成形アセンブリーとその構成要素の製造方法
本明細書において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーとその個々の構成要素の製造方法が開示される。他の1つの態様において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーのインナーモールド、中間層及びアウターシェルについての、製造、組立て及び/又は分解方法が開示される。
【0242】
1つの態様において、射出成形アセンブリーの製造方法が開示され、この製造方法は、(i)単数又は複数の好適な材料を提供し、そして(ii)単数又は複数の好適な技術を用いて該好適な材料からモールド、中間層、及び/又は外層を製造することを含む。
【0243】
1つの態様において、好適な技術は、付加的製造技術(additive manufacturing technique)、従来の製造技術、又はこれらの組み合わせ(すなわちハイブリッド型製造技術)である。
【0244】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法は付加的製造方法と射出成形とのプロセス統合を提供し、それにより、改善された形状解像度(geometric resolution)、及び、改善された形状特徴要素設計(geometric feature design)と、高い処理能力(throughout put capability)との組み合わせを可能とする。
【0245】
1つの具体的な態様において、インナーモールドは付加的製造方法で製造され、アウターシェルは従来の方法で製造される。
【0246】
1つの態様において、可溶性モールドの製造と使用の方法が開示され、可溶性モールドは任意により、周囲を覆う外層を用いる射出成形方法に好適な射出成形アセンブリーの構成要素であり、該射出成形アセンブリーにおいて外層の内側に位置する可溶性モールドは、射出成形方法で充填される内部キャビティーを有する。
【0247】
一定の態様において、可溶性モールドの製造方法が付加的製造方法であり、方法がサイズやスケールについて変更可能(scalable)である。1つの具体的な態様において、可溶性モールドは、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0248】
1つの態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が複数回反復されて、その際の収率が約80%より高く、より具体的には約85%又は約85%以上である。
【0249】
1つの具体的な態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が複数回反復されて、そのようなモールドが約15個から約20個提供される。
【0250】
1つの態様において、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドの製造方法が寸法再現性を有する。
【0251】
1つの態様において、本明細書に開示される方法は、伝統的なインベストメント鋳造法の1つ又は2つ以上の工程(コア/ダイ アセンブリー、ワックス オーバー−モールディング、及びセラミック シェリングなどを含む)を省くことを可能にする。
【0252】
1つの具体的な態様において、モノリシックモールド(たとえばインナーモノリシックモールド)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)単数又は複数の好適な材料(たとえば溶解液中に任意により溶解するポリマー又はコポリマー材料)を提供し、そして(ii)単数又は複数の好適な技術を用いて該好適な材料からモノリシックモールドを製造することを含む。1つの具体的な態様において、好適な技術は、単数又は複数の付加的製造方法である。1つの具体的な態様において、付加的製造方法は感光性樹脂ジェッティング又はデジタルライトプロセッシングである。
【0253】
1つの具体的な態様において、中間層は、(i)好適な材料(たとえば熱硬化性エラストマー)を提供し、そして(ii)好適な技術を用いて該好適な材料から中間層を製造することを含む方法により製造され、該好適な技術は鋳造、スプレー、ペイント−オン(paint-on)、真空蒸着、注ぎ込み(pour-in)、射出成形、真空成形、2光子重合、デジタルライトプロジェクション及び生物学的培養法からなる群より選ばれる。この態様において、分子状、オリゴマー状、又は巨大分子状構成成分(たとえば親水性又は疎水性構成成分であるが、これらには限定されない)が、中間層からアセンブリー内層及び/又はアセンブリー外層へ拡散することが好適であり、好適な理由としては、該拡散により、アセンブリー内層及び/又はアセンブリー外層において高硬度化(hardening)、軟化、可塑化、硬化(curing)、部分的溶解、選択的沈殿、重合又は任意の相分離を生じさせ、それにより、粘着性、オムニフォビック(omniphobic)性、選択的可溶性、調節可能な機械的堅牢制、外力に応答する可撓性(responsively compliant)、粘弾性又はエラストマー性を示す挙動が得られる。
【0254】
1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーの内側的構成要素、中間的構成要素及び外側的構成要素(すなわちインナーモールド、中間層及びアウターシェル)が、スプレー法、浸漬被覆、射出成形、鋳造法、拡散ベース可塑化(diffusion-based plasticization)、生物学的培養法、デジタルライトプロジェクション及びステレオリソグラフィー、ブロー成形、発泡成形、除去的機械加工(substractive machining)、インベストメント鋳造法及び他の方法からなる群より選ばれる方法又は技術で形成される。
【0255】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを組み立てる方法が開示され、この方法では、(i)本明細書に開示されるインナーモノリシックモールドを本明細書に開示される中間層の表面にセットし、その際、インナーモノリシックモールドを中間層の上側に配置し、中間層がアウターシェルの内壁を覆い、射出成形中の圧力をモールドの外面に均等に又はより均等に分配するのを補助するのであり;(ii)したがって、中間層を用いる場合は、インナーモールドの周囲に中間層を形成及び/又は閉鎖し、その後にアウターシェルを閉鎖することにより圧縮シェルを組み立てて射出成形アセンブリーを提供し、これを射出成形に用いて射出成形体(たとえばセラミックコア)を製造する。インナーモノリシックモールドに射出成形した後、圧縮シェルから射出成形体を取り出して溶解液中に浸漬する。溶解液が射出成形体からインナーモノリシックモールドを除去する。
【0256】
IV. 中間成形体の製造方法
本明細書において、成形体の製造方法、より具体的には、鋳造による成形体の製造方法が開示される。一定の諸態様において、本願の製造方法により、中間成形体、すなわち、第2又は最終の成形体を製造するために用いられる成形体が得られる。1つの具体的な態様において、本願の製造方法により、のちに金属部品(たとえばタービンブレード)の鋳造に用いることができるセラミックコアが得られ、該鋳造金属部品は所望の形状を有する。一定の諸態様において、中間成形体は、第2又は最終の成形体を製造するために用いられる前に任意に一定期間貯蔵されてもよい。
【0257】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、セラミック、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、合金、熱硬化性エラストマー、熱硬化性生物学的材料、又は細胞培養物構成成分からなる成形体の製造への使用に好適である。
【0258】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法により、中間成形体(たとえばセラミックコア)を従来の方法よりも短時間で製造することができ、それにより、製造コスト及び新たな設計のリードタイム(lead time)を減少することができる。たとえば、本発明の方法を用いると、CADからコア製造までのリードタイムを、複数壁コア(multi-walled core)の場合、約36週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮でき、また、単一壁コア(single walled core)の場合、約30週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮できる。
【0259】
1つの態様において、中間成形体(たとえばセラミックコア、コア/シェル モールド)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)好適な材料(「フィードストック」)を提供し;そして(ii)好適な技術を用いて該好適な材料から中間成形体を製造することを含む。任意により、中間成形体を用いて最終成形体(たとえばタービンブレードなどの鋳造金属部品)を製造する。
【0260】
1つの具体的な態様において、中間成形体はセラミックコアであり、フィードストックはセラミックスラリーであり、そして好適な技術は射出成形である。一定の諸態様において、射出成形は本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いる。1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーの構成要素としてのモールド(たとえばインナーモールド)は、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドである。
【0261】
他の1つの態様において、セラミックグリーン体の製造方法が開示され、この製造方法は以下の工程を含む。(
a)流動性セラミック組成物を、内部キャビティーを含む可溶性モールド(たとえば付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド)の中に射出し、但し該可溶性モールドは本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部に存在し;(b)流動性セラミック組成物を内部キャビティー内で放置することにより固化させてセラミックグリーン体を形成し;(c)射出成形後に射出成形アセンブリーを分解し;(d)射出成形後の可溶性インナーモールドを水又は溶媒中に浸漬し、可溶性成分が除去されて分離されたセラミックグリーン体が得られるまで放置し、そして、任意により;(e)分離されたセラミックグリーン体を更に加工してセラミックコアを得る。
【0262】
1つの態様において、工程(e)における更なる加工が、(i)セラミックグリーン体を処理してバインダーを除去してセラミックブラウン体を得;そして(ii)セラミックブラウン体を焼結により緻密化して、所望の形状と内部構造を有するセラミック焼結体すなわちセラミックコアを製造することを含む。可溶性キャリア相を選択的に除去することが、射出成形後のセラミックグリーン体の中に多孔性と開放内部チャンネルを形成して、焼結工程中に揮発性分解産物を外部に逃がすために好適である。多孔性は、たとえばX線回折により測定できる。
【0263】
1つの態様において、バインダー除去の方法は、浸漬ベース(溶媒)バインダー除去、溶媒蒸気によるバインダー除去、熱によるバインダー除去(ポリマー焼却)、触媒作用によるバインダー除去、真空によるバインダー除去、毛管作用(wicking)によるバインダー除去、又はこれらの組み合わせである。1つの具体的な態様において、バインダー除去は、溶媒によるバインダー除去を行なった後に熱によるバインダー除去を行なうことを含む。
【0264】
1つの具体的な態様において、バインダー除去は溶媒を用いるバインダー除去であり、この方法は、セラミックグリーン体を水又は有機溶媒(たとえばエタノール)中に適切な時間浸漬し、1つ又は2つ以上の不均一相の選択的溶解により、グリーン体から可溶性キャリア相を除去し、同時に不溶性ポリマーを残留させることを含む。1つの具体的な態様において、セラミックグリーン体は、溶媒によるバインダー除去の後で焼結の前の時点で乾燥させる。一定の諸態様において、溶媒によるバインダー除去は、液体ではなく気体を用いる。
【0265】
他の1つの態様において、バインダー除去は熱によるバインダー除去であり、処理方法は、キャリア/バインダーの蒸発温度よりも高い温度でセラミックグリーン体を加熱することを含み、より具体的には、約100℃と約600℃の間の温度で、適切な時間加熱することを含む。1つの態様において、適切な時間は、約10時間より長く、約20時間より長く、約30時間より長く、約40時間より長く、約50時間より長く、又は約60時間より長い。
【0266】
1つの態様において、バインダー除去は、溶媒によるバインダー除去を行なった後に熱によるバインダー除去を行なうことを含む。
【0267】
焼結の条件は、用いるセラミック粉末のタイプと電子特性に依存し、その結果、セラミック射出成形(ceramic injection molded; CIM)された構成要素が得られる。1つの態様において、焼結は、セラミックグリーン体を約1200℃と約1600℃の間の温度に加熱してセラミックブラウン体を製造することを含む。
【0268】
一定の諸態様において、1種又は2種以上の化学的添加剤又は機械的拘束器具を用いて、バインダー除去工程と焼結工程中にセラミックグリーン体の形状と寸法を維持する。1つの具体的な態様において、焼結されたセラミックコアを1種又は2種以上の更なる加工方法に付し、該更なる加工方法としては、仕上げ、機械的加工、研磨、熱処理、ひずみ取り(straightening)、及び電気めっきが挙げられるが、これらに限定されない。
【0269】
1つの具体的な態様において、バインダー除去と焼結の前に輪郭補正工程(profile correction step)を用いる。
【0270】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、流動性セラミック組成物への加熱と加圧によりセラミックグリーン体を製造し、その後それを水又は溶媒条件中に浸漬することを含む。射出成形後の可溶性インナーモールドの浸漬溶解、及び、任意の水又は溶媒によるセラミックグリーン体のバインダー除去の間、セラミックコアの射出が同時に生じてもよく、又は後の工程で生じてもよい。バインダー除去の間、セラミックスラリーのバインダーの可溶性成分が除去され、気孔チャンネルの組織網が現われて、残りの可溶性成分の除去が可能となる。次に、水又は溶媒でバインダー除去されたグリーン状態セラミックコアを焼結に付し、これにより熱によるバインダー除去(セラミックスラリーの残留有機成分の除去)が生じてもよく、その結果、セラミックブラウン体が得られる。バインダー除去工程の終了後、焼結を行なう。
【0271】
一定の諸態様において、本発明の方法は更に、たとえばセラミックスラリーの成分を混合することにより、セラミックスラリーを調製することを含む。
【0272】
他の1つの態様において、セラミックコア又はセラミックコア/シェルの製造方法が開示され、この製造方法は以下の工程を含む。(
a)流動性セラミック組成物を、内部キャビティーを含む可溶性モールドの中に射出し、但し該可溶性モールドは本明細書に開示される射出成形アセンブリーの内部に存在し;(b)流動性セラミック組成物を内部キャビティー内で放置することにより固化させてセラミックグリーン体を形成し;(c)射出成形後に射出成形アセンブリーを分解し;(d)射出成形後の可溶性インナーモールドを水又は溶媒中に浸漬し、可溶性成分が除去されて分離されたセラミックグリーン体が得られるまで放置し;そして、(e)分離されたセラミックグリーン体を更に加工してセラミックコアを得て、その際、セラミックグリーン体への更なる加工のために本明細書に開示されるいずれの方法も用いることができる。
【0273】
1つの具体的な態様において、ワックスによるシェル形成(wax-shelling)を含まないコア/シェルの形成方法が開示される。
【0274】
一定の諸態様において、中間成形体(たとえばセラミックコア)の製造方法はサイズやスケールについて変更可能であり、本明細書に開示される方法を用いることにより、CADからコア製造までのリードタイムを、複数壁コア(multi-walled core)の場合、約36週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮でき、また、単一壁コア(single walled core)の場合、約30週間を約6週間又はそれ未満にまで短縮できる。1つの具体的な態様において、中間成形体の製造方法は、鋳造ターボ機械部品について、サイズやスケールについて変更可能な複雑形状をデザインすることを間接的に可能にする。
【0275】
中間成形体(たとえばセラミックコア)の製造方法は好適な製造条件下で行なわれる。1つの具体的な態様において、好適な製造条件には、射出温度、射出圧力、射出速度、射出時間、保持時間、保持圧力、等が含まれる。
【0276】
1つの態様において、射出成形方法は、低圧射出成形、中圧射出成形、又は高圧射出成形である。
【0277】
1つの態様において、射出成形のプロセス条件は、硬化条件又は固化条件と同じか又は類似している。他の1つの態様において、1つ又は2つ以上の射出成形条件は、1つ又は2つ以上の硬化条件(たとえば温度、圧力、時間、等)と異なる。
【0278】
一定の諸態様において、モールド(たとえばインナーモールド、そして、より具体的には、付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド)を提供する際、冷却されていてもよく、室温でもよく、加熱されていてもよい。諸態様において、可溶性モールドは、約20分から約80分の間、より具体的には約30分から約60分の間、更により具体的には約30分又は約60分で溶解する。
【0279】
射出温度は様々の温度から選択できる。1つの態様において、射出温度は、約0℃〜約300℃の範囲、より具体的には約15℃〜約200℃の範囲、より具体的には約20℃〜約140℃の範囲である。
【0280】
射出時間は様々の時間から選択できる。射出時間は、100ミリ秒〜1分の範囲、より具体的には500ミリ秒〜45秒の範囲、より具体的には1秒〜約30秒の範囲である。
【0281】
1つの具体的な態様において、射出温度は、約0℃と約20℃の間、約20℃と約40℃の間、約40℃と約60℃の間、約60℃と約80℃の間、約80℃と約100℃の間、約100℃と約120℃の間、又は約120℃と約140℃の間である。
【0282】
1つの具体的な態様において、射出温度は室温、すなわち約20℃と約25℃の間である。
【0283】
射出圧力は様々の圧力から選択できる。1つの具体的な態様において、セラミックスラリーの射出圧力は、約1Pa〜約1GPaの範囲、より具体的には約100Pa〜約1,000MPaの範囲、より具体的には約0.1MPa〜約50MPaの範囲である。
【0284】
射出された材料の硬化時間又は固化時間は、様々の時間から選択できる。1つの具体的な態様において、硬化時間又は固化時間は、用いるセラミックバインダーの種類に依存して、1秒〜2日の範囲、より具体的には、約1秒、約10秒、約30秒、約60秒、約5分、約10分、約30分、約1時間、約3時間、約6時間、約12時間、約18時間、約20時間、又は約24時間である。
【0285】
硬化温度は様々の温度から選択できる。1つの態様において、低
温での射出成形を行なって流動性セラミックスラリーをモールドに導入し、そして、セラミックスラリーの硬化温度は射出温度よりも高温である。
【0286】
一定の諸態様において、セラミックコアを一定時間貯蔵した後に使用する。1つの具体的な態様において、セラミックコアは、その物理的特性又は成形特性の99%を超える部分又は95%を超える部分を失うことなく、貯蔵することができる。
【0287】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法は、1つ又は2つ以上の望ましい特性を有するセラミックコアを提供し、該望ましい特性は以下の項目内容を含むが、これらに限定されない。(i)高温での溶融合金の鋳造に耐える好適なグリーン体強度;(ii)低い熱膨張係数;(
iii)高い寸法精度;(
iv)低減されたボイド;(
v)高い耐クリープ性;(
vi)高い粉砕性;(
vii)高い多孔性;(
viii)低減された収縮率;(
ix)均一な収縮率;
及び(
x)亀裂や欠陥が少ないこと。特性の相対的評価(すなわち高い及び低い)について、比較対象は従来の方法で製造されたセラミックコアである。
【0288】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアについては、焼結後の曲げ強度が100psi〜5,000psiの範囲、より具体的には100psi〜1,000psiの範囲、より具体的には100psi〜500psiの範囲である。
【0289】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアの内部気孔率(internal porosity)は、焼結前の空気透過性が1.0×10
−4cm
2/(sec−atm)〜9.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−3cm
2/(sec−atm)〜7.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−2cm
2/(sec−atm)〜5.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲となるものである。
【0290】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアの開放気孔率(open porosity)は約50%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、又は約20%未満である。
【0291】
更なる1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアは、均一な収縮率又は低減された収縮率を示す。1つの態様において、本明細書に開示される方法が提供するセラミックコアは、焼結後の線収縮率が0.1%〜10%の範囲、より具体的には1%〜5%の範囲、より具体的には1.5%〜3.75%の範囲である。
【0292】
1つの態様において、本明細書に開示される方法が複数回反復される。1つの具体的な態様において、本願の方法が複数回反復され、再現性のある収縮率を有する複数のセラミックコアが製造される。1つの具体的な態様において、反復された本願の方法の収率(yield)は約70%より大きく、約75%より大きく、約80%より大きく、約85%より大きく、又は約90%より大きい。
【0293】
1つの態様において、セラミックコアは、更にシェルを含むセラミックシステムすなわちモールドの一部である。1つの具体的な態様において、シェルの製造方法が開示され、たとえば、セラミックコアが消失性材料(sacrificial material)(ワックスなど)である場合、セラミックスラリー組成物又は他の原料をセラミックコアに塗布することによりシェルを形成できる。形成したシェルを乾燥させて高硬度化させ、一方、消失性材料を除去する。この態様において、シェルの物理的特性は更なる加工に耐えるのに充分であることが必要である。
【0294】
1つの具体的な態様において、固形粒子状成分とキャリア相成分を含むセラミックスラリーを本明細書に開示される射出成形アセンブリー中に射出して中間成形体を形成する。任意により、気孔増加用成分(pore former)又は他の添加剤をセラミックスラリー組成物に更に加えてもよい。1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリー組成物が使用される。
【0295】
たとえば、ポリエチレングリコール(水に可溶性である)とポリ(ビニルブチラール)(一般に水に不溶性である)とを含むキャリアブレンドを、成分の質量比を約0.1:1、約0.33:0.67、約1:1、約0.75:約0.25、又は1:0.1として用いて調製することができる。射出した後、射出後のグリーン状態の中間成形体を、約1時間〜約72時間の範囲内で水に浸漬してポリエチレングリコール相を除去して、シリカ、アルミナ又はケイ酸ジルコニウムの固形物とポリ(ビニルブチラール)バインダーとを含む半多孔性のグリーン状態中間成形体を得ることができる。焼結すると、ポリ(ビニルブチラール)バインダーが分解し、中間成形体内部の開放通路(open passage)から外部へ逃げる。
【0296】
1つの具体的な態様において、気孔増加用成分をセラミックスラリーのキャリアと固体成分に加えてもよく、これにより、内部多孔性、気孔サイズ分布、及び焼結中のコア内部からの外部焼結炉雰囲気へのアクセスを増加し、また、最終的な焼結コアの機械強度を調節できる。本明細書に開示されるセラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約−50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約450℃の範囲、より具体的には約100℃〜約400℃の範囲、より具体的には約120℃〜約375℃の範囲、より具体的には約200℃〜約375℃の範囲、より具体的には約250℃〜約375℃の範囲である有機固体が挙げられる。更に、気孔増加用成分は、コア焼結加工中に温度上昇につれて徐々に揮発又は燃焼することが好ましく、また、複数の気孔増加用成分をセラミックスラリー組成物に加えてもよく、それにより、温度上昇に伴うセラミックコア成分の質量減少が直線性に近づくように調節できる。
【0297】
一定の諸態様において、本明細書に開示される方法は、セラミックコアなどの中間成形体の製造において金属器具(metal tooling)の必要性を取り除く(一方、従来の方法を用いる製造においては、金属器具によると数日、数週間、数カ月、約半年から1年近く、又は数年もかかることがある)。このことは、本明細書に開示される方法のより幅広い利点の1つであり、これにより、従来の又は未来のインベストメント鋳造法における製造工程数を減少することができ、また、製造コストの低減、及び新たなデザインのためのリードタイム(lead time)の減少を可能にする。
【0298】
これらのセラミックコアは、単独で又は鋳造アセンブリーの一部として、所望の形状を有する鋳造金属部品(たとえばタービンブレード)の製造に用いることができる。セラミックコアは、鋳込み工程後の鋳造アセンブリーから物理的又は化学的工程で除去することができる。
【0299】
1つの態様において、本明細書に開示される方法は、アウター鋳造シェル、中間層、及び/又はインナーモールドの1つ又は2つ以上を溶解除去することを更に含む。
【0300】
V. 中間成形体
ここに開示されるのは、成形体(たとえばセラミックコア)であり、そして、具体的には、射出成形法、本明細書に開示されるモールド及び/又は射出成形アセンブリーを用いて形成された中間成形体(たとえばセラミックコア)であって、最終成形体の製造での使用に好適な中間成形体である。
【0301】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体が、本明細書に開示されるモールドを用いて形成され、より具体的には、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するモールドを用いて形成される。(i)可溶性である;(ii)付加的に製造される;及び(iii)モノリシックである。
【0302】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体が、本明細書に開示される射出成形アセンブリーを用いて形成され、より具体的には、以下の構成要素を含む射出成形アセンブリーを用いて形成される。(i)以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するインナーモールド:可溶性である、付加的に製造される、及びモノリシックである;(ii)任意により、インナーモールドを包む中間層;及び(iii)任意により、中間層を取り囲むアウターシェル。任意により、中間層、アウターシェル、又はその両方が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する:可溶性である、及び、付加的に製造される。
【0303】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される中間成形体(たとえばセラミックコア)は、ターボ機械用途に用いられる部品を形成するための使用に好適である。ターボ機械用途としては、ロケットエンジン部品、ジェットエンジン部品(たとえばタービンブレード又はタービンベーン)、及び産業用ガスタービン部品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0304】
1つの態様において、本明細書に開示される中間成形体(たとえばセラミックコア)は、ターボ機械用途に用いられる金属部品を鋳造で製造する(すなわち鋳造金属部品を製造する)ための使用に好適である。金属はいかなる好適な金属も使用でき、合金又は超合金でもよい。1つの態様において、セラミックコアは、単結晶ニッケルベース超合金からなる部品、一方向凝固超合金からなる部品、及び等軸結晶超合金からなる部品をインベストメント鋳造するための使用に好適である。
【0305】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体はタービンブレードのエアフォイル部品の製造に用いるためのセラミックコアである。
【0306】
1つの具体的な態様において、成形体又は中間成形体は、2次元のセラミックコア又は3次元のセラミックコア、すなわち、単一壁セラミックコア又は複数壁セラミックコアである。
【0307】
1つの好ましい態様において、成形体又は中間成形体は、従来の方法(たとえば2つ又は3つ以上の構成要素を含むインナーモールドを用いる射出成形)により製造されたセラミックコアに比べて、改善された形状解像度と複雑性によって特徴付けられるセラミックコアである。一定の諸態様において、セラミックコアは、最終成形品(たとえばタービンブレード)の空気冷却の改善を可能にする。
【0308】
一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の望ましい特性により特徴付けられるセラミックコアが開示され、該望ましい特性は以下の項目内容を含むが、これらに限定されない。(i)溶融合金の鋳造に耐える好適なグリーン体強度;(ii)低い熱膨張係数;(
iii)高い寸法精度;(
iv)低減されたボイド;(
v)高い耐クリープ性;(
vi)高い粉砕性;(
vii)高い多孔性;(
viii)低減された収縮率;(
ix)均一な収縮率;及び(
x)亀裂や欠陥が少ないこと。特性の相対的評価(すなわち高い及び低い)について、比較対象は従来の方法で製造されたセラミックコアである。
【0309】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、焼結後の曲げ強度が100psi〜5,000psiの範囲、より具体的には100psi〜1,000psiの範囲、より具体的には100psi〜500psiの範囲であることにより特徴付けられる。
【0310】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアについては、気孔率(porosity)が、焼結前の空気透過性が1.0×10
−4cm
2/(sec−atm)〜9.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−3cm
2/(sec−atm)〜7.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲、より具体的には1.0×10
−2cm
2/(sec−atm)〜5.0×10
−1cm
2/(sec−atm)の範囲となるものであることにより特徴付けられる。
【0311】
他の1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、開放気孔率が約50%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、又は約20%未満であることにより特徴付けられる。
【0312】
更なる1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるセラミックコアは、従来のセラミックコアに比べて、低減された収縮率を示すことにより特徴付けられる。1つの態様において、セラミックコアは、焼結後の線収縮率が約0.1%〜約10%の範囲、より具体的には約1%〜約5%の範囲、より具体的には約1.5%〜約3.75%の範囲であることにより特徴付けられる。
【0313】
任意により、中間成形体(たとえばセラミックコア)がモールド(たとえば本明細書に記載される可溶性モールドなど)の中に含まれる。他の諸態様において、中間成形体は、ポリマーモールドから、たとえば可溶性ポリマーモールドを溶解させることにより分離される。
【0314】
中間成形体(たとえばセラミックコア)の組成は様々な組成から選択できる。1つの具体的な態様において、中間成形体はセラミックスラリー組成物から形成されるセラミックコアであり、該セラミックスラリー組成物は、以下の成分カテゴリーのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを含む:キャリア構成成分、セラミック粒子、気孔増加用成分、及び添加剤。
【0315】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は少なくとも1種のキャリアを含む。キャリアの組成は様々な組成から選択できる。
【0316】
1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適なキャリアの例としては、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性直鎖状オリゴマーが挙げられる。熱可塑性ポリマー又は熱可塑性直鎖状オリゴマーの例としては以下のものが挙げられる:パラフィンワックス、ポリエチレン、炭化水素ワックス、石炭由来ワックス、蜜蝋などの天然ワックス、カーボワックス(carbowax)、直鎖状ポリエチレングリコール、分岐鎖状ポリエチレングリコール、直鎖状ポリプロピレングリコール、分岐鎖状ポリプロピレングリコール、短鎖オリゴマー状ポリ−アルファオレフィン、ポリイソブチレン、直鎖状熱可塑性有機化合物、ポリスチレン、ポリスチレン/キシレン ブレンド、ラジカル重合で形成されたポリオレフィン、アルファ−メチルスチレン、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(ビニルブチラール)、直鎖状又は分岐鎖状(メタ)アクリルポリマー、熱可塑性脂肪族ポリウレタン、及び非晶質又は半結晶性脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトンなど)。
【0317】
1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーを含むキャリアについては、分子量が約100g/mоlと約1,000,000g/mоlの間、より具体的には約300g/mоlと約100000g/mоlの間、より具体的には約1,000g/mоlと約10,000g/mоlの間であってよい。本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーのガラス転移温度は、約−110℃〜約500℃の範囲、より具体的には約−110℃〜約200℃の範囲、より具体的には−110℃〜約130℃の範囲であってよい。本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いるのに好適な直鎖状、熱可塑性、又は分岐鎖状ポリマーの結晶融解相転移温度(crystalline melt transition)は、約−80℃〜約500℃の範囲、より具体的には約−50℃〜約220℃の範囲、より具体的には約0℃〜約150℃の範囲、より具体的には約20℃〜約130℃の範囲であってよい。
【0318】
1つの態様において、パラフィンワックスを含むキャリアの例としては、飽和及び不飽和炭化水素であって、炭素数が8〜500、より具体的には炭素数が12〜100、より具体的には炭素数が15〜60、より具体的には炭素数が18〜40のものが挙げられる。使用に好適なパラフィンワックスの溶融温度は約−50℃〜約150℃の範囲、より具体的には約0℃〜約140℃の範囲、より具体的には20℃〜約130℃の範囲である。
【0319】
1つの態様において、硬化性又は熱硬化性キャリアは、ペンダント反応性官能基を有するモノマー性、オリゴマー性又はポリマー性の構成成分を含み、該構成成分の分子量は約100g/mоl〜約1,000,000g/mоlの範囲、より具体的には約100g/mоl〜約100,000g/mоlの範囲、より具体的には約130g/mоl〜約10,000g/mоlの範囲である。
【0320】
キャリアはブレンドして組成物(formulation)であってもよく、該組成物は焼結中に加熱されると、温度上昇と共に徐々に分解して、熱重量分析実験で「%質量減少 対 温度」をプロットして得られる曲線の一次導関数が一定値に接近するものでよい。
【0321】
1つの態様において、キャリアは、ブレンドされて組成物(formulation)となった熱可塑性ポリマー又はワックスであってもよく、該組成物は、高温で均一又は可溶性ブレンドを形成し、また、低温で混ざり合わないものであってよい。1つの態様において、本明細書に開示されるセラミックスラリーの射出後の冷却時に、射出後グリーン状態中間成形体を、水又は有機溶媒を含む液体浴に浸漬し、これにより、1又は2つ以上の不均一相が選択的に溶解され、こうして、射出後グリーン状態中間成形体から可溶性キャリア相が除去され、一方、不溶性ポリマーが残留する。可溶性キャリア相の選択的除去は、射出成形後のグリーン状態成形体の中に多孔性と開放内部チャンネルを形成して、焼結工程中に揮発性分解産物を外部へ逃がすために好適である。
【0322】
たとえば、ポリエチレングリコール(水に可溶性である)とポリ(ビニルブチラール)(一般に水に不溶性である)とを含むキャリアブレンドを調製し、その際、成分の質量比を約0.1:1、約0.33:0.67、約1:1、約0.750.25、又は約1:0.1とすることができる。射出した後、射出後のグリーン状態の中間成形体を、1時間〜72時間の範囲内で水に浸漬してポリエチレングリコール相を除去して、シリカ、アルミナ又はケイ酸ジルコニウムの固形物とポリ(ビニルブチラール)バインダーとを含む半多孔性のグリーン状態中間成形体を得ることができる。焼結すると、ポリ(ビニルブチラール)バインダーが分解し、中間成形体内部の開放通路から外部へ逃げる。
【0323】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体が挙げられる。モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体は1つ又は2つ以上の反応性官能基を有し、但し、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の種類により、該1つ又は2つ以上の反応性官能基の数はn=1〜n=50の範囲にあるか又はそれより大きい。モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体から形成される硬化性組成物(curable formulation)は、たとえば、前駆体やその組成物(formulation)の調製に用いる1つ又は2つ以上の反応性官能基によって官能性の程度を変化させることにより調節することができる。
【0324】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの熱機械的及び物理的特性を、分子に1つ又は2つ以上のモイエティー(moiety)を含ませることにより調節することができ、該1つ又は2つ以上のモイエティーの例としては、環状脂肪族結合/リンカー基、及び、立体障害性モイエティー及び/又は立体障害性置換基が挙げられ、該環状脂肪族結合/リンカー基は靭性、剛性、UV耐性及び耐熱性を与えることができ、また、該立体障害性モイエティー及び/又は立体障害性置換基は、高分子の配列を阻害/制御して、重合により非晶質の材料、複合材料、及びそれらの組成物を提供でき、また、高い光学的透明性を提供できる。
【0325】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、結合を形成又は含有し得るモイエティー及び/又は置換基を含み、該モイエティー及び/又は置換基の例としては、ウレタン基、アミド基、チオウレタン基及びジチオウレタン基が挙げられ、これらの基は分子内水素結合を可能にし、靭性と剛性を増加するために使用できる。更に他の諸態様において、エステル結合、ベータ−アミノエステル結合、カーボネート結合、シリルエーテル結合又は他のリンカー基を前駆体に選択的に含ませることにより、環境分解時間と溶媒吸収性を制御できる。環境分解時間と溶媒吸収性は、ペンダント親水性又は疎水性基を材料組成物に導入することによっても調節することができる。
【0326】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、たとえば、メルカプト、アルケン、(メタ)アクリレート、アルキン、アミン及びエポキシで官能化されたモノマー性及びオリゴマー性構成成分又はその混合物から調製できる。硬化性組成物(curable formulation)に存在するモノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の化学量論的モル比の範囲は、約1.00:4.00、約1.00:3.00、約1.00:2.20、約1.00:2.00、約1.00:1.00、約1.00:0.97、約1.00:0.95、約1.00:0.90、約1.00:0.50、約1.00:0.33、約1.00:0.25、及び約1.00:0.20とすることができる。
【0327】
1つの態様において、モノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体から形成された熱硬化性キャリアは、紫外線(UV)光、熱、酸又は塩基により触媒される硬化方法、又はこれらの組み合わせを適用することにより硬化することができる。硬化した組成物(formulation)を性能特徴付け分析に付し、その後、たとえば、公知の付加的製造方法(たとえばステレオリソグラフィーによる付加的用途)、及びコーティング用途などに使用できる。
【0328】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、熱硬化性キャリア組成物(formulation)に種々の量の開始剤又は触媒を添加して用いて調製することができ、該開始剤又は触媒はモノマー性及び/又はオリゴマー性前駆体の間の付加反応を促進し、この付加反応は任意による熱エイジング工程実施の前または実施中に行なわれる。代表的な付加反応の例としては、フリーラジカルで開始されるチオール−エン付加反応、塩基で触媒されるマイケル付加反応、及び塩基で触媒されるチオール−エポキシ付加反応が挙げられるが、これらに限定されない。
【0329】
1つの態様において、UV硬化性となるように設計された熱硬化性キャリアには、光開始剤も加えることができる。たとえば、フリーラジカル開始剤をアクリレート含有組成物(formulation)及び選択されたチオール−エン組成物(formulation)に加えることができる。代表的な光開始剤の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(TPO)。UV硬化性組成物(formulation)に添加することができる光開始剤の量は、約0.001重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの諸態様においては、硬化性組成物に添加することができる光開始剤の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、及び約5.00重量%であってよい。いくつかの諸態様においては、フリーラジカル阻害剤(その非限定的な例は、4−メトキシフェノール及び1,4−ヒドロキノンである)を、約0.01〜約2,000ppmの範囲の濃度になるように硬化性組成物に添加することができる。いくつかの諸態様においては、添加するフリーラジカル阻害剤の濃度は、約500ppm、約1,000ppm、又は約1500ppmであってよい。
【0330】
1つの態様において、熱硬化性であるように設計された熱硬化性キャリア(たとえば、チオール−エポキシ、アミン−エポキシ又はアルコール−エポキシを主体とする組成物などの、熱開始ラジカル連鎖重合プロセス又は塩基で触媒されるプロセスで硬化する組成物)には、熱フリーラジカル開始剤又は3級アミン触媒を添加して硬化の触媒としてもよい。代表的な熱フリーラジカル開始剤の非限定的な例として、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。熱フリーラジカル開始剤は、ラジカル開始付加反応において、たとえば、熱エージングの間に、触媒として機能する。硬化性組成物に添加される熱フリーラジカル開始剤の量は、約0.001重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの態様においては、硬化性組成物に添加される熱フリーラジカル開始剤の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%であってよい。3級アミン塩基触媒は、たとえばマイケル付加反応及び/又はチオール−エポキシ反応又は関連する反応において、熱エージングの間に、触媒として用いることができる。
【0331】
硬化性組成物に添加することができる3級アミン塩基触媒の量は、約0.01重量%〜約10重量%の範囲内であってよい。いくつかの態様においては、硬化性組成物に添加することができる3級アミン塩基触媒の量は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%であってよい。
【0332】
本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアを硬化するために、それを完全に硬化し又は実質的に硬化するための重合反応を行なう。ここで、「実質的に」とは、架橋の百分率が少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%であることを意味する。
【0333】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、硬化性組成物を硬化するための1種又は2種以上の化学触媒(たとえば、酸触媒又は塩基触媒)を用いて、一定の時間にわたり化学的に硬化できるように設計されている。該1種又は2種以上の化学触媒は、約0.10重量%、約0.20重量%、約0.30重量%、約0.40重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.50重量%、約2.00重量%、約2.50重量%、約3.00重量%、約3.50重量%、約4.00重量%、約4.50重量%、又は約5.00重量%の濃度で添加することができる。完全な硬化を達成するために必要な時間は、添加される触媒の濃度と、当該組成物に経時的に生ずる架橋反応の化学的性質とに応じて変動する。ある例においては、その工程は、熱を組成物に加えることによって駆動することができる。
【0334】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、硬化された後には、未反応の、又は部分的に反応した、又は完全に反応した官能基/置換基を有していてよい。代表的な官能基の非限定的な例として、チオール、アルケン、アルキン、ヒドロキシル、カルボン酸、アクリレート、イソシアネート、イソチオシアネート、アミン、エポキシ、ジエン/親ジエン体、ハロゲン化アルキル、カルボン酸無水物、アルデヒド及びフェノール基が挙げられる。
【0335】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ヒドロシリル化で形成される白金触媒シリコーン又は湿気硬化型シリコーンを含む熱硬化性重合体樹脂、ポリジメチルシロキサン、シアネートエステル、熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン−ウレア、熱硬化性ポリウレア、エポキシド/アミン、エポキシド/ヒドロキシル又はエポキシ/チオール構成成分から誘導された脂肪族エポキシ樹脂、アクリル性ネットワークポリマー、又はオキシム誘導熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0336】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ビニルシラン基及び任意によりヘテロ官能性基を含むケイ素含有分子又は巨大分子が挙げられ、該ヘテロ官能性基の例としては(メタ)アクリル基、エポキシ基、アリル基、テトラヒドロフルフリル基、及びイオン性塩成分が挙げられる。ケイ素含有熱硬化性キャリアの例としては、以下のものが挙げられる:メタクリロキシプロピル末端封止ポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、4−(フェノキシフェニル)フェニルジメトキシシラン、アリルトリフェニルシラン、テトラキス(エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、(3−グリシドキシプロピル)へプタメチルシクロテトラシロキサン、及びモノビニル官能性ポリジメチルシロキサン(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル末端化)。
【0337】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、イオン性塩を含有する分子又は巨大分子であって、(メタ)アクリレート結合、エポキシ結合、アリル結合、又はテトラヒドロフルフリル結合を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、ジルコニウム(IV)(メタ)アクリレート、ニッケル(II)(メタ)アクリレート、及びアルミニウム(III)(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0338】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素を含有する分子又は巨大分子であって、ビニルシラン(すなわちSi−C=C)基を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、以下のものが挙げられる:ジフェニルメチルシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、(5−ビシクロ[2.2.1]へプタ−2−エニル)ジメチルエトキシシラン、へプタメチルシクロテトラシロキサン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)シクロブテン、(ビシクロへプテニル)エチル末端封止ポリジメチルシロキサン、モノビニル−モノフェニル−モノヒドリド末端封止ポリジメチルシロキサン、ポリ(フェニルシルセスキオキサン)、100%フェニル(トリメチルシロキサン末端化)、ビニル末端封止ポリジメチルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,t−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、及びテトラビニルシラン。
【0339】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素を含有する分子又は巨大分子であって、シラン(すなわち水素化ケイ素)基を含むものが挙げられる。そのような分子の例としては、以下のものが挙げられる:ポリメチルヒドロシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−シクロテトラヒドロシロキサン、7−9%(メチルヒドロシロキサン)−ジメチルシロキサン共重合体、ヒドリド末端封止ポリジメチルシロキサン、(45−50%メチルヒドロシロキサン)、フェニルメチルシロキサン共重合体(ヒドリド末端化)、ジフェニルシラン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、(メタクリロキシメチル)フェニルジメチルシラン、p−フェニレン(ジメチルシラン)、4,4’−ビス(ジメチルシリル)ビフェニル、1,3,5−トリシラシクロヘキサン。[000149]1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアは、ヒドロシリル化反応と湿気硬化反応を行なうための触媒及び触媒ブレンドを含む。そのような触媒及び触媒ブレンドの例としては、白金−シクロビニルメチル−シロキサン複合体、0.1−5%シクロメチルビニルシロキサンが挙げられる。
【0340】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、キャリア相と他のセラミックスラリー構成成分とのブレンドの、粘度及びブレンド均一性/混合安定性を調節するのに好適な飽和シロキサン化合物が挙げられる。飽和シロキサン化合物は焼結工程で化学反応を生じてもよいが、キャリア相の硬化反応には参加しなくてもよい。代表的な飽和シロキサン化合物の例としては、以下のものが挙げられる:パーメチルシロキサン及びパーフェニルシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ジフェニルシロキサン ジメチルシロキサン共重合体。
【0341】
1つの態様において、本願で用いるのに好適な熱硬化性キャリアの例としては、ケイ素含有構成成分のシラザン類似体が挙げられ、これらのシラザン類似体は、焼結工程で化学反応を生じて窒化ケイ素とその類似体セラミックを形成し、また、キャリア相の硬化反応に参加してもよい。
【0342】
1つの態様において、キャリア相に存在するオリゴマー性又はポリマー性前駆体である構成成分の分子量は100g/mоl〜1,000,000g/mоlの範囲、より具体的には100g/mоl〜100,000g/mоlの範囲、より具体的には130g/mоl〜10,000g/mоlの範囲であってよい。
【0343】
本明細書に記載される他の諸態様において、熱硬化性キャリアは、メルカプタン含有テルペン(たとえば、D−リモネン及び/又はL−リモネン、及び/又はこれらの誘導体又は類似体)及び/又はテルペノイドを含んでいてよい。テルペン又はテルペノイドから誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、ジペンテンジメルカプタン、イソプレンジメルカプタン、ファルネセンジメルカプタン、ファルネセントリメルカプタン、ファルネセンテトラメルカプタン、ミルセンジメルカプタン、ミルセントリメルカプタン、ビサボレンジメルカプタン、ビサボレントリメルカプタン、リナロールジメルカプタン、テルピノレンジメルカプタン、テルピネンジメルカプタン、ゲラニオールジメルカプタン、シトラールジメルカプタン、レチノールジメルカプタン、レチノールトリメルカプタン、レチノールテトラメルカプタン、ベータ−カロテンポリメルカプタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様においては、ポリチオールは、トリメチロールプロパントリチオール、ペンタエリスリチオールトリチオール、ペンタエリスリトールテトラチオール、イノシトール、ジチオール、トリチオール、テトラチオール、ペンタチオール、又はヘキサチオールから誘導される。
【0344】
本明細書に記載される更に別の諸態様においては、熱硬化性キャリアは、メルカプタンを含有する環式、多環式又は直鎖脂肪族のポリアルケン又はアルキンから得られる1種又は2種以上のポリチオール成分を含んでいてよい。これらの基から誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、トリビニルシクロヘキセンジメルカプタン、トリビニルシクロヘキセントリメルカプタン、ジシクロペンタジエンジメルカプタン、ビニルシクロヘキセンジメルカプタン、トリアリルイソシアヌレートジメルカプタン、トリアリルイソシアヌレートトリメルカプタン、フェニルへプタ−1,3,5−トリインポリメルカプタン、2−ブチン−1,4−ジオールジメルカプタン、プロパルギルアルコールジメルカプタン、ジプロパルギルスルフィドポリメルカプタン、ジプロパルギルエーテルポリメルカプタン、プロパルギルアミンジメルカプタン、ジプロパルギルアミンポリメルカプタン、トリプロパルギルアミンポリメルカプタン、トリプロパルギルイソシアヌレートポリメルカプタン、及びトリプロパルギルシアヌレートポリメルカプタンが挙げられる。
【0345】
本明細書に記載される別の諸態様において、熱硬化性キャリアは、メルカプタンを含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルから得られる1種又は2種以上のポリチオール成分を含んでいてよい。これらの基から誘導される代表的なポリチオールの非限定的な例として、アラキドン酸ジメルカプタン、アラキドン酸トリメルカプタン、アラキドン酸テトラメルカプタン、エレオステアリン酸ジメルカプタン、エレオステアリン酸トリメルカプタン、リノール酸ジメルカプタン、リノレン酸ジメルカプタン、リノレン酸トリメルカプタン、メルカプタン化亜麻仁油、メルカプタン化桐油、メルカプタン化大豆油、メルカプタン化落花生油、メルカプタン化クルミ油、メルカプタン化アボカド油、メルカプタン化ひまわり油、メルカプタン化とうもろこし油、及びメルカプタン化綿実油が挙げられる。
【0346】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、1種又は2種以上のアルケン成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、テルペン、テルペノイド、二量体化テルペン、二量体化テルペノイド、三量体化テルペン、三量体化テルペノイド、オリゴマー化テルペン、オリゴマー化テルペノイド、高分子化テルペン、高分子化テルペノイド、リモネン、D−リモネン、L−リモネン、ポリ(リモネン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、ファルネセン、ミルセン、ビサボレン、リナロール、テルピノレン、テルピネン、ゲラニオール、シトラール、レチノール、ベータ−カロテン、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ノルボルネン官能化ポリ(テルペン)オリゴマー、ノルボルネン官能化ポリジメチルシロキサン、ノルボルネン官能化ポリ(ブタジエン)、ノルボルネン官能化ポリイソプレンオリゴマー、ポリ(イソプレン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエン)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ジビニルエーテル、トリアリルアミン、ジアリルアミン、ジアリルビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、イノシトールジアリルエーテル、イノシトールトリアリルエーテル、イノシトールテトラアリルエーテル、イノシトールペンタアリルエーテル、イノシトールヘキサアリルエーテル、イノシトールジビニルエーテル、イノシトールトリビニルエーテル、イノシトールテトラビニルエーテル、イノシトールペンタビニルエーテル、イノシトールヘキサビニルエーテル、トリアリルシトレート、トリビニルシトレート、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,4−シクロオクタジエン、1,3,6−シクロオクタトリエン、シクロヘキサンジアリルエーテル、シクロヘキサントリアリルエーテル、シクロヘキサンテトラアリルエーテル、シクロヘキサンペンタアリルエーテル、シクロヘキサンヘキサアリルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサントリビニルエーテル、シクロヘキサンテトラビニルエーテル、シクロヘキサンペンタビニルエーテル、シクロヘキサンヘキサビニルエーテル、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジアリルエーテル、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネン末端封止ビシクロ[2.2.1]へプタ−2,5−ジエン、ノルボルネン官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、アリルエーテル官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ビニルエーテル官能化ポリアミドオリゴマー(但し、ポリアミド繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ノルボルネン官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、アリルエーテル官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、ビニルエーテル官能化ポリジメチルシロキサン(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で100,000より小さい)、レゾルシノールジアリルエーテル、レゾルシノールジビニルエーテル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、及びアリルアミンが挙げられる。
【0347】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のアクリレート又はメタクリレートを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、ネオペンチルグリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリ(ジメチルシロキサン)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(イソプレン)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエン−コ−ニトリル)ジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、ブタジエンについては2以上で500,000より小さく、ニトリルについても2以上で500,000より小さい)、ポリエチレングリコールジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2より大きく500,000より小さい)、及び上記成分のメタクリル化相当物が挙げられる。
【0348】
本明細書に記載される諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のエポキシを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、エポキシ化テルペン、エポキシ化テルペノイド、エポキシ化二量体化テルペン、エポキシ化二量体化テルペノイド、エポキシ化三量体化テルペン、エポキシ化三量体化テルペノイド、エポキシ化オリゴマー化テルペン、エポキシ化オリゴマー化テルペノイド、エポキシ化高分子化テルペン、エポキシ化高分子化テルペノイド、リモネンオキサイド、リモネンジオキサイド、ポリ(リモネンオキサイド)(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(イソプレンオキサイド)−コ−ポリイソプレン共重合体(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、ポリ(ブタジエンオキサイド)−コ−ポリブタジエン共重合体(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、エポキシ化ファルネセン、エポキシ化ミルセン、エポキシ化ビサボレン、エポキシ化リナロール、エポキシ化テルピノレン、エポキシ化テルピネン、エポキシ化ゲラニオール、エポキシ化シトラール、エポキシ化レチノール、エポキシ化ベータ−カロテン、エポキシ化アラキドン酸、エポキシ化エレオステアリン酸、エポキシ化リノール酸、エポキシ化リノレン酸、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化桐油、エポキシ化大豆油、エポキシ化落花生油、エポキシ化クルミ油、エポキシ化アボカド油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化とうもろこし油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ヤシ油、エポキシ化グリセロール(グリセロールジグリシジルエーテル及びグリセロールトリグリシジルエーテルを含む)、エポキシ化ソルビトール(ソルビトールジグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールペンタグリシジルエーテル及びソルビトールヘキサグリシジルエーテルを含む)、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリジメチルシロキサンジグリシジルエーテル、エポキシ化ブタジエンオリゴマー、エポキシ化ブタジエン−コ−ポリニトリルオリゴマー、エポキシ化グレープフルーツメルカプタン、エトキシル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、エトキシル化水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)、及びエトキシル化シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(但し、繰り返し単位の数を表すnが、2以上で500,000より小さい)が挙げられる。
【0349】
本明細書に記載される一定の諸態様において、熱硬化性キャリアは、また、1種又は2種以上のアルキンを主体とする成分を含んでいてよい。その非限定的な例として、アセチレン、超臨界アセチレン、プロパルギルアルコール、2−ブチン−1,4−ジオール、フェニルへプタ−1,3,5−トリイン、ジプロパルギルスルフィド、ジプロパルギルエーテル、プロパルギルアミン、ジプロパルギルアミン、トリプロパルギルアミン、トリプロパルギルイソシアヌレート、トリプロパルギルシアヌレート、プロパルギルイノシトール、ジプロパルギルイノシトール、トリプロパルギルイノシトール、テトラプロパルギルイノシトール、ペンタプロパルギルイノシトール、ヘキサプロパルギルイノシトール、ジプロパルギルピペラジン、ジプロパルギルシトレート、トリプロパルギルシトレート、シクロヘキサンジメタノールプロパルギルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトンプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトンジプロパルギルエーテル、キナ酸ラクトントリプロパルギルエーテル、トリシクロデカンジメタノールプロパルギルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジプロパルギルエーテル、ビスフェノールAビス(プロパルギルエーテル)、水素化ビスフェノールAビス(プロパルギルエーテル)、シクロヘキサンジプロパルギルエーテル、シクロヘキサントリプロパルギルエーテル、シクロヘキサンテトラプロパルギルエーテル、シクロヘキサンペンタプロパルギルエーテル、シクロヘキサンヘキサプロパルギルエーテル、プロパルギルレゾルシノール、及びジプロパルギルレゾルシノールが挙げられる。
【0350】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、また、アルコール成分、無水物成分、アミン成分、及び他の化学成分からなる群より選ばれる1種又は2種以上の成分を含んでいてよい。
【0351】
1つの態様において、熱硬化性キャリアは、また、ポリイソシアネート前駆体、ポリオール前駆体、又はポリアミン前駆体を含んでいてよい。ポリイソシアネート前駆体の例としては以下のものが挙げられる:ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、n,n−メチレンビス(イソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、50℃より高い融点を持つジイソシアネートモノマー、及び50℃より低い融点を持つ液状ジイソシアネートモノマー。ポリオール前駆体及びポリアミン前駆体の例としては、本発明で述べるもの、及び以下のものが挙げられる:1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、ペンタエリスリトール、及びトリエタノールアミン。熱硬化性ポリイソシアネート前駆体、熱硬化性ポリオール前駆体、及び熱硬化性ポリアミン前駆体は、ウレタン触媒又はウレア触媒を含んでもよく、これら触媒の例としては、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート、第一スズオクトアート、及び種々のアミン触媒(たとえばトリエチレンジアミン)が挙げられる。
【0352】
セラミックスラリー組成物におけるキャリア成分の量は様々な範囲から選択できる。1つの態様において、セラミックスラリー組成物に存在するキャリア成分の量は0〜約80容量%の範囲、より好ましくは約8〜約65容量%の範囲、より具体的には約10〜約55容量%の範囲、より好ましくは約12〜約30容量%の範囲である。
【0353】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は少なくとも1種の固体粒子成分を含む。固体粒子成分は様々な種類から選択できる。
【0354】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドにおける固体粒子成分について、その粒子サイズ分布(particle size distribution, PSD)を様々な種類から選択でき、粒子サイズ分布の例としてはモノモーダルな粒子サイズ分布とマルチモーダルな粒子サイズ分布(たとえばバイモーダル、トリモーダル、テトラモーダル、ペンタモーダル及びヘキサモーダル)が挙げられる。粒子サイズ分布は任意の適切な技術(たとえば沈降法、動的光散乱法、又はレーザー回折法)で測定できる。
【0355】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分について、その粒子直径は約0.1nm〜約10mmの範囲、より具体的には約1nm〜約5mmの範囲、より具体的には約50nm〜約2mmの範囲、より具体的には約100nm〜約1,000ミクロンの範囲、より具体的には約0.5ミクロン〜約100ミクロンの範囲である。平均粒子直径は任意の適切な技術(たとえば透過型電子顕微鏡)で測定できる。
【0356】
1つの態様において、用いるセラミックスラリーにおける固体粒子サイズ分布は厳密に制御され、該分布が狭い場合から広い場合まで様々であってよい。単分散粒子ブレンドは、キャリア相とブレンドした後に射出した際に剪断増粘(shear thickening)を起こす可能性があり、加工性が乏しくなる可能性がある。加工性の低下に対処するために、粒径分布の広い複数種類の固体粒子を互いに混合して固体粒子混合物を形成することで、粒子充填理論により、粒子同士の隙間を適当なより小さい粒径の粒子で充填させることができる。たとえば、5ミクロンのアルミナ粒子と0.5ミクロンのアルミナ粒子とをブレンドすることでアルミナ粒子の固体部分を60%にして、本明細書に開示されるセラミックスラリーに用いることができる。こうすることで、たとえば、粗い粒子約80%に対して細かい粒子約20%(すなわち粗い粒子と細かい粒子の比率を4:1、半径比率を10:1とする)にすると、スラリー粘度が最小になり、最適化したバイモーダル粒径分布を用いる場合、粘度数値が2〜5減少することが期待できる。
【0357】
1つの態様において、本願に用いるセラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分が、セラミックスラリーの射出時の粘度が減少するように最適化されており、また同時に、中間成形体の焼結時のクリープ及び/又は中間成形体を用いて最終製品を形成する鋳造工程時のクリープが最小になるように最適化されている。最適化された粒子成分の例としては、粒子サイズが約0.5ミクロン、約1ミクロン、約10ミクロン、約20ミクロン、約50ミクロン、又は約70ミクロンであり、また、粒子のアスペクト比が球状からビーム状にわたる範囲(1:1〜100:1)であるものが挙げられる。
【0358】
1つの態様において、本願に好適に用いられるセラミックスラリーブレンドに含まれる固体粒子成分は、アルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、ケイ酸ジルコニウム、及びこれらの混合物からかなる群より選ばれる。
【0359】
いくつかの態様において、代表的な固体粒子成分はアルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アンヒュームドシリカ、又はケイ酸ジルコニウムの粒子であって、平均粒子サイズが約5m
2/g〜約500m
2/gの範囲にある。いくつかの態様において、ヒュームドシリカ添加剤は平均粒子サイズが約50m
2/g、約75m
2/g、約100m
2/g、約120m
2/g、約150m
2/g、約200m
2/g、約250m
2/g、約300m
2/g、又は約350m
2/gである。
【0360】
いくつかの態様において、アルミナ、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、アンヒュームドシリカ、又はケイ酸ジルコニウムの粒子は表面官能化されていてもよく、また、これら粒子の例としては、以下の市販品が挙げられる:Cabot 社の CAB-O-SIL TS-720、TS-610、TS-622、及び TS-530、並びに EVONIK 社の AEROSIL R8200、R106、R812S、R202、R208、R972、R974 及び R812S。たとえば、ビニルシラン、メルカプトシラン、アミノシラン及びメタクリロシランが0.01〜15モル%当量の量で添加される。使用に好適な市販品の具体例として、Evonik 社の Dynasylan MTMO、AMMO 及び VTMO、並びに Evonik 社の(メタ)アクリレートシランが挙げられる。
【0361】
1つの態様において、セラミックスラリーにおける固体粒子成分の量は、約40〜約90容量%の範囲、より具体的には約50〜約80容量%の範囲、より具体的には約51〜約66容量%の範囲である。
【0362】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は1種又は2種以上の気孔増加用成分を含む。
【0363】
1つの具体的な態様において、気孔増加用成分をセラミックスラリーに加えてもよく、これにより、セラミックコアの内部多孔性を増加し、気孔サイズ分布を調節し、及びセラミックコア内部からの外部焼結炉雰囲気へのアクセスを促進し、また、最終的な焼結コアの機械強度を調節できる。セラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約300℃の範囲、より具体的には約100℃〜約250℃の範囲、より具体的には約120℃〜約200℃の範囲である有機固体が挙げられる。セラミックスラリーに使用するのに好適な気孔増加用成分の例としては、融点が約−50℃〜約200℃の範囲、より具体的には約−20℃〜約150℃の範囲、より具体的には約−10℃〜約120℃の範囲であり、且つ、沸点が約70℃〜約450℃の範囲、より具体的には約100℃〜約400℃の範囲、より具体的には約120℃〜約375℃の範囲、より具体的には約200℃〜約375℃の範囲、より具体的には約250℃〜約375℃の範囲である有機固体が挙げられる。更に、気孔増加用成分は、コア焼結加工中に温度上昇につれて徐々に揮発又は燃焼することが好ましく、また、複数の気孔増加用成分をセラミックスラリー組成物に加えてもよく、それにより、焼結加熱速度とサイクル条件(cycling conditions)を制御することによって温度上昇に伴うセラミックコア成分の質量減少が直線性に近づくように調節できる。
【0364】
1つの具体的な態様において、セラミックスラリーに用いるのに好適な気孔増加用成分の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサン(n=2〜20)、1,6−ヘキサンジオール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、デカン、ウンデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、о−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、フェノール、о−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、ナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、ビフェニル、及び分子量が70g/mоlから700g/mоlの範囲にある他の有機化合物。
【0365】
1つの具体的な態様において、セラミックスラリーに添加することのできる気孔増加用成分の量は約1〜約30容量%の範囲、より具体的には約5〜約25容量%の範囲、より具体的には約10〜約20容量%の範囲、より具体的には約12〜約18容量%の範囲である。
【0366】
1つの態様において、セラミックスラリー組成物は1種又は2種以上の添加剤を含む。添加剤は好適なものであればいずれでもよく、例としては有機添加剤と無機添加剤が挙げられる。
【0367】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドはアルカリ元素、アルカリ土類元素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0368】
1つの態様において、セラミックスラリーブレンドはアルカリ元素、アルカリ土類元素、及び界面活性剤からなる群より選ばれるセラミックスラリー添加剤を含み、該界面活性剤はスラリーブレンド中の固体セラミック粒子を混合工程中に包み込むものである。該界面活性剤の例としては、ステアリン酸、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。セラミックスラリー組成物中のセラミックスラリー添加剤の量は約10〜約10,000ppmの範囲内であり、より具体的には約50〜約5,000ppmの範囲内であり、より具体的には約100〜約1,000ppmの範囲内であり、より具体的には約100〜約500ppmの範囲内である。
【0369】
1つの具体的な態様において、1種又は2種以上のセラミックスラリー添加剤の量は約100ppm、約150ppm、約200ppm、約250ppm、約300ppm、約350ppm、約400ppm、約450ppm、又は約500ppmである。他の1つの具体的な態様において、1種又は2種以上のセラミックスラリー添加剤の量は約150〜約450ppm、約200〜約400ppm、又は約200〜約300ppmである。
【0370】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、可溶性モールド又はモールドアセンブリーの使用を含む製造工程での使用を通じて、インベストメント鋳造法における製造工程数を減らすことができるユニークな能力を示すものであり、該可溶性モールド又はモールドアセンブリーは優れた射出工程性能とユニークな分解性能(たとえば射出成形アセンブリーの癒着防止性の向上)を提供するものであり、これにより、間接的又は直接的製造方法を用いて新規な成形体の製造を可能にする。
【0371】
セラミックスラリーの物理特性は様々の特性から選択できる。1つの態様において、セラミックスラリーは、セラミックコア形成のために用いられる従来のスラリーに比べて、低減された粘度を有し、それにより、セラミックコア形成工程の圧力・温度条件を低減でき、また、製造のためのエネルギーコストを低減できる。セラミックスラリー組成物の粘度は任意の適切な方法(たとえば浸漬プローブ粘度計)で測定できる。
【0372】
一定の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、現在用いられているキャリア組成物に比べてセラミックスラリーキャリア相の組成範囲を広くすることによって特徴付けられ、それにより、環境問題上及びコスト上の利点を製造業者に提供できる。
【0373】
他の諸態様において、本願で用いるのに好適なセラミックスラリーは、本明細書に開示されるインベストメント鋳造法に用いられるグリーン状態セラミックコアと焼結セラミックコアの周囲温度での機械的強度を向上するものであり、それにより、工程の効率化、製造工程数の減少、及び収率改善を製造業者に提供できる。
【0374】
図5は本明細書に開示される焼結されたセラミックコアの1つの態様を示すものであり、セラミックコアはインベストメント鋳造法で用いるのに好適な3次元的特徴要素(three dimensional feature)を含んでおり、セラミックコアは、付加的に製造された可溶性インナーモールドと機械加工されたアウターシェルを含むモールドアセンブリーにセラミックスラリーを射出成形することにより形成されたものである。
【0375】
図
13は本明細書に開示される鋳造コアの1つの態様を示すものである。1つ又は2つ以上の鋳造コアは、内部空洞、内部通路、及び内部の複雑な特徴要素(internal complex feature)の一部又は全部並びに最終的なブレード(
13B)に存在する外部特徴要素(external feature)の一部を鋳造工程で形成する。コアは、特徴要素の反転形状を規定するものであり、その非限定的な例としては以下のものが挙げられる:乱気流発生リブ(
13C)、乱気流発生ピン(
13D)、交差孔(
13E)、後縁チャンネル(trail edge channel)(
13F)、チップ孔(
13G)、入口(
13H)、蛇行通路(
13J)、単独空洞(
13K)、及び衝突孔(
13L)。鋳造コアはまた、外部特徴要素の一部も形成し、その外部特徴要素の非限定的な例としてはスクイーラー リム(squealer rim)(
13M)が挙げられる。
【0376】
VI. 最終成形体の製造方法
本明細書において、最終成形体(たとえばタービンブレードのような鋳造金属部品)の製造方法、具体的には、本明細書に開示されるセラミックコアを用いて最終製品を製造すること、より具体的には、本明細書に開示されるモールド又は射出成形アセンブリーを用いて製造されたセラミックコアを用いて最終製品を製造することが開示される。
【0377】
1つの態様において、最終成形体(たとえばタービンブレード)の製造方法が開示され、この製造方法は、(i)本明細書に開示されるセラミックコアを提供し;(ii)単数又は複数の好適な材料を提供し;そして(iii)該セラミックコアを用い、好適な技術を用いて該好適な材料から成形体を形成することを含む。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるモールド又はインナーモールドを用いてセラミックコアを製造し、より具体的には、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を有するモールドを用いて製造される:可溶性である、付加的に製造される、及びモノリシックである。
【0378】
1つの具体的な態様において、ターボ機械部品の製造方法が開示され、該方法は、(i)ターボ機械部品の外面形状を規定するモールドを提供し、但し該モールドはターボ機械部品の内部形状を規定するセラミックコアを含み;(ii)モールドとコアとの間に溶融金属を導入し;そして(
iii)コアを除去する、ことを含む。1つの具体的な態様において、セラミックコアは本明細書に開示されるセラミックコアであり、より具体的には、本明細書に開示される方法で製造されたセラミックコアである。
【0379】
1つの態様において、タービンブレードの製造又は鋳造方法が開示され、該方法は、(i)タービンブレードの外面形状を規定するモールドを提供し、但し該モールドはタービンブレードの内部形状を規定するセラミックコアを含み;(ii)モールドとコアとの間に溶融金属を導入し;そして(
iii)コアを除去する、ことを含む。1つの具体的な態様において、セラミックコアは本明細書に開示されるセラミックコアであり、より具体的には、本明細書に開示される方法で製造されたセラミックコアである。
【0380】
1つの具体的な態様において、本願の方法が複数回反復される。他の1つの態様において、本願の方法は2個以上のタービンフォイルを同時に製造するために好適である。
【0381】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される方法によると、中子ずれ(core shift)の量を約150ミクロン減少でき、より具体的には、約10ミクロン、約25ミクロン、約50ミクロン、約75ミクロン、約100ミクロン、約125ミクロン、又は約150ミクロン減少できる。
【0382】
他の1つの具体的な態様において、射出成形アセンブリーを用いると、中子ずれの量を約50%減少でき、より具体的には、約10%、約20%、約30%、約40%、又は約50%減少できる。
【0383】
VII. 最終成形体
1つの態様において、最終成形体が開示され、最終成形体の例としては鋳造ターボ機械部品が挙げられるが、これに限定されない。1つの具体的な態様において、最終成形体は内燃機関に使用するためのターボ機械部品であり、より具体的には、航空宇宙産業やエネルギー産業で用いられるガスタービンエンジンである。
【0384】
1つの態様において、最終成形体は、インベストメント鋳造法を用いる方法で形成された鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であり、該インベストメント鋳造法はセラミックコアを用いて行なわれるものであり、該セラミックコアは可溶性モールド又はモールドアセンブリー、特に可溶性の内部セクション又は内部構成要素を有する可溶性モールドを用いて形成されるセラミックコアである。1つの具体的な態様において、鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)は1つ又は2つ以上の本明細書に開示される冷却特徴要素を含む。
【0385】
1つの具体的な態様において、最終製造品は、本明細書に開示されるセラミックコアから製造された鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。1つの態様において、鋳造ターボ機械部品は本明細書に開示されるセラミックコアを用いて製造された鋳造ターボ機械部品であり、より具体的には、本明細書に開示される射出成形アセンブリーと射出成形方法を用いて製造された鋳造ターボ機械部品である。
【0386】
一定の諸態様において、最終成形品は、従来の鋳造ターボ機械部品に比べて改善された工学的性能により特徴付けられる鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。
【0387】
一定の諸態様において、この改善された工学的性能により、鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)が1つ又は2つ以上の望ましい特性を有し、該望ましい特性の例としては以下のものが挙げられる:従来の鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)に比べて、増加した耐久性、低減されたメンテナンス コスト、進歩した冷却能力、改善された機械的性能、改善された局所的構造特性、改善された振動挙動、空気力学的設計の全体的自由度の増加、及びこれらの組み合わせ。
【0388】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示される最終成形体(たとえばタービンブレード)は、以下の非限定的な特徴の1つ又は2つ以上を有する鋳造ターボ機械部品である:(1)空気力学的な外面形状、(2)繊細な内部特徴要素(fine internal feature)(たとえば中空チャンネル、内部空洞中への突起など)、(3)内部チャンネル又は蛇行通路、任意により内部チャンネル同士を接続する衝突孔、そして(4)内部乱気流発生特徴要素(internal turbulating feature)。これらのデザイン及び/又は特徴要素は、正常な運転条件下で成形体を内部から又は外部から冷却するためのものである(たとえばフィルム冷却)。
【0389】
1つの具体的な態様において、最終成形体は、高温・高圧・高負荷及び/又は高振動環境下(たとえばターボ機械用途で遭遇する環境下)での使用に好適な鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)である。高温環境は成形体の材料の軟化点又は融点に近いかそれを超えてもよい。1つの具体的な態様において、高温環境は約1,300℃より高く、約1,400℃より高く、約1,500℃より高く、約1,600℃より高く、約1,700℃より高く、約1,800℃より高く、約1,900℃より高く、約2,000℃より高く、約2,100℃より高く、約2,200℃より高く、又は約2300℃より高い。
【0390】
1つの態様において、最終成形体の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:単結晶ニッケル及び/又はチタンベース超合金製のガスタービンエアフォイル、コンプレッサーエアフォイル、タービンエアフォイル、高圧コンプレッサーブレード、低圧コンプレッサーブレード、高圧タービンブレード、低圧タービンブレード、タービンベーンのセグメント、タービンベーン、ノズルガイドベーン、タービンシュラウド、タービン付属ギアボックス部品、ジェットエンジン部品、モールド、又は鋳造品とセラミックコア、以下のものを製造するためのダイ及びモールド:単結晶ニッケル及び/又はチタンベース超合金製のガスタービンエアフォイル、コンプレッサーエアフォイル、タービンエアフォイル、高圧コンプレッサーブレード、低圧コンプレッサーブレード、高圧タービンブレード、低圧タービンブレード、タービンベーンのセグメント、タービンベーン、ノズルガイドベーン、タービンシュラウド、タービン付属ギアボックス部品、ジェットエンジン部品、モールド、及び現在の材料及び/又は現在の方法では製造できない鋳造品。1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来技術では達成不可能な形状のデザイン及び/又は特徴要素を含む。
【0391】
1つの態様において、最終成形体は鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であって、以下の材料からなる群より選ばれる1種又は2種以上から製造されるものである:ステンレススチール、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、コバルト、チタン超合金、単結晶超合金、金属間超合金(intermetallic superalloy)、セラミックモールド、セラミックオーバーモールド、セラミックコア、鋳造セラミックス、又はレイアップ法で製造された製品(lay-up product)(たとえばセラミックスマトリックス複合体(CMC)部品)。
【0392】
1つの態様において、最終成形体は金属部品を含む鋳造ターボ機械部品(たとえばタービンブレード)であって、該金属は以下のものからなる群より選ばれる:ターボ機械用途(たとえばロケットエンジン部品、ジェットエンジン部品及び産業用ガスタービン部品)に用いるための、ニッケルベース単結晶超合金、反応性金属合金、一方向凝固超合金、及び等軸結晶超合金。
【0393】
1つの態様において、最終成形体は鋳造ターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の効率を増加するものである。
【0394】
1つの具体的な態様において、最終成形体はターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の熱効率及び/又は燃料効率を増加するものである。1つの態様において、熱効率及び/又は燃料効率を約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上増加する。
【0395】
1つの態様において、最終成形体はターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)であって、該ターボ機械部品を内蔵する内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)の効率を増加するものであり、それにより燃料消費の低減につながり、燃料消費の低減率が1%までにおよび、より具体的には約0.1%以上、約0.2%以上、約0.3%以上、約0.4%以上、約0.5%以上、約0.6%以上、約0.7%以上、約0.8%以上、約0.9%以上、又は約1%以上である。
【0396】
他の1つの態様において、最終成形体は、従来のターボ機械部品に比べて改善された耐久性を有することにより特徴付けられるターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)である。1つの具体的な態様において、耐久性の改善は、取り外し前の時間(0〜100サイクル)で、約0%〜約5%の間、又は約1%〜約5%の間、又はより具体的には約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、又は約5%以上である。他の1つの態様において、サイクルの増加は約1サイクル〜約100サイクルの間、又はより具体的には約10サイクル〜約90サイクルの間、約20サイクル〜約80サイクルの間、約30サイクル〜約70サイクルの間、約40サイクル〜約60サイクルの間、又は約50サイクルである。
【0397】
1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の内燃機関(たとえばガスタービンエンジン)において可能であったものよりも高温のタービン入口温度(TIT)を可能にするターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)である。1つの態様において、TITの増加は、熱効率、パワー出力又はその両方と関連付けられる。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるターボ機械部品(たとえばガスタービンブレード)は、従来のターボ機械部品の場合と同じか又は類似の量の冷却空気を用いてTITの増加を可能にする。
【0398】
1つの態様において、タービン入口温度が約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、又は約25%増加する。1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加率が約0.5%〜約10%の間、約1%〜約5%の間、又は約2%〜約3%の間である。他の1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加率が約1%より高く、約2%より高く、約3%より高く、約4%より高く、又は約5%より高い。
【0399】
他の1つの態様において、タービン入口温度が約10℃〜300℃高く、たとえば、約100℃〜250℃高く、より具体的には約10℃高く、約100℃高く、約150℃高く、約200℃高く、約250℃高く、又は約300℃高い。1つの具体的な態様において、タービン入口温度の増加分が約10℃と約50℃の間であり、たとえば、約15℃と約45℃の間、約20℃と約40℃の間、又は約30℃である。
【0400】
1つの具体的な態様において、タービン入口温度が約1,000℃より高く、約1,500℃より高く、約1,550℃より高く、約1,600℃より高く、約1,650℃より高く、約1,700℃より高く、約1,750℃より高く、約1,800℃より高く、約1,850℃より高く、又は約1,900℃以上である。
【0401】
1つの態様において、最終成形体はタービンブレード又はタービンノズルである。
【0402】
1つの具体的な態様において、最終成形体はタービンブレードである。タービンブレードは、回転ローターに軸方向に沿って配置取り付けされた1つ又は2つ以上の段に配列され、燃焼から生じる高温ガスによる運動量移行と圧力によってローターを回転させるのものでよい。1つの具体的な態様において、タービンブレードは、以下の材料からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでよい:ステンレススチール、ニッケル、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、コバルト、チタン超合金、単結晶超合金、金属間超合金(intermetallic superalloy)、セラミックモールド、セラミックオーバーモールド、セラミックコア、鋳造セラミックス、又はレイアップ法で製造された製品(lay-up product)(たとえばセラミックスマトリックス複合体(CMC)部品)。
【0403】
図3は典型的なタービンブレードを示す。タービンブレードは、プラットフォーム(3B)を介してシャンク(3C)に接続されているエアフォイル(3A)を含む。入口(3D)は、内部通路に冷却空気を供給する(内部通路は
図4で更に詳細を示す)。内部通路は種々の出口に通じており、出口の例は以下のものを含むが、これらに限定されない:フィルム冷却孔(3E)、後縁チャンネル(3F)、チップ孔(3G)。スクイーラー リム(3N)が存在してもよく、存在しなくてもよいが、これはブレードとそれに対応するフローパス壁(flow path wall)との間の封止界面である。エアフォイル上の部位は以下のように定義される:チップ(3H)はブレードの放射状最外縁端部である;元部(root)(3I)はプラットフォームの放射状外部に接する位置にあるエアフォイルの部分である;前縁(3J)はエアフォイルの空気力学的な最先端部である;後縁(3K)はエアフォイルの空気力学的な最後端部である;圧力側(3L)はエアフォイルの凹形外壁である;そして、吸込み側(3M)はエアフォイルの凸形外壁である。
【0404】
図4は典型的なタービンブレードの中に存在する種々の内部特徴要素を示す。入口(3D)は内部冷却通路に冷却空気を供給する。これらの通路は、蛇行通路(4A)又は元部からチップに延びる単独空洞(4B)のいずれの形でもよい。空洞は複数の内部壁(4C)により隔てられている。後縁チャンネル(4D)はこれらの通路からの供給を受ける。乱気流発生ピン(4E)は空洞中の突起であり、空洞の全体にわたり延びていてもよく、そうでなくてもよい。乱気流発生リブ(4F)は空洞中への部分的突起であり、壁の一部又は全体にわたり延びている。交差孔(4G)又は衝突孔(4H)は空洞同士を接続する。
【0405】
本明細書に開示されるタービンブレードは、凹形の圧力側壁と凸形の吸込み側壁からなるエアフォイルセクションを含み、該圧力側壁と吸込み側壁は前縁と後縁とで接続され、前縁と後縁は複数の内部冷却通路と空洞を含む。これらの空洞は、ブレードの放射状最内縁端部であるシャンク(これはエアフォイルの放射状最内縁端部である元部を貫通する)にある入口通路を通じて冷却空気を供給される。タービンブレードの放射状最外縁端部にはチップが位置する。
【0406】
1つの態様において、最終成形体は、従来の手段で製造されたガスタービンブレードに比べて増加した平均ブレード冷却効果(average blade cooling effectiveness)(φ)を示すガスタービンブレードである。平均ブレード冷却効果が増加することによりガスタービン運転者がTITを増加でき、これによって、ブレードの寿命を損なわずに系の熱効率が増加する。1つの具体的な態様において、平均ブレード冷却効果(φ)の増加率は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上である。他の1つの具体的な態様において、平均ブレード冷却効果(φ)は約0.4φより大きく、約0.45φより大きく、約0.5φより大きく、約0.55φより大きく、約6φより大きく、約0.65φより大きく、約0.75φより大きく、約.8φより大きく、約0.85φより大きく、約.9φより大きく、約0.95φより大きく、又は約1φより大きく、これらの評価温度は約1,400℃〜約2,000℃の間であり、より具体的には約1,400℃、約1,500℃、約1,600℃、約1,700℃、約1,800℃、約1,900℃、又は約2,000℃である。
【0407】
1つの態様において、平均ブレード冷却効果は約0.4φより大きく、約0.42φより大きく、約0.46φより大きく、約0.48φより大きく、約0.50φより大きく、約0.52φより大きく、約0.54φより大きく、約0.56φより大きく、約0.58φより大きく、約0.60φより大きく、約0.62φより大きく、約0.64φより大きく、約0.66φより大きく、約0.68φより大きく、約0.70φより大きく、約0.72φより大きく、約0.74φより大きく、約0.78φより大きく、又は約8.0φより大きく、これらの評価温度は約1,400℃と約2,000℃の間であり、より具体的には約1,400℃、約1,500℃、約1,600℃、約1,700℃、約1,800℃、約1,900℃、又は約2,000℃である。
【0408】
他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の方法で製造されたガスタービンブレードの場合よりも低いエアフォイル温度を示すガスタービンブレードである。1つの態様において、エアフォイル温度の減少率は約5%以上であり、約10%以上であり、約15%以上であり、約20%以上であり、又は約25%以上である。
【0409】
他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、熱伝達冷却効果において約0.1%〜約15%の増加率を示すガスタービンブレードであって、より具体的には、熱伝達冷却効果において示される増加率は、約1%〜約15%の範囲、約5%〜約15%の範囲、より具体的には約0.1%以上、約1%以上、約3%以上、約5%以上、約8%以上、約10%以上、約12%以上、又は約15%以上である。
【0410】
更に他の1つの具体的な態様において、最終成形体は、従来の方法で製造されたガスタービンブレード又はガスタービンの場合よりも長い有効寿命を有するガスタービンブレードである。1つの具体的な態様において、有効寿命の増加率は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、又は約25%以上である。1つの態様において、ブレード故障までの合計時間の改善率は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、より具体的には約3%である。
【0411】
1つの態様において、タービンブレードの故障が発生するまでの時間は3,500時間以上、約3,750時間以上、約4,000時間以上、約4,250時間以上、約4,500時間以上、約4,750時間以上、約5,000時間以上、約5,250時間以上、約5,500時間以上、約5,750時間以上、約6,000時間以上、約6,250時間以上、約6,500時間以上、約6,750時間以上、約7,000時間以上、約7,250時間以上、約7,500時間以上、約7,750時間以上、又は約8,000時間以上である。
【0412】
1つの態様において、最終成形体は、構造的特徴要素、冷却特徴要素及びそれらの組み合わせより選ばれる1種又は2種以上の特徴要素を含むタービンブレードである。
【0413】
一定の諸態様において、ガスタービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却特徴要素を含み、該冷却特徴要素により、ブレードが、ブレードの材料の最高許容温度を超えることができ、具体的には、ブレードが露出される最高温度に耐えることができる。この差分温度(differential temperature)は様々であり得る。一定の諸態様において、この差分温度は約400℃と約600℃の間、約500℃と約700℃の間、又は約600℃と約800℃の間である。1つの具体的な態様において、この差分温度は、ガスタービンブレードの製造に用いる単結晶合金の最高許容温度とガスタービンエンジンの最高可能燃料組成物温度との差を表す。
【0414】
冷却特徴要素は、以下のものから選ばれるメカニズムによってタービンブレードに冷却空気を供給する:対流冷却(convected cooling)、増大された対流冷却(augmented convected cooling)、衝突(非フィルム)冷却、複数パス冷却(multipass cooling)(たとえば2パス、3パス)、フィルム/クロスフロー衝突冷却、蒸散冷却(transpiration cooling)及びこれらの組み合わせ。
【0415】
1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素が以下のものからなる群より選ばれる:空洞、複雑な内部特徴要素、フローチャンネル、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、壁、他の構造体、及びこれらの組み合わせ。これらの特徴要素は、約1nm〜約10mサイズの特徴要素を有する中間成形体(セラミックモールド)を用いて形成され、より具体的には該中間成形体の特徴要素のサイズは約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約500ミクロンであり、より具体的には約10ミクロン〜約400ミクロンであり、又はこれら具体的なサイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0416】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却特徴要素を含み、該冷却特徴要素のサイズのオーダーが1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約500ミクロンであり、より具体的には約10ミクロン〜約400ミクロンであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素のサイズは約400ミクロン以下のオーダーである。
【0417】
1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素は内部冷却特徴要素、外部冷却特徴要素、又はそれらの組み合わせである。1つ又は2つ以上の冷却特徴要素はガスタービンブレードの1つ又は2つ以上の部分に位置していてよく、そして、温度、温度分布、又はそれらの両方に影響を与えてよい。1つの具体的な態様において、1つ又は2つ以上の冷却特徴要素は後縁、翼弦中央部(mid-chord section)、又は前縁に位置していてよい。
【0418】
1つの態様において、最終成形体は1つ又は2つ以上の内部冷却特徴要素を含むガスタービンブレードである。内部冷却においては、コンプレッサーから少量の空気が抽出(bled;抽気)されて、ガスタービンブレードに注入される。冷却空気は、サイクル性能を犠牲にしてエンジンコンプレッサーから供給されるのであり、したがって、本明細書に開示される内部冷却特徴要素は、要求される冷却空気流を最低限に抑えて必要な冷却を提供するものである。1つの具体的な態様において、要求される冷却流は全流量の約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、又は約1%未満である。特定の諸態様において、内部冷却特徴要素は、熱伝達係数を約1%、約3%、約5%、約8%、約10%、約12%、約15%、約18%、又は約20%前後、増加しつつも、通路における冷却流体の圧力損失を顕著に増やすことがない。
【0419】
1つの具体的な態様において、ガスタービンブレードは1つ又は2つ以上の冷却通路、冷却チャンネル、又は冷却空洞を含む。冷却空気は内部冷却通路と空洞を通過して流れ、内部対流冷却によりエアフォイルのボディーを冷却する。内部空洞と通路は、交差孔又は衝突孔により相互に接続されていてもよい。
【0420】
1つの具体的な態様において、タービンブレードは複数の冷却チャンネルを含み、複数とはすなわち、2つ又は3つ以上、3つ又は4つ以上、4つ又は5つ以上、5つ又は6つ以上、6つ又は7つ以上、7つ又は8つ以上、8つ又は9つ以上、9つ又は10以上、10又は11以上である。1つ又は2つ以上の冷却チャンネルが単一パス又は複数パスであってよい。
【0421】
1つの態様において、冷却チャンネルの間隔、方向、及び形状は様々のものから選択できる。一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の冷却チャンネルの断面形状が、円形、チューブ形、卵形(ovular)、正方形、長方形、三角形、台形、又は多角形である。冷却チャンネルは蛇行状流れ軸又はジグザグ状流れ軸により特徴付けられていてよい。任意により、冷却チャンネルは1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素(turbulating feature)を有してよく、その例としては、1つ又は2つ以上の窪み、突起、ピンフィン(pin-fin)などが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて使用できる。一定の諸態様において、1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素はどのような方向を有していてもよい。
【0422】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上のピンフィン冷却チャンネルを含む。ピンフィンチャンネルは構造的支持を提供するとともに熱伝達を増強してよい。ピンフィンの間隔、方向、形状、及び位置は様々のものから選択できる。
【0423】
更なる1つの態様において、1つ又は2つ以上の冷却チャンネルはピン形状を含み、新規なピン形状は以下の特徴を有する:(1)所望の規模と位置で乱流を生成する能力が増大することにより、タービンエアフォイルの対流冷却を改善する;(2)斜立した又は交差したピン(angled or crossing pin)の使用により、局所的構造的剛性を改善する;(3)衝突冷却の方向の制御性能の増大によって衝突冷却の効果が増大し、これにより対流冷却性能を改善する;(4)突出したノズル形状を有する前縁の衝突孔によって、衝突冷却の効果を増大する;(5)チャンネル長さの増大、及び、内部空洞との位置関係により制限されない理想的な出口角度により、フィルム冷却の効果を改善する;(6)メッシュ衝突冷却を採用することで、より均一なエアフォイル壁温度を可能にする;(7)燃焼温度の増大を可能にすることにより、エンジン効率を改善する;(8)タービンブレードボディー温度の減少により、タービンブレードの耐久性を改善する;そして(9)ブレードの局所的剛性を調節してブレードの振動周波数を調整できる能力の増大により、タービンブレードの耐久性を改善する。
【0424】
ピンの形状は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの形状は円形、ダイヤモンド形、又は立方体形である。
【0425】
ピンの直径(Dp)は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの直径は約1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約100ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。ピンの高さ(Hp)は様々のものから選択できる。1つの態様において、ピンの高さ(Hp)は1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約500mmであり、より具体的には約1ミクロン〜約10cmであり、より具体的には約150ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。1つの具体的な態様において、ピンの高さ対直径比が約1.3と約8の間、より具体的には約1/2と約5の間である。
【0426】
一定の諸態様において、ピンは配列されて存在する。配列の種類は直線状(in-line)でもよいし、流れ方向に対してジグザグ状(staggered)でもよい。複数の配列のスパン方向(spanwise)の間隔と流れ方向(streamwise)の間隔とは異なっていてもよい。
【0427】
1つ又は2つ以上のピンフィンチャンネルがブレードのいずれの部分に位置していてもよい。1つの態様において、ピンフィンチャンネルはブレードの後縁に位置する。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるガスタービンブレードは、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンを含む。ピンが壁から壁へ延びる距離は1nm〜1m、より具体的には500nm〜500cm、より具体的には5ミクロン〜500mm、より具体的には50ミクロン〜50mm、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0428】
1つ又は2つ以上のピンの角度は様々のものから選択できる。本明細書に記載されるのは、従来の製造方法のデザイン制限を克服するデザイン先進性であり、従来の製造方法においては、ピンの各配列の方向が直交しなければならない対称面を、モールドの分割線がもたらす。本明細書に開示される成形体においては、ピンの全部又は一部の方向が、モールドの分割線に要求される対称面には限定されない。
【0429】
1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるタービンブレードは、後縁において1つ又は2つ以上の冷却空洞を含み、該1つ又は2つ以上の冷却空洞は複数の乱気流発生ピンを含み、該乱気流発生ピンは後縁空洞の吸込み側壁と圧力側壁の間に傾斜して配置されている。
【0430】
1つ又は2つ以上のピンは角度により特徴付けられていてもよく、角度は、たとえば、−90度〜90度の範囲であり、より具体的には−70度〜70度の範囲であり、より具体的には−50度〜50度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。これらのピン中心線のベクトルはまた、同じ空洞内の他のピンに対して異なる角度にあってもよい。これらの角度は、たとえば、−90度〜90度の範囲であり、より具体的には−70度〜70度の範囲であり、より具体的には−50度〜50度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。
【0431】
1つの具体的な態様において、最終成形体(たとえばタービンブレード)は、最適化された振動挙動を通じて改善されたサイクル疲労性能を示す。本明細書に開示されるタービンブレードは、改善された振動挙動を示すことにより、改善された耐疲労性と増大された達成可能な使用寿命サイクル数を示すものであり、振動挙動と疲労との関係においては、空気力学的使用により駆動されるブレード振動の共振周波数が、ブレードの高サイクル疲労を引き起こす。振動挙動は、共振周波数と振動モードの形とにより特徴付けられる。共振周波数はブレードの剛性と形状により駆動され、ブレードの剛性と形状に影響を与えるのは、ブレードの外形、材料、温度、空気力学的負荷、機械的制振、及び回転速度である。よって、ブレードの機械的設計においては、ブレードの共振周波数を増加又は減少させることで、エンジン運転条件により刺激される共振周波数を避けることが含まれる。振動モードの形は、ノードライン(node line)と撓みと変化とによって特徴付けされ、各共振周波数で異なる。これらノードラインの位置は、振動モードの形において特定の共振周波数で撓まない位置を特徴付けし、そして、特定の共振周波数で撓まない位置は、ブレードの振動中の高ひずみ領域を規定する。これら高ひずみ領域の位置はタービンブレード設計において解析され、解析結果に基づき、ブレードの高ひずみ位置がブレードのストレスに弱い部分から離れた位置に来るように機械的設計がなされる。エアフォイルの形状(たとえば壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの全体的な空気力学的形状、及びピンの位置と量)は、伝統的に、エンジン運転条件で共振周波数を避け、また、振動モードの形を変えて高ひずみ位置がエアフォイルの重要領域に来るのを避けるように調節されている。
【0432】
本明細書に開示されるタービンブレードに存在する斜立したピンは、タービンブレードが局所的に1つの方向で曲がり、反対の方向で圧縮される時に、張力がかかる。近傍部分の形状に依存して、これが当該領域の等価剛性を増加または減少させることがあり得、その増加又は減少の割合は約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約50%、より具体的には約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約5%である。これがブレードの共振周波数を増加または減少させ、その増加又は減少の割合は約0%〜約84%、より具体的には約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約44%、より具体的には約0%〜約22%である。この態様において、ノードラインをブレード全長の一定割合でシフトでき、その割合は約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約10%、より具体的には約0%〜約7%、より具体的には約0%〜約5%である。ブレードの共振周波数とノードラインの位置を変更できる能力が増加することにより、壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの形状、及びピンの位置と量の選択の自由度がより大きくなる。これにより、空気力学的形状とピン配列デザインを最適化する自由度がより大きくなる。こうして得られる全体的なエンジン効率の改善の割合は約1%、より具体的には約.1%、より具体的には約.01%、より具体的には約.005%である。加えて、自由度の増加により、ブレード故障までの合計時間を改善でき、その改善の割合は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、より具体的には約3%である。
【0433】
1つの具体的な態様において、タービンブレードは後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンを有し、該ピンの角度は空洞の中央平面又は隣接するピンと交差する壁に対して直角か又は直角ではない。これらのピンは同じ角度で配置されてもよいし、様々な角度で配置されていてもよい。
【0434】
1つの具体的な態様において、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置されるピンが交差(intersect)する。交差ピン(intersecting pin)は、後縁空洞の吸込み側壁から圧力側壁に延びて配置される交差ピンにより形成される局所構造の剛性を更に増加する。これにより、ブレードの振動挙動を調節する能力をより大きくできる。
【0435】
複数のピンが交差していてよく、複数のピンの数は、より具体的には2〜8個、より具体的には2〜5個、より具体的には2〜4個、又はこれら具体的な数のいかなる組み合わせでもよい。これらのピンは各々のピンの長さのいずれの位置で交差していてもよく、たとえば、2個のピンが交差した構造において「V」形状又は十字形状を形成していてもよい。3個のピンが交差した構造において、3側面を有するピラミッド形状を形成していてもよく、または、中央平面と交差して、互いに結合した2個のピラミッド形状を形成していてもよい。
【0436】
この態様において、交差ピンを用いることで、単独のピンを用いる場合に比べて、より広い面積に局所曲げ応力を分散できるので、当該領域の等価剛性を増加でき、増加の割合は約0%〜70%、より具体的には約0%〜約50%、より具体的には約0%〜約20%、又はより具体的には約0%〜約5%である。これによりブレードの共振周波数が増加し、その増加の割合は約0%〜約84%、より具体的には約0%〜約70%、より具体的には約0%〜約44%、より具体的には約0%〜約22%である。この態様において、ノードラインをブレード全長の一定割合でシフトでき、その割合は約0%〜約20%、より具体的には約0%〜約10%、より具体的には約0%〜約7%、又はより具体的には約0%〜約5%である。ブレードの共振周波数とノードラインの位置を変更できる能力が増加することにより、壁厚み、エアフォイル厚み、内部壁の位置、エアフォイルの形状、及びピンの位置と量の選択の自由度がより大きくなる。これにより、空気力学的形状とピン配列デザインを最適化する自由度がより大きくなり、こうして得られる全体的なエンジン効率の改善の割合は約1%、より具体的には約.1%、より具体的には約.01%、又はより具体的には約.005%である。加えて、自由度の増加により、ブレード故障までの合計時間を改善でき、その改善の割合は約50%、より具体的には約20%、より具体的には約10%、又はより具体的には約3%である。
【0437】
図8は、本明細書に開示されるタービンブレードの1つの態様における斜立したピン(3A)と交差ピン(3B)を示す。斜立したピン(3A)は後縁空洞の圧力側壁から吸込み側壁に延びて配置される突起である。この態様において、これらのピンは空洞の壁と中央平面との両方に対して角度をなしている。交差ピン(3B)は後縁空洞の圧力側壁から吸込み側壁に延びて配置される1対の突起であり、互いに交差して十字状構造を形成して1つの態様を示している。これらのピンは、他の態様において、より複雑な構造を形成してよい。
【0438】
1つの態様において、内部冷却メカニズムは1つ又は2つ以上のリブ乱気流発生チャンネルであり、すなわち、1つ又は2つ以上の乱気流発生リブを含むチャンネルである。1つの具体的な態様において、リブ乱気流発生チャンネルはガスタービンブレードの翼弦中央部(mid-chord region)に位置する。
【0439】
乱気流発生リブのサイズ、形状、間隔、分布、及び方向(角度)は様々のものから選択できる。乱気流発生リブの代表的な、非限定的な形状の例としては以下のものが挙げられる:正方形、二等辺三角形、逆向き直角三角形(reverse right-angle triangular)、直角三角形、直角台形、等脚台形、半円形、扇形、家形(house shaped)、逆向きカット台形(reverse cut-trapezoidal)、カット台形(cut-trapezoidal)、逆向きブーツ形(reverse boot-shaped)、ブーツ形(boot-shaped)、逆向き五角形(reverse pentagonal)、五角形、及び逆向き直角台形(reverse right angle trapezoidal)。1つの具体的な態様において、リブを内部冷却チャンネルの向かい合う壁面の両側に設ける。1つの具体的な態様において、内部冷却チャンネルの向かい合う壁面の1つの側だけがリブを有する。
【0440】
一定の諸態様において、リブが冷却チャンネルの隣接する壁(すなわち圧力側壁と吸込み側壁)に存在してもよい。代替的な諸態様において、リブは冷却チャンネルの片方の側だけに存在する。リブの配置は対称的でもよく、また、ずれて非対称であってもよい。
【0441】
1つの態様において、リブが流れに対して直角に配置されている。他の1つの態様において、リブは主たる流れに対して斜めに配置されている。1つの具体的な態様において、リブは75度リブ、60度リブ、又は45度リブである。
【0442】
1つの具体的な態様において、タービンブレードはリブ−窪み 複合チャンネル(rib-dimpled compound channel)を含む。
【0443】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の衝突孔を含む。1つの具体的な態様において、タービンブレードは複数の衝突孔を含む。衝突孔のサイズ、形状、孔の貫入角度と位置は様々なものから選択できる。同様に、複数のフィルム冷却孔の間の間隔は様々なものから選択できる。
【0444】
1つの態様において、タービンブレードは1つ又は2つ以上の衝突孔を含み、それらが.013インチもの小さいものであり、それらの位置は内部又は外部のいずれでもよい。他の1つの態様において、タービンブレードは複数の角度で斜立した複数の衝突孔を含む。
【0445】
1つの具体的な態様において、衝突孔がタービンブレードに選択的に配置され、タービンブレードの各部分に対して標的化された冷却(directed cooling)を行なうことを可能にする。1つ又は2つ以上の衝突孔を、タービンブレードの1つ又は2つ以上の部分に位置させることができる。
【0446】
この態様における衝突孔を有するタービンブレードについては、圧力側壁に隣接する空洞への出口が複数の角度で形成され、これにより、衝突流れと衝突位置を設定する自由度を大きくでき、また、理想的な衝突角度が可能となる。この態様において、冷却空気は隣接する空洞から、衝突孔を通じて、エアフォイル壁に隣接する空洞に流入し、エアフォイルの内表面に衝突ジェット(impingement jet)として接触する。冷却空気がエアフォイル壁に衝突することで、対流熱伝達が生じ、(この際、熱伝達速度は衝突部位の中心で最も高くなり、)エアフォイル壁は局所的に各衝突ジェットにより冷却され、壁の局所がその周囲よりも冷却される。
【0447】
1つの態様において、圧力側壁に隣接する空洞への出口を有する衝突孔が複数の角度で形成され、これにより、衝突冷却流れの衝突位置を設定する設計自由度を大きくすることができる。
【0448】
不均一な温度分布を有するエアフォイル壁については、衝突孔を通じての標的化冷却を可能にすることが有利であり、これにより、局部的高温を持つ領域を、衝突孔から出る標的化した衝突ジェットで冷却できる。伝統的な製造方法は、衝突孔が互いに平行でなければならない、という設計上の制限がある。従来の方法を用いて形成した一定のエアフォイル内部壁形状については、衝突ジェットでの冷却が不可能なエアフォイル壁領域が存在する場合がある。1つの態様において、複数の角度で配置された衝突孔を含むタービンブレードが開示され、これにより、従来技術では衝突冷却が不可能であった壁の高温領域に冷却流を付与するように衝突ジェットを確実に標的化することができる。
【0449】
1つの態様において、衝突孔の直径は約1nm〜約10mであり、より具体的には約500nm〜約1mであり、より具体的には約1ミクロン〜約1cmであり、より具体的には約5ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約100ミクロン〜約3mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。これらの孔の中心線のベクトルは、該孔が貫通する壁に対して同じ角度にあってもよく、異なる角度にあってもよい。これらの角度は、たとえば、約−90度〜約90度の範囲であり、より具体的には約−60度〜約60度の範囲であり、より具体的には約−30度〜約30度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。
【0450】
1つの具体的な態様において、突起材料(positive material)で形成された出口を有する衝突孔を含むタービンブレードが開示され、該衝突孔が前縁空洞を隣接する単数又は複数の空洞に接続する。この突起材料は、衝突孔の出口から対向する壁までの距離を減少させる働きがある。この突起材料はまた、衝突孔の出口のガス空気力学的特性と衝突性能とを改善するような形状で形成されている。この態様において、衝突孔の直径は約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約5mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0451】
この態様において、孔が貫通している壁から突起材料が突起していてよく、孔が壁を貫通する距離は約0nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約10mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。突起の形状は円錐形、テーパーした円錐形、ピラミッド形、又は多角柱形であってよい。孔が貫通する壁に対する孔の角度は約1度〜約90度の範囲であり、より具体的には約10度〜約90度の範囲であり、より具体的には約40度〜約90度の範囲であり、より具体的には約70度〜約90度の範囲であり、又はこれら具体的角度のいかなる組み合わせでもよい。衝突孔の出口から対向する壁への距離は約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約5cmであり、より具体的には約50ミクロン〜約50mmであり、より具体的には約200ミクロン〜約10mmであり、又はこれら具体的サイズのいかなる組み合わせでもよい。
【0452】
1つの具体的な態様において、突起材料で形成されたノズル型出口を有する衝突孔が前縁空洞を隣接する単数又は複数の空洞に接続する。この突起材料は、衝突孔の出口から対向する壁までの距離を減少させる働きがある。この突起材料はまた、衝突孔の出口のガス空気力学的特性と衝突性能とを改善するような形状で形成されている。
【0453】
1つの態様において、1つ又は2つ以上の特徴要素が交差孔を含み、より具体的には複数の角度を有する交差孔を含む。
【0454】
1つの態様において、内部冷却特徴要素が冷却メッシュであり、冷却メッシュは小さな孔の高密度な配列を含む。図
12はタービンブレードの衝突冷却メッシュの1態様の図を示し、空気流(
12C)が、小さな孔の高密度な配列を通じて、内部空洞(
12A)から隣接する空洞(
12B)に流入し、該隣接する空洞(
12B)は圧力側壁(
12D)又は吸込み側壁のいずれかに隣接する。
【0455】
他の1つの態様において、タービンブレードは多孔性の金属壁を含む。1つの具体的な態様において、本明細書に開示されるタービンブレードの圧力側壁の一部が、確率論的構造を有する局所的な多孔性金属体積を包み込んでおり、該確率論的構造を通じて冷却空気が単一又は複数の入口から供給され、そしてフィルム冷却孔又はチップ孔から排出される。
【0456】
他の1つの態様において、1つ又は2つ以上の特徴要素が、外部からの冷却を促進する。
【0457】
1つの態様において、外部冷却メカニズムはフィルム冷却であり、フィルム冷却は、ブレードの構造体における複数の小さな孔を通してブレードの内部から外部へ冷却空気をくみ出すことを含む。すると冷却空気の薄層(フィルム)がブレードの外表面に形成されて、主たる流れからの熱伝達が減少する。
【0458】
1つの具体的な態様において、湾曲通路のフィルム冷却孔が、内部前縁空洞をタービンブレードの外面に接続する。フィルム冷却孔はフィルム冷却の層をブレードの外面に供給する。この態様において、湾曲したフィルム冷却通路は、改善されたフィルム冷却効果を可能にし、また、フィルム冷却孔の入口と出口の配置の自由度をより大きくできる。
【0459】
フィルム冷却通路は、単一曲率半径の1セクションからなるか、又は、複数の曲率半径の複数セクションと複数の直線セクションとの組み合わせからなるスプライン(spline)として定義される仮想上の中心線に従う通路断面によって規定されてよい湾曲を示す。複合中心線スプラインの単独セクションの個々の曲率半径は、無限(直線)〜約1nmほどの小さい値の範囲、より具体的には約100nm、より具体的には約1ミクロン、より具体的には約100ミクロン、より具体的には約200ミクロン、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。中心線スプラインは曲率半径付き曲線又は直線からなる複数セクションの複合体であってよく、セクションの数は約1〜約100の範囲、より具体的には約1〜約50の範囲、より具体的には約1〜約20の範囲、より具体的には約1〜約10の範囲、より具体的には約1〜約6の範囲、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。1つの態様において、複合中心線スプラインは2次元であり、単一の仮想平面においてのみ湾曲を示す。他の1つの態様において、複合中心線スプラインは3次元であり、2つの仮想平面において湾曲を示す。通路の断面はフィルム冷却通路の形状を規定するものであり、その形状の例は、正方形、角の丸い正方形、長方形、角の丸い長方形、台形、角の丸い台形、円形、又は卵形(ovular)であり、また、通路の断面は中心線スプラインに沿って複数の断面形状の間を推移してもよい。断面積は約100平方nm〜約1平方メートルの範囲、より具体的には約200平方nm〜約50平方センチメートルの範囲、より具体的には約300平方nm〜約1平方センチメートルの範囲、より具体的には約500平方nm〜約10平方mmの範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。断面積はフィルム冷却通路の内部入口から拡散形状への移行部にかけて一定でもよく、または、フィルム冷却通路の内部入口から拡散形状への移行部にかけて増加してもよく、後者の増加率は、約80%もの大きい値、より具体的には約70%、より具体的には約45%、又はより具体的には約20%である。
【0460】
フィルム冷却通路は、そのままの形状でエアフォイル壁の外表面を貫通してもよいし、また、拡散形状の出口に推移してエアフォイル壁の外表面を貫通してもよい。フィルム冷却通路の中心線がエアフォイル壁の外表面を貫通する際の角度は約0.01度〜約90度の範囲、より具体的には約0.1度〜約50度の範囲、より具体的には約0.2度〜約40度の範囲、より具体的には約0.2度〜約20度の範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。拡散形状の出口の働きにより、フィルム冷却流がエアフォイルの外表面に接触し続ける傾向が増加され、また、フィルム冷却流の形状の幅が広がり1つのフィルム冷却孔がカバーする範囲がより大きくなる。拡散形状は、フィルム冷却孔の出口から扇形に放射状に広がる複数の側壁を有し、該複数の側壁の各々と出口の中心線の間の角度は約0度〜約70度の範囲、より具体的には約0度〜約50度の範囲、より具体的には約0度〜約30度の範囲、より具体的には約0度〜約15度の範囲、より具体的には約0度〜約10度の範囲、またはこれらのいかなる組み合わせでもよい。
【0461】
1つの具体的な態様において、内壁の一部に孔が高密度で配置されていることによって、多孔性挙動を示し、広い領域に均一で標的化した衝突冷却空気を供給する。衝突冷却は、空気対流冷却方法のうちで熱伝達能力が最も高いものの1つであるが、衝突冷却において最高の熱伝達能力は衝突ジェットの接触領域の中心に存在するため、衝突冷却は高い温度勾配を生じる場合がある。高い温度勾配は、熱によるひずみを生じ、それがタービンブレードの耐久性を減少させる。
【0462】
衝突孔のサイズを減少させること及び衝突孔の量を増加することで、衝突接触部位の間の熱勾配を減少できる。したがって、冷却の必要性が中程度である壁の大きな領域については、衝突孔の面積を最小化し、また、衝突孔の量を最大化することが有利である。伝統的な製造技術においては、衝突孔のサイズが約400ミクロンより大きくなり、また、衝突孔の量が1平方センチ当たり約100個未満となる、という制限がある。この態様において、直径約1nm〜約400ミクロン又はそれ以上の孔の高密度の配置が可能となり、それにより、1平方センチ当たりの孔の個数が約50〜約10億、より具体的には約60〜約100万、より具体的には約80〜約500,000、より具体的には約100〜約100,000、またはこれらのいかなる組み合わせとなる。各孔は壁の厚み全体を貫通して延びており、壁の厚みは約1nm〜約1mであり、より具体的には約500nm〜約50センチメートルであり、より具体的には約10ミクロン〜約10センチメートルであり、より具体的には約250ミクロン〜約15mmであり、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。個々の孔の中心線は内壁の表面に対して一定の角度にあってよく、その角度は約1度〜約90度の範囲であり、より具体的には約10度〜約90度の範囲であり、より具体的には約30度〜約90度の範囲であり、より具体的には約60度〜約90度の範囲であり、又はこれらのいかなる組み合わせでもよい。
【0463】
図9は、本明細書に開示される冷却特徴要素に基づく突起した出口特徴要素(positive exit feature)を有するタービンブレード前縁の衝突孔を示す。この態様において、空気は空洞から入口(
9A)と出口(
9B)を通じて流れ、出口(
9B)は内部壁(
9D)と突起した特徴要素(
9C)を貫通して延びている。
【0464】
図10は、本明細書に開示される冷却特徴要素に基づく、圧力側空洞における、タービンブレードの斜立した衝突孔(
10A)を示す。冷却空気は各孔の入口(
10B)と出口(
10C)を通じて流れ、その後に圧力側壁(
10D)の内側に衝突する。この態様において、これらの衝突孔は空洞壁の全部又は一部に沿って配列されており、孔は互いに平行ではない。
【0465】
図11は、本明細書に開示されるタービンブレードの1つの態様を示し、湾曲した入口通路を持つフィルム冷却孔を含む。この態様において、入口通路(
11C)は円形又は非円形の湾曲を持つ1つの平面(
11A)に沿って湾曲しており、また、他の平面(
11D)においては直線状である。他の1つの態様において、入口通路は2つの平面(
11C、
11E)において湾曲しており、該2つの平面は円形湾曲と非円形湾曲の組み合わせ、又はこれらのいかなる組み合わせ(
11B)でもよい。冷却空気は入口通路(
11C、
11E)から拡張出口(
11G)へ流れる。この拡張出口(
11G)は扇形あってよく、それにより、冷却流がエアフォイルの外表面に出る際に、より大きな流れ領域に触れることができる。
【0466】
他の1つの態様において、外部冷却メカニズムは蒸散(transpiration)であり、蒸散はタービンブレード中の孔から空気を放出することを含む。他の1つの態様において、外部冷却方法は遮熱コーティング(thermal barrier coating)を含む。
【0467】
1つの態様において、最終成形体はタービンノズルである。タービンノズルは、静止ケース又は中間アタッチメントに軸方向に沿って配置取り付けされた1つ又は2つ以上の段に配列されることができ、燃焼から生じる高温ガスを再方向付け及び加速して、後のタービンブレード段階及びノズル段階のために望ましい空気力学的・熱力学的な流れ特性を提供する。
【0468】
本願に更に開示されるのは、本明細書に開示される1つ又は2つ以上のタービンブレードを含むガスタービンエンジンである。
【0469】
実施例
実施例1:付加的に製造された可溶性コア/シェル モールドの製造
可溶性コア/シェル モールドを、
図6に示す形状に合わせてデジタルライトプロジェクションを用いて付加的に製造した。形状はインナーネガティブキャビティー及びそれと結合したアウターシェルキャビティーを含む。
【0470】
インナーネガティブキャビティーは以下の寸法を有するセラミックコアの形状を示すものであった。全体高さ:約3インチ;全体幅:約1.25インチ;全体厚み:約0.4インチ;前縁衝突:0.40インチ;後縁スロット:0.025インチ×0.016インチ;乱気流発生部位(turbulator):0.020インチ×0.020インチ;乱気流発生ピン:直径0.030インチ。アウターシェルキャビティーをインナーネガティブキャビティーに結合した。アウターシェルキャビティーの壁厚みは約0.50mm〜1.5mmであった。
【0471】
実施例2:複数壁セラミックコアの製造
焼結した複数壁セラミックコア(一体化したチップタイピンとコアタイ(tip tie pins and core ties)を含む)を付加的に製造された可溶性モールドを用いて製造して、
図7に示す。このセラミックコアは、超合金タービンブレードの単結晶インベストメント鋳造への使用に好適であった。
【0472】
可溶性モールドをセラミック射出成形機に取り付けて、単結晶金属部品の鋳造に好適なセラミック材料を可溶性モールドに射出した。射出の後、モールドを射出成形機から取り外して、水に浸漬し、モールドが完全に溶解してセラミック部品だけが残るまで放置した。具体的には、モールドを浸漬した水をポンプで4時間未満にわたり穏かに撹拌したところモールドが完全に溶解し、溶解中に極小の膨張を示し、その後、グリーン状態セラミックコアが残った。焼結前のセラミックコアは以下の寸法を示した。全体高さ:約3インチ;全体幅:約1.25インチ;全体厚み:約0.4インチ;前縁衝突:0.40インチ;後縁スロット:0.025インチ×0.016インチ;乱気流発生部位(turbulator):0.20インチ×0.020インチ;乱気流発生ピン:直径0.030インチ。焼結後のセラミックコアは以下の近似組成と特性を示した。シリカ、96.68%;ジルコニウム、2.48%;アルミナ、0.84%。見掛け気孔率(1200℃で焼結:28.5%、1500℃で焼結:28.5%);真の気孔率(1200℃で焼結:29.75%、1500℃で焼結:28.5%);プロセス収縮、ダイから焼結後まで(長さ:0.95%、1200℃で焼結、翼弦(chord)、1.35%、プロファイル、1.50%;自由線収縮、1.27%)。
射出成形アセンブリーであって、(i)付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールド、(ii)任意により、該付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドを包む中間層、及び、(iii)任意により、該中間層を取り囲むアウターシェル、を含む射出成形アセンブリー。
該極小の膨張挙動が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、及び約20%未満からなる群より選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項3の射出成形アセンブリー。
該付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドが、中間成形体の特徴要素を形成するのに適する1つ又は2つ以上の特徴要素を含む、請求項1の射出成形アセンブリー。
該1つ又は2つ以上の冷却特徴要素がチャンネル、通路、空洞、フローチャンネル、孔、貯蔵所、入口、出口、階層的メッシュ、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項16のタービンブレード。
該1つ又は2つ以上の冷却特徴要素が冷却通路、冷却チャンネル及び冷却空洞からなる群より選ばれ、該冷却特徴要素が1つ又は2つ以上の乱気流発生特徴要素を含む、請求項16のタービンブレード。
従来のタービンブレードに比べて、該タービンブレードが1つ又は2つ以上の改善された特性を有し、該改善された特性が、改善された耐久性、改善された平均的ブレード冷却効率、メンテナンス頻度の低減、エアフォイル温度の低下、改善された熱転移冷却効率、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項14のタービンブレード。
該タービン入口温度の該上昇が、約1.0%より大きい上昇、約2.0%より大きい上昇、約3%より大きい上昇、約4%より大きい上昇、または約5%より大きい上昇、から選ばれる、請求項26のタービンブレード。
分離されたセラミックグリーン体を製造するための方法であって、(i)セラミックスラリーを提供し、(ii)流動性セラミックスラリーを、請求項1の射出成形アセンブリーの付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドに射出し、(iii)該セラミックスラリーを放置することにより固化させ、これによりセラミックグリーン体を得、そして(iv)該ポリマーモールドを溶解液によって溶解し、これにより分離されたセラミックグリーン体を得る、ことを含む方法。
該極小の膨張が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満、から選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項31の方法。
該流動性セラミックスラリーが、(i)固体粒子成分、(ii)キャリア相成分、(iii)任意により、気孔増加用成分、及び(iv)任意により、1つ又は2つ以上の添加剤、を含む、請求項29の方法。
(v)分離された該セラミックグリーン体からバインダーを除去し、これによりセラミックブラウン体を得、そして(vi)該セラミックブラウン体を焼結し、これによりセラミックコアを得る、という工程を更に含む、請求項29の方法。
セラミックコアを製造するための方法であって、(i)セラミックスラリーを提供し、(ii)該セラミックスラリーを、請求項1の射出成形アセンブリーの付加的に製造された可溶性モノリシックポリマーモールドに射出し、(iii)該セラミックスラリーを放置することにより固化させ、これによりセラミックグリーン体を得、(iv)該ポリマーモールドを溶解液によって溶解し、これにより分離されたセラミックグリーン体を得、(v)分離された該セラミックグリーン体を更に加工し、これによりセラミックコアを得る、ことを含む方法。
工程(v)における更なる加工が、分離された該セラミックグリーン体からバインダーを除去し、これにより分離されたセラミックブラウン体を得、該セラミックブラウン体を焼結し、これによりセラミックコアを得ることを含む、請求項36の方法。
該極小の膨張が、約200%未満、約150%未満、約100%未満、約50%未満、約25%未満、又は約20%未満、から選ばれる量のポリマー体積の増加により特徴付けられる、請求項40の方法。
該方法が従来のインベストメント鋳造法の1つ又は2つ以上の工程を省くことができ、該工程がコア/ダイ アセンブリー、ワックス−オーバーモールディング、セラミック シェリング、又はこれらの組み合わせから選ばれる、請求項29又は36の方法。