(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
本発明は、ナルブフィン組成物によって慢性咳嗽の患者を治療する方法、ならびにナルブフィン組成物によってIPFに関連する咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療するための方法に関するものであり、該方法は患者にて治療効果を提供する。本開示は、とりわけ、咳嗽、息切れまたは呼吸困難を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む、方法を提供する。
特発性肺線維症(IPF)の咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを経口投与することを含む、前記方法。
前記患者はまた、肺高血圧症、閉塞性睡眠時無呼吸、肺癌、COPD/肺気腫、虚血性心疾患及びGERDから成る群から選択される疾患の治療も受ける、請求項1に記載の方法。
慢性咳嗽を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを経口投与することを含む、前記方法。
前記間質性肺疾患が、過敏性肺炎、サルコイドーシス、石綿肺症、閉塞性細気管支炎、組織球症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群、及び肺胞タンパク症から成る群から選択される、請求項18に記載の方法。
前記COPDが、タバコの煙、副流煙、パイプの煙、大気汚染、及び職場でのほこり、喫煙、または煙への曝露から成る群から選択される刺激物に関連する、請求項20に記載の方法。
過敏性咳嗽疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを経口投与することを含む、前記方法。
前記患者にて定常状態が達成されるまで少なくとも1週間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記患者にて定常状態が達成されるまで約2週間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記患者にて定常状態が達成されるまで約7〜30日間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記患者にて定常状態が達成されるまで約14〜20日間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記用量設定が、前記患者にて定常状態が達成されるまで漸増用量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、請求項39に記載の方法。
前記用量設定が、前記患者にて27mgまたは324mgの有効量が達成されるまで漸増用量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、請求項39に記載の方法。
前記用量設定が、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを約13mg〜約54mgに及ぶ増分で投与することを含む、請求項39に記載の方法。
前記治療後、前記患者が前記患者のLeicester咳嗽質問票スコアの合計スコアでの少なくとも1.3ポイントの低下を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13、または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者が咳嗽計数モニター装置を用いて測定された日中の咳嗽頻度での少なくとも30%の減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者が数値評価尺度咳嗽(NRS)値での少なくとも3ポイントの減少を特徴とする咳嗽の重症度の低下を経験する、請求項1、13、または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者が咳嗽の生活の質質問票(CQLQ(著作権))の合計値での少なくとも4ポイントの改善を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者がIPF集団に関する患者のSt.Georgeの質問票(SGRQ−1)の合計スコアでの少なくとも5ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13、または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者が前記患者のSt.Georgeの質問票(SGRQ−1)スコアの各成分での少なくとも1ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))咳嗽下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13、または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))胸部症状下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする息切れの減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者が活動に関連するEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者がBorg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)のいずれかにおける少なくとも1ポイントの変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者がPROMISプールv1.0呼吸困難情動反応尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者がPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難重症度−短縮版10a尺度の10の質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者が前記治療前と比べてPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難特性尺度の4つの項目のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化または「私は息切れしている」という質問での1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の軽減を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者がPROMIS項目バンクv1.0倦怠感短縮版7a尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする倦怠感の軽減を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者が客観的測定(胸部X線、肺機能検査など)によって定量化されるように、前記治療前と比べて肺線維症の割合の実質的な減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記治療後、前記患者が、肺機能の悪化に関連するIPFの急性増悪(AE−IPF)の発生の低下、及び/または強度が増加する呼吸困難の次第にさらに頻繁な症状の発現の「呼吸困難サイクル」の正のフィードバックループでの中断に続発する呼吸困難の減少の結果として罹患率及び死亡率の実質的な減少を経験する、請求項1に記載の方法。
前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが、IPF咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する1以上の薬物と併用して投与される、請求項1に記載の方法。
IPF咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する前記1以上の薬物が、ピルフェニドン、ニンテダニブ、N−アセチルシステイン、クロモリンナトリウム、サリドマイド、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから成る群から選択される、請求項73に記載の方法。
前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが、塩酸ナルブフィン、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム、硫酸カルシウム二水和物、フマル酸及びステアリン酸マグネシウムを含む製剤で投与される、請求項1、13または23のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
数値の直前の「約」という用語は、範囲を意味する(例えば、その値のプラスまたはマイナス10%)。例えば、開示の文脈が別段の指示をしない限り、またはそのような解釈と矛盾しない限り、「約50」は45から55を意味し、「約25,000」は22,500から27,500などを意味する。例えば、「約49、約50、約55、...」のような数値のリストにおいて、「約50」は、前後の値の間の間隔(複数可)の半分未満に及ぶ、例えば、49.5より大きく52.5に満たない範囲を意味する。さらに、「約未満」の値または「約の値よりも大きい」という表現は、本明細書で提供される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。同様に、一連の数値または値の範囲(例えば、「約10、20、30」または「約10〜30」)の前にある「約」という用語は、それぞれ、一連のすべての値、または範囲の端点を指す。
【0031】
本開示全体にわたって、種々の特許、特許出願、及び刊行物(非特許刊行物を含めて)が参照される。これらの特許、特許出願、及び刊行物のそれら全体の開示は、本開示の日付現在、当業者に知られているような最高水準をより完全に説明するためにあらゆる目的で参照によって本開示に組み込まれる。引用されている特許、特許出願、及び刊行物と本開示との間に何らかの不一致がある場合は、本開示が優先するであろう。
【0032】
便宜上、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いられる、ある特定の用語がここに集められる。特に定義されない限り、本開示で使用される専門用語及び科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0033】
本明細書で使用されるとき「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、化合物もしくは該化合物の薬学的に許容される塩もしくはエステル、または該化合物もしくは該化合物の薬学的に許容される塩もしくはエステルを含む組成物のいずれかを患者に直接投与することを指す。
【0034】
本明細書で使用されるとき「有害事象」(AE)という用語は、最初のスクリーニング日またはそれ以降に報告される臨床試験患者における有害な医学的発生として定義される。AEは必ずしも治療と因果関係を有する必要はない。したがって、AEは任意の好ましくない且つ意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、医薬品(治験薬)に関連するかどうかに関わりない症状、または医薬品(治験薬)の使用に一時的に関連する疾患であることができる。典型的な有害事象には、吐き気、嘔吐、傾眠、めまい、及び幻覚が挙げられる。本開示によれば、治療後の有害事象の割合は、プラセボを同じ期間投与した後の有害事象の割合と実質的に同じである。
【0035】
本明細書で使用されるとき「担体」という用語は、担体、賦形剤、及び希釈剤を包含し、身体のある器官または部分から身体の別の器官または部分への薬剤の運搬または輸送に関与する液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料のような材料、組成物、またはビヒクルを意味する。
【0036】
「慢性咳嗽」という用語は本開示において、少なくとも8週間続く咳嗽を意味するために使用される。
【0037】
「咳嗽過敏症候群」という用語は本開示において、低レベルの熱的、機械的または化学的な曝露によって引き起こされることが多い厄介な咳嗽を特徴とする臨床症候群を意味するために使用される。この症候群は、周囲温度の変化、笑い、電話での会話、エアロゾル曝露のような、一見無害に見える刺激によって引き起こされる咳嗽によって臨床的に現れる。
【0038】
「障害」という用語は本開示において、特に指示されない限り、疾患、状態、または病気という用語を意味し、それらと相互交換可能に使用される。
【0039】
「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本開示において相互交換可能に使用され、患者に投与された場合、意図される成績を実行することができる化合物またはその塩、溶媒和物もしくはエステルの量を指す。例えば、ナルブフィンの有効量は、患者にてIPFの少なくとも1つの症状を軽減するために必要とされる量、例えば、患者にて咳嗽頻度または息切れを軽減するのに必要なとされる量である。「有効量」または「治療有効量」を含む実際の量は、障害の重症度、患者の体格及び健康、ならびに投与経路を含むが、これらに限定されない多くの条件に応じて異なるであろう。熟練した医師であれば、当該医療分野で既知の方法を用いて適量を容易に決定することができる。
【0040】
本明細書で使用されるとき「薬学的に許容される」という表現は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のないヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適な、安全な医学的判断の範囲内にあり、妥当な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0041】
本明細書で使用されるとき「塩」という用語は、遊離酸のアルカリ金属塩を形成するために、及び遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される薬学的に許容される塩を包含する。それが薬学的に許容されるという条件で塩の性質は重要ではない。「塩」という用語にはまた、水和物のような付加塩の溶媒和物、と同様に付加塩の多形も含まれる。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸から、または有機酸から調製することができる。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族酸、シクロ脂肪族酸、芳香族酸、アリール脂肪族酸、及びヘテロシクリル含有カルボン酸及びスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸、3−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸から選択することができる。
【0042】
患者に関して本明細書で使用されるとき「治療すること」という用語は患者の障害の少なくとも1つの症状を改善することを指す。治療は、障害を治癒させること、改善すること、または少なくとも部分的に改善することであることができる。
【0043】
本明細書で使用されるとき「治療効果」という用語は、方法及び/または組成物によって提供される所望のまたは有益な効果を指す。例えば、IPFを治療する方法は、その方法が、患者におけるIPFの少なくとも1つの症状、例えば、咳嗽頻度または息切れを軽減するときに治療効果を提供する。
[発明を実施するための形態]
【0044】
特発性肺線維症(IPF)は、原因不明の慢性進行性線維性間質性肺炎の特定の形態であり、主に高齢者に発生し、肺に限定され、通常型間質性肺炎(UIP)の組織病理学的及び/または放射線学的なパターンに関連する(Raghu G,et al;American Thoracic Society,European Respiratory Society,Japanese Respiratory Society,and Latin American Thoracic Society.Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis.An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline.Am.J.Respir.Crit.Care.Med.2018,Sep.1;198(5))。ほとんどのIPF患者は、時間の経過とともにゆっくりとした進行を経験し、一部の患者は比較的安定したままである;しかしながら、他の患者は急速に進行する疾患を有する。IPF患者に共通する併存疾患には、肺高血圧症、閉塞性睡眠時無呼吸症、肺癌、COPD/肺気腫、虚血性心疾患、及びGERDが挙げられる。咳嗽及び呼吸困難はIPF患者の一般的な症状であり、患者のそれぞれ81%及び90%が診断時にこれらの症状を報告している。
【0045】
IPFに関連する咳嗽(「IPF咳嗽」)は運動や会話で悪化する持続性の乾性咳嗽である(C.Vigeland,et al.,Etiology and treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis,Respiratory Medicine,2017,123,98−104)。咳嗽頻度は1時間あたり1.9〜39.4回の間の咳嗽であり、日中の咳嗽の中央値頻度は1時間あたり14.6回であると報告されている。IPF患者の生活の質に対する慢性咳嗽の影響は重大であり、消耗させる。咳嗽は入眠困難を引き起こし、患者は社会的相互作用を避け、患者は咳嗽誘発性の嘔吐、失禁または失神を恐れる。さらに、最近の試験は、咳嗽がIPF患者における疾患の進行及び死亡の独立した予測因子であることを示唆している(C.Ryerson,et al.,Cough predicts prognosis in idiopathic pulmonary fibrosis.Respirology,2011;16:969−75)。
【0046】
IPF咳嗽の病因は不明である(下記);しかしながら、正味の影響はIPF患者が咳反射の過敏症を発症することである。任意の理論に束縛されないで、IPF咳嗽の病因は、咳反射の求心路のC及びA−デルタ神経線維の興奮性を変化させる疾患が生成する化学伝達物質(例えば、炎症性サイトカイン、ヒスタミンなど)に関連し、同様に咳嗽反射のほか、咳嗽を誘導する脳幹における咳反射中心への機械受容器からの神経信号の増加をもたらす線維症に続発する肺組織の構造的歪みに由来すると推定される。
【0047】
IPF患者の呼吸困難は、生活の質の低下と強く相関している(例えば、体調不良とうつ病は呼吸困難と相関している)(C.Ryerson,et al.,Dyspnea in Idiopathic Pulmonary Fibrosis:A Systematic Review,J.Pain and Symptom Management,2012,43(4);771−82)。呼吸困難スコアの1単位の上昇は死亡リスクの10%の上昇に関連し、2単位の変化は死亡の49%の増加を生じるように死亡率は呼吸困難の程度とも相関する([L.Watters et al.,A Clinical,Radiographic,and Physiologic Scoring System for the Longitudinal Assessment of Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis,Am.Rev.Respir.Dis.1986;133:97−103.に記載されている0〜20の呼吸困難尺度を用いて])(T.King,et al.,Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Relationship between Histopathologic Features and Mortality,Am.J.Respir.Crit.Care Med.2001,164,pp.1025−1032)。
【0048】
ミューオピオイド受容体及びカッパオピオイド受容体は、呼吸機能及び咳反射に関連する中枢神経系及び末梢神経系の領域に存在する。例えば、ミューオピオイド受容体は、前帯状皮質、島、扁桃体、脳幹、脊髄、及びC型やA−デルタの線維の末梢終末に高密度で存在し(N.Volkow,et al.,Opioid Abuse in Chronic Pain−Misconceptions and Mitigation Strategies,N.Engl.J.Med,2016,374(13),1253−63)、それは肺換気力学、呼吸反射、及び呼吸機能を取り囲む認知に関与する。カッパオピエート受容体は、前帯状皮質、島、扁桃体に存在する。ミュー、カッパ、デルタのオピオイドの受容体は、脳幹及び脊髄の呼吸関連領域に見いだされる。内在性オピオイドは延髄及び橋の呼吸領域に見いだされ、呼吸の調節において重要であるが、未だに定義されていない役割を担うと考えられている(P.Lalley,Opioidergic And Dopaminergic Modulation of Respiration,Respir.Physiol.Neurobiol.2008,164(1−2):160−167)。
【0049】
慢性の咳嗽、呼吸困難、息切れは、皮質の神経生理学の影響を受ける。咳嗽刺激性カプサシンを投与された健康なボランティアにおける機能的脳イメージング試験は、前島及び前帯状皮質の不連続領域の活性化を示した(Mazzone SB,et al.,Mapping supramedullary pathways involved in cough using functional brain imaging:comparison with pain.Pulm.Pharmacol.Ther.2009;22(2):90−6)。
【0050】
Mahler及びO’Donnell,(Mahler DA,O’Donnell DE.Recent advances in dyspnea.Chest.2015;147(1):232−41)は皮質・辺縁系(前帯状回、島、扁桃)が呼吸困難の感情的側面と息切れ及び/または呼吸困難の不快な知覚とを活性化することを説明している。神経画像試験は、島皮質と前帯状皮質を含む皮質・辺縁ネットワークが呼吸困難の知覚に関与することを示している(Mahler及びO’Donnell,2015)。理論に束縛されないで、オピオイド受容体は前帯状皮質、島、扁桃体に高密度で存在するので、皮質レベルでの薬理学的介入(例えば、オピオイド受容体活性化合物ナルブフィンの投与による)は、慢性咳嗽、息切れ、呼吸困難を改善する(Volkow ND,McLellan AT.Opioid Abuse in Chronic Pain−−Misconceptions and Mitigation Strategies.N.Engl.J.Med.2016;374(13):1253−63)。
【0051】
さらに、脳幹は高密度のオピオイド受容体を有する(Volkow et al.2016)。脳幹は、呼吸の調節と咳反射の活性化及び感作レベルの設定の中心である。理論に束縛されないで、神経通信回路は皮質と脳幹の間に存在するので、脳幹レベルでのナルブフィンの直接的な薬理作用、と同様に脳幹に対するナルブフィンが介在する皮質の影響を介した薬理作用は、神経生理学的脳幹活動を変化させ、したがって慢性咳嗽、呼吸困難及び息切れの症状を改善する。
【0052】
一態様では、本開示は、有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを投与することを含む、咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する方法を提供する。本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも約30mg、60mg、90mg、120mg、または180mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが投与される。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は慢性咳嗽の治療に使用される。いくつかの実施形態では、慢性咳嗽は、難治性の慢性咳嗽、原因不明の慢性咳嗽、原因不明及び難治性の慢性咳嗽、特発性慢性咳嗽、咳嗽過敏症候群、過剰咳反応障害、異質咳反応及び神経性咳嗽、と同様に咳嗽の衝動の感覚の抑制から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、慢性咳嗽の治療を必要とする患者は肺疾患のない患者である。
【0055】
いくつかの実施形態では、慢性咳嗽の治療を必要とする患者は肺疾患を持つ患者である。いくつかの実施形態では、肺疾患は間質性肺疾患である。いくつかの実施形態では、間質性肺疾患は、特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシス、石綿肺症、閉塞性細気管支炎、組織球症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群及び肺胞タンパク症から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、間質性肺疾患は、特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシス、及び石綿肺症から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、肺疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。いくつかの実施形態では、COPDは、肺気腫、慢性気管支炎、及びアルファ−1−アンチトリプシン(AAt)欠乏症から成る群から選択される状態に関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、タバコの煙、副流煙、パイプの煙、大気汚染、及びほこり、喫煙、または煙への職場での曝露から成る群から選択される刺激物に関連する。
【0056】
いくつかの実施形態では、慢性咳嗽はトラマドールによる治療に不応性である。いくつかの実施形態では、慢性咳嗽はモルヒネによる治療に不応性である。いくつかの実施形態では、慢性咳嗽はコデインによる治療に不応性である。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の方法はIPFに関連する咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本開示の方法はIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に使用され、その際、前記治療に先立って患者の咳嗽の重症度は、視覚的アナログ尺度(VAS)の咳嗽尺度で少なくとも40mmである。いくつかの実施形態では、本開示の方法はIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に使用され、前記治療に先立って、患者の日中の平均咳嗽数は、咳嗽計数装置を用いて測定される1時間あたり少なくとも15である。
【0058】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンは、IPFに関連する慢性咳嗽がある患者における咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために使用される、または指示される。いくつかの実施形態では、ナルブフィンは、IPFに関連する難治性の慢性咳嗽がある患者における咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために使用されるまたは指示される。
【0059】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンは、肺高血圧症、閉塞性睡眠時無呼吸、肺癌、COPD/肺気腫、虚血性心疾患及びGERDから成る群から選択される疾患についても治療されている患者におけるIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に使用されるまたは指示される。
【0060】
本開示によれば、ナルブフィンは1日1回または2回の基準で投与されて、他の治療法によって効果的に軽減されない(すなわち、咳嗽、息切れ、または呼吸困難が他の治療に不応性である)咳嗽、息切れ、または呼吸困難の症状の効果的な軽減を提供する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、咳嗽が他の鎮咳薬による治療に不応性であるIPFの咳嗽を治療するのに使用される。いくつかの実施形態では、鎮咳薬はリドカイン、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難がμ−オピオイドアゴニストによる治療に不応性であるIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療するのに使用される。いくつかの実施形態では、μ−オピオイドアゴニストは、モルヒネ、トラマドール、ジヒドロコデイン、及びジアモルヒネから選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて、咳嗽がピルフェニドンによる治療に不応性であるIPF咳嗽を治療する。いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて、咳嗽、息切れ、または呼吸困難がニンテダニブによる治療に不応性であるIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する。いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて、咳嗽がサリドマイドによる治療に不応性であるIPFの咳嗽を治療する。いくつかの実施形態では、本開示の方法を用いて、咳嗽がクロモリンナトリウムによる治療に不応性であるIPFの咳嗽を治療する。
【0064】
本開示のいくつかの実施形態によれば、方法は実質的な有害事象を生じることなく治療効果を提供する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンによる治療後の有害事象の割合は、同じ期間プラセボを投与した後の有害事象の割合と実質的に同じである。
【0065】
本開示のいくつかの実施形態によれば、咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する方法は実質的な水利尿効果を生じない。
【0066】
一態様では、本開示は、喘息、胃食道逆流性疾患(GERD)/他の原因による食道への刺激、及び上気道疾患から選択される状態に関連する咳嗽を治療する方法を提供する。
【0067】
一態様では、本開示は、有効量のカッパアゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む、慢性咳嗽を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、カッパアゴニストはジフェリケファリンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、カッパアゴニストはナルフラフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルである。
【0068】
一態様では、本開示は、有効量のカッパアゴニストをそれを必要とする患者に投与することを含む、IPFの咳嗽、息切れまたは呼吸困難を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、カッパアゴニストは、ジフェリケファリンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、カッパアゴニストはナルフラフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルである。
【0069】
いくつかの実施形態では、ジフェリケファリンの総日用量は慢性咳嗽、IPF咳嗽、息切れまたは呼吸困難の治療について、1日約0.25mg、1日約0.5mg、1日約1.0mg、1日1.5mg、1日約2.0mg、1日約2.5mg、1日約3.0mg、1日約3.5mg、1日約4.0mg、1日約4.5mg、及び1日約5.0mg(その間のすべての範囲を含む)を含む1日約0.25mg〜1日約5mgである。
【0070】
いくつかの実施形態では、ナルフラフィンの総日用量は、慢性咳嗽、IPF咳嗽、息切れまたは呼吸困難の治療について1日約1.5μg、1日約2.0μg、1日約2.5μg、1日約3.0μg、1日約3.5μg、1日約4.0μg、1日約4.5μg、1日約5.0μg、1日約5.5μg及び1日約6.0μgg(その間のすべての範囲を含む)を含む1日約1.5μg〜1日約6.0μgである。
【0071】
ナルブフィン
本発明の方法で採用されているようなナルブフィンは、ナルブフィン、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを薬学的に許容される担体と組み合わせることによって医薬組成物の一部を形成することができる。さらに、組成物は補助剤、賦形剤、希釈剤、放出改変剤及び安定剤から成る群から選択される添加剤を含むことができる。組成物は、即時放出製剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、または延長放出製剤であることができる。
【0072】
ナルブフィンHCl(17−(シクロブチルメチル)−4,5α−エポキシモルフィニアン−3,6α、14−トリオール、塩酸塩)は合成オピオイドである。構造的に、ナルブフィンは14ヒドロキシモルフィンの誘導体である。
【化1】
【0073】
ナルブフィンHClは現在、注射可能な形態のジェネリック医薬品としてのみ入手可能である。ナルブフィンの注射可能な形態は1978年以来承認された製剤として利用可能である。Nubain(登録商標)は、現在販売されているジェネリック生物学的同等性の注射用製剤の基礎となる、ナルブフィンの革新的な銘柄の注射可能な形態だった。注射可能な製剤は現在、中等度から重度の痛みの緩和、バランスの取れた麻酔のサプリメントにおける、術前や術後の鎮痛及び分娩中や出産中の産科鎮痛のための使用で承認されている。
【0074】
本開示はまた、ナルブフィンの薬学的に許容されるエステルを含む。「エステル」という用語は、エステル形態が患者に投与されると薬剤を放出することができる、エステル官能基(本明細書に記載されているような)を含有する薬剤の誘導体を意味する。有効成分の放出は生体内で発生する。薬学的に許容されるエステルは、当業者に既知の技術によって調製することができる。これらの技術は一般的に、所与の化合物における適切な官能基を修飾する。しかしながら、これらの修飾された官能基は生体内での化合物の代謝によって元の官能基を再生する。エステルには、ヒドロキシ基、カルボキシル基、または同様の基が修飾されている化合物が含まれる。
【0075】
ヒドロキシル基に好適な薬学的に許容されるエステルには、リン酸エステルやα−アシルオキシアルキルエーテルのような無機エステル、及びエステルの生体内加水分解の結果として親ヒドロキシ基を提供する関連化合物が挙げられる。ヒドロキシの生体内加水分解性エステル形成基には、アルカノイル(例えば、C
1−10線状、分岐または環状アルキル)、ベンゾイル、フェニルアセチル及び置換ベンゾイル及びフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカーボネートエステルを与えるため)、ジアルキルカルバモイル及びN−(N,N−ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを与えるため)、N,N−ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチルが挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示の製剤及び方法で使用されるナルブフィンは、ナルブフィンの薬学的に許容される共結晶である。
【0077】
製剤
本開示の方法は、好適な量のナルブフィン、または薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを含有する、例えば、錠剤、カプセル剤、丸薬、粉剤、顆粒剤、無菌非経口の溶液または懸濁液、吸入可能な乾燥粉末剤、分散液、溶液または懸濁液、及び経口の溶液または懸濁液、及び油・水エマルションのような単位剤形での患者、例えば、ヒト及び動物への投与のための種々の製剤を採用することができる。
【0078】
経口医薬剤形は、固体または液体のいずれかであることができる。固形剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及びバルク粉剤であることができる。経口錠剤の種類には、腸溶コーティング、砂糖コーティング、または薄膜コーティングが可能である圧縮された、噛むことができるトローチ剤及び錠剤が含まれる。カプセル剤は、硬質または軟質のゼラチンカプセル剤であることができる一方で、顆粒及び粉末は当業者に知られている他の成分の組み合わせた非発泡性または発泡性の形態で提供され得る。他の実施形態では、経口剤形は、浸透圧制御放出経口送達システム(OROS)であってもよい。他の実施形態では、経口剤形はマトリックスに埋め込まれた剤形または関連する用具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本経口剤形は口腔内崩壊錠を含んでもよい。
【0079】
錠剤に利用される薬学的に許容される担体には、結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、及び湿潤剤が挙げられる。
【0080】
液体経口剤形には、水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/または懸濁液、及び発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物が挙げられる。
【0081】
水溶液には、例えば、エリキシル及びシロップが挙げられる。エマルションは水中油型または油中水型のいずれかであることができる。エリキシル剤は透明で甘い、含水アルコール調製物である。エリキシル剤に使用される薬学的に許容される担体には溶媒が挙げられる。シロップ剤は、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液であることができ、保存剤を含有することができる。エマルションは1つの液体が別の液体全体わたって小さな球の形態で分散されている2相系である。エマルションで使用される薬学的に許容される担体は非水性液、乳化剤、及び保存剤である。懸濁液は、薬学的に許容される懸濁剤及び保存剤を使用することができる。非発泡性顆粒剤で使用され、液体経口剤形に再構成される薬学的に許容される物質には、希釈剤、甘味剤、及び湿潤剤が含まれる。発泡性顆粒に使用され、液体経口剤形に再構成される薬学的に許容される物質には、有機酸及び二酸化炭素源を挙げることができる。着色剤及び香味剤は上記のすべての剤形で使用することができる。
【0082】
本開示の製剤の非経口投与には、即時型、持続型(例えば、デポー)、延長型及び/または改変型の放出製剤(例えば、本明細書に記載されているような)の静脈内、皮下及び筋肉内の投与が挙げられる。非経口投与のための調製物には、注射の準備ができている滅菌溶液、皮下錠剤を含む使用直前に溶媒と合わせる準備ができている滅菌乾燥可溶性製品、注射の準備ができている滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせる準備ができている滅菌乾燥不溶性製品、及び滅菌エマルションが挙げられる。溶液は水性または非水性のいずれかであることができる。非経口調製物で使用される薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質が含まれる。
【0083】
薬学的に活性がある化合物の濃度は、注射が所望の薬理学的効果を生じるのに有効な量を提供するように調整することができる。当該技術分野で知られているように、正確な用量は患者または動物の年齢、体重、及び状態に依存する。単位用量の非経口製剤はアンプルまたは針付き注射器に包装される。非経口投与のためのすべての調製物は、当該技術分野で知られ、実践されているように無菌でなければならない。実例として、ナルブフィンを含有する無菌水溶液の静脈内または動脈内注入は効果的な投与様式である。
【0084】
直腸投与のための医薬剤形は、全身性の効果のための直腸の坐薬、カプセル剤、及び錠剤であることができる。本明細書で使用されるとき直腸坐薬は、体温で融解し、または軟らかくなって本開示の組成物に含有される薬理学的にまたは治療上活性がある成分を放出する、直腸に挿入するための固形物を意味する。直腸坐薬で利用される薬学的に許容される物質は、融点を上昇させるための基剤またはビヒクル及び薬剤である。基剤の例には、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン・ゼラチン、カーボワックス、ポリオキシエチレングリコール及び脂肪酸のモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとの混合物が挙げられる。種々の基剤の組み合わせを使用することができる。坐薬の融点を上昇させる薬剤には鯨蝋及びワックスが含まれる。直腸坐薬は圧縮法または成形のいずれかによって調製することができる。直腸坐薬の典型的な重量は約2〜3グラムである。直腸投与用の錠剤及びカプセル剤は、経口投与用の製剤と同じ薬学的に許容される物質を用いて、同じ方法によって製造することができる。
【0085】
本方法で採用される組成物は、それを必要とする患者によって吸入されると、咳嗽または呼吸困難を緩和することができる。緩和は一時的または永続的であることができ、且つ組成物の単回投与後にさえ明らかになり得る。
【0086】
吸入投与用の医薬剤形は、局部的/局所的及び/または全身的な効果のための溶液、懸濁液、または乾燥粉末であることができる。乾燥粉末は、乾燥粉末の形態で、または非水性相を含む安定化分散剤の形態で使用されてもよい。吸入投与用の乾燥粉末組成物を調製する及び使用する方法は、米国特許第5,874,064号及び第5,855,913号ならびに米国特許出願公開第2008/0160092号に開示されており、それらはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。安定化分散剤を調製する及び使用する方法は、米国特許第6,946,117号及び第6,565,885号ならびに米国特許出願公開第2010/0329984号及び2004/0241101号に記載されており、それらはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0087】
乾燥粉末、安定化させた分散剤、溶液、または懸濁液は、定量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)、噴霧器、またはネブライザーと組み合わせて用いて、吸入送達(例えば、気管内または鼻腔内)を提供してもよい。
【0088】
吸入投与を目的とした本開示の組成物は、通常、約0.01%w/w〜約80%w/wの濃度での鎮咳薬、抗息切れ剤、または抗呼吸困難剤の量を送達するのに有効な量の組成物を含有する。組成物の残りは、好適なビヒクル(例えば、水、好適な有機溶媒または他の好適な溶媒または緩衝液)または1以上の医薬担体であってもよい。乾燥粉末、安定化させた分散剤、溶液、または懸濁液として製剤化される組成物は、気管内または鼻腔内に投与することができる。
【0089】
組成物はFDAによって確立された安全ガイドラインの範囲内である咳嗽、息切れ、または呼吸困難からの救済を提供するのに十分な量で投与されるべきである。患者に投与するための適切な量を決定することは、本開示によって提供される教示に関連して当業者の技能の範囲内である。
【0090】
組成物の投与に好適な薬学的な賦形剤またはビヒクルには、特定の投与様式に好適であることが当業者に知られている任意の担体が含まれる。ナルブフィンは、治療される個人に深刻な毒性作用を与えることなく、治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で担体に含まれ得る。
【0091】
徐放
本方法で採用することができるナルブフィン製剤には、米国仮特許出願第60/772,466号、同第60/710,772号、及び同第62/011,936号;米国特許出願第11/509,347号(US2007/0048376として公開された)、同第12/154,496号(US2009/0030026として公開された)、及び同第14/738,550号;ならびにPCT出願番号PCT/US2015/035650に記載されているような経口徐放性ナルブフィン製剤が挙げられ;そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
【0092】
「徐放」または「持続放出」は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの治療上有益な血中レベル(ただし毒性レベル未満)が長期間にわたって維持されるようにナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが制御された速度で製剤から放出されることを意味する。あるいは、「徐放」または「持続放出」は、所望の薬理学的効果が長期間にわたって維持されることを意味する。
【0093】
ナルブフィン注射製剤(すなわち、IVまたはIMまたはSC)の半減期は比較的短く、たった約2〜3時間であると報告されている。いくつかの実施形態では、本方法は有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含むナルブフィンの経口徐放性製剤を採用することができる。経口徐放性製剤は、ボーラス注射または即時放出経口製剤で観察されるよりも長い期間(例えば、少なくとも約8〜12時間)にわたってナルブフィンの制御放出及びさらに低いC
maxを提供することができる。投薬の頻度を減らすことは、患者の利便性を高め、現在の方法を順守する可能性を提供する。さらに少ない投薬頻度はまた、患者がさらに低いピーク濃度の薬剤に経時的に曝露されてもよいので、副作用を低減する可能性も有する。
【0094】
特定の理論に束縛されることを望まないが、鎮咳、抗息切れ、及び抗呼吸困難の効果の予想よりも長い持続期間は、ナルブフィンの腸肝再循環に起因する。ナルブフィンは、UDP−グルクロニルトランスフェラーゼのような酵素系との酵素反応を介して生体内でグルクロン酸または他の種類の抱合代謝物を形成する。胆汁中の親薬物が胆嚢から腸に放出されて再吸収されたときにも腸肝再循環が起こる可能性がある。一旦形成されると、抱合されたナルブフィン生成物は、胆汁分泌を介して消化管に輸送され、それによって薬物抱合体が切断されてナルブフィンを遊離し、それは腸から再吸収され得ると考えられる。徐放性製剤は、ナルブフィンをさらにゆっくりと生体内システムに放出し、さらに多くの薬物を抱合させるので、再循環及びその後の腸からの再吸収に利用できるようにすることによって鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間を改善することができる。
【0095】
本方法は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含む組成物と、徐放性送達システムとを採用することができる。徐放性送達システムは、(i)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの医薬希釈剤;(ii)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの医薬希釈剤、及び第1の架橋剤とは異なる少なくとも1つのカチオン性架橋剤;または(iii)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つのカチオン性架橋化合物、及び少なくとも1つの医薬希釈剤を含む。あるいは、他の実施形態では、本方法は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含む組成物と、徐放性送達システムとを採用することができ、それは徐放性システムにて疎水性化合物を採用してもよい。
【0096】
ナルブフィンは徐放性送達システムに均質に分散させることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約1mg〜約240mg;約1mg〜約150mg;約1mg〜約125mg;または約1mg〜約100mgの量で組成物に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約5mg〜約80mg;約10mg〜約70mg;約15mg〜約60mg;約40mg〜約80mg;約50mg〜約70mg;または約45mg〜約60mgの量で組成物に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約240mgの量で組成物に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩は約15mg、約30mg、約45mg、約60mg、約90mg、約120mg、または約180mgの量で組成物に存在する。
【0097】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの薬学的に許容される塩、例えば、ナルブフィンHClは約15mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、または約180mgの量で組成物に存在する。ナルブフィンの薬学的に許容される塩を含む組成物については、前記組成物におけるナルブフィンの量は、組成物におけるナルブフィンの薬学的に許容される塩の実際の量に基づいて組成物におけるナルブフィン遊離塩基の計算された量である当量のナルブフィン遊離塩基として表されてもよい。組成物における当量のナルブフィン遊離塩基の量は製造プロセスの範囲内で変化することになり、且つ本開示の組成物は、本開示に引用されているナルブフィン含量からの薬学的に許容される偏差(すなわち、FDAが許容できる)を包含する。
【0098】
以下の表は、15mg、30mg、60mg、90mg、120mg、180mg、及び240mgのナルブフィンHClを含有する組成物についてのナルブフィン遊離塩基の当量を示す。
【表A-1】
当量のナルブフィン遊離塩基の量は、以下の方程式を用いて小数点第1位未満を四捨五入している。
【0099】
本開示全体を通して、組成物におけるナルブフィンの量は一般に、組成物に存在する塩酸ナルブフィンの量に換算して表現される。しかしながら、本開示は、ナルブフィンが別のナルブフィン形態(例えば、異なる薬学的に許容される塩及び/またはエステル)で存在し、本明細書に明白に記載されている実施形態とほぼ同じ当量のナルブフィン遊離塩基を提供する実施形態を企図する。例えば、約251mgのクエン酸ナルブフィン(FW=549.57g/モル)は、約180mgの塩酸ナルブフィンとほぼ同じ当量のナルブフィン遊離塩基を提供する。前記組成物における当量のナルブフィン遊離塩基は、以下の式によって算出されてもよい:
【0100】
当量のナルブフィン遊離塩基=
【数1】
【0101】
上記の方程式を用いて算出された剤形のナルブフィン遊離塩基含有量の当量は、薬学的に許容される量(例えば、FDA安全基準によって許可される量の範囲内であり、いくつかの実施形態では、ナルブフィン遊離塩基の算出された当量の1%以下である)によって調整されて投与強度を参照する際に整数を使用した製品ラベル表示を可能にする。例えば、240mgの塩酸ナルブフィンについて算出されたナルブフィン遊離塩基の当量は217.6mgである。本開示によれば、組成物のナルブフィン含量は、当量のナルブフィン遊離塩基の216mgの製品ラベル表示のために調整されてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、例えば、HCLは約15mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、または約180mgの量で組成物に存在する。
【0103】
いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約10mg〜約420mg;約25mg〜約225mg;約21mg〜約198mg;または約80mg〜約200mg;約80mg〜約220mg;約90mg〜約210mg;約100mg〜約200mg;約110mg〜約190mg;約120mg〜約180mg;約130mg〜約170mg;約140mg〜約160mg;約30mg〜約60mg;約60mg〜約180mg;約30mg〜約180mg、約75mg〜約150mg、約80mg〜約160mg、約90mg〜約150mg、約100mg〜約140mg、約110mg〜約130mg、約100mg〜約300mg、約200mg〜約300mgまたは約200mg〜約250mgの量で組成物に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約75mg〜約150mgの量で組成物に存在する。
【0104】
いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約30mg、約60mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約112mg、約115mg、約117mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約225mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mgまたは約420mgの量で組成物に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約112mgの量で組成物に存在する。
【0105】
組成物におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は一般に約4:1〜約1:25である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は一般に、約2.5:1〜約1:4である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は一般に、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2、約1:1〜約1:5、約1:1〜約1:4、約1:1〜約1:3、約1:1〜約1.2、約1:2〜約1:3である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は、約1:1、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:4、または約1:5である。
【0106】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物が約5重量%〜約80重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤が約0.5重量%〜約80重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤が約20重量%〜約80重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物が約8重量%〜約31重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤が約12重量%〜約47重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤が約20重量%〜約78重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物が約10重量%〜約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤が約15重量%〜約25重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤が約50重量%〜約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%、約30重量%、約32重量%、約34重量%、または約36重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%、約30重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、または約35重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%または約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤は約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、または約22重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%、または約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約8重量%、約12重量%、または約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つの架橋剤は約12重量%、約18重量%、または約30重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約40重量%、約60重量%、または約70重量%の量で徐放性送達システムに存在する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンは、本明細書に記載されているような当量のナルブフィン遊離塩基を提供する量で、当該技術分野で知られている任意の薬学的に許容される塩の形態である。例示的な薬学的に許容される塩には限定しないで、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸塩、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、パモ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ラウリル硫酸、ナフタレンスルホン酸、リノール酸、リノレン酸、などが挙げられる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンは塩酸塩の形態である。
【0109】
徐放性送達システムは少なくとも1つの親水性化合物を含む。親水性化合物は、好ましくは、液体に曝露されると持続速度でナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを放出するゲルマトリックスを形成する。ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルのゲルマトリックスからの放出速度は、ゲルマトリックスの成分と消化管内の水性相との間の薬物の分配係数に依存する。ナルブフィンの親水性化合物に対する重量比は一般に、約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、及び約2:1〜約1:2の範囲である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの親水性化合物に対する重量比は約10:1〜約1:1、約10:1〜約2:1、約9:1〜約1:1、約8:1〜約1:1、約7:1〜約1:1、約6:1〜約1:1、約5:1〜約1:1、約4:1〜約1:1、約3:1〜約1:1、及び約2:1〜約1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの親水性化合物に対する重量比は約6:1〜約1:1、約5:1〜約2:1、約4:1〜約3:1、約4:1〜約2:1、及び約5:1〜約2:1の範囲である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの親水性化合物に対する重量比は約1:5、約1:4.5、約1:4.4、約1:4、約1:3.5、約1:3.3、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1、及び約1:1.5である。
【0110】
徐放性送達システムは一般に、約5重量%〜約80重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは一般に、約5重量%〜約30重量%、約8重量%〜約31重量%、約10重量%〜約20重量%、約20重量%〜約60重量%または約40重量%〜約60重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約8重量%〜約31重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約10重量%〜約20重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約12重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約8重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約20重量%の量で親水性化合物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約28重量%の量で親水性化合物を含む。
【0111】
親水性化合物は、親水性であることが当該技術分野で知られている任意の薬学的に許容される化合物である。例示的な親水性化合物には限定しないで、薬学的に許容されるガム、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、タンパク質由来の化合物、及びそれらの混合物が挙げられる。例示的なガムには限定しないで、キサンタン、トラガカント、ペクチン、アカシア、カラヤ、アルギネート、寒天、グアー、ヒドロキシプロピルグアー、カラギーナン、ローカストビーンガム、及びジェランガムのようなヘテロ多糖ガム及びホモ多糖ガムが挙げられる。例示的なセルロースエーテルには限定しないで、ヒドロキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、セルロースエーテルには、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、親水性化合物はガムである。他の実施形態では、親水性化合物はヘテロ多糖ガムである。さらなる実施形態では、親水性化合物はキサンタンガムまたはその誘導体である。キサンタンガムの誘導体には限定しないで、例えば、脱アシル化キサンタンガム、キサンタンガムのカルボキシメチルエステル、及びキサンタンガムのプロピレングリコールエステルが挙げられる。
【0112】
別の態様では、徐放性送達システムはさらに少なくとも1つの架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、架橋剤は、液体の存在下で親水性化合物を架橋してゲルマトリックスを形成することができる化合物である。本明細書で使用されるとき、「液体」には、例えば、胃腸液、及び試験管内溶解試験に使用されるもののような水溶液が含まれる。徐放性送達システムは一般に、約0.5重量%〜約80重量%の量で架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは一般に、約12重量%〜約47重量%の量の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは一般に、約20重量%〜約30重量%の量の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは一般に、約15重量%〜約25重量%の量で架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの架橋剤は約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、または約25重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約18重量%の量で架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約12重量%の量で架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは、約30重量%の量の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約42重量%の量で架橋剤を含む。
【0113】
例示的な架橋剤にはホモ多糖が挙げられる。例示的なホモ多糖には限定しないで、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びローカストビーンガムのようなガラクトマンナンガムが挙げられる。いくつかの実施形態では、架橋剤はローカストビーンガムまたはグアーガムである。他の実施形態では、架橋剤はアルギン酸誘導体または親水コロイドである。
【0114】
いくつかの実施形態では、徐放性送達システムが少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つの架橋剤を含む場合、親水性化合物の架橋剤に対する重量比は約1:9〜約9:1、約1:8〜約8:1、約1:7〜約7:1、約1:6〜約6:1、約1:5〜約5:1、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1である。いくつかの実施形態では、親水性化合物の架橋剤に対する重量比は約1:5、約1:4.5、約1:4、約1:3.5、約1:3、約1:2.5、約1:2、約1:1.5、及び約1:1である。
【0115】
徐放性送達システムが少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つの架橋剤を含む場合、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの、少なくとも1つの親水性化合物と少なくとも1つの架橋剤との合計に対する重量比は、約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、または約2:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの、少なくとも1つの親水性化合物と少なくとも1つの架橋剤との合計に対する重量比は約4:1〜約1:1、約4:1〜約1:1.5、約3:1〜約1:1、または約2:1〜約1:1である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの、少なくとも1つの親水性化合物と少なくとも1つの架橋剤との合計に対する比は、約5:1、約4:1(すなわち、1:0.25)、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1(すなわち、1:0.5)、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:3、約1:4、及び約1:5である。
【0116】
徐放性送達システムはさらに、当該技術分野で知られている1以上の医薬希釈剤を含む。例示的な医薬希釈剤には限定しないで、単糖類、二糖類、多価アルコール、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬希釈剤には、例えば、デンプン、マンニトール、ラクトース、デキストロース、スクロース、微細結晶性セルロース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬希釈剤は水溶性である。水溶性医薬希釈剤の非限定的な例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、またはそれらの混合物が挙げられる。医薬希釈剤の親水性化合物に対する重量比は一般に、約1:9〜約9:1、約1:8〜約8:1、約1:7〜約7:1、約1:6〜約6:1、約1:5〜約5:1、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1である。いくつかの実施形態では、医薬希釈剤の親水性化合物に対する重量比は一般に約9:1〜約1:1.5である。いくつかの実施形態では、医薬希釈剤の親水性化合物に対する重量比は、約9:1、約8.75:1、約8.5:1、約8.25:1、約8:1、約7.5:1、約7:1、約6.5:1、約6:1、約5.5:1、約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1、または約1:1である。
【0117】
徐放性送達システムは一般に、約20%〜約80%、約30%〜約70%、約40%〜約70%、または約40%〜約60%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約20重量%〜約70重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約50重量%〜約85重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%、または約85重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約20重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約30重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約40重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約50重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約60重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約70重量%の量で1以上の医薬希釈剤を含む。
【0118】
さらなる態様では、徐放性送達システムは1以上のカチオン性架橋化合物を含む。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物が架橋剤の代わりに使用される。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物が架橋剤に加えて使用される。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物は、液体の存在下で親水性化合物を架橋してゲルマトリックスを形成するのに十分な量で使用される。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物は約0.5重量%〜約30重量%、約0.5重量%〜約25重量%、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約15重量%、約0.5重量%〜約10重量%、または約0.5重量%〜約5重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物は、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約6重量%〜約14重量%、約7重量%〜約13重量%、約8重量%〜約12重量%、または約9重量%〜約11重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、1以上のカチオン性架橋化合物は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、カチオン性架橋化合物は約10重量%の量で徐放性送達システムに存在する。
【0119】
例示的なカチオン性架橋化合物には限定しないで、一価金属カチオン、多価金属カチオン、及びアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、臭化物、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、及びそれらの混合物を含む無機塩が挙げられる。例えば、カチオン性架橋化合物には限定しないで、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、重炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、フッ化ナトリウム、またはそれらの混合物のうちの1以上が挙げられる。
【0120】
徐放性送達システムが少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つのカチオン性架橋化合物を含む場合、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は、約1:9〜約9:1、約1:8〜約8:1、約1:7〜約7:1、約1:6〜約6:1、約1:5〜約5:1、約1:4〜約4:1、約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1に及ぶ。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は約1:3〜約3:1の範囲である。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は、約3:1、約2.75:1、約2.5:1、約2.25:1、約2:1、約1.8:1、約1.6:1、約1.4:1、約1.2:1、約1:1、約1:1.25、約1:1.5、または約1:2である。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は、約1:1.25である。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は約1.2:1である。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は約2:1である。いくつかの実施形態では、親水性化合物のカチオン性架橋化合物に対する重量比は約2.8:1である。
【0121】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は、約5重量%〜約80重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約0.5重量%〜約30重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約20重量%〜約80重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約8重量%〜約30重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約10重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約20重量%〜約70重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約5重量%〜約30重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約5重量%〜約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約20重量%〜約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約10重量〜約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約5重量%〜約15重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約50重量%〜約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。
【0122】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%、または約30重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%または約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%、または約85重量%の量で徐放性送達システムに存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性化合物は、約8重量%、約12重量%、または約20重量%の量で徐放性送達システムに存在する;少なくとも1つのカチオン性架橋剤は約10重量%、約12重量%、または約14重量%の量で徐放性送達システムに存在する;且つ少なくとも1つの医薬希釈剤は約40重量%、約60重量%、または約70重量%の量で徐放性送達システムに存在する。
【0123】
いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約0.5%〜約80%のローカストビーンガム、約5%〜約80%のキサンタンガム、約20%〜約80%のマンニトール、及び約0.5%〜80%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約12%〜約47%のローカストビーンガム、約8%〜約31%のキサンタンガム、約20%〜約78%のマンニトール、及び約0.5%〜25%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは、約15%〜約25%のローカストビーンガム、約10%〜約20%のキサンタンガム、約50%〜約85%のマンニトール、及び約5%〜15%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約18%のローカストビーンガム、約12%のキサンタンガム、約60%のマンニトール、及び約10%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約12%のローカストビーンガム、約8%のキサンタンガム、約70%のマンニトール、及び約10%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約20%のローカストビーンガム、約30%のキサンタンガム、約40%のマンニトール、及び約10%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約30%のローカストビーンガム、約20%のキサンタンガム、約40%のマンニトール、及び約10%の硫酸カルシウム二水和物を含む。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約42%のローカストビーンガム、約28%のキサンタンガム、約20%のマンニトール、及び約10%の硫酸カルシウム二水和物を含む。
【0124】
この徐放性システムの成分の2つの特性(例えば、少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つの架橋剤;または少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つのカチオン性架橋化合物)はそれが液体にさらされるとゲルマトリックスを形成することであり、化合物/薬剤の迅速な水和と、高いゲル強度を有するゲルマトリックスを形成する能力とである。徐放性ゲルマトリックスを達成するために必要とされるこれらの2つの特性は、化合物の特定の組み合わせ(例えば、少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つの架橋剤;または少なくとも1つの親水性化合物及び少なくとも1つのカチオン性架橋化合物)によって最大化される。例えば、親水性化合物(例えば、キサンタンガム)は迅速な水和を提供する優れた吸水性を有する。親水性化合物の、親水性化合物の剛直ならせん状の秩序構造を架橋することができる物質(例えば、架橋剤及び/またはカチオン性架橋化合物)との組み合わせは、それによって相乗的に作用して、予想よりも高い粘度のゲルマトリックス(すなわち、高いゲル強度)を提供する。
【0125】
いくつかの実施形態では、徐放性組成物はさらに、1以上の湿潤剤(例えば、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化水素化ヒマシ油、ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸、水素化ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸)、1以上の潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムなど)、1以上の緩衝剤、1以上の着色剤、及び/または他の従来の成分と混合される。
【0126】
いくつかの実施形態では、本方法で採用される組成物は追加の医薬賦形剤を含有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている製剤にフマル酸を加えることができる。
【0127】
他の実施形態では、非機能性コーティング、例えば、Opadry(登録商標)を本明細書に記載されている組成物に加えることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物はさらに、第2の親水性化合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物はセルロースエーテルである。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物はヒドロキシアルキルセルロースまたはカルボキシアルキルセルロースである。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、第2の親水性は、エチルセルロースまたは蝋状物質(例えば限定しないで、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ホワイトワックス、またはカルナウバ蝋を含む)である。第2の親水性化合物は、約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約25重量%、約10重量%〜約20重量%、または12重量%〜約18重量%に及ぶ量で製剤に存在する。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約30%、約35%、約40%、または約45%の量で製剤に存在する。
【0129】
いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物のナルブフィンまたは薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはエステルに対する重量比は約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2、約1:1〜約1:3、または約1:1〜約1:2に及ぶ。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物のナルブフィンまたは薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはエステルに対する重量比は、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:5である。
【0130】
いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物の徐放性送達システムに対する重量比は約10:1〜約1:10、約8:1〜約1:8、約6:1〜約1:6、約4:1〜約1:4、約2:1〜約1:3、約1:1〜約1:10、約1:1〜約1:6、または約1:2〜約1:6に及ぶ。いくつかの実施形態では、第2の親水性化合物の徐放性送達システムに対する重量比は、約10:1、約8:1、約6:1、約4:1、約2:1、約1:1、約1:1.5、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9または約1:10である。
【0131】
いくつかの実施形態では、約1mg〜200mgの塩酸ナルブフィンと約10mg〜約420mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤。これらの実施形態では、徐放性送達システムは約12%〜約42%のローカストビーンガムと;約8.0%〜約28%のキサンタンガムと;約20%〜約70%のマンニトールと;約5%〜約20%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、約5mg〜約80mgの塩酸ナルブフィンと約80mg〜約360mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、約50mg〜約150mgの塩酸ナルブフィンと約100mg〜約300mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、本方法は、約15mgの塩酸ナルブフィンと、約25mg〜約225mg、例えば、約195mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは、約14%のローカストビーンガムと;約9%キサンタンガムと、約47%のマンニトールと;約8%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本方法は、約30mgの塩酸ナルブフィンと、約25mg〜約225mg、例えば約180mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは、約18%のローカストビーンガムと;約12%のキサンタンガムと;約60%のマンニトールと;約10%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本方法は、約60mgの塩酸ナルブフィンと、約25mg〜約225mg、例えば約120mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは、約10%のローカストビーンガムと;約12%のキサンタンガムと;約60%のマンニトールと;約10%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、本方法は、約5mg〜約80mgの塩酸ナルブフィンと、約80mg〜約360mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本方法は、約120mgの塩酸ナルブフィンと、約25mg〜約250mg、例えば、約240mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは、約18%のローカストビーンガムと;約12%のキサンタンガムと;約60%のマンニトールと;約10%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本方法は、約30mgの塩酸ナルブフィンと、約25mg〜約350mg、例えば、約270mgまたは約360mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは約18%のローカストビーンガムと;約12%のキサンタンガムと;約60%のマンニトールと;約10%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、本方法は、約45〜約60mgの塩酸ナルブフィンと、約100mg〜約200mgの徐放性送達システムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。これらの実施形態では、徐放性送達システムは約15%〜約25%のローカストビーンガムと;約10%〜約20%のキサンタンガムと;約50%〜約85%のマンニトールと;約5%〜約15%の硫酸カルシウム二水和物とを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、本方法は、約30mgの塩酸ナルブフィンと、約32.4mgのローカストビーンガムと;約21.6mgのキサンタンガムと;約108mgのマンニトールと;約18mgの硫酸カルシウム二水和物と、約35mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約1.9mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0140】
いくつかの実施形態では、本方法は、約29.8mgの塩酸ナルブフィンと、約32.2mgのローカストビーンガムと;約21.4mgのキサンタンガムと;約107mgのマンニトールと;約18mgの硫酸カルシウム二水和物と、約35mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約1.9mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本方法は、約60mgの塩酸ナルブフィンと、約21.6mgのローカストビーンガムと;約14.4mgのキサンタンガムと;約72mgのマンニトールと;約12mgの硫酸カルシウム二水和物と、約30mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約1.6mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本方法は、約59.5mgの塩酸ナルブフィンと、約21.4mgのローカストビーンガムと;約14.3mgのキサンタンガムと;約71mgのマンニトールと;約12mgの硫酸カルシウム二水和物と、約30mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約1.6mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本方法は、約120mgの塩酸ナルブフィンと、約43.2mgのローカストビーンガムと;約28.8mgのキサンタンガムと;約144mgのマンニトールと;約24mgの硫酸カルシウム二水和物と、約60mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約3.2mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法は、約119.0mgの塩酸ナルブフィンと、約42.9mgのローカストビーンガムと;約25.6mgのキサンタンガムと;約143mgのマンニトールと;約24mgの硫酸カルシウム二水和物と、約60mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約3mgのステアリン酸マグネシウムとを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本方法は、約180mgの塩酸ナルブフィンと、約64.8mgのローカストビーンガムと;約43.2mgのキサンタンガムと;約216mgのマンニトールと;約36mgの硫酸カルシウム二水和物と、約90mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約5mgのステアリン酸マグネシウムと、約25mgのフマル酸とを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本方法は、約180mgの塩酸ナルブフィンと、約48.6mgのローカストビーンガムと;約32.4mgのキサンタンガムと;約162mgのマンニトールと;約27mgの硫酸カルシウム二水和物と、約60mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約4mgのステアリン酸マグネシウムと、約25mgのフマル酸とを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本方法は、約178.5mgの塩酸ナルブフィンと、約48.2mgのローカストビーンガムと;約32.2mgのキサンタンガムと;約161mgのマンニトールと;約27mgの硫酸カルシウム二水和物と、約60mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約4mgのステアリン酸マグネシウムと、約25mgのフマル酸とを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本方法は、約30mgの塩酸ナルブフィンと、約32.4mgのローカストビーンガムと;約21.6mgのキサンタンガムと;約108mgのマンニトールと;約18mgの硫酸カルシウム二水和物と、約35mgのヒドロキシプロピルセルロースと、約1.9mgのステアリン酸マグネシウムと、約7.4mgのOpadry II Whiteを含む経口徐放性固形投与製剤を採用する。
【0149】
ナルブフィンの徐放性製剤は経口投与可能な固形投与製剤である。経口固形投与製剤の非限定的な例には、錠剤、複数の顆粒を含むカプセル剤、舌下錠剤、粉剤、顆粒剤、シロップ剤、及び頬側の剤形または用具(例えば、頬側パッチ、錠剤など)が挙げられる。いくつかの実施形態では、錠剤は腸溶コーティングまたは親水性コーティングを有する。
【0150】
成分は凝集技術によって一緒に保持されて許容可能な生成物を生成することができるけれども、徐放性送達システムは、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが添加される前に、乾式造粒または湿式造粒によって調製される。湿式造粒技術では、成分(例えば、親水性化合物、架橋剤、医薬希釈剤、カチオン性架橋化合物、疎水性ポリマーなど)が一緒に混合され、次いで1以上の液体(例えば、水、プロピレングリコール、グリセロール、アルコール)で湿らせて湿った塊を生成し、その後乾燥させる。次に、乾燥した塊を従来の装置で粉砕して、徐放性送達システムの顆粒にする。その後、徐放性送達システムは、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルと、任意で、1以上の湿潤剤、1以上の潤滑剤、1以上の緩衝剤、1以上の着色剤、1以上の第2の親水性化合物、または他の従来の成分と所望の量で混合されて、粒状組成物を生成する。徐放性送達システム及びナルブフィンは、例えば、高剪断ミキサーで混ぜ合わせることができる。ナルブフィンは好ましくは、徐放性送達システムに細かく均質に分散される。錠剤の均一なバッチを作るのに十分な量の粒状組成物は、典型的な圧縮圧力、すなわち、約2,000〜16,000psiでの従来の生産規模の打錠機における打錠に供される。いくつかの実施形態では、混合物は液体への曝露時に水和がその後困難になる点まで圧縮されるべきではない。
【0151】
いくつかの実施形態では、ナルブフィン製剤は乾式造粒または湿式造粒によって調製される。徐放性送達システムの成分は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルとともに添加される。あるいは、すべての成分を凝集技術によって一緒に保持して、許容可能な生成物を生成することができる。湿式造粒技術では、ナルブフィンまたはその薬学的塩、溶媒和物もしくはエステル及びその成分(例えば、親水性化合物、架橋剤、医薬希釈剤、カチオン性架橋化合物、疎水性ポリマーなど)を一緒に混合し、次いで1以上の液体(例えば、水、プロピレングリコール、グリセロール、アルコール)で湿らせて湿った塊を生成し、これをその後乾燥させる。次に、乾燥した塊を従来の装置で粉砕して顆粒にする。任意で、1以上の湿潤剤、1以上の潤滑剤、1以上の緩衝剤、1以上の着色剤、1以上の第2の親水性化合物、または他の従来の成分もまた、造粒物に添加される。錠剤の均一なバッチを作るのに十分な量の粒状組成物は、典型的な圧縮圧力、すなわち、約2,000〜16,000psiでの従来の生産規模の打錠機における打錠に供される。いくつかの実施形態では、混合物は液体への曝露時に水和がその後困難になる点まで圧縮されるべきではない。
【0152】
粒状組成物の平均粒度は重量で約50μm〜約400μmである。いくつかの実施形態では重量による平均粒度は約185μm〜約265μmである。粒状組成物の平均密度は約0.3g/mL〜約0.8g/mLである。いくつかの実施形態では、平均密度は約0.5g/mL〜約0.7g/mLである。造粒物から形成される錠剤は一般に、約4Kp〜約22Kpの硬度である。造粒物の平均流量は約25〜約40g/秒である。
【0153】
いくつかの実施形態では、本方法は、層が異なる速度で塩酸ナルブフィンを放出するように組み立てられる多層固形剤形を採用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第2の層は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルと、治療上有効な血中レベルが長期間(例えば、約8時間〜約12時間)にわたって維持されるように制御された速度でナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを放出するように設計された徐放性送達システムとを含む持続放出層である。第1の層は、第2の層の速度より速い速度でナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを放出して即時の期間(例えば、約1〜約2時間)で治療上有効な血中レベルを達成するように設計されるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの製剤を含む即時放出層である。いくつかの実施形態では、第1の層は徐放性送達システムを含む。いくつかの実施形態では、第1の層は徐放性送達システムを含まない。
【0154】
いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は、約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は、約5:1〜約1:5である。さらなる実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は、約1:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は、約1:1、約1:1.2、約1:1.4、約1:1.6、約1:1.8、または約1:2である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は約1:2である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は約1:1.4である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1である。いくつかの実施形態では、第2の層の第1の層に対する重量比は約2.5:1である。
【0155】
多層剤形の徐放性送達システムは、(i)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つの架橋剤、及び少なくとも1つの医薬希釈剤;(ii)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの医薬希釈剤、及び第1の架橋剤とは異なる少なくとも1つのカチオン性架橋剤;または(iii)少なくとも1つの親水性化合物、少なくとも1つのカチオン性架橋化合物、及び少なくとも1つの医薬希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の層が徐放性送達システムを含む場合、第1の層の徐放性送達システムは、第2の層の徐放性送達システムと同じ成分(例えば、第1の層及び第2の層の双方は上記の実施形態(i)〜(iii)の1つである)を含む。他の実施形態では、第1の層の徐放性送達システムは、第2の層の徐放性送達システムとは異なる成分を含む(例えば、第1の層は上記の実施形態(i)である一方で、第2の層は上記の実施形態(iii)である)。いずれかの層の徐放性送達システムは、上記の実施形態(i)〜(iii)のうちの1つであることができることが認識される。さらに、いくつかの実施形態では、第1の層は徐放性送達システムを含まないことが認識される。
【0156】
徐放性送達システムは一般に、約10mg〜約420mgに及ぶ量で第2の層(例えば、持続放出層)に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約110mg〜約200mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約110mg〜約150mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約90mg〜約150mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約123mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約101mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約92mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約112.5mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約135mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約150mgの量で第2の層に存在する。
【0157】
ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは一般に、約15mg〜約60mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約30mg〜約60mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約45mg〜約60mgに及ぶ量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約15mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約30mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約45mgの量で第2の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約15mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、または約180mgの量で第2の層に存在する。
【0158】
いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、または約2:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は、約1:2〜約1:4である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は、約1:1〜約1:5である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は、約1:1、約1:1.2、約1:1.4、約1:1.6、約1:1.8、約1:2、約1:2.5、約1:3、または約1:3.5である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は約1:2.5である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は約1:3.3である。さらなる実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する重量比は約1:3である。いくつかの実施形態では、第2の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は約1:2である。
【0159】
徐放性送達システムが第1の層(例えば、即時放出層)に存在する場合、それは一般に約0mg〜約50mgに及ぶ量で存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約5mg〜約25mgまたは約5mg〜約15mgに及ぶ量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約3mg〜約9mgの量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約4mg〜約6mgの量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約14mg、約15mg、約16mg、約18mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mgまたは約50mgの量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムは約6mgの量で第1の層に存在する。
【0160】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは一般に、約5mg〜約180mgに及ぶ量で第1の層(例えば、即時放出層)に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約5mg〜約25mgまたは約10mg〜約20mgに及ぶ量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約5mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mgまたは約50mgの量で第1の層に存在する。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは約15mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、または約180mgの量で第1の層に存在する。
【0161】
いくつかの実施形態では、第1の層が徐放性送達システムを含む場合、第1の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は、約10:1〜約1:10、約9:1〜約1:9、約8:1〜約1:8、約7:1〜約1:7、約6:1〜約1:6、約5:1〜約1:5、約4:1〜約1:4、約3:1〜約1:3、約2:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、第1の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は約2:1〜約4:1である。いくつかの実施形態では、第1の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1、または約1:1である。いくつかの実施形態では、第1の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は約2.5:1である。いくつかの実施形態では、第1の層におけるナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの徐放性送達システムに対する比は約3:1である。
【0162】
いくつかの実施形態では、多層剤形はさらに医薬崩壊剤を含む。崩壊剤は、即時放出層からのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの溶解及び吸収を促進する。医薬崩壊剤の非限定的な例には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸塩、クロスポビドン、及び未修飾デンプンが挙げられる。いくつかの実施形態では、崩壊剤は剤形の第1の層(すなわち、即時放出層)にある。崩壊剤は一般に、約1.5mg〜約4.5mgの量で層に存在する。いくつかの実施形態では、崩壊剤は約3mgの量で存在する。いくつかの実施形態では、崩壊剤は約2〜10重量%の量で層に存在する。いくつかの実施形態では、崩壊剤は約5重量%の量で層に存在する。層が徐放性送達システムを含む場合、徐放性送達システムの崩壊剤に対する重量比は約5:1〜約1:5の範囲にある。いくつかの実施形態では、徐放性送達システムの崩壊剤に対する比は約1:1〜約3:1の範囲にある。他の実施形態では、徐放性送達システムの崩壊剤に対する比は、約2:1の範囲にある。
【0163】
いくつかの実施形態では、多層錠剤は、先ず即時放出層及び持続放出層ブレンドを別々に調製することによって調製される。持続放出層は上記に記載されているように調製される。次に、持続放出層の湿式造粒物を乾燥させ、適切なサイズに粉砕する。ステアリン酸マグネシウムを加え、粉砕した造粒物と混合する。即時放出層は、最初にナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを1以上の希釈剤(例えば、微細結晶性セルロース)と混合することによって調製される。次いで、この混合物を任意で1以上の崩壊剤と混合する。ブレンドをステアリン酸マグネシウムと混合する。最後に、即時放出層ブレンド及び持続放出層ブレンドは多層(例えば、二層)錠剤に圧縮される。
【0164】
いくつかの実施形態では、親水性化合物(例えば、キサンタンガム)のような製剤の特定の成分の化学的性質は、成分がナルブフィンの溶解度及び消化管の長さに沿ったpH変化に実質的に無反応である自己緩衝剤であると見なされるようなものである。さらに、成分の化学的性質は、ポリカルボフィルのような特定の既知の粘膜付着性物質に類似していると考えられている。粘膜付着性は頬側送達システムにとって望ましい。したがって、徐放性製剤は、消化管内のムチンと緩く相互作用することができ、それによって、ナルブフィンの一定の送達速度が達成される別の機序を提供する。
【0165】
上記で議論された現象(粘膜付着性)は、徐放性製剤が消化管のムチン及び流体と相互作用し、ナルブフィンの一定の送達速度を提供することができるメカニズムである。
【0166】
USP薬物放出試験一般章<711>溶解(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって測定される場合、本方法で採用される徐放性製剤は一般に、1時間後で約15重量%〜約50重量%のナルブフィンの、4時間後で約45重量%〜約80重量%のナルブフィンの、または10時間後で少なくとも約80重量%のナルブフィンの試験管内溶解を示す。いくつかの実施形態では、徐放性製剤の試験管内及び生体内の放出特性は、1以上の異なる水不溶性及び/または水溶性の化合物の混合物を用いて、異なる可塑剤を用いて、コーティングにて放出改変化合物を提供することを含めて持続放出フィルムの厚さを変化させて、及び/またはコーティングを通る通路を提供することによって改変される。いくつかの実施形態では、溶解速度は、pH6.8、37℃及び15dpmで装置USPタイプIII/250mLを用いて決定される。いくつかの実施形態では、溶解速度は、37℃及び15dpmでのpH変化(0〜1時間pH1.2、1時間後pH4.5、2時間後pH6.8)で実施される装置USPタイプIII/250mLを用いて決定される。
【0167】
いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約6時間後に約50重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約6時間後に約75重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。他の実施形態では、徐放性製剤は約6時間〜約8時間で約75重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。さらなる実施形態では、徐放性製剤は約12時間後に約80重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。さらに他の実施形態では、徐放性製剤は約12時間〜約24時間で約80重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約8時間〜約12時間後に約80%〜約100%の試験管内溶解を有する。さらに他の実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約15重量%〜約75重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。その上さらなる実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの、及び約6時間〜約8時間で約75重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの、及び約8時間〜約12時間で約75重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの、及び約12時間〜約24時間で約75重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、徐放性製剤は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの、及び約12時間後に約80重量%〜約100重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。
【0168】
錠剤が、第1の持続放出層及び第2の即時放出層を有する多層剤形である場合、徐放性製剤は約1時間後に約25重量%〜約75重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約1時間後に約25重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約1時間後に約50重量%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約6〜8時間後に約75%〜約100%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約8〜12時間後に約75%〜約100%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約12〜24時間後に約75%〜約100%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。いくつかの実施形態では、多層剤形は約12時間後に約75%〜約100%のナルブフィンの試験管内溶解を有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、正常または障害のある(例えば、低下した)腎機能を有する患者に経口投与される場合、本明細書に記載されている徐放性製剤は、以下の生体内特性を示す:(a)ナルブフィンのピーク血漿レベルは、例えば、腎機能障害のある患者については投与後約4時間〜約6時間以内に、または腎機能障害のない患者については投与後約3時間〜約5時間以内に発生する;(b)投与の約30分から投与の約6時間以内までのナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の発現;(c)ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は約2〜約24時間である;及び(d)相対的なナルブフィンの生物学的利用能は、経口投与されたナルブフィンの水溶液と比べて、約0.5、約1、約1.5、または約0.5〜約1.5の間である。鎮咳、抗息切れ、または抗呼吸困難の効果の発現時間は、少なくとも投与量と咳嗽、息切れ、または呼吸困難の症状の重症度に左右され得る。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は少なくとも約8時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は少なくとも約9時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は少なくとも約10時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は少なくとも約11時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は少なくとも約12時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果の持続時間は約6時間、8時間、10時間、12時間、15時間、または18時間である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの相対的な生物学的利用能は経口投与されたナルブフィンの水溶液と比べて約0.94である。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの相対的な生物学的利用能は経口投与されたナルブフィンの水溶液と比べて約1.35である。
【0170】
いくつかの実施形態では、徐放性ナルブフィン製剤は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを含む経口単位剤形を提供する。経口剤形は、少なくとも約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間の期間にわたって鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果を提供する。いくつかの実施形態では、経口剤形は、約6〜18時間、約8〜16時間、約8〜12時間、約8〜約24時間、約12〜約24時間、約18〜約24時間、または約8〜10時間の期間にわたって鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果を提供する。経口剤形は、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間の期間にわたって鎮咳、抗息切れまたは抗呼吸困難の効果を提供する。
【0171】
いくつかの実施形態では、経口剤形は1以上のピークとそれに続くプラトー領域を特徴とするナルブフィンの血漿レベルを提供する。プラトー領域は、ナルブフィンの相対的に一貫した血漿レベル(例えば、ナルブフィンの血漿レベルは時点から時点で一貫して増減しない)を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、プラトー領域はナルブフィンの一貫した平均血漿レベルを有することを特徴とする。プラトー領域は、ナルブフィンの血漿レベルが一般にある時点から次の時点まで減少するプラトー領域に続く領域とは対照的である。いくつかの実施形態では、プラトー領域は、少なくとも約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、プラトー領域は、約1時間〜約12時間、約2時間〜約10時間、約2時間〜約8時間、約2時間〜約7時間、または約4時間〜約10時間、約4時間〜約8時間、または約4時間〜約6時間の持続時間を有する。いくつかの実施形態では、プラトー領域の各時点でのナルブフィンの血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約75%〜約125%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域における各時点でのナルブフィンの血漿レベルはプラトー領域における平均血漿レベルの約80%〜約120%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域の各時点でのナルブフィンの血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約85%〜約115%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域の各時点でのナルブフィンの血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約90%〜約110%に及ぶ。
【0172】
いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域のすべての時点の平均血漿レベルよりも約25%以下で下回る。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルよりも約20%以下で下回る。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルより約15%以下で下回る。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約75%〜約100%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約80%〜約100%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルはプラトー領域の平均血漿レベルの約85%〜約100%に及ぶ。いくつかの実施形態では、プラトー領域中に観察されるナルブフィンの最小血漿レベルは、プラトー領域の平均血漿レベルの約80%〜約95%に及ぶ。
【0173】
併用療法
組成物は、単独の活性医薬成分として投与することができる一方で、他の実施形態では、それらは、咳嗽及び/または呼吸困難に対して治療上有効であること及び/またはナルブフィンの効果を補完することが知られている1以上の成分と組み合わせて使用することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、1以上の鎮咳薬、抗息切れ薬または抗呼吸困難薬と組み合わせてナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルを採用することができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィン、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルと併用される鎮咳薬には、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、デキストロメトルファン、リドカイン、トラマドールのようなミューオピオイドアゴニスト、ならびに、例えば、ガバペンチン、プレガバリンのような抗痙攣薬及び抗神経障害性鎮痛薬、アミトリプチリンのような抗うつ薬、ピルフェニドン(Esbriet(登録商標))及びニンテダニブ(Ofev(登録商標))のような肺抗線維症剤、例えばブデソニド及びプレドニゾンのようなステロイド、例えば、エソメプラゾール、臭化イプラトロピウム、クロモグリク酸、クロモリンナトリウム及びサリドマイドのようなプロトンポンプ阻害剤、ナルフラフィン及びジフェライクファリンのようなカッパオピオイドアゴニスト、ナロキソン及びナルトレキソンのようなミューオピオイドアンタゴニストが挙げられる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容される塩、溶媒和物またはそのエステルと併用される抗呼吸困難薬には、ベンゾジアゼピンのような精神安定剤、及びピルフェニドン(Esbriet(登録商標))やニンテダニブ(Ofev(登録商標))のような抗線維症剤が挙げられる。
【0174】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは、第2の鎮咳薬、抗息切れ薬または抗呼吸困難薬と併用して投与されない、例えば、同時処方されるか、または別々に投与される。
【0175】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは、IPFの咳嗽、息切れまたは呼吸困難を治療するために使用される1以上の薬剤と併用して投与される。いくつかの実施形態では、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療するために使用される薬剤は、ピルフェニドン、ニンテダニブ、N−アセチルシステイン、クロモリンナトリウム、サリドマイド、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから成る群から選択される。
【0176】
投薬
本開示は、有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルをそれを必要とする患者に投与することによって咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する方法を提供する。有効量とは、咳嗽、息切れ、もしくは呼吸困難の症状を解消するもしくは大幅に軽減する、またはこれらの症状を緩和する(例えば、治療前に存在する症状と比べて、咳嗽頻度や息切れのような症状を軽減する)のに十分な量である。本発明の方法で採用される製剤は、製剤が咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために治療上有効なナルブフィンの血漿レベルを提供するように、徐放性製剤にナルブフィンを組み込むことができる。
【0177】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルの投与は統計的に有意な治療効果を提供する。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は、米国の1以上の規制機関、例えば、FDAまたは他の国によって提供される1以上の規範または基準に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は規制機関が承認した臨床試験の設定及び/または手順から得られた結果に基づいて決定される。
【0178】
いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は少なくとも20、50、60、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000または2000人の患者集団に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は、無作為化及び二重盲検の臨床試験の設定から得られたデータに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は約0.05、0.04、0.03、0.02または0.01以下のp値を持つデータに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は95%、96%、97%、98%または99%以上の信頼区間を持つデータに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は、本開示によって提供される方法の第III相臨床試験の承認、例えば、米国のFDAによる承認によって決定される。
【0179】
いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルによって、及び任意で標準治療と組み合わせて治療された患者の無作為化二重盲検臨床試験によって決定される。いくつかの実施形態では、統計的に有意な治療効果は、無作為化臨床試験によって、及び咳嗽計数モニター装置を用いて測定される日中の咳嗽頻度を主要な有効性パラメーターとして用いて、及び任意で咳嗽及び/または呼吸困難の評価のための他の一般的に受け入れられている基準と組み合わせて決定される。
【0180】
一般に、統計分析には、米国または欧州またはその他の国における規制機関、例えば、FDAによって許可された好適な方法を含めることができる。いくつかの実施形態では、統計分析には、例えば、Kaplan−Meier、Jacobson−Truax、Gulliken−Lord−Novick、Edwards−Nunnally、Hageman−Arrindel及びHierarchical線形モデリング(HLM)及びCox回帰分析からの非層化分析、ログランク分析が挙げられる。
【0181】
本開示のいくつかの実施形態では、ナルブフィンは慢性咳嗽の咳嗽症状の効果的な軽減を提供するために、1日1回または2回の基準で投与される。いくつかの実施形態では、総日用量は約15mg、約10mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mg、または約480mgである。いくつかの実施形態では、慢性咳嗽の治療を必要とする患者は肺疾患を持つ患者である。いくつかの実施形態では、肺疾患は間質性肺疾患である。いくつかの実施形態では、間質性肺疾患は、特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシス、石綿肺症、閉塞性細気管支炎、組織球症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群及び肺胞タンパク症から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、間質性肺疾患は、特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシス、及び石綿肺症から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、肺疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。いくつかの実施形態では、COPDは、肺気腫、慢性気管支炎、及びアルファ−1−アンチトリプシン(AAt)欠乏症から成る群から選択される状態に関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、タバコの煙、副流煙、パイプの煙、大気汚染、及びほこり、喫煙、または煙への職場での曝露から成る群から選択される刺激物に関連する。
【0182】
本開示のいくつかの実施形態では、ナルブフィンは、原因不明の慢性咳嗽に関連する咳嗽症状の効果的な軽減を提供するために、1日1回または2回の基準で投与される。いくつかの実施形態では、総日用量は約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mg、または約480mgである。
【0183】
本開示のいくつかの実施形態では、ナルブフィンは、難治性の慢性咳嗽に関連する咳嗽の症状の効果的な軽減を提供するために1日1回または2回基準で投与される。いくつかの実施形態では、総日用量は約15mg、約20mg、30mg、約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mg、または約480mgである。
【0184】
本開示のいくつかの実施形態では、ナルブフィンは、咳嗽過敏症候群に関連する咳嗽の症状の効果的な軽減を提供するために1日1回または2回基準で投与される。いくつかの実施形態では、総日用量は約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mg、または約480mgである。
【0185】
本開示のいくつかの実施形態では、ナルブフィンは、特発性肺線維症に関連する咳嗽、息切れ、または呼吸困難の症状の効果的な軽減を提供するために1日1回または2回基準で投与される。いくつかの実施形態では、総日用量は約15mg、約10mg、約30mg、約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mg、または約480mgである。
【0186】
本開示の全体を通して、そこで使用される方法及び用量は一般に、咳嗽、息切れ、または呼吸困難が関連付けられる状態を規定することなく「咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療」のためのナルブフィン(または他の鎮咳薬または抗息切れ薬または呼吸困難薬)の量という点で表現される。しかしながら、本開示は、方法及び用量が、IPF、難治性慢性咳嗽、原因不明の慢性咳嗽、過敏性肺炎、サルコイドーシス、石綿肺症、閉塞性気管支炎、組織球症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群、及び肺肺胞タンパク症、COPD(例えば、COPDは、肺気腫、慢性気管支炎、及びアルファ−1−抗トリプシン(AAt)欠乏症のような状態に関連し、またはCOPDはタバコの煙、副流煙、パイプの煙、大気汚染、職場でのほこり、喫煙、または煙への曝露のような刺激物に関連する)のような特定の状態、及び本明細書に記載されている他の状態に関連する咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に有効である実施形態を企図する。
【0187】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約15mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約20mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約30mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約40mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約60mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約90mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約120mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約180mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約240mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約360mgであることができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約15mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約20mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約30mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約40mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約60mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約90mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約120mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約180mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約240mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約360mgであることができる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの総日用量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約480mgであることができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約15mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約20mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約10mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約30mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約15mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約40mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約20mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約60mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約30mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約90mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約45mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約120mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回約60mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約180mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約90mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約240mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約120mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約360mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約180mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約480mgのナルブフィンが選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約240mgのナルブフィンが選択される。
【0190】
いくつかの実施形態では、それを必要とする患者に投与されるナルブフィンの量は、薬学的に許容される塩の形態であり、前記患者に提供されるナルブフィン遊離塩基の当量によって表される。
【0191】
いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約14mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約18mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約27mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約36mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約54mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約81mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約108mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために、1日少なくとも約162mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日少なくとも約216mgであることができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日の約14mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約18mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約27mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約36mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約54mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約81mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約108mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約162mgであることができる。いくつかの実施形態では、当量のナルブフィン遊離塩基の総日用量は咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療のために1日約216mgであることができる。
【0193】
いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約14mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約18mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約9mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約27mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約14mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約54mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約27mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約81mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約41mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約108mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な現象を提供するために1日2回の約54mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約162mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約81mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約216mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約108mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約327mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約162mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日1回の約436mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。いくつかの実施形態では、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を提供するために1日2回の約218mgの当量のナルブフィン遊離塩基が選択される。
【0194】
慢性咳嗽患者(IPF患者を含む)の咳嗽の減少は種々の方法によって測定することができる。いくつかの実施形態では、投薬計画の有効性は、咳嗽重症度数値評価尺度(NRS)試験値、Leicester咳嗽質問スコア、咳嗽計数モニター装置を用いて測定される日中の咳嗽頻度、咳嗽計数モニター装置を用いて測定される24時間咳嗽頻度、咳嗽計数モニター装置を用いて測定される夜間の咳嗽頻度、咳嗽の生活の質に関する質問票(CQLQ(著作権))の合計値、変化の臨床全般印象(CGIC)、PROMIS項目バンクv1.0−倦怠感短縮版7a尺度、IPF集団に関するSt.Georgeの質問票(SGRQ−I)合計スコア、慢性肺疾患の増悪ツール(EXACT(登録商標))バージョン1.1e−日記ツール合計スコア、呼吸器症状の評価、(E−RS(商標))毎日日記(E−RS(商標)はEXACT(登録商標)ツールの11の呼吸器症状項目派生商品である)咳嗽下位尺度スコア、胸部症状下位尺度スコア、ならびにE−RS(商標)総スコアまたはそれらの任意の組み合わせを介した評価によって決定することができる。いくつかの実施形態では、投薬計画の有効性は、Leicester咳嗽質問票スコアのような二次有効性評価項目に関連する一次有効性評価項目として咳嗽計数モニター装置を用いて測定される日中の咳嗽頻度を介した評価によって決定することができる。
【0195】
息切れまたは呼吸困難(IPF患者を含む)の減少は種々の方法で決定することができる。いくつかの実施形態では、投薬計画の有効性は、呼吸器症状の評価(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコア(活動を伴う息切れ(呼吸困難)の評価を含む)、Borg呼吸困難尺度値合計スコア、Borg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)、数値評価尺度呼吸困難値、修正医学研究審議会尺度、PROMISプールv1.0呼吸困難情動反応尺度、PROMIS項目バンクv1.0呼吸困難重症度・短縮版10a尺度、PROMIS項目バンクv1.0呼吸困難特性尺度またはそれらの任意の組み合わせを介した評価によって決定することができる。
【0196】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。
【0197】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、間質性肺疾患に関連する倦怠感の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、間質性肺疾患はIPFである。倦怠感の減少は種々の方法で決定することができる。いくつかの実施形態では、投薬計画の有効性は、PROMIS項目バンクv1.0−倦怠感短縮版7a尺度を介した評価によって決定することができる。
【0198】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、慢性咳嗽の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、難治性の慢性咳嗽及び原因不明の慢性咳嗽から選択される慢性咳嗽の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。
【0199】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、咳嗽過敏症候群の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。
【0200】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、他の治療に不応性である咳嗽、息切れ、または呼吸困難の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの投与あたりの投与頻度及び投与量は、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから選択される鎮咳薬による治療に不応性である;μ−オピオイドアゴニストによる治療に不応性である;ピルフェニドンによる治療に不応性である;ニンテダニブによる治療に不応性である;サリドマイドによる治療に不応性である;またはクロモリンナトリウムによる治療に不応性であるIPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難であるIPFに関連するIPFの咳嗽、息切れまたは呼吸困難の治療に向けて治療効果を提供するように選択される。
【0201】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルは1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約18週間、約24週間、または約50週間投与される。
【0202】
いくつかの実施形態では、少なくとも約30mgまたは約30mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約60mgまたは約60mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約90mgまたは約90mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約120mgまたは約120mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約180mgまたは約180mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約240mgまたは約240mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも約360mgまたは約360mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくはエステルが1日1回または1日2回の基準で少なくとも1週間投与される。
【0203】
いくつかの実施形態によれば、本開示の方法によって提供される咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少は、患者が咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を経験する前に、指定された時間間隔(例えば、少なくとも1週間)の治療を必要とする(すなわち、患者が咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を経験する前に誘導期がある)。いくつかの実施形態では、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、または少なくとも8週間の治療後、患者は治療前と比べて咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を経験する。いくつかの実施形態では、少なくとも1週間の治療後、患者は治療前と比べて咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少を経験する。この実施形態によれば、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の実質的な減少は、本明細書に記載されている方法(例えば、治療前と比べた呼吸器症状の評価(E−RS(商標))咳嗽下位尺度スコアの低下、治療前と比べた咳嗽計数モニター装置を用いて測定された日中の咳嗽頻度の減少、など)のいずれかを用いて表されてもよい。
【0204】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、変化の臨床的全般印象(CGIC)での少なくとも1ポイントの改善を特徴とするIPF症状(咳嗽、息切れまたは呼吸困難など)の実質的な減少を経験する。いくつかの実施形態では、IPF症状の減少は治療前と比べて約1.0〜約3.0ポイント、例えば、約1.0ポイント、約2.0ポイント、約3.0ポイントに及ぶCGIC値の改善を特徴とする。
【0205】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、患者のLeicester咳嗽質問票スコアの合計スコアで少なくとも約1.0ポイントの改善を特徴とする咳嗽頻度の減少に関連する健康状態の実質的な改善を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽頻度の減少に関連する健康状態の改善は、治療前と比べて約0.5〜約2.0ポイント、例えば、約0.5ポイント、約1.0ポイント、約1.5ポイント、及び約2.0ポイントに及ぶLeicester咳嗽質問票スコアの改善を特徴とする。いくつかの実施形態では、咳嗽頻度の減少に関連する健康状態の改善は、治療前と比べて約0.5〜約2.0ポイント、例えば、約0.5ポイント、約1.0ポイント、約1.5ポイント、約2.0ポイントに及ぶ3つのLeicester咳嗽質問票領域(身体的、心理的または社会的)スコアのいずれかの改善を特徴とする。
【0206】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、咳嗽計数モニター装置を用いて測定される日中の咳嗽頻度で少なくとも約30%の減少を特徴とする咳嗽の実質的な減少を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽の減少は、治療前と比べて10%〜約100%、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、及び約100%に及ぶ日中の咳嗽頻度の低下を特徴とする。
【0207】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて咳嗽重症度数値評価尺度(NRS)値での少なくとも1ポイントの減少を特徴とする咳嗽の実質的な減少を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽の減少は、治療前と比べて約1.0〜約9.0ポイント、例えば、約1.0ポイント、約2.0ポイント、約3.0ポイント、約4.0ポイント、約5.0ポイント、約6.0ポイント、約7.0ポイント、約8.0ポイント、約9.0ポイント、及び約10.0ポイントに及ぶNRS咳嗽値の低下を特徴とする。
【0208】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、咳嗽の生活の質の質問票(CQLQ(著作権))の合計値で少なくとも4ポイントの改善を特徴とする咳嗽頻度の減少の結果として健康関連の生活の質の実質的な改善を経験する。いくつかの実施形態では、健康関連の生活の質の改善は、治療前と比べて約3.0〜約6.0ポイント、例えば、約3.0ポイント、約3.5ポイント、約4.0ポイント、約4.5ポイント、約5.0ポイント、約5.5ポイント、及び約6.0ポイントに及ぶCQLQ(著作権)合計値の改善を特徴とする。いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、6つのCQLQ(著作権)下位尺度(身体的愁訴、心理社会的問題、機能的能力、感情的幸福、極度の身体的愁訴または個人的な安全懸念)のいずれかで少なくとも1ポイントの改善を特徴とする咳嗽頻度の減少の結果として健康関連の生活の質の実質的な改善を経験する。いくつかの実施形態では、健康関連の生活の質の改善は、治療前と比べて約1.0〜約4.0ポイント、例えば、約4.0ポイント、約3.0ポイント、約2.0ポイント、約1.0ポイントに及ぶCQLQ(著作権)下位尺度スコアでの改善を特徴とする。
【0209】
いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、IPF母集団に関する患者のSt.Georgeの質問票(SGRQ−1)の合計スコアで少なくとも5ポイントの改善を特徴とする咳嗽の実質的な減少を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽の減少は治療前と比べて、約4.0〜約7.0ポイント、例えば、約4.0ポイント、約4.5ポイント、約5.0ポイント、約5.5ポイント、約6.0ポイント、約6.5ポイント、及び約7.0ポイントに及ぶSGRQ−1合計スコアでの改善を特徴とする。いくつかの実施形態では、治療後、患者は治療前と比べて、患者のSGRQ−1の3つの下位領域(症状、活動または影響)のいずれかにおける少なくとも1ポイントの改善を特徴とする咳嗽の実質的な減少を経験する。
【0210】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、呼吸器症状の評価(E−RS(商標))咳嗽下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽の減少は治療前と比べて約1.0〜約4.0ポイント、例えば治療前と比べて、約1.0ポイント、約2.0ポイント、約3.0ポイント、及び約4.0ポイントに及ぶ呼吸器症状の評価(E−RS(商標))咳嗽下位尺度スコアの低下を特徴とする。
【0211】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、呼吸器症状の評価(E−RS(商標))胸部症状下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する。いくつかの実施形態では、咳嗽の減少は、治療前と比べて約1.0〜約12.0ポイント、例えば、約1.0ポイント、約2.0ポイント、約3.0ポイント、約4.0ポイント、約5.0ポイント、約6.0ポイント、約7.0ポイント、約8.0ポイント、約9.0ポイント、約10ポイント、約11ポイント及び約12.0ポイントに及ぶ呼吸器症状の評価(E−RS(商標))胸部症状下位尺度スコアの低下を特徴とする。
【0212】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて呼吸器症状の評価(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする息切れの減少を経験する。いくつかの実施形態では、息切れの減少は治療前と比べて、呼吸器症状の評価(E−RS(商標))の約1.0〜約23.0ポイントに及ぶ息切れ下位尺度スコアの低下(Bacci ED,O’Quinn S,Leidy NK,Murray L,Vernon M.Evaluation of a respiratory symptom diary for clinical studies of idiopathic pulmonary fibrosis.Respir.Med.2018,Jan;134:130−138)、例えば、約1.0ポイント、約3.0ポイント、約5.0ポイント、約7.0ポイント、約9.0ポイント、約11.0ポイント、約13.0ポイント、約15.0ポイント、約17.0ポイント、約19ポイント、約21ポイント、約23.0ポイントに及ぶ低下を特徴とする。
【0213】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、活動に関連する息切れにつながりがある呼吸器症状の評価(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの低下を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて約1.0〜約17.0ポイントに及ぶ活動に関係がある呼吸器症状の評価(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアの低下(Bacci ED,O’Quinn S,Leidy NK,Murray L,Vernon M.Evaluation of a respiratory symptom diary for clinical studies of idiopathic pulmonary fibrosis.Online supplement(2018).https://doi.org/10.1016/j.rmed.2017.11.011)、例えば、約1.0ポイント、約3.0ポイント、約5.0ポイント、約7.0ポイント、約9.0ポイント、約11.0ポイント、約13.0ポイント、約15.0ポイント、約17.0ポイントの低下を特徴とする。
【0214】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、Borg呼吸困難尺度値の合計スコアでの少なくとも1点の変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて約0.5〜約2.0ポイント、例えば、約0.5ポイント、約1.0ポイント、約1.5ポイント、及び約2.0ポイントに及ぶBorg呼吸困難尺度値の合計スコアでの低下を特徴とする。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、Borg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)のいずれかにおける少なくとも1ポイントの変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて約0.5〜約2.0ポイント、例えば、約0.5ポイント、約1.0ポイント、約1.5ポイント及び約2.0ポイントに及ぶBorg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)での低下を特徴とする。
【0216】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、数値評価尺度の呼吸困難値での少なくとも3ポイントの減少を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて約2.0〜約5.0ポイント、例えば、約2.0ポイント、約2.5ポイント、約3.0ポイント、約3.5ポイント、約4.0ポイント、約4.5ポイント、及び約5.0ポイントに及ぶBorg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)での低下を特徴とする。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べて、修正医学研究審議会尺度での少なくとも1つのカテゴリーの変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて、少なくとも1つのカテゴリーから約3つのカテゴリー、例えば、約1つのカテゴリー、約2つのカテゴリー、及び約3つのカテゴリーに及ぶ修正医学研究審議会尺度での改善を特徴とする。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べてPROMISプールv1.0呼吸困難情動反応尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて少なくとも1つのカテゴリーから約3つのカテゴリー、例えば、約1つのカテゴリー、約2つのカテゴリー及び約3つのカテゴリーに及ぶPROMISプールv1.0呼吸困難情動反応尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つにおける改善を特徴とする。
【0219】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べてPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難重症度・短縮版10a尺度の10の質問のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は、治療前と比べて少なくとも1つのカテゴリーから約3つのカテゴリー、例えば、約1つのカテゴリー、約2つのカテゴリー、及び約3つのカテゴリーに及ぶPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難重症度・短縮版10a尺度の10の質問のうちの少なくとも1つにおける改善を特徴とする。
【0220】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は治療前と比べてPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難特性尺度の4つの項目のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つのカテゴリー変化、または「私は息切れしている」という質問における1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する。いくつかの実施形態では、呼吸困難の減少は治療前と比べて、少なくとも1つのカテゴリーから約3つカテゴリー、例えば、約1つのカテゴリー、約2つのカテゴリー、及び約3つのカテゴリーに及ぶPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難特性尺度の4つの項目のうちの少なくとも1つ及び/または「私は息切れしている」という質問における改善を特徴とする。
【0221】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は、PROMIS項目バンクv1.0倦怠感短縮版7a尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする倦怠感の減少を経験する。いくつかの実施形態では、倦怠感の減少は、治療前と比べて少なくとも1つのカテゴリーから約3つのカテゴリー、例えば約1つのカテゴリー、約2つのカテゴリー、約3つのカテゴリー、約4つのカテゴリー、約5つのカテゴリー、約6つのカテゴリー、及び約7つのカテゴリーに及ぶPROMIS項目バンクv1.0倦怠感短縮版7a尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つにおける改善を特徴とする。
【0222】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は、客観的測定(胸部X線、肺機能検査など)によって定量化されるような、前記治療前と比べて肺線維症の進行速度の実質的な低下を経験する。
【0223】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は、呼吸困難及び咳嗽状態の改善に基づいて入院率の実質的な低下を経験する。
【0224】
いくつかの実施形態では、前記治療後、患者は肺機能の悪化に関連するIPFの急性増悪(AE−IPF)の発生の低下、及び/または強度が増す呼吸困難の次第にさらに頻繁な症状の出現の「呼吸困難サイクル」の正のフィードバックループでの中断に続発する呼吸困難の軽減の結果として罹患率及び死亡率の実質的な低下を経験する。
【0225】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの1日用量は、1日1回または2回の用量であり、次いで、患者が咳嗽、息切れ、または呼吸困難の満足できる緩和を経験するまで上方に用量設定される。1日用量は、約5mg〜約360mgに及ぶ増分(例えば、約15mg、約30mgまたは約60mg)で用量設定することができる。1日用量は1以上のステップで用量設定することができる。1日投与量は、1日1回の投与量、または1日2回の投薬計画の各投与量を増やすことによって用量設定することができる。複数の用量設定ステップがある場合、投与量の量は増減され、同じであることができ、または異なることができる。
【0226】
いくつかの実施形態では、用量設定は1日1回または2回の約15mg、約30mg、または約60mgのナルブフィンで開始されてもよい。いくつかの実施形態では、用量は1日ごとから4日ごとに30mgの増分で調整することができる。患者は、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の適切な緩和を提供し、有害反応を最小限に抑える用量まで約7日〜約30日(例えば、約12日〜約20日)にわたって効果もたらすように自己用量設定することができる。いくつかの実施形態では、用量設定は、患者において定常状態が達成されるまで少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、または5週間行われる。
【0227】
いくつかの実施形態では、患者は、最初に15mg、30mgまたは60mgの錠剤を提供され、自己用量設定して1日1回または2回で最大約60mg、約90mg、約120mg、約180mg、約240mg、約360mgまたは約480mgを達成することができる。いくつかの実施形態では、用量設定用量は、約15mgまたは約30mgで開始され、その後、例えば、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の患者のために1日2回約90mgまたは180mgに徐々に増加される。いくつかの実施形態では、用量設定用量は、約15mgまたは約30mgで開始され、その後、例えば、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難の患者のために1日1回約180mgまたは360mgに徐々に増加される。
【0228】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの用量設定は、以下の表(当量のナルブフィン遊離塩基として表される)に提供されている投与スケジュールに従って17日間行われる。
【表B】
【0229】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの用量設定は、以下の表(当量のナルブフィン遊離塩基として表される)に提供される投与スケジュールに従って2週間行われる。
【表C】
【0230】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンの用量設定は、以下の表(当量のナルブフィン遊離塩基として表される)に提供される投与スケジュールに従って2週間行われる。
【表D】
【0231】
本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示の方法は、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難がある患者を治療するために治療上有効な血漿レベルのナルブフィンを提供する。ナルブフィンの血漿レベルは、例えば、定常状態の血漿レベル、AUC、Cmax及びCminのような当業者に知られている薬物動態パラメーターを用いて表されてもよい。ナルブフィンの血漿レベルは、米国公開番号2014/0171459、2014/0350042、2015/0359789、及び2017/0216277に記載されており、これらは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0232】
いくつかの実施形態では、本方法は、1以上の統計的に有意な治療効果と相関する定常状態血漿レベルのナルブフィンを提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって提供されるナルブフィンの治療上有効な定常状態血漿レベルは、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL、約65ng/mL、約70ng/mL、約75ng/mL及び約80ng/mLを含み、その間の範囲すべてを含めて約10ng/mL〜約80ng/mLに及ぶ。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの治療上有効な定常状態血漿レベルは、ナルブフィンの1日用量を投与することによって提供される、または薬学的に許容される塩もしくはエステルは約360mgである。さらなる実施形態では、ナルブフィンの治療上有効な定常状態血漿レベルは、約180mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを1日2回投与することによって提供される。
【0233】
いくつかの実施形態では、本方法は、1以上の統計的に有意な治療効果と相関する平均定常状態AUC
0−24h(ng
*hr/mLによって表される)レベルのナルブフィンを提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって提供されるナルブフィンの治療上有効な平均定常状態AUC
0〜24hレベルは、約300ng
*hr/mL、約400ng
*hr/mL、約500ng
*hr/mL、約600ng
*hr/mL、約700ng
*hr/mL、約800ng
*hr/mL、約900ng
*hr/mL、約1000ng
*hr/mL、約1100ng
*hr/mL、約1200ng
*hr/mL、約1300ng
*hr/mL、約1400ng
*hr/mL、及び約1500ng
*hr/mLを含み、その間の範囲すべてを含めて約200ng
*hr/mL〜約1600ng
*hr/mLに及ぶ。いくつかの実施形態では、治療上有効な平均定常状態AUC
0〜24hレベルのナルブフィンは、ナルブフィンの1日用量を投与することによって提供される、または薬学的に許容される塩もしくはエステルは約360mgである。さらなる実施形態では、治療上有効な平均定常状態AUC
0〜24hレベルのナルブフィンは、約180mgのナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを1日2回投与することによって提供される。
【0234】
いくつかの実施形態では、ナルブフィン、及び代謝産物には、グルクロニド(フェノール環及びシクロヘキサン環上にある可能性が最も高い)、2つのヒドロキシル化ナルブフィン代謝産物(シクロブタン環上)及び3つのケトン(シクロブタン環のヒドロキシル化、その後のカルボニルへの酸化またはその後のシクロブタン環の開環)が含まれる。いくつかの実施形態では、ナルブフィン代謝産物は、ナルブフィン3−グルクロニドまたは6−グルクロニドを含む。いくつかの他の実施形態では、ナルブフィン代謝産物には、三重ヒドロキシル化ナルブフィン、モノヒドロキシル化ナルブフィン、またはモノグルクロン酸抱合ナルブフィンまたはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、ナルブフィンの1以上の代謝産物は、検出可能な鎮咳活性、抗息切れ活性、または抗呼吸困難活性を有さない。他の実施形態では、ナルブフィンの代謝産物の1以上は、鎮咳活性、抗息切れ活性、または抗呼吸困難活性を示す。
【0235】
ナルブフィンの1以上の代謝産物が鎮咳活性、抗息切れ活性、または抗呼吸困難活性を示す実施形態では、ナルブフィンの投薬計画は、鎮咳活性、抗息切れ活性、または抗呼吸困難活性を示す1以上の代謝産物のクリアランス速度に応じて、上記で本明細書に記載されているように調整されてもよく、及び/または用量設定されてもよい。ナルブフィンの投与量のそのような投与量調整及び/または用量設定を行って、鎮咳活性、抗息切れ活性または抗呼吸困難活性も示すことができるナルブフィン及び/または1以上の代謝産物の蓄積を防いで、ナルブフィンによって治療された患者にて毒性効果を回避することができる。
【0236】
いくつかの実施形態では、ナルブフィンは完全に代謝される(例えば、約100%代謝される)。他の実施形態では、ナルブフィンは完全に代謝されない(例えば、約100%未満代謝される)。例えば、いくつかの実施形態では、ナルブフィンは、約100%代謝され、約95%代謝され、約90%代謝され、約85%代謝され、約80%代謝され、約75%代謝され、約70%代謝され、約65%代謝され、約60%代謝され、約55%代謝され、約50%代謝され、約45%代謝され、約40%代謝され、約35%代謝され、約25%代謝され、約20%代謝され、約15%代謝され、約10%代謝され、約5%代謝され、約1%代謝され、または約0%代謝される。いくつかの実施形態では、透析可能な薬剤の量は蓄積のレベル、例えば、ナルブフィンまたはその代謝産物の1以上の血漿レベルによって測定することができ、またはモニターすることができる。
【0237】
本明細書に記載されている実施形態は本開示を例示するものとして理解されるべきであり、限定するものとして解釈されるべきではない。それどころか、本開示は添付の特許請求の範囲によって具体化されるように代替物及びその同等物を包含する。本明細書で開示されている各参考文献は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0238】
以下の非限定的な実施例は本発明の種々の態様を説明する。
【実施例】
【0239】
実施例1
30mg、60mgまたは180mgの徐放性(ER)ナルブフィン錠剤を以下のように調製した:ナルブフィンHCl、マンニトール、キサンタンガム、ローカストビーンガム及び硫酸カルシウム二水和物を高剪断ミキサーに加え、低速で混合物を乾燥させた。造粒溶液(注射用水または精製水)を低速でミキサーに導入した。湿式造粒を高速で造粒し、流動床処理装置で乾燥させた。乾燥した顆粒を粉砕し、従来のミルを用いてサイズ分類した。粉砕された造粒物を拡散(タンブル)ミキサーに移した。ヒドロキシプロピルセルロースと、該当する場合はフマル酸(180mg製剤のみ)を拡散ミキサーに加え、混ぜ合わせた。その後、ステアリン酸マグネシウムを拡散ミキサーに加え、混ぜ合わせた。最終混合物は、回転式錠剤プレスを用いて圧縮した。錠剤は、機能しないOpadryホワイトコーティングでコーティングされてもよい。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0240】
錠剤は機能しないコート(Opadry II White)でコーティングされた。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0241】
実施例2
咳嗽、息切れ、呼吸困難の治療のためにナルブフィンHCl ER錠剤による特発性肺線維症の対象における二重盲検無作為化プラセボ対照2期間交差安全性及び有効性試験は以下のプロトコールに従って着手されるであろう。
【0242】
試験は、2週間の休薬期間によって分けられた2回の3週間の治療期間から成る(
図1)。第1の治療期間では、患者は1日2回(BID)の162mgの目標用量(当量のナルブフィン遊離塩基)までのナルブフィンER錠またはプラセボ錠BIDに対して1:1の比率で無作為化される。
【0243】
主要な目的は、ナルブフィンHCl ER錠が、(1)日中の咳嗽頻度の変化率、及び(2)安全性と忍容性に及ぼす影響を評価することである。日中は、デジタル咳嗽モニターが使用に適用されたのち24時間で対象が覚醒している時間として定義される。評価は客観的なデジタル咳嗽モニタリングを用いて行われる。
【0244】
参加者
資格を得るには、患者は特発性肺線維症を患っている必要があり、且つ患者は慢性咳嗽(>8週間)を有する必要がある。
選択基準
患者は試験に含まれる資格を得るには、以下の基準をすべて満たす必要がある。
・ATS/ERS/JRS/ALAT基準(Raghu G,et al;American Thoracic Society,European Respiratory Society,Japanese Respiratory Society,and Latin AmericanThoracic Society.Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis.An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline.Am.J.Respir.Crit.Care Med.2018,Sep.1;198(5)を参照のこと)に基づく「明確な」または「可能性のある」IPFの診断
・正常と予測される強制肺活量(FVC)>40%。
・正常と予測されるヘモグロビンで補正した一酸化炭素肺拡散能[DLCO]>25%。
・慢性咳嗽>8週間。
・咳嗽や窒息を起こさずに3液量オンス(または89ml)の水を飲む能力によって評価されるような適切な嚥下反射。
・スクリーニング時の咳嗽重症度数値評価尺度での日中の咳嗽重症度スコア≧4。
・同意時で18歳以上の男性または女性。
・出産の可能性のある女性は、許容できる避妊方法を使用する必要がある(性的に活発な場合)。
出産の可能性のあるすべての女性は、スクリーニング時及びベースライン来診時に妊娠検査が陰性でなければならない。
この試験の目的のために、すべての女性は、閉経後(すなわち、最後の月経から少なくとも1年及び50歳を超える)または外科的に不妊(すなわち、卵管結紮術、子宮摘出術、及び/または両側卵巣摘出術)でない限り、出産の可能性があると見なされる。
出産の可能性のある性的に活発な女性対象は、他の1つの方法(例えば、少なくとも1ヵ月間の定位置での子宮内避妊器具、少なくとも3ヵ月間の安定したホルモン避妊薬、Essure処置または殺精子剤)に加えて、避妊の1つのバリア方法(例えば、コンドーム、子宮頸管キャップ、またはペッサリー)を使用する必要がある。バリア法と殺精子剤を用いている女性の対象については、その方法はスクリーニングの前に少なくとも14日間使用する必要がある。
禁欲している女性対象は試験に参加してもよい;ただし、性的に活発になった場合は、適切な避妊を行う必要性について助言を受ける必要がある。この助言は、各試験来診で行われるべきであり、ソースレコードに文書化されるべきである。
・書面によるインフォームドコンセントを理解し、提供する意欲と能力。
・試験の要件と制限を順守する意欲と能力。
・すべてのデータの機密の使用と保管、及び科学出版を含む出版のためのすべての匿名化されたデータの使用に同意する。
除外基準
患者が以下の基準のいずれかを満たしている場合、その患者は適格ではない。
・次の条件は除外される。
a)家庭及び職業の環境曝露によって引き起こされることが知られている間質性肺疾患(ILD)
b)結合組織疾患によって引き起こされることが知られている間質性肺疾患(ILD)。
c)薬物関連の毒性によって引き起こされることが知られている間質性肺疾患(ILD)。
・現在、継続的な酸素療法を行っている。
・治験責任医師の意見では、試験中の鎮咳効果及び/または安全性事象の評価、または試験要件に協力する対象の能力を妨げる可能性のある主要な精神障害。
・ジルベール症候群の臨床診断で説明されない限り、スクリーニング時の正常範囲の上限の1.5倍を超える血清ビリルビン。
・スクリーニング時の血清肝アラニンアミノトランスフェラーゼまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素が>100U/L。
・スクリーニング時の推定糸球体濾過率が≦44mL/分/1.73m
2。
・スクリーニングから4週間以内の上気道または下気道の感染症。
・試験を首尾よく完了する対象の能力を妨げる可能性のある重大な病状または他の因子。
・治験責任医師によって決定されるような、試験の実施を妨げる可能性のある薬物乱用の病歴。
・ナルブフィンまたはビヒクル成分に対する既知の不耐性または過敏症/薬物アレルギー。
・妊娠中または授乳中の女性対象。
・進行中の臨床試験への同時登録、または同時臨床試験への予想される登録。
・睡眠時無呼吸の臨床診断及び/または持続的気道陽圧法(CPAP)の使用。
・過去1ヵ月の臨床的に重大な頭部外傷の病歴。
・誤嚥性肺炎の臨床診断。
・アヘン剤の使用後のアヘン剤離脱症状の病歴。
・文書化された、または臨床的に疑われる高炭酸ガス血症(pCO2>6.0kPa)。
投薬関連の除外:
・オピオイドに対する既知の不耐性(消化器、中枢神経系の症状)または過敏症/薬物アレルギー。
・プラセボを含む任意の治験薬への4週間以内の曝露。
・潜在的な対象は、スクリーニング期間の前の14日以内に、アヘン剤含有の鎮咳薬を含むアヘン剤を受け入れていてはならない。対象は、試験期間中、ナルトレキソンを含むオピオイドを使用することを禁じられる。
・潜在的な対象は、オピオイドと併用すると、CNS活性を抑制するという追加の薬理学的効果を引き起こす可能性があることが知られているベンゾジアゼピンまたは他のCNS抑制剤クラスの薬剤を現在受け入れることができない。
・潜在的な対象は、セロトニン作動性神経伝達に影響を及ぼし、オピオイドと併用するとセロトニン症候群を引き起こす可能性のある薬物を現在受け入れることができない。
・試験治療期間中、アルコール摂取は禁止される(オピオイドと併用すると、CNS抑制の追加の薬理学的効果の潜在的な原因となるため)。
・スクリーニングから8週間以内のIPF関連の薬物治療計画の変更。
心臓関連の除外
・ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類を用いて評価された、クラス2以上のうっ血性心不全の病歴がある対象。
・カナダ循環器協会(CCS)の評価尺度を用いて評価されたグレード2以上の狭心症の病歴がある対象。
・心室頻拍、心室性不整脈の病歴、または突然死の家族歴。
・対象によって報告されるような、過去3ヵ月以内の心筋梗塞または急性冠状症候群。
・血清カリウムが臨床検査の正常値の下限を下回る。
・心電図のスクリーニングで450ミリ秒を超えるQTcF間隔。
・スクリーニング測定で45bpm未満の心拍数。安静時心拍数が45bpm未満の対象は、仰臥位で5分後に1回繰り返させ、繰り返し中に45bpm未満のままである場合、スクリーニング不適格と見なされるであろう。
・心室性不整脈(ウェブサイト上でのCredible Meds(登録商標)にて「KR」として分類される)の「既知のリスク」を有する薬物の使用は登録時または試験中に許可されない。QT延長の潜在的なリスクに関連しているが、心室性不整脈に明確に関連していない薬物は、以下の基準が満たされていれば、試験登録時に許可される。
対象は、スクリーニングに先立って完全に4週間安定した用量で投薬を受けている。
スクリーニング後または試験中に投薬量は増やされず、対象は試験全体にわたって投薬を受けることが予想される。
スクリーニング時のQTcFは450ms以下である。
【0245】
結果
主要評価項目は、治療による22日目での客観的なデジタル咳嗽モニタリングによって評価されるようなベースラインからの日中の咳嗽頻度(1時間あたりの咳嗽)の変化率である。
【0246】
二次評価項目には、以下が含まれる。
・9日目(用量:54mg BID)、16日目(用量:108mg BID)、及び22日目(用量:162mg BID)でのベースラインからの日中の咳嗽頻度(1時間あたりの咳嗽)の治療による相対的変化。
・9日目(用量:54mg BID)、16日目(用量:108mg BID)、及び22日目(用量:162mg BID)でのベースラインからの24時間(昼間と夜間の合計)の咳嗽頻度(1時間あたりの咳嗽)の治療による相対的変化。
・9日目(用量:54mg BID)、16日目(用量:108mg BID)、及び22日目(用量:162mg BID)でのベースラインからの夜間の咳嗽頻度(1時間あたりの咳嗽)の治療による相対的変化。
・9日目、16日目、及び22日目でのベースラインからの治療による少なくとも1つのカテゴリーの改善として定義される応答があるE−RS日記咳嗽下位尺度(E−RS日記質問番号2)応答者の割合。
・8日目、15日目、及び21日目における咳嗽重症度数値評価尺度での治療による平均変化。
・9日目、16日目、及び22日目におけるベースラインからのE−RS日記息切れ下位尺度(E−RS日記の質問7、8、9、10、及び11)での治療による平均変化。
・9日目、16日目、及び22日目におけるベースラインからの14項目のEXACT v1.1e−日記ツールの合計スコアでの治療による平均変化。
・8日目、15日目、及び21日目におけるベースラインからのPROMIS項目バンクv1.0倦怠感短縮版7a尺度での治療による平均変化。
・8日目、15日目、及び21日目に測定されたCGI−Cの治療による経時的な平均変化。
【0247】
統計的方法
試料サイズと検出力
【0248】
およそ44人の対象の計画された試料サイズ(列ごとに22)は、5%の統計的有意水準(両側)にて日中の咳嗽頻度での40%の変化を検出する80%の検出力を提供する。
【0249】
一次有効性分析は、双方の試験治療を受け、試験の双方の治療期間を完了したすべての対象からなる完了者集団に基づく。
【0250】
有効性
【0251】
日中の咳嗽の頻度の変化率(1時間あたりの咳嗽)は、固定効果としての順序、治療、及び時間(9、16、及び22日目)と、共変量としてのベースライン値と、無作為効果としての部位と、無作為繰り返し効果としての対象とによる混合効果モデルを用いて分析される。試験来診で完了しなかった評価についてのドロップアウトまたは欠落データのための帰属はないであろう。
【0252】
安全性
【0253】
有害事象の発生率は、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)の身体システム分類と優先使用語による比率の提示を介して要約される。バイタルサイン及び臨床検査データは記述統計学を用いて要約されるであろう。禁止されたまたは制約された薬物の使用の範囲と期間は記述統計学を用いて同様に要約される。安全性の結果については正式な統計分析は行われず;推論は、存在する場合、臨床的な総説及び解釈を介して導き出される。
【0254】
最も関連性の高い中毒関連のMedDRA優先使用語をコードする特別な関心のある有害事象(AESI)が表にされ、説明する談話が書かれている。「中毒の可能性に関連している可能性がある」と考えられる追加の有害事象は個別に表にされる。
【0255】
心電図は、特別に訓練されたスタッフによって中心的に読み取られ、安全性に関連する所見に関して臨床現場にリアルタイムでフィードバックされる。一旦データベースが完成すると、ECGデータ(例えば、心拍数、PR、QTcF間隔)が対象によってリストに表示され、収集日時ごとに要約される。完全なECG評価は、中央ECG検査室からの別の報告に文書化される。
【0256】
薬物動態
【0257】
該当する場合は治験薬の血漿中濃度データ(ナルブフィン及び代謝物)を採取時間ごとにリストにする。
【0258】
データが許せば、2つの追加の分析セット:1)濃度結果の分析と報告;2)ナルブフィン血漿濃度と有効性パラメーターの間の曝露・反応関係を説明するための薬物動態・薬力学(PK−PD)分析が実行され、別々の報告で提供される。
【0259】
適宜、安全性及び/または忍容性のパラメーターを含めるために追加のPK−PD分析が実施される。
【0260】
治療介入
試験は、2週間の休薬期間で分けられた22日間の2つの治療期間から成る(
図1)。
【0261】
治療期間1の間に、適格な対象は以下の治療群の一方に無作為化(1:1)される:
・1群:活性があるNAL ER錠とその後に続く治療期間2での交差プラセボ錠
・2群:プラセボ錠とその後に続く治療期間2での交差NAL ER錠。
【0262】
NAL ERの対象は、治療日1〜6の期間にわたって27mg QDから54mg BIDまで用量設定され、その後、治療日6〜8で54mg BIDに維持される。その後、用量は治療日9〜10で108mg BIDに増加し、次いで治療日10〜15で108mg BIDに維持される。その後、用量は治療日16〜17で162mg BIDに増加し、次いで治療日17〜21日では162mg BIDに維持される。治療22日目に、NAL ERの対象は162mgのAM用量を受け入れるであろう。
【0263】
2週間の休薬期間の後、対象は同じプロトコールに従って3週間にわたる薬剤での2回目の治療(NAL ERまたはプラセボ)を受ける(
図1)。対象は2回目の治療の終了時に放免される。試験の合計期間は最大11週間である。
【0264】
試験来診には、適格性を判定するためのスクリーニング及び各治療期間について:ベースライン評価のための−1日目の来診、治療中の8、15、及び21日目の来診、及び2週間の休薬期間の終了時の経過観察が含まれる。各治療期間中の試験来診では、対象はナルブフィン血漿濃度の安全性分析及びPK分析のために採血される。対象は有効性評価のための質問票を完成させ、ECGを含む安全性評価を受ける。ベースライン来診及び各治療期間中の来診時では、少なくとも24時間の咳嗽頻度の完全な記録期間を取得するために、現場スタッフは対象に電子咳嗽モニターを配置し、これを翌日の夕方まで装着させる。各記録セッションの終了時、モニターは就寝前に対象によって自宅で取り外される。対象は就寝前に毎日の電子日記を完成させる。
【0265】
同意の撤回以外の理由で治験薬を中止した対象は、治療が時期尚早に中止されたとみなされ、時期尚早の中止及び2週間の治療中止の安全性の追跡評価を完了するよう求められる。
【0266】
結果
【0267】
NAL ER治療群のIPF患者は、本明細書に記載されている臨床評価項目によって示されるように、咳嗽、息切れ、または呼吸困難の症状の1以上の減少を示す。
【0268】
実施形態:
1.特発性肺線維症(IPF)の咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、前記方法。
【0269】
2.前記治療に先立って、前記患者の日中の咳嗽重症度が、咳嗽重症度数値評価尺度で少なくとも4である、実施形態1の方法。
【0270】
3.前記治療に先立って、前記患者の日中の平均咳嗽数が、咳嗽計数モニター装置を用いて測定される1時間あたり少なくとも15である、実施形態1の方法。
【0271】
4.前記IPF咳嗽が慢性咳嗽である、実施形態1の方法。
【0272】
5.前記IPF咳嗽が難治性の慢性咳嗽である、実施形態1の方法。
【0273】
6.前記IPF咳嗽が、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから選択される鎮咳薬による治療に不応性である、実施形態1の方法。
【0274】
7.前記IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難が、μ−オピオイドアゴニストによる治療に不応性である、実施形態1の方法。
【0275】
8.前記IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難がピルフェニドンによる治療に不応性である、実施形態1の方法。
【0276】
9.前記IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難がニンテダニブによる治療に不応性である、実施形態1の方法。
【0277】
10.前記IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難がサリドマイドによる治療に不応性である、実施形態1の方法。
【0278】
11.前記IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難がクロモリンナトリウムによる治療に不応性である、実施形態1に記載の方法。
【0279】
12.前記患者はまた、肺高血圧症、閉塞性睡眠時無呼吸、肺癌、COPD/肺気腫、虚血性心疾患及びGERDから成る群から選択される疾患の治療も受ける、実施形態1の方法。
【0280】
13.慢性咳嗽を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、前記方法。
【0281】
14.前記慢性咳嗽が、難治性の慢性咳嗽、原因不明の慢性咳嗽、原因不明及び難治性の慢性咳嗽から選択される、実施形態13の方法。
【0282】
15.前記慢性咳嗽がトラマドールによる治療に不応性である、実施形態14の方法。
【0283】
16.慢性咳嗽の治療を必要とする前記患者が肺疾患のない患者である、実施形態13〜15のいずれか1つの方法。
【0284】
17.慢性咳嗽の治療を必要とする前記患者が肺疾患の患者である、実施形態13〜15のいずれか1つの方法。
【0285】
18.前記肺疾患が間質性肺疾患である、実施形態17の方法。
【0286】
19.前記間質性肺疾患が、過敏性肺炎、サルコイドーシス、石綿肺症、閉塞性細気管支炎、組織球症X、慢性好酸球性肺炎、コラーゲン血管疾患、肉芽腫性血管炎、グッドパスチャー症候群、及び肺胞タンパク症から成る群から選択される、実施形態18の方法。
【0287】
20.前記肺疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、実施形態17に記載の方法。
【0288】
21.前記COPDが、肺気腫、慢性気管支炎、及びアルファ−1−アンチトリプシン(AAt)欠乏症から成る群から選択される状態に関連する、実施形態20の方法。
【0289】
22.前記COPDが、タバコの煙、副流煙、パイプの煙、大気汚染、及び職場でのほこり、喫煙、または煙への曝露から成る群から選択される刺激物に関連する、実施形態20の方法。
【0290】
23.過敏性咳嗽疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、前記方法。
【0291】
24.約14mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0292】
25.約14mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0293】
26.約27mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0294】
27.約27mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0295】
28.約54mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0296】
29.約54mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0297】
30.約81mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0298】
31.約81mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0299】
32.約108mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0300】
33.約108mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0301】
34.約162mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0302】
35.約162mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日2回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0303】
36.約324mgの当量のナルブフィン遊離塩基が1日1回投与される、実施形態1〜23のいずれか1つの方法。
【0304】
37.前記投与が約8週間、10週間、12週間、24週間または50週間である、実施形態1〜36のいずれか1つの方法。
【0305】
38.前記投与が少なくとも約1週間である、実施形態1〜36のいずれか1つの方法。
【0306】
39.前記患者にて定常状態が達成されるまで少なくとも1週間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、実施形態1〜38のいずれか1つの方法。
【0307】
40.前記患者にて定常状態が達成されるまで約2週間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、実施形態1〜38のいずれか1つの方法。
【0308】
41.前記患者にて定常状態が達成されるまで約7〜30日間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、実施形態1〜38のいずれか1つの方法。
【0309】
42.前記患者にて定常状態が達成されるまで約14〜20日間、ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルの用量を用量設定することをさらに含む、実施形態1〜38のいずれか1つの方法。
【0310】
43.前記用量設定が、前記患者にて定常状態が達成されるまで漸増用量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、実施形態39の方法。
【0311】
44.前記用量設定が、前記患者にて27mgまたは324mgの有効量が達成されるまで漸増用量のナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、実施形態39の方法。
【0312】
45.前記用量設定が、約27mgの初期用量を1日1回または2回投与することをさらに含む、実施形態39の方法。
【0313】
46.前記用量設定が、約13mg〜約54mgに及ぶ増分でナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルを投与することを含む、実施形態39の方法。
【0314】
47.前記用量設定が、以下の表に提供される投与スケジュール(当量のナルブフィン遊離塩基として表される)に従ってナルブフィンを投与することを含む、実施形態39の方法:
【表E】
【0315】
48.前記治療後、前記患者が前記治療前と比べて咳嗽の実質的な減少を経験する、実施形態1〜47のいずれか1つの方法。
【0316】
49.前記治療後、前記患者が前記患者のLeicester咳嗽質問票スコアの合計スコアでの少なくとも1.3ポイントの低下を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜48のいずれか1つの方法。
【0317】
50.前記治療後、前記患者が咳嗽計数モニター装置を用いて測定される日中の咳嗽頻度での少なくとも30%の減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜49のいずれか1つの方法。
【0318】
51.前記治療後、前記患者が数値評価尺度咳嗽(NRS)値での少なくとも3ポイントの減少を特徴とする咳嗽重症度の低下を経験する、実施形態1〜50のいずれか1つの方法。
【0319】
52.前記治療後、前記患者が咳嗽の生活の質質問票(CQLQ(著作権))の合計値での少なくとも4ポイントの改善を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜51のいずれか1つの方法。
【0320】
53.前記治療後、前記患者が前記患者のIPF母集団に関するSt.Georgeの質問票(SGRQ−1)の合計スコアでの少なくとも5ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜52のいずれか1つの方法。
【0321】
54.前記治療後、前記患者が前記患者のSt.Georgeの質問票(SGRQ−1)スコアの各成分での少なくとも1ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜53のいずれか1つの方法。
【0322】
55.前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))咳嗽下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜54のいずれか1つの方法。
【0323】
56.前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))胸部症状下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする咳嗽の減少を経験する、実施形態1〜55のいずれか1つの方法。
【0324】
57.前記治療後、前記患者が前記治療前と比べて息切れの実質的な減少を経験する、実施形態1〜56のいずれか1つの方法。
【0325】
58.前記治療後、前記患者がEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする息切れの減少を経験する、実施形態1〜57のいずれか1つの方法。
【0326】
59.前記治療後、前記患者が前記治療前と比べて呼吸困難の実質的な減少を経験する、実施形態1〜58のいずれか1つの方法。
【0327】
60.前記治療後、前記患者が活動に関連するEXACT−呼吸器症状(E−RS(商標))息切れ下位尺度スコアでの少なくとも1.0ポイントの減少を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜59のいずれか1つの方法。
【0328】
61.前記治療後、前記患者がBorg呼吸困難尺度値の合計スコアでの少なくとも1ポイントの変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜60のいずれか1つの方法。
【0329】
62.前記治療後、前記患者がBorg呼吸困難尺度領域(感覚・知覚、感情的苦痛または症状の影響)のいずれかでの少なくとも1ポイントの変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜61のいずれか1つの方法。
【0330】
63.前記治療後、前記患者が数値評価尺度呼吸困難値での少なくとも3ポイントの減少を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜62のいずれか1つの方法。
【0331】
64.前記治療後、前記患者が修正医学研究審議会尺度での少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜63のいずれか1つの方法。
【0332】
65.前記治療後、前記患者がPROMISプールv1.0呼吸困難情動反応尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜64のいずれか1つの方法。
【0333】
66.前記治療後、前記患者がPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難重症度・短縮版10a尺度の10の質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の減少を経験する、実施形態1〜65のいずれか1つの方法。
【0334】
67.前記治療後、前記患者が前記治療前と比べてPROMIS項目バンクv1.0呼吸困難特性尺度の4つの項目のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化または「私は息切れしている」という質問での1つのカテゴリー変化を特徴とする呼吸困難の軽減を経験する、実施形態1〜66のいずれか1つの方法。
【0335】
68.前記治療後、前記患者が倦怠感の実質的な減少を経験する、実施形態1〜67のいずれか1つの方法。
【0336】
69.前記治療後、前記患者がPROMIS項目バンクv1.0倦怠感短縮版7a尺度の7つの質問のうちの少なくとも1つでの少なくとも1つのカテゴリー変化を特徴とする倦怠感の減少を経験する、実施形態1〜68のいずれか1つの方法。
【0337】
70.前記治療後、前記患者が客観的測定(胸部X線、肺機能検査など)によって定量化されるように、前記治療前と比べて肺線維症の割合の実質的な低下を経験する、実施形態1〜69のいずれか1つの方法。
【0338】
71.前記治療後、前記患者が呼吸困難、息切れまたは咳嗽状態の改善に基づいて入院率で実質的な低下を経験する、実施形態1〜70のいずれか1つの方法。
【0339】
72.前記治療後、患者が、肺機能の悪化に関連するIPFの急性増悪(AE−IPF)の発生の低下、及び/または強度が増加する呼吸困難の次第にさらに頻繁な症状の発現の「呼吸困難サイクル」の正のフィードバックループでの中断に続発する呼吸困難の減少の結果として罹患率及び死亡率の実質的な減少を経験する、実施形態1〜12及び24〜71のいずれか1つの方法。
【0340】
73.前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが、IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する1以上の薬物と併用して投与される、実施形態1〜12及び24〜72のいずれか1つの方法。
【0341】
74.IPFの咳嗽、息切れ、または呼吸困難を治療する1以上の薬物が、ピルフェニドン、ニンテダニブ、N−アセチルシステイン、クロモリンナトリウム、サリドマイド、ゲファピクサント、セルロピタント、及びオルベピタントから成る群から選択される、実施形態73の方法。
【0342】
75.前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが塩酸ナルブフィンである、実施形態1〜74のいずれか1つの方法。
【0343】
76.前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが徐放性経口剤形の形態である、実施形態1〜75のいずれか1つの方法。
【0344】
77.前記ナルブフィンまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルが、塩酸ナルブフィン、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム、硫酸カルシウム二水和物、フマル酸及びステアリン酸マグネシウムを含む製剤で投与される、実施形態1〜76のいずれか1つの方法。
【0345】
78.前記ナルブフィンが経口投与される、実施形態1〜77のいずれか1つの方法。
【0346】
79.前記ナルブフィンが吸入によって投与される、実施形態1〜77のいずれか1つの方法。