特表2021-531287(P2021-531287A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2021-531287MAGL阻害剤としての複素環式スピロ化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2021-531287(P2021-531287A)
(43)【公表日】2021年11月18日
(54)【発明の名称】MAGL阻害剤としての複素環式スピロ化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/107 20060101AFI20211022BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20211022BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20211022BHJP
【FI】
   C07D491/107CSP
   A61K31/438
   A61P25/00
   A61P25/02 101
   A61P25/04
   A61P25/28
   A61P25/22
   A61P25/14
   A61P27/02
   A61P27/06
   A61P17/00
   A61P13/12
   A61P11/00
   A61P1/16
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P21/04
   A61P17/06
   A61P13/10
   A61P1/00
   A61P43/00 111
   A61P37/02
   A61P29/00
   A61P29/00 101
   A61P11/02
   A61P9/00
   A61P9/12
   A61P9/10
   A61P15/00
   A61P19/02
   A61P25/08
   A61P25/20
   A61P13/08
   A61P17/10
   A61P17/04
   A61P7/00
   A61P3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2021-502857(P2021-502857)
(86)(22)【出願日】2019年7月10日
(85)【翻訳文提出日】2021年3月17日
(86)【国際出願番号】IB2019055893
(87)【国際公開番号】WO2020016710
(87)【国際公開日】20200123
(31)【優先権主張番号】62/700,386
(32)【優先日】2018年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ブロドニー,マイケル・アーロン
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,クリストファー・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】オニール,スティーブン・ビクター
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA04
4C050BB07
4C050CC16
4C050CC18
4C050EE01
4C050FF02
4C050GG04
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA21
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、部分的に、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1、および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2からなる群から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩;これらの調製方法;これらの調製に使用される中間体;そのような化合物または塩を含有する組成物;ならびに例えば疼痛、炎症性障害、抑うつ、不安、アルツハイマー病、代謝障害、脂肪性肝炎[例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]卒中、またはがんを含むMAGL媒介疾患および障害を治療するためのこれらの使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1、および
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2、
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項5】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル]アミノ)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項8】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項11】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項14】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT-2である、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項17】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも2つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα放射線)を有する、無水1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態(Form I)。
【請求項18】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項19】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも4つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項20】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも5つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項21】
2θに関して、5.2±0.2°および10.2±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項22】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、および13.5±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項23】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項21または22に記載の結晶形態。
【請求項24】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、および17.7±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項25】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項24に記載の結晶形態。
【請求項26】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項24に記載の結晶形態。
【請求項27】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、18.0±0.2°、18.8±0.2°、19.9±0.2°、および21.8±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項17から26のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項28】
図4に実質的に示されている粉末X線回折パターンを有する、請求項17から27のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項29】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも2つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα放射線)を有する、無水1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−9−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態(Form A)。
【請求項30】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項31】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも4つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項32】
2θに関して、4.8±0.2°および9.6±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項33】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項34】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、14.5±0.2°および17.0±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項32または33に記載の結晶形態。
【請求項35】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項34に記載の結晶形態。
【請求項36】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項35に記載の結晶形態。
【請求項37】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、13.6±0.2°、13.7±0.2°、18.0±0.2°、18.2±0.2°、および22.2±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項29から36のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項38】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、13.6±0.2°、13.7±0.2°、18.0±0.2°、18.2±0.2°、および22.2±0.2°から選択される少なくとも2つのピークを更に含む、請求項29から36のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項39】
図8に実質的に示されている粉末X線回折パターンを有する、請求項29から38のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項40】
(i)請求項1から3、5、6,8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項40】
(i)請求項1から3、5、6,8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項41】
請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項42】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約50重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約80重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約90重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約95重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約98重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項47】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約99重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項48】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約50%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項49】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約80%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項50】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約90%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項51】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約95%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項52】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約98%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項53】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約99%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項54】
請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項55】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約50重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約80重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約90重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約95重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約98重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約99重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約50%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項62】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約80%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項63】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約90%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項64】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約95%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項65】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約98%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項66】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約99%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項67】
MAGL媒介疾患または障害の治療における使用のための、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項68】
哺乳動物においてMAGL媒介疾患または障害を治療する方法であって、治療有効量の、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項69】
MAGL媒介疾患または障害の治療のための医薬の製造における、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態の使用。
【請求項70】
前記障害が、代謝障害(例えば、肥満);腎臓病(例えば、急性炎症性腎傷害および糖糖尿病性腎症);嘔吐または催吐(例えば、化学療法により誘発された嘔吐);嘔気(例えば、難治性嘔気または化学療法により誘発された嘔気);摂食障害(例えば、食欲不振または過食症);神経障害(例えば、糖尿病性神経障害、ペラグラ性神経障害、アルコール性神経障害、脚気性神経障害);灼熱脚症候群;神経変性障害[多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、前頭側頭葉認知症、睡眠障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、またはプリオン病];心血管疾患(例えば、高血圧、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、または心虚血);骨粗鬆症;骨関節症;統合失調症;抑うつ;双極性疾患;振戦;ジスキネジア;ジストニア;痙縮;トゥーレット症候群;睡眠時無呼吸;難聴;眼の疾患(例えば、緑内障、高眼圧症、黄斑変性症、または眼圧亢進により生じる疾患);悪液質;不眠症;髄膜炎;睡眠病;進行性多巣性白質脳症;デビボ病;脳浮腫;脳性麻痺;離脱症候群[アルコール離脱症候群、抗うつ薬中断症候群、抗精神病薬離脱症候群、ベンゾジアゼピン離脱症候群、タイマ離脱、新生児薬物離脱、ニコチン離脱、またはオピオイド離脱];外傷性脳傷害;非外傷性脳傷害;脊髄傷害;発作;興奮毒曝露;虚血[卒中、肝虚血または再灌流、CNS虚血または再灌流];肝線維症、鉄過剰症、肝臓の硬変;肺疾患[喘息、アレルギー、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺炎、結核、肺水腫、肺がん、急性呼吸促迫症候群、間質性肺疾患(ILD)、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肺塞栓症、胸水、または中皮腫];肝障害[急性肝不全、アラジール症候群、肝炎、肝肥大、ジルベール症候群、肝嚢胞、肝血管腫、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎[例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、原発性硬化性胆管炎、肝蛭症、原発性胆汁性肝硬変、バッド・キアリ症候群、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、またはトランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス]、卒中[例えば、虚血性卒中;出血性卒中];くも膜下出血;脳内出血;血管攣縮;AIDS消耗症候群;腎虚血;異常な細胞増殖または繁殖に関連する障害[例えば、良性の皮膚腫瘍などの良性腫瘍またはがん、脳腫瘍、乳頭腫、前立腺腫瘍、大脳の腫瘍(神経膠芽腫、髄上皮腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、神経叢の腫瘍、神経上皮腫、骨端軟骨の腫瘍、上衣芽腫、悪性髄膜腫、肉腫症、黒色腫、シュワン細胞腫)、黒色腫、転移性腫瘍、腎がん、膀胱がん、脳がん、神経膠芽腫(GBM)、胃腸がん、白血病または血液がん];自己免疫性疾患[例えば、乾癬、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化型脊椎関節炎、ベーチェット病、溶血性貧血、移植片拒絶];炎症性障害[例えば、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、鼻炎、腱炎、扁桃炎、血管炎、尋常性ざ瘡、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、IBS、骨盤内炎症性疾患、サルコイドーシス、HIV脳炎、狂犬病、脳膿瘍、神経炎症、中枢神経系(CNS)の炎症];免疫系の障害(例えば、移植拒絶反応またはセリアック病);外傷後ストレス障害(PTSD);急性ストレス障害;パニック症;物質誘発性不安症;強迫性障害(OCD);広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;不安症;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動障害(ADHD);アスペルガー症候群;疼痛[例えば、急性疼痛;慢性疼痛;炎症性疼痛;内臓痛;術後痛;片頭痛;腰痛;関節痛;腹痛;胸痛;乳房切除後疼痛症候群;月経痛;子宮内膜症痛;身体外傷に起因する疼痛;頭痛;副鼻腔炎性頭痛;緊張型頭痛、ヘルペスウイルス痛、糖尿病性疼痛;骨関節症、関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、痛風、分娩、筋骨格系疾患、皮膚病、歯痛、胸やけ、熱傷、日焼け、蛇咬傷、毒蛇咬傷、クモ咬症、昆虫刺傷、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染症(UTI)、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、そう痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、胆嚢炎、および膵炎から選択される障害に起因する疼痛;神経障害性疼痛(例えば、神経障害性背痛、複合性局所疼痛症候群、後三叉神経痛、灼熱痛、中毒性ニューロパチー、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、化学療法剤による慢性神経障害、または坐骨神経痛)];脱髄性疾患[例えば、多発性硬化症(MS)、デビック病、CNS神経障害、橋中心髄鞘崩壊症、梅毒性脊髄症、白質脳症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗ミエリン関連糖タンパク質(MAG)末梢神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、末梢神経障害、脊髄症、視神経症、進行性炎症性神経障害、視神経炎、横断性脊髄炎];および認知機能障害[例えば、ダウン症候群に関連する認知機能障害;アルツハイマー病に関連する認知機能障害;PDに関連する認知機能障害;軽度認知機能障害(MCI)、認知症、化学療法後認知機能障害(PCCI)、術後認知機能不全(POCD)]からなる群から選択される、請求項67に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項67に記載の結晶形態、または請求項68に記載の方法、または請求項69に記載の使用。
【請求項71】
MAGLを阻害する方法であって、前記MAGLを、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態と接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤である新規複素環式スピロ化合物、その医薬組成物、および疼痛、炎症性障害、抑うつ、不安、アルツハイマー病、代謝障害、卒中、またはがんなどのMAGL媒介障害の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MAGLは、カンナビノイド受容体(例えば、CB1およびCB2)の内因性リガンドである2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)のin vivo分解に関与する主な酵素である。例えば、Patel,J.Z.et al.,“Loratadine analogues as MAGL inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,2015,25(7):1436−42;Mechoulam,R.et al.,“Identification of an endogenous 2−monoglyceride,present in canine gut,that binds to cannabinoid receptors”Biochem.Pharmacol.,50(1995),83−90;Sugiura,T.et al.,“2−Arachidonoylglycerol:a possible endogenous cannabinoid receptor ligand in brain,”Biochem.Biophys.Res.Commun.,215(1995),89−97を参照のこと。
【0003】
MAGL阻害剤は、MAGL媒介疾患または障害の治療に潜在的に有用である。MAGL媒介疾患または障害の例には、代謝障害(例えば、肥満);嘔吐または催吐;嘔気;摂食障害(例えば、食欲不振または過食症);神経障害(例えば、糖尿病性神経障害、ペラグラ性神経障害(pellagric neuropathy)、アルコール性神経障害、脚気性神経障害);灼熱脚症候群;神経変性障害[多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、睡眠障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、またはプリオン病];心血管疾患(例えば、高血圧、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、または心虚血);骨粗鬆症;骨関節症;統合失調症;抑うつ;双極性疾患;振戦;ジスキネジア;ジストニア;痙縮;トゥーレット症候群;睡眠時無呼吸;難聴;眼の疾患(例えば、緑内障、高眼圧症、黄斑変性症、または眼圧亢進により生じる疾患);悪液質;不眠症;髄膜炎;睡眠病;進行性多巣性白質脳症;デビボ病(De Vivo disease);脳浮腫;脳性麻痺;離脱症候群[アルコール離脱症候群、抗うつ薬中断症候群(antidepressant discontinuation syndrome)、抗精神病薬離脱症候群、ベンゾジアゼピン離脱症候群、タイマ離脱、新生児薬物離脱(neonatal withdrawal)、ニコチン離脱、またはオピオイド離脱];外傷性脳傷害;脊髄傷害;発作;興奮毒曝露;虚血[卒中、肝虚血または再灌流、CNS虚血または再灌流];肝線維症、鉄過剰症、肝臓の硬変;肺疾患[喘息、アレルギー、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺炎、結核、肺水腫、肺がん、急性呼吸促迫症候群、間質性(intersitital)肺疾患(ILD)、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肺塞栓症、胸水、または中皮腫];肝障害[急性肝不全、アラジール症候群、肝炎、肝肥大、ジルベール症候群、肝嚢胞、肝血管腫、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎[例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、原発性硬化性胆管炎、肝蛭症、原発性胆汁性(bilary)肝硬変、バッド・キアリ症候群、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、またはトランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス]、卒中[例えば、虚血性卒中;出血性卒中];くも膜下出血;血管攣縮;AIDS消耗症候群;腎虚血;異常な細胞増殖または繁殖に関連する障害[例えば、良性の皮膚腫瘍などの良性腫瘍またはがん、脳腫瘍、乳頭腫、前立腺腫瘍、大脳の腫瘍(神経膠芽腫、髄上皮腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、神経叢の腫瘍(plexus tumor)、神経上皮腫、骨端軟骨の腫瘍(epiphyseal tumor)、上衣芽腫、悪性髄膜腫、肉腫症、黒色腫、シュワン細胞腫)、黒色腫、転移性腫瘍、腎がん、膀胱がん、脳がん、神経膠芽腫(GBM)、胃腸がん、白血病または血液がん];自己免疫性疾患[例えば、乾癬、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化型脊椎関節炎(undifferentiated spondylitis)、ベーチェット病、溶血性貧血、移植片拒絶];炎症性障害[例えば、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、鼻炎、腱炎、扁桃炎、血管炎、尋常性ざ瘡、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、IBS、骨盤内炎症性疾患、サルコイドーシス、HIV脳炎、狂犬病、脳膿瘍、神経炎症、中枢神経系(CNS)の炎症];免疫系の障害(例えば、移植拒絶反応またはセリアック病);外傷後ストレス障害(PTSD);急性ストレス障害;パニック症;物質誘発性不安症(substance−induced anxiety);強迫性障害(OCD);広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;不安症;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動障害(ADHD);アスペルガー症候群;疼痛[例えば、急性疼痛;慢性疼痛;炎症性疼痛;内臓痛;術後痛;片頭痛;腰痛;関節痛;腹痛;胸痛;乳房切除後疼痛症候群;月経痛;子宮内膜症痛;身体外傷に起因する疼痛;頭痛;副鼻腔炎性頭痛;緊張型頭痛、くも膜炎、ヘルペスウイルス痛、糖尿病性疼痛;骨関節症、関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、痛風、分娩、筋骨格系疾患、皮膚病、歯痛、胸やけ(pyresis)、熱傷、日焼け、蛇咬傷、毒蛇咬傷、クモ咬症、昆虫刺傷、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染症(UTI)、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、そう痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、胆嚢炎、および膵炎から選択される障害に起因する疼痛;神経障害性疼痛(例えば、神経障害性背痛、複合性局所疼痛症候群、後三叉神経痛(post trigeminal neuralgia)、灼熱痛、中毒性ニューロパチー、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、化学療法剤による慢性神経障害、または坐骨神経痛)];脱髄性疾患[例えば、多発性硬化症(MS)、デビック病、CNS神経障害、橋中心髄鞘崩壊症、梅毒性脊髄症(syphilitic myelopathy)、白質脳症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗ミエリン関連糖タンパク質(MAG)末梢神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、末梢神経障害、脊髄症、視神経症、進行性炎症性神経障害、視神経炎、横断性脊髄炎];および認知機能障害[例えば、ダウン症候群に関連する認知機能障害;アルツハイマー病に関連する認知機能障害;PDに関連する認知機能障害;軽度認知機能障害(MCI)、認知症、化学療法後認知機能障害(post−chemotherapy cognitive impairment)(PCCI)、術後認知機能不全(POCD)]が含まれる。例えば、米国特許第8,415,341号、米国特許第8,835,418号、または米国特許第8,772,318号を参照のこと。
【発明の概要】
【0004】
代替的なMAGL阻害剤が引き続き必要とされている。
発明の概要
本発明は、部分的に、下記:
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1、および
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2、
からなる群から選択される新規化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0005】
一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの化合物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態を提供する。一部の更なる実施形態において、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態は、Form Iであり、例えば、粉末X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および/または本明細書に記載されている他の固体状態の方法に関する独特の固体状態シグネチャーに従って特徴決定される。結晶形態の水分または溶媒の含有量に関する更なる特徴決定は、熱重量分析(TGA)、動的水蒸気吸着(DVS)、DSC、および本明細書に記載されている他の技術などの様々な日常的な方法のいずれかによって判断される。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態を提供し、本明細書において「Form I」と指定されており、図4に実質的に描写されている粉末X線回折パターンを有する。一部の実施形態において、本発明の無水結晶形態(Form I)は、水または他の有機溶媒を実質的に含有しない。2θの度および≧4.0%の相対強度である相対強度によって表されている回折ピークのリストを、下記の表1に提示する。
【0008】
【表1】
【0009】
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも2つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも4つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも5つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0010】
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°および10.2±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°および13.5±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の更なる実施形態において、Form Iは、粉末X線回折パターンが、2θに関して、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含むことを示す。
【0011】
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、および17.7±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0012】
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0013】
一部の実施形態において、Form Iは、2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Iは、粉末X線回折パターンが、2θに関して、18.0±0.2°、18.8±0.2°、19.9±0.2°、および21.8±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含むことを示す。
【0014】
一部の実施形態において、Form Iは、図4に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す。
粉末回折の技術において良く知られているように、ピークの相対強度(反射)は、試料の調製技術、試料のマウント手順、および用いられる特定の機器に応じて変動しうる。更に、機器のばらつき、および他の要因が2シータ値に影響を与えうる。したがって、XRPDピーク指定は、約0.2°のプラスマイナスで変動しうる。
【0015】
結晶形態のForm Iの含有水分に関する表2のデータは、無水/無水物の結晶形態のForm Iが本質的に水分を有さないことを示し、DSC(図1)のTGA(図2)によると、有意な重量減がないこと(1.0%、0.5%、または0.1%w/w未満)を示している。表2のDVSデータ(図3を参照のこと)は、Form Iの重量増がほとんどないことを明らかにしており、実質的に非吸湿性であることを示している。
【0016】
【表2】
【0017】
結晶形態のForm Iは、特徴的な示差走査(DSC)トレースにより確認することもでき、例えば、図1に示されている。一部の実施形態において、Form Iは、92±5℃で発生する融解吸熱および99±5℃で発生する融解吸熱を含む示差走査熱量測定トレースを示す。いずれかの特定の理論に束縛されることはないが、92±5℃で発生する融解吸熱はForm Iの融点に対応し、一方、99±5℃で発生する融解吸熱は化合物の別の固体形態に対応しうることが考えられる。一部の実施形態において、Form Iは、脱水事象に対応する吸熱を実質的に欠いている示差走査熱量測定トレースを示す。一部の更なる実施形態において、Form Iは、図1に実質的に示されているDSCトレースを示す。DSCでは、観察される温度は、温度変化の速度、ならびに試料調製技術および用いられる特定の機器によって左右されることが知られている。故に、DSCサーモグラムに関して本明細書に報告される値は、約5℃のプラスまたはマイナスで変動しうる。
【0018】
一部の実施形態において、Form Iは、約30℃〜約90℃で約1.2%未満、約1.0%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、または約0.1%未満の重量減を示す熱重量分析プロファイルを有することができる。一部の更なる実施形態において、結晶形態は、図2に実質的に示されている熱重量分析プロファイルを有することができる。
【0019】
一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの化合物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの薬学的に許容される塩を提供する。
【0020】
一部の実施形態において、本発明は、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態を提供する。一部の実施形態において、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態は、Form Aであり、例えば、粉末X線回折(PXRD)、示差走査熱量測定(DSC)、および/または他の固体状態の方法に関する独特の固体状態シグネチャーに従って特徴決定される。一部の実施形態において、本発明の無水結晶形態(Form A)は、水または他の有機溶媒を実質的に含有しない。結晶形態の水分または溶媒の含有量に関する更なる特徴決定は、熱重量分析(TGA)、動的水蒸気吸着(DVS)、DSC、および他の技術などの様々な日常的な方法のいずれかによって判断される。
【0021】
一部の実施形態において、本発明は、無水(無水物)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態を提供し、本明細書において「Form A」と指定されており、図8に実質的に描写されている粉末X線回折パターンを有する。2θの度および≧4.0%の相対強度である相対強度によって表されている回折ピークのリストを、下記の表3に提示する。
【0022】
【表3】
【0023】
一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも2つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも3つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも4つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0024】
一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°および9.6±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の更なる実施形態において、Form Aは、粉末X線回折パターンが、2θに関して、14.5±0.2°および17.0±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含むことを示す。
【0025】
一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0026】
一部の実施形態において、Form Aは、2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを示す。一部の更なる実施形態において、Form Aは、粉末X線回折パターンが、2θに関して、13.6±0.2°、13.7±0.2°、18.0±0.2°、18.2±0.2°、および22.2±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含むことを示す。
【0027】
一部の実施形態において、Form Aは、図8に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す。
粉末回折の技術において良く知られているように、ピークの相対強度(反射)は、試料の調製技術、試料のマウント手順、および用いられる特定の機器に応じて変動しうる。更に、機器のばらつき、および他の要因が2シータ値に影響を与えうる。したがって、XRPDピーク指定は、約0.2°のプラスマイナスで変動しうる。
【0028】
結晶形態のForm Aの含水量に関する表4のデータは、無水/無水物の結晶形態のForm Aが本質的に水分を有さないことを示し、DSC(図5)のTGA(図6)によると、0.5%、0.2%、または0.1%未満の重量減を示している。表2のDVSデータ(図7を参照のこと)は、Form Aの重量増がほとんどないことを明らかにしており、実質的に非吸湿性であることを示している。
【0029】
【表4】
【0030】
結晶形態のForm Aは、特徴的な示差走査(DSC)トレースにより確認することもでき、例えば、図5に示されている。一部の実施形態において、Form Aは、96±5℃で発生する融解吸熱を含む示差走査熱量測定トレースを示す。一部の実施形態において、Form Iは、脱水事象に対応する吸熱を実質的に欠いている示差走査熱量測定トレースを示す。一部の更なる実施形態において、Form Iは、図5に実質的に示されているDSCトレースを示す。DSCでは、観察される温度は、温度変化の速度、ならびに試料調製技術および用いられる特定の機器によって左右されることが知られている。故に、DSCサーモグラムに関して本明細書に報告される値は、約5℃のプラスまたはマイナスで変動しうる。
【0031】
一部の実施形態において、Form Aは、約30℃〜約95℃で約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、または約0.1%未満の重量減を示す熱重量分析プロファイルを有することができる。一部の更なる実施形態において、結晶形態は、図6に実質的に示されている熱重量分析プロファイルを有することができる。
【0032】
一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの化合物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートの薬学的に許容される塩を提供する。
【0033】
一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1の化合物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1の薬学的に許容される塩を提供する。
【0034】
一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2である化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2の化合物を提供する。一部の実施形態において、本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1の薬学的に許容される塩を提供する。
【0035】
一部の実施形態において、本発明は、実施例セクションの実施例1〜5から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩(またはその親化合物、例示的な化合物は、例えば塩である)を本明細書下記に提供する。
【0036】
本発明は、本明細書に記載されている任意の実施形態の任意のサブセットを含む。
本発明は、本明細書上記に記載された実施形態、またはその任意のサブセットの2つ以上の組み合わせを含む。
【0037】
本発明は、本明細書に記載されているMAGL媒介疾患または障害の治療に使用するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩(全ての実施形態、および本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせ、またはその任意の副組み合わせを含む)を更に提供する。
【0038】
本発明は、本明細書に記載されているMAGL媒介疾患または障害を治療するための、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩(全ての実施形態、および本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせ、またはその任意の副組み合わせを含む)の使用を更に提供する。
【0039】
本発明は、患者(例えば、ヒトなどの哺乳動物)においてMAGL媒介疾患または障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩(全ての実施形態、および本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせ、またはその任意の副組み合わせを含む)を患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0040】
本発明は、本明細書に記載されているMAGL媒介疾患または障害の治療に使用する医薬の製造における、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩(全ての実施形態、および本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせ、またはその任意の副組み合わせを含む)の使用を更に提供する。
【0041】
本発明の化合物、または本発明のその薬学的に許容される塩(またはその代謝産物)は、MAGL阻害剤である。故に、本発明は、MAGL(すなわち、in vitroまたはin vivoのいずれかにおけるMAGLの活性)を阻害する方法であって、MAGLを、本発明の化合物、または本明細書に記載されているその薬学的に許容される塩(例えば、本明細書の実施例1〜5から選択されるもの)と接触させることを含む(インキュベートすることを含む)方法を更に提供する。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「接触させる」は、示された部分をin vitro系またはin vivo系において一緒にすることを指す。例えば、MAGLを本発明の化合物と「接触させる」ことは、本発明の化合物を、MAGLを有するヒトなどの個体または患者に投与すること、ならびに例えば、本発明の化合物を、MAGLを含有する細胞または精製調製物を含有する試料に導入することを含む。
【0043】
本発明の方法(または、使用)のいずれか1つに使用される本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、MAGLを阻害するのに有効なものである。
MAGL媒介疾患または障害には、例えば、代謝障害(例えば、肥満);嘔吐または催吐;嘔気;摂食障害(例えば、食欲不振または過食症);神経障害(例えば、糖尿病性神経障害、ペラグラ性神経障害、アルコール性神経障害、脚気性神経障害);灼熱脚症候群;神経変性障害[多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、睡眠障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、またはプリオン病];心血管疾患(例えば、高血圧、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、または心虚血);骨粗鬆症;骨関節症;統合失調症;抑うつ;双極性疾患;振戦;ジスキネジア;ジストニア;痙縮;トゥーレット症候群;睡眠時無呼吸;難聴;眼の疾患(例えば、緑内障、高眼圧症、黄斑変性症、または眼圧亢進により生じる疾患);悪液質;不眠症;髄膜炎;睡眠病;進行性多巣性白質脳症;デビボ病;脳浮腫;脳性麻痺;離脱症候群[アルコール離脱症候群、抗うつ薬中断症候群、抗精神病薬離脱症候群、ベンゾジアゼピン離脱症候群、タイマ離脱、新生児薬物離脱、ニコチン離脱、またはオピオイド離脱];外傷性脳傷害;脊髄傷害;発作;興奮毒曝露;虚血[卒中、肝虚血または再灌流、CNS虚血または再灌流];肝線維症、鉄過剰症、肝臓の硬変;肺疾患[喘息、アレルギー、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺炎、結核、肺水腫、肺がん、急性呼吸促迫症候群、間質性肺疾患(ILD)、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肺塞栓症、胸水、または中皮腫];肝障害[急性肝不全、アラジール症候群、肝炎、肝肥大、ジルベール症候群、肝嚢胞、肝血管腫、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎[例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、原発性硬化性胆管炎、肝蛭症、原発性胆汁性肝硬変、バッド・キアリ症候群、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、またはトランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス]、卒中[例えば、虚血性卒中;出血性卒中];くも膜下出血;血管攣縮;AIDS消耗症候群;腎虚血;異常な細胞増殖または繁殖に関連する障害[例えば、良性の皮膚腫瘍などの良性腫瘍またはがん、脳腫瘍、乳頭腫、前立腺腫瘍、大脳の腫瘍(神経膠芽腫、髄上皮腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、神経叢の腫瘍、神経上皮腫、骨端軟骨の腫瘍、上衣芽腫、悪性髄膜腫、肉腫症、黒色腫、シュワン細胞腫)、黒色腫、転移性腫瘍、腎がん、膀胱がん、脳がん、神経膠芽腫(GBM)、胃腸がん、白血病または血液がん];自己免疫性疾患[例えば、乾癬、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化型脊椎関節炎、ベーチェット病、溶血性貧血、移植片拒絶];炎症性障害[例えば、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、鼻炎、腱炎、扁桃炎、血管炎、尋常性ざ瘡、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、IBS、骨盤内炎症性疾患、サルコイドーシス、HIV脳炎、狂犬病、脳膿瘍、神経炎症、中枢神経系(CNS)の炎症];免疫系の障害(例えば、移植拒絶反応またはセリアック病);外傷後ストレス障害(PTSD);急性ストレス障害;パニック症;物質誘発性不安症;強迫性障害(OCD);広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;不安症;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動障害(ADHD);アスペルガー症候群;疼痛[例えば、急性疼痛;慢性疼痛;炎症性疼痛;内臓痛;術後痛;片頭痛;腰痛;関節痛;腹痛;胸痛;乳房切除後疼痛症候群;月経痛;子宮内膜症痛;身体外傷に起因する疼痛;頭痛;副鼻腔炎性頭痛;緊張型頭痛、くも膜炎、ヘルペスウイルス痛、糖尿病性疼痛;骨関節症、関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、痛風、分娩、筋骨格系疾患、皮膚病、歯痛、胸やけ、熱傷、日焼け、蛇咬傷、毒蛇咬傷、クモ咬症、昆虫刺傷、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染症(UTI)、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、そう痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、胆嚢炎、および膵炎から選択される障害に起因する疼痛;神経障害性疼痛(例えば、神経障害性背痛、複合性局所疼痛症候群、後三叉神経痛、灼熱痛、中毒性ニューロパチー、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、化学療法剤による慢性神経障害、または坐骨神経痛)];脱髄性疾患[例えば、多発性硬化症(MS)、デビック病、CNS神経障害、橋中心髄鞘崩壊症、梅毒性脊髄症、白質脳症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗ミエリン関連糖タンパク質(MAG)末梢神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、末梢神経障害、脊髄症、視神経症、進行性炎症性神経障害、視神経炎、横断性脊髄炎];および認知機能障害[例えば、ダウン症候群に関連する認知機能障害;アルツハイマー病に関連する認知機能障害;PDに関連する認知機能障害;軽度認知機能障害(MCI)、認知症、化学療法後認知機能障害(PCCI)、術後認知機能不全(POCD)]が含まれる。
【0044】
用語「治療有効量」は、本明細書で使用されるとき、治療される障害の1つまたは複数の症状をある程度まで軽減する、投与される化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の量を指す。MAGL媒介疾患または障害(例えば、アルツハイマー病、炎症、または疼痛)の治療を参照するとき、治療有効量は、MAGL媒介疾患または障害に関連する1つまたは複数の症状(例えば、アルツハイマー病の精神病症状)をある程度まで軽減する(または、例えば排除する)効果を有する量を指す。
【0045】
用語「治療すること」は、本明細書で使用されるとき、特に指示されない限り、そのような用語が当てはまる障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を好転させる、緩和する、進行を抑制する、または予防することを意味する。用語「治療」は、本明細書で使用されるとき、特に指示されない限り、「治療すること」が本明細書において定義される治療行為を指す。用語「治療すること」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント治療も含む。
【0046】
上記に示されたように、本発明の化合物は、本発明の化合物の酸付加塩、および/または塩基付加塩などの、薬学的に許容される塩の形態で存在することができる。語句「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用されるとき、特に指示されない限り、本発明の化合物に存在しうる酸付加塩または塩基塩を含む。
【0047】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩および塩基塩を含む。
適切な酸付加塩は酸から形成され、非毒性塩を形成する。例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩(esylate)、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル基酸塩、2−ナプシレート(napsylate)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、オキサレート、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素/リン酸二水素、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル化物、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩が含まれる。
【0048】
適切な塩基塩は塩基から形成され、非毒性塩を形成する。例には、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リジン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛塩が含まれる。
【0049】
酸および塩基のヘミ塩(hemisalt)が形成されることもあり、例えば、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)およびヘミカルシウム塩(hemicalcium salt)である。
【0050】
適切な塩についての総説には、“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley−VCH,2002)を参照のこと。本発明の化合物の薬学的に許容される塩の作製方法は、当業者に知られている。
【0051】
本明細書で使用されるとき、用語「本発明の化合物」または「本発明の化合物もしくはその薬学的に許容される塩」は、その無水物(無水形態)、水和物、溶媒和物、異性体(例えば、回転立体異性体(rotational stereoisomer)を含む)、結晶および非結晶形態、同形体、多形体、代謝産物、ならびにプロドラッグが含まれる、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の全ての形態を含むことが定義される。
【0052】
当業者に知られているように、アミン化合物(すなわち、1個または複数の窒素原子を含むもの)、例えば第三級アミンは、N−オキシドを形成しうる(アミンオキシドまたはアミンN−オキシドとしても知られている)。N−オキシドは、(R100)(R200)(R300)N−Oの式を有し、式中、親アミン(R100)(R200)(R300)Nは、例えば、第三級アミン(例えば、R100、R200、R300のそれぞれは、独立して、アルキル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリールなどである)、複素環式または複素芳香族アミン[例えば、(R100)(R200)(R300)Nは、一緒になって、1−アルキルピペリジン、1−アルキルピロリジン、1−ベンジルピロリジン、またはピリジンを形成する]である。例えば、イミン窒素、とりわけ複素環式または複素芳香族のイミン窒素またはピリジン型窒素
【0053】
【化1】
【0054】
原子[例えば、ピリジン、ピリダジン、もしくはピラジンにおける窒素原子]は、N−酸化されて、基
【0055】
【化2】
【0056】
を含むN−オキシドを形成することができる。故に、1個または複数の窒素原子(例えば、イミン窒素原子)を含む本発明の化合物は、そのN−オキシド(例えば、適切なN−オキシドを形成するのに適している窒素原子の数に応じて、モノN−オキシド、ビスN−オキシドもしくはマルチN−オキシド、またはこれらの混合物)を形成することが可能でありうる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「N−オキシド」は、本明細書に記載されているアミン化合物(例えば、1個または複数のイミン窒素原子を含む化合物)の全ての可能な、特に全ての安定したN−オキシド形態を指し、例えば、モノN−オキシド(アミン化合物の1個を超える窒素原子がモノN−オキシドを形成しうる場合には異なる異性体が含まれる)、もしくはマルチN−オキシド(例えば、ビスN−オキシド)、またはこれらの任意の比の混合物である。
【0058】
本発明の化合物および本明細書に記載されているこれらの塩は、そのN−オキシドを更に含む。
下記の本明細書の記載において、特定されない限り、本発明の化合物(または、本発明の化合物)は、化合物の塩、および化合物または塩のN−オキシドを含む。
【0059】
これも当業者には知られているが、第三級アミン化合物(すなわち、1個または複数の第三級アミン窒素原子を含むもの)は、第四級アンモニウム塩を形成することができる。下記の本明細書の記載において、特定されない限り、本発明の化合物(または、本発明の化合物)は、これらの第四級アンモニウム塩を更に含む。
【0060】
本発明の化合物は、完全な無定形から完全な結晶質の範囲の固体状態の連続体で存在してもよい。用語「無定形」は、物質が分子レベルで長距離秩序を欠いている、および温度に応じて固体または液体の物理的特性を示すことがある状態を指す。典型的には、そのような物質は特有のX線回折パターンをもたらさず、固体の特性を示すが、より正式には液体と記載される。加熱すると見掛け上の固体から液体特性を有する物質への変化が起こり、それは状態の変化、典型的には状態の二次変化(「ガラス転移」)により特徴づけられる。用語「結晶質」は、物質が分子レベルで規則的に秩序化された内部構造を有し、確定されたピークを有する特有のX線回折パターンをもたらす固相を指す。そのような物質は、十分に加熱されると、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、位相変化、典型的には一次相変化(「融点」)により特徴づけられる。
【0061】
本発明の化合物は、非溶媒和および溶媒和形態で存在してもよい。溶媒または水分が緊密に結合している場合、複合体は湿度に無関係に十分に確定された化学量を有する。しかし、チャネル溶媒和物(channel solvate)および吸湿性化合物のように、溶媒または水分が弱く結合している場合、水分/溶媒の含有量は、湿度および乾燥条件に左右される。そのような場合、非化学量が規準である。
【0062】
本発明の化合物は、クラスレートまたは他の複合体(例えば、共結晶)として存在してもよい。本発明の範囲内に含まれるものは、クラスレート、薬物と宿主が化学量または非化学量で存在する薬物宿主抱接複合体などの複合体である。また含まれるものは、化学量または非化学量でありうる2つ以上の有機および/または無機成分を含有する、本発明の化合物の複合体である。得られる複合体は、イオン化、部分的にイオン化、または非イオン化されうる。共結晶は、非共有相互作用を介して一緒に結合している中性分子構成成分の結晶質複合体と典型的に定義されるが、中性分子と塩の複合体でもありうる。共結晶は、溶融結晶化、溶媒からの再結晶化、または成分を一緒に物理的に破砕することによって調製することができ、O.Almarsson and M.J.Zaworotko,Chem.Commun.2004,17,1889−1896を参照のこと。多成分複合体についての一般的な総説には、J.K.Haleblian,J.Pharm.Sci.1975,64,1269−1288を参照のこと。
【0063】
本発明の化合物は、適切な条件に付される場合、中間状態(中間相または液晶)で存在してもよい。中間状態は、真の結晶質状態と真の液体状態(融解物または溶液)の中間である。温度の変化の結果として生じる中間状態は、「サーモトロピック」と記載され、水または別の溶媒などの第2の成分の添加の結果として生じる中間状態は、「リオトロピック」と記載される。リオトロピック中間相を形成する潜在性を有する化合物は、「両親媒性」と記載され、イオン性(例えば、−COONa、−COO、もしくは−SONa)または非イオン性(例えば、−N(CH)極性頭部基を有する分子からなる。更なる情報は、Crystals and the Polarizing Microscope by N.H.Hartshorne and A.Stuart,4th Edition(Edward Arnold,1970)を参照のこと。
【0064】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグにも関する。故に、それ自体が薬理学的活性をほとんどまたは全く有さないこともある、本発明の化合物のある特定の誘導体は、身体に投与されると、例えば、加水開裂により所望の活性を有する本発明の化合物に変換されうる。そのよう誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用についての更なる情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series(T.Higuchi and W.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987(Ed.E.B.Roche,American Pharmaceutical Association)において見出すことができる。
【0065】
本発明によるプロドラッグは、例えば、本発明の化合物に存在する適切な官能基を、例えば、Design of Prodrugs by H.Bundgaard(Elsevier,1985)またはProdrugs:Challenges and Reward,2007 edition,edited by Valentino Stella,Ronald Borchardt,Michael Hageman,Reza Oliyai,Hans Maag,Jefferson Tilley,pages 134−175(Springer,2007)に記載されている「プロ部分(pro−moiety)」として当業者に知られている、ある特定の部分と置き換えることによって生成されうる。
【0066】
更に、本発明のある特定の化合物は、それ自体、本発明の他の化合物のプロドラッグとして作用しうる。
また本発明の範囲内に含まれるものは、本発明の化合物の代謝産物であり、すなわち、薬物の投与によりin vivoで形成される化合物である。
【0067】
本発明の化合物は、全ての立体異性体および互変異性体を含む。本発明の立体異性体は、本発明の化合物のシスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体などの光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、アトロプ異性体、ならびに配座異性体を含み、1種類を超えた異性を示す化合物が含まれ、これらの混合物(例えば、ラセミ化合物とジアステレオマーのペア)が含まれる。また含まれるものは、酸付加塩および塩基付加塩であり、対イオンが任意選択で活性であり、例えば、D−乳酸塩もしくはL−リジン、またはラセミ体、例えば、DL−酒石酸塩もしくはDL−アルギニンである。
【0068】
一部の実施形態において、本発明の化合物(その塩を含む)は、不斉炭素原子を有してもよい。本発明の化合物の炭素−炭素結合は、
【0069】
【化3】
【0070】
【化4】
【0071】
【化5】
【0072】
または
【0073】
【化6】
【0074】
を使用して、本明細書に描写されうる。不斉炭素原子への結合を描写するための実線の使用は、その炭素原子において全ての可能な立体異性体(例えば、特定の鏡像異性体、ラセミ混合物など)が含まれることを示すことが意図される。不斉炭素原子への結合を描写するための中実または点線楔形のいずれかの使用は、示されている立体異性体のみが含まれることが意図されることを示すことが意図される。不斉炭素原子への結合を描写するための波線の使用は、立体異性体が(特定されない限り)不明であることを示すことが意図される。本発明の化合物は、1個を超える不斉炭素原子を含有しうることが可能である。これらの化合物において、不斉炭素原子への結合を描写するための実線の使用は、全ての可能な立体異性体が含まれることが意図されることを示すことが意図される。例えば、特に記述されない限り、本発明の化合物は、鏡像異性体およびジアステレオマーとして、またはラセミ化合物およびこれらの混合物として存在しうることが意図される。本発明の化合物において1個または複数の不斉炭素原子への結合を描写するための実線の使用、および同じ化合物において他の不斉炭素原子への結合を描写するための中実もしくは点線楔形の使用は、ジアステレオマーの混合物が存在することを示すことが意図される。
【0075】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、アトロプ異性体(例えば、1つまたは複数のアトロプ鏡像異性体(atropenantiomer))として存在しうる、および/または単離されうる。当業者は、アトロプ異性が、2つ以上の芳香族環(例えば、単結合により連結されている2つの芳香族環)を有する化合物で存在しうることを認識する。例えば、Freedman,T.B.et al.,Absolute Configuration Determination of Chiral Molecules in the Solution State Using Vibrational Circular Dichroism.Chirality 2003,15,743−758、およびBringmann,G.et al.,Atroposelective Synthesis of Axially Chiral Biaryl Compounds.Angew.Chem.,Int.Ed.2005,44,5384−5427を参照のこと。
【0076】
任意のラセミ化合物が結晶化するとき、異なるタイプの結晶が可能である。1つのタイプは、ラセミ化合物(真のラセミ化合物)であり、両方の鏡像異性体を当モル量で含有する1つの同質形態の結晶が生成される。別のタイプは、ラセミ混合物または団塊であり、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2つの形態の結晶が等しいまたは異なるモル量で生成される。
【0077】
本発明の化合物は、互変異性および構造異性の現象を示すことができる。例えば、本発明の化合物は、エノールおよびイミンの形態、アミドおよびイミド酸の形態、ケトおよびエナミンの形態、幾何異性体、およびこれらの混合物を含む、いくつかの互変異性形態で存在しうる。このような互変異性形態は、全て本発明の化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中の互変異性体セットの混合物として存在しうる。固体形態では、通常は1つの互変異性体が優位を占める。1つの互変異性体が記載されうるが、本発明は、本発明の化合物の全ての互変異性体を含む。例えば、以下の2つの互変異性体の一方(Rは、例えば、更に置換されるフェニルでありうる)が開示される場合、当業者は、もう一方の互変異性体を容易に認識する。
【0078】
【化7】
【0079】
本発明は、本発明の全ての薬学的に許容される同位体標識化合物またはその塩を含み、1個または複数の原子は、同じ原子数を有するが、原子質量または質量数が、天然に優位を占める原子質量または質量数と異なっている原子に置き換えられる。
【0080】
本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0081】
本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究に有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわち、H、および炭素14、すなわち14Cは、組み込みの容易さ、および容易な検出手段の観点から、この目的に特に有用である。
【0082】
重水素、すなわち、Hなどのより重い同位体による置換は、より大きな代謝安定性、例えばin vivo半減期の増加または投与必要量の低減により生じる、ある特定の治療利益をもたらすことがあり、したがって一部の状況において好ましいことがある。
【0083】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有を検査する陽電子放射断層撮影(PET)研究に有用でありうる。
本発明の同位体標識化合物は、一般に、当業者に既知の慣用技術により、または以前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、添付の実施例および調製例に記載されているのと類似の手順により調製することができる。
【0084】
本発明は、また、本発明の新規化合物を含む組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。したがって、一実施形態において、本発明は、(治療有効量の)本発明の新規化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、任意選択で薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。更なる一実施形態において、本発明は、(治療有効量の)本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、任意選択で薬学的に許容される担体、および任意選択で少なくとも1つの追加の薬剤または医薬品(例えば、下記に記載される抗精神病剤または抗統合失調症剤)を含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、追加の薬剤または医薬品は、下記に記載される抗統合失調症剤である。
【0085】
薬学的に許容される担体は、任意の慣用の薬学的担体または賦形剤を含んでもよい。適切な薬学的担体には、不活性希釈剤または充填剤、水、および様々な有機溶媒(例えば、水和物および溶媒和物)が含まれる。医薬組成物は、望ましい場合、追加の成分、例えば、香味料、結合剤、賦形剤などを含有することができる。故に、経口投与では、クエン酸などの様々な賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸およびある特定の複雑ケイ酸塩(complex silicate)などの様々な崩壊剤、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの結合剤と一緒に用いることができる。加えて、リン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤は、錠剤成形の目的に多くの場合に有用である。類似のタイプの固体組成物を、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルに用いることもできる。したがって物質の非限定例には、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁剤またはエリキシル剤が経口投与に望ましい場合には、活性化合物を、様々な甘味および香味剤、着色料または色素、望ましい場合には乳化剤または懸濁化剤と、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組み合わせなどの希釈剤と一緒に、組み合わせることができる。
【0086】
医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、持続放出製剤、液剤、もしくは懸濁剤として経口投与用、滅菌液剤、懸濁剤、もしくは乳化剤として非経口注射用、軟膏剤もしくはクリーム剤として局所投与用、または坐剤として直腸内投与用に適した形態でありうる。
【0087】
例示的な非経口投与形態には、滅菌水溶液、例えば、ピロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の活性化合物の液剤または懸濁剤が含まれる。そのような剤形は、望ましい場合に適切に緩衝されうる。
【0088】
医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形でありうる。当業者は、組成物が、多回用量が考慮されるように治療投与量以下で製剤化されうることを理解する。
一実施形態において、組成物は、治療有効量の本発明の化合物またはその塩、および薬学的に許容される担体を含む。
【0089】
本発明の化合物(その塩を含む)は、MAGL阻害剤である。一部の実施形態において、本発明の化合物(または、その代謝産物)のIC50は、本明細書下記に記載される実施例AAの方法によって決定すると、約10μM、5μM、2μM、1μM、500nM、200nM、100nM、50、40、30、20、10、5、2、または1nM未満である。
【0090】
本発明の化合物(その塩を含む)の投与は、化合物を作用部位へ送達することができる任意の方法によって実行されうる。これらの方法には、例えば、経腸経路(例えば、経口経路、頬側経路、唇下経路、舌下経路)、経口経路、鼻腔内経路、吸入経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内、動脈内、または注入を含む)、鞘内経路、硬膜外経路、脳内経路、脳室内(intracerbroventricular)経路、局所、および直腸内投与が含まれる。
【0091】
本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、非経口注射経路(例えば、静脈内注射経路)により投与/実行されうる。
本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、経口経路により投与/実行されうる。
【0092】
投与量レジメンは、最適な所望応答を提供するために調整されうる。例えば、単回ボーラスを投与することができる、いくつかの分割用量をある経時的に投与することができる、または用量を、治療状況の緊急事態による指示に応じて低減または増加することができる。投与の容易さ、および投与量の均一性のために、単位剤形で非経口組成物を製剤化することが有利でありうる。単位剤形は、本明細書で使用されるとき、治療される哺乳類対象への単位投与量として適している物理的に区別されている単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を、必要とされる薬学的担体と会合した形で含有する。本発明の単位剤形の仕様は、治療剤の独特の特徴、および達成される特定の治療または予防効果などの様々な要因によって決まる。本発明の一実施形態において、本発明の化合物は、ヒトを治療するために使用されうる。
【0093】
投与量の値(dosage value)は、緩和される状態のタイプおよび重症度によって変わりうること、ならびに単回または多回用量を含みうることが留意されるべきである。任意の特定の対象において、特定の投与量レジメンは、個体の必要性、および組成物を投与する、または投与を監督する人物の専門的な判断に応じて経時的に調整されるべきであること、ならびに本明細書に記載される投与量範囲は、単に例示的なものであり、特許請求される組成物の範囲または実践の制限を意図しないことが、更に理解されるべきである。例えば、用量は、薬物動態および薬力学的パラメーターに基づいて調整され、これには、毒性作用および/または臨床検査値などの臨床効果が含まれうる。故に、本発明は、当業者により決定された患者内用量漸増を包含する。化学療法剤の投与において適切な投与量およびレジメンを決定することは、関連技術において良く知られており、本明細書に開示されている教示が提供されると、当業者により包含さることが理解される。
【0094】
投与される本発明の化合物の量は、治療される対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質、および処方医師の裁量によって左右される。一般に、有効投与量は、単回または分割用量により1日に体重1kg当り約0.0001〜約50mg、例えば、約0.01〜10mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトでは、これは、約0.007mg〜約3500mg/日、例えば、約0.7mg〜約700mg/日の量になる。一部の場合では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルが、十分すぎることがあり、他の場合では、依然として大用量を任意の有害な副作用を引き起こすことなく用いることができるが、但し、そのような大用量を一日中の投与のために最初にいくつかの小用量に分割することが条件である。
【0095】
本明細書で使用されるとき、用語「併用療法」は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの追加の医薬品または薬剤(例えば、抗統合失調症剤)と一緒に、順次的または同時に投与することを指す。
【0096】
本発明は、本発明の化合物(その塩を含む)と1つまたは複数の追加の薬学的活性剤との組み合わせの使用を含む。活性剤の組み合わせが投与される場合、別々の剤形により、または単一剤形に組み合わせて順次的または同時に投与されうる。したがって、本発明は、(a)本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を含む第1の薬剤、(b)第2の薬学的活性剤、および(c)薬学的に許容される担体、ビヒクル、または希釈剤の量を含む医薬組成物も含む。
【0097】
様々な薬学的活性剤が、治療される疾患、障害または状態に応じて、本発明の化合物と共に使用するために選択されうる。本発明の組成物と組み合わせて使用されうる薬学的活性剤には、限定されることなく、
(i)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジル塩酸塩(ARICEPT、MEMAC)、またはアデノシンA2A受容体アンタゴニスト、例えば、Preladenant(SCH420814)もしくはSCH412348;
(ii)アミロイドβ(または、そのフラグメント)、例えば、パンHLA DR−結合エピトープ(PADRE)およびACC−001(Elan/Wyeth)にコンジュゲートしたAβ1−15
(iii)アミロイドβ(または、そのフラグメント)に対する抗体、例えば、バピニューズマブ(AAB−001としても知られている)およびAAB−002(Wyeth/Elan);
(iv)アミロイド下降または阻害剤(アミロイド産生、蓄積および線維化を低減するものを含む)、例えば、コロストリニン(colostrinin)およびビスノルシムセリン(bisnorcymserine)(BNCとしても知られている);
(v)アルファアドレナリン受容体アゴニスト、例えば、クロニジン(CATAPRES);
(vi)ベータアドレナリン受容体遮断剤(ベータ遮断薬)、例えば、カルテオロール;
(vii)抗コリン薬、例えば、アミトリプチリン(ELAVIL、ENDEP);
(vii)抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン(TEGRETOL、CARBATROL);
(ix)抗精神病薬、例えば、ルラシドン(SM−13496としても知られている;Dainippon Sumitomo);
(x)カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニルバジピン(ESCOR、NIVADIL);
(xi)カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、例えば、トルカポン(TASMAR);
(xii)中枢神経刺激薬、例えば、カフェイン;
(xiii)コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン(STERAPRED、DELTASONE);
(xiv)ドーパミン受容体アゴニスト、例えば、アポモルヒネ(APOKYN);
(xv)ドーパミン受容体アンタゴニスト、例えば、テトラベナジン(NITOMAN、XENAZINE、ドーパミンD2アンタゴニスト、例えば、クエチアピン);
(xvi)ドーパミン再取り込み阻害剤、例えば、ノミフェンシンマレイン酸塩(MERITAL);
(xvii)ガンマアミノ酪酸(GABA)受容体アゴニスト、例えば、バクロフェン(LIORESAL、KEMSTRO);
(xviii)ヒスタミン3(H)アンタゴニスト、例えば、シプロキシファン(ciproxifan);
(xix)免疫調節薬、例えば、グラチラマー酢酸塩(コポリマー1としても知られている;COPAXONE);
(xx)免疫抑制薬、例えば、メトトレキセート(TREXALL、RHEUMATREX);
(xxi)インターフェロンベータ1a(AVONEX、REBIF)およびインターフェロンベータ1b(BETASERON、BETAFERON)が含まれる、インターフェロン;
(xxii)レボドパ(または、そのメチルもしくはエチルエステル)の単独、またはDOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパ(SINEMET、CARBILEV、PARCOPA))との組み合わせ;
(xxiii)N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチン(NAMENDA、AXURA、EBIXA);
(xxiv)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤、例えば、セレギリン(EMSAM);
(xxv)ムスカリン受容体(特に、M1またはM4サブタイプ)アゴニスト、例えば、ベタネコール塩化物(DUVOID、URECHOLINE);
(xxvi)神経保護薬、例えば、2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−3−オンオキシム;
(xxvii)ニコチン受容体アゴニスト、例えば、エピバチジン;
(xxviii)ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤、例えば、アトモキセチン(STRATTERA);
(xxix)ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えば、BAY73−6691(Bayer AG)などのPDE9阻害剤およびパパベリンなどのPDE10(例えば、PDE10A)阻害剤;
(xxx)(a)PDE1阻害剤(例えば、ビンポセチン)、(b)PDE2阻害剤(例えば、エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン(EHNA))、(c)PDE4阻害剤(例えば、ロリプラム)および(d)PDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル(VIAGRA、REVATIO))が含まれる、他のPDE阻害剤;
(xxxi)キノリン、例えば、キニン(その塩酸塩、二塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、およびグルコン酸塩を含む);
(xxxii)β−セクレターゼ阻害剤、例えば、WY−25105;
(xxxiii)γ−セクレターゼ阻害剤、例えば、LY−411575(Lilly);
(xxxiv)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)1A(5−HT1A)受容体アンタゴニスト、例えば、スピペロン;
(xxxv)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)4(5−HT)受容体アゴニスト、例えば、PRX−03140(Epix);
(xxxvi)セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン)6(5−HT)受容体アンタゴニスト、例えば、ミアンセリン(TORVOL、BOLVIDON、NORVAL);
(xxxvii)セロトニン(5−HT)再取り込み阻害剤、例えば、アラプロクラート、シタロプラム(CELEXA、CIPRAMIL);
(xxxviii)栄養因子、例えば、神経増殖因子(NGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF;ERSOFERMIN)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、カルジオトロフィン−1、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ノイブラスチン(neublastin)、メテオリン(meteorin)、およびグリア由来神経栄養因子(GDNF)、ならびに栄養因子の産生を刺激する薬剤、例えば、プロペントフィリン;
(xxxix)抗出血(すなわち、止血)剤、例えば、リバーロキサバンまたはアピキサバン;
などが含まれる。
【0098】
本発明の化合物(その塩を含む)は、任意選択で別の活性剤と組み合わせて使用される。そのような活性剤は、例えば、非定型抗精神病薬、または抗パーキンソン病剤、または抗アルツハイマー病剤でありうる。したがって、本発明の別の実施形態は、哺乳動物のMAGL媒介疾患または障害を治療する方法であって、有効量の本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を哺乳動物に投与することを含み、別の活性剤を投与することを更に含む方法を提供する。
【0099】
本明細書で使用されるとき、用語「別の活性剤」は、対象の障害の治療に有用である、本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)以外の任意の治療剤を指す。追加の治療剤の例には、抗うつ薬、抗精神病薬(例えば、抗統合失調症薬)、抗疼痛(anti−pain)剤、抗パーキンソン病剤、抗LID(レボドパ誘導ジスキネジア)剤、抗アルツハイマー剤、抗不安剤、および抗出血剤が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用されうる特定のクラスの抗うつ薬の例には、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、NK−1受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、および非定型抗うつ薬が含まれる。適切なノルエピネフリン再取り込み阻害剤には、第三級アミン三環系および第二級アミン三環系が含まれる。適切な第三級アミン三環系および第二級アミン三環系の例には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、ドチエピン、ブトリプチリン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、およびマプロチリンが含まれる。適切な選択的セロトニン再取り込み阻害剤の例には、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリンが含まれる。モノアミンオキシダーゼ阻害剤の例には、イソカルボキサジド、フェネルジン、およびトラニルシクロプラミン(tranylcyclopramine)が含まれる。適切なモノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤の例には、モクロベミドが含まれる。本発明における使用に適したセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤の例には、ベンラファキシンが含まれる。適切な非定型抗うつ薬の例には、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン、およびビロキサジンが含まれる。抗アルツハイマー病剤の例には、Dimebon、NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチン、およびコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジルおよびガランタミンが含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用されうる適切なクラスの抗不安剤の例には、ベンゾジアゼピンおよびセロトニン1A(5−HT1A)アゴニストまたはアンタゴニスト、とりわけ、5−HT1A部分アゴニスト、ならびにコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストが含まれる。適切なベンゾジアゼピンには、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート(chlorazepate)、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、およびプラゼパムが含まれる。適切な5−HT1A受容体アゴニストまたはアンタゴニストには、ブスピロン、フレシノキサン、ゲピロン、およびイプサピロンが含まれる。適切な非定型抗精神病薬には、パリペリドン、ビフェプルノクス、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピン、およびクエチアピンが含まれる。適切なニコチンアセチルコリンアゴニストには、イスプロニクリン(ispronicline)、バレニクリン、およびMEM3454が含まれる。抗疼痛剤には、プレガバリン、ガバペンチン、クロニジン、ネオスチグミン、バクロフェン、ミダゾラム、ケタミン、およびジコノチドが含まれる。適切な抗パーキンソン病剤の例には、L−DOPA(または、そのメチルもしくはエチルエステル)、DOPAデカルボキシラーゼ阻害剤(例えば、カルビドパ(SINEMET、CARBILEV、PARCOPA)、アデノシンA2A受容体アンタゴニスト[例えば、Preladenant(SCH420814)もしくはSCH412348]、ベンセラジド(MADOPAR)、α−メチルドーパ、モノフルオロメチルドーパ、ジフルオロメチルドーパ、ブロクレシン、またはm−ヒドロキシベンジルヒドラジン)、ドーパミンアゴニスト[例えば、アポモルヒネ(APOKYN)、ブロモクリプチン(PARLODEL)、カベルゴリン(DOSTINEX)、ジヒドレキシジン(dihydrexidine)、ジヒドロエルゴクリプチン、フェノルドパム(CORLOPAM)、リスリド(DOPERGIN)、ペルゴリド(PERMAX)、ピリベジル(TRIVASTAL、TRASTAL)、プラミペキソール(MIRAPEX)、キンピロール、ロピニロール(REQUIP)、ロチゴチン(NEUPRO)、SKF−82958(GlaxoSmithKline)、およびサリゾタン(sarizotan)]、モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤[例えば、セレギリン(EMSAM)、セレギリン塩酸塩(L−デプレニル、ELDEPRYL、ZELAPAR)、ジメチルセレギレン(dimethylselegilene)、ブロファロミン、フェネルジン(NARDIL)、トラニルシプロミン(PARNATE)、モクロベミド(AURORIX、MANERIX)、ベフロキサトン(befloxatone)、サフィナミド、イソカルボキサジド(MARPLAN)、ニアラミド(NIAMID)、ラサギリン(AZILECT)、イプロニアジド(MARSILID、IPROZID、IPRONID)、CHF−3381(Chiesi Farmaceutici)、イプロクロジド、トロキサトン(HUMORYL、PERENUM)、ビフェメラン、デスオキシペガニン(desoxypeganine)、ハルミン(テレパチン(telepathine)またはバナステリン(banasterine)としても知られている)、ハルマリン、リネゾリド(ZYVOX、ZYVOXID)、およびパルギリン(EUDATIN、SUPIRDYL)]、カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤[例えば、トルカポン(TASMAR)、エンタカポン(COMTAN)、およびトロポロン]、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト[例えば、アマンタジン(SYMMETREL)]、抗コリン薬[例えば、アミトリプチリン(ELAVIL、ENDEP)、ブトリプチリン、ベンズトロピンメシル酸塩(COGENTIN)、トリヘキシフェニジル(ARTANE)、ジフェンヒドラミン(BENADRYL)、オルフェナドリン(NORFLEX)、ヒヨスチアミン、アトロピン(ATROPEN)、スコポラミン(TRANSDERM−SCOP)、スコポラミンメチルブロミド(PARMINE)、ジシクロベリン(BENTYL、BYCLOMINE、DIBENT、DILOMINE、トルテロジン(DETROL)、オキシブチニン(DITROPAN、LYRINEL XL、OXYTROL)、ペンチエネートブロミド(penthienate bromide)、プロパンテリン(PRO−BANTHINE)、シクリジン、イミプラミン塩酸塩(TOFRANIL)、イミプラミンマレイン酸塩(SURMONTIL)、ロフェプラミン、デシプラミン(NORPRAMIN)、ドキセピン(SINEQUAN、ZONALON)、トリミプラミン(SURMONTIL)、およびグリコピロレート(ROBINUL)]、またはこれらの組み合わせが含まれる。抗統合失調症剤の例には、ジプラシドン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、アセナピン、ブロナンセリン、またはイロペリドンが含まれる。いくつかの追加の「別の活性剤」の例には、リバスチグミン(Exelon)、Clozapine、Levodopa、Rotigotine、Aricept、Methylphenidate、メマンチン、ミルナシプラン、グアンファシン、ブプロピオン、およびアトモキセチンが含まれる。抗出血剤(例えば、凝固因子、活性化因子、または安定剤を含む)の例には、第Xa因子阻害剤(例えば、リバーロキサバンまたはアピキサバン)、および遺伝子組換え凝固第VIIa因子(recombinant Coagulation Factor VIIa)(例えば、NovoSeven(登録商標))が含まれる。
【0100】
上記に留意されているように、本発明の化合物またはその塩を、本明細書に記載されている1つまたは複数の追加の抗アルツハイマー剤と組み合わせて使用することができる。併用療法が使用される場合、1つまたは複数の追加の抗アルツハイマー剤は、本発明の化合物と順次または同時に投与されうる。一実施形態において、追加の抗アルツハイマー剤は、本発明の化合物の投与の前に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。別の実施形態において、追加の抗アルツハイマー剤は、本発明の化合物の投与の後に哺乳動物に投与される。別の実施形態において、追加の抗アルツハイマー剤は、本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩)の投与と同時に哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。
【0101】
本発明は、また、ヒトを含む哺乳動物において炎症性障害(例えば、神経炎症(nueroinflammation))を治療するために医薬組成物を提供し、上記に定義された本発明の化合物(その塩を含む)(前記の化合物またはその薬学的に許容される塩の水和物、溶媒和物および多形体を含む)を、1つまたは複数(例えば、1〜3つ)の抗炎症剤と組み合わせた量を含み、活性剤と組み合わせの量は、全体として、炎症性障害を治療するのに治療上有効なものである。
【0102】
本発明は、また、ヒトを含む哺乳動物においてMAGL媒介疾患または障害を治療する医薬組成物を提供し、上記に定義された本発明の化合物(その塩を含む)(前記の化合物またはその塩の水和物、溶媒和物および多形体を含む)を、MAGL媒介疾患または障害を治療する1つまたは複数(例えば、1〜3つ)の他の薬剤と組み合わせた量を含み、活性剤と組み合わせの量は、全体として、MAGL媒介疾患または障害を治療するのに治療上有効なものである。
【0103】
上記に描写された本発明の化合物は、示されている特定の立体異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)に限定されず、全ての立体異性体およびその混合物も含むことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】実施例1の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form 1)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを表す。
図2】実施例1の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form 1)の熱重量分析(TGA)を表す。
図3】実施例1の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form 1)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを描写する。
図4】実施例1の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form 1)の観察された粉末X線回折パターンを表す。
図5】実施例2の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form A)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを表す。
図6】実施例2の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form A)の熱重量分析(TGA)を表す。
図7】実施例2の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form A)の動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを描写する。
図8】実施例2の化合物の無水結晶形態(無水物)(Form A)の観察された粉末X線回折パターンを表す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
化合物の塩を含む、本発明の化合物は、既知の有機合成技術を使用して調製することができ、多数の可能な合成経路のいずれかによって合成することができる。本発明の化合物を調製するための反応は、適切な溶媒中で実施することができ、有機合成の当業者によって容易に選択されうる。適切な溶媒は、反応が実施される温度で、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲でありうる温度で、出発物質(反応物)、中間体、またはプロドラッグと実質的に非反応性でありうる。所定の反応は、1つの溶媒において、または1つを超える溶媒の混合物において実施することができる。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに適した溶媒が当業者により選択されうる。
【0106】
本発明の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を伴うことがある。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定されうる。保護基の化学は、例えば、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)において見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
反応は、当該技術に既知の任意の適切な方法によりモニターされうる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光測光法(例えば、UV−可視)、質量分析法などの分光学的な方法によって、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフ法によってモニターすることができる。
【0108】
本発明の化合物、その塩および中間体は、本明細書に記載されている反応スキームおよび添付されている考察に従って調製されうる。一般に、本発明の化合物は、特に本明細書に含まれる記載を踏まえて、化学の当該技術において既知の方法に類似した方法を含む方法によって作製されうる。本発明の化合物およびその中間体を製造するためのある特定の方法は、本発明の更なる特徴として提示され、実験セクションに記載されている方法によって例示されている。本明細書に提示されているスキームおよび例(対応する記載を含む)は、例示のためだけであり、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0109】
本発明の化合物は、アトロプ異性体、ラセミ化合物、鏡像異性体、またはジアステレオマーなどの立体異性体として存在しうる。個別の鏡像異性体を調製/単離する慣用技術には、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、または例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ化合物の分割が含まれる。あるいは、ラセミ化合物(または、ラセミ前駆体)は、適切な光学活性化合物と、例えば、アルコールと、または化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合、酒石酸もしくは1−フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応しうる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶法により分離されうる、1つまたは両方のジアステレオ異性体は、当業者に周知の方法により対応する純粋な鏡像異性体に変換されうる。本発明のキラル化合物(および、そのキラル前駆体)は、移動相が炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンから構成され、0%〜50%、典型的には2%〜20%の2−プロパノール、0%〜5%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを非対称樹脂に使用して、鏡像的に濃縮された形態で得ることができる。溶出液の濃縮は、濃縮混合物をもたらす。立体異性体団塊は、当業者に既知の慣用技術により分離されうる。例えば、Stereochemistry of Organic Compounds by E.L.Eliel and S.H.Wilen(Wiley,New York,1994)を参照のこと。この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。適切な立体選択技術は、当業者に良く知られている。
【0110】
本発明の化合物がアルケニルまたはアルケニレン(アルキリデン)基を含む場合は、幾何シス/トランス(または、Z/E)異性体が可能である。シス/トランス異性体は、当業者に周知の慣用技術、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶法により分離されうる。本発明の塩は、当業者に既知の方法により調製することができる。
【0111】
塩基性である本発明の化合物は、様々な無機および有機酸と多種多様な塩を形成することができる。そのような塩は、動物への投与のために薬学的に許容されなければならないが、実際には、最初に本発明の化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として単離し、次いで後者をアルカリ試薬で処理することにより単に遊離塩基化合物に変換し、続いて後者の遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することが、多くの場合に望ましい。本発明の塩基性化合物の酸付加塩は、塩基性化合物を水性溶媒媒体中において、またはメタノールもしくはエタノールなどの適切な有機溶媒中において、実質的に等量の選択された無機または有機酸で処理することによって調製されうる。溶媒を蒸発させると、所望の固体塩が得られる。所望の酸塩を、適切な無機または有機酸を溶液に添加することにより、有機溶媒中の遊離塩基の溶液に沈殿させることもできる。
【0112】
本発明の化合物が塩基性である場合、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術で利用可能な任意の適切な方法により、遊離塩基を、例えば、無機酸により、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などにより、または有機酸により、例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、イソニコチン酸、乳酸、パントテン酸、重酒石酸(bitartric acid)、アスコルビン酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、グルコン酸、糖酸、ギ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびパモ酸[すなわち、4,4’−メタンジイルビス(3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸)]、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、例えば、グルクロン酸またはガラクツロン酸、アルファ−ヒドロキシ酸、例えば、クエン酸または酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸またはコハク酸、スルホン酸、例えば、エタンスルホン酸などにより処理することにより調製されうる。
【0113】
酸性である本発明の化合物は、様々な薬理学的に許容される陽イオンにより塩基性塩を形成することができる。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。これらの塩は、全て慣用技術により調製される。本発明の薬学的に許容される塩基塩を調製する試薬として使用される化学塩基は、本発明の酸性化合物と非毒性塩基塩を形成するものである。これらの塩は、任意の適切な方法により、例えば、遊離酸を無機または有機塩基、例えば、アミン(第一級、第二級または第三級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土類金属水酸化物などで処理することによって調製されうる。これらの塩は、対応する酸性化合物を、所望の薬理学的に許容される陽イオンを含有する水溶液で処理し、次いで得られた溶液を、例えば減圧下で蒸発乾固することによって調製することもできる。あるいは、酸性化合物の低級アルカノール溶液および所望のアルカリ金属アルコキシドを一緒に混合し、次いで得られた溶液を上記と同じ方法で蒸発乾固することによって調製することもできる。いずれの場合においても、例えば試薬の化学量が、反応の完全性および所望の最終生成物の最大収量を確実にするために用いられる。
【0114】
本発明の化合物(本発明化合物aまたはIbを含む)の薬学的に許容される塩は、例えば、3つの方法:
(i)本発明の化合物を所望の酸または塩基と反応させること、
(ii)本発明の化合物の適切な前駆体から酸もしくは塩基不安定保護基を除去すること、または適切な環状前駆体、例えば、ラクトンまたはラクタムを、所望の酸もしくは塩基を使用して開環すること、あるいは
(iii)本発明の化合物の1つの塩を、適切な酸もしくは塩基と反応させることにより、または適切なイオン交換カラムにより、別の塩に変換すること
のうちの1つまたは複数により調製されうる。
【0115】
3つ全ての反応は、典型的には溶液中において実施される。得られる塩は沈殿し、濾過により収集されうる、または溶媒の蒸発により回収されうる。得られた塩のイオン化度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで変動しうる。
【0116】
多形体は、当業者に既知の方法に従って、例えば結晶化により調製することができる。
任意のラセミ化合物が結晶化するとき、2つの異なるタイプの結晶が可能である。第1のタイプは、上記に参照されたラセミ化合物(真のラセミ化合物)であり、両方の鏡像異性体を当モル量で含有する1つの同質形態の結晶が生成される。第2のタイプは、ラセミ混合物または団塊であり、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される。
【0117】
ラセミ混合物に存在する両方の結晶形態は、ほぼ同一の物理的特性を有しうるが、真のラセミ化合物と比較すると異なる物理的特性を有することがある。ラセミ混合物は、当業者に既知の慣用技術により分離され、例えば、Stereochemistry of Organic Compounds by E.L.Eliel and S.H.Wilen(Wiley,New York,1994)を参照のこと。
【0118】
本発明は、本発明の同位体標識化合物も含み、1個または複数の原子は、同じ原子数を有するが、原子質量または質量数が、天然に見出される原子質量または質量数と異なっている原子に置き換えられる。本発明の同位体標識化合物(または、その薬学的に許容される塩もしくはそのN−オキシド)は、一般に、当業者に既知の慣用技術により、または他の方法で用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、本明細書に記載されている方法と類似のものにより調製することができる。
【0119】
本発明によるプロドラッグは、例えば、本発明の化合物に存在する適切な官能基を、例えば、Design of Prodrugs by H.Bundgaard(Elsevier,1985)に記載されている「プロ部分」として当業者に知られている、ある特定の部分と置き換えることによって生成されうる。
【0120】
本発明の化合物は、最も適切な剤形および提案される適応症の治療用の投与経路を選択するため、生物薬剤学的特性、例えば、溶解度および溶液安定性(pHの範囲)、透過性などが評価されるべきである。
【0121】
薬学的使用が意図される本発明の化合物は、結晶質または無定形の生成物として投与されうる。これらは、例えば、沈殿、結晶化、フリーズドライ(freeze drying)、スプレードライ、または蒸発乾燥などの方法により、固体プラグ、粉末またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波による乾燥を、この目的に使用することができる。
【0122】
これらは、単独で、または1つもしくは複数の本発明の他の化合物と組み合わせて、または1つもしくは複数の他の薬物と組み合わせて(またはこれらの任意の組み合わせにより)投与されうる。一般に、これらは1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と会合した製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために本明細書に使用される。賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要因に大きく依存する。
【0123】
本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩)の送達に適する医薬組成物およびこれらの調整方法は、当業者に容易に認められる。そのような組成物およびこれらの調製方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Edition(Mack Publishing Company,1995)において見出すことができる。
【0124】
本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)は経口投与されうる。経口投与は、化合物が胃腸管に入る嚥下、および/または化合物が口から血流に直接入る頬側、舌もしくは舌下投与を伴ってもよい。
【0125】
経口投与に適した製剤には、固体、半固体および液体系が含まれ、例えば、錠剤;多もしくはナノ粒子を含有する軟もしくは硬カプセル剤、液剤、または散剤;ロゼンジ剤(液体充填を含む);咀嚼剤(chew);ゲル剤;急速分散剤形(fast−dispersing dosage form);フィルム剤;オビュール剤(ovule);スプレー剤;および頬側/粘膜付着性パッチ剤である。
【0126】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質または硬質カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)の中への充填剤として用いることができ、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油、ならびに1つまたは複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含有する。液体製剤は、固体からの復元により、例えばサッシュから調製することもできる。
【0127】
本発明の化合物は、急速溶解、急速崩壊剤形に使用することもでき、例えば、Liang and Chen,Expert Opinion in Therapeutic Patents 2001,11,981−986に記載されているものである。
【0128】
錠剤の剤形では、用量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には、剤形の5重量%〜60重量%を構成する。薬物に加えて、錠剤は、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、カボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)、カボキシメチルセルロースカルシウム(calcium carboxymethyl cellulose)、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微晶質セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、例えば、5重量%〜20重量%を構成する。
【0129】
結合剤は、一般に、錠剤製剤に粘着性を付与するために使用される。適切な結合剤には、微晶質セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微晶質セルロース、デンプンおよびリン酸二カルシウム二水和物(dibasic calcium phosphate dihydrate)などの希釈剤を含有することもできる。
【0130】
錠剤は、任意選択で、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含むこともできる。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を構成することができ、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を構成することができる。
【0131】
錠剤は、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate)、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、例えば、0.5重量%〜3重量%を構成する。
【0132】
他の可能な成分には、酸化防止剤、着色剤、香味剤、防腐剤、および味覚遮蔽剤が含まれる。
例示的な錠剤は、約80重量%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含有する。
【0133】
錠剤ブレンドは、直接またはローラーにより圧縮されて、錠剤を形成しうる。錠剤ブレンドまたはブレンドの一部は、錠剤成形する前に、代替的に、湿式、乾式もしくは融解造粒される、融解凝結される、または押し出されることがある。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでもよく、コーティングされても、コーティングされていなくてもよく、更にはカプセル化されてもよい。
【0134】
錠剤の製剤化は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1,by H.Lieberman and L.Lachman(Marcel Dekker,New York,1980)に考察されている。
【0135】
ヒトまたは獣医により消費される経口フィルム剤は、典型的には、柔軟で水溶性または水膨張性の薄いフィルム剤形であり、迅速に溶解しても、または粘膜付着性であってもよく、典型的には、本発明の化合物、皮膜形成ポリマー、結合剤、溶媒、保湿剤、可塑剤、安定剤、乳化剤、粘度調整剤、および溶媒を含んでもよい。製剤の一部の成分は、1つを超える機能を発揮することができる。
【0136】
本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩もしくはそのN−オキシド)は、水溶性または不溶性でありうる。水溶性化合物は、典型的には1重量%〜80重量%、より典型的には20重量%〜50重量%の溶質を含む。水溶性の低い化合物は、組成物において少ない割合、典型的には30重量%までの溶質を含みうる。あるいは、本発明の化合物は、多粒子ビーズの形態であってもよい。
【0137】
皮膜形成ポリマーは、天然の多糖類、タンパク質、または合成ヒドロコロイドから選択されてもよく、典型的には、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には30〜80重量%の範囲で存在する。
【0138】
他の可能な成分には、酸化防止剤、着色剤、香味料および香味増強剤、防腐剤、唾液刺激剤、清涼剤(cooling agent)、共溶媒(油を含む)、皮膚軟化剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤、および味覚遮蔽剤が含まれる。
【0139】
本発明によるフィルム剤は、典型的には、剥離可能な裏地支持体または紙にコーティングされた水性薄フィルムの蒸発乾燥により調製される。これは、典型的にはコータードライヤーと組み合わせた乾燥オーブンもしくはトンネルにおいて、またはフリーズドライもしくは真空適用により実行されうる。
【0140】
経口投与用の固体製剤は、即時および/または改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム化放出が含まれる。
【0141】
本発明の目的に適した改変放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤、ならびに浸透性粒子およびコーティング粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al.,Pharmaceutical Technology On−line,25(2),1−14(2001)において見出すことができる。制御放出を達成するチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0142】
本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を、血流、筋肉内、または内蔵に直接投与することもできる。非経口投与に適した方法には、静脈内、動脈内、腹腔内、鞘内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内、および皮下が含まれる。非経口投与に適したデバイスには、針(マイクロニードルを含む)注射器、無心注射器、および注入技術が含まれる。
【0143】
非経口製剤は、典型的には水性液剤であり、塩、炭水化物および緩衝剤(例えば、pHを3から9にするため)などの賦形剤を含有してもよいが、一部の用途では、滅菌非水性液剤として、または発熱物質無含有滅菌水などの適切なビヒクルと一緒に使用するために乾燥形態としてより適切に製剤化されうる。
【0144】
滅菌条件下での、例えば凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者に良く知られている標準的製薬技術を使用して容易に達成されうる。
非経口液剤の調製に使用される本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の溶解度は、溶解度増強剤の組み込みなどの適切な製剤化技術の使用によって増加されうる。
【0145】
非経口投与用の製剤は、即時および/または改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム化放出が含まれる。故に、本発明の化合物は、懸濁剤として、または活性化合物の改変放出を提供する埋め込みデポー剤として投与される固体、半固体もしくはチキソトロープ液として製剤化されうる。そのような製剤の例には、薬物コーティングステント、および半固体ならびに薬物装填ポリ(DL−乳酸グリコール酸共重合体)(poly(DL−lactic−coglycolic acid))(PLGA)微小球を含む懸濁剤が含まれる。
【0146】
本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)を、皮膚または粘膜に局所的、皮膚(内)、または経皮的に投与することもできる。この目的の局所製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布粉剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハ剤、埋め込み剤、スポンジ剤、ファイバー剤、バンデージおよび乳濁剤が含まれる。リポソームを使用することもできる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。浸透増強剤を組み込んでもよい。例えば、Finnin and Morgan,J.Pharm.Sci.1999,88,955−958を参照のこと。
【0147】
局所投与の他の方法には、電気穿孔、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシス、またはマイクロニードル、および無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0148】
局所投与用の製剤は、即時および/または改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム化放出が含まれる。
本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)は、典型的には、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態により(単独で、または例えばラクトースとの乾式ブレンドによる混合物として、もしくは、例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合成分粒子として)、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を用いて、もしくは用いることなく、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(例えば、微細ミストを生成するために電気流体力を使用するアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして、または点鼻薬として、鼻腔内に、または吸入により投与することもできる。鼻腔内の使用では、散剤は、生体付着性剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0149】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有し、例えば、エタノール、エタノール水溶液、または活性成分の分散、可溶化、もしくは放出の延長のために適した代替的薬剤、溶媒として噴射剤、およびソルビタントリオレエートなどの任意選択の界面活性剤、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含む。
【0150】
乾燥粉末または懸濁製剤を使用する前に、薬品は吸入による送達に適したサイズ(典型的には、5ミクロン未満)に微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング(spiral jet milling)、流動床摩砕、ナノ粒子を形成する超臨界流体加工、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕方法によって達成することができる。
【0151】
吸入器または空気吸入器で使用されるカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスター剤、およびカートリッジ剤は、本発明の化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびL−ロイシン、マンニトール、もしくはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤との粉末ミックスを含有するように製剤化されうる。ラクトースは、無水でありうる、または一水和物の形態でありうる。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコール、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。
【0152】
微細ミストを生成するために電気流体力を使用するアトマイザーにおける使用に適した溶液製剤は、1作動毎に1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してもよく、作動量は、1μL〜100μLに変動しうる。典型的な製剤は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含むことができる。ピロピレングリコールの代わりに使用することができる代替的な溶媒には、グリセロールおよびプロピレングリコールが含まれる。
【0153】
適切なメントールおよびレボメントール(levomenthol)などの香味、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料が、吸入/鼻腔内投与が意図される本発明の製剤に添加されうる。
【0154】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、即時放出および/または例えば、PGLAを使用して改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム化放出が含まれる。
【0155】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量で送達するバルブによって決定される。本発明によると、単位は、典型的には、0.01〜100mgの本発明の化合物を含有する計量用量または「パフ」を投与するように配置される。全体的な1日用量は、典型的には1μg〜200mgの範囲であり、単回用量により、またはより適切には1日を通して分割用量により投与されうる。
【0156】
本発明の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)は、直腸内または膣内に、例えば、坐剤、ペッサリー、または浣腸の形態で投与されうる。カカオバターは伝統的に坐剤の基剤であるが、適切であれば様々な代替物を使用することができる。
【0157】
直腸内/膣内投与用の製剤は、即時および/または改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム化放出が含まれる。
【0158】
本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩を含む)は、目または耳に、典型的には等張pH調整滅菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の滴薬の形態で直接投与することもできる。眼内および耳内投与に適した他の製剤には、軟膏剤、ゲル剤、生物分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生物分解性(例えば、シリコーン)埋め込み剤、ウエハ剤、レンズ、および粒子または小胞系、例えば、ニオソーム(niosome)またはリポソームが含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロースなどのポリマー、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゼラチンゴムは、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に組み込むことができる。そのような製剤は、イオントフォレシスによっても送達されうる。
【0159】
眼内および耳内投与用の製剤は、即時および/または改変放出するように製剤化されうる。改変放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、またはプログラム化放出が含まれる。
【0160】
本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩を含む)は、前述の投与様式のいずれかにおける使用において溶解度、溶解速度、味覚遮蔽、バイオアベイラビリティおよび/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子実体と組み合わせることができる。
【0161】
薬物シクロデキストリン複合体は、例えば、大部分の剤形および投与経路に一般的に有用であることが見出される。抱接および非抱接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接的な複合体形成の代替案として、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち、担体、希釈剤または可溶化剤として使用することができる。この目的に最も一般的に使用されるものは、アルファ、ベータおよびガンマシクロデキストリンであり、その例は、国際特許出願第91/11172号、同第94/02518号および同第98/55148号において見出すことができる。
【0162】
本発明は、本明細書に記載されている疾患/状態を、別々に投与されうる活性成分の組み合わせにより治療することに関する態様を有するので、本発明は、別々の医薬組成物をキット形態に組み合わせることにも関する。キットは、2つの別々の医薬組成物を含み、本発明の化合物、そのプロドラッグ、またはそのような化合物またはプロドラッグの塩と、上記に記載された第2の化合物である。キットは、容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなど、別々の組成物を含有する手段を含む。典型的には、キットは別々の成分を投与するための指示書を含む。キット形態は、別々の成分が例えば異なる剤形(例えば、経口および非経口)で投与される場合、異なる投与間隔で投与される場合、または個別の成分の組み合わせの力価が処方医師により望まれる場合に特に有利である。
【0163】
そのようなキットの例は、いわゆる、ブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業において良く知られており、薬学的剤形単位(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般に、透明プラスチック材料のホイルで覆われている比較的かたい材料のシートから構成される。包装の過程において、くぼみがプラスチックホイルに形成される。くぼみは、詰められる錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤は、くぼみの中に置かれ、比較的かたい材料のシートが、くぼみが形成される方向と反対側にあるプラスチックホイルのホイル面に封止される。その結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートの間にあるくぼみの中に封止される。一部の実施形態において、シートの強さは、くぼみに手作業で圧力を加え、それによって、シートのくぼみの場所に開放部を形成することにより、錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出すことができるような強さである。次いで錠剤またはカプセル剤を、前記の開放部から取り出すことができる。
【0164】
記憶補助を、例えば、錠剤またはカプセル剤の隣にある数字の形態でキットに提供することが望ましいことがあり、その数字は、特定された錠剤またはカプセル剤が摂取されるレジメンの日にちに対応する。そのような記憶補助の別の例は、カードに印刷されたカレンダーであり、例えば、以下のようなものである。「第1週、月、火…など、第2週、月、火…」など。記憶補助の他の変形も容易に明らかである。「1日用量」は、所定の日に摂取される単一の錠剤もしくはカプセル剤、または数個の丸剤もしくはカプセル剤でありうる。また、本発明の化合物の1日用量は、1個の錠剤またはカプセル剤から構成されうるが、第2の化合物の1日用量は、数個の錠剤またはカプセル剤から構成されてもよく、逆の場合も同じである。記憶補助は、このことを反映するべきである。
【0165】
本発明の別の特定の実施形態において、意図される使用のために一度に1日用量を分配するように設計されたディスペンサーが提供される。例えば、ディスペンサーは、レジメンに対する服薬遵守を更に促進するために記憶補助を備える。そのような記憶補助の例は、分配された1日用量の回数を示す機械式カウンターである。そのような記憶補助の別の例は、例えば、最後の1日用量が摂取された日にちを読み出す、および/または次の用量が摂取される日にちを気づかせる、液晶読出し、または音声注意信号に接続された電池式マイクロチップメモリーである。
【0166】
本発明は、特定の例によって更に詳細に記載される。以下の実施例は、例示する目的のために提供されており、本発明をいかようにも制限することを意図しない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または改変できる様々な重大ではないパラメーターを、容易に認識する。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例に例示された方法を、単独で、または当該技術に一般に既知の技術と組み合わせて使用することにより調製されうる。以下の実施例および調製例において、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「N」は濃度を参照する場合は規定を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmol」はマイクロモルを意味し、「eq.」は当量を意味し、「℃」は摂氏を意味し、「MHz」はメガヘルツを意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味する。
【実施例】
【0167】
以下に本発明の様々な化合物の合成を例示する。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例に例示された方法を、単独で、または当該技術に一般に既知の技術と組み合わせて使用することにより調製されうる。
【0168】
実験は、一般に、特に酸素感受性または感湿性の試薬または中間体が用いられる場合に、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で実施される。市販の溶媒および試薬は、一般に、更に精製することなく使用した。適切な場合には、無水溶媒を使用し、一般に、Acros OrganicsのAcroSeal(登録商標)製品、Sigma−AldrichのAldrich(登録商標)Sure/Seal(商標)、またはEMD ChemicalsのDriSolv(登録商標)製品であった。他の場合では、市販の溶媒を、4Åモレキュラーシーブを充填したカラムに、以下の、水に対するQC標準を得るまで通過させた。a)ジクロロメタン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランでは<100ppmであり、b)メタノール、エタノール、1,4−ジオキサンおよびジイソプロピルアミンでは<180ppmであった。非常に感受性の高い反応では、溶媒を金属ナトリウム、水素化カルシウム、またはモレキュラーシーブで更に処理し、使用直前に蒸留した。生成物は、一般に、更なる反応を実施する前または生物学的試験に付す前に、真空下で乾燥した。質量分析データは、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)、超高性能液体クロマトグラフィー質量分析法(UPLC−MS)、大気圧化学イオン化(APCI)、またはガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)計測により報告される。核磁気共鳴(NMR)データにおける化学シフトは、百万分率(ppm、δ)で表され、用いた重水素化溶媒の残留ピークを参照する。一部の実施例では、キラル分割を実施して、本発明のある特定の化合物の鏡像異性体を分離した(一部の実施例において、分離された鏡像異性体は、溶出の順番に従ってENT−1およびENT−2と指定されている)。一部の実施例では、鏡像異性体の光学回転は、旋光計を使用して測定した。観察された回転データ(または、その特定の回転データ)により、時計回りの回転を有する鏡像異性体を(+)鏡像異性体と指定し、反時計回りの回転を有する鏡像異性体を(−)鏡像異性体と指定した。ラセミ化合物は、構造への(+/−)隣接の存在により示され、これらの場合、示された立体化学は化合物の置換基の相対(絶対ではなく)配置を表す。
【0169】
検知可能な中間体を介して進行する反応の後には、一般にLCMSが続き、後に試薬を添加する前に、完全な変換まで進行させた。他の実施例または方法例における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)は変動しうる。一般に、反応の後に薄層クロマトグラフィーまたは質量分析が続き、適切であれば処理に付される。精製は実験の間でばらつくことがあり、一般に、溶出液/勾配に使用される溶媒および溶媒比は、適切なRまたは滞留時間を提供するために選択される。これらの調製例および実施例における全ての出発物質は、市販されている、または当該技術に既知もしくは本明細書に記載されている方法によって調製されうる。
【0170】
実施例1
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1)
【0171】
【化8】
【0172】
ステップ1.tert−ブチル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(C1)の合成
アセトニトリル(9.0mL)中のtert−ブチル(3R)−3−アミノ−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(C.R.Butler et al.、米国特許出願公開第20170029390号、2017年2月2日を参照のこと)(3.00g、11.7mmol)およびトリエチルアミン(4.08mL、29.3mmol)の溶液を、0℃に冷却した。シクロプロピルメタンスルホニルクロリド(2.44g、15.8mmol)を20分間かけて滴加し、その間、反応混合物の温度を7℃未満に維持した。次いで、25℃に温め、その温度で1.5時間撹拌し、その時点でのLCMSの分析は、生成物への98%の変換を示した。混合物を1時間50℃に加熱し、その時点で水(9.0mL)を加え、混合物を0℃に冷却し、35℃でシード添加し、次いで0℃に17時間維持した。更なる水(21.0mL)を10分間かけて滴加し、スラリーを30分間粒状化し、濾過して固体をもたらし、それを水(2×6mL)で洗浄して、生成物を淡黄色の固体としてもたらした。収量:3.52g、UPLC−MS分析により純度98%、9.21mmol、79%。LCMS m/z 375.1[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.34 (d, J=6.3 Hz, 1H), 4.00-3.88 (m, 2H), 3.51 (dd, J=8.0, 6.0 Hz, 1H), 3.46-3.36 (m, 2H), 3.29-3.14 (br m, 2H), 3.02-2.90 (m, 2H), 2.09 (dd, J=12.8, 8.0 Hz, 1H), 1.64 (dd, J=12.8, 6.8 Hz, 1H), 1.61-1.51 (m, 2H), 1.51-1.41 (m, 2H), 1.38 (s, 9H), 1.05-0.93 (m, 1H), 0.60-0.53 (m, 2H), 0.35-0.29 (m, 2H).
ステップ2.1−シクロプロピル−N−[(3R)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−3−イル]メタンスルホンアミド塩酸塩(C2)の合成
2−プロパノール(23.6mL)中のC1(2.62g、質量純度99%、6.93mmol)のスラリーを50℃に加熱した。得られた溶液を、2−プロパノール(5M、2.77mL、13.8mmol)中の塩化水素の溶液で処理し、撹拌を50℃で16時間続けた。反応混合物を25℃に冷却した後、固体を濾過により収集し、2−プロパノール(2×5.2mL)で洗浄して、生成物を白色の固体としてもたらした。収量:1.88g、6.05mmol、87%。LCMS m/z 275.2[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.14-8.83 (br s, 2H), 7.40 (d, J=6.3 Hz, 1H), 4.02-3.89 (m, 2H), 3.55 (dd, J=8.5, 6.0 Hz, 1H), 3.10-2.92 (m, 6H), 2.13 (dd, J=12.8, 8.0 Hz, 1H), 1.89-1.79 (m, 2H), 1.79-1.67 (m, 3H), 1.05-0.93 (m, 1H), 0.60-0.53 (m, 2H), 0.35-0.29 (m, 2H).
ステップ3.1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1)の合成
tert−ブチルメチルエーテル(15.0mL)中のC2(1.50g,4.83mmol)およびトリエチルアミン(3.10mL、22.2mmol)の混合物を、内部温度の40℃に加熱した。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルカルボノクロリデート(1.33g,5.77mmol)を8分間かけて滴加し、反応混合物を40℃で80分間撹拌し、その時点でメタノール(15.0mL)を加え、更に熱を加えて蒸留を開始させた。混合物の温度が65℃(メタノールの沸点)に達したときに、蒸留を中断し、反応体積はおよそ9mLであった。次いで混合物を45℃に冷却し、水(9.0mL)を5分間かけて滴下して処理した。メタノールを少量ずつ(3×3mL)加えて溶液をもたらし、これを0℃に冷却し、この温度で一晩保持した。沈殿した固体を濾過により収集し、水(20mL)で洗浄して、生成物を白色の固体としてもたらした。収量:1.63g、UPLC−MSにより純度98%、3.41mmol、71%。LCMS m/z 469.2[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.36 (d, J=6.3 Hz, 1H), 6.55 (七重線, JHF=6.5 Hz, 1H), 4.02-3.89 (m, 2H), 3.63-3.50 (m, 3H), 3.43-3.26 (m, 2H), 3.02-2.92 (m, 2H), 2.12 (dd, J=12.8, 8.0 Hz, 1H), 1.73-1.45 (m, 5H), 1.04-0.93 (m, 1H), 0.60-0.53 (m, 2H), 0.35-0.29 (m, 2H).
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1)のForm I(無水結晶形態)の調製
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1、750mg,1.60mmol)を、最小量のメチルt−ブチルエーテル(MTBE)に約50℃で溶解した。次いでヘプタンを、溶液が曇るまで50℃で滴加した。得られた混合物を室温にゆっくりと冷却し、室温で更に24時間撹拌した。得られた懸濁液を吸引濾過により濾過して、700mg(93%)のForm Iと指定されている結晶質の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1)を白色の固体としてもたらした。
【0173】
実施例1の化合物のForm Iの示差走査熱量測定データの取得
示差走査熱量測定(DSC)データ(図1を参照のこと)を、以下のパラメーターによって、TA Instrumentsからの冷蔵冷却アクセサリーを備えたDiscovery DSCを使用して収集した。全ての実験をTzeroアルミニウムパンにおいて実施した。セル定数は、インジウムを使用して決定し、温度較正は、基準としてインジウムおよびスズを使用して実施した。全ての測定は、連続乾燥窒素パージ(50mL/分)下で行った。およそ2〜5mgの固体試料を計量してTzeroアルミニウムパンに入れ、非密閉的に封止し、10℃/分の加熱速度で25℃〜200℃に加熱した。実験データを、市販のソフトウエア(TA Universal Analysis 2000ソフトウエア、TA Instruments)を使用して分析した。
【0174】
図1に示されているように、示差走査熱量測定(DSC)データは、約91℃および約97℃の発生温度を有する2つの融解吸熱を示した。
実施例1の化合物のForm Iの熱重量分析データの取得
熱重量分析データ(図2を参照のこと)を、以下のパラメーターによって、Discovery TGA機器(TA Instruments)を使用して収集した。およそ5mgの試料を計量してアルミニウムパンに入れ、10℃/分の加熱速度で窒素パージ(90mL/分)下において25℃〜300℃に加熱した。図2に示されているように、熱重量分析(TGA)は、融解事象の前に有意な重量減を示さず、物質が無水(無水物)であることを確認しており、DSCデータと一致している。
【0175】
実施例1の化合物のForm Iの動的水蒸気吸着データの取得
自動水蒸気吸着分析器(VTI SGA−CX、VTI Scientific)を使用して、本発明のForm Iの無水物の吸湿性を測定した。微量天秤を、100mgの標準重量を使用して較正した。相対湿度センサーを、飽和塩溶液を使用して5.0、11.3、32.8、52.8、75.3、および84.3%RH(25℃)、ならびにポリビニルピロリドンを使用して80%RH(25℃)で校正した。およそ8〜10mgの粉末試料を白金試料パンに入れ、1分当り1℃の加熱速度により≦3%の相対湿度(RH)において25℃で乾燥した。平衡の獲得は、試料の重量変化が5分間、または最大平衡時間の120分間で<0.001wt%であった場合に推定された。次いでRHを10%の増加で90%まで累進的に増加させ、続いて、10%RHの減少で10%の最終RHに減少させた。ここでも、平衡の獲得は、試料の重量変化が5分間、または最大平衡時間の120分間で<0.001wt%であった場合に推定された。吸着サイクル(90%RH)の終了時の重量増は、乾燥重量に基づいて計算した。DVSデータ(図3および表2を参照のこと)は、Form Iに重量増がほとんどないこと(90%RH、25℃で0.1%未満)を明らかにし、この無水物(無水)結晶形態(Form I)が実質的に非吸湿性であることを示した。
【0176】
実施例1の化合物のForm Iの粉末X線回折(PXRD)データの取得
粉末X線回折(PXRD)データは、Cu放射線源(CuKα放射線、波長1.54056Å)を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して、実施例1の化合物のForm Iの試料から取得および収集した。発散スリットを3mmの連続照明に設定した。回折放射線をPSD−Lynx Eye検出器により検出し、検出器のPSD開口を4.105度に設定した。X線管のボルト数およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データを、0.020度のステップサイズおよび0.5秒のステップ時間を使用して、3.0〜40.0度2シータのCu波長でシータシータ・ゴニオメーターにより収集した。試料をケイ素低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集の際に回転させることにより調製した。データを、Bruker DIFFRAC Plusソフトウエアを使用して収集し、分析を、EVA diffract plusソフトウエアにより実施した。一般に、閾値の1°および幅の値の0.3°を使用して、予備ピーク指定を行った。1つの回折パターンが一貫して観察され、図4に提示する。2θの度および≧4.0%の相対強度である相対強度によって表されている回折ピークのリストを、上記の表1に提示する。
【0177】
実施例2
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(2)
【0178】
【化9】
【0179】
ステップ1.tert−ブチル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(C3)の合成
メタノール(1.0mL)中のtert−ブチル(3R)−3−アミノ−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.25g,0.98mmol)およびトリエチルアミン(0.34mL、2.4mmol)の溶液を0℃に冷却した。シクロプロパンスルホニルクロリド(0.12mL,質量純度98%、1.2mmol)を7分間かけて滴加し、反応混合物を5時間撹拌し、その時点で25℃に温めた。12時間後、スラリーを50℃に加熱して、溶液をもたらした。水(1.0mL)を1分間かけてゆっくりと加え、50℃で5分間撹拌すると、濃密スラリーが形成された。再び水(1.5mL)を加え、混合物を25℃に冷却し、30分間粒状化した。固体を濾過により収集し、水(2×2mL、次いで6mL)で洗浄して、生成物を固体としてもたらした。収量:0.29g、0.80mmol、82%。LCMS m/z 361.2[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.34 (d, J=7.0 Hz, 1H), 4.03-3.91 (m, 2H), 3.57-3.50 (m, 1H), 3.46-3.37 (m, 2H), 3.29-3.15 (br m, 2H), 2.59-2.51 (m, 1H), 2.12 (dd, J=12.8, 8.3 Hz, 1H), 1.66 (dd, J=12.9, 6.4 Hz, 1H), 1.62-1.52 (m, 2H), 1.52-1.40 (m, 2H), 1.39 (s, 9H), 0.99-0.85 (m, 4H).
ステップ2.N−[(3R)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−3−イル]シクロプロパンスルホンアミド塩酸塩(C4)の合成
2−プロパノール(33.0mL)中のC3(3.67g,10.2mmol)の混合物を50℃に加熱し、得られた溶液を、2−プロパノール(5M、4.07mL、20.4mmol)中の塩化水素の溶液で処理した。反応混合物を、オーバーヘッド撹拌機を50℃で18時間使用して撹拌し、その時点で25℃に冷却した。固体を濾過により収集し、2−プロパノール(2×8mL)で洗浄して、生成物を白色の固体としてもたらした。収量:2.80g、9.43mmol、92%。LCMS m/z 261.1[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.11-8.79 (br s, 2H), 7.40 (d, J=7.0 Hz, 1H), 4.05-3.92 (m, 2H), 3.58 (dd, J=8.4, 5.6 Hz, 1H), 3.11-2.91 (br m, 4H), 2.61-2.53 (m, 1H), 2.17 (dd, J=13.0, 8.0 Hz, 1H), 1.88-1.81 (m, 2H), 1.78-1.69 (m, 3H), 1.00-0.86 (m, 4H).
ステップ3.1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(2)の合成
メタノール(1.0mL)中のC4(0.25g,0.84mmol)およびトリエチルアミン(0.27mL、1.9mmol)の溶液を0℃に冷却し、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルカルボノクロリデート(SynQuest Laboratories;0.23g、1.0mmol)を、6分間かけてシリンジを介して滴下することにより処理した。50分後、反応混合物を50℃に加熱し、水(1.5mL)を3分間かけて滴下することにより処理した。更に25分後、混合物を25℃に冷却し、43℃で2(Form Aシード、下記の段落を参照のこと)(13mg、29μmol)をシード添加した。この混合物を25℃で撹拌すると、均一のスラリーを得た。水(1.0mL)を滴加し、混合物を30分間粒状化し、濾過してフィルターケーキをもたらし、それを水(2×0.75mL)で洗浄して、生成物を白色の固体としてもたらした。収量:0.246g、0.541mmol、64%。LCMS m/z 472.2[M+NH]。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.36 (d, J=6.8 Hz, 1H), 6.55 (七重線, JHF=6.4 Hz, 1H), 4.05-3.92 (m, 2H), 3.65-3.51 (m, 3H), 3.44-3.25 (m, 2H), 2.61-2.52 (m, 1H), 2.15 (dd, J=12.9, 7.9 Hz, 1H), 1.75-1.45 (m, 5H), 1.00-0.85 (m, 4H).
実施例2の化合物のForm A(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル]アミノ)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート)の調製
【0180】
【化10】
【0181】
tert−ブチル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(C3、20.0g、55.5mmol)を、270mLのEtOAcに懸濁し、4−トルエンスルホン酸一水和物(TSOH−HO、15.8g,83.2mmol)で処理した。得られた混合物を50℃に温め、続いて室温にゆっくりと冷却した。混合物を室温で18時間撹拌した。ヘプタン(100mL)を得られた懸濁液に加え、撹拌を更に30分間続けた。固体を吸引濾過により収集し、1:1のEtOAc/ヘプタンですすぎ、真空下において50℃で乾燥して、20.0g(83%)のN−[(3R)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−3−イル]シクロプロパンスルホンアミド4−トルエンスルホン酸塩(C4−a)をもたらした。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δppm 8.38 (br. s., 1 H), 8.28 (br. s., 1 H), 7.49 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 7.37 (d, J=7.0 Hz, 1 H), 7.12 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 4.07 - 3.91 (m, 2 H), 3.58 (dd, J=8.2, 5.9 Hz, 1 H), 3.16 - 2.94 (m, 4 H), 2.62 - 2.52 (m, 1 H), 2.29 (s, 3 H), 2.17 (dd, J=13.1, 8.0 Hz, 1 H), 1.90 - 1.63 (m, 5 H), 1.02 - 0.84 (m, 4 H).
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(6.75mL、64.2mmol)およびEtN(12.0mL、85.5mmol)を、アセトニトリル(400mL)中のトリホスゲン(6.48g,21.4mmol)に溶液に加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。N−[(3R)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−3−イル]シクロプロパンスルホンアミド4−トルエンスルホン酸塩(C4−a、18.5g,42.8mmol)およびEtN(12.0mL、85.5mmol)を加え、反応を室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、水で希釈し、EtOAcで数回抽出した。組み合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、シリカゲル(25〜50%のEtOAc/ヘプタン)のフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、16gの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル (R)−3−(シクロプロパンスルホンアミド)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートを粘稠性の黄色油状物としてもたらし、放置するとゆっくりと固化した。生成物を最小量のMTBEに約50℃で溶解した。次いでヘプタンを、溶液が曇るまで50℃で滴加した。得られた混合物を室温にゆっくりと冷却し、室温で更に24時間撹拌した。得られた懸濁液を吸引濾過により濾過して、15.2g(78%)のForm Aと指定されている結晶質の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートを白色の固体としてもたらした。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δppm 5.76 (七重線, J=6.2 Hz, 1 H), 4.39 (d, J=8.2 Hz, 1 H), 4.15 (m, 1 H), 4.05 (dd, J=9.8, 5.9 Hz, 1 H), 3.85 (m, 2 H), 3.76 (dd, J=9.8, 4.7 Hz, 1 H), 3.37 (m, 2 H), 2.42 (m, 1 H), 2.21 (dd, J=13.5, 7.6 Hz, 1 H), 1.86 - 1.64 (m, 4 H), 1.64 - 1.48 (m, 1 H), 1.20 (m, 2 H), 1.05 (m, 2 H).
実施例2の化合物のForm Aの示差走査熱量測定データの取得
示差走査熱量測定データ(図5および表4を参照のこと)を、以下のパラメーターによって、TA Instrumentsからの冷蔵冷却アクセサリーを備えたDiscovery DSCを使用して収集した。全ての実験をTzeroアルミニウムパンにおいて実施した。セル定数は、インジウムを使用して決定し、温度較正は、基準としてインジウムおよびスズを使用して実施した。全ての測定は、連続乾燥窒素パージ(50mL/分)下で行った。およそ2〜5mgの固体試料を計量してTzeroアルミニウムパンに入れ、非密閉的に封止し、10℃/分の加熱速度で25℃〜200℃に加熱した。実験データを、市販のソフトウエア(TA Universal Analysis 2000ソフトウエア、TA Instruments)を使用して分析した。
【0182】
図5および表4に示されているように、示差走査熱量測定(DSC)データは、約96℃に発生温度を有する1つの融解吸熱を示した。
実施例2の化合物のForm Aの熱重量分析データの取得
熱重量分析データ(図6および表4を参照のこと)を、以下のパラメーターによって、Discovery TGA機器(TA Instruments)を使用して収集した。およそ5mgの試料を計量してアルミニウムパンに入れ、10℃/分の加熱速度で窒素パージ(90mL/分)下において25℃〜300℃に加熱した。
【0183】
図6および表4に示されているように、熱重量分析(TGA)は、融解事象の前に約0.1%未満の重量減を示し、物質が無水(無水物)であることを確認しており、DSCデータ(1つの融解吸熱事象以外の事象がない)と一致している。
【0184】
実施例2の化合物のForm Aの動的水蒸気吸着データの取得
湿気/水分の吸着および脱着研究を、自動水蒸気吸着分析器(TA Instruments Q5000SA)により実施した。微量天秤を、100mgの標準重量を使用して較正した。相対湿度センサーを、飽和塩溶液を使用して5.0、11.3、32.8、52.8、75.3、および84.3%RH(25℃)で較正した。およそ10〜20mgの粉末試料を白金試料パンに入れ、≦3%の相対湿度(RH)において25℃で乾燥した。平衡の獲得は、試料の重量変化が5分間、または最大平衡時間の120分間で<0.001wt%であった場合に推定された。次いでRHを10%の増加で90%まで累進的に増加させ、続いて、10%RHの減少で10%の最終RHに減少させた。ここでも、平衡の獲得は、試料の重量変化が5分間、または最大平衡時間の120分間で<0.001wt%であった場合に推定された。吸着サイクル(90%RH)の終了時の重量増は、乾燥重量に基づいて計算した。DVSデータ(図7および表4を参照のこと)は、Form Aに重量増がほとんどないこと(90%RH、25℃で約0.1%未満)を明らかにし、このForm Aがほとんど非吸湿性であることを示した。
【0185】
実施例2の化合物のForm Aの粉末X線回折(PXRD)データの取得
粉末X線回折(PXRD)データは、Cu放射線源(CuKα放射線、波長1.54056Å)を備えたBruker AXS D8 Endeavor回折計を使用して、実施例2の化合物のForm Aの試料から取得および収集した。発散スリットを3mmの連続照明に設定した。回折放射線をPSD−Lynx Eye検出器により検出し、検出器のPSD開口を4.105度に設定した。X線管のボルト数およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データを、0.020度のステップサイズおよび0.5秒のステップ時間を使用して、3.0〜40.0度2シータのCu波長でシータシータ・ゴニオメーターにより収集した。試料をケイ素低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集の際に回転させることにより調製した。データを、Bruker DIFFRAC Plusソフトウエアを使用して収集し、分析を、EVA diffract plusソフトウエアにより実施した。一般に、閾値の1°および幅の値の0.3°を使用して、予備ピーク指定を行った。1つの回折パターンが一貫して観察され、図8に提示する。2θの度および≧4.0%の相対強度である相対強度によって表されている回折ピークのリストを、上記の表3に提示する。
【0186】
実施例3、4、および5
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(3)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1(4)、および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2(5)
【0187】
【化11】
【0188】
ステップ1.tert−ブチル3−(ヒドロキシイミノ)−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(C5)の合成
ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.74g、25.0mmol)および炭酸カリウム(6.93g、50.1mmol)を、エタノール(80mL)中のtert−ブチル3−オキソ−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(4.5g、16.7mmol)の懸濁液に加え、反応混合物を室温(25℃)で18時間撹拌した。酢酸エチル(80mL)を加え、得られた混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、生成物を無色の油状物(6g)としてもたらし、これを続くステップに直接使用した。
【0189】
ステップ2.tert−ブチル3−アミノ−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(C6)の合成
ラネーニッケル(1.57g)を、メタノール(80mL)および水酸化アンモニウム水溶液(80mL)の混合物中のC5(前ステップのもの、6g、≦16.7mmol)の溶液に加えた。反応混合物を水素下(20psi)において室温(25℃)で7時間撹拌し、次いで室温で12時間放置し、その時点で水素下(20psi)において5時間撹拌し、更に18時間放置した。混合物を珪藻土で濾過し、フィルターパッドをメタノール(150mL)で洗浄し、合わせた濾液を真空下で濃縮した。ジクロロメタン(60mL)による残留物の希釈の後に、濾過し、この濾液から減圧下での濃縮により溶媒を除去すると、生成物を淡黄色の油状物(4.85g)としてもたらした。この物質を続くステップに直接使用した。1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ3.84-3.40 (m, 4H), [3.27-2.96 (m)および2.88-2.79 (m), 計3H], 1.46 (s, 9H).
ステップ3.tert−ブチル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(C7)の合成
ジクロロメタン(80mL)中のC6[前のステップのもの、4.85g、≦16.7mmolと、850mg、≦2.49mmol、同様の方法で合成したものとの組み合わせ]およびトリエチルアミン(10.7mL、76.8mmol)の0℃の溶液に、シクロプロピルメタンスルホニルクロリド(4.45g,28.8mmol)を加えた。反応混合物を室温(25℃)で16時間撹拌し、その時点で、真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲルのクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%〜30%の酢酸エチル)を使用して精製して、生成物を黄色の固体としてもたらした。収量:3.5g,9.00mmol、3ステップで47%。LCMS m/z 411.2[M+Na]。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ4.66-4.51 (br m, 1H), 3.87-3.64 (m, 3H), 3.54-3.44 (m, 2H), 3.18-3.01 (m, 2H), 2.95 (d, J=7.3 Hz, 2H), 2.00-1.61 (m, 5H), 1.54-1.35 (m, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.22-1.09 (m, 1H), 0.75-0.68 (m, 2H), 0.44-0.37 (m, 2H).
ステップ4.1−シクロプロピル−N−(1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル)メタンスルホンアミドトリフルオロ酢酸塩(C8)の合成
トリフルオロ酢酸(6mL)を、ジクロロメタン(30mL)中のC7(1.66g,4.27mmol)の0℃の溶液に加えた。反応混合物を室温(25℃)で1時間撹拌した後、真空下で濃縮して、生成物を黄色の油状物(2.7g)としてもたらした。この物質を続くステップに直接進めた。LCMS m/z 289.2[M+H]1H NMR (400 MHz, CDCl3), 特徴的ピーク: δ8.46-8.19 (br s, 2H), 4.88-4.66 (br m, 1H), 3.88-3.77 (m, 1H), 2.97 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.21-2.04 (m, 2H), 2.02-1.91 (m, 1H), 1.84-1.68 (m, 3H), 1.64-1.52 (m, 1H), 1.21-1.09 (m, 1H), 0.77-0.69 (m, 2H), 0.45-0.37 (m, 2H).
ステップ5.1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート(3)の合成
ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート(3.43g、8.70mmol)を、アセトニトリル(40mL)中の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(1.44g,8.57mmol)の0℃の溶液に加えた。トリエチルアミン(5.95mL、42.7mmol)を加え、反応混合物を0℃で30分間、次いで25℃で2時間撹拌して、溶液Aをもたらした。
【0190】
その間、トリエチルアミン(2.98mL、21.4mmol)を、アセトニトリル(60mL)中のC8(前のステップのもの、2.7g、≦4.27mmol)の0℃の溶液に加えた。この反応混合物を0℃で10分間撹拌した後、溶液A(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルペンタフルオロフェニルカーボネートを含有)を加え、次いで反応混合物を温め、25℃で17時間撹拌した。組み合わせて、C8(380mg、≦0.695mmolおよび2.00g、≦3.35mmol)を使用して同様の反応を実施し、真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(120mL)で希釈した後、飽和塩化ナトリウム水溶液(3×70mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%〜30%の酢酸エチル)は、生成物を白色の固体としてもたらした。組み合わせ収量:3.21g、6.65mmol、2ステップで80%。LCMS m/z 505.1[M+Na]。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.76 (七重線, JHF=6.3 Hz, 1H), 4.66-4.52 (m, 1H), 3.96-3.78 (m, 3H), 3.56-3.45 (m, 2H), 3.33-3.13 (m, 2H), 2.96 (d, J=6.8 Hz, 2H), 2.02-1.87 (m, 3H), 1.81-1.64 (m, 2H), 1.57-1.37 (m, 3H), 1.22-1.10 (m, 1H), 0.76-0.69 (m, 2H), 0.45-0.37 (m, 2H).
ステップ6.1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1(4)、および1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2(5)の単離
3(3.2g、6.6mmol)をその成分鏡像異性体に分離することは、超臨界流体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、5μm;移動相:92.5:7.5の二酸化炭素/メタノール;背圧:120bar))を使用して実施した。第1溶出鏡像異性体を4と指定
し、第2溶出鏡像異性体を5と指定し、両方とも固体として単離された。
【0191】
4−収量:1.26g、2.61mmol、39%の分離。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.75 (七重線, JHF=6.2 Hz, 1H), 4.70-4.55 (m, 1H), 3.96-3.78 (m, 3H), 3.56-3.44 (m, 2H), 3.33-3.13 (m, 2H), 2.96 (d, J=7.0 Hz, 2H), 2.02-1.87 (m, 3H), 1.80-1.64 (m, 2H), 1.57-1.37 (m, 3H), 1.22-1.10 (m, 1H), 0.76-0.68 (m, 2H), 0.44-0.37 (m, 2H).滞留時間:3.47分(分析条件。カラム:Phenomenex Lux Cellulose−2、250×4.6mm;5μm;移動相A:二酸化炭素;移動相B:メタノール;勾配:5%のBを1分間、次に5%から60%のBを8分間;流速:3.0mL/分;背圧:120bar)。
【0192】
5−収量:1.41g、2.92mmol、44%の分離。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ5.75 (七重線, JHF=6.2 Hz, 1H), 4.71-4.56 (m, 1H), 3.96-3.78 (m, 3H), 3.56-3.44 (m, 2H), 3.33-3.13 (m, 2H), 2.96 (d, J=7.0 Hz, 2H), 2.02-1.87 (m, 3H), 1.80-1.64 (m, 2H), 1.57-1.37 (m, 3H), 1.22-1.10 (m, 1H), 0.76-0.69 (m, 2H), 0.44-0.37 (m, 2H).滞留時間:3.72分(分析条件は4に使用したものと同一である)。
【0193】
実施例AA:MAGLおよびFAAH酵素アッセイ
MAGL阻害の評価は、ヒト組換えモノアシルグリセロールリパーゼおよび蛍光基質の7−ヒドロキシクマリニルアラキドネート(7−HCA、Biomol ST−502)を利用する。減少濃度(150μMから1.5nMの範囲)の400nLの試験化合物を、Labcyte Echoを使用して384ウエルバックプレート(PerkinElmer、6007279)にスポットし、続いて、アッセイ緩衝液(50mMのHEPES、pH7.4、100mMのNaCl、5mMのMgCl、0.1%のTriton X−100、および25%のグリセリン)中の10μLのMAGL酵素を加えた。10%のDMSOを有するアッセイ緩衝液中の等量の7−HCAを、即時(T=0分)または30分のインキュベーションの後(T=30分)のいずれかにより添加して、反応を開始させた。MAGL酵素の最終濃度は88pMであり、7−HCA基質は5μMであった。これらを希釈した後、試験化合物の最終濃度は3μM〜0.03nMの範囲であった。反応を60分間進行させ、その後、プレートをEx/Emの340/465で読み取った。阻害率を、化合物を含有しない(0%の阻害)および対照化合物(例えば、活性が知られている、または約100%の阻害を有することなどが文献によって既に報告されているMAGL阻害剤)を含有する対照ウエルに基づいて計算した。IC50値を、IDBSのABASEソフトウエアを使用して4パラメーター当てはめモデルに基づいて生成した。例えば、Wang,Y.et al.,“A Fluorescence−Based Assay for Monoacylglycerol Lipase Compatible with Inhibitor Screening,”Assay and Drug Development Technologies,2008,Vol.6(3)pp 387−393を参照のこと(MAGL活性を測定するアッセイを報告している)。
【0194】
MAGL不活性化を測定するため、(T=0分)MAGL阻害IC50アッセイと同じプロトコールを、毎分収集したデータを用いて実施して、化合物の減少濃度で酵素進行曲線を取得した。Kobs値を、このデータから計算し、kinact/K比を、化合物濃度に対するKobs値のプロットから決定した。
【0195】
FAAH阻害の評価は、ヒト組換えFAAHおよび蛍光基質のArachidonoyl−AMCを利用する。減少濃度の400nLの試験化合物を、Labcyte Echoを使用して384ウエルバックプレート(PerkinElmer、6007279)にスポットし、続いて、アッセイ緩衝液(50mMのTris、pH9.0、1mMのEDTA、すなわち、エチレンジアミン四酢酸)中の10μlのFAAH酵素(Cayman 10010183)を加えた。室温で30分のインキュベーションの後、10μLのArachidonyl−AMCAを、16%のDMSOを有するアッセイ緩衝液に加えた。FAAH酵素の最終濃度は0.0125単位であり、AAMCA基質をKの5μMで使用した。これらを希釈した後、試験化合物の最終濃度は3μM〜0.03nMの範囲であった。反応を60分間進行させ、その後、プレートをMolecular Devices FlexStation読み取り機によりEx/Emの355/460で読み取った。阻害率を、化合物を含有しない(0%の阻害)および対照化合物(例えば、活性が知られている、または約100%の阻害を有することなどが文献によって既に報告されているFAAH阻害剤)を含有する対照ウエルに基づいて計算した。IC50値を、IDBSのABASEソフトウエアを使用して4パラメーター当てはめモデルに基づいて生成した。
【0196】
【表5-1】
【0197】
【表5-2】
【0198】
実施例BB.イヌの薬物動態学的研究
イヌの薬物動態学的研究は、Pfizer Global Research and Development(Groton,CT)において実施した。全てのin vivo試験は、Pfizer Worldwide Research and Development(WRD他)Institutional Animal Care and Use Committeeにより審査および承認されたプロトコールを使用して、規則および策定された指針に従って実施した。
【0199】
イヌの静脈内薬物動態学的研究
雄ビーグル犬を、水を適宜供給しながら、一晩絶食させた。イヌには、投与のおよそ2〜4時間前に給餌した。イヌ(n=2)に、橈側皮静脈を介してIVボーラスを投与した。実施例1〜3の化合物を、以下の4つの比較化合物と共に試験した。
【0200】
【表6】
【0201】
全ての試験化合物を、特定の化合物の1mg/kgのIV用量で投与し、0.5mL/kgの投与体積で送達された。投与液剤は、以下の試験化合物:実施例1、実施例2および実施例3のために、脱イオン水中の10%のPEG400/90%の23%(w/v)HPBCDにより、比較化合物3のために20%のSBECD(スルホブチルエーテル(either)βシクロデキストリン)により、比較化合物2のために水中の23%(w/v)HPBCD(ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン)により、比較化合物1のために0.25%の0.1N HClでpH5にした水中の12.5%のSBECDにより製剤化した。一連の血液試料を、用量投与の前、および投与後の以下の時点:全ての化合物では0.083、0.25、0.5、1、2、4、7および24時間、比較化合物1だけに追加の収集時点の0.016時間において、各イヌの頸静から収集した。血液試料を、EDTAを含有する管に収集し、濡れた氷(wet ice)の上に置いた。遠心分離して血漿をもたらした後、試料をポリプロピレン管に移し、分析するまで−20℃〜−80℃で凍結保存した。
【0202】
血漿中の化合物の分析および薬物動態パラメーター
全ての血漿試料を、非確証方法による多重反応モニタリングを使用して、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS−MS)を介して定量化した。血漿標準曲線を種特異的血漿により生成した。薬物動態パラメーターは、Watson LIMSソフトウエアバージョン7.4(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を使用してノンコンパートメント分析(non−compartmental analysis)により決定した。濃度時間曲線下面積(AUC)を、測定可能なイヌ濃度の第1の時点から最後の時点まで線形台形法(linear trapezoidal rule)を使用して計算した。第1時点から無限の時間までの濃度時間曲線下面積(AUC(0−inf))は、最後の時点で観察された濃度を、時間データに対する血漿濃度の線形回帰を使用して決定した排出速度定数により割ることによって、最後の測定可能な濃度が発生した時点から無限の時間まで外挿して計算した。血漿クリアランス(CL)は、方程式CL=用量/AUC(0−inf)により計算した。排出半減期(t1/2)は、以下の方程式t1/2=ln2/kを使用して計算し、kはlog変換データの最小二乗により計算された排出の速度定数に等しい。得られたデータを下記の表5に示す。
【0203】
実施例CC.ヒト肝臓ミクロソーム(HLM)のin vitro固有クリアランス研究
試験化合物(実施例1〜3および比較化合物1〜4)をDMSO中の溶液として調製した。インキュベーションにおけるDMSOの最終濃度は<0.1%(v/v)であった。各化合物のin vitro半減期(t1/2)は、3.3mMの塩化マグネシウムおよび1.3mMのNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を有する0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に基質(1μM)、ヒト肝臓ミクロソーム(P450濃度、0.25μM)(全て最終濃度)を37℃で含有する384ウエルプレートにおけるインキュベーションにより決定した。反応混合物を、インキュベーションを開始する前に、37℃で10分間予め温めた。インキュベーションを、内部標準を含有するアセトニトリルにより、以下の時点:1、4、7、12、20、25、45および60分(時点毎に個別のインキュベーションプレート)でクエンチし、続いて水を加えた。試料をボルテックスし、続いて遠心分離し、上清を、多重反応モニタリングを使用するLC/MS−MSにより分析した。対照実験において、NADPHではインキュベーションを省いた。
【0204】
ミクロソームt1/2(分)は、インキュベーション時間に対する基質枯渇のlog線形プロットから得て、以下の方程式を使用して肝臓固有クリアランス(CLint,app(μL/分/タンパク質mg)に基準化した。
【0205】
【数1】
【0206】
得られたデータを下記の表5に示す。
実施例DD.ヒト肝細胞のin vitro固有クリアランス研究
試験化合物(実施例1〜3および比較化合物1〜4)をDMSO中の溶液として3mMで調製し、次いでWEMを含有する培地で希釈した。インキュベーションにおけるDMSOの最終濃度は0.03%(v/v)であった。各化合物のin vitro半減期(t1/2)は、WEM、50mMのHEPES緩衝液(pH7.4)および26mMの重炭酸ナトリウムを含有する培地中に基質(1μM)、ヒト肝細胞(1mL当り50万個の生細胞の最終濃度)(全て最終濃度)を37℃で含有する96ウエルプレートにおけるインキュベーションにより決定した。反応混合物を、インキュベーションを開始する前に、37℃で30分間予め温めた。インキュベーションを、内部標準を含有するアセトニトリルにより、以下の時点:0、5、15、30、60、120および240分(時点毎に個別のインキュベーションプレート)でクエンチした。試料をボルテックスし、続いて遠心分離した。上清のアリコートを透明な96ウエルプレートに移し、多重反応モニタリングを使用するLC/MS−MSにより分析した。対照実験において、肝細胞ではインキュベーションを省いた。
【0207】
肝細胞t1/2(分)は、インキュベーション時間に対する基質枯渇のlog線形プロットから得て、以下の方程式を使用して肝臓固有クリアランス(CLint,app(μL/分/細胞百万個)に基準化した。
【0208】
【数2】
【0209】
得られたデータを下記の表5に示す。
実施例EE.神経薬物動態(neuropharmacokinetics)研究
マウスの神経薬物動態研究を、Wuxi(Shanghai,China)において実施し、バイオアナリシス(bioanalysis)をWuxiで実施した比較化合物3以外は、バイオアナリシスはBioDuro(Beijing,China)で実施した。全てのin vivo試験は、Pfizer Worldwide Research and Development(WRD他)Institutional Animal Care and Use Committeeにより審査および承認されたプロトコールを使用して、規則および策定された指針に従って実施した。
【0210】
マウス皮下神経薬物動態研究
雄C57BI6マウスを、食餌および水を自由に入手させながら、温度および湿度制御環境において12時間の明/暗サイクルに維持した。試験化合物(実施例1および2、ならびに比較化合物1〜3)を、1mg/kgの皮下用量で投与し、10mL/kgの投与体積で送達された。全ての化合物の投与液剤は、5%のDMSO/5%のCremophor/90%の食塩水で製剤化した。血液および脳試料を、投与後0.5、1、2、4、8、12および24時間(時点毎にn=3)で収集した。血液試料を、フッ素ナトリウムおよび4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩(AEBSF;最終濃度2mg/mL)を含有する管に収集して、ヒドロラーゼ活性を阻害し、濡れた氷の上に置いた。遠心分離して血漿をもたらした後、試料をポリプロピレン管に移し、分析するまで−20℃〜−80℃で凍結保存した。血液採取した直後に、マウスを頸椎脱臼により安楽死させ、脳を取り出した。小脳を液体窒素で直ぐに冷凍し、分析するまで−80℃で保存した。
【0211】
血漿および脳中の化合物の分析および薬物動態パラメーター
小脳試料を解凍し、水で1:4(w/v)に希釈し、高速分散器(H−speed dispersator)を使用して均質化した。基準および対照を、未治療動物から調製した脳ホモジネートを使用した方法と同様の方法により調製した。血漿標準曲線を種特異的血漿により生成した。全ての血漿および脳ホモジネート試料を、非確証方法による多重反応モニタリングを使用して、LC/MS−MSを介して定量化した。
【0212】
非特異的結合試験
標準的な手順(Di et al.,”Species independence in brain tissue binding using brain homogenates”;Drug Metab Dispos 39:1270−1277,2011を参照のこと)を使用する平衡透析を、マウス血漿における試験化合物(実施例1および2、比較化合物1〜3)の非結合フラグメント(fu,p;Di et al.,“impact of recovery on fraction unbound using equilibrium dialysis”;J Pharm Sci 101:1327−1335,2012を参照のこと)、ならびにラット脳ホモジネートにおける非結合フラグメント(fu,b;Di et al.,”Species independence in brain tissue binding using brain homogenates”;Drug Metab Dispos 39:1270−1277,2011を参照のこと)の決定に使用した。血漿中の非結合フラクションの決定は、AEBSFを最終濃度の2mg/mLでインキュベーションに添加することも含んだ。
【0213】
薬物動態および神経薬物動態の計算
薬物動態パラメーターは、Watson Bioanalytical LIMSバージョン7.5を使用してノンコンパートメント分析により計算した。AUC値を、脳および血漿の両方において線形台形法を使用して計算した。測定された総血漿(C)および脳(C;脳組織濃度を1g/mLと仮定する)濃度を、マトリックス特異的結合因子(fu,pまたはfu,b)を使用して非結合(遊離)値に変換して、遊離血漿(Cp,u)および遊離脳(Cb,u)値を決定した。全てのニューロコンパートメント比(Cb,u/Cp,u)はAUC値を使用して計算したが、比較化合物1および2は例外であり、AUC値を計算するのにデータが不十分であったので、個別の動物値の平均を使用した。
【0214】
【表7-1】
【0215】
【表7-2】
【0216】
表5に示されているように、本発明の化合物は、米国特許第9,845,301号に報告されている1,1,1−トリフルオロ−3−ヒドロキシプロパン−2−イル化合物と比較して、脳浸透過性を増加する、および/または薬物半減特性を増加する。
【0217】
本明細書の記載に加えて、本発明の様々な変更が前述の記載よって当業者に明らかである。そのような変更も、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本出願に引用されている各参考文献(全ての特許、特許出願、雑書記事、書籍、および任意の他の刊行物を含む)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1、および
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2、
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項5】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル]アミノ)−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項8】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項11】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−1である、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項14】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT−2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカン−9−カルボキシレート、ENT-2である、請求項1に記載の化合物の、薬学的に許容される塩。
【請求項17】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも2つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα放射線)を有する、無水1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態(Form I)。
【請求項18】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項19】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも4つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項20】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも5つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項21】
2θに関して、5.2±0.2°および10.2±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項22】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、および13.5±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項17に記載の結晶形態。
【請求項23】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項21または22に記載の結晶形態。
【請求項24】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、および17.7±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項23に記載の結晶形態。
【請求項25】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項24に記載の結晶形態。
【請求項26】
2θに関して、5.2±0.2°、10.2±0.2°、13.5±0.2°、17.7±0.2°、18.4±0.2°、および20.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項24に記載の結晶形態。
【請求項27】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、18.0±0.2°、18.8±0.2°、19.9±0.2°、および21.8±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項17から26のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項28】
図4に実質的に示されている粉末X線回折パターンを有する、請求項17から27のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項29】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも2つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターン(CuKα放射線)を有する、無水1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−9−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートの結晶形態(Form A)。
【請求項30】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも3つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項31】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°、および17.4±0.2°から選択される少なくとも4つの特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項32】
2θに関して、4.8±0.2°および9.6±0.2°に特徴的なピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項29に記載の結晶形態。
【請求項33】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項34】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、14.5±0.2°および17.0±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項32または33に記載の結晶形態。
【請求項35】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項34に記載の結晶形態。
【請求項36】
2θに関して、4.8±0.2°、9.6±0.2°、14.5±0.2°、17.0±0.2°および17.4±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項35に記載の結晶形態。
【請求項37】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、13.6±0.2°、13.7±0.2°、18.0±0.2°、18.2±0.2°、および22.2±0.2°から選択される少なくとも1つのピークを更に含む、請求項29から36のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項38】
前記粉末X線回折パターンが、2θに関して、13.6±0.2°、13.7±0.2°、18.0±0.2°、18.2±0.2°、および22.2±0.2°から選択される少なくとも2つのピークを更に含む、請求項29から36のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項39】
図8に実質的に示されている粉末X線回折パターンを有する、請求項29から38のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項40】
(i)請求項1から3、5、6,8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項41】
請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項42】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約50重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約80重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約90重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約95重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項46】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約98重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項47】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約99重量%を構成する、請求項41に記載の組成物。
【請求項48】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約50%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項49】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約80%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項50】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約90%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項51】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約95%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項52】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約98%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項53】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−{[(シクロプロピルメチル)スルホニル]アミノ}−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約99%が請求項17から28のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項54】
請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項55】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約50重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約80重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約90重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約95重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約98重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
前記結晶形態が、前記組成物の少なくとも約99重量%を構成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約50%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項62】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約80%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項63】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約90%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項64】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約95%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項65】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約98%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項66】
(i)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(3R)−3−[(シクロプロピルスルホニル)アミノ]−1−オキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレートである、請求項1に記載の化合物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含み、前記化合物の少なくとも約99%が請求項29から39のいずれか一項に記載の結晶形態で存在する、医薬組成物。
【請求項67】
MAGL媒介疾患または障害の治療における使用のための、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項68】
哺乳動物においてMAGL媒介疾患または障害を治療するための、治療有効量の、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態を含む医薬
【請求項69】
MAGL媒介疾患または障害の治療のための医薬の製造における、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態の使用。
【請求項70】
前記障害が、代謝障害(例えば、肥満);腎臓病(例えば、急性炎症性腎傷害および糖糖尿病性腎症);嘔吐または催吐(例えば、化学療法により誘発された嘔吐);嘔気(例えば、難治性嘔気または化学療法により誘発された嘔気);摂食障害(例えば、食欲不振または過食症);神経障害(例えば、糖尿病性神経障害、ペラグラ性神経障害、アルコール性神経障害、脚気性神経障害);灼熱脚症候群;神経変性障害[多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病、認知症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、前頭側頭葉認知症、睡眠障害、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、またはプリオン病];心血管疾患(例えば、高血圧、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、心不整脈、または心虚血);骨粗鬆症;骨関節症;統合失調症;抑うつ;双極性疾患;振戦;ジスキネジア;ジストニア;痙縮;トゥーレット症候群;睡眠時無呼吸;難聴;眼の疾患(例えば、緑内障、高眼圧症、黄斑変性症、または眼圧亢進により生じる疾患);悪液質;不眠症;髄膜炎;睡眠病;進行性多巣性白質脳症;デビボ病;脳浮腫;脳性麻痺;離脱症候群[アルコール離脱症候群、抗うつ薬中断症候群、抗精神病薬離脱症候群、ベンゾジアゼピン離脱症候群、タイマ離脱、新生児薬物離脱、ニコチン離脱、またはオピオイド離脱];外傷性脳傷害;非外傷性脳傷害;脊髄傷害;発作;興奮毒曝露;虚血[卒中、肝虚血または再灌流、CNS虚血または再灌流];肝線維症、鉄過剰症、肝臓の硬変;肺疾患[喘息、アレルギー、COPD、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺炎、結核、肺水腫、肺がん、急性呼吸促迫症候群、間質性肺疾患(ILD)、サルコイドーシス、特発性肺線維症、肺塞栓症、胸水、または中皮腫];肝障害[急性肝不全、アラジール症候群、肝炎、肝肥大、ジルベール症候群、肝嚢胞、肝血管腫、脂肪肝疾患、脂肪性肝炎[例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)]、原発性硬化性胆管炎、肝蛭症、原発性胆汁性肝硬変、バッド・キアリ症候群、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、またはトランスサイレチン関連遺伝性アミロイドーシス]、卒中[例えば、虚血性卒中;出血性卒中];くも膜下出血;脳内出血;血管攣縮;AIDS消耗症候群;腎虚血;異常な細胞増殖または繁殖に関連する障害[例えば、良性の皮膚腫瘍などの良性腫瘍またはがん、脳腫瘍、乳頭腫、前立腺腫瘍、大脳の腫瘍(神経膠芽腫、髄上皮腫、髄芽腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、星状芽細胞腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、神経叢の腫瘍、神経上皮腫、骨端軟骨の腫瘍、上衣芽腫、悪性髄膜腫、肉腫症、黒色腫、シュワン細胞腫)、黒色腫、転移性腫瘍、腎がん、膀胱がん、脳がん、神経膠芽腫(GBM)、胃腸がん、白血病または血液がん];自己免疫性疾患[例えば、乾癬、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化型脊椎関節炎、ベーチェット病、溶血性貧血、移植片拒絶];炎症性障害[例えば、虫垂炎、滑液包炎、大腸炎、膀胱炎、皮膚炎、静脈炎、鼻炎、腱炎、扁桃炎、血管炎、尋常性ざ瘡、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、IBS、骨盤内炎症性疾患、サルコイドーシス、HIV脳炎、狂犬病、脳膿瘍、神経炎症、中枢神経系(CNS)の炎症];免疫系の障害(例えば、移植拒絶反応またはセリアック病);外傷後ストレス障害(PTSD);急性ストレス障害;パニック症;物質誘発性不安症;強迫性障害(OCD);広場恐怖症;特定恐怖症;社会恐怖症;不安症;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動障害(ADHD);アスペルガー症候群;疼痛[例えば、急性疼痛;慢性疼痛;炎症性疼痛;内臓痛;術後痛;片頭痛;腰痛;関節痛;腹痛;胸痛;乳房切除後疼痛症候群;月経痛;子宮内膜症痛;身体外傷に起因する疼痛;頭痛;副鼻腔炎性頭痛;緊張型頭痛、ヘルペスウイルス痛、糖尿病性疼痛;骨関節症、関節リウマチ、骨関節症、脊椎炎、痛風、分娩、筋骨格系疾患、皮膚病、歯痛、胸やけ、熱傷、日焼け、蛇咬傷、毒蛇咬傷、クモ咬症、昆虫刺傷、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染症(UTI)、鼻炎、接触性皮膚炎/過敏症、そう痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、胆嚢炎、および膵炎から選択される障害に起因する疼痛;神経障害性疼痛(例えば、神経障害性背痛、複合性局所疼痛症候群、後三叉神経痛、灼熱痛、中毒性ニューロパチー、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性神経障害、化学療法剤による慢性神経障害、または坐骨神経痛)];脱髄性疾患[例えば、多発性硬化症(MS)、デビック病、CNS神経障害、橋中心髄鞘崩壊症、梅毒性脊髄症、白質脳症、白質ジストロフィー、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、抗ミエリン関連糖タンパク質(MAG)末梢神経障害、シャルコー・マリー・トゥース病、末梢神経障害、脊髄症、視神経症、進行性炎症性神経障害、視神経炎、横断性脊髄炎];および認知機能障害[例えば、ダウン症候群に関連する認知機能障害;アルツハイマー病に関連する認知機能障害;PDに関連する認知機能障害;軽度認知機能障害(MCI)、認知症、化学療法後認知機能障害(PCCI)、術後認知機能不全(POCD)]からなる群から選択される、請求項67に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項67に記載の結晶形態、または請求項68に記載の医薬、または請求項69に記載の使用。
【請求項71】
MAGLを阻害する方法であって、前記MAGLを、請求項1から3、5、6、8、9、11、12、14、および15のいずれか一項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または請求項17から39のいずれか一項に記載の結晶形態とin vitroで接触させることを含む方法。
【国際調査報告】